(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】無線電力ネットワーキングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/50 20160101AFI20240409BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240409BHJP
H02J 50/23 20160101ALI20240409BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H02J50/50
H02J50/20
H02J50/23
H01Q15/14 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562529
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022024664
(87)【国際公開番号】W WO2022221435
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523057703
【氏名又は名称】リーチ パワー,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Reach Power,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミー,ヴァルン
(72)【発明者】
【氏名】ダヴランテス,クリストファー,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA01
5J020BA16
5J020BA17
5J020CA01
(57)【要約】
無線電力ネットワーキングのためのシステムは、好ましくは、送信ノード、受信ノード、中継ノードおよび/またはハイブリッドノードなどの1または複数のノードを含む。本システムは、システムのノード間で電力を無線で伝送するように構成された電力ネットワーク(例えば、メッシュネットワーク)を形成するように機能することができる。無線電力ネットワーキングのための方法は、好ましくは、電力を送信するステップ、中継ノードを制御するステップ、および/または電力を受信するステップを含み、任意選択的には、電力ネットワークの動作を最適化するステップを含む。本方法は、好ましくは本システム(例えば、その1または複数のノード)で実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な1または複数のシステムで実行することができる。
【選択図】
図7C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力ネットワーキングのためのシステムであって、
・伝播する無線周波数(RF)放射の受信を介して電力を受信するように構成された受信ノードと、
・チューナブルメタサーフェスおよびコントローラを含む中継ノードであって、前記チューナブルメタサーフェスが、前記チューナブルメタサーフェスに入射する伝播するRF放射を変調するように動作可能である、中継ノードとを備え、
・前記チューナブルメタサーフェスが、複数のインピーダンスシートを含み、
・前記複数のインピーダンスシートの各々が、
・複数の電磁共振器ネットワークと、
・複数の可変電磁コンポーネントであって、前記複数の可変電磁コンポーネントの各々が、前記複数の電磁共振器ネットワークのうちの異なる電磁共振器ネットワークに電磁的に結合され、かつ複数の動作モードで動作可能であり、前記電磁共振器ネットワークの少なくとも1の共振特性が、前記動作モード間の前記可変電磁コンポーネントの遷移によって変更される、複数の可変電磁コンポーネントとを含み、
・前記コントローラが、前記複数の動作モードのうちの動作モード間で遷移するように前記複数の可変電磁コンポーネントの各々を制御するように構成され、
・当該システムがさらに、前記中継ノードに向けた伝播するRF放射の送信を介して前記受信ノードに電力を伝送するように構成された送信ノードを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記送信ノードが、前記伝播するRF放射の送信を制御するように構成されたフェーズドアレイを備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記メタサーフェスが、二等方性ホイヘンスメタサーフェスであることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記複数のインピーダンスシートが、第1のインピーダンスシートを含み、前記第1のインピーダンスシートの複数の電磁共振器ネットワークが、前記メタサーフェス上に実質的に規則的なアレイを規定することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記実質的に規則的なアレイの各電磁共振器ネットワークが、実質的に同一であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記複数のインピーダンスシートが、第1のインピーダンスシートを含み、前記第1のインピーダンスシートの各電磁共振器ネットワークが、誘導性素子および容量性素子を含む並列LCネットワークを規定することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
前記複数の可変電磁コンポーネントが、チューナブルコンデンサのセットを含み、前記第1のインピーダンスシートの各電磁共振器ネットワークが、前記セットのうちの異なるチューナブルコンデンサに電磁的に結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、
前記第1のインピーダンスシートの各電磁共振器ネットワークが、電磁共振器ネットワークの誘導性素子を介して、関連するチューナブルコンデンサに電磁的に結合されていることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記第1のインピーダンスシートの各電磁共振器ネットワークについて、前記誘導性素子が、前記関連するチューナブルコンデンサに電気的に接続された導電性ストリップを含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記複数の可変電磁コンポーネントの各々が、チューナブルコンデンサを含むことを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記コントローラが、前記複数の可変電磁コンポーネントの各々の静電容量を独立に制御するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記複数の可変電磁コンポーネントの各々が、可変電磁コンポーネントに電磁的に結合された電磁共振器ネットワークにそれぞれのリアクティブ素子を電気的に接続するように動作可能なスイッチを含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記複数のインピーダンスシートが、3つのインピーダンスシートを含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
第2の中継ノードをさらに備え、前記第2の中継ノードが、第2のメタサーフェスを備え
・前記コントローラは、前記チューナブルメタサーフェスに入射する伝播するRF放射が前記第2のメタサーフェスに向けてリダイレクトされるように、前記チューナブルメタサーフェスを制御するように構成され、
・前記第2の中継ノードは、前記第2のメタサーフェスに入射する伝播するRF放射が前記受信ノードに向けてリダイレクトされるように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記中継ノードが、前記チューナブルメタサーフェスに電磁的に結合された給電構造をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
無線電力ネットワーキングのための方法であって、
・送信ノードにおいて、伝播する無線周波数(RF)放射の第1の部分が中継ノードのメタサーフェスに入射するように、前記メタサーフェスに向けて前記伝播するRF放射を送信するステップと、
・前記メタサーフェスを制御して、
・前記第1の部分が前記メタサーフェスからターゲット位置に向けてリダイレクトされ、
・前記第1の部分が前記メタサーフェスから前記ターゲット位置に向けてリダイレクトされた後に、前記第1の部分が受信ノードに入射するように、
前記伝播するRF放射の第1の部分を変調するステップと、
・前記受信ノードにおいて、前記伝播するRF放射の第1の部分を受信するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記受信ノードが、前記ターゲット位置を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、
・前記メタサーフェスに向けて伝播するRF放射線を送信することが、前記メタサーフェスに向けて第1のガウスビームを送信することを含み、
・前記伝播するRF放射の第1の部分を変調することが、前記第1のガウスビームを、前記ターゲット位置に向けられた第2のガウスビームに変調することを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、
