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特表2024-516458ハイブリッド付加製造布帛を製造する方法、布帛、及び布帛を製造するためのツール
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  • 特表-ハイブリッド付加製造布帛を製造する方法、布帛、及び布帛を製造するためのツール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ハイブリッド付加製造布帛を製造する方法、布帛、及び布帛を製造するためのツール
(51)【国際特許分類】
   D04H 13/00 20060101AFI20240408BHJP
   D04H 3/02 20060101ALI20240408BHJP
   D04H 1/70 20120101ALI20240408BHJP
   D04H 1/74 20060101ALI20240408BHJP
   D04H 3/04 20120101ALI20240408BHJP
   D04H 3/045 20120101ALI20240408BHJP
【FI】
D04H13/00
D04H3/02
D04H1/70
D04H1/74
D04H3/04
D04H3/045
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568439
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 GB2022051098
(87)【国際公開番号】W WO2022234256
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2106303.7
(32)【優先日】2021-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523416601
【氏名又は名称】ゼフィリニア エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ,ソニア ミシェル
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AB02
4L047AB03
4L047AB04
4L047BA08
4L047BA09
4L047BD02
4L047BD03
4L047EA01
(57)【要約】
本発明は、布帛を製造する方法、及びその方法によって作製される布帛に関する。糸又はフィラメントから作製される布帛は、現在、糸の侵入を含む編成プロセス、又は糸のインターレースを含む製織プロセス、又は糸の表面への繊維の絡み合いのいずれかによって製造される。これらの構成法は、決定的な外観、質感、及び機能性を有する。発明は、特に糸、フィラメント、スレッド、及び極細ワイヤなどに対する代替的布帛構成を提供することを目的とする。平行平面をなす紡績糸、ワイヤ、スレッドなどの糸を置き、次に、第2の層をなす、3Dプリンタ又は3Dプリンタペンから分配されるフィラメントの平行アレイを90度の角度で置くことによって、布帛を製造する方法。糸及びフィラメントは、様々なデザインで積層することができ、糸の平行アレイに限定されず、無制限のデザインの形状及び構造に順応することができる。この方法を繰り返すことで、複数の層を重ねて構築された布帛表面を作成することできる。1つの層の糸などと1つの層の3D印刷フィラメントを交互に配置すること。各層は、半導体などのコンポーネントを埋め込むための空間を提供する。電子デバイスの不可欠なコンポーネントである半導体は、通信、コンピューティング、ヘルスケア、軍事システム、輸送、クリーンエネルギー、及び無数の他のアプリケーションの進歩を可能にする。加えて、活性化合物の制御された時空間的放出を可能にする薬物送達骨格も、紡績糸及び3Dフィラメントの層内に収容することができる。紡績糸又はフィラメントを、導電性糸又はE糸とともに埋め込んで、機能性を更に強化することができる。紡績糸の表面をブラッシングして表面繊維を立たせて、絡み合いを増加させ、紡績糸と、3Dプリンタ又は3Dペンを介して分配される流体フィラメントとの融合を強化し得る。3D印刷と紡績糸などとの組み合わせにより、付加製造されたハイブリッド織物が提供される。したがって、本発明は、糸が絡み合った布帛表面の製織、編成、又は平行積層された繊維に比べて、多くの利点を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛を製造する方法であって、
