(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】造波機
(51)【国際特許分類】
E04H 4/00 20060101AFI20240408BHJP
A63C 19/10 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
E04H4/00 502B
A63C19/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562265
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 IB2022053516
(87)【国際公開番号】W WO2022219575
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523381974
【氏名又は名称】オールウエーブス ビー.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ナウウェラーツ,スティーブン エディ
(57)【要約】
サーフィン波を作るデバイスであって、デバイスは、水面下の所定の深さに固定可能な少なくとも部分的に可撓性の上壁を有するチャンバを有し、デバイスは、チャンバの少なくとも部分的に可撓性の上壁に波動を誘起するために、少なくとも部分的に可撓性の上壁に接続された複数のアクチュエータを更に備える、デバイス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーフィン波を作るデバイスであって、前記デバイスは、水面下の所定の深さに固定可能な少なくとも部分的に可撓性の上壁を有するチャンバを有し、前記デバイスは、前記チャンバの前記少なくとも部分的に可撓性の上壁に波動を誘起するために、前記少なくとも部分的に可撓性の上壁に接続された複数のアクチュエータを更に備える、デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも部分的に可撓性の上壁は長さを有し、前記複数のアクチュエータは、前記波動が前記長手方向に前進することを可能にするために、前記長さにわたって、かつ前記長手方向に最大中間距離を有して分散されている、先行する請求項に記載のデバイス。
【請求項3】
前記最大距離は、最大6メートル、好ましくは最大4メートル、より好ましくは最大2メートル、最も好ましくは最大1メートルに達する、先行する請求項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記長さは、少なくとも30メートル、好ましくは少なくとも50メートル、より好ましくは少なくとも70メートルである、請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも部分的に可撓性の上壁は、少なくとも4メートル、好ましくは少なくとも7メートル、より好ましくは少なくとも10メートルの幅を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータは、幅方向において、前記側縁部の位置に、好ましくは前記少なくとも部分的に可撓性の上壁の対向する側縁部の位置に配置されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記対向する側縁部の間に位置する前記上壁の区画には、より好ましくはアクチュエータが存在しない、先行する請求項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記チャンバは、第1の位置における前記少なくとも部分的に可撓性の上壁の下方移動が、第2の位置における前記少なくとも部分的に可撓性の上壁の上方移動を引き起こすように、実質的に完全に閉鎖された容積を画定する、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記少なくとも部分的に可撓性の上壁を下方に引っ張ることによって下方移動を実現するように設けられている、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記アクチュエータは、上方移動を可能にするために、前記少なくとも部分的に可撓性の上壁を繰り出すように設けられている、先行する請求項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも部分的に可撓性の上壁はフィルムを備え、前記フィルムの上には、少なくとも前記横方向に、かつ少なくとも前記複数のアクチュエータの位置に補強ストラップが設けられ、前記複数のアクチュエータは、好ましくはそれぞれ前記フィルム及び前記補強ストラップに係合する、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも部分的に可撓性の上壁は、前記少なくとも部分的に可撓性の上壁に上向きの力を加えるために設けられた少なくとも1つのエアバッグに接続されている、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記複数のアクチュエータは、油圧シリンダの形態をとる、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記チャンバの内容物を所定の圧力にするためにポンプが設けられている、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイスを備えるプールであって、前記プールは少なくとも部分的に水で充填され、前記デバイスの前記可撓性の上壁は水面下の前記所定の深さに固定されている、プール。
【請求項16】
前記デバイスと前記プールの周縁部との間にプール底部を備え、前記プール底部は、前記デバイスから前記周縁部に向かって深さが減少する、先行する請求項に記載のプール。
【請求項17】
前記デバイスは、前記プールの中央区画に構成されている、先行する請求項に記載のプール。
【請求項18】
