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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ソトラシブ製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240408BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240408BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240408BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/44
A61K9/20
A61K9/28
A61K9/30
A61K47/32
A61K47/20
A61P35/00
A61P1/00
A61P11/00
A61P15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567168
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022027830
(87)【国際公開番号】W WO2022235904
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,941
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/212,316
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス-ヌニェス,フェルナンド・アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】バオ,ジエミン
(72)【発明者】
【氏名】チャマルシー,サイ・プラサンス
(72)【発明者】
【氏名】ドーリオ,ドミニク・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ドゥギララ,ナーガ
(72)【発明者】
【氏名】ハウク,ブレット・イー
(72)【発明者】
【氏名】キアン,ユアン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】オルソフスキー,アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】サワント,ナミタ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC27
4C076DD23B
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD27B
4C076DD28C
4C076DD38
4C076DD41C
4C076DD42C
4C076DD43C
4C076DD55F
4C076DD67
4C076EE16B
4C076EE23B
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32B
4C076EE38
4C076EE38B
4C076EE53C
4C076FF04
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF53
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA10
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、ソトラシブ(1)、希釈剤、崩壊剤、及び滑沢剤を含む製剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤であって、
(a)ソトラシブと、
(b)40~95%(w/w)の量の希釈剤と、
(c)0.5~5%(w/w)の量の崩壊剤と、
(d)0.25~5%(w/w)の量の滑沢剤と、を含む、製剤。
【請求項2】
ソトラシブを、1~50%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記希釈剤は、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、トレハロース、微結晶セルロース、及びデンプンのうちの1つ以上を含む、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、微結晶セルロース、及びデンプンのうちの1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記希釈剤が、ラクトース及び微結晶セルロースのうちの1つ以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記希釈剤が、ラクトース及びデンプンのうちの1つ以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、及びマンニトールのうちの1つ以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
デンプンが、アルファ化デンプン又はコーンスターチである、請求項1~4、及び6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
ラクトースが、ラクトース一水和物である、請求項3~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
ソトラシブを、1~20%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
ソトラシブを、20%(w/w)の量で含む、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記希釈剤を、61~91%(w/w)の量で含む、請求項10又は請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記希釈剤を、76%(w/w)の量で含む、請求項10又は請求項11に記載の製剤。
【請求項14】
前記希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、前記塑性希釈剤対前記脆性希釈剤の重量比が、2.5:1~3.5:1の範囲である、請求項10~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
前記希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、前記塑性希釈剤対前記脆性希釈剤の重量比が、3:1である、請求項10~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
ソトラシブを、20~45%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項17】
ソトラシブを、20%(w/w)の量で含む、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
ソトラシブを、32%(w/w)の量で含む、請求項16に記載の製剤。
【請求項19】
前記希釈剤を、51~77%(w/w)の量で含む、請求項16又は請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記希釈剤を、64%(w/w)の量で含む、請求項16又は請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
前記希釈剤が塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、前記塑性希釈剤対ソトラシブと、存在する場合、前記脆性希釈剤とを一緒にしたものの重量比が、1.2:1~1.7:1の範囲である、請求項16~21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
前記希釈剤が塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、前記塑性希釈剤対ソトラシブと、存在する場合、前記脆性希釈剤とを一緒にしたものの重量比が、1.4:1~1.5:1の範囲である、請求項16~21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
前記希釈剤を、61~91%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項24】
前記希釈剤を、76%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項25】
前記希釈剤を、51~77%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項26】
前記希釈剤を、64%(w/w)の量で含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項27】
希釈剤が塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、
(a)前記脆性希釈剤が存在するならば、前記製剤が、
(1)2.5:1、2.7:1、3:1、3.3:1、又は3.5:1以上である前記塑性希釈剤対前記脆性希釈剤の第1の重量比、及び
(2)前記塑性希釈剤対ソトラシブと前記脆性希釈剤を一緒にしたものの第2の重量比が、1.2:1、1.4:1、1.5:1、又は1.7:1以上であり、且つ前記第1の比より小さいことによって特徴付けられ、或いは
(b)前記脆性希釈剤が不在であるならば、前記製剤が、1.2:1、1.4:1、1.5:1、又は1.7:1以上であり、且つ2.5:1、2.7:1、3:1、3.3:1、又は3.5:1未満である前記塑性希釈剤対ソトラシブの重量比によって特徴付けられる、請求項23~26のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項28】
前記希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、前記第1の比が3:1以上であり、前記第2の比が1.4:1以上且つ3:1未満である、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
前記希釈剤が塑性希釈剤を含み、脆性希釈剤を含まず、前記塑性希釈剤対ソトラシブの重量比が、1.4:1以上且つ3:1未満である、請求項23~26のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項30】
前記塑性希釈剤が、微結晶セルロース及びデンプンのうちの1つ以上を含む、請求項14~15、21、22、及び27~29のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項31】
前記塑性希釈剤が、微結晶セルロースである、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
前記塑性希釈剤が、デンプンである、請求項30に記載の製剤。
【請求項33】
デンプンが、アルファ化デンプン又はコーンスターチである、請求項30又は請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
前記脆性希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、及びトレハロースのうちの1つ以上を含む、請求項14~15、21、22、27、及び28のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項35】
前記脆性希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、又はマンニトールのうちの1つ以上を含む、請求項34に記載の製剤。
【請求項36】
前記脆性希釈剤が、ラクトースである、請求項34に記載の製剤。
【請求項37】
前記ラクトースが、ラクトース一水和物である、請求項34~36のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項38】
崩壊剤を、1~5%(w/w)の量で含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項39】
崩壊剤を、3%(w/w)の量で含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項40】
前記崩壊剤が、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、グリコール酸デンプンナトリウム、アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びケイ酸アルミニウムマグネシウムのうちの1つ以上を含む、請求項1及び38~39のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項41】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム及びグリコール酸デンプンナトリウムのうちの1つ以上を含む、請求項40に記載の製剤。
【請求項42】
前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、請求項40に記載の製剤。
【請求項43】
滑沢剤を、0.5~3%(w/w)の量で含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項44】
滑沢剤を、1%(w/w)の量で含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項45】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸、カプリル酸、ステアリン酸、イソ吉草酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、ベヘン酸、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、フマル酸ステアリルカリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、及び水添植物油のうちの1つ以上を含む、請求項1及び請求項43~44のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項46】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、請求項45に記載の製剤。
【請求項47】
ソトラシブを、1mg~360mgの量で含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項48】
ソトラシブを、120mgの量で含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項49】
ソトラシブを、240mgの量で含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項50】
ソトラシブを、320mgの量で含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項51】
16~24%(w/w)の量のソトラシブ、61~91%(w/w)の量の希釈剤、2.4~3.6%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.8~1.2%(w/w)の量の滑沢剤を含む、請求項1~9、40~42、45、及び46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項52】
20%(w/w)の量のソトラシブ、76%(w/w)の量の希釈剤、3%(w/w)の量の崩壊剤、及び1%(w/w)の量の滑沢剤を含む、請求項1~9、40~42、45、及び46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項53】
ソトラシブを、120mgの量で含む、請求項51~52のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項54】
26~38%(w/w)の量のソトラシブ、51~77%(w/w)の量の希釈剤、2.4~3.6%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.8~1.2%(w/w)の量の滑沢剤を含む、請求項1~9、40~42、45、及び46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項55】
32%(w/w)の量のソトラシブ、64%(w/w)の量の希釈剤、3%(w/w)の量の崩壊剤、及び1%(w/w)の量の滑沢剤を含む、請求項1~9、40~42、45、及び46のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項56】
ソトラシブを、240mgの量で含む、請求項54~55のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項57】
ソトラシブを、320mgの量で含む、請求項54~55のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項58】
前記製剤が、固形剤形である、請求項1~57のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項59】
前記固形剤形が、経口投与のためのものである、請求項58に記載の製剤。
【請求項60】
前記固形剤形が、錠剤である、請求項58又は請求項59に記載の製剤。
【請求項61】
前記錠剤が、コーティング組成物でコーティングされている、請求項60に記載の製剤。
【請求項62】
