(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】半導体デバイスのセル構造及び半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20240408BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01L29/78 655A
H01L29/78 653A
H01L29/78 655G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567226
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 CN2021141280
(87)【国際公開番号】W WO2022247262
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】202121152384.0
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516164151
【氏名又は名称】珠海格力▲電▼器股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
(71)【出願人】
【識別番号】523220363
【氏名又は名称】エッジレス セミコンダクター カンパニー,リミテッド オブ ジュハイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 苡任
(72)【発明者】
【氏名】史 波
(72)【発明者】
【氏名】肖 ▲てぃん▼
(57)【要約】
本開示は、半導体デバイスのセル構造及び半導体デバイスを提供する。該セル構造は、第1導電型の基板と、前記基板の上面内に順に並べて設けられた少なくとも1つの第1のトレンチゲート、少なくとも1つの第2のトレンチゲート、少なくとも1つの第3のトレンチゲート及び少なくとも1つの第4のトレンチゲートと、前記ウェル領域の上面内に位置し且つ前記第1のトレンチゲートの両側、前記第3のトレンチゲートの両側及び前記第4のトレンチゲートの両側に位置する第1導電型のソース領域と、前記基板の上方に位置するとともに前記ソース領域に電気的に接続されるエミッタ金属層とを備え、前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート及び前記第3のトレンチゲートと前記エミッタ金属層との間は第1の層間誘電体層によって隔離され、前記第4のトレンチゲートは前記エミッタ金属層に電気的に接続される。このようなセル構造は、オン電圧降下、飽和電流及び短絡時間の3つのパラメータのより良いトレードオフのバランスを実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスのセル構造であって、
第1導電型の基板と、
前記基板の上面内において順に並べて設けられた少なくとも1つの第1のトレンチゲート、少なくとも1つの第2のトレンチゲート、少なくとも1つの第3のトレンチゲート及び少なくとも1つの第4のトレンチゲートと、
前記基板の上面内に位置し且ついずれか2つの隣接するトレンチゲートの間に設けられた第2導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域の上面内に位置し且つ前記第1のトレンチゲートの両側、前記第3のトレンチゲートの両側及び前記第4のトレンチゲートの両側に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記基板の上方に位置するとともに前記ソース領域に電気的に接続されるエミッタ金属層と、を備え、
前記第1のトレンチゲート、前記第3のトレンチゲート及び前記第4のトレンチゲートはそれぞれ、各自の両側にある前記ソース領域と接触し、
前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート及び前記第3のトレンチゲートは、第1の層間誘電体層によって前記エミッタ金属層から隔離され、前記第4のトレンチゲートは前記エミッタ金属層に電気的に接続される
半導体デバイスのセル構造。
【請求項2】
前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート及び前記第3のトレンチゲートは、外部ゲート駆動回路に接続される
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項3】
前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート、前記第3のトレンチゲート及び前記第4のトレンチゲートの深さは、いずれも前記ウェル領域の深さより大きい
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項4】
前記第4のトレンチゲートの上方に位置する第2の層間誘電体層を更に備え、
前記第2の層間誘電体層は、前記第2の層間誘電体層を貫穿するコンタクトホールを備え、前記エミッタ金属層は、前記コンタクトホール内に充填された導電性材料を介して前記第4のトレンチゲートと電気的に接続する
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項5】
前記第1のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第1のゲートトレンチ、前記第1のゲートトレンチ内に設けられた第1のゲート、及び、前記第1のゲートトレンチと前記第1のゲートとの間に設けられた第1のゲート絶縁層を備える
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項6】
前記第2のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第2のゲートトレンチ、前記第2のゲートトレンチ内に設けられた第2のゲート、及び、前記第2のゲートトレンチと前記第2のゲートとの間に設けられた第2のゲート絶縁層を備える
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項7】
