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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】マイクロ粒子の分布
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/50 20060101AFI20240408BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 33/18 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 33/244 20190101ALI20240408BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 51/02 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 51/12 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61K9/50
A61K45/00
A61K47/46
A61K33/00
A61K33/18
A61K33/34
A61K33/244
A61P35/00
A61P1/16
A61P25/00
A61P1/18
A61P13/12
A61P11/00
A61P1/00
A61K47/02
A61K51/02 100
A61K51/12 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568113
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 GB2022051126
(87)【国際公開番号】W WO2022234266
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2106412.6
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】303039785
【氏名又は名称】バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】507226592
【氏名又は名称】オックスフォード ユニヴァーシティ イノヴェーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンス、ジョナサン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ストライド、エレノア フィービー ジェーン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076AA31
4C076AA61
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC01
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC17
4C076CC27
4C076DD21
4C076FF70
4C084AA12
4C084AA17
4C084MA21
4C084MA38
4C084MA41
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA10
4C086HA01
4C086HA05
4C086HA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA21
4C086MA38
4C086MA41
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZB26
(57)【要約】
マイクロ粒子を分布させる方法を提供する。方法は、媒体における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、ガスバブルが腫瘍中で所望の空間分布へのマイクロ粒子の移動を駆動するようにガスバブルの移動を駆動する超音波を挿入部位に印加するステップとを含む。方法は、腫瘍を治療する方法でもよく、マイクロ粒子は腫瘍を治療するための放射性同位体を含んでもよい。本方法による腫瘍の治療に使用するためのマイクロ粒子も、開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記媒体内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法。
【請求項2】
前記マイクロ粒子はマイクロスフェアである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、200μm以下、または好ましくは150μm以下、またはより好ましくは120μm以下の平均サイズを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、1μm以上、または好ましくは5μm以上、またはより好ましくは10μm以上、または20μm以上、または50μm以上、または100μm以上の平均サイズを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、10g/ml以下、または好ましくは5g/ml以下、またはより好ましくは4g/ml以下の密度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、1g/ml以上、または好ましくは2g/ml以上、またはより好ましくは3g/ml以上の密度を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロ粒子はセラミックを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロ粒子は少なくとも1つの放射性同位体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記放射性同位体は、ベータ線またはガンマ線放出放射性同位体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記放射性同位体は、イットリウム-90、ヨウ素-125、銅-64、スカンジウム-44、ルテチウム-176、またはホルミウム-166である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ粒子は、イットリウムアルミノシリケートガラスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロ粒子は、10Bq以上の放射能で放射線を放出する、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記マイクロ粒子は、5000Bq以下の放射能で放射線を放出する、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記キャビテーション核は、前記媒体に対して外因性であり、前記方法は前記挿入部位に複数のキャビテーション核を提供するステップをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のマイクロ粒子および前記複数のキャビテーション核を含む組成物が、前記挿入部位に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のマイクロ粒子および前記複数のキャビテーション核は、別々のステップで前記挿入部位に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記キャビテーション核は前記媒体に対して内因性である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記キャビテーション核は、マイクロバブル、ナノバブル、ナノ液滴、およびガス安定化ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波は、0.1~5MHzの範囲の基本周波数を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波は、0.1~10Hzの範囲のパルス繰り返し周波数を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記超音波は、1%~100%の範囲のデューティサイクルを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記超音波は、前記挿入部位で1~20MPaの範囲のピーク圧力を及ぼす、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記媒体は患者の組織である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記患者の腫瘍を治療する方法であって、前記複数のマイクロ粒子は少なくとも1つの放射性同位体を含み、前記空間分布は放射線を提供して前記腫瘍を治療するためのものであり、各マイクロ粒子は放射性同位体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記挿入部位は前記腫瘍内にある、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記挿入部位は前記腫瘍に隣接する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記空間分布は前記腫瘍全体の分布である、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記挿入部位は、前記腫瘍の一部を切除することによって形成された空洞内にあり、または前記挿入部位は前記腫瘍の一部を切除することによって形成された腫瘍縁にある、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍は固体腫瘍である、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記固体腫瘍は、肝臓、脳、膵臓、腎臓、肺、喉、首、または腸の腫瘍である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記腫瘍は、神経膠腫、膠芽腫、または髄膜腫である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
