(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】牽引機構ユニット、牽引機構ユニットを備えた単一トラック又は多重トラック車両、車両の組立及び操作のための方法、車両におけるペダルキックバックの回避のための方法、単一又は多重トラック車両の駆動トルクの伝達のための方法、並びに単一又は多重トラック車両における牽引機構ユニットを備えた駆動列と懸架/減衰装置との間の相互作用を解消するための方法
(51)【国際特許分類】
B62M 1/00 20100101AFI20240408BHJP
【FI】
B62M1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566950
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2022061055
(87)【国際公開番号】W WO2022229187
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021111293.1
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523137223
【氏名又は名称】キルヴァット・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】KILLWATT GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,ハンス・ペーター
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ルカッチ,マリアン
(57)【要約】
本発明は、牽引機構ユニット(16)を備えた車両、車両(F)を組み立てるための方法(60)、車両(F)におけるペダルキックバックを回避するための方法(65)、牽引機構ユニット(16)を介して単一トラック又は多重トラック車両の駆動トルクを伝達するための方法、及び単一トラック又は多重トラック車両(F)において牽引機構ユニット(16)を備えた駆動列と懸架/減衰装置(10)との間の相互作用を解消するための方法、並びにそれに対応する牽引機構ユニット(16)に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車のタイプの単一又は多重トラック車両(F)であって、
a)フレーム(1)を介して互いに接続されている、少なくとも1つの前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)であって、前記前輪(2)は、前輪軸(33)の周りで回転するように前記フレーム(1)に装着され、前記後輪(3)は、後輪軸(15)の周りで回転するように前記フレーム(1)に装着されている、少なくとも1つの前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)と、
b)牽引機構ユニット(16)であって、
入力牽引手段プーリ(30)によって駆動される入力牽引手段(28)及び
出力牽引手段プーリ(31)を駆動する出力牽引手段(29)
を備えた牽引機構ユニット(16)と、
を備え、
前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)は、互いに直列に配置され、伝達牽引手段プーリユニット(41)を介して互いに伝達接続状態にあり、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)は、前記入力牽引手段(28)と係合された入力側牽引手段プーリ(42)と、前記出力牽引手段(29)と係合された出力側牽引手段プーリ(43)とを備え、前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、共通の伝達軸(27)の周りで回転可能であり、
前記出力牽引手段プーリ(30)は、ペダル(13)及び/又は駆動ユニット(34)に接続された駆動シャフト(35)によって駆動され、前記後輪(3)又は前記前輪(2)は、前記出力牽引手段プーリ(31)によって駆動される、前記車両(F)において、
前記入力牽引手段プーリ(30)及び前記入力側牽引手段プーリ(42)を支持する第1支持ユニット(25)が、前記フレーム(1)から独立して前記入力牽引手段(28)の引張力を吸収するために設けられ、
前記出力側牽引手段プーリ(43)及び前記出力牽引手段プーリ(31)を支持する第2支持ユニット(26)が、前記フレーム(1)から独立して前記出力牽引手段(29)の引張力を吸収するために設けられ、
前記フレーム(1)は、前記第1支持ユニット(25)及び前記第2支持ユニット(26)を迂回して前記車両(F)の運転中に生じる車輪接触力を吸収し、
前記第1支持ユニット(25)と前記第2支持ユニット(26)とは、互いに対して回転可能に構成され、
前記第1支持ユニット(25)及び前記第2支持ユニット(26)は、前記フレーム(1)に回転可能に装着されている、
ことを特徴とする、車両(F)。
【請求項2】
前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、前記伝達軸(27)に同軸に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両(F)。
【請求項3】
前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、互いに対して共回転方式で、特に、1つの一体部品として構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両(F)。
【請求項4】
前記入力側牽引手段プーリ(42)から前記出力側牽引手段プーリ(43)までの伝達比、及び/又は前記入力牽引手段プーリ(30)から前記出力牽引手段プーリ(31)までの伝達比、及び/又は前記入力牽引手段プーリ(30)から前記入力側牽引手段プーリ(42)までの伝達比、及び/又は前記出力側牽引手段プーリ(43)から前記出力牽引手段プーリ(31)までの伝達比が、1対1であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項5】
前記第1支持ユニット(25)は第1ハウジング(36)を含み、及び/又は前記第2支持ユニット(26)は第2ハウジング(38)を含み、前記ハウジング(36、38)は、特にプラスチック製であり、特に完全に、前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)をそれぞれカプセル化することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項6】
前記第1支持ユニット(25)は、特に完全に、前記第1ハウジング(36)によって形成されることにより、前記第1ハウジング(36)は、特に完全に、前記入力牽引手段(28)の前記引張力を吸収するように構成されていること、及び/又は、前記第2支持ユニット(26)は、特に完全に、前記第2ハウジング(38)によって形成されることにより、前記第2ハウジング(38)は、特に完全に、前記出力牽引手段(29)の前記引張力を吸収するように構成されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項7】
前記第1支持ユニット(25)は、前記入力牽引手段(28)を事前に引っ張るための第1牽引手段引張装置(39)を含むこと、及び/又は、前記第2支持ユニット(26)は、前記出力牽引手段(29)を事前に引っ張るための第2牽引手段引張装置(40)を含み、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、特に、偏心牽引手段引張装置として構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項8】
前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)上に配置され、特に、少なくとも1つの事前引張アクセス(32)が設けられ、前記少なくとも1つの事前引張アクセス(32)を通って、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、事前引張位置を設定するために外部からアクセス可能であることを特徴とする、請求項7に記載の車両(F)。
【請求項9】
前記伝達牽引手段プーリユニット(41)は、回転軸受(37)を介して前記第1支持ユニット(25)及び/又は前記第2支持ユニット(26)上に装着されること、及び、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、前記回転軸受(37)の内部又は外部に配置されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の車両(F)。
【請求項10】
前記入力牽引手段(28)及び/又は前記出力牽引手段(29)は、ベルト、特に、歯付きベルトとして構成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項11】
ブレーキキャリパ(18)及びブレーキディスク(17)を有するブレーキ装置が設けられ、前記ブレーキキャリパ(18)及び/又は前記ブレーキディスク(17)は、前記牽引機構ユニット(16)上に装着され、前記ブレーキディスク(17)は、特に、前記入力牽引手段プーリ(30)又は前記出力牽引手段プーリ(31)又は前記伝達牽引手段プーリユニット(41)と同軸に配置され、前記ブレーキキャリパ(18)は、特に、前記牽引機構ユニット(16)の前記ハウジング(36、38)上に装着されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項12】
前記牽引機構ユニット(16)は、
速度センサ(54)を備え、前記速度センサ(54)が、特に、前記入力牽引手段プーリ(30)又は前記出力牽引手段プーリ(31)又は前記伝達牽引手段プーリユニット(41)上に配置されていること、
駆動エネルギーを電気エネルギーとして回収するための発電機(55)を備えること、
互いに対する前記支持ユニット(25、26)の回転、又は前記フレーム若しくはモータに対する前記第1支持ユニット(25)の回転を測定する懸架移動センサ(56)を備えること、
という特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項13】
前記牽引機構ユニット(16)は、
前記伝達牽引手段プーリユニット(41)、特にまた前記支持ユニット(25、26)の前記ハウジング(36、38)が、前記牽引機構ユニット(16)を通って延在して外部に開いている貫通開口部(57)を備えること、
前記貫通開口部(57)が前記伝達軸(27)に同軸に形成されていること、
前記貫通開口部(57)が内部ハウジング(44)によって前記伝達軸(27)の半径方向に境界が定められていること、
前記内部ハウジング(44)が共回転方式で前記伝達牽引手段プーリユニット(41)に接続されてそれと共に回転可能であること、
特に前記内部ハウジング(44)を照明する、少なくとも1つの照明装置(58)が前記貫通開口部(57)の領域内に配置されること、
という特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項14】
前記牽引機構ユニット(16)は、前記フレーム(1)から完全に結合解除された前記少なくとも2つの牽引手段の引張力を吸収し、入力牽引手段プーリを介して前記牽引機構ユニット(16)内に導入されたトルク力を前記フレームから絶縁された状態の前記出力牽引手段プーリに伝達するように構成されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項15】
前記第1支持ユニット(25)は、前記車両(F)の駆動軸(14)の周りで回転し得るように前記フレーム(1)上に装着され、及び/又は、前記第2支持ユニット(26)は、前記車両(F)の前記後輪軸(15)又は前記前輪軸(33)の周りで回転し得るよう前記フレーム(1)上に装着され、前記牽引機構ユニット(16)は、特に専らこれらの装着点を介して前記フレーム(1)上に装着されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項16】
前記入力牽引手段プーリ(30)は、前記車両(F)の前記駆動軸(14)に同軸に配置され、及び/又は、前記出力牽引手段プーリ(31)は、前記車両(F)の前記後輪軸(15)又は前記前輪軸(33)に同軸に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の車両(F)。
【請求項17】
前記伝達軸(27)は、前記車両(F)の、前記駆動軸(14)及び/又は前記後輪軸(15)若しくは前記前輪軸(33)の鉛直上方又は鉛直下方に配置されることを特徴とする、請求項14又は15に記載の車両(F)。
【請求項18】
前記第2支持ユニット(26)は、前記後輪軸(15)又は前記前輪軸(33)の方向に前記車両の中心に向かって前記第1支持ユニット(25)からオフセットして配置されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項19】
前記後輪(3)及び/又は前記前輪(2)は、対称軸(48)に関して対称である1組のスポーク(22)を含むこと、
前記後輪(3)は、前記フレーム(1)に属する少なくとも1つの後輪ストラット(8)又は後輪スイングアームに接続されること、
前記後輪ストラット(8)は、前記フレーム(1)の残り、特にシートチューブ(6)に接続されることにより、ストラット軸受(53)の周りで回転し得ること、
前記後輪ストラット(8)は、鉛直上向きに曲げられて、前記牽引機構ユニット(16)の周りで、特に前記牽引機構ユニット(16)の鉛直上方に延在すること、
前記後輪(3)は、ダンパ(10)を介して前記フレーム(1)上に、特に、前記後輪ストラット(8)を介して間接的に懸架されること、
前記ストラット軸受(53)は、前記第1支持ユニット(25)の前記フレーム側回転軸からオフセットして配置されること、
前記ストラット軸受(53)は、前記第1支持ユニット(25)の前記フレーム側回転軸、例えば、前記駆動軸(14)の鉛直上方に配置されること、
という特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項20】
前記牽引機構ユニット(16)は、ブレーキディスク(17)及び/又はブレーキキャリパ(18)と一緒に前記車両(F)から除去され得るか又はその上に装着され得る一貫した構造ユニットとしてのモジュール構成を有し、前記構造ユニットは、特に、前記入力牽引手段(28)及び/又は前記出力牽引手段(29)が、前記構造ユニットが前記車両(F)上に装着されているか否かに関係なく、事前に引っ張られ得るように構成されていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項21】
前記出力牽引手段プーリ(31)は、回転方向に作用する軸方向解放可能形状適合接続部(52)、特にハース歯を介して、後輪ハブ本体(23)又は前輪ハブ本体(59)に接続されることを特徴とする、請求項1から20のいずれか1項に記載の車両(F)。
【請求項22】
前記後輪ハブ本体(23)及び/又は前記前輪ハブ本体(59)は、前記後輪ハブ本体(23)及び/又は前記前輪ハブ本体(59)がそれぞれ前記後輪(3)又は前記前輪(2)と一緒に前記車両から装着解除され得るように、前記形状適合(52)を介して前記出力牽引手段プーリ(31)から装着解除可能であるように構成され、一方、前記出力牽引手段プーリ(31)、及び特に前記ブレーキディスク(17)及び/又は前記ブレーキキャリパ(18)を備えた前記牽引機構ユニット(16)は、前記フレーム(1)上に残ることを特徴とする、請求項21に記載の車両(F)。
【請求項23】
車両(F)、特に請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)を組み立てる方法(60)であって、前記車両(F)は、入力牽引手段(28)を備えた第1支持ユニット(25)及び出力牽引手段(29)を備えた第2支持ユニット(26)を有するモジュール式牽引機構ユニット(16)を備え、前記2つの支持ユニット(25、26)は、関節方式で互いに接続され、共通の伝達軸(27)の周りで互いに対して旋回可能であり、前記方法は、
a)前記牽引機構ユニット(16)内の前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)を事前に引っ張るステップ(61)であって、前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)の前記事前引張力が、前記支持ユニット(25、26)によって専ら吸収される、ステップと、
b)前記モジュール式牽引機構ユニット(16)を前記車両(F)に設置するステップ(62)と、
c)前記伝達軸(27)の周りで前記支持ユニット(25、26)を旋回させる(64)ことによって公差を補償するステップ(63)と、
を含む、方法。
【請求項24】
