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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】試料調製デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
G01N1/02 W
G01N1/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563820
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2022059988
(87)【国際公開番号】W WO2022223420
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2150486-5
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】520006481
【氏名又は名称】ペクサ アーベー
【氏名又は名称原語表記】PEXA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーイェル,スバンテ
(72)【発明者】
【氏名】オスリング,ヨルゲン
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA05
2G052AA34
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD23
2G052AD46
2G052BA15
2G052BA17
2G052EC08
2G052EC22
2G052EC23
2G052GA29
2G052JA09
(57)【要約】
本開示は、収集プレート(33)上に収集された粒子を含有する試料を調製するための試料調製デバイス(200)に関する。試料調製デバイス(200)は、収集プレート(33)を固定するための保持デバイス(210)と、試料コレクタ(233)を伴うパンチカッティングのためのデバイス(230)と、2つ以上の誘導ボア(251)を備える誘導デバイス(250)と、を備える。誘導デバイス(250)は、第1及び第2の横方向側面(254a、254b)の間の平面xに沿って第1の長さだけ延在し、誘導デバイス(250)は、誘導デバイス(250)を等しいサイズの第1の半分及び第2の半分(258a、258b)に分割する平面xに平行に延在する中心線Aを含む。2つ以上の誘導ボア(251)は、第1の半分及び/又は第2の半分(258a、258b)において中心線Aに対して非対称的に位置する。収集プレート(33)上に収集された粒子を含む試料を収集するための方法も開示される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集プレート(33、43、53)に収集された粒子を含有する試料を調製するための試料調製デバイス(200)であって、
前記試料調製デバイスが、
-前記収集プレート(33、43、53)を固定するための保持デバイス(210)と、
試料コレクタ(233)が提供されているパンチカッティングデバイス(230)のためのデバイスと、
-前記試料コレクタ(233)を受容及び誘導するための2つ以上の誘導ボア(251)を備える、誘導デバイス(250)と、を備えており、
前記誘導デバイス(250)が、
-第1の横方向側面(254a)と第2の横方向側面(254b)との間の平面xに沿った第1の長さと、
-平面yに沿った第2の長さであって、前記平面yが、前記平面xに垂直である、第2の長さと、
平面zに沿った第3の長さであって、前記平面zが、前記平面x及び前記平面yの両方に垂直であり、前記第3の長さが、前記誘導デバイス(250)のパンチ受容側面(252)と結合側面(253)との間の距離を画定する、第3の長さと、だけ延在し、
前記誘導デバイス(250)が、前記誘導デバイス(250)を等しいサイズの第1の半分(258a)及び第2の半分(258b)に分割する前記平面xに平行に延在する中心線Aを更に含み、前記2つ以上の誘導ボア(251)が、前記第1の半分及び/又は第2の半分(258a、258b)内に前記中心線Aに対して非対称的に位置する、ことを特徴とする、試料調製デバイス(200)。
【請求項2】
前記誘導デバイス(250)が、第1のパンチ位置Pos.1又は第2のパンチ位置Pos.6のいずれかで前記保持デバイス(210)に接続されるように構成されており、前記第1のパンチ位置Pos.1では、前記第1の横方向側面(254a)が、第1の方向に面し、前記第2のパンチ位置Pos.6では、前記誘導デバイス(250)が、前記平面x及びyに沿って180°回転し、その後、前記第1の横方向側面(254a)が、第2の方向に面し、前記第2の方向が、前記第1の方向とは正反対である、請求項1に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項3】
前記収集プレート(33、43、53)が、磁気ロックリング(218)によって前記保持デバイス(210)に固定されている、請求項2に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項4】
前記試料コレクタ(233)に、鋭利化された切断縁部(232)を画定する最前面の第1の端部が提供されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項5】
前記試料コレクタ(233)が、前記試料の収集中に前記収集プレート(33、43、53)を通って押されるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項6】
前記保持デバイス(210)が、前記誘導デバイス(210)の前記結合側面(253)に提供された第1及び第2の誘導ピン(256a、256b)を受容するように構成されている第1及び第2の受容穴(221a、221b)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項7】
前記誘導デバイス(250)が、第1のパンチ位置Pos.1にある前記保持デバイス(210)に接続されるとき、前記第1の誘導ピン(256a)が、前記第1の受容穴(221a)に受容され、前記第2の誘導ピン(256b)が、前記第2の受容穴(221b)に受容され、前記誘導デバイス(250)が、第2のパンチ位置Pos.6にある前記保持デバイス(210)に接続されるとき、前記第1の誘導ピン(256a)が、前記第2の受容穴(221b)に受容され、前記第2の誘導ピン(256b)が、前記第1の受容穴(221a)に受容される、請求項6に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項8】
