IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デューク ユニバーシティの特許一覧

特表2024-516284ハイドロゲル被覆整形外科用インプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ハイドロゲル被覆整形外科用インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20240405BHJP
   A61F 2/38 20060101ALI20240405BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20240405BHJP
   A61L 27/06 20060101ALI20240405BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20240405BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20240405BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61F2/28
A61F2/38
A61L27/20
A61L27/06
A61L27/16
A61L27/52
A61L27/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567956
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022027593
(87)【国際公開番号】W WO2022235741
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/183,670
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】トン,フアユ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB02
4C081BB08
4C081CA051
4C081CA101
4C081CB041
4C081CD021
4C081CG02
4C081DA01
4C081DA12
4C081DB03
4C081DB07
4C081DC04
4C081DC14
4C081EA03
4C097BB01
4C097CC02
4C097CC13
4C097CC14
4C097CC15
4C097DD01
4C097DD10
4C097DD13
4C097EE01
4C097EE03
4C097EE17
4C097EE19
4C097FF05
(57)【要約】
軟骨の機械的およびトライボロジー特性を模倣する表面ならびに長期固定のために骨を統合することができるベースを有するハイドロゲル被覆整形外科用インプラント、およびそれらを形成する方法。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁端部領域に囲まれている係合表面を有し、前記縁端部領域が前記係合表面の境界線に対して実質的に垂直である、インプラント本体と、
前記係合表面全体に前記縁端部領域に沿って適用された1枚または複数枚のバクテリアセルロース(BC)シートと、
前記縁端部領域とクランプとの間に前記1枚または複数枚のBCシートを固定するクランプと
を含むインプラントであって、
前記係合表面全体の前記1枚または複数枚のBCシートにハイドロゲル材料を浸透させて、BC-ネットワークハイドロゲルを形成する、インプラント。
【請求項2】
前記インプラント本体がチタンである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記係合表面が湾曲している、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記係合表面および前記縁端部領域の1つまたは複数の上に接着剤をさらに含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記1枚または複数枚のバクテリアセルロースシートが、3枚以上のシートを含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記ハイドロゲル材料が、ポリビニルアルコール(PVA)を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記ハイドロゲル材料が、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記インプラント本体が、骨内に移植されるように構成された細長い爪の形状を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記クランプが形状記憶合金を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
前記クランプが、100~500Nの保持力を加えるように構成されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記係合表面全体の前記1枚または複数枚のBCシートに前記ハイドロゲル材料を浸透させて、前記BC-ネットワークハイドロゲルを形成し、その結果前記BC-ネットワークハイドロゲルが、天然の軟骨以上に高いせん断強度で前記インプラントに付着される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項12】
前記1枚または複数枚のBCシートが、前記縁端部領域の表面と同一平面を成すように、前記縁端部領域を覆い包むように裁断される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記係合表面が、非円形の境界線を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記係合表面および縁端部領域の1つまたは複数が多孔質である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
インプラントを形成する方法であって、前記方法が、
1枚または複数枚のバクテリアセルロース(BC)材料シートを前記インプラントの係合表面全体に、前記1枚または複数枚のBC材料シートの周辺領域が前記係合表面に対してほぼ垂直な前記インプラントの縁端部領域全体に折り畳むように配置するステップと、
前記1枚または複数枚のBC材料シートの前記周辺領域を前記縁端部領域に対して締め付けるステップと、
前記係合表面全体の前記1枚または複数枚のBC材料シートにハイドロゲル材料を浸透させて、BC-ネットワークハイドロゲルを前記係合表面全体に形成するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記1枚または複数枚のBC材料シートを、前記係合表面全体および前記縁端部領域全体に適合するように裁断するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1枚または複数枚のBC材料シートを、折り畳みなしに前記係合表面全体および前記縁端部領域全体に適合するように裁断するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記1枚または複数枚のBC材料シートを前記係合表面および前記縁端部領域の1つまたは複数に接着剤で接着固定するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記接着剤を加圧下で硬化するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接着剤を100Mpa~500Mpaの加圧下で硬化するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記係合表面全体の前記1枚または複数枚のBC材料シートに浸透させるステップが、ポリビニルアルコール(PVA)を浸透させるステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記係合表面全体の前記1枚または複数枚のBC材料シートに浸透させるステップが、ポリビニルアルコール(PVA)およびポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)を浸透させるステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記1枚または複数枚のBC材料シートを前記係合表面全体に配置するステップが、3枚以上のBC材料シートを前記係合表面全体に配置するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本特許出願は、2021年5月4日に出願された「ハイドロゲル被覆整形外科用インプラント(HYDROGEL-COATED ORTHOPEDIC IMPLANTS)」という名称の米国特許仮出願第63/183,670号に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
参照による組込み
[0002]本明細書に記載されたすべての刊行物および特許出願は、本明細書に参照によりそれらの全体として、刊行物または特許出願がそれぞれ参照により組み込まれるように具体的および個別に指示されているかのように同じ程度に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0003]毎年、米国において約900,000人が、骨端を覆う関節軟骨への損傷に苦しみ、膝が最も一般的に影響を受ける。関節軟骨の病変は、治癒する本来の能力が限定され、変形性関節症を引き起こすことが多い。軟骨病変の処置は消耗性の痛みを軽減し、人工膝関節全置換の必要性を遅らせることができるが、骨髄刺激(マイクロフラクチャー)、自家軟骨細胞移植、および骨軟骨移植を含めて、軟骨回復のための現在の戦略では、典型的に破損率が高く(例えば、10年において25~50%)、リハビリテーション期間が延長され(>12か月)、極めてコスト高の可能性があり、40~50歳を超える患者において低下する有効性を示す。伝統的な整形外科用材料(例えば、コバルト-クロム合金、超高分子量ポリエチレン)を用いてリサーフェシングする局所的関節などの代替策が、代替戦略として探索されている最中であるが、これらのインプラントは、生物学的に統合する能力が限定されており、インプラントが相対する軟骨表面に対する異常な応力および摩耗を通して関節変性を起こす要因になりうるという懸念がある。長期の生物学的統合を可能にしながら軟骨の機械的機能を直ちに回復させることができる費用効果の高い手順が必要とされることが広く認められている。