前記コーティング組成物が、ポリビニルアルコールを含む、請求項64に記載の製剤。
【請求項63】
前記コーティング組成物が、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、及び着色剤のうちの1つ以上を更に含む、請求項62に記載の製剤。
【請求項64】
前記製剤中の前記ソトラシブの少なくとも50%が、50mMのリン酸ナトリウム及びシンク条件を維持するための界面活性剤を含む、pH6.7での900mlの水の溶出溶媒中37℃で75rpmのパドル速度を用いたUSP<711>装置2を使用する溶出試験によって測定されるとき、30分以内に放出される、請求項1~63のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項65】
前記製剤中の前記ソトラシブの少なくとも80%が、30分以内に放出される、請求項64に記載の製剤。
【請求項66】
前記製剤中の前記ソトラシブの少なくとも85%が、15分以内に放出される、請求項64に記載の製剤。
【請求項67】
前記界面活性剤が、0.2~0.6%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、請求項64~66のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項68】
前記製剤が、ソトラシブを120mgの量で含み、前記溶出溶媒が、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項69】
前記製剤が、ソトラシブを240mgの量で含み、前記溶出溶媒が、0.3%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項70】
前記製剤が、ソトラシブを320mgの量で含み、前記溶出溶媒が、0.4%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、請求項64~67のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項71】
患者において癌を治療する方法であって、前記方法が、前記患者に、治療有効量の、請求項1~66のいずれか一項に記載の製剤として提供されるソトラシブを投与することを含み、前記製剤が、1つ以上の投与単位で前記治療有効量を提供する、方法。
【請求項72】
前記癌の1つ以上の細胞が、KRAS G12C変異体タンパク質を発現する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記治療有効量が、240mgである、請求項71又は請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記治療有効量が、2つの投与単位で、請求項48又は請求項53に記載の製剤によって提供される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記治療有効量が、1つの投与単位で、請求項49又は請求項56に記載の製剤によって提供される、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記治療有効量が、960mgである、請求項71又は請求項72に記載の方法。
【請求項77】
前記治療有効量が、8つの投与単位で、請求項48又は請求項53に記載の製剤によって提供される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記治療有効量が、4つの投与単位で、請求項49又は請求項56に記載の製剤によって提供される、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記治療有効量が、3つの投与単位で、請求項50又は請求項57に記載の製剤によって提供される、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記癌が、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、虫垂癌、子宮内膜癌、食道癌、原発不明癌、膨大部癌、胃癌、小腸癌、副鼻腔癌、胆管癌、又は黒色腫である、請求項71~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記方法が、前記患者への投与前に撹拌することによって、1つ以上の投与単位として提供される前記治療有効量を水中に分散させることを更に含む、請求項71~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記水が、炭酸化されていない、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記水が、室温を有する、請求項81又は請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記水が、120mLの容積を有する、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記治療有効量が、前記患者への投与直前、又はその2時間以内に水中に分散される、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記患者が、固形物を飲み込むことが困難である、請求項81~85のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月6日に出願された米国仮特許出願第63/184,941号、及び2021年6月18日に出願された米国仮特許出願第63/212,316号の利益を主張するものであり、これらの各々が、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
1982年に最初のヒト癌遺伝子のうちの1つとして同定されて以来(Der et al.,1982)、KRAS(カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ)は、MAPKシグナル伝達経路における重要なノードとして、並行するエフェクター経路(例えばPI3K/AKT)のネットワークにおける形質転換因子として(Vojtek et al.,1998)、及び抗癌剤の潜在的標的として(Malumbres et al.,2003)、広範な学術的及び産業的研究の対象となってきた。MAPK経路(例えばEGFR(Sridhar et al.,2003)、BRAF(Holderfield et al.,2014)、及びMEK(Caunt et al.,2015)における上流及び下流ノードの阻害剤の開発における進歩があるにもかかわらず、KRASタンパク質は、歴史的に証明された直接的阻害への耐性を有する。
【0003】
KRASは、細胞外の分裂促進シグナル伝達を細胞内の増殖促進奏効と連結させるGタンパク質である。KRASは、細胞内の「オン/オフ」スイッチとしての役割を果たす。分裂促進因子の刺激によりGTPとKRASとの結合が誘導されて立体構造変化が生じ、これによりKRASと下流エフェクタータンパク質との相互作用が可能となり、細胞増殖をもたらす。通常、増殖促進シグナル伝達は、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)の作用によって調節され、これは、KRASをそのGDP結合型の非増殖性状態に引き戻す。KRASの変異は、これらのGDP型状態とGDP結合型状態との間のKRASの調節されたサイクリングを損ない、GDP結合型の活性状態の蓄積及び細胞増殖の失調をもたらす(Simanshu et al.,2017)。
【0004】
変異KRASタンパク質の阻害剤を開発する試みは、タンパク質表面に新薬の開発につながるポケット(druggable pocket)が存在しないために歴史的に妨げられてきた(Cox et al.,2014)。その後の本分野における発見は、KRAS阻害剤の研究における重要な新しい取り組みをもたらし、最近、ヒト臨床試験へのKRAS阻害剤のエントリーに至った。https://clinicaltrials.gov/:例えば、NCT03600883 & NCT04185883(ソトラシブ、AMG510)(最終アクセス日、2021年4月23日)。これらの取り組みは、最近、ソトラシブについての新薬承認申請の米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)への提出に至った(Amgen Press Release,Dec.16,2020;https://wwwext.amgen.com/newsroom/press-releases/2020/12/amgen-submits-sotorasib-new-drug-application-to-u-s--fda-for-advanced-or-metastatic-non-small-cell-lung-cancer-with-kras-g12c-mutation、最後のアクセス日、2021年4月21日)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Der et al.,1982
【非特許文献2】Vojtek et al.,1998
【非特許文献3】Malumbres et al.,2003
【非特許文献4】Sridhar et al.,2003
【非特許文献5】Holderfield et al.,2014
【非特許文献6】Caunt et al.,2015
【非特許文献7】Simanshu et al.,2017
【非特許文献8】Cox et al.,2014
【非特許文献9】https://clinicaltrials.gov/:例えば、NCT03600883&NCT04185883(ソトラシブ、AMG 510)(最終アクセス日2021年4月23日)
【非特許文献10】Amgen Press Release,Dec.16,2020;https://wwwext.amgen.com/newsroom/press-releases/2020/12/amgen-submits-sotorasib-new-drug-applikation-to-u-s--fda-for-advanced-or-metastatic-non-small-cell-lung-cancer-with-kras-g12c-mutation、最終アクセス日2021年4月21日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、患者に好適なソトラシブ製剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ソトラシブの製剤が、本明細書に提供される。一態様では、ソトラシブと、40~95%(w/w)の量の希釈剤と、0.5~5%(w/w)の量の崩壊剤と、0.25~5%(w/w)の量の滑沢剤と、を含む製剤が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを1~20%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを20~45%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を61~91%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を51~77%(w/w)の量で含む。
【0008】
別の態様では、本明細書に記載の製剤は、医薬品として使用するためのものであるか、又は癌を治療するためのものである。
【0009】
別の態様では、患者において癌を治療する方法であって、患者に治療有効量の本明細書に記載の製剤として提供されるソトラシブを投与することを含み、製剤は、治療有効量を1つ以上の投与単位で提供する。
【0010】
「対象(subject)」及び「患者(patient)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。「対象(subjects)」及び「患者(patients)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】製剤番号1(1%(w/w)、1mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図2】製剤番号2(37.5%(w/w)、240mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図3】製剤番号3(50%(w/w)、360mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図4】製剤番号4(30%(w/w)、180mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図5】製剤番号5(40%(w/w)、360mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図6】製剤番号6(20%(w/w)、30mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図7】製剤番号7(20%(w/w)、120mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図8】製剤番号8(20%(w/w)、120mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図9A】製剤番号9a(32%(w/w)、240mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図9B】製剤番号9b(32%(w/w)、240mgのソトラシブ)で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図10A】製剤番号10a(32%(w/w)、320mgのソトラシブ、バッチ(a))で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図10B】製剤番号10b(32%(w/w)、320mgのソトラシブ、バッチ(b))で提供されるソトラシブの溶出プロファイル(経時的に溶出されたパーセント)を示すグラフである。
図11】以下のソトラシブ製剤:(i)製剤番号8;(ii)製剤番号11;(iii)製剤番号12;(iv)製剤番号13についての溶出プロファイルを示すグラフである。
図12A】MCCラクトースプラセボブレンドについての固体分率の関数としての錠剤の径方向引張強度(RTS)(圧密性とも称される)のプロットである。
図12B】MCCラクトースプラセボブレンドについての圧密圧力の関数としての錠剤の径方向引張強度(RTS)(打錠性とも称される)のプロットである。
図13A】アビセルPH102、ラクトース313、及びソトラシブを含む個々の成分についての錠剤固体分率(SF)の関数としての錠剤の径方向引張強度(RTS)(圧密性とも称される)のプロットである。
図13B】アビセルPH102、ラクトース313、及びソトラシブを含む個々の成分についての圧密圧力の関数としての錠剤の径方向の引張強度(RTS)(打錠性とも称される)のプロットである。
図14A】アビセルPH102、ラクトース313、及びソトラシブを含む個々の成分の流動エネルギープロファイルを示すグラフである。
図14B】アビセルPH102、ラクトース313、及びソトラシブを含む個々の成分について適用された応力に対する体積変化(%)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、一部には、ソトラシブ及びある特定の賦形剤をある特定の量で含む本明細書に開示される製剤が、即時放出製剤をもたらすという発見に基づいている。
【0013】
更に、本開示は、一部には、ソトラシブ製剤中の、例えば、錠剤の形態中の塑性賦形剤対脆性賦形剤の比が、そのような製剤の物理的特性に影響を及ぼし得るという発見に基づいている。例えば、本明細書に示されるように、より高い量の塑性賦形剤(例えば、微結晶セルロース)及びより低い量の脆性賦形剤(例えば、ラクトース)を含むソトラシブ製剤が、製剤の性能に影響を与える崩壊で問題を有することが見出された。対照的に、より低い量の塑性賦形剤及びより高い量の脆性賦形剤を有する、例えば、錠剤の形態のソトラシブ製剤が、不良な引張強度を有することが見出された。したがって、全体的な脆性と塑性との間の適切なバランスが、好適な製剤に必要とされる。本明細書に例示するように、上記の引張強度及び錠剤崩壊の問題を有さない塑性賦形剤対脆性賦形剤の比を含むソトラシブ錠剤製剤が提供される。
【0014】
製剤
ソトラシブは、KRAS G12C変異体タンパク質を特異的且つ不可逆的に阻害する小分子である。ソトラシブはまた、AMG 510又は6-フルオロ-7-(2-フルオロ-6-ヒドロキシフェニル)-(1M)-1-[4-メチル-2-(プロパン-2-イル)ピリジン-3-イル]-4-[(2S)-2-メチル-4-(プロパ-2-エノイル)ピペラジン-1-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2(1H)-オンとしても知られており、以下の構造を有する。
【化1】
【0015】
一態様では、ソトラシブと50~95%(w/w)の量の希釈剤と、0.5~5%(w/w)の量の崩壊剤と、0.25~5%(w/w)の量の滑沢剤とを含む製剤が、本明細書に記載される。別の態様では、ソトラシブと40~95%(w/w)の量の希釈剤と、0.5~5%(w/w)の量の崩壊剤と、0.25~5%(w/w)の量の滑沢剤とを含む製剤が、本明細書に記載される。
【0016】
いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを1%~約50%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを1~20%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを20~45%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを21~45%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを30~40%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを、製剤全体の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約21%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%(w/w)の量で含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを、1mg~約400mgの量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを、1mg~360mg、30mg~120mg、180mg~320mg、又は30mg~320mgの量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを、約1mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mgの量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを、約30mg、又は約120mg、又は約180mg、又は約240mg、又は約320mg、又は約360mgの量で含む。
【0018】
本明細書に記載の製剤は、1つ以上の希釈剤を含む。例示的な希釈剤としては、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、トレハロース、微結晶セルロース、及びデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、希釈剤は、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、微結晶セルロース、及びデンプンのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は、ラクトース及び微結晶セルロースのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は、ラクトース及びデンプンのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤は、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、及びマンニトールのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、デンプンは、アルファ化デンプン又はコーンスターチである。いくつかの実施形態では、ラクトースは、ラクトース一水和物である。
【0019】
いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を40%~約95%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を50%~約95%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を50%~約90%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を約61~約91%(w/w)、又は約68~約84%(w/w)、又は約51~約77%(w/w)、又は約58~約70%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、希釈剤を約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、又は約77%、又は約78%、又は約79%、又は約80%、又は約81%、又は約82%、又は約83%、又は約84%、又は約85%、又は約86%、又は約87%、又は約88%、又は約89%、又は約90%(w/w)の量で含む。
【0020】
製剤成分(例えば、希釈剤)は、一般に、それらが脆性破壊によるか、又は塑性変形によるかのいずれかで圧縮力下で変形する方法によって分類され得る。脆性材料についての変形の程度は、圧縮事象(加えられる圧縮である)の速度及び持続時間に依存し、0%(ゼロ)のそのような材料についての歪み速度敏感度値を与える。塑性材料の変形は、圧縮事象の速度及び持続時間に依存し、これは歪み速度敏感度によって説明される。錠剤製剤を開発する場合、成分の混合物を使用することが望ましい:すなわち、圧縮中に結合を形成するために、一部が歪み速度敏感度を最小に抑えるために脆性特質を有し、一部が利用可能な表面を増加させるために、中程度の塑性特質を有するもの。賦形剤は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Zhangら、2017に従って決定される平均Heckel降伏圧力を使用して分類することができる。125MPaを超える平均Heckel降伏圧力を有する賦形剤は、脆性賦形剤と見なされる。125MPa未満の平均Heckel降伏圧力を有する賦形剤は、塑性賦形剤と見なされる。いくつかの実施形態では、塑性賦形剤は、100MPa未満の平均Heckel降伏圧力を有する。いくつかの実施形態では、脆性賦形剤は、150MPaを超える平均Heckel降伏圧力を有する。いくつかの実施形態では、塑性賦形剤は、50MPa~125MPaの平均Heckel降伏圧力を有する。いくつかの実施形態では、脆性賦形剤は、125MPa超~350MPaの平均Heckel降伏圧力を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、製剤は、塑性希釈剤を含む。例示的な塑性希釈剤としては、微結晶セルロース及びデンプンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、デンプンは、アルファ化デンプン又はコーンスターチである。
【0022】
いくつかの実施形態では、製剤は、脆性希釈剤を含む。例示的な脆性希釈剤としては、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、及びトレハロースが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、脆性希釈剤は、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、又はマンニトールのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、脆性希釈剤は、ラクトースである。いくつかの実施形態では、ラクトースは、ラクトース一水和物である。
【0023】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤の脆性希釈剤に対する重量比は、2.5:1~3.5:1の範囲である(例えば、2.5:1、2.6:1、2.7:1、2.8:1、2.9:1、3:1、3.1:1、3.2:1、3.3:1、3.4:1、又は3.5:1)。いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤の脆性希釈剤に対する重量比は、2.7:1~3.3:1の範囲である。いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤の脆性希釈剤に対する重量比は、3:1である。
【0024】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤のソトラシブ及び存在する場合脆性希釈剤を一緒にしたものに対する重量比は、1.2:1~1.7:1の範囲である(例えば、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、又は1.7:1)。いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤のソトラシブ及び存在する場合脆性希釈剤を一緒にしたものに対する重量比は、1.4:1~1.5:1の範囲である。
【0025】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、(a)脆性希釈剤が存在するならば、製剤が、(1)2.5:1、2.7:1、3:1、3.3:1、又は3.5:1以上である塑性希釈剤対脆性希釈剤の第1の重量比、及び(2)塑性希釈剤対一緒にしたソトラシブ及び脆性希釈剤の第2の重量比が、1.2:1、1.4:1、1.5:1、又は1.7:1以上であり、且つ第1の比より小さいことによって特徴付けられ、或いは(b)脆性希釈剤が不在であるならば、製剤が、1.2:1、1.4:1、1.5:1、又は1.7:1以上であり、且つ2.5:1、2.7:1、3:1、3.3:1、又は3.5:1未満である塑性希釈剤対ソトラシブの重量比によって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、第1の比は3:1以上であり、第2の比は1.4:1以上、且つ3:1未満である。いくつかの実施形態では、希釈剤は、塑性希釈剤を含み、脆性希釈剤を含まず、塑性希釈剤対ソトラシブの重量比は、1.4:1以上、且つ3:1未満である。
【0026】
いくつかの実施形態では、製剤は、セルロース(例えば、微結晶セルロース)を、製剤全体の約50%~約75%(w/w)の範囲で(指定された範囲の間の任意の整数を含める)含む。いくつかの実施形態では、製剤は、セルロース(例えば、微結晶セルロース)を、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、又は約75%(w/w)の量で含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、製剤は、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)を、製剤全体の約19%~約55%(w/w)の範囲で(指定された範囲の間の任意の整数を含める)含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)を、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、又は約55%の量で含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、製剤は、57%(w/w)の微結晶セルロース、及び19%(w/w)のラクトース一水和物を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、57%(w/w)の微結晶セルロース、及び7%(w/w)のラクトース一水和物を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、44%(w/w)の微結晶セルロース、及び14.5%(w/w)のラクトース一水和物を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、34.5%(w/w)の微結晶セルロース、及び11.5%(w/w)のラクトース一水和物を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、57%(w/w)の微結晶セルロース、及び9%(w/w)のラクトース一水和物を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、56%(w/w)の微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ラクトースを含まない。
【0029】
いくつかの実施形態では、製剤中の微結晶セルロースのラクトース一水和物に対する重量比は、約3:1~約1:1(指定された範囲内の比の全ての反復を含める)である。他の実施形態では、製剤中の微結晶セルロースのラクトースに対する重量比は、約3:1である。
【0030】
崩壊剤
本明細書に記載の製剤は、崩壊剤を含む。例示的な崩壊剤としては、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、グリコール酸デンプンナトリウム、アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びケイ酸アルミニウムマグネシウム、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム又はグリコール酸デンプンナトリウムのうちの1つ以上を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、製剤は、崩壊剤を約0.5%~約5%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、崩壊剤を3~5%(w/w)又は2~4%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤中の崩壊剤の量は、製剤全体の約0.5%、又は約0.6%、又は約0.7%、又は約0.8%、又は約0.9%、又は約1%、又は約2%、約3%、又は約4%、又は約5%(w/w)である。いくつかの実施形態では、製剤は、崩壊剤を3%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、クロスカルメロースナトリウムを約3%(w/w)の量で含む。
【0032】
滑沢剤
本明細書に記載の製剤は、滑沢剤を含む。例示的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸、カプリル酸、ステアリン酸、イソ吉草酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、ベヘン酸、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、フマル酸ステアリルカリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、及び水添植物油が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0033】
製剤中の滑沢剤の量は、製剤全体の約0.25%~約5%(w/w)の範囲である。いくつかの実施形態では、製剤は、崩壊剤を0.5~3%(w/w)又は約0.5~1.5%(w/w)の量で含む。いくつかの実施形態では、製剤中の滑沢剤の量は、製剤全体の約0.25%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約2%、約3%、約4%、又は約5%(w/w)である。
【0034】
いくつかの実施形態では、製剤は、16~24%(w/w)の量のソトラシブ、61~91%(w/w)の量の希釈剤、2.4~3.6%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.8~1.2%(w/w)の量の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、18~22%(w/w)の量のソトラシブ、68~84%(w/w)の量の希釈剤、2.7~3.3%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.9~1.1%(w/w)の量の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、20%(w/w)の量のソトラシブ、76%(w/w)の量の希釈剤、3%(w/w)の量の崩壊剤、及び1%(w/w)の量の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを30mgの量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを120mgの量で含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、製剤は、26~38%(w/w)の量のソトラシブ、51~77%(w/w)の量の希釈剤、2.4~3.6%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.8~1.2%(w/w)の量の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、29~35%(w/w)の量のソトラシブ、58~70%(w/w)の量の希釈剤、2.7~3.3%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.9~1.1%(w/w)の量の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、32%(w/w)の量のソトラシブ、64%(w/w)の量の希釈剤、3%(w/w)の量の崩壊剤、及び1%(w/w)の量の滑沢剤を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを240mgの量で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを320mgの量で含む。
【0036】
コーティング組成物
いくつかの実施形態では、製剤は、コーティング組成物でコーティングされる。コーティング組成物は、例えば、膜形成剤(例えば、ポリマー)、可塑剤(コーティング膜に可塑性、柔軟性、及び伸張性を提供する)、水溶性基剤(例えば、ラクトース又は塩化ナトリウム)、分散剤(コーティング後に、粒子又は錠剤が接着及び凝集することを防止する)を含有してもよい。これらの成分は、適切な溶媒、例えば、水、アルコールなどに溶解又は分散され、コーティング組成物を調製することができる。
【0037】
例示的な膜形成剤としては、例えば、非水溶性ポリマー又は水溶性ポリマーが挙げられる。膜形成剤は、それが薬学的に許容され、生体適合性である限りにおいて特に限定されない。これらの膜形成剤は、単独で、又はそれらの組み合わせとして適切な量で添加されてもよい。
【0038】
