(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/58 20100101AFI20240409BHJP
C01B 25/45 20060101ALI20240409BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01M4/58
C01B25/45 Z
H01M4/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544204
(86)(22)【出願日】2022-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2022137775
(87)【国際公開番号】W WO2023179100
(87)【国際公開日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】202210294927.5
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523273451
【氏名又は名称】フーベイ ワンルン ニュー エナジー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUBEI WANRUN NEW ENERGY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.557,Tianma Avenue,Yunyang Economic Development Zone,Shiyan City,Hubei 442500,China
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ワン,キン
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA12
5H050AA18
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA27
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA10
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法に関し、前記方法は、リン酸第一鉄とリン酸リチウムを製造し、その後にリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合した後、ヒドラジン水和物溶液を添加し、粉砕乾燥後に仮焼し、得られた仮焼材料に純水を添加して粉砕し、得られたスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加して攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し続け、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、15~30min反応させ、それを濾過洗浄して真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得ることを含む。前記方法は、界面抵抗を低減すると同時に、導電性、耐食性、抗酸化能力及び製品の緻密さを向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まず、リン酸第一鉄とリン酸リチウムをそれぞれ製造し、
その後に製造したリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合した後、ヒドラジン水和物溶液を添加し、粉砕乾燥後に仮焼して、得られた仮焼材料に純水を添加して粉砕し、得られたスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加して攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し続け、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、15~30min反応させ、それを濾過洗浄して真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得ることを特徴とするフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項2】
具体的なステップは、
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物を密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.5~2に維持し、その後に窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を1000ppm未満にし、攪拌状態下で、温度を100~110℃まで昇温させ、この温度で30~60min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が50℃未満になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得る、リン酸第一鉄を製造するための第1ステップと、
スルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、その後に水酸化リチウム溶液を調製し、両者を混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後にリン酸溶液を添加し、両者を攪拌混合して、リン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、その後にそれを遠心分離して、リン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得る、リン酸リチウムを製造するための第2ステップと、
上記で製造したリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合し、その後にヒドラジン水和物溶液を添加し、その後にそれをサンドグラインダに添加して粉砕し、スラリーの粒径が200~350nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得る第3ステップと、
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得る、仮焼するための第4ステップと、
仮焼材料に純水を添加し、その後にそれをサンドグラインダに添加して粉砕し、粒径が150~250nmになるまで粉砕して、スラリーを得、その後にスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、添加後、15~30min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る第5ステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項3】
前記第1ステップにおいて、硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、ヒドラジン水和物のモル比は、3:1.2~2.4:0.3~0.6:1.45~1.8:0.1~0.2であることを特徴とする請求項2に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項4】
前記第1ステップにおいて、攪拌速度は、200~400r/minであり、昇温速度は、40~60℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、10~15℃/hの昇温速度まで下げることを特徴とする請求項2に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項5】
