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特表2024-516490動力付き車両の効率及び快適システム
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  • 特表-動力付き車両の効率及び快適システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】動力付き車両の効率及び快適システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/03 20060101AFI20240409BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20240409BHJP
   F01K 23/06 20060101ALI20240409BHJP
   F02G 5/00 20060101ALI20240409BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20240409BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60H1/03 Z
F01P3/20 F
F01K23/06 P
F02G5/00 B
F01N5/02 F
H02P9/04 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554388
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 TR2022050084
(87)【国際公開番号】W WO2022203626
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】2021/005337
(32)【優先日】2021-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523084938
【氏名又は名称】アールイーピージー エネルジ システムレリ サナイ ヴェ ティカレット アノニム シルケティ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アヤルトゥルク,ハサン
【テーマコード(参考)】
3G081
3L211
5H590
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA20
3G081BB00
3G081BC06
3G081BD03
3L211BA02
3L211DA48
5H590CA08
5H590CA09
5H590CC01
5H590CC08
5H590CE05
5H590FA03
(57)【要約】
車両(1)を動かすことができるエンジン(10)から環境へ放出される廃熱を取り込んで、再び利用可能にすることによって、車両の効率及び快適性を向上させる、少なくとも1つの熱回収システム(30)に関する。本発明の新規性は、エンジン(10)で加熱された第1の流体からの熱を、少なくとも1つの第2の流体に移すことができる、少なくとも1つの熱交換器(31)と、この熱交換器(31)において加熱することによって圧縮された第2の流体から運動エネルギーを得ることができる、少なくとも1つのタービン(32)と、このタービン(32)を出た第2の流体の熱を放出し、その熱を熱交換器に戻すことができる、少なくとも1つのコンデンサ(33)と、タービン(32)から得られた運動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる、少なくとも1つの交流発電機(40)と、を備えることを特徴とすることである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)を動かすことができるエンジン(10)から環境へ放出される廃熱を、取り込んで再び利用可能にできる、少なくとも1つの熱回収システム(30)であって、以下の要素すなわち、
熱を、前記エンジン(10)によって加熱された第1の流体から、少なくとも1つの第2の流体へ移すことができる、少なくとも1つの熱交換器(31)と、
前記熱交換器(31)で加熱することで加圧された前記第2の流体から運動エネルギーを得ることができる、少なくとも1つのタービン(32)と、
前記タービン(32)を出た前記第2の流体の熱を排出して、その熱を前記熱交換器(31)まで戻すことができる、少なくとも1つのコンデンサ(33)と、
前記タービン(32)から得られた運動エネルギーを電気エネルギー―に変換することができる、少なくとも1つの交流発電機(40)と、
を備えることを特徴とする、熱回収システム(30)。
【請求項2】
前記交流発電機(40)で変換された電気エネルギーは、前記車両(1)に直接的に使用することができること、及び少なくとも1つのバッテリ(60)に蓄積することができること、を特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項3】
前記交流発電機(40)と前記タービン(32)との間で、運動を選択的に移すための、少なくとも1つの第1のクラッチ(41)が存在することを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項4】
