IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クールイット システムズ,インコーポレーテッドの特許一覧

特表2024-516502制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法
<>
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図1
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図2
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図2A
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図3
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図4
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図5
  • 特表-制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】制御ロジックの監視並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240409BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240409BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20240409BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F11/07 151
G06F1/20 A
G06F1/20 E
H01L23/34 Z
G06F11/07 193
G06F11/07 140Q
G05B19/042
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557684
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022052559
(87)【国際公開番号】W WO2022195568
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】63/163,661
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/174,074
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】523356318
【氏名又は名称】クールイット システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】シャドボルト,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】カズンズ,レニー
(72)【発明者】
【氏名】プラチェク,ダニエル
【テーマコード(参考)】
5B042
5F136
5H220
【Fターム(参考)】
5B042JJ21
5B042JJ25
5B042JJ29
5B042KK02
5B042KK03
5F136HA10
5H220AA01
5H220AA04
5H220BB09
5H220CC06
5H220EE06
5H220HH08
5H220JJ02
5H220JJ07
5H220JJ12
5H220JJ17
(57)【要約】
熱伝達システムの動作を制御するためのコントローラは、監視制御ロジックによって監視される。監視制御ロジックは、例えば、システム制御ロジックの健全性状況を示す、システム制御ロジックからの出力をモニタリングすることによって、システム制御ロジックの健全性状況をモニタリングする。実用的な実施形態では、監視制御ロジックは、システム制御ロジックによって発せられる出力信号、例えば、ストローブ信号をモニタリングする。制御ロジックの健全性の変化(例えば、性能の劣化)の検出に応答して、監視制御ロジックは、コマンド若しくは信号を発行するか、又は、そうでなければ、システム制御ロジックに、複数の動作から選択された、選択された1つ以上の他の動作を行わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達システムのための制御システムであって、前記制御システムは、
第1のプロセッサと、第1のメモリと、第1の通信接続とを有するシステム制御ロジックであって、前記第1のメモリは、前記第1のプロセッサによって実行されると、前記制御システムに、前記システム制御ロジックの健全性の指標を前記第1の通信接続から送信させ、かつ前記熱伝達システムの動作を制御させる第1の命令を記憶する、システム制御ロジックと、
監視制御ロジックであって、第2のプロセッサと、第2のメモリと、前記第1の通信接続から前記健全性の指標を受信するように構成された第2の通信接続とを有し、前記第2のメモリは、前記第2のプロセッサによって実行されると、前記監視制御ロジックに、受信された前記健全性の指標に応答して前記システム制御ロジックの健全性状況を判定させる第2の命令を記憶する、監視制御ロジックと、を備える、制御システム。
【請求項2】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、判定された前記健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックへの電力供給を終了させる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記第2の通信接続からコマンド信号を出力させ、前記第1の通信接続は、前記第2の通信接続から前記コマンド信号を受信するように構成されており、前記第1の命令は、前記第1のプロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、再起動させるか、選択されたブートモードに入らせるか、システムファイルをインストールさせるか、オペレーティングファイルをインストールさせるか、メモリを再フラッシュさせるか又はファームウェアロジックを再フラッシュさせる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第1の通信接続から前記システム制御ロジックの健全性の指標を送信する行為は、所定の周波数範囲内でストローブ信号を送信することを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記受信された健全性の指標に応答して前記システム制御ロジックの健全性状況を判定する行為は、前記ストローブ信号の周波数が前記所定の周波数範囲内にあるか又は前記所定の周波数範囲外にあるかを評価することを含む、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第1のメモリは、取り外し可能なメモリカードを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記第2の通信接続からコマンド信号を出力させ、前記第1の通信接続は、前記第2の通信接続から前記コマンド信号を受信するように構成されており、前記第1の命令は、前記第1のプロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、前記コマンド信号に応答して、外部メモリストアからデータを読み取らせ、かつ前記外部メモリストアから前記第1のメモリに前記データを書き込ませる、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記外部メモリストアから前記第1のメモリに前記データを書き込む行為は、前記取り外し可能なメモリカードの取り外しを必要としない、請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記第2の通信接続からコマンド信号を出力させ、前記第1の通信接続は、前記第2の通信接続から前記コマンド信号を受信するように構成されており、前記システム制御ロジックは、前記システム制御ロジックの外部のブートソースからリブートするように構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項10】
前記システム制御ロジックは、前記第1のメモリの一部分を、前記システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きするように更に構成されている、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記第2の通信接続から更なるコマンド信号を出力させ、前記システム制御ロジックは、前記更なるコマンド信号に応答して、再起動し、かつ前記第1のメモリからブートするように更に構成されている、請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
熱伝達システムであって、液体が前記熱伝達システムを通って流れるように促すためのポンプと、前記熱伝達システムを通る前記液体の流れを制御するための弁と、前記熱伝達システムの状態を観測するように構成されたセンサと、を有し、前記熱伝達システムは、
前記センサからの出力に応答して、前記ポンプ、前記弁、又はその両方を選択的に動作させるように構成されたシステム制御ロジックであって、前記システム制御ロジックは、前記システム制御ロジックの健全性の指標を出力するように更に構成されている、システム制御ロジックと、
第1のシステム制御ロジックから前記健全性の指標を受信し、かつ受信された前記健全性の指標に応答して前記システム制御ロジックの健全性状況を判定するように構成された監視制御ロジックと、を備える、熱伝達システム。
【請求項13】
前記監視制御ロジックは、判定された前記健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックへの電力供給を終了するように構成されている、請求項12に記載の熱伝達システム。
【請求項14】
前記監視制御ロジックは、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックにコマンドを発行するように構成されており、前記システム制御ロジックは、前記コマンドに応答して、再起動するか、選択されたブートモードに入るか、システムファイルをインストールするか、オペレーティングファイルをインストールするか、メモリを再フラッシュするか又はファームウェアロジックを再フラッシュするように構成されている、請求項12に記載の熱伝達装置。
【請求項15】
前記監視制御ロジックは、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックにコマンドを発行するように構成されており、前記システム制御ロジックは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、前記センサからの前記出力に応答して、前記ポンプ、前記弁、又はその両方を選択的に動作させる命令を記憶する一次メモリとを備え、前記システム制御ロジックは、前記コマンドに応答して、外部メモリストアからデータを読み出し、かつ前記一次メモリを、前記外部メモリストアから読み出された前記データで上書きするように更に構成されている、請求項12に記載の熱伝達システム。
【請求項16】
前記一次メモリは、前記システム制御ロジックから取り外し可能であり、前記外部メモリストアから前記一次メモリに前記データを書き込む行為は、前記システム制御ロジックからの前記一次メモリの取り外しを必要としない、請求項15に記載の熱伝達システム。
【請求項17】
前記監視制御ロジックは、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックにコマンドを発行するように構成されており、前記システム制御ロジックは、前記監視制御ロジックによって発行された前記コマンドに応答して前記システム制御ロジックの外部のブートソースからリブートするように構成されている、請求項12に記載の熱伝達システム。
【請求項18】
前記システム制御ロジックは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、前記センサからの前記出力に応答して、前記ポンプ、前記弁、又はその両方を選択的に動作させる命令を記憶する一次メモリとを備え、前記システム制御ロジックは、前記コマンドに応答して、前記一次メモリの一部分を、前記システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きするように更に構成されている、請求項17に記載の熱伝達システム。
