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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】物体を移送するための装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B65G47/86 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563831
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 FR2022050711
(87)【国際公開番号】W WO2022223913
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2104050
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516086303
【氏名又は名称】エッグ-チック オートメイテッド テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レラン,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】マレット,バートランド
(72)【発明者】
【氏名】タラーミン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ローランド,ライオネル
【テーマコード(参考)】
3F072
【Fターム(参考)】
3F072AA11
3F072KC02
3F072KC07
3F072KC16
(57)【要約】
本発明は、物体を移送するための装置であって、装置は、-物体取り出しローラ(10)であって、その外周に、当該物体を個々に把持するための部材(11)を備える、物体取り出しローラ(10)と、-当該物体取り出しローラ(10)を回転させるためのデバイスと、を備え、-当該個々の把持部材が、少なくとも1つのリング内に配列されており、当該装置が、リングごとに、リニアアクチュエータ(13)であって、当該ローラによって画定された内部の容積内に置かれており、このリニアアクチュエータ(13)の反対側に現れる個々の把持部材(11)を、静止位置と、この個々の把持部材(11)が半径方向に延在しており、この取り出しローラ(10)から突出して物体を把持する把持位置との間で移動させるための、リニアアクチュエータを備え、把持位置は、当該リニアアクチュエータ(13)の一方の移動可能な自由端部が当該個々の把持部材(11)に当接することによって得られ、当該取り出しローラ(10)は、回転するときに、静止位置にある個々の把持部材(11)を1つずつ各リニアアクチュエータ(13)の前方に移動させるように構成されている、物体を移送するための装置に関する。本発明によれば、-当該リニアアクチュエータ(13)の自由端部は、折り畳み位置と、この自由端部が個々の把持部材(11)と接触する展開位置との間で移動可能であり、このリニアアクチュエータ(13)は、少なくとも、係合位置と係合解除位置との間で、回転で移動可能であり、それにより、当該リニアアクチュエータ(13)の自由端部はが、その展開位置にあるか、又はその展開位置と折り畳み位置との間の中間位置にある状態では、当該リニアアクチュエータ(13)は、別の個々の把持部材(11)と接触したときに、その係合位置から係合解除位置へと自由に移動し、その静止位置では、回転する当該取り出しローラ(10)によって担持され、-当該係合解除位置は、当該アクチュエータが当該個々の把持部材から離隔されている位置に対応し、組立体は、当該アクチュエータの自由端部がその折り畳み位置にあるとき、又は静止位置にある個々の把持部材(11)と相互作用することができない中間位置にあるときに、当該アクチュエータをその係合解除位置から係合位置へと戻すための戻し部材(15)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を移送するための装置であって、
-物体取り出しローラ(10)であって、その外周に、前記物体を個々に把持するための部材(11)を備える、物体取り出しローラ(10)と、
-前記物体取り出しローラ(10)を回転させるためのデバイスと、を備え、
前記個々の把持部材が、少なくとも1つのリング内に配列されており、前記装置が、リングごとに、リニアアクチュエータ(13)であって、前記ローラによって画定された内部の容積内に置かれており、このリニアアクチュエータ(13)の反対側に現れる個々の把持部材(11)を、静止位置と、この個々の把持部材(11)が半径方向に延在しており、この取り出しローラ(10)から突出して物体を把持する把持位置との間で移動させるための、リニアアクチュエータ(13)を備え、前記把持位置は、前記リニアアクチュエータ(13)の一方の移動可能な自由端部が前記個々の把持部材(11)に当接することによって得られ、前記取り出しローラ(10)は、回転するときに、静止位置にある個々の把持部材(11)を1つずつ各リニアアクチュエータ(13)の前方に移動させるように構成されており、