放射性同位体を含み、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療に使用される、複数のマイクロ粒子。
【請求項33】
請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療に使用される、複数のキャビテーション核。
【請求項34】
複数のキャブテーション核と複数のマイクロ粒子とを含む組成物であって、前記マイクロ粒子は放射性同位体を含み、前記組成物は、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療に使用される、組成物。
【請求項35】
複数のキャビテーション核と複数のマイクロ粒子とを含む製品であって、前記マイクロ粒子は放射性同位体を含む、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療において同時または逐次的な使用のための組み合わせ製剤としての、製品。
【請求項36】
前記放射性同位体はベータ線またはガンマ線放出放射性同位体である、請求項32に記載のマイクロ粒子、または請求項34に記載の組成物、または請求項35に記載の製品。
【請求項37】
前記放射性同位体は、イットリウム-90、ヨウ素-125、銅-64、スカンジウム-44、ルテチウム-176、またはホルミウム-166である、請求項32に記載のマイクロ粒子、または請求項34に記載の組成物、または請求項35に記載の製品。
【請求項38】
複数のマイクロ粒子の使用であって、前記粒子は放射性同位体を含む、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、使用。
【請求項39】
請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、複数のキャビテーション核の使用。
【請求項40】
複数のキャビテーション核と複数のマイクロ粒子とを含む組成物の使用であって、前記マイクロ粒子は放射性同位体を含む、請求項23~31のいずれか一項に記載の方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ粒子を分布させること関し、いくつかの態様では、放射性同位体を含むマイクロ粒子を分布させることによる固形腫瘍の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロスフェアなどのマイクロ粒子は多くの用途に使用されている。たとえば、医療アッセイの診断ツールとして使用されてもよく、プラスチックの密度を変更して浮力を高めるために使用されてもよい。放射性マイクロ粒子、すなわち少なくとも1つの放射性同位体を含むマイクロ粒子は、媒体内の物質のイメージングまたは操作に使用され得る。これらは医療イメージングやさまざまな病気の診断に広く使用されている。これらの用途の多くでは、マイクロ粒子を意図した位置に配置することが困難な場合がある。
【0003】
放射性マイクロ粒子の特定の用途は腫瘍の治療である。密封小線源療法、およびその最新の進化型選択的内部放射線療法(SIRT)には、バルク固体(例えば、ヨウ素結晶)またはコロイド懸濁液(例えば、クエン酸イットリウム懸濁液)などの放射性核を液体媒体へ注入することを要する。SIRTは、肝臓の放射線耐性が低いために外部ビーム放射線療法(EBRT)が適さない切除不能な肝細胞癌(HCC)患者の寿命を延ばすとともに生活の質を改善するために開発された。
【0004】
SIRTへの現在のアプローチは、既知のグレードの高純度同位体を使用し、特定の適応症に対して計算された放出エネルギーと治療期間を備えた永久的な生体適合性マイクロスフェアを使用して放射を局在化する。小線源療法と同様に、SIRTにより、そうでなければ集束されていない拡散した放射線の大量照射に耐えることができない放射線感受性の器官や組織に対する正確に制御された放射線療法が可能になる。治療は大腿骨または橈骨アクセスによる最小限の侵襲であるため、外来診療での送達が可能となり、EBRTの魅力的な代替手段となる。治療の最初の概念は1950年代に開発されたが、緩和技術としてのSIRTの採用および実践は、2000年代に現在のSIRT製品が承認されるまで普及しなかった。SIRTは依然として非治癒的な治療法であり、世界中のいくつかの健康機関によって推奨されている。
【0005】
SIRTの治療効果は、放射性マイクロスフェアの最終的な分布によって妨げられる。市販の放射線塞栓物質からのベータ線放出によって生じる放射線の浸透深さは限られているため、治療効果は腫瘍組織内のマイクロスフェアの分布と直接相関する。より大きな領域を治療するには、放射線の強度を下げてより多くのマイクロスフェアを使用するか、同じ数のスフェアをよりよく分布させる必要がある。
【0006】
マイクロスフェアの分布は、最終的には、マイクロスフェアを送達するカテーテルの配置によって制限される。低酸素性固形腫瘍では、がんの血管系が主に固形病変の周囲に存在し、固形塊の中心への放射性マイクロスフェアの送達が妨げられるため、腫瘍の広い領域が未治療のままになる可能性がある。したがって、照射のエネルギーとその後の照射の深さは、処置の実行可能性に極めて重要である。放射線の浸透深さが拡大され、腫瘍のより多くの部分の治療が可能になった場合、患者の予後も改善されることが期待される。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、マイクロ粒子を分布させる方法であって、媒体における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、ガスバブルが媒体中で所望の空間分布へのマイクロ粒子の移動を駆動するようにガスバブルの移動を駆動する超音波を挿入部位に印加するステップとを含む方法が提供される。
【0008】
驚くべきことに、マイクロスケールの粒子は、超音波誘起キャビテーションによって発生するバブル、特にマイクロバブルによって駆動され得ることが判明した。マイクロバブルの超音波誘起キャビテーションは、媒体の液体中にナノスケールの粒子を取り込むために使用されてきたが、マイクロバブルの超音波誘起キャビテーションが、より大きな(そしてより重い)マイクロスケールの粒子の移動をも駆動し得ることは予想外であった。ナノスケール条件で使用される同伴機構は、サイズと質量が大きく異なるマイクロスケールの粒子では不可能である。しかしながら、本発明者らは、超音波誘起キャビテーションによって発生したガスマイクロバブルがマイクロスケールの粒子に運動エネルギーを直接与え、マイクロ粒子の移動を駆動することができることを見出した。本明細書で使用するとき、キャビテーションとは、キャビテーション核からのさまざまなサイズのバブルの発生(すなわち、成長)およびその後の振動を指す。バブルは、超音波の印加中にその後崩壊する場合もあれば、崩壊しない場合もある。
【0009】
印加される超音波は2つの機能、すなわち、キャビテーション核に由来するキャビテーションによってマイクロ粒子を駆動するのに適したガスバブルを発生させること、およびバブルの移動を駆動することを実行する。次にキャビテーションバブルがマイクロ粒子の移動を駆動し、マイクロ粒子を所望の空間分布に分布させる。特に、マイクロバブルは、マイクロ粒子を媒体内に分散させ、および/または媒体内でマイクロ粒子を移動させることができる。
【0010】
このようにして、マイクロ粒子を最初の位置から非侵襲的に拡散させることができ、限られたキャピラリーのサイズによりさらなる拡散を妨げられる場合など、上記で説明したマイクロ粒子の限定された分布を回避できる。特に、この方法がマイクロ粒子を腫瘍内に分布させるために使用される場合、脈管構造が腫瘍の中心に向かって制限されている場合でも、マイクロスフェアは腫瘍内に拡散され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップは、キャビテーション核が位置する位置に複数のマイクロ粒子を提供することを含んでもよい。例えば、キャビテーション核は挿入部位に対して内因性であってもよい。他の実施形態では、マイクロ粒子とキャビテーション核の両方が、組成物として一緒に、または別々に、挿入部位に提供されてもよい。マイクロバブルが発生するキャビテーション核は、すでに挿入部位にある内因性核と、挿入部位に提供された外因性核との両方を含んでもよい。
【0012】
内因性キャビテーション核からバブルを発生させるには高い超音波エネルギーが必要となる場合があるため、全般的に外因性キャビテーション核が好ましい場合がある。これは、内因性キャビテーション核の数が少ないこと、または内因性キャビテーション核からバブルを発生させる際の非効率または高い活性化エネルギーが原因であり得る。内因性核からのキャビテーションに必要な高い超音波エネルギーは、周囲の媒体に損傷を与える可能性がある。
【0013】
