(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】炎症性気道疾患を処置するための組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 38/08 20190101AFI20240405BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20240405BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240405BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240405BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240405BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240405BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240405BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
A61K38/08
A61K38/10
A61P11/04
A61P29/00
A61P43/00 171
A61P11/00
A61P11/06
A61P43/00 105
A61P35/00
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568668
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 AU2022050427
(87)【国際公開番号】W WO2022232885
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523421720
【氏名又は名称】ラテラル、ファーマ、プロプライエタリー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Lateral Pharma Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、ギアリング
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、ケンリー
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA23
4C084DC50
4C084MA13
4C084MA31
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZB111
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC611
(57)【要約】
本発明は、それを必要とする対象における、炎症性気道疾患を処置するための、ヒト及び非ヒト成長ホルモンC末端フラグメント、合成環状ペプチド及びヒトプロラクチン前駆体C末端フラグメントの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(I)のペプチド:
R
1-CRSVEGSCG-R
2 (I)(配列番号1)
[式中、
R
1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記ペプチドが、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペプチドが、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペプチドが、CRSVEGSCG(配列番号4)である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ペプチドが、CRSVEGSCGF(配列番号5)である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記対象がヒトである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(I)のペプチド:
R
1-CRSVEGSCG-R
2 (I)(配列番号1)
[式中、
R
1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
前記ペプチドが、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される、請求項7に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項9】
前記ペプチドが、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項10】
前記ペプチドが、CRSVEGSCG(配列番号4)である、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項11】
前記ペプチドが、CRSVEGSCGF(配列番号5)である、請求項8に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項12】
前記対象がヒトである、請求項7~11のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項13】
対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(I)のペプチド:
R
1-CRSVEGSCG-R
2 (I)(配列番号1)
[式中、
R
1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項14】
前記ペプチドが、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記ペプチドが、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記ペプチドが、CRSVEGSCG(配列番号4)である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記ペプチドが、CRSVEGSCGF(配列番号5)である、請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記対象がヒトである、請求項13~17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(II)のペプチド:
R
1-CRRFVESSC-R
2 (II)(配列番号6)
[式中、
R
1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項20】
前記ペプチドが、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ペプチドが、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ペプチドが、CRRFVESSCAF(配列番号9)である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ペプチドが、CRRFVESSCA(配列番号10)である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(II)のペプチド:
R
1-CRRFVESSC-R
2 (II)(配列番号6)
[式中、
R
1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項26】
前記ペプチドが、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される、請求項25に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項27】
前記ペプチドが、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である、請求項26に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項28】
前記ペプチドが、CRRFVESSCAF(配列番号9)である、請求項26に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項29】
前記ペプチドが、CRRFVESSCA(配列番号10)である、請求項26に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項30】
前記対象が、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される、請求項25~29のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項31】
対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(II)のペプチド:
R
1-CRRFVESSC-R
2 (II)(配列番号6)
[式中、
R
1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項32】
前記ペプチドが、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記ペプチドが、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記ペプチドが、CRRFVESSCAF(配列番号9)である、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記ペプチドが、CRRFVESSCA(配列番号10)である、請求項32に記載の使用。
【請求項36】
前記対象が、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される、請求項31~35のいずれか一項に記載の使用。
【請求項37】
対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(III)のペプチド:
R
1-C-R-X
1-X
2-P-X
3-X
4-X
5-X
6-C-R
2 (III)(配列番号11)
[式中、
X
1、X
3、X
5及びX
6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X
2はアルギニン又はリジンであり;
X
4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R
1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
前記式(III)のペプチドが、SCRSRPVESSC(配列番号36)、CRSRPVESSC(配列番号37)、CRSRPVESSCS(配列番号38)及びSCRSRPVESSCS(配列番号39)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(III)のペプチド:
R
1-C-R-X
1-X
2-P-X
3-X
4-X
5-X
6-C-R
2 (III)(配列番号11)
[式中、
X
1、X
3、X
5及びX
6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X
2はアルギニン又はリジンであり;
X
4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R
1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項40】
前記式(III)のペプチドが、SCRSRPVESSC(配列番号36)、CRSRPVESSC(配列番号37)、CRSRPVESSCS(配列番号38)及びSCRSRPVESSCS(配列番号39)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(III)のペプチド:
R
1-C-R-X
1-X
2-P-X
3-X
4-X
5-X
6-C-R
2 (III)(配列番号11)
[式中、
X
1、X
3、X
5及びX
6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X
2はアルギニン又はリジンであり;
X
4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R
1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項42】
前記式(III)のペプチドが、SCRSRPVESSC(配列番号36)、CRSRPVESSC(配列番号37)、CRSRPVESSCS(配列番号38)及びSCRSRPVESSCS(配列番号39)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(IV)のペプチド:
R
1-C-R-I-X
1-X
2-X
3-X
4-N-C-R
2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X
1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R
1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK及びKからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はG(グリシン)であるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項44】
前記式(IV)のペプチドが、CRIIHNNNC(配列番号41)、CRIIHNNNCG(配列番号42)、CRIVYDSNC(配列番号43)及びCRIVYDSNCG(配列番号44)からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(IV)のペプチド:
R
1-C-R-I-X
1-X
2-X
3-X
4-N-C-R
2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X
1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R
1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK及びKからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はG(グリシン)であるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物。
【請求項46】
前記式(IV)のペプチドが、CRIIHNNNC(配列番号41)、CRIIHNNNCG(配列番号42)、CRIVYDSNC(配列番号43)及びCRIVYDSNCG(配列番号44)からなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(IV)のペプチド:
R
1-C-R-I-X
1-X
2-X
3-X
4-N-C-R
2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X
1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X
4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R
1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK及びKからなる群から選択されるか、又はR
1は存在せず;且つ、
R
2はG(グリシン)であるか、又はR
2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項48】
