(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】非対称の弁設計と主シール支持体とを有する逆止弁を有する無針コネクタ
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20240409BHJP
A61M 39/26 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61M39/26
A61M39/10 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562240
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2022026044
(87)【国際公開番号】W WO2022235444
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オダ、トッド
(72)【発明者】
【氏名】マンスール、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】フラウスト、トマス
(72)【発明者】
【氏名】サレハ、アリ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、アルチャナー
(72)【発明者】
【氏名】シェヴゴア、シッダース
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE01
4C066FF01
4C066JJ05
(57)【要約】
無針コネクタが、中心長手方向軸と、本体部分と、ベース部分とを有するハウジングを含むことができる。本体部分は、内部キャビティを形成する内面と、内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートとを含むことができる。ベース部分は、弁シール支持体を含む上部セクションと、内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションとを含むことができる。無針コネクタは、内部キャビティ内に配置される非対称形状の弁をさらに含むことができる。非対称形状の弁は、ヘッド部分と、ヘッド部分から遠位に延在する弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを含むことができる。弁は、弁体部分における、弁の内面が弁シール支持体に着座するとともに半径方向に支持されるように、ハウジングと連結され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心長手方向軸と、本体部分と、ベース部分とを有するハウジングであって、
前記本体部分は、内部キャビティを形成する内面と、前記内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートとを有し、
前記ベース部分は、弁シール支持体を含む上部セクションと、前記内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションとを有している、
ハウジング、及び
前記内部キャビティ内に配置された非対称形状の弁であって、ヘッド部分と、前記ヘッド部分から遠位に延びる弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを有する非対称形状の弁
を有する無針コネクタであって、
前記非対称形状の弁が前記ハウジングと連結され、それにより前記弁体部分における前記非対称形状の弁の前記内面が、前記弁シール支持体に着座して半径方向に支持される、無針コネクタ。
【請求項2】
前記弁が前記ハウジングと連結され、それにより前記ベース部分の前記上部セクションは、前記弁体部分における前記弁の前記内面が、前記弁シール支持体に着座して半径方向に支持されるように、前記弁キャビティ内に配置される、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項3】
前記ベース部分の前記上部セクションが、ヘッドと、前記ヘッドから長手方向に延びるステムとを有し、前記ヘッドは、前記弁の前記内面に係合して前記内面を半径方向に支持する傾斜面を有する、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項4】
前記弁キャビティが、上側弁キャビティ及び下側弁キャビティを有し、
前記ベース部分の前記ヘッドは、前記上側弁キャビティ内に配置され、前記ベース部分の前記ステムは、前記下側弁キャビティ内に配置される、請求項3に記載の無針コネクタ。
【請求項5】
前記弁の外面が、主シール部分及び副シール部分を有し、前記主シール部分は、前記副シール部分から離間している、請求項1に記載の無針コネクタ。
【請求項6】
前記主シール部分は、前記本体部分の前記内面に対して係合して前記内面との間に主シールを形成するように構成され、前記副シール部分は、前記本体部分の前記内面に対して係合して前記内面との間に副シールを形成するように構成される、請求項5に記載の無針コネクタ。
【請求項7】
前記本体部分の前記内面は、前記第1のポートと前記ベース部分の前記上部セクションとの間に封止縁を有し、前記主シール部分は、前記封止縁に対して係合して前記主シールを形成するように構成される、請求項6に記載の無針コネクタ。
【請求項8】
前記主シール部分は、前記副シール部分よりも前記ハウジングの前記ベース部分の近くに位置付けられ、それにより前記主シール部分と前記ベース部分との間の距離が、前記副シール部分と前記主シール部分との間の距離よりも小さい、請求項5に記載の無針コネクタ。
【請求項9】
中心長手方向軸と、本体部分と、ベース部分とを有するハウジングであって、
前記本体部分は、内部キャビティを形成する内面と、前記内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートとを有し、
前記ベース部分は、弁シール支持体を含む上部セクションと、前記内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションとを有している、
