(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ガス比重計測器およびガス吸着分析器の較正のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01F 17/00 20060101AFI20240408BHJP
G01F 11/28 20060101ALI20240408BHJP
G01N 7/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G01F17/00 C
G01F17/00 B
G01F11/28 Z
G01N7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565509
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022026266
(87)【国際公開番号】W WO2022232086
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520278642
【氏名又は名称】マイクロメリティックス インストゥルメント コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケンビン, ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】マスカリトロ, カイル
(72)【発明者】
【氏名】マキャフリー, ジョン
(57)【要約】
カスタム体積基準標準を利用してガス比重計測器を較正するためのシステムおよび方法が、開示される。カスタム体積基準標準は、ある材料を含み得る。材料は、低CTEかつ高正確度の寸法を含み得る。材料は、カスタム作製されたサンプルカップの内側面積に対応する、高アスペクト比基準形状を有してもよい。カスタム体積基準標準は、材料の規定された数の含有物、高純度、および/または正確に把握された密度を含み得る。カスタム体積基準標準は、既知の体積を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重計測デバイスを較正するための方法であって、
(a)カスタム体積基準標準をサンプルチャンバの中に設置することであって、前記カスタム体積基準標準は、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミック、サファイア、シリコン、溶融シリカ、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、低熱膨張係数(CTE)を伴う材料を備える、ことと、
(b)前記比重計測デバイスからの圧力測定値および前記サンプルチャンバの既知の体積に基づいて、前記カスタム体積基準標準の判定された体積を判定することと、
(c)前記カスタム体積基準標準の前記判定された体積を前記カスタム体積基準標準の既知の体積と比較することと、
(d)前記カスタム体積基準標準の前記判定された体積と前記カスタム体積基準標準の前記既知の体積の比較に基づいて、前記サンプルチャンバに関する平均較正体積を調節することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記サンプルチャンバは、カスタム形状を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カスタム体積基準標準を取得することをさらに含み、前記カスタム体積基準標準は、規定された数の含有物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カスタム体積基準標準が、誤って取り扱われる場合、前記カスタム体積基準標準は、洗浄および再計量の後、再使用可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記比重計測デバイスの較正の後、
検査材料をサンプルチャンバ内に設置し、複数の温度における前記検査材料の体積を測定し、前記検査材料の体積を温度の関数として測定することと、
前記検査材料のための熱膨張係数を判定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記カスタム体積基準標準をサンプルチャンバの中に設置することは、較正に先立って、前記カスタム体積基準標準をサンプルカップの中に設置することと、前記サンプルカップを前記サンプルチャンバの中に位置付けることとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記カスタム体積基準標準の体積を判定することはさらに、
(a)ガスをサンプルチャンバに供給することと、
(b)前記サンプルチャンバがガスで充填された後、前記サンプルチャンバの第1の圧力を測定することと、
(c)前記サンプルチャンバの圧力および温度が、平衡状態に到達した後、弁を開放し、前記ガスが前記サンプルチャンバから膨張チャンバに流動することを可能にすることと、
(d)前記膨張チャンバが前記ガスで充填された後、前記サンプルチャンバの第2の圧力を測定することと、
(e)前記サンプルチャンバの前記第1の圧力、第2の圧力、および既知の仕様に基づいて、前記カスタム体積基準標準の体積を判定することと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ガス比重計測器の較正のためのカスタム体積基準標準であって、
(a)約0.007μm/m-℃~約6.0μm/m-℃のCTEを含む、材料と、
(b)前記材料の正確に把握された密度および前記材料の重量と、
(c)既知の幅、長さ、奥行、または体積、もしくはそれらの組み合わせを含む、選択された基準形状と
を備える、カスタム体積基準標準。
【請求項9】
前記材料は、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミックを備える、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項10】
前記材料は、溶融シリカを備える、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項11】
前記材料は、単結晶シリコンを備える、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項12】
前記材料は、サファイアを備える、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項13】
前記基準形状は、円筒形状を含む、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項14】
前記基準形状は、ディスク形状を含む、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項15】
前記基準形状は、球形状を含む、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項16】
前記カスタム体積基準標準の前記基準形状は、較正のためにガス比重計測器のサンプルチャンバ内に受容されるように構成される、サンプルカップの形状に実質的に対応するように選択される、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項17】
