(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】複区画経口パウチ製品
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A24B13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566820
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2022054006
(87)【国際公開番号】W WO2022229926
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッチェンス,ロナルド・キース
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン,カスペル・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】カンポス,アレクサンドル・メンディス
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】オニール,トラビス
(72)【発明者】
【氏名】サイン,マシュー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ビアン,ダレル
(72)【発明者】
【氏名】ウベルティ,ロレンツォ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA59
(57)【要約】
本開示は、経口使用に適合した組成物、特にこうした組成物を含む複区画経口パウチ製品を提供する。本開示の或る態様は、多孔質パウチ内部に経口使用に適合した組成物を含む経口パウチ製品に関する。特に、多孔質パウチは、2つ以上の区画を含んでもよく、それぞれの区画は、その中に含有された組成物の含有量を有する。異なる香料、異なる有効成分、または異なる香料と異なる有効成分の両方の使用を通じてなど、それぞれの区画内部の組成物が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように、それぞれの区画内部の組成物は異なることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口パウチ製品であって、第1の区画および第2の区画を含む2つ以上の区画を有する外側透水性パウチを備え、前記第1の区画および前記第2の区画のそれぞれは、外側透水性パウチを通して放出可能な水溶性成分を含有する組成物を包含する、経口パウチ製品。
【請求項2】
第1の区画および第2の区画は壁構造で分離され、壁構造は、それぞれの区画内部に含有された組成物の区画内移動を防止する非多孔質バリア、または、それぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を可能にする多孔質バリア、のいずれかを提供する、請求項1に記載の経口パウチ製品。
【請求項3】
壁構造は、外側透水性パウチ内の完全にまたは部分的に溶着された継目の形態である、請求項2に記載の経口パウチ製品。
【請求項4】
部分的に溶着された継目は、穴の開いた継目の形態である、請求項3に記載の経口パウチ製品。
【請求項5】
第1の区画および第2の区画は、完全にまたは部分的に溶着された継目で分離されている隣接構成で配置される、請求項3に記載の経口パウチ製品。
【請求項6】
壁構造は、外側透水性パウチ内部に包含された透水性バリアである、請求項2に記載の経口パウチ製品。
【請求項7】
第1の区画および第2の区画は、透水性バリアで分離されている積層構成に配置される、請求項6に記載の経口パウチ製品。
【請求項8】
第1の区画に隣接した、封止された外周を更に備え、壁構造の少なくとも一部は、封止された外周に対して離間されている、請求項2に記載の経口パウチ製品。
【請求項9】
壁構造は第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部および第2の端部は、封止された外周に近接している、請求項8に記載の経口パウチ製品。
【請求項10】
壁構造は、壁構造の全体が封止された外周に対して離間されるように、第2の区画の周辺を包囲している側部境界を形成する、請求項8に記載の経口パウチ製品。
【請求項11】
第2の区画は、第1の区画が第2の区画を包囲するように第1の区画内部に完全に包含される、請求項10に記載の経口パウチ製品。
【請求項12】
第1の区画および第2の区画のそれぞれの内部の組成物は、同一または異なる、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口パウチ製品。
【請求項13】
それぞれの区画内部の組成物が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように、第1の区画および第2の区画のそれぞれの内部の組成物は異なっている、請求項12に記載の経口パウチ製品。
【請求項14】
第1の区画内部の組成物と第2の区画内部の組成物は、異なる香料、異なる有効成分、または、異なる香料と異なる有効成分の両方を含有する、請求項13に記載の経口パウチ製品。
【請求項15】
第1の区画中の組成物および第2の区画中の組成物は、それぞれ、ニコチン成分、植物、栄養補助食品、刺激物、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物質、テルペンおよびこれらの組合せからなる群から選択される有効成分を含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口パウチ製品。
【請求項16】
第1の区画中の組成物および第2の区画中の組成物は、それぞれ、香料、塩、甘味料、結合剤、水、湿潤剤、緩衝剤および/またはpH調整剤、タバコ物質ならびにこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の添加剤を含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口パウチ製品。
【請求項17】
経口パウチ製品はタバコ物質を実質的に含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口パウチ製品。
【請求項18】
外側透水性パウチは、フリース素材および水分散性フィルム材のうちの1つ以上を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口パウチ製品。
【請求項19】
第1の区画および第2の区画は、外側透水性パウチ材中の完全に、または部分的に封止された継目で分離される、請求項18に記載の経口パウチ製品。
【請求項20】
外側透水性パウチは、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の経口パウチ製品。
【請求項21】
外側透水性パウチは、第1の区画と第2の区画を分離する、フリース素材の少なくとも1つの中間層を更に備える、請求項20に記載の経口パウチ製品。
【請求項22】
フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層は異なっている、請求項20に記載の経口パウチ製品。
【請求項23】
フリース素材の第2の層と比較した場合、フリース素材の第1の層は、異なる香料、異なる有効成分または、異なる香料と異なる有効成分の両方を含む、請求項22に記載の経口パウチ製品。
【請求項24】
フリース素材の第1の層は、フリース素材の第2の層と比較した場合、異なる気孔率、異なる透過率および異なる質感のうちの1つ以上を呈する、請求項22に記載の経口パウチ製品。
【請求項25】
フリース素材の第1の層、フリース素材の第2の層およびフリース素材の中間層は、その境界に沿って一緒に溶着され、経口パウチ製品の封止された外周を形成する、請求項21に記載の経口パウチ製品。
【請求項26】
フリース素材は、従来のセルロース繊維、綿繊維、ウール繊維、麻繊維、ポリマー/合成型繊維およびこれらの組合せからなる群から選択される繊維を含有する、請求項18に記載の経口パウチ製品。
【請求項27】
水分散性フィルム材は、フィルム形成多糖類、デンプン、加工デンプン、セルロース、変性セルロース、プルラン、ペクチン、アルギネート、ガムおよびこれらの組合せからなる群から選択されるフィルム形成材を備える、請求項18に記載の経口パウチ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトによる使用を意図している、香味付けされた製品に関する。この製品は、経口使用のために構成され、使用中に風味および/または有効成分などの物質を送達する。こうした製品は、タバコ、もしくはタバコから誘導された生成物を含んでもよく、またはタバコを含まない代替物であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」形態で楽しまれてもよい。特に広く普及している煙を出さないタバコ製品は、何らかの形態の加工タバコまたはタバコ包含配合物をユーザの口内へと挿入することで使用される。このように無煙タバコ製品の従来の形式としては、湿性嗅ぎタバコ、スヌース、および噛みタバコが挙げられる。これらは典型的には、ほぼ全体的に、粒子状タバコ、顆粒状タバコ、または裁刻タバコから形成されており、これは、ユーザによって分配、または使い捨てのパウチもしくは小袋などの個別のポーションでユーザに与えられるかのどちらかの形態をとる。旧来の煙を出さない製品の他の形態としては、固形の噛みタバコ、錠剤型のタバコ、またはペレット状のタバコなど、圧縮形態または凝集形態のものが挙げられる。タバコ包含ガム、および他の植物原料とタバコとの混合物などの代替製品形態もまた知られている。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Schwartzによる米国特許第1,376,586号明細書、Pittmanらによる米国特許第4,513,756号明細書、Sensabaugh,Jr.らによる米国特許第4,528,993号明細書、Storyらによる米国特許第4,624,269号明細書、Tibbettsによる米国特許第4,991,599号明細書、Townsendによる米国特許第4,987,907号明細書、Sprinkle,IIIによる米国特許第5,092,352号明細書、Whiteらによる米国特許第5,387,416号明細書、Williamsによる米国特許第6,668,839号明細書、Williamsによる米国特許第6,834,654号明細書、Atchleyらによる米国特許第6,953,040号明細書、Atchleyらによる米国特許第7,032,601号明細書、およびAtchleyらによる米国特許第7,694,686号明細書、Williamsによる米国特許出願公開第2004/0020503号明細書、Quinterらによる米国特許出願公開第2005/0115580号明細書、Stricklandらによる米国特許出願公開第2006/0191548号明細書、Holton,Jrらによる米国特許出願公開第2007/0062549号明細書、Holton,Jr.らによる米国特許出願公開第2007/0186941号明細書、Stricklandらによる米国特許出願公開第2007/0186942号明細書、Dubeらによる米国特許出願公開第2008/0029110号明細書、Robinsonらによる米国特許出願公開第2008/0029116号明細書、Robinsonらによる米国特許出願公開第2008/0173317号明細書、Neilsenらによる米国特許出願公開第2008/0209586号明細書、Essenらによる米国特許出願公開第2009/0065013号明細書、およびAtchleyによる米国特許出願公開第2010/0282267号明細書ならびにArnarpらによる国際公開第2004/095959号に記載される、煙を出さないタバコ配合物のタイプ、成分のタイプ、および加工方法論を参照されたい。
【0003】
タバコ物質と様々なバインダおよび充填剤とを組み合わせた煙を出さないタバコ製品構成は、近年、薬用キャンディ(lozenge)、トローチ(pastille)、ゲル、抽出された形態などを含む例示的な製品形態で提案されている。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Engstromらによる米国特許出願公開第2008/0196730号明細書、Crawfordらによる米国特許出願公開第2008/0305216号明細書、Kumarらによる米国特許出願公開第2009/0293889号明細書、Gaoらによる米国特許出願公開第2010/0291245号明細書、Muaらによる米国特許出願公開第2011/0139164号明細書、Cantrellらによる米国特許出願公開第2012/0037175号明細書、Huntらによる米国特許出願公開第2012/0055494号明細書、Cantrellらによる米国特許出願公開第2012/0138073号明細書、Cantrellらによる米国特許出願公開第2012/0138074号明細書、Holton,Jr.による米国特許出願公開第2013/0074855号明細書、Holton,Jr.による米国特許出願公開第2013/0074856号明細書、Muaらによる米国特許出願公開第2013/0152953号明細書、Jacksonらによる米国特許出願公開第2013/0274296号明細書、Moldoveanuらによる米国特許出願公開第2015/0068545号明細書、Marshallらによる米国特許出願公開第2015/0101627号明細書およびLampeらによる米国特許出願公開第2015/0230515号明細書に説明される製品のタイプを参照されたい。同様の形式でタバコを含まない経口製品もまた提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第1,376,586号明細書
【特許文献2】米国特許第4,513,756号明細書
【特許文献3】米国特許第4,528,993号明細書
【特許文献4】米国特許第4,624,269号明細書
【特許文献5】米国特許第4,991,599号明細書
【特許文献6】米国特許第4,987,907号明細書
【特許文献7】米国特許第5,092,352号明細書
【特許文献8】米国特許第5,387,416号明細書
【特許文献9】米国特許第6,668,839号明細書
【特許文献10】米国特許第6,834,654号明細書
【特許文献11】米国特許第6,953,040号明細書
【特許文献12】米国特許第7,032,601号明細書
【特許文献13】米国特許第7,694,686号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2010/0282267号明細書
【特許文献26】国際公開第2004/095959号
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有効成分を楽しめる形態で消費者に送達し得る、経口使用のために構成された製品を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一般には、オールホワイトスヌースポーションを含むがこれに限定されない経口製品を提供する。製品は、経口で使用したときに味を付与するように構成されてもよく、追加的または代替的には、消費者にニコチンなどの有効成分を送達してもよい。本開示の製品および方法は特に、それぞれ経口使用を意図されている組成物を個別に包含する、中に複数の区画(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれ以上の区画)を有する経口パウチ製品に関する。
【0007】
本開示の或る態様は、2つ以上の区画に分割された外側透水性パウチを有する経口パウチ製品を提供する。或る実施形態では、2つ以上の区画は、第1の区画と第2の区画を含んでもよい。例えば、或る特定の実施形態では、前記第1の区画と前記第2の区画のそれぞれは、外側透水性パウチを通して放出可能である水溶性成分を包含する組成物を包含してもよい。このような組成物は、典型的には、外側透水性パウチを通して放出可能である水溶性成分として、有効成分(例えば、ニコチン)および/または香料を含む。或る特定の実施形態では、第1の区画および第2の区画は、壁構造で分離されてもよい。例えば、壁構造は、それぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を防止する非多孔質バリアまたはそれぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を可能にする多孔質バリアのいずれかを提供してもよい。
【0008】
壁構造の構成および/または形態は、必要に応じて変えてもよい。或る実施形態では、例えば壁構造は、外側透水性パウチ内の完全にまたは部分的に溶着された継目の形態である。或る特定の実施形態では、例えば壁構造が組成物の区画内移動を可能にするときには、壁構造は穴の開いた継目形態であってもよい。加えて、外側透水性パウチ内部の2つ以上の区画の構成および/または配置は、必要に応じて変えてもよい。例えば、或る実施形態では、第1の区画および第2の区画は、隣接構成で配置される。他の実施形態では、第1の区画および第2の区画は、積層構成で配置される。こうした実施形態では、壁構造は、第1の区画および第2の区画を分離する透水性バリアであってもよい。更に他の実施形態では、経口パウチ製品は、第1の区画に隣接した封止された外周を含んでもよく、壁構造の少なくとも一部は、封止された外周に対して離間されている。こうした実施形態では、壁構造は第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部および第2の端部は、封止された外周に近接している。或る特定の実施形態では、壁構造は、その全体が封止された外周に対して離間されるように第2の区画の境界を包囲している側部境界を形成する。こうした実施形態では、第2の区画は、第1の区画が第2の区画を包囲するように、第1の区画内部に完全に包含される。
【0009】
典型的には、第1の区画および第2の区画のそれぞれの内部の組成物は、同一または異なるものとすることができる。有利には、本明細書で提供された複区画経口製品によって、異なる組成物をそれぞれ個別の区画に位置付けすることが可能となる。第1の区画および第2の区画のそれぞれの内部に異なる組成物を位置付けることで、それぞれの区画内部の組成物は、或る実施形態では、異なる機能的体験または感覚的体験を提供する。或る実施形態では、第1の区画内部の組成物と第2の区画内部の組成物は、異なる香料、異なる有効成分、または異なる香料と異なる有効成分の両方を包含する。或る実施形態では、第1の区画中の組成物および第2の区画中の組成物はそれぞれ、ニコチン成分、植物、栄養補助食品、刺激物、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物質、テルペンおよびこれらの組合せからなる群から選択される有効成分を包含する。或る実施形態では、第1の区画中の組成物および第2の区画中の組成物はそれぞれ、香料、塩、甘味料、結合剤、水、湿潤剤、緩衝剤および/またはpH調整剤、タバコ物質ならびにこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の添加剤を包含する。或る実施形態では、本明細書に記載の経口製品は、実質的にはタバコ物質を含まなくてもよい。
【0010】
典型的には、本明細書に記載の外側透水性パウチ材は、フリース素材および/または水分散性フィルム材を備えてもよい。或る実施形態では、本明細書に記載のフリース素材は、従来のセルロース繊維、綿繊維、ウール繊維、ポリマー/合成型繊維およびこれらの組合せからなる群から選択される繊維を含んでもよい。或る実施形態では、本明細書に記載の水分散性フィルム材は、フィルム形成多糖類、デンプン、加工デンプン、セルロース、変性セルロース、プルラン、ペクチン、アルギネート、ガムおよびこれらの組合せからなる群から選択されるフィルム形成材を含んでもよい。或る実施形態では、第1の区画および第2の区画は、外側透水性パウチ材中の完全におよび部分的に溶着された継目で分離される。或る特定の実施形態では、外側透水性パウチは、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層を備えてもよい。或るこうした実施形態では、例えば、外側透水性パウチは、第1の区画と第2の区画を分離するフリース素材の少なくとも1つの中間層を更に備えてもよい。こうした実施形態では、フリース素材の第1の層、フリース素材の第2の層およびフリース素材の中間層は、その境界に沿って一緒に溶着され、経口パウチ製品の封止された外周を形成する。
【0011】
或る特定の実施形態では、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層は、同一または異なっていてもよい。或る実施形態では、例えば、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層は、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように異なっていてもよい。例えば、1つ以上の実施形態では、フリース素材の第2の層と比較した場合、フリース素材の第1の層は異なる香料、異なる有効成分または異なる香料と異なる有効成分の両方を含んでもよい。他の実施形態では、フリース素材の第1の層は、フリース素材の第2の層と比較した場合、異なる気孔率、異なる透過率および異なる質感のうちの1つ以上を呈してもよい。
【0012】
本開示は以下の実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0013】
実施形態1:経口パウチ製品であって、第1の区画および第2の区画を含む2つ以上の区画に分割された外側透水性パウチを備え、前記第1の区画および前記第2の区画のそれぞれは、外側透水性パウチを通して放出可能な水溶性成分を包含する組成物を包含包含する、経口パウチ製品。
【0014】
実施形態2:第1の区画および第2の区画が壁構造で分離され、壁構造は、それぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を防止する非多孔質バリア、またはそれぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を可能にする多孔質バリアのいずれかを提供する、実施形態1に記載の経口パウチ製品。
【0015】
実施形態3:壁構造は、完全に、または部分的に溶着された継目の形態である、実施形態1~2のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0016】
実施形態4:部分的に溶着された継目は、穴の開いた継目の形態である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0017】
実施形態5:第1の区画および第2の区画は、隣接構成で配置される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0018】
実施形態6:壁構造は、外側透水性パウチ内部に包含された透水性バリアである、実施形態1~5に記載の経口パウチ製品。
【0019】
実施形態7:第1の区画および第2の区画は、透水性バリアで分離されている積層構成に配置される、実施形態6に記載の経口パウチ製品。
【0020】
実施形態8:第1の区画に隣接する封止された外周を更に備え、壁構造の少なくとも一部は封止された外周に対して離間される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0021】
実施形態9:壁構造は第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部および第2の端部は封止された外周に近接している、実施形態1~8のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0022】
実施形態10:壁構造は、その全体が封止された外周に対して離間されるように第2の区画の周辺を包囲している側部境界を形成する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0023】
実施形態11:第2の区画は、第1の区画が第2の区画を包囲するように第1の区画内部に完全に包含される、実施形態1~10のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0024】
実施形態12:第1の区画および第2の区画のそれぞれの内部の組成物は、同一または異なる、実施形態1~11のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0025】
実施形態13:それぞれの区画内部の組成物が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように、第1の区画および第2の区画のそれぞれの内部の組成物は異なっている、実施形態1~12のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0026】
実施形態14:第1の区画内部の組成物と第2の区画内部の組成物は、異なる香料、異なる有効成分、または異なる香料と異なる有効成分の両方を包含する、実施形態1~13のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0027】
実施形態15:第1の区画中の組成物および第2の区画中の組成物はそれぞれ、ニコチン成分、植物、栄養補助食品、刺激物、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物質、テルペンおよびこれらの組合せからなる群から選択される有効成分を包含する、実施形態1~14のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0028】
実施形態16:第1の区画中の組成物および第2の区画中の組成物はそれぞれ、香料、塩、甘味料、結合剤、水、湿潤剤、緩衝剤および/またはpH調整剤、タバコ物質ならびにこれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の添加剤を包含する、実施形態1~15のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0029】
実施形態17:経口パウチ製品はタバコ物質を実質的に含まない、実施形態1~16のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0030】