【請求項19】
前記システム制御ロジックは、前記外部メモリストアから受信された前記データが前記一次メモリに上書きされた後に、再起動し、かつ前記一次メモリからブートするように更に構成されている、請求項18に記載の熱伝達システム。
【請求項20】
前記一次メモリは、取り外し可能なメモリカードを含み、前記一次メモリの一部分を、前記システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きする行為は、前記システム制御ロジックから前記取り外し可能なメモリカードを取り外すことを必要としない、請求項18に記載の熱伝達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年3月19日に出願された米国特許仮出願第63/163,661号及び2021年4月13日に出願された米国特許出願第63/174,074号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
他の関連する開示には、米国特許第8,746,330号、米国特許第9,052,252号、米国特許第9,453,691号、米国特許第9,496,200号、米国特許第10,364,809号、及び米国特許第10,365,667号、並びに米国特許出願公開第2015/0083368号、同時係属中の米国特許出願第16/158,227号、及び同時係属中の米国特許出願第17/582,987号が含まれる。
【0003】
前述の特許、公開、及び特許出願の各々は、あらゆる目的のために、本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
(発明の分野)
本出願及び本明細書で開示される主題(集合的に、「開示」と称される)は、概して、例えば、熱伝達システムを制御するためのマイクロコントローラなどの制御ロジック、並びに関連するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0005】
より詳細には、排他的ではないが、本開示は、技術者による関与が制限されるか又は全くない状態で、コントローラ、例えば、熱伝達システムの動作を制御するマイクロコントローラの健全性をモニタリングするか、もたらすか、又は改善するためのシステム、方法、及びコンポーネントに関わる。単なる1つの例示的な実施例として、監視制御ロジックは、例えば、システム制御ロジックに、再起動させるか、選択されたブートモードに入らせるか、システム若しくはオペレーティングファイルをアップグレード若しくはインストールさせるか、又はメモリ若しくはファームウェアロジックを再フラッシュさせることなどによって、システム制御ロジックの動作をモニタリングし、かつ指示することができる。
【0006】
コンピュータシステムの性能及び熱放散密度は、増加し続けている。その結果、従来の空気冷却は、サーバ及びデータセンタ用途を含むがこれらに限定されない、いくつかのコンピュータシステム用途において、液体冷却に取って代わられ続けている。市販の液体冷却システムは信頼できると考えられるが、冷却システムの自動制御は、1人の技術者がかなりの数のサーバの動作を統括することを可能にし、さもなければ、手動制御冷却システムが必要とするよりも少ない技術者でサーバ設備の規模を増大させることを可能にする。それにもかかわらず、そのような熱伝達システムのための既知の制御ロジックは、依然として技術者からの注意を必要とすることがある。
【発明の概要】
【0007】
態様によれば、開示の制御ロジックは、さもなければ、技術者によって手動で従来行われていた、時間のかかるタスクを自動化することができる。例えば、開示の制御ロジックは、デバイス又はシステム、例えば、加熱又は冷却デバイス又はシステムの動作を制御するように構成される、システム制御ロジックを含むことができる。本開示の制御ロジックはまた、システム制御ロジックの動作をモニタリングするか、システム制御ロジックの動作を指示するか、又はその両方を行うように構成される、監視制御ロジックを含むことができる。
【0008】
実施形態では、開示の監視制御ロジックは、例えば、システム制御ロジックからの、システム制御ロジックの健全性状況を示す出力をモニタリングすることによって、システム制御ロジックの健全性状況をモニタリングすることができる。実用的な実施形態では、監視制御ロジックは、システム制御ロジックによって発せられる出力信号、例えば、ストローブ信号をモニタリングすることができる。例えば、監視制御ロジックは、周期的ストローブ信号の周波数の変化をモニタリングすることができる。この実施例では、監視制御ロジックが、例えば、周波数の閾値変化を超えるストローブ信号の周波数の変化を検出する場合、監視制御ロジックは、システム制御ロジックの機能が変化した(例えば、劣化した)と推測することができる。システム制御ロジックの健全性状況の変化の検出に応答して、監視制御ロジックは、コマンド又は信号を発行するか、さもなければ、システム制御ロジックに、複数の動作から選択された1つ以上の他の動作を行わせることができる。単なるいくつかの例示的な実施例として、監視制御ロジックは、コマンド又は信号を発行するか、さもなければ、システム制御ロジックに、再起動させるか、選択されたブートモードに入らせるか、システム若しくはオペレーティングファイルをアップグレード若しくはインストールさせるか、又はメモリストア若しくはファームウェアストレージを再フラッシュさせることができる。
【0009】
別の態様によれば、本開示は、システム制御ロジックの動作をモニタリングすること、システム制御ロジックの動作を指示すること、又はその両方の自動化された方法を記載する。更に別の態様によれば、そのような自動化された方法を行うように構成されたコンピューティング環境が開示される。また、関連する方法、並びに、実行されると、コンピューティング環境に本明細書開示される1つ以上の方法を実装させるコンピュータ実行可能命令を含む有形の非一時的コンピュータ可読媒体も開示される。ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで具現化され、そのような命令を実装するのに好適なセミコンダクタプロセッサも開示され、また、共通のパッケージ内又は共通のデジタル信号基板上に組み合わされた処理ユニット及びメモリを有するマイクロコントローラも開示される。
【0010】
更に別の態様によれば、熱伝達システムのための制御システムは、システム制御ロジック及び監視制御ロジックを含む。システム制御ロジックは、第1のプロセッサと、第1のメモリと、第1の通信接続とを有する。第1のメモリは、第1のプロセッサによって実行されると、制御システムに、熱伝達システムの動作を制御させ、かつシステム制御ロジックの健全性の指標を第1の通信接続から送信させる第1の命令を記憶する。監視制御ロジックは、第2のプロセッサと、第2のメモリと、第2の通信接続とを有する。第2の通信接続は、第1の通信接続から健全性の指標を受信するように構成されている。第2のメモリは、第2のプロセッサによって実行されると、監視制御ロジックに、受信された健全性の指標に応答してシステム制御ロジックの健全性状況を判定させる第2の命令を記憶する。
【0011】
実施形態では、第2の命令は、第2のプロセッサによって実行されると、更に、監視制御ロジックに、判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答してシステム制御ロジックへの電力供給を終了させる。
【0012】
第2の命令は、第2のプロセッサによって実行されると、更に、監視制御ロジックに、判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して第2の通信接続からコマンド信号を出力させることができる。第1の通信接続は、第2の通信接続からコマンド信号を受信するように構成することができる。第1の命令は、第1のプロセッサによって実行されると、システム制御ロジックに、再起動させるか、選択されたブートモードに入らせるか、システムファイルをインストールさせるか、オペレーティングファイルをインストールさせるか、メモリを再フラッシュさせるか又はファームウェアロジックを再フラッシュさせることができる。
【0013】
第1の通信接続からシステム制御ロジックの健全性の指標を送信する行為は、所定の周波数範囲内でストローブ信号を送信することを含むことができる。いくつかの実施形態では、受信された健全性の指標に応答してシステム制御ロジックの健全性状況を判定する行為は、ストローブ信号の周波数が所定の周波数範囲内にあるか又は所定の周波数範囲外にあるかを評価することを含む。
【0014】
第1のメモリは、取り外し可能なメモリカードを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の命令は、第2のプロセッサによって実行されると、更に、監視制御ロジックに、第2の通信接続からコマンド信号を出力させる。第1の通信接続は、第2の通信接続からコマンド信号を受信するように構成することができる。第1の命令は、第1のプロセッサによって実行されると、システム制御ロジックに、コマンド信号に応答して、外部メモリストアからデータを読み取らせ、かつ外部メモリストアから第1のメモリにデータを書き込ませることができる。外部メモリストアから第1のメモリにデータを書き込む行為は、いくつかの実施形態では、取り外し可能なメモリカードの取り外しを必要としない。
【0015】
第2の命令は、第2のプロセッサによって実行されると、更に、監視制御ロジックに、判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して第2の通信接続からコマンド信号を出力させることができる。第1の通信接続は、第2の通信接続からコマンド信号を受信するように構成することができ、システム制御ロジックは、システム制御ロジックの外部のブートソースからリブートするように構成することができる。
【0016】
システム制御ロジックはまた、第1のメモリの一部分を、システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きするように構成することができる。
【0017】
第2の命令はまた、第2のプロセッサによって実行されると、監視制御ロジックに、第2の通信接続から更なるコマンド信号を出力させることができる。例えば、システム制御ロジックは、更なるコマンド信号に応答して、再起動し、かつ第1のメモリからブートするように更に構成することができる。
【0018】
そのような監視された制御ロジックによって制御される熱伝達システムも開示される。別の態様によれば、熱伝達システムは、液体が熱伝達システムを通って流れるように促すためのポンプと、熱伝達システムを通る液体の流れを制御するための弁と、熱伝達システムの状態を観察するように構成されたセンサと、を有する。熱伝達システムは、システム制御ロジック及び監視制御ロジックを更に含むことができる。システム制御ロジックは、センサからの出力に応答して、ポンプ、弁、又はその両方を選択的に動作させるように構成されている。システム制御ロジックは、システム制御ロジックの健全性の指標を出力するように更に構成されている。監視制御ロジックは、第1のシステム制御ロジックから健全性の指標を受信し、かつ受信された健全性の指標に応答してシステム制御ロジックの健全性状況を判定するように構成されている。
【0019】
監視制御ロジックは、判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答してシステム制御ロジックへの電力供給を終了するように構成することができる。
【0020】
監視制御ロジックは、判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答してシステム制御ロジックにコマンドを発行するように構成することができる。例えば、システム制御ロジックは、コマンドに応答して、再起動するか、選択されたブートモードに入るか、システムファイルをインストールするか、オペレーティングファイルをインストールするか、メモリを再フラッシュするか又はファームウェアロジックを再フラッシュするように構成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、システム制御ロジックは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、システム制御ロジックに、センサからの出力に応答して、ポンプ、弁、又はその両方を選択的に動作させる命令を記憶する一次メモリとを有する。システム制御ロジックはまた、監視制御ロジックによって発行されたコマンドに応答して、外部メモリストアからデータを読み出し、かつ一次メモリを、外部メモリストアから読み出されたデータで上書きするように構成することができる。
【0022】
