(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法
(51)【国際特許分類】
B23K 1/00 20060101AFI20240409BHJP
B23K 1/19 20060101ALI20240409BHJP
B23K 9/23 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B23K1/00 330G
B23K1/19 J
B23K9/23 B
B23K9/23 E
B23K1/19 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581680
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2022135080
(87)【国際公開番号】W WO2023185040
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】202210331193.3
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520468807
【氏名又は名称】西安航天発動机有限公司
【氏名又は名称原語表記】Xi’an Space Engine Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.69, 2nd Shenzhou Rd., Aerospace Industrial Base, Yanta District, Xi’an,Shaanxi,710100,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王 英杰
(72)【発明者】
【氏名】李 双吉
(72)【発明者】
【氏名】張 勤練
(72)【発明者】
【氏名】朱 笑睿
(72)【発明者】
【氏名】王 未有
(72)【発明者】
【氏名】宋 碩
【テーマコード(参考)】
4E001
【Fターム(参考)】
4E001AA03
4E001BB06
4E001CA03
4E001CB02
4E001CC02
4E001DD02
(57)【要約】
本発明は、内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法を開示する。この方法は、カーバーを加工するステップと、ワークの内壁の小端と外壁の小端とを溶接し、ワークの内壁の大端と外壁の大端を溶接し、第1外リングをワークの大端の外壁の外面に取り付け、第2外リングをワークの小端の外面に取り付け、第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメントをワークの内壁の内面に取り付け、第1蓋板を第1筒セグメントに取り付け、第1蓋板と第1筒セグメントをタック溶接するステップと、第4筒セグメントをワークの小端の内面と第3筒セグメントとの間に取り付け、第2蓋板を第3筒セグメントに取り付け、第2蓋板と第3筒セグメントをタック溶接するステップと、第1外リングと第1蓋板をタック溶接し、第2外リングと第2蓋板をタック溶接し、カーバーが付いたワークをロウ付けし、ロウ付けが完成した後、カーバーを取り外すステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法であって、
第1筒セグメント(3)、第2筒セグメント(4)、第3筒セグメント(5)、第4筒セグメント(6)、第1蓋板(7)、第2蓋板(8)、第1外リング(9)及び第2外リング(10)を含むカーバーを加工するステップと、
ワークの内壁の小端と外壁の小端を溶接し、ワークの内壁の大端と外壁の大端を溶接し、第1外リング(9)をワークの大端の外壁の外面に取り付け、第2外リング(10)をワークの小端の外壁の外面に取り付け、第1筒セグメント(3)、第2筒セグメント(4)及び第3筒セグメント(5)をワークの内壁の内面に取り付け、第1蓋板(7)を第1筒セグメント(3)上に取り付け、第1蓋板(7)の内端と第1筒セグメント(3)をタック溶接するステップと、
第4筒セグメント(6)をワークの小端内面と第3筒セグメント(5)との間に取り付け、第2蓋板(8)を第3筒セグメント(5)に取り付け、第2蓋板(8)の内端と第3筒セグメント(5)をタック溶接するステップと、
第1外リング(9)の大端と第1蓋板(7)をタック溶接し、第2外リング(10)の大端と第2蓋板(8)をタック溶接するステップと、
第1筒セグメント(3)と第1蓋板(7)の内端を溶接し、第1蓋板(7)と第1外リング(9)の大端を溶接し、第1外リング(9)の小端とワークの外壁(1)の大端を溶接し、第3筒セグメント(5)と第2蓋板(8)の内端を溶接し、第2蓋板(8)と第2外リング(10)の大端を溶接し、第2外リング(10)の小端とワークの外壁(1)の小端を溶接し、カーバーが付いたワークをロウ付けし、ロウ付けが完成した後、カーバーを取り外すステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1筒セグメント(3)と、前記第2筒セグメント(4)と、前記第3筒セグメント(5)とを順次、一体に溶接し、一体に溶接された第1筒セグメント(3)、第2筒セグメント(4)及び第3筒セグメント(5)の外面にクロムを電気メッキし、第4筒セグメント(6)の外面にクロムを電気メッキし、ワークの内壁(2)の外面に銀を電気メッキし、ワークの外壁(1