【0003】
[0004]水で膨潤した高分子ネットワークであるハイドロゲルは、軟骨の置換のために有望な合成材料である。しかし、現在のところ、ハイドロゲルを軟骨欠損部位に、軟骨と骨の間の移行部と同じせん断強度で固定する方法がない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]本開示は、一般に軟骨の修復に適したインプラントにおける人工軟骨材料に関し、具体的には高分子ネットワークハイドロゲル材料をインプラントの表面に付着させる方法およびそのための組成物、ならびに高分子ネットワークハイドロゲルを含むインプラントを含む。特に、欠損部位においてハイドロゲルを軟骨-骨界面と同じせん断強度で固定することができる合成ハイドロゲルで損傷軟骨を置換する方法および装置が本明細書に記載される。いくつかの例では、これらの方法および装置は、骨に結合することができ、ハイドロゲルの長期固定を可能とすることがあるチタンベースに、ハイドロゲルを結合するステップを含むことができる。軟骨-骨界面のせん断強度を有しない、ハイドロゲルへの結合を形成する現在公知の方法とは異なって、本明細書に記載される方法および装置は、ハイドロゲルを金属に軟骨-骨界面とほぼ同じせん断強度で付着させることを(初めて)可能にすることができる。
【0005】
[0006]接着剤セメントは、2個の多孔質チタンプラグ間で約22MPaまでのせん断強度を達成することができるが、同じセメントは、典型的に多孔質チタンとハイドロゲル(バクテリアセルロース強化ハイドロゲルなど)の間で約3MPa以下のせん断強度を達成するだけである。本明細書にさらに詳細に記載されているように、チタン上のハイドロゲルのせん断強度の低下は、バクテリアセルロース中のセルロースナノファイバー層の層間剥離が原因でありうる。本明細書に記載される方法および装置は、ハイドロゲル中のバクテリアセルロース層を、移植された関節のせん断方向に対して垂直になるように再配向することによって、層間剥離を防止または低減することができる。バクテリアセルロースのこの配向は、骨軟骨移行部におけるコラーゲンナノファイバーの配向を模倣することができる。バクテリアセルロースの再配向は、バクテリアセルロース層で金属プラグの周辺全体を覆い包み、それらの層を適切な位置に(例えば、これに限定されないが形状記憶合金クランプなどのクランプを用いて)固定し、次にハイドロゲル成分をバクテリアセルロースに浸透させることによって達成されうる。
【0006】
[0007]驚くべきことに、本明細書に記載されるハイドロゲル(例えば、厚さ1mmのハイドロゲル)と金属の間の移行部の平均せん断強度は、ブタ軟骨-骨界面のせん断強度を超える。付着のせん断強度は、バクテリアセルロース層の数およびバクテリアセルロース層間におけるセメントの添加と共に増大する。この新しい付着方法は、骨軟骨欠損処置のためのハイドロゲル被覆整形外科用インプラントの創造に特に有用であるが、ハイドロゲルを基材(金属を含むがこれに限定されない)に連結させるのに役立ついずれの方法または装置においても使用されうる。
【0007】
[0008]例えば、縁端部領域に囲まれている係合表面を有し、縁端部領域が係合表面の境界線に対して実質的に垂直である、インプラント本体と、係合表面全体に縁端部領域に沿って適用された1枚または複数枚のバクテリアセルロース(BC)シートと、縁端部領域とクランプとの間に1枚または複数枚のBC材料シートを固定するクランプとを含むインプラントであって、係合表面全体の1枚または複数枚のBC材料シートにハイドロゲル材料を浸透させて、BC-ネットワークハイドロゲルを形成する、インプラントが本明細書に記載される。
【0008】
[0009]本明細書では、用語「実質的に垂直な」は、絶対垂直の約±15度(例えば、±12.5度、±10度、±9度、±8度、±7度、±6度、±5度、±4度、±3度、±2度、±1度)以内を指すことができる。例えば、係合表面の境界線に対して実質的に垂直な縁端部領域は、縁端部領域が係合表面の境界線に対して約90度(例えば、75度~105度、77.5度~102.5度、80度~100度、81度~99度など)であるように配置されうる。
【0009】
[00010]インプラント本体は、特に生体適合性材料を含めて適切ないずれの材料でも形成されうる。例えば、インプラント本体はチタンで形成されうる。インプラント本体は多孔質でありうる。いくつかの例では、係合表面は多孔質でありうる。
【0010】
[00011]係合表面は、湾曲していても(例えば、凸形、凹形)、平坦でもよい。係合表面および/または縁端部領域は、1枚または複数枚のBC材料シートと係合表面および/または縁端部領域との間に接着剤を含むことができる。いくつかの例では、1枚または複数枚のBC材料シートの最底部のシートだけがインプラントに接着連結される。いくつかの例では、接着剤が、複数のBC材料シートの全部または一部の間に含まれる。これらのインプラントのいずれにおいても、1枚または複数枚のバクテリアセルロースシートは、3枚以上(例えば、4枚以上、5枚以上、6枚以上、7枚以上など)のシートを含む。
【0011】
[00012]本明細書では、バクテリアセルロース(BC)シートは、別の表面上に折り畳み、曲げ、および/または横たえることができる、バクテリアセルロースの実質的に平面状の(例えば、平坦な)構成を指すことができる。BCシートを相互に積み重ね、インプラント表面上に配置することができる。シートは、乾燥(例えば、凍結乾燥)シートでも、または湿潤シートでもよい。BCシートは、長さおよび幅が両方とも典型的に厚さよりはるかに大きい、厚さ、長さ、および幅を有する(例えば、長さと厚さのアスペクト比および幅と厚さのアスペクト比が5以上(例えば、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上など)である。いくつかの例では、BCシートは1mm以下とすることができる。
【0012】
[00013]ハイドロゲル材料は、BC-ネットワークハイドロゲルを形成する適切ないずれの材料でもよい。いくつかの例では、ハイドロゲル材料は、ポリビニルアルコール(PVA)を含む。いくつかの例では、ハイドロゲル材料は、PVAおよびポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)を含む。あるいは、いくつかの例では、ハイドロゲル材料は、PAMPSなしにPVAまたはPVAだけを含む。
【0013】
[00014]インプラント本体は、骨内に移植されるように構成された細長い爪の形状を含むことができる。例えば、インプラント本体は、骨に挿入される(および/または運び込まれる)ように構成されている細長い拡張部分を含むことができる。
【0014】
[00015]クランプは、手で拡大可能/収縮可能なクランプ(例えば、リングクランプ)とすることができ、またはインプラントの縁端部領域上に締め付ける(または、場合によってはインプラントの縁端部領域に対して拡大する)ことを可能にする「記憶された」より小さい直径を有する形状記憶材料で形成することができる。例えば、クランプは形状記憶合金を含むことができる。いくつかの例では、クランプは、100~500N(例えば、150~400N、200~400N、約300Nなど)の保持力を加えるように構成されている。
【0015】
[00016]係合表面全体の1枚または複数枚のBC材料シートにハイドロゲル材料を浸透させて、BC-ネットワークハイドロゲルを形成することができ、その結果BC-ネットワークハイドロゲルが、天然の軟骨以上に高いせん断強度でインプラントに付着される。1枚または複数枚のBC材料シートは、(例えば、折り畳みまたは重なりなしに)縁端部領域の表面と同一平面を成す(lay flush)ように、縁端部領域を覆い包むように裁断されうる。
【0016】
[00017]これらの例のいずれにおいても、係合表面は、非円形の境界線(例えば、卵形、矩形、カルトゥーシュなど)を有することができる。係合表面および/または縁端部領域は多孔質でありうる。
【0017】
[00018]インプラントを形成する方法も本明細書に記載される。例えば、方法が、1枚または複数枚のバクテリアセルロース(BC)材料シートをインプラントの係合表面全体に、1枚または複数枚のBC材料シートの周辺領域が係合表面に対してほぼ垂直なインプラントの縁端部領域全体に折り畳むように配置するステップと、1枚または複数枚のBC材料シートの周辺領域を縁端部領域に対して締め付けるステップと、係合表面全体の1枚または複数枚のBC材料シートにハイドロゲル材料を浸透させて、BC-ネットワークハイドロゲルを係合表面全体に形成するステップと、を含むことができる。
【0018】
[00019]これらの方法のいずれも、1枚または複数枚のBC材料シートを、係合表面全体および縁端部領域全体に適合するように裁断するステップを含むことができる。例えば、1枚または複数枚のBC材料シートを、折り畳みなしに係合表面全体および縁端部領域全体に適合するように裁断するステップ。これらの方法のいずれも、1枚または複数枚のBC材料シートを係合表面および/または縁端部領域に接着剤で接着固定するステップを含むことができる。本明細書に記載される方法は、接着剤を加圧下で硬化する(例えば、接着剤を100Mpa~500MPaの加圧下で硬化する)ステップを含むことができる。係合表面全体の1枚または複数枚のBC材料シートに浸透させるステップは、ポリビニルアルコール(PVA)を浸透させるステップを含むことができる。いくつかの例では、浸透させるステップは、PVAおよびポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)を浸透させるステップを含むことができる。1枚または複数枚のBC材料シートを係合表面全体に配置するステップは、3枚以上のBC材料シートを係合表面全体に配置するステップを含むことができる。
【0019】
