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特表2024-516503光硬化性組成物、その硬化物、及びそれを含む表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光硬化性組成物、その硬化物、及びそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 214/18 20060101AFI20240409BHJP
   C08F 220/22 20060101ALI20240409BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20240409BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240409BHJP
   C08F 2/50 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C08F214/18
C08F220/22
C08F220/18
C08F2/44 B
C08F2/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557737
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 KR2022006459
(87)【国際公開番号】W WO2022235098
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0058721
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0055301
(32)【優先日】2022-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨ テフン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ヒョクミン
(72)【発明者】
【氏名】イ サンフン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンヒュク
(72)【発明者】
【氏名】イ チェヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジャヨン
【テーマコード(参考)】
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J011PA36
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA13
4J011QA32
4J011QA33
4J011QA45
4J011QA46
4J011SA03
4J011SA05
4J011SA06
4J011SA14
4J011SA15
4J011SA16
4J011SA20
4J011SA61
4J011SA65
4J011SA84
4J011TA10
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL66P
4J100BA01P
4J100BA02P
4J100BA02Q
4J100BA31R
4J100BB10P
4J100BB17P
4J100BB18P
4J100BC43Q
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA23
4J100DA62
4J100DA63
4J100FA03
4J100FA18
4J100JA01
4J100JA32
(57)【要約】
本発明は、光硬化性組成物、その硬化物、それを含む光学部材、及び表示装置に関するものであって、より詳細には、フッ素を含む第1オレフィン系単量体、25℃で絶対粘度が7cP以下である第2オレフィン系単量体、光重合開始剤、及びアミン化合物を含み、優れた低屈折率、光透過性、低いヘイズ特性を有した光硬化性組成物、その硬化物、それを含む光学部材、及び表示装置に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素を含む第1オレフィン系単量体と、
25℃で絶対粘度が7cP以下である第2オレフィン系単量体と、
前記第1及び第2オレフィン系単量体の総重量100重量部に対して、光重合開始剤1~20重量部と、
前記第1及び第2オレフィン系単量体の総重量100重量部に対して、アミン化合物1~15重量部と、
を含む光硬化性組成物。
【請求項2】
前記第1オレフィン系単量体は、単独重合体の屈折率が450nm波長の光基準で1.46以下である請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
前記第1オレフィン系単量体は、25℃で絶対粘度が50cP以下である請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
前記第1オレフィン系単量体は、下記の一般式1の構造を含む請求項1に記載の光硬化性組成物:
[一般式1]
(A)o-(Z)r-(CFX)n(Rf)m-(Z)s-(A)p
前記一般式1において、
Aは、硬化性作用基であり、
o及びpは、各々独立して0または1の整数であり(ただし、o及びpは、同時に0になることができない)、
r及びsは、各々独立して0または1の整数であり(ただし、r及びsは、同時に0になることができない)、
前記Zは、炭素数1~10である2価の有機基であり、
前記Xは、水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチレン基であり、