前記第2ステップにおいて、P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比は、2~3:7~8であり、水酸化リチウム溶液の濃度は、5~10mol/Lであり、添加したリチウムとP204抽出剤のモル比は、0.7~0.8:1であり、リン酸溶液の濃度は、1.5~2.5mol/Lであり、両者を攪拌混合するプロセスにおいて、攪拌速度は、300~600r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、60~120minであり、入れ完了後、30~60min攪拌反応させ続け、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻すことを特徴とする請求項2に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項6】
前記第3ステップにおいて、リン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合する場合、両者のモル比は、1:1.01~1.05であり、添加したヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.02~0.05mol/Lであり、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:2.5~3.5であり、
噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が3~8μmであり、水分質量含有量が0.5%未満であるということを維持することを特徴とする請求項2に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項7】
前記第4ステップにおいて、仮焼プロセスで昇温速度は、50~100℃/hであり、650~700℃まで昇温させ、3~4h保温し、その後に降温し、降温速度は、100~150℃/hであり、材料温度が80℃以下になるまで冷却した後、材料を排出することを特徴とする請求項2に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項8】
前記第5ステップにおいて、サンドグラインダに入る前に仮焼材料を粉砕し、粒径≦1μmまで粉砕することを特徴とする請求項2に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項9】
前記仮焼材料に純水を添加するプロセスにおいて、質量比は、1:4~5であり、添加した仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比は、1:0.05~0.1:0.012~0.018:0.01~0.02:0.02~0.04であることを特徴とする請求項2又は8に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【請求項10】
前記第5ステップの真空乾燥プロセスにおいて、乾燥温度は、80~120℃であり、真空度は、-0.09~-0.08MPaであり、水分質量含有量が500ppm未満になるまで乾燥させた後、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装することを特徴とする請求項2又は8に記載のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年3月24日に提出された、出願番号が202210294927.5であり、発明の名称が「フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法」である中国発明特許出願に基づく優先権を主張し、該出願の公開内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、固体電池の技術分野に属し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯型電子機器、電気自動車及びハイブリッドカーの急速な発展に伴い、研究資源が豊富であり、エネルギー効率が高く、環境に優しいエネルギー貯蔵材料は、国際的な研究ホットスポットになっている。巨大な市場需要を満たすために、電池の電気的性能だけで電池材料を測定するのは、十分ではなく、電池の安全性、製造コスト、エネルギー消費及び環境汚染の有無なども電池材料を評価する重要な指標となっている。
【0004】
固体電池は、電池技術の一種である。固体電池は、現在、一般的に使用されているリチウムイオン電池とリチウムイオンポリマー電池とは異なり、固体電極と固体電解質を使用する電池である。科学界では、リチウムイオン電池が限界に達したと考えられているため、固体電池は、近年、リチウムイオン電池の地位を継承できる電池と見なされている。固体リチウム電池技術は、リチウムとナトリウムで作られたガラス化合物を伝導物質として採用し、従来のリチウム電池の電解液に代えるため、リチウム電池のエネルギー密度を大幅に向上させることができる。
【0005】
固体電池の原理は、それと同じであるが、その電解質が固体であり、その密度と構造により、より多くの帯電イオンを一端に集めることができるため、より大きな電流を伝導することができ、それにより電池容量を向上させることができる。したがって、同じ電力量であれば、固体電池の体積は、より小さくなる。それだけでなく、固体電池には電解液がないため、保管は、より容易になり、自動車などの大型機器で使用する場合にも、冷却管や電子制御装置などを追加する必要がないため、コストを節約できるだけでなく、重量を効果的に軽減することができる。
【0006】
固体電池には、固体電解質によって、電極間の界面阻抗を大きくし、界面適合性を悪くするという問題がある。
【0007】
全固体電池の開発にとって、上記問題を解決する核心は、固体電解質材料の発展及び界面性能の調節制御と最適化である。
【0008】
全固体リチウム二次電池の正極は、一般的に複合電極を採用し、電極活物質に加えて、固体電解質と導電剤をさらに含み、電極中でイオンと電子を同時に輸送する役割を果たしている。LiCoO2、LiFePO4、LiMn2O4の研究は、比較的普遍的であり、ここで、従来の炭素は、リン酸鉄リチウムを被覆するが、アモルファスカーボンは、圧密密度が非常に低く、緩い多孔質構造が多いため、圧密後、ある程度の反発があり、固体電池の正極材料と固体電解質との間の接触界面がより小さく、界面抵抗がより大きいため、従来の導電材料は、この要件を満たすことができず、同時に固体電解質は、腐食性ガスを分解するという問題がないため、金属元素被覆リン酸鉄リチウムの正極材料の研究を徐々に開始している。例えば:
【0009】
中国特許第201710370271.X号は、タングステン被覆リン酸鉄リチウムの正極材料の製造方法を開示し、該方法は、
リン酸鉄リチウム材料を製造するステップと、
被覆液を製造し、タングステン含有化合物を脱イオン水に溶解し、完全に溶解するまで十分に攪拌し、均一に混合するステップと、
調製した被覆液と上記球状正極リン酸鉄リチウム材料をボールミルタンクに入れ、300~500r/minの回転速度で4~6hボールミル混合して、混合液を得るステップと、
ボールミル混合後の混合液を真空乾燥させた後、15℃/minの速度で室温から480~620℃まで昇温させ、480~620℃の恒温で3~6h仮焼成し、その後に10℃/minの速度で850~900℃まで昇温させ、850~900℃の恒温で8~10h仮焼し、最後に5℃/minの均一な降温速度で室温まで下げ、十分に粉砕した後、タングステン被覆リン酸鉄リチウムの正極材料を得るステップと、を含み、
該スキームは、タングステン金属を採用してリン酸鉄リチウムを被覆し、金属元素は、電解液によって浸食されやすく、同時に金属被覆層は、電位のために負極に堆積されやすい。
【0010】
中国特許第201510227614.8号は、ニッケル被覆リン酸鉄リチウムの正極材料の製造方法を開示し、該正極材料は、表面にニッケルめっき層が被覆されたリン酸鉄リチウムで構成され、その製造方法は、リン酸鉄リチウムを分散剤の作用下で順に増感、活性化、還元処理した後、ニッケルめっき層をめっきし、その後にニッケルめっき層がめっきされたリン酸鉄リチウムを熱処理すると、ニッケル被覆リン酸鉄リチウムの正極材料が得られることであり、該製造方法は、操作が簡単であり、プロセス条件が温和であり、コストが低く、製造されたニッケル被覆リン酸鉄リチウムの正極材料は、ニッケルめっき層によって均一に被覆され、構造が安定しているため、導電性がよく、比容量が高く、パワー密度が大きいリチウムイオン電池を製造するために使用され得、該スキームは、ニッケル金属を採用してリン酸鉄リチウムを被覆し、金属元素は、電解液によって浸食されやすく、同時に金属被覆層は、電位のために負極に堆積されやすい。