[00020]本明細書に記載される方法および装置はすべて、任意の組合せで本明細書において企図され、本明細書に記載される利点を達成するのに使用されうる。
[00021]本明細書に記載される方法および装置の特徴および利点は、例示的な態様を記載する以下の詳細な説明および添付の図面を参照することにより一層理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1-1】[00022]図1Aは、せん断試験前(上部)および後(下部)のRelyX Ultimateセメントで結合している2個のチタンプラグを示す図である。[00023]図1Bは、せん断試験前(上部)および後(下部)のRelyX UltimateセメントでBC-PVA-PAMPSハイドロゲルに結合している2個のチタンプラグを示す図である。[00024]図1Cは、さまざまなセメントで結合している2個のチタンプラグのせん断接着強度を示すグラフである。[00025]図1Dは、さまざまなセメントでBC-PVA-PAMPSハイドロゲルに結合している2個のチタンプラグのせん断接着強度を示すグラフである。
図1-2】[00026]図1Eは、図1Aにおける破断表面のSEM画像を示す図である。[00027]図1Fは、図1Bにおける破断表面のSEM画像を示す図である。
図2】[00028]図2は、図1AおよびBに示したプラグ-ツー-プラグサンプルのせん断試験に使用されるせん断試験治具1の画像を示す図である。
図3】[00029]図3は、バクテリアセルロースシートの横断面のSEM画像を示す図である。
図4】[00030]図4は、ハイドロゲルを金属性プラグに付着させる方法であって、本明細書に記載されるクランプ(例えば、形状記憶合金クランプ)を使用することを含む方法の一例を示す画像である。
図5】[00031]図5は、本明細書に記載される金属ロッドの縁端部を覆い包むための(例えば、脚部またはギザギザを有する)バクテリアセルロース(BC)切片のシートの一例を示す画像である。
図6】[00032]図6Aおよび6Bは、本明細書に記載されるように、本明細書に記載される材料をアライメントし、形成する(例えば、ロッド、切断されたBC、およびリングクランプを含めてBCをアライメントする)ために使用されうる治具の例を示す。図6Aは、治具の斜視図である。図6Bは、治具の断面図である。
図7】[00033]図7は、本明細書に記載されるように骨からの軟骨のせん断(searing)および/または試験ロッドからのハイドロゲル材料のせん断(searing)を試験するのに使用されうる1つの試験治具の例を示す図である。
図8】[00034]図8Aは、図9A~9Dおよび図10A~10に示すサンプルのせん断試験(すべての測定でn=3)の結果を示すグラフである。図8Bに示されるように、2層BCと5層BCの測定値の差は、統計学的に有意であった(p値<0.05)。
図9-1】[00035]図9A~9Dは、試験された(例えば、図8Aに示したように試験された)材料のサンプルの画像を示す図である。図9Aは、ブタ軟骨のサンプルを示す図である。図9Bは、金属基材に固定するためのいずれのセメントも用いないハイドロゲルのサンプルの例を示す図である。
図9-2】[00035]図9A~9Dは、試験された(例えば、図8Aに示したように試験された)材料のサンプルの画像を示す図である。図9Cは、本明細書に記載される1層セメントの例を示す図である。図9Dは、BCをアライメントするためのクランプが使用されなかったサンプルの例を示す図である。
図10】[00036]図10A~10Cは、破損後(試験後)、図6Bに示したサンプル試験の例を示す図である。
図11】[00037]図11は、骨軟骨欠損処置のため、ハイドロゲル(例えば、BC-PVAハイドロゲル、またはいくつかの例ではBC-PVA-PAMPSハイドロゲル)をインプラント(例えば、チタンインプラント)に付着させる方法の一例を示す図である。
図12】[00038]図12は、本明細書に記載される(カルトゥーシュ形状の形状記憶合金クランプとして示される)クランプの一例を示す図である。
図13】[00039]図13は、本明細書に記載されるように高せん断強度を有するようにハイドロゲルをインプラントに固定する一方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[00040]本明細書に記載される方法および装置(特にインプラントを含めて、例えばデバイス、システムなど)を使用して、医療用インプラントのパーツのためのハイドロゲルおよび金属基材を含む(がこれらに限定されない)ハイドロゲルと基材の間に付着を形成することができる。これらの方法および装置は、ハイドロゲルの一部としてバクテリアセルロースを含むハイドロゲルを含むことができる。例えば、ハイドロゲルは、バクテリアセルロース材料を含むトリプルネットワークハイドロゲルとすることができる。一般に、ハイドロゲル内のバクテリアセルロースは、本明細書に記載されるようにバクテリアセルロース繊維が、適用される基材に対して全体的に垂直に配向されるように配向されうる。基材は、多孔質金属(例えば、チタン)など多孔性基材とすることができる。
【0022】
[00041]いくつかの例では、本明細書に記載される装置は、骨軟骨欠損など欠損を処置するための外科用インプラントの一部を形成することができる。例えば、外科用インプラントは、ハイドロゲルで覆われている表面を含むことができる。この表面は、骨や軟骨など硬組織を含めて、1つまたは複数の他の身体領域間の界面として作用することができる。ハイドロゲルを用いた軟骨病変の修復は、欠損部位におけるハイドロゲルの長期固定から恩恵を被ることができる。骨との統合を可能にするベース(基材)へのハイドロゲルの付着は、ハイドロゲルの長期固定を可能にすることができるが、ハイドロゲルへの結合を形成する現在の方法は、骨軟骨移行部のせん断強度の10分の1未満を有する。本明細書に記載される装置および方法は、ハイドロゲルを表面(例えば、ベース)に、以前に達成されたせん断強度より何倍も高いせん断強度で結合するステップを含むことができる。
【0023】
[00042]膝において最も頻繁に生じる関節軟骨の病変は、典型的に治癒する本来の能力が限定され、関節痛および能力障害に関連している。ヒト軟骨と骨の間の付着のせん断強度は、骨軟骨移行部において試験されたとき約7.25±1.35MPaであり、または軟骨下骨のレベルで試験されたとき約2.45±0.85Mpaである(両方とも0.5mm/分のせん断速度で試験された)と報告された。せん断強度におけるこの差は、軟骨下骨破断が、骨からの軟骨の除去よりよく見られる理由を明らかにすることができる。他者が、より高いせん断速度(38mm/分)においてではあるが成熟ウシの骨軟骨移行部のせん断強度を測定すると、2.6±0.58MPaであった。比較すると、シアノアクリレート(「Super Glue」)は、軟骨を0.7MPaのせん断強度で結合する。骨軟骨移行部の高せん断強度は、軟骨にその高引張強度を与えるコラーゲンナノファイバーが石灰化され、ヒドロキシアパタイトで骨の表面に留められる方式の結果であると考えられうる。
【0024】
[00043]チタン上のハイドロゲルのせん断強度を(例えば、2.28±0.27MPa)に増大させる一方式は、最初に凍結乾燥バクテリアセルロース(セルロースナノファイバーのネットワークからなるBC)をα-リン酸三カルシウム(α-TCP)セメントでチタンに結合し、続いてポリビニルアルコール(PVA)、またはいくつかの例ではPVAおよびポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸(PAMPS)をバクテリアセルロース内に浸透させて、例えばBC-PVA-PAMPSハイドロゲルを創造することによって達成されうる。本明細書に記載される同じ研究の一部として開発されたこの手法は、ナノファイバー増強型スティッキング(NEST)と呼ばれることがある。NESTで達成されたせん断強度は、最新技術より3倍の増加を表したが、ヒト骨軟骨移行部について報告された値と同様のせん断強度の最大値(例えば、7.25±1.35MPa以上)を可能にする別の改善点が本明細書に記載される。さらに、本明細書に記載される方法および装置は、同じ試験治具を用いた軟骨のせん断強度と直接に比較されうる。
【0025】
[00044]本明細書に記載される方法および装置は、ハイドロゲルと基材(例えば、金属基材)の間のせん断接着強度を、同じ試験治具における軟骨と骨の間の付着のせん断強度に匹敵するように増大させることができる。このことを示すために、数種の代替セメントがα-TCPと比較された。これらの代替セメントは、多孔質チタンプラグ間の付着のせん断強度を増大させたが、BC-PVA-PAMPSハイドロゲルと多孔質チタンの間のせん断接着強度を増大させなかった。本明細書に記載される研究は初めて、チタン上のハイドロゲルのせん断強度が、典型的に印加されたせん断力の方向に対して平行に配向されたセルロースナノファイバー層の層間剥離によって限定されるという仮説を提案し、検討する。この仮説は、セルロースナノファイバーを基材に対して垂直に配向する(したがって、印加されたせん断力の方向に対して垂直に配向される)ことによって、例えばBC層で円筒状金属プラグの両側を覆い包むことによって試験された。バクテリアセルロース(BC)層および得られたハイドロゲルは、例えば形状記憶合金クランプで適切な位置に固定された。ナノファイバー配向のこの変化は、付着のせん断強度を同じ試験治具におけるブタ骨軟骨移行部に相当するように増大させた。この配向では、付着のせん断強度は、BC層の数と共に増大し、プラグの周辺部においてハイドロゲルを破断させるのに必要とされる力を増加させた。この新しいハイドロゲル付着方法は、軟骨の特性を模倣する表面を備えた整形外科用デバイスの創造を可能にする。
【実施例
【0026】
[00045]異なるセメントのせん断強度を、最初に多孔度70%の厚さ1mmの3D印刷支柱層を載せた2個のチタンプラグ間で試験した。α-TCPセメントの場合に、サンドイッチ構造をダイにおいて250MPaで一緒にプレスして、セメントの多孔度を低減した。他のプラグを手で一緒にプレスした。RelyX Ultimateセメントで作製されたサンプルのせん断試験前および後の画像例を図1Aに示す。
【0027】