ハウジング、及び
前記内部キャビティ内に配置された非対称形状の弁であって、細長いヘッド部分と、前記細長いヘッド部分から遠位に延びる弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを有する非対称形状の弁
を有する無針コネクタであって、
前記壁は、半径方向内側延出レッジを画成しており、前記上部セクションは、半径方向外側延出レッジをさらに有し、前記半径方向外側延出レッジは、前記弁の前記半径方向内側延出レッジに当接して、前記弁が前記第1のポート内へ変位することを防ぐ、無針コネクタ。
【請求項10】
前記弁キャビティは、上側弁キャビティ及び下側弁キャビティを有し、前記半径方向内側延出レッジは、前記上側弁キャビティと前記下側弁キャビティとの間に配置される、請求項9に記載の無針コネクタ。
【請求項11】
前記ベース部分の前記上部セクションは、ヘッドと、前記ヘッドから長手方向に延びるステムとを有し、前記ベース部分の前記ヘッドは、前記上側弁キャビティ内に配置され、前記ステムは、前記下側弁キャビティ内に配置される、請求項10に記載の無針コネクタ。
【請求項12】
前記細長いヘッド部分の長手方向範囲が第1の長さを有し、前記弁の前記弁体部分の長手方向範囲が第2の長さを有し、前記第1の長さが前記第2の長さよりも大きい、請求項9に記載の無針コネクタ。
【請求項13】
前記弁が前記ハウジングと連結され、それにより前記ベース部分の前記上部セクションは、前記非対称形状の弁体部分における前記弁の前記内面が、前記弁シール支持体に着座して半径方向に支持されるように、前記弁キャビティ内に配置される、請求項9に記載の無針コネクタ。
【請求項14】
前記弁の外面が、主シール部分及び副シール部分を有し、前記主シール部分は、前記副シール部分から離間している、請求項9に記載の無針コネクタ。
【請求項15】
前記主シール部分は、前記本体部分の前記内面に対して係合して前記内面との間に主シールを形成するように構成され、前記副シール部分は、前記本体部分の前記内面に対して係合して前記内面との間に副シールを形成するように構成される、請求項14に記載の無針コネクタ。
【請求項16】
前記本体部分の前記内面は、前記第1のポートと前記ベース部分の前記上部セクションとの間に封止縁を有し、前記主シール部分は、前記封止縁に対して係合して前記主シールを形成するように構成される、請求項15に記載の無針コネクタ。
【請求項17】
前記弁キャビティが、非対称形状のキャビティを有する、請求項9に記載の無針コネクタ。
【請求項18】
中心長手方向軸と、本体部分と、ベース部分とを有するハウジングであって、
前記本体部分は、内部キャビティを形成する内面と、前記内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートとを有し、
前記ベース部分は、前記内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションを有している、
ハウジング、及び
前記内部キャビティ内に配置された非対称形状の弁であって、細長いヘッド部分と、前記細長いヘッド部分から遠位に延びる弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを有する非対称形状の弁
を有する無針コネクタであって、
前記弁の外面が、主シール部分と、前記主シール部分から離間した副シール部分とを有し、また
前記主シール部分は、前記主シール部分と前記ベース部分との間の距離が前記副シール部分と前記主シール部分との間の距離よりも小さくなるように、前記ハウジングの前記ベース部分に隣接して配置される、無針コネクタ。
【請求項19】
前記細長いヘッド部分の長手方向範囲が第1の長さを有し、前記弁の前記弁体部分の長手方向範囲が第2の長さを有し、前記第1の長さが前記第2の長さよりも大きい、請求項18に記載の無針コネクタ。
【請求項20】
前記主シール部分は、前記本体部分の前記内面に対して係合して前記内面との間に主シールを形成するように構成され、前記副シール部分は、前記本体部分の前記内面に対して係合して前記内面との間に副シールを形成するように構成される、請求項18に記載の無針コネクタ。
【請求項21】
前記本体部分の前記内面は、前記第1のポートと前記ベース部分の上部セクションとの間に封止縁を有し、前記主シール部分は、前記封止縁に対して係合して前記主シールを形成するように構成される、請求項20に記載の無針コネクタ。
【請求項22】
前記弁キャビティが、非対称形状のキャビティを有する、請求項18に記載の無針コネクタ。
【請求項23】
前記弁キャビティが、上側弁キャビティ及び下側弁キャビティを有し、
前記ベース部分の上部セクションが、ヘッドと、前記ヘッドから長手方向に延びるステムとを有し、前記ベース部分の前記ヘッドは、前記上側弁キャビティ内に配置され、前記ステムは、前記下側弁キャビティ内に配置される、請求項18に記載の無針コネクタ。
【請求項24】
前記壁は、前記上側弁キャビティと前記下側弁キャビティとの間に配置される半径方向内側延出レッジを画成し、前記上部セクションは、半径方向外側延出レッジを有し、前記半径方向外側延出レッジは、前記弁の前記半径方向内側延出レッジに当接して、前記弁が前記第1のポート内へ変位することを防ぐ、請求項23に記載の無針コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、無針コネクタに関し、詳細には、長い弁棒を有する非対称の弁幾何学形状とコネクタのベース側の近くに位置付けられる主シールとを有する弁部材を有する無針コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置は多くの場合、「静脈内(IV:intravenous)」セットと一般に呼ばれる可撓性チューブ及び取付具の構成部を介して流体源、例えばIVバッグに接続されるIVカテーテルを用いる、患者への医療用流体(例えば、生理食塩水又は液体医薬)の点滴を含む。特定の無針コネクタが、IVセットにおいて用いられることがあり、嵌合する医療器具がそのような無針コネクタから分離されると流体の漏出を防止する自己封止ポートを有することができる。さらに、無針コネクタは、機械弁、例えば、自己封止ポートを提供するとともにIVセット内の流体の流れを制御する、可撓性材料を有する圧潰可能な弁を含むことができる。
