(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】試料の核酸同定のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240409BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240409BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240409BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240409BHJP
C12Q 1/25 20060101ALI20240409BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240409BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240409BHJP
C12Q 1/48 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N1/00 101F
G01N33/53 M
C12M1/34 B
C12Q1/25
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6876 Z
C12Q1/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560978
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022022781
(87)【国際公開番号】W WO2022212674
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523373588
【氏名又は名称】ケムリング、センサーズ、アンド、エレクトロニック、システムズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Chemring Sensors & Electronic Systems, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ニール、ジー.サタリー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン、ピー.ピューファー
【テーマコード(参考)】
2G052
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G052AB20
2G052CA07
2G052DA05
2G052EB11
2G052EB13
2G052ED14
2G052GA11
4B029AA07
4B029BB20
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS24
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
試料の物質の核酸同定のための、装置、方法、および命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、可動カートリッジを含むマイクロ流体力学システムと、熱源とを含む。可動カートリッジアセンブリは、少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットと、表面に堆積したRCA-LAMP反応成分のセットとを含む。さらに、少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分を含む。RCA-LAMP反応成分のセットは、少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分、鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素、ベタイン添加剤、テトロン系添加剤、配列特異的プローブ、dNTP、およびプライマーミックスを含む。プライマーミックスは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマーおよび逆方向内側プライマーの両方を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の物質の核酸同定のための装置であって、
マイクロ流体力学システム;および
熱源を備え;
前記マイクロ流体力学システムは、可動カートリッジアセンブリを備え;
前記可動カートリッジアセンブリは、
前記試料を受容するように構成された表面;
標的位置で前記表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セット;
RCA-LAMP位置で前記表面に堆積した少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットを備え;
前記少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットは、
少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分;
少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分;および
少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含み;
前記少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットは、
少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分;
鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素;
ベタイン添加剤;
テトロン系添加剤;
配列特異的プローブ;
dNTP;および
プライマーミックスを含み;
前記プライマーミックスは、
前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマー;および
前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の前記骨格に特異的な逆方向内側プライマーを含む、
装置。
【請求項2】
前記可動カートリッジアセンブリが、
第2の標的位置で前記可動カートリッジアセンブリに堆積された少なくとも第2の標的特異的試薬成分セットをさらに備え;
前記第2の標的特異的試薬成分セットが、
第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分;
前記少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分;および
前記少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含み;
前記第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分が、前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の前記骨格を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リガーゼ酵素成分が、Taq DNAリガーゼ酵素成分であり;
前記リガーゼ緩衝成分のセットが、Taq DNAリガーゼ緩衝成分のセットである、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記リガーゼ酵素成分が、RNAリガーゼ酵素成分であり;
前記リガーゼ緩衝成分のセットが、RNAリガーゼ緩衝成分のセットである、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記マイクロ流体力学システムが、デジタルマイクロ流体力学システムである、
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記配列特異的プローブが、オリゴヌクレオチド鎖置換プローブであり;
前記少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分が、Bst3ポリメラーゼ緩衝成分であり;
鎖置換活性を有する前記少なくとも少なくとも1つのポリメラーゼ酵素が、Bst3ポリメラーゼ酵素である、
請求項2に記載の装置。
【請求項7】
放射線源からの励起放射に応答して前記標的位置および前記第2の標的位置から発せられる蛍光を監視するためのカメラシステムをさらに備える、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記標的位置で加熱された流体を冷却し、前記第2の標的位置で加熱された流体を冷却するためのシステムをさらに備え;
前記熱源が、少なくとも前記標的位置に配置された流体、および少なくとも前記第2の標的位置に配置された流体を、約95℃に加熱するように構成され;
前記熱源が、少なくとも前記標的位置に配置された流体、および少なくとも前記第2の標的位置に配置された流体を、約65℃に加熱するようにさらに構成される、
請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記可動カートリッジアセンブリが、消耗型カートリッジである、
請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記標的位置で前記表面に堆積した前記少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットが、前記標的位置で印刷され;
前記第2の標的位置で前記表面に堆積した前記第2の標的特異的試薬成分セットが、前記第2の標的位置で印刷される、
請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記マイクロ流体力学システムが、前記表面上に受容された前記試料のアリコートを前記標的位置に輸送するように構成され、前記表面上に受容された前記試料の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するようにさらに構成され;
前記マイクロ流体力学システムが、前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するようにさらに構成され、前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するようにさらに構成される、
請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記RCA-LAMP位置で前記表面に堆積した前記少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットが、乾燥形態で堆積しており;
前記マイクロ流体力学システムが、前記表面上の水和されたRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するようにさらに構成され、前記表面上の水和されたRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するようにさらに構成される、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
試料の物質の核酸同定のための方法であって、
マイクロ流体力学システムを設けるステップであって;
前記マイクロ流体力学システムが、可動カートリッジアセンブリを含み;
前記可動カートリッジアセンブリが、
前記試料を受容するように構成された表面;
標的位置で前記表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セット;
RCA-LAMP位置で前記表面に堆積した少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットを備え;
前記少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットが、
少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分;
少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分;および
少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含み;
前記少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットが、
少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分;
鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素;
ベタイン添加剤;
テトロン系添加剤;
配列特異的プローブ;
dNTP;および
プライマーミックスを含み;
前記プライマーミックスが、
前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマー;および
前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の前記骨格に特異的な逆方向内側プライマーを含む、
設けるステップ;
前記表面上に受容された前記試料のアリコートを前記標的位置に輸送するステップ;
前記標的位置に熱を加えるステップ;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップ;および
前記標的位置に熱を加えるステップ、
を備える方法。
【請求項14】
前記可動カートリッジアセンブリが、
第2の標的位置で前記可動カートリッジに堆積された少なくとも第2の標的特異的試薬成分セットをさらに備え;
前記第2の標的特異的試薬成分セットが、
第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分;
前記少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分;および
前記少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含み;
前記第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分が、前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の前記骨格を含み、
前記方法が、
前記表面上に受容された前記試料の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップ;
前記第2の標的位置に熱を加えるステップ;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップ;および
前記第2の標的位置に熱を加えるステップ、をさらに備える、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記リガーゼ酵素成分が、Taq DNAリガーゼ酵素成分であり;
