(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】自動車車両用サスペンション装置
(51)【国際特許分類】
B60G 17/04 20060101AFI20240408BHJP
B60G 11/30 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B60G17/04
B60G11/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568434
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 GB2022051149
(87)【国際公開番号】W WO2022234285
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523416542
【氏名又は名称】ドミン フルード パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DOMIN FLUID POWER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー コリンズ
(72)【発明者】
【氏名】トビアス サンディン
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA02
3D301AA03
3D301AA04
3D301AA05
3D301AA48
3D301DA16
3D301DA28
3D301DB35
3D301DB38
3D301DB39
3D301DB43
(57)【要約】
自動車車両用サスペンション装置(201)は、ホイールアセンブリ(209)と自動車車両の車体(207)との間を取り付けるための油圧アクチュエータ(205)を備える。この装置は、さらに、油圧アクチュエータに対する流体供給源をなすよう構成された油圧システム(210)を備える。この油圧システムは、通常動作中に7MPa(70バール)より高い静圧の流体を油圧アクチュエータに供給するよう構成される。本発明の実施形態において、油圧システムは複数のガスアキュムレータ(222, 232, 242)を含み、油圧システムが第1形態にあるときに油圧アクチュエータが第1剛性を有し、また油圧システムが第2形態にあるときに油圧アクチュエータが異なる第2剛性を有するよう、装置は、油圧アクチュエータ、共通流路、ガスアキュムレータ間で流体圧力の変化を伝達するよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車車両用のサスペンション装置であって、
ホイールアセンブリと前記自動車車両の車体との間を取り付けるための油圧アクチュエータと、及び
前記油圧アクチュエータに対する流体供給源をなすよう構成された油圧システムであり、通常動作中7MPa(70バール)より高い全圧で流体を前記油圧アクチュエータに供給するよう構成されている、該油圧システムと、
を備える、サスペンション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサスペンション装置において、前記サスペンション装置は能動サスペンション装置である、サスペンション装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のサスペンション装置において、前記油圧システムは、複数のガスアキュムレータ、前記油圧システムを前記油圧アクチュエータに接続する共通流路、及び1つ又はそれ以上のバルブを含み、各ガスアキュムレータは関連するバルブを介して前記共通流路に接続され、この接続は、使用にあたり、前記関連するバルブが開であるときに前記共通流路内における圧力変化が前記アキュムレータ内の圧力に伝達されるようになされ、また、前記油圧システムは、第1ガスアキュムレータに関連する前記バルブが開位置にあり、かつ異なる第2ガスアキュムレータに関連するバルブが閉位置にある第1形態と、第1ガスアキュムレータに関連する前記バルブが閉位置にあり、かつ/又は第2ガスアキュムレータに関連するバルブが開位置にある第2形態と、の間で切り替わるよう配設されている、サスペンション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のサスペンション装置において、前記装置は、流体圧力の変化を前記油圧アクチュエータ、前記共通流路、及び前記ガスアキュムレータ間で伝達して、前記油圧システムが前記第1形態にあるとき第1剛性を有し、また前記油圧システムが前記第2形態にあるとき第2剛性を有するよう構成される、サスペンション装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のサスペンション装置において、前記複数のガスアキュムレータは第3アキュムレータを含み、また前記油圧システムは、前記第3アキュムレータに関連するバルブの開閉によって更に他の形態間で切り替わるよう配備される、サスペンション装置。
【請求項6】
請求項5に記載のサスペンション装置において、前記第3アキュムレータ可変アキュムレータであり、また随意的に、前記可変アキュムレータは油圧回路のポンプに接続し、また前記油圧システムは、前記ポンプと前記可変アキュムレータとの間で流体が双方向に流動できるよう構成されている、サスペンション装置。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか一項に記載のサスペンション装置において、単一のバルブが、前記第1アキュムレータ、第2アキュムレータ、及び/又は第3アキュムレータの各個に関連する、サスペンション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のサスペンション装置において、前記単一のバルブは、スリーブに対して移動するよう取り付けたスプールを含み、前記スリーブに対する前記スプールの位置は、前記第1及び第2の(また随意的に第3の)アキュムレータ各々に対して、前記アキュムレータが前記共通流路に流体連通するか否かを決定する、サスペンション装置。
【請求項9】
請求項3~8のいずれか一項に記載のサスペンション装置において、少なくとも1の前記アキュムレータと前記共通流路との間で前記流路に比例バルブが配置され、前記装置は、前記比例バルブの非ゼロ位置を変動することが前記油圧アクチュエータの減衰比を変動させるよう構成されている、サスペンション装置。
【請求項10】
請求項3~9のいずれか一項に記載のサスペンション装置において、前記油圧アクチュエータは、
ロッド及び前記ロッドに取り付けたピストンヘッドを含むピストンと、並びに
ピストンハウジングであり、前記ピストンハウジング内に形成されるキャビティ内で前記ピストンが移動するよう取り付けられる、該ピストンハウジングと、
を有し、
前記ピストンヘッドの第1側面及び第2側面が前記キャビティを第1チャンバ及び第2チャンバに分割する、サスペンション装置。
【請求項11】
請求項10に記載のサスペンション装置において、前記ピストンヘッドの前記第1側面の有効表面積は、前記ピストンヘッドの前記第2側面の有効表面積よりも大きい、サスペンション装置。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載のサスペンション装置において、前記第1チャンバは、少なくとも1つの第1ピストン流路を介して前記共通流路に接続し、また前記第2チャンバは、少なくとも1つの第2ピストン流路を介して前記共通流路に接続し、これにより、前記共通流路における圧力変化が前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの双方に伝達され、また随意的に、前記共通流路における圧力上昇が、結果として、前記前記第1チャンバ及び前記第2チャンバの双方における圧力上昇となる、サスペンション装置。
【請求項13】
請求項12に記載のサスペンション装置において、前記サスペンション装置は、(i) 前記第1ピストン流路若しくはその各々又は(ii) 前記少なくとも1つの第2ピストン流路若しくはその各々のいずれかに配置された可変抵抗バルブを備える、サスペンション装置。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載のサスペンション装置において、前記ロッドの第1部分は前記第1チャンバ又は前記第2チャンバ内に配置され、また記ロッドの第2部分は前記ピストンハウジングの外部に配置され、また前記ピストンハウジングは、封止領域であり、前記第1チャンバ又は前記第2チャンバと前記ロッドが突出するハウジング外部との間における前記ハウジングの領域である、該封止領域と、前記封止領域に配置されかつ前記ピストンハウジングと前記ロッドとの間にシールを形成する少なくとも1つのシールと、及び少なくとも1つの排油ポートであり、前記封止領域に配置されかつ前記少なくとも1つのシールと前記第1又は第2のピストンチャンバとの間に配置される、該少なくとも1つの排油ポートと、を含み、使用にあたり、ピストンチャンバから前記封止領域に流入する流体が前記少なくとも1つの排油ポート経由で前記封止領域から退出することができるようにされた、サスペンション装置。
【請求項15】
請求項14に記載のサスペンション装置であって、さらに、前記少なくとも1つの排油ポートに、及び前記共通流路に接続される排油アキュムレータを備え、これにより、前記排油アキュムレータを介して前記排油ポートから前記共通流路に流体が流動できる、サスペンション装置。
【請求項16】
請求項3~15のいずれか一項に記載のサスペンション装置において、前記油圧システムは、前記共通流路に接続されたポンプ、例えば、可変容量形ポンプを含む、サスペンション装置。
【請求項17】
自動車車両用のサスペンション装置であって、
ホイールアセンブリと前記自動車車両の車体との間を取り付けるための油圧アクチュエータと、並びに
流体を前記油圧アクチュエータに供給し、またこれによって油圧アクチュエータの長さ、力、剛性及び/又は減衰特性を制御するよう構成された油圧システムと、
を備え、
前記サスペンション装置は前記油圧システムを前記油圧アクチュエータに接続する共通流路を備え、また
前記油圧システムは、第1ガスアキュムレータ及び第2ガスアキュムレータを含み、各アキュムレータは関連するバルブを介して前記共通流路に接続され、使用にあたり、前記関連するバルブが開であるとき、流体が前記共通流路を介して各アキュムレータから前記油圧アクチュエータに流動することができ、また前記油圧システムは、動作の以下のモード間、すなわち、
流体が前記第1ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができ、また流体が前記第2ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができないよう前記バルブが形態設定される動作の第1モードと、
流体が前記第1ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができ、また流体が前記第2ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができるよう前記バルブが形態設定される動作の第2モードと
の間で切り替わるよう構成されている、サスペンション装置。
【請求項18】
ホイールアセンブリと自動車車両の車体との間を取り付けるための油圧アクチュエータを備える自動車車両用のサスペンション装置であって、前記油圧アクチュエータは、
ピストンハウジングと、並びに
ロッド及び前記ロッドに取り付けたピストンヘッドを含み、前記ピストンハウジング内に形成されたキャビティ内で移動するよう取り付けられたピストンであり、前記ピストンヘッドの第1側面及び第2側面が前記キャビティを第1チャンバ及び第2チャンバに分割する、該ピストンと、
を有し、前記ピストンハウジングは、さらに、
前記第1チャンバ又は前記第2チャンバと前記ロッドが貫通する前記ハウジングの外部との間の領域である封止領域と、
前記封止領域に配置され、また前記ピストンハウジングと前記ロッドとの間に封止部を形成するよう配備された少なくとも1つのシールと、及び
前記少なくとも1つのシールと、前記第1チャンバ又は前記第2チャンバとの間で前記封止領域に配置された少なくとも1つの排油ポートであり、使用にあたり、前記チャンバから前記封止領域に進入する流体が前記排油ポートを介して前記封止領域から退出できる、該排油ポートと
を有する、サスペンション装置。
【請求項19】
ホイールアセンブリと自動車車両の車体との間を取り付けるため、請求項1~18のうちいずれか1項に記載のサスペンション装置を備えるサスペンションユニットであって、前記油圧システムは前記ユニットのハウジング内に収納し、また、前記油圧アクチュエータの少なくとも一部分、例えば、前記油圧アクチュエータのロッドが前記ユニットの前記ハウジング内に部分的に配置される、サスペンションユニット。
【請求項20】
請求項19に記載のサスペンションユニットにおいて、(i) 前記油圧アクチュエータが完全に収縮したとき、前記ユニットの長さが400mm未満、例えば、300mm以下である、及び/又は(ii) 前記ユニットの重量は7kg未満、例えば、4kg以下である、サスペンションユニット。
【請求項21】
請求項19又は請求項20に記載のサスペンションユニットにおいて、前記油圧アクチュエータは、前記ハウジング内で軸線方向に移動するよう取り付けられ、また前記ユニットの長手方向軸線に平行に延在するロッドを有し、また前記油圧システムは、第1ガスアキュムレータ、第2ガスアキュムレータ、及び第3ガスアキュムレータを含み、前記アキュムレータは、前記ユニットの長さの一部分に沿って一列に配備される、サスペンションユニット。
【請求項22】
請求項21に記載のサスペンションユニットにおいて、前記油圧システムは、さらに、前記ユニットの長さの一部分に沿って一列に配備されているポンプを有する、サスペンションユニット。
【請求項23】
請求項19~22のいずれか一項に記載のサスペンションユニットにおいて、前記油圧システムは少なくとも1つのアキュムレータを含み、また前記少なくとも1つのアキュムレータはモジュール式アキュムレータである、サスペンションユニット。
【請求項24】
請求項23に記載のサスペンションユニットにおいて、前記サスペンションユニットは、ポンプが配置されるキャビティを画定するポンプマニホールドを備え、該ポンプマニホールドは複数のフローギャラリを含み、各フローギャラリは、前記マニホールドの入口ポート又は出口ポートと前記キャビティとの間に延在して流体が前記ポンプへ又はから流動するようにさせる流路を形成し、前記フローギャラリの各々は曲線状フローギャラリであり、また前記ポンプマニホールドは、単一ピース構成であり、かつ積層造形を用いて形成される、サスペンションユニット。
【請求項25】