一次メモリは、システム制御ロジックから取り外し可能であり得るが、外部メモリストアから一次メモリにデータを書き込む行為は、いくつかの実施形態では、システム制御ロジックからの一次メモリの取り外しを必要としない。
【0023】
いくつかの実施形態では、システム制御ロジックは、監視制御ロジックによって発行されたコマンドに応答してシステム制御ロジックの外部のブートソースからリブートするように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、システム制御ロジックは、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、システム制御ロジックに、センサからの出力に応答して、ポンプ、弁、又はその両方を選択的に動作させる命令を記憶する一次メモリとを備える。システム制御ロジックはまた、監視制御ロジックによって発行されたコマンドに応答して、一次メモリの一部分を、システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きするように構成することができる。
【0025】
システム制御ロジックはまた、外部メモリストアから受信されたデータが一次メモリに上書きされた後に、再起動し、かつ一次メモリからブートするように構成することができる。
【0026】
一次メモリは、取り外し可能なメモリカードを含むことができ、一次メモリの一部分を、システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きする行為は、いくつかの実施形態では、システム制御ロジックから取り外し可能なメモリカードを取り外すことを必要としない。前述及び他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して進められる以下の詳細な記載からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面を参照すると、同様の数字は、いくつかの図及び本明細書を通して同様の部分を指し、本開示の原理の態様は、限定としてではなく、実施例として例解される。
図1】システム制御ロジックを監視するように構成された監視制御ロジックのアーキテクチャブロック図を示す。
図2】監視された制御ロジックの実施形態を概略的に例解する。
図2A】監視された制御ロジックの代替的な実施形態を概略的に例解する。
図3】ラックに搭載された複数の液体冷却サーバを示す。
図4図3に示されるサーバのうちの1つの部分的に切り取られた図を示す。
図5図3に示されるような複数のラック搭載式サーバを冷却するのに好適な閉ループ液体冷却回路を概略的に例解する。
図6】開示の技術を実装するのに好適なコンピューティング環境のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、制御ロジックに関する様々な原理を記載する。例えば、開示のある特定の原理の態様は、所与のシステムを制御するように構成されたシステム制御ロジックと、システム制御ロジックの動作をモニタリングするか、又はシステム制御ロジックの動作を指示するように、あるいはその両方を行うように構成された監視制御ロジックとに関わる。とは言うものの、デバイス及びシステムの特定の構成、並びに方法行為の組み合わせの本明細書における記載は、開示の原理の態様を例解するのに好都合であるように選択された特定の実施例にすぎない。本開示の原理のうちの1つ以上は、様々な対応するシステム特性のうちのいずれかを達成するために、様々な他のシステムに組み込むことができる。
【0029】
これにより、本明細書で考察される特定の実施例とは異なる属性を有するシステムは、1つ以上の本開示の原理を具現化することができ、本明細書で詳細に記載されていない用途で使用することができる。そのため、そのような代替的な実施形態もまた、本開示の範囲内に入る。
【0030】
I.概要
先行のシステム制御ロジックは、そのようなデバイス及びシステム(例えば、熱デバイス及びシステム)の動作及び制御を自動化することによって先行のデバイス及びシステムを改善したが、システム制御ロジックの先行のアーキテクチャは、技術者が、システム制御ロジックの動作をモニタリングし、いくつかの状態下では、その動作を指示(又は再指示)することを必要とした。これにより、先行のデバイス及びシステムを改良するが、先行のシステム制御ロジックは、先行のデバイス及びシステムが動作できる規模を依然として制限することがある。
【0031】
例えば、データセンタ内の所与のラックに設置されたサーバは、液体冷却システムによって冷却されてもよい。液体冷却システムは、一般に米国特許第9,496,200号に記載されているように、サーバ間の液体冷却剤の流れを制御し、サーバによって放散される熱を除去するために、1つ以上のポンプ及び1つ以上の弁を有し得る。冷却システムはまた、1つ以上のセンサ及びシステム制御ロジックを含むことができる。システム制御ロジックは、例えば、米国特許第9,052,252号並びに係属中の米国特許出願第16/158,227号及び同第17/582,987号に記載されるように、センサによって観察されるシステムパラメータに応答して、ポンプ及び弁を選択的に動作させるように構成することができる。
【0032】
例えば、米国特許出願第17/582,987号が説明しているように、計算集約的な作業負荷中のコンポーネント及び全体的な熱放散は、サーバがグラフィックスをレンダリングするか又は他の計算集約的な作業を行うのではなく主にデータを転送しているときなど、低い計算アクティビティの期間中のコンポーネント及び全体的な熱放散よりもはるかに高くなり得る。そのような「I/O集約的」作業負荷は、例えば、サーバがストリーミングアプリケーションのためにネットワーク接続を介してデータを提供するときに生じることがある。
【0033】
また、データセンタで使用されるタイプの典型的なサーバラックは、42個の個別サーバを収容することがあるが、いくつかのサーバラックは、より多くの又はより少ない個別サーバを収容することがある。更に、いくつかのサーバラックは、それらの容量にかかわらず、完全に埋まらない場合がある。
【0034】
これにより、例えば、各ラック内の各サーバ内の各コンポーネントによる熱放散の予想される上限閾値レベルに基づいて、所与の設備内に存在すると仮定される各サーバ(又はコンポーネント若しくはラック)に静的な冷却量を提供するように設計された冷却システムは、全てが重い又は最大の計算作業負荷の下で動作しているとき、様々なコンポーネントを適切に冷却し得る。しかしながら、その冷却システムは、例えば、1つ以上のサーバ(又はコンポーネント)に、より少ない熱を放散させる他の作業負荷の下で、様々なコンポーネントに不必要な過剰な冷却を提供する場合がある。別の言い方をすれば、所与のラック内の全てのサーバ(又はデータセンタ内のラックのグループ内の全てのサーバ)による上限閾値電力放散のために設計された冷却システムは、上限閾値電力放散がサーバごとにたまにしか(かつ場合によっては、冷却システムに関連付けられた全てのサーバにわたって発生したとしてもまれにしか)発生しないときに、過剰設計される場合がある。すなわち、冷却システムは、「典型的な」データセンタ作業負荷の下で、過剰な冷却能力又はマージンを有する場合がある。
【0035】
マージン又は過剰冷却能力の程度の選択が望ましい場合があるが、液体冷却システムは、動作するために、例えば、種々の冷却システムコンポーネントを通して冷却剤を圧送するために、電力を消費する。そのため、サーバ(又はサーバのグループ)に「多すぎる」過剰な冷却を提供することは、集合設置のための最適な全体的効率をもたらさないことがある。そのため、システム制御ロジックのいくつかの実施形態は、所与の冷却システムによって提供される冷却能力を、データセンタ内の各コンポーネント、サーバ、及び/又はラックによって放散されている実際の熱量に適合させるための手段を提供する。冷却能力のそのような適合は、「多すぎる」過剰な冷却を提供する冷却システムに依存するサーバ設備と比較して、サーバ設備の全体的な効率を改善することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、システム制御ロジックは、冷却システムの冷却能力をサーバ設備に適合させることができる。そのような適合させることは、例えば、IO集中動作の時間中、サーバ(又はコンポーネント若しくはラック)のより低い熱放散量に一致するように、冷却システムによって提供される冷却量を低減することを伴うことができる。別の態様によれば、冷却能力を適合させることは、所与の冷却システムによって冷却されるサーバの数を、その冷却システムの全体的な冷却能力に一致させることを伴うことができる。更に別の態様によれば、冷却能力を適合させることは、選択された1つ以上の熱放散コンポーネントに冷却システムによって提供される冷却速度を調整するために、1つ以上の冷却剤温度、冷却剤流量、及び/又は他の冷却システムパラメータを調整することを伴うことができる。
【0037】
実施形態では、液体冷却システムのためのシステム制御ロジックは、1つ以上の冷却ノードの動作を、対応する電子部品のグループ、そのような部品を組み込む又は関連付けられたサーバのグループ、及び/又はそのようなサーバを組み込む又は関連付けられたラックのグループの作業負荷に適合させることができる。例えば、液体冷却システムは、冷却システム全体を通して、冷却剤回路の1つ以上の選択された分岐を通して、及び/又は冷却システムの1つ以上の選択された冷却ノードを通して、冷却剤の流量を制御することができる。いくつかの実施形態では、コントローラは、冷却ノードによって冷却されるコンポーネント、サーバ、及び/又はラックによって放散される熱に対応するように、選択された冷却ノードの冷却能力を適合させるために、1つ以上のポンプ、1つ以上の弁、又は1つ以上のポンプと1つ以上の弁との組み合わせの動作を調整することができる。サーバの多くのラックを有する大規模データセンタ内の所与のサーバ搭載ラック(又はサーバの複数のラックさえも)のための冷却システムに関連付けられた各システム制御ロジック(「コントローラ」と称されることもある)は、技術者からの有限量の注意を必要とし得る。これにより、そのような制御ロジックを有する有限数の冷却システムは、第2の技術者からの注意を必要とする前に設置することができる、などである。
【0038】
その結果、従来のシステム制御ロジックのアーキテクチャは、例えば、システム制御ロジックの動作をモニタリングし、かつ指示することに専念するための技術者の利用可能な時間及び注意に基づいて、冷却(又は他の)システムの能力をより大きな設備に拡大縮小することに制限することがある。先行のシステム制御ロジックのこの一般的な欠点は、システム制御ロジックが汎用コンピューティング環境、プログラマブルマイクロコントローラ、ASIC(又はその他)で具現化されるかどうかにかかわらず、場合によっては実施形態ごとに程度は異なるが、当てはまる。
【0039】
そうではあるが、システム制御ロジックの動作をモニタリングし、かつ指示する(又はリダイレクトする)ように構成された監視制御ロジックを提供する制御ロジックアーキテクチャは、限られた技術者可用性から生じるリソースボトルネックを軽減することができる。例えば、特定のモニタリングタスク及び動作タスクは、技術者から監視制御ロジックにオフロードされ、所与のデバイス又はシステム(例えば、簡単に上術した例示的な冷却システム)の制御及び動作を更に自動化することができる。
【0040】
より詳細には、排他的ではないが、補助マイクロコントローラ(本明細書では「監視制御ロジック」とも称される)は、そのメモリ内の破損データのためにブート不可能である、さもなければ動作不能であるメインコントローラ(本明細書では「システム制御ロジック」とも称され)を復活させることができる。代替的に、補助マイクロコントローラは、例えば、データセンタ構成の変更(例えば、ラックからの1つ以上のサーバの設置又は除去、複数のラックからの1つ以上のラックの設置又は除去、データセンタ内のラックの再配置、ラック内のサーバの再配置、改訂された動作仕様及び/又は冷却仕様など)を反映するように、メインコントローラを再構成することができる。
【0041】
単なる一実施例として、システム制御ロジックは、以下でより完全に記載する、特別にプログラムされた汎用コンピューティング環境で具現化することができる。例えば、そのような特別にプログラムされた汎用コンピューティング環境は、Raspbery Piという名前で市販されているが、当業者であれば、この説明から、システム制御ロジックが、現在開示されている原理から逸脱することなく、様々な他の形態で具現化され得ることを理解し、諒解されよう。システム制御ロジックの代替的な実施形態の実施例は、以下でより完全に説明されるように、マイクロコントローラ、シングルボードコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、並びにソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアの他の組み合わせを含む。
