(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】湿度制御装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A61J3/00 300Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023563171
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022060125
(87)【国際公開番号】W WO2022219160
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321013554
【氏名又は名称】エアーノブ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ロジェール,バレール
(72)【発明者】
【氏名】オール,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA40
4C047CC03
4C047GG31
4C047GG40
(57)【要約】
この湿度制御装置(1)は、水蒸気を吸収又は放出することにより筐体内の相対湿度を所与の範囲に維持するように構成されており、エンベロープ(10)と、エンベロープ内に配置される湿度制御剤とを備える。エンベロープ(10)は、液体耐水性であり、水蒸気透過性である。湿度制御剤は、密閉容器内で45%RH~90%RHの範囲にある目標平衡相対湿度(ERHi)を与えるように選択される調整された含水率を有する水和高吸水性ポリマー(6)を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を吸収又は放出することによって筐体(91;93;97)内の相対湿度を所与の範囲内に維持するための湿度制御装置(1;3;5;7)であって、エンベロープ(10;30;50;70)と、前記エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、前記エンベロープ(10;30;50;70)が、液体耐水性及び水蒸気透過性であり、前記湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が前記湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように、水和高吸水性ポリマー(6)を含み、前記水和高吸水性ポリマー(6)は、密閉容器内で、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲にある目標平衡相対湿度レベル(ERHi)を与えるように選択される調整された含水率を有する、湿度制御装置(1;3;5;7)。
【請求項2】
前記エンベロープ(10;30;50;70)は、65%RHの相対湿度を伴う30℃の環境内で、24時間当たり20mgを超える、好ましくは24時間当たり50mgを超える水蒸気移動能力を有する、請求項1に記載の湿度制御装置。
【請求項3】
前記液体耐水性エンベロープ(10;30;50;70)は、30cm
3.cm
-2.s
-1未満、好ましくは20cm
3.cm
-2.s
-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過性材料(31)からその全体が形成され、又は、少なくとも一部がガス不透過性材料(11;51;71)から形成されるとともに、少なくとも一部が30cm
3.cm
-2.s
-1未満、好ましくは20cm
3.cm
-2.s
-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過性材料(16;59;76)から形成される、請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項4】
前記湿度制御剤に含まれる前記乾燥高吸水性ポリマーの体積に対する前記エンベロープ(10;30;50;70)の内容積の比率は、4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満である、請求項1から3のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項5】
前記湿度制御剤の組成物中の前記高吸水性ポリマーは、平衡相対湿度がERH1=50%RHからERH2=80%RHまで増大されるときに、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり500mgを超える水を吸収する高吸水性ポリマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項6】
前記水和高吸水性ポリマー(6)は、50%RH~80%RHの範囲にある前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記調整された含水率を伴って、筐体(91;93;97)内の相対湿度を前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)付近の±10%RHの範囲内に維持しながら、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも60mg、好ましくは少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる、請求項1から5のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項7】
前記高吸水性ポリマーが、架橋合成(コ)ポリマーをベースとする、請求項1から6のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項8】
前記高吸水性ポリマーは、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸カリウム、架橋コポリマーアクリルアミド/アクリル酸カリウムなどの、部分的又は完全に塩化されたアクリル酸モノマーによって担持されるアニオン電荷を含むポリマーである、請求項1から7のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項9】
前記水和高吸水性ポリマー(6)は、10%~150%、好ましくは10%~120%の調整された含水率を有し、前記水和高吸水性ポリマーの前記含水率は、乾燥高吸水性ポリマーの重量に対する水の重量の比率である、請求項1から8のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項10】
前記湿度制御装置(1;3;5;7)を備える筐体(91;93;97)内で±2%RH以内の前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に到達する時間は、24時間未満、好ましくは6時間未満、より好ましくは2時間未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項11】
湿度制御カプセル(1)又はキャニスタ(5)の形態を成し、前記液体耐水性エンベロープ(10;50)は、前記水和高吸水性ポリマーを受け入れるように構成されるガス不透過性本体(11;51)と、前記水和高吸水性ポリマー(6)が前記エンベロープの内側に保持されるように前記本体を閉じるべく構成される少なくとも1つのガス透過性カバー(16;56、59)とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項12】
容器の開口を閉じるようになっている湿度制御閉鎖体(7)の形態を成し、前記液体耐水性エンベロープ(70)は、前記水和高吸水性ポリマーを受け入れるように構成されるガス不透過性本体(71)を画定する前記閉鎖体の壁(72,73)と、前記水和高吸水性ポリマー(6)が前記エンベロープ内に保持されるように前記本体(71)を閉じるべく構成される少なくとも1つのガス透過性カバー(76)とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項13】
湿度制御パケット又はバッグ(3)の形態を成し、前記液体耐水性エンベロープ(30)は、不織布又は有孔ポリマーフィルムなどの、前記水和高吸水性ポリマー(6)を包み込むように構成されるガス透過膜(31)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の湿度制御装置。
【請求項14】
医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの少なくとも1つの繊細な製品(81;83)と、少なくとも1つの湿度制御装置(1;3;5;7)とを備える、閉鎖可能な容器(91;93;97)であって、前記少なくとも1つの繊細な製品を収容する前記容器の閉鎖状態において、前記少なくとも1つの湿度制御装置(1;3;5;7)は、所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)を維持するように前記容器の内容積及び前記少なくとも1つの繊細な製品と水蒸気を交換するべく構成され、前記少なくとも1つの湿度制御装置は、エンベロープ(10;30;50;70)と、前記エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、前記エンベロープ(10;30;50;70)は、液体耐水性及び水蒸気透過性であり、前記湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が前記湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように水和高吸水性ポリマー(6)を含み、前記水和高吸水性ポリマー(6)は、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲にある閉鎖された前記容器内で所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)を与えるように選択される調整された含水率を有する、閉鎖可能な容器(91;93;97)。
【請求項15】
医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの、少なくとも1つの繊細な製品(81;83)を、その内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHに維持するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の湿度制御装置(1;3;5;7)の使用であって、前記少なくとも1つの繊細な製品を収容する前記容器の閉鎖状態において、前記湿度制御装置(1;3;5;7)は、前記容器の前記内容積及び前記少なくとも1つの繊細な製品と水蒸気を交換するように構成される、湿度制御装置(1;3;5;7)の使用。
【請求項16】
少なくとも1つの大麻製品をその内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~65%RH、好ましくは50%RH~65%RHに維持するための、請求項1から13のいずれか一項に記載の湿度制御装置(1;3;5;7)の使用であって、前記少なくとも1つの大麻製品を収容する前記容器の閉鎖状態において、前記湿度制御装置(1;3;5;7)は、前記容器の前記内容積及び前記少なくとも1つの大麻製品と水蒸気を交換するように構成される、湿度制御装置(1;3;5;7)の使用。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の湿度制御装置(1;3;5;7)の製造方法であって、
a)前記エンベロープ(10;30;50;70)を用意するステップと、
b)前記エンベロープの少なくとも一部に、前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率以下の既知の含水率を有する所与の重量の前記高吸水性ポリマーを導入するステップと、
c)前記高吸水性ポリマーの前記既知の含水率が、前記湿度制御装置の前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記含水率よりも低い場合に、所与の重量の水を前記エンベロープの前記少なくとも一部に導入するステップと、