【0011】
中国特許第201110190384.4号は、遷移金属元素をドープした、遷移金属酸化物で被覆されたリン酸鉄リチウム複合正極材料及びその製造方法を開示し、該製造方法は、以下のステップを含む:1)リチウム源、鉄源、リン源及び遷移金属元素をLi:Fe:PO4:M=0.995~0.95:1:1:0.005~0.05の原子比でボールミリングし、乾燥し、不活性雰囲気中で仮焼して、遷移金属元素ドープリン酸鉄リチウム複合材料を得る;2)ステップ1)で得られた遷移金属元素ドープリン酸鉄リチウム複合材料と遷移金属酸化物を混合ボールミリングし、その後に不活性雰囲気中で仮焼して、遷移金属元素をドープした、遷移金属酸化物で被覆されたリン酸鉄リチウム複合正極材料を得る。本発明の有益な効果は、リン酸鉄リチウムに対して遷移金属元素のドープと遷移金属酸化物の被覆を行うことにより、それ自体の比容量とサイクル性能を向上させることができることであり、該スキームで製造された金属酸化物被覆正極材料は、導電性が比較的悪いという問題がある。
【0012】
上記に鑑みて、金属元素被覆リン酸鉄リチウム正極材料について、さらなる検討の余地がある。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、先行技術の上記問題を解決するために、界面抵抗を低減すると同時に、導電性、耐食性、抗酸化能力及び製品の緻密さを向上させることができるフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法を提案する。
【0014】
本発明は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0015】
上記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法は、まず、リン酸第一鉄とリン酸リチウムをそれぞれ製造し、その後に製造したリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合した後、それにヒドラジン水和物溶液を添加し、粉砕乾燥後に仮焼し、得られた仮焼材料に純水を添加して粉砕し、得られたスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加して攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し続け、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、15~30min反応させ、それを濾過洗浄して真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0016】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法は、具体的なステップが次のとおりである。
【0017】
第1ステップ:リン酸第一鉄を製造する。硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物を密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.5~2に維持し、その後に窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を1000ppm未満にし、攪拌状態下で、温度を100~110℃まで昇温させ、この温度で30~60min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が50℃未満になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得る。
【0018】
第2ステップ:リン酸リチウムを製造する。スルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、その後に水酸化リチウム溶液を調製し、両者を混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後にリン酸溶液を添加し、両者を攪拌混合して、リン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、その後にそれを遠心分離して、リン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得る。
【0019】
第3ステップ:上記で製造したリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合し、その後にそれにヒドラジン水和物溶液を添加し、その後にそれをサンドグラインダに添加して粉砕し、スラリーの粒径が200~350nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得る。
【0020】
第4ステップ:噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得る。
【0021】
第5ステップ:仮焼材料に純水を添加し、その後にそれをサンドグラインダに添加して粉砕し、粒径が150~250nmになるまで粉砕して、スラリーを得、その後にスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、添加後、15~30min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0022】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第1ステップにおいて、硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、ヒドラジン水和物のモル比は、3:1.2~2.4:0.3~0.6:1.45~1.8:0.1~0.2である。
【0023】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第1ステップにおいて、攪拌速度は、200~400r/minであり、昇温速度は、40~60℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、10~15℃/hの昇温速度まで下げる。
【0024】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第2ステップにおいて、P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比は、2~3:7~8であり、水酸化リチウム溶液の濃度は、5~10mol/Lであり、添加したリチウムとP204抽出剤のモル比は、0.7~0.8:1であり、リン酸溶液の濃度は、1.5~2.5mol/Lであり、両者を攪拌混合するプロセスにおいて、攪拌速度は、300~600r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、60~120minであり、入れ完了後、30~60min攪拌反応させ続け、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0025】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第3ステップにおいて、リン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合する場合、両者のモル比は、1:1.01~1.05であり、添加したヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.02~0.05mol/Lであり、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:2.5~3.5であり、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が3~8μmであり、水分質量含有量が0.5%未満であるということを維持する。