前記第1の部分が前記メタサーフェスから前記ターゲット位置に向けてリダイレクトされる前に、前記送信ノードから前記メタサーフェスに向けて前記伝播するRF放射を送信しながら、前記受信ノードにおける電力受信に関連する電力受信メトリックに基づいて、前記メタサーフェスに関連する変調パラメータ空間にわたって変調パラメータ最適探索を実行するステップをさらに含み、前記変調パラメータ最適探索を実行することは、前記変調パラメータ空間内の一連のパラメータ値セットの各パラメータ値セットに対して、
・前記パラメータ値セットに基づいて前記メタサーフェスを制御すること、
・前記パラメータ値セットに関連付けられた、前記電力受信メトリックの値を求めること、
・前記パラメータ値セットおよび値に基づいて、後続のパラメータ値セットを求めること、並びに、
・前記後続のパラメータ値セットを求めることに応答して、検索収束基準が満たされていない場合に、前記後続のパラメータ値セットを前記一連のパラメータ値セットに追加することを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
・前記送信ノードが、フェーズドアレイを含み、
・前記変調パラメータ空間が、前記フェーズドアレイにさらに関連付けられ、
・前記変調パラメータ最適探索を実行することが、前記一連のパラメータ値セットの各々について、前記パラメータ値セットに基づいて前記メタサーフェスを制御するのと実質的に同時に、前記パラメータ値セットに基づいて前記フェーズドアレイを制御することをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
無線電力ネットワーキングのための方法であって、請求項1~15の何れか一項に記載のシステムにおいて、
・送信ノードにおいて、伝播する無線周波数(RF)放射の第1の部分がチューナブルメタサーフェスに入射するように、前記チューナブルメタサーフェスに向けて前記伝播するRF放射を送信するステップと、
・前記チューナブルメタサーフェスを制御して、
・前記第1の部分が前記チューナブルメタサーフェスからターゲット位置に向けてリダイレクトされ、
・前記第1の部分が前記チューナブルメタサーフェスから前記ターゲット位置に向けてリダイレクトされた後に、前記第1の部分が受信ノードに入射するように、
前記伝播するRF放射の第1の部分を変調するステップと、
・前記受信ノードにおいて、前記伝播するRF放射の第1の部分を受信するステップとを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して無線電力分野に関し、より具体的には、無線電力ネットワーキングのための新規かつ有用なシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年4月14日に出願された米国仮出願第63/174,992号、および2022年3月11日に出願された米国仮出願第63/319,226号の利益を主張するものであり、それら各出願は、この引用によりその全体が援用されるものとする。
【0003】
政府支援の声明
本発明は、空軍研究所から授与された契約番号FA8650-21-C-C314に基づく政府の支援を受けてなされた。政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
典型的なポイントツーポイントの無線電力リンクは、電力を効率的に伝送することができる範囲が制限されており、遮るもののない(例えば、見通し線)伝送経路を必要とし、かつ/またはそれによって恩恵を受けることができる。このため、無線電力ネットワーキングのための新規かつ有用なシステムおよび方法を作成する必要性が無線電力分野に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1A~
図1Hは、無線電力ネットワーキングのためのシステムの一実施形態の様々な例の概略図である。
【
図2】
図2Aは、無線電力ネットワーキングのための方法の一実施形態の概略図である。
図2Bは、方法の一例の概略図である。
【
図3】
図3Aは、システムのメタサーフェスの一実施形態の等角図である。
図3Bは、メタサーフェスの一例の一部の詳細等角図である。
【
図4】
図4Aは、メタサーフェスのインピーダンスシートの一実施形態の等角図である。
図4Bは、インピーダンスシートの特定の例の平面図である。
図4Cは、
図4Bに示すインピーダンスシートのリアクティブセルの詳細平面図である。
図4Dは、
図4Cに示すリアクティブセルに対応する等価ネットワークの概略図である。
【
図5】
図5A~
図5Cはそれぞれ、リアクティブセルの第1、第2および第3の特定の例の概略図である。
図5Dは、3つのインピーダンスシートのリアクティブセルの特定の例の概略図である。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bはそれぞれ、システムの中継ノードの一例の正面図および側面図である。
図6Cは、中継ノードの一例の変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態に関する以下の説明は、本発明をそれらの好ましい実施形態に限定することを意図したものではなく、当業者であれば誰でも本発明を製造および使用できるようにすることを意図したものである。
【0007】
1.概要
無線電力ネットワーキングのためのシステム10は、好ましくは、(例えば、
図1A~
図1Eに示すように)1または複数のノード11を含む。このシステムは、好ましくは、伝播する電磁放射(例えば、伝播無線周波数(RF)モード)の送信(例えば、1または複数の送信ノードにおける送信)および受信(例えば、1または複数の受信ノードにおける受信)を介して、システムのノード間で電力を無線で伝送するように構成された電力ネットワーク(例えば、メッシュネットワーク)を形成するように機能する。
【0008】
無線電力ネットワーキングのための方法20は、好ましくは、(例えば、
図2Aおよび
図2Bおよび/または
図7Cに示すように)電力を送信するステップS210、中継ノードを制御するステップS220、および/または電力を受信するステップS230を含み、任意選択的に、電力ネットワーク動作を最適化するステップS240を含む。この方法20は、好ましくは、システム10において(例えば、その1または複数のノードによって)実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な1または複数のシステムによって実行され得る。
【0009】
いくつかの例では、システム10および/または方法20は、2020年9月23日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第17/028,408号、2020年9月9日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR WIRELESS POWER RECEPTION」という発明の名称の米国特許出願第17/015,473号、2020年8月28日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第17/006,242号、2019年12月6日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第16/706,131号、2019年8月13日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第16/539,288号、および/または2020年6月11日に出願された「METHODS AND SYSTEMS FOR MULTI-OBJECTIVE OPTIMIZATION AND/OR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第16/899,473号に記載されるような1または複数の要素を含むことができ、これら出願の各々は、この引用によりその全体が本明細書に援用されるものとする。例えば、システム10は、米国特許出願第17/028,408号に記載されるような1または複数の「送信機」および/または「受信機」を含むことができ(例えば、米国特許出願第17/028,408号に記載されるような各「送信機」または「受信機」は、システム10の異なるノード11であるか、またはシステムの異なるノードに含まれ)、かつ/または方法20は、「method for wireless power delivery」に関する米国特許出願第17/028,408号に記載されるような電力を送信するステップおよび/またはその1または複数の要素を含むことができる(例えば、電力を送信するステップS210は、米国特許出願第17/028,408号に記載されるような、「送受信機の近接度を判定するステップS100」、「送信パラメータ値を決定するステップS200」、および/または「送信パラメータ値に基づいて電力を送信するステップS300」を含むことができる)。
【0010】
2.システム
上述したように、システムは、好ましくは、1または複数のノード11を含む。ノードは、1または複数の:送信ノード11a、受信ノード11bおよび/または中継ノード11c(および/または他の任意の適切なノード)を含むことができる。送信ノード11aは、好ましくは、伝播する電磁放射の送信(例えば、RF電力の送信)を介してシステムの他のノードに電力を伝送するように機能する。受信ノード11bは、好ましくは、システムの他のノードからの伝播する電磁放射の受信(例えば、RF電力の受信)を介して電力を受信するように機能する。中継ノード11cは、好ましくは、システムの他のノード間の電力伝送を中継するように機能する。