キャビテーション核は、マイクロバブル、ナノバブル、ナノ液滴、およびガス安定化ナノ粒子(ナノカップまたはナノコーンなど、すなわち、キャビテーション核として作用する空隙を有するナノスケールのガス安定化シェル)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、各マイクロ粒子は、ベータ線またはガンマ線放出放射性同位体などの放射性同位体を含んでもよい。放射性同位体は、イットリウム-90、ヨウ素-125、銅-64、スカンジウム-44、ルテチウム(leutitium)-176、またはホルミウム-166のうちの1つ以上でもよい。マイクロ粒子を駆動するための超音波アプローチは、媒体内または媒体の周囲に放射性マイクロ粒子を分布させるための効率的かつ効果的な方法を提供することがわかっている。
【0015】
いくつかの実施形態では、マイクロ粒子は治療剤を含んでもよい。治療剤は、上記のように、1つ以上の放射性同位体を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、媒体は、ヒト組織などの組織であってもよい。組織は患者内にあってもよく、または患者から除去されていてもよい。組織は腫瘍または腫瘍の一部であってもよい。
【0016】
特定の実施形態では、この方法は、放射性同位体を含むマイクロ粒子を分布させることによって腫瘍を治療する方法であってもよい。腫瘍は、肝臓、脳、膵臓、腎臓、肺、喉、首、または腸の腫瘍であってもよく、特に神経膠腫、膠芽腫、または髄膜腫であってもよい。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、固形腫瘍を治療するための方法において、複数のマイクロ粒子を患者の組織における挿入部位に提供するステップであって、マイクロ粒子は少なくとも1つの放射性同位体を含むステップと、挿入部位に位置するキャビテーション核からガスバブルを発生させ、放射線を提供して腫瘍を治療するための空間分布へのマイクロ粒子の移動をガスバブルが駆動するようにガスバブルの移動を駆動する超音波を注射挿入部位に印加するステップと、を含む方法を提供する。挿入部位は腫瘍内にあってもよく、または腫瘍の外部(例えば、腫瘍に隣接している)にあってもよい。空間分布は、腫瘍全体にわたる分布であってもよい。
【0018】
本発明の第1の態様の任意の実施形態は、第2の態様、特に超音波、キャビテーション核、および/またはマイクロ粒子の性質に関する実施形態と組み合わされてもよい。
本発明の第3の態様によれば、複数のマイクロ粒子が提供され、マイクロ粒子は、放射性同位体を含み、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、固形腫瘍を治療する方法による腫瘍の治療に使用される。
【0019】
本発明の第4の態様によれば、複数のキャビテーション核が提供され、キャビテーション核は、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、固形腫瘍を治療する方法による腫瘍の治療に使用される。
【0020】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、固形腫瘍を治療する方法による腫瘍の治療に使用するための、複数のキャビテーション核および複数のマイクロ粒子を含む組成物が提供され、マイクロ粒子は放射性同位体を含む。
【0021】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、固形腫瘍を治療する方法である方法による腫瘍の治療において同時に、別々に、または逐次的に使用するための組み合わせ製剤として、複数のキャビテーション核および複数のマイクロ粒子を含む製品が提供され、マイクロ粒子は放射性同位体を含む。したがって、キャビテーション核およびマイクロ粒子は別々に供給して体内に挿入されてもよいが、超音波を印加することによって一緒に使用されて腫瘍を治療する。
【0022】
本発明の第7の態様によれば、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、腫瘍を治療する方法である方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、複数のマイクロ粒子の使用が提供され、マイクロ粒子は放射性同位体を含む。
【0023】
本発明の第8の態様によれば、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、腫瘍を治療する方法である方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、複数のキャビテーション核の使用が提供される。
【0024】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第2の態様の任意の実施形態または第1の態様の任意の実施形態による方法であって、固形腫瘍を治療する方法である方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、複数のキャビテーション核および複数のマイクロ粒子を含む組成物の使用が提供され、マイクロ粒子は放射性同位体を含む。
【0025】
よりよい理解を可能にするために、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を非限定的な例によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1(a)】本発明によるマイクロ粒子の分散方法を示す。
図1(b)】図1(a)の方法の第1のステップの特定の例を示す。
図1(c)】図1(a)の方法の第1のステップのさらなる例を示す。
図2】マイクロ粒子に適用される図1(a)の方法を概略的に表す。
図3】ナノカップを使用したバブルの形成を示す。
図4】HIFUトランスデューサから超音波を生成するための電子セットアップの概略図である。
図5】マイクロ粒子分布に対する焦点圧の影響を示すμCT画像を示す。
図6】同上。
図7】マイクロ粒子分布に対するウェル直径の影響を示すμCT画像を示す。
図8】マイクロ粒子分布に対するデューティサイクルの影響を示すμCT画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1(a)は、本発明による超音波を利用してマイクロ粒子を分布させる方法を示す。上述のように、マイクロ粒子を媒体中の意図した位置に移動させることは難しい場合がある。特にキャピラリーを使用してマイクロ粒子を媒体に導入する場合、マイクロ粒子は所望の分布に移動するのではなく、挿入部位でクラスター化する場合がある。図1(a)の方法は、超音波エネルギーを印加することによってマイクロ粒子の分布を改善する。
【0028】
図1(a)の方法は、媒体内に粒子を分布させるために使用される。媒体はプラスチックなどの材料であってもよく、マイクロ粒子は密度や浮力などの材料特性を変更するため、または診断目的、例えば外部から検出可能な放射性トレーサとして機能するために使用される。
【0029】
媒体は、ヒト組織などの組織であってもよい。組織は、インビボであってもエクスビボであってもよい。マイクロ粒子は、診断目的(例えば、放射性トレーサ)または非診断および非治療目的(組織の特性の変更など)で組織内で使用され得る。
【0030】
マイクロ粒子は、疾患を治療するために、代替的または追加的に組織内で使用されてもよい。特に、この方法は、腫瘍を治療するための空間分布に粒子を分布させるために使用されてもよい。腫瘍は固形腫瘍であってもよい。いくつかの実施形態では、この方法は、マイクロ粒子を分布させることによって腫瘍を治療する方法であってもよく、各マイクロ粒子は、放射性同位体などの治療剤を含む。換言すれば、この方法は、選択的内部放射線療法(SIRT)を提供するために使用され得る。
【0031】
SIRTはさまざまな腫瘍タイプの治療に使用されているが、最も一般的には肝細胞癌(HCC)、胆管癌、肝臓の結腸直腸癌転移(mCRC)などの肝臓癌の治療に使用される。SIRT治療の他の例には、膵臓神経内分泌腫瘍(pNET)、肺腫瘍、および神経膠腫などのCNS腫瘍が含まれる。現在も外部ビーム放射が第一選択の治療の一部として使用されている身体の他の領域へのSIRT技術の変換を可能にし、既にSIRTが利用可能な腫瘍の治療を改善することが望ましい。たとえば、膠芽腫は髄膜腫に次いで2番目に多く報告されている脳腫瘍であり、最も一般的な悪性腫瘍である。米国では膠芽腫が原発性脳腫瘍全体の15.4%、原発性悪性脳腫瘍の45.6%を占めている。多形性膠芽腫(GBM)患者の平均生存期間は1年で、5年以上生存できる人はわずか5%であり、予防戦略や標準化された二次治療は利用できない。これらの悲惨な数字は利用可能な治療法が限られていることを反映しており、ほとんどの処置では10~30週間で再発および疾患の進行をもたらす。非侵襲的な超音波プロセスを提供して腫瘍を治療するために分布に放射性マイクロ粒子を分布させることにより、図1(a)の方法は、膠芽腫、ならびに神経膠腫および髄膜腫の治療に使用され得る。全般的に、この方法は、肝臓、脳、膵臓、腎臓、肺、喉、首、または腸の固形腫瘍を治療するために使用されてもよい。
【0032】
以下の説明は、腫瘍を治療するためのマイクロ粒子の使用に最も頻繁に言及するが、説明される方法は、非生物材料などの非治療用途にも同様に適用され得ることを理解されたい。
【0033】
マイクロ粒子の注入
図1(a)の方法はステップ101で始まり、複数のマイクロ粒子が媒体における挿入部位に提供される。挿入部位にはまた、図1(b)および図1(c)に関連して以下でより詳細に説明されるように、キャビテーション核が提供されるか、またはすでにキャビテーション核を含んでいる。マイクロ粒子を提供するステップは、複数のマイクロ粒子を共通の位置に注入または挿入することを含んでもよい。マイクロ粒子がキャピラリーまたは空洞(天然に存在するか作製されたもの)を介して導入される場合、挿入部位は、マイクロ粒子が最初にキャピラリーに導入される点から離れていてもよい。例えば、挿入部位はキャピラリーの端にあってもよい。この方法が腫瘍の治療に使用される場合、提供するステップは、患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供することを含んでもよい。組織は、腫瘍そのもの、または腫瘍残存物(不完全な切除後のもの)、または腫瘍もしくは残存物に隣接するもしくは周囲の組織であり得る。