前記プールの少なくとも半分が実質的に長方形であり、前記プール底部は、前記デバイスと前記少なくとも半分の2つの角部との間に延在する溝を備える、請求項1に記載のプール。
【請求項19】
前記プールが、実質的に対称な形態を有する、先行する請求項に記載のプール。
【請求項20】
前記プールは、プール長さ及びプール幅を有し、前記プール長さ及び前記プール幅は、前記デバイスの前記可撓性の上壁の長さ及び幅よりもそれぞれ少なくとも20パーセント、好ましくは少なくとも30パーセント、より好ましくは少なくとも40パーセント大きく、及び/又は前記プール長さ及び前記プール幅は、前記デバイスの前記可撓性の上壁の長さ及び幅のそれぞれ最大1000パーセント、好ましくは最大900パーセント、より好ましくは最大800%に達する、請求項15~19のいずれか一項に記載のプール。
【請求項21】
水面下の所定の深さで少なくとも部分的に可撓性の壁に波動を誘起する工程を含む、サーフィン波を作るための方法。
【請求項22】
前記波動は、少なくとも1つの山と少なくとも1つの谷とを有する波形を含み、前記波動を誘発する工程は、前記波形を第1の方向に前進させることを含む、先行する請求項に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの谷の位置で前記少なくとも部分的に可撓性の壁を下方に引っ張ることを更に含む、先行する請求項に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの山の位置で前記少なくとも部分的に可撓性の壁を繰り出す、又は上方に押すことを更に含む、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記波形は、前記波動の前進中のほとんど全ての瞬間において、自然数の波形セグメントを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記可撓性の壁はチャンバの可撓性の上壁を形成し、前記方法は、前記波動を誘導する工程の前に、前記チャンバの内容物を所定の圧力にする工程を更に含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーフィン波を作るためのデバイスに関する。本発明は、更に、サーフィン波を作るためのデバイスを備えるプール、及びサーフィン波を作るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
波のあるスイミングプールなどの造波プールでは、局所的に水圧を発生させることによって波を作り出すことができる。しかしながら、この目的に望ましい波特性は既存の方法では容易に達成することができないため、このような波はサーフィンには適していないことが分かっている。
【0003】
また、波を形成するために、波形状の表面上に水を噴霧して、表面上に水流を発生させる波シミュレータも知られている。しかしながら、ここでは、サーファーは、波に乗るときのように波と共に移動するのではなく、水流がサーファーの下を通過する間、静止している。更なる欠点は、そのようなシミュレータでは波形をほとんど調整できないことである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、改良された造波機を提供することである。
【0005】
この目的のために、本発明は、添付の請求項1に記載のデバイスを提供する。より具体的には、サーフィン波を作るためのデバイスが提供され、このデバイスは、水面下の所定の深さに固定可能な少なくとも部分的に可撓性の上壁を有するチャンバを有する。デバイスは、チャンバの少なくとも部分的に可撓性の上壁に波動を誘起するために、少なくとも部分的に可撓性の上壁に接続された複数のアクチュエータを更に備える。
【0006】
本発明は、可撓性の上壁が水面下に固定されている場合、水中に位置する可撓性の上壁の波動が水面のサーフィン波動をもたらすという洞察に基づく。この場合、上壁は、静止時に水面と実質的に平行になるように構成されることが好ましい。上壁は、更に好ましくは、波動中に上壁を通る水の移動が防止されるように製造される。したがって、上壁は、例えば、膜、プラスチック布、又は防水シートによって形成することができる。上壁の可撓性部分は、上壁に波動を形成する能力に特に寄与する。上壁の固定はまた、上壁が適所に保持されることに寄与する。
【0007】
複数のアクチュエータは、例えば可撓性の上壁の上下移動によって、例えば波長及び/又は波高に関して、波動に所望の形態を与えることを可能にする。したがって、アクチュエータは、例えば、ウィンチ又はクランクシャフト又はカムシャフトによって具現化することができ、これらは、可撓性の上壁と共に乾燥した地上又は水中に配置することができる。アクチュエータの変形例の更なる例は、ラック及び歯車、並びに上壁の一部に運動をもたらすことができる他の機構を備えることができる。更なる代替案として、油圧又は空気圧シリンダをアクチュエータとして使用することができる。上記の組み合わせも可能である。
【0008】
可撓性の上壁内の波動がサーフィン波に及ぼす影響は、可撓性の上壁が水面下に設けられる深さにも依存する。このため、場合によっては、上壁を例えば水面下約6メートルに配置することが好ましい。より一般的には、サーフィンに使用する場合、サーファーの安全性を保証することができるように、波動の間のほとんどいかなる瞬間においても、可撓性の上壁が水面より少なくとも2m下にあることが好ましい。
【0009】
可撓性の上壁と、波動を上壁に与えることができるアクチュエータとを有する構造は、波動の形態、サイズ、及び/又は速度に関する柔軟性を提供する。この柔軟性により、サーファーの希望に従ってサーフィン波を作り出すことができる。試験及びシミュレーションが実証したように、そのようなデバイスは、改良されたサーフィン波を提供し、初心者サーファーのためのサーフィン波、及びいわゆるチューブ波を含む経験豊富なサーファーのためのサーフィン波を生成することを可能にする。
【0010】
