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特表2024-516400修飾されたMHC発現のための腫瘍溶解性ウイルス
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  • 特表-修飾されたMHC発現のための腫瘍溶解性ウイルス 図1
  • 特表-修飾されたMHC発現のための腫瘍溶解性ウイルス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】修飾されたMHC発現のための腫瘍溶解性ウイルス
(51)【国際特許分類】
   C12N 7/01 20060101AFI20240408BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20240408BHJP
   A61K 35/763 20150101ALI20240408BHJP
   A61K 35/768 20150101ALI20240408BHJP
   A61K 35/765 20150101ALI20240408BHJP
   A61K 35/766 20150101ALI20240408BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240408BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240408BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240408BHJP
   C12N 15/39 20060101ALN20240408BHJP
   C07K 14/07 20060101ALN20240408BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
A61K35/761
A61K35/763
A61K35/768
A61K35/765
A61K35/766
A61K38/20
A61K38/19
A61K38/47
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P37/02
A61K48/00
A61K38/17
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61K35/17
A61K47/02
A61K47/10
A61K45/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
C12N15/39
C07K14/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565513
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2022026703
(87)【国際公開番号】W WO2022232375
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/182,243
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521244488
【氏名又は名称】カリヴィル イムノセラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ソーン, スティーブン ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ミンルイ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA44
4C076BB01
4C076BB02
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB21
4C076BB25
4C076BB29
4C076BB31
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC29
4C076DD22
4C076DD23
4C076DD26
4C076DD38
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF16
4C076FF36
4C076FF39
4C076FF43
4C076FF51
4C076FF61
4C076FF63
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA44
4C084CA01
4C084CA18
4C084CA53
4C084DA01
4C084DA12
4C084DA14
4C084DC22
4C084MA02
4C084MA52
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA65
4C084MA66
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4C084ZB211
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4C084ZC75
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4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
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4C087MA57
4C087MA59
4C087MA60
4C087MA63
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB07
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、主要組織適合性複合体クラスIの下方制御、および代わりにもしくは加えて主要組織適合性複合体クラスIIの上方制御をもたらす遺伝子欠失または挿入を有する組換え腫瘍溶解性ウイルスを提供する。これらの組換えウイルスを含む免疫学的組成物および医薬組成物、ならびにこれらの組成物を使用する方法も提示する。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物であって、腫瘍溶解性ウイルスがゲノム修飾を含み、ゲノム修飾が、A35タンパク質をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失、および牛痘タンパク質CPXV012または牛痘タンパク質CPXV203をコードする外因性遺伝子の挿入を含む、組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物であって、前記腫瘍溶解性ウイルスがゲノム修飾を含み、前記ゲノム修飾がMHC I阻害剤をコードする外因性核酸を含む、組成物。
【請求項2】
前記ゲノム修飾が、
a)MHC II阻害剤をコードする内因性核酸の欠失もしくは機能的欠失;または
b)MHC II提示の活性化もしくは増強された活性化をもたらす外因性核酸
をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ゲノム修飾が、
a)MHC II阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失;および
b)MHC II提示の活性化または増強された活性化をもたらす外因性核酸
をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記MHC II阻害剤をコードする前記内因性核酸の前記欠失または機能的欠失が、タンパク質A35をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失を含む、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
タンパク質A35をコードする前記ワクシニアウイルス遺伝子の前記欠失または機能的欠失が、遺伝子WR158の欠失または機能的欠失である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記MHC II提示の活性化または増強された活性化をもたらす前記外因性核酸が、
a)アポトーシス阻害タンパク質;
b)壊死性細胞死アクチベータータンパク質;
c)オートファジーエンハンサータンパク質;
d)アスパラギニルエンドペプチダーゼ;
e)クラスIIトランスアクチベーター;
f)インターフェロンガンマ;
g)Toll様受容体アクチベーター;または
h)樹状細胞成熟アクチベーター
から選択されるタンパク質をコードする、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項7】
前記外因性核酸が前記オートファジーエンハンサータンパク質をコードし、前記オートファジーエンハンサータンパク質がHMGB1またはその機能的ドメインもしくはバリアントである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記外因性核酸が前記樹状細胞成熟アクチベーターをコードし、前記樹状細胞成熟アクチベーターがオステオポンチン、TNF-アルファ、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントを含む、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
前記外因性核酸によってコードされる前記タンパク質が分泌配列、細胞透過性ドメイン、またはそれらの組合せに融合される、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、メンゴウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、およびポリオウイルス(PV)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポックスウイルスが、ベータ昆虫ポックスウイルス、ヤタポックスウイルス、セルビドポックスウイルス、ガンマ昆虫ポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、軟体動物ポックスウイルス、クロコジリドポックスウイルス、アルファ昆虫ポックスウイルス、カプリポックスウイルス、アビポックスウイルス、またはパラポックスウイルスを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記MHC I阻害剤が、MHC I提示の阻害または部分的な阻害を引き起こす、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記MHC I阻害剤をコードする前記外因性核酸が、1つまたは複数の牛痘ウイルスタンパク質をコードする遺伝子を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記MHC I阻害剤をコードする前記外因性核酸が、牛痘タンパク質CPXV012またはその機能的断片もしくはバリアントをコードする遺伝子を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記MHC I阻害剤をコードする前記外因性核酸が、牛痘タンパク質CPXV203またはその機能的断片もしくはバリアントをコードする遺伝子を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記MHC I阻害剤をコードする前記外因性核酸が、
a)エプスタイン・バールウイルスがコードする核抗原1タンパク質;
b)単純ヘルペスウイルスがコードするICP47タンパク質;
c)単純ヘルペスウイルスがコードするUL49.5タンパク質;
d)サイトメガロウイルスがコードするUS6、US2、US3、US11、もしくはgp48タンパク質;
e)エプスタイン・バールウイルスがコードするBNLF2aタンパク質;
f)アデノウイルスがコードするE3-19Kタンパク質;
g)ヒト免疫不全ウイルスまたはシミアン免疫不全ウイルスがコードするNefタンパク質;
h)カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスがコードするkK3、vIRF3もしくはkK5タンパク質;または
i)IRF7もしくはIRF3のドミナントネガティブ形態
のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記MHC I阻害剤がTAP阻害剤を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記TAP阻害剤が、完全にまたは主に感染細胞内で作用する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ゲノム修飾が、ウイルス感染腫瘍細胞を標的とする免疫応答を減少させ、前記ウイルス感染腫瘍細胞を囲む細胞を標的とする免疫応答を増加させる、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物であって、前記腫瘍溶解性ウイルスがゲノム修飾を含み、前記ゲノム修飾が、A35タンパク質をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失、および牛痘タンパク質CPXV012または牛痘タンパク質CPXV203をコードする外因性遺伝子の挿入を含む、組成物。
【請求項22】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、メンゴウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、およびポリオウイルス(PV)を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポックスウイルスが、ベータ昆虫ポックスウイルス、ヤタポックスウイルス、セルビドポックスウイルス、ガンマ昆虫ポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、軟体動物ポックスウイルス、クロコジリドポックスウイルス、アルファ昆虫ポックスウイルス、カプリポックスウイルス、アビポックスウイルス、またはパラポックスウイルスを含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスである、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
牛痘タンパク質CPXV012をコードする前記外因性遺伝子が、ワクシニアウイルスのA35タンパク質をコードする前記遺伝子の遺伝子座にある、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
牛痘タンパク質CPXV203をコードする前記外因性遺伝子が、ワクシニアウイルスのA35タンパク質をコードする前記遺伝子の遺伝子座にある、請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
前記ゲノム修飾が、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸;あるいはサイトカインまたはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
サイトカインまたはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする前記外因性核酸を含み、前記サイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-15/インターロイキン-15Ra(IL15/IL15Ra)、インターロイキン-7(IL-7)、またはその機能的ドメインもしくはバリアントのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記ゲノム修飾が、サイトカインおよび代謝モジュレータータンパク質を含む融合タンパク質をコードする外因性核酸の挿入を含む、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
前記ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする前記外因性核酸を含み、前記ケモカイン受容体が、CXCR4、CCR2、またはその機能的ドメインもしくはバリアントのうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
前記ケモカイン受容体が、CXCR4またはその機能的ドメインもしくはバリアントを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
前記ケモカイン受容体が、CCR2またはその機能的ドメインもしくはバリアントを含み、前記CCR2が野生型CCR2または突然変異型CCR2を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
前記ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする前記外因性核酸が、コドン最適化された配列を含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする前記外因性核酸が、コドン最適化されていない配列を含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記ゲノム修飾が、ワクシニアウイルスのA52R、B15R、K7R、A46R、N1L、E3L、K1L、M2L、C16、N2R、B8R、B18R、もしくはVH1、またはそれらの機能的ドメインもしくは断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むウイルス遺伝子の突然変異または完全もしくは部分的な欠失を含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
チミジンキナーゼ遺伝子の欠失をさらに含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
ヒアルロニダーゼをコードする外因性核酸をさらに含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記ヒアルロニダーゼがPH-20またはHysAである、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスであり、前記ワクシニアウイルスが、ウエスタンリザーブ株ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、IHD株、Wyeth株(ATCC VR-325)、NYCBOH株、Tian Tan株、Lister株、Ankara株(ATCC VR-1508またはATTC VR1566)、USSR株、またはACAM2000株である、請求項1~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項41】
前記賦形剤が、緩衝剤、安定剤、酸化防止剤、結合剤、希釈剤、分散剤、速度制御剤、潤滑剤、流動促進剤、崩壊剤、可塑剤、保存剤、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記賦形剤が、リン酸水素二水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、ミオイノシトール、ソルビトール、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項40または41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記医薬組成物が保存剤を含まない、請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
保存剤、希釈剤、および担体のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項40~42のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
追加の活性成分またはその塩をさらに含む、請求項40~44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記賦形剤が滅菌水である、請求項40~45のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
追加の活性成分をさらに含み、前記追加の活性成分が抗がん剤またはさらなる腫瘍溶解性ウイルスである、請求項40~46のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
がん細胞の成長を減少させる方法であって、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物、または請求項40~47のいずれか一項に記載の医薬組成物をがん細胞に投与することを含む、方法。
【請求項49】