車両(F)、特に、請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)及び/又は請求項23に記載の方法に従って装着された車両(F)におけるペダルキックバックを回避する方法(65)であって、前記車両(F)は、フレーム(1)、懸架式後輪(3)又は懸架式前輪(2)、並びに入力牽引手段(28)を備えた第1支持ユニット(25)及び出力牽引手段(29)を備えた第2支持ユニット(26)を有するモジュール式牽引機構ユニット(16)を有し、前記2つの支持ユニット(25、26)は、関節方式で互いに接続され、共通の伝達軸(27)の周りで互いに対して旋回可能であり、前記牽引機構ユニット(16)は、駆動エネルギーを入力牽引手段プーリ(30)から出力牽引手段プーリ(31)まで伝達し、前記方法は、
a)前記後輪(3)又は前記前輪(2)の前記懸架を圧縮するステップ(66)と、
b)前記支持ユニット(25、26)を前記伝達軸(27)の周りで旋回(64)させ、同時に前記支持ユニット(25、26)を動かす(69)ことによる前記圧縮動作によって引き起こされた、前記入力牽引手段プーリ(30)と前記出力牽引手段プーリ(31)との間の距離の変化を補償(67)するステップであって、それにより、前記伝達軸(27)は前記フレーム(1)に対して動く、ステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
単一トラック又は多重トラック車両(F)、特に請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)の駆動トルクを牽引機構ユニット(16)を介して伝達するための方法であって、
フレームから絶縁された状態の牽引機構ユニットの引張力を吸収するステップと、
入力牽引手段プーリを介してトルク力を前記牽引機構ユニットに導入するステップと、
特に互いに直列に配置された、少なくとも2つの牽引手段を介して、前記フレームから絶縁された状態の出力牽引手段プーリに前記トルク力を伝達するステップと、
前記前輪又は後輪を駆動するために、前記出力牽引手段プーリを介して前記トルク力の向きを変えるステップと、
を特徴とする、方法。
【請求項26】
単一又は多重トラック車両(F)、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車、特に請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)において、牽引機構ユニット(16)を備えた駆動列と懸架/減衰装置(10)との間の相互作用を解消する方法であって、
前記車両(F)は、
メインフレーム(1.1)及びその上に旋回可能に装着された車輪ストラット(8)を備えるフレーム(1)を介して互いに接続されている、前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)であって、前記前輪(2)は、前輪軸(33)の周りで回転するように装着され、前記後輪(3)は、後輪軸(15)の周りで回転するように装着され、前記前輪(2)又は前記後輪(3)は、前記車輪ストラット(8)を介して前記メインフレーム(1.1)上に装着される、前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)と、
特に互いに直列に配置された、少なくとも2つの牽引手段(28、29)を有する牽引機構ユニット(16)、特に請求項1から25のいずれか1項に記載の牽引機構ユニット(16)であって、前記牽引機構ユニット(16)は、駆動軸(14)と、前記前輪(2)又は前記後輪(3)の回転軸(15、33)との間で駆動接続状態にある、牽引機構ユニット(16)と、
を備え、
前記方法は、
前記車輪ストラット(8)及びその上に装着された前記車輪(2、3)を前記懸架/減衰装置(10)を用いた減衰方式で前記メインフレーム(1.1)に対して旋回させるステップと、
前記牽引手段(28、29)の引張力、並びに前記メインフレーム(1.1)に対する前記車輪ストラット(8)及びそれに装着された前記車輪(2、3)の前記旋回から独立して前記駆動トルクを伝達するステップと、
前記牽引機構ユニット(16)の出力牽引手段(29)の第2支持ユニット(26)に対する、入力牽引手段(28)の第1支持ユニット(25)の回転によって、前記入力軸(14)と前記回転軸(15、33)との間の距離変化を補償するステップと、を含む、方法。
【請求項27】
単一又は多重トラック車両(F)、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車のための牽引機構ユニット(16)であって、前記牽引機構ユニット(16)は、
入力牽引手段プーリ(30)によって駆動される入力牽引手段(28)と、
出力牽引手段プーリ(31)を駆動する出力牽引手段(29)と、
を備え、
前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)は、互いに直列に配置されて、伝達牽引手段プーリユニット(41)を介して互いに伝達接続状態にあり、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)は、前記入力牽引手段(28)と係合された入力側牽引手段プーリ(42)と、前記出力牽引手段(29)と係合された出力側牽引手段プーリ(43)とを備え、前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、互いに対して同軸で回転可能である、前記牽引機構ユニット(16)において、
前記入力牽引手段プーリ(30)及び前記入力側牽引手段プーリ(42)を支持する第1支持ユニット(25)が、前記入力牽引手段(28)の前記引張力を吸収するために設けられ、前記出力側牽引手段プーリ(43)及び前記出力牽引手段プーリ(31)を支持する第2支持ユニット(26)が、前記出力牽引手段(29)の前記引張力を吸収するために設けられ、前記第1支持ユニット(25)と前記第2支持ユニット(26)とは、互いに対して回転可能であるように構成され、
前記第1支持ユニット(25)は、前記入力牽引手段(28)を事前に引っ張るための第1牽引手段引張装置(39)を含み、及び/又は前記第2支持ユニット(26)は、前記出力牽引手段(29)を事前に引っ張るための第2牽引手段引張装置(40)を含み、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、偏心牽引手段引張装置として構成され、
前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)上に配置され、特に少なくとも1つの事前引張アクセス(32)が設けられ、それを通して前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、事前引張位置を設定するために外部からアクセス可能であることを特徴とする、牽引機構ユニット(16)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一又は多重トラック車両、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車用の牽引機構ユニット、及び単一又は多重トラック車両、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車に関する。更に、本発明は、車両の組立のための方法、車両におけるペダルキックバックを回避するための方法、単一トラック又は多重トラック車両の駆動トルクを牽引機構ユニットを介して伝達するための方法、及び単一トラック又は多重トラック車両における、牽引機構ユニットを備えた駆動列と懸架/減衰装置との間の相互作用を解消するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般車両は、例えば、自転車のような単一又は多重トラック車両、特に電気自転車、電動自転車、又は電動アシスト自転車を含む。特に、一般車両は、2013年1月15日のEU規則2013/168/EUの第4条に基づく車両カテゴリL1e、L2e、L3e、L4e、L5e、L6e及びL7eの車両を含む。更に、それらは、特に、最高速度6km/hに設計された車両と、スポーツ競技専用に意図された車両と、最大連続定格出力250Wの電気モータベースの補助駆動装置を備えているペダル補助付きペダル駆動自転車であって、乗り手がペダルをこぐのを止めるとアシストが中断され、車速が増加するにつれてアシストが徐々に減少し、車速が25km/hに達する前に中断されるペダル補助付きペダル駆動自転車と、電気モータベースの推進力を備えた自動バランス車両と、ペダル推進スポーツ車両と、少なくとも1つのシートを持たないペダル推進車両と、Rポイント(ECE-R17による)≦400mmのペダル推進車両と、を含む。運搬用自転車もまたこのカテゴリ内にある。それらは、多くの場合、前輪と、フレームによって接続された少なくとも1つの後輪を有する。しかしながら、複数の後輪、例えば2つの後輪、及び/又は複数の前輪、例えば2つの前輪、特にそれらの任意の組み合わせがあってもよい。これらの車輪は、例えば、三輪車又はサイドカーを備えた車両のように前方進行方向に対して横に並べて配置されるか、又はタンデム車のように前方進行方向に前後に並べて配置されてもよい。前輪は通常、前輪軸の周りで回転するように装着され、後輪は後輪軸の周りで回転するように装着されている。このような車両では、ユーザが車両を推進するのを補助するための少なくとも1つの電気モータが装備されることが増えている。通常、車両は、この電気モータだけで動力が供給されるわけではなく、電気モータはユーザが自身の人間の筋力で車両を推進するのを補助する。ほとんどの場合、補助の程度は選択可能である。このようにして、ユーザは、日常生活で使用可能な快適な速度で移動しながら、そのような車両に乗っている間、自身の力をできる限り多く、又は望むように正確に作用させ得る。更に、一般車両は、自動運転車両、すなわち、運転者からの能動的な制御入力なしで運転され得る車両であってもよい。
【0003】
一般車両は通常、少なくとも1つの牽引手段を有し、該牽引手段によって、人間の筋力及び/又は駆動システム、例えば電気モータから得られた駆動エネルギーが、少なくとも1つの被駆動輪、例えば少なくとも1つの後輪又は少なくとも1つの前輪に伝達され得る。チェーン及び/又はベルトが、通常、牽引手段として使用される。どちらの牽引手段も長所と短所を有する。例えば、チェーンは通常、摩耗の増加を生じさせ、その結果、耐用年数が比較的短くなる。一方、ベルトは、耐用年数が大幅により長いが、適切な力伝達を可能にするには非常に大きい事前引張を必要とする。関連する引張力は一般に、車両のフレームによって吸収される必要がある。
【0004】
CN109533163Aは、駆動エネルギーを伝達するための一般的な牽引機構ユニットを有する一般車両、特に折畳み式自転車を記載している。牽引機構ユニットは、入力牽引手段プーリによって駆動される入力牽引手段と、出力牽引手段プーリを駆動する出力牽引手段とを備える。したがって、入力牽引手段プーリは、「力入力」であり、出力牽引手段プーリは、被駆動輪に向かう「力出力」である。CN109533163Aの場合、入力牽引手段はチェーンであり、出力牽引手段はベルトである。入力牽引手段と出力牽引手段とは、互いに直列に配置され、伝達牽引手段プーリユニットを介して互いに伝達接続の状態にある。伝達牽引手段プーリユニットは、入力牽引手段と係合された入力側牽引手段プーリと、出力牽引手段と係合された出力側牽引手段プーリとを有し、入力牽引手段プーリと出力牽引手段プーリとは、互いに対して同軸に回転可能である。入力側牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリとは、共回転方式で配置されている。入力牽引手段プーリは、ペダル及び/又は駆動ユニットに接続された駆動シャフトによって駆動され、それによって入力牽引手段を駆動し、該入力牽引手段が、伝達牽引手段プーリユニットを介して出力牽引手段を駆動し、該出力牽引手段が、次に出力牽引手段プーリを駆動し、該出力牽引手段プーリは、後輪又は前輪と駆動接続の状態にあり、それによって推進動作を開始させる。
【0005】
従来技術から公知である車両と牽引機構ユニットの構造は、いくつかの欠点が伴う。他方で、すべての歯車又は伝達要素が、車両のフレーム上に固定して装着されている。これにより、フレームに固定されたこれらの歯車要素同士の間で牽引手段が引っ張られる。その結果、牽引手段の事前引張によって生成される引張力がフレームに導入され、該引張力は、特にベルトが牽引手段として使用される場合に、それに対応して重く、頑丈で柔軟性のない設計のフレームによって補償されなければならない。従来の車両のフレームが牽引手段の事前引張力を吸収するために使用されるので、牽引手段は、フレーム上に、ひいては車両上に装着されて初めて事前に引っ張られ得る。このことは、すべての歯車要素もまたフレーム上に別々に固定される必要があるという事実と共に、従来技術の歯車ユニットの組立作業の全体的な増加をもたらす。ベルトの使用に必要な大きい事前引張力は通常、実際にはエンドユーザによってほとんど実現され得ず、それでメンテナンスの必要性が大きくなる。更に、フレームに対する後輪の圧縮動作によって引き起こされる、駆動軸と被駆動後輪の軸との間の中心距離の変位は、これまで、牽引手段用の追加の引張要素、例えば、別個のチェーン引張装置によって補償されなければならなかった。牽引手段は、例えば回生装置を介して駆動エネルギーを回収するために、車両の制動動作中にも引っ張られる場合、このとき駆動側と弛緩側とが交互になるので、2つのそのような引張要素が牽引手段に作用する必要がある。複雑でコストが高いため、これは通常、実装されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対して、本発明の目的は、従来技術の欠点を軽減又は解消することである。したがって、改良された牽引機構ユニット及び改良された歯車ユニットを備えた車両が提供されるべきである。特に、車両、特に歯車ユニットの組立及び操作を簡素化することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、独立請求項による、牽引機構ユニット、車両、及び方法のうちのいずれか1つによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に列記されている。
【0008】
具体的には、上述の一般的な牽引駆動ユニットに関して、本目的は、入力牽引手段プーリと入力側牽引手段プーリを支持する第1支持ユニットが、入力牽引手段の引張力を吸収するために設けられ、出力牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリを支持する第2支持ユニットが、出力牽引手段の引張力を吸収するために設けられることで達成される。第1支持ユニット及び第2支持ユニットは更に、特に伝達牽引手段プーリユニットの周りで、互いから別個に又は互いに対して回転するように構成されている。本発明の重要な核となるアイデアは、そのため、牽引機構ユニット自体が、使用される牽引手段、すなわち入力牽引手段及び出力牽引手段の引張力又は事前引張力が、車両のフレームの部分ではないそれら自体の支持ユニットによって吸収されるように構成されることである。このことが、牽引手段の操作に必要な引張力を、牽引機構ユニットを介して伝達されるトルクから切り離すことを可能にして、特に以下でより詳細に説明する利点をもたらす。したがって、特定の車両であるか否かに関係なく、本発明による牽引手段ユニットは、それぞれの牽引手段を引っ張るのに必要な引張力をも吸収する独立した構造ユニットである。したがって、支持ユニットは、牽引機構ユニット自体の部分であり、その結果、牽引機構ユニットは、実質的に引張力のない方式で車両のフレーム上に配置又は装着され得る。第1支持ユニット及び第2支持ユニットは、入力牽引手段及び出力牽引手段の引張力又は事前引張力を十分に吸収する。支持ユニットは、そのため引張力がフレームに導入されるのを防ぐ。入力牽引手段プーリ、出力牽引手段プーリ、及び伝達牽引手段プーリは、それぞれの支持ユニット内に回転可能に装着されることにより、牽引手段プーリの周りで回転する牽引手段が、公知の態様でそれぞれの軸の周りでの回転動作を伝達し得る。しかしながら、それに加えて、2つの支持ユニットはまた、互いに対して、特に伝達牽引手段プーリユニットの回転軸の周りで、回転可能である。互いに対して回転するという支持ユニットの能力は、入力牽引手段プーリと出力牽引手段プーリとの間の距離、又はそれらの回転軸が、それぞれの車両の構造条件に、及び/又は操作中に、例えば、後輪懸架圧縮中に動的にも適応され得ることを意味し、これは以下で更に詳しく説明される。最終的に、これが、牽引機構ユニットに、入力及び出力牽引手段プーリの回転軸に垂直な平面内でのある程度の運動の自由度を与える。この点で、2つの支持ユニットの互いに対するこのような回転によって、すなわち、2つの支持ユニットの互いに対する角度位置を変化させることによって、牽引手段自体の引張力が影響を受けないことを強調することが重要である。以下に更に詳細に示すように、このアプローチが、まったく新しい方法で、通常はチェーン引張装置のような、操作中に牽引手段を「再び締め付ける」要素を完全に省略することを可能にする。入力牽引手段プーリと出力牽引手段プーリとの間の距離がまた、変更され得るという事実が、牽引機構ユニットの組立を大幅に簡素化する。
【0009】
