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特表2024-516390認知機能障害を処置するための治療的血漿交換及び低体積血漿交換の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】認知機能障害を処置するための治療的血漿交換及び低体積血漿交換の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/38 20060101AFI20240408BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61K38/38
A61P25/28
A61P25/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564196
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 IB2022000246
(87)【国際公開番号】W WO2022229705
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21382388.3
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIFOLS WORLDWIDE OPERATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Grange Castle Business Park,Grange Castle,Clondalkin,Dublin 22,IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビクトル・グリフォルス・ロウラ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・マヌエル・パエス・レガデラ
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ・ヌニェス・ドメネチ
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084DA36
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA15
4C084ZA16
(57)【要約】
本発明は、それを必要とする患者であって、ミニメンタルステート検査(MMSE)が15以上である前記患者において、従来の治療的血漿交換(TPE)及び低体積血漿交換(LVPE)によって認知機能障害を処置するための、5%(w/v)から25%(w/v)の間の濃度のヒトアルブミンを含む組成物に言及する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者における認知機能障害を処置するための、5%(w/v)から25%(w/v)の間の濃度のヒトアルブミンを含む組成物であって、前記処置が、従来の治療的血漿交換(TPE)と低体積血漿交換(LVPE)との組合せを含み、前記患者のミニメンタルステート検査(MMSE)が15以上である、組成物。
【請求項2】
前記LVPEレジメンが、600mL~900mLの間の血液体積を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記TPEレジメンが、2000から3000mLの間の血液体積を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
LVPEの処置レジメンの前に、TPEの事前のラウンドが行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記TPEレジメンを、1週間あたり1回のTPEの頻度で行ってもよいことを特徴とする、請求項4に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記TPEレジメンが、少なくとも6週間行われることを特徴とする、請求項4又は5に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記TPEレジメンにおいて、血漿が、4%(w/v)から6%(w/v)の間の濃度の、好ましくは5%(w/v)のアルブミンで置き換えられることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
LVPEのその後の各ラウンドが、事前のラウンドの10~45日後に行われることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記LVPEが、1カ月あたり1回のLVPEの頻度で行われることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記毎月のLVPEが、少なくとも12か月間行われることを特徴とする、請求項9に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
20gから50gの間のアルブミンが、LVPEの各ラウンドにおける置換えのために使用されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
40gのアルブミンが、LVPEの各ラウンドにおける置換えのために使用されることを特徴とする、請求項11に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記LVPEレジメンにおいて、血漿が、18%(w/v)から25%(w/v)の間の濃度の、好ましくは20%(w/v)のアルブミンで置き換えられることを特徴とする、請求項8から12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記認知機能障害が、アルツハイマー疾患(AD)、レビー小体型認知症(LBD)、パーキンソン疾患(PD)、及び軽度認知機能障害(MCI)を含むリストから選択されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記認知機能障害が、軽度認知機能障害(MCI)であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野、特に認知機能障害を処置するための治療的血漿交換(TPE)と低体積血漿交換(LVPE)とを組み合わせた治療法であって、血漿がアルブミンを含む溶液で置き換えられる、治療法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、本発明者らは、軽度及び中等度のアルツハイマー疾患(AD)に特異的なTPEとLVPEとを組み合わせた処置を開発している(WO2020/084346A1)。現在では、類似してはいるが異なるアプローチを使用した処置が、他の認知機能障害、例えば、レビー小体型認知症(LBD)、パーキンソン疾患(PD)、及び軽度認知機能障害(MCI)の処置に有用であることが発見されている。