前記交流発電機(40)及び前記エンジン(10)は、それらの間で運動を選択的に移すために、少なくとも1つの第2のクラッチ(42)によって接続されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項5】
前記交流発電機(40)の動作が、少なくとも1つの制御ユニット(50)によって管理可能であることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項6】
前記車両(1)の前記エンジン(10)を作動させることなく、前記車両(1)の空調システム(20)の動作を保証するために、使用者の命令後の、前記空調システム(20)の動作の際に、制御ユニット(50)は、第1のクラッチ(41)を繋ぐよう、かつ第2のクラッチ(42)を切るように構成され、前記交流発電機(40)をバッテリ(60)によって作動させることができ、前記交流発電機(40)によって作動された前記タービン(32)は、前記第2の流体を圧縮することで加熱でき、加熱された前記第2の流体はその熱を、前記熱交換器(31)を介して前記第1の流体に移し、前記第1の流体の熱は、前記空調システム(20)まで運ばれるよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項7】
前記第1の流体を確実に搬送するために、少なくとも1つの循環ポンプ(11)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項8】
前記車両(1)が下り坂を進むか、ガスが圧縮されないときに、回生制動によって前記交流発電機(40)を介して充電できることを特徴とする、請求項4に記載の熱回収システム(30)。
【請求項9】
前記第2の流体の運動を支援するために、少なくとも1つの追加ポンプ(34)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項10】
フローの制御を提供するために、少なくとも1つの弁(36)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項11】
前記第1の流体としての排ガスの熱は、復熱装置の適用によって受け取られるよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を動かすことができる車両のエンジンから、環境へ放出される廃熱を取り込んで、再び利用可能にすることによって、車両の効率及び快適性を向上させる、少なくとも1つの熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー安全保障及び世界的な気候変動への対処を確実にするために、再生可能なエネルギー源に対する要望が日に日に増している。しかし、再生可能エネルギー源の使用において、我々が直面する最大の課題は、再生可能エネルギー源のために必要な、高い設置コストである。したがって、これらの高いコストを可能な限り減らすこと、現存システムの効率を向上させること、及び見出した損失を利用してシステムの効率を向上させることは、環境及び国の経済の両方に利益となるであろう。
【0003】
現在、内燃機関の車両及び輸送は、エネルギー使用の最も大きい領域の1つである。ほとんどの車両は、未だにディーゼル及びガソリンなどの化石燃料によって動力を得ており、電気車両への移行は、未だ望ましいレベルにない。内燃エンジンを伴う車両は、エンジンが燃焼する燃料の内、非常に少ない部分のみしか効果的に使用することができず、ほとんどの燃料は、廃熱の伝達中、及びエンジン/排気における車両の駆動列への移動中に、損失する。この理由のため、上述の車両の様々な改善を行なうことによって、燃料消費の効率を向上させるための改善が必要とされる。
【0004】
内燃エンジンにおける熱電発電機を使用して、廃熱を回収することは、車両における燃費を向上させ、かつ二酸化炭素の排出を低減させるための、代替的なグリーンエネルギー技術である。ピストンで得られる熱出力の、概ね70%は、内燃エンジンの排気及び冷却によって損失する。概ね25%の有益なエネルギーは、エンジンの摩擦損失後に、エンジンの出力軸において生成される。内燃エンジンの廃熱を回収するため、特に冷却及び排気システムにおいて、研究が実施されている。熱電エネルギーの使用は、特に熱がアイドル状態で再循環されないときに、最も重要である。
【0005】
当技術分野で公知の、米国特許出願公開第2019003419号明細書は、廃熱回収システムに関する。この回収システムは、ターボチャージャー部、排気部、前記排気部におけるエキスパンダ、コンデンサ、弁、及び制御器を含む。コンデンサは、エンジンシステムを介した再循環のための作動流体を凝縮する。エキスパンダは、過熱形態の作動流体を受け入れ、作動流体の熱エネルギーを、機械エネルギーまたは電気エネルギーに変換する。
【0006】
当技術分野で公知の、米国特許出願公開第2020148053号明細書は、伝達システム、廃熱回収システム、制動アセンブリ、及び相変化蓄熱システムを備え、これらは車両における内燃エンジンのエンジンクランク軸に、選択的に接続される。この廃熱回収システムは、流体を伝達システム内で選択的に循環させる。制動アセンブリは、熱を生成しながら、伝達出力軸と駆動軸との間における相対回転数を遅らせる制動モードで、動作するよう構成される。この蓄熱システムは、少なくとも1つの空間を画定するハウジング、及び流体移行連結管を含む。制動モード中に相を変化させるよう構成された、空間における相変化物質が存在する。この廃熱回収システムは、制動熱を集積する流体移行連結管を介して、流体を循環させる。このように、流体に蓄積された熱から、エネルギー回収を実現するよう試みられる。
