(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】PET放射性トレーサーを作製するための方法および材料
(51)【国際特許分類】
A61K 51/04 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61K51/04 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567975
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022027636
(87)【国際公開番号】W WO2022235770
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523030762
【氏名又は名称】セルサイト テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, イェレナ
(72)【発明者】
【氏名】スリニバサン, アナント
(72)【発明者】
【氏名】ヘピング, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ, レネ
【テーマコード(参考)】
4C085
【Fターム(参考)】
4C085HH03
4C085JJ02
4C085KA29
4C085KB91
(57)【要約】
本開示の実施形態は、陽電子放出断層撮影イメージング用の放射性トレーサーを作製するのに有用な化合物を含む組成物、ならびにこれらの組成物を作製および使用するための方法を提供する。本開示はまた、標識化合物に対する前駆体化合物および/または中間体(例えば、前駆体1または前駆体3)を含むパッケージされた組成物、ならびに標識化合物を作製するための使用説明書および使用方法(例えば、それらの使用に関する書面による使用説明書)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化13】
(式中、
PGは保護基を含み、
LGは脱離基を含む)
を有する化合物を含む物質の組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前駆体1または前駆体3:
【化14】
(式中、
tBuは、tert-ブチルオキシカルボニルアルコール保護基を含み、
Bocは、tert-ブチルオキシカルボニルアミン保護基を含み、
THPは、テトラヒドロピラニルアルコール保護基を含み、
EOEは、エトキシエチルアルコール保護基を含み、
Tfは、トリフレート脱離基を含む)
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物が、溶媒中に配置されない、
前記化合物が、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、tert-アミルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびスルホンのうちの少なくとも1つを含む溶媒中に配置される、
前記組成物が、前記化合物から本質的になる、あるいは、
前記組成物が、溶媒中に配置された前記化合物から本質的になる、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
18F、
131I、
125I、
124I、
123I、
121I、
77Br、および
75Brからなる群から選択される同位体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
溶媒、およびK
2CO
3、Na
2CO
3、シュウ酸K、またはTBACO
3のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
HCl、HF、HBr、HI、または酢酸のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
【化15】
をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物中の前記化合物の量が2mg~15mgである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、
50ミリリットル未満の容量を有する、前記組成物を保管するための容器、および
安定剤
を含むキット中に配置されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
PETプローブ組成物を作製する方法であって、前記方法が、
同位体(Ist)を含む化合物と請求項1の化合物とを反応させることを含み、
前記反応は、前記PGおよびLG部分を除去し、前記同位体を前記化合物に結合させ、
それによって前記PETプローブ組成物が作製される、方法。
【請求項11】
前記PETプローブ組成物が
【化16】
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記同位体が、
18F、
131I、
125I、
124I、
123I、
121I、
77Br、および
75Brからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記同位体を含む前記化合物が、[
18F]KF、[
131I]NaI、[
125I]NaI、[
124I]NaI、[
123I]NaI、[
121I]NaI、[
