(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】再配置可能な外科用アンカー
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20240408BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20240408BHJP
A61B 17/04 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61F2/08
A61B17/56
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562864
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022020341
(87)【国際公開番号】W WO2022231713
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507084844
【氏名又は名称】デボル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パイン,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC13
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE02
4C097EE08
4C160BB30
4C160LL30
4C160LL70
(57)【要約】
外科用アンカーに関する実施形態が説明される。いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、選択的に除去可能なブロッカーを含んでもよく、このブロッカーは、選択的に除去可能なブロッカーが除去されるまで、外科用アンカーの1つ以上のバーブが隣接する組織と係合するのを防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内の欠損部を修復するための埋込型プロテーゼであって、
埋込型パッチ本体と、
前記パッチ本体に取り付けられた少なくとも1つの外科用アンカーと、を備え、
前記少なくとも1つの外科用アンカーは、
ヘッドと、
前記ヘッドから遠位に延在するシャフトであって、組織を穿刺するように構成された尖った遠位先端を含むシャフトと、
前記シャフト上に配置された1つ以上のバーブと、
前記ヘッドの近位面から少なくとも遠位面まで延在するスロットと、
前記スロット内に受容され、前記スロットから選択的に除去されるように構成されたブロッカーと、を含み、
前記ブロッカーが前記スロット内に配置されたときに、前記ブロッカーは前記1つ以上のバーブが隣接する組織に係合するのを遮るように構成されている、埋込型プロテーゼ。
【請求項2】
前記スロットは、前記シャフトの少なくとも一部分内に形成される、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの外科用アンカーは、複数の外科用アンカーのうちの1つである、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項4】
前記複数の外科用アンカーのうちの少なくとも2つの外科用アンカーは、剛性裏材によって接続されている、請求項3に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのブロッカーが接続されている、請求項3に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項6】
前記複数の外科用アンカーは、前記パッチ本体の周囲に配置されている、請求項3に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項7】
前記ブロッカーは、前記ブロッカーが前記スロットに完全に挿入されたときに、前記ブロッカーが前記1つ以上のバーブが隣接する組織と係合するのを阻止するように、前記ブロッカーが前記1つ以上のバーブの近位部分に対して配置されるようなサイズ及び形状にされる、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項8】
前記スロットは、前記ヘッドの近位面上に位置する開口部を含み、
前記開口部は、前記開口部を通る前記ブロッカーの挿入に対応するように構成されている、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項9】
前記外科用アンカー及び前記埋込型プロテーゼは生体吸収性である、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項10】
前記外科用アンカー及び前記埋込型プロテーゼは生体適合性である、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項11】
前記外科用アンカーは、少なくとも0.16lbfの引き抜き力を示すように構成されている、請求項1に記載の埋込型プロテーゼ。
【請求項12】
人工装具を組織に固定するための外科用アンカーであって、
ヘッドと、
前記ヘッドから遠位に延在するシャフトであって、組織を穿刺するように構成された尖った遠位先端を含むシャフトと、
前記シャフト上に配置された1つ以上のバーブと、
前記ヘッドの近位面から少なくとも遠位面まで延在するスロットと、
前記スロット内に受容され、前記スロットから選択的に除去されるように構成されたブロッカーと、を備え、
前記ブロッカーが前記スロット内に配置されたときに、前記ブロッカーは前記1つ以上のバーブが隣接する組織に係合するのを遮るように構成されている、外科用アンカー。
【請求項13】
前記スロットは、前記シャフトの少なくとも一部分内に形成される、請求項12に記載の外科用アンカー。
【請求項14】