d)任意選択的に、前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記含水率を有する所望の重量の水和高吸水性ポリマーが、前記エンベロープの前記少なくとも一部に受け入れられるまで、ステップb)及びステップc)を繰り返すステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記高吸水性ポリマーは、その含水率が前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記含水率よりも厳密に低い状態で、好ましくは実質的に乾燥した状態で、前記エンベロープの前記少なくとも一部に導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記所与の重量の水及び前記所与の重量の高吸水性ポリマーは、前記高吸水性ポリマーによって前記水が吸収されるのに必要な時間が前記エンベロープの前記少なくとも一部から前記水が漏れ出すのに必要な時間よりも短くなるような速度で、前記エンベロープ(10;30;50;70)の前記少なくとも一部に導入される、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記湿度制御装置の前記水和高吸水性ポリマー(6)は、粉末形態、顆粒形態、及び/又は固体凝集形態である、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内の湿度を所望の範囲内に制御するための湿度制御装置に関する。より詳細には、本発明は、医薬品、栄養補助食品、又は薬剤の容器などの容器内の湿度を制御するための湿度制御装置に関する。本発明は、湿度制御装置を備えた容器、及び湿度制御装置の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
製品には、湿度が高すぎたり低すぎたりする環境に晒されると、鮮度が損なわれたり、損傷したり、又は使用不可能にすらなったりする可能性があるものがある。例えば、例としてルース大麻又はプレロール大麻製品の形態の医療用大麻製品は、湿度が制御された環境の恩恵を受けることができる。湿度レベルを調整することで、カンナビノイド、テルペン、及びフラボノイドなどの大麻の揮発性薬用化合物の信頼度を維持することができるため、薬用大麻の治療効果はそのままで、効率的な方法で患者に投与が行なわれる。同様に、例えばハーブ、ソフトジェルカプセル、又はグミの形態の栄養補助食品や薬剤製品も、湿度が制御された環境でより良く保存され得る。
【0003】
製品の所望の湿度レベルに達するために、製品を保管するパッケージ又は容器内に乾燥剤を設けることが知られている。しかしながら、乾燥剤だけでは、湿度を望ましい範囲内に制御できない。筐体内の湿度を所定の範囲内に維持するために、飽和塩水溶液を充填した高分子フィルムポーチを使用することが知られている。そのようなポーチは、双方向の湿度制御、つまり水分の吸収と放出の両方を行なうように構成される。そのような飽和塩水溶液を収容するには液密のエンベロープが必要であるが、乾燥剤を充填したカプセルやパケットに従来使用されているエンベロープ材料の場合には当てはまらない。更に、飽和塩水溶液で到達できる相対湿度の範囲は、塩の化学的性質によって決まる。そして、目標湿度範囲が変更されると、飽和塩水溶液に使用する塩も変更する必要がある。したがって、様々な市場に対応するには複数の原材料の供給が必要となり、それにより、特に特定の要件がある栄養補助食品及び薬剤分野ではコストが増加し、検証プロセスがより複雑になる。
【0004】
本発明は、これらの欠点を、乾燥剤のカプセル又はパケットに使用される従来のエンベロープ材料に基づいて製造することができるとともに、広い相対湿度範囲内で異なる目標湿度レベルに到達するように容易に適合させることができる、双方向湿度制御装置、並びに、コスト及び品質リスクの最適な管理を伴う双方向湿度制御装置の製造方法を提案することによって、より具体的に改善することを意図している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明の主題は、水蒸気を吸収又は放出することによって筐体内の相対湿度を所与の範囲内に維持するための湿度制御装置であり、上記湿度制御装置は、エンベロープと、エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、エンベロープは、液体耐水性及び水蒸気透過性であり、湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように、水和高吸水性ポリマーを含み、水和高吸水性ポリマーは、密閉容器内で、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲にある目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する調整された含水率を有する。
【0006】
本発明との関連において、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)は、閉鎖ガラス容器内の空気の体積当たりの湿度制御剤の重量が65g/L以上となるように、上記湿度制御装置のうちの少なくとも1つを内部に備える空の防湿閉鎖ガラス容器内で達成される相対湿度の平衡値として定義される。平衡値を決定するために、ガラス容器内の相対湿度の経時的な漸進的変化が、平衡値に達するまで、例えばRotronic社が販売するHC2A-S湿度プローブなどの湿度プローブを使用して測定される。相対湿度の平衡値は、ガラス容器内の相対湿度の変化が連続6時間にわたって±1%RH未満である場合に得られる。本発明の枠内では、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)は、周囲温度、一般的には20℃±2℃で決定される。
【0007】
本発明の意味の範囲内で、湿度制御剤の含水率(「MC」とも略される)は、上記湿度制御剤の乾燥重量に対する湿度制御剤に吸収された水の量(通常は重量で表される)に関係する。ここで、含水率は通常、重量パーセントで表される。
【0008】
本発明の意味の範囲内で、「吸収する」、「吸収している」、又は「吸収」という用語は、水に関して所与の材料を指す場合、水が上記材料に保持される可能性がある全ての化学的及び物理的現象を包含するために使用される。特に、これには、水分子が材料に侵入する、一般に「吸収」と呼ばれるバルク現象、又は、水分子が材料の表面に付着する、一般に「吸着」と呼ばれる表面現象が含まれる。
【0009】
本発明との関連において、防湿閉鎖ガラス容器は、24時間当たり、かつ閉鎖ガラス容器内に存在する湿度制御剤1グラム当たり、1mg未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し、これは、75%RHの相対湿度を伴う40℃の環境で測定される。
【0010】
実際には、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)、つまり、上記湿度制御装置による調整が行なわれるようになっている相対湿度レベルを評価するために、適切な数の湿度制御装置が防湿閉鎖ガラス容器内に配置され、この場合、湿度制御装置の適切な数は、上記で定義した湿度制御剤の最小量、すなわち、閉鎖ガラス容器内の空気1リットル当たり少なくとも65gの水和高吸水性ポリマーに達するように、閉鎖ガラス容器の容積にしたがって決定される。
【0011】
例えば、1gの湿度制御剤を収容する湿度制御カプセルの場合、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)は、少なくとも20個のカプセルを300mLの容積を有する防湿閉鎖ガラス容器に入れることによって評価することができ、この場合、20個のカプセルは、閉鎖ガラス容器内の空気1リットル当たり66.7gの湿度制御剤に対応し、500gの湿度制御剤を収容する湿度制御バッグの場合、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)は、容量7.5Lの防湿閉鎖ガラス容器に少なくとも1つのバッグを入れることによって評価することができ、この場合、1つのバッグは、閉鎖ガラス容器内の空気1リットル当たり66.7gの湿度制御剤に対応する。
【0012】
好適には、本発明に係る湿度制御装置の水和高吸水性ポリマーは、相対湿度が目標平衡相対湿度レベル(ERHi)よりも高い場合には周囲大気から水分を吸収し、相対湿度が目標平衡相対湿度レベル(ERHi)よりも低い場合には周囲大気へ水分を放出することができる。したがって、湿度制御装置は双方向の湿度制御装置である。
【0013】
本発明に係る湿度制御装置の場合、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計は、湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上であり、このことは、本発明に係る湿度制御装置の湿度制御剤が水和高吸水性ポリマーをその主成分として含むことを意味する。湿度制御剤の組成物中の他の成分には、10重量%未満の少量でのみ添加される添加剤が含まれてもよく、この場合、重量%の数字は、湿度制御剤の総重量に対する添加剤の重量の%を与える。一実施形態によれば、水和高吸水性ポリマーは、湿度制御剤の唯一の成分であってもよい。
【0014】
本発明者らは、水の吸収及び放出に関する高吸水性ポリマーの特性を利用して、主成分として高吸水性ポリマーと水とを含む、すなわち、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上であるような湿度制御剤を形成することができることを見出した。目標平衡相対湿度(ERHi)にしたがって調整された量の液体水が、実質的に乾燥した高吸水性ポリマーに添加される。好ましくは、結果として得られた材料は、湿度平衡剤として使用される前に、20℃±5℃で少なくとも15日間エージング及び平衡化できるようにされる。添加される液体水の重量は、高吸水性ポリマーの乾燥重量の10%~150%であり、高吸水性ポリマーの総保水容量よりも十分に低い。
【0015】
湿度制御剤の組成物に追加の特性を与えるために、少量の添加材料を湿度制御剤の組成物に添加することができる。そのような添加剤材料は、例えば、吸湿剤、脱酸素剤、臭気吸収剤、揮発性嗅覚有機化合物の放出剤、香料、抗菌材料、抗真菌材料などであってもよい。添加材料の重量割合は、湿度制御剤の総重量の最大10%に制限され、また、50%RH~80%RHの範囲で、湿度制御剤の組成物が添加材料を含む湿度制御装置によって到達される平衡相対湿度レベル(ERHi)は、湿度制御装置から得られる平衡相対湿度レベルに実質的に等しいが、湿度制御剤の組成物が添加材料を含まない点のみが後者と異なる。1つの特徴によれば、湿度制御剤の組成物が添加材料を含む湿度制御装置から得られる平衡相対湿度レベル(ERHi)は、湿度制御剤の組成物が同じ高吸水性ポリマー及び同じ量の水のみを含む湿度制御装置から得られる平衡相対湿度レベル付近で±7%RH、好ましくは±5%RHの範囲内である。
【0016】
水和高吸水性ポリマー(又はSAP)を湿度制御装置における湿度制御剤として使用すると、幾つかの利点がある。まず、高吸水性ポリマーは、高い吸水率(又は保水率)を示し、含水率が高くても固体又はゲルの状態を保つ。したがって、本発明に係る湿度制御装置のエンベロープは液密である必要がなく、それにより、乾燥剤を充填したカプセル又はパケットに従来使用されているものと同じエンベロープ材料を使用することが可能になる。
【0017】
もう1つの利点は、水和高吸水性ポリマーの含水率を簡単に調整して、45%RH~90%RHの広い相対湿度範囲内で目標平衡相対湿度レベル(ERHi)の様々な値に到達できることである。したがって、1つの実質的に乾燥した高吸水性ポリマーから出発して、単に高吸水性ポリマーの水和速度、すなわち高吸水性ポリマーに添加される水の量を調整することによって、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)の異なる値を有する湿度制御装置を得ることが可能である。
【0018】
例えば、第1の種類の医薬品又は植物は、60%RHの第1の湿度レベルで最も安定し、最もよく消費される可能性があるが、第2の種類の医薬品又は植物は、70%RHの第2の湿度レベルで最も安定し、最もよく消費される可能性がある。本発明のおかげで、同じ高吸水性ポリマー原料及び同じ製造ラインを使用して、2つの異なるタイプの製品用に意図された2つのタイプの湿度制御装置、すなわち、第1の含水率(MC1)の高吸水性ポリマーを伴う、60%RHの第1の目標平衡相対湿度レベル(ERH1)で調整するための第1のタイプの湿度制御装置、及び、第2の含水率(MC2)の高吸水性ポリマーを伴う、70%RHの第2の目標平衡相対湿度レベル(ERH2)で調整するための第2のタイプの湿度制御装置を製造することができる。
【0019】
1つの特徴によれば、湿度制御剤はエンベロープの内側に収容される。つまり、エンベロープは湿度制御剤を四方から包み込む。
【0020】
本発明に係る目標平衡相対湿度レベル(ERHi)は、水和高吸水性ポリマーの含水率とエンベロープの水蒸気移動能力との組み合わせに依存する。従来、エンベロープの水蒸気移動能力は、所定の相対湿度範囲にわたって、エンベロープの内外に移動する水分の量として定義される。
【0021】
本発明によれば、湿度制御装置のエンベロープは、液体耐水性であり、水蒸気透過性である。本発明の枠内において、液体耐水性エンベロープとは、エンベロープのいかなる向きにおいても、液体水が充填中にエンベロープの外面に漏れることなく液体水が充填されるべきエンベロープの内容積の少なくとも2/3を許容するのに十分な液体水の通過に対する抵抗を有するエンベロープである。
【0022】
実際には、標準試験法ASTM D737に準拠したフラジール試験法を使用して測定したフラジール空気透過度が30cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは20cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは15cm3.cm-2.s-1未満の材料は、上記で定義した耐水性エンベロープを形成するのに適している。そのような材料は、エンベロープ内に配置された高吸水性ポリマーがそれに加えられた液体水を吸収できるのに十分な時間、液体水の通過に耐える。換言すれば、水が高吸水性ポリマーに吸収されるのに必要な時間が、水がエンベロープの材料を通って漏れ出すのに必要な時間よりも短くなるように、液体水と高吸水性ポリマーとをエンベロープ内に導入することができる。