a)第1の長さの紡績糸などを平行アレイ又は所望の形状に配置することと、
b)前記アレイ又は所望の形状の糸の上に3Dフィラメントを置いて、糸の表面繊維を絡ませることと、c)前記糸上の湿潤繊維と前記3Dプリンタフィラメントとを乾燥させることと、を含む、方法。
【請求項2】
第1の層の糸の上に、第2の層の3Dプリンタフィラメントを、平行アレイ又は所望のデザインで配置することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記糸をブラッシングすることによって前記アレイ内の各長さの糸の表面上の繊維を解放して、3Dフィラメントへの接続性を強化することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記糸の前記ブラッシングは、ブラシ、又は前記糸の表面から繊維を立たせるためのフックを有する平坦ブロックを用いて行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記糸を3Dフィラメント最上層で湿潤させて、前記表面繊維を前記フィラメントと絡ませる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記表面繊維の前記接続は、繊維とフィラメントとの絡み合いを形成して、布帛の柔軟な布帛表面を形成するのに十分である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって作製された布帛。
【請求項8】
前記布帛を製造するための装置であって、
a)紡績糸などを第1の平行アレイ又は所望の形状に配置するための、糸フィード及び糸ホルダを有するペンの形態の第1の供給ステーションと、
b)第1の層の繊維又はフィラメントを所定の位置に把持するためのペグ又はフックをベース上に有する平坦な表面と、
c)第1層の糸などを保持するための平坦な表面、好ましくはベルクロ(登録商標)フックと、
d)3Dプリンタ又は3Dプリンタペンのいずれかを介して3Dプリンタフィラメントを放出して、前記アレイ内の糸の表面繊維と前記3Dフィラメントとを絡ませるためのフィードと、を備える、装置。
【請求項9】
紡績糸上にフィラメントを配置するために、3Dペン及び追加フィードが設けられている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記アレイ内の糸の表面上の繊維を解放して、糸上の繊維を3Dプリンタフィラメントと絡ませて融合させるために、ブラッシングが提供される、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1に記載の方法は、3Dペンの代わりに、大型3Dプリンタの使用によって更に進化させることができる。
【請求項12】
請求項1に記載の方法は、糸ペンツールの代わりに、紡績糸を配置するための電動機械の使用によって更に進化させることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、布帛を製造する方法、及びその方法によって作製される布帛に関する。糸から作製される布帛は、現在、糸のインターループを含む編成プロセス、又は糸の上及び下での交差を含む製織プロセス、又は糸上での繊維の絡み合いのいずれかによって製造される。これらの構成法は、決定的な外観及び質感を有する。したがって、機能性の最終的な外観には制限がある。発明は、特に紡績糸、フィラメント、スレッド、及び極細ワイヤに対する代替的布帛構成を付加製造法によって提供することを目的とする。新規プロセスは、3D印刷と、糸など、例えばワイヤ又はスレッドとを組み合わせて、ハイブリッド布帛表面とみなすことができるものを作成する。
【0002】
本発明によれば、布帛を製造する方法であって、a)第1の長さの紡績糸、スレッド、又はワイヤを平行アレイ又は所望の形状に配置することと、b)第2の層の3Dフィラメントをアレイ又は所望の形状に配置して、アレイ内の糸の表面の繊維と絡ませたり、又はスレッド若しくはワイヤ及び3Dプリンタフィラメントに付着させることと、含む、方法が提供される。
【0003】
方法は、第2の、第3の、及び複数の層の紡績糸、スレッド、又はワイヤ及び3Dペンフィラメントを配置して、多層織布を作成することを更に含み得る。
【0004】
好ましくは、紡績糸が使用される場合、方法は、糸をブラッシングして糸から繊維を立たせるとによって、糸の表面上の繊維を解放することを更に含む。
【0005】