前記2つ以上の誘導ボア(251)が、前記パンチ受容側面(252)における入口直径が、前記結合側面(253)における出口直径よりも大きい円錐形状を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項9】
前記試料コレクタ(233)の前記最前端部が、前記誘導デバイス(250)に提供された前記2つ以上の誘導ボア(251)に嵌合するように構成された円錐形状を有する、請求項4~8のいずれか一項に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項10】
前記誘導デバイス(250)に、前記第1の半分及び/又は第2の半分(258a、258b)内に前記中心線Aに対して非対称的に位置する3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の誘導ボア(251)が提供されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項11】
前記誘導デバイス(250)に、前記第1の半分及び第2の半分(258a、258b)内に前記中心線Aに対して非対称的に位置する5つの誘導ボア(251a~251e)が提供されている、請求項10に記載の試料調製デバイス(200)。
【請求項12】
収集プレート上に収集された粒子を含有する試料を調製/処理するための方法であって、前記方法が、請求項1~11に記載のデバイスを使用し、前記方法が、
a)分析される粒子pを含有する収集プレート(33、43、53)を保持する前記保持デバイス(210)を提供するステップと、
b)2つ以上の誘導ボア(250)が提供されている前記誘導デバイス(250)を、第1のパンチ位置pos.1で前記保持デバイス(210)に位置合わせ及び接続するステップと、
c)試料コレクタ(233)が提供されているパンチカッティングのためのデバイス(230)を提供するステップと、
d)前記誘導デバイス(250)が前記第1のパンチ位置pos.1で前記保持デバイス(210)に接続されているとき、前記誘導デバイス(250)に提供された前記2つ以上の誘導ボア(251)の各々を通って、前記収集プレート(33、43、53)から、前記試料コレクタ(233)によって、試料を収集するステップと、
e)2つ以上の誘導ボア(251)が提供されている前記誘導デバイス(250)を、第2のパンチ位置pos.6で前記保持デバイス(210)に位置合わせ及び接続するステップと、
e)前記誘導デバイス(250)が前記第2のパンチ位置pos.6に接続されているとき、前記誘導デバイス(250)に提供された前記2つ以上の誘導ボア(251)の各々を通って、前記収集プレート(33、43、53)から、前記試料コレクタ(233)によって、試料を収集するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収集プレート上に収集された粒子を含有する試料を調製するための試料調製デバイス、及び収集プレート上に収集された粒子を伴う試料を調製するための試料調製デバイスを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの気道は毎日少なくとも7~8立方メートルの空気に直面しており、吸入された粒子及びガスを解毒するための高度な生物学的システムがある。吸入された物質に対する最前線の防御は、全ての気道をカバーする呼吸管ライニング液(RTLF)である。RTLFは、先天性免疫に関与することに加えて、いくつかの重要な抗酸化系を含有し、吸入された物質の表面張力を減少させる界面活性剤として機能する。
【0003】
RTLFの組成は、気道の炎症状態で変化することが示されている。RTLF中の抗酸化剤と吸入された酸化剤との間のバランスが妨げられるとき、酸化ストレスは、炎症過程を開始する。この炎症過程は、非常に多様であるが、喘息から肺癌までのほとんどの呼吸器疾患の発症において共通している主要な初期事象である。
【0004】
呼吸器疾患につながる病態生理学的過程は、これまでのところ完全には理解されていない。この理由の1つは、これらの過程をヒトで監視することが困難であるためである。様々な曝露の効果を評価するために使用される方法の例としては、肺機能の測定、呼気された一酸化窒素、誘発された痰、又は気管支鏡検査からの気管支肺胞洗浄(BAL)又は生検の分析が挙げられる。残念ながら、これらの方法は、過度に侵襲的である、可変結果を提供する、及び/又はリスクを伴うなどの欠点に関連している。
【0005】
使用される更なる方法には、ヒトの気道の複雑な環境への限定的な一般化のみを可能にするインビトロ試験が含まれる。同じことは、ヒトとの遺伝的調和は高いものの、様々な遺伝子の発現が実質的に異なる、動物研究にも大部分が当てはまる。
【0006】
更に、導入されている更なる方法は、呼気凝縮液(EBC)の収集である。この方法は、揮発性化合物及び不揮発性化合物の両方が特定された低温によって凝縮される呼気水蒸気の分析を伴う。EBC中に見出される不揮発性物質は、気道内に形成される粒子に由来すると考えられる。呼気凝縮液(EBC)の収集は、非常に低い濃度の対象物質をもたらす水での希釈、口腔由来の物質による高い汚染、高い個体内変動係数、及びEBC中に見出される不揮発性物質をサンプリングする非常に非効率的な方法など、多くの深刻な方法論的困難に関連している。
【0007】
WO2009/045163及びWO2019/011750の両方が、呼気粒子を収集するためのシステムを開示しており、このシステムは、対象が慣性インパクタの入口に粒子を含有する空気を呼気するマウスピースを備える。インパクタは、呼気された粒子が特定の領域に収集される1つ以上の収集プレートを備える。しかしながら、呼気される特定のタイプの粒子の数は、いくつかの例では非常に少なく、粒子を収集プレート上に収集する方法に起因して、これらの粒子からのシグナルが、その後の分析で非常に弱くなるか、又は検出されなくなる。したがって、収集された粒子からのシグナルを改善する方法を見つける必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服又は改善することであり、上記の目的は、請求項1に記載の試料調製デバイス、及び請求項12に記載の方法によって達成され得る。更なる実施形態は、従属請求項、明細書、及び図面に記載されている。
【0009】
本明細書に記載されるように、収集プレート上に収集された粒子を含有する試料を調製するための試料調製デバイスが提供される。試料調製デバイスは、収集プレートからの粒子Pの試料の収集中に収集プレートを固定するための保持デバイスを備える。