前記式(IV)のペプチドが、CRIIHNNNC(配列番号41)、CRIIHNNNCG(配列番号42)、CRIVYDSNC(配列番号43)及びCRIVYDSNCG(配列番号44)からなる群から選択される、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記炎症性気道疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、肺高血圧症、嚢胞性線維症、肺線維症、肺癌及び気管支肺異形成症からなる群から選択される、請求項1~6、19~24、37、38、43及び44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記炎症性気道疾患がCOPDである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、経腸投与、非経口投与及び局所投与から選択される投与経路、例えば、経口投与、直腸内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、硬膜外投与、関節内投与、腹腔内投与、大槽内投与、髄腔内投与、経皮投与、経粘膜投与、頬投与、舌下投与、膣内投与、鼻腔内投与、吸入、吹送、坐剤又はネブライゼーションによって前記対象に前記ペプチドを投与することを含む、請求項1~6、19~24、37、38、43、44、49及び50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記方法が、吸入又は吹送によって前記対象に前記ペプチドを投与することを含む、請求項1~6、19~24、37、38、43、44、49及び50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記炎症性気道疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺癌及び気管支肺異形成症からなる群から選択される、請求項7~12、25~30、39、40、45及び46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記炎症性気道疾患がCOPDである、請求項53に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記医薬組成物が、吸入又は吹送による前記対象への投与のために調合されている、請求項7~12、25~30、39、40、45、46及び54のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記炎症性気道疾患が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺線維症、肺癌及び気管支肺異形成症からなる群から選択される、請求項13~18、31~36、41、42、47及び48のいずれか一項に記載の使用。
【請求項57】
前記炎症性気道疾患がCOPDである、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
前記ペプチドが、経腸投与、非経口投与及び局所投与から選択される投与経路、例えば、経口投与、直腸内投与、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、硬膜外投与、関節内投与、腹腔内投与、大槽内投与、髄腔内投与、経皮投与、経粘膜投与、頬投与、舌下投与、膣内投与、鼻腔内投与、吸入、吹送、坐剤又はネブライゼーションによる前記対象への投与のために調合される、請求項13~18、31~36、41、42、47、48、56及び57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記ペプチドが、吸入又は吹送による前記対象への投与のために調合される、請求項13~18、31~36、41、42、47、48、56及び57のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、炎症性気道疾患の処置に適したペプチド及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で引用する特許又は特許出願を含むすべての参考文献は、本発明の完全な理解を可能にするため、参照することにより本明細書の一部とされる。しかしながら、このような参考文献は、オーストラリア又はその他の国において、これらの文書のいずれかが当該技術分野における共通の一般知識の一部を形成していることを容認するものとは解釈されるべきではない。
【0003】
炎症性気道疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺癌及び気管支肺異形成症は、世界で最も蔓延している疾患に含まれる。特に喘息の有病率は、過去20年間で増加し、現在ほとんどの先進国において、人口の最大10%が罹患している。COPDは世界で6番目に多い死因であり、45歳以上の約4~6%の人が罹患していると言われている。炎症性気道疾患は、直接的及び間接的なコストの両方を考慮すると、社会にとって大きな経済的負担となっていることは論を待たない。
【0004】
喘息及びCOPDは、特徴的な症状及び機能異常により特定され、気道閉塞は両疾患の必須条件である。喘息における気道閉塞は一般的に可逆的であるのに対し、COPDは、一般的に、数か月の観察期間にわたって顕著な変化を示さない呼気流量の異常を特徴とする。どちらの気道疾患も、様々な誘発因子によって誘導される肺の炎症と関連している。様々な誘発因子の例には、環境アレルゲン及び発癌物質、職業性感作物質、タバコの煙、アスベスト並びにシリカが挙げられる。しかしながら、喫煙しない喘息患者においても、COPDと同様の不可逆的な気道閉塞に進展する人がいることに注意すべきである。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患は、深刻さを増す医療問題であり、人口の高齢化及びタバコ製品の世界的な使用の増加に伴い、悪化が予想されている。禁煙は唯一の効果的な予防手段である。雇用主は、従業員が喫煙を止めることを支援する特有の立場にある。長い無症状期の間にも、肺機能は低下し続ける。したがって、多くの患者は進行段階の場合又は急性増悪を経験した場合にのみ医療機関を受診する。患者の生活の質を維持し、この慢性疾患に関する医療費を削減するために、臨床医は疾患の状態を正確に診断し、長期にわたる病気の経過を通じて患者を適切に管理する必要がある。論文(Devine, FJ; 2008; Am Health Drug Benefits; 1(7):34-42)には、患者管理に関する現在のアプローチが記載されている。
【0006】
Devine, FJ(2008; Am Health Drug Benefits; 1(7):34-42)が述べているように、COPDは可逆性の乏しい肺疾患であり、世界的に、病的状態及び死亡の主要な原因の一つである。米国におけるその他の主要な慢性疾患の傾向とは逆に、COPDの有病率及び死亡率は上昇が続いている。1970年から2002年の間に死亡率は2倍になり、女性の死亡率は今や男性の死亡率を上回っている。COPDの大半は喫煙が原因であり、もともとは予防可能な疾患である。COPDの患者の多くは中高年である。COPDのための有効な処置はほとんど見つかっていない。COPDの発症を減少させる既知の唯一の方策は禁煙である。
【0007】
喘息は、多様性に富む多因子疾患であり、慢性気管支炎症反応に基づいた、過敏で多くは可逆的な呼吸路閉塞を伴う(Horak et al., 2016; Wien Klin Wochenschr. 128(15):541-554)。喘息の症状(咳、痰、鼻汁、喘鳴、胸部圧迫感又は息切れ)は可変的であり、一般的に呼気流量制限と相関する。その多様性により、多くの異なる表現型が喘息に帰属され得、以下のものが含まれる:アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息、小児喘息/再発性閉塞性気管支炎、遅発性喘息、固定気流閉塞を伴う喘息、肥満関連喘息、職業性喘息、高齢者喘息、重症喘息。
【0008】
喘息の処置(薬理学的及び非薬理学的介入)は、主に症状コントロール(評価、調整及び再評価のサイクル)に基づいており、通常、喘息増悪の抑制と関連している。薬理学的観点からは、喘息治療のゴールドスタンダードは、一般的に、低用量吸入コルチコステロイドであり、しばしばオンデマンド短時間作用型β2刺激薬(SABA)と併用される。その他の処置法には、LTRA(ロイコトリエン受容体拮抗薬)、低用量吸入コルチコステロイド及び長時間作用型β2刺激薬(LABA)の組み合わせが含まれる。しかしながら、既存の処置法は、特に長期間の使用において副作用を引き起こす可能性がある。予防医薬(例えば、吸入コルチコステロイド)の一般的な副作用は、声のかすれ、口や喉の痛み及び喉の真菌感染である。
【0009】
したがって、炎症性気道疾患、例えば、COPD及び喘息の処置において、ある程度の進歩が見られるものの、限定的又は最小限の副作用で炎症性気道疾患を緩和するために有効な、広範に使用される処置戦略に対する緊急の必要性が残されている。本発明は、COPDを含む炎症性気道疾患の処置に有効な組成物を提供することにより、この問題を解決し、又は少なくとも部分的に軽減する。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に記載される一態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(I)のペプチド:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0011】
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。
【0012】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(I)のペプチド:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0013】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(I)のペプチド:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0014】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法が、対象に治療上有効な量の式(II)のペプチド:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0015】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(II)のペプチド:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0016】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(II)のペプチド:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0017】
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。
【0018】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(III)のペプチド:
R1-C-R-X1-X2-P-X3-X4-X5-X6-C-R2 (III)(配列番号11)
[式中、
X1、X3、X5及びX6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はアルギニン又はリジンであり;
X4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR1は存在しせず;且つ、
R2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0019】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(III)のペプチド:
R1-C-R-X1-X2-P-X3-X4-X5-X6-C-R2 (III)(配列番号11)
[式中、
X1、X3、X5及びX6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はアルギニン又はリジンであり;
X4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0020】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(III)のペプチド:
R1-C-R-X1-X2-P-X3-X4-X5-X6-C-R2 (III)(配列番号11)
[式中、
X1、X3、X5及びX6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はアルギニン又はリジンであり;
X4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR1は存在しせず;且つ、
R2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0021】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(IV)のペプチド:
R1-C-R-I-X1-X2-X3-X4-N-C-R2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK、Kからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はG(グリシン)であるか、又はR2は存在せず、又はR2は薬学的に許容可能な担体である。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0022】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(IV)のペプチド:
R1-C-R-I-X1-X2-X3-X4-N-C-R2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK、Kからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はG(グリシン)であるか、又はR2は存在せず、又はR2は薬学的に許容可能な担体である。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0023】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(IV)のペプチド:
R1-C-R-I-X1-X2-X3-X4-N-C-R2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK、Kからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はG(グリシン)であるか、又はR2は存在せず、又はR2は薬学的に許容可能な担体である。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0024】
一態様において、式(IV)のペプチドは、CRIIHNNNC(配列番号41)、CRIIHNNNCG(配列番号42)、CRIVYDSNC(配列番号43)及びCRIVYDSNCG(配列番号44)からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実験的COPDモデルにおいて、タバコ煙(CS)によって誘発された気道炎症が、LAT8881処置により緩和されたことを示す図である。気管支肺胞洗浄液(BALF)における、全細胞数(
図1A)、マクロファージ数(
図1B)、好中球数(
図1C)、リンパ球数(
図1D)を示す。データを平均値+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=7~8、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001)、及びMann-Whitney検定(n=7~8、###P<0.001)を用いて分析した。
【
図2A-B】
図2A-Bは、実験的COPDモデルにおいて、LAT8881処置により肺機能が回復することを示す図である。強制肺活量(FVC)(
図2A)、全肺気量(
図2B)を示す。データを平均+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01)及び対応のないスチューデントT検定(n=8、#P<0.05、##P<0.01)を用いて分析した。
【
図2C-D】
図2C-Dは、実験的COPDモデルにおいて、LAT8881処置により肺機能が回復することを示す図である。気道抵抗(
図2C)、最大吸気量(
