IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーエルシー マネージメント エルエルシーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】毛髪脱色組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20240405BHJP
   A61Q 5/08 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q5/08
A61K8/41
A61K8/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570218
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2022029072
(87)【国際公開番号】W WO2022241166
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】17/320,150
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/688,075
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノウラン 三世、ダニエル トーマス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC581
4C083AC582
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB53
4C083CC35
4C083EE27
(57)【要約】
毛髪脱色組成物、毛髪脱色組成物を使用するための方法、及び毛髪脱色組成物を調製するための方法が本明細書に提供される。毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの没食子酸誘導体と、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、少なくとも1つの酸化剤と、任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪脱色組成物であって、
a)少なくとも1つの下記式(I)の没食子酸誘導体であって、
【化1】
式中、Rは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、又は1~18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基を表し、
、R、及びRは、独立して、水素原子、水酸基、1~18個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、又は単糖、二糖、若しくはオリゴ糖の残基を表す、没食子酸誘導体と、
b)少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、
c)少なくとも1つの酸化剤と、
d)任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は少なくとも1つの毛髪トリートメント剤と、を含む、毛髪脱色組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの没食子酸誘導体が、没食子酸-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,4-ジグルコシド、没食子酸メチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸エチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸プロピル-3,5-ジグルコシド、没食子酸ブチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,5-ジマンノシド、没食子酸ナトリウム-3,5-ジグルコシド、没食子酸アンモニウム-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3-グルコシド、没食子酸メチル-3-グルコシド、没食子酸エチル-3-グルコシド、没食子酸プロピル-3-グルコシド、没食子酸-4-グルコシド、没食子酸ナトリウム-3-グルコシド、没食子酸アンモニウム-4-グルコシド、没食子酸-3-マンノシド、没食子酸-4-マンノシド、没食子酸メチル-4-マンノシド、及びそれらの混合物から選択される前記没食子酸誘導体を含む、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの没食子酸誘導体が、ジグルコシル没食子酸を含む、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの没食子酸誘導体が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、0.0001%~10%存在する、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、0.01%~10%存在する、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酸化剤が、過硫酸塩、過炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの酸化剤が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項8】
前記毛髪脱色組成物のペルスルファート負荷が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、約1%~約85%である、請求項7に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項9】
毛髪脱色組成物を使用するための方法であって、
a)前記脱色組成物を顕色剤組成物と混合することと、
b)工程(a)の混合物を毛髪に適用し、前記混合物を2時間以下放置させることと、
c)前記工程(a)の前記混合物を毛髪からすすぐことと、を含み、
前記脱色組成物が、少なくとも1つの没食子酸誘導体と、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、少なくとも1つの酸化剤と、
任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む、方法。
【請求項10】
毛髪脱色組成物を調製するための方法であって、
a)1つ以上の没食子酸誘導体を、1つ以上のアミノ酸及び/又はそれらの化粧品として許容される塩と混合することと、
b)脱色剤を工程(a)の混合物と混合することと、を含み、