前記基準形状は、高アスペクト比形状を含む、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項18】
前記基準形状は、約1ミリメートル以内まで正確である、選択された形状寸法を含む、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項19】
前記基準形状は、約1マイクロメートル以内まで正確である、選択された形状寸法を含む、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【請求項20】
前記材料の、または既知の高純度の規定された数の含有物を有する材料をさらに備える、請求項8に記載のカスタム体積基準標準。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年4月28日に出願された、米国仮特許出願第63/180,692号の利益を主張する。
【0002】
(参照による引用)
2021年4月28日に出願された、米国仮特許出願第63/180,692号の開示は、参照することによってその全体として記載されているようなあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0003】
(技術分野)
一側面では、本開示は、測定デバイスの較正のためのシステムおよび方法を対象とし、より具体的には、低熱膨張係数を伴うカスタム体積基準標準材料を利用したガス比重計測器またはガス吸着分析器(本明細書では、比重計測デバイスと称される)の較正のためのシステムおよび方法を対象とする。他の側面もまた、説明される。
【背景技術】
【0004】
(背景)
ガス比重計測器は、種々の材料、例えば、粉体、スラリ、多孔性材料等の体積を非破壊的に測定し、測定されている材料の真密度等のそれらの種々の性質を判定するために使用され、同様に、ガス吸着分析器は、粉体および多孔性材料によって吸着され得る流体の分量を非破壊的に測定するために使用される。しかしながら、材料または吸着された流体の体積および密度の正確な測定および判定を確実にするために、比重計測デバイスは、既知の基準体積標準を使用して正確に較正されることに依存する。これまで、特定の測定デバイスの具体的サイズのサンプルカップ、コンテナ、またはチャンバとの併用のために形成された、基準体積標準が、販売されている。典型的には、これらの基準体積標準は、それらが所望の公差内、およびそのような具体的サイズのサンプルコンテナ/カップに合致するように設計される、具体的サイズにおいて機械加工され得るように、炭化タングステンまたはステンレス鋼等の金属から形成され、球として成形されている。しかしながら、これらの基準体積標準は、典型的には、それらの機械加工において必要である高い精度に起因して、生産することが非常に高価であり、多種多様な異なるサイズ/形状のコンテナおよび/またはカスタマイズされたサンプル測定解決策を顧客に提供することを困難かつ概して法外に費用がかかるものにしている。なおもさらに、そのような従来の基準体積標準が、誤って取り扱われた、または損傷された、例えば、それらの寸法または真円度にわずかにでも影響を及ぼす/それを変化させるように落下された場合、基準体積標準は、不正確にされ得、交換される必要があるであろう。加えて、これらの体積基準標準の熱膨張係数(CTE)および密度はまた、概して、比較的に高く、例えば、炭化タングステンは、5.5μm/m-℃のCTEと、少なくとも15g/ccの密度とを有する一方、ステンレス鋼は、17.5μm/m-℃のCTEを有し、約7.9g/ccの密度を伴う。そのような材料の高いCTEは、それらが、より高温および少なくとも間接的に圧力への暴露に応じて膨張を受ける傾向にあることを意味し、その膨張は、体積基準標準の体積に影響を及ぼし、したがって、体積較正の間に考慮されなければならない。
【0005】
故に、本開示は、関連分野における、前述および他の関連および無関連の問題に対処する、比重計測デバイスを較正するためのシステムおよび方法の実施形態を対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要約)
手短に説明すると、本開示は、ガス比重計測器またはガス吸着分析器等の測定システムを較正するためのシステムと、方法とを含む。いくつかの側面では、本システムおよび方法は、カスタム形状のサンプルカップ、二次サンプルカップ、コンテナ、またはサンプルチャンバを利用してガス比重計測器またはガス吸着分析器を較正するために適合されてもよい。そのような較正は、低熱膨張係数(CTE)を呈し、高い寸法正確度および/または密度正確度を伴って生産され、様々な異なるサイズおよび/または構成のサンプルチャンバを組み込み得る、ガス比重計測器の較正を可能にするように高正確度を伴って判定可能である体積を有するであろう、体積基準標準を提供し得る、種々の材料から形成される、体積基準標準を利用し得る。そのような材料はまた、その基準体積計算に実質的に影響を及ぼすことなく、従来の体積基準標準材料と比較して実質的により低いコストにおいて生産可能であり、様々な異なるおよび/またはカスタマイズ可能なサイズおよび/または構成において、かつ既知および/または少数の含有物、既知の高純度、および/または既知の密度を伴って生産され得る。したがって、そのような材料を利用することによって、顧客によって規定される、または別様にカスタム構成されたサンプルカップまたはチャンバを利用する、ガス比重計測器が、正確に較正され得る。
【0007】
故に、一側面では、本開示は、ガス比重計測器を較正するための方法を対象とする。本方法は、カスタム体積基準標準をサンプルカップまたはサンプルチャンバの中に設置することを含んでもよく、カスタム体積基準標準は、例えば、5.5~6.0μm/m-℃未満、実施形態では、約0.005μm/m-℃~約4.5μm/m-℃または0.05μm/m-℃~約3.0μm/m-℃の範囲内の低熱膨張係数を有し、±0.00005インチ(50マイクロインチ)の正確度を伴う既知の体積を有する、セラミックまたは光学ガラス材料から形成される。カスタム体積基準標準はさらに、ガス比重計測器のサンプルチャンバの中に設置されるであろう、サンプルカップまたはコンテナ、およびサンプルチャンバの中に導入されるガスの構成または寸法に実質的に合致するように適合される、構成または基準形状寸法を伴って形成されるであろう。別の実施形態では、カスタム体積基準標準はさらに、測定または分析されるべきサンプルの体積に実質的に合致するように適合される、体積を伴って形成されるであろう。そのような実施形態では、ガス比重計測器は、サンプルカップまたはコンテナを用いることなく動作されることができ、基準標準は、要求されるサンプルカップまたはコンテナを伴わない、ガス比重計測器の較正のための選択された既知の形状(長さ、幅、および奥行の既知の寸法を含む)と、体積とを有することができる。例えば、カスタム体積基準標準は、球として形成される必要があるのではなく、限定ではないが、ディスク、円筒、円錐形状、円錐台形状、または他の形状等の選択された基準形状を伴って形成されることができる。
【0008】
