(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20240408BHJP
H01G 4/32 20060101ALI20240408BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20240408BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01G4/228 S
H01G4/32 531
H01G4/32 540
H01G4/224 200
H01G2/10 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568342
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2022058104
(87)【国際公開番号】W WO2022233498
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】アルカス,エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ワグネル,トマス
(72)【発明者】
【氏名】モンティエル,フランシスコ ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ペラーエス,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB04
5E082BC38
5E082CC06
5E082FG06
5E082FG34
5E082GG08
5E082HH07
5E082KK07
5E082LL13
5E082PP09
(57)【要約】
少なくとも2つの巻線要素(2)と、巻線要素(2)を互いに並列に接続する複数の接続要素(3)とを含み、各巻線要素(2)は、反対の極性を持つ接続要素(3)のペアに少なくとも接続される、高周波数用途のためのコンデンサ(1)が記載され、コンデンサ(1)は、従来の円筒形フィルムコンデンサ(1)と比較して低減されたESLおよび/またはESRを有する。その上、高周波数用途におけるコンデンサ(1)の使用が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波数用途のためのコンデンサであって、
- 少なくとも2つの巻線要素と、
- 前記巻線要素を互いに並列に接続する複数の接続要素と、を含み、
各巻線要素は、反対の極性を持つ接続要素のペアに少なくとも接続され、
当該コンデンサは、従来の円筒形フィルムコンデンサと比較して低減されたESLおよび/またはESRを有する、
コンデンサ。
【請求項2】
金属製のハウジングをさらに含み、前記巻線要素は、前記ハウジング内に配置され、前記接続要素のうちの少なくとも1つの接続要素が、前記ハウジングの内面に可能な限り近く配置され、前記少なくとも1つの接続要素は、前記ハウジングの前記内面に対して平行に配置される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記内面と前記少なくとも1つの接続要素との間の距離が、0.5mm~2mmの間である、請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記ハウジングおよび前記接続要素のうちの前記少なくとも1つの接続要素は、互いに電磁的に結合される、請求項2または3に記載のコンデンサ。
【請求項5】
当該コンデンサを電気的に接続するための少なくとも2つの端子をさらに含み、前記端子に最も近く配置される前記巻線要素は、前記さらなる巻線要素の高さより小さい高さを含む、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
反対の極性を持つ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、平行な向きを持つ少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置され、前記接続要素のペアの間の距離が、前記接続要素のペアが重なり合うように減少され、
かつ/あるいは、
反対の極性を持つ1つの巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、平行な向きを持つ少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置され、前記接続要素のペアの間の距離が、前記接続要素のペアが重なり合うように減少される、
請求項1~5のうちのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記2つの接続要素の間の前記距離は、0.1mm~3mmの間である、請求項6に記載のコンデンサ。
【請求項8】
反対の極性を持つ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、前記ハウジングに可能な限り近く配置され、前記ハウジングに対して平行であり、
かつ/あるいは、
反対の極性を持つ1つの巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、前記ハウジングに可能な限り近く配置され、前記ハウジングに対して平行である、
請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記接続要素の少なくとも1つのペアは、前記ハウジングの前記内面に対して同じ距離で配置され、互いの間に可能な限り最低の距離を持つ、請求項8に記載のコンデンサ。
【請求項10】
当該コンデンサを電気的に接続するための端子の2つのペアをさらに含み、前記端子の2つのペアは、極性円形レイアウトA-B-A-Bを含み、同じ極性を持つ端子が、内部的に接続される、請求項1~9のうちのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項11】
当該コンデンサを電気的に接続するための端子の2つのペアをさらに含み、前記端子の2つのペアは、極性円形レイアウトA-A-B-Bを含み、同じ極性を持つ端子が、内部的に接続される、請求項1~9のうちのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項12】
反対の極性を持つ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、平行な向きを持つ少なくとも1つの巻線要素の側面に配置され、前記2つの接続要素の間の距離は、前記接続要素が重なり合うように可能な限り小さく、
かつ/あるいは、
反対の極性を持つ1つの巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、平行な向きを持つ少なくとも1つの巻線要素の側面に配置され、前記2つの接続要素の間の距離は、前記接続要素が重なり合うように可能な限り小さい、
請求項1~10のうちのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記2つの接続要素の間の前記距離は、0.1mm~3mmの間である、請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
ハウジングの内面と前記2つの接続要素との間の距離が、0.5mm~2mmの間であり、両方の接続要素は、前記ハウジングに対して平行に配置される、請求項12または13に記載のコンデンサ。
