(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】滑り防止型ファスナー取り外し工具
(51)【国際特許分類】
B25B 27/18 20060101AFI20240409BHJP
B25B 15/00 20060101ALI20240409BHJP
B25B 13/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B25B27/18
B25B15/00 610A
B25B13/02 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558650
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 US2021029768
(87)【国際公開番号】W WO2022220850
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518381042
【氏名又は名称】グリップ・ホールディングズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ククカ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ステファン・ククカ
【テーマコード(参考)】
3C031
【Fターム(参考)】
3C031EE03
(57)【要約】
滑り止め型ファスナー取外し工具は、トルクツール本体、複数の対をなす係合特徴部、および、交点を含む。剥離したファスナヘッドの側方表面を把持する複数の対をなす係合特徴部が、トルクツール本体の回転軸の周りに放射状に配置される。複数の対をなす係合特徴部は、各対をなす係合特徴部が30度オフセットした、第1の係合特徴部と第2の係合特徴部とを含む。第1の係合特徴部および第2の係合特徴部は、それぞれ、互いに隣接して接続されたブレース部、キャビティ部、および、コネクター部を含む。第1の係合特徴部のキャビティ部は、第2の係合特徴部のキャビティ部に隣接して接続されている。第1の係合特徴部および第2の係合特徴部のブレース部は、第1の係合特徴部および第2の係合特徴部のキャビティ部に対して互いに対向配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクツール本体と、
複数の対をなす係合特徴部と、
交点とを含み、
前記複数の対をなす係合特徴部は、それぞれ、第1の係合特徴部および第2の係合特徴部を含み、
前記第1の係合特徴部と前記第2の係合特徴部の断面は、それぞれ、ブレース部、キャビティ部、および、コネクター部を含み、
前記複数の対をなす係合特徴部は、前記トルクツール本体の回転軸を中心として放射状に分布しており、
前記ブレース部と前記キャビティ部は、前記コネクター部によって互いに隣接して接続されており、
前記第1の係合特徴部のキャビティ部は、前記第2の係合特徴部のキャビティ部に隣接して接続されており、
第1の係合特徴部のキャビティ部と第2の係合特徴部のキャビティ部と
は、回転軸の方向に向いており、
前記第2の係合特徴部のブレース部と前記第2の係合特徴部のブレース部とは、前記第1の係合特徴部のキャビティ部と前記第2の係合特徴部のキャビティ部に対して互いに対向して配置され、
前記複数の対をなす係合特徴部の中の任意の対をなす係合特徴部と、前記複数の対をなす係合特徴部の中の隣接する対をなす係合特徴部とが、前記交点を介して互いに接続されている、
滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項2】
前記第1の係合特徴部間の第1の角度が30度であり、前記第2の係合特徴部間の第2の角度が30度である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項3】
複数の対をなす係合特徴部のそれぞれの間の第2の角度が、121度から179度の範囲である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項4】
前記第3の角度が130度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項5】
前記第3の角度が135度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項6】
前記第3の角度が145度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項7】
前記第3の角度が150度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項8】
前記交点が鋭角を成す、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項9】
前記交点が曲線部分を成す、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項10】
前記コネクタ部は凸状のセグメントであり、前記コネクター部は前記回転軸から離れる方向に向いている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項11】
前記トルクツール本体が、前記回転軸から前記複数の対をなす係合特徴部まで外向きに延びている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項12】
第1の係合特徴部のブレース部と第1の係合特徴部のキャビティ部との間の第1の長さの比率は、1:2である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項13】
第2の係合特徴部のブレース部と第2の係合特徴部のキャビティ部との間の第2の長さの比率は、1:2である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項14】
交点の半径方向の距離は、第1の係合特徴部のブレース部の第1の長さの4倍から12倍である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項15】
交点の半径方向の距離は、第2の係合特徴部のブレース部の第2の長さの4倍から12倍である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項16】
交点の半径方向の距離は、第1の係合特徴部のコネクター部の半径方向の距離よりも大きい、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項17】