)の内面に銅を電気メッキすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークの内壁と外壁を一体に取り付け、ワーク内壁の小端をバルジ成形し、ワーク内壁の大端をフランジングし、ワークの内壁の小端及び外壁の小端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接し、ワークの内壁の大端及び外壁の大端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1筒セグメントの厚さ、前記第2筒セグメントの厚さ及び前記第3筒セグメントの厚さは、いずれも1mm~1.5mmであり、前記第1筒セグメントの材料、前記第2筒セグメントの材料及び前記第3筒セグメントの材料は、いずれも1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、
前記第1筒セグメント(3)の外面の成形面は、ワーク内壁の取付位置に対応する内面の成形面に適合し、前記第2筒セグメントの外面の成形面は、ワーク内壁の取付位置に対応する内面の成形面に適合し、前記第3筒セグメントは、外面直径がワークの喉部直径に適合する円筒状構造であり、
前記第4筒セグメント(6)の材料は、1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、前記第4筒セグメントの内面の成形面は、前記第3筒セグメントの外面の成形面に適合し、前記第4筒セグメントの外面の成形面は、ワークの内壁の内面の成形面に適合し、第4筒セグメントは、4つに均等に切断され、
前記第1蓋板(7)の材料、前記第2蓋板(8)の材料、前記第1外リング(9)の材料及び前記第2外リング(10)の材料は、いずれも1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、前記第1蓋板(7)の厚さ、前記第2蓋板(8)の厚さ、前記第1外リング(9)の厚さ及び前記第2外リング(10)の厚さは、いずれも2mm~3mmであり、
前記ワークの内壁(2)は環状構造であり、前記ワークの材料はクロムブロンズであり、前記ワークは小孔及び喉部を含み、小孔の直径は0.5mm~0.8mmであり、喉部の直径は30mm~50mmであり、前記ワークの大端の直径は90mm~110mmであり、前記ワークの小端の直径は40mm~50mmであり、前記ワークの長さは200mm~240mmであり、前記ワークの外壁は環状構造であり、前記ワークの外壁の材料は高強度ステンレス鋼であり、前記ワークの外壁の内面は、前記ワークの内壁外面の成形面に一致することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
一体に溶接された第1筒セグメント(3)、第2筒セグメント(4)及び第3筒セグメント(5)の外面に電気メッキされたクロムの厚さは10μm~20μmであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
第1筒セグメント(3)、第2筒セグメント(4)及び第3筒セグメント(5)全体の外面と、ワークの内壁の内面との間の隙間は0.2mm以下であり、
前記第4筒セグメントと、前記ワークの小端の内面との間の隙間は0.2mm以下であり、第4筒セグメントと、第3筒セグメントとの間の隙間は0.2mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
カーバーが付いたワークをロウ付けする具体的なステップは、
ワークの外壁(1)とワークの内壁(2)との間の空間がチャンバーを形成し、ワークの外壁(1)上におけるチャンバーに連通する管口に第1真空引き管(11)を溶接し、第1外リング(9)又は第2外リング(10)上の任意の1つの位置に貫通孔を開け、貫通孔部位に第2真空引き管(12)を溶接するステップと、
カーバーが付いたワークとロウ付け炉の軸とをアルゴンアーク溶接により接続し、第1真空引き管(11)及び第2真空引き管(12)をロウ付け炉上の抽真空に溶接するステップと、
カーバーが付いたワークの外壁と内壁との間のチャンバーを真空引きし、ロウ付け炉の燃焼室にアルゴンガスを充填し、カーバーが付いたワークを加熱し、ロウ付け温度下で所定時間保温し、保温終了後に、ロウ付け炉の電源をオフにし、カーバーが付いたワークをロウ付け炉に伴って室温まで冷却させることにより、カーバーが付いたワークの外壁の内面は内壁の外面に溶接されるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
カーバーを取り外す際に、第1蓋板(7)に孔を開け、孔開け部位に加圧管口を溶接し、カーバーとワークの内面との間の隙間に水を入れて加圧することでカーバーを膨張して変形させ、液圧圧力は3MPa~6MPaであり、カーバーが膨張した部位に孔を開けて加圧管口を溶接し、再度水を入れて加圧することによりカーバーとワークとを分離することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ロウ付け温度は950℃-980℃であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記所定時間は20-30minであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅-鋼ロウ付けワークロウ付けの技術分野に属し、特に内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク内壁は銅合金で作製され、小孔があるため、そのまま溶接によりチャンバーをシールすることができない。