実施形態18:外側透水性パウチは、フリース素材および水分散性フィルム材のうちの1つ以上を備える、実施形態1~17のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0031】
実施形態19:第1の区画および第2の区画は、外側透水性パウチ中の完全におよび部分的に溶着された継目で分離される、実施形態18に記載の経口パウチ製品。
【0032】
実施形態20:外側透水性パウチは、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層を備える、実施形態1~19のいずれか1つに記載の経口パウチ製品。
【0033】
実施形態21:多孔質パウチは、2つ以上の区画を分離する、フリース素材の少なくとも1つの中間層を更に備える、実施形態20に記載の経口パウチ製品。
【0034】
実施形態22:フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層は、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように異なっている、実施形態20に記載の経口パウチ製品。
【0035】
実施形態23:フリース素材の第2の層と比較した場合、フリース素材の第1の層は異なる香料、異なる有効成分または異なる香料と異なる有効成分の両方を含む、実施形態22に記載の経口パウチ製品。
【0036】
実施形態24:フリース素材の第1の層は、フリース素材の第2の層と比較した場合、異なる気孔率、異なる透過率および異なる質感のうちの1つ以上を呈する、実施形態22に記載の経口パウチ製品。
【0037】
実施形態25:フリース素材の第1の層、フリース素材の第2の層およびフリース素材の中間層は、その境界に沿って一緒に溶着され、多孔質パウチの外側継目を形成する、実施形態21に記載の経口パウチ製品。
【0038】
実施形態26:フリース素材は、従来のセルロース繊維、綿繊維、ウール繊維、ポリマー/合成型繊維およびこれらの組合せからなる群から選択される繊維を包含する、実施形態18に記載の経口パウチ製品。
【0039】
実施形態27:水分散性フィルム材は、フィルム形成多糖類、デンプン、加工デンプン、セルロース、変性セルロース、プルラン、ペクチン、アルギネート、ガムおよびこれらの組合せからなる群から選択されるフィルム形成材を備える、実施形態18に記載の経口パウチ製品。
【0040】
本開示の前述の特徴、態様、および利点、ならびに本開示の他の特徴、態様、および利点は、以下に簡潔に記載されている添付の図面とともに以下の詳述された説明を読むことで明らかになるであろう。本発明は、前述の特徴または要素が本明細書における特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられるかどうかにかかわらず、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の上述の実施形態の任意の組合せ、および本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の特徴または要素の組合せを含む。様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、開示された本発明の分離可能な任意の特徴または要素は、文脈上特に明確に規定しない限り、組み合わせ可能であることが意図されていると見なされるべきであるように、本開示は全体的に読まれることが意図されている。
【0041】
このように、前述の一般的な用語で本開示の態様を説明してきたが、ここに添付の図面を参照する。ただし、これは必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。図面は例示的なものに過ぎず、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1A】本開示の例示的な実施形態による、第1の区画と第2の区画に分割された外側透水性パウチを含み、第1の区画および第2の区画が壁構造で分離されている、経口パウチ製品の二次元図である。
【
図1B】本開示の例示的な実施形態による、軸線A-Aに対して垂直であると見なされるときの、
図1Aに提供されている経口パウチ製品の二次元側面断面図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、垂直に隣接する構成で配置された第1の区画および第2の区画を含む経口パウチ製品の二次元図である。
【
図3A】本開示の例示的な実施形態による、第1の区画の方向で見たときに、その第1の区画を示す経口パウチ製品の側面図である。
【
図3B】本開示の例示的な実施形態による、第2の区画の方向で見たときに、第2の区画を示す経口パウチ製品の側面図である。
【
図3C】本開示の例示的な実施形態による、軸線B-Bに対して垂直であると見なされるときの、
図3Aおよび
図3Bに提供されている経口パウチ製品の二次元側面図である。
【
図4A】本開示の例示的な実施形態による、略長方形形状にて外側の区画で包囲されている、略楕円形状の内側の区画を有し、内側の区画が外側の区画内部に完全に包含されている、経口パウチ製品の二次元図である。
【
図4B】本開示の例示的な実施形態による、実質的に三日月形状にて外側の区画で包囲されている、実質的に楕円形状の内側の区画を有し、内側の区画が外側の区画内部に完全に包含されている、経口パウチ製品の二次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで本開示は、それらの例示的な実施形態に言及した上で、以下で更に十分に説明される。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように、なおかつ当業者に本開示の範囲を十分に伝えるために説明されている。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上特に明確に規定しない限り、複数の指示対象を含む。「乾燥重量パーセント」または「乾燥重量基準」への言及は、乾燥成分(すなわち、水を除いた全成分)に基づく重量を指す。「湿潤重量」への言及は、水を含む混合物の重量を指す。特段指示しない限り、混合物の「重量パーセント」は、混合物の総湿潤重量(すなわち、水を含む)を反映したものである。
【0044】
本開示は、経口使用のために構成された組成物、特にこうした組成物を含む複区画経口パウチ製品を提供する。例えば、本開示の或る態様は、2つ以上の区画(例えば、少なくとも2つの区画、少なくとも3つの区画、少なくとも4つの区画、またはそれ以上)に分割された外側透水性パウチを備える経口パウチ製品を提供する。或る実施形態では、複区画経口製品は、区画のそれぞれの内部での経口使用のために構成された組成物を含んでもよい。例えば、それぞれの区画は、本明細書に記載の、外側透水性パウチを通して放出可能な水溶性成分を含み得る経口使用のために構成された組成物を備えてもよい。
【0045】
一般には、本明細書に記載の複区画経口製品内部の区画の構成および/または配置は、こうした製品のユーザに提供される機能的体験または感覚的体験を効果的に制御するように、かつ/またはこうした複区画パウチ製品の官能特性(例えば、質感、口当たりおよび/もしくはそこからの成分の放出プロファイル)を制御するように変えてもよい。或る実施形態では、本明細書に記載の製品は、「原料」(例えば、1種以上の有効成分および1種以上の追加成分を包含する組成物)とも称される組成物/混合物を包囲する外側透水性パウチ材を備えてもよく、こうしたパウチ製品は、製品がユーザの口腔と接触したときに、原料内部の1種以上の成分の制御放出を提供するように構成されてもよい。
【0046】
本開示は、一般には、経口使用のために構成されているパウチ製品を提供する。本明細書で使用される場合、「経口使用のために構成された」という用語は、使用中、ユーザ口内の唾液によって混合物の成分のうちの1つ以上(例えば、香料、植物、有効成分および/またはニコチン)がユーザの口内へと送られるような形態で製品が提供されることを意味する。或る特定の実施形態では、製品は、ユーザ口内の粘膜を通してユーザに成分を送達するように構成されており、場合によっては、前記成分は、製品が使用されるときに口内の粘膜を通って吸収されることができる有効成分(例えばニコチンを含むが、これに限定されない)である。
【0047】
特に、本開示は、透湿性容器(例えば、透水性パウチ)内部に配置されている、原料(一般には、1種以上の成分の混合物)の形態で製品を提供する。本明細書で述べられるように、或る実施形態では、透湿性容器は、2つ以上の区画に小分けされてもよく、それぞれの区画は、中に包含された原料の別個の充填量を有する。透水性パウチ形式のこうした混合物は、典型的には、被験者/ユーザ口内に混合物を包含するパウチを置くことにより使用される。一般には、パウチは、湿性嗅ぎタバコ製品が一般的に使用される場合と同様に、例えば唇の下部など、ユーザの口腔内のどこかに置かれる。パウチは、一般には、咀嚼または嚥下されない。続いて、唾液に曝すことにより、中の混合物の成分のうち一部(例えば、香料および/またはニコチン)が例えば透水性パウチを通り抜けるようになり、ユーザに風味と満足感を提供する。ユーザは、混合物の一部を吐き出す必要は一切ない。製品を使用/満喫した約10分~約60分後、典型的には約15分~約45分後に、相当量の混合物は被験者の口腔粘膜を通って吸収され、廃棄のためにパウチは消費者の口から取り除かれ得る。代表的な透湿性パウチは、本明細書で更に述べられるように、或る実施形態では、本開示の「フリース」種の材料から構成されることができる。配向、サイズならびにパウチ材の種類、ならびに中に包含された原料の種類および性質は、それを限定するものとして解釈されてない。
【0048】
本開示の或る特定の実施形態は、添付の図面を参照して記載され、記載されたこれらの実施形態は、外側透水性パウチおよび外側透水性パウチを通して放出可能な水溶性成分を包含する組成物を有する経口パウチ製品を含む(以下で本明細書にて参照される)。以下により詳細に説明されるように、かかる実施形態は例としてのみ提供される。特に、示されている外側透水性パウチのサイズおよび形状は、本明細書にて詳細に説明されるように変えることができる。外側透水性パウチ内部の2つ以上の区画の構成および/または配置など、こうした小袋またはパウチの混合物/構成および様々な組成物の中への包含は、変えてもよい。
【0049】
複区画経口製品
本開示の或る態様は、複区画パウチ(例えば、外側透水性パウチ内部に包含された2つ以上の区画を有する)形態である経口パウチ製品を提供する。或る実施形態では、本開示は、2つ以上の区画に分割された外側透水性パウチを備え、前記区画のそれぞれが、外側透水性パウチを通して放出可能な水溶性成分を含有する組成物を包含する経口パウチ製品を提供する。或る実施形態では、本明細書に記載の複区画パウチ製品は、第1の区画および第2の区画を備えてもよい。ただし、このような構成は、限定を意図したものではなく、本開示の複区画経口パウチ製品は、1つ以上の更なる区画(例えば、第3の区画、第4の区画など)を含んでもよい。
【0050】
一般には、本明細書に記載の複区画経口パウチ製品内部の区画の構成および/または配置は、変えてもよい。或る実施形態、例えば
図1Aに示される実施形態では、経口パウチ製品100は、第1の区画104および第2の区画106に分割された外側透水性パウチ102を備えてもよい。こうした実施形態では、前記第1の区画および前記第2の区画のそれぞれは、本明細書に記載の経口使用のために構成された組成物を包含してもよい。
図1Aに示されるように、或る実施形態では、第1の区画104および第2の区画は、壁構造108で分離される。典型的には、壁構造は、2つの区画間に(例えば、それぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を防止する)非多孔質バリアまたは(例えば、それぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を可能にする)多孔質バリアのいずれかを提供してもよい。他の実施形態では、外側透水性パウチは、中に3つ以上の区画を有する経口パウチ製品を提供するために、1つ以上の更なる壁構造を備えてもよい。例えば、或る実施形態では、外側透水性パウチは、第1の区画と第2の区画を分離する第1の壁構造と、第2の区画と第3の区画を分離する第2の壁構造などを備えてもよい。
【0051】
第1の区画と第2の区画および/または任意の他の区画とを分離する壁構造の構成は変えてもよい。例えば、壁構造は、外側透水性パウチ中に(例えば、非多孔質バリアを提供する)完全に溶着された継目または(例えば、多孔質バリアを提供する)部分的に溶着された継目の形態で提供されてもよい。或る実施形態では、完全に溶着された継目は、区画間に非多孔質または実質的に不透過性バリアを作成するのに十分な加熱によって、またはパウチ材を封止する任意の他の方法によって封止された、外側透水性パウチの継目を指してもよい。或る実施形態では、部分的に溶着された継目は、加熱によって穴の開いた、または部分的に封止された継目を指してもよい。一般には、部分的に溶着された継目は、別の区画に対する、区画内部に包含された組成物の区画内移動を少なくともある程度可能にする任意の継目を指してもよい。例えば、或る実施形態では、多孔質継目は、ユーザによって使用中に複区画パウチに適用される、例えば機械的力、咀嚼などにより促進されたこうした混合といった、使用中に個別の区画内部に包含された組成物の混合を可能にするため、2つ以上の区画間に提供されてもよい。
図1Aに示されるように、外側透水性パウチ102はまた、例えば封止された外周110を形成するなど、その外周に沿って封止されてもよい。パウチ102の外周での封止は、全体的には、例えばパウチの外周を熱封止することから得られる、溶着された継目で形成されることができる。他の実施形態では、封止された外周110は、パウチ102がパウチ材の折り畳みによって形成される場合など、パウチ材の前縁および端縁のみがパウチを封止するためにともに溶着することを必要とするように、溶着された継目で部分的にのみ画定される。
【0052】
図1Bは、
図1Aに提供された軸線A-Aに対して垂直であると見なされるときの、
図1Aに設けられているパウチ製品の側面断面図を提供する。軸線A-Aは、明瞭さを目的に両方の図面に示されている。
図1Bに示されるように、側面から見ると、第1の区画104は、外側透水性パウチ102中の壁構造または継目108で第2の区画106と分離されてもよい。「壁構造」および「内部壁構造」といった用語は、本明細書で使用されるように互換的であることを意図しており、一般には、本明細書に記載の複区画パウチ製品の第1の区画と第2の区画を分離する物理的構造および/または継目を指す。加えて、複区画経口パウチ製品の縁(例えば、或る実施形態では外側透水性パウチの前縁および端縁、または他の実施形態では外側透水性パウチの外周全体)は、封止された外周110によって形成される。上述のように、パウチ製品の内部壁構造または継目108は、完全に溶着された継目または部分的に溶着された継目の形態であり、それぞれ、例えば2つの区画間に非多孔質バリアまたは多孔質バリアのいずれかを提供してもよい。示されるように、内部壁構造108は、その全体が封止された外周110に対して離間されるように第2の区画106の境界を包囲している側部境界を形成する。
【0053】
上述のように、本開示は、複区画パウチの様々な構成を提供する。例えば、
図2は、隣接構成を有する複区画パウチの一実施形態を示す。
図2に示された実施形態では、経口パウチ製品200は、内側継目/壁構造206で分離されている第1の区画202および第2の区画204を備える。経口パウチ製品200はまた、封止された外周208を含む。
図2は、内部壁構造206の一部のみが封止された外周208から離間されている複区画パウチの一例を提供する。例えば、示された実施形態では、内部壁構造206は第1の端部210および第2の端部212を有し、両方の端部が封止された外周208に近接している。
【0054】
本開示の1つ以上の実施形態では、積層構成を有する複区画経口パウチ製品が提供される(例えば、2つ以上の区画は、互いの頂部の上に積層されている)。こうした実施形態では、経口パウチ製品は、第1の区画と第2の区画を分離する内部壁および任意の更なる区画を備えてもよい。3つ以上の区画を有する実施形態では、経口パウチ製品は、個別の区画を分離する複数の内部壁、例えば第1の区画と第2の区画を分離する第1の内部壁および第2の区画と第3の区画を分離する第2の内部壁などを備えてもよい。或る実施形態では、1つ以上の内部壁は、例えばそれぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を可能にするため、透水性バリアの形態であってもよい。他の実施形態では、内部壁は、例えばそれぞれの区画内部に包含された組成物の区画内移動を防止にするため、非透水性バリアの形態であってもよい。
【0055】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、例えば、積層構成を有する経口パウチ製品300の実施形態を示す。
図3Aは、第1の区画302を示す経口パウチ製品300の側面図(例えば、第1の区画の方向で見たとき)を示し、
図3Bは、第2の区画304(例えば、第2の区画の方向で見たとき)を示す経口パウチ製品300の対向する側の側面図を示す。第1の区画302および第2の区画304は、互いに隣接して配置され、間の内部壁で分離されることができる別個の異なる層として、
図3Aおよび
図3Bに示されている。例えば、
図3Cは、第1の区画層302および第2の区画層304を分離する内部壁構造306の位置を示す、軸線B-Bに垂直な
図3Aおよび
図3Bの経口パウチ製品300の図を示す。内部壁構造306は、透水性パウチ材として使用するための本明細書に記載の材料のいずれかなど、フリース素材の更なる層で構成されることができる。
【0056】
内部壁構造306は、例えば、以下により完全に説明されるように、経口パウチ製品300の外側を形成するパウチ材に固定されることができる。例えば、経口パウチ製品300は、フリース素材の第1の層302aおよびフリース素材の第2の層304aから形成されてもよい。
図3Cに示されるように、外側透水性パウチ300は、フリース素材の中間層から形成された内部壁構造306を更に備える。典型的には、フリース素材の第1の層302a、フリース素材の第2の層304aおよび内部壁構造306(すなわち、フリース素材の中間層)は、その境界に沿って一緒に溶着され、第1の区画内部に第1の組成物および第2の区画内部に第2の組成物の両方を包含する複区画経口パウチ製品の封止された外周を形成する。
【0057】
製品全体およびそれぞれの個別の区画の外側形状および寸法は、本発明から逸脱しない限り変えることができる。それぞれの区画は、異なる形状および寸法を有することができる。
図4Aおよび
図4Bは、それぞれの区画の外周が異なる形状を有している、外側区画に包囲された内部区画を有する複区画経口製品の2つの別個の形状構成を示す。特に、
図4Aおよび
図4Bに示されている実施形態は、内部区画を包囲している点線で示されるように、外側区画で完全に包囲されている内部区画を有する複区画パウチの図を提供することを意図されている。
図4Aおよび
図4Bは、第1の外側区画404と第2の内側区画406に分割された外側透水性パウチ402を備える経口パウチ製品400を示す。或る実施形態では、複区画経口パウチ製品は、第1の外側区画404に隣接した封止された外周408および第1の外側区画404と第2の内側区画406とを分離する内部壁構造410を更に備えてもよい。内部壁構造410は、その全体が封止された外周408に対して離間されるように第2の内側区画406の周辺を包囲している側部境界を形成する。
【0058】
パウチおよび/またはパウチ内部に提供された区画の精密な形状は、特に限定されない。或る特定の実施形態では、本明細書で提供された成形パウチは、少なくとも1つの丸みをおびた寸法/縁を備える。例えば、正方形、矩形、円形、楕円形、長円形、三日月形、丸みをおびた三日月形、半月形、半円形、涙滴形、星形、ドーム形、菱形、丸みをおびた菱形、ダイヤモンド形、丸みをおびたダイヤモンド形、腎臓形、ハート形、三角形、丸みをおびた三角形(例えば、二等辺三角形、正三角形、不等辺三角形、鋭角三角形、直角三角形および鈍角三角形を含む)、六角形、丸みをおびた六角形(等しい長さの稜を有する六角形および異なる長さの稜を有する六角形を含む)などとして、様々な形状が説明されることができる。
【0059】
パウチの寸法全体およびそれぞれの区画の寸法は変えることができる。典型的には、本開示の経口製品は、0.1~約60mmの範囲で3つの寸法すべて(長さ、幅および深さ)を有する。本開示の経口製品の個別の区画の寸法もまた変えることができる。或る特定の実施形態では、それぞれの区画の容積は、経口製品の内側容積全体の割合として表すことができる。例えば、或る特定の実施形態では、それぞれの区画はそれぞれ、(区画の数にかかわらず)経口製品の総容積の1%~99%を備える。或る特定の実施形態では、それぞれの区画は、約25%~約75%、または約30%~約60%など、経口製品の総容積の20%~80%を具備する。
【0060】
パウチ材
本開示の或る実施形態では、その中に提供された2つ以上の区画を含む外側透水性パウチ材は、フリース素材から形成されてもよい。例えば、フリース素材は、複数の繊維を含有する織布または不織布の形態など、フリース生地の形態であってもよい。他の実施形態では、外側透水性パウチはともに溶着された複数のフリース素材を具備してもよい。こうした実施形態では、製品は、例えば典型的には従来のパウチ製品などに提供されていたように、フリース素材がそれぞれの区画内部に原料を包含する複区画パウチの形態である、一体化構造を備えてもよい。本明細書で称される「フリース素材」は、複数の繊維を含有する織布または不織布の形態など、フリース生地の形態であってもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、「繊維」といった用語は、織物の基本要素として定義されている。繊維は多くの場合、ロープ状またはひも状の要素の形態である。本明細書で使用される場合、「繊維」といった用語は、繊維、フィラメント、連続フィラメント、ステープル繊維などを含むことが意図されている。或る実施形態では、本明細書に記載のフリース素材は、複合繊維を含有してもよい。「複合繊維」といった用語は、物理的性質または化学的性質が異なる2つ以上の成分を含む繊維であり、二成分繊維を含む。詳細には、「複合化繊維」といった用語は、ドメインが分散され、不揃いになり、または非構造化される傾向があるブレンドとは対照的に、繊維内に個別の構造化ドメインで存在する2種以上のポリマーから調製された、ステープル繊維および連続繊維を含む。
【0062】
「不織布」といった用語は、繊維が不明確またはランダムな配向で整列されている繊維状材料、ウェブ、マット、バットまたはシートに関して本明細書で使用されている。不織繊維は、最初は未結合繊維またはフィラメントとして与えられる。不織布製造時の重要な工程は、様々な繊維またはフィラメントをともに結合することを含む。繊維またはフィラメントが結合される方式は変えることができ、これは、以下でより詳細に論じすように、最終製品の所望の特性に基づいて部分的に選択される熱技術、機械技術および化学技術を含む。
【0063】
或る実施形態では、本開示のフリース素材は、在来のフリース生地またはその他の在来のパウチ材に形成することが可能である様々な種類の繊維(例えば、従来のセルロース繊維(例えば、ビスコース繊維、再生セルロース繊維、セルロース繊維および木材パルプ)、綿繊維、ウール繊維、麻繊維、他の天然繊維、ポリマー/合成型繊維ならびにこれらの組合せ)から形成されてもよい。例えば、フリース素材は織布または不織布の形態で提供されてもよい。例えば、好適な種類のフリース素材は、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Sebastianらによる米国特許第8,931,493号明細書、Sebastianらによる米国特許出願公開第2016/0000140号明細書、Sebastianらによる米国特許出願公開第2016/0073689号明細書に説明されている。或る実施形態では、フリース素材内部の繊維としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシナート、ポリブチレンサクシナートアジパート、およびこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーが挙げられてもよいが、これらに限定されない。或る実施形態では、フリース素材内部の繊維は、セルロース繊維、ビスコース繊維、再生セルロース繊維、他の木質繊維、麻繊維などからなる群から選択されてもよい。様々な実施形態では、フリース素材内部の繊維は、ポリエステル繊維を含有することができる。当該技術分野で知られているように、ポリエステルは、主鎖中にエステル官能基を含有するポリマーのカテゴリである。ポリエステルは、天然に存在するポリマー(例えば、植物のクチクラのクチン)および合成して生成されたポリマー(例えば、ポリブチレート)を含む。本開示のパウチ内部に繊維形態で組み込まれることができる或る特定の例示的なポリエステルは、クチン、ポリブチレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリグリコリド、ポリ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシブチレートならびにそれらのコポリマーおよび誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。天然ポリエステルおよび或る特定の合成ポリエステルは、生分解性である。したがって、本明細書に記載のパウチ材中の或る特定のポリエステル繊維を使用することで、パウチ製品の生分解性を高めることができる。
【0064】
天然繊維および合成繊維向けの不織布形成方法は、ドライレイド法、エアレイド法およびウェットレイド法を含んでもよい。或る実施形態では、不織布は、スパンボンドプロセスおよびメルトブロープロセスの両方を含む、スパンレイドプロセスまたはスパンメルトプロセスを使用して形成されることができる。これらのプロセスは、典型的には、熱可塑性ポリマー物質を溶融、押出、収集および結合して繊維状不織布ウェブを形成することを含むと理解される。メルトブロー法は当該技術分野で知られており、例えば本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Butinによる米国特許第3,849,241号明細書、Buntinらによる米国特許第3,987,185号明細書、Buntinによる米国特許第3,972,759号明細書、およびMcAmishらによる米国特許第4,622,259号明細書といった様々な特許にて論じられている。一般的なスパンボンドプロセスは例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれらの内容全体を援用される、Appelらによる米国特許第4,340,563号明細書、Dorschnerらによる米国特許第3,692,618号明細書、Matsukiによる米国特許第3,802,817号明細書、Kinneyによる米国特許第3,338,992号および米国特許第3,341,394号明細書、Hartmannによる米国特許第3,502,763号明細書、ならびにDoboらによる米国特許第30 3,542,615号明細書に説明されている。
