(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】縮小されたスケールの単位セルを伴う統合された分析デバイスのアレイ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20240405BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/03 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567972
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022027664
(87)【国際公開番号】W WO2022235794
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】311002665
【氏名又は名称】パシフィック・バイオサイエンシズ・オブ・カリフォルニア・インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カレボー, ハンス
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド, マーク
(72)【発明者】
【氏名】アルジマンド, アルガバン
(72)【発明者】
【氏名】グロット, アネット
(72)【発明者】
【氏名】フォケ, マチュー
(72)【発明者】
【氏名】サクセナ, ラビ
(72)【発明者】
【氏名】ルー, マイケル ズー
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043DA02
2G043DA06
2G043EA01
2G043JA03
2G043KA09
2G043LA03
2G057AA04
2G057AB04
2G057AC01
2G057BA03
2G057BB01
2G057BB04
2G057BB08
2G057DA01
2G057DA02
2G057DA04
(57)【要約】
統合された分析デバイスのアレイが、提供される。アレイは、核酸配列決定反応等の生化学反応を含む高密度における大量での高度に多重化された光学反応の分析において有用である。特に、アレイは、光学収集の増加させられた効率および減少させられた背景信号を提供する。何故なら、アレイ内のデバイスの単位セルの側方寸法が、減少させられているからであり、例えば、それらが、2μmに(または、それより小さくさえ)減少させられているからである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合された分析デバイスのアレイであって、各デバイスは、
ナノスケール発光容積と、
前記ナノスケール発光容積に光学的に結合された励起源と、
前記ナノスケール発光容積に光学的に結合された検出器層と、
前記ナノスケール発光容積と前記検出器層との間に配置された上側光指向要素と、
前記上側光指向要素と前記検出器層との間に配置された下側光指向要素と
を備え、
光学信号が、前記ナノスケール発光容積から発せられ、
前記上側光指向要素および前記下側光指向要素は、前記ナノスケール発光容積からの前記光学信号を前記検出器層内の感知領域に導く、アレイ。
【請求項2】
前記アレイ内の各デバイスは、約3.0μm以下の最大側方寸法を有する、請求項1に記載のアレイ。
【請求項3】
前記アレイ内の各デバイスは、約25μm以下の最大垂直寸法を有する、請求項1に記載のアレイ。
【請求項4】
前記ナノスケール発光容積と前記上側光指向要素との間に約5μm以下の距離がある、請求項1に記載のアレイ。
【請求項5】
前記下側光指向要素と前記感知領域との間に約5μm以下の距離がある、請求項1に記載のアレイ。
【請求項6】
前記下側光指向要素は、切頂円錐形状、円筒形柱形状、長円形柱形状、正方形柱形状、長方形柱形状、またはこれらの形状の組み合わせを備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項7】
前記下側光指向要素は、切頂円錐形状を備えている、請求項6に記載のアレイ。
【請求項8】
前記下側光指向要素は、複数の切頂円錐形状を備えている、請求項7に記載のアレイ。
【請求項9】
前記下側光指向要素は、円筒形柱形状を備えている、請求項6に記載のアレイ。
【請求項10】
前記下側光指向要素は、切頂円錐形状と円筒形柱形状とを備えている、請求項6に記載のアレイ。
【請求項11】
前記下側光指向要素は、低屈折率クラッディング材料内に埋め込まれた高屈折率コア材料を備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項12】
前記光学信号は、前記ナノスケール発光容積内の複数の光学エミッタによって発生させられる、請求項1に記載のアレイ。
【請求項13】
前記複数の光学エミッタにおける各光学エミッタは、発光の異なる振幅を有する、請求項12に記載のアレイ。
【請求項14】
各デバイスの前記検出器層は、単一の感知領域を備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項15】
前記上側光指向要素は、回折光学要素を備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項16】
前記回折光学要素は、フレネルレンズである、請求項15に記載のアレイ。
【請求項17】
前記上側光指向要素は、非晶質シリコンを備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項18】
レーザ阻止フィルタをさらに備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項19】
前記レーザ阻止フィルタは、薄膜干渉フィルタを備えている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項20】
前記レーザ阻止フィルタは、前記励起源からの励起信号の透過を減少させるように構成されている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項21】
前記レーザ阻止フィルタは、前記ナノスケール発光容積から発せられる前記光学信号の透過を可能にするように構成されている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項22】
前記レーザ阻止フィルタは、前記下側光指向要素と前記検出器層との間に配置されている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項23】
前記レーザ阻止フィルタは、前記上側光指向要素と前記下側光指向要素との間に配置されている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項24】
前記レーザ阻止フィルタは、選択的吸収性材料を備えている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項25】
前記選択的吸収性材料は、誘電材料である、請求項24に記載のアレイ。
【請求項26】
前記誘電材料は、非晶質シリコンまたは窒化ケイ素である、請求項25に記載のアレイ。
【請求項27】
前記レーザ阻止フィルタおよび前記下側光指向要素は、選択的吸収性材料を備えている、請求項18に記載のアレイ。
【請求項28】
各デバイスは、バッフル要素をさらに備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項29】
前記バッフル要素は、各デバイス間にトレンチをエッチングすることによって調製される、請求項28に記載のアレイ。
【請求項30】
前記バッフル要素は、不透明、吸収性、または反射性の材料を備えている、請求項28に記載のアレイ。
【請求項31】
前記バッフル要素は、金属を備えている、請求項28に記載のアレイ。
【請求項32】
前記バッフル要素は、前記上側光指向要素に隣接して配置されている、請求項28に記載のアレイ。
【請求項33】
前記バッフル要素は、前記下側光指向要素に隣接して配置されている、請求項28に記載のアレイ。
【請求項34】
各デバイスは、バッフル要素層内のレーザ阻止フィルタをさらに備えている、請求項28に記載のアレイ。
【請求項35】
各デバイスは、前記下側光指向要素と前記検出器層との間に配置された回折光学要素をさらに備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項36】
前記回折光学要素は、フレネルレンズである、請求項35に記載のアレイ。
【請求項37】
前記励起源と前記検出器層との間に配置された開口層をさらに備えている、請求項1に記載のアレイ。
【請求項38】
前記開口層は、前記励起源と前記上側光指向要素との間に配置されている、請求項37に記載のアレイ。
【請求項39】
前記開口層は、前記上側光指向要素と前記検出器層との間に配置されている、請求項37に記載のアレイ。
【請求項40】
前記開口層は、窒化チタンを備えている、請求項37に記載のアレイ。
【請求項41】
前記励起源と前記検出器層との間に配置された少なくとも2つの開口層を備えている、請求項37に記載のアレイ。
【請求項42】
前記励起源と前記検出器層との間に配置された少なくとも3つの開口層を備えている、請求項41に記載のアレイ。
【請求項43】
前記励起源は、導波管励起源である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項44】
前記ナノスケール発光容積は、前記導波管励起源の直上に整列させられている、請求項43に記載のアレイ。
【請求項45】
複数のナノスケール発光容積に光学的に結合された複数の導波管励起源を備えている、請求項43に記載のアレイ。
【請求項46】
前記複数の導波管励起源は、互いに平行に向けられている、請求項45に記載のアレイ。
【請求項47】
前記複数のナノスケール発光容積は、前記複数の導波管励起源の直上に整列させられている、請求項46に記載のアレイ。
【請求項48】
前記複数のナノスケール発光容積は、規則的グリッドパターンに配置されている、請求項47に記載のアレイ。
【請求項49】
前記複数のナノスケール発光容積は、オフセットグリッドパターンに配置されている、請求項47に記載のアレイ。
【請求項50】
前記検出器層は、前記アレイと一体型である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項51】
前記検出器層は、前記アレイと一体型ではない、請求項1に記載のアレイ。
【請求項52】
前記感知領域は、長方形である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項53】
前記感知領域は、正方形である、請求項52に記載のアレイ。
【請求項54】
前記検出器層は、CMOSセンサの一部である、請求項1に記載のアレイ。
【請求項55】
前記ナノスケール発光容積内に配置された被分析物をさらに備えている、請求項1-54のいずれか1項に記載のアレイ。
【請求項56】
前記被分析物は、生物学的サンプルを備えている、請求項55に記載のアレイ。
【請求項57】
前記生物学的サンプルは、核酸を備えている、請求項56に記載のアレイ。
【請求項58】
前記生物学的サンプルは、ポリメラーゼ酵素を備えている、請求項57に記載のアレイ。
【請求項59】
前記アレイは、少なくとも1,000個のナノスケール発光容積を備えている、請求項1-54のいずれか1項に記載のアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その開示が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2021年5月4日に出願された米国仮出願第63/184,195号の利益を主張する。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当せず。
【背景技術】
【0003】
分析システムでは、所与のシステムによって任意の所与の時間に実行されている分析の数を増加させる能力が、有用性を増加させ、そのようなシステムの耐用期間を延長することの主要な要素となっている。特に、所与のシステムを用いた分析の多重化要因を増加させることによって、システムの全体的スループットを増加させ、それによって、その使用に関連付けられた費用を減少させながら、その有用性を増加させることができる。
【0004】
光学分析では、多重化を増加させることは、多くの場合、より複雑な光学システム、それが増加した照明または検出能力および新しい反応封じ込め方略を必要とし得るので、困難の増加を引き起こす。ある場合、システムは、多重化を何倍も、何桁さえも増加させようとし、それは、これらの考慮事項をさらに複雑にする。同様に、ある場合において、システムが使用されるべき分析環境は、非常に高感度であり、所与のシステム内の異なる分析中の変動が耐えられないこともある。これらの目標は、多くの場合、単純にシステムをより大きくすることおよび高出力にすることの強引なアプローチに合致しない。何故なら、そのようなステップが、多くの場合、より大きい結果さえ生じさせるからである(例えば、反応間クロストークにおいて、より低い信号およびより高い雑音のいずれか一方または両方に起因する減少した信号対雑音比等)。したがって、それらの所望の分析のために、特に、高感度反応分析での使用のために、実質的に増加した多重化を有する分析システムを提供することが望ましいであろう(多くの場合、そのような増加した多重化の悪影響を最小化しながらそうすることが望ましいであろう)。
【0005】
同時に、分析システムの性能を増加させ、システムを製造および使用することに関連付けられた費用を削減する継続的必要性がある。特に、同時に、分析システムのサイズおよび複雑性を削減しながら、分析システムのスループットを増加させる継続的必要性がある。柔軟な構成を有し、容易に拡張可能である、分析システムの継続的必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一側面において、統合分析デバイスのアレイを提供することによって、これらおよび他の問題に対処し、各デバイスは、
ナノスケール発光容積と、
ナノスケール発光容積に光学的に結合された励起源と、
ナノスケール発光容積に光学的に結合された検出器層と、
ナノスケール発光容積と検出器層との間に配置された上側光指向要素と、
上側光指向要素と検出器層との間に配置された下側光指向要素と、
を備え、
光学信号が、ナノスケール発光容積から発せられ、