サスペンション装置を用いてホイールアセンブリと自動車車両の車体との間の相対移動を制御する方法であって、前記サスペンション装置は、ホイールアセンブリと自動車車両の車体との間を連結する油圧アクチュエータと、及び前記油圧アクチュエータに対する流体供給源をなすよう構成された油圧システムであり、第1期間にわたり7MPa(70バール)に等しい又はそれ以上の全圧で流体を前記油圧アクチュエータに供給するよう構成されている、該油圧システムと、を備える、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、前記油圧システムは、共有流路に前記接続された第1アキュムレータ及び第2アキュムレータを含み、また前記第1アキュムレータは基準圧力の第1ガス体積を収納し、前記第2アキュムレータは基準圧力の異なる第2ガス体積を収納し、また前記第1期間中には、前記第1アキュムレータ及び前記第2アキュムレータのうち一方又は双方と前記共通流路との間における流体のフローがストップ又はスタートされ、これにより前記共通流路内の作用に曝される圧縮可能なガスの量を変化させ、またしたがって、前記油圧アクチュエータの剛性を変化させる、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、前記方法は、サブ期間中に、前記共通流路をピストンチャンバに接続するピストン流路に配置した可変抵抗バルブの非ゼロ位置を変動させて、前記油圧アクチュエータの減衰率を変化させるステップを備え、また随意的に、前記第1期間は複数のサブ期間を含み、前記1つ又はそれ以上のアキュムレータへの流体フローがストップ又はスタートされるとき、1つのサブ期間が終了しまた別のサブ期間が開始し、また前記方法は、サブ期間中に前記バルブのゼロ位置を変動させるステップを備える、方法。
【請求項28】
請求項26又は請求項27に記載の方法において、前記方法は、随意的に前記第1期間のサブ期間中に、前記共通流路内の全圧を変動させるようポンプを動作させて前記油圧アクチュエータの長さを変化させるステップを備え、前記第1期間は複数のサブ期間を含み、少なくとも1つのアキュムレータへの流体フローがストップ又はスタートされるとき、1つのサブ期間が終了し、また別のサブ期間が開始する、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、前記油圧アクチュエータは、ピストンヘッドの一方の側面側における第1ピストンチャンバ及び前記ピストンヘッドの他方の側面側における第2ピストンチャンバを有するピストンを含み、前記第1ピストンチャンバ側における前記ピストンヘッドの第1側面は、前記第2ピストンチャンバ側における前記ピストンヘッドの第2側面の有効表面積より大きい有効表面積を有し、前記第1チャンバ及び第2チャンバは異なるピストン流路によって前記共有流路に接続され、前記共通経路内の圧力上昇が前記第1チャンバ及び前記第2チャンバにおける圧力上昇を生起し、有効表面積における差が、結果として前記ピストンヘッドに対する正味の力を生じ、これにより前記ピストンヘッドが前記第1チャンバから離れる方向に移動させて流体を前記共通経路から前記第1チャンバ内に流入させ、かつ前記第2チャンバから流体を流出させ、また前記共通経路内の圧力減少が前記第1チャンバ及び前記第2チャンバにおける圧力減少を生起し、有効表面積における差が、結果として前記ピストンヘッドに対する正味の力を生じ、これにより前記ピストンヘッドが前記第2チャンバから離れる方向に移動させて流体を前記第1チャンバから流出させ、かつ前記共通経路から前記第2チャンバに流体を流入させる、方法。
【請求項30】
請求項26又は請求項27に記載の方法において、ポンプが前記共通経路内の全圧を増減するよう動作する間に前記ポンプは前記可変アキュムレータと流体を交換する、及び/又は、ポンプが前記共通経路内の全圧を増減するよう動作する間に前記ポンプは排油アキュムレータと流体を交換する、方法。
【請求項31】
請求項26又は請求項27に記載の方法において、タイヤを前記ホイールアセンブリに取り付け、また排油アキュムレータを共通経路に接続し、前記共通経路は前記油圧アクチュエータに流体連通させ、また前記第1期間中に前記排油アキュムレータと前記共通経路との間における流体フローがスタートし、これにより前記油圧アクチュエータの長さが減少するよう前記油圧アクチュエータから高圧流体を排除し、タイヤが引き込まされ、そして前記ホイールアセンブリ及び前記車体が互いに向かって加速し、またタイヤの引き込みが前記ホイールアセンブリの前記車体に向かう加速度を、前記車体の前記ホイールアセンブリに向かう加速度よりも大きくさせる、方法。
【請求項32】
請求項1~18のいずれか一項に記載のサスペンション装置又は請求項19~24のいずれか一項に記載のサスペンションユニットを備える自動車車両において、前記自動車車両は、シャシーに連結した複数のホイールと、それぞれが各ホイールに関連する複数の前記サスペンション装置又はサスペンションユニットとを含む、自動車車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車両用サスペンション(懸架)装置に関する。より具体的には、限定しないが、本発明は、高油圧アクチュエータを有するサスペンション装置、このようなサスペンション装置及びこのようなサスペンション装置を含む自動車車両を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車両のサスペンション装置は、車体に対するホイールの変位を可能にし、また乗員の快適性及び道路取扱いの相反する要件のバランスをとり、使用のための安全及び心地よさを与えるようにしなければならない。
【0003】
歴史的には、各ホイールにばね及びダンパーが設けられ、固定的特性を有するサスペンションにしていた。より最近では、減衰及び/又はばねレートを変化させる、例えば、異なる機械的ばねを並列的に使用し、また剛性を変化させるようこれらばねのうち1つ以上をロックアウトすることによって、又はサスペンション装置の減衰特性を変化させる磁気レオロジー(МR:magnetorheological)流体を使用することによって、減衰特性を変化させることができるサスペンション装置が設けられてきた。このような装置は、受動的制御サスペンション装置、又は半能動サスペンション装置を称することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
能動サスペンション装置は、各ホイールで車体に対してホイールアセンブリを独立的に移動させるアクチュエータを使用する。したがって、能動サスペンション装置は、アクチュエータ動作に基づくものであり、またまさにばね又は減衰システムの特性を変化させるものではない。
【0005】
能動サスペンション装置は多種多様な自動車車両に使用されるが、未だに広範囲な商業用途に広がっていない。
【0006】
能動サスペンション装置に対するキーとなる課題は、車両がより過酷な道路事情、例えば、道路における凹凸(スピードバンプのような)に遭遇するときに必要となる高パワー出力を提供することであり、またとくに、運転経験に反する影響を与える(例えば、エンジンから過剰なパワーを引き込むことによって)ことなく、及び/又は大型のバルブ/ポンプを必要とすることなく、またひいては車両に多量の空間を必要とすることなく、高パワー出力を提供することである。
【0007】
従来式能動サスペンション装置の現状は、しばしば、例えば、リニア電気-機械的アクチュエータのような電気-機械的アクチュエータに依存している。機械的又は電子-油圧的な制御を有するサスペンション装置は、サスペンション装置に必要となる移動レンジをもたらすためには、多量のパワーを必要とすることがあり得る。それら装置は、さらに、前方の道路に対する予測アルゴリズム及び/又はマップデータを必要とすることがあり得る。
【0008】
加えて、従来式電子-油圧的装置の状況は、代表的には応答時間が比較的緩慢である。このことは、これから到来する道路事情の予兆を得るためのフォワードセンシングを用いることによって幾分オフセットを生ずるおそれがあるとともに、装置の応答性を制限し、フォワードセンシングは、装置の複雑さを増大させ、また能動サスペンション装置が応答できる道路事情、又はドライバ入力のタイプを制限する。
【0009】
より一般的には、空間及び/若しくは動力の効率がより高い、並びに/又は機械的複雑さがより少ない(コスト及び/又は信頼性の点で付随的恩恵がある)能動サスペンション装置を提供するのが望ましい。
【0010】
本発明は、上述した問題点を軽減することを目指す。代替的又は付加的に、本発明は、改善したサスペンション装置及び/又は能動サスペンション装置の油圧アクチュエータにおける反作用の長さ及び/又は力を制御する改善した方法を得ることを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様においては、自動車車両用のサスペンション装置を提供し、このサスペンション装置は、ホイールアセンブリと前記自動車車両の車体との間を取り付けるための油圧アクチュエータと、並びに前記油圧アクチュエータに対する流体(フルーイド)供給源をなすよう、またこれにより、例えば、前記油圧アクチュエータの長さ、剛性及び/若しくは減衰特性、又は油圧アクチュエータによって発揮される力を制御するよう構成された油圧システムであり、通常動作中7MPa(70バール)より高い静圧で流体を前記油圧アクチュエータに供給するよう構成されている、該油圧システムと、を備える。
【0012】
したがって、従来型自動車用サスペンション装置と対比して、本発明は、通常動作で「高圧」、例えば、7MPa(70バール又はおおまかに1000PSI)より高い圧力を使用して油圧システムが「高圧」油圧アクチュエータを制御するものである。このような高圧油圧式サスペンション装置の使用は、システム内で動き回らなければならない流体の量が同等パワーの低圧システムと比較して少量(流体パワーは流体フローで乗算される圧力に比例する)であり、例えば、流量はピークパワー出力で毎分20リットル未満とすることができる。システムを動き回る必要がある流体の量を減少することは、より小型のサスペンション装置及び/又はより応答性のよいサスペンション装置を可能にする。付加的又は代替的に、「高圧」システムはキャビテーション効果のリスクを軽減する。
【0013】
油圧システムは、通常動作において、10MPa(100バール)より高い、例えば、15MPa(150バール)より高い全圧で流体を供給するよう構成することができる。圧力が高ければ高いほど、サスペンション装置に必要とされる流体が少なくて済む。
【0014】
車両用の能動サスペンション装置は、道路条件に応答して車両ホイール及びシャシーの相対移動を制御するためにアクチュエータ(油圧アクチュエータのような)にエネルギーが供給されるシステムとして定義することができる。アクチュエータは、第1方向及び/又はそれとは反対側の第2方向に力を印加することができる。アクチュエータは、長さを増大及び/又は減少することができる。したがって、以下のように4つの象限制御を定義する、すなわち、第1方向に力を印加する間に長さを増大する、第2方向に力を印加する間に長さを増大する、第1方向に力を印加する間に長さを減少する、及び第2方向に力を印加する間に長さを減少する、と定義することができる。能動サスペンション装置は、制御の3つ以上の象限で動作できるものと定義することができる。例えば、能動サスペンション装置は、制御の4つの象限で動作することができる。このことは、受動的装置と対比すると、この受動的装置は、2つ、すなわち、第1方向に力を印加する間に長さを増大する、及び第2方向に力を印加する間に長さを減少する、の2つのみで動作する。理論に拘泥したくないが、このことは、能動的装置が、油圧アクチュエータにエネルギーを投入すること、及びエネルギーを取り去ることの双方を行うからである。
【0015】
サスペンション装置は、油圧システムを油圧アクチュエータに接続する共通流路を備える、例えば、この共通流路を介して流体が油圧システムと油圧アクチュエータとの間で流動することができるようにする。共通流路は、双方向流路とすることができる。
【0016】
油圧システムは、複数のガスアキュムレータを含むことができる。各ガスアキュムレータは、ガスリザーバ(圧縮可能なガスを含有する)及び流体リザーバ(圧縮不能な流体を含有する)。ガスリザーバ及び流体リザーバは、圧力がガスリザーバと流体リザーバとの間で伝達されるよう、バリアによって分離することができる。使用にあたり、ガスリザーバは圧縮可能なガスを含有することができる。使用にあたり、流体リザーバは、共通流路及び油圧システムの残りの部分で使用される圧縮不能流体を含有することができる。各アキュムレータは、圧縮可能ガス源に接続するよう構成された少なくとも1つの空気充填バルブを含むことができる。ガスアキュムレータは、本明細書で単に「アキュムレータ」と称することがあり得る。
【0017】
ガスアキュムレータの各々(例えば、各アキュムレータの流体リザーバ)は、例えば、共通流路内の流体圧力における変化がアキュムレータ内のガスに伝達されるよう、共通流路に接続することができる。共通流路は、例えば、各ガスアキュムレータが共通流路を介してアクチュエータに接続されるように、油圧システムを油圧アクチュエータに接続することができる。各ガスアキュムレータは、独立して共通流路に接続する、例えば、別のアキュムレータと共通流路との間で流体が流動するか否かとは無関係に、アキュムレータと共通流路との間で流体が流動するよう接続することができる。油圧システムは1つ又はそれ以上のバルブを含むことができる。バルブは複数のガスアキュムレータの各個に関連することができる。バルブは、バルブを開く又は閉じるときに、流体がガスアキュムレータから共通流路に流動できるか否かを決定するよう、アキュムレータに関連すると言うことができる。バルブは1個より多いアキュムレータに関連させることができる。本明細書で使用する「接続される(connected)」は、接続された要素相互間で流体が流動するための潜在的経路があることを意味すると、理解されたい。当然のことながら、この潜在的経路に沿って流体が流動するか否かは、この経路に沿うあらゆるバルブの位置(例えば、開放又は閉鎖)に依存する。
【0018】
油圧システムは、例えば、共通流路を介して各ガスアキュムレータに接続されたポンプを含むことができる。
【0019】
共通流路は、流路の一部分(ネクサス又は共通部分)を含むことができ、この一部分経由で複数のガスアキュムレータ及び/又はポンプへ又はから流動する流体が通過する、例えば、任意な時点で油圧システムによって油圧アクチュエータに供給される圧力が共通部分における流体圧力として定義できるよう、通過する。
【0020】