【0003】
LBD及びPDは非常によく知られた疾患である。しかし、MCIは、科学者によって近年提唱された概念である。MCI又は軽度神経認知障害は、通常の老化と認知症との間の中間的な状況である(Petersen, RC、Lopez, O、Armstrong, MJ. (2018) Neurology;90(3):126~135頁)。この状況は、大部分はアルツハイマー疾患の形態である認知症に進行する場合がある(Lopez, OL (2013) Continuum (Minneap Minn);19(Dementia):411~424頁)。
【0004】
60歳を超える成人におけるMCIの有病率はおよそ6.7%から25.2%である。これは年齢及び教育レベルの低下とともに増加し、女性よりも男性において認められる(Petersen, RCら、(2018) Neurology; 90(3):126~135頁)。
【0005】
以前は、MCIは、主に健忘症に焦点を当てて定義されていたが、その後、記憶欠損の有無にかかわらず単一ドメインにおける健忘性機能障害又はいくつかの認知ドメインにおける機能障害のいずれもカバーする広い定義が含まれるようになった。認知症への進行速度は年間およそ5%から17%である(Ganguli, Mら、(2013) Neurology;80(23):2112~2120頁)。MCIからアルツハイマー疾患への進行に関連するいくつかの確立されたバイオマーカーは、アミロイド陽電子放出断層撮影(PET)スキャンの陽性、アポリポタンパク質E4遺伝子型、異常な脳脊髄液(CSF)のタウレベル、側部側頭葉構造へのタウ沈着に起因するPETスキャンの陽性である(Cheng, YWら、(2017) Neuropsychiatr Dis Treat;13:491~498頁)。
【0006】
残念ながら、現在のところ、食品医薬品局(FDA)によって承認されたMCIを処置するための医薬は存在しない。アルツハイマー疾患の症状を処置するために承認された薬物による、MCIから認知症への進行を遅延又は阻止することにおけるいずれの持続的な利点も示されていない。
【0007】
これらの個体における認知機能不全は、適切な処置戦略を疾患の経過において早期に行うことができるように可能な限り早く同定することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2020/084346A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Petersen, RC、Lopez, O、Armstrong, MJ. (2018) Neurology;90(3):126~135頁
【非特許文献2】Lopez, OL (2013) Continuum (Minneap Minn);19(Dementia):411~424頁
【非特許文献3】Petersen, RCら、(2018) Neurology; 90(3):126~135頁
【非特許文献4】Ganguli, Mら、(2013) Neurology;80(23):2112~2120頁
【非特許文献5】Cheng, YWら、(2017) Neuropsychiatr Dis Treat;13:491~498頁
【非特許文献6】Folstein MFら、(1975) J Psychiatr Res.;12:189 98
【非特許文献7】Mittal S、Singh J、Pathania M、Goel A (2017) Up in Arms against Alzheimer's Disease、J Neurol Exp Neural Sci 2017: JNNS-127
【発明の概要】
【0010】
したがって、それを必要とする患者における認知機能障害の処置を成功させることが依然として必要とされている。本発明者らは驚くことに、TPEとLVPEとを組み合わせた補液としてアルブミンを使用すると認知低下の予防又は遅延の助けとなることを見出した。
【0011】
LVPEの処置レジメンは、従来の治療的血漿交換よりも少ない体積しか必要とせず、時間が短く、静脈穿刺が単回であり、患者の不快感が少なく、処置の有害効果が減少される。
【0012】
第1の態様では、本発明は、それを必要とする患者における認知機能障害を処置するための、5%(w/v)から25%(w/v)の間の濃度のヒトアルブミンの使用であって、前記処置が、従来の治療的血漿交換(TPE)と低体積血漿交換(LVPE)との組合せを含み、前記患者のミニメンタルステート検査(MMSE)が15以上である、使用に言及する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において使用する場合、「ミニメンタルステート検査(MMSE)」という用語は、認知機能障害に関して患者をスクリーニングし、認知機能における変化を経時的に追跡し、大抵の場合、認知機能に対する治療剤の効果を評価するために使用されるスコアを指す(Folstein MFら、(1975) J Psychiatr Res.;12:189 98)。MMSEは、最も一般的に行われる認知的機能の心理測定スクリーニング評価である。
【0014】
本明細書において使用する場合、「低体積血漿交換」又は「LVPE」という用語は、600mL~900mLの間の血液体積を含む血漿交換処置を指す。
【0015】
特定の実施形態によれば、LVPEの各ラウンドは、単回の静脈穿刺を使用した自動血漿交換を含む。当技術分野において既知のいずれの体外血漿交換デバイスも本発明に従って使用してもよい。例えば、デバイスは、患者からの全血を受容するための入口ポート、血液の細胞構成要素から血漿を分離するための手段、及び入口ポートを介して血液の細胞構成要素を戻すための手段であって、血液細胞構成要素がデバイスから出される、手段、及び血漿がデバイスから出される出口ポートを含んでいてもよい。好ましくは、血液の細胞構成要素から血漿を分離するための手段は、遠心分離手段(すなわち、遠心分離)である。更に好ましくは、血液の細胞構成要素から血漿を分離するための手段は、濾過手段(すなわち、フィルター、例えば二重濾過血漿交換において使用されるもの)である。