前記毛髪脱色組成物が、毛髪脱色のために新たに調製される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、毛髪を脱色するための組成物及び方法、並びに毛髪脱色組成物を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の色を変化させるプロセスである毛髪着色は、望ましい毛髪の色を達成するために広く用いられており、主要な毛髪スタイリングツールとして使用されている。毛髪着色プロセスは、典型的には、毛髪を脱色し、次いで所望の色を毛髪上に沈着させる工程を含む。毛髪を脱色する目的は、毛髪の現在の色を除去して、後に沈着した色が最適な効果を示すようにすることである。多くの場合、脱色工程は必須であるが、それは、現在の毛髪の色の残留物が後に沈着した色を妨害し、望ましい最終効果を達成することを不可能にするからである。このビーチング(beaching)工程は、毛髪「ライトニング」又は毛髪の色の「リフティング」工程として知られており、毛髪着色及びスタイリング産業において極めて重要な役割を果たす。
【0003】
毛髪脱色は、主に毛髪脱色プロセスで用いられる酸化成分に起因する欠点を有する。これらの酸化成分は、毛髪に損傷を引き起こし、かつ/又は頭皮を刺激することが知られている。毛髪脱色によって引き起こされる損傷は、美容的なものだけでなく構造的なものであり得る。例えば、毛髪脱色プロセスは、毛髪繊維中のジスルフィド結合の切断をもたらし得る。次に、毛髪脱色は、毛髪着色及び毛髪スタイリングにおける主要な限定工程となる。
【0004】
毛髪脱色によって引き起こされる毛髪損傷を修復及び最小化するための方法を求めての産業界の長年の努力にもかかわらず、この問題を根本的に解決したものはまだない。研究者らは、この問題に対処する際に2つの異なるアプローチを取ってきた:脱色後の修復処置及び新しい損傷最小化脱色方法。前者は、いくつかの構造的損傷が永久的であり、単に修復処置によって治癒することができないという事実によって限定されてきた。後者の新しい損傷最小化脱色方法は、毛髪損傷の主な原因である酸化成分も毛髪を効果的に脱色するのに十分に強力でなければならないため重大な課題を提起している。したがって、理想的な脱色方法を達成するためには、完全なバランスが取られなければならず、この場合、毛髪繊維は、脱色プロセス中の脱色損傷に対して著しく強化され、同時に、合理的な脱色能力を維持する。
【0005】
したがって、本開示の1つの目的は、予想外に毛髪に対して優しいと同時に、妥当な脱色効果を維持する毛髪脱色組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
毛髪脱色組成物、毛髪脱色組成物を使用するための方法、及び毛髪脱色組成物を調製するための方法が本明細書に提供される。
【0007】
本発明は、(a)少なくとも1つの没食子酸誘導体と、(b)少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、(c)少なくとも1つの酸化剤と、(d)任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む、毛髪脱色組成物に関する。
【0008】
本発明はまた、(a)毛髪脱色組成物を顕色剤組成物と混合することと、(b)工程(a)の混合物を毛髪に適用し、混合物を2時間以下放置させることと、(c)工程(a)の混合物を毛髪からすすぐことと、を含む、毛髪脱色組成物を使用するための方法に関し、毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの没食子酸誘導体と、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、少なくとも1つの酸化剤と、任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む。
【0009】
本発明はまた、(a)1つ以上の没食子酸誘導体を、1つ以上のアミノ酸及び/又はそれらの化粧品として許容される塩と混合することと、(b)脱色剤を工程(a)の混合物と混合して、毛髪脱色組成物を形成することと、を含む毛髪脱色組成物を調製するための方法に関し、毛髪脱色組成物は、毛髪脱色のために新たに調製される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義及び規則
「含むこと(comprising)」という用語は、要素のリストが明示的に記載されたものに必ずしも限定されないことを意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「毛髪」は、頭髪、顔の毛髪、及び体毛を含む哺乳動物の毛髪を意味するが、特にヒトの頭部の毛髪を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「化粧品として許容される」は、組成物又は構成成分がヒトのケラチン組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「天然に存在する」は、天然に存在し、人工的な補助を伴わないことを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「必須アミノ酸」は、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、及びバリンからなる群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0015】
本明細書で使用される場合、「条件付き必須アミノ酸」は、アルギニン、システイン、グルタミン、チロシン、グリシン、オルニチン、プロリン、及びセリンの群から選択されるアミノ酸を意味する。
【0016】
「分子量」という用語は、特に明記しない限り、重量平均分子量を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「QS」は、100%に十分な量を意味する。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ペルスルファート負荷」という語句は、全組成物の重量に基づく過硫酸イオンの重量パーセンテージを意味する。
【0019】
本明細書で使用される場合、「ペルカルボナート負荷」という語句は、全組成物の重量に基づく過炭酸イオンの重量パーセンテージを意味する。
【0020】
特に明記しない限り、全ての数量は、「約」という語によって修飾されると理解され、全てのパーセンテージは、全組成物の重量によるものであり、全ての比は、重量比である。
【0021】
