IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タラノ・テクノロジーの特許一覧 ▶ エムジーアイ・クーティエの特許一覧

特表2024-516562遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器
<>
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図1
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図2
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図3
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図4
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図5
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図6
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図7
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図8
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図9
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図10
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図11
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図12
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図13
  • 特表-遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】遠心ポンプによって発生したノイズのための減衰器
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/66 20060101AFI20240409BHJP
   F16D 65/00 20060101ALI20240409BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20240409BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F04D29/66 G
F16D65/00 C
G10K11/172
G10K11/16 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562466
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2022059032
(87)【国際公開番号】W WO2022214500
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】2103612
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287580
【氏名又は名称】タラノ・テクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】507063735
【氏名又は名称】アクウェル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ゲリー
【テーマコード(参考)】
3H130
3J058
5D061
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB22
3H130AB42
3H130AC30
3H130BA13Z
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DF00X
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA62
3J058AA69
3J058AA73
3J058BA21
3J058BA78
3J058DE17
3J058FA01
3J058FA21
5D061CC04
5D061EE31
(57)【要約】
本発明は、音響波を伝播することができるガスストリームが通過する電気機械デバイス用の音響減衰デバイス(200)に関する。前記デバイスは、ガスストリーム用の入口ポート(202)と、特に大気中に前記ガスストリームを放出するための、ガスストリーム用の出口ポート(204)とを備える。本発明によれば、デバイス(200)は、入口ポート(202)と出口ポート(204)との間で主軸(X)の周りにガスストリームのための実質的に円形の流路を画定する全体的に環状のチャネル(206)と、関連付けられた減衰周波数帯域を有する減衰共鳴周波数に調整され、チャネル(206)内に流れるガスストリームと相互作用するために前記チャネル(206)に沿って円形に直列に配置された複数の音響減衰器要素(210)とを備え、音響減衰器要素(210)は、1/4波長共鳴器の空洞(212)によって形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響波を伝播することができるガスストリームが通過する電気機械デバイス(150)用の音響減衰デバイス(200)であって、ガスストリーム用の入口ポート(202)と、特に大気中への放出のための、ガスストリーム用の出口ポート(204)とを備える、音響減衰デバイスにおいて、前記デバイス(200)が、前記入口ポート(202)と前記出口ポート(204)との間に前記ガスストリームのための実質的に曲線状の流路を画定する、前記デバイス(200)の主軸(X)の周りで全体的に曲線状である全体形状のチャネル(206)を備え、また、減衰共鳴周波数(f0)に調整され、前記チャネル(206)内に流れる前記ガスストリームと相互作用するために前記チャネル(206)に沿って連続的に直列に配置された複数の音響減衰器要素(210)を備え、前記音響減衰器要素(210)は、1/4波長共鳴器の空洞(212)によって形成され、共鳴器と称され、前記チャネル(206)の壁は、前記チャネル(206)の円周方向に沿って一方の空洞(212)から別のものにかけて変化する増分的深さを規定する段付き輪郭を有することを特徴とする、音響減衰デバイス。
【請求項2】
前記チャネル(206)が、前記軸(X)の周りで全体的に環状である全体形状を有し、前記入口ポート(202)と前記出口ポート(204)との間にほぼ円形の流路を画定し、または前記チャネル(206)が、前記入口ポート(202)と前記出口ポート(204)との間に外方向に拡張するらせん構成で少なくとも部分的に巻回する、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項3】
前記チャネル(206)には、実質的に円周方向に前記チャネル(206)の内側で延びる内部幾何学的構造体(207)が設けられ、前記内部幾何学的構造体は、前記複数の空洞(212)を画定し、前記空洞(212)が開口する主要通路を前記ガスストリームの前記流れに対する妨害がない状態にするように構成される、請求項1または2に記載のデバイス(200)。
【請求項4】
前記内部幾何学的構造体(207)が、前記複数の空洞(212)を形成する複数の区画を前記チャネル(206)の前記壁と共に画定する複数の経方向分離パーティション(214)を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項5】
前記深さが前記一方の空洞(212)から別のもの(212)にかけて、前記入口(202)から前記出口(204)に進む方向に、前記一連の共鳴器(210)にわたって増加しながら、または減少しながら変化する、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項6】
少なくとも第1および第2の共鳴器(210)が、20デシベルを上回る減衰の第1および第2の周波数帯域にそれぞれ関連付けられた第1および第2の共鳴周波数を有しているとき、前記2つの共鳴器(210)間の前記円周方向距離は、20デシベルを上回る減衰の連続的な周波数帯域にわたって前記2つの共鳴器(210)間の結合現象を生成するように決定される、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項7】
2つの連続する共鳴器(210)AiとAi+1との間の最適な間隔Popt(i)が、以下の式
【数1】
によって与えられ、
式中、f0(i)は、共鳴器Aiの共鳴周波数であり、f0(i+1)は、共鳴器Ai+1の共鳴周波数であり、vは音速であり、2つの連続する共鳴器(210)AiとAi+1との間の前記間隔P(i)は、Popt(i)の値の50%から150%まで及ぶ値の範囲内にある、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項8】