前記交点の半径方向距離は、前記第2の係合特徴の前記コネクター部の半径方向距離よりも大きい、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項18】
前記第1の係合特徴部の前記ブレース部と前記第2の係合特徴部の前記ブレース部は、互いにオフセットして配置される、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項19】
アタッチメント本体を含み、
前記アタッチメント本体は、前記回転軸の周りにかつ前記回転軸に沿って中心に配置され、
該アタッチメント本体は、前記トルクツール本体に隣接して連結されている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項20】
係合ボアを含み、
前記トルクツール本体は、前記トルクツール本体の外壁から前記複数の対をなす係合特徴部まで内側に延在しており、
前記係合ボアは、回転軸に沿って、前記トルクツール本体とは反対側に、前記アタッチメント本体内を横断する、
請求項19に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、ファスナー(締結具)(特にボルトやナット)を締めたり緩めたりするために設計された工具に関する。より詳細には、本発明は、ボルト、ナット、および他の類似のファスナーを滑りの可能性の少ない状態で係合するように設計された滑り防止機構を備えたファスナー取り外し工具である。
【背景技術】
【0002】
六角ボルト、ナット、ねじ、その他類似のねじ装置が、「雌ネジ」として知られる相補的なネジに係合することによって、複数の部品を固定し保持するために使用される。この種のファスナー(締結具)の一般的な構造は、外ねじ付き円筒形シャフトと、その円筒形シャフトの一端に接続されるヘッド部分から成る。外ねじは、穴またはナットに刻まれた相補的な雌ねじとかみ合い、ファスナーを所定の位置に固定し、関連する部品を互いに固定する。ヘッド部分は外部からのトルク力を受け、ファスナーを雌ねじに対して回転させる(駆動する)手段である。ヘッド部分は、スパナのような外部工具がファスナーにトルクを加えて回転させ、相補的な雌ねじに一定程度係合させることができるよう、特別な形状になっている。このタイプのファスナーはシンプルで、非常に効果的で、安価であり、現代の建築物で広く使われている。雄ネジであれ雌ネジであれ、この種のファスナーを使用する際の最も一般的な問題の一つは、工具がヘッド部分上(あるいはヘッド部分内)で滑ることである。これは、一般に、ファスナーや工具の摩耗、腐食、締め過ぎ、ファスナーのヘッド部分の損傷のいずれかによって引き起こされる。ファスナーを取り外すには様々な方法があるが、その中にはより破壊的な方法もある。いったんファスナーヘッドが損傷すると、固着したファスナーを取り除くために、より破壊的な方法を実施しなければならないことがある。ファスナーを外すためにドリルで穴を開けるのは、一部のユーザーがよく使う方法である。この方法が有効な場合もあるが、穴側の内部ねじ山を損傷する危険性が高い。
【0003】
本発明は、スリップの可能性を実質的に排除した滑り防止型ファスナー取外し工具である。本発明では、ファスナーのヘッド部分に食い込み、エキストラクタービットとファスナーのヘッド部分との間の効率的なトルク伝達を可能にする一連の一体型係合セグメントを使用する。その結果、本発明に係る工具は、ファスナーの角を損傷する心配をすることなく、ファスナーを締めたり緩めたりするために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の透視図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在している。
【
図2】本発明の側面図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在している。
【
図3】本発明の上面図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在している。
【
図4】本発明の上面図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在し、コネクター部のための湾曲部、二等分線、第1の二等分角、および、第2の二等分角が示されている。
【
図5】本発明の上面図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在し、コネクター部の尖鋭点(the sharp point)、二等分線、第1の二等分角、および、第2の二等分角が示されている。
【
図6】本発明の上面図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在し、本発明の交点、第1の長さ、および、第2の長さの半径方向の距離が示されている。
【
図7】本発明の上面図であり、トルクツール本体は、回転軸から複数の対をなす係合特徴部まで外側に延在し、本発明の交点の半径方向距離、第1の係合特徴部のコネクター部の半径方向距離、および、第2の係合特徴部のコネクター部の半径方向距離が示されている。
【
図8】本発明の上面図であり、トルクツール本体は、外壁から複数の対をなす係合特徴部まで内側に延在している。
【
図9】本発明の底面透視図であり、係合ボアが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図面のすべての図は、本発明の選択されたバージョンを説明するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
本発明は、損傷・剥離したナットやボルトなどのファスナー(締結具)を締めたり緩めたりするために使用する滑り止め型工具である。従来のレンチの設計では、トルクの大部分は、ファスナーのヘッドの側面の角を通して、損傷・剥離したファスナーに伝達される。時間の経過とともに、側面の角の劣化は、レンチからファスナーヘッドへのトルク伝達効率を低下させ、その結果、滑り(スリップ)を引き起こす。本発明は、接触点をファスナーヘッドの側面に移動させることにより、この問題を克服する。これは、多数の歯を使うことで達成される。それぞれの歯は、ファスナーヘッドの側面の角ではなく、側面の表面に係合するよう(「噛み合う」("bite")ように)配置されている。これにより、適切な量のトルクがファスナーヘッドに伝達され、回転が開始されると、損傷・剥離したファスナーを引き抜いたり、締め付けたりできるようになる。しかし、本発明は、損傷していないファスナーまたは新しいファスナーと共に使用した場合でも、ファスナーの特定のサイズ(直径)に対する最大指定トルクレベルや業界承認トルクレベルに従ってトルクが加えられた際に、ファスナーに損傷を与えることがないようにも設計されている。