【0034】
図2(a)および図2(b)は、図1(a)の方法の概略的な例を示す。図2(a)は、マイクロ粒子が分布される媒体201を示す。複数のマイクロ粒子203が空洞202に挿入され、挿入部位204に集まる。マイクロ粒子203は、図1(a)の方法のステップ102に関連して以下でより詳細に説明されるように、超音波トランスデューサ205からの超音波の印加によって媒体201中に分布される。
【0035】
特定の例では、マイクロ粒子はマイクロスフェアであってもよい。マイクロスフェアはミクロンスケールの粒子であり、中実または中空のどちらかであり、ほぼ球形である。
マイクロ粒子はセラミックを含んでもよく、またはセラミックから構成されてもよい。このようなセラミックは、イットリウム-90などの放射性同位体と、シリコン、アルミニウム、ガリウム、ストロンチウム、マンガン、またはチタンなどの1つ以上の追加元素とを含んでもよい。出発原料は、典型的には酸化物または炭酸塩などの塩の形態であるので、セラミックは、典型的には酸素も含む。1つのアプローチでは、セラミックはイットリウムアルミノシリケートガラスであってもよい。セラミック材料は、不活性で比較的非圧縮性のマイクロ粒子を提供するのに特に有用である場合がある。SIRTに使用される特定の例は、Biocompatibles UK Ltd(Boston Scientific Corp.の一部)によって製造されるTheraSphere(登録商標)である。TheraSphere(登録商標)マイクロスフェアは、イットリウム、アルミニウム、シリコンという3つの高純度金属酸化物の組み合わせであり、これらを混合して極端な温度で溶かすことで固体(YAS)ガラスを生成する。ガラスは、裸火上で粉砕され、粉末化され、球形化されて、YASマイクロスフェアを形成する(例えば、参照により本明細書に援用されるUS4789501を参照)。セラミックSIRTマイクロスフェアのさらなる例は、WO16082045およびWO05087274に記載されている。
【0036】
本明細書に開示される方法は、全般的に、1μmから1000μmの範囲のサイズ(直径であってもよい)を有する粒子であるマイクロ粒子に適用することができる。マイクロ粒子は、200μm以下、または好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下の平均サイズを有し得る。マイクロ粒子は、1μm以上、または好ましくは5μm以上、またはより好ましくは10μm以上、または20μm以上、または50μm以上、または100μm以上の最小サイズを有し得る。例えば、TheraSphere(登録商標)マイクロスフェアは、15~35μmの範囲のサイズを有し、平均サイズは20~30μmの範囲であり、本方法およびヒト組織への配置の両方によく適している。マイクロ粒子サイズは、走査電子顕微鏡法(SEM)、光学顕微鏡法、および/またはレーザー回折粒子サイズ分析によって決定され得る。
【0037】
上述のように、放射性マイクロ粒子は、マイクロ粒子の特に有用な用途である。この目的のために、マイクロ粒子は少なくとも1つの放射性同位体を含んでもよい。放射性同位体は、イットリウム-90、ヨウ素-125、銅-64、スカンジウム-44、ルテチウム-176、またはホルミウム-166などのベータ線またはガンマ線放出放射性同位体であってもよい。特に、腫瘍の治療では、同位体の選択はエネルギー放出(電子ボルト、eV)に対してスクリーニングされ、有効性は放射性同位体崩壊生成物の全身毒性と比較検討される。ヨウ素-125およびイットリウム-90は、ヨウ素-127、およびイットリウム90の不活性崩壊生成物であるジルコニウム90よりも生物学的利用能が低いため、特に有用である。非典型的なベータ線放出同位体(例えば、Cu-64、Sc-44、Lu-176、Ho-166)は、イメージングの可能性が一致しているため放射線療法のための使用において成長傾向にあり、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)および磁気共鳴画像法(MRI)によるリアルタイムでの処置のモニタリングが可能になる。
【0038】
YASガラスから放射性マイクロスフェアを製造するには、Y89を含むYASマイクロスフェアを原子炉内で中性子衝撃にさらし、唯一の放射性成分としてイットリウム-90を生成する。シリコンまたはアルミニウムの中性子衝撃の結果として形成される他の同位体は、安定であるか、組成的に重要ではないとみなされる。濃縮されたY90同位体は、半減期64.1時間、平均エネルギー0.93MeVの崩壊エネルギーでZr90にβ崩壊する。不安定なY90原子からの電子の放出は、隣接する原子の静電反発によって減速される。この減速および運動エネルギーの損失は、「制動」ガンマ線として周囲の細胞に放出され(制動放射またはチェレンコフ放射)、イメージングのために外部で検出できる。隣接する細胞に放出されるエネルギーはDNA二本鎖切断を引き起こし、このDNA損傷の下流シグナル伝達により細胞壊死が引き起こされる。
【0039】
マイクロ粒子は、意図する治療のために臨床的に許容される吸収線量の放射線を提供するのに適した放射能レベルを有するように選択され得る。TheraSphere(登録商標)は、キャリブレーション時のマイクロスフェアあたり2500Bqの放射能を有する。全般的に、マイクロ粒子は少なくとも10Bq、好ましくは少なくとも40Bqの放射能を有し得る。いくつかの実施形態では、放射能は、スフェア当たり少なくとも500、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは少なくとも2000Bqである。スフェアあたりの最大放射能は、選択した同位体、送達されるスフェアの数などの要因によって決定される。いくつかの実施形態では、周囲の健康な組織への損傷を最小限に抑えながら最適な治療を提供するために、最大値は3000Bq、好ましくは5000Bqであってもよい。1用量のマイクロスフェアの総放射能は、3GBqから20GBqの範囲でもよい。
【0040】
腫瘍吸収線量の目標は、腫瘍組織および周囲の健康な組織の放射線に対する感受性に依存する。少なくとも50Gyの腫瘍組織への吸収線量が望ましいが、好ましくは少なくとも150Gyである。例として、肝腫瘍に使用される線量は、50Gyから500Gy、典型的には少なくとも150Gy、好ましくは少なくとも200Gyであり得る。LEGACY研究は最近、少なくとも400Gyの線量でHCCなどの肝腫瘍に高レベルの反応が得られることを示唆した(Ann Oncol.2020;31(suppl4):S692-S693)。神経膠腫などのCNS腫瘍の治療では、35Gyから115Gyの線量が報告されており(Pasciak et al.、EJNMMI Res.2020;10:96.)、肺腫瘍では約250Gyが使用されている(US10,232,063)。本明細書中の線量とは、腫瘍組織によって吸収される線量を指す。線量は、かん流組織、つまり腫瘍組織およびいくつかの周囲組織を含む組織への線量として測定され得る。かん流組織への線量は、全般的に腫瘍組織への線量よりも低くなる。
【0041】
マイクロ粒子は、10g/ml以下、または好ましくは5g/ml以下、より好ましくは4g/ml以下の密度を有し得る。マイクロ粒子は、1g/ml以上、または好ましくは2g/ml以上、またはより好ましくは3g/ml以上の密度を有し得る。例えば、マイクロ粒子であるTheraSphere(登録商標)は、3.6g/mlの相対密度を有する。これらの比較的高い密度は、実質的に非圧縮性の材料を使用することによって得られ、これは、SIRTおよびマイクロスフェアの他の用途にとって望ましい。高密度とミクロンサイズの粒子を組み合わせると、少なくともナノ粒子条件と比較して、比較的重い粒子が生成される。ここで、密度は個々のマイクロ粒子の密度である。密度は、球状化する前にマイクロ粒子が形成される原料(例えば、ガラス)から決定され得る。
【0042】
マイクロ粒子が腫瘍の治療に使用される場合、挿入部位は腫瘍内にあってもよい。あるいは、挿入部位は、例えば、以下のステップ102で説明される超音波エネルギーが腫瘍内へのマイクロ粒子の移動を駆動することができるほど腫瘍に十分近い距離に、腫瘍に隣接してもよい。挿入部位は、腫瘍の表面上であってもよく、または腫瘍表面から5cm以内、2cm以内、あるいは1cm以内であってもよい。特に、挿入部位は、腫瘍の一部を切除することによって形成された空洞またはキャピラリー内にあってもよい。図1(a)の方法は、腫瘍の一部を切除して空洞を形成するステップを含んでもよい。あるいは、挿入部位は、腫瘍の一部を切除することによって形成された腫瘍縁にあってもよい。図1(a)の方法は、腫瘍の一部を切除して腫瘍縁または腫瘍残存物を形成するステップを含んでもよい。
【0043】
マイクロ粒子の送達は、滅菌0.9%生理食塩水を用いて行われ、二次アクリルホルダ内にあるVガラスバイアルからマイクロカテーテルを介して動脈血管系にスフェアを流す。先端の配置およびマイクロカテーテルの内径は、オペレータ、利用可能性、地域の好みによって決定される。送達は、腫瘍自体ではなく、組織の全体積に役立つ血管系内の点にカテーテルによって実行されてもよい。このプロセスは腫瘍が局所的な血液供給を利用することに依存しているため、実際にはマイクロ粒子の大部分が最終的に腫瘍内に到達するが、一部は依然として周囲の組織に達する。あるいは、マイクロ粒子は、腫瘍に栄養を与える血管に直接送達されてもよい。ほぼすべてのマイクロ粒子が腫瘍に達し、限られた量だけが周囲の組織に達するので、これは超選択的送達と呼ばれる場合がある。