上側光指向要素は、ナノスケール発光容積からの光学信号を下側光指向要素を通して検出器層内の感知領域に導く。
【0007】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、アレイ内の各デバイスは、約3.0μm以下の最大側方寸法を有する。
【0008】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、アレイ内の各デバイスは、約25μm以下の最大垂直寸法を有する。
【0009】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、ナノスケール発光容積と上側光指向要素との間に約5μm以下の距離がある。
【0010】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素と感知領域との間に約5μm以下の距離がある。
【0011】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素は、切頂円錐形状、円筒形柱形状、長円形柱形状、正方形柱形状、長方形柱形状、またはこれらの形状の組み合わせを含む。
【0012】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素は、切頂円錐形状を含む。
【0013】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素は、複数の切頂円錐形状を含む。
【0014】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素は、円筒形柱形状を含む。
【0015】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素は、切頂円錐形状および円筒形柱形状を含む。
【0016】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、下側光指向要素は、低屈折率クラッディング材料内に埋め込まれた高屈折率コア材料を含む。
【0017】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、光学信号は、ナノスケール発光容積内の複数の光学エミッタによって発生させられる。
【0018】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、複数の光学エミッタにおける各光学エミッタは、発光の異なる振幅を有する。
【0019】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、各デバイスの検出器層は、単一の感知領域を含む。
【0020】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、上側光指向要素は、回折光学要素を含む。
【0021】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、回折光学要素は、フレネルレンズである。
【0022】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、上側光指向要素は、非晶質シリコンを含む。
【0023】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタをさらに含む。
【0024】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタは、薄膜干渉フィルタを含む。
【0025】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタは、励起源からの励起信号の透過を減少させるように構成される。
【0026】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタは、ナノスケール発光容積から発せられる光学信号の透過を可能にするように構成される。
【0027】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタは、下側光指向要素と検出器層との間に配置される。
【0028】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタは、上側光指向要素と下側光指向要素との間に配置される。
【0029】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタは、選択的吸収性材料を含む。
【0030】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、選択的吸収性材料は、誘電材料である。
【0031】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、誘電材料は、非晶質シリコンまたは窒化ケイ素である。
【0032】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、レーザ阻止フィルタおよび下側光指向要素は、選択的吸収性材料を含む。
【0033】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、各デバイスはさらに、バッフル要素を含む。
【0034】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、バッフル要素は、各デバイス間にトレンチをエッチングすることによって調製される。
【0035】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、バッフル要素は、不透明、吸収性、または反射性の材料を含む。
【0036】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、バッフル要素は、金属を含む。
【0037】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、バッフル要素は、上側光指向要素に隣接して配置される。
【0038】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、バッフル要素は、下側光指向要素に隣接して配置される。
【0039】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、各デバイスはさらに、バッフル要素層内のレーザ阻止フィルタを含む。
【0040】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、各デバイスはさらに、下側光指向要素と検出器層との間に配置された回折光学要素を含む。
【0041】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、回折光学要素は、フレネルレンズである。
【0042】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、励起源と検出器層との間に配置された開口層をさらに含む。
【0043】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、開口層は、励起源と上側光指向要素との間に配置される。
【0044】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、開口層は、上側光指向要素と検出器層との間に配置される。
【0045】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、開口層は、窒化チタンを含む。
【0046】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、励起源と検出器層との間に配置された少なくとも2つの開口層を含む。
【0047】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、励起源と検出器層との間に配置された少なくとも3つの開口層を含む。
【0048】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、励起源は、導波管励起源である。
【0049】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、ナノスケール発光容積は、導波管励起源の直上に整列させられている。
【0050】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、複数のナノスケール発光容積に光学的に結合される複数の導波管励起源を含む。
【0051】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、複数の導波管励起源は、互いに平行に向けられている。
【0052】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、複数のナノスケール発光容積は、複数の導波管励起源の直上に整列させられている。
【0053】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、複数のナノスケール発光容積は、規則的グリッドパターンに配置される。
【0054】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、複数のナノスケール発光容積は、オフセットグリッドパターンに配置される。
【0055】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、検出器層は、アレイと一体型である。
【0056】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、検出器層は、アレイと一体型ではない。
【0057】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、感知領域は、長方形である。
【0058】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、感知領域は、正方形である。
【0059】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、検出器層は、CMOSセンサの一部である。
【0060】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、ナノスケール発光容積内に配置された被分析物をさらに含む。
【0061】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、被分析物は、生物学的サンプルを含む。
【0062】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、生物学的サンプルは、核酸を含む。
【0063】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、生物学的サンプルは、ポリメラーゼ酵素を含む。
【0064】
いくつかの側面において、本明細書に説明される技法は、アレイに関し、アレイは、少なくとも1,000個のナノスケール発光容積を含む。
【0065】
別の側面において、本発明は、本明細書に開示される統合された分析デバイスのアレイを生産するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1A-1Bは、統合された分析デバイスの開示されるアレイを使用して実行されることができる例示的核酸配列決定プロセスを図式的に図示する。
【0067】
【
図2】
図2は、統合された分析デバイスの概略ブロック図を提供する。
【0068】
【
図3】
図3A-3Bは、統合された分析デバイスのアレイ内の単位セル間の信号対雑音比およびクロストークに及ぼされる単位セルの側方寸法の影響を実証する。
【0069】
【
図4-1】
図4A-4Gは、光学収集の効率を改善し、背景雑音を減少させるために、光学収集経路内に種々の光指向要素を備えている統合された分析デバイスの代替構成を示す。
【
図4-2】
図4A-4Gは、光学収集の効率を改善し、背景雑音を減少させるために、光学収集経路内に種々の光指向要素を備えている統合された分析デバイスの代替構成を示す。
【
図4-3】
図4A-4Gは、光学収集の効率を改善し、背景雑音を減少させるために、光学収集経路内に種々の光指向要素を備えている統合された分析デバイスの代替構成を示す。
【
図4-4】
図4A-4Gは、光学収集の効率を改善し、背景雑音を減少させるために、光学収集経路内に種々の光指向要素を備えている統合された分析デバイスの代替構成を示す。
【
図4-5】
図4A-4Gは、光学収集の効率を改善し、背景雑音を減少させるために、光学収集経路内に種々の光指向要素を備えている統合された分析デバイスの代替構成を示す。
【0070】
【
図5-1】
図5A-5Dは、追加の回折光学要素を備えている統合された分析デバイスの追加の代替構成を図示する。
【
図5-2】
図5A-5Dは、追加の回折光学要素を備えている統合された分析デバイスの追加の代替構成を図示する。
【0071】
【
図6】
図6A-6Eは、縮小されたスケールを有する例示的統合された分析デバイスの設計特徴を示す。
【0072】
【
図7】
図7A-7Eは、開示される縮小されたスケールの単位セルの例示的下側光指向要素の代表的設計特徴を図示する。
【0073】
【
図8】
図8A-8Eは、分析デバイスの開示されるアレイの製作のための例示的方法を図示する。
【0074】
【
図9】
図9は、ナノウェルの基部におけるナノピットの作成を図示する。
【0075】
【
図10】
図10は、直接印刷されたナノピットのための基本プロセスフローを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0076】
(統合された分析デバイス)
多重化光学分析システムは、多種多様の異なる用途で使用される。そのような用途は、例えば、単一分子の分析を含むことができ、それらが反応を実行するにつれてリアルタイムで単一生体分子を観察することを伴うことができる。議論を容易にするために、そのような多重化システムは、本明細書では、好ましい用途:核酸配列情報の分析、特に、単一分子核酸配列分析に関して議論される。特定の用途に関して説明されるが、本明細書に説明されるデバイスおよびシステムの用途は、より広い用途であることを理解されたい。
【0077】