【0023】
1つの特徴によれば、液体耐水性エンベロープは、30cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは20cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは15cm3.cm-2.s-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過性材料からその全体が形成され、或いは、少なくとも一部がガス不透過性材料から形成されるとともに、少なくとも一部が30cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは20cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは15cm3.cm-2.s-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過性材料から形成される。本発明によれば、エンベロープの材料には、エンベロープを通じて液体水が漏れるようなサイズの貫通孔が存在しない。
【0024】
特に、液体耐水性エンベロープは、フラジール試験法によりゼロより高く30cm3.cm-2.s-1未満のフラジール空気透過度値が得られる、不織布又は有孔ポリマーフィルムなどのマクロ多孔質材料、フラジール空気透過度値が実質的にゼロに等しいガス透過性ボール紙などの微多孔性材料、及び/又は均質なガス不透過性フィルムを備えてもよく、エンベロープの構成材料の厚さ、交換表面積及び水蒸気透過率は、65%RHの相対湿度を伴う30℃の環境において、24時間当たり20mg以上、好ましくは24時間当たり50mg以上のエンベロープの水蒸気移動能力を達成するように選択される。
【0025】
実際には、エンベロープの水蒸気移動能力は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって、例えば、モレキュラーシーブなどの乾燥剤材料をエンベロープに充填して、充填されたエンベロープを50%未満の低い相対湿度を伴う環境で急速に密閉することによって測定することができる。勿論、モレキュラーシーブと組み合わせて又はモレキュラーシーブの代わりに、他の乾燥剤材料、例えばシリカゲル又は無水塩化カルシウムCaCl2を使用することもできる。充填されたエンベロープの元の重量が測定される。その後、充填されたエンベロープは、30℃、相対湿度65%に設定した恒温室内に24時間にわたって配置される。24時間後、充填されたエンベロープの重量が再度測定され、24時間当たりのエンベロープの水蒸気移動能力が、充填されたエンベロープの重量の2つの測定値の差から計算される。
【0026】
1つの特徴によれば、湿度制御剤のために選択された高吸水性ポリマーは、平衡相対湿度がERH1=50%RHからERH2=80%RHまで増大されるときに、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり500mgを超える水を吸収する高吸水性ポリマーである。この添加される水の量は、高吸水性ポリマーの緩衝能力として定義され、これは高吸水性ポリマーの固有の特性である。緩衝能力がより高いということは、水分に敏感な製品を含むパッケージ内に湿度制御装置が導入されるときに平衡相対湿度の変動がより少なくなることを意味する。
【0027】
1つの特徴によれば、水和高吸水性ポリマーの含水率は、上記湿度制御装置を備える筐体内の目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応し、湿度制御装置は、筐体内の相対湿度を目標平衡相対湿度レベル(ERHi)付近の±10%RH以下の範囲内に維持するように構成される。
【0028】
1つの特徴によれば、50%RH~80%RHの範囲にある目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する上記調整された含水率を有する水和高吸水性ポリマーは、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)付近の±10%RHの範囲内に筐体内の相対湿度を依然として維持しながら、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも60mg、好ましくは少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる。水和高吸水性ポリマーのそのような緩衝能力により、筐体内の平衡相対湿度レベルは、たとえ、水分及び/又は液体に対する筐体の特定の透過性、又は筐体内に存在する他の製品、通常は上記目標平衡相対湿度レベルで保管されるべき繊細な製品の含水率の影響などの不安定要因が存在する場合でも、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)付近の±10%RH以下の範囲内に維持されることを確実にする。本発明の意味の範囲内では、乾燥高吸水性ポリマーは、0%の含水率を有する高吸水性ポリマーであることが理解される。
【0029】
1つの特徴によれば、高吸水性ポリマーは、脱塩水中でその重量の30倍以上、好ましくは脱塩水中でその重量の50倍以上、より好ましくは脱塩水中でその重量の100倍以上の保水能力を有する。一実施形態において、高吸水性ポリマーは、凝集しているか否かにかかわらず、粉末又は顆粒の形態であってもよい。高吸水性ポリマーの構造は、一般に、それぞれが水を変形させて吸収する能力を有する多数の小さな空洞に似た三次元ネットワークに基づいており、したがって高吸水性ポリマーに、非常に大量の水を吸収する能力と、膨出能力とを与える。
【0030】
一実施形態によれば、高吸水性ポリマーは、天然ポリマーを含み、例えばアルギン酸塩ベースの高吸水性ポリマーであってもよい。
【0031】
一実施形態によれば、高吸水性ポリマーは、架橋合成ポリマー又はコポリマーをベースとする。一実施形態において、高吸水性ポリマーの調製に使用されるモノマーは、好ましくは部分的又は完全に塩化されており、アクリルアミド及び/又はアクリル酸;及び/又はATBS(アクリルアミド第三級ブチルスルホン酸);及び/又はNVP(N-ビニルピロリドン);及び/又はアクリロイルモルホリン;及び/又はイタコン酸から選択されてもよい。1つの特徴によれば、高吸水性ポリマーは、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸カリウム;架橋コポリマーアクリルアミド/アクリル酸カリウムなどの、部分的又は完全に塩化されたアクリル酸モノマーによって担持されるアニオン電荷を含む架橋ポリマーである。
【0032】
本発明に関連して使用され得る市販の高吸水性ポリマーの例としては、ポリアクリル酸ナトリウムをベースとする、APROPACKの商標でAprotek社によって販売されている製品、特にAPROPACK G300、ポリアクリル酸ナトリウムをベースとするFAVOR PACの商標でEvonik Industries社によって販売されている製品、特にFAVOR PAC593又はFAVOR PAC610が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、高吸水性ポリマーは食品と接触する用途に適している。
【0033】
1つの特徴によれば、水和高吸水性ポリマーは、10%~150%、好ましくは10%~120%の調整された含水率を有し、水和高吸水性ポリマーの含水率は、乾燥高吸水性ポリマーの重量に対する水の重量の比率である。
【0034】
1つの特徴によれば、エンベロープ内に配置される湿度制御剤の膨張係数は、湿度制御剤に含まれる乾燥高吸水性ポリマーの体積に対する湿度制御剤の体積の比率として定義され、4未満であり、好ましくは3未満であり、好ましくは2未満である。水和高吸水性ポリマーから出発して、対応する乾燥高吸水性ポリマーの体積は、水和高吸水性ポリマーを110℃±5℃の温度の炉内に24時間にわたって配置するとともに、そのようにして得られた乾燥高吸水性ポリマーの体積を測定することによって決定できることに留意されたい。
【0035】
上記で説明したように、液体水を高吸水性ポリマーに添加すると、高吸水性ポリマーの体積が増加する。本発明者らは、高吸水性ポリマーの体積増加が4倍、好ましくは3倍、好ましくは2倍に制限される場合、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲の湿度平衡特性が達成されることを見出した。
【0036】
試験は、Evonik Industries社によって販売されている高吸水性ポリマーFAVOR PAC593を使用して実施された(粒径分布:45μm~600μm、嵩密度:0.48~0.6g/cm3)。体積20cm3の実質的に乾燥した高吸水性ポリマーFAVOR PAC593を第1のガラス容器及び第2のガラス容器のそれぞれに導入した。次いで、第1のガラス容器内で70%RHに調整する第1の水和高吸水性ポリマーと第2のガラス容器内で80%RHに調整する第2の水和高吸水性ポリマーをそれぞれ得るように、調整された量の液体水を第1及び第2のガラス容器のそれぞれ内の高吸水性ポリマーに添加した。各ガラス容器内で、高吸水性ポリマーと液体水とを含む混合物を室温で約30分間放置した。次いで、各ガラス容器内の水和高吸水性ポリマーの高さを測定し、ガラス容器の寸法に基づいて水和高吸水性ポリマーの最終体積を計算した。実質的に乾燥した高吸水性ポリマーの初期体積に対する水和高吸水性ポリマーの最終体積の比率として定義される膨張係数も計算された。
【0037】
【0038】
1つの特徴によれば、湿度制御剤に含まれる乾燥高吸水性ポリマーの体積に対するエンベロープの内容積の比率は、4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満である。エンベロープのそのような容積により、湿度制御剤の体積膨張がエンベロープによって制限されるため、湿度制御剤の含水率とその結果として生じる平衡相対湿度(ERHi)を最大値に制限することができる。換言すれば、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)は、エンベロープの適切な内容積を選択することによって得ることができる。
【0039】
1つの特徴によれば、湿度制御装置を備える筐体内で±2%RH以内の目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に到達するまでの時間は、24時間未満、好ましくは6時間未満、より好ましくは2時間未満である。そのような湿度制御の動力学は、水和高吸水性ポリマーの量、筐体の体積及び透過性に依存し、筐体内で平衡相対湿度レベルに迅速に到達されることを確実にする。
【0040】
一実施形態によれば、湿度制御装置は、湿度制御カプセル又はキャニスタの形態を成し、液体耐水性エンベロープは、水和高吸水性ポリマーを受け入れるように構成されるガス不透過性本体と、水和高吸水性ポリマーがエンベロープの内側に保持されるように本体を閉鎖するべく構成される少なくとも1つのガス透過性カバーとを備える。非限定的な例として、湿度制御カプセルは、水和高吸水性ポリマーが充填されてフラジール空気透過度が実質的にゼロであるガス透過性ボール紙により閉じられる熱可塑性管状本体を備えてもよく、湿度制御キャニスタは熱可塑性管状本体を備えてもよく、熱可塑性管状本体は、水和高吸水性ポリマーが充填されるとともに、30cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは20cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは15cm3.cm-2.s-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過膜で覆われた少なくとも1つの穿孔を備える熱可塑性キャップによって閉じられる。
【0041】
別の実施形態によれば、湿度制御装置は、容器の開口を閉じるようになっている湿度制御閉鎖体の形態を成し、液体耐水性エンベロープは、水和高吸水性ポリマーを受け入れるように構成されるガス不透過性本体を画定する閉鎖体の壁と、水和高吸水性ポリマーがエンベロープ内に保持されるように本体を閉じるべく構成される少なくとも1つのガス透過性カバーとを備える。非限定的な例として、本発明に係る湿度制御閉鎖体は、水和高吸水性ポリマーが充填されてフラジール空気透過度が実質的にゼロであるガス透過性ボール紙により閉じられた熱可塑性管状本体を備え得る。
【0042】
