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特表2024-516362シートから深絞り模型を分離する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】シートから深絞り模型を分離する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/08 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61C7/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562488
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 AT2022060043
(87)【国際公開番号】W WO2022217297
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】A50268/2021
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.ケブラー
(71)【出願人】
【識別番号】523383668
【氏名又は名称】デンタル・マニュファクチャリング・ユニット・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フーバー・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマー-アイクミュラー・アルフォンス
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052JJ10
(57)【要約】
深絞りシート(2)から歯科用の深絞り模型(1)を分離する方法において、深絞りシートは、高い付着力が生じる又は形状的に結合しているにもかかわらず、損傷なく歯科用の深絞り模型から剥がすことができ、その際、深絞り模型(1)に、部分的に深絞り模型(1)と深絞りシート(2)との間に延在する少なくとも1つの引張手段(3)を配置し、引張手段(3)は、引き剥がし体(5)に対するストッパ(4)を有し、深絞り模型(1)を、深絞りシート(2)と共に、縁(9)が深絞りシート(2)の自由な深絞り縁(10)に対するストッパ境界を形成する取出開口(7)の上に位置決めし、続いて、変位可能な引き剥がし体(5)を係合位置にもたらし、係合位置では、引き剥がし体(5)は、引張手段(3)のストッパに作用し、引き剥がし体(5)を、係合位置から取出位置へ変位させ、取出位置では、深絞り模型(1)が、深絞りシート(2)から取出開口(7)を通るように引っ張られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深絞りシート(2)から歯科用の深絞り模型(1)を分離する方法において、
前記深絞り模型(1)に、部分的に前記深絞り模型(1)と前記深絞りシート(2)との間に延在する少なくとも1つの引張手段(3)を配置し、前記引張手段(3)は、引き剥がし体(5)に対するストッパ(4)を有し、
前記深絞り模型(1)を、前記深絞りシート(2)と共に、縁(9)が前記深絞りシート(2)の自由な深絞り縁(10)に対するストッパ境界を形成する取出開口(7)の上に位置決めし、
続いて、変位可能な前記引き剥がし体(5)を係合位置にもたらし、前記係合位置では、前記引き剥がし体(5)は、前記引張手段(3)の前記ストッパに係合し、
前記引き剥がし体(5)を、前記係合位置から取出位置へ変位させ、前記取出位置では、前記深絞り模型(1)が、前記深絞りシート(2)から前記取出開口(7)を通るように引っ張られることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記引張手段(3)の少なくとも一部分を、前記深絞りシート(2)の深絞り加工前に、歯科用の前記深絞り模型(1)に配置することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記引張手段(3)の少なくとも一部分を、前記深絞り模型(1)の両方の端部分(11)の領域に配置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記引張手段(3)の少なくとも一部分を、前記深絞り模型(1)の2つの歯の間に配置することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記引張手段(3)は、断面に関して形状が不安定な帯体を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
