(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】拡張可能な可撓性椎間インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568435
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 CH2022050008
(87)【国際公開番号】W WO2022232957
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】CH070136/2021
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】CH070155/2021
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】PCT/CH2021/050021
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(31)【優先権主張番号】CH000164/2022
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517313316
【氏名又は名称】ウィルトロム カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】WILTROM CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】カラチュ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA10
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097CC18
4C097MM10
(57)【要約】
脊柱のための椎体間ケージシステムは、回動部材(拡張部材とも呼ばれる)の回動手段を受け入れる1つのベース部材(ケージ本体とも呼ばれる)と、ケージ本体にある軸の回りに回動して、第1巻付又は格納形態から第2巻付解除又は展開形態に脊柱と係合することにより、椎体間ケージと椎骨との接触面の周長、及び/又は椎体間ケージの高さが格納形態から展開形態に増加するように構造化された1つの拡張部材との少なくとも2つの部材で構成され、巻付又は格納形態において、ベース部材及び拡張部材のうちの一方の部材は、ベース部材及び拡張部材のうちの他方の部材の表面の少なくとも一部を覆う。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの格納可能な拡張部材を有し、上部椎骨と下部椎骨との間に挿入される骨癒合装置であって、
近位端及び遠位端を有するベース部材を含み、
前記少なくとも1つの格納可能な拡張部材は、椎骨と係合して前記骨癒合装置の形状係数を動的に変化させて椎体間ケージの体積を増加させるように構造化され、
前記ベース部材及び少なくとも1つの格納可能な拡張部材のうちの一方の部材は、前記ベース部材及び少なくとも1つの格納可能な拡張部材のうちの他方の部材の表面の少なくとも一部を覆う表面を有し、
前記少なくとも1つの格納可能な拡張部材は、前記上部椎骨及び下部椎骨のうちの少なくとも1つに当接し、前記骨癒合装置と、前記上部椎骨及び前記下部椎骨のうちの少なくとも1つとの接触面の周長を延長するように適合される、骨癒合装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの格納可能な拡張部材は、前記骨癒合装置と、前記上部椎骨及び前記下部椎骨のうちの少なくとも1つとの接触面の周長を変更することにより前記骨癒合装置の形状係数を回転可能に変更するように構造化される、請求項1に記載の骨癒合装置。
【請求項3】
1つ以上の前記拡張部材とベース部材のうちの一方の部材は、格納可能な位置から、前記ベース部材及び1つ以上の前記拡張部材のうちの他方の側辺から離れた方向に外向きに回動するように構造化される、請求項1に記載の骨癒合装置。
【請求項4】
少なくとも1つの格納可能な拡張部材を有し、上部椎骨と下部椎骨との間に挿入される骨癒合装置であって、
近位端及び遠位端を有するベース部材を含み、
前記少なくとも1つの格納可能な拡張部材は、1つの椎骨と係合して前記骨癒合装置の形状係数を動的に変化させて椎体間ケージの体積を増加させるように構造化され、
前記ベース部材及び少なくとも1つの格納可能な拡張部材のうちの一方の部材は、前記ベース部材及び少なくとも1つの格納可能な拡張部材のうちの他方の部材の少なくとも一部を覆う表面を有し、
前記少なくとも1つの格納可能な拡張部材は、前記上部椎骨及び下部椎骨のうちの少なくとも1つに当接し、前記骨癒合装置と、前記上部椎骨及び前記下部椎骨との間の分離空間を増加させるように適合される、骨癒合装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの格納可能な拡張部材は、前記骨癒合装置と、前記上部椎骨及び前記下部椎骨との間の分離空間を増加させることにより前記骨癒合装置の形状係数を回転可能に変更するように構造化される、請求項4に記載の骨癒合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療分野に関し、より具体的には、拡張可能な可撓性椎間インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
変性した椎間板、小関節面疾患、椎骨の脱臼などの脊柱のある病変は、脊柱の支持能力及び負荷分担を損なう。
【0003】
このような進行した段階の病変の治療は、典型的に、椎間板外システムに結合される椎体間ケージなどの椎間板内インプラントを有する様々な安定化システムにより実現され、該椎間板外システムは、脊椎用スクリューとプレート又はロッドとを組み合わせて使用して、2つの隣接する椎骨を剛性接続する。このような椎間板内インプラントは、椎間腔を復元することにより、神経根が減圧され、隣接する椎骨同士の骨癒合が促進され、脊柱の病変の治療を大幅に改善している。
【0004】
嵌入ケージは、椎体間ケージ中の重要カテゴリを代表する。実質的に平行六面体形状を有するこれらのケージは、嵌入により椎骨間に挿入される。これらのケージの下側は、後方、経椎間孔的、後側方、側方、前側方、前方のアプローチなどの様々な手術アプローチを使用した狭いアクセス経路を経て、椎間腔に挿入されることが困難であり、特に、2つの隣接する椎骨との負荷分担を最適化し、腰椎において自然前彎を再現するために、椎体間ケージが隣接する椎骨との接触面を最大化する必要がある場合には困難である。