がんを処置する方法であって、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物、または請求項40~47のいずれか一項に記載の医薬組成物を、がんを有する対象に投与することを含む、方法。
【請求項50】
前記投与が、腫瘍内投与、腹腔内投与、経口投与、静脈内投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
さらなる療法を施すことを含み、前記さらなる療法が、化学療法、放射線療法、追加のウイルスによる腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質による処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記さらなる療法が、抗CD33抗体およびその可変領域、抗CD11b抗体およびその可変領域、COX2阻害剤、サイトカイン、ケモカイン、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはTLRアゴニストを含む免疫調節剤を投与することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
請求項1~39のいずれかに記載の組成物または請求項40~47のいずれか一項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、処置方法。
【請求項54】
前記投与が腫瘍内投与を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記投与が全身投与を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記全身投与が、腹腔内投与、経口投与、静脈内投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記対象ががんを有し、前記がんが、黒色腫、肝細胞癌、乳がん、肺がん、非小肺がん、腹膜がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、白血病、リンパ腫、腎細胞癌、膵臓がん、上皮癌、胃/GE接合部腺癌、子宮頸がん、結腸癌、結腸直腸がん、十二指腸がん、膵腺癌、腺様嚢胞、肉腫、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管癌、膵腺癌、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性新生物、またはこれらのいずれかの組合せのうちの少なくとも1つである、請求項53~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記組成物または前記医薬組成物が、約10PFU/mL~約1010PFU/mLの前記腫瘍溶解性ウイルスの投薬量で投与される、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物または前記医薬組成物が、約3×10PFU/mLの前記腫瘍溶解性ウイルスの投薬量で投与される、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物または前記医薬組成物が3用量で投与され、前記3用量の各々が、任意の他の用量とは独立した投与量および投与期間で投与される、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記3用量が、第1の用量、第2の用量、および第3の用量で投与され、前記第1の用量が前記第2の用量よりも低く、前記第2の用量が前記第3の用量よりも低い、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記3用量が、第1の用量、第2の用量、および第3の用量で投与され、前記第1の用量が前記第2の用量よりも高く、前記第2の用量が前記第3の用量よりも高い、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記3用量の前記投与期間が、各々独立して、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月または約1年である、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記組成物または前記医薬組成物が、約1mL~約5mL、約5mL~10mL、約15mL~約20mL、約25mL~約30mL、約30mL~約50mL、約50mL~約100mL、約100mL~150mL、約150mL~約200mL、約200mL~約250mL、約250mL~約300mL、約300mL~約350mL、約350mL~約400mL、約400mL~約450mL、約450mL~500mL、約500mL~750mL、または約750mL~1000mLの体積で投与される液体投薬形態を独立して含む請求項53~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記組成物または前記医薬組成物が、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで投与される、請求項53~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記組成物または前記医薬組成物は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、または約1年の期間、投与される、請求項53~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記組成物または前記医薬組成物は、1日1回、1日2回、1週間に1回、2週間に1回、または3週間に1回投与される、請求項53~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記組成物または前記医薬組成物がボーラス注射または緩徐注入として実施される、請求項53~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記組成物または前記医薬組成物の前記投与が、第1用量の投与から約1時間~約3日後に第1のピークウイルス量、および約3日~約10日後に第2のピークウイルス量をもたらす、請求項53~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
さらなる療法を施すことを含み、前記さらなる療法が、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、または約12週間の期間で施される、請求項53~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記さらなる療法が、1日1回、1日2回、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、12週間に1回、4ヵ月に1回、5ヵ月に1回、6ヵ月に1回、7ヵ月に1回、8ヵ月に1回、9ヵ月に1回、10ヵ月に1回、11ヵ月に1回、または1年に1回施される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記さらなる療法が、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで施される、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記さらなる療法が、経口、静脈内、腫瘍内注射、腹腔内注射、または放射線によって施される、請求項70~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記さらなる療法が、化学療法、放射線療法、追加のウイルスを用いた腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質を用いた処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項70~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記さらなる療法が、抗CD33抗体およびその可変領域、抗CD11b抗体およびその可変領域、COX2阻害剤、サイトカイン、ケモカイン、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはTLRアゴニストを含む免疫調節剤を投与することを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記さらなる療法が、前記抗がん剤の投与を含み、前記抗がん剤が化学療法剤である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記対象がヒトである、請求項53~76のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年4月30日に出願された米国仮出願第63/182,243号に基づく利益を主張し、この仮出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
がんは米国における死亡原因の第2位である。市販の療法は、がん細胞の選択的標的化、局所的遺伝子発現、ならびに腫瘍微小環境(TME)への到達および修飾に関して課題が存在する。したがって、これらの課題に対処するために、改善された組成物および使用方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0003】
簡単な要旨
本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物であって、腫瘍溶解性ウイルスがゲノム修飾を含み、ゲノム修飾がMHC I阻害剤をコードする外因性核酸を含む、組成物が提供される。さらに、本明細書では、ゲノム修飾が、MHC II阻害剤をコードする内因性核酸の欠失もしくは機能的欠失;またはMHC II提示の活性化もしくは増強された活性化をもたらす外因性核酸をさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ゲノム修飾が、MHC II阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失;およびMHC II提示の活性化または増強された活性化をもたらす外因性核酸をさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC II阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失が、タンパク質A35をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、タンパク質A35をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失が遺伝子WR158の欠失または機能的欠失である組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC II提示の活性化または増強された活性化をもたらす外因性核酸が、アポトーシス阻害タンパク質;壊死性細胞死アクチベータータンパク質;オートファジーエンハンサータンパク質;アスパラギニルエンドペプチダーゼ;クラスIIトランスアクチベーター;インターフェロン-ガンマ;Toll様受容体アクチベーター;または樹状細胞成熟アクチベーターから選択されるタンパク質をコードする組成物が提供される。さらに、本明細書では、外因性核酸がオートファジーエンハンサータンパク質をコードし、オートファジーエンハンサータンパク質がHMGB1またはその機能的ドメインもしくはバリアントである組成物が提供される。さらに、本明細書では、外因性核酸が樹状細胞成熟アクチベーターをコードし、樹状細胞成熟アクチベーターがオステオポンチン、TNF-アルファ、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントを含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、外因性核酸によってコードされるタンパク質が分泌配列、細胞透過性ドメイン、またはそれらの組合せに融合される組成物が提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスが、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、メンゴウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、およびポリオウイルス(PV)である組成物が提供される。さらに、本明細書では、ポックスウイルスが、ベータ昆虫ポックスウイルス、ヤタポックスウイルス、セルビドポックスウイルス、ガンマ昆虫ポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、軟体動物ポックスウイルス、クロコジリドポックスウイルス、アルファ昆虫ポックスウイルス、カプリポックスウイルス、アビポックスウイルス、またはパラポックスウイルスを含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ポックスウイルスがワクシニアウイルスである組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC I阻害剤が、MHC I提示の阻害または部分的な阻害を引き起こす組成物が本明細書に提供される。さらに、本明細書では、MHC I阻害剤をコードする外因性核酸が、1つまたは複数の牛痘タンパク質をコードする遺伝子を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC I阻害剤をコードする外因性核酸が、牛痘タンパク質CPXV012またはその機能的断片もしくはバリアントをコードする遺伝子を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC I阻害剤をコードする外因性核酸が、牛痘タンパク質CPXV203またはその機能的断片もしくはバリアントをコードする遺伝子を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC I阻害剤をコードする外因性核酸が、エプスタイン-バールウイルスがコードする核抗原1タンパク質;単純ヘルペスウイルスがコードするICP47タンパク質;単純ヘルペスウイルスがコードするUL49.5タンパク質;サイトメガロウイルスがコードするUS6、US2、US3、US11またはgp48タンパク質;エプスタイン-バールウイルスがコードするBNLF2aタンパク質;アデノウイルスがコードするE3-19Kタンパク質;ヒト免疫不全ウイルスまたはシミアン免疫不全ウイルスがコードするNefタンパク質;カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスがコードするkK3、vIRF3もしくはkK5タンパク質;またはIRF7もしくはIRF3のドミナントネガティブ形態のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、MHC I阻害剤がTAP阻害剤を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、TAP阻害剤が完全にまたは主に感染細胞内で作用する組成物が提供される。さらに、本明細書では、ゲノム修飾が、ウイルス感染腫瘍細胞を標的とする免疫応答を減少させ、ウイルス感染腫瘍細胞を囲む細胞を標的とする免疫応答を増加させる組成物がさらに提供される。さらに、本明細書では、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失をさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼをコードする外因性核酸をさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼがPH-20またはHysAである組成物が提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスであり、ワクシニアウイルスが、ウエスタンリザーブ株ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、IHD株、Wyeth株(ATCC VR-325)、NYCBOH株、Tian Tan株、Lister株、Ankara株(ATCC VR-1508またはATTC VR1566)、USSR株、またはACAM2000株である組成物が提供される。
【0004】
さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物であって、腫瘍溶解性ウイルスがゲノム修飾を含み、ゲノム修飾が、A35タンパク質をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失、および牛痘タンパク質CPXV012または牛痘タンパク質CPXV203をコードする外因性遺伝子の挿入を含む、組成物が提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスが、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、メンゴウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、およびポリオウイルス(PV)である組成物が提供される。さらに、本明細書では、ポックスウイルスが、ベータ昆虫ポックスウイルス、ヤタポックスウイルス、セルビドポックスウイルス、ガンマ昆虫ポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、軟体動物ポックスウイルス、クロコジリドポックスウイルス、アルファ昆虫ポックスウイルス、カプリポックスウイルス、アビポックスウイルス、またはパラポックスウイルスを含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスである組成物が提供される。さらに、本明細書では、牛痘タンパク質CPXV012をコードする外因性遺伝子が、ワクシニアウイルスのA35タンパク質をコードする遺伝子の遺伝子座にある組成物が提供される。さらに、本明細書では、牛痘タンパク質CPXV203をコードする外因性遺伝子が、ワクシニアウイルスのA35タンパク質をコードする遺伝子の遺伝子座にある組成物が提供される。さらに、本明細書では、ゲノム修飾が、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸;あるいはサイトカインまたはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸のうちの少なくとも1つをさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、サイトカインまたはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸を含み、サイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-15/インターロイキン-15Ra(IL15/IL15Ra)、インターロイキン-7(IL-7)、またはその機能的ドメインもしくはバリアントのうちの少なくとも1つを含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ゲノム修飾が、サイトカインおよび代謝モジュレーター調節タンパク質を含む融合タンパク質をコードする外因性核酸の挿入を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸を含み、ケモカイン受容体が、CXCR4、CCR2、またはその機能的ドメインもしくはバリアントのうちの少なくとも1つを含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体がCXCR4またはその機能的ドメインもしくはバリアントを含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体が、CCR2またはその機能的ドメインもしくはバリアントを含み、CCR2が野生型CCR2または突然変異型CCR2を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸が、コドン最適化された配列を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸が、コドン最適化されていない配列を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ゲノム修飾が、ワクシニアウイルスのA52R、B15R、K7R、A46R、N1L、E3L、K1L、M2L、C16、N2R、B8R、B18R、もしくはVH1、またはそれらの機能的ドメインもしくは断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むウイルス遺伝子の突然変異または完全もしくは部分的な欠失を含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、チミジンキナーゼ遺伝子の欠失をさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼをコードする外因性核酸をさらに含む組成物が提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼがPH-20またはHysAである組成物が提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスであり、ワクシニアウイルスが、ウエスタンリザーブ株ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、IHD株、Wyeth株(ATCC VR-325)、NYCBOH株、Tian Tan株、Lister株、Ankara株(ATCC VR-1508またはATTC VR1566)、USSR株、またはACAM2000株である組成物が提供される。