図2D)を示す。データを平均+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01)及び対応のないスチューデントT検定(n=8、#P<0.05、##P<0.01)を用いて分析した。
【
図2E-F】
図2E-Fは、実験的COPDモデルにおいて、LAT8881処置により肺機能が回復することを示す図である。肺抵抗(
図2E)、最大呼気流速(PEF)(
図2F)を示す。データを平均+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01)及び対応のないスチューデントT検定(n=8、#P<0.05、##P<0.01)を用いて分析した。
【
図2G-H】
図2G-Hは、実験的COPDモデルにおいて、LAT8881処置により肺機能が回復することを示す図である。全肺コンプライアンス(mL.cmH
2O)(
図2G)、組織ダンピング(
図2H)を示す。データを平均+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01)及び対応のないスチューデントT検定(n=8、#P<0.05、##P<0.01)を用いて分析した。
【
図2I-J】
図2I-Jは、実験的COPDモデルにおいて、LAT8881処置により肺機能が回復することを示す図である。動的エラスタンス(
図2I)、組織エラスタンス(
図2J)を示す。データを平均+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01)及び対応のないスチューデントT検定(n=8、#P<0.05、##P<0.01)を用いて分析した。
【
図2K】
図2Kは、実験的COPDモデルにおいて、LAT8881処置により肺機能が回復することを示す図である。動的コンプライアンス(
図2K)を示す。データを平均+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
*P<0.05、
**P<0.01)及び対応のないスチューデントT検定(n=8、#P<0.05、##P<0.01)を用いて分析した。
【
図3】
図3は、8週間にわたる実験的COPDモデルにおいて、タバコ煙(CS)によって誘発された気道炎症がLAT8881処置により緩和されたことを示す図である。BALFにおける細胞の総数を示す。データを平均値+/-標準誤差で表し、One-Way ANOVA(n=8、
****P<0.0001)及びMann-Whitney検定(n=7~8、###P<0.001)を用いて分析した。
【
図4】
図4Aは、メタコリン濃度を増加させて投与したマウスにおける気道抵抗(Rn)の増加を示す図である。
図4Bは、偽薬(生理食塩水)で処置した動物との比較において、LAT8881による処置が気道抵抗を有意に減少させることを示す図である(各群n=8、
***P<0.001、
****P<0.0001)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の記載と類似又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験に使用し得るが、好ましい方法及び材料を記載する。本発明の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
【0027】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書では、冠詞の文法的対象が1つであること、又は1つ以上であること(すなわち、少なくとも1つであること)を言及するために使用される。例として、「1つの要素」は、1つの要素又は1つ以上の要素を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「約(about)」は、基準となる量(quantity)、レベル、値、寸法、大きさ又は量(amount)に対して、最大10%(例えば、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%)変動する量(quantity)、レベル、値、寸法、大きさ、又は量(amount)を指す。
【0029】
本明細書を通じて、文脈上別段の必要でない限り、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」は、言及された工程若しくは要素又は工程群若しくは要素群を包含すると意図されるが、任意のその他の工程若しくは要素又は工程群若しくは要素群を排除することを意味するものではないと理解される。
【0030】
式(I)のペプチド
本発明者らは、驚くことに、式(I)(配列番号1)のペプチドが、炎症性気道疾患の炎症性メディエーターの少なくともいくつかを緩和し、気道過敏性を軽減し得ることを見出した。したがって、本明細書に記載される態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(I)のペプチド:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0031】
好ましい一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。配列番号2(AOD9604とも称される)は、ヒト成長ホルモン(hGH)のアミノ酸残基178~192に渡るhGHのC末端フラグメントであり(例えば、GenBankアクセッション番号AAA72260.1、AML27053.1及びADE06645.1を参照)、ペプチドのN末端にさらにチロシン残基を有する。
【0032】
本明細書に記載される一実施形態において、R1は存在しない。別の実施形態において、R2は存在しない。さらに別の実施形態において、R1及びR2は存在しない。
【0033】
本明細書に記載される一実施形態において、式(I)のペプチドは、9~16アミノ酸残基の長さであり、好ましくは、9、10、11、12、13、14、15又は16アミノ酸残基の長さである。式(I)のペプチドは、2つのシステイン(C)残基の間にジスルフィド結合を含んでいてもよく、それによって2つのシステイン残基の間に環状ペプチドを形成する。
【0034】
一実施形態において、式(I)のペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。
【0035】
好ましい一実施形態において、式(I)のペプチドは、CRSVEGSCG(配列番号4)である。別の好ましい実施形態において、式(I)のペプチドは、CRSVEGSCGF(配列番号5)である。
【0036】
式(II)のペプチド
本開示はまた、式(I)のペプチドの非ヒトバリアントにも及び、それらのヒト対応物と同様に炎症性気道疾患を処置するための治療特性を有する。式(I)のペプチドの好適な非ヒトバリアントは、当業者に周知であろうが、例示的な例は、WO2013/082667に記載されており、その内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。したがって、本明細書に記載される一態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法は、治療上有効な量の式(II)のペプチド:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法が提供される。式(II)のペプチドは、例えばイヌ、ウマ及びネコの対象において見出されるような、式(I)の非ヒトバリアントの典型である。
【0037】
一実施形態において、式(II)のペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。
【0038】
式(II)のペプチドは、9~17アミノ酸残基の長さであり、好ましくは、9、10、11、12、13、14、15、16又は17アミノ酸残基の長さである。式(II)のペプチドは、2つのシステイン(C)残基の間にジスルフィド結合を含んでいてもよく、それによって2つのシステイン残基の間に環状ペプチドを形成する。一実施形態において、式(II)のペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。別の実施形態において、ペプチドは、CRRFVESSCAF(配列番号9)である。別の実施形態において、ペプチドは、CRRFVESSCA(配列番号10)である。
【0039】
式(III)のペプチド
本開示はまた、炎症性気道疾患の処置のための治療特性を有するものとして、式(III)のペプチドにも及ぶ。したがって、本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(III)のペプチド:
R1-C-R-X1-X2-P-X3-X4-X5-X6-C-R2 (III)(配列番号11)
[式中、
X1、X3、X5及びX6は、セリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はアルギニン又はリジンであり;
X4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0040】
一実施形態において、R1及びR2の一方又は両方は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。PEGは、220~5500Da、好ましくは220~2500Da、より好ましくは570~1100Daの分子量を有していてもよい。
【0041】
一実施形態において、R1は存在しない。別の実施形態において、R2は存在しない。さらに別の実施形態において、R1及びR2は存在しない。
【0042】
一実施形態において、R1はN末端キャッピング基でキャッピングされる。用語「N末端キャッピング基」は、一般には、N末端アミノ基の反応性をブロックする基を指す。好適なN末端キャッピング基は、当業者に周知であり、その例示的な例には、N末端アミノ基とアミド基を形成するアシル基が含まれ、例えば、N末端キャッピング基は-NHC(O)Raを形成し、ここで、NHはN末端アミノ基に由来し、Raはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである。一実施形態において、N末端キャッピング基は、-C(O)CH3(アシル)であり、-NHC(O)CH3を形成する。
【0043】
一実施形態において、R1はセリン残基(S)である。
【0044】
別の実施形態において、R2はC末端キャッピング基でキャッピングされる。用語「C末端キャッピング基」は、一般には、C末端カルボン酸の反応性をブロックする基を指す。好適なC末端キャッピング基は、C末端カルボン酸と、アミド基又はエステルを形成し、例えば、C末端キャッピング基は、-C(O)NHRa又は-C(O)ORbを形成し、ここで、C(O)はC末端カルボン酸基に由来し、Raは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールであり、Rbはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである。特定の実施形態において、C末端キャッピング基は、-NH2であり、-C(O)NH2を形成する。
【0045】
一実施形態において、R2はセリン残基(S)である。
【0046】
別の実施形態において、R1はセリン残基であり、且つ、R2はセリン残基である。
【0047】
式(III)のペプチドは、10~50アミノ酸残基の長さであり得(例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50アミノ酸残基の長さ)、好ましくは10~40の長さ、より好ましくは10~30の長さ、より好ましくは10~25の長さ、又はより好ましくは10~20の長さである。本明細書に記載される環状ペプチドは、2つのアミノ酸残基(通常はシステイン残基)の側鎖が共に反応して共有結合を形成するか、又はC末端カルボン酸及びN末端アミン基がアミド結合を形成し、それによりペプチドが環化されるものであることを理解されたい。
【0048】
本明細書に記載される一実施形態において、式(III)のペプチドは、SCRSRPVESSC(配列番号36)、CRSRPVESSC(配列番号37)、CRSRPVESSCS(配列番号38)及びSCRSRPVESSCS(配列番号39)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0049】
式(IV)のペプチド
本開示はまた、炎症性気道疾患の処置のための治療特性を有するものとして、式(IV)のペプチドにも及ぶ。したがって、本明細書に記載される一態様において、対象における炎症性気道疾患を処置する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、治療上有効な量の式(IV)のペプチド:
R1-C-R-I-X1-X2-X3-X4-N-C-R2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり; X2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はG(グリシン)であるか、又はR2は存在しないか、又はR2は薬学的に許容可能な担体である。]
又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0050】
一実施形態において、式(IV)のペプチドは、アミノ酸配列CRIIHNNNC(配列番号41)、CRIIHNNNCG(配列番号42)、CRIVYDSNC(配列番号43)及びCRIVYDSNCG(配列番号44)からなる群から選択される。好ましい一実施形態において、式(IV)のペプチドは、CRIIHNNNC(配列番号41)である。配列番号41(本明細書において互換的にLAT7771とも称される)は、ヒトプロラクチン前駆体(hPRL;例えば、NCBI参照配列NP_000939.1及びNP_001157030を参照)のアミノ酸残基219~227に渡るヒトプロラクチン(PRL)のC末端フラグメントである。
【0051】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基からできたものであってよく、タンパク質性又は非タンパク質性であってもよい。これらのアミノ酸はL立体異性体を有する。天然に存在するアミノ酸を以下の表1に示す。
【0052】
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、1~10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の飽和炭化水素基を指す。適切な場合において、アルキル基は特定の数の炭素原子を有していてもよく、例えば、C1-6アルキルは、直鎖状又は分枝状の配置で1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有するアルキル基を含む。好適なアルキル基の例には、これらに限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、4-メチルブチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、5-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルが含まれる。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、炭素原子間に1又は2以上の二重結合を有し、2~10個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の炭化水素基を指す。適切な場合において、アルケニル基は特定の数の炭素原子を有していてもよい。例えば、「C2-C6アルケニル」におけるC2-C6は、直鎖状又は分枝状の配置で2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する基を含む。好適なアルケニル基の例には、これらに限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル及びデセニルが含まれる。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、1又は2以上の三重結合を有し、2~10個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素基を指す。適切な場合において、アルキニル基は特定の数の炭素原子を有していてもよい。例えば、「C2-C6アルキニル」におけるC2-C6は、直鎖状又は分枝状の配置で2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する基を含む。好適なアルキニル基の例には、これらに限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル及びヘキシニルが含まれる。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、飽和及び不飽和(ただし、芳香族ではない)の環状炭化水素を指す。シクロアルキル環は、特定の数の炭素原子を含んでもよい。例えば、3~8員環シクロアルキル基は、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を含む。好適なシクロアルキル基の例には、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、各環に最大7個の原子を有する安定な単環式、二環式又は三環式炭素環系を意味すると意図される。このようなアリール基の例には、これらに限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、フルオレニル、フェナントレニル、ビフェニル及びビナフチルが含まれる。