別の重要なアイデアは、本発明による牽引機構ユニットが、人によって容易に持ち運ばれ得る、特に、車両内の設備から独立してこのユニット内ですでに最終的に引っ張られている牽引手段を備えた、独立かつ一貫した構造ユニットとして構成されていることである。牽引歯車は、したがって最適に用途が広い機能モジュールであり、該機能モジュールは、上述のタイプの車両における入力回転軸と出力回転軸との間の様々な中心距離に、容易かつ更なる労力によらずに適合され得る。規模については、牽引機構ユニットは、そのため、重量が5kg未満、特に3kg未満の範囲内にあることが好ましい。更に、それは、好ましくは入力と出力との接続点を除いて内蔵型の駆動列を提供する可能性を提供し、これが、車両における重要な個々の適合基準を必要とせずに、事前に組み立てられて、使用する準備が実際にできた状態で提供され得る。
【0010】
支持ユニットは、したがって、一方では入力牽引手段プーリと伝達手段プーリユニットの回転軸との固定した間隔を許容し、他方では出力牽引手段プーリと伝達手段プーリユニットの回転軸の固定した間隔を許容する要素であり得、そして、これらは、同時に、それぞれの牽引手段の引張力を引っ張る又はそれを維持するのに必要な引張力を吸収する。この目的のために、支持ユニットは、牽引手段を介して導入された引張力だけでなく、同時に駆動システムによって導入された駆動力も吸収するのに少なくとも十分な安定性を有することが明らかである。このため、支持ユニットは両方とも、それぞれの回転軸同士の間の長手方向軸線に沿って長手方向に延在し、特に、ウェブ状に、より具体的には対になって構成されることが好ましい。
【0011】
牽引機構ユニット内で、駆動エネルギーが入力牽引手段プーリから入力牽引手段まで伝達される。入力牽引手段から、駆動エネルギーは次いで、伝達牽引手段プーリユニットの入力側牽引手段プーリまで伝達され、入力側牽引手段プーリが、順に駆動エネルギーを出力牽引手段プーリまで転送する。出力側牽引手段プーリは、出力牽引手段を介して出力牽引手段プーリを駆動する。したがって、少なくとも2つの牽引手段は、直列に配置されている、すなわち、力の伝達方向に前後に並んで機能的に配置されている。好ましくは、伝達牽引手段プーリユニットの入力側牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリとは、互いに同軸である。この目的のために、伝達牽引手段プーリユニットは、伝達軸を有し、そして、入力側牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリとは、伝達軸に同軸に配置されていることが好ましい。同時に、伝達軸はまた、好ましくは、第1支持ユニットと第2支持ユニットとがその周りで互いに対して旋回するように構成されている回転軸である。伝達軸は、そのため、言い換えると、いわゆる2つの支持ユニット間の「膝関節」を実現する。
【0012】
入力側牽引手段プーリから出力側牽引手段プーリまでの駆動エネルギーの伝達は、基本的に様々な方法で実装され得る、例えば、多種多様な歯車の形式をとり得る。例えば、追加の歯車要素が、2つの牽引手段プーリ間で駆動エネルギーを伝達するために配置されてもよい。しかしながら、入力側牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリが相互に共回転方式で構成されることが好ましい。それらが、一体部品として構成されることが特に好ましい。入力側牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリとは、次いで、一緒に1つの一体構成要素を形成する。伝動牽引手段プーリユニットはまた、したがって、入力牽引手段と出力牽引手段の両方に接続されている一体構成要素として実装されてもよい。
【0013】
以下により詳細に説明するように、本発明による牽引機構ユニットは、一般車両、通常、自転車における駆動部と懸架部との間の相互干渉を大幅に最小化又は解消する(「アンチスクワット」)ために使用され得、同時に、構造自由度を、特に従来技術においてそれ自体公知の牽引手段線とアンチスクワット線との交点と無関係にアンチスクワットの最適化が可能である程度まで増加させる。それに追加又は代替して、「ペダルキックバック」の望ましくない影響がまた、効果的に打ち消され得る。この目的のために、入力側牽引手段プーリから出力側牽引手段プーリまでの、及び/又は入力牽引手段プーリから出力牽引手段プーリまでの、及び/又は入力牽引手段プーリから入力側牽引手段プーリまでの、及び/又は出力側牽引手段プーリから出力牽引手段プーリまでの伝達比が、1対1であることが好ましい場合がある。一般に、より大きい又はより小さい伝達比もまた、もちろんこのとき使用され得る。とはいえ、1対1の比率が好ましい。特に、伝達牽引手段プーリユニットの牽引手段プーリ、すなわち、入力側牽引手段プーリ及び出力側牽引手段プーリが、入力牽引手段プーリ及び出力牽引手段プーリと同じ有効半径を有する場合には、ペダルキックバックは、完全に補償され得る。この場合、これらの牽引手段プーリの間に1対1の比率がまた存在することになる。有効半径は、この場合、牽引手段と接触している牽引手段プーリの周面から回転軸までの半径方向の距離である。しかしながら、本発明はまた、任意の所望のペダルキックバックを設定することを可能にする。例えば、入力側牽引手段プーリ及び出力側牽引手段プーリ、すなわち伝達牽引手段プーリユニットの有効半径が、入力牽引手段プーリ及び出力牽引手段プーリの有効半径よりも小さい場合、いわゆる正のペダルキックバック、すなわち、ペダリング方向と逆に向いたペダルキックバックが、被駆動輪、例えば後輪で圧縮の場合に生じる。他方で、入力側牽引手段プーリ及び出力側牽引手段プーリの有効半径が、入力牽引手段プーリ及び出力牽引手段プーリの有効半径よりも大きい場合、例えば、いわゆる負のペダルキックバック、すなわちペダリング方向に向いたペダルキックバックが、被駆動輪で圧縮の場合に生じる。要約すると、本発明による牽引機構ユニットは、そのため、伝達比の変動、したがって、特にいわゆるペダルキックバックに関する伝達比の変動を特に有利に許容する、具体的には、ペダルキックバックの解消、又は所望のペダルキックバック挙動の調整をも含む、個々の挙動に対するペダルキックバックについての「調整」を可能にすると言える。
【0014】
このことは、必ずしも、入力側牽引手段プーリから出力側牽引手段プーリまでの伝達比が1対1であることを必要としない。特に、競技用自転車のような高速車両の場合、入力側牽引手段プーリから出力側牽引手段プーリまでの速度増加伝達比を有することが好ましい場合がある。例えば、この場合、1対1~1.5の伝達比が使用されてもよい。しかしながら、この場合でも、ペダルキックバックは、本発明による牽引機構ユニットを用いて、完全に又は少なくともほぼ完全に回避され得、その結果、実際には無視可能になる。出力側牽引手段プーリに向かう速度増加伝達比を実現するには、入力側牽引手段プーリの歯数又は直径が、出力側牽引手段プーリの歯数又は直径よりも大きくなければならない。このような伝達比によっていっそうペダルキックバックを解消又は低減するために、伝達牽引手段プーリユニット、すなわち入力側牽引手段プーリ及び出力側牽引手段プーリの歯数又は直径が、入力側牽引手段プーリと出力側牽引手段プーリの歯数又は直径との間にあるべきであり、したがって、それで速度増加伝達比のための本発明の好ましい実施形態を構成することが示されている。このようにして、伝達牽引手段プーリユニットは、入力側牽引手段プーリ及び出力側牽引手段プーリによって課されるペダルキックバックを補償する。例えば、ペダルキックバックは、入力側牽引手段プーリの歯数が46、出力側牽引手段プーリの歯数が36、伝達牽引手段プーリユニットの歯数が40の場合に、ほぼゼロに低減される。
【0015】
これに関連して、したがって、伝達牽引手段プーリユニットが、第1支持ユニット及び第2支持ユニットのみを介して支持されることが特に重要である。したがって、特に、固定装置は、車両のフレームへの強固な固定がそれによって達成され得る伝達プーリユニット自体の上に又はその領域内に設けられることがない。第1及び第2支持ユニットのみを介して伝達牽引手段プーリユニットを支持することによって、フィードバック効果をまったく伴わずに、牽引手段の牽引力をトルク入力とトルク出力との間で、例えば、ペダル軸及び/又はモータ軸と前軸又は後軸との間で、伝達するために、牽引手段の引張力が支持ユニットによって実際に吸収されることが確実となる。
【0016】
牽引手段での磨耗を可能な限り低く保ち、また、動く牽引手段による怪我のリスクを除去するために、入力牽引手段及び出力牽引手段が、外部から遮蔽されるか、又はカプセル化されることが好ましい。この目的のために、ハウジングが設けられ、その内部で牽引手段が動くことが好ましい。ハウジングの役割は、したがって、まず第1に、汚れ等の外的影響から牽引手段を保護する物理的障壁を形成することである。ハウジングが支持ユニットに対して静止していることが好ましい。理想的には、第1支持ユニットは第1ハウジングを有し、及び/又は第2支持ユニットは第2ハウジングを有し、単数又は複数のハウジングは、入力牽引手段及び出力牽引手段をそれぞれ、特に完全に、場合によっては1つ又は複数の牽引手段プーリの更なる関与によってカプセル化するか又は封入する。本発明によるカプセル化は、必ずしも牽引手段の完全な、例えば、気密の包囲であるようには考えられていない。ハウジングを使用する別の利点は、怪我のリスクが大幅に軽減されることである。この目的のために、ハウジングは、操作者がそれを通して指又は手を入れ得る開口部を持たないように少なくとも構成されることが好ましい。ハウジングが、少なくとも牽引手段の周りで、少なくとも実質的に閉じた表面を有するならば、特に好ましい。材料の選択に関して、様々な変形例が使用されてもよい。しかしながら、第1及び/又は第2ハウジングは、少なくともプラスチック製であることが好ましい。特に支持ユニットが伝達牽引手段プーリユニットの周りで回転するときに互いに対して動く、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に、1つ又は複数の密閉手段が、ハウジングが互いに対して動くときにさえ、牽引手段の完全なカプセル化を確実にするために設けられてもよい。このような密閉手段は、例えば、弾性密閉要素及び/又はラビリンスシール等であってもよい。それぞれのハウジングが複数の部品から構成されている場合でも、このような密閉手段が個々の部品の間に設けられてもよい。
【0017】
ハウジングがいくつかの部品から構成されることが好ましい。特に、第1ハウジング及び/又は第2ハウジングはそれぞれ、特に正確には、当接領域において互いに相補的であるように、特に牽引手段のために収容内部を一緒に形成するように構成されている2つのハウジング半体又は2つのハウジングシェルを有してもよい。
【0018】
一般に、支持ユニットは、ハウジングに加えて、又はハウジングなしでも、牽引手段の引張力を吸収するように構成された別個の力吸収部、例えば、材料ウェブ等を有してもよい。しかしながら、ハウジングとは別個のそのような力吸収部を不要にすることが特に好ましい。そのため、第1支持ユニットが、第1ハウジング自体によって、特に完全に形成され、その結果、この第1ハウジングが入力牽引手段の引張力を、特に完全に吸収するように構成されることが好ましい。それに追加又は代替して、第2支持ユニットは、第2ハウジングによって特に完全に形成され、その結果、この第2ハウジングが出力牽引手段の引張力を特に完全に吸収するように構成されていることが好ましい。第1ハウジング及び第2ハウジングが、入力牽引手段及び出力牽引手段の引張力を十分に吸収することが非常に好ましい。別個の力吸収部は、そのため必要ではない。この場合、それぞれの支持ユニットは、それぞれのハウジングによって完全に形成される。この場合、ハウジングは、二重の機能を果たし、牽引手段を遮蔽することに加えて、牽引手段を引っ張るのに必要な引張力を吸収することに役立つ。これに関連して、追加の支持要素がハウジングに組み込まれることにより、牽引機構ユニットの使用に必要な引張力及び伝達力を吸収し得るような複合構造の使用もなされてもよい。
【0019】
入力牽引手段及び出力牽引手段についての事前引張力を設定するために、この出願分野について従来技術で公知のオプションが一般に考慮されてもよい。牽引機構ユニットは、少なくとも1つの牽引手段引張装置、特に牽引手段ごとに1つの牽引手段引張装置を有することが好ましい。好ましい実施形態によれば、第1支持ユニットは、入力牽引手段を事前に引っ張るための第1牽引手段引張装置、及び/又は第2支持ユニットは、出力牽引手段を事前に引っ張るための第2牽引手段引張装置を有してもよい。第1及び/又は第2引張装置は、例えば、実質的に線形の調整曲線に沿って、入力牽引手段プーリ又は出力牽引手段プーリと、伝達牽引手段プーリユニットとの間の回転軸の距離を調整するために使用され得るように構成された線形的に調整可能な引張ユニットであってもよい。しかしながら、引張ユニットは、偏心牽引手段引張装置として構成されることが好ましい。それぞれの支持ユニットはしたがって、事前引張アクセスを介して牽引機構ユニットの外部からアクセス可能である、それぞれの牽引手段プーリに同軸に配置された偏心形状のリングを有する。この偏心牽引手段引張装置を回転させることによって、入力牽引手段プーリと入力側牽引手段プーリとの間の距離、又は出力側牽引手段プーリと出力牽引手段プーリとの間の距離が変化させられ、特に増加させられ、その結果として、入力牽引手段及び出力牽引手段がそれぞれ、事前に引っ張られる。第1支持ユニットの牽引手段引張装置は、例えば、入力牽引手段プーリ又は入力側牽引手段プーリ上に配置されてもよい。第2支持ユニットの牽引手段引張装置は、例えば、出力側牽引手段プーリ又は出力牽引手段プーリ上に配置されてもよい。
【0020】
好ましくは、第1支持ユニットの牽引手段引張装置は、入力側牽引手段プーリ上に配置され、第2支持ユニットの牽引手段引張装置は、出力側牽引手段プーリ上に配置される。言い換えると、第1及び/又は第2牽引手段引張装置が、伝達牽引手段プーリユニット上に配置されることが好ましい。すでに述べたように、特に、事前引張位置を調整するために、第1及び/又は第2牽引手段引張装置がそれを通って外部からアクセスされ得る少なくとも1つの事前引張アクセスが存在する。それぞれの牽引手段引張装置が、少なくとも1つのそのような事前引張アクセスを有することが特に好ましい。牽引手段引張装置は、牽引機構ユニットが車両上に装着される前であっても、牽引手段の引張力を調整するために使用され得る。このことは、牽引機構ユニットが引張力を吸収するための支持ユニットを含み、車両のフレームに引張力を導入することに依存する必要がないという事実によって可能にされる。このことが、すでに工場にある牽引手段の事前引張を設定することを可能にし、その結果、エンドユーザが自らの車両自体に牽引機構ユニットを取り付ける場合でも、特別のツールを必要としないようになる。それに加えて、特別な専門知識が必要とされない。
【0021】
牽引手段引張装置の正確な配置は、変更可能である。例えば、伝達牽引手段プーリユニットは、回転軸受、例えば、ローラ軸受を介して、第1支持ユニット若しくは第1ハウジング及び/又は第2支持ユニット若しくは第2ハウジングに装着されてもよい。ここで、第1及び/又は第2牽引手段引張装置は、この回転軸受の内部又は外部に配置されることが好ましい。内部又は外部とは、この場合、回転軸受の伝達軸に関して半径方向に見て内側にあること、又は回転軸受の伝達軸に関して半径方向に見て外側にあることを意味する。したがって、伝達軸に関して半径方向外向きから内向きを見ると、それぞれの牽引手段の入力側牽引手段プーリ又は出力側牽引手段プーリの接触面の後に牽引手段引張装置が続き、その後に回転軸受が続く。これが、回転軸受の外部での牽引手段引張装置の配置についての記述である。その代替として、伝達軸に関して半径方向外向きから内向きに見て、それぞれの牽引手段の入力側牽引手段プーリ又は出力側牽引手段プーリの接触面の後に回転軸受が続き、次いで牽引手段引張装置が続くことが好ましい。これが、回転軸受の内部での牽引手段引張装置の配置についての記述である。牽引手段引張装置についての記述された配置は、それぞれ、特定の用途に応じて選択され得る構造上の利点を有する。
【0022】
特に、チェーン及びベルトが、本発明における牽引手段として使用され得る。しかしながら、入力牽引手段及び/又は出力牽引手段は、ベルト、特に歯付きベルトとして構成されるならば、特に好ましい。本発明によれば、牽引手段の引張力は、支持ユニットによって吸収されるので、本発明は、例えば、比較的大きい引張力が第1及び第2支持ユニットによって吸収されるため、フレーム自体の特別の構成はもはや必要とされないという事実によるように、従来技術に一般的に見られるベルトの大きい引張力の作用と関連した困難を回避する。本発明は、そのため、ベルトの利点、例えばベルトの耐久性を、それに関連した欠点を伴うことなく活用することを可能にする。
【0023】
本発明の牽引機構ユニットは、ブレーキ装置がそこに配置されるのにも適している。例えば、ブレーキキャリパ及びブレーキディスクを備えたブレーキ装置が提供されることが好ましい。ブレーキキャリパ及び/又はブレーキディスクは、牽引機構ユニット上に配置又は装着されることが好ましく、牽引機構ユニットと一緒になって一貫した事前組立モジュールを形成することが特に好ましい。特に、ブレーキディスクは、入力牽引手段プーリ、又は出力牽引手段プーリ、又は伝達牽引手段プーリユニットと同軸に配置され、特に共回転方式で接続される。ブレーキディスクは、そのため、それぞれの牽引手段プーリと共に回転する。ブレーキキャリパは、他方、牽引機構ユニットのハウジング上に配置又は装着されることが好ましい。それは、そのため、固定されており、制動するためにブレーキディスクに押し付けられ得る。このようにして、制動中に生じる軸受力は、例えばフレームではなく、牽引機構ユニットの軸受構造に向けられる。それに加えて、この配置が、以下でより詳細に考察するように、ずっとより容易な整備概念を可能にする。