例示的な非水溶性ポリマーとしては、フタル酸ジベンジルフタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、蜜蝋、カルナウバ蝋、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、ベヘン酸グリセリル、脂質、脂肪、樹脂、例えば、シェラックなど、セルロース誘導体、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリアクリレート誘導体、例えば、アミノアルキルメタクリルコポリマー(製品名:オイドラギットRS)、ポリメタクリレート誘導体、例えば、メタクリレートコポリマー(製品名:オイドラギットL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリ乳酸、及びポリグリコール酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
例示的な水溶性ポリマーとしては、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、及びポリビニルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、ポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、及び着色剤のうちの1つ以上を更に含む。いくつかの例示的なコーティング組成物は、エチルセルロース、ポリメタクリレート、並びにOPADRY(商標)で販売されているコーティング製品を含む。いくつかの実施形態では、コーティング剤は、Opadry Clear、Opadry Blue 13B50579、Opadry White 33628707、Opadry QX 321A180025、又はOpadry II(33G28707)である。いくつかの実施形態では、コーティング剤は、Opadry White 33628707である。いくつかの実施形態では、コーティング剤は、Opadry QX 321A180025である。いくつかの実施形態では、コーティング剤は、Opadry II Yellow 85F120132である。いくつかの実施形態では、コーティング剤は、Opadry II Yellow 85F120222-CNである。いくつかの実施形態では、コーティング剤は、Opadry II Beige 85F170037である。
【0041】
製剤がコーティング組成物でコーティングされる実施形態では、全体を通して論議される賦形剤の重量パーセンテージは、コーティング組成物が適用される前の製剤の総重量に対するものである。
【0042】
製剤の調製
本明細書に開示される製剤は、限定されないが、錠剤、カプレット、カプセル(例えば、軟質若しくは硬質ゼラチンカプセル)中に封入された粉末若しくは顆粒、カシェ剤又は任意のスプリンクル剤形が挙げられる経口投与に好適な任意の形態であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される製剤は、乾式造粒、湿式造粒、溶融押出、溶融埋め込み、又は直接圧縮によって製造され得る。いくつかの実施形態では、製剤は、乾式造粒又は直接圧縮によって製造される。いくつかの実施形態では、製剤は、湿式造粒によって製造される。いくつかの実施形態では、製剤は、乾式造粒によって製造される。いくつかの実施形態では、製剤は、直接圧縮によって製造される。
【0043】
いくつかの実施形態では、製剤は、錠剤又はカプレットに圧縮される。これらの実施形態によれば、医薬組成物を調製する方法は、圧縮の工程を更に含み得る。好適な圧縮装置としては、ミニプレス、シングル若しくはダブルパンチ、又はロータリー錠剤プレス、例えば、とりわけKillian、Korsch、Colton、Manesty、Stokes、Vectorなどが挙げられる。各可能性は、別個の実施形態に相当する。いくつかの実施形態では、錠剤又はカプレットは、約40N~約150N(指定された範囲内の各整数を含める)の目標の硬度を与える圧縮力を使用して圧縮される。典型的な硬度値としては、例えば、約50N~約130N、好ましくは約70N~約125N(指定された範囲内の各整数を含める)が挙げられる。ある特定の実施形態では、錠剤は、約1%以下、例えば、約0.2%~約1%の摩損度を有することによって更に特徴付けられる。
【0044】
溶出プロファイル
いくつかの実施形態では、50mMのリン酸ナトリウム及びシンク条件を維持するための界面活性剤を含む、pH6.7での900mlの水の溶出溶媒中37℃で75rpmのパドル速度を用いたUSP<711>装置2を使用する溶出試験によって測定されるとき、製剤中のソトラシブの少なくとも50%(例えば、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも85%以上)が30分以内に放出される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、0.2~0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。いくつかの実施形態では、製剤中のソトラシブの少なくとも80%は、30分以内に放出される。いくつかの実施形態では、製剤中のソトラシブの少なくとも85%は、15分以内に放出される。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを120mgの量で含み、溶出溶媒は、0.2%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを240mgの量で含み、溶出溶媒は、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ソトラシブを320mgの量で含み、溶出溶媒は、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。
【0045】
治療の方法
患者において癌を治療する方法が本明細書に提供され、本方法は、患者に治療有効量の本明細書に記載の製剤中に提供されるソトラシブを投与することを含み、この製剤は、治療有効量を1つ以上の投与単位で提供する。いくつかの実施形態では、癌の1つ以上の細胞は、KRAS G12C変異体タンパク質を発現する。いくつかの実施形態では、ソトラシブの治療有効量は、180mg、240mg、260mg、720mg、又は960mgである。
【0046】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、240mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量は、2つの投与単位(例えば、2×120mgの錠剤)で提供される。
【0047】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、1つの投与単位(例えば、1×240mgの錠剤)によって提供される。
【0048】
いくつかの実施形態では、ソトラシブの治療有効量は、960mgである。いくつかの実施形態では、治療有効量は、8つの投与単位(例えば、8×120mgの錠剤)で提供される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、4つの投与単位(例えば、4×240mgの錠剤)で提供される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、3つの投与単位(例えば、3×320mgの錠剤)で提供される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、「治療すること(treating)」、又は「改善(amelioration)」という用語は治療的処置を指し、目的は、疾患若しくは障害、例えば、癌に関連する状態の進行又は重症度を逆転、緩和、改善、抑制、鈍化、若しくは停止させることである。「治療すること」という用語は、状態、疾患若しくは障害の少なくとも1つの有害作用又は症状を低減すること、又は改善することを含む。1つ以上の症状又は臨床的マーカーが低減される場合、治療は、一般に「効果的」である。或いは、疾患の進行が低減又は停止される場合に、治療は「効果的」である。すなわち、「治療」は、症状又はマーカーの改善のみを含むものではなく、治療を行わない場合に予想されるものと比較して、症状の進行又は悪化の中止、又は少なくとも鈍化も含まれる。有益な又は望ましい臨床的結果としては、1つ以上の症状の改善、疾患の程度の縮小、疾患の状態の安定化(即ち、悪化させない)、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、寛解(部分的であるか全体的であるかを問わない)、及び/又は死亡率の減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
KRAS G12C癌
いずれの特定の理論にも縛られることを望むものではないが、以下が注目される:ソトラシブは、KRASG12Cを特異的且つ不可逆的に阻害する小分子である(Hong et al.,2020,at 1208)。Hongらは、「[p]再臨床試験は、[ソトラシブ]が、KRASの重要な下流エフェクターである細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)のほぼ全ての検出可能なリン酸化を阻害し、KRAS p.G12C腫瘍を有するマウスにおいて永続的な完全な腫瘍退縮をもたらすことを示した」と報告している(同書、またCanon et al.,2019、及びLanman et al.,2020も参照されたい)。したがって、様々な実施形態では、240mg又は960mgの合計1日用量のソトラシブは、1つ以上の細胞がKRAS G12C変異タンパク質を発現する癌を治療する際の使用のために開示される。
【0051】
ソトラシブは、非小細胞肺癌を有する59名の対象、結腸直腸癌を有する42名の対象、及びその他の腫瘍型を有する28名の対象を含む腫瘍組織に対する局所分子検査によって同定された、組織学的に確認されたKRAS G12C変異を含む局所進行性又は転移性の癌を有する129名の対象による第1相用量漸増及び拡大試験で評価された(Hong et al.,2020、1208~1209頁)。Hongらは、非小細胞肺癌について88.1%、結腸直腸癌について73.8%及び他の腫瘍型について75.0%の病勢コントロール率(95%CI)を報告している(Hong et al.,2020,at page 1213,Table 3)。Hongらによって報告された安定な疾患(SD)又は部分奏効(PR)のいずれかを示す癌型は、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、虫垂癌、子宮内膜癌、原発不明癌、膨大部癌、胃癌、小腸癌、副鼻腔癌、胆管癌又は黒色腫であった(Hong et al.,2020,1212頁(図A)、並びに付録(59頁(図S5)及び63頁(図S6))。
【0052】
KRAS G12C変異は、下の表に示される改変頻度で発生する(Cerami et al.,2012;Gao et al.,2013)。例えば、表は、非小細胞肺癌を有する対象の11.6%が、1つ以上の細胞がKRAS G12C変異タンパク質を発現する癌を有することを示す。したがって、KRASG12Cに特異的且つ不可逆的に結合するソトラシブは、以下の表において列挙される癌を含むが、これらに限定されない癌を有する対象の治療に有用である。
【0053】
【表1】
【0054】
様々な実施形態では、癌は、固形腫瘍である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合性癌型、膵臓癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、胚細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。いくつかの実施形態では、癌は、小腸癌、虫垂癌、子宮内膜癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、生殖細胞腫瘍、卵巣癌、胃腸管神経内分泌腫瘍、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である。様々な実施形態では、癌は、非小細胞肺癌であり、いくつかの特定の実施形態では、転移性又は局所進行性及び切除不能の非小細胞肺癌である。様々な実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、膵臓癌である。
【0055】
いくつかの実施形態では、方法は、患者への投与前に撹拌することによって、水中の1つ以上の投与単位として提供される治療有効量を分散させることを更に含む。いくつかの実施形態では、水は、単酸化されていない。いくつかの実施形態では、水は、室温を有する。いくつかの実施形態では、水は、120mLの容積を有する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、患者に投与する直前又は2時間以内に水中に分散される。いくつかの実施形態では、患者は、固形物を飲み込むことが困難である。
【0056】
KRAS、STK11、KEAP1 EGFR、ALK、及び/又はROS1変異状態を検出する方法
本明細書に記載されるとおりの癌におけるG12C、STK11、KEAP1、EGFR、ALK及び/又はROS1変異の存在又は欠如は、当技術分野で知られる方法を使用して決定され得る。腫瘍又は癌が変異を含むかどうかの決定は、例えば、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を評価することにより、タンパク質のアミノ酸配列を評価することにより、若しくは推定上の変異体タンパク質の特徴を評価することにより又は当技術分野で知られる任意の他の好適な方法により行われ得る。野生型ヒトKRAS(Genbank登録番号BC010502に記載されるヌクレオチド配列;Genbank登録番号AGC09594に記載されるアミノ酸配列)、STK11(Gene ID:6794;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6794で利用可能;2020年1月にアクセス)、KEAP1(Gene ID:9817;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/9817で利用可能;2020年1月にアクセス)、EGFR(Gene ID:1956;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1956;2021年3月にアクセス)、ALK(Gene ID:238;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/238で利用可能;2021年3月にアクセス)、及びROS1(Gene ID:6098;www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/6098で利用可能;2021年3月にアクセス)のヌクレオチド及びアミノ酸配列は、当該技術分野において既知である。
【0057】
変異を検出するための方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応-制限酵素断片長多型(PCR-RFLP)アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応-一本鎖DNA高次構造多型(PCR-SSCP)アッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、PCRシークエンシング、変異体アレル特異的PCR増幅(MASA)アッセイ、ダイレクトシークエンシング及び/又は次世代シークエンシング、プライマー伸長反応、電気泳動、オリゴヌクレオチド連結アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、TaqManアッセイ、SNP遺伝子型決定アッセイ、高分解能融解アッセイ並びにマイクロアレイ分析が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、サンプルは、リアルタイムPCRによってKRAS G12C変異などの変異について評価される。リアルタイムPCRでは、KRAS G12C変異などの特定の変異に特異的な蛍光プローブが使用される。変異が存在すると、プローブが結合し、蛍光が検出される。いくつかの実施形態では、変異は、遺伝子における特定の領域の直接的な配列決定方法を使用して同定される。この手法は、配列決定された領域において起こり得る変異を全て同定する。いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、サイズ排除クロマトグラフィー、シークエンシング、及び/又はアレイを使用して、挿入変異の存在又は欠如を検出することができる。いくつかの実施形態では、方法としては、変異体タンパク質に特異的な結合剤(例えば、抗体)、タンパク質の電気泳動及びウエスタンブロッティング、並びに直接的なペプチドシークエンシングを使用する変異体の検出が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態では、マルチプレックスPCR系シークエンシングが変異検出のために使用され、1つ以上の遺伝的バイオマーカーの検出の感受性の改善を提供するいくつかのアンプリコンを含み得る。例えば、マルチプレックスPCR系シークエンシングは、約60個のアンプリコン(例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、又は70個のアンプリコン)を含み得る。いくつかの実施形態では、マルチプレックスPCR系シークエンシングは、61個のアンプリコンを含み得る。マルチプレックスPCR系シークエンシングを使用して生成されるアンプリコンは、約15bp~約1000bp(例えば、約25bp~約1000bp、約35bp~約1000bp、約50bp~約1000bp、約100bp~約1000bp、約250bp~約1000bp、約500bp~約1000bp、約750bp~約1000bp、約15bp~約750bp、約15bp~約500bp、約15bp~約300bp、約15bp~約200bp、約15bp~約100bp、約15bp~約80bp、約15bp~約75bp、約15bp~約50bp、約15bp~約40bp、約15bp~約30bp、約15bp~約20bp、約20bp~約100bp、約25bp~約50bp、又は約30bp~約40bp)の長さを有する核酸を含み得る。例えば、マルチプレックスPCR系シークエンシングを使用して生成されるアンプリコンは、約33bpの長さを有する核酸を含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、患者から得られるサンプル中に存在する1つ以上の変異の存在は、シークエンシング技術(例えば、次世代シークエンシング技術)を使用して検出される。様々なシークエンシング技術が当技術分野で知られている。例えば、セルフリーDNA中の循環腫瘍DNAの検出及び特徴付けのための方法は他で記載され得る(例えば、Haber and Velculescu,2014を参照されたい)。そのような手法の非限定的な例としては、SafeSeqs(例えば、Kinde et al.,2011を参照されたい)、OnTarget(例えば、Forshew et al.,2012を参照されたい)、及びTamSeq(例えば、Thompson et al.,2012を参照されたい)が挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、患者から得られるサンプル中に存在する1つ以上の変異の存在は、変異検出に関して高度に感受性であることが知られる方法であるドロップレットデジタルPCR(ddPCR)を使用して検出される。いくつかの実施形態では、患者から得られるサンプル中に存在する1つ以上の変異の存在は、鎖伸長終結技術、ショットガン技術、合成によるシークエンシング方法、微少流体技術を利用する方法、他の捕捉技術、又はサンプル中の少量のDNA(例えば、セルフリーDNAサンプル中のctDNA)の検出に有用な当技術分野で知られる他のシークエンシング技術を含むが、これらに限定されない他のシークエンシング技術を使用して検出される。