【0058】
一実施形態において、式(I)、(II)及び(III)の2つのシステイン残基(C)の間にジスルフィド結合が形成される。
【0059】
本明細書に記載されるペプチドは、当業者に周知の方法によって製造され得、例示的な例には、Fmoc又はBoc保護アミノ酸残基を用いる液相又は固相合成による方法、並びに標準的な微生物培養技術、遺伝子操作微生物及び組換えDNA技術を用いる当技術分野で周知の組換え技術が含まれる(Sambrook and Russell, Molecular Cloning:A Laboratory Manual (3rd Edition), 2001, CSHL Press)。
【0060】
一実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチドは、薬学的に許容可能な塩として形成される。非薬学的に許容可能な塩もまた想定されることを理解されたい。なぜなら、これらは、薬学的に許容可能な塩の調製における中間体として有用であり得るか、又は、貯蔵若しくは輸送において有用であり得るからである。好適な薬学的に許容可能な塩は、当業者に周知であろうが、その例示的な例には、薬学的に許容可能な無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸及び臭化水素酸の塩が含まれ、又は、薬学的に許容可能な有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸の塩が含まれる。好適な塩基性塩の例示的な例には、薬学的に許容可能な陽イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムと共に形成されたものが含まれる。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド、例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチルの塩化物、臭化物及びヨウ化物;硫酸ジアルキル、例えば、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;及びその他の薬剤で四級化されてもよい。
【0061】
また、本明細書には、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなるプロドラッグも記載される。本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、一般には、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)の活性ペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を提供するためにin vivoで代謝され得る化合物を指す。いくつかの実施形態において、プロドラッグ自体もまた、本明細書のその他の箇所に記載されるように、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩と同じ、若しくは実質的に同じ治療活性を共有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、C末端キャッピング基をさらに含んでいてもよい。用語「C末端キャッピング基」は、本明細書で使用される場合、C末端カルボン酸の反応性をブロックする基を指す。好適なC末端キャッピング基は、C末端カルボン酸と、アミド基又はエステルを形成し、例えば、C末端キャッピング基は、-C(O)NHRa又は-C(O)ORbを形成し、ここで、C(O)は、C末端カルボン酸基に由来し、Raは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールであり、Rbは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである。特定の実施形態において、C末端キャッピング基は、-NH2であり、-C(O)NH2を形成する。いくつかの実施形態において、式(I)若しくは(II)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、C末端ポリエチレングリコール(PEG)を含む。一実施形態において、PEGは、220~5500Da、好ましくは220~2500Da、より好ましくは570~1100Daの分子量を有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、N末端キャッピング基をさらに含んでいてもよい。用語「N末端キャッピング基」は、本明細書で使用される場合、N末端アミノ基の反応性をブロックする基を指す。好適なN末端キャッピング基は、N末端アミノ基とアミド基を形成するアシル基であり、例えば、N末端キャッピング基は、-NHC(O)Raを形成し、ここで、NHは、N末端アミノ基に由来し、Raは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである。特定の実施形態において、N末端キャッピング基は、-C(O)CH3(アシル)であり、-NHC(O)CH3を形成する。
【0064】
いくつかの実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、本明細書に記載されるように、C末端キャッピング基及びN末端キャッピング基を含んでいてもよい。本明細書に記載されるペプチドは、ヒト成長ホルモン又はその非ヒトアイソフォームの全長アミノ酸配列を含まないことを理解されたい。
【0065】
本明細書に記載される式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、当業者に公知の任意の方法で製造することができる。好適な方法の例示的な例には、Fmoc又はBoc保護アミノ酸残基を用いる液相又は固相合成、微生物培養技術、遺伝子操作微生物、植物及び組換えDNA技術を用いる組換え技術が含まれる(例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning:A Laboratory Manual (3rd Edition), 2001, CSHL Pressを参照)。
【0066】
処置方法
本明細書のその他の箇所に記載されているように、本発明者は、驚くことに、式(I)のペプチド(配列番号1)が炎症性気道疾患における炎症を緩和し、気道過敏性を軽減し得ることを初めて見出した。したがって、式(I)のペプチドは、好適には、対象における炎症性気道疾患(その1又は2以上の症状を含む)の重症度を処置、緩和又は解消するために使用され得る。本開示はまた、炎症性気道疾患を処置するための式(II)、(III)及び(IV)の使用にも及ぶ。したがって、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩もまた、好適には、対象における炎症性気道疾患の重症度を治療、緩和又は解消するために使用され得る。
【0067】
「処置(treating)」、「処置(treatment)」等の用語は、本明細書では、炎症性気道疾患の1又は2以上のその症状を含む重症度を除去、軽減、緩和、改善又は抑制することを意味するために互換的に使用される。本明細書において、「処置(treating)」、「処置(treatment)」等の用語は、炎症性気道疾患(その1又は2以上の症状を含む)の予防を意味するためにも互換的に使用される。
【0068】
「処置(treating)」、「処置(treatment)」等の用語には、少なくとも一定期間にわたって、炎症性気道疾患の重症度を予防、除去、軽減、緩和、改善又は抑制することも含まれる。「処置(treating)」、「処置(treatment)」等の用語は、炎症性気道疾患又はその症状を永久的に予防、除去、軽減、緩和、改善又は抑制することを意味するものではなく、したがって、炎症性気道疾患又はその1又は2以上の症状の重症度を一時的に予防、除去、軽減、緩和、改善又は抑制することにも及ぶことを理解されたい。
【0069】
用語「対象」は、本明細書で使用される場合、炎症性気道疾患の処置が望まれる哺乳動物の対象を指す。好適な対象の例示的な例には、霊長類、特にヒト、伴侶動物、例えば、ネコ及びイヌ等、使役動物、例えば、ウマ及びロバ等、家畜動物、例えば、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタ等、実験用試験動物、例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター等、飼育野生動物、例えば、動物園や野生動物公園における動物、シカ、ディンゴ等が含まれる。一実施形態において、対象はヒトである。
【0070】
本明細書における対象に対する言及は、対象が炎症性気道疾患又はその症状を有することを意味するのではなく、炎症性気道疾患又はその症状を発症する危険性のある対象も含むことを理解されたい。
【0071】
一実施形態において、本明細書に記載される方法は、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩を、ヒト対象に投与することを含む。
【0072】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、治療上有効な量で投与される。「治療上有効な量」とは、一般には、所望の応答を達成するのに必要な量を意味する。治療上有効な量のペプチドは、いくつかの要因によって変化することが当業者には理解されるであろうが、その例示的な例には、処置される対象の健康及び身体状態、処置される対象の分類群、処置される炎症性気道疾患の重症度、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩を含んでなる組成物の投与形態、投与経路及び前述のいずれかの組み合わせが含まれる。
【0073】
治療上有効な量は、一般には、当業者による日常的な試験によって決定され得る比較的広い範囲内に入るであろう。ヒト対象に投与するための、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩の、好適な治療上有効な量の例示的な例には、体重1kgあたり約0.001mg~体重1kgあたり約1g、好ましくは体重1kgあたり約0.001mg~体重1kgあたり約50g、より好ましくは体重1kgあたり約0.01mg~体重1kgあたり約1.0mgが含まれる。本明細書に記載される一実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び/又は(IV)のペプチド、且つ/或いはその薬学的に許容可能な塩の治療上有効な量は、1用量につき体重1kgあたり約0.001mg~体重1kgあたり約1gである(例えば、0.001mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.3mg/kg、0.35mg/kg、0.4mg/kg、0.45mg/kg、0.5mg/kg、0.5mg/kg、0.55mg/kg、0.6mg/kg、0.65mg/kg、0.7mg/kg、0.75mg/kg、0.8mg/kg、0.85mg/kg、0.9mg/kg、0.95mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、5.5mg/kg、6mg/kg、6.5mg/kg、7mg/kg、7.5mg/kg、8mg/kg、8.5mg/kg、9mg/kg、9.5mg/kg、10mg/kg、10.5mg/kg、11mg/kg、11.5mg/kg、12mg/kg、12.5mg/kg、13mg/kg、13.5mg/kg、14mg/kg、14.5mg/kg、15mg/kg、15.5mg/kg、16mg/kg、16.5mg/kg、17mg/kg、17.5mg/kg、18mg/kg、18.5mg/kg、19mg/kg、19.5mg/kg、20mg/kg、20.5mg/kg、21mg/kg、21.5mg/kg、22mg/kg、22.5mg/kg、23mg/kg、23.5mg/kg、24mg/kg、24.5mg/kg、25mg/kg、25.5mg/kg、26mg/kg、26.5mg/kg、27mg/kg、27.5mg/kg、28mg/kg、28.5mg/kg、29mg/kg、29.5mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、55mg/kg、60mg/kg、65mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、85mg/kg、90mg/kg、95mg/kg、100mg/kg、105mg/kg、110mg/kg体重等)。一実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩の治療上有効な量は、体重1kgあたり約0.001mg~約50mgである。一実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、及びそれらの薬学的に許容可能な塩の治療上有効な量は、体重1kgあたり約0.01mg~約100mgである。一実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩の治療上有効な量は、体重1kgあたり約0.1mg~約10mg、好ましくは体重1kgあたり約0.1mg~約5mg、より好ましくは体重1kgあたり約0.1mg~約1.0mgである。用法は、最適な治療反応が得られるように調整されてもよい。例えば、数回に分割した用量を、毎日、毎週、毎月又はその他の適切な時間間隔で投与してもよく、或いは状況の緊急性に応じて、用量を比例的に低減してもよい。
【0074】
本明細書のその他の箇所で述べたように、本発明者は、驚くことに、本明細書に記載のペプチドが、炎症性気道疾患の炎症性メディエーター又はマーカーを減少させ、気道過敏性を軽減し得ることを見出した。したがって、本明細書に記載される一実施形態において、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、対象において炎症性気道疾患を処置する治療上有効な量で対象に投与される。炎症性気道疾患の処置における治療活性は、式(II)、(III)及び(IV)のペプチドにも帰属される。したがって、本明細書に記載される一実施形態において、式(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、対象において炎症性気道疾患を処置する治療上有効な量で対象に投与される。
【0075】
本明細書に記載される一実施形態において、本明細書に記載されるペプチドは、アミノ酸配列CRSVEGSCG(配列番号4)又はCRSVEGSCGF(配列番号5)を含む。
【0076】
炎症性気道疾患
炎症性気道疾患は、当業者にはよく知られており、例示的な例には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性気管支炎、肺気腫、嚢胞性線維症、肺癌及び気管支肺異形成症が含まれる。一実施形態において、炎症性気道疾患はCOPDである。一実施形態において、炎症性気道疾患は喘息である。一実施形態において、炎症性気道疾患は慢性気管支炎である。一実施形態において、炎症性気道疾患は肺気腫である。一実施形態において、炎症性気道疾患は嚢胞性線維症である。一実施形態において、炎症性気道疾患は肺癌に関連する。一実施形態において、炎症性気道疾患は気管支肺異形成症である。
