(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】置換ナフチルP38アルファマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07D 265/32 20060101AFI20240409BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240409BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240409BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240409BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240409BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240409BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240409BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240409BHJP
A61P 15/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240409BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
C07D 295/135 20060101ALI20240409BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C07D265/32
A61P35/00 ZNA
A61P29/00
A61P37/06
A61P11/00
A61P13/12
A61P9/10
A61P11/06
A61P1/04
A61P17/06
A61P17/00
A61P25/00
A61P3/06
A61P25/04
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P1/16
A61P9/00
A61P37/08
A61P15/06
A61P27/16
A61P21/00
A61P43/00 107
C07D295/135 CSP
A61K31/5375
A61P25/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558586
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022021181
(87)【国際公開番号】W WO2022204046
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522451137
【氏名又は名称】ジーニー ライフサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガラン、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ウエンディ
(72)【発明者】
【氏名】ラル、リトゥ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC73
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA16
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA60
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB22
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC52
(57)【要約】
置換ナフチルp38αマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤、その薬学的組成物、並びに疾患を治療するための置換ナフチルp38αマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤及びその薬学的組成物の使用が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(6)の構造を有する化合物、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2が、置換C
5-12ヘテロシクロアルキルであり、
R
3が、-C(=O)-及び-S(=O)
2-から選択され、
R
4が、-N(R
5)
2から選択され、各R
5が、独立して、水素及びC
1-4アルキルから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH
2、-NO
2、C
1-6アルキル、C
1-6シクロアルキル、C
6アリール、C
1-6ヘテロアルキル、C
1-6ヘテロシクロアルキル、及びC
5-6ヘテロアリールから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH
2、-NO
2、C
1-3アルキル、及びC
1-3ヘテロアルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、及びC
1-3アルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1つ以上の置換基の各々が、=Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が、C
1-4アルカンジイルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、エタンジイルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1が、メタンジイルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が、置換C
6ヘテロシクロアルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
1つ以上のヘテロ原子の各々が、独立して、O及びNから選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R
2が、モルホリン-4-イルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
2が、モノ-置換モルホリン-4-イルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
2が、3-置換モルホリン-4-イルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-N(R
5)
2から選択され、各R
5が、独立して、水素及びC
1-3アルキルから選択される、請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項15】
前記1つ以上の置換基の各々が、-OHである、請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項16】
前記1つ以上の置換基の各々が、=Oである、請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項17】
前記1つ以上の置換基の各々が、-N(R
5)
2であり、各R
5が、独立して、水素及びC
1-3アルキルから選択される、請求項12又は13に記載の化合物。
【請求項18】
R
3が、-C(=O)-及び-S(O)
2-から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
R
3が、-C(=O)-である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R
3が、-S(O)
2-である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R
4が、ナフチル部分の3位、4位、5位、6位、又は7位に結合している、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
R
4が、ナフチル部分の5位に結合している、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
R
1が、C
1-3アルカンジイルであり、
R
2が、置換4-モルホリニルであり、
R
3が、-C(=O)-及び-S(O)
2-から選択され、
R
4が、-N(R
5)
2から選択され、各R
5が、独立して、水素及びC
1-3アルキルから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
R
1が、メタン-ジイルであり、
R
2が、置換4-モルホリニルであり、
R
3が、-S(O)
2-であり、
R
4が、-N(R
5)
2であり、各R
5が、独立して、水素及びメチルから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
R
2が、3-置換4-モルホリニルである、請求項23又は24に記載の化合物。
【請求項26】
R
2の部分において、置換基が、=Oである、請求項23~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
R
4が、-NH(-CH
3)及び-N(-CH
3)
2から選択される、請求項23~26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、
4-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、及び
6-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物が、5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(5)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【請求項30】
前記化合物が、5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(2)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項31】
前記化合物が、5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(3)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物:
【化4】
【請求項32】
前記化合物が、p38α MAPK受容体を阻害する、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害する、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が、p38β MAPKサブユニットに対してよりもp38α MAPKサブユニットに対してより高い結合親和性を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、p38α MAPKの選択的結合部位に結合し、結合ポケットが、p38α MAPKの少なくとも残基R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義される、請求項1~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が、競合的に、4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドと競合的に前記選択的結合部位に結合する、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
前記化合物が、アニソマイシン刺激型HeLa細胞における4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドによって誘発されるMK2リン酸化を阻害する、請求項1~36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項39】
前記薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記疾患が、前記p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記疾患が、がんである、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
前記疾患が、炎症性疾患である、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記疾患が、自己免疫疾患である、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、方法。
【請求項46】
患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記疾患が、がんである、方法。
【請求項47】
前記がんが、乳がん及び黒色腫から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記疾患が、炎症性疾患である、方法。
【請求項49】
前記炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記疾患が、自己免疫疾患である、方法。
【請求項51】
前記自己免疫疾患が、狼瘡、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、妊娠の自然喪失、アトピー性疾患、及び炎症性腸疾患から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記疾患が、加齢関連疾患である、方法。
【請求項53】
前記加齢関連疾患が、難聴、筋変性症、ウェルナー症候群、細胞老化、及びアルツハイマー病から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、前記疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、方法。
【請求項55】
p38α MAPK受容体を阻害する方法であって、前記p38α MAPK受容体を、請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
【請求項56】
患者においてp38α MAPK受容体を阻害する方法であって、患者に、薬理学的に有効な量の、請求項1~37のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項57】
前記p38α MAPK受容体を阻害することが、前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害することを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α依存性対抗制御的応答の喪失をもたらさない、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記p38α依存性対抗制御的応答が、マイトジェン活性化及びストレス活性化プロテインキナーゼ-1(MSK1)又はMSK2に関する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、内皮又は上皮バリア機能を安定化する、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、炎症を低減する、請求項57~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、KPS誘発性肺損傷を軽減する、請求項57~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、白血球輸送を調節する、請求項57~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、サイトカイン発現を調節する、請求項57~63のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年3月23日に出願された米国仮特許出願第63/164,664号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、参照によってその全体が組み込まれる。
【0002】
本開示は、置換ナフチルp38αマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤、その薬学的組成物、並びに疾患を治療するための置換ナフチルp38αマイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤及びその薬学的組成物の使用に関する。
【0003】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ASCIIコピーは、2022年3月21日に作成され、67LZ-000610PC-349166_SL.txtという名前であり、755バイトのサイズである。
【背景技術】
【0004】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)は、広範囲の細胞外刺激に応答して細胞特性を処理及び調節するセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。これらの酵素は、タンパク質におけるセリン又はスレオニンのOH基をリン酸化し、細胞増殖、分化、生存、及びアポトーシスの調節において重要な役割を果たす。哺乳動物細胞では、p38 MAPKを含む、いくつかの異なるMAPKが同定されている。
【0005】
p38MAPKは、炎症性サイトカイン及び活性酸素種(ROS)などのストレス刺激に応答するMAPKのクラスであり、異なる生物学的機能を刺激する幅広いシグナル伝達経路に関与している。例えば、p38MAPKは、免疫細胞における腫瘍壊死因子-α(TNF-α)及びインターロイキン-1β(IL-1β)を含む、炎症誘発性シグナル伝達ネットワークの調節及びサイトカインの生合成において不可欠な役割を果たすことが判明している。
【0006】
研究は、p38MAPKが慢性炎症の発症に寄与することを示し、リウマチ性関節炎及び喘息などの炎症性疾患におけるp38MAPK阻害剤の適用のための前臨床試験及び臨床試験につながる。
【0007】
p38MAPKは、4つのアイソフォーム(α、β、γ、及びδ)を含む。p38α MAPKは、同定されるp38MAPKの最初のアイソフォームであり、リポ多糖(LPS)及び炎症性サイトカインによって活性化され得るストレス誘発性キナーゼとして最初に認められた。p38MAPKの阻害は、リウマチ性関節炎、心血管疾患、及び炎症性疼痛などの炎症性疾患の症状を効果的に緩和することが示されている。
【0008】
多くのp38MAPK触媒阻害剤は、効果が低く、おそらく非炎症性p38に対する活性及びp38α依存性対抗制御的応答の喪失に起因して、毒性を引き起こす。炎症性及び腫瘍学的疾患の治療に適用される、特定のp38α MAPK機能を選択的に遮断し、重要な対抗制御的機能及び恒常性機能を保存することができるp38α MAPK阻害剤が望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、化合物は、式(6)の構造、
【化1】
又はその薬学的に許容される塩を有し、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2が、置換C
5-8ヘテロシクロアルキルであり、
R
3が、-C(=O)-及び-S(=O)
2-から選択され、
R
4が、-N(R
5)
2から選択され、各R
5が、独立して、水素及びC
1-4アルキルから選択される。
【0010】
本発明によれば、薬学的組成物は、本発明による化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0011】
本発明によれば、患者において疾患を治療する方法は、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の本発明による化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に記載される図面は、例示のみを目的としている。図面は、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0013】
【
図1】化合物(4)で治療されたSARS-CoV-2細胞株についての細胞生存率(黒)及びIC
50(赤)曲線を示す。
【
図2】化合物(1)で治療されたSARS-CoV-2細胞株についての細胞生存率(黒)及びIC
50(赤)曲線を示す。
【
図3】化合物(2)で治療されたSARS-CoV-2細胞株についての細胞生存率(黒)及びIC
50(赤)曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
2つの文字又は記号の間にないダッシュ(「-」)は、部分又は置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-CONH2は炭素原子を介して結合される。
【0015】
「アルキル」は、親アルカン、アルケン、又はアルキンの単一の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって誘導される、飽和、分岐、又は直鎖、一価炭化水素ラジカルを指す。アルキル基の例は、メチル;エタニル、エテニル、及びエチニルなどのエチル;プロパン-1-イル、プロパン-2-イル、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなどの、プロピル;ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロプ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどの、ブチル;などを含む。「アルキル」という用語には、任意の飽和度又はレベルを有する基、すなわち、排他的に炭素-炭素単結合を有する基、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する基、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する基、並びに炭素-炭素単結合、二重結合、及び三重結合の組み合わせを有する基が含まれる。特定の飽和レベルが意図される場合、用語アルカニル、アルケニル、及びアルキニルが使用される。アルキル基は、C1-6アルキル、C1-5アルキル、C1-4アルキル、C1-3アルキル、エチル、又はメチルであり得る。
【0016】
「アルコキシ」は、Rが本明細書で定義されるアルキルであるラジカル-ORを指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられる。アルコキシ基は、C1-6アルコキシ、C1-5アルコキシ、C1-4アルコキシ、C1-3アルコキシ、エトキシ、又はメトキシであり得る。
【0017】