【0016】
特定の実施形態によれば、処置レジメンは、3ラウンド以上のLVPE、4ラウンド以上のLVPE、5ラウンド以上のLVPE、6ラウンド以上のLVPE、7ラウンド以上のLVPE、8ラウンド以上のLVPE、9ラウンド以上のLVPE、又は10ラウンド以上のLVPE、11ラウンド以上のLVPE、又は12ラウンド以上のLVPEを患者に行うことを含む。
【0017】
特定の実施形態によれば、LVPEのその後の各ラウンドは、事前のラウンドの10~45日後に行われる。好ましくは、LVPEのその後の各ラウンドは、事前のラウンドの15~35日後に行われ、更に好ましくは事前のラウンドの30日後に行われる。
【0018】
一実施形態では、前記LVPEは、1カ月あたり1回のLVPEの頻度で行われる。
【0019】
一実施形態では、前記毎月のLVPEは、少なくとも12か月間行われる。
【0020】
一実施形態では、LVPEの前記第2の段階は、患者が応答を示す限りは慢性的に行われる。
【0021】
特定の実施形態によれば、20gから50gの間のアルブミンが、LVPEの各ラウンドにおける置換えのために使用されてもよく、好ましくは40gのアルブミンが、LVPEの各ラウンドにおける置換えのために使用されてもよい。
【0022】
特定の実施形態によれば、前記LVPEレジメンにおいて、血漿は、18%(w/v)から25%(w/v)の間の濃度の、好ましくは20%(w/v)のアルブミンで置き換えられる。
【0023】
別の特定の実施形態では、LVPEの処置レジメンの前に、従来の治療的血漿交換(TPE)の事前のラウンドを行ってもよい。好ましくは、前記TPEレジメンは、1週間あたり1回のTPEの頻度で、更に好ましくは少なくとも6週間にわたって行ってもよい。「TPE」という用語は、2000から3000mLの患者の血漿を同じ体積の補液で置き換えた血漿交換を指す。
【0024】
特定の実施形態によれば、100から150gの間のアルブミンを、TPEの各ラウンドにおいて置き換えるために使用することができる。
【0025】
特定の実施形態によれば、前記TPEレジメンにおいて、血漿は、4%(w/v)から6%(w/v)の間の濃度の、好ましくは5%(w/v)のアルブミンで置き換えられる。
【0026】
一実施形態では、前記認知機能障害は、アルツハイマー疾患(AD)、レビー小体型認知症(LBD)、パーキンソン疾患(PD)、及び軽度認知機能障害(MCI)を含むリストから選択され、好ましくは前記認知機能障害は、アルツハイマー疾患(AD)及び軽度認知機能障害(MCI)から選択され、更に好ましくは、前記認知機能障害は、軽度認知機能障害(MCI)である。
【0027】
一実施形態では、本発明の処置を必要とする患者は、以下の適格基準を満たしていなければならない:
- COVID-19に関するPCR陰性又はSARS-CoV-2に関するワクチン接種済みであること。
- 50から85歳の間の年齢であること。
- 直近6カ月において、関連性のある脳病状を除外するための脳の核磁気共鳴(NMR)済みであること(神経科)。
- 神経学的又は精神医薬的疾患がないこと。
- 既知の血液疾患がないこと。
- 抗凝固薬療法中の患者は、個々に評価して、可能な場合、抗凝固薬レジメンを改変するか又は手順中に出血のリスクがある出血性素因の病歴を有するものを除外するべきである。
- 重大な肝臓疾患又は腎臓疾患がないこと。
- 活動性急性感染がないこと。
- クラスIII及びIV心不全(New York Heart Associationによる分類)がないこと:
a.クラスIII:身体活動の顕著な制限がある。安静時は快適である。通常よりも低い身体活動によって、疲労、動悸、呼吸困難又は狭心痛が生じる。
b.クラスIV:不快感なしでいずれの身体活動も行うことはできない。安静時でさえ狭心症又は心不全の症状が認められる。
- 制御不能な高血圧がないこと。
- 糖尿業又は他の非代償性の代謝疾患がないこと。
- 突然死のリスクを伴うリズム障害又は心伝導がないこと。
- 酸素又は慢性療法を必要とする慢性閉塞性肺疾患(COPD)がないこと。
- 治療的アフェレーシスを行うための静脈へのアクセスが良好であること。
- 治療法の助けとなる可能性があること。
- 血漿アフェレーシスでの変化に対して影響を受けやすいシクロスポリン又は類似の薬物を用いた免疫抑制を必要とする腎臓、肝臓、心臓又は肺の移植がないこと。
- ヒト血清アルブミンのアレルギーがないこと。
【0028】
例1.医療支援プロトコール
この医療支援プロトコールの根拠は、AMBAR処置が受けられるように、候補患者の最善のケア及び処置を確実にすることである。
【0029】
AMBAR処置は、Treatment Supervisory Committee(TSC)の以下の勧告による治療的アフェレーシスの2つの期間からなる:
- 週1回の治療的血漿置換え(TPE)手順は、最初のガイドラインである6週間のTPEを用いて行われることになる。血漿体積交換は、125から150gの間のAlbutein(登録商標)5%又はPlasbumin(登録商標)5%の置換えを用いて行うことになる。
- TPE期間が完了したら、TSC基準に従って毎月1回の頻度のLVPEを用いた低体積血漿交換(LVPE)の継続を評価することになる。LVPEは、690から880mlの間の血漿を交換し、40gのAlbutein(登録商標)20%又はPlasbumin(登録商標)20%を戻すことからなる。
【0030】
医療支援プロトコールは、4つのフェーズ:選択フェーズ、処方フェーズ、適用フェーズ、及びフォローアップフェーズに分けられる。
【0031】
選択フェーズ
選択フェーズの目的は、患者から入手可能な全ての医薬情報を評価し、必要に応じて、次のフェーズである処方フェーズにおける患者の適合性を評価するために更なる情報を要求することである。
選択フェーズは、神経科/内科の初診、及び別の補足的な受診を含む。
【0032】
適格基準
AMBAR処置の候補となる患者は、下記の適格基準を満たしていなければならない。適格基準は、神経科/内科の初診中に評価し、神経科/内科の2回目の受診時に、前記候補患者がAMBAR処置に関して適格か不適格かを決定するために必要な分析を補足するべきである。