【0044】
照射治療は2週間以内に完了し、6週間後に実質および壊死組織にさらなるイメージングからなる患者の経過観察が行われ、潜在的には、処置の成果を評価するためにさらなる組織学を伴う。
【0045】
キャビテーション核
方法のステップ101に戻ると、マイクロ粒子203は、キャビテーション核が位置する挿入部位204に提供される。キャビテーション核は、超音波にさらされたときに、慣性(崩壊)または非慣性キャビテーションを受ける膨張するガスバブルを発生させる任意の材料と考えられ得る。膨張したバブルは、最大で1μmから500μmの範囲の直径を有し得る。したがって、発生したバブルはマイクロバブルと呼ばれることがある。バブルのサイズは、印加される超音波場の周波数に応じて振動し得る。膨張したバブルの密度は、全般的に、マイクロスフェアの密度よりもはるかに低くなる。膨張したバブルの密度(または平均密度)は、0.5kg/mから2kg/mの範囲、または0.9kg/mから1.1kg/mの範囲であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、外因性キャビテーション核が挿入部位204に提供される。いくつかの実施形態では、ステップ101は、マイクロ粒子203およびキャビテーション核の両方の組成物を挿入部位204に提供するステップを含む。図1(b)および図1(c)は、キャビテーション核およびマイクロ粒子203が別個のステップで提供される、組み合わせ組成物を使用する2つの代替実施形態を示す。
【0047】
図1(b)に示す第1の代替例では、ステップ101は、例えば上述の挿入方法を使用して、挿入部位204にマイクロ粒子203を提供する第1のステップ1001を含む。マイクロ粒子204を挿入した後、方法はステップ1002に進み、そこでキャビテーション核が挿入部位204に提供される。キャビテーション核を提供するプロセスは、上述したマイクロ粒子を挿入するプロセスと実質的に同様であり得る。
【0048】
図1(c)に示す第2の代替例では、これらのステップが逆になる。したがって、図1(c)では、方法のステップ101は、挿入部位204にキャビテーション核を提供する第1のステップ1101を含む。続いて、ステップ1102で、マイクロ粒子203が挿入部位204に提供される。
【0049】
あるいは、ステップ101で複数のマイクロ粒子が提供される挿入部位204は、キャビテーション核がすでに位置している場所であってもよい。特に、キャビテーション核は挿入部位に対して内因性であってもよい。このような実施形態では、外因性キャビテーション核を提供するステップがなくてもよい。あるいは、外因性キャビテーション核は、キャビテーション効果を高めるために、すでに内因性キャビテーション核を有する部位に提供されてもよい。全般的に、ガスバブルを発生させるために必要な超音波エネルギーが少なくなる傾向があるため、外因性キャビテーション核は好ましい。したがって、超音波によって引き起こされる周囲の組織への損傷のリスクが軽減される。
【0050】
適切なキャビテーション核には、マイクロバブル、ナノバブル、ガス安定化ナノ粒子(例えば、ナノカップ)、およびナノ液滴が含まれる。これらの各々については、以下で詳細に説明される。このようなキャビテーション核は、薬物送達などのナノスケール用途に超音波と組み合わせて使用されている。これらのナノスケールの粒子は、本発明のマイクロの粒子、特にSIRTで使用される高密度の非圧縮性マイクロスフェアとは非常に異なるスケールにある。本発明者らは、驚くべきことに、これらのキャビテーション核およびそれらが発生させるバブルは、はるかに大きく、より重い条件のマイクロ粒子に適用することができ、したがって、SIRTおよび他のマイクロ粒子用途におけるマイクロ粒子の限られた分布を克服するのに役立つことを見出した。
【0051】
マイクロバブルとナノバブル
キャビテーション核は、マイクロバブル(MB)および/またはナノバブルであってもよく、またはそれらを含んでもよい。マイクロバブルおよびナノバブルは非常に小さなガスのポケットで、通常はリン脂質でコーティングされたパーフルオロカーボンのガスコアを含む。超音波にさらされると、これらのガスポケットが膨張し、バブルの直径が増加する。キャビテーション核がマイクロバブルおよび/またはナノバブルを含む場合、キャビテーション核におけるキャビテーションによるバブルの発生は、マイクロ/ナノバブルをマイクロ粒子の駆動に適したより大きなバブルに成長/進化させることを含む。
【0052】
マイクロバブルは、インビボで、ブタ腎臓およびブタ肝臓で自然に発生することが確認されており、マイクロバブルの観測は、インビトロでのヒト赤血球(RBC)の濃度に直線的に比例する。
【0053】
インビボでマイクロバブルのクラウドを生成するのに十分な量の発生は、高密度焦点式超音波を使用して、超音波トランスデューサの焦点領域で液体を蒸発(熱または機械的ストレスによって)させることで可能である。
【0054】
外部の超音波場にさらされると、ガスが充填されたMBは場のエネルギーおよび周波数に応じた振幅で膨張および収縮する。低振幅ではバブルの振動はほぼ線形であるが、振幅が大きくなるにつれてバブルの挙動は次第に非線形になり、半径方向の膨張および収縮は波圧に応じてMBの最大体積によって大幅に変化し得る。バブルの共振周波数が超音波周波数を超えると、慣性の不安定または一時的なキャビテーションとして示される周期振動が失われ、バブルは崩壊する。この不安定なキャビテーション現象は、互いに異なる臨界励起圧力および振動周波数を有する新しいより小さなMB(核)を生成し得る。超音波にさらされると、システム内のバブルの自由エネルギーが増加し、バブルの温度および体積が増加するだけでなく、周囲の液体からのあらゆる溶解ガスがバブルと合体して体積膨張がさらに増加する。理論的には、バブルの膨張によりバブルと液体との界面における溶液中の閉じ込められたガスの相対濃度が増加し(整流拡散(rectified diffusion)として定義される)、ガスの流入とその後のMBの膨張がさらに促進される。
【0055】
合成マイクロバブルは主に、より大きなバブル(>lμm)から周囲の溶液へのガスの溶解を防ぐために、脂質またはタンパク質のシェルによって安定化されたガスコア(多くの場合パーフルオロカーボン)で構成され、1μm未満の安定したバブルは「ナノバブル」と呼ばれる。コアシェル化学がマイクロバブル集団の安定性とキャビテーション閾値に影響を及ぼし、多くの場合、表面に結合した目的の基材(細胞毒素、金属粒子、タンパク質、ウイルス)を伴う。
【0056】
ガス安定化ナノ粒子(ナノカップ)
いくつかの実施形態では、キャビテーション核は、カップまたは円錐の形態のガス安定化ナノ粒子であるか、またはそれを含んでもよい。ナノカップは、ナノスケールのガス安定化ポリマーベースのキャビテーション核である。
【0057】
ナノカップは、マイクロバブル単独よりも改良されていると考えられる。マイクロバブルの最大の欠点の1つは、真核細胞は典型的には5~10μmの範囲にあるが、細胞内皮細孔(100~800nm)と比較した相対的なサイズ(1μm以上)により、膜を通過できないことである。超音波下での急速な枯渇により、合成マイクロバブルによるキャビテーション現象は通常、1~2分を超えて持続することができない。しかし、ナノカップを使用すると、持続的なキャビテーションの持続時間が4倍に増加し得る。
【0058】
ナノメートルサイズ(<1μm)の中空ポリマースフェアは、シード熱開始乳化重合によって調製され得る。有機モノマーが反応すると、懸濁液滴の表面にポリマーのシェルまたはレンズが生成される。支持されていないポリマーフィルムの浸透圧により、表面シェルが内側に崩壊し、ポリマーディスクまたは「ナノカップ」が生成される。モノマー組成を変更すると、重合中の粒子内の粘度が変化し、その後ナノカップ内に生成される空洞のサイズが変化する。
【0059】
図3は、ナノカップ301からのバブル形成プロセスを概略的に示す。最初のステップでは、凹面ポリマーナノカップ301の小さな空洞は、キャビテーション現象の核生成部位であるその表面上に捕捉されたナノバブル302を有する。第2のステップでは、ガスナノバブル302は、超音波への曝露下で、ガスナノバブル302が位置する空洞の外側に半径方向に膨張する。第3のステップでは、ナノバブル302は臨界サイズに達し、そこでバブルとナノカップ301の間の接触角が最大値に近づき、ナノバブル302はナノカップ301から解離する(この時点で、自由ナノバブル302はおそらくミクロンサイズであり、マイクロバブルと考えられる)。ナノバブル/マイクロバブル302は膨張し続ける。最終的には、完全なバブル303が形成される。バブル303の最大半径は、ナノカップの空洞または音圧とは無関係であるが、集束超音波の周波数に直接関係する。超音波の振幅は、核となるバブルの数を制御し、その結果、非球面崩壊の頻度を制御する。ナノカップからのバブル形成のさらなる詳細は、Kwan,J.J.et al.,“Ultrahigh-Speed Dynamics of Micrometer-Scale Inertial Cavitation from Nanoparticles”Phys.Rev.Appl.6,1-8(2016)に記載されており、これは参照により本明細書に援用される。
【0060】
ナノ液滴
安定したガスコアを有するマイクロバブルとは異なり、ナノ液滴は、表面上の同様の脂質またはリン脂質分子によって安定化されている液体(例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)パーフルオロカーボンの液体コアを有する。ナノ液滴は、マイクロバブルおよびナノカップよりも利点を提供し、特に、ガスのものと比較して特にインビボでの循環において安定性が高い。超音波にさらされると、揮発性の高い液体がガスに蒸発し、バブルが発生する。しかし、この相転移に必要なエネルギーは、ガスコアキャビテーション剤のエネルギーと比較してはるかに高いエネルギーであるが、依然として高感度の治療送達用途にとっては実行可能な選択肢である。
