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特表2024-516584LIDARセンシングのためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】LIDARセンシングのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/32 20200101AFI20240409BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240409BHJP
   G01S 7/4861 20200101ALI20240409BHJP
【FI】
G01S17/32
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
G01S7/4861
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563217
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022014505
(87)【国際公開番号】W WO2022220908
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】17/233,080
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591102693
【氏名又は名称】santec Holdings株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン チャンホ
(72)【発明者】
【氏名】岡野 真之
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112DA02
2F112DA09
2F112DA11
2F112DA15
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA28
2F112DA32
2F112EA20
2F112FA03
2F112FA21
2F112FA32
2F112FA45
2F112FA50
2F112GA01
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA10
5J084BA04
5J084BA20
5J084BA50
5J084BB04
5J084BB26
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA65
(57)【要約】
光検出および測距(LIDAR)のためのシステムおよび方法が開示される。LIDARシステムは、可変ビームを発生するように構成された光源と、ビームの少なくとも一部を受光するように位置づけられ、ビームの各離散周波数が視野(FOV)内の異なる角度に対応するビームをFOV内のある範囲の角度にわたってビームを掃引するように構成された光ビームステアリングデバイスと、ビームの受光部分に基づいて干渉信号を発生するように構成された検出器と、検出器に通信可能に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、光源に、可変ビームを第1の周波数から第2の周波数に同調させ、FOV内の第1の周波数または第2の周波数に対応する物体のレンジを計算するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出および測距(LIDAR)システムであって、
周波数のあるレンジにわたって可変なビームを発生するように構成された光源と、
前記ビームの少なくとも一部を受光するように位置づけられ、前記ビームを視野(FOV)内の角度の範囲にわたって掃引するように構成された光ビームステアリングデバイスであって、前記ビームの各離散周波数が前記FOV内の異なる角度に対応する、光ビームステアリングデバイスと、
前記FOV内の物体から反射される前記ビームの部分を受光するように位置づけられ、前記ビームの前記受光部分に基づいて干渉信号を発生するように構成された検出器と、
前記検出器に通信可能に結合されたプロセッサとを含み、前記プロセッサは、
前記光源に、前記ビームを第1の周波数から第2の周波数に同調させ、
前記FOV内の前記第1の周波数または前記第2の周波数に対応する物体のレンジを計算するように構成されている、システム。
【請求項2】
各光源がビームを発生するように構成されたN個の光源と、各検出器がそれぞれのビームの部分を受光し、それぞれの干渉信号を発生するように構成されたN個の検出器とをさらに含み、前記光ビームステアリングデバイスが第1の光学素子と波長分散素子とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、
前記物体に基づいて前記FOV内の関心領域(ROI)を決定し、
前記光源に第3の周波数から第4の周波数まで掃引させるように、さらに構成され、前記第3の周波数と前記第4の周波数が前記ROIに対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
各検出器が前記ビームの部分を受光し、それぞれの干渉信号を発生するように構成されたN個の検出器をさらに含み、前記光ビームステアリングデバイスが第1の光学素子とN個の波長分散素子とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各検出器が前記ビームの部分を受光し、それぞれの干渉信号を発生するように構成されたN個の検出器を含み、前記光ビームステアリングデバイスが第1の光学素子と波長分散素子とN個のミラーとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
干渉計と、
前記光源と前記光ビームステアリングデバイスとの間に位置づけられたビームスプリッティングデバイスとを含み、前記ビームスプリッティングデバイスが、前記光源によって発生された前記ビームを受光し、前記ビームを、前記光ビームステアリングデバイスに向けられる物体ビームと前記干渉計に向けられる参照ビームとに分割するように構成され、
前記干渉計が前記参照ビームの周波数を検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記物体の前記レンジを計算するために、前記プロセッサが、
前記干渉信号をローパスフィルタ(LPF)することであって、前記LPFが最大距離に対応する最大ビート周波数に基づくカットオフ周波数を有する、ローパスフィルタすることと、
周波数カウンタまたはフィルタリングされた前記干渉信号の高速フーリエ変換(FFT)を用いて前記レンジを判定することとを行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記光源が複数の波長可変レーザのカスケードを含み、前記波長可変レーザのそれぞれが異なる掃引速度と帯域幅とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光ビームステアリングデバイスが1×N分割器と波長分散素子とを含み、前記1×N分割器の各経路が異なる時間遅延を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光ビームステアリングデバイスが1×N分割器とN個の波長分散素子とを含み、前記N個の波長分散素子のそれぞれが前記1×N分割器の出力に対応し、前記1×N分割器の各経路が異なる光位相遅延を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
周波数のあるレンジにわたって可変なビームを発生するように構成された光源と、
