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特表2024-516541ベースライン特性を使用する血管新生型加齢黄斑変性に対する処置予後予測
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  • 特表-ベースライン特性を使用する血管新生型加齢黄斑変性に対する処置予後予測 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ベースライン特性を使用する血管新生型加齢黄斑変性に対する処置予後予測
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240409BHJP
   A61P 27/02 20060101ALN20240409BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61P27/02
A61K39/395 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561274
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 US2022023931
(87)【国際公開番号】W WO2022217001
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,063
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アネゴンディ, ネハ ステークシュナ
(72)【発明者】
【氏名】タイ, チエン
(72)【発明者】
【氏名】カウチンスキー, マイケル グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】キクチ, ユウスケ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C085
4C316
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE01
4C316AA09
4C316AA13
4C316AA25
4C316AB02
4C316AB11
4C316AB16
(57)【要約】
処置予後を予測するための方法およびシステムが提供される。対象の網膜に関する3次元撮像データが受信される。深層学習システムおよび3次元撮像データを使用して第1の出力が生成される。第1の出力およびベースラインデータは記号モデルのための入力として受信される。記号モデルにより、入力を使用して、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後が予測される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置予後を予測するための方法であって、
対象の網膜に関する3次元撮像データを受信することと、
深層学習システムおよび前記3次元撮像データを使用して第1の出力を生成することと、
記号モデルのための入力として前記第1の出力およびベースラインデータを受信することと、
前記記号モデルにより、前記入力を使用して、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている前記対象に対する処置予後を予測することとを含む、方法。
【請求項2】
前記3次元撮像データは光干渉断層撮影(OCT)撮像データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベースラインデータは、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースライン中心領域網膜厚測定値、ベースライン低輝度欠損、または処置群のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記属性データは年齢または性別のうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処置予後は、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、または中心領域網膜厚の予測された減少のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベースラインデータはベースライン視力測定値を含み、
前記第1の出力を使用して前記ベースライン視力測定値を特定することをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記処置予後は、ベースライン時点後nカ月目で予測され、前記nカ月目は、前記ベースライン時点後の3カ月~30カ月のひと月として選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記処置は、血管内皮増殖因子を対象にしたモノクローナル抗体およびアンジオポイエチン2阻害薬を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記処置はファリシマブを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測するための方法であって、
深層学習システム、および前記対象の網膜に関する3次元撮像データを使用して第1の予測された予後を生成することと、
記号モデル、および前記対象に関するベースラインデータを使用して第2の予測された予後を生成することと、
前記第1の予測された予後および前記第2の予測された予後を使用して前記nAMDの処置を受けている前記対象に対する前記処置予後を予測することとを含む、方法。
【請求項11】
前記予測することは、
前記第1の予測された処置予後および前記第2の予測された処置予後の加重平均として前記処置予後を予測することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記3次元撮像データは光干渉断層撮影(OCT)撮像データを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベースラインデータは、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースライン中心領域網膜厚測定値、ベースライン低輝度欠損、または処置群のうちの少なくとも1つを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記属性データは年齢または性別のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の予測された処置予後、前記第2の予測された処置予後、および前記処置予後のそれぞれは、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、または中心領域網膜厚の予測された減少のうちの少なくとも1つを含む、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)と診断された対象に対する抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)処置を管理するためのシステムであって、
機械実行可能コードを含む機械可読媒体を含有するメモリと、
前記メモリに結合されたプロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記プロセッサに、
対象の網膜に関する3次元撮像データを受信することと、
深層学習システムおよび前記3次元撮像データを使用して第1の出力を生成することと、
記号モデルのための入力として前記第1の出力およびベースラインデータを受信することと、
前記記号モデルにより、前記入力を使用して、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受ける前記対象に対する処置予後を予測することとを行わせる前記機械実行可能コードを実行するように構成される、システム。
【請求項17】
前記3次元撮像データは光干渉断層撮影(OCT)撮像データを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ベースラインデータは、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースライン中心領域網膜厚測定値、ベースライン低輝度欠損、または処置群のうちの少なくとも1つを含む、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記処置予後は、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、または中心領域網膜厚の予測された減少のうちの少なくとも1つを含む、請求項16から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記処置はファリシマブを含む、請求項16から18のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:
Neha Anegondi、Jian Dai、Michael Kawczynski、Yusuke Kikuchi
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月7日に出願された「Treatment Outcome Prediction for Neovascular Age-Related Macular Degeneration using Baseline Characteristics」という名称の米国仮特許出願第63/172,063号の優先権を主張するものであり、この出願全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書は、一般に、加齢黄斑変性と診断された対象の処置予後を予測することを対象とする。より具体的には、本明細書は、対象に対して特定されたベースラインデータを使用して血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)と診断された対象の処置予後を予測するための方法およびシステムを提供する。
【背景技術】
【0003】
加齢黄斑変性(AMD)は、黄斑と呼ばれる、眼の網膜の中心領域に影響を及ぼす疾患である。AMDは、50歳以上の対象における視力喪失の主な原因である。血管新生型AMD(nAMD)は、AMDの2つの進行期のうちの1つである。nAMDでは、新しく異常な血管が黄斑の下で制御不能に増殖する。この種の増殖は、腫脹、出血、線維症、他の問題、またはそれらの組み合わせを引き起こし得る。nAMDの処置は、典型的には、抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)療法(例えば、ラニビズマブなどの抗VEGF薬)を含む。そのような処置に対する網膜の応答は、少なくとも部分的に対象特異的であり、その結果、異なる対象は、同じタイプの抗VEGF薬に対して異なって応答し得る。さらに、抗VEGF療法は、典型的には硝子体内注射によって投与されるが、これは高価であり、それ自体が合併症(例えば、失明)を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
1つまたは複数の実施形態では、処置予後を予測するための方法が提供される。対象の網膜に関する3次元撮像データが受信される。深層学習システムおよび3次元撮像データを使用して第1の出力が生成される。第1の出力およびベースラインデータは記号モデルのための入力として受信される。記号モデルにより、入力を使用して血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後が予測される。
【0005】
1つまたは複数の実施形態では、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測するための方法が提供される。第1の予測された予後は、深層学習システム、および対象の網膜に関する3次元撮像データを使用して生成される。第2の予測された予後は、記号モデル、および対象に関するベースラインデータを使用して生成される。第1の予測された予後および第2の予測された予後を使用してnAMDの処置を受けている対象に対する処置予後が予測される。
【0006】
1つまたは複数の実施形態では、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)と診断された対象に対する抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)処置を管理するためのシステムは、機械実行可能コードを含む機械可読媒体を含有するメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備える。プロセッサは、対象の網膜に関する3次元撮像データを受信することと、深層学習システムおよび3次元撮像データを使用して第1の出力を生成することと、記号モデルのための入力として第1の出力およびベースラインデータを受信することと、記号モデルにより、入力を使用して、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測することとをプロセッサに行わせる機械実行可能コードを実行するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のデータプロセッサと、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されるとき、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部を1つまたは複数のデータプロセッサに実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを含むシステムが提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、非一時的機械可読記憶媒体に有形に具現化され、かつ1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部または全部を実行させるように構成される命令を含む、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されると、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部もしくは全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部もしくは全部を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つまたは複数の方法の一部もしくは全部および/または1つまたは複数のプロセスの一部もしくは全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化された、コンピュータプログラム製品を含む。
【0010】
用いられた用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示されかつ説明された特徴のいかなる均等物またはその部分も除外する意図はなく、特許請求された発明の範囲内でさまざまな修正が可能であることが認識される。
【0011】
よって、特許請求された本発明は、実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって使用されてもよく、そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることは理解されるべきである。
【0012】
本明細書に開示された原理およびそれらの利点をさらに詳しく理解するために、ここで、添付の図面と併せて以下の説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】さまざまな実施形態による予測システムのブロック図である。
図2】さまざまな実施形態による処置予後を予測するためのプロセスのフローチャートである。
図3】さまざまな実施形態による処置予後を予測するためのプロセスのフローチャートである。
図4】さまざまな実施形態による処置予後を予測するためのプロセスのフローチャートである。
図5】1つまたは複数の実施形態による処置予後を予測する際のモデルスタッキングおよびモデル平均化アプローチに関する性能データを示す表である。
図6】1つまたは複数の実施形態による処置予後を予測する際のモデルスタッキングおよびモデル平均化アプローチに関する性能データを示す表である。
図7】1つまたは複数の実施形態によるコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、図内の物体は必ずしも互いに縮尺通りに描かれているわけではないことを理解されたい。図は、本明細書に開示された装置、システム、および方法のさまざまな実施形態に明確さおよび理解をもたらすことを意図した描写である。可能な限り、同じまたは同様の部分を指すために図面全体を通して同じ参照符号が使用される。さらに、図面は、本教示の範囲を決して限定するものではないことを理解されるべきである。
【0015】
I.概要
加齢黄斑変性(AMD)処置への、および、多くの場合、とりわけ、血管新生型AMD(nAMD)処置への対象の応答を判定することは、対象の視力応答、対象の中心窩厚の減少、またはその両方を判定することを含み得る。対象の視力は、対象が所与の距離で文字または数字を判別する能力によって測定され得る、対象の視覚の鮮明度である。視力は、しばしば、視力検査によって確認され、標準的なスネレン視力表に従って測定される。網膜画像は、対象の視力を推定するために使用され得る情報を提供し得る。例えば、光干渉断層撮影(OCT)画像を使用して、OCT画像が取り込まれた時点での対象の視力を推定し得る。中心領域網膜厚(CST)とも称される中心窩厚は、中心の直径1mmの領域における平均黄斑厚として定義され得る。CSTはまた、OCT画像を使用して測定されてよい。
【0016】