核酸配列決定分析の文脈では、ポリメラーゼ酵素と、その配列を解明しようとしているテンプレート核酸と、テンプレート配列の一部と補完的であるプライマ配列とを含む単一の不動化核酸合成錯体が、それらが拡張プライマ配列に組み込まれるとき、個々のヌクレオチドを識別するために監視されることができる。組み込みは、典型的に、その組み込みに先立って、その間中、またはその後、添加されたヌクレオチド上の光学的に検出可能な標識を観察することによって監視される。これらの単一分子プライマ拡張反応が、拡張生成物中のヌクレオチドの継続的組み込みを識別するために、したがって、基礎的テンプレート配列を解明するために、リアルタイムで監視されることができる。このプロセスは、単一分子リアルタイム(またはSMRTTM)配列決定とも称され得る。
【0078】
好ましい側面において、不動化されたテンプレート/ポリメラーゼプライマ錯体が、ゼロモード導波路(ZMW)等の光学的閉じ込め領域内で、または透明基板、光導波路等の表面の近位で、提供される(例えば、その開示全体が、あらゆる目的で参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる米国特許第6,917,726号および第7,170,50号、および米国特許出願公開第2007/0134128号参照)。光学的閉じ込め領域は、使用されるべき蛍光標識ヌクレオチドのための適切な励起放射線で照明される。錯体が、光学的閉じ込め領域、または非常に小さい照明容積内にあるので、錯体を直接包囲する反応容積のみが、励起放射線を受ける。したがって、例えば、組み込み事象中に錯体と相互作用しているそれらの蛍光標識ヌクレオチドは、それらを組み込まれているとして識別するために十分な時間にわたって照明容積内に存在する。本明細書に開示されるデバイス中の着目被分析物は、蛍光標識ヌクレオチドを組み込んでいるテンプレート/ポリメラーゼプライマ錯体であるが、他の着目被分析物、特に、着目蛍光被分析物が、本開示のアレイにされたデバイスを使用して監視され得ることを理解されたい。
【0079】
すぐ上に説明された配列決定プロセスの概略図が、
図1Aおよび1Bに図示されている。
図1Aに示されるように、ポリメラーゼ酵素、テンプレート核酸、およびプライマ配列の不動化錯体102が、例えば、ゼロモード導波路106の光学的閉じ込めの観察容積内(鎖線104によって示される)に提供される。適切なヌクレオチド類似体、例えば、ヌクレオチド108が、新生核酸鎖に組み込まれると、それは、その滞留に関連付けられた信号、例えば、
図1BのAトレースによって示されるような信号パルス112を生成する組み込み中、観察容積内の標識ヌクレオチド類似体の滞留時間に対応する長期期間にわたって照明される。組み込まれると、標識ヌクレオチド類似体のポリリン酸塩成分に付着させられた標識が放出される。次の適切なヌクレオチド類似体、例えば、ヌクレオチド110が錯体と接触させられると、それも、組み込まれ、
図1BのTトレース内の対応する信号114を生じさせる。テンプレート配列の基礎的相補性によって決定付けられるような新生鎖への塩基の組み込みを監視することによって、テンプレートの長い配列情報が、得られることができる。
【0080】
上記の配列決定反応は、デバイスのアレイ、典型的に、複数の配列決定反応の同時観察(理想的に、リアルタイム)を提供する統合された分析デバイスのアレイに組み込まれることができる。システムにおける各デバイスの構成要素およびデバイスの構成は、変動し得るが、各統合された分析デバイスは、典型的に、少なくとも部分的に
図2にブロック図として示される一般構造を備えている。示されるように、統合された分析デバイス200は、典型的に、反応セル202を含み、被分析物(すなわち、ポリメラーゼ・テンプレート錯体および関連蛍光反応物)が、反応セル202中に配置され、光学信号が、反応セル202から発散する。分析システムは、反応セル202と光学連通して配置された検出器要素220をさらに含む。反応セル202と検出器要素220との間の光学連通は、信号を反応セル202から検出器220に効率的に導くために、概して、206、208、210、および212と指定される1つ以上の光学要素から成る光学列204によって提供される。これらの光学要素は、概して、用途の詳細に応じて、レンズ、フィルタ、格子、鏡、プリズム、屈折性材料、開口等、またはこれらの種々の組み合わせ等の任意の数の要素を備えている。これらの要素を単一のデバイスアーキテクチャに組み込むことによって、反応セルと検出器との間の光学的結合の効率が改善される。反応セルを照明し、反応セルから発せられる光学信号を検出するための種々のアプローチを含む統合された分析システムの例は、米国特許出願公開第2012/0014837号、第2012/0019828号、および第2012/0021525号(それぞれ、あらゆる目的で参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。空間分離および発光信号のビーム成形のための高度に効率的レンズ要素を伴うアレイにされた統合された分析デバイスを備えている、システムを含む統合された分析システムの追加の例は、米国特許出願公開第2016/0061740号(あらゆる目的のために、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。縮小されたサイズの統合されたデバイスのために最適化された光学列のより多くの具体的例は、下記に詳細に説明されるであろう。
【0081】
上記のように、反応セル(例えば、
図2の要素202)内に配置された被分析物、または、別様にデバイスの表面上で不動化された被分析物(例えば、関連蛍光反応物を伴うポリメラーゼ・テンプレート錯体)は、検出器要素(例えば、
図2の要素220)に透過される光を発する。蛍光被分析物に関して、被分析物は、励起光源によって照明されるが、化学発光または他のそのような被分析物等の他の被分析物に関して、励起光源は、必要ではないこともある。反応セル容積の少なくとも一部(発光容積)は、検出器要素に光学的に結合され、それによって、この容積内の被分析物から(例えば、この容積内の複数の光学エミッタから)発せられる光は、検出器要素によって測定される。同時に測定される被分析物の数を最大化するために、可能な限り縮小され、この分析デバイスのサイズは、各デバイス内の発光容積がナノスケール発光容積である。理想的に、ナノスケール発光容積と検出器要素との間の光学的結合は、デバイスの感度を最大化し、信号出力を最大化するために、高度に効率的である。アレイにされた分析システム内の単位セル間のクロストークの最小化、および励起源(例えば、励起導波管源)からの散乱させられた(または、別様に干渉する)光学エネルギーによって引き起こされる背景雑音の最小化も、重要である。
【0082】
従来の分析システムは、典型的に、複数のスペクトル的に異なる信号または信号事象を測定し、したがって、これらの異なる信号事象を分離し、明確に検出するために、複雑な光学システムを利用しなければならない。しかしながら、統合されたデバイスの光学経路は、検出されるスペクトル的に区別可能な信号の量または数の削減によって簡単化されることができる。しかしながら、そのような削減は、理想的に、検出されることができる異なる反応事象の数を削減せずに達成される。例えば、4つの異なる検出可能な信号事象に基づいて4つの異なる反応を区別する分析システムにおいて、典型的システムは、異なる信号スペクトルを各異なる反応に割り当て、それによって、各信号事象を検出して区別するであろうが、代替的アプローチにおいて、4つの異なる信号事象は、4つより少ない異なる信号スペクトルによって表され、代わりに、少なくとも部分的に信号事象間の他の非スペクトル区別に依拠するであろう。
【0083】
例えば、4つの異なるヌクレオチドのそれぞれの組み込みを識別して特性評価するために、従来、4つのスペクトル的に区別可能な信号、例えば、「4色」配列決定システムを採用するであろう配列決定動作は、代替的構成の文脈では、1色または2色分析を採用し得る(例えば、1つのみのスペクトル信号、または2つの異なるまたは区別されたスペクトル信号を有する信号に依拠する)。しかしながら、そのような代替的構成では、信号スペクトル複雑性への依拠のこの低減は、複数(すなわち、多数)の異なる信号生成反応事象からの信号を区別する能力の犠牲では、生じない。特に、反応事象を区別するために信号スペクトルのみに依拠する代わりに、そのような代替的構成は、信号事象を互いに区別するために、発光スペクトル以外の1つ以上の信号特性(例えば、信号強度、励起スペクトル、または両方を含む)に依拠することができる。
【0084】
1つの特定の代替的構成では、したがって、2つ以上の信号事象間の際立った特徴として信号強度を利用することによって、統合された分析デバイス内の光学経路が簡単化されることができる。その最も単純な反復において、例示的配列決定プロセスを参照すると、2つの異なるヌクレオチドは、各々は、同じ励起照明下にある(すなわち、同じまたは実質的に重複するスペクトル帯を有する)蛍光を発する蛍光標識を含み、したがって、単一の励起源を使用して励起されるという利益を提供するであろう。各蛍光標識からの結果として生じる信号は、その同じ照明下で異なる信号強度または振幅を有し、したがって、それらのそれぞれの信号振幅によって区別可能であろう。これらの2つの信号は、部分的または完全に重複する発光スペクトルを有し得るが、発光スペクトルのどんな差異に基づく信号の分離も、不必要であろう。さらにより有用なこととして、各々が同じ励起照明下で蛍光を発光するが、その照明に応答して区別可能な発光強度を有する蛍光性標識を含む4つの異なるヌクレオチドは、それらのそれぞれの信号振幅によって区別されることができる。
【0085】
故に、信号振幅が異なる2つ以上の信号事象を使用する分析システムに関して、そのようなシステムの統合された分析デバイスは、スペクトル的に異なる信号を分離するために通常使用されるであろうこれらの構成要素のうちのいくつかまたは全ての除去を通して容易に利益を得ることができ、これらの構成要素は、複数の励起源およびそれらの関連光学列等のみならず、信号事象のための色分離光学系(例えば、フィルタおよびダイクロイック)であり、それらは、多くの場合、各スペクトル的に異なる信号のために少なくとも部分的に別個の光学列および検出器を必要とする。結果として、これらの統合された分析デバイスのための光学経路は、大いに簡単化され、反応セルに近接近している検出器要素の配置を可能にし、これらのデバイスのための検出プロセスの全体的性能を改善する。
【0086】
特定の励起照明プロファイル下で異なる信号振幅を生成するであろう信号生成被分析物の提供は、いくつかの方法で達成されることができる。例えば、重複するが異なる最大値を含む励起スペクトルプロファイルを提示する異なる蛍光標識が使用されることができる。したがって、狭い波長における励起が、典型的に、各蛍光基のための異なる信号強度を生じさせるであろう。理解されるように、この同じアプローチは、所与の励起スペクトルにおける結果として生じる発光が区別可能な強度または振幅を有する3つ以上の標識基とともに使用されることができる。
【0087】
同様に、2つの異なる蛍光標識基は、同じまたは実質的に類似する励起スペクトルを有するが、それらの標識基の量子収量により、異なる区別可能な信号発光強度を提供することができる。さらに、2つの異なる蛍光染料に関して説明されるが、各異なる標識基の各々は、複数の標識分子を含むことができると理解されるであろう。例えば、各反応物は、単一の照明源を用いた励起時に異なる強度の発光を生じさせる、エネルギー移動染料ペアを含むことができる。例えば、標識基は、所与の励起波長において励起されるドナー蛍光体と、アクセプタへのエネルギー移動をもたらすドナーの発光波長において励起されるアクセプタ蛍光体とを含むことができる。励起スペクトルがドナーの発光スペクトルに異なる程度まで重複する異なるアクセプタを使用することによって、そのようなアプローチは、所与の励起波長およびレベルに関して異なる信号振幅において発光する全体的標識基を生成することができる。同様に、ドナーとアクセプタとの間のエネルギー移動効率を調節することは、所与の励起照明における異なる信号強度を同様にもたらすであろう。
【0088】
代替として、異なる信号振幅は、ある異なる反応物上に2つ、3つ、4つ、またはそれを上回る個々の標識分子を置く間、所与の反応物上の信号生成標識基(例えば、1つの反応物上に単一の標識分子を置くこと)の異なる倍数によって、提供されることができる。結果として生じる発せられる信号は、反応物上に存在する標識の数を反映し、したがって、その反応物の識別を示すであろう。
【0089】
上記の目的で有用なヌクレオチド類似体等の蛍光試薬に関する例示的組成物および方法は、例えば、米国特許出願公開第2012/0058473号、第2012/0077189号、第2012/0052506号、第2012/0058469号、第2012/0058482号、第2010/0255488号、第2009/0208957号(それぞれ、あらゆる目的で参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0090】
故に、好ましい実施形態において、本開示の統合された分析デバイスのアレイは、色によって、光学信号を区別しない。これらの実施形態において、デバイスは、したがって、好ましくは、色濾過要素をそれらの収集経路内に含まず、各デバイスは、好ましくは、単一の感知領域、より特に、単一のピクセルを検出器層内に備えている。さらに、好ましい実施形態において、このアレイの統合された分析デバイスは、収集経路内で発光信号を2つ以上の光学ビームに空間的に分離しない。
【0091】
上で説明されるように、そのようなアプローチを利用する統合された分析デバイスは、スペクトル判別要件(例えば、信号振幅また他の非スペクトル特性を信号判別の根拠として使用すること)の排除によって、複雑性の低減を受けることができる。
図2のブロック図に示されるように、統合された分析デバイス200は、デバイスの表面層上に画定される反応セル202を含むことができる。この図面に示されるように、反応セルは、表面層内に配置されるナノウェルを備えている。そのようなナノウェルは、基板表面におけるくぼみ、または、例えば、ゼロモード導波路(ZMW)アレイで使用されるような下層の透明基板まで追加の基板層を通して配置された開口を構成することができる(例えば、米国特許第7,181,122号および第7,907,800号、および以下も参照)。しかしながら、いくつかの実施形態において、着目サンプルは、他の方法で閉じ込められることもでき、それらの実施形態におけるナノスケール反応セルは、分析デバイスから省略され得ることを理解されたい。例えば、着目標的が、別個の反応セルが欠けているデバイスの表面上にパターンで不動化される場合、サンプルの物理的分離を必要とすることなく、結合事象、または他の着目事象が、それらの場所で観察され得る。例えば、不動化核酸とそれらの相補配列との間のハイブリダイゼーション反応、または、例えば、抗体とそれらのリガンドとの間の結合反応(結合ペアのいずれか一方の構成要素が、デバイスの表面上の特定の場所で不動化されることができる)は、当業者によって理解されるように、そのようなアプローチを使用して好適に監視され得る。