2つの共鳴器(210)間の前記間隔(P)が、前記入口(202)から前記出口(204)に進む方向に、前記一連の共鳴器(210)に沿って増加しながら、または減少しながら変化する、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項9】
2つの連続する共鳴器AiとAi+1との間の前記間隔(P)が、前記一連のN個の共鳴器(210)に沿って一定であり、前記一連の共鳴器Aiにわたる前記最適な間隔Popt(i)の最小値および最大値の平均値に対応し、ここでiは1からNである、請求項7に記載のデバイス(200)。
【請求項10】
前記共鳴器(210)が、異なる共鳴周波数における吸収を保証するために、対で比較したときにすべて寸法的に異なる、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項11】
各共鳴器(210)の前記空洞(212)が、前記チャネル(206)に開口するように構成された実質的に管状形状を有し、所定の共鳴周波数(f0)の音響波の波長の4分の1に実質的に対応する深さを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項12】
各共鳴器(210)の空洞(212)の断面が、前記チャネル(206)の内部および外部の曲率をたどる曲線状縁を有する、請求項11に記載のデバイス(200)。
【請求項13】
前記チャネル(206)が、前記軸(X)の周りで環状である外側周囲壁(220E)および内側周囲壁(220I)によって径方向に、かつ上壁(222)および下壁(224)によって横断方向に画定される、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス(200)。
【請求項14】
前記上壁(222)が、前記共鳴器(210)を形成する前記共鳴空洞(212)の前記深さを軸方向に規定するように構成される、請求項13に記載のデバイス(200)。
【請求項15】
遠心ポンプ(150)であって、ケーシング(170)と、前記ポンプの主軸(X)に沿って延びるシャフト(152)と、前記シャフト(152)上に取り付けられたインペラ(154)と、前記インペラ(154)を回転させるためのモータ(156)とを備え、ガスストリーム用の取り入れポート(176)と排出ポート(178)との間の前記ポンプ(150)の前記ケーシング(170)の内側に前記ガスストリーム用の流路を規定する、遠心ポンプにおいて、前記遠心ポンプが、請求項1から14のいずれか一項に記載の音響減衰デバイス(200)を備え、前記音響減衰チャネル(206)は、前記ポンプ(150)内に循環する前記ガスストリームが前記減衰チャネル(206)を通って流れてから、前記下流ケーシング(174)の前記排出ポート(178)を通って大気中に排出されるように、前記ケーシング(170)の内側で前記ポンプ(150)の前記主軸(X)の周りに曲線状構成で配置されることを特徴とする、遠心ポンプ。
【請求項16】
前記ケーシング(170)が、前記インペラ(154)を収容するように構成された上流ケーシング(172)と、前記モータ(156)を収容するように構成された下流ケーシング(174)とを備え、前記下流ケーシング(174)は、外側周囲壁(194)と、前記モータ(156)を収容するための中央空間(198)の周りを延びる内側周囲壁(196)とを画定するカウリングの一般的形状の本体を備え、前記減衰デバイス(200)の前記チャネル(206)は、前記下流ケーシング(174)の前記外壁(194)と前記内壁(196)の2つの間を延びる、請求項15に記載の遠心ポンプ(150)。
【請求項17】
ブレーキダスト粒子、特にモータ車両(10)のブレーキ配置(30)の1つまたは複数のパッドによって生成されるものを回収するための汚染除去デバイス(110)であって、粒子を含有する汚れた空気の流れのための入口ポート(116)と、浄化された空気の流れを排出するための出口ポート(130)とを有するハウジング(112)と、前記ハウジング(112)内に収容された少なくとも1つの分離部材(140;142、144)であって、汚れた空気の前記流れから粒子を分離するために、前記空気流が、前記分離部材を通って前記入口ポート(116)と前記出口ポート(130)との間を循環する、少なくとも1つの分離部材とを備える、デバイスにおいて、前記デバイス(110)が、請求項15および16のいずれか一項に記載の遠心ポンプを備える吸引部材(150)を備え、前記ポンプ(150)の取り入れポート(172)が、前記ハウジング(112)の前記出口ポート(130)に接続されるように構成されることを特徴とする、汚染除去デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に遠心ポンプのタービンによって発生したノイズのためのノイズ減衰器に関する。本発明は、より詳細には、ただし具体的ではないが、ブレーキングダスト粒子、特にモータ車両のブレーキング作用中に発せられたものを回収するためのデバイスであって、その内部でそのような遠心ポンプによって空気が吸引される、デバイスに適用される。本発明の適用分野は、より詳細には、ただし制限的ではないが、道路車両(たとえば自動車、重トラック、オートバイ)または鉄道車両(列車、トラム、地下鉄)にかかわらず、車両のブレーキング作用中に発生したブレーキングダストの回収に関する。
【背景技術】
【0002】
概して、鉄道または道路車両、特にモータ車両のブレーキングは、たとえば「ディスクブレーキ」によくあることであるが、摩擦ブレーキングシステムによって達成される。本発明は、ドラムブレーキまたは任意の他のタイプの摩擦ブレーキなどの他のタイプのブレーキングシステムに適用することができる。ディスクブレーキは、車両の車輪のハブに固定された車軸周りで回転するディスクと、摩擦材料で作製されたライニングが設けられ、ブレーキキャリパによってディスクの両側に取り付けられたブレーキパッドとを備える。
【0003】
ブレーキング作用中、キャリパに対して移動可能であるブレーキパッドは、車両の車輪に回転可能に接続されたディスクを押しつけて、ブレーキングトルクを車輪にかけ、運動エネルギーを熱に変換することによってブレーキングを可能にする。
【0004】
しかし、それぞれのブレーキング作用では、ブレーキパッドの摩擦は、熱の放出に加えて、ライニングの摩擦材料に対する磨耗、ならびに金属ディスクまたはドラムに対する磨耗を引き起こす。このアブレシブ磨耗により、多くの粒子排出が生成される。モータ車両のブレーキは通常完全には包囲されていないため、ブレーキングダストのこれらの粒子は、その後周囲環境内に直接放出される。
【0005】
車輪の周辺環境、特にリムを汚すことに加えて、より重要なことに、これらの粒子は健康に有害である。これらの粒子は、ナノ粒子またはマイクロ粒子である恐れがあり、この最も微細な粒子は、概して個人の健康に特に有害であり、呼吸疾患、アレルギー疾患、および心血管系疾患を生じさせるリスクの増大を伴うことが認識されている。
【0006】
ブレーキングダスト粒子からの汚染を低減するために、現況技術では、ブレーキングシステムの近くに粒子ろ過デバイスを置くことが知られている。
【0007】
そのようなろ過デバイスは、収集本体を画定するハウジングを備え、ハウジングは、たとえば、粒子フィルタおよび/またはサイクロン構造体などのろ過部材を収容し、ハウジングは、汚れた空気用の流入口と、浄化された空気用の流出口とを備え、空気は、フィルタおよび/またはサイクロン構造体を通って入口と出口との間を循環する。
【0008】
ハウジングの内側で空気を循環させるために、ハウジングの出口を「タービン」に接続することが従来技術から知られており、これは、遠心ポンプを設計するために一般的に使用される設計である。
【0009】
それ自体知られている方法で、そのようなポンプは、通常、渦巻き型であるポンプ本体の形態であり、ポンプ本体は、ろ過後にハウジングを出た浄化された空気をポンプ内に軸方向に吸引し、径方向に加速させ、最終的に接線方向に排出する回転式プロペラを収容する。
【0010】
このようにして、ブレーキング中にブレーキライニングと車輪との間の摩擦によって発生したダストは、ろ過デバイス内に捕捉され、ろ過される。実際には、遠心吸引ポンプにより、ダスト含有空気の流れが、ろ過ハウジング内に吸引される。空気流は、ろ過ユニットを通って進行するときに浄化されてから遠心ポンプに到達し、遠心ポンプは、浄化された空気を外に送る。
【0011】
