(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】泌尿器系障害の処置のための製剤及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20240409BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240409BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240409BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240409BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240409BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 23/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240409BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20240409BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20240409BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240409BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240409BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240409BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240409BHJP
A61K 33/38 20060101ALI20240409BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K45/00
A61K47/12
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/24
A61K47/28
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A61K47/26
A61K47/20
A61K47/18
A61P13/00
A61P23/00
A61P25/04
A61P29/00
A61P7/10
A61P7/04
A61P7/06
A61P25/00
A61P43/00 111
A61P13/12
A61P31/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61K33/38
A61K9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562487
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2021026285
(87)【国際公開番号】W WO2022216287
(87)【国際公開日】2022-10-13
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523383543
【氏名又は名称】ウォーターシェッド メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キンセラ ジェーアール.,クリストファー アール.
(72)【発明者】
【氏名】アリ,サニヤ
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン,クレイ ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】バートレット ザ セカンド,ラッシュ ロイド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA32
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4C086ZB26
4C086ZB31
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、泌尿器系障害の処置のための製剤及び方法を提供し、前記製剤は、患者への膀胱内投与のための制御放出薬物送達システムを含む。製剤中の制御放出微粒子は、薬理活性剤及び制御放出担体で構成され、微粒子は尿中で浮揚性である。尿中で微粒子が浮揚性であることにより、製剤が長期の薬物送達期間全体にわたって、患者の膀胱に活性剤を放出し続けることが確実となる。対象への微粒子製剤の膀胱内投与によって泌尿器系障害を処置する方法も提供され、方法は、泌尿器系感染症、膀胱がん、失禁、及び他の泌尿器系障害を処置する方法を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象への膀胱内投与のための制御放出医薬製剤であって、500nm~2000μmの範囲の平均直径を有する微粒子の一次集団を含み、2.5重量%~95重量%の薬理活性剤と5重量%~97.5重量%の制御放出担体で構成され、前記微粒子中の前記活性剤、担体、及び活性剤と担体の相対量が一次微粒子を尿中で浮揚性にするのに有効である、制御放出医薬製剤。
【請求項2】
前記微粒子の平均比重が1.03未満である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記微粒子の平均比重が1.005未満である、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記薬理活性剤が泌尿器系の障害の処置のための薬物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
前記担体が、泌尿器系における前記薬理活性剤の制御放出を提供する、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
前記担体が、膀胱における前記薬理活性剤の制御放出を提供する、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記制御放出が持続放出を含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
前記担体がマトリックスで構成され、前記薬理活性剤がその中に分散している、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
前記担体が、その中に分散した前記薬理活性剤を含むコア上にコーティングを含む、請求項7に記載の製剤。
【請求項10】
前記担体が尿中で徐々に溶解、分解、又は腐食して、前記微粒子から前記薬理活性剤を放出する、請求項6に記載の製剤。
【請求項11】
前記担体が、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、リン脂質、ステロール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、キトサン、又は胆汁塩を含む、請求項3に記載の製剤。
【請求項12】
前記担体が脂肪酸エステルを含む、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記脂肪酸エステルが、低級アルコール脂肪酸エステル、トリグリセリド、モノグリセリド、トリグリセリド、ポリグリセリド化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化グリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はヒドロキシ酸ジエステルを含む、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
前記脂肪酸エステルが、トリ酪酸グリセリル、トリカプロン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリミリストレイン酸グリセリル(glyceryl trimyristoleate)、及びトリオレイン酸グリセリルから選択されるトリグリセリドである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記トリグリセリドがトリステアリン酸グリセリルを含む、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
前記担体が、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、2-フェノキシエタノール、及びベンゾイルアルコールから選択される界面活性剤を含む、請求項3に記載の製剤。
【請求項17】
前記薬理活性剤が、抗感染症剤、麻酔薬、鎮痛剤、利尿薬、抗炎症剤、凝固剤又は抗凝固剤、化学療法剤、失禁の処置剤、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤、腎臓結石を処置するための薬剤、及び診断とモニタリングのための造影剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
前記薬理活性剤が抗感染症剤を含む、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
前記抗感染症剤が抗菌剤である、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記抗感染症剤が抗真菌剤である、請求項18記載の製剤。
【請求項21】
前記抗感染症剤が抗ウイルス剤である、請求項18に記載の製剤。
【請求項22】
前記抗感染症剤が、銀元素、銀イオン、銀塩、及び銀配位化合物を含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項23】
前記抗感染症剤が、臭化銀、塩化銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、過塩素酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、パルミチン酸銀、又はスルファジアジン銀(SSD)を含む、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
前記制御放出担体が、膀胱内で前記薬理活性剤の持続放出を2時間~6ヶ月の薬物送達期間にわたって提供する、請求項5に記載の製剤。
【請求項25】
前記薬物送達期間が48時間~4ヶ月の範囲である、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
前記制御放出担体が、膀胱内で前記薬理活性剤のほぼゼロ次放出を提供する、請求項24に記載の製剤。
【請求項27】
前記微粒子集団が分散している液体ビヒクルをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項28】
粘度調整剤、張度調整剤、緩衝剤、及び分散剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項29】
前記薬理活性剤が、前記微粒子の平均5重量%~50重量%を表す、請求項1に記載の製剤。
【請求項30】
対象への膀胱内投与後、前記微粒子の一次集団が、膀胱内で変化可能な製剤形状をとり、膀胱形状が変化すると膀胱形状に適合する、請求項1に記載の製剤。
【請求項31】
少なくとも1つの点で前記微粒子の一次集団とは異なる微粒子の二次集団をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項32】
前記微粒子の二次集団が、異なる薬理活性剤、異なる量の薬理活性剤、異なる制御放出担体、又は異なる量の制御放出担体を含むか、又は異なる制御放出プロファイル若しくは比重を有する、請求項31に記載の製剤。
【請求項33】
前記平均直径が90μm~900μmの範囲である、請求項1に記載の製剤。
【請求項34】
膀胱の細菌感染を処置するための、対象への膀胱内投与のための制御放出医薬製剤であって、
90μm~900μmの範囲の平均直径及び1.005未満の平均比重を有する微粒子の集団を含み、前記微粒子が、
C
6~C
22脂肪アルコール、C
6~C
22脂肪酸、又はC
6~C
22脂肪酸のモノエステル、ジエステル若しくはトリエステルを含む50重量%~95重量%の制御放出担体マトリックス;及び
前記担体マトリックス内に分散している5重量%~50重量%のスルファジアジン銀
を含む、制御放出医薬製剤。
【請求項35】
対象における泌尿器系障害を処置する方法であって、50nm~2000μmの範囲の平均直径を有する微粒子の一次集団、2.5重量%~95重量%の薬理活性剤、及び5重量%~97.5重量%の制御放出担体で構成される製剤を投与することを含み、前記微粒子中の前記活性剤、担体、及び前記活性剤と担体の相対量が前記微粒子を尿中で浮揚性にするのに有効であり、さらに、前記製剤(a)が、薬物送達期間中に膀胱によって少なくとも部分的に保持され、(b)前記薬物送達期間中に膀胱において前記活性剤の制御放出を提供するように膀胱内送達を介して投与が行われる、方法。
【請求項36】