前記リニアアクチュエータ(13)の前記自由端部が、折り畳み位置と、この自由端部が個々の把持部材(11)と接触する展開位置との間で移動可能であり、このリニアアクチュエータ(13)が、少なくとも係合位置と係合解除位置との間で、回転で移動可能であり、それにより、前記リニアアクチュエータ(13)の前記自由端部が、その展開位置にあるか、又はその展開位置と折り畳み位置との間の中間位置にある状態では、前記リニアアクチュエータ(13)が、別の個々の把持部材(11)と接触したときに、その係合位置から係合解除位置へと自由に移動し、その静止位置では、回転する前記取り出しローラ(10)によって担持され、
-前記係合解除位置は、前記アクチュエータが前記個々の把持部材から離隔されている位置に対応し、組立体は、前記アクチュエータの前記自由端部がその折り畳み位置にあるとき、又は静止位置にある個々の把持部材(11)と相互作用することができない中間位置にあるときに、前記アクチュエータをその係合解除位置から係合位置へと戻すための戻し部材(15)を備えることを特徴とする、物体を移送するための装置。
【請求項2】
前記リニアアクチュエータ(13)をその係合解除位置から係合位置へと戻すための前記戻し部材(15)が、ばね部材又は磁気吸引デバイスであることを特徴とする、請求項1に記載の物体を移送するための装置。
【請求項3】
前記ばね部材が、トーションばねであることを特徴とする、請求項2に記載の物体を移送するための装置。
【請求項4】
前記リニアアクチュエータ(13)の前記自由端部の前記位置を検出するための手段を備え、前記手段が、そのトリガを制御するために前記戻し部材(15)に接続されていること特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項5】
前記リニアアクチュエータ(13)が、回転可能な支持体上に固定的に装着されており、前記支持体が、その回転中に、前記リニアアクチュエータ(13)を前記係合位置と前記係合解除位置との間で移動させるように構成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項6】
これらの個々の把持部材の各々が、その自由端部に吸着カップ(12)を備えて提供されたピストンを備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項7】
各個々の把持部材(11)の前記ピストンが、中空であり、かつ吸引ヘッドを作り出すように前記吸着カップ(12)のオリフィスに開口していることを特徴とする、請求項6に記載の物体を移送するための装置。
【請求項8】
各個々の把持部材(11)の前記ピストンが、前記取り出しローラ(10)のオリフィス内に受容され、前記装置が、前記ローラの内部容積の一部を真空下に置くためのポンピングユニットを備え、これらの個々の把持部材が、前記内部容積の一部に対応する円形経路セグメント上で前記ローラによって回転で移動し、それに伴って、真空下に置かれたときに、前記個々の把持部材からの前記吸着カップ(12)を前記ローラの外面に押し付けることを特徴とする、請求項6又は7に記載の物体を移送するための装置。
【請求項9】
この物体取り出しローラ(10)を回転させるための前記デバイスは、前記物体取り出しローラ(10)の回転速度が20回転/分以上、なおも更に良好には30回転/分であるように構成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項10】
前記リニアアクチュエータ(13)が、電気機械アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、又は更には液圧アクチュエータであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項11】
したがって、少なくとも1つの所定の配置点で把持された前記物体を解放するために、前記個々の把持部材の別の円形経路セグメント上の真空を遮断するための手段を備えることを特徴とする、請求項8に記載の物体を移送するための装置。
【請求項12】
洗浄デバイスを備え、前記洗浄デバイスは、この洗浄デバイスが加圧水供給源に接続されているときに加圧水を前記ローラ内へ噴射するために前記ローラの内部に置かれていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項13】