深絞りシート(2)から歯科用の深絞り模型(1)を分離する装置において、
分離プラットフォーム(8)が設けられていて、前記分離プラットフォーム(8)は、縁(9)が前記深絞りシート(2)の自由な深絞り縁(10)に対するストッパ境界を形成する取出開口(7)と、前記分離プラットフォーム(8)の、前記ストッパ境界とは反対の側に配置された引き剥がし体(5)であって、前記深絞り模型(1)上に配置された引張手段(3)によって形成されたストッパ(4)に係合するために、係合位置から取出位置へ変位可能な引き剥がし体(5)とを有することを特徴とする、装置。
【請求項7】
前記引き剥がし体(5)は、前記取出開口(7)によって形成される平面に対して平行に延在する回動軸(13)に軸支されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記取出開口(7)の縁(9)は、前記ストッパ境界の側で円錐台形であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記引き剥がし体(5)は、前記回動軸(13)を中心に運動可能なレバー(16)に取り付けられていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記取出開口(7)は、収容プラットフォーム(14)に対する収容部を形成し、前記収容プラットフォーム(14)は、帯体のための少なくとも1つの貫通部(15)を有し、かつ引張方向(6)に前記引き剥がし体(5)に後置されていることを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深絞りシートから歯科用の深絞り模型を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の欠陥箇所を矯正するために歯科用スプリントを使用することは、従来技術から知られている。このような歯科用スプリントを作製するために、深絞りシートが、患者の矯正された歯を表す三次元の歯科用の深絞り模型上に被せられる。患者の歯を可能な限り正確に深絞り模型によって再現しなければならず、そして歯、歯肉及び顎が複雑な表面を有するので、歯科用スプリントの作製時に極めて大きな相互作用面が生じ、一部では深絞りシートと深絞り模型との間にアンダカットさえ生じる。アンダカットは、結果として強い付着どころか形状的な結合をもたらすことさえある。これにより、深絞り模型から被せられた深絞りシートを剥がすことが極めて困難になる。このことによって、深絞り模型の個別の形状によっては、深絞りシートを損傷なく深絞り模型から剥がすことができなくなる。この問題を解決するために、石鹸、シリコーン又はテフロンの使用によって分離工程を容易にすることが既に提案されている(欧州特許出願公開第1686913号明細書)。しかし、これらの補助剤は、歯科用スプリントを使用する前に、化学的処理によって再び除去しなければならない。
【0003】
欧州特許出願公開第3544542号明細書は、深絞り模型に、深絞り方向に延在する溝を設けることを提案している。深絞りシートから作製される歯科用スプリントは、先細りの栓を成形し、この栓は、前述の溝に締め付けられている。深絞りの後で、この栓は、工具を用いて溝から押し出され、これにより、歯科用スプリントは、深絞り模型から剥がされる。
【0004】
しかし、背景技術における欠点は、深絞り模型と深絞りシートとの両方の性質を、これら両方の構成要素を相互に解離するために、改質しなければならないことである。溝は、深絞り模型を通って延在しなければならないので、模型化すべき歯は、少なくともこの箇所で正確に再現できないこともある。さらに、栓は、分離後に深絞りシートから切断して、バリ取りしなければならない。しかも、最大の問題は、必要な力を一カ所でしか加えることができないことにあり、これにより、より高い分離力が必要となる傾向にある。しかも、深絞り模型の個別の形状によっては、多くの歯科用スプリントは、標準化された箇所で点状に力を加えても、全く剥がすことができない又は損傷なく剥がすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1686913号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3544542号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の基礎をなす課題は、高い粘着力の発生し又は形状的に結合していても、関与する構成要素を化学的に改質する又は機械加工することなく、深絞りシートを損傷なく歯科用の深絞り模型から剥がせる