しかしながら、例えば臨床治験など、ある特定の場合には、AMD処置(例えば、nAMD処置)への対象の将来の応答を予測することができることが望ましい場合がある。例えば、対象の視力が処置後の選択された期間(例えば、処置後6カ月、処置後9カ月、処置後12カ月、処置後24カ月など)に改善しているかどうかを予測することが望ましい場合がある。さらに、任意のそのような視力の改善を分類することが望ましい場合がある。場合によっては、対象がCSTの減少(例えば、何らかのCSTの減少、または選択された閾値を上回る減少)を経験することになるかどうかを予測することが望ましい場合がある。そのような予測および分類は、所与の対象に対して個別化される処置レジメンを可能にし得る。例えば、特定のAMD処置に対する対象の視力応答に関する予測を使用して、注射投与量、注射が行われる間隔、またはその両方をカスタマイズし得る。さらに、そのような予測は、処置にあまり応答しないと予測された対象の除外を可能にすることによって、臨床治験スクリーニング、事前スクリーニング、またはその両方を改善し得る。
【0017】
よって、本明細書に説明されるさまざまな実施形態は、AMD処置(例えば、nAMD処置)に応答して対象に対する処置予後を予測するための方法およびシステムを提供する。とりわけ、ベースラインデータは、記号モデルに入力され、そのような処置を受けた対象の予後を予測するために使用される。予後は、例えば、限定はされないが、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、中心領域網膜厚の予測された減少、またはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、記号モデルに送られた入力は、ベースラインデータ、および、3次元撮像データ(例えば、OCT撮像データ)に基づいて生成された出力(例えば、先に生成された予測された予後)の両方を含む。例えば、OCT撮像データは、ベースラインデータと組み合わせられる予測された予後を生成するために深層学習システムにより処理され得る。このように、ベースラインデータおよびこの予測された予後は、記号モデルに送られる入力を形成するために融合される。
【0018】
他の実施形態では、記号モデルは、ベースラインデータを使用して第1の出力を生成するために使用されてよく、深層学習システムは、3次元撮像データを使用して第2の出力を生成するために使用される。これら2つの出力は、予測された処置予後を含むまたは示す予後出力を形成するために、組み合わせ、融合、あるいは統合される。例えば、第1の出力および第2の出力は、それぞれ、第1の予測された予後および第2の予測された予後であってよい。これら2つの予測された予後の加重平均(例えば、等しく重み付けされた平均)は、対象に対する最終処置予後として使用され得る。
【0019】
上述された改善を提供することができる方法およびシステムの重要性および有用性を認識しかつ考慮に入れて、本明細書に説明される実施形態は、AMD処置(例えば、nAMD処置)への視力応答を予測するための方法およびシステムを提供する。より具体的には、本明細書に説明される実施形態は、ベースライン時点後の選択された時点(例えば、6カ月、9カ月、12カ月、24カ月など)でnAMD処置を受けている対象の処置予後を予測するために記号モデルを使用してベースラインデータを処理するための方法およびシステムを提供する。ベースライン時点は、例えば、限定はされないが、処置の1日目であってよい。本明細書に説明される方法およびシステムを使用することは、nAMD処置を受けている対象の処置予後を予測するために必要とされる全体的な計算資源および/または時間を低減する技術的効果を有し得る。さらに、該方法およびシステムを使用することによって、対象の処置予後を、他の方法およびシステムと比較して、より効率的にかつ精確に予測することが可能になり得る。
【0020】
さらに、本明細書に説明される実施形態は、個々の対象についての個別化された処置レジメンの作成を容易にして、適切な投与量および/または処置投与(例えば、注射)間の間隔を確実にし得る。とりわけ、本明細書に説明される実施形態は、精確で効率的で便宜的な個別化された処置または投与スケジュールの生成に役立つ場合があり、臨床コホート選択または臨床治験設計を向上させ得る。
【0021】
II.血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)処置予後の予測
II.A.AMD処置予後を予測するための例示的な予測システム
図1は、さまざまな実施形態による予測システム100のブロック図である。予測システム100は、AMD処置に関して1人または複数人の対象の処置予後を予測するために使用される。nAMD処置であり得るAMD処置は、例えば、限定はされないが、抗VEGF処置、抗体処置、別のタイプの処置、またはこれらの組み合わせを含み得る。抗VEGF処置は、例えば、硝子体内注射によって投与され得るラニビズマブを含んでよい。抗体処置は、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF)を対象にしたモノクローナル抗体処置およびアンジオポイエチン2阻害薬であってよい。1つまたは複数の実施形態では、抗体処置はファリシマブを含む。
【0022】
予測システム100は、コンピューティングプラットフォーム102と、データストレージ104と、ディスプレイシステム106とを含む。コンピューティングプラットフォーム102はさまざまな形態を取ってよい。1つまたは複数の実施形態では、コンピューティングプラットフォーム102は、単一のコンピュータ(もしくはコンピュータシステム)または互いに通信する複数のコンピュータを含む。他の例では、コンピューティングプラットフォーム102は、クラウドコンピューティングプラットフォームの形態を取る。いくつかの例では、コンピューティングプラットフォーム102は、モバイルコンピューティングプラットフォーム(例えば、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチなど)の形態を取る。
【0023】
データストレージ104および表示システム106はそれぞれ、コンピューティングプラットフォーム102と通信する。いくつかの例では、データストレージ104、表示システム106、またはこの両方は、コンピューティングプラットフォーム102の一部と見なされ得るあるいはこれと統合され得る。よって、いくつかの例では、コンピューティングプラットフォーム102、データストレージ104、および表示システム106は、互いに通信する別個の構成要素であり得るが、他の例では、これらの構成要素の何らかの組み合わせが統合される場合がある。
【0024】
予測システム100は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを使用して実装され得るデータアナライザ108を含む。1つまたは複数の実施形態では、データアナライザ108は、コンピューティングプラットフォーム102に実装される。データアナライザ108は、予後出力114を予測する(または生成する)ためにモデルシステム112を使用して入力のセット110を処理する。
【0025】
モデルシステム112は、任意の数の人工知能モデルもしくは機械学習モデルまたは人工知能モデルもしくは機械学習モデルの任意の組み合わせを含み得る。1つまたは複数の実施形態では、モデルシステム112は、第1の予後予測モデル116および第2の予後予測モデル118を含む。1つまたは複数の実施形態では、第1の予後予測モデル116は、例えば、1つまたは複数のニューラルネットワークを含み得る深層学習システムを含み、これらの1つまたは複数のニューラルネットワークのうちの少なくとも1つは、深層学習ニューラルネットワーク(または深層ニューラルネットワーク)(DNN)である。1つまたは複数の実施形態では、第2の予後予測モデル118は記号モデルを含み、記号モデルは、記号学習または記号推論を使用する1つまたは複数のモデルを含む。例えば、第2の予後予測モデル118は、限定はされないが、線形モデル、ランダムフォレストモデル、極度勾配ブースティング(XGBoost)アルゴリズム、または別のタイプのモデルもしくはアルゴリズムのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、モデルシステム112に送られる入力のセット110は、1つまたは複数の通信リンク(例えば、有線通信リンク、無線通信リンク、光通信リンクなど)にわたって予測システム100の外部のソースから少なくとも部分的に受信され得る。1つまたは複数の実施形態では、入力のセット110は、データストレージ104から少なくとも部分的に検索される。
【0027】
モデルシステム112に対する入力のセット110はベースラインデータ120を含んでよい。1つまたは複数の実施形態では、入力のセット110はさらに3次元撮像データ122を含んでよい。ベースラインデータ120はベースライン時点で得られるデータを含む。ベースライン時点は、例えば、処置より前の時点、または第1の処置投与(例えば、処置の1日目)と同時の時点であってよい。
【0028】