【0026】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第4ステップにおいて、仮焼プロセスで昇温速度は、50~100℃/hであり、650~700℃まで昇温させ、3~4h保温し、その後に降温し、降温速度は、100~150℃/hであり、材料温度が80℃以下になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0027】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第5ステップにおいて、サンドグラインダに入る前に仮焼材料を粉砕し、粒径≦1μmまで粉砕する。
【0028】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記仮焼材料に純水を添加するプロセスにおいて、質量比は、1:4~5であり、添加した仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比は1:0.05~0.1:0.012~0.018:0.01~0.02:0.02~0.04である。
【0029】
前記フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法では、前記第5ステップの真空乾燥プロセスにおいて、乾燥温度は、80~120℃であり、真空度は、-0.09~-0.08MPaであり、水分質量含有量が500ppm未満になるまで乾燥させた後、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装する。
【0030】
有益な効果:
本発明は、安定な導電性緩衝層(フェロボロン合金)を導入することにより空間電荷効果を除去又は弱めるため、界面層の生成を抑制することができるため、界面抵抗を低減することができ、それにより固体電池材料への適用に適することができ、ガスを発生しない原材料を採用してリン酸鉄リチウムを製造するため、得られる製品の緻密さがより高く、最終製品の圧密密度が2.55g/mL以上とより高く、
本発明は、従来のアモルファスカーボンの代わりに、より優れた導電性を有する金属合金を採用することで、被覆を実現することができ、すなわち、より優れた導電性とより低い界面抵抗を実現することができ、本発明で製造して得られたものは合金状態であるため、耐食性と抗酸化能力も非常に高く、最終製品の圧密密度も非常に高いため、アモルファスカーボンは、圧密後、ある程度の反発があるという問題を克服することができ、
本発明で製造された合金状態の被覆層を有するリン酸鉄リチウム粉末の内部抵抗が0.2Ω.cm程度と低いため、電子導電性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施例1で製造したリン酸第一鉄のSEMパターンである。
【
図2】本発明の実施例1で製造したリン酸リチウムのSEMパターンである。
【
図3】本発明の実施例1で製造したフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムのSEMパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のフェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムの製造方法は、リン酸第一鉄とリン酸リチウムをそれぞれ製造し、その後に製造したリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合した後、それにヒドラジン水和物溶液を添加し、粉砕乾燥後に仮焼し、得られた仮焼材料に純水を添加して粉砕し、得られたスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加して攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し続け、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、15~30min反応させ、それを濾過洗浄して真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得ることである。具体的なステップは、次のとおりである。
【0033】
第1ステップ:リン酸第一鉄を製造する。硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物を密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.5~2に維持し、その後に窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素を追い出し、密封反応釜内の酸素含有量を1000ppm未満にし、攪拌状態下で、温度を100~110℃まで昇温させ、この温度で30~60min攪拌して反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が50℃未満になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得る。
【0034】
第2ステップ:リン酸リチウムを製造する。スルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、その後に水酸化リチウム溶液を調製し、両者を混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後にそれにリン酸溶液を添加し、両者を攪拌混合して、リン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、その後にそれを遠心分離して、リン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得る。
【0035】
第3ステップ:上記で製造したリン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合し、その後にそれにヒドラジン水和物溶液を添加し、その後にそれをサンドグラインダに添加して粉砕し、スラリーの粒径が200~350nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得る。
【0036】
第4ステップ:噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得る。
【0037】
第5ステップ:仮焼材料に純水を添加し、その後にそれをサンドグラインダに添加して粉砕し、粒径が150~250nmになるまで粉砕して、スラリーを得、その後にスラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを8.5~10.5に維持し、添加後、15~30min反応を続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、それを真空乾燥させて、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0038】
上記第1ステップでは、硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、ヒドラジン水和物のモル比は、3:1.2~2.4:0.3~0.6:1.45~1.8:0.1~0.2であり、攪拌速度は、200~400r/minであり、昇温速度は、40~60℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、10~15℃/hの昇温速度まで下げる。
【0039】
上記第2ステップでは、P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比は、2~3:7~8であり、水酸化リチウム溶液の濃度は、5~10mol/Lであり、添加したリチウムとP204抽出剤のモル比は、0.7~0.8:1であり、リン酸溶液の濃度は、1.5~2.5mol/Lであり、両者を攪拌混合するプロセスにおいて、攪拌速度は、300~600r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、60~120minであり、入れ完了後、30~60min攪拌反応させ続け、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0040】