【0005】
これらの課題を解決するために、その場で拡張する椎体間ケージが開発されており、そのうち、隣接する椎骨内のケージの体積の増加を実現する拡張可能ケージがある。例えば、米国特許出願公開第2017/216051号明細書、米国特許第10383743B2号明細書、欧州特許出願公開第1645248A1号明細書、米国特許出願公開第20120109319号明細書及び米国特許第10575966B2号明細書には、椎間ケージがその高さを拡張する発明が記載されている。他の参考文献、例えば、米国特許出願第13/877851号、米国特許出願第12/171,165号、米国特許出願第11/276,345号、米国特許出願第11/394,719号、米国特許出願第09/350,984号、米国特許出願第13/941,095号、米国特許出願第13/605,751号、米国特許出願第13/667,551号、米国特許出願第13/095,634号、米国特許出願第12/993,960号、米国特許第8,187,332号明細書及び米国特許出願第15/739,696号には、椎骨を直接係合させ、2つの椎骨の間の分離空間を増加させる回動部材を有するケージが記載されている。参考文献のうちのいくつかには、他の部品の長手方向軸にある軸の回りに回動する移動部材を含むケージが記載されている。これらの参考文献において、米国特許出願第12/171,165号には、固定要素内で回動すると、可撓性部材を固定部材の外方に展開させることにより、ケージの体積を増加させる移動部材が記載されている。米国特許出願第15/739,696号には、固定要素内で回動すると、固定要素の外方に直接延びる移動部材が記載されている。これらの参考文献におけるケージの拡張体積は、形状係数の不均等な増加を反映し、ケージの隣接する椎骨との接触面の実際の周長を増加させない。更に、米国特許第6,395,031号明細書、米国特許出願公開第2011/0276141号明細書、米国特許出願公開第2019/336299号明細書、米国特許出願公開第2019/307577号明細書、米国特許第7318839B2号明細書、米国特許第10940016B2号明細書、米国特許第10898340B2号明細書、米国特許出願公開第20200281739A1号明細書及び米国特許第9,795,493号明細書は、インプラントと隣接する椎骨との接触面を増加させるために横方向に拡張する椎間ケージの例を提供し、米国特許第9433510号明細書及び米国特許第9707095B2号明細書の両方は、高さ方向に拡張することで、2つの椎骨の間の分離空間を増加させ、側方で拡張することでケージと椎骨との接触面の周長を増加させる椎間ケージを開示しているが、このような引用文献において、拡張は、椎骨との接触面を耐久的に拡張させるために、椎骨を回動可能に係合させる椎体間ケージのいずれの部品によっても実現されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/216051号明細書
【特許文献2】米国特許第10383743B2号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1645248A1号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第20120109319号明細書
【特許文献5】米国特許第10575966B2号明細書
【特許文献6】米国特許第8,187,332号明細書
【特許文献7】米国特許第6,395,031号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2011/0276141号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2019/336299号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2019/307577号明細書
【特許文献11】米国特許第7318839B2号明細書
【特許文献12】米国特許第10940016B2号明細書
【特許文献13】米国特許第10898340B2号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第20200281739A1号明細書
【特許文献15】米国特許第9,795,493号明細書
【特許文献16】米国特許第9433510号明細書
【特許文献17】米国特許第9707095B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、体積を第1巻付又は巻き又は格納形態から第2巻付解除又は広げ又は展開形態に増加させることにより、椎骨との接触面の周長が格納形態から展開形態に増加する脊柱のための椎体間ケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の椎体間ケージは、回動部材(拡張部材とも呼ばれる)の回動手段を受け入れる1つのベース部材(ケージ本体とも呼ばれる)と、ベース部材にある軸を軸回りに回動するように構造化される拡張部材との少なくとも2つの部品の組立体として構造化される。拡張部材の目的は、脊椎分節の一方又は両方の椎骨を回動可能に係合させることにより、椎体間ケージと一方又は両方の椎骨との接触面の周長を拡大したり、椎体間ケージの高さ及び2つの椎骨の間の分離空間を増加させたり、椎体間ケージと椎骨との接触面の周長及び高さの両方を増加させたりすることである。拡張部材の展開は、ケージの形状係数を増加させて、椎骨と接触するより広くて安定的な表面を提供する。
【0009】
好ましい実施形態では、拡張部材は、第1形態においてケージ本体の一部の周りに巻き付けられるか又は巻かれて(又は逆もまた同様)、2つの椎骨を回動可能に係合させ、ケージ本体及び拡張部材の両方が椎骨に係合したままでケージ本体及び拡張部材の逆方向に回動することにより、第2形態に巻付解除するか又は広げ、展開するように構造化される。他の実施形態では、拡張部材には、2つの椎骨の間に挿入されるために第1形態において、ケージ本体の内部に格納され、巻かれるか又は巻き付けられて、第2形態において、ケージ本体の外部に展開されるか又は広げられるか又は巻付解除されて、隣接する椎骨を分離する弧状リボン、1つのストランドで分割されたリング、扁平フック、メッシュフレーム、及び中実ブロック構造が配置されてもよく、このような展開は、ケージ本体内又はケージ本体の表面若しくは側方に構成された回転軸を軸回りに拡張部材を回動させることにより作動する。逆に、ケージ本体及び拡張部材には、拡張部材から巻付解除されるか、又は拡張部材から広げられるか、又は拡張部材から展開されるフラットリング、分割リング、フラットフック、メッシュフレーム、及び中実ブロック構造が配置されてもよい。