【0005】
本明細書では、本明細書に記載される組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、賦形剤が、緩衝剤、安定剤、酸化防止剤、結合剤、希釈剤、分散剤、速度制御剤、潤滑剤、流動促進剤、崩壊剤、可塑剤、保存剤、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、賦形剤が、リン酸水素二水和物、リン酸二水素ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、ミオイノシトール、ソルビトール、またはそれらの任意の組合せを含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、医薬組成物が提供され、医薬組成物は保存剤を含まない。さらに、本明細書では、保存剤、希釈剤、および担体のうちの1つまたは複数をさらに含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、追加の活性成分またはその塩をさらに含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、賦形剤が滅菌水である医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、追加の活性成分をさらに含む医薬組成物が提供され、追加の活性成分は、抗がん剤またはさらなる腫瘍溶解性ウイルスである。
【0006】
本明細書では、がん細胞の成長を減少させる方法であって、本明細書に記載される組成物または医薬組成物をがん細胞に投与することを含む、方法が提供される。
【0007】
本明細書では、がんを処置する方法であって、本明細書に記載される組成物または医薬組成物を、がんを有する対象に投与する工程を含む、方法が提供される。さらに、本明細書において、投与が、腫瘍内投与、腹腔内投与、経口投与、静脈内投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、またはそれらの任意の組合せを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法を施す工程を含む方法が提供され、さらなる療法が、化学療法、放射線、追加のウイルスによる腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質による処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む。さらに、本明細書では、さらなる療法が、抗CD33抗体およびその可変領域、抗CD11b抗体およびその可変領域、COX2阻害剤、サイトカイン、ケモカイン、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはTLRアゴニストを含む免疫調節剤を投与することを含む方法が提供される。
【0008】
本明細書では、本明細書に記載される組成物または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む処置方法が提供される。さらに、本明細書では、投与が腫瘍内投与を含む方法がさらに提供される。さらに、本明細書では、投与が全身投与を含む方法が提供される。さらに、本明細書では、全身投与が、腹腔内投与、経口投与、静脈内投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、対象ががんを有し、がんが、黒色腫、肝細胞癌、乳がん、肺がん、非小肺がん、腹膜がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、白血病、リンパ腫、腎細胞癌、膵臓がん、上皮癌、胃/GE接合部腺癌、子宮頸がん、結腸癌、結腸直腸がん、十二指腸がん、膵腺癌、腺様嚢胞、肉腫、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管癌、膵腺癌、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性新生物、またはこれらのいずれかの組合せのうちの少なくとも1つである方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物は、約10PFU/mL~約1010PFU/mLの投薬量で腫瘍溶解性ウイルスを投与する方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物を、約3×10PFU/mLの投薬量で腫瘍溶解性ウイルスを投与する方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物は3用量で投与され、3用量の各々は、いずれの他の用量とは無関係な投与量および投与期間で投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、3用量は、第1の用量、第2の用量、および第3の用量で投与され、第1の用量が第2の用量よりも低く、第2の用量が第3の用量よりも低い方法が提供される。さらに、本明細書では、3用量は、第1の用量、第2の用量、および第3の用量で投与され、第1の用量が第2の用量よりも高く、第2の用量が第3の用量よりも高い方法が提供される。さらに、本明細書では、3用量に対する投与期間が、各々独立して、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月または約1年である方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物が、約1mL~約5mL、約5mL~10mL、約15mL~約20mL、約25mL~約30mL、約30mL~約50mL、約50mL~約100mL、約100mL~150mL、約150mL~約200mL、約200mL~約250mL、約250mL~約300mL、約300mL~約350mL、約350mL~約400mL、約400mL~約450mL、約450mL~500mL、約500mL~750mL、または約750mL~1000mLの体積で投与される液体投薬形態を独立して含む方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物は、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月または約1年の期間投与される方法が提供される。本明細書ではさらに、組成物または医薬組成物が、1日1回、1日2回、週に1回、2週間に1回、または3週間に1回投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物がボーラス注射または緩徐注入として投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組成物または医薬組成物の投与が、第1の用量の投与から約1時間~約3日後に第1のピークウイルス量、約3日~約10日後に第2のピークウイルス量をもたらす方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法を施すことを含む方法が提供され、さらなる療法は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、または約12週間の期間で施される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、1日1回、1日2回、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、12週間に1回、4ヵ月に1回、5ヵ月に1回、6ヵ月に1回、7ヵ月に1回、8ヵ月に1回、9ヵ月に1回、10ヵ月に1回、11ヵ月に1回、または1年に1回施される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで施される方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、経口、静脈内、腫瘍内注射、腹腔内注射、または放射線によって施される方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、化学療法、放射線療法、追加のウイルスを用いた腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質を用いた処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、抗CD33抗体およびその可変領域、抗CD11b抗体およびその可変領域、COX2阻害剤、サイトカイン、ケモカイン、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはTLRアゴニストを含む免疫調節剤を投与することを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が抗がん剤の投与を含み、抗がん剤が化学療法剤である方法が提供される。さらに、本明細書では、対象がヒトである方法が提供される。
【0009】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態を示しながら、本発明の精神および範囲内の種々の変化および修飾が、この詳細な説明から当業者に明らかになることから、詳細な説明および具体例は、例示としてのみ提供されることが理解されるべきである。
【0010】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示の特徴および利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明を参照することによって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、TK欠失(HCCTKM);TKおよびA52R欠失、ならびにA35タンパク質をコードする遺伝子の牛痘CPXV012遺伝子(WO0434N)による置換;または外因性核酸(WO416N)の挿入を伴わないTKおよびA52R欠失を含む、ビヒクル製剤化緩衝剤(VFB)または組換えワクシニアウイルスによる処理後の、y軸上で立方ミリメートルで示されるB16腫瘍体積の変化を示す。
【0012】
図2図2Aおよび2Bは、(1)牛痘ウイルスV012タンパク質をコードする核酸のTK遺伝子欠失および挿入;(2)牛痘ウイルスV012タンパク質をコードする核酸のWR158遺伝子欠失および挿入;(3)TK遺伝子欠失およびドミナントネガティブインターフェロン調節因子7(dnIRF7)をコードする核酸の挿入;または(4)TK遺伝子欠失およびウイルスインターフェロン調節因子3(vIRF3)をコードする核酸の挿入を含む、ビヒクル製剤化緩衝剤(VFB)または組換えワクシニアウイルスによる処理後の、y軸上の立方ミリメートルで示されるRenca(図2A)またはEMT6(図2B)腫瘍体積の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の詳細な説明
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、このような実施形態が例示としてのみ提供されることは当業者には自明である。ここで、本開示から逸脱することなく、当業者によって多くの変形、変化、および置換がされる。本明細書に記載される本開示の実施形態に対する種々の代替物が、本開示を行う際に使用され得ることが理解されるべきである。
【0014】
本開示は、一部の実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、およびがんを処置するために前記腫瘍溶解性ウイルスを使用する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示の腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍微小環境をリモデリングし、全身送達を増強することによって、腫瘍溶解性免疫療法を増強するために、外因性核酸をコードするウイルスゲノムにおける修飾を含む。本開示は、さらに、このような腫瘍溶解性ウイルスを含む物質の組成物、ならびにがん処置のための使用方法およびキットに関する。
【0015】
特定の定義
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が明白に他の意味を示さない限り、単数形と複数形の両方を指すことができる。本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」は「含む(include)」を意味することができる。したがって、「ウイルスゲノムにおける1つまたは複数の修飾を含んでいる(comprising)」は、他の要素を除外することなく、「ウイルスにおける少なくとも1つの修飾を含んでいる(including)」を意味し得る。矛盾がある場合、用語の説明を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は、単に例示的であり、限定することを意図しない。用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定される特定の値について許容可能な誤差範囲内を意味することができ、値がどのように測定または決定されるか、例えば、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」とは、所定の値における実施ごとに、1標準偏差内または1を超える標準偏差を意味し得る。特定の値が出願および特許請求の範囲に記載されている場合、特に断りのない限り、用語「約」は、用語「約」によって修飾された値の±10%などの、特定の値に対する許容可能な誤差範囲を意味すると仮定されるべきである。
【0016】
本明細書で定義される用語「組換え腫瘍溶解性ウイルス」には、1つまたは複数の内因性核酸配列を欠失もしくは機能的に欠失させ、および/または1つまたは複数の外因性核酸配列を挿入もしくは部分的に挿入するように操作された腫瘍溶解性ウイルス株を含む。用語はまた、ウイルスゲノム中の1つまたは複数の内因性核酸配列を、同一または異なる遺伝子座で1つまたは複数の外因性核酸で置換することを含む。
【0017】
本明細書で使用される用語「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な薬剤(本明細書に開示される組換え腫瘍溶解性ウイルス、ならびに他の抗がん剤など)の量を指すことができる。有効量(治療有効量とも呼ばれる)は、処置される対象および疾患状態、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与方法などのうち、当業者によって容易に決定され得るものの1つまたは複数に依存して変化することができる。有益な治療効果には、限定されないが、診断決定の実施;疾患、症状、障害または病理学的状態の改善;疾患、症状、障害もしくは状態の発症の減少または予防;および一般的に疾患、症状、障害または病態に対抗することが含まれる。
概要
【0018】
本明細書では、(i)周囲の腫瘍を標的とする免疫応答を増加させながら、ウイルスおよびウイルス感染細胞を標的とする免疫応答を減少させる手段として、ウイルス感染細胞内の主要組織適合性複合体(MHC)クラスI提示を阻害することに関する組成物および方法が提供される。さらに、本明細書では、腫瘍を介したMHC II提示の下方制御によって媒介される免疫腫瘍療法(例えば、免疫チェックポイント阻害剤療法)に対する免疫抵抗性を克服するのを助けながら、腫瘍微小環境全体にわたって主要組織適合性複合体(MHC)クラスII提示を活性化するように操作された組換え腫瘍溶解性ウイルスの組成物および方法が提供される。
【0019】
一部の実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスはワクシニアウイルスであり、ワクシニアウイルスは、ウイルスが、(i)ワクシニアの天然MHC II阻害剤のために欠失され;および(ii)牛痘ウイルスからMHC I阻害剤を発現するように操作されているように修飾することができる。本明細書では、一部の態様では、タンパク質A35をコードするワクシニアウイルス遺伝子WR158(NCBI受託番号YP_233040)の、牛痘タンパク質CPXV012(NCBI受託番号NP_619801)(配列番号2)の発現を駆動するウイルスプロモーターP7.5(配列番号1)をコードするDNA配列、または牛痘タンパク質CPXV203をコードするDNA配列による置換は、この置換のない同じウイルスよりも高い治療活性をもたらす可能性があることを示す。
【0020】
一部の実施形態では、MHC I阻害剤は、UL49.5;ICP47;US6、BNLF2aなどの1つまたは複数のTAP阻害剤から選択することができる。
【0021】
一部の実施形態では、MHC II提示のより良好な活性化は、ワクシニアの天然MHC II阻害剤の欠失を含むかまたは除外する他の方法によって達成することができる。これらの他の方法には、限定されないが、ウイルスゲノムが、アポトーシス阻害タンパク質または壊死細胞死活性化タンパク質;オートファジーエンハンサータンパク質(例えば、HMGB1);アスパラギニルエンドペプチダーゼ;クラスIIトランスアクチベーター(CIITA);インターフェロン-ガンマ;Toll様受容体(TLR)アクチベーター;樹状細胞(DC)成熟アクチベーター(例えば、オステオポンチンまたはTNF-アルファ)またはFasリガンドのうちの少なくとも1つをコードする遺伝子の挿入によって修飾されるような組換えワクシニアウイルスにおける修飾が含まれる。
【0022】
一部の実施形態では、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI提示の阻害は、MHC I阻害剤を発現する牛痘ウイルスからの遺伝子の挿入を含むかまたは除外する他の方法によって達成することができる。これらの他の方法には、限定されないが、エプスタイン-バールウイルスがコードする核抗原1(EBNA1)またはBNLF2aタンパク質、単純ヘルペスウイルスがコードするICP47またはUL49.5タンパク質、単純ヘルペスウイルスがコードするタンパク質、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)がコードするUS6、US2、US3、US11またはgp48タンパク質、エプスタイン-バールウイルスがコードするBNLF2aタンパク質、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)がコードするkK3、vIRF3もしくはkK5タンパク質、またはIRF7のドミナントネガティブ形態などのヘルペスウイルス由来の1つまたは複数のMHC I阻害剤からのウイルスゲノムへの外因性遺伝子の挿入が含まれる。
【0023】
MHC Iを下方制御する他のウイルスタンパク質には、例えば、アデノウイルスがコードするE3-19Kタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス1がコードするNefタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス2がコードするNefタンパク質、およびシミアン免疫不全ウイルス1がコードするNefタンパク質が含まれる。
腫瘍溶解性ウイルス
【0024】