サスペンション装置は、関連のバルブが開であるとき、共通流路内の圧力がアキュムレータのガスリザーバ内のガスに伝達されるよう構成されている。このようにして、アキュムレータ内のガスは、共通流路内の圧力が上昇するとき圧縮される、及び/又は共通流路内の圧力が低下するとき膨張することになり得る。したがって、各アキュムレータのガスは、システム内の流体によって圧縮されるとき、圧縮ばねとして作用することになり得る。換言すれば、共通流路に流体連通するガスアキュムレータ内の圧縮可能ガスの体積が油圧システムの剛性(及びひいては油圧アクチュエータの剛性)を決定することができる。システムは、アキュムレータが共通流路に流体連通となる及び流体連通から外れるように切り替わり、共通流路に連通するガスの体積を変動させ、またこれによりアクチュエータの剛性を変動させることができるよう構成することができる。
【0021】
複数のガスアキュムレータは、流路の長さに沿って互いに離れた場所で共通流路に接続することができる。共通部分は、複数のガスアキュムレータ(一方の側)と油圧アクチュエータ(他方の側)との間で流路に配置することができる。
【0022】
複数のアキュムレータは、基準圧力の第1ガス体積を含有するよう構成された第1アキュムレータと、及び同一の基準圧力の第2ガス体積を含有するよう構成された第2アキュムレータから成り、第1体積及び第2体積は異なるものとすることができる。第1体積は第2体積よりも少ない(低い)ものとすることができる(この場合、第1アキュムレータ及び第2アキュムレータは、それぞれ小体積アキュムレータ及び大体積アキュムレータと称することができる。)
【0023】
複数のアキュムレータの使用することは、所与の全圧を油圧アクチュエータに供給するための油圧回路により小さいポンプを使用することを可能にし、これはすなわち、加圧された流体が、瞬時に供給されるよりも幾つかのアキュムレータに徐々に溜まることができるからである。付加的又は代替的に、この手法は、より効率的なサスペンション装置をもたらす、並びに/又はポンプから要求されるパワーの山及び谷を回避することによって体験する運転に対する衝撃を軽減することになり得る。複数アキュムレータの使用は、空間効率及び機械的に簡単な方法を達成することを可能にする。付加的又は代替的に、共通流路に接続した、異なる体積の圧縮可能ガスを有するアキュムレータを設けることは、可変剛性能動サスペンション装置及びより応答性の高い能動サスペンション装置を可能にし、これはすなわち、異なるアキュムレータが迅速に接続されるまた切り離されることができ、これによりサスペンション装置の特性を急激に変化させることができるからである。複数アキュムレータの使用は、例えば、油圧システムのポンプ送油率を変化させる、又はアクチュエータ等の使用によりシステムの剛性を増減させることによって、ばねレートが変化する油圧システムに比べると、より応答性の高いシステムを得ることができる。このことは、迅速な応答時間を有することが前途の道路に存在する表面条件に反応できる上で必須である能動サスペンション装置にとって、とくに有利となり得る。
【0024】
好適には、能動的装置は、10ms未満の応答時間、より好適には5ms未満の応答時間を有する。応答時間は、油圧アクチュエータの特性(例えば、剛性、力、長さ又は減衰)の変化が開始する制御システムと達成される変化との間に要する時間と定義することができる。
【0025】
サスペンション装置は、共通流路における油圧圧力が油圧アクチュエータに伝達され、これにより共通流路に流体連通する圧縮可能なガスの総体積によって油圧アクチュエータの剛性(ばねレートκ)が決定される(少なくとも部分的に、例えば、主として又は実質的に決定される)よう構成することができる。
【0026】
装置は、流体圧力の変化を油圧アクチュエータ、共通流路、及びガスアキュムレータの間に伝達し、これにより油圧アクチュエータは、油圧システムが第1形態にあるとき第1剛性を有し、また油圧システムが第2形態にあるとき異なる第2剛性を有するよう構成することができる。サスペンション装置は、共通流路における流体圧力が油圧アクチュエータの少なくとも一方のチャンバに伝達され、例えば、通常のパイプフロー損失以外に大きな圧力損失がなく伝達されるよう構成することができる。
【0027】
複数アキュムレータの各アキュムレータは、それぞれに関連するばねレート又はばね定数を有することができる。例えば、基準圧力でより少ないガス体積を保持するよう構成されたガスアキュムレータは、同一の基準圧力でより多いガス体積を保持するガスアキュムレータに比較して関連するばねレート(定数)が高いものとなり得る。サスペンション装置は、複数のガスアキュムレータのうちどのガスアキュムレータが共通流路に流体連通するかの変化をさせることが油圧アクチュエータのばねレートを変化させるよう構成することができる。共通流路は、ガスアキュムレータの共通流路に対する接続がガスアキュムレータのばねレート合算(すなわち、ばね直列連結に類似)を可能にする。各ガスアキュムレータは任意な他のアキュムレータとは異なる基準圧力でのガス体積を含有するよう構成する場合があり得る。したがって、複数のガスアキュムレータの各々はそれに関連するばね定数を有する場合があり得る。
【0028】
油圧システムは、第1ガスアキュムレータに関連するバルブが開位置にある、かつ異なる第2ガスアキュムレータに関連するバルブが閉位置にある第1形態と、第1ガスアキュムレータに関連するバルブが閉位置にある、かつ/又は異なる第2ガスアキュムレータに関連するバルブが開位置にある第2形態と、の間で切り替わるよう仕組まれる場合があり得る。第1ガスアキュムレータに関連するバルブが第2形態で開位置にある場合があり得る。
【0029】
油圧システムは、第1ガスアキュムレータに関連するバルブが閉じられ、かつ第2ガスアキュムレータに関連するバルブが開である(第3又は他の)形態に切り替わるよう仕組まれる場合もあり得る。油圧システムは、第1ガスアキュムレータに関連するバルブ及び第2ガスアキュムレータに関連するバルブが閉じられる(第4又は他の)形態に切り替わるよう仕組まれる場合もあり得る。
【0030】
油圧システムは、第1、第2、第3、及び第4の形態のうち任意な形態間で切り替わるよう構成される場合があり得る。
【0031】
複数のガスアキュムレータは、さらに、第3アキュムレータ、例えば、可変アキュムレータを含むことができる。可変アキュムレータは、ガスリザーバに含有される基準圧力でのガス体積が可変であるように構成することができる。例えば、制御信号に応答して、ガスリザーバと流体リザーバとの間におけるバリアの相対位置を変化させることによってガスリザーバの容積を増減させることができる。可変アキュムレータは、それに関連する可変代表ばねレートを有することができる。可変アキュムレータは、共通油圧経路に接続することができる。アキュムレータと共通油圧経路との間における流体フローを制御する可変アキュムレータに関連するバルブが存在する場合があり得る。可変アキュムレータはポンプに接続することができる。例えば、油圧システムは、流体がポンプと可変アキュムレータとの間で双方向に(すなわち、ポンプへの及びからの方向)に流動できる構成にし得る。当然のことながら、別のアキュムレータを設けることは、そのアキュムレータに関連するバルブが開であるか又は閉じられるかに基づいて、動作の付加的モード/形態を生ずる。
【0032】
可変アキュムレータを設けることは、例えば、固定容積(例えば、第1及び/又は第2の)アキュムレータによって達成される油圧アクチュエータ剛性に対して影響を与えることができる温度又は他の効果を考慮して、油圧アクチュエータの剛性の調整を可能にする。したがって、可変アキュムレータを設けることは、システムが、広範囲な環境条件にわたり及び/又は長期間にわたり油圧アクチュエータの標的特性を達成する(例えば、長い使用期間にわたるシステムの摩耗及び破損の結果としてのいかなる「ドリフト」をも補償する)ことを可能にし得る。付加的又は代替的に、ポンプへの加圧流体源としての可変アキュムレータを設けることは、さもないと損失し得る流体圧力の保存を可能にすることによって、ポンプのより効率的な動作及び/又はシステムの上昇したパワー効率を可能にすることができる。付加的又は代替的に、可変アキュムレータは、動作モードに基づいて異なるガス体積を収容し、これにより必要とされる固定容積アキュムレータの個数を減少するのに使用することができる。可変アキュムレータ内のガス体積は、可変アキュムレータ内に強制流入させられる流体の量を増減することによって(間接的に)制御することができる。付加的又は代替的に、可変アキュムレータ内のガス体積は、空気充填により可変アキュムレータに送給されるガス量を増減することによって制御することができる。
【0033】
複数のガスアキュムレータにおける異なるアキュムレータ(例えば、各アキュムレータ)は、1つ又はそれ以上の異なるバルブに関連させる場合があり得る。1つ又はそれ以上のバルブは多数の個別バルブとすることができる。例えば、個別バルブは、各アキュムレータと共通流路との間に位置決めすることができる。前記の各個別バルブは、以下に記載するようにサーボバルブの一部とすることができる。
【0034】
付加的又は代替的に、油圧システムは、1つより多いアキュムレータに関連する主バルブを含むことができる。例えば、油圧システムは、複数のアキュムレータの各々に関連する(単一)バルブを含み、同一バルブが第1、第2、第3(もしあるならば)の、及び/又は任意な他のアキュムレータからの流体フローを制御するようにすることができる。したがって、システムは、バルブによって第1形態と第2形態(及び随意的に第3、第4、及び任意な他の形態)との間で切り替わる場合があり得る。このようにして、単一バルブは1つより多いアキュムレータに関連することができる。単一バルブの使用は、よりコンパクト及び/又は機械的により簡単なサスペンション装置にすることを可能にする。単一バルブがスリーブに対して移動するよう取り付けたスプールを含む(あたかも、以下に説明するように単一バルブがサーボバルブであるかのような)場合、スリーブに対するスプールの位置は、第1、第2、及び/又は第3のアキュムレータ各々に対して、そのアキュムレータが共通流路に流体連通するか否かを決定することができる。
【0035】
当該又は各バルブはサーボバルブとすることができる。多数の個別バルブは、機械的にサーボバルブ内に(機械的に)含めることができる。サーボバルブは、スリーブに対して移動するよう取り付けたスプールを含むことができる。サーボバルブは、スリーブに対するスプールの移動がバルブを経由する流体フローを制御することができる。例えば、1つ又はそれ以上の入口ポート及び1つ又はそれ以上の出口ポートをスリーブに形成し、またスプールの移動がこれらポート間の流路を決定することができる。スプールは、そこに形成した1つ又はそれ以上のランド部又は溝を有し、また使用にあたり、ランド部又は溝を介して入口ポートと出口ポートとの間で流体が流動する場合があり得る。サーボバルブは、複数のアキュムレータのうちどのアキュムレータが共通流路に流体連通するか否かを、スプールの位置が決定するよう構成され得る。サーボバルブは、多方向(例えば、6方向)サーボバルブとすることができる。このようにして、単一サーボバルブは、油圧システムの動作状態を制御し、またひいては共通流路に沿う複数のアキュムレータのうちどのアキュムレータが共通流路に流体連通するか否かを決定することができる。単一サーボバルブの使用は、サスペンション装置をよりコンパクト及び/又は機械的に簡単にすることを可能にする。付加的又は代替的に、サーボバルブの使用は、サーボバルブが形態相互間で迅速な切り替えを可能にするため、より応答性の高いサスペンション装置をもたらすことができる。付加的又は代替的に、このようなバルブの使用は、バルブを異なる状態間で移動させる(また、ひいては油圧アクチュエータの減衰、長さ及び/又は剛性を変化させる)のに少量のパワーのみ必要であるため、システムのパワー効率を向上させることができる。サーボバルブのスリーブには、能動サスペンション装置のマニホールド又はハウジングを一体形成することができる。サーボバルブのスリーブは、積層造形技術を用いて形成することができる。
【0036】
サーボバルブは、スプールがスリーブに対して回転するよう取り付けられるロータリー・サーボバルブとすることができる。サーボバルブは、スプールがスリーブに対して軸線方向に変位するよう取り付けられるリニア・サーボバルブとすることができる。スプールは、アキュムレータがスプールの軸線方向長さにほぼ平行に直列的に配列されるよう、アキュムレータに取り付けことができる。
【0037】
サーボバルブは、複数アキュムレータにおける所与のアキュムレータの共通油圧ラインに独立的に包含及び排除(すなわち、流体連通を許可する又は流体連通を不許可にする)ことを可能にし得る。
【0038】
サーボバルブは直接駆動バルブとすることができる。したがって、サーボバルブは、スプールをスリーブに対して移動させるよう構成されたモータを含むことができる。直接駆動バルブ(すなわち、スプールがアクチュエータによって直接駆動されるバルブ)の使用は、システムのさらに他の操作を可能にし、また動作状態相互間での高い頻度及び迅速なレスポンス時間で精密な切り替えを可能にする。
【0039】
油圧システムは、1つ又はそれ以上の比例バルブ、例えば、1つ又はそれ以上のアキュムレータ(例えば、第1及び/若しくは第2のアキュムレータ)と共通流路との間並びに/又は共通流路と油圧アクチュエータの一方若しくは双方のチャンバとの間における流路に配置される比例バルブを含むことができる。比例バルブは、1つより多い開位置をとることができるバルブと定義することができ、バルブを通過する流体のゼロでない流量が変動することができる。サスペンション装置は、比例バルブの位置を変動させることにより油圧アクチュエータの減衰比を変動させるよう構成することができる。当然のことながら、このようなバルブにわたる圧力低下又は損失は油圧パワーの消失に対応し、またひいてはこのようなバルブがアクチュエータの振動を消失させ得る。比例バルブ(複数可)を通過する流量を変動することは、油圧アクチュエータのばねレートを変動させることもできる。サスペンション装置は、比例バルブの位置を変動させることが油圧アクチュエータのばねレートを変動させるよう構成することができる。
【0040】
比例バルブの使用は、サスペンション装置によって得られる減衰が道路条件に応答して変動し、これにより自動車車両の性能を改善することを可能にする。付加的又は代替的に、このような減衰をもたらす比例バルブの使用は、減衰特性を最小パワー出力で変化させる(バルブの位置のみ能動的に変化させる必要がある)ことを可能にし、したがって、システムのパワー効率を向上させることができる。このことは、減衰特性を変化させるために大量の流体をシステム周りにポンピングする必要がある他のシステムと対比される。付加的又は代替的に、このような減衰を生ずる比例バルブの使用は、減衰特性を迅速に変化させることを可能にする(これはすなわち、バルブの位置のみを変化させることのみ必要であり、このことは、大量の流体を回路周りに移動させなければならないときよりもより急激に行われるからである)。付加的又は代替的に、比例バルブの使用は、空間効率がよい及び/又は機械的に簡単な様態で(必要とされる追加の機械的要素は比例バルブのみとなる場合があり得る)可変減衰を得ることを可能にする。