【0010】
試料調製デバイスは、収集プレートから粒子Pの試料を収集するための試料コレクタが提供されているパンチカッティングのためのデバイスを更に備える。試料調製デバイスはまた、収集プレートからの粒子Pの試料の収集中に試料コレクタを受容及び誘導するための2つ以上の誘導ボアを備える誘導デバイスを備える。
【0011】
誘導デバイスは、第1の横方向側面と第2の横方向側面との間の平面xに沿って第1の長さだけ延在する。誘導デバイスは、平面yに沿った第2の長さであって、平面yが、平面xに垂直である、第2の長さだけ延在する。誘導デバイスは、平面zに沿った第3の長さであって、平面zが、平面x及びyの両方に垂直であり、第3の長さが、誘導デバイスのパンチ受容側面と結合側面との間の距離を画定する、第3の長さだけ延在する。
【0012】
誘導デバイスは、誘導デバイスを等しいサイズの第1の半分及び第2の半分に分割する平面xに平行に延在する中心線Aを含み、2つ以上の誘導ボアは、第1の半分及び/又は第2の半分内に中心線Aに対して非対称的に位置する。
【0013】
誘導デバイスは、第1のパンチ位置Pos.1又は第2のパンチ位置Pos.6のいずれかで保持デバイスに接続されるように構成され、第1のパンチ位置Pos.1では、第1の横方向側面は、平面xに平行な第1の方向に面し、第2のパンチ位置Pos.6では、誘導デバイスは、x、y平面に沿って180°回転し、その後、第1の横方向側面は、平面xに平行な第2の方向に面する。第1及び第2の方向は、平面xに平行であり、第2の方向は、第1の方向とは正反対である。
【0014】
上記の試料調製デバイスは、通常の実践的な分析方法と比較して、試料中に微量の粒子Pのみが存在することを検出する可能性を有意に強化する方法で、ユーザが粒子で収集プレートを処理することを可能にする。試料調製デバイスは、使用者が、分析される試料中の粒子のシグナルを有意に増加させることを可能にする。したがって、標準方法を使用する場合、通常は検出限界に近い、又はそれ以下である粒子の濃度を含有する試料は、検出及び/又は定量化され得るシグナルを与える。
【0015】
粒子を含有する収集プレートは、有利には、ロックリングによって保持デバイス内に配設されたプレート保持フレームに固定される。好ましくは、ロックリングは磁気であり、これは、有利には、磁気材料で作製されている保持デバイスへの収集プレートの固定を容易にする。
【0016】
パンチカッティングのためのデバイスの前端部は、試料の収集中に収集プレートを通って押されるように適合された試料コレクタで構成される。試料コレクタは、内部が中空であり、最前端部には鋭利化された切断縁部が提供されている。鋭利な切断縁部は、試料コレクタが収集プレートを切断して、収集プレート上に収集された粒子の山をパンチアウトすることを可能にする。粒子のパンチアウトされた試料は、中空チューブ内で収集され、例えば、後続の分析のために試験管内に移動させることができる。
【0017】
保持デバイスは、誘導デバイスの結合側面に提供されている第1及び第2の誘導ピンを受容するように構成された第1及び第2の受容穴を備える。誘導ピン及び受容穴は、誘導デバイスが保持デバイス上の第1のパンチ位置Pos.1又は第2のパンチ位置Pos.6のいずれかに接続されるとき、誘導デバイスが完全に整列していることを確実にする。
【0018】
誘導デバイスが第1のパンチ位置Pos.1で保持デバイスに接続されるとき、第1の誘導ピンは、第1の受容穴に受容され、第2の誘導ピンは、第2の受容穴に受容される。誘導デバイスが第2のパンチ位置Pos.6で保持デバイスに接続されるとき、第1の誘導ピンは、第2の受容穴に受容され、第2の誘導ピンは、第1の受容穴に受容される。
【0019】
2つ以上の誘導ボアは、有利には、結合側面の出口直径よりも大きい、パンチ受容側面の入口直径を有する円錐形状を有する。試料コレクタの前端部は、有利には、誘導デバイスに提供されている2つ以上の円錐形誘導ボアに適合するように構成された円錐形状を有する。前端部が誘導ボアに配置されると、試料コレクタの円錐形状及び誘導ボアは、試料コレクタの鋭利化された切断縁部が、収集プレート上に堆積された粒子Pの山を収集するために完全に整列することを可能にする。
【0020】
試料コレクタの前端部が円錐形誘導ボアの底部に当接すると、最前端部の鋭利化された縁部が、誘導デバイスの結合側面の誘導ボアから突出し、中空試料コレクタの鋭利化された切断縁部が収集プレートを通って押し出される。これにより、粒子Pの山を収集プレートからパンチし、中空の試料コレクタ内に収集することができる。
【0021】
誘導デバイスは、第1の半分及び/又は第2の半分の中心線Aに対して非対称的に位置する3つ、4つ、5つ以上の誘導ボアが提供されている。有利には、誘導デバイスは、第1の半分及び第2の半分の中心線Aに対して非対称的に位置する5つの誘導ボアが提供されている。
【0022】
誘導デバイスの有利な設計は、山のサイズが小さく、堆積された山間の空間が狭いにもかかわらず、パンチカッティングのためのデバイスによって粒子Pの山の正確な収集を可能にする。誘導デバイスの第1の半分及び/又は第2の半分における中心線Aに対する誘導ボアの非対称的な配置に起因して、誘導デバイスが第1のパンチ位置Pos.1及び第2のパンチ位置Pos.6にそれぞれ接続されるとき、パンチカッティングのためのデバイスの前端部が、各三日月形群の粒子Pの第2の山ごとに試料コレクタを整列させるための十分なスペースが提供される。
【0023】
本明細書に記載される更なる目的は、本明細書に説明される試料調製デバイスを使用して、収集プレート上に収集された粒子を含有する試料を調製/処理するための方法を提供することである。本方法は、
a)分析される粒子Pを含有する収集プレートを固定する保持デバイスを提供するステップと、
b)2つ以上の誘導ボアが提供されている誘導デバイスを、第1のパンチ位置Pos.1の保持デバイスに位置合わせ及び接続するステップと、
c)試料コレクタが提供されているパンチカッティングのためのデバイスを提供するステップと、
d)誘導デバイスが第1のパンチ位置Pos.1で保持デバイスに接続されているとき、誘導デバイスに提供された2つ以上の誘導ボアの各々を通って、収集プレートから、試料コレクタによって、試料を収集するステップと、
d)2つ以上の誘導ボアが提供されている誘導デバイスを、第2のパンチ位置Pos.6の保持デバイスに位置合わせ及び接続するステップと、
e)誘導デバイスが第2のパンチ位置Pos.6に接続されているとき、誘導デバイスに提供された2つ以上の誘導ボアの各々を通って、収集プレートから、試料コレクタによって、試料を収集するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】対象によって呼気された粒子を収集するためのシステムを開示する。