前記微粒子が1.03未満の平均比重を有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記微粒子が1.005未満の平均比重を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記薬理活性剤が、抗感染症剤、麻酔薬、鎮痛剤、利尿薬、抗炎症剤、凝固剤又は抗凝固剤、化学療法剤、失禁の処置剤、RAAS阻害剤、腎臓結石を処置するための薬剤、及び診断とモニタリングのための造影剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記泌尿器系障害が、膀胱、尿管、尿道、腎臓、又はそれらの組み合わせの障害を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記障害が感染症である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記障害ががんである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記障害が失禁である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記障害が腎結石の存在である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記感染症が尿路感染症である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記感染症が複合尿路感染症である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記感染症が細菌感染症である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記薬理活性剤が抗菌剤を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗感染症剤が、銀元素、銀イオン、銀塩、又は銀配位化合物を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記抗感染症剤が、臭化銀、塩化銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、過塩素酸銀、テトラフルオロホウ酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、パルミチン酸銀、又はSSDを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記制御放出担体が、膀胱内で前記薬理活性剤の持続放出を2時間~6ヶ月の薬物送達期間にわたって提供する、請求項35に記載の方法。
【請求項51】
前記薬物送達期間が48時間~4ヶ月の範囲である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記制御放出が持続放出を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項53】
前記制御放出が、初回ボーラス用量と、それに続く持続放出を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記制御放出がゼロ次放出を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記製剤が、前記微粒子の一次集団が分散している液体ビヒクルをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項56】
前記製剤が、粘度増強剤、緩衝剤、分散剤、及び張度調整剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項57】
前記薬理活性剤が、前記微粒子の平均5重量%~50重量%を表す、請求項35に記載の方法。
【請求項58】
前記製剤の単位用量が前記対象に投与され、前記単位用量が60mg~5gの前記薬理活性剤を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項59】
前記製剤の単位用量が前記対象に投与され、前記単位用量が60mg~300mgの前記薬理活性剤を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
対象への膀胱内投与後、前記微粒子の一次集団が、膀胱内で変化可能な製剤形状をとり、膀胱形状が変化すると膀胱形状に適合する、請求項35に記載の方法。
【請求項61】
前記製剤が、少なくとも1つの点で前記微粒子の一次集団とは異なる微粒子の二次集団をさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記製剤中の前記微粒子の平均直径が90μm~900μmの範囲である、請求項35に記載の方法。
【請求項63】
前記膀胱内送達が、進行中の投与レジメンの状況で定期的に行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項64】
前記膀胱内送達が尿道カテーテルを用いて行われる、請求項35に記載の方法。
【請求項65】
前記細菌感染が、前記対象における一次障害、状態、又は疾患に続発する、請求項35に記載の方法。
【請求項66】
対象における泌尿器系障害を処置するためのパッケージ化された医薬調製物であって、請求項1に記載の製剤を収容する密閉容器、及び対象における泌尿器系障害を処置するための前記製剤の投与の説明書を含む、パッケージ化された医薬調製物。
【請求項67】
請求項1に記載の製剤を作製する方法であって、
前記担体を融解する工程;
前記薬理活性剤を前記融解した担体に添加して、活性剤担体混合物を提供する工程;
前記混合物をホモジナイズして、前記融解した担体中の前記活性剤の懸濁液を提供する工程;
前記懸濁液を霧化して、前記活性剤と担体で構成された凝固液滴として前記微粒子を提供する工程;及び
前記微粒子を収集して、前記製剤を提供する工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般に、泌尿器系障害の処置に関し、より詳細には、泌尿器系の障害を処置又は防止するための薬理活性剤の膀胱内投与のための製剤及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
泌尿器系障害に罹患している患者の処置は、従来、経口薬物送達を介して行われる。薬理活性剤の経口投与は、局所投与よりも高い投薬量が必要であり、副作用がより起こりやすいために、局所薬物送達よりも魅力的ではない選択肢である場合が多い。活性剤を膀胱に局所送達することによって泌尿器系障害を有する患者を処置する可能性が検討されているが、尿道を介した膀胱への「膀胱内」(又は「膀胱内」)投与の可能性は依然として問題である。膀胱に投与される任意の医薬製剤は、薬物放出の延長を提供することを意図した制御放出製剤であっても、膀胱が空になるたびに膀胱から排除される。本発明は、当技術分野における前述の制限に対処し、泌尿器系障害に罹患している患者を処置するための膀胱内薬物送達に処置的に有効な製剤及び方法を提供する。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
したがって、本発明は、制御放出プロファイルを達成し、延長された薬物送達期間全体にわたって患者への活性剤の送達を可能にする、患者への膀胱内投与のための製剤を提供する。
【発明の効果】
【0004】
一実施形態において、対象への膀胱内投与のための制御放出医薬製剤であって、500nm~2000μmの範囲の平均直径を有する微粒子の一次集団を含み、2.5重量%~95重量%の薬理活性剤と5重量%~97.5重量%の制御放出担体で構成され、微粒子中の活性剤、担体、及び活性剤と担体の相対量が、一次微粒子を尿中で浮揚性にするのに有効である制御放出医薬製剤が提供される。一態様において、担体は、泌尿器系における薬理活性剤の制御放出を提供する。別の態様において、担体は、膀胱における薬理活性剤の制御放出を提供する。別の態様において、薬理活性剤は、泌尿器系の障害を処置するための薬物である。
【0005】
実施形態の別の態様において、制御放出担体はマトリックスを含み、薬理活性剤はその中に分散している。実施形態の異なる態様において、微粒子は、コーティングされたコア型制御放出剤形であり、制御放出担体が活性剤含有コアをコーティングするか、又は活性剤コーティングが制御放出担体のコアを封入する。
【0006】
別の態様において、制御放出担体は、膀胱内の微粒子から薬理活性剤を放出するために、尿中で徐々に溶解、分解、又は腐食するように選択される。
【0007】
いくつかの態様において、担体は、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、リン脂質、ステロール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、キトサン、又は胆汁塩を含む。脂肪酸エステルは、典型的に、低級アルコール脂肪酸エステル、トリグリセリド、モノグリセリド、トリグリセリド、ポリグリセリド化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化グリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はヒドロキシ酸ジエステルを含む。
【0008】
いくつかの態様において、担体は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、2-フェノキシエタノール、及びベンゾイルアルコールから選択される界面活性剤を含む。
【0009】
いくつかの態様において、薬理活性剤は、抗菌剤、抗真菌剤、及び抗ウイルス剤を含む抗感染症剤;化学療法剤;抗炎症剤;麻酔薬;鎮痛剤;利尿薬;凝固剤及び抗凝固剤;生物学的製剤;過活動膀胱を含む失禁の処置のための薬剤(抗ムスカリン薬、β3-アドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、及び鎮痛剤を含む);レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤;腎臓結石を処置するための薬剤;及び診断とモニタリングのための造影剤から選択される。
【0010】
実施形態の別の態様において、製剤の膀胱内投与に続いて、微粒子の一次集団は、膀胱内で変化可能な製剤形状をとり、膀胱形状が変化するにつれて膀胱形状に適合する。
【0011】
別の態様において、製剤は、少なくとも1つの態様において微粒子の一次集団とは異なる、例えば、異なる薬理活性剤、異なる量の薬理活性剤、異なる制御放出担体、若しくは異なる量の制御放出担体を含むか、又は異なる制御放出プロファイル若しくは比重を有する微粒子の二次集団をさらに含む。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、膀胱の細菌感染を処置するための、対象への膀胱内投与のための制御放出医薬製剤を提供し、製剤は、
【0013】
90mm~900mmの範囲の平均直径及び1.005未満の平均比重を有する微粒子の集団を含み、微粒子は、
【0014】
C6~C22脂肪アルコール、C6~C22脂肪酸、又はC6~C22脂肪酸のモノエステル、ジエステル若しくはトリエステルを含む50重量%~95重量%の制御放出担体マトリックス;及び
【0015】
担体マトリックス内に分散している5重量%~50重量%のスルファジアジン銀
を含む。
【0016】
別の実施形態において、泌尿器系障害を処置する方法であって、50nm~2000μmの範囲の平均直径を有する微粒子の一次集団、2.5重量%~95重量%の薬理活性剤、及び5重量%~97.5重量%の制御放出担体で構成される製剤を投与することを含み、微粒子中の活性剤、担体、及び活性剤と担体の相対量が、微粒子を尿中で浮揚性にするのに有効であり、さらに投与が膀胱内送達を介して行われ、それにより製剤が、(a)薬物送達期間中に、膀胱によって少なくとも部分的に保持され、(b)薬物送達期間中に膀胱において活性剤の制御放出を提供する方法が提供される。
【0017】
実施形態の一態様において、泌尿器系障害は、膀胱、尿管、尿道、腎臓、又はそれらの組み合わせの障害を含む。
【0018】
実施形態の一態様において、泌尿器系障害は、細菌、真菌、又はウイルス感染症などの泌尿器系感染症(一般的に「UTI」又は尿路感染症と呼ばれる);泌尿器系のがん又は良性腫瘍;尿失禁(腹圧性尿失禁と過活動膀胱、「OAB」を含む)及び尿閉;泌尿器系の炎症、傷害、又は瘢痕;膀胱痛症候群;神経因性膀胱機能障害;膀胱尿管逆流;クラミジア、淋病、及び梅毒などの性感染症;膀胱結石;又は腎臓結石、糖尿病性腎症、腎盂腎炎、又は腎不全を含む。
【0019】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の微粒子製剤を収容する密封容器、及び対象の泌尿器系障害を処置するための製剤の膀胱内投与のための説明書を含むパッケージ化された医薬製剤が提供される。別の実施形態において、本発明は、本発明の微粒子製剤を作製する方法であって、制御放出担体を融解又はそうでなければ液化する工程;泌尿器系障害を処置するための薬理活性剤を融解した担体に添加して、活性剤担体混合物を提供する工程;混合物をホモジナイズして、融解した担体中の活性剤の懸濁液を提供する工程;懸濁液を霧化して、活性剤と担体で構成された凝固液滴としての微粒子を提供する工程;並びに微粒子を収集して、製剤を提供する工程を含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例4に記載される微粒子を作製する方法を模式的に示している。
【
図2】
図2(表3)は、実施例2に記載されるスルファジアジン銀(SSD)及びセフポドキシムの抗菌有効性の評価の結果を説明している。
【
図3】
図3は、実施例5で決定された本発明の微粒子から経時的に放出されるSSDの割合を示すグラフである。実施例で説明するように、結果はゼロ次放出プロファイルが達成されたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
1.定義と概要:
特に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有する。本発明の説明にとって特に重要な特定の用語を以下に定義する。
【0022】
この明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。そのため、例えば、「薬理活性剤」又は単に「活性剤」への言及は、単一のそのような薬剤及び2以上のそのような薬剤を含み;「薬学的に許容される担体」は、薬学的に許容される担体の組み合わせ、及び単一の薬学的に許容される担体を指し;「製剤」及び「ビヒクル」は、それぞれ2種以上の製剤及びビヒクルなどを含む。
【0023】
用語「活性剤」、「薬理活性剤」及び「薬物」は、本明細書において互換的に使用され、所望の薬理学的、生理学的効果を誘導する化合物を指す。前述の用語は、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝産物、コンジュゲート、類似体などを含むが、これらに限定されない、本明細書で具体的に言及されるそれらの活性剤の薬学的に許容される薬理活性誘導体も包含する。したがって、活性剤に言及する場合、特定の化合物(例えば、スルファジアジン銀)又は化合物クラス(例えば、抗菌剤)として指定されるかどうかにかかわらず、薬剤を指すために使用される用語は、指定された分子実体だけでなく、その薬学的に許容される薬理活性類似体及び誘導体も包含することが意図され、それらには、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、コンジュゲート、活性代謝産物、水和物、結晶形、鏡像異性体、立体異性体、並びに他のそのような誘導体、類似体、及び関連化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