少なくとも部分的に可撓性の上壁が長さを有する場合、すなわち、上壁の寸法が長手方向に画定され得る場合、複数のアクチュエータは、好ましくは、波動が長手方向に進むことを可能にするために、長さにわたって分散される。これにより、サーファーは、波動によって長手方向に誘起されるサーフィン波を利用することができる。アクチュエータは、例えば、長手方向に隣接するアクチュエータの動きにいくらかの遅延を伴って追従することができ、それによって、まるで隣接するアクチュエータの動きが長手方向に伝達されたかのように、長手方向の波動をもたらすことができる。したがって、長手方向における波動の形態は、例えば、長手方向に沿って正弦形状の波動を形成するために、長さにわたって分散されたアクチュエータによって制御することができる。アクチュエータは、任意選択的に、長手方向に平行な列で、任意選択的に可撓性の上壁の中心線に沿って配置される。
【0011】
加えて、可撓性の上壁の波動の所定の波長は、水の自然な挙動の結果として、2つの分岐する水サーフィン波をもたらすことが分かっている。これは、水の挙動に起因して、波動の決定された波長が、可撓性の上壁の波動の方向に測定される水サーフィン波の山の間の距離において常に維持されるわけではないからである。したがって、この方向におけるこの距離は、この波動の波長よりも小さいことが可能である。この場合、水は、水の波の等しい波長と、方向における山間の距離の増加との両方を可能にするために、水の波が2つの波に分割され、これらの波が可撓性の上壁内の波動の方向から分岐するように挙動する。このようにして、可撓性の上壁内の単一の誘発された波動は、最終的に、それぞれがデバイスの片側に位置し、それぞれがサーファーによって、したがって、全部で2人のサーファーによって同時に使用され得る2つの分岐サーフィン波を提供することができる。
【0012】
複数のアクチュエータは、長手方向に最大中間距離を有して上壁の長さにわたって分布されることがより好ましい。最大中間距離の目的は、制御可能な波動を形成することを可能にすることである。換言すれば、最大中間距離がない場合、アクチュエータ間の可撓性の上壁の部分における波動の形態は、可撓性の上壁の自然挙動に大きく依存し、波動、したがって形成されるサーフィン波は、より少ない程度に調整可能である。24メートルの典型的な波長に対しては、波動の2つの中間波部分と組み合わせて波の山と波の谷の両方を同時に規定することができるように、6メートル毎に少なくとも1つのアクチュエータ、すなわち24メートル当たり4つのアクチュエータが利用されることが好ましい。最大距離は、一般に、最大6メートル、好ましくは最大4メートル、より好ましくは最大2メートル、最も好ましくは最大1メートルに達することができる。より一般的には、アクチュエータのより高い分解能、すなわちアクチュエータのより小さい相互距離が、より良好に制御され得る波動をもたらすことに留意することができる。
【0013】
本発明の更なる実施形態によれば、可撓性の上壁の長さは、少なくとも30メートル、好ましくは少なくとも50メートル、より好ましくは少なくとも70メートルである。可撓性の上壁が長いほど、それによって誘起され得る波動が長くなり、誘起された波動が可撓性の上壁の長さにわたって長く維持され得る。ここで、部分的に可撓性の上壁の長さは、好ましくは波動の波長の複数倍であることに留意されたい。これが当てはまらない場合、例えば上下移動によって形成される波動が、可撓性の上壁の長さにわたって、これらの運動の合計による平衡状態からの平均偏差を有することが起こり得るが、これは好ましくは防止される。したがって、より長い可撓性の上壁は、複数の波長が可能になるという追加の利点を有し、これらは、上壁の長さが波動の波長の倍数であるという設定を満たす。
【0014】
更なる実施形態によれば、少なくとも部分的に可撓性の上壁は、少なくとも4メートル、好ましくは少なくとも7メートル、より好ましくは少なくとも10メートルの幅を有する。上述の最小幅及び長さは、使用時に、サーフィンに望ましい幅、長さ及び/又は持続時間を有する水の波のシミュレーションを可能にする。
【0015】
複数のアクチュエータは、好ましくは側縁部の位置に、好ましくは少なくとも部分的に可撓性の上壁の対向する側縁部の位置に、幅方向に配置される。アクチュエータをこのように配置することにより、アクチュエータは、可撓性の上壁をその幅にわたってバランスよく移動させることができる。したがって、長手方向の調和のとれた波動を妨げる可能性がある、幅方向の凹凸、例えば凸状が防止される。その場合、両側に配置されたアクチュエータは、協働するように互いに適合されていることが好ましい。アクチュエータをこのように配置することにより、可撓性の上壁に対するてこ作用が更に提供される。より具体的には、アクチュエータは、限られたストロークで可撓性の上壁のかなり大きな変位を引き起こすことができる。可撓性の上壁の意図された変位及び引き込み及び繰り出しの意図された速度は、これにより、標準として利用可能なアクチュエータを用いて達成することができる。対向する側縁部の間に位置する上壁の区画には、アクチュエータが存在しないことがより好ましい。したがって、複数のアクチュエータは、対向する側縁部の位置にのみ配置される。これは、2つの対向する側縁部の間の空間に更なるアクチュエータが配置されないことを意味すると理解される。したがって、この中間区画にはアクチュエータが存在しない。大部分のアクチュエータが両側に取り付けられている位置の間の上壁は、このようにして変位方向に自由に動くことができ、その結果、可撓性の上壁の上述の大きな変位を最適に誘導可能である。この変位は、複数のアクチュエータのストロークに対して相互比を有する。これは、変位が上壁のいずれかの側での引っ張り又は繰り出しによって引き起こされるからである。いずれかの側で引っ張るか又は繰り出すことによって、変位は、複数のアクチュエータの各々のストロークよりもかなり大きくなる。
【0016】