図2】対象によって呼気される粒子を収集するためのシステムで使用されるインパクタの4つの段階20、30、40、50を開示する。
図3】本明細書に開示される試料調製デバイス200の図である。
図4A-B】本明細書に開示される誘導デバイスの図であり、図4Aは、パンチ受容側面252の図であり、図4Bは、プレート結合側面253の図である。
図5A-H】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示する。
図5A】誘導ボア251がパンチ受容側面252からプレート結合側面253まで誘導デバイス250を通ってどのように延在するかを開示する。
図5B】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、第1のパンチ位置Pos.1で保持デバイス210のトレイセクション211に配設されている誘導デバイス250を開示する。
図5C】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、粒子p1~p10の山が収集された収集プレートを開示する。
図5D】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、誘導デバイス250によって誘導されたときに収集プレートから試料を収集する試料コレクタ233の切り取り図である。
図5E】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、誘導デバイス250が第1のパンチ位置Pos.1にある状態で5つの試料が収集された後の収集プレートの図である。
図5F】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、第1のパンチ位置Pos.1と第2のパンチ位置Pos.6との間で切り換えられる誘導デバイス250の図である。
図5G】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、第2のパンチ位置Pos.6で保持デバイス210のトレイセクション211に配設されている誘導デバイス250を開示する。
図5H】本明細書に開示される試料調製デバイス200を使用するためのステップを開示し、収集プレートから10個の試料が収集された後の収集プレートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
WO2009/045163及びWO2019/011750はいずれも、インパクタによって呼気粒子を収集するためのシステム、及びそのシステムを使用してそのような粒子を収集するために使用される方法を開示している。このシステムを使用する際の最も重要なステップを下に要約する。
【0026】
図1は、対象によって呼気された粒子を収集するためのシステムを開示する。システム100は、ポンプ115によってインパクタ10を通って呼気される一定の空気の流れを維持するように配設されている。インパクタ容量は、通常、一度に呼気全体を取り扱うのに不十分であるため、対象によって呼気される空気は、マウスピース110を通過し、慣性インパクタ10、及びリザーバ114に入る。したがって、インパクタ容量を超える任意の呼気空気は、リザーバ114に入る。システムの一部は、温度調整された区画120内に位置する。
【0027】
対象が呼気を終えると、第1の弁116は閉鎖される。次いで、ポンプ115は、インパクタ10を通して、リザーバ114内に貯蔵された呼気空気を引き出し、それによって、インパクタ10を通る呼気空気の連続的な流れを維持する。
【0028】
対象による各呼気の全体、又は実質的に全体の体積が検査され得る。システムは、システムを通る流れを維持するために外部空気をリザーバ114に追加することを必要とせずに動作し、それによって、追加された外部空気に関連する汚染のリスクを低減する。
【0029】
慣性インパクタ10は、当該技術分野で既知であり、医療用途での使用に好適な任意の慣性インパクタであり得る(図2を参照)。本明細書に開示されるシステムは、入口12及び出口14を備える慣性インパクタ10と、粒子Pを含むガス流Aが入口12を介してインパクタに入り、出口14を介してインパクタを出る前に各段を順番に通過するように配設された複数の段階20、30、40、50と、を含む。図2は、4つの段20、30、40、50を例解するが、2から15の段を有するインパクタが既知である。インパクタ10を通る流れは、インパクタの出口14に接続されたポンプ115によって引き起こされる。
【0030】
各段は、仕切り21、31、41、51によって隣接する段から分離され、各仕切りは、ガス流Aを収集プレート33、43、53に方向付ける少なくとも1つのオリフィス22、32、42、52を有する(実際には、複数のオリフィスが各仕切りに存在する)。各収集プレートの主面は、ガス流の流れの方向に実質的に垂直に配設され、粒子Pが少なくとも1つのオリフィス22、32、42、52を出ると、それらは、後続の収集プレート33、43、53の表面に衝撃を与え、その上に整然と収容された粒子Pの山34、44、54を形成する。これは、例えば、第1の仕切り21が10個のオリフィス22.1~22.10を有する場合、10個の別個の粒子Pの山34.1~34.10が、オリフィス22.1~22.10のパターンに対応するパターンで第1の収集プレート33上に形成されることを意味する。
【0031】
第1の収集プレート33の周りで空気流が偏向したときにその空気流に従うことができないような慣性を有する粒子は、第1の収集プレート33に衝撃を与え、一方、より少ない慣性を有する粒子は、次の段40に継続する。粒子の慣性はその質量に依存し、その質量はそのサイズに依存する。このようにして、粒子の質量又はサイズ分離が可能である。したがって、各段におけるオリフィスの数、それらの直径、及びオリフィスから収集プレートまでの距離を選択することによって、エアロゾル中の粒子の質量又はサイズの分離が達成される。呼気又は呼気凝縮液と比較して、収集プレート上の材料の濃度の増加はかなり大きい。
【0032】
収集プレートは、約0.4マイクロメートル~約1マイクロメートルの厚さを有し得る。収集プレートは、10~12mmの側面を有する正方形形状であり得るか、又は収集プレートは、任意選択的に、約25mmの直径を有する円形形状を有し得る。プレートは、元素シリコン、親水性/疎水性テフロン、親水性ガラス繊維、親水性混合セルロースエステル、親水性ポリカーボネート、疎水性ポリフッ化ビニリデン濾紙基材から作製され得、及び/又は意図された分析に適した改質表面を有し得る。