薬理活性剤の「類似体」は、親化合物と同じタイプの薬理活性を有し、かつ程度がほぼ等価である化合物を指す。
【0025】
「薬学的に許容される」とは、生物学的に又はそれ以外の方法で不都合ではない材料を意味し、すなわち、材料は、本明細書に提供されるような医薬組成物に組み込むことができ、いかなる実質的な望ましくない生物学的作用も引き起こさないか、又は組成物の他の成分のいずれかと有害な様式で相互作用しない。「薬学的に許容される」という用語が、固体又は半固体の担体、液体ビヒクル、又は他の賦形剤、すなわち、任意の不活性成分を指すために本明細書で使用される場合、それは、担体又は賦形剤が毒物試験及び製造試験の必要な基準を満たしていること、及び/又は米国食品医薬品局が作成した不活性成分ガイドに含まれ、「一般的に安全と見なされる(Generally Regarded as Safe)」(「GRAS」)と指定されていることを意味する。
【0026】
「制御放出」という用語は、活性剤含有製剤又はその画分の投与が活性剤の100%の即時放出をもたらさない薬物送達機構を指す。この用語は、レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)、第19版(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)で定義されている「非即時放出」と互換的に使用される。一般に、本明細書で使用される場合、「制御放出」という用語は、徐放製剤、調節放出製剤、拍動性放出製剤、及び遅延放出製剤、並びにボーラス用量の即時放出と、それに続く拍動性放出又は徐放などの2以上のタイプの放出プロファイルを組み合わせた製剤を含む。「徐放」(「持続放出」と同義)は、長期間にわたる活性剤の段階的放出を提供する製剤、及び好ましくは、必ずしもそうではないが、分布体積(例えば、血液、尿、膀胱、全身水分、期間の延長など)中に実質的に一定レベルの薬剤をもたらす製剤を指し、通常、「ゼロ次」放出と呼ばれる。「制御放出」はまた、患者への投与後に、製剤から患者の体内に活性剤が放出される前に測定可能な時間遅延を提供する製剤を示す「遅延放出」を含む。しかし、本明細書における制御放出剤形は、一般に、徐放タイプの剤形である。
【0027】
薬理活性剤を含有するように製剤化される「微粒子」は、本明細書では、実質的に球状であってもよく、又は円筒状若しくは棒状であるか、又は任意の他の形状を有してもよく;「微粒子」という用語は、この点に関して限定されない。微粒子サイズは、微粒子の集団における平均微粒子径として与えられる。微粒子の集団における微粒子サイズ分布は比較的狭く、すなわち、指定された平均微粒子サイズは、かなり低い標準偏差、典型的に、30%未満、例えば、20%未満又は15%未満に関連する。
【0028】
活性剤、活性剤の組み合わせ、又は医薬製剤の「有効量」及び「治療有効量」という用語は、無毒であるが所望の結果を生み出すのに十分な量又は濃度を指す。必要とされる正確な量は、対象の年齢、体重及び全身状態、処置される特定の病態、病態の重症度、特定の活性剤、及び臨床医の判断などの要因に応じて対象ごとに異なる。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「処置する」、「処置」、及び「治療上」という用語は、所望の薬理学的又は生理学的効果を提供する対象への薬理活性剤の投与を指し、そのため、治療目的及び/又は予防目的のための投与を包含する。すでにその病態に罹患している対象の病態を処置することは、一般に、症状の重症度、数、及び/又は頻度の減少、症状及び/又は根本的な原因の排除、並びに損傷の改善又は修復を含む。予防の文脈において、処置は、まだ特定の病態に罹患していないが、特定の病態にかかりやすい、すなわち発症するリスクがあると特定されている対象への医薬剤又は医薬組成物の投与を指し、予防効果は、その病態若しくはその症状を部分的又は完全に防止することを含む。
【0030】
「泌尿器系」という用語は、下部尿路及び上部尿路を指すために従来の意味で使用され、そのため、膀胱、尿道、腎臓、及び尿管を含む。
【0031】
「障害」という用語は、臨床的に適切な生理学的状態を指し、そのため、病因にかかわらず症候性又は無症候性状態を含む。そのため、障害には、疾患又は傷害に起因する有害な状態が含まれる。本発明で対処される障害は、泌尿器系の障害である。
【0032】
本明細書で使用される場合、「対象」又は「個人」又は「患者」は、治療が望まれる任意の対象を指し、一般に、本発明に従って実施される治療のレシピエントを指す。
【0033】
「薬物送達期間」は、薬理活性剤が製剤又はその画分から放出される期間、一般的に、延長された期間を指す。
【0034】
「実質的に」という用語は、列挙された化学的又は物理的特性からのわずかな逸脱の可能性を示し、実際の化学的又は物理的特性と列挙された化学的又は物理的特性との間に、最大で約20%、又は最大で約10%、又は最大で約5%の差を許容する。例えば、「実質的に均質」という用語は、成分の有無、成分の濃度、親水性又は親油性の程度、密度、結晶化度などの材料の化学的又は物理的特性に関して、材料が全体にわたって実質的に均一であり、材料内の任意の2つの別々の領域が最大で約20%、又は最大で約10%、又は最大で約5%異なる2以上の成分の混合物の形態の材料を指す。同様に、任意の文脈における「およそ」という用語は、最大で約20%の起こり得る変動を暗示することを意図する。一般的に、この用語は、最大で約10%、又は最大で約5%の起こり得る変動を暗示する。
【0035】
本発明は、泌尿器系の障害を処置するための、対象の膀胱内での薬理活性剤の制御放出のための製剤及び方法を提供する。活性剤含有微粒子を含む製剤は、膀胱内経路を介して、すなわち、尿道を通って、又は膀胱注入を介して対象に投与され、微粒子は尿中で浮遊し、したがって、膀胱内に存在する尿の表面に浮遊する。排尿すると、膀胱が収縮し、膀胱の内壁にある襞として知られる厚くて不規則な粘膜組織が、生じたひだに微粒子を捕捉するため、膀胱が尿で満たされ、空になる一連のサイクルにわたって、膀胱内での活性剤の放出が続く。さらに、微粒子の粒径、分解又は凝集、及び他の要因を変化させて、膀胱の収縮時に必ずしも微粒子が襞に捕捉される必要なく、膀胱内での保持を容易にすることができる。これらの保持手段のいずれも組み合わせて使用することができ、一部は代替の保持手段の機構的プロセスの強化に関して相乗作用を示し得る。
【0036】
加えて、微小粒子と膀胱又は尿道の内壁との接触、並びに尿中の乱流を引き起こす膀胱内の微粒子の移動は、バイオフィルム形成を実質的に防止し、既に存在する任意のバイオフィルムの機械的破壊を促進し、次いで、バイオフィルムマトリックスへの細菌細胞の付着の可能性を低下させる。次いで、膀胱及び尿道内のバイオフィルムを破壊することによって、本発明の製剤及び方法は、膀胱及び尿道内の細菌成長を最小化又は排除することができる。
【0037】
同時係属中の2020年10月2日出願の一般に割り当てられた米国特許出願番号第17/062,469号、及び国際特許公開WO 2020/069,376 A1号で説明されているように、本発明は、泌尿器系の障害を処置するための経口薬物及び全身投薬の必要性を回避し、そのような障害の処置において多数の利点を提供する。前述の特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本微粒子製剤の特性、成分、及び使用に関する追加情報についてそれを参照してもよい。
【0038】
2.微粒子:
本発明の医薬製剤内の微粒子は、薬理活性剤及び制御放出担体で構成され、これらは、質量の段階的減少及び/又は他の手段によって、延長された薬物送達期間中に、薬理活性剤を微粒子から膀胱内に放出する。
【0039】
A.活性剤:
薬理活性剤の選択は、当然のことながら、処置される適応症に依存する。本発明の微粒子製剤の膀胱内投与を介して投与可能な活性剤は、一般的に、必ずしもその必要はないが、以下のカテゴリー:抗菌剤、抗真菌剤、及び抗ウイルス剤を含む抗感染症剤;化学療法剤;抗炎症剤;麻酔薬;鎮痛剤;利尿薬;凝固剤及び抗凝固剤;生物学的製剤;過活動膀胱を含む失禁の処置のための(抗ムスカリン薬、β3-アドレナリン受容体アゴニスト、麻酔薬、及び鎮痛剤を含む)薬剤;レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤;腎臓結石を処置するための薬剤;及び診断とモニタリングのための造影剤から選択される。本明細書に提供される泌尿器系障害を処置するために投与することができる活性剤の具体例は以下の通りである:
【0040】
抗感染症剤:
【0041】
テトラサイクリン抗生物質及び関連化合物(例えば、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びロリテトラサイクリン);
【0042】
マクロライド系抗生物質、例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、及びアジスロマイシン;
【0043】
ストレプトグラミン系抗生物質、例えば、キヌプリスチン及びダルフォプリスチン;
【0044】
β-ラクタム系抗生物質、ペニシリン(例えば、ペニシリンG、ペニシリンVK)、抗ブドウ球菌ペニシリン(例えば、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン及びオキサシリン)、拡張スペクトルペニシリン(例えば、アミノペニシリン、例えば、アンピシリン、アモキシシリン、及びベンザチンベンジルペニシリン、並びに抗緑膿菌作用のあるペニシリン、例えば、カルベニシリン)、セファロスポリン(例えば、セファドロキシル、セフェピム、セフポドキシム、セファレキシン、セファゾリン、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、セフォタキシム、セフタジジム及びセフトリアキソン)並びにカルバペネム、例えば、イミペネム、メロペネム及びアズトレオナムを含む;
【0045】
アミノグリコシド系抗生物質、例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン及びネオマイシン;
【0046】
グリコペプチド抗生物質、例えば、テイコプラニン;
【0047】
スルホンアミド系抗生物質、例えば、スルファセタミド、スルファベンズアミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチゾール及びスルファメトキサゾール;
【0048】
キノロン系抗生物質、例えば、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、シプロフロキサシン、ナリジクス酸及びオフロキサシン;
【0049】
抗マイコバクテリア、例えば、イソニアジド、リファンピン、リファブチン、エタンブトール、ピラジナミド、エチオナミド、アミノサリチル酸及びサイクロセリン;
【0050】
ニトロフラン類、例えば、ニトロフラゾン及びニトロフラントイン;
【0051】
抗真菌剤、例えば、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール及びアムホテリシンB;
【0052】
各種抗菌剤、例えば、トリメトプリム、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、スペクチノマイシン、ポリミキシンB(コリスチン)、バシトラシン、ニトロフラントイン、メテナミン、及びオキシクロロセンナトリウム。
【0053】
泌尿器系のウイルス感染を処置するための薬剤には、例として、抗ヘルペス薬、例えば、アシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル及びビダラビン;抗レトロウイルス剤、例えば、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、テノボビル(tenovovir)及びジドブジン;アマンタジン、インターフェロン-α、リバビリン及びリマンタジンを含む他の抗ウイルス剤が挙げられる。泌尿器系のウイルス感染症の処置に特に関心があるのは、シドフォビルとレフルノミドである。
【0054】
本明細書において特に関心がある抗菌剤は、微量作用活性剤、すなわち、殺生物性金属ベースの薬剤である。そのような薬剤の多くは銀ベースであり、銀元素、銀イオン、銀塩、及び銀配位化合物を含む。銀塩は、無機物、例えば、臭化銀、塩化銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、過塩素酸銀、及びテトラフルオロホウ酸銀であり得る。有機銀含有化合物には、有機銀塩と配位化合物の両方、例えば、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、パルミチン酸銀、及びスルファジアジン銀(SSD)が含まれる。金、亜鉛、銅、及びセリウムなどの他の金属も、単独で、及び銀との組み合わせの両方で抗菌特性を保有することが見出されている。
【0055】
任意の特定の場合における抗感染症剤の選択は、感染因子の性質並びに他の要因に依存するであろう。泌尿器系感染症は、一般的に、微生物の大腸菌(E.coli)、肺炎桿菌、腐性ブドウ球菌、プロテウス・ミラビリス、エンテロコッカス・フェカリス、黄色ブドウ球菌、カンジダ・アルビカンス、ストレプトコッカス・アガラクティエ、マイコプラズマ・ジェニタリウム、緑膿菌、トラコーマクラミジア、及び単純ヘルペスウイルスヒトアルファヘルペスウイルス1(HSV-1)及びヒトアルファヘルペスウイルス2(HSV-2)によって引き起こされる。
【0056】
化学療法剤:
【0057】