サンプルチャンバ内のガスの圧力および温度が、圧力および/または温度の平衡状態に到達した後、サンプルチャンバの第1の圧力が、測定される。サンプルチャンバからのガスは、次いで、膨張チャンバが充填されるまで、膨張チャンバの中に流入することが可能にされ、その後、サンプルチャンバの第2の圧力が、測定される。カスタム体積基準標準の体積が、第1の測定された圧力およびガスの膨張の後の第2の測定された圧力に基づいて判定される。カスタム体積基準標準の本測定された体積が、次いで、カスタム体積基準標準の既知の体積と比較され、サンプルチャンバの平均較正体積に対する調節が、比較に基づいて行われるであろう。
【0009】
実施形態では、カスタム基準体積標準は、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミック等の低CTEを伴う材料から構成されるであろう。いくつかの実施形態では、カスタム体積基準標準は、サファイア、シリコン、および溶融シリカ等の光学ガラス材料から構成されてもよい。顧客によって規定される/カスタムサンプルカップまたはコンテナに合致するような所望のカスタム基準形状において成長または実験室形成され得る、結晶質材料を含む、6μm/m-℃未満、いくつかの実施形態では、約3μm/m-℃未満のCTEを伴う、他のセラミック、ガラス、および/または類似の結晶質材料もまた、使用されることができる。カスタム体積基準標準はさらに、規定された数の含有物または高純度を含んでもよく、これは、密度が高い正確度まで把握されることを可能にする。別の側面では、誤って取り扱われたカスタム体積基準標準が、洗浄および/または再計量の後に再使用可能になり得る。
【0010】
別の側面では、サンプルカップまたはサンプルチャンバは、カスタム形状であってもよい。カスタム形状は、高アスペクト比を含む、または有してもよい。サンプルカップまたはサンプルチャンバは、限定ではないが、薄いディスク、長いロッド、円筒、球、または他の構成を含む、様々な構成を有するカスタム体積基準標準を受け入れるように構成されてもよい。サンプルカップまたはサンプルチャンバは、カスタム基準体積標準と同一の低CTE材料から成ってもよい。
【0011】
本開示の別の側面は、ガス比重計測器の較正のためのシステムを対象とする。本システムは、ガス比重計測器と併用され得、顧客によって規定される形状と、サイズとを含む、種々のサイズおよび/または形状であり得る、1つ以上のサンプルカップ、サンプルチャンバ、またはコンテナを含んでもよい。本システムはさらに、そのそれぞれが高い寸法正確度を伴って、そのような種々の、またはカスタマイズされたサイズおよび/または形状のサンプルカップ、サンプルチャンバ、またはコンテナに合致するように形成され得る、1つ以上の高アスペクト比カスタム体積基準標準を含むであろう。本システムは、サンプルカップの中に挿入されると、カスタム体積基準標準を利用してガス比重計測器を較正し、ガス比重計測器の平均体積を較正するように構成される、コントローラを含むであろう。
【0012】
別の側面では、高アスペクト比カスタム体積基準標準が、サンプルカップの中に挿入されると、高アスペクト比は、サンプルカップ、サンプルチャンバ、またはコンテナの約90%を占有し得る。
【0013】
本開示の別の側面は、低CTEかつ高正確度の寸法を有する材料を備えるであろう、ガス比重計測器の較正のためのカスタム体積基準標準を対象とする。カスタム体積基準標準の基準形状は、カスタムサンプルカップの内側面積に対応するように適合されることができる。カスタム体積基準標準はまた、これが、標準の密度が高正確度に把握されることを可能にし得るため、規定された数の含有物を含む、または高純度から成ってもよく、既知の体積を有するであろう。
【0014】
本開示の別の側面は、吸着等温線を判定するために使用される、デバイスの較正を対象とする。特に、実施形態では、本開示は、検査材料によって占有される体積、および同様に、既知の圧力および温度において較正された体積にある流体、典型的には、蒸気の総分量の判定のために圧力、温度、および較正された体積または複数の体積を利用する、ナノメートルベースの吸着器具を対象とする、またはそれを提供する。そのようなデバイスの較正は、ガス比重計測器と実質的に同一または類似する様式において行われ得る。比重計測器および吸着デバイスは両方とも、適度に明確に画定され、熱的に安定した寸法を伴う基準体積を要求し、両方のデバイスは、温度依存度が最小限化された場合、さらに精密な較正を達成し得る。
【0015】
本開示の別の側面は、既知または未知の材料に関する熱膨張係数(CTE)の判定を対象とする。高精度の較正を伴う比重計測デバイスが、使用され、一連の異なる検査条件下でサンプルによって変位された体積を判定し得る。実施例として、一実施形態では、変位されたサンプルの体積が、周囲温度未満から周囲温度を上回る範囲に及ぶいくつかの温度において評価され得、サンプルのCTEが、次いで、変位された体積から温度の関数として計算され得る。CTEは、摂氏における基準温度からの温度変化の1度あたりの寸法の線形または体積変化として計算され、基準温度は、約20℃である。
【0016】
本開示の別の側面は、充塞層の浸透率測定のために使用されるもの等、精密な線形変位較正を要求する測定デバイスの較正のため、または粉体層の中に充塞される粉体または物体の密度の判定のため、および/または明確に画定される直径を伴う円筒形デバイス内の充塞層長の判定のために使用され得る、基準標準としての低CTE材料の使用を対象とする。典型的には、20~60+/-0.01mmの範囲に及ぶ寸法を伴う工具鋼ピンまたは他の円筒形鋼円筒が、線形変位デバイスを較正するために使用され得る。実施例として、参考として、許容された10~35℃の器具動作範囲にわたって検査された、(17.3×10-6/℃のCTEを有する)50mmの長さのステンレス鋼304ロッドは、+0.022mmの長さ変化を有する。そのような場合には、較正精度は、低CTE材料の使用によって、線形変位デバイスの体積較正に対する可能性として考えられる熱膨張の効果が、実質的に排除され得るように、従来的な工具鋼基準標準の熱膨張の効果を最小限化するように改良され得る。
【0017】
これらの実施形態および他の実施形態のなおも他の側面および利点が、本明細書において詳細に議論される。また、前述の情報および以下の詳細な説明が両方とも、種々の側面および実施形態の例証的実施例を提供するにすぎず、本明細書に開示される種々の側面および実施形態の本質および特性を理解するために概要またはフレームワークを提供することを意図していることも理解されたい。故に、本明細書に開示される本開示の利点および特徴に加えて、これらおよび他の目的が、以下の説明および付随の図面の参照を通して明白な状態になるであろう。さらに、本明細書に説明される種々の実施形態の特徴が、相互排他的ではないこと、および種々の組み合わせおよび順列において存在し得ることも理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
例証の単純化および明確化のために、図に図示される要素が、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、他の要素に対して誇張され得る。本開示のこれらおよび他の特徴、側面、および利点は、以下の説明、側面、および付随の図面に関してより深く理解された状態になるであろう。しかしながら、図面が、本開示のいくつかの実施形態を図示するにすぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。本開示の教示を組み込む実施形態が、本明細書の図面に関して示され、説明される。