77Br]NaBr、[
77Br]Br
2、[
75Br]NaBr、および[
75Br]Br
2からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
反応が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびその組合せからなる群から選択される溶媒中で起こる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前駆体1または前駆体3:
【化17】
(式中、
tBuは、tert-ブチルオキシカルボニル保護基を含み、
Bocは、tert-ブチルオキシカルボニル保護基を含み、
THPは、テトラヒドロピラニル保護基を含み、
EOEは、エトキシエチル保護基を含み、
Tfは、トリフレート脱離基を含む)
を作製する方法であって、前記方法が、
化合物6を出発材料として使用すること、ならびに
(a)テトラヒドロピラニルエーテルを使用して化合物6の3’および5’OH基を保護すること、
(b)(a)で形成された化合物のtert-ブチルジメチルシリル基を選択的に脱保護すること、ならびに
(c)ステップ(b)で形成された前記化合物の2’位にトリフレート脱離基を導入して、前駆体1が作製されるようにすること、または
(d)エトキシビニルエーテルエーテルを使用して化合物6の3’および5’OH基を保護すること、
(e)(d)で形成された化合物のtert-ブチルジメチルシリル基を選択的に脱保護すること、ならびに
(f)ステップ(e)で形成された前記化合物の2’位にトリフレート脱離基を導入して、前駆体3が作製されるようにすること、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第120条に基づいて、同時係属中および同一の譲受人に譲渡された、2021年5月7日に出願された、発明の名称「METHODS AND MATERIALS FOR MAKING PET RADIOTRACERS」の米国特許出願第17/314,366号(この出願は参照により本明細書に組み込まれている)の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示は、一般に、陽電子放出断層撮影(PET)を行うための組成物および方法と、より詳細には、PETイメージング技術に有用な18FベースのPETトレーサーの開発および使用のための組成物および方法に関する。18Fベースのトレーサーの長い物理的半減期(109分)は、現場でのサイクロトロンの必要性なしに臨床研究を可能にするので、非常に望ましい。さらに、現代のPETカメラ技術を用いる場合、放射能濃度の定量的測定は、高度な時間サンプリングおよび良好な統計精度で行うことができる。
【0003】
PETイメージング技術に有用な18FベースのPETトレーサーを作製するために設計されたさらなる組成物および方法が当技術分野で必要である。陽電子放出断層撮影法に有用な18F標識トレーサーを作製するための新しい効率的な方法および材料の開発は、当業者に、臨床現象の範囲を調べるより大きな機会をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書で開示された発明は、いくつかの実施形態を有する。本発明の実施形態は、例えば、一般式:
【化1】
(式中、PGは保護基を含み、LGは脱離基を含む)を有する化合物を含む物質の組成物を含む。通常、本発明のこのような実施形態では、保護基に結合した窒素原子は、「N(PG)
2」によって表されるように2個の保護基に結合している。代替的に、この窒素原子は、水素原子および「NHPG」によって表されるように1個の保護基に結合している。本発明の例示的な実施形態では、組成物は、前駆体1または前駆体3:
【化2】
(式中、
tBuは、tert-ブチルオキシカルボニルアルコール保護基を含み、Bocは、tert-ブチルオキシカルボニルアミン保護基を含み、THPは、テトラヒドロピラニルアルコール保護基を含み、EOEは、エトキシエチルアルコール保護基を含み、Tfは、トリフレート脱離基を含む)のうちの少なくとも一方を含む。
【0005】
本発明の組成物は、いくつかの配合物を含んでいてもよい。例えば、本発明の一部の実施形態では、上記の一般式を有する化合物(例えば、前駆体1および/または前駆体3)は、溶媒中に配置されない。本発明の他の実施形態では、化合物は溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、tert-アミルアルコール(tertamyl alcohol)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびスルホンのうちの少なくとも1つを含むものの中に配置される。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、化合物から本質的になる。本発明の一部の実施形態では、組成物は、溶媒中に配置された化合物から本質的になる。
【0006】
本発明のある特定の実施形態では、組成物はさらに、
18F、
131I、
125I、
124I、
123I、
121I、
77Br、および
75Brからなる群から選択される同位体を含む。本発明の一部の実施形態では、組成物は、アセトニトリルなどの溶媒、および追加の化合物、例えばK
2CO
3、Na
2CO