【0065】
フリース素材に使用される繊維の配置および/または構成は変えることができ、円形、矩形、正方形、楕円形、三角形および多数の突出部を有するものを含むがこれらに限定されない、任意の種類の断面を有する繊維を含むことができる。或る実施形態では、繊維は、例えば円形、矩形、正方形、楕円形、三角形または多数突出した形の断面を有することができる、1つ以上の空隙を有することができる。既に言及したように、繊維は、単一成分の繊維(すなわち、繊維全体にわたり組成が均一)、または、シース/コア構造を有する繊維、および海島構造を有する繊維、ならびにサイドバイサイド型の断面、セグメントパイ型の断面、セグメントクロス型の断面、セグメントリボン型の断面、または先端が多数突出した断面を有する繊維が含まれるが、これらに限定されない複合体繊維タイプから選択されることができる。
【0066】
或る実施形態では、本明細書に記載の複区画パウチを形成するために使用されたフリース素材の種類は、そのユーザに特定の機能的体験または感覚的体験を提供するように変えてもよい。或る実施形態では、例えば、2つ以上の異なる種類のフリース素材が、本開示に従って複区画パウチを形成するのに使用されてもよい。こうした実施形態では、個別のフリース素材は、1つ以上の異なる物理特性(例えば、質感、坪量、気孔率、透過率など)を有してもよく、かつ/または使用中に製品に異なる機能的特性または感覚的特性を与える、中に含有された1種以上の添加剤(例えば、香料、有効成分もしくは他の添加剤)を含んでもよい。本開示での使用に好適なフリース素材は、パウチの個別の区画内部に包含された組成物に関して、本明細書に記載の任意の有効成分および/または香料および/または他の添加剤を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のフリース素材は、例えば、ユーザの口腔と接触したとき、または或る特定の最小の機械的力がユーザによって製品に加えられたとき、すなわち、例えば、口腔内で製品を咀嚼または機能したときなどの或る特定の刺激に応答してそこから放出可能である、1種以上の添加剤を中に含んでもよい。前記フリース素材に包含された添加剤は、吸収、吸着、それ以外の場合にはフリース素材の多孔質構造内部に直接流入/埋め込まれた状態となるように構成されることができる。このようにして、放出可能な添加剤は、所望のレベルの安定性で保持されてもよく、かつ/または使用中にフリース素材の天然多孔質構造からの制御放出のために構成されてもよい。更には、中に添加剤を包含する或る特定のフリース素材は、味覚、口当たり、湿気、冷感/温感および/または芳香など、製品の1つ以上の感覚的特性を高めるために構成されてもよい。
【0067】
本明細書に記載のフリース素材は様々な厚さ、気孔率および他のパラメータを有することができる。フリース素材から形成されたパウチ製品の繊維配向および気孔率により、外側透水性パウチ内部に封入される経口使用に適合された組成物を保持することが可能であるが、これにより組成物の風味を消費者が満喫することが可能でもあるように、フリース素材は形成されることができる。例えば、或る実施形態では、フリース素材は約20gsm~約35gsmの坪量、または或るこうした実施形態では、約25gsm~約30gsmの坪量を有することができる。或る特定の実施形態では、フリース素材は約28gsmの坪量を有することができる。或る実施形態では、フリース素材は比較的高い坪量を有することができる。例えば、フリース素材の坪量は、約25~40gsm、約30~40gsm、または約35~40gsmの範囲とすることができる。或る特定の実施形態では、フリース素材の坪量は、約25gsm以上、約30gsm以上、または約35gsm以上とすることができる。例えば、ASTM D3776/D3776M-09a(2013)(布の単位面積(重量)あたりの質量についての標準試験法)を使用して、布の坪量は測定されることができる。
【0068】
様々な実施形態では、フリース素材は約0.1mm~約0.15mm(例えば、約0.11mm)の厚さを有することができる。フリース素材は、約70%~約80%、例えば78%などの伸びを有することができる。或る実施形態では、フリース素材は、約4lbs~約8lbs、例えば約5.5lbsなどの最大荷重を有することができる。例えば、ASTM D5034-09(2013)(布織物の破断強度および伸びについての標準試験法(グラブテスト))を使用して、布織物の伸びおよび破断強度は測定されることができる。様々な実施形態では、フリース素材は、約35~約40、例えば約37などの引張エネルギー吸収度(Tensile Energy Absorption、TEA)を有することができる。或る特定の実施形態では、フリース素材は、約10,000ml/分/cm2よりも大きい気孔率を有することができる。TEAは、例えば、試験片の側面積あたりの引張荷重下で試験片を破断するために行われる仕事として測定されることができる。例えば、ASTM D737-04(2012)(布織物の通気率についての標準試験法)を使用して、気孔率、すなわち布織物の通気率が測定されることができる。
【0069】
上述のように、フリース素材の物理特性(例えば、質感、坪量、気孔率、透過率など)を変化させることで、本明細書に記載の製品の機能的特性または感覚的特性に影響を及ぼしてもよい。例えば、フリース素材の坪量を制御することで、フリース素材の厚さおよび/または密度もまた影響を受けてもよく、または変えてもよい。本開示によるフリース素材は、「坪量」、「密度」および/または「厚さ」に関して本明細書で画定されてもよい。こうした用語は、一般的には織物および不織布材料の製造の文脈における典型的な意味に従って理解されることを意味する。こうしたパラメータの様々な組合せは、フリース素材およびそこから製造された経口製品に様々な官能特性および/または分解プロファイルを与えるために変えてもよい。例えば、高坪量および/または厚みの大きさを有するフリース素材の使用によって、低坪量を有するフリース素材と比較した場合、耐久性(例えば、ユーザの口内で咀嚼または機能するときに一体に保持する能力)を増大させてもよい。加えて、或る特定の坪量を有するフリース素材を選択することで、例えば柔軟性または剛性の増大または減少など或る特定のテクスチャ特性を提供することができる。同様に、或る特定のフリース素材の気孔率および/または通気率を変えることで、パウチ中の組成物および/またはフリース素材中の1種以上の添加剤の分解および/または放出プロファイルに影響を及ぼすことができる。
【0070】
パウチ材の他の例は、水分散性フィルム形成材(例えば、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、プルランなどの結合剤)、および粉砕セルロース(例えば、微粒子径の木材パルプ)などの材料と組み合わせられた前述の材料を使用して製造されてもよい。こうした水分散性フィルムの成分は変えることができる。典型的には、本明細書に記載の水分散性フィルムは、様々なフィルム形成材を備える。例示的なフィルム形成材は、例えばフィルム形成多糖類、デンプン、変性コーンスターチ、変性セルロース、プルラン、ペクチン、アルギネート(例えば、架橋アルギネートを含む)、ガムおよび他のフィルム形成剤(例えば、天然フィルム形成剤)を含むことができる。或る特定の実施形態では、本明細書に記載の水分散性フィルムは、特にバインダ成分および可塑剤成分を含んでもよい。
【0071】
バインダの成分として利用されることができる変性セルロースの或る特定の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethyl cellulose、HPMC)、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。或る実施形態では、2つ以上のHPMCが利用される。HPMCは、例えば、粘度、粒子特性、ポリマー分子量によって、ならびにメトキシ基の平均含有量およびヒドロキシプロピル基の平均含有量によって、ならびに置換パターンによって変えることができる。開示された製品に好適に利用されることができるHPMCバインダは、特に限定されない。様々な種類のHPMCは、例えばJRS Pharma(例えば、Vivapharm(R)HPMC、例えばグレードE5)、Dow(例えば、Methocel(TM)、例えばグレードK99)、Lotte Fine Chemical(例えば、AnyAddy(R)HPMC)および本開示にも包含されているその他のものが利用可能である。
【0072】
変性コーンスターチは、例えば化学加工デンプン(例えば、OSAデンプン)および酸加工デンプンを含むことができる。利用されることができる変性コーンスターチの或る特定例としては、例えば焙焼されたコーンスターチ、酸処理されたコーンスターチ、電気デンプンで処理されたコーンスターチまたは水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムで処理されたコーンスターチなど、その稠度を改善するために処理されたコーンスターチが挙げられるが、これらに限定されない。特に、乾燥時にフィルムを形成するコーンスターチは、本開示によるバインダとして適用可能である。加工デンプンは、或る実施形態では、所望の機械特性、触覚特性および/または感覚的特性(例えば、可撓性、低粘着性、ニュートラルな感覚的特性)を与えるために選択されることができる。他の実施形態では、これらの特性は、組成物の他の成分で変性されることができる。本開示による、利用されることができる或る特定のデンプンは、Grain Processing Corporationから入手可能であり、デンプンを水和させるため、熱なしで透明で可撓性のあるフィルムを製造するために設計された酸加水分解デンプンである、Pure Cote(R)B792である。
【0073】
或る特定の実施形態では、バインダは、ガム、例えば天然ガムを含む。本明細書で使用される場合、天然ガムは、結合特性を有し、増粘剤またはゲル化剤としても有用である天然起源の多糖類原料を指す。典型的には、ある程度水溶性である植物由来の代表的な天然ガムとしては、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガムガッチ、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ゲランガム、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0074】
可塑剤は、典型的には、中での柔軟性および/または可撓性を促進させるために水分散性フィルムへと組み込まれる。理論によって限定されるものではないが、可塑剤はフィルム内部での水和を促進させるように作用することができると考えられる。好適な可塑剤の例としては、有機非ポリマー材料が挙げられるが、これに限定されない。或る特定の非限定的な可塑剤は、モノステアリン酸グリセリン、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの組合せを含む。様々な実施形態では、可塑剤は、グリセリン、プロピレングリコールおよびこれらの組合せからなる群から選択される。
【0075】
水分散性または水溶性による好ましいパウチ材は、標準的な使用条件下で、パウチ材がその物理的一体性を失う時間よりも前に組成物包含量の大部分がパウチ材を通して透過するように設計および製造されてもよい。
【0076】
上述のように、本開示の或る態様は、フリース素材および/または水分散性フィルム材から形成されてもよい外側透水性パウチを備える複区画経口パウチ製品を提供する。或る実施形態では、例えば、外側透水性パウチは、第1の区画および第2の区画を提供するために2つ以上の区画へと小分けにされてもよい。こうした実施形態では、2つ以上の区画は、外側透水性パウチ内部の壁構造で分離されてもよい。例えば、或る実施形態では、壁構造は、フリース素材中の完全に溶着された継目もしくは部分的に溶着された継目、ならびに/または水分散性フィルム材中の完全にもしくは部分的に封止された継目の形態であってもよい。本明細書で述べられるように、外側透水性パウチ材中の内側継目は、当該技術分野で一般的に知られている任意の方法(例えば、熱封止、機械穿孔、真空封止など)を使用して形成されてもよい。
【0077】
官能特性および放出プロファイル
上記にて本明細書で述べられるように、複区画経口製品内部の区画の構成および/もしくは配置、ならびに/またはこうした製品の別個の区画内部の異なる組成物への包含、ならびに/または利用されたフリース素材の種類は、こうした製品のユーザに提供される機能的体験または感覚的体験を効果的に制御するように、かつ/またはこうした複区画パウチ製品の官能特性(例えば、質感、口当たりおよび/もしくはそこからの成分の放出プロファイル)を制御するように変えてもよい。例えば、或る実施形態では、本明細書に記載の製品は、「原料」(例えば、1種以上の有効成分および1種以上の追加成分を包含する組成物)とも称される組成物/混合物を包含するようにそれぞれ個別に構成された2つ以上の区画を有する外側透水性パウチを備えてもよく、こうしたパウチ製品は、製品がユーザの口腔と接触したときに、原料内部の1種以上の成分の制御放出を提供するように適合または構成されてもよい。
【0078】
或る実施形態では、例えば、第1の区画内部に包含された組成物および第2の区画内部に包含された組成物は、実質的に同一であってもよい。他の実施形態では、第1の区画内部に包含された組成物および第2の区画内部に包含された組成物は、異なるものであってもよい。或る実施形態では、例えば、第1の区画内部の組成物と第2の区画内部の組成物は、異なる香料、異なる有効成分、または異なる香料と異なる有効成分の両方を含んでもよい。或る実施形態では、1つ以上の区画内部の組成物はまた、1種以上の添加剤を含んでもよい。或る実施形態では、第1の区画内部の組成物と第2の区画内部の組成物は、異なる香料および/または異なる有効成分に加えて、またはこれらの代わりに、異なる添加剤を含んでもよい。有利には、2つ以上の区画内部に異なる組成物(例えば、異なる香料、有効成分または他の添加剤のうちの1つ以上を有する)を提供することで、それぞれの区画内部の個別の組成物は、ユーザに対して異なる機能的体験または感覚的体験を提供することができる。本明細書で使用される場合、「異なる機能的または感覚的」体験を提供する2種以上の組成物は、本明細書に記載の1種以上の異なる有効成分(例えば、ニコチン、カフェイン、ビタミン、植物、テルペン、刺激物、酸化防止剤、カンナビノイドなど)を提供すること、および/または本明細書に記載の1種以上の異なる香料を提供すること、および/または1つ以上の物理特性(例えば、質感(例えば、柔軟性、堅さ、堅固性、堅さ、粘性、柔らかさ、耐久性、咀嚼性、加工性)、気孔率、溶解性、透過率など)を提供することを含んでもよいが、これらに限定されない。或る実施形態では、例えば、2つ以上の区画中のそれぞれの組成物は、個別に、甘味、塩味、酸味、辛み、温感、冷感、爽やかさ、フルーティさおよび/またはミント感のうちの1つ以上をユーザに提供してもよい。
【0079】
或る実施形態では、外側透水性パウチ内部の2つ以上の区画の構成および/または2つ以上の区画のそれぞれの内部の特定の組成物の含有は、組成物からの1つ以上の成分の溶解または放出プロファイルを変えるために変えられてもよい。本明細書に述べられるように、様々な成分は、本明細書に記載の複区画経口パウチ製品へと組み込まれる原料/組成物に含まれてもよい。例えば、香料および/または有効成分の組合せは、本明細書に開示されたパウチ製品へと組み込まれてもよく、パウチ製品からのこうした成分の放出プロファイルは、2つ以上の区画の配置を変えることで、および/またはそれぞれの区画内部に異なる組成物を提供することで制御されることができる。本明細書で称される「放出プロファイル」は、ユーザ口内の粘膜を通して、ユーザに組成物/原料内部の1種以上の成分を送達するのに要する時間量を定義することを意味する。例えば、或る例では、前記成分(例えば、ニコチンを含むがこれに限定されない)は、製品を使用するときには口内の粘膜を通して、直接吸収されることができる。例えば、本明細書で以下に記載されるように、本明細書に開示された製品の様々な構成は、製品の口腔での挿入時に比較的短時間(例えば、「急速放出」)でユーザへと送達される製品の有効成分を提供してもよく、あるいは有効成分は、ユーザによる製品の使用中、経時的によりゆっくりと放出(例えば、「遅延放出」)されてもよい。
【0080】
或る実施形態では、複区画パウチの1つの区画で急速放出するために構成された有効成分と、複区画パウチの別の区画で遅延放出するために構成された有効成分との両方が存在することで、製品の寿命期間にわたって継続的に中で有効成分を放出する「持続」放出製品を提供してもよい。或る実施形態では、組成物内部に1種以上の添加剤が存在することで、中に1種以上の成分(例えば、香料、有効成分または他の添加剤)の放出プロファイルを変えてもよく、それによって、1種以上の添加剤は、ユーザに対する特定の組成物の放出プロファイルを変化させるように、任意の個別の区画中の組成物に個別に加えられてもよい。更に他の実施形態では、複区画パウチの1つの区画で急速放出するために構成された香料と、複区画パウチの別の区画で遅延放出するために構成された香料との両方が存在することで、製品の寿命期間にわたって継続的に中で有効成分を放出する「持続」放出製品を提供してもよい。一般には、ユーザの口内の粘膜を通して1種以上の成分の実質的な量が直接吸収されるのに必要とされた時間量は、ユーザの口腔へとパウチ製品を挿入した後、約1分間~約60分間、約5分間~約45分間または約10分間~約30分間の範囲であってもよい。
【0081】
更に他の実施形態では、複区画パウチの形成時に使用するための1種以上の異なるフリース素材(例えば、1つ以上の異なる特性を有する)の選択は、中に包含された組成物からの1つ以上の成分の分解もしくは放出プロファイルを変化させるため、かつ/またはフリース素材それ自体の内部に含有された1種以上の添加剤の分解もしくは放出プロファイルを変化させるため、変えてもよい。本明細書に述べられるように、様々な添加剤(例えば、香料、有効成分または他の添加剤)は、様々な手段(例えば、カプセル化、フリース素材への添加剤の吸収または吸着およびその他の方法)を使用してフリース素材内部に含まれてもよく、こうした添加剤を含有するフリース素材は、本明細書に記載の複区画経口パウチ製品へと組み込まれることができる。例えば、香料および/または有効成分の組合せは、本明細書に開示されたフリース素材へと組み込まれてもよく、パウチ製品からのこうした成分の放出プロファイルは、フリース素材の坪量、気孔率および/または透過率を変化させることで制御されることができる。同様に、異なる特性を有する複数の層のフリース素材を使用し、異なる機能的体験または感覚的体験を提供してもよい。或る特定の実施形態では、本明細書でより完全に記載されるように、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層を利用して複区画パウチを形成してもよい。こうした実施形態では、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層は、フリース素材の第1の層およびフリース素材の第2の層が異なる機能的体験または感覚的体験を提供するように異なっていてもよい。例えば、或る実施形態では、フリース素材の第2の層と比較した場合、フリース素材の第1の層は異なる香料、異なる有効成分または異なる香料と異なる有効成分の両方を含んでもよい。本明細書に記載の組成物中で使用するのに好適な任意の他の添加剤はまた、本明細書で以下に記載されるように、例えば、塩、甘味料、有機酸、塩基性アミン、バインダ、湿潤剤、着色料および/またはpH調整剤もしくは緩衝剤を含むがこれらに限定されない、フリース素材の1つ以上の層へと直接組み込まれてもよい。或る実施形態では、フリース素材の第1の層は、フリース素材の第2の層と比較した場合、異なる気孔率、異なる透過率および異なる質感のうちの1つ以上を呈することができる。
【0082】
前述の説明は、迅速放出または急速放出、徐放または持続放出、遅延放出などのうちの1つ以上を含む、所望の放出プロファイルを提供することができる構成の非限定的な例を提供する。放出プロファイルは、有効成分の化学的性質、組成物/製品中の有効成分の物理的状態、有効成分と組み合わせられた(例えば、吸収または吸着される)担体/充填剤、および有効成分の溶解度のうちのいずれか1つ以上で少なくとも部分的に制御されてもよい。上記の放出速度に関して記載された割合は、経口組成物の総重量に基づく重量として言及される。
【0083】
パウチ内部の原料
上述のように、パウチ製品は、一般には、パウチベースの外装に加えて、典型的には、1種以上の有効成分および/または1種以上の香味料、および様々な他の任意の成分を含有する、パウチ内部の原料を包含する。本明細書で提供されたパウチ内部の原料の組成は、特に限定されていないが、従来型のパウチ製品内部に含まれるものを含む、任意の充填組成物を包含することができる。かかる組成物は、一般には2種以上の成分の混合物であり、それゆえに組成物は、場合によっては「混合物」として、以下本明細書にて参照される。本明細書で提供されたパウチ製品のある特定の実施形態内の混合物中に有利には含まれることができる、或る特定の成分は、一般には以下の通りに概説される。ただし、以下の議論は、本開示のパウチ製品内部に組み込まれることができる成分を限定しようとするものではない。加えて、本明細書で前述されているように、本明細書に記載の複区画経口製品のそれぞれの区画内部に提供された個別の組成物は変化してもよい。例えば、単一の区画内部の組成物は、開示された製品とともに提供される任意の更なる区画に提供された組成物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0084】
有効成分
本明細書に開示される原料または組成物は、1種以上の有効成分を含む。本明細書で使用される場合、「有効成分」は、以下のカテゴリ、API(活性医薬成分)、食品添加物、天然医薬品、およびヒトに対して効果を有することができる天然に存在する物質のうち、いずれかに属する1つ以上の物質を指す。例示的な有効成分は、例えば、疾患、すなわち、ヒトの身体構造または任意の機能に影響を及ぼすものの診断、治癒、緩和、処置、または予防において医薬活性、またはその他の直接効果を供給する成分など、身体内で1つ以上の生物学的機能に影響を与えることで知られている任意の成分(例えば、中枢神経系に刺激作用を提供し、活力を与える効果、解熱作用、または鎮痛作用、それ以外の場合には身体に有用な効果を有する)を含む。或る実施形態では、有効成分はダイエット用サプリメント、栄養補助食品、「ファイトケミカル」、または「機能性食品」と一般に呼ばれるタイプのものであってもよい。こうしたタイプの添加剤は、1つ以上の有利な生物学的効果(例えば、健康増進、疾病予防、または他の医学的特性)を提供するが、薬物として分類または規制されていない、天然に存在する供給源(例えば、植物性原料)から典型的には利用可能な物質を包含するものとして当該技術分野において、時として定義される。
【0085】
有効成分の非限定的な例としては、植物成分、刺激物質、アミノ酸、ニコチン成分、ならびに/または医薬成分、栄養補助食品、および医学成分(例えば、ビタミンA、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12およびビタミンC、および/またはテトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)などのカンナビノイド)のカテゴリに入っているものが挙げられる。これらのカテゴリのそれぞれは、本明細書で以下に更に記載されている。有効成分の特定の選択は、特定の製品の所望の風味、質感、および所望の特性に応じて変化する。
【0086】
或る特定の実施形態では、有効成分はカフェイン、タウリン、GABA、テアニン、ビタミンC、レモンバーム抽出物、朝鮮人参、シチコリン、ヒマワリレシチン、およびこれらの組合せからなる群から選択される。例えば、有効成分はカフェイン、テアニン、および任意選択的には朝鮮人参の組合せを含むことができる。別の実施形態では、有効成分としては、テアニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、およびレモンバーム抽出物の組合せが挙げられる。更なる実施形態では、有効成分としては、テアニン、テアニンとトリプトファン、またはテアニンと1つ以上のビタミンB(例えば、ビタミンB6またはB12)が挙げられる。より更なる実施形態では、有効成分としては、カフェイン、タウリン、およびビタミンCの組合せが挙げられる。
【0087】
或る実施形態では、本明細書に記載の有効成分は、経口製品の加工中または経口製品の貯蔵時の分解(例えば、酸化的、光分解的、熱的、蒸発的)に反応性があってもよい。こうした実施形態では、有効成分(カフェイン、ビタミンAおよび鉄(Fe)など)は、カプセル化され、またはそれ以外の場合には、有効成分に対する安定性を高めるために、充填剤、バインダでマトリックスが修飾されてもよい。例えば、機能性セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロースを含むがこれに限定されない、セルロースエーテル)などのバインダが利用され、分解に対するこうした有効物質の安定性を高めてもよい。追加的には、カプセル化された有効物質は、それらの溶解度および/または生物学的利用能を増大するため、組成物中の賦形剤と対にされる必要があってもよい。好適な賦形剤の非限定的な例としては、β-カロテン、リコペン、ビタミンD、ビタミンE、コエンザイムQ10、ビタミンKおよびクルクミンが挙げられる。
【0088】
存在する有効成分の特定の割合は、特定の製品の所望の特性に応じて変わる。典型的には、有効成分またはこれらの組合せは、例えば約0.001重量%~約20重量%の範囲で、原料の少なくとも約0.001重量%の総濃度で存在する。或る実施形態では、有効成分または有効成分の組合せは、原料の総重量に基づき、例えば約0.5重量%~約10重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%など、約0.1重量%~約10重量%の濃度で存在する。或る実施形態では、有効成分または有効成分の組合せは、原料の総重量に基づき、例えば約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、または約20重量%までなど、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、または約1重量%から最大約20重量%の濃度で存在する。特定の有効成分についての更に好適な範囲は、本明細書で以下に提供されている。