ベースラインデータは、例えば、限定はされないが、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースラインCST測定値、ベースライン低輝度欠損(LLD)、処置群、または何か他のタイプのベースライン測定値のうちの少なくとも1つを含んでよい。属性データは、例えば、限定はされないが、年齢、性別、または別のタイプの属性メトリックを含んでよい。ベースライン視力測定値は、例えば、最高矯正視力(BCVA)測定値であってよい。ベースラインCST測定値は、例えば、単位がマイクロメートルであってよい。LLDは、ベースラインBCVA測定値とベースライン低輝度視力(LLVA)測定値との間の差異であってよい。
【0029】
3次元撮像データ122は、OCT撮像データ、OCT画像(例えば、OCT en-face画像)から抽出されたデータ、OCT画像から抽出された表形式データ、何か他の形態の撮像データ、またはこれらの組み合わせを含んでよい。OCT撮像データは、例えば、スペクトル領域OCT(SD-OCT)Bスキャンを含み得る。3次元撮像データ122は、対象に対する、処置より前のまたは第1の処置投与と同時のベースライン時点での撮像データであり得る。
【0030】
モデルシステム112は、nAMD処置を受けたまたは受けることになる対象に対する少なくとも1つの処置予後124を予測するために入力のセット110を処理する。処置予後124は、例えば、限定はされないが、予測された視力測定値(例えば、予測されたBCVA)、予測された視力の変化(例えば、予測されたBCVAの変化)、予測されたCST、CSTの予測された減少、または処置を受けている対象の何か他のタイプの処置予後を含み得る。処置予後124はベースライン時点後の選択された時点で生成されてよい。例えば、処置予後124は、ベースライン時点後nカ月目で予測されてよく、nカ月目は、ベースライン時点後の3カ月~30カ月のひと月として選択される。1つまたは複数の実施形態では、処置予後124は、限定はされないが、処置後、6カ月、9カ月、12カ月、24カ月、または何らかの他の時間などの時間について予測され得る。モデルシステム112が処置予後124を予測するためにどのように使用できるのかに関する例については、以下の図2図4でより詳細に説明する。
【0031】
データアナライザ108は、予後出力114を形成するために処置予後124を使用し得る。予後出力114は、例えば、処置予後124を含んでよい。1つまたは複数の実施形態では、予後出力114は、処置後の複数の時点での複数の処置予後(例えば、6カ月の処置予後、9カ月の処置予後、および12カ月の処置予後)を含む。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、予後出力114は、処置予後124に基づいて生成された他の情報を含む。例えば、予後出力114は、予測された処置予後124に基づいて所与の対象についての個別化された処置レジメンを含んでよい。いくつかの例では、予後出力114は、カスタマイズされた注射投与量、注射が行われる1つまたは複数の間隔、またはこの両方を含んでよい。予後出力114は、場合によっては、対象が処置に対する所望の応答を有さないことになることを示す予測された処置予後124に基づいて、対象に投与される処置のタイプを変更するまたは補足するための指示を含んでよい。このように、予後出力114は、処置管理全体を改善するために使用され得る。
【0033】
1つまたは複数の実施形態では、予後出力114の少なくとも一部分、または予後出力114の少なくとも一部分のグラフ表示は、ディスプレイシステム106上に表示される。いくつかの実施形態では、予後出力114の少なくとも一部分、または予後出力114の少なくとも一部分のグラフ表示は、リモートデバイス126(例えば、モバイルデバイス、ラップトップ、サーバ、クラウドなど)に送られる。
【0034】
II.B.AMD処置予後を予測するための例示的な方法
図2は、さまざまな実施形態による処置予後を予測するためのプロセス200のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス200は、図1に説明される予測システム100を使用して実施される。
【0035】
ステップ202は、対象の網膜に関する3次元撮像データを受信することを含む。図1における3次元撮像データ122は、ステップ202における3次元撮像データの実装形態の1つの例であり得る。3次元撮像データは、OCT撮像データ、OCT画像(例えば、OCT en-face画像)から抽出されたデータ、OCT画像から抽出された表形式データ、何か他の形態の撮像データ、またはこれらの組み合わせを含んでよい。OCT撮像データは、例えば、スペクトル領域OCT(SD-OCT)Bスキャンを含み得る。3次元撮像データは、対象に対する、処置より前のまたは第1の処置投与と同時のベースライン時点での撮像データであり得る。
【0036】
ステップ204は、深層学習システムおよび3次元撮像データを使用して第1の出力を生成することを含む。図1に説明される第1の予後予測モデル116は、ステップ204において使用される深層学習システムの実装形態の1つの例であり得る。深層学習システムは、1つまたは複数のニューラルネットワークで構成されてよい。1つまたは複数の実施形態では、ステップ204で生成された第1の出力は予測された予後(例えば、予測された処置予後)である。例えば、深層学習システムは、対象に対するベースライン時点で生成された1つまたは複数のOCT画像に基づいて処置予後を予測するように訓練されていてよい。
【0037】
ステップ206は、記号モデルのための入力として第1の出力およびベースラインデータを受信することを含む。図1に説明される第2の予後予測モデル118は、ステップ206において使用される記号モデルの実装形態の1つの例であり得る。記号モデルは、例えば、線形モデル、ランダムフォレストモデル、XGBoostアルゴリズム、または別のタイプの記号学習モデルのうちの少なくとも1つを使用して実装されてよい。図1におけるベースラインデータ120は、ステップ206におけるベースラインデータの実装形態の1つの例であり得る。ベースラインデータは、例えば、属性データ(例えば、年齢、性別など)、ベースライン視力測定値(例えば、ベースラインBCVA)、ベースライン中心領域網膜厚(CST)測定値、ベースライン低輝度欠損(LLD)、または処置群のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0038】
ステップ208は、記号モデルにより、入力を使用して、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測すること(または生成すること)を含む。処置予後は、例えば、限定はされないが、予測された視力測定値(例えば、予測されたBCVA)、予測された視力の変化、予測されたCST、CSTの予測された減少、または処置に対する対象の応答の別の指標のうちの少なくとも1つを含んでよい。ステップ208において予測される処置予後は、限定はされないが、処置後、6カ月、9カ月、12カ月、24カ月、または何らかの他の時間など、処置後の選択された時点でのものであってよい。
【0039】
さまざまな実施形態では、ステップ208で予測された(または生成された)処置予後は、対象の視力の予測される変化を特定する値またはスコアである視力応答(VAR)出力を含む。例えば、VAR出力は、予測された改善(例えば、文字の改善)のレベルまたは低下(例えば、視力喪失)のレベルに関して対象の視力応答を分類する値またはスコアであり得る。1つの具体例として、VAR出力は、後に処理され、かつ複数の異なるクラスのBCVA変化のうちの1つに属すると特定されるBCVAの予測される数値変化であってよく、BCVA変化のそれぞれのクラスは、異なる範囲の文字の改善に対応する。別の例として、VAR出力は、予測された変化クラス自体であってよい。さらに他の例では、VAR出力は、視力の他の何らかの尺度の予測される変化であってよい。他の実施形態では、VAR出力は、予測される視力の変化に到達するために1つまたは複数の追加の処理ステップを必要とする値または表現出力であってよい。例えば、VAR出力は、処置後のある期間での(例えば、9カ月での、12カ月での)対象の予測される将来のBCVAであってよい。追加の1つまたは複数の処理ステップは、予測された将来のBCVAとベースラインBCVAとの間の差を計算して、予測された視力の変化を判定することを含み得る。
【0040】
プロセス200は、オプションとしてステップ210を含んでよい。ステップ210は、処置予後に基づいて予後出力を生成することを含む。図1における予後出力114は、ステップ210における予後出力の実装形態の1つの例であり得る。予後出力は、例えば、処置予後、または処置後の複数の時点での複数の処置予後(例えば、6カ月の処置予後、9カ月の処置予後、および12カ月の処置予後)を含み得る。
【0041】