【0007】
本発明は、損傷・剥離したファスナーに効率的にトルクを加えるために、ファスナーヘッドの側面(損傷しているか否かにかかわらず)に係合する多数の歯を利用する。本発明は、ファスナーに加えられるトルク力を増大させるために、様々な一般工具に組み込んで利用することもできる。ここで、一般工具には、オープンエンド・レンチ、アジャスタブル・レンチ、パイプ・レンチ、ソケット・レンチ、配管工用レンチ、その他同様のファスナー係合工具が含まれるが、これらに限定されない。本発明は、雌部材ベースのヘッド設計のファスナーと互換性があるが、本出願に記載されているように、本発明を雄型ファスナーのヘッド設計に組み込むこともできる。雌型ファスナーとしても知られる雌部材ヘッド設計を利用するファスナーは、ファスナーヘッドの内部空洞を利用して、締め付けまたは緩めるための工具と係合する。雄型ファスナーとしても知られる雄部材ヘッド設計を利用するファスナーは、締め付けまたは緩めるための工具と係合するためにファスナーヘッドの外側横面を使用する。さらに、本発明は、右ねじのファスナーにも左ねじのファスナーにも適合する。さらに、本発明は、様々なタイプやサイズのファスナーに適合するように変更および構成されてよい。
【0008】
図1から
図4に示すように、本発明は、トルクツール本体1と、複数の対をなす係合特徴部3と、交点34とを含む。トルクツール本体1は、複数の対をなす係合特徴部3によって、ファスナーヘッド上に対応する力を加えるための物理的構造として使用される。一部のファスナーでは、トルクツール本体1は、ファスナーヘッドの開口部にかみ合うように適合するサイズのドライバービットに似た機能を果たす。トルクツール本体1の長さ、幅、直径は、異なるサイズの雄または雌ファスナーに適合するよう、変えられてよい。複数の対をなす係合特徴部3は、引き抜き時に損傷・剥離したファスナーの滑りを防止し、
図3から
図6および
図8に示すように、トルクツール本体1の回転軸2の周りに放射状に配置されている。その結果、複数の対をなす係合特徴部3は、トルクツール本体1とファスナーヘッドとの間の滑りを防止することにより、雄・雌ファスナーへのトルク伝達を容易にする。交点34は、2つの対をなす係合特徴部3の会合点として特定される。別の言い方をすれば、複数の対をなす係合特徴部3中の任意の対をなす係合特徴部32と、複数の対をなす係合特徴部3中のそれに隣接する対をなす係合特徴部33とが、交点34を介して互いに接続される。本発明の様々な実施形態に応じて、交点34は、鋭利な点または小半径の曲線部であってよい。いくつかの実施形態では、交点34には第3のセグメントが組み込まれていてよく、ここで、第3のセグメントは、好ましくは、任意のブレース部中の複数の対をなす係合特徴部3と、それと隣接するブレース部4との間で接続された直線部分である。より具体的には、
図1から
図7に示すように、トルクツール本体1は、雌型ソケットタイプのファスナーに使用するために設計された雄型の実施形態である。
【0009】
複数の対をなす係合特徴部3は、トルクツール本体1内で多角形形状に分布し、好ましくは回転軸2に沿って対称に位置する。ここで、回転軸2はトルクツール本体1の中心を横断している。本発明では、ファスナーを時計回り方向に回転させる時も反時計回り方向にも回転させる時も、等しく機能するように対称的な設計が確保されている。
【0010】
図1に示すように、トルクツール本体1は、回転軸2から複数の対をなす係合特徴部3に向かって外側に延在する。これにより、複数の対をなす係合特徴部3が、トルクツール本体1の外面上で、回転軸2を中心として分布することになり、本発明に係るドライバービット構造が得られる。トルクツール本体1のドライバービット構造は、複数の対をなす係合特徴部3がファスナヘッドと内部で係合できるように、ファスナヘッドの開口部と係合する。
【0011】
図8から
図9では、トルクツール本体1は、トルクツール本体1の外壁20から複数の対をなす係合特徴部3まで内側に延在する。これにより、複数の対をなす係合特徴部3が、トルクツール本体1の内周面上で、回転軸2を中心として分布することになり、本発明に係る雌型ソケット構造が得られる。トルクツール本体1の雌型ソケット構造は、複数の対をなす係合特徴部3がファスナーヘッドと外的に係合できるように、ファスナーヘッドの側方表面と係合する。より具体的には、
図8と
図9に示されたトルクツール本体1は、ファスナーの雄型表面に対して使用するために設計された雌型の実施形態である。
【0012】
また、本発明は、トルクツール本体1に外部トルク印加工具を取り付け、ファスナーヘッドに印加されるトルク力を増加させることができるようにするためのい、取り付け機構を組み込んでいる。
図1から
図2および
図8から
図9に示すように、本発明は、さらに、オープンエンド・レンチ、ボックスエンド・レンチ、コンビネーション・レンチ、アジャスタブル・レンチ、ソケット・レンチ、または、ラチェット・レンチなどの外部トルク印加工具をトルクツール本体1に取り付けることを可能にするアタッチメント本体10および係合ボア11を備える。アタッチメント本体10は、外部トルク印加工具の回転軸と一致するように、回転軸2の周りに、回転軸2に沿って、回転軸2を中心として位置する。さらに、アタッチメント本体10はトルクツール本体1に隣接して接続されている。アタッチメント本体10の直径は、好ましくは、トルクツール本体1の直径よりもわずかに大きい。しかしながら、アタッチメント本体10は、好ましい製造方法または設計に応じて、トルクツール本体1よりも小さい直径であってよいし、アタッチメント本体10が、トルクツール本体1と同じサイズの直径であってもよい。係合ボア11は、回転軸2に沿ってアタッチメント本体10内を横断する。係合ボア11は、ソケットレンチの雄型取付け部材を受ける形状であり、その好ましい形状は、大多数のソケットレンチが四角形の雄型取付け部材を利用していることから、四角形である。代替の実施形態において、係合ボア11およびアタッチメント本体10の形状および設計は、様々なトルク印加工具および異なる取付手段に適応できるように変化してよく、多角形または円筒形を含むがこれらに限定されない。代替の実施形態において、アタッチメント本体10の外面は、トルクツール本体1と使用者の手との間の摩擦を増大させるために、ローレット加工または他の代替的な方法による表面グリップ加工が施されていてもよい。
【0013】