【0041】
油圧システムは、1つ又はそれ以上のアキュムレータに関連する、及び/又は上述したように比例制御バルブ(又は複数可)であるバルブを含むことができる。つまり、同一バルブ(単一バルブ)が1つ又はそれ以上のアキュムレータと共通流路との間における流体フローの制御(オン/オフ及び/又は比例)を行う、及び/又は油圧アクチュエータと共通流路との間におけるフローの比例制御を行うことができる。そのバルブは、上述したように、サーボバルブとすることができる。油圧システムにおける切替えの大部分若しくは全てを行う単一バルブの使用は、機械的複雑さを軽減する、並びに/又はよりコスト及び/若しくは空間の効率的なシステムを得ることができる。したがって、当該又は各バルブがサーボバルブである場合に、サーボバルブは、共通油圧ラインから複数のアキュムレータのうち所与のアキュムレータにおける独立した比例制御(すなわち、比較的大量の流体連通、又は比較的少量の流体連通を可能にし得る)を可能にする1つ又はそれ以上の比例バルブを含むことができる。
【0042】
油圧アクチュエータは、ロッド及びロッドに取り付けたピストンヘッドから成るピストンと、並びにピストンハウジングとを含む場合があり得る。ピストンは、ピストンハウジングに形成したキャビティ内で移動するよう取り付ける場合があり得る。ピストンヘッドの第1側面及び第2側面がキャビティを第1チャンバ及び第2チャンバに分割する場合があり得る。ピストンヘッドの第1側面の有効表面積は、ピストンヘッドの第2側面の有効表面積よりも大きい場合があり得る。有効表面積は、圧力成分がロッドの長手方向軸線に平行に作用するピストンヘッドの表面積に言及する。ロッドの長手方向軸線に直交する表面にとって、有効表面積は、流体圧力に曝される表面積に等価である。ロッドの長手方向軸線に対して傾斜する表面にとって、有効表面積は、流体圧力に曝される表面の角度及び表面積の関数となる。ロッドの長手方向軸線に平行な表面にとって、有効表面積はゼロとなる。油圧アクチュエータは、使用にあたり、ピストンヘッドの第1側面が第1チャンバの少なくとも一部を画定し、またピストンヘッドの第2側面が第2チャンバの少なくとも一部を画定する。ロッドは、スリーブに対する第1方向へのロッドの移動は、結果としてアクチュエータの長さ増大(アクチュエータの伸展)を生じ、スリーブに対する第2方向へのロッドの移動は、結果としてアクチュエータの長さ減少(すなわち、アクチュエータの収縮)を生ずるよう構成することができる。
【0043】
第1チャンバは少なくとも1つの第1ピストン流路を介して共通流路に接続する場合があり得る。第2チャンバは少なくとも1つの第2ピストン流路を介して共通流路に接続する場合があり得る。システムは、第1ピストン流路(複数可)及び第2ピストン流路(複数可)に沿って双方向に流体が流動できる構成にし得る。システムは、共通流路における圧力変化が、例えば、第1ピストン流路及び第2ピストン流路それぞれを介して第1チャンバ及び第2チャンバの双方に伝達されるよう、例えば、同一の圧力変化が双方のチャンバに印加されるよう構成することができる。したがって、共通流路における圧力上昇が、結果として第1チャンバ及び第2チャンバ双方における圧力上昇を生ずる、並びに/又は共通流路における圧力減少が、結果として第1チャンバ及び第2チャンバ双方における圧力減少を生ずる場合があり得る。このことは、例えば、モータのフロー出力を上昇(又は減少)することによって共通流路における圧力が上昇(又は減少)するとき、等しい圧力変化(圧力低下又は圧力上昇)が第1チャンバ及び第2チャンバ内の流体に印加されることを意味する。システムは、ポンプを動作させることにより生起した圧力上昇が共通流路に沿って第1チャンバ及び第2チャンバの双方に同時に伝達されるよう構成することができる。
【0044】
ピストンヘッドの第1側面における有効表面積は、ピストンヘッドの第2側面における有効表面積とは異なるものとし、これにより第1チャンバ及び第2チャンバに対して同一の圧力変化が加わることは、結果としてピストンヘッドに正味の力を生ずることとなり得る。このことは、すなわち、F=P×A、ただしFは力、Pは圧力、及びAは有効面積であるからである。したがって、第1有効面積が第2有効面積より大きいピストンヘッドの第1側面では、ピストンヘッドの第2側面よりも大きい力を感ずることになる。したがって、共通流路(とくに、共通部分)における圧力を上昇又は減少することによって、合力の大きさ及び方向を制御することができ、また油圧アクチュエータの長さを上昇又は減少することができる。従来技術とは異なって、油圧アクチュエータを上昇又は降下させるために、複雑な一連の逆止弁(一方向又は非帰還バルブ)は不要になる。
【0045】
サスペンション装置は、(i) その若しくは各第1ピストン流路、又は(ii) その若しくは各少なくとも1つの第2ピストン流路のいずれかに配置される、1つ又はそれ以上の可変抵抗バルブ(例えば、1つ又はそれ以上の比例バルブ-バルブが開く度合いが抵抗に反比例する)を備える。装置は、可変抵抗バルブの抵抗を変動させることが油圧アクチュエータの減衰率を変動させるよう構成することができる。第2流路には可変抵抗バルブが存在しないか、又はバルブは存在するが固定位置に保持される、若しくはこのようなバルブの位置を変化させるが第1流路とは異なる様態で変化させるかの場合があり得る。可変抵抗バルブは、双方向で減衰を行うよう構成された二方バルブとすることができる。可変抵抗バルブは、バルブを跨いでの減衰は、双方向にほぼ同一であるよう構成することができる。共通流路と油圧アクチュエータとの間で、例えば、第1ピストン流路及び/又は第2ピストン流路に沿って逆止バルブ(一方向又は非帰還バルブ)は配置しない場合があり得る。
【0046】
ピストンヘッドは、ピストンヘッド周りの第1チャンバと第2チャンバとの間でほぼフローがないよう(ほぼフローがないことは毎分0.5リットル未満と定義することができる)、ハウジング内に嵌合することができる。ピストンヘッドとスリーブとの間の直径方向最大クリアランスは0.030mmとすることができる。第1チャンバ及び/又は第2チャンバは、7MPa(70バール)以上の全圧で流体を保持するよう構成される場合があり得る。第1チャンバ及び/又は第2チャンバは、10MPa(10バール)以上の全圧で流体を保持するよう構成される場合があり得る。
【0047】
ロッドの第1部分は第1チャンバ又は第2チャンバ内に配置され、またロッドの第2部分はピストンハウジングの外側に配置される場合があり得る。したがって、ロッドはピストンハウジング内に部分的に配置され得る。ピストンハウジングは封止領域を含み、封止領域は、第1チャンバ又は第2チャンバと、ロッドが突出するハウジングの外部との間の領域であるものとする場合があり得る。例えば、ピストンハウジングは、ピストンが突出する貫通孔を有する端部領域を含むことができる。ピストンハウジングは、封止領域、例えば、貫通孔に配置され、またピストンハウジングとロッドとの間で封止部を形成するよう配備される少なくとも1つのシールを含むことができる。ピストンハウジングは、少なくとも1つの排油ポート、例えば、複数の排油ポートを含み、これら排油ポートは封止領域に配置することができる。排油ポートは、使用にあたり、ピストンチャンバから封止領域に進入する流体が排油ポートを介して封止領域を退出できるよう少なくとも1つのシールと第1チャンバ又は第2チャンバとの間で封止領域に配置し得る。
【0048】
ロッドがチャンバを抜け出るオリフィスと、ピストンハウジングの内部からピストンハウジングの外部に流体が漏洩する(油圧システムから消失する)のを防止するシールとの間に排油ポート(単数又は複数)を配置させることが、シールが耐える必要がある圧力、及びシール(低圧用に格付けされるシールよりもロッド周りにより一層緊密に嵌合することが必要となる一層高い圧力に耐えなければならないシール)とロッドとの間の摩擦を減少することができる。このことは、その摩擦に打ち勝つために失われるエネルギーを減少する、及び/又はロッドの移動におけるヒステリシスを減少することができる。当該又は各少なくとも1つのシールは0.2MPa(2バール)以下の圧力に耐えるよう構成される場合があり得る。適切なシールの例には、Trelleborg Glyd Ring Hz及び/又はTrelleborg Double Deltaがあり、これらは組み合わせて使用することができる。ロッドと封止領域との間における直径方向最大クリアランスは0.01mm以下とする場合があり得る。当該又は各シールは、ロッドを有する20N~30Nの領域における動作摩擦を有することができる。
【0049】
サスペンション装置は、例えば、排油流路を介して少なくとも1つの排油ポートに接続された排油リザーバを備えることができ、使用にあたり、流体が排油ポートから排油リザーバに流動できるようにする。排油リザーバは、アキュムレータとすることができ、また排油アキュムレータと称することができる。排油リザーバは、0.2MPa(2バール)以下の全圧で流体を含有する構成とし得る。したがって、サスペンション装置は、第1ガスアキュムレータ、第2ガスアキュムレータ、及び排油アキュムレータを備えることができる。排油リザーバは、共通流路及び/又はポンプに接続することができる。したがって、使用にあたり、ロッド周りのピストンチャンバから漏洩する流体は、排油ポート(複数可)及びリザーバ、及び随意的にポンプを介して油圧システム(例えば、共通経路)に帰還することができる。このような構成は機械的に簡単かつコンパクトなやり方でシステムからの油圧流体の損失を防止することができる。付加的又は代替的に、システムからの流体損失を減少するとともに、排油リザーバは、減衰及び/又は加圧した流体を油圧アクチュエータに共通ラインを介して供給することができ、これにより油圧アクチュエータの特性(例えば、剛性、力、減衰及び/又は長さ)に対する制御度合いを高めることができ、これにより本明細書記載の排油システムは、同一リザーバにより2つの機能を提供することができる。サスペンション装置は、排油アキュムレータ及び/又はポンプ間の流路に配置され、両者間における流体フローを制御するバルブを備えることができる。
【0050】
油圧システムはポンプを含むことができる。ポンプは、共通流路に接続することができ、使用にあたり、流体がポンプと共通流路との間で、例えば、双方向に流動できるようにする。ポンプは、その若しくは各アキュムレータ及び/又は排油リザーバに接続し、使用にあたり、流体がポンプとアキュムレータとの間で、例えば、双方向に流動できるようにする。1つ又はそれ以上のバルブをポンプに関連させ、ポンプへの若しくはからの流体フロー、並びに/又はポンプと共通ライン、アキュムレータ、及び排油リザーバとの間における流体フローを制御することができる。サスペンション装置は、共通流路における全圧の増減が油圧アクチュエータに伝達できるよう構成することができる。油圧システムは、ポンプが共通流路における圧力を増減できるよう構成することができる。ポンプは、順方向及び逆方向の双方に稼働するよう構成することができる。ポンプは共通流路に直接接続することができる。ポンプは10MPa(100バール)以上の全圧の加圧流体を供給するよう構成することができる。
【0051】
ポンプは、可変容量形ポンプとすることができる。可変容量形ポンプは、異なる時点にまた制御信号に基づいて異なる流量及び/又は全圧で流体を出力するよう構成することができる。可変容量形ポンプは、パワー効率がより高いサスペンション装置にすることができる。可変容量形ポンプは、歯車付きモータによって制御される一連の固定容量形ポンプ(例えば、2つ又はそれ以上の固定容量形ポンプ)を含むことができ、可変容量形ポンプの変位を制御することができる。
【0052】
ポンプは、ラジアルピストンポンプとすることができる。このポンプは、複数のポンプピストンチャンバを有するロータ、ポンプピストンチャンバ内に収容された1組のピストンの第1セット及び/又は1組のピストンの第2セットを含むラジアルピストンポンプとすることができる。ラジアルピストンポンプは、さらに、第1カム面及び/又は第2カム面を含むことができる。ロータは、第1カム面(存在するならば)及び第2カム面(存在するならば)に対して回転するよう取り付けることができ、第1カム面は、第1セットのピストンの半径方向移動を制御するよう配備され、また第2カム面は、第2セットのピストンの半径方向移動を制御するよう配備され。ラジアルピストンポンプは、ピストンの第1セット及び/又はピストンの第1セットへの流体フローを制御するよう構成されたバルブを含むことができる。ラジアルピストンポンプは、ピストンの第1セット及びピストンの第2セット双方への又はからの流体フローを制御するよう構成されたバルブを含むことができる。そのバルブ若しくは各バルブは、ピストンの第1セットとは独立してピストンの第2セットへの又はからの流体フローを変更することによって、ラジアルピストンポンプを第1形態から第2形態に切り替えるよう構成することができる。
【0053】
したがって、ラジアルピストンポンプにおいて、同一のバルブは、ピストンの双方セットへの又はからのフローを独立的に切り替える(例えば、ピストンの一方のセットへのフローを、ピストンの他方のセットへの又はからのフローを実質的に変更することなく、切り替える)場合があり得る。種々の異なるレイヤに関連するフローを制御する単一バルブを使用することは、可変容量形ポンプに対して他の可変容量形ポンプに比べて少ない部品点数をもたらす、及び/又は所与の流量に対してよりコンパクトな可変容量形ポンプにすることを可能にする。
【0054】
ポンプは、第1ポンプアセンブリ及び第2容量形ポンプアセンブリを含むデュアル容量形ポンプとすることができ、各ポンプアセンブリは、異なる流量及び/又は全圧で流体を供給するよう構成されている。ピストンの第1セットが第1ポンプアセンブリの一部を形成し、またピストンの第2セットが第2ポンプアセンブリの一部を形成する場合があり得る。
【0055】
ポンプは、ポンプを駆動するよう構成されたモータを含むことができる。モータは、ステータ及びポンプに対して回転するよう取り付けたロータを含むことができる。ポンプのピストンは、モータのロータに形成されたピストンチャンバ内に収容することができる。
【0056】
同一(主)バルブは、ピストンへの又はからの流体フローを制御する(ポンプを異なる形態間で切り替える)ことができ、またアキュムレータ、排油リザーバ(存在するならば)に関連させることができる。したがって、油圧システムは、第1、第2、第3のアキュムレータ及び排油リザーバ(存在するならば)に関連し、また可変容量形ポンプの出力を制御するよう構成されたバルブを含むことができる。
【0057】