【0011】
いくつかの例では、システムの一部またはすべてのノード11が、送信、受信および/または中継などの複数の機能を実行するように構成されたハイブリッドノードであり得る。例えば、中継ノードは、追加的または代替的には、中継機能の実行と同時に、かつ/または中継機能の実行とは異なるタイミングで、送信および/または受信を行うように構成することができる。第1の特定の例は、
図7Bおよび
図7Cに例として示すように、入射電力を、中継される部分(例えば、中継ノード11cに関してより詳細に説明するように、リダイレクトされる部分)と、受信される部分(例えば、受信ノード11bに関してより詳細に説明するように、ノードで電力に変換される部分)とに分割することを含むことができる。第2の特定の例は、追加の電力を送信する間(例えば、
図7Aに例として示すように、入射電力を所望の出力ビームにリダイレクトすることと、より多くの電力を所望の出力ビームに追加することの両方の間)に、入射電力を中継することも含むことができる。いくつかの例では、ノードは、(例えば、任意選択的には電力を中継しながら)電力の送信および受信の両方ではなく、何れか一方を行うように構成され得るが、他の例では、ノードは、双方向能力を有することができる(例えば、任意選択的に電力を中継しながら、電力を送信または受信するように構成され得る)。
【0012】
いくつかの例では、システムの1または複数のノード(例えば、送信ノードおよび/または中継ノード)は、方法20に関してより詳細に後述するようなビーム状RFモード(例えば、ガウスビーム、ベッセルビーム、それらのハイブリッド、および/またはそれらの近似など)を生成するように動作可能である。
【0013】
一部またはすべてのノードは、任意選択的には、無線通信モジュールを含むことができるが、追加的または代替的には、有線通信モジュールまたは他の任意の適切な通信モジュールを含むことができ、または通信モジュールを省略することができる。無線通信モジュールは、好ましくは、1または複数の無線通信プロトコル(例えば、WiFi、Bluetooth、BLE、NFC、RF、IR、Zigbee、Z-waveなど)をサポートする(例えば、それらを使用して通信を可能にする)。
【0014】
各ノード(またはそのサブセット)は、ノードの動作を制御する(例えば、送信、受信、中継、および/またはハイブリッド動作モード間でノードを制御するなどのノード動作モードを設定し、電力送信、変調および/または受信パラメータなどのノードパラメータを設定し、他のノードおよび/またはシステムの他の要素との通信を制御する)ように構成された1または複数のコントローラを含むことができる。しかしながら、受信ノードは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で制御されることができ、かつ/または制御されないか、実質的に制御されないことができる。
【0015】
しかしながら、送信機および受信機は、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0016】
第1の例では、システムが、(例えば、
図1F~
図1Hに示すように)1つの送信ノード11aと、1つの受信ノード11bと、送信ノードと受信ノードとの間に配置された1または複数の中継ノード11cとを含むことができる。第2の例では、システムが、(例えば、
図1Cに示すように)1つの送信ノード11aと、複数の受信ノード11bと、送信ノードと受信ノードとの間に配置された1または複数の中継ノード11cとを含むことができる。第3の例では、システムが、(例えば、
図1Dに示すように)複数の送信ノード11aと、1または複数の受信ノード11bと、送信ノードと受信ノードの一部またはすべての間に配置された1または複数の中継ノード11cとを含むことができる。
【0017】
いくつかの例では、ノードが、互いに対して任意のおよび/または動的な配置を有することができる。一例では、システムが、(例えば、位置が固定された)1または複数の送信ノードと、時間とともに(例えば、送信機に対する、互いに対する)位置および方向が非常に変化する1または複数の受信ノードと、位置が固定のまたは変化する1または複数の中継ノードとを含む。システムは、任意選択的に、他の近くの物体(例えば、無線電力伝送の障害物)もシステムの要素に対して任意のおよび/または動的な配置を有することができる設定で配置され得る。しかしながら、システムは、他の任意の適切な配置を規定することができる。
【0018】
しかしながら、システムは、追加的または代替的には、任意の適切な配置を有する任意の適切なタイプの他の任意の適切な数のノードを含むことができる。
【0019】
2.1 送信ノード
上述したように、送信ノード11aは、好ましくは、RF電力をシステムの1または複数の他のノードに送信するように機能する。
【0020】
いくつかの実施形態では、システムの送信ノードが、好ましくは制御可能な(例えば、適応)アンテナアレイ(例えば、線形アレイ、平面アレイ、3Dアレイなど;フェーズドアレイ、電子的に制御可能なアレイなど)を規定する、(例えば、RFおよび/またはマイクロ波電力などの電磁放射を送信するように構成された)1または複数のアンテナを含むことができる。
【0021】
アンテナアレイは、好ましくは、複数のアクティブアンテナ(例えば、給電によってアクティブに駆動されるように構成されたアンテナ)、より好ましくは、独立に制御可能なアクティブアンテナを含むことができる(例えば、各アクティブアンテナが、システムの他のすべてのアクティブアンテナから独立して個別に制御可能である;アクティブアンテナのグループが一緒に制御可能であり、各グループが他のすべてのグループから独立して制御可能である)。第1の態様では、各アクティブアンテナが駆動される振幅および/または位相を、(例えば、各アクティブアンテナのための別個のIQ変調器または位相シフタを介して)独立に制御することができる。第2の態様では、アクティブアンテナが1または複数のアンテナグループに分離され、グループのアンテナが(例えば、各グループのための単一のIQ変調器または位相シフタを介して)一緒に制御される。例えば、グループのアンテナは、互いに対して固定位相オフセット(例えば、グループのすべてのアンテナが互いに同じ位相を有するようなゼロオフセット;非ゼロオフセットなど)を有することができる(例えば、固定位相オフセットが、IQ変調器または位相シフタと各アンテナとの間のトレース長の差によって規定される)。しかしながら、アクティブアンテナは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で構成することができる。
【0022】
アンテナアレイは、追加的または代替的には、(例えば、アクティブアンテナの1または複数に電気的および/または共振的に結合するように構成され、それによりアンテナアレイの送信特性を変更するように構成された)1または複数のパッシブアンテナを含むことができる。一例では、システムは、(例えば、ソフトウェア制御スイッチなどのスイッチを介して;可変コンデンサなどの可変電気特性を有する素子などを介して)1または複数の電気コンポーネント(例えば、抵抗器、コンデンサおよび/またはインダクタなどのパッシブコンポーネント;アクティブアンテナおよび/または他のパッシブアンテナの1または複数などのアンテナなど)に対するパッシブアンテナの1または複数の電気的結合(例えば、接続、共振結合など)および/または分離を制御するように構成されている。第1の例では、複数のパッシブアンテナが、(例えば、2以上のそのようなアンテナを電気的に接続するように動作可能なスイッチを介して)互いに電気的に接続され、かつ/または互いに切り離され得る。第2の例では、可変コンデンサ(例えば、バラクタ)および/または他の可変(例えば、連続可変)素子が、1または複数のパッシブアンテナに電気的に結合され(例えば、電気的に接続され)、パッシブアンテナの負荷および/またはアレイ内の他のアンテナ(例えば、他のパッシブアンテナ、アクティブアンテナ)に対する結合および/または給電の制御が可能になっている(例えば、アンテナに結合された可変素子の1または複数の特性を変化させることにより、アレイのネットパターンを制御するように機能することができる)。この第2の例の特定の態様では、適応アンテナアレイが、単一のアクティブアンテナおよび複数のパッシブアンテナを含み、パッシブアンテナのうちの1または複数が、1または複数の可変コンポーネントに電気的に結合される。
【0023】
各送信ノードは、好ましくは、(例えば、有線接続、誘導結合などを介して)1または複数の電力源(例えば、バッテリおよび/またはスーパーキャパシタなどの電力貯蔵要素、内燃機関ベースの発電機および/または蒸気タービンなどの発電機、事業規模の電力網など)に電気的に接続され、好ましくは、送信ノードに電力を供給するために1または複数の電力源から電力を引き出すように動作可能である。しかしながら、送信ノードは、追加的または代替的には、他の任意の適切な電力接続を有することができる。
【0024】
各送信ノードは、好ましくは、送信ノードの動作の制御(例えば、1または複数の所望のモードの伝播放射を送信するようにフェーズドアレイを制御するなどの送信の制御、他のノードおよび/またはシステムの他の要素との通信の制御など)を行うように構成された1または複数のコントローラを含む。しかしながら、送信ノードは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で制御することができる。