ロウ付け過程において製品チャンバーを真空引きする必要がある。そのため、ワークの内壁と外壁をプレスした後のシールをいかに実現するかが鍵となっている。従来では、このような構造の銅-銅ロウ付けワークに対して、一般に2種類のロウ付けを採用した。一つは、設計により構造を変更する方式であり、構造自体に小孔などの開口部位をなくし、このような方法は、製品構造に対する変更が大きく、設計性能に影響を与える。もう一つは、チャンバーを真空引きしないロウ付けである。このようなロウ付け方式の欠点は、ロウ付け溶接部の強度が低く、製品使用中の圧力を耐えることができず、製品の品質は信頼できず、要求を満たすことができない。このような内壁に小直径喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークに対して、従来のカーバーは、以下の方式を採用した。喉部の両側にそれぞれカーバーを加工し、それぞれ喉部両側のカーバーをワーク内面に取り付け、喉部位置に手動アルゴンアーク溶接により喉部両側のカーバーを溶接する必要があり、小直径喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークに対しては、構造の制限によりアルゴンアーク溶接ガンは溶接される部位に到達できず、シール溶接することができない。よって、従来のカーバー方式は、小直径喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークに適用できない。
【発明の概要】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来技術を克服するために、内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法を提供することにより、従来のカーバーはワーク喉部の小さい直径のため、シール溶接できず、ロウ付け前のシールを実現できないという欠点を解決することである。
【0004】
本発明の目的は、以下の技術的手段により達成される。
【0005】
内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法であって、
第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメント、第4筒セグメント、第1蓋板、第2蓋板、第1外リング及び第2外リングを含むカーバーを加工するステップと、ワークの内壁の小端と外壁の小端を溶接し、ワークの内壁の大端と外壁の大端を溶接し、第1外リングをワークの大端の外壁の外面に取り付け、第2外リングをワークの小端の外壁の外面に取り付け、第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメントをワークの内壁の内面に取り付け、第1蓋板を第1筒セグメント上に取り付け、第1蓋板の内端と第1筒セグメントをタック溶接するステップと、第4筒セグメントをワークの小端内面と第3筒セグメントとの間に取り付け、第2蓋板を第3筒セグメントに取り付け、第2蓋板の内端と第3筒セグメントをタック溶接するステップと、第1外リングの大端と第1蓋板をタック溶接し、第2外リングの大端と第2蓋板をタック溶接するステップと、第1筒セグメントと第1蓋板の内端を溶接し、第1蓋板と第1外リングの大端を溶接し、第1外リングの小端とワークの外壁の大端を溶接し、第3筒セグメントと第2蓋板の内端を溶接し、第2蓋板と第2外リングの大端を溶接し、第2外リングの小端とワークの外壁の小端を溶接し、カーバーが付いたワークをロウ付けし、ロウ付けが完成した後、カーバーを取り外すステップと、を含む方法。
【0006】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、前記第1筒セグメントと、前記第2筒セグメントと、前記第3筒セグメントとを順次、一体に溶接し、一体に溶接された第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、第4筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、ワークの内壁の外面に銀を電気メッキし、ワークの外壁の内面に銅を電気メッキする。
【0007】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、前記ワークの内壁と外壁を一体に取り付け、ワーク内壁の小端をバルジ成形し、ワーク内壁の大端をフランジングし、ワークの内壁の小端及び外壁の小端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接し、ワークの内壁の大端及び外壁の大端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接する。