【0024】
好ましい実施形態において車両の上に設けられる電子機器、例えば、制御装置と協働して、本発明の牽引機構ユニットは、なお更に別の機能を果たす場合がある。例えば、牽引機構ユニットが、速度センサを、特に車両の移動速度を決定するために、備えることが好ましい。前記センサは、特にホールセンサーであってもよい。特に、速度センサは、入力牽引手段プーリ、又は出力牽引手段プーリ、又は伝達牽引手段プーリユニット上に配置される。更に、牽引機構ユニットは、例えば、互いに対する支持ユニットの回転、特に伝達軸の周りでの回転を測定する懸架移動センサを備えてもよい。この回転が使用されて、フレームに対する後輪又は前輪の圧縮動作を推測し得る。例えば、懸架移動センサは、伝達牽引手段プーリユニットの領域内に配置され、例えば、伝達牽引手段プーリユニットの周りでの2つの支持ユニットの互いに対する旋回を検出し、これから懸架移動を推測してもよい。それの代替として、例えば、フレームに対する又はモータに対する前部支持ユニットの回転が決定されてもよい。これが、特にコンパクトな設計を可能にし、その理由は、センサが、そのときモータ内に配置されてもよく、位置が、例えば、センサに対して回転する、すなわち、特に、前部支持ユニット上に固定した状態で配置されている磁石を介して検出されてもよいからである。それで、モータの外部のケーブルが必要とされない。
【0025】
速度センサと懸架移動センサの両方は、信号ケーブルを介して又は無線で、車両の制御装置と信号接続していてもよい。更に、牽引機構ユニットは、駆動エネルギーを電気エネルギーとして回収するための発電機も含んでもよい。この発電機は、ダイナモの方式で作用することにより、人間の筋力によって導入されるエネルギーから車両の電気構成要素の運転のための電気エネルギーを生成してもよい。
【0026】
本発明は、伝達牽引手段プーリユニットの領域内に牽引機構ユニットを構成するいくつかの方法を提供する。好ましい実施形態では、伝達牽引手段プーリユニット、特に支持ユニットのハウジングもまた、牽引機構ユニットを通って延在して、外部に開いている貫通開口部を備えている。貫通開口部は、したがって、牽引機構ユニットを通って完全に延在することにより、一方の側から他方の側まで見通すことが可能である。貫通開口部は、特に伝達軸と同軸であり、伝達軸に沿って円筒形であることが好ましい。貫通開口部は、伝達牽引手段プーリユニット及び/又は内部ハウジングによって伝達軸の半径方向外向きに境界を定められることが好ましく、内部ハウジングは、伝達牽引手段プーリユニットと共回転するように配置されて、それと共に回転可能であることが好ましい。したがって、牽引機構ユニットの回転部分が、車両が動くときに、貫通開口部を通して外部から視認され得る。それに追加又は代替して、貫通開口部は、支持ユニットの一方又は両方のハウジングによって、伝達軸の半径方向外向きに少なくとも部分的に境界を定められてもよい。これらは、牽引機構ユニットの操作中に回転しないので、回転部分が外部から視認可能ではなく、かつアクセス可能でなく、これが車両の安全性を増大させる。最後に、貫通開口部はまた、支持ユニットの一方又は両方のハウジングに属するカバーによって閉じられることが可能である。好ましい実施形態では、少なくとも1つの照明装置が、貫通開口部の領域内に配置され、それが、特に内部ハウジング及び/又は伝達牽引手段プーリユニット及び/又はカバーを照明する。
【0027】
本発明による牽引機構ユニットは、したがって、理想的には、2つの接続フランジ、特に、入力牽引手段プーリ上にあるか又はそれと共回転する位置にある第1接続フランジと、出力牽引手段プーリ上にあるか又はそれと共回転する位置にある第2接続フランジと、をも備える。車両の駆動列への又は車両の駆動列内への歯車接続は、特に本発明によれば、これら2つの接続フランジを介して、例えば、ねじ付き及び/又はクランプ式接続を介して達成される。
【0028】
本発明は更に、車両、特に上述の本発明による牽引機構ユニットを有する車両に関する。本発明による牽引機構ユニットについての上述の特徴、効果、及び利点のすべてはまた、本発明による車両に必要な変更を加え、またその逆も同様である。単に繰り返しを避けるために、参照がそれぞれの別の説明になされる。
【0029】
単一又は多重トラック車両、特に一般的なタイプの自転車、電導アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車、すなわち、特に、フレームを介して互いに接続されている、前輪と少なくとも1つの後輪とを備える車両について、前輪は、前輪軸の周りで回転するように装着され、後輪は後輪軸の周りで回転するように装着されており、少なくとも2つの牽引手段、特に、特に本発明による牽引機構ユニットの互いに直列に配置された少なくとも2つの牽引手段を有する牽引機構ユニットについて、本発明によれば、牽引機構ユニットが、このとき、フレームから完全に切り離された少なくとも2つの牽引手段の引張力を吸収し、そして、入力牽引手段プーリを介して牽引機構ユニットに導入されたトルク力を、フレームから隔離された出力牽引手段プーリまで伝達するように構成されてもよい。従来技術とは対照的に、フレームは、したがって、牽引手段の引張力から切り離され、以下でより詳細に説明するように、これが、特に組立プロセスを大幅に簡素化する。同時に、この配置は、牽引手段の力が従来のチェーン駆動によるように後軸又は前軸に水平方向に作用することがなく、このことが、最終的に駆動と懸架との間の切り離しを可能にすることを意味する。この基本的なアプローチが、特定の伝達比から独立して駆動と懸架との間の相互干渉を構成すること(アンチスクワット)を可能にするが、その理由は、牽引手段の力が切り離されて、後軸上に水平方向に作用しないからである。最終的に、本発明は、したがって、駆動力と懸架との間の相互作用を解消し、このことが、次に駆動から独立してアンチスクワット挙動を最適化することを可能にする。
【0030】
冒頭で述べた一般車両において、したがって、この目的は達成される、言い換えれば、入力牽引手段プーリ及び入力側牽引手段プーリを支持する第1支持ユニットが、フレームから独立して入力牽引手段の引張力を吸収するように設けられ、出力側牽引手段プーリ及び出力牽引手段プーリを支持する第2支持ユニットが、フレームから独立して出力牽引手段の引張力を吸収するように設けられることで、特に達成される。これに関連して、車両のフレームとは、例えば単数又は複数の前輪、単数又は複数の後輪、サドル、ハンドルバーのための支持構造を形成する車両のすべての部分を意味することが理解される。自転車の例を用いるこの定義による典型的なフレーム部分は、したがって、例えば、トップチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、フロントフォーク、及び/又は後輪ストラット或いは後輪スイングアームである。このような構造、特に自転車用の構造は、一般に自転車フレームとも呼ばれる。このようなフレームは、部分的に懸架式要素を含んでもよい。例えば、自転車について、後輪に向かうフレーム構造が、後輪ストラット(「ハードテール」)を介してフレーム構造(「メインフレーム」)の残りに対して剛性であること、又は車輪が後スイングアームを介してフレーム構造の残り上に(「十分に」)懸架されることが公知である。サドル及び/又は前輪の懸架も公知である。本発明は、車両又は自転車の後部構造のすべての公知の構成、例えば、シングルリンク、ホルストリンク、VPP(仮想ピボットポイント)、フレックス後部構造、スプリットピボット等に適用され得る。このようなシステムは、例えば、US8733774B2、US5899480A、US10106221B2、WO2020154800A1、及びUS7828314B2に記載されている。この従来のフレーム構造とは対照的に、ここで2つの更なる要素が本発明に従って設けられ、これらは、フレームに追加され、その主要な役割は入力及び出力牽引手段の引張力を吸収することであるということが、ここにおいて最も重要なことである。これらの要素は、第1及び第2支持ユニットである。第1支持ユニット及び第2支持ユニットは、互いから別々に又は互いに対して、特に伝達牽引手段プーリユニットの周りで回転するように構成されている。それに加えて、第1支持ユニット及び第2支持ユニットは、フレームに回転可能に装着されている。更に、伝達牽引手段プーリユニットは、専ら第1支持ユニット及び第2支持ユニットを介して装着されることが好ましい。フレームに対する支持ユニットの回転可能性、又は第1及び第2支持ユニットを介した伝達牽引手段プーリユニットの専用の装着が、牽引手段の引張力が支持ユニットによって実際に吸収されることにより、牽引手段の牽引力を後軸にまったく反作用を及ぼすことなく切り離されることを確実にする。このことが、後輪懸架の駆動に依存しない挙動を可能にすることにより、例えば、アンチスクワットを最適化する。例えば、牽引機構ユニットは、したがって、入力牽引手段プーリ及び出力牽引手段プーリの領域内でのみフレーム上に装着される。入力牽引手段プーリ及び出力牽引手段プーリのこの領域は、特に、それぞれの牽引手段プーリが実際にそこに位置するそれぞれの支持ユニットの区画である。それぞれの領域は、したがって、牽引手段プーリの空間寸法にわたって延在し、牽引手段プーリで終わる。2つの支持ユニットは、したがって、互いから離間した端部でフレーム上に装着される。それぞれの反対側の端部において、次に、支持ユニットは、伝達牽引手段プーリユニットを介して互いに回転可能に接続される。全体として、そのため、2つの支持ユニットは、トグルレバーの方式で接続された旋回アームを形成し、それの屈曲点は、伝達手段プーリユニットの回転軸に位置する。車両が運転中であっても、牽引機構ユニット、特に出力牽引手段プーリに対する入力牽引手段プーリの可能な限り大きい可動性を確実にするために、伝達牽引手段プーリユニットの領域内の牽引機構ユニットは、したがって、フレーム上に直接装着されるのではなく、特にフレームに対して調整可能である。伝達牽引手段プーリユニットは、そのため、フレームに対して自由に浮動するように構成されている。特に、フレームに対して移動可能であるように構成されている。結果として得られる柔軟性は、組立を容易にし、運転時に更なる利点をもたらし、これが、以下で更に詳しく説明される。本発明によるこの構造は、フレームが第1支持ユニット及び第2支持ユニットを迂回して、車両の運転中に発生する車輪接触力を吸収することを可能にする。この文脈での車輪接触力とは、地面から少なくとも1つの車輪を介して車両内に、特にフレーム内に導入されるすべての鉛直方向及び/又は水平方向に作用する力を指す。これは、例えば、発生する荷重又は転がり抵抗力に対抗する力を含む。それに加えて、これは、耐荷力及び/又は減衰力、並びに車両の走行中及び駆動運転中の車両動力学からの力も含む場合がある。車輪接触力は、フレームのみによって吸収されるか、又はフレームのみに作用する。それらは、そのため、支持ユニット又は牽引機構ユニットには作用しない。支持ユニット又は牽引機構ユニットは、力が吸収されると、フレームによって迂回される。このことは、牽引機構ユニットが車両から除去されているならば、車輪接触力がまったく同じように、特にフレームに作用することを意味する。牽引機構ユニット又は車両上でのその存否は、力の作用に影響を及ぼさない。
【0031】
一般に、支持ユニットは、車両のフレーム上の任意の箇所に取り付けられるか、又は装着されてもよい。支持ユニットは、例えば、駆動システム又は後輪若しくは前輪の1つ又は複数のシャフトへの接続を介して、少なくとも間接的にフレーム上に装着されて、それに対して回転可能であることが好ましい。特に、接続部は、装着されたときでも牽引機構ユニットがフレームに対して調整されることを可能にするための1つ又は複数のローラ軸受を備えてもよい。しかしながら、フレーム上の支持ユニットの回転軸は、必ずしも車両の駆動軸、又は前輪軸若しくは後輪軸と一致する必要がない。車両の駆動軸とは、ペダル及び/又は駆動モータによって駆動される車両のシャフトがその周りで回転する回転軸をいう。これは、例えば、ペダルクランクシャフトの回転軸、及び/又は駆動モータ又は駆動ユニットの出力シャフトの回転軸であってもよい。特に、駆動軸は、人間の筋力と少なくとも1つの駆動モータとの組み合わせから生じる駆動エネルギーがそれに適用される駆動ユニットの駆動シャフトの回転軸である。好ましい実施形態によれば、第1支持ユニットは、車両の駆動軸の周りで回転又は旋回し得るようにフレーム上に装着される。旋回可能性とは、この軸の周りでの可動性を指すが、可動性は、円周方向全体である必要がなく、特定の角度範囲にのみ適用される場合もある。第1支持ユニットは、したがって、例えば、ペダルクランクシャフト上に、及び/又は駆動モータ若しくは駆動モータユニットの駆動シャフト上に位置する。それに追加又は代替して、第2支持ユニットは、車両の後輪軸又は前輪軸の周りで回転可能であるようにフレーム上に装着されることが好ましい。第2支持ユニットは、牽引機構ユニットを介して駆動される車輪上に装着される。この車輪は前輪又は後輪であってもよい。牽引機構ユニットがこれらの装着点のみを介してフレーム上に装着されるならば、特に好ましい。牽引機構ユニットは、したがって、車両の駆動軸の周りでの第1支持ユニットの回転可能な装着を介してのみ、及び後輪軸又は前輪軸の周りでの第2支持ユニットの回転可能な装着を介してのみフレーム上に装着される。特に、牽引機構ユニットは、伝達牽引手段プーリユニットもそこに配置される、第1支持ユニットと第2支持ユニットとの間の接続点でフレームに接続されていないが、フレームに対して自由浮動式又は移動可能であるように構成されている。支持ユニットの対応する配置が、ペダル又は駆動モータユニットから牽引機構ユニットまでの、そして牽引機構ユニットから前輪又は後輪の被駆動輪までの駆動エネルギーの特に単純な伝達をもたらす。この文脈において、この構造により、牽引手段の牽引力が前輪又は後輪の軸に作用しないことが重要である。このことが、駆動力と懸架との間の相互作用を解消し、ひいては駆動から独立してアンチスクワット挙動の最適化を可能にする。
【0032】
好ましい実施形態に従って、入力牽引手段プーリが車両の駆動軸に同軸に配置され、及び/又は出力牽引手段プーリが車両の後輪軸又は前輪軸に同軸に配置されている場合に、駆動エネルギーが特に容易に伝達され得る。入力牽引駆動プーリは、したがって、駆動ユニットの駆動シャフトと同じ回転軸の周りで回転し、これは、特に人間の筋力と駆動モータとの組み合わせによって駆動されてもよい。出力牽引手段プーリは、他方で、牽引機構ユニット全体によって駆動される車輪と同じ回転軸の周りで回転する。牽引機構ユニットは、したがって、駆動エネルギーを駆動シャフトからそれぞれの被駆動輪、例えば後輪又は前輪まで伝達する。
【0033】
すでに述べたように、伝達軸は、いわば2つの支持ユニットの間の膝関節を実装する。この膝関節を介して、すなわち伝達軸の周りでの互いに対する支持ユニットの相対的な旋回可能性を介して、入力牽引手段プーリと出力牽引手段プーリとの間の距離の変化を補償するための最大可能範囲を確保するために、伝達軸が、車両の駆動軸及び/又は後輪軸若しくは前輪軸の鉛直上方又は下方に配置されることが特に好ましい。伝達軸が上述の車軸の鉛直上方に配置されるとき、牽引機構ユニットが地面、例えば車道から特に遠く離れており、そのため、障害物との衝突から保護されることが同時に確実にされる。
【0034】
前輪又は後輪のような懸架された被駆動輪を備えた従来の車両には、ペダルキックバックと呼ばれる効果が存在する。この効果は、懸架が圧縮されるたびに、牽引手段が自動的に駆動シャフト、ひいてはペダルクランクシャフトも、例えば、回転させることである。運転者が不快に感じることに加えて、これがまたペダルを回転させ、また、圧縮挙動に影響を及ぼす。この影響の発生が本発明による牽引機構ユニットによって回避され得るが、その理由は、伝達牽引手段プーリユニットがフレームに対して可動であるという事実が、牽引手段の調整位置を変えることなく、駆動軸と後輪軸との間の距離の変化を補償し得ることを意味するからである。このことに関係なく、この補償は、牽引機構ユニットがすでに歯車シフトを有する駆動ユニットと組み合わされ、その結果、被駆動輪上、例えば、後輪上に歯車シフトを設ける必要がないならば、特にうまくいく。
【0035】
一般車両が、できるだけ幅が狭いこと、特に前輪及び後輪の領域において幅が狭いことが、一様に有利である。このことは、本発明による牽引機構ユニットにも当てはまる。本発明の好ましい実施形態によれば、第2支持ユニットは、そのため後輪軸又は前輪軸の方向に車両の中心に向かって、第1支持ユニットに対してオフセットして配置される。特に、出力牽引手段プーリはまた、後輪軸又は前輪軸の方向に車両の中心に向かって入力牽引手段プーリに対してオフセットされる。同じことが、入力牽引手段に対する出力牽引手段にも当てはまる。このように、第1支持ユニットは、駆動シャフト上で、スペースが、例えば、駆動モータを含む駆動ユニットのためにとにかく必要である領域において、車両の中心から更に外部にオフセットされ、一方、被駆動輪の領域内で車両の中心に向かう第2支持ユニットの変位は、望ましい幅の狭い構成を確実にする。これに関して、車両の中心とは、車両の長手方向及び鉛直方向に延びる仮想中心面を指し、これは、車両の両最外側面又は両最外点に対して同じ垂直距離を有する。
【0036】