【0033】
基準の評価は、神経科医と内科医の両方によって行われ、それぞれが基準の順守を担う(括弧の間には各判断基準の順守の責任を示す)。患者が適格か不適格かを決定する際には、両方の専門家が同意する必要がある。
- COVID-19に関するPCR陰性又はSARS-CoV-2に関するワクチン接種済みであること(神経科)。
- 患者、家族又は法的保護者による患者の情報シート及びインフォームドコンセントに署名されていること(神経科/内科)。
- 基本的なミニメンタルステート検査(MMSE)が15以上を伴う、単一又は複数のドメインの認知機能障害が認められること(神経科)。
- 50から85歳の間の年齢であること(神経科)。
- 直近6カ月において、関連性のある脳病状を除外するための脳の核磁気共鳴(NMR)済みであること(神経科)。
- 処置の責任を担う医師に従って、処置を行うことを阻止する神経学的又は精神医薬的疾患がないこと。
- 患者にリスクを及ぼす、TSC基準による既知の血液疾患がないこと。
- 抗凝固薬療法中の患者であれば、TSCによって個々に評価して、可能な場合、抗凝固薬レジメンを改変させるか又は手順中に出血のリスクがある出血性素因の病歴を有するものを除外するべきである(内科)。
- TSCがリスクとみなす重大な肝臓疾患又は腎臓疾患がないこと。
- 活動性急性感染がないこと(内科)。
- クラスIII及びIV心不全(New York Heart Associationによる分類)がないこと:(内科)
a.クラスIII:身体活動の顕著な制限がある。安静時は快適である。通常よりも低い身体活動によって、疲労、動悸、呼吸困難又は狭心痛が生じる。
b.クラスIV:不快感なしでいずれの身体活動も行うことはできない。安静時でさえ狭心症又は心不全の症状が認められる。
- 制御不能な高血圧がないこと。ベータブロッカーで処置されており、心拍数が60bpm未満と判定されていること(内科)。
- 糖尿業又は他の非代償性の代謝疾患がないこと(内科)。
- 突然死のリスクを伴うリズム障害又は心伝導がないこと。
- 酸素又は慢性療法を必要とする慢性閉塞性肺疾患(COPD)がないこと(内科)。
- 治療的アフェレーシスを行うための静脈へのアクセスが良好であること(内科)。
- このプロトコールにおいて定義される受診及び試験に協力する可能性があること(神経科/内科)。
- 血漿アフェレーシスでの変化に対して影響を受けやすいシクロスポリン又は類似の薬物を用いた免疫抑制を必要とする腎臓、肝臓、心臓又は肺の移植がないこと(内科)。
- ヒト血清アルブミンのアレルギーがないこと(内科)。
【0034】
中断の基準
AMBAR処置全体にわたって患者の中断の理由が定義されており、常にTSCの監督及び基準の下にある。特に患者は、AMBAR医療支援プロトコールにおけるその参加を終了することになる:
1.軽減することができない不十分な静脈アクセスの発生、及び治療的アフェレーシスの実行の阻止。
2.処置に適合しない病状の出現。
3.認知的及び機能的な機能障害の予想を超えた進行。
4.患者による同意の撤回。
【0035】
神経科及び内科の初診
AMBAR処置に関して適格な患者は、神経科及び内科の評価のために、初診のための施設に集められることになる。
【0036】
受診に関する必須要件は、患者が管理責任者によって退院し、単一のAMBARコードが結果として割り当てられることである。また、個人データの保護及び譲渡の一般的な同意の署名が得られることになる。
【0037】
状況又は現在のパンデミックを考慮すると、患者は、AMBAR処置に必要な別の受診に直接参加し、通院するのが可能になるように、COVID-19に関してPCR陰性でなくてはならない。患者がSARS-COV-2に対するワクチン接種済みであるかを尋ねることも適切である。
【0038】
神経科/内科の初診中に行われることになる手順は、以下のものである:
【0039】
神経科
- AMBARの一般的なインフォームドコンセント、将来の研究に関する生物学的試料を取得するための同意、及び遺伝子試料を取得するための同意を得ること。
- 事前の診療歴を収集し、神経学的診査を行うこと。全体的な医学的評価を行い、患者が受けている与薬を含む患者の神経学的病歴を知る必要がある。
- MMSE及びCDR試験を行うこと。
- 適用可能な場合は事前の核磁気共鳴(NMR)試験を評価し、NMR試験が利用できない場合は追加の受診を要求すること(以下の項を参照のこと)
- 適合性基準をレビューすること。
- アレルギーについて質問し、事前の与薬のリストを得ること。
- 受診報告書を作成し、追加の試験を要求すること(神経心理学者の受診等)。
【0040】
看護
- 看護データ(体重、身長、ボディマスインデックス、バイタルサイン、心電図[ECG])を得ること。
- 静脈アクセスを評価すること-治療的アフェレーシス及び使用されることになる静脈アクセスのゲージサイズに適合する左右の腕における穿刺ポイントの数を判定すること。
【0041】
内科
- AMBARの一般的なインフォームドコンセント、将来の研究に関する生物学的試料を取得するための同意、及び遺伝子試料を取得するための同意を得たことを確認すること。
- アレルギーについて質問し、事前の与薬のリストを得ること。
- 健康状態についての内科診査を行うこと。
- 受診報告書を作成し、追加の試験を要求すること。
【0042】
補足的な受診
補足的な受診は、神経科/内科の初診を完了するための追加の情報を得ることを目的とする。補足的な受診としては、クリニックの受診並びに追加の試験のための受診の両方があり、これらはセンター外で行ってもよく、以下のものであることになる:
【0043】
神経心理学的及び機能的評価
一方の神経心理学的診査は、資格を有する専門家によって行われることになる。
【0044】
血液試験
血液分析は、患者が適格基準を満たすかどうかを知るために患者の血液学的機能、生化学、及び凝血の評価を行うことになる。血液分析は、初回のTPE処置の最大1週間前に行うべきであり、結果は2回目の受診の前に利用可能であるべきである(神経科/内科)(適格/非適格)
・患者が絶食しているかどうかを尋ねること。これは、受診において得られた生物学的試料に関連する質問である。
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・フェリチン