【0007】
排気廃熱からエネルギーを生成することは、当技術分野で試みられてきた。しかし、ここで言及される廃熱は、エンジンの廃熱よりも高い温度である。車両のエンジンで生成される廃熱は、当技術分野のラジエータを介して空気中に排出される。現在、車両の台数は絶えず増加しており、この理由のため、車両の廃熱は空気を加熱して、地球温暖化に小さい影響を与える。追加として、エンジンの燃焼中に生成されるエネルギーのほとんどは浪費され、機械エネルギーに変換することはできない。これら全てに追加して、より大きい負荷がエンジンにかけられ、より多くの燃料が消費されるか、または車両におけるエンジンの牽引性能が低下し、加熱/冷却動作において空調装置を使用するときに、炭素排出量が増加する。車両の熱からの回収を実現するよう試みられたとしても、望ましいレベルのエネルギー回収は、当技術分野で公知であるこれらの構造で実現することはできない。
【0008】
上述の全ての課題は、結果的に関連技術分野における刷新を成すことを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019003419号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020148053号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の欠点を排除するため、及び新たな利点を関連の技術分野にもたらすための、熱回収システムに関する。
【0011】
本発明の目的は、車両の廃熱を電気エネルギーに変換する、少なくとも1つの熱回収システムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、内燃エンジンを有する車両のエンジンを作動させることなく、空調システムを動作させることができる、熱回収システムを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、制動中またはアイドリング中に電気の生成を可能にできる、熱回収システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した全ての目的を実現するために、車両を動かすことができるエンジンから環境へ放出される廃熱を取り込んで再利用できる、少なくとも1つの熱回収システムであり、以下の詳細説明から明らかになる。したがって、本発明の新規性は、エンジンで加熱された第1の流体からの熱を、少なくとも1つの第2の流体、熱交換器における加熱によって圧縮された第2の流体から運動エネルギーを得ることができる少なくとも1つのタービンと、このタービンを出た第2の流体の熱を排出して、その熱を熱交換器に戻すことができる少なくとも1つのコンデンサと、タービンから得られた運動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる少なくとも1つの交流発電機、に移すことができる熱交換器を備えることである。このように、電気エネルギーを、車両のエンジンにおける廃熱から得ることができる。
【0015】
本発明の可能な実施形態は、上記の交流発電機で変換された電気エネルギーを、車両に直接的に使用できること、及び電気エネルギーを少なくとも1つのバッテリに蓄積できること、を特徴とする。このように、得られた電気エネルギーを、将来的に使用するために蓄えることができる。
【0016】
本発明の別の可能な実施形態は、交流発電機とタービンとの間で選択的に運動を移すための、少なくとも1つのクラッチが存在することを特徴とする。このように、タービン及び交流発電機は、取り外し可能な方法で互いに接続される。
【0017】
本発明の別の可能な実施形態は、交流発電機及びエンジンが、それらの間で選択的に運動を移すために、少なくとも1つの第2のクラッチによって接続可能であることを特徴とする。このように、タービン及びエンジンは、取り外し可能な方法で互いに接続されることが保証される。
【0018】
本発明の別の可能な実施形態は、交流発電機の動作が、少なくとも1つの制御ユニットによって管理可能であることを特徴とする。これによって使用者は、様々な条件に従って車両を管理することができる。
【0019】
本発明の別の可能な実施形態は、車両のエンジンが作動していないときに、車両の空調システムの動作を保証するために、交流発電機をバッテリによって始動でき、交流発電機によって始動されたタービンが第2の流体を圧縮できること、それによって第2の流体は加熱され、この加熱された第2の流体がその熱を、熱交換器を介して第1の流体に移して、第1の流体の熱が、空調システムに伝えられるよう構成されること、を特徴とする。このように、車両が走行していないときに、車両の内部を、熱回収システムにおける要素を用いて加熱できることが保証される。
【0020】
本発明の別の可能な実施形態は、第1の流体を確実に搬送するために、少なくとも1つの循環ポンプに接続されることを特徴とする。それによって、第1の流体の継続した循環が可能である。