【請求項15】
反対の極性A-B-Aを持つ異なる巻線要素からの前記接続要素の少なくとも1つのトリオが、前記ハウジングに対して可能な限り近く配置され、前記ハウジングに対して平行であり、
かつ/あるいは、
反対の極性A-B-Aを持つ1つの巻線要素からの前記接続要素の少なくとも1つのトリオが、前記ハウジングに対して可能な限り近く配置され、前記ハウジングに対して平行である、
請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項16】
前記3つの接続要素は、前記ハウジングの前記内面に対して同じ距離に配置され、互いに対して可能な限り最低の距離を持つ、請求項15に記載のコンデンサ。
【請求項17】
反対の極性A-B-Aを持つ異なる巻線要素からの前記接続要素の少なくとも1つのトリオが、平行な向きを持つ少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置され、それらの間の距離は、前記接続要素が重なり合うように可能な限り減少され、
かつ/あるいは、
反対の極性A-B-Aを持つ1つの巻線要素からの前記接続要素の少なくとも1つのトリオが、平行な向きを持つ少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置され、それらの間の距離は、前記接続要素が重なり合うように可能な限り減少される、
請求項1~16のうちのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記3つの接続要素の間の前記距離は、0.1mm~3mmである、請求項17に記載のコンデンサ。
【請求項19】
高周波数用途における請求項1~18のうちのいずれか1項に記載のコンデンサの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波数用途のためのコンデンサに関する。さらに、本発明は、高周波数用途におけるコンデンサの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
金属化フィルムDC(直接電圧)-リンクコンデンサは、多くのパワーエレクトロニクス用途、すなわち、再生可能エネルギ、電気自動車、牽引、モータドライブ、無停電電源、エネルギ伝達などのための重要なコンポーネント(構成要素)である。
【0003】
DC-Linkコンデンサの要件は、コンバータおよび変調戦略において実装される半導体のパラメータに強く依存する。半導体の開発は、高出力コンバータの特性、すなわち、より高いスイッチング周波数、より高い高調波周波数、より軽い冷却システム、より高い出力密度、よりコンパクトな設計などを変えた。
【0004】
その結果、そのような用途において正しく作動するために、DC-Linkコンデンサは、動作帯域幅内で表1において定義された要件を満たさなければならない。
【0005】
【表1】
表1:高周波数用途におけるコンデンサの要件
【0006】
しかしながら、実際のフィルムコンデンサは、上記要件を満たすために低減されなければならない寄生コンポーネントを有する。
【0007】
今までのところ、この問題は、平坦な巻線をベースとしたフィルムコンデンサ(WO2019/101802A1)、高さを減らした単巻線円形フィルムコンデンサ(TDK Data Sheet “Film capacitors-Power Electronic Capacitors: MKP-DC LSI”2013年10月)、および4端子付き単巻線円形フィルムコンデンサ(Electronic Concepts Data Sheet “UNLYTIC(登録商標)MP3 SERIES”,2013年10月)によって解決されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、改良された特性を有するコンデンサを提供することである。この目的は、独立項に従ったコンデンサによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様によれば、コンデンサ(キャパシタ)が提供される。コンデンサは、円形または円筒形の外形を有してよい。好ましくは、コンデンサは、円筒形フィルムコンデンサである。コンデンサは、再生可能エネルギ、電気車両、牽引、モータ駆動装置、無停電電源、エネルギ伝達装置などのような、パワーエレクトロニクス用途において一体化されるのに適する。
【0010】
コンデンサは、少なくとも2つの巻線要素、すなわち、内部に巻かれた巻線を含む。もちろん、コンデンサは、2つよりも多くの巻線要素、例えば、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの巻線要素を含むことができる。巻線要素は、コンデンサの主縦軸に沿って互いに続いて配置される。
【0011】
コンデンサは、複数の接続要素、例えば、接続ストライプ(connection stripes)をさらに含む。接続要素は、巻線要素を互いに並列に接続するように構成されかつ配置される。各巻線要素は、少なくとも、反対の極性を持つ接続要素のペア、例えば、2つ、3つまたはそれよりも多くの接続要素に接続される。換言すれば、各巻線要素は、極性Aを持つ接続要素および極性Bを持つさらなる接続要素に接続される。しかしながら、それは接続要素のペアとは異なることもできる。例えば、それぞれの巻線要素は、極Aの2つの接続ストライプおよび極Bの1つの接続ストライプに接続されることができる。
【0012】
コンデンサは、従来のコンデンサと比較して減少したESLおよび/またはESRを有するように設定されかつ構成される。換言すれば、コンデンサのコンポーネント(構成要素)は、コンデンサが非常に低いESLおよび/またはESRを有するように配置されかつ相互に関連付けられる。これはコンデンサを高周波数用途において集積化されるのに特に適したものにする。
【0013】
1つの実施形態によれば、コンデンサは、ハウジング、特に金属ハウジングを含む。ハウジングは、例えば、アルミニウムを含むことがある。ハウジングは、円筒形状を有する。巻線要素は、ハウジング内に配置される。また、接続要素は、ハウジング内に(少なくとも主に)配置される。金属ハウジングの実装は任意的である。代替的な実施形態において、コンデンサは、金属ハウジングを含なくてよい。
【0014】
少なくとも1つの巻線要素からの少なくとも1つの接続要素、例えば、1つ、2つ、または3つの接続要素が、ハウジングに可能な限り近く配置される。特に、前記接続要素は、ハウジングの内面に可能な限り近く配置される。例えば、接続要素とハウジングの内面との間の距離は、0.5mm~2mmの間である。その上、前記少なくとも1つの接続要素は、ハウジングに対して平行に、特にハウジングの内面に対して平行に配置される。
【0015】
金属ハウジングに近い接続要素は、それと電磁的に結合されて、接続要素を通じて流れる電流と反対方向を持つ渦電流をケース上で生成する。よって、接続要素を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素の寄生自己インダクタンスを減少させる。従って、コンデンサESLは低減される。
【0016】
1つの実施形態によれば、コンデンサは、少なくとも2つの端子を含む。端子は、外部端子であってよい。換言すれば、端子は、ハウジングの外面から突出する。端子は、反対の極性を有する。すなわち、1つの端子は、極性Aを有し、さらなる端子は、極性Bを有する。端子は、コンデンサを電気的に接続するように構成されかつ配置される。端子は、接続要素に接続される。巻線要素は、接続要素によって端子に並列に接続される。