アパジコン;アルデスロイキン;カルメットゲラン桿菌(BCG)免疫療法;シスプラチン;ドセタキセル;ドキソルビシン;エルダフィチニブ;エベロリムス;ホスホマイシン;ゲムシタビン;メトトレキサート;マイトマイシンC;ミトキサントロン;パクリタキセル、チオテパ;カンプトテシン並びにその類似体及び誘導体(例えば、9-アミノカンプトテシン、9-ニトロカンプトテシン、10-ヒドロキシカンプトテシン、イリノテカン、メグルミン、トポテカン及び20-O-β-グルコピラノシルカンプトテシン);タキサン類(例えば、バッカチン、セファロマンニン及びそれらの誘導体);カルボプラチン;インターロイキン(IL)-2及びIL-12;インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n3及びインターフェロンファミリーの他の薬剤;レバミゾール;アルトレタミン;クラドリビン;トレチノイン;プロカルバジン;ダカルバジン;ミトタン;アスパラギナーゼ;ポルフィマー;アミフォスチン;ポドフィロトキシン誘導体のテニポシド及びエトポシドを含む有糸分裂阻害剤;ビンカアルカロイドのビノレルビン、ビンクリスチン及びビンブラスチン。膀胱がん、腎がん、並びに尿道及び尿管のがんを含む泌尿器系のがんの処置のための、特に関心があるものには、限定されないが、とりわけ、アパジコン、アルデスロイキン、アキシチニブ、BCG免疫療法、シスプラチン、ドキソルビシン、エルダフィチニブ、エベロリムス、ホスホマイシン、ゲムシタビン、IL-2、IL-12、メトトレキサート、マイトマイシンC、チオテパ、ビンブラスチン、及びモノクローナル抗体薬のベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標)、カボザンチニブ-S-リンゴ酸塩、イピリムマブ、ニボルマブ、スニチニブリンゴ酸塩、及びペムブロリズマブが挙げられる。
【0058】
抗炎症剤:
【0059】
これらには、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、例えば、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ベノキサプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、ブチブフェン、フェンブフェン、アパゾン、ジクロフェナク、ジフェンピラミド、ジフルニサル、エトドラク、インドメタシン、ケトロラク、メクロフェナメート、ナブメトン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク及びトルメチン;COX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブ;並びにステロイド抗炎症剤、例えば、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン-21-モノエステル(例えば、ヒドロコルチゾン-21-アセテート、ヒドロコルチゾン-21-ブチレート、ヒドロコルチゾン-21-プロピオネート、ヒドロコルチゾン-21-バレレート)、ヒドロコルチゾン-17,21-ジエステル(例えば、ヒドロコルチゾン-17,21-ジアセテート、ヒドロコルチゾン-17-アセテート-21-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17,21-ジブチレート)、アルクロメタゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びトリアムシノロンが含まれる。
【0060】
泌尿器系炎症の処置において特に関心がある抗炎症剤は、クロモリンナトリウム、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、及びグリコサミノグリカン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、及びヘパリンである。
【0061】
麻酔薬:
【0062】
とりわけ、リドカイン、ブピバカイン、ベンゾカイン、アセトカイン(acetocaine)、テトラカイン、及びプリロカイン。
【0063】
鎮痛剤:
【0064】
これらには、非ステロイド性鎮痛剤、例えば、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、及び上記の抗炎症剤、並びに、オピオイド鎮痛剤、例えば、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジアモルヒネ、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、イソメタドン、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、スフェンタニル及びトラマドールが含まれる。当技術分野において公知であるように、膀胱組織にはオピオイド受容体が存在し(Schmidtら(編),疼痛の百科事典(Encyclopedia of Pain)の中のWesterlingら(2007),「オピオイドと膀胱の疼痛/機能(Opioids and Bladder Pain/Function」」(Springer,Berlin))、したがって、これらの薬剤は、基礎となる病因によらず、本発明の製剤及び方法を用いて、泌尿器系内の膀胱痛症候群(BPS)及び他の疼痛を処置するのに有用である。
【0065】
利尿剤:
【0066】
これらには、ループ利尿剤、例えば、フロセミド、エタクリン酸、ブメタニド、及びトラセミド;チアジド系利尿剤、例えば、ヒドロクロロチアジド及びベンドロフルメチアジド;カリウム保持性利尿薬、例えば、スピロノラクトン、エピエレノン(epierenone)、カンレノ酸カリウム(potassium canreonate)、アミロライド、及びトリアムテレン;並びにキサンテン、例えば、テオフィリン及びテオブロミンが含まれる。
【0067】
生物学的製剤:
【0068】
本発明に従って投与可能な生物学的製剤には、限定されないが、タンパク質、ペプチド、ペプチド断片、モノクローナル抗体、酵素、アミノ酸、核酸(例えば、DNA、修飾DNA、mRNA)、サイトカイン、ホルモン、及びキメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法が含まれる。
【0069】
糖尿病性腎症の処置のためのRAAS阻害剤には、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、及びイミダプリル;抗ムスカリン剤、例えば、ダリフェナシン、ヒヨスチアミン、オキシブチニン、トルテロジン、ソリフェナシン、トロスピウム、フェソテリジン、メシル酸ベンズトロピン、オルフェナドリン、プロシクリジン、及びトリヘキシフェニジル;並びにβ3-アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、アミベグロン、ミラベグロン、ネビボロール、ソラベグロン、及びビベグロンが含まれる。
【0070】
他の活性剤グループには、例えば、排尿筋過活動から生じる失禁を処置するための膀胱弛緩薬(オキシブチニン、イプラトロピウム、及び例えば、三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、イミプラミン及びデシプラミン;カプサイシン、バクロフェン及び他のGABAB受容体アゴニスト);並びに神経括約筋欠乏症(neurologic sphincter deficiency)による失禁を処置するための薬物(α-アドレナリン作動薬、β-アドレナリン作動薬、エストロゲン様薬、及び三環系抗うつ薬など)が含まれる。
【0071】
前述の活性剤及び活性剤の種類のいずれも、組み合わせて投与することができ、任意のそのような組み合わせは、ある特定の泌尿器系障害の処置に特に有利であり得る。例えば、尿路感染症の処置では、抗感染症剤と麻酔薬を膀胱内に同時投与すると、感染症を処置し、疼痛も軽減する。別の例として、炎症に関連する膀胱がんの処置は、化学療法剤と抗炎症剤の膀胱内同時投与から恩恵を受けるであろう。さらなる例としては、尿路感染症を処置するための、ラクトバチルスなどの健常な尿中細菌の送達と組み合わせた抗感染症剤の投与;特に一次活性剤が微量作用剤である場合に、一次活性剤の有効性を高めるための酸化剤として作用する二次薬剤の投与;微粒子を覆う有機物質、例えば、1つの層が活性剤で構成され、次の層が「結石」材料を溶解するためにクエン酸カリウム又はアルプリノールを含み、次の層が活性剤を含むなどの層状構造を溶解するために放出される薬剤の投与;活性剤がその有効pH範囲にあることを確実にするために、細菌が尿のpHを変化させるのを防止するウレアーゼのような相乗的薬剤の投与;及び活性剤の放出を促進するために、微粒子溶解を促進する放出薬剤、例えばリパーゼの投与が挙げられる。
【0072】
腎臓結石を処置するための薬理活性剤はまた、本発明に従って治療的に投与され得る。例えば、本製剤及び方法を用いたアロプリノールの膀胱内送達は、アルカリ化剤、例えば、アセタゾラミド、重炭酸ナトリウム、クエン酸カリウム、及びクエン酸マグネシウム、又はチアジド及びチアジド様利尿剤、例えば、クロルタリドン若しくはインダパミドの膀胱内投与と同様に、尿酸ベースの結石の分解を促進し、結石の再発を防止する。
【0073】
薬理活性剤が膀胱内経路を介して投与される実施態様の変形では、診断薬は、本明細書に提供されるような微粒子製剤中で、同じ様式で投与される。診断薬は、従来の画像化装置を用いて同定、定量化、又は監視することができるものである。診断薬は、排尿膀胱尿道造影、静脈内尿路造影、X線コンピュータ断層撮影(CT)、及び他の診断技術と共に使用されるようなヨウ素ベースの造影剤(例えば、イオプロミド、イオヘキソール、イオサラメート、イオキサグレート、イオプラミドール、イオシメノール、イオジキサノール、リピオドール、メトリゾ酸など);ランタニドベースの造影剤(例えば、ジスプロシウム及びガドリニウムキレート、特に、ガドベルセタミド、ガドペンテト酸ジメグルミン、ガドブトロールなど)及び磁気共鳴画像法(MRI)で一般的に使用される超常磁性酸化鉄造影剤;CTイメージングでの使用が提案される、PEG化(ポリエチレングリコール官能化)銀及び金ナノ粒子などの銀含有及び金含有造影剤;超音波イメージングで使用されるマイクロバブル型造影剤;並びに当業者に認められるような他のものであり得る。
【0074】
B.制御放出担体:
【0075】
本明細書における制御放出微粒子は、制御放出担体と組み合わせた薬理活性剤で構成される。担体は、活性剤が分散しているか、又は埋め込まれているマトリックスの形態であってもよい。あるいは、微粒子は、制御放出担体が活性剤含有コア上のコーティング中にあるか、又は活性剤が制御放出担体のコア上のコーティング中にあるコーティングコアタイプのものであってもよい。一般的に、担体コーティング活性剤含有コアと同様に、マトリックス型微粒子が好ましい。
【0076】
制御放出担体の選択は、複数の要因に依存する。担体は、特定の活性剤及び担体によって製剤化した微粒子の比重が尿の比重よりも低くなるように選択する必要がある。尿の比重は約1.005~1.03の範囲であるため、選択された活性剤で配合された微粒子の比重は1.03未満又は1.005未満である必要がある。担体はまた、所望のタイプの制御放出を提供する必要があり、すなわち、尿中に徐々に溶解性である、生体分解可能である(例えば、酵素活性による)か、物理的に分解可能であるか、又はそれらのいくつかの組み合わせであるべきである。親水性と疎水性も検討事項である。一般的に、親水性担体は親水性活性剤と共に使用され、疎水性担体は疎水性活性剤と共に使用される。制御放出担体は固体又は半固体であるが、粘性液体担体を使用することができ、適切な微粒子は選択された液体ビヒクル中にそれと共に提供され得る。
【0077】
本明細書で微粒子を形成するのに適する代表的な担体材料には、以下の材料が含まれるが、これらに限定されない:
【0078】
(1)飽和C6~C30脂肪酸、例えば、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ペラルゴン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、及びノナコシル酸、並びにそれらの塩、例えば、カプリル酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウムなど;
【0079】
(2)不飽和C6~C30脂肪酸、例えば、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、リノール酸、ドコサジエン酸、エイコサジエン酸、及びリノレン酸;
【0080】
(3)飽和又は不飽和C10~C30脂肪アルコール、典型的に、一価脂肪アルコール、例えば、ウンデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノナデシルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、及びミリシルアルコール;
【0081】
(4)脂肪酸エステル、すなわち、典型的に、一価、二価、又は多価アルコールと少なくとも1つのC8~C30脂肪酸から誘導される、以下を含む:
【0082】
(a)低級アルコール脂肪酸エステル、すなわち、低級(C2~C6)アルコールと脂肪酸のエステル、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及びパルミチン酸イソプロピル;
【0083】
(b)トリグリセリド、例えば、トリ酪酸グリセリル、トリカプロン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリミリストレイン酸グリセリル(glyceryl trimyristoleate)、トリオレイン酸グリセリル、及びそれらの混合物、例えば、トリカプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸/リノール酸グリセリル、トリカプリル酸/ステアリン酸/ラウリン酸グリセリルなど;
【0084】
(c)モノ及びジグリセリド、例えば、リシノール酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル(例えば、Compritol(登録商標)、Gattefosse)、ジステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル(例えば、Precirol(登録商標)、Gattefosse)、カプリル酸/カプリン酸グリセリル(Capmul(登録商標)、Abitec)、カプリル酸モノ及びジグリセリド(例えば、Imwitor 998)、並びにモノ及びジアセチル化モノグリセリド(例えば、Myvacet 9-45);
【0085】
(d)ポリグリセロール化脂肪酸、すなわち、ステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ポリグリセリルポリリシノール酸、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、及びモノステアリン酸テトラグリセリル;
【0086】
(e)プロピレングリコール脂肪酸エステル、すなわち、プロピレングリコールと脂肪酸のエステル、例えば、モノラウリン酸プロピレングリコール、リシノール酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、ジオクタン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、及びミリスチン酸プロピレングリコール;