通常、後輪上の歯車シフトカセットの存在によって課される、牽引手段、例えばチェーンから後輪までの距離のために、従来の車両、例えば自転車の後輪のスポークは、非対称に配置されなければならない。しかし、このことが、そのときスポーク上に異なる荷重をもたらし、ひいてはスポークの全体耐用年数を低下させる。そのため、後輪及び/又は前輪が、対称軸に関して対称な1組のスポークを有することが好ましい。スポークは、この場合、後輪及び/又は前輪において対称的に配置される。スポークの対称軸は、そのため、それぞれの車輪のリムとタイヤの対称軸にも対応する。この対称的な配置は、以下の事実によって可能にされ、該事実とは、本発明によれば、第2支持ユニット、特に出力牽引手段プーリが、カセットを備えた従来の配置において可能であるものよりも車輪の対称軸に大幅により近いということである。
【0037】
本発明の一実施形態では、後輪は、フレームに属する少なくとも1つの後輪ストラット又は後輪スイングアームに接続される。例えば、後輪は後輪ストラットを介してシートチューブに接続される。後輪ストラットは、ここで、フレームの残り、特にシートチューブに接続されていることにより、後輪ストラットは、ストラット軸受の周りで回転可能であってもよい。後輪ストラットのストラット軸受の周りでの回転可能性が、後輪がフレーム又はシートチューブに対して懸架されることを可能にする。ここで、後輪が、特に後輪ストラットを介して間接的にフレーム上に、例えばシートチューブ及び/又はトップチューブ若しくはダウンチューブ上に、ダンパを介して懸架されるならば有利である。後輪ストラット及び牽引機構ユニットが互いに邪魔になることを防止しながら、同時に後輪の幅が狭い構造を可能にするためには、後輪から来る後輪ストラットが、鉛直方向上向き曲げられることにより、特に牽引機構ユニットの上方で鉛直方向に、円弧状に牽引機構ユニットにわたって延在するか又はそれにまたがっていることが好ましい。湾曲した後輪ストラットは、したがって牽引機構ユニットの上方で上向きに湾曲した状態で配置されることが好ましい。このことが、牽引機構ユニット、特に伝達手段プーリユニットを収容するために使用され得る、この円弧の下方に鉛直方向の設置スペースを提供する。この配置が、他方で、鉛直上向き方向に地面から比較的大きい全体クリアランスを得ることを可能にし、このことがオフロード走行時に特に有利である。他方で、大きい懸架移動が、牽引機構ユニットの構成部分がフレームの部分に当たることなく設けられ得る。後輪ストラットがフレームの残りに旋回可能に接続されるところのストラット軸受は、第1支持ユニットのフレーム側回転軸、例えば駆動軸からオフセットして配置されることが好ましい。ストラット軸受は、第1支持ユニットのフレーム側回転軸、例えば駆動軸又はクランクシャフトの鉛直上方に配置されることが特に好ましい。対応する構成は、一般車両の最新のフレーム構成に対する要件をすべて満たしている。
【0038】
すでに上記で示したように、牽引機構ユニットが独立した内蔵型モジュールとして構成される場合、例えば、工場で牽引手段の事前引張がすでに設けられ得、次いでエンドユーザ又はメーカによって、一貫した全体ユニットとして、特にワンステップで車両上に装着されるならば、有利である。このモジュールはまた、制動装置又は少なくともその部分を備えることが特に好ましい。したがって、この好ましい実施形態によれば、牽引機構ユニットは、ブレーキディスク及び/又はブレーキキャリパと一緒に車両から除去又はその上に装着され得る一貫した構造ユニットとしてのモジュール構成を有する。適切な接続点が、そこでボーデンケーブル又は油圧作動手段のようなブレーキ作動装置に提供されてもよいことが理解されよう。特に、構造ユニットは、入力牽引手段及び/又は出力牽引手段が、車両から独立して、したがって特に車両から装着解除されたときに使用できるように事前に引っ張られ得るように構成されてもよい。このことは、この目的のために車両のフレームを必要とせずに、牽引機構ユニットの支持ユニット自体が牽引手段の引張力を吸収するという事実によって再び可能にされる。このことを可能な限り実際に達成するために、牽引機構ユニットは、接続点、特に、入力牽引手段プーリを車両の駆動シャフトに接続するための接続点、及び出力牽引手段プーリを被駆動輪、例えば後輪又は前輪に接続するための接続点を有してもよい。モジュール式牽引機構ユニットを装着するためには、これらの接続点を駆動シャフト及び被駆動輪又はそのハブ本体に、特に共回転方式で、より具体的には少なくとも1つの回転方向の共回転方式で接続することだけがそれで必要である。これらの接続点は、牽引手段ローラを軸に又は軸の周りを回転するユニットに接続するための従来技術からそれ自体公知の接続装置、例えば接合装置、特に形状適合接合であってもよい。2つの支持ユニットの、伝達牽引手段プーリユニットの周りでの互いに対する回転可能性は、この組立を特に簡単にするが、その理由は、同じモジュール式牽引機構ユニットが支持ユニットを回転させることによって駆動シャフトと被駆動輪との間の様々な距離を補償し得るからである。このことが、例えば、製造公差に対する大幅により大きい余裕を残す。
【0039】
一般に、出力牽引手段プーリを被駆動輪に接続するための接続点の正確な実装は変化する場合がある。例えば、摩擦接続又は非ポジティブ接続がここでは使用され得る。出力牽引手段プーリが、特にハース歯として構成されている、回転方向に作用する軸方向に解放可能な形状適合接続を介して後輪ハブ本体又は前輪ハブ本体に接続されるならば、特に好ましい。軸方向とは、特に、それぞれの車輪軸、例えば後輪軸又は前輪軸の方向を指す。形状適合接続の軸方向解放可能性が、被駆動輪においてすでに普通に使用されているクイックリリース軸を介する容易な装着を可能にする。回転方向の形状篏合は、次に出力牽引手段プーリから後輪ハブ本体、ひいては後輪、又は前輪ハブ本体、ひいては前輪までの駆動エネルギーの安全で効率的な伝達を確実にする。
【0040】
本発明による牽引機構ユニットは、被駆動輪の交換を簡略化するためにも使用され得る。この目的のために、牽引機構ユニットは、被駆動輪がフレームから除去されたときに、特に車両のフレーム上に残ってもよい。この目的のために、後輪ハブ本体及び/又は前輪ハブ本体は、形状嵌合を介して出力牽引手段プーリから装着解除可能であるように構成されることが好ましく、それにより、後輪ハブ本体及び/又は前輪ハブ本体がそれぞれ、出力牽引手段プーリを備えた牽引機構ユニット、特にブレーキディスク及び/又はブレーキキャリパがフレームに残ったまま、後輪又は前輪と一緒に車両から装着解除され得る。この目的のために、牽引機構ユニットは、軸受スリーブを介して車両のフレーム上に、例えば後輪ストラット上に装着される。特に、軸受スリーブは、フレームに固定されており、また後輪軸本体を収容し得る。軸受スリーブはまた、被駆動輪が装着解除されたときに、フレーム上に残ったままである。被駆動輪を交換するために、操作者は、そのためハブ本体から高速解放軸を引き外し、後輪軸又は前輪軸の軸方向のハブ本体と出力牽引手段プーリとの間の形状適合接続を解放するだけでよい。被駆動輪は、そこで牽引機構ユニットが被駆動輪に装着されたまま、フレームから除去され得る。特に、牽引機構ユニットは、依然として軸受スリーブを介して後輪ストラットに装着されている。操作者は、そのため被駆動輪を交換するためには、牽引機構ユニットに一切の作業を行う必要がない。特に、操作者は、牽引手段の事前引張を解放すること、又は牽引手段プーリから牽引手段を除去することを必要としない。被駆動輪の交換は、そのため従来の車両についてのものよりもはるかに簡単で迅速である。
【0041】
冒頭で述べた目的は、車両、特に前述の車両を組み立てるための方法を含む、本発明による方法によって更に達成される。更に、この目的は、車両、特に前述の考察による車両、及び/又は車両を組み立てるための方法に従って組み立てられた車両におけるペダルキックバックを回避するための方法によって達成される。牽引機構ユニット及び/又は車両について上記で説明したすべての特徴、効果及び利点は、必要な変更を加えて本発明による方法にも適用され、またその逆も同様である。同じことが、本発明による方法に互いに対して適用される。単に繰り返しを避けるために、それぞれの別の説明に参照がなされる。
【0042】
すでに述べたように、上記の目的は、車両を組み立てるための方法によって達成され、その車両は、モジュール式牽引機構ユニット、特に前述の考察による牽引機構ユニットと、入力牽引手段を備えた第1支持ユニット及び出力牽引手段を備えた第2支持ユニットを備えた、車両を組み立てるための方法によって達成され、2つの支持ユニットは、関節方式で互いに接続され、共通の伝達軸の周りで互いに対して旋回可能であり、方法は、牽引機構ユニット内の入力牽引手段及び出力牽引手段を事前に引っ張るステップであって、入力牽引手段及び出力牽引手段の事前引張力は、支持ユニットによって専ら吸収される、ステップと、モジュール式牽引機構ユニットを車両に設置するステップと、支持ユニットを伝達軸の周りで旋回させることによって公差を補償するステップと、を含む。牽引手段の事前引張は、工場においてすでに設定され得るので、エンドユーザは、事前引張についてまったく気にする必要がない。そのため、例えば、牽引手段としてベルトを使用する場合に必要な高い張力を調整するために、車両の組立用の特別な工具が必要とされない。支持ユニットを互いに対して旋回させることによって、牽引機構ユニットの装着点の間の様々な距離を補償することが、組立を更に簡素化し、同じ牽引機構ユニットが広範囲の様々な車両又は車両フレーム構成に使用されることを可能にする。それに加えて、牽引機構ユニットはまた、同時にブレーキディスク及び/又はブレーキキャリパのような制動装置又はその少なくとも一部、及び/又は更なる要素、特に一体型ケーブル接続のような機能的要素、1つ又は複数のセンサ等を保持してもよい。これらは、次いで牽引機構ユニットの残りの部分と一緒に事前に組み立てられ、同時に本発明によるタイプの車両に一貫したモジュールとして設置され得る。
【0043】
上述の目的は、車両におけるペダルのキックバックを回避するための方法によって更に達成され、車両、特に本発明に従って構成された車両は、入力牽引手段を備える第1支持ユニットと出力牽引手段を備える第2支持ユニットと共に、フレーム、懸架された後輪又は懸架された前輪、及びモジュール式牽引機構ユニット、特に、前記考察による牽引機構ユニットを有し、2つの支持ユニットは、関節方式で互いに接続されて、共通の伝達軸の周りで相互に対して旋回可能であり、牽引機構ユニットは、入力牽引手段プーリから出力牽引手段プーリまで駆動エネルギーを伝達し、前記方法は、後輪又は前輪の懸架を圧縮するステップと、伝達軸の周りで支持ユニットを旋回させ、同時に支持ユニットを動かすことによる圧縮動作によって引き起こされる、入力牽引手段プーリと出力牽引手段プーリとの間の距離の変化を補償するステップであって、その結果、伝達軸がフレームに対して動く、ステップと、を含む。本発明に従って距離の変化を補償することによって、ペダルのキックバックが、上述したように、牽引手段プーリ直径を考慮して回避され、その結果、乗り手にとってより快適な乗り心地がもたらされる。このことがまた、シャーシについて最適なアンチスクワット挙動を設定することを可能にする。
【0044】
本発明の更なる態様がまた、単一トラック又は多重トラック車両、特に本発明に従って構成された車両の駆動トルクを、牽引機構ユニット、特に本発明を説明する前述の考察による牽引機構ユニットを介して、伝達する方法にもある。この方法の基本的なステップは、フレームから絶縁状態の牽引機構ユニットの引張力を吸収すること、続いて入力牽引手段プーリを介してトルク力を牽引機構ユニットに導入することからなる。これらの導入されたトルク力は、次いで、フレームから絶縁された状態で、互いに直列に配置された、すなわち力伝達方向に次々に配置された少なくとも2つの牽引手段を介して出力牽引手段プーリに伝達される。最後のステップは、出力牽引手段プーリを介してトルク力の向きを変えて、前輪又は後輪を駆動することにある。本発明によるこの方法は、第1及び第2支持ユニットの相対的な調整を更に含んでもよく、これらの支持ユニットの構造及び機能に関する前述の議論を参照されたい。全体として、この方法は、後輪軸に向かう牽引手段の力の切り離しを可能にし、最終的に、牽引手段線とアンチスクワット線との交点から独立して、アンチスクワットの最適化を可能にする。言い換えると、前軸又は後軸と、駆動軸、例えばペダリング軸との間の相対位置の変化は、それぞれの支持ユニットの牽引手段プーリの間の距離を変えることなく、牽引機構ユニットの第1と第2支持要素との相対位置の変化によって補償される。その代わりに、距離の変化を補償するために、互いに対する2つの支持ユニットの相対位置が調整される。このことは、牽引手段の引張力に影響を及ぼすことなく行われる。
【0045】
最後に、本発明の別の態様は、単一又は多重トラック車両、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置を備えた自転車、特に本発明による車両において、牽引機構ユニットを備えた駆動列と懸架/減衰装置との間の相互作用を解消するための方法に関する。基本構造に関して、本発明による方法に適した車両は、前輪と少なくとも1つの後輪を備える。これらは、両方ともフレーム上に装着されており、本発明によるこの方法のフレームは、マルチパート構成のものであり、メインフレームとその上に旋回可能に装着された車輪ストラットとを有する。前輪は前輪軸の周りでこのフレームに回転可能に装着され、後輪は後輪軸の周りで回転可能に装着され、前輪又は後輪は、車輪ストラットを介してメインフレームに装着されている。2つの車輪のうちの1つは、したがってメインフレームに対して旋回させられ得る。このことは、例えば、車両の減衰を達成するために、それ自体公知の方式で使用される。この目的のために、車輪ストラットとメインフレームとの間に適切な懸架/減衰装置を設けることが公知である。懸架/減衰装置は、従来技術においてそれ自体公知でもある装置を指し、例えば、該装置の機能は、メインフレームとその上に旋回可能に配置された車輪ストラットとの間の運動を調整する懸架及び減衰にある。更に、本発明による方法のために、牽引機構ユニット、特に本発明によるものは、互いに直列に配置された、少なくとも2つの牽引手段、特にベルトを備える。本発明による牽引機構ユニットが、この目的のために使用されることが好ましい。牽引機構ユニットは、駆動軸と前輪又は後輪の回転軸との間で駆動接続状態にある。牽引機構ユニットの助けにより、駆動トルクは、そこで入力回転軸、例えば、ペダリング軸及び/又はモータ軸からそれぞれの被駆動輪まで伝達される。本発明による方法は、ここでは、例えば、障害物を乗り越える又はそれを通過するときに、懸架/減衰装置を使用して、メインフレームに対して車輪ストラット及びその上に装着された車輪の減衰された/懸架された旋回を含んでもよい。これとは別に、例えば、駆動トルクから独立した伝達が提供される。このことは、メインフレームに対して懸架されている/減衰されている被駆動輪/車輪ストラットの相対位置の変化が、牽引機構ユニットを介して現在伝達されている駆動トルクに影響を及ぼさないことを意味する。このことは、特に、牽引機構ユニットの出力牽引手段の第2支持ユニットに対する入力牽引手段の第1支持ユニットの回転によって、駆動軸と回転軸との間の距離の変化を補償することを含んでもよい。互いに対する2つの支持ユニットの回転又はそれに伴う角度位置の角度変化を介して、補償が、圧縮/圧縮解除プロセスの結果として生じる、駆動軸と被駆動輪の回転軸との間の距離の変化に対してそこで提供され、これは、牽引手段、又は車輪軸とペダリング軸自体の間の角度位置又は相対回転位置に何ら影響を及ぼすことがなく、そして駆動軸と被駆動輪の回転位置に影響を及ぼすことがない。このことが、圧縮/圧縮解除プロセス中の駆動軸と回転軸との間の相対位置の変化によって引き起こされる、トルク伝達牽引手段に対するフィードバック効果を解消する。言い換えれば、駆動トルクは、牽引手段の引張力から独立して、特に、メインフレームに対する車輪ストラット及びそれに装着された車輪の旋回にフィードバック効果を生じさせることなく、伝達される。被駆動輪軸と入力回転軸の回転位置は、そのため圧縮/圧縮解除プロセス中に地面に対する相対位置を変化させないが、メインフレームに対しては変化する。
【0046】
図に示された実施形態の例を参照することによって、本発明が以下でより詳細に説明される。概略図には以下のものがある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図2】圧縮された後輪懸架を備えた車両の側面図である。
【
図5】クランクシャフトから後輪までの牽引機構ユニットの配置についての概略図である。
【
図7】牽引機構ユニットを上から見た断面図である。
【
図8】伝達牽引手段プーリユニットを上から見た断面図である。
【
図9】
図8の断面Aによる伝達牽引手段プーリユニットの側断面図である。
【
図10】伝達牽引手段プーリユニットの第1実施形態を上から見た断面図である。
【
図11】伝達牽引手段プーリユニットの第2実施形態を上から見た断面図である。
【
図12】伝達牽引手段プーリユニットの第3実施形態を上から見た断面図である。
【
図13】伝達牽引手段プーリユニットの第4実施形態を上から見た断面図である。
【
図14】第2支持ユニット及び後輪が装着された後輪ハブを上から見た断面図である。
【
図15】第2支持ユニット及び後輪が装着解除された後輪ハブを上から見た断面図である。
【
図17】従来のチェーン駆動及びアンチスクワット線を備えた従来技術の車両の側面図である。
【
図18】アンチスクワット線を備えた
図1の車両の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