「アリール」自体又は別の置換基の一部としては、親芳香族環系の単一炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される一価芳香族炭化水素ラジカルを指す。アリールは、5員及び6員の炭素環式芳香族環、例えば、ベンゼン;少なくとも1つの環が炭素環式及び芳香族である二環式環系、例えば、ナフタレン、インダン、及びテトラリン;並びに少なくとも1つの環が炭素環式及び芳香族である三環式環系、例えば、フルオレンを包含する。アリールは、少なくとも1つの炭素環式芳香族環、シクロアルキル環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合した少なくとも1つの炭素環式芳香族環を有する複数の環系を包含する。例えば、アリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する5~7員のヘテロシクロアルキル環に縮合したフェニル環を含む。環のうちの1つのみが炭素環式芳香族環であるそのような縮合二環式環系について、ラジカル炭素原子は、炭素環式芳香族環又はヘテロシクロアルキル環にあり得る。アリール基の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アス-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基が挙げられる。アリール基は、C6-10アリール、C6-9アリール、C6-8アリール、又はフェニルであり得る。しかしながら、アリールは、本明細書で別々に定義される、ヘテロアリールをいかなる方法でも包含しないか、又はヘテロアリールと重複しない。
【0018】
「アリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがアリール基で置換されている非環式アルキルラジカルを指す。アリールアルキル基の例としては、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどが挙げられる。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニル、又はアリールアルキニルという名称が使用される。アリールアルキル基は、C7-16アリールアルキルであり得、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-6であり、アリール部分は、C6-10である。アリールアルキル基は、C7-16アリールアルキルであり得、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-6であり、アリール部分は、C6-10である。アリールアルキル基は、C7-9アリールアルキルであり得、アルキル部分は、C1-3アルキルであり得、アリール部分は、フェニルであり得る。アリールアルキル基は、C7-16アリールアルキル、C7-14アリールアルキル、C7-12アリールアルキル、C7-10アリールアルキル、C7-8アリールアルキル、又はベンジルであり得る。
【0019】
「バイオアベイラビリティ」とは、薬物又はそのプロドラッグの患者への投与後に患者の全身循環に到達する薬物の速度及び量を指し、例えば、薬物の血漿又は血液濃度対時間プロファイルを評価することによって決定することができる。血漿又は血液濃度対時間曲線を特徴付けるのに有用なパラメータには、曲線下面積(AUC)、最大濃度までの時間(Tmax)、及び最大薬物濃度(Cmax)が含まれ、Cmaxは、薬物又は薬物の形態の用量の患者への投与後の患者の血漿又は血液中の薬物の最大濃度であり、Tmaxは、薬物又は薬物の形態の用量の患者への投与後の患者の血漿又は血液中の薬物の最大濃度(Cmax)までの時間である。
【0020】
「経口バイオアベイラビリティ」(F%)は、全身循環に到達する経口投与薬物の画分を指す。経口バイオアベイラビリティは、吸収された画分、腸壁除去を逃れた画分、及び肝臓除去を逃れた画分の産物であり、バイオアベイラビリティに影響を与える因子は、生理学的因子、生化学的因子、及び生物薬剤学的因子に分けることができる。
【0021】
本明細書に開示される「化合物」及び部分は、開示される式内の任意の特定の化合物を含む。化合物は、化学構造及び/又は化学名のいずれかによって特定され得る。化合物は、ChemBioDraw Professional 17.1.0.105(9)(CambridgeSoft、Cambridge,MA)命名プログラムを使用して命名される。化学構造及び化学名が矛盾する場合、化学構造は、化合物の同一性を決定する。本明細書に記載される化合物は、1つ以上の立体異性中心及び/又は二重結合を含み得、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体、ジアステレオマー、又はアトロプ異性体などの立体異性体として存在し得る。したがって、相対的な構成で、全体的又は部分的に示される本明細書の範囲内の任意の化学構造は、立体異性体的に純粋な形態(例えば、幾何学的に純粋、鏡像異性体的に純粋、又はジアステレオマー的に純粋)並びに鏡像異性及び立体異性混合物を含む、示される化合物の全ての可能な鏡像異性体及び立体異性体を包含する。鏡像異性及び立体異性混合物は、当業者に周知の分離技法又はキラル合成技法を使用して、それらの成分鏡像異性体又は立体異性体に分解され得る。
【0022】
本明細書に開示される化合物及び部分には、化合物及び部分の光学異性体、それらのラセミ体、並びにそれらの他の混合物が含まれる。そのような実施形態では、単一の鏡像異性体又はジアステレオマーは、不斉合成によって、又はラセミ体の分解によって得られ得る。ラセミ体の分解は、例えば、分解剤の存在下での結晶化、又は例えば、キラル固定相を有するキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを使用した、クロマトグラフィーなどの従来の方法によって達成され得る。加えて、化合物は、単一の幾何異性体又はその混合物のいずれかとして、二重結合を有する化合物の(Z)-及び(E)-形態(又はシス-及びトランス-形態)を含む。
【0023】
化合物及び部分はまた、エノール形態、ケト形態、及びそれらの混合物を含むいくつかの互変異性形態で存在し得る。したがって、本明細書に示される化学構造は、示される化合物の全ての可能な互変異性形態を包含する。化合物は、非溶媒和形態、及び水和形態を含む、溶媒和形態で存在し得る。特定の化合物は、複数の結晶、共結晶、又は非晶質形態で存在し得る。化合物は、その薬学的に許容される塩、又は前述のうちのいずれかの遊離酸形態の薬学的に許容される溶媒和物、及び前述のうちのいずれかの結晶形態を含む。
【0024】
「シクロアルキル」は、飽和又は部分的に不飽和環状アルキルラジカルを指す。シクロアルキル基は、C3-8シクロアルキル、C3-5シクロアルキル、C5-6シクロアルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルであり得る。シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロセプチル、及びシクロオクチルから選択され得る。
【0025】
「シクロアルキルアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つが本明細書で定義されるようにシクロアルキル基で置換されている非環式アルキルラジカルを指す。特定のアルキル部分が意図される場合、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルケニル、又はシクロアルキルアルキニルという名称が使用される。シクロアルキルアルキル基は、C4-30シクロアルキルアルキルであり得、例えば、シクロアルキルアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-10であり、シクロアルキルアルキル部分のシクロアルキル部分は、C3-20である。シクロアルキルアルキル基は、C4-20シクロアルキルアルキルであり得、例えば、シクロアルキルアルキル基のアルカニル、アルケニル、又はアルキニル部分は、C1-8であり、シクロアルキルアルキル基のシクロアルキル部分は、C3-12である。シクロアルキルアルキルは、シクロアルキルアルキル基のアルキル部分がC1-3アルキルであり、シクロアルキル基のシクロアルキル部分がC3-6シクロアルキルである、C4-9シクロアルキルアルキルであり得る。シクロアルキルアルキル基は、C4-12シクロアルキルアルキル、C4-10シクロアルキルアルキル、C4-8シクロアルキルアルキル、及びC4-6シクロアルキルアルキルであり得る。シクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル(-CH2-シクロ-C3H5)、シクロペンチルメチル(-CH2-シクロ-C5H9)、又はシクロヘキシルメチル(-CH2-シクロ-C6H11)であり得る。シクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルエテニル(-CH=CH-シクロ-C3H5)、シクロペンチルエチニル(-C≡C-シクロ-C5H9)などであり得る。
【0026】
「シクロアルキルヘテロアルキル」自体又は別の置換基の一部としては、アルキル基の炭素原子(及び特定の関連する水素原子)のうちの1つ以上が独立して、同じ又は異なるヘテロ原子基で置き換えられ、炭素原子に結合した水素原子のうちの1つがシクロアルキル基で置き換えられているヘテロアルキル基を指す。特定のアルキル部分が意図される場合、シクロアルキルヘテロアルカニル、シクロアルキルヘテロアルケニル、及びシクロアルキルヘテロアルキニルという名称が使用される。シクロアルキルヘテロアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-である。
【0027】
「シクロアルキルオキシ」は、Rが本明細書で定義されるシクロアルキルであるラジカル-ORを指す。シクロアルキルオキシ基の例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシが挙げられる。シクロアルキルオキシ基は、C3-6シクロアルキルオキシ、C3-5シクロアルキルオキシ、C5-6シクロアルキルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、又はシクロヘキシルオキシであり得る。
【0028】
「疾患」は、前述のうちのいずれかの疾患、障害、状態、又は症状を指す。
【0029】
21U.S.C.§321(g)(1)下で定義される「薬物」とは、「(A)米国薬局方、米国ホメオパシー薬局方、若しくは国民医薬品集、又はそれらのいずれかの任意の補足文書で認められている物品、及び(B)人間又は他の動物における疾患の診断、治療(cure)、軽減、治療(treatment)、又は予防における使用を意図した物品、及び(C)人間又は他の動物の身体の構造又は任意の機能に影響を与えることを意図した物品(食品を除く)....」を意味する。
【0030】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨード基を指す。
【0031】
「ヘテロアルコキシ」は、炭素原子のうちの1つ以上がヘテロ原子で置き換えられているアルコキシ基を指す。ヘテロアルコキシ基は、C1-6ヘテロアルコキシ、C1-5ヘテロアルコキシ、C1-4ヘテロアルコキシ、又はC1-3ヘテロアルコキシであり得る。ヘテロアルコキシにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-NR-から選択され得、式中、Rは、C1-6アルキル、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-であるか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-である。ヘテロアルコキシ基は、C1-6ヘテロアルコキシ、C1-5ヘテロアルコキシ、C1-4ヘテロアルコキシ、又はC1-3ヘテロアルコキシであり得る。
【0032】
「ヘテロアルキル」自体又は別の置換基の一部としては、炭素原子(及び特定の関連する水素原子)のうちの1つ以上が、独立して、同じ又は異なるヘテロ原子基で置き換えられているアルキル基を指す。ヘテロ原子基の例としては、-O-、-S-、-Si-、-B-、-NH-、-NR-、-O-O-、-S-S-、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR-、-PR-、-P(O)OR-、-P(O)R-、-POR-、-SO-、-SO2-、及び-Sn(R)2-が挙げられ、各Rは、独立して、水素、C1-6アルキル、置換C1-6アルキル、C6-12アリール、置換C6-12アリール、C7-18アリールアルキル、置換C7-18アリールアルキル、C3-7シクロアルキル、置換C3-7シクロアルキル、C3-7ヘテロシクロアルキル、置換C3-7ヘテロシクロアルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C6-12ヘテロアリール、置換C6-12ヘテロアリール、C7-18ヘテロアリールアルキル、及び置換C7-18ヘテロアリールアルキルから選択される。各Rは、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択され得る。例えば、C1-6ヘテロアルキルへの言及は、炭素原子(及び特定の関連する水素原子)の少なくとも1つがヘテロ原子で置き換えられているC1-6アルキル基を意味する。例えば、C1-6ヘテロアルキルは、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子を有する基、4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子を有する基を含む。ヘテロアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。ヘテロアルキル基は、C1-6ヘテロアルキル、C1-5ヘテロアルキル、又はC1-4ヘテロアルキル、又はC1-3ヘテロアルキルであり得る。
【0033】
「ヘテロアリール」自体又は別の置換基の一部としては、親複素芳香族環系の単一原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される一価複素芳香族ラジカルを指す。ヘテロアリールは、芳香族又は非芳香族であり得る、少なくとも1つの他の環に縮合した少なくとも1つの複素芳香族環を有する複数の環系を包含する。例えば、ヘテロアリールは、1つの環が複素芳香族であり、第2の環がヘテロシクロアルキル環である二環式環を包含する。そのような縮合二環式ヘテロアリール環系について、環のうちの1つのみが1つ以上のヘテロ原子を含有する場合、ラジカル炭素は、芳香族環又はヘテロシクロアルキル環にあり得る。ヘテロアリール基におけるN、S、及びO原子の総数が1を超える場合、ヘテロ原子は、互いに隣接していてもしていなくてもよい。ヘテロアリール基のヘテロ原子の総数は、2以下である。ヘテロアリールにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。ヘテロアリール基は、例えば、C5-10ヘテロアリール、C5-9ヘテロアリール、C5-8ヘテロアリール、C5-7ヘテロアリール、C5-6ヘテロアリール、C5ヘテロアリール、又はC6ヘテロアリールから選択され得る。
【0034】
ヘテロアリール基の例としては、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、α-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、チアゾリジン、及びオキサゾリジンに由来する基が挙げられる。ヘテロアリール基は、例えば、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、又はピラジンに由来し得る。例えば、ヘテロアリールは、C5ヘテロアリールであり得、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、又はイソキサゾリルから選択され得る。ヘテロアリールは、C6ヘテロアリールであり得、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、及びピリダジニルから選択され得る。
【0035】
「ヘテロアリールアルキル」とは、炭素原子(及び特定の関連する水素原子)のうちの1つがヘテロ原子で置き換えられているアリールアルキル基を指す。ヘテロアリールアルキル基は、C6-16ヘテロアリールアルキル、C6-14ヘテロアリールアルキル、C6-12ヘテロアリールアルキル、C6-10ヘテロアリールアルキル、C6-8ヘテロアリールアルキル、又はC7ヘテロアリールアルキル、又はC6ヘテロアリールアルキルであり得る。ヘテロアリールアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、及び-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。
【0036】
「ヘテロビシクロアルキル」は、2つのヘテロシクロアルキル基を有する部分を指す。ヘテロビシクリクロアルキル(heterobicyclycloalkyl)基は、縮合環又はスピロ化合物であり得る。
【0037】
「ヘテロシクロアルキル」自体又は別の置換基の一部としては、1つ以上の炭素原子(及び特定の結合した水素原子)が独立して同じ若しくは異なるヘテロ原子で置き換えられる飽和若しくは不飽和環状アルキルラジカルを指すか、又は1つ以上の炭素原子(及び特定の結合した水素原子)が独立して同じ若しくは異なるヘテロ原子で置き換えられ、その環系がヒュッケル則に違反する親芳香族環系を指す。炭素原子を置き換えるヘテロ原子の例としては、N、P、O、S、B、及びSiが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の例として、エポキシド、アジリン、チイラン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、及びキヌクリジンに由来する基が挙げられる。ヘテロシクロアルキルは、C5ヘテロシクロアルキルであり得、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ドキソラニル、及びジチオラニルから選択される。ヘテロシクロアルキルは、C6ヘテロシクロアルキルであり得、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、オキサジニル、ジチアニル、及びジオキサニルから選択され得る。ヘテロシクロアルキル基は、C3-8ヘテロシクロアルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C3-5ヘテロシクロアルキル、C5-6ヘテロシクロアルキル、C5ヘテロシクロアルキル、又はC6ヘテロシクロアルキルであり得る。ヘテロシクロアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。
【0038】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル環の1つ以上の炭素原子(及び特定の関連する水素原子)が、独立して、同じ又は異なるヘテロ原子で置き換えられているシクロアルキルアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキルアルキルは、C4-12ヘテロシクロアルキルアルキル、C4-10ヘテロシクロアルキルアルキル、C4-8ヘテロシクロアルキルアルキル、C4-6ヘテロシクロアルキルアルキル、C6-7ヘテロシクロアルキルアルキル、又はC6ヘテロシクロアルキルアルキル若しくはC7ヘテロシクロアルキルアルキルであり得る。ヘテロシクロアルキルアルキルにおいて、ヘテロ原子基は、-O-、-S-、-NH-、-N(-CH3)-、-SO-、-SO2-、-Si-、-B-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-及び-NH-から選択され得るか、又はヘテロ原子基は、-O-若しくは-NH-であり得る。
【0039】
「親芳香族環系」は、4n+2個の電子(ヒュッケル則)を有する環式共役π(パイ)電子系を有する不飽和環式又は多環式環系を指す。「親芳香族環系」の定義に含まれるのは、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどの、環のうちの1つ以上が芳香族であり、環のうちの1つ以上が飽和又は不飽和である縮合環系である。親芳香族環系の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アス-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどが挙げられる。
【0040】
「水和物」は、付加物の形成をもたらす、化学量論的な割合での、本明細書に記載される化合物の結晶格子への水の組み込みを指す。水和物を作製する方法としては、水蒸気を含有する雰囲気中での貯蔵、水を含む剤形、又は、例えば、結晶化(すなわち、水又は混合された水性溶媒から)、凍結乾燥、湿式造粒、水性フィルムコーティング、若しくは噴霧乾燥などの、日常的な薬学的処理ステップが挙げられるが、これらに限定されない。水和物はまた、特定の状況下で、水蒸気への曝露時、又は水中の無水材料の懸濁時に、結晶性溶媒和物から形成され得る。水和物はまた、2つ以上の形態で結晶化し、水和物多型をもたらし得る。
【0041】
「親芳香族環系」は、共役π電子系を有する不飽和環式又は多環式環系を指す。「親芳香族環系」の定義に具体的に含まれるのは、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどの、環のうちの1つ以上が芳香族であり、環のうちの1つ以上が飽和又は不飽和である縮合環系である。親芳香族環系の例としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、アス-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、及びトリナフタレンが挙げられる。
【0042】
「親複素芳香族環系」は、1つ以上の炭素原子(及び任意の関連する水素原子)が、芳香族系及びヒュッケル則(4n+2)に対応する数のπ電子に特徴的な連続したπ電子系を維持するような方法で、同じ又は異なるヘテロ原子と独立して置き換えられる芳香族環系を指す。炭素原子を置き換えるためのヘテロ原子の例としては、N、P、O、S、Si、及びBが挙げられる。「親ヘテロ芳香族環系」の定義に具体的に含まれるのは、例えば、アルシンドール、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどの、環のうちの1つ以上が芳香族であり、環のうちの1つ以上が飽和又は不飽和である縮合環系である。親ヘテロ芳香族環系の例としては、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン、及びチアゾリジン、オキサゾリジンが挙げられる。
【0043】
「患者」は、哺乳動物、例えば、ヒトを指す。
【0044】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府若しくは州政府の規制機関によって、又は米国薬局方若しくは動物、より具体的にはヒトにおいて使用するための他の一般的に認められている薬局方に記載されている、承認された又は承認可能なものを指す。
【0045】
「薬学的に許容される塩」は、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩を指す。そのような塩には、無機酸、並びに親化合物内の一級、二級、又は三級アミンなどの1つ以上のプロトン化可能な官能基で形成される酸付加塩が含まれる。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。塩は、有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-l-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリルスルホン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などにより形成され得る。塩は、親化合物中に存在する1つ以上の酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオン、又はそれらの組み合わせ、あるいはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基との配位によって置き換えられる場合に形成され得る。薬学的に許容される塩は、塩酸塩であり得る。薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩であり得る。2つ以上のイオン化可能な基を有する化合物では、薬学的に許容される塩は、二塩、例えば、二塩酸塩などの1つ以上の対イオンを含むことができる。