【0087】
(f)ポリエトキシル化脂肪酸、すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸PEG-1、ステアリン酸PEG-2、オレイン酸PEG-2、ラウリン酸PEG-4、オレイン酸PEG-4、ステアリン酸PEG-4、ラウリン酸PEG-6、オレイン酸PEG-6、ステアリン酸PEG-6、ラウリン酸PEG-8、オレイン酸PEG-8、ステアリン酸PEG-8、ラウリン酸PEG-10、オレイン酸PEG-10、ステアリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、オレイン酸PEG-12、リシノール酸PEG-12、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ジラウリン酸PEG-4、ジオレイン酸PEG-4、ジステアリン酸PEG-4、ジパルミチン酸PEG-10、ジラウリン酸PEG-8、ジオレイン酸PEG-8、ジステアリン酸PEG-8、ジパルミチン酸PEG-10、ジラウリン酸PEG-12、ジステアリン酸PEG-20、ジステアリン酸PEG-32、及びジステアリン酸PEG-400;
【0088】
(g)ポリエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、すなわち、3つのグリセロールヒドロキシル基のうちの2つが脂肪酸でエステル化され、3つ目がPEG置換基を有する化合物、例えば、ラウリン酸PEG-20グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、及びオレイン酸PEG-30グリセリル;並びに
【0089】
(h)ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、及びトリオレイン酸ソルビタン、並びにポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、例えば、PEG-20モノラウリン酸ソルビタン(Tween-20)、PEG-20モノパルミチン酸ソルビタン(Tween-40)、PEG-20モノステアリン酸ソルビタン(Tween-60)、及びPEG-20モノオレイン酸ソルビタン(Tween-80);
【0090】
(i)C8~C30脂肪酸とC8~C30脂肪アルコールとヒドロキシル基を有するカルボン酸とから形成されるジエステル、例えば、4-ヒドロキシケイ皮酸(クマル酸)とω-ヒドロキシ酸、例えば、16-ヒドロキシパルミチン酸、18-ヒドロキシステアリン酸など;
【0091】
(5)リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスタチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、リン酸化ジアシルグリセリド、特に、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、ジアシルホスファチジルセリン、ジアシルホスファチジルイノシトール、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジン酸、及びそれらの混合物から選択されるリン脂質(その中の各アシル基は、約10~約30個の炭素原子を含有し、飽和又は不飽和である)、並びにリン脂質混合物、例えば、レシチン、ヒドロキシル化レシチン、及びリゾレシチン;
【0092】
(6)ステロール(ステロール誘導体を含む)、例えば、コレステロール、シトステロール、ラノステロール、PEG-24コレステロールエーテル、PEG-30コレスタノール、及びフィトステロール;
【0093】
(7)ポリエチレングリコールアルキルエーテル、すなわち、PEGと脂肪族アルコールのエーテル、例えば、PEG-3オレイルエーテル及びPEG-4ラウリルエーテル;
【0094】
(8)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(POE-POP)ブロックコポリマー、すなわち、POE-POP比が異なる親水性界面活性剤、通常、ポロクサマーと呼ばれ、ポロクサマー105、ポロクサマー108、ポロクサマー122、ポロクサマー123、ポロクサマー124、ポロクサマー181、ポロクサマー182、ポロクサマー183、ポロクサマー184、ポロクサマー185、ポロクサマー188、ポロクサマー212、ポロクサマー215、ポロクサマー217、ポロクサマー231、ポロクサマー234、ポロクサマー235、ポロクサマー237、ポロクサマー238、ポロクサマー282、ポロクサマー284、ポロクサマー288、ポロクサマー331、ポロクサマー333、ポロクサマー334、ポロクサマー335、ポロクサマー338、ポロクサマー401、ポロクサマー402、ポロクサマー403、及びポロクサマー407、並びに前述の組み合わせ及び他の化合物との組み合わせ、例えば、ポロクサマー407(45%)と重炭酸アンモニウム(6%)を含む。後者の組み合わせは、重炭酸アンモニウムが高温で分解して、二酸化炭素の泡を発生し、次に、膀胱内の微粒子製剤の浮遊を促進するために有利である。
【0095】
(9)徐々に腐食するか又は分解する合成ポリマー、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ無水物、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシセルロース、並びにそれらのコポリマー、誘導体、及び混合物;
【0096】
(10)ヒドロゲルを調製するために典型的に使用される親水性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC);アクリル酸ポリマー、例えば、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなど;アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどのコポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、及び/又はメタクリル酸ヒドロキシエチルのコポリマー;ビニルポリマー及びコポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、及びエチレン酢酸ビニルコポリマー;並びにキトサン;
【0097】
(11)胆汁酸塩、例えば、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウムなど;並びに
【0098】
(12)上記のグループに包含されない界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、2-フェノキシエタノール、及びベンゾイルアルコール。
【0099】
本発明の微粒子に使用することができる制御放出担体の前述の例には、親水性材料、疎水性材料、界面活性剤、天然に存在する材料、合成により改変された天然に存在する材料、合成材料;及び比較的広い範囲の分子量を有する材料が含まれることが理解されるであろう。
【0100】
製剤中の制御放出担体に対する活性剤の比率は、薬物送達の分野の当業者者によって理解されるように、投与される活性剤及び意図される用量に依存し、次にこれは、薬物送達期間に依存する。一般的に、制御放出担体に対する活性剤の重量比は、10%~50%の範囲(1:10~1:1の重量比範囲に相当する)、通常、20%~50%の範囲(1:5~1:1の重量比範囲に相当する)、最も典型的には、25%~40%の範囲(1:3~2:3の重量比範囲に相当する)の薬物ローディング(微粒子中の活性の重量パーセント)を提供するように選択される。
【0101】
一般的に、微粒子は、膀胱内で完全に溶解、分解、又は腐食するため、製剤の除去は不要である。場合によっては、意図される薬物送達期間の終了前に微粒子の分解又は除去を促進することが望ましい場合がある。微粒子製剤は、吸引によって、又は膀胱内への微粒子分解剤の導入によって除去することができる。分解剤は、酵素、過酸化水素などの化学試薬、又は馬尿酸メテナミンなどの尿酸性化剤であり得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、微粒子は、バイオフィルムの細胞外マトリックスを分解するように選択された1以上の酵素又は他のバイオフィルム破壊剤、例えば、ディスパーシンB、トリプシン(又は他の消化酵素)、デオキシリボヌクレアーゼ、一酸化窒素などでコーティングされるか、又はそれらを含有する。微粒子コーティング又は成分はまた、尿中に存在する結晶の親和性を低下させて、微粒子表面に付着するのを防止する材料(例えば、ポリウレタン又はポリテトラフルオロエチレン)、又は静電気を帯びた材料を使用して、生体材料(例えば、アクリルアミドタウリン酸塩(acrylamidotaurate))に付着させ、不安定化を引き起こす材料を含むこともできる。バイオフィルム破壊及びさらなるバイオフィルム成長の防止のためのこれらの機構のいずれかを組み合わせて使用することができ、いくつかは相乗的に作用し得る。
【0103】
C.微粒子製造:
【0104】
制御放出マトリックス微粒子:制御放出担体のマトリックス内に分散した薬理活性剤を有する微粒子は、本明細書では、以下のように製造され得る。選択した制御放出担体を最初に融解し、次いで、活性剤を融解した担体に添加して、活性剤-担体混合物を提供する。混合物を、担体中の活性剤の実質的に均一な分布を促進する任意の適切な装置を使用してホモジナイズし、混合物が融解物の形態のままであることを確実にするために、加熱を同時に行ってもよい。少なくとも数分のホモジナイゼーションの後、ホモジナイズした融解混合物を、混合物の液滴を生成するように噴霧器に入れ、空中で凝固させ、所望の微粒子を提供し、次いでこれを収集する。典型的に、回転式噴霧器が好ましい。供給材料の粘度(例えば、融解物の温度を調整することによる)、噴霧器の回転速度、供給速度、及び回転ディスクのサイズを制御することによって微粒子サイズを変えることができることは理解されよう。代表的なプロトコルを実施例3に記載する。
【0105】
制御放出担体が活性剤含有コア上にコーティングとして提供されるか、又は活性剤が制御放出担体で構成されるコア上に提供されるコーティング中にあるコーティングコアタイプの微粒子は、当業者に公知の、並びに/又は関連するテキスト及び文献に記載されている従来の方法を使用して製造され得る。例えば、レミントン:薬学の科学と実践(Remington:The Science and Practice of Pharmacy)、第19版、2巻(Mack Publishing Co.,1995)34章の中のカプセル化された持続放出送達システムの説明を参照されたい。
【0106】
微粒子は、当技術分野で公知の技術を使用して、少なくともある程度多孔質になるように製造することができる。気泡(Gas bubble)又は気泡(air bubble)を、存在する場合、マトリックス又はコーティングに導入してもよい。あるいは、又はそれに加えて、多孔性物質(例えば、ポロクサマー)を、制御放出コーティングに組み込むか、又は制御放出マトリックス型粒子の場合には、微粒子がその中に分散される前、間、又は後に融解物中に組み込むことができる。多孔質ミクロスフェアの調製に関する追加情報については、参照により本明細書に組み込まれるCaiら(2013),「多孔質ミクロスフェア及びその用途(Porous microsphere and its applications),Int J Nanomedicine 8:1111-1120、Int J Nanomedicine8:1111-1120を参照されたい。
【0107】
D.微粒子の特性:
【0108】
従来、制御放出微粒子は実質的に球形であると推測されているが、必ずしもその必要はない。本発明の微粒子は、球状であるか、又は実質的に球状でもよいが、微粒子が選択される製造技術から生じる任意の三次元構造を有し得る限り、本発明は、この点に関して限定されるものではない。微粒子は、円柱状、球状円筒形、楕円形、卵形などであり得る。
【0109】
製剤が微粒子の集団を含むように、微粒子は、対象への膀胱内投与のための制御放出医薬製剤として投与される。製剤中の実質的に球状の微粒子は、典型的に、500nm~2000μm、例えば、90μm~900μm又は90μm~300μmなどの範囲の平均直径を有する;非球状微粒子の場合では、類似の測定は、微粒子の長径の長さである(及び「直径」はその測定値を包含するために本明細書において総称的に使用される)。この詳細な説明の節1に記載したように、対象に投与される製剤中の微粒子の集団における微粒子の粒径分布は比較的狭く、すなわち、微粒子は、微粒子径の中央値の20%以内、好ましくは10%以内であるべきである。例えば、径の中央値が500μmである場合、粒径範囲は、400μm~600μm(径の中央値の20%以内)、好ましくは450μm~550μm(径の中央値の10%以内)の間であるべきである。ヒト襞の裂け目幅は200μmから400μmの範囲であるため、膀胱を空にする際に収縮するとき、襞の折り畳み内での微粒子の保持を促進するために、400μm未満の粒径が典型的に最適である。当然のことながら、薬物送達期間中に粒径が減少するであろう。
【0110】
微粒子の重要な特徴は、それらの浮揚性である。一実施形態において、微粒子集団中の微粒子の全て又は実質的に全ては、尿中で浮揚性である。これにより、微粒子が膀胱内の尿の表面に浮遊し、膀胱が空になるたびに放出される微粒子製剤の割合が大幅に減少する。尿中の浮揚性は、尿の比重が約1.005~1.03の範囲であるため、一般的に1.03未満、より典型的には、1.005未満の比重を有する微粒子を製造することによって達成される。
【0111】
微粒子のサイズ及び浮揚性は、膀胱に特有の利点を提供する。例えば、ある実施形態において、微粒子のサイズは、必要に応じて、閉塞を防止するために尿道通過を可能にする。微粒子の浮揚性及びサイズが比較的小さいことは、膀胱の排尿中に膀胱壁が粒子に作用する力に関係なく、膀胱内の微粒子の保持に役立つ。大きすぎる微粒子は、排尿中にそのような力によって排出され得る。微粒子は、収縮した膀胱の排尿後の残留空間を埋め、それによってそうでなければ膀胱内に残り、例えば、細菌又は真菌の成長を促進することによって感染を悪化させる可能性のある尿を置き換えるため、微粒子の保持は患者にも恩恵をもたらす。収縮した膀胱に過剰な微粒子が含まれている場合、微粒子のサイズにより、微粒子は尿道を通過することが可能となり、排尿頻度の増加を避けることができる。最後に、本明細書で先に説明したように、微粒子と膀胱又は尿道の内壁との接触、並びに尿中で乱流を引き起こす膀胱内の微粒子の移動は、バイオフィルム形成を実質的に防止し、すでに存在するバイオフィルムの機械的破壊を促進し、次にバイオフィルムマトリックスに細菌細胞が付着する可能性を低下させる。