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム(Quick Time)/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・抗甲状腺抗体
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)血清学
・C型肝炎ウイルス(HCV)血清学
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
・甲状腺試験
・T3
・T4
・遊離T4
・TSH
・尿
・堆積物
【0045】
脳核磁気共鳴(NMR)
適合性判断基準である「関連する脳病状を除外するための直近6カ月の脳の核磁気共鳴」を満たすために、患者は、神経科/内科の初回の受診中に、事前のNMR試験の放射線学的報告を提示するべきである。これが不可能な場合は、神経科/内科の初回の受診と神経科/内科の2回目の受診との間に、脳のNMRを患者に依頼することになる。
【0046】
NMR試験を確認するためのこの追加の受診では、放射線学的報告において以下のスケールを評価する必要があることを示すべきである:
- 全体的な皮質萎縮症スケール(Pasquier)
- 頭頂部萎縮スケール(Koedam)
- 内側側頭萎縮スケール(Scheltens)
- 血管スケール(Fazekas)
- 微小出血及び表在性鉄沈着症の存在及び量
それが不可能な場合、登録するための2つのより重要なスケールはScheltens及びFazekasである。
【0047】
処方フェーズ
処方フェーズの目的は、患者がAMBAR処置を受けることに適しているか適していないかを判定し、そうであった場合、適用フェーズである次のフェーズのために患者に準備をさせることである。
【0048】
処方フェーズは、神経科/内科の2回目の受診を含む(適格/非適格)。
【0049】
神経科及び内科の2回目の受診
AMBAR処置に関して適格な患者は、施設に予約を入れて、神経科及び内科による評価の2回目の受診を受けることになる。
【0050】
受診に関する必須要件は、患者がすでに神経科/内科による初診を受けており、それらの必要な全ての補足的な受診も受けて、適格基準が確認済みであることである。
【0051】
状況又は現在のパンデミックを考慮すると、患者はCOVID-19に関してPCR陰性でなくてはならない。患者がSARS-COV-2に対するワクチン接種済みであるかを尋ねることも適切である。
【0052】
神経科/内科の2回目の受診中に行われることになる手順は以下のものである:
- 神経科/内科の患者の初診中に発生した及び/又は追加の受診で得られた患者からの全ての利用可能な情報を評価すること。
- 事前の及び現在の与薬を評価すること。薬物及び投薬に応じて現在の治療法のパターンをリセットする。
- 適合性基準に準拠すること。
- AMBAR医学的処置に関して患者が適切であるか不適切かを判定すること。
- そうであった場合、処置を開始するために患者のインフォームドコンセントを得ること。
- 治療的アフェレーシスであるAMBARの処置を処方すること。
- 参照医師及び患者に処方された処置報告書を作成すること。
【0053】
適用フェーズ-治療的血漿交換(TPE)
TPEの前
看護
治療的血漿交換(TPE)のいずれの手順の前にも、看護師/アフェレーシス技師(apherist)は患者を診査して、患者が処置を受けてもよいことを立証することになる。この診査は、処置の直前又は最大で48時間前に行ってもよい。この診査は、以下のものからなる:
- 患者が絶食しているかどうかを尋ねること。患者は絶食していてもしていなくても、患者は処置を受けてもよい。この質問は、受診から得られた生物学的試料に関連している。
- 体重、身長、及び血液体積を記録し、アフェレーシス機によって計算して、交換されることになる血漿の量を計算すること。
- 血液分析を行うこと-TPEより前
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
・COVID-19
・PCR SARS-COV-2
・尿
・堆積物
- 手順の前に生物学的試料を収集すること。それは、分析用の血液を抽出すると同時に行うことになる。
- 心電図(ECG)を行うこと。
- バイタルサインを取得すること-LVPEの前
・収縮期及び拡張期血圧
・心拍数
・呼吸数
・温度
・部分酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメトリー
【0054】
内科医
次いで、内科医医師は、患者の評価を行って、患者が処方された処置を受け入れることができるかどうかを判定することになる。これを行うためには以下のことを行わなければならない:
- 最近のプロセスの記録を取得すること。
- 看護師によって行われた診査をレビューすること。
- 最後の受診以降、新規の処置が開始される可能性を評価すること。
【0055】
開始手順
内科医医師が、患者が処置に好適であるという結論を下すと、看護師/アフェレーシス技師は、患者をTPE機に接続するための2つの末梢静脈アクセスを設置することになる。AMBAR基準に従った処置は、125~150gのAlbutein(登録商標)5%又はPlasbumin(登録商標)5%の置換えを含む6回のTPEからなる。それは、週1回、6週間行う必要がある。このパターンは医師の判断基準に従って改変してもよい。
【0056】
TPEのために使用される機械、溶液、及び材料に関連する全ての情報に加えて、手順が開始されたかどうか(及び開始されなかった理由)、時間が、データ収集スクリーンに記録されることになる。
【0057】
TPE手順は、内科医医師の監督の下、看護師によって行われることになる。
【0058】
内科医医師が、患者は処置を受けることができないとみなした場合、患者は、神経学の2回目の受診に直行することになる(TPEフォローアップ受診)。
【0059】
医学的緊急事態を必要とする任意の状況が患者に発生した場合、確立されたプロトコールを相談するべきである。
【0060】
TPE中
看護
TPE手順中、看護師/アフェレーシス技師は患者を診査して、患者が処置を継続して受けてもよいことを立証することになる。この診査は、処置の直前又は最大で48時間前に行ってもよい。この診査は、以下のものからなる:
- 患者が絶食しているかどうかを尋ねること。患者は絶食していてもしていなくても、患者は処置を受けてもよい。この質問は、受診から得られた生物学的試料に関連している。