前記ビームの少なくとも一部を受光するように位置づけられ、前記ビームを視野(FOV)内の角度の範囲にわたって掃引するように構成された光ビームステアリングデバイスであって、前記ビームの各離散周波数が前記FOV内の異なる角度に対応する、光ビームステアリングデバイスと、
前記FOV内の物体から反射される前記ビームの部分を受光するように位置づけられ、前記ビームの前記受光部分に基づいて干渉信号を発生するように構成された検出器と、
前記検出器に通信可能に結合されたプロセッサとを含み、前記プロセッサは、
ある期間にわたって前記ビームに第1の時点における第1の周波数から第2の周波数まで掃引させ、
前記干渉信号に基づいて前記FOV内の物体のレンジを計算するように構成されている、システム。
【請求項12】
前記物体の前記レンジを計算するために、前記プロセッサが窓関数を使用して前記干渉信号をセグメント化するように構成され、前記窓関数が前記FOVの特定のセグメントに対応する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサが前記干渉信号に基づいて前記FOVの2次元ピークプロットを生成するようにさらに構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記2次元ピークプロットを生成するために、前記プロセッサが、
前記干渉信号を、各セグメントが前記FOVの一部に対応する複数のセグメントにセグメント化し、
前記複数のセグメントのそれぞれについて高速フーリエ変換(FFT)を生成し、
各FFTのピークを検出するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記光ビームステアリングデバイスがビームスキャナと波長分散素子とを含み、前記ビームスキャナがアクチュエータによって回転可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記ビームスキャナが透明であり、前記波長分散素子が前記ビームスキャナ内に配置されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
センシングシステムの視野(FOV)内の物体の検出方法であって、
プロセッサによって、光源を、第1の時点から開始して第1の期間にわたって、第1の周波数から最後の周波数まで掃引されるビームを照射するように制御することと、
周波数に応じた角度でFOV内に前記ビームを向けることと、
前記FOV内の物体からの前記ビームの受光部分に基づいて干渉信号を発生することと、
前記プロセッサによって、前記センシングシステムに対して相対的な前記物体の位置を判定することとを含む、方法。
【請求項18】
前記光源を制御することが、
前記プロセッサによって、N個の光源を、前記第1の周波数から前記最後の周波数までそれぞれのビームを照射するように制御することと、
N個の検出器によって、前記FOV内の物体からの前記ビームのそれぞれの受光部分に基づいて、それぞれの干渉信号を発生することとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プロセッサによって、前記FOV内の関心領域(ROI)を決定することと、
前記光源を、第2の期間にわたって第3の周波数から第4の周波数までビームを照射するように制御することとをさらに含み、前記第3の周波数と前記第4の周波数とが前記ROIに対応する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ビームを前記FOV中に向けることが、
前記ビームを複数の波長分散素子において受光することと、
前記複数の波長分散素子のそれぞれからのビームを前記FOV全体にわたって向けることとを含み、前記FOVが2次元である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月16日に出願された米国特許出願第17/233,080号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般にはセンシングの分野に関し、より詳細には、光検出および測距(Light Detection and Ranging(LIDAR:ライダー))センシング機構に関する。
【背景技術】
【0003】
LIDARシステムは、光源と標的との間の距離を検出するために光を使用する。標的にビーム(たとえばレーザ)が向けられる。LIDARシステムは、典型的には、光が標的に達し、標的から偏向され、検出器に戻るのに要する時間を特定する。この時間と光の速さとに基づいて、標的までの距離が判定される。乗り物(すなわち自律走行車)が安全に動作するためには、3次元空間全体にわたる標的の検出と標的の位置の判定が、確実に、連続的に、タイミングよく行われる必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本技術は、視野(FOV)内の物体の捕捉、追跡および速度判定を行うことができるLIDARのためのシステムおよび方法を提供する。
【0005】
光検出および測距(LIDAR)のためのシステムおよび方法が開示される。LIDARシステムは、可変ビームを発生するように構成された光源と、ビームの少なくとも一部を受光するように位置づけられ、ビームの各離散周波数が視野(FOV)内の異なる角度に対応するビームをFOV内のある範囲の角度にわたって掃引するように構成された光ビームステアリングデバイスと、ビームの受光部分に基づいて干渉信号を発生するように構成された検出器と、検出器に通信可能に結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、光源に、可変ビームを第1の周波数から第2の周波数に同調させ、FOI内で第1の周波数または第2の周波数に対応する物体のレンジを計算するように構成される。
【0006】
以上の概要は例示に過ぎず、限定的であることは決して意図されていない。以下の図面および詳細な説明を参照すれば、上記の例示の態様および特徴に加えて、さらなる態様および特徴が明らかになるであろう。
【0007】
本開示の上記およびその他の特徴は、添付図面と併せて以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読めば完全に明らかになるであろう。これらの図面は本開示によるいくつかの実装形態のみを図示しており、したがって本開示の範囲の限定とみなされるべきではないことを了解の上で、本開示について添付図面を使用してさらなる細目および詳細により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示の実施形態によるLIDARシステムを示すブロック図である。
図2】例示の実施形態によるLIDARシステムの第1の実施例を示す図である。
図3a】例示の実施形態によるLIDARシステムの検出走査の実施例を示す図である。
図3b】例示の実施形態によるLIDARシステムの検出走査の実施例を示す図である。
図4】例示の実施形態によるLIDARシステムの第2の実施例を示す図である。
図5】例示の実施形態によるLIDARシステムの第3の実施例を示す図である。
図6a】例示の実施形態によるLIDARシステムの検出走査の追加の実施例を示す図である。
図6b】例示の実施形態によるLIDARシステムの検出走査の追加の実施例を示す図である。
図7】例示の実施形態による光源の信号プロファイルを示すグラフである。
図8a】例示の実施形態によるLIDARシステムの可変密度走査の実施例を示す図である。
図8b】例示の実施形態によるLIDARシステムの可変密度走査の実施例を示す図である。
図9a】例示の実施形態による外部環境の2次元走査の実施例を示す図である。
図9b】例示の実施形態による外部環境の2次元走査の実施例を示す図である。
図10】例示の実施形態による1×N分割器を有するLIDARシステムの実施例を示す図である。