複数の対をなす係合特徴部3が、係合ボア11にぶつかったり損傷したりすることなく、ハンマーによって損傷・剥離したファスナー・ヘッドに打ち込めるように、アタッチメント本体10の底面は、係合ボア11から離れるにつれて細くなるようテーパーが付けられていてもよい。別の言い方をすれば、使用者の好みに応じて、係合ボア11付近アタッチメント本体10の直径を、トルクツール本体1付近のアタッチメント本体10の直径よりもわずかに大きくして、アタッチメント本体10の底面を係合ボア11から離れるにつれて細くなるようなテーパー状にしてよい。本発明のいくつかの実施形態では、アタッチメント本体10自体が本発明と外部トルク力との間の係合特徴部として機能するため、アタッチメント本体10は係合ボア11を含まなくてもよい。アタッチメント本体10は、レンチ、ソケット、プライヤーなどの外部トルク工具によってトルクを加えることができるよう、その外部形状が六角形または四角形であってもよい。代替実施形態では、アタッチメント本体10は、レンチハンドルを組み込んでいてよく、好ましくは、当該レンチハンドルはトルクツール本体1に直径方向に接続される。言い換えれば、レンチハンドルはトルクツール本体1と回転軸2に対して垂直に接続されることになる。
【0014】
さらに、レンチハンドルをトルクツール本体1の外側に接続してもよく、この場合、レンチハンドルは外部トルク印加工具として機能する。雌型トルクツール本体1においては、複数の対をなす係合特徴部3の各々が、トルクツール本体1の特定の長さに沿って延在し、その結果、トルクツール本体1内の空所を画定する。前述の空所は、複数の対をなす係合特徴部3がファスナーヘッドの側方表面を把持できるように、ファスナーヘッドの受容キャビティとして機能する。本発明は、トルクツール本体1を貫通するファスナー受け穴をさらに備える。回転軸2に垂直なファスナー受け穴は、レンチハンドルの反対側で、トルクツール本体1を横切って配置され、複数の対になった係合特徴部3を係合させるための側方開口部を提供する。
【0015】
アタッチメント本体10には、ドリル、インパクトドライバー、ドライバーアタッチメントで一般的に使用されているクイックコネクト機能を組み込んでもよい。
【0016】
図3および
図8に示すように、複数の対をなす係合特徴部3は、トルクツール本体1に対して等間隔に配置され、囲まれた形状を形成する。囲まれた形状を構成するために、複数の対をなす係合特徴部3は、第1の係合特徴部7、第2の係合特徴部8、および二等分線6を含む。
【0017】
さらに、
図3および
図8に示すように、第1の係合特徴部7および第2の係合特徴部8のそれぞれの断面は、ブレース部4、キャビティ部5、コネクター部31を含む。より具体的には、ブレース部4とキャビティ部5は、コネクター部31によって互いに隣接して接続されており、損傷・剥離したファスナーを取り外す際にファスナーヘッドに食い込む単一の係合特徴部を画定している。コネクター部31は好ましくは小さな凸状であるが、角張った形状であってもよいし、凹状であってもよい。コネクター部31はさらに、鋭利な交点であってもよい。コネクター部31の長さは、第1の係合特徴部7および第2の係合特徴部8のブレース部4またはキャビティ部5より短いことが好ましい。しかし、コネクター部31の長さと、第1の係合特徴部7および第2の係合特徴部8内の他の構成要素との長さの比率は任意であってよい。いくつかの実施形態では、ブレース部4、コネクター部31、およびキャビティ部5の第1の部分は、連続し、かつ同じ直線上にある。前述の単一の雄型係合機能内では、ブレース部4が第3の係合機能として機能し、キャビティ部5が第1の係合機能として機能し、コネクター部31が第2の係合機能として機能する。しかし、本発明の雌型の実施形態では、対をなす係合特徴3の順序は逆であることを理解されたい。さらに、対をなす係合特徴部3の順序は、特定の実施形態または用途またはファスナーでは任意の順序でよく、前述の順序に限定されない。たとえば、ある状況では、対になる係合特徴部3の順序において、コネクター部31が第1の係合特徴部であってもよい。トルク力がトルクツール本体1に加えられると、ファスナーヘッドは、その形状に応じて、単一の係合特徴部の第1の係合特徴部、第2の係合特徴部、若しくは、第3の係合特徴部、または、単一の係合特徴部内の3つの係合特徴部すべてと係合することができる。
【0018】
トルクツール本体1のいくつかの用途または実施形態では、ブレース部4が雄型ファスナーに係合するとき、キャビティ部5は空の空間のままである。言い換えれば、複数の対をなす係合特徴部3のうち、ブレース部4はファスナーと係合するが、キャビティ部5はファスナーヘッドと係合せず、空隙となる。これにより、複数の対になった係合特徴部3のブレース部4を介して、ファスナー表面により大きな力を加えることができる。任意の対をなす係合特徴部32のブレース部4と隣接する対をなす係合特徴部33のブレース部4とが同時にファスナー表面と係合した場合で、工具の回転方向に応じて、第1の係合特徴部7と第2の係合特徴部8とのトルク力は交互に発生し、囲み形状内で断続的に発生する。言い換えれば、第1の係合特徴部7がファスナーと係合してトルク力がかかると、第2の係合特徴部8は断続的に契合する。あるいは、第2の係合特徴部8がファスナーと係合し、トルク力が加えられると、第1の係合特徴部7は断続的に係合する。二等分線6は、第1の係合特徴部7と第2の係合特徴部8とを、複数の対をなす係合特徴部3のそれぞれにおいて等しい区間に分離する。
【0019】
トルクツール本体1の上面とアタッチメント本体10の下面とは、複数の対をなす係合特徴部3を挟んで互いに反対側に配置されており、上面と下面とは平坦面として構成されている。
【0020】
ブレース部4とキャビティ部5の長さ、および、ブレース部4とキャビティ部5の間の対応する角度は、係合特徴部に鋭利な歯のような形状を作り出すために任意であってよい。第1の係合特徴部7は、複数の対をなす係合特徴部3内の任意の特徴部であり、第2の係合特徴部8は、対応する複数の対をなす係合特徴部3内で第1の係合特徴部7の真横に位置する特徴部である。より具体的には、第1の係合特徴部7のキャビティ部5は、第2の係合特徴部8のキャビティ部5に隣接して接続されている。
図1から