【0089】
植物
或る実施形態では、有効成分は植物成分を含有する。本明細書で使用される場合、「植物成分」または「植物」といった用語は、天然形態の植物原料および植物原料からの抽出物もしくは単離物、または処理された植物原料(例えば、熱処理、発酵、漂白、または原料の物理的性質および/もしくは化学的性質を変えることが可能である、他の処理プロセスに供された天然植物原料由来の植物原)を含む、任意の植物原料または菌類由来原料を指す。本開示の目的のため、「植物」としては、永続的な木質組織に成長しない種子生産植物を指し、多くの場合、それらの医学的特性または感覚的特性について重要視される「ハーブ物質」(例えば、茶またはハーブティー)が挙げられるがこれに限定されない。「非タバコ」といった植物性原料への言及は、タバコ物質を排除することを意図している(すなわち、任意のニコチアナ種を含まない)。或る実施形態では、本明細書に開示されるような組成物は、任意のタバコ物質を含まない物として特徴付けられることができる(例えば、本明細書に開示されているような任意の実施形態は、任意のタバコ原料を完全にまたは実質的に含まない)。「実質的に含まない」は、タバコ物質が意図的に添加されていないことを意味している。例えば、或る特定の実施形態は、0.001重量%未満、または0.0001重量%未満、または更には0重量%のタバコを有するものとして特徴付けられることができる。
【0090】
存在する場合には、植物は、原料の総重量に基づき、例えば約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、または約0.5重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%までなど、典型的には約0.01重量%~約10重量%の濃度である。
【0091】
本開示で有用な植物性原料は、本明細書に記載の化合物、供給源、およびそれらの混合物のいずれかを含有してもよいが、これらに限定されない。このタイプの或る特定の植物性原料は、ダイエット用サプリメント、栄養補助食品、「ファイトケミカル」、または「機能性食品」と称される場合がある。植物原料、またはその抽出物といった或る特定の植物は、伝統的な薬用植物医学での使用が見出されており、これらは本明細書において更に説明されている。植物または植物由来原料の非限定的な例は、アシュワガンダ、オトメアゼナ、バオバブ、バジル、ツボクサ、サイコ、カモミール、サクラ、クロロフィル、シナモン、シトラス、クローブ、ココア、ノムシタケ属、クルクミン、ダミアナ、ドルステニアアリフォリア、ドルステニアオドラタ、精油、ユーカリ、フェンネル、キントラノオ、生姜、イチョウ、朝鮮人参(例えば、オタネニンジン)、緑茶、グリフォニアシンプリシフォリア、ガラナ、大麻、麻、ホップ、ジャスミン、黒ショウガ(タイニンジン)、カバ、ラベンダー、レモンバーム、レモングラス、リコリス、ルテイン、マカ、抹茶、甘松香、ニオイスミレの油性抽出物、ペパーミント、ケルセチン、レスベラトロール、大黄天麻、イワベンケイ、ルイボス、バラ精油、ローズマリー、スケレチウムトルトゥオスム、チョウセンゴミシ、タツナミソウ、スペアミント抽出物、カンショウ、テルペン、チザン、ターメリック、ターネラアフロジシアカ、カノコソウ、ホワイトマルベリー、およびイェルバ マテが挙げられる。
【0092】
或る実施形態では、有効成分はレモンバームを含有する。レモンバーム(メリッサオフィシナリス)は、ミント(シソ科)と同じ科の、仄かにレモンの香りがするハーブである。このハーブはヨーロッパ、北アフリカ、および西アジア原産である。レモンバームの茶、ならびに精油および抽出物は、伝統医学および代替医療で使用されている。或る実施形態では、有効成分はレモンバーム抽出物を含有する。或る実施形態では、レモンバーム抽出物は、原料の総重量に基づき、約1重量%~約4重量%の量で存在する。
【0093】
或る実施形態では、有効成分は朝鮮人参を含有する。朝鮮人参は、トチバニンジン属の植物の根であり、これらは独特のステロイドサポニンファイトケミカル(ジンセノシド)およびジントニンの存在により特徴付けられる。朝鮮人参は、エナジードリンク、ハーブティー、伝統医学において栄養補助食品としての使用が見出されている。栽培種としては、高麗人参(P.ginseng)、サンシチニンジン(P.notoginseng)およびアメリカニンジン(P.quinquefolius)が挙げられる。アメリカニンジンおよび高麗人参は、存在する様々なジンセノシドの種類および量が異なっている。或る実施形態では、朝鮮人参はアメリカニンジンまたは高麗人参である。特定の実施形態では、有効成分は高麗人参を包含する。或る実施形態では、朝鮮人参は、原料の総重量に基づき、約0.4重量%~約0.6重量%の量で存在する。
【0094】
刺激物質
或る実施形態では、有効成分は1種以上の刺激物質を含有する。本明細書で使用される場合、「刺激物質」といった用語は、例えば、集中力、認知、活力、気分、注意力を向上させるなど、中枢神経系および/または身体の活性を増大させる物質を指す。刺激物質の非限定的な例としては、カフェイン、テアクリン、テオブロミン、およびテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)は、カフェインと構造的に関連しているプリンアルカロイドであり、刺激作用、鎮静作用および抗炎症作用を有する。この刺激物質は、天然、天然由来、または完全合成であってもよい。例えば、或る特定の植物性原料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えばカフェインまたは関連するアルカロイドの存在から刺激作用を有する可能性があり、したがって「天然」刺激物質である。「天然由来」は、刺激物質(例えば、カフェイン、テアクリン)が天然(例えば植物)マトリックス以外では精製形態であることを意味している。例えば、カフェインは、植物供給源(例えば、茶)からの抽出および精製により得られることができる。「完全合成」については、刺激物質は化学合成により得られることを意味している。或る実施形態では、有効成分はカフェインを包含する。或る実施形態では、カフェインはカプセル化形態で存在する。カプセル化されたカフェインの一例(On example)は、Vitashure(R)であり、Balchem Corp.,52 Sunrise Park Road,New Hampton,NY,10958から入手可能である。
【0095】
存在する場合には、刺激物質または刺激物質の組合せ(例えば、カフェイン、テアクリン、およびこれらの組合せ)は、原料の総重量に基づき、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%または、約15重量%までなど、典型的には約0.1重量%~約15重量%の濃度である。或る実施形態では、組成物は、原料の総重量に基づき、約1.5重量%~約6重量%の量でカフェインを包含する。
【0096】
アミノ酸
或る実施形態では、有効成分はアミノ酸を含有する。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」と言う用語は、それぞれのアミノ酸に特有の側鎖(R基)とともに、アミン官能基(-NH2)およびカルボキシル官能基(-COOH)またはスルホン酸官能基(SO3H)を含む有機化合物を指す。アミノ酸は、タンパク質を構成するもの、またはタンパク質を構成しないものであってもよい。「タンパク質を構成する」は、アミノ酸がタンパク質中にみられる、天然に存在する20類のアミノ酸のうちの1つであることを意味しているタンパク質を構成するアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが挙げられる。「タンパク質を構成しない」は、どのアミノ酸もタンパク質中に天然には見られない、または細胞機構により直接産生されないことを意味している(例えば、翻訳後修飾の産生物である)。タンパク質を構成しないアミノ酸の非限定的な例としては、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン、およびβ-アラニンが挙げられる。或る実施形態では、有効成分はテアニンを包含する。或る実施形態では、有効成分はGABAを含有する。或る実施形態では、有効成分は、テアニンとGABAの組合せを含有する。或る実施形態では、有効成分は、テアニンとGABAとレモンバームの組合せである。或る実施形態では、有効成分は、カフェインとテアニンと朝鮮人参の組合せである。或る実施形態では、有効成分はタウリンを包含する。或る実施形態では、有効成分は、カフェインとタウリンの組合せである。
【0097】
存在する場合には、アミノ酸またはアミノ酸の組合せ(例えば、テアニン、GABA、およびこれらの組合せ)は、原料の総重量に基づき、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%までなど、典型的には約0.1重量%~約15重量%の濃度である。
【0098】
ビタミン
或る実施形態では、有効成分はビタミンまたはビタミンの組合せを含有する。本明細書で使用される場合、「ビタミン」と言う用語は哺乳動物の代謝を適切に機能させるために必要とされる必須の微量栄養素である有機分子(または関連する分子のセット)を指す。ヒト代謝により必要とされる13種類のビタミンが存在しており、これらは、ビタミンA(all-trans-レチノール、all-trans-レチニル-エステル、およびall-trans-β-カロテン、ならびに他のプロビタミンAカロテノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピロリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸または葉酸塩)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロールおよびトコトリエノール)、およびビタミンK(キノン)である。或る実施形態では、有効成分はビタミンCを含有する。或る実施形態では、有効成分は、ビタミンCとカフェインとタウリンの組合せである。
【0099】
存在する場合には、ビタミンまたはビタミンの組合せ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、またはこれらの組合せ)は、原料の総重量に基づき、例えば、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、または約0.1重量%から、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、または約6重量%までなど、典型的には約0.01重量%~約6重量%の濃度である。
【0100】
酸化防止剤
或る実施形態では、有効成分は1種以上の酸化防止剤を含有する。本明細書で使用される場合、「酸化防止剤」と言う用語は、フリーラジカル反応を終了させることで酸化を防止もしくは抑制し、または何らかの種類の細胞損傷を遅延もしくは防止し得る物質を指す。酸化防止剤は、天然に存在するもの、または合成のものであってもよい。天然に存在する酸化防止剤としては、食品および植物性原料に見られるものが挙げられる。酸化防止剤の非限定的な例としては、或る特定の植物性原料、ビタミン、ポリフェノール、およびフェノール誘導体が挙げられる。
【0101】
酸化防止剤特性と関連している植物性原料の例としては、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトーシード、アンズ油、バジル、タイマツバナ、ワイルドベルガモット、ブラックペッパー、ブルーベリー、ボラージ種子油、シロネ、カカオ、菖蒲根、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ジャガイモの皮、グレープシード、朝鮮人参、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホシュ、カイエン、カモミール、クローブ、ココアパウダー、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、イブニングプリムローズ、ナツシロギク、生姜、ゴールデンシール、セイヨウサンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、リコリス、マジョラム、オオアザミ、ミント(マント)、ウーロン茶、ビート根、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、レッドクローバー、ルイボス(赤または緑)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリセージ、セイボリー、スペアミント、スピルリナ、スリッパリーエルムバーク、高タンニンソルガムふすま、スマックブラン、コンフリーの葉と根、ゴジベリー、ゴツコーラ(gutu kola)、タイム、ターメリック、ウバウルシ、バレリアン、ワイルドヤムの根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバ マテ、イェルバ サンタ、オトメアゼナ、アシュワガンダ、ヤマブシタケ、およびマリアアザミが挙げられるが、これらに限定されない。こうした植物性原料は、新鮮な形態または乾燥形態、精油で提供されてもよく、または抽出物の形態であってもよい。植物性原料(およびそれらの抽出物)は、多くの場合、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール、アリルスルフィド、ジチオールチオン、イソチオシアナート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール、およびカロテノイドなど、酸化防止作用を提供することで知られている様々なクラス由来の化合物を含む。植物抽出物または油に見られる化合物の例としては、アスコルビン酸、ピーナツ内果皮、レスベラトロール、スルフォラファン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、コエンザイムQ、カルニチン、ケルセチン、ケンフェロールなどが挙げられる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Santhosh et al.,Phytomedicine,12(2005)216-220を参照されたい。
【0102】
他の好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、クエン酸、ビタミンEまたはその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、エピガロカテコールガラート、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、4ーヘキシルレゾルシノール、テアフラビンモノガラートAまたはB、テアフラビンジガラート、フェノール酸、グリコシド、ケルシトリン、イソケルシトリン、ヒペロシド、ポリフェノール、カテコール、レスベラトロール、オレウロペイン、ブチルヒドロキシアニソール(butylated hydroxyanisole、BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)、tert-ブチルヒドロキノン(tertiary butylhydroquinone、TBHQ)およびこれらの組合せが挙げられる。
【0103】
存在する場合には、酸化防止剤は、原料の総重量に基づき、例えば、約0.001重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、または約0.5重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%までなど、典型的には約0.001重量%~約10重量%の濃度である。
【0104】
ニコチン成分
ある特定の実施形態では、有効成分はニコチン成分を含有する。「ニコチン成分」は、存在するニコチンの少なくとも一部の経口吸収を提供するためのニコチンの任意の好適な形態(例えば、遊離塩基または塩)を意味している。典型的には、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基およびニコチン塩からなる群から選択される。或る実施形態では、ニコチン成分は、例えば結晶セルロース-ニコチン担体複合体を形成するための結晶セルロース原料中に容易に吸着されることができる、その遊離塩基形態のニコチンである。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Hanssonによる米国特許出願公開第2004/0191322号明細書の遊離塩基形態のニコチンに関する論考を参照されたい。
【0105】
或る実施形態では、ニコチン成分の少なくとも一部は、塩の形態で利用されることができる。ニコチンの塩は、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Coxらによる米国特許第2,033,909号明細書およびPerfetti,Beitrage Tabakforschung Int.,12:43-54(1983)に記載されるこのタイプの成分および技術を使用して提供されることができる。追加的には、ニコチンの塩は、Pfaltz and Bauer,Inc.およびK&K Laboratories,Division of ICN Biochemicals,Inc.などの供給先から入手可能である。典型的には、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、塩酸塩、二塩酸化合物、一酒石酸塩、二酒石酸塩、硫酸塩、サリチル酸塩などのニコチン塩、およびニコチン塩化亜鉛からなる群から選択される。
【0106】
或る実施形態では、ニコチンの少なくとも一部は、ニコチンの樹脂複合体の形態とすることができる。この場合、ニコチンは、例えば、Amberlite IRP64、Purolite C115HMR、またはDoshion P551など、ポリメタクリル酸(polymethacrilic acid)に結合されたニコチンであるニコチンポラクリレックスなどのイオン交換樹脂に結合されている。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Lichtneckertらによる米国特許第3,901,248号明細書を参照されたい。別の例は、Carbopol 974Pなどを含む、ニコチン-ポリアクリルカルボマー複合体である。或る実施形態では、ニコチンは、ニコチンポリアクリル複合体の形態で存在してもよい。
【0107】
典型的には、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、存在する場合、約0.001重量%~約10重量%の範囲など、原料の少なくとも約0.001重量%の濃度である。或る実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算し、かつ原料の総重量に基づき、例えば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%までなど、約0.1重量%~約10重量%の濃度で存在する。或る実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算し、かつ原料の総重量に基づき、例えば約0.1重量%~約2.5重量%、約0.1重量%~約2.0重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約1重量%など、約0.1重量%~約3重量%の濃度で存在する。
【0108】
或る実施形態では、本開示の製品または組成物は、任意のニコチン成分を含まない(例えば、本明細書に開示されたような任意の実施形態は、任意のニコチン成分を完全に、または実質的に含まない可能性がある)ものとして特徴付けられることができる。「実質的に含まない」とは、例えば植物性原料中に天然に存在し得る微量のニコチンを超えて意図的にニコチンが一切添加されていないことを意味している。例えば、或る特定の実施形態は、遊離塩基として計算すると、0.001重量%未満、または0.0001重量%未満、または更には0重量%のニコチンを有するものとして特徴付けられることができる。
【0109】
或る実施形態では、有効成分はニコチン成分を含有する(例えば、本明細書に開示されているような任意の有効成分または有効成分の組合せを含有することに加えて、本開示の任意の製品または組成物がニコチン成分を更に含有してもよい)。
【0110】
カンナビノイド
或る実施形態では、有効成分は1種以上のカンナビノイドを含有する。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」と言う用語は、脳における神経伝達物質放出を変化させる細胞中のカンナビノイド受容体(いわゆる、CB1およびCB2)に作用する多種多様な天然または合成化学化合物のクラスを指す。カンナビノイドは、血液脳関門を容易に横断する能力などの特定の性質を呈する環状分子である。カンナビノイドは、大麻などの植物由来の天然に存在するもの(フィトカンナビノイド)、動物由来のもの(エンドカンナビノイド)または人工的に製造されたもの(合成カンナビノイド)であってもよい。大麻種は、少なくとも85の異なるフィトカンナビノイドを表し、これらは、カンナビゲロール(cannabigerol、CBG)、カンナビクロメン(cannabichromene、CBC)、カンナビジオール(cannabidiol、CBD)、テトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol、THC)、カンナビノール(cannabinol、CBN)およびカンナビノジオール(cannabinodiol、CBDL)、カンナビシクロール(cannabicyclol、CBL)、カンナビバリン(cannabivarin、CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(tetrahydrocannabivarin、THCV)、カンナビジバリン(cannabidivarin、CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(cannabigerovarin、CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(cannabigerol monomethyl ether、CBGM)、カンナビノール酸、カンナビジオール酸(cannabidiolic acid、CBDA)、カンナビノールプロピル変異体(Cannabinol propyl variant、CBNV)、カンナビトリオール(cannabitriol、CBO)、テトラヒドロカンナビモール酸(tetrahydrocannabmolic acid、THCA)およびテトラヒドロカンナビバリン酸(tetrahydrocannabivarinic acid、THCV A)などのカンナビゲノール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノールおよびカンナビゲロール、ならびに他のカンナビノイドを含むサブクラスに分類されてもよい。
【0111】
或る実施形態では、カンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)およびカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピルバリアント(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビモール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。或る実施形態では、カンナビノイドは、少なくともテトラヒドロカンナビノール(THC)を含有する。或る実施形態では、カンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)である。或る実施形態では、カンナビノイドは、少なくともカンナビジオール(CBD)を含有する。或る実施形態では、カンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)である。或る実施形態では、CBDは、合成CBDである。とりわけ、CBDは、約6.5のlogP値を有し、これによって水性環境(例えば、唾液)中では不溶性となる。
【0112】
或る実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、単離体の形態で経口製品に加えられる。単離体は、大麻などの植物からの抽出物であり、目的の活性物質(この場合には、CBDなどのカンナビノイド)は、例えば95%超、96%超、97%超、98%超または99%超の純度など高純度で存在する。
【0113】
或る実施形態では、カンナビノイドは、高純度のCBDの単離体であり、経口製品の任意の他のカンナビノイドの量は、経口製品の約0.5重量%以下、経口製品の約0.1重量%以下、経口製品の約0.01重量%以下など、経口製品の約1重量%以下である。
【0114】
カンナビノイドの選択および、開示された経口製品内部に存在し得るそれらの特定の割合は、経口製品の所望の風味、質感および他の特性に応じて変わる。
【0115】
代替的には、またはカンナビノイドに加えて、親油性有効成分は、カンナビノイドと類似の内在性カンナビノイド系に生物学的効果を有する大麻以外の植物から誘導された化合物のクラスである大麻類似物質を含んでもよい。例としては、ヤンゴニン、α-アミリンまたはβ-アミリン(テルペンとしても分類される)、シアニジン、クルクミン(ターメリック)、カテキン、ケルセチン、サルビノリンA、N-アシルエタノールアミン、およびN-アルキルアミド脂質が挙げられる。こうした化合物は、カンナビノイドについて本明細書に記述されたものと同一の量および割合で使用されることができる。
【0116】
