(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】自動バイオシステムエンジニアリングのためのスケーラブルなシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240409BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240409BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240409BHJP
B01J 19/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C12M1/00 A
B81B3/00
G01N37/00 101
B01J19/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560079
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022071413
(87)【国際公開番号】W WO2022213070
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521056216
【氏名又は名称】メコノス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,マーク エー.
(72)【発明者】
【氏名】チュールジャン,マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】オットー,ローレン エム.
【テーマコード(参考)】
3C081
4B029
4G075
【Fターム(参考)】
3C081AA01
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4G075AA02
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4G075FC11
(57)【要約】
自動バイオシステムエンジニアリングのためのスケーラブルなシステム及び方法を提供する。ラボ・オン・チップ(LOC)を含む統合型パッケージを開示する。LOCは少なくとも1つの統合型デバイスを含み、この統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と、第1の側の反対側にある及び第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有するMEMSと;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、この流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;LOCの流体部分の表面を形成する流体キャップであって、流体入口及び流体出口を有する流体キャップと;を含む。LOCを動作させる方法には、検査のために1つ又は複数の粒子を捕捉するための少なくとも1つの統合型デバイスへの電力供給が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型デバイスであって、当該統合型デバイスは、
膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と該第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と、
該膜部分の前記第1の側に配置されたMEMS部分であって、該MEMS部分は、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有しており、該鋭利な部材は、前記アクチュエータステージに対して実質的に直交して取り付けられた先端又はベース部分を有する、MEMS部分と、
前記膜部分の前記第2の側に配置された流体部分であって、該流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と、を含み、
前記膜開口部は、前記MEMS部分と前記流体部分との間のアクセスを提供し、且つ前記鋭利な部材の基端部分と実質的に位置合わせされ、
動作中に、前記鋭利な部材の前記基端部分は、前記膜開口部を横切って前記流体キャビティの少なくとも一部内に移動する、
統合型デバイス。
【請求項2】
前記膜部分の前記第1の側は、前記膜部分の第1の面に配置され、且つ前記膜開口部に隣接する及び/又は前記膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む1つ又は複数の引き寄せ電極を含む、請求項1に記載の統合型デバイス。
【請求項3】
前記膜部分の前記第2の側は、前記膜部分の前記第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ前記膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む、請求項1又は2に記載の統合型デバイス。
【請求項4】
前記膜部分の前記第2の側は、前記膜部分の第2の面に配置され、且つ前記膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の統合型デバイス。
【請求項5】
前記流体部分は、前記膜開口部の向かい側の流体キャビティ表面に配置された1つ又は複数の対電極を含み、動作中に、前記1つ又は複数の対電極及び前記1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される、請求項4に記載の統合型デバイス。
【請求項6】
前記1つ又は複数の電極ペアは、前記流体媒体中の1つ又は複数の粒子を捕捉するように構成される、請求項4又は5に記載の統合型デバイス。
【請求項7】
前記1つ又は複数の粒子は、誘電泳動力を使用して捕捉される、請求項6に記載の統合型デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータステージは、前記MEMSキャビティ内に吊り下げられ、且つ前記MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持され、該2つ以上のアクチュエータアームは、蛇行パターンを含むか、又は単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコン、金属、金属合金、共晶、セラミック、複合材料、ポリマー、ドープシリコン、シリコンの同素体、無機ガラス状材料又は混合物、無機多結晶材料又は混合物、無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含むセラミック材料、窒素又は他の非金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せの少なくとも1つを含む導電材料を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の統合型デバイス。
【請求項9】
前記鋭利な部材は、前記アクチュエータステージの第1の面に配置され、前記MEMSキャビティは、前記アクチュエータステージの第2の面に面するMEMSキャビティ表面に配置された1つ又は複数の引き離し電極を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の統合型デバイス。
【請求項10】
前記流体部分には流体入口及び流体出口が含まれ、前記流体媒体は、所定の流量で前記流体入口から前記流体出口まで流れる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の統合型デバイス。
【請求項11】
前記鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからの1つ又は複数のペイロードを運ぶことができる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の統合型デバイス。
【請求項12】
統合型パッケージであって、当該統合型パッケージは、
基板と、
該基板上に配置されたラボ・オン・チップ(LOC)と、を含み、該LOCは少なくとも1つの統合型デバイスを含み、
該統合型デバイスは、
膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と該第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と、
該膜部分の前記第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有するMEMS部分と、
前記膜部分の前記第2の側に配置された流体部分であって、該流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と、
前記LOCの前記流体部分の表面を形成する流体キャップであって、流体入口及び流体出口を有する流体キャップと、を含む、
統合型パッケージ。
【請求項13】
統合型デバイスを動作させる方法であって、当該方法は、
電源を供給するステップと、
統合型デバイスを提供するステップであって、該統合型デバイスは、
膜開口部を有する膜部分であって、該膜部分は第1の側と第2の側とを有しており、前記膜部分の前記第2の側は、その上に配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む、膜部分と、
前記膜部分の前記第1の側に配置されたMEMS部分と、
前記膜部分の前記第2の側に配置された流体部分であって、前記流体部分に流体キャビティを形成する流体キャップを含む流体部分と、を含み、
前記流体キャップは、その表面に、少なくとも1つの流体入口、少なくとも1つの流体出口、及び前記膜開口部の向かい側の前記流体キャップの前記表面に配置された1つ又は複数の対電極を有している、ステップと、
前記電源を介して、前記1つ又は複数の対電極と前記1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップと、
前記膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップと、を含む、
方法。
【請求項14】
前記AC電圧の動作周波数を調整して、複数の粒子の一部に正の誘電泳動力を生じさせるステップと、
流体媒体中の前記複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップと、をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電源を介して、アクチュエータステージと前記1つ又は複数の引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップと、
該供給した電圧に基づいて、前記アクチュエータステージと前記1つ又は複数の引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと、
前記アクチュエータステージと前記1つ又は複数の引き寄せ電極との間に生成された静電場に基づいて、鋭利な部材を作動して前記膜開口部を横切って前記流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2021年3月29日に出願した米国仮出願第63/167,554号の利益を主張するものであり、その内容は、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、自動バイオシステムエンジニアリングのためのスケーラブルなシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞形質転換による遺伝子治療等の医学的治療アプローチは、遺伝性疾患、ある種の癌、及び特定のウイルス感染症を含む多くの疾患に対する有望な治療選択肢である。遺伝子治療は有望であるが、現時点では薬剤又は手術を用いるのではなく、患者の細胞への遺伝物質(遺伝子)の挿入に基づく実験的な治療法である。この技術は、生細胞への遺伝物質(又は任意の生体分子)の導入を中心としているため、特に細胞に損傷を与える危険性があり、本質的にリスクがあり、挑戦的である。遺伝子治療薬の現在の製造アプローチには、例えば、生細胞に非常に高い電場を印加して細胞の膜に一時的な開口部を形成するエレクトロポレーション(electroporation:電気穿孔)プロセスが含まれる。電場は、典型的に、キュベット内で多数の細胞に全体的に印加され、特定の細胞の電場も、細胞に入る物質の量も、個々の細胞毎に制御されない。従って、エレクトロポレーションに使用される応用分野よりも細胞膜へのダメージが少なく、同時に、例えば遺伝物質を細胞内に挿入するための流体環境中での直接操作のための生細胞の単離を提供する、新しいシステム及び技術プラットフォームが必要とされている。前述のアプローチに伴う有害な副作用を伴うことなく、遺伝子治療等の有望な治療技術を進歩させるには、このような新規なシステムの必要性が求められている。
【発明の概要】
【0004】
様々な実施形態によれば、統合型デバイスを提供する。統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMS部分は、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有しており、鋭利な部材は、アクチュエータステージに対して実質的に直交して取り付けられた先端(又はベース)部分を有する、MEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;を含み、膜開口部は、MEMS部分と流体部分との間のアクセスを提供し、且つ鋭利な部材の基端部分と実質的に位置合わせされ、動作中に、鋭利な部材の基端部分は、膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動する。
【0005】
様々な実施形態によれば、統合型パッケージを提供する。統合型パッケージは、基板と;基板上に配置されたラボ・オン・チップ(LOC)と、を含み、LOCは少なくとも1つの統合型デバイスを含み、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側にある第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有するMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;LOCの流体部分の表面を形成する流体キャップであって、流体入口及び流体出口を有する流体キャップと;を含む。
【0006】
様々な実施形態によれば、統合型パッケージを動作させる方法を提供する。この方法は、電源を供給するステップと;少なくとも1つの統合型デバイスを含む統合型パッケージを提供するステップであって、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側にある第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、アクチュエータステージに配置され、アクチュエータステージと実質的に平行な膜部分の第1の面に配置された電極及び引き寄せ(pull-toward)電極として構成された鋭利な部材を有するMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分と;を含む、ステップと;電源を介して、アクチュエータステージ及び引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップと;供給した電圧に基づいて、アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと;アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に生成された静電場により、鋭利な部材を、膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップと;含む。
【0007】
様々な実施形態によれば、統合型デバイスを動作させるための方法を提供する。この方法は、電源を供給するステップと;統合型デバイスを提供するステップであって、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、膜部分は第1の側と第2の側とを有しており、膜部分の第2の側は、その上に配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む、膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体キャビティを形成する流体キャップを含む流体部分と;を含み、流体キャップは、その表面に、少なくとも1つの流体入口、少なくとも1つの流体出口、及び膜開口部の向かい側の流体キャップの表面に配置される1つ又は複数の対電極(counter-electrodes)を有する、ステップと;電源を介して、1つ又は複数の対電極と1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップと;膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップと;を含む。
【0008】
これら及び他の態様及び実施態様については、以下で詳細に説明する。前述の情報及び以下の詳細な説明には、様々な態様及び実施態様の例示的な例が含まれており、特許請求の範囲に記載した態様及び実施態様の性質及び特徴を理解するための概要又は枠組みを提供する。図面は、様々な態様及び実施態様を例示し、さらに理解するためのものであり、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、一定の縮尺で描くことを意図したものではない。様々な図面における同様の参照符号及び指定は、同様の要素を示す。明確にするために、全ての図面で全ての構成要素にラベルを付けているわけではない。
【
図1A】様々な実施形態による、統合型デバイスの一実施形態を示す図である。
【
図2A】様々な実施形態による、ラボ・オン・チップ・システムとしてパッケージ化された統合型デバイスの一実施形態を示す図である。
【
図2B】様々な実施形態による、ラボ・オン・チップ・システムをパッケージ化するためのプロセス・フローの概略図である。
【
図3】様々な実施態様による、統合型デバイスの例示的なMEMS部分のアレイの概略図である。
【
図4】例示的な実施態様による、統合型デバイスを動作させる方法のフローチャートである。
【
図5】例示的な実施態様による、統合型デバイスを動作させる別の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
エレクトロポレーションで使用される電場の広範な印加に関する前述の問題を回避するための解決策がいくつかある。1つの非限定的なアプローチには、直接操作のために、例えば物質、粒子、又は分子を細胞に挿入するために、捕捉メカニズムを使用して1つ又は複数の生細胞を単離することが含まれ得る。様々な実施形態によれば、捕捉メカニズムには、例えば、誘電泳動(DEP)に基づく方法が含まれるが、これに限定されない。DEPは、非線形電場内の生体分子、小胞、細胞等の分極性粒子が電場勾配に沿った力を受けるときに発生する電気物理現象である。これは、粒子全体の電場の変化により、粒子の一方の側が他方の側よりも大きな双極子力を受けるために発生する。DEPは、流体環境内の無機ナノ粒子又は生体分子等の中性粒子を捕捉して選別する能力に基づいて、例えば、上で議論したように、遺伝子治療等のマイクロ流体ベースの用途における単一細胞分析に利用できる。例えば、インピーダンス又は蛍光特性評価(又は任意の非接触評価技術)のために単一細胞を単離するためにDEPを適用することによる標準生化学アッセイでのDEPの使用は、流体環境において実証されている。
【0011】
本明細書で説明する技術には、遺伝物質を挿入するためのより安全なアプローチを可能にする統合システムが含まれる。開示する統合システムは、流体環境及び/又は印加電場(非線形又は線形)環境においてナノスケール又はマイクロスケール材料をナノスケール又は細胞レベルで操作するように構成され得るシステムに統合された様々な構成要素を含むことができる。開示する統合システムは、例えば、流体工学ベースの捕捉アーキテクチャ、微小電気機械システム(MEMS)ベースのサンプル照合(interrogation:調査)アーキテクチャ、分子時空間制御のための化学システム及び方法論を含むことができる。さらに、本明細書に開示する技術には、上述のアーキテクチャ及び要素を、広範な商業及び研究目的に役立ち得るラボ・オン・チップ(LOC;lab-on-a-chip)システムに機能的に統合するのを可能にするパッケージング・アーキテクチャが含まれる。様々な実施形態によれば、開示する技術は、機械的手段によって生細胞への遺伝物質(一般に生体分子)及び/又は無機ナノ粒子の制御可能な導入を可能にする一方で、細胞への損傷を最小限に抑えるか全く与えず、細胞への損傷を高い割合で回避することができる。遺伝物質の例としては、例えば、遺伝的高分子だけでなく、例えば、タンパク質、ペプチド、小分子、RNA又はDNAとのタンパク質複合体、及びそれらの任意の組合せを含む他の分子クラスが挙げられる。機械的挿入アプローチの重要な利点には、機械的ツールによって輸送される活性分子、例えば新しい遺伝物質の正確な量を制御することに加えて、挿入ツールを正確に機械的に制御できることが含まれる。
【0012】
本明細書で説明する場合に、「MEMSアクチュエータ」又は「アクチュエータ」という用語は、アクチュエータステージ及びアクチュエータアームから構成され、MEMSキャビティ内に含まれる可動デバイス層である。この部分は、以前はカンチレバーと呼ばれていた。
【0013】
本明細書で説明する場合に、「アクチュエータアーム」という用語は、アクチュエータステージをデバイス層シリコンの残りの部分に接続する典型的な蛇行アームを指し、本明細書ではキャビティ外デバイス層として知られる(MEMSキャビティの外側に存在するため)。アクチュエータアームは、以前は蛇行アームと呼ばれていた。
【0014】