【0019】
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、本開示による、材料の体積および密度を判定するためのガス比重計測器の概略図である。
【0020】
【
図2】
図2Aおよび
図2Bは、本開示による、カスタム体積基準標準を含む、ガス比重計測器のサンプルチャンバの概略図である。
図2Cは、
図2Aおよび
図2Bのカスタム体積基準標準の概略図である。
図2Dおよび
図2Eは、本開示による、代替形状を有する例示的カスタム体積基準標準の概略図である。
【0021】
【
図3】
図3は、本開示による、ガス比重計測器を較正するために実施されるようなプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
異なる図面における同一の参照記号の使用は、類似または同じ物品を示す。
【0023】
(詳細な説明)
図と組み合わせられた以下の説明は、本明細書に開示される教示を理解することを補助するために提供される。説明は、本教示の実装および実施形態に焦点を当てられ、本教示を説明することを補助するために提供される。本焦点は、本教示の範囲または可用性の限定として解釈されるべきではない。本明細書に開示されるシステムおよび方法の実施形態の特徴および利点、ならびに明白な状態になるであろう他のものが、より詳細に理解され得るような様式において、上記に手短に要約されるシステムおよび方法の実施形態のより特定の説明が、本明細書の一部を形成する、添付の図面に1つ以上がさらに図示される、それらの実施形態の以下の詳細な説明の参照によって得られ得る。しかしながら、図面が、本明細書に開示されるシステムおよび方法の種々の実施形態を図示するにすぎず、したがって、本明細書に開示されるシステムおよび方法の範囲を、これが他の効果的な実施形態も同様に含み得るため、限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。
【0024】
図1Aおよび
図1Bは、材料の体積および密度を測定するためのガス比重計測器の概略図である。一般に、そのようなガス比重計測器100は、高度な正確度を伴って材料またはサンプル110の体積を測定するために使用され得る。本開示の原理はさらに、ガス吸着分析器または他の類似の測定デバイスにも適用可能である。
【0025】
例証および実施例として、材料の体積を測定するための
図1A-1Bに示されるもの等のガス比重計測器の使用に関する実施形態では、サンプル110が、ガス比重計測器またはガス吸着分析器100のサンプルチャンバ106に添加される。実施形態では、サンプル110は、サンプルチャンバ106内に設置される、サンプルカップ108に添加されるであろう。しかしながら、サンプルカップまたは他のコンテナが、必ずしも使用される必要はないこと、およびサンプルが、これをサンプルカップを用いることなく直接サンプルチャンバ内に設置することによって検査され得ることが、当業者によって理解されるであろう。さらに他の実施形態では、サンプルカップに加えて、二次サンプルカップも、利用され得る。サンプルカップ108が、利用される場合、いったんサンプルカップ108がサンプルチャンバ106の中に設置されると、またはいったんサンプル110がサンプルチャンバ106内に直接設置されると、弁102が、開放され(
図1A)、ガスがパイプライン104を通してサンプルチャンバ106の中に流入することを可能にする。パイプライン104は、配管または管類とも称され得る。いったんサンプルチャンバ106が、充填され、サンプルチャンバ106内の圧力および温度が、平衡状態に到達すると、圧力および温度の測定値が、得られる。圧力は、パイプライン112を介して、サンプルカップ108またはサンプルチャンバ106に接続される、および/またはそれと流体連通する、圧力トランスデューサまたは圧力ゲージ114を介して判定され得る。温度が、熱電対(図示せず)または類似の測定を介して測定されることができる。温度および圧力に関する初期値が、判定された後、弁102が、閉鎖されてもよく、弁118が、開放され(
図1B)、ガスがパイプライン116を通して膨張チャンバ122まで流動することを可能にしてもよい。
【0026】
膨張チャンバ122は、これが、サンプルチャンバ106からのガスで充填されるにつれて、監視される。いったん膨張チャンバ122が、充填され、圧力および温度が、平衡状態に達すると、サンプルチャンバ106の第2の測定値が、例えば、圧力トランスデューサまたは圧力ゲージ114を介して判定される。第1の圧力および第2の圧力の測定値を利用して、ガス比重計測器のコントローラが、サンプル材料の実際の体積を判定し得る。
【0027】
記載されるように、使用に先立って、材料サンプルの体積を正確に計算するために、ガス比重計測器100は、体積基準標準を使用して較正されなければならない。体積基準標準は、固体の物体であってもよく、既知の体積、既知の質量、および/または既知の密度を有するであろう。これまで、炭化タングステンまたはステンレス鋼から構成された、球状の体積基準標準が、使用されている。しかしながら、炭化タングステンまたはステンレス鋼から構成される、そのような体積基準標準は、生産するために高価であり、それらがより高い温度、少なくとも間接的に、圧力(例えば、さらなる温度の増加を引き起こす、圧力の増加)下で有意に膨張する傾向にあるような、高いCTEを保有し、その膨張は、安定化されなければならず、サンプルチャンバの体積を較正することにおいて考慮されなければならない。さらに、球以外の形状を伴うカスタム体積基準標準、例えば、限定ではないが、炭化タングステンまたはステンレス鋼等の高密度で硬質の材料の、
図2A-2Cに図示されるような薄いディスク、円筒、ロッド、スタック可能な材料、または他の形状の標準を生成することは、困難で高価であり、そのような体積基準標準は、容易に損傷され得る。したがって、ひいては、体積基準標準のさらなるカスタマイズを要求する、サンプルチャンバのサイズおよび形状のさらなる変形例に関する顧客要望/所望は、概して、限定されている、および/または実質的に充足されていない状態となっている。
【0028】
ある実施形態では、ガス比重計測器100またはガス比重計測器100のカスタムサンプルカップは、カスタム体積基準標準を含む、またはそれとともに含まれ得る。カスタム体積基準標準は、形状およびサイズが、カスタムサンプルカップ内の湾入部に対応してもよい、またはサイズおよび/または体積が、測定または分析されるべきサンプルに対応または類似してもよい。カスタム体積基準標準は、低CTE材料から構成されてもよい。カスタム体積基準標準は、様々な基準形状およびサイズにおいて生産されてもよい。基準形状およびサイズは、高レベルの寸法正確度(例えば、約1マイクロメートル~約1.0ミリメートルまで正確な形状寸法を伴うが、より大きいまたはより少ない寸法正確度もまた、使用され得る)において生産されてもよい。例えば、カスタム体積基準標準は、カスタム体積基準標準の直径および厚さに関連して±50マイクロインチの正確度において生産されてもよい。さらに、カスタム体積基準標準は、平坦度および平滑度からの逸脱がごくわずかであると仮定され得るように、研磨されてもよい。そのような特性に基づいて、結果として生じる体積の不確実性は、±0.00016cm3~±0.00092cm3であり得る。そのような低CTE材料は、低CTE材料の低CTE品質に基づく、少量の熱膨張を被り、高熱に耐えることが可能である、安定したカスタム体積基準標準をもたらし得る。低CTE材料はまた、炭化タングステンまたはステンレス鋼のコストと比較しても、低コストであり得る。