【0010】
本発明は、また、ケージの格納形態において、2つの椎骨の間にケージを挿入した後に拡張部材を展開させる方法も包含する。第1方法によれば、拡張部材が回動すると、展開する拡張部材は、回動軸として機能するシャフトのレバーに対する支点として機能する椎骨のうちの1つを押す。椎骨に対する拡張部材の圧力は、ケージの本体に対する2つの椎骨の圧縮力を超え、ケージの本体を、回動する拡張部材の方向とは逆方向に回動させる。本方法によれば、器具を用いてケージの本体を同時に回動させる必要がなく、拡張部材の回動のみでケージを完全に展開させることができる。長楕円形本体と長楕円形拡張部材とからなるケージを展開する第2方法において、大きい寸法の表面が椎骨と係合するように2つの椎骨の間にケージを挿入した後、長楕円形本体と長楕円形拡張部材は、逆方向に同時に回動して、本体と拡張部材の2つの先端のそれぞれを互いに分かれて、分節の椎骨に対する圧力を生成し、本体と拡張部材のそれぞれの長さ寸法の表面が完全に展開されるまで分節の椎骨を分散させて、2つの椎骨間の新たな分離距離を維持し、同時にケージを横方向にも拡張している。本体及び2つの拡張部材を含むケージを送達する第3方法は、本体と実質的に整列した2つの拡張部材とを有するケージを完全格納形態で導入し、本体を回動させながら、2つの拡張部材のうちの1つのみを展開させるか又は両方を非同期に展開させることにより、展開形態において、1つの拡張部材を他方の拡張部材に対して上下反転させることを含む。
【0011】
本発明の全ての実施形態は、2つの隣接する椎骨の間のインプラントに減衰性を付与し、海綿骨の自然構造を模倣し、ケージの周りの沈降を防止し、椎体間ケージの周りの骨成長及び椎体間ケージを通る骨成長を促進するように構造化されたケージ本体及び拡張部材で構成されてもよい。
【0012】
本発明は、また、2つの棘突起を分離して、突起を分散姿勢にロックするために使用されてもよい。
【0013】
本発明の実施形態は、骨を分離する任意の構成及び/又は任意の骨の癒合に適用することができる。
【0014】
本発明の特徴は、様々な実施形態及びそれらの変形例の説明からより明らかになり得るものであり、該様々な実施形態及びそれらの変形例は、限定的なものではなく、例として提供されるものに過ぎず、ケージ又は本体の前端若しくは前部若しくは前端部が特に参照され、これにより上記ケージ又は本体を上記椎体間空間に導入する直前に椎骨に対して調整されたケージの部分を規定し、また、ケージ本体の後方端部若しくは後端部が参照され、これは前方端部若しくは前端部とは反対するケージの部分を規定するものとする。用語「回動」及び「回転」は、同じ意味で用いられ、軸回りの動作を説明する。これらの様々な実施形態の説明は、添付した概略図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】格納形態における第1実施形態のケージの後面斜視図を示す。
【
図2】拡張部材が展開形態にある場合の、
図1における同じケージの後面斜視図を示す。
【
図3】第1実施形態のケージの本体の後面斜視図を示す。
【
図4】第1実施形態のケージの拡張部材の後面斜視図を示す。
【
図5】展開形態にある場合の
図2におけるケージの前面斜視図を示す。
【
図6】格納形態にある場合の第1実施形態のケージの後面図を示す。
【
図7】展開形態にある場合の
図6におけるケージの後面図を示す。
【
図8】2つの概略的な椎骨の間で格納形態にある場合の第1実施形態のケージの断面の後面図を示す。
【
図9】拡張部材が部分的に展開された場合の
図8におけるケージの同じ断面を示す。
【
図10】拡張部材が更に展開された場合の
図8及び9における同じケージの断面を示す。
【
図11】拡張部材が完全に展開された場合の
図8、9及び10における同じケージの断面を示す。
【
図12】格納形態にある場合の第2実施形態のケージの前面斜視図を示す。
【
図13】拡張部材が展開形態にある場合の
図12における同じケージの前面斜視図を示す。
【
図14】拡張部材が部分的に展開された場合の第2実施形態のケージの断面の後面図を示す。
【
図15】拡張部材が更に展開された場合の
図14における同じケージの断面を示す。
【
図16】拡張部材が格納された場合の第2実施形態のケージの第1変形例の断面の後面図を示す。
【
図17】拡張部材が完全に展開された場合の
図16における同じケージの断面を示す。
【
図18】格納形態にある場合の第2実施形態のケージの第1変形例の前面斜視図を示す。
【
図20】展開形態にある場合の第2実施形態のケージの第2変形例の後面斜視図を示す。
【
図21】展開形態にある場合の
図20における同じケージの低角度後面図を示す。
【
図22】展開形態にある場合の
図20及び21における同じケージの後面図を示す。
【
図23】2つの概略的な椎骨の間に拡張部材が部分的に展開された場合の、
図20~22におけるケージの断面の後面図を示す。
【
図24】拡張部材が更に展開された場合の、
図23における同じケージの後面図を示す。
【
図25】第2実施形態の第3変形例のケージの本体の前面斜視図を示す。
【
図26】第2実施形態の第3変形例のケージの拡張部材の前面斜視図を示す。
【
図27】格納形態にある場合の第2実施形態の第3変形例のケージの後面斜視図を示す。
【
図28】展開形態にある場合の第2実施形態の第3変形例の上下逆のケージの後面斜視図を示す。
【
図29】展開形態にある場合の第2実施形態の第3変形例のケージの後面図を示す。
【
図30】第3実施形態のケージの第2拡張部材の後面斜視図を示す。
【
図31】第3実施形態のケージの本体の後面斜視図を示す。
【
図32】第3実施形態のケージの第1拡張部材の後面斜視図を示す。
【
図33】格納形態にある場合の第3実施形態のケージの後面斜視図を示す。
【
図34】展開形態にある場合の
図33における第3実施形態の同じケージの図を示す。
【
図35】格納形態にある場合の
図33におけるケージの前面図を示す。
【
図36】展開形態にある場合の
図34におけるケージの前面図を示す。
【
図37】第4実施形態のケージの本体の前面斜視図を示す。
【
図38】第4実施形態のケージの拡張部材の前面斜視図を示す。