【0046】
「薬学的に許容される塩」という用語は、水和物及び他の溶媒和物、並びに結晶形態又は非結晶形態の塩を含む。特定の薬学的に許容される塩が開示される場合、特定の塩(例えば、塩酸塩)は塩の一例であり、当業者に知られている技法を用いて他の塩が形成され得ることを理解されたい。加えて、当該技術分野で一般に既知の技法を使用して、当業者は、薬学的に許容される塩を対応する化合物、遊離塩基、及び/又は遊離酸に変換することができるであろう。
【0047】
「薬学的に許容されるビヒクル」は、薬学的に許容される希釈剤、薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体、又は前述のうちのいずれかの組み合わせを指し、それらと共に、本開示によって提供される化合物を患者に投与することができ、その薬理活性を破壊せず、治療有効量の化合物を提供するのに十分な用量で投与される場合に無毒である。
【0048】
「薬学的組成物」は、本開示によって提供される化合物又はその薬学的に許容される塩、及び本開示によって提供される化合物又はその薬学的に許容される塩とともに患者に投与される少なくとも1つの薬学的に許容されるビヒクルを指す。薬学的に許容されるビヒクルは、当該技術分野で既知である。
【0049】
「予防すること」又は「予防」は、疾患又は障害を獲得するリスクの低減を指す(すなわち、疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つが、疾患にさらされ得るか、又は疾患にかかりやすいが、まだ疾患の症状を経験又は表示しない患者において発症しないようにする)。いくつかの実施形態では、「予防すること」又は「予防」は、本開示によって提供される化合物を予防的に投与することによって、疾患の症状を低減することを指す。疾患又は障害を予防すること又はその予防のための治療剤の適用は、予防(prophylaxis)として知られている。本開示によって提供される化合物は、長期間にわたるより低い長期的な副作用のために、優れた予防を提供することができる。
【0050】
「溶媒和物」は、化学量論又は非化学量論量の1つ以上の溶媒分子を有する化合物の分子複合体を指す。そのような溶媒分子は、薬学分野で一般的に使用されるものであり、水又はエタノールなどの患者にとって無害であることが知られている。化合物又は化合物の部分と溶媒との分子複合体は、例えば、静電力、ファン・デル・ワールス力、又は水素結合などの非共有分子内力によって安定化され得る。「水和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子が水である溶媒和物を指す。
【0051】
「溶媒和物」は、付加物の形成をもたらす、化学量論的な割合での、本明細書に記載される化合物の結晶格子への溶媒の組み込みを指す。溶媒和物を作製する方法は、例えば、溶媒を含有する雰囲気中での貯蔵、溶媒を含む剤形、又は例えば、結晶化(すなわち、溶媒又は混合溶媒からの)蒸気拡散などの日常的な薬学的処理ステップを含む。溶媒和物はまた、特定の状況下で、溶媒への曝露時又は溶媒中での材料懸濁時に、他の結晶性溶媒和物又は水和物から形成され得る。溶媒和物は、2つ以上の形態で結晶化し、溶媒和物多形をもたらし得る。
【0052】
「本開示によって提供される化合物」は、式(6)によって包含される化合物及びその薬学的な塩を指す。特定の実施形態では、本開示によって提供される化合物は、式(6)によって包含される化合物、薬学的に、塩、溶媒和物、水和物、及び/又は前述のうちのいずれかのプロドラッグを更に含むことができる。
【0053】
本開示によって提供される化合物はまた、例えば、多形体、擬似多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体構造多形体、及び化合物の非晶質形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物の結晶形態及び非晶質形態を含む。「結晶形態」及び「多形」は、特定の結晶形態又は非晶質形態が参照されない限り、例えば、多形体、擬似多形体、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形体(無水物を含む)、立体構造多形体、及び非晶質形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物の全ての結晶形態及び非晶質形態を含むことが意図されている。
【0054】
「置換」は、1つ以上の水素原子が独立して同じ又は異なる置換基で置換されている基を指す。各置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-CF3、-OCF3、=O、-NO2、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、-COOR、-NR2、及び-CONR2から選択され得、各Rが、独立して、水素及びC1-6アルキルから選択される。各置換基は、独立して、重水素、ハロゲン、-NH2、-OH、C1-3アルコキシ、及びC1-3アルキル、トリフルオロメトキシ、及びトリフルオロメチルから選択され得る。各置換基は、独立して、重水素、-OH、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、及びトリフルオロメトキシから選択され得る。各置換基は、独立して、重水素、C1-3アルキル、=O、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、及びフェニルから選択され得る。各置換基は、独立して、重水素、-OH、-NH2、C1-3アルキル、及びC1-3アルコキシから選択され得る。
【0055】
「持続放出」は、同じ投与経路による同じ化合物の即時放出製剤の投与によって達成されるものと比較して長期にわたる、患者の全身循環における、化合物又はその活性代謝物の治療又は予防濃度を達成するのに有効な速度での薬学的組成物の投与形態からの化合物の放出を指す。いくつかの実施形態では、化合物の放出は、少なくとも約4時間、例えば、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約16時間、少なくとも約20時間、及びいくつかの実施形態では、少なくとも約24時間の期間にわたって生じる。
【0056】
疾患の「治療すること」又は「治療」は、疾患又は疾患若しくは障害の臨床症状の少なくとも1つを停止又は緩和すること、疾患若しくは疾患の臨床症状の少なくとも1つを獲得するリスクを低減すること、疾患若しくは疾患の臨床症状の少なくとも1つの発症を低減すること、又は疾患若しくは疾患の臨床症状の少なくとも1つを発症するリスクを減少させるか又は低減することを指す。「治療すること」又は「治療」はまた、疾患を物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方のいずれかで阻害すること、並びに患者に識別可能であり得る、又は識別不可能であり得る少なくとも1つの物理的パラメータ又は徴候を阻害することを指す。「治療すること」又は「治療」はまた、その患者がまだ疾患の症状を経験していないか、又は示していなくても、疾患若しくは障害に曝露されるか、又はかかりやすい場合がある患者において、疾患の発症を遅延させること、又はその少なくとも1つ以上の症状の発症を遅延させることを指す。
【0057】
「治療有効量」は、疾患、又は疾患の臨床症状のうちの少なくとも1つを治療するために患者に投与される場合、疾患又はその症状のそのような治療に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。「治療有効量」は、例えば、化合物、疾患及び/若しくは疾患の症状、疾患の重症度、並びに/又は疾患若しくは障害の症状、治療される患者の年齢、体重、及び/若しくは健康、並びに処方医師の判断に応じて変化し得る。任意の所与の事例における適切な量は、当業者によって確認され得るか、又は日常的な実験によって決定することができる。
【0058】
「治療有効用量」は、患者における疾患又は障害の有効な治療を提供する用量を指す。治療有効用量は、化合物によって、及び患者間で異なり得、患者の状態及び送達経路等の因子に依存し得る。治療有効用量は、当業者に公知の日常的な薬理学的手順に従って決定され得る。
【0059】
「ビヒクル」は、化合物とともに患者に投与される希釈剤、賦形剤、又は担体を指す。ビヒクルは、薬学的に許容されるビヒクルであり得る。薬学的に許容されるビヒクルは、当該技術分野で既知である。
【0060】
「結合親和性」は、単一の生体分子とそのリガンド/結合パートナーとの間の結合相互作用の強度を指す。結合親和性は、IC50値として表される。結合親和性は、ファージELISA競合アッセイによって決定することができる。
【0061】
「調節する」及び「調節」とは、例えば、タンパク質、遺伝子、ペプチド、又は抗体などの生物学的分子の生物学的活性の変化を指し、そのような変化は、生物学的分子についての、例えば、増加した活性、アゴニズム、活性化、発現、上方調節、及び/若しくは増加した発現などの、生物学的活性の増加、又は例えば、低下した活性、アンタゴニズム、抑制、脱活性化、下方調節、及び/若しくは低下した発現などの、生物学的活性の低下に関連し得る。
【0062】
例えば、本明細書に記載される化合物は、p38α MAPKタンパク質を阻害するなど、調節することができる。本開示によって提供される化合物は、他のMAPK又はp38MAPKタンパク質と比較して、p38α MAPKタンパク質を選択的に阻害するなどの、選択的に調節することができる。本開示によって提供される化合物は、他のMAPK又はp38 MAPKタンパク質と比較して、p38α MAPKタンパク質を選択的に阻害するなど、選択的に調節することができる。
【0063】
「部分」は、分子の特定のセグメント又は官能基を指す。化学部分は、多くの場合、分子に埋め込まれるか、又は分子に付加される化学実体として認識される。
【0064】
ここで、特定の化合物、組成物、及び方法を詳細に参照する。開示される化合物、組成物、及び方法は、特許請求の範囲を限定することを意図してはいない。それとは反対に、特許請求の範囲は、全ての代替物、修正物、及び同等物を包含することが意図されている。
【0065】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKタンパク質の選択的阻害剤である。本開示によって提供される薬学的組成物は、本開示によって提供される化合物を含む。本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、疾患を治療するために使用することができ、疾患は、p38α MAPKタンパク質を阻害することによって治療される。
【0066】
p38α MAPKの触媒阻害剤は、炎症性サイトカインの発現をブロックすることができ、恒常性を確立及び維持するために重要である他のp38α MAPKシグナル伝達経路をブロックすることができる。
【0067】
触媒阻害剤に対する代替物として、本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKの基質結合溝を標的とし、これは、MARK受容体のCD及びEDドメインと称される2つの酸性パッチ間に延在し、DEF基質結合ポケットとは異なる。下流基質、上流活性化キナーゼ、及び場合によっては足場分子は、これらの部位を通してp38MAPKと相互作用する。本開示によって提供される化合物は、p38βではなくp38α MAPKに選択的に結合することができ、ヒト肺微小血管内皮細胞(HMVECL)における内皮バリア機能を安定化することができ、及び/又はTHP-l細胞におけるリポ多糖(LPS)誘発性炎症促進性遺伝子発現を阻害することができる。
【0068】
本開示によって提供される化合物としては、R
2が置換縮合環を含む式(6)の化合物、及びR
2が置換単環式環を含む式(6)の化合物が挙げられる。本開示によって提供される化合物は、式(6)の構造、
【化2】
又はその薬学的に許容される塩を有し得、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され得、
R
2が、置換C
5-12ヘテロシクロアルキルであり得、
R
3が、-C=O及び-S(=O)
2から選択することができ、
R
4が、-N(R
5)
2から選択することができ、各R
5が、独立して、水素及びC
1-4アルキルから選択することができる。
【0069】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、独立して、例えば、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6シクロアルキル、C6アリール、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ヘテロアルコキシ、C1-6ヘテロシクロアルキル、C5-6ヘテロアリール、置換C1-6アルキル、置換C1-6アルコキシ、置換C1-6シクロアルキル、置換C6アリール、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6置換ヘテロアルコキシ、置換C1-6ヘテロシクロアルキル、及び置換C5-6ヘテロアリールから選択され得る。
【0070】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、C1-3ヘテロアルキル、C1-3ヘテロアルコキシ、置換C1-3アルキル、置換C1-3アルコキシ、置換C1-3ヘテロアルキル、及び置換C1-3ヘテロアルコキシから選択され得る。
【0071】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、独立して、-OH、=O、C1-3アルキル、及びC1-3アルコキシから選択され得る。
【0072】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、=Oであり得る。
【0073】
式(6)の化合物において、1つ以上のヘテロ原子の各々は、独立して、N及びOから選択され得る。
【0074】
式(6)の化合物において、R1は、C1-4アルカンジイルであり得る。
【0075】
式(6)の化合物において、R1は、エタンジイルであり得る。
【0076】
式(6)の化合物において、R1は、メタンジイルであり得る。
【0077】
式(6)の化合物において、R2は、C6ヘテロシクロアルキルであり得る。
【0078】
式(6)の化合物において、1つ以上のヘテロ原子の各々は、O及びNから選択され得る。
【0079】
式(6)の化合物において、R2は、4-モルホリニルであり得る。
【0080】
式(6)の化合物において、R2は、置換4-モルホリニルであり得る。
【0081】
式(6)の化合物において、R2は、3-置換4-モルホリニルであり得る。
【0082】
式(6)の化合物において、R2は、C5ヘテロシクロアルキル、C6ヘテロシクロアルキル、C7ヘテロシクロアルキル、C8ヘテロシクロアルキル、又はC9ヘテロシクロアルキルであり得る。
【0083】
式(6)の化合物において、R2は、C5-12ヘテロシクロアルキル部分の窒素ヘテロ原子を通してR1に結合することができる。
【0084】
式(6)の化合物において、R2は、環窒素ヘテロ原子がR1に結合する単環式C5-12 ヘテロアルキル環であり得る。
【0085】
式(6)の化合物において、R2は、環窒素ヘテロ原子がR1に結合し、少なくとも1つの環酸素ヘテロ原子を有する、単環式C5-12ヘテロアルキル環であり得る。
【0086】
式(6)の化合物において、R2は、環窒素ヘテロ原子がR1に結合し、少なくとも1つの環酸素ヘテロ原子及び少なくとも1つのオキソ(=O)置換基を有する、単環式C5-12ヘテロアルキル環であり得る。
【0087】
式(6)の化合物において、R2は、環窒素ヘテロ原子がR1に結合している二環式C5-12ヘテロアルキル環であり得る。
【0088】
式(6)の化合物において、R2は、環窒素ヘテロ原子がR1に結合し、少なくとも1つの環酸素ヘテロ原子を有する、二環式C5-12ヘテロアルキル環であり得る。
【0089】
式(6)の化合物において、R2は、環窒素ヘテロ原子がR1に結合し、少なくとも1つの環酸素ヘテロ原子及び少なくとも1つのオキソ(=O)置換基を有する、二環式C5-12ヘテロアルキル環であり得る。
【0090】
式(6)の化合物において、R2は、4λ2-モルホリン-3-オン、4λ2-モルホリン-2-オン、1,3λ2-オキサジナン-4-オン、1,3λ2-オキサジナン-5-オン、1,3λ2-オキサジナン-6-オン、3λ2-オキサゾリジン-2-オン、3λ2-オキサゾリジン-4-オン、及び3λ2-オキサゾリジン-5-オンから選択され得る。
【0091】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、-OH、=O、及び-N(R5)2から選択することができ、各R5が、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択することができる。
【0092】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、-OHであり得る。
【0093】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、=Oであり得る。
【0094】
式(6)の化合物において、1つ以上の置換基の各々は、-N(R5)2であり得、各R5は、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択され得る。
【0095】
式(6)の化合物において、R3は、C(=O)及びS(O)2から選択され得る。
【0096】
式(6)の化合物において、R3は、C(=O)であり得る。
【0097】
式(6)の化合物において、R3は、S(O)2であり得る。
【0098】
式(6)の化合物において、R4は、ナフチル部分の3位、4位、5位、6位、又は7位に結合することができる。
【0099】
式(6)の化合物において、R4は、ナフチル部分の5位に結合することができる。
【0100】
式(6)の化合物において、
R1は、C1-3アルカンジイルであり得、
R2は、置換4-モルホリニルであり得、
R3は、C(=O)及びS(O)2から選択することができ、
R4は、-N(R5)2から選択することができ、各R5が、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択することができる。
【0101】
式(6)の化合物において、
R1は、メタン-ジイルであり得、
R2は、置換4-モルホリニルであり得、
R3は、S(O)2であり得、
R4は、-N(R5)2であり得、各R5が、独立して、水素及びメチルから選択され得る。
【0102】
式(6)の化合物において、
R1は、メタン-ジイルであり得、
R2は、置換4-モルホリニルであり得、
R3は、C(=O)であり得、
R4は、-N(R5)2であり得、各R5が、独立して、水素及びメチルから選択され得る。
【0103】
式(6)の化合物において、R2は、3-置換4-モルホリニルであり得る。
【0104】
式(6)の化合物において、R2の部分では、置換基は、=Oであり得る。
【0105】
式(6)の化合物において、R4は、-NH(-CH3)及び-N(-CH3)2から選択され得る。
【0106】
式(6)の化合物において、R4は、-NH(-CH3)であり得る。
【0107】
式(6)の化合物において、R4は、-N(-CH3)2であり得る。
【0108】
式(6)の化合物は、
4-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、及び
6-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択され得る。
【0109】
式(6)の化合物は、5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(化合物5)、又はその薬学的に許容される塩であり得る:
【化3】
【0110】
式(6)の化合物は、5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(2)、又はその薬学的に許容される塩であり得る:
【化4】
【0111】
式(6)の化合物は、5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(3)、又はその薬学的に許容される塩であり得る:
【化5】
【0112】
式(6)の化合物は、溶媒和物、薬学的に許容される塩、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0113】
式(6)の化合物において、薬学的に許容される塩は、塩酸塩であり得る。
【0114】
式(6)の化合物は、式(6)の化合物の薬学的に許容される塩、その水和物、又は前述のうちのいずれかの溶媒和物であり得る。
【0115】
特定の実施形態では、本開示によって提供される化合物は、式(1)の化合物(5-(メチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド)ではない。
【化6】
【0116】
本開示によって提供される化合物は、選択的p38MAPK阻害剤などのp38α MAPK阻害剤、及び/又はp38α MAPKタンパク質活性の調節剤であり得る。
【0117】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKの選択的阻害剤であり得る。本開示によって提供される選択的p38α MAPK阻害剤は、p38α MAPKの触媒結合部位に対してよりも、p38α MAPKの標的ポケットに対してより高い結合親和性(より低いIC50)を有する。本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKを選択的に阻害することができる。p38α MAPK阻害剤は、CD及びEDドメインと称される2つの酸性パッチ間に延在する、p38α MAPKの基質結合溝の近くでp38α MAPKに結合することができる。結合ポケットは、少なくともp38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義することができる。結合ポケットは、少なくとも、p38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、M109、Gl10、Al57、Vl58、El63、Ll64、及びKl65によって定義することができる。結合ポケット、及び選択的結合ポケットへの選択的結合を決定するための方法は、例えば、米国出願第2020/0331874 A1号及び米国出願第2019/0151324 A1号に記載されている。
【0118】
本開示によって提供される化合物のp38α MAPKへの選択的結合は、相補的な技術を使用して確認することができる。例えば、選択的p38α MAPK阻害剤は、リガンド誘発性タンパク質安定化を検出するための示差走査蛍光測定(DSF)を使用して決定されるように、p38Pではなくp38αの融解温度の濃度依存的増加を示すことができる。タンパク質からリガンドプロトンへの非スカラー磁化移動を介して低親和性タンパク質/リガンド結合を測定する、STD-NMRを使用して、p38αへの特定の化合物結合を確認し、結合部位の芳香族環への相互作用を局在化することができる。p38α MAPK阻害剤は、p38α MAPKの融解温度の濃度依存的増加を引き起こし得る。融解温度Tmの差は、100μMの濃度などの1nM~1,000μMのp38α MAPK阻害剤濃度で測定することができる。例えば、融解温度の差は、0.1℃~約2℃であり得る。
【0119】
本開示によって提供される化合物は、p38MAPKのED基質ドッキング部位の近くでポケットと相互作用することができる。
【0120】
本開示によって提供される化合物は、CD及びEDドメイン間に延在する、p38α MAPKの基質結合溝の近くでp38α MAPKに結合することができる。