前記ブロッカーは、前記ブロッカーが前記スロットに完全に挿入されたときに、前記ブロッカーが前記1つ以上のバーブが隣接する組織と係合するのを阻止するように、前記ブロッカーが前記1つ以上のバーブの近位部分に対して配置されるようなサイズ及び形状にされる、請求項12に記載の外科用アンカー。
【請求項15】
前記スロットは、前記ヘッドの近位面上に位置する開口部を含み、
前記開口部は、前記開口部を通る前記ブロッカーの挿入に対応するように構成されている、請求項12に記載の外科用ブロッカー。
【請求項16】
前記外科用アンカーは生体吸収性である、請求項12に記載の外科用アンカー。
【請求項17】
前記外科用アンカーは、少なくとも0.16lbfの引き抜き力を示すように構成されている、請求項12に記載の外科用アンカー。
【請求項18】
組織内の欠損部を修復するための埋込型プロテーゼを埋め込む方法であって、
外科用アンカーを前記組織に挿入することと、
前記外科用アンカーに形成されたスロット内に配置されたブロッカーを除去して、前記外科用アンカーの1つ以上のバーブを露出させることと、
前記1つ以上のバーブを隣接する組織と係合させることと、を含む、方法。
【請求項19】
埋込型プロテーゼを前記組織に隣接して配置することと、
前記外科用アンカーを用いて前記埋込型プロテーゼを前記組織に固定することと、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ブロッカーを除去する前に前記外科用アンカーを前記組織から除去し、前記外科用アンカー及び/又は前記埋込型プロテーゼを前記組織に対して再配置すること、を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記外科用アンカーを前記組織に再挿入すること、を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの外科用アンカーから前記ブロッカーを除去することは、前記ブロッカーのタブを引っ張ることを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月30日出願の米国特許出願第17/245,783号の優先権を主張するものであり、その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
開示される実施形態は、再配置可能な外科用アンカーに関する。
【背景技術】
【0003】
ヘルニア等の組織欠損部は、一般に、欠損部を被覆及び/又は充填するように構成される、埋込型プロテーゼを用いて修復される。いくつかの手技では、メッシュパッチ等の埋込型修復パッチが、欠損部の上、下、又は内部の定位置に縫合、ステープル留め、鋲留め、又は別様に一時的に係留される。メッシュファブリック内への及び/又はメッシュファブリックに沿った組織内殖などのパッチとの組織統合は、最終的に修復を完了することができる。
【0004】
種々の修復パッチが、軟組織及び筋肉壁の欠損部を修復するために使用される。このようなパッチは、典型的には、ポリプロピレンモノフィラメントから製造され、このポリプロピレンモノフィラメントは、組織の内殖及び経路との一体化を促進する孔又は隙間を有するメッシュに編まれる。そのようなパッチは、パッチを所定の位置に固定するためにパッチが所望の向きに配置された後に、縫合、ステープル留め、及び/又は鋲留めを含む取り付け方法を使用して組織に固定されるように適合され得る。
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、組織の欠損部を修復するための埋込型プロテーゼは、埋込型パッチ本体と、パッチ本体に取り付けられた少なくとも1つの外科用アンカーであって、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在するシャフトであって、組織を穿刺するように構成された尖った遠位先端を含む、シャフトと、シャフト上に配置された1つ以上のバーブと、ヘッドの近位面から少なくとも遠位面まで延在するスロットと、スロット内に受容され、スロットから選択的に除去されるように構成されたブロッカーであって、ブロッカーがスロット内に配置されたときに、1つ以上のバーブが隣接する組織に係合するのを遮るように構成されたブロッカーと、を含む、少なくとも1つの外科用アンカーと、を備える。
【0006】
別の態様によれば、人工装具を組織に固定するための外科用アンカーは、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在するシャフトであって、組織を穿刺するように構成された尖った遠位先端を含む、シャフトと、シャフト上に配置された1つ以上のバーブと、ヘッドの近位面から少なくとも遠位面まで延在するスロットと、スロット内に受容され、スロットから選択的に除去されるように構成されたブロッカーであって、ブロッカーがスロット内に配置されたときに、1つ以上のバーブが隣接する組織に係合するのを遮るように構成されたブロッカーと、を備える。
【0007】
更に別の態様によれば、組織の欠損部を修復するための埋込型プロテーゼを埋め込む方法は、外科用アンカーを組織に挿入することと、外科用アンカーに形成されたスロット内に配置されたブロッカーを除去して外科用アンカーの1つ以上のバーブを露出させることと、1つ以上のバーブを隣接する組織に係合させることと、を含む。
【0008】
本開示はこの点で限定されないので、前述の概念、及び以下で説明する追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成され得ることを理解されたい。そのうえ、本開示の他の利点及び新規な特徴は、添付の図面と併せて考慮されるとき、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して例として説明され、添付の図面は概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図していない。図面においては、図示されている同一又はほぼ同一な各構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確にする目的で、当業者が本開示を理解することを可能にするために図示が必要でない場合、すべての構成要素がすべての図においてラベル付けされているわけではなく、本開示の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。図面は以下の通りである。