別の実施形態によれば、湿度制御装置は、湿度制御バッグ又はパケット(又は小袋)の形態を成し、液体耐水性エンベロープは、30cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは20cm3.cm-2.s-1未満、好ましくは15cm3.cm-2.s-1未満のフラジール空気透過度を有する不織布又は有孔ポリマーフィルムなどの水和高吸水性ポリマーを包み込むように構成されるガス透過膜を備える。本発明に係る湿度制御バッグ又はパケットのエンベロープに使用できるポリマー織物の例としては、ポリエチレン又はポリプロピレン繊維をベースとした不織布が挙げられる。特に、適切な材料としては、ポリエチレン繊維を含む、特に高密度ポリエチレン(HDPE)繊維をベースとするスパンボンド不織布である、DuPont社によってTYVEKの商標で販売されている製品、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とポリプロピレン(PP)繊維とを含むスパンボンド不織布である、Unisel社によりMELFITの商標で販売されている製品が挙げられる。本発明に係る湿度制御バッグ又はパケットのエンベロープに使用することができる有孔ポリマーフィルムの例としては、ポリエチレン又はポリプロピレンの有孔フィルムが挙げられる。
【0043】
第2の態様によれば、前述の特徴とは独立して、特にエンベロープが液体耐水性であるという特徴とは独立して考慮され得る本発明の別の主題は、水蒸気を吸収又は放出することによって筐体の相対湿度を所与の範囲内に維持するための湿度制御装置であり、上記湿度制御装置は、水蒸気透過性のエンベロープと、エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように、水和高吸水性ポリマーを含み、水和高吸水性ポリマーは、密閉容器内で、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲にある目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する調整された含水率を有し、湿度制御剤の組成物中の高吸水性ポリマーは、平衡相対湿度がERH1=50%RHからERH2=80%RHまで増大されるときに、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり500mgを超える水を吸収する高吸水性ポリマーである。本発明の第1の態様に係る湿度制御装置に関して前述した他の全ての特徴は、本発明の第2の態様に係る湿度制御装置に適用できることが理解される。この第2の態様の幾つかの実施形態において、湿度制御装置のエンベロープは、液体透過性である少なくとも1つの壁を有してもよい。
【0044】
本発明の別の主題は、医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの少なくとも1つの繊細な製品と、少なくとも1つの湿度制御装置とを備える閉鎖可能な容器であり、少なくとも1つの繊細な製品を収容する容器の閉鎖状態において、少なくとも1つの湿度制御装置は、所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)を維持するように容器の内容積及び少なくとも1つの繊細な製品と水蒸気を交換するべく構成され、少なくとも1つの湿度制御装置は、エンベロープと、エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、エンベロープが液体耐水性及び水蒸気透過性であり、湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように水和高吸水性ポリマーを含み、水和高吸水性ポリマーは、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RH、より好ましくは50%RH~70%RHの範囲にある閉鎖された容器内で所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)を与えるように選択される調整された含水率を有する。例として、本発明との関連において、水蒸気を容器の内容積と交換するように構成される少なくとも1つの湿度制御装置は、例えばカプセル、キャニスタ、バッグ又はパケットの形態の容器の内容積に落とされてもよく、或いは、容器を閉じる閉鎖体の一部であってもよい。
【0045】
少なくとも1つの繊細な製品及び少なくとも1つの湿度制御装置を備える容器の閉鎖状態では、システムが平衡に達するのに十分な時間が経過した後、所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)が容器内で維持される。換言すれば、平衡に達した本発明に係る容器では、少なくとも1つの湿度制御装置の水分活性awと少なくとも1つの繊細な製品の水分活性awとが互いに実質的に等しく、その値は、0.45~0.9、好ましくは0.5~0.8、より好ましくは0.5~0.7であり、ここで、水分活性awは、繊細な製品におけるそれぞれの湿度制御装置内の水の蒸気分圧と同じ温度の純水の蒸気圧との間の比率として定義される。本発明との関連において、水分活性の2つの値は、それらの差の絶対値が0.1以下である場合に等しいとみなされる。
【0046】
実際には、湿度制御装置又は繊細な製品の水分活性awは、上記の目標平衡相対湿度レベル(ERHi)と同様の方法で、つまり、上記湿度制御装置又は繊細な製品を本発明に係る容器から取り出すとともに、上記湿度制御装置又は繊細な製品を空の防湿閉鎖ガラス容器に素早く入れることによって測定される。水分活性awを決定するために、ガラス容器内の相対湿度の経時的な漸進的変化が、平衡値に達するまで、例えばRotronic社が販売するHC2A-S湿度プローブなどの湿度プローブを使用して測定され、この漸進的変化は、6時間連続で±1%RH未満のガラス容器内の相対湿度の変化に対応する。本発明の枠内では、湿度制御装置又は繊細な製品の水分活性awは、周囲温度、一般に20℃±2℃で決定される。防湿閉鎖ガラス容器内で到達する平衡相対湿度パーセンテージは、上記湿度制御装置又は繊細な製品の水分活性awに102を乗じたものに等しくなる。
【0047】
容器が、少なくとも1つの繊細な製品と、容器が平衡に達しているかどうかに関係なく、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RH、より好ましくは50%RH~70%RHの範囲にある所与の平衡相対湿度レベル付近の所与の範囲内に容器内の相対湿度を維持するように構成される上記の少なくとも1つの湿度制御装置とを備える場合、容器が本発明の範囲内に入ることが理解される。
【0048】
本発明に係る容器の一実施形態において、上記調整された含水率を有する水和高吸水性ポリマーは、閉鎖された容器内の相対湿度を50%RH~80%RHの範囲にある所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)付近の±10%RHの範囲内に維持しつつ、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも60mg、好ましくは少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる。好適には、水和高吸水性ポリマーのそのような緩衝能力により、閉鎖された容器内の平衡相対湿度レベルは、たとえ、水分及び/又は液体に対する容器の特定の透過性、又は容器内に存在する少なくとも1つの繊細な製品の含水率の影響などの不安定要因が存在する場合でも、±10%RH以下の範囲内に維持されることを確実にする。
【0049】
本発明の別の主題は、医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの、少なくとも1つの繊細な製品をその内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHに維持するための、前述の湿度制御装置の使用であり、少なくとも1つの繊細な製品を収容する容器の閉鎖状態において、湿度制御装置は、水蒸気を容器の内容積及び少なくとも1つの繊細な製品と交換するように構成される。
【0050】
特に、一実施形態は、医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの、少なくとも1つの繊細な製品をその内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHのより広い相対湿度範囲内の±10%RHの制限された範囲内に維持するための、前述の湿度制御装置の使用に関し、少なくとも1つの繊細な製品を収容する容器の閉鎖状態において、湿度制御装置は、容器の内容積及び少なくとも1つの繊細な製品と水蒸気を交換するように構成される。これは、例えば、閉鎖された容器内の平衡相対湿度を±10%RH以下の範囲に維持しながら、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも60mg、好ましくは少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる、適切な緩衝能力を伴う水和高吸水性ポリマーを選択することによって達成され得る。
【0051】
本発明の更なる主題は、少なくとも1つの大麻製品をその内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~65%RH、好ましくは50%RH~65%RHに維持するための、前述の湿度制御装置の使用であり、少なくとも1つの大麻製品を収容する容器の閉鎖状態において、湿度制御装置は、容器の内容積及び少なくとも1つの大麻製品と水蒸気を交換するように構成される。
【0052】
本発明の更なる主題は、少なくとも1つのソフトゲルカプセル又はグミ剤形をその内容積内に備える容器内で、相対湿度を45%RH~70%RH、好ましくは60%RH~70%RHに維持するための、前述の湿度制御装置の使用であり、少なくとも1つのソフトゲルカプセル又はグミ剤形を収容する容器の閉鎖状態において、湿度制御装置は、容器の内容積及び少なくとも1つのソフトゲルカプセル又はグミ剤形と水蒸気を交換するように構成される。
【0053】
本発明の別の主題は、前述のような湿度制御装置を製造する方法であり、上記方法は、
a)エンベロープを用意するステップと、
b)エンベロープの少なくとも一部に、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率以下の既知の含水率を有する所与の重量の高吸水性ポリマーを導入するステップと、
c)高吸水性ポリマーの既知の含水率が、湿度制御装置の目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率よりも低い場合に、所与の重量の水をエンベロープの少なくとも一部に導入するステップと、
d)任意選択的に、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率を有する所望の重量の水和高吸水性ポリマーがエンベロープの少なくとも一部に受け入れられるまで、ステップb)及びステップc)を繰り返すステップと、
を含む。
上記の方法では、ステップb)及びc)は、任意のシーケンス順序で、又は並行して実行することができる。
上記の方法では、ステップa)において、エンベロープは開放形態で用意されてもよい。その後、方法は、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率を有する所望の重量の水和高吸水性ポリマーが開いたエンベロープの少なくとも一部に受け入れられた時点で、水和高吸水性ポリマーがエンベロープの内側に保持されるようにエンベロープを閉じる更なるステップを含んでもよい。
【0054】
上記の湿度制御装置の製造方法の1つの特徴によれば、水和高吸水性ポリマーは、粉末形態、顆粒形態、及び/又は固体凝集形態である。好ましくは、高吸水性ポリマーは、その初期状態では粉末形態、顆粒形態及び/又は固体凝集形態であり、その含水率は、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率よりも低く、その最終的な水和状態では、その含水率は目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する。
【0055】
製造方法の第1の実施形態において、高吸水性ポリマーは、その含水率が目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率よりも厳密に低い状態で、好ましくは実質的に乾燥した状態で、エンベロープの少なくとも一部に導入される。エンベロープを充填する際に実質的に乾燥した高吸水性ポリマーを使用すると、特にエンベロープに導入されるべき高吸水性ポリマーの用量が容積計量装置を使用して調製される場合、注入が容易になり、注入精度が向上する。それは、これにより、粒子サイズ、したがって高吸水性ポリマーの嵩密度の良好な制御が確保されるからである。
【0056】
第1の実施形態に係る製造方法は、高吸水性ポリマーをその含水率が比較的低い状態でエンベロープに導入するのがより容易になるという点で特に有利である。これは、含水率が高くなるにつれて高吸水性ポリマーの粘性や粘着性が増大し、それにより、製造ラインでの適切な取り扱いが妨げられる可能性があるからである。例えば、高吸水性ポリマーAPROPACK G300、FAVOR PAC593、又はFAVOR PAC610は、良好な流動性を伴う粉末又は顆粒形態に対応する含水率が8%以下の高吸水性ポリマーの実質的に乾燥した状態である市販の状態でエンベロープに導入することができる。
【0057】