本明細書に明確に記載される全ての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入る全てのより狭い数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「要素」への言及は、1つ以上の要素への言及であり、当業者に知られているその均等物を含む。同様に、別の例では、「工程」又は「手段」への言及は、1つ以上の工程又は手段への言及であり、サブ工程及び従属手段を含み得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、一連の選択肢を記載する文は、各所与の選択肢がそれ自体で文において提供されるように、一連の文が提供されたかのように解釈されるべきである。例えば、「いくつかの実施形態では、組成物は、A、B、又はCを含む」という文は、以下の3つの別個の文:「いくつかの実施形態では、組成物は、Aを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、Bを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、Cを含む。」として書かれているかのように解釈されるべきである。別の例として、「いくつかの実施形態では、組成物は、少なくともA、B、又はCを含む」という文は、以下の3つの別個の文:「いくつかの実施形態では、組成物は、少なくともAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくともBを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくともCを含む。」として書かれているかのように解釈されるべきである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、「及び」又は「又は」を意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「A、B、又はA及びBの両方」を意味し、「A、B、C、及び/又はD」は、「A、B、C、D、又はそれらの組み合わせ」を意味し、当該「A、B、C、D、又はそれらの組み合わせ」は、A、B、C、及びDの任意のサブセット、例えば、単一メンバーサブセット(例えば、A又はB又はC又はD)、2つのメンバーのサブセット(例えば、A及びB、A及びC、など)、又は3つのメンバーのサブセット(例えば、A、B、及びC、又はA、B、及びD、など)、又は4つ全てのメンバー(例えば、A、B、C、及びD)を意味する。
【0025】
毛髪脱色組成物
本明細書には、
a)少なくとも1つの没食子酸誘導体と、
b)少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、
c)少なくとも1つの酸化剤と、
d)任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む、毛髪脱色組成物が記載される。
【0026】
毛髪脱色組成物は、粉末、スラリー粉末、懸濁液、エマルション、クリーム、ローション、及び軟膏の形態にあり得る。
【0027】
没食子酸誘導体
毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの下記式(I)の没食子酸誘導体を含み、
【0028】
【化1】
式中、Rは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、又は1~18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基を表し、R、R、及びRは、独立して、水素原子、水酸基、1~18個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、又は単糖、二糖、若しくはオリゴ糖の残基を表す。
【0029】
好ましくは、毛髪脱色組成物は、式(I)中のR、R、及びRのうちの2つが、独立して、単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基を表す、1つ以上の没食子酸誘導体を含み得る。
【0030】
より好ましくは、毛髪脱色組成物は、没食子酸-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,4-ジグルコシド、没食子酸メチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸エチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸プロピル-3,5-ジグルコシド、没食子酸ブチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,5-ジマンノシド、没食子酸ナトリウム-3,5-ジグルコシド、及び没食子酸アンモニウム-3,5-ジグルコシドの群から選択される1つ以上の没食子酸誘導体を含み得る。
【0031】
最も好ましくは、毛髪脱色組成物は、没食子酸-3,5-グルコシドを含み得る。
【0032】
毛髪脱色組成物は、式(I)中のR、R、及びRのうちの1つが、各々没食子酸誘導体の総含有量に基づいて、単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基を表す少なくとも1つの没食子酸誘導体を更に含み得る。好ましくは、R、R、及びRのうちの1つが、各々没食子酸誘導体の総含有量に基づいて、単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基を表す没食子酸誘導体は、没食子酸-3-グルコシド、没食子酸メチル-3-グルコシド、没食子酸エチル-3-グルコシド、没食子酸プロピル-3-グルコシド、没食子酸-4-グルコシド、没食子酸ナトリウム-3-グルコシド、没食子酸アンモニウム-4-グルコシド、没食子酸-3-マンノシド、没食子酸-4-マンノシド、没食子酸メチル-4-マンノシドなどの群から選択される。
【0033】
市販の没食子酸誘導体の非限定的な例としては、ジグルコシル没食子酸のINCI名を有する、Lion Specialty Chemicals Co.,Ltd.によって販売されているDGG LEOGARD DGGの商品名の製品が挙げられる。
【0034】
毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの没食子酸誘導体を、各々毛髪脱色組成物の重量に基づいて、0.0001%~10%、好ましくは0.0005%~5%、特に好ましくは0.001%~1%、非常に好ましくは0.01%~0.1%の総量で含み得る。
【0035】
アミノ酸及びアミノ酸誘導体
毛髪脱色組成物は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む。
【0036】
少なくとも1つのアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0037】
少なくとも1つのアミノ酸は、必須アミノ酸、条件付き必須アミノ酸、及びそれらの混合物から選択され得る。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸は、少なくとも1つの必須アミノ酸及び少なくとも1つの条件付き必須アミノ酸を含み得る。
【0038】