同様の部分又は機能的に同様の部分が、図面において同様の参照番号で示されている。再出された部分は、各図において個別に示されない。
【0049】
図1~4はそれぞれ、自転車、特に電動自転車の例として用いる車両Fを示す。例えば、自転車は、前輪2及び後輪3によって支持され得るフレーム1を有する。例えば、フレーム1は、トップチューブ4、ダウンチューブ5、シートチューブ6、フロントフォーク7、後輪ストラット8又は後輪スイングアーム、及びシートストラット9を備えてもよい。フロントフォーク7は、前輪ハブ本体59に接続されてもよく、該前輪ハブ本体を介して前輪2がフレーム1に装着されてもよい。前輪2は、前輪軸33の周りで回転するように装着されてもよい。自転車として構成されている車両Fを操舵するために、フロントフォーク7は、共回転方式でハンドルバー12に接続されてもよい。サドル11は、サドルチューブ6上に配置されてもよい。後輪ストラット8は、例えば、ストラット軸受53を介して、残りのフレーム部分、例えば、シートチューブ6に回転可能に接続されてもよい。全体としてのフレーム1は、そこで、この場合に、例えばトップチューブ4、ダウンチューブ5、フロントフォーク7及びシートチューブ6を含むメインフレーム1.1と、懸架/減衰の目的でこのメインフレーム1.1に対して水平旋回軸の周りで旋回させられ得る後輪ストラット8と、を備える。前輪2は、メインフレーム1.1に装着され、後輪3は、後輪ストラット8に装着されているが、この逆であってもよい。そこで、この回転可能性又は旋回可能性を介して、後輪3は、例えば、後輪ストラット8に接続されたシートストラット9を介してフレーム1上に懸架され得、次に、例えば、該後輪ストラット8は、ダンパ10を介してトップチューブ4に接続されてもよい。懸架/減衰装置の実際の構成が、異なってもよい。
図1及び3は、静止位置にある自転車を示す。次に、
図2及び4は、後輪3の懸架が最大まで圧縮された状態の自転車を示す。後輪ストラット8は、例えば、後輪3を後輪軸15の周りで回転可能に支持する。車両F又は自転車の乗り手が、それぞれ駆動エネルギーを人間の筋力から車両Fの駆動列に導入できるようにするために、自転車は、ペダル13、特に片側に1つのペダル13を有してもよい。説明されたフレーム1は、基本的に従来技術において公知であり、個々のフレーム部分の構造及び相互作用は、当業者に公知である。
【0050】
後輪3に駆動エネルギーを伝達するために、車両Fは、駆動軸14の周りで回転する駆動シャフト35(
図7参照)から駆動エネルギーを受け取ってそれを後輪3に伝達する牽引機構ユニット16を備えていてもよい。
図1~4に示される実施形態例では、後輪3が車両Fの被駆動輪である。しかし、前輪2が車両Fの被駆動輪であってもよい。この場合、牽引機構ユニット16は、駆動軸14の周りで回転する駆動シャフト35(
図7参照)から前輪2まで駆動エネルギーを伝達することになる。このような実施形態が図に示されていないが、それでも本発明に含まれる。
【0051】
牽引機構ユニット16は、第1支持ユニット25と第2支持ユニット26とを備えてもよい。第1支持ユニット25は、例えば、駆動軸14の周りで回転可能であるようにフレーム1上に装着されてもよい。第2支持ユニット26が、他方で、フレーム1、例えば、後輪ストラット8上に装着されることにより、それが後輪軸15の周りで回転可能であってもよい。支持ユニット25、26が、駆動軸14と後輪軸15との間の関節方式で互いに接続され得ることにより、例えば、それらが互いに対して旋回させられ得る。この旋回可能性は、この場合、特に駆動軸14と後輪軸15との間の距離が変化するときに、例えば、後輪3の懸架が圧縮されるときに用いられる。
図1及び2と
図3及び4との比較からそれぞれわかるように、駆動軸14と後輪軸15との間の距離の対応する変化は、牽引機構ユニット16の第2支持ユニット26に対して第1支持ユニット25を旋回させることによって補償され得る。以下でより詳細に説明される牽引機構ユニット16の特別な構造により、ペダルキックバックが、この場合に防止されるか、又は所望の正若しくは負のペダルキックバックが設定されることさえある。このことが、従来のシステムにおける圧縮及び圧縮解除プロセスによって引き起こされる牽引機構ユニットへのフィードバック効果を完全に解消することを可能にする。
【0052】
図1~4において、牽引機構ユニット16の配置は、支持ユニット25、26の関節式接続、すなわち伝達軸27が、駆動軸14の周りの第1支持ユニット25の装着部、及び/又は後輪軸15の周りの第2支持ユニット26の装着部の鉛直上方に配置されるように示されている。しかしながら、その代替として、牽引機構ユニット16は、支持ユニット25、26の関節式接続が駆動軸14の周りの第1支持ユニット25の装着部、及び/又は後軸15の周りの第2支持ユニット26の装着部の鉛直下方に配置されているように構成及び配置されてもよい。また
図1~4に示すように、後輪ストラット8は、湾曲してもよく、特に後輪軸15から見て上方に突出する頂点を有するように特に湾曲していてもよい。後輪ストラット8は、したがって、鉛直上向き方向に、牽引機構ユニット16、特に、第1支持ユニット25と第2支持ユニット26との間の関節式接続の周りで動作するか、又はそれを回避するように構成されてもよい。言い換えれば、後輪ストラット8は、牽引機構ユニット16を空間的に回避することにより、駆動軸14と後輪軸15との間の領域内に設置スペースを残すように構成されてもよい。
【0053】
図1及び2と
図3及び4の実施形態との違いは、
図3及び4が、それぞれ、ブレーキディスク17及びブレーキキャリパ18を含むブレーキ装置を備えた車両Fを示していることである。ブレーキ装置は、例えば、牽引機構ユニット16上に、例えば、第2支持ユニット26上に配置されてもよい。
図3は、牽引機構ユニット16と後輪3との間の牽引機構ユニット16上にブレーキ装置が配置され得る例を示す。言い換えると、この例では、牽引機構ユニット16上のブレーキ装置は、後輪3に面している牽引機構ユニット16の側部に配置されている。
図4は、他方で、牽引機構ユニット16上のブレーキ装置が、後輪3から離れる方に面している牽引機構ユニット16の側部に配置されている代替実施形態を示す。言い換えると、この実施形態では、牽引機構ユニット16は、ブレーキ装置と後輪3との間に配置されている。
【0054】
図4の実施形態による配置が、
図5により詳細に示されている。特に、
図5の上部は、後輪軸15の周りで回転する後輪3、フレーム1の部分、及び駆動軸14の周りで回転するペダル13によって駆動されるクランクシャフト19を通る水平断面図を示す。より良い理解と方向付けのために、牽引機構ユニット16の側面図が、第1支持ユニット25と第2支持ユニット26とが互いに対してその周りで回転させられ得る後輪軸15、駆動軸14、及び伝達軸27の配置が、
図5の上部と下部の間に対応するように再度以下に示される。
図5は、後輪3の構造も示している。後輪は、タイヤ20とリム21とを備えてもよい。リム21は、スポーク22を介して後輪ハブ本体23に接続されてもよい。次いで、後輪ハブ本体23は、例えば、2本の後輪ストラット8によって支持される後輪軸本体24に装着され得ることにより、後輪軸15の周りで回転し得る。後輪ハブ本体23は、以下でより詳細に説明されるように、牽引機構ユニット16によって駆動される。特に後輪3において、可能な限り幅が狭い構造を達成するために、第2支持ユニット26は、車両の中心に向かって後輪軸15に沿って第1支持ユニット25からオフセットされてもよい。車両の中心に向かってとは、例えば、後輪3の方向に又は対称軸48の方向にということを意味し得、以下でより詳細に説明される。第2支持ユニット26、したがって後輪ハブ本体23への力の伝達もまた、後輪3に特に近いという事実のために、後輪3は、対称的な1組のスポーク22を有してもよい。特に、スポーク22、リム21及びタイヤ20は、共通の対称軸48を共有してもよい。スポーク22の対称的な配置に起因して、それらは、均等に負荷がかかり、したがって耐用年数が長くなる。
【0055】
牽引機構ユニット16の一般的な構造を
図6に示す。牽引機構ユニット16は、第1支持ユニット25及び第2支持ユニット26を備えてもよい。第1支持ユニット25は、この場合、例えば、第1ハウジング36によって形成されてもよい。第2支持ユニット26は、例えば、第2ハウジング38によって形成されてもよい。2つの支持ユニット25、26又はハウジング36、38は、関節方式で互いに接続され得ることにより、共通の伝達軸27の周りで互いに対して旋回するように構成されてもよい。第1ハウジング36は、駆動軸14の周りで回転可能である入力牽引手段プーリ30を包囲するか又は封入してもよく、伝達牽引手段プーリユニット41を少なくとも部分的に包囲するか又は封入してもよい。歯付きベルトのような入力牽引手段28が、入力牽引手段プーリ30及び伝達牽引手段プーリユニット41と動作可能に接続した状態で配置されてもよく、それにより、入力牽引手段プーリ30の回転が伝達牽引手段プーリユニット41に伝達される。第2ハウジング38は、後輪軸15の周りで回転可能な出力牽引手段プーリ31を包囲するか又は封入してもよく、また、伝達牽引手段プーリユニット41を少なくとも部分的に包囲するか又は封入してもよい。出力牽引手段29、例えば、歯付きベルトはまた、出力牽引手段プーリ31及び伝達牽引手段プーリユニット41と動作可能に接続して配置されてもよく、それにより、伝達牽引手段プーリユニット41の回転が出力牽引手段プーリ31に伝達される。以下でより詳細に説明するように、入力牽引手段プーリ30は、車両Fの入力シャフト35(
図7参照)によって駆動されてもよく、同時に出力牽引手段プーリ31は、後輪ハブ本体23、ひいては後輪3を駆動させてもよい。したがって、全体として、牽引機構ユニット16は、駆動エネルギーを駆動シャフト35(
図7参照)から後輪3まで伝達するように構成されてもよい。
【0056】
重要なことは、ハウジング36、38が、入力牽引手段28及び出力牽引手段29の引張力に適応するように構成されてもよいということである。牽引手段28、29の引張力が、したがってハウジング36、38に直接導入され、これが、牽引機構ユニット16が車両Fのフレーム1に装着される前に、牽引手段28、29が事前に引っ張られ得る理由である。牽引機構ユニット16、特に第1支持ユニット25及び第2支持ユニット26、又は第1ハウジング36及び第2ハウジング38は、牽引手段28、29の引張力がフレーム1に導入又は伝達されないように構成され得る。牽引手段28、29を事前に引っ張るために、牽引機構ユニット16は、牽引手段引張装置39、40(
図7参照)を有してもよく、これらは、それぞれのハウジング36、38を通って延在する事前引張アクセス32を介して、事前引張を調整するための対応するツールを挿入するために外部からアクセス可能である。牽引手段引張装置39、40は、例えば、以下でより詳細に説明される偏心牽引手段引張装置であってもよい。
【0057】
図6はまた、牽引機構ユニット16の様々な機能を可能にする別の要素を示している。例えば、速度センサ54が、車両Fの移動速度を決定するために設けられてもよい。このセンサは、例えば、図示の実施形態例におけるように、入力牽引手段プーリ30上に配置されてもよい。しかしながら、速度センサ54は、伝達牽引手段プーリユニット41又は出力牽引手段プーリ31上に位置してもよい。それに加えて、牽引機構ユニット16は、ダイナモ方式のような発電機55を含んでもよい。図示の実施形態例では、この発電機がまた、入力牽引手段プーリ30上に配置されているが、伝達牽引手段プーリユニット41又は出力牽引手段プーリ31上に配置されてもよい。最後に、懸架移動センサ56が設けられてもよく、これは、例えば、伝達軸27の周りでの支持ユニット25、26又はハウジング36、38の互いに対する旋回に基づいて、後輪3の懸架の懸架移動を完了させる。速度センサ54及び/又は懸架移動センサ56は、車両Fの制御装置(図示せず)に接続され得ることにより、それに測定データを提供してもよい。牽引機構ユニット16は、特に伝達軸27の周りに貫通開口部57を有してもよく、該貫通開口部は、牽引機構ユニット16、特に伝達牽引手段プーリユニット41を完全に貫通して延在してもよく、特に外部に開いていてもよい。更に、例えば1つ又は複数のLEDを含む照明装置58が、この貫通開口部57の領域内に配置されてもよい。照明装置58は、貫通開口部57、及び/又は少なくとも部分的に貫通開口部57内に配置された内部ハウジング44を照明するように特に構成されている。
【0058】
図7は、牽引機構ユニット16の構造を詳細に示す。特に、
図7は、牽引機構ユニット16を通る水平断面図を示す。
図7に示すように、第1支持ユニット25と第2支持ユニット26とは、
図6にすでに示すように、伝達軸27の周りで互いに対して180°の角度で配置されている。言い換えると、支持ユニット25、26の間に形成された膝状屈曲点が、伝達軸27の周りでの回転可能性によって十分に伸ばされる。図のサイズを小さくしすぎないように、牽引機構ユニット16の各部分は、互いから横方向にずれて示されている。実際に、破線で示すように、牽引機構ユニット16の図示された領域は、前後に又は並んで配置されている。
【0059】
図7の右上に示された牽引機構ユニット16の部分は、駆動軸14の周りで回転するように装着された第1支持ユニット25の部分を示す。この部分は、駆動シャフト35によって駆動される入力牽引手段プーリ30を含んでもよい。駆動シャフト35は、駆動ユニット34の出力であってもよく、該駆動ユニットは、例えば、電気モータのような少なくとも1つの駆動モータ(図示せず)を備えてもよい。特に、駆動ユニット34は、駆動シャフト35の回転を介して、ペダル13及びクランクシャフト19を介する人間の筋力による車両Fの乗り手によって適用される駆動力と、単数又は複数の駆動モータの駆動力との組み合わせを出力するように構成されてもよい。更に、駆動ユニット34は、歯車シフトの機能を担う歯車伝達比機構をすでに備えていることが好ましく、その結果、歯車シフトが駆動ユニット34の外側の車両Fにおいてもはや不要となる。駆動シャフト35は、入力牽引手段プーリ30に共回転方式で接続されることにより、駆動シャフト35によって駆動されてもよい。入力牽引手段プーリ30は、非共回転式第1ハウジング36によって包囲されており、該第1ハウジング上に、入力牽引手段プーリ30が、回転軸受37、例えば、ローラ軸受又はボール軸受、特に、溝付きボール軸受を介して装着されてもよい。例えば、ハウジング36は、例えばプラスチック製の2つのハウジング半体36a、36bから構成されてもよい。入力牽引手段プーリ30は、入力牽引手段28を備え、該入力牽引手段は、入力牽引手段プーリ30の回転運動を
図7の中央に示す伝達牽引手段プーリユニット41まで伝達する。
【0060】
伝達牽引手段プーリユニット41は、
図7の中央図に示されている。該伝達牽引手段プーリユニットは、第1支持ユニット25を形成する第1ハウジング36によって部分的に包囲又は封入されてもよく、そして第2支持ユニット26を形成する第2ハウジング38によって部分的に包囲又は封入されてもよい。伝達牽引手段プーリユニット41は、入力牽引手段プーリ30から来る入力牽引手段28に動作可能に接続された入力側牽引手段プーリ42を備えてもよい。それに加えて、伝達牽引手段プーリユニット41は、出力牽引手段29に動作可能に接続された出力側牽引手段プーリ43を備えてもよい。図示の実施形態例では、伝達牽引手段プーリユニット41は、1つの一体構成要素として構成されている。言い換えれば、入力側牽引手段プーリ42と出力側牽引手段プーリ43とが1つの一体部品として形成されてもよい。伝達牽引手段プーリユニット41は、回転軸受37を介して非共回転式又は静止ハウジング36、38に対して支持されてもよい。貫通開口部57が、伝達牽引手段プーリユニット41の中心に、特に、牽引機構ユニット16を完全に通過して延在する伝達軸27の周りに配置されてもよい。伝達軸27から半径方向に見ると、貫通開口部57が、伝達牽引手段プーリユニット41によって部分的に、及び伝達牽引手段プーリユニット41と共に回転するように構成されてもよい追加の内部ハウジング44によって部分的に外向きに境界を定められてもよい。全体として、そのために、伝達牽引手段プーリユニット41は、入力牽引手段プーリ30から来る駆動力を出力牽引手段29まで伝達し得る。
【0061】
次に、出力牽引手段29は、伝達牽引手段プーリユニット41の回転運動を、
図7の左下に示された出力牽引手段プーリ31に伝達し得る。
図7の左下の図は、したがって、後輪軸15の周りで回転するように軸受スリーブ68上に配置されてもよい第2支持ユニット26の部分を示す。特に、牽引機構ユニット16は、ここでは、後輪軸15の周りで回転するように装着されてもよい出力牽引手段プーリ31を備えてもよい。この目的のために、出力牽引手段プーリ31は、回転軸受37を介して軸受スリーブ68に対して支持されてもよい。出力牽引手段プーリ31はまた、回転軸受37を介して、フレームに固定されてそれと共に回転しない第2ハウジング38に対して支持されてもよい。第2ハウジング38は、同様に、2つのハウジング半体38a、38bから構成してもよい。更に、ブレーキディスク17は、例えば、ねじ接続を介して、共回転方式で出力牽引手段プーリ31上に装着されてもよい。ブレーキキャリパ18が、他方、第2ハウジング38上に配置されて接続されてもよい。出力牽引手段29は、駆動ユニット34から来る駆動力を出力牽引手段プーリ31に作用させるために使用され得る。出力牽引手段プーリ31は、この駆動力を後輪ハブ本体23上に、例えば、形状適合接続部52、例えば、ハース歯(例えば、