【0003】
現存及び/又は従来技術の無針弁の幾何学形状の特性に起因して、流体は一般に、弁部材を開位置にする軸方向力を加えるのに使用される医療器具(例えば、嵌合する雄型ルアー又はシリンジ)が取り外されると弁ヘッドの面に堆積される。これら現存の無針弁において、弁ヘッドに堆積された流体は場合により、弁部材から離脱し、患者への投与用の流体経路に流れ込むことにより、血流疾患の可能性とともに不安を引き起こす。
【0004】
背景技術のセクションに提示される記載は、単に背景技術のセクションにおいて述べている又はそれに関連付けられているという理由から、従来技術であるものとみなされるべきではない。背景技術のセクションは、主題の技術の1つ又は複数の態様を記載する情報を含み得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示の様々な実施例によれば、無針コネクタが、中心長手方向軸と、本体部分と、ベース部分とを有するハウジングを含むことができる。本体部分は、内部キャビティを形成する内面と、内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートとを含むことができる。ベース部分は、弁シール支持体を含む上部セクションと、内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションとを含むことができる。無針コネクタは、内部キャビティ内に配置される非対称形状の弁をさらに含むことができる。非対称形状の弁は、ヘッド部分と、ヘッド部分から遠位に延在する弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを含むことができる。弁は、弁体部分における、弁の内面が、弁シール支持体に着座するとともに半径方向に支持されるように、ハウジングと連結され得る。
【0006】
本開示の様々な実施例によれば、無針コネクタは、中心長手方向軸と、内部キャビティを形成する内面を含む本体部分と、ベース部分とを含むハウジングと、内部キャビティ内に配置される非対称形状の弁とを含むことができる。本体部分は、内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートをさらに含むことができる。ベース部分は、弁シール支持体を含む上部セクションと、内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションとを有することができる。非対称形状の弁は、細長いヘッド部分と、細長いヘッド部分から遠位に延在する弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを含むことができる。壁は、半径方向内側延出レッジ(出っ張り部)を画定することができ、上部セクションは、弁の半径方向内側延出レッジに当接して、弁が第1のポートへ変位することを防ぐ、半径方向外側延出レッジをさらに含むことができる。
【0007】
本開示の様々な実施例によれば、無針コネクタは、中心長手方向軸と、内部キャビティを画定する内面を含む本体部分と、ベース部分とを有するハウジングと、内部キャビティ内に配置される非対称形状の弁とを含むことができる。本体部分は、内部キャビティへの第1の流体通路を形成する第1のポートと、内部キャビティへの第2の流体通路を形成する第2のポートを含む下部セクションとを含むことができる。非対称形状の弁は、細長いヘッド部分と、細長いヘッド部分から遠位に延在する弁体部分と、弁キャビティを形成する内面を有する壁とを含むことができる。弁の外面は、主シール部分と、主シール部分から離間した副シール部分とを含むことができる。主シール部分は、主シール部分とベース部分との間の距離が副シール部分と主シール部分との間の距離よりも小さいように、ハウジングのベース部分に隣り合って位置付けられ得る。
【0008】
上記の包括的な記載及び以下の詳細な記載はいずれも、例示的且つ説明的であり、主題の技術の説明を特許請求されるものとしてさらに提示することを意図されていることを理解されたい。主題の技術の範囲から逸脱することなく、他の態様が用いられてもよく、また変更が行われてもよいことも理解されたい。
【0009】
添付の図は、実施例の特定の態様を例示するために含まれており、排他的な実施例とみなされるべきではない。開示される主題は、当業者に考えつくことになるように、また本開示の利益を有するように、形態及び機能において、かなりの変更、代替、組み合わせ及び均等物が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本開示のいくつかの実施例による、圧縮可能な弁が取り付けられている、無針コネクタのハウジングを示す。
【
図1B】本開示のいくつかの実施例による、
図1Aの無針コネクタの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記に記載されている詳細な説明は、主題の技術の様々な構成を記載しており、主題の技術が実践され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。詳細な説明は、主題の技術の完全な理解を提供するための特定の詳細を含む。したがって、寸法は、非限定的な実例として特定の態様に関して提供され得る。しかしながら、主題の技術はこれらの特定の詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。いくつかの場合において、よく知られている構造体及び構成要素は、主題の技術の概念を曖昧にすることを回避するために、ブロック図の形態で示されている。
【0012】
本開示は、主題の技術の実例を含み、添付の特許請求の範囲を限定しないことを理解されたい。ここで、主題の技術の様々な態様が、特定の、ただし非限定的な実例に従って開示される。本開示に記載される様々な実施例は、異なる方式及び変形形態において、所望の用途又は実施に従って実施され得る。