【0029】
図2Aおよび
図2Bは、本開示による、カスタム体積基準標準206(
図2A-2C)を含む、ガス比重計測器のサンプルチャンバ202の概略図である。本開示の実施形態によると、異なるおよび/またはカスタムサンプルカップ204またはチャンバが、利用されるため、そのような異なる、カスタム設計されたサンプルカップまたはチャンバを利用する、ガス比重計測器の較正のための体積基準標準は、例えば、カスタム基準標準206等のようにカスタマイズされてもよい。特に、本開示のカスタム体積基準標準は、低CTEを保有し、かつ所望される任意の基準形状の全ての辺に対して高い正確度寸法を伴う、コスト効率的な生産/形成をもたらす、種々の光学結晶構造化材料を含む、セラミック系材料、ガラス材料、または他のタイプの材料等の材料を含むであろう。カスタム体積基準標準206を生成するために使用される材料は、サファイア材料、シリコンまたは単結晶シリコン、溶融シリカ、ホウケイ酸、ケイ酸チタンガラス(例えば、Corning(登録商標) ULE(登録商標)ガラス(超低膨張ガラス)、および/またはアルミノケイ酸リチウムガラスセラミック(例えば、Zerodur(登録商標))を含み得る。類似の特性を呈する他の材料も、利用され得る。そのようなカスタム体積基準標準材料は、シートとして形成される、サイズおよび/または形状に切断および研磨されることができる、または結晶構造として成長され、研磨されることができる。
【0030】
そのような実施例では、顧客によって規定されるカスタムサンプルカップ204またはチャンバを有する、ガス比重計測器が、利用されてもよい。実施例として、一実施形態では、カスタムサンプルカップ204は、種々のサンプルを保持するための薄いディスク形状の湾入部204a(
図2B)を伴って構成されてもよい。種々の他の形状も、カスタムサンプルカップの湾入部に関して所望され得る。さらに、カスタムサンプルカップ204は、カスタム体積基準標準206と同一の材料(例えば、低CTE材料)から成ってもよい。ガス比重計測器を較正するために、薄いディスク形状のカスタム体積基準標準206が、利用されてもよい。他の基準形状が、カスタムサンプルカップの湾入部形状に基づいて、および/または測定または分析されるべきサンプルの形状または体積に基づいて、カスタム標準基準に関して検討され得る。
図2Bに示されるように、カスタム体積基準標準206は、カスタムサンプルカップ204の湾入部204aの中に挿入または設置されてもよく、カスタムサンプルカップ204は、次いで、サンプルチャンバ202の中に設置または挿入されてもよく、組み合わせプロセスが、上記で議論されるように行われてもよい。
【0031】
薄いディスク形状のカスタム体積基準標準206は、上記に記載されるように、約5.5μm/m-℃未満であろう、CTEを有する材料を含み、カスタムサンプルカップ204の最大90%を占有するように構築されるであろう。そのようなカスタム体積基準標準206のCTEは、低くあろうため、高温ガスが、サンプルチャンバ202またはサンプルカップ204の中に流入するにつれて、カスタム標準基準206は、最小の熱べースの膨張を呈し得る。さらに、カスタム体積基準標準206の温度は、そのような性質に起因して、問題点ではなくなり得る。実施形態では、そのようなカスタム体積基準標準206のCTEは、約0.005~約5.5-6.0μm/m-℃、約0.007μm/m-℃~約4.5μm/m-℃、約0.007μm/m-℃~約4.0μm/m-℃、0.05μm/m-℃~約4.0μm/m-℃、0.05μm/m-℃~約3.5μm/m-℃、0.005μm/m-℃~約3.0μm/m-℃、0.05μm/m-℃~約2.5μm/m-℃、または他の変形例であってもよい。例えば、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミック等の材料は、約0.007μm/m-℃~約0.05μm/m-℃のCTEを有することができ、溶融シリカ材料は、約0.6μm/m-℃のCTEを有することができ、シリコンおよび/または単結晶シリコン材料は、約2.6μm/m-℃のCTEを有することができる一方、サファイア結晶材料は、約5~約7μm/m-℃のCTEを有することができる。付加的詳細および説明されるカスタム体積基準標準材料と従来の体積基準標準材料の比較に関して、表1を参照されたい。
【0032】
【0033】
カスタム体積基準標準206はまた、示されるディスク形状以外の基準形状を含む、またはそれを伴って形成されてもよい。例えば、カスタム体積基準標準206は、カスタムサンプルカップ204またはサンプルチャンバ202内に嵌合し、カスタムサンプルカップ204またはサンプルチャンバ202内の十分な空間を充填し得る、球形状、楕円形状、長円形状、円錐形状、円錐台形状、および/または任意の他の基準形状であってもよい。さらに、カスタム体積基準標準206は、炭化タングステンまたはステンレス鋼と対照的に、誤って取り扱われた場合に、損傷を殆どまたは全く呈し得ない。例えば、カスタム標準は、選択された低CTEを伴って構築されるため、その密度は、概して、所与の温度範囲内で一定であると見なされることができ、したがって、カスタム基準標準の質量が、既知であるため、カスタム体積基準標準206が、誤って取り扱われる、例えば、手袋を用いずに触れられる、または落下された場合、カスタム体積基準標準206を廃棄することではなく、カスタム体積基準標準206は、洗浄または研磨および/または再計量されてもよく、カスタム体積基準標準206の使用が、継続され得る。加えて、カスタム体積基準標準(例えば、Zerodur)の構築のために選択される材料のうちのいくつかは、非常に少数の含有物を伴って規定され、密度が、物体の全体を通して実質的に一定であることを意味する。
【0034】
図示されるカスタムサンプルカップ204以外の種々の他のカスタムサンプルカップも、規定され得る。そのような形状は、異なるサイズのディスク形状の面積、部分、または湾入部、ならびに細長い垂直ロッドまたは円筒形状の面積、部分、または湾入部を含み得る。ユーザが、カスタム形状のサンプルカップを規定するため、カスタム形状のサンプルカップ内に嵌合するように構成される、選択された基準形状を伴う対応するカスタム体積基準標準が、較正目的のために生成され得る。
【0035】
カスタムサンプルカップ204が、サンプルを受容し、正確な較正を実施するように構成される、細いまたは浅い湾入部、または細長い垂直ロッド、もしくは円筒形状の面積を含み得るため、カスタム体積基準標準206は、高アスペクト比基準形状であり得る。本明細書で使用されるように、「高アスペクト比」または「高アスペクト比基準形状」は、基準形状の異なる寸法の比率を指し得る。そのような比率は、比率において利用される他の寸法より数倍大きい、1つの寸法を含み得る。例えば、円筒またはディスクのアスペクト比は、円筒またはディスクの直径(d)212によって除算された円筒またはディスクの高さ(h)210、例えば、h:dとして表され得る。高アスペクト比円筒またはディスクは、円筒またはディスクの直径より数倍大きい、例えば、3倍大きい、4倍大きい、5倍大きい、またはさらなる倍数大きい高さ、または円筒またはディスクの高さより数倍大きい直径を伴う、円筒またはディスクを含み得る。カスタム体積基準標準は、種々のサイズおよび/または形態において生産されてもよい。例えば、(例えば、高アスペクト比を伴う)円筒またはロッド形状を有する代替カスタム体積基準標準206’が、