1つまたは複数の実施形態では、予後出力は、処置予後に基づいて生成された他の情報を含む。例えば、予後出力は、予測された処置予後に基づいて所与の対象についての個別化された処置レジメンを含んでよい。いくつかの例では、予後出力は、カスタマイズされた注射投与量、注射が行われる1つまたは複数の間隔、またはこの両方を含んでよい。予後出力は、場合によっては、対象が処置に対する所望の応答を有さないことになることを示す予測された処置予後に基づいて、対象に投与される処置のタイプを変更するまたは補足するための指示を含んでよい。このように、予後出力は、処置管理全体を改善するために使用され得る。
【0042】
図3は、さまざまな実施形態による処置予後を予測するためのプロセス300のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス300は、図1に説明される予測システム100を使用して実施される。
【0043】
ステップ302は、深層学習システム、および対象の網膜の3次元撮像データを使用して第1の出力を生成することを含む。図1における3次元撮像データ122は、ステップ302における3次元撮像データの実装形態の1つの例であり得る。3次元撮像データは、OCT撮像データ、OCT画像(例えば、OCT en-face画像)から抽出されたデータ、OCT画像から抽出された表形式データ、何か他の形態の撮像データ、またはこれらの組み合わせを含んでよい。OCT撮像データは、例えば、スペクトル領域OCT(SD-OCT)Bスキャンを含み得る。3次元撮像データは、対象に対する、処置より前のまたは第1の処置投与と同時のベースライン時点での画像データであり得る。
【0044】
ステップ302における第1の出力は、第1の予測された予後(第1の予測された処置予後)を含み得る。例えば、深層学習システムは、3次元撮像データに基づいて第1の予測された予後を生成するように訓練され得る。
【0045】
ステップ304は、記号モデルおよびベースラインデータを使用して第2の出力を生成することを含む。図1におけるベースラインデータ120は、ステップ304におけるベースラインデータの実装形態の1つの例であり得る。ベースラインデータは、例えば、属性データ(例えば、年齢、性別など)、ベースライン視力測定値(例えば、ベースラインBCVA)、ベースライン中心領域網膜厚(CST)測定値、ベースライン低輝度欠損(LLD)、または処置群のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0046】
ステップ304における第2の出力は、第2の予測された予後(第2の予測された処置予後)を含み得る。例えば、記号モデルは、ベースラインデータに基づいて第2の予測された予後を生成するように訓練され得る。図1に説明される第2の予後予測モデル118は、ステップ304において使用される記号モデルの実装形態の1つの例であり得る。記号モデルは、例えば、線形モデル、ランダムフォレストモデル、XGBoostアルゴリズム、または別のタイプの記号学習モデルのうちの少なくとも1つを使用して実装されてよい。
【0047】
ステップ306は、第1の出力および第2の出力を使用してnAMDの処置を受けている対象に対する処置予後を予測することを含む。1つまたは複数の実施形態では、ステップ306は、第1の出力(例えば、第1の予測された予後)および第2の出力(例えば、第2の予測された予後)の加重平均(例えば、等しく重み付けされた平均)として処置予後を予測することを含む。いくつかの実施形態では、深層学習システムによって生成された第1の予測された予後は、記号モデルによって生成された第2の予測された予後を上回って重み付けされ得る。他の実施形態では、記号モデルによって生成された第2の予測された予後は、深層学習システムによって生成された第1の予測された予後を上回って重み付けされ得る。
【0048】
プロセス300は、オプションとしてステップ308を含んでよい。ステップ308は、処置予後に基づいて予後出力を生成することを含み得る。図1における予後出力114は、ステップ308における予後出力の実装形態の1つの例であり得る。予後出力は、例えば、処置予後、または処置後の複数の時点での複数の処置予後(例えば、6カ月の処置予後、9カ月の処置予後、および12カ月の処置予後)を含み得る。
【0049】
1つまたは複数の実施形態では、予後出力は、処置予後に基づいて生成された他の情報を含む。例えば、予後出力は、予測された処置予後に基づいて所与の対象についての個別化された処置レジメンを含んでよい。いくつかの例では、予後出力は、カスタマイズされた注射投与量、注射が行われる1つまたは複数の間隔、またはこの両方を含んでよい。予後出力は、場合によっては、対象が処置に対する所望の応答を有さないことになることを示す予測された処置予後に基づいて、対象に投与される処置のタイプを変更するまたは補足するための指示を含んでよい。このように、予後出力は、処置管理全体を改善するために使用され得る。
【0050】
図4は、さまざまな実施形態による処置予後を予測するためのプロセス400のフローチャートである。1つまたは複数の実施形態では、プロセス400は、図1に説明される予測システム100を使用して実施される。
【0051】
ステップ402は、記号モデルのための入力としてベースラインデータを受信することを含む。図1におけるベースラインデータ120は、ステップ402におけるベースラインデータの実装形態の1つの例であり得る。さらに、図1に説明される第2の予後予測モデル118は、ステップ206において使用される記号モデルの実装形態の1つの例であり得る。記号モデルは、例えば、線形モデル、ランダムフォレストモデル、XGBoostアルゴリズム、または別のタイプの記号学習モデルのうちの少なくとも1つを使用して実装されてよい。1つまたは複数の実施形態では、ベースラインデータはベースライン視力測定値(例えば、ベースラインBCVA)を含む。このベースライン視力測定値は、3次元撮像データ(例えば、OCT撮像データ)および深層学習システムを使用して生成されていてよい。
【0052】
ステップ404は、記号モデルを使用してベースラインデータを処理することを含む。記号モデルは、ベースラインデータを処理するために任意の数のシンボリック人工知能学習方法を使用し得る。いくつかの実施形態では、ステップ404は、ベースラインデータ、および別のシステム(例えば、深層学習システム)から受信された先に生成された処置予後を処理することを含む。
【0053】
ステップ406は、記号モデルにより、ベースラインデータの処理に基づいてnAMDの処置を受けている対象に対する処置予後を予測することを含む。図1における予後出力124は、処置予後の実装形態の1つの例であり得る。
【0054】
III.例示的な実験データ
nAMD処置(例えば、ファリシマブ)によって処置された185個の眼からのデータを使用して第1の研究が行われた。このデータは、4つのファリシマブ処置群にランダム化された対象についてAVENUE臨床治験(NCT02484690)から得られた。特定の眼に関するデータは、ベースラインデータおよび処置後データを含んだ。ベースラインデータは、属性データ(年齢、性別)、ベースラインBCVA、ベースラインCST、低輝度欠損、および処置群を含んだ。データはさらに、眼のSD-OCT撮像データ(例えば、Bスキャン)を含んだ。処置後データは、処置後9カ月目のCSTの完全なBCVAデータを含んだ。データは、訓練データ80%および試験データ20%に別れた。
【0055】
処置予後は、深層学習システム(例えば、図1における第1の予後予測モデル116の実装形態の一例)およびさまざまな記号モデル(例えば、図1における第2の予後予測モデル118の実装形態の例)を使用して予測された。処置予後は、機能的および解剖学的の2つのやり方で定義された。処置予後の機能的部分はVAR出力(例えば、9カ月目のBCVA文字スコア)を含んだ。処置予後の解剖学部分は、ベースライン時点から9カ月目までのCST減少率を含んでおり、CST減少率は真/偽の二値変数に変換される(例えば、真はCST減少率が35%を上回ることを示す)。二値変数に対する閾値(例えば、35%)は、対象の平均または中央CST減少率に基づいて選択された。
【0056】
処置予後の機能的部分に対する一次メトリックは、決定係数(R)スコアであった。処置予後の解剖学部分の一次メトリックは、受信者操作特性下面積(AUROC)曲線であった。二次メトリックは、精度、正確さ、およびリコールを含んだ。モデル性能の評価は5分割交差検証を含んだ。
【0057】
所与の記号モデルを伴う2つの段階を含むモデルスタッキングアプローチにおいて、深層学習システムは最初、第1の段階において予測された予後を生成するために使用された。この予測された予後は、さらにまた、ベースラインデータと共に、第2の段階における記号モデルに対する入力された特徴のうちの1つとして使用された。5分割交差検証は、深層学習システムおよび記号モデルのハイパーパラメータを調整するために使用された。第1の段階では、5分割CVは、深層学習システムのハイパーパラメータを調整するために使用された。第2の段階の5倍交差検証のi(i=1、2、3、4、5)回の繰り返しにおいて、第1の段階の5分割交差検証のi回の繰り返しからの深層学習システムの予測は、ベースラインデータと組み合わせて入力された特徴のうちの1つとして使用された。モデルスタッキングアプローチを使用して、全部で6のモデルが開発された。
【0058】