【0042】
監視制御ロジックは、例えば、メインコントローラの健全性の尺度が閾値を超えて低下するまで、又はメインコントローラへのソフトウェア若しくはファームウェアの更新が必要になるか若しくは適切な所与のその時の状況になるまで、メインコントローラへの「透過的な」外部インターフェースとして機能する「中間」コンポーネント(例えば、ソフトウェア、ファームウェア又はハードウェア)として具現化され得る。監視制御ロジックは、所定の状態下で、システム制御ロジックに対する制御の尺度を仮定することができる。例えば、監視制御ロジックは、システム制御ロジックを再起動させることができる。いくつかの実施形態では、監視制御ロジックは更に、システム制御ロジックに、指定されたブートシーケンスを使用して再起動させ、制御ロジックに、選択されたブートモードに入らせることができる。例えば、監視制御ロジックは、システム制御ロジックに、二次ファイルソースから(例えば、システム制御ロジックのバックアップメモリ若しくは冗長メモリストアから、又は監視制御ロジックのメモリストアからさえ)ブートさせることができる。そのような実施形態では、監視制御ロジックは更に、システム制御ロジックに、更新されたシステムファイルをダウンロードさせるか、更新されたオペレーティングシステムをインストールさせるか、現在のオペレーティングシステムの破損していないバージョンを再インストールさせるか、又はさもなければその動作を更新若しくはリフレッシュさせることができる。一実施形態では、監視制御ロジックは、技術者による介入を必要とすることなく、又はその物理的筐体からのメモリ若しくは制御ロジックの物理的取外しさえも必要とすることなく、システム制御ロジックにメモリストア(例えば、そうでなければ、取外し可能なSDカード上のEEPROM又はフラッシュメモリ)を再フラッシュさせることができる。インストール又は再フラッシュされたソフトウェアは、例えば、システム制御ロジックの冗長メモリストア、監視制御ロジックのメモリストア、又はネットワーク接続メモリストアなどの任意の利用可能なデータストアから利用可能とすることができる。そのような監視制御ロジックは、システム制御ロジックのメモリストア(例えば、SDカードなどのフラッシュメモリ)を物理的に除去する必要なく、システム制御ロジック内のデータ破損エラーを自動的に修復する(又は、そうでなければ、システム制御ロジックのソフトウェアを更新若しくは改訂する)ことができる。同様に、そのような監視制御ロジックは、システム制御ロジック又はそのメモリストアの物理的な除去を必要とせずに、技術者がシステム制御ロジック内のデータ破損エラーを修復する(又は、そうでなければ、システム制御ロジックのソフトウェアを更新若しくは修正する)ことを可能にすることができる、システム制御ロジックへの通信接続を提供することができる。その結果、システム制御ロジックは、設備の外部、例えば、サーバ搭載ラックの外部でシステム制御ロジックの補修作業のために、基礎となるシステム(例えば、基礎となる冷却システム)を別の方法で無効にする必要なく、新しい又は代替のソフトウェア又はファームウェアで更新することができる。
【0043】
本明細書で開示される原理は、先行技術における多くの問題を克服し、前述又は他の必要性のうちの1つ以上に対処する。開示の原理の更なる詳細が以下に記載される。セクションIIは、システム制御ロジックの動作をモニタリングし、かつ指示するように構成された監視制御ロジックの一般的なアーキテクチャに関わる原理を記載する。セクションIIIは、本明細書に記載されるような監視された制御ロジックを有する冷却システムの実施形態を記載する。セクションIVは、開示の技術を実装するのに好適な汎用コンピューティング環境及び専用コンピューティング環境に関わる原理を記載する。また、セクションVは、開示の技術の他の実施形態を記載する。
【0044】
他の関連する原理も開示される。例えば、開示のロジックは、実行されると、処理ユニット、例えば、コンピューティング環境の処理ユニットに、1つ以上の開示の方法行為を行わせる命令を含む機械可読媒体において具現化することができる。そのような命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアに埋め込むことができ、あるいは他の実施形態では、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアコンポーネントの間で分散させることができる。加えて、開示の方法及び技法は、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェア(並びにそれらの組み合わせ)におけるように、種々の形態のプロセッサ又はコントローラにおいて実施することができる。
【0045】
II.監視された制御ロジックのためのアーキテクチャ
ここで図1を参照すると、監視された制御ロジックのアーキテクチャ実施形態が記載されている。図1に示すように、監視された制御ロジック100は、互いに動作可能に結合されたシステム制御ロジック110及び監視制御ロジック120を含むことができる。例えば、1つ以上の通信接続130、140は、システム制御ロジック110を監視制御ロジック120と通信可能に結合することができ、システム制御ロジック及び監視制御ロジックが互いに双方向に通信することを可能にする。通信接続130、140は、1つ以上の通信チャネル131、132を提供することができ、各チャネルは、(図1に示されるチャネルによって示されるように)双方向通信又は単方向通信を提供することができる。単方向チャネルのみを提供する通信接続の場合、システム制御ロジックと監視制御ロジックとの間の双方向通信は、図1のように、2つ以上のチャネルを提供することによって達成することができ、少なくとも1つのチャネル131は、システム制御ロジックから監視制御ロジックへの単方向通信を提供し、少なくとも1つのチャネル132は、監視制御ロジックからシステム制御ロジックへの単方向通信を提供する。
【0046】
監視制御ロジック120は、通信接続を介してシステム制御ロジック110の動作をモニタリングすることができる。例えば、システム制御ロジック110によって出力され、かつ監視制御ロジック120によって受信される信号は、システム制御ロジックが存在することを示すことができ、これは、実際には、監視制御ロジックをモニタリング状況に入らせることができ、例えば、監視制御ロジックに、システム制御ロジックが正常に動作していることを示すシステム制御ロジックからの入力をモニタリングさせることができる。例えば、システム制御ロジック110は、通信チャネル131を介して、ストローブ信号、例えば、「ウォッチドッグタイマ」を出力することができる。ストローブの周波数が変化するか、又はウォッチドッグタイマが予期される(例えば、「タイムアウト」する)ときにリセットしない場合、監視制御ロジック120は、そのような変化又はリセットの失敗(又は他の信号指示)を、システム制御ロジックの動作における障害として解釈することができる。当然ながら、他の信号は、本開示を検討した後に当業者によって諒解し、理解されるように、システム制御ロジックのための他の動作状況又は健全性状況の他の尺度を示すことができる。
【0047】
監視制御ロジック120がシステム制御ロジック110の障害又は他の選択された動作状況を検出すると、監視制御ロジックは、通信接続140を介してシステム制御ロジックにコマンドを発行することができる。システム制御ロジック110は、監視制御ロジック120によって発行されたコマンドを受信し、処理し、応答することができる。例えば、システム制御ロジック110は、再起動するか、工場出荷時設定にリセットするか、又は選択されたブートモードに入ることができる。実施形態によれば、システム制御ロジック110は、1つ以上の代替ブートソース(例えば、一次ブートソフトウェア又は他のオペレーティングシステムソフトウェアを含むメインメモリストアとは異なる)からブートすることができる。
【0048】
例えば、監視制御ロジック120は、システム制御ロジック110を二次メモリストア112、ネットワーク接続されたメモリストア(図示せず)、又は監視制御ロジック120のメモリストア122からさえブートさせるコマンド信号を発行することができる。システム制御ロジック110が代替ブートソースからブートするとき、システム制御ロジックは、例えば、内部バスを介して、その一次メモリ114との通信接続を依然として保持してもよく、これは、システム制御ロジックが一次メモリを上書きすることを可能にすることができる。例えば、代替ブートソースは、システム制御ロジックのためのオペレーティングシステムの記憶された(例えば、バックアップ又は更新された)イメージを有するメモリパーティションを含むことができる。監視制御ロジック120は、オペレーティングシステムの記憶されたイメージをシステム制御ロジックの一次メモリ114にコピーするために、リブートされたシステム制御ロジック110にコマンドを発行することができる。そのプロセスが完了し、イメージが検証されると、監視制御ロジック120は、システム制御ロジック110にコマンドを発行して、再起動し、かつそれの一次メモリ114からブートすることができる。システム制御ロジック110がブートして動作すると、監視制御ロジック120は、再び動作のモニタリングモードに入り直すことができる。
【0049】
動作のモニタリングモードでは、監視制御ロジック120は、システム制御ロジック110の動作状況に対応する信号を出力することができる。例えば、ウォッチドッグが適時にリセットし続ける間、監視制御ロジック120は、システム制御ロジックが正常に動作しているように見えることを示す信号を(例えば、外部通信接続126を介して)出力することができる。
【0050】
更に、監視制御ロジック120は、システム制御ロジック110から(例えば、チャネル131を介して)データ又は他の信号を受信することができる。監視制御ロジック120は、データ又は他の信号を処理して、又は処理せずに、信号を別のコンピューティング環境への(例えば、技術者によって観察されるモニタリングステーションへの)外部通信接続126に渡すことができる。別の実施形態では、監視制御ロジック120は、データ信号(例えば、チャネル131を介して受信される)を処理し、データ信号の処理されたバージョンを、外部通信接続126を介して出力することができる。追加的又は代替的に、システム制御ロジック110は、そのようなデータ又は他の信号をシステム制御ロジック110から別のコンピューティング環境に通信するための外部通信接続(図示せず)を有することができる。更に、監視制御ロジック120は、外部通信接続126を介して外部ソース(例えば、ユーザインターフェース、別のコンピューティング環境、センサなど)から入力を受信することができる。
【0051】
監視制御ロジック120は、外部入力を処理し、対応するコマンドをシステム制御ロジック110に発行するかどうか、又はどの程度発行するかを判定することができる。例えば、技術者は、システム制御ロジックが動作可能なままであるにもかかわらず、ソフトウェア更新をシステム制御ロジック110にプッシュすることを望む場合がある。そのような事例では、監視制御ロジック120は、別のブートソースから、システム制御ロジック100を中断し、かつリブートする必要があることを示すコマンドを受信することができる。システム制御ロジック110が二次ブートソースからブートした後、監視制御ロジック120は、更新されたソフトウェアをシステム制御ロジックの一次メモリ114に書き込むためのコマンドをシステム制御ロジックに発行することができる(例えば、部分的に、更新されたソフトウェアを提供することによって、又は更新されたソフトウェアを受信することができる別のデータソースにシステム制御ロジックを向けることによって)。
【0052】
図1では、システム制御ロジック110は、メモリ114に結合された処理ユニット(CPU)111と、監視制御ロジック120との双方向通信接続130又はインターフェースとを有する。バス(図示せず)は、CPU、メモリ114、及び通信接続130又はインターフェースの間の通信を提供する。メモリ114は、処理ユニット111によって実行されると、システム制御ロジックに、本明細書に記載されるような方法行為を行わせる命令を記憶することができる。
【0053】
同様に、監視制御ロジック120は、メモリ124及び双方向通信接続140又はインターフェースに結合された処理ユニット(CPU)121を有する。バス(図示せず)は、CPU121と、メモリ124と、通信接続140又はインターフェースとの間の通信を提供する。
【0054】