前記リガーゼ緩衝成分のセットが、Taq DNAリガーゼ緩衝成分のセットである、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リガーゼ酵素成分が、RNAリガーゼ酵素成分であり;
前記リガーゼ緩衝成分のセットが、RNAリガーゼ緩衝成分のセットである、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロ流体力学システムが、デジタルマイクロ流体力学システムである、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記配列特異的プローブが、オリゴヌクレオチド鎖置換プローブであり;
前記少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分が、Bst3ポリメラーゼ緩衝成分であり;
鎖置換活性を有する前記少なくとも少なくとも1つのポリメラーゼ酵素が、Bst3ポリメラーゼ酵素である、
請求項14に記載の方法。
【請求項19】
励起放射を前記標的位置に供給するステップ、および
前記励起放射に応答して前記標的位置および前記第2の標的位置から発せられる蛍光を監視するためのカメラシステムを設けるステップ、
をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップの前に、前記標的位置で加熱された流体を冷却するステップ;および
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップの前に、前記第2の標的位置で加熱された流体を冷却するステップをさらに備え;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップの前に、前記標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記標的位置に位置する流体を約95℃に加熱するステップを含み;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップの前に、前記第2の標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記第2の標的位置に位置する流体を約95℃に加熱するステップを含み;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップの後に、前記標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記標的位置に位置する流体を約65℃に加熱するステップを含み;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップの後に前記第2の標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記第2の標的位置に位置する流体を約65℃に加熱するステップを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記可動カートリッジが、消耗型カートリッジである、
請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記標的位置で前記表面に堆積した前記少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットが、前記標的位置で印刷され;
前記第2の標的位置で前記表面に堆積した前記第2の標的特異的試薬成分セットが、前記第2の標的位置で印刷される、
請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記RCA-LAMP位置で前記表面に堆積した前記少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットが、乾燥形態で堆積しており、前記方法が、
前記RCA-LAMP反応成分を水和するステップをさらに備え;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップが、前記表面上の水和されたRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップを備え;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップが、前記表面上の水和されたRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップを備える、
請求項14に記載の方法。
【請求項24】
デジタルマイクロ流体力学システムによって実行されると、前記デジタルマイクロ流体力学システムに試料の物質の核酸同定のための方法を実行させる、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記デジタルマイクロ流体力学システムが、熱源を含み、前記方法は、
表面に受容された前記試料のアリコートを標的位置に輸送するステップ;
前記標的位置に熱を加えるステップ;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップ;および
前記標的位置に熱を加えるステップ、を備え、
前記デジタルマイクロ流体力学システムは、可動カートリッジアセンブリを含み;
前記可動カートリッジアセンブリは、
前記試料を受容するように構成された前記表面;
前記標的位置で前記表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セット;
RCA-LAMP位置で前記表面に堆積したRCA-LAMP反応成分を備え;
前記少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットは、
少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分;
少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分;および
少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含み;
前記RCA-LAMP反応成分は、
少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分;
鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素;
ベタイン添加剤;
テトロン系添加剤;
配列特異的プローブ;
dNTP;および
プライマーミックスを含み;
前記プライマーミックスは、
前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマー;および
前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の前記骨格に特異的な逆方向内側プライマーを含む、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記可動カートリッジアセンブリが、
第2の標的位置で前記可動カートリッジに堆積された少なくとも第2の標的特異的試薬成分セットをさらに備え;
前記第2の標的特異的試薬成分セットが、
第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分;
前記少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分;および
前記少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含み;
前記第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分が、前記少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の前記骨格を含み、
前記方法が、
前記表面上に受容された前記試料の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップ;
前記第2の標的位置に熱を加えるステップ;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップ;および
前記第2の標的位置に熱を加えるステップ、をさらに備える、
請求項24に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記リガーゼ酵素成分が、Taq DNAリガーゼ酵素成分であり;
前記リガーゼ緩衝成分のセットが、Taq DNAリガーゼ緩衝成分のセットである、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記リガーゼ酵素成分が、RNAリガーゼ酵素成分であり;
前記リガーゼ緩衝成分のセットが、RNAリガーゼ緩衝成分のセットである、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記配列特異的プローブが、オリゴヌクレオチド鎖置換プローブであり;
前記少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分が、Bst3ポリメラーゼ緩衝成分であり;
鎖置換活性を有する前記少なくとも少なくとも1つのポリメラーゼ酵素が、Bst3ポリメラーゼ酵素である、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
前記デジタルマイクロ流体力学システムが、カメラシステムおよび励起放射源をさらに備え、前記カメラシステムが、前記励起放射源からの励起放射に応答して前記標的位置および前記第2の標的位置から発する蛍光を監視することができ、前記方法が、
前記励起放射を前記標的位置に供給するステップをさらに備える、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
前記デジタルマイクロ流体力学システムが、冷却するための供給源をさらに備え、前記方法が、
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップの前に、前記標的位置で加熱された流体を冷却するステップ;および
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップの前に、前記第2の標的位置で加熱された流体を冷却するステップをさらに備え;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップの前に、前記標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記標的位置に位置する流体を約95℃に加熱するステップを含み;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップの前に、前記第2の標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記第2の標的位置に位置する流体を約95℃に加熱するステップを含み;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップの後に、前記標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記標的位置に位置する流体を約65℃に加熱するステップを含み;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップの後に、前記第2の標的位置に熱を加えるステップが、少なくとも前記第2の標的位置に位置する流体を約65℃に加熱するステップを含む、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
前記可動カートリッジが、消耗型カートリッジである、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項32】
前記標的位置で前記表面に堆積した前記少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットが、前記標的位置で印刷され;
前記第2の標的位置で前記表面に堆積した前記第2の標的特異的試薬成分セットが、前記第2の標的位置で印刷される、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項33】
前記RCA-LAMP位置で前記表面に堆積した前記RCA-LAMP反応成分が、乾燥形態で堆積しており、前記方法が、
前記RCA-LAMP反応成分を水和するステップをさらに備え;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップが、前記表面上の水和されたRCA-LAMP反応成分のアリコートを前記標的位置に輸送するステップを備え;
前記表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップが、前記表面上の水和されたRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを前記第2の標的位置に輸送するステップを備える、
請求項25に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年4月1日に出願された米国仮出願第63/200,884号の優先権および利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、試料に存在し得る遺伝物質を増幅および同定するための、装置、方法、および命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
生物の存在を同定するために使用される主要な方法の1つは、その遺伝物質の一部または全部の質量の増幅である。最初に開発されたとき、増幅反応は、標的生物の遺伝物質を増幅する(すなわち、ポリメラーゼ連鎖反応、「PCR」)ために、特定のポリメラーゼの熱サイクリング(加熱および冷却の反復)に依存していた。熱サイクリングには、専用の実験装置と、検出される各標的に固有のプライマーセットが必要である。また、比較的遅く、高価である。
【0004】
熱サイクリング増幅の開発以来、遺伝物質の増幅の速度および感度を高め、そのコストを削減し、実行を容易にするための努力がなされてきた。パドロックプローブを用いたローリングサークル増幅(「RCA」)は、そのような反応の1つである。30年近く使用されており、特定の生物の遺伝物質を検出できる等温法(すなわち、熱サイクリングを必要としない)であるため有利である。また、パドロックプローブ骨格を認識する試薬のユニバーサルセットを使用するため、それほどのアッセイ開発時間を必要としない。
【0005】