[00046]せん断試験は、45.4kg(100ポンド)のロードセルおよびオーダーメイドのせん断試験治具を装備したTest Resources 830LE63軸ねじり試験機で行われた(図2を参照のこと)。この「プラグ-ツー-プラグ」サンプル構成では、せん断力は、付着領域全体にわたって均等に印加されることに留意されたい。図1Bに示されるように、試験された代替セメントはすべて、2つの多孔質チタンプラグを結合するのにα-TCPセメントより高いせん断強度を示した。サンプル破断表面はすべて、図1Aに示したRelyXTM Ultimateセメントサンプルと同様の凝集破壊を示した。
【0028】
[00047]同じセメントの、サンドイッチ構造におけるBC-PVA(または、BC-PVA-PAMPS)ハイドロゲルへの付着も試験した。サンプルは、BCシートをチタンプラグ間でセメント接着することによって調製された。サンプルを、手で2分間または250MPaで1時間一緒にプレスした。いくつかの例では、次いで、PVAおよびPAMPSをBC内に浸透させて、ハイドロゲルを創造した。RelyXTM Ultimateセメントで調製されたサンプルの画像を図1Bに示す。
【0029】
[00048]多孔質チタンを結合した結果とは対照的に、手でプレスされた代替セメントはいずれも、250MPaでプレスされたα-TCPに比べてハイドロゲル付着のせん断強度を増大させなかった。付着の強度が相対的に低いのは、セメントのナノファイバーBCマトリックスへのしみ込みが欠けていることが原因でありうる。この仮説は、他のセメントを、α-TCPの場合と同様に、硬化するより前にウェット状態において250MPaでプレスすることによって試験した。圧力の印加は、各代替セメントのせん断強度を増大させた。しかし、せん断強度はいずれも、α-TCPで達成されたせん断強度より有意には増大しなかった。驚くべきことに、例えばRelyXTM Ultimateセメントは、多孔質チタンを結合するのにα-TCPより6.9倍高いせん断強度を示したが、ハイドロゲルを結合するのにせん断強度を有意に増大させなかった。
【0030】
[00049]多孔質チタン(図1E)およびハイドロゲル(図1F)サンプルの破断表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を撮影して、ハイドロゲルサンプルのせん断強度のほうが低い理由を決定した。多孔質チタンサンプル(図1E)では、いくつかの平滑な破断表面がSEM画像に見られ、破損がセメントの破断によるものであったことを示す。しかし、ハイドロゲルサンプルの場合、セメントについて平滑な破断表面が見られない。その代わりに、SEM画像は、BCのナノファイバー表面を示す。繊維引抜または繊維破断は、画像中に容易には目に見えない。むしろ、破損はBC中のナノファイバー層の層間剥離が原因であるかのようである。
【0031】
[00050]一般に、ハイドロゲルと基材の間の接続のせん断強度(sheer strengths)は、バクテリアセルロースの繊維が基材表面に対して垂直であるようにアライメントされたBCを含むハイドロゲルを含めることによって劇的に向上されうる。
【0032】
[00051]図3は、例えば市販のBCシートにおいて、シートに対して垂直な方向でSEMによって画像処理されたとき容易に明らかであるBCの層状構造を示す。このサンプルは、BCを凍結乾燥および裁断することによって調製された。BCの層状性は、いくつかの先の研究において注目された。それは、典型的に気液界面において細菌によるBCフィルムのレイヤーバイレイヤー構築によるものである。軟骨中のコラーゲンの研究は、それも、層が骨に対して垂直に配向されることによって始まり、次いで軟骨表面に対して平行になるように湾曲する層状構造ではあるが、層状構造を有することを示した。軟骨中のコラーゲン層の構造は、BC中のナノファイバーシートがせん断方向に対して垂直に配向されるようにBC層が湾曲される場合、BC-PVAおよび/またはBC-PVA-PAMPSハイドロゲルなどのハイドロゲルの付着強度が増大されうることを示唆する。ナノファイバーシートのせん断方向に対して垂直配向は、ハイドロゲル(例えば、BC-PVA、BC-PVA-PAMPSなど)のチタンからの除去がBCナノファイバーの破断を必要とすることがあるので、せん断強度を増大させるはずである。一方、BCシートの表面に対して平行な方向におけるハイドロゲルのせん断誘導破断は、層の層間剥離および相対的に少ないナノファイバーの分解を伴うことがある(例えば、図1Fを参照のこと)。したがって、ハイドロゲルと基材の間の接続は、繊維シートの面内において面外より有意に強いことがありうる。実際に、図1Dにおいて達成された最大せん断強度(3.12MPa)は、ハイドロゲルの引張強度の約6分の1であり、試験はナノファイバー破断を伴う。
【0033】
[00052]いくつかの例では、本明細書に記載されるせん断方向に対して垂直にハイドロゲル中のBCナノファイバーを配向する方法は、ハイドロゲルで金属プラグの周辺を覆い包み、ハイドロゲルを適切な位置にクランプで固定するステップを含むことができる。クランプは、例えば、最初に変形状態の形状記憶合金クランプとすることができる。加熱時に、クランプは、記憶形状に収縮することができる。クランプは、高締め付け力を印加することができる。例えば、リングクランプは、5mm~50mm(例えば、10~40mm、15~35mmなど)の直径、約0.1mm~0.4mm(例えば、約0.27mm)のリング厚さ、および約0.5mm~4mm(例えば、約1mm)の高さを有することができる。一例として、形状記憶合金クランプは、加熱時に約300N(67重量ポンド)の公称締め付け力を提供することができる。いくつかの例では、NiTiNb形状記憶合金(Intrinsic Devices,Inc.社からのAlloy H)が、その操作温度が好都合であり、締め付け力が維持される温度範囲が幅広いためにクランプに選択された。この合金では、全締め付け力が165℃で得られ、-65℃~+300℃に維持される。NiTiNb合金は、現在インプラント中で使用されるNiTiより耐食性も高く、生体適合性であることを示唆する。あるいは、NiTi合金が使用されうる。
【0034】
[00053]ハイドロゲルが金属ベースに付着される方式の概要が、図4の例に図示される。この例では、凍結乾燥BCシートを、図5の例に示すように8個の突起(例えば、「脚部」)を有する八角形状に裁断し、インプラントの縁端部に曲げることができる。この裁断は、裁断しなければ円筒の側面に折り畳まれることになる余分のBCを除去することができる。次いで、図6に示したものと同様の、裁断されたBCの細片を治具に入れ、BCの細片およびこの場合ステンレス鋼であった金属ロッドを用いたリングクランプのセンタリングおよびアライメントを促進した。金属ロッドを、リングがBCの細片を金属ロッドに押し付けるように治具を介して押し下げた。リングをBCに押し倒し、ロッドに押し付けるこの方法は、理論上、手でも行うことができる。図6A~6Bに示すようなアライメント特徴の使用は、アセンブリ時に一貫して細片のセンタリングをする助けとなりうる。次いで、サンプルを、例えば90℃のオーブン中で加熱して、本明細書に記載される(50℃の温度で開始する)ように予め設定された形状記憶合金材料で締め付けを開始することによって締め付けることができる。次いで、パーツを、水熱容器中、PVAと共に120℃で24時間加熱して、ポリマーをBC内に浸透させた。最後に、いくつかの例では、BC-PVAを、30%のAMPS(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)と9mg/mLのMBAA架橋剤、5mg/mLのI2959および0.5mg/mLのKPSとの溶液に24時間浸漬することによって、PAMPSを浸透させた。サンプルをUVで15分間硬化させ、次に加熱硬化するために、60℃で8時間硬化した。
【0035】
[00054]クランプおよび/または基材は、バクテリアセルロースの分解を防止するように構成されうる。例えば、リングの内径とロッドの外径の距離は、BCを分解することなく高締め付け力を達成するように調整されうる。3片のBCの金属ロッドへの付着では、一例として、ロッドの外径は約5.7mmであり、リングの内径は約6.4mmであり、3片のBCは0.7mm残った。凍結乾燥BCの各片は、0.136±0.026mmであり、0.3mmの空間が残った。リングは、直径6.15mmに収縮して、この空間を消費し、BCを金属上に堅く締め付けることができる。さらに、BCは、ハイドロゲル成分の浸透後に約0.2mm拡大する。パーツの許容差は±0.13mmであることに留意されたい。場合によっては、ロッドとリングの間の空間を低減することによって、リングをBC層の向こうに押しやったときBCから脚部を折り取るために破損率が高くなった。ロッドとリングの距離を大きくして使用すると、ハイドロゲルのロッドへの付着が安全でなくなった。試行錯誤を通して、本発明者らは、BCの各片に約0.23mmの隙間を残すことが、BCにリングを滑らせたときBC脚部を折り取ることなく、BCを適切な位置に堅く締め付けるのに十分であることを見出した。
【0036】
[00055]次いで、ハイドロゲルのロッドへの付着強度を、軟骨の骨への付着強度と比べた。これは、図1A~1Bにおけるサンプルに使用されるプラグ-ツー-プラグ構成では可能でなかった。というのは、ロッドを軟骨の表面に、骨軟骨移行部と同じ強度で付着させる方法がないからである。骨軟骨移行部のせん断強度の先の試験は、軟骨の動きをせん断面に対して垂直な方向に制約しながら、軟骨の正方形片を骨から引き抜くL字形ジグを使用した。本明細書に記載される円筒状検体を用いて同様の試験を行うために、図7に示されたものなどのせん断試験治具を使用した。供試体を、治具の左側面の円筒状穴に固定した。治具の右側面を、ハイドロゲルまたは軟骨をそれらの基材から押し出すために使用される相補的半円筒を有するように機械加工した。クロスヘッド変位速度2mm/分を使用して、すべての測定を行った。図2における治具1は、せん断力を所与の界面全体に比較的均一に印加し、図7における治具2は、印加された力をロッドの一縁端部に集中させる。力が印加される様式のこの差は、治具1に比べて治具2で観測されたせん断力が低くなるものと予想される。特に、治具2は、開裂および剥離応力を潜在的に引き起こすことがあるからである。
【0037】