図1では、アーキテクチャは、通信可能に結合されているが、2つの別個のロジック構造、例えば、システム制御ロジック110及び監視制御ロジック120を有するものとして示されている。実際には、システム制御ロジック110及び監視制御ロジック120は、物理的に別個のデバイス又はコンポーネントの中若しくは上に具現化することができ、又は、それらは、図1に示される処理リソース、メモリリソース、及び通信リソースの間で異なる物理的区分を有するソフトウェア又はファームウェアの中に具現化することができる。それにもかかわらず、それらのリソース間の論理的関係は、実質的に図1に示されるようなままとすることができる。
【0055】
実用的な実施形態では、システム制御ロジック110は、Raspberry Piという商標で提供される市販の汎用コンピューティング環境を使用して実装され、一次メモリ1112に記憶された専用ソフトウェアは、動作されると、汎用コンピューティング環境に、サーバ搭載ラックのための液体冷却システムの1つ以上の機能を制御させる。上述したように、そのような液体冷却システムは、米国特許第9,496,200号に記載されており、そのような機能の実施例は、米国特許第9,052,252号、並びに係属中の米国特許出願第16/158,227号及び同第17/582,987号に記載されている。
【0056】
図2は、そのような実施形態の簡略化された概略図を示す。図2では、システム制御ロジック210は、複数の通信接続215を介して互いに通信可能に結合された第1のマイクロコントローラ(MCU#1)201と汎用コンピューティング環境(PI)211との間に分散されている。特定の通信プロトコル(例えば、UART、SPI)及び特定のコネクタ構成(例えば、RS232)が図2に示されているが、当業者であれば、開示の原理から逸脱することなく、他の通信プロトコル(例えば、様々な他のプロトコルの中でもUSB)及びコネクタ構成が可能であることを理解し、諒解されよう。図2はまた、UART接続232を使用してシステム制御ロジック210と通信可能に結合された監視制御ロジック(MCU#2)220を示す。図1に示されるアーキテクチャと同様に、監視制御ロジック(MCU#2)220は、例えば、チャネル231を介して通信されるウォッチドッグタイマ(WDT_strobe)又は他のストローブ信号を使用して制御ロジック210のアクティビティをモニタリングすることができ、そうでなければ、1つ以上の他の通信接続232、233を介して制御ロジックと通信することができる。更に、図2に示される実施形態は、システム200に外部デバイス又はシステム(図示せず)との通信接続を提供することができる、物理的な外部通信コネクタ(RS232)240を含む。例えば、通信接続(UART)234は、コネクタ240と監視制御ロジック(MCU#2)220との間に延在している。それにもかかわらず、当業者は、物理的接続240がRS232コネクタに限定される必要はなく、標準化されたものであるか独自仕様であるかにかかわらず、任意の好適なコネクタとすることができることを理解し、諒解されよう。
【0057】
同様に、別の通信接続(UART)232は、監視制御ロジック(MCU#2)220とシステム制御ロジック210との間に延在している。通常動作中、監視制御ロジック220は、外部接続(RS232)240から入力通信信号を受信することができ、接続232を介して対応する通信信号をシステム制御ロジック210に出力することができる。出力通信信号は、入力通信信号と同じとすることができるか、又は入力信号に対応するが、監視制御ロジック(MCU#2)220によって処理された異なる信号とすることができる。
【0058】
実施形態では、図2に示される通信接続の代替又は追加の1つ以上の通信接続が、システム制御ロジック210と監視制御ロジック220との間に提供される。単なる一実施例として、システム制御ロジック210と監視制御ロジック220との間にUSB通信接続(図示せず)を設けることができる。別の実施形態では、監視制御ロジック220は、図示される接続232(UART、SPI、USB)並びに別の(例えば、異なる)通信接続が設けられる。代替の通信接続を有する監視制御ロジック220は、例えば、好適な通信接続で構成され得る適切なシステム制御ロジック210を選択するときに、積分器に追加の柔軟性を与えることができる。
【0059】
更に、監視制御ロジック220は、システム制御ロジック210への電力接続236を開閉するために、リレー又は他のスイッチングデバイス235と動作可能に結合することができる。図2では、接続237は、5ボルト電力接続236に沿って監視制御ロジック220とリレー235との間で延在している。リレー235が示されているが、監視制御ロジック220によって制御可能な任意の適切なスイッチングデバイスを使用して、システム制御ロジック210に、電源切断させ、再起動させ得る。図示される実施形態200では、例えば、システム制御ロジック210から、又は外部デバイス(例えば、コネクタ240)から受信されるような、監視制御ロジック220への入力信号は、監視制御ロジック220に、電力接続236を開放又は閉鎖させることができる。
【0060】
図2Aは、図2に示される実施形態の代替的な実施形態を示す。図2Aでは、実施形態200’のほとんどの特徴は、図2に図示された実施形態200に示されたものと同等である。代替的な実施形態200’は、第1のマイクロコントローラ201とリレー235’との間に動作可能な結合237’’を追加し、第2のマイクロコントローラ220とリレー235’との間に動作可能な結合237’を維持する。上記のように、リレー235’が図2Aに示されているが、監視制御ロジック220又は第1のマイクロコントローラ201によって制御可能な任意の好適なスイッチングデバイスを使用して、電力接続236を中断することなどによって、システム制御ロジック210に、電源切断させ、再起動させ得る。
【0061】
実用的な実施形態では、監視制御ロジック220は、STMicroによって部品番号STM32F401RBT6TRで提供される市販のマイクロコントローラを使用して実装される。米国特許仮出願第63/163,661号及び米国特許仮出願第63/174,074号には、サーバ搭載ラックのための液体冷却システムのための監視された制御ロジックの更なる電気的概略図が添付されている。概略図は、本明細書で詳細に記載されていない様々な機能、動作、及び接続を示すが、そのような機能、動作、及び接続は、本開示及び概略図を検討することから当業者によって容易に確認されるであろう。これらの添付の概略図は、図1及び図2に概して示され、本明細書に記載されるような制御ロジックアーキテクチャを示す。
【0062】
本明細書に記載される通信接続及びインターフェースは、パッケージ化されたコンポーネント(例えば、プリント回路基板内の銅又は他の導電性トレース)間の電気接続によって、又はコンポーネントを一緒にハードワイヤリングすることによって提供され得る。代替的に、通信接続インターフェースは、一般的に利用可能な電気コネクタ(例えば、RJ45コネクタ、RS232コネクタ)又は専用電気コネクタ、並びに一般的に利用可能な通信プロトコル(例えば、UART、SPI、USB)又は専用若しくはあまりよく知られていないプロトコルを使用してもよい。ワイヤレス通信接続及びインターフェースはまた、例えば、WiFi又はBluetoothなどの一般的な通信プロトコルを使用して、又は独自のワイヤレス通信プロトコルを使用することによって可能である。いくつかの例示的な通信接続が、物理的通信コネクタ(例えば、RS232、RJ45コネクタ)を使用するものとして示されているが、当業者は、そのような通信接続及びそれらの対応する物理的コネクタが、ワイヤレス通信インターフェース(ワイヤレス送信機、受信機、又は送受信機、及び対応する信号処理ユニットを含む)によって置き換えられ得ることを理解し、諒解されよう。
【0063】
開示の制御ユニットは、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア(例えば、ASIC)において具現化することができる。制御ユニットプロセッサは、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、汎用マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号コントローラ、又はハードウェアロジック構造(例えば、フィルタ、算術論理ユニット、及び専用ステートマシン)のセットなどの専用プロセッサであってもよく、本明細書に記載されるような一般的なコンピューティング環境で実装することができる。
【0064】
III.制御ロジックを有する冷却システムの実施形態
ここで、開示の制御ロジックを組み込むことができるか、又は開示の制御ロジックによって制御することができる、冷却システムの例示的な実施形態が記載される。以下の実施形態及び他の実施形態は、米国特許第9,496,200号、米国特許第9,052,252号、米国特許第10,364,809号、及び米国特許第10,365,667号、並びに米国特許出願公開第2015/0083368号、同時係属中の米国特許出願第16/158,227号、及び同時係属中の米国特許出願第17/582,987号のうちの1つ以上において更に詳細に記載されている。
【0065】
実施例として、図3は、サーバを冷却するためのモジュール式熱伝達システムの態様とともに、ラック又はシャーシに取り付けられた独立して動作可能なサーバ12a、12b...12nのアレイ50を示す。図3では、各サーバ12a~12nは、動作中に熱を放散する1つ以上の対応する電子コンポーネントを含んでいる。熱伝達(例えば、冷却)システムは、液体冷却剤を使用して、各熱源から熱を収集し、その熱を適切なヒートシンク、例えば、冷却剤から、設備の液体、大気、及び/又はサーバ搭載ラックを含む調整された室内の空気に熱を排出するラジエータに運ぶことができる。
【0066】
図3はまた、ラックレベル冷却剤分配ユニット10を示す。冷却剤分配ユニットは、冷却剤分配ユニットを通過する冷却剤から熱を排出するために熱交換器を組み込んでいる場合、「冷却剤熱交換ユニット」と称されることがある。図3に示される実施形態では、冷却剤分配ユニット10は、少なくとも1つのポンプを有することができ、冷却剤分配ユニットが熱交換器を組み込むかどうかにかかわらず、リザーバ及び他のコンポーネントを組み込むこともできる。
【0067】
図3に示される実施形態では、冷却剤分配ユニット10は、熱交換器を組み込んでいる。図3のように、熱交換器が冷却剤分配ユニット10の境界内に含まれる場合、冷却剤分配ユニット10は、サーバ12a~12nから熱を運ぶ温かい冷却剤を受け取り、温かい冷却剤から別の媒体へのその熱の伝達を容易にすることができる。冷却剤分配ユニット10は、サーバから更なる熱を収集するために、冷却された冷却剤をサーバに戻すことができる。
【0068】
他の実施形態では、冷却剤分配ユニットは、冷却剤分配ユニットの境界の外側の熱交換器から冷却された冷却剤を受け取るか、又は外部(例えば、冷却剤分配ユニットの境界の外側)熱交換器(図示せず)に温かい冷却剤を送達する。外部熱交換器は、サーバ12a~12nの間で、及びサーバ12a~12nを通して分配される前に、冷却剤を冷却する。
【0069】
図3及び図4に示されるようなモジュール式冷却システムは、各サーバに対して少なくとも1つの冷却ノードを提供することができる。本明細書で使用される場合、「ノード」という用語は、システム内の識別可能なコンポーネント(又は識別可能なコンポーネント群)を意味し、「冷却ノード」という用語は、外部熱源から熱を吸収する(例えば、外部熱源を冷却する)識別可能なコンポーネント(又は識別可能なコンポーネント群)を意味する。
【0070】
例えば、42個の個々のサーバを搭載した1つのラックを冷却するためのモジュール式熱伝達システムの文脈において、冷却システム50は、サーバごとに冷却ノード11を有することができる。別の言い方をすれば、冷却システムは、42個のサーバ冷却ノード11を有することができ、各サーバ冷却ノードは、ラック内の42個のサーバのうちの1つに対応する。例えば、図3及び図4に示されるモジュール式冷却システムの一部分は、各サーバ12a~12nにサーバ冷却ノード11を提供する。
【0071】
同様に、サーバの複数のラックを冷却するためのシステムの文脈において、モジュール式冷却システムは、サーバ搭載ラックごとにラック冷却ノードを提供することができる。例えば、図1において、ラック冷却ノードは、42個のサーバ冷却ノード11の全てを包含する。
【0072】