第1の実施形態に係る製造方法では、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する調整された含水率は、湿度制御装置の最終エンベロープ内の湿度制御剤に水を直接その場で供給することによって達成され、高吸水性ポリマーは、上記調整された含水率よりも厳密に低い初期含水率を有し、加えられた水を吸収するように構成される。水和高吸水性ポリマーが湿度制御装置のエンベロープ内でその場で調製される、そのような湿度制御装置の製造方法は、幾つかの利点を有する。第1に、目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する上記調整された含水率を有する中間製品として、一定量の水和高吸水性ポリマーが予め調製され、この高吸水性ポリマーが湿度制御装置の幾つかのエンベロープに連続的に分配される方法と比較して、前述の方法は、予備的なプロセスステップを排除し、中間製品を保管したり分配したりする必要がなくなる。また、上記の方法では、中間製品の含水率、したがって対応する目標平衡相対湿度レベル(ERHi)の任意のドリフトを回避するために、適切な梱包及び保管条件を定義する必要もなくなる。これにより、品質リスクが軽減され、コストが削減される。
【0058】
第1の実施形態に係る製造方法の他の利点は、エンベロープ内に導入される高吸水性ポリマーの初期含水率にしたがって湿度制御装置のエンベロープ内に添加されるべき水の量を正確に調整できるという点である。特に、連続するエンベロープに導入されるべき高吸水性ポリマーの初期含水率は、製造ラインで使用される高吸水性ポリマーの新しいバッチごとに、又は更には連続的に測定することができ、一方、1つのエンベロープに添加されるべき水の量は、例えば上記エンベロープ内に導入された高吸水性ポリマーについて測定された初期含水率にしたがって自動的に調整される。湿度制御装置のエンベロープの容積が比較的小さいため、水和高吸水性ポリマーをエンベロープ内でその場で調製する上記の方法は、水和高吸水性ポリマーを得るための混合又は均質化工程の必要性も排除する。各エンベロープに導入される水及び高吸水性ポリマーの量が比較的少ないため、混合していない場合でも、水は高吸水性ポリマーに対して十分に分散される傾向がある。
【0059】
第1の実施形態に係る製造方法の1つの特徴によれば、エンベロープの少なくとも一部に水が液体の状態で導入され、それにより、高吸水性ポリマーに添加する水の量、したがって最終的な水和高吸水性ポリマーの含水率を容易かつ正確に制御することができる。
【0060】
第1の実施形態に係る製造方法の1つの特徴によれば、所与の重量の水及び所与の重量の高吸水性ポリマーは、高吸水性ポリマーによって水が吸収されるのに必要な時間がエンベロープの少なくとも一部から水が漏れるのに必要な時間よりも短くなるような速度で、エンベロープの少なくとも一部に導入される。
【0061】
第1の実施形態に係る製造方法の1つの実施によれば、ある用量の高吸水性ポリマーは、液体状態のある用量の水がエンベロープの少なくとも一部に導入される前に、エンベロープの少なくとも一部に導入される。これは、例えば、湿度制御バッグ又はパケットの製造のために実施することができ、この場合、高吸水性ポリマーの用量は、不織材料の部分的に溶着されたチューブによって形成された開いたエンベロープ内に実質的に乾燥した状態で有利に導入され、その後、水の容量がエンベロープに加えられ得る。このようにして、水が漏れるのに必要な時間よりも速く高吸水性ポリマーによって水が吸収されるため、バッグ又はパケットの開いたエンベロープの多孔質材料を通じた液体水の漏れを回避することができる。
【0062】
第1の実施形態に係る製造方法の別の実施によれば、ある用量の高吸水性ポリマーがエンベロープの少なくとも一部に導入される前に、ある用量の液体状態の水がエンベロープの少なくとも一部に導入される。これは、例えば、湿度制御カプセル、キャニスタ、又はストッパの製造のために実施することができ、この場合、水の用量を、エンベロープの一部を形成する熱可塑性本体に有利に導入することができ、その後、熱可塑性本体をガス透過性のカバーで閉鎖する前に、高吸水性ポリマーの用量を熱可塑性本体に添加することができる。このようにして、小さな本体内に既に存在する高吸水性ポリマーの層に水を注入する場合に起こり得る、制御されない水の損失を回避することができる。更に、高吸水性ポリマーの体積膨張は、ガス透過性カバーの配置を妨げないように、より適切に制御することができる。
【0063】
製造方法の第2の実施形態において、高吸水性ポリマーは、その含水率が湿度制御装置の目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する水和状態で、エンベロープの少なくとも一部に直接導入される。この場合、エンベロープに水を加える必要はなく、所望の重量の水和高吸水性ポリマーをエンベロープに直接挿入することができる。
【0064】
1つの特徴によれば、前述の製造方法によって得られる複数の湿度制御装置が、液密及び防湿の保管パッケージ内に一緒にまとめられる。保管パッケージ内で一緒にまとめられる湿度制御装置の数は、好適には50よりも多く、好ましくは100よりも多い。複数の湿度制御装置を同じ防湿保管パッケージ内に保管することにより、保管パッケージ内に受け入れられた全ての湿度制御装置間で水分が平衡化可能になり、それにより、ある湿度制御装置から別の湿度制御装置への含水率の変化が滑らかになる。このようにして、各湿度制御装置の含水率及び目標平衡相対湿度レベル(ERHi)における許容範囲は、各湿度制御装置が個別にパッケージ化される場合に得られる許容範囲と比べて狭められる。
【0065】
一実施形態において、保管パッケージは、ガスバリア特性を与える少なくとも1つのバリア層、例えばアルミニウム層、及び少なくとも1つのヒートシール可能な層、例えば、ポリエチレン層を有する多層材料を備えるヒートシール可能なパッケージであってもよい。好適には、保管パッケージの材料は、ASTM E398にしたがって評価される0.1g/m2-day(38℃、90%RH)未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する。
【0066】
本発明の特徴及び利点は、本発明に係る湿度制御装置の実施形態の以下の説明から明らかになり、この説明は単に例として、添付図面に関連して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る湿度制御カプセルの斜視図である。
【
図3】複数の栄養補助食品グミを収容する閉鎖可能なボトルと、ボトル内の相対湿度を目標平衡相対湿度レベル付近の所与の範囲内に維持するための
図1の湿度制御カプセルの断面図である。
【
図4】
図1に示される湿度制御カプセルの経時的な相対湿度レベルの漸進的変化のグラフであり、カプセルの水和高吸水性ポリマーの含水率は、60%RH程度の第1の目標平衡相対湿度レベルに対応し、相対湿度レベルの経時的な漸進的変化は、それぞれが1.5gの水和高吸水性ポリマーを収容する、20個の湿度制御カプセルを、300mLの容積を有する空の防湿閉鎖ガラス容器に入れることによって測定された、グラフである。
【
図5】
図1に示される湿度制御カプセルの経時的な相対湿度レベルの漸進的変化の
図4と同様のグラフであり、カプセルの水和高吸水性ポリマーの含水率は、70%RH程度の第2の目標平衡相対湿度レベルに対応し、経時的な相対湿度レベルの漸進的変化は、それぞれが1.5gの水和高吸水性ポリマーを収容する、20個の湿度制御カプセルを、300mLの容積を有する空の防湿閉鎖ガラス容器に入れることによって測定された、グラフである。
【
図6】
図1と同様の湿度制御カプセルを製造し、それらのカプセルを液密及び防湿の保管パッケージ内にパッケージングするための製造ラインの概略上面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る湿度制御バッグの斜視図である。
【
図9】複数の大麻の花を収容する閉鎖可能なポーチ、及びポーチ内の相対湿度を目標平衡相対湿度レベル付近の所与の範囲内に維持するための
図7の湿度制御バッグの斜視図である。
【
図10】
図7に示される湿度制御バッグの経時的な相対湿度レベルの漸進的変化のグラフであり、バッグの水和高吸水性ポリマーの含水率は、60%RH程度の目標平衡相対湿度レベルに対応し、経時的な相対湿度レベルの漸進的変化は、105gの水和高吸水性ポリマーを収容する1つの湿度制御バッグを、1.5Lの容積を有する空の防湿閉鎖ガラス容器に入れることによって測定された、グラフである。
【
図11】
図7と同様の湿度制御バッグを製造し、それらのバッグを液密及び防湿の保管パッケージ内にパッケージングするための製造ラインの概略側面図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係る湿度制御キャニスタの斜視図である。
【
図14】本発明の第4の実施形態に係る湿度制御閉鎖体の斜視図である。
【
図15】薬剤容器を密閉する閉鎖体の
図14の平面XVに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1~
図6に示す第1の実施形態では、湿度制御装置は、繊細な製品が保管されるパッケージ内に落下されるようになっているカプセル1である。例として、
図3に示すように、カプセル1は、栄養補助食品グミ81(「グミ剤形」とも呼ばれる)を収容するボトル91内の湿度を制御するように構成され得る。グミは、丸薬や錠剤を飲み込むのが難しい患者、特に高齢の患者にとって有用な経口投与形態である。配合に応じて、グミの性状と感覚刺激特性は、相対湿度45%RH~70%RHの環境で最も良く保たれ得る。一般に、40%RH未満ではグミが硬くなりすぎる場合があり、70%RHを超えると、有効成分が分解されたり及び/又は粘着性が高くなりすぎたりする可能性がある。
【0069】
この例では、グミ81の最適な保管及び保存寿命を確保するために、湿度制御カプセル1は、ボトル91内の相対湿度を45%RH~70%RHの上記範囲内で選択される所与の平衡相対湿度レベルERHg付近の±10%RHの範囲内に維持するように構成される。本発明によれば、カプセル1の湿度制御剤は、その高い緩衝能力のおかげで±10%RHの上記範囲内に保つことが可能な、水和高吸水性ポリマー6である。
【0070】
図4及び
図5は、2つの異なるタイプのカプセル1で得られる湿度の調整を示しており、カプセルは、第1の目標平衡相対湿度レベルERH
1=58.4%RHを伴う第1のタイプのカプセル1と、第2の目標平衡相対湿度レベルERH
2=69.5%RHを伴う第2のタイプのカプセル1とを備える。異なる目標ERH値を伴う湿度制御カプセル1を設けることは、例えば、栄養補助食品会社が異なる相対湿度レベルで保管されるようになっている異なる配合のグミを有する場合に有用であり得る。
【0071】
図4及び
図5の2つのタイプのカプセル1は、
図1及び
図2に示すように、エンベロープ10と、エンベロープ10の内部に配置された水和高吸水性ポリマー6とを備える同一の構造を有する。エンベロープ10は、水和高吸水性ポリマー6を受け入れるための容積を画定する底壁12及び側壁13を伴う管状のカプセル本体11と、水和高吸水性ポリマー6がエンベロープ内に保持されるようにカプセル本体11を閉じるように構成されるガス透過性カバー16とを備える。
図4及び
図5に示される2つのタイプのカプセル1は、以下に詳述するように、エンベロープ10内に収容される水和高吸水性ポリマー6の含水率のみが互いに異なる。
【0072】
非限定的な例として、その調整プロファイルが
図4又は
図5に示されている各カプセル1に関して、カプセル本体11はポリプロピレン製の射出成形部品であり、ガス透過性カバー16は、圧着された側壁13のより薄い延在部15によってカプセル本体の肩部14に対して接触して保持されるボール紙ディスクであり、各カプセル1は、所与の重量w
wの液体水と所与の重量w
pのAprotek社が販売する製品APROPACK G300(ポリアクリル酸ナトリウム)とをカプセル内に挿入することによって調製された1.5gの水和高吸水性ポリマー6を収容し、この場合、所与の重量w
w、w
pの液体水及びAPROPACK G300は、得られる水和高吸水性ポリマーが目標平衡相対湿度レベルERH
1又はERH
2に対応する含水率を有するように決定される。
【0073】
より具体的には、目標平衡相対湿度レベルERH
1=58.4%RHに対応する、その調整プロファイルが
図4に示されているカプセル1の場合、エンベロープ10の内側に配置された水和高吸水性ポリマー6の含水率は45.2%であり、この含水率は、7.75%の初期含水率を有する重量w
p1=0.974gの製品APROPACK G300及び重量w
w1=0.365gの液体水をカプセル本体に導入することによって得られた。目標平衡相対湿度レベルERH
2=69.5%RHに対応する、その調整プロファイルが
図5に示されているカプセル1の場合、エンベロープ10の内側に配置された水和高吸水性ポリマー6の含水率は59.2%であり、この含水率は、7.75%の初期含水率を有する重量w
P2=0.981gの製品APROPACK G300及び重量w
W2=0.504gの液体水をカプセル本体に導入することによって得られた。
【0074】