図11a】例示の実施形態による、LIDARシステムを使用した様々な検出走査の実施例を示す図である。
図11b】例示の実施形態による、LIDARシステムを使用した様々な検出走査の実施例を示す図である。
図11c】例示の実施形態による、LIDARシステムを使用した様々な検出走査の実施例を示す図である。
図12】例示の実施形態による1×N分割器を有するLIDARの第2の実施例を示す図である。
図13】例示の実施形態による、図12のLIDARシステムを使用した検出走査の実施例を示す図である。
図14a】例示の実施形態による参照干渉計を使用した再サンプリングの実施例を示す図である。
図14b】例示の実施形態による、参照干渉計からの参照信号を使用した検出器によって収集された干渉信号のセグメント化の実施例を示す図である。
図15】例示の実施形態による、窓関数を使用した信号のセグメント化の実施例を示す図である。
図16】例示の実施形態による、FFTデータから生成されたLIDARデータの一例を示す図である。
図17a】例示の実施形態による、ビームスキャナを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図17b】例示の実施形態による、ビームスキャナを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図17c】例示の実施形態による、ビームスキャナを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図17d】例示の実施形態による、ビームスキャナを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図17e】例示の実施形態による、ビームスキャナを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図18a】例示の実施形態による、図17a~図17eのビームステアリングデバイスを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図18b】例示の実施形態による、図17a~図17eのビームステアリングデバイスを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図19】例示の実施形態による、微小電子機械(MEMS)スキャナを使用したLIDAR走査の実施例を示す図である。
図20】例示の実施形態による、FFTビンの数を増やすゼロ埋めの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、本説明の一部をなす添付図面を参照する。図面では、文脈が別の解釈を要求しない限り、同様の符号は一般には同様のコンポーネントを識別する。詳細な説明、図面および特許請求の範囲に記載されている例示の実装形態は、限定的であることは意図されていない。本明細書で提示されている主題の思想または範囲から逸脱することなく、他の実装形態も使用可能であり、他の変更も加えることができる。本明細書で概説され、図面に示されている本開示の態様は様々な異なる構成で構成、置換、組合せおよび設計可能であり、それらのすべてが明示的に企図され、本開示の一部をなすことは容易にわかるであろう。
【0010】
本明細書では、LIDARセンシングのためのシステムおよび方法が開示される。以下で詳述するように、本明細書では、様々な波長でビーム(たとえば、赤外線ビーム、ビーム、平行ビームなど)を照射するように制御される光源を含むLIDARセンシングシステムが開示される。ビームは、波長分散素子に向けられる。ビームは、1つまたは複数の波長分散素子からビームの波長に対応する角度で照射される。ビームの変化する波長の結果として、LIDARセンシングシステムは、外部環境の視野(FOV)の第1の軸に沿った走査(たとえば2次元走査)を生じさせる。LIDARセンシングシステムがLIDARセンシングシステムの視野(FOV)の3次元走査を生じさせるために水平軸に沿って複数の垂直走査(またはその逆)を生じさせることができるようにするために、ビームステアリングデバイスを使用することができる。実施形態によっては、FOVの3次元走査は、静止素子のみを使用して行われる(たとえば、波長分散素子の第1および第2の素子が両方とも静止素子である)。本明細書に記載の様々な構成および技術は、電子機器の進歩を見越してLIDARシステムの周囲の3次元空間のほぼリアルタイムでの測定、セグメント化および計算を可能にする。その結果、物体(たとえば自律走行車)を精密に追跡する必要がある用途においてLIDARシステムを実装することができる。
【0011】
図1を参照すると、LIDARセンシングシステム100のブロック図が示されている。LIDARセンシングシステム100は、光源101と、光ビームステアリングデバイス102と、検出器103とを含む。LIDARセンシングシステム100は、視野(FOV)190内の1つまたは複数の物体191a~191c(たとえば標的)を検出、測距、および/または追跡するために、光源101によって発生された光の1つまたは複数のビームをFOV190内の外部環境中に照射する。実施形態によっては、LIDARセンシングシステム100は、プロセッサとメモリとを有し、光源101、光ビームステアリングデバイス102および/または検出器103に結合された、制御回路180も含む。メモリには、プロセッサによって実行されると本明細書に記載のLIDARセンシングシステム100の動作を行わせるコンピュータ可読命令が記憶されている。
【0012】
光源101は、光ビームステアリングデバイス102に向けてビームを出力または照射するように構成される。実施形態によっては、ビーム(たとえばレーザビーム)は、選択可能な離散周波数を有する。さらに、光源101は、ビームの波長λ(たとえばさらにそれによって周波数も)を調整するように構成される。すなわち、実施形態によっては、光源101は、レーザの波長λが調節または選択される波長可変レーザであってもよい。光源101は、ビームの波長λをある範囲にわたって調整するように構成可能である。ある実施例では、波長λの範囲は1.25μmと1.35μmの間とすることができる。光源101は、以下で詳述するように、波長λの範囲にわたって掃引させることができる。実施形態によっては、光源101は、第1の波長(およびそれによって第1の周波数)から最後の波長(およびそれによって最後の周波数)まで波長の範囲にわたって連続的に掃引させることができる。光源101は、線形パターンまたは非線形パターンで第1の波長から最後の波長まで連続的に掃引させることができる。実施形態によっては、光源101は、光源101がより広い範囲の波長λを有するように、カスケード状に接続された1つまたは複数の波長可変レーザを含んでもよい。
【0013】
光ビームステアリングデバイス102は、光源101からビーム(たとえば少なくともビームの一部)を受光し、ビームをFOV190全体にわたる外部環境に照射し、ビームの(たとえば標的191a~191cからの)反射部分を検出器103に向けて戻すように構成される。すなわち、光源101は、ビームの成分を光ビームステアリングデバイス102に対して照射する。光ビームステアリングデバイス102は、ビームを受光し、ビームの一部をFOV190に向ける。FOV190内の物体191a~191cから反射したビームの部分と、反射ビームの少なくとも一部とが、光ビームステアリングデバイス102に戻って受光される。光ビームステアリングデバイス102は、反射ビームのその部分を受光し、反射ビームのその部を検出器103に向ける。検出器103は反射ビームのそれらの部分を受光し、反射光の受光部分を示し、それによって物体を示す、電気信号を発生する。電気信号は、FOV190内の物体191a~191cのレンジおよび/または速度を判定するために電気信号(たとえば物体信号)を処理することができる制御回路180のプロセッサに送信可能である。
【0014】