同様に、所与のサーバ冷却ノード(又はそれらのうちの2つ以上、又はそれらの全て)は、1つ以上のコンポーネント冷却ノードを組み込むことができる。例えば、所与のサーバが、そのサーバのサーバ冷却ノードによって冷却されるべき2つの電子コンポーネント(例えば、2つのプロセッサ)を有する場合、そのサーバのサーバ冷却ノードは、冷却されるべき電子コンポーネントごとに1つのコンポーネント冷却ノードを提供することができる。図4に示すように、サーバ冷却ノード11は、第1のコンポーネント冷却ノード20a及び第2のコンポーネント冷却ノード20bを提供する。第1のコンポーネント冷却ノード20aは、第1のプロセッサと熱的に結合されて、第1のプロセッサから第1のコンポーネント冷却ノード20aを通過する液体冷却剤に熱を伝達する。同様に、第2のコンポーネント冷却ノード20bは、第2のプロセッサと熱的に結合されて、第2のプロセッサから第2のコンポーネント冷却ノード20bを通過する冷却液に熱を伝達する。代表的なコンポーネント冷却ノードは、米国特許第8,746,330号及び同第9,453,691号に更に詳細に記載されている。コンポーネント冷却ノードは、’330特許のように受動的であってもよく、又は、’691特許のように能動的であってもよく、例えばポンプを含んでもよい。
【0073】
図4はまた、サーバ冷却ノード11へ及びサーバ冷却ノード11から、並びに各コンポーネント冷却ノード20a、20bへ及び各コンポーネント冷却ノード20a、20bから冷却剤を搬送する冷却剤ループ又は冷却剤回路の一部を示す。例えば、冷却剤分配ユニット10は、冷たい冷却剤を分配マニホールドに搬送し、温められた冷却剤を収集マニホールドから受け取る。図3及び図4に示される冷却液ループは、各サーバ12a~12nのための流体回路の分岐を提供する。各流体回路分岐は、分配マニホールドから冷たい冷却剤を受け取り、冷たい冷却剤をサーバ冷却ノード11に搬送し、そこで冷却剤は熱を吸収する。更に、各流体回路分岐は、サーバ冷却ノード11から出る温かい冷却剤を収集マニホールドに搬送し、収集マニホールドは、温められた冷却剤を冷却剤分配ユニット10に戻す。図3及び図4に示されるシステムでは、各サーバ冷却ノードの流体回路分岐は、他のサーバ冷却ノードの各々の流体回路分岐と並列に流体結合されている。
【0074】
しかし、図4に示される流体回路分岐内では、コンポーネント冷却ノード20a、20bは、互いに直列に流体的に結合されている。例えば、図4では、コンポーネント冷却ノード20aは、冷却剤分配マニホールドから到着する冷たい冷却剤を受け取り、第1のプロセッサによって放散された熱で冷却剤を加熱する。第1のコンポーネント冷却ノード20aを出た後、第1のプロセッサによって加熱された冷却剤は、第2のコンポーネント冷却ノード20bに入り、ここで、冷却剤は、収集マニホールドによって冷却剤分配ユニット10に戻る前に、第2のプロセッサによって更に加熱される。図4には示されていないが、コンポーネント冷却ノード20a、20bは、互いに並列に流体結合することができ、各コンポーネント冷却ノードは、冷却剤回路の対応する更なる分岐から冷却剤を受け取る。
【0075】
所与の冷却ノードの冷却能力は、多くのパラメータに依存する。しかし、一般的な意味では、利用可能な冷却能力は、冷却ノードに入る冷却剤の温度、冷却剤が冷却ノードを通過する際の冷却剤温度の許容可能な上昇、及び冷却ノードを通過する冷却剤の流量に対応する。他の全てが等しい場合、より高い質量流量の冷却剤が通過する冷却ノードは、より低い質量流量の冷却剤が通過する冷却ノードよりも高い冷却能力を有する。そのため、熱源による熱放散量が低下し、冷却ノードを通る冷却剤の質量流量が変化しないままである場合、上限閾値の熱量を放散する熱源(例えば、電子コンポーネント、サーバ、又はサーバ搭載ラック)を適切に冷却する冷却ノードは、熱源に過剰な冷却を提供することになる。
【0076】
別の言い方をすれば、熱源によって放散される熱量が低下するにつれて、対応する冷却ノードを通る冷却剤の質量流量を低減することができる。冷却ノードを通る流量を低減する結果として、冷却ノードに対応する冷却剤ループの一部分を通る摩擦による圧力(又はヘッド)損失も低減される。そのようなヘッド損失の低減により、その冷却ノードを通して冷却剤を駆動する圧力ヘッド源(例えば、ポンプ)は、冷却剤に対するその仕事を低減し得、これにより、低減された電力で動作し得る。例えば、冷却剤回路の一部分を通る冷却剤の質量流量を減少させることができる場合、冷却剤ループ全体にわたって冷却剤を付勢するために必要とされる圧力ヘッドがより小さくなり得、したがって、ポンプ速度を減少させ、ひいては、冷却システムによって消費されるエネルギーの量を減少させることが可能であり得る。熱源によって放散される所与の熱量に対して、冷却ノードを通る冷却剤の質量流量の減少は、それに対応してより高い冷却剤戻り温度をもたらす。例えば、非圧縮性であると仮定される冷却剤(例えば、水、水-グリコール混合物)によって吸収される所与の熱量に対して、熱伝達の領域にわたる冷却剤温度の増加は、その領域を通る冷却剤の流量に線形に比例する。冷却ノードを通して冷却剤を移動させることによって消費されるエネルギーを節約することに加えて、比較的より高い冷却剤戻り温度は、廃熱の質を改善し、有用な目的のために廃熱を回収する能力を増加させる。実施例として、回収された廃熱は、家庭用温水を加熱するために、温水循環式暖房システムにおいて作動流体(例えば、水)を加熱するために、及び/又は有用な仕事を行うために(例えば、発電又は電力変換デバイスにおいて)使用され得る。
【0077】
開示の態様によれば、本明細書に記載されるような制御システムは、熱源によって放散される熱量に関わるリアルタイム情報、並びに熱源に対応する冷却ノードによって提供される冷却能力に関わるリアルタイム情報を受信することができる。受信されたリアルタイム情報に応答して、制御システムは、例えば、冷却ノードを通る冷却剤の質量流量を調節して、冷却ノードの冷却能力を、熱源によって放散される熱量に一致させることができる。同様に、制御システムは、冷却ノードを通る冷却剤の質量流量を調整して、有用な目的のために廃熱の質を改善することができる。
【0078】
実施形態では、制御システムは、ポンプ速度を低下させるか、若しくは弁を部分的に閉じるか、又はその両方を行って、所与の冷却ノードを通る冷却剤の流量を低下させることができる(熱源による熱放散量が低下するときなど)。同様に、制御システムは、ポンプ速度を増加させるか、若しくは弁を部分的に(若しくは完全に)開くか、又はその両方を行って、熱源による熱放散量が増加するときなど、冷却ノードを通る冷却剤の流量を増加させることができる。
【0079】
本明細書に記載されるような監視された制御ロジックによって制御されるのに好適な冷却システムの他の態様によれば、図5は、図3及び図4のサーバ搭載ラック50と同様の、ラックマウント型サーバ350のアレイを冷却するのに好適な冷却システムを概略的に例解する。図5では、流体調整ユニット300は、図3の流体調整ユニット10と同様に構成されている。調整ユニット300は、リザーバ310及び複数の分配ポンプ320-1~320-nを含む。サーバ搭載ラック350から(例えば、収集マニホールド354によって)収集された冷却剤は、リザーバ310に流入することができ、分配ポンプ320-1~320-nによって環境カプラ(例えば、熱交換器330)に圧送することができる。環境カプラでは、冷却剤によって運ばれる熱は、別の媒体(例えば、環境熱交換器360によって冷却される設備水)に伝達され、環境カプラを通って流れる冷却剤を冷却することができる。次いで、冷却された冷却剤は、サーバ搭載ラック350に戻ることができる(例えば、分配マニホールド352によってラック内の複数のサーバ間で分配される)。
【0080】
図5では、流体調整ユニット300は、例えば、図1及び図2に関連して記載された制御ロジックに類似する制御ロジック340を含む。制御ロジックは、本明細書に記載されるコンポーネント、デバイス、構造、機構、ラック、サーバ、熱伝達システム、処理ユニット、コンピューティング環境、アクチュエータなどのうちのいずれかと動作可能に結合された1つ以上のセンサから情報を受信することができる。制御ロジックは、受信された情報を処理することができ、そのような処理の出力に応答して、1つ以上の信号、コマンドなどを発することができる。本明細書に記載されるコンポーネント、デバイス、構造、機構、ラック、サーバ、熱伝達システム、処理ユニット、コンピューティング環境、アクチュエータなどは、発せられた信号又はコマンドを受信することができる。本明細書に記載されるそのようなコンポーネント、デバイス、構造、機構、ラック、サーバ、熱伝達システム、処理ユニット、コンピューティング環境、アクチュエータなどは、制御ロジックによって発せられた受信信号又はコマンドに応答することができる。制御ロジックは、汎用コンピューティング環境において、特定用途向け集積回路において、又はハードウェア及びソフトウェア(例えば、ファームウェア)の組み合わせにおいて実装することができる。
【0081】
実施例として、冷却剤分配器(流体調整ユニットと称されることもある)は、流体回路(開放又は閉鎖)内の1つ以上の選択された場所における温度、流量、及び圧力(例えば、静的及び/又は停滞)を観察するように配置される、種々の温度センサ、流量センサ、及び/又は圧力センサを有することができる。コントローラは、所望の流れ及び/又は冷却特性を達成するために、1つ以上の冷却剤(例えば、ポンプ、弁)及び/又は熱伝達コンポーネント(例えば、コンピューティング環境のロジック又は他のコンポーネント)の動作を調整することができる。
【0082】
単なる一実施例として、選択された流体回路(又はその分岐)への入口とそこからの出口との間の静圧差が、選択された上限閾値圧力を超える場合、インペラ速度を減速させることなどによって、1つ以上のポンプを絞ることができ、それによって、入口と出口との間の静圧差を低減する。代替的に、入口と出口との間の静圧差が、選択された下限圧力差を下回る場合、1つ以上のポンプは、より高いインペラ速度で動作されることができ、及び/又は1つ以上の追加のポンプは、利用可能な圧力ヘッド及び流量送達を補足又は増強するために「オンラインにする」ことができる。
【0083】
別の実施例として、所与の流体の選択された特性(例えば、比熱、熱容量、圧縮性、気体定数、状況方程式)と組み合わされた観測可能な状況変数(例えば、温度、静圧、質量、密度)の測定値、及び/又は観測可能なシステム性能特性(例えば、熱源からの電力散逸)の既知の測定値、システムセンサの健全性及び堅牢性を、制御ロジックなどによって評価し、システムユーザ又は管理者に通信することができる。例えば、いくつかの開示のシステム、コントローラ、及び方法は、選択された流体回路(又はその分岐)内の1つ以上の選択された場所における状況変数の値を計算し、計算された値を所与のセンサから検出された観測値と比較することができる。
【0084】
計算値と観測値との間の差の絶対値が選択された閾値差を超える場合、制御ロジックにおいて実装された革新的な制御ロジック、システム、コントローラ、又は方法は、障害が発生したと判定することができ、フラグを設定すること、電子メールを送信すること、及び/又はアラームを起動して判定された障害をユーザに警告することなどによって、是正措置を講じることができる。そのような障害は、障害が生じた又は障害が生じているセンサ、漏れ、温度過昇状態、障害が生じたポンプ、速度不足のポンプ、速度超過のポンプ、障害が「生じた又は障害が生じているコントローラ(例えば、ポンプコントローラ)を示すことができる。
【0085】
開示のシステム、コントローラ、制御ロジック、及び方法はまた、外部充填システムの自動制御を提供する。例えば、開示の冷却剤分配器は、外部ポンプ(例えば、外部充填キットに関連付けられたポンプ)を、冷却剤分配器に関連付けられたポンプに対応して作動させるために、リレー又は他の制御出力を有することができる。リレー又は他の制御出力は、冷却剤回路(又はその分岐)の観察及び/又は計算された状況に応答して作動させることができる。例えば、ブリード弁は、導管が冷却流体(例えば、実質的に非圧縮性の液体)で充填されると、導管からの圧縮性ガスの漏出を可能にするように開放することができる。流体センサ又は漏れ検出器は、選択された量の流体が導管内又は導管外で検出されるときなどに、導管が満杯であると判定することができる。そのような検出に応答して、リレー又は他の制御出力は、所望の結果を達成するために、外部ポンプに動作を減速又は停止させ、動作を加速又は増加させることができ、選択された弁を開放又は閉鎖することができ、かつ/又は内部ポンプに、動作を減速させるか、停止させるか、加速させるか、又は増加させることができる。
【0086】
更に別の実施例では、圧力逃がし弁又は逆止弁は、選択された閾値を超えるか又は下回る流体の状況の選択された尺度に応答して、流体が選択された流体回路又はその分岐を迂回することを可能にするように開放することができる。例えば、弁は、ポンプが「デッドヘッディング(dead heading)」(例えば、ポンプを通る流体の流れなしで動作すること)することを防止するために、流体が閉じた流体導管を迂回することを可能にするように開放することができ、そのような「デッドヘッディング」は、ポンプを、過熱させ、最終的に、障害を生じさせるか、又はさもなければ、損傷させることがある。