ループ媒介増幅(「LAMP」)は、さらに最近に開発された生化学反応である。等温反応であり、比較的速い(5~20分)ため、広く使用されている。速度の観点では有利であるが、これは、開発の観点では不利である。典型的なスタンドアロンLAMP反応は、最低6つのプライマーセットを必要とし得る。これらのセットは、開発に時間がかかる可能性があり、多くの異なる標的を分析する必要がある場合、その時間は圧倒されるほどであり得る。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、RCAおよびLAMPの両方の利点を保持しながら、それらの欠点を除去する遺伝子試料の増幅および同定のための、装置、方法、および命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。
【0007】
本開示の例示的な実施形態によれば、試料の物質の核酸同定のための装置は、マイクロ流体力学システム(microfluidics system)および熱源を含み、マイクロ流体力学システムは可動カートリッジアセンブリをさらに含む。実施形態では、可動カートリッジアセンブリは、試料の位置で試料を受容するように構成された表面と、標的位置で表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットと、RCA-LAMP位置で表面に堆積した少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットとを含む。さらに、実施形態では、少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分(target specific padlock probe reagent component)、少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分、および少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含む。実施形態では、少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットは、少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分、鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素、ベタイン添加剤、テトロン系添加剤、配列特異的プローブ、dNTP、およびプライマーミックスを含む。さらにまた、実施形態では、プライマーミックスは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマー(forward inside primer)と、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な逆方向内側プライマー(backward inside primer)とを含む。
【0008】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、試料の生物学的同定のための装置は、前の実施形態の装置を含み、第2の標的位置で表面に堆積した第2の標的特異的試薬成分セットをさらに含む。さらに、実施形態では、第2の標的特異的試薬成分セットは、第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分、少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分、および少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含む。さらにまた、実施形態では、第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分は、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格を含む。
【0009】
さらなる例示的な実施形態によれば、試料の物質の核酸同定のための方法は、マイクロ流体力学システムを設けることを含み、マイクロ流体力学システムは可動カートリッジアセンブリを含む。実施形態では、可動カートリッジアセンブリは、試料の位置で試料を受容するように構成された表面と、標的位置で表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットと、RCA-LAMP位置で表面に堆積した少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットとを含む。さらに、実施形態では、少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分、少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分、および少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含む。実施形態では、少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットは、少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分、鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素、ベタイン添加剤、テトロン系添加剤、配列特異的プローブ、dNTP、およびプライマーミックスを含む。さらにまた、実施形態では、プライマーミックスは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマーと、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な逆方向内側プライマーとを含む。実施形態では、方法は、表面上に受容された試料のアリコートを標的位置に輸送するステップと、標的位置に熱を加えるステップと、表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを標的位置に輸送するステップと、標的位置に熱を加えるステップとをさらに含む。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、試料の物質の核酸同定のための方法は、前の実施形態の方法を含み、可動カートリッジアセンブリは、第2の標的位置で表面に堆積した第2の標的特異的試薬成分セットをさらに含む。さらに、実施形態では、第2の標的特異的試薬成分セットは、第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分、少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分、および少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含む。さらにまた、実施形態では、第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分は、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格を含む。実施形態では、方法は、表面上に受容された試料の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するステップと、第2の標的位置に熱を加えるステップと、表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するステップと、第2の標的位置に熱を加えるステップとをさらに含む。
【0011】
さらなる例示的な実施形態によれば、デジタルマイクロ流体力学システムによって実行されるとき、デジタルマイクロ流体力学システムに試料の物質の核酸同定のための方法を実行させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体で、デジタルマイクロ流体力学システムは、熱源を含み、方法は、表面上に受容された試料のアリコートを標的位置に輸送するステップと、標的位置に熱を加えるステップと、表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを標的位置に輸送するステップと、標的位置に熱を加えるステップとを含む。実施形態では、デジタルマイクロ流体力学システムは、可動カートリッジアセンブリを含む。実施形態では、可動カートリッジアセンブリは、試料の位置で試料を受容するように構成された表面と、標的位置で表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットと、RCA-LAMP位置で表面に堆積した少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットとをさらに含む。さらに、実施形態では、少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分、少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分、および少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含む。実施形態では、少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットは、少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分、鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素、ベタイン添加剤、テトロン系添加剤、配列特異的プローブ、dNTP、およびプライマーミックスを含む。さらにまた、実施形態では、プライマーミックスは、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な順方向内側プライマーと、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格に特異的な逆方向内側プライマーとを含む。
【0012】
別の例示的な実施形態によれば、デジタルマイクロ流体力学システムによって実行されるとき、デジタルマイクロ流体力学システムに試料の物質の核酸同定のための方法を実行させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、前の実施形態の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み、可動カートリッジアセンブリは、第2の標的位置で表面に堆積した第2の標的特異的試薬成分セットをさらに含む。さらに、実施形態では、第2の標的特異的試薬成分セットは、第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分、少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ酵素成分、および少なくとも1つの標的プローブ関連リガーゼ緩衝成分のセットを含む。さらにまた、実施形態では、第2の標的特異的パドロックプローブ試薬成分は、少なくとも1つの標的特異的パドロックプローブ試薬成分の骨格を含む。実施形態では、方法は、表面上に受容された試料の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するステップと、第2の標的位置に熱を加えるステップと、表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するステップと、第2の標的位置に熱を加えるステップとをさらに含む。
【0013】
さらなる例示的な実施形態によれば、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、前の実施形態のいずれかであり得、(a)リガーゼ酵素成分は、Taq DNAリガーゼ酵素成分である;および/または(b)リガーゼ緩衝成分のセットは、Taq DNAリガーゼ緩衝成分のセットである。あるいは、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、前の実施形態のいずれかであり得、(a)リガーゼ酵素成分は、RNAリガーゼ酵素成分である;および/または(b)リガーゼ緩衝成分のセットは、RNAリガーゼ緩衝成分のセットである。
【0014】
さらなる例示的な実施形態によれば、本開示と一致する装置または方法は、マイクロ流体力学システムがデジタルマイクロ流体力学システムである前の実施形態のいずれかであり得る。
【0015】
さらにまた、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、前の実施形態のいずれかであり得、(a)配列特異的プローブは、オリゴヌクレオチド鎖置換プローブであり;(b)少なくとも1つのポリメラーゼ緩衝成分がBst3ポリメラーゼ緩衝成分であり;および/または(c)鎖置換活性を有する少なくとも1つのポリメラーゼ酵素がBst3ポリメラーゼ酵素である。
【0016】
さらに、実施形態では、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、熱源が第1および/または第2の標的位置に位置する流体を約95℃まで、また冷却後に約65℃まで加熱するように構成することができる前の実施形態のいずれかであり得る。
【0017】
さらなる実施形態では、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、可動カートリッジアセンブリが、消耗型カートリッジ、例えば-ただし、これに限定されない-「使い捨て」カートリッジである前の実施形態のいずれかであり得る。
【0018】
さらに、実施形態では、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、励起放射源、および/または可動カートリッジアセンブリの表面から発する、可能な蛍光を監視するためのカメラシステムをさらに含む、前の実施形態のいずれかであり得る。さらにまた、励起放射源は、495nm(または任意の他の適切な励起波長)で発光するように構成されたLEDであってもよい。
【0019】
さらなる実施形態では、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、マイクロ流体力学システムが、表面上に受容された試料のアリコートを標的位置に輸送するように構成され、表面上に受容された試料の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するようにさらに構成される、前の実施形態のいずれかであり得る。さらにまた、マイクロ流体力学システムは、表面上のRCA-LAMP反応成分のアリコートを標的位置に輸送するようにさらに構成することができ、表面上のRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するようにさらに構成される。
【0020】
さらなる実施形態では、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、標的位置で表面に堆積した少なくとも1つの標的特異的試薬成分セットが標的位置で印刷される、および/または第2の標的位置で表面に堆積した第2の標的特異的試薬成分セットが第2の標的位置で印刷される、前の実施形態のいずれかであり得る。さらにまた、本開示と一致する装置、方法、または命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、RCA-LAMP位置で表面に堆積された少なくとも1つのRCA-LAMP反応成分のセットが乾燥形態で堆積される、前の実施形態のいずれかであり得る。そのような実施形態は、乾燥したRCA-LAMP反応成分を水和させる手段またはステップをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の様々な実施形態と一致する試料の物質の核酸同定のための例示的な装置を示す。