しかし、遠心ポンプを有するろ過デバイスは、場合によっては望ましくない音周波数範囲にわたる大きなノイズ汚染源となり、モータ車両ユーザの不満の潜在的な理由であるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】中国特許第1864619号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特に、スペース要件を最小にし、音周波数ダンピングの範囲を大きくしながら、遠心ポンプの動作から生じるノイズを低減することを可能にすることによって、この欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明の1つの目的は、音響波を伝播することができるガスストリームが通過する電気機械デバイス用の音響減衰デバイスであって、ガスストリーム用の入口ポートと、特に大気中への放出のための、ガスストリーム用の出口ポートとを備える、音響減衰デバイスにおいて、デバイスが、入口ポートと出口ポートとの間にガスストリームのための実質的に曲線状の流路を画定する、デバイスの主軸の周りで全体的に曲線状である全体形状のチャネルを備え、また、減衰共鳴周波数に調整され、チャネル内に流れるガスストリームと相互作用するために前記チャネルに沿って連続的に直列に配置された複数の音響減衰器要素を備え、音響減衰器要素は、1/4波長共鳴器の空洞によって形成されることを特徴とする、音響減衰デバイスである。
【0015】
音響減衰チャネル内の共鳴器の主軸周りのこうした曲線状の配置により、音響減衰デバイスは、遠心ポンプ本体の内側に容易に設置することができるため、コンパクトである。特に、本発明により、拡張された周波数範囲にわたる音周波数の減衰を可能にしながら、低減されたスペース内に複数の共鳴器を配置することが可能である。
【0016】
好ましい実施形態では、チャネルは、軸周りで全体的に環状である全体形状を有し、入口ポートと出口ポートとの間にほぼ円形の流路を画定する。
【0017】
好ましい実施形態では、チャネルは、入口ポートと出口ポートとの間に外方向に拡張するらせん構成で少なくとも部分的に巻回する。
【0018】
好ましい実施形態では、チャネルには、チャネルの内側で実質的に円周方向に延びる内部幾何学的構造体が設けられ、この内部幾何学的構造体は、複数の空洞を画定し、空洞が開口する主要通路をガスストリームの流れに対する妨害がない状態にするように構成される。
【0019】
好ましい実施形態では、内部幾何学的構造体は、複数の空洞を形成する複数の区画をチャネルの壁と共に画定する複数の径方向分離パーティションを備える。
【0020】
好ましい実施形態では、チャネルの壁は、チャネルの円周方向に沿って一方の空洞から別のものにかけて変化する増分的な深さを規定する段付き輪郭を有する。
【0021】
好ましい実施形態では、深さは一方の空洞から別のものにかけて、入口から出口に進む方向に、一連の共鳴器にわたって増加しながら、または減少しながら変化する。
【0022】
好ましい実施形態では、少なくとも第1および第2の共鳴器が、20デジベルを上回る第1および第2の減衰周波数帯域にそれぞれ関連付けられた第1および第2の共鳴周波数を有している場合、2つの共鳴器間の円周距離は、20デシベルを上回る連続的な減衰周波数帯域にわたって2つの共鳴器間の結合現象を生成するように決定される。
【0023】
円周方向距離は、チャネルの円周方向中心線に沿って2つの要素を分離する距離を意味すると理解される。
【0024】
好ましい実施形態では、2つの連続する共鳴器AiとAi+1との間の最適な間隔Popt(i)は、以下の式
【0025】
【数1】
【0026】
によって与えられ、
式中、f0(i)は、共鳴器Aiの共鳴周波数であり、f0(i+1)は、共鳴器Ai+1の共鳴周波数であり、vは音速であり、2つの連続する共鳴器AiとAi+1との間の間隔P(i)は、Popt(i)の値の50%から150%まで及ぶ値の範囲内にある。
【0027】
好ましい実施形態では、2つの共鳴器間の間隔は、入口から出口に進む方向に、一連の共鳴器に沿って増加しながら、または減少しながら変化する。
【0028】
好ましい実施形態では、2つの連続する共鳴器AiとAi+1との間の間隔は、一連の共鳴器に沿って一定であり、一連の共鳴器Aiにわたる最適な間隔Popt(i)の最小値および最大値の平均値に対応し、ここでiは、1からNである。
【0029】
好ましい実施形態では、共鳴器は、異なる共鳴周波数における吸収を保証するために、対で比較したときにすべて寸法的に異なる。
【0030】
好ましい実施形態では、各共鳴器の空洞は、チャネルに開口するように構成された実質的に管状形状を有し、所定の共鳴周波数の音響波の波長の4分の1に実質的に対応する深さを有する。
【0031】
好ましい実施形態では、各共鳴器空洞の断面は、チャネルの内部および外部の曲率をたどる曲線状縁を有する。
【0032】
好ましい実施形態では、チャネルは、軸の周りで環状である外側周囲壁および内側周囲壁によって径方向に、かつ上壁および下壁によって横断方向に画定される。
【0033】
好ましい実施形態では、上壁は、共鳴器を形成する共鳴空洞の深さを軸方向に規定するように構成される。
【0034】
本発明の別の目的は、遠心ポンプであって、ケーシングと、ポンプの主軸に沿って延びるシャフトと、シャフト上に取り付けられたインペラと、インペラを回転させるためのモータとを備え、ガスストリーム用の取り入れポートと排出ポートとの間のポンプのケーシングの内側にガスストリーム用の流路を規定する、遠心ポンプにおいて、遠心ポンプが、本発明による音響減衰デバイスを備え、音響減衰チャネルは、ポンプ内に循環するガスストリームが前記音響減衰チャネルを通って流れてから、下流のケーシングの排出ポートを通って大気中に排出されるように、ケーシングの内側でポンプの主軸の周りに曲線状構成で配置されることを特徴とする、遠心ポンプである。
【0035】
別の実施形態では、ケーシングは、インペラを収容するように構成された上流ケーシングと、モータを収容するように構成された下流ケーシングとを備え、下流ケーシングは、外側周囲壁と、モータを収容するための中央スペースの周りを延びる内側周囲壁とを画定するカウリングの一般的形状の本体を備え、減衰デバイスのチャネルは、下流ケーシングの外壁と内壁の2つの間を延びる。
【0036】
最後に、本発明は、ブレーキダスト粒子、特にモータ車両のブレーキ配置の1つまたは複数のパッドによって生成されるものを回収するための汚染除去デバイスであって、粒子を含有する汚れた空気の流れのための入口ポートと、浄化された空気の流れを排出するための出口ポートとを有するハウジングと、ハウジング内に収容された少なくとも1つの分離部材であって、汚れた空気の流れから粒子を分離するために、空気の流れが、その分離部材を通って入口ポートと出口のポートとの間を循環する、少なくとも1つの分離部材とを備える、デバイスにおいて、デバイスが、本発明による遠心ポンプを備える吸引部材を備え、取り入れポートが、ハウジングの出口ポートに接続されるように構成されることを特徴とする、汚染除去デバイスを有する。
【0037】
本発明の他の特徴および利点は、付属の図を参照しながら作製された以下の説明に照らして明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ブレーキング粒子汚染除去システムを組み込むモータ車両の概略図である。
図2図1の汚染除去システムを備える、図1のモータ車両の車輪の環境の概略図である。
図3】本発明による汚染除去デバイスを備える汚染除去システムの概略図である。
図4図3に概略的に表した汚染除去デバイスに対応する汚染除去デバイスの斜視図である。
図5図4の汚染除去デバイス上に装着することができる、本発明による遠心ポンプの第1の角度の視点からの分解斜視図である。
図6図5のポンプの第2の角度視点からの展開斜視図である。
図7図5および図6のポンプの長手方向断面図である。
図8図5および図6の吸引部材内に取り付けられるように意図された、本発明による減衰デバイスの底面図である。
図9図8の減衰デバイスの上面図である。
図10図8および図9の音響減衰デバイスの音響減衰チャネルの概略図である。
図11】本発明の音響減衰デバイスの1/4波長共鳴器の周波数(ヘルツ)の関数とする、ダンピング(デシベル)の推移のグラフである。
図12】第1の距離(点線曲線)および第2の距離(実線曲線)によって離間された音響減衰デバイスの2つの1/4波長共鳴器のヘルツ単位の周波数の関数とする、デシベル単位のダンピングの推移のグラフである。
図13】単一の固定された間隔によって離間された複数の共鳴器を備える、本発明による音響減衰デバイスを備える本発明による遠心ポンプのヘルツ単位の周波数の関数とする、デシベル単位のダンピングの推移の第1のグラフである。
図14】共鳴器に沿って変化する最適な間隔で共鳴器が互いから離間された、本発明による遠心ポンプのヘルツ単位の周波数の関数とする、デシベル単位のダンピングの推移の第2のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明では、上流および下流という用語は、流体の流れ方向に関連して使用される。したがって、第1の要素がシステム、デバイスまたは部材内で第2の要素の上流にあると本説明が明示したとき、前記システム、デバイス、または部材内で循環する流体の流れは、第2の要素の前に第1の要素を通過すると理解されなければならない。
【0040】