【0087】
制御ロジック340(又は本明細書に記載される任意の他の制御ロジック)は、例えばメモリに記憶された命令と、命令を実行するように構成された処理ユニットとを含み得る。制御ロジック340は、ポンプ320に通信可能に結合され得る。制御ロジック340は、例えば、ポンプ1420を始動及び停止するように構成され得る。制御ロジック340は、ポンプ320-1~320-nのうちのいずれかから、又はポンプに関する動作パラメータを観測するセンサから情報を受信し得る。そのようなセンサは、とりわけ、導管内の流体の温度又は表面の温度に対応する信号を提供するように、流体に対して位置決めされる温度センサと、液体内の静圧と選択された基準圧力との間の相対圧力差に対応する信号を提供するように位置決めさられる圧力センサと、ポンプの回転速度に対応する信号を提供するように構成される速度センサ(例えば、回転速度計)と、リザーバ内の冷却剤レベルに対応する信号を提供するように構成されるフロートセンサ又は他のセンサと、絶対湿度、相対湿度、湿球温度、及び乾球温度のうちの1つ以上に対応する信号を提供するように構成される湿度センサをと含むことができる。一般に、そのようなセンサは、熱力学的量、又は熱力学的量を示す動作パラメータを観測することができる。
【0088】
制御ロジック340は、動作ブロック1430に通信可能に結合され得る。制御ロジック340は、動作ブロック330内の1つ以上のセンサから情報を受信し得る。例えば、受信された情報は、ブロック内の1つ以上の点における温度、圧力、流量、若しくは液体レベル、又は調整ユニット300、ポンプ360、若しくは別のコンポーネント内のコンポーネントの流れ若しくは状態に関する任意の他の熱力学的量を含み得る。
【0089】
制御ロジック340は、有線接続、ワイヤレス接続、又はその両方を介して、流体調整ユニット300の様々なコンポーネントに通信可能に結合され得る。通信バスは、制御ロジックの処理ユニット及び/又はメモリとの間で制御信号及びセンサ情報を送受信するように構成され得る。そのような信号は、有線及びワイヤレス信号、例えば、無線周波数(radio frequency、RF)、赤外線(infrared、IR)、マイクロ波、及び光子信号を含む、情報を伝達するために好適な任意のタイプの信号を含むことができる。
【0090】
制御ロジック340はまた、ポンプ320の出口とリザーバへの入口314との間に位置決めされる弁(図示せず)に通信可能に結合され得る。制御ロジック340は、例えば、システム内からガスを放出するために、バルブを開放させる信号をバルブに通信し得る。
【0091】
IV.コンピューティング環境
図6は、例えば、ロジックコンポーネント及び/又は電源ユニットの温度を、閾値温度を下回って維持することに関連する、記載される方法、実施形態、技法、及び技術が実装することができる、好適なコンピューティング環境400の一般化された実施例を例解する。コンピューティング環境400は、本明細書で開示される技術の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図されず、各技術は、多様な汎用又は専用コンピューティング環境において実装され得る。例えば、開示の各技術は、他のコンピュータシステム構成、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な家庭用電化製品、埋め込みプラットフォーム、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、データセンタ、オーディオ機器などで実装されてもよい。開示の各技術はまた、通信接続又はネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが行われる分散コンピューティング環境で実践され得る。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルメモリ記憶デバイスとリモートメモリストレージデバイスの両方に位置し得る。
【0092】
コンピューティング環境400は、少なくとも1つの中央処理装置410及びメモリ420を含む。図6では、この最も基本的な構成430が、破線内に含まれている。中央処理装置410は、コンピュータ実行可能命令を実行し、実プロセッサ又は仮想プロセッサであってもよい。マルチプロセッシングシステム又はマルチコア中央処理装置では、複数の処理ユニットがコンピュータ実行可能命令(例えば、スレッド)を実行して処理速度を高め、したがって、処理ユニット410が単一の機能ブロックによって表されているにもかかわらず、複数のプロセッサが同時に動作することができる。処理ユニットは、特定用途向け集積回路(ASIC)、汎用マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号コントローラ、又は命令を処理するように構成された一組のハードウェアロジック構造を含むことができる。
【0093】
メモリ420は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリなど)、又はその2つの何らかの組み合わせであってもよい。メモリ420は、プロセッサによって実行されると、例えば、本明細書に記載される技術のうちの1つ以上を実装することができるソフトウェア480aを記憶する。
【0094】
コンピューティング環境は、追加の特徴を有し得る。例えば、コンピューティング環境400は、ストレージ440440、1つ以上の入力デバイス450、1つ以上の出力デバイス460、及び1つ以上の通信接続470を含む。バス、コントローラ、又はネットワークなどの相互接続機構(図示せず)が、コンピューティング環境400のコンポーネントを相互接続する。典型的には、オペレーティングシステムソフトウェア480bは、コンピューティング環境400において実行される他のソフトウェアのための動作環境を提供し、かつコンピューティング環境400のコンポーネントのアクティビティを調整する。
【0095】
ストレージ440は、取り外し可能であっても取り外し不可能であってもよく、選択された形態の機械可読媒体を含むことができる。概して、機械可読媒体は、磁気ディスク、磁気テープ若しくはカセット、不揮発性固体メモリ、CD-ROM、CD-RW、DVD、磁気テープ、光データストレージデバイス、及び搬送波、又は情報を記憶するために使用することができ、コンピューティング環境400内でアクセスすることができる任意の他の機械可読媒体を含む。ストレージ440は、本明細書に記載される技術を実装することができるソフトウェア480のための命令を記憶することができる。
【0096】
ストレージ440はまた、ソフトウェア命令が分散方式で記憶され、かつ実行されるように、ネットワークを介して分散することができる。他の実施形態では、これらの動作のうちのいくつかは、ハードワイヤードロジックを含む特定のハードウェアコンポーネントによって行われてもよい。これらの動作は、代替的に、プログラムされたデータ処理コンポーネントと固定ハードワイヤード回路コンポーネントの任意の組み合わせによって行われてもよい。
【0097】
入力デバイス450は、キーボード、キーパッド、マウス、ペン、タッチスクリーン、タッチパッド、又はトラックボールなどのタッチ入力デバイス、マイクロフォン変換器、音声認識ソフトウェア及びプロセッサなどの音声入力装置、走査デバイス、又はコンピューティング環境400に入力を提供する別のデバイスのうちの任意の1つ以上であり得る。オーディオの場合、入力デバイス450は、マイクロフォン若しくは他の変換器(例えば、アナログ若しくはデジタル形式でオーディオ入力を受け入れるサウンドカード若しくは同様のデバイス)、又はコンピューティング環境400にオーディオサンプルを提供するコンピュータ可読媒体リーダを含み得る。
【0098】
出力デバイス460は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ変換器、DVDライタ、又はコンピューティング環境400からの出力を提供する別のデバイスのうちの任意の1つ以上であり得る。
【0099】
通信接続470は、通信媒体(例えば、接続ネットワーク)を介した又は通した別のコンピューティングエンティティへの通信を可能にする。通信接続は、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)接続、又はその両方を介して通信するのに好適な送信機及び受信機を含むことができる。LAN及びWAN接続は、有線接続又はワイヤレス接続によって容易にすることができる。LAN又はWAN接続がワイヤレスである場合、通信接続は、1つ以上のアンテナ又はアンテナアレイを含むことができる。通信媒体は、コンピュータ実行可能命令、圧縮されたグラフィックス情報、処理された信号情報(処理されたオーディオ信号を含む)、又は変調されたデータ信号における他のデータなどの情報を搬送する。いわゆる有線接続のための通信媒体の実施例には、光ファイバケーブル及び銅線が含まれる。ワイヤレス通信のための通信媒体は、1つ以上の選択された周波数帯域内の電磁放射を含むことができる。
【0100】
機械可読媒体は、コンピューティング環境400内でアクセスすることができる任意の利用可能な媒体である。限定ではなく実施例として、コンピューティング環境400では、機械可読媒体は、メモリ420、ストレージ440、通信媒体(図示せず)、及び上記のいずれかの組み合わせを含む。有形の機械可読(又はコンピュータ可読)媒体は、一時的な信号を除外する。
【0101】
上記で説明したように、いくつかの開示の原理は、命令を記憶した有形の非一時的機械可読媒体(マイクロ電子メモリなど)において具現化することができる。命令は、推定、算出、計算、測定、調整、感知、測定、フィルタリング、加算、減算、反転、比較、及び意思決定(制御ユニットによるなど)を含む、上術した処理動作を行うように、1つ以上のデータ処理コンポーネント(本明細書では総称的に「プロセッサ」と称される)をプログラムすることができる。他の実施形態では、これらの動作(機械プロセスの)のうちのいくつかは、ハードワイヤードロジック(例えば、専用デジタルフィルタブロック)を含む特定の電子ハードウェアコンポーネントによって行われ得る。これらの動作は、代替的に、プログラムされたデータ処理コンポーネント及び固定ハードワイヤード回路コンポーネントの任意の組み合わせによって行われてもよい。
【0102】
V.他の実施形態
上述の実施例は、概して、機械、デバイス、又はシステムの制御を自動化するための装置、方法、及び関連するシステムに関する。
【0103】
それにもかかわらず、先の記載は、当業者が本開示の原理を作成又は使用することを可能にするために提供される。詳細に上術したもの以外の実施形態は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、それぞれの装置の構成の任意の付随する変更又は本明細書に記載される方法行為の順序の変更とともに、本明細書で開示される原理に基づいて企図される。本明細書に記載される実施例に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0104】
例えば、上記の各制御ロジック実施例の記載は、加熱デバイス若しくは加熱システム又は冷却デバイス若しくは冷却システムに関連して行われている。それにもかかわらず、開示の制御ロジックはそのように限定されない。むしろ、本明細書で開示される制御ロジック原理及び技術は、無数の他のデバイス又はシステムと併せて使用されることができる。例えば、開示の制御ロジックは、デバイス又はシステムが、個人、ビジネス、産業、地上又は地球外、輸送、製造、又は他の目的のために設計又は使用されるかどうかにかかわらず、制御又は自動化を受ける任意のデバイス又はシステムをそれ自体が制御するコントローラの健全性をモニタリングするか、運用するか、又は改善することができる。そのようなデバイス及びシステムは、限定ではなく実施例として、上記の実施例において使用されるような熱(加熱又は冷却)デバイス又はシステム、シングルユーザ又はマルチユーザゲームシステム(例えば、e-スポーツ)において使用されるような触覚デバイス又はシステム、住居、農業、オフィス、レジャー及び/又は工業環境において使用されるような照明デバイス又はシステム、オーディオデバイス又はシステム、ロボットデバイス又はシステム、輸送デバイス又はシステム、燃料デバイス又はシステム、工業用洗浄又は組立デバイス又はシステム、あるいは種々の他の目的のために実装される無数の他のデバイス又はシステムのうちのいずれかを含むことができる。
【0105】