図7に示すように、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5は、回転軸2に向かって配向されており、放射状の形状を画定する。形状は、好ましくは部分円形状または楕円形状であるが、三角形状、台形状、四角形状などの角張った形状であってもよく、また、これらの形状に限定されるものではない。キャビティ部5は、形状を組み合わせて接合することもできるが、製造上好ましい場合には、形状または構成要素を放射状プロファイルで接合したものであってよい。第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4とは、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5とについて互いに対向配置され、回転軸2から離れる方向に向いている。言い換えれば、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5とは、第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4との間に隣接して配置されている。
【0021】
図1から9に示すように、第1の係合特徴部7のブレース部4と第1の係合特徴部7のキャビティ部5との間の長さの比(第1の長さ比)は1:2である。第1の係合特徴部7のブレース部4は、好ましくは平坦面であるが、キャンバー面または凹面であってもよい。第2の係合特徴部8のブレース部4と第2の係合特徴部8のキャビティ部5との間の長さの比(第2の長さ比)は1:2である。第2の係合特徴部8のブレース部4は、好ましくは平坦面であるが、キャンバー面または凹面であってもよい。
【0022】
図4に示すように、コネクター部31は、第1の係合特徴部7のキャビティ部5とブレース部4との会合点として、また、第2の係合特徴部8のキャビティ部5とブレース部4との会合点として画定されている。本発明の異なる実施形態に応じて、コネクター部31は、使用者の好みに応じて、鋭利な点または滑らかな点(湾曲部)であってよい。さらに、コネクター部31は、好ましくは凸状のセグメントであり、回転軸2から離れる方向に向いている。しかし、コネクター部31は、平らなセグメント、若しくは、凹状のセグメントであってよく、または、
図5に示すように鈍角でブレース部4と接続されてもよい。コネクター部31は、平坦なブレース部4とキャビティ部5との間の関係を新規に改良する要素であり、コネクター部31は、ユーザーに追加の係合面を与える。コネクター部31として画定された追加の係合面は、より大きなグリップのために、工具を鋭利なコネクター部31に変更する選択肢をユーザーに提供する。あるいは、ラジアル状の平らな面や凹状の面が、トルクがかかったときに、より大きな面接触をユーザーに与える。
【0023】
さらに、本発明の第1の二等分角17は、
図4に示すように、第1の係合特徴部7のコネクター部31と二等分線6との間で画定される。本発明の異なる実施形態に応じて、第1の二等分角17は、鋭角、直角、または、鈍角であってよい。
【0024】
さらに、本発明の第2の二等分角18は、
図4に示すように、第2の係合特徴部8のコネクター部31と二等分線6との間で画定される。本発明の異なる実施形態に応じて、第2の二等分角18は、鋭角、直角、または、鈍角であってよい。
【0025】
第1の二等分角17と第2の二等分角18の角度的な位置関係により、第1の係合特徴部7のコネクター部31と第2の係合特徴部8のコネクター部31との間に仮想直線を引くと、当該仮想直線は二等分線6に対して垂直に位置することになる。
【0026】
さらに、第1の二等分角17と第2の二等分角18は、第1の仮想直線が第1の係合特徴部7のブレース部4と平行に引かれ、第1の係合特徴部7のコネクター部31を通って交差し、第2の仮想直線が第2の係合特徴部8のブレース部4と平行に引かれ、第1の係合特徴部7のコネクター部31を通って交差するとき、集合的に180度未満の角度に組み合わされる。
【0027】
さらに、第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4は、互いにオフセットして配置されている。より具体的には、本発明は、第1の幾何学的平面と第2の幾何学的平面をさらに含む。第1の幾何学的平面は、第1の係合特徴部7のブレース部4と平行に位置し、第2の幾何学的平面は、第2の係合特徴部8のブレース部4と平行に位置し、第1の幾何学的平面と第2の幾何学的平面が互いにオフセットして配置されることになる。言い換えれば、本発明において、第1の幾何学的平面と第2の幾何学的平面は同一平面上にはない。より具体的に言えば、第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4とは、互いに整列していない。さらに、ブレース部4の幾何学的平面は、好ましくは、本発明の雌型バージョンおよび雄型バージョンのファスナーブレース面の平面と整列していない。
【0028】
さらに、
図6に示すように、交点34の半径方向距離35は、第1の係合特徴部7のブレース部4の第1の長さ36または第2の係合特徴部8のブレース部4の第2の長さ37の4倍から12倍である。さらに、
図7に示すように、交点34の半径方向距離35は、第1の係合特徴部7のブレース面4に接続されたコネクター部31の半径方向距離38および第2の係合特徴部8のコネクター部31の半径方向距離39よりも大きい。加えて、
図7に示すように、半径方向距離38は、第1の係合特徴部7のキャビティ部5に接続されたコネクター部31の半径方向距離40よりも大きく、半径方向距離39は、第2の係合特徴部8のキャビティ部5に接続されたコネクター部31の半径方向距離41よりも大きい。
【0029】
図3および
図8に示すように、好ましくは、ファスナーヘッドと接触する複数の対をなす係合特徴部3の数は、6つの対をなす係合特徴部3が12個の単一の係合特徴部に相当することから、6個である。第1の係合特徴部7間の第1の角度14は30度であり、第2の係合特徴8間の第2の角度15は30度である。さらに、
図3に示すように、複数の対をなす係合特徴部3のそれぞれの間の第3の角度16は、121度から179度の範囲にある。その結果、複数の対をなす係合特徴部3のそれぞれの間の角度的方向は、本発明の異なる実施形態に従って変更することができる。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態では、第3の角度16を130度とすることができる。本発明の他のいくつかの実施形態では、第3の角度16を135度とすることができる。本発明のさらに他のいくつかの実施形態では、第3の角度16を145度とすることができる。本発明のさらに他のいくつかの実施形態では、第3の角度16を150度とすることができる。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態では、複数の対をなす係合特徴部3は、回転軸2から離れるようにテーパー状にしてよい。別の言い方をすれば、トルクツール本体1の上面付近の複数の対をなす係合特徴部3の外径は、アタッチメント本体10付近の複数の対をなす係合特徴部3の外径よりも小さくてよい。さらに、第1の係合特徴部7のキャビティ部5および第2の係合特徴部8のキャビティ部5は、トルクツール本体1の上面からアタッチメント本体10に向かうにつれて、狭く浅くなってよい。