上記第3ステップでは、リン酸第一鉄とリン酸リチウムを混合する場合、両者のモル比は、1:1.01~1.05であり、添加したヒドラジン水和物溶液の濃度は、0.02~0.05mol/Lであり、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:2.5~3.5であり、サンドグラインダは、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が3~8μmであり、水分質量含有量が0.5%未満であるということを維持する。
【0041】
上記第4ステップでは、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、50~100℃/hであり、650~700℃まで昇温させ、3~4h保温し、その後に降温し、降温速度は、100~150℃/hであり、材料温度が80℃以下になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0042】
上記第5ステップでは、サンドグラインダに入る前に仮焼材料を粉砕し、粒径≦1μmまで粉砕することができ、
仮焼材料に純水を添加するプロセスにおいて、質量比は、1:4~5であり、添加した仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比は、1:0.05~0.1:0.012~0.018:0.01~0.02:0.02~0.04であり、
真空乾燥プロセスにおいて、乾燥温度は、80~120℃であり、真空度は、-0.09~-0.08MPaであり、水分質量含有量が500ppm未満になるまで乾燥させた後、乾燥を停止し、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装する。
【0043】
本発明は、従来のアモルファスカーボンの代わりに、より優れた導電性を有する金属合金を採用することで、被覆を実現することができ、すなわち、より優れた導電性とより低い界面抵抗を実現することができ、本発明で製造して得られたものは合金状態であるため、耐食性と抗酸化能力も非常に高く、最終製品の圧密密度も非常に高く、アモルファスカーボンは、圧密密度が非常に低く、緩い多孔質構造が多く、圧密後、ある程度の反発があるため、合金状態の被覆層を採用して、これらの問題を回避することができる。
【0044】
一般的な炭素被覆リン酸鉄リチウム粉末の内部抵抗は、10~50Ω.cm(圧力は10MPa)であり、本発明で製造された合金状態の被覆層を有するリン酸鉄リチウム粉末の内部抵抗は、0.2Ω.cm程度と低いため、電子導電性を大幅に向上させることができる。
【0045】
耐食性については、本発明の材料と炭素被覆リン酸鉄リチウムを同時に0.1mol/Lの塩酸に入れ、温度25℃で60min放置し、その中の鉄元素を測定し、この処理後の本発明の製品の最終的に測定された鉄元素濃度は、この処理後の炭素被覆リン酸鉄リチウムの鉄元素濃度と相当する。
【0046】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明の製造方法をさらに説明する。
【0047】
実施例1
【0048】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、ヒドラジン水和物を3:2:0.4:1.6:0.15のモル比で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.8に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を821ppmにし、攪拌状態下で、105℃まで昇温させ、50min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が49℃になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、300r/minであり、昇温速度は、50℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、10℃/hの昇温速度まで下げる。
【0049】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比3:7でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度は、8mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1: 0.75で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が2mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、500r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、80minであり、入れ完了後、50min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0050】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.03で混合した後、濃度が0.04mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:3であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が285nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が6.5μmであり、水分質量含有量が0.41%であるということを維持する。
【0051】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、80℃/hであり、680℃まで昇温させ、3.5h保温し、その後に降温し、降温速度は、125℃/hであり、材料温度が80℃になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0052】
仮焼材料を粒径≦1μmまで粉砕し、質量比1:4.5で純水を添加して粉砕し、粒径が190nmになるまで粉砕して、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.08:0.016:0.02:0.03で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを9.2に維持し、添加後、30min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が110℃であり、真空度が-0.085MPaであるという条件下でそれを真空乾燥させ、水分質量含有量が450ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0053】
最終的に得られたリン酸第一鉄のSEMは、
図1に示すとおりであり、
図1から分かるように、それは、緩い多孔質の粒状構造であり、D50は、6.2μmであり、最終製品の検出結果は、表1に示すとおりである。
【0054】
【0055】
最終的に得られたリン酸リチウムのSEMは、
図2に示すとおりであり、SEMから見ると、条状構造である。本発明は、界面反応を採用してリン酸リチウムを製造し、得られたリン酸リチウムのBETは、12.7m2/gと比較的大きい。
【0056】
最終的に得られたリン酸鉄リチウムの検出結果は、表2に示すとおりである。
【0057】
【0058】
粉末の内部抵抗の測定圧力は、10MPaであり、これは、4探針法で測定される。
【0059】
圧密密度は、3Tの圧力で測定される。
【0060】
鉄溶出の測定方法は、10gの材料を取り、100mLの0.01mol/Lの塩酸溶液を添加し、温度25℃で60min浸漬し、その後にそれを濾過し、得られたろ液中の鉄を測定すると、それが得られることである。
【0061】
遊離リチウムの検出方法は、10g材料に100mLの純水を添加して30min攪拌し、その後にそれを濾過し、得られたろ液中のリチウムを測定すると、それが得られることである。