【0061】
いくつかの実施形態では、患者から得られるサンプル中に存在する1つ以上の変異の存在は、アレイに基づく方法を使用して検出される。例えば、セルフリーDNA中で遺伝子改変(例えば、1つ以上の遺伝子改変)を検出する工程は、DNAマイクロアレイを使用して実施される。いくつかの実施形態では、DNAマイクロアレイは、複数の癌細胞変異のうちの1つ以上を検出することができる。いくつかの実施形態では、セルフリーDNAは、遺伝子改変を検出する前に増幅される。本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用され得るアレイに基づく方法の非限定的な例としては、相補的DNA(cDNA)マイクロアレイ(例えば、Kumar et al.2012;Laere et al.2009;Mackay et al.2003;Alizadeh et al.1996を参照されたい)、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ(例えば、Kim et al.2006;Lodes et al.2009を参照されたい)、細菌人工染色体(BAC)クローンチップ(例えば、Chung et al.2004;Thomas et al.2005を参照されたい)、一塩基多型(SNP)マイクロアレイ(例えば、Mao et al.2007;Jasmine et al.2012を参照されたい)、マイクロアレイに基づく比較ゲノムハイブリダイゼーションアレイ(アレイ-CGH)(例えば、Beers and Nederlof, 2006;Pinkel et al.2005;Michels et al.2007を参照されたい)、分子反転プローブ(MIP)アッセイ(例えば、Wang et al.2012;Lin et al.2010を参照されたい)が挙げられる。いくつかの実施形態では、cDNAマイクロアレイは、Affymetrixマイクロアレイ(例えば、Irizarry 2003;Dalma-Weiszhausz et al.2006を参照されたい)、NimbleGenマイクロアレイ(例えば、Wei et al.2008;Albert et al.2007を参照されたい)、Agilentマイクロアレイ(例えば、Hughes et al.2001を参照されたい)、又はBeadArrayアレイ(例えば、Liu et al.2017を参照されたい)が挙げられる。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドマイクロアレイは、DNAタイリングアレイ(例えば、Mockler and Ecker,2005;Bertone et al.2006)。他の好適なアレイに基づく方法は、当技術分野で知られている。
【0062】
腫瘍又は癌が変異を含むかどうかを決定するための方法は、様々なサンプルを使用することができる。いくつかの実施形態では、サンプルは、腫瘍又は癌を有する患者から採取される。いくつかの実施形態では、サンプルは、新鮮な腫瘍/癌サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、冷凍された腫瘍/癌サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、循環セルフリーDNA及び/又は循環腫瘍細胞(CTC)サンプルである。いくつかの実施形態では、サンプルは、細胞溶解物に処理される。いくつかの実施形態では、サンプルは、DNA又はRNAに処理される。ある特定の実施形態では、サンプルは、切除、コア針生検(CNB)、穿刺吸引(FNA)、尿の回収、又は毛包の回収によって得られる。いくつかの実施形態では、全血又は脳脊髄液を使用する液体細胞診を使用して、変異状態を評価してもよい。
【0063】
様々な実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された試験を使用して、患者が、変異、例えば、KRASG12C変異癌を有するかどうか、又はそのような患者から得られる腫瘍又は組織サンプルが変異を有する細胞を含有するかどうかを決定する。いくつかの実施形態では、使用されるKRAS変異に関する試験は、therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキット(Qiagen)である。therascreen(登録商標)KRAS RGQ PCRキットは、Rotor-Gene Q MDx 5plex HRM機器を使用するヒトKRAS癌遺伝子のコドン12及び13の7種の体細胞変異(G12A、G12D、G12R、G12C、G12S、G12V、及びG13D)の検出のためのリアルタイム定量PCRアッセイである。キットは、切除、CNB又はFNAによって得られるNSCLCサンプルのFFPEサンプルから抽出されたDNAとの使用が意図される。STK11、KEAP1、EGFR、ALK及び/又はROS1に関する変異試験は、24種の遺伝子を含む(NSCLCにおいて治療につながるものを含む)Resolution Bioscience Resolution ctDx Lung(商標)アッセイなどの市販の試験により実行され得る。組織サンプルは、Tempus xT 648パネルを使用して試験され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、癌は、KRAS G12C変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の変異、例えば、機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、KEAP1の変異、例えば、機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、野生型STK11を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、野生型KEAP1を有すると同定されている。
【0065】
様々な実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異及び野生型KEAP1を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の機能喪失変異及びKEAP1の機能喪失変異を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の野生型及びKEAP1の野生型を有すると同定されている。いくつかの実施形態では、癌は、STK11の野生型及びKEAP1の機能喪失変異を有すると同定されている。
【0066】
「機能喪失変異」という用語は、本明細書で使用する場合、もはや野生型活性を示さない(例えば、低減したか又は消失した野生型生物活性又は酵素活性)変異体タンパク質の発現をもたらすか、もはや野生型活性を示さないタンパク質の断片のみの発現をもたらすか、又は野生型タンパク質の発現をもたらさない変異(例えば、置換、欠失、短縮化又はフレームシフト変異)を指す。例えば、細胞においてSTK11遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、STK11タンパク質の発現の減少、STK11タンパク質の断片のみの発現、又は癌性細胞において減少した酵素活性を示すか又は酵素活性を示さない(例えば、セリン/スレオニンキナーゼ酵素活性がない)STK11タンパク質の発現をもたらし得る。同様に、細胞においてKEAP1遺伝子に影響を及ぼす機能喪失変異は、KEAP1タンパク質の発現の減少、KEAP1タンパク質の断片のみの発現、又は細胞において減少した活性を示すか又は活性を示さない(例えば、赤血球系転写因子2関連転写因子2(NRF2)と相互作用するか又はそれを活性化することができない)KEAP1タンパク質の発現をもたらし得る。
【0067】
PD-L1タンパク質発現を検出する方法
PD-L1発現は、当技術分野で知られる方法によって決定され得る。例えば、PD-L1発現は、ペムブロリズマブによる治療に関するコンパニオン試験としてDako及びBristol-Meyers Squibbによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDxを使用して検出され得る。これは、ヒト非小細胞肺癌組織などのFFPEサンプルにおいてPD-L1を検出するためのモノクローナルマウス抗PD-L1、クローン22C3 PD-L1及び自動染色装置Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する定量アッセイである。発現レベルは、腫瘍比率スコア(TPS)を使用して測定することができ、任意の強度で部分的な又は完全な膜染色を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージを測定する。染色は、0%~100%でPD-L1発現を示すことができる。
【0068】
PD-L1発現は、ニボルマブによる治療に関するコンパニオン試験としてDako及びMerckによって開発されたFDAに承認されたインビトロ診断用の免疫組織化学(IHC)試験であるPD-L1 IHC 28-8 pharmDxを使用しても検出され得る。この定量アッセイは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ヒト癌組織においてPD-L1を検出するためのモノクローナルウサギ抗PD-L1、クローン28-8及び自動染色装置Lin 48上でのEnVision FLEX可視化システムを使用する。
【0069】
PD-L1検出のための他の市販の試験としては、モノクローナルウサギ抗PD-L1、クローンSP263を利用するVentana SP263アッセイ(AstraZenecaと共同でVentanaによって開発された)及びウサギモノクローナル抗PD-L1クローンSP142を使用するVentana SP142アッセイ(Genentech/Rocheと共同でVentanaによって開発された)が挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局によって承認された試験を使用して、本明細書で開示されるとおりの癌のPD-L1 TPSを決定する。様々な実施形態では、PD-L1 TPSは、免疫組織化学(IHC)試験を使用して決定される。いくつかの実施形態では、IHC試験は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx試験である。様々な実施形態では、IHC試験は、例えば、切除、CNB、又はFNAによって得られたサンプルを用いて実行した。
【0071】
様々な実施形態では、患者は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、50%未満又は1%未満のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以上のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、50%以下、又は1%以下のPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%を超えるPD-L1 TPSを有する。様々な実施形態では、患者は、前述の実施形態において引用される値のいずれかによって制限される範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。例えば、患者は、50%未満且つ1%以上、50%以下且つ1%超、50%以下且つ1%以上又は50%未満且つ1%超の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。
【0072】
様々な実施形態では、患者は、50%未満且つ1%以上の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、0%以上且つ1%未満の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%超且つ100%以下の範囲のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1%未満のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、1~49%のPD-L1 TPSスコアを有する。いくつかの実施形態では、患者は、50%以上(すなわち、50%~100%)のPD-L1 TPSスコアを有する。
【0073】
治療の有効性
本明細書に記載の治療法の有効性は、熟練した臨床医によって決定することができる。しかしながら、本明細書に記載の状態の兆候若しくは症状のうちの1つ以上が有益な方法で変更された場合、他の臨床的に許容される症状が改良されるか、又は更には改善される場合、或いは本明細書に記載の方法による治療後に、所望の奏効が、例えば、少なくとも10%誘発される場合に、治療は、この用語が本明細書で使用されるように、「効果的な治療」と見なされる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤を受容している対象において観察された腫瘍体積の10%の低減は、効果的な治療と見なされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤による治療を受容している対象における腫瘍体積は、この製剤を受容していない対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%以上低減される。
【0074】
患者は、RECIST 1.1プロトコル(Eisenhauer、et al.,2009)によって決定される少なくとも安定な疾患(SD)によって測定されるとおり、ソトラシブ療法に奏効することができる。少なくとも安定な疾患は、安定な疾患であるか、部分奏効(PR)を示したか又は完全奏効(CR)を示したものである(すなわち、「少なくともSD」=SD+PR+CR、疾患制御と称される場合が多い)。様々な実施形態では、安定な疾患は、部分奏効(PR)の認定を受けるのに十分な縮小も進行性疾患(PD)の認定を受けるのに十分な拡大もない。様々な実施形態では、患者は、少なくとも部分奏効を示す(すなわち、「少なくともPR」=PR+CR、客観的奏効と称される場合が多い)。
【0075】
奏効は、腫瘍サイズの縮小、腫瘍増殖の抑制又は低減、標的又は腫瘍病変の減少、無増悪期間の遅延、新規の腫瘍又は病変がないこと、新規の腫瘍形成の減少、生存又は無増悪生存期間(PFS)の増加、及び転移がないことのうちの1つ以上によって測定され得る。様々な実施形態では、患者の疾患の進行は、腫瘍サイズ、腫瘍病変、又は新規の腫瘍若しくは病変の形成を測定することによって、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン、核磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、X線、超音波、又はそのいくつかの組み合わせを使用して患者を評価することによって評価され得る。
【0076】
無増悪生存期間は、RECIST 1.1プロトコルに記載されるとおりに評価され得る。様々な実施形態では、患者は、少なくとも3ヶ月のPFSを示す。いくつかの実施形態では、患者は、少なくとも6ヶ月のPFSを示す。
【0077】
全ての刊行物及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が具体的且つ個別に参照により組み込まれることが示された場合と同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