3、シュウ酸カリウム、または重炭酸テトラエチルアンモニウムのうちの少なくとも1つを含む。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、HCl、HF、HBr、HI、または酢酸のうちの少なくとも1つなどの酸を含む。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、
18F AraG:
【化3】
を含む。
【0007】
本発明の他の実施形態は、PETプローブ組成物を作製する方法であって、前記方法が、同位体(Ist)を含む化合物と一般式:
【化4】
を有する化合物とを反応させることを含み、前記反応は、PGおよびLG部分を除去し、同位体を化合物に結合させ、それによってPETプローブ組成物が作製される、方法を含む。通常、化合物は、前駆体1または前駆体3であり、この反応で作製されたPETプローブは、
18F AraG:
【化5】
を含む。
【0008】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体例は、本発明の一部の実施形態を示しているが、例示的なものであり、限定的なものではないことは理解されたい。本発明の範囲内の多くの変更および修正を、その趣旨から逸脱することなく行うことができ、本発明はこのような修正を全て含む。
【0009】
本開示のさらなる態様は、添付図を併せて考慮すると、後述の、その種々の実施形態の詳細な説明を検討することにより、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1A~1Cは、本発明の前駆体化合物を調製するための例示的な方法の概略図を示す。
図1Aは、化合物6を調製するための例示的な手順を示す概略図を提供し、これは前駆体1および前駆体3の両方を作製するための共通の出発点/化合物である。
図1Bは、化合物6から前駆体1を作製するための例示的な手順を示す概略図を提供する。
図1Cは、化合物6から前駆体3を作製するための例示的な手順を示す概略図を提供する。
【0011】
【
図2】
図2は、当該技術分野で許容されている慣行(例えば、Kang et al., J Label Compd Radiopharm 2006; 49: 1237-1246を参照)に従ってPET放射性トレーサーを作製するために放射線性合成の一般的なスキームで使用される前駆体1および前駆体3の概略図を示す。
【0012】
【
図3】
図3は、本発明の前駆体に関する放射性合成研究の結果からのグラフ化データを示す。
図3の上のパネルは、
18F AraGのクロマトグラム(紫外吸光検出器(254nm)を使用)からのデータを示し、下のパネルは、
18F AraG(放射能トレース)を示す。これらの放射性合成研究では、18F-は、K2CO3 2mg/K222 13mgを用いて溶出し、共沸乾燥した。続いて、MeCN 0.5mL中の前駆体2mgを添加し、次いで100℃で10分間反応させ、1M HCl 1mLを添加し、85℃で10分間反応させ、次いで1M NaOH 1mLで中和し、
18F AraGを得た。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本開示をより詳細に記載する前に、本開示が記載されている特定の実施形態に限定されず、本発明の実施形態が、したがって、当然のことながら変わり得ることは、理解されるべきである。本明細書に使用される専門用語が、特定の実施形態の記述のみを目的とするものであって、限定することを意図したものではないことも理解されるべきである。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれることが具体的におよび個々に示されるかのように本明細書に参照により組み込まれ、引用されている刊行物に関する方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
本開示を読むことにより当業者には明らかなように、本明細書に記載されおよび例示されている個々の実施形態のそれぞれは、別個の構成要素および特徴を有し、これらは、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離できるか、またはそれらの特徴と組み合わせることができる。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順、または論理的に可能な任意の他の順で実施することができる。
【0015】
本開示の実施形態は、特に指示がない限り、当技術分野の技能の範囲内である有機合成化学、化学などの技術を使用する。このような技術は、文献において十分に説明される。特に指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。標準的な温度および圧力は、20℃および1気圧で定義される。
【0016】
本開示の実施形態を詳細に記載する前に、特に指示がない限り、本開示が特定の材料、試薬、反応材料、製造プロセスなどに限定されず、したがって変わり得ることは、理解されるべきである。本明細書に使用される専門用語が、特定の実施形態の記述のみを目的とするものであって、限定することを意図したものではないことも理解されるべきである。論理的に可能な場合に、異なる順序でステップが実行され得ることは、本開示においても可能である。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「この(the)」は、文脈が明確に他を示さない限り、複数形を包むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの化合物(a compound)」への言及は、複数の化合物を含む。本明細書および以下に続く特許請求の範囲では、反対の意図が示されない限り、以下の意味をもつと定義されるいくつかの用語に言及する。