本明細書で説明する場合に、「アクチュエータステージ」という用語は、MEMSキャビティ内で鋭利な部材(sharp member)が載置される可動ステージを指す。
【0015】
本明細書で説明する場合に、「ボールグリッドアレイ(BGA)」という用語は、パッケージング中にチップをPCB又はチップキャリアにボンディングするための表面実装を指し、はんだ及びフラックスのビーズで覆われた接触パッドのアレイから構成される。
【0016】
本明細書で説明する場合に、「BioMEMS」という用語は、生物学的用途で使用されるMEMSを指し、また、固体機械要素(流体機構等)を必ずしも含まない生物学的用途を有するマイクロ流体システムをより広義に指す場合もある。
【0017】
本明細書で説明する場合に、「接合(bonded:ボンディング)した」という用語は、手元の材料同士の間の不可逆的な接合を指す。接合又はボンディングには、チップ間ボンディング、ウェハボンディング、プラスチック間ボンディングを説明するためにデバイスパッケージング分野で一般的に使用されるタイプのボンディングが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で説明する場合に、「捕捉」という用語は、本明細書で使用するバルク混合物又は流れから特定の位置又はサイト(site:部位)への粒子の引き付け(引力)として規定され、本明細書では「トラップ」及び「固定化」とも呼ばれるが、「捕捉」とも表記される。
【0019】
本明細書で説明する場合に、「捕捉サイト(capture site)」という用語は、誘電泳動捕捉力によって粒子を駆動して粒子を保持し、膜部分内/膜部分を通る開口部に近接する一般的な場所を指す。
【0020】
本明細書で説明する場合に、「捕捉サイト電極」という用語は、捕捉サイトの近くに位置するDEP電極を指す。最も一般的な実施形態では、これらはアクティブ電極(すなわち、駆動されたDEP信号を搬送する電極)である。
【0021】
本明細書で説明する場合に、「キャリア流体」という用語は、目的の粒子及び試薬の溶媒及び/又は輸送媒体として機能する液体を指す。
【0022】
本明細書で説明する場合に、「化学システム」という用語は、鋭利な部材の表面化学、親水性調整のための表面処理、防汚等を指し、これを含む。
【0023】
本明細書で説明する場合に、「チップ(chip)」という用語は、本明細書では膜部分に接合されたMEMS部分を含むデバイスアーキテクチャのコアを示すために使用される。「チップ」はまた、MEMS及び膜部分、又はそれらのそれぞれのウェハ及びダイに直接接合されるか、又はその一部として製造されるインターポーザ部分等の他の部分を含むこともできる。
【0024】
本明細書で説明する場合に、「制御要素」という用語は、デバイスの感知、デバイスの作動、及び外部入力の間の制御ループを閉じるために使用される電気システムを指す。
【0025】
本明細書で説明する場合に、「対電極(counter-electrode)」という用語は、捕捉サイト電極から流体キャビティを横切って位置付けされた共通の接地電極を指す。
【0026】
本明細書で説明する場合に、「誘電泳動(DEP)」という用語は、非線形電場における生体分子又は細胞等の分極性物質(一般に粒子と呼ばれる)が本明細書で使用する電場勾配において力を受けるときに発生する電気物理現象を指す。
【0027】
本明細書で説明する場合に、「DEP電極」という用語は、本明細書で使用する1つ又は複数の電極(本明細書では「捕捉サイト電極」とも呼ばれる)及び対電極を指す。
【0028】
本明細書で説明する場合に、「デバイス層」という用語は、アクチュエータ(デバイス)を含む材料の層と、MEMSキャビティの外側の同じ層内の材料とを指す。
【0029】
本明細書で説明する場合に、「離散(discrete)非生物学系」という用語は、ナノ粒子、脂質小胞、エマルジョン、又は他の多相系等のことを指す。
【0030】
本明細書で説明する場合に、「離散生物学系」という用語は、生細胞等を指すが、他の生物学系を含むこともできる。
【0031】
本明細書で説明する場合に、「電気信号I/O」という用語は、LOC上の電気信号の入力及び出力を指す。
【0032】
本明細書で説明する場合に、「イベント」という用語は、LOCの動作ワークフローの要素である。これらのイベントは、流体力学的なイベント、電気信号イベント、機械イベント、サンプルイベント、生物学イベント、化学イベント、物理イベント、オペレータ入力イベント、又は一般的な実行時イベントとして広く特徴付けることができる。
【0033】
本明細書で説明する場合に、「キャビティ外デバイス層」という用語は、MEMSキャビティ内にないMEMSデバイス層の部分である。
【0034】
本明細書で説明する場合に、「流体I/O」という用語は、LOC上の流体の入口及び出口を指す。
【0035】
本明細書で説明する場合に、「流体キャップ」という用語は、流体部分の副構成要素を指す。いくつかの実施形態では、流体キャップは膜部分に直接接合されない。
【0036】
本明細書で説明する場合に、「流体キャビティ」という用語は、粒子及びそのキャリア流体が存在し、DEP捕捉力を生成する電場に曝される領域を指す。
【0037】
本明細書で説明する場合に、「流体部分」という用語は、
図1Aにおいて、流体キャビティ(マイクロ流体チャネルに細分化することができる)、流体キャップ、及び膜部分における捕捉サイト電極と連携して動作してDEP捕捉力を与える対電極を含むものとして規定される。
【0038】
本明細書で説明する場合に、「機能層」という用語は、一緒に接合され、表面に固定された以下の構造成分の任意の順列又は組合せを包含する用語である。これらの構造成分には、ケミカルアンカー(登録商標)(無機ハンドルと相互作用する部分)、スペーサ(任意の表面層の長さを変更することを目的としたグループ(group:基))、合成リンカー(後続の構造成分と不可逆的な結合を形成することを目的とした部分)、及びトランスポーター(ペイロード分子に可逆的に結合することを意図した任意の化学基)が含まれる。
【0039】
本明細書で説明する場合に、「機能化」という用語は、表面上に薄膜を形成して、その材料特性を変えるか、又は新たな挙動を導入する(imbue:吹き込む)ことを指す。この例には、表面エネルギーを調節する、又は分子ペイロードの可逆的結合を可能にするための薄膜の形成が含まれる。薄膜の例には、単層、多層コーティング、及びポリマーコーティングが含まれる。
【0040】
本明細書で説明する場合に、「無機ハンドル」という用語は、機能化(官能化)されていない鋭利な部材の表面を指し、例えばAu、又はSiOx、TiOx、AlOx、ITO、水素終端シリコン、SiNx、Pt、Ag、Ni、Cu、又は他の金属、或いは金属酸化物又は窒化物等から構成される。
【0041】
本明細書で説明する場合に、「統合制御ASIC」という用語は、特定用途向け集積回路を指す。
【0042】
本明細書で説明する場合に、「相互接続」という用語は、機能層の2D領域内の面内配線を指す。
【0043】
本明細書で説明する場合に、「インターポーザ部分」という用語は、異なる電気接点レイアウト間で電気信号I/Oを物理的にマッピングするために使用される電気再配線層及び/又は特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれらの構成の2つ以上の組合せを指す。
【0044】
本明細書で説明する場合に、「照合(interrogation:調査)」という用語は、例えば、本明細書で議論する材料サンプリング、物理プロービング、感知、ペイロード送達、相互作用、物理的接触、毛細管ウィッキング、及び/又は挿入等の活動を指す。
【0045】
本明細書で説明する場合に、「マイクロチャネル」という用語は、LOCを複数の領域に分割する目的での、流体キャビティの可能なサブセクションを指す。より広義には、マイクロチャネルとは、マイクロメートルスケールの1つ又は複数の寸法を有する流体を運ぶキャビティのことである。
【0046】
本明細書で説明する場合に、「微小電気機械システム(MEMS)」という用語は、機械要素と電気要素との両方を含むマイクロメートルスケールのデバイス又はシステムを指す。
【0047】
本明細書で説明する場合に、「取り付けられた(mounted:マウントされた、実装された)」という用語は、ソケット、結合、接合のための機構、熱応力管理のための弾性体又はポリマーの適用、物理的クランプ、MEMS及び流体部分の手動位置合せのための機械的クランプを指す。取り付けは可逆的又は不可逆的である。
【0048】
本明細書で説明する場合に、「膜開口部」という用語は、鋭利な部材がMEMSキャビティから膜部分を通過して流体キャビティに入ることができ、捕捉サイト内の粒子を調べることができる膜部分の開口部を指す。
【0049】
本明細書で説明する場合に、「粒子」という用語は、物理的特性を個別に又は一緒に有する物体又は物体のグループを指す。粒子は、生細胞、ウイルス、油滴、リポソーム、ミセル、逆ミセル、タンパク質凝集体、ポリマー、界面活性剤集合体、又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない混合物を含むことができる組成を有する。粒子は、生きているか死んでいるかを問わず、単一又は複数の細胞、ウイルス、細菌、又は任意の微生物であり得る。粒子は、流体中で自由に浮遊することができ、例えば、流体中に懸濁することができ、付着することができ、形状を変えることができ、融合することができ、別々に分離等することができる。
【0050】
本明細書で説明する場合に、「細孔」という用語は、2つの領域間の開口部を指す。「ペイロード」という用語には、任意の化合物、ポリマー、生体高分子、又はその組合せが含まれる。
【0051】
本明細書で説明する場合に、「信号」という用語は、DC、AC、又は周波数成分の重合せを含み得る、電圧、電流、周波数、位相、又は持続時間の変化等のあらゆる電気的イベントを含む。
【0052】
本明細書で説明する場合に、「干渉」という用語は、信号又は信号成分の効果的な送信又は読出しを中断、妨害、又はそうでなければ劣化又は制限する任意の電磁妨害を指す。
【0053】
本明細書で説明する場合に、「照合(interrogation:調査)」という用語は、例えば、材料サンプリング、物理プロービング、感知、ペイロード送達、相互作用、物理的接触、毛細管ウィッキング、及び/又は挿入等の活動を指す。
【0054】
本明細書で説明する場合に、「ペイロード」という用語は、化合物、ポリマー、生体分子、ナノ粒子、ナノ構造、有機分子又は無機分子、或いはそれらの組合せを含む、粒子内に送達されるあらゆるものを指す。
【0055】
本明細書で説明する場合に、「引込(pull-in)」という用語は、アクチュエータに印加される電圧(引込電圧)と、アクチュエータがMEMSキャビティ内で到達する位置(引込距離、アクチュエータの静止位置と、使用している方への引き寄せ(pull-toward)電極又は引き離し(pull-away)電極との間の距離の約1/3にある)を指し、そこで、MEMS引込構成に達し、アクチュエータが非ラッチングモードからラッチングモードに、又はその逆に移行する。
【0056】
本明細書で説明する場合に、「ビア」という用語は、流体ビアが明示的に述べられていない限り、一般に電気ビアを指し、一般にLOCの機能層同士の間の接続であり、チップ平面に対してほぼ直交しているか、又は面外接続である。
【0057】
本明細書で説明する場合に、「ウェハボンディング」という用語は、MEMS、ナノ電気機械システム(NEMS)、マイクロエレクトロニクス、及びオプトエレクトロニクスを製造するためのウェハレベルのパッケージング技術であり、機械的に安定で気密封止されたカプセル化を保証する。ウェハボンディング、又はそれに類似したダイボンディング及びチップボンディングは、不可逆的であり、その構成要素、制御ASIC等も含む場合がある。
【0058】
様々な態様及び実施態様の図及び例示的な実施例に関する前述の情報及び以下の詳細な説明は、本明細書で説明する様々な実施形態に従って開示される。
【0059】
図1Aは、様々な実施形態による、統合型デバイス100の一実施形態を示し、
図1Bは、
図1Aの統合型デバイスの概略図を示す。
図1A及び
図1Bに示されるように、統合型デバイス100に関して説明する技術は、ナノスケール又はマイクロスケールの材料165(本明細書では「粒子又は粒子165」とも呼ばれる)を捕捉し、ナノスケール又は細胞レベルで材料を操作又は調査するように構成され得るシステムに統合される様々な構成要素を含む。このような実施形態では、統合型デバイス100は、例えば、流体工学ベースの捕捉アーキテクチャ及びMEMSベースのサンプル調査アーキテクチャを含むことができるが、これらに限定されない。様々な実施形態によれば、統合型デバイス100を使用する1つ又は複数の方法も提供される。
【0060】
図1Aに示される統合型デバイス100は、膜部分110、MEMS部分120、及び流体部分160を含む。図示されるように、膜部分110は、膜開口部115を含み、MEMS部分120に面する第1の側と、流体部分160に面する第2の側とを含む。
図1Aに示されるように、膜部分110は、MEMS部分120と流体部分160との間に配置される。膜開口部115は、1つ又は複数のナノスケール又はマイクロスケール材料165が捕捉、固定化、又はそうでなければ捕捉される開口部であり、その材料165は次にナノスケール又は細胞レベルで操作又は調査される。換言すれば、膜開口部115は、MEMS部分120と流体部分160との間のアクセスを提供する。
【0061】
様々な実施態様において、膜開口部115は、約0.1nm~約1mmのサイズ(本明細書では、円形の場合は直径、非円形の幾何学の場合は横寸法とも呼ばれる)を有する。様々な実施態様において、膜開口部115は、約1nm~約100nm、約100nm~約1μm、約1μm~約10μm、約100nm~約10μm、約100nm~約25μm、約500nm~約5μm、約500nm~約10μm、約1μm~約100μm、又は約1μm~約50μmの間(それらの間の任意のサイズ範囲を含む)のサイズを有する。
【0062】
様々な実施形態において、MEMS部分120は、MEMSキャビティ122と、MEMSキャビティ122内に配置されるアクチュエータステージ130とを含む。様々な実施態様において、MEMS部分120は、MEMSキャビティ122と、MEMSキャビティ122内に配置されたアクチュエータステージ130とを含むユニットセル120aを含み得る。様々な実施態様において、MEMS部分120は、複数のユニットセル120aを含むことができ、各ユニットセル120aは、MEMSキャビティ122と、MEMSキャビティ122内に配置されたアクチュエータステージ130とを含む。様々な実施態様において、各ユニットセル120は、例えばMEMS流体アクセスビア126を介して流体的に相互接続され得る。様々な実施形態によれば、(例えば、流体相互接続を提供するために使用される)MEMSキャビティ122内に含まれる流体には、例えば、水性流体、水性緩衝液、有機溶媒、疎水性流体、ガス、生物試薬又は化学試薬を含む水溶液、有機溶媒、鉱油、フッ素化オイル、空気、細胞培養のためのガス混合物(例えば、5%CO2)、不活性ガス等が含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
様々な実施形態において、アクチュエータステージ130は、MEMSキャビティ122内のアクチュエータステージ130上に配置された鋭利な部材(sharp member)135を含む。様々な実施形態において、アクチュエータステージ130は、正方形のプレート又は長方形のプレートである。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、例えば、円形、楕円形、楕円形、正方形、長方形、五角形、又は六角形を含む形状を有するが、これらに限定されない。
【0064】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約100nm~約10cmの間の横寸法を有する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約1μm~約1cm、約1μm~約1mm、約1μm~約800μm、約1μm~約600μm、約1μm~約500μm、約1μm~約400μm、約1μm~約300μm、約1μm~約200μm、約1μm~約100μm、約5μm~約500μm、約10μm~約500μm、約25μm~約500μm、約50μm~約500μm、又は約100μm~約500μmの間(それらの間の全ての寸法を含む)の横寸法を有する。
【0065】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、静止位置から約0.1nm~約10mmの間の距離だけ移動する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、静止位置から約1nm~約8mm、約1nm~約1mm、約10nm~約6mm、約100nm~約5mm、約1μm~約4mm、約1μm~約3mm、約1μm~約2mm、約1μm~約1mm、約1μm~約10μm、約100nm~約10μm、約10μm~約1mm、約25μm~約1mm、約50μm~約1mm、又は約50μm~約2mmの間(それらの間の任意の距離範囲を含む)の距離だけ移動する。
【0066】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、静止位置から約1nm~約10mmの間の距離の静的変位だけ移動する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、静止位置から約0.1nm~約100μmの間の距離の動的変位だけ移動する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、静的な方法で作動されると同時に、重畳された動的な振動運動を有する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130の動的運動は、例えば、撹拌促進拡散、又は望ましい可能性のある他の運動作用を介してペイロード放出速度の調整を容易にする等、アプリケーションを検知又は測定するように構成される。
【0067】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約0.001μm~約10mmの間の厚さを有する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約0.01μm~約1mm、約0.01μm~約500μm、約0.01μm~約100μm、約0.01μm~約75μm、約0.01μm~約50μm、約0.01μm~約25μm、約0.01μm~約10μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約25μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約75μm、約0.1μm~約100μm、約0.1μm~約250μm、約0.1μm~約500μm、又は約0.1μm~約1mmの間(それらの間の任意の厚さ範囲を含む)の厚さを有する。
【0068】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は第1の厚さを有し、アクチュエータアーム132は第2の厚さを有する。様々な実施態様において、第1の厚さは第2の厚さと同じである。様々な実施態様において、第1の厚さは第2の厚さと異なる。
【0069】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、又は水素化アモルファスシリコンのうちの1つを含む。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、金属、金属合金、セラミック、複合材料、又はポリマーを含むことができる。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、ドープシリコン、シリコンの任意の同素体、任意の無機ガラス材料又は混合物、任意の無機多結晶材料又は混合物、任意の無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含む任意のセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料の任意のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せを含むことができる。
【0070】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は単層の材料である。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、複数の層を有する複合材料である。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、複合材料中に空のボイド(void:空隙)層、或いは1つ又は複数のボイドを含み得る。
【0071】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約1010原子/cm3~約1021原子/cm3の間のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約1010原子/cm3~約1020原子/cm3、1011原子/cm3~約1021原子/cm3、又は約1011原子/cm3~約1020原子/cm3の間のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、ホウ素、リン、ヒ素、インジウム、ガリウム、アンチモン、ビスマス、リチウム、ゲルマニウム、窒素、及び金のリストからのドーパントでドープすることができる。
【0072】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約10-7Ω-cm~約106Ω-cmの間の抵抗値を有する。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、約10-6Ω-cm~約105Ω-cm、約10-4Ω-cm~約104Ω-cm、又は約10-3Ω-cm~約104Ω-cmの間の抵抗値を有する。
【0073】