【0121】
本開示によって提供される化合物は、p38α MAPKとの相互作用を通してMK2リン酸化を阻害することができる。
【0122】
本開示によって提供される化合物は、4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドと競合的にp38α MAPKに結合することができる。
【0123】
本開示により提供される化合物は、p38β MAPKサブユニットに対してよりも、p38α MAPKサブユニットに対してより高い結合親和性を有することができる。
【0124】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、logP、例えば、-5~10、-3~8、0~5、0.1~3、0.1~1、0.5~1.5、0.75~2、1~2.5、又は1.75~3を有し得る。LogPは、薬物溶解度の尺度であり、薬物のオクタノール/水分配係数の対数として定義される。
【0125】
MK2のリン酸化は、p38α MAPKにおける標的ポケットに隣接するED部位への結合を伴い得る。標的ポケットは、p38α MAPKにおけるアミノ酸R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義することができる。標的ポケットは、p38α MAPKにおけるR49、Hl07、Ll08、M109、Gl10、Al57、Vl58、El63、Ll64、及びKl65から選択されるアミノ酸によって定義することができる。標的ポケットは、p38α MAPKにおけるアミノ酸R49、Hl07、Ll08、M109、Gl10、Al57、Vl58、El63、Ll64、及びKl65によって定義することができる。
【0126】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、MK2リン酸化を少なくとも部分的に阻害することができる。例えば、ウェスタンブロッティングを使用して、本開示によって提供される化合物によるアニソマイシン刺激型HeLa細胞におけるMK2リン酸化の阻害を測定することができる。
【0127】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、内皮又は上皮バリア機能を安定化することができる。内皮バリア透過性は、TNFa及び温熱療法への別個の又は組み合わされた曝露、続いて10kDaのデキストランについての透過性の測定によって測定することができる。例えば、内皮バリア安定化は、本開示によって提供される化合物で前処理することによって評価することができ、その前後に透過性測定が行われ、安定化は、前処理の前後の透過性増加の%低減として表すことができる。10kDaデキストランによって引き起こされた透過性増加は、例えば、5%超、10%超、20%超、40%超、60%超、80%超、又は100%超などの、5%~100%超低減することができる。
【0128】
本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、例えば、RNASeqを使用して決定されるように、ヒト肺微小血管内皮細胞(HMVECL)におけるTNFα誘発性遺伝子発現を調節することができる。例えば、HMVECLは、適切な濃度のp38α MAPK阻害剤で一定期間にわたって前処理し、次いでTNFaで一定期間にわたって刺激することができる。本開示によって提供されるp38α MAPK阻害剤は、PRRG4、TSLP、CCLI 7、EXOC3L4、MMP9、IDOI、CXCLlO、CD200、SLCI5A3、VDR、ILIB、GPR88、CD207、TCHH、HAS3、GBPIPI、MUC4、ELOVL7、CXCLll、GBP4、PLAIA、及び/又はCXCL5などの遺伝子を阻害することができる。
【0129】
炎症性サイトカイン発現に対するp38α MAPK阻害剤の効果は、PMA分化THPI細胞をp38α MAPK阻害剤で前処理し、次いでLPSで刺激し、PCRベースのサイトカインアレイによる分析のために後で一定期間RNAを収集することによって決定することができる。p38α MAPK阻害剤は、IL-IA、IL-8、TNFSF8、CXCL5、CCL7、CCLI 7、TNFSF9、IL-IB、CXCLI、TNFSFI5、CCL5、CCL4、CCL20、CXCL2、TNF、又はBMP6などの、様々な遺伝子の発現を阻害することができる。p38α MAPK阻害剤は、Foxp3 T調節細胞の分化を駆動し、インターフェロン-γを抑制するSmad3の発現を阻害することができる。炎症低減は、p38α MAPK阻害剤の様々な濃度での倍率変化mRNAレベルを非刺激型PMA分化THPI細胞と比較することによって測定することができる。
【0130】
式(6)の特定の化合物は、ナフチル部分上にアミン置換基を有する対応する化合物N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミドの代謝物であり得る。例えば、式(2)の化合物(5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド;化合物2)、及び式(3)の化合物(5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド;化合物3)は、化合物(4)の代謝物(5-(ジメチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド;化合物(4))であり得る:
【化7】
【化8】
【化9】
【0131】
対象への化合物(4)の投与後、化合物(4)をインビボで代謝して、式(3)の化合物、式(2)の化合物、及び式(1)の化合物(5-(メチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(化合物1))を提供することができる:
【化10】
【0132】
式(6)の化合物は、当該技術分野で既知の方法を使用して合成することができる。
【0133】
例えば、(4-アミノフェニル)メタノール(A)を、CH2Cl2中のBoc2Oと反応させて、Boc保護化合物tert-ブチル(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(B)を得ることができる。Boc保護中間体(B)を、CH2Cl2中のPDCと反応させて、tert-ブチル(4-アセチルフェニル)カルバメート(C)を得ることができる。中間体(C)を、1,2-ジクロロエタン(DCE)などの有機溶媒中のNaBH(OAc)2の存在下で、好適な置換モルホリンと反応させて、対応する置換tert-ブチル(4-(モルホリノメチル)フェニル)カルバメート(D)を得ることができる。中間体(D)を、メタノール中の4M HClの存在下で脱保護して、対応する置換4-(モルホリノメチル)アニリン二塩酸塩(E)を得ることができる。塩(E)を、ジメチルホルムアミド(DMF)中のN、N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下で、好適な置換S-(ナフタレン-1-イル)クロロチオエート(F)と反応させて、対応する式(6)の化合物を得ることができる。
【0134】
本開示によって提供される化合物は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口(oral)、経口(peroral)、舌下、脳内、膣内、経皮、直腸、吸入、又は局所を含む任意の適切な投与経路によって患者に投与される薬学的組成物に組み込むことができる。本開示によって提供される薬学的組成物は、注射可能な製剤であり得る。本開示によって提供される薬学的組成物は、注射可能な静脈内製剤であり得る。本開示によって提供される薬学的組成物は、経口製剤であり得る。経口製剤は、経口剤形であり得る。薬学的組成物は、静脈内投与又は皮下投与のために製剤化することができる。
【0135】
本開示によって提供される薬学的組成物は、患者への適切な投与のための組成物を提供するために、好適な量の1つ以上の薬学的に許容されるビヒクルと一緒に治療有効量の式(6)の化合物を含み得る。好適な薬学的ビヒクル及び薬学的組成物を調製する方法は、当該技術分野に記載されている。
【0136】
治療に対する単一の患者の反応を評価し、患者を最適な治療法に認定することは、現代の医療の最大の課題の一つであり、パーソナライズされた医薬の動向に刺激を与える。式(6)の化合物は、例えば、特定のがん及び免疫細胞について、標的選択性を有し得る。陽電子放出断層撮影(PET)又は単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)のために放射性標識された式(6)の化合物を使用して、単一試験ケースバイケース患者分析に基づいて、治療の標的化を予測することができ、よって治療から利益を得ないと予想される患者を除外する。式(6)の化合物を使用したPET/SPECTスキャンは、濃度と相関すると、3次元分布マップを提供することができ、これは次いで巨視的用量計算に使用することができる。
【0137】
式(6)の化合物及び/又はその薬学的組成物は、一般に、意図された目的を達成するために有効な量で使用することができる。がん、自己免疫疾患、又は炎症性疾患などの疾患を治療する使用について、式(6)の化合物及び/又はその薬学的組成物は、治療有効量で投与又は適用され得る。
【0138】
特定の障害又は状態の治療において有効であろう式(6)の化合物及び/又は前述のうちのいずれかの薬学的組成物の量は、部分的に、疾患又は状態の性質に依存し、当該技術分野で既知の標準的な臨床技法によって決定され得る。加えて、最適な用量範囲を特定するのに役立つように、インビトロアッセイ又はインビボアッセイを任意に用いてもよい。投与される式(6)の化合物、及び/又は前述のうちのいずれかの薬学的組成物の量は、他の因子の中でも、治療されている患者、患者の体重、罹患の重症度、投与方法、及び処方医の判断に依存するであろう。
【0139】
式(6)の化合物は、ヒトにおける使用前に、所望の治療活性について、インビトロ及びインビボでアッセイすることができる。例えば、インビトロアッセイを使用して、特定の化合物又は化合物の組み合わせの投与が好ましいかどうかを決定し得る。化合物はまた、動物モデルシステムを使用して効果的かつ安全であると実証することができる。
【0140】
特定の実施形態では、治療有効用量の式(6)の化合物及び/又は前述のうちのいずれかの薬学的組成物は、実質的な毒性を引き起こすことなく、治療的利益を提供するであろう。式(6)の化合物及び/又は前述のうちのいずれかの薬学的組成物の毒性は、標準的な薬学的手順を使用して決定され得、当業者によって容易に確認され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指標である。式(6)の化合物及び/又は前述のうちのいずれかの薬学的組成物は、疾患及び障害を治療することにおいて特に高い治療指数を示す。式(6)の化合物、及び/又は前述のうちのいずれかの薬学的組成物の用量は、最小限の毒性で有効用量を含む循環濃度の範囲内であろう。
【0141】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、治療目的のために化合物を患者に投与するために使用され得るキットに含まれ得る。キットは、患者への投与に好適な本開示によって提供される化合物を含む薬学的組成物、及び薬学的組成物を患者に投与するための使用説明書を含み得る。キットは、がんを治療するため、自己免疫疾患を治療するため、又は炎症性疾患を治療するために好適であり得る。がんを治療することにおける使用のため、自己免疫疾患を治療するため、又は炎症性疾患を治療するためのキットは、本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物と、患者に化合物を投与するための指示とを含むことができる。
【0142】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、容器、パック、又はディスペンサーに投与の指示と一緒に含まれ得る。
【0143】
キットと共に供給される使用説明書は、例えば、電子可読媒体、ビデオカセット、オーディオテープ、フラッシュメモリデバイスとして印刷及び/又は供給されてもよく、又はインターネットウェブサイト上で公開されてもよく、又は電子通信として患者及び/又は医療提供者に配布されてもよい。
【0144】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、患者において疾患を治療するために使用することができる。
【0145】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、疾患の病因がp38α MAPKタンパク質の上方調節及び/又は下方調節と関連付けられる、疾患を治療するために使用することができる。
【0146】
本開示によって提供される方法は、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の本開示によって提供される化合物又は組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療することを含み、疾患は、p38α MAPKタンパク質を阻害することによって治療される。
【0147】
ストレス活性化及びサイトカイン活性化キナーゼのp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)ファミリーは、例えば、がん、リウマチ性関節炎、心血管疾患、多発性硬化症、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び急性肺損傷(ALI)を含む、多くのヒト疾患の病因と関連付けられる。p38 MAPKによって調節される多くの重要な生物学的プロセスのうち、内皮及び上皮バリア機能、白血球輸送、及びサイトカイン発現の調節は、急性及び慢性炎症性障害の病因の中心である。
【0148】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、患者においてがんを治療するために使用され得る。がんは、例えば、固形腫瘍又は転移であり得る。
【0149】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者においてがんを治療する方法を含む。
【0150】
好適ながんの例としては、聴神経鞘腫、腺がん、脈管肉腫、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支原性がん、子宮頸がん、脊索腫、絨毛がん、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺がん、胎児性がん、内皮がん、上衣腫、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝がん、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様がん、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、筋肉腫、鼻腔がん、神経芽腫、乏突起膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腺がん、乳頭がん、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、肉腫、皮脂腺がん、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、汗腺がん、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺がん、咽頭がん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液がん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、及びホジキン病が挙げられる。
【0151】
好適ながんの例としては、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、リンパ腫、皮膚がん、結腸がん、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣がん、脳がん、原発性脳がん腫、頭頸部がん、神経膠腫、神経膠芽腫、肝臓がん、膀胱がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん腫、乳がん腫、卵巣がん腫、肺がん腫、小細胞肺がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部がん腫、精巣がん腫、膀胱がん腫、膵臓がん腫、胃がん腫、結腸がん腫、前立腺がん腫、尿生殖器がん腫、甲状腺がん腫、食道がん腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎がん腫、腎細胞がん腫、子宮内膜がん腫、副腎皮質がん腫、悪性膵臓インスリノーマ、悪性カルチノイドがん腫、絨毛がん、菌状息肉症、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、有毛細胞白血病、神経芽腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性多血症、本態性血小板増加症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部組織肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症、又は網膜芽腫が挙げられる。がんは、聴神経鞘腫、腺がん、脈管肉腫、星細胞腫、基底細胞がん、胆管がん、膀胱がん、脳がん、乳がん、気管支原性がん、子宮頸がん、脊索腫、絨毛がん、結腸がん、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、嚢胞腺がん、胎児性がん、内皮がん、上衣腫、食道がん、ユーイング腫瘍、線維肉腫、胃がん、多形膠芽腫、神経膠腫、頭頸部がん、血管芽腫、肝がん、腎臓がん、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、肺がん、リンパ管内皮肉腫、リンパ管肉腫、髄様がん、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、筋肉腫、鼻腔がん、神経芽腫、乏突起膠腫、口腔がん、骨原性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腺がん、乳頭がん、松果体腫、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、肉腫、皮脂腺がん、セミノーマ、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、汗腺がん、滑膜腫、精巣がん、小細胞肺がん、咽頭がん、子宮がん、ウィルムス腫瘍、血液がん、急性赤白血病性白血病、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性単芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性未分化白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄球性白血病、有毛細胞白血病、多発性骨髄腫、重鎖病、ホジキン病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、真性多血症、又は原発性マクログロブリン血症であり得る。
【0152】
本開示によって提供される化合物及び薬学的組成物は、例えば、以下のがん:急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、虫垂がん、星細胞腫、非定型奇形腫様/横紋筋様腫瘍、基底細胞がん(非黒色腫)、B細胞リンパ腫、膀胱がん、骨がん、脳及び脊髄腫瘍、脳幹がん、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、頭頸部のがん、中枢神経系胎児性腫瘍、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頚がん、脊索腫、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、乳管がん、色素がん、内分泌膵臓腫瘍(島細胞腫瘍)、子宮内膜がん、上衣芽細胞腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイングファミリーの腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃がん、胃腸カルチノイド腫瘍、胃腸間質腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍、神経膠芽腫、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭頚部がん、心臓がん、リンパ系統の造血腫瘍、肝細胞がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部及び視路神経膠腫、IDs関連リンパ腫、眼内黒色腫、島細胞腫瘍、カポジ肉腫、腎臓がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん、白血病、口唇及び口腔がん、男性乳がん、悪性線維性組織球腫、悪性生殖細胞腫瘍、悪性中皮腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、中皮腫、口腔がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫、菌状息肉症、骨髄異形成、骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、卵巣上皮がん、卵巣生殖細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓がん、膵臓神経内分泌腫瘍(島細胞腫瘍)、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体実質腫瘍、松果芽細胞腫及び小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠及び乳がん、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓がん、不顕性を伴う原発性転移性頸部扁平上皮がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、腎盂及び尿管、気道がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん(非黒色腫)、胃がん、小脳テント上原始神経外胚葉性腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、咽頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、移行細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、視路及び視床下部神経膠腫、外陰がん、原発性マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、並びに前述のうちのいずれかの全身及び中枢転移のうちの1つ以上を治療するために使用することができる。
【0153】
本開示によって提供される方法は、がんを治療する方法を含み、がんは、乳がん及び黒色腫から選択される。
【0154】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において炎症性疾患を治療する方法を含む。
【0155】
炎症性疾患の例としては、アレルギー、アルツハイマー病、貧血、強直性脊椎炎、関節炎、アテローム性動脈硬化症、喘息、自閉症、関節炎、手根管症候群、セリアック病、大腸炎、クローン病、うっ血性心不全、皮膚炎、糖尿病、憩室炎、湿疹、線維筋痛、線維症、胆嚢疾患、胃食道逆流症、橋本甲状腺炎、心臓発作、肝炎、過敏性腸症候群、腎不全、狼瘡、多発性硬化症、腎炎、神経障害、膵炎、パーキンソン病、乾癬、多発性筋痛、リウマチ、リウマチ性関節炎、硬化性皮膚炎、脳卒中、外科合併症、及び潰瘍性大腸炎が挙げられる。
