(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電池ケース、それを有する電池パック及び車両
(51)【国際特許分類】
H01M 50/591 20210101AFI20240409BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/231 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240409BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M50/224
H01M50/211
H01M50/588
H01M50/231
H01M50/233
H01M50/593
H01M50/249
H01M50/227
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555725
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2022099506
(87)【国際公開番号】W WO2023273920
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202121466144.8
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼佳佳
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】彭青波
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA18
5H040AS07
5H040AT04
5H040AY05
5H040AY08
5H040LL01
5H040LL06
5H043AA04
5H043AA19
5H043CA05
5H043CA08
5H043GA23
5H043GA24
5H043HA06
5H043HA22
5H043HA23
5H043JA15
5H043KA28
5H043KA29
5H043KA45
5H043LA00
5H043LA02
5H043LA11
(57)【要約】
電池ケース、それを有する電池パック及び車両であり、電池ケース(100)は、セル(500)を収容する収容キャビティ(101)が複数形成された金属フレーム(10)を含み、収容キャビティ(100)の内面に絶縁被覆層(40)が設けられ、絶縁被覆層の厚さDは、(I)式を満たし、Iは、試験電流であり、Vは、試験電圧であり、pは、絶縁被覆層の体積抵抗率であり、Dは、絶縁被覆層の溶射厚さであり、Aは、絶縁被覆層の溶射総面積である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル(500)を収容する収容キャビティ(101)が複数形成された金属フレーム(10)を含み、複数の前記収容キャビティ(101)は、間隔をおいて配置され、前記収容キャビティ(101)の内面に絶縁被覆層(40)が設けられ、
前記絶縁被覆層(40)の厚さDは、下式を満たし、
【数1】
式中、Vは、試験電圧であり、単位がボルトであり、前記試験電圧Vは、3000ボルト以上であり、Iは、試験電流であり、単位がアンペアであり、前記試験電流Iは、1ミリアンペア未満であり、pは、絶縁被覆層(40)の体積抵抗率であり、単位がΩ・mであり、Dは、絶縁被覆層(40)の溶射厚さであり、単位がmであり、Aは、絶縁被覆層(40)の溶射総面積であり、単位がm
2である、ことを特徴とする電池ケース。
【請求項2】
前記絶縁被覆層(40)の破断伸びは、100%よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース。
【請求項3】
前記絶縁被覆層(40)の厚さは、0.05mm~0.3mmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池ケース。
【請求項4】
前記絶縁被覆層(40)は、ポリウレタン被覆層である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池ケース。
【請求項5】
前記金属フレーム(10)は、ハウジング(1)と、複数の仕切板(2)とを含み、
前記ハウジング(1)は、第1方向における少なくとも一端が開口し、