nは、0~20の整数であり、
Rfは、水素、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1~20のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基、-OF基、またはフッ素原子であり、
mは、0~2の整数であり、
ただし、n及びmは、同時に0になることができない。
【請求項5】
前記第1オレフィン系単量体は、フルオロアルキレン基を含む請求項4に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
前記第1オレフィン系単量体は、ジアクリレート系単量体及びモノアクリレート系単量体を含む請求項5に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
前記ジアクリレート系単量体は、少なくともモノアクリレート系単量体より過量である請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
前記第1オレフィン系単量体は、下記の化学式1~17で表される単量体のうち1種以上を含む請求項4に記載の光硬化性組成物:
[化1]
[化2]
[化3]
[化4]
[化5]
[化6]
[化7]
[化8]
[化9]
[化10]
[化11]
[化12]
[化13]
[化14]
[化15]
[化16]
[化17]
前記化学式2、4、5、8、及び13においてnは、各々独立して1~10の整数であり、
前記化学式1~17においてRは、各々独立して水素またはメチル基である。
【請求項9】
前記第2オレフィン系単量体は、単独重合体の屈折率が450nm波長の光基準で1.56以下である請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
前記第2オレフィン系単量体は、ベンジル(メト)アクリレート、イソデシル(メト)アクリレート、ラウリル(メト)アクリレート、エトキシエチル(メト)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メト)アクリレート、ジシクロペンテニル(メト)アクリレート、フェノキシエチル(メト)アクリレート、フェノキシベンジル(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メト)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メト)アクリレートからなる群より選ばれた1種以上を含む請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
前記アミン化合物は、硬化性作用基またはエーテル性酸素原子やカルボニル基を有することができる芳香族構造のうち1つ以上を含む請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
前記アミン化合物は、下記の化学式18で表される請求項11に記載の光硬化性組成物:
[化18]
前記化学式18において、R及びRは、各々独立して炭素数1~5のアルキル基であり、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のエーテル基、炭素数6~30のアリール基、またはアミン基を含むか、または(メト)アクリレート基である。
【請求項13】
前記アミン化合物は、エチルジメチルアミノベンゾエート、ブトキシエチルジメチルアミノベンゾエート、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ビス(2-ヒドロエチル)-トルイジン、エチルヘキシル-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メト)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メト)アクリレート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチル(メト)アクリレート、2-(アクリロイルオキシ)エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-エチルヘキシル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル2-(ジブチルアミノ)メチルアクリレート、及び4,4-(オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ)ビス(ジメチルアニリン)からなる群より選ばれた1種以上を含む請求項11に記載の光硬化性組成物。
【請求項14】
25℃で絶対粘度が5cP~50cPである請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項15】
前記第1オレフィン系単量体と第2オレフィン系単量体との重量比は、50:50~90:10である請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項16】
無溶剤タイプである請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の光硬化性組成物が硬化された硬化物。
【請求項18】
前記硬化物の屈折率は、450nm波長の光基準で1.48以下であり、3%以下のヘイズを有する請求項17に記載の硬化物。
【請求項19】