【0031】
第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5が集合的に円形状の輪郭を画定するとしても、本発明は円形状の輪郭に限定されるものではなく、他のタイプの幾何学的形状であってもよい。たとえば、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5は、対応するブレース部4内で三角形状の輪郭を画定してもよい。
【0032】
本発明により損傷・剥離したファスナーを取り外すには、トルクツール本体1を損傷・剥離したファスナーの周囲に配置し、複数の対をなす係合特徴部3の大部分がファスナーヘッドの周囲または内部に配置されるようにする。その後、使用者はトルクツール本体1にトルク力を加えるだけで、損傷・剥離したファスナーを回転させて取り外すことができる。トルクツール本体1にトルク力が加えられると、複数の対になった係合特徴部3がファスナーヘッドの横側面を「噛み」、その結果、損傷・剥離したファスナーを回転させる。本発明は、部分的にまたは完全に損傷したファスナーヘッドと係合するように設計されている。本発明は、複数の対になった係合特徴部3を使用することにより、ファスナーヘッドの滑りを克服する。
【0033】
本発明は、トルクス(Torx)(登録商標)のような対応するローブ状(lobular)設計のファスナーに対して、第1の係合特徴部7のキャビティ部5および第2の係合特徴部8のキャビティ部5で駆動することができ、また、第1の係合特徴部7のブレース部4および第2の係合特徴部8のブレース部4を通してソケットファスナーの外側ブレース面でファスナーを駆動することができる。
【0034】
本発明の全構成要素を含む代替実施形態では、鏡像反転して本実施形態の雌型バージョンを作成できることを理解されたい。言い換えれば、本発明の雌型バージョンは、本発明のすべての特徴、機能、要素を組み込んでいる、雌型の実施形態である。雌型の実施形態の係合特徴部は、雄型ファスナーの側面または側壁に係合する。雄型ドライバー工具の突起が回転軸2から離れる方向に向いているのに対し、雌型ドライバー工具の突起は回転軸2の方向に向いている。具体的には、雄型の実施形態では、
図1から
図7におけるブレース部4およびコネクター部31は、回転軸2から離れる方向に向いているのに対し、雌型の実施形態では、
図8から
図8におけるブレース部4およびコネクター部31が回転軸2に向かう方向に向いている。
【0035】
本発明では、複数の対をなす係合特徴部3において、より鋭利な歯のような形状を作り出すために、ブレース部4とキャビティ部5の長さ、およびブレース部4とキャビティ部5の間の対応する角度を変化させてよい。具体的には、第1の係合特徴部7のブレース部4の長さは、第2の係合特徴部8のブレース部4の長さよりも大きくてもよく、あるいは、第2の係合特徴部8のブレース部4の長さは、第2の係合特徴部7のブレース部4よりの長さよりも大きくてもよく、使用者の好みに応じて、鋭くアグレッシブな係合、あるいは、あまりアグレッシブではない鈍い係合を作り出すことができる。第1の係合特徴部7は、複数の対をなす係合特徴部3内の任意の特徴部であり、第2の係合特徴部8は、対応する複数の対をなす係合特徴部3内で第1の係合特徴部7の真横に位置する特徴部である。より具体的には、第1の係合特徴部7のキャビティ部5は、第2の係合特徴部8のキャビティ部5に隣接して接続されている。
図8から
図9に示すように、交点34は、対をなす複数の係合特徴3のうちの2つの係合特徴3の会合点として特定される。別の言い方をすれば、複数の対をなす係合特徴部3内の任意の対をなす係合特徴部32と、複数の対をなす係合特徴部3内の隣接する対をなす係合特徴部33とが、交点34を介して互いに接続される。本発明の異なる実施形態に応じて、交点34は、鋭利な点または小半径に似た曲線部としてよい。ある実施形態では、交点34は、第3のセグメントを備えていてよく、第3のセグメントは、好ましくは、任意のブレース部4の複数の対をなす係合特徴部3と隣接するブレース部4との間に接続された直線部分である。さらに、
図8に示すように、交点34の半径方向距離35は、第1の係合特徴部7のブレース部4に対する第1の長さ36または第2の係合特徴部8のブレース部4に対する第2の長さ37の4倍から12倍である。さらに、
図8に示すように、交点34の半径方向距離35は、第1の係合特徴部7のコネクター部31の半径方向距離42および/または第2の係合特徴部8のコネクター部31の半径方向距離43よりも小さい。コネクター部31は、第1の係合特徴部7のキャビティ部5とブレース部4の会合点として、また、第2の係合特徴部8のキャビティ部5とブレース部4の会合点として画定される。本発明の異なる実施形態に応じて、コネクター部31は、使用者の好みに応じて、鋭利な点または滑らかな点(湾曲部)としてよい。いくつかの実施形態では、ブレーシング面4、コネクター部31、およびキャビティ部5の第1の部分は、連続し、かつ並んでいる。さらに、コネクター部31は、好ましくは凸状のセグメントであり、回転軸2の方向に向いている。しかし、コネクター部31は、平らなセグメント、凹状のセグメント、または、
図8に示すように鈍角でブレース部4と接続することもできる。コネクター部31は、平坦なブレース部4とキャビティ部5との間の互換性を新規に改善するものであり、コネクター部31は、使用者に追加の係合面を与える。コネクター部31として画定された付加的な係合面は、より大きなグリップのために工具を鋭利なコネクター部に変更するオプションを使用者に提供する。代替として、放射状、平坦、または凹状の面は、トルクが加えられたときにより大きな面接触を使用者に与える。
【0036】
図8と