【0013】
本開示の様々な実施例は一般に、コネクタのハウジング内に配置された弾性の圧縮可能な弁を組み込んでいる自己封止無針コネクタであって、圧縮可能な弁が、長い弁棒を有する非対称の弁幾何学形状とコネクタのベース側の近くに位置付けられる主シールとを有する、自己封止無針コネクタを対象とする。長い弁棒及び非対称の弁幾何学形状は、弁がより制御された方式で作動及び収縮することを可能にする。これは、迅速なシリンジ分離時に流体がコネクタを出る(飛び散る)ことを防ぐ。
【0014】
本明細書において説明するように、また、理解されるであろうように、コネクタのハウジングのベースの近くに弁の主シールを位置付けることは、より堅固なシールをつくり出す。有利には、弁にかかる予荷重は、コネクタの様々な製造公差に対してより一貫したままである。それに対し、ベースから遠くに位置付けられる主シールを弁が有する現存のコネクタでは、シールは、長い距離にわたる薄肉弁の座屈に起因して、シールにかかる予荷重を失う可能性がある。同じ理由から、弁の予荷重/封止能力は、製造公差の影響を受けやすい。
【0015】
したがって、本明細書において説明される様々な実施例の無針コネクタは、現存の無針コネクタに勝る複数の利点を提供する。例えば、長いネックの非対称の弁幾何学形状の設計により、弁は、現存の無針コネクタにおける弁よりもはるかに制御された方式で作動及び収縮することができる。それに対し、現存の無針コネクタは、複数の課題を提示する。例えば、弁の上半分が固体シリコーンであるため、弁は、非常に高いばね定数を有する。現存の無針コネクタの弁は(例えば、シリンジを迅速に外す際に)素早く収縮するため、弁の固体シリコーン部分が緩まるとともに著しくはね返る傾向がある。これは不都合には、流体を現存のコネクタから飛び散らせる可能性がある。さらに、現存の無針コネクタの弁は、製造差異の影響を非常に受けやすい。現存の弁の主シールは薄肉シリコーンの長い柱によって支持されるため、弁にかかる予荷重の喪失は、構成要素又はコネクタ自体の組立体の僅かな公差変化に伴い、より顕著となる。さらに、現存の弁の強度がシリコーンによって決まるため、高い背圧下で、現存の弁は、現存コネクタのアクセス・ポートから膨出する傾向を有する。
【0016】
いくつかの実施例では、コネクタのハウジングのベースは、複数のやり方で弁の主シールを支持するように設計され得る。例えば、いくつかの実施例では、ベースの少なくとも一部は、主シール領域において弁に半径方向支持をもたらすように設計され得る。この半径方向支持は有利には、高い背圧により弁が「押し潰される」又は他の場合では同様に変形されることを防ぐことができる。いくつかの実施例では、コネクタのベースの少なくとも一部は、弁を「保持」するように、また、高い背圧により弁がアクセス・ポートから膨出することを防ぐように設計され得る。
【0017】
以下の記載は、開示されている無針コネクタを用いる、医療従事者による患者への医療用流体の投与を対象とするが、この記載は、使用の単なる一実例であるとともに特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0018】
図1Aは、本開示のいくつかの実施例による、圧縮可能な弁200が取り付けられている、無針コネクタ100のハウジング110を示す。
図1Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図1Aの無針コネクタ100の部分拡大断面図である。示すように、ハウジング110は、ハウジング110の入口ポート112を画定する近位端105と、ハウジング110の出口ポート123を画定するベース部分160を含む遠位端120と、近位端105及び遠位端120を通って延びる中心長手方向軸Xとを有し得る。いくつかの実施例では、ハウジング110は、ハウジング110の近位端105と遠位端120との間に少なくとも部分的に延在する内部キャビティ133を画定する内面130をさらに含み得る。ハウジング110は、ベース部分160に連結される又は他の場合ではベース部分160と一体形成される本体部分115から形成され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、ハウジング110は、圧縮可能な弁200を収容するように同様に寸法決めされた他の部片又は部品の組み合わせから形成されてもよい。動作時、無針コネクタ100中に例えば入口ポート112から出口ポート123にかけて流体経路が確立され得る。本明細書において指すように、近位は、ハウジング110の入口ポート112に対する向きを指し、遠位は、入口ポート112に対向する、ハウジング110のベース部分160又は下部に対する向きを指す。
【0019】
示すように、医療器具、例えばシリンジと相互接続する、ハウジング110の入口ポート112を、ハウジング110が含むことに加え、ハウジング110は、ハウジング110のベース部分160と接続する開口155をさらに含むことができる。本体部分115の下側セクション(例えば、開口155の近位にあるセクション)は、増大した直径を有し、1つ又は複数の内部接触タブ(図示せず)を含むことができる。1つ又は複数の内部接触タブは、無針コネクタ100内に組み立てられると、ハウジング110の中心長手方向軸Xに対して略直交する半径方向力を、ベース部分160の弁取付台に配置される、圧縮可能な弁200のフランジ部240にもたらすことができる。
【0020】