油圧システムは、共通流路と排油リザーバとの間における流路に配備した帰還(戻し)バルブを含むことができ、これにより、帰還バルブ及び排油リザーバに関連するバルブの双方が開であるとき、共通流路からの流体が排油リザーバに流れるようにする。このような帰還バルブを設けることは、共通流路における全圧を迅速に減少させることを可能にし、これによりサスペンション装置の多用性を向上させかつアクチュエータの迅速収縮を可能にする。
【0058】
流体は油圧流体、例えば、非圧縮性流体とすることができる。
【0059】
サスペンション装置は、装置の当該又は各バルブを動作させるよう構成された制御システムを備えることができる。制御システムは、各バルブを開又は遮断又はゼロ位置制御するよう構成することができる。制御システムは、ポンプの動作を制御する、例えば、ポンプを駆動するモータを制御するよう構成することができる。制御システムは、1つ又はそれ以上の入力、例えば、ユーザー入力又はセンサ入力を受け入れるよう構成することができ、またそのように受け入れた入力に基づいて、1つ又はそれ以上のバルブの位置を変化させる、又はポンプを駆動して、油圧アクチュエータにおける所望セットの特性(剛性、力、長さ及び/又は減衰)を達成できるようにする。制御システムは、油圧アクチュエータの特性に関する1つ又はそれ以上の指示を与えるフィードバックシステムを含むことができる。
【0060】
本発明の第2態様において、自動車車両用のサスペンション装置を提供し、このサスペンション装置は、
ホイールアセンブリと前記自動車車両の車体との間を取り付けるための油圧アクチュエータと、並びに
流体を前記油圧アクチュエータに供給し、またこれによって油圧アクチュエータの長さ、力、剛性及び/又は減衰特性を制御するよう構成された油圧システムと、
を備え、
前記サスペンション装置は前記油圧システムを前記油圧アクチュエータに接続する共通流路を備え、また
前記油圧システムは、第1ガスアキュムレータ及び第2ガスアキュムレータを含み、各アキュムレータは関連するバルブを介して前記共通流路に接続され、使用にあたり、前記関連するバルブが開であるとき、流体が前記共通流路を介して各アキュムレータから前記油圧アクチュエータに流動することができ、また前記油圧システムは、動作の以下のモード間、すなわち、
流体が前記第1ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができ、かつ流体が前記第2ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができないよう前記バルブが形態設定される動作の第1モードと、
流体が前記第1ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができ、かつ流体が前記第2ガスアキュムレータと前記共通流路との間で流動することができるよう前記バルブが形態設定される動作の第2モードと
の間で切り替わるよう構成されている。
第2態様のサスペンション装置は、第1態様、又は方法若しくは装置の任意な他の態様につき説明されるサスペンション装置の任意な他の特徴を有することができる。
【0061】
本発明の第3態様において、ホイールアセンブリと自動車車両の車体との間を取り付けるための油圧アクチュエータを備える自動車車両用のサスペンション装置を提供し、前記油圧アクチュエータは、
ピストンハウジングと、並びに
ロッド及び前記ロッドに取り付けたピストンヘッドを含み、前記ピストンハウジング内に形成されたキャビティ内で移動するよう取り付けられたピストンであり、前記ピストンヘッドの第1側面及び第2側面が前記キャビティを第1チャンバ及び第2チャンバに分割する、該ピストンと、
を有し、前記ピストンハウジングは、さらに、
前記第1チャンバ又は前記第2チャンバと前記ロッドが貫通する前記ハウジングの外部との間の領域である封止領域と、
前記封止領域に配置され、また前記ピストンハウジングと前記ロッドとの間に封止部を形成するよう配備された少なくとも1つのシールと、及び
前記少なくとも1つのシールと、前記第1チャンバ又は前記第2チャンバとの間で前記封止領域に配置された少なくとも1つの排油ポートであり、使用にあたり、前記チャンバから前記封止領域に進入する流体が前記排油ポートを介して前記封止領域から退出できる、該排油ポートと
を有する。
第3態様のサスペンション装置は、第1態様、又は方法若しくは装置の任意な他の態様につき説明されるサスペンション装置の任意な他の特徴を有することができる。
【0062】
本発明の第4態様において、任意な他の態様のサスペンション装置を備えるサスペンションユニットを提供する。このユニットは、自己完結型孤立ユニットとすることができる。油圧システムはユニットのハウジング内に収納され、また油圧アクチュエータの少なくとも一部分、例えば、油圧アクチュエータのロッドがユニットのハウジング内に部分的に配置される。
【0063】
自己完結型ユニット内に能動サスペンション装置を設けることは、能動サスペンション装置を車両に取り付けるのを容易にする、及び/又は集中型若しくは分散型の油圧システムを活用するサスペンション装置に関連する漏洩/圧力損失のリスクを軽減することができる。油圧アクチュエータが完全に収縮するとき、ユニットの長さ(ユニットの最長寸法)が400mm未満、例えば、300mm未満となる場合があり得る。ユニットの重量(油圧流体を含めて)が7kg未満、例えば、4kg未満となる場合があり得る。
【0064】
油圧アクチュエータは、ハウジング内で軸線方向に移動するよう取り付けられ、またユニットの長手方向軸線に平行に延在するロッドを有する場合があり得る。油圧システムは、第1ガスアキュムレータ、第2ガスアキュムレータ、及び(随意的に)第3ガスアキュムレータを含み、前記アキュムレータは、ユニットの長さの一部分に沿って一列に配備される場合があり得る。隣接するアキュムレータは共通壁を共有する場合があり得る。ロッドは、ユニットの第1側面に沿ってかつ隣接して延在する場合があり得る。アキュムレータは、ユニットの第1側面とは反対側の第2側面に隣接離間する場合があり得る。ピストンハウジング又はスリーブ、及び1つ若しくはそれ以上のアキュムレータは、共通壁を共有する。このようなレイアウトは、とくに、空間効率がよい、及び/又は異なる要素を画定する構造を一体的に形成するのを可能にし、これにより重量及び/又はコストを節約することができる。
【0065】
ポンプ及び/又は(主)バルブは、第1、第2、及び(存在するならば)第3のガスアキュムレータに一列に配備することができる。例えば、バルブは、ポンプのロータと同軸状(例えば、同心状及び/又は内部に)配備することができ、またポンプ/バルブアセンブリは、ユニットの長さに沿って、例えば、ユニットのロッド側とは反対側で、アキュムレータに対して一列になるよう配備することができる。やはり、このようなレイアウトは、空間及び構造の双方の観点でとくに効率的になり得る。
【0066】
サスペンションユニットは、ポンプを収容するよう配備されたキャビティを包含するポンプマニホールドを含むことができる。ポンプマニホールドは複数のフローギャラリを含み、各フローギャラリは、マニホールドの入口ポート又は出口ポートとキャビティとの間に延在して、流体がポンプへ又はから流動するようにさせる流路を形成する。1つ又はそれ以上のフローギャラリは曲線状フローギャラリとすることができる。曲線状フローギャラリは、その長さ(入口ポート又は出口ポートからキャビティまで)の大部分に沿って湾曲するフローギャラリとして定義することができ、その湾曲は、フローギャラリがすべての3次元で非直線の経路に追随するよう2つの平面内にある。このような曲線状フローギャラリの使用により、フローギャラリは、より空間効率がよい様態で、ポンプマニホールド内に配備することを可能にする。ポンプマニホールドは、単一ピース構成とすることができる。ポンプマニホールド(曲線状フローギャラリを含む)は、積層造形を用いて単一ピースとして形成さすることができる。積層造形の使用は、複雑なジオメトリを有する曲線状フローギャラリを含むマニホールドのコスト効率のよい生産を容易にすることができる。
【0067】
ポンプ及び/又は(主)バルブは、サスペンションユニットのポンプ及び制御ユニット内に配置することができる。ポンプ及び制御ユニットは、さらに、ポンプマニホールドを含むことができる。ポンプ及び制御ユニットは、1つ又はそれ以上のポート(例えば、入口ポート及び/又は出口ポート)を含み、これらポートを介して流体がアキュムレータとポンプとの間で流動することができる。ポンプ及び制御ユニットは、サスペンションユニットの残りの部分に取り付けるよう構成されたモジュール式ユニットとすることができる。
【0068】
サスペンションユニットは、少なくとも1つのアキュムレータ、例えば、複数のアキュムレータを含むことができる。各アキュムレータはモジュール式アキュムレータとすることができる。モジュール式アキュムレータは、ガスリザーバ及び流体リザーバを画定し、またバリアを含む自己完結型ユニットとすることができる。各アキュムレータは、アキュムレータハウジングと、及び油圧流体がアキュムレータに進入しまた退出できるようにするこのハウジング内のポートと、を含むことができる。複数のモジュール式アキュムレータは、アキュムレータが互いに重なり合うことができる、例えば、1つのアキュムレータの一部分が別のアキュムレータの表面における窪みに収容されるよう構成することができる。例えば、1つのアキュムレータの端部部分が別のアキュムレータの端部表面に形成した窪み内に収容され得る。油圧システムは、第1ガスアキュムレータ、第2ガスアキュムレータ、及び第3ガスアキュムレータを含み、1ガスアキュムレータ、第2ガスアキュムレータ、及び第3ガスアキュムレータの各々は、モジュール式アキュムレータである場合があり得る。1ガスアキュムレータ、第2ガスアキュムレータ、及び(存在するならば)第3ガスアキュムレータは、互いに一列のなすように積層させたモジュール式アキュムレータとすることができる。サスペンションユニットにモジュール式アキュムレータを使用することは、製造コストを減少させる、及び/又は広範囲に及ぶサスペンションユニットの生産を可能にし、これはすなわち、異なるサイズのモジュール式アキュムレータは、必要とされる油圧システム性能を得るため、異なる組合せにして、容易にサスペンションユニット内に含ませることができるからである。
【0069】
ポンプ及び制御ユニットは、モジュール式アキュムレータの列における一方の端部に配備することができる。
【0070】
このユニットは、さらに、1つ又はそれ以上のパイプ、例えば、ポンプ及び制御ユニットの入口ポート又は出口ポートとアキュムレータのポートとの間における流体接続部をなす直線状パイプを含むことができる。サスペンションユニットの残りの部分に従来型パイプに対するポンプマニホールド積層造形の組合せは、高性能サスペンションユニットのコスト効率がよい製造を可能にし得る。比較的費用がより一層かさむ積層造形は、空間効率のよいポンプマニホールドを得るのに必要とされる複雑は流路を生産するのに使用することができるとともに、より一般的なコンポーネント(例えば、直線状パイプ)は、例えば、ポンプ及び制御ユニットをモジュール式アキュムレータに接続するため、サスペンションユニットの他の場所に使用される。
【0071】
本発明の第5態様によれば、本発明は、サスペンション装置を用いてホイールアセンブリと自動車車両の車体との間の相対移動を制御する方法であって、前記サスペンション装置は、ホイールアセンブリと自動車車両の車体との間を連結する油圧アクチュエータと、及び前記油圧アクチュエータに対する流体供給源をなすよう構成された油圧システムであり、第1期間にわたり7MPa(70バール)に等しい又はそれ以上の全圧で流体を前記油圧アクチュエータに供給するよう構成されている、該油圧システムと、を備える。
【0072】
油圧システムは、共通流路に接続される第1アキュムレータ及び/又は第2アキュムレータを含む場合があり得る。油圧アクチュエータの剛性は、基準圧力で一次流路に流体連通する圧縮可能なガスの総体積によって決定される場合があり得る。第1期間中に、第1アキュムレータは、ガスの第1量(基準圧力でのガスの第1体積に対応する)を保持し、また第2アキュムレータは、ガスの異なる第2量(基準圧力でのガスの第2体積に対応する)を保持する場合があり得る。第1期間中に、第1アキュムレータ及び第2アキュムレータのうち一方又は双方と、共通ラインとの間における流体フローがストップ又はスタートされ、これにより前記共通流路に流体連通する圧縮可能なガスの量を変化させ、またしたがって、前記油圧アクチュエータの剛性を変化させる場合があり得る。当然のことながら、第1期間中、共通流路における全圧が変化する場合があり得る間に、全圧は7MPa(70バール)以上の状態を維持する。
【0073】
当然のことながら、ガス量が占める体積は、圧力に基づいて変動する。各アキュムレータ内の相対ガス量は、所与の基準圧力での各アキュムレータ内においてガスが占める体積を比較することによって決定される。
【0074】
特定のアキュムレータの組合せが共通流路に流体連通する(すなわち、それらアキュムレータに関連するバルブが開である)期間は、サブ期間と称することができる。したがって、第1期間は複数のサブ期間を含み、1つ又はそれ以上のアキュムレータへの流体フローがストップ又はスタートされるとき、1つのサブ期間が終了しまた次のサブ期間が開始し得る。
【0075】
方法は、第1期間中、例えば、前記第1期間のサブ期間中に、ピストン流路に配置した可変抵抗バルブの非ゼロ位置を変動させて、前記油圧アクチュエータの減衰率を変化させるステップを備えることができる。方法は、サブ期間中に前記バルブのゼロ位置を変動させるステップを備えることができる。
【0076】
方法は、第1期間中、例えば、前記第1期間のサブ期間中に、共通流路内の全圧を変動させるようポンプを動作させて油圧アクチュエータの長さを変化させるステップを備えることができる。このことは、随意的に、第1期間のサブ期間中に、第1期間はこのようなサブ期間を複数含み、少なくとも1つのアキュムレータへの流体フローがストップ又はスタートされるとき、1つのサブ期間が終了し、また別のサブ期間が開始する。
【0077】
油圧アクチュエータは、ピストンヘッドの一方の側面側における第1ピストンチャンバ及び前記ピストンヘッドの他方の側面側における第2ピストンチャンバを有するピストンを含み、第1ピストンチャンバ側における前記ピストンヘッドの第1側面は、第2ピストンチャンバ側におけるピストンヘッドの第2側面の有効表面積より大きい有効表面積を有し、第1チャンバ及び第2チャンバは異なるピストン流路によって共有流路に接続される。共通経路内の圧力上昇が第1チャンバ及び第2チャンバにおける圧力上昇を生起し、有効表面積における差が、結果としてピストンヘッドに対する正味の力を生じ、これにより、ピストンヘッドが第1チャンバから離れる方向に移動させて流体を共通経路から第1チャンバ内に流入させ、かつ第2チャンバから流体を流出させる場合があり得る。共通経路内の圧力減少が第1チャンバ及び第2チャンバにおける圧力減少を生起し、有効表面積における差が、結果として前記ピストンヘッドに対する正味の力を生じ、これによりピストンヘッドが第2チャンバから離れる方向に移動させて流体を第1チャンバから流出させ、かつ共通経路から第2チャンバに流体を流入させる場合があり得る。このようにして、共通流路内の圧力を変動させることは、油圧アクチュエータの長さの増減を生起させる。