【
図2】例示的な可動カートリッジアセンブリを含まない、
図1の装置の異なる斜視図を示す。
【
図3】本開示と一致する例示的な可動カートリッジアセンブリの上面図を示す。
【
図4】
図3の例示的な可動カートリッジアセンブリの分解断面図を示す。
【
図5】
図3および
図4の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示す。
【
図6】
図3および
図4の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示す。
【
図7】
図3および
図4の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示す。
【
図8】
図3および
図4の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示す。
【
図9】
図3および
図4の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示す。
【
図10】
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図11】
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図12】
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図13】本開示と一致するさらに例示的な可動カートリッジアセンブリの上面図を示す。
【
図14】
図13の例示的な可動カートリッジアセンブリの分解断面図を示す。
【
図23】本開示と一致する試料の混合および評価のための例示的なデータ処理システムの概略図である。
【
図24】試料が供給された
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリと一致するDMF基板の上面図を示す。
【
図25】試料アリコートの動きを示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリと一致するDMF基板の表面の上面図を示す。
【
図26】試料アリコートの移動を示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリと一致するデジタルマイクロ流体力学システムの一部の断面図を示す。
【
図27】アリコートの移動、混合、および加熱を示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図28】アリコートの移動、混合、および加熱を示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図29】水和されたRCA-LAMP成分のアリコートの動きを示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリと一致するDMF基板の表面の上面図を示す。
【
図30】DMF基板の表面上の混合物、励起放射、および可能な蛍光を示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリと一致するDMF基板の表面の上面図を示す。
【
図31】アリコートの移動、混合、および加熱を示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図32】アリコートの移動、混合、および加熱を示す、
図3および
図4の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【
図33】DMF基板の表面上の混合物、励起放射、および可能な蛍光を示す、
図32と一致する別の断面図を示す。
【
図34】本開示と一致する、試料の物質の核酸同定のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図35】本開示と一致する、試料の物質の核酸同定のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示的な実施形態は、添付の図面を参照して説明される。必ずしも原寸に比例して描かれていない図では、参照符号の最も左の桁は、参照符号が最初に現れる図を特定する。便宜上、同じまたは同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照符号が使用されている。開示された原理の例および特徴が本明細書に記載されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、修正、適合、および他の実装が可能である。また、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、および「含む(including)」という単語、ならびに他の同様の形態は、意味において同等であり、これらの単語のいずれか1つに続く1つまたは複数の項目が、そのような1つまたは複数の項目を網羅する列挙であることを意味するものではなく、列挙された1つまたは複数の項目のみに限定されることを意味するものではないという点で、オープンエンドであることを意図している。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他を指示していない限り、複数あることの言及を含むことにも留意されたい。
【0023】
本開示の実施形態は、一般に、RCAおよびLAMPの態様を組み合わせることによって試料に存在し得る遺伝物質を増幅および同定するための、装置、方法、および命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。実施形態では、パドロックプローブ(RCAの一態様)は、一本鎖DNAおよび/またはRNAの線状片である。その5’および3’のアームは標的の遺伝子配列に相補的であり、ユニバーサルプライマー/プローブ結合部位がアーム間に構築される。実施形態では、標的の存在下で、パドロックプローブアームは、アームの端部が隣接するように(パドロックプローブが円形を形成するように)標的遺伝物質にアニーリングする。この円形形状が形成されると、パドロックプローブアームをリガーゼ酵素と共有結合させることができる。これにより、線状ストランドから環状ストランドに変換される。パドロックプローブが環状コンフォメーションになると、2つのLAMPプライマー(順方向内側プライマー「FIP」および逆方向内側プライマー「BIP」)がそれに結合し、最初に超分岐RCA反応を促進する相補的な鎖の生成を開始することができる。超分岐RCA反応の最初の成分が産生されると、FIPおよびBIPはRCA反応から迅速なLAMP反応に移行し、その産生物は25分未満で検出できる。本開示と一致する装置、方法、および命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、RCAおよびLAMPをデジタルマイクロ流体力学(「DMF」)システムなどのマイクロ流体装置と結合する。当業者は、本開示と一致する装置、方法、および命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体は、圧力ベース、電気泳動ベース、重力ベース、遠心ベース、毛細管ベース、熱ベース、磁気泳動、音響ベース、およびエレクトロウェッティングを含むがこれらに限定されない他の種類のマイクロ流体流に基づくプラットフォームを使用して実施することもできることを理解する。
【0024】
本開示の実施形態によれば、デジタルマイクロ流体力学システムなどのマイクロ流体力学システムと、熱源とを有する装置が提供され得る。
【0025】
図1は、本開示と一致する例示的な装置100を示す。装置100は、DMFプロセッサシステム110を含むことができる。DMFプロセッサシステム110に接続されているのは、DMF輸送グリッドカプラ115、組合せディスプレイ125およびユーザインターフェース127へのカプラ128、ランプ170へのカプラ178、カメラシステム180へのカプラ188、ならびに加熱/冷却装置190へのカプラ198である。装置100はまた、可動カートリッジアセンブリ150を収容するように構成されたスロット152を含む。代替的または追加的に、スロット152は、可動カートリッジアセンブリ160を収容するように構成することができる。
【0026】
可動カートリッジアセンブリ150は、DMF輸送グリッドカプラ115と結合するように構成されたDMF輸送グリッドインターフェース155を含む。同様に、可動カートリッジアセンブリ160は、DMF輸送グリッドカプラ115と結合するように構成されたDMF輸送グリッドインターフェース165を含む。DMFシステムに関連する当業者は、DMF輸送グリッドインターフェース155およびDMF輸送グリッドインターフェース165がPCB基板エッジコネクタと一致し得ることを理解するであろう。同様に、DMFシステムに関連する当業者は、DMF輸送グリッドカプラ115がPCB基板エッジコネクタソケットと一致し得ることを理解するであろう。
【0027】
図2は、可動カートリッジアセンブリ150および可動カートリッジアセンブリ160がない
図1の装置の代替の斜視図を提示する。本開示と一致して、ランプ170、カメラシステム180、および加熱/冷却装置190は、スロット152の片側に配置することができる。さらに、本開示と一致して、加熱/冷却装置190は、スロット152の下に配置することができ、ランプ170およびカメラシステム180は、スロット152の上であるが装置100のハウジング内部に配置することができる。本開示の実施形態と一致して、可動カートリッジ150または可動カートリッジ160のいずれかがスロット152(
図2には示されていない)内部に位置するとき、ランプ170およびカメラシステム180は、好ましい実施形態では、可動カートリッジ150または可動カートリッジ160の一部を形成する透明プレート(以下でさらに説明する)の上方に位置することができる。実施形態では、カメラシステム180は、限定することなく、適宜、フィルタを含む追加の光学素子を組み込むことができる。
【0028】
図3は、例示的な可動カートリッジアセンブリ150の上面図を示す。また、
図3には、斜視インジケータを有する断面位置10A~B、斜視インジケータを有する断面位置11C~D、および斜視インジケータを有する断面位置12E~Fも示されている。これらの位置および視点に関連する可動カートリッジアセンブリ150の断面は、それぞれ
図10、
図11、および
図12に示されている。
図3はまた、DMF輸送グリッドインターフェース155、上部フレーム352、ならびに組立締結具用の開口部311、312、313および314を示す。また、
図3には、RCA-LAMP位置への上部フレーム352の開口部366、試料の位置への上部フレーム352の開口部368、輸送および反応領域への上部フレーム352の開口部370は、が示されている。
【0029】
図4は、
図3の可動カートリッジアセンブリ150の分解断面図を示す。また、
図4には、斜視インジケータを有する断面位置10A~B、斜視インジケータを有する断面位置11C~D、および斜視インジケータを有する断面位置12E~Fも示されている。(上述のように、これらの位置および視点に関連する可動カートリッジアセンブリ150の断面は、それぞれ
図10、
図11、および
図12に示されている。)
図4はまた、(例示的な順序で)上部フレーム352、透明プレート490、スペーサ492、DMF基板450、および後部フレーム458を示す。ここでも、DMF基板450の一部として、DMF輸送グリッドインターフェース155が示されている。
図4に示すように、組立締結具のための上部フレーム352の開口部311、312、313、および314は、後部フレーム458の開口部411、412、413、414(それぞれ)と整列している。本開示と一致して、組立締結具用の開口部311、312、313および314ならびに組立締結具用の開口部411、412、413および414は、可動カートリッジアセンブリ150を、
図4に示す相対的な順序で構造的に維持するための締結具(例えば、限定されないが、ボルト)を収容することができる。
【0030】
図5~
図9は、
図4の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示し、
図5~
図9の各々は、断面の位置10A~B、11C~D、および12E~Fを含む。
【0031】
図5は、上部フレーム352の上面図を示す。本開示と一致して、上部フレーム352は、RCA-LAMP位置への開口部366と、試料の位置への開口部368と、輸送および反応領域への開口部370とを含む。好ましい実施形態では、上部フレーム352は、(同様の材料で構成される、後部フレーム458に固定されたときに)可動カートリッジアセンブリ150の構成要素の相対的な順序および構成要素間の任意の必要なギャップを構造的に維持するFR-4などの剛性材料で構成することができるが、これに限定されない。一実施形態では、開口部370は、約56mm×25mmとすることができ、開口部368は、約9mm×39mmとすることができ、開口部366は、約45mm×9mmとすることができ、上部フレーム352の全体構造は、約100mm×57mmとすることができる長方形の内部にある。実施形態では、上部フレーム352は、ミリメートル(すなわち、比較的平坦な場合は約1mm、または透明プレート490、スペーサ492、およびDMF基板450用の成形ハウジングを設けるなど、包み込むように成形されている場合は約2mm(図示せず)である)程度の厚さを有することができる。スペーサ492が導体である好ましい実施形態では、上部フレーム352は、一般に非導電性材料で構成することができる。
【0032】
図6は、透明プレート490の上面図を示す。実施形態では、透明プレート490は、透明および導電性の両方を付与するために、(