前記第3のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第3のゲートトレンチ、前記第3のゲートトレンチ内に設けられた第3のゲート、及び、前記第3のゲートトレンチと前記第3のゲートとの間に設けられた第3のゲート絶縁層を備える
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項8】
前記第4のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第4のゲートトレンチ、前記第4のゲートトレンチ内に設けられた第4のゲート、及び、前記第4のゲートトレンチと前記第4のゲートとの間に設けられた第4のゲート絶縁層を備える
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項9】
前記基板の下方に位置する第1導電型のフィールドストップ層と、
前記フィールドストップ層の下方に位置する第2導電型のコレクタ領域と、
前記コレクタ領域の下方に位置し且つ前記コレクタ領域に電気的に接続されるコレクタ金属層と、を更に備える
請求項1に記載の半導体デバイスのセル構造。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体デバイスのセル構造を複数備える
半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本開示は、2021年05月26日に中国特許庁に提出された、出願番号が202121152384.0で、発明の名称が「半導体デバイスのセル構造及び半導体デバイス」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容を本開示に組み込む。
【0002】
本開示は、半導体デバイスの技術分野に関し、具体的には半導体デバイスのセル構造及び半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、すなわち絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタは、弱電により強電を制御するコア半導体デバイスとして、工業、4C(通信、コンピュータ、コンシューマーエレクトロニクス、カーエレクトロニクス)、家電などの産業分野に広く応用されている。IGBTデバイスは数十個のパラメータを有するため、各パラメータ間のバランスがIGBTの設計上の難点になっている。例えば、逆方向の耐圧と順方向のオン電圧降下は一対のトレードオフ関係のパラメータであり、破壊電圧(BV)が増加すると、飽和電圧降下(Vcesat,小さいほど好ましい)が増加し、例えば、Vcesatが低下すると、ターンオフ時間が増加する。飽和電流とオン電圧降下、短絡耐量との間にもトレードオフの関係があり、一般的に、飽和電流が増加すると、Vcesatが減少し、短絡耐量が減少する。そのため、各パラメータを合理的に設計することは特に重要である。
【0004】
現在主流のIGBT構造はフィールドストップ型を含み、具体的には、
図1に示すようなプレーナゲートフィールドストップ型IGBT(N型ドリフト領域、Pbodyベース領域、N+ソース領域、プレーナゲート、層間誘電体層、エミッタ、N型フィールドストップ層FS、P+コレクタ領域及びコレクタを含む)と、
図2に示すようなトレンチゲートフィールドストップ型IGBT(N型ドリフト領域、Pbodyベース領域、N+ソース領域、トレンチゲート、層間誘電体層、エミッタ、N型フィールドストップ層FS、P+コレクタ領域及びコレクタを含む)とに分けられる。その中で、現在最も主流のIGBT構造はトレンチゲートフィールドストップ型であり、トレンチゲートIGBTは、プレーナゲートIGBTに比べてセルのサイズがより小さくてIGBTの電流密度が増加しているが、電流密度の増加により短絡時間が低下し、すなわち短絡安全動作領域(Short Circuit Safe Operating Area,SCSOA)が減少するため、トレンチゲートIGBTにおいては、飽和電流、Vcesat及び短絡耐量の3つのパラメータ間のトレードオフのバランスが実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の課題に鑑みて、本開示は、関連技術においてトレンチゲートIGBTが飽和電流、Vcesat、短絡耐量の3つのパラメータ間のトレードオフのバランスを実現できないという技術課題を解決する半導体デバイスのセル構造及び半導体デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本開示は半導体デバイスのセル構造を提案する。該セル構造は、
第1導電型の基板と、
前記基板の上面内において順に並べて設けられた少なくとも1つの第1のトレンチゲート、少なくとも1つの第2のトレンチゲート、少なくとも1つの第3のトレンチゲート及び少なくとも1つの第4のトレンチゲートと、
前記基板の上面内に位置し且ついずれか2つの隣接するトレンチゲートの間に設けられた第2導電型のウェル領域と、
前記ウェル領域の上面内に位置し且つ前記第1のトレンチゲートの両側、前記第3のトレンチゲートの両側及び前記第4のトレンチゲートの両側に設けられた第1導電型のソース領域と、
前記基板の上方に位置するとともに前記ソース領域に電気的に接続されるエミッタ金属層と、を備える。
ここで、前記第1のトレンチゲート、前記第3のトレンチゲート及び前記第4のトレンチゲートはそれぞれ、各自の両側にある前記ソース領域と接触し、
前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート及び前記第3のトレンチゲートは、第1の層間誘電体層によって前記エミッタ金属層から隔離され、前記第4のトレンチゲートは前記エミッタ金属層に電気的に接続される。
【0007】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態において、前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート及び前記第3のトレンチゲートは外部ゲート駆動回路に接続される。