【0077】
本明細書に記載される方法、組成物及びその使用は、さもなければ炎症性気道疾患が悪化するような、疾患に罹患しやすい対象における炎症性気道疾患の処置に特に有用であり得る。そのような基礎疾患は当業者に公知であり、例示的な例には、呼吸器感染、例えば、ウイルス、細菌又はその他の病原体による感染が含まれる。別の実施形態において、対象は、治療(例えば、化学療法、放射線療法)の結果、又はその他の理由(例えば、HIV感染)で、免疫不全である。
【0078】
投与経路
式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩は、本明細書に記載されるように、治療上有効な量で対象に送達することを可能にする任意の好適な経路によって、対象に投与され得る。好適な投与経路は、当業者に公知であり、その例示的な例には、経腸投与経路(例えば、経口投与及び直腸内投与)、非経口投与経路、一般には、注射又はマイクロインジェクション(例えば、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、硬膜外投与投与、関節内投与、腹腔内投与、大槽内投与又は髄腔内投与)、及び局所(経皮又は経粘膜)投与経路(例えば、頬投与、舌下投与、膣内投与、鼻腔内投与、又は吸入、吹送、坐剤若しくはネブライゼーション)が挙げられる。一実施形態において、投与経路は、吸入又は吹送によるものである。式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩はまた、好適には、長期間にわたり有効成分の徐放を提供するための、徐放性投与形態として対象に投与されてもよい。用語「徐放」は一般には、ある期間(例えば、約8時間~約12時間まで、約14時間まで、約16時間まで、約18時間まで、約20時間まで、1日まで、1週間まで、1か月まで、又は1か月超)にわたり、対象において有効成分の一定又は実質的に一定の濃度を提供するための有効成分の放出を意味する。有効成分の徐放は、必要に応じて、投与後数分以内、又は投与後遅延期間(ラグタイム)経過後に開始し得る。好適な徐放性投与形態は当業者に知られており、その例示的な例は、Anal,A.K.(2010; Controlled-Release Dosage Forms.Pharmaceutical Sciences Encyclopedia.11:1-46)に記載されている。
【0079】
理論又は特定の適用様式に拘束されることはないが、炎症性気道疾患又はその1又は2以上の症状の重症度に基づいて、投与経路を選択することが望ましい場合がある。本明細書に記載される一実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、対象に経腸投与される。本明細書に記載される一実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、対象に経口投与される。本明細書に記載される一実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、対象に非経口投与される。本明細書に記載される別の実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、対象に局所投与される。本明細書に記載される別の実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、吸入によって対象に投与される。本明細書に記載される別の実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、吹送によって対象に投与される。
【0080】
本明細書のその他の箇所に記載されているように、「局所」投与は、一般に、身体の表面、例えば、皮膚又は粘膜への有効成分の適用を意味し、好適には、クリーム、ローション、フォーム、ゲル、軟膏、点鼻薬、点眼薬、点耳薬、経皮パッチ、経皮フィルム(例えば、舌下フィルム)等の形態での投与である。局所投与はまた、吸入又は吹送による気道の粘膜を介した投与を包含する。本明細書に記載される一実施形態において、局所投与は、経皮投与及び経粘膜投与からなる群から選択される。一実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、対象に経皮投与される。一実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、並びにその薬学的に許容可能な塩は、吸入、吹送又はネブライゼーションによって対象に投与される。
【0081】
一実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0082】
一実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0083】
一実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0084】
一実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吸入又は吹送によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0085】
一実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒトに経口投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象体に経口投与することを含む。
【0086】
一実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒトに経口投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0087】
一実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒトに経口投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0088】
一実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒトに経口投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0089】
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒトに経口投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0090】
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、ヒトに局所投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に局所投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含む。
【0091】
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0092】
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0093】
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に局所投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含む。
【0094】
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0095】
別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0096】
別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に局所投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含む。
【0097】
別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0098】
別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に経口投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に経口投与することを含む。
【0099】
別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、非ヒト対象に局所投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に局所投与することを含む。
【0100】
別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によって非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、吹送又は吸入によってネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0101】
局所投与の例示的な例は、本明細書のその他の箇所に記載されている。一実施形態において、局所投与は経皮的である。
【0102】
本明細書に記載される実施形態において、式(I)、(II)、(III)若しくは(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、徐放性投与形態として対象に投与され、その例示的な例は、本明細書のその他の箇所に記載される。一実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0103】
別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0104】
別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0105】
別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0106】
別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてヒトに投与することを含む。別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。
【0107】
別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。一実施形態において、徐放性投与形態は、対象に非経口的に投与され、その好適な例は、本明細書のその他の箇所に記載される。
【0108】
別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。一実施形態において、徐放性投与形態は、対象に非経口的に投与され、その好適な例は、本明細書のその他の箇所に記載される。
【0109】
別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態として非ヒト対象に投与することを含む。さらに別の実施形態において、方法は、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩を、徐放性投与形態としてネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に投与することを含む。一実施形態において、徐放性投与形態は、対象に非経口的に投与され、その好適な例は、本明細書のその他の箇所に記載される。
【0110】
本明細書のその他の箇所で述べたように、いくつかの(すなわち、複数の)分割した用量を、毎日、毎週、毎月又はその他の適切な時間間隔で投与してよく、或いは状況の緊急性に応じて、用量を比例的に低減してもよい。複数の用量の治療単位が必要であるか、又は望まれる場合には、本明細書に記載されるペプチドを2以上の経路を介して投与することが有益であり得る。例えば、第1の用量は非経口的に(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、硬膜外、関節内、腹腔内、大槽内又は髄腔内の投与経路を介して)投与し、対象における急速又は急性の治療効果を誘導し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を、吸入若しくは吹送によって経腸的(例えば、経口若しくは直腸内)に、及び/又は、局所的に(例えば、経皮的若しくは経粘膜的投与経路を介して)投与し、治療の急性期に続く長期間にわたる有効成分の持続的な有効性を提供することが望まれ得る。或いは、用量を経腸的(例えば、経口若しくは直腸内)に投与し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を、吸入若しくは吹送によって非経口的に(例えば、筋肉内、静脈内、皮下、硬膜外、関節内、腹腔内、大槽内若しくは髄腔内の投与経路を介して)、及び/又は、局所的に(例えば、経皮的若しくは経粘膜的投与経路を介して)投与することが望まれ得る。或いは、用量を局所的に(例えば、経皮又は経粘膜投与経路を介して)投与し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を、吸入若しくは吹送によって非経口的に(例えば、筋肉内、静脈内;皮下、硬膜外、関節内、腹腔内、大槽内又は髄腔内の投与経路を介して)、及び/又は、経腸的(例えば、経口又は直腸内)に投与することが望まれ得る。
【0111】
複数の投与経路が望まれる場合には、本明細書に記載される方法に従って、2以上の投与経路の任意の組み合わせを使用してよいことも理解される。好適な組み合わせの例示的な例には、(投与の順に)(a)非経口-経腸;(b)非経口-局所;(c)非経口-経腸-局所;(d)非経口-局所-経腸;(e)経腸-非経口;(f)経腸-局所;(g)経腸-局所-非経口;(h)経腸-非経口-局所;(i)局所-非経口;(j)局所-経腸;(k)局所-非経口-経腸;(l)局所-経腸-非経口;(m)非経口-経腸-局所-非経口;(n)非経口-経腸-局所-経腸;等が含まれる。
【0112】
医薬組成物
式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、ニート化学物質(neat chemical)として対象に投与するために調合され得る。しかしながら、特定の実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、並びにそれらの薬学的に許容可能な塩を、医薬組成物(獣医学的組成物を含む)として調合することが好適であり得る。したがって、本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、本明細書に記載の式(I)のペプチド:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0113】
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。
【0114】
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。一実施形態において、ペプチドは、CRSVEGSCG(配列番号4)である。一実施形態において、ペプチドは、CRSVEGSCGF(配列番号5)である。
【0115】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、本明細書に記載される式(I)のペプチド:
R1-CRSVEGSCG-R2 (I)(配列番号1)
[式中、
R1はYLRIVQ、LRIVQ、RIVQ、IVQ、VQ及びQからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はF(フェニルアラニン)であるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0116】
一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)、LRIVQCRSVEGSCGF(配列番号3)、CRSVEGSCG(配列番号4)及びCRSVEGSCGF(配列番号5)からなる群から選択される。一実施形態において、ペプチドは、YLRIVQCRSVEGSCGF(配列番号2)である。一実施形態において、ペプチドは、CRSVEGSCG(配列番号4)である。一実施形態において、ペプチドは、CRSVEGSCGF(配列番号5)である。