少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、天然に存在するアミノ酸誘導体であり得る。
【0039】
少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、アミノ酸塩、ラクタム、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0040】
少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、アミノ酸塩を含み得る。好ましくは、アミノ酸塩は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。より好ましくは、アミノ酸塩は、アルカリ金属塩であり得る。
【0041】
少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、ラクタムを含み得る。いくつかのラクタムは、遊離酸基(すなわち、ピログルタミン酸)を含有する場合があり、したがって、塩(すなわち、ピログルタミン酸塩)を形成する可能性があり得ることが理解される。したがって、化学的に可能な場合、少なくとも1つのアミノ誘導体は、ラクタム及び/又はそれらの塩を含み得る。好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムからなる群から選択され得る。より好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、γ-ラクタムを含み得る。最も好ましくは、少なくとも1つのアミノ酸誘導体は、ピログルタミン酸及び/又はその塩を含み得る。
【0042】
好ましくは、毛髪脱色組成物は、少なくとも1つのアミノ酸及び少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含む。より好ましくは、毛髪脱色組成物は、少なくとも2つのアミノ酸及び少なくとも1つのアミノ酸誘導体を含み得る。特に好ましくは、毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの必須アミノ酸、少なくとも1つの条件付き必須アミノ酸、少なくとも1つのラクタム、及び/又はそれらの化粧品として許容される塩を含み得る。非常に好ましくは、毛髪脱色組成物は、リジン、アルギニン、及びピログルタミン酸、並びに/又はそれらの化粧品として許容される塩を含む。最も好ましくは、毛髪脱色組成物は、リジン、アルギニン、及びピログルタミン酸を含む。
【0043】
毛髪脱色組成物は、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は最小の1つのアミノ酸誘導体を、各々毛髪脱色組成物の重量に基づいて、0.01%~10%、好ましくは0.05%~8%、特に好ましくは0.08%~5%、非常に好ましくは0.1%~3%の総量で含み得る。
【0044】
毛髪脱色組成物が少なくとも1つのアミノ酸及び少なくとも1つのラクタムを含む場合、本アミノ酸の総重量は、本ラクタムの総重量未満であり得る。好ましくは、最も低い濃度を有するアミノ酸対最も高い濃度を有するラクタムの重量比は、1:20以上、好ましくは1:15以上、より好ましくは1:10以上であり得る。
【0045】
毛髪脱色組成物が少なくとも2つのアミノ酸を含む場合、最も高い濃度を有するアミノ酸対最も低い濃度を有するアミノ酸の重量比は、10:1以下、好ましくは8:1以下、より好ましくは5:1以下であり得る。
【0046】
毛髪脱色組成物が、ピログルタミン酸、リジン、及びアルギニン、並びに/又はそれらの化粧品として許容される塩を含む場合、最も高い濃度から最も低い濃度への順序は、ピログルタミン酸、アルギニン、及びリジンであり得る。
【0047】
酸化剤
毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの酸化剤を含む。
【0048】
酸化剤は、過硫酸塩、過炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0049】
好ましくは、酸化剤は、アルカリ金属過硫酸塩、アルカリ金属過炭酸塩、過硫酸アンモニウム、過炭酸アンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0050】
過硫酸塩の例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
過炭酸塩の例としては、過炭酸ナトリウム及び過炭酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
より好ましくは、毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの過硫酸塩を含む。
【0053】
最も好ましくは、毛髪脱色組成物は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの過硫酸塩を含む。
【0054】
酸化剤は、毛髪脱色目的のために、純粋な形態又は他の成分の混合物で使用され得る。酸化混合物は、産業において頻繁に使用され、1つ以上の酸化剤を含有し得る。複数の酸化剤を混合することは、より良好な溶解性、より滑らかな適用、顕色剤とのより良好な適合性、及びより良好な外観最終結果などの有利な効果をもたらし得る。
【0055】
酸化混合物の例としては、市販の脱色粉末、例えば、Aveda Corporationによる商品名Aveda Enlightener Freehand Bond-Strengthening Lightener及びCoty,Inc.による商品名Clairol Professional BW2 Powder Lightenerで販売されている製品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
酸化混合物が毛髪脱色目的に使用される場合、毛髪脱色組成物の酸化能力は、どのカチオンが毛髪脱色組成物中に存在するかに関係なく、ペルスルファート負荷及び/又はペルカルボナート負荷によって測定され得る。酸化混合物のペルスルファート負荷は、ヨウ素滴定を含む確立された分析方法によって決定され得る。
【0057】
毛髪脱色組成物は、少なくとも1つの酸化剤を含んでもよく、毛髪脱色組成物のペルスルファート負荷及び/又はペルカルボナート負荷は、各々毛髪脱色組成物の重量に基づいて、1%~85%、好ましくは5%~70%、特に好ましくは10~60%、非常に好ましくは30%~50%であり得る。
【0058】
任意選択的な毛髪ケア成分及び/又は毛髪トリートメント成分
任意選択的に、毛髪脱色組成物は、毛髪脱色組成物に典型的に使用される毛髪ケア成分及び/又は毛髪トリートメント成分を、それらの成分が他の構成成分と適合性であり、本発明によってもたらされる有益な結果を損なわない限り、それらの従来技術で確立されたレベルで含み得る。そのような任意選択的な成分としては、油、脂肪酸、脂肪アルコール、エステル、懸濁化剤、pH値調整剤などが挙げられ、これらは、毛髪脱色配合物での使用が承認されている。