【0025】
いくつかの例では、各送信ノード11a(またはそのサブセット)が、2020年9月23日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第17/028,408号に記載されているような1または複数の要素を含むことができ、この出願はその全体がこの引用により援用されるものとする。例えば、送信ノード11aは、米国特許出願第17/028,408号に記載されているような「送信機」(または1または複数のアンテナなどのその1または複数の要素)を含むことができる(またはそのような送信機であってもよい)。
【0026】
しかしながら、システムは、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を有する他の任意の適切な送信ノードを含むことができる。
【0027】
2.2 受信ノード
上述したように、受信ノード11bは、好ましくは、システムの1または複数の他のノードからRF電力を受信するように機能する。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムの受信ノードが、(例えば、送信機によって送信された電磁放射を受信するように構成された)1または複数のアンテナを含むことができる。受信機は、任意選択的には、1または複数のクライアントデバイス(例えば、電気的および/または電子的ユーザデバイスなどのバッテリおよび/またはバッテリ含有デバイス)を含むことができ、かつ/またはそれらに電気的に結合される(例えば、電力を供給するように構成される)ことができる。各受信ノードは、任意選択的に、1または複数のアンテナとクライアントデバイスとの間(例えば、1または複数のアンテナとクライアントデバイスに接続されるように構成された電力出力との間)に電気的に結合されたバッテリなどの1または複数のバッファエネルギー貯蔵装置(例えば、バッテリ、スーパーキャパシタなどのコンデンサなど)を含むことができ、アンテナ(不均一な速度で、かつ/または不均一な特性で電力を供給する可能性があるアンテナ)と、クライアントデバイス(実質的に一定の速度で、かつ/または実質的に一定の特性で電力を供給する必要があり、かつ/またはその電力供給から恩恵を受けることができ、受信ノードから一時的に切り離される場合があるクライアントデバイス)との間のバッファとして機能することができる。
【0029】
各受信ノードは、任意選択的には、受信ノードの動作の制御(例えば、アンテナ同調、インピーダンス整合、整流などの制御など、電力の受信および/または処理の制御;他のノードおよび/またはシステムの他の要素との通信の制御など)を行うように構成された1または複数のコントローラを含むことができる。しかしながら、受信ノードは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で制御されることができ、かつ/または制御されないか、実質的に制御されないことができる。
【0030】
いくつかの例では、各受信ノード11b(またはそのサブセット)が、2020年9月23日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第17/028,408号、および/または2020年9月9日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR WIRELESS POWER RECEPTION」という発明の名称の米国特許出願第17/015,473号に記載されているような1または複数の要素を含むことができ、それら出願の各々は、この引用によりその全体が本明細書に援用されるものとする。例えば、受信ノード11bは、米国特許出願第17/028,408号に記載されているような「受信機」(または、1または複数のアンテナおよび/またはクライアントデバイスなどのその1または複数の要素)を含むことができ(またはそのような受信機であってもよく)、かつ/または米国特許出願第17/015,473号に記載されているような「無線電力受信のためのシステム100」(または「アンテナ110」、「動的インピーダンス整合120」、「RF-DCコンバータ130」、「DCインピーダンスコンバータ140」、および/または「DC電力出力150」などのその1または複数の要素)を含むことができる(またはそのような受信機であってもよい)。
【0031】
しかしながら、システムは、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素を有する他の任意の適切な受信ノードを含むことができる。
【0032】
2.3 中継ノード
上述したように、中継ノード11cは、好ましくは、システムの他のノード間の電力伝送を中継するように機能する。例えば、送信ノード(または上流の中継ノード)からのRF電力伝送は、中継ノードによって受信ノード(または下流の中継ノード)に向けて中継され得る。
【0033】
第1の実施形態では、中継ノードが、RF電力を受信(例えば、吸収)および再送信するように機能することができる。この実施形態では、各中継ノードが、1または複数のフェーズドアレイを含むことができる(例えば、中継ノードは、受信した電力を吸収し、それを使用してフェーズドアレイを駆動して電力を再送信する)。
【0034】
第2の実施形態では、中継ノードが、(例えば、寄生吸収は別として、RF電力を吸収することなく)それらに入射するRF電力送信を変調(例えば、リダイレクト、リフォーカスなど)するように機能することができる。この実施形態では、中継ノードが、送信アレイ、反射アレイ、および/またはそれらのハイブリッドなどの1または複数の位相シフト面を含むことができる。いくつかの例では、位相シフト面が、以下でさらに詳細に説明するように、1または複数のメタサーフェス100(および/または他の任意の適切なメタマテリアル素子)を含むことができる。
【0035】
各中継ノードは、好ましくは、1または複数の構成可能な要素を含む(例えば、構成可能な要素は、出射RF電力の特性を変更するようにアクティブに制御され得る)。しかしながら、中継ノードは、代替的には、固定要素および/またはパッシブ要素のみを含むことができ、中継ノードの使用中に出射RF電力の特性が実質的に変化しない(または、中継ノードに入射する入力RF電力の特性によってのみ実質的に変化する)。しかしながら、中継ノードは、追加的または代替的には、他の任意の適切な機能を有する他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0036】
上述したように、RF電力伝送を変調するように動作可能な中継ノードは、(例えば、
図3Aに示すような)1または複数のメタサーフェス100を含むことができる。メタサーフェス(例えば、サブ波長サイズの複数の分極可能なメタ原子を含む、好ましくはサブ波長厚さのメタマテリアルスラブ)は、メタサーフェスに入射する(例えば、特定の波長または波長範囲の)RF電力伝送を変調するように機能することができ、例えば、入射RF電力を(例えば、1または複数のビーム状モードに)リダイレクトおよび/またはリフォーカスし、好ましくは、この電力をシステムの別のメッシュノード(または複数の他のメッシュノード)に導く。メタサーフェスは、ホイヘンスメタサーフェス(例えば、二等方性ホイヘンスメタサーフェス)であってもよいが、追加的または代替的には、他の任意の適切なメタサーフェスであってもよい。ビーム状モード(例えば、ガウスビーム)が上流ノードによって中継ノードに導かれる一例では、メタサーフェスは、ビーム状モードを下流ノードに向けて(例えば、中継ノードに入射するガウスビームとは異なる特性を有するガウスビームに)リダイレクトおよびリフォーカスするように機能することができる。
【0037】
メタサーフェス100は、好ましくは、複数のインピーダンスシート101を含む。いくつかの実施形態では、メタサーフェスが、3以上の実質的に平行なインピーダンスシートなど、3以上のインピーダンスシート101を含む。インピーダンスシートは、好ましくは、
図3Bに例として示すように、(例えば、空気、誘電体、絶縁体などによって)空間的に互いに分離されている。インピーダンスシート間の距離は、均一であっても不均一であってもよく、あるいはインピーダンスシートは、他の任意の適切な方法で配置することができる。
【0038】
インピーダンスシートは、入射RF電力の変調を可能にするように機能することができる。いくつかの例では、3以上のインピーダンスシートを有するメタサーフェスは、実質的に任意の変調(または、インピーダンスシートの面内空間離散化によって制限される近似などのその近似)を可能にすることができる。例えば、3のインピーダンスシートのインピーダンスを制御することは、磁気表面アドミタンス、電気表面インピーダンス、および磁気電気結合係数などのメタサーフェスの3つの材料特性を制御することに同様に対応することができる。メタサーフェスが3よりも多いインピーダンスシートを含む例では、それら追加のインピーダンスシートが、追加の自由度を提供することができ、これは、正確に3のインピーダンスシートが所望の特性(例えば、課される位相シフト)に対応する正確に1つのチューニング構成につながる可能性がある状況とは対照的に、任意の所望の変調特性(例えば、入射RF電力に課される所望の位相シフト)に対する「縮退」チューニング構成の範囲を可能にすることができる。対照的に、3未満のインピーダンスシート(例えば、1のインピーダンスシートまたは2のインピーダンスシート)を含むメタサーフェスは、任意の変調を達成することができない可能性があるが、それでも入射RF電力の変調に対するある程度の制御を達成することができる可能性がある。