【0018】
この明細書に引用される各々の出願および特許、ならびに各々の出願および特許に引用される各文書または参考文献(各発行済み特許の審査中のものを含む;「出願引用文書」)、ならびにこれらの出願および特許のいずれかに対応するおよび/またはこれらの出願および特許のいずれかから優先権を主張する各々のPCTおよび外国の出願または特許、ならびに各々の出願引用文書に引用または参照される各々の文書は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。さらに、この明細書に引用される文書または参考文献(例えば、米国特許出願公開公報第20150230762号、第20150297760号および第20190054198号、第20210030878号、第20200405667号、第20190255002号、第20160355460号、第20160176807号、第20150232415号、第20150152206号、第20140309424号、第20120053337号、第20100022746号、第20100016551号、第20090095635号、第20090036668号、米国特許第9,011,817号、Jud and Micura, Chemistry 2017 23(14) 3406-3413、およびKang et al., J Label Compd Radiopharm 2006; 49: 1237-1246)および各々のこれらの文書または参考文献(「本明細書引用参考文献」)、ならびに各々の本明細書引用参考文献に引用される各文書または参考文献(任意の製造業者の仕様書、使用説明書などを含む)は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルキル」または「アルキル基」は、1~20個の炭素原子を有する、直鎖または分枝状であってよい飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指し、炭素原子の規定範囲は、介在する各整数、ならびに下位範囲を個々に含む。アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、およびs-ペンチルが含まれるが、それだけには限定されない。用語「低級アルキル」は、10個未満の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0020】
「置換アルキル」、「置換フェニル」などにおける用語「置換」は、置換基が1個または複数の水素の代わりにヒドロキシ、アミノ、ハロ、トリフルオロメチル、シアノ、--NH(低級アルキル)、--N(低級アルキル)2、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、またはカルボキシなどの基を含有していてもよいことを意味し、したがって、後述する用語ハロアルキル、アルコキシ、フルオロベンジル、ならびに硫黄およびリン含有置換基を包含する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ハロ」、「ハロゲン」、または「ハロゲンラジカル」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素、ならびにそのラジカルを指す。さらに、「ハロアルキル」または「ハロアルケニル」などの複合語で使用される場合、「ハロ」は、1個または複数の水素がハロゲンラジカルによって置換されているアルキルまたはアルケニルラジカルを指す。ハロアルキルの例には、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、およびペンタクロロエチルが含まれるが、それだけには限定されない。
【0022】
用語「アルコキシ」は、示した数の炭素原子が酸素架橋を介して結合した、上記で定義したアルキル基を表す。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、およびs-ペントキシが含まれるが、それだけには限定されない。用語「低級アルコキシ」は、10個未満の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。
【0023】
本開示によれば、本開示の実施形態の「検出可能な有効量」は、臨床用途に利用可能な装置を使用して許容可能な画像を得るのに十分な量と定義される。本開示の実施形態の検出可能な有効量は、1回または複数回の投与において与えられ得る。本開示の実施形態の検出可能な有効量は、個体の罹患性の程度、個体の年齢、性別、および体重、個体の特異体質応答、線量測定法などのような要因に応じて変わり得る。本開示の実施形態の検出可能な有効量はまた、機器およびフィルム関連要因に応じて変わり得る。このような要因の最適化は、当業者のレベルの範囲内であり得る。
【0024】
用語「検出可能」は、バックグラウンドシグナルを超える本開示の実施形態のシグナルまたは存在を検出する能力を指す。
【0025】