図6の視点から)「底」の側にインジウムスズ酸化物の薄層を有するガラス板から形成することができる。一般に、実施形態では、透明プレート490は、任意の透明導電性材料から構成することができる。本明細書で使用される場合、「透明」とは、入射放射の感知可能な散乱(または遮断)なしに入射放射を透過することを意味し、入射放射は、(以下でさらに説明するように)対象である厳密な調査、励起、および/または蛍光放射を含むことができる。実施形態では、例えば、透明材料は、関連する入射放射の約60%以上の透過を設けることができ、好ましい実施形態では、高度に透明な材料は、関連する入射放射の約75%または約85%以上の透過を設けることができる。導電性に関して、実施形態では、透明プレート490のシート抵抗は、約1Ω/スクエア(「オーム/スクエア」)~約200Ω/スクエアの範囲内とすることができる。透明プレート490は、ミリメートル範囲の厚さを有することができ、好ましい実施形態では、約1.1ミリメートルの厚さを有することができる。当業者は、マイクロ流体流に関連する輸送および反応領域内で、任意の薄い導電性コーティングの下の透明プレート490の底面に疎水性コーティングを設けることができることを理解するであろう。実施形態では、透明プレート490の疎水性コーティングは、疎水性コーティングの厚さが約100~1万ナノメートルであるように、スプレー、スピン、ディップまたはブロット法を介して均一な方法で塗布されたテフロン、サイトニックスフルオロペル1101V-FS、またはCytop CT L 809Mを含むことができる。当業者はまた、透明プレート490の底面がマイクロ流体流に関連する輸送および反応領域から離れており、透明プレート490がマイクロ流体流の制御を担うデジタルマイクロ流体力学システムの回路の一部である導体と(例えば、透明プレート490が後述するスペーサ492と直接電気的に接触するように構成されている選択領域において)接触するように構成されている場合、透明プレート490の薄い導電層が導体と直接接触することができるように透明プレート490の底面をマスキングして除去することができ、それによって透明プレート490がデジタルマイクロ流体力学システムの回路の一部であることを確実にすることを理解するであろう。
【0033】
図7は、スペーサ492の上面図を示す。実施形態では、スペーサ492は、ステンレス鋼および銅を含むがこれらに限定されない導電性材料から製造することができる。さらに、マイクロ流体流(後述)に関連するDMF基板450の輸送および反応領域の導電性電極が約2.6mm×2.6mmの正方形である実施形態では、スペーサ492は、DMF基板450の「上部」表面と透明プレート490の「底部」表面との間に適切なギャップを設定するために、約210から270マイクロメートルの厚さとすることができる。好ましい実施形態では、スペーサ492は、約230マイクロメートルの厚さになるように構成することができる。当業者は、スペーサ492の厚さ(したがって、DMF基板450の「上面」と透明プレート490の「下面」との間のギャップの厚さ)が、マイクロ流体流に関連するDMF基板450の輸送および反応領域のほぼ正方形の導電性電極のサイズに比例することを理解するであろう。
【0034】
図8は、DMF基板450の上面図を示す。本開示と一致して、DMF基板450はDMF輸送グリッドインターフェース155を含む。
図8には、DMF電極の位置805も示されている。上述したように、実施形態では、電極の位置805における電極のサイズは、約2.6mm×2.6mmの正方形であり得る。試料の位置880およびRCA-LAMP位置855などのDMF基板450の表面上の特定の「リザーバ」の位置の電極は、一般に、ベースの正方形の電極サイズで構成されるより大きな多角形であり得ることが、当業者は理解されよう。さらに、DMFシステムに関連する当業者は、位置805がDMF基板450の表面上のグリッド状位置を表し、流体部分が、DMF基板450の電子機器および接続されたDMFプロセッサシステム110によってサポートされる任意のプログラミングロジックに従って、可動カートリッジアセンブリ150内部を移動するように操作され得ることを理解するであろう。透明プレート490の「底」と同様に、当業者は、輸送および反応領域、ならびに上述の「リザーバ」領域におけるDMF基板450の「上部」表面に疎水性コーティングを設けることができることを理解するであろう。実施形態では、DMF基板450の疎水性コーティングは、疎水性コーティングの厚さが約100~1万ナノメートルであるように、スプレー、スピン、ディップまたはブロット法を介して均一な方法で塗布されたテフロン、サイトニックスフルオロペル1101V-FS、またはCytop CT L 809Mを含むことができる。
【0035】
図8には、第1の標的位置810、第2の標的位置820、第3の標的位置830、および第4の標的位置840も示されている。第1の標的位置810の電極の位置805の近くまたは上に位置するのは、第1の標的特異的試薬成分セット815である。同様に、第2の標的位置820の電極の位置805の近くまたは上に位置するのは、第2の標的特異的試薬成分セット825である。第3の標的位置830の電極の位置805の近くまたは上に位置するのは、第3の標的特異的試薬成分セット835である。同様に、第4の標的位置840の電極の位置805の近くまたは上に位置するのは、第4の標的特異的試薬成分セット845である。
【0036】
本開示と一致する一実施形態では、第1の標的特異的試薬成分セット815、第2の標的特異的試薬成分セット825、第3の標的特異的試薬成分セット835、および第4の標的特異的試薬成分セット845は、疎水性コーティング上のDMF基板450の表面上に堆積される。好ましくは、実施形態では、第1の標的特異的試薬成分セット815、第2の標的特異的試薬成分セット825、第3の標的特異的試薬成分セット835、および第4の標的特異的試薬成分セット845は、乾燥状態でDMF基板450の表面上に堆積(および好ましくは印刷)される。本開示と一致して、当業者は、標的核酸に基づいて、第1の標的位置810、第2の標的位置820、第3の標的位置830、および第4の標的位置840(パドロックプローブである)に堆積または印刷される試薬成分を選択することができる。標的化核酸に基づく試薬の選択は、例えば、限定されないが、Padlock Probe Assay for Detection and Subtyping of Seasonal Influenza’by F.Neumann,et al.Clinical Chemistry,vol.64,no.12,pp.1704-1712(2018年12月1日)という論文に開示されているように当技術分野において周知であり、ここで、標的特異的試薬成分は、インフルエンザ陽性試料を同定するためのパドロック-プローブベースの方法において選択される。実施形態では、例えば、第1の標的特異的試薬成分セット815が第1の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第1の標的核酸に基づいて第1の標的特異的試薬成分セット815が選択される。同様に、実施形態では、第2の標的特異的試薬成分セット825が第2の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第2の標的特異的試薬成分セット825は、第2の標的核酸(第1の標的核酸とは異なり得る)に基づいて選択される。同様に、実施形態では、第3の標的特異的試薬成分セット835が第3の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第3の標的核酸(第1の標的核酸および第2の標的核酸の両方と異なり得る)に基づいて、第3の標的特異的試薬成分セット835が選択される。さらにまた、実施形態では、第4の標的特異的試薬成分セット845が第4の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第4の標的核酸(第1、第2および第3の標的核酸と異なっていてもよい)に基づいて第4の標的特異的試薬成分セット845が選択される。
【0037】
図8はまた、試料の位置880およびRCA-LAMP位置850を示す。実施形態では、疎水性コーティング上のRCA-LAMP位置850の電極の位置805に位置するのは、RCA-LAMP反応成分855である。さらに、本開示と一致する実施形態では、RCA-LAMP反応成分855は、乾燥状態でRCA-LAMP位置850に堆積される。本開示と一致して、RCA-LAMP成分855は、RCA-LAMP成分855中の試薬が、標的核酸にかかわらず、第1の標的特異的試薬成分セット815、第2の標的特異的試薬成分セット825、第3の標的特異的試薬成分セット835、および第4の標的特異的試薬成分セット845の各々と機能するように選択され、標的特異的試薬成分セット(本開示における815、825、835、845)の各々が、パドロックプローブ技術を使用して同定するように特に選択されるという意味で、「汎用」の試薬である。RCA-LAMP成分855の「汎用」の試薬には、(アスタリスク「*」が付された試薬は、標的特異的試薬成分セット中のパドロックプローブ骨格と直接会合する試薬)リガーゼ緩衝液;リガーゼ酵素*;RCA-LAMP緩衝液;テトロニクス;ベタイン;オリゴヌクレオチド鎖置換(OSD)プローブ*;デオキシヌクレオチドデトリホスフェート(dNTP);順方向内側プライマー*(FIP);逆方向内側プライマー*(BIP);およびBst3*(鎖置換活性を有するポリメラーゼ)が含まれる。
【0038】
本開示と一致して、試料の位置880におけるDMF基板450の表面は、スペーサ492の開口部およびトップカバー352の開口部368の両方を通してアクセス可能である。これにより、可動カートリッジアセンブリ150の上部を通って試料の位置880のDMF基板450の表面上に試料を提供することが可能になる。同様に、本開示と一致して、RCA-LAMP試料の位置850のDMF基板450の表面上の乾燥したRCA-LAMP反応成分855は、スペーサ492の開口部およびトップカバー352の開口部366を通してアクセス可能である。これにより、任意の乾燥したRCA-LAMP反応成分855を水和させるために、RCA-LAMP位置850で可動カートリッジアセンブリ150の上部を通してDMF基板450の表面に流体を供給することができる。
図8にはまた、電極コネクタ801が示されており、これは、本明細書の実施形態と一致して、DMF輸送グリッドインターフェース155を介して電気的「グランド」に接続することができ、スペーサ492(導電性である)と接触することもでき、次に、透明プレート490の底部の、疎水性コーティングが施されていない部分(例えばマスキングを介して)と接触することができ、それによって透明プレート490の導電層部分が電気的「グランド」に接続される。
【0039】
図9は、後部フレーム458の上面図を示す。また、
図9には、
図4に関連して先に論じた開口部411、412、413および414も示されている。好ましい実施形態では、後部フレーム458は、(上述のように上部フレーム352に固定されたときに)可動カートリッジアセンブリ150の構成要素の相対的な順序、および構成要素間の任意の必要なギャップを構造的に維持するFR-4などであるがこれらに限定されない剛性材料から、構成することができる。一実施形態では、後部フレーム458の全体構造は、約100mm×60mmの長方形内部にある。実施形態では、後部フレーム458は、ミリメートル(すなわち、比較的平坦であれば約1mm)程度の厚さを有することができる。スペーサ492が導体である好ましい実施形態では、後部フレーム458は、一般に非導電性材料で構成することができる。
【0040】
【0041】
図10は、第1の標的位置810内のDMF基板450の断面図を含む、位置10A~Bにおける断面図を示す。その結果、
図10は、疎水性コーティング1070上の第1の標的特異的試薬成分セット815の図を含む。DMF基板450は、誘電体1060、基板1050、電極1005および電極コネクタ1007(電極コネクタ1007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース155に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ492、ならびにガラス層1095、導電層1090、および疎水性コーティング1080を含むことができる透明プレート490が示されている。誘電体1060は、パリレン-Cなどであるがこれに限定されない材料を含むことができ、約2~20ミクロンの厚さを有する層に形成することができる。
【0042】
図11は、RCA-LAMP位置850内部のDMF基板450の断面図を含む、位置11C~Dにおける断面図を示す。その結果、
図11は、疎水性コーティング1070のRCA-LAMP反応成分855の図を含む。
図10に示すように、DMF基板450は、誘電体1060、基板1050、電極1005および電極コネクタ1007(電極コネクタ1007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース155に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ492、ならびにガラス層1095、導電層1090、および疎水性コーティング1080を含む透明プレート490が示されている。
【0043】
図12は、試料の位置880内部のDMF基板450の断面図を含む、位置12E~Fにおける断面図を示す。
図10および
図11に示すように、DMF基板450は、誘電体1060、基板1050、電極1005および電極コネクタ1007(電極コネクタ1007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース155に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ492、ならびにガラス層1095、導電層1090、および疎水性コーティング1080を含む透明プレート490が示されている。
【0044】
図13は、例示的な可動カートリッジアセンブリ160の上面図を示す。また、
図13には、斜視インジケータを有する断面位置20A~B、斜視インジケータを有する断面位置21C~D、および斜視インジケータを有する断面位置22E~Fも示されている。これらの位置および視点に関連する可動カートリッジアセンブリ160の断面は、それぞれ
図20、
図21、および
図22に示されている。
図13はまた、DMF輸送グリッドインターフェース165、上部フレーム1352、および組立締結具用の開口部1311、1312、1313、および1314を示す。また、
図13には、RCA-LAMP位置への上部フレーム1352の開口部1366、試料の位置への上部フレーム1352の開口部1368、輸送および反応領域への上部フレーム1352の開口部1370は、が示されている。
【0045】
図14は、
図13の可動カートリッジアセンブリ160の分解断面図を示す。また、
図14には、斜視インジケータを有する断面位置20A~B、斜視インジケータを有する断面位置21C~D、および斜視インジケータを有する断面位置22E~Fも示されている。(上述のように、これらの位置および視点に関連する可動カートリッジアセンブリ160の断面は、それぞれ
図20、
図21、および
図22に示されている。)
図14はまた、(例示的な順序で)上部フレーム1352、透明プレート1490、スペーサ1492、DMF基板1450、および後部フレーム1458を示す。ここでも、DMF基板1450の一部として、DMF輸送グリッドインターフェース165が示されている。
図14に示すように、組立締結具用の上部フレーム1352の開口部1311、1312、1313、および1314は、後部フレーム1458の開口部1411、1412、1413、および1414(それぞれ)と整列する。本開示と一致して、組立締結具用の開口部1311、1312、1313および1314ならびに組立締結具用の開口部1411、1412、1413および1414は、可動カートリッジアセンブリ160を、
図14に示す相対的な順序で構造的に維持するための締結具(例えば、限定されないが、ボルト)を収容することができる。
【0046】
図15~
図19は、
図14の可動カートリッジアセンブリの構成要素の上面図を示し、