廃水回収タンクを下部に備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の物体を移送するための装置と、移送装置に沿って卵を移動させるための第1のコンベヤと、卵移送装置によって、把持した前記卵を前記第1のコンベヤから排出するための第2のコンベヤとを備える卵処理設備。
【請求項15】
前記第1のコンベヤが、n個の卵輸送経路を備え、nは、2以上であり、前記取り出しローラ(10)が、個々の把持部材のn個のリングを備え、その結果、前記移送装置が、n個のリニアアクチュエータ(13)を備えることを特徴とする、請求項14に記載の卵処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ上の移動物体を移送するための装置に関する。
【0002】
本発明はまた、高速処理ライン上を移動する容器内に置かれた卵を処理するための設備に関する。
【0003】
先行技術
養鶏の分野では、特に雛の生産では、卵の光学的特性を使用して卵を区別し、処理中に、孵化して雛を生産する可能性が低いと識別された卵を迂回させることが知られている。
【0004】
後者は、「無成育性」と称され、本質的に無精卵であるか、又は受精卵であるが卵の胚が死んでいるか、又は奇形である。
【0005】
この区別は、卵の孵化を促進するために、及び疾患の出現を防止するために、卵内処理中の、すなわち、殻を通してワクチン針によって卵に注入する間のワクチンの損失を最小にするために必要である。
【0006】
したがって、例えばキャンドリング方法でこの区別ステップが実行された時点で、サーキットから無生育性の卵を取り除いて、それらを受精卵だけのために確保された処理ステーションに送らないようにすることが有用である。
【0007】
コンベヤ上を移動している一組の物体から、欠陥部品などの特定のアイテムを把持して排出コンベアに移送するための物体移送デバイスが知られている。
【0008】
かかる物体移送デバイスは、典型的には、それ自体を中心に回転する取り出しローラを備え、取り出しローラの外面は、移動している物体の中から物体を個々にかつ選択的に把持して取り除くように互いに離隔されて半径方向に延在する、把持ツールを有する。
【0009】
単に例示として、これらの個々の把持ツールは、端部に吸着カップが置かれたロッドから形成され、このロッドは、この吸着カップがローラの外面に押し付けられる静止位置と、この吸着カップが当該ローラから突出して移動する物体を把持する把持位置との間で移動可能であるように、取り出しローラのオリフィス内で摺動可能に受容される。
【0010】
これらの2つの限度位置間の把持ツールの移動は、ローラの内部に置かれたシリンダによって得られ、シリンダのアクチュエータロッドは、回転ローラによって駆動される当該ツールが空気圧シリンダに対向して存在するときに、把持ツールのロッドの自由端部に当接する。
【0011】
しかしながら、かかる個々の把持ツールによって物体が回収されるときに、取り出しローラは回転し続けており、シリンダのアクチュエータロッドがその初期位置に迅速に戻らない場合、又はシリンダに欠陥があった場合、当該シリンダは、その静止位置において、取り出しローラの回転によってシリンダの反対側で担持されたその後の把持ツールのロッドに激しく当たることが分かる。
【0012】
これは、シリンダの劣化をもたらし、メンテナンスのために物体移送デバイスを完全に停止させることが必要になり、当然ながら、処理ラインが到達し得る速度に悪影響を及ぼす。
【0013】
これはまた、産業的な活用とは相容れないコストをもたらす。
【0014】
したがって、コンベヤベルト上を移動する物体、特に卵を移送するためのデバイスであって、その独自の設計が上述の先行技術の不利点を克服することを可能にする、デバイスに対する差し迫った必要性が存在する。
【0015】
発明の主題
本発明は、その設計及び動作モードが単純であり、信頼性を向上させた、すなわち、その耐用年数を大幅に向上させた、物体を移送するためのデバイスを提案することによって、先行技術の不利点を克服することを目的とする。
【0016】
本発明の別の目的は、極めて速い処理速度、例示として1時間当たり90,000個を超える卵の処理速度を可能にする、物体を移送するためのデバイスである。
【0017】
本発明の更に別の主題は、特に維持が容易な移送デバイスである。
【0018】
本発明はまた、高速コンベヤ上を移動する容器内の卵を、例えばかかる卵(卵の生存性、卵のサイズ、など)に欠陥があることにより、選択的に取り除くことを可能にする卵処理装置に関する。
【0019】
発明の開示
この目的のために、本発明は、物体を移送するための装置であって、
-物体取り出しローラであって、その外周に、当該物体を個々に把持するための部材を備える、物体取り出しローラと、
-当該物体取り出しローラを回転させるためのデバイスと、を備え、