【
図1】1つの例示的な実施形態による再配置可能なアンカーのセットの正面図である。
【
図2A】例示的な一実施形態による、ブロッカーが挿入された再配置可能なアンカーの側面図である。
【
図2B】
図2Aの実施形態による、ブロッカーが除去された再配置可能なアンカーの側面図である。
【
図3A】例示的な一実施形態による、ブロッカーが挿入された再配置可能なアンカーの斜視図である。
【
図3B】
図3Aの実施形態による、ブロッカーが除去された再配置可能なアンカーの側面図である。
【
図4A】例示的な一実施形態による、ブロッカーが挿入された再配置可能なアンカーのセットの上面図である。
【
図4B】
図4Aの実施形態による、ブロッカーが挿入された再配置可能なアンカーのセットの、線4B-4Bに沿った断面正面図である。
【
図5A】例示的な一実施形態による、ブロッカーが除去された再配置可能なアンカーのセットの上面図である。
【
図5B】
図5Aの実施形態による、ブロッカーが除去された再配置可能なアンカーのセットの、線5B-5Bに沿った断面正面図である。
【
図6】例示的な一実施形態による、再配置可能なアンカーの複数のセットを組み込んだ人工装具の上面図である。
【
図7】例示的な一実施形態による、再配置可能なアンカーを使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
患者のヘルニア等の軟組織欠損部を修復するために、臨床医は、パッチ等の外科的に埋め込み可能なプロテーゼを使用し得る。場合によっては、臨床医は、最初にパッチを所望の向きに配置し、その後、縫合、ステープル留め、鋲留め、又は別様にパッチを組織欠損部に固定することによって、織物メッシュ等のパッチを組織欠損部に埋め込むことができる。一般的に言えば、これにより、臨床医は、修復パッチを配置及び配向するために別個の特徴部及び/又はデバイスを使用し、その後、組織欠損部を修復するためにパッチを固定し、組織修復手術の複雑性を増加させる。例えば、臨床医は、最初にパッチを所望の向きに一時的に配置することができる。次いで、臨床医は、パッチを組織欠損部に一時的に縫合、ステープル留め、又は鋲留めしてもよい。次に、臨床医は、パッチが適切な向きに固定されているかどうかを確認することができる。パッチが適切な向きにない場合、臨床医は、縫合糸、ステープル、及び/又は鋲を除去する必要があり得る。特に、縫合糸、ステープル、及び/又は鋲の除去により、縫合糸、ステープル、及び/又は鋲は動作不能にされ得る。次いで、臨床医は、パッチを再配置し、追加の縫合糸、ステープル、及び/又は鋲を使用してパッチを組織欠損部に再固定し得る。これは、患者の術後疼痛の増加、並びに材料の浪費及び全体的な外科手技時間の望ましくない増加をもたらし得る。
【0011】
上記を考慮して、本発明者は、組織に選択的に挿入され、そこから除去され得る第1の構成と、外科用アンカーが関連する組織に保持される第2の構成との間で移行し得る外科用アンカーに関連する利点を認識した。したがって、臨床医は、パッチを組織欠損部に一時的に固定して、より長期の埋め込みのためにパッチを固定する前に所望の向きが達成されたことを確認することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、アンカーが組織から除去され得る第1の構成からアンカーが組織内に保持され得る第2の構成へとアンカーを移行させるように構成された選択的に除去可能なブロッカーを含んでもよい。例えば、一実施形態では、ブロッカーは、ブロッカーが外科用アンカーのスロット内に挿入されたときに、アンカーの1つ以上の部分が組織と固定的に係合することができないように構成されてもよい。特に、ブロッカーが外科用アンカーのスロット内に挿入されると、ブロッカーは、外科用アンカーの1つ以上のバーブが組織と係合するのを遮ることができる。また、外科用アンカーは、組織を穿刺することができる尖った遠位先端を含むことができる。したがって、係合されたブロッカーを有する外科用アンカーが隣接する組織に挿入されると、臨床医は、関連するパッチ本体、又は他の人工装具、及び/又は外科用アンカー自体を再配置することが所望される場合、組織から外科用アンカーを除去し、異なる位置で組織を再穿刺する能力を維持しながら、(例えば、パッチを所望の向きに操作するために)組織を除去可能に穿刺し得る。臨床医が外科用アンカーを組織に固定的に取り付ける必要があるとき、臨床医は、ブロッカーを選択的に除去して、外科用アンカーの1つ以上のバーブを露出させ、したがって、1つ以上のバーブを組織と係合させることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、ブロッカーが臨床医によって除去されるまで、ブロッカーを収容するためのスロットを含んでもよい。例えば、外科用アンカーは、ヘッドと、ヘッドから遠位に延在するシャフトとを含んでもよい。スロットは、ヘッドの近位面から少なくともヘッドの対向表面まで延在し、アンカー内に配置されたときにブロッカーがヘッドを通って延在することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、スロットはまた、シャフトの少なくとも一部を通って延在してもよい。組織を穿刺するように構成された1つ以上のバーブ及び尖った遠位先端は、シャフトの遠位部分上に位置し得る。したがって、ブロッカーの少なくとも一部は、ブロッカーがスロット内に配置されたときに、1つ以上のバーブが隣接する組織と固定的に係合することを防止されるように、1つ以上のバーブを遮蔽してもよい。