様々な実施形態において、複数の鋭利な部材135がアクチュエータステージ130上に配置される。様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、複数の鋭利な部材135、最大約2個の鋭利な部材、最大約5個の鋭利な部材、最大約10個の鋭利な部材、最大約50個の鋭利な部材、最大約100個の鋭利な部材、最大約500個の鋭利な部材、最大約1,000個の鋭利な部材、最大約5,000個の鋭利な部材、最大約10,000個の鋭利な部材、最大約50,000個の鋭利な部材、最大約100,000個の鋭利な部材、最大約500,000個の鋭利な部材、最大約1,000,000個の鋭利な部材、最大約5,000,000個の鋭利な部材、最大約10,000,000個の鋭利な部材、最大約50,000,000個の鋭利な部材、約100,000,000個の鋭利な部材、又は最大約500,000,000個の鋭利な部材(上記の任意の2つの数の間、又は2つの鋭利な部材と上記の任意の上限との間の任意の範囲を含む)を収容することができる。
【0074】
様々な実施態様において、鋭利な部材135は、針、マイクロニードル、ナノニードル、ナノチューブ、ピラー、マイクロピラー、ナノピラー、又は高さ対直径のアスペクト比が約2~約1,000,000である任意の物理的突起である。様々な実施態様において、鋭利な部材135は、約1~約1,000,000、約1~約500,000、約1~約100,000、約1~約50,000、約1~約10,000、約1~約5,000、約1~約1,000、約1~約900、約1~約800、約1~約700、約1~約600、約1~約500、約1~約400、約1~約300、約1~約200、約1~約100、約1~約90、約1~約80、約1~約70、約1~約60、約1~約50、約1~約40、約1~約30、約1~約20、約1~約10、約1~約9、約1~約8、約1~約7、約1~約6、約1~約5、約1~約4、約1~約3、約1~約2、約10~約1,000,000、約10~約500,000、約10~約100,000、約10~約50,000、約10~約10,000、約10~約5,000、約10~約1,000、約10~約900、約10~約800、約10~約700、約10~約600、約10~約500、約10~約400、約10~約300、約10~約200、約10~約100、約10~約90、約10~約80、約10~約70、約10~約60、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、又は約5~約20(それらの間の任意のアスペクト比範囲を含む)の高さ対直径のアスペクト比を有する。
【0075】
様々な実施形態において、鋭利な部材135は、酸化シリコン又は窒化シリコン等の絶縁材料、或いは酸化ハフニウム又は酸化アルミニウム等の他の金属酸化物を含む。様々な実施態様において、鋭利な部材135は、化学的不活性及び/又は電気的絶縁のためのコーティングでコーティングされる。様々な実施態様において、コーティングは、気相堆積技術又は液相堆積技術のいずれかを介して堆積され得る。様々な実施態様において、コーティングは、例えば、酸化物又は窒化物等の無機絶縁体、及びその場で堆積又は重合できる様々なポリマー等のコーティング材料を含む。様々な実施態様において、コーティングには、例えば、パリレン等の気相堆積ポリマーコーティングが含まれる。様々な実施態様において、コーティングは、表面特性を変更する材料、又は分子を結合させるための反応基を提供する材料を含むこともできる。これらには、アルキルシラン等のオルガノシラン、ジクロロ又はトリクロロシラン又はトリメトキシシラン、フッ素化アルキルシラン、アミノシラン、メトキシ又はエトキシシラン等の表面特性を変化させるように設計された反応基を有するシランが含まれる。液相で塗布できるコーティングの別のカテゴリーは、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、アガロース、及びグアラン又はローカストビーンガム等の他の多糖類等、電気泳動で使用されるコーティングである。さらに別のカテゴリーの表面コーティングには、界面活性剤分子、特に、ポリプロピレンオキシド及びポリエチレンオキシドセグメントを有するトリブロックコポリマーであるプルロニック(登録商標)等の非イオン性界面活性剤が含まれ得る。様々な実施態様において、コーティングは、電気絶縁層の後に分子結合を促進する層等、様々な目的の達成を助ける複数のコーティング層を含む。様々な実施態様において、鋭利な部材135上のコーティングは、細胞内に挿入される特定の化学物質の結合を促進するのに役立つものである。
【0076】
様々な実施態様において、コーティングは、化学的不活性、電気絶縁、及び/又は流体の湿潤性(例えば、接触角制御のため)を提供するのに適した任意の材料であり得る。様々な実施態様において、コーティングは、例えば、任意の小分子、タンパク質、ペプチド、ペプトイド、ポリマー、又はシリコン、アルミナ、アルミナ、セラミック、金、酸化ケイ素、金属等の無機材料、ポリマー、これらの材料の層状スタック、及び/又は物理的に吸収及び/又は堆積、或いは共有結合又は非共有結合で化学的に結合した任意の組合せのいずれかである、ある範囲の材料クラスを含む親水性コーティングを含むことができる。様々な実施態様において、コーティングは、例えば、約95°~約165°の間の接触角を有する疎水性コーティングを含むことができる。様々な実施態様において、疎水性コーティングは、約95°~約165°、約100°~約165°、約105°~約165°、約110°~約165°、約120°~約165°、約95°~約150°、約95°~約140°、又は約95°~約130°の間(それらの間の接触角範囲を含む)の接触角を含むことができる。
【0077】
様々な実施態様において、親水性コーティングは、約20°~約80°の間の接触角を有する。様々な実施態様において、親水性コーティングは、約25°~約80°、約30°~約80°、約35°~約80°、約40°~約80°、約20°~約70°、約20°~約60°、又は約20°~約50°の間(その間の接触角範囲を含む)の接触角を有する。
【0078】
様々な実施態様において、鋭利な部材135は、パターン化した親水性コーティングと疎水性コーティングとの組合せを有する。疎水性コーティングには、アジド、オルガノシラン、炭化水素、又はフルオロカーボン、或いは共有結合又は非共有結合した有機分子等の様々な種類が含まれ得る。様々な実施態様において、鋭利な部材135上のコーティングは、細胞内に挿入される特定の化学物質の結合を促進するのに役立つものである。
【0079】
様々な実施態様において、鋭利な部材135は、約50nm~約1mmの間の長さを有する。様々な実施態様において、鋭利な部材135は、約50nm~約50μm、約100nm~約25μm、約100nm~約10μm、約100nm~約5μm、約100μm~約2μm、約200nm~約25μm、約200nm~約10μm、約200nm~約5μm、約200nm~約2μm、約300nm~約25μm、約300nm~約10μm、約300nm~約5μm、約300nm~約2μm、約1μm~約1mm、約1μm~約500μm、約1μm~約250μm、約1μm~約100μm、約1μm~約75μm、約1μm~約50μm、約1μm~約20μm、約2μm~約20μm、約2μm~約50μm、約2μm~約75μm、約2μm~約100μm、約2μm~約250μm、約2μm~約500μm、又は約2μm~約1mmの間(それらの間の長さ範囲を含む)の長さを有する。
【0080】
様々な実施態様において、鋭利な部材135は、アクチュエータステージ130に対して実質的に直交して取り付けられた先端(又はベース)部分を有することができる。様々な実施態様において、鋭利な部材135は、膜開口部115と整列又は実質的に整列している鋭利な部材のチップ(tip)(本明細書では「基端部分」とも呼ばれる)を有することができる。
【0081】
様々な実施態様において、鋭利な部材135を遺伝子治療、例えばインビトロ細胞形質転換に利用するために、典型的には、マイクロスケールの細胞が収集され、選択され、挿入前に所定の位置に保持される(そうでなければ所定の位置に懸濁される)。そのため、鋭利な部材135の寸法は細胞の寸法のスケール、すなわちナノメートル範囲である。様々な実施形態において、鋭利な部材135の寸法は、細胞の寸法よりも1桁又は2桁小さい大きさである。所望の精度及び制御性を得るために、鋭利な部材135は、最小限の力で細胞膜及び核膜を貫通し、貫通点の外側の細胞への破壊を最小限に抑えるのに十分な鋭さである。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、典型的にはセル寸法の程度、すなわち約2μm~約20μm、好ましくは約4μm~約8μmの十分な距離に亘って作動することができる。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、所定の位置に保持されている細胞に対する正確な移動を可能にする個別の作動機構を有する。様々な実施形態において、鋭利な部材135のそれぞれの作動機構はコンパクトであるため、鋭利な部材135及びその作動機構の総面積は小さい。
【0082】
様々な実施形態において、鋭利な部材135はシリコンを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材135は鋭利なチップを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、中空の内側部分とコーティングされたチップとを有する。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、その鋭利なチップに配置されたコーティングを有する。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、中空の内側部分と、そのチップに配置されたコーティングとを有する。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、ポリヌクレオチドを鋭利な部材135に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。様々な実施形態において、鋭利な部材135の少なくとも一部が、複数の金原子でコーティングされる。様々な実施形態において、金原子でコーティングされた鋭利な部材135は、1つ又は複数の生体分子に付着することができる。1つ又は複数の生体分子を付着させる能力は、金でコーティングされた鋭利な部材135の固有の特性によるものであり、この特性には、固有の表面、化学的不活性、高い電子密度、及び強い光吸収が含まれる。
【0083】
様々な実施形態において、鋭利な部材135は、ラングミュア・ボジェット(Langumuir-Bodgett)膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックを含むことができる。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、例えばその表面にアミノ、カルボキシル、ディールス・アルダー(Diels-Alder)反応物、チオール又はヒドロキシル等の官能基を組み込むことができる。このような材料により、鋭利な部材135による妨害を受けることなく、核酸の付着及び標的分子との相互作用が可能になる。
【0084】
様々な実施形態において、鋭利な部材135は、共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介して、ポリヌクレオチドに結合することができる。様々な実施形態において、鋭利な部材135は、例えばヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害性抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物を含むペイロードを運ぶことができる。
【0085】
様々な実施形態において、鋭利な部材135は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストから細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0086】
様々な実施形態において、アクチュエータステージ130は、MEMSキャビティ122内に吊り下げられ、MEMSキャビティ122の壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアーム132によって支持される。様々な実施形態において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、蛇行パターンを含むことができ、及び/又は導電性材料で作製することができる。
【0087】
様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、又は水素化アモルファスシリコンのうちの1つを含む。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、金属、金属合金、セラミック、複合材料、又はポリマーを含むことができる。様々な実施形態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、ドープシリコン、シリコンの任意の同素体、任意の無機ガラス材料又は混合物、任意の無機多結晶材料又は混合物、任意の無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含む任意のセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料の任意のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せを含むことができる。
【0088】
様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、単一の材料層を含む。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、複数の層を有する複合材料を含む。様々実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、複合材料中に空のボイド層、或いは1つ又は複数のボイドを含み得る。
【0089】
様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、約0.001μm~約10mmの間の厚さを有する。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、約0.01μm~約1mm、約0.01μm~約500μm、約0.01μm~約100μm、約0.01μm~約75μm、約0.01μm~約50μm、約0.01μm~約25μm、約0.01μm~約10μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約25μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約75μm、約0.1μm~約100μm、約0.1μm~約250μm、約0.1μm~約500μm、又は約0.1μm~約1mmの間(それらの間の任意の厚さ範囲を含む)の厚さを有する。
【0090】
様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、約1010原子/cm3~約1021原子/cm3の間のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、約1010原子/cm3~約1020原子/cm3、1011原子/cm3~約1021原子/cm3、又は約1011原子/cm3~約1020原子/cm3のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、ホウ素、リン、ヒ素、インジウム、ガリウム、アンチモン、ビスマス、リチウム、ゲルマニウム、窒素、及び金のリストからのドーパントでドープされ得る。
【0091】
様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、例えば、反復運動後の2つ以上のアクチュエータアーム132において塑性変形、材料疲労、及び破損を生じることなく曲げられるように、可撓性を有するように構成される。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、アクチュエータステージ130の機械振動を支持するように構成される。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、アクチュエータステージ130と同じ材料層から製造される。様々な実施態様において、例えば、2つ以上のアクチュエータアーム132は、アクチュエータステージ130と同じ電気的特性、例えば電気抵抗及びインピーダンスを有する。
【0092】
様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、約10-7Ω-cm~約106Ω-cmの間の抵抗値を有する。様々な実施態様において、2つ以上のアクチュエータアーム132は、約106Ω-cm~約105Ω-cm、約10-4Ω-cm~約104Ω-cm、又は約10-3Ω-cm~約104Ω-cmの間の抵抗値を有する。
【0093】
様々な実施形態において、アクチュエータステージ130は、膜部分110の(第1の)表面から所定の距離だけ離れて吊り下げられる。作動時又は動作中に、アクチュエータステージ130は、鋭利な部材135のチップを膜開口部115を通して移動させるように、膜部分110の表面に対して移動するように構成され得る。様々な実施形態において、鋭利な部材135のチップは、膜開口部115を横切って流体キャビティ160の少なくとも一部に入る。
【0094】
図1Aに示されるように、鋭利な部材135は、アクチュエータステージ135の第1の面(例えば、上面)に配置される。様々な実施形態において、アクチュエータステージ135は電極として機能することができ、MEMSキャビティ122は、アクチュエータステージ130の下の表面、例えば、
図1Aに示されるMEMSキャビティ122の底面に配置された1つ又は複数の引き離し電極140を含むことができる。様々な実施形態において、MEMSキャビティ122は、引き離し電極140の一部としてその壁の1つ又は複数を含んでもよい。そのため、アクチュエータステージ130の下の表面に配置された1つ又は複数の引き離し電極140は、アクチュエータステージ130の第2の面(例えば、底面)に面している。様々な実施形態によれば、アクチュエータステージ130及び1つ又は複数の引き離し電極140は、平行平板静電作動装置アーキテクチャの構成要素として構成することができる。様々な実施形態において、MEMS部分120は、デバイス層124と、アクチュエータステージ130に電気的に接続するように構成されたデバイス層ビア125とを含む。
【0095】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、1つ又は複数の引き離し電極140から約10nm~約100nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1μm、約100nm~約1μm、約1μm~約1mm、約1μm~約500μm、約1μm~約250μm、約1μm~約100μm、約1μm~約75μm、約1μm~約50μm、約2μm~約50μm、約2μm~約75μm、約2μm~約100μm、約2μm~約250μm、約2μm~約500μm、又は約2μm~約1mmの間(その間の離隔距離範囲を含む)の分離距離で吊り下げられる。
【0096】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、約0.1nm~約10mmの間の厚さを有する。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き離し電極140は、約0.001μm~約1mm、約0.01μm~約500μm、約0.01μm~約100μm、約0.01μm~約75μm、約0.01μm~約50μm、約0.01μm~約25μm、約0.01μm~約10μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約25μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約75μm、約0.1μm~約100μm、約0.1μm~約250μm、約0.1μm~約500μm、又は約0.1μm~約1mmの間(それらの間の任意の厚さ範囲を含む)の厚さを有する。
【0097】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、又は水素化アモルファスシリコンのうちの1つを含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、金属、金属合金、セラミック、複合材料、又はポリマーを含むことができる。様々な実施態様において、対電極は、ドープシリコン、シリコンの任意の同素体、任意の無機ガラス状材料又は混合物、任意の無機多結晶材料又は混合物、任意の無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含む任意のセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料の任意のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せを含むことができる。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、酸化インジウムスズ(ITO)、窒化チタン(TiN)、金属膜、ドープ半導体膜、無機半導体、複合材料、有機導電膜、様々なタイプのグラフェン、酸化グラフェン、不整合グラフェン、及びそれらの任意の組合せを含む任意の炭素同素体を含み得る。
【0098】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、単一の材料層を含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、複数の層を有する複合材料を含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、複合材料中に空のボイド層、或いは1つ又は複数のボイドを含み得る。