- 血液分析を行うこと-TPE中は医師の裁量により任意であり、患者の状態に応じて追加の回数を行ってもよいことになる。
・血液学
・ヘモグロビン
・生化学
・糖血症
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・酸/塩基平衡凝血
- バイタルサインを収集すること。TPE中、これはTPE中に3回行うことになり、評価シートに記録するべきである。
・収縮期及び拡張期血圧
・心拍数
・呼吸数
・温度
・部分酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメトリー
【0061】
TPE機によって計算された患者の推定血液体積に関連するデータを収集することになる。また、TPEプロセスに関連するデータは、30分ごとに収集することになる。
【0062】
機械の問題、人的エラーによるもの、与薬若しくは処置での問題、又はその他の理由のためのもののいずれであっても、手順中に起こり得る全てのインシデント及び有害事象を評価し、収集することになる。前記有害事象を解決するために患者に投与されたいずれの与薬もまた記録されることになる。
【0063】
TPEの後
手順が終了すると、終了時間並びに手順の時間が記録されることになる。これは、患者がセンターに入ってから出るまでの時間として理解される。手順が完了したかしていないか(完了しなかった理由)も収集されることになる。
【0064】
看護師は、患者に対する診査を行って、処置を受けた後の患者の状態を立証することになる。この診査は以下のものからなることになる:
- 患者が絶食しているかどうかを尋ねること。これは、受診において得られた生物学的試料に関連する質問である。
- 分析-TPEの後
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
- 手順後に生物学的試料を収集すること。それは、分析用の血液を抽出すると同時に行うことになる。
- バイタルサインを取得すること-LVPEの後
・収縮期及び拡張期血圧
・心拍数
・呼吸数
・温度
・部分酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメトリー
【0065】
データは、TPEプロセスが完了したらそれからも収集されることになる。
【0066】
機械の問題に起因して、人的エラーに起因して、与薬及び処置での問題に起因して、又はその他の理由のために、手順が終了した時点で起こり得る全てのインシデント及び有害事象を評価し、収集することになる。前記有害事象を解決するために、患者に投与されたいずれの与薬もまた記録されることになる。
【0067】
内科医
内科医医師は、処置終了時に患者を評価することになり、次の受診までに必要に応じて与薬を患者に与えることになる。
【0068】
また、内科医医師は、TPEの医学的報告を行うことになる。TPE数6回(又は確立されたガイドラインの最後のTPE)が完了していない場合、TPE処置は、AMBAR基準に従って又は内科医医師による処方通りに継続することになる。TPE数6回(又は確立されたパターンの最後のTPE)が完了している場合、2回目の神経科受診が行われることになる(TPEフォローアップ受診)。
【0069】
管理
センターから、可能な場合は同日の午後に又は毎日のフォローアップとして、コントロールコール(control call)が患者に行われることになる。
【0070】
フォローアップフェーズ-治療的血漿交換(TPE)
追跡フェーズの目的は、処置の忍容性及び有効性を評価して、処置の継続及びLVPEフェーズへの切り替えを決定することである。同様に、フォローアップ受診は、AMBAR処置に関する臨床的及び生物学的情報を収集するために使用されることになる。
【0071】
これを行うためには、内科医医師は、その裁量により、追加の情報を得るために下記の補足的な受診を要求することができ、最終的にAMBAR処置の継続に関して決定するために、2回目の神経学/内科学の受診を行うことになる。
【0072】
補完的TPEフォローアップ受診
神経心理学的及び機能的評価
神経心理学的診査は、資格を有する専門家によって行われることになる。
【0073】
看護
- 看護データを得ること(体重、身長、ボディマスインデックス、バイタルサイン、心電図[ECG]、tanita社及びvicorder社)
- 血液試験を行うこと
・患者が絶食しているかどうかを尋ねること。これは、受診において得られた生物学的試料に関連する質問である。
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・フェリチン
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・抗甲状腺抗体
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)血清学
・C型肝炎ウイルス(HCV)血清学
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
・甲状腺試験
・T3
・T4
・遊離T4
・TSH
・尿
・堆積物
【0074】
2回目の神経科/内科受診(TPEフォローアップ受診)
- 補完的フォローアップを受診する間に発生した患者に関する全ての利用可能な情報を評価すること(神経心理学及び分析)
注意:神経科/内科によって、神経科/内科へのフォローアップ受診中に、内因性免疫グロブリンのレベルが正常の下限値を下回ったことが検出された場合、医師は、これらのレベルが正常化されるまで、静脈内免疫グロブリンの投与を決定してもよい。
- 事前の及び現在の与薬を評価すること。薬物及び投薬量に基づいて現在の処置レジメンを再調整する。
- 処置を継続するかどうかを評価する:
・処置を終了する場合、理由を説明し、患者が受けた全ての処置の最終報告書を記入し、紹介元の内科医医師、患者及び/又は家族/後継人に提出することになる。
・継続する場合、LVPE処置のスケジュールを入れ、フォローアップ報告書を記入して、紹介元の内科医医師、患者及び/又は家族/後継人に提出する。
【0075】
適用フェーズ-低体積血漿交換(LVPE)
LVPEの前
看護
いずれの低体積血漿交換(LVPE)手順の前にも、ナースプラクティショナーは患者を精査して、患者が処置を受けてもよいことを立証することになる。この診査は、処置の直前又は最大で48時間前に行ってもよい。この診査は以下のものからなることになる:
- 患者が絶食しているかどうかを尋ねること。処置は、患者が絶食状態であってもなくても受けることができる。この質問は、受診から得られた生物学的試料に関連している。
- 体重、身長、及び体積を収集し、アフェレーシス機によって計算する。これは交換されることになる血漿の量を計算するためである。
- 分析-LVPEの前
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
・COVID-19
・PCR SARS-COV-2
・尿
・堆積物
- 手順の前に生物学的試料を収集すること。それは、分析用の血液を抽出すると同時に行うことになる。
- 心電図(ECG)を行うこと。
- バイタルサインを取得すること-LVPEの前
・収縮期及び拡張期血圧
・心拍数
・呼吸数
・温度
・部分酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメトリー
【0076】
内科医
次いで、内科医医師は、患者の評価を行って、患者が処方された処置を受け入れることができるかできないかを判定することになる。これを行うためには以下のことを行わなければならない:
- 最近のプロセスの記録を取得すること
- 看護師によって行われた診査をレビューすること
- 最後の受診以降、新規の処置が開始される可能性を評価すること。
【0077】
手順の開始
内科医医師が、患者は処置を受けるのに好適であることを結論付けたら、内科医医師は、患者をLVPE機に接続することができる末梢静脈ラインを設置することになる。
【0078】
AMBAR基準に従った処置は、40gのAlbutein(登録商標)20%又はPlasbumin(登録商標)20%の置換えを含む1回のLVPE手順からなる。内科医医師によって処方された時間中に月1回行われることになる。このガイドラインは、医学的基準に従って改変してもよい。各手順では、患者の体重に応じて、690~880mlの間の血漿に置き換えることになる。
【0079】
データ収集スクリーンでは、LVPEのために使用された機械、溶液、及び材料に関する全ての情報に加えて、手順が開始されたかどうか(及びそれが開始されなかった理由)、時間が記録されることになる。
【0080】
LVPE手順は、内科医医師の監督の下、看護師によって行われることになる。
【0081】
内科医医師が、患者は処置を受けるのに不適当であるとみなした場合は、患者は、2回目の神経科の受診に直接進むことになる(LVPEフォローアップ受診)。
【0082】
医学的緊急事態を必要とする任意の状況が患者に発生した場合は、これに関して確立されたプロトコールに従うことになる。
【0083】
LVPE中
看護
LVPE中、ナースプラクティショナーは患者の診査を行って、患者が処置を継続して受けることができることを立証することになる。この診査は以下のものからなることになる:
- 患者が絶食しているかどうかを尋ねること。処置は、患者が絶食状態であってもなくても継続することができる。この質問は、受診から得られた生物学的試料に関連している。
- 分析を行うこと-LVPE中は医学的裁量により任意であり、患者の状態に応じてより多くの回数を行ってもよいことになる。
・血液学
・ヘモグロビン
・生化学
・糖血症
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・酸/塩基平衡凝血
- バイタルサインを収集すること。LVPE中に3回行う。
・収縮期及び拡張期血圧
・心拍数
・呼吸数
・温度
・部分酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメトリー
【0084】
LVPE機によって計算された患者の推定血液体積に関連するデータを収集することになる。また、LVPEプロセスに関連するデータは、30分ごとに収集することになる。
【0085】
血液量減少/低血圧に関連する潜在的な有害事象を回避するために、最大500mlまでの生理食塩水溶液を手順中にいつでも注入してもよい。
【0086】
機械の問題に起因して、人的エラーに起因して、与薬での問題に起因して、又は、処置のために、又はその他の理由のために、手順中に起こり得る全てのインシデント及び有害事象を評価し、収集することになる。前記有害事象を解決するために、患者に投与されたいずれの与薬もまた記録されることになる。
【0087】
LVPEの後
看護
手順が終了すると、終了時間並びに手順の時間が記録されることになる。これは、患者がセンターに入ってから出るまでの時間として理解される。手順が完了したかしていないか(完了しなかった理由)も収集されることになる。
【0088】
看護師は、患者に対する診査を行って、処置を受けた後の患者の状態を立証することになる。この診査は以下のものからなることになる:
- 患者が絶食しているかどうかを尋ねること。これは、受診において得られた生物学的試料に関連する質問である。
- 分析-LVPEの後
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・総タンパク質
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
- 手順後に生物学的試料を収集すること。それは、分析用の血液を抽出すると同時に行うことになる。
- バイタルサインを取得すること-LVPEの後
・収縮期及び拡張期血圧
・心拍数
・呼吸数
・温度
・部分酸素飽和度を測定するためのパルスオキシメトリー
【0089】
データは、LVPEプロセスが完了したらそれからも収集されることになる。
【0090】
機械の問題に起因して、人的エラーに起因して、与薬及び処置での問題に起因して、又はその他の理由のために、手順が終了した時点で起こり得る全てのインシデント及び有害事象を評価し、収集することになる。前記有害事象を解決するために、患者に投与されたいずれの与薬もまた記録されることになる。
【0091】
内科医
内科医医師は、処置終了時に患者を評価することになり、次の受診までに必要に応じて与薬を患者に与えることになる。
【0092】
また、内科医医師は、LVPEの医学的報告を行うことになる。LVPE数3回が完了していない場合(又は最後の神経学的受診から3カ月以内の場合)、LVPE処置は、AMBAR基準に従って又は内科医医師による処方通りに継続することになる。LVPE数3回が完了している場合(又は最後の神経学的受診から3カ月を超える場合)、2回目の神経科受診が行われることになる(LVPEフォローアップ受診)。