【0008】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、前記第1筒セグメントの厚さ、前記第2筒セグメントの厚さ及び前記第3筒セグメントの厚さは、いずれも1mm~1.5mmであり、前記第1筒セグメントの材料、前記第2筒セグメントの材料及び前記第3筒セグメントの材料は、いずれも1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、前記第1筒セグメントの外面の成形面は、ワーク内壁の取付位置に対応する内面の成形面に適合し、前記第2筒セグメントの外面の成形面は、ワーク内壁の取付位置に対応する内面の成形面に適合し、前記第3筒セグメントは、外面直径がワークの喉部直径に適合する円筒状構造であり、前記第4筒セグメントの材料は、1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、前記第4筒セグメントの内面の成形面は、前記第3筒セグメントの外面の成形面に適合し、前記第4筒セグメントの外面の成形面は、ワークの内壁の内面の成形面に適合し、第4筒セグメントは、4つに均等に切断され、前記第1蓋板の材料、前記第2蓋板の材料、前記第1外リングの材料及び前記第2外リングの材料は、いずれも1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、前記第1蓋板の厚さ、前記第2蓋板の厚さ、前記第1外リングの厚さ及び前記第2外リングの厚さは、いずれも2mm~3mmであり、前記ワークの内壁は環状構造であり、前記ワークの材料はクロムブロンズであり、前記ワークは小孔及び喉部を含み、小孔の直径は0.5mm~0.8mmであり、喉部の直径は30mm~50mmであり、前記ワークの大端の直径は90mm~110mmであり、前記ワークの小端の直径は40mm~50mmであり、前記ワークの長さは200mm~240mmであり、前記ワークの外壁は環状構造であり、前記ワークの外壁の材料は高強度ステンレス鋼であり、前記ワークの外壁の内面は、前記ワークの内壁外面の成形面に一致する。
【0009】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、一体に溶接された第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメントの外面に電気メッキされたクロムの厚さは10μm~20μmである。
【0010】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメント全体の外面と、ワークの内壁の内面との間の隙間は0.2mm以下であり、前記第4筒セグメントと、前記ワークの小端の内面との間の隙間は0.2mm以下であり、第4筒セグメントと、第3筒セグメントとの間の隙間は0.2mm以下である。
【0011】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、カーバーが付いたワークをロウ付けする具体的なステップは、ワークの外壁とワークの内壁との間の空間がチャンバーを形成し、ワークの外壁上におけるチャンバーに連通する管口に第1真空引き管を溶接し、第1外リング又は第2外リング上の任意の1つの位置に貫通孔を開け、貫通孔部位に第2真空引き管を溶接するステップと、カーバーが付いたワークとロウ付け炉の軸とをアルゴンアーク溶接により接続し、第1真空引き管及び第2真空引き管をロウ付け炉上の抽真空に溶接するステップと、カーバーが付いたワークの外壁と内壁との間のチャンバーを真空引きし、ロウ付け炉の燃焼室にアルゴンガスを充填し、カーバーが付いたワークを加熱し、ロウ付け温度下で所定時間保温し、保温終了後に、ロウ付け炉の電源をオフにし、カーバーが付いたワークをロウ付け炉に伴って室温まで冷却させることにより、カーバーが付いたワークの外壁の内面は内壁の外面に溶接されるステップと、を含む。
【0012】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、カーバーを取り外す際に、第1蓋板に孔を開け、孔開け部位に加圧管口を溶接し、カーバーとワークの内面との間の隙間に水を入れて加圧することでカーバーを膨張して変形させ、液圧圧力は3MPa~6MPaであり、カーバーが膨張した部位に孔を開けて加圧管口を溶接し、再度水を入れて加圧することによりカーバーとワークとを分離する。
【0013】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、前記ロウ付けの温度は950℃-980℃である。
【0014】
前記内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法において、前記所定時間は20-30minである。
【0015】
本発明は、従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
(1)本発明によれば、内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークは、ロウ付けによりシールすることができないという問題が解決される。カーバー構造を最適化し、分割二層のカーバーを採用することにより、このような銅鋼ロウ付けワークのカーバーの順調な取り付け及びシール溶接が達成される。
(2)このような内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークについては、本発明では、特殊構造を有するカーバーを採用し、手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接することにより、製品のチャンバーを真空引きすることができ、銅鋼ロウ付け溶接部の強度が向上し、製品の品質が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読めば、様々な他の利点及び利益が当業者に明らかになるであろう。図面は、好ましい実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定するものと見なされるべきではない。また、図面を通して、同じ参照番号は、同じ構成要素を示すために使用される。