加えて、以下の説明では、用語「上側」、「下側」、「上方」、「下方」、「垂直」、および「水平」は、図1から図14に表すように位置付けられた位置にある要素を指す。さらに、本説明では、円周方向は、主軸X上に中心を置いたほぼ円形経路に対して接線方向を意味するように理解される。
【0041】
図1には、ブレーキダスト粒子の吸引および収集に基づく汚染除去システムを備えるモータ車両が示される。このシステムは、総称参照100によって示され、モータ車両は、総称参照10によって示される。本発明の好ましい実施形態では、車両10は、モータ車両であり、この場合小型車である。当然ながら、本発明は、重トラック、鉄道車両、または他の車両などの他の車両に適用することができる。
【0042】
概して、ただし非限定的に、車両10は、4つの車輪12と、車両を減速させ、これを特に比較的短い期間の間静止状態に保つ機能を有するブレーキングシステム20とを備える。ブレーキングシステム20は、車両10の車輪12の少なくとも2つに、好ましくは車両の4つの車輪12にブレーキングトルクをかけるように構成される。従来的には、車輪12は、たとえば燃焼機関または電気モータ(図示せず)または任意の他のタイプの推進装置などのパワートレインによって回転させることができる。
【0043】
この目的のために、ブレーキングシステム20は、好ましくは、車輪12の1つにそれぞれ関連付けられた4つのブレーキ配置30と、これらのブレーキ配置のための管理ユニットとを備える(2つのブレーキ配置30のみを図1に示す)。したがって、車両10のユーザは、ブレーキングシステム20のブレーキ配置30を制御する車両10の制御ユニット40によって、ブレーキングシステム20を制御することができる。
【0044】
そのようなブレーキ配置30が、例として図2に示されている。好ましくは、その配置30は、ディスクブレーキタイプのものである。図2は、車両10の車輪12の1つに取り付けられたブレーキ配置30を示し、この車輪12は、その懸架手段14と共に部分的に表されている。
【0045】
各ブレーキ配置30は、非限定的に、ロータディスク32を備え、ロータディスクは、軸の周りで回転し、関連付けられた車輪12と回転一体型である。この軸は、通常、車両10の車輪12のハブ16に固定されるように意図される。
【0046】
加えて、ブレーキ配置30は、キャリパ支持体34を備え、キャリパ支持体は、ディスク32の外縁を挟んで配置され、車両10のフレーム(図示せず)の固定された部分と回転一体型である。ブレーキ配置30は、2つのブレーキパッド36をさらに備え、これらブレーキパッドには、摩擦材料で作製されたライニング(図では直接見えない)が設けられ、ブレーキパッドは、キャリパ支持体34によってディスク32の両側に1つずつ取り付けられる。
【0047】
ブレーキパッド36は、たとえば油圧シリンダ(図示せず)の効果の下で移動可能であるように取り付けられ、ロータディスク32をクランプするように意図され、それによって運動エネルギーを熱エネルギーに変換しながらロータディスクをこれが止まるまで制動する。パッドライニングは、通常、摩擦材料で作製され、ディスク32に対する摩擦的磨耗から生じる粒子を放出する。ブレーキング中、ブレーキライニングとディスク32との間の摩擦は、場合によっては健康にとって危険な微細粒子を含むダストを生成する。
【0048】
ブレーキングダスト粒子を回収するために、回収および収集システム100は、モータ車両10のブレーキング作用中、上記で説明したように車両10のブレーキ配置30の摩擦ブレーキングから生成されたダスト粒子を吸引し、収集するように意図される。
【0049】
システム100は、本発明による少なくとも1つの汚染除去デバイス110を備え、好ましくは、ブレーキ配置30と同じ数の汚染除去デバイス110を備える。たとえば、システム100は、車両10の4つのブレーキ配置30に装備するために少なくとも2つの汚染除去デバイス110を備える。以下の説明では、1つだけの汚染除去デバイス110が詳細に説明され、この汚染除去デバイスは、全体的に、総称参照110によって示される。
【0050】
デバイス110は、たとえばモータ車両のブレーキング配置30の1つから来るブレーキング粒子およびダストを回収および収集する機能を有し、図3および図4に概略的および機能的に示されている。
【0051】
これらの図に詳細に示すように、デバイス110は、ハウジング本体112を備える。ハウジング112は、全体的に管状形状、たとえば主軸Xの周りの円筒形を有する。ハウジング112は、たとえば、さらには詳述しない解放可能または解放不能なさまざまな組み付け方法によって互いに組み付けられた2つの部分114および115である。
【0052】
加えて、ハウジング本体112は、ブレーキパッド30の周辺環境から収集された粒子を含有する汚れた空気の流れのための入口ポート116を備える。
【0053】
この目的のために、デバイス110はまた、コネクタエンドピース118を備え、このコネクタエンドピースは、入口ポート116に接続され、図2に概略的に表す、ブレーキパッド30の近くに口部を有する2つの可撓性ホース124に接続されるように意図される。エンドピース118は、その主軸に沿って、入口ポート116に接続されるように意図された第1の部分120と、2つのブランチ122Aおよび122Bに分離された第2の部分122とに分割される。図示する例では、コネクタエンドピース122のブランチ122Aおよび122Bのそれぞれは、好ましくは圧力嵌めによって可撓性ホース124に接続するための1つの端部を有し、この端部には、たとえば、もみの木に似た鋸歯状の外部起伏部が設けられる。たとえば、入口ポート116は、ノズル126の形態であり、コネクタエンドピース118は、好ましくは、ポート116の接続ノズル126上にねじ込むことによって接続される。
【0054】
加えて、ハウジング本体112は、浄化された空気の流れを排出するための出口130をさらに備える。好ましくは、図示する例では、入口ポート116および出口ポート130は、管状ハウジング本体112の端壁132および134上にそれぞれ形成され、ハウジング本体112は、たとえば、実質的に円筒状の周囲壁136と、たとえば全体的に円形形状を有する端壁132および134とを有する。
【0055】
さらに、デバイス110は、汚れた空気の流れから粒子を分離するための、ハウジング112内に収容された少なくとも1つの分離部材140を備え、空気流は、この分離部材を通って入口116と出口130との間を循環する。
【0056】
そのような分離部材140は、図3に極めて概略的に表すような、フィルタカートリッジ144またはサイクロンもしくはマルチサイクロンチャンバ142、またはその2つの組み合わせを備えてもよい。そのような分離部材140は、従来技術においてよく知られており、たとえば、関連する動作については特許出願の中国特許第1864619号に詳細に説明されており、以下ではこれ以上詳述しない。
【0057】
さらに、好ましくは、ハウジング112は、モータ車両10の車輪12を囲む空間内、たとえば図2に示すような懸架衝撃吸収装置14のアームの周りに収容されるようにサイズ設定される。この目的を達成するために、図示する例では、デバイス110は、2つの正反対の径方向延長ラグ148が設けられた円周方向フランジ146をさらに備え、ラグのそれぞれは、たとえば、締結リング(表さず)を保持するために穿孔されている。
【0058】
加えて、ハウジング112は、吸引ホース124を介してディスクブレーキ配置30の1つに接続される。好ましくは、吸引ホース124は、ブレーキダストが発生しやすい領域のすぐ近傍に位置する一方の端部を備える。その端部の他方は、好ましくは、ハウジング112の入口ポート116およびコネクタエンドピース118を介してデバイス110の収集本体内に繋がる。
【0059】
収集デバイス110は、たとえば、図3に概略的に示すハウジング112の内側に収容された収集タンク148をさらに備える。たとえば、タンク148は、サイクロンセパレータ142のチャンバを形成するために第1の分離部材142に関連付けられる。サイクロンセパレータ142の目的は、たとえば10ミクロンを上回る直径を有する粒子を捕捉するためである。図示する例では、デバイス110は、10ミクロン未満の直径を有する粒子を取り扱うことに関与する、フィルタカートリッジ144によって形成された第2の分離部材144をさらに備える。
【0060】
本発明によると、ハウジング112の入口116と出口130との間の回収ハウジング112の内側で効果的な空気循環を生成するために、デバイス110は、図3に概略的に、図5から図7に詳細に表す、浄化された空気流を吸引する吸引部材150をさらに備える。
【0061】
本発明によると、空気流吸引部材150は、図5から図7に概略的に表す、浄化された空気の流れを吸引するための遠心吸引ポンプを備える。ポンプ150は、ハウジング112の出口に、たとえば密封流体接続式に、収集デバイス110の出口ポート130上に直接取り付けられる。
【0062】
図7では、矢印Fは、遠心ポンプ150内の流体の循環の正常方向を示す。以下では、用語「上流」および「下流」は、遠心ポンプ150内の流体の循環の正常方向に関連して規定される。
【0063】