【0092】
励起照明は、基板から分離していることまたはそれに組み込まれることもできる励起源(図示せず)から、反応セルまたは不動化標的に送達される。例えば、
図2のブロック図では、反応セル202の下方の光導波路(または導波路層)が、励起光を反応セルまたは不動化標的に伝達するために使用されることができ、導波路から発出するエバネセント場が、照明内の反応物を照明する。反応セルを照明するための光導波路の使用は、米国特許第7,820,983号および米国特許出願公開第2012/0085894号(それぞれ、あらゆる目的で参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。ナノスケール反応セル(本明細書では「ナノウェル」または「ZMW」とも称される)は、デバイスの中への下向きの蛍光の発光を増進し、上向きに散乱させられる光の量を制限するように働くことができる。発せられる光は、下記により詳細に説明されるであろうように、ナノスケール反応セルに由来するか、または不動化標的に由来するかどうかにかかわらず、1つ以上の光学要素を備えている統合光学列を通して検出器に導かれる。
【0093】
本開示の文脈では、デバイス内の2つの構成要素の「光学的結合」は、結合への方向性を示唆することを意図していないと理解されたい。換言すると、光学デバイスを通した光学エネルギーの伝達が完全に可逆的であるので、第2の構成要素への第1の構成要素の光学的結合は、第1の構成要素への第2の構成要素の光学的結合と同等と見なされるべきである。
【0094】
検出器層220の感知領域上に衝突する、反応セル202から発せられる信号は、次いで、検出および記録される。感知領域は、アレイ検出器、例えば、CMOS検出器内のピクセルまたは複数のピクセルに対応し得る。
【0095】
検出器層は、随意に、同じデバイス構造内に統合されているか、または別個であるが検出器層および関連回路に電子的に結合されたプロセッサに信号応答を提供するために、典型的に、基板に組み込まれる適切な回路に動作可能に結合される。回路のタイプの例は、米国特許出願公開第2012/0019828号に説明される。
【0096】
前述の開示から理解されるであろうように、本明細書に説明される統合された分析デバイスは、従来の4色光学系を利用するシステムで必要であるより複雑な光学経路を必要とせず、ある場合、過剰な信号分離光学系、ダイクロイック、プリズム、またはフィルタ層の必要性を排除する。デバイスのスケールは、故に、統合されたデバイスのアレイ内にさらにより高いレベルの多重化を収容するために、縮小されることができる。
(縮小されたスケールを伴う統合された分析デバイス内の改善された光学収集経路)
【0097】
上記の説明から理解されるはずであるように、統合された光学デバイスの単位セル寸法が、縮減するにつれて、収集経路内の光学要素(例えば、
図2の光学列)は、好ましくは、サイズが同様に縮小される。約2μmの側方寸法下限まで、単位セル設計は、レンズ要素をクロッピング(開口数を一定に保ちながら)し、単位セルの垂直寸法(すなわち、物体および画像距離)を縮減させることによって、大まかに縮減されることができる。しかしながら、単位セルの側方寸法が、約2μmより小さくなると、クロッピングされたレンズ、例えば、クロッピングされたフレネルレンズは、急速に、その効率を失い得、センサに透過される光学信号の割合は、減少し得る。
【0098】
例えば、
図3Aおよび3Bは、種々のシミュレーションにおける信号対雑音比(
図3A)およびセル間クロストーク(
図3B)に及ぼされる側方単位セル寸法(検出器「ピクセルサイズ」として表される)の影響を示す。特に、これらの図に示されるベンチマーキング結果は、公知の単位セル設計(例えば、米国特許出願公開第2016/0061740号参照)を使用して、比較のために、修正をレンズおよび開口穴サイズに行うことによって実施された。「+レンズ、標準的開口」として標識される曲線は、ピクセルサイズが縮小されるにつれた例示的以前の設計の信号対雑音比(SNR)(
図3A)およびセル間クロストーク(
図3B)を描写する。ピクセルサイズの縮小は、各デバイス内のレンズの側面のクリッピングをもたらす。開口穴は、このシミュレーションでは、変化させられない。
【0099】
同様に、「+レンズ、縮小された開口」として標識される曲線は、クリッピングされたレンズと、以前の単位セル設計と比較して、ピクセルサイズに比例してサイズが縮小された開口穴とを有する単位セル設計における側方ピクセルサイズの関数として、SNRおよびクロストークに及ぼされる影響をシミュレートする。
【0100】
「-レンズ、標準的開口」として標識される曲線は、レンズの存在を伴わない単位セルをシミュレートし、それによって、センサを入射光で満たす。開口穴は、以前の設計と比較して、このモデルでは、変化させられない。
【0101】
最後、「-レンズ、縮小された開口」として標識される曲線は、レンズの存在を伴わないが、以前の設計と比較して、ピクセルサイズに比例してサイズが縮小された開口穴を伴う単位セルをシミュレートする。
【0102】
単位セル間の低減させられた収集経路効率および増加させられたクロストークを是正するために、追加の光学要素および適合が、光学スタックの中に導入されることができる。適切な設計およびそのような光学要素の組み合わせによって、光学スタックの収集効率は、高信号対雑音比も維持しながら、増加させられることができる。改善された性能は、散乱させられた励起光からの雑音の軽減および単位セル間のクロストークの変調の両方を含むことができる。
【0103】
すぐ上で述べられたように、デバイス単位セルの側方寸法が、縮小されるにつれて、特に、それらが、約2μmを下回って縮小されるにつれて、統合されたデバイスのレンズ要素をクロッピングすることは、光学透過の低減させられた効率をもたらし得る。特に、光の所与の波長に関して、物体および画像の場所を不変に保ちながら、レンズをクロッピングすることは、より小さい開口数およびあまり集束されていない画像をもたらし得る。これらの効果は、次に、迷光が、統合されたデバイスから逃散し、隣接したデバイスのセンサ領域によって捕捉されるので、収集効率における損失およびクロストークの増加につながり得る。
【0104】
最大の効率および最小のクロストークおよび背景雑音を伴って、発せられる光をセンサに誘導することに役立つために、従来の統合されたデバイスの単一レンズ要素は、新規「集光構造」と置換されることができ、集光構造は、発光容積と単位セルの検出器層との間、かつ各々に比較的に近接近して位置付けられる。特に、集光構造は、単位セルの発光容積から発出する光学エネルギーの検出器層への透過が最適化されるように、設計および製作されることができる。集光構造は、典型的に、少なくとも2つの特徴、すなわち、上側光指向要素と、下側光指向要素とを含む。これらの特徴の各々は、典型的に、低屈折率の材料によって包囲される高屈折率の材料から製作され、高屈折率の材料は、透過される光が集光構造を通して検出器層に通過するための光路を提供する。
【0105】
本集光構造の上側光指向要素は、典型的に、光を検出器層に向かって曲げるように設計された下方に面した湾曲または段付き形状を有する一方、下側光指向要素は、上側光指向要素から発せられる光を捕捉し、高効率および最小クロストークを伴って、その光を検出器層内のセンサ領域に透過するように設計される少なくとも1つの円筒形、上方に面した円錐形状構造、または他の好適な幾何学的形状を有する。上で述べられるように、上側光指向要素は、典型的に、発光容積に近接近し、下側光指向要素は、典型的に、検出器層内の感知領域に近接近する。発光容積と、集光構造(少なくとも、上側光指向要素と、下側光指向要素とを備えている)と、感知領域との間の比較的に小さい全体的垂直間隔は、したがって、これらの新規デバイスをより大きい従来技術のデバイス(すなわち、約2.5μmを上回る単位セルサイズを伴うデバイス)から区別し、より大きい距離にわたって、かつより多くの従来のレンズおよび開口を通して透過される光は、より多くの従来の光線光学系に従って挙動することが理解される。
【0106】
故に、いくつかの実施形態において、上側光指向要素は、回折光学要素(DOE)、例えば、回折フレネル要素である。
【0107】
実施形態において、ナノスケール発光容積と上側光指向要素との間の距離は、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm以下、または、それ未満でさえある。
【0108】
実施形態において、下側光指向要素と感知領域との間の距離は、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm以下、または、それ未満でさえある。
【0109】
上で述べられるように、下側光指向要素は、光を誘導し、単位セル内に閉じ込め、周囲セルの中への漏出を防止するように設計される1つ以上の円筒形または上方に面した円錐形状または切頂円錐形状の構造を含むことができる。理論によって拘束されることを意図するわけではないが、本閉じ込めは、高屈折率材料と低屈折率材料との間の界面における透過される光の全内部反射(「TIR」)からの結果であると理解される。特に、下側光指向要素に入射する発散光学エネルギーは、下側光指向要素の側壁角度を調節することによって、および/または下側光指向要素およびその周囲材料の屈折率コントラストを変調することによって、検出器層に導かれることができる。本特徴のための設計空間は、例えば、Lumericalによって提供されるような有限差分時間ドメイン(FDTD)ベースのコード等のモデルおよびシミュレーションツールの助けを借りて、探索および最適化されることができる。
【0110】
本明細書に開示される下側光指向要素の設計は、種々の点において、以前のアプローチと異なる。例えば、上側光指向要素、特に、回折フレネル光学要素等の回折光学要素は、好ましくは、この統合されたデバイス内の収集経路の一部であるが、下側光指向要素自体は、必ずしも、対物面内の各点を像面内の互いに関係がある異なる点にマッピングするであろう画像形成レンズを含まない。他の以前のアプローチでは、デバイスを通過する光の角度パターンがあまり改変されないように、高屈折率材料は、テーパ状側面を伴う円錐形状ではなく、単純円柱として形成されている。光学閉じ込めのためのさらに他の以前のアプローチは、例えば、太陽電池用途および同等物において使用されるように、複合放物面型収集器(CPC)に依拠している。しかしながら、本明細書に説明される下側光指向要素と異なり、従来のCPCは、入射光学光線のための入射表面を含まず、典型的に、光を集中させるためのその能力の観点からCPCの形状を説明する特定の式が存在する。
【0111】
故に、いくつかの実施形態において、分析デバイスのアレイが提供され、各デバイスは、ナノスケール発光容積と、ナノスケール発光容積に光学的に結合された励起源と、ナノスケール発光容積に光学的に結合された検出器層と、ナノスケール発光容積と検出器層との間に配置された上側光指向要素と、上側光指向要素と検出器層との間に配置された下側光指向要素とを備え、光学信号が、ナノスケール発光容積から発せられ、上側光指向要素は、光学信号をナノスケール発光容積から下側光指向要素に導き、下側光指向要素は、次に、光学信号を検出器層内の感知領域に導く。
【0112】
より具体的実施形態において、上記のアレイ内の各デバイスは、約3.0μm、約2.7μm、約2.5μm、約2.4μm、約2.3μm、約2.2μm、約2.1μm、約2.0μm、約1.9μm、約1.8μm、約1.7μm、約1.6μm、約1.5μm以下、または、それらを下回りさえする最大側方寸法を有する。
【0113】
本集光構造を備えている統合された分析デバイスのための例示的設計は、
図4A-4Dに提供され、高角度発散光学ビームを含むサンプルからの光学発光が、いずれの場合も、発光容積405から発出する、矢印として図示される。サンプルからの光学発光は、入射表面476において下側光指向要素470に入射することに先立って、上側光指向要素450を通過する。光学信号は、下側光指向要素を通して導かれ、下側光指向要素を通過し、出射表面478において、最終的に、検出器層490に到達する総光学エネルギー(短矢印として図示される)を最適化する。集光構造(すなわち、少なくとも、上側光指向要素および下側光指向要素)は、したがって、サンプルからの検出器層への発光信号の透過を最適化するように構成される。これは、信号捕捉を増加させることと、検出器へのクロストークおよび他の背景雑音を減少させることとの両方によって、達成される。
【0114】
上で説明されるように、「光円錐」、「光パイプ」、または「光学トンネル」とも称され得る本開示の下側光指向要素は、例えば、
図4Aの統合された分析デバイス401に図示されるように、比較的に低屈折率を有するクラッディング材料(すなわち、「低屈折率クラッディング材料」)内に埋め込まれた比較的に高屈折率を有するコア材料(すなわち、「高屈折率コア材料」)を備えていることができる。特に、下側光指向要素470の高屈折率コア472は、高屈折率472材料と低屈折率474材料との間の境界に高反射率を提供することによって、したがって、下側光指向要素のコア内の透過される光の角度広がりを減少させることによって、光を高屈折率容積内に閉じ込めることによって働くことができる。好適な高屈折率および低屈折率材料の選択肢は、当業者によって理解されるであろう設計選択肢である。
【0115】
より具体的、
図4Aに示されるように、励起光が、光導波管源440によって、反応セル406内の被分析物に提供される。反応セル内の発光容積405からの光(星形として指定される)が、上側光指向要素450を通して下側光指向要素470の中に通過するにつれて、光円錐の側壁と交差する任意の光線は、大部分、コア材料とそれを包囲するクラッディングとの間の屈折率における大きい差異に起因して、下側光指向要素の中に戻るように反射される。
図4Aに示されるように、下側光指向要素は、例えば、テーパ状側面と、出射表面478より比較的に大きい入射表面476とを伴う切頂円錐の形状において製作されることができる。例えば、直径、側壁角度、コアおよびクラッディング材料等を含む上側光指向要素および下側光指向要素の具体的設計に関する詳細は、当業者によって理解されるであろうように、材料および設計制約に依存し得る。具体的設計特徴は、下記にさらに詳細に提供されるであろう。この統合されたデバイスにおいて使用するために適合され得る例示的下側光指向要素は、例えば、米国特許出願公開第2012/0019828号(参照することによって前述に組み込まれている)にも説明される。