【0008】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態において、前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート、前記第3のトレンチゲート及び前記第4のトレンチゲートの深さは、いずれも前記ウェル領域の深さより大きい。
【0009】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態においては、前記第4のトレンチゲートの上方に位置する第2の層間誘電体層を更に備え、
前記第2の層間誘電体層は、前記第2の層間誘電体層を貫穿するコンタクトホールを備え、前記エミッタ金属層は、前記コンタクトホール内に充填された導電性材料を介して前記第4のトレンチゲートと電気的に接続する。
【0010】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態において、前記第1のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第1のゲートトレンチ、前記第1のゲートトレンチ内に設けられた第1のゲート、及び、前記第1のゲートトレンチと前記第1のゲートとの間に設けられた第1のゲート絶縁層を備える。
【0011】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態において、前記第2のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第2のゲートトレンチ、前記第2のゲートトレンチ内に設けられた第2のゲート、及び、前記第2のゲートトレンチと前記第2のゲートとの間に設けられた第2のゲート絶縁層を備える。
【0012】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態において、前記第3のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第3のゲートトレンチ、前記第3のゲートトレンチ内に設けられた第3のゲート、及び、前記第3のゲートトレンチと前記第3のゲートとの間に設けられた第3のゲート絶縁層を備える。
【0013】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態において、前記第4のトレンチゲートは、前記基板の上面内に位置する第4のゲートトレンチ、前記第4のゲートトレンチ内に設けられた第4のゲート、及び、前記第4のゲートトレンチと前記第4のゲートとの間に設けられた第4のゲート絶縁層を備える。
【0014】
本開示の実施例によれば、いくつかの実施形態においては、
前記基板の下方に位置する第1導電型のフィールドストップ層と、
前記フィールドストップ層の下方に位置する第2導電型のコレクタ領域と、
前記コレクタ領域の下方に位置し且つ前記コレクタ領域に電気的に接続されるコレクタ金属層と、を更に備える。
【0015】
第2の態様によれば、本開示は、第1の態様のいずれか一項に記載の半導体デバイスのセル構造を複数備える半導体デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0016】
以上の技術案によれば、少なくとも以下のような技術的効果を達成することができる。
本開示は、半導体デバイスのセル構造及び半導体デバイスを提供する。該半導体デバイスのセル構造は、第1導電型の基板と、前記基板の上面内において順に並べて設けられた少なくとも1つの第1のトレンチゲート、少なくとも1つの第2のトレンチゲート、少なくとも1つの第3のトレンチゲート及び少なくとも1つの第4のトレンチゲートと、前記基板の上面内に位置し且ついずれか2つの隣接するトレンチゲートの間に位置する第2導電型のウェル領域と、前記ウェル領域の上面内に位置し且つ前記第1のトレンチゲートの両側、前記第3のトレンチゲートの両側及び前記第4のトレンチゲートの両側に位置する第1導電型のソース領域と、前記基板の上方に位置するとともに前記ソース領域に電気的に接続されるエミッタ金属層とを備える。ここで、前記第1のトレンチゲート、前記第2のトレンチゲート及び前記第3のトレンチゲートと前記エミッタ金属層との間は第1の層間誘電体層によって隔離され、前記第4のトレンチゲートは前記エミッタ金属層に電気的に接続される。このようなセル構造は、オン電圧降下、飽和電流及び短絡時間の3つのパラメータのより良いトレードオフのバランスを実現できるとともに、デバイスのdv/dt耐性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面は、本開示に対するさらなる理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態とともに本開示を解釈するが、本開示に対する限定にはならない。
【
図1】従来のプレーナゲートフィールドストップ型IGBTのセル構造の断面構造の概略図である。
【
図2】従来のトレンチゲートフィールドストップ型IGBTのセル構造の断面構造の概略図である。
【
図3】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスのセル構造の断面構造の概略図である。
【
図4】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスのセル構造の正面平面概略図である。
【
図5】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスの断面構造の概略図である。
【
図6】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスのセル構造の製造方法のフローチャートである。
【
図7】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスのセル構造の製造方法の関連ステップによって形成される第1の中間構造の断面構造の概略図である。
【
図8】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスのセル構造の製造方法の関連ステップによって形成される第2の中間構造の断面構造の概略図である。
【