本開示の様々な実施例に従って、入口ポート112は、ポート上面114と、内部キャビティ133内に画定されたチャネルとを含むことができる。入口ポート112は、別の装置(例えば、流体移送アセンブリ)に連結する係合機構135を含むことができる。例えば、係合機構135は、内面ねじ山又は外面ねじ山、デテント、バヨネット式ロック要素等のような協働する機械要素、及び、摩擦係合のためのテーパ状ルアー面のような他の面構成を含むことができる。いくつかの実施例では、入口ポート112は、ルアー・ロックねじ切りを有する係合機構135と雌型ルアー取付具を画定することができる。内面130及び内面に画定された内部キャビティ133は、入口ポート112のポート上面114の開口からハウジング110の本体部分115の内部キャビティ215へ長手方向に延在することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、ハウジング110の内面130に内部封止縁122が画定され得る。内部封止縁122は、周縁とすることができ、組み立てられた無針コネクタ100の内部キャビティ133内に圧縮可能な弁200を保持するように構成され得る。動作時、内部封止縁122は、圧縮可能な弁200の主シール部分222と併せて流体流の阻止を行うように配置され得る。
【0022】
本開示の様々な態様によれば、ベース部分160は、上部セクション165と、上部セクション165に対して遠位に位置する下端部167とを有し得る。いくつかの実施例では、上部セクション165は、弁シール支持体250を含み得る。弁シール支持体250は、弁体部分225において弁の内面235に係合するとともに内面を半径方向に支持する傾斜面255を含み得るがこれに限定されない。いくつかの実施例では、ベース部分160の上部セクション165は、ヘッド270と、ヘッド270から長手方向に延びるステム275とを含み得る。ヘッド270は、内面235に係合し得る傾斜面255で終端することができ、そのため、ヘッド270は、圧縮可能な弁200の内面235を半径方向に支持することができる。したがって、ハウジング110は、組み立て構成において、傾斜面255を含むヘッド270が圧縮可能な弁200の内面235に力をかけて圧縮可能な弁200に半径方向支持をもたらすことができるように、圧縮可能な弁200と組み立てられ得る。ヘッド270がもたらす半径方向支持は有利には、圧縮可能な弁200が高い背圧又は他の場合では過度の背圧を受けると圧縮可能な弁200が「押し潰される」又は他の場合では同様に変形されることを防ぐことができる。
【0023】
本開示の様々な実施例に従って、上部セクション165は、圧縮可能な弁200をブロックする、圧縮可能な弁200に当接する、及び/又は他の場合では圧縮可能な弁200が過度の背圧を受けると圧縮可能な弁200が入口ポート112へ変位することを防ぐ、半径方向外側延出レッジ265をさらに含み得る。特に、いくつかの実施例では、半径方向外側延出レッジ265は、傾斜面255に対して遠位に配置される上部セクション165のヘッド270の一部を有し得る。示すように、半径方向外側延出レッジ265は、ステム275の近位端から半径方向外側に又はステム275に対して横断方向に延びることができる。ハウジング110は、組み立て構成において、有利には、圧縮可能な弁200を支持するために、また過度の背圧下で圧縮可能な弁200が第1のポートへ近位方向に変位することを防ぐために、半径方向外側延出レッジ265が圧縮可能な弁200の対応する構造に当接するように、圧縮可能な弁200と組み立てられ得る。いくつかの実施例では、ハウジング110の下端部167は、内部キャビティ133への第2の流体通路を形成する出口ポート123を画定し得る。
【0024】
本開示の様々な実施例によれば、圧縮可能な弁200は、非対称の幾何学形状を有し得る。例えば、圧縮可能な弁は、例えばハウジング110の長手方向軸Xに関して対称ではない幾何学形状を有する非対称形状の弁200とすることができる。これらの実施例では、弁200のうち、長手方向軸Xの左側に対する部分は、弁200のうち、長手方向軸Xの右側に対する部分と、形状又は幾何学形状が一致しないものとすることができる。
【0025】
本開示の様々な実施例によれば、非対称形状の圧縮可能な弁200は、ヘッド部分220と、ヘッド部分220から遠位に延在する弁体部分225とを含むことができる。いくつかの実施例では、示すように、ヘッド部分は、細長いヘッド部分とすることができる。しかしながら、本開示の様々な実施例は、上述した構成に限定されない。例えば、いくつかの実施例では、ヘッド部分220は、細長いヘッドの形状又は形態でなくてもよい。示すように、非対称形状の圧縮可能な弁200は、弁キャビティ245を形成する又は他の場合では画定する内面235を有する壁230をさらに含むことができる。
【0026】
特定の実施例では、非対称形状の圧縮可能な弁200の壁230は、
図1Aに示すように、その周の周りにおける種々の位置に不均衡な断面厚さを有し得る。例えば、いくつかの実施例では、壁230は、50%以上異なる断面厚さを対向する両側に有し得る。例えば、壁230の厚い方の側は、その対向する側の厚さよりも50%以上の厚さを有し得る。種々の厚さ間の関係は、対向する両側に関して説明されているが、対向する両側は、互いの反対の方向にある必要はなく、他の配置にあってもよい。いくつかの実施例では、壁230の厚さは、75%超であるが100%未満、様々であり得る。例えば、壁230の厚い方の側は、その対向する側の厚さよりも75%~100%未満大きい厚さを有し得る。いくつかの実施例では、壁230の厚さは、100%以上、様々であり得る。例えば、壁230の厚い方の側は、その対向する側の厚さよりも100%以上の厚さを有し得る。いくつかの実施例では、壁230の厚さは、最も狭い壁厚さ部分に沿って上から下へ厚さが漸増するように壁230の長さに沿って様々であり得る。いくつかの実施例では、壁230の厚さは、最も厚い壁厚さ部分に沿って上から下へ厚さが漸減するように壁230の長さに沿って様々であり得る。非対称の弁幾何学形状及び壁230の前述の構成は、圧縮可能な弁部材の圧潰において、より制御された作動の確実性を可能にし得る。
【0027】
特定の実施例では、細長いヘッド部分220は、弁体部分225に比べ、圧縮可能な弁200の全長のより多くの部分を含み得る。例えば、いくつかの実施例では、細長いヘッド部分220は、圧縮可能な弁200の全長の50%超を含み得る。他の実施例では、細長いヘッド部分220は、圧縮可能な弁200の全長の50%超であるが75%未満を含み得る。さらの他の実施例では、細長いヘッド部分220は、細長いヘッド部分220の75%超であるが100%未満を含み得る。細長い弁ヘッド部分220及び非対称の弁幾何学形状を有する非対称形状の圧縮可能な弁200の前述の構成は有利には、現存の無針弁の弁に比べ、より制御された方式で、非対称形状の圧縮可能な弁200が作動及び収縮することを可能にする。有利には、細長い弁ヘッド部分220及び非対称の弁幾何学形状を有する前述の構成は、圧縮可能な弁部材のより制御された作動及び収縮を可能にすることにより、入口ポート又はアクセス・ポート112からの医療器具(例えば、シリンジ)の迅速な分離時に流体がコネクタ100を出る(例えば、飛び散る)ことを防ぐことができる。
