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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】真空ポンプ用ステータ
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20240408BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20240408BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20240408BHJP
   F04C 18/18 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F04C29/00 C
F04C29/12 E
F04C25/02 K
F04C18/18 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566789
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 GB2022051092
(87)【国際公開番号】W WO2022229652
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2106234.4
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ノース マイケル ヘンリー
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA06
3H129AB06
3H129BB42
3H129BB47
3H129CC04
3H129CC13
3H129CC23
(57)【要約】
真空ポンプ(100)用ステータ(118)の少なくとも一部は、ポンプチャンバ(171)の少なくとも一部をその間に画定する複数の壁(152、154)と、複数の壁(12、154)のうちの1又は2以上の壁(152)の中に形成された流路(182)であって、流路(182)は、流路(182)の第1の端部の第1の開口部(184)と、流路(182)の第2の端部の第2の開口部(186)とを備え、第1の開口部(184)は、1又は2以上の壁(152)の内面の開口部であり、ポンプチャンバ(171)と流体連通している、流路(182)と;流路(182)の中に配置された圧力リリーフ弁(190)と;を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ用ステータの少なくとも一部であって、
複数の壁であって、前記複数の壁の間にポンプチャンバの少なくとも一部を画定する、複数の壁と、
前記複数の壁のうちの1又は2以上の壁の中に形成された流路であって、前記流路は、前記流路の第1の端部の第1の開口部と、前記流路の第2の端部の第2の開口部とを備え、前記第1の開口部は、前記1又は2以上の壁の内面の開口部であり、前記第1の開口部は、前記ポンプチャンバと流体連通している、流路と、
前記流路の中に配置された圧力リリーフ弁と、
を備える、真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項2】
前記第1の開口部は、前記ポンプチャンバの排気側に配置されている、請求項1に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項3】
前記第2の開口部は、前記1又は2以上の壁の内面の開口部であり、前記ポンプチャンバと流体連通している、請求項1又は2に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項4】
前記第2の開口部は、前記ポンプチャンバの吸引側に配置されている、請求項3に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項5】
前記圧力リリーフ弁は、前記ステータの少なくとも一部の外面の開口を介して前記ステータの少なくとも一部から取り外し可能なハウジング内に配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項6】
前記複数の壁は、
端壁と、
前記端壁から延びる1又は2以上の側壁と、
を備え、
前記端壁及び前記1又は2以上の側壁は、内部キャビティを画定する、請求項1から5のいずれかに記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項7】
前記流路は、前記端壁に形成されている、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項8】