図9】本開示の例示的な一実施例に係る半導体デバイスのセル構造の製造方法の関連ステップによって形成される第3の中間構造の断面構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施例を用いて本開示の実施形態を詳細に説明することにより、本開示がどのように技術的手段を適用して技術的問題を解決し、対応する技術的効果を達成するかの実現過程を十分に理解させて実施可能にする。本開示の実施例及び実施例における各構成は、互いに衝突しない限り、互いに組み合わせることができ、形成される技術案はいずれも本開示の保護範囲に属する。図面では、明確にするために、層及び領域の寸法及び相対的な寸法が誇張される可能性がある。同じ符号はずっと同じ要素を表す。
【0019】
なお、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語を用いて様々な要素、部品、領域、層及び/又は部分を記述することができるが、これらの要素、部品、領域、層及び/又は部分はこのような用語により限定されてはならない。このような用語は、1つの要素、部品、領域、層又は部分を、他の要素、部品、領域、層又は部分から区別するために使用されるものに過ぎない。よって、以下で説明される第1の要素、部品、領域、層又は部分は、本開示の教示から逸脱しない前提で、第2の要素、部品、領域、層又は部分として表されてもよい。
【0020】
なお、「…の上方にある」、「…の上方に位置する」、「…の下方にある」、「…の下方に位置する」などの空間関係の用語は説明の便宜上で使用され、それによって図面に示される1つの要素又は構成と他の要素又は構成との関係が説明される。ただし、空間関係の用語は、図面に示される方向付けに加えて、使用時及び動作中のデバイスの異なる方向付けも含むことを意図する。例えば、「他の要素の下方にある」と記述された要素又は構成は、図面におけるデバイスが反転した場合、他の要素又は構成の「上にある」ように方向付けられる。つまり、「…の下方にある」及び「…の下にある」という例示的な用語は、上と下の2つの方向付けを含みうる。デバイスは、別の態様に方向付けられる(90度回転するか、又は他の態様に方向付けられる)ことができ、ここで使用される空間記述用語はそれに応じて解釈される。
【0021】
ここで使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本開示に対する限定にはならない。本明細書において、単数形の「1」、「1つ」及び「前記/該」は、文脈上で他の態様として明記されていない限り、複数形も含むことを意図する。また、「構成する」及び/又は「含む」という用語は、本明細書で使用される場合、かかる構成、整数、ステップ、動作、素子及び/又は部品の存在を特定するが、1つ以上の他の構成、整数、ステップ、動作、素子、部品及び/又はグループの存在又は付加を排除しない。「及び/又は」という用語は、ここで使用される場合、列挙された関連項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0022】
ここでは、本開示の好適な実施例(及び中間構造)の概略的な断面図を参照しながら本開示の実施例を説明する。このように、図面に示す形状が例えば製造技術及び/又は許容差によって発生する変化は予想可能である。つまり、本開示の実施例は、ここで示される領域の特定の形状に限定されず、製造などによる形状バラツキも含むべきである。例えば、矩形として示される注入領域においては、注入領域から非注入領域まで二元的に変化するわけではなく、その縁部には通常、丸いか又は湾曲する特徴及び/又は注入濃度勾配を有する。同じく、注入によって埋蔵領域が形成される場合、該埋蔵領域と、注入が行われる際に経過された表面との間の領域にも多少注入される可能性がある。よって、図に示される領域は実質的に模式的なものであり、それらの形状はデバイスの領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、本開示の範囲を限定することも意図していない。
【0023】
本開示が完全に理解されるために、以下の記述においては詳細な構造及びステップを提案して、本開示による技術案を説明する。本開示の好適な実施例は以下のように詳しく記述されるが、本開示はこれらの詳しい記述以外にも他の実施形態を有しうる。
【0024】
<実施例1>
図3と
図4に示すように、本開示の実施例は、基板101、少なくとも1つの第1のトレンチゲート102、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104、少なくとも1つの第4のトレンチゲート105、ウェル領域106、ソース領域107、第1の層間誘電体層108、第2の層間誘電体層109、エミッタ金属層110、フィールドストップ層111、コレクタ領域112及びコレクタ金属層(図示せず)を備える、半導体デバイスのセル構造を提供する。
【0025】
なお、
図4において第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の形状及び位置を明確に示すために、
図4ではウェル領域106、ソース領域107、第1の層間誘電体層108、第2の層間誘電体層109、エミッタ金属層110、フィールドストップ層111、コレクタ領域112及びコレクタ金属層を示していない。ただ、
図3を併せて参照すると、ウェル領域106、ソース領域107、第1の層間誘電体層108、第2の層間誘電体層109、エミッタ金属層110、フィールドストップ層111、コレクタ領域112及びコレクタ金属層の形状及び位置は理解できる。
【0026】
例示的に、基板101は第1導電型の基板である。基板101はエピタキシャル成長されたドリフト層であってもよい。
【0027】
少なくとも1つの第1のトレンチゲート102、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104、少なくとも1つの第4のトレンチゲート105は、順に基板101の上面内に並べて設けられる。
【0028】
第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105は、同じ方向に沿って延びる。
【0029】