【0099】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、約1010原子/cm3~約1021原子/cm3の間のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、約1010原子/cm3~約1020原子/cm3、1011原子/cm3~約1021原子/cm3、又は約1011原子/cm3~約1020原子/cm3の間のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、ホウ素、リン、ヒ素、インジウム、ガリウム、アンチモン、ビスマス、リチウム、ゲルマニウム、窒素、及び金のリストからのドーパントでドープされ得る。
【0100】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、約10-7Ω-cm~約106Ω-cmの間の抵抗値を有する。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き離し電極140は、約10-6Ω-cm~約105Ω-cm、約10-4Ω-cm~約104Ω-cm、又は約10-3Ω-cm~約104Ω-cmの間の抵抗値を有する。
【0101】
図1Aに示されるように、膜部分110の第1の側(例えば、下向きの側)は、膜部分110の第1の面(例えば、下向きの面)に配置された1つ又は複数の引き寄せ電極150を含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、膜開口部115に隣接して、及び/又は膜開口部115を少なくとも部分的に取り囲んで配置される。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、膜開口部115を部分的に囲むように配置される。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、膜開口部115を少なくとも一次元で少なくとも部分的に取り囲む。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、膜開口部115を少なくとも一次元で少なくとも実質的に囲む。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は電気的に接続されて、円形の引き寄せ電極を形成する。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は電気的に接続されて、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、又は楕円形等の形状の電極を形成する。様々な実施形態において、MEMS部分120は、1つ又は複数の引き寄せ電極150と電源(図示せず)との間の電気接続を提供するように構成された引き寄せ電極ビア145(又は複数のビア145)を含む。様々な実施形態によれば、アクチュエータステージ130及び1つ又は複数の引き寄せ電極150は、平行平板静電作動装置アーキテクチャの構成要素として構成することができる。
【0102】
様々な実施態様において、アクチュエータステージ130は、1つ又は複数の引き寄せ電極150から約10nm~約100nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1μm、約100nm~約1μm、約1μm~約1mm、約1μm~約500μm、約1μm~約250μm、約1μm~約100μm、約1μm~約75μm、約1μm~約50μm、約2μm~約50μm、約2μm~約75μm、約2μm~約100μm、約2μm~約250μm、約2μm~約500μm、又は約2μm~約1mmの間(その間の離隔距離範囲を含む)の分離距離で吊り下げられる。
【0103】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、約0.1nm~約10mmの間の厚さを有する。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、約0.001μm~約1mm、約0.01μm~約500μm、約0.01μm~約100μm、約0.01μm~約75μm、約0.01μm~約50μm、約0.01μm~約25μm、約0.01μm~約10μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約25μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約75μm、約0.1μm~約100μm、約0.1μm~約250μm、約0.1μm~約500μm、又は約0.1μm~約1mmの間(それらの間の任意の厚さ範囲を含む)の厚さを有する。
【0104】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、又は水素化アモルファスシリコンのうちの1つを含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、金属、金属合金、セラミック、複合材料、又はポリマーを含むことができる。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、ドープシリコン、シリコンの任意の同素体、任意の無機ガラス材料又は混合物、任意の無機多結晶材料又は混合物、任意の無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含む任意のセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料の任意のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せを含むことができる。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、酸化インジウムスズ(ITO)、窒化チタン(TiN)、金属膜、ドープ半導体膜、無機半導体、複合材料、有機導電膜、様々なタイプのグラフェン、酸化グラフェン、不整合グラフェン、及びそれらの任意の組合せを含む任意の炭素同素体を含み得る。
【0105】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、単一層の材料を含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、複数の層を有する複合材料を含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、複合材料中に空のボイド層、或いは1つ又は複数のボイドを含み得る。
【0106】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、約1010原子/cm3~約1021原子/cm3の間のドーピング濃度を有することができる。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、約1010原子/cm3~約1020原子/cm3、1011原子/cm3~約1021原子/cm3、又は約1011原子/cm3~約1020原子/cm3の間のドーピング濃度を有する。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、ホウ素、リン、ヒ素、インジウム、ガリウム、アンチモン、ビスマス、リチウム、ゲルマニウム、窒素、及び金のリストからのドーパントでドープされ得る。
【0107】
様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、約10-7Ω-cm~約106Ω-cmの間の抵抗値を有する。様々な実施態様において、1つ又は複数の引き寄せ電極150は、約10-6Ω-cm~約105Ω-cm、約10-4Ω-cm~約104Ω-cm、又は約10-3Ω-cm~約104Ω-cmの間の抵抗値を有する。
【0108】
様々な実施形態において、膜部分110の第2の側(例えば、上側)は、膜部分110の第2の面(例えば、上面)上に配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極180を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極180は、膜開口部115に隣接して配置される。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極180の少なくとも一部が、膜部分110の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれる。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極180は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極180は、膜開口部115を横切って配置される一対の双極電極を含む。
【0109】
様々な実施形態において、流体部分160は、膜部分110の第2の側(例えば、膜部分110の上)に配置される。
図1Aに示されるように、流体部分160は、流体キャップ170を含み、流体キャップ170は、流体部分160内に流体媒体(図示せず)を流すための流体キャビティ(例えば、マイクロ流体チャネル等のチャネル)162を形成する。様々な実施形態において、流体媒体は、流体媒体中にナノスケール又はマイクロスケールの材料165を含む。様々な実施形態において、流体キャップ170は、流体部分160内での流体の入力及び出力のために、流体入口としての流体ビア175a及び流体出口としての流体ビア175b(本明細書では総称して「流体ビア175」と呼ぶ)を含む。様々な実施形態において、流体媒体は、所定の流量で流体入口から流体出口まで流れる。様々な実施形態において、流体部分160は、複数の流体入口及び複数の流体出口を含むことができる。
【0110】
様々な実施形態において、流体キャップ170は、特定の波長に対して光学的に透明な材料を含む。様々な実施形態において、流体キャップ170は、SiOx又は光学的に透明な熱可塑性プラスチックのような透明な材料を含む。様々な実施形態において、流体キャップ170は、例えばシリコン又は金等の光学的に不透明な材料を含むが、これらに限定されない。様々な実施形態において、流体キャップ170は、エラストマー等の軟質材料を含む。
【0111】
様々な実施形態において、流体キャビティ162は、隔壁によって空間的に離散した領域(例えば、マイクロチャネル)に分割することができる。様々な実施形態において、流体キャップ170は、膜部分110に直接結合され得る。様々な実施形態において、流体キャップ170は、
図2Aのチップ220の平面内にある
図2Aのガスケット205等の周囲のガスケットに(不可逆的又は可逆的に)取り付けられ、そのエッジに一致し得る。このアプローチは、例えば、可能な最大数の捕捉サイトを利用可能にするために、チップ表面積の占有を回避する方法で流体キャビティを封止するという目的を果たす。流体部分はまた、膜部分から流体キャビティを横切って流体キャップ上に位置する対電極を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この対電極は、捕捉サイトにおける粒子の誘電泳動捕捉のための電場を提供するために、膜部分上の捕捉サイト電極と協働して機能する。
【0112】
様々な実施形態において、流体部分160は、膜開口部115から流体キャビティ162を横切って流体キャビティ表面(例えば、流体キャップ170の底面)に配置された1つ又は複数の対電極190を含む。いくつかの実施形態では、流体部分160は、1つ又は複数の対電極190と電源(図示せず)との間に電気接続を提供するように構成された対電極ビア195(又は複数のビア195)を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の対電極190は、インジウムスズ酸化物(ITO)等の光学的に透明な導電性フィルムを含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の対電極190は、金又は銀等の光学的に不透明な導電性フィルムを含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の対電極190は、ポリマーガラス(有機及び無機)を含む。様々な実施態様において、1つ又は複数の対電極190及び1つ又は複数の捕捉サイト電極180は、流体媒体中のナノスケール又はマイクロスケールの材料(例えば、1つ又は複数の粒子)165を捕捉するように構成された1つ又は複数の電極ペアとして構成される。様々な実施態様において、統合型デバイス100は、統合型デバイス100に電力を供給するように構成された電源に電気的に結合され得る。
【0113】
様々な実施形態によれば、ナノスケール又はマイクロスケールの材料(1つ又は複数の粒子)165は、誘電泳動(DEP)力を使用して捕捉され得る。DEPアプローチは、流体及び非線形電場環境における中性粒子又は生体分子の局所的操作、例えばマイクロ流体工学の用途に特に役立ち得る。特に、DEPに基づくナノスケール又はマイクロスケールの材料(分子又は細胞の局所的操作のための区画(又はキャビティ)近くの生物学的対象物、単一細胞又は細胞群等)のトラップ、捕捉、又は固定化に役立ち得る。DEP力は名目上次のように表される。
【数1】
ここで、rは粒子の半径であり、ε
mは流体の誘電率であり、Eは電場であり、f
CMはクラウジウス・モソッティ係数であり、流体及び粒子の間の誘電率の差に依存する複素数値でありこれにより、DEP力が正になるか負になるかが決まる。
【0114】
様々な実施態様において、流体キャビティ162は、例えば、水性流体、水性緩衝液、有機溶媒、疎水性流体、又はガスを含む流体媒体で満たされ得る。様々な実施態様において、流体キャビティ162は、流体キャビティ162内に、MEMSキャビティ122等の流体キャビティ162の外側の流体と混和しない流体を収容することができる。様々な実施態様において、流体キャビティ162は、非水性流体又はマイクロエレクトロニクスを収容することができる。DEPベースの技術を適用できる適切な用途には、個別の生物製剤の検査、例えば、細胞、生細胞、ウイルス、油滴、リポソーム、ミセル、逆ミセル、タンパク質凝集体、ポリマー、界面活性剤集合体又はそれらの組合せ等の検査又はプロービングが含まれる。
【0115】
本明細書に開示する技術は、水性マイクロ流体環境を、非水性環境にあり得る構造、例えば、非導電性流体にあり得る電子機器、又は疎水性溶媒を使用し得るプロセスと結合することに関する。開示する技術は、MEMS部分122のMEMSキャビティ122に含めることができるもののような、鋭敏なMEMS構成要素又は電子機器を含む区画からのアクセスを可能にしながら、流体環境における孤立粒子の局所的操作を大規模に提供することができる。これは、(MEMS部分120での)MEMSプロセスを(流体部分160での)マイクロ流体プロセスと結合することによって行うことができ、粒子(粒子又は複数の粒子という用語は、「生物学的物体、物体又は細胞」及び非生物物体を指す場合がある)の高スループット処理及び調査を可能にする。特に、本明細書で説明する技術は、流体をMEMSから分離する膜部分110に隣接して流れる、流体中の1つ又は複数の粒子を固定/不動化する高スループットのDEPベースの粒子固定化(捕捉)装置に関し、ここで、MEMSキャビティ122は、鋭利な部材135、アクチュエータステージ130、及び様々な構成要素を含む電子構成要素を含む。様々な実施形態において、DEP力は、流体部分160の膜開口部115に対して直交して加えられる。
【0116】
様々な実施形態において、流体部分160は、膜部分110及び/又はMEMS部分120に直接結合され得る。いくつかの実施形態において、流体部分160は、膜部分110及び/又はMEMS部分120に直接結合しなくてもよく、代わりに、
図2に関して以下で説明するように、パッケージングプロセス中に組み込むこともできる。同様に、ナノスケール又はマイクロスケールの材料165は、MEMS部分120に近接して捕捉又はトラップされ得、それによって、MEMS部分120と流体部分160との間の膜部分110の厚さが、これら2つの領域の間の相互作用を許容する閾値を下回っている。様々な実施形態によれば、膜部分110は、用途に応じて様々な目的を果たし、典型的には、MEMSキャビティ122及び流体部分160のそれぞれ内の化学環境及び電気環境を分離する機能を果たす。様々な実施形態では、MEMSキャビティ122は、上述したように、流体キャビティ162から化学的及び電気的に分離される。
【0117】
様々な実施形態によれば、統合型デバイス100の特定の用途には、MEMSキャビティ122全体、鋭利な部材135及びその表面に亘る様々な露出面及び材料上の1つ又は複数の化学コーティング又は1つ又は複数の機能層(表面上にパターン化されていない、又はパターン化した単層又は薄膜)(膜開口部115の内部及び/又は周囲を含む膜部分110の表面の一方又は両方、流体キャビティに露出した膜部分110の表面、及び/又は流体キャップ170又はマイクロチャネル162の表面を含む)がさらに含まれる。様々な実施形態において、これらの化学コーティングは、化学吸着(例えば、共有結合又はイオン結合)又は物理吸着(例えば、ファンデルワールス力)によって適用可能な表面に吸着され、一般に、材料の堆積の蓄積を防止する、特定の領域での非特異的な接着を促進又は軽減する、又は特定の境界での濡れを制御するために、表面エネルギーを調整する目的に役立ち得る。
【0118】
様々な実施形態において、個別の生物学系(例えば、細胞)及び非生物システム(例えば、脂質小胞、エマルション、又は他の多相システム)等の、ペイロード(例えば、任意の化合物、ポリマー、生体分子、ナノ粒子、マイクロ又はナノ構造、有機又は無機分子、或いはそれらの組合せ)が、捕捉、トラップ、又は固定化されたマイクロスケール又はナノスケール材料165に送達される特定の用途のための化学構造及び方法を含む。様々な実施形態において、これらのアプタマー(aptamer)ベースのコーティングを使用して鋭利な部材135を機能化し、例えば捕捉された細胞への広範囲のペイロードの送達を可能にすることができる。様々な実施形態によれば、統合型デバイス100は、複数の細胞を捕捉し、ペイロードを送達するように動作することができ、ペイロードはMEMSキャビティ122内に存在する鋭利な部材135上に可逆的に化学吸着される。
【0119】
様々な実施形態において、鋭利な部材135の機能化されていない表面は、「無機ハンドル」と呼ばれ得る。様々な実施形態によれば、アプタマーベースのペイロード送達システム及び方法は、無機ハンドル、例えば鋭利な部材135の表面に付着した有機分子を利用することができる。様々な実施態様において、無機ハンドルとして金が鋭利な部材135上にコーティングされ、選択した有機分子を無機ハンドルに固定する手段としてチオール結合が利用される。様々な実施形態において、SiOx、TiOx、AlOx、ITO、水素終端シリコン、SiNx、Pt、Ag、Ni、Cu、又は他の金属又は金属酸化物又は窒化物も、無機ハンドル材料として利用することができる。いくつかの実施形態では、SiOx無機ハンドルは、オルガノシランを使用して官能化することができる。
【0120】
いくつかの実施形態では、SiOxを無機ハンドルとして使用して、ペイロードは、異なる実施形態内の特定の用途のために官能化表面上に層状に化学吸着され得る。いくつかの実施形態では、ペイロードの鋭利な部材135への化学吸着は、無機キレート化、非共有結合による相補的結合(すなわち、核酸)、又は可逆的な共有結合の形成を含むがこれらに限定されないメカニズムによって自発的に起こり得る。他の実施形態は、ペイロード化学吸着のメカニズム(電圧誘起クーロン引力等)を含んでもよい。その後のペイロードの放出は、特定の細胞代謝物による置換、ペイロード又は表面の酸化状態の調整、又は他の脱着手段によって起こる。
【0121】
ここで
図2Aを参照すると、様々な実施形態による、ラボ・オン・チップ(LOC)システムとしてパッケージ化された統合型デバイス200の実施形態が示されており、拡大部分200aはLOCシステムにおける様々な階層化を示している。統合型デバイス200は、統合型デバイス100と実質的に類似又は同一であるため、相違しない限り、その各構成要素の詳細についてはこれ以上詳しく説明しない。
【0122】
図2Aに示されるように、統合型デバイス200は、統合型デバイス200と外部電源又はデバイス(図示せず)との間の電気的接続を提供するためのコネクタ202を含むプリント回路基板(PCB)207に接合、実装、又は取り付けられる。統合型デバイス200は、統合型パッケージとしてパッケージ化されたLOCシステム(本明細書では単に「LOC」と呼ぶ)のコアと考えることができる。
図2Aに示されるように、統合型デバイス200は、流体ビア275、流体キャップ270、及びチップ(例えば、MEMS部分)220を含む。拡大部分200aは、流体キャビティ260に面する流体キャップの表面にある1つ又は複数の対電極290を示す。様々な実施形態において、流体ビア275、流体キャップ270、流体キャビティ260、及びチップ220は、それらの対応する、
図1A及び
図1Bの統合型デバイス100の流体ビア175、流体キャップ170、流体キャビティ160、及びMEMS部分120と実質的に類似又は同一である。
【0123】
図2Aに示されるように、インターポーザ208が、統合型デバイス200(例えば、LOC)とPCB207との間に配置される。様々な実施形態において、インターポーザ208は、電気再配線層又は特定用途向け集積回路
(ASIC)の一方又は両方を含むことができる。様々な実施形態において、ASICは、異なる電気接点レイアウト、又はそれらの組合せの間で電気信号入力及び出力を物理的にマッピングするように構成される。
【0124】