上記の発明を、理解を明確にする目的で、図示及び例によって若干詳細に説明してきたが、一定の変更及び変形が添付の特許請求の範囲内でなされ得ることは明らかであろう。
【0079】
実施形態
1.製剤であって、
(a)ソトラシブと、
(b)40~95%(w/w)の量の希釈剤と、
(c)0.5~5%(w/w)の量の崩壊剤と、
(d)0.25~5%(w/w)の量の滑沢剤と、を含む、製剤。
2.ソトラシブを、1~50%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
3.希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、トレハロース、微結晶セルロース、及びデンプンのうちの1つ以上を含む、実施形態1又は実施形態2に記載の製剤。
4.希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、微結晶セルロース、及びデンプンのうちの1つ以上を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の製剤。
5.希釈剤が、ラクトース及び微結晶セルロースのうちの1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の製剤。
6.希釈剤が、ラクトース及びデンプンのうちの1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の製剤。
7.希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、及びマンニトールのうちの1つ以上を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の製剤。
8.デンプンが、アルファ化デンプン又はコーンスターチである、実施形態1~4及び6のいずれか1つに記載の製剤。
9.ラクトースが、ラクトース一水和物である、実施形態3~7のいずれか1つに記載の製剤。
10.ソトラシブを、1~20%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
11.ソトラシブを、1%(w/w)の量で含む、実施形態10に記載の製剤。
12.ソトラシブを、20%(w/w)の量で含む、実施形態10に記載の製剤。
13.希釈剤を、61~91(w/w)の量で含む、実施形態10又は実施形態12に記載の製剤。
14.希釈剤を、68~84(w/w)の量で含む、実施形態10又は実施形態12に記載の製剤。
15.希釈剤を、76%(w/w)の量で含む、実施形態10又は実施形態12に記載の製剤。
16.希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤対脆性希釈剤の重量比が、2.5:1~3.5:1の範囲である、実施形態10~15のいずれか1つに記載の製剤。
17.希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤の脆性希釈剤に対する重量比が、2.7:1~3.3:1の範囲である、実施形態10~15のいずれか1つに記載の製剤。
18.希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤の脆性希釈剤に対する重量比が、3:1である、実施形態10~15のいずれか1つに記載の製剤。
19.ソトラシブを、20~45%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
20.ソトラシブを、20%(w/w)の量で含む、実施形態19に記載の製剤。
21.ソトラシブを、30%(w/w)の量で含む、実施形態19に記載の製剤。
22.ソトラシブを、32%(w/w)の量で含む、実施形態19に記載の製剤。
23.ソトラシブを、37.5%(w/w)の量で含む、実施形態19に記載の製剤。
24.ソトラシブを、40%(w/w)の量で含む、実施形態19に記載の製剤。
25.希釈剤を、51~77%(w/w)の量で含む、実施形態19又は実施形態22に記載の製剤。
26.希釈剤を、58~70%(w/w)の量で含む、実施形態19又は実施形態22に記載の製剤。
27.希釈剤を、64%(w/w)の量で含む、実施形態19又は実施形態22に記載の製剤。
28.希釈剤が塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤のソトラシブ及び存在する場合、脆性希釈剤を一緒にしたものに対する重量比が、1.2:1~1.7:1の範囲である、実施形態19~28のいずれか1つに記載の製剤。
29.希釈剤が塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、塑性希釈剤のソトラシブ及び存在する場合、脆性希釈剤を一緒にしたものに対する重量比が、1.4:1~1.5:1の範囲である、実施形態19~28のいずれか1つに記載の製剤。
30.希釈剤を、61~91%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
31.希釈剤を、68~84%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
32.希釈剤を、76%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
33.希釈剤を、51~77%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
34.希釈剤を、58~70%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
35.希釈剤を、64%(w/w)の量で含む、実施形態1に記載の製剤。
36.希釈剤が、塑性希釈剤及び任意選択で脆性希釈剤を含み、
(a)脆性希釈剤が存在するならば、製剤が、
(1)2.5:1、2.7:1、3:1、3.3:1、又は3.5:1以上である塑性希釈剤対脆性希釈剤の第1の重量比、及び
(2)塑性希釈剤対ソトラシブと脆性希釈剤を一緒にしたものの第2の重量比が、1.2:1、1.4:1、1.5:1、又は1.7:1以上であり、且つ第1の比より小さいことによって特徴付けられ、或いは
(b)脆性希釈剤が不在であるならば、製剤が、1.2:1、1.4:1、1.5:1、又は1.7:1以上であり、且つ2.5:1、2.7:1、3:1、3.3:1、又は3.5:1未満である塑性希釈剤対ソトラシブの重量比によって特徴付けられる、実施形態30~35のいずれか1つに記載の製剤。
37.希釈剤が塑性希釈剤及び脆性希釈剤を含み、第1の比が3:1以上であり、第2の比が1.4:1以上且つ3:1未満である、実施形態36に記載の製剤。
38.希釈剤が塑性希釈剤を含み、脆性希釈剤を含まず、塑性希釈剤対ソトラシブの重量比が、1.4:1以上且つ3:1未満である、実施形態30~35のいずれか1つに記載の製剤。
39.塑性希釈剤が、微結晶セルロース及びデンプンのうちの1つ以上を含む、実施形態16~18、28、29、及び36~38のいずれか1つに記載の製剤。
40.塑性希釈剤が、微結晶セルロースである、実施形態39に記載の製剤。
41.塑性希釈剤が、デンプンである、実施形態39に記載の製剤。
42.デンプンが、アルファ化デンプン又はコーンスターチである、実施形態39又は実施形態41に記載の製剤。
43.脆性希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、及びトレハロースのうちの1つ以上を含む、実施形態16~18、28、29、36、及び37のいずれか1つに記載の製剤。
44.脆性希釈剤が、ラクトース、第二リン酸カルシウム(DCP)、又はマンニトールのうちの1つ以上を含む、実施形態43に記載の製剤。
45.脆性希釈剤が、ラクトースである、実施形態43に記載の製剤。
46.ラクトースが、ラクトース一水和物である、実施形態43~45のいずれか1つに記載の製剤。
47.崩壊剤を、1~5%(w/w)の量で含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の製剤。
48.崩壊剤を、3~5%(w/w)の量で含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の製剤。
49.崩壊剤を、2~4%(w/w)の量で含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の製剤。
50.崩壊剤を、3%(w/w)の量で含む、実施形態1~46のいずれか1つに記載の製剤。
51.崩壊剤が、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、グリコール酸デンプンナトリウム、アルファ化デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びケイ酸アルミニウムマグネシウムのうちの1つ以上を含む、実施形態1及び47~50のいずれか1つに記載の製剤。
52.崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム及びグリコール酸デンプンナトリウムのうちの1つ以上を含む、実施形態51に記載の製剤。
53.崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、実施形態51に記載の製剤。
54.滑沢剤を、0.5~3%(w/w)の量で含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載の製剤。
55.滑沢剤を、0.5~1.5%(w/w)の量で含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載の製剤。
56.滑沢剤を、1%(w/w)の量で含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載の製剤。
57.滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸、カプリル酸、ステアリン酸、イソ吉草酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、ベヘン酸、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、フマル酸ステアリルカリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、タルク、ポリエチレングリコール、及び水添植物油のうちの1つ以上を含む、実施形態1及び54~56のいずれか1つに記載の製剤。
58.滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウムである、実施形態57に記載の製剤。
59.ソトラシブを、1mg~360mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
60.ソトラシブを、30mg~320mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
61.ソトラシブを、1mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
62.ソトラシブを、30mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
63.ソトラシブを、120mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
64.ソトラシブを、180mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
65.ソトラシブを、240mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
66.ソトラシブを、320mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
67.ソトラシブを、360mgの量で含む、実施形態1~58のいずれか1つに記載の製剤。
68.16~24%(w/w)の量のソトラシブ、61~91%(w/w)の量の希釈剤、2.4~3.6%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.8~1.2%(w/w)の量の滑沢剤を含む、実施形態1~9、51~53、57、及び58のいずれか1つに記載の製剤。
69.18~22%(w/w)の量のソトラシブ、68~84%(w/w)の量の希釈剤、2.7~3.3%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.9~1.1%(w/w)の量の滑沢剤を含む、実施形態1~9、51~53、57、及び58のいずれか1つに記載の製剤。
70.20%(w/w)の量のソトラシブ、76%(w/w)の量の希釈剤、3%(w/w)の量の崩壊剤、及び1%(w/w)の量の滑沢剤を含む、実施形態1~9、51~53、57、及び58のいずれか1つに記載の製剤。
71.ソトラシブを、30mgの量で含む、実施形態68~70のいずれか1つに記載の製剤。
72.ソトラシブを、120mgの量で含む、実施形態68~70のいずれか1つに記載の製剤。
73.26~38%(w/w)の量のソトラシブ、51~77%(w/w)の量の希釈剤、2.4~3.6%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.8~1.2%(w/w)の量の滑沢剤を含む、実施形態1~9、51~53、57、及び58のいずれか1つに記載の製剤。
74.29~35%(w/w)の量のソトラシブ、58~70%(w/w)の量の希釈剤、2.7~3.3%(w/w)の量の崩壊剤、及び0.9~1.1%(w/w)の量の滑沢剤を含む、実施形態1~9、51~53、57、及び58のいずれか1つに記載の製剤。
75.32%(w/w)の量のソトラシブ、64%(w/w)の量の希釈剤、3%(w/w)の量の崩壊剤、及び1%(w/w)の量の滑沢剤を含む、実施形態1~9、51~53、57、及び58のいずれか1つに記載の製剤。
76.ソトラシブを、240mgの量で含む、実施形態73~75のいずれか1つに記載の製剤。
77.ソトラシブを、320mgの量で含む、実施形態73~75のいずれか1つに記載の製剤。
78.製剤が、固形剤形である、実施形態1~77のいずれか1つに記載の製剤。
79.固形剤形が、経口投与のためのものである、実施形態78に記載の製剤。
80.固形製剤が、錠剤である、実施形態78又は実施形態79に記載の製剤。
81.錠剤が、コーティング組成物でコーティングされる、実施形態80に記載の製剤。
82.コーティング組成物が、ポリビニルアルコールを含む、実施形態64に記載の製剤。
83.コーティング組成物が、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、及び着色剤のうちの1つ以上を更に含む、実施形態82に記載の製剤。
84.製剤中のソトラシブの少なくとも50%が、50mMのリン酸ナトリウム及びシンク条件を維持するための界面活性剤を含む、pH6.7での900mlの水の溶出溶媒中37℃で75rpmのパドル速度を用いたUSP<711>装置2を使用する溶出試験によって測定されるとき、30分以内に放出される、実施形態1~83のいずれか1つに記載の製剤。
85.製剤中のソトラシブの少なくとも80%が、30分以内に放出される、実施形態84に記載の製剤。
86.製剤中のソトラシブの少なくとも85%が、15分以内に放出される、実施形態84に記載の製剤。
87.界面活性剤が、0.2~0.6%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である、実施形態84~86のいずれか1つに記載の製剤。
88.製剤が、ソトラシブを120mgの量で含み、溶出溶媒が、0.5%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、実施形態84~87のいずれか1つに記載の製剤。
89.製剤が、ソトラシブを240mgの量で含み、溶出溶媒が、0.3%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、実施形態84~87のいずれか1つに記載の製剤。
90.製剤が、ソトラシブを320mgの量で含み、溶出溶媒が、0.4%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む、実施形態84~87のいずれか1つに記載の製剤。
91.医薬品として使用するためのものである、実施形態1~90のいずれか1つに記載の製剤。
92.癌の治療で使用するためのものである、実施形態1~90のいずれか1つに記載の製剤。
93.癌の治療で使用するためのものであり、癌の1つ以上の細胞が、KRAS G12C変異体タンパク質を発現する、実施形態1~90のいずれか1つに記載の製剤。
94.癌が、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合性癌型、膵臓癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、胚細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、実施形態92又は実施形態93に記載の使用のための製剤。
95.癌を治療するための医薬品の調製における、実施形態1~90のいずれか1つに記載の製剤の使用。
96.癌を治療するための医薬品の調製におけるものであり、癌の1つ以上の細胞が、KRAS G12C変異体タンパク質を発現する、実施形態1~90のいずれか1つに記載の製剤の使用。
97.癌が、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合性癌型、膵臓癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、胚細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、実施形態95又は96に記載の使用。