実施形態によっては、光ビームステアリングデバイス102は、ビームの周波数に基づく角度でビームを照射するように構成された1つまたは複数の波長分散素子を含むことができる。たとえば、実施形態によっては、FOV190は、光源101によって照射されたビームの周波数の極値によって第1の角度θに沿って画定可能である。このようにして、実施形態によっては、光ビームステアリングデバイス102は、光ビームの特性(たとえば波長)に基づいてFOV190の第1の角度θに沿って光ビームを分散させるように構成可能である。
【0015】
実施形態によっては、光ビームステアリングデバイス102は、以下でさらに詳細に説明するように、外部環境の第2の角度ψに沿って走査するために、様々な技術またはデバイスを使用することができる。第2の角度ψの極値は、第2の角度に沿ってFOV190を画定することができ、それによって3次元FOV190を形成する。このようにして、実施形態によっては、光ビームステアリングデバイス102は、外部環境を走査するために第1の角度と第2の角度とに沿って光ビームを分散させるように構成可能である。
【0016】
検出器103は、FOV190内の物体から反射された光の部分を受光するように構成され、システム内に位置づけられる。実施形態によっては、検出器103は、干渉信号を発生するために、FOV190内の物体から反射された光の部分とビームの一部(たとえば参照ビーム)とを受光するように位置づけられる。実施形態によっては、検出器103は、制御回路180(たとえばプロセッサ)に通信可能に結合されてもよい。実施形態によっては、検出器103は、赤外線センサ、カメラ、赤外線カメラ、または受光した光の周波数を感知することができるその他の光検出デバイスを含む。検出器103は、光ビームステアリングデバイス102で受光した光(たとえば物体191a~191cから反射した光)を検出器103に向けることができるように位置づけられる。たとえば、実施形態によっては、LIDARシステム100は、光源101からの光を光ビームステアリングデバイス102に向け、光ビームステアリングデバイス102からの光を検出器103に向けるように構成された、ハーフミラー、一方向透過ミラー、半透鏡、またはその他の光学素子などの、様々な光学素子を含むことができる。検出器103は、検出器109によって検出されたビームの部分を示す物体信号を発生するように構成されている。実施形態によっては、物体信号は、電気信号の形態であり、処理のためにコンピューティングシステム112に送信される。
【0017】
制御回路180は、プロセッサ181とメモリ182を含む。プロセッサ181は、本明細書に委細のプロセスまたは機能のいずれかを実行、実装および/または実施するように構成された任意のコンポーネントまたはコンポーネントのグループ、またはそのようなプロセスを行うかまたはそのようなプロセスが実施されるようにする任意の形態の命令を含むことができる。1つまたは複数の構成において、プロセッサ181はLIDARセンシングシステム100の主プロセッサであってもよい。適切なプロセッサの例には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSPプロセッサ、およびソフトウェアを実行することができるその他の回路が含まれる。適切なプロセッサのさらなる例には、中央処理装置(CPU)、アレイプロセッサ、ベクトルプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路、およびコントローラが含まれるが、これらには限定されない。プロセッサ181は、プログラムコードに含まれる命令を実施するように構成された少なくとも1つのハードウェア回路(たとえば集積回路)を含むことができる。複数のプロセッサがある構成では、そのようなプロセッサが互いに独立して動作することができるか、または1つまたは複数のプロセッサが互いに組み合わさって動作することができる。
【0018】
メモリ182は、1つまたは複数の種類のデータを記憶するように構成可能である。メモリ182は、揮発性および/または不揮発性メモリを含み得る。適切なメモリ182の例には、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(読み出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、または任意のその他の記憶媒体あるいはこれらの任意の組合せが含まれる。実施形態によっては、メモリ182は、プロセッサ181に通信可能に結合された非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されるとプロセッサに本明細書に記載の動作、ステップまたは方法のいずれかを実行させる、符号化されるかまたはその他により記憶された命令を有することができる。メモリ182は、プロセッサ181のコンポーネントであってもよく、またはメモリ182は、プロセッサ181による使用のためにプロセッサ181に動作可能に接続されてもよい。構成によっては、メモリ182は、リモートに配置され、適切な通信デバイスを介するなどしてプロセッサ181によってアクセス可能であってもよい。
【0019】
プロセッサ181は、光源101に通信可能に結合されており、メモリ182上に記憶またはプログラムされている光源コントローラからの命令を読み出して実行するように構成可能である。光源コントローラは、光源101の1つまたは複数の態様を制御するコンピュータ可読命令であるかまたはコンピュータ可読命令を含むことができる。光源コントローラは、図のようにメモリ182に記憶可能である。他の実装形態では、光源コントローラ182は、リモートに記憶され、LIDARセンシングシステム100の様々なコンポーネントによってアクセス可能であってもよい。プロセッサ181は、光源コントローラ118からの命令に従って光源101を制御することができる。
【0020】
光源コントローラは、光源101から照射されるビームのパターンを生成する命令を含むことができる。たとえば、ある実装形態では、ビームは周波数を有するパターン(たとえばパルス状、鋸歯状など)で光源101から照射されてもよい。光源コントローラは、たとえば、光源101から照射されるビームの周波数パターンに対応する鋸歯状信号を発生する命令を含んでもよい。実施形態によっては、光源コントローラ118は、光源101に、ランプアップ期間にわたって第1の時点における第1の周波数から第2の周波数までと、ランプダウン期間にわたって第2の周波数から第1の周波数に戻るまで掃引するビームを発生させる命令を含んでもよい。実施形態によっては、光源コントローラは、光源に1つのフレームまたは複数のフレームを発生させる命令を含んでもよい。実施形態によっては、複数のフレームは周期的であり、各フレーム間にセット期間を有する。以下で詳述するように、フレームの周波数パターンは物体のレンジおよび/または速度を判定するために使用可能である。
【0021】
実施形態によっては、LIDARシステム100の1つまたは複数のコンポーネントが省かれてもよい。実施形態によっては、LIDARシステム100の様々な他のコンポーネントが含まれてもよい。図1はLIDARシステム100の実装形態の一実施例であることと、限定的であることは意図されていないことを理解されたい。
【0022】
たとえば、実施形態によっては、LIDARシステム100は干渉計を含むことができる。干渉計は、光源101からビームを受光し、そのビームを1つまたは複数の成分ビームに分割するように構成されるか、またはそのように構成されたコンポーネントを含んでもよい。たとえば、干渉計110は、ビームを物体ビームと参照ビームに分割してもよい。物体ビームは、波長分散素子104に向けて照射されてもよく、参照ビームは参照ミラーに向けて照射されてもよい。干渉計は、外部環境における物体191a~191cの表面から反射された光と、参照ミラーから反射された光との差異に基づいて干渉パターンを発生することができる。LIDARセンシングシステム100(たとえばプロセッサ114)は、干渉パターン(たとえば干渉信号)に基づいて物体までの距離を判定することができる。