【0033】
単一の呼気は、十分な数の粒子を提供し得るが、典型的には、粒子は、繰り返される呼気から収集される。ヒトにおける医学的状態の診断のために、粒子は、最大数十分間、例えば、1秒~50分間、5秒~20分間、又は10秒~5分間など、1秒から100分間を含む期間の連続吸入/呼気から収集され得る。
【0034】
呼気パターンを変えることによって、気道の異なる部分から代表的な粒子を収集することも可能である。
【0035】
以下の方法で試料を収集する。インパクタ10が清潔な収集プレート33、43、53を装填されており、システム、特にインパクタ10が所望の温度に達していると想定される。まず、流量計は、流量の適切な測定を可能にするためにゼロにされ、その後、湿った清浄な空気流量は、測定中にシステムから正の流量が維持されるような値に設定される。次いで、インパクタの流量は、清浄な空気流量よりも低い値に設定される。この手順の間、システムは清浄で粒子を含まない空気によって供給されるため、プレート33、43、53に堆積物は収集されない。次いで、光学粒子カウンタが開始され、例えば、システムへの漏れを示すようなスプリアス粒子が存在しないことがチェックされる。次いで、システムへの呼気が開始されると、粒子カウンタは、インパクタを通して呼気された空気を連続的に引き出し、インパクタ10が後の分析のために試料を収集する間、例えば、0.5、1、5、10秒又はそれ以上ごとに、特定の設定された時間間隔でサイズ分布を生成する。必要な量の試料が取得された場合、収集は終了し、サンプリングの時間と呼気量が記録される。インパクタ10を通る流れはオフにされ、収集プレート保持デバイスはインパクタシステムから取り外され、装填された収集プレート33、43、53は保持デバイスから回収される。
【0036】
1つ以上のインパクタ収集プレート33、43、53を取り外し、それらの化学成分について分析する。この分析は、呼気空気成分及び/又は粒子がプレート上に残っている間、及び/又は呼気空気成分及び/又は粒子がプレートから除去された後に実施され得る。この分析は、当該技術分野で既知であるような標準的な分析技術を使用して実行することができる。次いで、分析は、検査を受けている対象の病状に関する洞察を提供する。
【0037】
上で説明されるように、粒子は、インパクタ10内の試料収集中に、特定のパターンで収集プレート33、43、53上に整然とした山として堆積される。1つの分析戦略では、粒子は、依然として収集プレート上にある間に分析される。別の分析戦略では、収集された材料を収集プレートから除去し(洗い流す)、次いで、収集された粒子を含有する洗浄液を、異なる化学的又は生化学的分析技術のために更に処理することができる。
【0038】
収集プレート33、43、53上に収集された粒子の数は、しばしば非常に希少であり、検出限界(LOT)又はそれに近い。したがって、収集プレート33、43、53上に収集された試料が必要以上に希釈されないことが極めて重要である。上で説明されるシステム100内のインパクタ10の設計に起因して、関心粒子は、収集プレート33、43、53の総表面の非常に限られた領域上にのみ収集される。アナリストが直面している問題は、粒子を収集プレート33、43、53から除去するために大量の洗浄液が必要であり、粒子の望ましくない希釈をもたらすことである。この希釈効果に起因して、粒子が検出されないことがある。後続の分析のための粒子濃度を増加させるために、収集プレート33、43、53上に収集された粒子Pの山は、有利には、本明細書に説明されるような試料調製デバイス200によって個々に処理される。
【0039】
通常は検出限界に近い、又は検出限界を下回る量の粒子が、検出及び/又は定量化され得るシグナルを与えるように、本明細書に開示される試料調製デバイス200は、後続の分析のために試料中の粒子Pの濃度を有意に増加させる。
【0040】
本明細書に開示される試料調製デバイス200は、図3に示されており、
-収集プレート33、43、53からの粒子Pの試料の収集中に収集プレート33、43、53を固定するための保持デバイス210と、
-収集プレート33、43、53から粒子Pを有する試料を収集するための試料コレクタ233が提供されているパンチカッティングのためのデバイス230(以下、パンチカッタ230と呼ぶ)と、
-収集プレート33、43、53からの粒子Pの試料の収集中に試料コレクタ233を受容及び誘導するための2つ以上の誘導ボア251を備える誘導デバイス250
【0041】
呼気からの粒子Pの収集中、呼気された粒子Pが堆積された収集プレート33、43、53は、保持デバイス210に堅固に固定される。収集プレート33、43、53上への粒子Pの収集の終了後、各収集プレート33、43、53のための保持デバイス210は、インパクタ10から取り外される。しかしながら、収集プレート33、43、53を保持デバイス210からも取り外す代わりに、収集プレート33、43、53は、後続のサンプリングステップのために、保持デバイス210内に堅固に固定されたままであり得る。
【0042】
収集プレート33、43、53を保持及び固定するための保持デバイス210(図3に最良に見られる通り)は、呼気空気からの粒子の収集中に収集プレート33、43、53を受容及び保持するように構成されたプレート保持フレーム217が提供されているトレイセクション211で構成される。収集プレート33、43、53は、ロックリング218によってプレート保持フレーム217に堅固に固定される。有利には、ロックリング218は、プレート保持フレーム217内の収集プレート33、43、53の装填及び降ろしを容易にする磁気である。
【0043】
トレイセクション211は、その側面のうちの3つに沿って誘導縁部212a、212b、213が提供されており、これらは、トレイセクション211の第1及び第2の面に垂直であり、トレイセクション211の第1及び第2の面から離れる方向に延在する。トレイ211の第1の横方向側面に沿った誘導縁213には、有利には、保持デバイス210の取り扱いを容易にするためにハンドル216が提供されている。ハンドル216が提供されている横方向誘導縁部213とは反対側の保持デバイス210の側面は、開放219のままであり得る。有利には、保持デバイス210は、試料間の洗浄を容易にするために、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、又はプラスチックから作製される。
【0044】
試料調製デバイスは、収集プレート33、43、53から試料を収集するためのパンチカッタ230を更に含む。図3に最良に見られるように、パンチカッタ230の前端部には、収集プレート33、43、53から粒子Pの個々の山をサンプリングするように構成された試料コレクタ233が提供されている。試料コレクタ233は中空であり、その最前端部は開放され、その開口部は鋭利化された切断縁部232が提供されている(図5dを参照)。