[00056]図8A~8Bは、せん断試験治具2を用いたせん断試験サンプルの結果を示す。ブタ軟骨は、約1.16±0.35MPaの平均せん断強度を有した。図9Aは、軟骨が、このサンプルにおいて下にある骨からきれいにせん断されたことを示す。先の研究(2.45±0.85~2.6±0.58MPa)に比べて治具2で測定された軟骨のせん断強度が低いのは、本発明者らの検体の円筒形状が原因である可能性が高く、先に試験された矩形の検体と比べて検体の縁端部におけるより小さい領域に応力を集中させる可能性がある。応力集中は、円筒状合わせ表面を有するサンプルをせん断することによって少なくとも部分回避されたが、せん断応力のいくらかの集中が、やはり存在しうる。さらに、アライメントが不完全であり、または軟骨がせん断面から出ることを制約することが不完全であるために、せん断に加えていくらかの剥離および/または開裂が存在した可能性がある。軟骨のせん断強度について、先の著者より低い数値が得られたが、本明細書に記載された同じ治具におけるハイドロゲルサンプルとの直接比較は、軟骨相当せん断強度が達成されたかどうかという疑問にやはり有効な解答を与える。さらに、本明細書に記載される軟骨せん断強度測定の標準偏差は、先に得たものより低く、測定方法が、先の試みと少なくとも同じくらい正確であることを示す。
【0038】
[00057]クランプ(例えば、形状記憶材料クランプ)をセメントなしに使用することによって、3層のBCを有するハイドロゲルサンプルを金属ロッドに、0.98MPaのせん断強度で付着させた。本発明者らは、この結果が、ブタ軟骨の平均せん断強度の誤差の範囲内であり、軟骨相当せん断強度を示すことがクランプ単独で達成されうることを認識する。図9Bは、ハイドロゲルがクランプから引き出されるために、付着が失敗したことを示す。ハイドロゲルはまた、せん断治具によって接触されたところがへこんだ(図9Bには見えない)。
【0039】
[00058]ハイドロゲルと金属ロッドの間に1層のセメントを加えると、付着強度が1.03±0.34MPaにさらに増大した。しかし、この例における増大は、測定の標準偏差を考慮すると、統計学的に有意であると言うことはできない。この結果は、セメントを第1のBC層の真下に加えると、クランプ単独で達成されたものを超えて付着強度を有意には増大させないことを示す。セメントを加えると、故障モードが、ハイドロゲルのクランプからの引き出し(図9Bに示す)ではなく、ハイドロゲルの破断(図9Cに示す)に変わった。図9Cにおける故障モードは、ハイドロゲルが依然として金属を覆っており、反対の軟骨表面を、摩擦係数がハイドロゲルより高い金属性表面による摩耗に曝さないので、ハイドロゲルでキャッピングされたインプラントの文脈の中で好ましい。
【0040】
[00059]次に、3層のセメントを、3層のBCのそれぞれの真下に1層ずつ有するサンプルを検討した。この場合、平均強度は、1.76±0.88MPaに増大した。この平均せん断強度は、ブタ軟骨サンプルで測定されたものを超えるが、標準偏差によって、測定値の差が統計学的に有意にならない。層間にセメントを加えると、ハイドロゲルを強化したBC層のそれぞれの間にセメントの層状コンポジットを創造することによって平均強度を増大させた可能性がある。このサンプルの故障モード(図8D)は、1層のセメントの場合と同様であった。
【0041】
[00060]クランプを用いずに、セメントだけ用いて、ハイドロゲルが金属ロッドの表面に付着されているサンプルも検討した。このサンプルは、クランプなしの場合、ハイドロゲルがPVA浸透プロセス中に金属ピンから離れたので、作製することが不可能であるとわかった。おそらく、PVA浸透中のハイドロゲルの拡大が、ハイドロゲルを平滑な金属ロッドの表面から離すのに十分なせん断力を創造した。その代わりに、本発明者らは、3層のハイドロゲルを多孔質チタンプラグに各層の間のセメントで付着させた。このサンプルは、Rely X Ultimateセメントを用いて調製され、250MPaでプレスされ、図1Dにおける最良の結果と同様であった。治具2を用いたこの「クランプなし」のサンプルのせん断試験は、0.93±0.21MPaのせん断強度をもたらした。このせん断強度は、治具1で測定された3.12±0.63のせん断強度より3.4倍低く、治具2を用いて使用された測定方法により、同一の界面を有するサンプルの観測されたせん断強度が低くなることを示すことに留意されたい。図9Dは、このサンプルが、軟骨サンプルと同様に凝集して失敗したことを示す。本発明者らは、クランプのない場合のこのせん断試験の結果が、クランプおよびセメントを用いて試験されたサンプルより低く、差は統計学的に有意ではなかったことを認識する。
【0042】
[00061]形状記憶合金クランプを用いて作製されたサンプルが破断した(例えば、図9Cを参照のこと)方式は、サンプルのせん断強度が、インプラントの縁端部の上で湾曲されるハイドロゲルを破断するために必要とされる引張力によって制限されることを示唆している。せん断試験は、ハイドロゲルを金属ピンから押し出し、ピンの側面の周りで締め付けられるハイドロゲルに引張力を創造する。この引張力は、ハイドロゲルをクランプから引っ張り出す(図9Bに示す)ことができ、またはピンの周辺のハイドロゲルを破断させる(図9Cに示す)ことができる。これらの結果は、ハイドロゲル層をより厚くすることによって、付着のせん断強度が増大されうることを示唆する。図8Bは、この仮説を試験する結果を示す。予想されるように、付着のせん断強度は、BC層の数が2から5に増加するにつれて増大する。これらのサンプルはそれぞれ、BC層と金属ピンの間に1層のセメントを有し、すべて凝集破壊した(例えば、図10A~10Cを参照のこと)。2層対5層の結果について一元配置ANOVAからのp値は、0.039であり、これらの結果の差が統計学的に有意である(p<0.05)ことを示す。5層BCハイドロゲルのせん断強度は、ブタ軟骨の平均せん断強度より上の1つの標準偏差であった。
【0043】
[00062]したがって、ハイドロゲルでキャッピングされたインプラントが本明細書に記載される。いくつかの例では、ハイドロゲルでキャッピングされたインプラントは、インプラントの組織係合表面に対して垂直なインプラントの一部分に締め付けられるBC含有ハイドロゲルを含むことができる。代替としてまたは追加的に、BC含有ハイドロゲルは、組織係合表面に対して垂直なインプラントの一部分に接着剤を介して結合されうる。接着剤は、加圧下(例えば、約150MPa~500MPaの下、例えば約250MPa)で硬化されうる。これらの装置のいずれも、(任意に)接着剤で一緒に固定されうるBCの多重層を含むことができる。
【0044】
[00063]例えば、これらの装置のいずれも、BCのシートをインプラントに固定するために使用されるクランプを含むことができる。ハイドロゲルは、BCがネットワーク(例えば、トリプルネットワークハイドロゲル)の一部であるようにBCにおいて形成されうる。したがって、最終装置は、本明細書に記載されるクランプを含むことができる。いくつかの例では、これらのクランプは、骨軟骨欠損修復のためのインプラントの表面にハイドロゲルを締め付けるためにさまざまな形状およびサイズで生成されうるリングまたはループとして形成された形状記憶合金クランプとすることができる。図11は、ハイドロゲル(例えば、BC-PVAハイドロゲル、および/またはBC-PVA-PAMPSハイドロゲル)を骨軟骨インプラントに付着させるための、直径20.64mmのクランプの例を示す。この例では、5片のBCを、8本の八角形脚部を有し、脚部をインプラントの縁端部の上で折り畳むことを可能にする形状に裁断した。市販品として純粋なチタンの厚さ0.25mmの被覆が、骨との統合を改善するためにプラズマスプレー法でインプラントのステム、およびベースの下に適用された。インプラントの頂上表面は、膝のネイティブ曲率に適合するように湾曲されている。図11の中央に示されたように、1層または複数層のBCが適用され、インプラントに締め付けられると、本明細書に記載されるように、BCに残りのハイドロゲル成分(例えば、PVA、PAMPSなど)を浸透させて、最終ハイドロゲルを形成することができる。
【0045】
[00064]インプラントのいずれの適切な形状または寸法も使用されうる。例えば、患者が、円形のデバイスで十分に処置することができない細長いまたは長方形の軟骨欠損に苦しんでいる場合、矩形、卵形、またはカルトゥーシュ形状のデバイスを使用して、欠損を処置することができる。図12は、BCの適切に裁断された細片をカルトゥーシュ形状のインプラントにプレスするために使用されうるカルトゥーシュ形状のクランプの例を示す。
【0046】
[00065]本明細書に示され、記載された例では、バクテリアセルロース(BC)をシートとして形成した。例えば、BCのシート(Gia Nguyen Co.Ltd.社)をドライで組み合わせ、操作し、本明細書に記載される基材に付着させることができる。(例えば、BC-PVA-PAMPSハイドロゲルを形成する)いくつかの例では、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)(完全加水分解、分子量:145,000g/mol)、N,N’-メチレンジアクリルアミド(MBAA、97.0%)、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン(I2959)、過硫酸カリウム(KPS)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(AMPS、50重量%水溶液)およびホスホセリン(例えば、Sigma Aldrich社)が使用されうる。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、すすぎおよび水和させるのに使用されうる。使用されうる接着剤の例としては、例えばTi-6Al-4V ELI(Grade 23)粉末(3D Systems)、α-リン酸三カルシウム(α-TCP)(Goodfellow Corporation)、リン酸亜鉛セメント(Prime-Dent)、RelyX Luting 2(3M ESPE)、RelyX Unicem(3M ESPE)、RelyX Ultimateセメント(3M ESPE)およびScotchbond Adhesive(3M ESPE)が挙げられる。
【0047】