モデル平均化アプローチにおいて、所与の記号モデルでは、深層学習システムによって生成された予測された予後および記号モデルによって生成された予測された予後は、予測された処置予後を生成するために(例えば、均等加重により)合わせて平均化された。モデル平均化アプローチを使用して、全部で6のモデルが開発された。
【0059】
試験データ性能メトリックを計算するために、記号モデルは、5分割交差検証において見出された最適なハイパーパラメータが設定された訓練データ全体に関して再訓練された。深層学習システムはアンサンブル法で使用され、すなわち、5つの深層学習システムの(すなわち、それぞれの5分割交差検証からの)平均が使用された。
【0060】
図5は、1つまたは複数の実施形態による処置予後を予測する際のモデルスタッキングおよびモデル平均化アプローチに関する性能データを示す表である。処置予後は9カ月目の予測されたBCVAを含む。ベンチマークモデルは、使用されたそれぞれの個々のモデルを特定する。モデルスタッキングに関して、特定されたモデルは、深層学習システムと積層された記号モデルである。モデル平均化に関して、特定されたモデルは、出力が深層学習システムの出力で平均化された記号モデルである。
【0061】
図6は、1つまたは複数の実施形態による処置予後を予測する際のモデルスタッキングおよびモデル平均化アプローチに関する性能データを示す表である。処置予後はCST減少率分類を含み、この場合、真または正の分類は、CST減少率が35%を上回ることを示す。ベンチマークモデルは、使用されたそれぞれの個々のモデルを特定する。モデルスタッキングに関して、特定されたモデルは、深層学習システムと積層された記号モデルである。モデル平均化に関して、特定されたモデルは、出力が深層学習システムの出力で平均化された記号モデルである。
【0062】
IV.コンピュータ実装システム
図7は、さまざまな実施形態によるコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。コンピュータシステム700は、図1において上述されたコンピューティングプラットフォーム102の1つの実装形態の一例であり得る。1つまたは複数の例では、コンピュータシステム700は、情報を通信するためのバス702または他の通信機構と、情報を処理するためにバス702と結合されたプロセッサ704とを含むことができる。さまざまな実施形態では、コンピュータシステム700は、プロセッサ704によって実行される命令を判定するためにバス702に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)706または他の動的記憶装置とすることができるメモリも含むことができる。メモリはまた、プロセッサ704によって実行される命令の実行中にテンポラリ変数または他の中間情報を記憶するために使用可能である。さまざまな実施形態では、コンピュータシステム700は、プロセッサ704のための静的情報および命令を記憶するためにバス702に結合された読み出し専用メモリ(ROM)708または他の静的記憶装置をさらに含むことができる。磁気ディスクまたは光ディスクなどの記憶装置710が設けられ、情報および命令を記憶するためにバス702に結合され得る。
【0063】
さまざまな実施形態では、コンピュータシステム700は、バス702を介して、コンピュータユーザに情報を表示するために、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ712に結合可能である。英数字および他のキーを含む入力デバイス714は、情報およびコマンド選択をプロセッサ704に通信するためにバス702に結合可能である。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ704に方向情報およびコマンド選択を通信し、かつディスプレイ712上のカーソル移動を制御するための、マウス、ジョイスティック、トラックボール、ジェスチャ入力デバイス、視線ベースの入力デバイス、またはカーソル方向キーなどのカーソルコントロール716である。この入力デバイス714は、典型的には、デバイスが平面における位置を指定することを可能にする第1の軸(例えば、x)および第2の軸(例えば、y)の二軸の二自由度を有する。しかしながら、3次元(例えば、x、y、およびz)カーソル移動を可能にする入力デバイス714も本明細書で企図されることは理解されるべきである。
【0064】
本教示のある特定の実装形態と一致するように、プロセッサ704が、RAM706に含有される1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行することに応答して、結果がコンピュータシステム700によって提供可能である。そのような命令は、記憶装置710など、別のコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶媒体からRAM706に読み込み可能である。RAM706に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ704に、本明細書に説明されるプロセスを実行させることができる。代替的には、本教示を実装するために、ソフトウェア命令の代わりにまたはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路が使用され得る。よって、本教示の実装は、ハードウェア回路とソフトウェアとのいかなる特定の組み合わせにも限定されない。
【0065】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」(例えば、データストア、データストレージ、データ記憶装置など)または「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ704に命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を取ることができる。不揮発性媒体の例は、限定はされないが、記憶装置710などの光学、固体、磁気ディスクを含むことができる。揮発性媒体の例は、限定はされないが、RAM706などの動的メモリを含むことができる。伝送媒体の例は、限定はされないが、バス702を備えるワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含むことができる。
【0066】
コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または他の任意の磁気媒体、CD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する他の任意の物理的媒体、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュEPROM、他の任意のメモリチップまたはカートリッジ、またはコンピュータが読み出すことができる他の任意の有形媒体を含む。
【0067】
コンピュータ可読媒体に加えて、命令またはデータは、実行のためにコンピュータシステム700のプロセッサ704に1つまたは複数の命令のシーケンスを提供するために、通信装置またはシステムに含まれる伝送媒体上の信号として提供可能である。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含み得る。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、本明細書における開示に概説される機能を実装させるように構成される。データ通信伝送接続の代表的な例は、限定はされないが、電話モデム接続、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、赤外線データ接続、NFC接続、光通信接続などを含むことができる。
【0068】
本明細書に説明される方法、フローチャート、図、および付随する開示は、コンピュータシステム700をスタンドアロン装置として使用して、またはクラウドコンピューティングネットワークなどの共有コンピュータ処理リソースの分散ネットワーク上で実装可能であることは理解されるべきである。
【0069】
本明細書に説明される方法は、用途に応じてさまざまな手段によって実装され得る。例えば、これらの方法は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせで実装されてよい。ハードウェア実装形態では、処理ユニットは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に説明される機能を実行するように設計された他の電子ユニット、またはこれらの組み合わせ内に実装され得る。
【0070】