【0062】
データから見ると、実施例1で製造された製品粉末は、内部抵抗が0.12Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れており、SEMは、
図3に示すとおりである。
【0063】
実施例2
【0064】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物をモル比3:1.8:0.5:1.5:0.1で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.9に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を906ppmにし、攪拌状態下で、100℃まで昇温させ、45min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が48℃になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、400r/minであり、昇温速度は、55℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、15℃/hの昇温速度まで下げる。
【0065】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比2:7.5でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度は、7mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1: 0.7で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が2.3mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、480r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、100minであり、入れ完了後、60min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0066】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.02で混合した後、濃度が0.03mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:2.5であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が230nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が9μmであり、水分質量含有量が0.5%であるということを維持する。
【0067】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、50℃/hであり、650℃まで昇温させ、3h保温し、その後に降温し、降温速度は、150℃/hであり、材料温度が79℃になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0068】
仮焼材料に純水を質量比1:5で添加し、それを粉砕し、粒径が150nmになるまで粉砕して、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.1:0.015:0.01:0.02で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを10に維持し、添加後、25min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が100℃であり、真空度が-0.09MPaであるという条件下で真空乾燥させ、水分質量含有量が420ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0069】
最終的に得られたリン酸鉄リチウムの特性は、表3に示すとおりである。
【0070】
【0071】
実施例2で得られた製品粉末は、内部抵抗が0.11Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れている。
【0072】
実施例3
【0073】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物をモル比3:1.9:0.6:1.7:0.2で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを2に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を830ppmにし、攪拌状態下で、103℃まで昇温させ、30min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が49℃になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、350r/minであり、昇温速度は、40℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、11℃/hの昇温速度まで下げる。
【0074】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比2.5:7.8でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度は、9mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1:0.8で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が1.9mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、530r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、60minであり、入れ完了後、30min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0075】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.02で混合した後、濃度が0.02mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:2.8であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が300nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が6μmであり、水分質量含有量が0.45%であるということを維持する。
【0076】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、75℃/hであり、670℃まで昇温させ、3.6h保温し、その後に降温し、降温速度は、130℃/hであり、材料温度が80℃になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0077】
仮焼材料を粒径1μmまで粉砕し、質量比1:4で純水を添加して粉砕し、粒径が250nmになるまで粉砕し、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.09:0.017:0.01:0.04で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを9に維持し、添加後、15min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が90℃であり、真空度が-0.08MPaであるという条件下で真空乾燥させ、水分質量含有量が499ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0078】
最終的に得られたリン酸鉄リチウムの特性は、表4に示すとおりである。
【0079】
【0080】