図15~
図19の各々は、断面の位置20A~B、21C~D、および22E~Fを含む。
【0047】
図15は、上部フレーム1352の上面図を示す。本開示と一致して、上部フレーム1352は、RCA-LAMP位置への開口部1366と、試料の位置への開口部1368と、輸送および反応領域への開口部1370とを含む。好ましい実施形態では、上部フレーム1352は、(同様の材料で構成される、後部フレーム1458に固定されたときに)可動カートリッジアセンブリ160の構成要素の相対的な順序および構成要素間の任意の必要なギャップを構造的に維持するFR-4などの剛性材料で構成することができるが、これに限定されない。一実施形態では、開口部1370は、約56mm×25mmとすることができ、開口部1368は、約9mm×9mmとすることができ、開口部1366は、約9mm×9mmとすることができ、上部フレーム1352の全体構造は、約100mm×57mmとすることができる長方形の内部にある。実施形態では、上部フレーム1352は、ミリメートル(すなわち、比較的平坦な場合は約1mm、または透明プレート1490、スペーサ1492、およびDMF基板1450用の成形ハウジングを設けるなど、包み込むように成形されている場合は約2mm(図示せず))程度の厚さを有することができる。スペーサ1492が導体である好ましい実施形態では、上部フレーム1352は、一般に非導電性材料で構成することができる。
【0048】
図16は、透明プレート1490の上面図を示す。実施形態では、透明プレート1490は、透明および導電性の両方を付与するために、(
図16の視点から)「底」の側にインジウムスズ酸化物の薄層を有するガラス板から形成することができる。一般に、実施形態では、透明プレート1490は、任意の透明導電性材料から構成することができる。実施形態では、例えば、透明材料は、関連する入射放射の約60%以上の透過を設けることができ、好ましい実施形態では、高度に透明な材料は、関連する入射放射の約75%または約85%以上の透過を設けることができる。導電性に関して、実施形態では、透明プレート1490のシート抵抗は、約1Ω/スクエア~約200Ω/スクエアの範囲内とすることができる。透明プレート1490は、ミリメートル範囲の厚さを有することができ、好ましい実施形態では、約1.1ミリメートルの厚さを有することができる。当業者は、マイクロ流体流に関連する輸送および反応領域内で、任意の薄い導電性コーティングの下の透明プレート1490の底面に疎水性コーティングを設けることができることを理解するであろう。実施形態では、透明プレート1490の疎水性コーティングは、疎水性コーティングの厚さが約100~1万ナノメートルであるように、スプレー、スピン、ディップまたはブロット法を介して均一な方法で塗布されたテフロン、サイトニックスフルオロペル1101V-FS、またはCytop CT L 809Mを含むことができる。当業者はまた、透明プレート1490の底面がマイクロ流体流に関連する輸送および反応領域から離れており、透明プレート1490がマイクロ流体流の制御を担うデジタルマイクロ流体力学システムの回路の一部である導体と(例えば、透明プレート1490が後述するスペーサ1492と直接電気的に接触するように構成されている選択領域において)接触するように構成されている場合、透明プレート1490の薄い導電層が導体と直接接触することができるように透明プレート1490の底面をマスキングして除去することができ、それによって透明プレート1490がデジタルマイクロ流体力学システムの回路の一部であることを確実にすることを理解するであろう。
【0049】
図17は、スペーサ1492の上面図を示す。実施形態では、スペーサ1492は、ステンレス鋼および銅を含むがこれらに限定されない導電性材料から製造することができる。さらに、マイクロ流体流(後述)に関連するDMF基板1450の輸送および反応領域の導電性電極が約2.6mm×2.6mmの正方形である実施形態では、スペーサ1492は、DMF基板1450の「上部」表面と透明プレート1490の「底部」表面との間に適切なギャップを設定するために、約210から270マイクロメートルの厚さとすることができる。好ましい実施形態では、スペーサ1492は、約230マイクロメートルの厚さになるように構成することができる。当業者は、スペーサ1492の厚さ(したがって、DMF基板1450の「上面」と透明プレート1490の「下面」との間のギャップの厚さ)が、マイクロ流体流に関連するDMF基板1450の輸送および反応領域のほぼ正方形の導電性電極のサイズに比例することを理解するであろう。
【0050】
図18は、DMF基板1450の上面図を示す。本開示と一致して、DMF基板1450はDMF輸送グリッドインターフェース165を含む。
図8には、DMF電極の位置1805も示されている。上述したように、実施形態では、電極の位置1805における電極のサイズは、約2.6mm×2.6mmの正方形であり得る。試料の位置1880およびRCA-LAMP位置1855などのDMF基板1450の表面上の特定の「リザーバ」の位置の電極は、一般に、ベースの正方形の電極サイズで構成されるより大きな多角形であり得ることが、当業者は理解されよう。さらに、DMFシステムに関連する当業者は、位置1805がDMF基板1450の表面上のグリッド状位置を表し、流体部分が、DMF基板1450の電子機器および接続されたDMFプロセッサシステム110によってサポートされる任意のプログラミングロジックに従って、可動カートリッジアセンブリ160内部を移動するように操作され得ることを理解するであろう。透明プレート1490の「底」と同様に、当業者は、輸送および反応領域、ならびに上述の「リザーバ」領域におけるDMF基板1450の「上部」表面に疎水性コーティングを設けることができることを理解するであろう。実施形態では、DMF基板1450の疎水性コーティングは、疎水性コーティングの厚さが約100~1万ナノメートルであるように、スプレー、スピン、ディップまたはブロット法を介して均一な方法で塗布されたテフロン、サイトニックスフルオロペル1101V-FS、またはCytop CT L 809Mを含むことができる。
【0051】
図18には、第1の標的位置1810、第2の標的位置1820、第3の標的位置1830、および第4の標的位置1840も示されている。第1の標的位置1810の電極の位置1805の近くまたは上に位置するのは、第1の標的特異的試薬成分セット1815である。同様に、第2の標的位置1820の電極の位置1805の近くまたは上に位置するのは、第2の標的特異的試薬成分セット1825である。第3の標的位置1830の電極の位置1805の近くまたは上に位置するのは、第3の標的特異的試薬成分セット1835である。同様に、第4の標的位置1840の電極の位置1805の近くまたは上に位置するのは、第4の標的特異的試薬成分セット1845である。
【0052】
本開示と一致する一実施形態では、第1の標的特異的試薬成分セット1815、第2の標的特異的試薬成分セット1825、第3の標的特異的試薬成分セット1835、および第4の標的特異的試薬成分セット1845は、疎水性コーティング上のDMF基板1450の表面上に堆積される。好ましくは、実施形態では、第1の標的特異的試薬成分セット1815、第2の標的特異的試薬成分セット1825、第3の標的特異的試薬成分セット1835、および第4の標的特異的試薬成分セット1845は、乾燥状態でDMF基板1450の表面上に堆積(および好ましくは印刷)される。本開示と一致して、当業者は、標的核酸に基づいて、第1の標的位置1810、第2の標的位置1820、第3の標的位置1830、および第4の標的位置1840(パドロックプローブである)に堆積または印刷される試薬成分を選択することができる。標的化核酸に基づく試薬の選択は、例えば、限定されないが、Padlock Probe Assay for Detection and Subtyping of Seasonal Influenza’by F.Neumann,et al.Clinical Chemistry,vol.64,no.12,pp.1704-1712(2018年12月1日)という先に引用した論文に開示されているように当技術分野において周知であり、ここで、標的特異的試薬成分は、インフルエンザ陽性試料を同定するためのパドロック-プローブベースの方法において選択される。実施形態では、例えば、第1の標的特異的試薬成分セット1815が第1の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第1の標的核酸に基づいて第1の標的特異的試薬成分セット1815が選択される。同様に、実施形態では、第2の標的特異的試薬成分セット1825が第2の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第2の標的特異的試薬成分セット1825は、第2の標的核酸(第1の標的核酸とは異なり得る)に基づいて選択される。同様に、実施形態では、第3の標的特異的試薬成分セット1835が第3の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第3の標的核酸(第1の標的核酸および第2の標的核酸の両方とは異なり得る)に基づいて第3の標的特異的試薬成分セット1835が選択される。さらにまた、実施形態では、第4の標的特異的試薬成分セット1845が第4の標的核酸に適切なパドロックプローブ標的配列を含むように、第4の標的核酸(第1、第2および第3の標的核酸とは異なっていてもよい)に基づいて第4の標的特異的試薬成分セット1845が選択される。
【0053】
図18はまた、試料の位置1880およびRCA-LAMP位置1850を示す。実施形態では、疎水性コーティング上のRCA-LAMP位置1850の電極の位置1805に位置するのは、RCA-LAMP反応成分1855である。さらに、本開示と一致する実施形態では、RCA-LAMP反応成分1855は、乾燥状態でRCA-LAMP位置1850に堆積される。本開示と一致して、RCA-LAMP成分1855は、RCA-LAMP成分1855中の試薬が、標的核酸にかかわらず、第1の標的特異的試薬成分セット1815、第2の標的特異的試薬成分セット1825、第3の標的特異的試薬成分セット1835、および第4の標的特異的試薬成分セット1845の各々と機能するように選択され、標的特異的試薬成分セット(本開示における1815、1825、1835、1845)の各々が、パドロックプローブ技術を使用して同定するように特に選択されるという意味で、「汎用」の試薬である。RCA-LAMP成分1855の「汎用」の試薬には、(アスタリスク「*」が付された試薬は、標的特異的試薬成分セット中のパドロックプローブ骨格と直接会合する試薬)リガーゼ緩衝液;リガーゼ酵素*;RCA-LAMP緩衝液;テトロニクス;ベタイン;オリゴヌクレオチド鎖置換(OSD)プローブ*;デオキシヌクレオチドデトリホスフェート(dNTP);順方向内側プライマー*(FIP);逆方向内側プライマー*(BIP);およびBst3*(鎖置換活性を有するポリメラーゼ)が含まれる。
【0054】
本開示と一致して、試料の位置1880におけるDMF基板1450の表面は、スペーサ1492の開口部およびトップカバー1352の開口部1368の両方を通してアクセス可能である。これにより、可動カートリッジアセンブリ160の上部を通って試料の位置1880のDMF基板1450の表面上に試料を提供することが可能になる。同様に、本開示と一致して、RCA-LAMP試料の位置1850のDMF基板1450の表面上の乾燥したRCA-LAMP反応成分1855は、スペーサ1492の開口部およびトップカバー1352の開口部1366を通してアクセス可能である。これにより、任意の乾燥したRCA-LAMP反応成分1855を水和させるために、RCA-LAMP位置1850で可動カートリッジアセンブリ160の上部を通してDMF基板1450の表面に流体を供給することができる。
図18にはまた、電極コネクタ1801が示されており、これは、本明細書の実施形態と一致して、DMF輸送グリッドインターフェース165を介して電気的「グランド」に接続することができ、スペーサ1492(導電性である)と接触することもでき、次に、透明プレート1490の底部の、疎水性コーティングが施されていない部分(例えばマスキングを介して)と接触することができ、それによって透明プレート1490の導電層部分が電気的「グランド」に接続される。
【0055】
図19は、後部フレーム1458の上面図を示す。
図19には、
図14に関連して先に論じた開口部1411、1412、1413、および1414も示されている。好ましい実施形態では、後部フレーム1458は、(上述のように上部フレーム1352に固定されたときに)可動カートリッジアセンブリ160の構成要素の相対的な順序、および構成要素間の任意の必要なギャップを構造的に維持するFR-4などであるがこれらに限定されない剛性材料から、構成することができる。一実施形態では、後部フレーム1458の全体構造は、約100mm×60mmの長方形内部にある。実施形態では、後部フレーム1458は、ミリメートル(すなわち、比較的平坦であれば約1mm)程度の厚さを有することができる。スペーサ1492が導体である好ましい実施形態では、後部フレーム1458は、一般に非導電性材料で構成することができる。
【0056】
図20~22は、
図13および
図14の例示的な可動カートリッジアセンブリの一部の断面図を示す。
【0057】
図20は、第1の標的位置1810内のDMF基板1450の断面図を含む、位置20A~Bにおける断面図を示す。その結果、
図20は、疎水性コーティング2070上の第1の標的特異的試薬成分セット1815の図を含む。DMF基板1450は、誘電体2060、基板2050、電極2005および電極コネクタ2007(電極コネクタ2007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース165に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ1492、ならびにガラス層2095、導電層2090、および疎水性コーティング2080を含むことができる透明プレート1490が示されている。誘電体2060は、パリレン-Cなどであるがこれに限定されない材料を含むことができ、約2~20ミクロンの厚さを有する層に形成することができる。
【0058】
図21は、RCA-LAMP位置1850内部のDMF基板1450の断面図を含む、位置21C~Dにおける断面図を示す。その結果、
図21は、疎水性コーティング2070のRCA-LAMP反応成分1855の図を含む。
図20に示すように、DMF基板1450は、誘電体2060、基板2050、電極2005および電極コネクタ2007(電極コネクタ2007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース165に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ1492、ならびにガラス層2095、導電層2090、および疎水性コーティング2080を含む透明プレート1490が示されている。
【0059】
図22は、試料の位置1880内部のDMF基板1450の断面図を含む、位置22E~Fにおける断面図を示す。
図20および