請求項17に記載の硬化物を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた低屈折率、高透過性、低いヘイズを含む向上した光学特性を表す光学部材の形成を可能にする光硬化性組成物、それを含む光学部材、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
OLED(Organic Light Emitting Diodes)及びイメージセンサなどで光効率を改善するためのニーズ(needs)が増加されている。OLED寿命改善及びバッテリー効率増大のために必ず必要な技術として、近年、屈折率制御光学フィルムに関する研究開発が活発に行われている。
【0003】
有機化合物として調整可能な低屈折率範囲は、理論上、下限値が約1.40前半または中半と知られている。中空シリカを混合する場合、屈折率は低くなるが、有機化合物との相溶性の問題のため、透過度、ヘイズ(Haze)、上下部膜接着力低下の問題点がある。そして、組成物の粘度が高くなり、インクジェット工程性が低下するなどの問題点を表し、技術的に多くの制約を有する。
【0004】
このような従来技術の諸問題のため、低屈折率特性を表しながらも、前記透過度低下及びヘイズの増加が制御され、優れた接着力及び耐熱性を表す光学フィルムの形成を可能にする技術の開発が要請し続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題を解決するために、本発明の目的は、低屈折率特性を表しながらも、前記透過度低下及びヘイズの増加が制御され、優れた接着力及び耐熱性を表す光学フィルムの形成が可能な光硬化性組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、前記光硬化性組成物の硬化物を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、前記硬化物を含む光学部材を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、前記光学部材を含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る光硬化性組成物は、フッ素を含む第1オレフィン系単量体、25℃で絶対粘度が7cP以下である第2オレフィン系単量体、光重合開始剤、及びアミン化合物を含み、第1オレフィン系単量体と第2オレフィン系単量体との総重量100重量部に対して、光重合開始剤1~20重量部、アミン化合物1~15重量部を含む。
【0010】
本発明の他の一実施形態に係る硬化物は、前記光硬化性組成物が硬化されたものである。
【0011】
本発明のさらに他の一実施形態に係る表示装置は、前記硬化物を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る光硬化性組成物は、低屈折率特性を表しながらも、高透過特性、低いヘイズ特性、優れた接着力、及び優れた耐熱性を表す。
【0013】
特に、本発明に係る光硬化性組成物は、450nm波長の光を基準に1.48以下の屈折率を有し、光学特性に優れた光学部材実現が可能であり、高解像度の表示装置実現が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的であるか、辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、彼自身の発明を最も最善の方法にて説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に即して、本発明の技術的思想に一致する意味と概念として解釈されなければならない。
【0015】
したがって、本明細書に記載された実施例及び製造例に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらは、代替できる様々な均等物と変形例等がありうることを理解すべきである。
【0016】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の相違した形態で実現されることができ、ここで説明する製造例及び実施例に限定されない。
【0017】
本明細書において「エーテル性酸素原子」とは、炭素-炭素原子間においてエーテル結合(-O-)を形成する酸素原子を意味する。
【0018】
本明細書において「フルオロアルキレン基」は、アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換された基を意味し、「パーフルオロアルキレン基」は、アルキレン基の水素原子の全部がフッ素原子に置換された基を意味する。これにより、「フルオロアルキレン基」は、「パーフルオロアルキレン基」を含む。
【0019】
本明細書において「有機基」は、炭素原子を1個以上有する基を意味する。
【0020】
本発明の一実施形態に係る光硬化性組成物は、フッ素を含む第1オレフィン系単量体、25℃で絶対粘度が7cP以下である第2オレフィン系単量体、光重合開始剤、及びアミン化合物を含む。このとき、前記光硬化性組成物は、第1オレフィン系単量体と第2オレフィン系単量体との総重量を100重量部とするとき、第1及び第2オレフィン系単量体の総重量部100重量部に対して、前記光重合開始剤は、1~20重量部、前記アミン化合物は、1~20重量部で含む。
【0021】
光硬化性組成物の屈折率が450nm波長の光基準で1.48以下になるようにするために、前記第1オレフィン系単量体は、単独重合体の屈折率が450nm波長の光基準で1.46以下のものが好まれる。前記第1オレフィン系単量体は、フッ素を含むことにより、光硬化性組成物で第2オレフィン系単量体、光重合開始剤、及びアミン化合物などにより屈折率が上昇することを調整する役割をすることができる。