【0078】
したがって、本発明による方法は、共通流路における全圧を変動させることによって、油圧アクチュエータの長さを変化させることができる。換言すれば、共通流路における全圧を変動させることは、アクチュエータの平均長さを変化させることを可能にする。しかしながら、定常状態においては、アクチュエータの長さは共通流路内の圧力とは無関係である。したがって、車に装着されるとき、このようなシステムは、車の平均最低地上高を調整することが可能になるとともに、依然として、油圧アクチュエータがサスペンションとして作用するよう平均位置から上下動するのを可能にする。このような方法は、したがって、能動サスペンション装置を提供することができる。ポンプ及び共通流路を油圧アクチュエータにおける2つのチャンバに流体連通させるこの配備と、及び油圧アクチュエータ内におけるピストンの表面積の差とが共通流路における高い全圧と組み合わさって、低パワーで及び/又は迅速にアクチュエータの大きな移動を達成することができ、これはすなわち、回路周りに大量の流体をポンピングする必要がなく、その代わりに、共通流路における全圧に対する小さい変化が変位を駆動するからである。
【0079】
方法は、共通流路における全圧を増減させるようポンプを動作させている間に、例えば、第1期間又はそのサブ期間中に、ポンプが流体を可変アキュムレータと交換する。共通流路における全圧を増減させるようポンプを動作させている間に、ポンプが流体を排油リザーバと交換する。このことに関連して、ポンプを動作させることは、排油リザーバに収集される流体が共通流路に帰還することになり得る。
【0080】
タイヤをホイールアセンブリに取り付ける場合があり得る。排油アキュムレータは、油圧アクチュエータに流体連通する共通流路に接続する場合があり得る。方法は、第1期間中に排油アキュムレータと共通経路との間における流体フローがスタートし、これにより油圧アクチュエータの長さが減少するよう油圧アクチュエータから高圧流体を排除し、タイヤが引き込まされ、そしてホイールアセンブリ及び車体が互いに向かって加速することができる。タイヤの引き込みは、ホイールアセンブリの車体に向かう加速度を、車体のホイールアセンブリに向かう加速度よりも大きくさせる。例えば、ホイールアセンブリの車体に向かう加速度の大きさは、おおよそ7g以上とすることができる。車アセンブリのホイールに向かう加速度の大きさは、おおよそ1g(gは9.81m s-2)とすることができる。ホイールアセンブリは、タイヤの引き込みがあるため車体よりも加速度が大きい場合があり得る。タイヤの引き込みは、油圧アクチュエータが圧縮するとき、力をホイールアセンブリに迅速に印加させる。油圧アクチュエータからの迅速な流体排除の結果として、タイヤを押し込ませる力を排除し、タイヤを迅速に引き込ませ、またそうすることによってホイールアセンブリを地面から離れる方向に押しやることになる。
【0081】
ポンプを動作させるステップ及び/又は可変抵抗バルブの非ゼロ位置を変動させるステップは、第1期間又はそのサブ期間中に多重時点で実施することができる。ポンプを動作させるステップ及び/又は可変抵抗バルブの非ゼロ位置を変動させるステップは、異なるサブ期間内で実施することができる。ポンプを動作させるステップ及び/又は可変抵抗バルブの非ゼロ位置を変動させるステップは、サブ期間又は時間的期間中に同時に及び/又は異なる時点で実施することができる。
【0082】
ポンプを動作させるステップ、共通ラインに流体連通するアキュムレータを変化させるステップ、及び/又は可変抵抗バルブの非ゼロ位置を変動させるステップは、1つ又はそれ以上の入力に応答してサスペンション装置の制御システムによって実施することができる。入力としては、車両のドライバからの入力、例えば、ドライバが異なるサスペンションモードを選択する(例えば、「エコノミー」ドライブモードから「スポーツ」ドライブモードに変化させる)、又はステアリングホイール、アクセル及び/又はブレーキを特定様態で動作させることがあり得る。入力としては、車両における1つ又はそれ以上のセンサ、例えば、加速度計、速度センサ及び/又は到来する道路ハザードを検出するよう構成されたリモート感知デバイスからのセンサ入力があり得る。
【0083】
方法は、油圧システムが第2期間にわたり7MPa(70バール)以上の全圧で流体を油圧アクチュエータに供給するステップを備える。第2期間は、第1期間の前又は後に生じ得る。第2期間は、上述したように1つ又はそれ以上のサブ期間を含むことがあり得る。方法は、上述したステップのうち任意なステップを第2期間又はそのサブ期間中に実施するステップを含み得る。第1期間又は各期間は、1分より長い、例えば、10分より長い持続時間を有することができる。
【0084】
方法は、第3期間にわたり、共通流路からの流体が排油リザーバに流動するよう、帰還バルブが開であり、かつ排油リザーバに関連するバルブが開であり、これにより、共有ラインにおける全圧を減少し、また油圧アクチュエータを収縮させるステップを備えることができる。その又は各アキュムレータに関連するバルブを第3期間全体にわたり閉じておくことができる。ポンプは、第3期間中にストップさせることができる。第3期間の直前では、排油リザーバにおける全圧はアキュムレータにおける圧力未満となり得る、例えば、排油リザーバにおける圧力は、2バール未満となり得る。可変抵抗バルブは第3期間全体にわたり全開とする場合があり得る。方法のこの態様の結果として、例えば、道路における到来する深い穴又は凹凸に応答して、油圧アクチュエータの迅速な収縮を生ずる。第3期間にわたりバルブを適切な位置に切り替えるステップは、上述した1つ又はそれ以上の入力に応答して、サスペンション装置の制御システムによって実施することができる。第3期間は、第1期間の前又は後に生ずる場合があり得る。第3期間は第1期間と第2期間との間で生ずる場合があり得る。
【0085】
方法は、第4期間にわたり、第1アキュムレータ及び第2アキュムレータよりも高い圧力に可変アキュムレータを加圧するようポンプを動作させるステップと、及び次に第1アキュムレータ及び第2アキュムレータに関連するバルブが閉じている間に共通経路における圧力を増加するよう可変アキュムレータに関連するバルブを開にし、これにより油圧アクチュエータを伸展させるステップとを備えることができる。可変抵抗バルブは第4期間全体にわたり全開とする場合があり得る。方法のこの態様は、結果として油圧アクチュエータの迅速な伸展を生じ、例えば、車の車体を「ジャンプ」させることになり得る。油圧アクチュエータは、15ミリ秒未満、例えば、10ミリ秒未満で完全に収縮することができる。第4期間にわたりバルブを適切な位置に切り替えるステップは、上述した1つ又はそれ以上の入力に応答して、サスペンション装置の制御システムによって実施することができる。第4期間は、第1期間の前又は後に生ずる場合があり得る。第4期間は第1期間と第2期間との間で生ずる場合があり得る。
【0086】
第1期間及び/又は第2期間中、方法は、油圧アクチュエータのチャンバからピストンハウジングの封止領域に流体が漏洩するステップを備える(装置につき説明したように)ことができる。方法は、封止領域に配置した1つ又はそれ以上の排油出口を介して封止領域から排油リザーバに流体が流動するステップを備えることができる。これにより封止領域における圧力は0.5MPa(5バール)未満を維持する場合があり得る。方法は、排油リザーバに関連するバルブを周期的に開き、かつ流体を排油リザーバから共通流路に帰還させるようポンプを動作させるステップを備えることができる。したがって、ピストンハウジングにおけるシールが遭遇する圧力を減少し得る本発明のこの態様による方法は、より多くの可撓性シールを使用すること、及びその摩擦を減少することを可能にする。
【0087】
本発明の第6態様によれば、本明細書に記載した任意な他の態様によるサスペンション装置を備える自動車車両を提供する。
【0088】
自動車車両は、シャシーに連結した複数のホイールを含む場合があり得る。車両は、それぞれが各ホイールに関連する、例えば、各ホイールアセンブリに取り付けた複数の前記サスペンション装置又はサスペンションユニットを含む場合があり得る。各ホイールアセンブリはホイールを含むことができる。自動車車両は、乗客乗用車、例えば、10名を超えない乗客が着座するよう構成された乗客乗用車とする場合があり得る。能動サスペンション装置は、良好な乗り心地を得る必要性があるという観点から、乗用車に特別な用途を見出すことができる。
【0089】
勿論、当然のことながら、本発明の一態様に関して説明する特徴は本発明の他の態様に組み入れることができる。例えば、本発明方法は、本発明装置につき説明した任意な特徴を組み入れる、及びそれを逆にして組み入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
本発明の実施形態を、以下に添付の概略的図面を参照して、単なる例として説明する。
【
図1】本発明の第1実施形態による、能動サスペンション装置の油圧概略図を示す。
【
図2】
図1の能動サスペンション装置における四半カーモデルの機械的概略図を示す。
【
図3】装置が「高速伸展(fast extend)」動作モードにあるときの、
図1の能動サスペンション装置周りにおける流路を示す。
【
図4】装置が「高剛性(high stiffness)」動作モードにあるときの、
図1の能動サスペンション装置周りにおける流路を示す。
【
図5】装置が「低剛性(low stiffness)」動作モードにあるときの、
図1の能動サスペンション装置周りにおける流路を示す。
【
図6】装置が「油圧平衡化(hydraulic balancing)」動作モードにあるときの、
図1の能動サスペンション装置周りにおける流路を示す。
【
図7】装置が「高速収縮(fast retract)」動作モードにあるときの、
図1の能動サスペンション装置周りにおける流路を示す。
【
図8】
図1の装置での使用に好適な油圧アクチュエータを示す。
【
図9】
図8のアクチュエータにおける一部分の拡大図を示す。
【
図10】
図1の装置を組み入れる例示的能動サスペンションユニットの断面図を示す。
【
図12】
図10のユニットにおける一部分のフローギャラリを示す。
【
図13】
図1の装置を組み入れる例示的能動サスペンションユニットの断面図を示す。
【
図14a】
図13のサスペンションユニットにおけるポンプ及び制御ユニットの一部分を示す。
【
図14b】
図13のサスペンションユニットにおけるポンプ及び制御ユニットのポンプマニホールド内におけるフローギャラリの内部体積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図1は、第1の例示的実施形態による能動サスペンション装置の概略図を示す。能動サスペンション装置201は、油圧回路210と、及び一次フローギャラリAB(すなわち、
図1で参照符号Aと参照符号Bとの間で流路を画定するフローギャラリ)を介して接続される油圧アクチュエータ205とを備える。油圧回路210から油圧アクチュエータ205へのすべての流体出力はポイントA経由で通過する。一次フローギャラリABに接続されるのは、高容積アキュムレータ222,低容積アキュムレータ232、及び可変容積アキュムレータ242である。さらに、ポンプ203が一次フローギャラリABに接続される。本明細書で使用される「接続される(connected)」は、接続される素子間で流れる流体のための潜在的経路が存在することを意味すると理解されたい。当然のことながら、その潜在的経路に沿って流体が流れるか否かは、その経路に沿う何らかのバルブ位置(例えば、開又は閉)に依存することになる。このようにして、流体は、高容積アキュムレータ222,低容積アキュムレータ232、可変容積アキュムレータ242及びポンプ203の各々から一次フローギャラリABに流れることができる。各アキュムレータ(222、232、242)は、それぞれ逆止バルブ122、132、142を介して圧縮空気源(図示せず)に流体連通する。
【0092】
第1の独立切替えバルブ223が、高容積アキュムレータ222と一次フローギャラリABとの間における流路に配置される。切替えバルブ223は可変抵抗バルブであり、全開位置、全閉位置、及び多数の中間位置をとることができる。第2の独立切替えバルブ233は、低容積アキュムレータ232と一次フローギャラリABとの間における流路に配置され、また開位置及び閉位置を有する。第3の切替えバルブ243は、可変容積アキュムレータ242と一次フローギャラリABとの間における流路に配置される。高容積アキュムレータ222は、ポイントAと、低容積アキュムレータ232をフローギャラリABに接続するポイントとの間に位置するポイントで一次フローギャラリABに接続される。可変アキュムレータ242は、低容積アキュムレータ232をフローギャラリABに接続するポイントの他方の側におけるポイントBで一次フローギャラリABに接続される。
【0093】
この実施形態において、ポンプ203は、低変位ステージ212a及び高変位ステージ212bを含む。他の実施形態において、これら2つのステージは、個別ポンプによって、又は可変容量形ポンプを用いることによって設けることができる。可変アキュムレータ242は、ダイレクト流路254により高変位ステージ212bに直接接続する。高変位ステージ212aの他方の側はポイントB(すなわち、可変圧力アキュムレータと同一のポイント)で一次フローギャラリABに接続する。低変位ステージ212aの一方の側は、ポイントBと、低容積アキュムレータ232をフローギャラリABに接続するポイントとの間において、一次フローギャラリABに直接接続する。低変位ステージ212aの他方の側は、排油フローギャラリ281を介して排油アキュムレータ270に接続する。
【0094】
第4の切替えバルブ273を排油フローギャラリに配置する。排油フローギャラリ271は、油圧アクチュエータ205の排油入口272に接続し、また第4切替えバルブ273と排油リザーバ270との間の流路におけるポイントに接続する。第5切替えバルブ283が帰還(return)フローギャラリ282に配置され、この帰還フローギャラリ282は、一次フローギャラリAB(高容積アキュムレータ222に対する接続部と低容積アキュムレータ232との間におけるポイントで)と排油フローギャラリ281(ポンプ203と第4バルブ273との間)との間において延在する。
【0095】
油圧アクチュエータ205は、一方の端部で車体207(