用語「検出可能シグナル」または語句「標識化合物の検出」もしくは「検出可能な標識化合物」は、宿主または試料中での標識化合物の検出(直接的または間接的)を指す。標識化合物の検出は、宿主または試料中での標識化合物の存在を、宿主または試料に由来する他のバックグラウンドシグナルから検出および区別する能力を指す。言い換えれば、検出可能シグナルとバックグラウンドの間に測定可能なおよび統計学的な有意差(例えば、統計学的な有意差は、検出可能シグナルとバックグラウンドとの間を区別するのに十分な差、例えば、検出可能シグナルとバックグラウンドとの間の約0.1%、1%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、もしくは40%またはそれを超える差である)がある。標準および/または検量線は、検出可能シグナルおよび/またはバックグラウンドの相対的強度を決定するために使用することができる。検出可能シグナルは、低濃度から高濃度の標識化合物から生成され得る。一実施形態では、検出可能シグナルは、個々の標識化合物シグナルの各々の合計である必要があり得る。一実施形態では、検出可能シグナルは、和、積分、または他の数学的プロセス、式もしくはアルゴリズムから生成され得る。一実施形態では、和、積分、または他の数学的プロセス、式もしくはアルゴリズムは、検出可能シグナルがバックグラウンドノイズなどから区別できるように、検出可能シグナルを処理するために使用してもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「剤」、「活性剤」などは、本開示の化合物(例えば、標識化合物)を含み得る。剤は、組成物または医薬組成物中に配置され得る。本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、活性剤と薬学的に許容される担体との組合せを指す。本明細書で使用される場合、「医薬組成物」は、対象、例えば哺乳動物、特にヒトへの投与に適した組成物を指す。一般に、「医薬組成物」は、無菌であり、好ましくは対象内で望ましくない応答を誘発し得る夾雑物を含まない(例えば、医薬組成物中の化合物(複数可)は医薬品グレードである)。医薬組成物は、経口、静脈内、頬側、直腸、非経口、腹腔内、皮内、気管内(intracheal)、筋肉内、皮下、吸入などを含むいくつかの異なる投与経路を介して、それを必要とする対象または患者への投与のために設計され得る。
【0027】
「薬学的に許容される添付剤」、「薬学的に許容される希釈剤」、「薬学的に許容される担体」、または「薬学的に許容されるアジュバント」は、一般に安全で非毒性で生物学的にも他の場合にも望ましくないものでもない医薬組成物を調製するのに有用な添付剤、希釈剤、担体、および/またはアジュバントを意味し、獣医学的使用および/またはヒトの薬学的使用に許容される添付剤、希釈剤、担体、およびアジュバントを含む。ヒトへの投与に適した組成物に関しては、用語「添付剤」は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins, 21st ed. (2006)に記載されている成分を含むが、それだけには限定されないことを意味する。
【0028】
用語「単位投与形態」は、本明細書で使用される場合、単位投与量としてヒトおよび/または動物対象に適した物理的に分離した別個の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体またはビヒクルに関連した所望の効果をもたらすのに十分な量(例えば、宿主の体重、疾患、疾患の重症度など)で計算される化合物の所定量を含有する。単位投与形態に関する仕様は、使用する特定の化合物、投与の経路および頻度、ならびに達成すべき効果、ならびに宿主内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。
【0029】
用語「有効量」は、本明細書で使用される場合、心臓細胞などの細胞を画像化するために使用され得る、投与される本開示の実施形態(これは標識化合物と呼ばれ得る)の量を指す。
【0030】
「投与」とは、本開示の実施形態を対象へ導入することを意味する。投与には、それだけには限らないが、静脈内、経口、局所、皮下、腹腔内、動脈内、吸入、膣、直腸、経鼻などの経路を含むことができ、脳脊髄液への導入、または体内区画への点滴が使用され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「宿主」または「対象」には、ヒト、哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマなど)、および他の生きている動物が含まれる。特に、宿主は、ヒト対象である。本開示の実施形態が投与され得る代表的な宿主は、哺乳動物、特に、霊長類、特にヒトである。獣医学的適用の場合、多種多様な対象、例えば、畜牛、ヒツジ、ヤギ、乳牛、ブタなどの家畜、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウなどの家禽、および飼育動物、特にイヌおよびネコなどのペットが適している。診断または研究適用の場合、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、ウサギ、霊長類、およびブタ、例えば近交系ブタなどを含む、多種多様な哺乳動物が適した対象である。さらに、in vitro適用、例えばin vitro診断および研究適用などの場合、上記対象の体液および細胞試料は、「試料」、例えば哺乳動物(特にヒトなどの霊長類)の血液、尿、または組織試料としての使用に適している。
【0032】