第1のトレンチゲート102は、基板101の上面内に位置する第1のゲートトレンチ(図示せず)と、第1のゲートトレンチ内に設けられた第1のゲート(図示せず)と、第1のゲートトレンチと第1のゲートとの間に設けられた第1のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第1のゲート絶縁層は、第1のゲートを基板101から隔離する。
【0030】
第2のトレンチゲート103は、基板101の上面内に位置する第2のゲートトレンチ(図示せず)と、第2のゲートトレンチ内に設けられた第2のゲート(図示せず)と、第2のゲートトレンチと第2のゲートとの間に設けられた第2のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第2のゲート絶縁層は、第2のゲートを基板101から隔離する。
【0031】
第3のトレンチゲート104は、基板101の上面内に位置する第3のゲートトレンチ(図示せず)と、第3のゲートトレンチ内に設けられた第3のゲート(図示せず)と、第3のゲートトレンチと第3のゲートとの間に設けられた第3のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第3のゲート絶縁層は、第3のゲートを基板101から隔離する。
【0032】
第4のトレンチゲート105は、基板101の上面内に位置する第4のゲートトレンチ(図示せず)と、第4のゲートトレンチ内に設けられた第4のゲート(図示せず)と、第4のゲートトレンチと第4のゲートとの間に設けられた第4のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第4のゲート絶縁層は、第4のゲートを基板101から隔離する。
【0033】
ウェル領域106は第2導電型のウェル領域である。ウェル領域106は、いずれかの、互いに隣接する2つのトレンチゲートの間に位置する。第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の深さは、いずれもウェル領域106の深さより大きい。ウェル領域106の上面は、基板101の上面に面一である。各トレンチゲートは、その両側にあるウェル領域106と接触する。ウェル領域106の接合深さは2.5umであってもよい。
【0034】
ソース領域107は第1導電型のソース領域である。ソース領域107は、ウェル領域106の表面内に設けられ、且つ第1のトレンチゲート102の両側、第3のトレンチゲート104の両側及び第4のトレンチゲート105の両側に設けられる。第1のトレンチゲート102は、その両側にあるソース領域107にそれぞれ接触し、第3のトレンチゲート104は、その両側にあるソース領域107にそれぞれ接触し、第4のトレンチゲート105は、その両側にあるソース領域107にそれぞれ接触する。ソース領域107の上面は、ウェル領域106の上面に面一である。ソース領域107の接合深さはウェル領域106の接合深さより小さく、ソース領域107の接合深さは0.8umであってもよい。
【0035】
第1の層間誘電体層108は、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104の上方に設けられ、且つ第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104をエミッタ金属層110から隔離するように、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104の上面を覆う。
【0036】
第2の層間誘電体層109は、第4のトレンチゲート105の上方に設けられる。さらに、第2の層間誘電体層109は、第2の層間誘電体層109を貫穿するコンタクトホール(図示せず)を備える。コンタクトホール内には導電性材料が充填され、この導電性材料はエミッタ金属層110の材料と同じであってもよい。
【0037】
第1の層間誘電体層108は、第2の層間誘電体層109と材料が同じであってもよく、該材料はホウリンケイ酸ガラス(BPSG)であってもよく、厚さは1umである。
【0038】
エミッタ金属層110は、基板101の上方に位置し且つソース領域107の上面を覆い、ソース領域107と電気的接続を形成し、並びにコンタクトホール内に充填された導電性材料を介して第4のトレンチゲート105との電気的接続を実現する。
【0039】
第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104は、外部ゲート駆動回路に接続される。
【0040】
以上から分かるように、第1のトレンチゲート102及び第3のトレンチゲート104は、外部ゲート駆動回路に接続されるとともに、各自の両側にあるソース領域107に接触するため、第1のトレンチゲート102及び第3のトレンチゲート104はいずれも真のゲートである。第1のトレンチゲート102、第3のトレンチゲート104及びエミッタが外部から電圧印加されると、まずはウェル領域106において反転チャネルが形成され、次に第1のトレンチゲート102及び第3のトレンチゲート104の両側のソース領域107が反転電子チャネルにおける電子の、エミッタからコレクタまでの通路を実現し、オン電流が形成される。
【0041】
第2のトレンチゲート103は外部ゲート駆動回路に接続されるが、第2のトレンチゲート103の両側にはソース領域107がないため、第2のトレンチゲート103はダミーゲートである。第2のトレンチゲート103とエミッタが外部から電圧印加されると、ウェル領域106において反転チャネルが形成される(キャリアの蓄積)が、ソース領域107がないため、反転電子通路が形成できず、オン電流が形成されない。しかし、第2のトレンチゲート103とエミッタが外部から電圧印加されると、反転電子の存在により、コレクタの正孔は上向きに等速に吸引されることができ、正孔電流の輸送に有利である。そのため、Vcesatが降下して、オン損失が低減することができる。
【0042】
第4のトレンチゲート105はその両側のソース領域107に接触するが、第4のトレンチゲート105は、エミッタ金属層110に電気的に接続され、外部ゲート制御回路には接続されないため、ゲート制御が実現できない。その結果、ウェル領域106において反転電子が形成されなく、電子の通路も実現されなくて導電チャネルが形成できず、飽和電流が低下し、短絡時間Tscが向上する。