【0156】
本開示によって提供される方法は、患者において炎症性疾患を治療する方法を含み、炎症性疾患は、例えば、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、1型糖尿病及び2型糖尿病を含む糖尿病、並びにリウマチ性関節炎から選択される。
【0157】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において自己免疫疾患を治療する方法を含む。
【0158】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、自己免疫疾患を治療するのに有用であり得る。自己免疫疾患は、免疫系がそれ自体のタンパク質、細胞、及び/又は組織を攻撃するヒト疾患として定義することができる。自己免疫疾患の包括的なリスト及びレビューは、例えば、The Autoimmune Diseases,Rose and Mackay,2014,Academic Pressに見出すことができる。
【0159】
自己免疫疾患の例としては、アジソン病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBN腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性自律神経失調症、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性心筋炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索及びニューロン神経障害、バロ病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ・ストラウス、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心臓ブロック、コクカッキー心筋炎(Coxcackie myocarditis)、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病、円盤状狼瘡、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合型クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、グラン・バレー症候群(Gullain-Barre syndrome)、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化症、免疫性血小板減少性紫斑病、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性糖尿病、若年性筋炎、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA病、狼瘡、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、ムッカ・ハーベルマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼部瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ、PANDAS、腫瘍随伴性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、パリー・ロンバーグ症候群、扁平部炎、パーソネージ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、レストレスレッグス症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣自己免疫、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、血小板減少性紫斑病、トロサ・ハント症候群、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、ブドウ膜炎、脈管炎、白斑、並びにウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。
【0160】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、例えば、狼瘡、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、妊娠の自然喪失、アトピー性疾患、及び炎症性腸疾患などの自己免疫疾患を治療するために使用することができる。
【0161】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、自己免疫疾患を治療するための1つ以上の追加の治療剤とともに投与することができる。式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、プレドニゾン、ブデソニド、及びプレドニゾロンなどのコルチコステロイド;トファシチニブなどのヤヌスキナーゼ阻害剤;シクロスポリン及びタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;シロリムス及びエベロリムスなどのmTOR阻害剤;アザチオプリン、レフルノミド、及びマイコフェノール酸塩などのIMDH阻害剤;アバタセプトアダリムマブ、アナキンラ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、イキセキズマブ、ナタリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、及びベドリズマブなどの生物製剤;並びにバシリキシマブ及びダクリズマブなどのモノクローナル抗体を含む、1つ以上の免疫抑制剤と併せて投与され得る。
【0162】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療する方法を含み、疾患は、急性冠動脈症候群、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アルツハイマー病、喘息、心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性腸疾患、大うつ病性障害、多発性硬化症、神経因性疼痛、及びリウマチ性関節炎から選択される。
【0163】
本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物は、難聴、筋再生、ウェルナー症候群などの加齢関連疾患を治療するための1つ以上の追加の治療剤とともに投与することができる。
【0164】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療する方法を含み、疾患は、例えば、難聴、筋変性、ウェルナー症候群、細胞老化、又はアルツハイマー病などの加齢関連疾患である。
【0165】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者において疾患を治療する方法を含み、疾患は、突発性難聴、薬物誘発性難聴、加齢性難聴、及びデュシェンヌ筋ジストロフィーから選択される。
【0166】
本開示によって提供される方法は、治療を必要とする患者に治療有効量の本開示によって提供される化合物又は薬学的組成物を投与することを含む、患者においてウイルス性疾患を治療する方法を含む。ウイルス性疾患は、SARS-CoV-19及びSARS-CoV-2であり得る。
【0167】
疾患の治療において有効であろう本開示によって提供される式(6)の化合物、又はその薬学的組成物の量は、少なくとも部分的に、疾患の性質に依存し得、当該技術分野で既知の標準的な臨床技法によって決定され得る。加えて、最適な投薬範囲を特定するのに役立つように、インビトロアッセイ又はインビボアッセイを用いてもよい。投薬レジメン及び投薬間隔はまた、当業者に既知の方法によって決定され得る。投与される本開示によって提供される式(6)の化合物の量は、他の因子の中でも、治療されている患者、患者の体重、疾患の重症度、投与経路、及び処方医の判断に依存し得る。
【0168】
全身投与のために、治療有効量は、最初にインビトロアッセイから推定され得る。初期用量はまた、当該技術分野で既知の技法を使用して、インビボデータ、例えば、動物モデルから推定され得る。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用できる。当業者であれば、動物データに基づいてヒトへの投与を最適化してもよい。
【0169】
本開示によって提供される式(6)の化合物の用量及び適切な投薬間隔は、患者の血液中の本開示によって提供される式(6)の化合物の持続的な治療有効濃度を、特定の実施形態では、最小有害濃度を超えることなく、維持するように選択され得る。
【0170】
本開示によって提供される式(6)の化合物を含む薬学的組成物は、例えば、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、又は6週間毎に1回投与され得る。投薬は、単独で又は他の薬物と組み合わせて提供されてもよく、疾患の有効な治療に必要な限り継続してもよい。投薬はまた、一定の期間にわたって連続的又は半連続的な投与を使用して行われ得る。投薬には、ヒトなどの哺乳動物に、給餌状態又は絶食状態で薬学的組成物を投与することが含まれる。
【0171】
薬学的組成物は、単一の剤形又は複数の剤形で、又は一定期間にわたって連続的若しくは累積的な用量として投与され得る。複数の剤形が使用される場合、複数の剤形の各々の内に含有される本開示によって提供される式(6)の化合物の量は、同じでも異なっていてもよい。
【0172】
投与に好適な1日用量範囲は、例えば、体重1キログラム当たり約2μg~約200mgの本開示によって提供される式(6)の化合物の範囲であり得る。
【0173】
投与に好適な1日用量範囲は、例えば、体表面の平方メートル(m2)当たり約1μg~約50mgの本開示によって提供される式(6)の化合物の範囲であり得る。
【0174】
本開示によって提供される式(6)の化合物は、患者においてがんを治療するために、例えば、0.001mg/日~100mg/日の量で、又は任意の他の適切な1日用量で投与され得る。用量は、例えば、0.01μg/kg体重/週~100μg/kg体重/週、又は任意の他の好適な用量であり得る。
【0175】
本開示によって提供される式(6)の化合物を含む薬学的組成物は、患者においてがんを治療するために、患者の血液又は血漿中の本開示によって提供される式(6)の化合物の治療有効濃度を提供するように投与され得る。患者の血液中の本開示によって提供される式(6)の化合物の治療有効濃度は、例えば、0.01μg/L~1,000μg/L、0.1μg/L~500μg/L、1μg/L~250μg/L、又は約10μg/L~約100μg/Lであり得る。患者の血液中の本開示によって提供される式(6)の化合物の治療有効濃度は、例えば、少なくとも0.01μg/L、少なくとも0.1μg/L、少なくとも1μg/L、少なくとも約10μg/L、又は少なくとも100μg/Lであり得る。患者の血液中の式(6)の化合物の治療有効濃度は、例えば、恒常性への悪影響を含む許容不可能な悪影響を引き起こす量未満であり得る。患者の血液中の式(6)の化合物の治療有効濃度は、患者において恒常性を回復及び/又は維持するのに十分な量であり得る。
【0176】
本開示によって提供される薬学的組成物は、患者において疾患を治療するために、患者の血液中の式(6)の化合物の治療有効濃度を、例えば、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、1日、又は2日などの期間にわたって提供するように投与され得る。
【0177】
投与される式(6)の化合物の量は、治療レジメン中に変動し得る。
【0178】
本開示によって提供される薬学的組成物は、式(6)の化合物に加えて、1つ以上の薬学的に活性な化合物を更に含み得る。そのような化合物は、例えば、式(6)の化合物で治療されているがんを治療するため、又は式(6)の化合物で治療されているがん以外の疾患、障害、若しくは状態を治療するため、式(6)の化合物を投与することによって引き起こされる副作用を治療するため、式(6)の化合物の有効性を増強するため、及び/又は式(6)の化合物の活性を調節するために提供され得る。
【0179】
本開示によって提供される式(6)の化合物は、少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて投与され得る。式(6)の化合物は、患者においてがんを治療するための別の化合物と一緒に患者に投与され得る。少なくとも1つの他の治療剤は、式(6)の第2の異なる化合物であり得る。式(6)の化合物及び少なくとも1つの他の治療剤は、相加的に、又は特定の実施形態では、式(6)の別の化合物と相乗的に作用し得る。少なくとも1つの追加の治療剤は、式(6)の化合物を含む同じ薬学的組成物若しくはビヒクルに含まれ得るか、又は別個の薬学的組成物若しくはビヒクルに含まれ得る。したがって、本開示によって提供される方法は、式(6)の化合物を投与することに加えて、がん又はがんとは異なる疾患、障害、若しくは状態を治療するために有効な1つ以上の治療剤を投与することを更に含む。本開示によって提供される方法は、式(6)の化合物及び1つ以上の他の治療剤の投与を含み、ただし、併用投与は、式(6)の化合物の治療有効性を阻害しない、且つ/又は有害な併用効果を生じない。
【0180】
式(6)の化合物を含む薬学的組成物は、式(6)の化合物を含む薬学的組成物と同じ薬学的組成物の一部であり得るか、又はそれとは異なる薬学的組成物であり得る、別の治療剤の投与と同時に投与され得る。式(6)の化合物は、別の治療剤の投与前又は投与後に投与され得る。特定の併用療法において、併用療法は、例えば、特定の薬物に関連する有害な薬物効果を最小限に抑えるために、式(6)の化合物と別の治療剤を含む組成物とを交互に投与することを含み得る。式(6)の化合物が、例えば、毒性を含む有害な薬物効果を潜在的に生じ得る別の治療剤と同時に投与される場合、他の治療剤は、有害な薬物反応が誘発される閾値を下回る用量で投与され得る。
【0181】
本開示によって提供される式(6)の化合物を含む薬学的組成物は、例えば、式(6)の化合物の放出、バイオアベイラビリティ、治療有効性、治療効力、及び/又は安定性を増強、調節、及び/又は制御するために、1つ以上の物質とともに投与され得る。例えば、式(6)の化合物を含む薬学的組成物は、式(6)の化合物の治療有効性を増強する薬理学的効果を有する活性剤と同時投与することができる。
【0182】
式(6)の化合物、又はその薬学的組成物は、式(6)の化合物で治療されている同じ疾患などの、患者におけるがん、自己免疫疾患、又は炎症性疾患などの疾患を治療するのに有効であることが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0183】
式(6)の化合物、又はその薬学的組成物は、細胞増殖に干渉することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0184】
式(6)の化合物、又はその薬学的組成物は、細胞代謝に干渉する、代謝拮抗剤である、RNA転写に干渉する、RNA翻訳に干渉する、細胞タンパク質合成に干渉する、DNA合成及び複製のための前駆体の合成に干渉する、プリン合成に干渉する、ヌクレオシド合成に干渉する、mTORと相互作用する、mTOR阻害剤である、細胞周期チェックポイントに干渉することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0185】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、イピリムマブなどのCTLA-4阻害剤、ペンブロリズマブ及びニボルマブなどのPD-1阻害剤、並びに/又はアテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブなどのPD-LI阻害剤を含むチェックポイント阻害剤と併せて投与され得る。式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、CD137/4-1BB、CD27、GIYR、及び/又はOC40などの免疫調節剤と併せて投与され得る。
【0186】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、細胞傷害性である、DNA損傷を引き起こす、細胞周期停止を引き起こす、又は分裂期細胞死を引き起こすことが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0187】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、グルタチオン濃度を調節する、細胞内のグルタチオン濃度を調節する、細胞内のグルタチオン濃度を低下させる、細胞内へのグルタチオン取り込みを低減する、グルタチオン合成を低減する、又は細胞内のグルタチオン合成を低減することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0188】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、新生血管形成に干渉する、新生血管形成を低減する、又は新生血管形成を促進することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0189】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、ホルモン恒常性に干渉する、ホルモン合成に干渉する、ホルモン受容体結合に干渉する、又はホルモンシグナル伝達に干渉することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0190】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、成長因子恒常性に干渉する、成長因子受容体発現に干渉する、成長因子受容体への成長因子結合に干渉する、成長因子受容体シグナル伝達に干渉する、ヘッジホッグ(Hh)シグナル伝達に干渉する、ヘッジホッグ経路シグナル伝達を阻害する、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)経路シグナル伝達を阻害する、又は非相同末端結合(NHEJ)経路を阻害することが知られているか、又は考えられている薬剤と併せて投与され得る。
【0191】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)阻害剤、RTK(受容体チロシンキナーゼ)阻害剤、ナトリウムチャネル電流遮断剤、aFAK(焦点接着キナーゼ)阻害剤、GLI(神経膠腫関連がん遺伝子)阻害剤、GLI1阻害剤、GLI2阻害剤、GLI3阻害剤、MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)阻害剤、MAPK/ERK経路(Ras-Raf-MEK-ERK経路としても知られる)阻害剤、MEK1阻害剤、MEK2阻害剤、MEK5阻害剤、MEK5/ERK5阻害剤、aRTA(尿細管性アシドーシス)阻害剤、ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害剤、AaLKキナーゼ阻害剤、核転座阻害剤、PORCN(ヤマアラシ)阻害剤、5-ARI(5α還元酵素阻害剤)、トポイソメラーゼ阻害剤、Ras(ラット肉腫)阻害剤、K-ras阻害剤、CERK(セラミドキナーゼ)阻害剤、PKB(プロテインキナーゼB、別名AKT)阻害剤、AKT1阻害剤、EZH2(zesteホモログ2のエンハンサー)阻害剤、BET(ブロモドメイン及びエクストラターミナルドメインモチーフ)阻害剤、SYK(脾臓チロシンキナーゼ)阻害剤、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤、SYK/JAK阻害剤、IDO(インドールアミン-ピロール2,3-ジオキシゲナーゼ)阻害剤、IDO1阻害剤、RXR(レチノイン酸X受容体)活性化剤、選択的RXR活性化剤、p糖タンパク質阻害剤、ERK阻害剤、PI3K(ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼ)阻害剤、BRD(ブロモドメイン含有タンパク質)阻害剤、BRD2阻害剤、BRD3阻害剤、BRD4阻害剤、BRDT(ブロモドメイン精巣特異的タンパク質)阻害剤、逆転写酵素阻害剤、NRT(ヌクレオシド類似体逆転写酵素)阻害剤、PIM(モロニーウイルスのプロウイルスインテグレーション)阻害剤、EGFR(表皮増殖因子受容体)阻害剤、光増感剤、放射線増感剤、ROS(がん原遺伝子、受容体チロシンキナーゼ)阻害剤、ROS1(がん原遺伝子1)阻害剤、CK(カゼインキナーゼ)阻害剤、CK2阻害剤、Bcr-Abl(ブレークポイントクラスター領域-Abelsonがん原遺伝子)チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ダサチニブ、微小管安定化剤、微小管解重合/分解阻害剤、DNAインターカレーター、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、化学保護剤、HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤、DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)阻害剤、DPP-4阻害剤、BTK(ブルトンのチロシンキナーゼ)阻害剤、キナーゼ阻害剤、例えば、イマチニブ、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ニロチニブ、ARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)阻害剤、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)阻害剤、CDK4阻害剤、CDK6阻害剤、CDK4/6阻害剤、HIF1α(低酸素誘導性因子1-α)阻害剤、DNAリガーゼ阻害剤、DNAリガーゼIV阻害剤、NHEJ(非相同末端結合)阻害剤、DNAリガーゼIV、NHEJ阻害剤及びRAF阻害剤、TKI及びRAF阻害剤、TKI及びRAF阻害剤、例えば、ソラフェニブ、PDT(光力学療法)増感剤、ATR(毛細血管拡張性運動失調症及びRad3関連プロテインキナーゼ)阻害剤、又は前述のうちのいずれかの組み合わせであることが知られているか、又は考えられている1つ以上の薬剤と併せて投与され得る。
【0192】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、フルキンチニブ、モテサニブ/AMG-706、バタラニブなどのVEGFR阻害剤;ポナチニブなどのRTK阻害剤;GS967などのナトリウムチャネル遮断剤;TAE226などのFAK阻害剤;GANT61などのGLI1及びGLI2阻害剤;ビニメチニブなどのMEK阻害剤;リニファニブなどのRTA阻害剤;ブリグスチニブなどのALK阻害剤;ブロモピルビン酸;チオテパなどのDNAアルキル化剤;JSH-23などの核転座因子;Wnt-C59などのPORCn阻害剤;デュタステリドなどの5α還元酵素阻害剤;カルビシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤;Kobe0065などのRAS阻害剤;NVP-231などのCerK阻害剤;アプロセルチブなどのAKT阻害剤;GSK-503などのEZH2阻害剤;OTX015などのBETブロモドメイン阻害剤;BIX02189などのMEK5/ERK5阻害剤;セルデュラチニブなどのSyl/JAK阻害剤;NLG919などのIDO1阻害剤;ベキススロテンなどのレチノイン酸X受容体活性化剤;アコチアミド若しくはアクトチアミドHClなどのPGP阻害剤;SCH772984などのErk阻害剤;ゲダトリシブなどのPI3K阻害剤;ルキソリチニブなどのJAK阻害剤;アフレセルチブ又はアフレセルチブHClなどのAKT阻害剤;セリチニブなどのALK1阻害剤;アベキシノスタットなどのHDAC阻害剤;オアマリグリプチンなどのDPP阻害剤;ゲフィチニブなどのEGFR阻害剤;GSK126などのEZH2阻害剤;イブルチニブなどのBTK阻害剤;イマチニンHClなどのキナーゼ阻害剤;INCB024360などのIDO阻害剤;マイトマイシンCなどのDNA架橋剤;ニロチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤;オラパリブなどのPARP阻害剤;パクリタキセルなどのチューブリン安定化プロモーター;パルボシクリブなどのCDK4/6阻害剤;スニチニブなどのRTK阻害剤;ツルスポルフィンなどのPDT増感剤;タリキダールなどのp糖タンパク質阻害剤;VE-822などのATR阻害剤;PCI-24781などのHDAC阻害剤;オマリグリプチンなどのDPP阻害剤;ゲフィニブなどのEGFR阻害剤;GSK126などのEZH2阻害剤;イルブルチニブなどのBTK阻害剤;INCB024360などのIDO阻害剤;又は前述のうちのいずれかの組み合わせのような、1つ以上の化学療法剤と併せて投与され得る。