【0039】
各シートは、好ましくは、(例えば、
図4Aおよび
図4Bに示すように)複数のリアクティブセル110を含む。リアクティブセルは、好ましくは、(例えば、特定の周波数の)入射RF電力に対して特定の(例えば、任意のかつ/またはチューナブル)電磁リアクタンスを提示するように機能する。各リアクティブセルは、好ましくは、少なくとも1の誘導性素子および少なくとも1つの容量性素子を含むインダクタ・コンデンサ(LC)ネットワークなどの1または複数の電磁共振器ネットワークを含む。一実施形態では、各セルが、
図4B~
図4Dに例示的に示すような並列LCネットワークを含み、例示的なセル構造および対応する等価ネットワークダイアグラムを示している。並列LCネットワークは、(理想的な場合)そのリアクタンスが(インダクタンスおよび/または静電容量の関数として)極と2つのゼロ(一方は負側から、他方は正側から近付く)を含むため、有利なチューナビリティ特性を提供することができ、これにより、広い範囲のリアクタンスにわたるチューナビリティが可能になる。代替的な実施形態では、1または複数のセル(例えば、すべてのセル)が、1または複数の直列LCネットワークおよび/または直並列LCネットワークを含むことができる。しかしながら、セルは、追加的または代替的には、他の任意の適切な共振器ネットワークを含むことができる。
【0040】
各共振器ネットワークは、好ましくは、チューニング可能である(例えば、アクティブに制御されるように構成されている)。例えば、各共振器ネットワークは、バイアスされた可変コンデンサ(例えば、可変コンデンサのバイアスが電気的に制御される)、スイッチバンクに接続されたリアクティブ素子、および/または他の任意の適切なチューナブル集中素子などの1または複数の可変コンポーネント(例えば、並列LCネットワークなどのLCネットワークの誘導性経路および/または容量性経路に配置された1または複数の可変コンポーネント)を含むことができる。可変コンポーネントは、好ましくは、高い電圧および/または電流の位置(例えば、それが最大となる位置または最大の閾値部分内の位置など、入射RF電力によって誘導される電圧および/または電流が高い位置)に配置され、ネットワークの共振特性に対するそれらコンポーネントの効果を増大させるように機能し得るが、追加的または代替的には、他の任意の適切な配置を有することができる。一例では、各共振器ネットワークが、その誘導性経路に沿って接続された可変コンポーネント(例えば、バリキャップおよび/またはその静電容量を変更するように動作可能な他のコンポーネント)を含む並列LCネットワークである。
【0041】
いくつかの実施形態では、可変コンポーネントが、他の任意の適切な電磁特性をチューニングし、異なる動作モード間で切り替え、かつ/または他の方法で共振器ネットワークの共振特性に影響を与えるように動作可能な、チューナブル容量性素子および/またはコンポーネントを含むことができる。例えば、それらコンポーネントは、1または複数の:ダイオードバラクタ、MEMSバラクタ、液晶ベースのコンポーネント、液体金属ベースのコンポーネント、液体誘電体ベースのコンポーネント、相転移材料ベースのコンポーネント、PINダイオード、MEMSスイッチ、誘電アクチュエータベースのコンポーネント、フェライトベースのコンポーネント、圧電ベースのコンポーネント、1または複数の電気的および/または磁気的に分極可能な構造に基づくコンポーネント、および/または他の任意の適切なコンポーネントのタイプを含むことができる。例えば、基板の実効誘電率は、圧電構造、液晶、電気的および/または磁気的に分極可能な構造、および/または他の任意の適切な構造のうちの1または複数によってチューニングすることができる。
【0042】
ダイオードバラクタは、バイアス電圧の印加によって制御することができ、このバイアス電圧は、バラクタ静電容量を制御するように機能することができる(例えば、印加電圧の連続的な制御が、結果として生じる静電容量の連続的な制御につながる)。一部の例では、固有のダイオード抵抗が高い損失をもたらす可能性がある。
【0043】
MEMSバラクタは、離散的な静電容量値の間で選択するように機能する制御信号によって制御することができ(例えば、そのような多くの値の間できめ細かい制御を達成することができ)、多くの場合、低損失である。それらコンポーネントのいくつかの例は、比較的高価であるため、コスト重視のアプリケーションで使用するには望ましくない場合がある。
【0044】
液晶ベースのコンポーネントは、液晶の誘電率(例えば、ひいてはコンポーネントの静電容量)を変化させる(準静的な)電界を印加することによって制御することができる。それらコンポーネントは、一般的に、(例えば、RFのような高周波においても)非常に低い損失と連続的なチューナビリティを可能にする(例えば、印加される電界強度の連続的な制御が誘電率、ひいては静電容量の連続的な制御につながる)。いくつかの例では、それらコンポーネントが、標準的なPCBアセンブリに組み込むには高価かつ/または複雑である場合がある。
【0045】
液体金属ベースのコンポーネントおよび液体誘電体ベースのコンポーネントは、印加電界および/または他のマイクロ流体技術を使用して、金属構造および誘電体構造を制御可能にそれぞれ再構成し、それによりコンポーネントの電気特性(例えば、静電容量)の1または複数を変更することによって制御することができる。それらコンポーネントは、一般的に低損失と連続的なチューナビリティを可能にする。いくつかの例では、それらコンポーネントは、標準的なPCBアセンブリに組み込むには複雑である場合がある。
【0046】
相転移材料ベースのコンポーネントは、熱を加えたり取り除いたりすることによって材料の相変化を誘発し、それによってその電磁材料特性(例えば、導電率、誘電率など)、ひいてはコンポーネントの電気特性を変化させることにより制御することができる。それらコンポーネントは一般的に高周波動作を可能にする。いくつかの例では、それらコンポーネントが、高い損失(例えば、数dBの損失)を引き起こす可能性があり、標準的なPCBアセンブリに組み込むには複雑である場合があり、かつ/またはチューナビリティが制限される(例えば、バイナリのオン/オフ制御しか提供しない)可能性がある。
【0047】
スイッチコンポーネント(例えば、PINダイオード、MEMSスイッチなど)は、スイッチ状態を切り替えるなどして、ネットワークインピーダンスを変更するように機能することができる(例えば、スイッチを閉または開に切り替えることによって、1または複数の他の回路要素および/または導電性領域が、スイッチを介して、ネットワークに電気的に結合されるか、またはネットワークから切り離される)。PINダイオードは、スイッチとして動作可能であり、バイアス電圧がダイオードを制御して、閉状態(例えば、ダイオードが導電性である)と開状態(例えば、ネットワークがダイオードを介して実質的に開状態である)との間で切り替えることができる。いくつかの例では、PINダイオードが高い損失(例えば、数dBの損失)を引き起こす可能性があり、かつ/または一般的にチューナビリティが制限される(例えば、バイナリのオン/オフ制御しか提供しない)。MEMSスイッチは、開状態と閉状態を選択するように機能する制御信号によって制御することができる。MEMSスイッチのいくつかの例は、比較的高価であり、コスト重視のアプリケーションで使用するには望ましくない場合があり、さらに、一般的に、チューナビリティが制限される(例えば、バイナリのオン/オフ制御しか提供しない)。
【0048】
誘電体アクチュエータベースのコンポーネント(例えば、1または複数の誘電体エラストマーを含む)は、(準静的な)電界を印加することにより、誘電体の寸法を変化させ、それによって(例えば、導電部分間の距離を変化させることで)コンポーネントの静電容量を変化させることができる。それらコンポーネントは、低損失および/または連続的なチューナビリティを可能にすることができる(例えば、印加される電界強度の連続的な制御が、誘電体の寸法、ひいては静電容量の連続的な制御につながる)。いくつかの例では、それらコンポーネントが、標準的なPCBアセンブリに組み込むには複雑である場合がある。
【0049】
フェライトベースのコンポーネントは、(準静的な)磁界を印加して、フェライトの飽和、ひいてはフェライトの透磁率を制御することにより、制御することができる。したがって、磁界の印加により、インダクタンスの制御など、コンポーネントの特性を制御することができる。印加磁界強度の連続的な制御は、フェライト透磁率の連続的な制御、ひいてはコンポーネントのインダクタンスの連続的な制御につながる可能性があるが、多くのフェライトベースのコンポーネントは、限られたチューナビリティしか提供しない(例えば、バイナリのオン/オフ制御しか提供提供しない)。いくつかの例では、それらコンポーネントは、高い損失(例えば、数dBの損失)を引き起こす可能性があり、かつ/または(例えば、印加する磁界の生成に関連する電力要件により)制御するために無視できない量の電力を必要とする可能性がある。
【0050】