【
図39】展開形態にある場合の第4実施形態のケージの後面斜視図を示す。
【
図40】格納形態にある場合の第4実施形態のケージの上面図を示す。
【
図41】展開形態にある場合の
図40におけるケージの上面図を示す。
【
図42】第4実施形態のケージの拡張部材の後端部の拡大斜視図を示す。
【
図43】第4実施形態のケージの本体の円錐状前端部の拡大斜視図を示す。
【
図44】展開形態にある場合の第4実施形態のケージの前面図を示す。
【
図45】2つの湾曲継手を有する第4実施形態の変形例の拡張部材の1つのリングの前面図を示す。
【
図46】2つの分割ストランドを有する典型的なPLIF又はTLIF椎体間ケージの前面斜視図を示す。
【
図47】対向する分割ストランドの位置における、
図46におけるケージの「C-S」断面の前面図を示す。
【
図48】メッシュ構造を有する本体に取り付けられた、第4実施形態の変形例としてのオープンメッシュ構造を有する拡張部材と、第2拡張部材とを含む展開されたケージの上面図を示す。
【
図49】展開形態にある場合の、
図48におけるケージの、メッシュ構造を有する本体及びメッシュ構造を有する拡張部材を示す。
【
図50】大きい寸法の表面が上下に向かう場合の、格納形態にある第5実施形態のケージの前面斜視図を示す。
【
図51】
図50における同じケージが90°回転した後の、小さい寸法の表面が上下に向かう場合の前面斜視図を示す。
【
図52】展開形態にある場合の
図51におけるケージの前面斜視図を示す。
【
図53】小さい寸法の表面を傾斜平面とした場合の、第5実施形態のケージの変形例の後面斜視図を示す。
【
図54】展開形態にある場合の
図53におけるケージの後面斜視図を示す。
【
図55】2つの概略的な椎骨の間で格納形態にある場合の第5実施形態のケージの断面の前面図を示す。
【
図56】本体が少し回動し拡張部材が少し展開された場合の、
図55における同じケージの前面図を示す。
【
図57】本体が更に回動し拡張部材が更に展開された場合の、
図56における同じケージの前面図を示す。
【
図58】本体がほぼ完全に回動し拡張部材がほぼ完全に展開された場合の、
図57における同じケージの前面図を示す。
【
図59】本体が完全に回動し拡張部材が完全に展開された場合の、
図55~57における同じケージの前面図を示す。
【
図60】格納形態にある場合の第6実施形態のケージの前面斜視図を示す。
【
図61】展開形態にある場合の、
図60における同じケージの前面斜視図を示す。
【
図62】2つの概略的な椎骨の間で格納形態にある場合の第6実施形態のケージの前面図を示す。
【
図63】拡張部材が展開され本体が回動する場合の、
図62における同じケージの前面図を示す。
【
図64】同じ方向に拡張部材が更に展開され本体が更に回動する場合の、
図62及び63における同じケージの前面図を示す。
【
図65】1つの方向に1つの拡張部材が更に展開され、逆方向に他の拡張部材が更に展開され、本体が更に回動する場合の、
図62~64における同じケージの前面図を示す。
【
図66】2つの拡張部材が完全に展開された場合の、
図62~65における同じケージの前面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び2に示すように、本発明の第1実施形態は、略円筒状部を有するベース部材又は本体4と、前端部2と、後端部3とを有し、後方又は経椎間孔的手術アプローチを介して送達するための椎体間ケージアセンブリ(又はケージ)1を説明する。
図3及び4は、ケージ1を構成する2つの要素4、5を示す。
図3に示すように、前端部2及び後端部3を含むケージ本体(又は本体)4は、略円筒状部を有し、管状構造6aが配置された、前端部2と後端部3との間の中央部を有する。管状構造6aには、開口部7と、スロット9によって隔てられる弧状リボン8とが配置されてもよい。2つの溝部10a、10b、即ち、後端部3の外周にある第1近位溝部10a、及び前端部2の外周にある第2遠位溝部10bは、本体4内に同じ軸に配置されて、拡張部材5の回動シャフト11a、11bを受け入れる。
図4に示すように、拡張部材5は、近位シャフト部及び遠位シャフト部11a、11bに取り付けられた管状構造6bとして構成される。拡張部材の管状部6bの一部には、スロット13によって隔てられる弧状リボン12が配置される。
【0017】
ケージ1の弧状リボン8、12は、所望の圧縮力耐性又は可撓性に応じて異なる厚さを有してもよく、このような剛性及び可撓性は、同じ弧状リボン8、12に適用される異なる厚さによって調節されてもよく、例えば、補強部14は、圧縮力に耐えるように設計されたケージ1の部分上の弧状リボン8、12に配置されてもよく、このような椎間板の負荷をより均等に弧状リボン8、12のこのような薄い屈曲面に分担するために、弧状リボン8、12の薄い部分は、上部椎骨V1及び下部椎骨V2と係合するケージ1の部分に配置される。
【0018】
図1及び6~11に示すように、本体4の管状構造6aの相対直径は、拡張部材5の管状構造6bの相対直径より大きいため、拡張部材5は、本体内に配置され、或いは、異なって説明されるように、本体4は、拡張部材5に重ね合わせられ、拡張部材5の周りに巻かれるか又は巻き付けられる。
図26に示すように、本発明の異なる実施形態及び変形例では、拡張部材5.3は、本体4.3に重ね合わせられ、本体4.3の周りに巻かれるか又は巻き付けられてもよい。拡張部材5の弧状リボン12の幅は、本体4の管状構造6aに配置されたスロット9の幅より小さく、本体4の弧状リボン8の幅は、拡張部材5の管状構造6bに配置されたスロット13の幅より小さい。
【0019】
図1及び6は、本体4及び拡張部材5を含むケージ1の第1形態を説明し、この第1形態では、拡張部材5は、本体4内に格納される。
図2、5及び7は、本体4の外側への拡張部材5の展開(又は広げ又は巻付解除)の完了後の、ケージ1の形状係数(form factor)をケージ1の第1形態からその第2形態に増加させた、ケージ1の第2形態を説明する。
【0020】
この発明の利点は、格納形態にあるケージ1の椎間腔へのアクセス経路がより狭くてもよいため、靭帯、筋肉、神経及び骨組織を過剰な切除から保護することである。
【0021】
図8~11は、2つの椎骨V1、V2の間にケージ1を展開する方法を説明する。2つの椎骨V1、V2の間へのケージ1の挿入は、ケージ1の後端部3に固定された任意の器具、例えば、本体4の後端部3の内部を通って又は外側から開口部29に取り付けられた器具による嵌入(impaction)により実現される。該器具はまた、拡張部材の近位シャフト11a、例えば、近位シャフト部11aに配置されたボルト11cと係合して回動することができる必要がある。