【0023】
次に図2を参照すると、LIDARシステム200の実施例が示されている。実例説明のために、図2について説明しながら図1の様々なコンポーネントを参照する。図2において、LIDARシステム200は複数の光源101a~101bと複数の検出器103a~103bを含む。この実施例では、各光源101a~101bがそれぞれの検出器103a~103bを有する。この構成では、第2の角度に沿って外部環境を走査するためにN個の光源101a~101bからなるアレイを使用することができる。
【0024】
光源101a~101bは、たとえば第1の周波数から最後の周波数までの様々な周波数にわたる光のビームを照射するように構成された波長可変レーザを含むことができる。光源101a~101bのそれぞれは、それぞれのビームを波長分散素子220に向けて照射するように構成される。それぞれのビームは、異なる位置における波長分散素子に入射し、それによってそれぞれのビームが第2の角度に沿って外部環境中に照射されることを可能にする。上述のように、波長分散素子220は、それぞれのビームをビームの周波数に応じた第1の角度に沿って外部環境中に照射する。実施形態によっては、光源101a~101bのそれぞれが異なる帯域幅(たとえば周波数レンジ)を有することができる。各光源101a~101bの、変化するかまたは制御された帯域幅は、第1の角度に沿った角度の異なる範囲が第2の角度に沿った異なる角度で走査されることを可能にし、それによって視野190を異なる形状とすることができる。
【0025】
図2において、光源101a~101bのそれぞれは、外部環境からそれぞれのビームの部分を受光するように構成されたそれぞれの検出器103a~103bと対になっている。これは、対になった光源101a~101bとそれぞれの検出器103a~103bのそれぞれが同時に外部環境の走査を行うことを可能にするので有利である。このようにして、FOV190の全3次元走査を同時にまたはほぼ同時に行うことができ、それによってLIDARシステム200が外部環境の3次元走査を生じさせる時間を短縮する。
【0026】
一実施形態では、光源のうちの第1の光源101aが第1の光学素子211に向けて第1のビームを照射する。第1のビームは、さらに、第1のビームを第3の光学素子213の第1の部分と位置合わせする第2の光学素子212に対して照射される。第3の光学素子213は、次に、第1のビームを波長分散素子220の第1の部分に向ける(たとえば屈折または反射する)。第1のビームは、ビームの周波数に従って外部環境に分散され、外部環境内の物体から反射された光が、第1のビームがLIDARシステム200から出射したのと同じ経路に沿って第1の光学素子211に反射して戻る。反射ビームは次に第4の光学素子214と第1の検出器214に向けられる。同様に、第2の光源101b(たとえばN番目の光源)が、第5の光学素子215と、第2のビームを第3の光学素子213の第2の部分に向ける第6の光学素子216に向けて第2のビームを照射する。第3の光学素子213は次に、第1のビームを波長分散素子220の第2の部分に向け(たとえば屈折または反射し)、次に波長分散素子220が第2のビームを外部環境中に分散させる。第2のビームの一部が外部環境内の物体から反射され、第7の光学素子217を介して第2の検出器103b(たとえばN番目の検出器)に向けて戻される。他の実施形態では、対になった走査のために他の構成または光学素子が使用されてもよい。実施形態によっては、LIDARシステム200は、それぞれの検出器と対になった2個、3個、4個、5個またはN個の光源101a~101bを含んでもよい。この実施例では、それぞれの検出器103a~103bと対になった光源101a~101bは、FOV190内の物体の同軸検出を可能にする。代替実施形態では、軸外検出のために反射ビームを受光するために、別個の検出器アレイが使用されてもよい。たとえば、軸外検出器または検出器アレイが、直接、またはレンズ、ミラーなどの光学素子を介して反射ビームを受光するように位置づけられるかまたは構成されてもよい。
【0027】
次に図3a~図3bを参照すると、LIDARシステム200の検出走査の実施例が示されている。図3aはLIDARシステム200の第1のビームの信号グラフ300を示す。図3bは、LIDARシステム200の複数ビーム走査350を示す。信号グラフ300は、たとえば第1の光源101aの設定周波数foiだけオフセットされた帯域幅または周波数レンジΔfmiを表すy軸と、周波数の掃引にわたる、たとえば第1の光源101aの同調期間tmiの時間を表すx軸とを含む。信号グラフ300は、たとえば第1の光源101aによる周波数の掃引を示す参照信号301と、第1の物体A0を示す第1の反射信号302と、第2の物体A1を示す第2の反射信号303とを含む。制御回路180は、それぞれ第1の信号および第2の信号のビート周波数に基づいてLIDARシステム200に対して相対的な第1の物体および第2の物体の位置を計算することができる。
【0028】
次に図3bを参照すると、複数ビーム走査350が、光源101a~101bを表すy軸と、第1の角度θを表すx軸とを含む。たとえば、複数ビーム走査350は、FOV190のy軸がLIDARシステム200の光源配置に基づき、x軸がビームの周波数に基づく、FOV190の図である。一実施例では、LIDARシステム200は、第1の時点でFOV190全体の第1の走査を行ってもよい。第1の走査は、制御回路180に対して、LIDARシステム200の近く(たとえば事前定義されたレンジ内)に物体があることを示すことができる。したがって、制御回路180はその物体を詳しく監視するかまたはさらなる解析のためにセグメント化する必要があると判定することができる。したがって、制御回路180は、物体のセグメント化のためにどの光源101a~101bを起動(たとえば掃引)する必要があるかを判定する。その後の掃引において、制御回路180は、検出された物体のレンジ内を走査するために、その物体に固有の周波数Δfmiのあるレンジにわたる設定周波数foiから、たとえば複数の光源101a~101bのうちの特定の光源を掃引することができる。一例として、図3bにおいて、検出される物体は事前定義済みレンジ内の自動車であってもよく、制御回路180は、y軸における様々な位置で検出された自動車を監視、セグメント化および/または分析するために、計算された周波数レンジにわたって設定周波数から第5および第6の光源を掃引する必要があると判定してもよい。また、制御回路180は、FOV190内に出現する可能性がある他の物体がないか監視するために、他の光源(たとえば第1の光源101a)を使用して最大周波数レンジにわたって掃引または走査を行ってもよい。このようにして、制御回路180は、LIDARシステム200の効率を向上させる動的で詳細な方式で外部環境の走査を高速化することができる。
【0029】
次に図4を参照すると、LIDARシステム400の別の実施例が示されている。実例説明のために、図4について説明しながら図1の様々なコンポーネントを参照する。LIDARシステム400は、波長分散素子420a~420bに光源101aからのビームを照射するように構成された光学素子421とともに複数の(たとえばN個の)波長分散素子420a~420bを含む。複数の波長分散素子420a~420bは、ビームの様々な部分が外部環境の第2の角度ψに沿って分散されるように位置づけられている。ビームの変化する周波数または同調が、外部環境の第1の角度θに沿った走査を可能にする。この構成では、FOV190の全走査を光源101からの単一の周波数走査または掃引によって行うことができる。
【0030】