前記複数の仕切板(2)は、前記ハウジング(1)内に設けられ、前記第1方向に沿って延在するとともに、前記第1方向に垂直な第2方向に間隔をおいて配置され、前記ハウジング(1)の内部空間を複数の前記収容キャビティ(101)に仕切る、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電池ケース。
【請求項6】
各前記収容キャビティ(101)の高さは、0.1m~0.13mである、ことを特徴とする請求項5に記載の電池ケース。
【請求項7】
各前記収容キャビティ(101)内の前記絶縁被覆層(40)の溶射面積は、0.1m
2~0.5m
2である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電池ケース。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の電池ケース(100)と、
前記収容キャビティ(101)内に設けられたセル(500)と、を含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項9】
前記セル(500)は、パウチセルであり、前記収容キャビティ(101)内に複数の前記パウチセルが設けられ、複数の前記パウチセルは、第1方向に沿って配置されるとともに、直接接続され、前記電池パック(1000)は、複数の前記パウチセルの外側に被覆された絶縁フィルム(600)をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の電池パック(1000)を含む、ことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願番号が202121466144.8で、出願日が2021年6月30日である中国特許出願に基づいて提出され、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電池ケース、それを有する電池パック及び車両に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術では、多くの電池パックのセルは、いずれもPET絶縁フィルム(耐熱ポリエステルフィルム)によって被覆されてアルミニウムハウジング又は端板、側板から絶縁され、PETフィルムは、一般に、感圧接着剤によりセルに接着固定されるか、又はホットプレスプロセスにより、PETが側板及び端板にホットプレスされるが、該技術手段では、各セルに絶縁フィルムを被覆する必要があるため、操作が煩雑であり、被覆フィルムにしわが発生しやすく、組み立てに影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決しようとする。このため、本願は、構造が簡単であり、セルから確実に絶縁され、セルの組み立てに影響を与えない、電池ケースを提供することを目的とする。
【0005】
本願は、上記電池ケースを有する電池パックをさらに提供する。
【0006】
本願は、上記電池パックを有する車両をさらに提供する。
【0007】
本願の第1態様に係る電池ケースは、セルを収容する収容キャビティが複数形成された金属フレームを含み、複数の前記収容キャビティは、間隔をおいて配置され、前記収容キャビティの内面に絶縁被覆層が設けられ、前記絶縁被覆層の厚さDは、
【数1】
を満たし、式中、Iは、試験電流であり、単位がアンペアであり、Vは、試験電圧であり、単位がボルトであり、pは、絶縁被覆層の体積抵抗率であり、単位がΩ・mであり、Dは、絶縁被覆層の溶射厚さであり、単位がmであり、Aは、絶縁被覆層の溶射総面積であり、単位がm
2であり、いくつかの実施例において、前記試験電圧Vは、3000ボルト以上であり、前記試験電流Iは、1ミリアンペア未満である。
【0008】
本願に係る電池ケースは、間隔をおいて配置された複数の収容キャビティを設けるとともに、収容キャビティの内面に絶縁被覆層を設けることにより、電池ケースとセルの間の絶縁効果を向上させ、絶縁不良のリスクを低減し、電池パックの安全性能を向上させることができる。
【0009】
本願の具体的な例において、前記絶縁被覆層の破断伸びは、100%よりも大きい。
【0010】
本願の具体的な例において、前記絶縁被覆層の厚さは、0.05mm~0.3mmである。
【0011】
本願の具体的な例において、前記絶縁被覆層は、ポリウレタン被覆層である。
【0012】