【0116】
入射表面476および出射表面478は、
図4A-4Dでは、平面表面として図示されるが、これらの表面は、任意の好適な形状で形成されることができることを理解されたい。例えば、これらの表面は、所望に応じて、湾曲または段付きであることができる。上方から視認されるとき、これらの表面は、好ましくは、長円形または円形形状であるが、他の形状がこの下側光指向要素において有用性を見出し得ることも理解されたい。例えば、下側光指向要素は、長方形または正方形表面構造を有することができ、それは、出射表面478が検出器層490の感知領域に近接近する場合、特に利点であり得る。出射表面の形状は、好ましくは、感知領域内のピクセルまたは複数のピクセルの形状に合致するように設計される。
【0117】
いくつかの実施形態において、下側光指向要素は、円筒形光指向要素を含むことができる。円筒形光指向要素は、切頂円錐の変形例であると理解され、入り口および出口直径は、等しい。円筒形要素の場合、より大きい直径は、信号捕捉の量を増加させ得るのみならず、また、隣接したセル間のクロストーク、したがって、背景雑音を増加させ得る。より小さい直径の円筒形光指向要素は、背景雑音を減少させ得るが、収集される光学信号を犠牲にし得る。円筒形構造の主な利益は、製作が容易なことである。材料、製作プロセス、およびエッチング化学的性質に応じて、直線側壁角度を達成することは、プロセス複雑性、および、そうでなければ円錐形状光指向要素の場合に予期される側壁角度変動をかなり低減させることができる。いくつかの実施形態において、下側光指向要素は、長円形柱形状、正方形柱形状、または長方形柱形状を有することができる。これらの柱形状のいずれかを有する光指向要素の壁は、所望に応じて、非テーパ状またはテーパ状であることができ、入射および出射表面は、故に、等しい表面積も、等しくない表面積も有することができる。すぐ上で述べられたように、非円筒形柱形状を伴う下側光指向要素は、その製作の容易性に対する利点を有することができる。
【0118】
集光構造を備えている統合された分析デバイスは、随意に、追加の光学要素を備えていることができる。例えば、
図4Aに示されるように、レーザ阻止フィルタ要素480等のフィルタ要素が、下側光指向要素と検出器層490との間に配置されることができる。
図4Aの例示的統合された分析デバイス401はまた、金属層410と、エッチング停止層420と、開口層460、461、および462とを含み、その詳細は、後の節に提供されるであろう。
【0119】
本デバイスの上側および下側光指向要素のコアおよびクラッディングは、当業者によって理解されるであろうように、任意の好適な光学材料から形成されることができる。いくつかの実施形態において、上側および下側光指向要素は、異なる材料から形成されることができる。しかしながら、これらの実施形態において、界面における反射を回避するために、異なるコア材料がインピーダンス整合されることが有利であり得る。好ましい実施形態において、上側および下側光指向要素のコアは、同じ材料から調製される。
【0120】
いくつかの実施形態において、統合された分析デバイスの上側および下側光指向要素は、有利なこととして、別の光学要素によって、例えば、フィルタ要素によって、互いに分離されることができる。例えば、
図4Bは、代替の統合された分析デバイス402を示し、レーザ阻止フィルタ要素480が、上側光指向要素450と下側光指向要素470との間に配置される。これらの実施形態のいずれかでは、上側光指向要素の向きは、有利なこととして、
図4A-4Dに示される設計から反転されることができることを理解されたい。
【0121】
図4Cは、縮小されたスケールの側方寸法を有し、上側および下側光指向要素を備えている統合された分析デバイスの収集経路内に含まれ得るさらに別の随意の光学要素を示す。特に、
図4Cの統合された分析デバイス403は、バッフル要素層485を含み、バッフル要素層は、下側光指向要素を包囲するクラッディングと検出器層との間の不透明材料の層として図示される。好ましい実施形態において、バッフル要素層内の穴は、レーザ阻止フィルタ、例えば、レーザ阻止フィルタ480を備えている。
【0122】
特に、光を収集経路内に閉じ込め、コリメートするために、光の好ましい経路は、物理的に遮断されるか、または、不透明、吸収性、または反射性の材料で埋め尽くされることができる。トレンチが、隣接した単位セルの区分間にエッチングされ、金属(例えば、Al、W)で充填されるか、または、吸収性材料(例えば、TiN)で埋め尽くされることができる。バッフル材料は、単位セル間のクロストークが、最高である場所、例えば、大きい回折を伴う単位セルの区分(例えば、光が上側光指向要素または下側光指向要素から出る場所)内に限定されることができる。バッフル要素は、加えて、または代替として、単位セル間、例えば、隣接したセルのレンズに入射する1つの単位セルからの光をレーザ阻止フィルタ層内に限定するために、上側光指向要素層内に、および/または、下側光指向要素を出射する高角度回折光を遮るために、レーザ阻止フィルタ層と検出器層との間に設置されることができる。依然として、加えて、または代替として、バッフル要素は、発光容積と上側光指向要素との間の層内に設置されることができる。一般に、バッフル要素は、下側光指向要素から、または単位セルの他の特徴から回折する光をコリメートし、例えば、下側光指向要素を包囲するクラッディングを通過する迷光線による隣接した単位セル間の過剰な光学クロストークを防止するように設計される。バッフル要素はまた、励起源からの迷励起(「ポンプ」とも称される)光を遮断することができる。個々のデバイスの上方から視認されると、バッフル要素内の穴は、円形、長円形、長方形、正方形、または任意の他の好適な形状であることができる。
【0123】
当業者によって理解されるであろうように、レーザ阻止フィルタ要素は、かなりの量の厚さを光学スタックの全体的垂直厚、故に、単位セルの全体的縦横比に追加し得る。この縦横比を低減させ、光学クロストークおよび収集効率を改善するために、レーザ阻止フィルタスタックは、随意に、散乱させられた励起照明を選択的に吸収し、この背景信号が感知領域に到達することを防止するように構成された吸収性フィルタ要素を収集経路内に提供することによって、排除されることができる。この特徴を含む例示的デバイス設計は、
図4Dの統合された分析デバイス404に示され、下側光指向要素470のコアは、吸収性材料を備えている。下側光指向要素において使用される吸収性材料は、好ましくは、上側光指向要素のコア材料のための好ましい材料選択肢に類似する非晶質シリコンまたは窒化ケイ素等の誘電体である。特に、材料は、蛍光色素の発光波長範囲内で低吸収率と、励起源の波長範囲内で比較的に高い吸収率とを有するように選定される。この選択肢は、信号発光波長が、励起源から散乱光に起因する雑音が抑制されながら、減衰を殆ど伴わずに、収集経路を通過し得ることを確実にする。吸収性フィルタ層の例はまた、多層およびハイブリッドレーザ阻止フィルタ設計に関して下記に説明される。
【0124】
散乱させられた励起光の要求される減衰(典型的に、少なくとも5桁)に起因して、殆どまたは全く散乱させられた励起光が、吸収性材料を迂回し得ないことが好ましい。これは、水平平面における吸収性材料の周囲にしっかりと嵌る少なくとも1つ、理想的に、2つ以上の不透明開口層の存在によって達成されることができる。本開示の開口要素は、好ましくは、吸収性材料から製作される。開口要素460、461、および462は、
図4A-4Dのデバイスに図示され、下記にさらに詳細に説明されるであろう。
【0125】
上で述べられるように、この統合されたデバイスの上側光指向要素は、フレネルゾーンプレートまたはレンズ等の回折光学要素であることができる。そのような回折光学要素およびその変形は、種々の技法を使用して、高度光学デバイスの中、例えば、撮像光学系として、照明システム内に(例えば、米国特許第6,002,520号参照)、発光デバイス内に(例えば、米国特許第1号参照)、固体撮像デバイス内に(例えば、米国特許第7,499,094号参照)、画像センサ内に(例えば、米国特許第8,411,375号参照)、および統合された赤外線センサ内に(例えば、米国特許出願公開第2013/0043552号参照)、組み込まれている。フレネルレンズ等の回折光学要素は、米国特許出願公開第2016/0061740号(前述で参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明されるように、空間分離および照明容積からの光学発光のビーム成形の目的のために、統合された分析デバイスのアレイにおいても使用されている。本開示のレンズ要素の設計および本分析デバイスアレイの中へのその統合は、類似アプローチを使用して、達成されることができる。そのような光学要素は、標準的マイクロチップ製作技法を使用して、例えば、標準的堆積、除去、およびパターン化技法を使用して、容易に製造される。
【0126】
上で説明される集光構造を形成することにおいて利用される製作プロセスに応じて、高屈折率光指向要素コアまたはコアの周囲の低屈折率クラッディングのいずれかをエッチングすることが、光指向要素の縦横比が大きい場合、困難であり得る。この可能性を回避するために、2つ以上の浅い円錐が、互いの上にスタックされ、全体的より深い下側光指向要素を形成することができ、各個々の浅い円錐は、別個のステップにおいて製作される。個々の円錐の深度、それらの側壁角度、および各円錐の入り口および出口直径は、下側光指向要素のための最適性能を達成するために、調整されることができる。加えて、所与の下側光指向要素内の各円錐は、それ自体の特定の寸法を有することができ、所与の下側光指向要素内の異なる円錐は、同じである必要はない。スタックされた円錐を備えている、下側光指向要素を伴う例示的デバイスが、
図4E(2つのスタックされた円錐を伴う)および4F(3つのスタックされた円錐を伴う)に図示される。スタックされた円錐を有するデバイスでは、ある場合、吸収性材料の追加の「ブランケット」層、例えば、炭素豊富非晶質シリコン材料(CRAS)等の層をスタックされた円錐間に含むことが有利であり得る。
【0127】
本分析デバイスの下側光指向要素は、代替として、1つ以上の円錐と1つ以上の円柱の組み合わせを含むハイブリッド構成を有することができる。そのようなハイブリッド構造は、性能メトリックを満たしながら、製作における任意の可能な難点を克服することに役立ち得る。円錐要素上にスタックされた円筒形要素を備えているハイブリッド構造を有する下側光指向要素を伴う例示的デバイスが、
図4Gに図示される。
【0128】
上で記載されるように、光学スタック内への阻止フィルタを含むことは、単位セルスタックのかなりの量の総垂直厚を構成し得る。総スタック厚を減らすことは、光をコリメートされた状態に保ち、隣接したセル間の光学クロストークを減らすことに役立ち得る。上記のように、高度に吸収性の材料を下側光指向要素のコア内で使用することも有利であり得るが、そのような材料は、典型的に、散乱の吸収を提供し、背景雑音を減少させるために、少なくとも2~3μm厚を要求する。いくつかの実施形態において、本集光構造は、したがって、上側光指向要素と下側光指向要素との間に堆積させられた損失材料の「ブランケット層」を含み得る。他の構成は、ブランケット層を下側光指向要素自体内に、例えば、円錐のウェスト内に、または下側光指向要素の出口に含み得る。上で述べられるように、ブランケット層の製作において使用される損失材料は、例えば、炭素豊富非晶質シリコン材料を備えていることができる。
【0129】
この集光構造のさらに他の実施形態において、特に、増加させられた間隔が集光構造の底部と検出器層との間に存在する場合、追加の回折光学要素を下側光指向要素の下方に含むことが有利であり得る。例えば、ある場合、小単位セル光学デバイスの本アレイを製作するために使用されるセンサは、製作プロセスの一部として、平面化される必要があり得る。そのような平面化層、例えば、平面化酸化物の層は、2μm程度の厚さであることができ、500nm程度の変動を有することができる。平面化層の厚さおよび変動は、その結果、下側光指向要素から出射する光学信号が十分にコリメートされない場合、増加させられたクロストークをセル間にもたらし得る。下側光指向要素の下方への第2の回折光学要素の追加は、光が集光構造から出射すると、光をさらにコリメートし、したがって、センサに到達することに先立って、酸化物層を通して伝搬するとき、その発散を減らすことができる。集光構造の底部における第2の回折光学要素は、上側光指向要素と同じ寸法を有することができるか、または、異なる寸法を用いて、性能のために最適化されることができる。
【0130】
集光構造は、したがって、いくつかの実施形態において、上側光指向要素としての第1の回折光学要素と、下側光指向要素と、下側光指向要素の下方の第2の回折要素とを含むことができ、3つの構成要素は、好ましくは、屈折率整合材料から製作される。すぐ上で述べられたように、集光構造の底部において第2の回折要素を含むことは、光学信号が光学スタックを通過しているとき、少なくとも部分的に光学信号をコリメートすることができる。第2の回折光学要素を備えている例示的光学デバイスが、
図5A-5Cに図示される。
図5Aの例示的デバイスでは、下側光指向要素は、ブランケット高屈折率層を含む。
図5Bの例示的デバイスでは、下側光指向要素は、円筒形形状を有し、レーザ阻止フィルタ要素が、上側光指向要素(回折光学要素)と下側光指向要素との間に位置付けられる。
図5Cの例示的デバイスでは、下側光指向要素は、切頂円錐形状を有し、レーザ阻止フィルタ要素が、上側光指向要素(回折光学要素)と下側光指向要素との間に位置付けられる。
【0131】
上で説明される特徴のいずれかは、本開示のこの小スケール単位セルデバイス内の集光構造の設計および製作において組み合わせられることができる。例えば、そのようなデバイスは、1つ以上の円錐および/または1つ以上の円柱を含むことができる。それらは、所望に応じて、4つ以上のスタックされた円錐または高屈折率材料のブランケットのいくつかの層を含むことができる。構成はまた、吸収性材料との組み合わせであることができ、ブランケット層の代わりに、集光構造の円錐および/または円柱が、選択的吸収性材料から製作される。
【0132】
第2の回折光学要素を有する構成はまた、多要素中継器構成を含むように拡張されることができ、複数の回折光学要素が、デバイス内の光路を調整するために採用される。加えて、デバイス内の回折光学要素の各々は、例えば、