【0021】
本発明の別の可能な実施形態は、車両が下り坂を進むか、ガスが圧縮されないときに、回生制動によって交流発電機を介して充電できることを特徴とする。これは、車両が制動中またはアイドリング中に、電気を生成するのを可能にする。
【0022】
本発明の別の可能な実施形態は、第2の流体の運動を支援するために、少なくとも1つの追加ポンプを備えることを特徴とする。それによって、第2の流体が熱回収システムで循環できることが保証される。
【0023】
本発明の別の可能な実施形態は、フロー制御をもたらすための少なくとも1つの弁を備えることを特徴とする。それによって、第2の流体が必要に応じて追加ポンプに導かれることが保証され得る。
【0024】
本発明の別の可能な実施形態は、第1の流体としての排ガスの熱が、復熱装置の適用によって受け取られるよう構成されることを特徴とする。それによって、電気を廃熱から得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の熱回収システムを伴う車両の、代表的な概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明を、詳細な説明における対象をより良好に理解するためだけの、いかなる限定効果も有さない例を用いて説明する。
【0027】
本発明は、熱回収システム(30)に関する。熱回収システム(30)は、特に車両(1)の走行中に、内燃エンジン(10)から出る廃熱を使用したエネルギーの再利用を提供する。熱回収システム(30)は、エンジン(10)の水の熱を吸収し、それを電気エネルギーに変換することに基づく。車両(1)に必要な電気エネルギーは、このように少なくとも部分的に満たされ得る。追加として、熱回収システム(30)を用いて過剰な電気エネルギーが生じた場合、車両(1)のバッテリー(60)に蓄えることができる。バッテリー(60)は、車両(1)のバッテリー、または電気車両がエネルギーを蓄えるバッテリーパックであってもよい。
【0028】
本発明の熱回収システム(30)を伴う車両(1)の、代表的な概要図が図1に示される。このように、熱回収システム(30)は、電気エネルギーを得るために、車両(1)のエンジン(10)からもたらされた廃熱を含んだ、少なくとも第1の流体を必要とする。本発明の好ましい実施形態において、第1の流体はエンジン(10)の冷却流体とし得る。したがって、一方でエンジン(10)を冷却し、他方では第1の流体における熱を再利用することができる。熱回収システムへの、第1の流体の搬送は、少なくとも1つの循環ポンプ(11)によってもたらされる。循環ポンプ(11)は、車両(1)のエンジン(10)に関連付けられ、第1の流体を熱回収システム(30)に循環させる。
【0029】
第1の流体の熱は、熱回収システム(30)における少なくとも1つの熱交換器(31)によって吸収させることができる。熱交換器(31)は、当技術分野で公知の熱交換器であってよい。熱交換器(31)は、第1の流体と、熱回収システム(30)に存在する第2の流体との間で、熱を交換するのを可能にする。この熱の移動は、双方向とすることもできる。熱回収システム(30)における第2の流体は、高温で熱を効率的に運ぶ、ある種の気体とすることができる。運動エネルギーは、第1流体からの、この気体によって移動された熱を伴って増加する。
【0030】
熱回収システム(30)は、熱交換器(31)に関連付けられた少なくとも1つのタービン(32)を有する。タービン(32)は、この第2の流体の運動エネルギーを、仕事に変換するために使用されるツールである。タービン(32)は、シャフト及びシャフト上のフラップを有し得る。第2の流体は、タービン(32)のフラップにぶつかり、タービン(32)のシャフトまで移動して、その運動は、シャフトの出力における機械的仕事に変化する。
【0031】
熱回収システム(30)は、タービン(32)に隣接した少なくとも1つのコンデンサ(33)を有する。コンデンサ(33)は、第2の流体の熱が排出されるのを可能にし、その運動エネルギーはタービン(32)で使用される。コンデンサ(33)は、加熱された流体の廃熱と、回収からの残りの廃熱とを環境に排出する。流体の冷却は、このようにもたらされる。フローの再循環は、冷却流体を熱交換器(31)まで導いて戻すことによって完了される。
【0032】
追加のポンプ(34)を使用して、熱回収システム(30)の流体循環を向上させることができる。追加のポンプ(34)は、加圧された第2の流体の運動を支援するために循環し得る。追加として、追加のポンプ(34)に隣接した少なくとも1つの逆止弁(35)が存在し得る。逆止弁(35)は、フローを一方向にするのを可能にする。逆止弁(35)は、基本的にシステムのための受動的安全手段をもたらす。
【0033】
タービン(32)を、熱回収システム(30)における少なくとも1つの交流発電機(40)に接続することができる。交流発電機(40)は電気機械要素であり、機械エネルギーを電流に変換する。交流発電機(40)によってタービン(32)から得られた機械エネルギーは、電気エネルギーに変換される。得られた電気エネルギーは、車両(1)に即座に使用するか、または車両(1)構造におけるバッテリー(60)に蓄えることができる。
【0034】