いくつかの実施形態では、スロットは、シャフトの2つの対向する部分、シャフトの側部の間に形成されてもよく、及び/又はスロットは、シャフトに全く形成されなくてもよい。したがって、臨床医は、ヘッドに形成されたスロットの開口部を介してスロットからブロッカーを選択的に除去して、1つ以上のバーブを露出させ、外科用アンカーが隣接する組織と固定的に係合することを可能にし得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示による埋込型プロテーゼは、埋込型パッチ本体と、パッチ本体に動作可能に接続される、本明細書に開示されるような少なくとも1つの外科用アンカーとを含んでもよい。このような構成は、臨床医が、所望の向き及び/又は位置が達成されるまで、1つ以上のアンカー及び関連する人工装具を選択的に除去及び再配置することを可能にし得る。デバイスは、人工装具に接続された任意の適切な数のアンカーを含んでもよい。更に、外科用アンカーは、縫合糸、溶接、接着剤、及び/又は任意の他の適切な取り付け方法を使用して、人工装具のパッチ本体又は他の部分に接続され得る。
【0015】
場合によっては、パッチ本体に固定された複数の外科用アンカーが、臨床医が複数の外科用アンカーを組織の領域内に容易に配備することを可能にする特徴部を含むことが望ましい場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、プロテーゼは、パッチ本体に予め固定された複数の外科用アンカーを含んでもよい。そのような実施形態では、プロテーゼは、プロテーゼの外科用アンカーのうちの1つ以上のものに剛性裏材を提供するための特徴部を含んでもよい。剛性裏材は、複数のアンカーの各アンカーを所定の距離だけ離間させ、パッチ本体の下層組織への固定を支持する役割を果たしてもよい。当然のことながら、外科用アンカーは、臨床医による埋め込み中に追加され得るので、パッチ本体に予め固定される必要はない。更に、用途に応じて、予め固定されたアンカーと、埋め込み中にパッチ本体に固定されるアンカーとの他の適切な組み合わせを使用してもよい。
【0016】
複数のアンカーを有するプロテーゼが使用される実施形態では、複数の剛性裏材は、パッチ本体の異なる領域に位置する複数の外科用アンカーの異なるグループと関連付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数の外科用アンカーは、パッチ本体の周囲に延在する2つ以上のグループにグループ化されてもよい。いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、剛性裏材とともに形成されてもよく、又は剛性裏材に接続されてもよいが(例えば、成形又は溶接を介して)、剛性裏材は、圧入、スナップ嵌め、又は任意の他の適切な様式を介して外科用アンカーに取り付けられてもよいため、必ずしもそうである必要はない。
【0017】
裏材を使用して複数のアンカーが組み込まれる場合を含む、複数の外科用アンカーが使用される場合、複数の外科用アンカーは、複数のブロッカー(例えば、各外科用アンカーに対して1つのブロッカー)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のブロッカーのうちの2つ以上は、相互連結されたブロッカーの除去を容易にするために相互連結されてもよい。例えば、そのような実施形態では、臨床医は、相互接続されたブロッカーの各々がそれぞれの外科用アンカーから除去されるまで、相互接続構造及び/又は他の相互接続されたブロッカーに接続されたブロッカーを引っ張ることによって、複数の相互接続されたブロッカーを除去してもよい。いくつかの実施形態では、複数のブロッカーのうちの1つ以上のものは、臨床医がループ又はタブを引っ張ってブロッカーを除去し得るように、ループ又はタブを含んでもよい。代替的又は追加的に、個々のブロッカーは、用途に応じてそのようなループ又はタブを含んでもよい。いずれの場合も、臨床医は、1つ以上の付属器官(例えば、親指及び人差し指)、1つ以上のツール(例えば、一対の鉗子)、及び/又はロボット外科手術システムを使用して、構造を引っ張り得る。したがって、臨床医は、単一の動き又はステップで複数のブロッカーを除去することができる。
【0018】
外科用アンカーを剛性裏材とグループ化し、ブロッカーを相互接続することに関する上述の特徴は、用途に応じて、互いに関連して、又は別々に使用されてもよい。
【0019】
本開示による埋込型プロテーゼは、解剖学的欠損部を修復するのに適していてもよく、軟組織及び筋肉壁又は他の解剖学的領域の欠損部及び脆弱性を修復するのに特に適していてもよい。語句「欠損部を修復する」は、欠損部及び/又は潜在的な欠損部を修復、増強、及び/又は再構築する行為を含み得る。理解を容易にするために、かつ本開示の範囲を限定することなく、プロテーゼは、特に、間接鼠経ヘルニア、直接鼠経ヘルニア、股ヘルニア、腹壁ヘルニア、及び/又は腹部組織の他の衰弱若しくは断裂のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されないヘルニアの修復に関連して以下に説明される。しかしながら、プロテーゼはそのように限定されるものではなく、当業者に明らかであるように、他の解剖学的手技において使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、限定するものではないが、プロテーゼは、胸壁又は腹壁の再建、又は肥満患者に生じ得るような大きな欠損部のために使用され得る。プロテーゼは、そのような属性に寄与する1つ以上の特徴を、それぞれ独立して、又は組み合わせて含んでもよい。
【0020】
上記に加えて、本開示によるプロテーゼは、本体部分を有する修復布を含んでもよく、本体部分は、本体部分が欠損部に対して配置されるときに、欠損開口部又は脆弱部を覆うか、又はそれにわたって延在するように構成される。修復布は、(上述のように)パッチの形態であってもよいが、プロテーゼは、当業者に明らかであるように、他の構成を採用してもよい。パッチは、欠損部を修復するために採用される特定の手順に好適な平面又は非平面構成を有してもよい。