本願の具体的な例において、前記金属フレームは、ハウジングと、複数の仕切板と、を含み、前記ハウジングは、第1方向における少なくとも一端が開口し、前記複数の仕切板は、前記ハウジング内に設けられ、前記第1方向に沿って延在するとともに、前記第1方向に垂直な第2方向に間隔をおいて配置され、前記ハウジングの内部空間を複数の前記収容キャビティに仕切る。
【0013】
本願の具体的な例において、各前記収容キャビティの高さは、0.1m~0.13mである。
【0014】
本願の具体的な例において、各前記収容キャビティ内の前記絶縁被覆層の溶射面積は、0.1m2~0.5m2である。
【0015】
本願の第2態様に係る電池パックは、本願の第1態様に係る電池ケースと、前記収容キャビティ内に設けられたセルと、を含む。
【0016】
本願に係る電池パックは、上記第1態様の電池ケースを設けることにより、電池ケースとセルの間の絶縁効果を向上させ、絶縁不良のリスクを低減し、電池パックの安全性能を向上させることができるため、電池パックの全体的な性能を向上させる。
【0017】
本願の具体的な例において、前記セルは、パウチセルであり、前記収容キャビティ内に複数の前記パウチセルが設けられ、複数の前記パウチセルは、第1方向に沿って配置されるとともに、直接接続され、前記電池パックは、複数の前記パウチセルの外側に被覆された絶縁フィルムをさらに含む。
【0018】
本願の第3態様に係る車両は、本願の第2態様に係る電池パックを含む。
【0019】
本願の第3態様に係る車両は、上記第2態様の電池パックを設けることにより、車両の全体的な性能を向上させる。
【0020】
本願の追加的な態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願の実施例に係る電池ケースの一角度から見た概略図である。
【
図2】
図1に示す電池ケースの別の角度から見た概略図である。
【
図3】
図1に示す電池ケースのまた別の角度から見た概略図である。
【
図4】
図1に示す電池ケースのさらに別の角度から見た概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る電池パックの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0023】
以下、
図1~
図4を参照して、本願の第1態様の実施例に係る電池ケース100を説明する。
【0024】
図1に示すように、本願の第1態様の実施例に係る電池ケース100は、セル500を収容する収容キャビティ101が複数形成された金属フレーム10を含み、複数の上記収容キャビティ101は、間隔をおいて配置され、上記収容キャビティ101の内面に絶縁被覆層40が設けられる。つまり、電池ケース100内には、間隔をおいて配置された収容キャビティ101が複数形成されてもよく、複数の収容キャビティ101は、いずれもセル500を収容し、例えば、収容キャビティ101は、パウチセルを載置してもよく、各収容キャビティ101の内壁面には、いずれも絶縁被覆層40が溶射又は塗布される。
【0025】
本実施例において、電池ケース100内に複数の収容キャビティ101を形成し、各収容キャビティ101にそれぞれセル500(例えば、パウチセル)を設け、例えば、1つの収容キャビティ101内に1群(1列)のみのパウチセル(各群のパウチセルが接続された複数のパウチセルを含んでもよい)を設けることにより、電池ケース100内の複数群のセル500を分離することができるため、各収容キャビティ101内に配置されるセル群の数をより少なくすることができ、各収容キャビティ101内のセル500をより容易に固定し、セル500を固定する効果を向上させ、そして、複数群のセル500は、異なる収容キャビティ101によって分離されるため、複数群のセル500間の断熱効果が高くなり、このように、ある群のセル500に問題が生じる場合、他群のセル500に直接的に影響を与えず、他群のセル500に問題が連鎖的に生じることを回避し、電池パック1000の安全性能を向上させる。
【0026】
さらに、本実施例において、各収容キャビティ101の内壁面に絶縁被覆層40を設けることにより、セル500が収容キャビティ101に載置されている場合、絶縁被覆層40は、セル500と電池ケース100の金属フレーム10との間に電気的分離の効果を達成することにより、電池ケース100とセル500の間の絶縁効果を保証することができる。また、絶縁被覆層40が収容キャビティ101の内壁面に直接的に溶射又は塗布されるため、絶縁被覆層40が収容キャビティ101の内面を効果的に覆うことを保証することができ、このようにして、セル500と金属フレーム10の間の沿面距離を増加させ、絶縁不良のリスクを低減することができる。