【0017】
巻線要素は、異なる高さ、すなわち、主縦軸に沿った延伸を有する。特に、端子に最も近くに配置された巻線要素(すなわち、頂部巻線要素)は、さらなる巻線要素の高さよりも低い高さを含む。例えば、頂部巻線要素の高さは、さらなる巻線要素の高さの15%~85%の間である。
【0018】
頂部巻線要素の寄生自己インダクタンスは、そのより低い高さおよびその接続要素の長さ(頂部巻線と端子との間の電気的接続)の減少の故に低減される。従って、巻線要素は並列に接続され、インダクタンスは最も低い自己インダクタンスを有するものが支配的であるので、コンデンサESLは、大いに低減される。
【0019】
1つの実施形態によれば、反対の極性を持ちかつ異なる巻線要素に属する接続要素の少なくとも1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置される。換言すれば、各ペアが反対の極性を有する(すなわち、ペアの1つの接続要素が極性Aを有し、他の1つが極性Bを有する)、2つの接続要素、4つの接続要素、6つの接続要素、または接続要素のそれよりもさらに多いペアが、少なくとも1つの巻線要素の内側中空領域内に配置される。
【0020】
接続要素の前記ペアは、異なる巻線要素を電気的に接続する。すなわち、前記接続要素のうちの1つは、例えば、頂部巻線要素に接続されてよい。前記接続要素のうちの他の1つは、さらなる巻線要素、例えば、頂部巻線要素に続く巻線要素に接続されてよい。
【0021】
代替的にまたは追加的に、反対の極性を持ちかつ同じ巻線要素に属する接続要素の少なくとも1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置される。従って、接続要素の前記ペアは、1つの巻線要素を電気的に接続する。すなわち、接続要素の少なくとも1つのペアの接続要素の全ての接続要素は、例えば、頂部巻線要素に接続されてよい。代替的に、接続要素の少なくとも1つのペアの全ての接続要素は、さらなる巻線要素、例えば、頂部巻線要素に続く巻線要素に接続されてよい。
【0022】
前記接続要素のペアは、平行な向きに配置される。これは2つの接続要素が互いに対して平行に配置されることを意味する。接続要素のペアの間の距離は、接続要素の前記ペアが重なり合うように短縮される。例えば、1つのペアに属する2つの接続要素の間の距離は、0.1mm~3mmの間であってよい。
【0023】
接続要素の各ペアにおいて、接続要素を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素の寄生自己インダクタンスを減少させる。よって、コンデンサESLは低減される。
【0024】
1つの実施形態によれば、反対の極性を持ちかつ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、ハウジングに可能な限り近く配置される。換言すれば、各ペアが反対の極性を有する(すなわち、ペアの1つの接続要素が極性Aを有し、他の1つが極性Bを有する)、2つの接続要素、4つの接続要素、6つの接続要素、または接続要素のそれよりもさらに多いペアが、ハウジングの内面に可能な限り近く配置される。例えば、接続要素のペアとハウジングとの間の距離は、0.5mm~2mmの間であってよい。
【0025】
接続要素の前記ペアは、異なる巻線要素を電気的に接続する。すなわち、前記接続要素のうちの1つは、例えば、頂部巻線要素に接続されてよい。前記接続要素のうちの他の1つは、別の巻線要素、例えば、頂部巻線要素に続く巻線要素に接続されてよい。
【0026】
代替的にまたは追加的に、反対の極性を持ちかつ同じ巻線要素に属する接続要素の少なくとも1つのペアが、ハウジングに可能な限り近く配置される。従って、接続要素の前記ペアは、1つの巻線要素を電気的に接続する。すなわち、接続要素の少なくとも1つのペアの全ての接続要素は、例えば、頂部巻線要素に接続されてよい。代替的に、接続要素の少なくとも1つのペアの全ての接続要素は、さらなる巻線要素、例えば、頂部巻線要素に続く巻線要素に接続されてよい。
【0027】
接続要素のペアは、ハウジングに平行に、特にハウジングの内面に平行に配置される。その上、接続要素のペアは、ハウジングの内面に対して同じ距離に配置される。これはこれらの2つの接続要素とハウジングとの間の距離が等しいことを意味する。例えば、2つの接続要素の各々とハウジングの内面との間の距離は、0.5mm~2mmの間であってよい。
【0028】
その上、2つの接続要素は、互いの間で可能な限り最小の距離を有する。1つのペアに属する2つの接続要素の間の距離は、0.1mm~3mmの間であってよい。
【0029】
接続要素の各ペアは、金属ハウジングによって電磁的に結合されて、接続要素を通じて流れる電流に対して反対方向を持つ渦電流をハウジング上で生成する。よって、接続要素を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素の寄生自己インダクタンスを減少させる。その結果、コンデンサESLは減少される。
【0030】
1つの実施形態によれば、コンデンサは、端子の2つのペアを含む。端子は、コンデンサを電気的に接続するよう構成される。端子は、接続要素に接続される。
【0031】
端子の2つのペアは、極性円形レイアウトA-B-A-Bを含む。これは端子がコンデンサハウジングの外面に円形に配置されることを意味する。反対の極性を持つ端子が順々に配置される。すなわち、極性Aを持つ端子の後に極性Bを持つ端子が続き、極性Bを持つ端子の後には極性Aを持つ端子が続くなどである。同じ極性を持つ端子は、内部的に接続される。
【0032】
端子の断面はこのようにして増加され、入力から接続要素および巻線要素まで電気的距離が短縮されて、入力から接続要素および巻線要素への寄生自己インダクタンスが低減される。その結果、コンデンサESLおよびESRは低減される。
【0033】
1つの実施形態によれば、コンデンサは、端子の2つのペアを含む。端子は、コンデンサを電気的に接続するように構成される。端子は、接続要素と接続される。
【0034】
端子の2つのペアは、極性円形レイアウトA-A-B-Bを含む。これは端子がコンデンサハウジングの外面に円形に配置されることを意味する。同じ極性を持つ端子が順次に配置されている。すなわち、極性Aを持つ端子が極性Aを持つ端子の隣に配置される。極性Bを持つ端子が極性Bを端子の隣に配置される。同じ極性を持つ端子が内部に接続される。
【0035】
従って、端子の断面は増加され、入力から接続要素および巻線要素までの電気的距離が短縮されて、入力から接続要素および巻線要素への寄生自己インダクタンスが低減される。その結果、コンデンサESLおよびESRが低減される。
【0036】
1つの実施形態によれば、反対の極性を持ちかつ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素の側面に配置される。換言すれば、各ペアが反対の極性を有する(すなわち、ペアのうちの1つの接続要素が極性Aを有し、他の1つが極性Bを有する)、2つの接続要素、4つの接続要素、6つの接続要素、または接続要素のそれよりもさらに多くのペア対が、少なくとも1つの巻線要素の外面に沿って配置される。
【0037】