【0112】
3.膀胱内製剤:
【0113】
泌尿器系障害を処置するために対象に投与される製剤は、前節に記載の制御放出微粒子の集団を含み、一般的に、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、すなわち、製剤又はその成分に所望の物理的又は化学的特性を付与する薬理活性のない製剤成分を含む。
【0114】
A.賦形剤:
【0115】
微粒子の集団は、水性又は非水性であり得る無菌の液体ビヒクルに組み込まれてもよく、その結果、製剤は、液体ビヒクル中の微粒子の水性又は非水性の分散体、懸濁液、又はエマルジョンを含む。非水性液体ビヒクルの例には、理解されるように、脂肪酸、脂肪酸ジグリセリド、及び/又は脂肪酸トリグリセリドの混合物、例えば、ヒマシ油、綿実油、コーン油、亜麻仁油、鉱油、オリーブ油、ゴマ油、大豆油など;室温で液体である脂肪酸、すなわち、低分子量及び/又は不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸;アルコール類、例えば、プロピレングリコール、グリセロール、及び低分子量ポリエチレングリコール(分子量約750g/mol未満)を含む脂肪油が含まれる。理想的には、液体ビヒクルは、2cP~400cPの範囲の粘度を有するべきである。
【0116】
製剤はまた、微粒子及び微粒子を含有する任意の液体ビヒクルに加えて、緩衝剤及び他のpH調整剤などの賦形剤、粘度調整剤、分散剤、張度調整剤、酵素阻害剤、保存剤及び安定剤、可溶化剤、及び乳化剤を含有してもよい。
【0117】
pH調整剤は、尿の局所pHに影響を与えないように、製剤のpHを5.8~7.4の範囲に維持する必要がある。この目的を果たす代表的なpH調整剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)及び他のリン酸緩衝液、例えば、一塩基性リン酸カリウム、二塩基性リン酸カリウム、及びピロリン酸緩衝液;重炭酸ナトリウムなどの重炭酸塩;ヒスチジン/ヒスチジン塩酸塩;クエン酸二ナトリウム及びクエン酸三ナトリウムなどのクエン酸塩;酢酸アンモニウムなどの酢酸塩;トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)緩衝液、アルギニン;及びメグルミンが含まれる。pH調整剤はさらに、微粒子上の任意の溶質の結晶化を防止する役割を果たす。
【0118】
粘度調整剤は、シンナー又は増粘剤であるが、本製剤では、任意の粘度調整剤は典型的に、増粘剤である。本明細書における粘度調整剤は、選択された膀胱内送達系、例えば、カテーテル、尿道内シリンジなどを通る製剤の輸送を促進し、2cP~400cPの範囲の製剤粘度を維持するように選択される。適切な粘度調整剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、ソルビトール、デキストラン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、及びポリ(ビニルピロリドン)が含まれる。一例として、NaCMCが製剤粘度を前述の範囲に維持するためには、これは一般的に、分子量が90kDa~700kDaの範囲、5~30mg/mLの範囲の濃度、例えば、5mg/mL、10mg/mL、20mg/mL、又は30mg/mLのCMCを使用することを意味する。分子量及び濃度は、当然のことながら、任意の粘度調整剤と共に考慮されるべきであり、これらのパラメータは、目標粘度を達成するために、必要に応じて選択(分子量)又は変更(濃度)することができる。より高い分子量の粘度調整剤は、より高い濃度と同様に、より粘性のある溶液をもたらす(例えば、5mg/mLの250kDaのCMCは、20mg/mLの90kDaのCMCで得られる粘度と同様の粘度を提供する)。
【0119】
分散剤:分散剤の目的は、微粒子の凝集及び固着を防止し、製剤中の微粒子の分散を促進することである。分散剤は、当技術分野で周知であり、典型的に界面活性剤であるが、必ずしもその必要はない;本明細書における例示的な界面活性剤には、上記の節2.B.8で特定されたポロクサマー、特に、0.1mg/mL~5mg/mLの範囲の量、例えば、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1.0mg/mL、及び5mg/mL(それぞれ0.01%、0.5%、0.1%、及び0.5%)で製剤に組み込まれるTween20及びTween80が含まれる。本明細書において関心がある別の分散剤は、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、例えば、ポビドンK12及びポビドンK17である。
【0120】
張度調整剤は、製剤を尿中で等張にするために組み込まれる。一般的に使用される張度調整剤が本明細書において使用され、それには、デキストロース、グリセロール、D-マンニトール、及び塩化ナトリウムが含まれ得る。本製剤に組み込むことができる例示的な張度調節剤は、D-マンニトール、塩化ナトリウム、及びそれらの組み合わせであり;5%のD-マンニトールと0.9%の塩化ナトリウムとを含む水溶液は、溶液を尿中で等張にする。
【0121】
別の賦形剤グループは、酵素阻害剤を含み、薬理活性剤を分解する可能性のある酵素の阻害剤、病理学的レベルで膀胱内又は泌尿器系の他の領域内に存在する酵素の阻害剤;及びウレアーゼ阻害剤を含む。ウレアーゼが一部の尿路病原体(腐性ブドウ球菌(S.saprophyticus)及びP.ミラビリスを含む)の既知の病原性因子であるために、ウレアーゼ阻害剤を微粒子製剤に組み込むと、細菌の成長を制限することができる。さらに、細菌のウレアーゼは尿をアルカリ化し、リン酸カルシウム及びストルバイトの過飽和を引き起こし、その結果、結晶を形成し、尿路結石を生成する可能性がある。
【0122】
代表的な保存剤には、抗酸化剤、抗菌剤、及びキレート剤が含まれる。抗酸化保存剤は、製剤の貯蔵寿命にわたって薬理活性剤又は任意の賦形剤の酸化を最小限にするのに有用である。本明細書において有利に使用され得る一般的に使用される抗酸化保存剤には、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸ナトリウム、アセチルシステイン、モノチオグリセロール、及び亜硫酸塩(亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩など)が含まれる。保存中及び使用前の製剤中の微生物の成長を防ぐための抗菌保存剤には、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びチメロサールなどの薬剤が含まれる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、エデト酸カルシウムナトリウムなど)などのキレート剤は、そうでなければ、望ましくない酵素反応又は他の反応を促進する可能性のある製剤中の金属イオンを隔離するのに有用である。
【0123】
製剤がエマルジョンである場合、親水性ビヒクル中の疎水性微粒子、疎水性ビヒクル中の親水性微粒子、親水性微粒子と疎水性微粒子の混合物、又は親水性賦形剤と疎水性賦形剤の混合物の場合のように、液体ビヒクル中の微粒子及び/又は賦形剤の均質な分散を促進するために、乳化剤の使用が推奨される。乳化剤は、当技術分野において公知であるように、極性又は荷電親水性部分及び非極性親油性(疎水性)部分で構成される界面活性剤である。本明細書における乳化剤は、分散剤、安定剤、及び/又は液体ビヒクルとしても機能し得る。本製剤に組み込むのに適切な乳化剤には、非固体医薬調製物において典型的に使用される任意の乳化剤、例えば、ポロクサマー(上記の節2.B.8で特定されたものを含む)、ポリオキシエチレンエーテル、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、ポリオキシエチレンステアリン酸、アルギン酸プロピレングリコール、クエン酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、及びジエタノールアミンが含まれる。例えば、医薬品賦形剤ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)、第3版、Kibbe(編)(American Pharmaceutical Association,2000)を参照されたい。
【0124】
B.微粒子の組み合わせ:
【0125】
膀胱内製剤は、微粒子の2以上の集団を含むことができ、各集団は、少なくとも1つの点で互いに異なる集団である。次いで、別の実施形態において、製剤は、例えば、異なる薬理活性剤、異なる量の薬理活性剤、異なる制御放出担体、又は異なる量の制御放出担体を含むか、又は異なる制御放出プロファイル若しくは比重を有する、微粒子の一次集団とは異なる微粒子の二次集団をさらに含む。
【0126】
例えば、微粒子の第1の又は一次集団は、第1の薬物放出プロファイル(例えば、ボーラス用量の実質的即時放出)を提供してもよく、微粒子の第2の又は二次集団は、第1とは異なる第2の薬物放出プロファイル(例えば、持続放出プロファイル)を提供してもよい。別の例として、微粒子の1つの集団は、第1の薬理活性剤を含有することができ、微粒子の第2の集団は、第2の薬理活性剤を含有することができ、2つの集団は、異なる薬物放出プロファイルを有するように製剤化されても、又はされなくてもよい。場合によって、膀胱に投与された微粒子のいくつかの画分が三角部に沈み、そこで意図された薬理活性、例えば、三角部でバイオフィルムを破壊すること、三角部に麻酔薬を送達すること、又は三角部に抗感染症剤を投与することを示すことが望ましい場合があり、その場合第1の集団よりも浮揚性が低くなるように、微粒子の追加の集団を製造することができる。本明細書で先に暗示したように、これは、異なる制御放出担体、異なる担体対活性剤比などを選択することによって達成することができる。製剤に浮揚性の低い粒子を含めることは、収縮後に尿を保持する膀胱の領域、例えば、膀胱瘤(脱出膀胱、膀胱ヘルニア、膀胱落下(dropped bladder)、又は膀胱落脱fallen bladder)としても知られている)への活性剤の送達を助けることができる。膀胱瘤では、膀胱や周囲の筋肉を支えている靭帯が伸びたり弱くなったりして膀胱がたるみ、たるみ領域を、その部分における浮揚性の低い粒子又は浮揚性のない粒子の沈着によって処置することができる。
【0127】
C.代表的な製剤及び投与量に関する検討事項:
【0128】
本発明による代表的な微粒子製剤は以下の通りである:
【0129】
15重量%のSSD、85重量%のDynasan118;
【0130】
25重量%のSSD、75重量%のDynasan118;
【0131】
40重量%のSSD、60重量%のDynasan118;
【0132】
15重量%SSD、85重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0133】
25重量%SSD、75重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0134】
40重量%SSD、60重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0135】
15重量%SSD、85重量%ベヘン酸グリセリル;
【0136】
25重量%SSD、75重量%ベヘン酸グリセリル;
【0137】
40重量%SSD、60重量%ベヘン酸グリセリル;
【0138】
15重量%SSD、85重量%ステアリルアルコール;
【0139】
25重量%SSD、75重量%ステアリルアルコール;
【0140】
40重量%SSD、60重量%ステアリルアルコール;
【0141】
15重量%SSD、85重量%セチルアルコール;
【0142】
25重量%SSD、75重量%セチルアルコール;
【0143】
15重量%硝酸銀、85重量%Dynasan118;
【0144】
25重量%硝酸銀、75重量%Dynasan118;
【0145】
40重量%硝酸銀、60重量%Dynasan118;
【0146】
15重量%硝酸銀、85重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0147】
25重量%硝酸銀、75重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0148】
40重量%硝酸銀、60重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0149】
15重量%硝酸銀、85重量%ベヘン酸グリセリル;
【0150】
25重量%硝酸銀、75重量%ベヘン酸グリセリル;
【0151】
40重量%硝酸銀、60重量%ベヘン酸グリセリル;
【0152】
15重量%硝酸銀、85重量%ステアリルアルコール;
【0153】
25重量%硝酸銀、75重量%ステアリルアルコール;
【0154】
40重量%硝酸銀、60重量%ステアリルアルコール;
【0155】
15重量%硝酸銀、85重量%セチルアルコール;
【0156】
25重量%硝酸銀、75重量%セチルアルコール;
【0157】
15重量%ホスホマイシン、85重量Dynasan118;
【0158】
25重量%ホスホマイシン、75重量Dynasan118;
【0159】
40重量%ホスホマイシン、60重量Dynasan118;
【0160】
15重量%ホスホマイシン、85重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0161】
25重量%ホスホマイシン、75重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0162】
40重量%ホスホマイシン、60重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0163】
15重量%ホスホマイシン、85重量%ベヘン酸グリセリル;
【0164】
25重量%ホスホマイシン、75重量%ベヘン酸グリセリル;
【0165】
40重量%ホスホマイシン、60重量%ベヘン酸グリセリル;
【0166】
15重量%ホスホマイシン、85重量%ステアリルアルコール;
【0167】
25重量%ホスホマイシン、75重量%ステアリルアルコール;
【0168】
40重量%ホスホマイシン、60重量%ステアリルアルコール;