【0043】
ここで、真のゲートとダミーゲートは交互に設けられ、第1のトレンチゲート102と第3のトレンチゲート104との間は、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103によって隔離され、第2のトレンチゲート103と第4のトレンチゲート105との間は、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104によって隔離される。
【0044】
ここで、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の数は該セル構造の大きさに相関し、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の数は、飽和電流、Vcesat及び短絡耐量の間のトレードオフのバランスを達成できるように設定される。
【0045】
また、真のゲート間はダミーゲートによって隔てられ、それによって過大な電流密度を回避でき、デバイスのdv/dt耐性を高めることができる。
【0046】
例示的に、
図3に示すように、第1のトレンチゲート102の数は1であってもよく、第2のトレンチゲート103の数は2であってもよく、第3のトレンチゲート104の数は1であってもよく、第4のトレンチゲート105の数は2であってもよい。
【0047】
フィールドストップ層111は第1導電型のフィールドストップ層であり、フィールドストップ層111は基板101の下方に位置する。
【0048】
コレクタ領域112は第2導電型のコレクタ領域であり、コレクタ領域112はフィールドストップ層111の下方に位置する。
【0049】
コレクタ金属層はコレクタ領域112の下方に位置し且つコレクタ領域112と電気的に接続される。
【0050】
本実施例において、第1導電型と第2導電型とは互いに反対になる。例えば、第1導電型がN型の場合に第2導電型はP型であり、第1導電型がP型の場合に第2導電型はN型である。具体的には、実際に製造されるデバイスの種類に応じて合理的に選択すればよい。
【0051】
この半導体デバイスのセル構造はIGBTのセル構造である。
【0052】
本実施例では、半導体デバイスのセル構造が提案される。該セル構造は、第1導電型の基板101と、基板101の上面内において順に並べて設けられた少なくとも1つの第1のトレンチゲート102、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104及び少なくとも1つの第4のトレンチゲート105と、基板101の上面内に位置し且ついずれか2つの隣接するトレンチゲートの間に位置する第2導電型のウェル領域106と、ウェル領域106の上面内に位置し且つ第1のトレンチゲート102の両側、第3のトレンチゲート104の両側及び第4のトレンチゲート105の両側に位置する第1導電型のソース領域107と、基板101の上方に位置するとともにソース領域107に電気的に接続されるエミッタ金属層110と、を備える。ここで、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104は第1の層間誘電体層108によってエミッタ金属層110から隔離されており、第4のトレンチゲート105はエミッタ金属層110に電気的に接続される。このようなセル構造は、オン電圧降下、飽和電流及び短絡時間の3つのパラメータのより良いトレードオフのバランスを実現することができ、デバイスのdv/dt耐性を高めることもできる。
【0053】
<実施例2>
実施例1をもとに、本実施例は半導体デバイスを提供し、該半導体デバイスは複数の、実施例1に係るセル構造を備える。その構造は
図5に示す通りである。
【0054】
<実施例3>
実施例1をもとに、本実施例は半導体デバイスのセル構造の製造方法を提供する。
図6は本開示の実施例に係る半導体デバイスのセル構造の製造方法のフローチャートである。
図7~
図9は、本開示の実施例に係る半導体デバイスのセル構造の製造方法の関連ステップによって形成される断面構造の概略図である。以下、
図6及び
図7~
図9を参照しながら本開示の実施例による半導体デバイスのセル構造の製造方法の1つの例示的な方法の詳しいステップを説明する。
【0055】
図6に示すように、本実施例の半導体デバイスのセル構造の製造方法は、以下のステップを含む。
【0056】
ステップS110において、第1導電型の基板101を提供する。
【0057】
基板101は、エピタキシャルシリコンウェハ又はフローティングゾーン法(すなわちFZ法)によって成長されたシリコンウェハである。基板101はエピタキシャル成長されたドリフト層であってもよい。
【0058】
ステップS120において、基板101の上面内に、順に並べられる少なくとも1つの第1のトレンチゲート102、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104及び少なくとも1つの第4のトレンチゲート105を形成する。
【0059】
第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105は、同じ方向に沿って延びる。
【0060】
第1のトレンチゲート102は、基板101の上面内に位置する第1のゲートトレンチ(図示せず)と、第1のゲートトレンチ内に設けられた第1のゲート(図示せず)と、第1のゲートトレンチと第1のゲートとの間に設けられた第1のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第1のゲート絶縁層は、第1のゲートを基板101から隔離する。
【0061】
第2のトレンチゲート103は、基板101の上面内に位置する第2のゲートトレンチ(図示せず)と、第2のゲートトレンチ内に設けられた第2のゲート(図示せず)と、第2のゲートトレンチと第2のゲートとの間に設けられた第2のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第2のゲート絶縁層は、第2のゲートを基板101から隔離する。
【0062】