【0028】
それに対し、現存及び/又は従来技術の無針弁の幾何学形状の特性に起因して、流体は一般に、弁を開位置にするように軸方向力を加えるのに使用される医療器具(例えば、嵌合する雄型ルアー又はシリンジ)が取り外されると弁ヘッドの面に堆積する。これら現存の無針弁において、弁ヘッドに堆積された流体は場合により、弁から離脱し、患者への投与用の流体経路に流れ込むことにより、血流疾患の可能性とともに不安を引き起こす。
【0029】
本開示の様々な実施例に従って、細長いヘッド部分220は、その外面に圧縮可能な弁200の第1のシール部分又は副シール部分214を画定する上部セクション212を含むことができる。弁体部分225は、弁体部分225の近位端において、圧縮可能な弁200の外面に、第2のシール部分又は主シール部分222をさらに画定し得る。主シール部分222は、ハウジングの本体部分115の内面130に対して係合して内面130との間に主シールを形成するように構成され得る。同様に、副シール部分214は、ハウジングの本体部分115の内面130に対して係合して内面130との間に副シールを形成するように構成され得る。したがって、主シール部分222は、封止縁122(入口ポート112とベース部分160の上部セクション165との間に位置する)に対して係合して主シールを形成するように構成され得る。
【0030】
示すように、主シール部分222は、副シール部分214から離間され、副シール214に対して遠位に配置され得る。いくつかの実施例では、主シール部分222は、ハウジング110のベース部分160に隣り合って、又は、副シール部分214に対するよりもハウジング110のベース部分160のより近くに位置付けられ得る。特に、いくつかの実施例では、主シール部分222は、上部セクション165に隣り合って、又は、副シール部分214に対するよりもハウジング110のベース部分160の上部セクション165のより近くに位置付けられ得る。したがって、主シール部分222とベース部分160の上部セクション165との間の距離は、副シール部分214と主シール部分222との間の距離よりも小さいものであり得る。
【0031】
上記で説明したように、圧縮可能な弁200の主シール部分222をベース部分160の上部セクション165の近くに/上部セクション165に隣り合って位置付ける前述の構成は有利には、より堅固なシールをつくり出すことができる。有利には、圧縮可能な弁200にかかる予荷重は、無針弁コネクタ100の様々な製造公差に対してより一貫したままとすることができる。それに対し、ベースからより遠くに位置付けられる主シールを弁が有する現存のコネクタでは、主シールは、主シールとベースとの間のより長い距離にわたる薄肉弁の座屈に起因して、予荷重を失う可能性がある。同じ理由から、弁の予荷重/封止能力は、製造公差の影響を受けやすい。
【0032】
本開示の様々な態様によれば、上記で簡潔に説明したように、圧縮可能な弁200は、弁キャビティ245を画定する内面235を含む壁230を有し得る。示すように、圧縮可能な弁200は、ベース部分160の少なくとも一部が弁キャビティ245内に配置されるように、ハウジング110と連結されるとともにハウジング110の内部にあるものとすることができる。特に、いくつかの実施例では、ベース部分160の上部セクション165は、弁キャビティ245内に配置され得る。したがって、ハウジング110と圧縮可能な弁部材との組み立て状態において、圧縮可能な弁200は、弁体部分225における、圧縮可能な弁200の内面235が、弁シール支持体250に着座する及び/又は弁シール支持体250によって半径方向に支持されるように、ハウジング110と連結され得る。例えば、組み立て状態では、傾斜面255は、内面235に係合することができ、そのため、ヘッド270は、圧縮可能な弁200の内面235を半径方向に支持することができる。したがって、ハウジング110は、組み立て構成において、傾斜面255を含むヘッド270が圧縮可能な弁200の内面235に力をかけて圧縮可能な弁200に半径方向支持をもたらすことができるように、圧縮可能な弁200と組み立てられ得る。ヘッド270がもたらす半径方向支持は有利には、圧縮可能な弁部材200が高い背圧又は他の場合では過度の背圧を受けると圧縮可能な弁200が「押し潰される」又は他の場合では同様に変形されることを防ぐことができる。
【0033】
本開示のいくつかの実施例に従って、非対称形状の圧縮可能な弁200の壁230は、半径方向内側延出レッジ260を画定し得る。示すように、半径方向内側延出レッジ260は、非対称形状の圧縮可能な弁200の弁体部分225の外面から半径方向内側に延出することができる。したがって、ハウジング110と圧縮可能な弁部材200との組み立て状態において、ベース部分160の上部セクション165の半径方向外側延出レッジ265は、非対称形状の圧縮可能な弁200の半径方向内側延出レッジ260に当接して、非対称形状の圧縮可能な弁200が第1のポートへ変位することを防ぐことができる。したがって、半径方向外側延出レッジ265及び半径方向内側延出レッジ260は、有利には、圧縮可能な弁200を支持するために、また、過度の背圧を受けると圧縮可能な弁200が第1のポートへ近位に変位することを防ぐために、半径方向外側延出レッジ265が半径方向内側延出レッジ260に接触及び当接することを可能にする、対応する又は相補的な形状、プロファイル、及び/又は幾何学形状を有して形成され得る。
【0034】