しかしながら、共振器ネットワークは、追加的または代替的には、他の任意の適切な可変コンポーネントを含むことができ、かつ/または共振器ネットワークの一部またはすべては、代替的には、固定コンポーネントのみを含むことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、共振器ネットワークが、1または複数のチューナビリティの目的を満たすように構成することができる。第一に、いくつかの例では、共振器ネットワークは、共振器ネットワークのチューニングを介して(例えば、共振器ネットワークの1または複数の可変コンポーネントによって与えられるチューナビリティの範囲にわたって)到達可能なリアクタンス(インピーダンスの虚数成分)の達成可能な範囲を最大化する(かつ/または達成可能な範囲の閾値を超える)ように構成することができる。例えば、可変コンポーネントパラメータ(例えば、静電容量)の関数としてのリアクタンスは、1または複数の極およびゼロを含むことができ、かつ/またはそれに近づくことができ、それによって、ゼロ(またはその近傍)から正および負の無限大の両方まで(またはそれに向かって)掃引することができる。達成可能なリアクタンス値のこの範囲にわたって(または、可能性の高い動作範囲に対応するサブセットなど、そのサブセットにわたって)、共振器ネットワークは、抵抗(インピーダンスの実数成分)の最小化(かつ/または閾値未満への低減)を可能にするように構成することができる。例えば、共振器ネットワークのパラメータは、達成可能なまたは所望のリアクタンスの範囲にわたる積分値(または、可能性の高いまたは予想される頻繁な動作範囲に基づいて重み付けされた、重み付き積分値)を最小化する(または低減する)ように選択することができる。共振器ネットワークが複数のチューナブルコンポーネントを含むいくつかの例では、それら複数のコンポーネントよって与えられる自由度の増加により、「縮退」リアクタンスが生じる可能性がある(例えば、特定のリアクタンス値が複数のチューニング構成によって達成される可能性があり、異なる「縮退」チューニング構成が異なる抵抗値に対応する可能性がある)。そのような例では、システムは、所望のリアクタンス(または、所望の値から許容閾値以内など、所望の値に十分に近いリアクタンス値)に対応するすべての構成のうち最も低い抵抗をもたらすチューニングパラメータを使用して動作するように構成することができる。しかしながら、リアクタンスセルは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で構成することができる。
【0052】
並列LCネットワークを含むリアクティブセルの第1の実施形態では、リアクティブセルが、
図4Bおよび
図4Cに例として示すような金属構造を有する。この実施形態では、その構造が、好ましくは、2つの金属領域を含み、それらを分離する細い非導電性ストリップを有し、それによって並列LCネットワークの容量性経路を規定する。さらに、この構造は、好ましくは、容量性経路の非導電性ストリップに直交して(または実質的に直交して)配置された金属ストリップ(例えば、細い金属ストリップ)を含み、この金属ストリップが、容量性経路と並列に誘導性経路を規定する。いくつかの例では、構造が、誘導性経路の金属ストリップに沿って(例えば、金属ストリップと直列に)配置されたチューナブル容量性素子(例えば、表面実装技術のバリキャップなどのバリキャップ)を含むことができる。チューナブル素子は、好ましくは電圧制御される(が、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で制御されることができる)。例えば、構造は、誘導性経路に実質的に直交して走る細いバイアス導体を含むことができ、それにより、ノードに存在するRF電力とのバイアス導体の相互作用を低減しながら、チューナブル素子を制御することができる。
【0053】
第2の実施形態では、リアクティブセルが、(例えば、
図5A~
図5Cに示すように)第1の実施形態に関して上述した構造のバビネ等価物とすることができる。この実施形態では、構造が、第1の実施形態の構造の相補体であり、第1の実施形態の金属領域が非導電性領域に置き換えられ、第1の実施形態の非導電性領域が金属領域に置き換えられる。この実施形態では、チューナブル容量性素子が、好ましくは(第1の実施形態におけるその向きに対して)90°回転され、それにより、チューナブル素子が位置する非導電性ストリップと隣接する2本の平行な金属ストリップを容量的に接続する。この実施形態の態様(例えば、
図5Aおよび/または
図5Cに示すような態様)では、チューナブル容量性素子が、それら2本の平行な金属ストリップ間で非導電性ストリップを橋渡しするのではなく、平行な金属ストリップ間に延びる単一の金属ストリップに沿って配置される。
【0054】
第3の実施形態では、リアクティブセルが誘電体構造を有する。例えば、セルは、チューナブル容量性素子を含む伝送線路に結合された1または複数の誘電体共振器(例えば、誘電体ディスク)を含むことができる。
【0055】
しかしながら、インピーダンスシートは、追加的または代替的には、任意の適切な構造および/または配置を有する他の任意の適切なリアクティブセルを含むことができる。
【0056】
各インピーダンスシートは、(例えば、
図4Bに示すように)実質的に同一のリアクティブセル110の規則的なアレイ(例えば、矩形アレイ)を含むことができる。代替的には、シートのリアクティブセルは互いに異なることができ、かつ/または互いに対して他の任意の適切な配置を有することができる。さらに、シートは互いに同じセルおよび/またはセルの配置を有することができ、あるいは各シート(またはそのサブセット)は他のシートとは異なるセルおよび/またはセルの配置を有することもできる。
【0057】
第1の例では、各シートがリアクティブセルの矩形アレイを含み、各シートのアレイの単位セル寸法が同一(または実質的に同一)である。3つのシート(またはそのサブセット)のリアクティブセルは、3つのシートに垂直な基準軸(「法線軸」)に沿って互いに実質的に整列することができ、各セルの特徴(例えば、導電性パッド間の距離のような容量性素子、導電性ストリップのような誘導性素子など)は、他のシートのセルの対応する特徴と基準軸に沿って整列する(例えば、第1のシートの容量性素子は他のシートの対応する容量性素子と整列し、第1のシートの誘導性素子は他のシートの対応する誘導性素子と整列する)。追加的または代替的には、1または複数のシートのセルが、1または複数の他のシートのセルから横方向に(例えば、基準軸に直交する、シートの平面内で)ずれていてもよく、例えば、(矩形アレイによって規定される軸、および/または導電性領域と非導電性領域との間の境界などのリアクティブセルの特徴に実質的に平行な軸および/または直交する軸など、1または複数の横方向の軸に沿って)ずれていてもよく、例えば、単位セル寸法(例えば、ずれが規定される横方向の軸に対応する単位セル寸法)の分数量(1/2、1/4、1/8、1/3、1/6など)だけずれていてもよい。特定の例では(例えば、
図5Dに示すように)、第1のシートおよび第3のシートのリアクティブセルは実質的に互いに整列しているのに対して、(第1のシートと第3のシートの間に配置された)第2のシートのリアクティブセルは、アレイの横方向の軸の1つ(例えば、リアクティブセルの誘導性素子によって規定される長軸に直交する軸)に沿って単位セル寸法の半分だけずれている。
【0058】
メタサーフェス(またはその1または複数のインピーダンスシートなど)がアクティブにチューニング可能ではない(例えば、チューナブル素子を含まない)実施形態では、例えば、第1のノード(例えば、送信ノードまたは上流の中継ノード)から受信された入射ガウスビームを、第3のノード(例えば、受信ノードまたは下流の中継ノード)に向けられた異なるガウスビームにリフォーカスするなど、所望の(固定)変調特性(固定されたレンズ挙動)を実現するために、メタサーフェスのリアクティブセルが互いに異なるものであってもよい。例えば、リアクティブセルおよび/またはその素子のアスペクト比および/または寸法は、インピーダンスシートおよび/またはメタサーフェスの異なるリアクティブセル間で異なるものであってもよく、追加的または代替的には、一部のリアクティブセルの構造および/または等価回路が、他のものと異なるものであってもよい。
【0059】
メタサーフェス(またはその1または複数の要素)がアクティブにチューニング可能であるそれら実施形態の態様では、所望のベースライン変調特性(例えば、上述したようなレンズ挙動)を達成するために、メタサーフェスのリアクティブセルは互いに異なることができ、チューナブル素子を使用して変調特性を制御する(例えば、レンズ挙動の1または複数の特性を変更するなど、ベースライン周囲の特性空間における制御を行う)ことができる。例えば、そのような制御は、1または複数の上流ノードおよび/または下流ノードの位置および/または変調特性の変化、環境の変化(例えば、1または複数の障害物の導入、位置の変化、および/または除去、温度および/または湿度などの環境条件の変化)、所望の挙動の変化(例えば、ビーム伝送方向の反転、上流および/または下流ターゲットの変化など)、および/または他の任意の適切な変化などの変化する状況に適応する(例えば、それに基づいて最適化する)ために使用することができる。ベースライン特性が、第1のノードから受信した入射ガウスビームを第3のノードに向けた異なるガウスビームに再収束させるように構成されている特定の例では、第3のノードの位置の変化に応答して、ガウスビームが第3のノードの新しい位置に向けて導かれるように、変調特性を制御して、ガウスビームの特性を変化させることができ、同様に、第1のノードの位置の変化に応答して、(第1のノードの位置の変化から生じる)入射ガウスビームの特性の変化にもかかわらず、ガウスビームが依然として第3のノードに向けて導かれるように変調特性を制御することができる。しかしながら、変調特性は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で制御することができる。