前記第1の開口部は、前記端壁の内面に形成されている、及び/又は、前記第2の開口部は、前記端壁の内面に形成されている、請求項6又は7に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項9】
前記端壁及び前記1又は2以上の側壁は、単体要素である、請求項6から8のいずれかに記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項10】
前記端壁は、1又は2以上の貫通ボアを有し、前記1又は2以上の貫通ボアの各々は、それぞれのロータシャフトを受け入れるためのものである、請求項6から9のいずれかに記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項11】
前記ステータの少なくとも一部の外部から前記内部キャビティへの流体の流入を可能にする、前記1又は2以上の側壁のうちの側壁を貫通して形成された入口流路をさらに備える、請求項6から10のいずれかに記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項12】
前記端壁は、外面を備え、前記端壁の前記外面は、1又は2以上の凹部を備える、請求項6から11のいずれかに記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項13】
前記1又は2以上の凹部は、Oリングを受け入れるためのループ状の溝と、断熱性スペーサを受け入れるように構成された凹部とからなる凹部の群から選択される、請求項12に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項14】
前記1又は2以上の凹部の中に配置されたOリング及び/又は1又は2以上の断熱性スペーサと、
1又は2以上のロータシャフトを支持するためのヘッドプレートであって、前記ヘッドプレートは、前記端壁の外面に対向しかつ前記Oリング及び/又は前記1又は2以上の断熱性スペーサに接触して配置され、前記端壁の前記外面から相隔たるようになっている、ヘッドプレートと、
をさらに備える請求項12又は13に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のステータの少なくとも一部を含むステータと、
前記ステータのポンプチャンバを貫通して延びる1又は2以上のロータシャフトと、
各々が前記ロータシャフトのそれぞれの1つに取り付けられている、1又は2以上のロータと、
を備える、真空ポンプ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ用ステータ及びその部品に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ポンプは、様々な技術プロセスにおいて、プロセスチャンバからガスをポンプ送給するために使用され、それにより、それぞれのプロセスのための低圧条件を作り出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、使用中、真空ポンプのポンプチャンバ内の圧力差が、真空ポンプの構成要素を損傷する可能性があるレベルに達するか又はそれを超える可能性があることを認識している。例えば、ポンプチャンバの吸引側と排気側との間のロータを横切る圧力差は、ポンプのロータ、シャフト及び/又は軸受に損傷を与えるほど高い場合がある。従って、ポンプチャンバのための圧力リリーフ弁を含む圧力リリーフシステムが望ましい。本発明者らは、ヘッドプレートのようなポンプの比較的低温の部分に圧力リリーフ弁を配置すると、ポンプ送給される流体からの凝縮水によって圧力リリーフ弁が汚染さる又は損なわれるリスクがあることを認識している。本発明者らは、圧力リリーフ弁をステータの壁のようなポンプの比較的高温の部分に配置することにより、凝縮水の量を低減できることを認識している。
【0004】
一態様では、真空ポンプ用ステータの少なくとも一部が提供され、ステータの少なくとも一部は、圧力リリーフ弁を備える統合された又は一体型の圧力リリーフシステムを有する。
【0005】
一態様では、真空ポンプ用ステータの少なくとも一部が提供され、ステータの少なくとも一部は、ポンプチャンバの少なくとも一部をその間に画定する複数の壁と;複数の壁のうちの1又は2以上の壁の中に形成された流路であって、流路は、流路の第1の端部の第1の開口部と、流路の第2の端部の第2の開口部とを備え、第1の開口部は、1又は2以上の壁の内面の開口部であり、ポンプチャンバと流体連通している、流路と;流路の中に配置された圧力リリーフバルブと、を備える。
【0006】
第1の開口部は、ポンプチャンバの排気側に配置することができる。
【0007】
第2の開口部は、1又は2以上の壁の内面の開口部とすることができ、ポンプチャンバと流体連通している。第2の開口部は、ポンプチャンバの吸引側に配置することができる。
【0008】