【0021】
プロテーゼは、切開、腹腔鏡、ハイブリッド(例えば、Kugel手技)、及びロボット技法を含む、種々の外科手術技法を使用して、組織欠損部を修復するために使用されてもよい。切開手技の間、プロテーゼは、腹壁及び組織の層に作製された比較的大きい切開を通して配置されてもよく、次いで、欠損部は、修復布で充填又は覆われる。腹腔鏡手技及びハイブリッド手技の間、プロテーゼは、比較的より小さい切開を通して直接的に、又は切開を通して留置される細長い腹腔鏡カニューレを通してのいずれかで、対象の中への進入のための縮小構成へと、回転又は折り畳み等によって圧潰されてもよい。プロテーゼは、プロテーゼの配置が外科用ロボットツールを使用して達成されるロボット手技を伴う特定の用途を有してもよく、外科用ロボットツールは、より従来的な腹腔鏡技術に典型的に使用されるカニューレ(例えば、10~12mm)と比較して、比較的小さいカニューレ(例えば、8mm)を通してプロテーゼを通過させることを含んでもよい。
【0022】
本明細書に説明される外科用アンカーは、任意の好適な材料から作製されてもよい。例えば、いくつかの事例では、外科用アンカーは、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリ乳酸、金属(例えば、ステンレス鋼、チタン、マグネシウム合金、及び/又は他の適切な金属)、又は任意の他の好適な材料等の剛性プラスチックから作製されてもよい。いくつかの事例では、外科用アンカーは、生体適合性材料から作製されてもよい。代替的又は追加的に、外科用アンカーは生体吸収性材料から形成されてもよい。もちろん、外科用アンカーは、用途に応じて任意の適切な材料から作製されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、外科用アンカーのブロッカーは、生体吸収性材料から作製されてもよい。
【0023】
本明細書に記載されるパッチ本体は、織布、不織布、及び膜ベースの材料を含む任意の適切な材料から作製されてもよい。例えば、いくつかの例では、パッチ本体は、ポリ-4-ヒドロキシ酪酸メッシュなどのメッシュであってもよい。いくつかの事例では、パッチ本体は、生体適合性材料から作製されてもよい。代替的又は追加的に、パッチ本体は生体吸収性材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、パッチ本体は、1つ以上のケイ酸塩材料から形成される障壁を含んでもよい。当然ながら、パッチ本体は、用途に応じて、任意の適切な材料から作製されてもよい。
【0024】
外科用アンカーは、任意の適切な方法でパッチ本体に取り付けることができる。例えば、外科用アンカーは、接着剤、超音波溶接、熱溶接、縫合、又は任意の他の適切な取り付け方法を使用してパッチ本体に取り付けられてもよい。もちろん、用途に応じて、外科用アンカーをパッチ本体に取り付ける任意の適切な方法を使用することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、0.375インチ、0.35インチ、0.325インチ、及び/又は別の適切な長さ以下である、デバイスの長手方向軸に沿った最大寸法等の全長を含んでもよい。それに対応して、外科用アンカーは、0.125インチ、0.15インチ、0.175インチ、及び/又は別の適切な長さ以上の全長を有し得る。0.125インチ~0.375インチ、0.15インチ~0.35インチ、及び0.175インチ~0.325インチの全長を含むがこれらに限定されない、上述の範囲の組み合わせが企図される。いくつかの実施形態では、外科用アンカーの全長は0.27インチである。当然ながら、用途に応じて、任意の適切な全長を使用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、0.188インチ、0.18インチ、0.163インチ、及び/又は別の適切な幅以下である、アンカーの長手方向軸を横断するアンカーの横軸に沿った最大横断寸法等の全幅を含んでもよい。それに対応して、外科用アンカーは、0.062インチ、0.075インチ、0.088インチ、及び/又は別の適切な幅以上の全幅を有し得る。0.062インチ~0.188インチ、0.075インチ~0.18インチ、及び0.088インチ~0.188インチの全幅を含むがこれらに限定されない、上述の範囲の組み合わせが企図される。いくつかの実施形態では、外科用アンカーの全幅は0.135インチである。当然ながら、用途に応じて、任意の適切な全幅を使用することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、外科用アンカーは、0.16lbf以上である、隣接する組織と固定的に係合されたままである間に単一の外科用アンカーが耐え得る最小力などの最小引き抜き力、及び/又は別の適切な力を含んでもよい。0.08lbfから0.24lbfの間の最小引き抜き力を含むがこれに限定されない、上述の最小引き抜き力の範囲が企図される。上述の最小引き抜き力の範囲は、上述の寸法の範囲と一致してもよい(例えば、より小さいアンカー寸法は、より小さい最小引き抜き力と同等であってもよい)。もちろん、用途に応じて、任意の適切な引き抜き力を使用することができる。更に、言及された引き抜き力は、例えば、適切な引張試験機を使用して測定されるような組織特性を再現するための、組織類似体高密度合成発泡体基材からの引き抜き力を含む、任意の適切な方法を使用して測定されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、開示された外科用アンカーとともに使用されるプロテーゼは生体吸収性である。例えば、いくつかの実施形態では、プロテーゼの構成要素は、生体吸収性材料(例えば、上述のような)から形成される。代替的又は追加的に、プロテーゼは、埋め込み中にパッチ本体を定位置に保持するのを助けるためにパッチ本体に塗布された一時的な吸収性接着剤を含んでもよい。
【0029】