様々な実施態様によれば、アクチュエータステージ130等のアクチュエータステージは、印加された静電力によって作動される。様々な実施形態において、統合型デバイス200は、アクチュエータステージを作動させるために使用される静電力を提供するための1つ又は複数の電極を含む。様々な実施態様によれば、アクチュエータステージ130は、バイメタル素子又は形状記憶合金をベースにしたものを使用すること等によって、静電作動、圧電作動、アクチュエータに磁石を取り付けることによる磁力を使用した作動、又は温度差に基づく作動を含む任意の適切な作動アプローチによって作動され得る。作動に必要な温度は、デバイスの選択された場所に抵抗ヒーターを製造することによって生成できる。静電力作動は、開示するMEMS構造を作動させるための例示的なアプローチとして本開示全体を通じて使用されるが、本明細書で説明する技術は静電作動に限定されず、従って、MEMS構造は、本明細書で開示する技術に従う任意の形態の作動で使用され得る。
【0125】
様々な実施形態において、PCB207は、複数の電気入力及び出力を含み、複数の電気入力及び出力のそれぞれは、外部電源と統合型デバイス200の1つ又は複数の電極との間の電気接続を提供する。アセンブリの物理的アーキテクチャには、外部電源から統合型デバイス200内の異なる構成要素への個別の信号送信を可能にする電気接続が必要である。この電気信号I/Oは、例えばMEMSキャビティ122内の構成要素、例えばアクチュエータステージ130の制御だけでなく、流体キャビティ162内の個別の生物システムの捕捉にも使用することができる。追加の電気信号I/Oは、位置測定のためのアクチュエータインピーダンスの変化の検出等の様々な感知機能に使用でき、例えば用途に応じて様々な機能を果たす。これらの電気接続は、チップ貫通ビア(例えば、シリコン貫通ビア)、機能層の2D領域内の面内配線(相互接続)、膜部分110内の浅いビア、電気再配線部分及び/又は異なる電気接点レイアウトの間で電気信号I/Oを物理的にマッピングするために使用される特定用途向け集積回路(ASIC)等の追加のインターポーザ部分(例えば、インターポーザ208)、又はこれらの構成の2つ以上の組合せ等、様々な構成を含み得る。様々な実施態様において、これら全ての方法の組合せにより、電気信号I/Oは全て、ボールグリッドアレイ(BGA)又はパッケージング中のPCBボンディング又はソケット用の他の表面実装に「取り付ける」ための共通の表面に配線される。
【0126】
この電気伝導アーキテクチャは、統合型デバイス200の機能的動作を可能にする特定の特性を有することができ、用途に応じて場合によっては特別に断熱又は電気的に絶縁することができる。導電性要素及び絶縁性要素の材料及び幾何学的特性は慎重に制御される。さらに、様々な実施形態によれば、チップ、インターポーザ部分、統合制御ASIC等の任意の他の接合構成要素と表面実装又はソケットとの間の電気的接続を成功させる各部分又は層の適切な接合を可能にする材料の選択を実現することができる。
【0127】
様々な実施形態において、統合型デバイス200は、統合型デバイス100又は統合型デバイス200等の統合型デバイスのMEMS部分(例えばMEMS部分120)とPCB207との間の電気的相互接続のための1つ又は複数のシリコン貫通ビア(TSV)をさらに含む。
【0128】
様々な実施形態において、チップ220は、直接統合(接合されたASIC)又はオフチップすることができる制御要素(デバイス感知、デバイス作動、及び外部入力の間の制御ループを閉じるために使用される電気システム)とインターフェースする電気信号を含む。様々な実施形態において、チップ220は、上述のように、インターポーザ208を介して取り付けることができ、その後、
図2Bに示されるように、ソケット等の可逆接続又はBGA等の不可逆接続を介してPCB207に取り付けられる。BGA又はソケットは、電気信号入出力(I/O)密度及びチップ220のレイアウトに応じて、多くの2D構成を有することができる。様々な実施形態において、電気信号I/Oは、チップ220からPCB207を介して「オフチップ ロジック」と呼ばれる電気構成要素及び論理要素に配線される。いくつかの実施形態では、統合型デバイス200の動作は、所定のプログラムを実行できるシステムによる開ループ制御及び閉ループ制御を含むことができる。この制御システムは、チップ上に直接ボンディングされた統合型CMOS ASICにすることもでき、又は例えばチップの電気信号I/Oが配線されるPCB上に常駐する既製の構成要素にすることもできる。
【0129】
様々な実施形態において、
図2Aの拡大部分200aに示されるように、統合型デバイス200は、流体キャビティ260内に1つ又は複数の粒子(ナノスケール又はマイクロスケールの材料165等)を捕捉するための、捕捉サイト電極180等の1つ又は複数の電極をさらに含む。様々な実施形態において、捕捉サイト電極180等の1つ又は複数の捕捉サイト電極は、統合型デバイス200(すなわち、LOC)とPCB207との間の表面配線を介して提供される電気相互接続を介して動作することができる。
【0130】
図2Aに示されるように、統合型パッケージは、統合型デバイス200のエッジに配置されたガスケット205をさらに含む。様々な実施形態において、ガスケット205は、流体キャビティ260を気密封止する。様々な実施形態において、ガスケット205は流体キャビティ260を液密封止する。様々な実施形態において、ガスケット205は、統合型デバイス200(すなわち、LOC)と面内に配置され、LOCのエッジに一致する。
【0131】
様々な実施形態において、LOCシステム(すなわち、統合型パッケージ)は、統合型デバイス100又は統合型デバイス200等の複数の統合型デバイスを含む。このような実施形態では、流体キャップ270は、複数の統合型デバイス100又は200のそれぞれに対する流体入口及び流体出口を含むことができる。
【0132】
図2Bは、様々な実施形態による、例えば統合型パッケージを得るために、統合型デバイス200をパッケージ化するためのプロセス・フロー30の概略図を示す。
図2Bに示されるように、統合型デバイス200は、例えばインターポーザ201等の基板に接合される。様々な実施形態において、統合型デバイス200は、約0.01mm~約10.0mmの厚さを有することができる。様々な実施形態において、統合型デバイス200は、約0.05mm~約8mm、約0.1mm~約6mm、約0.2mm~約5mm、約0.5mm~約4mm、約0.5mm~約4mm、1mm~約3mm、約0.01mm~約2mm、約0.05mm~約5mm、約0.1mm~約2mm、又は約0.1mm~約3mmの間(それらの間の任意の厚さ又は範囲を含む)の厚さを有することができる。
【0133】
様々な実施形態において、インターポーザ201は、約0.1μm~約5.0mmの間の厚さを有することができる。様々な実施形態において、インターポーザ201は、約0.2μm~約4.5mm、約0.3μm~約4.0mm、約0.5μm~約3.5mm、約1μm~約3.0mm、約10μm~約3.5mm、約50μm~約3.0mm、約100μm~約2.5mm、約250μm~約2.0mm、約0.5mm~約1.5mm、約0.8mm~約1.5mm、又は約1.0mm~約5.0mmの間(それらの間の任意の厚さ又は厚さの範囲を含む)の厚さを有することができる。
【0134】
図2Bに示されるように、PCB207は、1つ又は複数のはんだボール206を介してインターポーザ201にボンディングされる。ボンディングの均一性を達成するために、はんだボール206のボールグリッドアレイを使用してPCB207をインターポーザ201にボンディングすることができ、これは、統合型デバイス200に既に取り付けられるように示される。換言すれば、統合型パッケージは、統合型デバイス200をPCB207にボンディングするためのボールグリッドアレイをさらに含む。様々な実施形態において、ボールグリッドアレイは、統合型デバイス200とPCB207との間の接触パッドのアレイをはんだ及びフラックスのビーズでボンディングするための表面実装を提供する。様々な実施形態において、ボールグリッドアレイは、例えば、適切に長方形、正方形、任意のグリッド又は円形配置を含む、任意のパターン又は形式の任意の合理的なアレイ範囲を含むことができる。
【0135】
図2Bにさらに示されるように、プロセス・フロー30は、PCB207上にドライバIC及び表面実装デバイス(SMD)40を組み付けることを含む。
【0136】
さらに、
図2Bは、外側マイクロチャネル50に流体的に結合された2つの流体ビアを有する流体キャップ270の組み立てを示している。様々な実施形態によれば、マイクロチャネル50は、
図1A及び
図1Bのナノスケール又はマイクロスケールの材料165等のナノスケール又はマイクロスケールの材料を含む流体媒体を統合型デバイス200に入力するように設計される。
【0137】
図3は、様々な実施態様による、統合型デバイス300の例示的なMEMS部分320のアレイの概略図を示す。
図3に示されるように、例示的なMEMS部分320のアレイは、六角形タイル状に配置された複数のアクチュエータステージ330を含む。様々な実施形態において、複数のアクチュエータステージ330は、長方形グリッドアレイ、正方形グリッドアレイ、又は任意の適切なグリッドアレイに配置され得る。
【0138】
統合型デバイス300の様々な実施態様において、複数のアクチュエータステージ330は流体連通することができる。例えば、複数のアクチュエータステージ330のそれぞれは、ユニットセル(例えば、
図1Aに関して説明したユニットセル120a)として構成することができ、ユニットセル120aのそれぞれは、例えば、
図1Aに関して説明したMEMS流体アクセスビア126を介して流体的に相互接続される。様々な実施形態によれば、ユニットセル120aのMEMSキャビティ(例えば、流体相互接続を提供するために使用されるMEMSキャビティ122)内に含まれる流体には、例えば、水性流体、水性緩衝液、有機溶媒、疎水性流体、ガス、生物試薬又は化学試薬を含む水溶液、有機溶媒、鉱油、フッ素オイル、空気、細胞培養のための混合ガス(例えば、5%CO
2)、不活性ガス等が含まれるが、これらに限定されない。
【0139】
統合型デバイス300の様々な実施態様において、複数のアクチュエータステージ330は、約1~約108のアクチュエータステージの範囲であり得る。様々な実施態様によれば、統合型デバイス300内の複数のアクチュエータステージ330のそれぞれは、2つ以上のアクチュエータアーム332によって支持される。様々な実施態様によれば、統合型デバイス300内の複数のアクチュエータステージ330のそれぞれは、それぞれの鋭利な部材335を含む。様々な実施態様において、複数のアクチュエータステージ330は、例えば、2つの隣接するアクチュエータステージ330間の中心間の距離が、約0.1μm~10cm、約0.1μm~1cm、約0.1μm~1mm、約0.1μm~500μm、約0.1μm~100μm、約0.1μm~75μm、約0.1μm~50μm、約0.1μm~25μm、約0.1μm~10μm、約1μm~10cm、約1μm~1cm、約1μm~1mm、約1μm~500μm、約1μm~100μm、約1μm~75μm、約1μm~50μm、約1μm~25μm、約1μm~10μm、約10μm~10cm、約10μm~1cm、約10μm~1mm、約10μm~500μm、約10μm~200μm、約10μm~100μm、約10μm~75μm、約10μm~50μm、約10μm~25μm、約10μm~1mm、又は約20μm~1mmの間(それらの間のあらゆる分離距離範囲を含む)だけ互いに分離される。
【0140】
図4は、例示的な実施態様による、統合型デバイスを動作させる方法400のフローチャートである。方法400は、ステップ402において電源を供給するステップと、ステップ404において統合型デバイスを提供するステップとを含む。様々な実施形態において、統合型デバイスは、統合型デバイス100又は統合型デバイス200と実質的に類似又は同一である。統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、アクチュエータステージと実質的に平行な膜部分の第1の面に配置された電極及び引き寄せ電極として構成される、アクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有するMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置される流体部分と;を含む。
【0141】
様々な実施態様によれば、方法400は、ステップ406において、オプションで複数の粒子を含む流体媒体を、少なくとも1つの流体入口を介して所定の流量で流すステップを含む。様々な実施態様によれば、方法400は、ステップ408において、オプションで電源を介して、1つ又は複数の対電極と1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップを含む。様々な実施形態によれば、方法400は、ステップ410において、オプションで膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップと;ステップ412において、AC電圧の動作周波数を調整して、複数の粒子の一部に正の誘電泳動力を生じさせるステップと;ステップ414において、流体媒体中の複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップと;を含む。
【0142】
図4に示されるように、方法400は、ステップ416において、電源を介して、アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップを含む。方法400は、ステップ418において、供給した電圧に基づいてアクチュエータステージと引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと;ステップ420において、アクチュエータステージと引き寄せ電極との間で生成した静電場によって、鋭利な部材を作動させて膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップ;とを含む。様々な実施形態において、流体部分は、流体部分に流体キャビティを形成する流体キャップを含み、流体キャップは、その表面に少なくとも1つの流体入口と少なくとも1つの流体出口とを有する。
【0143】
様々な実施形態において、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の面に配置され、膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は電気的に接続されて、円形の捕捉サイト電極を形成する。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極のうちの2つ以上の捕捉サイト電極は、フェーズドセンサアレイとして部分的に使用される。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極(bi-polar)電極である。
【0144】
様々な実施形態において、流体キャップは、膜開口部の向かい側の流体キャップの表面に配置された1つ又は複数の対電極を含む。
【0145】
様々な実施形態において、AC電圧の動作周波数の調整は、流れる流体媒体の1つ又は複数の粒子に及ぼされる流体力学的な力に関して、印加されたAC電圧によって誘発される誘電泳動(DEP)力の競合効果を決定することを含む。様々な実施形態において、DEP力を介して複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉することは、流体媒体中を流れる1つ又は複数の粒子にかかる流体力学的な力に打ち勝つことによって、膜開口部に近接する1つ又は複数の粒子を捕捉するのに十分なDEP力を供給することを含む。
【0146】
様々な実施形態において、方法400は、オプションで、DEP力を調整して単一の粒子を捕捉するようにAC電圧を調整するステップを含む。様々な実施形態において、方法400は、オプションで、鋭利な部材によって単一の粒子を調べるステップを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材のチップは、ペイロードを単一の粒子に送達するように構成される。
【0147】
様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極は、膜開口部に隣接して、及び/又は膜開口部を少なくとも部分的に取り囲んで配置される。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極は、膜開口部を部分的に囲むように配置される。
【0148】
様々な実施形態において、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で取り囲むことを指す。様々な実施形態において、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で実質的に囲むことを指す。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極は電気的に接続されて、円形の引き寄せ電極を形成する。
【0149】
様々な実施形態において、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。様々な実施形態において、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。様々な実施形態において、1つ又は複数の電極ペアは、流体媒体中の1つ又は複数の粒子を捕捉するように構成される。様々な実施形態において、1つ又は複数の粒子は、誘電泳動力を使用して捕捉される。様々な実施形態において、誘電泳動力は膜開口部に直交して加えられる。
【0150】
様々な実施形態において、アクチュエータステージは、MEMS部分のMEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持される。様々な実施形態において、2つ以上のアクチュエータアームは蛇行パターンを含む。様々な実施形態において、2つ以上のアクチュエータアームは、導電性又は十分に導電性の材料を含む。様々な実施形態において、アクチュエータステージは膜部分の第1の面から所定の距離だけ離れて吊り下げられ、動作中に、アクチュエータステージは膜部分の第1の面に対して移動する。
【0151】
様々な実施形態において、流体媒体は、少なくとも1つの流体入口から少なくとも1つの流体出口まで所定の流量で流れる。様々な実施形態において、鋭利な部材はシリコンを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材は、ポリヌクレオチドを鋭利な部材に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。様々な実施形態において、鋭利な部材の少なくとも一部は、複数の金原子でコーティングされる。様々な実施形態において、金原子でコーティングされた鋭利な部材には、1つ又は複数の生体分子が付着することができる。
【0152】
様々な実施形態において、鋭利な部材は、ラングミュア・ボジェット膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材は、共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介して、ポリヌクレオチドに結合される。様々な実施形態において、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害性抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからのペイロードを運ぶことができる。様々な実施形態において、鋭利な部材は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストから、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0153】
図5は、例示的な実施態様による、統合型デバイスを動作させる方法500のフローチャートである。方法500は、ステップ502において電源を供給するステップと、ステップ504において統合型デバイスを提供するステップとを含む。様々な実施形態において、統合型デバイスは、統合型デバイス100又は統合型デバイス200と実質的に類似又は同一である。統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、膜部分は第1の側と第2の側とを有しており、膜部分の第2の側は、その上に配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む、膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分に流体キャビティを形成する流体キャップを含む流体部分と;を含み、流体キャップは、その表面に、少なくとも1つの流体入口、少なくとも1つの流体出口、及び膜開口部の向かい側の流体キャップの表面に配置された1つ又は複数の対電極を有する。
【0154】
様々な実施形態によれば、方法500は、ステップ506において、オプションで複数の粒子を含む流体媒体を、少なくとも1つの流体入口を介して所定の流量で流すステップを含む。
【0155】
様々な実施形態によれば、方法500は、ステップ508において、電源を介して、1つ又は複数の対電極と1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップをさらに含む。様々な実施態様によれば、方法500は、ステップ510において、膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップをさらに含む。
【0156】
様々な実施態様によれば、方法500は、ステップ512において、オプションでAC電圧の動作周波数を調整して、複数の粒子の一部に正の誘電泳動力を生じさせるステップと、ステップ514において、流体媒体中の複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップと、を含む。
【0157】