【0059】
油は、典型的には、天然油及び合成油を含む。天然油が好ましい場合がある。
【0060】
天然油の非限定的な例としては、アボカド油、ひまし油、ヤシ油、ホホバ油、ブドウ種子油、ククイ種子油、オリーブ油、バラ油、ローズマリー油、ヒマワリ油、スイートアーモンド油、及びチャ油が挙げられる。
【0061】
脂肪酸は、典型的には、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸を含む。
【0062】
脂肪アルコールは、典型的には、飽和脂肪アルコール及び不飽和脂肪アルコールを含む。
【0063】
毛髪脱色組成物は、各々毛髪脱色組成物の重量に基づいて、0.01%~30%、好ましくは0.1%~20%、特に好ましくは0.2%~15%、非常に好ましくは0.2%~10%で存在する少なくとも1つの毛髪ケア成分及び/又は毛髪トリートメント成分を含み得る。
【0064】
作製方法
本明細書には、
a)1つ以上の没食子酸誘導体を、1つ以上のアミノ酸及び/又はそれらの化粧品として許容される塩と混合することと、
b)脱色剤を工程(a)の混合物と混合することと、を含む、毛髪脱色組成物を調製するための方法が記載され、
毛髪脱色組成物は、毛髪脱色のために新たに調製される。
【0065】
使用方法
本明細書には、
a)毛髪脱色組成物を顕色剤組成物と混合することと、
b)工程(a)の混合物を毛髪に適用し、混合物を2時間以下放置させることと、
c)工程(a)の混合物を毛髪からすすぐことと、含む、毛髪脱色組成物を使用するための方法が記載され、
脱色組成物は、少なくとも1つの没食子酸誘導体と、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、少なくとも1つの酸化剤と、任意選択的に1つ以上の毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む。
【0066】
顕色剤組成物
本明細書の毛髪脱色方法で使用される顕色剤組成物は、過酸化水素及び/又は過酸化物塩を含む。
【0067】
顕色剤組成物は、各々顕色剤組成物の重量に基づいて、0.1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~30重量%の過酸化水素及び/又は過酸化塩を含み得る。
【0068】
顕色剤組成物の目的は、毛髪のキューティクルへのアクセスを可能にして、毛髪脱色及び/又は着色が効果的であり得るようにすることである。顕色剤組成物なしでは、毛髪脱色及び/又は着色組成物は、所望の結果を達成しない。
【0069】
顕色剤組成物の顕色剤強度は、典型的には、溶液の体積当たりの遊離した酸素の体積で測定される。例えば、顕色剤組成物30体積のうちの1体積は、30体積の酸素を遊離することができる。
【0070】
顕色剤組成物の例としては、Aveda Color Catalyst Developerの商品名で、及びSalon Care Clear Developerの商品名で販売されている市販の製品が挙げられるが、これらに限定されず、様々な体積選択を有する。
【実施例
【0071】
以下は、本明細書に記載の毛髪脱色組成物の非限定的な実施例である。これらの実施例は、本発明を限定するものと解釈されるべきではなく、その多くの変形が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能である。
【0072】
実施例1
1.1.酸化混合物
以下の実施例において、市販の酸化混合物を使用した。各市販の酸化混合物のペルスルファート負荷は、入手可能なデータに基づいて計算するか、又はヨウ素滴定によって決定した。例えば、Aveda Enlightener Freehand Bond-Strengthening Lightenerは、約38%の過硫酸カリウム、約14%の過硫酸アンモニウム、及び約6%の過硫酸ナトリウムを含有し、これは、約48.5%のペルスルファート負荷に変換することができる。
【0073】
【表1】
【0074】
1.2.毛髪脱色組成物
式1の毛髪脱色組成物を、Aveda Corporationによって販売されている96グラムのAveda Enlightener Freehand Bond-Strengthening Lightenerと4グラムの水とを混合することによって調製した。
【0075】
式2の毛髪脱色組成物を2つの工程で調製した:第1の工程において、80グラムのピログルタミン酸、40グラムのアルギニン、10グラムのリジン、及び2グラムのジグルコシル没食子酸を一緒に混合し、第2の工程において、第1の工程で得られた1.32グラムの混合物を、96グラムのAveda Enlightener Freehand Bond-Strengthening Lightener及び2.68グラムの水と混合した。
【0076】
したがって、Aveda Enlightener Freehand Bond-Strengthening Lightener粉末のペルスルファート負荷に基づいて、式1及び式2のペルスルファート負荷は同じであり、約46.56%である。
【0077】
1.3.適用
トレス調製
実験I~IVについては、1インチの幅、6インチの長さ、及び約3gの毛髪を測定するレベル8の毛髪見本を、3つの同等のセクションに分割した。1つのセクションを未処置として保持し、他の2つをそれぞれ実験I及びIII、並びに実験II及びIVにおいて使用した。
【0078】
実験I
式1の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 40 Catalyst Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0079】
この脱色プロセスを1回行った。処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。次いで、処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前及び実験IIIで使用する前に、湿度室中で24時間保管した。
【0080】
実験II
式2の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 40 Catalyst Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0081】
この脱色プロセスを1回行った。処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。次いで、処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前及び実験IVで使用する前に、湿度室中で24時間保管した。
【0082】
実験III