【0027】
さらに、上記絶縁被覆層40の厚さDは、下式を満たすことができ、
【数2】
式中、Iは、試験電流であり、単位がアンペアであり、Vは、試験電圧であり、単位がボルトであり、pは、絶縁被覆層40の体積抵抗率であり、単位がΩ・mであり、Dは、絶縁被覆層40の溶射厚さであり、単位がmであり、Aは、絶縁被覆層40の溶射総面積であり、単位がm
2である。
【0028】
なお、試験電圧と試験電流は、本実施例の電池ケース100に対して絶縁性能試験を行う時の試験電圧と試験電流である。
【0029】
本実施例において、上記関係式を満たすように絶縁被覆層40の厚さDを設定することにより、絶縁被覆層40は、電池ケース100とセル500の間の絶縁性能の要求を満たし、絶縁不良のリスクを低減し、電池パック1000の安全性能を向上させることができる。
【0030】
さらに、上記試験電圧Vは、3000ボルト以上であり、上記試験電流Iは、1ミリアンペア未満であり、すなわち、V≧3000v、I<1mAである。これにより、絶縁被覆層40は、電池ケース100とセル500の間の絶縁性能の要求を満たすことができる。
【0031】
本願の実施例に係る電池ケース100は、間隔をおいて配置された複数の収容キャビティ101を設けるとともに、収容キャビティ101の内面に絶縁被覆層40を設けることにより、電池ケース100とセル500の間の絶縁効果を向上させ、絶縁不良のリスクを低減するだけでなく、異なる収容キャビティ101内のセル500を相互に分離して、電池パック1000の安全性能を向上させることができる。また、セル500の収容キャビティへの組み込みを容易にする。
【0032】
本願の一実施例において、上記絶縁被覆層40は、ポリウレタン被覆層であってもよい。つまり、絶縁被覆層40は、主にポリウレタン被覆層材料であり、ポリウレタン被覆層材料は、弾性係数が低く、セル500に対して緩衝、衝撃吸収の役割を果たし、セル500の局所的な応力集中を解消することができる。また、ポリウレタン被覆層は、電池ケース100の収容キャビティ101の内面を効果的に覆い、パウチセルと金属フレーム10の間の沿面距離を増加させ、絶縁不良のリスクを低減することができる。
【0033】
さらに、本願の一実施例において、上記絶縁被覆層40の破断伸びは、100%よりも大きくてもよい。例えば、絶縁被覆層40の破断伸びは、110%、120%、130%、150%、170%又は200%などであってもよい。このようにして、絶縁被覆層40の破断伸びは、高く、セル500が接着により収容キャビティ内に固定されている場合、絶縁被覆層40は、セル500に対して緩衝、衝撃吸収の役割を果たし、セル500の局所的な応力集中を解消することができる。
【0034】
本願のいくつかの実施例において、上記絶縁被覆層40の厚さは、0.05mm~0.3mmであり、つまり、絶縁被覆層40の厚さは、0.05mm~0.3mmの範囲にあってもよい。例えば、絶縁被覆層40の厚さは、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mmなどであってもよい。このようにして、ユーザは、異なる電池パック1000、異なるセル500の電圧及び電流に基づいて、異なる電池パック1000及び異なるセル500の絶縁要求を満たすように、絶縁被覆層40の厚さを決定することができる。
【0035】
本願のいくつかの実施例において、
図1に示すように、上記金属フレーム10は、ハウジング1と複数の仕切板2を含み、ハウジング1は、箱状形状に形成されてもよく、上記ハウジング1は、第1方向(例えば、
図1に示す前後方向)における少なくとも一端が開口し、第1方向は、ハウジングの長さ方向であってもよく、ハウジングの幅方向であってもよい。例えば、ハウジング1は、直方体箱状形状に形成され、ハウジング1は、長さ方向における両端がいずれも開口し、換言すれば、ハウジング1は、矩形環状となるように順に接続された上側板、左側板、下側板及び右側板を有し、上側板と下側板は、上下に平行であり、間隔をおいて配置され、左側板と右側板は、平行であり、間隔をおいて配置され、上側板と左側板は、相互に垂直である。
【0036】
さらに、複数の上記仕切板2は、上記ハウジング1内に設けられ、複数の仕切板2は、いずれも第1方向(例えば、