本明細書で開示された発明は、いくつかの実施形態を有する。本発明の実施形態は、例えば、一般式:
【化6】
(式中、PGは保護基を含み、LGは脱離基を含む)を有する化合物を含む物質の組成物を含む。通常、本発明のこの実施形態では、保護基(例えばtert-ブチルオキシカルボニルアミン保護基)に結合した窒素原子は、「N(PG)
2」によって表されるように2個の保護基に結合している。代替的に、本発明のこの実施形態では、この窒素原子は、水素原子および「NHPG」によって表されるように1個の保護基に結合している。上の概略図では、「PGN」は、この窒素原子を1個または複数の保護基によって保護され得るこれらの方法のいずれも包含する。本発明の例示的な実施形態では、組成物は、前駆体1または前駆体3:
【化7】
(式中、
tBuは、tert-ブチルオキシカルボニルアルコール保護基を含み、Bocは、tert-ブチルオキシカルボニルアミン保護基を含み、THPは、テトラヒドロピラニルアルコール保護基を含み、EOEは、エトキシエチルアルコール保護基を含み、Tfは、トリフレート脱離基を含む)のうちの少なくとも一方を含む。
【0033】
本発明の組成物は、いくつかの形態を有していてもよい。例えば、本発明の一部の実施形態では、一般式を有する化合物(例えば、前駆体1および前駆体3):
【化8】
は、溶媒中に配置されない。本発明の他の実施形態では、化合物は溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、tert-アミルアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびスルホンのうちの少なくとも1つを含むものの中に配置される。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、化合物から本質的になる。本発明の一部の実施形態では、組成物は、溶媒中に配置された化合物から本質的になる。
【0034】
本発明のある特定の実施形態では、組成物はさらに、
18F、
131I、
125I、
124I、
123I、
121I、
77Br、および
75Brからなる群から選択される同位体を含む。本発明の一部の実施形態では、組成物は、アセトニトリルなどの溶媒、および追加の化合物、例えばK
2CO
3、Na
2CO
3、シュウ酸カリウム、または重炭酸テトラエチルアンモニウムのうちの少なくとも1つを含む。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、HCl、HF、HBr、HI、または酢酸のうちの少なくとも1つなどの酸を含む。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、
18F AraG:
【化9】
を含む。AraGは、T細胞リンパ芽球性疾患の処置における有効性が証明されているヌクレオシドアナログである。これはデオキシグアノシンキナーゼによって独特の方法で代謝される。ここに開示された方法および材料は、分子プローブとして使用する
18F AraG誘導体を合成するのに使用することができる。このようなプローブは、例えば、細胞系の摂取および代謝を調べ、種々のヒト疾患のイメージングにおけるこの化合物の有効性を決定するのに使用することができる。
【0035】
本発明のある特定の実施形態では、組成物中の化合物の量は、少なくとも0.5mgまたは少なくとも1.0mgであり、例えば2mg~15mgである。本発明のある特定の実施形態では、組成物は、組成物を保管するための容器(例えば、50ミリリットル、10ミリリットルまたは1ミリリットル未満の容量を有するもの)、および必要に応じて安定剤(例えば、N2などの不活性ガス)を含むキット中に配置されている。
【0036】
本発明の他の実施形態は、PETプローブ組成物を作製する方法であって、同位体(Ist)を含む化合物と一般式(例えば、前駆体1および前駆体3):
【化10】
を有する化合物とを反応させることを含み、
前記反応は、PGおよびLG部分を除去し、同位体を化合物に結合させ、それによってPETプローブ組成物が作製される、方法を含む。例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、
図2および米国特許第9,011,817号を参照のこと。通常、このPETプローブ組成物は:
【化11】
を含む。
【0037】
本発明のある特定の方法論的実施形態では、同位体は、18F、131I、125I、124I、123I、121I、77Br、および75Brからなる群から選択される。必要に応じて、例えば、同位体は、[18F]KF、[131I]NaI、[125I]NaI、[124I]NaI、[123I]NaI、[121I]NaI、[77Br]NaBr、[77Br]Br2、[75Br]NaBr、および[75Br]Br2からなる群から選択される。本発明のある特定の実施形態では、反応は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、およびその組合せからなる群から選択される溶媒中で起こる。
【0038】
本発明の別の実施形態は、化合物6を作製する方法であり、