図14及び15を参照)を介して伝達し得る。
【0062】
図8は、わずかに拡大された、
図7の中央図による断面図を示す。すでに説明した要素に加えて、
図8によるこの図は、入力牽引手段28を事前に引っ張るために設けられてもよい第1牽引手段引張装置39を示す。それに加えて、出力牽引手段29を事前に引っ張るために設けられてもよい第2牽引手段引張装置40が設けられてもよい。牽引手段引張装置39、40は、例えば、偏心牽引手段引張装置である。牽引手段引張装置39、40の両方は、事前引張アクセス32を通して引張ツールに対して外部からアクセス可能であることが好ましい(
図8の丸で囲んだ領域を参照)。
【0063】
図9は、伝達牽引手段プーリユニット41の領域内の牽引機構ユニット16を通る鉛直断面図を示す。断面は、
図8に示す断面Aによる入力側牽引手段プーリ42を通って延在する。特に、
図9は、第1牽引手段引張装置39の動作機構を示す。しかしながら、第2牽引手段引張装置40は、同一の構成のものであってもよく、そのため、対応する説明がまた準用される。特に、第1牽引手段引張装置39は、伝達軸27の周りで回転可能であり、伝達軸27に対して変化する半径方向の厚さを有するリングの形態のものであってもよい。例えば、それは、最小の半径方向の厚さaと、最大の半径方向の厚さbと、を有する。牽引手段引張装置39は、例えば、事前引張アクセス32を通して挿入されたツールによって、事前引張アクセス32を介して回転可能であってもよい。第1牽引手段引張装置39は、回転軸受37と第1ハウジング38との間に配置されてもよい。最大の半径方向の厚さbを有する第1牽引手段引張装置39の領域が、牽引手段引張装置39を回転させることによって入力牽引手段プーリ30の方向に向けられるとき、牽引手段引張装置39の厚い領域が、回転軸受37及び伝達牽引手段プーリユニット41を入力牽引手段プーリ30から離れる方向に変位させ、それによって、入力牽引手段28を引っ張る。このようにして、所望の事前引張力が、入力牽引手段28に対して設定され得る。
図8及び9は、十分に引っ張られた牽引手段を備えた牽引機構ユニット16を示す。すでに説明したように、第2牽引手段引張装置40は、同じ態様で動作し、その結果、上記の説明が、第2牽引手段引張装置40と関連した要素に準用される。
【0064】
図10~13は、伝達牽引手段プーリユニット41の領域内の牽引機構ユニット16の様々な構成オプションを示す。特に、それぞれは、伝達牽引手段プーリユニット41を通る水平断面の上面図である。図のそれぞれの右側に、第1支持ユニット25が第1ハウジング36として示され、左側に、第2支持ユニット26が第2ハウジング38として示されている。
図10による実施形態において、伝達牽引手段プーリユニット41が示されており、それの入力側牽引手段プーリ42及び出力側牽引手段プーリ43が、それぞれ別個の構成要素として、すなわち互いに別個に構成されてもよい。入力側牽引手段プーリ42及び出力側牽引手段プーリ43の外周面は、第1ハウジング36及び第2ハウジング38によってそれぞれ完全に覆われるか、カプセル化されるか、又は封入されてもよい。入力側牽引手段プーリ42から出力側牽引手段プーリ43までの駆動力の伝達を実現するために、伝達牽引手段プーリユニット41は、接続ユニット45を追加的に備えてもよく、該接続ユニットは、入力側牽引手段プーリ42及び出力側牽引手段プーリ43に、それぞれ共回転方式で接続されてもよい。したがって、入力牽引手段28によって駆動される入力側牽引手段プーリ42は、回転運動を接続ユニット45に伝達し得、該接続ユニットは、順に回転運動を出力側牽引手段プーリ43に、ひいては出力牽引手段29に伝達し得る。
図11は、前述の実施形態例ですでに示された伝達牽引手段プーリユニット41の一体構成を示し、それにおいて、入力側牽引手段プーリ42と出力側牽引手段プーリ43は、1つの一体部品として構成されてもよい。
図10に示す実施形態及び
図11に示す実施形態は両方とも、伝達牽引手段プーリユニット41と共に回転する、貫通開口部57に沿って少なくとも部分的に並べられる内部ハウジング44を含んでもよい。この内部ハウジング44は、
図12及び13による実施形態において省略される。両方の実施形態は、一体的に形成された入力側牽引手段プーリ42及び出力側牽引手段プーリ43を含む。しかしながら、これらの実施形態では、貫通開口部57は、非回転式又はフレームに固定された第1ハウジング36及び第2ハウジング38によってそれぞれ境界を定められるか、又は並べられてもよい。
図13による実施形態では、第1ハウジング36は、一方の側で貫通開口部57を閉鎖してもよい第1カバー46を更に含んでもよい。同様に、第2ハウジング38は、他方の側で貫通開口部57を閉じてもよい第2カバー47を含んでもよい。したがって、
図13による実施形態では、貫通開口部57は閉じている、すなわち開いていなくてもよい。
図10及び11による実施形態と
図12及び13のものとの間の別の相違点は、牽引手段引張装置39、40が、
図10及び11による実施形態における伝達牽引手段プーリユニット41の外側に、並びに
図12及び13による実施形態における伝達牽引手段プーリユニット41の内部に配置されていることである。ここでの外側及び内側とは、伝達軸27から見た半径方向を指す。したがって、伝達軸27から半径方向外向きに見て、
図10及び11に示す実施形態では、回転軸受37の後に牽引手段引張装置39、40が続き、その後にハウジング36、38が続く。
図12及び13による実施形態では、他方で、同じ方向から見ると、ハウジング36、38の後に牽引手段引張装置39、40が続き、その後に回転軸受37が続く。説明された実施形態のうちのどれが使用されるかは、特定の要件に依存する。
【0065】
図14は、被駆動輪、この場合は後輪3への牽引機構ユニット16の接続を示す。しかしながら、被駆動輪は前輪2であってもよい。具体的には、
図14は、後輪ストラット8、牽引機構ユニット16、及び後輪ハブ本体23を通る水平断面の上面図を示す。出力牽引手段プーリ31は、例えば、軸スタブ49及びクイックリリース軸50によって形成された後輪軸本体24の周りで、特に後輪軸15の周りで回転する。出力牽引手段プーリ31は、フレーム1上に、特に後輪ストラット8上に、軸受スリーブ68を介して装着されてもよい。軸スタブ49とクイックリリース軸50とが、同様に軸受スリーブ68を通過してもよい後輪軸本体24を一緒に形成してもよい。出力牽引手段プーリ31と後輪ハブ本体23との間の力伝達は、ハース歯のような形状適合接続部52を介して達成される。特に、この接続は、後輪軸15に対して軸方向に解放され得る形状適合接続部52である。言い換えれば、後輪ハブ本体23は、出力牽引手段プーリ31から後輪軸15の軸方向に除去又は解放され得る。後輪ハブ本体23が、組み立てられた状態で出力牽引手段プーリ31と動作可能に接続されたままであることを保証するために、後輪ハブ本体23は、出力牽引手段プーリ31に、例えば、クイックリリース軸50の半径方向に厚くなるクランプ留め部51によって押し付けられる。この状態では、クイックリリース軸50は、クランプ留め部51によって後輪ストラット8に固定され得ることにより、後輪ハブ本体23と出力牽引手段プーリ31との間の形状適合接続部52の動作可能係合は、車両Fの動作中維持される。
【0066】
図15は、例えば、後輪3を交換するために、後輪ハブ本体23が出力牽引手段プーリ31から解放される状態を示す。この目的のためには、後輪ストラット8上のクイックリリース軸50の固定のみが解放されなければならない。このことが、クランプ留め部51と一緒にクイックリリース軸50が、牽引機構ユニット16及び後輪ハブ本体23から引き抜かれることを可能にする。そのため、後輪ハブ本体23が、クイックリリース軸50のクランプ留め部51によって、出力牽引手段プーリ31にもはや押し付けられない。形状適合接続部52は、そのため、後輪軸15の軸方向に解放され得ることにより、後輪ハブ本体23及びこれに関連する後輪3(明確化のため図示されず)が、車両Fのフレーム1から除去されることを可能にする。牽引機構ユニット16は、他方で、軸受スリーブ68と共にフレーム1上に、又は後輪ストラット8上に残り得る。そのため、エンドユーザが、被駆動輪、例えば、後輪3を交換するときに、牽引機構ユニット16において何らかの作業を行う必要がない。特に、入力牽引手段28及び出力牽引手段29は、牽引機構ユニット16において、被駆動輪の除去及び設置を大幅に簡素化する事前引張配置のままである。
【0067】
図16は、車両Fを組み立てるための方法60、及び車両Fの圧縮動作を補償するための方法65のフローチャートを示す。方法60、65はそれぞれ、前述の考察による車両Fに関連してもよい。それに加えて、方法65はまた、方法60に従って組み立てられる車両Fに関連する。個々のステップが
図16に順に示されているが、これらは、方法60、65内で同時に行われてもよい。車両Fを組み立てるための方法60は、牽引機構ユニット16内の入力牽引手段28及び出力牽引手段29を事前に引っ張ること61から始まり、入力牽引手段28及び出力牽引手段29の事前引張力は、支持ユニット25、26によって専ら吸収される。この事前引張のステップ61は、モジュール式牽引機構ユニット16において、それが車両Fに装着される前に実行されてもよい。特に、車両Fのフレーム1は、牽引手段28、29を事前に引っ張る必要はない。結果として生じる引張力はすべて、支持ユニット25、26によって吸収される。次のステップは、そのため、モジュール式牽引機構ユニット16を車両Fに設置すること62にある。したがって、このステップになって初めて、牽引機構ユニット16と車両F又は車両Fのフレーム1との間に接続が確立される。設置62中、公差の補償63が、支持ユニット25、26を伝達軸27の周りで旋回させること64によって実行されてもよい。言い換えると、同じ牽引機構ユニット16が、駆動軸14と被駆動輪軸、例えば後輪軸15又は前輪軸33との間の異なる距離を有する車両Fにおいて使用され得る。異なる距離は、支持ユニット25、26を互いに対して旋回させること64によって補償される。このことが、牽引機構ユニット16の使用を特に可変にする。本発明による方法60の本質的な点は、牽引機構ユニット16が、十分に事前に引っ張られた牽引手段28、29を独立したモジュラーユニットとして設置され得ることである。それは、車両Fの残りの部分、特にフレーム1から独立して十分に動作可能にされ得、そのときフレーム1に装着されるだけでよい。車両Fの圧縮動作を補償するための方法65は、後輪3又は前輪2の懸架を圧縮すること66から始まる。特に、この車輪は、車両Fの被駆動輪である。上述の牽引機構ユニット16は、そのとき、入力牽引手段プーリ30と出力牽引手段プーリ31との間の距離の変化を補償すること67を可能にし、該距離は、伝達軸27の周りで支持ユニット25、26を旋回させ64、同時に支持ユニット25、26を伝達軸27がフレーム1に対して動くように動かすこと69による圧縮動作によって引き起こされる。このようにして、従来の車両F、特に自転車において発生するペダルキックバックが、牽引機構ユニット16によって補償又は回避され得る。
【0068】
牽引手段(例えばチェーン)及び牽引手段引張装置を備えた従来技術(
図17、従来技術)から公知の駆動列を備えた車両Fと、本発明による2段式牽引機構ユニット16を備えた、本発明による構造(
図18は、
図1に関してすでに詳細に説明した構造を特に指す)との間の
図17~18に示す比較は、本発明によって達成される利点、特にアンチスクワット挙動に関する利点を示す。更なる説明のために、乗り手も仮想線で示されている。いわゆるアンチスクワット線ASが、前輪軸を通る前部鉛直線及び後輪軸を通る後部鉛直線によって画定されることが公知である。前部鉛直線と、運転者及び車両の全体の重心Sの高さにおける水平線との交点、及び後部鉛直線と後輪の下側足点との交点が、アンチスクワット線ASの傾斜を画定する。このことは、アンチスクワット線ASが車両フレームに対して本質的に静止していないが、例えば、全く同一の車両Fについて、全体の重心の位置に基づいて、乗り手及び/又はその位置に基づいて、懸架状態に基づいて等で、変化する可能性があることをすでに示している。このような車両の実際の構成において、目下のところ、目標は、牽引手段の交点、及び後輪ストラット8のスイングアーム回転点との交点を、できる限り多くアンチスクワットラインAS上に配置すること、理想的にはそれらを互いに重ねて配置することでさえある。
図17は、アンチスクワット状態が、従来技術においてそれ自体公知である変速システムの各歯車について後輪において変化することを更に示す。
【0069】
比較において、
図18に示す本発明は、目下のところ、最適な解決策、特に車両Fのアンチスクワット挙動にも関する最適な解決策を提供する。特に、本実施形態の例では、フレームの残りの部分に対して調整可能である後輪ストラット8と、すでに上述したような牽引機構ユニット16の2段式及び関節式構成とをまた含む、車両Fのフレーム1からの牽引歯車又は牽引機構ユニット16の力の分離により、例えば、2つの支持ユニット25と26との間の関節運動角度を変更することによって、後輪ストラット8の異なる圧縮位置及び圧縮解除位置に対する駆動軸14と後輪軸15との間の距離の変化を補償することが可能であるが、しかし、牽引機構ユニット16の2つの牽引手段にフィードバック効果を及ぼすことはない。大幅に最適化され、更に選択的に調整可能であるアンチスクワット特性を得る可能性に加えて、これが、特に後輪スイングアームの関節運動に関して、かなりより大きい構造の自由度も可能にする、その理由は、特に、牽引手段自体とアンチスクワット線ASとの交点が、本構造ではもはや役割を果たしていないからである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車のタイプの単一又は多重トラック車両(F)であって、
a)フレーム(1)を介して互いに接続されている、少なくとも1つの前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)であって、前記前輪(2)は、前輪軸(33)の周りで回転するように前記フレーム(1)に装着され、前記後輪(3)は、後輪軸(15)の周りで回転するように前記フレーム(1)に装着されている、少なくとも1つの前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)と、
b)牽引機構ユニット(16)であって、
入力牽引手段プーリ(30)によって駆動される入力牽引手段(28)及び
出力牽引手段プーリ(31)を駆動する出力牽引手段(29)
を備えた牽引機構ユニット(16)と、
を備え、
前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)は、互いに直列に配置され、伝達牽引手段プーリユニット(41)を介して互いに伝達接続状態にあり、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)は、前記入力牽引手段(28)と係合された入力側牽引手段プーリ(42)と、前記出力牽引手段(29)と係合された出力側牽引手段プーリ(43)とを備え、前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、共通の伝達軸(27)の周りで回転可能であり、
前記出力牽引手段プーリ(30)は、ペダル(13)及び/又は駆動ユニット(34)に接続された駆動シャフト(35)によって駆動され、前記後輪(3)又は前記前輪(2)は、前記出力牽引手段プーリ(31)によって駆動される、前記車両(F)において、
前記入力牽引手段プーリ(30)及び前記入力側牽引手段プーリ(42)を支持する第1支持ユニット(25)が、前記フレーム(1)から独立して前記入力牽引手段(28)の引張力を吸収するために設けられ、
前記出力側牽引手段プーリ(43)及び前記出力牽引手段プーリ(31)を支持する第2支持ユニット(26)が、前記フレーム(1)から独立して前記出力牽引手段(29)の引張力を吸収するために設けられ、
前記フレーム(1)は、前記第1支持ユニット(25)及び前記第2支持ユニット(26)を迂回して前記車両(F)の運転中に生じる車輪接触力を吸収し、
前記第1支持ユニット(25)と前記第2支持ユニット(26)とは、互いに対して回転可能に構成され、
前記第1支持ユニット(25)及び前記第2支持ユニット(26)は、前記フレーム(1)に回転可能に装着されている、
ことを特徴とする、車両(F)。
【請求項2】
前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、前記伝達軸(27)に同軸に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両(F)。
【請求項3】
前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、互いに対して共回転方式で、特に、1つの一体部品として構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項4】
前記入力側牽引手段プーリ(42)から前記出力側牽引手段プーリ(43)までの伝達比、及び/又は前記入力牽引手段プーリ(30)から前記出力牽引手段プーリ(31)までの伝達比、及び/又は前記入力牽引手段プーリ(30)から前記入力側牽引手段プーリ(42)までの伝達比、及び/又は前記出力側牽引手段プーリ(43)から前記出力牽引手段プーリ(31)までの伝達比が、1対1であることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項5】