図1に示す前後方向)に沿って延在するとともに、第1方向(例えば、
図1に示す前後方向)に垂直な第2方向(例えば、
図1に示す左右方向)に間隔をおいて配置され、ハウジング1の内部空間を複数の収容キャビティ101に仕切り、換言すれば、隣接する2つの上記仕切板の間に収容キャビティ101が画定され、複数の仕切板2のうちの、ハウジング1の幅方向の最外側にある2つの仕切板2と、ハウジング1の幅方向における2つの側板(例えば、ハウジング1の左側板及び右側板)との間に、それぞれ収容キャビティ101が画定されてもよい。このようにして、ハウジング1内に複数の収容キャビティ101を形成することができ、複数の収容キャビティ101は、ハウジング1の幅方向に間隔をおいて配置されるとともに、ハウジング1の長さ方向に延在する。これにより、水平に間隔をおいて配置された複数の収容キャビティ101を形成する前提下で、電池ケース100の構造を簡略化し、セル500の対応する収容キャビティ101への組み込みを容易にすることができる。
【0037】
なお、第1方向がハウジングの長さ方向である場合、第2方向は、ハウジングの幅方向であり、第1方向がハウジングの幅方向である場合、第2方向は、ハウジングの長さ方向である。
【0038】
いくつかの例において、上記金属フレーム10は、一体成形されてもよく、換言すれば、上記金属フレーム10は、別体式取り外し可能な構造ではない。このようにして、電池ケース100の全体性を向上させ、電池ケース100の全体の強度を向上させることができる。
【0039】
いくつかの例において、各収容キャビティ101の高さは、0.1m~0.13mであり、つまり、各収容キャビティ101の高さは、0.1m~0.13mの範囲にあってもよい。
図2に示すように、収容キャビティ101の上下方向における高さは、0.1m~0.13mの範囲にある。例えば、収容キャビティ101の高さは、0.11m、0.12mなどであってもよい。このようにして、ユーザは、セル群におけるセル500の数に基づいて、一定の数のセル500を直列接続したサイズが収容キャビティ101のサイズに合わせ、セル群における複数のセル500が収容キャビティ101を満たすように、収容キャビティ101のサイズを設定することができる。
【0040】
いくつかの例において、各収容キャビティ101内の絶縁被覆層40の溶射面積は、0.1m2~0.5m2であり、つまり、各収容キャビティ101内の絶縁被覆層40の溶射面積は、0.1m2~0.5m2の範囲にあってもよい。例えば、各収容キャビティ101内の絶縁被覆層40の溶射面積は、0.2m2、0.3m2、0.4m2などであってもよい。
【0041】
図1に示すように、電池ケース100は、直方体形状のハウジング1と、ハウジング1内に設けられた複数の仕切板2とを含み、ハウジング1の前側と後側は、いずれも開口し、仕切板2は、前後方向に沿って延在するとともに、ハウジング1の左右方向に間隔をおいて配置され、仕切板2は、ハウジング1内の空間を、左右に沿って間隔をおいて配列された複数の収容キャビティ101に仕切り、各収容キャビティ101は、底壁、頂壁、左側壁及び右側壁を有し、絶縁被覆層40は、収容キャビティ101の底壁、頂壁、左側壁及び右側壁に溶射され、各収容キャビティ101内の絶縁被覆層40の溶射面積は、収容キャビティ101の底壁、頂壁、左側壁及び右側壁の4つの壁面の総面積と等しい。各収容キャビティ101の内壁の総面積、すなわち、各収容キャビティ101内の絶縁被覆層40の溶射面積は、0.1m
2~0.5m
2の範囲にあってもよい。
【0042】
これにより、収容キャビティ101の全ての内壁に絶縁被覆層40が溶射されることを保証して、電池ケース100とセル500との電気的な絶縁効果を保証することができる。
【0043】
いくつかの実施例において、電池ケース100は、取付座3をさらに含み、取付座3は、2つあり、2つの取付座3は、それぞれハウジング1の幅方向の両側に設けられ、ハウジング1の幅方向に対称的に配置される。さらに、取付座3は、ハウジング1の幅方向に沿ってハウジング1から離れて外部に延在するとともに、ハウジング1の長さ方向に沿って帯状に延在する。取付座3には、ハウジング1の高さ方向(例えば、
図1に示す上下方向)に沿って取付座3を貫通する取付孔31が形成され、各取付座3における取付孔31の数は、複数であり、複数の取付孔31は、ハウジング1の長さ方向(例えば、