圧力リリーフ弁は、ステータの少なくとも一部の外面の開口を介してステータの少なくとも一部から取り外し可能なハウジング内に配置することができる。
【0009】
複数の壁は、端壁と、端壁から延びる1又は2以上の側壁とを備えることができる。端壁及び1又は2以上の側壁は、内部キャビティを画定することができる。流路は端壁に形成することができる。第1の開口部は、端壁の内面に形成することができる。第2の開口部は、端壁の内面に形成することができる。端部壁及び1又は2以上の側壁は、単体要素とすることができる。端壁は、1又は2以上の貫通ボアを備えることができ、1又は2以上の貫通ボアの各々は、それぞれのロータシャフトを受け入れるためのものである。真空ポンプ用ステータの少なくとも一部は、ステータの少なくとも一部の外部から内部キャビティへの流体の流入を可能にする、1又は2以上の側壁のうちの側壁を貫通して形成された入口流路をさらに備えることができる。端壁は、外面を備えることができ、端壁の外面は、1又は2以上の凹部を備える。1又は2以上の凹部は、Oリングを受け入れるためのループ状の溝と、断熱性スペーサを受け入れるように構成された凹部とからなる凹部の群から選択することができる。ステータの少なくとも一部は、1又は2以上の凹部の中に配置されたOリング及び/又は1又は2以上の断熱性スペーサと;1又は2以上のロータシャフトを支持するためのヘッドプレートであって、ヘッドプレートは端壁の外面に対向しかつOリング及び/又は1又は2以上の断熱性スペーサに接触して配置され、端壁の外面から相隔たるようになっている、ヘッドプレートと;をさらに備えることができる。
【0010】
さらなる態様では、上記態様のいずれかにによるステータの少なくとも一部を含むステータと;ステータのポンプチャンバを通って延びる1又は2以上のロータシャフトと;
各々がロータシャフトのそれぞれの1つに取り付けられていつ1又は2以上のロータと;を備える真空ポンプが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】真空ポンプの側面断面図の概略図である(縮尺通りではない)。
図2】真空ポンプの正面断面図の概略図である(縮尺通りではない)。
図3】真空ポンプのステータの斜視図を示す概略図である(縮尺通りではない)。
図4】ステータの斜視断面図を示す概略図である(縮尺通りではない)。
図5】ステータの第1の部分の斜視図を示す概略図である(縮尺通りではない)。
図6】ステータの第2の部分の斜視図を示す概略図である(縮尺通りではない)。
図7】ステータの第2の部分の斜視図を示す概略図である(縮尺通りではない)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、上方と下方、水平と垂直、上部と下部、前方と後方などの相対的な用語は、単に図面への参照を容易にするために使用されており、これらの用語はそのように限定されず、真に上方と下方、水平と垂直、上部と下部などではなく、何らかの2つの異なる方向又は位置などを実現できることを理解されたい。
【0013】
図1は、真空ポンプ100の一実施形態の側面断面図の概略図である(縮尺通りではない)。
【0014】
図2は、真空ポンプ100の正面断面図の概略図である(縮尺通りではない)。
【0015】
真空ポンプ100は、垂直配向のルーツ型真空ポンプである。
【0016】
真空ポンプ100は、ステータ102と、第1のロータシャフト106に取り付けられた第1のロータ104と、第2のロータシャフト110に取り付けられた第2のロータ108と、第1のヘッドプレート112と、第2のヘッドプレート114とを備える。
【0017】
ステータ102は、2つの部分、すなわち第1のステータ部分116及び第2のステータ部分118を備える。図3及び4は、ステータ102のさらなる図を示す。図3は、ステータ102の斜視図を示す概略図である(縮尺通りではない)。図4は、ステータ102の斜視断面図を示す概略図である(縮尺通りではない)。
【0018】
第1のステータ部分116及び第2のステータ部分118は、ステータ102を形成するために一緒に取り付けられるバケットステータ(bucket stator)と見なすことができる。
【0019】
第1のステータ部分116は、第1の壁120と、第1の壁120から延びる1又は2以上の第1の側壁122とを備える。第1の壁120は、ステータ102の底壁又は第1の端壁と見なすことができる。1又は2以上の第1の側壁122は、第1の壁120から上向きに延びる。第1の壁120及び1又は2以上の第1の側壁122は、内部キャビティを画定する。第1の壁120及び1又は2以上の第1の側壁122は、単一の単体要素とすることができる。
【0020】