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、課された課題を、深絞り模型に、部分的に深絞り模型と深絞りシートとの間に延在する少なくとも1つの引張手段を配置し、引張手段は、引き剥がし体に対するストッパを有し、深絞り模型を、深絞りシートと共に、縁が深絞りシートの自由な深絞り縁に対するストッパ境界を形成する取出開口の上に位置決めし、続いて、変位可能な引き剥がし体を係合位置にもたらし、この係合位置では、引き剥がし体が、引張手段のストッパに係合し、引き剥がし体を、係合位置から取出位置に変位させ、この取出位置では、深絞り模型が、深絞りシートから取出開口を通るように引っ張られることによって解決する。引き剥がし体は、係合位置で、引張手段のストッパに係合するが、しかしまだ深絞り模型に力を及ぼさない。作用位置から取出位置へ変位する間にはじめて、引張手段を介して、引張力が深絞り模型に及ぼされる。引張力は、取出開口によって形成された平面に対して横向きの引出し方向に向けられている。深絞りシートの自由な深絞り縁は、係合位置で取出開口に対して略平行に延在し、深絞り模型に対する接触面を形成しない領域である。深絞りシートの直径は、自由な深絞り縁があるため深絞り模型の直径よりも大きいので、取出開口の縁は、深絞りシートに対してのみストッパ境界を形成するが、深絞り模型に対しては形成しない。したがって、引張力が深絞り模型に加えられると、深絞り模型は、深絞りシートから取出開口を通るように引っ張られ、その際、深絞りシートは、変わらずストッパ境界上に静止する。好適な一形態では、引張力は、引張方向に深絞りシートのわずかな湾曲をもたらすので、力の作用点に、引き剥がし体に向いた頂点が形成される。このことは、分離を容易にするが、しかし取出開口への深絞りシートの完全な進入をもたらさない。引張手段として、例えば部分的に深絞り模型と深絞りシートとの間に延在する環帯を深絞り模型の周りに設置してよく、環帯は、垂下するループを形成し、ループには、引き剥がし体としてフックが係合し、深絞り模型に引張力を加えることができる。特に好適な一形態では、引張手段は、少なくとも1つの帯体と収容プラットフォームとを有し、この場合、引き剥がし体の引張力は、収容プラットフォームを介して帯体に加えられ、そこから深絞り模型に加えられる。
【0008】
引張手段を、深絞り模型と深絞りシートとの間に簡単にかつ可逆的に配置するために、引張手段の少なくとも一部分を、深絞りシートの深絞り加工前に、歯科用の深絞りの模型に配置することが提案される。したがって、最初に深絞り模型に引張手段を設け、続いてその上に深絞りシートを被せることができる。このことは、引張手段の簡単な配置を可能にするだけではなく、引張手段を深絞り模型に均一に安定してかつ可逆的に取り付け、そして分離後の容易な剥がしを可能にする。
【0009】
分離に必要な力は、引張手段の少なくとも一部分を深絞り模型の2つの端部分の領域に配置することによって低減できる。深絞り模型は、略U字形であるので、深絞り模型は、実質的に深絞り模型の臼歯から犬歯へ延在する2つの脚部を成形する。引張手段が2つの端部分の領域に、すなわち後臼歯の領域に配置されると、これらの脚部は、引張方向に引張力を及ぼす際に、切歯模型の領域に位置する中心点を有するレバーとして作用する。したがって、深絞り模型は、引張力の作用下で、深絞りシートから深絞り模型を容易に剥がせるようにする回動運動を行う。
【0010】
引張手段が深絞りシートと深絞り模型の間に配置されると、深絞りシートは深絞り加工に際して引張手段の輪郭に追従するので、引張手段は深絞りシートの形状に影響を及ぼすことがある。このことは、形成された歯科用スプリントの目標形状からの実際形状のずれをもたらす。ただし、引張手段の少なくとも一部分を深絞り模型の2つの歯の間に配置すると、深絞りシートの形状に対する引張手段の影響を最小限に抑えることができる。ゆえに、自然に生じる歯間の空間又は歯間のくぼみを、そこに引張手段を配置することに利用できるので、引張手段は、不所望の輪郭を生じさせない。これにより、深絞りシートから作製される歯科用スプリントの装着快適性又は機能性を損なう隆起が、歯の形及び位置に応じて回避または最小化される。
【0011】
深絞りシートから作製される歯科用スプリントの形状に及ぼす引張手段の影響を最小限に抑えるための別の措置は、引張手段が、その断面に関して形状が不安定な帯体を含むことにある。この場合、形状不安定性は、引張手段が、深絞り模型と深絞りシートとの間で可能な限り小さな横断面を有し、かつ深絞り模型と深絞りシートとの間に可能な限り平坦に配置され、したがって、歯科用スプリントの輪郭に及ぼす影響を可能な限り小さくするように、選択される。形状が不安定な帯体は、例えばケブラーテープであってよい。好適な一形態では、引張手段は、再利用可能である。