図8に示すように、ケージ1が2つの椎骨V1、V2の間の所望の位置に到達すると、拡張部材5の展開は、
図9及び10に示された展開方法を適用することにより促進されてもよく、本体4は、椎骨V1、V2の間に約90°回動すると同時に、拡張部材5は、その近位シャフト部11aの作動により、逆方向に約90°回動する。本体4の弧状リボン8の幅が拡張部材5におけるスロット13の幅より小さく、拡張部材5の弧状リボン12の幅が本体4のスロット9の幅より小さいため、
図9及び10に示すように、1つの部品上の各組の弧状リボン8、12は、拡張部材5の展開を阻害せずに、他方の部品の各スロット9、13を摺動することができる。
【0022】
図11は、完全に展開された拡張部材5を示す。本体4の管状構造6a及び弧状リボン8の椎骨に当接する部分から、拡張部材5の管状構造6b及び弧状リボン12の椎骨に当接する部分までの範囲である、展開されたケージ1の周長は、ケージ1と椎骨V1、V2との接触面の周長が格納形態における本体4のみと椎骨V1、V2との接触面の周長に比べて大幅に増加している。拡張部材5の直径が本体4の直径より小さいため、展開されたケージ1は、椎骨V1と椎骨V2との間に角度を形成し、これは、ケージを側方、経椎間孔的又は前斜めアプローチにより送達するのに有利である。
【0023】
図11に示すように、本体4の管状構造6a内に配置された開口部7は、上部椎骨V1の椎体終板に向かって開口するが、本体4のスロット9及び拡張部材5のスロット13は、下部椎骨V2の椎体終板に対向し、これにより、ケージ1内に挿入された移植片を椎骨に接続することができる。また、弧状リボン8、12のエッジは、椎骨V1、V2に押し付けられる場合、ケージ1の移動に抵抗する固着手段に相当する。
【0024】
図12及び13は、本発明の第2実施形態のケージ1.1を示し、ケージ1.1の本体4.1は、第1実施形態の本体4と実質的に同様であるが、拡張部材5.1は、鋸歯状チタン、開孔金属合金、被覆PEEKで製造されてもよいコンパクトな材料ブロックで製造される。拡張部材5.1は、楕円板15bによって隔てられる円板15aを繰り返すうちに形成される。したがって、楕円板15bは、円板15aの一部との間にクレバス16を画定する。板15a、15bは、軸のシャフト11.1に取り付けられる。
図14及び15は、本体4.1の弧状リボン8.1を円板15aの間に摺動させることができるように、クレバス16がどのように第1実施形態のケージ1の拡張部材5のスロット13の役割を果たすかを説明する。
【0025】
図16~18には、拡張部材5.1の第1変形例が示され、この変形例では、円板の代わりに楕円形板15cが軸のシャフト11.1に取り付けられる。
図18及び19に示すように、これらの楕円形板15cの長い寸法の両端は、本体4.1の開口部7.1及びスロット9.1から突出し、本体4.1の管状構造6.1aの外面及び弧状リボン8.1の外面と面一であってもよい。この変形例における楕円板15bは、本体4.1の弧状リボン8.1の先端により拡張部材5.1をスムーズに展開させるために、それらの長い寸法において切り落とされた端部を有する。この変形例の利点は、
図17に示すように、展開されたケージ1.1の上面と下面との間に、上部椎骨V1及び下部椎骨V2に接触する平行な2つの平面が形成されることである。第1実施形態の拡張部材5の弧状リボン構造12は、また、第2実施形態のこの変形例の拡張部材5.1と同様の目的を達成するために、円形ではなく長楕円形に配置されてもよい。
【0026】
この変形例のケージ1.1は、椎骨を分散させるために、面取り先端又は楔状先端が配置されたチューブを介して2つの椎骨V1、V2の間に導入されてもよい。このような送達システムにより、この変形例の本体4.1は、楔状前端部を必要とせず、
図18に示すように、本体4.1は、くさびがなく実質的に平坦な前端部2.1を有し、開口部が配置され、これにより、この変形例のケージ1.1の負荷面の長さを延長して、移植材料を前端部2.1に隣接する骨と融合することができるという利点を有する。
【0027】
第2実施形態の第2変形例のケージ1.2は、
図20~24に示され、本体4.2と、シャフト11.2に取り付けられたコンパクトな材料ブロックとして構成された拡張部材5.2と、を含む。この第2変形例では、本体4.2は、1つの扁平部2.2aを有する前端部2.2と、同じく扁平部3.2aを有するリング状の後端部3.2とが配置された、開口した管状構造6.2aを有する。管状構造6.2aは、弧状リボン8.2が第2実施形態の第1変形例における弧状リボンより短く、コネクタ17が全ての弧状リボン8.2の端部に向かう位置に全ての弧状リボン8.2を接続し、弧状リボン8.2を本体4.2の前端部2.2及び後端部3.2に接続するように延びる。弧状リボン8.2は、コネクタ17を少し超えて延びて断端18に相当し、これは、ケージ1.2を2つの椎骨V1、V2の間に展開した後にケージ1.2を固着することに役立つことができる。拡張部材5.2のコンパクトなブロックは、ケージ1.2の展開動作中に本体4.2と拡張部材5.2とが衝突することを回避するために、先行する変形例のクレバス16の残部であるスロット16.2を有する。
【0028】
図21に示すように、前端部2.2の扁平部2.2aとリング状の後端部3.2にある扁平部3.2aとは、コネクタ17と共に、大量の骨移植片が充填される開口部の周長の3つの側部を画定する。この3つの側部の周長は、拡張部材5.2のブロック部品の扁平面によって閉鎖される。
図22は、本体4.2の、拡張部材5.2の断面寸法より大きい直径がどのように前端部2.2の扁平部2.2a及び後端部3.2の扁平部3.2aによってオフセットされて、ケージアセンブリ1.2の所望の角度を限定するかを説明する。これらの扁平部2.2a及び扁平部3.2aの前端部2.2及び後端部3.2内での様々な可能な位置及び角度は、拡張部材5.2の断面寸法に対する本体4.2の直径寸法にかかわらず、ケージ1.2の所望の角度の増加又は減少を決定する。
【0029】
図23及び24は、ケージ1.2の拡張部材5.2を第1格納形態から第2展開形態に展開する方法を説明する。まず、ケージ1.2を格納形態で2つの椎骨の間に最終位置まで挿入し、このとき、椎骨V1、V2は、本体4.2に圧縮力「F2」を加える。