様々な実施形態において、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部に隣接して配置され、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。様々な実施形態において、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。
【0158】
様々な実施形態において、MEMS部分は、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を含む。様々な実施形態において、膜部分の第1の側は、膜部分の第1の面に配置され、膜開口部に隣接する及び/又は膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極は、膜開口部を部分的に囲むように配置される。様々な実施形態において、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で取り囲むことを指す。様々な実施形態において、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で実質的に囲むことを指す。様々な実施形態において、1つ又は複数の引き寄せ電極は電気的に接続されて、円形の引き寄せ電極を形成する。様々な実施形態において、アクチュエータステージは、電極として構成され、1つ又は複数の引き寄せ電極と実質的に平行である。
【0159】
様々な実施形態において、AC電圧の動作周波数の調整は、流れる流体媒体の1つ又は複数の粒子に及ぼされる流体力学的な力に関して、印加されたAC電圧によって誘発される誘電泳動(DEP)力の競合効果を決定することを含む。様々な実施形態において、DEP力を介して複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉することは、流体媒体中を流れる1つ又は複数の粒子にかかる流体力学的な力に打ち勝つことによって、膜開口部に近接する1つ又は複数の粒子を捕捉するのに十分なDEP力を供給することを含む。
【0160】
様々な実施態様によれば、方法500は、ステップ516において、オプションで電源を介して、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップと;ステップ518において、供給した電圧に基づいて、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと;ステップ520において、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に生成された静電場に基づいて、鋭利な部材を作動させて膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップと;を含む。
【0161】
様々な実施態様によれば、方法500は、オプションで、DEP力を調整して単一の粒子を捕捉するようにAC電圧を調整するステップを含む。様々な実施態様によれば、方法500は、オプションで、鋭利な部材によって単一の粒子を調べるステップを含む。
【0162】
様々な実施形態において、鋭利な部材のチップは、ペイロードを単一の粒子に送達するように構成される。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉された粒子は、作動時に鋭利な部材によって調べられる。様々な実施形態において、鋭利な部材のチップは、1つ又は複数の捕捉された粒子にペイロードを送達するように構成される。
【0163】
様々な実施形態において、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。様々な実施形態において、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0164】
様々な実施形態において、アクチュエータステージは、MEMS部分のMEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持される。様々な実施形態において、2つ以上のアクチュエータアームは蛇行パターンを含む。様々な実施形態において、2つ以上のアクチュエータアームは導電性材料を含む。様々な実施形態において、アクチュエータステージは膜部分の第1の面から所定の距離だけ離れて吊り下げられ、動作中に、アクチュエータステージは膜部分の第1の面に対して移動する。
【0165】
様々な実施形態において、鋭利な部材はシリコンを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材は、ポリヌクレオチドを鋭利な部材に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。様々な実施形態において、鋭利な部材の少なくとも一部は、複数の金原子でコーティングされる。様々な実施形態において、金原子でコーティングされた鋭利な部材は、1つ又は複数の生体分子に結合することができる。様々な実施形態において、鋭利な部材は、ラングミュア・ボジェット膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態において、鋭利な部材は、共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介して、ポリヌクレオチドに結合される。様々な実施形態において、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物(例えば、細胞膜)、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害性抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬のリストからのペイロードを運ぶことができる。様々な実施形態において、鋭利な部材は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストから、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0166】
実施形態の説明
実施形態1. 統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMS部分は、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有しており、鋭利な部材は、アクチュエータステージに対して実質的に直交して取り付けられた先端(又はベース)部分を有する、MEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;を含み、膜開口部は、MEMS部分と流体部分との間のアクセスを提供し、鋭利な部材の基端部分と実質的に位置合わせされ、動作中に、鋭利な部材の基端部分は、膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動する。
【0167】
実施形態2. 実施形態1に記載の統合型デバイスであり、膜部分の第1の側は、膜部分の第1の面に配置され、且つ膜開口部に隣接する及び/又は膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。
【0168】
実施形態3. 実施形態1又は2のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の引き寄せ電極は電極材料のシートを含むか、又は膜開口部に隣接して、1つ又は複数の引き寄せ電極は、膜開口部を部分的に囲んで配置される。
【0169】
実施形態4. 実施形態1~3のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で取り囲むことを含む。
【0170】
実施形態5. 実施形態1~4のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で実質的に囲むことを含む。
【0171】
実施形態6. 実施形態1~5のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の引き寄せ電極は、円形の引き寄せ電極を形成するために電気的に接続される。
【0172】
実施形態7. 実施形態1~6のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。
【0173】
実施形態8. 実施形態1~7のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、膜部分の第2の面は、膜部分の第2の面に配置され、且つ膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む。
【0174】
実施形態9. 実施形態1~8のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。
【0175】
実施形態10. 実施形態1~9のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0176】
実施形態11. 実施形態1~10のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、流体部分は、膜開口部の向かい側の流体キャビティ表面に配置された1つ又は複数の対電極を含み、動作中に、1つ又は複数の対向電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。
【0177】
実施形態12. 実施形態1~11のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の電極ペアは、流体媒体中の1つ又は複数の粒子を捕捉するように構成される。
【0178】
実施形態13. 実施形態1~12のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の粒子は誘電泳動力を使用して捕捉される。
【0179】
実施形態14. 実施形態1~13のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、誘電泳動力は、膜開口部に直交して印加される。
【0180】
実施形態15. 実施形態1~14のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、アクチュエータステージは、MEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持され、2つ以上のアクチュエータアームは、少なくとも蛇行パターンを含むか、又は単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコン、金属、金属合金、共晶、セラミック、複合材料、ポリマー、ドープシリコン、シリコンの同素体、無機ガラス状材料又は混合物、無機多結晶材料又は混合物、無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含むセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せのうちの少なくとも1つを含む導電性材料を含む。
【0181】
実施形態16. 実施形態1~15のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、アクチュエータステージは膜部分の第1の面から所定の距離だけ離れて吊り下げられ、動作中に、アクチュエータステージは膜部分の第1の面に対して移動する。
【0182】
実施形態17. 実施形態1~16のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、MEMSキャビティは、MEMSキャビティ内に流体を含むように構成される。
【0183】
実施形態18. 実施形態1~17のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和性である。
【0184】
実施形態19. 実施形態1~18のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和しない。
【0185】
実施形態20. 実施形態1~19のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材はアクチュエータステージの第1の面に配置され、MEMSキャビティは、アクチュエータステージの第2の面に面するMEMSキャビティ表面に配置された1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。
【0186】
実施形態21. 実施形態1~20のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、流体部分には流体入口及び流体出口が含まれ、流体媒体は所定の流量で流体入口から流体出口まで流れる。
【0187】
実施形態22. 実施形態1~21のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、流体部分には複数の流体入口及び複数の流体出口が含まれる。
【0188】
実施形態23. 実施形態1~22のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、統合型デバイスは電源に電気的に結合される。
【0189】
実施形態24. 実施形態1~23のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材はシリコンを含む。
【0190】
実施形態25. 実施形態1~24のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、ポリヌクレオチドを鋭利な部材に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。
【0191】
実施形態26. 実施形態1~25のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材の少なくとも一部が複数の金原子でコーティングされており、金原子でコーティングされた鋭利な部材は、1つ又は複数の生体分子に付着可能である。
【0192】
実施形態27. 実施形態1~26のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、ラングミュア・ボジェット膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む。
【0193】
実施形態28. 実施形態1~27のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、共有結合、イオン結合、静電結合、水素結合、又はファンデルワールス結合のうちの少なくとも1つを含む1つ又は複数の結合タイプを含むか、又は共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介してポリヌクレオチドに結合する。
【0194】
実施形態29. 実施形態1~28のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからの1つ又は複数のペイロードを運ぶことができる。
【0195】
実施形態30. 実施形態1~29のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストからの、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0196】
実施形態31. 統合型パッケージは、基板と;基板に配置されたラボ・オン・チップ(LOC)と;を含み、LOCは少なくとも1つの統合型デバイスを含み、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有するMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;LOCの流体部分の表面を形成する流体キャップであって、流体入口及び流体出口を有する流体キャップと;を含む。
【0197】
実施形態32. 実施形態31に記載の統合型パッケージであり、基板は、プリント回路基板(PCB)、少なくともガラスエポキシ複合材料を含む複合材料、又はセラミック複合材料のうちの少なくとも1つを含むセラミックのうちの少なくとも1つを含み、少なくとも1つの統合型デバイスは、LOCと基板との間に配置されたインターポーザをさらに含む。
【0198】
実施形態33. 実施形態31又は32のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、インターポーザは、電気再配線層、異なる電気接点レイアウトの間の電気信号入力及び出力を物理的にマッピングするように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)、又はそれらの組合せを含む。
【0199】
実施形態34. 実施形態31~33のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCは、アクチュエータステージを作動させるために使用される静電力を提供するための1つ又は複数の電極を含む。
【0200】
実施形態35. 実施形態31~34のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、アクチュエータステージは、印加された静電気力によって作動される。
【0201】
実施形態36. 実施形態31~35のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、基板は複数の電気入力及び出力を含み、複数の電気入力及び出力のそれぞれが、外部電源とLOCの1つ又は複数の電極との間の電気接続を提供する。
【0202】
実施形態37. 実施形態31~36のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCは、MEMS部分と基板との間の電気的相互接続のためのシリコン貫通ビア(TSV)をさらに含む。
【0203】
実施形態38. 実施形態31~37のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCは、1つ又は複数の捕捉サイト電極を介して流体キャビティ内に1つ又は複数の粒子を捕捉するための1つ又は複数の電極を含む。
【0204】
実施形態39. 実施形態31~38のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、LOCと基板との間の表面配線を介して提供される電気相互接続を介して動作する。
【0205】
実施形態40. 実施形態31~39のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCのエッジに配置されたガスケットをさらに含む。
【0206】
実施形態41. 実施形態31~40のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、ガスケットは流体キャビティを気密封止する。
【0207】
実施形態42. 実施形態31~41のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、ガスケットは流体キャビティを液密封止する。
【0208】
実施形態43. 実施形態31~42のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、ガスケットは、LOCと面内に配置され、LOCのエッジに一致する。
【0209】
実施形態44. 実施形態31~43のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCを基板にボンディングするためのボールグリッドアレイをさらに含み、ボールグリッドアレイは、LOCと基板との間に接触パッドのアレイをはんだ及びフラックスのビーズでボンディングするための表面実装を提供する。
【0210】
実施形態45. 実施形態31~44のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCは複数の統合型デバイスを含み、流体キャップは、複数の統合型デバイスのそれぞれについて流体入口及び流体出口を含む。
【0211】
実施形態46. 実施形態31~45のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、複数の統合型デバイスは同じLOC内に異なる捕捉サイト電極の幾何形状を含むか、又は複数の統合型デバイスは、環状の捕捉サイト電極及び少なくとも双極捕捉サイト電極の幾何学的形状のうちの少なくとも1つを含む。
【0212】
実施形態47. 実施形態31~46のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、膜部分の第1の側は、膜部分の第1の面に配置され、且つ膜開口部に隣接する及び/又は膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。
【0213】
実施形態48. 実施形態31~47のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の引き寄せ電極は電極材料のシートを含むか、又は膜開口部に隣接して、1つ又は複数の引き寄せ電極は、膜開口部を部分的に囲んで配置される。
【0214】
実施形態49. 実施形態31~48のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で取り囲むことを含む。
【0215】
実施形態50. 実施形態31~49のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むことは、膜開口部を少なくとも一次元で実質的に囲むことを含む。
【0216】
実施形態51. 実施形態31~50のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の引き寄せ電極は、円形の引き寄せ電極を形成するために電気的に接続される。
【0217】
実施形態52. 実施形態31~51のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の面に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。