【0017】
【
図1】本発明の実施例で提供される内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワーク及びカーバー構造の模式図である。
【
図2】本発明の実施例で提供される第4筒セグメントの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の例示的な実施例を説明する。本開示の例示的な実施例が図面に示されているが、本開示は様々な形態で具現化され得、本明細書に記載の実施例によって限定されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施例は、本開示をより完全に理解し、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。矛盾しない場合、本発明の実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができることに留意されたい。以下、添付の図面及び実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例で提供される内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワーク及びカーバーの構造模式図である。
図1によれば、本発明は、内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークのロウ付け方法を提供する。この方法は、以下のステップを含む。
【0020】
(1)カーバーに必要な各部品を加工する。前記部品は、第1筒セグメント3、第2筒セグメント4、第3筒セグメント5、第4筒セグメント6、第1蓋板7、第2蓋板8、第1外リング9及び第2外リング10を含む。第1筒セグメント3、第2筒セグメント4、第3筒セグメント5を一体に溶接し、外面を研磨し、溶接部をX線検査する。一体に溶接された第1筒セグメント3、第2筒セグメント4、第3筒セグメント5の外面にクロムを電気メッキし、第4筒セグメント6の外面にクロムを電気メッキする。ワーク内壁の外面に銀を電気メッキし、ワーク外壁の内面に銅を電気メッキする。
【0021】
(2)ワーク内壁と外壁を溶接し、ワーク内壁の小端をバルジ成形し、ワークの大端をフランジングし、ワーク内壁及び外壁の大小端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接する。第1外リング9及び第2外リング10をそれぞれワークの大端の外壁の外面及び小端の外壁の外面に取り付ける。電気メッキした第1筒セグメント3、第2筒セグメント4、第3筒セグメント5の組立体をワークに外嵌し、第1蓋板7を第1筒セグメント3に取り付け、手動アルゴンアーク溶接により第1蓋板7と第1筒セグメント3を段階的にタック溶接する。第4筒セグメント6をワークの小端内面と第3筒セグメント5との間に取り付け、第2蓋板8を第3筒セグメント5に取り付け、手動アルゴンアーク溶接により第2蓋板8と第3筒セグメント5を段階的にタック溶接する。手動アルゴンアーク溶接により第1外リング9と第1蓋板7、第2外リング10及び第2蓋板8を段階的にタック溶接する。第4筒セグメント6の構造模式図を
図2に示す。分割構造である第4筒セグメントをワーク内壁の内面と第3筒セグメントとの間に取り付け、この領域のカーバーは二層分割構造である。その利点は、以下の通りである。1)ロウ付け過程において、ワーク及びカーバーチャンバーを真空引きする際に、燃焼室圧力が第3筒セグメントに加圧する過程において、第3筒セグメントは分割構造の第4筒セグメントに加圧し、分割構造の第4筒セグメントは、より均一にワークの内面に加圧することができ、これによって、ワーク内外壁の良好な貼合が保証される。2)分割構造の第4筒セグメントを使用することにより、喉部構造を有しかつ直径が比較的小さい銅鋼ロウ付けワークと比較して、単層カーバーがクランプすることができず、喉部位置の空間が比較的小さいことで溶接が困難であるという問題が解決される。
【0022】
(3)第1蓋板7、第1筒セグメント3、第1外リング9、第2蓋板8、第3筒セグメント5、第2外リング10及びワーク外壁を溶接する。
【0023】
(4)シール溶接が完成したカーバーが付いたワークをロウ付けする。ロウ付けが完成した後、カーバーを取り外す。
【0024】
カーバーが付いたワークをロウ付けする具体的なステップは、以下のステップを含む。
ワークの外壁1とワークの内壁2との間の空間はチャンバーを形成し、ワークの外壁1におけるチャンバーに連通する管口に第1真空引き管11を溶接し、第1外リング9又は第2外リング10上における任意の1つの位置に貫通孔を開け、貫通孔部位に第2真空引き管12を溶接する。ここで、ワークの外壁とワークの内壁との間の空間はチャンバーを形成する。なお、ワークの外壁1には複数の管口があり、いずれか1つの管口を選んで第1真空引き管11を溶接すればよい。