次に図5を参照すると、LIDARシステム500の別の実施例が示されている。LIDARシステム500は、複数の光学素子522a~522b(たとえばミラー)と第2の光学素子521(たとえばレンズ)を有する波長分散素子520を含む。複数の光学素子522a~522bは、光源101からのビームのそれぞれの部分を第2の光学素子521を通して波長分散素子520のそれぞれの部分に向けるように位置づけられている。複数の光学素子522a~522b(たとえばミラー)と第2の光学素子521(たとえばレンズ)の配置と構造は、ビームの様々な部分が波長分散素子520のそれぞれの部分に向けて照射され、それによって外部環境の第2の角度ψに沿って分散されることを可能にする。ビームの変化する周波数または同調は、外部環境の第1の軸θに沿った走査を可能にする。この構成では、FOV190の全走査を光源101からの単一の周波数走査または掃引によって行うことができる。
【0031】
次に図4および図5を参照すると、LIDARシステム400および500が検出器103a~103bのアレイを含む。実施形態によっては、アレイ内の検出器の数は波長分散素子420a~420bまたは複数の光学素子522a~522b(たとえばミラー)の数と同じとすることができる。一実施例では、光源101が第1の素子490に向けてビームを照射する。ビームは、第1の素子490を横切って第2の素子491(たとえばコリメートレンズ)に向けられる。第2の素子491から、ビームは図4に示すように複数の波長分散素子420a~420bに対して、または図5に示すように波長分散素子520に対して照射され、外部環境中に照射される。ビームの部分がFOV190内の物体から、ビームの部分をそれぞれの検出器103a~103bに向ける(たとえば屈折または反射する)第1の素子490に向けて反射し戻される。実施形態によっては、ビームのそれぞれの部分は、第1の素子490から、ビームのそれらの部分をそれぞれの検出器103a~103bに向けるそれぞれの光学素子403a~403bに対して向けられる。
【0032】
次に図6aおよび図6bを参照すると、検出走査の実施例が示されている。図6aは周波数同調を使用した2次元走査600を示す。図6bは、その2次元走査のそれぞれの信号グラフ650を示す。2次元走査600は、ビーム690をビームの周波数に応じた角度で外部環境中に分散させる波長分散素子620を含む。この実施例では、外部環境は第1の物体622aと第2の物体622bを含む。第1の物体は、波長分散素子620から第1の距離R0だけ離れており、第2の物体は波長分散素子620から第2の距離R1だけ離れている。2次元走査時、ビーム690が第1の周波数レンジにわたって第1の物体622aに向けられ、第2の周波数レンジにわたって第2の物体622bに向けられる。
【0033】
信号グラフ650は、時間に対するビームの周波数(たとえばビームの周波数掃引)を表す第1の信号651を含む。信号グラフ650は、第1の距離R0が最大距離RMAX未満のときの第1の物体622aから検出器に反射されたビームの検出部分を表す第2の信号652と、第2の物体622bから検出器に反射されたビームの検出部分を表す第3の信号653も含む。また、第1の距離R0が最大距離RMAXより大きい場合に第1の物体622aから検出器に反射されたビームの検出部分を表す第4の信号654も含む。最大距離は、光の速さに期間tdを乗じて2で割った値とすることができる。
【0034】
一実施形態では、制御回路180は、各インクリメントにおける物体のそれぞれのビート周波数が単一となり、周波数カウンタによってカウントすることができるように、検出のレンジRdetを制限するために、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタを使用することができる。このようにして、最大ビート周波数より高いビート周波数がフィルタリング除去され、それによって、周波数カウンタにより最大距離未満だけ離れた物体の物体検出の精度を向上させる。実施形態によっては、期間tdによって決まるFOVのセグメント化に基づいてフィルタのカットオフ周波数を動的に設定することができる。
【0035】
一実施形態では、制御回路180は、最大距離Rmaxを超える位置にある物体を検出または識別するために、アナログ-デジタル変換器(ADC)を使用してFFT解析を行うことができる。上記のように、最大距離Rmaxより大きい距離における物体から反射された光は、波長分散素子620を含む同じ光路を通してシステムの検出器によって検出することができるが、その光は、1つのセグメントまたは期間における複数の光信号(たとえば、第3および第4の信号653および654)に起因する複数の光信号に起因して、周波数カウンタによって正しく検出されない。しかし、一実施形態では、制御回路180は、セグメントまたは期間内の複数の返された物体信号を検出し、それらの反射物体信号に関係するすべての物体の位置を計算するために、ADC回路を使用することができる。たとえば、FFT信号において複数のピークを検出することができ、FFTにおけるピークの位置に基づいて各ピークの対応する距離を特定することができる。
【0036】
図7を参照すると、光源101の信号グラフ700が示されている。実施形態によっては、光源101はカスケード状に接続された複数の波長可変レーザを含んでもよい。実施形態によっては、複数の波長可変レーザのそれぞれが異なる掃引速度および/または帯域幅を有することができる。複数の波長可変レーザうちのそれぞれの波長可変レーザのビームを、光源101として機能するように単一の経路に互いに結合することができる。たとえば、信号グラフ700は、第1の波長可変レーザL1からの第1のビーム701と、第2の波長可変レーザL2からの第2のビーム702と、第3の波長可変レーザL3からの第3のビーム703とを示している。実施形態によっては、各波長可変レーザが、様々なセグメントM1にわたる周波数掃引範囲をカバーすることができる。たとえば、第1のビーム701が第1のセグメントA1をカバーし、第2のビーム702が第2のセグメントA2をカバーし、第3のビーム703が3つのセグメントA3~A5をカバーする。また、各波長可変レーザLiが異なる同調レンジΔλLiと、異なる周波数掃引勾配のそれぞれの期間tLiとを有することができる。実施形態によっては、複数の波長可変レーザによる周波数掃引全体を連続してまたは離散的に行うことができる。実施形態によっては、隣接セグメント(たとえばA1とA2)の間に間隙があってもよく、または隣接セグメント間に重なりがあってもよい。複数の波長可変レーザの使用は、最大可能周波数にわたる走査を確実に行うことができるようにし、それによって外部環境における角度のそれぞれの極値を実現することができる。また、波長可変レーザの異なる掃引速度、帯域幅および重なりは、LIDARシステムをLIDARシステムの特定の用途に基づいて選択可能な外部環境の特定のパターンに合わせることを可能にし、それによって図8aおよび図8bを参照しながら説明するように、FOVの重要領域(たとえば関心領域)における物体検出または分解能を向上させることができる。
【0037】
図8aおよび図8bに、可変密度走査の実施例を示す。図8aは、外部環境の2次元走査800の実施例を示す。図8bは、2次元走査のための光源からの周波数掃引850の実施例を示す。走査の第1の期間t1は、外部環境の第1のセグメントA1に対応し、走査の第2の期間t2は外部環境の第2のセグメントA2に対応し、第3の期間t3は外部環境の第3のセグメントA3に対応する。一実施形態では、すべてのセグメントAiが同じ期間tiと同じ周波数帯域幅Δλiを有してもよい。実施形態によっては、深さ分解能または長さ分解能は帯域幅Δλiによって決まり得る。分解能は、λ2/Δλiまたはそれぞれの波長可変レーザの波長を周波数帯域幅で割った値に比例する。たとえば、セグメントAiにおける各期間tiは、各走査角度レンジΔθiも可変となり得るように可変とすることができる。したがって、走査の密度または分解能は、制御回路180によって制御可能である。