本明細書では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスを含む組成物が提供される。修飾には、本明細書に記載される外因性核酸の付加が含まれる。さらなる修飾には、本明細書に記載されるゲノム修飾の付加が含まれる。本明細書に記載される組成物に含むための例示的な腫瘍溶解性ウイルスは、限定されないが、ポックスウイルス、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス(RV)、メンゴウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV)、麻疹ウイルス(MV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、およびポリオウイルス(PV)が含まれる。これらの腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞を特異的に標的化する傾向を有し、ウイルス複製の際に、有意な細胞死および腫瘍退縮を引き起こす。一部の実施形態では、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞または腫瘍細胞を、前記細胞に対する免疫応答、アポトーシス、毒性タンパク質の発現、オートファジーおよびタンパク質合成の停止、抗腫瘍免疫の誘導、またはそれらの任意の組合せを刺激することによって、前記細胞の直接的溶解などのメカニズムを介して死滅させる。一部の実施形態では、ポックスウイルスは、ベータ昆虫ポックスウイルス、ヤタポックスウイルス、セルビドポックスウイルス、ガンマ昆虫ポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、軟体動物ポックスウイルス、クロコジリドポックスウイルス、アルファ昆虫ポックスウイルス、カプリポックスウイルス、アビポックスウイルス、またはパラポックスウイルスを含む。一部の実施形態では、ポックスウイルスはワクシニアウイルスを含む。一部の実施形態では、ポックスウイルスはワクシニアウイルスである。
【0025】
また、これらのアプローチに基づいて、腫瘍中の感染細胞を標的とする免疫応答が減少され、代わりに非感染腫瘍細胞がより良好な標的となるような腫瘍療法のための組成物および方法が提供される(例えば、このアプローチは、抗腫瘍免疫応答を有利にするために抗ウイルス免疫を減少させることができる)。
【0026】
本明細書では、挿入、突然変異または欠失、ならびに本明細書に記載される外因性遺伝子の挿入を含むゲノム修飾を組み込んだ組換えウイルスが提供される。一部の実施形態では、このような修飾は、移入ベクターとの自然組換えによって生成される。例えば、環状プラスミドまたは線状DNA断片であり得るベクターは、ウイルスゲノムに加えるべき所望のDNA配列、続いて、強力なウイルスプロモーター下でフロックス化蛍光レポータータンパク質をコードする遺伝子を含むことができる。このような成分は、ベクターペイロードプラスレポーターの部位特異的組込みを指示する所望の組込み部位の直前および直後に、ウイルスゲノムDNAと相同である、長さが200~1000塩基であるDNA配列によって隣接することができる。精製されたベクターDNAは、ウイルス感受性接着性細胞株、例えば、143Bを、6ウェル細胞培養プレートの単一ウェル内におよそ100万個の細胞で播種したものにトランスフェクトされる。次に、トランスフェクトされた細胞は、ベクターDNAが組み込まれることを意図するウイルスに感染させる。ベクターとウイルスゲノムの間の組換えは、ウイルス複製の際に自然に起こる。感染から1~3日後、組換えウイルス(親ウイルスとともに)は、培地を除去し、細胞単層を溶解することにより、トランスフェクトされた細胞から回収される。組換えウイルスは、プラーク選択により親ウイルスから精製される。マルチウェルプレート(例えば、96ウェル、接着細胞培養用に処理される)は、プラーク選択の日に、1ウェルあたり1.2×10~3.0×10細胞で播種される。組換えウイルスと親ウイルスの混合物を含む溶解物を超音波処理し、次に、細胞培地で希釈し、播種された96ウェルプレートの最上段のウェル間に分布させる。感染した列からの培地を混合し、プレート中の次の隣接する列の細胞に移す。選択プレートのすべての列に対して、連続希釈のプロセスが行われる。感染したプレートを細胞培養インキュベーターに2~3日間保存し、プラークを発生するようにする。組換えウイルスにより形成されたプラークは、レポーター遺伝子発現により蛍光性であり、蛍光顕微鏡を用いて同定される。組換えプラークは、単一チャネルマイクロピペットを用いて手動でピックされ、典型的には、0.5~3.0マイクロリットルの材料が各プラークからピックされる。好ましいプラークは、丸く、レポーター強度が均一であり、それらのウェル内で単独である。ピックされたプラークを凍結し、解凍し、希釈し、さらに96ウェル選択プレートに感染させるために使用される。組換えプラークの純粋な集団(完全にGFP陽性)は、数回の選択の後に達成される。次に、レポーター遺伝子は、ウイルスプロモーター下でcreリコンビナーゼをコードするベクターで細胞をトランスフェクトすることにより、ウイルスゲノムから欠失される。トランスフェクトされた細胞をレポーター陽性ウイルスに感染させ、発現されたcreがフロックス化レポーターを除去することを可能にする。レポーター不含ウイルスは、前述される方法と同様に、プラーク選択によって精製され、それらのウェル中に単独で存在するGFP欠損プラークを標的とする。
組換えワクチンウイルス
【0027】
一部の実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスはワクシニアウイルスである。本明細書で互換的に使用される場合、用語「組換えワクシニアウイルス」または「組換えワクシニアウイルス」は、修飾されたワクシニアウイルスに関連し得る。例示的な修飾は、限定されないが、ワクシニアウイルスの遺伝子/ペプチドを発現するためのウイルス骨格突然変異の導入、または修飾が特に増加した免疫応答を促進する遺伝子の欠失を含む。一部の実施形態では、ウイルス骨格突然変異を導入することは、1つまたは複数の毒性遺伝子の完全な欠失もしくは部分的な欠失、または1つまたは複数のウイルス毒性遺伝子(非限定的例としては、Th1免疫応答もしくは先天性免疫シグナル伝達に関与するサイトカインを阻害することが公知である遺伝子、または免疫応答の他の成分の阻害剤、または他のポックスウイルスからの同等の機能を有する多少の効力のある遺伝子と交換されたワクシニア毒性遺伝子を含む)による置換を含む。
【0028】
ウイルスのゲノムにおける修飾は、ゲノム内の1つまたは複数の位置であり得る。一部の実施形態では、ウイルスのゲノムにおける修飾は、ゲノム中に連続して位置する。一部の実施形態では、ウイルスのゲノムにおける修飾は、ゲノム全体に分布する。
【0029】
例示的なワクシニアウイルスには、限定されないが、本明細書に記載される融合構築物を含めることによる修飾のための以下の株:ウエスタンリザーブワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1508)、ワクシニアウイルスAnkara(ATCC VR-1566)、ワクシニアウイルス株Wyeth(ATCC VR-1536)、またはワクシニアウイルスWyeth(ATCC VR-325)が含まれる。さらに、一部の実施形態では、組換えワクシニアウイルスは、野生型または弱毒化ワクシニアウイルス株の修飾されたバージョンである。ワクシニアウイルス株の非限定的な例には、ワクシニアウイルスのウエスタンリザーブ株、コペンハーゲン株、Wyeth(NYCBOH)株、Tian Tan株、Lister、USSR、Ankara、NYVAC株、および組換えワクシニアウイルスAnkara(MVA)が含まれる。本明細書に記載される組成物に含めるためのさらなる例示的な株は、限定されないが、ウエスタンリザーブ株ワクシニアウイルス、コペンハーゲン株、IHD株、Wyeth株、NYCBOH株、Tian Tan株、Lister株、Ankara株、USSR株、またはACAM2000株である。本明細書に記載される修飾された塩基性ワクシニアウイルス株は、それ自体、その親株に対して1つまたは複数の突然変異、例えば、限定されないが、TKにおける欠失(本明細書において「TK-」とも称する);A52における欠失(本明細書において「A52-」とも称する)のうちの1つまたは複数を含み得る。例示的なワクシニアウイルスは、ウエスタンリザーブワクシニアウイルスである。本明細書に提供されたものまたは当業者に公知であるものに対応する任意の公知のワクシニアウイルス、またはそれらの修飾はまた、本出願の範囲に包含される。
MHC I提示を阻害する修飾
【0030】
主要組織適合性複合体IまたはMHC I上のペプチドの提示は、細胞上にペプチドを提示し、ウイルス感染細胞に対する免疫系の警告を与える経路である。例えば、感染細胞は、MHC I上にウイルスペプチドを提示し、それによって、細胞傷害性Tリンパ球にこれらの細胞を破壊するように警告することができる。組換え腫瘍溶解性ウイルスに宿主が感染すると、MHC I上のペプチドの提示が阻害される。
【0031】
本明細書では、本開示の一部の実施形態では、MHC I提示の阻害または部分的な阻害を提供する組換え腫瘍溶解性ウイルスの修飾が提供される。修飾は、外因性MHC I阻害剤の挿入または部分的な挿入を含むことができる。MHC I阻害剤の挿入は、前記MHC I阻害剤をコードする外因性核酸によって提供され得る。前記MHC I阻害剤をコードする外因性核酸は、牛痘ウイルスなどの腫瘍溶解性ウイルスゲノムの核酸配列に挿入され得る。ある特定の場合では、MHC I阻害剤は非コード領域に挿入される。他の例では、阻害剤は、腫瘍溶解性ウイルスのウイルスタンパク質をコードする核酸配列に挿入される。ある特定の場合では、MHC I阻害剤は腫瘍溶解性ウイルスゲノムの領域に挿入され、腫瘍細胞内でウイルスが複製することを可能にする。ある特定の場合では、牛痘ウイルスに関して、MHC I阻害剤は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の遺伝子に挿入することができる。牛痘ウイルスタンパク質をコードする遺伝子は、CPXV012、CPXV203、またはそれらの任意の組合せであり得る。一部の実施形態では、置換、挿入、および欠失の任意の組合せを含む牛痘ウイルスタンパク質は、ウイルス遺伝子または遺伝子によってコードされるウイルスタンパク質の野生型配列と100%未満、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%またはそれ未満の配列相同性を有する配列をもたらすことができる。MHC I提示は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも100%低下させることができる。
【0032】
外因性核酸は、一部の実施形態では、少なくとも1つのTAP阻害剤をコードすることができる。外因性核酸は、一部の実施形態では、エプスタイン-バールウイルスがコードする核抗原1(EBNA1)タンパク質、単純ヘルペスウイルスがコードするICP47タンパク質、単純ヘルペスウイルスがコードするUL49.5タンパク質、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)がコードするUS6、US2、US3もしくはUS11タンパク質、エプスタイン-バールウイルスがコードするBNLF2aタンパク質、アデノウイルスがコードするE3-19Kタンパク質、サイトメガロウイルスがコードするgp48タンパク質、ヒト免疫不全ウイルスがコードするNefタンパク質、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)がコードするkK3、vIRF3もしくはkK5タンパク質、またはIRF7のドミナントネガティブ形態からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子をコードすることができる。
MHCクラスII提示を活性化する修飾
【0033】
本明細書では、本開示の一部の実施形態では、MHC II提示の活性化をもたらす組換え腫瘍溶解性ウイルスの修飾が提供され、修飾は、i)1つまたは複数のMHC II阻害剤(例えば、天然MHC II阻害剤)の欠失もしくは部分的欠失;ii)アポトーシス阻害タンパク質もしくは壊死性細胞死アクチベータータンパク質の挿入;またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むことができる。修飾は、腫瘍溶解性ウイルス遺伝子の欠失であり得る。修飾は、A35をコードする遺伝子の欠失(完全または部分的な欠失)であり得る。A35コードの欠失の修飾は、ウイルス遺伝子WR158の欠失または機能的欠失であり得る。一部の実施形態では、置換、挿入、および欠失の任意の組合せを含むMHC II阻害剤は、ウイルス遺伝子の野生型配列または遺伝子によってコードされるウイルスタンパク質、すなわちウイルスの天然MHC II阻害剤と100%未満、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%またはそれ未満の配列相同性を有する配列をもたらすことができる。MHC IIの提示を活性化するかまたは増強する修飾を含まないが、他には同一であるウイルスと比較して、MHC II提示は、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも100%活性化されるかまたは増強され得る。
【0034】
MHC II提示の活性化または増強を引き起こす修飾は、アポトーシス阻害タンパク質または壊死細胞死アクチベータータンパク質;オートファジーエンハンサータンパク質;アスパラギニルエンドペプチダーゼ;クラスIIトランスアクチベーター(CIITA);インターフェロン-ガンマ;Toll様受容体(TLR)アクチベーター;樹状細胞(DC)成熟アクチベーター(例えば、オステオポンチンまたはTNFアルファ)からなる群より選択される1つまたは複数の遺伝子の挿入を含むことができる。ある特定の場合では、MHC IIエンハンサーを修飾して、分泌配列および細胞透過性ドメインを含み、免疫学的バイスタンダー効果を提供することができる。場合によっては、オートファジーエンハンサータンパク質は、HMGB1、PIAS3、LIGHT、ITAC、フラクタルカイン、機能的ドメインもしくはその断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組合せを含む。場合によっては、オートファジーエンハンサータンパク質はHMGB1を含む。場合によっては、HMGB1は、配列番号4に記載される核酸配列、または配列番号5に示されるアミノ酸配列を含む。場合によっては、分泌配列はIgE由来シグナル配列を含む。場合によっては、IgE由来シグナル配列は、配列番号6に記載される核酸配列、または配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む。場合によっては、HMGB1は、IgE由来シグナル配列で修飾され、修飾されたHMGB1は、配列番号8に記載される核酸配列、または配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む。
【0035】
同時に起こるMHC IIの上方制御(理想的には非感染細胞で起こるが、必要条件ではない)は、腫瘍抗原のより効率的な標的化をもたらす(例えば、MHC IIの下方制御は、抗PD1/PDL1抗体に対する一般的な腫瘍耐性メカニズムの1つである)。
【0036】
本明細書では、本明細書に記載されるMHC I提示の阻害または部分的な阻害を提供し、さらに本明細書に記載されるMHC II提示の活性化を提供する組換え腫瘍溶解性ウイルスの修飾を提供される。いくつかの場合では、修飾はゲノム中の別々の位置にある。いくつかの場合では、修飾はゲノム中の同じ位置にある。いくつかの場合では、修飾はゲノム内の連続した位置にある。
他の複数の修飾
【0037】
一部の実施形態では、本明細書では、ウイルスゲノム(本明細書ではウイルス骨格とも呼ばれる)における挿入、突然変異または欠失を有する組換え腫瘍溶解性ウイルスを含むワクチンが提供される。腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの場合、それらは好ましくは組換え型であるか、または低い毒性を有し、標的組織に蓄積するように選択される。一部の実施形態では、ウイルス骨格/ウイルスゲノムにおける修飾は、ワクシニアウイルスを複製しないようにするか、または不十分な複製能力を含む修飾である。このような修飾の非限定的な例には、以下のウイルス遺伝子:TK、A1、A2、VH1、A33、I7、F13L、A36R、A34R、A46R、A49R、B8R、B14R、B15R、B18R、C12L、C4、C16、SPI-1、SPI-2、B15R、VGF、E3L、K1L、K3L、K7R、A41L、M2L、N1L、A52R、その機能的ドメインもしくは断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組合せにおける突然変異を含むことができる。
【0038】
一部の実施形態では、ワクシニアウイルスに関して、ウイルス骨格突然変異は、A52R遺伝子の完全または部分的な欠失;TK遺伝子の完全または部分的な欠失;F13L遺伝子の完全または部分的な欠失;A36R遺伝子の完全または部分的な欠失;A34R遺伝子の完全または部分的な欠失;B8R遺伝子の完全または部分的な欠失;B18R遺伝子の完全または部分的な欠失;C12L遺伝子の完全または部分的な欠失;C4遺伝子の完全または部分的な欠失;C16遺伝子の完全または部分的な欠失;SPI-1遺伝子の完全または部分的な欠失;SPI-2遺伝子の完全または部分的な欠失;VGF遺伝子の完全または部分的な欠失;E3L遺伝子の完全または部分的な欠失;K3L遺伝子の完全または部分的な欠失;A41L遺伝子の完全または部分的な欠失;A52R遺伝子の完全または部分的な欠失;B15R遺伝子の完全または部分的な欠失;K7R遺伝子の完全または部分的な欠失;B14R遺伝子の完全または部分的な欠失;N1L遺伝子の完全または部分的な欠失;K1L遺伝子の完全または部分的な欠失;M2L遺伝子の完全または部分的な欠失;A49R遺伝子の完全または部分的な欠失;VH1遺伝子の完全または部分的な欠失;A33遺伝子の完全または部分的な欠失;A1の完全または部分的な欠失;A2遺伝子の完全または部分的な欠失;I7遺伝子の完全または部分的な欠失;およびA46R遺伝子の完全または部分的な欠失からなる群から選択される。本明細書で使用される場合、ウイルス遺伝子への参照は、遺伝子によってコードされるタンパク質への参照によって行うことができる(例えば、A33遺伝子は、A33タンパク質をコードする遺伝子を意味し得る)。
【0039】
一部の実施形態では、置換、挿入、および欠失の任意の組合せを含む、腫瘍溶解性ウイルスのウイルス骨格突然変異は、ウイルス遺伝子の野生型配列、または遺伝子によってコードされるウイルスタンパク質と100%未満、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%またはそれ未満の配列相同性を有する配列をもたらすことができる。一部の実施形態では、同一によってコードされるウイルス遺伝子およびタンパク質は、TK、A1、A2、VH1、A33、I7、F13L、A36R、A34R、A46R、A49R、B8R、B14R、B15R、B18R、C12L、C4、C16、SPI-1、SPI-2、B15R、VGF、E3L、K1L、K3L、K7R、A41L、M2L、N1L、およびA52Rからなる群から選択される。
【0040】
一部の実施形態では、ウイルス骨格は、ウイルスタンパク質(例えば、ウイルス抗原)のアミノ酸配列における1、2、3、4、5またはそれより多い突然変異を含むことができる。ウイルス抗原は、いくつかの例では、TK、A1、A2、VH1、A33、I7、F13L、A36R、A34R、A46R、A49R、B8R、B14R、B15R、B18R、C12L、C4、C16、SPI-1、SPI-2、B15R、VGF、E3L、K1L、K3L、K7R、A41L、M2L、N1L、およびA52Rからなる群から選択される。
【0041】
本開示は、一部の実施形態では、突然変異が免疫応答のT細胞アームを増加させるように、ウイルスのゲノム(ウイルス骨格)における1つまたは複数の突然変異を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスを提供する。突然変異は、ウイルスゲノム(腫瘍溶解性ウイルスの野生型または弱毒化天然株)における1つまたは複数の核酸の付加、欠失または置換であり得る。
【0042】
非限定的な例において、突然変異は、Th1免疫応答に関与するサイトカインを阻害することが公知である遺伝子の完全または部分的欠失であり得る。非限定的な例として、突然変異は、B8R(インターフェロンガンマ(IFN-g)結合タンパク質);C12L(インターロイキン-18(IL-18)結合タンパク質)をコードする核酸の欠失であり得る。
【0043】
さらなる非限定的な例において、突然変異は、先天性免疫シグナル伝達における遺伝子の完全または部分的な欠失であり得る。非限定的な例として、突然変異は、B18R(I型インターフェロン(IFN)結合タンパク質);A52R(核内因子κB(NF-κB)阻害タンパク質);E3L(プロテインキナーゼ(PKR)阻害剤);C4、C16(STING経路阻害剤)をコードする核酸の欠失であり得る。
【0044】
さらなる非限定的な例において、突然変異は、免疫応答の他の成分を阻害するためのタンパク質をコードする遺伝子の完全または部分的な欠失であり得る。非限定的例として、突然変異は、B15、K7、B14、N1、K1、M2、A49、VH1、A46またはそれらの組合せをコードする核酸の完全または部分的な欠失であり得る。ウイルス骨格突然変異はまた、腫瘍溶解性毒性遺伝子を、他のポックスウイルスから同等の機能を有する大部分の強力な遺伝子で置換することを含み得る。
【0045】