【0061】
超音波を印加する
図1(a)の方法に戻り、この方法はステップ102に進む。ステップ102では、超音波が挿入部位204に印加され、挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってバブルが発生する。印加された超音波場は、発生したガスバブルおよびそのクラウドの移動を駆動し、その結果、ガスバブルが、媒体中の所望の空間分布へのマイクロ粒子の移動を駆動する。印加される超音波は、挿入位置内で外因性キャビテーション核または天然キャビテーション核のキャビテーションを引き起こし得る。
【0062】
印加される超音波は2つの機能を実行する。ステップ101に関連して上述されるように、最初にキャビテーション核でのキャビテーションによってバブルを発生させる。また、それらに作用する音響放射力によって、発生したこれらのガスバブルの移動を駆動する。キャビテーションガスバブルは、次にマイクロ粒子に運動エネルギーを与え、マイクロ粒子を所望の空間分布に移動させる。マイクロ粒子は、挿入部位の位置から分散および/または移動してもよい。超音波の方向および強度は、マイクロ粒子に特定の移動をもたらすように選択されてもよい。
【0063】
本プロセスの例を図2(a)および図2(b)に示す。図2(a)において、超音波発生器205は、挿入部位204に焦点を合わせた超音波ビームを発生する。これは、挿入部位204のキャビテーション核を利用する(明確にするために、バブルおよびキャビテーション核は図には示されていない)。図2(b)に示すように、バブルはマイクロ粒子203の移動を駆動し、この場合、マイクロ粒子を媒体201内に移動および拡散させ、媒体201内にマイクロ粒子の所望の空間分布が得られる。所望の空間分布という用語は、本明細書では、マイクロ粒子の全般的な分布パターン(例えば、最初の挿入部位に対して広がった)を指すために使用される。所望の空間分布は、マイクロ粒子の使用目的によって異なる。
【0064】
ある部位に印加される超音波とキャビテーション核およびマイクロ粒子との組み合わせは、マイクロ粒子を挿入する従来の方法よりもはるかに遠くまで、かつより効果的にマイクロ粒子を分布させることができることを見出した。この方法による挿入部位からのマイクロ粒子の最大変位は1mm~4cmの範囲であり得、従来のSIRT法よりもマイクロ粒子をさらに腫瘍内に到達させることができる。
【0065】
バブルによるマイクロ粒子の移動を駆動するプロセスは、ナノスケールの超音波薬物送達で使用される機構とは異なることに留意されたい。後者の場合、バブルの移動により流体の流れが生じ、次にその流体がナノ粒子を同伴する。粒子を同伴するこのプロセスは、本発明で考慮されるはるかに大きく重いマイクロ粒子には適していない。
【0066】
本方法が、上述のTheraSphere(登録商標)などの放射性マイクロ粒子で腫瘍を治療するために使用される場合、マイクロバブルは、腫瘍を治療するための放射線を提供するための空間分布へのマイクロ粒子の移動を駆動し得る。これは、マイクロ粒子を腫瘍内に(挿入部位が腫瘍周囲の組織内にある場合)および/または腫瘍を通って駆動することを含んでもよい。結果として得られる空間分布は、これまで可能であったものよりもさらに腫瘍内に浸透することができ、他の方法で可能なものよりも腫瘍内でさらに分散し得、到達して治療できる腫瘍の量が大幅に増加する。その結果、より効果的な治療が可能となる。
【0067】
超音波は、人間の可聴範囲(20kHz)を超える任意の周波数として広義に定義される。従来の超音波を画像診断法(超音波検査)として医療に応用することは十分に確立されており、人体のほとんどの領域が、さまざまな組織密度によって視覚化される。医療超音波検査は非常に低いエネルギー入力および周波数を使用するため、敏感な組織および器官のイメージングに適した安全で非破壊的な方法をもたらす。
【0068】
医療用途では、超音波は圧電(PZT)セラミックを使用して発生されるのが最も一般的であり、要素の形状の変位により、トランスデューサ表面からの一連の圧縮および減圧として音波が生成される。焦点の合っていない平面トランスデューサでは、波は一連の同心円状の凹形波面(単一波長離れたもの)として拡大し、波が物質中を伝わるにつれて速度が波打つ。その結果、高圧および低圧の帯が発生する。音の強さは、材料の音響インピーダンス、粘度、およびその弾性挙動(ヤング率、弾性または粘弾性)に関連する。波の伝播中、粒子は波の方向(縦波または圧縮波)または波に対して直角(横波またはせん断波)のいずれかに移動できる。
【0069】
超音波が組織または媒体を通過すると、散乱または熱の蓄積によってエネルギーが失われ、超音波の有効範囲はエネルギー入力によって制限される。波の振幅は伝播距離とは反対にゆっくりと消散する。
【0070】
高密度焦点式超音波(HIFU)
いくつかの実施形態では、印加される超音波は、挿入部位またはその近くに焦点が配置される集束超音波である。好ましくは、印加される超音波は高密度焦点式超音波(HIFU)である。
【0071】
HIFUは、超音波を発生するPZT素子の境界に低速共焦点レンズを配置し、レンズの曲率によって決まる平面素子から一定の距離にある制御された単一焦点に波面を狭めることによって実現される。レンズは、素子の中心に向かう波の伝播速度のインピーダンスを増加させることによって機能し、トランスデューサの端の波面(圧縮および減圧)が中間で波面に同時に到達できるようにする。したがって、トランスデューサに印加される電圧を増加させることなく、焦点で生成される信号の振幅が増加する。焦点(遠距離場)を超えると、波面は発散し、距離が増すにつれて信号強度が失われる。
【0072】
超音波を小さな焦点領域に集中させた結果、焦点領域の外側と比較して大きな圧力勾配が生成される。音波の圧力勾配は、次のように近似できる音響放射力(ARF)として知られる焦点内の障害物に作用する:
【0073】
【数1】
【0074】
式1:物体に対する音響放射力
F 力(kg/scm
A 材料の吸収係数(Np/cm)
I 超音波の焦点における音波の経時的な平均強度(W/cm
C 媒体内の音速(cm/s)
HIFU波からのエネルギーの吸収および運動エネルギーへの変換により、組織内の局所的な温度の急上昇が生じ、組織の破壊につながり得る。タンパク質変性と永続的な細胞損傷との組み合わせである組織凝固は、インビボでは43℃で誘導される。熱アブレーションは、一定期間の43℃以上の熱用量(thermal dose)と相関し、アブレーションに必要な熱用量は組織および種によって異なる。脳全体の耐熱性は特に低く、各領域は損傷に対する独自の個別の閾値を有する。熱ストレスは周囲の部位への対流によって阻害され、血液循環を介して、組織間の細胞透過性およびかん流が増加することで機械的ストレスに比べて選択性の低い処置となる。焦点前組織は、焦点領域に比べて強度が低い超音波を受けるが、焦点前エネルギーの蓄積および加熱を受ける。焦点前加熱は、HIFUの使用を伴うインビボ治療にとって重要な懸念事項であり、望ましくない付随的損傷により焦点より前に熱アブレーションが引き起こされることで、収束するHIFU波面に継続的に焦点前組織がさらされることにより皮膚熱傷が生じ得る。
【0075】
バブルの効果的な駆動と周囲の組織への損傷の制限との間のバランスを提供するために、本方法において印加される超音波は、挿入部位において1~20MPaの範囲のピーク焦点負圧を及ぼしてもよい。
【0076】
装置
図4は、図1(a)の方法のステップ102を実行するために使用され得る超音波セットアップ205の一例を示す。トランスデューサ401は、波形発生器404によって選択されたパラメータを用いて超音波を発生し、マイクロ粒子の所望の分布を提供するように構成されてもよい。パラメータは、マイクロ粒子の所望の分布を提供するために、キャビテーション核からのバブルのキャビテーション、およびマイクロバブルの所望の移動を促進するように選択されてもよい。特定の例では、トランスデューサ401は、0.1~5MHzの範囲の基本周波数を有する超音波を発生させることができる。発生した超音波は、0.1~10Hzの範囲のパルス繰り返し周波数を有し得る。発生した超音波は、1%~100%の範囲のデューティサイクル(連続波)を有し得る。このようなパラメータは、特に腫瘍様媒体において、マイクロ粒子の所望の移動をもたらすのに特に効果的であることが見出されている。
【0077】
図4の超音波発生器205は、増幅器403の電圧出力によって駆動される、そのインピーダンス整合ネットワーク402を備えたHIFUトランスデューサ401を備える。図示の例では、増幅器403の出力電圧は、トランスデューサ駆動信号に異常がないことをチェックするために、1MΩ高インピーダンスケーブル405を使用してオシロスコープ406によって監視される。入力電圧および他の超音波パラメータは、任意波形発生器404によって制御される。図4では個別に示されるが、線形アレイ407は、HIFUトランスデューサ401内に同心円状に挿入される(トランスデューサ408内の破線で表される)。線形アレイ407は、リアルタイムの受動的音響マッピングおよび露光後イメージングに使用され、イメージングコントローラボックス408によって操作される。イメージングコントローラボックス408は、波形発生器404に接続されて、送信信号と受信信号とが同期していることを保証する。
【0078】
体内でマイクロ粒子を移動させるために使用される場合、超音波イメージングを使用して、HIFUパルスを印加すべき領域を特定してもよい。物理的に位置合わせされたHIFUトランスデューサ401および線形アレイ407は一致する焦点を有するため、イメージング焦点を特定することにより、HIFU標的焦点を特定することを可能にする。あるいは、超音波プローブを手術後の組織腔に直接挿入してもよい。