【0045】
試料コレクタ233上の前端開口部の直径は、収集プレート33、43、53上に収集された粒子Pの山の直径よりもわずかに大きい。パンチカッタ230は、試料の収集中に、収集プレート33、43、53を通して、試料コレクタ233を押し、試料コレクタ233の中空空間内部に粒子Pの山を有するパンチアウトされた試料を受容するように構成されている。
【0046】
呼気された粒子Pは、インパクタ内の粒子収集中に、特定のパターンで収集プレート33、43、53上に整然とした山として堆積される。しかしながら、粒子Pの堆積された山は、収集プレート33、43、53上では見えないため、それらが収集プレート表面上のどこに衝撃を与えたかを示すことなく、位置特定することは困難である。したがって、収集プレート33、43、53からの粒子Pの山のサンプリングを容易にするために、試料調製デバイスは、粒子Pの山が収集プレート33、43、53上のどこに堆積されたかを示す誘導デバイス250を含む。
【0047】
図4A及び図4Bに最良に見られる誘導デバイス250は、収集プレート33、43、53からの粒子Pの山の収集中に試料コレクタ233の前端部を受容及び誘導するように構成された2つ以上の誘導ボア251が提供されている。誘導ボア251は、誘導デバイス250を通って、パンチ受容側面252からプレート結合側面253まで延在する(図5Aを参照)。
【0048】
誘導デバイス250は、第1の横方向側面254aと第2の横方向側面254bとの間の第1の平面xに沿って第1の長さだけ延在する。第1の長さは、誘導デバイス250の長さを画定する。有利には、第1及び第2の横方向側面254a、254bには、手での誘導デバイス250の把持を容易にするくぼみが提供されている。
【0049】
誘導デバイス250は、第1の平面xに垂直な第2の平面y内の2つの長手方向側面255a、255bの間で第2の長さだけ延在し、第2の長さは、誘導デバイス250の幅を画定する。
【0050】
誘導デバイス250は、第3の平面zに沿って第3の長さだけ延在し、第3の平面zは、平面x及びyの両方に垂直である。第3の長さは、誘導デバイス250の厚さ、すなわち、パンチ受容側面252と結合側面253との間の距離を画定する。誘導デバイス250は、正方形又は長方形の設計を有し得るが、有利には、保持デバイス210の誘導縁部212a、212b、213の間のトレイセクション211に正確に嵌合して配設されることを可能にする形状で構成される。
【0051】
誘導デバイス250は、第1のパンチ位置Pos.1(図5A及び図5Bを参照)又は第2のパンチ位置Pos.6(図5Gを参照)のいずれかで保持デバイス210のトレイセクション211に接続されるように配設され、誘導デバイス250のプレート結合側面253は、両方の位置で収集プレート33、43、53に面している。第1のパンチ位置Pos.1では、誘導デバイス250の第1の横方向側面254aは、第1の方向に面し、第2のパンチ位置Pos.6では、誘導デバイス250は、x、y平面に沿って180°回転し、その後、第1の横方向側面254aは、第2の方向に面し、第2の方向は、第1の方向とは正反対である。これは図5Aに見ることができ、第1の位置Pos.1では、誘導デバイス250の第1の横方向側面254aが、トレイ211の第1の横方向側面に沿って誘導縁部213に面し、第2の位置Pos.6では、誘導デバイスが、x、y平面に沿って180°回転し、その後、第1の横方向側面254aが、トレイセクション211の開放側面219に面する(図5Gを参照)。
【0052】
誘導デバイス250を異なるパンチ位置Pos.1及びPos.6で保持デバイス210に接続するときに適切な整列を確実にするために、保持デバイス210のトレイセクション211は、誘導デバイス250の結合側面253に配設された第1及び第2の誘導ピン256a、256bを受容するように構成された第1及び第2の受容穴221a、221b(図3を参照)が提供されている。図4Bを参照)。第1の受容穴221a及び第2の受容穴221bは、それぞれ、第1の誘導縁部212a及び第2の誘導縁部212bに沿って保持デバイス210のトレイセクション211に配設され、第1の受容穴221aは、横方向誘導縁部213aに向かって位置し、第2の受容穴221bは、開放側面219に向かって位置する。
【0053】
誘導デバイス250が第1のパンチ位置Pos.1で保持デバイス210に接続されるとき、図5Aに見られるように、誘導デバイス250の第1の誘導ピン256aは、保持デバイス220の第1の受容穴221aに受容され、第2の誘導ピン256bは、第2の受容穴221bに受容される。誘導デバイス250が第2のパンチ位置Pos.6で接続されるとき、図5Gに見られるように、誘導デバイス250は、x、y平面(図5Fを参照)に沿って180°回転し、その後、誘導デバイス250の第1の誘導ピン256aは、保持デバイス210の第2の受容穴221bに受容され、第2の誘導ピン256bは、第1の受容穴221aに受容される。
【0054】
切り欠き257(図4Bを参照)は、誘導デバイス250の結合側面253上に配設されている。切り欠き257は、誘導デバイス250が第1又は第2のパンチ位置Pos.1、Pos.6のうちの一方で保持デバイス210に接続されているときに、収集プレート33、43、53がロックリング218によって固定されたプレート保持フレーム217を受容するように構成される。切り欠き257は、収集プレート33、43、53及びロックリング218と嵌合されるとき、プレート保持フレーム217の総高さよりもわずかに深く、それによって、収集プレート33、43、53の表面と切り欠き257の底面との間にわずかな距離を残す(図5Aを参照)。切り欠き257は、保持デバイス210のトレイセクション211内の誘導デバイス250の正しい嵌合を更に確実にする。
【0055】
中心線Aは、誘導デバイス250をそれぞれ等しいサイズの第1の半分258a及び第2の半分258bに分割する(図4Aを参照)平面xに平行に延在する。2つ以上の誘導ボア251は、その第1の半分258a及び/又は第2の半分258bにおいて中心線Aに対して非対称的に位置する。「誘導ボアが中心線Aに対して非対称的に位置する」という表現は、誘導デバイス250の第1の半分258a及び第2の半分258bが互いの鏡像を形成するように、2つ以上の誘導ボア251が位置することができないことを意味することを意図している。2つの誘導ボア251a、251bを備える誘導デバイス250の場合、両方の誘導ボア251a、251bは、例えば、誘導デバイス250の第1の半分258aに位置し得る(すなわち、両方の誘導ボアは、中心線Aの一方の側にのみ位置する)が、誘導ボアは、第2の半分258bに位置しない。代替的に、第1の誘導ボア251aは、誘導デバイス250の第1の半分258a上の第1の横方向側面254aに近接して位置し、第2の誘導ボア251bは、第2の半分258bの中央に向かって位置する。