本開示のポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、置換、挿入または欠失バリアントであり得る。ウイルスポリペプチドをコードする遺伝子における突然変異は、野生型と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500もしくはそれより多いポリペプチドの非連続または連続アミノ酸に影響を及ぼし得る。
【0046】
欠失バリアントは、天然型または野生型タンパク質の1つまたは複数の残基を欠くことができる。個々の残基は、欠失され得るか、またはドメインの全部もしくは一部(触媒ドメインまたは結合ドメインなど)が欠失され得る。終止コドンは、コードする核酸配列に導入され(置換または挿入による)、切断型タンパク質を生成することができる。挿入突然変異体は、典型的には、ポリペプチドの非末端点での物質の付加を含む。これには、免疫反応性エピトープの挿入、または単に1つまたは複数の残基の挿入が含まれ得る。融合タンパク質と呼ばれる末端の付加も起こりうる。
【0047】
置換バリアントは、典型的には、タンパク質内の1つまたは複数の部位における1つのアミノ酸の互いの交換を含み、他の機能または特性の喪失の有無にかかわらず、ポリペプチドの1つまたは複数の特性を調節するように設計することができる。置換は保存的であり得、すなわち、1つのアミノ酸が類似の形および電荷のうちの1つで置換され得る。保存的置換には、例えば、アラニンからセリン;アルギニンからリジン;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジン;アスパラギン酸からグルタミン酸;システインからセリン;グルタミンからアスパラギン;グルタミン酸からアスパラギン酸;グリシンからプロリン;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミン;イソロイシンからロイシンまたはバリン;ロイシンからバリンまたはイソロイシン;リジンからアルギニン;メチオニンからロイシンまたはイソロイシン;フェニルアラニンからチロシン、ロイシンまたはメチオニン;セリンからスレオニン;スレオニンからセリン;トリプトファンからチロシン;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニン;およびバリンからイソロイシンまたはロイシンへの変化が含まれ得る。あるいは、置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように、非保存的であり得る。非保存的変化は、典型的には、非極性または非電荷のアミノ酸に対する極性または荷電アミノ酸などの化学的に異なるアミノ酸で残基を置換することを伴うか、またその逆もまた同様である。
【0048】
本明細書において提供される腫瘍溶解性ウイルスは、ウイルスゲノムにおける追加の挿入、突然変異、欠失または置換を含む。腫瘍溶解性ウイルスは、ケモカイン受容体、TRIFタンパク質もしくはその機能的ドメインのうちの1つまたは複数、またはレプチン、インターロイキン-2(IL2)、インターロイキン-15/インターロイキン-15Ra(IL15/IL15Ra)、インターロイキン-7(IL-7)、レプチン-インターロイキン融合タンパク質(例えば、L2として実施例1に示されるレプチン-IL2融合タンパク質)のうちの1つまたは複数をコードする外因性核酸の1つまたは複数の追加の挿入または部分的挿入を含み得る。場合によっては、核酸は、配列番号10に記載されるIL15アミノ酸配列をコードする。場合によっては、核酸は、配列番号13または14のいずれかに記載されるIL-7アミノ酸配列をコードする。ケモカイン受容体の挿入などの修飾は、野生型および/または突然変異型CCL5、CXCR4、CCR2、CCL2の挿入である。場合によっては、核酸は、配列番号18~20のいずれか1つに記載されるCXCR4アミノ酸配列をコードする。場合によっては、核酸は、配列番号18に記載されるCXCR4アミノ酸配列をコードする。場合によっては、核酸は、配列番号23~24のいずれか1つに記載されるCCR2アミノ酸配列をコードする。腫瘍溶解性ウイルスは、さらに、TK、A1、A2、VH1、A33、I7、F13L、A36R、A34R、A46R、A49R、B8R、B14R、B15R、B18R、C12L、C4、C16、SPI-1、SPI-2、B15R、VGF、E3L、K1L、K3L、K7R、A41L、M2L、N1L、A52R、その機能的ドメインもしくは断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組合せから1つまたは複数の遺伝子の1つまたは複数の追加の欠失または部分的欠失を含み得る。場合によっては、本明細書において提供される腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の完全または部分的な欠失を含み、およびCCR2などのケモカイン受容体の挿入を含むことができる。場合によっては、本明細書において提供される腫瘍溶解性ウイルスは、A52R遺伝子の完全または部分的な欠失、およびCCR2などのケモカイン受容体の挿入を含むことができる。場合によっては、本明細書において提供される腫瘍溶解性ウイルスは、A52RまたはTKウイルス遺伝子のうちの少なくとも1つの完全または部分的な欠失、および融合タンパク質(例えば、レプチン-IL2融合タンパク質などのサイトカインに融合された代謝モジュレータータンパク質)をコードする外因性核酸の挿入を含むことができる。
【0049】
ヒアルロン酸(HA)はECMの構造要素であり、繰り返し二糖単位からなる高分子量の線状グリコサミノグリカンである。結合組織、上皮組織、および神経組織全体に広く分布することができ、その発現レベルは多くのタイプの腫瘍において有意に上昇する。ヒアルロニダーゼはHAの分解を触媒する酵素ファミリーである。ヒトではこれまでに少なくとも5種類の機能的ヒアルロニダーゼが同定されている:HYAL1、HYAL2、HYAL3、HYAL4、HYAL5(PH-20またはSPAM1としても公知である)であって、このうち、PH-20は比較的中性のpHで機能することがこれまでに公知である唯一のものである。本開示の場合によっては、ヒアルロニダーゼを他の腫瘍標的化治療剤(例えば、導入遺伝子、本明細書では外因性核酸とも呼ばれる)と組み合わせることは、少なくともECMを減少させ、腫瘍内および腫瘍間の治療剤の輸送を増強することによって、修飾された腫瘍溶解性ウイルスの治療効果を促進することができる。
【0050】
本明細書における一部の実施形態は、ヒアルロニダーゼなどのヒアルロン酸を分解することができる膜結合タンパク質をコードする外因性核酸を含むことができる修飾された腫瘍溶解性ウイルスを開示する。本明細書で使用される用語「ヒアルロニダーゼ」は、限定されないが、他の種由来のPH-20およびその相同体、ならびに類似の酵素機能を有する他の操作/設計タンパク質を含む、腫瘍中のHAの分解を触媒する任意の酵素またはその断片を指すことができることに留意されたい。本明細書で使用される場合、ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸分解酵素のクラスを指すことができる。場合によっては、PH-20は、配列番号26により記載されるアミノ酸配列を含む。場合によっては、ヒアルロニダーゼは配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む。場合によっては、ヒアルロニダーゼはさらに分泌配列を含む。場合によっては、分泌配列はIgE由来シグナル配列を含む。場合によっては、IgE由来シグナル配列は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む。場合によっては、IgE由来シグナル配列を有するヒアルロニダーゼは、配列番号29に記載される核酸配列、または配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む。
ワクチン、医薬組成物、および組換えワクチンウイルスの送達
【0051】
本開示は、さらに、がんを処置するための医薬組成物または免疫原性組成物を提供する。さらに、本開示は、一部の実施形態では、上記される組換えワクシニアウイルスおよび適切な担体を含むワクチンを含むことができる医薬組成物または免疫原性組成物をさらに提供する。ワクチンは、上記される組換えワクシニアウイルスベースのワクチン、または上記される組換えワクシニアウイルスベースのワクチンの医薬組成物を含むキットとして提供することができる。ワクチン送達のための医薬組成物は、非経口または経口送達または鼻腔送達用であり得る。医薬組成物は、少なくとも1回ヒトに投与することができる。医薬組成物は、1回または複数回ヒトに投与することができる。
【0052】
また、本明細書では、医薬またはワクチンとして使用するための組換えワクシニアウイルス、組換えワクシニアウイルスを含む組成物、および/またはワクチンが本提供される。
【0053】
一部の実施形態では、本明細書に提供される組換えワクシニアウイルスを含むワクチンを含む医薬組成物は、10~10PFUの用量、10~5×10PFUの用量、または10~10PFUで対象に投与することができる。本明細書に提供される組換えワクシニアウイルスはまた、10、10PFU、10、または5×10PFUの用量で対象に投与することができる。本明細書に提供される組換えワクシニアウイルスは、10PFU、10PFU、または5×10PFUの用量でヒト対象に投与することができる。
【0054】
本明細書に記載される組換えワクシニアウイルス、ワクチン組成物、または医薬組成物は、10~10PFU/mL、10~5×10PFU/mL、10~10PFU/mL、または10~10PFU/mLの濃度範囲の溶液中に製剤化することができる。一部の実施形態では、ヒトに対するワクチン接種用量は、約10~10PFU、例えば、約10PFU、約10PFU、または約10PFUの用量を含むことができる。一部の実施形態では、ヒトに対する用量は、0.1~0.5mlの体積において、少なくとも約2×10PFU、少なくとも約3×10PFU、少なくとも約5×10PFU、少なくとも約1×10PFU、少なくとも約2×10PFUを含むことができる。
【0055】
本明細書に提供される医薬組成物/免疫原性組成物は、一般的に、1つまたは複数の薬学的に許容されならびに/または承認された担体、添加剤、抗生物質、保存剤、アジュバント、希釈剤および/もしくは安定剤を含むことができる。このような補助物質は、水、生理食塩水、グリセロール、エタノール、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などであり得る。適切な担体は、典型的には、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、高分子アミノ酸、アミノ酸共重合体、脂質凝集体などの大きな、ゆっくりと代謝される分子である。
【0056】
対応するプライム-ブーストレジメンを使用することができ、本明細書において定義される組換えワクシニアウイルスを第1の投薬量で投与することができる。本明細書において定義される組換えワクシニアウイルスの1つまたは複数のその後の投与は、第1の投与において提供される免疫応答をブーストするために与えられ得る。一部の実施形態では、組換えワクシニアウイルスによって送達される1つまたは複数の抗原は、第1の投与のものと同じであるかまたは同様であり得る。
【0057】
本明細書に提供される組換えワクシニアウイルスを含む医薬組成物は、単回用量または複数回用量(例えば、2、3、4回など)で対象に投与することができる。組換えワクシニアウイルスは、第1の投与(プライミング)および第2の投与(ブースター)で投与することができる。第1の用量は、約10~約10PFU/mLの組換えワクシニアウイルスを含み得、第2の用量は、約10~約10PFU/mLの組換えワクシニアウイルスを含み得る。第1および第2の用量は、少なくとも1000PFU/mLの修飾されたワクチンウイルスを含み得る。
【0058】
ワクチンまたは医薬組成物/免疫原性組成物の第2の用量は、第1の投与の投与後の24時間~約3ヵ月、例えば、約7日~約2ヵ月に投与することができる。第2の用量はブースター用量とすることができる。
【0059】
組換えワクシニアウイルス、または組換えワクシニアウイルスを含む医薬組成物/免疫原性組成物は、腹腔内、全身的、局所内、非経口内、皮下、静脈内、筋肉内、または鼻腔内に投与することができる。ワクチンは、アジュバント、例えば、本明細書に記載されるアジュバントとともに投与することができる。
【0060】
本開示の別の態様は、本明細書に記載される組換えワクシニアウイルス、それを含むワクチン、または本明細書に記載される組換えワクシニアウイルスもしくはワクチン組成物を含む医薬組成物/免疫原性組成物を対象に投与することを含む、対象における免疫応答に影響を与える方法に関する。
【0061】
免疫化プロトコールは、ワクチンの単回投与、複数回投与、および各用量における異なる抗原を用いた複数回投与において、1を超える抗原を用いた免疫化を含み得る。一部の実施形態では、免疫化プロトコールは、抗原およびアジュバントによる免疫化を含み得る。アジュバントは、本文脈において、サイトカイン、および免疫応答を刺激するTLR(toll様受容体)アゴニストおよびそれらの誘導体などの他の免疫調節分子を含むことができる。
【0062】
また、本明細書では、本明細書に記載される組換えワクシニアウイルスを投与することによって、疾患、障害、または状態を処置する方法が提供される。一部の実施形態では、対象に投与される本開示の組換えワクシニアウイルスの量は、約10~1012の感染性ウイルス粒子またはプラーク形成単位(PFU)、または約10~1010PFU、または約10~10PFU、または約10~1010PFUであり得る。一部の実施形態では、対象に投与される本開示の組換えワクシニアウイルスの量は、約10~1012のウイルス粒子またはプラーク形成単位(PFU)、または約10~1010PFU、または約10~10PFU、または約10~1010PFUであり得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクチンウイルスは、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約10PFU/用量、約10PFU/用量~約1010PFU/用量、約1010PFU/用量~約1011PFU/用量、約1011PFU/用量~約1012PFU/用量、約1012PFU/用量~約1013PFU/用量、約1013PFU/用量~約1014PFU/用量、または約1014PFU/用量~約1015PFU/用量を含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、約2×10PFU/用量、3×10PFU/用量、4×10PFU/用量、5×10PFU/用量、6×10PFU/用量、7×10PFU/用量、8×10PFU/用量、9×10PFU/用量、約10PFU/用量、約2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、2×10PFU/用量、3×10PFU/用量、4×10PFU/用量、5×10PFU/用量、6×10PFU/用量、7×10PFU/用量、8×10PFU/用量、9×10PFU/用量、約10PFU/用量、約2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、約2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、約2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約10PFU/用量、約2×10PFU/用量、約3×10PFU/用量、約4×10PFU/用量、約5×10PFU/用量、約6×10PFU/用量、約7×10PFU/用量、約8×10PFU/用量、約9×10PFU/用量、約1010PFU/用量、約2×1010PFU/用量、約3×1010PFU/用量、約4×1010PFU/用量、約5×1010PFU/用量、約6×1010PFU/用量、約7×1010PFU/用量、約8×1010PFU/用量、約9×1010PFU/用量、約1010PFU/用量、約2×1010PFU/用量、約3×1010PFU/用量、約4×1010PFU/用量、約5×1010PFU/用量、約6×1010PFU/用量、約7×1010PFU/用量、約8×1010PFU/用量、約9×1010PFU/用量、約1011PFU/用量、約2×1011PFU/用量、約3×1011PFU/用量、約4×1011PFU/用量、約5×1011PFU/用量、約6×1011PFU/用量、約7×1011PFU/用量、約8×1011PFU/用量、約9×1011PFU/用量、または約1012PFU/用量、約1012PFU/用量~約1013PFU/用量、約1013PFU/用量~約1014PFU/用量、または約1014PFU/用量~約1015PFU/用量を含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、3×10PFU/用量を含み得る用量で投与することができる。一部の実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、最大5×10PFU/用量を含み得る用量で投与することができる。
【0063】
一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約10ウイルス粒子/用量、約10ウイルス粒子/用量~約1010ウイルス粒子/用量、約1010ウイルス粒子/用量~約1011ウイルス粒子/用量、約1011ウイルス粒子/用量~約1012ウイルス粒子/用量、約1012ウイルス粒子/用量~約1013ウイルス粒子/用量、約1013ウイルス粒子/用量~約1014ウイルス粒子/用量、または約1014ウイルス粒子/用量~約1015ウイルス粒子/用量を含むことができる用量で投与され得る。
【0064】
一部の実施形態では、本開示の組換えワクチンウイルスは、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約10PFU/kg、約10PFU/kg~約1010PFU/kg、約1010PFU/kg~約1011PFU/kg、約1011PFU/kg~約1012PFU/kg、約1012PFU/kg~約1013PFU/kg、約1013PFU/kg~約1014PFU/kg、または約1014PFU/kg~約1015PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、約2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、約2×10PFU/kg、約3×10PFU/kg、約4×10PFU/kg、約5×10PFU/kg、約6×10PFU/kg、約7×10PFU/kg、約8×10PFU/kg、約9×10PFU/kg、約10PFU/kg、2×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、6×10PFU/kg、7×10PFU/kg、8×10PFU/kg、9×10PFU/kg、約10PFU/kg、約2×10PFU/kg、約3×10PFU/kg、約4×10PFU/kg、約5×10PFU/kg、約6×10PFU/kg、約7×10PFU/kg、約8×10PFU/kg、約9×10PFU/kg、約10PFU/kg、約2×10PFU/kg、約3×10PFU/kg、約4×10PFU/kg、約5×10PFU/kg、約6×10PFU/kg、約7×10PFU/kg、約8×10PFU/kg、約9×10PFU/kg、約10PFU/kg、約2×10PFU/kg、約3×10PFU/kg、約4×10PFU/kg、約5×10PFU/kg、約6×10PFU/kg、約7×10PFU/kg、約8×10PFU/kg、約9×10PFU/kg、約10PFU/kg、約2×10PFU/kg、約3×10PFU/kg、約4×10PFU/kg、約5×10PFU/kg、約6×10PFU/kg、約7×10PFU/kg、約8×10PFU/kg、約9×10PFU/kg、約1010PFU/kg、約2×1010PFU/kg、約3×1010PFU/kg、約4×1010PFU/kg、約5×1010PFU/kg、約6×1010PFU/kg、約7×1010PFU/kg、約8×1010PFU/kg、約9×1010PFU/kg、約1010PFU/kg、約2×1010PFU/kg、約3×1010PFU/kg、約4×1010PFU/kg、約5×1010PFU/kg、約6×1010PFU/kg、約7×1010PFU/kg、約8×1010PFU/kg、約9×1010PFU/kg、約1011PFU/kg、約2×1011PFU/kg、約3×1011PFU/kg、約4×1011PFU/kg、約5×1011PFU/kg、約6×1011PFU/kg、約7×1011PFU/kg、約8×1011PFU/kg、約9×1011PFU/kg、または約1012PFU/kg、約1012PFU/kg~約1013PFU/kg、約1013PFU/kg~約1014PFU/kg、または約1014PFU/kg~約1015PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、3×10PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、最大5×10PFU/kgを含み得る用量で投与され得る。