存在する場合には、カンナビノイド(例えば、CBD)または大麻類似物質は、組成物の総重量に基づき、組成物の少なくとも約0.1重量%、例えば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、または約30重量%までなど、典型的には約0.1重量%~約30重量%の範囲の濃度である。或る実施形態では、カンナビノイド(CBDなど)は、経口製品の約0.001重量%~約2重量%の範囲など、経口製品の少なくとも約0.001重量%の濃度で経口製品中に存在する。或る実施形態では、カンナビノイド(CBDなど)は、経口製品の総重量に基づいて、約0.1重量%~約1.5重量%の濃度で経口製品中に存在する。或る実施形態では、カンナビノイド(CBDなど)は、経口製品の総重量に基づいて、約0.4重量%~約1.5重量%の濃度で存在する。
【0117】
テルペン
本開示で使用するのに好適な有効成分はテルペンとして分類することもできるが、それらの多くは鎮静作用(calming effect)などの生物学的効果に関連している。テルペンは一般式(C5H8)nを有すると理解されており、モノテルペン、セスキテルペン、およびジテルペンを含む。テルペンの構造は、非環式、単環式または二環式とすることができる。一部のテルペンは、カンナビノイドまたは大麻類似物質と組み合わせて使用されるときに、随行効果を提供する。例としては、β-カリオフィレン、リナロール、リモネン、β-シトロネロール、酢酸リナリル、ピネン(αまたはβ)、ゲラニオール、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、β-ブルボネン、およびゲルマクレンが挙げられるが、これらは単独でまたは組み合わせで使用されてもよい。
【0118】
或る実施形態では、テルペンは、麻などの麻種の株由来の植物など、フィトカンナビノイド生成植物から誘導可能なテルペンである。これに関して好適なテルペンは、いわゆる10個の炭素原子を含有するテルペンである「C10」テルペンと、いわゆる15個の炭素原子を含有するテルペンである「C15」テルペンとを含む。或る実施形態では、有効成分は2種以上のテルペンを含有する。例えば、有効成分は、本明細書に定義されるように、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種以上のテルペンを含有してもよい。或る実施形態では、テルペンは、ピネン(αおよびβ)、ゲラニオール、リナロール、リモネン、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソメントン、ピペリトン、ミルセン、β-ブルボネン、ゲルマクレンおよびこれらの混合物から選択される。
【0119】
医薬成分
或る実施形態では、有効成分は活性医薬成分(active pharmaceutical ingredient、API)を含有する。APIは治療用途、予防用途、または診断用途に適合された任意の既知の薬剤とすることができる。これらには、例えば合成有機化合物、タンパク質およびペプチド、多糖類および他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質またはそれらの前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)、ならびに治療活性、予防活性、または診断活性を有する核酸配列が挙げられることができる。APIの非限定的な例としては、鎮痛剤および解熱剤(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ3)、アラキドン酸(AA、オメガ6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-二リン酸-コリン)、およびコチニンが挙げられる。或る実施形態では、有効成分はシチコリンを含有する。或る実施形態では、有効成分は、シチコリン、カフェイン、テアニン、および朝鮮人参の組合せである。或る実施形態では、有効成分はヒマワリレシチンを含有する。或る実施形態では、有効成分は、ヒマワリレシチン、カフェイン、テアニン、および朝鮮人参の組合せである。
【0120】
APIの量は変えてもよい。例えば、存在する場合には、APIは、原料の総重量に基づき、例えば、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量% 約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、または約1重量%から、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%など、典型的には約0.001重量%~約10重量%の濃度である。
【0121】
或る実施形態では、組成物は任意のAPIを実質的に含まない。「任意のAPIを実質的に含まない」は、組成物は、任意の医学的症状を処理することを意図された、米国食品医薬品局(FDA)が承認した任意の治療薬など、本明細書に定義されるようないくらかのAPIを含まず、詳細にはこの存在を排除するということを意味する。
【0122】
香料
或る実施形態では、原料または組成物は香料を含有する。本明細書で使用される場合、「香料(flavoring agent)」または「香味料(flavorant)」は、経口製品に関連する感覚的特性を変化させることが可能である、風味または芳香がある任意の物質である。香料により変えることができる感覚的特性の例としては、風味、口当たり、水気、冷たさ/熱さ、および/または香り/香気が挙げられる。香料は、天然または合成のものであってもよく、これに関して、付与された風味の特徴は、爽やか、甘い香り、ハーブ香、糖菓のような甘さ、花のような香り、フルーティさ、またはスパイスの効いたものであると説明されてもよいが、これらに限定されない。或る実施形態では、原料は単一の香料または複数の香料を含んでもよい。必要に応じて、1種以上の香料は、フリース素材内部に埋め込まれてもよく、フリース素材の少なくとも1つの表面に吸収または吸着されてもよく、フリース素材内部に充填されてもよい。
【0123】
香料の非限定的な例としては、バニラ、コーヒー、チョコレート/ココア、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ユーカリ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラノキ、サンダルウッド、ハチミツ、ジャスミン、生姜、アニス、セージ、リコリス、レモン、オレンジ、リンゴ、モモ、ライム、サクラ、イチゴ、テルペン、三叉神経のセンサート、およびこれらの任意の組合せが挙げられることができる。本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Leffingwell et al.,Tobacco Flavoring for Smoking Products,R.J.Reynolds Tobacco Company(1972)もまた参照されたい。香料はまた、ユーカリなどの湿潤剤、冷却剤または平滑剤であると考えられる成分を含んでもよい。これらの香味は、純粋なもの(すなわち、単独)または複合体中に提供されてもよい。また、濃縮物または香料パッケージ(例えば、スペアミントとメントール、オレンジとシナモン、ライム、パイナップルなど)として利用されてもよい。代表的なタイプの成分もまた、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Whiteらによる米国特許第5,387,416号明細書、Stricklandらによる米国特許出願公開第2005/0244521号明細書、およびQuinterらによるPCT/WO05/041699号に記載されている。場合によっては、香料は噴霧乾燥形態または液体形態で提供されてもよい。
【0124】
香料は、揮発性香料成分であってもよい。本明細書で使用される場合、「揮発性」は周囲温度で容易に蒸気を形成する化学物質(すなわち、不揮発性物質に対し、所与の温度で高蒸気圧を有する化学物質)を指す。典型的には、揮発性香料成分は約400Da未満の分子量を有し、多くの場合、少なくとも1つの炭素-炭素の二重結合、炭素-酸素の二重結合、またはこれらの両方を含む。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香料成分は、1種以上のアルコール、アルデヒド、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、テルペン、テルペノイド、またはこれらの組合せを含有する。アルデヒドの非限定的な例としては、バニリン、エチルバニリン、p-アニスアルデヒド、ヘキサナール、フルフラール、イソバレルアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンズアルデヒド、およびシトロネラールが挙げられる。ケトンの非限定的な例としては、1-ヒドロキシ-2-プロパノン、および2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン-1-オンが挙げられる。エステルの非限定的な例としては、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、ヘキサン酸エチル、酢酸イソアミル、および酢酸3-メチルブチルが挙げられる。テルペンの非限定的な例としては、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、ネロリドール、ツジョン、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール、およびユーカリプトールが挙げられる。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香料成分は、エチルバニリン、経皮アルデヒド、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、またはシトラールのうち1種以上を含有する。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香料成分はエチルバニリンを含有する。
【0125】
充填剤
本明細書に記載の原料または組成物は、少なくとも1種の粒子状充填剤成分を含んでもよい。こうした粒子状充填剤は、質感や口当たりなどの或る特定の官能特性の向上や製品の凝集性または圧縮性の向上など、複数の機能を果たしてもよい。一般には、充填剤は多孔性の粒子状物質であり、セルロース系のものである。例えば、好適な粒子状充填剤は、こうした供給源から誘導されたセルロース植物原料を含む、任意の非タバコ植物原料またはその誘導体である。セルロース系非タバコ植物原料の例としては、穀物類(例えば、トウモロコシの実、エンバク、オオムギ、ライ麦、ソバなど)、テンサイ(例えば、International Fiber Corporationから入手可能であるFIBREX(R)ブランドの充填剤)、ふすまの繊維、およびこれらの混合物が挙げられる。非タバコ植物原料の誘導体の非限定的な例としては、デンプン(例えば、ジャガイモ、小麦、米、トウモロコシ)、天然セルロースおよび変性セルロース材が挙げられる。考えられる粒子状充填剤の追加例としては、マルトデキストリン、デキストロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、キシリトールおよびソルビトールが挙げられる。充填剤の組合せもまた使用されることができる。
【0126】
本明細書で使用される場合、「デンプン」は、任意の供給源に由来する純粋なデンプン、加工デンプン、またはデンプン誘導体を指してもよい。デンプンは、ほぼすべての緑色植物ならびに様々な種類の植物組織および植物器官(例えば、種子、葉、根茎、根、管、芽、果実、穀物、および茎)に、典型的には顆粒状形態で存在している。デンプンの組成、ならびに顆粒状形状およびサイズは様々なものとすることができる。多くの場合、異なる供給源からのデンプンは、異なる化学特性および物理特性を有する。特定のデンプンは、特定の官能特性を組成物に付与するデンプン原料の能力に基づいて、混合物中に含有するために選択されることができる。様々な供給源から誘導されたデンプンが使用されることができる。例えば、主要なデンプン供給源としては、穀物類(例えば、米、小麦、およびトウモロコシの実)および根菜(例えば、ジャガイモおよびキャッサバ)が挙げられる。デンプン供給源の他の例としては、ドングリ、クズウコン、アラカチャ、バナナ、オオムギ、豆類(例えば、ソラマメ、レンティル、ムング豆、エンドウ豆、ヒヨコ豆)、パンノキ、ソバ、カンナ、クルミ、サトイモ属、カタクリ、葛、マランガ、雑穀、エンバク、オカ、タシロイモ、サゴ、モロコシ、サツマイモ、キヌア、ライ麦、タピオカ、タロイモ、タバコ、シログワイ、およびヤムイモが挙げられる。或る特定のデンプンは、加工デンプンである。加工デンプンは、多くの場合、高い熱特性を変性させるように設計されている1つ以上の構造的改変を受ける。或るデンプンは遺伝子改変により開発されており、「遺伝子改変」デンプンであると考えられる。他のデンプンが得られ、その後、化学的手段、酵素的手段、または物理的手段により加工される。例えば、加工デンプンは、エステル化、酸化、酸触媒作用または塩基の存在するところでの酸化による解重合(薄化)、漂白、トランスグリコシル化および解重合(例えば、触媒の存在するところでのデキストリン化)、架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化、および/または部分的な加水分解など、化学反応に供されるデンプンとすることができる。酵素処理は、酵素単離体もしくは濃縮物、微生物酵素、および/または例えばコーンスターチを加工する、トウモロコシの実に存在するアミラーゼといった植物原料が元となる酵素に、天然デンプンを供することを含む。他のデンプンは、事前の糊化、デキストリン化、および/または冷水膨潤プロセスなどの熱処理により加工される。或る特定の加工デンプンとしては、リン酸化デンプン、グリセロール架橋デンプン、トリメタリン酸ナトリウムでエステル化されたリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、無水酢酸でエステル化された酢酸デンプン、酢酸ビニルでエステル化された酢酸デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルグリセロール架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムが挙げられる。
【0127】
或る実施形態では、粒子状充填剤成分は、セルロース原料またはセルロース誘導体である。本明細書に記載の製品に使用するため、特に好適な粒子状充填剤成分の1つは、微結晶セルロース(「MCC」)である。MCCは、合成または半合成であってもよく、または天然セルロースから完全に得られてもよい。MCCは、AVICEL(R)グレードPH-100、PH-102、PH-103、PH-105、PH-112、PH-113、PH-200、PH-300、PH-302、VIVACEL(R)グレード101、102、12、20、ならびにEMOCEL(R)グレード50Mおよび90Mなど、ならびにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。一実施形態では、混合物は粒子状充填剤成分としてMCCを含有する。本明細書に記載の混合物中に存在するMCCの量は、所望の特性に従って変えてもよい。
【0128】
粒子状充填剤の量は変えることができるが、原料の総重量に基づき、典型的には、原料の最大約75重量%である。原料内部の粒子状充填剤(例えば、MCC)の典型的な範囲は、混合物の総重量の約10重量パーセント~約75重量パーセントであり、例えば約10重量パーセント、約15重量パーセント、約20重量パーセント、約25重量パーセント、または約30重量パーセントから、約35重量パーセント、約40重量パーセント、約45重量パーセント、または約50重量パーセントまで(例えば、約20~約50重量パーセント、または約25重量パーセント~約45重量パーセント)とすることができる。或る特定の実施形態では、粒子状充填剤の量は、原料の総重量に基づき、少なくとも約10重量パーセントであり、例えば、少なくとも約20重量パーセント、または少なくとも約25重量パーセント、または少なくとも約30重量パーセント、または少なくとも約35重量パーセント、または少なくとも約40重量パーセントなどである。
【0129】
一実施形態では、粒子状充填剤は、セルロース誘導体、またはこうした誘導体の組合せを更に含有する。或る実施形態では、混合物は、混合物の総重量に基づき約1~約10重量%のセルロース誘導体を含有し、或る特定の実施形態は、約1~約5重量%のセルロース誘導体を含有する。或る特定の実施形態では、セルロース誘導体は、セルロースエーテル(カルボキシアルキルエーテルを含む)であり、これはセルロース構造中の1つ以上のヒドロキシ基の水素がアルキル基、ヒドロアルキル基、またはアリール基で置換されたセルロースポリマーを意味している。こうしたセルロース誘導体の非限定的な例としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(「CMC」)が挙げられる。一実施形態では、セルロース誘導体は、メチルセルロース、HPC、HPMC、ヒドロキシエチルセルロースおよびCMCのうちの1つ以上である。一実施形態では、セルロース誘導体はHPCである。或る実施形態では、混合物は、原料の総重量に基づき、約1~約3重量%のHPCを含有する。
【0130】
タバコ物質
或る実施形態では、経口パウチ製品の原料または組成物は、タバコ物質を含んでもよい。タバコ物質は、種、タイプ、および形態において様々なものとすることができる。一般には、タバコ物質は、収穫されたニコチアナ種の植物から得られる。例示的なニコチアナ種としては、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスティカ(rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレントシ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノーザ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングストドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトケリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントサ(N.tomentosa)、N.トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、N.アンドゥラタ(N.undulata)、N.サンデラエ(N.sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種へスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフローラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリパルピス(quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)およびN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ種に由来する様々な代表的な他のタイプの植物は、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Goodspeed,The Genus Nicotiana,(Chonica Botanica)(1954)、Sensabaugh,Jr.らによる米国特許第4,660,577号明細書、Whiteらによる米国特許第5,387,416号明細書、Lawsonらによる米国特許第7,025,066号明細書、Lawrence,Jr.による米国特許第7,798,153号明細書およびMarshallらによる米国特許第8,186,360号明細書に記載されている。様々なタイプのタバコの説明、栽培工程管理および収穫工程管理は、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)に記載されている。
【0131】
好適なタバコ物質が得られることができるニコチアナ種は、遺伝子改変、または交雑技術を使用して誘導されることができる(例えば、タバコ植物は、成分、特性または特質の産生を増大または減少させるために遺伝子操作または交雑されることができる)。例えば、Fitzmauriceらによる米国特許第5,539,093号明細書、Wahabらによる米国特許第5,668,295号明細書、Fitzmauriceらによる米国特許第5,705,624号明細書、Weiglによる米国特許第5,844,119号明細書、Dominguezらによる米国特許第6,730,832号明細書、Liuらによる米国特許第7,173,170号明細書、Colliverらによる米国特許第7,208,659号明細書およびBenningらによる米国特許第7,230,160号明細書、Conklingらによる米国特許出願公開第2006/0236434号明細書、ならびにNielsenらによるPCT/WO2008/103935号に記載されているこのタイプの植物の遺伝子改変を参照されたい。加えて、Sensabaugh,Jr.らによる米国特許第4,660,577号明細書、Whiteらによる米国特許第5,387,416号明細書、およびDominguezらによる米国特許第6,730,832号明細書に記載されているこのタイプのタバコを参照されたい。これらは、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される。
【0132】
ニコチアナ種は、或る実施形態では、中に存在する様々な化合物の含有物のために選択されることができる。例えば、植物はそれ自体から単離されることが望ましい、比較的大量の1種以上の化合物を産生するという点に基づいて選択されることができる。或る特定の実施形態では、ニコチアナ種の植物(例えば、Galpao communタバコ)は、葉表面の化合物が豊富であることを理由に特に栽培されている。タバコ植物は、温室、グロースチャンバ、または屋外で、または水耕栽培されることができる。
【0133】
ニコチアナ種の植物の様々な部分または一部は、本明細書に開示されるような混合物内部に含まれることができる。例えば、事実上、すべての植物(例えば、植物全体)は、収穫され、そのまま使用されることができる。代替的には、植物の様々な部分または小片は、収穫され、または収穫後更に使用するために分離されることができる。例えば、花、葉、茎、幹、根、種子および様々なこれらの組合せは、更に使用または処理するために単離されることができる。或る実施形態では、タバコ物質は、タバコ葉(葉身)を含有する。本明細書に開示された原料としては、加工タバコの一部分もしくは小片、基本的には手を加えていない葉身形態および/または茎形態で乾燥および熟成されたタバコ、タバコ抽出物、抽出されたタバコパルプ(例えば、溶媒として水を使用する)、または前述したものの混合物(例えば、抽出されたタバコパルプと、粒状である乾燥および熟成された、手を加えていないタバコ葉身とを組み合わせた混合物)が挙げられることができる。
【0134】
或る特定の実施形態では、タバコ物質は、葉身および茎からなる群から選択される固形タバコ原料を含有する。原料に使用されるタバコは、典型的には、タバコ葉身、またはタバコ葉身と茎の混合物(少なくとも一部分が燻煙処理されているもの)を含む。原料内部のタバコの一部分は、加工タバコの茎(例えば、切断し巻かれた茎、切断し巻かれた後膨張した茎、もしくは切断し膨化された茎)、または体積膨張型タバコ(例えば、ドライアイスにより膨潤したタバコ(DIET)などの膨化されたタバコ)など、加工された形態であってもよい。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容すべてを援用される、Burdeらによる米国特許第4,340,073号明細書、Guyらによる米国特許第5,259,403号明細書、およびPoindexterによる米国特許第5,908,032号明細書、およびPoindexterらによる米国特許第7,556,047号明細書に記載されているタバコ膨潤プロセスを参照されたい。加えて、原料は任意選択的には、発酵されたタバコを組み込んでもよい。本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、AtchleyらによるPCT/WO2005/063060号に記載のタイプのタバコ加工技術もまた参照されたい。
【0135】
タバコ物質は、粒子状(すなわち、裁刻、粉砕、顆粒化、または粉末形態)として説明されることができる形態で典型的には使用される。タバコ物質を細かく裁刻した形態、または粉末タイプの形態で提供する方式は様々なものであってもよい。典型的には、植物の一部または小片は、粉砕、製粉のための機器および技術を使用し、細かく砕かれ、磨り潰され、粉にされる。多くの場合、植物原料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの機器を使用し、粉砕または製粉中に比較的乾燥した形態である。例えば、タバコの一部または小片は、それらの水分量が約15重量パーセント未満、または約5重量パーセント未満である場合に粉砕または製粉されてもよい。例えば、タバコ物質は、1.4ミリメートル~250ミクロンの平均粒径を有する、一部分または小片の形態で使用される。場合によっては、タバコ粒子は、必要とされる粒径範囲を得るため、スクリーンメッシュを通過するようにサイズ決めされてもよい。必要に応じて、空気分級機器は、所望のサイズ、またはサイズの範囲である、小さくサイズ決めされたタバコ粒子が収集されてもよいことを確実なものとするために使用されてもよい。必要に応じて、異なるサイズでサイズ決めされた粒状タバコの小片は、ともに混合されてもよい。
【0136】
タバコを細かく裁刻された形態、または粉末タイプの形態で提供する方式は様々なものであってもよい。例えば、タバコ植物またはその一部分は、個々の部分または小片へと分離されることができる(例えば、葉は茎から取り除かれることができ、かつ/または茎および葉は幹から取り除かれることができる)。収穫された植物または個々の一部分もしくは小片は、一部分または小片へと更に細分されることができる(例えば、葉は裁刻、切断され、細かく砕かれ、粉となり、充填剤タイプの小片、顆粒、微粒子または細かい粉末として特徴付けられることができる小片または一部分となる)。植物、またはその一部分は、外的な力または圧力(例えば、押圧される、または巻き処理に供されることによる)に供されることができる。こうした加工条件を実行する場合には、植物またはその一部分は、その天然の水分量(収穫直後の水分量)、植物もしくはその一部分に水分を添加することで得られた水分量、または植物もしくはその一部分を乾燥することで得られる水分量に近似する水分量を有することができる。例えば、粉末化、粉砕化、粉砕もしくは製粉された植物の小片またはその一部分は、約25重量パーセント未満の水分量、多くの場合、約20重量パーセント未満、および頻繁には約15重量パーセント未満の水分量を有することができる。