【0012】
本発明はまた、深絞りシートから歯科用の深絞り模型を分離する装置に関し、装置の特徴によれば、分離プラットフォームが設けられていて、分離プラットフォームは、縁が深絞りシートの自由な深絞り縁に対するストッパ境界を形成する取出開口と、分離プラットフォームの、ストッパ境界とは反対の側に配置された引き剥がし体とを有し、引き剥がし体は、深絞り模型上に配置された引張手段によって形成されたストッパに係合するために、係合位置から取出位置へ変位可能である。分離プラットフォームは、例えば取出開口として用いられる凹部を有する金属板又は硬質プラスチック板であってよい。この場合、取出開口の直径は、深絞り模型の最大幅よりも大きくなければならないが、深絞りシートの最大直径よりも小さくなければならないので、取出開口の縁は、自由な深絞り縁に対するストッパ境界を形成する。引き剥がし体は、分離プラットフォームの、ストッパ境界とは反対の側に配置されていて、係合位置から取出位置へ変位するときに引張方向に取出開口から離れるように運動する。分離後、分離プラットフォーム上に静止する深絞りシートを除去でき、深絞り模型を取出開口から取り出せる。
【0013】
引き剥がし体が、取出開口によって形成される平面に対して平行に延在する回動軸に軸支されていると、引き剥がし体は、より容易に係合位置に変位し、そこからより容易に取出位置に変位できる。この措置の結果として、引き剥がし体は、その変位に際して回動運動を行い、その際、回動軸は、引き剥がし体の内側又は外側に位置してよく、その運動は、分離プラットフォームに対して平行の水平成分と、分離プラットフォームに対して直交する鉛直成分とに分解できる。引き剥がし体の寸法設定が適切であれば、水平成分は、引き剥がし体が係合位置でストッパにより容易に係合することを可能にし、その際、深絞り模型を、深絞りシートも含めて、分離プラットフォーム上で変位させなくてよい。係合位置に至ると直ちに、引き剥がし体が単純に更に運動することによって取出位置に到達できる。というのも、引き剥がし体の回動運動の鉛直成分に基づいて、分離に必要な引張力を提供できるからである。
【0014】
取出開口の縁がストッパ境界側で円錐台形であると、付着力が大きくても及ぼすべき分離力を低減できる。取出開口の縁は、深絞りシートが載置する面上にのみストッパ境界を形成する。円錐台の側面によって、深絞りシートと分離プラットフォームとの間に自由空間が生じ、この自由空間の高さは、取出開口の中心の方へ増大する。引き剥がし体がストッパを介して引張力を深絞り模型に提供するとき、深絞りシートは、付着作用に基づいて、引張方向に自由空間に引っ張られ、このことは、深絞りシートの弾性的な拡張をもたらし、ひいてはより容易な分離をもたらす。
【0015】
分離に必要な引張力を手動でより容易に及ぼすために、引き剥がし体は、回動軸を中心に運動自在なレバーに取り付けられてよい。レバーが、レバーの長手方向軸線に対して平行に延在する長孔を介して回動軸に軸支されていると、特にユーザに優しい動作状態が得られる。というのも、これにより引張手段によって形成されるストッパへの引き剥がし体の係合が容易になるからである。
【0016】
分離後に深絞り模型を装置から容易に取り外せるように、取出開口が、帯体用の貫通開口としての少なくとも1つの貫通部を有する、引き剥がし体に引張方向に後置された収容プラットフォームのための収容部を形成することが提案される。係合位置で、帯体は、取出開口によって収容された収容プラットフォームを通って突出する。深絞り模型が係合位置から取出位置へ変位するときに深絞りシートから剥がされると、深絞り模型は、収容プラットフォーム上に位置し、そこから深絞りシートが除去された後で、取出開口を介して取り出せる。収容プラットフォームは、例えば金属又はプラスチック製であってよい。
【0017】
図面には、本発明の対象が例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る装置の実施形態と、深絞りシート及び引張手段と共に深絞り模型とを概略断面図で示す。
図2】係合位置で図1に対応する断面を示す。
図3】取出位置で図2に対応する断面を示す。
図4】深絞りシートを含めて様式化された深絞り模型と共に本発明に係る装置の別の実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