カーバーが付いたワークとロウ付け炉の軸とをアルゴンアーク溶接により接続する。安定して回転できることを確認する。第1真空引き管11、第2真空引き管12をロウ付け炉上の真空引き管に溶接する。
カーバーが付いたワークの外壁と内壁との間のチャンバーを真空引きし、ロウ付け炉の燃焼室にアルゴンガスを充填し、カーバーが付いたワークを加熱し、ロウ付け温度下で所定時間保温する。保温終了後に、ロウ付け炉の電源をオフにし、カーバーが付いたワークをロウ付け炉に伴って室温まで冷却させることで、カーバーが付いたワークの外壁の内面と内壁の外面が一体に溶接される。保温終了後に、ロウ付け炉の電源をオフにし、製品を炉と一緒に室温まで冷却させればよい。保温終了後に、ロウ付け炉を開き、カーバーが付いたワークを取り出す。
図1に示すように、本実施例に係る内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークは、外壁1、内壁2からなり、本実施例で使用されるカーバーは、第1筒セグメント3、第2筒セグメント4、第3筒セグメント5、第4筒セグメント6、第1蓋板7、第2蓋板8、第1外リング9、第2外リング10からなる。
【0025】
実施例1
(1)カーバーに必要な各部品を加工する。前記部品は、第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメント、第4筒セグメント、第1蓋板、第2蓋板、第1外リング及び第2外リングを含む。第1筒セグメントの厚さ、第2筒セグメントの厚さ、第3筒セグメントの厚さは1mmであり、第1筒セグメントの材料、第2筒セグメントの材料、第3筒セグメントの材料は1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、第1筒セグメントの外面及び第2筒セグメントの外面は、ワーク内壁の内面の成形面と一致し、第3筒セグメントは、外面の直径がワークの喉部の直径に適合する円筒状構造である。第4筒セグメントの材料は、1Cr21Ni5Tiステンレス鋼である。第4筒セグメントの内面は第3筒セグメントの外面の成形面と一致し、第4筒セグメントの外面は、ワーク内壁の内面の成形面と一致し、第4筒セグメントは均等に4つに切断される。第1蓋板の材料、第2蓋板の材料、第1外リングの材料及び第2外リングの材料は1Cr21Ni5Tiステンレス鋼である。第1蓋板の厚さ、第2蓋板の厚さ、第1外リングの厚さ及び第2外リングの厚さはいずれも2mmである。ワーク内壁は、環状構造であり、材料はクロムブロンズであり、ワーク内壁に小孔及び喉部が設けられ、小孔の直径は0.5mm、喉部の直径は30mmであり、大端の直径は90mm、小端の直径は40mm、長さは200mmである。ワーク外壁は環状構造であり、材料は高強度ステンレス鋼であり、外壁の内面は内壁の外面の成形面と一致する。第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントを一体に溶接し、表面が連続して突起がないように外面を研磨し、溶接部をX線検査する。一体に溶接された第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、第4筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、メッキ層の厚さは10μmである。ワークの内壁に銀を電気メッキし、ワークの外壁に銅を電気メッキする。
【0026】
(2)ワーク内、外壁を一体に溶接し、ワーク内壁の小端をバルジ成形し、ワークの大端をフランジングし、ワーク内壁及び外壁の大小端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接する。第1外リング及び第2外リングは、開口した環状構造である。第1外リング、第2外リングを開いてそれぞれワークの大端の外壁の外面及び小端の外壁の外面に取り付ける。溶接が完成しかつクロムが電気メッキされた第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントをワーク内面に取り付け、最後(互いに相対的に動くことができない)まで取り付け、第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメントとワーク内面との貼合隙間は0.1mmである。第1蓋板を第1筒セグメントに取り付け、第1蓋板と第1筒セグメントをタック溶接する。第4筒セグメントをワークの小端の内面と第3筒セグメントとの間に取り付け、最後(互いに相対的に動くことができない)まで取り付け、第4筒セグメントとワークの小端の内面との貼合隙間は0.1mmである。第4筒セグメントと第3筒セグメントとの間の貼合隙間は0.1mmである。第2蓋板を第3筒セグメントに取り付け、第2蓋板と第4筒セグメントが緊密に貼合されることを確認する。第2蓋板と第3筒セグメントをタック溶接する。第1外リングと第1蓋板、第2外リング及び第2蓋板をタック溶接する。
【0027】
(3)第1蓋板、第1筒セグメント、第1外リング、第2蓋板、第3筒セグメント、第2外リング及びワーク外壁を溶接する。各リンク溶接部位は段階的で対称的である。溶接電流は60Aである。
【0028】