【0193】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、N-アセチルシステイン(NAC)、アドリアマイシン、アレムツズマブ、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスコルビン酸、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブチオニンスルホキシム、カルフィルゾミブ、カルムスチン、クロファラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、ダサチニブ、ダチノマイシン、デフィブロチド、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フィルグラスチム、フロキスリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、インターフェロンアルファ、イピリムマブ、レナリドマイド、ロイコボリン、メルファラン、ミコフェノール酸モフェチル、パクリタキセル、パリフェルミン、パノビノスタット、ペグフィルラスチム、プレドニゾロン、プレドニゾン、レブリミド、リツキシマブ、シロリムス、2-メルカプトエタン硫酸ナトリウム(MESNA)、チオ硫酸ナトリウム、タクロリムス、テモゾロミド、タリドミド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、ベルケイド、又は前述のうちのいずれかの組み合わせなどの、別の化学療法剤と併せて投与され得る。
【0194】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、葉酸類似体などの1つ以上の代謝拮抗剤;フルオロウラシル、フロクスウリジン、及びシトシンアラビノシドなどのピリミジン類似体;メルカプトプリン、チオグナイン、及びペントスタチンなどのプリン類似体;ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テルチポシド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ミタマイシン、マイトマイシンC、L-アスパラギナーゼ、及びインターフェロンアルファなどの天然産物;シス-白金、及びカルボプラチンなどの白金配位複合体;ミトキサントロン;ヒドロキシ尿素;プロカルバジン;プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、及びロイプロリドなどのホルモン及びアンタゴニスト;アンジオスタチン、レチノイン酸、パクリタキセル、エストラジオール誘導体、及びチアゾロピリミジン誘導体などの抗血管新生剤又は阻害剤;アポトーシス防止剤;トリプトリド;コルヒチン;ルリコナゾール;並びに放射線療法を含む、他の化学療法剤との併用療法で使用することができる。
【0195】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、O6-ベンジルグアニン(O6-BG)などの、DNA修復を阻害する化合物と同時投与され得る。
【0196】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、アバレリックス、アビラテロン、酢酸アビラテロン、n-アセチルシステイン、塩酸アクラルビシン、アドリアマイシン、アデニン、アファチニブ、ジマレイン酸アファチニブ、アレムツズマブ、アレンドロン酸ナトリウム、アリトレチノイン、アロプリノールナトリウム、アルトレタミン、アミホスチン、アミノグルテチミド、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンギオスタチン、アプレミラスト、アプレピタント、三酸化ヒ素、アスコルビン酸、l-アスパラギナーゼ、アザシチジン、アザチオプリンナトリウム、バゼドキシフェン(血清)、ベリノスタット、ベンダムスチンhcl、O6-ベンジルグアニン、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビリコダール、ブレオマイシン硫酸塩、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリブジン、ブセレリン、ブスルファン、ブチオニンスルホキシム、カバジタキセル、カボザンチニブ、カペシタビン、カルボプラチン、カルボクオン、カルフィルゾミブ、カルモフル、カルムスチン、セリチニブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート二ナトリウム、クロファラビン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シクロスポリン、シタラビン、シトシンアラビノシド、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デフリブロチド、酢酸デガレリクス、デキサメタゾン、塩酸デクスラゾキサン、ジアジクオン、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキシフルリジン、塩酸ドキソルビシン、ドキソルビシン遊離塩基、プロピオン酸ドロスタノロン、デュタステリド、エルトロンボパグ、エンザルタミド、塩酸エピルビシン、メシル酸エリブリン、塩酸エルロチニブ、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エトポシドリン酸、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フェンタニル、フィルグラスチム、フィンゴリモド、フロクスウリジン、フルダラビンリン酸、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、ホルミルメルファラン、ホスアプレピタント、フォテムスチン、フルベストラント、ゲフィチニブ、塩酸ゲムシタビン、ゲムシタビン遊離塩基、グルタチオン、グリシホスホルアミド、グリフォスフィン、酢酸ゴセレリン、塩酸グラニセトロン、ヘプタプラチン、5-アミノレブリン酸ヘキシル、酢酸ヒストレリン、ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、ヒドロキシ尿素、イバンドロネートナトリウム、イブルチニブ、イコチニブ、イダルビシンHCl、イデラリシブ、イドクスウリジン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、メシル酸イマチニブ、イミキモド、メブチン酸インゲノール、イピリムマブ、塩酸イリノテカン、イキサベピロン、酢酸ランレオチド、ラパチニブ遊離塩基、ラパチニブジトシレート、ラソフォキシフェン、レナリドマイド、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、塩酸レバミゾール、レボホリナートカルシウム、ヨーベングアン、ロバプラチン、ロムスチン、マロピタント、マソプロコール、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸メルファラン、メルカプトプリン、メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、メトトレキサート、メトキサレン、アミノレブリン酸メチル、メチレンブルー、メチルイソインジゴチン、ミファムルチド、ミルテフォシン、ミリプラチン、ミタマイシン、ミトブロニトール、マイトマイシンC、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸モフェチル、ナビキシモルス、ナファレリン、ナンドロロン、ネダプラチン、ネララビン、ネツピタント、ニロチニブ、ニルタミド、ニムスチン、ニンテダニブ、ノコダゾール、オクトレオチド、オラパリブ、オマセタキシンメペスクシネート、塩酸オンダンセトロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パルボシクリブ、パリフェルミン、塩酸パロノセトロン、パミドロネート二ナトリウム、パノビノスタット、パシレオチド、塩酸パゾパニブ、ペグフィラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、ペントスタチン、ペプロマイシン、ピポブロマン、ピラルビシン、プレリキサフォル、プリカマイシン、ポマリドミド、ポナチニブ、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プララトレキサート、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、塩酸プロカルバジン、塩酸キナゴリド、ラロキシフェン、ラルチトレキセド、ラドチニブ、ラニムスチン、レチノイン酸、レブリミド、リツキシナブ、ロミデプシン、ルキソリチニブ、リン酸ルキソリチニブ、セムスチン、シロリムス、チオ硫酸ナトリウム、ソラフェニブ遊離塩基、ソラフェニブトシレート、ストレプトゾシン、スフェンタニル、スニチニブ、タクロリムス、タラポルフィンナトリウム、タミバロテン、クエン酸タモキシフェン、タペンタドール、テモポルフィン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テリフルノミド、テルチポシド、テストトラクトン、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チマルファシン、リン酸トセラニブ、塩酸トポテカン、クエン酸トレミフェン、トラベクテジン、トラメチニブ、トレチノイン、トリロスタン、トリプトレリン、トロピセトロン、ウラムスチン、バルルビシン、バンデタニブ、ベドチン、ベムラフェニブ、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンクリスチン遊離塩基、ビンデシン、酒石酸ビノレルビン、ボリノスタット、及びゾレドロン酸などの、1つ以上の化学療法剤と併せて投与され得る。
【0197】
式(6)の化合物又はその薬学的組成物は、例えば、アベマシクリブ、酢酸アビラテロン、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、アカラブルチニブ、AC-T、ADE、アドトラスツズマブエムタンシン、ジマレイン酸アファチニブ、アルデスロイキン、アレクチニブ、アレムツズマブ、アルペリシブ、アミホスチン、アミノレブリン酸塩酸塩、アナストロゾール、アパルタミド、アプレピタント、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼerwinia chrysanthemi、アテゾリズマブ、アベルマブ、アキシカブタジーンシロロイセル、アキシチニブ、アザシチジン、BEACOPP、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、BEP、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、ビニメチニブ、硫酸ブレオマイシン、ブリナツモマブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリガチニブ、BuMel、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ-s-リンゴ酸、CAF、カラスパルガーゼペゴル-mknl、カペシタビン、カプラシタビン-yhdp、CAPOX、カルボプラチン、カルボプラチン-タキソール、カルフィルゾミブ、カルムスチン、カルムスチンインプラント、CEM、セミプリマブ-rwlc、セリチニブ、セツキシマブ、CEV、クロラムブシル、クロラムブシル-プレドニゾン、CHOP、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、CMF、コビメチニブ、塩酸コパンリシブ、COPDAC、COPP、COPP-ABV、クリゾチニブ、CVP、シクロホスファミド、シタラビン、シタラビンリポソーム、メシル酸ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダコミチニブ、ダクチノマイシン、ダラツムマブ、ダルベポエチンα、ダサチニブ、塩酸ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン及びシタラビンリポソーム、デシタビン、デフィブロチドナトリウム、デガレリクス、デニロイキン・ディフチトックス、デノスマブ、デキサメタゾン、塩酸デクスラゾキサン、ジヌツキシマブ、ドセタキセル、塩酸ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシンリポソーム、デュルバルマブ、デュベリシブ、エロツズマブ、エルトロンボパグオラミン、エマパルマブ-lzsg、メシル酸エナシデニブ、エンコラフェニブ、エンザルタミド、塩酸エピルビシン、EPOCH、エポエチンα、エルダフィチニブ、メシル酸エリブリン、塩酸エルロチニブ、エトポシド、リン酸エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、fec、フィルグラスチム、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル注射、フルオロウラシル-局所、フルタミド、フォルフィリ、フォルフィリ-ベバシズマブ、フォルフィリ-セツキシマブ、フォルフィリノックス、フォルフォックス、フォスタマチニブ二ナトリウム、FU-LV、フルベストラント、ゲフィチニブ、塩酸ゲムシタビン、ゲムシタビン-シスプラチン、ゲムシタビン-オキサリプラチン、ゲムツズマブオゾガマイシン、フマル酸ギルテリチニブ、マレイン酸グラスデギブ、グルカルピダーゼ、酢酸ゴセレリン、グラニセトロン、HPV二価ワクチン、HPV二価ワクチン、組換えHPV非価ワクチン、HPV非価ワクチン、HPV非価ワクチン組換え体、HPV四価ワクチン、HPVuadrivalentワクチン組換え体、ヒドロキシ尿素、hyper-CVAD、イブリツズマブチウキセタン、イブルチニブ、ICE、塩酸イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、メシル酸イマチニブ、イミキモド、イノツズマブオゾガマイシン、インターフェロンα-2b組換え体、イオベングアン131I、イピリムマブ、塩酸イリノテカン、塩酸イリノテカンリポソーム、イボシデニブ、イキサベピロン、クエン酸イキサゾミブ、JEB、酢酸ランレオチド、ジトシル酸ラパチニブ、硫酸ラロトレクチニブ、レナリドマイド、メシル酸レンバチニブ、レトロゾール、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、ロムスチン、ロラチニブ、ルテチウムLu177-dotatate、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、メルファラン、塩酸メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、臭化メチルナルトレキソン、ミドスタウリン、マイトマイシンc、塩酸ミトキサントロン、モガムリズマブ-kpkc、モキセツモマブパスドトックス-tdfk、MVAC、ネシツムマブ、ネララビン、マレイン酸ネラチニブ、ネツピタント及びパロノセトロン塩酸塩、ニロチニブ、ニルタミド、トシレートニラパリブ一水和物、ニボルマブ、オビヌツズマブ、OEPA、オファツムマブ、OFF、オラパリブ、オララツマブ、オマセタキシンメペスクシネート、塩酸オンダンセトロン、OPPA、メシル酸オシメルチニブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、パルボシクリブ、パリフェルミン、塩酸パロノセトロン、塩酸パロノセトロン及びネツピタント、パミドロネート二ナトリウム、パニツムマブ、パノビノスタット、塩酸パゾパニブ、PCV、PEB、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペグインターフェロンα-2b、ペンブロリズマブ、ペメトレキセド二ナトリウム、ペルツズマブ、プレリキサフォー、ポラツズマブベドチン-piiq、ポマリドマイド、塩酸ポナチニブ、プララトレキサート、プレドニゾン、塩酸プロカルバジン、塩酸プロプラノロール、塩化ラジウム223、塩酸ラロキシフェン、ラムシルマブ、ラスブリカーゼ、ラブリズマブ-cwvz、R-CHOP、R-CVP、組換えHPV二価ワクチン、組換えHPV非価ワクチン、組換えHPV四価ワクチン、組換えインターフェロンα-2b、レゴラフェニブ、R-EPOCH、リボシクリブ、R-ICE、リツキシマブ、リツキシマブ及びヒアルロニダーゼヒト、塩酸ロラフェニブ、ロミデプシン、ロミプロスチム、ルカパリブカムシレート、リン酸ルキソリチニブ、シルツキシマブ、シプリューセル-t、ソニチニブ、ソラフェニブトシレート、スタンフォードV、リンゴ酸スニチニブ、TAC、tagraxofusp-erzs、タラゾパリブトシレート、タルク、タリモジェンラヘルパレプベック、クエン酸タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チサゲンレクルセル、トシリズマブ、塩酸トポテカン、トレミフェン、TPF、トラベクテジン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トラスツズマブ及びヒアルロニダーゼ-oysk、トリフルリジン及び塩酸チピラシル、トリ酢酸ウリジン、VAC、バルルビシン、VAMP、バンデタニブ、VeIP、ベムラフェニブ、ベネトクラクス、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチンリポソーム、酒石酸ビノレルビン、vip、ビスモデギブ、ボリノスタット、XELIRI、XELOX、Ziv-アフリベルセプト、ゾレドロン酸、及び前述のうちのいずれかの組み合わせなどの、1つ以上の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。
【0198】
本開示によって提供される化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくはその薬学的組成物は、本開示によって提供される化合物によって治療される炎症性疾患、自己免疫疾患、又は加齢関連疾患を治療するのに有用であることが知られている別の化合物と併せて患者に投与することができる。
【0199】
がん、炎症性疾患、又は自己免疫疾患を治療するための式(6)の化合物又はその薬学的組成物を投与する有効性は、インビトロ及び動物試験を使用して並びに臨床試験において評価され得る。
【0200】
本開示によって提供されるp38α MAPKを阻害する方法は、p38α MAPKを、本開示によって提供される化合物と、p38α MAPKのED基質ドッキング部位の近くのポケットに接触させることを含む。
【0201】
本開示によって提供されるp38α MAPKを阻害する方法は、p38α依存性対抗制御的応答の喪失をもたらさない。p38α依存性対抗制御的応答は、マイトジェン及びストレス活性化プロテインキナーゼ-I(MSKl)、又はMSK2に関する。p38αのED基質ドッキング部位の近くのポケットを標的とする際、本開示によって提供される阻害剤は、MSKl/2を含む、CD特異的基質に干渉することを回避し、よってIL-10及びDUSP2の発現を通した炎症を制限する。
【0202】
本発明の態様
態様1.式(6)の構造を有する化合物、
【化11】
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2が、置換C
5-12ヘテロシクロアルキルであり、
R
3が、-C(=O)-及び-S(=O)
2-から選択され、
R
4が、-N(R
5)
2から選択され、各R
5が、独立して、水素及びC
1-4アルキルから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【0203】
態様2.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-6アルキル、C1-6シクロアルキル、C6アリール、C1-6ヘテロアルキル、C1-6ヘテロシクロアルキル、及びC5-6ヘテロアリールから選択される、態様1の化合物。
【0204】
態様3.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH2、-NO2、C1-3アルキル、及びC1-3ヘテロアルキルから選択される、態様1の化合物。
【0205】
態様4.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、及びC1-3アルキルから選択される、態様1の化合物。
【0206】
態様5.1つ以上の置換基の各々が、=Oである、態様1の化合物。
【0207】
態様6.R1が、C1-4アルカンジイルである、態様1~5のいずれか1つの化合物。
【0208】
態様7.R1が、エタンジイルである、態様1~5のいずれか1つの化合物。
【0209】
態様8.R1が、メタンジイルである、態様1~5のいずれか1つの化合物。
【0210】
態様9.R2が、置換C6ヘテロシクロアルキルである、態様1~5のいずれか1つの化合物。
【0211】
態様10.1つ以上のヘテロ原子の各々が、独立して、O及びNから選択される、態様9の化合物。
【0212】
態様11.R2が、モルホリン-4-イルである、態様1~10のいずれか1つの化合物。
【0213】
態様12.R2が、モノ-置換モルホリン-4-イルである、態様1~10のいずれか1つの化合物。
【0214】
態様13.R2が、3-置換モルホリン-4-イルである、態様1~10のいずれか1つの化合物。
【0215】
態様14.1つ以上の置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-N(R5)2から選択され、各R5が、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択される、態様12又は13の化合物。
【0216】
態様15.1つ以上の置換基の各々が、-OHである、態様12又は13の化合物。
【0217】
態様16.1つ以上の置換基の各々が、=Oである、態様12又は13の化合物。
【0218】
態様17.1つ以上の置換基の各々が、-N(R5)2であり、各R5が、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択される、態様12又は13の化合物。
【0219】
態様18.R3が、-C(=O)-及び-S(O)2-から選択される、態様1~17のいずれか1つの化合物。
【0220】
態様19.R3が、-C(=O)-である、態様1~17のいずれか1つの化合物。
【0221】
態様20.R3が、-S(O)2-である、態様1~17のいずれか1つの化合物。
【0222】
態様21.R4が、ナフチル部分の3位、4位、5位、6位、又は7位に結合している、態様1~20のいずれか1つの化合物。
【0223】
態様22.R4が、ナフチル部分の5位に結合している、態様1~20のいずれか1つの化合物。
【0224】
態様23.