【0093】
管理
センターから、可能な場合は同日の午後に又はその後毎日(daily following)、コントロールコールが患者に行われることになる。
【0094】
フォローアップフェーズ-低体積血漿交換(LVPE)
フォローアップフェーズの目的は、AMBAR医学的処置の忍容性及び有効性を評価して、LVPEフェーズ中に処置の継続を決定することである。同様に、フォローアップ受診は、AMBAR処置に関する臨床的及び生物学的情報を収集するために使用されることになる。
【0095】
これを行うためには、内科医医師は、その裁量により、追加の情報を得るために下記の補足的な受診を要求することができ、AMBAR処置の継続に関する決定を終わらせるために、2回目の神経科/内科学の受診を行うことになる。LVPEフェーズ中のフォローアップ受診は、およそ3カ月ごとに行われることになる。
【0096】
補完的LVPEフォローアップ受診
神経心理学的及び機能的評価
神経心理学的診査は、資格を有する専門家によって行われることになる。
【0097】
看護
- 看護データを得ること(体重、身長、ボディマスインデックス、バイタルサイン、心電図[ECG]、tanita社及びvicorder社)
- 血液試験を行うこと
・患者が絶食しているかどうかを尋ねること。これは、受診において得られた生物学的試料に関連する質問である。
・血液学
- 全血球数
・赤血球
・ヘマトクリット
・ヘモグロビン
・平均赤血球体積(MCV)
・平均赤血球ヘモグロビン(HCM)
・白血球
・好中球
・リンパ球
・単球
・好酸球
・好塩基球
・血小板
- 赤血球沈降速度(ESR)
・生化学
・アルブミン
・グロブリン
・糖血症
・尿素
・クレアチニン
・ナトリウム
・カリウム
・カルシウム
・塩化物
・マグネシウム
・凝血
・フィブリノーゲン
・クイックタイム/プロトロンビン時間(TP)
・ケファリン時間/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)
・国際標準化比率(INR)
・免疫学
・免疫グロブリンG(IgG)
・免疫グロブリンA(IgA)
・免疫グロブリンM(IgM)
・抗甲状腺抗体
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)血清学
・C型肝炎ウイルス(HCV)血清学
・肝酵素
・アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST/GOT)
・アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT/GPT)
・アルカリホスファターゼ
・ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)
・甲状腺試験
・T3
・T4
・遊離T4
・TSH
・尿
・堆積物
【0098】
2回目の神経科/内科受診(LVPEフォローアップ受診)
- 補完的フォローアップを受診する間に発生した患者に関する全ての利用可能な情報を評価すること(神経心理学及び分析)
注意:神経科/内科によって、神経科/内科へのフォローアップ受診中に、内因性免疫グロブリンのレベルが正常の下限値を下回ったことが検出された場合、医師は、これらのレベルが正常化されるまで、静脈内免疫グロブリンの投与を決定してもよい。
- 事前の及び現在の与薬を評価すること。薬物及び投薬量に基づいて現在の処置レジメンを再調整する。
- 処置を継続するかどうかを評価する:
・処置を終了する場合、理由を説明し、患者が受けた全ての処置の最終報告書を記入し、紹介元の内科医医師、患者及び/又は家族/後継人に提出することになる。
・継続する場合、LVPE処置のスケジュールを入れ、フォローアップ報告書を記入して、紹介元の内科医医師、患者及び/又は家族/後継人に提出する。
【実施例
【0099】
(実施例1)
アルツハイマー疾患におけるアルブミン置換えを用いた血漿交換の安全性及び有効性
ADに罹患した99名の患者を選択し、隔週6回の治療的血漿交換(TPE)集中期間、その後の少なくとも12カ月に1回の低体積血漿交換(LVPE)維持期間を含む処置に関して評価した。処置の進行及び安全性を評価するために、全ての患者に神経学的、神経心理学的、及び医学的評価を、ベースライン、12週間後、及び6カ月ごとに行った。
【0100】
【表1】
【0101】
99名の対象のうち、76名は処置を開始するのに適格であり、40名はこの分析の日までに処置を完了した(残りは継続中である)。処置が完了した40名の群では、患者の年齢はおよそ71歳であり、それは、男女間でほぼ同等であった(Table 1(表1))。前記群の初回の平均ミニメンタルステート検査(MMSE)は19.0+/-5.2(CI95:17.4~20.6)であり、同時に処置終了時の平均は18.0+/-6.2(CI95:16.4~19.6)であり、ADは高度に悪化する病気であり、通常はMMSEスコアは非常に早いペースで低下し、年間5~6ポイントにまで到達する場合があることを考慮しても平均的な安定化が示された(Mittal S、Singh J、Pathania M、Goel A (2017) Up in Arms against Alzheimer's Disease、J Neurol Exp Neural Sci 2017: JNNS-127)。この平均的な挙動を注意深く観察することによって、40名の患者のうちの34名(85%)がMMSEにおいて改善か又は少なくとも安定性を示した(変動3ポイント以下)ことが示される。
【0102】
【表2】
【0103】
行われた治療的血漿交換(TPE)の総数は240件であり、そのうち224件(93.3%、CI95:89.0~96.0%)は順調であった。最も多い有害効果は、実際には数は非常に少なく:低血圧(4症例)、不快感(4症例)、失神エピソード(2症例)、低ガンマグロブリン血症(2症例)、及び感覚異常(1症例)であった。しかし、前記有害効果は患者による処置プログラムの中止を必要とするものではなく、したがって、処置の安全性、及び以前に示された有効性が示され、AD患者におけるアルブミン置換えを用いた血漿交換は安全であり、診療に有効であり、短時間の曝露及び限定された試料サイズでさえ認知的安定化の傾向を示すことが実証された。
【国際調査報告】