接続要素の前記少なくとも1つのペアは、異なる巻線要素を電気的に接続する。すなわち、前記接続要素のうちの1つは、例えば、頂部巻線要素に接続されてよい。前記接続要素のうちの他の1つは、さらなる巻線要素、例えば、頂部巻線要素に続く巻線要素に接続されてよい。
【0038】
代替的にまたは追加的に、反対の極性を持ちかつ同じ巻線要素からなるの接続要素の少なくとも1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素の側面に配置される。接続要素の前記少なくとも1つのペアは、1つの巻線要素を電気的に接続する。すなわち、接続要素の少なくとも1つのペアの全ての接続要素は、例えば、頂部巻線要素に接続されてよい。代替的に、接続要素の少なくとも1つのペアの全ての接続要素は、さらなる巻線要素、例えば、頂部巻線要素に続く巻線要素に接続されてよい。
【0039】
接続要素のペアは、平行な向きに、すなわち、互いに対して平行に配置される。2つの接続要素の間の距離は、接続要素が重なり合うように可能な限りできるだけ小さい。例えば、2つの接続要素の間の距離は、0.1mm~3mmの間であってよい。
【0040】
ハウジング、特にハウジングの内面と、2つの接続要素との間の距離は、可能な限り小さくてよい。例えば、2つの接続要素とハウジングとの間の距離は、0.5mm~2mmの間であってよい。この場合、両方の接続要素は、ハウジングに対して平行に、すなわち、コンデンサ/ハウジングの主縦軸に対して平行に配置されてよい。
【0041】
接続要素の各ペアにおいて、接続要素を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素の寄生自己インダクタンスを減少させる。よって、コンデンサESLは低減される。接続要素のペアがハウジングに可能な限り近く配置されるときに、記載された前記効果が増幅される。
【0042】
1つの実施形態によれば、反対の極性A-B-Aを持ちかつ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのトリオが、ハウジングに可能な限り近く配置される。代替的にまたは追加的に、反対の極性A-B-Aを持ちかつ同じ巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのトリオが、ハウジングに可能な限り近く配置される。
【0043】
換言すれば、1つのトリオの各接続要素が異なる巻線要素に接続される、あるいは1つのトリオの各接続要素が同じ巻線要素に接続される、接続要素の1つ、2つ、またはそれよりもさらに多くのトリオが、ハウジングの内面に対して最小限の距離において配置される。その上、接続要素の前記トリオは、ハウジングに対して平行に配置される。前記3つの接続要素は、交互の極性を有する。それは3つの接続要素のうちの1つが極性Aを持ち、次の接続要素が反対の極性Bを持ち、さらなる接続要素が再び反対の極性Aを持つことを意味する。
【0044】
3つの接続要素は、ハウジングの内面に対して同じ距離に配置される。3つの接続要素の各々とハウジングの内面との間の距離は、0.5mm~2mmの間であってよい。その上、1つのトリオに属する3つの接続要素は、互いに対して可能な限り最小の距離で配置される。例えば、3つの接続要素の間の距離は、0.1mm~3mmの間である。
【0045】
接続要素の各トリオは、金属ハウジングによって電磁的に結合されて、接続要素を通じて流れる電流とは反対方向を持つ渦電流をハウジング上で生成する。よって、接続要素を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素の寄生自己インダクタンスを減少させる。このようにして、コンデンサESLは低減される。
【0046】
1つの実施形態によれば、反対の極性A-B-Aを持ちかつ異なる巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのトリオが、少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置される。代替的にまたは追加的に、反対の極性A-B-Aを持ちかつ同じ巻線要素からの接続要素の少なくとも1つのトリオが、少なくとも1つの巻線要素のコア内に配置される。
【0047】
換言すれば、1つのトリオの各接続要素が異なる巻線要素に接続されている、あるいは1つのトリオの各接続要素が同じ巻線要素に接続されている、接続要素の1つのトリオ、2つのトリオ、またはそれよりもさらに多くのトリオが、少なくとも1つの巻線要素の内側中空領域内に配置される。その上、説族要素の前記トリオは、互いに対して平行に配置される。前記3つの接続要素は、交互の極性を有する。それは3つの接続要素のうちの1つが極性Aを持ち、次の接続要素が反対の極性Bを持ち、さらなる接続要素が再び反対の極性Aを持つことを意味する。
【0048】
1つのトリオに属する3つの接続要素の間の距離は、前記接続要素が重なり合うように可能な限り短縮される。3つの接続要素の間の距離は、0.1mm~3mmの間であってよい。
【0049】
接続要素の各トリオにおいて、接続要素を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素の寄生自己インダクタンスを減少させる。よって、コンデンサESLは低減される。
【0050】
コンデンサの上述の構成および改良は、個別にまたは組み合わされて、コンデンサ内に実装され得ることが理解されるべきである。
【0051】
さらなる態様によれば、高周波数用途における前述のコンデンサの使用が記載される。コンデンサの上述の構成は、個別にまたは組み合わされて、コンデンサにおいて実装されることができる。コンデンサは、非常に低いESRおよび/またはESLを有する。従って、それは、高周波数用途、例えば、再生可能エネルギ、電気車両、牽引、モータ駆動装置、無停電電源、エネルギ伝達装置などに使用されるのに最適である。
【0052】
さらなる構成、改良、および便宜は、図面に関連する例示的な実施形態の以下の記述から明らかになる。
【0053】
図において、同じ構造および/又は機能性の要素は、同じ参照番号によって参照されることがある。図に示す実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】最新技術によるフィルムコンデンサの簡略化された電気モデルを図式的に示す。
【
図2】最新技術によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図3】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図4】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図5A】
図4によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図5B】
図4によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図5C】
図4によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図5D】