さまざまな実施形態では、本教示の方法は、C、C++、Pythonなどの従来のプログラミング言語で書き込まれたファームウェアおよび/またはソフトウェアプログラムならびにアプリケーションとして実施され得る。ファームウェアおよび/またはソフトウェアとして実施される場合、本明細書に説明される実施形態は、コンピュータに上述される方法を実行させるプログラムが記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体上で実施可能である。本明細書において説明されるさまざまなエンジンは、コンピュータシステム700など、コンピュータシステム上に提供され得、それによって、プロセッサ704は、メモリ構成要素であるRAM706、ROM708、または記憶装置710のうちの任意の1つまたはこれらの組み合わせによって提供された命令、および入力デバイス714を介して提供されたユーザ入力を受けて、これらのエンジンによって提供される分析および判定を実行することになることを理解されたい。
【0071】
V.例示的な定義およびコンテキスト
本開示は、これら例示的な実施形態および応用例に、または例示的な実施形態および応用例が作用するまたは本明細書に記載されるやり方に限定されない。さらに、図は、簡略化されたまたは部分的な図を示す場合があり、図の要素の寸法は、誇張されている、あるいは比例していない場合がある。
【0072】
さらに、「~の上にある(on)」、「~に取り付けられている(attached to)」、「~に接続されている(connected to)」、「~に結合されている(coupled to)」という用語または同様の用語が本明細書で使用される際、1つの要素が別の要素の上に直接あるか、別の要素に直接取り付けられているか、別の要素に接続されているか、別の要素に結合されているか、または1つの要素と別の要素との間に1つまたは複数の介在要素が存在するかどうかにかかわらず、1つの要素(例えば、構成要素、材料、層、基板など)は、別の要素「の上にある」、「に取り付けられている」、「に接続されている」、または「に結合されている」可能性がある。さらに、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照される場合、そのような参照は、リスト化された要素のいずれか1つそれ自体、リスト化された要素の全てより少ないものからなる任意の組み合わせ、および/または、リスト化された要素の全ての組み合わせを含むことが意図されている。本明細書におけるセクションの区分は、単に検討を容易にするためのものであり、論じられた要素の任意の組み合わせを限定するものではない。
【0073】
「対象」という用語は、臨床治験の対象、処置を受ける人、抗がん剤治療を受ける人、寛解または回復に向けて監視されている人、(例えば、病歴により)予防健康分析を受ける人、または任意の他の人もしくは対象の患者を指す場合がある。さまざまな場合では、「対象」および「患者」は本明細書では区別なく使用され得る。
【0074】
別段定められない限り、本明細書に記載される本教示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、別段文脈によって示されない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、化学、生化学、分子生物学、薬理学および毒物学に関連して利用される命名法およびその技術は、本明細書に記載されており、当技術分野において周知でありかつ一般的に使用されるものである。
【0075】
本明細書で使用される際、「実質的に」は、意図された目的のために機能するのに十分であることを意味する。よって、「実質的に」という用語は、当業者によって予想されるが、全体的な性能にそれほど影響しないような、絶対的または完全な状態、寸法、測定値、または結果などからの微細で僅かな変動を可能にする。数値もしくはパラメータまたは数値として表現可能である特性に関して使用されるとき、「実質的に」は10パーセント以内を意味し得る。
【0076】
「複数」という用語は、2つ以上を意味する。
【0077】
本明細書で使用される際、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上とすることができる。
【0078】
本明細書で使用される際、「~のセット」という用語は1つまたは複数を意味する。例えば、項目のセットは1つまたは複数の項目を含む。
【0079】
本明細書で使用される際、「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用されるとき、列挙された項目のうちの1つまたは複数の異なる組み合わせが使用されてよく、場合によっては、リストにおける項目のうちの1つのみが使用されることを意味する。項目は、特定の物体、物、ステップ、動作、プロセス、またはカテゴリであり得る。換言すれば、「~のうちの少なくとも1つ」は、リストから項目の任意の組み合わせまたは任意の数の項目が使用され得るが、リストにおける項目の全てが使用されない場合があることを意味する。例えば、限定はされないが、「項目A、項目B、または項目Cのうちの少なくとも1つ」は、項目A、項目Aと項目B、項目B、項目Aと項目Bと項目C、項目Bと項目C、または項目AとCを意味する。場合によっては、「項目A、項目B、または項目Cのうちの少なくとも1つ」は、限定はされないが、2つの項目Aと1つの項目Bと10個の項目C、4つの項目Bと7つの項目C、または何か他の適した組み合わせを意味する。
【0080】
本明細書で使用される際、「モデル」は、1つまたは複数のアルゴリズム、1つまたは複数の数学的手法、1つまたは複数の機械学習アルゴリズム、またはこれらの組み合わせを含んでよい。
【0081】
本明細書で使用される際、「機械学習」は、アルゴリズムを使用してデータを解析し、そこから学習し、次いで世界の何かについての判定または予測を行う実践であってよい。機械学習は、ルールベースのプログラミングに頼ることなくデータから学習することができるアルゴリズムを使用する。
【0082】
本明細書で使用される際、「人工ニューラルネットワーク」または「ニューラルネットワーク」(NN)は、計算に対するコネクショニストアプローチに基づいて情報を処理する、人工ニューロンの相互接続されたグループを模倣する数学的アルゴリズムまたは計算モデルを指す場合がある。ニューラルネットと呼ばれることもあるニューラルネットワークは、受信された入力について出力を予測するために、線形単位、非線形単位、またはその両方の1つまたは複数の層を用いることができる。いくつかのニューラルネットワークは、出力層に加えて1つまたは複数の隠れ層を含む。それぞれの隠れ層の出力は、ネットワークにおける次の層、すなわち、次の隠れ層または出力層への入力として使用され得る。ネットワークのそれぞれの層は、各パラメータのセットの現在の値に従って、受信した入力から出力を生成する。さまざまな実施形態では、「ニューラルネットワーク」への言及は、1つまたは複数のニューラルネットワークへの言及であってよい。
【0083】
ニューラルネットワークは、2つのやり方で情報を処理してよい。例えば、ニューラルネットワークは、訓練されているときは訓練モードで、学習したことを実践するときは推論(または予測)モードで情報を処理し得る。ニューラルネットワークは、ネットワークが、出力が訓練データの出力に一致するように、中間隠れ層における個々のノードの(ネットワークの挙動を修正する)重み因子を調節することを可能にするフィードバックプロセス(例えば、バックプロパゲーション)を通して学習し得る。換言すれば、ニューラルネットワークは、訓練データ(学習例)が供給されることによって学習する場合があり、新たな入力の範囲または入力のセットが提示されるときでも、正しい出力に到達する方法を最終的に学習する。ニューラルネットワークは、例えば、限定はされないが、フィードフォワードニューラルネットワーク(FNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)、モジュラーニューラルネットワーク(MNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、残差ニューラルネットワーク(ResNet)、常微分方程式ニューラルネットワーク(ニューラル-ODE)、または別のタイプのニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0084】
VI.実施形態の記載
実施形態1.処置予後を予測するための方法であって、対象の網膜に関する3次元撮像データを受信することと、深層学習システムおよび3次元撮像データを使用して第1の出力を生成することと、記号モデルのための入力として第1の出力およびベースラインデータを受信することと、記号モデルにより、入力を使用して血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測することとを含む、方法。
【0085】
実施形態2.3次元撮像データは光干渉断層撮影(OCT)撮像データを含む、実施形態1の方法。
【0086】
実施形態3.ベースラインデータは、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースライン中心領域網膜厚測定値、ベースライン低輝度欠損、または処置群のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1または実施形態2の方法。
【0087】
実施形態4.属性データは年齢または性別のうちの少なくとも1つを含む、実施形態3の方法。
【0088】