式1の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 30 Catalyst Developer(10g)とを混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、実験Iからの乾燥した毛髪トレスの房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0083】
予想通り、全ての処置した毛髪繊維は、実験Iのものよりも多くの色落ちを示した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。
【0084】
実験IV
毛髪脱色組成物式2(5g)とAveda Color Volume 30 Catalyst Developer(10g)とを混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、実験IIからの乾燥した毛髪の房毛髪トレスに均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0085】
全ての処置した毛髪繊維は、実験IIのものよりも多くの色落ちを示した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。
【0086】
1.4.弾性率(Elastic Modulus、EMod)の変化の決定
各トレスから、黄銅クリンプ及びDiastron AAS 1600(Diastron Ltd、UK)を使用して毛髪に糸を通してクリンプする引張分析のために40本の個々の毛髪繊維を調製した。各繊維の平均断面積を、レーザマイクロメータFDAS 770ユニット(Diastron Ltd、UK)を使用して、24℃及び55%の相対湿度(relative humidity、RH)で決定した。
【0087】
試験前に、全ての毛髪繊維を水に1時間浸した。次いで、それらを、制御ユニットUV1000を備えたDiastron MTT 686装置(Diastron Ltd、UK)を用いて延伸し(0~1.5%伸長)、最終結果をソフトウェア分析(UvWin 2.35.0000,Diastron,Ltd、UK)によって計算した。次いで、弾性率の変化を以下の表に記録した。より高いEMod値は、より強い毛髪繊維に対応することが理解される。したがって、負のEMod値は、毛髪ライトニングプロセスからもたらされるより低い毛髪繊維強度に関連し得る。値が負であるほど、毛髪ライトニングプロセス中により多くの強度損失が引き起こされ得る。
【0088】
表2の結果は、実験II及びIVにおける毛髪繊維が、それぞれ実験I及びIIIにおいて処置された毛髪繊維の強度損失よりもはるかに少ない強度損失を示すことを明らかに示している。
【0089】
【表2】
【0090】
実施例2
2.1適用
トレス調製
実験V及びVIについては、1インチの幅、6インチの長さ、及び約3gの毛髪(IHIP、NY)を測定するレベル8の毛髪見本を、3つの同等のセクションに分割した。1つのセクションを未処置として保持し、他の2つを記載したように処置した。
【0091】
実験V
式1の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 40 Catalyst Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0092】
房を連続して合計2回脱色するように、この脱色プロセスを1回繰り返した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。全ての処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。
【0093】
実験VI
式2の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 40 Catalyst Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0094】
房を連続して合計2回脱色するように、この脱色プロセスを1回繰り返した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。全ての処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。
【0095】
2.2.弾性率(EMod)の変化の決定
各トレスから、黄銅クリンプ及びDiastron AAS 1600(Diastron Ltd、UK)を使用して毛髪に糸を通してクリンプする引張分析のために40本の個々の毛髪繊維を調製した。各繊維の平均断面積を、レーザマイクロメータFDAS 770ユニット(Diastron Ltd、UK)を使用して、24℃及び55%の相対湿度(RH)で決定した。
【0096】
試験前に、全ての毛髪繊維を水に1時間浸した。次いで、それらを、制御ユニットUV1000を備えたDiastron MTT 686装置(Diastron Ltd、UK)を用いて延伸し(0~1.5%伸長)、最終結果をソフトウェア分析(UvWin 2.35.0000,Diastron,Ltd、UK)によって計算した。次いで、弾性率の変化を以下の表に記録した。より高いEMod値は、より強い毛髪繊維に対応することが理解される。したがって、負のEMod値は、毛髪ライトニングプロセスからもたらされるより低い毛髪繊維強度に関連し得る。値が負であるほど、毛髪ライトニングプロセス中により多くの強度損失が引き起こされ得る。表3の結果は、実験VIにおける毛髪繊維が、それぞれ実験Vによって処置された毛髪繊維の強度損失よりもはるかに少ない強度損失を示すことを明らかに示している。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例3
3.1適用
トレス調製
実験VII及びVIIIについては、1インチの幅、6インチの長さ、及び約3gの毛髪(IHIP、NY)を測定するレベル4の単一供給源毛髪見本を、3つの同等のセクションに分割した。1つのセクションを未処置として保持し、他の2つを記載したように処置した。
【0099】
実験VII
式1の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 30 Catalyst Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0100】
房を連続して合計2回脱色するように、この脱色プロセスを1回繰り返した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。全ての処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。
【0101】
実験VIII
式2の毛髪脱色組成物(5g)とAveda Color Volume 30 Catalyst Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0102】