[00066]一般に、基材を形成するインプラントは、いずれの適切な生体適合性材料でもよく、金属およびポリマーが挙げられる。例えば、場合によっては、チタンが使用されうる。図4および9A~10Cにおけるチタンプラグは、3D Systems DMP ProX 320を使用して、不活性アルゴン雰囲気中、チタン基材上でTi-6Al-4V ELI粉末の選択的レーザー溶融(SLM)を介して製作した。プラグ(試験サンプル)は、直径6mmおよび高さ6.35mmを有するように設計した。本明細書に記載される最終インプラントは、いずれの適切な形状およびサイズでもよい。これらの例では、頂上1mmのプラグは、多孔度70%の多孔質支柱構造から構成され、接着剤が(任意に)使用されるとき、接着接合の役に立つことができる。印刷後、サンプルを、ビルドプレートからワイヤ放電加工を介して取り出し、DI水中で15分間超音波処理して、余分な未接着粉末を除去することによって清浄にした。
【0048】
[00067]上記のように、数種のセメントを、2個の多孔質チタンプラグ間で試験した。α-TCPセメントを含むサンプルを調製するために、0.040gのホスホセリン(PPS)、0.312gのα-TCPおよび0.048gのステンレス鋼粉末(SSP)からなるドライセメント混合物を小皿に入れ、0.140mlの水を添加し、粉末を水と急速混合した。約0.150mlのウェットセメント混合物を、6mm内径の金属ダイにおいて多孔質チタンプラグの上に添加した。第2のチタンプラグが、多孔質層をウェットセメントと接触させてダイに直接入れられ、サンドイッチ構造が250MPaで1時間一緒にプレスされた。サンプルを85℃の水に少なくとも24時間入れて、α-TCPのヒドロキシアパタイトへの転換を促進し、せん断試験の直前まで水中に貯蔵した。
【0049】
[00068]リン酸亜鉛セメントを含むサンプルを調製するために、約1gの液体を2gの粉末と90秒間混合した。常に撹拌しながら、液体への粉末の添加をゆっくり、穏やかにかつ慎重に実施した。その後、約0.150mlのウェットリン酸亜鉛セメント混合物を、内径6mmの金属ダイにおいて第1の多孔質チタンプラグの上に添加した。第2のチタンプラグが、多孔質層をウェットセメントと接触させてダイに直接入れられ、サンドイッチ構造が、液圧プレスを用いて250MPaで1時間または手で2分間一緒にプレスされた。セメントが完全にドライになった(約2時間)後、サンプルを22℃の水に少なくとも24時間入れ、せん断試験の直前まで水中に貯蔵した。
【0050】
[00069]RelyX(商標) Luting 2およびRelyX(商標) Unicemセメントを含むサンプルを調製するために、約0.150mlのウェットRelyX(商標) Luting 2またはRelyX(商標) Unicemセメント混合物を、内径6mmの金属ダイにおいて第1の多孔質チタンプラグの上に添加した。第2のチタンプラグは、多孔質層をウェットセメントと接触させてダイに直接入れられ、サンドイッチ構造は、液圧プレスを用いて250MPaで1時間または手で2分間一緒にプレスされた。サンプルを22℃の水に少なくとも24時間入れ、せん断試験の直前まで水中に貯蔵した。
【0051】
[00070]RelyX(商標) Ultimateセメントを含むサンプルを調製するために、Scotchbond Adhesiveが、まず両チタンプラグの多孔質表面に適用された。接着剤を20秒間硬化させた後に、空気をもう5秒間吹き込んだ。その後、約0.150mlのウェットRelyX(商標) Ultimateセメント混合物を、内径6mmの金属ダイにおいて第1の多孔質チタンプラグの上に添加した。第2のチタンプラグは、多孔質層をウェットセメントと接触させてダイに直接入れられ、サンドイッチ構造は、液圧プレスを用いて250MPaで1時間または手で2分間一緒にプレスされた。サンプルを22℃の水に少なくとも24時間入れ、せん断試験の直前まで水中に貯蔵した。
【0052】
[00071]記載のように、本明細書に記載されるハイドロゲルサンプルはすべて、凍結乾燥BCを用いて作製された。BCシートを裁断し、2枚の金属プレート間に配置した。6.59重量kgを金属プレートに印加して、BCシートを平板化した。BCシートを、-80℃、次いで液体窒素中で凍結した。BCシートは、前凍結ステップなしに液体窒素中に直接入れられた場合、破断したことに留意されたい。次いで、BCシートを除去し、-78℃で24時間凍結乾燥した。
【0053】
[00072]数種のセメントのそれぞれを使用して、ハイドロゲルを2個の多孔質チタンプラグ間に付着させて、ハイドロゲルプラグ-ツー-プラグせん断試験用のサンプルを作製し、せん断接着強度を試験した。α-TCPサンプルでは、0.080gのPPS、0.624gのα-TCP、および0.096gのSSPからなるセメント混合物を小皿に入れ、0.280mlの水を添加し、粉末を水と急速混合した。次いで、0.150mlのウェットセメント混合物を、ダイにおいて多孔質チタンプラグの上に添加した。次いで、凍結乾燥BCシートを、ダイにおいてセメントの上に置き、さらに0.150mlのウェットセメント混合物をBCシートの上に添加した。次いで、別の多孔質チタンプラグを、ダイにおいて凍結乾燥BCシートの上に置いて、サンドイッチ構造を創造した。サンドイッチ構造は、250MPaで1時間プレスされた。サンプルを85℃の水に24時間入れて、α-TCPのヒドロキシアパタイトへの転換を促進した。次いで、サンプルをPVA(40重量%)およびDI水(60重量%)の混合物と共に水熱反応器に入れて、PVAをBC層内に浸透させた。サンプルを-78℃で凍結し、室温に解凍して、ハイドロゲルの強度をさらに増大させた。次いで、AMPS(30重量%)、架橋剤(MBAA、60mM)、および熱開始剤(過硫酸カリウム、0.5mg/ml)を含有する溶液に、サンプルを24時間浸漬した。ハイドロゲルを60℃で8時間熱硬化し、サンプルをDI水に少なくとも24時間浸漬した。
【0054】
[00073]リン酸亜鉛セメントでは、約1gの液体を2gの粉末と90秒間混合した。常に撹拌しながら、液体への粉末の添加をゆっくり、穏やかにかつ慎重に実施した。約0.150mLのウェットリン酸亜鉛セメント混合物を、内径6mmの金属ダイにおいて第1の多孔質チタンプラグの上に添加した。次いで、BCシートを、ダイにおいてセメントの上に置き、さらに0.150mLのウェットセメント混合物をBCシートの上に添加した。次いで、第2の多孔質チタンプラグを、ダイにおいてBCシートの上に置いて、サンドイッチ構造を創造した。サンドイッチ構造は、250MPaで1時間または手で2分間プレスされた。セメントが完全にドライになった(約2時間)後、サンプルを、22℃の水に24時間入れて、BCを再水和した。次いで、サンプルをPVA(40重量%)およびDI水(60重量%)の混合物と共に水熱反応器に入れて、PVAをBC層内に浸透させた。サンプルを-78℃で凍結し、室温に解凍して、ハイドロゲルの強度をさらに増大させた。次いで、AMPS(30重量%)、架橋剤(MBAA、60mM)、および熱開始剤(過硫酸カリウム、0.5mg/ml)を含有する溶液に、サンプルを24時間浸漬した。ハイドロゲルを60℃で8時間熱硬化し、サンプルをDI水に少なくとも24時間浸漬した。
【0055】
[00074]RelyX(商標) Luting 2およびRelyX(商標) Unicem セメントでは、約0.150mLのウェットRelyX(商標) Luting 2またはRelyX(商標) Unicemセメント混合物を、内径6mmの金属ダイにおいて第1の多孔質チタンプラグの上に添加した。次いで、BCシートを、ダイにおいてセメントの上に置き、さらに0.150mLのウェットセメント混合物をBCシートの上に添加した。次いで、第2の多孔質チタンプラグを、ダイにおいてBCシートの上に置いて、サンドイッチ構造を創造した。サンドイッチ構造は、250MPaで1時間または手で2分間プレスされた。サンプルを、22℃の水に24時間入れて、BCを再水和した。次いで、サンプルをPVA(40重量%)およびDI水(60重量%)の混合物と共に水熱反応器に入れて、PVAをBC層内に浸透させた。サンプルを-78℃で凍結し、室温に解凍して、ハイドロゲルの強度をさらに増大させた。次いで、AMPS(30重量%)、架橋剤(MBAA、60mM)、および熱開始剤(過硫酸カリウム、0.5mg/ml)を含有する溶液に、サンプルを24時間浸漬した。ハイドロゲルを60℃で8時間熱硬化し、サンプルをDI水に少なくとも24時間浸漬した。
【0056】
[00075]Relyx(商標) Ultimateセメントでは、Scotchbond Adhesiveは、まず両チタンプラグの多孔質表面およびBCシートの両表面に適用された。接着剤を20秒間硬化させた後に、空気をもう5秒間吹き込んだ。その後、約0.150mLのウェットRelyX(商標) Ultimateセメント混合物を、内径6mmの金属ダイにおいて第1の多孔質チタンプラグの上に添加した。次いで、BCシートを、ダイにおいてセメントの上に置き、さらに0.150mLのウェットセメント混合物をBCシートの上に添加した。次いで、第2の多孔質チタンプラグを、ダイにおいてBCシートの上に置いて、サンドイッチ構造を創造した。サンドイッチ構造は、250MPaで1時間または手で2分間プレスされた。サンプルを、22℃の水に入れて、BCを再水和した。次いで、サンプルをPVA(40重量%)およびDI水(60重量%)の混合物と共に水熱反応器に入れて、PVAをBC層内に浸透させた。サンプルを-78℃で凍結し、室温に解凍して、ハイドロゲルの強度をさらに増大させた。次いで、AMPS(30重量%)、架橋剤(MBAA、60mM)、および熱開始剤(過硫酸カリウム、0.5mg/ml)を含有する溶液に、サンプルを24時間浸漬した。ハイドロゲルを60℃で8時間熱硬化し、サンプルをDI水に少なくとも24時間浸漬した。
【0057】
[00076]せん断試験に使用されるブタ軟骨サンプルを調製するために、ブタ膝を、まず台万力に締め付けた。骨軟骨自家移植片移植システム(OATS)ツールを使用して、骨軟骨プラグをブタ膝から収穫した。OATSドナー収穫器を、ブタ膝表面上に配置し、表面に約15mm詰めた。取っ手を回転して、プラグを収穫し、取り除いた。ブタプラグを、コア押出機によって押し出した。ブタプラグを裁断して、骨領域を長さ8mmの骨に作製した。
【0058】