【0137】
経口製品の調製のため、収穫されたニコチアナ種の植物が乾燥処理プロセスに供されることは典型的である。本明細書に開示されるような製品内部に包含するために原料内に組み込まれるタバコ物質は、適切に乾燥処理および/または熟成されているものである。様々なタイプのタバコに対する様々なタイプの乾燥処理プロセスの説明は、Tobacco Production,Chemistry and Technology,Davis et al.(Eds.)(1999)に記載されている。黄色種タバコを乾燥するための技術および条件の例としては、参照により本明細書に組み込まれる、Nestor et al.,Beitrage Tabakforsch.Int.,20,467-475(2003)およびPeeleによる米国特許第6,895,974号明細書が記載されている。タバコを空気乾燥するための代表的な技術および条件は、参照により本明細書に組み込まれる、Grovesらによる米国特許第7,650,892号明細書、Roton et al.,Beitrage Tabakforsch.Int.,21,305-320(2005)、およびStaaf et al.,Beitrage Tabakforsch.Int.,21,321-330(2005)に記載されている。或る特定の種類のタバコは、火による乾燥処理または日光による乾燥処理など、代替的な種類の乾燥処理プロセスに供されることができる。
【0138】
或る特定の実施形態では、使用されることができるタバコ物質としては、黄色種すなわちVirginia種(例えば、K326)、日光乾燥されたバーレー種(例えば、Katerini、Prelip、Komotini、XanthiおよびYambolタバコを含む、Indian Kurnoolおよびオリエント種のタバコ)、黒タバコ、火力乾燥された黒タバコ、空気乾燥された黒タバコなどのMaryland種(Madole、Passanda、Cubano、JatinおよびBezukiタバコ)、空気乾燥された薄色タバコ(例えば、North WisconsinおよびGalpaoタバコ)、空気乾燥されたIndian、Red RussianおよびRusticaタバコ、ならびに他の様々な珍しい、または地域特産のタバコ、および前述のタバコのうちいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0139】
タバコ物質は、いわゆる「ブレンドされた」形態のものも含んでもよい。例えば、タバコ物質は、黄色種、バーレー種(例えば、Malawiバーレー種タバコ)およびオリエント種タバコ(例えば、タバコ葉身、またはタバコ葉身とタバコ茎の混合物から構成される、またはこれらに誘導されるタバコ)の一部または小片の混合物を含むことができる。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量基準で、約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、葉身、または葉身と茎)、および約30~約70部の熱風乾燥されたタバコ(例えば、茎、葉身、または葉身と茎)を組み込んでいてもよい。他の例示的なタバコブレンドは、乾燥重量基準で、約75部の黄色種タバコ、約15部のバーレー種タバコ、および約10部のオリエント種タバコ、または約65部の黄色種タバコ、約25部のバーレー種タバコ、および約10部のオリエント種タバコ、または約65部の黄色種タバコ、約10部のバーレー種タバコ、および約25部のオリエント種タバコを組み込んでいる。他の例示的なタバコブレンドは、乾燥重量基準で、約20~約30部のオリエント種タバコ、および約70部~約80部の黄色種タバコを組み込んでいる。
【0140】
本開示で使用されるタバコ物質は、例えば発酵、漂白などに供されることができる。必要に応じて、タバコ物質は例えば、放射線処理、低温殺菌、それ以外の場合には制御された熱処理に供されることができる。こうした処理プロセスは例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Muaらによる米国特許第8,061,362号明細書に詳述されている。或る特定の実施形態では、タバコ物質は水、およびタバコ物質の加熱時にアスパラギンの反応を阻害し、アクリルアミドを形成可能である添加剤(例えば、リジン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価カチオンおよび三価カチオンを組み込んだ組成物、アスパラギナーゼ、或る特定の非還元性糖類、或る特定の還元剤、フェノール化合物、少なくとも1つの遊離チオール基または官能基を有する或る特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、およびこれらの組合せからなる群から選択される添加剤)で処理されることができる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、いずれもChenらによる米国特許第8,434,496号明細書、米国特許第8,944,072号明細書、および米国特許第8,991,403号明細書に説明されているタイプの処理プロセスを参照されたい。或る特定の実施形態では、こうした種類の処理は、元のタバコ物質が既に説明されているプロセスで熱に供される場合に有用である。
【0141】
或る実施形態では、タバコ物質のタイプは、他のタバコ物質よりもある程度、最初に視覚的に明るい色(例えば、白色化または漂白されている)であるように選択される。タバコパルプは、当該技術分野で知られている任意の手段に従い、或る特定の実施形態では白色化されることができる。例えば、漂白剤または酸化剤と酸化触媒を使用する様々な白色化方法により生成された、漂白タバコ物質が使用されることができる。例示的な酸化剤としては、過酸化物(例えば、過酸化水素)、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、オゾン、アンモニア、過マンガン酸カリウム、およびこれらの組合せが挙げられる。例示的な酸化触媒は、二酸化チタン、二酸化マンガン、およびこれらの組合せである。漂白剤でタバコを処理するためのプロセスは例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容すべてを援用される、Daniels,Jr.による米国特許第787,611号明細書、Oelenheinzによる米国特許第1,086,306号明細書、Dellingによる米国特許第1,437,095号明細書、Rosenhochによる米国特許第1,757,477号明細書、Hawkinsonによる米国特許第2,122,421号明細書、Baierによる米国特許第2,148,147号明細書、Baierによる米国特許第2,170,107号明細書、Baierによる米国特許第2,274,649号明細書、Pratsらによる米国特許第2,770,239号明細書、Rosenによる米国特許第3,612,065号明細書、Rosenによる米国特許第3,851,653号明細書、Rosenによる米国特許第3,889,689号明細書、Minamiによる米国特許第3,943,940号明細書、Rosenによる米国特許第3,943,945号明細書、Rainerによる米国特許第4,143,666号明細書、Campbellによる米国特許第4,194,514号明細書、いずれもRainerらによる米国特許第4,366,823号、米国特許第4,366,824号、および米国特許第4,388,933号明細書、Schmekelらによる米国特許第4,641,667号明細書、Bergerによる米国特許第5,713,376号明細書、Byrd Jr.らによる米国特許第9,339,058号明細書、Beesonらによる米国特許第9,420,825号明細書、およびByrd Jr.らによる米国特許第9,950,858号明細書、ならびにBjorkholmらによる米国特許出願公開第2012/0067361号明細書、Crooksによる米国特許出願公開第2016/0073686号明細書、Bjorkholmによる米国特許出願公開第2017/0020183号明細書、およびBjorkholmによる米国特許出願公開第2017/0112183号明細書、ならびにGiolvasによるPCT/WO1996/031255号およびBjorkholmによるPCT/WO2018/083114号にて論じられている。
【0142】
或る実施形態では、白色化タバコ物質は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、または少なくとも約80%のISO白色度を有することができる。或る実施形態では、白色化タバコ物質は約50%~約90%、約55%~約75%、または約60%~約70%の範囲のISO白色度を有することができる。ISO白色度は、ISO 3688:1999またはISO 2470-1:2016に従い測定されることができる。
【0143】
或る実施形態では、白色化タバコ物質は、未処理のタバコ物質との比較において、色が薄くなったもの(例えば、「白くなったもの」)として特徴付けられることができる。白色は多くの場合、国際照明委員会(International Commission on Illumination、CIE)の色度図を参照して定義されている。白色化タバコ物質は、或る特定の実施形態では、色度図において未処理のタバコ物質よりも純白により近いものとして特徴付けられることができる。
【0144】
様々な実施形態では、タバコ物質は、タバコ物質の可溶成分を抽出するために処理されることができる。本明細書で使用される場合、「タバコ抽出物」は、抽出プロセスにおいて、タバコ物質と接触する状態を生じさせる溶媒により、固形のタバコパルプから抽出されるタバコ物質の単離された成分を指す。タバコ物質の様々な抽出技術は、タバコ抽出物および固体のタバコ物質を提供するために使用されることができる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Beesonらによる米国特許出願公開第2011/0247640号明細書に説明されている抽出プロセスを参照されたい。タバコの成分を抽出するための他の例示的な技術は、本明細書の一部を構成するものとしてその内容すべてを援用される、Fioreによる米国特許第4,144,895号明細書、Osborne,Jr.らによる米国特許第4,150,677号明細書、Reidによる米国特許第4,267,847号明細書、Wildmanらによる米国特許第4,289,147号明細書、Brummerらによる米国特許第4,351,346号明細書、Brummerらによる米国特許第4,359,059号明細書、Mullerによる米国特許第4,506,682号明細書、Keritsisによる米国特許第4,589,428号明細書、Sogaらによる米国特許第4,605,016号明細書、Pouloseらによる米国特許第4,716,911号明細書、Niven,Jr.らによる米国特許第4,727,889号明細書、Bernasekらによる米国特許第4,887,618号明細書、Clappらによる米国特許第4,941,484号明細書、Faggらによる米国特許第4,967,771号明細書、Robertsらによる米国特許第4,986,286号明細書、Faggらによる米国特許第5,005,593号明細書、Grubbsらによる米国特許第5,018,540号明細書、Whiteらによる米国特許第5,060,669号明細書、Faggによる米国特許第5,065,775号明細書、Whiteらによる米国特許第5,074,319号明細書、Whiteらによる米国特許第5,099,862号明細書、Whiteらによる米国特許第5,121,757号明細書、Faggによる米国特許第5,131,414号明細書、Munozらによる米国特許第5,131,415号明細書、Faggによる米国特許第5,148,819号明細書、Kramerによる米国特許第5,197,494号明細書、Smithらによる米国特許第5,230,354号明細書、Faggによる米国特許第5,234,008号明細書、Smithによる米国特許第5,243,999号明細書、Raymondらによる米国特許第5,301,694号明細書、Gonzalez-Parraらによる米国特許第5,318,050号明細書、Teagueによる米国特許第5,343,879号明細書、Newtonによる米国特許第5,360,022号明細書、Clappらによる米国特許第5,435,325号明細書、Brinkleyらによる米国特許第5,445,169号明細書、Lauterbachによる米国特許第6,131,584号明細書、Kierulffらによる米国特許第6,298,859号明細書、Muaらによる米国特許第6,772,767号明細書、およびThompsonによる米国特許第7,337,782号明細書に説明されている。
【0145】
タバコ物質が含まれる典型的な範囲は、混合物の総重量(例えば、約0.1~約15重量%)に基づき、最大約30重量%(または最大約20重量%、または最大約10重量%、または最大約5重量%)の例示的な範囲で、タバコ物質の性質および種類、ならびに最終混合物で意図される効果に応じて変えることができる。
【0146】
本明細書に記載の組成物および製品へのタバコ物質の包含は、任意であることを意味し、必要とされていないことに留意されたい。或る実施形態では、本明細書に記載の経口製品は、一般には、タバコを含まない代替物であると特徴付けられることができる。例えば、或る実施形態では、本開示の経口製品は、(有効成分として精製された天然または合成ニコチン以外に)タバコ物質を完全に含まない、またはタバコ物質を実質的に含まないと言われてもよい。本明細書で、タバコ物質を「完全に含まない」または「実質的に含まない」と称される経口製品は、約1.0重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満のタバコ物質、または0重量%のタバコ物質を有するものとして特徴付けられることができる経口製品を指すことを意味している。
【0147】
イオン対化
或る特定の実施形態では、本明細書に開示された経口パウチ製品内部の原料または組成物は、酸性マトリックス中で塩基性アミンと、非極性または親油性有機酸塩とを組み合わせてもよく、これらは、貯蔵中の初期塩基性アミン含有量の保持の強化を呈し、酸性マトリックス(例えば、クエン酸またはクエン酸ナトリウム)中に極性有機酸塩を含有する組成物に対して、組成物の使用時にユーザに塩基性アミンの大部分を送達すると予測されている。驚くべきことに、本開示によれば、或る特定の実施形態では、極性有機酸塩を含む経口使用のために構成された組成物に対して、非極性有機酸塩または親油性有機酸塩の存在は組成物の安定性を高め、酸性pHで経口吸収のモデルシステムでのニコチンの膜透過性を高めたことが見出された。ニコチン透過の強化は、酸性条件下でのニコチンのプロトン化に関連して予測された透過率の減少を考慮すると特に驚くべきことである。
【0148】
顧客満足度については、貯蔵中の初期塩基性アミン含有量を保持し、経口製品中に最初に存在している塩基性アミンの全体量を実質的に送達する、経口使用のために構成された塩基性アミン含有経口製品を提供することが望ましい。本明細書に開示された製品の実施形態は、少なくとも1つの充填剤、ニコチンまたはニコチン成分などの塩基性アミン、水および有機酸、有機酸のアルカリ金属塩またはこれらの組合せを備えることができ、有機酸は、約1.4~約8.0のlogP値を有する。塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸またはそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合されている。会合は、塩基性アミン-有機酸塩、塩基酸アミンと有機酸の共役塩基とのイオン対、またはその両方の形態である。経口製品組成物内部の様々な成分の相対量は変えてもよく、典型的には、所望の感覚的特性および性能特性を経口製品に提供するように選択される。組成物の例示的な個別の成分は、本明細書で以下に更に記載されている。
【0149】
本明細書に開示されるように、塩基性アミンの少なくとも一部は、有機酸またはそのアルカリ金属塩の少なくとも一部と会合されている。複数の変数(濃度、pH、有機酸の性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミンは、遊離塩基として、カチオンとして、塩として溶液中でイオン対化されたもの(すなわち、完全溶媒和されたもの)を含む複数の形態で、またはこれらの組合せで存在することができる。或る実施形態では、塩基性アミンと有機酸またはそのアルカリ金属塩の少なくとも一部との間の会合は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基とのイオン対の形態である。
【0150】
イオン対化は、イオン対と呼ばれる別個の化学種を形成するための、相対的に濃縮された溶液中の逆の電荷を有するイオンの部分的な会合を表す。会合の強さ(すなわち、イオン対化)は、陽イオンと陰イオンとの静電引力(すなわち、ニコチンなどのプロトン化塩基性アミンおよび有機酸の共役塩基)に応じて変化する。「共役塩基」とは、対応する酸の脱プロトン化から得られた塩基を意味する(例えば、ベンゾエートは、安息香酸の共役塩基である)。平均して、これらのイオン対のある特定の集団は、イオン対の形成および解離は連続的であるものの、任意の所与の時間で存在する。本明細書に開示された経口製品および組成物では、かつ/または前記製品および前記組成物の経口使用時(例えば、唾液との接触時には)、例えばニコチンなどの塩基性アミンおよび有機酸の共役塩基は、少なくとも部分的にはイオン対の形態で存在する。理論によって拘束されることを望むものではないが、こうしたイオン対化は、塩基性アミンの化学分解を最小化し、かつ/または塩基性アミン(例えば、ニコチン)の経口利用能を高め得ると考えられる。アルカリ性pH値(例えば、約7.5~約9など)では、或る特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、遊離塩基形態で大部分が存在している。これは、蒸発および酸化分解に対して、相対的に水溶性が低く、安定性が低いが粘膜利用能が高い。逆に言えば、酸性pH値(約6.5~約4など)では、或る特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、プロトン化形態で大部分が存在している。これは、蒸発および酸化分解に対して、相対的に水溶性が高く、安定性が高いが粘膜利用能は低い。驚くべきことに、本開示によれば、経口使用のために構成された組成物中のニコチンの安定性、溶解度および利用能といった特性は、ニコチンと適切な有機酸および/またはそれらの共役塩基とニコチンとのイオン対化または塩形成を通じて相互に高められることができると見出された。特に、中程度の親油性のニコチン-有機酸イオン対によって、好ましい安定性特性および吸収特性がもたらされる。親油性は、好都合なことには、通常、それぞれオクタノールと水といった親油性相と水相との分子の分配係数であるlogPに関して測定される。オクタノールへの塩基性アミン-有機酸イオン対の分布に有利に働くオクタノール-水分配によって、口腔粘膜を通して組成物中に存在する塩基性アミンの良好な吸収が予測される。
【0151】
上述のように、アルカリ性pH値(例えば、約7.5~約9など)では、ニコチンは、遊離塩基形態でその大部分が存在する(したがって、オクタノールに対する分配が高い)が、一方で酸性pH値(例えば、約6.5~約4)では、プロトン化形態でその大部分が存在する(したがって、オクタノールに対する分配が低い)。驚くべきことに、本開示によれば、或る特定の有機酸(例えば、約1.4~約4.5など、約1.4~約8.0のlogP値を有する)間のイオン対によって、pH8.4でのオクタノールへのニコチン分配について予測されたものと一致しているオクタノールへのニコチン分配が可能となることが見出された。
【0152】
当業者は、消費者による使用前および使用中の両方において、開示された経口製品におけるイオン対化の程度は、例えば、pH、有機酸の性質、塩基性アミンの濃度、組成物中に存在する有機酸の濃度または有機酸の共役塩基、組成物の水分量、組成物のイオン強度などに基づいて変えてもよいことを認識するだろう。当業者は、イオン対化が前述の変数によって影響を受ける平衡プロセスであることもまた認識するだろう。したがって、イオン対化の程度の定量化は、計算または直接観察では困難または不可能である。ただし、本明細書に開示されるように、イオン対化の存在は、オクタノールと水との塩基性アミンの分配、または有機酸および/もしくはそれらの共役塩基を加えた塩基性アミン水溶液の膜透過などの代理手段を通して実証されてもよい。
【0153】
有機酸
或る実施形態では、原料または組成物は、少なくとも1種の有機酸、有機酸のアルカリ金属塩またはこれらの組合せを含有してもよい。本明細書で使用される場合、「有機酸」といった用語は、酸性特性を特徴とする有機(すなわち、炭素系)化合物を指す。典型的には、有機酸は、カルボン酸(-CO2H)またはスルホン酸(-SO2OH)など、比較的弱酸(例えば、これらの有機酸は水の存在下で完全には解離しない)である。本明細書で使用される場合、有機酸に対する言及は、意図的に加えられた有機酸を意味する。これに関して、有機酸は、別の組成物成分の構成成分として本質的に存在しているにすぎないもの(例えば、タバコ物質などとして、組成物成分に本質的に存在することができる少量の有機酸)に対し、特定の組成物成分として意図的に加えられてもよい。
【0154】
好適な有機酸は、典型的にはある範囲の親油性(すなわち、水と有機物の溶解度の適切なバランスをもたらす極性)を有する。典型的には、logPで示される好適な有機酸の親油性は、約1~約12で変化する(水中よりもオクタノール中で可溶性である)。或る実施形態では、有機酸は、約3~約12、例えば約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5または約8.0から、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5、約11.0、約11.5または約12.0のlogP値を有する。或る特定の実施形態では、logPで示される好適な有機酸の親油性は、約1.4~約4.5で変化する(水中よりもオクタノール中で可溶性である)。或る実施形態では、有機酸は、約1.5~約4.0、例えば約1.5、約2.0、約2.5または約3.0から、約3.5、約4.0、約4.5または約5.0のlogP値を有する。特に好適な有機酸は、約2.0、約2.5または約3.0から、約3.5または約4.0など、約1.7~約4のlogP値を有する。特定の実施形態では、有機酸は約2.5~約3.5のlogP値を有する。或る実施形態では、この範囲外の有機酸はまた、以下で本明細書に更に記載されるように、様々な目的および様々な量で利用されてもよい。例えば、或る実施形態では、有機酸は、約4.5~約12.0など、約4.5超のlogP値を有してもよい。特に、或る特定の溶媒または可溶化剤の存在(例えば、グリセリンまたはプロピレングリコールの組成物中への含有)は、親油性の範囲を拡大してもよい(すなわち、約4.5~約12.0など、4.5よりも高いlogPの値)。
【0155】
理論によって拘束されることを望むものではないが、中程度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、イオン対の良好なオクタノール-水分配、したがってニコチンの水に対するオクタノールへの分配を提供する極性があるニコチンとイオン対を生成すると考えられる。上述されるように、オクタノールへのこのような分配は、好ましい経口利用能を予測する。
【0156】
或る実施形態では、有機酸はカルボン酸またはスルホン酸である。カルボン酸またはスルホン酸の官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C1~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基に結合されてもよい。或る実施形態では、有機酸は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールカルボン酸またはスルホン酸である。
【0157】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、任意の直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。アルキル基は、飽和(すなわち、すべてsp3炭素原子を有する)されてもよく、または不飽和(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)であってもよい。本明細書で使用される場合、「不飽和」といった用語は、アルキル基内の1つ以上の位置での炭素-炭素sp2二重結合の存在を指す。不飽和アルキル基は、一価不飽和または多価不飽和であってもよい。代表的な直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチルおよび2-メチルブチルが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な不飽和アルキル基としては、エチレンまたはビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2ーブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、非置換または置換されることができる。
【0158】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、単環または二環式であってよい炭素環式基を指す。シクロアルキル基は、単環として3~7個の炭素原子を有する環、または二環として7~12個の炭素原子を有する環を含む。単環式シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は、不飽和または飽和されることができ、1つ以上の不飽和部位を含んでもよい(例えば、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニル)。
【0159】
本明細書で使用される場合、「アリール」といった用語は炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、非置換または置換であることができる。