(4)シール溶接が完成したカーバーが付いたワークをロウ付けし、製品チャンバーを真空引きしかつ燃焼室にガスで加圧する炉中ロウ付け方式を採用する。ロウ付け終了後、第1蓋板に孔を開け、孔開け部位に加圧管口を溶接し、カーバーと製品内面との間の部分に水を入れて加圧することでカーバーを膨張して変形させる。液圧圧力は3MPaである。カーバーの膨張部位に孔を開けて加圧管口を溶接し、再度水を入れて加圧することによりカーバーと製品を分離する。加圧してカーバーを取り外した後、研磨により第1外リング及び第2外リングを除去する。旋削加工により第1蓋板及び第2蓋板を除去する。アーク切断によりカーバーを切断して分解し、応力を放出する。最後的に、叩き、引っ張りによりカーバーを除去する。
【0029】
実施例2
(1)カーバーに必要な各部品を加工する。前記部品は、第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメント、第4筒セグメント、第1蓋板、第2蓋板、第1外リング及び第2外リングを含む。第1筒セグメントの厚さ、第2筒セグメントの厚さ、第3筒セグメントの厚さは1.5mmであり、第1筒セグメントの材料、第2筒セグメントの材料、第3筒セグメントの材料は1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、第1筒セグメントの外面及び第2筒セグメントの外面は、ワーク内壁の内面の成形面と一致し、第3筒セグメントは、外面の直径がワークの喉部の直径に適合する円筒状構造である。第4筒セグメントの材料は、1Cr21Ni5Tiステンレス鋼である。第4筒セグメントの内面は第3筒セグメントの外面の成形面と一致し、第4筒セグメントの外面は、ワーク内壁の内面の成形面と一致し、第4筒セグメントは均等に4つに切断される。第1蓋板の材料、第2蓋板の材料、第1外リングの材料及び第2外リングの材料は1Cr21Ni5Tiステンレス鋼である。第1蓋板の厚さ、第2蓋板の厚さ、第1外リングの厚さ及び第2外リングの厚さはいずれも3mmである。ワーク内壁は、環状構造であり、材料はクロムブロンズであり、ワーク内壁に小孔及び喉部が設けられ、小孔の直径は0.8mm、喉部の直径は50mmであり、大端の直径は110mm、小端の直径は50mm、長さは240mmである。ワーク外壁は環状構造であり、材料は高強度ステンレス鋼であり、外壁の内面は内壁の外面の成形面と一致する。第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントを一体に溶接し、表面が連続して突起がないように外面を研磨し、溶接部をX線検査する。一体に溶接された第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、第4筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、メッキ層の厚さは20μmである。ワークの内壁に銀を電気メッキし、ワークの外壁に銅を電気メッキする。
【0030】
(2)ワーク内、外壁を一体に溶接し、ワーク内壁の小端をバルジ成形し、ワークの大端をフランジングし、ワーク内壁及び外壁の大小端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接する。第1外リング及び第2外リングは、開口した環状構造である。第1外リング、第2外リングを開いてそれぞれワークの大端の外壁の外面及び小端の外壁の外面に取り付ける。溶接が完成しかつクロムが電気メッキされた第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントをワーク内面に取り付け、最後(互いに相対的に動くことができない)まで取り付け、第1筒セグメント、第2筒セグメント及び第3筒セグメントとワーク内面との貼合隙間は0.2mmである。第1蓋板を第1筒セグメントに取り付け、第1蓋板と第1筒セグメントをタック溶接する。第4筒セグメントをワークの小端の内面と第3筒セグメントとの間に取り付け、最後(互いに相対的に動くことができない)まで取り付け、第4筒セグメントとワークの小端の内面との貼合隙間は0.2mmである。第4筒セグメントと第3筒セグメントとの間の貼合隙間は0.2mmである。第2蓋板を第3筒セグメントに取り付け、第2蓋板と第4筒セグメントが緊密に貼合されることを確認する。第2蓋板と第3筒セグメントをタック溶接する。第1外リングと第1蓋板、第2外リング及び第2蓋板をタック溶接する。
【0031】
(3)第1蓋板、第1筒セグメント、第1外リング、第2蓋板、第3筒セグメント、第2外リング及びワーク外壁を溶接する。各リンク溶接部位は、段階的で対称的である。溶接電流は80Aである。
【0032】
(4)シール溶接が完成したカーバーが付いたワークをロウ付けし、製品チャンバーを真空引きしかつ燃焼室にガスで加圧する炉中ロウ付け方式を採用する。ロウ付け終了後、第1蓋板に孔を開け、孔開け部位に加圧管口を溶接し、カーバーと製品内面との間の部分に水を入れて加圧することでカーバーを膨張して変形させる。液圧圧力は6MPaである。カーバーの膨張部位に孔を開けて加圧管口を溶接し、再度水を入れて加圧することによりカーバーと製品を分離する。加圧してカーバーを取り外した後、研磨により第1外リング及び第2外リングを除去する。旋削加工により第1蓋板及び第2蓋板を除去する。アーク切断によりカーバーを切断して分解し、応力を放出する。最後的に、叩き、引っ張りによりカーバーを除去する。
【0033】
実施例3