【0038】
図9aおよび図9bに、外部環境の3次元走査の実施例を示す。図8aおよび図8bを参照しながら説明したように、外部環境の走査はセグメント化することができる。したがって、制御回路180は関心領域(ROI)の辺りのセグメントの密度を高くすることができる。セグメント化および/またはROIは、FOVの第1の一定密度掃引または走査900の後で決定されてもよい。実施形態によっては、セグメント化および/またはROIは、カメラまたはレーダーセンサなどの他のセンサからの情報に基づいて決定されてもよい。実施形態によっては、ROIまたはセグメント化は、事前定義済みレンジ内の物体の検出に基づいてもよい。ROIを決定した後、LIDARシステムは、特定のセグメント化を決定し、決定したセグメント化950を使用して追加の掃引を行うことができる。実施形態によっては、LIDARシステムは、センサデータに基づいてROIの内容または位置を定義する事前定義済みの1組の規則に基づいて、各掃引または走査のためにセグメント化を動的に調整することができる。すなわち、実施形態によっては、セグメント化はフレームごとに(たとえばFOVの走査)異なってもよい。実施形態によっては、フレームが複数回解析される場合、同じフレーム(たとえば走査からのデータ)に異なるセグメント化が適用されてもよい。
【0039】
図10に、1×N分割器1010を有するLIDARシステム1000の実施例を示す。LIDARシステム1000は、1×N分割器1010の入力にビームを照射するように構成された光源101を含む。一実施形態では、ビームは第1の光学素子1001と、第2の光学素子1002と、第3の光学素子1003と、1×N分割器1010の入力内とに向けられる。実施形態によっては、1×N分割器1010は制御回路180に結合され、制御回路180によって制御される。たとえば、制御回路180は、N個の出力のうちのどの出力に入射ビームが向けられるかを決定することができる。ビームは、N個の出力のうちの1つから向けられ、第4の光学素子1021を通して、ビームを外部環境中に分散させる波長分散素子1020に向けられる。この構成では、N個の出力のそれぞれが、LIDARシステム1000が第2の角度ψにおいて走査を行うことができるようにするそれぞれの入射角で光を波長分散素子1020のそれぞれの部分に向ける。ビーム1090の反射部分が、第2の光学素子1002に戻され、第5の光学素子1005に向けられる。第5の光学素子1005は、ビーム1090の反射部分をビーム1091の反射部分と結合して結合されたビームを検出器103に向けるように構成された第6の光学素子1006に、ビームの反射部分向けることができる。
【0040】
実施形態によっては、入力から1×N分割器1010のそれぞれのN個の出力までの各経路は異なる光学遅延を有することができる。したがって、光源101からのビームは、1×N分割器に対して照射され、1つの走査または掃引にわたってN個の出力のそれぞれにおいて出力可能である。それぞれのN個の出力から放射された各ビームの各信号は、それぞれの光学遅延のため、単一の検出器103を使用して区別可能である。したがって、1×N分割器は、入力からそれぞれのN個の出力までの各経路が、他の経路とは異なる(たとえばさらに、周波数走査時間に対して相対的に十分に大きい)光学遅延(たとえば距離)を含むように構築される。実施形態によっては、光源101からのビームの光周波数を、第1の角度θに沿った走査レンジ全体にわたって一度に走査することができる。これに代えて、またはこれに加えて、ビームの光周波数は、それぞれのセグメントにおいてN本のビームのすべてから信号を取得するように、セグメントごとに走査することができる。この実施例では、各セグメント幅における同調レンジは同じとすることができるが、走査レンジ全体にわたる走査を生じさせるように第1の軸に沿ってビームをステアリングするために、各セグメントにおけるオフセット光周波数は異なる。
【0041】
図11a~図11cを参照すると、様々な検出走査の実施例が示されている。図11aは、走査レンジ全体にわたって第1の角度θに沿って連続的に走査されたLIDARシステム1000の信号グラフ1100の一例を示す。図11b~図11cは、第1の角度θに沿って各セグメントにおいて走査されるビームの実施例を示す。実施形態によっては、各セグメントの同調レンジまたは周波数変化は同じとすることができる。たとえば、図11b~図11cでは、各セグメントにおけるオフセット周波数は、測定されるセグメントに基づいて設定され、第1の角度θに沿って各セグメントを測定するために周波数のサブセットにわたる走査が行われる。
【0042】
図11aを全体的に参照すると、信号グラフ1100は1×N分割器1010のN本の経路のうちの第1の経路に対応する第1のビーム(たとえばビーム1)と、1×N分割器1010のN本の経路のうちの第2の経路に対応する第2のビーム(たとえばビーム2)と、N本の経路のうちの最後の経路に対応するNビーム(ビームN)の図を含む。この実施例では、光源101からのビームが、第1の極値から最後の極値まで周波数の全レンジにわたって連続して掃引されている。図からわかるように、各ビームの光学遅延
【0043】
【数1】
が、プロセッサ181がどのビート信号が特定のビームに対応するかを判定することを可能にし、プロセッサがFOV内の物体の位置を計算することを可能にする。プロセッサ181は、次に、各セグメントおよびビームについて、式R1、R2、RNを使用してビート信号または反射信号に対応する標的の距離またはレンジを計算することができる。
【0044】
図11bを全体的に参照すると、第1の信号グラフ1150は、第1のセグメントA0中の1×N分割器1010のN本の経路のうちの第1の経路に対応する第1のビーム(たとえばビーム1)と、第1のセグメントA0中の1×N分割器1010のN本の経路のうちの第2の経路に対応する第2のビーム(たとえばビーム2)と、第1のセグメントA0中のN本の経路のうちの最後の経路に対応するNビーム(ビームN)の図を含む。この実施例では、光源101からのビームが、第1のセグメントの始まりに対応するオフセット周波数から第1のセグメントの最後の周波数に対応する最終の周波数まで連続して掃引されている。図からわかるように、各ビームの光学遅延
【0045】
【数2】
が、プロセッサ181が、どのビート信号が特定のビームに対応するかを判定することを可能にし、プロセッサがFOV内の物体の位置を計算することを可能にする。具体的には、遅延Liが隣接経路の遅延よりも小さく、2*(Li+1-Li)を光の速さで割った値がそのセグメントの掃引の時間tdより大きい場合、いかなる重なりもなしに各ビームを異なる時点で放射することができ、それにより、物体信号またはビート信号の重なりがないように保証する。プロセッサ181は、次に、各セグメントおよびビームについて、式R1、R2、RNを使用して標的の距離またはレンジを計算することができる。
【0046】
図11cを全体的に参照すると、第2の信号グラフ1175が、プロセッサ181がセグメントごとに走査するときの複数の異なるセグメントA0、A1、AMにわたる第1のビーム(たとえばビーム1)の信号を示す。各セグメントAiの持続時間tkはすべてのビームNの周波数走査持続時間以上の長さである。すなわち、
【0047】
【数3】
である。また、セグメントAiのi番目の周波数走査は、周波数fsi=fs0+i*Δfdから開始する。このようにして、外部環境の第1の角度θ全体にわたり隙間なくビームを連続して向けることができる。
【0048】