【0160】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」および「ヘテロシクロアルキル」は、それぞれ、1個以上の環原子はヘテロ原子(例えば、窒素、酸素および硫黄)である、芳香族環系または非芳香族環系を指す。ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基は、最大20個の炭素原子ならびにN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子を備える。ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは、3~7個の環員を有する単環(例えば、2~6個の炭素原子およびN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子)または7~10個の環員を有する二環(例えば、4~9個の炭素原子およびN、OおよびSから選択される1~3個のヘテロ原子)であってもよく、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または「6,6]系であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノオキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノオキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリルおよびイサチノイルが挙げられるが、単なる例であり、限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、ジヒドロイピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニルおよびモルホリニルが挙げられるが、単なる例であり、限定されない。ヘテロアリール基およびヘテロシクロアルキル基は、非置換または置換であることができる。
【0161】
本明細書で使用される場合、かつ上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される「置換」は、1つ以上の水素原子が置換基とそれぞれ独立して置換されることを意味する。典型的な置換基としては、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH3、NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-CN、-NC(=O)CH3、-C(=O)-、-C(=O)NH2および-C(=O)N(CH3)2が挙げられるが、これらに限定されない。或る基が「任意選択で置換される」と記載される場合には、その基は、それぞれの場合に独立して選択される、上記置換基のうちの1つ以上で置換されることができる。或る実施形態では、置換基は、1つ以上のメチル基または1つ以上のヒドロキシ基であってもよい。
【0162】
或る実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0163】
或る実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的な例としては、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸およびオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0164】
或る実施形態では、アルキルカルボン酸またはアルキルスルホン酸は、1つ以上のヒドロキシ基で置換される。非限定的な例としては、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸および乳酸が挙げられる。
【0165】
或る実施形態では、有機酸は、2つ以上のカルボン酸基または2つ以上のスルホン酸基(例えば、2つ、3つまたはそれ以上のカルボン酸基)を含んでもよい。非限定的な例としては、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸およびグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸(例えば、2~4個のカルボン酸基)を含有する有機酸では、カルボン酸基のうちの1つ以上はエステル化されてもよい。非限定的な例としては、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチルまたはクエン酸ジメチルなどが挙げられる。
【0166】
或る実施形態では、有機酸は、2つ以上のカルボン酸基および1つ以上のヒドロキシ基を含んでもよい。こうした酸の非限定的な例としては、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0167】
或る実施形態では、有機酸は、アリールカルボン酸またはアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸およびアリールスルホン酸の非限定的な例としては、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0168】
ある特定の実施形態では有用となり得る有機酸の更なる非限定的な例としては、2-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、α-メチル酪酸、樟脳酸(+)、樟脳-10-スルホン酸(+)、ケイ皮酸、シクラメン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸、ステアリン酸およびウンデシレン酸が挙げられる。
【0169】
好適な酸の例としては、表1の有機酸の一覧が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
表1.好適な有機酸の非限定的な例
【0171】
【0172】
或る実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸およびオクタン酸である。或る実施形態では、有機酸は、安息香酸、オクタン酸またはデカン酸である。或る実施形態では、有機酸はオクタン酸である。或る実施形態では、有機酸は安息香酸である。
【0173】
或る実施形態では、有機酸は、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどの二酸またはポリ酸のモノエステルである。例えば、有機酸は、ジカルボン酸またはポリカルボン酸のモノエステルである。或る実施形態では、ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸またはこれらの組合せである。或る実施形態では、ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸またはこれらの組合せである。或る実施形態では、ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸またはこれらの組合せである。
【0174】
或る実施形態では、ジカルボン酸のモノエステルを形成するアルコールは、親油性アルコールである。好適な親油性アルコールの例としては、オクタノール、メントールおよびトコフェロールが挙げられるが、これらに限定されない。或る実施形態では、有機酸は、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなど、ジカルボン酸のオクチルモノエステルである。或る実施形態では、有機酸は、ジカルボン酸のモノメンチルエステルである。ある特定のメンチルエステルは、組成物を含有する製品の使用時に提供し得る冷感を理由に、本明細書に記載の経口組成物では望ましいものであってもよい。或る実施形態では、有機酸は、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチルまたはこれらの組合せである。或る実施形態では、有機酸は、ジカルボン酸のモノトコフェリルエステルである。或る特定のトコフェリルエステルは、提供し得る酸化防止作用を理由に、本明細書に記載の経口組成物では望ましいものであってもよい。或る実施形態では、有機酸は、コハク酸トコフェリル、フマル酸トコフェリル、グルタル酸トコフェリルまたはこれらの組合せである。
【0175】
或る実施形態では、有機酸は、1つ以上のカルボン酸を有するカロテノイド誘導体である。カロテノイドはテトラテルペンであり、8個のイソプレン分子から生成され、40個の炭素原子を含有することを意味する。したがって、カロテノイドは、通常、長い不飽和脂肪族鎖が存在することから親油性であり、一般には黄色、オレンジ色または赤色である。或る特定のカロテノイド誘導体は、両方のイオン対を提供し、組成物中の着色料として機能することを理由に、経口組成物において有利であることができる。或る実施形態では、有機酸は、2E、4E、6E、8E、10E、12E、14E、16Z、18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14、16,18-ノナエン酸(ビキシン)またはその異性体である。ビキシンは、ベニノキ(ビキサオレラナ)からのアナトーシードで見られるアポカテノイドであり、アナトーに赤みがかったオレンジ色を提供する天然に存在する顔料である。ビキシンは、脂肪およびアルコールには可溶だが水には不溶であり、単離時には化学的に不安定であり、異性化によって、構造
【0176】
【化1】
を有する二重結合異性体であるトランス-ビキシン(β-ビキシン)へと変換する。
【0177】
或る実施形態では、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ノルビキシン)、すなわち構造
【0178】
【化2】
を有するビキシンの水溶性加水分解生成物である。
【0179】
有機酸の選択は、logP値の考慮に加えて、またはこれを考慮せずに更なる特性に応じて更に変化してもよい。例えば、有機酸は、ヒト摂取にとって安全であると認識され、許容される風味、臭気、揮発性、安定性などを有するものでなければならない。適切な有機酸の決定は、当業者の理解の範囲内である。
【0180】
或る実施形態では、2種以上の有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2種、または3種、または4種、またはそれ以上の有機酸を含有してもよい。したがって、「有機酸」に対する本明細書での言及は、2種以上の有機酸の混合物を企図している。複数の有機酸の相対量は変えてもよい。例えば、組成物は、等量の2種、または3種、またはそれ以上の有機酸を含有してもよく、あるいは異なる相対量を含有してもよい。この様式では、組合せのための所望の平均logP範囲を提供するために他の有機酸と組み合わせられるときには、所望の範囲外のlogP値を有する、或る特定の有機酸(例えば、クエン酸またはミリスチン酸)を含むことが可能である。或る実施形態では、風味成分として、望ましい官能特性、安定性を提供するなどの目的ではあるが、これに限定されない目的のために所望の範囲外のlogP値を有する組成物中の有機酸を含むことが望ましくてもよい。更には、或る特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸として(例えば、ニコチンに対して等モルまたはより多量で)それらが存在することを妨げる、望ましくない風味または芳香特性を有する。理論によって拘束されることを望むものではないが、異なる有機酸の組合せは、所望のイオン対化を提供してもよいが、組成物中のいずれか単一の有機酸の濃度は、感覚的観点からは好ましくないと見出された閾値未満に留まると考えられる。
【0181】
例えば、或る実施形態では、有機酸は、例えば、約0.2モル当量のオクタン酸またはその塩、および0.2モル当量のデカン酸またはその塩と組み合わせた、ニコチンに対して約1~約5モル当量以上の安息香酸を含有してもよい。
【0182】
或る実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸およびオクタン酸からなる群から選択される任意の2つの有機酸の組合せである。或る実施形態では、有機酸は、安息香酸、オクタン酸およびデカン酸の組合せ、または安息香酸とオクタン酸である。或る実施形態では、組成物は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸およびオクタン酸のうちの1つ以上に加えてクエン酸を含有する。
【0183】
或る実施形態では、組成物は有機酸のアルカリ金属塩を含有する。例えば、有機酸の少なくとも一部は、アルカリ金属塩の形態で組成物中に存在してもよい。好適なアルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。或る実施形態では、アルカリ金属は、ナトリウムまたはカリウムである。或る実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。或る実施形態では、組成物は、有機酸および有機酸のナトリウム塩を含有する。
【0184】
或る実施形態では、組成物は、安息香酸および安息香酸ナトリウム、オクタン酸およびオクタン酸ナトリウム、デカン酸およびデカン酸ナトリウム、またはこれらの組合せを含有する。
【0185】
或る実施形態では、有機酸のナトリウム塩に対する有機酸の比は、約0.1~約10、例えば約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75または約1から、約2、約5または約10までなどである。例えば、或る実施形態では、有機酸およびそのナトリウム塩の両方は、組成物のその他の成分に加えられ、有機酸は、過剰なナトリウム塩中で、ナトリウム塩と等モル量で、またはナトリウム塩の一部として加えられる。当業者は、相対量が、組成物の所望のpHならびに所望のイオン強度によって決定されることを認識するであろう。例えば、有機酸は、組成物の所望のpHレベルを提供する量で加えられてもよいが、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は、所望の程度のイオン対化を提供する量で加えられる。当業者は、組成物中に存在するアルカリ金属塩または共役塩基形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化形態)の量は、組成物のpHおよび有機酸のpKaに従って、ならびに組成物に最初に加えられた実際の相対量に従って変わることを理解するであろう。
【0186】
ニコチンに対し、組成物中に存在する有機酸および/またはアルカリ金属塩の量は、変わってもよい。一般には、有機酸(またはその共役塩基)の濃度が上昇するにつれ、有機酸とイオン対化されるニコチンの割合は上昇する。これは、典型的には、logP(分配係数のlog10)で測定されるように、イオン対形態のニコチンのオクタノール対水への分配を上昇させる。或る実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算されたニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2または約5から、約10、約15または約20までのモル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、またはこれらの組合せを含有する。
【0187】
或る実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチン基準で、ニコチンに対し、約2~約10、または約2~約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、またはこれらの組合せを含有する。或る実施形態では、有機酸、そのアルカリ金属塩、またはこれらの組合せは、約2、約3、約4または約5から、約6、約7、約8、約9または約10までのニコチンとのモル比で存在する。2種以上の有機酸、そのアルカリ金属塩、またはそれら両方が存在する実施形態では、こうしたモル比は、存在する有機酸の総数を反映していると理解されるべきである。
【0188】
或る特定の実施形態では、有機酸含有物は、約4.0~約9.0、例えば約4.5~約7.0、または約5.5~約7.0、約4.0~約5.5、または約7.0~約9.0などの組成物pHの提供には十分である。或る実施形態では、有機酸含有物は、約4.5~約6.5、例えば約4.5、約5.0または約5.5~約6.0または約6.5までの組成物pHの提供には十分である。或る実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9または約6.0から約6.1、約6.2、約6.3、約6.4または約6.5までの組成物のpHの提供には十分な量で提供される。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸など)は、所望の値に組成物のpHを調整するために加えられる。
【0189】
或る実施形態では、有機酸は、遊離酸として、原液(すなわち、天然固体もしくは液体形態)または例えば水の溶液としてのいずれかで、その他の組成物成分に加えられる。或る実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、原液または例えば水の溶液としてのいずれかで、その他の組成物成分に加えられる。或る実施形態では、有機酸および塩基性アミン(例えば、ニコチン)は、組成物の添加前のどこかで組み合わせられて塩を形成するか、あるいは塩が組成物内部で形成されて、そのまま組成物中に存在する。他の実施形態では、有機酸および塩基性アミン(例えば、ニコチン)は、組成物中の個別の成分として存在し、水分(例えば、消費者口内の唾液)と接触時にイオン対を形成する。
【0190】
或る実施形態では、組成物は、安息香酸ニコチンおよび安息香酸ナトリウム(または他の安息香酸アルカリ金属)を含有する。他の実施形態では、組成物は、ニコチンおよび有機酸を含有し、有機酸はジカルボン酸のモノエステルまたは1種以上のカルボン酸を有するカロテノイド誘導体である。
【0191】
或る実施形態では、組成物は、有機酸またはその塩のうちの1つ以上の溶解度を増大させるため、溶解度向上剤を更に含有する。好適な溶解度向上剤としては、グリセロールまたはプロピレングリコールなどの本明細書に記載の湿潤剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0192】
塩基性アミン
1つ以上の実施形態では、原料または組成物は、塩基性アミンを含有してもよい。「塩基性アミン」とは、少なくとも1種の塩基性アミン官能基を含む分子を意味する。塩基性アミンの例としては、アルカロイドが挙げられるが、これに限定されない。「塩基性アミン官能基」とは、孤立電子対を有する窒素原子を含有する基を意味する。塩基性アミン官能基は、前記窒素原子への1つ以上の共有結合により、分子に結合または分子内部に組み込まれる。塩基性アミンは、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンであってもよく、これは窒素が、炭素原子に1つ、2つまたは3つの共有結合を有することを意味する。窒素原子上の孤立電子対を理由にこうしたアミンは「塩基性」と呼ばれるが、孤立電子対が水素結合を利用可能であることを意味する。塩基性アミンの塩基度(すなわち、窒素原子上の電子密度、その結果としての窒素原子への水素結合の利用可能性およびその強度)は、近隣の原子の性質、分子の立体的な嵩高さなどによって影響されてもよい。
【0193】
一般には、塩基性アミンは、組成物から放出され、口腔粘膜を通して吸収される。これによって、血流に入り、全身循環される。一般には、塩基性アミンは、本明細書で以下に記載されるように、組成物中の有効成分中または有効成分として存在する。或る実施形態では、塩基性アミンは、ニコチンまたはニコチン成分である。「ニコチン成分」は、存在するニコチンの少なくとも一部の経口吸収を提供するための、本明細書に述べられるニコチンの任意の好適な形態(例えば、遊離塩基、塩またはイオン対)を意味している。或る実施形態では、好適な形態のニコチンは、天然に存在するニコチンおよび/または合成ニコチンを含んでもよい。ニコチンは、組成物から放出され、口腔粘膜を通して吸収される。これによって、血流に入り、全身循環される。
【0194】
典型的には、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、イオン対としてのニコチン、およびニコチン塩からなる群から選択される。或る実施形態では、ニコチンの少なくとも一部は、その遊離塩基形態である。或る実施形態では、上で本明細書に開示されるように、ニコチンの少なくとも一部は、ニコチン塩として存在し、あるいはニコチンの少なくとも一部は、有機酸またはその共役塩基の少なくとも一部とのイオン対として存在する。
【0195】
典型的には、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、組成物の少なくとも約0.001重量%の濃度、例えば約0.001重量%~約10重量%の範囲などの濃度で存在する。或る実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算し、かつ組成物の総重量に基づき、約0.1重量%~約10重量%の濃度、例えば約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、または約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%までなどの濃度で存在する。或る実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算し、かつ組成物の総重量に基づき、約0.1重量%~約3重量%の濃度、例えば約0.1重量%~約2.5重量%、約0.1重量%~約2.0重量%、約0.1重量%~約1.5重量%、または約0.1重量%~約1重量%などの濃度で存在する。
【0196】
更なる添加剤
或る実施形態では、1つ以上の更なる添加剤は、原料中に含まれることができる。例えば、組成物は、他の原料または成分と、加工、ブレンド、配合、組み合わせ、および/または混合されることができる。添加剤は人工物とすることができ、あるいはハーブもしくは生物学的供給源から得られることができる、またはハーブもしくは生物学的供給源から誘導されたものとすることができる。含まれてもよい特定の種類の更なる添加剤は、以下に更に記載される。
【0197】
水
或る実施形態では、原料は、水分を含んでもよい。製品内部の組成物の水分量は、製品の消費者による使用前に、所望の特性に従って変えてもよい。典型的には、ユーザの口内への挿入前に製品内部に存在する組成物は、水の60重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満を含有することができる。例えば、組成物および/または製品中の総水分量は、水の約0.1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約1.5重量%~約40重量%、または約2重量%~約25重量%の範囲であってもよい。或る実施形態では、組成物および製品は、水の少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%または少なくとも20重量%を含んでもよい。
【0198】
塩
或る実施形態では、原料は、典型的には、組成物および製品に所望の官能特性を提供するのに十分な量で使用される、塩(例えば、アルカリ金属塩)を更に含有してもよい。好適な塩の非限定的な例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、粉末状の塩などが挙げられる。存在する場合、代表的な塩の量は、約0.5重量パーセント以上、約1.0重量パーセント以上、または約1.5重量パーセント以上であるが、典型的には、組成物または製品の総重量の約10重量パーセント以下、または約7.5重量パーセント以下、または5重量パーセント以下(例えば、約0.5~約5重量パーセント)で構成される。
【0199】
甘味料
原料はまた、1種以上の甘味料を含んでもよい。甘味料は、天然形態または人工形態の、または天然甘味料と人工甘味料の組合せとしての、任意の甘味料または甘味料の組合せとすることができる。天然甘味料の例としては、フルクトース、サッカロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、イソマルツロース、ステビア、ハチミツなどが挙げられる。人工甘味料の例としては、スクラロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどが挙げられる。或る実施形態では、甘味料は1種以上の糖アルコールを含有する。糖アルコールは、部分的な水添形態、または完全水添形態を有する単糖または二糖から誘導されたポリオールである。糖アルコールは例えば、約4個~約20個の炭素原子を有し、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ズルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトールおよびこれらの組合せ(例えば、加水分解水添デンプン)を含む。存在する場合、代表的な甘味料の量は、原料の総重量に基づき、例えば、重量基準で組成物の約0.1重量パーセント~約20重量パーセント以上、例えば、組成物の約0.1重量%~約1重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約10重量%、または約10重量%~約20重量%などで構成されてもよい。
【0200】
結合剤
或る実施形態では、原料は、1種以上の結合剤を含んでもよい。バインダ(またはバインダの組合せ)は、或る特定の実施形態では、組成物に対して所望の物理特性と物理的一体性を提供するのに十分な量で使用されてもよい。バインダも多くの場合、増粘剤またはゲル化剤として機能する。典型的なバインダは、有機性もしくは無機性、またはこれらの組合せとすることができる。代表的なバインダとしては、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプン系バインダ、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼインなど、およびこれらの組合せが挙げられる。或る実施形態では、バインダはペクチンまたはカラギーナン、またはこれらの組合せを含有する。利用されるバインダの量は変えることができるが、典型的には、最大約30重量パーセントであり、或る特定の実施形態は、原料の総重量に基づき、約1重量%~約30重量%、または約5重量%~約10重量%など、少なくとも約0.1重量%のバインダ含有量によって特徴付けられる。
【0201】