図1Aに示した例示的な実施例である。例えば、本発明の実施形態は、化合物1を出発材料として使用すること、ならびにステップ1. グアニン核酸塩基のO6-tert-ブチル、N2(ビス-[tert-ブチルオキシカルボニル])保護;ステップ2. アセチル保護基の塩基性脱保護;ステップ3. ジ-tert-ブチルシリルクランプを用いた3’および5’OH基の保護とそれに続く2’OH基のtert-ブチルジメチルシリル保護(ステップ4);およびステップ5. 3’,5’O-ジtert-ブチルシリル基の選択的切断により、前駆体1および3の両方の共通の出発点である化合物6を得ることを含む方法を含む。例えば、Jud and Micura, Chemistry 2017 23(14) 3406-3413を参照のこと。関連する実施形態には、化合物6を含む物質の組成物が含まれ、例えばこの化合物は溶媒中に配置されている。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、前駆体1または前駆体3:
【化12】
(式中、
tBuは、tert-ブチルオキシカルボニル保護基を含み、Bocは、tert-ブチルオキシカルボニル保護基を含み、THPは、テトラヒドロピラニル保護基を含み、EOEは、エトキシエチル保護基を含み、Tfは、トリフレート脱離基を含む)を作製する方法(例えば、
図1A、1Bおよび1C参照)であって、化合物6を出発材料として使用すること、ならびにテトラヒドロピラニルエーテルを使用して化合物6の3’および5’OH基を保護すること、このステップで形成された化合物のtert-ブチルジメチルシリル基を選択的に脱保護すること、このステップで形成された化合物の2’位にトリフレート脱離基を導入して、前駆体1が作製されるようにすること、または代替的に化合物6を出発材料として使用すること、ならびにエトキシビニルエーテルを使用して化合物6の3’および5’OH基を保護すること、前のステップで形成された化合物のtert-ブチルジメチルシリル基を選択的に脱保護すること、ならびに前のステップで形成された化合物の2’位にトリフレート脱離基を導入して、前駆体3が作製されるようにすること、を含む、方法である。
【0040】
本開示はまた、標識化合物に対する前駆体化合物および/または中間体(例えば、前駆体1または前駆体3)を含むパッケージされた組成物、ならびに標識化合物を作製するための使用説明書および使用方法(例えば、それらの使用に関する書面による使用説明書)を提供する。キットは、当該分野で公知の適切な緩衝液および試薬をさらに含んでいてもよい。本明細書に開示された発明での使用に適応できる例示的な方法および材料は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,011,817号に見られる。
【0041】
本開示の実施形態はまた、本明細書に開示された方法に従って作製したPETプローブを使用した細胞または臓器をイメージングする方法を含む。例えば、PET 18F標識化合物の実施形態を使用して、対象(例えば、心臓などのヒト臓器、T細胞および/またはTリンパ芽球などのヒト細胞、またはミトコンドリアなどのヒト小器官)内のそれらの局在および/または量を画像化することができる。標識化合物は、対象に投与でき、その後対象または対象の一部分は、陽電子放出断層撮影(PET)などのデバイスを使用して画像化して、対象内の存在および位置、ならびに/または存在する標識化合物の量を検出することができる。存在および/または量は、対象内の1つまたは複数の位置で、T細胞および/またはTリンパ芽球の存在、位置、および/または数/サイズを検出するのに使用することができる。化合物の投与(例えば、組成物、医薬組成物など)は、診断剤として許容されている投与モードのいずれかを介して行うことができる。これらの方法には、経口、非経口、直腸、膣、経鼻、吸入、局所(経皮を含む)、非経口、皮下および他の全身モードが含まれる。したがって、本開示の実施形態は、薬学的に許容される担体または添付剤および診断有効量の本開示の化合物を含む医薬組成物を対象とする。必要に応じて、このような医薬組成物は、所望により、他の診断剤および/または治療剤および/または配合剤を含有し得る。
【0042】
上述の通り、本発明の実施形態は、化合物上の1個または複数の原子が保護基(「PG」)に結合している、および/または脱離基(「LG」)に結合している化合物を含む。当技術分野で公知のように、脱離基は、通常、ヘテロリティック結合開裂において一対の電子と共に離れる分子部分である。脱離基は、結合ヘテロリシスの結果として生じる追加の電子密度を安定化させることができる陰イオン、陽イオンまたは中性分子であってよい。当技術分野で公知のように、保護基は、後続の化学反応で化学選択性を得るために、通常、官能基の化学修飾によって分子に導入される分子部分である。本発明の例示的な実施形態では、本発明の化合物上のLGは、トリフレート脱離基を含み、本発明の化合物上のPGは、tert-ブチルオキシカルボニルアルコール保護基、tert-ブチルオキシカルボニルアミン保護基、テトラヒドロピラニルアルコール保護基、および/またはエトキシエチルアルコール保護基を含む。
【0043】