第1のステータ部分116は、出口流路124をさらに備える。出口流路124は、ステータ102のガス出口である。出口流路124は、第1の側壁122のうちの1又は2以上を貫通して形成されている。出口流路124は、第1の開口部126と第2の開口部128との間の流路である。第1の開口部126は、1又は2以上の側壁122の内面にある。第2の開口部128は、1又は2以上の側壁122の内面とは反対側の、1又は2以上の側壁122の外面に存在することができる。好ましくは、出口流路124は、第1の開口部126から第2の開口部128に向かって下向きに傾斜する。
【0021】
第1の壁120の内面130は、出口流路124の第1の開口部126と連続している。好ましくは、第1の壁120の内面130の最下点は、第1の開口部126と連続している。好ましくは、第1の壁120の内面130は、第1の開口部126に向かって下向きに傾斜する。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、内面130は実質的に平坦とすることができる。
【0022】
第1の壁120の内面130は、第1の開口部126と当接する、境界を共有する、接合する、接続される、又は一致すると見なすことができる。図1のように側面から見ると、出口流路124の最下部表面132は、第1の壁120の内面130の水平面134と実質的に同一平面である、又はより好ましくは、水平面134より下である。また、図2のように正面から見ると、第1の壁120の内面130は、第1の開口部126の周縁と一致する、又はより好ましくは、第1の開口部126の周縁で囲まれた領域内にある。
【0023】
この実施形態では、第1の壁120は、2つの貫通ボア136を備える。各貫通ボア136は、第1のロータシャフト106及び第2のロータシャフト110のそれぞれの一方を受け入れる。換言すれば、第1及び第2のロータシャフト106、110は、それぞれの貫通ボア136を通って第1の壁120を通過する。第1及び第2のロータシャフト106、110は、リップシール又はラビリンスシールなどの何らかの適切なシール手段によって、第1の壁120(すなわち、貫通ボア136の壁)に対してシールすることができる。
【0024】
この実施形態では、第1の壁120の内面130とは反対側の第1の壁120の外面138は、複数の凹部を備える。第1の壁120の外面138は、反転された第1のステータ部分116の斜視図の概略図(縮尺通りではない)である図5において、よりはっきりと見ることができる。
【0025】
より具体的には、この実施形態では、第1の壁120の外面138は、ループ状の凹部又は溝140を備える。ループ状の溝140は、貫通ボア136を取り囲む。ループ状の溝140は、外面138の周縁部に近接して配置することができる。
【0026】
この実施形態では、第1の壁120の外面138は、複数の凹部142を備え、この凹部142は、この実施形態では実質的に円筒形である。この実施形態では、凹部142は、ループ状の溝140と外面138の縁部との間に配置されている。
【0027】
再び図1及び2を参照すると、この実施形態では、第1のOリング144が、第1の壁120の外面138のループ状の溝140の中に配置されている。第1のOリング144は、何らかの適切な材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作ることができる。好ましくは、第1のOリング144は、断熱材料で作られている。また、この実施形態では、複数の第1のスペーサ146が、複数の凹部142の中にそれぞれ配置されている。第1のスペーサ146は、実質的に円筒形とすることができる。この実施形態では、第1のスペーサ146は、セラミック材料などの断熱材料で作られている。
【0028】
第1のヘッドプレート112は、第1の壁120の外面138に対面して又は対向して配置されている。第1のヘッドプレート112は、第1のOリング144及び第1のスペーサ146に接触して配置されている。第1のOリング144及び/又は第1のスペーサ146は、第1のヘッドプレート112を第1の壁120の外面138から離間した状態に維持する。従って、ステータ102と第1のヘッドプレート112との間には、間隙148(例えば空隙)が設けられる。第1のOリング144は、ステータ102と第1のヘッドプレート112との間、すなわち第1の壁120の外面138と第1のヘッドプレート112の対向面との間のシールを形成する。
【0029】
第1のヘッドプレート112は、第1及び第2ロータシャフト106、110を、それらロータシャフト106、110の下端部で支持するように構成されている。第1のヘッドプレートは、従来のヘッドプレートとすることができる。第1のヘッドプレート112は、ロータシャフト106、110を支持するための軸受及び/又はシールシステムを備えることができる。
【0030】
この実施形態では、1又は2以上の第1の側壁122は、第1の壁120とは反対側の第1の側壁122の端部に第1のフランジ150を備える。
【0031】