或る特定の実施形態では、バインダは、ガム、例えば天然ガムを含む。本明細書で使用される場合、天然ガムは、結合特性を有し、増粘剤またはゲル化剤としても有用である天然起源の多糖類原料を指す。典型的にはある程度水溶性である植物由来の代表的な天然ガムとしては、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、ガムガッチ、トラガカントガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ゲランガム、およびこれらの組合せが挙げられる。存在する場合には、天然ガムバインダ材は、原料の総重量に基づき、最大で約5重量%、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、または約1重量%から、約2重量%、約3重量%、約4重量%、または約5重量%までの量で典型的には存在する。
【0202】
湿潤剤
或る特定の実施形態では、1種以上の湿潤剤が混合物に使用されてもよい。湿潤剤の例としては、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。含まれる場合、湿潤剤は、典型的には、組成物に所望の水分特性を提供するのに十分な量で典型的には提供される。更には、場合によっては、湿潤剤は、金型内に堆積させるために組成物に望ましい流れ特性を付与してもよい。存在する場合、湿潤剤は、原料の重量の約5%以下(例えば、約0.5重量%~約5重量%)を典型的には構成する。存在する場合、湿潤剤の代表的な量は、原料の総重量に基づき、約0.1重量%~約1重量%、または約1重量%~約5重量%である。
【0203】
pH調整剤/緩衝剤
或る特定の実施形態では、本開示の原料は、pH調整剤または緩衝剤を含有してもよい。使用されることができるが、これらに限定されないpH調整剤および緩衝剤の例としては、金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属)、ならびに金属炭酸塩(例えば、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム)などの他のアルカリ金属緩衝剤、または重炭酸ナトリウムなどの金属重炭酸塩などが挙げられる。存在する場合、緩衝剤は、典型的には、原料の総重量に基づき、例えば約0.75重量%~約4重量%、約0.75重量%~約3重量%、または約1重量%~約2重量%など、例えば約0.5重量%~約5重量%といった、原料の重量に基づき、約5重量%未満の量で存在する。好適な緩衝剤の非限定的な例としては、アルカリ金属酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0204】
着色料
或る実施形態では、原料は、1種以上の着色料を含んでもよい。着色料は、組成物または製品に所望の物理特性を提供するのに十分な量で使用されてもよい。着色料の例としては、カラメル色素および二酸化チタンなど、様々な染料および顔料が挙げられる。組成物または製品に使用される着色料の量は変えることができるが、存在する場合、原料の総重量に基づき、約0.1重量%、約0.5重量%、または約1重量%から、約3重量%まで、典型的には最大約3重量パーセントである。
【0205】
本発明の原料中に使用されてもよい更なるタイプの添加剤としては、増粘安定剤またはゲル化剤(例えば、フィッシュゼラチン)、乳化剤、口腔ケア添加剤(例えば、タイム油、ユーカリ油、および亜鉛)、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、崩壊助剤、組成物が相対的に水溶性であるように選択され、より高い水溶性を有する亜鉛塩もしくはマグネシウム塩(例えば、グルコン酸マグネシウムもしくはグルコン酸亜鉛)、または組成物を相対的に不溶にするように選択され、より低い水溶性を有する亜鉛塩もしくはマグネシウム塩(例えば、酸化マグネシウムもしくは酸化亜鉛)、またはこれらの組合せが挙げられる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Muaらによる米国特許第9,237,769号明細書、Holton,Jr.らによる米国特許第7,861,728号明細書、Gaoらによる米国特許出願公開第2010/0291245号明細書、およびHolton,Jr.らによる米国特許出願公開第2007/0062549号明細書に記載されている代表的な成分、成分の組合せ、それらの成分の相対量、ならびにそれらの成分を使用するための方式および方法を参照されたい。こうした追加の添加剤についての典型的な包括範囲は、原料の総重量(例えば、約0.1~約5重量%)に基づき最大約10重量%の例示的な範囲で、添加剤の性質および機能、ならびに最終混合物で意図される効果に応じて変えることができる。
【0206】
上述の添加剤はともに(例えば、添加剤配合物として)、または別個に(例えば、個別の添加剤成分は、最終原料の調製に含まれる種々の段階で添加されることができる)使用されることができる。更には、上述の種類の添加剤は、最終製品または最終製品内部に含まれる原料中に提供されるようにカプセル化されてもよい。例示的なカプセル化添加剤は例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を既に援用される、Atchleyによる国際公開第2010/132444号に説明されている。
【0207】
粒子
或る実施形態では、充填剤、タバコ物質、および本明細書に記載の全原料のうち任意の1つ以上は、粒子状物質として説明されることができる。本明細書で使用される場合、「粒子状」といった用語は、複数の個別の粒子形態である原料を指し、そのうちの一部は複数の粒子が凝集した形態とすることができる。この粒子は、2:1未満、例えば1.5:1未満、例えば約1:1など、幅に対しての平均的な長さの比を有する。様々な実施形態では、粒子状物質の粒子は、実質的に球形または顆粒状のものとして説明されることができる。
【0208】
粒子状物質の粒径は、篩分析により測定されてもよい。当業者が容易に理解するように、篩分析(これ以外ではグラデーション試験としても知られている)は、粒子状物質の粒度分布を測定するために使用される方法である。典型的には、篩分析は、典型的にはワイヤメッシュ布の形態のスクリーンを備える、篩の入れ子状のカラムを備える。予め秤量した試料は、最大スクリーン開口部または網目(すなわち、篩の最大穴径)を有するカラムの頂部または最上部に導入されてもよい。カラム下部のそれぞれの篩は、上部の篩よりも漸進的に小さいスクリーン開口部または網目を有する。典型的には、篩のカラム(最小のスクリーン開口部または網目のサイズを有する)の基部には、カラム底部または最下部のスクリーン開口部径または網目よりも小さな粒径を有する、任意の粒子を回収するための受け部分がある。
【0209】
或る実施形態では、篩のカラムは機械的撹拌機上または機械的撹拌機中に配置されてもよい。撹拌機により、カラム中の篩のそれぞれに振動を引き起こす。機械的撹拌機は、全粒子が確実に適当な篩中に回収されるようにするために、所定の期間にわたって作動されてもよい。或る実施形態では、篩のカラムは0.5分~10分間の期間、例えば1分~10分間、例えば1分~5分間、例えば約3分間にわたり撹拌される。カラム中の篩の撹拌が完了すると、それぞれの篩に回収された原料は秤量される。続いて各篩における各試料の重量は、それぞれの篩に保持されている質量の割合を得るため、総重量で除算されてもよい。当業者が容易に理解するように、篩分析に使用されるカラムのそれぞれの篩のスクリーン開口部径または網目は、分析される試料の粒度、または既知の最大/最小粒径に基づいて選択されてもよい。或る実施形態では、篩のカラムは篩分析のために使用されてもよく、カラムは、5~15個の篩など、2~20個の篩を備える。或る実施形態では、篩のカラムは篩分析のために使用されてもよく、カラムは10個の篩を備える。或る実施形態では、篩分析のために使用される最大スクリーン開口部または網目は、1000μm、例えば500μm、例えば400μm、例えば300μmであってもよい。
【0210】
或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質(例えば、充填剤成分、タバコ物質、および全原料)は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する、少なくとも50重量%の粒子を有すると特徴付けられることができる。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の少なくとも60重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の少なくとも70重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の少なくとも80重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の少なくとも90重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の少なくとも95重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の少なくとも99重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、本明細書で参照される任意の粒子状物質の約100重量%の粒子は、約1000μm以下、例えば約500μm以下、例えば約400μm以下、例えば350μm以下、例えば約300μm以下の篩分析により測定されるような粒径を有する。
【0211】
或る実施形態では、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%の、本明細書に参照された任意の粒子状物質の粒子は、約0.01μm~約1000μm、例えば約0.05μm~約750μm、例えば約0.1μm~約500μm、例えば約0.25μm~約500μmの篩分析により測定されるような粒径を有する。或る実施形態では、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%の、本明細書に参照された任意の粒子状物質の粒子は、約10μm~約400μm、例えば約50μm~約350μm、例えば約100μm~約350μm、例えば約200μm~約300μmの篩分析により測定されるような粒径を有する。
【0212】
パウチ内部に包含するための原料の調製
原料の様々な成分が組み合わせられる方式は変えてもよい。したがって、例えば粉末混合物成分と様々な成分との全混合物は、事実上、相対的に均一であってもよい。液体形態または乾燥固体形態であってもよい上述の成分は、残留している任意の原料の成分と混合する前の前処理工程で混合されることができる、またはすべての他の液体または乾燥成分とともに単に混合されることができる。原料の様々な成分は、当該技術分野で知られている任意の混合技術または機器を使用し、接触、組み合わせ、またはともに混合されてもよい。羽根車、または撹拌可能な他の構造物を備える混合装置などの、成分を密接に接触させる任意の混合方法が使用されることができる。混合機器の例としては、ケーシングドラム、コンディショニングシリンダまたはドラム、液体噴霧装置、円錐型ブレンダ、リボンブレンダ、Littleford Day,Inc.から入手可能なFKM130、FKM600、FKM1200、FKM2000およびFKM3000などのミキサ、Plough Shareタイプのミキサシリンダ、Hobartミキサなどが挙げられる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Solomonらによる米国特許第4,148,325号明細書、Korteらによる米国特許第6,510,855号明細書およびWilliamsによる米国特許第6,834,654号明細書に記載されているタイプの方法論もまた参照されたい。或る実施形態では、原料を形成する成分は、それらの混合物が混合物を形成するためのデンプン成形プロセスに使用されてもよいように調製されている。混合物を処方するための方式および方法は、当業者には明らかであろう。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Solomonらによる米国特許第4,148,325号明細書、Korteらによる米国特許第6,510,855号明細書、およびWilliamsによる米国特許第6,834,654号明細書、Ridgwayらによる米国特許第4,725,440号明細書ならびにBolderらによる米国特許第6,077,524号明細書に記載されているタイプの方法論もまた参照されたい。
【0213】
それぞれの製品ユニット、例えばパウチ内部に包含された原料の量は、変えてもよい。或る実施形態では、それぞれのパウチ内部の混合物の重量は、例えば約50mg~約2g、約100mg~約1.5g、または約200mg~約700mgなど、少なくとも約50mgである。或るより狭い範囲の実施形態では、それぞれのパウチ内部の混合物の重量は、約100~約300mgであってもよい。更に広い範囲の実施形態については、それぞれのパウチ内部の原料の重量は、約300mg~約700mgであってもよい。必要に応じて、他の成分がそれぞれのパウチ内部に包含されることができる。例えば、少なくとも1つの風味付けされた、香料付きの水分散性物質または水溶性物質(例えば、息を爽やかにする食用フィルムタイプの物質)のストリップ、小片またはシートは、少なくとも1種のカプセルとともに、またはこのカプセルなしでそれぞれのパウチ内部に配置されてもよい。こうしたストリップまたはシートは、パウチ内部に容易に組み込まれるようにするため、折り畳まれ、またはしわくちゃに潰された状態であってもよい。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Scottらによる米国特許第6,887,307号明細書およびLeungらによる米国特許第6,923,981号明細書、ならびにThe EFSA Journal(2004)85,1-32に記載されるタイプの物質ならびに技術を参照されたい。
【0214】
複区画経口パウチ製品の造方法
本開示の或る態様は、複区画経口パウチ製品の製造方法を提供する。例えば、こうした方法は、フリース素材の最下層とフリース素材の最上層との間に、経口使用のために構成された第1の組成物および経口使用のために構成された第2の組成物を位置付けることを含んでもよい。典型的には、第1の組成物は、所定の距離だけ第2の組成物と離間され、第1の組成物と第2の組成物との接触を防止する。フリース素材の層間に組成物を位置付けた後、フリース素材の最上層の一部およびフリース素材の最下層の一部は、第1の組成物と第2の組成物の間の所定の距離に近接して封止され、第2の組成物から第1の組成物を少なくとも部分的に分離する内側継目を提供する。上記にて本明細書で述べられるように、封止された継目は、完全に溶着された継目の形態(例えば、従来の熱封止技術を使用)で提供されてもよく、あるいは封止された継目は、部分的に封止された継目の形態(例えば、従来の穿孔方法を使用)で提供されてもよい。熱封止は、熱の直接適用を使用して、または超音波封止、真空封止などのその他の手段で達成されることができる。或る特定の実施形態では、穴が開き、部分的に封止された継目は、溶着されていない継目に隙間が残るように、断続的な熱封止を適用することで形成されることができる。一般には、内側継目を封止する方法は変えてもよく、フリース素材および/または水分散性フィルム材を封止するための当該技術分野で一般的に知られている、任意の封止方法が好適であることを理解されたい。フリース素材は、上述のように例として本明細書に述べられるものの、本開示によるパウチ材はフリース素材に限定されず、本明細書に記載の方法は、他のパウチ材(例えば、水分散性フィルム材から形成されたパウチ材など)に同様に適用可能であることが理解されなければならない。内側継目を封止した後、フリース素材の最上層およびフリース素材の最下層の境界は封止され、複区画経口パウチを形成する。
【0215】
上述のように、方法の或る実施形態では、内側継目は、第1の組成物を第2の組成物と完全に分離する完全に溶着された継目であることができる。他の実施形態では、内側継目は、第1の組成物を第2の組成物と部分的に分離する穴の開いた継目であることができる。或る実施形態では、封止後に形成された第1の区画中の組成物(すなわち、第1の組成物)が、封止後に形成された第2の区画中の組成物(すなわち、第2の組成物)とは異なるように、第1の組成物は第2の組成物と異なるものであることができる。本明細書に記載の方法の或る実施形態では、第1の組成物と第2の組成物は、(上述のように)2つ以上の区画を形成する前にパウチ材内部に挿入されてもよく、代替的には2つ以上の区画は、パウチ材に予め形成され、第1の組成物および第2の組成物をそれぞれの区画へと挿入する前に部分的に封止されてもよい。後者の例では、部分的に封止された区画は、製品に最終封止を適用する前に、挿入された組成物を受容し、保持するのに十分な方式で部分的に封止されてもよい。
【0216】
複区画経口パウチを製造する更なる方法もまた、本開示で提供される。或る実施形態では、例えば、複区画経口パウチを製造する方法は、フリース素材の最下層とフリース素材中間層の間に、経口使用のために構成された第1の組成物を位置付けることを備える。次に、経口使用のために構成された第2の組成物は、フリース素材の中間層とフリース素材の最上層との間に位置付けられてもよい。組成物充填物がフリース素材の層内部に位置付けられた後、フリース素材の最上層、フリース素材の中間層およびフリース素材の最下層の境界は封止され、複区画経口パウチを提供することができる。一般には、フリース素材の層を封止する方法は、本明細書で述べられるように変えてもよく、フリース素材を封止するために当該技術分野で一般的に知られている封止方法が好適であることが知られている。
【0217】
複区画経口パウチを製造する更に他の方法は、本開示で提供される。或る実施形態では、例えば、外側透水性パウチの第1の区画が形成され、本明細書で上記に記載の第1の組成物で充填されてもよい。外側透水性パウチの第1の区画内部の第1の組成物の挿入後、第1の区画は、本明細書で前述された任意の封止技術を使用して封止されてもよい。次に、外側透水性パウチの第2の区画(第1の区画よりも大きい)は、形成されてもよく、外側透水性パウチの第1の区画は、第1の区画内部の環状領域内に配置される。第1の区画を第2の区画内に挿入した後、第2の区画は第2の組成物で充填されてもよい。本明細書に記載されるように、第2の組成物は、第1の組成物と同一またはそれとは異なってもよい。第2の組成物で第2の区画を充填した後、次いで第2の区画は、本明細書に記載の1つ以上の封止技術を使用して封止され、本明細書に記載の複区画経口パウチ製品を形成する。こうした実施形態では、第1の区画は、第2の区画が第1の区画を包囲するように第2の区画内部に完全に包含され、複区画経口パウチを形成する。
【0218】
様々な製造装置および方法を使用してパウチ製品を生成することができ、こうした製造装置は、本明細書で提供された方法と組み合わせて使用され、本明細書に記載の複区画経口パウチ製品を生成することができる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Novak,IIIらによる米国特許出願公開第2012/0055493号明細書は、煙を出さないタバコ製品の製造時に使用するためのチューブへと形成されたパウチ材を提供するための装置およびプロセスに関する。パウチ材の連続供給物を供給する機器を組み込んだ類似の装置(例えば、パウチ材から連続チューブ状部材を形成するために、連続チューブ形成ユニットにパウチ材を供給するように適合されたパウチ加工ユニット)は、本明細書に記載の複区画パウチ製品を作製するために使用されることができる。この場合、パウチ製品は、本明細書で提供されるニードルパンチされたフリースである。こうしたパウチ材の連続チューブを形成するための代表的な機器は、例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体を援用される、Boldriniらによる米国特許出願公開第2010/0101588号明細書にて開示されている。この装置は、連続チューブ状部材が小分けにされて別々のパウチポーションへと封止されるときに、それぞれのパウチポーションが経口使用に適合した投入分の組成物を含むように、パウチ材を連続チューブ状部材へと供給するための機器を更に含む。充填剤物質を供給するための代表的な機器は、例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容全体を援用される、Brinkleyによる米国特許出願公開第US2010/0018539号明細書にて開示されている。場合によっては、装置は、連続チューブ状部材を個別のパウチ部分に細分するための小分けユニットを含んでもよく、個別のパウチ部分へと細分されると、それぞれのパウチポーションの1つ以上の端部を封止するための封止ユニットも含んでもよい。他の例では、連続チューブ状部材は封止ユニットを使用して個別のパウチ部分へと封止されてもよく、続いて個別のパウチポーションが封止されると、連続チューブ状部材は、連続した状態で配置されているパウチポーションの封止された端部同士の間で連続チューブ状部材を小分けユニットが細分することで、別々の個別のパウチポーションへと細分されてもよい。更に他の例では、連続チューブ状部材の個別のパウチポーションの封止(閉鎖)は、典型的な熱封止ユニットと組み合わせて封止および分割ユニットを使用して、その細分と実質的に同時に生じてもよい。
【0219】
それぞれの複区画パウチ内部に包含された原料の量は、変えてもよい。一般には、それぞれの複区画パウチ内部に包含された原料の量は、複区画パウチのすべての区画に含まれた原料の総量を含む。或る実施形態では、それぞれの区画中に原料の量は変えてもよく、それぞれの区画の原料の量は、実質的に同一、または区画ごとに異なっていてもよい。より狭い範囲の実施形態では、それぞれのパウチ内部の原料の乾燥重量は、少なくとも約50mg~約150mgである。より幅広い実施形態について、それぞれのパウチ内部の原料の乾燥重量は、典型的には、約300mg~約500mgを超えない。或る実施形態では、それぞれのパウチ内部の原料の乾燥重量は、例えば約50mg~約2g、約100mg~約1.5g、または約200mg~約700mgなど、少なくとも約50mgである。或る実施形態では、それぞれのパウチ/容器は、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Holtonによる米国特許第7,861,728号明細書に更に詳細に説明されるように、香料部材内に配置されていてもよい。例えば、少なくとも1つの風味付けされた、香料付きの水分散性物質または水溶性物質(例えば、息を爽やかにする食用フィルムタイプの物質)のストリップ、小片またはシートは、少なくとも1種のカプセルとともに、またはこのカプセルなしでそれぞれのパウチ内部に配置されてもよい。こうしたストリップまたはシートは、パウチ内部に容易に組み込まれるようにするため、折り畳まれ、またはしわくちゃに潰された状態であってもよい。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Scottらによる米国特許第6,887,307号明細書およびLeungらによる米国特許第6,923,981号明細書、ならびにThe EFSA Journal(2004)85,1-32に記載されるタイプの物質ならびに技術を参照されたい。
【0220】
様々な実施形態では、本明細書に記載の封止パウチ材内部に使用されたフリース素材は、高速パウチ化装置を用いると問題が生じるほど十分に粘着質であることができる。したがって、或る特定の実施形態では、Teflon(R)コーティングまたは類似の物質は、加工中に袋詰め包装機器にパウチ材が粘着することに関連する任意の問題を低減および/または緩和するために、例えばローラ、切断器具、または封止装置などのフリース素材に接触する袋詰め包装機器の1箇所以上の表面に塗布されることができる。
【0221】
パウチ製品は、本明細書の一部を構成するものとしてその内容を援用される、Reddickらによる米国特許出願公開第2014/0255452号明細書に説明されるもののように、外側透水性パウチ上に印刷もしくは着色された、または外側透水性パウチ上に押印(例えば、エンボス加工、デボス加工、それ以外の場合にはプレス加工)された製品識別情報を更に含むことができる。上述のように、必要に応じて、不織布ウェブ上に食用香味料インクをコーティングまたは印刷することなどにより、香料もまた不織布ウェブへと組み込まれることができる。例えば、本明細書の一部を構成するものとしてそれぞれの内容を援用される、Kawataらによる米国特許出願公開第2012/0085360号明細書およびSebastianらによる米国特許出願公開第2012/0103353号明細書を参照されたい。
【0222】
経口使用のために構成された、本開示の製品は、従来型の煙を出さないタバコ製品がパッケージおよび貯蔵される方法とほぼ同一の方式で、任意の好適なパッケージ内にパッケージおよび貯蔵されてもよい。例えば、複数の小袋またはパウチは、円筒形の容器中に包含されてもよい。調製後の製品貯蔵期間は、様々なものであってもよい。本明細書で使用される場合、「貯蔵期間」は、開示された製品の調製後の期間を指す。或る実施形態では、本明細書に開示された製品の1つ以上の特性(例えば、白色度の維持、色変化がない、揮発性香料成分の維持)は、ある程度の貯蔵期間または全貯蔵期間にわたって示されている。或る実施形態では、貯蔵期間(すなわち、調製後の期間)は、少なくとも1日である。或る実施形態では、貯蔵期間は約1日、約2日、もしくは約3日~約1週間、または約1週間~約2週間、約2週間~約1ヶ月、約1ヶ月~約2ヶ月、約2ヶ月~約3ヶ月、約3ヶ月~約4ヶ月、または約4ヶ月~約5ヶ月である。或る実施形態では、貯蔵期間は約1日~約150日のうち、いずれかの日数である。或る特定の実施形態では、貯蔵期間は、例えば約6ヶ月超、約7ヶ月超、約8ヶ月超、約9ヶ月超、約10ヶ月超、約11ヶ月超、または約12ヶ月超など、5ヶ月超であってもよい。
【0223】
前述の説明に提示された教示の恩典を有する、本発明が関係する本発明の多くの変更および他の実施形態が当業者に思い浮かぶことであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定しようとするものではなく、その変更および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。特定の用語が本明細書にて使用されるが、これらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、限定する目的のものではない。
【国際調査報告】