チャンバは、好ましくは、第1の位置での少なくとも部分的に可撓性の上壁の下方移動が、第2の位置での少なくとも部分的に可撓性の上壁の上方移動を引き起こすように、実質的に完全に閉鎖された容積を更に画定する。一実施形態では、チャンバは、閉鎖された、好ましくは細長いバッグ又は蛇腹によって画定され、その可撓性の上壁が一部を形成する。更なる説明のために、連通管の原理又はウォーターベッド効果が参照され、1つの位置での圧縮は、別の位置での凸部をもたらす。チャンバは、流体及び/又はガスで充填され得る。一実施形態では、チャンバは空気で充填される。チャンバ内の空気の利点は、例えば慣性の結果として、チャンバ内の空気の変位に対する抵抗が最小であることである。チャンバ内の水の利点は、いかなる最小の漏れも悪影響をほとんど及ぼさないこと、及び水の制限された圧縮が、良好に制御され得る可撓性の上壁の移動を可能にすることである。
【0017】
上記に基づいて、特に閉鎖チャンバの場合、意図された波動の効果的な形成を可能にするために、動作可撓性の上壁の長さが設定波長の倍数であることが好ましいことに留意されたい。これは、各波動について、波動の上方移動の結果としてのチャンバ内の局所的な容積増加が、波動の下方移動の結果としてのチャンバ内の対応する局所的な容積減少と平衡状態にあることを確実にする。意図される目的は、チャンバ内の全容積を実質的に一定に保つことである。したがって、このような容積変化は、ウォーターベッドの特徴を有する。
【0018】
アクチュエータは、少なくとも部分的に可撓性の上壁を上方又は下方に押す又は引くことによって上方又は下方移動を実現し、反対の下方又は上方移動を可能にするために少なくとも部分的に可撓性の上壁を繰り出すように設けることができる。可撓性の上壁の両側の圧力差の結果として波動の誘発を強化するために、可撓性の上壁を上方に押し上げるために、チャンバ内に過圧が維持されることが可能である。同じ効果を達成するために、チャンバ内に負圧を維持することもできる。しかしながら、チャンバ内の負圧は、上壁に亀裂が生じたときに、サーファーが負圧の結果として亀裂を通ってチャンバ内に吸い込まれることを必然的に伴う。したがって、デバイスの安全な使用を保証するために、チャンバ内で過圧が維持されることが好ましい。
【0019】
アクチュエータは、少なくとも部分的に可撓性の上壁を下方に引っ張ることによって下方移動を実現するように設けられることが特に好ましい。下方への引っ張りは、チャンバ内に圧力を発生させ、この圧力は、アクチュエータを繰り出すか又は解放することによって、異なる位置で上方移動を引き起こす。アクチュエータは、例えば、可撓性の上壁の下に、任意選択でチャンバ内に配置することができ、それによってコンパクトなデバイスが得られる。これにより、アクチュエータは可撓性の上壁を固定することもできる。ウォーターベッド効果と同様に、可撓性の上壁の他の場所での上方移動は、下方への引っ張りによって引き起こされ得る。
【0020】
同様に、アクチュエータが、少なくとも部分的に可撓性の上壁を繰り出して上方移動を可能にするように設けられることが好ましい。閉鎖チャンバの更なる利点は、往復運動の場合、アクチュエータが一方向のみの活発な運動を誘導する必要があり、更に反対に作用するアクチュエータによる同じ方向の活発な運動のために、反対方向の受動的な運動のみを可能にする必要があることである。換言すれば、関連するアクチュエータは、したがって、引っ張りから生じる下方移動の場合にのみ作動される必要があり、その後の上方移動の間に可撓性の上壁と受動的に共変位させることができる。これは、アクチュエータの効率的な使用に寄与する。
【0021】
少なくとも部分的に可撓性の上壁は、好ましくは、フィルムを備え、その上に、少なくとも横方向に、かつ少なくとも複数のアクチュエータの位置に、補強ストラップが設けられる。フィルムは、特に、上壁の可撓性に寄与する。比較的大きな力がアクチュエータによってアクチュエータの位置で可撓性の上壁に加えられるため、補強ストラップは、可撓性の上壁への損傷を防止し、それによってデバイスの寿命を延ばし、及び/又は保守費用を削減する目的で、正確にそこに設けられることが好ましい。したがって、その場合、複数のアクチュエータがそれぞれフィルム及び補強ストラップに係合することが更に好ましい。
【0022】
少なくとも部分的に可撓性の上壁は、少なくとも部分的に可撓性の上壁に上向きの力を加えるために設けられた少なくとも1つのエアバッグに接続されることが好ましい。可撓性の上壁が1つ以上のエアバッグに接続される場合、代替的な実施形態が提供され得る。これは、エアバッグが水中で上壁に上向きの力を及ぼすからである。アクチュエータが繰り出されると、可撓性の上壁はエアバッグによって上方に引っ張られる。したがって、チャンバを閉鎖容積とすることも、チャンバ内に過圧を発生させることも必須ではない。しかしながら、エアバッグは、チャンバが閉鎖容積を形成する場合にも有利であり得る。このような実施形態では、エアバッグは追加の上向きの力を発生させることができる。エアバッグはまた、デバイスが使用されていないときに、相当の外力なしにチャンバを好ましい形態に保つことができる。
【0023】
デバイスの更なる実施形態によれば、複数のアクチュエータは、油圧シリンダの形態をとり、それによって、アクチュエータは、効果的な方法で直線運動をもたらすことができる。油圧シリンダは、この目的のために、例えば入れ子式の形態を有することができる。シリンダは、同様に、単動式及び複動式の両方であり得る。油圧シリンダが可撓性の上壁の下に構成される場合、油圧シリンダは、収縮運動によって可撓性の上壁の一部を下方に移動させることができる。ここで、上壁の両側に配置されたシリンダは、少なくとも部分的に互いに向かい合い、少なくとも部分的に上方に向けられることが好ましく、それによって、てこ作用を得て、シリンダのストロークよりも大きな動きを可撓性の上壁に実行させるために、可撓性の上壁の下方への引っ張りはまた、可撓性の上壁の引っ張りを引き起こす。この場合、シリンダは、好ましくは、上壁から見て、上壁の横方向に互いに離れる方向に配置される。換言すれば、シリンダは、可撓性の上壁の方向に互いに向かって傾斜して配置されることが好ましい。
【0024】
デバイスの更なる実施形態によれば、チャンバの内容物を所定の圧力にするためにポンプが設けられる。このポンプを用いて、上述の過圧は、デバイスが始動されるとき、例えば、デバイスが定期的な使用のために時々オフにされるときに発生させることができる。ポンプは更に、デバイスの使用時にチャンバの圧力を維持することに寄与することができる。そうでなければ、空気及び水の両方、又は任意の流体をチャンバ内に圧送して、チャンバ内に圧力を生じさせることができる。