このようにして得られた各カプセル1は、筐体内の相対湿度を目標平衡相対湿度レベルERH1又はERH2付近の±10%RHの範囲内に依然として維持しつつ、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる。この緩衝能力は、カプセルの水和高吸水性ポリマー6によって与えられる特性であり、たとえ、ボトルの水分に対する特定の透過性、又はボトル内に同じく存在するグミ91の含水率の影響などの不安定要因が存在する場合でも、ボトル91内の相対湿度が平衡相対湿度レベル付近の±10%RHの範囲内に維持されることを確実にする。
【0075】
より正確には、ERH1=58.4%RHに対応する45.2%の含水率を伴う水和高吸水性ポリマー6を有する第1のタイプのカプセル1の場合、測定により、ERH1+10%RHに達する前に各カプセルが周囲から140mgの水蒸気を吸収でき、ERH1-10%RHに達する前に各カプセルが135mgの水蒸気を周囲に放出できることが分かる。ERH2=69.5%RHに対応する59.2%の含水率を伴う水和高吸水性ポリマー6を有する第2のタイプのカプセル1の場合、測定により、ERH2+10%RHに達する前に各カプセルが周囲から230mgの水蒸気を吸収でき、ERH2-10%RHに達する前に各カプセルが140mgの水蒸気を周囲に放出できることが分かる。
【0076】
更に、
図4及び
図5に見られるように、このようにして得られた2つのタイプのカプセル1のそれぞれに関して、±2%RH以内の目標平衡相対湿度レベルERH
1又はERH
2に到達するのに必要な時間は、前述した測定条件で、すなわち、閉鎖ガラス容器内の空気1リットル当たり100gの水和高吸水性ポリマーに対応する300mLの容積を有する空の防湿閉鎖ガラス容器内に20個の湿度制御カプセル1が配置される測定条件で、2時間未満である。より正確には、測定により、ERH
1=58.4%RHに対応する45.2%の含水率を伴う水和高吸水性ポリマー6を有する第1のタイプのカプセル1の場合、32分未満で値ERH
1-2%RH=56.4%RHに達し、一方、ERH
2=69.5%RHに対応する59.2%の含水率を伴う水和高吸水性ポリマー6を有する第2のタイプのカプセル1の場合、50分未満で値ERH
2-2%RH=67.5%RHに到達することが分かる。
【0077】
図6は、前述した湿度制御カプセル1を製造するための製造ライン2の一例を概略的に示す。
図6に示すように、製造ライン2では、カプセル1を組み立ててパッケージングするための連続工程が連続的に実行される。すなわち、各カプセル本体11が連続ステーション22~25で充填されて閉鎖され、各カプセル1はマーキングステーション27でマーキングされ、各カプセル1は、マーキング品質、圧着品質、任意の視覚的欠陥の存在などの様々な品質属性に関して、制御ステーション28で制御され、各カプセル1は回転ドラム29を通じてレセプタクル200に向かって搬送され、このレセプタクルには、湿度制御装置として使用される前のカプセルの保管に適した取り外し可能な保管パッケージ202が配置される。
【0078】
保管パッケージ202は、複数のカプセル1、例えば1000個のカプセルを、レセプタクル200から取り出されて密閉される前に受け入れるように設計される。密閉形態では、保管パッケージ202は、液密であり防湿である。一実施形態において、保管パッケージ202は、ガスバリア特性を与える少なくとも1つのバリア層、例えばアルミニウム層、及び少なくとも1つのヒートシール可能な層、例えば、ポリエチレン層を備える多層材料から作られたヒートシール可能なポーチである。保管パッケージ202の材料は、好適には、ASTM E398にしたがって評価される0.1g/m2-day(38℃、90%RH)未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する。複数の湿度制御カプセル1を同一の防湿保管パッケージ202内に保管することにより、保管パッケージ内に受け入れられた全てのカプセル1間で水分が平衡化可能になり、それにより、あるカプセル1から別のカプセル1への含水率の変化が滑らかになる。このようにして、各湿度制御カプセル1の含水率及び目標平衡相対湿度レベルERHiにおける許容範囲は、各カプセル1が個別にパッケージ化される場合に得られる許容範囲と比べて狭められる。
【0079】
図6に示されるように、製造ライン2は、振動ボウル20からカプセル本体11を受け、カプセル本体11をそれらが充填及び閉鎖される連続ステーションを通じて移動させるためのカルーセル21を備える。各カプセル本体11には、まず水充填ステーション22において所与の重量w
wの液体水が充填され、次にポリマー充填ステーション23において所与の重量w
pの高吸水性ポリマーが充填される。上記で説明したように、所与の重量w
w及びw
pは、得られる水和高吸水性ポリマーが目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する含水率を有するように決定される。
【0080】
例として、その調整プロファイルが
図4及び
図5にそれぞれ示されているカプセル1の製造の場合には、値w
w1及びw
w2がそれぞれ、水充填ステーション22のための入力パラメータとして入力されるのに対し、値w
p1及びw
p2がそれぞれ、ポリマー充填ステーション23のための入力パラメータとして入力される。ポリマー充填ステーション23では、製品APROPACK G300が、実質的に乾燥した状態である、例えば前述したように7.75%の含水率を伴う市販の状態で提供される。カプセル本体11内に導入される上記所与の重量w
pの高吸水性ポリマーの各用量は、自動計量装置を使用して有利に調製され得る。
【0081】
図示の実施形態では、カプセル本体11のサイズが小さいため、制御されない水の損失を回避するために、高吸水性ポリマーの注入前に水の用量をカプセル本体に導入することが有利である。小さなカプセル本体11内に既に存在する高吸水性ポリマーの層に水を注入する場合、水がカプセル本体の外に跳ね返る危険性があり、それにより、結果として得られる水和高吸水性ポリマーの含水率を完全に制御することができない。しかしながら、本発明の変形例では、例えば高吸水性ポリマーの性質及び/又は水及びポリマーの用量を受け入れるエンベロープ部分の形状及び体積に応じて、水充填及びポリマー充填のステップが逆にされ又は任意のシーケンス順序で実施されてもよく、或いは、水和高吸水性ポリマー中の水の均一な分布にとって有利となり得るサンドイッチ構造を形成するために、水充填とポリマー充填の幾つかの交互のステップが存在してもよいことが理解される。
【0082】
所与の重量の水及び高吸水性ポリマーが充填されると、各カプセル本体11は、カルーセル21によって閉鎖ステーション24に移動され、そこでボール紙ディスク16が打ち抜かれて充填されたカプセル本体11の上端に適用されて肩部14に当接する。その後、カプセル本体11がカルーセル21によって圧着ステーション25に移動され、そこでカプセル本体のより薄い上端延在部15が圧着され、その結果、ボール紙ディスク16は、その外周で保持されて、水和高吸水性ポリマーがカプセル本体11内に保持されるようにカプセル本体11を閉じる。次に、カルーセル21は、充填されて閉鎖されたカプセル1をコンベア26上に置き、コンベア26は、各カプセル1をマーキングステーション27と制御ステーション28とを通じて連続的に移動させ、制御ステーション28では、各カプセル1の品質属性がカメラによって制御される。次に、コンベア26は、カプセル1を回転ドラム29に送り、回転ドラム29からカプセル1がレセプタクル200の取り外し可能な保管パッケージ202に落下する。好適には、回転ドラムは、カプセル1のある程度の混合を確保し、これは、カプセル内の水和高吸水性ポリマー6の均一性にとって有益であり得る。
【0083】
上記の説明から分かるように、本発明に係る湿度制御カプセル1の製造方法は、粒状乾燥剤を充填したカプセルを製造する既存の方法と非常に類似している。興味深いことに、特に有効成分を水和する更なるステップが既存の製造ラインに簡単に組み込まれるため、そのような製造方法の実施には既存の製造ラインの大規模な変更が必要ない。
【0084】
図7~
図11に示される第2の実施形態において、湿度制御装置は、繊細な製品を保管するパッケージの中に落下されるようになっているバッグ3である。例として、
図9に示されるように、バッグ3は、大麻の花又はつぼみ83を収容するポーチ93内の湿度を制御することを目的とすることができる。大麻の花の品質は、50%RH~65%RHの相対湿度を伴う環境で最も良く保たれる。この例では、大麻の花83の最適な保管及び保存寿命を確保するために、湿度制御バッグ3は、ポーチ93内の相対湿度を60%RH程度の所与の平衡相対湿度レベルERHg付近の±10%RHの範囲内に維持するように構成される。
【0085】
図7及び
図8に示されるように、バッグ3は、エンベロープ30と、エンベロープ30の内側に配置された湿度制御剤6とを備える。本発明によれば、湿度制御剤は、エンベロープ30の内側に保持された水和高吸水性ポリマー6である。エンベロープ30は、水和高吸水性ポリマー6を受け入れるための容積を画定するような形状のガス透過膜31によって形成される。
図7及び
図8に示される例において、エンベロープ30は、縦方向シール33と2つの側面シール37、38とを備える。バッグ3のエンベロープ30内に収容される水和高吸水性ポリマー6は、バッグ3の目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する調整された含水率を有するように調製される。水和高吸水性ポリマー6は、その高い緩衝能力のおかげで目標平衡相対湿度レベルERHi付近の±10%RHの範囲内に留まることを可能にする。
【0086】
図10は、目標平衡相対湿度レベルERHi=60.4%RHに湿度を制御するように構成されるバッグ3について得られる湿度の調整を示す。非限定的な例として、その調整プロファイルが
図10に示されているバッグ3の場合、エンベロープのガス透過膜31は、
図7及び
図8に示すように縦方向シール33及び2つの側面シール37、38で溶着されるUnisel社によって販売されるポリエチレンテレフタレート(PET)繊維とポリプロピレン(PP)繊維を備えるスパンボンド不織布BT060UWであり、バッグ3は105gの水和高吸水性ポリマー6を収容し、この水和高吸水性ポリマー6は、上記ERHi=60.4%RHに対応する46.8%の水和高吸水性ポリマー6の含水率に達するように、7.75%の初期含水率を有するAprotek社により販売される所与の重量w
pの製品APROPACK G300(ポリアクリル酸ナトリウム)に所与の重量w
wの液体水を加えることによってエンベロープ30内へのその挿入前に予め調製されている。例えば、46.8%の含水率を伴う5kgの水和高吸水性ポリマー6を調製するために、重量w
w=1.41kgの液体水が、7.75%の初期含水率を有する重量w
p=3.59kgの製品APROPACK G300と混合される。
【0087】
このようにして得られたバッグ3は、ポーチ93内の相対湿度を平衡相対湿度レベル付近の±10%RHの範囲内に依然として維持しながら、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる。更に、
図10に見られるように、目標平衡相対湿度レベルERHi=60.4%RH(±2%RH以内)に到達するのに必要な時間は、上記の測定条件で、つまり、閉鎖ガラス容器内の空気1リットル当たり105gの水和高吸水性ポリマーに相当する容量1.5Lの空の防湿閉鎖ガラス容器に1つのバッグ3が入れられる測定条件で、2時間未満である。より正確には、14分未満で値ERHi-2%RH=58.4%RHに達する。
【0088】
なお、エンベロープ30のスパンボンド不織布BT060UWは、標準試験法ASTM D737に準拠したフラジール試験法を用いて測定したフラジール空気透過性が15±6cm3.cm-2.s-1である。この不織布BT060UWから、外寸70mm×100mm、総内容積約80cm3のエンベロープを作製する試験を行なった。このエンベロープは、エンベロープの外面に液体水が漏れることなく、約50mL(すなわち、エンベロープの総内容積の約2/3)の液体水で2.5mL/秒の速度で満たされた。
【0089】
図11は、前述した湿度制御バッグ3を製造するための連続製造ライン4の一例を概略的に示す。この第2の実施形態では、目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する適切な含水率を有する水和高吸水性ポリマー6が、予め調製されて、タンク(図示せず)に貯蔵され、そこから充填ステーション45に供給される。このようにして、適切な含水率を有する所望の重量の水和高吸水性ポリマー6を、エンベロープ内に更に水を加える必要なく、充填ステーション45内の各バッグ3のエンベロープ30に直接挿入することができる。この例において、上記適切な含水率を有する水和高吸水性ポリマー6は良好な流動性を示す。しかしながら、他の実施形態において、特に、適切な含水率を有する水和高吸水性ポリマーがその粘性又は粘着性に起因して適切に取り扱うことができない場合、高吸水性ポリマーが、目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する含水率よりも厳密にその含水率が低い状態で、各バッグ3のエンベロープ30内に導入されてもよく、その後、目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する上記含水率に達するようにエンベロープ内に水が添加されることが理解される。