前記第1支持ユニット(25)は第1ハウジング(36)を含み、及び/又は前記第2支持ユニット(26)は第2ハウジング(38)を含み、前記ハウジング(36、38)は、特にプラスチック製であり、特に完全に、前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)をそれぞれカプセル化することを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項6】
前記第1支持ユニット(25)は、特に完全に、前記第1ハウジング(36)によって形成されることにより、前記第1ハウジング(36)は、特に完全に、前記入力牽引手段(28)の前記引張力を吸収するように構成されていること、及び/又は、前記第2支持ユニット(26)は、特に完全に、前記第2ハウジング(38)によって形成されることにより、前記第2ハウジング(38)は、特に完全に、前記出力牽引手段(29)の前記引張力を吸収するように構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項7】
前記第1支持ユニット(25)は、前記入力牽引手段(28)を事前に引っ張るための第1牽引手段引張装置(39)を含むこと、及び/又は、前記第2支持ユニット(26)は、前記出力牽引手段(29)を事前に引っ張るための第2牽引手段引張装置(40)を含み、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、特に、偏心牽引手段引張装置として構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項8】
前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)上に配置され、特に、少なくとも1つの事前引張アクセス(32)が設けられ、前記少なくとも1つの事前引張アクセス(32)を通って、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、事前引張位置を設定するために外部からアクセス可能であることを特徴とする、請求項7に記載の車両(F)。
【請求項9】
前記伝達牽引手段プーリユニット(41)は、回転軸受(37)を介して前記第1支持ユニット(25)及び/又は前記第2支持ユニット(26)上に装着されること、及び、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、前記回転軸受(37)の内部又は外部に配置されることを特徴とする、
請求項7に記載の車両(F)。
【請求項10】
前記入力牽引手段(28)及び/又は前記出力牽引手段(29)は、ベルト、特に、歯付きベルトとして構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項11】
ブレーキキャリパ(18)及びブレーキディスク(17)を有するブレーキ装置が設けられ、前記ブレーキキャリパ(18)及び/又は前記ブレーキディスク(17)は、前記牽引機構ユニット(16)上に装着され、前記ブレーキディスク(17)は、特に、前記入力牽引手段プーリ(30)又は前記出力牽引手段プーリ(31)又は前記伝達牽引手段プーリユニット(41)と同軸に配置され、前記ブレーキキャリパ(18)は、特に、前記牽引機構ユニット(16)の前記ハウジング(36、38)上に装着されることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項12】
前記牽引機構ユニット(16)は、
速度センサ(54)を備え、前記速度センサ(54)が、特に、前記入力牽引手段プーリ(30)又は前記出力牽引手段プーリ(31)又は前記伝達牽引手段プーリユニット(41)上に配置されていること、
駆動エネルギーを電気エネルギーとして回収するための発電機(55)を備えること、
互いに対する前記支持ユニット(25、26)の回転、又は前記フレーム若しくはモータに対する前記第1支持ユニット(25)の回転を測定する懸架移動センサ(56)を備えること、
という特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項13】
前記牽引機構ユニット(16)は、
前記伝達牽引手段プーリユニット(41)、特にまた前記支持ユニット(25、26)の前記ハウジング(36、38)が、前記牽引機構ユニット(16)を通って延在して外部に開いている貫通開口部(57)を備えること、
前記貫通開口部(57)が前記伝達軸(27)に同軸に形成されていること、
前記貫通開口部(57)が内部ハウジング(44)によって前記伝達軸(27)の半径方向に境界が定められていること、
前記内部ハウジング(44)が共回転方式で前記伝達牽引手段プーリユニット(41)に接続されてそれと共に回転可能であること、
特に前記内部ハウジング(44)を照明する、少なくとも1つの照明装置(58)が前記貫通開口部(57)の領域内に配置されること、
という特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項14】
前記牽引機構ユニット(16)は、前記フレーム(1)から完全に結合解除された前記少なくとも2つの牽引手段の引張力を吸収し、入力牽引手段プーリを介して前記牽引機構ユニット(16)内に導入されたトルク力を前記フレームから絶縁された状態の前記出力牽引手段プーリに伝達するように構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項15】
前記第1支持ユニット(25)は、前記車両(F)の駆動軸(14)の周りで回転し得るように前記フレーム(1)上に装着され、及び/又は、前記第2支持ユニット(26)は、前記車両(F)の前記後輪軸(15)又は前記前輪軸(33)の周りで回転し得るよう前記フレーム(1)上に装着され、前記牽引機構ユニット(16)は、特に専らこれらの装着点を介して前記フレーム(1)上に装着されることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項16】
前記入力牽引手段プーリ(30)は、前記車両(F)の前記駆動軸(14)に同軸に配置され、及び/又は、前記出力牽引手段プーリ(31)は、前記車両(F)の前記後輪軸(15)又は前記前輪軸(33)に同軸に配置されることを特徴とする、請求項15に記載の車両(F)。
【請求項17】
前記伝達軸(27)は、前記車両(F)の、前記駆動軸(14)及び/又は前記後輪軸(15)若しくは前記前輪軸(33)の鉛直上方又は鉛直下方に配置されることを特徴とする、
請求項15に記載の車両(F)。
【請求項18】
前記第2支持ユニット(26)は、前記後輪軸(15)又は前記前輪軸(33)の方向に前記車両の中心に向かって前記第1支持ユニット(25)からオフセットして配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項19】
前記後輪(3)及び/又は前記前輪(2)は、対称軸(48)に関して対称である1組のスポーク(22)を含むこと、
前記後輪(3)は、前記フレーム(1)に属する少なくとも1つの後輪ストラット(8)又は後輪スイングアームに接続されること、
前記後輪ストラット(8)は、前記フレーム(1)の残り、特にシートチューブ(6)に接続されることにより、ストラット軸受(53)の周りで回転し得ること、
前記後輪ストラット(8)は、鉛直上向きに曲げられて、前記牽引機構ユニット(16)の周りで、特に前記牽引機構ユニット(16)の鉛直上方に延在すること、
前記後輪(3)は、ダンパ(10)を介して前記フレーム(1)上に、特に、前記後輪ストラット(8)を介して間接的に懸架されること、
前記ストラット軸受(53)は、前記第1支持ユニット(25)の前記フレーム側回転軸からオフセットして配置されること、
前記ストラット軸受(53)は、前記第1支持ユニット(25)の前記フレーム側回転軸、例えば、前記駆動軸(14)の鉛直上方に配置されること、
という特徴のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項20】
前記牽引機構ユニット(16)は、ブレーキディスク(17)及び/又はブレーキキャリパ(18)と一緒に前記車両(F)から除去され得るか又はその上に装着され得る一貫した構造ユニットとしてのモジュール構成を有し、前記構造ユニットは、特に、前記入力牽引手段(28)及び/又は前記出力牽引手段(29)が、前記構造ユニットが前記車両(F)上に装着されているか否かに関係なく、事前に引っ張られ得るように構成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項21】
前記出力牽引手段プーリ(31)は、回転方向に作用する軸方向解放可能形状適合接続部(52)、特にハース歯を介して、後輪ハブ本体(23)又は前輪ハブ本体(59)に接続されることを特徴とする、
請求項1に記載の車両(F)。
【請求項22】
前記後輪ハブ本体(23)及び/又は前記前輪ハブ本体(59)は、前記後輪ハブ本体(23)及び/又は前記前輪ハブ本体(59)がそれぞれ前記後輪(3)又は前記前輪(2)と一緒に前記車両から装着解除され得るように、前記形状適合(52)を介して前記出力牽引手段プーリ(31)から装着解除可能であるように構成され、一方、前記出力牽引手段プーリ(31)、及び特に前記ブレーキディスク(17)及び/又は前記ブレーキキャリパ(18)を備えた前記牽引機構ユニット(16)は、前記フレーム(1)上に残ることを特徴とする、請求項21に記載の車両(F)。
【請求項23】
車両(F)、特に請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)を組み立てる方法(60)であって、前記車両(F)は、入力牽引手段(28)を備えた第1支持ユニット(25)及び出力牽引手段(29)を備えた第2支持ユニット(26)を有するモジュール式牽引機構ユニット(16)を備え、前記2つの支持ユニット(25、26)は、関節方式で互いに接続され、共通の伝達軸(27)の周りで互いに対して旋回可能であり、前記方法は、
a)前記牽引機構ユニット(16)内の前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)を事前に引っ張るステップ(61)であって、前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)の前記事前引張力が、前記支持ユニット(25、26)によって専ら吸収される、ステップと、
b)前記モジュール式牽引機構ユニット(16)を前記車両(F)に設置するステップ(62)と、
c)前記伝達軸(27)の周りで前記支持ユニット(25、26)を旋回させる(64)ことによって公差を補償するステップ(63)と、
を含む、方法。
【請求項24】
車両(F)、特に、請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)及び/又は請求項23に記載の方法に従って装着された車両(F)におけるペダルキックバックを回避する方法(65)であって、前記車両(F)は、フレーム(1)、懸架式後輪(3)又は懸架式前輪(2)、並びに入力牽引手段(28)を備えた第1支持ユニット(25)及び出力牽引手段(29)を備えた第2支持ユニット(26)を有するモジュール式牽引機構ユニット(16)を有し、前記2つの支持ユニット(25、26)は、関節方式で互いに接続され、共通の伝達軸(27)の周りで互いに対して旋回可能であり、前記牽引機構ユニット(16)は、駆動エネルギーを入力牽引手段プーリ(30)から出力牽引手段プーリ(31)まで伝達し、前記方法は、
a)前記後輪(3)又は前記前輪(2)の前記懸架を圧縮するステップ(66)と、
b)前記支持ユニット(25、26)を前記伝達軸(27)の周りで旋回(64)させ、同時に前記支持ユニット(25、26)を動かす(69)ことによる前記圧縮動作によって引き起こされた、前記入力牽引手段プーリ(30)と前記出力牽引手段プーリ(31)との間の距離の変化を補償(67)するステップであって、それにより、前記伝達軸(27)は前記フレーム(1)に対して動く、ステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
単一トラック又は多重トラック車両(F)、特に請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)の駆動トルクを牽引機構ユニット(16)を介して伝達するための方法であって、
フレームから絶縁された状態の牽引機構ユニットの引張力を吸収するステップと、
入力牽引手段プーリを介してトルク力を前記牽引機構ユニットに導入するステップと、
特に互いに直列に配置された、少なくとも2つの牽引手段を介して、前記フレームから絶縁された状態の出力牽引手段プーリに前記トルク力を伝達するステップと、
前記前輪又は後輪を駆動するために、前記出力牽引手段プーリを介して前記トルク力の向きを変えるステップと、
を特徴とする、方法。
【請求項26】
単一又は多重トラック車両(F)、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車、特に請求項1から22のいずれか1項に記載の車両(F)において、牽引機構ユニット(16)を備えた駆動列と懸架/減衰装置(10)との間の相互作用を解消する方法であって、
前記車両(F)は、
メインフレーム(1.1)及びその上に旋回可能に装着された車輪ストラット(8)を備えるフレーム(1)を介して互いに接続されている、前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)であって、前記前輪(2)は、前輪軸(33)の周りで回転するように装着され、前記後輪(3)は、後輪軸(15)の周りで回転するように装着され、前記前輪(2)又は前記後輪(3)は、前記車輪ストラット(8)を介して前記メインフレーム(1.1)上に装着される、前輪(2)及び少なくとも1つの後輪(3)と、
特に互いに直列に配置された、少なくとも2つの牽引手段(28、29)を有する牽引機構ユニット(16)、特に
請求項1から22のいずれか1項に記載の牽引機構ユニット(16)であって、前記牽引機構ユニット(16)は、駆動軸(14)と、前記前輪(2)又は前記後輪(3)の回転軸(15、33)との間で駆動接続状態にある、牽引機構ユニット(16)と、
を備え、
前記方法は、
前記車輪ストラット(8)及びその上に装着された前記車輪(2、3)を前記懸架/減衰装置(10)を用いた減衰方式で前記メインフレーム(1.1)に対して旋回させるステップと、
前記牽引手段(28、29)の引張力、並びに前記メインフレーム(1.1)に対する前記車輪ストラット(8)及びそれに装着された前記車輪(2、3)の前記旋回から独立して前記駆動トルクを伝達するステップと、
前記牽引機構ユニット(16)の出力牽引手段(29)の第2支持ユニット(26)に対する、入力牽引手段(28)の第1支持ユニット(25)の回転によって、前記入力軸(14)と前記回転軸(15、33)との間の距離変化を補償するステップと、を含む、方法。
【請求項27】
単一又は多重トラック車両(F)、特に自転車、電動アシスト自転車、電動自転車、又は補助駆動装置付き自転車のための牽引機構ユニット(16)であって、前記牽引機構ユニット(16)は、
入力牽引手段プーリ(30)によって駆動される入力牽引手段(28)と、
出力牽引手段プーリ(31)を駆動する出力牽引手段(29)と、
を備え、
前記入力牽引手段(28)及び前記出力牽引手段(29)は、互いに直列に配置されて、伝達牽引手段プーリユニット(41)を介して互いに伝達接続状態にあり、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)は、前記入力牽引手段(28)と係合された入力側牽引手段プーリ(42)と、前記出力牽引手段(29)と係合された出力側牽引手段プーリ(43)とを備え、前記入力側牽引手段プーリ(42)と前記出力側牽引手段プーリ(43)とは、互いに対して同軸で回転可能である、前記牽引機構ユニット(16)において、
前記入力牽引手段プーリ(30)及び前記入力側牽引手段プーリ(42)を支持する第1支持ユニット(25)が、前記入力牽引手段(28)の前記引張力を吸収するために設けられ、前記出力側牽引手段プーリ(43)及び前記出力牽引手段プーリ(31)を支持する第2支持ユニット(26)が、前記出力牽引手段(29)の前記引張力を吸収するために設けられ、前記第1支持ユニット(25)と前記第2支持ユニット(26)とは、互いに対して回転可能であるように構成され、
前記第1支持ユニット(25)は、前記入力牽引手段(28)を事前に引っ張るための第1牽引手段引張装置(39)を含み、及び/又は前記第2支持ユニット(26)は、前記出力牽引手段(29)を事前に引っ張るための第2牽引手段引張装置(40)を含み、前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、偏心牽引手段引張装置として構成され、
前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、前記伝達牽引手段プーリユニット(41)上に配置され、特に少なくとも1つの事前引張アクセス(32)が設けられ、それを通して前記第1及び/又は前記第2牽引手段引張装置(39、40)は、事前引張位置を設定するために外部からアクセス可能であることを特徴とする、牽引機構ユニット(16)。
【国際調査報告】