【0169】
15重量%ホスホマイシン、85重量%セチルアルコール;
【0170】
25重量%ホスホマイシン、75重量%セチルアルコール;
【0171】
40重量%ホスホマイシン、60重量%セチルアルコール;
【0172】
40重量%ホスホマイシン、60重量%セチルアルコール;
【0173】
15重量%リドカイン、85重量%Dynasan118;
【0174】
25重量%リドカイン、75重量%Dynasan118;
【0175】
40重量%リドカイン、60重量%Dynasan118;
【0176】
15重量%リドカイン、85重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0177】
25重量%リドカイン、75重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0178】
40重量%リドカイン、60重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0179】
15重量%リドカイン、85重量%ベヘン酸グリセリル;
【0180】
25重量%リドカイン、75重量%ベヘン酸グリセリル;
【0181】
40重量%リドカイン、60重量%ベヘン酸グリセリル;
【0182】
15重量%リドカイン、85重量%ステアリルアルコール;
【0183】
25重量%リドカイン、75重量%ステアリルアルコール;
【0184】
40重量%リドカイン、60重量%ステアリルアルコール;
【0185】
15重量%リドカイン、85重量%セチルアルコール;
【0186】
25重量%リドカイン、75重量%セチルアルコール;
【0187】
40重量%リドカイン、60重量%セチルアルコール;
【0188】
15重量%マイトマイシン、85重量%Dynasan118;
【0189】
25重量%マイトマイシン、75重量%Dynasan118;
【0190】
40重量%マイトマイシン、60重量%Dynasan118;
【0191】
15重量%マイトマイシン、85重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0192】
25重量%マイトマイシン、75重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0193】
40重量%マイトマイシン、60重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0194】
15重量%マイトマイシン、85重量%ベヘン酸グリセリル;
【0195】
25重量%マイトマイシン、75重量%ベヘン酸グリセリル;
【0196】
40重量%マイトマイシン、60重量%ベヘン酸グリセリル;
【0197】
15重量%マイトマイシン、85重量%ステアリルアルコール;
【0198】
25重量%マイトマイシン、75重量%ステアリルアルコール;
【0199】
40重量%マイトマイシン、60重量%ステアリルアルコール;
【0200】
15重量%マイトマイシン、85重量%セチルアルコール;
【0201】
25重量%マイトマイシン、75重量%セチルアルコール;
【0202】
40重量%マイトマイシン、60重量%セチルアルコール;
【0203】
15重量%ゲムシタビン、85重量%Dynasan118;
【0204】
25重量%ゲムシタビン、75重量%Dynasan118;
【0205】
40重量%ゲムシタビン、60重量%Dynasan118;
【0206】
15重量%ゲムシタビン、85重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0207】
25重量%ゲムシタビン、75重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0208】
40重量%ゲムシタビン、60重量%トリパルミチン酸グリセリル;
【0209】
15重量%ゲムシタビン、85重量%ベヘン酸グリセリル;
【0210】
25重量%ゲムシタビン、75重量%ベヘン酸グリセリル;
【0211】
40重量%ゲムシタビン、60重量%ベヘン酸グリセリル;
【0212】
15重量%ゲムシタビン、85重量%ステアリルアルコール;
【0213】
25重量%ゲムシタビン、75重量%ステアリルアルコール;
【0214】
40重量%ゲムシタビン、60重量%ステアリルアルコール;
【0215】
15重量%ゲムシタビン、85重量%セチルアルコール;
【0216】
25重量%ゲムシタビン、75重量%セチルアルコール;及び
【0217】
40重量%ゲムシタビン、60重量%セチルアルコール;
【0218】
節3.A及び本出願の他の場所の議論から、膀胱内製剤は、追加の微粒子タイプ(例えば、異なる活性剤、装填%及び/又は異なる制御放出担体を含む)、微粒子が分散している液体担体、及びpH調整剤などの賦形剤、粘度調整剤、分散剤、張度調整剤、保存剤及び安定剤、溶解剤、及び乳化剤を含む追加の成分を含むことができることが理解されるであろう。
【0219】
膀胱内の薬理活性剤の目標濃度は、一般的に、尿中に10ppm~150ppm、すなわち10mg/L~150mg/Lの範囲、例えば、10ppm、16ppm、20ppm、35ppm、45ppm、50ppm、75ppm、100ppm、115ppm、125ppm、及び128ppm(それぞれ10mg/L、16mg/L、20mg/L、35mg/L、45mg/L、50mg/L、75mg/L、100mg/L、115mg/L、125mg/L、及び128mg/Lに相当)などであるが、当然のことながら、投与される活性剤、対象の適応症、年齢、体重、及び病態などを含む複数の要因に依存する。好ましい部分範囲は15ppm~130ppmである。投与量は、以下の例から推定することにより算出され得る。90日間の薬物送達期間では、約100Lが膀胱を通過する。微粒子中の活性剤の100%が90日間に膀胱に放出されると仮定すると、20mg/L濃度を達成するには、100Lの尿を処置するために2000mg(2g)の活性剤すなわち2gを送達する必要がある。25%の活性剤と75%の制御放出担体とを含む微粒子の集団の場合、1gの活性剤を膀胱に送達するために、8gの微粒子を投与しなければならないであろう。別の例として、180日間の薬物送達期間中に、約200Lの尿が膀胱を通過する。再び、微粒子中の活性剤の100%が180日間に膀胱に放出されると仮定すると、50mg/L濃度を達成するには、200Lの尿を処置するために10,000mg(10g)を送達する必要がある。例示の目的で、再び25重量%の活性剤及び75重量%の制御放出担体を含む微粒子の集団の場合、200Lの尿を処置するために10gの活性剤を送達するために40gの微粒子を投与しなければならないであろう。計算は、異なる活性剤対担体比、薬物送達期間、及び膀胱内の活性剤の目標濃度に関して容易に調整することができる。また、尿生成は一日を通して変化するため、膀胱内の活性剤の濃度も一日を通して変化する(及び、尿生成が少ない時期にピークに達する可能性がある)ことにも注意すべきである。
【0220】
活性剤が微粒子から膀胱内に放出される、及び好ましくは、活性剤又はその代謝産物の処置有効濃度が膀胱に提供される延長された薬物送達期間は、2時間~1年、例えば、2時間~6ヶ月、2時間~4ヶ月、2時間~3ヶ月、2時間~1ヶ月、48時間~6ヶ月、48時間~4ヶ月、48時間~3ヶ月、48時間~1ヶ月、2週間~4ヶ月、2週間~3ヶ月、又は2時間~1ヶ月の範囲である。
【0221】
4.適応症及び投与:
【0222】
本発明の微粒子製剤は、泌尿器系の障害を処置するために対象に投与することができる。障害は、膀胱、腎臓、尿管、及び/若しくは尿道の疾患又は他の有害な状態であり得、障害が特定の薬理活性剤又はある種の薬理活性剤の膀胱内投与に応答する、又は応答すると予測されることを除いて、いかなる点においても限定されない。本発明に従って処置することができる泌尿器系障害の例には、細菌、真菌、及びウイルス感染などの泌尿器系感染症(一般的に「UTI」又は「尿路感染症」と呼ばれる);泌尿器系のがん又は良性腫瘍;尿失禁(切迫性尿失禁、又は過活動膀胱、「OAB」を含む)及び尿閉;泌尿器系の炎症、傷害、又は瘢痕;並びに腎臓結石、糖尿病性腎症、又は腎不全が含まれる。
【0223】
具体的な適応症及び適応症を処置するための代表的な活性剤の例は、以下の通りである:
【0224】
急性膀胱炎、慢性膀胱炎、出血性膀胱炎、細菌性膀胱炎、及び気腫性膀胱炎を含む膀胱炎(下部尿路の感染症)は、いずれも細菌、真菌、又はウイルス感染によって引き起こされる可能性があり、それに応じて適切な抗感染症剤で処置される(代表的な抗菌剤、抗真菌剤、及び抗ウイルス剤については節2.Aを参照されたい)。
【0225】
一般的にセロトニン再取り込み阻害剤(SRI)、例えば、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、イミプラミン、デシプラミンなど)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(デュロキセチン又はベンラファキシンなど)、抗炎症剤(節2.Aに記載されるように;イブプロフェンが典型的である)、又はポリ硫酸ペントサンで処置される間質性膀胱炎(膀胱痛症候群、BPSとしても知られる);
【0226】
膀胱収縮を軽減するために抗コリン作用薬(例えば、オキシブチニン又はトルテロジン)で一般的に処置されるか、又は溢流性尿失禁を処置するためにムスカリン剤(例えば、ベタネコール又はフェントラミンなどのα遮断薬)で処置される神経因性膀胱機能障害;
【0227】
抗ムスカリン薬(例えば、ダリフェナシン、ヒヨスチアミン、オキシブチニン、トルテロジン、ソリフェナシン、トロスピウム、又はフェソテロジン)、又はβ3-アドレナリン受容体アゴニスト(ミラベグロン又はビベグロンなど)で一般的に処置される過活動膀胱(OAB;「切迫性尿失禁」とも呼ばれる)症候群;
【0228】
OABによって引き起こされ、節2.Aで特定されているものなどの麻酔薬又は鎮痛剤で典型的に処置される失禁;
【0229】
尿道括約筋による膀胱出口の不十分な閉鎖に起因する、腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence)(SUI)としても知られる腹圧性尿失禁(stress incontinence);
【0230】
アジスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、レボフロキサシン、オフロキサシン、又はテトラサイクリンなどの抗生物質で一般的に処置されるクラミジア(クラミジア・トラコマチス)及び淋病(ナイセリア・ゴノレー)(クラミジアを処置するための追加の代表的な活性剤については節2.Aを参照されたい);
【0231】
セフトリアキソン又はアジスロマイシンと組み合わせたセフトリアキソンで通常処置されるN.ゴノレー感染症によって引き起こされる淋菌性尿道炎;
【0232】
クラミジア・トラコマチス、膣トリコモナス、アデノウイルス科、尿路病原性大腸菌、HSV1又はHSV-2、サイトメガロウイルス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、又はグループB連鎖球菌によって通常引き起こされ、最も一般的にはクラミジアによって引き起こされ、典型的にアジスロマイシン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、レボフロキサシン、又はオフロキサシンなどの抗生物質で処置される非淋菌性尿道炎;
【0233】
ベンザチンベンジルペニシリン又はセフトリアキソンで一般的に処置される梅毒;
【0234】
フルオロキノロン系抗生物質(例えば、シプロフロキサシン又はレボフロキサシン)、セファロスポリン系抗生物質(例えば、セフトリアキソン)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)、又はホスホマイシンで一般的に処置される腎盂腎炎;
【0235】
節2.Aで説明したように、例えば、アロプリノール、アルカリ化剤、又はチアジド系利尿剤で処置することができる腎臓結石;
【0236】
NSAID抗炎症/鎮痛剤又はオピオイド鎮痛剤で典型的に処置される腎臓結石に関連する疼痛;
【0237】
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、直接レニン阻害剤、又はミネラルコルチコイドアンタゴニストなどのレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の阻害剤、又は抗糖尿病薬(節2.Aを参照されたい)で処置される糖尿病性腎症(糖尿病性腎疾患);
【0238】
膀胱尿管逆流症(VUR)、特に小児において泌尿器系感染の可能性を高める障害;並びに
【0239】
節2.Aに記載の化学療法剤、特に、アパジコン、ホスホマイシン、ゲムシタビン、及びBCG免疫療法で処置される泌尿器系のがん又は良性腫瘍。
【0240】
膀胱内製剤は、医薬製剤を膀胱に導入するのに適する任意の公知又は今後開発されるデバイスを使用して投与される。例えば、製剤は、経尿道シリンジ、トゥーミーシリンジ、又はカテーテルを介して投与され得る。
【0241】
本発明の製剤の膀胱内投与は、再発性及び/又は重篤な泌尿器系障害に罹患している個人の大多数を占める高齢者、及び小児を含む、経口薬の処置有効用量が問題となる可能性が高い個人の処置に特に有用である。本発明はさらに、泌尿器系障害、特に、複雑な尿路感染症の可能性を高める広範囲の病態及び疾患のいずれかに罹患している個体の処置に有用である。そのような個人には、狼瘡及び他の全身性自己免疫疾患を有する対象;免疫抑制療法を受けている対象;神経障害のある対象;性感染症の対象;糖尿病患者;がん患者;尿路の機能的又は解剖学的異常を有する患者;子供の頃にUTIを経験した患者;広範な抗菌療法を受けた患者;院内感染にかかった患者;及び他の多数が含まれる。
【0242】
実験:
実施例1
人工尿中のSSDの抗菌有効性:
【0243】
特定の接触時間後の浮遊性対数減少を決定することにより、SSDの抗菌有効性を様々な試験微生物に対して人工尿中で評価した。6つの異なる曝露時間後のいくつかの微生物の浮遊培養物の殺滅率(%)と対数減少を測定するための試験を設計した。SSDを、銀イオンの殺滅率を実証するために、4つの異なる希釈液で試験した。
【0244】
負荷時間、銀イオンの希釈範囲、及びSSDの希釈範囲を表1に提供する:
【表1】
【0245】
人工尿を、Brooksら(1997),「尿中病原体の成長のための単純な人工尿(A simple artificial urine for growth of urinary pathogens)」,Lett Appl Microbiol 24(3):203-6によって記載されるように調製し、0.2μmフィルターユニットを通す濾過によって滅菌し、4℃で保存した。