図5Dの集光構造に図示されるように、可変寸法を有し、上方に面したまたは下方に面した向きで構成されることができる。
【0133】
追加の例示的小スケール光学デバイスおよびその設計特徴の例示的寸法は、
図6A-6Eに図示される。いずれの場合も、各例示的単位セルの側方寸法は、1.8μmであり、各例示的単位セルは、0.19μm垂直厚の導波管励起源と、段あたり0.12μm垂直厚を伴う段付き回折光学要素を備えている上側光指向要素と、導波管源と上側光指向要素との間の0.56μmの垂直厚とを含む。
図6Aのデバイスは、下側光指向要素として、単一切頂円錐を含み、切頂円錐は、1.4μmの入口直径と、1.0μmの出口直径と、1.5~3μmの垂直寸法とを有する。デバイスは、下側光指向要素の下方の1.5μm垂直厚のレーザ阻止層と、下側集光要素とセンサ層との間の1.0μm垂直厚の平面化酸化物層とをさらに含む。
【0134】
図6Bおよび6Cのデバイスは、下側光指向要素として1つの切頂円錐(
図6C)または2つのスタックされた切頂円錐(
図6B)のいずれかを伴う
図6Aのデバイスの変形である。各円錐は、0.75~1.25μmの垂直寸法を有する。
図6Bおよび6Cのデバイスは、上側光指向要素と下側光指向要素との間の1.5μm垂直厚のレーザ阻止フィルタ層をさらに含む。
【0135】
図6Dおよび6Eのデバイスは、
図6Cおよび6Eのデバイスの変形であり、レーザ阻止フィルタ層は、省略されるが、円錐は、散乱させられた励起照明を選択的に吸収し、したがって、この背景信号が感知領域に到達することを防止する材料から製作される。
【0136】
故に、統合された分析デバイスのこのアレイ内の各デバイスは、したがって、約25μm、約20μm、約15μm、約10μm、約8μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm以下、または、それ未満でさえある最大垂直寸法を有する。さらに、各デバイスは、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm以下、または、それ未満でさえある最大垂直寸法を伴う下側光指向要素を備えていることができる。各デバイスの下側光指向要素は、1つ以上の切頂円錐および/または1つ以上の円柱であることができる。いくつかの実施形態において、各円錐または円柱層の垂直寸法は、したがって、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm以下、または、それ未満でさえある。
【0137】
この小単位セルデバイスの例示的下側光指向要素の追加の好ましい設計特徴は、
図7A-7Eに図示される。これらの構造は、0.75μm垂直厚の単一切頂円錐構造(
図7A、7B、7D、および7E)または切頂円錐上にスタックされた円柱および1.25~2.25μm垂直厚を伴うハイブリッド構造(
図7C)のいずれかを有する下側光指向要素を反映する。これらの構造では、切頂円錐の側壁角度は、75°(
図7C)~81°(
図7Aおよび7B)~84°(
図7Dおよび7E)に及び、入口直径は、1.26μm(
図7E)~1.34μm(
図7B)~1.4μm(
図7A、7C、および7D)に及び、出口直径は、1.1μm(
図7B、7C、および7E)~1.16μm(
図7A)~1.24μm(
図7D)に及ぶ。いくつかの実施形態において、下側光指向要素は、切頂円錐を含まないが、単に、円筒形、正方形、長方形、または他の好適に成形された柱のコア材料である。
【0138】
いくつかの実施形態において、本デバイスの下側光指向要素の切頂円錐の側壁角度は、したがって、約60°~約90°、約70°~約90°、約72°~約85°、またはさらに約75°~83°であることができる。いくつかの実施形態において、本デバイスの下側光指向要素の切頂円錐の側壁角度は、約75°、約81°、または約84°であることができる。
【0139】
統合された分析デバイスの本アレイの製作のための一般的方法が、下記に詳細に説明される。例示的アレイの下側光指向要素層の製作のためのより具体的例示的プロセスフローは、
図8A-8Eに図示される。特に、
図8Aは、500nmの酸化物層、100nmのTiN、750nmの酸化物、および100nmのTiNのフィルムの堆積の結果を示す。TiN層は、下記に説明されるであろうように、単位セルの開口層を提供する。
図8Bは、この層を硬質マスクとして使用して、酸化物円錐形空洞を下方にエッチングし、TiN上で停止するTiNAP2層のパターン化を示す。後続開放ステップは、TiN層を除去し、TiNAP1層をパターン化する。
図8Cに示されるように、円錐のコア材料(例えば、炭素豊富非晶質シリコン(CRAS)材料)が、空洞の中に堆積させられ、要求に応じて、TiNAP2層の上方に過充填される。
図8Dは、CRASをエッチングし、円筒形柱を形成する結果を示す。
図8Eは、酸化物層でCRAS柱間を充填する結果を示す。酸化物表面が、次いで、研磨されることができ、製作は、下側光指向層の上方への必要層の堆積で持続されることができる。
【0140】
代替製作方法では、コア材料の層が、好適に成形された開口のアレイを開放するようにすでにパターン化されている開口層(例えば、TiNAP層)上に層化されることができる。ある高さ(例えば、2~3μm)の円筒形、長円形、正方形、長方形、または他の好適に成形された柱のコア材料が、次いで、パターン化およびエッチングされ、下側光指向要素のアレイを形成することができる。これらの構造では、下側光指向要素の側壁角度は、約90°であることができる、または90°未満であることができることを理解されたい。
【0141】
さらに他の代替製作方法では、TiNAP1およびTiNAP2層は、下側光指向要素層から独立して、パターン化およびエッチングされ、必ずしも、その層のための硬質マスクおよび/またはエッチング停止部としての役割を果たすわけではない。
(開口層)
【0142】
上で述べられるように、本開示の統合された分析デバイスは、随意に、1つ以上の開口層を含むことができる。開口層は、ナノスケール分析デバイスの他の層間またはその中、例えば、ZMW/ナノウェル層と上側光指向要素層との間、上側光指向要素層と下側光指向要素層との間、下側光指向要素層とレーザ阻止フィルタ層との間、および/またはレーザ阻止フィルタ層と検出器層との間に製作される。開口は、励起源(例えば、導波路)から、デバイス内の自己蛍光から、または隣接した単位セルの間のクロストークからのいずれか一方の光の背景透過を最小化しながら、同時に、ZMW/ナノウェルから所与の単位セル内の検出器要素の感知領域への発せられる光の最大透過を可能にするように、開口部を提供する。開口層は、典型的に、光の透過が望ましくない場合の光遮断材料、および光の透過が所望される場合の透明材料で構築される。開口層で使用するための好適な光遮断料は、例えば、窒化チタン、クロム等の金属、または任意の他の適切な光遮断材料を含む。光遮断材料は、好ましくは、窒化チタンである。開口層で使用するための好適な透明材料は、例えば、SiO2、Si3N4、Al2O3、TiO2、GaP等を含む。好ましい実施形態において、開口層は、厚さ約100nmである。
(レーザ阻止フィルタ要素)
【0143】
上で説明されるように、本開示の統合された分析デバイスは、加えて、他の光の波長を大きく減少させ、または遮断しながら、ある光の波長を透過させるように設計される特徴を含むことができる。特に、可能な限り多くの信号関連光を検出器に透過させること、かつ全てまたは少なくとも殆どの雑音関連光を遮断することが望ましい。
【0144】
本開示のアレイにされた統合された分析デバイスは、したがって、加えて、かつ随意に、1つ以上のレーザ阻止フィルタ要素をレーザ阻止フィルタ層内に含むことができる。レーザ阻止フィルタ層は、統合されたデバイスの励起源と検出器層との間、典型的に、下側光指向要素と検出器層との間にある(
図4Aに示されるように)が、随意に、上側光指向要素と下側光指向要素との間に配置される(
図4Bに示されるように)。そのようなレーザ阻止フィルタ要素(「ポンプ」阻止フィルタまたは散乱フィルタとしても公知である)は、本開示のデバイス等の完全統合された分析デバイスの場合、これらのデバイスの統合性質が、全ての層の総厚さに制約を加え得、阻止が確実にされなければならない角度帯域幅も増加させ得るので、特に重要である。非統合検出器デバイスに関して、非信号光の阻止に責任がある堆積層は、(加わるいくつかのフィルタを合計して)厚さが何十ミクロンもあり得るが、典型的に、(視野(「FOV」)およびフィルタ傾きの両方を含む)<10度の角度範囲にわたって光を阻止する必要しかない。しかしながら、本明細書で例示されるデバイス等の統合されたデバイスに関して、ポンプ阻止のための層は、5ミクロン程度または、それより薄くさえある必要があり得る。
【0145】
統合されたデバイスのさらなる考慮事項は、阻止された非信号光が効果的に終了される(すなわち、例えば、吸収によってそれを熱に変換することによって、光学システムから効率的に除去される)ことを確実にすることである。統合されていないデバイスに関して、そのような終了が、概して、重要ではない一方、統合されたデバイスに関して、反射光は、数回の(原則として1回の)反射を伴って別の検出器部位に到達することができ、さらに、阻止された光がデバイスから脱出するための局所出口ポートがない。これらの理由で、散乱光が、理想的には1回の反射で、効率的に熱に変換されることを確実にすることが重要である。本統合されたデバイスでの使用のために好適な2つのタイプのレーザ阻止フィルタ要素の詳細な性質は、本開示の後続の節に説明される。
【0146】
本デバイスのレーザ阻止フィルタ要素での使用のための好適な材料は、例えば、非晶質シリコン/酸化ケイ素干渉スタック、ポリマー様レジスト、ドープされたPECVD酸化物、吸収染料を伴う有機シリコーン等を含む。好ましい実施形態において、レーザ阻止フィルタ要素は、薄膜干渉フィルタである。より好ましい実施形態において、レーザ阻止フィルタ要素は、非晶質シリコンおよび酸化ケイ素の層から調製される。
【0147】
類似レーザ阻止フィルタ設計が、米国特許出願公開第2016/0061740号(前述で参照することによってその全体として本明細書に組み込まれている)に説明される。
(多層およびハイブリッドレーザ阻止フィルタ要素)
【0148】
理想的なレーザ阻止フィルタは、サンプル励起の波長において光学エネルギーの強度な阻止を提供し(例えば、典型的なレーザ照明源については532nmにおいてOD>=6)、サンプル発光の波長において広い高透過窓を示し、さらに、着目波長間のわずかなストークスシフトを示す。加えて、レーザ阻止フィルタが、角度および偏波を伴う最小の分散、最小の厚さ、および制御された終了を示すことが望ましい。さらに、フィルタスタックは、好ましくは、安価であり、統合されたデバイスの他の構成要素の製造のために好適な条件(例えば、温度)下で容易に製造可能である。
【0149】
誘電体薄膜レーザ阻止フィルタの場合、ある時は、そのようなスタックの設計において、非信号光の入射角の広い範囲にわたって十分なフィルタ性能を得ることは困難であり得る。例えば、規定波長範囲を考慮すると、エッジフィルタが、(典型的に、垂直入射からある値までの)入射角の特定の範囲内のみであるが、高い反射効率を提供することができる。本明細書に説明される統合されたデバイス設計のうちのいくつかでは、励起源の散乱光子が検出器に到達することを防ぐために、広い角度スペクトルにわたる阻止が、特に、典型的薄膜スタックが十分にサポートし得るより高い入射角を伴う光子を遮断するために、望ましくあり得る。
【0150】
本開示は、一側面において、高角度散乱光の透過を減らすために、低屈折率全内部反射(TIR)層を備えている、多層レーザ阻止フィルタを提供することによって、この問題に対処する。特に、低屈折率層が、背景信号を最小化するために、励起源と検出器層との間のデバイススタックに含まれる。従来の誘電体ロングパスフィルタは、より高い入射角を伴う光線(例えば、図面中の外側の光線)より効率的に、より低い入射角を伴う光線(例えば、図面中の中央の光線)を反射する。このフィルタ設計が統合されたデバイスに組み込まれると、導波路からの高角度散乱光は、フィルタスタックを通して透過させられ、センサに到達することの比較的高い可能性を有する。しかしながら、本開示の設計解決策では、低屈折率TIR層は、統合励起導波路と誘電体フィルタスタック等の低角度阻止フィルタとの間に追加されることができる。高角度散乱光は、低屈折率TIR層に遭遇すると全内部反射を経験し、複数の跳ね返りの後、側面において統合されたデバイスから出射する。同時に、低角度散乱光は、低屈折率TIR層を通して透過されるが、誘電体フィルタスタックによって阻止される。したがって、TIR層およびフィルタスタックの複合効果は、広い角度スペクトルを伴う散乱光を遮断する障壁フィルタをもたらす。
【0151】
対象多層フィルタスタックの低屈折率TIR層のための1つの候補材料は、殆どゼロの分散および低い屈折率を伴う空気であるが、低い屈折率および他の好適な特性を有する他の気体、液体、および個体を含む他の低屈折率材料も好適である。低屈折率TIR層のための材料の具体的選択は、当業者によって理解されるように、隣接した層の屈折率および他の物理的性質に依存するであろう。
【0152】
散乱光を収集し、多重散乱の可能性を減らすことに役立つために、吸収層またはパッチが、随意に、デバイスに追加されることができる。そのような吸収層での使用のための材料は、それらの吸収の波長、光学エネルギーを放散させるそれらの能力、および統合されたデバイスの製作におけるそれらの好適性に基づいて選定される。
【0153】
場所、厚さ、材料選択、および低屈折率層の層数に応じて、上記の広い角度スペクトル多層エッジフィルタの種々の構成が可能である。上で説明されるように、低屈折率層は、励起導波路クラッディングの直接下方に配置されることができ、したがって、最短の共振空洞長を生成し、したがって、二次散乱の可能性を制限する。しかしながら、低屈折率層は、代替として、薄膜スタック内または薄膜スタックと検出層との間に配置され得る。これらの構成は、共振空洞長を増加させることができ、したがって、二次散乱の可能性を増加させることができるが、構成は、有利なこととして、デバイスの製造を促進することができる。
【0154】
いずれの場合も、レーザ阻止フィルタ設計の中への追加のTIR設計制約の組み込みは、低屈折率層への付加価値を生成する。例えば、レーザ阻止フィルタ設計に一体構成要素として低屈折率層(または複数の層)を組み込むことによって、例えば、フィルタが、薄膜スタックにもはや限定されなくなるが、励起導波路から検出層までの層を含むことができるので、統合されたデバイス性能は、完全に最適化されることができる。
【0155】