第3のトレンチゲート104は、基板101の上面内に位置する第3のゲートトレンチ(図示せず)と、第3のゲートトレンチ内に設けられた第3のゲート(図示せず)と、第3のゲートトレンチと第3のゲートとの間に設けられた第3のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第3のゲート絶縁層は、第3のゲートを基板101から隔離する。
【0063】
第4のトレンチゲート105は、基板101の上面内に位置する第4のゲートトレンチ(図示せず)と、第4のゲートトレンチ内に設けられた第4のゲート(図示せず)と、第4のゲートトレンチと第4のゲートとの間に設けられた第4のゲート絶縁層(図示せず)とを備える。第4のゲート絶縁層は、第4のゲートを基板101から隔離する。
【0064】
各トレンチゲートのゲート材料は、多結晶シリコンを含む。
【0065】
ステップS130において、基板101の上面内に、いずれか2つの隣接するトレンチゲートの間において第2導電型のウェル領域106を形成する。
【0066】
ウェル領域106は第2導電型のウェル領域である。ウェル領域106は、いずれか2つの隣接するトレンチゲートの間に位置する。第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の深さは、いずれもウェル領域106の深さより大きい。ウェル領域106の上面は基板101の上面に面一である。各トレンチゲートは、その両側にあるウェル領域106に接触する。
【0067】
ここで、第1導電型がN型であって第2導電型がP型である場合、P型のウェル領域106はホウ素イオンの注入によって形成される。注入エネルギーは100KeVであり、1000度の熱的プロセスにより約2.5umのドーピング接合深さを形成する。P型のウェル領域106のイオン注入は全面イオン注入であり、マスクを必要としない。各トレンチゲートのゲートにホウ素イオンが注入されても、ゲートの性能への影響は小さい。
【0068】
ステップS140において、
図7に示すように、ウェル領域106の上面内に、第1のトレンチゲート102の両側、第3のトレンチゲート104の両側及び第4のトレンチゲート105の両側において第1導電型のソース領域107を形成する。ここで、第1のトレンチゲート102、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105はそれぞれ、各自の両側のソース領域107と接触する。
【0069】
ソース領域107は第1導電型のソース領域である。ソース領域107は、ウェル領域106の表面内に設けられ、且つ第1のトレンチゲート102の両側、第3のトレンチゲート104の両側及び第4のトレンチゲート105の両側に設けられる。第1のトレンチゲート102は、その両側にあるソース領域107にそれぞれ接触し、第3のトレンチゲート104は、その両側にあるソース領域107にそれぞれ接触し、第4のトレンチゲート105は、その両側にあるソース領域107にそれぞれ接触する。ソース領域107の上面はウェル領域106の上面に面一である。
【0070】
ここで、第1導電型がN型であって第2導電型がP型である場合、N型のソース領域107はリンイオンの注入によって形成される。注入エネルギーは90Kevであり、そして950度の熱プロセスにより0.8umのドーピング接合深さに形成される。N型のソース領域107のイオン注入にはマスクが必要である。
【0071】
ステップS140の後に、以下のステップを更に含む。
【0072】
S142において、
図8に示すように、基板101の上方に誘電体層113を堆積させる。
【0073】
S144において、
図9に示すように、誘電体層113をパターニングすることにより、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104の上方において第1の層間誘電体層108を形成し、第4のトレンチゲート105の上方において第2の層間誘電体層109を形成する。ここで、第2の層間誘電体層109は、第2の層間誘電体層109を貫穿するコンタクトホールを備える。
【0074】
上述した誘電体層の材料はホウリンケイ酸ガラス(BPSG)を含み、堆積厚さは1umである。
【0075】
誘電体層のパターニングプロセスは主にホールエッチングプロセスであり、ホールエッチングプロセスは2種類あり、1つ目はソース領域107の上方においてホールを開けてソース領域107とエミッタ金属層110とを接続させることであり、2つ目は第4のトレンチゲート105の上方においてホール(すなわち上述のコンタクトホール)を開けて第4のトレンチゲート105と後に形成されるエミッタ金属層110とを電気的に接続させることである。
【0076】
ステップS150において、基板101の上方において、ソース領域107に電気的に接続されるエミッタ金属層110を形成する。ここで、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104と、エミッタ金属層110との間は、第1の層間誘電体層108によって隔離される。第4のトレンチゲート105はエミッタ金属層110に電気的に接続される。
【0077】
具体的に、エミッタ金属層110は、コンタクトホール内に充填された導電性材料を介して第4のトレンチゲート105と電気的接続を実現する。この導電性材料は、エミッタ金属層110の材料と同じものであってもよい。
【0078】
第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104は、外部ゲート駆動回路に接続される。
【0079】
以上から分かるように、第1のトレンチゲート102及び第3のトレンチゲート104は、外部ゲート駆動回路に接続されるとともに各自の両側のソース領域107に接触するため、第1のトレンチゲート102及び第3のトレンチゲート104はいずれも真のゲートである。第1のトレンチゲート102、第3のトレンチゲート104及びエミッタが外部から電圧印加されると、まずはウェル領域106において反転チャネルが形成され、次に第1のトレンチゲート102及び第3のトレンチゲート104の両側のソース領域107が、反転電子チャネルにおける電子の、エミッタからコレクタまでの通路を実現し、オン電流が形成される。
【0080】