【0025】
デバイスは、湖若しくは水路、又は任意の他のプールなどの異なるタイプの水域に配置することができる。したがって、本発明は、前述の実施形態のいずれか1つによるデバイスを備えるプールにも関する。プールは、少なくとも部分的に水で満たされることが好ましい。デバイスの可撓性の上壁は、水面下の所定の深さに固定されることが好ましい。
【0026】
プールは、好ましくは、デバイスとプールの周縁部との間にプール底部を備え、プール底部は、デバイスから周縁部に向かって減少する深さを有する。深さが減少すると、デバイスからの水の波の高さが増加し、周縁部に向かって砕けることができる。波をサーフィンに適したものにするのは、特に、そのような水の波の発達である。
【0027】
デバイスは、好ましくは、デバイスから見て複数の方向に深さが減少する波動及び/又はプール底部を可能にするように、プールの中央区画に構成される。その場合、プールの少なくとも半分、好ましくは両方の半分が実質的に長方形であることが特に好ましい。したがって、水の波がプールの角部に向かって前進し、それによって比較的長い距離にわたるサーフィンを可能にするようにデバイスを構成することによって、プールに必要とされる空間を効率的に利用することができる。この目的のために、プールは、実質的に面対称の形態を更に有することが好ましい。
【0028】
プール底部が、好ましくはデバイスと少なくとも半分の2つの角部との間に延在する溝を備えることが更に好ましい。溝は、水がプール底部を越えて角部から及び周壁からデバイスに向かって流れるための空間を形成する。これにより、プール底部付近の水、特にプール底部に沿って流れる水が、水面のサーフィン波に影響を及ぼすことが防止される。溝は、好ましくは、可撓性の上壁の長手方向、すなわち波動の方向に沿って位置する。
【0029】
プールの更なる実施形態は、プール長さ及びプール幅を有する。換言すれば、プールの寸法は、長手方向及び幅で定義することができる。プール長さは、好ましくはデバイスの長さよりも少なくとも20メートル長く、より好ましくは少なくとも40メートル長く、好ましくはデバイスの長さよりも最大150メートル長く、より好ましくは最大120メートル長い。試験及びシミュレーションが実証したように、サーフィン波の形成が悪影響を受けるのは、特にプール長さがデバイスの長さに対して小さすぎる場合である。プール幅は、好ましくは、デバイスの可撓性の上壁の幅よりも少なくとも20パーセント、好ましくは少なくとも30パーセント、より好ましくは少なくとも40パーセント大きく、及び/又はプール幅は、好ましくは、デバイスの可撓性の上壁の幅の最大1000パーセント、好ましくは最大900パーセント、より好ましくは最大800%に達する。より一般的には、プールが可撓性の上壁に対して大きいほど、デバイスと周縁部との間でサーフィンを行うことができるプールの部分が大きくなることに留意されたい。
【0030】
本発明の更なる態様によれば、本発明は更に、少なくとも部分的に可撓性の壁において、好ましくは水面下の所定の深さで波動を誘発するステップを含む、サーフィン波を作るための方法に関する。本発明は、波動がサーフィンに適した水面のサーフィン波動をもたらすという洞察に基づく。
【0031】
波動は、好ましくは、少なくとも1つの山と少なくとも1つの谷とを有する波形を含む。その場合、波動を誘発するステップは、好ましくは、第1の方向に波形を前進させることを含む。波形は、例えば正弦波形であり、可撓性の壁の長手方向に前進することが好ましい。
【0032】
本方法は、好ましくは少なくとも1つの谷の位置で谷をその位置にもたらすことができるように、好ましくは少なくとも1つの谷の位置で、少なくとも部分的に可撓性の壁を下方に引っ張ることを更に含むことが好ましい。
【0033】
本方法は、好ましくは少なくとも1つの山の位置で少なくとも部分的に可撓性の壁を繰り出し又は押し上げて、その位置に山をもたらすことができるようにすることを更に含むことが好ましい。
【0034】
波形は、好ましくは、波動の前進の間のほとんど全ての瞬間において、自然数の波形セグメントを含む。そうでない場合、1つ以上の山及び谷によって形成される波動が、可撓性の上壁の長さにわたって平衡状態からの平均偏差を有することが起こり得るが、これは防止されることが好ましい。換言すれば、ほぼ全ての瞬間において自然数波形セグメントを有するように波形を形成することは、可撓性の壁の下の容積が実質的に一定であることを保証する。ここで、自然数の波形セグメントは、可撓性の上壁が、例えば長手方向端部に中立セグメントを備えることを排除しないことに留意されたい。
【0035】
可撓性の壁がチャンバの可撓性の上壁を形成する場合、本方法は、好ましくは波動を誘発する工程の前に、チャンバの内容物を所定の圧力にする工程を更に含むことが好ましい。これにより、可撓性の上壁の両側の圧力差の結果として波動の誘導を強化するために可撓性の上壁を上方に押し上げるために、チャンバ内で所定の圧力を維持することができる。この圧力は、例えば定期的な使用中にデバイスを時々スイッチン及びオフに切り替えることを可能にするために、例えばデバイスが始動されるときに生成され得る。チャンバは更に、デバイスが使用されているときに圧力を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
次に、図面に示された例示的な実施形態に基づいて本発明を更に説明する。
【0037】
【
図2】本発明の一実施形態によるデバイスを有するプールの長手方向断面図である。
【
図3】本発明によるデバイスを備えたプールの上面図である。
【
図4】本発明の異なる実施形態のいくつかの断面図である。
【
図5a】本発明の更なる実施形態のいくつかの斜視図である。
【
図5b】本発明の更なる実施形態のいくつかの斜視図である。
【0038】