図21に示すように、DMF基板1450は、誘電体2060、基板2050、電極2005および電極コネクタ2007(電極コネクタ2007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース165に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ1492、ならびにガラス層2095、導電層2090、および疎水性コーティング2080を含む透明プレート1490が示されている。
【0060】
図23は、試料の混合および評価を管理するためのデータ処理システム2300の概略図である。システム2300は、プロセッサ2310、メモリモジュール2315、記憶装置2320、入力インターフェース127、ディスプレイ装置125、マイクロ流体水和および輸送モジュール2340、標的プローブ試薬反応モジュール2360、RCA-LAMP反応モジュール2365、および励起/蛍光モジュール2370を含むことができる。システム2300はまた、水和輸送グリッドインターフェース2342、加熱/冷却インターフェース2362、ならびにランプ/カメラインターフェース2372を含むことができる。システム2300は、上に列挙したもの以外、追加の、より少ない、および/または異なる構成要素を含むことができる。列挙された装置の種類および数は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0061】
プロセッサ2310は、中央処理装置(「CPU」)またはグラフィック処理装置(「GPU」)とすることができる。プロセッサ2310は、以下でより詳細に説明される様々なプロセスを実行するためにコンピュータプログラム命令のシーケンスを実行することができる。メモリモジュール2315は、とりわけ、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)および読み出し専用メモリ(「ROM」)を含むことができる。一般に、メモリモジュール2315は、非一時的コンピュータ可読媒体とすることができる。コンピュータプログラム命令は、ROMまたは任意の他の適切なメモリ位置からアクセスして読み取り、プロセッサ2310による実行のためにRAMにロードすることができる。プロセッサ2310は、1つまたは複数のプリント回路基板および/またはマイクロプロセッサチップを含むことができる。
【0062】
記憶装置2320は、情報を記憶するのに適した任意のタイプの大容量記憶装置を含むことができる。例えば、記憶装置2320は、1つまたは複数のハードディスク装置、光ディスク装置、またはデータ記憶空間を設ける任意の他の記憶装置を含むことができる。例えば、記憶装置2320は、カメラシステム180から受信したデータの処理などのデータ処理プロセスに関連するデータ、およびデータ処理プロセス中に作成された任意の中間データを記憶することができる。記憶装置2320はまた、そこに含まれるデータおよび/または情報を分析および編成するための分析および編成ツールを含むことができる。
【0063】
実施形態では、水和および輸送グリッドインターフェース2342は、DMF基板450、DMF基板1450、透明プレート490、および透明プレート1490(必要に応じて)に電気インパルス(またはインパルスのための命令)を供給して、DMF基板450の表面と透明プレート490の底部との間、またはDMF基板1450の表面と透明プレート1490の底部との間の間隙にマイクロ流体流を発生させるように構成される(必要に応じて)。別の実施形態では、水和および輸送グリッドインターフェース2342は、DMF基板450、DMF基板1450、装置100、およびシステム2300の間の双方向通信用に構成することができる。例えば、一実施形態と一致して、水和および輸送グリッドインターフェース2342は、DMF基板450(またはDMF基板1450)および/または装置100からデータを受信し、そのデータを記憶装置2320に記憶するように構成することができる。上述したように、水和および輸送グリッドインターフェース2342は、制御命令をDMF基板450(またはDMF基板1450)に送信して、DMF基板450(またはDMF基板1450)上の流体アリコートの移動を開始および終了するようにさらに構成することができる。水和および輸送グリッドインターフェース2342は、DMF基板450(またはDMF基板1450)および/または装置100に制御命令を送信して水和動作を開始および終了するようにさらに構成することができる。例えば、装置100は、水和および輸送グリッドインターフェース2342に結合された流体リザーバ(図示せず)を含むことができ、流体リザーバは、水和および輸送グリッドインターフェース2342から制御命令を受信すると、RCA-LAMP位置850(またはRCA-LAMP位置1850)に流体を供給するように構成される。実施形態では、デジタルマイクロ流体水和および輸送モジュール2340は、DMF基板450、DMF基板1450上の流体アリコートの輸送に関連し、DMF基板450およびDMF基板1450に堆積または印刷することができる水和乾燥成分に関連するデータおよび処理命令を管理するように構成することができる。DMF基板450の表面と透明プレート490の底部との間、またはDMF基板1450の表面と透明プレート1490の底部との間の間隙におけるマイクロ流体流を制御するための本開示の一実施形態と一致するソフトウェア(必要に応じて)、ならびに本開示の一実施形態と一致するハードウェアの部分は、GAUDILABSからプラットフォーム名OPENDROPでhttps://gaudishop.ch/index.php/product/opendrop-v4-digital-microfluidics-platform/で入手可能である。
【0064】
実施形態では、加熱/冷却インターフェース2362はまた、DMF基板450、DMF基板1450、加熱/冷却装置190、およびシステム2300の間の双方向通信のために構成することができる。一実施形態に一致して、加熱/冷却インターフェース2362は、DMF基板450(またはDMF基板1450)(またはDMF基板450および/またはDMF基板1450に隣接するセンサ)および/または加熱/冷却装置190からデータを受信し、データを記憶装置2320に記憶するように構成することができる。加熱/冷却インターフェース2362は、加熱および冷却動作を開始および終了するために加熱/冷却装置190に制御命令を送信するようにさらに構成することができる。
【0065】
実施形態では、標的プローブ試薬反応モジュール2360は、標的特異的試薬成分セットおよび試料のアリコートのアニーリングおよびライゲーションに関連するデータおよび処理命令を管理するように構成することができる。さらにまた、実施形態では、RCA-LAMP反応モジュール2365は、の標的位置でのRCA-LAMPプロセスに関連するデータおよび処理命令を管理するように構成することができる。
【0066】
本開示と一致して、ランプ/カメラインターフェース2372は、カメラシステム180とシステム2300との間の双方向通信のために構成することができる。一実施形態によれば、ランプ/カメラインターフェース2372は、カメラシステム180からデータを受信し、そのデータを記憶装置2320に記憶するように構成することができる。ランプ/カメラインターフェース2372は、励起放射を開始および終了し、蛍光を監視するためのカメラ動作を開始および停止するために、ランプ170およびカメラシステム180に制御命令を送信するようにさらに構成することができる。
【0067】
実施形態では、励起/蛍光モジュール2370は、励起放射の供給および標的位置からの蛍光の監視に関連するデータおよび処理命令を管理するように構成することができる。
【0068】
システム2300は、入力インターフェース127を使用してユーザによってアクセスおよび制御することができる。入力インターフェース127は、ユーザがデータ処理システム2300に情報を入力するために利用可能とすることができ、例えば、キー基板、マウス、タッチスクリーン、および/または光学もしくは無線コンピュータ入力装置を含むことができる。ユーザは、入力インターフェース127を介して制御命令を入力して、DMF処理システム110、加熱/冷却装置190、ランプ170、および/またはカメラシステム180の動作を制御することができる。
【0069】
システム2300はまた、ディスプレイ125を介して視覚化された情報をユーザに提供することができる。例えば、ディスプレイ125は、コンピュータ画面を含み、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)をユーザに利用可能にすることができる。ディスプレイ125は、RCA-LAMPプロセス中にDMF基板450(またはDMF基板1450)の標的位置の画像を表示することができる。別の実施形態と一致して、ディスプレイ125はまた、提供された試料で識別された生物学的物品の特定の特性を示す簡略化された検査レポートまたは単純なインジケータをユーザに表示することもできる。
【0070】
図24は、可動カートリッジアセンブリ150を有する装置100の例示的な動作と一致するDMF基板450の上面図を示す。(可動カートリッジアセンブリ150を有する装置100の動作の説明は、
図24~
図33で以下に提示されるが、当業者は、可動カートリッジアセンブリ160を有する装置100の動作を直ちに理解し、認識するべきである)
【0071】
図24は、先に
図8に示したDMF基板450の図を示す。しかし、
図24では、試料2410はDMF基板450の表面2450に導入されている。本開示と一致して、上述のように、試料2410は、可動カートリッジアセンブリ150の上部から開口部368を通してDMF基板450の表面2450に導入されてもよい。
【0072】
本開示と一致して、試料2410は液体である。一実施形態では、試料2410は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの水と混和しない疎水性油または同様の流体を5~20体積%添加することができる。当業者は、そのような疎水性油の5~20体積%の添加が、加熱中の試料液滴の蒸発を最小限に抑えることができることを理解するであろう。
【0073】
図25は、表面2450の図を示し、いかに試料2410の単一のアリコート(または一連のアリコート)が、デジタルマイクロ流体力学を使用して表面2450を横切って輸送され、標的位置に到達するかを示す。例えば、矢印2515は、第1の標的位置810へのアリコート2510の可能な経路を示す。矢印2525は、第2の標的位置820へのアリコート2510の可能な経路を示す。矢印2535は、第3の標的位置830へのアリコート2510の可能な経路を示す。矢印2545は、アリコート2510の第4の標的位置840への可能な経路を示す。
【0074】
図26は、デジタルマイクロ流体力学システム2600の断面図を提示し、矢印2515によるアリコート2510の移動を示す。
図26に示すように、電極1005には(電気的「グランド」に対して)電荷が供給されない。しかしながら、電極2605には、その関連する電極コネクタ1007を介して電荷が供給される。電極2605に電荷が存在すると、アリコート2510が電極2605の方向に移動する。DMF処理システムと一致して、アリコート2510が電極2605の上にきた後、その電極を「グランド」に戻すことができ、矢印2515の方向の次の後続の電極には「グランド」に対する電荷が供給される。このようにして、アリコート2510は、
図25の表面2450を横切って輸送される。
【0075】
図27は、第1の標的位置810内部のDMF基板450の断面図を含む位置10A~Bにおける断面図を示し、疎水性コーティング1070第1の標的特異的試薬成分セット815にわたり輸送されているアリコート2510も示す。すでに示したように、DMF基板450は、誘電体1060、基板1050、電極1005および電極コネクタ1007(電極コネクタ1007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース155に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ492、ならびにガラス層1095、導電層1090、および疎水性コーティング1080を含む透明プレート490が示されている。さらに、加熱/冷却装置190は、第1の標的位置810の下方に位置するように示されている。
【0076】
図27に示すように、本開示と一致して、電極1005には(電気的「グランド」に対して)電荷が供給されない。しかしながら、電極2605には、その関連する電極コネクタ1007を介して電荷が供給される。電極2605に電荷が存在すると、アリコート2510は、疎水性コーティング1070の第1の標的特異的試薬成分セット815の上で電極2605の方向に移動する。このようにして、アリコート2510が電極2605の上にある場合、その電極を(
図28に示す)「グランド」に戻すことができ、
図27からのアリコート2510は、
図27からの第1の標的特異的試薬成分セット815と混合して、
図28に示す第1の混合物2815を形成する。
【0077】
本開示と一致して、
図27および
図28に示すように、試料2410のアリコート2510は、第1の標的位置810に位置する予め指定された電極上に輸送されており、第1の標的特異的試薬成分セット815は、堆積または印刷されている(標的特異的パドロックプローブ、ライゲーション酵素、およびライゲーション反応を進行させるのに必要な緩衝成分を含む)。
【0078】
アリコート2510が第1の標的位置810に到達すると、アリコート2510は堆積(または印刷)された試薬815を吸収し、それにより、それらは液体試料2815の一部になる。
【0079】
本開示と一致して、加熱/冷却装置190は、第1の混合物2815が約95℃の温度に達するまで、第1の混合物2815に熱2892を供給する。これにより、パドロックプローブは試料2410の核酸配列にアクセスすることができる。次いで、第1の混合物2815を冷却し(または冷却を可能にし)、試料の核酸配列がパドロックプローブの標的特異的相補配列と一致する場合、パドロックプローブは円形の証拠を形成する。次いで、リガーゼは、円形の証拠が永続的になるように、2つのパドロックプローブ標的特異的アームを共有結合で連結する。本開示と一致して、試料2410が標的遺伝物質を含有しない場合、パドロックプローブのライゲーションは起こらない。
【0080】
図29は、表面2450の図を示し、いかにして水和されたRCA-LAMP反応成分2955の単一のアリコート2951(または一連のアリコート2952、2953および/または2954)が、デジタルマイクロ流体力学を使用して表面2450を横切って輸送され、標的位置に到達し得るかを示す。例えば、矢印2916は、第1の標的位置810への第1のアリコート2951の可能な経路を示す。矢印2926は、第2の標的位置820へのアリコート2952の可能な経路を示す。矢印2936は、第3の標的位置830へのアリコート2953の可能な経路を示す。矢印2946は、アリコート2954の第4の標的位置840への可能な経路を示す。本開示と一致して、第1のアリコート2951、第2のアリコート2952、第3のアリコート2953および第4のアリコート2954は、10マイクロリットル未満の水和されたRCA-LAMP反応成分2955からなり得る。