【0060】
しかしながら、メタサーフェスは、追加的または代替的には、任意の適切な配置で他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0061】
いくつかの例(例えば、中継ノードが、追加的に送信ノードおよび/または受信ノードとして機能することができる例)では、中継ノードは、任意選択的に、メタサーフェスに(送信された電力、任意選択的には中継ノードに入射するリダイレクトされた電力とともに)電力を供給し、かつ/またはメタサーフェスから電力(例えば、メタサーフェスに入射する電力であって、メタサーフェスが給電構造に向けてリダイレクトする電力)を受信するように動作可能な構造体など、1または複数の給電構造1101(例えば、
図6A~
図6Cに示すような構造体)を含むことができる。1または複数の給電構造は、1または複数の機械的支持体1102によって、かつ/または他の任意の適切な要素によって、メタサーフェスに接続することができる(が、代替的にはメタサーフェスに接続されなくてもよい)。そのような例では、中継ノードは、任意選択的には、1または複数の電力源および/または貯蔵装置など、(例えば、電力の送信および/または受信を可能および/または容易にするために)送信ノードおよび/または受信ノードに関して上述したような1または複数の要素を含むことができる。
【0062】
いくつかのそのような例では、(例えば、入射電力の特性および/または送信出力電力の所望の特性に応じて)給電構造への電力結合および/または給電構造からの電力結合の効率を高めることができる、複数の給電構造をそのような各中継ノードに含むことが好ましい場合がある。例えば、メタサーフェスのいずれかの側に給電構造を含むことによって、メタサーフェスに入射した電力は、メタサーフェスを通って送信されるのではなく、メタサーフェスの同じ側の給電構造に反射され、それにより、メタサーフェスを通り抜ける送信に関連するオーミック損失を回避することができる(また同様に、特定の方向に送信される電力を、送信ではなく反射を可能にするように配置された給電構造から供給することができる)。さらに、様々な位置に配置された追加の給電構造は、同様の方法で、そのような損失の更なる低減を可能にすることができる。
【0063】
各中継ノードは、任意選択的に、中継ノードの動作を制御する(例えば、所望の変調をもたらすように1または複数のメタサーフェスの1または複数のチューナブル素子を制御するなど、入射放射の変調を制御する;メタサーフェスへの電力入力および/またはメタサーフェスからの受信を制御するなど、給電構造の動作を制御する;システムの他のノードおよび/または他の要素との通信を制御する)ように構成された1または複数のコントローラを含むことができる。しかしながら、中継ノードは、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で制御され得るか、または(例えば、チューニングできないメタサーフェスの場合には)制御されないか、または実質的に制御されないことも可能である。
【0064】
しかしながら、システムは、追加的または代替的には、任意の適切な機能を有する他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0065】
3.方法
上述したように、無線電力ネットワーキングのための方法20は、好ましくは、電力を送信するステップS210、中継ノードを制御するステップS220、および/または電力を受信するステップS230を含む。本方法は、任意選択的には、電力ネットワーク動作を最適化するステップS240を含むことができる。本方法は、好ましくは、上述したシステム10によって規定されるネットワークなどのノードのネットワーク(例えば、メッシュネットワーク)を介して電力を無線で効率的に伝送するように機能する。
【0066】
3.1 電力の送信
電力を送信するステップS210は、好ましくは、ネットワーク内で1または複数のRF電力送信を生成するように機能する。S210は、好ましくは、1または複数の送信ノードで実行される。各送信ノードは、好ましくは、ネットワークの1または複数の他のノード(例えば、中継ノード、受信ノードなど)に向けて電力送信を行う。送信ノードは、好ましくは、ビーム状モード(例えば、ガウスビーム、ベッセルビーム、それらのハイブリッドなど)を下流ノードに向けて送信する。任意選択的には、送信ノードは、複数のビーム状モードおよび/または他の任意の適切なモード(例えば、複数のノードに向けられた送信のためのモード)を生成することができる。しかしながら、S210は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で電力を送信することを含むことができる。
【0067】
3.2 中継ノードの制御
中継ノードを制御するステップS220は、好ましくは、1または複数の中継ノードを制御して、上流ノードから下流ノードへの電力伝送を中継するように機能する。S220は、好ましくは、本方法の実行中にRF電力(例えば、S210においてノードに向けて送信される電力、S220において1または複数の他の中継ノードによってノードに向けて導かれる電力など)を受信する各中継ノードを制御することを含む。しかしながら、S220は、追加的または代替的には、1または複数の中継ノードの他の任意のセットを制御することを含むことができる。
【0068】
S220は、好ましくは、RF電力を所望の伝送経路(例えば、1または複数の送信ノードから1または複数の中継ノードを介して1または複数の受信ノードへの伝送経路)に沿って下流のノード(または複数のノード)に中継するように中継ノードを制御することを含む。中継ノードは、好ましくは、制御される中継ノードの下流の次のノードに向けて導かれるビーム状モードを規定するために、それに入射するRF電力を変調するように制御される。例えば、ビーム状モードは、ガウスビーム、ベッセルビーム、それらのハイブリッド、および/または他の任意の適切なビーム状モードを含むことができる。任意選択的には、中継ノードは、(例えば、複数の下流ノードに同時に電力を中継するために)入射RF電力を複数のビーム状モードおよび/または他の任意の適切なモードに変調するように制御され得る。
【0069】
中継ノードは、好ましくは、既知の入射電力特性(例えば、入力位相特性および/またはビーム状モード特性)、下流ノードの位置(例えば、制御される中継ノードに対する相対位置)、制御される中継ノードおよび下流ノードの特性、例えば、ノードの電磁素子(例えば、位相シフト面、フェーズドアレイ、受信機など)のサイズ(例えば、開口半径、幅面積など)に関連する特性、および/または他の任意の適切な情報に基づいて制御される。
【0070】
いくつかの例では、中継ノードを、中継ノードと下流ノードとの間のリンク効率に関する1または複数の目標にさらに基づいて制御することができる。例えば、所与の所望のRFモードに対して、リンクの各ノードは、それぞれのエリアカバレッジ率(例えば、それぞれのノードの電磁素子の開口と交差するモードに関連する電力の割合に対応)と関連付けることができる。特定のリンク効率目標ηを達成するためには、それら2つのエリアカバレッジ率(中継ノードに対応するεr、および下流ノードに対応するεd)の積が目標よりも大きくなければならない(εrεd≧η)。
【0071】
そのような例の1つでは、S220が、ガウスビームを下流ノードに向けるように中継ノードを制御することを含む。この例では(いくつかの他の例と同様に)、ビームウエストが大きいほど、位置の変化に対する位相の微分が小さくなるため、ビームウエストを大きくすることは有益である(例えば、ビーム軸から外側の半径方向位置rは位相微分:
に対応するが、追加的または代替的には、ビーム軸に沿った軸方向位置zおよび/または他の適切な1または複数の空間パラメータに対応する)。この小さい位相微分値は、所望のモードのより正確な離散化近似が中継ノードにおいて実現されることを可能にすることができ、ここで、離散化は、所望のモードをメタサーフェスを規定する個別のリアクティブセルのセット上にマッピングするために使用される。このため、S220は、好ましくは、より大きなビームウエストを有するビーム状モードを生成するように中継ノードを制御することを含む。
【0072】
この例では、S220は、好ましくは、焦点位置(例えば、中継ノードと下流ノードを結ぶ線に沿った中継ノードからの距離)、ビームウエスト、レイリー長(または同様のものとして、共焦点パラメータ/焦点深度)、ビーム発散および/または他の任意の好適なビーム特性など、ガウスビームの1または複数の所望の特性を求めることを含む。それら特性は、任意選択的には、制約付き最適化アプローチを用いて求めることができる。例えば、2つのエリアカバレッジ率の積が目標リンク効率よりも大きいという制約条件下で、ビームウエストが最大になるように特性を決定することができる。開口iがほぼ円形で、ビームに対してほぼ垂直に向いている特定の例では、関連するエリアカバレッジ率ε
iを、
(式中、r
iは開口iの半径)に基づいて、開口w(Z
i)におけるビーム半径に関連付けることができる。
【0073】