98.患者において癌を治療する方法であって、方法が、患者に、治療有効量の実施形態1~86のいずれか1つに記載の製剤として提供されるソトラシブを投与することを含み、製剤が、1つ以上の投与単位において治療有効量を提供する、方法。
99.癌の1つ以上の細胞が、KRAS G12C変異体タンパク質を発現する、実施形態98に記載の方法。
100.治療有効量が、180mg、240mg、320mg、360mg、720mg、960mgである、実施形態98又は実施形態99に記載の方法。
101.治療有効量が、240mgである、実施形態98又は実施形態99に記載の方法。
102.治療有効量が、2つの投与単位において、実施形態63又は実施形態72に記載の製剤によって提供される、実施形態101に記載の方法。
103.治療有効量が、1つの投与単位において、実施形態65又は実施形態76に記載の製剤によって提供される、実施形態101に記載の方法。
104.治療有効量が、960mgである、実施形態98又は実施形態99に記載の方法。
105.治療有効量が、8つの投与単位において、実施形態63又は実施形態72に記載の製剤によって提供される、実施形態104に記載の方法。
106.治療有効量が、4つの投与単位において、実施形態65又は実施形態76に記載の製剤によって提供される、実施形態104に記載の方法。
107.治療有効量が、3つの投与単位において、実施形態66又は実施形態77に記載の製剤によって提供される、実施形態104に記載の方法。
108.癌が、非小細胞肺癌、小腸癌、虫垂癌、結腸直腸癌、原発不明癌、子宮内膜癌、混合性癌型、膵臓癌、肝胆道癌、小細胞肺癌、子宮頸癌、胚細胞癌、卵巣癌、消化管神経内分泌癌、膀胱癌、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、頭頸部癌、食道胃癌、軟部組織肉腫、中皮腫、甲状腺癌、白血病、又は黒色腫である、実施形態98~107のいずれか1つに記載の方法。
109.癌が、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、虫垂癌、子宮内膜癌、食道癌、原発不明癌、膨大部癌、胃癌、小腸癌、副鼻腔癌、胆管癌、又は黒色腫である、実施形態98~107のいずれか1つに記載の方法。
110.癌は、非小細胞肺癌である、実施形態109に記載の方法。
111.癌は、結腸直腸癌である、実施形態109に記載の方法。
112.癌は、膵臓癌である、実施形態109に記載の方法。
113.方法が、1つ以上の投与単位として提供される治療有効量を、患者への投与前に撹拌することによって水中に分散させることを更に含む、実施形態98~112のいずれか1つに記載の方法。
114.水が炭酸化されていない、実施形態113に記載の方法。
115.水が室温を有する、実施形態113又は実施形態114に記載の方法。
116.水が120mLの容積を有する、実施形態113~115のいずれか1つに記載の方法。
117.治療有効量が、患者への投与直前、又はその2時間以内に水中に分散される、実施形態113~116のいずれか1つに記載の方法。
118.患者が、固形物を飲み込むことが困難である、実施形態113~117のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0080】
実施例1
流動、用量均一性、及び圧縮性を含む適切なプロセス、及び製剤性能を確実にするために、ローラー圧密を介した乾式造粒を製造プロセスとして選択した。簡単に言うと、微結晶セルロース(MCC)、ラクトース、及びクロスカルメロースナトリウムを含む賦形剤と共にソトラシブを秤量し、ブレンディングのためにブレンダー中に懸濁させた。プレブレンドを好適な金属スクリーンを通過させて、その後、好適なタンブルブレンダー内で混合した。次に、適切な量のスクリーンを通したステアリン酸マグネシウムをプレブレンドに分注し、制御された持続時間及び速度でブレンダー内で十分に混合した。次いで、滑沢化ブレンドを打錠機上で直接圧縮し、スラッグ打錠するか、又は以下の表に示すように、ロール力及びロールギャップを使用してリボンに圧縮させた。リボン及びスラッグを、1.0mmのスクリーンを備えた振動ミルで粒状体に粉砕した。次に、得られた粒状体を、スクリーンを通したステアリン酸マグネシウムをブレンダーに添加し、制御された持続時間及び速度で十分に混合することによって滑沢化させた。最終ブレンドを、打錠機上で錠剤に圧縮した。錠剤の外観、重量、厚さ、及び硬度を、圧縮ユニットの動作全体を通じて事前に定義された間隔で監視した。最終錠剤を、好適なコーティング装置を使用して、以下の表に示したようにコーティングした。
【0081】
【表2】
【0082】
製剤1~13(以下の表1~13に提供される)を、上で提供した方法論に従って調製した。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
【表8】
【0089】
【表9】
【0090】
【表10】
【0091】
【表11】
【0092】
【表12】
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】
【表15】
【0096】
【表16】
【0097】
【表17】
【0098】
実施例2-安定性試験
ソトラシブ120mg(製剤番号7及び番号8)錠、ソトラシブ240mg(製剤番号9b)錠、ソトラシブ320mg(製剤番号10b)錠、及びソトラシブ30mg(製剤番号6)錠を、75cc(シリカゲルを乾燥剤として含む)ボトル又は215ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトル(乾燥剤なし)に詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施した。ボトルに入れた錠剤を、-20℃、5℃、30℃/65%RH(相対湿度)の長期保存条件、及び40℃/75%RHの加速条件で安定した状態で置いた。サンプルを、含水量、アッセイ(ラベル表示内容に対する%)、総不純物及び溶出について評価した。含水量は、メタノールを入れた滴定容器におけるカール・フィッシャー定量滴定によって決定し、ここでは正確に秤量した錠剤をホモジナイザーを用いてその場で均質化し、標準化されたKF滴定液で滴定した。アッセイ(ラベル表示内容に対する%)は、UV検出を用いた逆相HPLC法を使用して決定した。一次分析物を、勾配溶離によって関連する不純物及び潜在的分解物から分離し、既知の純度の外部参照標準に対して定量化した。そのレベルが、アッセイ決定と同じ方法を使用して決定された有機不純物の合計を総不純物として報告する。安定性試験からの結果については、表14~28を参照されたい。
【0099】
表14.5℃での安定性データ(製剤番号8:20%(w/w)、120mgのソトラシブ)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0100】
【表18】
【0101】
表15.30℃/65%RHでの安定性データ(製剤番号8:20%(w/w)、120mgのソトラシブ)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0102】
【表19】
【0103】
表16.40℃/75%RHでの安定性データ(製剤番号8:20%(w/w)、120mgのソトラシブ)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0104】
【表20】
【0105】
表17.-20℃での安定性データ(製剤番号9b:32%(w/w)、240mgのソトラシブ)。錠剤を、75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに20錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0106】
【表21】
【0107】
表18.30℃/65%RHでの安定性データ(製剤番号9b:32%(w/w)、240mgのソトラシブ)。錠剤を、75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0108】
【表22】
【0109】
表19.40℃/75%RHでの安定性データ(製剤番号9b:32%(w/w)、240mgのソトラシブ)。錠剤を、75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0110】
【表23】
【0111】
表20.5℃での安定性データ(製剤番号10b:32%(w/w)、320mgのソトラシブ)。錠剤を、215ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに90錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0112】
【表24】
【0113】
表21.30℃/65%RHでの安定性データ(製剤番号10b:32%(w/w)、320mgのソトラシブ)。錠剤を、215ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに90錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0114】
【表25】
【0115】
表22.40℃/75%RHでの安定性データ(製剤番号10b:32%(w/w)、320mgのソトラシブ)。錠剤を、215ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに90錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0116】
【表26】
【0117】
表23.5℃での安定性データ(製剤番号7:20%(w/w)、120mgのソトラシブ、素錠)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0118】
【表27】
【0119】
表24.30℃/65%RHでの安定性データ(製剤番号7:20%(w/w)、120mgのソトラシブ、素錠)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0120】
【表28】
【0121】
表25.40℃/75%RHでの安定性データ(製剤番号7:20%(w/w)、120mgのソトラシブ、素錠)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに30錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0122】
【表29】
【0123】
表26.5℃での安定性データ(製剤番号6:20%(w/w)、30mgのソトラシブ。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに15錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0124】
【表30】
【0125】
表27.30℃/65%RHでの安定性データ(製剤番号6:20%(w/w)、30mgのソトラシブ)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに15錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0126】
【表31】
【0127】
表28.40℃/75%RHでの安定性データ(製剤番号6:20%(w/w)、30mgのソトラシブ)。錠剤を、乾燥剤としてシリカゲルを含む75ccのHDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに15錠数えて詰め、熱誘導シール及びポリプロピレン小児誤用防止クロージャを施し、以下に指定された条件で安定試験下に置いた。
【0128】
【表32】
【0129】
安定性データは、全ての試験結果が許容規準を満たすことを示した:同等の安定性結果が、製剤番号7と製剤番号8との間で観察された。製剤番号6については、安定性データは、5℃及び25℃/60%RHで12ヶ月間、並びに40℃/75%RHで6ヶ月間の保存条件において有意な傾向が観察されずに、全ての試験結果が許容基準を満たすことを示した。同様に、製剤番号7及び番号8についての安定性データは、5℃、30℃/65%RH、及び40℃/75%RHの保存条件下で3ヶ月後に、保存条件で有意な傾向が観察されずに、許容基準を満たした。
【0130】
製剤番号8の錠剤については、包括的加速安定性評価プログラム(ASAP)試験を実施したところ、分解のレベルは、温度及び湿度の上昇と共により高くなったが、最もストレスの多い条件、60℃/75%RH(4週間)において規格限界内にあった。ASAP試験からの結果は、製剤番号8が温度に対して安定性であり、湿度に対しては僅かに影響を受けやすいことを示した。更に、4週間の時点で、ssNMRを、60℃/75%RHの条件で保存した製剤番号8の錠剤に対して実施したところ、結果は、形状変化がないことを確認した。
【0131】
ASAP試験を、製剤番号1(1%(w/w)、1mgのソトラシブ)、製剤番号6(20%(w/w)、30mgのソトラシブ)、製剤番号7(20%(w/w)、120mgのソトラシブ)、製剤番号8(20%(w/w)、120mgのソトラシブ)、製剤番号4(30%(w/w)、180mgのソトラシブ)、及び製剤番号5(40%(w/w)、360mgのソトラシブ)についても実施した。結果を、以下の表29~33に示す。
【0132】
表29.安定性データ(製剤番号1:1%(w/w)、1mgのソトラシブ)。錠剤を開放ガラスバイアル内で保存し、4週間の試験終了点で以下に指定された温度及び湿度条件に曝した。
【0133】
【表33】
【0134】
表30.ASAP安定性データ(製剤番号6:20%(w/w)、30mgのソトラシブ)。錠剤を開放ガラスバイアル内で保存し、4週間の試験終了点で以下に指定された温度及び湿度条件に曝した。
【0135】
【表34】
【0136】
表31.製剤番号7及び番号8(20%(w/w)、120mgのソトラシブ)についてのASAP安定性データ。錠剤を開放ガラスバイアル内で保存し、4週間の試験終了点で以下に指定された温度及び湿度条件に曝した。
【0137】
【表35】
【0138】
表32.製剤番号4(30%(w/w)、180mgのソトラシブ)についてのASAP安定性データ。錠剤を開放ガラスバイアル内で保存し、4週間の試験終了点で以下に指定された温度及び湿度条件に曝した。
【0139】
【表36】
【0140】
表33.製剤番号5(40%(w/w)、360mgのソトラシブ)についてのASAP安定性データ。錠剤を開放ガラスバイアル内で保存し、4週間の試験終了点で以下に指定された温度及び湿度条件に曝した。
【0141】
【表37】
【0142】
Zone IVb条件(すなわち、30℃/75%RH)を使用して、想定される市販のパッケージング構成の貯蔵寿命を予測するために、ASAPprime(登録商標)ソフトウェアを更に利用した。この試験は、表34に示されるように、99%の確率で2年間及び95%の確率で3年間を超えるボトル及びUX2000ブリスターにおける最短貯蔵寿命を裏付けている。加えて、PVC対Aclar(登録商標)UX2000(すなわち、防湿ブリスター)ブリスターの比較を実施した。PVCブリスターは、最短貯蔵寿命要件を満たさなかった。最終的に、120錠入りの120ccボトルを、一次安定性試験下に置く。
【0143】
表34.30℃/75%RH保存条件での120錠入り120ccボトル、及びブリスターのASAPprime(登録商標)貯蔵寿命予測。
【0144】
【表38】
【0145】
実施例3-溶出試験
放出及び安定性データに加えて、複数の溶媒における溶出プロファイルの比較を実行した。online.uspnf.com(最終アクセス日:2021年4月26日)で利用可能なGeneral Chapter Dissolution<711>,Document ID,1_GUID-AC788D41-90A2-4F36-A6E7-769954A9ED09_1_en-US(公式日付:2016年5月1日)を参照されたい。溶出溶媒は、50mMのリン酸ナトリウム、pH6.8、適切な量の界面活性剤を37℃で含み、シンク条件を達成するために900mLである。この実施例で使用された界面活性剤は、1mg及び360mgの錠剤については、0.2~1%(w/v)のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であった(表35)。溶出法は、USP<711>装置を75rpmのパドル速度で用いる。図1~11を参照されたい。
【0146】
【表39】
【0147】
実施例4-水分散試験
8×120mg錠(製剤番号8)として、また水中に予備分散された錠剤として投与されたソトラシブの薬物動態を評価した。
【0148】
各被験者は、8×120mg錠として投与されるソトラシブ(処置A)の投与、及び240mLの総容積(投与量+投与容器すすぎ液)又は水中に分散された8×120mg錠として投与されるソトラシブの投与を、被験者が割り当てられた群に従う期間1又は期間2のいずれかで受けた。用量は、1日目及び4日目に、少なくとも10時間の一晩の絶食後の午前中に投与された。
【0149】
合計で13人の被験者が、試験に登録された(7人の被験者は、処置Aに続いて処置Bの順序で処置を受け、6人の被験者は、処置Bに続いて処置Aの順序で処置を受ける)。全ての被験者についてのデータは、薬物動態(PK)及び安全性分析に含まれた。
【0150】
ソトラシブ及びソトラシブ代謝産物の血漿濃度の分析用に血液サンプルを採取した。ソトラシブ及びソトラシブ代謝産物M24について決定された血漿PK濃度は、以下の通りであった:
-最高血漿中濃度(Cmax)、
-投与0時間から最終定量可能時までの血漿濃度-時間下面積(AUC)(AUClast)、
-投与0時間から無限大までのAUC(AUCinf)、
-Cmax到達時間(tmax
-見かけの終末相における消失半減期(t1/2
-見かけの血漿クリアランス(CL/F;ソトラシブのみ)、
-見かけの終末相中の分布容積(Vz/F;ソトラシブのみ)、