R1が、C1-3アルカンジイルであり、
R2が、置換4-モルホリニルであり、
R3が、-C(=O)-及び-S(O)2-から選択され、
R4が、-N(R5)2から選択され、各R5が、独立して、水素及びC1-3アルキルから選択される、態様1の化合物。
【0225】
態様24.
R1が、メタン-ジイルであり、
R2が、置換4-モルホリニルであり、
R3が、-S(O)2-であり、
R4が、-N(R5)2であり、各R5が、独立して、水素及びメチルから選択される、態様1の化合物。
【0226】
態様25.R2が、3-置換4-モルホリニルである、態様23又は24の化合物。
【0227】
態様26.R2の部分において、置換基が、=Oである、態様23~25のいずれか1つの化合物。
【0228】
態様27.R4が、-NH(-CH3)及び-N(-CH3)2から選択される、態様23~26のいずれか1つの化合物。
【0229】
態様28.化合物が、
4-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、及び
6-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、態様1の化合物。
【0230】
態様29.化合物が、5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(化合物5)、又はその薬学的に許容される塩である、態様1の化合物:
【化12】
【0231】
態様30.化合物が、5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(2)、又はその薬学的に許容される塩である、態様1の化合物:
【化13】
【0232】
態様31.化合物が、5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(3)、又はその薬学的に許容される塩である、態様1の化合物:
【化14】
【0233】
態様32.化合物が、p38α MAPK受容体を阻害する、態様1~31のいずれか1つの化合物。
【0234】
態様33.化合物が、p38α MAPK受容体を選択的に阻害する、態様1~32のいずれか1つの化合物。
【0235】
態様34.化合物が、p38β MAPKサブユニットに対してよりもp38α MAPKサブユニットに対してより高い結合親和性を有する、態様1~33のいずれか1つの化合物。
【0236】
態様35.化合物が、p38α MAPKの選択的結合部位に結合し、結合ポケットが、ポケットによって定義され、少なくともp38α MAPKの残基R49、Hl07、Ll08、及びKl65によって定義される、態様1~34のいずれか1つの化合物。
【0237】
態様36.化合物が、競合的に、4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドと競合的に選択的結合部位に結合する、態様35の化合物。
【0238】
態様37.化合物が、アニソマイシン刺激型HeLa細胞における4-クロロ-N-(4-((1,1-ジオキシドチオモルホリノ)メチル)フェニル)ベンズアミドによって誘発されるMK2リン酸化を阻害する、態様1~36のいずれか1つの化合物。
【0239】
態様38.態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【0240】
態様39.薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、態様38の薬学的組成物。
【0241】
態様40.疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、態様39の薬学的組成物。
【0242】
態様41.疾患が、がんである、態様39の薬学的組成物。
【0243】
態様42.疾患が、炎症性疾患である、態様39の薬学的組成物。
【0244】
態様43.疾患が、自己免疫疾患である、態様39の薬学的組成物。
【0245】
態様44.疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、態様39の薬学的組成物。
【0246】
態様45.患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、p38α MAPK受容体を阻害することによって治療される、方法。
【0247】
態様46.患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、がんである、方法。
【0248】
態様47.がんが、乳がん及び黒色腫から選択される、態様46の方法。
【0249】
態様48.患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、炎症性疾患である、方法。
【0250】
態様49.炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎から選択される、態様48の方法。
【0251】
態様50.患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、自己免疫疾患である、方法。
【0252】
態様51.自己免疫疾患が、狼瘡、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、妊娠の自然喪失、アトピー性疾患、及び炎症性腸疾患から選択される、態様50の方法。
【0253】
態様52.患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、加齢関連疾患である、方法。
【0254】
態様53.加齢関連疾患が、難聴、筋変性症、ウェルナー症候群、細胞老化、及びアルツハイマー病から選択される、態様52の方法。
【0255】
態様54.患者において疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、治療有効量の態様1~37のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含み、疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、方法。
【0256】
態様55.p38α MAPK受容体を阻害する方法であって、p38α MAPK受容体を、態様1~37のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、方法。
【0257】
態様56.患者においてp38α MAPK受容体を阻害する方法であって、患者に、薬理学的に有効な量の、態様1~37のいずれか1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【0258】
態様57.p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α MAPK受容体を選択的に阻害することを含む、態様56の方法。
【0259】
態様58.p38α MAPK受容体を阻害することが、p38α依存性対抗制御的応答の喪失をもたらさない、態様57の方法。
【0260】
態様59.p38α依存性対抗制御的応答が、マイトジェン活性化及びストレス活性化プロテインキナーゼ-1(MSK1)又はMSK2に関する、態様58の方法。
【0261】
態様60.p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、内皮又は上皮バリア機能を安定化する、態様57~59のいずれか1つの方法。
【0262】
態様61.p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、炎症を低減する、態様57~60のいずれか1つの方法。
【0263】
態様62.p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、KPS誘発性肺損傷を軽減する、態様57~61のいずれか1つの方法。
【0264】
態様63.p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、白血球輸送を調節する、態様57~62のいずれか1つの方法。
【0265】
態様64.p38α MAPK受容体を選択的に阻害することが、サイトカイン発現を調節する、態様57~63のいずれか1つの方法。
【実施例】
【0266】
以下の例は、式(6)の化合物の合成、式(6)の化合物の特徴分析、及び式(6)の化合物の使用を詳細に記載する。材料と方法の両方に対する多くの修正が、本開示の範囲から逸脱することなく実施され得ることは、当業者には明白であろう。
【0267】
実施例1
5-(メチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(1)の合成
【化15】
ステップ1:5-((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸(1b)。
【化16】
【0268】
0.1MのNaHCO3(40mL)中の5-アミノナフタレン-1-スルホン酸(1a)(50.2g、0.2249mol)の溶液に、pHが10に調整されるまで2MのNaOHを添加した。クロロギ酸ベンジル(57.54g、0.3373mol)を0℃で撹拌溶液に添加した。温度を25℃に上げ、3時間撹拌を続けた。LCMSは、標的分子として主要なピークを示した。反応混合物を4MのHClでpH2に調整し、減圧下で濃縮し、Biotage(登録商標)Isolera Oneクロマトグラフィー(C18カラム、0.1%HCOOHを含有する10%~95%MeCN/H2Oで溶出する)によって精製して、5-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸(1b)(30.5g)を紫色固体として得た。LCMS:m/z 355.9 [M+H]-。
【0269】
ステップ2:5-((((ベンジルオキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸(1c)。
【化17】
【0270】
乾燥DMF(300mL)中の5-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸(1b)(30.5g、0.08534mol)の溶液に、0℃で水素化ナトリウム(鉱油中60%、4.5g、0.1109mol)を添加した。添加の完了時に、反応混合物を0℃で30分間撹拌し、ヨードメタン(15.7g、0.1109mol)を滴下添加した。添加が完了したら、得られた溶液を23℃で2時間撹拌した後、水でクエンチした。LCMSは、所望の標的分子として主要なピークを示した。混合物をBiotage(登録商標)Isolera Oneクロマトグラフィー(C18カラム、0.1%HCOOHを含有する10%~95%MeCN/H2Oで溶出する)によって精製して、5((((ベンジルオキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)-ナフタレン-1-スルホン酸(1c)(12g)を油として得た。LCMS:m/z 369.9[M+H]-。
【0271】
ステップ3:ベンジル(5-(クロロスルホニル)ナフタレン-1-イル)(メチル)カルバメート(1d)。
【化18】
【0272】
トルエン(100mL)中の5-(((ベンジルオキシ)カルボニル)(メチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸(1c)(12g、0.03231mol)及びPCl5(6.73g、0.03231mol)の撹拌混合物を、120℃で3時間加熱した。TLCは、新しいスポットが形成されたことを示した。反応混合物を23℃に冷却し、真空下で濃縮し、得られた粗ベンジル(5-(クロロスルホニル)ナフタレン-1-イル)(メチル)カルバメート(1d)(16.17g、TLCで約80%の純度)を、更なる精製なしで次のステップで使用した。LCMS:m/z 427.1 [M+H]+。
【0273】
ステップ4:ベンジルメチル(5-(N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)スルファモイル)ナフタレン-1-イル)カルバメート(1e)。
【化19】
【0274】
ジクロロメタン(60mL)中の4-(モルホリノメチル)アニリン(3.66g、0.01731mol)の撹拌溶液に、0℃でトリエチルアミン(7.00g、0.06926mol)を添加した。同じ温度で30分間撹拌した後、ベンジル(5-(クロロスルホニル)ナフタレン-1-イル)(メチル)カルバメート(1d)(6.75g、0.01731mol)を添加した。得られた溶液を、45℃で一晩撹拌し、室温に冷却し、水でクエンチした。LCMSは、所望の標的分子として主要なピークを示した。混合物をEtOAcで希釈し、水及び飽和ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)上でカラムクロマトグラフによって精製して、ベンジルメチル(5-(N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)スルファモイル)ナフタレン-1-イル)-カルバメート(1e)、(4.6g)を黄色固体として得た。LCMS:m/z 546.1 [M+H]+。
【0275】
ステップ5:5-(メチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(1)。
【化20】
【0276】
酢酸エチル(50mL)中の8(4.6g、0.00843mol)の撹拌溶液に、5%Pd/C(8g)を添加した。反応混合物を、H2(バルーン)の雰囲気下、23℃で24時間撹拌した。LCMSは、出発材料が消費されたことを示した。反応混合物をCelite(登録商標)プラグを通して濾過し、得られた濾液を真空下で濃縮した。得られた粗残渣を、逆相Biotage(登録商標)カラムクロマトグラフィー(40g C18カラム)、ACN/水(0.1%HCOOH)0-100%)によって精製して、表題化合物(1)の5-(メチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(1.12g)を緑色~黄色固体として得た。LCMS Rt=1.25分;m/z [M+H]+についての計算値 412.0。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.57(s,1H),8.43(d,J=8.5Hz,1H),8.26-8.16(m,1H),7.94(d,J=8.6Hz,1H),7.59-7.44(m,2H),7.13(s,2H),7.02(s,2H),6.65(d,J=4.9Hz,1H),6.59(d,J=7.8Hz,1H),3.57(s,4H),2.88(d,J=4.6Hz,3H),2.28(s,3H)。
【0277】
実施例2
5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(2)の合成
【化21】
ステップ6:4-(4-ニトロベンジル)モルホリン-3-オン(2a)。
【化22】
【0278】
アセトニトリル(300mL)中のモルホリン-3-オン(20g、0.1978mol)、1-(ブロモメチル)-4-ニトロベンゼン(38.89g、0.1800mol)、及びCs2CO3(116.65g、0.3580mol)の撹拌混合物を、80℃で2時間加熱した。反応混合物を、室温に冷却し、Celite(登録商標)のプラグを通して濾過し、濾液を真空下で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル=1:1)上のカラムクロマトグラフによって精製して、4-(4-ニトロベンジル)モルホリン-3-オン(2a)(24.83g)を黄色固体として得た。LCMS:m/z 237.1 [M+H]+。
【0279】
ステップ7:4-(4-アミノベンジル)モルホリン-3-オン(2b)。
【化23】
【0280】
MeOH(5mL)中の4-(4-ニトロベンジル)モルホリン-3-オン(2b)(24.8g、0.1050mol)の撹拌溶液に、10%のPd/C(6g)を添加した。得られた混合物を、H
2(バルーン)の雰囲気下、室温で1時間撹拌した。LCMSは、主要なピークが標的分子であることを示した。混合物をCelite(登録商標)の床を通して濾過し、濾液を真空下で濃縮し、粗4-(4-アミノベンジル)モルホリン-3-オン(2b)(18.4g)を、更なる精製なしで次のステップで使用した。LCMS:m/z 207.1[M+H]
+。ステップ8:ベンジルメチル(5-(N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)スルファモイル)ナフタレン-1-イル)カルバメート(2c)。
【化24】
【0281】
0℃のジクロロメタン(70mL)中の4-(4-アミノベンジル)モルホリン-3-オン(2b)(4.53g、0.02196mol)の撹拌溶液に、トリエチルアミンTEA(8.89g、0.02416mol)を添加し、添加の過程の間、温度を0℃に維持した。添加の完了時に、反応混合物を、0℃で更に30分間撹拌した。ベンジル(5-(クロロスルホニル)ナフタレン-1-イル)(メチル)カルバメート(1d)(9.42g、0.02416mol)を、数分かけて添加した。得られた溶液を、45℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、H2Oでクエンチした。LCMSは、主要なピークが標的分子であることを示した。混合物をEtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲル(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)上でカラムクロマトグラフによって精製して、ベンジルメチル(5-(N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)-スルファモイル)-ナフタレン-1-イル)カルバメート(2c)(5.3g)を黄色固体として得た。LCMS:m/z 558.1 [M+H]-。
【0282】
ステップ9:5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(2)。
【化25】
【0283】
酢酸エチル(50mL)中のベンジルメチル(5-(N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)-スルファモイル)-ナフタレン-1-イル)カルバメート(2c)(5.3g、9.47mmol)の撹拌溶液に、10%Pd/C(10g)を添加した。次いで、混合物をH2(バルーン)下で、23℃で24時間撹拌した。LCMSは、SMが消費されたことを示した。反応物をCeliteのプラグを通して濾過し、得られた濾液を真空下で濃縮した。得られた粗残渣を、Biotage(登録商標)逆相-カラムクロマトグラフィー(40g C18カラム)、アセトニトリル/H2O(0.1%HCOOH)0~100%)によって精製して、5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)-ナフタレン-1-スルホンアミド(2)(1.02g)を緑色~黄色固体として得た。LCMS(Shimadzu 2020):Rt=1.81分;m/z[M+H]+についての計算値426.15。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.53(s,1H),8.36(d,J=8.6Hz,1H),8.13(dd,J=7.4,1.1Hz,1H),7.87(d,J=8.6Hz,1H),7.50-7.39(m,2H),7.00(d,J=8.7Hz,2H),6.98-6.92(m,2H),6.58(d,J=4.9Hz,1H),6.52(d,J=7.8Hz,1H),4.32(s,2H),4.01(s,2H),3.71(t,J=5.9,4.4Hz,2H),3.09(t,J=5.9,4.4Hz,2H),2.81(d,J=4.6Hz,3H)。
【0284】
実施例3
5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(3)の合成
【化26】
0℃のジクロロメタン(70mL)中の4-(4-アミノベンジル)モルホリン-3-オン(2b)(7g、0.03394mol)の撹拌溶液に、TEA(13.74g、0.1358mol)を添加し、反応を0℃で維持した。添加の完了時に、反応混合物を、0℃で30分間撹拌した。5-(ジメチルアミノ)ナフタレン-1-スルホニルクロリド(1d)(10.07g、0.03733mol)を、数分にわたって添加した。得られた溶液を、45℃で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、水でクエンチした。LCMSは、所望の標的分子として主要なピークを示した。混合物を、EtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、得られた濾液を真空下で濃縮した。得られた粗生成物を、prep-HPLC(0.1%HCOOH酸を含有する30%~100%H