【0218】
実施形態53. 実施形態31~52のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の面に配置され、且つ膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む。
【0219】
実施形態54. 実施形態31~53のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。
【0220】
実施形態55. 実施形態31~54のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0221】
実施形態56. 実施形態31~55のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、流体部分は、膜開口部の向かい側の流体キャビティ表面に配置された1つ又は複数の対電極を含み、動作中に、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。
【0222】
実施形態57. 実施形態31~56のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の電極ペアは、流体媒体中の1つ又は複数の粒子を捕捉するように構成される。
【0223】
実施形態58. 実施形態31~57のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、1つ又は複数の粒子は誘電泳動力を使用して捕捉される。
【0224】
実施形態59. 実施形態31~58のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、誘電泳動力は膜開口部に直交して加えられる。
【0225】
実施形態60. 実施形態31~59のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、アクチュエータステージは、MEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持され、2つ以上のアクチュエータアームは、少なくとも蛇行パターンを含むか、又は単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコン、金属、金属合金、共晶、セラミック、複合材料、ポリマー、ドープシリコン、シリコンの同素体、無機ガラス状材料又は混合物、無機多結晶材料又は混合物、無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含むセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せの少なくとも1つを含む導電性材料を含む。
【0226】
実施形態61. 実施形態31~60のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、アクチュエータステージは膜部分の第1の面から所定の距離だけ離れて吊り下げられ、動作中に、アクチュエータステージは膜部分の第1の面に対して移動する。
【0227】
実施形態62. 実施形態31~61のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、MEMSキャビティは、MEMSキャビティ内に流体を含むように構成される。
【0228】
実施形態63. 実施形態31~62のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和性である。
【0229】
実施形態64. 実施形態31~63のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和しない。
【0230】
実施形態65. 実施形態31~64のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材はアクチュエータステージの第1の面に配置され、MEMSキャビティは、アクチュエータステージの第2の面に面するMEMSキャビティ表面に配置された1つ又は複数の引き離し電極を含む。
【0231】
実施形態66. 実施形態31~65のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、流体部分には流体入口及び流体出口が含まれ、流体媒体は所定の流量で流体入口から流体出口まで流れる。
【0232】
実施形態67. 実施形態31~66のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、流体部分には複数の流体入口及び複数の流体出口が含まれる。
【0233】
実施形態68. 実施形態31~67のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、統合型デバイスは電源に電気的に結合される。
【0234】
実施形態69. 実施形態31~68のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材は、シリコンを含むか、又はポリヌクレオチドを鋭利な部材に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。
【0235】
実施形態70. 実施形態31~69のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材の少なくとも一部が複数の金原子でコーティングされており、金原子でコーティングされた鋭利な部材は、1つ又は複数の生体分子に付着可能である。
【0236】
実施形態71. 実施形態31~70のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材は、ラングミュア・ボジェット膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む。
【0237】
実施形態72. 実施形態31~71のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材は、共有結合、イオン結合、静電結合、水素結合、又はファンデルワールス結合のうちの少なくとも1つを含む1つ又は複数の結合タイプを含むか、又は共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介してポリヌクレオチドに結合する。
【0238】
実施形態73. 実施形態31~72のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからの1つ又は複数のペイロードを運ぶことができる。
【0239】
実施形態74. 実施形態31~73のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、LOCは複数の統合型デバイスを含み、各統合型デバイスが鋭利な部材を有しており、各鋭利な部材は、同じペイロード、異なるペイロード、又は別の統合型デバイスの別の鋭利な部材からの異なるペイロードの組合せを含む。
【0240】
実施形態75. 実施形態31~74のいずれか1つに記載の統合型パッケージであり、鋭利な部材は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストからの、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0241】
実施形態76. 統合型パッケージを動作させるための方法であって、電源を供給するステップと;少なくとも1つの統合型デバイスを含む統合型パッケージを提供するステップであって、統合型デバイスは、第1の側の第1の面と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と、膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、電極として構成されたアクチュエータステージに配置された鋭利な部材と、アクチュエータステージと実質的に平行な膜部分の第1の面に配置された引き寄せ電極とを有するMEMS部分と、膜部分の第2の側に配置された流体部分と、を含む、ステップと;電源を介して、アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップと;供給した電圧に基づいて、アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと;アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に生成された静電場により、鋭利な部材を作動させ膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップと;を含む方法。
【0242】
実施形態77. 実施形態76に記載の方法であり、流体部分には、流体部分内に流体キャビティを形成する流体キャップが含まれ、流体キャップは、その表面に、少なくとも1つの流体入口、及び少なくとも1つの流体出口を有する。
【0243】
実施形態78. 実施形態76又は77のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージと引き寄せ電極との間に電圧を供給する前に、複数の粒子を含む流体媒体を少なくとも1つの流体入口を介して所定の流量で流すステップをさらに含む。
【0244】
実施形態79. 実施形態76~78のいずれか1つに記載の方法であり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の面に配置され、且つ膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む。
【0245】
実施形態80. 実施形態76~79のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極を形成するために電気的に接続される。
【0246】
実施形態81. 実施形態76~80のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極のうちの2つ以上の捕捉サイト電極が、フェーズドセンサアレイとして部分的に使用される。
【0247】
実施形態82. 実施形態76~81のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0248】
実施形態83. 実施形態76~82のいずれか1つに記載の方法であり、流体キャップは、膜開口部の向かい側の流体キャップの表面に配置された1つ又は複数の対電極を含む。
【0249】
実施形態84. 実施形態76~83のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージ及び引き寄せ電極との間に電圧を供給する前に、電源を介して、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップをさらに含む。
【0250】
実施形態85. 実施形態76~84のいずれか1つに記載の方法であり、膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップと;AC電圧の動作周波数を調整して、複数の粒子の一部に正の誘電泳動力を生じさせるステップと;流体媒体中の複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップと;をさらに含む。
【0251】
実施形態86. 実施形態76~85のいずれか1つに記載の方法であり、AC電圧の動作周波数の調整が、流れる流体媒体の1つ又は複数の粒子にかかる流体力学的な力に関して、印加されたAC電圧によって誘発される誘電泳動(DEP)力の競合効果を決定することを含む。
【0252】
実施形態87. 実施形態76~86のいずれか1つに記載の方法であり、DEP力を介して複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップは、流体媒体中を流れる1つ又は複数の粒子にかかる流体力学的な力に打ち勝つことによって、膜開口部に近接する1つ又は複数の粒子を捕捉するのに十分なDEP力を供給するステップを含む。
【0253】
実施形態88. 実施形態76~87のいずれか1つに記載の方法であり、単一の統合型デバイスでDEP力を調整して単一の粒子を捕捉するようにAC電圧を調整するステップをさらに含む。
【0254】
実施形態89. 実施形態76~88のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材によって単一の粒子を調べるステップをさらに含む。
【0255】
実施形態90. 実施形態76~89のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材のチップが、ペイロードを単一の粒子に送達するように構成される。
【0256】
実施形態91. 実施形態76~90のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の引き寄せ電極が、電極材料のシートを含むか、又は膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の引き寄せ電極は、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む。
【0257】
実施形態92. 実施形態76~91のいずれか1つに記載の方法であり、膜開口部に隣接して、1つ又は複数の引き寄せ電極は膜開口部を部分的に囲んで配置される。
【0258】
実施形態93. 実施形態76~92のいずれか1つに記載の方法であり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むステップは、膜開口部を少なくとも一次元で囲むステップを含む。
【0259】
実施形態94. 実施形態76~93のいずれか1つに記載の方法であり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むステップは、膜開口部を少なくとも一次元で実質的に囲むステップを含む。
【0260】
実施形態95. 実施形態76~94のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の引き寄せ電極は、円形の引き寄せ電極を形成するために電気的に接続される。
【0261】
実施形態96. 実施形態76~95のいずれか1つに記載の方法であり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。
【0262】
実施形態97. 実施形態76~96のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。
【0263】
実施形態98. 実施形態76~97のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0264】
実施形態99. 実施形態76~98のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。
【0265】
実施形態100. 実施形態76~99のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の電極ペアは、流体媒体中の1つ又は複数の粒子を捕捉するように構成される。
【0266】
実施形態101. 実施形態76~100のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の粒子は、誘電泳動力を使用して捕捉される。
【0267】
実施形態102. 実施形態76~101のいずれか1つに記載の方法であり、誘電泳動力は、膜開口部に直交して加えられる。
【0268】
実施形態103. 実施形態76~102のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージは、MEMS部分のMEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持され、2つ以上のアクチュエータアームは、少なくとも1つの蛇行パターンを含むか、又は単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコン、金属、金属合金、共晶、セラミック、複合材料、ポリマー、ドープシリコン、シリコンの同素体、無機ガラス状材料又は混合物、無機多結晶材料又は混合物、無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含むセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せのすくなくとも1つを含む導電性材料を含む。
【0269】
実施形態104. 実施形態76~103のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージは膜部分の第1の面から所定の距離だけ離れて吊り下げられ、動作中に、アクチュエータステージは膜部分の第1の面に対して移動する。
【0270】
実施形態105. 実施形態76~104のいずれか1つに記載の方法であり、MEMSキャビティは、MEMSキャビティ内に流体を含むように構成される。
【0271】
実施形態106. 実施形態76~105のいずれか1つに記載の方法であり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和性である。
【0272】
実施形態107. 実施形態76~106のいずれか1つに記載の方法であり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和しない。
【0273】
実施形態108. 実施形態76~107のいずれか1つに記載の方法であり、流体媒体は、所定の流量で少なくとも1つの流体入口から少なくとも1つの流体出口まで流れる。
【0274】
実施形態109. 実施形態76~108のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、シリコンを含むか、又はポリヌクレオチドを鋭利な部材に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。
【0275】
実施形態110. 実施形態76~109のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材の少なくとも一部が複数の金原子でコーティングされ、金原子でコーティングされた鋭利な部材は、1つ又は複数の生体分子に付着可能である。
【0276】
実施形態111. 実施形態76~110のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、ラングミュア・ボジェット膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む。
【0277】
実施形態112. 実施形態76~111のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、共有結合、イオン結合、静電結合、水素結合、又はファンデルワールス結合のうちの少なくとも1つを含む1つ又は複数の結合タイプを含むか、又は共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介してポリヌクレオチドに結合する。
【0278】
実施形態113. 実施形態76~112のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害性抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからの1つ又は複数のペイロードを運ぶことができる。
【0279】
実施形態114. 実施形態76~113のいずれか1つに記載の方法であり、統合型パッケージには複数の統合型デバイスが含まれ、各統合型デバイスが鋭利な部材を有しており、各鋭利な部材は、同じペイロード、異なるペイロード、又は別の統合型デバイスの別の鋭利な部材からの異なるペイロードの組合せを有する。
【0280】
実施形態115. 実施形態76~114のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストからの、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0281】
実施形態116. 統合型デバイスを動作させる方法であって、電源を供給するステップと;統合型デバイスを提供するステップであって、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、膜開口部は第1の側と第2の側とを有しており、膜部分の第2の側は、その上に配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む、膜部分と、膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分と、膜部分の第2の側に配置された流体部分とを含み、流体部分は、流体部分内に流体キャビティを形成する流体キャップを含み、流体キャップは、その表面に、少なくとも1つの流体入口、少なくとも1つの流体出口、及び膜開口部の向かい側の流体キャップの表面に配置される1つ又は複数の対電極を有する、ステップと;電源を介して、1つ又は複数の対電極と1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップと;膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップと;を含む。
【0282】
実施形態117. 実施形態116に記載の方法であり、膜部分の第2の側が、膜部分の第2の側面に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。
【0283】
実施形態118. 実施形態116又は117のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部に隣接して配置され、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。