本開示は、別の側面において、誘電体スタックと吸収層との組み合わせを備えているレーザ阻止フィルタ要素をさらに提供する。そのようなハイブリッドフィルタは、干渉コーティングおよび吸収層の入射角への相補的依存性を利用する。特に、上記のように、阻止のための干渉コーティングが、典型的に、干渉薄膜内の角度の余弦として性能に影響を及ぼす分散を伴って、垂直入射を中心とする円錐に関して最も良く機能する一方、吸収阻止層の性能は、吸収層内の角度の余弦として性能に影響を及ぼす分散を伴って、入射角とともに増加する傾向がある。この相補的性質により、最小厚さにおいて、広い角度範囲にわたる標的最小値の阻止を伴って、ハイブリッドコーティングが達成されることができる。この厚さは、より高い屈折率の薄膜に関して、およびより低い屈折率の吸収層に関して低減させられる。非信号光のための吸収を伴う(しかし信号光の最小の吸収である)薄膜が、ハイブリッド阻止フィルタで効果的に使用され得ることに留意されたい。
【0156】
誘電体フィルタスタックとの組み合わせにおける使用のために好適な吸収染料の例として、Aptina red1は、600nmを上回る高い透過を伴う吸収スペクトルを有する。例えば、Pang et al.(2011)Lab Chip 11:3698の
図2を参照されたい。この出版物で使用された厚さは、比較的大きかった(8μm)が、より薄い層が、デバイスのレーザ励起の波長に応じて使用されることができる。例えば、5μm層は、532nmにおいてOD>6を提供し、4.7μm層は、540nmにおいてOD>6を提供し、2.8μm層は、562nmにおいてOD>6を提供する。本ハイブリッドフィルタスタックでの使用のために好適な他の吸収染料および色素は、当業者によって容易に識別可能である。
【0157】
特に、Aptina red1染料の層による等、吸収染料層によるレーザ阻止は、有利なこととして、非信号光の偏波分散を示さず、弱い角度分散、および制御された終了を示す。加えて、角度的に非一様な分散が、吸収染料層のさらなる薄化を可能にし得る。半球のある部分が、阻止されるべきより低い強度の非信号光を有する場合、または、強度がある角度において既知の偏波依存性を有する場合、この情報は、(所与の阻止標的に関して)ハイブリッド阻止フィルタ厚さをさらに減らすために使用されることができる。吸収阻止フィルタ、例えば、Aptina red1染料の層の不利点は、適度に大きい減衰係数、比較的大きい厚さ(5μm)、および比較的大きいストークスシフト(532nm~約620nm)を伴うサンプル染料を使用する必要性を含む。しかしながら、これらの不利点は、このハイブリッド阻止フィルタ内の誘電体スタックとの吸収層の組み合わせによって、大いに相殺されることができる。
【0158】
ハイブリッド阻止フィルタの誘電体スタック構成要素に関して、特に有利な阻止フィルタ(特に、角度への低い依存性を伴うもの)が、フィルタの干渉部分のための非常に高屈折率材料の使用を通して可能である。532nmポンプを用いたこれらの目的のための有用性を見出す例示的材料は、高屈折率材料としてのGaP(ガリウムリン)および低屈折率材料としてのTiO2であるが、以下に説明されるように、かつ当業者によって理解されるように、他の好適な材料が利用され得る。着目すべきは、TiO2が、典型的に、一般的に生産されているコーティングのための高屈折率材料として使用されることである。しかしながら、材料は、0~45度の(青方シフトを伴う)かなりの角度分散、およびp偏波光学信号(570nm付近の上トレース)と偏波光学信号(570nm付近の中央トレース)との間のかなりの偏波分散(分割)も示す。
【0159】
ハイブリッド阻止フィルタの誘電体スタック構成要素の光学的特性は、スタックを構築するために使用される材料の選択によって、各層の厚さによって、および層の数によって、所望に応じて変調されることができる。干渉フィルタを製作するために利用される誘電体材料は、一般に、非伝導性材料であり、典型的に、特定の屈折率を有する金属塩および金属酸化物である。例示的材料は、SiO2、SiO、Si2O3、Al2O3、BeO、MgO、CeF3、LiF、NaF、MgF2、CaF2、TiO2、Ta2O5、ZrO2、HfO2、Sb2O3、Y2O3、CeO2、PbCl2、およびZnSを含む。その極めて高い屈折率により、GaPも有用である。誘電体スタックは、好ましくは、H層が比較的高い屈折率を伴う第1の材料であり、L層が比較的低い屈折率を伴う第2の材料である全体的構造(H/2 L H/2)Nを伴って設計される。スタック内の各層の物理的厚さは、当技術分野で理解されるように、所望の光学的特性に基づいて選択される。値「N」は、括弧内の構造の反復単位の数であり、整数である。阻止帯域内の透過は、全体的な厚さが増加するとともに(例えば、Nが増加するにつれて)(所与の入射角に関して)ゼロになる傾向がある。
【0160】
コーティングの順序がハイブリッドレーザ阻止フィルタ要素の最適な性能を達成するために変動させられ得ることを理解されたい。例えば、層は、第1に吸収コーティング、第2に干渉コーティングを伴って、または逆も同様に、順序付けられることができる。吸収材料は、PMMA等のホスト材料の中で支えられることができ、限定容積内に適合するように、またはより単純な統合を可能にするように、成形またはパターン化されることができる。
【0161】
コーティングは、当業者によって理解されるように、異なるプロセスステップで生成され、アセンブリに接合されることができる。
【0162】
いくつかの実施形態において、レーザ阻止フィルタ要素は、多層またはハイブリッド阻止フィルタ要素である。
【0163】
具体的実施形態において、レーザ阻止フィルタ要素は、誘電体干渉フィルタ層と、低屈折率全内部反射層とを備えている、多層フィルタ要素である。より具体的な実施形態において、デバイスの各々は、吸収層をさらに備えている。
【0164】
他の具体的実施形態において、レーザ阻止フィルタ要素は、吸収層と、誘電体スタック層とを備えている、ハイブリッド阻止フィルタ要素である。
【0165】
いくつかの実施形態において、レーザ阻止フィルタ要素は、532nmにおける低い光透過、および620nmを上回る高い光透過を示す。
【0166】
類似多層およびハイブリッドレーザ阻止フィルタが、米国特許出願公開第2016/0061740号(前述で参照することによってその全体として本明細書に組み込まれている)に説明される。
(被分析物の不動化のためのナノピット)
【0167】
上で説明されるように、DNA配列決定分析の文脈では、ポリメラーゼ酵素と、テンプレート核酸と、プライマ配列とを備えている核酸合成錯体が、光学的閉じ込め領域または非常に小さい照明容積内に不動化され、ヌクレオチドが拡張プライマ配列の中に組み込まれるにつれて、個々のヌクレオチドを識別するために、リアルタイムで監視されることができる。
図1Aを参照されたい。しかしながら、有意義な配列情報を取得するために、1つ以下の核酸配列錯体(すなわち、1つの着目被分析物または分子)が、照明容積、例えば、統合された分析デバイスの表面内または上に配置された単一ナノウェルまたは開口内に存在することが好ましい。
【0168】
例えば、米国特許出願公開第2011/0257040A1号に説明されるように、ナノウェル内への複数の分子装填事象の発生を減らすために、当技術分野では、アレイを着目被分析物または分子で実質的に少なめに装填することが典型的である。アレイの中への分子のランダム分布は、全てのナノウェルの37%より少ないものが装填されるとき、1つ以下の分子が大部分のナノウェルの中に装填されることをもたらす。本タイプの装填は、「ポアソン限定」被分析物装填と称され、アレイの中への被分析物のポアソン式ランダム統計的分布が、大部分の場合、1つ以下の被分析物/ナノウェルをもたらすように、十分に少ない分子が、アレイに添加されることを意味する。ZMW文脈では、約30%の単一分子占有率に関する最高水準の収率が、ある範囲のZMW直径(例えば、70~100nm)に関して取得されている。この装填度に関して、典型的ZMWアレイ内のZMWの約60%が、装填されていない(例えば、被分析物分子を有していない)。そのようなランダム分布方法は、大部分の場合、単一以下のテンプレートまたは酵素(または他の被分析物)分子がZMWアレイ等のアレイ内の各観察/反応容積内に装填されることを確実にすることにおいて効果的であるが、そのようなアレイのテンプレートおよび酵素装填密度を増加させる方法および組成物を開発することが望ましいであろう。より高い装填密度は、アレイ内のより多くの被分析物分子の同時分析を可能にし、同時に、分析コストを減少させながら、そのようなシステムのスループットを増加させるであろう。
【0169】
単一被分析物ナノウェルの装填密度を最大化するために、若干異なる表面をナノウェルの底部に設計することによって、各ナノウェルの内側に、機能性の小島状部を生成することが望ましい。「ナノピット」と呼ばれる、この機能性の小島状部は、好ましくは、酵素直径(約5nm)~酵素+錯体エントロピ除外空間(約20~30nm)のサイズ範囲である。酵素+錯体エントロピ除外空間は、酵素およびDNA錯体の周囲の空間に対応し、別のポリメラーゼが、単に、静電反発とブラウン運動の組み合わせに起因して、見出されるであろう可能性は、統計的に低い。この概念は、
図9に図示される。ナノピットの島状部部分は、好ましくは、シリカ表面を有し、アルミナによって包囲されるが、反応性材料と非反応性材料の他の好適な組み合わせも、本開示の範囲内と見なされるべきである。機能性の島状部を有するナノスケール開口が、米国特許出願公開第2011/0257040A1号に説明されている。
【0170】
いくつかの実施形態において、ナノピットは、直接印刷することによって、統合された分析デバイスの本アレイのナノウェル内に形成されることができる。特に、ナノピットは、単に、その製作中、デバイスアレイの表面に直接書き込まれることができる。そのような小スケールの特徴を印刷するために利用可能な技法は、例えば、電子ビームリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、およびフォトリソグラフィを含む。好ましくは、ナノピット特徴は、フォトリソグラフィ、より特に、深層UVリソグラフィまたは浸漬リソグラフィによって印刷される。ナノピットの直接印刷は、40nm~10nm範囲内のサイズを有する特徴を要求する可能性が高い。
【0171】
図10は、プロセスの中心線に従って直接印刷することによる、ナノウェルの底部におけるナノピットの調製のための基本プロセスフローを図示する。ピットは、エッチング停止プロセス中、例えば、励起導波管区分(導波管は、
図10の例証では、ナノピットの直下の長方形として示される)の完成直後、パターン化されることができる。例示的プロセスフローに関して、米国特許出願公開第2016/0061740号を参照されたい。パターン化後、ナノピットは、製造フローのZMW部分のために埋められることができる。
図10の中心経路に示されるように、ZMWフローの最後のステップである、「線形プロセス」が、次いで、ナノピットを再露出させるために使用されることができる。
図10は、単純直接フローを用いてナノピットアーキテクチャを維持することが困難である場合、エッチング停止層の厚さを増加させること(
図10の右側フロー)、または保護をナノピットの上部に追加すること(
図10の左側フロー)のいずれかによって、プロセスのロバスト性が、拡張され得る方法も図示する。そのような保護のための材料は、例えば、非晶質シリコンであることができ、それは、ガス相エッチング、または金属、例えば、窒化チタンおよび過酸化水素によって、高選択性を伴って、除去されることができる。
(統合された分析デバイスのアレイ)
【0172】
例えば、研究および診断において、遺伝子配列決定の幅広い用途のために所望され得る配列情報の量を得るために、高スループットシステムが所望される。上記のように、一例として、システムの配列決定スループットを増進するために、複数の錯体が、典型的に監視され、各錯体は、別個のテンプレート配列を配列決定している。ゲノム配列決定または他の大型DNA成分の配列決定の場合、これらのテンプレートは、典型的に、ゲノムDNAの重複断片を含むであろう。各断片を配列決定することによって、次いで、断片からの重複配列データから連続配列を組み立てることができる。
【0173】
上で説明され、
図1Aおよび1Bに示されるように、そのような配列決定システムのテンプレート/DNAポリメラーゼプライマ錯体が、提供され、錯体は、典型的に、ゼロモード導波路(ZMW)またはナノウェル等の光学的閉じ込め領域内で、または透明基板、光導波路等の表面の近位で、不動化される。好ましくは、そのような反応セルは、ゲノムまたは他の大規模DNA配列決定アプローチのために必要な規模を達成するために、基板上に多数でアレイにされる。そのようなアレイは、好ましくは、例えば、
図2のブロック図に示されるデバイスおよび
図4A-4G、5A-5D、および6A-6Eに図示される単位セル等の完全統合された分析デバイスを備えている。光学分析デバイスのアレイを備えている統合システムの例が、米国特許出願公開第2012/0014837号、第2012/0019828号、および第2012/0021525号においても提供される。
【0174】
ZMW/ナノウェルを備えているデバイスのアレイ等の統合された分析デバイスのアレイは、超高密度で製作されることができ、1cm2につき1000個のZMW~1cm2につき1,000,000個のZMWまたはそれを上回る範囲を提供する。したがって、任意の所与の時間、100、1,000、3,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、100万、1,000万、2,500万、5,000万、1億、または、それらより多くでさえあるナノスケール発光容積または単一の他の反応領域で起こる反応を分析することが、分析システム内または単一の基板上でさえ可能であり得る。
【0175】
前述のシステムを使用して、アレイ内の何千または何万ものZMW/ナノウェルの同時標的照明が説明されている。しかしながら、多重化の所望が増加するにつれて、ZMWクロストーク(アレイから出射するにつれて互いを汚染する隣接ZMWからの信号)、より高レベルのより高密度の照明から生じる減少した信号対雑音比等の問題が増加するので、アレイ上のZMWの密度、およびそのようなアレイの標的照明を提供する能力が困難を増加させる。本発明のアレイおよび方法は、これらの問題のうちのいくつかに対処する。
(統合された分析デバイスのアレイを生産するための方法)
【0176】