図23に示すように、拡張部材5.2が本体4.2から外側に回動すると、展開する拡張部材5.2は、力「F1」で、回動軸のシャフト11.2で示されるレバーに対する支点として機能する椎骨V1に押し付けられている。拡張部材5.2によって椎骨V1に加えられる圧力「F1」は、2つの椎骨V1、V2がケージ1.2の本体4.2に加える圧縮力「F2」を超えれば、この圧力「F1」は、
図24に示すように、シャフト11.2が本体4.2における溝10.2に加える力「F3」に変換され、本体4.2を、回動する拡張部材5.2の方向とは逆方向に回動させる。この方法によれば、器具を使用してケージ1.2の本体4.2を同時に回動させる必要がなく、拡張部材5.2の回動のみにより、ケージ1.2をこの実施形態の
図22と第1実施形態の
図7及び11に示す段階まで完全に展開させることができる。
【0030】
図25~29は、本発明の第2実施形態の第3変形例を示し、第1実施形態の場合並びに第2実施形態の第1変形例及び第2変形例の場合とは異なり、ケージ1.3の本体4.3は、断面寸法が拡張部材5.3の直径寸法より小さいように構成されるため、拡張部材5.3は、本体4.3に重ね合わせられ、本体4.3の周りに巻かれるか又は巻き付けられ、本体4.3は、ケージ1.3の展開中に拡張部材5.3から巻き出される。
【0031】
本体4.3には、楔状前端部2.3と、器具を受け入れるためのねじ孔を有する平坦な後端部3.3と、2つの長手方向部との4つのブロック部が配置される。本体4.3の4つの部分は、シャフト11.3に取り付けられ、追加の架橋材料は、各部分を次の部分に接続して本体4.3を固める。本体4.3の4つの部分は、3つのクレバス16.3によって隔てられる。
【0032】
拡張部材5.3は、開口した管状構造6.3bで製造され、該管状構造6.3bは、第2実施形態の第2変形例における本体4.2の管状構造6.2aに比べて、その表面の一部が平坦化され、椎骨V1、V2のうちの1つに当接する平面を画定する。管状構造6.3bは、管状構造6.3bの近位端部、遠位端部及びその中間部にある3つのリング19a、19b、19cに取り付けられ、これらのリングは、2つの椎骨V1、V2に当接する2つの平面を画定する、2つの反対する(opposite)扁平部を有する。3つのリング19a、19b、19cの扁平部は、本体4.3の4つのブロックの間に配置された架橋材料と衝突することを回避するように配置された湾曲部を有する。拡張部材5.3の3つの扁平なリング19a、19b、19cはそれぞれ、拡張部材5.3を本体4.3のシャフト11.3に回転可能に取り付ける1つのスリーブ20を有して構成される。隙間空間21は、本体4.3の4つの部分のそれぞれに配置されることにより、スリーブ20がシャフト11.3の回りに回動することができる。スリーブ20は、本体4.3と拡張部材5.3との接続を補強する。中央にある扁平なリング19bは、2つの椎骨との負荷分担に寄与する。
【0033】
図29は、管状構造6.3bの扁平面と3つのリング19a、19b、19cの扁平面がどのように椎骨V1、V2との接触面を増加させ、展開されたケージ1.3に対する角度を画定するかを示す。
【0034】
本発明の第3実施形態のケージアセンブリ1.4は、
図30~36に説明され、該ケージアセンブリ1.4は、経椎間孔的手術アプローチに使用されてもよく、1つの本体4.4、第1拡張部材5.4a及び第2拡張部材5.4bを含み、上記拡張部材5.4aと5.4bは、本体4.4に関して反対側に展開する。
図31に示すように、本体4.4は、平行に整列したフック22がコネクタ17.4によって、互いに結び付けられるとともに、本体4.4の前端部2.4及び後端部3.4に保持される構造として構成される。また、
図36に示すように、いくつかのフック22は、対向する2つの表面の一部に平坦化されて、本体4.4に2つの傾斜平面を提供する。後端部は、器具による係合に使用可能な開口部29を有する。
図32は、本体4.4の構造と類似する、コネクタ17.4によって結び付けられ、整列し部分的に平坦化されたフック22を有する第1拡張部材5.4aを説明する。
図30に示すように、第2拡張部材5.4bは、第1実施形態の拡張部材5の管状構造と類似する管状構造6.4bを有し、縁部23が配置され、該縁部は、1つの隣接する椎骨に当接するように構成され、
図36にも示すように、この椎骨へのケージ1.4の固着を支持する突出断端18を有する。2つの拡張部材5.4a、5.4bのそれぞれは、本体の中央軸の側方に位置する本体4.4の溝10.4a、10.4b、10.4b’内の回動軸として機能するシャフト部11.4a、11.4bを有して構成される。
【0035】
図33及び35は、巻付形態にあるケージ1.4を示し、第1拡張部材5.4aのフック22は、本体4.4のフック22の間に格納され、第2拡張部材5.4bは、本体4.4及び第1拡張部材5.4aの格納されたアセンブリ上に巻かれるか又は本体4.4及び第1拡張部材5.4aの格納されたアセンブリの周りに巻き付けられる。この形態において、ケージ1.4は、2つの椎骨V1、V2と直接的に係合したり、このような椎骨の間に挿入されたチューブを介して送達されたりして2つの椎骨V1、V2の間に挿入されてもよい。
図34及び36は、両方の拡張部材5.4a、5.4bが2つの傾斜面に2つの椎骨V1、V2を分離するように完全に拡張された、展開形態にあるケージ1.4を示す。第2拡張部材5.4bの開口した管状構造6.4bは、2つの椎骨V1、V2の間にケージ1.4に可撓性又は減衰性を提供することを目的とする場合に有益である。変形例では、管状構造6.4bは、また、その前端部及び後端部には、第2拡張部材5.4bの構造を補強し、隣接する椎骨に対する負荷分担特性を向上させるために、いくつかの先行する実施形態及び変形例の扁平なリング3.2a、19a、19b、19cと類似する扁平なリングが設けられてもよい。
【0036】
図37~41は、本発明の第4実施形態の、側方手術アプローチに使用可能なケージアセンブリ1.5を説明し、該ケージアセンブリは、平行に整列したリング24を有して構造化された本体4.5と、整列したリング25で構成された管状構造6.5bとして構成された拡張部材5.5とを含み、該リング25は、部分的にメッシュ構造26によって一体に接続される。