実施形態5.処置予後は、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、または中心領域網膜厚の予測された減少のうちの少なくとも1つを含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0089】
実施形態6.ベースラインデータはベースライン視力測定値を含み、
第1の出力を使用してベースライン視力測定値を特定することをさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0090】
実施形態7.処置予後は、ベースライン時点後nカ月目で予測され、nカ月目は、ベースライン時点後の3カ月~30カ月のひと月として選択される、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0091】
実施形態8.処置は、血管内皮増殖因子を対象にしたモノクローナル抗体およびアンジオポイエチン2阻害薬を含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0092】
実施形態9.処置はファリシマブを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0093】
実施形態10.血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測するための方法であって、深層学習システム、および対象の網膜に関する3次元撮像データを使用して第1の予測された予後を生成することと、記号モデル、および対象に関するベースラインデータを使用して第2の予測された予後を生成することと、第1の予測された予後および第2の予測された予後を使用してnAMDの処置を受けている対象に対する処置予後を予測することとを含む、方法。
【0094】
実施形態11.予測することは、第1の予測された処置予後および第2の予測された処置予後の加重平均として処置予後を予測することを含む、実施形態10の方法。
【0095】
実施形態12.3次元撮像データは光干渉断層撮影(OCT)撮像データを含む、実施形態10または実施形態11の方法。
【0096】
実施形態13.ベースラインデータは、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースライン中心領域網膜厚測定値、ベースライン低輝度欠損、または処置群のうちの少なくとも1つを含む、実施形態10~12のいずれか1つの方法。
【0097】
実施形態14.属性データは年齢または性別のうちの少なくとも1つを含む、実施形態13の方法。
【0098】
実施形態15.第1の予測された処置予後、第2の予測された処置予後、および処置予後のそれぞれは、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、または中心領域網膜厚の予測された減少のうちの少なくとも1つを含む、実施形態10~14のいずれか1つの方法。
【0099】
実施形態16.血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)と診断された対象に対する抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)処置を管理するためのシステムであって、機械実行可能コードを含む機械可読媒体を含有するメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを備え、プロセッサは、プロセッサに、
対象の網膜に関する3次元撮像データを受信することと、
深層学習システムおよび3次元撮像データを使用して第1の出力を生成すること、
記号モデルのための入力として第1の出力およびベースラインデータを受信すること、
記号モデルにより、入力を使用して、血管新生型加齢黄斑変性(nAMD)の処置を受けている対象に対する処置予後を予測することとを行わせる機械実行可能コードを実行するように構成される、システム。
【0100】
実施形態17.3次元撮像データは光干渉断層撮影(OCT)撮像データを含む、実施形態16のシステム。
【0101】
実施形態18.ベースラインデータは、属性データ、ベースライン視力測定値、ベースライン中心領域網膜厚測定値、ベースライン低輝度欠損、または処置群のうちの少なくとも1つを含む、実施形態16または実施形態17のシステム。
【0102】
実施形態19.処置予後は、予測された視力測定値、予測された視力の変化、予測された中心領域網膜厚、または中心領域網膜厚の予測された減少のうちの少なくとも1つを含む、実施形態16~18のいずれか1つのシステム。
【0103】
実施形態20.処置はファリシマブを含む、実施形態16~18のいずれか1つのシステム。
【0104】
実施形態21.処置予後を予測するための方法であって、記号モデルのための入力としてベースラインデータを受信することと、記号モデルを使用してベースラインデータを処理することと、記号モデルにより、ベースラインデータの処理に基づいて、処置を受けている対象に対する予後を予測することとを含む、方法。
【0105】
実施形態22.ベースラインデータはベースライン視力測定値を含み、さらに、3次元撮像データおよび深層学習システムを使用してベースライン視力測定値を生成することを含む、実施形態21の方法。
【0106】
VII.さらなる考察
本書のセクションおよびサブセクション間の見出しおよび小見出しは、読み易さを改善するために含まれるに過ぎず、特徴がセクションおよびサブセクションをまたいで組み合わされ得ないことを示唆するものではない。それ故に、セクションおよびサブセクションは別個の実施形態を説明するものではない。
【0107】
本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、1つまたは複数のデータプロセッサ上で実行されるとき、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つもしくは複数の方法の一部または全部および/あるいは1つもしくは複数のプロセスの一部または全部を実行させる、命令を含有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つまたは複数のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つもしくは複数の方法の一部または全部および/あるいは1つもしくは複数のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化された、コンピュータプログラム製品を含む。
【0108】
用いられている用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示されかつ説明された特徴のいかなる均等物またはその部分も除外する意図はなく、特許請求された発明の範囲内でさまざまな修正が可能であることが認識される。よって、特許請求された本発明は、実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修正および変形が、当業者によって使用されてもよく、そのような修正および変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることは理解されるべきである。
【0109】
本教示は、さまざまな実施形態に関連して説明されているが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されていない。逆に、本教示は、当業者によって理解されるように、さまざまな代替、修正、および均等物を包含する。さまざまな実施形態を説明する際に、本明細書は、特定の一連のステップとして方法および/またはプロセスを提示している場合がある。しかしながら、方法またはプロセスが本明細書に記載される特定の順序のステップに依存していない範囲で、方法またはプロセスは、説明した特定の順序のステップに限定されるべきではなく、当業者が容易に理解することができるように、順序は変えられる場合があり、かつ依然として、さまざまな実施形態の趣旨および範囲内にとどまり得る。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置(例えば、ブロック図または概略図における要素、フロー図における要素など)にさまざまな変更が加えられ得ることは理解されたい。
【0110】
以下の説明には、実施形態を完全に理解してもらうために具体的な詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実践され得ることが理解されよう。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素は、実施形態を不必要に詳細にすることで不明瞭にしないために、ブロック図形式の構成要素として示され得る。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術が不必要な詳細なしに示され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】