【0081】
さらにまた、本開示と一致して、RCA-LAMP反応成分855が乾燥形態で堆積される場合、RCA-LAMP反応成分855は、
図29に示す操作の前に、RCA-LAMP位置850でDMF基板450の表面2450に導入された流体の導入によって水和され得る。本開示と一致して、上述のように、流体は、可動カートリッジアセンブリ150の上部から開口部366を通ってRCA-LAMP位置850でDMF基板450の表面2450に導入され得る。RCA-LAMP成分855を水和させる目的のそのような流体は、試料2410が導入されるとき、またはその後に、導入することができる。さらに、装置100は、まさにこの目的のために、マイクロ流体水和および輸送モジュール2340に結合され、その制御下にある流体リザーバを含むことができる。
【0082】
第1のアリコート2951、第2のアリコート2952、第3のアリコート2953、および第4のアリコート2954が、デジタルマイクロ流体力学システム2600を使用して(それぞれ)第1の標的位置810、第2の標的位置820、第3の標的位置830、および第4の標的位置840に輸送された後、各アリコートは、各標的位置にすでに存在する流体と混合する。
図29に示すように、これらの以前に存在していた混合物は、第1の混合物2815、第2の混合物2925、第3の混合物2935、および第4の混合物2945を含む。
【0083】
本開示と一致して、標的位置の各々の流体混合物は、再び加熱されるが、約65℃までしか加熱されない。これらの混合物は、
図30に示す第1の混合物3015となる、第1の標的位置810における第1のアリコート2951と第1の混合物2815との混合物;
図30に示す第2の混合物3025となる、第2の標的位置820における第2のアリコート2952と第2の混合物2925との混合物;
図30に示す第3の混合物3035となる、第3の標的位置830における第3のアリコート2953と第3の混合物2935との混合物;および
図30に示される第4の混合物3045となる、第4の標的位置840における第4のアリコート2954および第4の混合物2945の混合物を含む。この温度で、パドロックプローブ骨格に特異的なLAMPプライマー(すべての標的特異的パドロックプローブに共通)およびポリメラーゼがライゲーションされたパドロックプローブに結合し、LAMP反応を開始する。反応が進行するにつれて、オリゴヌクレオチド鎖置換(OSD)プローブがLAMP産生物のループ領域に結合する。これにより、OSDクエンチャーがプローブから除去され、OSDプローブに結合したフルオロフォアからの消光されていない蛍光が可能になる。より多くのLAMP増幅が起こるにつれて、より多くのLAMPループ産生物が作製され、より多くのOSDプローブが結合し、より多くの蛍光を生成する。
【0084】
図30は、表面2450のビューを示し、蛍光3065が生成されたかどうかを判定するために、標的位置810、820、830、および840(それぞれ)における最終混合物3015、3025、3035、および3045が、ランプ170からの励起放射3010によってどのように照射され得るかを示す。
図30の混合物の蛍光は、カメラシステム180を用いてリアルタイムで監視することができ、カメラシステム180は適切なフィルタを含むことができる。やはり、試料2410が標的遺伝物質を含有しない場合、パドロックプローブのライゲーションは起こらない。したがって、LAMP反応は、ライゲーションパドロックプローブの非存在下で開始することができず、標的遺伝物質を含まない試料2410は蛍光を発することができない。
【0085】
図31は、第1の標的位置810内部のDMF基板450の断面図を含む位置10A~Bにおける断面図を示し、疎水性コーティング1070の第1の混合物2815と混合するために輸送される第1のアリコート2951も示す。すでに示したように、DMF基板450は、誘電体1060、基板1050、電極1005および電極コネクタ1007(電極コネクタ1007は、次に、DMF輸送グリッドインターフェース155に接続し、DMFプロセッサシステム110の制御下にある)をさらに含む。スペーサ492、ならびにガラス層1095、導電層1090、および疎水性コーティング1080を含む透明プレート490が示されている。さらに、加熱/冷却装置190は、第1の標的位置810の下方に位置するように示されている。
【0086】
図31に示すように、本開示と一致して、電極1005には(電気的「グランド」に対して)電荷が供給されない。しかしながら、電極2605には、その関連する電極コネクタ1007を介して電荷が供給される。電極2605に電荷が存在すると、アリコート2951が電極2605の方向に移動して、第1の混合物2815と混合する。このようにして、アリコート2951が電極2605の上にある場合、その電極を(
図28に示す)「グランド」に戻すことができ、
図30からのアリコート2951は、
図30からの第1の混合物2815と混合して、
図32に示す第1の混合物3015を形成する。
【0087】
本開示と一致して、
図31および
図32に示すように、加熱/冷却装置190は、第1の混合物3015が約65℃の温度に達するまで、第1の混合物3015に熱3292を供給する。
図32はまた、
図33に示すビュー33Aに関連する斜視図を示す。
【0088】
図33は、DMF基板450の一部の断面図を示し、蛍光3065が生成されるかどうかを決定するために、第1の標的位置810における第1の混合物3015がランプ170からの励起放射3010によってどのように照射され得るかを示す。
【0089】
本開示と一致して、異なるパドロックプローブが第1の標的位置810、第2の標的位置820、第3の標的位置830、および第4の標的位置840のそれぞれに位置する空間多重化により、単一の試料2410を異なる標的について分析することができる。同様に、異なる試料は、同じプラットフォームの異なる位置で(同じまたは異なる標的について)独立して分析することができる。当業者は、可動カートリッジアセンブリ160が、例えば、追加の試料を収容することができる試料の位置1880およびRCA-LAMP位置1850に加えてリザーバ位置を設けることを理解するであろう。この空間多重化は、デジタルマイクロ流体力学を介した試料および反応物質の輸送によって可能になる。蛍光をもたらす上記の配列特異的プローブは、本開示と一致するLAMP検出の1つの方法である。本開示と一致する別の実施形態では、最終混合物(3015、3025、3035、3045)が形成されるときに存在するように、マグネシウム、カルシウムまたはマンガンなどの二価金属イオンを添加することができる。この代替実施形態では、これらのイオンは、LAMPが進行するにつれて沈殿するLAMP副産物(ピロリン酸塩)と錯体を形成することができる。沈殿物のこの濁度を測定または観察して、LAMP反応が起こったかどうかを判定し、それによって標的核酸の同定を確認することができる。さらに、別の実施形態では、LAMP検出の方法は、SYBR Green、EvaGreen、SYBR Gold、SYBR Safe、ベルベリンなどのDNAインターカレート色素の使用を含むことができる。
【0090】
本開示と一致して、実施形態では、パドロックプローブ骨格は、1)配列特異的プローブ結合部位;2)B1プライマー結合部位、B2プライマー結合部位;3)F1プライマー結合部位に対する補体配列、F2プライマー結合部位に対する補体配列、およびループプライマー結合部位に対する補体配列を含み得る。
【0091】
図34および
図35は、本明細書に開示される試料の物質の核酸同定のための方法と一致するフローチャートを示す。
【0092】
図34および
図35は、可動カートリッジアセンブリを有するマイクロ流体力学システムを設けるステップ3405を含む。本開示と一致して、そのようなマイクロ流体力学システムは、可動カートリッジアセンブリ150および/または可動カートリッジアセンブリ160を有するデジタルマイクロ流体力学システム2600を含むことができる。次に、
図34および
図35は、可動カートリッジアセンブリ上に試料を分配し(ステップ3410)、続いて表面上に受容された試料のアリコートを標的位置に輸送する(ステップ3415および/またはステップ3515)ことを示す。本開示と一致して、
図34および
図35は次に、試料のアリコート(例えば、試料2410)および第1の標的位置で第1の標的特異的試薬成分セット(例えば、成分815)を混合するステップ(ステップ3420および/またはステップ3520)を示す。試料のアリコートが第1の標的位置(例えば、第1の標的位置810)で第1の標的特異的試薬成分セットと混合された後、
図34および
図35は、混合物を約95℃に加熱し、続いて冷却することによって、試料のアリコートと混合された第1の標的特異的試薬成分セットをアニーリングおよびライゲーションするステップ(ステップ3445および/またはステップ3545)を示す。
【0093】
本開示と一致して、
図34および
図35の方法はまた、可動カートリッジアセンブリのRCA-LAMP反応成分を水和させるステップ(ステップ3450)を含むことができる。当業者は、ステップ3450がステップ3445(またはステップ3545)に続く必要はないが、ステップ3410の前など、より早く行われ得ることを理解するであろう。
【0094】
本開示と一致して、
図34および
図35の方法は、可動カートリッジアセンブリの水和されたRCA-LAMP反応成分のアリコートを第1の標的位置に輸送するステップ(ステップ3455および/またはステップ3555)を含む。ステップ3460(および/またはステップ3560)は、水和されたRCA-LAMP反応成分のアリコートを、ステップ3445(および/またはステップ3545)によって予め設けられた、第1の標的位置に存在する混合物と混合することを含む。
【0095】
本開示と一致するステップ3485(および/またはステップ3585)は、第1の標的位置の流体を約65℃に加熱することを備える。
【0096】
実施形態はまた、第1の標的位置に励起放射を供給すること(ステップ3490および/またはステップ3590)と、第1の標的位置からの蛍光を監視すること(ステップ3495および/またはステップ3595)とを含み得る。
【0097】
さらなる実施形態と一致して、
図35は、表面上に受容された試料の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するさらなるステップ(ステップ3525)を含む。
図35は、試料の第2のアリコート(例えば、試料2410)と、第2の標的位置での第2の標的特異的試薬成分セット(例えば、成分825)とを混合するステップ(ステップ3530)をさらに示す。試料のアリコートがそれぞれの位置でそれぞれの標的特異的試薬成分セットと混合された後、
図35は、試料の第1のアリコートと混合された第1の標的特異的試薬成分セットをアニーリングおよびライゲーションし、各混合物を約95℃に加熱し、続いて冷却することによって、試料の第1第2と混合された第2の標的特異的試薬成分セットをアニーリングおよびライゲーションするステップ(ステップ3545)を示す。
【0098】
本開示と一致して、
図35の方法はまた、可動カートリッジアセンブリのRCA-LAMP反応成分を水和させるステップ(ステップ3450)を含むことができる。当業者は、ステップ3450は、ステップ3545に続く必要はないが、ステップ3410の前など、より早く行われ得ることを理解するであろう。
【0099】
本開示と一致して、
図35の方法は、可動カートリッジアセンブリの水和されたRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを第2の標的位置に輸送するさらなるステップ(ステップ3565)を含む。ステップ3570は、水和されたRCA-LAMP反応成分の第2のアリコートを、ステップ3545によって予め設けられた第2の標的位置に存在する混合物と混合することを含む。
【0100】
本開示と一致するステップ3585は、第2の標的位置の流体を約65℃に加熱することを備える。
【0101】
実施形態はまた、第1の標的位置に励起放射を供給すること(ステップ3590)と、第2の標的位置からの蛍光を監視することステップ3596)とを含み得る。
【0102】
当業者は、本明細書に開示される実施形態が、POC診断、集団スクリーニング、緊急対応状況、生物/化学的防御、食品試験、環境試験、および無重力環境での生物学的試験を含むがこれらに限定されない任意の試料タイプ(一旦精製されている)を使用して生物学的標的を同定するために、多くの環境で使用され得ることを理解するであろう。
【0103】
上記の説明は、例示を目的として提示されている。これは網羅しているものではなく、開示された正確な形態または実施形態に限定されていない。実施形態を変更および適合させることは、開示された実施形態の明細書および実施を考慮することから明白である。特定の構成要素が互いに結合されるものとして説明されてきたが、そのような構成要素は、互いに統合されてもよく、または任意の適切な方法で分配されてもよい。
【0104】
さらに、例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、範囲は、本開示に基づく同等の要素、修正、省略、組合せ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)、適合および/または変更を有するありとあらゆる実施形態を含む。特許請求の範囲の要素は、特許請求の範囲で使用される文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載された例または出願の審査中の例に限定されず、その例は非排他的であると解釈されるべきである。さらに、開示された方法のステップは、ステップの並べ替えおよび/またはステップの挿入もしくは削除を含む任意の方法で修正することができる。
【0105】
本開示の特徴および利点は、詳細な明細書から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神および範囲の中に入るすべてのシステム、方法、および非一時的コンピュータ可読媒体を包含することが意図されている。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、「1つまたは複数」を意味する。同様に、複数の用語を使用することは、所与の文脈において明確でない限り、必ずしも複数あることを示すものではない。「および」または「または」などの単語は、特に他に明記しない限り、「および/または」を意味する。さらに、本開示を検討することから多数の修正および変形が容易に生じるので、本開示を、図示および説明された正確な構造および動作に限定することは望ましくなく、したがって、すべての適切な修正および等価物に頼ることができ、それらは本開示の範囲の中に含まれる。
【0106】
他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書に開示される実施形態の実施から明らかであろう。本明細書および実施例は、例としてのみ考慮されることが意図され、開示された実施形態の真の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】