図4によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図6】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図7】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図8】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図9A】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図9B】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図9C】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図9D】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図10】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図11A】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図11B】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図11C】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図11D】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図12A】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図12B】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図15A】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図15B】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図15C】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図15D】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図16A】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図16B】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図16C】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図16D】さらなる実施形態によるコンデンサの斜視図/頂面図を図式的に示す。
【
図17】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【
図19】一実施形態によるコンデンサの斜視図を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1および
図2は、最新技術によるコンデンサに関する。
図2には、従来の円筒形のフィルムコンデンサ100(film capacitor)が示されている。コンデンサ100は、並列に接続される2つの内部巻線要素101を備える。巻線要素101は、接続ストライプ103(connection stripes)によって1対の外部端子102に接続される。全ての巻線要素101は、同じ高さを有する。
【0056】
図1は、最新技術によるフィルムコンデンサ、例えば、コンデンサ100の等価電気モデル(equivalent electrical model)を示す。
図1から分かるように、コンデンサ100は、寄生コンポーネント(parasitic components)を有する。特に、コンデンサ100のESLは、端子102の寄生自己インダクタンスによるものであり、巻線要素101の寄生自己インダクタンスは、固有の寄生自己インダクタンスと、接続ストライプ103による巻線要素101と端子102との間の接続によって起因して得られる自己インダクタンスとを含む。
【0057】
高周波数用途において正しく作動するために、コンデンサの寄生インダクタンスおよび/または抵抗は、低減されなければならない。
【0058】
図3は、第1の実施形態によるコンデンサ1の斜視図を図式的に示す。
【0059】
コンデンサ1は、円形または円筒形のフィルムコンデンサである。コンデンサ1は、高周波数用途において使用されるように構成される。コンデンサ1は、この実施形態において、2つの内部巻線要素2を含む。もちろん、コンデンサ1は、2つよりも多くの巻線要素2、例えば、3つ、4つ、5つ又はそれよりも多くの巻線要素2を含むことができる。
【0060】
巻線要素2は、並列に接続される。巻線要素2は、接続要素3、例えば、接続ストライプ(connection stripes)によって一対の外部端子6、7に接続される。具体的には、各巻線要素2は、反対の極性を有する一対の接続要素3に接続される。代替的な実施形態では、それは異なる接続であることもできる。例えば、それぞれの巻線要素2は、極Aの2つの接続ストライプ3および極Bの1つの接続ストライプ3に接続することができる。換言すれば、それぞれの巻線要素2は、必ずしも1対の接続要素3に正確に接続されているとは限らない。
【0061】
コンデンサ1は、円筒形のハウジング4を含む。ハウジング4は、金属を含む。好ましくは、ハウジング4は、アルミニウムを含む。巻線要素2および接続要素3は、ハウジング4の内部に配置される。
【0062】
この実施形態において、接続要素3のうちの1つは、ハウジング4の内面に最も可能に近接して配置される。換言すれば、内側ハウジング壁への前記接続要素3の距離は、従来のコンデンサと比較して短縮される。例えば、前記接続要素3とハウジングの内面との間の距離は、0.5mm~2mmである。
【0063】
その上、前記接続要素3は、ハウジング4に対して、特にハウジング4の内面に対して平行に配置される。接続要素3は、ハウジング4/コンデンサ1の主縦軸xに対して平行に配置される。前記接続要素3の特定の配置の故に、電磁結合5が、ハウジング4と前記接続要素3との間に形成される。
【0064】
図3による実施形態では、端子6、7に最も近く配置された巻線要素2に属する接続要素3(上方巻線要素)が、ハウジング4に可能な限り近く配置される。もちろん、他の接続要素3、例えば、端子6、7から最も離れている巻線要素2に属する接続要素3を、上述の方法において配置することができる。もちろん、1つよりも多くの接続要素3を、ハウジング4に可能な限りに近く配置することができる。例えば、2つ、3つ、またはそれよりも多くの接続要素3をこのように配置することができる。
【0065】
金属ハウジング4に近い接続要素3は、それと電磁的に結合されて、接続要素3を通じて流れる電流に対して反対の方向を持つ渦電流をハウジング4上で生成する。その結果、接続要素3を通じて流れることによって生成される電磁束が部分的に相殺されて、接続要素3の寄生自己インダクタンス(parasitic self-inductance)が低減され、その結果、コンデンサESLが低減される。従って、本実施形態において、金属ハウジング4は、コンデンサ1のESLを強力に減少させるために使用される。
【0066】
図4および
図5A~
図5Dは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、
図3によるコンデンサ1に関連して記載したように、巻線要素2、接続要素3、端子6、7、およびハウジング4を含む。端子6、7は、ハウジング4の上面4Aから突出する(特に