房を連続して合計2回脱色するように、この脱色プロセスを1回繰り返した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。全ての処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。
【0103】
3.2.弾性率(EMod)の変化の決定
各トレスから、黄銅クリンプ及びDiastron AAS 1600(Diastron Ltd、UK)を使用して毛髪に糸を通してクリンプする引張分析のために40本の個々の毛髪繊維を調製した。各繊維の平均断面積を、レーザマイクロメータFDAS 770ユニット(Diastron Ltd、UK)を使用して、24℃及び55%の相対湿度(RH)で決定した。
【0104】
試験前に、全ての毛髪繊維を水に1時間浸した。次いで、それらを、制御ユニットUV1000を備えたDiastron MTT 686装置(Diastron Ltd、UK)を用いて延伸し(0~1.5%伸長)、最終結果をソフトウェア分析(UvWin 2.35.0000,Diastron,Ltd、UK)によって計算した。次いで、弾性率の変化を以下の表に記録した。より高いEMod値は、より強い毛髪繊維に対応することが理解される。したがって、負のEMod値は、毛髪ライトニングプロセスからもたらされるより低い毛髪繊維強度に関連し得る。値が負であるほど、毛髪ライトニングプロセス中により多くの強度損失が引き起こされ得る。
【0105】
表4の結果は、実験VIIIにおける毛髪繊維が、それぞれ実験VIIによって処置された毛髪繊維の強度損失よりもはるかに少ない強度損失を示すことを明らかに示している。
【0106】
【表4】
【0107】
実施例4
4.1毛髪脱色組成物
98.6グラムのCoty,Inc.によるClairol Professional BW2 Powder Lightenerと1.4グラムの水とを混合することによって、式3の毛髪脱色組成物を調製した。
【0108】
式4の毛髪脱色組成物を2つの工程で調製した:第1の工程において、80グラムのピログルタミン酸、40グラムのアルギニン、10グラムのリジン、及び2グラムのジグルコシル没食子酸を一緒に混合し、第2の工程において、第1の工程で得られた1.32グラムの混合物を、98.6グラムのCoty,Inc.によるClairol Professional BW2 Powder Lightener及びQS量の水と混合した。
【0109】
したがって、Clairol Professional BW2 Powder Lightenerのペルスルファート負荷に基づいて、式3及び式4のペルスルファート負荷は同じであり、約44.37%である。
【0110】
4.2適用
トレス調製
実験IX及びXについては、1インチの幅、6インチの長さ、及び約3gの毛髪(IHIP、NY)を測定するレベル8の毛髪見本を、3つの同等のセクションに分割した。1つのセクションを未処置として保持し、他の2つを記載したように処置した。
【0111】
実験IX
式3の毛髪脱色組成物(5g)とSalon Care 30 Volume Clear Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0112】
房を連続して合計2回脱色するように、この脱色プロセスを1回繰り返した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。全ての処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。
【0113】
実験X
式4の毛髪脱色組成物(5g)とSalon Care 30 Volume Clear Developer(10g)とを一緒に混合した。新たに生成した混合物を、毛髪1グラム当たり5gの混合物の量で、乾燥した毛髪の房に均一に適用した。房を37℃で45分間脱色した後、水を使用して2分間洗浄し、ヘアドライヤーを使用して中温で乾燥させた。
【0114】
房を連続して合計2回脱色するように、この脱色プロセスを1回繰り返した。処置した毛髪繊維を、弾性率試験の前に、湿度室中で24時間保管した。全ての処置した毛髪繊維は、十分な色落ちを示した。
【0115】
4.3.弾性率(EMod)の変化の決定
各トレスから、黄銅クリンプ及びDiastron AAS 1600(Diastron Ltd、UK)を使用して毛髪に糸を通してクリンプする引張分析のために40本の個々の毛髪繊維を調製した。各繊維の平均断面積を、レーザマイクロメータFDAS 770ユニット(Diastron Ltd、UK)を使用して、24℃及び55%の相対湿度(RH)で決定した。
【0116】
試験前に、全ての毛髪繊維を水に1時間浸した。次いで、それらを、制御ユニットUV1000を備えたDiastron MTT 686装置(Diastron Ltd、UK)を用いて延伸し(0~1.5%伸長)、最終結果をソフトウェア分析(UvWin 2.35.0000,Diastron,Ltd、UK)によって計算した。次いで、弾性率の変化を以下の表に記録した。より高いEMod値は、より強い毛髪繊維に対応することが理解される。したがって、負のEMod値は、毛髪ライトニングプロセスからもたらされるより低い毛髪繊維強度に関連し得る。値が負であるほど、毛髪ライトニングプロセス中により多くの強度損失が引き起こされ得る。
【0117】
表5の結果は、実験Xにおける毛髪繊維が、それぞれ実験IXによって処置された毛髪繊維の強度損失よりもはるかに少ない強度損失を示すことを明らかに示している。
【0118】
【表5】
【0119】
本発明の特定の組成物が記載されてきたが、様々な修正が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができることは当業者には明白であろう。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正を網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪脱色組成物であって、
a)少なくとも1つの下記式(I)の没食子酸誘導体であって、
【化1】
式中、Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、又は1~18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基を表し、
、R、及びRのうちの2つは、独立して、単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基を表す、没食子酸誘導体と、
b)少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、
c)少なくとも1つの酸化剤と、