【0065】
一部の実施形態では、本開示の組換えワクチンウイルスは、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約10ウイルス粒子/kg、約10ウイルス粒子/kg~約1010ウイルス粒子/kg、約1010ウイルス粒子/kg~約1011ウイルス粒子/kg、約1011ウイルス粒子/kg~約1012ウイルス粒子/kg、約1012ウイルス粒子/kg~約1013ウイルス粒子/kg、約1013ウイルス粒子/kg~約1014ウイルス粒子/kg、または約1014ウイルス粒子/kg~約1015ウイルス粒子/kgを含み得る用量で投与され得る。
【0066】
本明細書に記載される組換えワクシニアウイルスの液体投薬形態は、ある特定の実施形態では、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約10PFU/mL、約10PFU/mL~約1010PFU/mL、約1010PFU/mL~約1011PFU/mL、約1011PFU/mL~約1012PFU/mL、約1012PFU/mL~約1013PFU/mL、約1013PFU/mL~約1014PFU/mL、または約1014PFU/mL~約1015PFU/mLのウイルス用量を含み得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、約2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、約2×10PFU/mL、約3×10PFU/mL、約4×10PFU/mL、約5×10PFU/mL、約6×10PFU/mL、約7×10PFU/mL、約8×10PFU/mL、約9×10PFU/mL、約10PFU/mL、2×10PFU/mL、3×10PFU/mL、4×10PFU/mL、5×10PFU/mL、6×10PFU/mL、7×10PFU/mL、8×10PFU/mL、9×10PFU/mL、約10PFU/mL、約2×10PFU/mL、約3×10PFU/mL、約4×10PFU/mL、約5×10PFU/mL、約6×10PFU/mL、約7×10PFU/mL、約8×10PFU/mL、約9×10PFU/mL、約10PFU/mL、約2×10PFU/mL、約3×10PFU/mL、約4×10PFU/mL、約5×10PFU/mL、約6×10PFU/mL、約7×10PFU/mL、約8×10PFU/mL、約9×10PFU/mL、約10PFU/mL、約2×10PFU/mL、約3×10PFU/mL、約4×10PFU/mL、約5×10PFU/mL、約6×10PFU/mL、約7×10PFU/mL、約8×10PFU/mL、約9×10PFU/mL、約10PFU/mL、約2×10PFU/mL、約3×10PFU/mL、約4×10PFU/mL、約5×10PFU/mL、約6×10PFU/mL、約7×10PFU/mL、約8×10PFU/mL、約9×10PFU/mL、約1010PFU/mL、約2×1010PFU/mL、約3×1010PFU/mL、約4×1010PFU/mL、約5×1010PFU/mL、約6×1010PFU/mL、約7×1010PFU/mL、約8×1010PFU/mL、約9×1010PFU/mL、約1010PFU/mL、約2×1010PFU/mL、約3×1010PFU/mL、約4×1010PFU/mL、約5×1010PFU/mL、約6×1010PFU/mL、約7×1010PFU/mL、約8×1010PFU/mL、約9×1010PFU/mL、約1011PFU/mL、約2×1011PFU/mL、約3×1011PFU/mL、約4×1011PFU/mL、約5×1011PFU/mL、約6×1011PFU/mL、約7×1011PFU/mL、約8×1011PFU/mL、約9×1011PFU/mL、または約1012PFU/mL、約1012PFU/mL~約1013PFU/mL、約1013PFU/mL~約1014PFU/mL、または約1014PFU/mL~約1015PFU/mLを含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、5×10PFU/mLを含み得る用量で投与され得る。一部の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、最大5×10PFU/mLを含み得る用量で投与され得る。
【0067】
いくつかの場合では、組換えワクシニアウイルスは注射によって投与することができ、投薬量は、注射あたり約10ウイルス粒子、注射あたり10ウイルス粒子、注射あたり10ウイルス粒子、注射あたり10ウイルス粒子、注射あたり10ウイルス粒子、注射あたり10ウイルス粒子、注射あたり10ウイルス粒子、注射あたり1010ウイルス粒子、注射あたり1011ウイルス粒子、注射あたり1012ウイルス粒子、注射あたり2×1012ウイルス粒子、注射あたり1013ウイルス粒子、注射あたり1014ウイルス粒子、または注射あたり1015ウイルス粒子を含むことができる。さらなる場合では、組換えワクシニアウイルスは、注射によって投与され、投薬量は、注射あたり約10感染性ウイルス粒子、注射あたり10感染性ウイルス粒子、注射あたり10感染性ウイルス粒子、注射あたり10感染性ウイルス粒子、注射あたり10感染性ウイルス粒子、注射あたり10感染性ウイルス粒子、注射あたり10感染性ウイルス粒子、注射あたり1010感染性ウイルス粒子、注射あたり1011感染性ウイルス粒子、注射あたり1012感染性ウイルス粒子、注射あたり2×1012感染性ウイルス粒子、注射あたり1013感染性ウイルス粒子、注射あたり1014感染性ウイルス粒子、または注射あたり1015感染性ウイルス粒子を含むことができる。追加の実施形態では、本開示の組換えワクシニアウイルスは、約10組織培養阻害剤用量50%(PFU)/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、3×10PFU/kg、4×10PFU/kg、5×10PFU/kg、3×1010PFU/kg、4×1010PFU/kg、または4×1010PFU/kgであり得る用量で投与され得る。本明細書では、10は1eXとして代替的に発現されることに留意されたい。ある特定の実施形態では、組換えワクシニアウイルスは、1回または複数の用量で投与され得る。ある特定の実施形態では、ウイルスは、腫瘍中の細胞の少なくとも約20%、腫瘍中の細胞の少なくとも約30%、腫瘍中の細胞の少なくとも約40%、腫瘍中の細胞の少なくとも約50%、腫瘍中の細胞の少なくとも約60%、腫瘍中の細胞の少なくとも約70%、腫瘍中の細胞の少なくとも約80%、または腫瘍中の細胞の少なくとも約90%において腫瘍崩壊を誘導するのに十分な量で投与することができる。
【0068】
ある特定の実施形態では、組換えウイルスの単回用量は、1、2、5、10、15、20または24時間にわたって対象または腫瘍に投与される量を指すことができる。ある特定の実施形態では、用量は、経時的にまたは別個の注射によって広げることができる。ある特定の実施形態では、ワクシニアウイルスの反復用量(例えば、2、3、4、5、6またはそれより多い用量)は、例えば、第1の処置の1、2、3、4、5、6、7日または数週間内に第2の処置が起こり得る場合に、対象に投与することができる。ある特定の実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ウイルスの複数回用量は、1、2、3、4、5、6、7日もしくは週またはそれより長い期間にわたって対象に投与することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される組換えワクシニアウイルスまたは医薬組成物は、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約12週間~約24週間、約24週間~約48週間、約48週間もしくは約52週間、またはそれより長い期間にわたって投与され得る。本明細書に記載される組換えウイルスまたは医薬組成物の投与頻度は、ある特定の場合では、1日1回、1日2回、週に1回、3週間に1回、4週間に1回(または月に1回)、8週間に1回(または2ヵ月に1回)、12週間に1回(または3ヵ月に1回)、または24週間に1回(6ヵ月に1回)であり得る。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、組換えワクシニアウイルスまたは医薬組成物は、独立して、第1の期間の初期用量、第2の期間の中間用量、および第3の期間の高用量で投与することができる。一部の実施形態では、初期用量は中間用量よりも低くすることができ、中間用量は高用量よりも低くすることができる。本明細書に開示される方法の一部の実施形態では、組換えワクシニアウイルスまたは医薬組成物は、独立して、第1の期間の高用量、第2の期間の中間用量、および第3の期間の低用量で投与することができる。一部の実施形態では、初期用量は中間用量よりも高くすることができ、中間用量は低用量よりも高くすることができる。一部の実施形態では、第1、第2、および第3の期間は、独立して、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約12週間~約24週間、約24週間~約48週間、約48週間もしくは約52週間、またはそれより長くであり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、プライム-ブーストレジメンを用いて投与することができる。
【0069】
いくつかの例では、本明細書に記載される処置方法のいずれかに従って、本明細書に記載される、修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルスまたはそれを含む医薬組成物の投与前、投与と同時、および投与後に、糖質を減らした食事、例えばケトジェニックダイエットを行うことができる。ある特定の実施形態では、対象は、1日あたり500グラム未満の糖質、1日あたり450グラム未満の糖質、1日あたり450グラム未満の糖質、1日あたり400グラム未満の糖質、1日あたり350グラム未満の糖質、1日あたり300グラム未満の糖質、1日あたり250グラム未満の糖質、1日あたり200グラム未満の糖質、1日あたり150グラム未満の糖質、1日あたり100グラム未満の糖質、1日あたり90グラム未満の糖質、1日あたり80グラム未満の糖質、1日あたり70グラム未満の糖質、1日あたり60グラム未満の糖質、1日あたり50グラム未満の糖質、1日あたり40グラム未満の糖質、1日あたり30グラム未満の糖質、1日あたり20グラム未満の糖質、または1日あたり10グラム未満の糖質を消費するダイエットを行うことができる。
がんまたは腫瘍細胞への本開示の組換えワクシニアウイルスまたはそれを含む医薬組成物を送達するための例示的な方法は、腫瘍内注射を介することができる。しかしながら、投与の代替の方法、例えば、静脈内、注入による、非経口、静脈内、皮内、筋肉内、経皮、直腸、尿道内、膣内、鼻腔内、くも膜下腔内、または腹腔内もまた使用することができる。投与経路は、腫瘍の位置および性質によって変化し得る。ある特定の実施形態では、投与経路は、歯内、経皮、非経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、局所的(例えば、腫瘍の近傍、特に腫瘍の脈管構造または隣接脈管構造を伴う)、経皮的(percutaneous)、くも膜下、気管内、腹腔内、動脈内、膀胱内、腫瘍内、吸入、灌流、洗浄または経口的であり得る。組換えワクシニアウイルスの注射可能な用量は、ボーラス注射または緩徐注入として投与することができる。ある特定の実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルスは、患者に移植された供給源から患者に投与することができる。ある特定の実施形態では、修飾された腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの投与は、選択された期間にわたる連続注入によって行うことができる。いくつかの場合では、本明細書に記載される組換えワクシニアウイルス、またはそれを含む医薬組成物は、約15分間、約30分間、約45分間、約50分間、約55分間、約60分間、約75分間、約90分間、約100分間、もしくは約120分間またはそれより長い期間にわたって注入することによって、治療有効な用量で投与することができる。本開示の組換えワクシニアウイルスまたは医薬組成物は、投与の総体積が約1mL~約5mL、約5mL~10mL、約15mL~約20mL、約25mL~約30mL、約30mL~約50mL、約50mL~約100mL、約100mL~150mL、約150mL~約200mL、約200mL~約250mL、約250mL~約300mL、約300mL~約350mL、約350mL~約400mL、約400mL~約450mL、約450mL~500mL、約500mL~750mL、または約750mL~1000mLである液体投薬として投与され得る。
組換え腫瘍溶解性ウイルスを使用する方法
【0070】
本明細書において記載される組換え腫瘍溶解性ウイルス、またはそれを含む医薬組成物もしくはワクチンは、上記されるように、がんのために、がん免疫療法、および腫瘍の処置において使用することができる。腫瘍は、固形腫瘍および液性腫瘍であり得、限定されないが、黒色腫、肝細胞癌、乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、腹膜がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、白血病、リンパ腫、腎細胞癌、膵臓がん、上皮癌、胃/GE接合部腺癌、子宮頸がん、結腸癌、結腸直腸がん、十二指腸がん、膵腺癌、腺様嚢胞、肉腫、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管癌、膵腺癌、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫または骨髄増殖性新生物が含まれる。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載される組換え腫瘍溶解性ウイルス、またはそれを含む医薬組成物もしくは免疫原性組成物を投与することによって、がん、腫瘍、がん免疫療法を処置する方法を提供する。
【0071】
本明細書に記載される組換えワクシニアウイルス、またはそれを含む医薬組成物もしくはワクチンは、上記されるように、がんを処置するため、がん免疫療法において、および腫瘍の処置に使用することができる。腫瘍は、固形腫瘍および液性腫瘍であり得、限定されないが、黒色腫、肝細胞癌、乳がん、肺がん、非小細胞肺がん、腹膜がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、白血病、リンパ腫、腎細胞癌、膵臓がん、上皮癌、胃/GE接合部腺癌、子宮頸がん、結腸癌、結腸直腸がん、十二指腸がん、膵腺癌、腺様嚢胞、肉腫、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管癌、膵腺癌、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫または骨髄増殖性新生物が含まれる。したがって、本開示の一部の実施形態では、本明細書に記載される組換えワクシニアウイルス、またはそれを含む医薬組成物もしくは免疫原性組成物を投与することによって、がん、腫瘍、がん免疫療法の処置方法を提供する。
【0072】
本開示の方法によって処置することができるがん細胞には、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、上咽頭、頸部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌、または子宮由来の細胞が含まれる。さらに、がんは、特に、限定されないが、以下の組織型:新生物、悪性;癌腫;癌腫、未分化;巨細胞および紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛様細胞癌;移行上皮癌;乳頭移行細胞癌;腺癌;胃がん、悪性;胆管癌;肝細胞癌;肝細胞癌と胆管癌の組合せ;小柱腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープにおける腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;鰓葉肺胞腺癌;乳頭腺癌;嫌色素性癌;好酸球癌;好酸性腺癌;好塩基球癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞腺癌;乳頭腺癌および濾胞腺癌;非被膜性硬化癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;脂腺腺癌;セレミナ性腺癌;粘表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液腺癌;印環細胞癌;浸潤性乳管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;パジェット病、乳房;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫瘍、悪性;鞘腫、悪性;顆粒膜細胞腫瘍、悪性;アンドロ芽腫、悪性;セルトリ細胞癌;ライディッヒ細胞腫瘍、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;傍神経節腫、悪性;乳房外傍神経節腫、悪性;褐色細胞腫;糸球肉腫;悪性黒色腫;アメラノーマ性黒色腫;表面に広がる黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;肺胞横紋筋肉腫;間質肉腫;混合腫瘍、悪性;ミュラー管混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;胚芽異常症;胎児性癌;奇形腫、悪性;卵巣室、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周皮細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;皮質近傍骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫瘍;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル芽球性歯肉腫;エナメル芽腫、悪性;エナメル芽球性線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星細胞腫;原形質星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星芽腫;膠芽腫;希突起膠腫;希突起芽腫;原始的な神経外胚葉;小脳肉腫;神経節神経芽腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経性腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫瘍、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキンス;傍肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、大細胞、びまん性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉症;他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;および有毛細胞白血病のものであり得る。場合によっては、転移性である固形がんは、全身送達に有利である組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスなどの、本開示の組換え腫瘍溶解性ウイルスを用いて処置することができる。場合によっては、治療剤の腫瘍内送達の目的などの、アクセスが不可能または困難な固形がんは、全身送達に有利である組換え腫瘍溶解性ウイルスなどの、本開示の組換え腫瘍溶解性ウイルスを用いて処置することができる。遊離脂肪酸の発現増加に関連するがんは、いくつかの例では、全身送達に有利であり、増加した量のEEVを形成する組換え腫瘍溶解性ワクシニアウイルスなどの、本開示の組換え腫瘍溶解性ウイルスを用いて処置することができる。
併用療法
【0073】
本開示の方法は、一部の態様では、本明細書に開示される組換え腫瘍溶解性ウイルス、またはそれを含む医薬組成物もしくは免疫原性組成物を投与し、続いて、1つまたは複数のさらなる療法に先行し、またはそれらと組み合わせて投与することを含む。さらなる療法の例は、限定されないが、化学療法、放射線、追加のウイルスによる腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質による処置、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。さらなる療法は、修飾されたウイルス、例えば腫瘍溶解性ワクシニアウイルスの投与に関して、同時または連続的に施され得る。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に開示される修飾された腫瘍溶解性ウイルスを投与し、続いて、1つまたは複数の抗がん剤またはがん療法に先行し、またはそれらと組み合わせて投与することを含むことができる。抗がん剤は、限定されないが、化学療法剤、放射線療法剤、サイトカイン、免疫チェックポイント阻害剤、抗血管新生剤、アポトーシス誘導剤、抗がん抗体および/または抗サイクリン依存性キナーゼ剤を含むことができる。ある特定の実施形態では、がん療法は、化学療法、生物学的療法、放射線療法、免疫療法、ホルモン療法、抗血管療法、凍結療法、毒素療法、および/もしくは手術、またはそれらの組合せを含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に開示される組換えウイルスを投与し、続いて、本開示の修飾された腫瘍溶解性ウイルスに先行して、またはそれらと組み合わせて投与することを含むことができる。