同一又は類似の要素は、図面において同一の参照番号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、サーフィン波を作ることを目的として開発されたものであるが、用途の範囲は実際にはより広くなり得ることは明らかであろう。異なる波の種類及び大きさを生成するための選択肢を増やすために、同様のデバイスを例えばウォーターパークに構築することもできる。実際のサーフィンは、このような状況では、このようにして形成されたサーフィン波上でほとんど行われない可能性があるが、デバイスは依然として請求項1の特徴に適合し、それによって請求項1の特徴によってカバーされる。
【0040】
図1は、少なくとも部分的に可撓性の上壁3を有するチャンバ2を備えたデバイス1を示す。デバイス1は、例えば
図2に示すように、チャンバの少なくとも部分的に可撓性の上壁に波動を誘起するために、少なくとも部分的に可撓性の上壁3に接続された複数のアクチュエータ4を更に備える。
図1は、チャンバ2の一部のみを示しているが、これは、一実施形態によれば、チャンバ2が実際には前側及び後側で閉鎖されているからである。これにより、チャンバの内容物は、好ましくは予め定められ、実質的に一定である。この実施形態は以下に説明され、
図2に示される。別の実施形態では、
図1に示すように、チャンバは開放されている。この代替実施形態も以下に説明され、
図5a及び
図5bに示される。
【0041】
チャンバ2の下側は、
図1の実施形態では、チャンバのアンカー5として機能する基礎プレートによって形成される。この構成が一実施形態であることを以下で説明する。図示の実施形態では、基礎プレートはチャンバ2の下側を形成する。基礎プレート5の上方には、可撓性の上壁3が設けられている。可撓性の上壁3は、長さL及び幅Bを有する。長さLは、好ましくは50メートル超、より好ましくは70メートル超である。幅Bは、好ましくは5メートルより大きく、より好ましくは10メートルより大きく、より好ましくは15メートルより大きく、最も好ましくは20メートルより大きい。図示の実施形態では、可撓性の上壁3の横方向縁部(これらは長手方向に実質的に平行に位置する縁部である)は、一方の側の基礎プレートと他方の側の可撓性の上壁3との間にチャンバ2を形成するように、基礎プレートに固定して接続される。可撓性の上壁3は、長手方向軸に沿った長さにわたって延在する。デバイスは、長手方向軸を含む上向きの対称面の周りに実質的に対称に構成されることが好ましい。複数のアクチュエータが、可撓性の上壁3と基礎5との間に、長手方向に互いに対して実質的に等しい中間距離で分散されて設けられる。各アクチュエータは、可撓性の上壁3の一部の少なくとも上方及び/又は下方への移動を引き起こすように設けられる。換言すれば、可撓性の上壁3は、理論的及び/又は物理的に複数のセグメントに細分され、各セグメントには1つ以上のアクチュエータが設けられる。アクチュエータは、関連セグメントの高さを制御することができる。関連するアクチュエータを用いて異なる高さの異なるセグメントを制御することによって、上壁3に高さプロファイルを作成することができる。このようにして、例えば上壁3の長手方向に正弦形状の高さプロファイルを形成することができる。アクチュエータを移動させることによって、形成された高さプロファイルを長手方向にシフトさせることができる。高さプロファイルは、静止中の定常波とみなされる。高さプロファイルをシフトすることによって、波速度を有する波が生成される。可撓性の上壁3における波速度を有するそのような波は、本明細書では波動と呼ばれる。
【0042】
当業者は、上壁が一連の硬質セグメントによって構成されてもよいことを理解するであろう。これらの硬質セグメントがそれぞれ互いに別々に高さ制御され得る場合、有機的に見える動きが作り出され得るため、全体は依然として可撓性であるとみなすことができる。個々のセグメントは可撓性でなくてもよいが、一方が他方の背後に配置された複数の個々のセグメントのために全体が可撓性を有するため、そのような実施形態では上壁全体が依然として可撓性であるとみなすことができる。上壁を構成する材料は、上壁を動かすことができるように可撓性であることが好ましい。
【0043】
図1に示す実施形態では、アクチュエータ4はチャンバ2の内側に配置されている。アクチュエータ4は、上壁3の中央部を下方に引っ張るように設けられている。ここで、上壁の側部は、アクチュエータの周囲に形成されている。上壁の中央部分を引き込んだり繰り出したりするときにアクチュエータを妨げないようにするために、上壁の側部の長さは、横方向に見て、アクチュエータが最も伸長した状態よりも大きく、側部がアクチュエータの上に凸形状を有するようになっている。この凸部は、図において明確に見ることができる。凸状はまた、チャンバ2内に生成される過圧の結果であり、この過圧は、中央部分及び2つの側部分を含む可撓性の上壁が上方及び/又は外側に膨張することを確実にする。
【0044】
好ましくは、対向するアクチュエータ4の間で上壁3に接続される補強ストラップが設けられる。補強ストラップは、上壁の少なくとも中央部分にわたって延びることが好ましい。上壁3は、プラスチックフィルム、ゴムフィルム、EPDM、織布、他の可撓性平坦材料、又はそれらの組み合わせ若しくは組成物から製造することができる。
【0045】
図は、長手方向軸を含む平面の周りに実質的に対称に形成されたデバイスを示す。アクチュエータは、上壁の中央部分の両側に設けられている。これは、可撓性上面の良好でバランスのとれた動きを提供する。しかしながら、アクチュエータが片側に設けられる代替的な構成が提供され得ることが当業者には明らかであろう。更なる代替として、アクチュエータは、反復パターン又はランダムパターンで一方及び他方の側にわたって非対称に分布され得る。
【0046】
図は、アクチュエータが水中に設けられたデバイスを示す。アクチュエータは、例えば船舶用油圧シリンダであってもよい。水中で使用可能な他の駆動部も適用することができる。あるいは、可撓性の上壁の動きは、ケーブル又はストラップ及び1つ以上のプーリ又は他のガイドを介して水上の位置に伝達され得る。この場合、アクチュエータをこの位置に設けることができる。これらのアクチュエータは、油圧式、電気式、空気圧式、又は機械式アクチュエータから選択することができる。機械的アクチュエータの一例は、燃焼機関によって駆動されるカムシャフトである。このようなカムシャフトは、対応するストラップが締め付けられるように配置されたカム及びクランクシャフトを備えて構成することができ、カムシャフトは、可撓性の上壁に波動を誘発するように形成される。