【0090】
図11に示されるように、湿度制御バッグ3を組み立ててパッケージングするための連続工程が製造ライン4で実行される。まず、連続バッグ3のエンベロープ30が成形され、部分的に密閉され、開放形態で充填ステーション45に搬入される。この目的のために、不織材料31の細長いウェブが、リール41から供給されて、マンドレル42の周りに巻き付けられて、縦方向に重なるシール領域を備える管状の形状になる。次いで、不織材料のウェブ31を、縦方向溶着ステーション43内で、例えば超音波溶着によって溶着することにより、重なり合う領域で縦方向シール33が形成される。
【0091】
縦方向シール33が縦方向溶着ステーション43で形成されるのと同時に、各バッグ3のエンベロープ30は、縦方向溶着ステーション43の反対側に位置するマーキングステーション44でマーキングされる。その後、不織材料のチューブ31は、縦方向溶着ステーション43の下流側に位置する横方向溶着ステーション46に向かって前進され、横方向溶着ステーション46において、不織材料のウェブ31を例えば超音波溶着により縦方向シール33に対して横方向に溶着することによって、横方向シールが形成される。横方向溶着ステーション46で形成される横方向シールは、充填ステーション45で水和高吸水性ポリマー6が充填されるべき上流側のバッグ3の第1の側面シール37と、充填ステーション45において水和高吸水性ポリマー6が既に充填されている下流側のバッグ3の第2の側面シール38とを同時に形成するように設計される。
【0092】
横方向シールが横方向溶着ステーション46で形成されると、所望の重量の水和高吸水性ポリマー6が、充填ステーション45で受け入れられるバッグ3のエンベロープ30内に挿入される。前述したように、水和高吸水性ポリマー6は、目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する適切な含水率で充填ステーション45に直接供給される。充填ステーション45に受け入れられるバッグ3は、所望の重量の水和高吸水性ポリマー6が充填されると、その下流側端部が横方向溶着ステーション46の下流側に位置する切断ステーション47に到達するまで前進され、この位置で、その開放した上流側端部が横方向溶着ステーション46に受け入れられる。
【0093】
次いで、新しい横方向シールが横方向溶着ステーション46内で形成され、これにより、バッグ3の上流側端部を閉じるためにバッグ3の第2の側面シール38が形成される。前述したように、横方向溶着ステーション46で形成される横方向シールは、充填ステーション45で水和高吸水性ポリマー6が充填されるべき上流側のバッグ3の第1の側面シール37も形成する。バッグ3の上流側端部が横方向溶着ステーション46で閉じられる間、バッグ3と下流側のバッグ3との間の接合部も切断ステーション47で切断され、これにより、バッグ3の第1の側面シール37が下流側のバッグ3の第2の側面シール38から分離される。次のステップでは、バッグ3の第2の側面シール38が切断ステーション47に到達し、切断ステーション47では、バッグ3と上流側のバッグ3との間の接合部が切断される。したがって、水和高吸水性ポリマー6が充填されたバッグ3は、不織材料のウェブ31の残りの部分から分離され、バッグ3を製造ライン4の最後のステーションに移動させるように構成されたコンベア48上に落下する。
【0094】
コンベア上に受け入れられたバッグ3は、制御ステーション49内を移動し、この制御ステーション49において、各バッグ3は、マーキング品質、溶着品質、より一般的には視覚的欠陥の存在など、様々な品質属性についてオペレータによって目視検査される。次いで、各バッグ3は、コンベア48によって、例えばボール紙などのレセプタクル400に向かって移動され、このレセプタクル400内には、保管パッケージ402、例えば、ガスバリア特性を与える少なくとも1つのバリア層、例えばアルミニウム層、及びポリエチレン層などの少なくとも1つのヒートシール可能な層を備える多層材料から形成されるヒートシール可能なポーチが配置される。保管パッケージ402は、密閉される前の複数のバッグ3、例えば80個のバッグを受け入れるように設計される。密閉形態において、保管パッケージ402は液密及び防湿である。第1の実施形態と同様に、保管パッケージ402の材料は、好適には、ASTM E398にしたがって評価される0.1g/m2-day(38℃、90%RH)未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する。ここでも、複数の湿度制御バッグ3を同一の防湿保管パッケージ402内に保管することにより、水分が保管パッケージ内に受け入れられる全てのバッグ3間で平衡化可能であり、それにより、あるバッグ3から別のバッグ3への含水率の変化が滑らかになる。このようにして、各湿度制御バッグ3の含水率及び目標平衡相対湿度レベルERHiの許容範囲が狭められる。
【0095】
ここでも、本発明に係る湿度制御バッグ3の製造方法は、粒状乾燥剤を充填した既存のバッグ製造方法と非常に類似しており、その実施には既存の製造ラインの大規模な変更を必要としない。考慮すべき唯一の適応は、目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する適切な含水率を有する水和高吸水性ポリマー6の粘性に適合した充填ステーション45の設置であり、或いは、適切な含水率を有する水和高吸水性ポリマーをその粘性や粘着性に起因して適切に取り扱うことができない場合には、実質的に乾燥した状態の高吸水性ポリマーをバッグに充填するためのポリマー充填ステーションと水充填ステーションとを組み合わせた設備である。
【0096】
後者の場合、水充填ステーションは多くの異なる形態であり得ることに留意されたい。一実施形態において、水充填ステーションは、バッグに実質的に乾燥した状態の高吸水性ポリマーを充填するためのポリマー充填ステーションと並置されたステーションであってもよく、そのとき、両方のステーションは、
図11の充填ステーション45の位置に配置される可能性があり、この場合、水と実質的に乾燥した高吸水性ポリマーはいずれも、まだ開いたままの状態で各バッグのエンベロープ30内に挿入される。
【0097】
別の実施形態において、水充填ステーションは、ポリマー充填ステーション及び横方向溶着ステーション46の下流側に設けられてもよく、この場合、水は、エンベロープが実質的に乾燥した高吸水性ポリマーで充填されて密閉された後、各バッグのエンベロープ30内に挿入される。
【0098】
例えば、後者の実施形態において、水充填ステーションは、エンベロープの穴を通して注射器を用いて各バッグの充填されて密閉されたエンベロープ30内に液体水を注入し、所望の重量の液体水がエンベロープ内に注入された時点でその穴を溶着するための手段を備えることができ、或いは、水充填ステーションは、所望の重量の液体水が多孔質不織材料31を通じてエンベロープ30に入るように液体水を各バッグの充填されて密閉されたエンベロープ30上に投射又は噴射するための手段を備えてもよく、例えば、コンベア48に沿ってトンネルを設けて、コンベアの速度に適合させた所定量の液体水をバッグ上に投射し、多孔質不織材料31を通じてエンベロープ30内に所望の重量の液体水が入るようにしてもよく、或いは、水充填ステーションは、液体水で満たされたタンク内に各バッグの充填されて密閉されたエンベロープ30を、多孔質不織材料31を通じてエンベロープ30内に所望の重量の液体水が入るのに適した時間にわたって浸漬するための手段を備えてもよい。
【0099】
図12及び
図13に示される第3の実施形態では、湿度制御装置がキャニスタ5である。キャニスタ5は、第1の実施形態のカプセル1や第2の実施形態のバッグ3と同様に、ボトル、ポーチ、又はその他のタイプの容器など、繊細な製品を保管する容器(図示せず)内に落下されるようになっている。キャニスタ5は、容器内の相対湿度を繊細な製品の保管に適した所与の平衡相対湿度レベル付近の所与の範囲内に維持するように構成される。この目的のために、キャニスタ5のエンベロープ50は、目標平衡相対湿度レベルに対応する調整された含水率を有する水和高吸水性ポリマー6を収容する。
【0100】
図12及び
図13に示されるように、キャニスタ5のエンベロープ50は、管状本体51及びガス透過性キャップ56を備え、これらはポリエチレンなどの熱可塑性材料の射出成形によって有利に得ることができる。ガス透過性キャップ56は、複数の穿孔58を備えており、
図13に示すように、例えば本体及びキャップの相補的なクリップ部材54及び57を使用してクリップすることによって管状本体51上に固定されるように構成される。管状本体51は、ガス透過性キャップ56によって閉じられる水和高吸水性ポリマー6を受け入れるための容積を画定する底壁52及び側壁53を備える。
【0101】
水和高吸水性ポリマー6の粒度(又は粒子サイズ)に応じて、パッケージ内に収容される製品を汚染する場合がある水和高吸水性ポリマー6の粒子が穿孔58を通じて漏れるのを避けるために、キャップ56の穿孔58を覆うために多孔質膜を使用することもできる。そのような粒子の逃散は、粒子のサイズが穿孔58のサイズよりも小さい場合に起こる場合がある。この場合、
図13の例に示すように、多孔質ディスク59、例えばDuPont社製のTYVEK等のポリエチレン繊維を含む不織布のディスクやガス透過性のボール紙のディスクをキャップ56の内面に当て付けて有利に配置することができる。特に、多孔質ディスク59は、ディスク59をキャップ56に挿入することによって、又はディスク59の周囲にキャップ56をオーバーモールドすることによってキャップ56と組み付けられ得る。
【0102】
図14及び
図15に示される第4の実施形態において、湿度制御装置は、医薬品又は栄養補助食品の容器など、繊細な製品が保管される容器97の開口を閉じるようになっている閉鎖体7である。閉鎖体7は、容器97内の相対湿度を繊細な製品の保管に適した所与の平衡相対湿度レベル付近の所与の範囲内に維持するように水蒸気を容器97の内容積と交換するように構成される。この目的のために、閉鎖体は、目標平衡相対湿度レベルに対応する調整された含水率を有する水和高吸水性ポリマー6を受け入れるためのエンベロープ70を画定する。
【0103】
より正確には、エンベロープ70は、閉鎖体の上壁72と、上壁72から突出する環状壁73とを備え、これにより、水和高吸水性ポリマー6を受け入れるための中空体71を画定する。中空体71は、水和高吸水性ポリマー6を中空体の内部に保持するガス透過性カバー76によって閉鎖される。図示の例において、ガス透過性カバー76は、圧着された環状壁73のより薄い延在部75によってその外周が肩部74に接触して保持されるボール紙である。
図15に示すように、閉鎖体7が容器97上で閉じられると、環状壁73が容器97の内側に向かって延び、それにより、容器97の内容積と水和高吸水性ポリマー6との間で水蒸気を交換できるようになる。
【0104】
また、閉鎖体7はシールスカート77も備え、シールスカート77は、上壁72から延在し、その開口を取り囲む容器97の内壁面とのシール接触を確立するように構成される。シールスカート77の径方向外側で、シールスカート77に対して同心円状に配置されるのが外側リム78である。リム78は、例えば、シールスカート77と協働して、その開口を取り囲む容器97の壁との防湿シールを確立することができる。リム78は、エンドユーザに最初の開封を視覚的に示すために不正開封防止リングに接続することもできる。リム78は、エンドユーザによる容器97の開封を容易にする表面、空洞、又は任意の形状を備えることもできる。
【0105】
本発明は、説明されて図示された例に限定されない。
【0106】
特に、本発明に係る湿度制御装置の場合、第2の実施形態のバッグの例に示されるように、水和高吸水性ポリマーは、目標平衡相対湿度レベルERHiに対応する適切な含水率を有する水和状態で装置のエンベロープ内に直接導入することができ、この選択肢は、カプセル、キャニスタ、又は閉鎖体についても考慮され得ることが理解され、或いは、水和高吸水性ポリマーは、その含水率が目標ERHiに対応する適切な含水率よりも低い状態で、特に実質的に乾燥した状態で、高吸水性ポリマーをエンベロープ内に導入するとともに、第1の実施形態のカプセルの例に示されるように、目標ERHiに対応する上記適切な含水率に達するようにエンベロープ内に液体水を加えることによって、装置のエンベロープ内でその場で調製することができ、この選択肢は、バッグ又はパケット、キャニスタ又は閉鎖体についても考慮され得ることが理解される。
【0107】
グミ又は大麻の花に関して上記で例示したもの以外の他の平衡相対湿度レベルも、45%RH~90%RHの広い範囲に含まれる、本発明に係る湿度制御装置で目標とすることもできる。更に、架橋ポリアクリル酸ナトリウムである、前の実施例で開示した製品APROPACK G300の代替品として、他の任意の高吸水性ポリマー、例えば他の任意の架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸カリウム、架橋コポリマーアクリルアミド/アクリル酸カリウム、又は天然高吸水性ポリマーを本発明に係る湿度制御装置で使用することができる。
【0108】