実施例3で得られた製品粉末は、内部抵抗が0.08Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れている。
【0081】
実施例4
【0082】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物をモル比3:2.1:0.3:1.45:0.18で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.7に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を980ppmにし、攪拌状態下で、110℃まで昇温させ、35min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が49℃になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、250r/minであり、昇温速度は、60℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、13℃/hの昇温速度まで下げる。
【0083】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比2.8:7.2でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度は、5mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1:0.77で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が2.5mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、600r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、120minであり、入れ完了後、40min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0084】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.04で混合した後、濃度が0.05mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:3であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が200nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が5μmであり、水分質量含有量が0.39%であるということを維持する。
【0085】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、100℃/hであり、700℃まで昇温させ、4h保温し、その後に降温し、降温速度は、100℃/hであり、材料温度が78℃になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0086】
仮焼材料を粒径0.95μmまで粉砕し、質量比1:4.5で純水を添加して粉砕し、粒径が150nmになるまで粉砕して、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.07:0.013:0.02:0.03で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを8.5に維持し、添加後、20min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が80℃であり、真空度が-0.088MPaであるという条件下で真空乾燥させ、水分質量含有量が490ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0087】
最終的に得られたリン酸鉄リチウムの特性は、表5に示すとおりである。
【0088】
【0089】
実施例4で得られた製品粉末は、内部抵抗が0.09Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れている。
【0090】
実施例5
【0091】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物をモル比3:2.4:0.4:1.8:0.12で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.6に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を850ppmにし、攪拌状態下で、107℃まで昇温させ、60min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が50℃未満になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、320r/minであり、昇温速度は、45℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、12℃/hの昇温速度まで下げる。
【0092】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比2.2:7.9でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度は、10mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1:0.73で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が1.5mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、450r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、110minであり、入れ完了後、35min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0093】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.03で混合した後、濃度が0.03mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:3.2であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が300nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が4μmであり、水分質量含有量が0.48%であるということを維持する。
【0094】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、60℃/hであり、690℃まで昇温させ、3.2h保温し、その後に降温し、降温速度は、120℃/hであり、材料温度が79℃になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0095】
仮焼材料に質量比1:4.8で純水を添加して粉砕し、粒径が200nmになるまで粉砕して、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.06:0.014:0.01:0.04で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを10.5に維持し、添加後、28min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が120℃であり、真空度が-0.082MPaであるという条件下で真空乾燥させ、水分質量含有量が480ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0096】
最終的に得られたリン酸鉄リチウムの特性は、表6に示すとおりである。
【0097】
【0098】
実施例5で得られた製品粉末は、内部抵抗が0.10Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れている。