第2のステータ部分118は、第2の壁152と、第2の壁152から延びる1又は2以上の第2の側壁154とを備える。第2の壁152は、ステータ102の上壁又は第2の端壁と見なすことができる。1又は2以上の第2の側壁154は、第2の壁152から下向きに延びる。第2の壁152及び1又は2以上の第2の側壁154は、内部キャビティを画定する。第2の壁152及び1又は2以上の第2の側壁154は、単一の単体要素とすることができる。
【0032】
第2のステータ部分118は、入口流路155をさらに備える。入口流路155は、ステータ102のガス入口である。入口流路155は、第2の側壁154のうちの1又は2以上を貫通して形成されている。
【0033】
この実施形態では、第2の壁152は、2つの貫通ボア156を備える。各貫通ボア156は、第1のロータシャフト106及び第2のロータシャフト110のそれぞれの一方を受け入れる。換言すれば、第1及び第2のロータシャフト106、110は、それぞれの貫通ボア156を通って第2の壁152を通過する。第1及び第2のロータシャフト106、110は、リップシール又はラビリンスシールなどの何らかの適切なシール手段によって、第2の壁152(すなわち、貫通ボア156の壁)に対してシールすることができる。
【0034】
この実施形態では、第2の壁152の外面158は、複数の凹部を備える。第2の壁152の外面158は、第2のステータ部分118の斜視図の概略図(縮尺通りではない)である図6及び7において、よりはっきりと見ることができる。
【0035】
より具体的には、この実施形態では、第2の壁152の外面158は、ループ状の凹部又は溝160を備える。ループ状の溝160は、貫通ボア156を取り囲む。ループ状の溝160は、外面158の周縁部に近接して配置することができる。
【0036】
この実施形態では、第2の壁152の外面158は、複数の凹部162を備え、この凹部162は、この実施形態では実質的に円筒形である。この実施形態では、凹部162は、ループ状の溝160と外面158の縁部との間に配置されている。
【0037】
再び図1及び2を参照すると、この実施形態では、第2のOリング164が、第2の壁152の外面158のループ状の溝160の中に配置されている。第2のOリング164は、何らかの適切な材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で作ることができる。好ましくは、第2のOリング164は、断熱材料で作られている。また、この実施形態では、複数の第2のスペーサ166が、複数の凹部162の中にそれぞれ配置されている。第2のスペーサ166は、実質的に円筒形とすることができる。この実施形態では、第2のスペーサ166は、セラミック材料などの断熱材料で作られている。
【0038】
第2のヘッドプレート114は、第2の壁152の外面158に対面して又は対向して配置されている。第2のヘッドプレート114は、第2のOリング164及び第2のスペーサ166に接触して配置されている。第2のOリング164及び/又は第2のスペーサ166は、第2のヘッドプレート114を第2の壁152の外面158から離間した状態に維持する。従って、ステータ102と第2ヘッドプレート114との間には、間隙168(例えば空隙)が設けられる。第2のOリング164は、ステータ102と第2のヘッドプレート114との間、すなわち第2の壁152の外面158と第2のヘッドプレート114の対向面との間のシールを形成する。
【0039】
第2のヘッドプレート114は、第1及び第2のロータシャフト106、110を、それらロータシャフト106、110の上端部で支持するように構成されている。第2のヘッドプレート114は、従来のヘッドプレートとすることができる。第2のヘッドプレート114は、ロータシャフト106、110を支持するための軸受及び/又はシールシステムを備えることができる。
【0040】
この実施形態では、1又は2以上の第2の側壁154は、第2の壁152とは反対側の第2の側壁154の端部に第2のフランジ170を備える。
【0041】
図1から4に示すように、組立構成において、第2のステータ部分118は、第1のステータ部分116上に配置され、第2のフランジ170が第1のフランジ150と接触するようになっている。第1のステータ部分116及び第2のステータ部分118は、第1及び第2フランジ150、170を介して複数のファスナー(図示せず)によって一緒に取り付けられ、締結される。
【0042】
第1のステータ部分116及び第2のステータ部分118の壁、すなわち第1の壁120、第1の側壁122、第2の壁152及び第2の側壁154は、内部キャビティ又はチャンバ171を画定する。このチャンバ171はステータボアと呼ぶこともできる。このチャンバ171は真空ポンプ100のポンプチャンバである。ロータ104、108は、チャンバ171の中に配置されている。
【0043】