好ましくは、糸のブラッシングは、回転ブラシ、又はベルクロ(登録商標)フックなどの平坦なフック付き表面を有する板材を用いて行われる。
【0006】
好ましくは、糸の表面繊維と3Dフィラメントとを接続する方法は、熱によって液化する加熱3Dフィラメントで糸を湿潤させることによる。
【0007】
好ましくは、糸表面の繊維と融合している湿潤3Dフィラメントは、乾燥すると布帛構造を形成するのに十分な絡み合いを提供する。
【0008】
発明の更なる態様によれば、布帛を製造する方法であって、a)第1の長さの紡績糸、スレッド、又はワイヤを平行アレイ又は所望の形状に配置することと、b)アレイ内の糸を3Dプリンタフィラメントで湿潤させて、アレイ内の糸の表面繊維を融合させ絡ませることと、c)3Dフィラメントと、を含む、方法が提供される。
【0009】
発明の更なる態様によれば、上記布帛を製造するための装置であって、a)紡績糸を第1の平行アレイ又は所望の形状に配置するための、糸ホルダを有するペン形供給ツール、b)3Dフィラメントの層及び糸、スレッドワイヤ、又は第2のフィラメントの表面の上にコンポーネントを適用するための、3Dプリンタペンに取り付けられたディスペンサフィード、を備える、装置が提供される。
【0010】
発明の実施形態を、添付図面を参照してここに説明する。
【0011】
図1〕参照番号1は、糸ホルダを有する糸供給ペンを示す。
【0012】
図1〕参照番号2は、フィラメントを置くために使用される既存の3D印刷ペンを示す。
【0013】
図1〕参照番号3は、3Dフィラメント上にコンポーネントを置くための取り付け可能ディスペンサフィードを示す。
【0014】
図1を参照すると、布帛を製造するためのツールが示されている。
【0015】
図1に示されたように、紡績糸を有する第1の供給ツール1が提供されて、紡績糸を第1の平行アレイを配置する。これは、単糸が並置されたもの、又は、2層若しくはそれ以上の層をなす、例えば異なる質感、色、技術的機能性の単糸が並置されたものであり得る。加えて、糸は、並置に限定されず、様々な形状で積層することができる。加えて、糸は、ワイヤ、スレッド、又は特注フィラメントで置き換えられることもできる。3Dペンを介して、フィラメント層2が紡績糸などの上に置かれる。フィラメントは、加熱され、乾燥すると糸表面と絡まり融合して、布帛を作成する。コンポーネント3をフィラメントに容易に追加して、布帛の機能性を更に向上させることができる。
【0016】
発明の布帛は多くの利点を有する。半導体などのスマートコンポーネントを糸に追加することができる。アレイ又は好ましい形状に組み立てられる前のワイヤ、フィラメント、又はスレッドは、布帛に無限の機能性と創造的可能性とを与える。絡ませた繊維及び3Dフィラメントの内に保持される空気は、高率の空気から形成される構成をもたらし、例えば、布帛は、40%が空気であるように構成することができる。この開放構造は、透けて見える布帛表面を提供し、軽量な布帛を提供する。繊維間の空間の程度を制御することで、布帛の通気性及び断熱性を容易に制御することが可能である。製造プロセスは、付加製造式であり、したがって層ごとに、スマート材料、エコで持続可能な構造、並びに糸、フィラメント、及びワイヤの繊維層と3D印刷フィラメントとの間に積層されるコンポーネントを提供する。回路基板や薬物送達骨格などの大型コンポーネントが層間に容易に埋め込まれるための空間を提供する、糸又はフィラメントのインターロック又は交差は存在せず、このことは、編成又は製織プロセスを使用する場合には不可能である。製造プロセスは、編成又は製織プロセスを使用する布帛におけるよりもはるかに迅速である。プロセスは、使い易く、大小の布帛表面を製造するために大規模又は複雑な機械を必要としない。プロセスは、織布を短時間で作成し、研究室、小スタジオ、又は個人宅などの小さな環境で使用することができる。追跡又はモニタリングのための半導体が埋め込まれる場合のプロセスには、接着性の創傷用包帯及び外傷用包帯が容易に組み込まれて、機能性を強化することができる。上記の新規発明は、従来の方法と比較して、織物を単純にかつコスト効率良く作成する方法を提供する。加えて、大型機械の必要性を排除することで無駄を削減しながら、迅速な試作品製作のために、非常に小さな面積を製造することができる。
【0017】
発明は、上記に具体的に説明されたものとは異なる形態をとり得る。
【0018】
本発明の範囲から逸脱することなく、更なる改変が当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】布帛を製造するためのツールが示されている。
図1
【国際調査報告】