【0056】
誘導デバイス250は、収集プレート33、43、53からの粒子Pの山の収集中に試料コレクタ233を受容及び誘導するための3、4、5、又はそれ以上の誘導ボア251が提供され得る。有利には、誘導デバイス250は、収集プレート33、43、53上に堆積された粒子Pの山の数の半分に等しい数の誘導ボア251が提供されている。したがって、粒子Pの12の山が収集プレート33、43、53上に堆積された場合、誘導デバイス250は、6つの誘導ボア251a~251fを含む。収集プレート33、43、53が粒子Pの8つの山を含有する場合、誘導デバイス250は、4つの誘導ボア251a~251dなどを含む。
【0057】
有利な実施形態では、粒子の10の山は、第1の三日月形群222aに5つの山p1-5、及び第2の三日月形群222bに5つの山p6-10を有する2つの三日月形群222a及び222b(図5Cを参照)として、収集プレート33、43、53上に堆積される。したがって、この実施形態に使用される誘導デバイス250には、図4Aに見られるように、誘導デバイス250の中心線Aに対して非対称的に位置する5つの誘導ボア251a~251eが提供されている。誘導ボア251の非対称的な配置の理由を、以下に説明する。
【0058】
誘導ボア251は、有利には、パンチ受容側面252から、誘導デバイス250を通って結合側面253まで、平面z内に延在する円錐形状を有する(図5Aを参照)。誘導ボア251は、結合側面253の出口直径よりも大きい、誘導デバイス250のパンチ受容側面252の入口直径を有する。出口直径は、中空試料コレクタ233の最前端部の直径よりもわずかに大きく、その結果として、これは、収集プレート33、43、53に堆積された粒子Pの山の直径よりもわずかに大きいことに留意されたい。これは、収集プレート33、43、53上に堆積された粒子Pの山の直径が、誘導デバイス250のパンチ受容側面252上の誘導ボア251の入口直径よりもかなり小さいことを意味する。
【0059】
中空試料コレクタ233の鋭利化された切断縁部232を、収集プレート33、43、53上に堆積された粒子Pの山の位置と適切に整列させるために、試料コレクタ233の前端部には、誘導ボア251の円錐形状に正確に適合するように構成された円錐形プロファイルが提供されている。試料コレクタ233が誘導ボア251内に配置されると、試料コレクタ233の鋭利化された切断縁部232は、図5Dに見られるように、収集プレート33、43、53から粒子Pの堆積された山を切断及び収集するために完全に整列される。有利には、プレート保持フレーム217の底部には、弾性面を有するパッド(図示せず)が取り付けられ、その上に収集プレート33、43、53が配置され、ロックリング218と固定される。
【0060】
試料コレクタ233の前端部が円錐形誘導ボア251の底部に当接すると、試料コレクタ233は、誘導デバイス250の結合側面253上の誘導ボア251から突出し、中空試料コレクタ233の鋭利化された切断縁部232は、収集プレート33、43、53を通ってパッドの弾性面に向かって完全に押し出される(例えば、図5B及び5Dを参照)。これにより、粒子Pの山を収集プレート33、43、53からパンチし、試料コレクタ233の中空チューブ内に収集することができる。粒子Pのパンチアウトした山を解放するために、アクチュエータは、パンチカッタ230上に押され、アクチュエータが、中空試料コレクタ233内のプッシュロッド231を作動させて、1つ以上のパンチアウトされた山を中空試料コレクタ233から、例えば、後続の分析のための試験管に押し込む。このようにして、収集プレート33、43、53上に堆積された粒子Pの山は、パンチアウトされた山が1つ又は別個の試験管に配置されるかどうかに応じて、個々に又は集合的に収集及び分析され得る。
【0061】
収集プレート33、43、53上に堆積された粒子Pの山は、互いに非常に近接して位置し、それらの直径は、試料コレクタ233の前端部の直径と比較して非常に小さいため、誘導デバイス250上で三日月形群222a、222bの全ての誘導ボア251を互いに隣接して取り付ける余地はない。代わりに、以下に説明するように、粒子Pの2番目の山のみ、誘導デバイス250上の誘導ボア251と突き合わされる。
【0062】
試料調製デバイス200を使用して、収集プレート33、43、53から粒子を含有する試料を収集するための手順を説明する。上で説明されるインパクタによって、対象によって収集プレート33、43、53上に呼気された粒子を収集した後、保持デバイス210は、インパクタ10から取り外される。
【0063】
誘導デバイス250は、誘導デバイス250の結合側面253に提供されている第1及び第2の誘導ピン256a、256bを、保持デバイス210のトレイセクション211に提供されている第1及び第2の受容穴221a、221bと整列させることによって、第1のパンチ位置Pos.1で保持デバイス210に接続される。プレート保持フレーム217が、誘導デバイス250の結合側面253上の切り欠き257内に適切に受容されることを確認することが重要である(図5Aを参照)。
【0064】
試料コレクタ233の前端部は、第1の円錐形誘導ボア251a内に配置され、誘導ボア251の底部まで完全に押し込まれる。最前端部が誘導ボア251の底部に当接すると、試料コレクタ233は、誘導デバイス250の結合側面253上の誘導ボア251を通って突出し、中空試料コレクタ233の鋭利化された切断縁部232は、収集プレート33、43、53を通ってパッドの弾性面に向かって完全に押し出される(図5B及び図5Dを参照)。これにより、粒子Pの山が収集プレート33、43、53からパンチされ、中空の試料コレクタ233内に収集されることができる。
【0065】
その後、パンチカッタ230は、誘導ボア251から取り外され、粒子Pの山を有する収集された試料は、パンチカッタ230上のアクチュエータを作動させることによって中空試料コレクタ233から除去され得、それによって、プッシュロッド231によって粒子Pのパンチアウトされた山を、例えば、その後の分析のための試験管に移動させる。その後、試料収集は、残りの4つの誘導ボア251b~251eについて繰り返される。
【0066】