【0099】
実施例6
【0100】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物をモル比3:1.5:0.5:1.65:0.15で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.5に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を890ppmにし、攪拌状態下で、109℃まで昇温させ、55min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が50℃未満になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、200r/minであり、昇温速度は、53℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、14℃/hの昇温速度まで下げる。
【0101】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比2:7でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度が6mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1:0.78で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が1.8mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、300r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、70minであり、入れ完了後、55min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0102】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.05で混合した後、濃度が0.05mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:3.5であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が250nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が3μmであり、水分質量含有量が0.43%であるということを維持する。
【0103】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、70℃/hであり、660℃まで昇温させ、3.8h保温し、その後に降温し、降温速度は、140℃/hであり、材料温度が77℃になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0104】
仮焼材料に質量比1:4.2で純水を添加して粉砕し、粒径が180nmになるまで粉砕して、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.05:0.018:0.02:0.02で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを9.2に維持し、添加後、30min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が105℃であり、真空度が-0.08MPaであるという条件下で真空乾燥させ、水分質量含有量が470ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。最終的な製品の特性は、表7に示すとおりである。
【0105】
【表7】
実施例6で得られた製品粉末は、内部抵抗が0.21Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れている。
【0106】
実施例7
【0107】
硫酸第一鉄、尿素、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、及びヒドラジン水和物をモル比3:1.2:0.6:1.55:0.17で密封反応釜に一緒に入れ、溶液のpHを1.8に維持し、窒素ガスを導入して、密封反応釜内の酸素含有量を932ppmにし、攪拌状態下で、106℃まで昇温させ、40min攪拌反応させ、その後に圧力解放して降温し、材料温度が50℃未満になった後、それを取り出し、濾過し、洗浄して、リン酸第一鉄の沈殿物を得、ここで、攪拌速度は、250r/minであり、昇温速度は、50℃/hであり、温度が85℃になるまで昇温させた後、昇温速度を下げ、10℃/hの昇温速度まで下げる。
【0108】
P204抽出剤とスルホン化灯油の体積比3:8でスルホン化灯油にP204抽出剤を添加し、均一に混合して、抽出剤溶液を得、水酸化リチウム溶液を調製し、水酸化リチウム溶液の濃度は、8mol/Lであり、抽出剤溶液と水酸化リチウム溶液をモル比1:0.74で混合して、P204-リチウム石鹸を得、その後に濃度が1.5mol/Lのリン酸溶液を添加し、攪拌速度は、360r/minであり、P204-リチウム石鹸とリン酸溶液を混合釜に一緒に入れ、入れながら撹拌し、撹拌翼は、ディスクタービン攪拌機を採用し、油中水の液滴構造を形成し、油相は、連続相であり、合計入れ時間は、90minであり、入れ完了後、45min攪拌反応させ続け、それを攪拌混合してリン酸リチウムの沈殿物とP204抽出剤溶液を得、それを遠心分離してリン酸リチウムの沈殿物を得、それを洗浄乾燥して、リン酸リチウムを得、遠心分離により得られたP204抽出剤溶液を引き続き使用されるために戻す。
【0109】
上記リン酸第一鉄とリン酸リチウムをモル比1:1.01で混合した後、濃度が0.03mol/Lのヒドラジン水和物溶液を添加し、リン酸第一鉄とリン酸リチウムの総質量と添加したヒドラジン水和物溶液の質量との質量比は、1:3.3であり、それをサンドグラインダに添加して粉砕し、粉砕媒体としてジルコニアセラミックボールを採用し、スラリーの粒径が325nmになるまで粉砕し、その後にそれを噴霧乾燥して、噴霧乾燥材料を得、噴霧乾燥プロセスは、最終的な噴霧材料の粒径が8μmであり、水分質量含有量が0.40%であるということを維持する。
【0110】
噴霧乾燥材料をローラー炉に入れて仮焼して、仮焼材料を得、仮焼プロセスにおいて、昇温速度は、90℃/hであり、680℃まで昇温させ、3.5h保温し、その後に降温し、降温速度は、110℃/hであり、材料温度が80℃未満になるまで冷却した後、材料を排出する。
【0111】
仮焼材料を粒径0.96μmまで粉砕し、質量比1:4.5で純水を添加して粉砕し、粒径が190nmになるまで粉砕して、スラリーを得、仮焼材料、PEG、硫酸第一鉄結晶、EDTA二ナトリウム、ホウ素水素化ナトリウムのモル比1:0.07:0.012:0.02:0.03で、スラリーにPEG、硫酸第一鉄結晶及びEDTA二ナトリウムを添加し、攪拌溶解した後、攪拌状態下でホウ素水素化ナトリウム溶液と水酸化ナトリウム溶液を添加し、プロセスのpHを8.9に維持し、添加後、30min反応させ続け、その後にそれを濾過し、得られた濾過残渣を洗浄した後、温度が115℃であり、真空度が-0.09MPaであるという条件下で真空乾燥させ、水分質量含有量が460ppmになるまで乾燥させ、それを恒温恒湿乾燥室内で真空包装し、フェロボロン合金被覆リン酸鉄リチウムを得る。
【0112】
最終的に得られたリン酸鉄リチウムの特性は、表8に示すとおりである。
【0113】
【0114】
実施例7で得られた製品粉末は、内部抵抗が0.28Ω.cmと非常に低く、従来の炭素で被覆されたリン酸鉄リチウムと比較して、2桁以上低く、-20℃容量保持率が非常に高く、倍率性能に優れている。
【0115】
上記実施例から分かるように、本発明は、安定な導電性緩衝層(フェロボロン合金)を導入することにより空間電荷効果を除去又は弱めるため、界面層の生成を抑制することができるため、界面抵抗を低減することができ、それにより固体電池材料への適用に適することができ、ガスを発生しない原材料を採用してリン酸鉄リチウムを製造するため、得られる製品の緻密さがより高く、最終製品の圧密密度がより高い。
【国際調査報告】