本発明で言及した交流発電機(40)は、一方の側でタービン(32)に、他方で車両(1)のエンジン(10)に関連付けることができる。交流発電機(40)とタービン(32)との間に、少なくとも1つの第1のクラッチ(41)が存在する。交流発電機(40)と車両(1)のエンジン(10)との間に、少なくとも第2のクラッチ(42)が存在する。第1のクラッチ(41)及び第2のクラッチ(42)は、交流発電機(40)が、他のユニットと取り外し可能に接続されるのを可能にする。第1のクラッチ(41)及び第2のクラッチ(42)は、使用者の要求に依存して磁気的に制御することができる。交流発電機(40)とクラッチとの関連は、熱回収システム(30)の第1のフロー方向(I)及び第2のフロー方向(II)に依存して変化する。クラッチは磁気特性を有するので、それらの位置を即座に変えることもできる。第1のクラッチ(41)及び第2のクラッチ(42)の即時管理は、少なくとも1つの制御ユニット(50)によって保証することができる。制御ユニット(50)は、このために、携帯デバイス/アプリケーション、または車両に位置された機能キーと一体化して、動作することができる。
【0035】
熱回収システム(30)は、ここまで説明した実施形態において、第1のフロー方向(I)で作動される。交流発電機(40)は、第1のフロー方向(I)で、第1のクラッチ(41)を介してタービン(32)に接続される。交流発電機(40)がこの位置にあるとき、第1の流体から得られた熱から、電気を生成することが保証される。交流発電機(40)は、車両(1)が走行していないときに、空調システム(20)が動作できることも保証する。熱回収システム(30)は、このために第2のフロー方向(II)で作動されなければならない。車両(1)におけるバッテリ(60)の電気は、車両(1)が走行していないときに、空調システム(20)の動作のために使用される。制御ユニット(50)を、使用者が携帯用アプリケーションを介して遠隔制御することができる。携帯用アプリケーションは、空調システム(20)の動作のために、使用者の制御ユニット(50)に命令を送る。制御ユニット(50)は、第1のクラッチ(41)を繋ぎ、かつ第2のクラッチ(42)を切って、空調システム(20)の動作を可能にする。バッテリ(60)から取り込んだエネルギーは、命令を受信した後に交流発電機(40)を作動させる。タービン(32)は、第2の流体を凝縮し、それを第2のフロー方向(II)で圧縮して、交流発電機(40)の動作を伴ってその運動エネルギーを増加させる。第2の流体は圧縮されるので、その温度は圧力と同様に増加する。温度が増加した第2の流体は、熱回収システム(30)において第2のフロー方向(II)に動かされる。この場合熱交換器(31)は、第2の流体の熱を第1の流体に移す。加熱された第1の流体は、車両(1)の空調システム(20)における暖房として使用することができる。熱交換器(31)において、第1の流体に熱を移す第2の流体は高圧であるので、それはコンデンサ(33)で凝縮し、追加のポンプ(34)を必要とせずに、少なくとも1つの弁(36)を通過することによって、その再循環を完了する。この実施形態において、循環ポンプ(11)は、エネルギーによって駆動することができ、それはバッテリ(60)を受け入れる。それによって車両(1)の空調システム(20)は、効果的に動作することができ、第1の流体を効果的に再利用することができる。
【0036】
この実施形態において、車両(1)が走行していて、エンジン(10)の水が特定の温度に達したとき、熱回収システム(30)は第1のフロー方向(I)に戻り、廃熱からエネルギーを生成し続けることができる。消費された電気を回収することによって生成された過剰エネルギーは、このように車両(1)のバッテリ(60)に送られる。
【0037】
別の実施形態において、第1のクラッチ(41)は切られ、第2のクラッチ(42)は繋がれる。すなわち交流発電機(40)は、タービン(32)から分離されて、車両(1)のエンジン(10)に接続される。この実施形態において、車両(1)が坂道を下るか、またはガスが圧縮されない場合に、電気が、交流発電機(40)を介して回生制動によって生成されることが保証される。回生制動は、エネルギー再生の機構であり、運動エネルギーを、即座に使用できるか、または必要になるまで蓄えることができる形態に変換することによって、走行中の車両(1)または対象物の速度を下げる。このように、制動パッドにおける負荷は軽減され、電気エネルギーを、ここでは損失熱として放出する代わりに蓄えることができる。その一方で、交流発電機(40)及び車両(1)のエンジン(10)は、互いに接続される。交流発電機(40)は、スタータ発電機としても機能する。交流発電機(40)がスタータ発電機として使用できる場合、最初の駆動は、車両(1)のエンジン(10)に与えることができる。これは、スタータダイナモを使用する必要性を排除して、車両(1)の製造コストを低減させる。
【0038】
本発明の代替実施形態において、空調システム(20)で必要とされる電気エネルギーは、第2のフロー方向(II)で熱回収システム(30)を作動させることによっても、もたらすことができる。両方のエネルギーは生成され、空調システム(20)は、このシステムを介して作動され、このように車両(1)の二酸化炭素の排出は減少することになる。本発明の別の代替実施形態において、第1の流体としての冷却流体に加えて、排ガスの熱も復熱装置の適用によって取り出され、このシステムに与えることができる。エネルギー再利用は、このように改善される。