水和高吸水性ポリマーが湿度制御装置のエンベロープ内でその場で調製される、本発明に係る湿度制御装置の製造方法に関して、エンベロープ内への高吸水性ポリマー及び液体水の導入は、任意の数のステップにおいて任意のシーケンス順序で行なわれ得る。
【0109】
バッグやパケットの場合、エンベロープを密閉する前でも後でも、水がエンベロープ内に挿入されてもよい。特に、上で説明したように、液体水は、多くの可能な方法で、例えば、これらに限定されないが、液体水をエンベロープの穴を通じて注射器により充填されて密閉されたエンベロープに注入するとともに、所望の重量の液体水がエンベロープに注入された時点で穴を溶着することによって、所望の重量の液体水がエンベロープの多孔質不織材料を通じてエンベロープに入るように充填されて密閉されたエンベロープ上に液体水を投射又は噴射することによって、エンベロープの多孔質不織材料を通じてエンベロープ内に所望の重量の液体水が入るのに適した時間にわたって、充填されて密閉されたエンベロープを液体水で満たされたタンク内に浸漬することによって、湿度制御剤で満たされた密閉されたエンベロープに添加することができる。
【0110】
勿論、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まる他の多くの変形例が考慮され得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を吸収又は放出することによって筐体(91;93;97)内の相対湿度を所与の範囲内に維持するための湿度制御装置(1;3;5;7)であって、エンベロープ(10;30;50;70)と、前記エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、前記エンベロープ(10;30;50;70)が、液体耐水性及び水蒸気透過性であり、前記湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が前記湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように、水和高吸水性ポリマー(6)を含み、前記水和高吸水性ポリマー(6)は、密閉容器内で、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲にある目標平衡相対湿度レベル(ERHi)を与えるように選択される調整された含水率を有
し、前記水和高吸水性ポリマー(6)は、10%~150%、好ましくは10%~120%の調整された含水率を有し、前記水和高吸水性ポリマーの前記含水率は、乾燥高吸水性ポリマーの重量に対する水の重量の比率である、湿度制御装置(1;3;5;7)。
【請求項2】
前記湿度制御剤に含まれる前記乾燥高吸水性ポリマーの体積に対する前記湿度制御剤の体積の比率として定義される、前記エンベロープ(10;30;50;70)内に配置される前記湿度制御剤の膨張係数は、4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満である、請求項1に記載の湿度制御装置。
【請求項3】
前記エンベロープ(10;30;50;70)は、65%RHの相対湿度を伴う30℃の環境内で、24時間当たり20mgを超える、好ましくは24時間当たり50mgを超える水蒸気移動能力を有する、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項4】
前記液体耐水性エンベロープ(10;30;50;70)は、30cm
3.cm
-2.s
-1未満、好ましくは20cm
3.cm
-2.s
-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過性材料(31)からその全体が形成され、又は、少なくとも一部がガス不透過性材料(11;51;71)から形成されるとともに、少なくとも一部が30cm
3.cm
-2.s
-1未満、好ましくは20cm
3.cm
-2.s
-1未満のフラジール空気透過度を有するガス透過性材料(16;59;76)から形成される、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項5】
前記湿度制御剤に含まれる前記乾燥高吸水性ポリマーの体積に対する前記エンベロープ(10;30;50;70)の内容積の比率は、4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満である、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項6】
前記湿度制御剤の組成物中の前記高吸水性ポリマーは、平衡相対湿度がERH1=50%RHからERH2=80%RHまで増大されるときに、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり500mgを超える水を吸収する高吸水性ポリマーである、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項7】
前記水和高吸水性ポリマー(6)は、50%RH~80%RHの範囲にある前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記調整された含水率を伴って、筐体(91;93;97)内の相対湿度を前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)付近の±10%RHの範囲内に維持しながら、乾燥高吸水性ポリマー1グラム当たり少なくとも60mg、好ましくは少なくとも100mgの水蒸気を吸収又は放出することができる、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項8】
前記高吸水性ポリマーが、架橋合成(コ)ポリマーをベースとする、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項9】
前記高吸水性ポリマーは、架橋ポリアクリル酸ナトリウム、架橋ポリアクリル酸カリウム、架橋コポリマーアクリルアミド/アクリル酸カリウムなどの、部分的又は完全に塩化されたアクリル酸モノマーによって担持されるアニオン電荷を含むポリマーである、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項10】
前記湿度制御装置(1;3;5;7)を備える筐体(91;93;97)内で±2%RH以内の前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に到達する時間は、24時間未満、好ましくは6時間未満、より好ましくは2時間未満である、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項11】
湿度制御カプセル(1)又はキャニスタ(5)の形態を成し、前記液体耐水性エンベロープ(10;50)は、前記水和高吸水性ポリマーを受け入れるように構成されるガス不透過性本体(11;51)と、前記水和高吸水性ポリマー(6)が前記エンベロープの内側に保持されるように前記本体を閉じるべく構成される少なくとも1つのガス透過性カバー(16;56、59)とを備える、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項12】
容器の開口を閉じるようになっている湿度制御閉鎖体(7)の形態を成し、前記液体耐水性エンベロープ(70)は、前記水和高吸水性ポリマーを受け入れるように構成されるガス不透過性本体(71)を画定する前記閉鎖体の壁(72,73)と、前記水和高吸水性ポリマー(6)が前記エンベロープ内に保持されるように前記本体(71)を閉じるべく構成される少なくとも1つのガス透過性カバー(76)とを備える、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項13】
湿度制御パケット又はバッグ(3)の形態を成し、前記液体耐水性エンベロープ(30)は、不織布又は有孔ポリマーフィルムなどの、前記水和高吸水性ポリマー(6)を包み込むように構成されるガス透過膜(31)を備える、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置。
【請求項14】
医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの少なくとも1つの繊細な製品(81;83)と、少なくとも1つの湿度制御装置(1;3;5;7)とを備える、閉鎖可能な容器(91;93;97)であって、前記少なくとも1つの繊細な製品を収容する前記容器の閉鎖状態において、前記少なくとも1つの湿度制御装置(1;3;5;7)は、所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)を維持するように前記容器の内容積及び前記少なくとも1つの繊細な製品と水蒸気を交換するべく構成され、前記少なくとも1つの湿度制御装置は、エンベロープ(10;30;50;70)と、前記エンベロープの内側に配置される湿度制御剤とを備え、前記エンベロープ(10;30;50;70)は、液体耐水性及び水蒸気透過性であり、前記湿度制御剤は、水の重量と乾燥高吸水性ポリマーの重量との合計が前記湿度制御剤の総重量の90%以上、好ましくは93%以上、好ましくは97%以上となるように水和高吸水性ポリマー(6)を含み、前記水和高吸水性ポリマー(6)は、45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHの範囲にある閉鎖された前記容器内で所与の平衡相対湿度レベル(ERHg)を与えるように選択される調整された含水率を有
し、前記水和高吸水性ポリマー(6)は、10%~150%、好ましくは10%~120%の調整された含水率を有し、前記水和高吸水性ポリマーの含水率は、乾燥高吸水性ポリマーの重量に対する水の重量の比率である、閉鎖可能な容器(91;93;97)。
【請求項15】
医薬品、栄養補助食品、又は薬剤などの、少なくとも1つの繊細な製品(81;83)を、その内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~90%RH、好ましくは50%RH~80%RHに維持するための、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置(1;3;5;7)の使用であって、前記少なくとも1つの繊細な製品を収容する前記容器の閉鎖状態において、前記湿度制御装置(1;3;5;7)は、前記容器の前記内容積及び前記少なくとも1つの繊細な製品と水蒸気を交換するように構成される、湿度制御装置(1;3;5;7)の使用。
【請求項16】
少なくとも1つの大麻製品をその内容積内に含む容器内で、相対湿度を45%RH~65%RH、好ましくは50%RH~65%RHに維持するための、
請求項1又は2に記載の湿度制御装置(1;3;5;7)の使用であって、前記少なくとも1つの大麻製品を収容する前記容器の閉鎖状態において、前記湿度制御装置(1;3;5;7)は、前記容器の前記内容積及び前記少なくとも1つの大麻製品と水蒸気を交換するように構成される、湿度制御装置(1;3;5;7)の使用。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の湿度制御装置(1;3;5;7)の製造方法であって、
a)前記エンベロープ(10;30;50;70)を用意するステップと、
b)前記エンベロープの少なくとも一部に、前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する含水率以下の既知の含水率を有する所与の重量の前記高吸水性ポリマーを導入するステップと、
c)前記高吸水性ポリマーの前記既知の含水率が、前記湿度制御装置の前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記含水率よりも低い場合に、所与の重量の水を前記エンベロープの前記少なくとも一部に導入するステップと、
d)任意選択的に、前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記含水率を有する所望の重量の水和高吸水性ポリマーが、前記エンベロープの前記少なくとも一部に受け入れられるまで、ステップb)及びステップc)を繰り返すステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記高吸水性ポリマーは、その含水率が前記目標平衡相対湿度レベル(ERHi)に対応する前記含水率よりも厳密に低い状態で、好ましくは実質的に乾燥した状態で、前記エンベロープの前記少なくとも一部に導入される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記所与の重量の水及び前記所与の重量の高吸水性ポリマーは、前記高吸水性ポリマーによって前記水が吸収されるのに必要な時間が前記エンベロープの前記少なくとも一部から前記水が漏れ出すのに必要な時間よりも短くなるような速度で、前記エンベロープ(10;30;50;70)の前記少なくとも一部に導入される、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記湿度制御装置の前記水和高吸水性ポリマー(6)は、粉末形態、顆粒形態、及び/又は固体凝集形態である、
請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】