図2参照)に連結し、また他方の端部でホイールアセンブリ209(
図2参照)に連結する。油圧アクチュエータ205は、末端部で車体に連結され、また他方の端部にピストンヘッド258を有するロッド257を含む。ピストンヘッド258は、アクチュエータ205のシリンダ内に収容され、これによりシリンダ内部を2つのチャンバ、すなわち、上側チャンバ205a及び下側チャンバ205bに分割する。ピストンヘッド258の下側チャンバ205bに隣接する有効表面積は、ピストンヘッド258の上側チャンバ205aに隣接する有効表面積よりも大きく、上側チャンバ205aの側にロッド257が存在することの結果として、上側チャンバ205aで流体圧力に曝らされる面積が減少する。
【0096】
第1フローギャラリ262は、一次フローギャラリABにおけるポイントAを上側チャンバ205aに接続する。第2フローギャラリ261はポイントAを下側チャンバ205bに接続する。可変抵抗バルブ255が、ポイントAと上側チャンバ205aとの間で第1フローギャラリに配置される。
【0097】
図2は、
図1で油圧概略図を用いて示される本発明の第1実施形態における能動サスペンション装置201の四半自動車モデルの機械的概略図を示す。
【0098】
四半自動車モデルは、車体207の質量と地面202に位置するホイールアセンブリ209との間における低変位ステージ212aに直列連結したばねとして表現されたアキュムレータ(222、232、242)を示す。ホイールアセンブリ209のタイヤ204は、
図2においてばね及びダンパーの双方として表現される。第3切替えバルブ223に対応するダンパー及びスイッチは、高容積アキュムレータ222を表現するばねに並列的に示される。高変位ステージ212bは、バルブ243を表すスイッチ及び可変アキュムレータ242を表すばねに並列的に示される。バルブ233を表すスイッチは、低容積アキュムレータ232を表すばねに並列的である。帰還バルブ283を表すスイッチは、低変位ステージ212aと並列的に示される。可変抵抗バルブ255は、3つのアキュムレータ232、242、222のすべてを表すばねに並列的に示す。
【0099】
図1及び2から明らかなように、アキュムレータに関連するバルブが遮断されるとき、そのアキュムレータ内のガスは共通流路ABにおける圧力に何らの変化にも見舞われず、また機械的観点からは、このことは、
図2における対応するばねをロックアウトすることに等しい。このようにして、
図1及び2の装置におけるバルブの位置を変更することによって、油圧アクチュエータ205の剛性及び減衰特性を変動させることができる。したがって、この実施形態によるサスペンション装置は、異なる時点で異なる特性を有するサスペンションを提供する。
【0100】
この実施形態において、切替えバルブ223、233、243、273及び283は、回転直接駆動サーボバルブである単一の主バルブ250の一部を形成する。他の実施形態において、個別のバルブを使用することができる。この主バルブ250は、モータ(
図1には示されていない)によって直接駆動されるプール(
図1には示されていない)を有する。このようなバルブの例を
図11に示す。装置における種々の異なるコンポーネントへの流体の流れを制御する単一のバルブを使用することは、よりコンパクトな及び/又はより軽量の能動サスペンション装置を可能にする。さらに、結果として、より応答性のよい装置になる。
【0101】
高容積アキュムレータ222は、低容積アキュムレータ232よりも多量のガス(基準圧力でより多い体積の圧縮可能ガス)を含有する。低容積アキュムレータ232は、高容積アキュムレータ222よりも少量のガス(基準圧力でより少ない体積の圧縮可能ガス)を含有する。可変アキュムレータ242内に含有されるガス量(基準圧力でのガス体積)は変動することができる。
【0102】
低変位ステージ212aは高変位ステージ212bよりも低い流量をもたらす。例えば、幾つかの実施形態において、低及び高の変位ステージは、それぞれ毎分0.5~5リットルの範囲内の流量をもたらす。
【0103】
制御システム211は、主バルブ250,可変抵抗バルブ255、及び可変容量形ポンプ203を制御する。制御システム211は、従来型のものであり、ユーザー及び/又はセンサの入力を受け取ることができ、センサ入力としては加速度計及び速度センサがある。制御システムは、主バルブ250、可変抵抗バルブ255、及び可変容量形ポンプ203へのコマンドを出力し、油圧アクチュエータ205が及ぼす長さ、剛性、減衰、及び力を制御することができる。
【0104】
図1及び
図2の能動サスペンション装置201の動作を、以下に多数の異なる動作形態又はモードにつき説明する。
【0105】
図3は、本発明の第1実施形態における能動サスペンション装置が動作における「高速伸展(fast extend)」モードで使用されるときの、
図1の能動サスペンション装置周りの流路を示す。「高速伸展」モードに切り替わる前に、可変アキュムレータ242は高変位ステージ212bによって加圧流体で充填される。「高速伸展」モードでは、高容積アキュムレータ222、低容積アキュムレータ232、及び排油リザーバ270の切替えバルブ(223、233、273)がすべて全閉になる。ポンプの高変位ステージ212a及び低変位ステージ212aの双方がストップされる(他の実施形態において、一次フローギャラリと可変アキュムレータ242との間で流体を再循環させることができる)。「高速伸展」モードに切り替わる前に、車体207の重量は、ピストンロッド256における反力によって支持される。この初期平衡状態において、チャンバ内圧力は一次流路ABに沿う圧力に等しい。「高速伸展」が開始されるとき、可変アキュムレータ242に関連する切替えバルブ243が全開位置に切り替わり、油圧アクチュエータ205に伝達されるフローギャラリABに圧力変化を生起する。この圧力変化は、初期的には上側チャンバ205a及び下側チャンバ205bの双方で同一である。しかしながら、下側チャンバ205b内の流体に接触するピストンヘッド258の有効表面積は、上側チャンバ205a内の流体に接触するピストンヘッド258の有効表面積よりも大きい。この結果として、ピストンヘッド258に正味の上向き力を生ずる。ピストンが上昇するにつれて、上側チャンバ205aの減少する容積が流体を上側チャンバから下側チャンバ205bに流路262を介して移動させ、これにより油圧アクチュエータ205を迅速に進展させる。
【0106】
図4は、本発明の第1実施形態の能動サスペンション装置が動作における「高剛性(high stiffness)」モードで使用されるときの、能動サスペンション装置周りの流路を示す。
【0107】
「高剛性」モードでは、高容積アキュムレータ222、可変アキュムレータ242、及び排油リザーバ270の切替えバルブ(223、243、273)のすべてが全閉になる。帰還(リターン)バルブ283を全開にし、これにより流体は低変位ステージ212aと一次流路ABとの間で再循環する。低容積アキュムレータ232に関連する切替えバルブ233は全開である。切替えバルブ243は閉鎖し、これにより流体が可変アキュムレータ242から、又は高変位ステージ212bを介して一次流路ABから流れる。可変抵抗バルブ255は部分的開状態である。ポイントAにおける全圧は、10MPa(100バール)以上であるとともに、装置は「高剛性」モードにあり、例えば、ばねレートは、このモードにおいては30N/mm~90N/mmの間で変動することができる。
【0108】
「高剛性」モードにおいて、低容積アキュムレータ232内のガスのみが一次流路AB内の圧力変化に曝され、他のアキュムレータは関連の切替えバルブによって途絶される。比較的少量のガスのみを油圧システムにおける圧縮不能流体の作用によって圧縮することができるため、油圧システムは比較的剛性であり、アクチュエータ205が比較的高い剛性度に転換する。剛性度は、高変位ステージ212aを駆動することによってさらに上昇させることができる。高変位ステージ212aの駆動は、一次流路AB内の圧力を変化させることによって、車体の平均最低地上高を上昇又は下降させるのに使用することができる。一次流路AB内の圧力が上昇する(例えば、高変位ステージ212aを駆動することによって)とき、その結果の上側チャンバ205a及び下側チャンバ205b双方の圧力上昇が、上述したように、ピストンヘッド258及びひいてはアクチュエータを移動させる結果となる。流体が上側チャンバと下側チャンバとの間で移動するとき、バルブ255によって得られる付加的抵抗は、ピストン移動の減衰効果を生ずる。この減衰効果は、可変オリフィスの直径を変化させることによって変動することができる。このようにして、この実施形態による「高剛性」モードの装置は、能動サスペンションに対して、高剛性、可変減衰(バルブ255により得られる抵抗を変動させることによって)、及び最低地上高の制御を付与する。
【0109】
動作の高剛性モードは、例えば、ドライバによるステアリングホイールの動きに応答して高加速(2~4m/s2より高いロール量)が制御システムによって予測されるようなときに選択され得る。
【0110】
図5は、能動サスペンション装置が動作における「低剛性(low stiffness)」モードにあるときの、能動サスペンション装置周りの流路を示す。
【0111】
「低剛性」モードにおいて、可変アキュムレータ242及び排油リザーバ270の切替えバルブ(243、273)が全閉される。帰還バルブ283は全開状態であり、これにより流体は低変位ステージ212aと一次流路ABとの間で再循環する。低容積アキュムレータ232に関連する切替えバルブ233は全開される。高容積アキュムレータ222に関連する切替えバルブ223は部分的開放状態である。切替えバルブ243は閉じられ、これにより流体が可変アキュムレータ242から流れる、又は高変位ステージ212aを介して流れる。可変抵抗バルブ255は部分的開放状態である。装置が「低剛性」モードにある間には、ポイントAにおける全圧は7MPa(70バール)より高い。例えば、このモードにおける剛性は、5N/mm~50N/mmの間で変動することができる。
【0112】
「低剛性」モードにおいて、低容積アキュムレータ232及び高容積アキュムレータ222の一次流路ABとの接続は、より多量のガスが、「高剛性」モードにおけるよりも流路AB内の圧力変化により多く曝される。より多くのガスが油圧システム内の圧縮不能流体の作用によって圧縮され得るため、「高剛性」モードにあるときよりも剛性が少なく、比較的低い剛性のアキュムレータに転換する。一次流路AB内の圧力が定常状態から上昇するとき、ピストンロッド257に対する車体の重量と一次流路ABに沿う圧力上昇との間の差圧は、結果として流体が油圧アクチュエータ205に流入することになる。同一の圧力変化が上側チャンバ205a及び下側チャンバ205bの双方に及ぼされ、またやはりピストンヘッド258の異なるサイドにおける有効表面積の差の結果として、上述したように、アクチュエータの移動を生ずることになる。同様に、一次流路AB内の圧力が減少する(例えば、共通流路ABに沿う流体の圧力を減少させるよう高容量形ポンプ212aを稼働させることによって)とき、上側及び下側のチャンバ205a及び205b各々における圧力減少の結果として、他方向にアクチュエータを移動させることになる。やはり、流体が上側チャンバと下側チャンバとの間で移動するとき、付加的抵抗がバルブ255によってもたらされ、ピストン移動に対する減衰効果を生ずる。減衰効果は、可変オリフィスの直径を変化させることによって変動することができる。このようにして、この実施形態による「低剛性」モードの装置は、能動サスペンションに対して、低剛性、可変減衰(バルブ255及びバルブ223によって得られる抵抗を変動させることによる)、最低地上高制御を付与する。
【0113】
「低剛性」モードは、比較的低レベルの加速における一般的な運転のためのモードである。装置における剛性度は比較的低い(高剛性セットアップと比べて)。
【0114】
図6は、本発明の第1実施形態における能動サスペンション装置が動作における「油圧平衡化(hydraulic balancing)」モードで使用されるときの、能動サスペンション装置におけるフローを示し、このモードでは、排油リザーバ270に収集された流体が油圧回路210に帰還する。
【0115】
この「油圧平衡化」モードにおいては、可変アキュムレータ242及び排油リザーバ270の切替えバルブ(243、273)が全開にされる。帰還バルブ283は全開であり、流体が低変位ステージ212aと一次流路ABとの間で再循環する。低容積アキュムレータ232に関連する切替えバルブ233及び可変アキュムレータに関連する切替えバルブ243は全開である。高容積アキュムレータ222に関連する切替えバルブ223は部分開である。切替えバルブ243は開状態であり、高変位ステージ212bからの流体はポイントB経由でまた可変容量形リザーバ242を再循環する。可変抵抗バルブ255は部分開であるポイントAにおける全圧は、低剛性モードの全圧と同様であり、またポイントAにおける圧力は、このモードでは7MPa(70バール)である。油圧アクチュエータ205の剛性は「低剛性」モードの剛性と同様であり、例えば、5N/mm~50N/mmとの間で変動することができる。
【0116】
「油圧平衡化」モードにおいて、油圧流体の作用に曝されるガスの量は、「低剛性」モードにおけるのと同一であり、結果として同様の剛性になり、一次流路ABにおける圧力変化が同様のアクチュエータ205の運動になる。「低剛性」モードに対比して、「油圧平衡化」モードにおいては、低変位ステージ212aが流体を排油リザーバ270から一次流路ABに帰還させるよう駆動される。このようにして、「油圧平衡化」モードの装置においては、装置の性能は同等であるが、アキュムレータから漏洩した流体が、排油システムを介して油圧回路に帰還するのを可能にする。この油圧平衡化モードにおいて、アクチュエータ205の長さは調整することができる(例えば、流体を排油リザーバ270から一次流路ABに帰還させるよう駆動される低変位ステージ212aを使用して油圧アクチュエータを上昇させることができる)。「油圧平衡化」モードから切り替わるとき、変化したアクチュエータ長さを維持するのに、何らの付加的又は継続的なエネルギー供給も不要である。
【0117】
能動サスペンション装置が動作における「高速収縮(fast retract)」モードで、例えば、道路における深い穴又は凹凸に応答して使用されるときの、能動サスペンション装置周りにおける流路を示す。
【0118】