【0022】
本発明の光硬化性組成物は、優れた光学的特性とともに、優れたコーティング工程性を実現するために、25℃で絶対粘度が50cP以下である第1オレフィン系単量体が好まれる。第1オレフィン系単量体の絶対粘度が25℃で50cPを超過する場合、光硬化性組成物のコーティング工程性が大きく低下するという問題が発生しうる。
【0023】
前記第1オレフィン系単量体は、下記の一般式1の構造を含むことができる。
【0024】
[一般式1]
(A)o-(Z)r-(CFX)n(Rf)m-(Z)s-(A)p
【0025】
前記一般式1において、
Aは、硬化性作用基であり、
o及びpは、各々独立して0または1の整数であり(ただし、o及びpは、同時に0になることができない)、
r及びsは、各々独立して0または1の整数であり(ただし、r及びsは、同時に0になることができない)、
前記Zは、炭素数1~10である2価の有機基であり、
前記Xは、水素原子、フッ素原子、またはトリフルオロメチレン基であり、
nは、0~20の整数であり、
Rfは、水素、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1~20のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基、-OF基、またはフッ素原子であり、
mは、0~2の整数であり、
ただし、n及びmは、同時に0になることができない。
【0026】
前記一般式1においてAの硬化性作用基は、例えば、(メト)アクリレート基であることができる。
【0027】
前記一般式1においてZの炭素数1~10である2価の有機基は、例えば、炭素数1~10のアルキレン基であることができる。
【0028】
前記第1オレフィン系単量体は、フルオロアルキレン基のようなフルオロ基、例えば、パーフルオロアルキレン基のようなパーフルオロ基を含むことができる。例えば、前記一般式1においてmは、0超過であり、Rfは、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1~20のフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基であることができる。このように、フルオロ基を含むことにより、フッ素による低屈折率特性を効果的に実現し出すことができる。
【0029】
望ましくは、前記第1オレフィン系単量体は、ジアクリレート系単量体及びモノアクリレート系単量体を共に含むことができる。例えば、前記第1オレフィン系単量体は、前記一般式1においてAは、(メト)アクリレート基であり、oは、0であり、pは、1であるか、oは、1であり、pは、0であるモノアクリレート系単量体であることができ、他の例では、前記一般式1においてAは、(メト)アクリレート基であり、oとpとが共に1であるジアクリレート系単量体であることができる。硬化性の側面で、ジアクリレート系単量体を使用することが良いが、コーティング工程性が低下することもあるので、適切な割合のモノアクリレートを混合使用することができ、一例として、これらの混合の際、粘度が約50cP以下の水準に混合割合を適宜調整できるが、硬化性の側面で、前記ジアクリレート系単量体は、少なくともモノアクリレート系単量体より過量で含まれることができる。
【0030】
前記第1オレフィン系単量体は、具体的に、下記の化学式1~17で表される単量体のうち1種以上を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0031】
[化1]
【0032】
[化2]
【0033】
[化3]
【0034】
[化4]
【0035】
[化5]
【0036】
[化6]
【0037】
[化7]
【0038】
[化8]
【0039】
[化9]
【0040】
[化10]
【0041】
[化11]
【0042】
[化12]
【0043】
[化13]
【0044】
[化14]
【0045】
[化15]
【0046】
[化16]
【0047】
[化17]
【0048】
前記化学式2、4、5、8、及び13においてnは、各々独立して1~10の整数であり、前記化学式1~17においてRは、各々独立して水素またはメチル基である。
【0049】
前記第2オレフィン系単量体は、25℃で絶対粘度が7cP以下の低い粘度特性であって、本発明の光硬化性組成物のコーティング性向上及び工程性を改善し、これと共に、単独重合体の屈折率が450nm波長の光基準で1.56以下であるものを使用できる。第1オレフィン系単量体は、フッ素を含み、組成物の光学的特性を優秀に向上させることができるが、単独で使用する場合、組成物の粘度が高くて、コーティング性及び工程性が大きく不利なことがあり、粘度が低い前記第2オレフィン系単量体を共に使用しなければならない。
【0050】
一方、第1オレフィン系単量体と第2オレフィン系単量体は、50:50~90:10の重量比で組成物に含まれることができる。前記重量比に比べて、第1オレフィン系単量体の割合が高くなると、組成物の粘度が高すぎるようになり、スリットコーティング性が劣るという問題が発生することがあり、前記重量比に比べて第2オレフィン系単量体の割合が高くなると、組成物の屈折率、透過度、ヘイズのような光学的特性が低下するという問題が発生することもある。
【0051】