-測定可能な濃度の最終時間から無限大までの外挿によるAUCinfの割合(%AUCextrap)、
-消失速度定数(λ)、
-終末相の相関係数(R)、
-指数関数当てはめの開始時と終了時との間の差をT1/2で割った値(スパン比)、
-λの測定に含まれるデータポイントの数(ポイントの数)、
-終末相の下限(指数当てはめの開始時)、及び
-終末相の上限(指数当てはめの終了時)。
【0151】
統計的方法:水中に分散された錠剤(処置B)後のソトラシブPK対ソトラシブ経口錠剤(処置A)後のソトラシブPKを比較するために、統計的分析を行った。AUClast、AUCinf、及びCmaxを含むPKパラメータを推定し、処置Aと処置Bとの間を比較した。混合モデルを使用して、自然対数変換PKパラメータを分析した。モデルは、処置、期間、及び順序を固定効果として含み、被験者はランダム効果として順序内にネストされた。各PKパラメータ(AUClast、AUCinf、及びCmax)については、別々に、各処置についての最小二乗平均値(LSM)、処置Aと処置Bとの間のLSMにおける差、及び対応する90%信頼区間(CI)を計算し、次いで、これらの値を逆変換して、幾何最小二乗平均(GLSM)、GLSMの比、及び対応する90%CIを得た。更に、被験者内の変動係数のプールされた推定値(全ての処置にわたって)が計算され、適合されるモデルの妥当性を評価するために、残余プロットを作成した。
【0152】
結果:
水中に分散された錠剤としてのソトラシブの投与(処置B)後に、中央値ソトラシブtmax(1時間)は迅速な吸収を示し、錠剤としてのソトラシブの投与(処置A)後に観察されたものと同じであった。AUC、Cmax、及びt1/2を含む他のPKパラメータも、2つの処置間で同様であった。ソトラシブの最大血漿濃度(tmax)までの中央値時間及び平均半減期(t1/2)は、ソトラシブが経口錠剤として投与される場合と240mLの水中に分散されて投与される場合とで同様であった。幾何平均ソトラシブAUCinf(投与0時間から無限大までの曲線下面積)は、錠剤として投与されたソトラシブについては25300h*ng/mLであり、水分散体として投与されたソトラシブについては26400h*ng/mLであった。幾何平均ソトラシブCmax(最大血漿濃度)としては、それぞれ5440ng/mL及び5860ng/mLであった。
【0153】
ソトラシブが、水中に予備分散された錠剤として(処置B)、及び錠剤として(処置A)投与された場合のソトラシブAUClast、AUCinf、及びCmaxについてのGLSM(90%CI)の比(水分散体/錠剤)は、それぞれ1.055(0.950、1.171)、1.049(0.947、1.162)、及び1.080(0.939、1.243)であった。AUClast、AUCinf、及びCmaxについての90%CIは、80%~125%の範囲内に入り、一貫してスパンした。代謝産物M24についての薬物動態パラメータも処置間で同様であった。
【0154】
水中に分散された錠剤としての、及び錠剤としての960mgのソトラシブの単回投与は、試験における健康な被験者に投与された場合安全であり、忍容性が良好であった。重篤な有害事象はなく、被験者の試験からの早期中止につながる治療中に発生した有害事象もなかった。便秘、吐き気、及び嘔吐の3つの治療中に発生した有害事象が試験中に報告され、これら全ては軽度であり、ソトラシブに関連しているものと見なされた。全ての事象は、試験の終了時までに解消した。試験中の臨床検査評価、バイタルサイン、又は12誘導ECGにおいて、臨床的に重要な所見はなかった。
【0155】
結論:
まとめると、960mgのソトラシブの総投与量は、水中に予備分散される場合の錠剤として、及び錠剤全体が飲み込まれる場合の錠剤としての両方で健康な被験者に投与されるとき、安全且つ忍容性が良好であった。また、ソトラシブが水中に分散された錠剤として投与された場合、80%~125%の範囲内の90%CIで、AUClast、AUCinf、及びCmaxは、ソトラシブが錠剤として投与される場合の、それぞれ1.055倍、1.049倍、及び1.080倍であった。
【0156】
実施例5-製剤成分の機械的分析
微結晶セルロース(MCC、アビセルPH102)とラクトース(ラクトース一水和物、ラクトース313)との3つの乾式造粒(ローラー圧密)プラセボブレンド、及びソトラシブ、アビセルPH102、及びラクトースを含む他の個々の成分を、Huxley Bertram(HB)圧密シミュレーターを用いて、それらの機械的特性について評価した。圧縮後に、錠剤をそれらの排出重量、厚さ及び直径について測定した。次いで、錠剤を最低48時間保存し、完全に粘弾性緩和させた。5mm/分の一定の負荷速度で動作するHB圧密シミュレーターを使用して実施した圧裂破断試験(diametrical compression testing)の前に、回収された寸法を測定した。直径方向の破損を引き起こすために必要な力を記録し、径方向引張強度値を計算するために用いた。
【0157】
結果:
真密度:真密度を、ヘリウムピクノメトリーを使用して測定した。プラセボブレンドサンプル(約400~500mg)は、この測定の非破壊的性質のために、試験後保持された。
【0158】
【表40】
【0159】
様々な乾式造粒されたプラセボブレンドの真密度は、主要成分であるアビセルPH102及びラクトース313の真密度と良好に一致した。
【0160】
変形傾向:圧縮中に、粉末粒子は、可逆的に(弾性変形)又は不可逆的に(塑性変形及び/若しくは脆性破砕/断片化)のいずれかで変形し得る。医薬品粉末は、それらが材料間で変化するそれぞれの相対的寄与に伴ういくつかの異なるメカニズムによる変形を示すことが多いという点で独特である。優勢である変形モードは、目標の圧縮圧範囲、圧縮圧が加えられる速度、及び材料の固有の機械的特性を含む多数の因子に依存する。これらの研究の目的は、製剤ブレンドの可逆的に変形する傾向を特定すること、及びその不可逆的変形メカニズムが主に塑性及び/又は脆性であるかどうかを区別することである。
【0161】
可逆的変形挙動は、非時間依存性又は時間依存性のいずれかであり得る。両方の挙動を評価するために、二段階分析手順を用いた。最初に、最小パンチ分離距離(ダイ内)での錠剤体積と、排出直後に測定された錠剤体積との間の固体分率における変化を計算することによって、非時間依存性弾性変形を定量化した。負の値は、試料密度の減少を反映している。二番目に、排出直後に測定された錠剤体積と周囲条件で48時間の保存後の錠剤体積との間の固体分率の変化を計算することによって、時間依存性弾性変形、又は粘弾性変形を定量化した。
【0162】
【表41】
【0163】
全ての場合で、可逆的変形の全体的な程度は、200MPaで調製された錠剤よりも50MPaで調製された錠剤で大きい。負の値は、試料密度の減少又は錠剤寸法の増加を反映している。この観察は、製剤中のアビセルPH102の存在によって促進される可能性が高い。特定の理論に束縛されるものではないが、アビセルPH102のような材料では、圧力が増加すると、圧密体の内部構造が変化する。これは、圧密体内に蓄えられるエネルギーの量の増加をもたらし、これが可逆的変形を促進する。しかしながら、アビセルPH102について、200MPaで生じた引張強度の増加(図12B)は、50MPaと比べて、200MPaでの全てのプラセボブレンドについてのより低い負の値によって実証されるように、この可逆的変形を抑制する。全体として、表37中のデータは、全ての3つのプラセボブレンドが好適な弾性及び粘弾性変形特性を有することを示している。更に、このデータは、許容可能な錠剤を製造するために、塑性希釈剤(例えば、アビセルPH102)が必要であることを裏付けている。
【0164】
ソトラシブについては、弾性及び粘弾性回復についての値は、参照材料データセットと比較するために、正確に計算することができなかった。200MPaに圧縮された錠剤は、排出時に薄片状化を経験し、ダイから出る錠剤の寸法を適切に測定することができなかった。
【0165】
圧縮性:作用応力の適用による粉末床の体積を低減させる能力は、粉末圧縮性の指標を与える。この挙動は、圧密圧力の関数として、錠剤の固体分率の観点から説明される(表38を参照されたい)。データの解釈では、2つの圧力条件間の固体分率における変化を考慮する。高圧力及び低圧力におけるSFの差の増加は、ブレンドの圧縮性の増加の指標である。全ての3つのプラセボブレンドの圧縮性はハイエンドにあり(アビセルPH102の存在のために)、プラセボブレンド中のアビセルPH102の量が増加するにつれて増大する傾向を示す。したがって、3:1の塑性希釈剤対脆性希釈剤の比、例えば、3:1のアビセルPH102対ラクトースの比が好ましい。
【0166】
【表42】
【0167】
ソトラシブについては、およそ145MPaの印加された圧力が、0.85の固体分率でダイから出る錠剤を製造するのに必要であった。比較すると、アビセルPH102は、128MPaの圧力を必要とし、ラクトース一水和物は、178MPaの圧力を必要とした。したがって、製剤中の追加のアビセルPH102の存在は、目標の硬度/引張強度を達成するために、低減された圧密圧力が使用されることができるはずである。したがって、3:1の塑性希釈剤対脆性希釈剤の比、例えば、3:1のアビセルPH102対ラクトースの比が、ソトラシブ製剤に好ましい。
【0168】
圧密性及び打錠性:粉末床が凝結し、又は圧密体を形成する能力は、粉末圧密性の指標を与える。この挙動は、錠剤固体分率(SF)の関数として、錠剤径方向引張強度(RTS)のプロットとして説明される。基本的な材料挙動を理解するために、同様な固体分率のレベルにおいて、材料を比較することが有利である。同じ固体分率でのより高い径方向引張強度が、3:1のMCC対ラクトースプラセボブレンドで観察された(図12A)。全ての3つのプラセボブレンドの成形性は、各ブレンドが以前に乾式造粒されているために、「低」と分類することができる。打錠性は、特定の錠剤硬度又は引張強度を達成するために、必要な圧力を特定するのに有用である別の関連するパラメータである。この挙動は、圧密圧力の関数として、錠剤径方向引張強度(RTS)のプロットとして説明される(図12B)。より低い圧密圧力でのより高い径方向引張強度が、3:1のMCC対ラクトースプラセボブレンドで観察された(図12B)。圧密性及び打錠性プロファイルに基づくと、3:1の塑性希釈剤対脆性希釈剤の比、例えば、3:1のアビセルPH102対ラクトース比が、ソトラシブ製剤に好ましい。
【0169】
【表43】
【0170】
表39のデータは、ブレンド中のMCCの量が増加すると、150MPaでの測定された径方向引張強度(RTS)が同様に増加することを示している。また、2MPaの径方向引張強度を有する錠剤を形成するために必要な圧縮圧力(CP)は、MCC対ラクトース比が増加するプラセボブレンドでは低い。両方の傾向は、非線形挙動を呈する。全体として、表39のデータは、3:1の塑性希釈剤対脆性希釈剤の比、例えば、3:1のアビセルPH102対ラクトースの比が好ましいことを示している。
【0171】
ソトラシブは、150MPaのピーク圧力に圧縮される場合、1.62MPaの径方向引張強度を有し、0.85の固体分率でダイから出るように圧縮される場合、1.59MPaの径方向引張強度を有すると決定された(表39を参照されたい)。2MPaの理論的強度値での固体分率は、ソトラシブについて0.85であり、これは非常に低いレベルの圧密性と組み合わされた高いレベルの圧縮性を示す。利用可能なデータは、ソトラシブが非常に弱い粒子間結合形成剤であり、したがって、最大20%の薬物負荷で3:1の塑性希釈剤対脆性希釈剤の比、例えば、3:1のMCC:ラクトースの比から利益を得る。本明細書に提供される20%の薬物負荷でのある特定の製剤については、塑性希釈剤(例えば、アビセルPH102)対脆性希釈剤(例えば、ラクトース)とソトラシブを一緒にしたものに対する比は、1.46:1である(実施例1の製剤番号6、番号7、及び番号8、並びに実施例6の表40を参照されたい)。
【0172】
薬物負荷を増加させるための伝統的なアプローチは、例えば、塑性希釈剤対脆性希釈剤の比を同じに維持し、両方を減少させて、より高い薬物負荷に適用させることであろう。表39で前に述べたように、塑性希釈剤の重量を減少させることは、より低い引張強度をもたらし、許容可能な錠剤を製造するために、より高い圧縮圧力を必要とする。引張強度がより低いために、この塑性希釈剤の重量を減少させることは、従来のアプローチを使用して作製されるより高い薬物負荷に対しては固有の責務である。更に、これらのより高い薬物負荷製剤のCarr指数は好ましくなく、加工性の課題を示している(実施例6の表40における製剤2及び3のCarr指数を参照されたい)。したがって、薬物負荷を増加させながら、塑性希釈剤対脆性希釈剤とソトラシブとを一緒にしたものに対する比を、1.4:1~1.5:1に維持することが好ましい。この比を維持することは、上記の従来のアプローチを使用しては実現不可能である。
【0173】
ソトラシブとラクトースとの間の機械的特性における類似性が、図13A(圧密性)及び図13B(打錠性)に記載されている。ソトラシブとラクトースとの間の加工性における類似性は、実施例6の図14A(流動エネルギー)及び図14B(体積変化率)に記載されている。これらのデータは、加工性を維持しながら、薬物負荷を増加させるための予期せぬ驚くべき代替アプローチを提供する(実施例6の表40における製剤番号4、番号5、番号9a、番号9b、番号10a、及び番号10bのCarr指数を参照されたい)。このアプローチは、塑性希釈剤(例えば、MCC)対脆性希釈剤(例えば、ラクトース)とソトラシブを一緒にしたものに対する比を、1.4:1~1.5:1に一定に保ちながら、脆性希釈剤、例えば、ラクトースをソトラシブで置き換えることを伴う(実施例1の番号4、番号5、番号9a、番号9b、番号10a、及び番号10bを参照されたい)。
【0174】
実施例6-流動エネルギー及び体積変化率の研究
この実施例は、実施例1に記載された製剤のいくつかの流動エネルギー及び圧縮性を評価するために実施された実験を記載する。
【0175】
流動エネルギー(安定性及び可変流動)を、粉末レオメーターを使用して測定した。バルク粉末を、試験セル内に分注した。材料をブレードで予備調整し、包装又は保管の履歴を取り除き、粉末の固有の嵩密度を達成した。ブレードを様々な速度でブレンドを通過させて、粉末床を通過するのに必要なエネルギーの量を決定した。安定性試験は、単一のブレード速度(例えば、100mm/秒)で複数回通過させて実施する。可変試験を、減少するブレード速度(例えば、100、70、40、10mm/秒)で実施する。安定性及び可変試験データを、mJでの総エネルギー対試験数を示す単一のプロットで報告した(図14A)。
【0176】
体積変化率を、粉末レオメーターを使用して測定した。バルク粉末を、試験セル内に分注した。材料をブレードで予備調整し、包装又は保管の履歴を取り除き、粉末の固有の嵩密度を達成した。ベントしたピストンを試験セル内に挿入し、体積変化を測定しながら、粉末床上に増加する応力を適用した。データを、体積変化率対kPaでの適用された垂直応力を示す単一のプロットで報告する(図14B)。
【0177】
図14A及び14Bに示されるように、ラクトース(脆性希釈剤)及びソトラシブは、類似の特性(すなわち、安定性/可変流動エネルギー及び体積変化率)を有する。このデータは、ソトラシブが脆性希釈剤(例えば、ラクトース)などの製剤中の脆性成分に置き換わることができることを示唆している。この置換は、本明細書に開示される製剤の初期ブレンドの流動性などの特定の製造可能性の維持において支援する。
【0178】
Carr指数:自由流動性粉末において、嵩密度及びタップ密度は同様な値になり、したがって、Carr指数は小さくなるであろう。他方では、より多くの粒子間相互作用を有する流動性不良粉末については、嵩密度はタップ密度よりも高くなり、Carr指数は増加する。嵩容積を測定するために、粉末をシリンダー内に分散させた。製剤の圧密しない明らかな又は嵩容積(V)を記録した。タップ密度試験機を用いて、タップ容積を測定した。約10、500、及び1250回のタッピングを粉末サンプルに対して行い、それぞれV10、V500、及びV1250容積を記録した。V500とV1250との間の差がシリンダー容積の1%以下であった場合、V1250を最終タップ容積(V)として報告した。V500とV1250との間の差が1%を超えた場合、後続の測定値間の差が1%以下になるまで、1250回ずつのタッピングを繰り返した。最終的に、Carr指数を以下のように計算した(結果を表40に示す):
【数1】
【0179】
結果
初期ブレンド(造粒前)のCarr指数を、表40に列挙される初期ソトラシブ製剤ブレンド間のフローの相対的比較に用いた。
【0180】
【表44】
【0181】
塑性希釈剤(%、w/w)対脆性希釈剤(%w/w)とソトラシブ(%w/w)とを一緒にしたものに対する比を、1.4:1~1.5:1に維持することによって、Carr指数値によって示されるような、30%、32%、及び40%(w/w)のソトラシブの高薬物負荷製剤(製剤番号4、番号5、番号9a、番号9b、番号10a、及び番号10b)での流動性を、20%(w/w)のソトラシブ製剤(製剤番号6、番号7、及び番号8)のものと同様に維持することができたことをデータは実証している。対照的に、塑性希釈剤対脆性希釈剤の比を一定に(3:1)保つ高薬物負荷製剤(製剤番号2及び番号3)は、より高いCarr指数によって表されるように、不良な流動性を示す。
【0182】
結論-全体として、実施例5及び実施例6に表されるデータは、高薬物負荷製剤(製剤番号4、番号5、番号9a、番号9b、番号10a、及び番号10b)を達成するための代替アプローチの有益性を実証している。
【0183】
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図1
図2
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図9A
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図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
【国際調査報告】