本発明の実施形態では、遠心ポンプ150は、ポンプ150の主軸Xを規定するシャフト152と、シャフト152上に取り付けられたインペラ154と、インペラ154を回転させるための、好ましくは電気のモータ156とを備える。遠心ポンプ150は、前述の要素を収容するためのケーシング170をさらに備える。この例では、ケーシング170は、主に、インペラ154およびシャフト152を収容するための上流ケーシング172と、モータ156を収容するための下流ケーシング174とを備える。
【0064】
たとえば、インペラ154はまた、シャフト152が取り付けられた中央ハブ158を備える。説明する例では、インペラ154は、シャフト152との一体品として形成される。
【0065】
さらに、好ましくは、インペラ154は、ポンプチャンバ182の内側のガスストリームの遠心流に適合された輪郭を有する。この例では、インペラ154は、頂点部の開口角度が徐々に狭くなる、たとえば双曲面輪郭の円錐台の一般的形状を有する。インペラ154は、好ましくは、その外面上に複数の案内羽根155を担持し、案内羽根のそれぞれは、図7でわかるように、上流ケーシング172の内側で実質的に横断方向に延びている。
【0066】
さらに、ポンプ150の主軸に沿って延びるシャフト152は、実質的にその端部に位置決めされた2つの案内ベアリング(図示せず)によって軸方向に保持される。
【0067】
さらに、遠心ポンプ150のケーシング170は、入来する空気流を受け入れるための入口ポート176と、ケーシング170の内側での循環後にこの空気流を排出するための出口ポート178とを備える。
【0068】
図5から図7に示すように、上流ケーシング172は、本発明の好ましい実施形態では、シャフト152およびインペラ154が内部にある容積部を画定するように互いに組み付けられた下側本体173および上側本体180を備える。
【0069】
図5から図7に示す例では、上流ケーシング172の下側本体173は、全体的に中空形状を有する。下側本体173は、好ましくは、インペラ154を実質的に取り囲むように成形される。この目的のために、下側本体173は、狭い上流環状部分を有し、この上流環状部分は、その自由上流端部において入口ポート176を画定し、その他方の下流端部において、上流方向に徐々に広がるテーパ状の円筒状下流部分に接続される。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、下側本体173はまた、上側本体180を受けるための内部空間を画定する周囲リム184を有する。
【0071】
好ましくは、上側本体180は、たとえば、環状周囲リム186を形成する環状周囲壁に接続された実質的に平坦な中央底部を有するボウルの一般的形状を有する。好ましくは、上側本体180の実質的に平坦な底部内には、中央ハウジング空間192がシャフト152の端部のために設けられて、そのシャフトが主軸Xに沿って保持されることを保証する。
【0072】
したがって、この実施形態では、下側本体173および上側本体180の組み付けは、密封式に行われ、上側本体180は、たとえば上側本体180の周囲リム186および下側本体173の周囲リム184の相補的な形状によって、下側本体と係合してその内部に嵌まる。
【0073】
さらに、この例では、それ自体知られている方法で、下側本体173および上側本体180は、組み付けられた後に、遠心ポンプ150の特徴的な内部容積部を形成するように構成され、これを以下で詳述する。
【0074】
この例では、互いに組み付けられた状態にある下側本体173および上側本体180は、ポンプ150の主軸Xの周りで実質的に円形形状の、ガスストリームの流れのためのトロイダル圧縮チャンバ190を境界付ける。下側本体173および上側本体180それぞれは、たとえば、その周囲に、円周方向に実質的に半円筒形状の湾曲した起伏部190Aおよび190Bをそれぞれ有し、その起伏部は、組み付けることによってトロイダル圧縮チャンバ190(図7)を画定する。トロイダル圧縮チャンバ190は、ガスストリームの遠心循環を可能にするように成形される。
【0075】
この好ましい実施形態では、上側本体180は、上流ケーシング172の内側に軸方向に繋がる、トロイダル圧縮チャンバ190内での循環後の下流ケーシング172のガスストリームのための出口ポート181を備える。
【0076】
この目的のために、この例では、圧縮チャンバ190は、その下流端部においてガスストリームを排出するためのダクト191内で終端し、ダクトは、出口ポート181の上流に接続され、ガスストリームの流れの方向を、その流れがトロイダル圧縮チャンバ190を出るときの主に接線方向の流れ方向から、上流ケーシング172の出口ポート181内の軸方向流れ方向にそらすように構成される。
【0077】
好ましくは、ダクト191は、曲線状輪郭を有し、曲線は、ガスストリームの流れが出口ポート181に到達するように、その流れに対するあらゆる抵抗を低減するために規則的である。
【0078】
これらの図に示すように、下流ケーシング174は、外側周囲壁194と、モータ156を収容するための中央空間198の周りを延びる内側周囲壁196とを画定する全体的にほぼ円筒形の形状のカウリングを備える。加えて、この例では、下流ケーシング174は、たとえば外側周囲壁194上にクリップ留めすることによって取り付けられる被覆壁199を備える。
【0079】
図示する例では、下流ケーシング174の外側周囲壁が、完全な円形断面を有さずに、わずかに細長く、「ティアドロップ」の形態、すなわち円形側面と、その反対側の、先が細くなるテーパ状とを有する形態であることが留意されよう。図示する例では、同じことは、上側本体180および下側本体173の幾何学的形状にもあてはまる。この例では、このテーパ状の幾何学的形状は、トロイダル圧縮チャンバ190を出たガスストリームを向け直すダクト191の幾何学的形状に適合することを可能にする。
【0080】
加えて、ケーシング170が、以下では詳述しないさまざまな機能のための固定手段を有することが留意されよう。さらに、この例では、図は、埋め込まれても、埋め込まれなくてもよい、モータ156用の電子制御手段を備える回路基板197を示す。
【0081】
動作において、遠心ポンプ150は、空気を取り入れポート176を通して軸方向に引っ張り、これを圧縮チャンバ190の内側で径方向に加速し、圧縮チャンバ190の中間ポート181を通して空気を排出するように構成される。圧縮チャンバ190からのガスストリームの排出は、以下で詳細に説明するように、軸方向に中間ポート181を通って下流ケーシング174に向かい、その内部に入るように行われることが留意されよう。
【0082】
遠心ポンプ150は、総称参照200によって示された、本発明による音響減衰デバイスをさらに備える。減衰デバイス200は、大気中への放出のための遠心ポンプ150の排出ポート178の上流の、ポンプ150のケーシング170の内側の流体の流路上に取り付けられるように構成される。
【0083】
本発明によると、これ以後減衰デバイス200と称される音響減衰デバイス200は、全般的に、音響波を伝播することができるガスストリームが通過する電気機械的デバイス上、この場合は遠心ポンプ150内に取り付けられるように意図される。図8および図9を参照すると、減衰器200は、遠心ポンプ150のケーシング170の内側での循環後、この例では圧縮チャンバ190の内側での循環後のガスストリームのための入口ポート202と、ガスストリームのための、特にこれを大気中に排出するための出口ポート204とを備える。
【0084】
本発明の好ましい実施形態では、ガスストリーム出口ポート204は、遠心ポンプ150の排出ポート178に対応し、これを以下でより詳細に説明する。この例では、入口ポート202は、圧縮チャンバ190の出口ポート181と流体連通している。
【0085】
図8に示すように、減衰デバイス200は、入口ポート202と出口ポート204との間で主軸周りに実質的に曲線状のガスストリーム経路を画定する全体的に曲線形状のチャネル206の形態である。説明するこの例では、チャネル206の主軸は、ポンプ150の主軸Xと一致する。
【0086】
図に示すこの例では、チャネル206は、主軸X周りで全体的に環状形状を有する。たとえば、入口ポート202およびポート204は、互いに隣接して配置される。たとえば、チャネル206は、入口202および出口204を互いに近づけることによって、それ自体上で閉じてリングを形成する。この場合、流路は、入口ポート202と出口ポート204との間でほぼ円形の経路をたどる。
【0087】
しかし、図示しない変形形態では、チャネル206は、好ましくは入口ポート202と出口ポート204との間を外方向に拡張するらせん構成でX軸周りに少なくとも部分的に巻回してもよい。
【0088】
特に、デバイス200は、関連付けられた減衰周波数帯域を有する減衰共鳴周波数f0に調整された複数の音響減衰器要素210を備える。共鳴器210は、チャネル206内に流れるガスストリームと相互作用するために、前記チャネル206に沿って直列に円形に分散される。本発明によれば、音響減衰器要素210は、1/4波長共鳴器の空洞212によって形成される。