図5Bおよび
図5Dを参照)。その上、本実施形態においても、接続要素3のうちの少なくとも1つは、コンデンサ1のESLを低減するために、上述したように、ハウジング4に可能な限り最も近く配置されることができる(しかしながら、そうされる必要はない)。
【0067】
加えて、ESLを低減するために、コンデンサ1は、異なる高さを有する巻線要素2を含む。特に、端子6、7に最も近い巻線要素2(いわゆる「上方巻線要素」)は、高さHを有するさらなる巻線要素2(特に
図4および
図5Cを参照)と比較して、より低い高さhを有する。例えば、高さhは、さらなる巻線要素2の高さHの15%~85%である。この文脈において、「高さ」という用語は、コンデンサ1の主縦軸Xに沿う巻線要素2の延伸を示す。
【0068】
低減された高さhの結果として、上方巻線要素2の寄生自己インダクタンスは低減される。その上、その接続要素3(上方巻線要素2と端子6、7との間の電気的接続)の長さは減少される。従って、巻線要素2は並列に接続され、最も低い自己インダクタンスを有するインダクタンスが支配的なものであるため、コンデンサESLは高度に低減される。
【0069】
図6は、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、
図3によるコンデンサ1に関連して記載したように、巻線要素2、接続要素3、端子6、7、およびハウジング4を含む。巻線要素2は、コア8、すなわち、主縦軸Xに沿って巻線要素2を通じて延在する内側中空領域を有する。
【0070】
その上、この実施形態においても、接続要素3のうちの少なくとも1つは、コンデンサ1のESLを低減するために、上述したように、ハウジング4に可能な限り最も近く配置されることができる(しかしながら、そうされる必要はない)。
【0071】
さらに、異なる巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の(少なくとも)1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素2のコア8内に配置される。接続要素3の前記ペアは、互いに平行に配置される。これら2つの接続要素3の間の距離は、前記接続要素3がコア領域内で重なり合うほど小さい(オーバーラップ領域9を参照)。例えば、これら2つの接続要素3の間の距離は、0.1mm~3mmの間である。
【0072】
もちろん、接続要素3のうちの1つよりも多くのペア、例えば、2つまたは3つのペアが、このように配置されることができ、最大数は、巻線要素の数に依存する。
【0073】
このように配置される接続要素3の各ペアにおいて、接続要素3を通じて流れる電流によって生成される電磁束は部分的に相殺されて、接続要素3の寄生自己インダクタンスが低減される。その結果、コンデンサESLは低減される。
【0074】
図6に示されない代替的な実施形態では、1つの巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の(少なくとも)1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素2のコア8内に配置されてよい。
【0075】
図7は、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、
図3によるコンデンサ1に関連して記載したように、巻線要素2、接続要素3、端子6、7、およびハウジング4を含む。本実施形態では、
図3に関連して記載したように、コンデンサESLを低減するために、やはりハウジング4が用いられる。
【0076】
図7による実施形態において、異なる巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の(少なくとも)1つのペアが、ハウジング4に、特にハウジング4の内面に可能な限り近く配置される。両方の接続要素3は、ハウジング4に対して同じ距離に配置される。2つの接続要素3の各々とハウジング4の内面との間の距離は、0.5mm~2mmの間であってよい。
【0077】
前記接続要素3は、ハウジング4に対して平行に、すなわち、主縦軸Xに対して平行に延在する。その上、2つの接続要素3は、可能な限り互いに近く配置される。例えば、2つの接続要素3の間の距離は、0.1mm~3mmの間であってよい。その結果、2つの接続要素3は重なり合う。
【0078】
もちろん、接続要素3の1つよりも多くのペア、例えば、2つのペアまたは3つのペアが、このように配置されることができ、最大数は、巻線要素の数に依存する。
【0079】
接続要素3の各ペアは、金属ハウジングに電磁的に結合される(電磁結合10を参照)。これは、接続要素3を通じて流れる電流と反対の方向を持つ渦電流をハウジング4上で生成する。このようにして、接続要素3を通じて流れる電流によって生成される電磁束が部分的に相殺されて、接続要素3の寄生自己インダクタンスが低減される。その結果、コンデンサESLは低減される。
【0080】
図7に示されない代替的な実施形態では、同じ巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3のうちの(少なくとも)1つのペアが、ハウジング4に、特にハウジング4の内面に可能な限り近く配置される。
【0081】
図8は、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、
図3によるコンデンサ1に関連して記載したように、巻線要素2、接続要素3、およびハウジング4を含む。
【0082】
再び、接続要素3のうちの少なくとも1つは、コンデンサ1のESLを低減するために、上述のように、ハウジング4(ハウジング4および接続要素3の電磁結合)に可能な限り近く配置されることができる(しかしながら、そうされる必要はない)。
【0083】
それに加えて、コンデンサESL/ESRをさらに低減するために、異なる巻線要素2または1つの巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の1つのペアは、それらが
図6に関連して既に記載したように重なり合うように、少なくとも1つの巻線要素2のコア8に配置されることができる。
【0084】
その上、コンデンサは、外部端子6、7の2つのペアを含む。換言すれば、コンデンサ1は、2つの第1の端子6および2つの第2の端子7を含む。第1および第2の端子6、7は、反対の極性を有する。第1の端子6は、極性Aを有し、第2の端子7は、極性Bを有し、あるいはその逆もまた同様である。
【0085】
端子6、7は、ハウジング4の上面4aに円形に配置される。端子6、7は、一方の端子6、7に反対の極性を持つ別の端子7、6が常に続くように配置される。特に、端子6、7の2つのペアは、極性円形レイアウトA-B-A-Bにおいて配置される。同じ極性を持つ端子6、7は、内部的に接続される。
【0086】
このようにして、端子6,7の断面は増大され、入力(端子6、7が外部に接続される端子6、7の頂部)から接続要素3および巻線要素2までの電気的距離が減少される。従って、入力から接続要素3および巻線要素2への寄生自己インダクタンスが低減される。その結果、コンデンサESLとESRは低減される。
【0087】
図9A~
図9Dは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。ここで、
図3、
図4および