-当該個々の把持部材が、少なくとも1つのリング内に配列されており、当該装置が、リングごとに、リニアアクチュエータであって、当該ローラによって画定された内部の容積内に置かれており、このリニアアクチュエータの反対側に現れる個々の把持部材を、静止位置と、この個々の把持部材が半径方向に延在しており、この取り出しローラから突出して物体を把持する把持位置との間を移動させるための、リニアアクチュエータを備え、把持位置は、当該リニアアクチュエータの一方の移動可能な自由端部が当該個々の把持部材に当接することによって得られ、当該取り出しローラは、回転するときに、静止位置にある個々の把持部材を1つずつ各リニアアクチュエータの前方に移動させるように構成されている、物体を移送するための装置に関する。
【0020】
本発明によれば、
-当該リニアアクチュエータの自由端部が、折り畳み位置と、この自由端部が個々の把持部材と接触する展開位置との間で移動可能であり、このリニアアクチュエータが、少なくとも、係合位置と係合解除位置との間で回転可能に移動可能であり、それにより、当該リニアアクチュエータの自由端部が、その展開位置にあるか、又はその展開位置とその折り畳み位置との間の中間位置にあり、当該リニアアクチュエータが、別の個々の把持部材と接触したときに、その係合位置からその係合解除位置へと自由に移動し、その静止位置で、当該取り出しローラの回転によって担持され、
-当該係合解除位置が、当該アクチュエータが当該個々の把持部材から離隔されている位置に対応し、当該組立体が、当該アクチュエータの自由端部がその折り畳み位置にあるとき、又は静止位置にある個々の把持部材と相互作用することができない中間位置にあるときに、当該アクチュエータをその係合解除位置からその係合位置へと戻すための戻し部材を備える。
【0021】
有利には、この移送装置の独自の設計は、そのアクチュエータロッドがその静止位置において個々の把持部材と接触したときに、その係合解除位置においてリニアアクチュエータを自由に傾斜させることを確実にする。したがって、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドがその折り畳み位置まで迅速に戻らなかった場合に、このアクチュエータに損傷を与えるリスクがない。後者は、次いで、そのアクチュエータロッドが、その折り畳み位置に、又はそれらの静止位置において個々の把持部材と相互作用する可能性のない中間位置に戻るのに必要な時間を有する。
【0022】
この物体を移送するための装置は、多くの技術分野において、例えばコンベヤ上を移動する部品の仕分けにおいて用途が見出される。
【0023】
単に例示として、この物体を移送するための装置は、光学的認識システムによって先に識別された欠陥部品を生産ラインから取り除くために実装することができる。
【0024】
また、高速で処理される卵などの、農業食品分野の脆弱な物体を分類するために使用することができる。この後者の分野では、本発明の移送装置は、信頼性が向上しているだけでなく、典型的には1時間当たり90,000個を超える卵の極めて高い速度を可能にすることに留意されたい。
【0025】
この物体を移送するための装置の一実施形態によれば、当該リニアアクチュエータをその係合解除位置からその係合位置へと戻すための当該戻し部材は、ばね部材、又は電磁石などの磁気吸引デバイスである。
【0026】
有利には、このばね部材は、トーションばねである。
【0027】
この物体を移送するための装置の別の実施形態によれば、当該装置は、リニアアクチュエータごとに、その自由端部の位置を検出するための手段を備え、この検出手段は、装置のトリガを制御するために、当該対応する戻し部材に接続されている。
【0028】
有利には、当該検出手段は、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドの位置を検出することを可能にする、位置センサである。このアクチュエータロッドが、その係合位置にあるリニアアクチュエータの安全を保証する位置にあり、その静止位置において個々の把持部材に面しているときに、制御信号を当該対応する戻し部材に送信して、後者をトリガすることができ、したがって、このリニアアクチュエータをその係合解除位置からその係合位置へと移動させることができる。
【0029】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、当該リニアアクチュエータは、回転可能な支持体に固定的に装着され、この支持体は、その回転中に、当該リニアアクチュエータに当該係合位置と当該係合解除位置との間を移動させるように構成されている。
【0030】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、これらの個々の把持部材の各々は、その自由端部に吸着カップが提供されたピストンを備える。
【0031】