【0284】
実施形態119. 実施形態116~118のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0285】
実施形態120. 実施形態116~119のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。
【0286】
実施形態121. 実施形態116~120のいずれか1つに記載の方法であり、MEMS部分は、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を含む。
【0287】
実施形態122. 実施形態116~121のいずれか1つに記載の方法であり、膜部分の第1の側は、膜部分の第1の面に配置され、且つ膜開口部に隣接する及び/又は膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。
【0288】
実施形態123. 実施形態116~122のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の引き寄せ電極は電極材料のシートを含むか、又は1つ又は複数の引き寄せ電極は膜開口部を部分的に囲んで配置される。
【0289】
実施形態124. 実施形態116~123のいずれか1つに記載の方法であり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むステップは、膜開口部を少なくとも一次元で取り囲むステップを含む。
【0290】
実施形態125. 実施形態116~124のいずれか1つに記載の方法であり、膜開口部を少なくとも部分的に取り囲むステップは、膜開口部を少なくとも一次元で実質的に囲むステップを含む。
【0291】
実施形態126. 実施形態116~125のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の引き寄せ電極は、円形の引き寄せ電極を形成するために電気的に接続される。
【0292】
実施形態127. 実施形態116~126のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージは、電極として構成され、1つ又は複数の引き寄せ電極に対して実質的に平行である。
【0293】
実施形態128. 実施形態116~127のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の対電極と1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給する前に、複数の粒子を含む流体媒体を、少なくとも1つの流体入口を介して所定の流量で供給するステップをさらに含む。
【0294】
実施形態129. 実施形態116~128のいずれか1つに記載の方法であり、AC電圧の動作周波数を調整して、複数の粒子の一部に正の誘電泳動力を生じさせるステップと;流体媒体中の複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップと;をさらに含む。
【0295】
実施形態130. 実施形態116~129のいずれか1つに記載の方法であり、AC電圧の動作周波数の調整は、流れる流体媒体の1つ又は複数の粒子にかかる流体力学的な力に関して、印加されたAC電圧によって誘発される誘電泳動(DEP)力の競合効果を決定することを含む。
【0296】
実施形態131. 実施形態116~130のいずれか1つに記載の方法であり、DEP力を介して複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップは、流体媒体中を流れる1つ又は複数の粒子にかかる流体力学的な力に打ち勝つことによって、膜開口部に近接する1つ又は複数の粒子を捕捉するのに十分なDEP力を供給するステップを含む。
【0297】
実施形態132. 実施形態116~131のいずれか1つに記載の方法であり、単一の捕捉サイトでDEP力を調整して単一の粒子を捕捉するようにAC電圧を調整するステップをさらに含む。
【0298】
実施形態133. 実施形態116~132のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材によって単一の粒子を調べるステップをさらに含む。
【0299】
実施形態134. 実施形態116~133のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材のチップが、1つ又は複数のペイロードを単一の粒子に送達するように構成される。
【0300】
実施形態135. 実施形態116~134のいずれか1つに記載の方法であり、電源を介して、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップと;供給した電圧に基づいて、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと;アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に生成された静電場に基づいて、鋭利な部材を膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップと;をさらに含む。
【0301】
実施形態136. 実施形態116~135のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉された粒子は、作動時に鋭利な部材によって調べられる。
【0302】
実施形態137. 実施形態116~136のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材のチップが、1つ又は複数のペイロードを1つ又は複数の捕捉粒子に送達するように構成される。
【0303】
実施形態138. 実施形態116~137のいずれか1つに記載の方法であり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。
【0304】
実施形態139. 実施形態116~138のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、円形の捕捉サイト電極の幾何学的形状又は環状の捕捉サイト電極の幾何学的形状を含む。
【0305】
実施形態140. 実施形態116~139のいずれか1つに記載の方法であり、1つ又は複数の捕捉サイト電極は、膜開口部を横切って配置される一対の双極電極である。
【0306】
実施形態141. 実施形態116~140のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージは、MEMS部分のMEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持され、2つ以上のアクチュエータアームは、少なくとも1つの蛇行パターンを含むか、又は単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコン、金属、金属合金、共晶、セラミック、複合材料、ポリマー、ドープシリコン、シリコンの同素体、無機ガラス状材料又は混合物、無機多結晶材料又は混合物、無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含むセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む金属又は半金属酸化物、上記材料のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せの少なくとも1つを含む導電性材料を含む。
【0307】
実施形態142. 実施形態116~141のいずれか1つに記載の方法であり、アクチュエータステージは膜部分の第1の面から所定の距離だけ離れて吊り下げられ、動作中に、アクチュエータステージは膜部分の第1の面に対して移動する。
【0308】
実施形態143. 実施形態116~142のいずれか1つに記載の方法であり、MEMSキャビティは、MEMSキャビティ内に流体を含むように構成される。
【0309】
実施形態144. 実施形態116~143のいずれか1つに記載の方法であり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和性である。
【0310】
実施形態145. 実施形態116~144のいずれか1つに記載の方法であり、MEMSキャビティ内に配置される流体は、流体媒体と混和しない。
【0311】
実施形態146. 実施形態116~145のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材はシリコンを含む。
【0312】
実施形態147. 実施形態116~146のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、ポリヌクレオチドを鋭利な部材に結合させるように構成された1つ又は複数の材料でコーティングされる。
【0313】
実施形態148. 実施形態116~147のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材の少なくとも一部が複数の金原子でコーティングされ、金原子でコーティングされた鋭利な部材は、1つ又は複数の生体分子に付着可能である。
【0314】
実施形態149. 実施形態116~148のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、ラングミュア・ボジェット膜、機能化ガラス、ゲルマニウム、PTFE、ポリスチレン、ガリウムヒ素、銀、膜、ナイロン、PVP、酸化ケイ素、金属酸化物、又はセラミックのうちの少なくとも1つを含む。
【0315】
実施形態150. 実施形態116~149のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、共有結合、イオン結合、静電結合、水素結合、又はファンデルワールス結合のうちの少なくとも1つを含む1つ又は複数の結合タイプを含むか、又は共有結合、チオール(-SH)修飾剤、アビジン/ビオチンカップリング化学、或いはポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレンイミン(PEI)のいずれかからの媒介リンカー分子を介してポリヌクレオチドに結合する。
【0316】
実施形態151. 実施形態116~150のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害性抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからの1つ又は複数のペイロードを運ぶことができる。
【0317】
実施形態152. 実施形態116~151のいずれか1つに記載の方法であり、鋭利な部材は、Casタンパク質又はCasタンパク質を発現するプラスミド、TALEN、又はジンクフィンガーヌクレアーゼと複合体を形成することができるcrRNA又はtracrRNAを含むgRNAのリストからの、細胞のゲノムに安定に組み込むことができる遺伝物質を運ぶことができる。
【0318】
実施形態153. 統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMS部分は、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有しており、鋭利な部材は、アクチュエータステージに対して実質的に直交して取り付けられた先端(又はベース)部分を有する、MEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;を含み、膜開口部は、MEMS部分と流体部分との間のアクセスを提供し、鋭利な部材の基端部分と実質的に位置合わせされ、動作中に、鋭利な部材の基端部分は、膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動する。
【0319】
実施形態154. 実施形態153に記載の統合型デバイスであり、膜部分の第1の側は、膜部分の第1の面に配置され、且つ膜開口部に隣接する及び/又は膜開口部を少なくとも部分的に取り囲む1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。
【0320】
実施形態155. 実施形態153又は154に記載の統合型デバイスであり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の側に部分的又は完全に埋め込まれ、且つ膜開口部に隣接する1つ又は複数の捕捉サイト電極の少なくとも一部を含む。
【0321】
実施形態156. 実施形態153~155のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、膜部分の第2の側は、膜部分の第2の面に配置され、且つ膜開口部に隣接して配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む。
【0322】
実施形態157. 実施形態156に記載の統合型デバイスであり、流体部分は、膜開口部の向かい側の流体キャビティ表面に配置された1つ又は複数の対電極を含み、動作中に、1つ又は複数の対電極及び1つ又は複数の捕捉サイト電極は、1つ又は複数の電極ペアとして構成される。
【0323】
実施形態158. 実施形態156又は157に記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の電極ペアは、流体媒体中の1つ又は複数の粒子を捕捉するように構成される。
【0324】
実施形態159. 実施形態158に記載の統合型デバイスであり、1つ又は複数の粒子は、誘電泳動力を使用して捕捉される。
【0325】
実施形態160. 実施形態153~159のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、アクチュエータステージは、MEMSキャビティ内に吊り下げられ、MEMSキャビティの壁に取り付けられた2つ以上のアクチュエータアームによって支持され、2つ以上のアクチュエータアームは、少なくとも蛇行パターンを含むか、又は単結晶シリコン、多結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、アモルファスシリコン、水素化アモルファスシリコン、金属、金属合金、共晶、セラミック、複合材料、ポリマー、ドープシリコン、シリコンの同素体、無機ガラス状材料又は混合物、無機多結晶材料又は混合物、無機単結晶材料又は混合物、金属酸化物、半金属酸化物、金属又は半金属窒化物を含むセラミック材料、窒素又は他の非半金属又は金属元素を含む半金属酸化物、上記材料のドープされた組合せ、上記材料の任意の層状スタック又は構造的組合せの少なくとも1つを含む導電性材料を含む。
【0326】
実施形態161. 実施形態153~160のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、アクチュエータステージの第1の面に配置され、MEMSキャビティは、アクチュエータステージの第2の面に面するMEMSキャビティ表面に配置された1つ又は複数の引き寄せ電極を含む。
【0327】
実施形態162. 実施形態153~161のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、流体部分には流体入口及び流体出口が含まれ、流体媒体は、所定の流量で流体入口から流体出口まで流れる。
【0328】
実施形態163. 実施形態153~162のいずれか1つに記載の統合型デバイスであり、鋭利な部材は、ヌクレオチドベースの分子、DNA、RNA、ウイルスDNA、環状ヌクレオチド配列、直鎖状ヌクレオチド配列、一本鎖ヌクレオチド、環状DNA、プラスミド、直鎖状DNA、ハイブリッドDNA-RNA分子、タンパク質、ペプチド、代謝物、ウイルス、カプシドナノ粒子、膜不透過性薬物、外因性細胞小器官、分子プローブ、ナノスケールデバイス、ナノスケールセンサ、ナノスケールプローブ、ナノスケールプラズモニック光スイッチ、カーボンナノチューブ、量子ドット、ナノ粒子、阻害抗体、Oct4又はSox2の少なくとも1つを含む刺激性転写因子、サイレンシングDNA、siRNA、HDAC阻害剤、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、遺伝子発現を増加又は減少させる1つ又は複数の分子、タンパク質、抗体、酵素、1つ又は複数の低分子薬物のリストからの1つ又は複数のペイロードを運ぶことができる。
【0329】
実施形態164. 統合型パッケージは、基板と;基板上に配置されたラボ・オン・チップ(LOC)と;を含み、LOCは少なくとも1つの統合型デバイスを含み、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、第1の側と第1の側の反対側である第2の側とを有する膜部分と;膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分であって、MEMSキャビティ内のアクチュエータステージに配置された鋭利な部材を有するMEMS部分と;膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分内に流体媒体を流すための流体キャビティを有する流体部分と;LOCの流体部分の表面を形成する流体キャップであって、流体入口及び流体出口を有する流体キャップと;を含む。
【0330】
実施形態165. 統合型デバイスを動作させる方法は、電源を供給するステップと;統合型デバイスを提供するステップであって、統合型デバイスは、膜開口部を有する膜部分であって、膜部分は第1の側と第2の側を有しており、膜部分の第2の側は、その上に配置された1つ又は複数の捕捉サイト電極を含む、膜部分と、膜部分の第1の側に配置されたMEMS部分と、膜部分の第2の側に配置された流体部分であって、流体部分は、流体部分内に流体キャビティを形成する流体キャップを含み、流体キャップは、その表面に、少なくとも1つの流体入口、少なくとも1つの流体出口、及び膜開口部の向かい側の流体キャップの表面に配置される1つ又は複数の対電極と、を含む、ステップと;電源を介して、1つ又は複数の対電極と1つ又は複数の捕捉サイト電極との間にAC電圧を供給するステップと;膜開口部の近傍に極大値を有する電場を生成するステップと;を含む。
【0331】
実施形態166. 実施形態165に記載の方法であり、AC電圧の動作周波数を調整して、複数の粒子の一部に正の誘電泳動力を生じさせるステップと;流体媒体中の複数の粒子のうちの1つ又は複数を捕捉するステップと;をさらに含む。
【0332】
実施形態167. 実施形態166に記載の方法であり、電源を介して、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に電圧を供給するステップと;供給した電圧に基づいて、アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に静電場を生成するステップと;アクチュエータステージと1つ又は複数の引き寄せ電極との間に生成された静電場に基づいて、鋭利な部材を作動して膜開口部を横切って流体キャビティの少なくとも一部内に移動させるステップと;をさらに含む。
【0333】
本明細書には多くの特定の実施態様の詳細が含まれるが、これらは、あらゆる発明の範囲又は特許請求の範囲に記載される内容の限定として解釈すべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施態様に特有の特徴の説明として解釈すべきである。この明細書において個別の実施態様のコンテキストで説明している特定の特徴は、単一の実施態様で組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施態様のコンテキストで説明している様々な特徴は、複数の実施態様で個別に、又は適切なサブ組合せで実装することもできる。さらに、特徴が特定の組合せで作用するものとして上で説明し、最初にそのように特許請求の範囲に記載している場合もあるが、場合によっては、特許請求の範囲に記載した組合せからの1つ又は複数の特徴が組み合わせから削除され、特許請求の範囲に記載した組合せがサブ組合せ又はサブ組合せのバリエーションを対象とする場合がある。
【0334】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作を示している特定の順序又は連続した順序で実行すること、又は図示した全ての動作を実行することを必要とするものとして理解すべきではない。特定の状況では、マルチタスク及び並列処理が有利な場合がある。さらに、上で説明した実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施態様でそのような分離が必要であると理解すべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムは一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができることを理解されたい。
【0335】
「又は」への言及は、「又は」を使用して説明する任意の用語が、説明する用語の単一、複数、及び全てのいずれかを示すことができるように、包括的であると解釈され得る。「第1の」、「第2の」、「第3の」等のラベルは、必ずしも順序を示すことを意味するものではなく、一般に、単に類似又は類似の項目又は要素を区別するために使用される。
【0336】
本開示で説明する実施態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で規定する一般原理は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施態様に適用され得る。こうして、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施態様に限定されることを意図するものではなく、本開示、本明細書に開示する原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。
【国際調査報告】