【0079】
結果
腫瘍を模倣するヒドロゲル媒体中にTheraSphere(登録商標)マイクロスフェアを分布させることを調査する実験を行った。マイクロ粒子を送達するための空洞として機能するウェルを媒体に形成した。したがって、マイクロ粒子を提供する挿入部位はウェル内にあった。図4に示す装置を使用して超音波を印加した。トランスデューサと同軸に整列した線形アレイの位置合わせは、最初にトランスデューサの焦点深度を、試験対象のウェルに挿入された中央の1mmステンレス鋼先端ロッドに位置合わせすることによって進められた。柔らかいヒドロゲルが不必要にHIFUにさらされないように、最初はパルサ受信機を使用して短い低エネルギーパルスをトランスデューサに送信した。受信した信号の最大振幅がオシロスコープで観察されるまで、トランスデューサを0.1mmずつ調整した。その後、Bモードイメージが捕捉された(イメージコントローラ408としてVerasonics(登録商標)システムを使用)。同じ媒体中の後続のウェルは、超音波照射を進める前に、bモードイメージのx、y座標を使用して位置合わせされ、視覚的に確認された。最初の位置合わせ後、パルス受信機を波形発生器に置き換えた。この例では、パルス繰り返し周波数または間隔(PRF)はVerasonics(登録商標)機器によって決定され、残りのパラメータは波形発生器によって決定された。
【0080】
組織を模倣するボディとしてのヒドロゲル
インビボ、エクスビボ、またはインビトロのいずれの組織も、個々の生物に固有であり、生物間だけでなく、同じ生物の組織内でも本質的に変動する。したがって、いくつかの重要な特性にわたって組織特性を模倣する組織ファントムを作製することは本質的に困難である。ヒドロゲルは、数十年にわたり、超音波イメージング用の哺乳類組織のインビトロ代用物として使用されており、音速、音響減衰、および音響インピーダンスは、サーバル癌の指標と同様である。ヒドロゲル組成物に微妙な変更を加えることで、組織の硬度、多孔性、音響特性、ならびに細胞の構造および環境を再現することができる。その結果、ヒドロゲルはインビボで見られるさまざまな特性をシミュレートし得る。ヒドロゲルは固体としてモデル化および試験されているにもかかわらず、大部分が水で構成されているため、その固形分は多くの動物組織と類似して、音速(約1540m/s)、減衰(約0.5dB/cmMHz)、後方散乱係数(2~7MHzの間で10-5~10-2の範囲)の要件を満たす。
【0081】
細胞構造は、二重層、マイクロフィラメントおよび小管、水相および有機液相、浸透圧および内因性物質の酵素触媒作用が複雑に混ざり合ったものであり、インビトロで再現することはほぼ不可能であると認識されている。したがって、ヒドロゲルは妥協案であり、細胞の対応物に似た意図した調査対象の材料特性のシミュレーションを可能にするが、ヒドロゲルは完璧な設計ではなく、インビボでの1つの特性を再現すると、細胞構造を模倣する複雑さにより、別の材料特性が犠牲になることがよくある。例えば、組織をシミュレートするために材料の剛性を複製すると、材料の透過性が損なわれることがよくある。ヒドロゲルのさまざまな不一致を改善する試みとして、さまざまなポリマー(修飾の有無にかかわらず)と無機添加剤またはインクとの混合物を含むいくつかの添加剤が評価されている。
【0082】
組織と同様の音響特性を持っているにもかかわらず、ヒドロゲルは組織のマイクロ構造とは大きく異なるマイクロ構造を有し、ポリマーネットワーク内のストレス下で経時的に再分布する孤立した流体ポケットを有する。組織の材料特性を模倣するのに特に便利であるが、作製されるゲルモデルの製造とその後の一貫性は、材料特性が不均一であるため、本質的に変動する。現在のヒドロゲルファントムの欠点にもかかわらず、ゲル組織模倣物は、エクスビボ組織の有効性により、組織をシミュレートするのに最も適した代用物のままであり続ける75
【0083】
本明細書中で説明する測定では、寒天ベースのヒドロゲルが組織模倣物として使用された。寒天ゲルは透明で、十分に実証されており、PVA凍結融解ヒドロゲルと比較して変動が少なく、製造がかなり速い。寒天(3kDa Mw、Sigma Aldrich)を脱イオン水(10μm、MiliQ(登録商標)、タイプ1)に0.5または1%w/vで添加し、真空下で最低2時間脱気した後、マイクロ波照射下で懸濁液を>85°に加熱し、その後、ファントム型に流し込み、4℃で最低12時間冷却した。これ以降に説明するパラメータの変化および実験結果は、0.5%寒天ゲルに基づく。
【0084】
パラメータ
ほとんどの実験では、ナノカップ(Oxsonics(登録商標)製)およびSonovue(Bracco(登録商標))がキャビテーション剤として選択された。SonoVue(登録商標)を再構成し、製造業者の指示に従って、供給された1~5×10粒子/mLの濃度で使用した。ナノカップは1:9希釈(1.0x10粒子/mL)で使用し、提供された懸濁液を脱気濾過した脱イオン水で希釈してSonoVue(登録商標)濃度に合わせた。両方のキャビテーション剤を等量で使用した。20mgのYASガラスマイクロスフェア(Biocompatibility UK Ltd、3つのサイズ範囲(<15、15~35、35+μm)を、各250μL注入の希釈したナノカップに添加し、冷たい放射線塞栓性によるキャビテーション剤の沈降および相分離の可能性を減少させた。
【0085】
パルス繰り返し周波数は3.3Hzに設定された。これは、波形発生器の50,000サイクルのバーストによって制限される、調査されたさまざまな周波数にわたって同等のデューティサイクルを可能にするためである。各テストウェルは、必要に応じて超音波曝露時間および超音波バーストあたりのサイクル数を調整しながら、合計300万サイクルを受けた。
【0086】
調査された基本周波数は0.5、1.1、1.5、および3.3MHzであった。その後、各周波数もいくつかの焦点圧(0.5MHz(1.4、3.0、3.8MPa)、1.1MHz(2.6MPa)、3.3MHz(7.7、11.7、10.9MPa))にわたって試験された。デューティサイクル(DC)は、圧力と同様に、各基本周波数(0.5MHz(2.5%、5%、16.5%DC)、1.1MHz(9.7%DC)、3.3MHz(1%、2.5%、5%DC))によって変動した。
【0087】
TheraSphere(登録商標)ガラスは無色透明であり、明視野顕微鏡で個々のマイクロスフェアを視覚化するのは困難である。しかし、人骨と同様にその高い相対密度(3.4g/cm)により、X線断層撮影法によってセラミックを視覚化することが可能である。X線暴露下では、グレースケールおよび対応するハウンズフィールド値に従って、密度がより高いオブジェクトほどイメージ内でより明るく見える。
【0088】
マイクロスフェアの分布を調査するために超音波を印加した後、X線マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)イメージを撮影した。ファイルイメージスタックのメタデータ内に保存されたX線取得設定を用いて、ウェルのμCT画像を512枚の連続画像スライス(DICOM、512x512ピクセル)から生成し、それをZ平面に重ね合わせて512x512x512のボクセル画像を作成した。再構成後、マイクロスフェアの分布をDICOMファイルビューアで手動で測定したが、現在はオペレータの解釈と偏見によって制限される。
【0089】
図5は、印加される超音波の焦点圧を増加させるという効果を示すμCT画像を示す。図5(a)では、ピーク焦点負圧は1.4MPaであった。図5(b)では焦点圧は3.0MPaであった。図5(c)では、ピーク焦点負圧は3.8MPaであった。すべての場合において、基本周波数は0.5MHz、3.3Hz PRFであった。図(a)および(b)ではDCは5%であり、図5(c)ではDCは16.5%であった。超音波はすべての画像にわたって左から右に印加された。
【0090】
図6は、基本周波数3.3MHz、ピーク焦点負圧7.7MPa(6(a))、11.7MPa(6(b))、および10.9MPa(6(c))を示す。5%DC、3.3Hz PRF、および4mmチャネルを使用した。11.7MPa(5(b)0)で寒天の亀裂、および10.9MPa(5(c))で平面状の分裂が観察された。焦点前の溢出は、11.7MPa(5(b))および10.7MPaのピーク焦点負圧(5(c))で観察された。超音波はすべての画像にわたって左から右に印加された。
【0091】
これらの図は、HIFUの焦点領域でのピーク負圧が増加すると、マイクロスフェアの浸透深さが増加することを示す。観察されたピーク負圧の減少(6(c))は、超音波場の非線形性による。より低い周波数(0.5MHz)は、より多くの堆積されたマイクロスフェアに対して、より実質的な影響を与えるようであり、主に、スフェアがさらされる焦点領域のサイズに起因すると考えられる。基本周波数が高いほど、より低い周波数に見られるような全方向バーストの一部ではなく、溢出したマイクロスフェアのより離散的でより小さなチャネルを生成し、これは周波数の増加とともに減少するトランスデューサの焦点のサイズに相関する。
【0092】
図7は、マイクロスフェアの分布に対するウェルの直径の影響を示す。ウェルの直径は4mm(7(a))、2mm(7(b))、1mm(7(c))であった。超音波パラメータは、0.5MHz3.3HzPRF、5%DCであった。35+μmのTheraSphere(登録商標)マイクロスフェアを使用した。超音波は3つの画像すべてにわたって左から右に印加された。
【0093】
主要なパラメータではないが、ウェルの直径は、特に焦点領域がウェルの体積の大部分を占める低い基本周波数の場合に、マイクロスフェアの投射の分布に影響を与えるようである。
【0094】