図8による実施形態は、コンデンサ1のESLおよびESRを強力に低減するために組み合わされる。これは次のことを意味する。
i)接続要素3のうちの(少なくとも)1つは、接続要素3およびハウジング4が電磁的に結合されるように、ハウジング4の内面に可能な限り近く配置される(特に
図9Aを参照)。
ii)頂部巻線要素2の高さhは、さらなる巻線要素2の高さHに比較して小さくされる(特に、
図9Cを参照)。
iii)極性円形レイアウトA-B-A-Bに配置された端子6、7の2つのペアが設けられ、同じ極性を持つ端子6、7が内部的に接続される(特に、ハウジング4の上面4aに円形に配置された端子6、7を持つコンデンサ1の頂面図を示す
図9Dを参照)。
【0088】
組み合わせにおいて、これらの構成i)~iii)は、コンデンサ1のESLが強力に低減されることを保証する。
【0089】
図9Dは、巻線要素2を並列に接続するための接続要素3との端子6、7の接続を図示する。同じ極性を持つ端子は、内部的に接続される。
【0090】
図10は、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、
図3によるコンデンサ1に関連して記載したように、巻線要素2、接続要素3、およびハウジング4を含む。
【0091】
再び、接続要素3のうちの(少なくとも)1つは、コンデンサ1のESLを低減するために、上述のように、ハウジング4(ハウジング4および接続要素3の電磁結合)に可能な限り近く配置されることができる(しかしながら、そうされる必要はない)。追加的にまたは代替的に、異なる巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の(少なくとも)1つのペアは、それらが
図7に関連して記載したようにハウジング4に電磁的に結合されるように、ハウジング4に、特にハウジング4の内面に可能な限り最も近く配置されることができる。追加的にまたは代替的に、巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の(少なくとも)1つのペアは、それらが
図7に関連して記載したようにハウジング4に電磁的に結合されるように、ハウジング4に、特にハウジング4の内面に可能な限り最も近く配置されることができる。
【0092】
コンデンサESLを(さらに)低減するために、異なる巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する1対の接続要素3は、それらが
図6に関連して既に記載したように重なり合うように、少なくとも1つの巻線要素2のコア8内に配置することもできる。追加的にまたは代替的に、コンデンサESLを(さらに)低減するために、1つの巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の1つのペアは、それらが
図6に関連して既に記載したように重なり合うように、少なくとも1つの巻線要素2のコア8内に配置されることもできる。
【0093】
それに加えて、コンデンサは、2つのペアの外部端子6、7、すなわち、2つの第1の端子6および2つの第2の端子7を含む。第1および第2の端子6、7は、反対の極性を有する。第1の端子6は、極性Aを有し、第2の端子7は、極性Bを有し、あるいは、その逆も同様である。
【0094】
端子6、7は、ハウジング4の上面4aに円形に配置される(
図11Aおよび11Dも参照)。端子6、7は、1つの端子6、7の後に同じ極性の1つの端子6、7が続くように配置される。特に、端子6、7の2つのペアは、極性円形レイアウトA-A-B-Bにおいて配置される。同じ極性を持つ端子6、7は、内部的に接続される。
【0095】
端子6、7の特定の配置の故に、端子6、7の断面が増加し、入力から接続要素3および巻線要素2までの電気的距離が減少する。従って、入力から接続要素3および巻線要素2への寄生自己インダクタンスが低減される。その結果、コンデンサESLおよびESRはさらに減少する。
【0096】
図11A~
図11Dは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。ここで、
図3、
図4、
図7および
図10による実施形態は、コンデンサ1のESLを強力に低減するために組み合わされる。これは次のことを意味する。
- 異なる巻線要素2または同じ巻線要素2に属しかつ反対の極性を有する接続要素3の(少なくとも)1つのペアは、接続要素3およびハウジング4のペアが電磁的に結合されるようにハウジング4に、特にハウジング4の内面に可能な限り最も近く配置される。(特に
図11Aを参照)。
- 加えて、さらなる(単一の)接続要素3が、ハウジング4と電磁的に結合されるために、ハウジング4に可能な限り最も近く配置されることができる。
- 頂部巻線要素2の高さhは、さらなる巻線要素2の高さHと比較して小さくされる(特に
図11Cを参照)。
- 極性円形レイアウトA-A-B-Bに配置される端子6、7の2つのペアが設けられ、同じ極性を持つ端子6、7が内部的に接続される(ハウジング4の上面に円形に配置された端子6、7を持つコンデンサ1の頂面図を示す
図11Dを特に参照)。
【0097】
組み合わせにおいて、これらの構成は、コンデンサ1のESLが強力に低減されることを保証する。
【0098】
図11Dは、巻線要素2を並列に接続するための接続要素3との端子6、7の接続をさらに図示する。同じ極性を持つ端子6、7は、内部的に接続される。
【0099】
図12Aは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、巻線要素2、接続要素3、端子6、7、およびハウジング4を含む。この実施形態では、反対の極性を有しかつ異なる巻線要素2に属する接続要素3の(少なくとも)1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素2の側面に配置される。換言すれば、接続要素3のペアは、巻線要素2の外側に沿って延在する。接続要素3のペアは、主縦軸Xに対して平行に延在する。
【0100】
接続要素3のこのペアは、平行な向きに配置される。その上、2つの接続要素3の間の距離は、それらが重なり合うように可能な限り減少される(オーバーラップ領域11を参照)。例えば、2つの接続要素3の間の距離は、0.1mm~3mmの間であってよい。
【0101】
もちろん、接続要素3の1つよりも多くのペア、例えば、2つのペアまたは3つのペアをこのように配置することができ、最大数は、巻線要素の数に依存する。
【0102】
接続要素3の各ペアにおいて、接続要素3を通じて流れる電流によって生成される電磁束は部分的に相殺されて、接続要素3の寄生自己インダクタンスを減少させる。その結果、コンデンサESLは減少される。
【0103】
図12Aに示されない代替的な実施形態では、反対の極性を有しかつ同じ巻線要素2に属する接続要素3の(少なくとも)1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素2の側面に配置される。
【0104】
図12B、
図13A~
図13Dおよび
図14A~14Eは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。ここで、
図3および
図12Aによる実施形態は組み合わされている。具体的には、少なくとも1つの巻線要素2(重複領域11を参照)の側面に配置される接続要素3の(少なくとも1つの)ペアは、接続要素3およびハウジング4のペアが電磁的に結合されるように、可能な限りハウジング4に近く配置される。その上、接続要素3の1つのペアは、ハウジング4の内面に平行に、すなわち、主縦軸Xに平行に配置される。