「高速収縮」モードにおいて、高容積アキュムレータ222及び低容積アキュムレータ232、及び可変アキュムレータ242の切替えバルブ(223、233、243)はすべて閉鎖位置に切り替えられる。高変位ステージ212a及び低変位ステージ212aの双方はストップされる(他の実施形態で、一次流路ABを介して流体を再循環させる場合もあり得るが)。開始するとき、「高速収縮」帰還バルブ283及び切替えバルブ273は全開にされ、一次流路AB内の圧力は、流体が低圧の排油リザーバ271に流れるにつれて急激に低下する。車体207がアクチュエータ205を圧縮するよう作用し、また油圧アクチュエータ205内の流体が定常状態で高圧にあることを考慮すると、このことは、油圧アクチュエータ205から流体を急激に排除する結果を生じ、油圧回路210内における比較的少ない量の流体は、油圧アクチュエータ205からの流体排除は機能的に瞬時であることを意味する。アクチュエータ205における圧力損失により、車体207及びホイールアセンブリ209を互いに接近する方向に移動させることを可能にする。ホイールアセンブリ209に取り付けたタイヤ(図示せず)に対する油圧アクチュエータからの下向き力の急激な除去は、そのタイヤを急激に押しやりまた地面から押し返されるようにする。このことは、結果として、重力よりも早い加速度、例えば、約7gでホイールアセンブリ209を油圧アクチュエータ(及びひいては車体207)に向かって加速することになる。その一方で、車体207は、重力の作用(すなわち、gの加速度で)油圧アクチュエータ(及びひいては地面202)に向かって移動する。したがって、これら加速度の差の正味効果は、高速収縮モードが作動するとき、ホイール取付けポイント209が車体に向かって急激に引っ込むことを意味する。このようにして、「高速収縮」モードにある油圧アクチュエータ205は、ホイールアセンブリ209を地面202から急激に上昇させて、深い穴、等々を回避するのに使用することができる。
【0119】
図8は、本発明の第1実施形態で使用するのに適した例示的油圧アクチュエータを示す。
油圧アクチュエータ205のスリーブ256内にあるのは、ロッド257である。ロッド257の上側端部(
図8における)にあるのは、車体207に連結するための第1連結ポイントである。ロッド257の下側端部にあるのは、ピストンヘッド258である。ホイールアセンブリ209を支持するための連結ポイントは、油圧アクチュエータ205のスリーブ256における下側端部(
図8における)にある。
【0120】
図9は、
図8のアクチュエータのスリーブにおける上側端部領域の拡大図を示す。ロッド257の最外側表面のみがこの図に示されている。スリーブ256の端部には、上側チャンバ260の末端部とスリーブ256の末端部との間に延在する封止領域280がある。2つのシール281が、封止領域280の末端部に隣接して、ロッド257の長手方向軸線に沿って互いに離れ、またスリーブ256の内面周りに周方向に延在して配置される。多数の排油入口272が、封止領域280におけるスリーブ256の内面に形成され、また排油フローギャラリ271に接続されている。
【0121】
使用にあたり、若干量の流体が上側チャンバ260から封止領域内に漏洩し、また次にその領域から排油入口272経由で排油フローギャラリ271に出ていく。この結果として、封止領域におけるいかなる流体の圧力をも減少し、またしたがって、シール281が耐えなければならない圧力も減少する(例えば、幾つかの実施形態において、シール281、282は、通常動作中に30Nにすぎない力を受ける)。シール281、282間の嵌合は緊密ではなく、またロッド257によって及ぼされる摩擦力は、排油入口がない装置に比べて相応的に減少し、また摩擦に打ち勝つのに必要なパワーも同様に減少する。したがって、この実施形態による封止領域及び排油出口を含むサスペンション装置は、従来型サスペンション装置に比べると効率がより高いものとなり得る。この実施形態の排油入口を含む封止領域の使用は、排油領域を通過する流体を再循環させ、これにより油圧回路内の油圧流体源を維持及び保存するのに使用することができる、本明細書に記載したポンプを含むサスペンション装置に特別な用途が見出すことができる。
【0122】
図10は、例えば、
図1の装置として使用するのに適したユニットである、例示的能動サスペンションユニットの断面図を示す。油圧回路210は、このユニットのケーシング290内に収納される。ロッド257は、
図10のユニットにおけるケーシング290の左側の側面に対して隣接しかつ平行に延在して、ケーシング290内に部分的に配置される。ロッド257の右側に、(ロッドが突出するケーシング290の端部から始まって、また内方に加工する順序で)一列に並んで配備されるのは、低容積アキュムレータ232,可変アキュムレータ242,高容積アキュムレータ222、及び排油リザーバ270である。低容積アキュムレータ232はケーシング290の端部に隣接し、他のアキュムレータ/リザーバは、ロッドの長さに沿って順次隣り合い、排油リザーバ270はロッド257の最内側端部に近接する。スリーブ256は、アキュムレータ(222、232、242)及び排油リザーバ270各々の一部を画定する壁291を形成する。可変容量形ポンプ230は排油リザーバ270に隣接配置する。主バルブ250はポンプ230内に同心状に配置される。
【0123】
図10の実施形態による能動サスペンション装置の要素を配備することは、特別にコンパクト及び/又は軽量の能動サスペンション装置をもたらすことができる。例えば、幾つかの実施形態において、ユニットは、30cmの長さを有するとともに、フルに伸展するとき、ロッドに15センチの行程を付与することができる。付加的又は代替的に、このようなコンパクトなユニットを設けることは、車両の空間的制約内における能動サスペンション装置の使用を容易にする、及び/又は結果として、油圧流体のためのより短い流路となり、これにより圧力損失を低減しかつ効率を向上させることになり得る。
【0124】
図11は、ポンプ230、及びポンプ230内に同心状に取り付けられる主バルブ250の拡大図を示す。主バルブ250は主スプール293を有し、この主スプール293は、スプールの長さに沿って互いに離れる複数の平坦ランド部を持ち、各ランド部は、バルブスイッチ(223、233、243、273、283)の各1個に対応する。ポンプ230は、モータ固定子299内で、またモータ固定子299に対して回転するよう取り付けたモータ回転子297を含む。ポンプは、モータ回転子297内に形成されるピストンチャンバ内に収容される第1ピストン列と、及びポンプの回転軸線に沿って第1ピストン列から離間する第2ピストン列を含むラジアルピストンポンプである。ピストンの第1セットは第1ポンプアセンブリ212aの一部であり、またピストンの第2列は第2ポンプアセンブリ212bの一部である。使用にあたり、主バルブ250は、ピストンの第1列又は第2列のどちらが使用されるかを制御し、またこれによりポンプからの流体出力の流量(流速)を変動させる。
【0125】
したがって、このようにして主バルブ並びに高容量形ポンプ及び低容量形ポンプを有することは、コンパクトな構成で主バルブが比較的多数の切替え状態に対して流体を供給することを可能にする。このことは、能動サスペンションユニットをコンパクトにするのに役立つ。加えて、スプールバルブ、とくに、
図11に示すような直接駆動バルブの使用は、極めて多数の状態間における迅速切替えを可能にする。このことは、この実施形態による能動サスペンション装置が従来技術のサスペンション装置よりも道路及び/若しくは駆動条件に一層迅速に応答する、並びに/又は固定する時点で異なる特性を有するシステムを設けることによって、付加的動作モードを付与し、これによりバルブ効率を改善するのを可能にする。
【0126】
図12は、ケーシング290内に形成される能動サスペンション装置のフローギャラリであって、上述した種々のコンポーネントを接続する複数のフローギャラリ1200を示す。フローギャラリ1200は、形状が曲線状であり、積層造形技術を用いて構造することができる。曲線状であるフローギャラリの性質は、より一層コンパクトな能動サスペンションユニットを可能にする。
【0127】
図13は、第2の例示的能動サスペンションユニット、
図1のシステムとして使用するのに適したユニットの断面図を示す。油圧回路はユニットのケーシング290内に収納される。
図10のユニットとは異なる
図13のユニットにおけるそれら局面を以下に詳述する。
図13のユニットにおけるレイアウトは
図10のユニットとほぼ同一であり、低容積アキュムレータ232、可変アキュムレータ242、高容積アキュムレータ222,及び排油リザーバ270が、ロッド257の右側に一列に配備される。しかしながら、
図10のユニットとは対照的に、
図13のユニットは、モジュール方式で構成されている。低容積アキュムレータ232、可変アキュムレータ242、高容積アキュムレータ222,及び排油リザーバ270は、ガスリザーバ及び流体リザーバ、並びにそれらの間におけるバリアを画定する壁からなるスタンドアロンのモジュール式アキュムレータとして形成される。これらモジュール式アキュムレータは、ロッド257が位置するスリーブ256の側面に沿って一列に積層される。端部プレート287(
図15参照)は、ユニットを閉鎖し、また低容積アキュムレータ232の末端部が配置される窪み287aを画定する。端部プレート287は、ロッド257が貫通する開孔285を含む。ポンプ及び制御ユニット296は、ユニットの端部プレート287とは反対側の端部で排油リザーバ270に隣接して配置される。ポンプ及び制御ユニット296は、ポンプ230内に同心状に配置される主バルブ250を含み、ポンプ230自体は、積層造形を用いて単一ピースとして形成されるポンプマニホールド298内に配置される。
図14aは、ポンプ及び制御ユニット296内のポンプ230の外観を示す。ポンプマニホールド298は、複数の曲線状フローギャラリ1200を含み、またこれらギャラリの内部体積を
図14bにより詳細に示す。アキュムレータ232、242、222及び排油リザーバの各々は、サスペンションユニットに沿ってロッド257の長手方向軸線にほぼ平行に延在し、また基端部をポンプ及び制御ユニット296の曲線状フローギャラリ1200に接続される1つ又はそれ以上の直線状パイプ289を介して、ポンプ及び制御モジュール296に流体連通するよう配置される。
図15は、
図13のユニットの分解図を示し、アキュムレータのモジュール式の性質が明らかである。
【0128】
ポンプ及び制御ユニットをモジュール式アキュムレータと組み合わせて使用することは、製造がより容易な能動サスペンション装置を提供することができる。標準ポンプ制御モジュールは、プラグ・アンド・プレイ装置として異なるサイズのモジュール式アキュムレータと組み合わせて、多種多様の異なる容量の油圧装置を生産することができる。標準ポンプ制御モジュールの使用は、保守しなければならない部品点数を減少することを可能にする。さらに、ポンプマニホールドの複雑なフローギャラリを生産する積層造形の使用は、直接製造される及び/又は標準在庫として保管される直線状パイプを用いて、サスペンションユニットの残りの部分における流体接続を可能にする。このようにモジュール式部品の使用に積層造形を組み合わせることは、比較的高額になる積層造形が、ポンプ及び制御ユニットに限定でき、またサスペンションユニットの残りの部分が標準コンポーネントとの組合せによって完成させることができるため、製造コストを低減することにもなり得る。
【0129】
本発明は特別な実施形態につき説明及び図示してきたが、本発明自体はとくに説明されない多くの異なる変更例にも役立つものであることは、当業者には理解されるであろう。単なる例として、若干のあり得る変更例を以下に説明する。
【0130】
上述した実施形態において、油圧アクチュエータ205は、一方の端部(
図1に及び上側端部)で車体(
図2参照)に、また他方の端部でホイールアセンブリ(
図2参照)に連結する。本発明実施形態はこのように油圧アクチュエータ指向に関して説明してきたが、当然のことながら、車体に連結されている本発明実施形態に示された端部は、代わりにホイールアセンブリに連結することができ、またその逆にすることができる。
【0131】
上述した実施形態において、主バルブは回転直接駆動バルブとして説明されるが、幾つかの実施形態において、線形直接駆動バルブとすることができる。本発明実施形態は単一主バルブの使用に関して説明してきたが、当然のことながら、異なるタイプ及び多数のバルブを使用することもできる。例えば、はっきりと異なる複数のバルブを主バルブの代わりに使用することができる。
【0132】
上述した実施形態において、装置は一次流路ABに流体連通するよう配列した3つのアキュムレータを備えるが、代わりとして、より少ない数のアキュムレータ(例えば、2つのアキュムレータ)又はより多くの数のアキュムレータを使用することができる。
【0133】
上述した実施形態において、装置は、ピストンヘッド付きのロッドを備えるが、本発明の幾つかの実施形態においてピストンヘッドは不要あり、その代わりピストンヘッドなしのロッドを使用することもできると理解されたい。このことは、機能するため、装置がピストンヘッドの両側(油圧アクチュエータの上側チャンバと下側チャンバとの間)で圧力差を必要としないことから、あり得る。
【0134】
上述した実施形態において、大容積アクチュエータ222のみ比例的又は可変の流量セッティングを有する切替えバルブ223を有するものとして示したが、任意なアキュムレータのいかなる切替えバルブも、同様に及び/又はその代わりに、比例的又は可変の流量セッティングを有することができると理解されたい。
【0135】
上述した実施形態において、2つのステージを有する単一の可変容量形ポンプが使用されるが、2つ又はそれ以上の固定容量形ポンプを使用することができる、又はデュアル容量形ポンプではない可変容量形ポンプを、同様に及び/又はその代わりに使用することができる。
【0136】
上述した実施形態は排油システムを含むが、排油システムは他の実施形態においてないものとすることができる。
【0137】
上述した実施形態において、排油システムは、2つのシール(281、282)を有するものとして示したが、他の実施形態において、排油システムは1つのみのシールを有することができる。
【0138】
上述した実施形態は能動サスペンション装置を説明するが、当然のことながら、本発明が開示した教示は、この意味で能動的でなく、またサスペンション装置の剛性又は減衰特性のみを制御するサスペンション装置にも等しく適用することができる。
【0139】
上述の説明において、既知の明白な又は予測可能な均等物を有する実体又は要素が述べられており、このような均等物は、個別に記述されるように本明細書に組み入れられる。本発明の範囲を決定するため特許請求の範囲に言及されるべきであり、いかなるこのような均等物も包含するものと解すべきである。読む人にとっては、好適な、有利な、都合のよい、等々のものとして説明される本発明の実体又は特徴は、随意的なものであり、また独立請求項の範囲を限定しないものであることは理解されるであろう。さらにまた、本発明の幾つかの実施形態において利点があり得るこのような随意的な実体又は特徴は、他の実施形態においては望ましいものではなく、したがって、存在しないことがあり得ると理解されたい。
【国際調査報告】