図1に示す前後方向)に間隔をおいて配置される。
【0044】
本願の第2態様の実施例に係る電池パック1000は、本願の上記第1態様の実施例に係る電池ケース100と、収容キャビティ101内に設けられたセル500と、を含む。好ましくは、セル500は、アルミニウムハウジングセル、パウチセル又は円筒セルであってもよい。
【0045】
本願の実施例に係る電池パック1000の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0046】
本願の実施例に係る電池ケース100は、上記第1態様の実施例の電池ケース100を設けることにより、電池ケース100とセル500の間の絶縁効果を向上させ、絶縁不良のリスクを低減するだけでなく、異なる収容キャビティ101内のセル500を相互に分離して、電池パック1000の安全性能を向上させることができるため、電池パック1000の全体的な性能を向上させる。
【0047】
例えば、電池パック1000は、電池ケース100及びパウチセルを含んでもよく、電池ケース100内に複数の収容キャビティ101を有し、パウチセルは、複数群形成され、各セル500群には、接続された複数のセル500が含まれる。複数のパウチセル群は、複数の収容キャビティ101と一対一対応してもよく、各パウチセル群は、対応する収容キャビティ101内に設けられてもよく、パウチセル群の数は、収容キャビティ101の数より大きくてもよく、このとき、1つの収容キャビティ101に1つ又は複数のパウチセル群を設けてもよく、好ましくは、各収容キャビティ101内のパウチセル群の数を2以下にする。
【0048】
本願のいくつかの実施例において、上記セル500は、パウチセルであり、収容キャビティ内に複数のパウチセルが設けられ、収容キャビティ内の複数のパウチセルは、第1方向(例えば、
図1に示す前後方向)に沿って配置されるとともに、直接接続され、例えば、収容キャビティ内の複数のパウチセルは、収容キャビティの長さ方向に沿って順に直接接続されてもよい。
【0049】
さらに、電池パック1000は、複数のパウチセルの外側に被覆された絶縁フィルム600をさらに含んでもよく、つまり、複数のパウチセルの外側に絶縁フィルム600が被覆されてもよく、例えば、絶縁フィルム600は、PET絶縁フィルム600であってもよく、上記絶縁フィルム600は、感圧接着剤により複数のパウチセルに接着されてもよい。パウチセルの外側に絶縁フィルム600を被覆することにより、絶縁フィルム600は、パウチセル群を仮固定して、パウチセル群の電池ケース100の収容キャビティ101への組み込みを容易にするだけでなく、絶縁フィルム600と、絶縁被覆層40とは、パウチセル群と電池ケース100の金属フレーム10との間に2層の絶縁構造を形成して、パウチセルと電池ケース100の金属フレーム10の間の絶縁効果を向上させることができる。
【0050】
本願のいくつかの実施例において、パウチセル群の外側に被覆された絶縁フィルム600と、収容キャビティ101の内面の絶縁被覆層40とは、接着接続され、例えば、絶縁フィルム600の外面及び/又は収容キャビティの内面の絶縁被覆層40に接着層が塗布され、パウチセル群が収容キャビティ内に組み込まれる場合、絶縁フィルム600と絶縁被覆層40とは、接着層により接着される。ここでは、収容キャビティ101の内面に絶縁被覆層40が設けられ、絶縁被覆層40材料と電池ケース100の金属フレーム10(例えば、アルミニウム合金フレーム)との間の付着力が非常に高く、そして、絶縁被覆層40材料は、表面張力が高く、接着層の接着剤によって良好に濡れて高い接着強度を得ることができるため、絶縁被覆層40と絶縁フィルム600との接着接続に有利となり、セル500の構造の固定効果を向上させることができる。
【0051】
以下、
図1~
図4を参照して、本願の具体的な実施例に係る電池パック1000を説明する。
【0052】
図1~
図4に示すように、電池パック1000は、電池ケース100と、電池ケース100内に設けられた複数のセル500とを含む。
【0053】
具体的には、電池ケース100は、金属フレーム10と絶縁被覆層40を含み、金属フレーム10は、一体成形されたオールアルミニウム材質であり、金属フレーム10のハウジング1は、直方体形状の中空構造に形成され、ハウジング1の前側と後側は、開口し、ハウジング1の内部に複数の仕切板2が設けられ、仕切板2は、前後方向に沿って延在し、ハウジング1内の空間を、左右に間隔をおいて配置された複数の収容キャビティ101に仕切り、収容キャビティ101は、パウチセルを収容する。