【0089】
1/4波長共鳴器の作用fの周波数は、以下の式
【0090】
【数2】
【0091】
によって、一次近似で規定されることを想起されたい。
このとき、vは音速を示し、nは共鳴モードに対応する整数(n=0、1、2…)を示し、Lは1/4波長の有効長さ、すなわち1/4波長共鳴器を形成するチューブの幾何学的長さと、チューブと連通する流体流の主要経路の空気体積の一部との合計を示す。本説明の残りの部分における算出を簡単にするために、主要経路の空気体積のこの部分は無視され、共鳴器の長さLは、共鳴チューブの深さに等しいものとして規定される。
【0092】
図8から図10には、直列に配置された複数の共鳴器210が示される。以下の説明では、共鳴器は、iが1からNの範囲である列Aiにあり、A1は、入口202の後に位置する列の最初の共鳴器210であり、ANは、出口204の後に位置する最後の共鳴器210であることが留意されよう。図8および図10では、11個の共鳴器210が直列に配置されているため、Nの値は11である。
【0093】
本発明の好ましい実施形態では、減衰デバイス200は、X軸周りにチャネル206を径方向に画定するために環状外側周囲壁220Eおよび環状内側周囲壁220Iが設けられた本体220を備える。チャネル206の本体はまた、チャネル206を軸方向に規定する上側横断方向壁222および下側横断方向壁224を備える。チャネル206は、したがって、図10に極めて概略的に示される。
【0094】
本発明の好ましい実施形態では、減衰デバイス200のチャネル206は、ポンプ150のカウリング174の周囲外壁194と周囲内壁196の2つの間に画定された環状空間内に延び、これら2つの周囲壁194および196は、チャネル206の径方向に境界付ける壁220Eおよび220Iを形成する。
【0095】
さらに、この好ましい実施形態では、下壁224が、モータ156を収容する中央穴228の周りを延び、チャネル206を横断方向に閉じる(図7にわかるように)環状壁(図8)によって形成されることが留意されよう。さらに、下壁224は、上流ハウジング172の出口ポート181の上方に位置決めされるように構成された、チャネル206の入口202を画定するポートを備える。
【0096】
次に、音響減衰チャネル206をより詳細に説明する。本発明の実施形態では、チャネル206は、チャネル206の壁に沿って延びる、図8の例で見ることができる内部幾何学的構造体207を備え、この内部幾何学的構造体は、ガスストリームが自由に流れことを可能にする(全体的にガスストリームの流れに対するいかなる妨害も有さない)内部主要流れ通路と、通路内に開口する複数の空洞212とを画定するように構成される。
【0097】
チャネル206は、図10に幾何学的に、極めて概略的にモデル化される。この図10では、チャネル206は、段付きクラウンの形態の全般的に環状形状を備え、第1のレベルは主要流れ通路に対応し、第2のレベルは、共鳴器210の複数の空洞212を形成するように区画化され、またはセグメント化されている。
【0098】
たとえば、内部幾何学的構造体207は、外壁220Eおよび内壁220Iと共に共鳴空洞212を形成する区画を画定する複数の径方向の分離パーティション214を備え、パーティション214は、チャネル206の内側にガスストリームのための妨害されない主要流れ通路を残すようにサイズ設定される。
【0099】
好ましくは、チャネル206の1つの壁は、円周方向に、一方の空洞212から別のものにかけて可変の増分的高さを有する空洞212を画定するように構成された段付き輪郭を有する。本発明の好ましい実施形態では、この増分的な段付き輪郭を有するチャネル206の壁は、チャネル206の上壁222によって形成され、たとえば下流ケーシング174の内部へと横断方向に延びる。
【0100】
したがって、この実施形態では、上壁222は、共鳴器210を形成する共鳴空洞212の深さを軸方向に規定するように構成される。当然ながら、図示しない変形形態では、上壁222以外のチャネル206の壁、たとえば外側周囲壁220Eが、共鳴器210の空洞212の深さを規定するこの機能を果たすことができる。
【0101】
好ましくは、高さは1つの空洞210から隣接する別の空洞にかけて、入口202から出口204の方向に増加または減少しながら、好ましくは増分的に変化する。
【0102】
図10では、複数の共鳴器210は、入口202から出口204にかけて、妨害されない主要流れ通路の上方に形成された規則的に減少する高さの段によって軸方向に境界付けられる。したがって、好ましくは、図10にはっきりと明白であるように、チャネル206は、この例ではモータ156を収容するための空間198によって形成された中央ケージ周りに巻回する階段構造体を有する。
【0103】
たとえば、チャネル206が実質的に環状である一般的形状を有するとき、共鳴器210は、妨害されない(すなわち、仕切られていないか、または全体的にガスストリームの流れに対するいかなる妨害も有さない)、チャネル206の内側のガスストリーム用の主要流れ通路を残しながら、チャネル206内のガスストリームの流路に沿って径方向に位置決めされたパーティション214によって円周方向に分離される。
【0104】
好ましくは、各共鳴器210の空洞212は、チャネル206内への、この例では妨害されない流れ通路内への口部を有するように構成された実質的に管状形状を有し、所定の共鳴周波数に対応する深さを有する。
【0105】
図8に示すように、共鳴器210の各空洞212の断面は、全体的に環状形状であるチャネル206の内部および外部アウトラインをたどる、円形の弧の形状の曲線状縁を有する。実際、本発明の好ましい実施形態では、空洞212の一般的形状は、チャネル206のそれぞれの内部および外部の曲率によって内部におよび外部に画定される。当然ながら、空洞212の一般的形状は、上記で説明した形状に限定されない。
【0106】
好ましくは、共鳴器210は、対で比較したとき、異なる減衰共鳴周波数f0において各共鳴器210の吸収を保証するためにすべて寸法的に異なる。対で比較したときにその寸法的パラメータにおいてすべて異なる複数の共鳴器A1からANの統合により、異なる共鳴周波数において各共鳴器Aiの吸収を保証することが可能になる。
【0107】
共鳴器Aiの共鳴周波数に各々が関連付けられた周波数帯域の十分な大きさの部分的重複を得るために、これらの異なる周波数f0が互いに十分近いことが望ましい。これにより、減衰周波数の拡張された連続的な帯域を得ることが可能になる。これは、共鳴器210の適切な寸法および共鳴器間の適切な間隔を選択することによって達成され、これを以下で説明する。
【0108】
遠心ポンプの動作に関連するノイズ汚染のこの特有の用途では、処理される周波数帯域は、2000Hzから8000Hzの間であり、その要求事項は、この周波数帯域上で20dBの最小値を有する減衰(「伝送損失」)を得ることである。
【0109】
図11には、約3000ヘルツにある共鳴周波数f0を有する共鳴器210の、x軸に沿った周波数(ヘルツ)の関数とする、y軸に沿ったダンピング(デシベル)の曲線を含むグラフが示される。
【0110】
このグラフでは、主要共鳴モード(n=0)に対応する約3000ヘルツ、および高調波モードに対応する8500ヘルツ(n=1)の2つの周波数ピークが観察され、その各々は、約160ヘルツおよび80ヘルツそれぞれの20デジベルにおける減衰帯域幅に関連付けられる。その結果、単一の共鳴器210では、周波数の連続的な範囲にわたってではなく、離散的に減衰が行われることが留意されよう。以下では、「関連付けられた周波数帯域」は、減衰が20デジベルを上回る範囲内の共鳴器の共鳴周波数に関連付けられた周波数帯域を示す。
【0111】
したがって、好ましくは、本発明の好ましい実施形態では、少なくとも2つの共鳴器210が、その関連付けられた周波数帯域が部分的に重複するのに十分近い共鳴周波数f0を有する。列の少なくとも2つの共鳴器210を分離する円周方向距離は、20デシベルを上回る減衰のそれらの周波数帯域の連続的なスペクトル重複によって、2つの共鳴器210間に結合現象が起こるように選択される。これにより、20デシベルを上回る減衰の拡張された連続周波数帯域を生成することが可能になる。
【0112】
本発明の意味内で、円周方向距離は、図10に概略的に示すように、チャネル206の円形案内中心線に沿って各共鳴器210の中心から中心まで規定される。間隔Pは、列の2つの連続する共鳴器を分離する円周方向距離として規定される。
【0113】
したがって、間隔Pの特定の値について、2つの隣接する共鳴器210間を延びるチャネル206の部分が、「反共鳴」として知られている現象の原因であり得る「オープン-オープン」共鳴チューブのように挙動することが留意されている。2つの共鳴器210を分離するチャネル206の部分は、音響波の強め合う干渉によって、2つの隣接する共鳴器210の共鳴周波数の近くまで音響波を増幅するオープン-オープン共鳴チューブのように挙動する。これらの強め合う干渉は、デシベル単位の減衰の反共鳴の現象によってスペクトル曲線上に反映されて、逆ピークを形成する。