図2Dに示され、球形状を有する代替カスタム体積基準標準206’’が、
図2Eに示される。
【0036】
記載されるように、比重計測器を適切に較正するために、そのようなカスタム体積基準標準は、既知の体積であり、高レベルの寸法正確度を含んでもよい。例えば、カスタム体積基準標準は、直径および厚さに対して50マイクロインチの正確度を伴って生産されてもよい。さらに、カスタム体積基準標準は、平坦かつ平滑になるまで研磨されてもよい。そのような研磨は、カスタム体積基準標準の表面内の逸脱、例えば、非均一性および/または粗度が、ごくわずかな状態になることを可能にし得る。そのような生産方法は、±0.00016cm3~±0.00092cm3の体積不確実性をもたらし得る。
【0037】
炭化タングステンまたはステンレス鋼からカスタム基準形状、例えば、高アスペクト比基準形状を生成することは、困難かつ高価であり、高い寸法正確度を達成することは、概して、金属等の一般的較正材料において高価な手順である。例えば、サファイア材料、シリコンまたは単結晶シリコン、溶融シリカ、および/またはアルミノケイ酸リチウムガラスセラミック等のカスタム体積基準標準のために使用される、代替低CTE材料は、より迅速な、あまり困難ではない、および/または非常に正確な製造をもたらし、したがって、カスタム体積基準標準のコストを低下させ得る。カスタム体積基準標準は、設計された低CTEを有するため、その密度は、その質量のみが、体積を把握するために必要とされるように、所与の温度範囲内で一定であると見なされることができる。これは、物体の寸法正確度が、必ずしも、体積計算のために要求されるわけではないことを意味する。加えて、光学ガラス表面は、通常、金属物体より高い精巧度まで作製および検査されており、典型的ガラス表面の表面仕上品質に関する公差は、28nmのRMS(ISO等級N1の粗度)の高品質金属表面仕上と対比して、5nmのRMS(典型的品質)から2nmのRMS(高精度品質)、0.5nmのRMS(高品質)までの範囲に及ぶことができる。
【0038】
カスタム体積基準標準はまた、既知の数または量の含有物を含む、または(例えば、高レベルの均質性の)既知の高純度から成ってもよい。実施例として、含有物は、概して、>300μmの直径を伴う任意の空気泡として定義されることができるが、他の直径/変形例もまた、使用されることができる。含有物および純度は、カスタム体積基準材料の密度に関連し得る。したがって、含有物の数または純度が、既知である場合、密度は、既知である、または高い正確度を伴って判定され得る。そのような含有物は、任意の体積測定値に影響を及ぼし、潜在的に正確ではない較正を提供し得る。いくつかの材料は、そのような含有物に基づいて検討されない場合がある。潜在的材料のうちのいくつかに関して、製造の間に、最大含有物数が、規定され得る。他の材料も、純粋であり、含有物を全くまたは殆ど含まない場合がある。例示的材料は、シリコン、黒鉛、およびダイヤモンド、および他の炭素格子材料、および結晶構造を形成する材料を含むことができる。クラス0のZerodurは、平均で100cm3あたり1つの含有物を有するように規定されている。
【0039】
そのような純度に基づいて、そのようなカスタム体積基準標準206を計量することが、非常に高い正確度を伴って、既知の密度、したがって、体積に直接置き換えられ得ることが予期される。さらに、そのような材料が、それらの他の材料より迅速かつ正確に、そのような基準形状において生産され得る。
【0040】
図3は、本開示による、ガス比重計測器を較正するために実施されるようなプロセスのフロー図である。方法300が、ガス比重計測器のコンピューティングデバイスまたはコントローラ内に実装されてもよい。
図1A-2Bの構成要素が、そのような方法300において利用されてもよい。別様に規定されない限り、方法300のアクションは、ガス比重計測器内で完了され得る。具体的には、方法300は、ガス比重計測器のコンピューティングデバイスまたはコントローのメモリの中にロードされる、1つ以上のプログラム、プロトコル、または命令の中に含まれてもよい。動作が説明される順序は、限定として解釈されることを意図しておらず、任意の数の説明されているブロックが、本方法を実装するために任意の順序において、および/または並行して組み合わせられてもよい。
【0041】
本明細書で使用されるように、「コンピューティングデバイス」は、当業者によって理解されるであろうように、例えば、限定ではないが、ガス比重計測器または他のデバイスのコントローラ、デスクトップコンピュータ、メモリに接続されるマイクロコントローラ、サーバ、エッジサーバ、プロセッサ、およびメモリを含む、1つ以上のプロセッサおよび非一過性機械可読記憶媒体を含む、またはそれらに接続される、電子デバイスを指し得る。本明細書で使用されるように、「非一過性機械可読記憶媒体」または「メモリ」は、実行可能命令、データ、および同等物等の情報を含有または記憶するための任意の電子、磁気、光学、または他の物理的記憶装置であり得る。例えば、本明細書に説明される任意の機械可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、フラッシュメモリ、記憶ドライブ(例えば、ハードドライブ)、ソリッドステートドライブ、任意のタイプの記憶ディスク、および同等物、またはそれらの組み合わせのうちのいずれかであってもよい。記載されるように、メモリは、プロセッサによって実行可能な命令を記憶する、または含んでもよい。本明細書で使用されるように、「プロセッサ」は、例えば、単一のデバイス内に含まれる、または複数のコンピューティングデバイスを横断して分散される、1つのプロセッサまたは複数のプロセッサを含み得る。プロセッサは、中央処理ユニット(CPU)、半導体ベースのマイクロプロセッサ、グラフィック処理ユニット(GPU)、命令を読み出し、実行するためのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、リアルタイムプロセッサ(RTP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、機械可読記憶媒体上に記憶された命令の読出および実行のために好適な他の電子回路網、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0042】