方向及び他の相対的な参照(例えば、上、下、頂部、底部、左、右、後方、前方など)は、本明細書における図面及び原理の考察を容易にするために使用され得るが、限定することを意図するものではない。例えば、「上」、「下」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」、「左」、「右」などの特定の用語が使用され得る。そのような用語は、該当する場合には、特に図示された実施形態に関して、相対的な関係を扱うときに記載をある程度明確にするために使用される。しかしながら、そのような用語は、絶対的な関係、位置、及び/又は向きを暗示することを意図するものではない。例えば、オブジェクトに関して、「上」面は、単にオブジェクトを裏返すことによって「下」面とすることができる。それにもかかわらず、それは依然として同じ表面であり、物体は同じままである。本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、「及び」又は「又は」、並びに「及び」及び「又は」を意味する。更に、本明細書に引用される全ての特許及び非特許文献は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
また、当業者は、本明細書で開示される例示的な実施形態が、本開示の原理から逸脱することなく、様々な構成及び/又は使用に適合され得ることを理解するであろう。本明細書で開示される原理を適用して、多種多様な監視された制御ロジック構造、デバイス、及びシステム、並びに関連する方法及びシステム自動化制御を提供することが可能である。例えば、任意の特定の実施例に関連して上術した原理は、本明細書に記載される別の例に関連して説明した原理と組み合わせることができる。そのため、当業者に知られているか、又は後に知られることになる、本開示全体を通して記載される様々な実施形態の特徴及び方法行為に対する全ての構造的及び機能的同等物は、本明細書に記載される原理並びに本明細書で特許請求される特徴及び行為によって包含されることが意図される。それにより、特許請求の範囲もこの詳細な記載も限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の検討に続いて、当業者は、本明細書に記載される様々な概念を使用して考案することができる多種多様な監視された制御ロジックの実施形態を理解するであろう。
【0107】
更に、本明細書で開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公共に捧げられることを意図されていない。請求項の特徴は、その特徴が「のための手段」又は「のためのステップ」という句を使用して明示的に記載されていない限り、35USC112(f)の規定の下で解釈されるべきではない。
【0108】
添付の図面及び添付の電気回路図を含む本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、それらが表す原理と一致する全範囲が与えられるべきである。冠詞「a」又は「an」の使用などによる単数形での特徴への言及は、特にそのように述べられない限り、「1つ及び1つのみ」を意味することは意図されず、むしろ「1つ以上の」を意味するが意図される。更に、本開示の原理を適用することができる多くの可能な実施形態を考慮して、当業者によって理解されるように、本明細書に記載される特徴及び技術の任意の及び全ての組み合わせを請求する権利を留保し、例えば、本出願又は本出願の利益若しくは本出願からの優先権を主張する任意の出願の手続き全体を通していつでも提示される任意の請求項において、より詳細には、しかし排他的ではなく、本明細書に添付された請求項において、前述の記載の範囲及び趣旨に含まれる全て、並びに文字通り及び同等に列挙された組み合わせを請求する権利を含む。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達システムのための制御システムであって、前記制御システムは、
第1のプロセッサと、第1のメモリと、第1の通信接続とを有するシステム制御ロジックであって、前記第1のメモリは、前記第1のプロセッサによって実行されると、前記制御システムに、前記システム制御ロジックの健全性の指標を前記第1の通信接続から送信させ、かつ前記熱伝達システムの動作を制御させる第1の命令を記憶する、システム制御ロジックと、
監視制御ロジックであって、第2のプロセッサと、第2のメモリと、前記第1の通信接続から前記健全性の指標を受信するように構成された第2の通信接続とを有し、前記第2のメモリは、前記第2のプロセッサによって実行されると、前記監視制御ロジックに、受信された前記健全性の指標に応答して前記システム制御ロジックの健全性状況を判定させ、かつ前記システム制御ロジックの判定された前記健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答してコマンド信号を出力させる第2の命令を記憶し、前記第1の命令は更に、前記監視制御ロジックによって出力された前記コマンド信号に応答して、前記システム制御ロジックに、再起動させるか、選択されたブートモードに入らせるか、システムファイルをインストールさせるか、オペレーティングファイルをインストールさせるか、メモリを再フラッシュさせるか、ファームウェアロジックを再フラッシュさせるか、又はそれらの組み合わせを行わせる、監視制御ロジックと、を備える、制御システム。
【請求項2】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、判定された前記健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックへの電力供給を終了させる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記第1の通信接続から前記システム制御ロジックの健全性の指標を送信する行為は、所定の周波数範囲内でストローブ信号を送信することを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記受信された健全性の指標に応答して前記システム制御ロジックの健全性状況を判定する行為は、前記ストローブ信号の周波数が前記所定の周波数範囲内にあるか又は前記所定の周波数範囲外にあるかを評価することを含む、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第1のメモリは、取り外し可能なメモリカードを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記第2の通信接続からコマンド信号を出力させ、前記第1の通信接続は、前記第2の通信接続から前記コマンド信号を受信するように構成されており、前記第1の命令は、前記第1のプロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、前記コマンド信号に応答して、外部メモリストアからデータを読み取らせ、かつ前記外部メモリストアから前記第1のメモリに前記データを書き込ませる、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記外部メモリストアから前記第1のメモリに前記データを書き込む行為は、前記取り外し可能なメモリカードの取り外しを必要としない、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記第2の通信接続からコマンド信号を出力させ、前記第1の通信接続は、前記第2の通信接続から前記コマンド信号を受信するように構成されており、前記システム制御ロジックは、前記システム制御ロジックの外部のブートソースからリブートするように構成されている、請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
前記システム制御ロジックは、前記第1のメモリの一部分を、前記システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きするように更に構成されている、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記第2の命令は、前記第2のプロセッサによって実行されると、更に、前記監視制御ロジックに、前記第2の通信接続から更なるコマンド信号を出力させ、前記システム制御ロジックは、前記更なるコマンド信号に応答して、再起動し、かつ前記第1のメモリからブートするように更に構成されている、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
熱伝達システムであって、液体が前記熱伝達システムを通って流れるように促すためのポンプと、前記熱伝達システムを通る前記液体の流れを制御するための弁と、前記熱伝達システムの状態を観測するように構成されたセンサと、を有し、前記熱伝達システムは、
前記センサからの出力に応答して、前記ポンプ、前記弁、又はその両方を選択的に動作させるように構成されたシステム制御ロジックであって、前記システム制御ロジックは、前記システム制御ロジックの健全性の指標を出力するように更に構成されている、システム制御ロジックと、
監視制御ロジックであって、第1のシステム制御ロジックから前記健全性の指標を受信し、受信された前記健全性の指標に応答して前記システム制御ロジックの健全性状況を判定し、かつ前記システム制御ロジックの判定された前記健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答してコマンド信号を出力するように構成されており、前記システム制御ロジックは、前記監視制御ロジックによって出力された前記コマンド信号に応答して、再起動するか、選択されたブートモードに入るか、システムファイルをインストールするか、オペレーティングファイルをインストールするか、メモリを再フラッシュするか、ファームウェアロジックを再フラッシュするか、又はそれらの組み合わせを行うように構成されている、監視制御ロジックと、を備える、熱伝達システム。
【請求項12】
前記監視制御ロジックは、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックへの電力供給を終了するように構成されている、請求項11に記載の熱伝達システム。
【請求項13】
前記監視制御ロジックは、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックにコマンドを発行するように構成されており、前記システム制御ロジックは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、前記センサからの前記出力に応答して、前記ポンプ、前記弁、又はその両方を選択的に動作させる命令を記憶する一次メモリとを備え、前記システム制御ロジックは、前記コマンドに応答して、外部メモリストアからデータを読み出し、かつ前記一次メモリを、前記外部メモリストアから読み出された前記データで上書きするように更に構成されている、請求項11に記載の熱伝達システム。
【請求項14】
前記一次メモリは、前記システム制御ロジックから取り外し可能であり、前記外部メモリストアから前記一次メモリに前記データを書き込む行為は、前記システム制御ロジックからの前記一次メモリの取り外しを必要としない、請求項13に記載の熱伝達システム。
【請求項15】
前記監視制御ロジックは、前記判定された健全性状況が閾値健全性状況を下回ることに応答して前記システム制御ロジックにコマンドを発行するように構成されており、前記システム制御ロジックは、前記監視制御ロジックによって発行された前記コマンドに応答して前記システム制御ロジックの外部のブートソースからリブートするように構成されている、請求項11に記載の熱伝達システム。
【請求項16】
前記システム制御ロジックは、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されると、前記システム制御ロジックに、前記センサからの前記出力に応答して、前記ポンプ、前記弁、又はその両方を選択的に動作させる命令を記憶する一次メモリとを備え、前記システム制御ロジックは、前記コマンドに応答して、前記一次メモリの一部分を、前記システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きするように更に構成されている、請求項15に記載の熱伝達システム。
【請求項17】
前記システム制御ロジックは、前記外部メモリストアから受信された前記データが前記一次メモリに上書きされた後に、再起動し、かつ前記一次メモリからブートするように更に構成されている、請求項16に記載の熱伝達システム。
【請求項18】
前記一次メモリは、取り外し可能なメモリカードを含み、前記一次メモリの一部分を、前記システム制御ロジックの外部のメモリストアから受信されたデータで上書きする行為は、前記システム制御ロジックから前記取り外し可能なメモリカードを取り外すことを必要としない、請求項16に記載の熱伝達システム。
【国際調査報告】