図9に示すように、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5は、回転軸2から離れる方向に向いており、集合的に放射状の輪郭を画定する。当該輪郭は、好ましくは、部分円形または楕円形であるが、三角形、台形、四角形などの角ばった形状であってもよく、また、これらの形状に限定されるものではない。キャビティ部5は、形状を組み合わせて接合したものであってもよく、製造上好ましい場合には、形状または構成要素を放射状のプロファイルで接合したものであってもよい。第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4とは、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5とに対して互いに対向配置され、回転軸2側に向いている。言い換えれば、第1の係合特徴部7のキャビティ部5と第2の係合特徴部8のキャビティ部5とは、第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4との間に隣接して配置されている。本発明のいくつかの実施形態では、複数の対をなす係合特徴部3は、回転軸2から離れるようにテーパ状にしてよい。すなわち、トルクツール本体1の上面付近の複数の対をなす係合特徴部3の外径は、アタッチメント本体10付近の複数の対をなす係合特徴部3の外径よりも大きい。さらに、
図8と
図9に示すように、第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4とは、互いにオフセットして配置されている。より具体的には、本発明は、第1の幾何学的平面と第2の幾何学的平面をさらに含む。第1の幾何学的平面は、第1の係合特徴部7のブレース部4と平行に位置し、第2の幾何学的平面は第2の係合特徴部8のブレース部4と平行に位置し、第1の幾何学的平面と第2の幾何学的平面とが互いにオフセットして配置される。言い換えれば、本発明において、第1の幾何学的平面と第2の幾何学的平面は、同一の平面上にない。具体的には、第1の係合特徴部7のブレース部4と第2の係合特徴部8のブレース部4とは、互いに整列していない。
【0037】
すべての構成要素は雌型または雄型構成のいずれにおいても本発明全体の一部であるため、
図1から
図7の雄型の実施形態に係る本願明細書内に記載されているすべての構成要素は、
図8から
図9に係るものとして明示的に記載されていなくても、本願明細書の
図8から
図9の雌型の実施形態にも適用可能であることを理解されたい。さらに、その逆に、
図8から
図9に係るものとして説明された構成要素については、
図1から
図7にも当てはまることを理解されたい。
【0038】
図1から
図9において、いくつかの実施形態では、ブレース面4は、断続的な側壁を含んでいてよい。断続的な側壁は、複数の対をなす係合特徴部3を有する複数の側壁の間に配置されてよい。断続的な側壁は、複数の対をなす係合特徴部3の間で交互に配置されてもよいし、複数の対をなす係合特徴部3のそれぞれの反対側に配置されてもよい。複数の断続的側壁は、さらに、連続する複数の断続的側壁であってもよい。言い換えれば、複数の対をなす係合特徴部3の間に、複数の断続的な側壁が連続して配置されてよい。断続的な側壁は、好ましくは平坦面である。
【0039】
本発明をその好ましい実施形態に関連して説明したが、以下に請求する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の多くの可能な修正および変形を行うことができることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクツール本体と、
複数の対をなす係合特徴部と、
複数の交点とを含み、
前記複数の交点のそれぞれは鋭角を成し、
前記複数の対をなす係合特徴部は、それぞれ、第1の係合特徴部および第2の係合特徴部を含み、
前記第1の係合特徴部と前記第2の係合特徴部の断面は、それぞれ、ブレース部、キャビティ部、および、コネクター部を含み、
前記ブレース部は平面であり、
前記複数の対をなす係合特徴部は、前記トルクツール本体の回転軸を中心として放射状に分布しており、
前記ブレース部と前記キャビティ部は、前記コネクター部によって互いに隣接して接続されており、
前記第1の係合特徴部のキャビティ部は、前記第2の係合特徴部のキャビティ部に隣接して接続されており、
第1の係合特徴部のキャビティ部と第2の係合特徴部のキャビティ部とは、回転軸の方向に向いており、
前記第2の係合特徴部のブレース部と前記第2の係合特徴部のブレース部とは、前記第1の係合特徴部のキャビティ部と前記第2の係合特徴部のキャビティ部に対して互いに対向して配置され、
前記複数の対をなす係合特徴部の中の任意の対をなす係合特徴部と隣接する対をなす係合特徴部とが、
対応する交点を介して互いに接続されて
おり、
前記交点の半径方向距離は、前記交点と同一横断面において、前記第1の係合特徴部の前記コネクター部の各点の半径方向距離よりも大きく、
前記交点の半径方向距離は、前記交点と同一横断面において、前記第2の係合特徴部の前記コネクター部の各点の半径方向距離よりも大きい、
滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項2】
前記第1の係合特徴部間の第1の角度が30度であり、前記第2の係合特徴部間の第2の角度が30度である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項3】
複数の対をなす係合特徴部のそれぞれの間の第3の角度が、121度から179度の範囲である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項4】
前記第3の角度が130度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項5】
前記第3の角度が135度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項6】
前記第3の角度が145度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項7】
前記第3の角度が150度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項8】
前記コネクタ部は凸状のセグメントであり、前記コネクター部は前記回転軸から離れる方向に向いている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項9】
前記トルクツール本体が、前記回転軸から前記複数の対をなす係合特徴部まで外向きに延びている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項10】
第1の係合特徴部のブレース部と第1の係合特徴部のキャビティ部との間の第1の長さの比率は、1:2である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項11】
第2の係合特徴部のブレース部と第2の係合特徴部のキャビティ部との間の第2の長さの比率は、1:2である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項12】