【0039】
全実施形態で、車両(1)のエンジン(10)から取り出された廃熱は、熱回収システム(30)を介して電気エネルギーに変換され、車両(1)で使用される。車両(1)が得られた電気を用いて走行していないとき、車両(1)の空調システム(20)は、制御ユニット(50)を介して使用することができる。追加として、交流発電機(40)とエンジン(10)との接続によって、電気の生成は、回生制動の間に成すことができる。追加として、スタータ発電機の必要性は、交流発電機(40)のエンジン(10)との接続によって排除される。
【0040】
本発明の保護範囲は、添付の「特許請求の範囲」で明記され、この「発明を実施するための形態」において例示目的で説明したものに限定することはできない。当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、上述の事実を考慮して類似の実施形態を提示し得ることは、明白である。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
10 エンジン
11 循環ポンプ
20 空調システム
30 熱回収システム
31 熱交換器
32 タービン
33 コンデンサ
34 追加のポンプ
35 逆止弁
36 弁
40 交流発電機
41 第1のクラッチ
42 第2のクラッチ
50 制御ユニット
60 バッテリ
(I) 第1のフロー方向
(II) 第2のフロー方向
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)を動かすことができるエンジン(10)から環境へ放出される廃熱を、取り込んで再び利用可能にできる、少なくとも1つの熱回収システム(30)であって、以下の要素すなわち、
熱を、前記エンジン(10)によって加熱された第1の流体から少なくとも1つの第2の流体へ移すことができる、少なくとも1つの熱交換器(31)と、
前記熱交換器(31)で加熱することで加圧された前記第2の流体から、運動エネルギーを得ることができる、少なくとも1つのタービン(32)と、
前記タービン(32)を出た前記第2の流体の熱を排出して、その熱を前記熱交換器まで戻すことができる、少なくとも1つのコンデンサ(33)と、
前記タービン(32)から得られた運動エネルギーを電気エネルギーに変換することができる、少なくとも1つの交流発電機(40)と、前記交流発電機(40)で変換された電気エネルギーを、前記車両(1)に直接的に使用するため、及び前記電気エネルギーを蓄積するための、少なくとも1つのバッテリ(60)と、
を備えること、ならびに
前記車両(1)の前記エンジン(10)を作動させずに、前記車両(1)の空調システム(20)の動作を保証するために、使用者の命令後の、前記空調システム(20)の動作の際に、制御ユニット(50)は、第1のクラッチ(41)を繋ぎ、かつ第2のクラッチ(42)を切るように構成され、前記交流発電機(40)を前記バッテリ(60)によって作動させることができ、前記交流発電機(40)によって作動された前記タービン(32)は、前記第2の流体を圧縮することで加熱することができ、加熱された前記第2の流体はその熱を、前記熱交換器(31)を介して前記第1の流体に移し、前記第1の流体の熱は、前記空調システム(20)まで運ぶよう構成されること、
を特徴とする、熱回収システム(30)。
【請求項2】
前記交流発電機(40)と前記タービン(32)との間で、運動を選択的に移すための、少なくとも1つの第1のクラッチ(41)が存在することを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項3】
前記交流発電機(40)及び前記エンジン(10)は、それらの間で運動を選択的に移すために、少なくとも1つの第2のクラッチ(42)によって接続されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項4】
前記交流発電機(40)の動作が、少なくとも1つの制御ユニット(50)によって管理可能であることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項5】
前記第1の流体を確実に搬送するために、少なくとも1つの循環ポンプ(11)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項6】
前記車両(1)が下り坂を進むか、ガスが圧縮されないときに、回生制動によって前記交流発電機(40)を介して充電できることを特徴とする、請求項に記載の熱回収システム(30)。
【請求項7】
前記第2の流体の運動を支援するために、少なくとも1つの追加ポンプ(34)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項8】
フローの制御を提供するために、少なくとも1つの弁(36)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【請求項9】
前記第1の流体としての排ガスの熱は、復熱装置の適用によって受け取られるよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載の熱回収システム(30)。
【国際調査報告】