図37、39、41及び43に最もよく示すように、本体4.5のリング24は、一方の端部が1つの枝(branch)によってシャフト11.5に取り付けられ、リング24の他方の端部がシャフト11.5に取り付けられた2つの枝に分かれる。リング24のこれらの分かれる枝は、それらが当接する椎骨V1、V2に対する負荷分担表面を増加させ、それらの幅がより小さいため、リング24に減衰性をも提供し、したがって、本体4.5全体に減衰性を提供する。同様に、拡張部材5.5のリング25の間に配置されたメッシュ構造26は、リング25の安定化を支持するが、比較的可撓性を維持して、拡張部材5.5の減衰機能に寄与する。変形例では、メッシュ構造26は、本体4.5のリング24の間に配置されてもよく、本体4.5のリング24の間と拡張部材5.5のリング25の間に配置された任意の材料のシートによって置換されてもよい。
【0037】
本体4.5の減衰機能を更に向上させるために、
図43及び44に最もよく説明されるように、リング24の単一の枝部は、互いに分離する2つのストランド27に分割されるため、湾曲継手28が形成される。同様に、
図38、39及び42に示すように、拡張部材5.5のリング25も、分離するストランド27及び継手(joint)28で構成される。
図44に示すように、圧縮力「F2」がケージ1.4に加えられる場合、椎骨V1、V2に当接するリング24、25のそれらのストランド17は、リング24、25の対向するストランド27とともに継手28の隙間を閉鎖する。継手28の閉鎖のための安定軌道を維持し、それぞれのストランドの飛び出しを回避するために、本発明に説明された継手28は、雌三角形に適合する、リング24、25の1つのストランド27に配置されるか又は完全にリング24、25の別のストランド27内に配置された雄三角形の断面を有する。変形例では、この断面を、雄/雌円形若しくは楕円形、又は円錐状凹部に圧入する円錐状構造、及び技術的に適切な任意の形状などの様々な形状にすることができる。
【0038】
図43及び44に示すように、本体4.5の円錐状前端部2.5には、1つのストランド27に分割されて、リング24、25のために説明されたものと同じ機構に応じて継手28を生成するベースが配置されるため、特に本体4.5の継手28がなければ剛性が高い前端部2.5に、ひいては本体4.5の全長に亘って、減衰性が提供される。
【0039】
図45は、1つの単一のリング25が2組のストランド27で構成されて2つの湾曲継手28が形成されることにより、リング25の減衰性が向上する、第4実施形態の変形例を説明する。別の変形例では、継手は、直線形、楕円形、円形、三角形、ギザギザ形などの様々な形状を有してもよい。
【0040】
図46及び47は、どのように本発明のストランド27a、27b及び継手28を標準的な椎体間ケージに適用するかを説明する。
図46は、長手方向軸に垂直な標準的な椎体間ケージの上面に配置された2つのストランド27aと、ケージ(
図46に示されない)の下面に同じ軸に配置された2つの追加のストランド27bとを説明し、
図47は、本発明の2つの継手28を説明する、2つの反対するストランド27a、27bの「C-S」位置におけるケージの断面を示す。複数のストランド27a、27bは、交互に、1つのストランド27a、27bの開口部を1つの方向に向け、次に、次のストランド27a、27bの開口部を反対する方向に向けるように、湾曲継手28を有する椎体間ケージの表面に配置されてもよく、これは、椎骨V1、V2の圧縮力「F2」に対抗するストランド27a、27bの平衡面を提供する。変形例では、ストランド27a、27bは、椎体間ケージの表面にある異なる軸、例えば、その長手方向軸、又は斜めに、又は複数の異なる軸の組み合わせに位置してもよい。
【0041】
図48及び49は、ケージ1.6が、両方が薄く広いリボンのような整列したリング30a、30bで構造化された本体4.6及び第1拡張部材5.6aと、
図38、40及び42に示される変形例におけるものと同じメッシュのシート26を有して構成され、
図30に示される第3実施形態の拡張部材5.4の構造のように構成された第2拡張部材5.6bと、を含む、第4実施形態の変形例を説明する。
図48に示すように、メッシュのシート16は、軸11.4bに取り付けられる第2拡張部材5.6bの前端部及び後端部の2つの弧状構造25a、25bを接続する。第2拡張部材5.6bの前端部と後端部との間の表面は、また、メッシュのシートによって互いに接続された弧状構造8.6によって支持されてもよい。
【0042】
図48及び49によれば、本体4.6に取り付けられたリボンリング30a及び第1拡張部材5.6aに取り付けられたリボンリング30bの、拡張部材の展開後に椎骨に当接する表面31には、孔が開けられる。開けられた孔の数及び寸法と、これらの孔が開けられた表面31にあるリボンリング30a、30bの厚さ、幅及び長さとは、第2拡張部材5.6bのメッシュ構造26のような可撓性が非常に高い構造からほぼ剛性の弧状リボン8.6の構造までの間で、これらの表面31の可撓性の度合いを規定する。リボンリング30a、30bは、ケージ1.6が展開される場合に椎骨V1、V2の平面に垂直であるそれらの対向する側に補強構造14.6を有し、これらの補強構造は、椎骨V1及びV2の圧縮力「F2」に対する、向上した抵抗を本体4.6及び第1拡張部材5.6aに提供する。第1拡張部材5.6bのリボンリング30bは、第1拡張部材5.6aの可撓性及びケージ1.6全体の減衰性を調節することもできる内向き弧状面を有する。更に、このような内向き縁部により、このような拡張部材5.6aの側方占有空間を減少させる。要するに、第4実施形態のこの変形例のケージ1.6は、先行する変形例のケージ1.5のように、継手28を画定するストランド27を有する分割リング24、25が1つも構成されていないが、それにもかかわらず、可撓性表面に対向して、椎体終板V1、V2の不規則な解剖学的構造に適合する。
【0043】
図50~52は、本発明の第5実施形態の、平行六面体形状を画定する平行に整列したリング24.7で構成された本体4.7を含むケージ1.7を示す。前端部32及び後端部33を有する拡張部材5.7は、第2平行六面体形状を画定する平行に整列したフック22.7で構成される。平行六面体状の本体4.7及び平行六面体状の拡張部材5.7のそれぞれは、実質的に平行な平面に位置する2つの大きい寸法の表面35と、同じく実質的に平行な平面に位置する2つの小さい寸法の表面34(「先端」とも呼ばれる)とを画定する。本体4.7のリング24.7の小さい寸法の表面34のうちの1つは、本体4.7の楔状前端部2.7及び平坦な後端部3.7を接続するレイヤー36で被覆され、固着手段37は、このレイヤー36に配置される。