作動時、1又は2以上のモータ(図示せず)がロータシャフト106、110を駆動し、それによりロータ104、108をチャンバ171内の平行な軸の周りで回転させる。ロータ104、108のこの回転は、図1に矢印及び参照数字174で示すように、入口155を通してチャンバ171の吸引側172にガスを吸い込む。ロータ104、108の連続的な回転に続いて、図1に矢印及び参照数字178で示すように、ガスは、チャンバ171の吸引側172からチャンバ171の排気側176に移動する。ロータ104、108の連続的な回転に続いて、図1に矢印及び参照数字180で示すように、ガスは、チャンバ171の排気側176から出口124の外へ移動する。
【0044】
従って、ロータ104、108は、チャンバ171を吸引側172(入口155が位置する)と排気側176(出口124が位置する)とに分割すると見なすことができる。
【0045】
真空ポンプ100によってポンプ送給される流体(例えばガス)は、液体及び/又は粉塵などの粒子状物質を含むか又は伴う場合がある。さらに、ポンプ送給された流体は、チャンバ171内の表面上で凝縮する場合がある。この液体及び/又は粒子状物質は、重力によりポンピングチャンバ171の底部に落下する傾向があり、第1の壁の内面130に集まる場合がある。有利には、出口流路124の第1の開口部126と連続している第1の壁120の内面130は、液体及び/又は粒子状物質が、出口124を通ってポンプチャンバから外に流出又は移動するようにする傾向がある。この液体の流出及び/又はチャンバ171からの粒子状物質の除去は、内面130の最下点が第1の開口部126と連続していること、及び/又は内面130が第1の開口部126に向かって下向きに傾斜していることによって、さらに促進される傾向がある。
【0046】
従って、有利には、潜在的に可燃性、腐食性、さもなければ危険である液体及び/又は粒子状物質のポンプチャンバ171内の蓄積が低減又は解消される傾向がある。さらに、液体及び/又は粒子状物質による、例えばロータ104、108の妨げ(impedance)が低減又は解消される傾向がある。従って、ポンプのポンプ効率は改善される傾向にある。
【0047】
有利には、Oリング144、164及びスペーサ146、166によるステータ102とヘッドプレート112、114の空間的分離(すなわち、ステータ102とヘッドプレート112、114との間の間隙148、168の存在)は、ステータ102とヘッドプレート112、114との間の熱伝達を低減する傾向がある。従って、ステータ102の温度が比較的高い実施態様では、それにもかかわらずヘッドプレートの温度は比較的低いままとすることができる。例えば、いくつかの実施態様では、ステータ102の温度は約200℃の場合があるが、ヘッドプレート112、114の温度は約100℃の場合がある。これは、有利には、真空ポンプ100の動作を改善する傾向がある。
【0048】
この実施形態では、第2のステータ部分118は、第2の壁152の中に形成された流路182をさらに備える。流路182は、第1の開口部184と第2の開口部186との間に延びている。
【0049】
この実施形態では、第1の開口部184は、第2の壁152の内面188に形成され、内面188は外面158の反対側にある。第1の開口部184は、チャンバ171の排気側176に位置する。
【0050】
この実施形態では、第2の開口部186は、第2の壁152の内面188に形成されている。第2の開口部186は、チャンバ171の吸引側172に位置する。
【0051】
この実施形態では、圧力リリーフ弁190が、第1の開口部184と第2の開口部186との間で流路182の中に配置されている。この実施形態では、圧力リリーフ弁190は、圧力リリーフ弁190を横切る圧力差が所定の閾値未満である場合に、流路182を通る流体の流れを阻止するように構成されている。また、圧力リリーフ弁190は、圧力リリーフ弁190を横切る圧力差が予め設定された閾値以上である場合、流路182を通る流体の流れを許容するように構成されている。
【0052】
従って、この実施形態では、作動中、圧力リリーフ弁190を横切る圧力差、すなわちチャンバ171の排気側176とチャンバ171の吸引側172との間の圧力差が、予め設定された閾値以上である場合、圧力リリーフ弁190は、チャンバ171の排気側176からチャンバ171の吸引側172への、流路182を通るポンプ送給される流体の流れを許容するように開く。これは有利には、排気側176と吸引側172との間の圧力差を減少させる傾向がある。換言すれば、ロータ104、108を横切る圧力差が減少する。従って、ロータ104、108が損傷するリスクが減少する傾向がある。
【0053】
有利には、流路182が排気側176と吸引側172との間を流体的に接続することは、排気側176と吸引側172との間の圧力差の迅速な減少を可能にする傾向がある。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、流路182は、ポンプチャンバ171(例えば、チャンバ171の排気側176)とポンプ100の外部環境との間を流体的に接続することができる。