【0114】
音響減衰デバイスの全体的な効果性を低減する恐れがある、2つの隣接する共鳴器210間の反共鳴現象を回避するために、円周方向距離Pを所定の方法で選択することが望ましい。
【0115】
実際、驚くべきことに、直列の2つの隣接する共鳴器AiとAi+1との間に反共鳴を有さずにこの結合現象を生成するために、2つの隣接する共鳴器AiとAi+1との間の、Popt(i)によって示された最適な円周方向距離は、最適な間隔を決定するための以下の式
【0116】
【数3】
【0117】
別様の表現では、
【0118】
【数4】
【0119】
を満たさなければならないことが観察されている。
ここで、vは、(20℃および海水面において毎秒約344メートルである)空気中の音速であり、
L(i)は、共鳴空洞Aiの深さであり、
f0(i)は、共鳴器Aiの共鳴周波数であり、
f0(i+1)は、共鳴器Ai+1の共鳴周波数である。
【0120】
最適な結合現象が、Popt(i)に実質的に等しい間隔値について観察されているが、共鳴器Aiの最適な間隔値Popt(i)について最大50%の許容差を伴って、以下のように規定する間隔値P(i)の範囲内で十分な結果が得られることに留意されたい。
P(i)∈[0.5×Popt(i);1.5×Popt(i)]
【0121】
減衰曲線は、56ミリメートル(点線)の円周方向距離によって分離され、27ミリメートル(実線)の円周方向距離によって分離された、3000ヘルツおよび3500ヘルツに等しい共鳴周波数の2つの連続する共鳴器210について、x軸に沿った周波数(ヘルツで表現する)の関数としてy軸に沿ったデシベルで表現されて、図12に表される。
【0122】
上記の式によれば、これらの2つの共鳴器210間の間隔Pは、27ミリメートルのPopt値あたりで最適な結合を伴いながら、[13.3;39.9]のミリメートルの値の範囲内になければならない。
【0123】
第1の曲線は、点線として表され、56ミリメートルに等しい円周方向距離によって分離された2つの共鳴器210によって得られ、したがって、上記で規定され、得られた推奨範囲の外にある減衰を示す。反共鳴ピークが、3320Hzの周波数あたりで観察される。
【0124】
実線として表す第2の曲線は、この場合は27ミリメートルに等しい円周方向距離によって分離された2つの連続する共鳴器によって得られたデシベル単位の減衰を示す。2つの共鳴器210を分離するチャネル206の部分では、共鳴周波数に近い周波数を有する音響波による弱め合う干渉の現象が起こる。これらの弱め合う干渉は、実線を有する曲線に明確に示すように、2つの隣接する共鳴器の減衰共鳴周波数間の結合現象によって、スペクトル曲線上に反映される。
【0125】
この第2の曲線から明確であるように、2つの連続する共鳴器210間の結合現象は、2つの共鳴器210に関連付けられた2つの共鳴周波数間に20デシベル以上の周波数の減衰の連続帯域を生成する効果を有する。
【0126】
本発明の好ましい実施形態では、2つの隣接する共鳴器210間の間隔は、一連の共鳴器Aiに沿って増加しながら、または減少しながら変化し、共鳴器Aiと共鳴器Ai+1との間に規定された間隔P(i)は、共鳴器Ai-1と共鳴器Aiとの間に規定された間隔P(i-1)と共鳴器Ai+1および共鳴器Ai+2の間隔P(i+1)との間に含まれる。
【0127】
たとえば、500ヘルツ毎の共鳴周波数で、周波数範囲2000ヘルツから5500ヘルツにおいて少なくとも20デシベルの減衰を得ることにより、共鳴器Aiと共鳴器Ai+1との間の最適な間隔Popt(i)は、16ミリメートルから39ミリメートルの周波数範囲内で変化する。
【0128】
本発明の図示する実施形態では、たとえば、以下の、平均間隔Pmean平均を決定するための式
【0129】
【数5】
【0130】
によって別様に表現する、一連の共鳴器Aiに規定されたすべての最適な間隔Popt(i)の中での最小の最適な間隔Poptminおよび最適な間隔Poptmaxの平均を間隔値と考えながら、共鳴器210の列内の2つの共鳴器210間で一定となるように間隔Pを選択することができる。
【0131】
図13には、本発明の減衰デバイスのためのヘルツ単位の周波数の関数とする、デシベル単位の減衰を表す曲線を示す第1のグラフであり、ここで、間隔は、一連の共鳴器210にわたって一定の間隔に対応し、平均間隔Pmeanを規定するために上記で説明された式に従って選択される。
【0132】
共鳴器A1からANの共鳴周波数f0は、500ヘルツずつの増分で2500ヘルツから6000ヘルツの間になるように選択される。
【0133】
この一定の間隔により、曲線は、特に2500ヘルツから6000ヘルツの間に、少なくとも20デシベルの減衰周波数の幅広い範囲を表す。
【0134】
図14には、本発明の減衰デバイスのためのヘルツ単位の周波数の関数とする、デシベル単位の減衰を表す曲線を示す第2のグラフであり、ここで、2つの隣接する共鳴器AiとAi+1との間の間隔は、一連の共鳴器210にわたって変化し、最適な間隔の式Popt(i)に従って選択される。
【0135】
約2000Hzから6300Hzの間の周波数帯域において20dBの最小値を有する減衰(「伝送損失」)が得られ、このとき最大減衰は5000Hzから6300Hzの間の周波数である。
【0136】
次に、本発明によるブレーキング粒子回収システムの動作の主な態様を説明する。
【0137】
第1のステップ中、車両10のユーザは、車両10のブレーキを起動する。このブレーキング作用中、ブレーキライニングの磨耗に関連するブレーキダスト粒子が、放出される。ブレーキが作動されたとき、ブレーキングシステムは、それと同時に、各ブレーキ配置30に関連付けられた遠心ポンプ150の起動を駆動する。
【0138】
吸引部材150内では、インペラ154の回転の起動は、浄化された空気の流れを部材150を通るように駆動する吸引効果を生成する。したがって、汚れた空気の流れは、吸引によってホースを通して引っ張られ、ハウジング112に入る。そのダスト粒子のいくらかは、デバイス110のハウジング112内での進行中にこれが通過する分離部材140によって除去される。この方法で浄化された汚れた空気の流れは、ハウジング112の出口ポート130を通って出て、部材150に入る。
【0139】
この目的のために、ガスストリームは、取り入れポート176を介してポンプ150のケーシング170内に吸引される。上流ケーシング172内に収容されたインペラ154は、ガスストリームを軸方向に吸引し、径方向に加速し、接線方向に排出するためにモータ156によって回転するように駆動され、ガスストリームは、ダクト191を通って圧縮チャンバ190の出口にあるポート181まで軸方向に偏向される。ガスストリームは、入口ポート202を通って軸方向にチャネル206に入り、次いで、チャネル206の出口ポートを通ると共にポンプ150の排出ポート178を通って排出される。音響減衰チャネル206に沿って、音波は、チャネル206に沿って配置された一連の共鳴器210によって、2500ヘルツから6000ヘルツの間の周波数帯域内で少なくとも20デシベル減衰される。
【0140】
図13または図14に示す例では、特に、2500ヘルツから6000ヘルツの間の選択された周波数の範囲において、音響減衰チャネル206が、この範囲内でポンプ150によって発生したノイズを実質的に低減することを可能にすることがわかる。
【0141】
本発明は、たとえば遠心ポンプのモータシュラウド内への統合を可能にしてコンパクトでありながら、所望の周波数範囲内で特に効率的であるという利点を有する。
【0142】
本発明は、上記で説明した実施形態に限定されない。当業者に考えられ得る他の実施形態もまた、特許請求の範囲によって規定する本発明の範囲から逸脱することなく考案することができる。したがって、特に、ポンプおよびチャネルの形状において詳細を改変することによって、本発明の範囲を超えることはない。
【符号の説明】
【0143】
10 モータ車両
12 車輪
14 懸架手段
16 ハブ
20 ブレーキングシステム
30 ブレーキ配置
32 ロータディスク
34 キャリパ支持体
36 ブレーキパッド
40 制御ユニット
100 回収および収集システム
110 汚染除去デバイス、収集デバイス
112 ハウジング本体
114 部分
115 部分
116 入口ポート
118 コネクタエンドピース
120 第1の部分
122 第2の部分
122A、122B ブランチ
124 可撓性ホース
126 ノズル
130 出口ポート
132、134 端壁
136 周囲壁
140 分離部材
142 サイクロンまたはマルチサイクロンチャンバ
144 第1のカートリッジ
146 円周方向フランジ
148 収集タンク
148 径方向延長ラグ
150 空気流吸引部材、遠心ポンプ
152 シャフト
154 インペラ
155 案内羽根
156 モータ
158 中央ハブ
170 ケーシング
172 上流ケーシング
173 下側本体
174 下流ケーシング、カウリング
176 入口ポート
178 出口ポート
180 上側本体
181 出口ポート
182 ポンプチャンバ
184 周囲リム
186 周囲リム