【0117】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(II)のペプチド:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0118】
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。
【0119】
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。一実施形態において、ペプチドは、CRRFVESSCAF(配列番号9)である。一実施形態において、ペプチドは、CRRFVESSCA(配列番号10)である。
【0120】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(II)のペプチド:
R1-CRRFVESSC-R2 (II)(配列番号6)
[式中、
R1はYLRVMK、LRVMK、RVMK、VMK、MK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はA(アラニン)及びAF(アラニン-フェニルアラニン)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0121】
一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)、LRVMKCRRFVESSCAF(配列番号8)、CRRFVESSCAF(配列番号9)及びCRRFVESSCA(配列番号10)からなる群から選択される。一実施形態において、ペプチドは、YLRVMKCRRFVESSCAF(配列番号7)である。一実施形態において、ペプチドは、CRRFVESSCAF(配列番号9)である。一実施形態において、ペプチドは、CRRFVESSCA(配列番号10)である。
【0122】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(III)のペプチド:
R1-C-R-X1-X2-P-X3-X4-X5-X6-C-R2 (III)(配列番号11)
[式中、
X1、X3、X5及びX6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はアルギニン又はリジンであり;
X4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0123】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(III)のペプチド:
R1-C-R-X1-X2-P-X3-X4-X5-X6-C-R2 (III)(配列番号11)
[式中、
X1、X3、X5及びX6はセリン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン及びグリシンからなる群から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はアルギニン又はリジンであり;
X4はグルタミン酸又はアスパラギン酸であり;
R1は、
S、
HS(配列番号12)、
GHS(配列番号13)、
PGHS(配列番号14)、
APGHS(配列番号15)、
EAPGHS(配列番号16)、
SEAPGHS(配列番号17)、
SSEAPGHS(配列番号18)、
PSSEAPGHS(配列番号19)、
DPSSEAPGHS(配列番号20)及び
IDPSSEAPGHS(配列番号21)からなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2は、
S、
SS(配列番号22)、
SSK(配列番号23)、
SSKF(配列番号24)、
SSKFS(配列番号25)、
SSKFSW(配列番号26)、
SSKFSWD(配列番号27)、
SSKFSWDE(配列番号28)、
SSKFSWDEY(配列番号29)、
SSKFSWDEYE(配列番号30)、
SSKFSWDEYEQ(配列番号31)、
SSKFSWDEYEQY(配列番号32)、
SSKFSWDEYEQYK(配列番号33)、
SSKFSWDEYEQYKK(配列番号34)及び
SSKFSWDEYEQYKKE(配列番号35)からなる群から選択されるか、又はR2は存在しない。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0124】
本明細書に記載される一実施形態において、式(III)のペプチドは、SCRSRPVESSC(配列番号36)、CRSRPVESSC(配列番号37)、CRSRPVESSCS(配列番号38)及びSCRSRPVESSCS(配列番号39)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0125】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置における使用のための、式(IV)のペプチド:
R1-C-R-I-X1-X2-X3-X4-N-C-R2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はG(グリシン)であるか、又はR2は存在せず、又はR2は薬学的に許容可能な担体である。]
又はその薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0126】
本明細書に記載される別の態様において、対象における炎症性気道疾患の処置のための医薬の製造における、式(IV)のペプチド:
R1-C-R-I-X1-X2-X3-X4-N-C-R2 (IV)(配列番号40)
[式中、
X1はイソロイシン(I)及びバリン(V)から選択されるアミノ酸残基であり;
X2はヒスチジン(H)及びチロシン(Y)から選択されるアミノ酸残基であり;
X3はアスパラギン酸(D)及びアスパラギン(N)から選択されるアミノ酸残基であり;
X4はアスパラギン(N)及びセリン(S)から選択されるアミノ酸残基であり;
R1はYLKLLK、LKLLK、KLLK、LLK、LK及びKからなる群から選択されるか、又はR1は存在せず;且つ、
R2はG(グリシン)であるか、又はR2は存在せず、又はR2は薬学的に許容可能な担体である。]
又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
【0127】
一実施形態において、式(IV)のペプチドは、アミノ酸配列CRIIHNNNC(配列番号41)、CRIIHNNNCG(配列番号42)、CRIVYDSNC(配列番号43)及びCRIVYDSNCG(配列番号44)からなる群から選択される。
【0128】
本明細書のその他の箇所に記載されているように、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、逐次的に、又は組み合わせて(例えば、配合剤として)、処置されるべき基礎疾患に適切な1又は2以上のその他の有効成分と共に投与され得る。例えば、本明細書に記載される組成物は、逐次的に、又は組み合わせて(例えば、配合剤として)、喘息の処置に通常使用される吸入コルチコステロイドと共に投与するために調合され得る。その他の好適な併用療法又は補助療法は、当業者に周知であろうが、その選択は、基礎疾患又はその症状に依存し得る。
【0129】
一実施形態において、組成物は、本明細書のその他の箇所に記載される、薬学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含む。一実施形態において、組成物は、経口投与のために調合されている。別の実施形態において、組成物は、吸入又は吹送による投与のために調合されている。
【0130】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、好適には、経口用途用に固形剤(例えば、錠剤又は充填カプセル)又は液剤(例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤又はそれらを充填したカプセル剤)として;直腸内投与用に軟膏、坐剤又は浣腸剤の形態で;非経口用途(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、硬膜外、関節内及び髄腔内投与)用に滅菌注射液の形態で;又は非経口(例えば、局所、頬、舌下、膣)投与用に軟膏、ローション、クリーム、ゲル、パッチ、舌下ストリップ又はフィルム等の形態で使用されるために、医薬組成物及び単位投与形態として調製される。一実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、局所(例えば、経皮)送達のために調合される。好適な経皮送達システムは、当業者に周知であろうが、その例示的な例は、Prausnitz及びLanger(2008;Nature Biotechnol.26(11):1261-1268)により記載され、その内容は引用することにより本明細書の一部とされる。別の実施形態において、式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、舌下送達又は頬送達のために調合される。好適な舌下及び頬の送達システムは、当業者に周知であろうが、その例示的な例としては、Balaら(2013;Int.J. Pharm.Investig.3(2):67-76)により記載されており、その内容は引用することにより本明細書の一部とされる。
【0131】
好適な医薬組成物及びその単位投与形態は、さらなる有効組成物又は成分の有無に関わらず、従来の割合で従来の成分を含み得、そのような単位投与形態は、意図される1日の用量範囲に見合った任意の好適な有効量の有効成分を含み得る。本明細書に記載の式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、多種多様な経腸、局所及び/又は非経口の投与形態での投与のために調合され得る。好適な投与形態は、有効成分として、本明細書に記載される、式(I)のペプチド、式(II)のペプチド、式(III)のペプチド、式(IV)のペプチド、それらの薬学的に許容可能な塩、又は前述のいずれかの組み合わせのいずれかを含み得る。
【0132】
一実施形態において、組成物は、ヒトへの経口投与のために調合されている。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合されている。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合されている。
【0133】
別の実施形態において、組成物は、ヒトへの非経口投与のために調合されている。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に対する非経口投与のために調合されている。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する非経口投与のために調合されている。一実施形態において、非経口投与は皮下投与である。
【0134】
別の実施形態において、組成物は、ヒトへの局所投与のために調合されている。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合されている。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合されている。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0135】
別の実施形態において、組成物は、吸入又は吹送によるヒトへの投与のために調合されている。別の実施形態において、組成物は、吸入又は吹送による非ヒト対象に対する投与のために調合されている。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合されている。
【0136】
別の実施形態において、組成物は、ヒトへの投与のための徐放性投与形態として調合されている。別の実施形態において、組成物は、非ヒト対象に対する投与のための徐放性投与形態として調合されている。さらに別の実施形態において、組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する投与のための徐放性投与形態として調合されている。好適な徐放性投与形態の例示的な例は、本明細書のその他の箇所に記載されている。
【0137】
式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩の医薬組成物を調製するための、薬学的に許容可能な担体は、固体又は液体のいずれかであり得る。固体形態の調製物の例示的な例には、粉末剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化材料としても作用し得る1種又は2種以上の物質であり得る。粉末剤において、担体は、微細有効成分と混合された微細固体であり得る。錠剤において、有効成分は、必要な結合能を有する担体と好適な割合で混合してもよく、所望の形状及び大きさに圧縮してもよい。
【0138】
いくつかの実施形態において、粉末剤及び錠剤は、5又は10~約70%の有効化合物を含有する。好適な担体の例示的な例には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバター等が含まれる。用語「調製物」は、担体を有する又は有しない有効化合物が、担体に囲まれているカプセル剤を提供する、カプセル化材料を有する有効化合物の製剤を含むと意図される。同様に、カシェ剤及びトローチも本明細書において想定される。錠剤、粉末剤、カプセル剤、丸薬、カシェ剤及びトローチは、経口投与に適した固体形態として使用され得る。
【0139】
坐剤を調製するためには、低融点ワックス、例えば、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物を最初に融解させ、攪拌によって有効成分をその中で均一に分散させる。次いで、融解した均一な混合物を適当な大きさの型に注ぎ、放冷し、それにより固化させる。
【0140】
膣内投与に適した製剤は、有効成分に加えて、当技術分野で適切であると知られる担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーとして提示され得る。
【0141】
液体形態調製物には、液剤、懸濁剤及び乳剤、例えば、水又は水-プロピレングリコール溶液が含まれる。例えば、非経口注射液調製物は、液剤(水性ポリエチレングリコール溶液)として調合され得る。
【0142】
本明細書に記載の式(I)、(II)、(III)及び(IV)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は持続注入による)のために調合され得、アンプル、プレフィルドシリンジ、少量注入液又は保存剤が添加された複数回投与容器における単位投与形態で提示され得る。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、液剤又は乳剤の形態をとり得、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤等の配合剤を含有し得る。或いは、有効化合物は、使用前に適切なビヒクル、例えば、無菌のパイロジェンフリー水で構成するための、無菌固体の無菌的単離又は液剤からの凍結乾燥により得られる粉末形態であり得る。
【0143】
経口使用に好適な水溶性液剤は、有効組成物を水に溶解し、所望により好適な着色剤、香味剤、安定化剤及び増粘剤を添加することにより、調製することができる。
【0144】
経口使用に好適な水性懸濁剤は、微細有効成分を、粘稠材料、例えば、天然若しくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はその他の周知の懸濁化剤と共に水に分散させることにより、作製することができる。
【0145】
本明細書ではまた、使用直前に、経口投与のための液体形態調製物に変換されることを意図した固形形態調製物も企図される。このような液体形態調製物には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。これらの調製物は、有効成分に加えて、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有し得る。
【0146】