【0054】
ハウジング1の前後方向における長さは、1.5m~2mの範囲にあり、ハウジング1の左右方向における幅は、1m~1.5mの範囲にあり、ハウジング1の上下方向における高さは、0.1m~0.15mの範囲にあり、各収容キャビティ101の左右方向における幅は、0.01m~0.05mの範囲にあり、収容キャビティ101の上下方向における高さは、0.1m~0.13mの範囲にある。
【0055】
収容キャビティ101の4つの面には、いずれも絶縁被覆層40が溶射又は塗布され、パウチセルとアルミニウム製のハウジング1の間は、絶縁被覆層40によって絶縁される。絶縁被覆層40の厚さは、一定の厚さ値を満たす必要があり、絶縁被覆層40の厚さを、公式I=V*A/(p*D)に従って計算してもよく、式中、Vは、試験電圧であり、単位がvであり、pは、絶縁層の体積抵抗率であり、単位がΩ*mであり、Dは、絶縁層の溶射厚さであり、単位がmであり、Aは、絶縁層の溶射総面積であり、単位がm2であり、Iは、試験電流であり、単位がAであり、一般に、I<1mAを満たす必要があり、V=3000vである。単一の収容キャビティ101の絶縁被覆層40の溶射面積は、0.1m2~0.5m2であり、絶縁被覆層40の溶射厚さは、0.05mm~0.3mmである。
【0056】
複数のセル500は、複数のセル群に形成されてもよく、各セル群は、いずれも複数のセル500を含み、各セル群における複数のセル500は、第1方向(例えば、
図1に示す前後方向)に配置されるとともに、直列接続されてもよく、1つの収容キャビティ101内に1つ又は2つのセル群が設けられてもよい。セル群が接着により収容キャビティ101の内部に固定される場合、絶縁被覆層40をハウジング1の内面に溶射してもよく、被覆層材料と金属フレーム10との間の付着力が非常に高く、そして、接着層によりセル群を収容キャビティの内面の絶縁被覆層40に接着接続し、被覆層材料は、表面張力が高く、接着剤によって良好に濡れて高い接着強度を得ることができるため、パウチセル群と絶縁被覆層40との接着効果を向上させ、パウチセル群の構造の固定効果を向上させることができる。
【0057】
さらに、絶縁被覆層40は、主にポリウレタン被覆層材料であり、ポリウレタン被覆層は、弾性係数が低く、破断伸び>100%であり、セル群が収容キャビティの内面に接着される場合、セル群は、収容キャビティにおいて剪断応力及び引張応力に加えて、セル群の長さ方向に沿ったねじりモーメントを受け、このとき、モーメントアームは、セル群の長さであり、応力集中が発生して破損しやすく、本実施例のポリウレタン被覆層材料は、緩衝、衝撃吸収、応力集中解消の役割を果たすことができる。
【0058】
本願の実施例に係る電池パック1000は、電池ケース100の収容キャビティ101の内面に絶縁被覆層40が溶射され、このような被覆層材料は、アルミニウム材型キャビティの内面を効果的に覆い、パウチセルとアルミニウム材の間の沿面距離を増加させ、絶縁不良のリスクを低減することができる。
【0059】
本願の第3態様の実施例に係る車両10000は、本願の上記第2態様の実施例に係る電池パック1000を含む。
【0060】
本願の実施例に係る車両10000の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここで詳細に説明しない。
【0061】
本願の実施例に係る車両10000は、上記第2態様の実施例の電池パック1000を設けることにより、電池ケース100とセル500の間の絶縁効果を向上させ、絶縁不良のリスクを低減し、車両10000の安全性能を向上させることができる。
【0062】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解してはならない。
【0063】
また、用語「第1」、「第2」は、説明目的のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すと理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗示的に含んでよい。本願の説明において、「複数」とは、別に明確かつ具体的な限定がない限り、2つ又は2つ以上を意味する。
【0064】