図8は、図7と類似の画像を示すが、マイクロスフェア分布に対するDCの効果を示すために、5%ではなく2.5%DCを使用している。15~35μmのTheraSphere(登録商標)マイクロ粒子を使用した。超音波に曝露されなかった対照サンプルと比較した場合、1%DC未満ではマイクロスフェアの溢出は見られなかった。
【0095】
まとめると、これらの結果は、マイクロスフェアとキャビテーション核との組み合わせへの超音波の印加がマイクロ粒子を腫瘍様媒体中に分布させることを示し、本発明が従来のSIRT法において可能なものよりも効果的にマイクロ粒子を分布させることによって腫瘍の治療を改善できることを示している。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図6(a)】
図6(b)】
図6(c)】
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8(a)】
図8(b)】
図8(c)】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの組織でない媒体における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記媒体内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法。
【請求項2】
前記マイクロ粒子はマイクロスフェアである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、200μm以下、または好ましくは150μm以下、またはより好ましくは120μm以下の平均サイズを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、1μm以上、または好ましくは5μm以上、またはより好ましくは10μm以上、または20μm以上、または50μm以上、または100μm以上の平均サイズを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、10g/ml以下、または好ましくは5g/ml以下、またはより好ましくは4g/ml以下の密度を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のマイクロ粒子のマイクロ粒子は、1g/ml以上、または好ましくは2g/ml以上、またはより好ましくは3g/ml以上の密度を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロ粒子はセラミックを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロ粒子は少なくとも1つの放射性同位体を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記放射性同位体は、ベータ線またはガンマ線放出放射性同位体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記放射性同位体は、イットリウム-90、ヨウ素-125、銅-64、スカンジウム-44、ルテチウム-176、またはホルミウム-166である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ粒子は、イットリウムアルミノシリケートガラスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロ粒子は、10Bq以上の放射能で放射線を放出する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記マイクロ粒子は、5000Bq以下の放射能で放射線を放出する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記キャビテーション核は、前記媒体に対して外因性であり、前記方法は前記挿入部位に複数のキャビテーション核を提供するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のマイクロ粒子および前記複数のキャビテーション核を含む組成物が、前記挿入部位に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のマイクロ粒子および前記複数のキャビテーション核は、別々のステップで前記挿入部位に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記キャビテーション核は前記媒体に対して内因性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
前記キャビテーション核は、マイクロバブル、ナノバブル、ナノ液滴、およびガス安定化ナノ粒子のうち少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
前記超音波は、0.1~5MHzの範囲の基本周波数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
前記超音波は、0.1~10Hzの範囲のパルス繰り返し周波数を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項21】
前記超音波は、1%~100%の範囲のデューティサイクルを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項22】
前記超音波は、前記挿入部位で1~20MPaの範囲のピーク圧力を及ぼす、請求項1または2に記載の方法。
【請求項23】
前記媒体はヒトでない患者の組織である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記患者の腫瘍を治療する方法であって、前記複数のマイクロ粒子は少なくとも1つの放射性同位体を含み、前記空間分布は放射線を提供して前記腫瘍を治療するためのものであり、各マイクロ粒子は放射性同位体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記挿入部位は前記腫瘍内にある、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記挿入部位は前記腫瘍に隣接する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記空間分布は前記腫瘍全体の分布である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記挿入部位は、前記腫瘍の一部を切除することによって形成された空洞内にあり、または前記挿入部位は前記腫瘍の一部を切除することによって形成された腫瘍縁にある、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍は固体腫瘍である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記固体腫瘍は、肝臓、脳、膵臓、腎臓、肺、喉、首、または腸の腫瘍である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記腫瘍は、神経膠腫、膠芽腫、または髄膜腫である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
放射性同位体を含み、
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療に使用される、複数のマイクロ粒子。
【請求項33】
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療に使用される、複数のキャビテーション核。
【請求項34】
複数のキャブテーション核と複数のマイクロ粒子とを含む組成物であって、前記マイクロ粒子は放射性同位体を含み、前記組成物は、
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療に使用される、組成物。
【請求項35】
複数のキャビテーション核と複数のマイクロ粒子とを含む製品であって、前記マイクロ粒子は放射性同位体を含む、
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療において同時または逐次的な使用のための組み合わせ製剤としての、製品。
【請求項36】
前記放射性同位体はベータ線またはガンマ線放出放射性同位体である、請求項32に記載のマイクロ粒子、または請求項34に記載の組成物、または請求項35に記載の製品。
【請求項37】
前記放射性同位体は、イットリウム-90、ヨウ素-125、銅-64、スカンジウム-44、ルテチウム-176、またはホルミウム-166である、請求項32に記載のマイクロ粒子、または請求項34に記載の組成物、または請求項35に記載の製品。
【請求項38】
複数のマイクロ粒子の使用であって、前記粒子は放射性同位体を含む、
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、使用。
【請求項39】
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、複数のキャビテーション核の使用。
【請求項40】
複数のキャビテーション核と複数のマイクロ粒子とを含む組成物の使用であって、前記マイクロ粒子は放射性同位体を含む、
患者の組織における挿入部位に複数のマイクロ粒子を提供するステップと、
前記挿入部位に位置するキャビテーション核でのキャビテーションによってガスバブルを発生させ、前記ガスバブルが前記患者の組織内での所望の空間分布への前記マイクロ粒子の移動を駆動するように、前記ガスバブルの移動を駆動する、超音波を前記挿入部位に印加するステップと、を含むマイクロ粒子を分布させる方法による腫瘍の治療のための薬剤の製造における、使用。
【国際調査報告】