歯科用スプリントを形成する深絞りシート2から歯科用の深絞り模型1を分離する本発明に係る方法では、最初に深絞り模型1と深絞りスプリント2との間に引張手段3が配置される。その際、深絞り加工の前に、引張手段3が深絞り模型1上に配置され、これに続いてはじめて深絞りシート2が深絞り模型1上に被せられると、深絞りシート2は、引張手段3を部分的に囲繞するので、他の固定手段を省略できる。代替的又は付加的に、引張手段3は、例えば深絞り模型1上に結び付けてよい。引張手段3は、ストッパ4を形成し、ストッパ4に、引き剥がし体5が係合できる。この引き剥がし体5は、図2に示された係合位置(係合位置で引き剥がし体5は引張手段3のストッパ4に係合する)から、深絞り模型1に引張力を加えることなく、図3に示された取出位置(取出位置で深絞り模型1と深絞りシート2とが分離される)に変位可能である。
【0020】
係合位置から取出位置へ変位する間、引き剥がし体5は、引張手段3のストッパ4を介して、深絞りシート2から深絞り模型1を剥がす引張力を及ぼし、深絞り模型1を引張方向6に深絞りシート2から引っ張る。その際、引張方向6は、深絞り模型1を深絞りシート2から引っ張るために、引き剥がし体5からストッパ4を介して深絞り模型1に加えられる力の力ベクトルの方向と正確に一致しなくてよく、引き剥がし体5の作用及び配置に応じて変更してよいことに留意されたい。この場合、引張方向6に加えられる力成分は、深絞り模型1を深絞りシート2から剥がすのに十分な大きさであることだけが重要である。加えれる引張力に基づいて深絞り模型1が深絞りシート2から剥がれると直ちに、深絞り模型1は、分離プラットフォーム8の取出開口7を通って落下する。分離プラットフォーム8の取出開口7の縁9が、深絞りシート2の自由な深絞り縁10に対するストッパ境界を形成するので、深絞りシート2は、連行されず、引き続き縁9上に静止する。分離は、取出開口7の縁9が円錐台形であると容易になる。これにより、深絞り模型1に引張力が加えられると、深絞りシート2は、円錐台によって形成される自由空間内に引っ張られ、横方向に、すなわち取出開口7に対して平行に可逆式に拡開され、これにより、深絞り模型1は、より簡単に深絞りシート2から剥がれる。
【0021】
深絞りシート2からの深絞り模型1の分離は、幾つかの更なるステップによって最適化でき、深絞りシート2から作製される歯科用スプリントの品質を改善できる。ゆえに、深絞り模型1の切歯の領域12に作用点を有するレバーとして機能する端部分11を介して引張力を加えるために、例えば引張手段3の少なくとも一部分を、深絞り模型1の端部分11の領域に配置することができる。図1から図3に示されているように、引張手段3の少なくとも一部分は、引張手段3が深絞りシート2の輪郭に影響を及ぼさないように、深絞り模型1の2つの歯の間に延在してよい。同様の目的で、引張手段3は、形状が不安定の帯体を含み、帯体の横断面は、深絞り模型1と深絞りシート2との間で可能な限り小さくなっている。
【0022】
引張力を加えるために、引き剥がし体5は、取出開口7に対して平行に延在する回動軸13に軸支されてよい。このことは、引き剥がし体5を係合位置及び取出位置の両方にもたらすために、ユーザが、引き剥がし体を一方向にだけ変位させればよいという利点を有する。さらに、回動運動は、引張手段3のストッパ4への引き剥がし体5の係合を容易にする。分離後、深絞り模型1が引き剥がし体5上に落下せず、より容易に取り出せるように、引き剥がし体5と取出開口7との間に、帯体用の少なくとも1つの貫通部15を有する収容プラットフォーム14が設けられてよい。帯体は、貫通開口15を通って案内される。貫通開口15の直径は、深絞り模型1の最大幅よりも小さいが、帯体が貫通開口15を通過でき、引き剥がし体5にアクセス可能である程度には十分に大きい。
【0023】
図4は、本発明に係る装置の別の一実施形態を示す。この実施形態では、引き剥がし体5が、収容プラットフォーム14を介して引張方向6に引張力を加える。その際、深絞り模型1は、深絞りシート2と共に、収容プラットフォーム14上に配置され、帯体の両端部は、プラットフォーム14の異なる貫通部15を通って案内され、深絞り模型1とは反対の側で、直接に結び付けられる又は間接的に相互に固定され、これにより、貫通部15の間の収容プラットフォーム14の領域が環状に囲繞される。その際、引き剥がし体5は、収容プラットフォーム14に係合し、収容プラットフォーム14が帯体を緊張させるまで、収容プラットフォーム14を下方へ引っ張る。取出位置への引き剥がし体5の更なる変位は、深絞りシート2から深絞り模型1を剥がす引張方向6の引張力を生じさせる。係合位置をより容易に確立するために、レバー16は、長孔を有してよく、長孔に、回動軸13が係合する。これにより、引き剥がし体5をより容易に半径方向に変位させ、ストッパ4に係合させることができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】