示すように、いくつかの実施例では、半径方向内側延出レッジ260は、主シール部分222に隣り合って位置付けられ得る。特に、いくつかの実施例では、半径方向内側延出レッジ260は、ベース部分160の上部セクション165に対するよりも主シール部分222のより近くに位置付けることができる。したがって、半径方向内側延出レッジ260とベース部分160の上部セクション165との間の距離は、半径方向内側延出レッジ260と主シール部分222との間の距離よりも大きいものとすることができる。いくつかの実施例では、主シール部分222と半径方向内側延出レッジ260との隣り合った位置決めは、主シール部分222が半径方向内側延出レッジ260からより遠隔に位置決めされる場合よりも、主シール部分222の位置において内部封止縁122に対して圧縮可能な弁200のより大きな力をもたらすことができる。
【0035】
いくつかの実施例では、弁キャビティは、上側弁キャビティ及び下側弁キャビティを含み得る。これらの実施例では、半径方向内側延出レッジ260は、上側弁キャビティと下側弁キャビティとの間に配置され得る。さらに、ベース部分160のヘッド270は、上側弁キャビティ内に配置され得、ステム275は、下側弁キャビティ内に配置され得る。
【0036】
本開示の様々な実施例によれば、圧縮可能な弁200は、無針コネクタ及び他の医療器具のための機械弁を製造するために使用される様々な材料のうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実施例では、ヘッド部分220が、例えばシリコーン化合物であるがこれに限定されないエラストマー材料を含み得る。さらに、主シール部分222がエラストマー材料を含み得る。いくつかの実施例では、圧縮可能な弁200のすべて又はいくつかは、液体シリコーン・ゴムから形成され得る。
【0037】
したがって、本明細書において説明される様々な実施例の無針コネクタは、現存の無針コネクタに勝る複数の利点を提供する。例えば、本開示の様々な実施例は一般に、コネクタのハウジング内に配置された弾性の圧縮可能な弁を組み込んでいる自己封止無針コネクタであって、圧縮可能な弁が、長い弁棒を有する非対称の弁幾何学形状とコネクタのベース側の近くに位置付けられる主シールとを有する、自己封止無針コネクタを対象とする。長い弁棒及び非対称の弁幾何学形状は、弁がより制御された方式で作動及び収縮することを可能にする。これは、迅速なシリンジ分離時に流体がコネクタを出る(飛び散る)ことを防ぐ。
【0038】
本明細書において説明するように、また、理解されるであろうように、コネクタのハウジングのベースの近くに弁の主シールを位置付けることは、より堅固なシールをつくり出す。有利には、弁にかかる予荷重は、コネクタの様々な製造公差に対してより一貫したままである。それに対し、ベースから遠くに位置付けられる主シールを弁が有する現存のコネクタでは、シールは、長い距離にわたる薄肉弁の座屈に起因して、シールにかかる予荷重を失う可能性がある。同じ理由から、弁の予荷重/封止能力は、製造公差の影響を受けやすい。
【0039】
さらに有利には、長いネックの非対称の弁幾何学形状の設計により、弁は、現存の無針コネクタにおける弁よりもはるかに制御された方式で作動及び収縮することができる。それに対し、現存の無針コネクタは、複数の課題を提示する。例えば、弁の上半分が固体シリコーンであるため、弁は、非常に高いばね定数を有する。現存の無針コネクタの弁は(例えば、シリンジを迅速に外す際に)素早く収縮するため、弁の固体シリコーン部分が緩まるとともに著しくはね返る傾向がある。これは不都合には、流体を現存のコネクタから飛び散らせる可能性がある。さらに、現存の無針コネクタの弁は、製造差異の影響を非常に受けやすい。現存の弁の主シールは薄肉シリコーンの長い柱によって支持されるため、弁にかかる予荷重の喪失は、構成要素又はコネクタ自体の組立体の僅かな公差変化に伴い、より顕著となる。さらに、現存の弁の強度がシリコーンによって決まるため、高い背圧下で、現存の弁は、現存コネクタのアクセス・ポートから膨出する傾向を有する。
【0040】
さらに、コネクタのハウジングのベースは有利には、複数のやり方で弁の主シールを支持するように設計され得る。例えば、いくつかの実施例では、ベースの少なくとも一部は、主シール領域において弁に半径方向支持をもたらすように設計され得る。この半径方向支持は有利には、高い背圧により弁が「押し潰される」又は他の場合では同様に変形されることを防ぐことができる。いくつかの実施例では、コネクタのベースの少なくとも一部は、弁を「保持」するように、また、高い背圧により弁がアクセス・ポートから膨出することを防ぐように設計され得る。
【0041】
本開示は、当業者がいずれも本明細書に記載された様々な態様を実践することを可能にするために提供される。本開示は、主題の技術の様々な実例を提供しており、主題の技術は、これらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定義される包括的な原理は他の態様に適用され得る。
【0042】
単数形の要素への言及は、具体的にそのように述べられていない限り、「1つ及びただ1つ」を意味するのではなく、「1つ又は複数」を意味することを意図されている。具体的にそうでないことが述べられていない限り、「いくつか」という用語は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の)は、女性及び中性(例えば、彼女の及びその)を含み、その逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは単に便宜上使用されているにすぎず、本発明を限定しない。
【0043】
「例示的な」という語は、本明細書において「実例又は例示として役立つ」ことを意味するのに用いられる。本明細書において「例示的な」として記載される態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されない。一態様では、本明細書に記載された様々な代替の構成及び動作は、少なくとも等価であるとみなされてもよい。
【0044】