表皮への局所投与のために、本明細書に記載の式(I)、(II)若しくは(III)のペプチド、又はそれらの薬学的に許容可能な塩は、軟膏、クリーム若しくはローションとして、又は経皮パッチとして調合され得る。軟膏及びクリームは、例えば、好適な増粘剤及び/又はゲル化剤を添加した、水性又は油性基剤と共に調合することができる。ローションは、水性又は油性基剤と共に調合され得、一般に、1種又は2種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤又は着色剤も含有する。
【0147】
口腔内への局所投与に好適な製剤には、通常、スクロース及びアラビアガム又はトラガカントの香味基剤中に、有効成分を含有してなるトローチ;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアラビアガム等の不活性基剤中に有効成分を含む香錠;並びに好適な液体担体中に有効成分を含む洗口剤が含まれる。
【0148】
液剤又は懸濁剤は、従来の手段により、例えば、点滴注入器、ピペット又は噴霧器を用いて鼻腔に直接適用される。製剤は、単回又は複数回投与の形態で提供され得る。点滴注入器又はピペットの後者の場合において、これは患者に対して適切な所定量の液剤又は懸濁液剤が投与されることにより達成され得る。噴霧器の場合において、これは、例えば、定量噴霧スプレーポンプによって達成され得る。鼻腔への送達及び保持を改善するために、本発明で使用されるペプチドは、シクロデキストリンによってカプセル化されるか、又は送達及び鼻粘膜への保持を亢進することが期待される物質と共に調合される。
【0149】
気道への投与も、有効成分が、好適な噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン又はジクロロテトラフルオロエタン)、二酸化炭素又はその他の好適なガスを含む加圧包装で提供されるエアロゾル製剤により達成され得る。エアロゾルは、レシチン等の界面活性剤も好都合に含有し得る。薬物の投与量は、定量バルブを備えることにより制御され得る。
【0150】
代わりに、又はそれに加えて、有効成分は、乾燥粉末剤、例えば、好適な粉末基剤(例えば、乳糖、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)及びポリビニルピロリドン(PVP))における化合物の粉末混合物の形態で提供され得る。好都合には、粉末担体は鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えば、カプセル若しくはカートリッジ(例えば、ゼラチン)中に、又は粉末剤がそこから吸入器によって投与され得るブリスターパック中に、単位投与形態で提示され得る。
【0151】
鼻腔内投与形態を含む、気道への投与を意図した製剤においては、ペプチドは一般に、例えば、1~10ミクロン以下のオーダーである小さな粒子径を有する。このような粒子径は、当技術分野で公知の手段、例えば微粒子化により得ることができる。
【0152】
所望により、有効成分の徐放又は持続放出をもたらすように適合させた製剤が、本明細書のその他の箇所に記載されるように使用され得る。
【0153】
一実施形態において、本明細書に記載の医薬調製物は、好ましくは単位投与形態で存在する。このような形態において、調製物は、適切な量の有効成分を含む単位用量に細分される。単位投与形態は、包装された調製物であり得、その包装は、分離量の調製物(例えば、小包装錠剤、カプセル剤及びバイアル又はアンプル中の粉末剤)を含有する。また、単位投与形態は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤若しくはトローチ自体であり得、又は包装形態のこれらのいずれかの適切な数であり得る。
【0154】
一実施形態において、本明細書に記載される組成物は、ヒトへの経口投与のために調合されている。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、非ヒトへの経口投与のために調合されている。さらなる実施形態において、本明細書に記載される組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒトへの経口投与のために調合されている。
【0155】
一実施形態において、本明細書に記載される組成物は、ヒトへの吸入又は吹送による投与のために調合されている。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、非ヒトへの吸入又は吹送による投与のために調合されている。さらなる実施形態において、本明細書に記載される組成物は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒトへの吸入又は吹送による投与のために調合されている。
【0156】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する経口投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0157】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0158】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0159】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(I)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0160】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0161】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0162】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0163】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(II)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0164】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0165】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0166】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0167】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(III)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0168】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0169】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0170】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0171】
別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される式(IV)のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0172】
別の実施形態において、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒトに対する経口投与のために調合される。別の実施形態において、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒトに対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0173】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0174】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0175】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号2のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、に対する徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0176】
別の実施形態において、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0177】
別の実施形態において、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0178】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号7のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0179】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号7のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0180】
別の実施形態において、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0181】
別の実施形態において、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0182】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0183】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号36のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0184】
別の実施形態において、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒトに対する経口投与のために調合される。別の実施形態において、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒトに対する経口投与のために調合される。さらに別の実施形態において、配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する経口投与のために調合される。
【0185】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する局所投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する局所投与のために調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0186】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド、又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される非ヒト対象に対する吸入又は吹送による投与のために調合される。
【0187】
別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合される。別の実施形態において、本明細書に記載される配列番号41のペプチド又はその薬学的に許容可能な塩は、非ヒト対象に対する徐放性投与形態としての投与のために調合され、ここで、非ヒト対象は、ネコ、イヌ及びウマからなる群から選択される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0188】
本明細書のその他の箇所に記載されているように、いくつかの(すなわち、複数の)分割された用量を、毎日、毎週、毎月又はその他の好適な時間間隔で投与してよく、或いは、状況の緊急性に応じて、用量を比例的に低減してもよい。複数用量の治療単位が必要であるか、又は望まれる場合には、本明細書に記載される組成物を、前記2以上の経路を介して投与するために好適に調合され得る。例えば、第1の用量を非経口的(例えば、筋肉内、静脈内;皮下等)に投与し、対象における急速又は急性の治療効果を誘導し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を非経口以外で(例えば、経腸的及び/又は局所的に)投与し、治療の急性期に続く長期間にわたる有効成分の持続的な有効性を提供することが望ましい。したがって、一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として(すなわち、非経口投与形態として)対象に対する非経口投与のために調合され、第1の用量の後(例えば、経腸及び/又は局所投与形態として)対象に対する非経口投与以外の投与のために調合される。一実施形態において、非経口投与は筋肉内投与、皮下投与及び静脈内投与からなる群から選択される。さらなる実施形態において、非経口投与は皮下投与である。
【0189】
別の実施形態において、経腸投与は経口投与である。したがって、一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として対象に対する非経口投与のために調合され、第1の用量の後の対象に対する経口投与のために(すなわち、経口投与形態として)調合される。
【0190】
別の実施形態において、経腸投与は局所投与である。したがって、一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として対象に対する非経口投与のために調合され、第1の用量の後の対象に対する局所投与のために(すなわち、経口投与形態として)調合される。一実施形態において、局所投与は経皮投与である。
【0191】
別の実施形態において、第1の用量を非経口的に(例えば、筋肉内、静脈内、皮下等に)投与して、対象において急速或いは急性の治療効果を誘導し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)投与を、本明細書のその他の箇所に記載されるような徐放性投与形態で投与し、治療の急性期に続く長期間にわたる有効成分の徐放を提供することが望まれ得る。したがって、別の実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として対象への非経口投与のために調合され、第1の用量の後に対象に対して投与される徐放性投与形態として調合される。一実施形態において、徐放性投与形態は、非経口投与のために調合される。
【0192】
第1の用量を経腸的(例えば、経口又は直腸内)に投与し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を局所的(例えば、経皮的)に投与することも望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として対象に対する経腸投与のために(すなわち、経腸投与形態として;経口又は直腸内投与形態として)調合され、第1の用量の後の対象に対する局所投与のために(例えば、経皮又は経粘膜投与形態として)調合される。別の実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、経皮投与及び経粘膜投与からなる群から選択される局所投与のために調合される。さらなる実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、経皮投与のために調合される。
【0193】
さらに別の実施形態において、本明細書に記載されるペプチド又は組成物を、第1の用量として経腸的(例えば、経口又は直腸内)に投与し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を、本明細書のその他の箇所に記載される徐放性投与形態として投与することが望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として経腸投与のために調合され、徐放性投与形態として投与するために調合され、徐放性投与形態は、第1の用量に続く投与のために調合される。一実施形態において、経腸用量は経口投与のために調合される。別の実施形態において、徐放性投与形態は非経口投与のために調合される。
【0194】