d)任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は少なくとも1つの毛髪トリートメント剤と、を含む、毛髪脱色組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの没食子酸誘導体が、没食子酸-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,4-ジグルコシド、没食子酸メチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸エチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸プロピル-3,5-ジグルコシド、没食子酸ブチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,5-ジマンノシド、没食子酸ナトリウム-3,5-ジグルコシド、没食子酸アンモニウム-3,5-ジグルコシド、及びそれらの混合物から選択される前記没食子酸誘導体を含む、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの没食子酸誘導体が、ジグルコシル没食子酸を含む、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの没食子酸誘導体が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、0.0001%~10%存在する、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、0.01%~10%存在する、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酸化剤が、過硫酸塩、過炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの酸化剤が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項8】
前記毛髪脱色組成物のペルスルファート負荷が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、約1%~約85%である、請求項7に記載の毛髪脱色組成物。
【請求項9】
毛髪を脱色するための方法であって、
a)前記脱色組成物を顕色剤組成物と混合することと、
b)工程(a)の混合物を毛髪に適用し、前記混合物を2時間以下放置させることと、
c)前記工程(a)の前記混合物を毛髪からすすぐことと、を含み、
前記脱色組成物が、少なくとも1つの没食子酸誘導体と、少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、少なくとも1つの酸化剤と、
任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は毛髪トリートメント剤と、を含む、方法。
【請求項10】
少なくとも1つの没食子酸誘導体が、下記式(I)を有し、
【化2】
式中、Rは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、又は1~18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基を表し、
、R、及びRは、独立して、水素原子、水酸基、1~18個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、又は単糖、二糖、若しくはオリゴ糖の残基を表す、請求項9に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項11】
少なくとも1つの没食子酸誘導体が、没食子酸-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,4-ジグルコシド、没食子酸メチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸エチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸プロピル-3,5-ジグルコシド、没食子酸ブチル-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3,5-ジマンノシド、没食子酸ナトリウム-3,5-ジグルコシド、没食子酸アンモニウム-3,5-ジグルコシド、没食子酸-3-グルコシド、没食子酸メチル-3-グルコシド、没食子酸エチル-3-グルコシド、没食子酸プロピル-3-グルコシド、没食子酸-4-グルコシド、没食子酸ナトリウム-3-グルコシド、没食子酸アンモニウム-4-グルコシド、没食子酸-3-マンノシド、没食子酸-4-マンノシド、没食子酸メチル-4-マンノシド、及びそれらの混合物から選択される前記没食子酸誘導体を含む、請求項9に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの没食子酸誘導体が、ジグルコシル没食子酸を含む、請求項9に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの没食子酸誘導体が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、0.0001%~10%存在する、請求項9に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、0.01%~10%存在する、請求項9に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの酸化剤が、過硫酸塩、過炭酸塩、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの酸化剤が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項15に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項17】
前記毛髪脱色組成物のペルスルファート負荷が、前記毛髪脱色組成物の総重量に基づいて、約1%~約85%である、請求項16に記載の毛髪を脱色するための方法。
【請求項18】
混合物組成物であって、
1)毛髪脱色組成物であって、
a)少なくとも1つの下記式(I)の没食子酸誘導体であって、
【化3】
式中、Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩、又は1~18個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基を表し、
、R、及びRのうちの2つは、独立して、単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基を表す、没食子酸誘導体と、
b)少なくとも1つのアミノ酸及び/又は少なくとも1つのアミノ酸誘導体と、
c)少なくとも1つの酸化剤と、
d)任意選択的に少なくとも1つの毛髪ケア剤及び/又は少なくとも1つの毛髪トリートメント剤と、を含む、毛髪脱色組成物と、
2)顕色剤組成物と、を含む、混合物組成物。
【国際調査報告】