本明細書において使用されているように、一連の事項に続く「~の少なくとも1つ」という語句は、それら事項の任意のものを分離するための用語「又は」を伴う場合、列挙されたものの各事項ではなく、全体として列挙されたものを修飾する。「~の少なくとも1つ」という語句は、少なくとも1つの事項を選択する必要はなく、むしろ、この語句は、事項の任意の1つの少なくとも1つ、及び/又は事項の任意の組み合わせの少なくとも1つ、及び/又は事項のそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。実例として、「A、B、又はCの少なくとも1つ」という語句は、Aのみ、Bのみ、又はCのみ、或いは、A、B、及びCの任意の組み合わせを指すことができる。
【0045】
「態様」等の語句は、そのような態様が主題の技術に不可欠であることも、そのような態様が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。態様に関する開示は、すべての構成或いは1つの又は複数の構成に当てはまり得る。態様は、1つ又は複数の実例を提供し得る。態様等の語句は、1つ又は複数の態様を指すことがあり、その逆もまた同様である。「実施例」等の語句は、そのような実施例が主題の技術に不可欠であることも、そのような実施例が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。実施例に関する開示は、すべての実施例或いは1つ又は複数の実施例に当てはまり得る。実施例は、1つ又は複数の実例を提供し得る。実施例等の語句は、1つ又は複数の実施例を指すことがあり、その逆もまた同様である。「構成」等の語句は、そのような構成が主題の技術に不可欠であることも、そのような構成が主題の技術のすべての構成に当てはまることも示唆しない。構成に関する開示は、すべての構成、或いは1つ又は複数の構成に当てはまり得る。構成は、1つ又は複数の実例を提供し得る。構成等の語句は、1つ又は複数の構成を指すことがあり、その逆もまた同様である。
【0046】
一態様では、別段の記載がない限り、本明細書に記載されるすべての測定値、値、評点、位置、大きさ、寸法、及び他の仕様は、以下に続く特許請求の範囲におけるものを含め、概略的なものであり、正確ではない。一態様では、それらは、それらが関連する機能及びそれらが属する技術分野の慣例に矛盾しない、合理的な範囲を有することを意図される。
【0047】
開示されているプロセス又は方法におけるステップ又は動作の特定の順序又は階層は、例示的なアプローチの例示であることが理解される。実施の優先度又はシナリオに基づいて、ステップ、動作又はプロセスの特定の順序又は階層は、配置換えされてもよいことが理解される。ステップ、動作又はプロセスのうちのいくつかは、同時に実施されてもよい。いくつかの実施の優先度又はシナリオでは、特定の動作が実施されてもよく、又は実施されなくてもよい。ステップ、動作、又はプロセスのうちのいくつか又はすべては、ユーザの介入なく、自動的に実施され得る。添付の方法の請求項は、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素をサンプル順序で提示しており、提示されている特定の順序又は階層に限定されることを意味していない。
【0048】
当業者に知られているか又は後で知られることになる、本開示の全体を通して記載される様々な態様の要素に対するすべての構造的及び機能的な均等物は、明確に参照により本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることを意図されている。さらに、本明細書に開示されているいかなるものも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に供されることを意図されていない。請求項のいかなる要素も、その要素が、「~ための手段(means for)」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、又は、方法の請求項の場合において、その要素が、「~のためのステップ(step for)」という語句を使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されるべきではない。その上、「含む(include)」、「有する(have)」等の用語が使用される限りにおいて、そのような用語は、「有する(comprise)」が請求項の中の移行句として用いられる場合に解釈されるように、「有する(comprise)」という用語と同様にして包括的であることが意図されている。
【0049】
本開示の発明の名称、背景技術、発明の概要、図面の簡単な説明及び要約書は、これによって本開示に組み込まれ、本開示の限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な実例として提供される。本開示は、これらが請求項の範囲又は意味を限定するように使用されないという理解のもとで提出される。さらに、詳細な説明において、説明は例示的な実例を提供しており、また、本開示をストリーミングする目的で様々な実施例において様々な特徴がともにグループ化されていることが分かる。本開示の方法は、特許請求されている主題が各請求項の中で明示的に記載されているよりも多くの特徴を要するという意図を示すものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、本発明の主題は、単一の開示されている構成又は動作のすべての特徴よりも少ない特徴にある。以下の特許請求の範囲は、これにより、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別々に特許請求されている主題としてそれ自体に基づいている。
【0050】
特許請求の範囲は、本明細書に記載される態様に限定されることを意図されるのではなく、特許請求の範囲の文言に矛盾しない完全な範囲を与えられるべきものであり、すべての法的均等物を包含するものとする。しかしながら、請求項のいずれも、米国特許法第101条、第102条、又は第103条の要件を満たさない主題を包含することは意図されておらず、また、そのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】