本発明のある特定の実施形態では、Trはトリチル保護基(PG)であり、Tfはトリフレート脱離基(LG)である。使用できる代替の保護基(PG)には、ベンジル(Bn、Bnl)、6-メトキシエトキシメチルエーテル(MEM)、メトキシメチルエーテル(MOM)、p-メトキシベンジルエーテル(PMB)、メチルチオメチルエーテル、メトキシトリチル(MMT)、ピバロイル(piv)、テトラヒドロピラニル(THP)、トリメチルシリル(TMS)、アセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、ベンゾイル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、N,N-ジフェニルカルバメート、非環式もしくは環式アルキルビニルまたは置換アルキルビニルエーテルから調製されたアセタール(エチルビニルエーテル、エチルイソプロペネニル(isopropenenyl)エーテル、ジヒドロピラン、2-アルキルジヒドロピラン、ジヒドロフラン、2-アルキルジヒドロフラン、1-メトキシシクロヘキサン、5,6-ジヒドロ-4-メトキシ-2H-ピランを含むが、それだけには限定されない)などの保護基が含まれる。使用できる代替の脱離基(LG)には、トシレート、メシレート、アルキルメシレート(alkylmsesylates)、フェニルスルホネート、ノシレート、ブロシレート、アセテート、酢酸アルキル、フェニルアセテート、ヨウ化物、臭化物、塩化物などが含まれる。アセチル基に置換可能な代替の基には、カルボベンゾキシ(carbobenzyoxy)(cbz)、p-メトキシベンジル(p-methoxybenzy)カルボニル(Moz)、tert(tet)-ブチルオキシカルボニル(BOC)、9-フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、N,N-ジフェニルカルバメートなどが含まれる。ベンゾイル基に置換可能な代替の基には、アセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、イソブチリル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、フェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジン、N,N-ジフェニルカルバメートなどが含まれる。したがって、記載された各合成について、PG、LG、Ac、および/またはBzはそれぞれ、上記および本明細書に記載したように置換可能である。
【0044】
本発明の実施形態で使用した同位体は、18F、131I、125I、124I、123I、121I、77Br、75Br、または75Brなどの同位体であってよい。同位体を含有する化合物には、[18F]KF、[131I]NaI、[125I]NaI、[124I]NaI、[123I]NaI、[121I]NaI、[77Br]NaBr、[77Br]Br2、[75Br]NaBr、または[75Br]Br2が含まれ得る。前駆体または出発材料の量は、約2~15mgであってよく、これは、所望の最終生成物の量および合成の所望のスケールアップに応じて、他の類似の変数とともに調整することができる。反応には、適切な溶媒、反応性化合物、緩衝液などが含まれていてよい。例えば、通常、同位体は、18Fまたは米国特許第9,011,817号に開示されて開示された別の同位体である。フッ素化反応は、約70~165℃の温度で実施することができる。使用した化合物の量に関して、使用した量は、製造が望まれる化学物質の量に応じてスケールアップまたはスケールダウンしてもよい。
【0045】
本発明の化合物に適した種々の溶媒は、当技術分野で公知である。アセトニトリルに加えて、DMSO、ジメチルホルムアミド、tert-アミルアルコールおよびその組合せなどの溶媒を使用することができる。また、THF、ジオキサン、スルホンおよびその組合せなどの溶媒も使用することができる。
【0046】
ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、化学反応によって改変することができる。反応混合物は、室温で冷却した後、ある種の酸、例えば、約1N HCl(または他のいくつかの酸)を用いて約85Cで約10分間、酸脱保護を施すことができる。最後に、得られた反応混合物を室温で冷却した後、この混合物は約6~7のpHに中和でき、得られた溶液をC18逆相HPLCカラムに注入して最終生成物を分離した。また、C18逆相HPLCカラム精製に代わる方法は、C18カートリッジのシリーズの使用である。
【0047】
比、濃度、量、および他の数値データを範囲形式で本明細書に提示する場合があることに留意されたい。このような範囲形式は、便宜上および簡潔さのために使用するものであり、したがって、範囲の限界として明白に記載された数値を含むのみならず、範囲内に包含される全ての個々の数値または下位範囲をも各数値および下位範囲が明白に記載されているように含むと柔軟な様式で解釈するべきであることは理解できる。例示すると、「約0.1%~約5%」という濃度範囲は、約0.1重量%~約5重量%の明白に記載された濃度を含むのみならず、個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、および4%)および表示された範囲内の下位範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、および4.4%)をも含むと解釈されるべきである。一実施形態では、用語「約」は、数値の有効数字により従来の丸めを含んでもよい。さらに、語句「約「x」~「y」」は、「約「x」~約「y」」を含む。
【0048】
本開示の上記の実施形態は、単なる可能な実装例であり、本開示の原理の明確な理解のためだけに記載されることを強調されたい。多くの変更および修正が、本開示の趣旨および原理から実質的に逸脱することなく、本開示の上記の実施形態になされ得る。全てのこのような修正および変更は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図される。
【国際調査報告】