[00077]すべてのハイドロゲルサンプルの調製は、凍結乾燥BCを裁断して始めた。凍結乾燥BCを、PVA糊で粘着性に作製された裁断用マットに置いた。BCは、内径Dmmならびに脚部長さLmmおよび幅W=0.383Dを有する8個の脚部を有する八角形の形状に裁断された。サンプルを、裁断した後BC-D-Lとして標識した。8片の星型形状(BC-D-L)を、MATLAB(登録商標)によって生成し、Silhouette Studioソフトウェアにローディングした。例えば、3層のBCせん断試験サンプルを、上から下までBC-6-2、BC-6-1.75、およびBC-6-1.75で製作した。Silhouette Studioにおいて、以下の裁断設定を使用した:力=3、速度=1、およびパス=3。裁断した後、BCを除去し、ペトリ皿に置いた。
【0059】
[00078]3片のBCを、せん断試験ロッドに1層のセメントおよびクランプで接着させるために、直径5.7mm、高さ2mmの頂上部および直径17mm、高さ13mmの底部を有するようにステンレス鋼試験ロッドを機械加工した。3片の裁断BCを、アライメント治具に置いた。Scotchbond Universal Adhesiveを、ロッドおよびロッドの頂上表面と接触しているBC層に適用した。接着剤を、20秒間で硬化させた後に、空気をもう5秒間吹き込んだ。次いで、約0.15gのRelyX Ultimateセメントを、Scotchbond Universal Adhesiveで被覆された同じ表面に適用した。ロッドを、BC層、次いでリングクランプにプレスした。セメントを1時間硬化した。サンプルを、90℃のオーブン中で10分間加熱して、クランプを収縮させた。次いで、サンプルを、遠心管中、DI水に1時間浸漬した。
【0060】
[00079]セメントなしのサンプルを創造するために、接着剤またはセメントがBCまたはロッドに適用されなかった点以外は上記と同じ手順に従った。3層のセメントを含むサンプルを創造するために、追加の接着剤およびセメントを、BCとロッドの間に加えて、上記のようにBCの各層間に適用した。2層のBCを含むサンプルを試験するために、ロッドの頂上直径は、5.7mmでなく5.8mmであり、裁断BC層のサイズは、BC-6-1.75およびBC-6-1.75であった。5層のBCを含むサンプルを試験するために、ロッドの頂上直径は5.2mmであり、裁断BC層のサイズは、BC-3-2、BC-3-2、BC-5.5-2.25、BC-5.5-2、およびBC-5.5-1.75であった。
【0061】
[00080]BCの金属ロッドへの付着後に、例えばPVAおよびPAMPSをBC内に浸透させることによって、すべてのハイドロゲルサンプルを作製した。PVAの浸透では、再水和されたサンプルを、40%のPVAおよび60%のDI水と共に水熱容器に入れた。水熱容器を120℃で24時間加熱して、PVAをBC層内に浸透させた。24時間後に、水熱容器をオーブンから取り除き、それが熱い間に開放した。サンプルを容器から取り出し、サンプルの周りの余分のPVAを手で除去した。サンプルを-80℃の冷凍庫に入れ、30分後に冷凍庫から取り出した。サンプルを室温に解凍した後に、PAMPSを浸透させる次のステップを行った。解凍したサンプルを、30%のAMPS(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)溶液に、9mg/mLのMBAA架橋剤、5mg/mLのI2959および0.5mg/mLのKPSと共に24時間入れた(すべて、完全溶解)。サンプルを採取し、UVで15分間硬化させた。それを、気密遠心管に移し、60℃のオーブンに8時間入れ、加熱硬化した。硬化した後、インプラントをPBSに入れ、再水和した。
【0062】
[00081]図8A~8Bに示したものなどせん断試験を、45.4kg(100ポンド)のロードセルを装備した830LE63軸ねじり試験機で行った。オーダーメイドのせん断試験治具において、各試験を行った。金属サンプルにおける軟骨またはハイドロゲルのせん断では、サンプルを治具の左側面の円筒状穴に固定した。穴のサイズは、ブタプラグでは6mmであり、ハイドロゲルサンプルでは7mmであった。スペーサーをサンプルの真下に加えて、せん断面を軟骨-骨またはハイドロゲル-金属の界面に正確にアライメントした。治具の右側面を、ハイドロゲルまたは軟骨をそれらの基材から押し出すために使用される相補的半円筒を有するように機械加工した。右半円筒の直径は、左側面の直径(6または7mm)に適合した。ゴムをサンプルと右せん断の間に置き、固定して、開裂および剥離を最小限に抑えるために、せん断試験時にいくらかの圧力を印加した。クロスヘッド変位速度2mm/分を使用して、すべての測定を行った。
【0063】
[00082]本明細書に記載される方法および装置としては、ハイドロゲルを含むインプラントをインプラントの係合表面に形成する方法が挙げられる。係合表面は、体内に挿入されると、硬組織(例えば、骨)または別のインプラントを係合させるように構成されうる。インプラントの例としては、図11に示すものなどの骨インプラント1100が挙げられるが、いずれのインプラント構成も使用されうる。一般に、インプラントは、係合表面を含む。係合表面は、凸形、凹形、平坦とすることができ、またはその他の方法で湾曲もしくは造形されうる。係合表面は、典型的に係合表面に対してほぼ垂直(例えば、70度~140度、例えば70度~110度、約90度など)に伸びるリップまたはリム領域を含む。図11に示す例では、セメントが表面1104に適用された係合表面が示されており、縁端部(リムまたはリップ領域と呼ばれることもある)1106は、係合表面を包囲する。以上に論じたように、1枚または複数枚のBCシート1108を、係合表面に、ほぼ垂直な縁端部領域の側面の下方(または、陥凹係合表面の場合、上方)に適合するように裁断することができる。図11では、クランプ1110は、示されるように、BCおよび縁端部に適合し、活性化して、1層または複数層のBC上に締め付けて、それらを縁端部に対して固定することができる。
【0064】
[00083]図13は、本明細書に記載されるように、ハイドロゲル(例えば、BC含有ハイドロゲル)をインプラント上に固定する方法の一例を模式的に示す。この方法は、インプラント(例えば、整形外科用インプラント)の表面へのハイドロゲルの付着を天然の軟骨-骨界面とほぼ同じまたはそれ以上のせん断強度で可能にする方法を提供することができる。いくつかの例では、ハイドロゲルをインプラントの係合表面の周辺に締め付けると、BC中のナノファイバーが、せん断方向に対して垂直になるように再配向される。この再配向は、ハイドロゲルをインプラントからせん断するのにナノファイバーシートの破断を必要とすることによって、付着の平均強度を増大させる。この再配向のない場合、BC層は、剥離することがあり、せん断強度が低くなる。本明細書に記載される方法は、接着剤セメントと一緒に締め付けて、付着の強度をさらに改善し、ハイドロゲルがクランプから引き出されるのを防止するステップを含むことができる。せん断強度は、ハイドロゲル中で使用されるBC層の数と共に増大し、せん断強度が、インプラントの周辺部においてハイドロゲルを破断するために必要とされる引張力によって制限される。
【0065】
[00084]例えば、図13では、1枚または複数枚のBCシート(例えば、凍結乾燥BC)は、インプラントに付着させる前に調製されうる。いくつかの例では、1枚または複数枚のBCシートは、係合表面に適合することができるように裁断することができ、縁端部領域1301(または、場合によっては周り)に伸びるシートの一部分に対して圧力が均一に印加されうるように縁端部(例えば、リップまたはリム領域)に折り畳むことができる。
【0066】
[00085]縁端部領域(リップまたはリム)は、0.1mm~4mmなど(例えば、0.2mm~3mm、0.4mm~3mmなど)いずれか適切なサイズとすることができる。縁端部領域(例えば、リップまたはリム)にわたって伸びるBCシートの一部分を裁断し、切れ込みを入れ、またはその他の方法で形成し、例えばクランプによって、不均等な圧力および固定力を生じることがある実質的な折り畳みを防止することができる。
【0067】
[00086]これらの例のいずれにおいても、本明細書に記載される接着剤の1種または複数種など接着剤は、BCシートに適用する前にインプラントに適用されうる。例えば、接着剤は、係合表面および/または縁端部もしくはリム領域に適用されうる。
【0068】
[00087]次いで、1枚または複数枚のシートは、クランプおよび/または接着剤1303によって係合表面および包囲側面(例えば、リップまたはリム領域)に固定されうる。接着剤が使用される場合、加圧下で適切な時間(例えば、約100~500MPaの下で4時間超など)硬化されうる。いくつかの例では、クランプは、縁端部領域に適用されると、より広い構成からより狭い形状硬化構成に移行するように構成されている形状記憶合金材料のリングまたは環(例えば、コレット)とすることができる。係合表面が陥凹し、縁端部領域が係合表面より高くなっている変形では、クランプは、狭いからより大きい拡大直径に拡大されうる。クランプは、シートを適切な位置に保持するのに十分であるが、BC材料を裁断または損傷するほど大きくない量の力を適用するように構成されうる。
【0069】
[00088]その後、1枚または複数枚のBCシートのBC材料を含むハイドロゲルは、残りのハイドロゲル成分を浸透させて、BCを含むトリプルネットワークハイドロゲルなど完全なハイドロゲル1305を形成することができる。
【0070】
[00089]本明細書に記載されるハイドロゲル付着方法を使用して、軟骨の機械的およびトライボロジー特性を模倣する表面、ならびに長期固定のために骨を統合することができるベースを有する、ハイドロゲル被覆整形外科用インプラントを創造することができる。
【0071】
[00090]本明細書に記載される方法(ユーザーインターフェースを含む)はいずれも、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアとして、実行することができ、プロセッサ(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなど)によって実行されうる一連の命令を記憶する持続性コンピュータ可読式記憶媒体として記載することができ、プロセッサによって実行されるとき、表示、ユーザーとのコミュニケーション、分析、(タイミング、周波数、強度などを含めて)パラメータの変更、決定、警告などを含むがこれらに限定されないステップのいずれかをプロセッサに制御実行させる。