ブロック302において、カスタム形状の体積基準標準が、サンプルカップの中に挿入されてもよい。カスタム形状の体積基準標準は、カスタム形状のサンプルカップに基づいてもよい。例えば、カスタム形状の体積基準標準は、典型的にはガス比重計測器内で使用されない、平坦な薄いディスク、細長いロッド、および/または他のカスタム基準形状であってもよい。そのような実施例では、カスタム形状の体積基準標準は、カスタム形状のサンプルカップの内側面積または部分に対応してもよい。別の実施例では、ユーザが、ユーザが測定することを所望し得る材料に基づいて、サンプルカップのための形状を規定してもよい。サンプルカップに関する仕様に基づいて、カスタム形状の体積基準標準が、生成され、サンプルカップと別個に、その中ではない場所に、それとともに含まれてもよい。言い換えると、顧客が、そのようなガス比重計測器を受け取るときには、カスタム形状のサンプルカップおよびカスタム形状の体積基準標準は、損傷を防止するために、別個の保護されたパッケージ内に含有されてもよい。さらに、サンプルカップまたはサンプルチャンバは、ユーザまたは顧客によって選択された仕様からの材料から成ってもよい。他の実施形態では、材料は、金属であってもよい、またはカスタム形状の体積標準と同一の材料であってもよい。ある実施例では、サンプルカップまたはサンプルチャンバに関してカスタム体積基準標準のものと同一の低CTE材料を利用することは、温度にわたって測定された体積に及ぼすサンプルカップのいかなる影響も排除または低減させ得る。実施形態では、カスタム形状の体積基準標準および/またはサンプルカップは、任意の好適な形状を有してもよい。
【0043】
ブロック304において、カスタム形状のサンプルカップは、サンプルチャンバの中に挿入されてもよい。ユーザは、カスタム形状の体積基準標準を挿入した後、またはカスタム形状の体積基準標準を挿入する前に、カスタム形状のサンプルカップをサンプルチャンバの中に挿入してもよい。
【0044】
ブロック306において、カスタム形状のサンプルカップが、サンプルチャンバの中に挿入され、ガス比重計測器の蓋が、閉鎖またはシールされた後、ガス比重計測器のコントローラまたはコンピューティングデバイスが、弁を作動させ、ガスをサンプルチャンバおよび/またはカスタム形状のサンプルカップの中にもたらす、および/または輸送し得る。ブロック308において、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、サンプルチャンバまたはカスタム形状のサンプルカップがガスで充填されているかどうかをチェックまたは判定してもよい。いったんサンプルチャンバまたはカスタム形状のサンプルカップが、ガスで充填されると、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、ブロック310において、第1の圧力を測定してもよい。第1の圧力は、ガス比重計測器内に配置され、サンプルチャンバおよび/またはカスタム形状のサンプルカップと流体連通する、圧力ゲージまたは圧力トランスデューサを介して測定されてもよい。
【0045】
第1の圧力が、判定された後、ブロック312において、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、サンプルチャンバおよび/またはカスタム形状のサンプルカップ内の圧力および/または温度が平衡状態に到達したかどうかを判定してもよい。そのような実施例では、ガス比重計測器は、圧力ゲージまたはトランスデューサに加えて、温度センサを含んでもよい。いったんサンプルチャンバおよび/またはカスタム形状のサンプルカップ内の圧力および/または温度が、平衡状態に到達し、さらなる変化を呈していないとき、ブロック314において、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、膨張チャンバへの弁を作動させてもよい。さらに、サンプルチャンバおよび/またはカスタム形状のサンプルカップへの弁が、閉鎖し、ガスが流動し続けないように防止するように作動されてもよい。
【0046】
ブロック316において、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、膨張チャンバが充填されたかどうかを判定してもよい。膨張チャンバが、充填されていない場合、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、膨張チャンバおよび/またはサンプルチャンバの圧力をチェックし続けてもよい。膨張チャンバが、充填された後、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、サンプルチャンバおよび/またはカスタム形状のサンプルカップの、またはそこにおける圧力を測定してもよい。ブロック318において、第2の圧力を判定した後、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、ブロック320において、カスタム形状の体積基準標準の体積を判定してもよい。ブロック322において、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、判定された体積をカスタム形状の体積基準標準の既知の体積と比較してもよい。そのような比較に基づいて、コントローラまたはコンピューティングデバイスは、ガス比重計測器の較正体積を調節してもよい(ブロック324)。
【0047】
加えて、いったんガス比重計測器またはガス吸着分析器が、較正されると、これは、付加的な他の、既知または未知の材料の体積を、複数の温度において測定し、複数の温度における検査結果に基づいて、付加的材料のための熱膨張係数を温度の関数として判定するために使用されることができる。変位されたサンプルの体積が、周囲温度未満から周囲温度を上回る範囲に及ぶいくつかの温度において評価され得、サンプルのCTEが、次いで、変位された体積から温度の関数として計算され得る。CTEは、摂氏における基準温度からの温度変化の1度あたりの寸法の線形変化として計算される。実施例のみとして、いくつかの実施形態では、基準温度は、約20℃であることができるが、基準温度は、検査されている材料に応じて変動することができる。
【0048】
前述の説明は、概して、本開示の種々の実施形態を例証し、説明している。しかしながら、種々の変更および修正が、本明細書に開示されるような本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の上記に議論される構築物に対して行われ得ること、および上記の説明に含有される、または付随の図面に示されるあらゆる事項が、例証的であるものとして解釈されるべきであり、限定的意味で捉えられるべきではないことが意図されることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、本開示の範囲は、上記および上記に説明される実施形態に対する種々の修正、組み合わせ、追加、改変等を網羅するものと解釈されるものとし、本開示の範囲内にあるものと見なされるものとする。故に、本明細書において議論されるような本開示の種々の特徴および特性は、本開示の他の例証される、および例証されていない実施形態に選択的に取って代わられる、およびそれに適用され得、多数の変形例、修正、および追加もさらに、添付の側面において述べられている通り、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して行われ得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