前記第2オレフィン系単量体は、例えば、ベンジル(メト)アクリレート、イソデシル(メト)アクリレート、ラウリル(メト)アクリレート、エトキシエチル(メト)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メト)アクリレート、ジシクロペンテニル(メト)アクリレート、フェノキシエチル(メト)アクリレート、フェノキシベンジル(メト)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メト)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メト)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メト)アクリレートのうち1つ以上であることができるが、前記例示に限定されるものではない。
【0052】
前記第1及び第2オレフィン系単量体の総重量100重量部に対して、前記光重合開始剤は、1~20重量部で含まれる。前記範囲に比べて光重合開始剤が少なく含まれる場合、光重合反応速度が非常に遅くて、工程性が大きく劣るという問題が発生しうるし、前記範囲に比べて光重合開始剤が多く含まれる場合、溶解されず、溶液中にパーティクルが発生しうるし、貯蔵安定性が劣る原因になることができる。
【0053】
前記光重合開始剤は、例えば、トリアジン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系、キサントン系、オキシムエステル系、及びアセトフェノン系化合物のうち1種以上を使用できるが、前記例示に限定されるものではない。
【0054】
前記アミン化合物は、基本的にアミン基を含む物質であって、硬化性作用基をさらに含むか、またはエーテル性酸素原子やカルボニル基を有することができる芳香族構造をさらに含むことができ、硬化性作用基と芳香族構造の両方をさらに含むことができる。
【0055】
前記アミン化合物において前記硬化性作用基は、例えば、(メト)アクリレート基であることができる。
【0056】
前記アミン化合物は、光硬化性組成物で増強剤(Synergist)として作用して、オレフィン系単量体の硬化度を向上させて光学的特性を優秀に維持させることができる。そして、空気中の酸素によるラジカル反応の低下を防ぐので、窒素雰囲気露光装備でない、Air雰囲気露光環境でも硬化を可能なようにする。これにより、設備投資費用を画期的に低めることができる。
【0057】
前記第1及び第2オレフィン系単量体の総重量100重量部に対して、前記アミン化合物は、1~20重量部で含まれる。本発明の光硬化性組成物で前記範囲に比べてアミン化合物が少なく含まれる場合、Air雰囲気露光環境で硬化できないという問題が発生しうるし、前記範囲に比べてアミン化合物が多く含まれる場合、粘度が上昇し、屈折率が上昇するという問題が発生しうる。
【0058】
前記アミン化合物は、具体的に、下記の化学式18で表される化合物であることができるが、下記の例示に限定されるものではない。
【0059】
[化18]
【0060】
前記化学式18において、R及びRは、各々独立して炭素数1~5のアルキル基であり、Rは、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のエーテル基、炭素数6~30のアリール基、またはアミン基を含むか、または(メト)アクリレート基である。
【0061】
前記アミン化合物は、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエート、ブトキシエチルジメチルアミノベンゾエート、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ビス(2-ヒドロエチル)-トルイジン、エチルヘキシル-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メト)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メト)アクリレート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチル(メト)アクリレート、2-(アクリロイルオキシ)エチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-エチルヘキシル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、エチル2-(ジブチルアミノ)メチルアクリレート、4,4-(オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ)ビス(ジメチルアニリン)、P115(エスケイサイテック社製)、MIRAMER AS2010(美元商社製)、及びMIRAMER AS5142(美元商社製)のうち、1種以上を使用できるが、前記例示に限定されるものではない。
【0062】
本発明の光硬化性組成物は、25℃で絶対粘度が5cP~50cPであることができる。より具体的に、光硬化性組成物の25℃で絶対粘度は、5cP~30cPであることができる。前記光硬化性組成物の粘度は、前述した各組成物の重量比を調整することによって実現されることができ、必要に応じて追加的な溶媒が使用されることもできる。光硬化性組成物の絶対粘度が前記範囲より低い場合には、インクジェット工程性に問題が発生しうるし、前記範囲に比べて絶対粘度が高い場合、インクジェット、スリットコーティング性が劣るという問題が発生しうる。
【0063】
本発明の光硬化性組成物は、無溶剤タイプであることができる。前述したように、粘度調整のための溶媒が含まれることもできるが、溶媒を含むことによって硬化物から残留溶媒が残ることもありうるので、好ましくは、無溶剤タイプで組成物を構成することができる。
【0064】