190 トロイダル圧縮チャンバ
190A、190B 湾曲した起伏部
191 ダクト
192 中央ハウジング空間
194 外側周囲壁
196 内側周囲壁
197 回路基板
198 中央空間
199 被覆壁
200 減衰デバイス
202 入口ポート
204 出口ポート
206 音響減衰チャネル
207 内部幾何学的構造体
210 音響減衰器要素
212 共鳴空洞
214 パーティション
220 本体
220E 環状外側周囲壁
220I 環状内側周囲壁
222 上側横断方向壁
224 下側横断方向壁
228 中央穴
F 循環の正常方向
P 平均間隔
Popt(i) 最適な間隔
X 主軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響波を伝播することができるガスストリームが通過する電気機械デバイス(150)用の音響減衰デバイス(200)であって、ガスストリーム用の入口ポート(202)と、特に大気中への放出のための、ガスストリーム用の出口ポート(204)とを備える、音響減衰デバイスにおいて、前記デバイス(200)が、前記入口ポート(202)と前記出口ポート(204)との間に前記ガスストリームのための実質的に曲線状の流路を画定する、前記デバイス(200)の主軸(X)の周りで全体的に曲線状である全体形状のチャネル(206)を備え、また、減衰共鳴周波数(f0)に調整され、前記チャネル(206)内に流れる前記ガスストリームと相互作用するために前記チャネル(206)に沿って連続的に直列に配置された複数の音響減衰器要素(210)を備え、前記音響減衰器要素(210)は、1/4波長共鳴器の空洞(212)によって形成され、共鳴器と称され、前記チャネル(206)の壁は、前記チャネル(206)の円周方向に沿って一方の空洞(212)から別のものにかけて変化する増分的深さを規定する段付き輪郭を有することを特徴とする、音響減衰デバイス。
【請求項2】
前記チャネル(206)が、前記軸(X)の周りで全体的に環状である全体形状を有し、前記入口ポート(202)と前記出口ポート(204)との間にほぼ円形の流路を画定し、または前記チャネル(206)が、前記入口ポート(202)と前記出口ポート(204)との間に外方向に拡張するらせん構成で少なくとも部分的に巻回する、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項3】
前記チャネル(206)には、実質的に円周方向に前記チャネル(206)の内側で延びる内部幾何学的構造体(207)が設けられ、前記内部幾何学的構造体は、前記複数の空洞(212)を画定し、前記空洞(212)が開口する主要通路を前記ガスストリームの前記流れに対する妨害がない状態にするように構成される、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項4】
前記内部幾何学的構造体(207)が、前記複数の空洞(212)を形成する複数の区画を前記チャネル(206)の前記壁と共に画定する複数の経方向分離パーティション(214)を備える、請求項3に記載のデバイス(200)。
【請求項5】
前記深さが前記一方の空洞(212)から別のもの(212)にかけて、前記入口(202)から前記出口(204)に進む方向に、一連の前記共鳴器(210)にわたって増加しながら、または減少しながら変化する、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項6】
少なくとも第1および第2の共鳴器(210)が、20デシベルを上回る減衰の第1および第2の周波数帯域にそれぞれ関連付けられた第1および第2の共鳴周波数を有しているとき、前記2つの共鳴器(210)間の前記円周方向距離は、20デシベルを上回る減衰の連続的な周波数帯域にわたって前記2つの共鳴器(210)間の結合現象を生成するように決定される、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項7】
2つの連続する共鳴器(210)AiとAi+1との間の最適な間隔Popt(i)が、以下の式
【数1】
によって与えられ、
式中、f0(i)は、共鳴器Aiの共鳴周波数であり、f0(i+1)は、共鳴器Ai+1の共鳴周波数であり、vは音速であり、2つの連続する共鳴器(210)AiとAi+1との間の前記間隔P(i)は、Popt(i)の値の50%から150%まで及ぶ値の範囲内にある、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項8】
2つの共鳴器(210)間の前記間隔(P)が、前記入口(202)から前記出口(204)に進む方向に、一連の前記共鳴器(210)に沿って増加しながら、または減少しながら変化する、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項9】
2つの連続する共鳴器AiとAi+1との間の前記間隔(P)が、前記一連のN個の共鳴器(210)に沿って一定であり、一連の前記共鳴器Aiにわたる前記最適な間隔Popt(i)の最小値および最大値の平均値に対応し、ここでiは1からNである、請求項7に記載のデバイス(200)。
【請求項10】
前記共鳴器(210)が、異なる共鳴周波数における吸収を保証するために、対で比較したときにすべて寸法的に異なる、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項11】
各共鳴器(210)の前記空洞(212)が、前記チャネル(206)に開口するように構成された実質的に管状形状を有し、所定の共鳴周波数(f0)の音響波の波長の4分の1に実質的に対応する深さを有する、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項12】
各共鳴器(210)の空洞(212)の断面が、前記チャネル(206)の内部および外部の曲率をたどる曲線状縁を有する、請求項11に記載のデバイス(200)。
【請求項13】
前記チャネル(206)が、前記軸(X)の周りで環状である外側周囲壁(220E)および内側周囲壁(220I)によって径方向に、かつ上壁(222)および下壁(224)によって横断方向に画定される、請求項1に記載のデバイス(200)。
【請求項14】
前記上壁(222)が、前記共鳴器(210)を形成する前記共鳴空洞(212)の前記深さを軸方向に規定するように構成される、請求項13に記載のデバイス(200)。
【請求項15】
遠心ポンプ(150)であって、ケーシング(170)と、前記ポンプの主軸(X)に沿って延びるシャフト(152)と、前記シャフト(152)上に取り付けられたインペラ(154)と、前記インペラ(154)を回転させるためのモータ(156)とを備え、ガスストリーム用の取り入れポート(176)と排出ポート(178)との間の前記ポンプ(150)の前記ケーシング(170)の内側に前記ガスストリーム用の流路を規定する、遠心ポンプにおいて、前記遠心ポンプが、請求項1から14のいずれか一項に記載の音響減衰デバイス(200)を備え、前記音響減衰チャネル(206)は、前記ポンプ(150)内に循環する前記ガスストリームが前記減衰チャネル(206)を通って流れてから、前記下流ケーシング(174)の前記排出ポート(178)を通って大気中に排出されるように、前記ケーシング(170)の内側で前記ポンプ(150)の前記主軸(X)の周りに曲線状構成で配置されることを特徴とする、遠心ポンプ。
【請求項16】
前記ケーシング(170)が、前記インペラ(154)を収容するように構成された上流ケーシング(172)と、前記モータ(156)を収容するように構成された下流ケーシング(174)とを備え、前記下流ケーシング(174)は、外側周囲壁(194)と、前記モータ(156)を収容するための中央空間(198)の周りを延びる内側周囲壁(196)とを画定するカウリングの一般的形状の本体を備え、前記減衰デバイス(200)の前記チャネル(206)は、前記下流ケーシング(174)の前記外壁(194)と前記内壁(196)の2つの間を延びる、請求項15に記載の遠心ポンプ(150)。
【請求項17】
ブレーキダスト粒子、特にモータ車両(10)のブレーキ配置(30)の1つまたは複数のパッドによって生成されるものを回収するための汚染除去デバイス(110)であって、粒子を含有する汚れた空気の流れのための入口ポート(116)と、浄化された空気の流れを排出するための出口ポート(130)とを有するハウジング(112)と、前記ハウジング(112)内に収容された少なくとも1つの分離部材(140;142、144)であって、汚れた空気の前記流れから粒子を分離するために、前記空気流が、前記分離部材を通って前記入口ポート(116)と前記出口ポート(130)との間を循環する、少なくとも1つの分離部材とを備える、デバイスにおいて、前記デバイス(110)が、請求項15に記載の遠心ポンプを備える吸引部材(150)を備え、前記ポンプ(150)の取り入れポート(176)が、前記ハウジング(112)の前記出口ポート(130)に接続されるように構成されることを特徴とする、汚染除去デバイス。
【国際調査報告】