前述の説明は、概して、本開示の種々の実施形態を例証し、説明している。しかしながら、種々の変更および修正が、本明細書に開示されるような本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の上記に議論される構築物に対して行われ得ること、および上記の説明に含有される、または付随の図面に示されるあらゆる事項が、例証的であるものとして解釈されるべきであり、限定的意味で捉えられるべきではないことが意図されることが、当業者によって理解されるであろう。さらに、本開示の範囲は、上記および上記に説明される実施形態に対する種々の修正、組み合わせ、追加、改変等を網羅するものと解釈されるものとし、本開示の範囲内にあるものと見なされるものとする。故に、本明細書において議論されるような本開示の種々の特徴および特性は、本開示の他の例証される、および例証されていない実施形態に選択的に取って代わられる、およびそれに適用され得、多数の変形例、修正、および追加もさらに、添付の側面において述べられている通り、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して行われ得る。
(項目1)
比重計測デバイスを較正するための方法であって、
(a)上記比重計測デバイスによって測定されるべき少なくとも1つのサンプルの体積に実質的に合致するように選択される既知の体積を有するカスタム体積基準標準を選択することであって、上記カスタム体積基準標準は、高アスペクト比基準形状を伴って形成されており、低熱膨張係数(CTE)を有し、かつ、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミック、サファイア、シリコン、溶融シリカ、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、材料を備える、ことと、
(b)上記カスタム体積基準標準を上記比重計測デバイスのサンプルチャンバの中に設置することと、
(c)上記比重計測デバイスの中に導入されるガスの圧力における差および上記サンプルチャンバの既知の体積に基づいて、上記カスタム体積基準標準の測定された体積を判定することと、
(d)上記カスタム体積基準標準の上記測定された体積を上記カスタム体積基準標準の上記既知の体積と比較することと、
(e)上記カスタム体積基準標準の上記測定された体積と上記カスタム体積基準標準の上記既知の体積の比較に基づいて、上記サンプルチャンバに関する平均較正体積を調節することと
を含む、方法。
(項目3)
上記カスタム体積基準標準を取得することをさらに含み、上記カスタム体積基準標準は、規定された平均数の含有物を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記カスタム体積基準標準が誤って取り扱われる場合、上記カスタム体積基準標準の新しい既知の体積を判定するように、上記カスタム体積基準標準を洗浄および再計量することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記カスタム体積基準標準を上記サンプルチャンバの中に設置することは、較正に先立って、上記カスタム体積基準標準をサンプルカップの中に設置することと、上記サンプルカップを上記サンプルチャンバの中に位置付けることとを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記カスタム体積基準標準の上記測定された体積を判定することはさらに、
(a)上記ガスをサンプルチャンバに供給することと、
(b)上記サンプルチャンバが上記ガスで充填された後、上記サンプルチャンバ内の上記ガスの第1の圧力を測定することと、
(c)上記サンプルチャンバ内の圧力および温度が、平衡状態に到達した後、弁を開放し、上記ガスが上記サンプルチャンバから膨張チャンバに流動することを可能にすることと、
(d)上記膨張チャンバが上記ガスで充填された後、上記サンプルチャンバ内の上記ガスの第2の圧力を測定することと、
(e)上記サンプルチャンバの上記第1の圧力、第2の圧力、および上記既知の体積に基づいて、上記カスタム体積基準標準の上記測定された体積を判定することと
を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
ガス比重計測器の較正のためのカスタム体積基準標準であって、
(a)約0.007μm/m-℃~約6.0μm/m-℃のCTEを含む、セラミックまたは光学ガラス材料と、
(b)上記材料の既知の密度および上記材料の重量と、
(c)選択されたサンプル材料の体積に実質的に合致するように選択される既知の体積と、
(d)既知の幅、長さ、奥行、またはそれらの組み合わせを含む、選択された基準形状、および規定された数の含有物と
を備える、カスタム体積基準標準。
(項目9)
上記材料は、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミックを備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目10)
上記材料は、溶融シリカを備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目11)
上記材料は、単結晶シリコンを備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目12)
上記材料は、サファイアを備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目13)
上記基準形状は、円筒形状を含む、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目14)
上記基準形状は、ディスク形状を含む、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目15)
上記基準形状は、球形状を含む、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目16)
上記カスタム体積基準標準の上記基準形状は、較正のためにガス比重計測器のサンプルチャンバ内に受容されるように構成される、サンプルカップの形状に実質的に対応するように選択される、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目17)
上記基準形状は、高アスペクト比形状を含む、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目20)
上記材料の上記規定された数の含有物は、100cm
3
あたり約1つの含有物以下の平均数の含有物を備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目21)
上記基準形状は、直径と、上記直径の少なくとも約3倍である高さと有する円筒またはディスクを備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目22)
上記材料は、約1.0μm/m-℃未満のCTEを有する、アルミノケイ酸リチウムガラスセラミックを備える、項目8に記載のカスタム体積基準標準。
(項目23)
上記カスタム体積基準標準を取得することをさらに含み、上記カスタム体積基準標準は、シートまたは成長された結晶構造として形成され、かつ、選択されたサイズおよび/または形状に研磨される、光学またはセラミック材料を備える、項目1に記載の方法。
【国際調査報告】