本発明の他の一実施形態に係る硬化物は、前記光硬化性組成物が硬化された硬化物であり、前記硬化物は、基板上に硬化されて、低屈折率特性を表しながらも、高透過特性、低いヘイズ特性、優れた接着力、及び優れた耐熱性を有したコーティング層を形成できる。
【0065】
前記硬化物は、具体的に、パターン化された硬化膜であることができ、例えば、多面体でパターン化された硬化膜であることができる。
【0066】
前記硬化物の屈折率は、450nm波長の光を基準に1.48以下であることができる。
【0067】
前記硬化物は、3%以下のヘイズを有することができ、具体的に、1.0以下のヘイズを有することができる。
【0068】
本発明のさらに他の一実施形態である表示装置は、前記硬化物を含む。前記表示装置は、例えば、有機発光表示装置であることができ、前記硬化物を光抽出層の用途として含むことができる。前記硬化物が光抽出層として含まれる場合、相対的に高屈折特性を表す膜とともに、表示装置の光抽出性能を向上させることができ、同一条件下でさらに明るい表示装置を実現し出すことができる。
【発明の実施のための形態】
【0069】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0070】
以下、実施例の表記を簡略にするために、下記の実施例の表で表記した第1オレフィン系単量体の表記は、下記の表1のように定義し、第2オレフィン系単量体の表記は、下記の表2のように定義し、光重合開始剤の表記は、下記の表3のように定義し、アミン化合物の表記は、下記の表4のように定義する。
【0071】
[表1]
【0072】
[表2]
【0073】
[表3]
【0074】
[表4]
【0075】
[製造例:光硬化性組成物の製造]
前記表1~表4の表記を利用して、下記の表5の組成で光硬化性組成物を製造した。
【0076】
[表5]
【0077】
[実験例:光硬化性組成物の物性評価]
前記製造例によって製造された実施例及び比較例に対して光硬化組成物を光硬化して光学フィルムを製造し、下記のような方式で各物性に対して測定して下記の表7に表した。
【0078】
1)屈折率
前記光学フィルムに対して、エリプソメーターを用いて屈折率(平均λ:450±20nm)を測定した。
【0079】
判定
◎:光学フィルムの屈折率測定値が1.46以下である場合
○:光学フィルムの屈折率測定値が1.46超過~1.48である場合
△:光学フィルムの屈折率測定値が1.48超過~1.49である場合
X:光学フィルムの屈折率測定値が1.49超過である場合
【0080】
2)透過度
光学フィルムに対して、UV-VIS spectrophotometer(Cary4000、Agilent)を用いてλ=450±20nmでの平均透過率を測定した。
【0081】
判定
○:平均透過度値が90%以上である場合
X:平均透過度値が90%未満である場合
【0082】
3)ヘイズ
NIPPON DENSHOKU社のヘイズメートルCOH400を用いてヘイズを測定した。
【0083】
判定
◎:ヘイズ測定値が1.0以下である場合
○:ヘイズ測定値が1.0超過~3.0以下である場合
△:ヘイズ測定値が3.0超過~4.0以下である場合
X:ヘイズ測定値が4.0超過である場合
【0084】
4)粘度(絶対粘度)
前記比較例及び実施例の各光重合性組成物と、オレフィン系単量体に対して、25℃温度で粘度測定器(商品名:BrookField viscometer)を用いてそれぞれの絶対粘度を測定した。
【0085】
判定
◎:絶対粘度値が5~20cPである場合
○:絶対粘度値が21~30cPである場合
△:絶対粘度値が31~50cPである場合
X:絶対粘度値が前記範囲を外れる場合
【0086】
5)インクジェット工程性
インクジェット装備のノズル温度を変更し、面形成されるか確認した。
【0087】
判定
ノズル温度25~50℃で面形成=○
ノズル温度25~50℃で面形成されない(Uncoating)=X
【0088】
6)Slitコーティング性
Slit Coater装備を利用してコーティング性を確認した。
【0089】
判定
面形成=○、面形成されない(Uncoating)=X
【0090】
7)下部接着性
下部SiOx膜上に形成された硬化膜に1mm間隔で100cellをcross cutし、tapeを用いて下部SiOx膜との接着力を比較した。
【0091】
接着力水準によって0~5Bに表した。
【0092】
[表6]
【0093】
8)上部接着性
前記光学フィルムに対して、さらにCVD工程を介してSiOx膜を0.2μm蒸着した。上部SiOx上に1mm間隔で100セル(cell)をクロスカット(cross cut)し、テープ(tape)を用いて下部低屈折率光学フィルムとの接着力を比較した。
【0094】
接着力水準によって0~5Bに表した。
【0095】
[表7]
【0096】
前記表7の結果のように、本発明においてフッ素系オレフィン単量体と特定絶対粘度値を有するオレフィン単量体とを共に使用することにより、低屈折率特性を表すことができるだけでなく、インクジェット、スリットコーティング性に優れたことを分かることができる。また、アミン化合物を含む場合、透過度及びヘイズのような光学特性に特に優れたことを分かることができる。
【0097】
それに対し、第1または第2単量体を単独で使用する場合には、目的とする光学的特性や工程性が実現されないことを分かることができ、さらに、特定含有量範囲で光開始剤またはアミン化合物を含まない場合にも同様に、目的とする特性が実現されないことを分かることができる。
【0098】
以上において本発明の望ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【国際調査報告】