上述した特徴は、単独で又は互いに関連して、アンカー及び関連する人工装具を容易に再配置することを可能にすることに加えて、特定の用途において利点を提供するのに役立ち得る。例えば、アンカー内のスロットは、手術部位における患者の付加的な血流を容易にし、したがって、より迅速な回復時間をもたらし得る。特に、追加の血流は、手術部位における組織内殖の速度の増加を可能にし得る。更に、ブロッカーは、移植の間、外科用アンカーの1つ以上のバーブを遮蔽し得るので、パッチ本体は、臨床医によってより容易に操作され得る。例えば、パッチ本体は、腹腔鏡挿入のために巻き上げられてもよく、ブロッカーは、パッチ本体上でバーブが引っ掛かるのを遮ってもよい。代替的又は追加的に、臨床医がブロッカーを除去する前に外科用アンカーの位置を操作する能力は、組織に対するアンカーのより良好な全体的な適合を可能にすることができ、複数の方向におけるより均一な強い保持をもたらし、修復を完了するときに組織に対してほぼ平坦な位置にプロテーゼを固定する際に臨床医を支援する。
【0030】
図を参照して、特定の非限定的な実施形態が更に詳細に説明される。これらの実施形態に関連して説明される様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法は、本開示が本明細書に説明される特定の実施形態のみに限定されないので、個別に及び/又は任意の所望の組み合わせで使用され得ることを理解されたい。
【0031】
図1は、隣接する組織と係合することによって、埋め込み可能なメッシュ又は他の人工装具を組織に取り付けるように構成された複数の外科用アンカー100の一実施形態を示す。複数の外科用アンカー100は、3つの相互接続された外科用アンカー116、117、118を含む。外科用アンカー116は、ヘッド106と、ヘッドから遠位に(例えば、組織への挿入中に締結具が展開される方向に)延在するシャフト108とを備える。シャフト108の遠位部分上で、シャフト108は、組織を穿刺するように構成された尖った遠位先端110及びバーブ112を含む。いくつかの実施形態では、バーブは、シャフトから半径方向外向きに延在する構造に対応してもよい。更に、いくつかの実施形態では、1つ以上のバーブはまた、バーブがシャフトからある角度で延在するように、近位に配向された方向に少なくとも部分的に延在してもよく、これは、組織と係合し、いったん展開されると、外科用アンカーを所望の位置に保定することに役立ち得る。例えば、そのような構成は、外科用アンカー116が隣接する組織を貫通して固定的に係合することを可能にすることができ、尖った先端110が組織内に展開されて、シャフト108を組織内に貫通させて延在させる。バーブが覆われていない場合、シャフト108が組織壁に入ると、バーブ112は組織壁に係合し、外科用アンカー116を組織壁に固定する。
【0032】
バーブは、いったん展開されると、1つ以上の外科用アンカーを組織内に保持し得るが、場合によっては、臨床医が外科用アンカーを組織壁に固定して係合させることを望むまで、バーブ112が組織壁に係合しないことが望ましい場合がある。したがって、1つ以上の外科用アンカー116は、外科用アンカー116のバーブ112が組織壁と係合することを防止するための特徴部を含んでもよい。特に、外科用アンカー112は、選択的に除去可能なブロッカー102を含んでもよい。ブロッカー102は、外科用アンカーと組み立てられたときに、バーブ112が組織壁と係合することを防止し、外科用アンカー116が組織壁と固定的に係合するのを防止するように構成されてもよい。したがって、臨床医は、尖った遠位先端110で組織壁を貫通し、組織からアンカーを除去し、組織に対するアンカーの所望の位置及び/又は向きが達成されるまでアンカーを再配置することができる。例えば、臨床医は、外科用アンカー116が所望の向きに配置されるまで、組織壁に挿入されたときに外科用アンカー116を回転させてもよい。代替的又は追加的に、組織壁を穿刺した後、臨床医は、外科用アンカー116を破壊、損傷、又は他の方法で動作不能にすることなく、組織壁から外科用アンカー116を除去し、異なる位置で組織壁を貫通して、所望の位置及び/又は向きを達成することを選択してもよい。臨床医が、アンカーが展開される組織に対してアンカーの所望の位置及び/又は向きを達成すると、臨床医は、ブロッカー102を除去し、外科用アンカーの1つ以上のバーブ112が組織壁と固定的に係合することを可能にしてもよい。
【0033】
ブロッカー102は、バーブ112を遮蔽し、バーブ112が組織壁と係合することを防止することによって、上述の機能性を達成してもよい。特に、図示された実施形態では、外科用アンカー117、118は、遮蔽構成にあるブロッカー102を示しており、ブロッカーは、シャフトから半径方向外向きに、関連付けられたバーブの外縁又は先端の位置まで、又はそれに近接して延在する。いくつかの実施形態では、ブロッカーの遠位面の形状は、ブロッカーが締結具内に形成された対応するスロット内に配置されたときに、ブロッカーがバーブと周囲組織との係合を防止するように、ブロッカーのその部分に隣接して位置する対応するバーブの近位面の外形を補完してもよい。対照的に、外科用締結具116は、外科用アンカー116から除去された組織壁及びブロッカー102と係合するようにバーブ116が露出され準備された露出構成で示されている。臨床医は、タブ104又は他の適切な構造を引っ張ることによってブロッカー102を除去することができる。いくつかの実施形態では、図に示すように、外科用アンカー116、117、118の各々のブロッカー102は、可撓性ストリップ又は他の接続構造によって互いに接合されてもよい。したがって、臨床医は、単一タブ104又は接合された締結具の他の部分を連続的に引っ張ることによって、複数のブロッカー102を除去してもよい。したがって、臨床医は、単一の動作又はステップでブロッカー102のすべてを除去することができる。
【0034】