好ましくは、各個々の把持部材のピストンは、中空であり、かつ吸引ヘッドを作り出すように吸着カップのオリフィスに開口している。
【0032】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、個々の把持部材の各々のピストンは、当該取り出しローラのオリフィス内で受容され、当該装置は、当該ローラの内部容積の一部を真空下に置くためのポンピングユニットを備え、これらの個々の把持部材が、当該内部容積部品に対応する円形経路セグメント上を当該ローラによって回転され、したがって、真空下に置かれたときに、個々の把持部材の吸着カップを当該ローラの外面に押し付ける。
【0033】
一例として、この装置は、この円形経路セグメントを描く取り出しローラの一部の当該オリフィスの各々と連通する真空チャンバを備える。
【0034】
好ましくは、各ピストンは、オリフィス内を自由に摺動することができるように、そのオリフィス内で受容される。
【0035】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、この物体取り出しローラを回転させるための当該組立体は、物体取り出しローラの回転速度が20回転/分以上、更に良好には30回転/分であるように構成されている。
【0036】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、当該リニアアクチュエータは、電気機械アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、更には液圧アクチュエータである。
【0037】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、装置は、物体を解放し、それに伴って、少なくとも1つの所定の配置点が把持されるように、個々の把持部材の別の円形経路セグメント上の真空を遮断するための手段を備える。
【0038】
この所定の配置点は、有利には、物体を排出し、したがって、移送されるように、別のコンベヤのベルトの表面に対応する。
【0039】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、当該装置は、当該取り出しローラの個々の把持部材に沿って同時に通過する1個以上の卵を選択的に把持するために、各リニアアクチュエータを個々に制御するための制御ユニットを備える。
【0040】
したがって、各リニアアクチュエータは、対称の物体を取り除くように制御可能である。
【0041】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、当該装置は、当該アクチュエータがそれらの係合位置にあるときにだけ、各リニアアクチュエータを作動させるように構成されている。換言すれば、リニアアクチュエータがその係合解除位置にあるときに、そのアクチュエータロッドは、その折り畳み位置に戻すことだけができ、その展開位置に移動させることはできない。
【0042】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、装置は、洗浄デバイスを備え、洗浄デバイスは、この洗浄デバイスが加圧水供給源に接続されているときに加圧水を当該ローラ内へ噴射するために、当該ローラの内部に置かれている。
【0043】
例えば、この洗浄デバイスは、規則的に離隔された孔が提供された洗浄用スプレーバーであり得る。
【0044】
好ましくは、個々の把持部材は、水がこれらのオリフィスを通過することを可能にするために、ローラの洗浄中にそれらのオリフィスから事前に引き出される。
【0045】
この物体を移送するための装置の更に別の実施形態によれば、当該装置は、その下部に、吸引ポンプを備えた廃水除去システムに接続することができる廃水回収タンクを備える。
【0046】
好ましくは、この廃水除去システム及びこのポンプは、操作者がそれらを自由に移動させることができるように可動シャーシに装着されている。例えば、この除去システムは、廃水回収タンクの吐出ポートに接続することができる可撓性ホースを備える。このシャーシはまた、加圧水を供給するための洗浄デバイスに接続することを目的とする洗浄水供給システムを受容することができる。
【0047】
また、操作者が決定した期間にわたって閉サーキット内を回転させるために、回収された水を回収タンクに再注入することが可能である。かかる一実施形態は、有利には、水の節約を可能にする。
【0048】
本発明はまた、上で説明したように物体を移送するための装置と、当該移送装置に沿って卵を移動させるための第1のコンベヤと、当該卵移送装置によって第1のコンベヤから把持した卵を排出するための第2のコンベヤと、を備える、卵処理設備に関する。
【0049】
当然ながら、これらの卵は、第1のコンベヤ上に移動させた容器内へ輸送すること、及び第2のコンベヤ上の他の容器内へ移送することができる。