【0246】
微生物、増殖培地、及び条件を表2に記載する:
【表2】
【0247】
表2の生物を、同じプレートからの1、2、4、及び6の曝露時点(表1に示すように)を使用して経時的に試験した。菌株ごとに3つのプレート、合計27の負荷プレートが必要であった。3つの複製試料を使用し、各実験に無菌対照と成長対照を使用した。
【0248】
作業溶液は、表1に従って試験又は対照の組成物のいずれかで構成されおり、4.8mLの作業溶液を負荷プレートの適切なウェルに添加した。
【0249】
接種菌液の調製:
低温貯蔵ストック(-70℃)を使用して、微生物の最初の継代培養物を適切な培地(表2に示すように、細菌分離株の場合はTSAプレート、又はC.アルビカンスの場合はSDAプレート)上に画線した。
【0250】
プレートを37±2℃で24時間インキュベートし、必要になるまで4±1℃で保存した。
【0251】
最初の継代培養物から、2回目の継代培養物を適切な培地(再び、細菌分離株の場合はTSA、又はC.アルビカンスの場合はSDB/SDA)上に画線した。
【0252】
最初の継代培養物から、2番目の継代培養物を適切な培地(細菌分離株の場合はTSA、又はC.アルビカンスの場合はSDB/SDA)上に画線した。
【0253】
2回目の継代培養プレートから約4~5個の大きな、又は5~10個の小さな良好に孤立したコロニーを、蒸留した脱イオン水で乳化し、0.5マクファーランド標準液と等しい濁度を達成するように調整した。
【0254】
細菌を6mLの水に乳化し、一方でC.アルビカンスを12mlの蒸留水で乳化した。
【0255】
細胞浮遊液を遠心分離(3000×gで10分間)し、上清をデカントし、細胞ペレットを等量の蒸留脱イオン水に再浮遊させることにより、ペレットを2回洗浄した。
【0256】
洗浄に続いて、細胞ペレットを蒸留した脱イオン水に再浮遊させた。細菌を20mLの水に再浮遊させ、一方で、C.アルビカンスを4mlの蒸留水に再浮遊させた。
【0257】
接種菌液の細胞密度を、段階希釈及びスポットプレーティングにより確認した。
【0258】
インキュベーションの16~20時間後に異常に見えるコロニーの存在についてスポットプレートをチェックすることによって、純度チェックを行った。全ての菌株が純粋培養物であると決定した。
【0259】
負荷プレートの接種:
200μlの接種菌液を、無菌対照(SC)ウェルを除く負荷プレートの各ウェルに添加した。200μlの滅菌水をSCウェルに添加した。接種プレートを非CO2インキュベーター中で37±2℃でインキュベートし、0、1、2、4及び6時間の時点で試料を採取した。
【0260】
回収率:
【0261】
各負荷時点後に、100μLを100μLの修飾D/E中和剤組成物(D/E中和ブロス、5g/LのL-システイン、及び5g/Lのグルタチオン、2倍強度)と最も濃縮した段階希釈プレート内で混合した。180μLの滅菌0.9%生理食塩水を残りの希釈液に入れた。1~107の段階希釈物を調製した。次いで、各ウェルから10μLを採取し、調製したTSA又はSDAプレート上にスポットプレーティングした。プレートを37±2℃でインキュベートし、得られたコロニーの数を約16~24時間のインキュベーション後に計数した。データをlog10 CFU/mLとして評価した。
【0262】
中和の検証:
【0263】
各接種菌液200μLを、2mLの変性D/E中和剤組成物、及び1.8mLの20ppm Ag+試験溶液を含む、菌株当たり3連のウェルに加えた。5分後、中和有効性プレートの各ウェルから100μLを96ウェルマイクロタイタープレートの最初の列にピペットで加えた。180μLの滅菌0.9%生理食塩水を残りの列に加えた。段階希釈液を調製し、各ウェルから10μLを採取し、スポットプレーティングし、プレートをインキュベートして、「回収率」の下に記載するようにデータを評価した。
【0264】
計算と統計:
【0265】
スポットCFU/mL=(CFU/10μL)/0.010
【0266】
Log10(CFU/mL)=Log10(CFU/mL+1)
【0267】
Log10低下=Log10(CFU/mL)(成長対照)-Log10(CFU/mL)(試験対照)
【0268】
殺滅率(%)=((antilog平均(成長対照)-antilog平均(試験対照)))/antilog平均(成長対照)×100
【0269】
成長対照と比較したP値は、テューキー多重比較ポスト検定と一元配置ANOVAであった。
【0270】
結果:
4時間後に、試験したSSDの全4つの濃度で、大腸菌、肺炎桿菌、P.ミラビリス菌及びC.アルビカンスについて、4超のLog10低下が観察された。6時間後、試験したSSDの全4つの濃度で、3超のLog10低下が腐性ブドウ球菌について観察された。試験したSSDの4つの異なる濃度の間で、殺滅の量又は速度に検出可能な差はなかった。
【0271】
実施例2
UTI細菌分離株に対するSSD及びセフポドキシムの抗菌有効性:
SSD及びセフポドキシムの抗菌有効性を、2つの大腸菌多剤耐性(MDR)臨床分離株に加えて、表2(
図3)に列挙した生物に対するSSDの殺菌効果に関して評価した。一般的に処方される抗生物質であるセフポドキシムを比較剤として使用した。最小阻止濃度(MIC)及び最小殺菌濃度(MBC)を同定した。これらは、18時間~20時間のインキュベート(35±2℃)曝露期間中、1×10
6負荷微生物の成長を阻害する濃度(MIC)又は完全に殺滅させる濃度(MBC)の観点から薬物の効力を定義する。10の分離株の各々に対するSSD及びセフポドキシムのMIC値を、臨床検査標準協議会(CLSI)ガイドラインに従って、基準の凍結型ブロス微量希釈感受性パネル及び50%のプールしたヒト尿を使用して生成した。SSDとセフポドキシムの両方を15超の2倍希釈(1:2連続希釈)で試験し、試験した各分離株で細菌コロニーを計数し、開始接種菌液濃度を決定した(目標5×105 CFU/mL)。結果を
図2(表3)に示す。
【0272】
実施例3
微粒子製造:
【0273】
メルトスプレー凝固(MSC)プロセスを使用して、制御放出担体としてのトリステアリン酸グリセリル(Dynasan(登録商標)118,IOI Oleochemicals GmbH社製、以下「Dynasan」)及び薬理活性剤としての抗生物質であるスルファジアジン銀(SSD)を有する微粒子を調製した。このプロセスは、SSDをDynasan融解物に分散させ、次いで、回転噴霧器を使用して提供される組成物を霧化することを含む。霧化した液滴を凝固させると、SSDはDynasanマトリックスに捕捉される。MSC製造プロセスを
図1に概略的に図示する。MSC微粒子の粒径は、供給材料の粘度、回転速度、及び供給速度、並びにディスク設計とディスクサイズを制御することによって調整することができる。粒径は、例えば、供給材料の粘度、回転速度、及び供給速度に反比例する。
【0274】
25%スルファジアジン銀及び75%Dynasanを有する微粒子を調製するために用いられるMSCプロトコル:
図1を参照すると、Dynasan(40g)を90℃のケトル1の中で融解した。融解完了後、融解したDynasanを含有するケトルにSSD(13.3g)を加え、最高20,000rpmで約3分間のホモジナイゼーションを使用してその中に分散させた。次いで、そのように調製したSSD懸濁液を、75g/分~100g/分の速度で供給ライン3に入れ、フィードポンプ5を介して、約90℃~100℃に加熱した4”ディスク回転噴霧器7に供給し、約2400rpmで回転させた。SSD懸濁液は、ディスク表面全体に薄膜を形成し、これをその辺縁部で別々の液滴に霧化した。霧化した液滴を空中で凝固させ、トレイ9上で収集した(40g、75%収率)が、プラスチック筐体内に、又はサイクロンセパレーターを使用することによって、又は他の適切な手段を使用して収集することができる。狭い粒径分布を確実にするために、ふるいを使用して、所望のサイズ範囲外の微粒子を取り除くことができる。
【0275】
実施例4
微粒子密度評価:
【0276】
異なる比率でSSDと制御放出担体(CRC)を有する微粒子を調製し、微粒子密度を評価した。様々な材料の密度を表4に提供し、微粒子中のCRC、SSD:CRC重量比、CRC重量%、CRC密度、及び(理論上の)微粒子密度を表5に記載する:
【表3】
【表4】
【0277】
実施例5
微粒子放出プロファイル:
【0278】
25重量%のSSDと75重量%のDynasan(登録商標)118を含有する微粒子を、実施例4に記載のように調製し、pHを7.4に緩衝化したPBS中に分散させた。PBS中の微粒子の濃度は10mg/mLであり、製剤中の活性剤の対応する濃度は2.5mg/mLであった。平均粒子径(すなわち、d(0.5))は174μmであることが見出された。
【0279】
絶えず攪拌しながら37℃で実施する溶解試験を使用して、経時的に放出される薬物の量を評価した。結果を表6に提示し、これは、評価中異なる時点で放出されるSSDの量、放出される合計SSDの割合、及びSSDの放出速度(時間あたりに放出されるSSDの割合(%))を示す:
【表5】
【0280】
経時的に放出されるSSDの割合をプロットした。
図3に示す結果は、ゼロ次放出動態が達成されたこと、すなわち、SSDがほぼ一定の速度で微粒子から放出されたことを示す。計算した放出速度では、微粒子製剤は、膀胱内で制御放出薬物送達を最大3ヶ月間提供するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象への膀胱内投与のための制御放出医薬製剤であって、500nm~2000μm
の平均直径を有する微粒子
の集団を含み、2.5重量%~95重量%の薬理活性剤と5重量%~97.5重量%の制御放出担体で構成され、前記微粒子中の前記活性剤、担体、及び活性剤と担体の相対量が
前記微粒子を尿中で浮揚性にす
る、制御放出医薬製剤。
【請求項2】
前記微粒子の平均比重が1.03未満である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記担体が、泌尿器系
および/または膀胱における前記薬理活性剤の制御放出を提供する、請求項
1に記載の製剤。
【請求項4】
前記担体がマトリックスで構成され、前記薬理活性剤がその中に分散している、請求項
1に記載の製剤。
【請求項5】
前記担体が、その中に分散した前記薬理活性剤を含むコア上にコーティングを含む、請求項
1に記載の製剤。
【請求項6】
前記担体が尿中で徐々に溶解、分解、又は腐食して、前記微粒子から前記薬理活性剤を放出する、請求項
1に記載の製剤。
【請求項7】
前記担体が、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、リン脂質、ステロール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、キトサン、又は胆汁塩を含む、請求項
1に記載の製剤。
【請求項8】
前記担体が、脂肪酸エステルを含み、前記脂肪酸エステルが、低級アルコール脂肪酸エステル、トリグリセリド、モノグリセリド、トリグリセリド、ポリグリセリド化(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化グリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はヒドロキシ酸ジエステル
で構成される、請求項
1に記載の製剤。
【請求項9】
前記脂肪酸エステルが、トリ酪酸グリセリル、トリカプロン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、トリミリストレイン酸グリセリル(glyceryl trimyristoleate)、及びトリオレイン酸グリセリルから選択されるトリグリセリドである、請求項
8に記載の製剤。
【請求項10】
前記担体が、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、2-フェノキシエタノール、及びベンゾイルアルコールから選択される界面活性剤を含む、請求項
1に記載の製剤。
【請求項11】
前記薬理活性剤が、抗感染症剤、麻酔薬、鎮痛剤、利尿薬、抗炎症剤、凝固剤又は抗凝固剤、化学療法剤、失禁の処置剤
、アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害剤、腎臓結石を処置するための薬剤、及び診断とモニタリングのための造影剤
のうちの1以上を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
前記制御放出担体が、膀胱内で前記薬理活性剤の持続放出を2時間~6ヶ月の薬物送達期間にわたって提供する、請求項
3に記載の製剤。
【請求項13】
前記制御放出担体が、膀胱内で前記薬理活性剤のほぼゼロ次放出を提供する、請求項
12に記載の製剤。
【請求項14】
前記微粒子集団が分散している液体ビヒクルをさらに含
み、
前記液体ビヒクルが、粘度調整剤、張度調整剤、緩衝剤、及び分散剤で構成される、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
対象における泌尿器系障害を処置する
ための製剤の使用であって、
前記製剤が、50nm~2000μm
の平均直径を有する微粒
子、2.5重量%~95重量%の薬理活性剤、及び5重量%~97.5重量%の制御放出担体で構成さ
れ、前記微粒子
が尿中で浮揚
性であり
、前記製
剤が、
前記活性剤が放出される薬物送達期間中に膀胱によって少なくとも部分的に保持され
る、
使用。
【請求項16】
前記微粒子が1.03未満の平均比重を有する、請求項
15に記載の
使用。
【請求項17】
前記薬理活性剤が、抗感染症剤、麻酔薬、鎮痛剤、利尿薬、抗炎症剤、凝固剤又は抗凝固剤、化学療法剤、失禁の処置剤、RAAS阻害剤、腎臓結石を処置するための薬剤、及び診断とモニタリングのための造影剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項
15に記載の
使用。
【請求項18】
前記制御放出が
、(a)持続放出
、(b)ボーラス用量とそれに続く持続放出、または(c)ゼロ次放出を含む、請求項
15に記載の
使用。
【請求項19】
前記制御放出が、初回ボーラス用量とそれに続く持続放出を含む、請求項
18に記載の
使用。
【請求項20】
前記制御放出がゼロ次放出を含む、請求項
18に記載の
使用。
【請求項21】
前記製剤の単位用量が前記対象に投与され、前記単位用量が60mg~5gの前記薬理活性剤を含む、請求項
15に記載の
使用。
【国際調査報告】