図51に示すように、本体4.7の1つの大きい寸法の表面35の狭い部分も、小さい寸法の表面34にある被覆レイヤー36に向かって、狭い材料レイヤー38で被覆される。拡張部材5.7は、拡張部材5.7の中央長手方向軸よりも外側であって、拡張部材5.7の1つの大きい寸法の表面35の外周に近いシャフト11.7に取り付けられる。シャフト11.7は、本体4.7に配置された2つの溝10.7a、10.7b内に受け入れられ、上記本体4.7の中央長手方向軸よりも外側であって、本体4.7の大きい寸法の表面の1つの外周に近い。
【0044】
図50及び51に示すように、ケージ1.7の格納形態において、拡張部材5.7の平行フック22.7は、本体4.7に配置された被覆レイヤー36、38内に部分的に巻き付けられ、本体4.7の平行リング24.7の間に格納されて1つの単一の平行六面体状のケージ1.7になる。
図50において、ケージは、大きい寸法の表面35が上下に向かうように位置決めされ、これは、ケージ1.7を2つの隣接する椎骨に挿入するための好ましい位置であるが、
図51において、ケージは、90°回転した後に、その小さい寸法の表面34が現在上下に向かうように位置決めされる。小さい寸法の表面34のうちの1つは被覆面36である。
図52は、拡張部材5.7が本体4.7から外向きに展開された後のケージ1.7を説明する。
【0045】
ケージ1.7の展開は、
図55~59に説明される。
図55に示すように、まず、ケージ1.7を巻付又は格納形態で2つの椎骨V1、V2の間に導入し、本体4.7及び拡張部材5.7の大きい寸法の表面35が上記椎骨と係合して、椎骨V1、V2の分離空間が小さい寸法の表面34の幅と実質的に等しい。
図56は、本体4.7及び拡張部材5.7のそれぞれの先端34が解体され、拡張部材5.7が本体4.7の逆方向回動に対して回動し始めることを説明する。大きい寸法の表面35のうちの1つに解体する2つの個別の先端34の動作は、回動軸11.7の反対側に、他の大きい寸法の表面35に解体する先端34の対応する動作を必然的に伴う。椎骨V1、V2は、4つの先端34によって係合し、4つの解体する先端34によって椎骨V1、V2に加えられる圧力は、上記2つの椎骨の間の空間を広げる。
図57及び58は、
図59に示すように、2つの小さい寸法の表面又は本体4.7及び拡張部材5.7のそれぞれの先端34が2つの対向する椎骨V1、V2に完全に当接し、椎骨の分離空間が大きい寸法の表面35の幅まで顕著に増加するまでの本体4.7の先端34及び拡張部材5.7の先端34の2対の先端の解体の進行を説明する。本体4.7及び拡張部材5.7のそれぞれは、既に約90°回動している。展開されたケージ1.7の幅も、横方向にほぼ2倍に拡大している。
【0046】
図53及び54は、ケージ1.7の本体4.7が平行リング24.7で構成されるが、被覆レイヤーを有さない第5実施形態の変形例を説明する。
図50~52における好ましい第5実施形態に比べて、この変形例のケージ1.7の2対の小さい寸法の表面34は、互いに傾斜し、これは、後方、後側方及び経椎間孔的手術アプローチに適合する。
【0047】
図60及び61は、本発明の第6実施形態を示し、ケージ1.8は、本体4.8を有し、該本体4.8は、本体4.8の前端部及び後端部にある2つのプレート39に固定された2つのシャフト11.8a、11.8bからなる。本体4.8のシャフト11.8a、11.8bは、2つの拡張部材5.8a、5.8bに非対称的に配置された2つの個別の溝10.8a、10.8b内に受け入れられる。拡張部材5.8a、5.9bは、平行リング25.8a、25.8bで構成され、このような平行リングは、
図60に示すように、ケージ1.8の格納形態で互いの間に格納するように構成される。
図61は、2つの拡張部材5.8a、5.8bの展開形態と、シャフト11.8aの軸回りに約110°~120°回動した本体4.8の展開形態にあるケージ1.8を説明する。
【0048】
第6実施形態のケージ1.8の展開方法は、
図62~66に説明される。
図62に示すように、ケージ1.8を、その格納形態で2つの椎骨V1、V2の間に導入する。本方法の変形例では、ケージ1.8は、格納形態の任意の異なる姿勢で導入されてもよい。
図63~65は、拡張部材5.8a、5.8bの展開を説明し、拡張部材5.8a、5.8bは、シャフト11.8a、11.8bの軸回りに回転しながら、このようなシャフトを接続する本体4.8のプレート39も回動し、これらの動作は、展開中に上部椎骨V1と下部椎骨V2とを分散させる。複数の関節を有するこの多重関節により、ケージ1.8の3つの部品の非対称的な展開を可能にすることができる。
図63及び64は、拡張部材5.8aのリング25.8aを回動させて椎骨V1、V2の拡張を支持することを説明するが、この方法の異なる変形例では、第2拡張部材5.8b及び本体4.8のみが展開している間、拡張部材5.8aは、静止したままであってもよい。
図63~65に説明された展開順序は、本発明を実現するための一例に過ぎず、第6実施形態のケージ1.8の3つの部品4.8、5.8a、5.8bの展開順序は様々である。
図66は、側方拡張係数が2を超える展開形態にあるケージ1.8を示す。
【0049】
本発明の全ての実施形態は、拡張部材5の展開形態において、椎骨V1、V2の圧縮力「F2」によって自動的にロックするように構成される。拡張部材5を展開姿勢にロックするいずれの追加の適切な技術手段が本発明に適用されてもよい。図面は、シャフト11又は溝10が本体4又は拡張部材5の表面の外周内に配置される拡張部材5を説明する。本発明の異なる変形例では、溝10又はシャフト11は、本体4又は拡張部材5の表面の外周を超えて本体4又は拡張部材5に配置されてもよい。
【0050】
各実施形態及びその任意の変形例の各特徴は、いずれの他の実施形態又はその任意の変形例に適用できることは言うまでもない。任意の実施形態の変形例では、シャフト11及び溝10は、拡張部材5又は本体4の斜めに配置されたシャフト11に取り付けられた弧状リボン8、12、板15a、15b、15c、ブロック5.2、フック22及びリング24、25の異なる展開寸法を導入するように、ケージ1の長手方向軸に比べて傾斜してもよい。第1実施形態~第6実施形態のケージ1の本体4と拡張部材5は、異なる材料で製造されてもよい。
【0051】
本発明の実施形態は、椎体間インプラント、椎体置換インプラント、棘間インプラント、及び人工椎間板のいずれかの、椎骨を分離及び/又は融合する任意のインプラントに適用されてもよい。本発明は、他の骨、例えば、腰、骨盤、任意の長骨及び関節の整復及び/又は癒合に適用されてもよい。
【0052】
本発明の実施形態は、ヒトの脊柱及び動物の脊柱に適用されてもよい。
【国際調査報告】