【0050】
次いで、物体を移送するための装置は、一群の1つ又は複数の卵を第1のコンベヤ上の容器の移動と同期させるよう取り出しローラの回転速度を計算するように構成された制御ユニットを備える。
【0051】
この設備は、有利には、典型的には1時間当たり90,000個を超える卵、更には1時間当たり100,000を超える卵の超高速自動処理を可能にする。
【0052】
好ましくは、nが2以上であるn個の卵輸送経路を備えるこの第1のコンベヤは、取り出しローラがn個のリング内に分散された個々の把持部材を備えており、その結果、移送装置は、n個のリニアアクチュエータを備える。
【0053】
したがって、輸送経路ごとに、移送装置がリニアアクチュエータを備える。
【0054】
有利には、これらの卵は、容器内に置かれるので、この卵処理設備は、各容器の卵が連続した列を通過する少なくとも1つの測定ユニットと、各測定ユニットによって取得された信号を処理するための処理ユニットと、を備える、卵検査デバイスを備える。
【0055】
一実施形態では、この検査デバイスは、容器のセルの少なくとも1つの列の各卵を照明するための複数の光源と、各々が卵を通過する光を受容するための、したがって、照明される検出器と、したがって、検出器によって検出された光信号を処理するための処理ユニットと、を備え得る。
【0056】
有利には、これらの光源は、それぞれの卵に集中した光ビームを形成する集束手段を装備したレーザ源である。単に例示として、光源は、赤外線を放射するレーザダイオード(laser diode、LED)であり得る。
【0057】
好ましくは、光を処理し、したがって、検出することにより、例えば卵が生育不可能である、又は欠陥があるので、卵が移送されるべき容器のセルが決定される。
【0058】
この処理設備はまた、この容器内に収集されるべき卵を決定するように、及びそれらを排出するための第2のコンベヤに移送するために、所与の容器の光信号を処理することによって得られたデータ又は情報を、物体を移送するための装置の制御ユニットに送信するための通信モジュールを備え得る。検査デバイスは、物体を処理ライン上へ移送するためにデバイスの上流に置かれ、この位置は、コンベヤ上の容器の移動方向に対して識別される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の他の利点、目的、及び特定の特性は、添付の図面を参照して、説明のためであって限定するものではない以下の説明から明らかになるであろう。
図1】本発明の特定の実施形態による、物体を移送するための装置の断面図である。
図2】個々の把持部材が、装置の下を移動する卵を把持するための位置にあり、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドがその展開位置にある、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
図3】個々の把持部材がそれらの静止位置にあり、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドがその展開位置と折り畳み位置との間の中間位置にあり、取り出しローラが回転することによって個々の把持部材がこのアクチュエータロッドと接触している、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
図4】個々の把持部材がそれらの静止位置にあり、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドがその展開位置と折り畳み位置との間の中間位置にあり、個々の把持部材により自由に駆動されることによってリニアアクチュエータがその係合位置からその係合解除位置へと変化する、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
図5】個々の把持部材がそれらの静止位置にあり、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドがその展開位置と折り畳み位置との間の中間位置にあり、個々の把持部材により自由に駆動されることによってリニアアクチュエータがその係合位置からその係合解除位置へと変化する、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
図6】個々の把持部材がそれらの静止位置にあり、リニアアクチュエータがその係合解除位置にあり、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドがその折り畳み位置にある、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