第2のトレンチゲート103は外部ゲート駆動回路に接続されるが、第2のトレンチゲート103の両側にはソース領域107がないため、第2のトレンチゲート103はダミーゲートである。第2のトレンチゲート103とエミッタが外部から電圧印加されると、ウェル領域106において反転チャネルが形成される(キャリアの蓄積)が、ソース領域107がないため、反転電子通路が形成できず、オン電流が形成されない。しかし、第2のトレンチゲート103とエミッタが外部から電圧印加されると、反転電子の存在により、コレクタの正孔は上向きに等速に吸引されることができ、正孔電流の輸送に有利である。そのため、Vcesatが降下して、オン損失が低減することができる。
【0081】
第4のトレンチゲート105はその両側のソース領域107に接触するが、第4のトレンチゲート105は、エミッタ金属層110に電気的に接続され、外部ゲート制御回路には接続されないため、ゲート制御が実現できない。その結果、ウェル領域106において反転電子が形成されなく、電子の通路も実現されなくて導電チャネルが形成できず、飽和電流が低下し、短絡時間Tscが向上する。
【0082】
ここで、真のゲートとダミーゲートは交互に設けられ、第1のトレンチゲート102と第3のトレンチゲート104との間は、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103によって隔離され、第2のトレンチゲート103と第4のトレンチゲート105との間は、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104によって隔離される。
【0083】
ここで、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の数は該セル構造の大きさに相関し、第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105の数は、飽和電流、Vcesat及び短絡耐量の間のトレードオフのバランスを達成できるように設定される。
【0084】
また、真のゲート間はダミーゲートによって隔てられ、それによって過大な電流密度を回避でき、デバイスのdv/dt耐性を高めることができる。
【0085】
例示的に、第1のトレンチゲート102の数は1であってもよく、第2のトレンチゲート103の数は2であってもよく、第3のトレンチゲート104の数量は1であってもよく、第4のトレンチゲート105の数は2であってもよい。
【0086】
ステップS150の後には、さらに表面パッシベーション層の堆積、エッチングを行ってから、裏面の薄肉化プロセスを行い、次いでイオン注入、金属化などのプロセスを行う必要がある。
【0087】
ステップS160において、基板101の下方において第1導電型のフィールドストップ層111を形成する。
【0088】
フィールドストップ層111は第1導電型のフィールドストップ層であり、フィールドストップ層111は基板101の下方に位置する。
【0089】
ステップS170において、フィールドストップ層111の下方において第2導電型のコレクタ領域112を形成する。
【0090】
コレクタ領域112は第2導電型のコレクタ領域であり、コレクタ領域112はフィールドストップ層111の下方に位置する。
【0091】
ステップS180において、コレクタ領域112の下方において、コレクタ領域112に電気的に接続されるコレクタ金属層を形成する。
【0092】
本実施例において、第1導電型と第2導電型とは互いに反対になる。例えば、第1導電型がN型の場合に第2導電型はP型であり、第1導電型がP型の場合に第2導電型はN型である。具体的には、実際に製造されるデバイスの種類に応じて合理的に選択すればよい。
【0093】
以上から分かるように、本開示に係る半導体デバイスは、従来のトレンチゲートIGBTの製造プロセスの流れと一致しており、プロセスの複雑性を増加させず、コストを増加させない。
【0094】
本実施例では、半導体デバイスのセル構造の製造方法を提供する。該半導体デバイスのセル構造の製造方法は、第1導電型の基板101を提供するステップと、基板101の上面内に、順に並べられる少なくとも1つの第1のトレンチゲート102、少なくとも1つの第2のトレンチゲート103、少なくとも1つの第3のトレンチゲート104及び少なくとも1つの第4のトレンチゲート105を形成するステップと、基板101の上面内に、いずれか2つの隣接するトレンチゲートの間において第2導電型のウェル領域106を形成するステップと、ウェル領域106の上面内に、第1のトレンチゲート102の両側、第3のトレンチゲート104の両側及び第4のトレンチゲート105の両側において第1導電型のソース領域107を形成するステップであって、第1のトレンチゲート102、第3のトレンチゲート104及び第4のトレンチゲート105はそれぞれ各自の両側のソース領域107に接触するステップと、基板101の上方において、ソース領域107に電気的に接続されるエミッタ金属層110を形成するステップと、を含む。第1のトレンチゲート102、第2のトレンチゲート103及び第3のトレンチゲート104とエミッタ金属層110との間は、第1の層間誘電体層108によって隔離される。第4のトレンチゲート105はエミッタ金属層110に電気的に接続される。この製造方法により製造されるセル構造は、オン電圧降下、飽和電流及び短絡時間の3つのパラメータのより良いトレードオフのバランスを実現することができるとともに、デバイスのdv/dt耐性を高めることができる。
【0095】
以上は、本開示の好適な実施例にすぎず、本開示を限定するものではなく、当業者にとって、本開示は、様々な変更及び変更があり得る。本開示の精神と原則の中で行われるいかなる修正、均等置換、改善などは、すべて本開示の保護範囲に含まれるべきである。本開示に開示された実施形態は上記の通りであるが、その内容は本開示の理解を容易にするために採用された実施形態にすぎず、本開示を限定するものではない。本開示が属する技術分野内のいかなる技術者も、本開示に開示された精神及び範囲を逸脱することなく、実施の形式及び細部においていかなる修正及び変更を加えることができるが、本開示の保護範囲は、依然として添付の特許請求の範囲に規定された範囲に準拠しなければならない。
【国際調査報告】