交点の半径方向の距離は、第1の係合特徴部のブレース部の第1の長さの4倍から12倍である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項13】
交点の半径方向の距離は、第2の係合特徴部のブレース部の第2の長さの4倍から12倍である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項14】
前記第1の係合特徴部の前記ブレース部と前記第2の係合特徴部の前記ブレース部は、互いにオフセットして配置される、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項15】
アタッチメント本体を含み、
前記アタッチメント本体は、前記回転軸の周りにかつ前記回転軸に沿って中心に配置され、
該アタッチメント本体は、前記トルクツール本体に隣接して連結されている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項16】
係合ボアを含み、
前記トルクツール本体は、前記トルクツール本体の外壁から前記複数の対をなす係合特徴部まで内側に延在しており、
前記係合ボアは、回転軸に沿って、前記トルクツール本体とは反対側に、前記アタッチメント本体内を横断する、
請求項
15に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルクツール本体と、
複数の対をなす係合特徴部と、
複数の交点とを含み、
前記複数の交点のそれぞれは鋭角を成し、
前記複数の対をなす係合特徴部は、それぞれ、第1の係合特徴部および第2の係合特徴部を含み、
前記第1の係合特徴部と前記第2の係合特徴部の断面は、それぞれ、ブレース部、キャビティ部、および、コネクター部を含み、
前記ブレース部は平面であり、
前記複数の対をなす係合特徴部は、前記トルクツール本体の回転軸を中心として放射状に分布しており、
前記ブレース部と前記キャビティ部は、前記コネクター部によって互いに隣接して接続されており、
前記第1の係合特徴部のキャビティ部は、前記第2の係合特徴部のキャビティ部に隣接して接続されており、
第1の係合特徴部のキャビティ部と第2の係合特徴部のキャビティ部とは、回転軸の方向に向いており、
前記第2の係合特徴部のブレース部と前記第2の係合特徴部のブレース部とは、前記第1の係合特徴部のキャビティ部と前記第2の係合特徴部のキャビティ部に対して互いに対向して配置され、
前記複数の対をなす係合特徴部の中の任意の対をなす係合特徴部と隣接する対をなす係合特徴部とが、
前記複数の交点のうちの対応する交点を介して互いに接続されており、
前記
複数の交点のうちの1つの半径方向距離は、前記
複数の交点のうちの1つと同一横断面において、前記第1の係合特徴部の前記コネクター部の各点の半径方向距離よりも大きく、
前記
複数の交点のうちの1つの半径方向距離は、前記
複数の交点のうちの1つと同一横断面において、前記第2の係合特徴部の前記コネクター部の各点の半径方向距離よりも大きい、
滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項2】
前記第1の係合特徴部間の第1の角度が30度であり、前記第2の係合特徴部間の第2の角度が30度である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項3】
複数の対をなす係合特徴部のそれぞれの間の第3の角度が、121度から179度の範囲である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項4】
前記第3の角度が130度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項5】
前記第3の角度が135度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項6】
前記第3の角度が145度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項7】
前記第3の角度が150度である、
請求項3に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項8】
前記コネクタ
ー部は凸状のセグメントであり、前記コネクター部は前記回転軸から離れる方向に向いている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項9】
前記トルクツール本体が、前記回転軸から前記複数の対をなす係合特徴部まで外向きに延びている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項10】
第1の係合特徴部のブレース部と第1の係合特徴部のキャビティ部との間の第1の長さの比率は、1:2である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項11】
第2の係合特徴部のブレース部と第2の係合特徴部のキャビティ部との間の第2の長さの比率は、1:2である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項12】
交点の半径方向の距離は、第1の係合特徴部のブレース部の第1の長さの4倍から12倍である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項13】
交点の半径方向の距離は、第2の係合特徴部のブレース部の第2の長さの4倍から12倍である、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項14】
前記第1の係合特徴部の前記ブレース部と前記第2の係合特徴部の前記ブレース部は、互いにオフセットして配置される、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項15】
アタッチメント本体を含み、
前記アタッチメント本体は、前記回転軸の周りにかつ前記回転軸に沿って中心に配置され、
該アタッチメント本体は、前記トルクツール本体に隣接して連結されている、
請求項1に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【請求項16】
係合ボアを含み、
前記トルクツール本体は、前記トルクツール本体の外壁から前記複数の対をなす係合特徴部まで内側に延在しており、
前記係合ボアは、回転軸に沿って、前記トルクツール本体とは反対側に、前記アタッチメント本体内を横断する、
請求項15に記載の滑り防止型ファスナー取外し工具。
【国際調査報告】