図7】個々の把持部材がそれらの静止位置にあり、リニアアクチュエータがその係合解除位置にあり、当該リニアアクチュエータがトーションばねの影響下でその係合解除位置からその係合位置へと変化する、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
図8】個々の把持部材がそれらの静止位置にあり、リニアアクチュエータのアクチュエータロッドが折り畳み位置にあり、リニアアクチュエータが個々の把持部材を移動させて卵を把持する準備ができているその係合位置にある、図1の物体を移送するための装置の部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図面及び以下の説明は、本質的に、ある特定の性質の要素を含む。したがって、それらは、本発明をより良く理解するのに役立つだけでなく、適切な場合、その定義にも寄与し得る。
【0061】
まず、図面は縮尺通りではないことに留意されたい。
【0062】
図1図8は、本発明の特定の実施形態による卵を移送するためのデバイスを概略的かつ部分的に示す。
【0063】
これらの卵は、これらの容器の運動軸を画定するコンベア経路に沿って直線コンベヤ(図示せず)によって輸送される容器内に置かれる。
【0064】
エンドレスベルトタイプであるこの直線コンベヤは、容器の輸送速度を制御する制御ユニット(図示せず)を備える。
【0065】
この物体を移送するための装置は、本明細書では、例えば従来の卵を検査するステップ中に、欠陥があるものとして識別される卵の移動容器を選択的に取り除くために実装される。
【0066】
これらの欠陥がある卵は、装置によって輸送されて、別のコンベヤのベルトへと移送されて排出される。欠陥がある卵は、例えば、この排出ベルト上の容器に配置される。
【0067】
この装置は、回転取り出しローラ10を備え、規則的に離隔された個々の把持部材11をその外面に有している。したがって、これらの個々の把持部材11は、リングの形態で分散される。
【0068】
より具体的には、この取り出しローラ10の外面は、オリフィスを備えており、オリフィスの各々では、個々の把持部材11の自由端部、すなわちそのピストンを受容し、この個々の把持部材11は、その対応するオリフィス内を並進的に移動可能である。個々の把持部材11の各々のピストンは、卵を把持するための吸着カップ12を担持する。
【0069】
これらの吸着カップ12は、吸着カップが取り出しローラ10の外面に押し付けられるように、周囲の空気に対する吸引の下で、取り出しローラ10の回転中にこれらの個々の把持部材11が進行する円形経路のセグメント又は一部分上に置かれる。その場合、吸着カップは、いわゆる静止位置にある。
【0070】
この減圧は、減圧チャンバと呼ばれる取り出しローラ10の内部の容積をポンピングすることによって得られ、この内部の容積は、この円形経路セグメント内を移動する取り出しローラ10のオリフィスと連通する。これを行うために、装置は、ポンピングユニット(図示せず)を備える。
【0071】
この装置は、個々の把持部材11を選択的かつ個々に作動させるために、取り出しローラ10の内部に置かれている、本明細書では空気圧シリンダであるリニアアクチュエータ13を備える。
【0072】
このために、取り出しローラ10の回転中に、作動させるべき個々の把持部材11がこのリニアアクチュエータ13に面したときに、このリニアアクチュエータ13のアクチュエータロッドは、その折り畳み位置からその展開位置へと移動して、この個々の把持部材11のピストンの端部と接触して、把持部材に、その静止位置と、把持部材が卵を把持するために取り出しローラの外側で突出して半径方向に延在する把持位置との間を移動させる。
【0073】
このリニアアクチュエータ13は、回転可能な支持体14に固定的に装着されており、それにより、その展開位置にあるか、又はその展開位置とその折り畳み位置との間の中間位置にあるこのリニアアクチュエータ13の自由端部は、静止位置において、当該回転取り出しローラ10によって担持された別の個々の把持部材11と接触したときに、係合位置と係合解除位置との間を自由に移動する。
【0074】
この係合解除位置ではこのアクチュエータは、個々の把持部材11から離隔されて、損傷を与える危険がない。
【0075】
装置はまた、リニアアクチュエータ13が個々の把持部材11を再度作動させる準備ができるように、そのアクチュエータロッドがその折り畳み位置にあるときにこのアクチュエータをその係合解除位置からその係合位置へと戻すための戻し部材15を備える。
【0076】
単に例示として、この戻し部材15は、本明細書では、トーションばねである。
【0077】
リニアアクチュエータ13のこの保護デバイスは、有利には、30回転/分よりも速い取り出しローラ10の回転速度を達成することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】