【0072】
[00091]以下にさらに詳細に論じられている上記の概念および追加の概念の組合せはすべて(ただし、そのような概念が相互に矛盾していない)は、本明細書に開示される本発明の主題事項の一部であると企図され、本明細書に記載される利点を達成するのに使用されうることが理解されるだろう。
【0073】
[00092]ある特徴または要素が、本明細書において別の特徴または要素「上に(on)」あると言及されるとき、それは、他の特徴または要素上に直にあることができ、あるいは介在する特徴および/または要素も存在しうる。一方、ある特徴または要素が別の特徴または要素「上に直に(directly on)」あると言及されるとき、介在する特徴または要素は存在しない。ある特徴または要素が別の特徴または要素に「接続(connected)」、「付着(attached)」または「連結(coupled)」されていると言及されるとき、それは他の特徴または要素に直接接続し、付着させ、または連結することができ、あるいは介在する特徴または要素が存在しうることも理解される。一方、ある特徴または要素が別の特徴または要素に「直接に接続(directly connected)」、「直接に付着(directly attached)」または「直接に連結(directly coupled)」されていると言及されるとき、介在する特徴または要素が存在しない。一態様に関して記載または示されているが、そのように記載または示された特徴および要素は、他の態様に適用することができる。ある特徴に「隣接して(adjacent)」配置されている別の構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重なるまたはその下にある一部分を有することができることも当業者によって理解されるであろう。
【0074】
[00093]本明細書で使用される用語法は、特定の態様を説明するためにすぎず、本発明を限定するものではない。例えば、本明細書では、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上からそうでないことがはっきりしていない限り、同様に複数形を含むことを意図している。用語「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は本明細書で使用されるとき、記載された特徴、ステップ、操作、要素、および/または成分の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、成分、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解される。本明細書では、用語「および/または」は、列挙された関連項目の1つまたは複数のいずれかおよびすべての組合せを含み、「/」と略されうる。
【0075】
[00094]「下に(under)」、「下に(below)」、「下方(lower)」、「上に(over)」、「上方(upper)」など空間的に相対的な用語は、図面に例示されているように、ある要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係性を記載するのに、記載を簡単にするために本明細書で使用されうる。空間的に相対的な用語は、図面に描かれている配向に加えて、使用または操作時におけるデバイスのさまざまな配向を包含することを意図されることが理解されよう。例えば、図面におけるデバイスが反転されている場合、ある要素または特徴の「下に(under)」または「真下に(beneath)」あると記載された別の要素は、ある要素または特徴の「上に(over)」配向される。したがって、例示的な用語「下に(under)」は、上に(over)および下に(under)の配向を両方包含することができる。デバイスは、その他の方法で(90度回転または他の配向で)配向されることがあり、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、それに応じて解釈される。同様に、用語「上方へ(upwardly)」、「下方へ(downwardly)」、「垂直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」などは、特段の記載のない限り、単に説明するために本明細書で使用される。
【0076】
[00095]用語「第1の」および「第2の」は、本明細書で(ステップを含めて)さまざまな特徴/要素を記載するのに使用されうるが、これらの特徴/要素は、文脈上別段の指示がない限り、これらの用語によって制限されるべきでない。これらの用語は、ある特徴/要素と別の特徴/要素を区別するために使用されうる。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で述べる第1の特徴/要素を、第2の特徴/要素と称することができ、同様に以下で述べる第2の特徴/要素を、第1の特徴/要素と称することができる。
【0077】
[00096]本明細書および以下に続く特許請求の範囲全体にわたって、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単語「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」や「含む(comprising)」などの変形は、さまざまな成分が、方法および物品(例えば、デバイスおよび方法を含めて、組成物および装置)において一緒に採用されうることを意味する。例えば、用語「含む(comprising)」は、記載されたいずれの要素またはステップも含むが、他のいずれの要素またはステップも排除しないことを意味すると理解される。
【0078】
[00097]一般に、本明細書に記載される装置および方法はいずれも、包括的であると理解されるべきであるが、成分および/またはステップのすべてまたは部分集合が、あるいは排他的であることがあり、さまざまな成分、ステップ、部分成分または部分ステップ「からなる(consisting of)」あるいは「から本質的になる(consisting essentially of)」と表現されることがある。
【0079】
[00098]本明細書および特許請求の範囲において使用されているように、実施例において使用されていることを含め、別段の明記のない限り、すべての数値は、単語「約」または「ほぼ」が明示的に出現しないでも前書きされているかのように解釈されうる。「約」または「ほぼ」という語句は、大きさおよび/または位置を記載するとき使用されて、記載されている値および/または位置が、値および/または位置の合理的で予想される範囲内であることを示すことができる。例えば、数値は、記載値の±0.1%(または値の範囲)、記載値の±1%(または値の範囲)、記載値の±2%(または値の範囲)、記載値の±5%(または値の範囲)、記載値の±10%(または値の範囲)などである値を有することができる。本明細書に記載されるいずれの数値も、文脈上別段の指示がない限り、約またはほぼその値を含むことも理解されるべきである。例えば、値「10」が開示された場合、「約10」も開示される。本明細書に列挙されるいずれの数値範囲も、それらの中に包含される下位の範囲をすべて含むものとする。値が開示されたとき、当業者によって適切に理解されるように、値「以下」、「値以上」および値の間で可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示された場合、「X以下」および「X以上」(例えば、Xが数値である場合)も開示される。本出願全体にわたって、データは、異なるいくつかのフォーマットで記載されていること、およびこのデータは、終点および出発点、ならびにデータ点の任意の組合せのための範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示された場合、10超および15超、10以上および15以上、10未満および15未満、10以下および15以下、10および15、ならびに10~15が開示されるとみなされると理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されることも理解される。例えば、10および15が開示された場合、11、12、13、および14も開示される。
【0080】
[00099]さまざまな例示的態様が以上に記載されているが、さまざまな態様に対するいくつかの変更はいずれも、特許請求の範囲によって記載されている本発明の範囲から逸脱することなく行われうる。例えば、記載されたさまざまな方法ステップが行われる順序が変更されうることが多い代替態様もあれば、1つまたは複数の方法ステップが一斉に省略されうる代替態様もある。さまざまなデバイスおよびシステム態様の任意の特徴が、含まれうる態様もあれば、含まれない態様もある。したがって、上記の説明は、基本的に例示の目的で記載されており、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【0081】
[000100]本明細書に含まれる実施例および図表は、実例としてであって、限定するものではなく、主題事項が実施されうる具体的な態様を示す。記載のように、他の態様が、それらから利用および派生されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的置換および変更が行われうる。本発明の主題事項のそのような態様は、実際は1つより多くが開示されている場合、本明細書において単に便宜上「発明」という用語で、本出願の範囲を自発的にいずれか単一の発明または発明概念に限定しようとすることなく、個別にまたはまとめて言及されうる。したがって、具体的な態様を本明細書に例示し、説明してきたが、同じ目的を達成するように意図されたいずれの配置も、示された具体的な態様に代わりうる。本開示は、さまざまな態様のいずれかおよびすべての改変または変形を含むものと意図される。上記の態様の組合せ、および本明細書に具体的には記載されていない他の態様は、上記の説明を再検討すると当業者に明らかである。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】