5つの試料の山全てが誘導デバイス251を用いて第1のパンチ位置Pos.1に集められたとき、誘導デバイス250は保持デバイス210から取り外される。図5Eに見ることができるように、粒子の5つの山が収集プレート33、43、53から収集され、第1の三日月形群222aから3つの山、及び第2の三日月形群222bから2つの山が収集される。しかしながら、第1の三日月形群222aから除去された粒子Pの3つの山は、互いに隣接して位置する3つの山ではなく、代わりに、山p1、p3、及びp5が除去される。第2の三日月形群222bでは、山p7及びp9が除去される。サンプリングされた山p1、p3、p5、p7及びp9は、分析のために処理され得る。
【0067】
その後、誘導デバイス250は、180°回転し(図5Fを参照)、第2のパンチ位置Pos.6で保持デバイス210に接続され(上で説明され、図5Gに見られる通り)、粒子の山を含有する残りの5つの試料は、上で説明されるように収集される。誘導デバイスが第2のパンチ位置Pos.6で接続されると、残りの2つの山p2及びp4は、第1の三日月形群222aから収集され、残りの3つの山p6、p8及びp10は、第2の三日月形群222bから収集される(図5Hを参照)。任意選択的に、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10などのパンチアウトされた試料など、複数の試料が、中空試料コレクタ233内に収集され、その後、後続の分析のために同じ試験管内に集合的に移動され得る。明らかに、誘導デバイス250を接続する順序は、山p2、p4、p6、p8、及びp10が、それが山p.1、p.3、p.5、p.7、及びp.9を収集するために第1の位置Pos.1で接続される前に、誘導デバイス250を用いて第2の位置Pos.6で収集されるように、逆転され得る。
【0068】
誘導デバイス250の有利な設計は、山のサイズが小さく、堆積された山間の空間が狭いにもかかわらず、パンチカッタ230によって粒子Pの山の正確な収集を可能にする。誘導デバイス250上の誘導ボア251a~251eの非対称的な配置に起因して、誘導デバイス250が第1のパンチ位置Pos.1及び第2のパンチ位置Pos.6にそれぞれ接続されるとき、各三日月形群222a、222b内の粒子Pの第2の山ごとに試料コレクタ233の前端部を整列させるための十分なスペースが提供される。
【0069】
収集プレート33、43、53からの各パンチアウト部分のほぼ総面積は、収集された粒子Pの山によって覆われている。収集プレート33、43、53のごく一部のみが粒子で覆われていない。粒子Pの山によって完全に覆われたパン部分を得ることの利点は、粒子Pをパンチアウト部品から除去するために必要な洗浄液が、収集プレート33、43、53全体から除去されるよりもはるかに少ないことである。ユーザは、各パンチアウト部分を別々に分析するか、又は1つの収集プレート33、43、53からの全てのパンチアウト部分を1つの分析に組み合わせることを選択し得る。いずれにせよ、洗浄液中の粒子の濃度は、収集プレート33、43、53全体の分析と比較して数倍増加する。
【実施例
【0070】
2017年に使用された標準分析法
WO2009/045163及びWO2019/011750に説明されているように、呼気粒子を10個の山でミリポア膜上に堆積させた。およそ240ngの呼気粒子を含有するミリポア膜を保持デバイスから取り出し、試験管に堆積させた。約120μlの試料緩衝液を試験管に追加し、生体分子をミリポア膜上の粒子から抽出した。試料緩衝液は、遠心分離によってミリポア膜から分離され、約2ng/μlの粒子に対応する最終粒子濃度が得られた。92個のタンパク質マーカーの同時分析を提供するOlink Target96 Cardiometabolicアッセイを使用して、4つの試料(1μl/試料)及び1つのブランクを分析した。心臓代謝パネルからの合計8つのバイオマーカーが、4つの試料のうちの少なくとも1つで検出された。(検出限界は、3つのブランク試料から測定した平均Olink NPXシグナルからの標準偏差の3倍として定義される)。
【0071】
5つのバイオマーカーICAM1、CDH1、CD46、CCL18及びTGFBIを4つの試料全てにおいて検出した。更に、FCGR2Aは、試料のうちの3つで検出され、MBL2及びGAS6は、試料のうちの2つで検出され、IGLC2は、4つの試料のうちの1つで検出された(表1を参照)。
【0072】
本発明の試料調製デバイスを使用した分析方法
WO2009/045163及びWO2019/011750に説明されているように、呼気粒子を10個の山でプロテインセーバ903濾紙上に堆積させた。本明細書に説明されるパンチカッタ及び誘導デバイスを使用して、プロテインセーバ903濾紙からパンチアウトされた粒子(サブ試料)の10個の山を収集した。呼気粒子の1つの山又は約20ngの呼気粒子を含有するパンチアウトされたサブ試料の1つを試験管に堆積させ、1μlの試料緩衝液に浸し、その後、乾燥した血液斑点についてOlinkプロトコルを使用して分析した。20ngの呼気粒子/μlの濃度が達成され得た。本明細書に説明される試料調製デバイスを使用することによって、Olinkアッセイにおける生体分子の濃度をおよそ10倍に増加させることができた。この改善は、結果として、以下のように、試料の堆積された山で検出及び測定することができるより多くの潜在的なバイオマーカーになる。表1において見ることができるように、59個のサブ試料(1μl/試料)を、Olink Target96 Cardiometabolicアッセイを使用して、すなわち、上記の標準方法と同じ方法を使用して分析した。Cardiometabolicパネルからのバイオマーカーの56個は、59個の試料全てにおいて検出された。これは、上記標準方法を使用して4つの試料中で検出されるわずか5つのバイオマーカーと比較されるべきである。
【0073】
本明細書に説明されるOlinkアッセイの例は、10個の可能なサブ試料のうちの1つのみを利用する。これは、衝撃技術によって基板上に捕捉された呼気粒子から有意により正確なバイオマーカーデータを生成するために、本明細書に説明される新規の試料調製デバイス及び方法をどのように利用することができるかを例解する。全てのパンチされたサブ試料を1つの試料チューブにプールすることによって、生体分子を、わずか20μlの試料緩衝液中で収集された試料の含有量全体から抽出することができ、それによって、原則として、本方法をバイオマーカー発見のための任意の他の市販のプラットフォームに好適なものにすることができ、依然として、呼気から捕捉することができる少数の生体分子の利用を最大化する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
【国際調査報告】