【0054】
圧力リリーフ弁190は、ステータ102内、詳細にはこの実施形態ではステータ102の第2の壁152内に配置又は収容される。圧力リリーフ弁190は、ステータ102と一体とする又はステータ102内に組み込むことができると見なすことができる。使用中、ステータ102の温度は、例えばヘッドプレート112、114の温度に比べて相対的に高くなる傾向がある。例えば、いくつかの実施態様では、ステータ102の温度は約200℃であるが、ヘッドプレート112、114の温度は約100℃である場合がある。ステータ102の比較的高い温度は、流路182内のポンプ送給される流体の凝縮を低減又は解消する傾向がある。これは、有利には、圧力リリーフ弁190の作動を妨げる凝縮液を低減又は解消する傾向がある。
【0055】
この実施形態では、圧力リリーフ弁190は、第2の端壁152の側面の開口を介してステータから取り外し可能なハウジング内に配置されている。これは、有利には、圧力リリーフ弁190の点検、保守、サービス、及び/又は修理を容易にする傾向がある。
【0056】
有利には、圧力リリーフ弁190をステータの上部、すなわち上端壁に配置することにより、流路182に侵入した何らかの粒子状物質又は流体は、蓄積するのではなく、流路182(すなわち圧力リリーフ弁のダクト)から落下する傾向がある。
【0057】
いくつかの実施形態では、流路182は、複数の第1の開口部(又は入口)及び/又は複数の第2の開口部(又は出口)を有する多重分岐(例えば分岐流路)である。いくつかの実施形態では、流路内には複数の圧力リリーフ弁を配置することができる。
【0058】
上記の実施形態では、真空ポンプは、垂直配向のルーツ型真空ポンプである。しかしながら、他の実施形態では、真空ポンプは異なるタイプの真空ポンプである。真空ポンプは、例えば、任意数の段、ポンプチャンバ、ロータ及びロータシャフトを有することができる。
【0059】
上記の実施形態では、ステータは、一緒に取り付けられてステータを形成する2つの部品で形成されている。しかしながら、他の実施形態では、ステータは、単一の部品のみ、又はステータを形成するために一緒に取り付けられる3以上の部品など、異なる数の部品で形成される。
【0060】
上記の実施形態では、入口は第2のステータ部分に形成されている。しかしながら、他の実施形態では、入口は、第1のステータ部分などの異なるステータ部分に配置される。いくつかの実施形態では、入口は、複数の異なるステータ部分を貫通して形成される。
【0061】
上記の実施形態では、2つのヘッドプレートはステータから離間している。しかしながら、他の実施形態では、ヘッドプレートのうちの1又は2以上はステータから離間していない。例えば、ヘッドプレートの1又は2以上は、ステータと接触すること又はステータと一体とすることができる。
【0062】
上記の実施形態では、第2のステータ部分は、圧力リリーフ弁が配置される流路を備える。しかしながら、他の実施形態では、流路及びその中に配置された圧力リリーフ弁は、第1のステータ部分、例えば第1の壁などのステータの異なる部分に配置することができる。
【0063】
上記の実施形態では、出口は第1のステータ部分に形成されている。しかしながら、他の実施形態では、出口は、第2のステータ部分などの異なるステータ部分に配置される。いくつかの実施形態では、出口は、複数の異なるステータ部分を貫通して形成される。
【0064】
上記の実施形態では、第1のステータの第1の壁の内面は、出口流路の開口部と連続している。換言すれば、開口部の最下部表面又は点は、第1の壁の内面と実質的に同一平面にあるか又はその下にある。しかしながら、他の実施形態では、第1のステータの第1の壁の内面は、出口流路の開口部と連続していない。開口部の最下部表面又は点は、第1の壁の内面の高さを超える高さに位置することができる。
【符号の説明】
【0065】
100 真空ポンプ
102 ステータ
104 第1のロータ
106 第1のロータシャフト
108 第2のロータ
110 第2のロータシャフト
112 第1のヘッドプレート
114 第2のヘッドプレート
116 第1のステータ部分
118 第2のステータ部分
120 第1の壁
122 第1の側壁
124 出口流路
126 第1の開口部
128 第2の開口部
130 内面
132 最下部表面
134 水平面
136 貫通ボア
138 外面
140 ループ状の溝
142 凹部
144 第1のOリング
146 第1のスペーサ
148 間隙
150 第1のフランジ
152 第2の壁
154 第2の側壁
155 入口経路
156 貫通ボア
158 外面
160 ループ状の溝
162 凹部
164 第2のOリング
166 第2のスペーサ
168 間隙
170 第2のフランジ