【0105】
このようにして、
図12Aに関連して記載される効果は増幅され、コンデンサESLは強力に低減される。
【0106】
図13Dおよび
図14Eは、ハウジングの上面4a上の接続点13を追加的に示す。接続点は、この実施形態において、はんだ付け点である。
【0107】
接続点13は、接続ストライプによって形成される接続要素3とそれぞれの巻線要素2との間の良好な接触を保証する。図には、接続要素3と最上巻要素2との間の接続点13が示されている。しかしながら、接続要素3のうちの1つと巻線要素2のうちの1つとの間の全ての接続部は、接続点13を含むことができ、はんだ付けによって形成されてよい、すなわち、全ての接続部は、それぞれの接続点13を形成するはんだ付け点を含んでよい。代替的に、接続要素3のうちの1つと巻線要素2のうちの1つとの間の接続部の一部または全部は、溶接によって形成されることができる。この場合、接続点13は、溶接点である。
【0108】
図15A~
図15Dおよび
図16A~
図16Dは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。ここでは、コンデンサのESL/ESRをさらに低減させるために、
図3、
図8、
図12Aおよび/または
図12Bによる実施形態を組み合わされる。具体的には以下の通りである。
- 反対の極性を有しかつ異なる巻線要素2に属するあるいは同じ巻線要素2に属する接続要素3の(少なくとも)1つのペアが、少なくとも1つの巻線要素2の側面に配置される。
図12aに関連して論じたように、それらの距離は、それらが重なり合うように最小化される(オーバーラップ領域11)。
- 接続要素3のペアは、接続要素3のペアおよびハウジング4が電磁的に結合されるように、ハウジング4に対して平行に、可能な限りハウジング4に近く配置されることができる(
図12Bを参照)。
- 極性円形レイアウトA-B-A-Bに配置される端子6、7の2つのペアが設けられ、同じ極性を持つ端子6、7が内部的に接続される(ハウジング4の上面4aに円形に配置された端子6、7を持つコンデンサ1の頂面図を示す
図15Dを特に参照)。
【0109】
異なる実施形態を組み合わせることによって、コンデンサESLおよびESRは強力に低減される。
【0110】
図15Dは、銅ストリップ(copper strip)を上面4aに固定するためのハウジング4の上面4a上の接続点13をさらに示す。これは接続要素3を端子6、7に固定するのに役立つ。この実施形態では、はんだ付けによって形成された2つの接続点13が示されている。しかしながら、1つの接続点13を持つ実施形態も可能である。例えば、囲まれた接続点13は省略されてよい。
図16Dには、2つのはんだ付け点13が示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、
図16D中の円によって強調される3つまたは4つの接続点13も可能なことがある。
【0111】
図17および
図18a~
図18dは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、巻線要素2、接続要素3、端子6、7、およびハウジング4を含む。
【0112】
この実施形態では、反対極性(A-B-A)を持ちかつ異なる巻線要素2に属する接続要素3のうちの(少なくとも)1つのトリオ(3つ)(trio)が、ハウジング4に可能な限り近く配置される。3つの接続要素3は、ハウジング4に対して同じ距離に配置される。例えば、3つの接続要素3の各々とハウジング4の内面との間の距離は、0.5mm~2mmの間である。よって、3つの接続要素3およびハウジング4は、電磁的に結合される(電磁結合12を参照)。換言すれば、この実施形態においても、金属ハウジング4は、コンデンサESLを減少させるために使用される。
【0113】
3つの接続要素3は、ハウジング4の内面に対して平行に配置される。その上、3つの接続要素3は、互いに非常に近く配置される。例えば、3つの接続要素3の間の距離は、0.1mm~3mmであってよい。3つの連結要素3は、互いに重なり合う。
【0114】
接続要素3の各トリオは、金属ハウジング4によって電磁的に結合されて、接続要素3を通じて流れる電流の方向に対して反対の方向を持つ渦電流をハウジング4上で生成する。従って、接続要素3を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺されて、接続要素3の寄生自己インダクタンスを減少させる。よって、コンデンサESLは低減される。
【0115】
図18Dは、ハウジング4の上面4a上の前述の接続点13をさらに示す。この実施形態では、2つの接続点13が示されている。しかしながら、1つの接続点13を持つ実施形態も可能である。例えば、囲まれた接続点13は省略されてよい。
【0116】
代替的な実施形態では、反対の極性(A-B-A)を持ちかつ同じ巻線要素2に属する接続要素3のうちの(少なくとも)1つのトリオが、可能な限りハウジング4に近く配置される。
【0117】
図19および
図20A~
図20Dは、さらなる実施形態によるコンデンサ1を示す。コンデンサ1は、巻線要素2、接続要素3、およびハウジング4を含む。
【0118】
再び、接続要素3のうちの(少なくとも)1つは、コンデンサ1のESLを低減するために、上述のように、ハウジング4(ハウジング4および接続要素3の電磁結合)に可能な限り近く配置されることができる(しかしながら、そうされる必要はない)(
図3を参照)
【0119】
それに加えて、極性円形レイアウトA-B-A-Bに配置される端子6,7の2つのペアが設けられ、同じ極性を持つ端子6、7が内部的に接続される(
図8も参照)。このようにして、コンデンサESLはさらに低減される。
【0120】
その上、反対の極性(A-B-A)を持ちかつ異なる巻線要素2に属する接続要素3のうちの(少なくとも)1つのトリオが、少なくとも1つの巻線要素2のコア8内に配置される。換言すれば、トリオは、少なくとも1つの巻線要素2の中空内部領域内に配置される。前記接続要素3は、互いに平行に配置される。
【0121】
3つの接続要素3は、互いに可能な限り近く配置される。例えば、3つの接続要素3の間の距離は、0.1mm~3mmであってよい。3つの接続要素3は、互いに重なり合う(オーバーラップ領域14を参照)。
【0122】
接続要素3の各トリオにおいて、接続要素3を通じて流れる電流によって生成される電磁束は、部分的に相殺される。よって、接続要素3の寄生自己インダクタンスは低減され、その結果、コンデンサESLは低減される。
【0123】
全体として、実施形態の組み合わせによって、コンデンサESLは、さらに低減される。
【0124】
代替的な実施形態では、反対の極性(A-B-A)を持ちかつ同じ巻線要素2に属する接続要素3のうちの(少なくとも)1つのトリオが、少なくとも1つの巻線要素2のコア8内に配置される。
【0125】
【符号の説明】
【0126】
1 コンデンサ
2 巻線要素
3 接続要素
4 ハウジング
4a 上面
4b 下面
5 電磁結合
6 端子
7 端子
8 コア
9 オーバーラップ領域
10 電磁結合
11 オーバーラップ領域
12 電磁結合
13 接続点
14 オーバーラップ領域
H 高さ
h 高さ
100 コンデンサ
101 巻線要素
102 端子
103 接続ストライプ
【国際調査報告】