2O/MeCNで溶出する)によって精製し、2MのNaOH水溶液によって中和して、5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)-ナフタレン-1-スルホンアミド(3)を緑色固体として得た。LCMS[M+H]+440.0.1。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ10.66(s,1H),8.44(d,J=8.5Hz,1H),8.35(d,J=8.7Hz,1H),8.21(dd,J=7.4,1.2Hz,1H),7.60(ddd,J=8.6,7.5,2.4Hz,2H),7.25(d,J=7.6Hz,1H),7.05(d,J=8.6Hz,2H),7.00(d,J=8.6Hz,2H),4.36(s,2H),4.04(s,2H),3.73(dd,J=5.9,4.4Hz,2H),3.12(t,J=5.2Hz,2H),2.80(s,6H)。
【0285】
実施例4
5-(ジメチルアミノ)-N-(4-(モルホリノメチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(4)の合成
【化27】
化合物(4)の合成は、米国出願公開第2020/0331874 A1号の実施例9に開示されている。
【0286】
実施例5
毒性試料及び臨床試料のための生体分析手順
以下の方法を、2週間の毒性研究のための試料、及び臨床試料の生体分析に使用する。
【0287】
試料の生体分析を、検証された方法に従って行う。サル血漿試料を、タンパク質沈殿によって抽出し、ACE(登録商標)Excel(登録商標)2 C18カラム(50×3.0mm、2μm粒径)を有するWaters UPLC及びAPI 5000(登録商標)トリプル四重極質量分析計(AB Sciex、トロント,カナダ)を使用するUPLC-MSMSによって分析する。取得及びクロマトグラフィーピーク積分を、Analyst(登録商標)Software 1.6.3(AB Sciex)を使用して行う。分析物及び内部標準物についてのピーク面積を、標準曲線回帰分析及び試料中の分析物の定量化のために、Watson LIMS(登録商標)ソフトウェア バージョン7.4.1(Thermo Fisher Scientific、Philadelphia,USA)に取り込む。全ての分析機器及びソフトウェアを、適切な手順を使用して検証する。
【0288】
実施例6
非GLP薬物動態研究のための生体分析手順
以下の方法を、非GLP薬物動態試験のための試料の生体分析に使用する。
【0289】
試料の生体分析を、検証された方法に従って行う。血漿試料を、タンパク質沈殿によって抽出し、Waters Acquity UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm、1.7μm粒径)を有するShimadzu UPLC及びAPI 5000(登録商標)トリプル四重極質量分析計(AB Sciex、Toronto,Canada)を使用するUPLC-MSMSによって分析する。取得及びクロマトグラフィーピーク積分を、Analyst(登録商標)Software 1.6.3(AB Sciex)を使用して行う。分析物及び内部標準物についてのピーク面積を、標準曲線回帰分析及び試料中の分析物の定量化のために、Watson LIMS(登録商標)ソフトウェア バージョン7.4.1(Thermo Fisher Scientific、Philadelphia,USA)に取り込む。全ての分析機器及びソフトウェアを、適切な手順を使用して検証する。
【0290】
実施例7
p38MAPK基質リン酸化プロファイル
本開示によって提供される化合物が、その標的と一致するリン酸化を選択的に阻害することができるかどうかを評価すること。HeLa細胞を、10μMのSB203580、50μMの試験化合物、又は0.1%のDMSOビヒクル対照で30分間前処理し、次いで、p38活性化剤、アニソマイシン(25μg/mL)、及びリン酸化された試験化合物、及びStat-Iを、免疫ブロットによって分析する。
【0291】
実施例8
p38α MAPKへの特異的結合
DSFを使用して、p38α MAPK及びp38βMAPKに対する式(6)の化合物の濃度特異的結合を分析する。試験化合物がCADD標的ポケットに結合することを確認するために、DSFを使用して、野生型p38α MAPK、及び10個の標的ポケットアミノ酸のうちの4個(R49K/HL107-8TF/KI65R)が置換されたp38α MAPK変異体に対する、化合物結合とSB203580結合とを比較する。変異体は、野生型p38α MAPKと同一であったSB203580結合を示すことができるが、試験化合物結合を示すことはできない。
【0292】
p38α MAPK中のCADD標的ポケットへの試験化合物の選択的結合を、飽和移動を使用して確認する。
【0293】
実施例9
薬物動態
化合物(1)~(4)の薬物動態を、マウス、ラット、及びサルにおいて決定した。
【0294】
マウス研究。
【0295】
雌CD-1マウス(n=9)は、1mg/マウスの化合物(4)の単回腹腔内投与を受けた。投薬製剤を、投薬前に、4%DMSO及び96%PBS中の2mg/mLの化合物(4)で調製した。指定された時点でマウスから血液試料を採取した。採取後、試料を遠心分離し(2500rpm 4℃で10分間)、得られた血漿を回収し、凍結保存した(-60℃)。
【0296】
化合物(1)~(4)について、血漿試料の生体分析を行った。マウス血漿試料を、タンパク質沈殿によって抽出し、Waters Acquity(登録商標)UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm、1.7μm粒径)を有するWaters UPLC及びAPI 5000(登録商標)トリプル四重極質量分析計(AB Sciex、Toronto,Canada)を使用するUPLC-MSMSによって分析した。取得及びクロマトグラフィーピーク積分を、Analyst(登録商標)1.7ソフトウェアを使用して行った。試料中の分析物の標準曲線回帰及び定量化を、Analyst(登録商標)ソフトウェアを使用して行った。
【0297】
薬物動態パラメータを、WinNonlin(登録商標)ソフトウェア、バージョン8.1(Certara(登録商標),Inc)を使用するノンコンパートメント方法によって、化合物(4)及び代謝物化合物(1)~(3)についての血漿濃度データに基づいて計算した。化合物(1)~(4)について、濃度時間曲線下面積(AUCinf)を計算した。各代謝物についてのパーセントAUCinf(%AUCinf)を、各それぞれの代謝物についてのAUCinfを化合物(4)についてのAUCinfで割った比率として計算した。
【0298】
ラット研究。
雄Sprague-Dawleyラット(n=3)は、10mg/kgの化合物(4)の単回静脈内ボーラス用量を受けた。投薬製剤を、投薬前に、脱イオン水(w/v)中で、14%スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD)中の5mg/mLの化合物(4)によって調製した。指定された時点で各ラットから血液試料を採取した。採取後、試料を遠心分離し(2500rpm およそ4℃で10分間)、得られた血漿を回収し、凍結保存した(-60℃)。
【0299】
化合物(1)~(4)について、試料の生体分析を行った。ラット血漿試料を、タンパク質沈殿によって抽出し、Waters Acquity(登録商標)UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm、1.7μm粒径)を有するWaters UPLC及びAPI 5000(登録商標)トリプル四重極質量分析計(AB Sciex、Toronto,Canada)を使用するUPLC-MSMSによって分析した。取得及びクロマトグラフィーピーク積分を、Analyst(登録商標)1.7ソフトウェアを使用して行った。試料中の分析物の標準曲線回帰及び定量化を、Analyst(登録商標)ソフトウェアを使用して行った。
【0300】
薬物動態パラメータを、WinNonlin(登録商標)ソフトウェア、バージョン8.1(Certara(登録商標),Inc)を使用するノンコンパートメント方法によって、化合物(4)及び代謝物化合物(1)~(3)についての血漿濃度データから計算した。化合物(1)~(4)について、濃度時間曲線下面積(AUCinf)を計算した。各代謝物についてのパーセントAUCinfを、各それぞれの代謝物についてのAUCinfを化合物(4)についてのAUCinfで割った比率として計算した。
【0301】
サル研究:
雄カニクイザル(n=3)は、5mg/kgの化合物(4)(2.5mL/kg/時間)の用量で2時間の期間にわたって単回静脈内注入を受けた。投薬製剤を、投薬前に、脱イオン水(w/v)中で、14%スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBECD)中の1mg/mLの化合物(4)で調製した。指定された時点で各サルから血液試料を採取した。採取後、試料を遠心分離し(2500rpm 4℃で10分間)、得られた血漿を回収し、凍結保存した(-60℃)。
【0302】
化合物(1)~(4)について、試料の生体分析を行った。サル血漿試料を、タンパク質沈殿によって抽出し、ACE(登録商標)Excel(登録商標)2 C18カラム(50mm×3.0mm、2μm粒径)又はWaters Acquity(登録商標)UPLC BEH C18カラム(50mm×2.1mm、1.7μm)を有するWaters UPLC及びAPI 5000(登録商標)トリプル四重極質量分析計(AB Sciex、Toronto,Canada)を使用するUPLC-MSMSによって分析した。取得及びクロマトグラフィーピーク積分を、Analyst(登録商標)ソフトウェア、バージョン1.6.3を使用して行った。試料中の分析物の標準曲線回帰及び定量化を、Watson LIMS(登録商標)ソフトウェア、バージョン7.4.1(Thermo Fisher Scientific、Philadelphia,USA)又はAnalyst(登録商標)ソフトウェアを使用して行った。
【0303】
薬物動態パラメータを、WinNonlin(登録商標)ソフトウェア、バージョン8.1(Certara(登録商標),Inc)を使用するノンコンパートメント方法によって、化合物(4)及びその代謝物についての血漿濃度データから計算した。化合物(1)~(4)について、濃度時間曲線下面積(AUCinf)を計算した。代謝物の各々についてのパーセントAUCinfを、各それぞれの代謝物のAUCinfを化合物(4)のAUCinfで割った比率として計算した。
【0304】
化合物(2)の哺乳動物への経口投与の後、式(1)、(2)、又は(3)の構造を有する代謝物は、表1に示されるように、化合物(4)に対して%AUC
inf(100×AUC
代謝物/AUC
化合物(4))を示した。
【表1】
【0305】
実施例10
SARS-CoV-2感染した細胞株における抗ウイルス効果
A549-ACE2細胞(Institut Pasteur、Paris,France)を、10%FBS(Peak Serum)を補充したDMEM(Corning)中で培養し、5%CO2で、37℃で維持した。HEK293T-ACE2細胞(ATCC、CRL-3216)を、10%FB(Peak Serum)及びペニシリン/ストレプトマイシン(Corning)で補足されたDMEM(Corning)中、37℃及び5%CO2で維持した。hACE2異所的発現細胞を、ヒトACE2を発現するレンチウイルスベクターで形質導入することによって生成した。hACE2表面発現を有するピューロマイシン耐性細胞を、AlexaFluor647-コンジュゲートヤギ抗hACE2抗体で染色した後に選別した。次いで、細胞を単一細胞クローニングし、SARS-CoV-2複製を支持するそれらの能力についてスクリーニングした。使用される全ての細胞株を、Universal Mycoplasma Detection Kit(ATCC、30-1012K)を使用して、マイコプラズマ汚染について定期的にスクリーニングした。
【0306】
SARS-CoV-2分離株BetaCoV/France/IDF0372/2020は、Institut Pasteur(Paris,France)によって主催されるNational Reference Centre for Respiratory Virusesによって供給された。分離株は、ヒト試料から生じた。分離株は、European Virus Archive goes Global(EVAg)プラットフォームを通して供給された。ウイルスストックを、2%のFBSで補足されたDMEM中でのVero E6細胞における増殖によって調製した。ウイルス力価を、2%(v/v)のFBS(Invitrogen)及び0.05%のアガロースで補足された最小必須培地(MEM)中でのプラークアッセイによって決定した。
【0307】
生体SARS-CoV-2を伴う全ての実験を、Institut Pasteur Parisのバイオセーフティーレベル3(BSL-3)封じ込め手順についてのガイドラインに準拠して、承認された実験室で行った。
【0308】
感染の2時間前に、培地を、DMSO対照を含む、示されたものよりも50%高い濃度で目的の化合物を含有するDMEM(2%FBS)で置き換えた。次いで、プレートをBSL-3施設に移し、同じ体積のSARS-CoV-2をDMEM(2%FBS)中に添加し、最終化合物濃度を所望の濃度にした。次いで、プレートを、37℃/5%CO2で48時間インキュベートした。全てのアッセイを、生物学的に独立した三重測定で行った。
【0309】
ウイルスゲノムの検出を、不活性化した上清から直接、RT-qPCRによって行った。N遺伝子領域を標的とするSARS-CoV-2特異的プライマー:5′-TAATCAGACAAGGAACTGATTA-3′(配列番号1)(フォワード)及び5′-CGAAGGTGTGACTTCCATG-3′(配列番号2)(リバース)を、Applied Biosystems QuantStudio(登録商標)7サーモサイクラー中のLuna(登録商標)Universal One-Step RT-qPCR Kit(NEB)とともに、以下のサイクル条件で使用した:55℃で10分間、95℃で1分間、及び95℃の40サイクルで10秒間、続いて60℃で1分間。ウイルスゲノムの数は、PFU当量/mLとして表され、既知のウイルス力価を有するウイルスストックに由来するRNAで標準曲線を行うことによって計算した。
【0310】
細胞生存率を製造業者の指示に従ってCellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(Promega)を使用して測定し、発光をTecan Infinite(登録商標)2000プレートリーダーで測定した。細胞傷害性は、同じ化合物希釈での未感染細胞で、ウイルス複製アッセイと同時に行った。生存率パーセントを、未処理細胞(100%生存率)及び20%エタノールで溶解した細胞(0%生存率)に対して計算した。
【0311】
Hill関数は、MATLAB(登録商標)におけるlsqcurvefit関数を使用して、各用量反応曲線に適合させた(R2018a)。IC50(ウイルス)値は、パーセント測定(ウイルス又は細胞生存率定量化)が50%マークを超えた濃度として定義した。用量反応全体を通して適合曲線が50%を超えて開始せず、50%未満に交差しなかった場合、IC50値は、試験した最大濃度よりも大きいとしてマークされた。
【0312】
化合物(4)、(1)、又は(2)で処理したSARS-CoV-2細胞株における細胞生存率(黒色)及びIC50(赤色)の曲線を、それぞれ
図1~3に示す。
【0313】
最後に、本明細書に開示される実施形態を実装する代替の方法が存在することに留意すべきである。したがって、本実施形態は例示的なものであり、限定的なものではなく、特許請求の範囲は、本明細書に与えられる詳細に限定されるものではなく、その範囲及び均等物内で修正され得る。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(6)の構造を有する化合物、
【化1】
(6)
又はその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、C
1-4アルカンジイル、C
1-4ヘテロアルカンジイル、置換C
1-4アルカンジイル、及び置換C
1-4ヘテロアルカンジイルから選択され、
R
2が、
置換モルホリン-4-イルであり、
R
3が、-C(=O)-及び-S(=O)
2-から選択され、
R
4が、-N(R
5)
2から選択され、各R
5が、独立して、水素及びC
1-4アルキルから選択され
、
置換基の各々が、独立して、-OH、=O、-NH
2
、-NO
2
、C
1-6
アルキル、C
1-6
シクロアルキル、C
6
アリール、C
1-6
ヘテロアルキル、C
1-6
ヘテロシクロアルキル、及びC
5-6
ヘテロアリールから選択される、化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が、C
1-4アルカンジイルである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項3】
R
2が、モノ-置換モルホリン-4-イルである、請求項
1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
2が、3-置換モルホリン-4-イルである、請求項
1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前
記置換基の各々が、=Oである、請求項
1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
4が、ナフチル部分の5位に結合している、請求項
1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、メタン-ジイルであり
、
R
3が、-S(O)
2-であり、
R
4が、-N(R
5)
2であり、各R
5が、独立して、水素及びメチルから選択される、請求項
1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、
4-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
4-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
6-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、及び
6-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド、
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、5-アミノ-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(5)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
。
【請求項10】
前記化合物が、5-(メチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(2)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物:
【化3】
。
【請求項11】
前記化合物が、5-(ジメチルアミノ)-N-(4-((3-オキソモルホリノ)メチル)フェニル)ナフタレン-1-スルホンアミド(3)、又はその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物:
【化4】
。
【請求項12】
請求項
1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の
前記化合物又はその薬学的に許容される塩を含
み、
前記疾患が、がん、炎症性疾患、自己免疫疾患、及び加齢関連疾患から選択され、
前記がんは、乳がん及び黒色腫から選択され、
前記炎症性疾患が、急性呼吸窮迫症候群、巣状分節性糸球体腎炎、アテローム性動脈硬化症/急性冠動脈症候群、慢性閉塞性肺疾患、喘息、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、狼瘡、多発性硬化症、高コレステロール血症における炎症、疼痛、糖尿病、及びリウマチ性関節炎から選択され、
前記自己免疫疾患が、狼瘡、移植片対宿主病、C型肝炎誘発性血管炎、I型糖尿病、多発性硬化症、妊娠の自然喪失、アトピー性疾患、及び炎症性腸疾患から選択され、
前記加齢関連疾患が、難聴、筋変性症、ウェルナー症候群、細胞老化、及びアルツハイマー病から選択される、薬学的組成物。
【請求項14】
前記薬学的組成物が、患者において疾患を治療するための治療有効量の前記化合物又はその薬学的に許容される塩を含み、
前記疾患が、急性肺損傷、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される、薬学的組成物。
【国際調査報告】