【0047】
図2は、プール10内に配置されたデバイスの縦断面を示す。プールは、大きなスイミングプール又はスイミング池の形態をとることができる。プールは、可撓性の上壁3の寸法よりもかなり大きい寸法、より具体的には長さ及び幅を有する。これにより、プールの縁部(プール前縁部、プール後縁部、及び2つのプール側部)と、可撓性の上壁3の縁部との間に距離が形成される。この距離は、プールブリッジの底部に、典型的には制限されている縁部深さと、可撓性の上壁3が配置される深さとの間に深さ差を持たせるために使用される。これは
図2において参照番号11a及び11cで示されており、これらはプールの上昇バンクと称される。
【0048】
図2の実施形態では、可撓性の上壁3の横方向縁部が基礎に接続されるだけでなく、2つの長手方向端部の位置にある縁部も基礎に接続される。これにより、基礎と可撓性の上壁との間に実質的に一定の容積を有するチャンバが形成される。容積が一定であるために、ウォーターベッド効果が達成され、1つの位置で可撓性の上壁を下方に引っ張ると、別の位置で可撓性の上壁が比例して上昇する。これは、アクチュエータの締め付け及び繰り出しによって制御することができる。この実施形態では、チャンバ内にわずかな過圧を生成するためにポンプを追加的に設けることができ、その結果、可撓性の上壁は、過圧によって無負荷状態で膨張した外観を有する傾向がある。一実施形態によれば、可撓性の上壁3は、水面から少なくとも2メートル、好ましくは少なくとも3メートル、最大8メートル、好ましくは最大6メートル、より好ましくは最大5メートル下に配置されることが好ましい。これは、静止しているプールの水面と、無負荷又は平均的な状態にある可撓性の上壁とに基づく。
【0049】
図2は、チャンバ2の可撓性の上壁3に波形を与えることができることを示す。この波形103は、典型的には、複数の山104及び複数の谷105を有する。波形103は、チャンバ2内の全容積を実質的に一定に保つために、山104の数が谷105の数に等しくなるように選択される。当業者であれば、
図1のアクチュエータ4を制御して、可撓性の上壁3にそのような波形103を生成できることを理解するであろう。換言すれば、各波形は複数の波形セグメントを有する。波形セグメントは、1つの山と1つの谷とを有する。複数の波形セグメントは、同一であってもよく、又は水面上に所定の効果を誘発するために異なる形態を有してもよい。全体の波形は、好ましくは、チャンバ2の全容積の内容物を実質的に一定に保つために、自然数の波形セグメントから構成される。波形は、可撓性の上壁3に波動を生成するために、波速度106でデバイスの長手方向に移動する。
【0050】
可撓性の上壁3内の波動はプール内の水を通って伝播し、水面102上に水の波を形成する。デバイスの真上では、水の波は、典型的には、波動の周期及び頻度に実質的に等しい周期及び頻度を有する。上昇バンク11a及び11cのために、プールの縁部に向かって移動する水の波は、上方に押され、サーフィン波102を形成するように壊れる。
図3を参照して、これについて更に説明する。
【0051】
図3は、本発明の好ましい実施形態によるデバイス1を有するプール10の上面図である。プール10は、4つの縁部、すなわち2つの端縁部12A及び12Bと、2つの側縁部12C及び12Dとを有する。縁部の位置には、上昇バンクが形成されており、その上昇方向は、端縁部については線31で示され、側縁部については線32で示されている。図示の実施形態では、デバイス1は2つの部分で使用される。これは、デバイスの半分がプールの第1の端部側に向かう波動を発生させ、デバイスの第2の半分がプールの第2の端部側に向かう波動を発生させることを意味する。これはデバイスの1つの可能な使用法にすぎないことは明らかであろう。デバイスはまた、端部側の一方に向かう1つの波動を形成して最大長さを有するサーフィン区画を形成するために、完全に1方向に切り替えることができる。
【0052】
図3はまた、プール内での本発明の一実施形態によるデバイスの使用の更なる特定の効果を示す。より具体的には、
図3は、水の波が波動と角度αを形成することを示す。この挙動は、可撓性の上壁3における波動運動の周期及び周波数を選択することによって引き出すことができる。その結果、いずれの場合にも水の波が、ある角度で上昇バンクに到達する。プールの端縁部の位置では、この角度は角度αである。プールの側縁部の位置では、この角度は角度βである。試験及びシミュレーションは、この角度がサーフィン波の形成において非常に有利であることを実証した。
図3に示す構成では、デバイスは2つの異なる波動を生成し、1つは第1の端縁部に向かい、第2は第2の端縁部に向かい、8つのサーフィン区画が形成される。参照番号33及び34で
図3に示される第1及び第2のサーフィン区画は、各波動に対して側縁部に沿って生じる。
図3において参照番号35及び36で示される2つのサーフィン区画も、端縁部の位置に形成される。各サーフィン区画は、主に、水の波が縁部に対してある角度で、すなわち縁部に対して平行でない角度で走るという結果をもたらす。これらの角度はα及びβで示される。図において、角度は左側に描かれており、サーフィン区画は右側に描かれている。サーフィン区画は左側にも形成することができ、これらの角度は右側にも関連することを当業者は理解するであろう。図面を不必要に複雑にしないために、全ての態様が至る所で指定されているわけではない。
【0053】
図3を参照すると、波動が方向37に延在し、水の波が方向38に延在するという現象に再び重点が置かれている。これは自然現象である。これは、水が所定の周期を有する波に対して好ましい固有振動数を有するためである。これを考慮することによって、可撓性の上壁内に波動を形成するときに、波動方向からの水の波の偏向を引き起こすことができる。