171 チャンバ
172 吸引側
174 吸引ガス流れ方向
176 排気側
178 ガス流れ方向
180 排気ガス流れ方向
182 流路
184 第1の開口部
186 第2の開口部
188 内面
190 圧力リリーフ弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ用ステータの少なくとも一部であって、
複数の壁であって、前記複数の壁の間にポンプチャンバの少なくとも一部を画定する、複数の壁と、
前記複数の壁のうちの1又は2以上の壁の中に形成された流路であって、前記流路は、前記流路の第1の端部の第1の開口部と、前記流路の第2の端部の第2の開口部とを備え、前記第1の開口部は、前記1又は2以上の壁の内面の開口部であり、前記第1の開口部は、前記ポンプチャンバと流体連通している、流路と、
前記流路の中に配置された圧力リリーフ弁と、
を備える、真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項2】
前記第1の開口部は、前記ポンプチャンバの排気側に配置されている、請求項1に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項3】
前記第2の開口部は、前記1又は2以上の壁の内面の開口部であり、前記ポンプチャンバと流体連通している、請求項1に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項4】
前記第2の開口部は、前記ポンプチャンバの吸引側に配置されている、請求項3に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項5】
前記圧力リリーフ弁は、前記ステータの少なくとも一部の外面の開口を介して前記ステータの少なくとも一部から取り外し可能なハウジング内に配置されている、請求項1に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項6】
前記複数の壁は、
端壁と、
前記端壁から延びる1又は2以上の側壁と、
を備え、
前記端壁及び前記1又は2以上の側壁は、内部キャビティを画定する、請求項1に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項7】
前記流路は、前記端壁に形成されている、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項8】
前記第1の開口部は、前記端壁の内面に形成されている、及び/又は、前記第2の開口部は、前記端壁の内面に形成されている、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項9】
前記端壁及び前記1又は2以上の側壁は、単体要素である、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項10】
前記端壁は、1又は2以上の貫通ボアを有し、前記1又は2以上の貫通ボアの各々は、それぞれのロータシャフトを受け入れるためのものである、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項11】
前記ステータの少なくとも一部の外部から前記内部キャビティへの流体の流入を可能にする、前記1又は2以上の側壁のうちの側壁を貫通して形成された入口流路をさらに備える、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項12】
前記端壁は、外面を備え、前記端壁の前記外面は、1又は2以上の凹部を備える、請求項6に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項13】
前記1又は2以上の凹部は、Oリングを受け入れるためのループ状の溝と、断熱性スペーサを受け入れるように構成された凹部とからなる凹部の群から選択される、請求項12に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項14】
前記1又は2以上の凹部の中に配置されたOリング及び/又は1又は2以上の断熱性スペーサと、
1又は2以上のロータシャフトを支持するためのヘッドプレートであって、前記ヘッドプレートは、前記端壁の外面に対向しかつ前記Oリング及び/又は前記1又は2以上の断熱性スペーサに接触して配置され、前記端壁の前記外面から相隔たるようになっている、ヘッドプレートと、
をさらに備える請求項12に記載の真空ポンプ用ステータの少なくとも一部。
【請求項15】
請求項1に記載のステータの少なくとも一部を含むステータと、
前記ステータのポンプチャンバを貫通して延びる1又は2以上のロータシャフトと、
各々が前記ロータシャフトのそれぞれの1つに取り付けられている、1又は2以上のロータと、
を備える、真空ポンプ。
【国際調査報告】