図示の実施形態では、外科用アンカー117、118は外科用アンカー116と同様に構成されるが、外科用アンカー117、118は、用途に応じて、互いに及び外科用アンカー116とは異なるように構成されてもよいことを理解されたい。当然ながら、外科用アンカー116、117。118は、任意の適切な方法で構成することができる。
【0035】
図に示す実施形態は、2つのバーブ112を有する外科用アンカーを示しているが、必ずしもそうである必要はないことを理解されたい。例えば、1つ、3つ又は4つ以上のバーブを有する構成も企図される。更に、バーブは、任意の適切な構成で構成されてもよい。例えば、図示のようなバーブ112が、シャフト108の両側に示されている。しかしながら、3つのバーブを有する実施形態では、バーブは三角形又は他の適切な構成であってもよい。4つのバーブを有する実施形態では、バーブは、十字形又は他の適切な構成であってもよい。したがって、用途に応じて、任意の適切な構成及び数のバーブを使用することができることを理解されたい。
【0036】
上記の実施形態は、剛性裏材と一体化された複数の締結具を示すが、個々の外科用アンカーの使用も企図される。例えば、本開示による外科用アンカーは、
図2A~
図3Bの実施形態に示すように、単一の外科用アンカー200として形成されてもよい。図示の実施形態では、外科用アンカー200は、ヘッドの近位面から、ヘッドを通ってヘッドの対向する遠位面まで、及びシャフト108の一部を通って延びるスロット120を含む。スロットがシャフト内に少なくとも部分的に形成される場合、スロットは、シャフトの外側部分の長さの少なくとも一部分上に形成され、それに沿って延在してもよい。あるいは、スロットは、シャフトの内側部分の長さの少なくとも一部分上に形成され、それに沿って延在してもよく、第1の部分124及び第1の部分に対向する第2の部分126は、スロットに対応する間隙を間に画定する対向表面を形成してもよい。しかしながら、スロットがシャフトに形成されていない実施形態も考えられる。いずれの場合も、スロットは、スロット内にブロッカー102を受容するようなサイズ及び形状にされてもよい。スロットの特定のサイズ及び/又は形状にかかわらず、スロット120は、臨床医が外科用アンカー200からブロッカー102を除去する前に、1つ以上のバーブの近位面の少なくとも一部分が隣接する組織に係合するのを阻止するために、ブロッカー102をその中に受容して保持するようなサイズ及び形状にされてもよい。
【0037】
図2A~
図3Bに示すように、ブロッカー102は、タブ104なしで構成されてもよい。
図2A~
図3Bの実施形態では、ブロッカーは代替的にブロッカーヘッド122を含み、これを臨床医が引っ張ってブロッカー102をスロット120から除去することができる。更に、いくつかの実施形態では、ブロッカーヘッド122はまた、ブロッカー102が外科用アンカー200と係合しているときにヘッド106と同一平面上にあってもよく、ブロッカーがスロット120から誤って係合解除され得るリスクを低減する。しかしながら、ブロッカーの近位部分の構造及び形状は、ブロッカーが使用中に外科用アンカーから選択的に除去されることを可能にする、任意の所望の構造及び/又は形状に対応し得る。したがって、ブロッカーの構造及び形状は、本開示がこのように限定されないので、図に示す特定の構造のみに限定されないことを理解されたい。
【0038】
外科用アンカー200はまた、ヘッド106の近位面に形成された1つ以上の開口部132を含んでもよい。1つ以上の開口部132は、1つ以上のスロットの近位部分に対応してもよく、ブロッカー102の本体がスロット120に挿入されることを可能にするようなサイズ及び形状にされてもよい。スロット及び/又はブロッカー全体はまた、ブロッカーがスロット内に深く挿入されすぎることを防止するように構成されてもよい。例えば、ブロッカーヘッド122は、隣接するスロットよりも大きい横断寸法を有するブロッカーヘッドによって示すように、スロット内への挿入を防止するようなサイズ及び形状にされてもよい。あるいは、スロットは、単に、1つ以上のバーブの近位面とブロッカーの遠位面との間に存在するような対応する機械的干渉を使用することによって、ブロッカーが所望の位置を超えて挿入されることを防止する全体サイズ及び/又は形状を有してもよい。図示の実施形態では、開口部132の中心は、スロット120、シャフト120、及びヘッドの中心に位置合わせされる。しかしながら、開口部、ヘッド、シャフト、及びスロットは、用途に応じて任意の好適な様式で構成されてもよいため、必ずしもそうである必要はない。
【0039】
上記の実施形態では、スロット120は長方形の輪郭で構成されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、1つ以上の対応するブロッカーを受容するように形成される1つ以上のスロットは、正方形、三角形、卵形、及び/又は任意の他の適切な形状を含むが、それらに限定されない、任意の好適な形状(例えば、ブロッカー102を収容するため)をとることができる。特に、いくつかの実施形態において、ブロッカー102及びスロット120は、相補的な形状及び/又はサイズで構成されてもよい。
【0040】
図4A~
図5Bは、外科用アンカーが一緒に展開され、遮蔽されないように、剛性裏材114に組み込まれた複数の外科用アンカー300の実施形態を示す。図示の実施形態では、複数の外科用アンカー300は、外科用アンカーが一体的に形成され得るか、又は接続され得る剛性裏材114を介して相互接続される。図示のブロッカー102は、適切な剛性又は可撓性のストリップ、又は
図1の実施形態と同様の他の接続構造によって相互接続されてもよく、あるいは別個に除去可能な別個のブロッカーが同様に使用されてもよい。
図4A~
図4Bは、遮蔽構成にある複数の外科用アンカー300を示しており、バーブ112は、各アンカーの関連するブロッカーによって隣接する組織と固定的に係合することが防止されている。対照的に、
図5A~