(1)カーバーに必要な各部品を加工する。前記部品は、第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメント、第4筒セグメント、第1蓋板、第2蓋板、第1外リング及び第2外リングを含む。第1筒セグメントの厚さ、第2筒セグメントの厚さ、第3筒セグメントの厚さは1.3mmであり、第1筒セグメントの材料、第2筒セグメントの材料、第3筒セグメントの材料は1Cr21Ni5Tiステンレス鋼であり、第1筒セグメントの外面及び第2筒セグメントの外面は、ワーク内壁の内面の成形面と一致し、第3筒セグメントは、外面の直径がワークの喉部の直径に適合する円筒状構造である。第4筒セグメントの材料は、1Cr21Ni5Tiステンレス鋼である。第4筒セグメントの内面は第3筒セグメントの外面の成形面と一致し、第4筒セグメントの外面は、ワーク内壁の内面の成形面と一致し、第4筒セグメントは均等に4つに切断される。第1蓋板の材料、第2蓋板の材料、第1外リングの材料及び第2外リングの材料は1Cr21Ni5Tiステンレス鋼である。第1蓋板の厚さ、第2蓋板の厚さ、第1外リングの厚さ及び第2外リングの厚さはいずれも2.5mmである。ワーク内壁は、環状構造であり、材料はクロムブロンズであり、ワーク内壁に小孔及び喉部が設けられ、小孔の直径は0.7mm、喉部の直径は40mmであり、大端の直径は100mm、小端の直径は45mm、長さは220mmである。ワーク外壁は環状構造であり、材料は高強度ステンレス鋼であり、外壁の内面は内壁の外面の成形面と一致する。第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントを一体に溶接し、表面が連続して突起がないように外面を研磨し、溶接部をX線検査する。一体に溶接された第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、第4筒セグメントの外面にクロムを電気メッキし、メッキ層の厚さは15μmである。ワークの内壁に銀を電気メッキし、ワークの外壁に銅を電気メッキする。
【0034】
(2)ワーク内、外壁を一体に溶接し、ワーク内壁の小端をバルジ成形し、ワークの大端をフランジングし、ワーク内壁及び外壁の大小端を手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接する。第1外リング及び第2外リングは、開口した環状構造である。第1外リング、第2外リングを開いてそれぞれワークの大端の外壁の外面及び小端の外壁の外面に取り付ける。溶接が完成しかつクロムが電気メッキされた第1筒セグメント、第2筒セグメント、第3筒セグメントをワーク内面に取り付け、最後(互いに相対的に動くことができない)まで取り付け、両者の貼合隙間は0.15mmである。第1蓋板を第1筒セグメントに取り付け、第1蓋板と第1筒セグメントをタック溶接する。第4筒セグメントをワークの小端の内面と第3筒セグメントとの間に取り付け、最後(互いに相対的に動くことができない)まで取り付け、第4筒セグメントとワークの小端の内面との貼合隙間は0.15mmである。第4筒セグメントと第3筒セグメントとの間の貼合隙間は0.15mmである。第2蓋板を第3筒セグメントに取り付け、第2蓋板と第4筒セグメントが緊密に貼合されることを確認する。第2蓋板と第3筒セグメントをタック溶接する。第1外リングと第1蓋板、第2外リング及び第2蓋板をタック溶接する。
【0035】
(3)第1蓋板、第1筒セグメント、第1外リング、第2蓋板、第3筒セグメント、第2外リング及びワーク外壁を溶接する。各リンク溶接部位は、段階的で対称的である。溶接電流は75Aである。
【0036】
(4)シール溶接が完成したカーバーが付いたワークをロウ付けし、製品チャンバーを真空引きしかつ燃焼室にガスで加圧する炉中ロウ付け方式を採用する。ロウ付け終了後、第1蓋板に孔を開け、孔開け部位に加圧管口を溶接し、カーバーと製品内面との間の部分に水を入れて加圧することでカーバーを膨張して変形させる。液圧圧力は5MPaである。カーバーの膨張部位に孔を開けて加圧管口を溶接し、再度水を入れて加圧することによりカーバーと製品を分離する。加圧してカーバーを取り外した後、研磨により第1外リング及び第2外リングを除去する。旋削加工により第1蓋板及び第2蓋板を除去する。アーク切断によりカーバーを切断して分解し、応力を放出する。最後的に、叩き、引っ張りによりカーバーを除去する。
【0037】
本発明によれば、内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークは、ロウ付けによりシールすることができないという問題が解決される。カーバー構造を最適化し、分割二層のカーバーを採用することにより、このような銅鋼ロウ付けワークのカーバーの順調な取り付け及びシール溶接が達成される。このような内壁に小孔及び喉部が設けられた銅鋼ロウ付けワークについては、本発明では、特殊構造を有するカーバーを採用し、手動アルゴンアーク溶接によりシール溶接することにより、製品のチャンバーを真空引きすることができ、銅鋼ロウ付け溶接部の強度が向上し、製品の品質が保証される。
【0038】
以上、本発明を好ましい実施例により開示したが、本発明を限定することを意図するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示した方法及び技術的内容を使用して本発明を変更及び修正することができる。したがって、本発明の内容から逸脱しない限り、本発明の技術的本質に従って上記の実施例に対して行われる任意の修正、同等変更及び修飾は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】