【0074】
ある特定の実施形態では、組換え腫瘍溶解性ウイルスを用いる処置は、単独でまたは1つもしくは複数の免疫調節剤と組み合わせて用いることができる。免疫調節剤は、腫瘍またはがんに関連する抗ウイルス免疫を抑制することができる任意の化合物、分子または物質を含むことができる。ある特定の実施形態では、免疫調節剤は、修飾されたウイルスに対する先天性免疫または適応免疫を抑制することができる。免疫調節剤の非限定的な例としては、抗CD33抗体またはその可変領域、抗CD11b抗体またはその可変領域、COX2阻害剤、例えばセレコキシブ、サイトカイン、例えばIL-12、GM-CSF、IL-2(配列番号33または34のいずれかに記載されるアミノ酸配列を有する)、IFN3およびIFN-g、ならびにケモカイン、例えばMIP-1、MCP-1およびIL-8が挙げられる。ある特定の実施形態では、免疫調節剤は、限定されないが、抗CTLA4、抗PD-1、ならびに抗PD-L1およびTLRアゴニスト(例えば、ポリI:C)などの免疫チェックポイントモジュレーターを含むことができる。いくつかの例では、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤、例えば、PD-1のアンタゴニスト(例えば、PD-1に結合するアンタゴニスト抗体)、PD-L1のアンタゴニスト(例えば、PD-L1に結合するアンタゴニスト抗体)、CTLA-4のアンタゴニスト(例えば、CTLA-4に結合するアンタゴニスト抗体)、A2ARのアンタゴニスト(例えば、A2ARに結合するアンタゴニスト抗体)、B7-H3のアンタゴニスト(例えば、B7-H3に結合するアンタゴニスト抗体)、B7-H4のアンタゴニスト(例えば、B7-H4に結合するアンタゴニスト抗体)、BTLAのアンタゴニスト(例えば、BTLAに結合するアンタゴニスト抗体)、IDOのアンタゴニスト(例えば、IDOに結合するアンタゴニスト抗体)、KIRのアンタゴニスト(例えば、KIRに結合するアンタゴニスト抗体)、LAG3のアンタゴニスト(例えば、LAG3に結合するアンタゴニスト抗体)、TIM-3のアンタゴニスト(例えば、TIM3に結合するアンタゴニスト抗体)を含むことができる。一部の実施形態では、さらなる療法は、免疫チェックポイント調節因子を投与することを含むことができる。一例では、免疫チェックポイント調節因子はTGN1412であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はNKTR-214であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMEDI0562であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMEDI6469であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMEDI6383であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はJTX-2011であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はペンブロリズマブである。一例では、免疫チェックポイント調節因子はニボルマブであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はイピリムマブであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はトレメリムマブである。一例では、免疫チェックポイント調節因子はアテゾリズマブであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMGA271であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はインドキシモドであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はエパカドスタットであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はリリルマブであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はBMS-986016であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMPDL3280Aであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はアベルマブであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はデュルバルマブであり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMEDI4736であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMEDI4737であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はTRX518であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はMK-4166であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はウレルマブ(BMS-663513)であり得る。一例では、免疫チェックポイント調節因子はPF-05082566(PF-2566)であり得る。
【0075】
ある特定の例では、さらなる療法が放射線である場合、例示的な線量は、5,000Rad(50Gy)~100,000Rad(1000Gy)、もしくは50,000Rad(500Gy)、または記載された範囲内の他の適切な線量であり得る。あるいは、放射線量は、約30~60Gy、約40~約50Gy、約40~48Gy、もしくは約44Gy、または列挙された範囲内の他の適切な線量であり得、その線量は、例えば、上記される線量測定研究によって決定される。本明細書で使用される「Gy」とは、100Radに等しい放射線の特定の吸収線量に対する単位を指すことができる。Gyは「Gray」の略語である。
【0076】
さらなる療法が化学療法である特定の実施例では、例示的な化学療法剤には、限定されないが、アルキル化剤(例えば、窒素マスタード誘導体、エチレンイミン、アルキルスルホネート、ヒドラジンおよびトリアジン、ニトロスレア、ならびに金属塩)、植物アルカロイド(例えば、ビンカアルカロイド、タキサン、ポドフィロトキシン、およびカンプトテカン類似体)、抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン、クロモマイシンなど)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸拮抗剤、ピリミジン拮抗剤、プリン拮抗剤、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤)、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、および様々な抗腫瘍剤(例えば、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、副腎皮質ステロイド阻害剤、酵素、抗微小管剤およびレチノイド)が含まれ得る。例示的な化学療法剤には、限定されないが、アナストロゾール、ビカルタミド、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブスルファン注射、カペシタビン、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、シトシンアラビノシド、シタラビンリポソーム注射液、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射液、デキサメタゾン、ドセタキセル、塩酸ドキソルビシン、エトポシド、リン酸フルダラビン、5-フルオロウラシル、フルタミド、テザシチビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、L-アスパラギナーゼ、ロイコボリンカルシウム、メルファラン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、マイロタールグ、パクリタキセル、フェニックス、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを含むポリフェプロサン20、クエン酸タモキシフェン、テニポシド、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン、注射用の塩酸トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン、イブルチニブ、イデラリシブ、ならびにブレンツキシマブベドチンが含まれ得る。
【0077】
例示的なアルキル化剤には、限定されないが、窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレアおよびトリアゼン、例えば、ウラシルマスタードクロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホルアミン、テモゾロミド、チオテパ、ブスルファン、およびダカルバジンが含まれ得る。追加の例示的なアルキル化剤には、限定されないが、オキサリプラチン、テモゾロミド、ダクチノマイシン、L-PAM、L-サルコリシン、ヘキサメチルメラミン、カルムスチン、ベンダムスチン、ブスルファン;カルボプラチン、ロムスチン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ダカルバジン、アルトレタミン、イホファミド、プレドヌムスチン、プロカルバジン、メクロレタミン、ストレプトゾシン、チオテパ、シクロホスファミド;およびベンダムスチンHClが含まれる。
【0078】
例示的なアントラサイクリンには、限定されないが、例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ダウノマイシン、塩酸ルビドマイシン、ミトキサントロン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、ラビドマイシン、およびデスアセチルラビドマイシンが含まれ得る。
【0079】
例示的なビンカアルカロイドには、限定されないが、ビノレルビン酒石酸塩、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、およびビノレルビンが含まれ得る。
【0080】
例示的プロテアソーム阻害剤には、限定されないが、ボルテゾミブ;カルフィルゾミブ(PX-171-007、(S)-4-メチル-N-((S)-1-(((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド)、マリゾミブ(NPI-0052)、クエン酸イクサゾミブ、デランゾミブ、およびO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミドが含まれ得る。
【0081】
本明細書で使用される「組み合わせて」とは、本明細書に記載される腫瘍溶解性ワクシニアウイルスなどの組換えウイルス、またはそれを含む医薬組成物、および1つまたは複数の薬剤を含むさらなる療法などのさらなる療法が、処置レジメンまたは計画の一部として対象に投与されることを意味することができる。ある特定の実施形態では、組み合わせて使用することは、組換えウイルスおよび1つまたは複数の薬剤が投与前に物理的に組み合わされること、またはそれらが同じ時間枠にわたって投与されることを必要としない場合がある。例えば、限定されないが、組換えウイルスおよび1つまたは複数の薬剤は、処置される対象に同時に投与することができ、あるいは同時にもしくは任意の順序で、または異なる時点で連続的に投与することができる。
【0082】
さらなる療法は、様々な実施形態では、液体投薬形態、固体投薬形態、座薬、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで施され得る。ある特定の実施形態では、さらなる療法は、約1週間~約2週間、約2週間~約3週間、約3週間~約4週間、約4週間~約5週間、約6週間~約7週間、約7週間~約8週間、約8週間~約9週間、約9週間~約10週間、約10週間~約11週間、約11週間~約12週間、約12週間~約24週間、約24週間~約48週間、約48週間もしくは約52週間、またはそれより長い期間にわたって施される。さらなる療法を施す頻度は、ある特定の場合では、1日1回、1日2回、週に1回、3週間に1回、4週間に1回(または月に1回)、8週間に1回(または2ヵ月に1回)、12週間に1回(または3ヵ月に1回)、または24週間に1回(6ヵ月に1回)であり得る。ある特定の実施形態では、がんを有する対象を処置する方法は、本開示の有効量の組換えウイルス、例えば組換えワクシニアウイルスを対象に投与することを含むことができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、さらに、有効量の1つまたは複数の薬剤を対象に投与することを含むことができる。例えば、限定されないが、薬剤は、上記されるように、抗がん剤、免疫調節剤、またはそれらの任意の組合せであり得る。本明細書で使用される「抗がん剤」は、抗がん効果を有する任意の分子、化合物、化学物質または組成物であり得る。抗がん剤には、限定されないが、化学療法剤、放射線療法剤、サイトカイン、免疫チェックポイント阻害剤、抗血管新生剤、アポトーシス誘導剤、抗がん抗体および/または抗サイクリン依存性キナーゼ剤が含まれ得る。
追加の実施形態
【0083】
本明細書では、ウイルスゲノムにおける修飾を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、前記修飾は、MHCクラスII阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失;MHCクラスII提示の活性化または増強された活性化をもたらす外因性核酸の挿入;および完全にまたは主に感染細胞内で作用するMHCクラスI阻害剤をコードする外因性核酸の挿入のうちの少なくとも1つを含む。さらに、本明細書では、MHCクラスII阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、欠失または機能的欠失は、MHCクラスII提示の増加をもたらし、腫瘍溶解性ウイルスはワクシニアウイルスである。さらに、本明細書では、MHCクラスII阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、MHCクラスII阻害剤をコードする内因性核酸の欠失または機能的欠失は、ワクシニアウイルスのタンパク質A35をコードする遺伝子の欠失を含む。さらに、本明細書では、ワクシニアウイルスタンパク質A35をコードする遺伝子の欠失または機能的欠失が遺伝子WR158の欠失または機能的欠失である組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、修飾が、MHCクラスII提示の活性化または増強された活性化をもたらす外因性核酸の挿入を含み、外因性核酸が、アポトーシス阻害タンパク質または壊死性細胞死アクチベータータンパク質;オートファジーエンハンサータンパク質;アスパラギニルエンドペプチダーゼ;クラスIIトランスアクチベーター;インターフェロン-ガンマ;Toll様受容体アクチベーター;または樹状細胞成熟アクチベーターをコードする組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、オートファジーエンハンサータンパク質を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、オートファジーエンハンサータンパク質がHMGB1またはその機能的ドメインもしくはバリアントである。さらに、本明細書では、樹状細胞成熟アクチベーターを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、樹状細胞成熟アクチベーターがオステオポンチン、またはTNF-アルファ、またはそれらの機能的断片もしくはバリアントを含む。さらに、本明細書では、コードされたMHC II上方制御タンパク質が、分泌配列、細胞透過性ドメインまたはそれらの組合せに融合され、腫瘍全体にわたってMHC II上方制御を達成する組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、修飾が、MHCクラスI阻害剤をコードする外因性核酸の挿入を含み、挿入がMHCクラスI提示の阻害または部分的な阻害をもたらす組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、MHCクラスI阻害剤をコードする外因性核酸の挿入が1つまたは複数の牛痘ウイルスタンパク質をコードする遺伝子の挿入を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、MHCクラスI阻害剤をコードする外因性核酸の挿入が、牛痘タンパク質CPXV012またはその機能的断片もしくはバリアントをコードする遺伝子の挿入を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、MHCクラスI阻害剤をコードする外因性核酸の挿入が、牛痘タンパク質CPXV203またはその機能的断片もしくはバリアントをコードする遺伝子の挿入を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、MHCクラスI阻害剤をコードする外因性核酸の挿入が、エプスタイン-バールウイルスがコードする核抗原1タンパク質;単純ヘルペスウイルスがコードするICP47タンパク質;単純ヘルペスウイルスがコードするUL49.5タンパク質;サイトメガロウイルスがコードするUS6、US2、US3、US11またはgp48タンパク質;エプスタイン-バールウイルスがコードするBNLF2aタンパク質;アデノウイルスがコードするE3-19Kタンパク質;ヒト免疫不全ウイルスまたはシミアン免疫不全ウイルスがコードするNefタンパク質;カポジ肉腫関連ヘルペスウイルスがコードするkK3、vIRF3もしくはkK5タンパク質;またはIRF7もしくはIRF3のドミナントネガティブ形態のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子の挿入を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、MHCクラスI阻害剤がTAP阻害剤を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、TAP阻害剤が、完全にまたは主に感染細胞内で作用する組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ウイルスゲノムにおける修飾が、ウイルス感染腫瘍細胞を標的とする免疫応答を減少させ、ウイルス感染腫瘍細胞を囲む細胞を標的とする免疫応答を増加させる組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、チミジンキナーゼ遺伝子がウイルスゲノムから欠失された組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼをコードする外因性核酸をさらに含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼがPH-20またはHysAである組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスであり、ワクシニアウイルスが、ウエスタンリザーブ株ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、IHD株、Wyeth株(ATCC VR-325)、NYCBOH株、Tian Tan株、Lister株、Ankara株(ATCC VR-1508またはATTC VR1566)、USSR株、またはACAM2000株である組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。
【0084】