一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド又は組成物を、第1の用量として局所的(例えば、経口又は直腸内)に投与し、次いで、それに続く(例えば、第2、第3、第4、第5等の)用量を、本明細書のその他の箇所に記載される徐放性投与形態として投与することが望まれ得る。したがって、一実施形態において、本明細書に記載されるペプチド及び組成物は、第1の用量として局所投与のために調合され、徐放性投与形態として投与するために調合され、徐放性投与形態は、第1の局所投与に続く投与のために調合される。一実施形態において、局所用量は経皮投与のために調合される。別の実施形態において、徐放性投与形態は非経口投与のために調合される。
【0195】
ここで、本発明のいくつかの好ましい態様を説明する以下の実施例を参照して、本発明を開示する。しかしながら、以下の本発明の記載の詳細は、本発明の前述の記載の一般性に取って代わるものではないと理解されるべきである。
【実施例】
【0196】
実施例1:タバコ煙によって誘発された慢性閉塞性肺疾患(COPD)実験動物モデルにおける気道炎症に対するペプチドの効果
COPDの動物モデル
雌のc57Bl/6マウス24匹を、以下の表2のように3群に分けた。グループ1のマウスを、2週間室内空気に曝露し、週3回体重測定した。グループ2及び3のマウスを、タバコ煙(CS)に1日2回、週5日、2週間曝露し、週5回体重測定した。換気及び層流フード内に設置された、特注且つ専用の鼻専用、直流吸入・煙暴露システム(CH Technologies、Westwood、NJ、USA)を使用して、タバコ煙を空気流量2.5L/分でマウスに送達した。LAT8881の治療可能性を検証するために、グループ3のマウスに、タバコ煙曝露の2時間前にLAT8881(20mg/kg、+2日間)を鼻腔内点滴注入により処置した。次いで、ペントバルビタールナトリウム(最大325mg/kgマウス)を腹腔内に過剰投与することにより、2週目の煙曝露期間の終了時にマウスを殺処分し、サンプルを採取した。
【0197】
【0198】
BALFの回収、処理及び染色
肺の多葉を右の気管支において紐で縛り、個々の肺葉を取り出し、さらなる分子的解析のために回収した。元のままの左肺葉は気管支肺胞洗浄液(BALF)の回収に使用した。BALFは、室温において2つの500μLのPBSアリコートで肺(死後)を洗浄することにより回収した。
【0199】
BALFは、132×gで5分間、4℃で遠心分離することにより処理した。得られた上清を回収し、さらなる評価のために-80℃で保存した。細胞ペレットを赤血球(RBC)溶解緩衝液(0.15M塩化アンモニウム(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia)、0.01M重炭酸ナトリウム(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia)、0.001M EDTA(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia))に4℃で5分間懸濁した。1mLのPBSを添加し、赤血球溶解緩衝液の活性を停止した。この溶液を132×gで5分間、4℃で遠心分離した。このときは、得られた上清を廃棄し、細胞ペレットを160μLのPBSに再懸濁した。トリパンブルー色素排除法を用いて、血球計数装置により総白血球数を計数した。残りのサンプルは、サイトスピン(Shandon、Cheshire、England)を使用して、清浄な顕微鏡用スライドに300rpmで10分間サイトスピンした。次いで、スライドを一晩乾燥させ、組織学的評価のために染色した。
【0200】
BALF中の個々の炎症細胞、マクロファージ、好中球、リンパ球の割合を決定するために、スライド上にサイトスピンした細胞をMay-Grunwald Giemsa染色法で染色し、個々の細胞種が列挙できるようにした。スライドをMay-Grunwald染色剤(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia)に5分間浸漬し、蒸留水で1分間洗浄した。次いで、Giemsa試薬(Australian Scientific Proprietary Limited、NSW、Australia)で20分間対比染色し、蒸留水で5分間ずつ2回洗浄した。スライドを一晩乾燥させ、Entellan(登録商標)マウンティングメディア(Merck Millipore、Bayswater、VIC、Australia)を用いてカバースリップに封入した。
【0201】
炎症細胞の列挙は、光学顕微鏡(倍率40倍)で合計200個の細胞を計数することによって実施し、細胞をその形態に基づいて分類した。
【0202】
組織診断のための肺処理
次いで、心臓の右心室心尖部から、肺が膨らみ、色が白/ピンクに変わるまで、一定の圧力で、25G針によって0.9%塩化ナトリウム溶液を静かに注入し、左肺を灌流した。次いで、左肺を膨張させ、気管を介して10%中性緩衝ホルマリン(Lonza Australia Proprietary Limited、Waverley Vic、Australia)で固定した。次いで、左肺を摘出し、ホルマリン中で最低24時間保存し、細胞及び組織の形態を保存するために不可欠な組織固定を行った。次いで、固定した左肺を、10%エタノール(AnalaR NORMAPUR(登録商標)ACS、Avantor)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(ThermoFisher Scientific、Grand Island、New York)に移した。
【0203】
Leica HistoCore PEARLティッシュプロセッサーを用いて肺を処理し、処理後の肺をパラフィン包埋し、Leica RM2245半自動ミクロトームで切片化した。切片(厚み3.5μm)を顕微鏡用スライドにマウントし、次いで、さらなる組織学的解析のためにヘマトキシリン・エオジンで染色した。
【0204】
統計分析
データは平均±平均の標準誤差(SEM)で示した。正規性を検定するために、正規ガウス分布を評価した。データが正規分布している場合は、2群を比較するためにt検定(パラメトリック検定)を行い、2群以上の場合は一元配置分散分析(One-Way ANOVA)を行った。データが正規分布していない場合は、Kruskal Wallis検定を行った。外れ値の除外(Grubbs検定及び/又はROUT検定)、ガウス分布の検定(D’Agostino-Pearson omnibus正規性検定、Shapiro-Wilk正規性検定及びKolmogorov-Smirnov正規性検定)は、GraphPad Prism V.9.0.2ソフトウェア(San Diego、California、USA)を使用して行った。≦0.05の場合に、差が有意であるとみなした。
【0205】
実施例2:COPD実験動物モデルにおける気道炎症及び肺機能に対するペプチドの効果
雌のc57Bl/6マウス32匹を、以下の表3のように4群に分けた。グループ1のマウスを4週間、室内の空気に曝露した。グループ2、3及び4のマウスを、タバコ煙(CS)に1日2回、週5日、8週間暴露した。タバコ煙は、換気及び層流フード内に設置された、特注且つ専用の鼻専用、直流吸入・煙暴露システム(CH Technologies、Westwood、NJ、USA)を用いて、空気流量2.5L/分でマウスに送達された。LAT8881の治療可能性を検証するため、グループ3のマウスを、タバコ煙曝露の2時間前に、LAT8881(20mg/kg)を2日目から2日おきに鼻腔内点滴注入により処置した。グループ4のマウスは、タバコ煙暴露の2時間前に、LAT8881(20mg/kg)を42日目から2日おきに鼻腔内点滴注入により処置した。次いで、ペントバルビタールナトリウム(最大325mg/kgマウス)を腹腔内に過剰投与することにより、8週目の煙曝露期間の終了時にマウスを殺処分し、サンプルを採取した。
【0206】
【0207】
肺機能
マウスをケタミン(100mg/kg)及びキシラジン(10mg/kg)で麻酔した。次いで、カニュレーション(結紮を伴う気管切開)を行った。フレキシベント装置(FlexiVent及び強制呼気延長拡張(FEV)を伴うFlexiVent(Scireq);Montreal、Quebec、Canada)を用いて、ベースライン時(450回/分の呼吸数で8mL/kgの1回換気量を使用)のヒステリシス、肺抵抗、肺コンプライアンス、組織ダンピング及び気道固有抵抗を評価した。FEV拡張を用いて、ピーク呼気流量、強制肺活量、強制呼気容積及び強制呼気流量を評価した。この麻酔及び換気の組み合わせは一般的であり、製造者に推奨されたものである。ヒステリシスの算出には最大の圧容積ループを用いた。肺抵抗及び動的コンプライアンスは、スナップショット摂動機能を用いて評価した。強制振動摂動は、気道(ニュートン)抵抗及び組織ダンピングを決定するために使用した。すべての摂動において、決定係数0.95が許容可能な測定値の最小値であった。各摂動は1匹につき3回実施し、平均値を算出し、各摂動の間には最低20秒の換気期間を設けた(Beckettら、J. Allergy and Clin.Immunol., 2013, 131(3):752-762を参照)。
【0208】
BALFの回収、処理及び染色
肺の多葉を右気管支において縛り、個々の肺葉を取り出し、さらなる分子的解析のために回収した。元のままの左肺葉は気管支肺胞洗浄液(BALF)の回収に用いた。BALFは、室温において2つの500μLのPBSアリコートで肺を洗浄することにより回収した。
【0209】
BALFは、132×gで5分間、4℃で遠心分離することにより処理した。得られた上清を回収し、さらなる評価のために-80℃で保存した。細胞ペレットを赤血球(RBC)溶解緩衝液(0.15M塩化アンモニウム(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia)、0.01M重炭酸ナトリウム(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia)、0.001M EDTA(Sigma Aldrich、Castle Hill、NSW、Australia)に4℃で5分間懸濁した。1mLのPBSを添加し、赤血球溶解緩衝液の活性を停止した。この溶液を132×gで5分間、4℃で遠心分離した。このときは、得られた上清を廃棄し、細胞ペレットを160μLのPBSに再懸濁した。
【0210】
トリパンブルー色素排除法を用いて、血球計数装置により総白血球数を計数した。残りのサンプルは、細胞遠心機(Shandon、Cheshire、England)を用いて、清浄な顕微鏡用スライドに300rpmで10分間細胞遠心した。スライドを一晩乾燥させた後、May-Grunwald Giemsa染色法で染色し、個々の細胞種を列挙した(Thorburn et al., Thorax, 2010, 65(12):1053-60)。炎症細胞の列挙は、光学顕微鏡(倍率40倍)で合計200個の細胞の計数することによって実施し、細胞をその形態に基づいて分類した。
【0211】
組織診断のための肺処理
心臓の右心室心尖部から、肺が膨らみ、色が白/ピンクに変わるまで、一定の圧力で、0.9%塩化ナトリウム溶液を静かに注入し、左肺を灌流した。次いで、左肺を膨張させ、気管を介して10%中性緩衝ホルマリン(Lonza Australia Proprietary Limited、Waverley Vic、Australia)で固定した。次いで、左肺を摘出し、ホルマリン中で最低24時間保存して組織を固定した。次いで、固定した左肺を、10%エタノール(AnalaR NORMAPUR(登録商標)ACS、Avantor)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(ThermoFisher Scientific、Grand Island、New York)に移した。
【0212】
Leica HistoCore PEARLティッシュプロセッサーを用いて肺を処理し、処理後の肺をパラフィン包埋し、Leica RM2245半自動ミクロトームで切片化した。切片(厚み3.5μm)を顕微鏡用スライドにマウントした。コラーゲン沈着を測定するためにマッソントリクローム染色を用い、肺気腫様肺胞拡張の評価のためにH&E染色を用いた(Donovan et al., J. Leukocyte Biology., 2019, 105(1):143-150)。
【0213】
結果
COPDの顕著な特徴の一つである慢性気道炎症は、雌のc57BL/6マウスを2週間又は8週間タバコ煙に暴露することで誘発された。気道炎症は、気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞、マクロファージ、好中球及びリンパ球の分画計数によって評価した。気道炎症の亢進は、空気曝露マウス(対照群;空気)と比較して、タバコ煙曝露マウスにおいて、総白血球数、マクロファージ数、好中球数、リンパ球数及び好酸球数が増加したことから明らかであった(
図1A-D及び
図3参照)。LAT8881による処置は、総白血球数、マクロファージ数、好中球数及び好酸球数の減少によって示されるように、タバコ煙曝露マウスにおいて気道炎症を有意に軽減した(
図1A-D及び
図3参照)。有利なことに、タバコ煙に毎日暴露された後42日目からLAT8881で処置した動物において、総白血球数が減少したことによって示されるように、LAT8881による処置はまた、気道炎症を回復させた。
【0214】
図2Gに示すように、LAT8881による処置は、タバコ煙に暴露された動物を含む無処置の動物と比較して、肺コンプライアンスを有意に改善した。
【0215】
実施例3:アレルギー性気道疾患(AAD)動物モデルにおける気道反応性に対するペプチドの効果
Essilfieらが以前に記載したように(2011, PLoS Pathog; 7:e1002244)、6~8週齢の雌のBALB/cマウスを、0日目に、補助剤(alum;0.9%生理食塩水200μLに、26μLの2% Alhydrogel(Invivogen)を含む)と共に、オボアルブミン(Ova、50μg;Sigma Aldrich、Castle Hill、Australia)を腹腔内(IP)に感作させた。次いで、12~13日目及び33~34日目に、マウスにOvaを鼻腔内(IN)投与した(20μg;50μL滅菌生理食塩水)。
【0216】
次いで、14日目に、マウスに以下のようにクラミジア・ムリダルムを投与した:マウスの天然病原体のクラミジア・ムリダルム(Cmu)を投与するために、マウスにCmu(100封入体形成単位、ATCCVR-123、30μLスクロースリン酸グルタミン酸緩衝液(SPG))を鼻腔内に接種した;且つ、
負荷実験において:
(i)Ova投与と共に、32~34日目に、デキサメタゾン(DEX)(2mg/kg;50μLリン酸緩衝生理食塩水(PBS))を鼻腔内投与(グループ6)
(ii)グループ7に、20mg/kgのLAT8881(リン酸緩衝生理食塩水に懸濁)25μLを鼻腔内投与
(iii)グループ8に、32~34日目に、DEX及びLAT8881の両方を処置
(iv)対照群は、生理食塩水と共に偽薬を感作させ、偽薬を接種
の処置を行った。
【0217】
最終投与の24時間後にマウスを殺処分し、気道過敏性(AHR)を評価した。
【0218】
AHRは、すべての実験において、Scireq flexiVent FX1システム(Montreal、Canada)を用いて、麻酔をかけ、カニューレを挿入したマウスで測定した。簡単に説明すると、外科的麻酔が効いた時点で、18G又は19Gのカニューレを気管切開で挿入し、綿の縫合糸で気管に固定した。カニューレを挿入したマウスをフレキシベント装置に接続し、8mL/kgの1回換気量、450回/分の呼吸数で換気させた。安定後、ベースラインの肺機能測定を行った。マウスに、エアロゾル化したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、次いで濃度を増加させながらアセチル-β-メチルコリン塩化物([メタコリン]1.25~100mg/mL)を投与した。エアロゾルは超音波ネブライザーを用いて生成し、吸気ラインに供給した。各エアロゾルは最大5分間噴射され、その間、定期的な換気が維持された。測定終了後、ペントバルビタールナトリウム(>100mg/kg)を腹腔内注射してマウスを安楽死させた。
【0219】
下記の表4は、本試験における偽薬群/処置群の概要を示す。
【0220】
【0221】
結果
図4Aに示すように、メタコリン投与濃度を増加させて投与したマウスは、気道抵抗(Rn)が増加することによって証明されるように、気道過敏性の悪化を示した。
図4Bに示すように、LAT8881による処置は、偽薬(生理食塩水)で処置した動物と比較して、気道抵抗が有意に減少した。
【配列表】
【国際調査報告】