図5Bは、露出構成にある複数の外科用アンカー300を示しており、ここで、ブロッカーは除去されており、各アンカーのバーブ112は、隣接する組織と自由に係合する。図示の実施形態では、ブロッカー102は、バーブ112の少なくとも近位部分を覆うように成形されている。特に、いくつかの実施形態では、ブロッカー102は、シャフトから外向きに延在し、いくつかの実施形態では、ブロッカーが関連するバーブの最も外側の部分の半径方向位置まで、又はそれを越えて延在するように、シャフトから半径方向外向きに延在する。したがって、ブロッカー102が遮蔽構成にあるとき、バーブ112は、隣接する組織と係合することが防止される。逆に、
図5A~5Bに示すように、ブロッカー102が複数の外科用アンカー300から除去されると、バーブ112は露出し、隣接する組織と自由に係合する。
【0041】
板状のブロッカー102が図に示されているが、ブロッカーは任意の適切な形状をとることができることを理解されたい。例えば、代替的な実施形態では、ブロッカーは、略U字形であり、ブロッカーの脚部が中実シャフトの対向する部分に沿って延在するように、シャフトの対向する側面上に位置するヘッドの部分内に形成されるスロット内に受容されるように構成されてもよい。もちろん、ブロッカー102は、用途に応じて、任意の適切な形状をとることができる。
【0042】
図6は、パッチ本体134を含む埋込型プロテーゼの一実施形態を示しており、外科用アンカー300の複数の別個のグループがパッチ本体134に予め固定されている。図示の実施形態では、複数の外科用アンカー300は、パッチ本体の周囲に配置されている。特に、複数の外科用アンカー300は、任意の適切な方法でパッチ本体134上に配置することができる。図示の実施形態では、締結具の別個のグループは、上述したように別個の剛性裏材114に組み込まれる。そのような実施形態では、臨床医は、剛性裏材114を把持し、剛性裏材114を押して、外科用アンカー300の1つのグループを隣接する組織に埋め込むことができる。しかしながら、剛性裏材が使用されない実施形態も考えられる。外科用アンカーが予め組み付けられた埋込型プロテーゼのこのような構成により、臨床医は、プロテーゼ400をより容易に配置して組織に取り付けることができる。
【0043】
図7は、本開示によるパッチ本体と少なくとも1つの外科用アンカーとを含むプロテーゼを展開するための例示的な方法を示すフローチャートである。図示の方法では、ステップ500において、臨床医は、埋込型プロテーゼ(例えば、上述の埋込型プロテーゼ等)を組織に隣接して配置してもよい。次に、ステップ502において、臨床医は、1つ以上の外科用アンカー(例えば、上述の外科用アンカー)を、埋込型プロテーゼを通して組織内に挿入することができる。ステップ504において、アンカー及び/又は前立腺の所望の位置及び/又は向きがまだ達成されていない場合、臨床医は、組織に対して1つ以上の外科用アンカーを再配置してもよい。上述したように、これは、1つ以上の外科用アンカーの任意の組み合わせを組織から除去することと、1つ以上の外科用アンカーの同じ組み合わせを、例えば、異なる位置及び/又は向きで組織内に再挿入することとを含み得る。ステップ506において、臨床医は、次いで、外科用アンカーの各々からブロッカーを除去して、組織と固定的に係合するように構成された外科用アンカーの1つ以上のバーブを露出させ、したがって、1つ以上の外科用アンカーを組織に固定することができる。もちろん、用途に応じて、プロテーゼを展開する任意の適切な方法が採用されてもよい。
【0044】
本開示の様々な態様は、単独で、組み合わせて、又は前述の実施形態で具体的に説明されていない様々な構成で使用することができ、したがって、その適用において、前述の説明に記載された、又は図面に示された構成要素の詳細及び構成に限定されない。例えば、一実施形態に記載された態様は、他の実施形態に記載された態様と任意の方法で組み合わせることができる。
【0045】
本明細書に記載の実施形態は、実施例が提供されている方法として具現化することができる。方法の一部として実行される動作は、任意の好適な方式で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では連続した動作として示されているが、いくつかの動作を同時に実行することを含み得る、図示されたものとは異なる順序で動作が実行される実施形態が構築され得る。
【0046】
更に、いくつかの動作は、「ユーザ」によって行われるものとして説明される。「ユーザ」は、単一の個人である必要はなく、いくつかの実施形態では、「ユーザ」に起因する動作は、個人のチーム及び/又はコンピュータ支援ツール若しくは他の機構と組み合わせた個人によって行われてもよいことを理解されたい。
【0047】
特許請求項の要素を修飾するための特許請求の範囲での「第1」、「第2」、「第3」などの順序の用語の使用は、それ自体では、いかなる優先性、優先順位、又はある請求項の要素の別のものに対する順序、若しくは方法の動作が行われる時間的順序も意味するものでなく、単に、請求項の要素を区別するために、特定の名前を有するある請求項の要素を(順序の用語の使用がなければ)同じ名前を有する別の要素から区別するためのラベルとして使用される。
【0048】
また、本明細書で使用される語法及び用語は、説明を目的とするものであって、限定とみなされるべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、又は「有する」、「含有する」、「伴う」、及びそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びその同等物、並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0049】
本教示を様々な実施形態及び実施例と併せて説明してきたが、本教示がそのような実施形態又は実施例に限定されることは意図されていない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替例、変更例、及び等価物を包含する。したがって、前述の説明及び図面は、例としてのみである。
【国際調査報告】