本明細書では、ウイルスゲノムにおける修飾を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、修飾は、A35タンパク質をコードするワクシニアウイルス遺伝子の欠失または機能的欠失、なおよび牛痘タンパク質CPXV012または牛痘タンパク質CPXV203をコードする外因性遺伝子の挿入を含み、修飾は、牛痘タンパク質CPXV012をコードする外因性遺伝子の挿入が、ワクシニアウイルスのA35タンパク質をコードする遺伝子の座位にあるようなものである。さらに、本明細書では、修飾が、牛痘タンパク質CPXV203をコードする外因性遺伝子の挿入がワクシニアウイルスのA35タンパク質をコードする遺伝子の座位にあるようなものである組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ウイルスゲノムにおける追加の修飾をさらに含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、追加の修飾が、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸の挿入;またはサイトカインもしくはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸の挿入のうちの少なくとも1つを含む、組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、サイトカインまたはその機能的ドメインまたはバリアントをコードする外因性核酸を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、サイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-15/インターロイキン-15Ra(IL15/IL15Ra)、インターロイキン-7(IL-7)、またはその機能的ドメインまたはバリアントのうちの少なくとも1つを含む。さらに、本明細書では、追加の修飾が、サイトカインおよび代謝モジュレータータンパク質を含む融合タンパク質をコードする外因性核酸の挿入を含む、組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供され、ケモカイン受容体が、CXCR4、CCR2、またはその機能的ドメインもしくはバリアントのうちの少なくとも1つを含む。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体がCXCR4またはその機能的ドメインもしくはバリアントを含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体がCCR2またはその機能的ドメインもしくはバリアントを含み、CCR2が野生型CCR2または突然変異型CCR2を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインもしくはバリアントをコードする外因性核酸が、コドン最適化された配列を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ケモカイン受容体またはその機能的ドメインまたはバリアントをコードする外因性核酸が、コドン最適化されていない配列を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、追加の修飾が、ワクシニアウイルスのA52R、B15R、K7R、A46R、N1L、E3L、K1L、M2L、C16、N2R、B8R、B18R、VH1、またはそれらの機能的ドメインもしくは断片もしくはバリアント、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含むウイルス遺伝子の突然変異または完全もしくは部分的な欠失を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、チミジンキナーゼ遺伝子がウイルスゲノムから欠失された組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼをコードする外因性核酸をさらに含む組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、ヒアルロニダーゼがPH-20またはHysAである組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。さらに、本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスがワクシニアウイルスであり、ワクシニアウイルスが、ウエスタンリザーブ株ワクシニアウイルス(ATCC VR-1354)、コペンハーゲン株、IHD株、Wyeth株(ATCC VR-325)、NYCBOH株、Tian Tan株、Lister株、Ankara株(ATCC VR-1508またはATTC VR1566)、USSR株、またはACAM2000株である組換え腫瘍溶解性ウイルスが提供される。
【0085】
本明細書では、本明細書に記載される任意の実施形態に従う組換え腫瘍溶解性ウイルスを含む免疫原性組成物が提供される。
【0086】
本明細書では、本明細書に記載される任意の実施形態に従う組換え腫瘍溶解性ウイルスまたは免疫原性組成物、および可溶化剤、賦形剤、または薬学的に許容される担体のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、賦形剤が、緩衝剤、安定剤、酸化防止剤、結合剤、希釈剤、分散剤、速度制御剤、潤滑剤、グリダント、崩壊剤、可塑剤、保存剤、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、賦形剤が、リン酸水素二水和物二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム二水和物、塩化ナトリウム、ミオイノシトール、ソルビトール、またはそれらの任意の組合せを含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、保存剤を含まない医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、保存剤、希釈剤、および担体のうちの1つまたは複数をさらに含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、追加の活性成分またはその塩をさらに含む医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、可溶化剤が無菌水である医薬組成物が提供される。さらに、本明細書では、抗がん剤またはさらなる腫瘍溶解性ウイルスである追加の活性成分をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0087】
本明細書では、がん細胞の成長を減少させる方法が提供され、例示的な方法は、本明細書に記載される任意の実施形態に従う、有効量の組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物をがん細胞に投与することを含む。
【0088】
本明細書では、腫瘍の成長を退行させる方法が提供され、例示的な方法は、本明細書に記載される任意の実施形態に従う、有効量の組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物を腫瘍に投与することを含む。さらに、本明細書では、腫瘍が対象内にあり、投与が対象に投与することを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法を施すことを含む方法が提供され、さらなる療法が、化学療法、放射線療法、追加のウイルスを用いた腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質を用いた処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む。さらに、本明細書では、さらなる療法が、抗CD33抗体およびその可変領域、抗CD11b抗体およびその可変領域、COX2阻害剤、サイトカイン、ケモカイン、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはTLRアゴニストを含む免疫調節剤を投与することを含む方法が提供される。
【0089】
本明細書に記載される任意の実施形態に従った有効量の組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物または医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む処置方法。さらに、本明細書では、投与が腫瘍内投与を含む方法が提供される。さらに、本明細書では、投与が全身投与を含む方法が提供される。さらに、本明細書では、全身投与が、腹腔内投与、経口投与、静脈内投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、またはそれらの任意の組合せのうちの少なくとも1つを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、対象ががんを有し、がんは、黒色腫、肝細胞癌、乳がん、肺がん、非小肺がん、腹膜がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、白血病、リンパ腫、腎細胞癌、膵臓がん、上皮癌、胃/GE接合部腺癌、子宮頸がん、結腸癌、結腸直腸がん、十二指腸がん、膵腺癌、腺様嚢胞、肉腫、中皮腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、多発性骨髄腫、前立腺癌、肝細胞癌、胆管癌、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、骨肉腫、上皮卵巣癌、急性リンパ芽球性リンパ腫、骨髄増殖性新生物、またはこれらのいずれかの組合せのうちの少なくとも1つである方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、約10PFU/mL~約1010PFU/mLの組換えワクシニアウイルスを含む投薬量で投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルスまたは医薬組成物が、約3×10PFU/mLの組換えワクシニアウイルスを含む投薬量で投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、第1の期間の初期用量、第2の期間の中間用量、および第3の期間の高用量で独立して投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、初期、中間、および高用量を独立して投与することを含み、初期用量は中間用量よりも低く、中間用量は高用量よりも低い方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、第1の期間の高用量、第2の期間の中間用量、および第3の期間の低用量で独立して投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、初期、中間、および低用量を独立して投与することを含み、初期用量は中間用量よりも高く、中間用量は低用量よりも高い方法が提供される。さらに、本明細書では、時間の第1、第2、および第3の期間は、各々、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月または約1年である方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、約1mL~約5mL、約5mL~10mL、約15mL~約20mL、約25mL~約30mL、約30mL~約50mL、約50mL~約100mL、約100mL~150mL、約150mL~約200mL、約200mL~約250mL、約250mL~約300mL、約300mL~約350mL、約350mL~約400mL、約400mL~約450mL、約450mL~500mL、約500mL~750mL、または約750mL~1000mLの体積で投与される液体投薬形態を独立して含む方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約12週間、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月または約1年の期間投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、1日1回、1日2回、週に1回、2週間に1回、または3週間に1回投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物が、ボーラス注射または緩徐注入として投与される方法が提供される。さらに、本明細書では、組換え腫瘍溶解性ウイルス、免疫原性組成物、または医薬組成物の投与が、第1の用量の投与から約1時間~約3日後に第1のピークウイルス量、約3日~約10日後に第2のピークウイルス量をもたらす方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法を施すことを含む方法が提供され、さらなる療法は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、または約12週間の期間で投与される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、1日1回、1日2回、1日に1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、12週間に1回、4ヵ月に1回、5ヵ月に1回、6ヵ月に1回、7ヵ月に1回、8ヵ月に1回、9ヵ月に1回、10ヵ月に1回、11ヵ月に1回、または1年に1回施される方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の組合せで施される方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、液体投薬形態、固体投薬形態、吸入可能投薬形態、鼻腔内投薬形態、リポソーム製剤、ナノ粒子を含む投薬形態、微粒子を含む投薬形態、高分子投薬形態、またはそれらの任意の複数の組合せで施される方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、経口、静脈内、腫瘍内注射、腹腔内注射、または放射線によって施される方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、化学療法、放射線療法、追加のウイルスを用いた腫瘍溶解性ウイルス療法、免疫調節タンパク質を用いた処置、CAR T細胞療法、抗がん剤、またはそれらの任意の組合せを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が、抗CD33抗体およびその可変領域、抗CD11b抗体およびその可変領域、COX2阻害剤、サイトカイン、ケモカイン、抗CTLA4抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片、またはTLRアゴニストを含む免疫調節剤を投与することを含む方法が提供される。さらに、本明細書では、さらなる療法が抗がん剤の投与を含み、抗がん剤が化学療法剤である方法が提供される。さらに、本明細書では、対象がヒトである方法が提供される。
【実施例
【0090】
以下の実施例は、本開示の範囲を限定することなく、説明された実施形態をさらに例示する。
(実施例1)
腫瘍モデル
【0091】
組換えワクシニアウイルスは、腫瘍モデル系において、本明細書に記載される修飾なしに、同じウイルス株と比較してアッセイされた。以下の表は、試験に使用したウイルスとそのウイルスゲノムにおける修飾を列挙したものである。
表1
【表1】
【0092】
上記表1は、本研究において使用されるウイルスが組換えワクシニアウイルスWO0434N(A52RmutCXCR4 TK-158-cpx012+として示される)および参照ワクシニアウイルスWO0416N(A52RmutCXCR4 TK-)であったことを示す。WO0434Nへの修飾は、TK遺伝子の欠失およびP7.5誘導型突然変異体CXCR4によるA52遺伝子の置換、および牛痘ウイルス遺伝子CPXV012によるA35遺伝子(WR158)の置換によるものであった。参照ワクシニアウイルスWO0416Nは、TK遺伝子の欠失およびP7.5誘導型突然変異体CXCR4によるA52遺伝子の置換を有した。対照は、ワクシニアウイルスのウェスタンリザーブチミジンキナーゼ陰性(WR.TK-)株(HCCTKM)およびビヒクル製剤化緩衝剤(VFB)であった。P7.5プロモーターの核酸配列は、配列番号1によって定義される。突然変異体CXCR4遺伝子の核酸配列は、配列番号15によって定義される。CPXV012の核酸配列は、配列番号2によって定義される。本研究はB16腫瘍モデルにおいて行われた。腫瘍体積は、各群および対照について、ウイルス投与の17日後に測定された。図1に示される結果は、参照ウイルスWO0416Nまたは対照HCCTKMおよびVFBと比較して、WO0434Nウイルスによる治療活性の増強を示す。
(実施例2)
株の特徴付け
【0093】
所与のウイルスが細胞型において複製可能であるかまたは複製欠損であるかを評価するために、組換えワクシニアウイルスの複製能力は、PCRアッセイを介して、組換えウイルスに感染した哺乳動物またはげっ歯類由来の血清、ウイルスプラークアッセイ、またはそれらの任意の組合せを用いて評価される。ウイルスプラークアッセイでは、組織培養フラスコ中の感受性細胞のコンフルエント単層をワクシニアウイルスに感染させる。インキュベーション後、細胞変性効果(CPE)を観察し、ハロまたは円形の形成を通して可視化し、細胞単層を除去する。細胞培地は、粘度を増加させる溶液に置換される。置換された溶液は、ゼラチンまたはカルボキシメチルセルロースを含む。ウイルスプラークアッセイは、眼または顕微鏡により細胞コントラストを増加させる薬剤を用いて染色することによって可視化される。感染後のインキュベーションは、プラークが観察され得る4~48時間であり得る。染色剤はクリスタルバイオレットである。PCRに基づくアッセイでは、ワクシニアウイルス含量をqPCRに基づくアプローチを用いて定量する。
(実施例3)
腫瘍成長抑制
【0094】
動物アッセイは、本明細書に記載される組成物の腫瘍成長インパクトを評価するために、がんのマウスモデルにおいて行われた。簡単に述べると、修飾されたワクシニアウイルスは、RencaおよびEMT6腫瘍担持マウスに腫瘍内注射(IT)された。
【0095】
修飾されたワクシニアウイルスをビヒクル製剤化緩衝剤(VFB)と比較して評価した。第1群は、TK遺伝子欠失、牛痘ウイルスV012タンパク質(CPXV012)をコードする核酸(配列番号2)の挿入、P7.5プロモーター(配列番号1)およびloxP配列(配列番号35)を含む修飾されたワクシニアウイルスで処理された。第2群は、WR158遺伝子欠失、CPXV012タンパク質をコードする核酸(配列番号2)の挿入、P7.5プロモーター(配列番号1)、およびloxP配列(配列番号35)を含む修飾されたワクシニアウイルスで処理された。第3群は、TK遺伝子欠失およびドミナントネガティブインターフェロン調節因子7をコードする核酸(dnIRF7、配列番号36)の挿入を含むワクシニアウイルスで処理された。第4群は、TK遺伝子欠失およびウイルスインターフェロン調節因子3をコードする核酸(vIRF3、配列番号38)の挿入を含む修飾されたワクシニアウイルスで処理された。
【0096】
Balb/cマウスにRENCA細胞またはEMT6細胞腫瘍を皮下移植した。マウスを10群に分けた。腫瘍は、1×10のpfuの修飾されたワクシニアウイルスまたはビヒクル対照を単回用量で注射された。
【0097】
Renca腫瘍を有するマウスにおける腫瘍体積は、図2Aに示されるように23日後に測定された。牛痘ウイルスV012およびvIRF3を発現するウイルスで処理された群は、Renca腫瘍体積の最も効果的な減少を示した。
【0098】
図2Bに示されるように、EMT6腫瘍を有するマウスにおける腫瘍体積を27日後に測定した。牛痘ウイルスV012およびdnIRF7を発現するウイルスで処理された群は、EMT6腫瘍体積の最も効果的な減少を示した。
【0099】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、このような実施形態が例示としてのみ提供されることは当業者に明らかである。ここで、本発明から逸脱することなく、当業者によって多くの変形、変化、および置換がされる。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替物が、本発明を行う際に使用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を画定し、これらの請求項の範囲およびそれらの同等物の範囲内の方法および構造が、それによってカバーされることが意図される。
表2:配列
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
図1
図2
【配列表】
2024516400000001.app
【国際調査報告】