本願において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続、電気的な接続、通信であってもよく、直接的な連結、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品内部の連通、又は2つの部品の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0065】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を意味するわけではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。また、互いに矛盾しない場合、当業者であれば、本明細書で説明された異なる実施例又は例、及び異なる実施例又は例の特徴を結合し、組み合わせることができる。
【0066】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 電池ケース
101 収容キャビティ
10 金属フレーム
1 ハウジング
2 仕切板
3 取付座
31 取付孔
40 絶縁被覆層
500 セル
600 絶縁フィルム
1000 電池パック
10000 車両
【手続補正書】
【提出日】2023-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル(500)を収容する収容キャビティ(101)が複数形成された金属フレーム(10)を含み、複数の前記収容キャビティ(101)は、間隔をおいて配置され、前記収容キャビティ(101)の内面に絶縁被覆層(40)が設けられ、
前記絶縁被覆層(40)の厚さDは、下式を満たし、
【数1】
式中、Vは、試験電圧であり、単位がボルトであり、前記試験電圧Vは、3000ボルト以上であり、Iは、試験電流であり、単位がアンペアであり、前記試験電流Iは、1ミリアンペア未満であり、pは、絶縁被覆層(40)の体積抵抗率であり、単位がΩ・mであり、Dは、絶縁被覆層(40)の溶射厚さであり、単位がmであり、Aは、絶縁被覆層(40)の溶射総面積であり、単位がm
2である、ことを特徴とする電池ケース。
【請求項2】
前記絶縁被覆層(40)の破断伸びは、100%よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の電池ケース。
【請求項3】
前記絶縁被覆層(40)の厚さは、0.05mm~0.3mmである、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池ケース。
【請求項4】
前記絶縁被覆層(40)は、ポリウレタン被覆層である、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池ケース。
【請求項5】
前記金属フレーム(10)は、ハウジング(1)と、複数の仕切板(2)とを含み、
前記ハウジング(1)は、第1方向における少なくとも一端が開口し、
前記複数の仕切板(2)は、前記ハウジング(1)内に設けられ、前記第1方向に沿って延在するとともに、前記第1方向に垂直な第2方向に間隔をおいて配置され、前記ハウジング(1)の内部空間を複数の前記収容キャビティ(101)に仕切る、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池ケース。
【請求項6】
各前記収容キャビティ(101)の高さは、0.1m~0.13mである、ことを特徴とする請求項5に記載の電池ケース。
【請求項7】
各前記収容キャビティ(101)内の前記絶縁被覆層(40)の溶射面積は、0.1m
2~0.5m
2である、ことを特徴とする請求項
5に記載の電池ケース。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の電池ケース(100)と、
前記収容キャビティ(101)内に設けられたセル(500)と、を含む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項9】
前記セル(500)は、パウチセルであり、前記収容キャビティ(101)内に複数の前記パウチセルが設けられ、複数の前記パウチセルは、第1方向に沿って配置されるとともに、直接接続され、前記電池パック(1000)は、複数の前記パウチセルの外側に被覆された絶縁フィルム(600)をさらに含む、ことを特徴とする請求項8に記載の電池パック。
【請求項10】
請求項
8に記載の電池パック(1000)を含む、ことを特徴とする車両。
【国際調査報告】