この制約は、一般的に2つのノード間の最大距離に対応し、この最大距離よりも離れたノードについては、どのガウスビーム近似も目標リンク効率を満たすことができないか、それを超えることができないことに留意されたい。このため、この最大距離よりも離れたノード間のリンクでは、(例えば、下流ノードのビーム半径がそのノードの開口サイズを通常許容されるよりも大きく超えることを許容することによって)制約を緩和する必要があり、かつ/または目標リンク効率を下方修正する必要がある場合がある。
【0074】
当業者であれば、ガウスビーム特性のこの決定が、追加的または代替的には、S210の実行において類似の方法で適用され得る(例えば、送信ノードが、類似の制約付き最適化に基づいて決定される特性を有するビーム状モードを生成する)ことを認識するであろう。
【0075】
追加的または代替的には、S220は、1または複数の他のビーム状モード(例えば、ベッセルビーム、ベッセルガウスビーム、マルチビームモードなど)を生成するように1または複数の中継ノードを制御することを含むことができる。例えば、他のビーム状モードの特性は、上述したガウスビームの例に類似する方法で求めることができる。さらに、S220は、他の任意の適切なRFモードを生成するように1または複数の中継ノードを制御すること、および/または他の任意の適切な方法で1または複数の中継ノードを制御することを含むことができる。
【0076】
3.3 電力の受信
電力を受信するステップS230は、好ましくは、ノードのネットワークを介して中継される電力を受信するように機能する。S230は、好ましくは1または複数の受信ノードで実行されるが、追加的または代替的には、他の任意の適切な要素で実行することができる。いくつかの実施形態において、本方法は、S230で受信した電力を使用して、1または複数の電気デバイス(例えば、受信ノードに電気的に結合された電気デバイス)に電力を供給することを含むことができる。例えば、受信した電力は、DCに変換され、受信ノードに接続されたエネルギー貯蔵装置(例えば、バッテリ)を充電するために、あるいは受信ノードに接続されたクライアントデバイスに電力を供給するために使用され、かつ/または他の任意の適切な方法で使用され得る。しかしながら、S230は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で電力を受信することを含むことができる。
【0077】
3.4 電力ネットワーク動作の最適化
電力ネットワーク動作を最適化するステップS240は、無線電力ネットワークの性能(例えば、効率、速度など)を改善するように機能することができる。例えば、S240は、本方法の他の要素(例えば、S210、S220および/またはS230)の性能に関連する動作パラメータを決定および/または修正することを含むことができる。
【0078】
いくつかの例では、S240が、(例えば、電力を受信する受信ノードによってサンプリングされる)電力受信メトリクスに基づいて、送信ノードおよび/または中継ノードの動作を最適化することを含むことができる。例えば、S240は、1または複数の下流ノード(例えば、受信ノード)によって受信された電力に基づいて規定される1または複数の目的関数を使用して、1または複数の送信ノードおよび/または中継ノードのチューナブル素子(例えば、フェーズドアレイ素子、チューナブルメタサーフェス素子など)によって規定されるパラメータ空間にわたって1または複数の最適検索を実行することを含むことができる。いくつかの例では、ノードの通信モジュール(例えば、無線通信モジュール)を使用して、電力受信メトリクス、最適探索情報、および/または最適探索を実行するために使用される他の任意の適切な情報を通信することができる。
【0079】
例えば、S240は、例えば、RF電力を送信している間にパラメータ空間内のパラメータ値セットに基づいて1または複数のノードを制御すること、1または複数の宛先(例えば、受信ノード、中継ノードなど)へのRF電力送信の効率を定量化すること、並びに、それらの定量化に基づいてパラメータ値セットを調整することなどによって、1または複数のパラメータ空間(例えば、1または複数の送信ノードに関連するパラメータ空間、例えば、フェーズドアレイパラメータに関連するパラメータ空間、1または複数の中継ノードに関連するパラメータ空間、例えば、メタサーフェスチューニングパラメータに関連するパラメータ空間)にわたって1または複数の最適探索(例えば、ローカル探索、確率的グローバル探索などのグローバル探索)を実行することを含むことができる。
【0080】
いくつかのそのような例では、S240は、伝送経路の各ノード間リンク(またはそのサブセット)および/またはマルチホップセグメントを(同時に、順次、かつ/または他の任意の適切な相対的タイミングで)最適化することを含むことができる。そのような第1の例では、S240は、先ず、(第1の)中継ノードに(例えば、そのメタサーフェスに)入射する電力を最大化するように送信ノードの送信パラメータを最適化し、次いで、後続のノード(例えば、下流の中継ノード、受信ノードなど)に入射する電力を最大化するようにその中継ノードの変調パラメータを最適化すること等を含むことができる。その変形例(例えば、中継ノードがそのメタサーフェスに入射する電力を定量化および/または通信するように動作可能ではない場合)では、S240は、先ず、受信ノードで受信される電力を最大化するように(例えば、中継ノードパラメータを固定した状態で維持しながら、受信ノードへのある程度の電力伝送を達成するのに十分な量だけ中継ノードパラメータを変更しながら)送信ノードの送信パラメータを最適化し、次いで、受信ノードに入射する電力を最大化するように(第1の)中継ノードの変調パラメータを最適化すること等を含むことができる。追加的または代替的には(例えば、中継ノードがそのメタサーフェスに入射する電力を定量化および/または通信するように動作可能でない例では)、S240は、例えば1または複数の受信ノードで受信される電力を最大化するように、複数のノード(例えば、送信ノードおよび伝送経路を規定する1または複数の中継ノード)のパラメータを一緒に最適化することを含むことができる。しかしながら、S240は、追加的または代替的には、任意の適切な情報に基づいて、任意の適切なタイミングで、他の任意の適切な最適化を実行することを含むことができる。
【0081】
いくつかの例では、S240は、システムの様々な受信ノードへの電力供給のデューティサイクルを規定する計画など、1または複数の充電計画に基づいて決定および/または動作することを含むことができる。例えば、S240は、2以上の電力伝送経路(例えば、受信ノードの第1のセットに電力を伝送するための第1の電力伝送経路、受信ノードの第2のセットに電力を伝送するための第2の電力伝送経路など)および各電力伝送経路のデューティサイクルを規定する充電計画を決定することを含むことができる(例えば、本方法は、充電計画に基づいて電力を送信、中継および受信することを含み、第1の電力伝送経路がその関連するデューティサイクルのために利用され、第2の電力伝送経路がその関連するデューティサイクルのために利用される)。
【0082】
いくつかの例では、S240は、2020年8月28日に出願された「METHOD AND SYSTEM FOR WIRELESS POWER DELIVERY」という発明の名称の米国特許出願第17/006,242号に記載されるような1または複数の要素を実行することを含むことができ、その出願はこの引用によりその全体が本明細書に援用されるものとする。
【0083】
しかしながら、S240は、追加的または代替的には、他の任意の適切な方法で電力ネットワーク動作を最適化することを含むことができる。
【0084】
さらに、本方法20は、追加的または代替的には、任意の適切な方法で実行される他の任意の適切な要素を含むことができる。
【0085】
図面は、好ましい実施形態、例示的な構成およびそれらの態様による、システム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能性のある実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された1または複数の論理機能を実装するための1または複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、ステップ、コードの一部を示すことができる。また、いくつかの代替的な態様では、ブロックに記載の機能が、図面に記載の順序から外れて起こり得ることに留意されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されることもあれば、関係する機能に応じて、時には逆の順序でブロックが実行されることもある。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、並びに、ブロック図および/またはフローチャートのブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行する専用のハードウェアベースのシステム、または専用のハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実行され得ることにも留意されたい。
【0086】
当業者であれば、上述した詳細な説明、並びに、図面および特許請求の範囲から分かるように、以下の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に修正および変更を加えることが可能である。
【国際調査報告】