別の側面において、本開示は、統合された分析デバイスのアレイを生産するための方法を提供する。上で説明されるように、そのようなアレイは、例えば、特に、ゲノム配列決定を含む核酸の大規模配列決定において有用である。そのようなアレイは、種々の方法によって生産されることができる。本アレイを生産するための1つの好ましいアプローチは、集積回路の生産のために高度に開発されている、半導体またはMEMS処理方法等の微細加工方法の使用を伴う。類似プロセスが、インクジェットプリンタ、加速度計、圧力変換器、およびディスプレイ(デジタルマイクロミラーディスプレイ(DMD)等)を含む種々の用途のためのMEMS(微小電気機械システム)を生成するために使用されている。微細加工方法は、後に多くのデバイスに刻まれ得るウエハ等の大型基板に適用されることができ、一度に多くのデバイスの生産を可能にする。
【0177】
本発明の方法は、例えば、基板または他の層上に構造要素を画定するために、フォトレジスト等のレジストプロセスを適用し得る。エッチングプロセスが、統合された分析デバイス内の構成要素構造を含む3次元構造を生産するために使用されることができる。堆積プロセスが、デバイス上に層を追加するために使用されることができる。アッシング、研磨、解放、リフトオフ、および湿式洗浄等の他の半導体プロセスも、以下でさらに詳細に説明されるように、本発明の構造を生成するために採用されることができる。
【0178】
例えば、リソグラフィック技法が、例えば、従来のリソグラフィ、電子ビームリソグラフィ等を使用して、フォトレジスト等のポリマー材料からマスク層を画定するために使用されることができる。代替として、リソグラフィック技法は、例えば、アルミニウム、金、白金、クロム、または他の従来的に使用されている金属を使用する金属マスク層、または他の無機マスク層、例えば、シリコン、SiO2等のシリカ系基板を堆積させるために、層堆積方法と併せて適用されることができる。代替として、ネガティブトーンプロセスが、例えば、ナノウェルに対応するレジストの支柱を画定するために採用されることができる。例えば、米国特許第7,170,50号(あらゆる目的で参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。次いで、マスク層は、レジスト支柱を覆って堆積させられることができ、支柱は、後に除去される。特に好ましい測定では、下層の基板およびマスク層の両方は、同じ材料から製作され、それらは、特に好ましい測定では、ガラス、石英、または溶融石英等のSiO2系基板等の透明基板材料である。同じ材料のマスクおよび下層を提供することによって、2つの層が、それらがさらされる環境との同じ相互作用性を有し、したがって、いかなるハイブリッド表面相互作用も最小化することを確実にすることができる。
【0179】
SiO2系基板およびマスク層の場合、従来の製作プロセスが採用されることができる。例えば、導波路等の表面露出特徴を含むガラス基板は、その表面を覆って堆積させられたレジストの層を有することができる。次いで、マスク層のネガ型が、下層の特徴へのアクセスを保持したいレジスト島を提供するために、レジスト層の適切な露光および現像によって画定される。次いで、マスク層は、表面を覆って堆積させられ、残りのレジスト島は、下層の特徴への開口部を提供するように、例えば、リフトオフプロセスを通して除去される。金属層の場合、堆積は、蒸発、スパッタリング等を含むいくつかの手段を通して達成されることができる。そのようなプロセスは、例えば、米国特許第7,170,50号に説明される。シリカ系マスク層の場合、化学蒸着(CVD)プロセスが、表面上にシリコン層を堆積させるために採用されることができる。レジスト層のリフトオフに続いて、熱酸化プロセスが、マスク層をSiO2に変換することができる。代替として、エッチング方法が、従来のプロセスを使用して、下位層へのアクセス点をエッチングするために使用されることができる。例えば、シリコン層が、下層の基板を覆って堆積させられることができる。次いで、レジスト層が、シリコン層の表面を覆って堆積させられ、マスクのパターンを画定するように露光および現像される。次いで、アクセス点が、下層のSiO2基板ではなくシリコンを除去するように、適切な差分エッチングを使用して、シリコン層からエッチングされる。マスク層が画定されると、シリコン層は、例えば、熱酸化プロセスを使用して、再度、SiO2に変換される。
【0180】
上記の例示的微細加工技法の各々では、プロセスは、清浄な基板層を用いて始まる。本方法で使用される基板層は、任意の好適な堅い材料であり得る。基板層材料は、例えば、シリカ等の無機酸化物材料を備えていることができる。好ましい基板層材料は、例えば、CMOSウエハ、すなわち、CMOSセンサまたはCCDアレイで構成されたウエハ等の検出器層を備えている。例えば、CMOS Imagers From Phototransduction to Image Processing (2004)Yadid-Pecht and Etienne-Cummings, eds.; Springer、CMOS/CCD Sensors and Camera Systems (2007)Holst and Lomheim; SPIE Pressを参照されたい。
【0181】
上記のように、本発明の方法は、ある場合、リソグラフィを用いて構造を画定し、生産するために、レジストを使用する。これらのレジストは、例えば、フォトレジストまたは電子ビームレジストであり得る。フォトレジストは、紫外線、深紫外線、G線、H線、I線、または他の好適な波長または波長の組を使用して、現像されることができる。使用されるレジストのタイプ、したがって、処理に採用される器具類のタイプは、生成される特徴の寸法に依存するであろう。本明細書に説明される多くのプロセスでは、より高い分解能のレジストおよび機器が、反応容積に対応するナノウェルの生産に使用され、ナノウェルのサイズは、約10nm~500nmであり得、より低い分解能のレジストおよび関連器具類は、1ミクロン~20ミクロンの寸法上に特徴を有することができる統合された分析デバイスの残りの部分の生成に使用される。多くのレジストが当技術分野で公知であり、多くは、Rohm and HaasおよびShipley等の会社から市販されている。本発明のプロセスで使用されるレジストは、ネガティブまたはポジティブフォトレジストであり得る。ネガティブフォトレジストを使用して、プロセスが本明細書に説明される場合、好適なポジティブフォトレジストも、実用的である場合、採用されることができ、逆も同様であることを理解されたい。適切である場合、化学増幅も、レジストの感度を増加させるために採用されることができる。レジストの除去、基板の清掃、洗浄、アッシング、および乾燥が、適宜、当技術分野で教示され、公知であるように行われることができる。
【0182】
ある場合、ナノウェルのフォトリソグラフィに使用されるツールは、約10nm~約100nmの特徴サイズを有する構造を生成することが可能なフォトリソグラフィ露光ツールを使用する。そのようなシステムは、例えば、AMSL XT1250露光ツールを含む。
【0183】
エッチングプロセスが、本発明のいくつかの側面において、例えば、光学要素またはレンズ、またはナノウェル等の反応容積を形作るために、基板内または他の層内に3次元特徴を生成するために使用される。使用されるエッチングプロセスは、使用される材料のタイプ、特徴の寸法、およびレジストシステムに依存するであろう。ある場合、ウェットエッチングまたはウェット化学エッチングが、採用される。電気化学エッチングも、採用されることができる。いくつかの実施形態において、プラズマエッチングまたは反応性イオンエッチング(RIE)が、エッチングプロセスとして使用される。例えば、高い縦横比を有する構造が所望される深部反応性イオンエッチング(DRIE)も採用されることができる。例えば、二フッ化キセノンを用いた、乾式気相エッチングも使用されることができる。バルク微細機械加工または表面微細機械加工が、適宜、本開示のデバイス構造を生成するために使用されることができる。本開示の方法で使用されるエッチングは、グレースケールエッチングであり得る。レジスト形成およびエッチングの条件は、所望の側壁角度を有する等の所望の幾何学形状を有する側壁を生成するように制御される。
【0184】
本発明のいくつかのプロセスは、反射層またはクラッディング層の堆積を伴う。これらの反射層の堆積は、溶液から層上にスピンすることを含む湿式プロセスによって、または気相プロセスによって、達成されることができる。好適なプロセスは、電気めっき、スパッタ堆積、物理蒸着、蒸発、分子ビームエピタキシ、原子層堆積、および化学蒸着を含む。金属が、反射層およびクラッディング層として使用されることができる。好適な金属は、金、ニッケル、アルミニウム、クロム、チタン、白金、および銀を含む。反射および/またはクラッディング層は、例えば、CVC、Novellus、またはMRCから入手可能な市販のスパッタツールを使用するスパッタリングによって堆積させられ得るアルミニウムを含むことができる。
【0185】
層が本発明のプロセス中に堆積させられる場合、ある場合、層は、プロセスにおける次のステップに進む前に処置される。例えば、堆積層は、その特性を改善するために、焼鈍され、平坦化され、清掃され、不動態化され、または軽くエッチングされることができる。
【0186】
本発明のいくつかの方法では、保護層または犠牲層が堆積させられる。保護層は、ポリマー層であり得、または無機層であり得る。好適な保護または犠牲層は、ゲルマニウム(Ge)と、非晶質シリコン(a-Si)とを含む。保護層は、本明細書に説明されるような特徴を生成するために使用されることができる。保護または犠牲層のための材料のタイプは、例えば、湿式化学エッチング液へのその選択的反応性のために選定されることができる。例えば、ある場合、二酸化ケイ素およびアルミニウムの存在下で、加熱された過酸化水素を用いてゲルマニウムを選択的にエッチングする能力は、ナノウェルと組み合わせられる光学構造を生成するためにそれを利用させる。
【0187】
いくつかのプロセスでは、プルバックプロセスが採用されることができる。プルバックプロセスは、概して、特徴の寸法を縮小するために、層内の特徴の縁からのエッチングを伴う。プルバックは、露出縁を有する層と選択的に反応する湿式化学試薬を使用して行われることができる。ある場合、ゲルマニウム層が、過酸化水素を使用して引き戻される。
【0188】
いくつかの方法は、表面から表面領域を除去するために研磨ステップを採用する。好適な方法は、化学・機械的研磨または化学・機械的平坦化(CMP)を含む。
【0189】
本発明のいくつかの方法は、平坦化層を組み込む。平坦化層を堆積させる方法は、使用される材料のタイプに依存する。平坦化層は、無機材料、例えば、窒化ケイ素等の硬質材料であり得、アルミニウム等の金属材料であり得、またはポリマー材料、例えば、有機またはシリコン系ポリマー等の軟質材料であり得る。平坦化層は、二酸化ケイ素材料等のガラスであり得る。ある場合、平坦化層は、ケイ酸塩、リンケイ酸塩、またはシロキサン材料等のスピンオンガラスを含む。好適なスピンオンガラス材料は、例えば、Honeywell Corporationから入手可能である。平坦化層は、例えば、ホウリンケイ酸ガラス(BPSG)等のその融解特性を制御する他の作用物質でドープされたガラスを含むことができる。好適なポリマー平坦化材料は、例えば、ポリイミドを含む。
【0190】
例えば、以下の例のプロセスフローに従うことによって等、本開示のアレイが完成した後、アレイは、例えば、アレイを個々のチップに分離し、それらを配列決定のために準備することによって等、さらに処理されることができる。さらなる処理ステップは、状況に依存するであろうが、典型的に、以下の処置を含むことができる:表面処置(DNAポリメラーゼ酵素をナノウェルの底部に引き付ける具体的表面を下に置く一連の湿式/気相処置);スタッキング(表面処置デバイスウエハの頂面を保護し、ある場合、配列決定混合物のためのウェルを生成するプロセス);薄化(研削ラッピング、研磨、または他の処置を含む複合上部めっきおよび表面処置デバイスウエハが薄化され得るプロセス);ダイシング(複合ウエハが標準半導体ダイシングソーを使用して個々のチップに分割されるプロセス);および、包装(基板上にチップを搭載し、データ収集のための電気/光学出力を生成するように、標準ピックアンドプレースツールを伴うプロセス)。これらのさらなる処理ステップは、当業者に公知であるか、または米国特許出願公開第2008/0176769号および第2011/0183409号(あらゆる目的で参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)等の参考文献で開示されるかのいずれかである。
【0191】
上記のように、本発明のアレイは、アレイのナノウェルで起こる複数の反応を分析するための分析システムに組み込まれることができる。本明細書に説明されるアレイは、典型的に、最上部から流体にアクセス可能であり、底部から光学分析のためにアクセス可能である、ナノウェルを有する。したがって、アレイは、概して、着目反応混合物が導入される容器に組み込まれる。ある場合、個々のナノウェルの全ては、ある量の流体と接触し、流体は、例えば、分析され得る複数の核酸テンプレート分子を有し得、かつヌクレオチド、補因子、および分析される反応を実行するための他の添加剤を有し得る。
【0192】
アレイを備えている容器は、適切な光学構成要素、コンピュータ制御、およびデータ分析システムを有する器具内に配置されることができる。アレイを備えている容器は、容器温度および容器大気条件等の反応条件が制御され得るように、器具内に保持されることができる。容器大気条件は、サンプルの上方のガスの構成、例えば、湿度、および酸素等の他のガス種のレベルを含むことができる。
【0193】
本発明またはその任意の実施形態の範囲から逸脱することなく、本明細書に説明される方法および用途への他の好適な修正および適応が行われ得ることが、当業者に容易に明白となるであろう。具体的例が提供されているが、上記の説明は、制限的ではなく例証的である。以前に説明された実施形態の特徴のうちのいずれか1つ以上のものは、本発明の任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と任意の様式で組み合わせられることができる。さらに、本発明の多くの変形例が、本明細書を再検討すると、当業者に明白となるであろう。したがって、本発明の範囲は、それらの均等物の完全な範囲とともに、添付の請求項を参照することによって決定されるべきである。
【0194】
本明細書に記述される全ての特許、特許公開、および他の公開参考文献は、それぞれが参照することによって個別かつ具体的に本明細書に組み込まれた場合のように、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】