図3において、線39は、上昇バンクが合流する位置を示す。この線39の位置には、所定の幅を有し、隣接するバンクよりも深い溝が形成されていることが好ましい。これによりチャネルが得られ、それに沿って水がプールのより深い部分に逆流することができる。これは、波が水をプールの縁部に向かって押すからである。水は、溝39を介して逆流することができる。これにより、バンクの位置における不足流が低減される。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態によるデバイスの複数の可能な断面を示す。
図4Aは、既に詳細に上述した好ましい実施形態を示す。より具体的には、
図4Aは、可撓性の上壁が基礎5上のアーチとして形成される一実施形態を示す。アクチュエータを締め付けることによって、可撓性の上壁の関連するセグメントは、波動において谷を形成するために下方に引っ張られる。アクチュエータを繰り出すと、チャンバ2内の過圧の結果として可撓性の上壁が外側に移動して、波動に山を形成する。
【0055】
図4Bは、同じ原理に基づいて動作する別の実施形態を示す。
図4Bの実施形態では、可撓性の上壁は、参照番号30で示されるバッグ又はスリーブの一体部分として形成される。バッグ又はスリーブ30は、水又は空気又は別の流体で充填され、プールの底部の中心に配置することができる。アクチュエータ4a及び4bは、両側に設けられ、コード、ストラップ、又はウィンチ31によって互いに接続され、コード、ストラップ、又はウィンチ31は、バッグ又はスリーブ30の上に配置される。
図4Aの実施形態と同様に、アクチュエータ4a及び4bの締め付けは、波動の谷を提供し、アクチュエータの繰り出しは、波動の山を提供する。アクチュエータ4a及び4bは、それぞれの基礎51及び52を備えることが好ましい。バッグ又はスリーブ30は、プールの底部に置くことができる。基礎は、代替的に(図示せず)、バッグ又はスリーブ30の下で1つのアクチュエータ4aから第2のアクチュエータ4bへと続くことができる。
【0056】
図4Cは、プールのバンクに運動を伝達するためにコード、ストラップ、又はウィンチ31が使用される更なる代替実施形態を示す。コード、ストラップ、又はウィンチ31は、そこでシステム41によって締め付けられるか又は繰り出される。コード、ストラップ、又はウィンチ31の動きをバッグ又はスリーブ30に伝達するために、プーリ53が基礎52上に設けられる。
【0057】
図4Dは、実質的に中実又は剛性のプレート42、43、及び44がヒンジによって互いに接続され、プレート42、43、及び44がアクチュエータによって上下に押され得る、更なる代替実施形態を示す。複数のそのようなセグメントを前後に配置することによって、全体を形成することができ、異なるセグメントは互いに独立して移動することができ、したがって水中で有機的な動きを作り出すことができる。より具体的には、このような構造の上壁は、上壁が可撓性であるとみなすことができるように波動を起こすことができる。
【0058】
図4A、4B、4C、4Dは、上壁が自由区画を有することを更に示す。自由区画は、対向する側縁部の間に位置し、アクチュエータが存在しない区画である。これは、アクチュエータが2つの対向する側縁部の間の自由区画において上壁に接続されていないことを意味すると理解される。したがって、中間区画にはアクチュエータが存在しない。このようにして、上壁は変位方向に自由に動くことができ、可撓性の上壁の大きな変位を最適に引き起こすことができる。これは、変位が上壁の両側で引っ張り又は繰り出しによって引き起こされるからである。両側で同時に引っ張る又は繰り出すことによって、変位は、複数のアクチュエータの各々のストロークよりもかなり大きくなる。このように、変位はまたストロークに比例する。
【0059】
図5a及び
図5bは、チャンバ2が開放され得る、すなわち、2つの長手方向端部のうちの少なくとも1つの位置において少なくとも1つの縁部が基礎に接続されない、2つの実施形態を示す。更なる選択肢として、横方向端部は、少なくとも部分的に開放させてもよく、すなわち、全長にわたって基礎に接続されていなくてもよい。この実施形態では、上向きの力は、可撓性の上壁3の下に配置された、及び/又は可撓性の上壁3に接続された、少なくとも1つのエアバッグによって生成される。
図5aの実施形態では、エアバッグ15は、可撓性の上壁3の実質的に全長にわたって長手方向に延在するチューブとして具現化される。
図5bの実施形態では、複数のエアバッグ16a、16b、16cが、可撓性の上壁3の下に横方向にチューブとして配置されている。後者の実施形態では、エアバッグがアクチュエータ間の中間距離にほぼ対応する中間距離を有することが有利である。隣接するアクチュエータは、ここでは上壁部を画定し、エアバッグは各上壁部に設けられる。エアバッグは、別個の要素として形成することができ、可撓性の上壁の下に緩く配置することができる。代替的に、エアバッグは、可撓性の上壁内に一体化することができ、この場合、エアバッグを充填してエアバッグを圧力に保つためにエアポンプシステムが設けられる。更なる代替として、エアバッグは、別個の要素として提供され、例えば、可撓性の上壁内又は上にいわゆるポケットを提供することによって、可撓性の上壁に接続することができる。当業者であれば、
図5a及び
図5bに示される実施形態の組み合わせも可能であることを理解するであろう。当業者であれば、
図4a~
図4dに示す各実施形態が適用可能であることを理解するため、
図5a及び
図5bはアクチュエータを示していない。更に、エアバッグ15、16を有する実施形態は、チャンバが閉鎖されている
図2に示す実施形態と組み合わせることもできることに留意されたい。
【0060】
当業者であれば、上記の説明に基づいて、本発明が異なる方法で、かつ異なる原理に基づいて具現化され得ることを理解するであろう。本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。上述の実施形態及び図面は、純粋に例示的なものであり、単に本発明の理解を深めるのに役立つ。したがって、本発明は、本明細書に記載される実施形態に限定されず、特許請求の範囲において定義される。
【国際調査報告】