図12を参照すると、1×N分割器1210を有するLIDARシステム1200の実施例が示されている。LIDARシステム1200は、LIDARシステム1000と類似し得る。しかし、LIDARシステム1200は、複数の波長分散素子1251a~1251dを含み、複数の波長分散素子1251a~1251dのそれぞれが、1×N分割器のそれぞれの出力から出力ビームを受光するように位置づけられている。このようにして、LIDARシステム1200は、ビームの波長同調により外部環境の第1の角度θに沿ってステアリング可能であり、それぞれの波長分散素子1251a~1251d(たとえば光フェーズドアレイ)に達する光の位相を制御することによって、外部環境の第2の角度ψに沿ってステアリング可能である。すなわち、1×N分割器の各経路は、光フェーズドアレイに使用されるような位相シフタを含むかまたは位相シフタとして機能することができる。FOVの3次元画像を生成するために波長同調時に各ビーム放射角度における物体の距離またはレンジを計算することができる。
【0049】
第1の実施例1281では、光フェーズドアレイ(OPA)は遅軸においてステアリングされる。この実施例では、2次元ビームステアリングを行うために、事前定義されたM個のセグメントにわたって波長同調がN回行われる。ビームは、OPAによってN個の波長分散素子1251a~1251dを使用して、遅軸に沿ってN個の離散点においてステアリングされる。
【0050】
第2の実施例1282では、OPAは速軸においてステアリングされる。すなわち、様々な実施形態において、遅軸に沿った単一ビーム走査中に、速軸に沿った複数のビーム走査によって環境(たとえばFOV)の2次元走査を行うことができる。第1の実施例1281では、第2の角度ψが遅軸に対応する。第2の実施例1282では、第2の角度が速軸に対応する。この実施例1282では、ビームはOPAによって各セグメントAi中に第2の角度ψに沿ってN個の離散点においてステアリングされ、ビームは波長に応じて第1の角度θに沿ってもステアリングされる。この実施例では、ビームの単一の同調時に2次元ビームステアリングを行うことができる。
【0051】
図13を参照すると、LIDARシステム1200を使用した検出走査1200の実施例が示されている。この実施例では、ビームは、波長同調を使用して第1の角度θと第2の角度ψの両方に沿ってステアリングされる。隣接する波長分散素子1251a~1251dにおけるビーム間の位相差は光路遅延によって決定し得る。それぞれの1×N分割器経路の各経路の位相は、以下の式1によって与えられる。
(1) Ψ=ΔL*2πn(λ)/λ
式(1)において、λはビーム波長であり、nはそれぞれの波長分散素子1251a~1251dの屈折率である。光源101によって波長が同調されるにつれてビームが第1の角度θと第2の角度ψの両方に沿ってステアリングされる。波長同調中に、各ビーム放射角度における物体の距離を計算することができる。検出走査1200のこの例でわかるように、セグメントA0でビームの波長が同調されるにつれて、ビームは第2の角度ψに沿って連続的にステアリングされる。各ビームステアリング角度における距離を計算することができる。このビームステアリング中に、ビームは第1の角度θに沿ってもステアリングされる。このようにして、単一の波長同調によりFOVを走査することができる。
【0052】
図14aを参照すると、参照干渉計を使用した再サンプリングの実施例が示されている。一実施形態では、LIDARシステム1400が、光源101からのビームの一部が参照干渉計によって受光されるように位置づけられた参照干渉計1401を含むことができる。実施形態によっては、光源101からのビームのその一部がビームスプリッタ1401を介して参照干渉計1401に向けられる。実施形態によっては、参照干渉計1401は、マッハツェンダー干渉計であってもよい。参照干渉計1401は、光源の掃引にわたってビームの参照信号1471に対応するビート信号1451を発生するために使用することができる。参照干渉計は、周波数掃引(たとえば走査または同調)が非線形である場合または各セグメントにおける期間が同一でない場合であっても、外部環境におけるセグメントを識別するために使用することができる。検出器103によって収集された信号および/または光源101の信号の非線形性を補償するために、参照干渉計信号(たとえばビート信号1451)を使用することができる。
【0053】
たとえば、参照信号1471は、意図的にまたは光源101の制約に起因して非意図的に非線形である場合がある。参照信号1471の非線形性は、ビームがFOVの特定の部分(たとえばセグメントA0、A1またはA2など)に向けられる時間の長さを歪ませる可能性がある。その結果、物体信号位置と物体信号のサイズの計算も歪む可能性がある。FOV内の1つまたは複数の物体のレンジおよび速度を計算しているときにLIDARシステム1400(たとえば制御回路180)が歪みを補正するために、ビート信号1451を基準として使用することができる。たとえば、ビート信号1451は物体ビームがFOVの各部分(たとえばA0、A1およびA2)を通過して掃引される時間を示す。実施形態によっては、ビート信号1451は、コサインの各周期がFOVの1つの部分に関係するコサイングラフを作成することによって、物体ビームの時間と角度位置を示すことができる。したがって、参照信号に非線形性がある場合でも、ビーム1471がFOVの特定の部分に向けて照射されるかまたは特定の位置にわたって掃引されるセグメントを特定するために、参照干渉計1403からのビート信号1451を使用することができる。また、ビート信号1451は、同一でない場合であってもフレームのランプアップ領域とランプダウン領域とが発生する時間を特定するためにも使用することができる。言い換えると、ビート信号1451は、プロセッサ182が周波数掃引の非線形性を補償し、FOV内の各物体について正確な位置と距離と速度とが確実に測定されるようにするために使用することができる。実施形態によっては、LIDARシステム1400は、参照信号1451を(干渉計によって)検出し、参照ビーム1471が特定の周波数にある時点を記録し、その記録に基づいて受信物体信号を相互参照することによって参照信号1471の非線形性を計算し、補償することができる。
【0054】
図14bを参照すると、参照干渉計1481からの参照信号1481を使用した、検出器103によって収集された干渉信号1480のセグメント化1450の実施例が示されている。干渉信号1480は、対応する参照信号1481を使用して再サンプリング干渉信号1483を生成することによって、一定周波数間隔の周波数領域に再スケーリングすることができる。再サンプリング干渉信号1483のセグメント信号1484などの各セグメントを、再サンプリング干渉信号1483から解析することができる。実施形態によっては、周波数カウンタを使用してそれぞれのセグメントにおける物体のレンジを計算または判定することができる。実施形態によっては、それぞれのセグメントにおける物体のレンジは、セグメントの生成FFT信号1485に基づいて判定される。干渉信号1480の再サンプリングは、干渉信号1480のセグメント化の前、セグメント化中、またはセグメント化後に行うことができることを理解されたい。
【0055】
図15を参照すると、窓関数を使用した信号のセグメント化1500の実施例が示されている。すなわち、窓関数を使用して干渉信号1501のセグメント化を行うことができる。たとえば、制御回路180によって特定のセグメントの窓関数1502が決定され、使用されてもよい。外部環境の特定のセグメントのための窓関数1501が干渉信号1501を使用して畳み込みされ、窓掛けされた干渉信号1503を生成する。実施形態によっては、窓掛けされた干渉信号1503は、次に、その特定のセグメントに対応する物体のレンジを計算するためのFFTを生成するために使用することができる。実施形態によっては、窓関数1502は、ガウス窓、ハン窓、および/または方形窓を含み得る。様々な実施形態において、制御回路180がその特定のセグメントがROIとなると判定したか否かに応じて、隣接セグメントの窓関数1502は重なり合う場合もあり、間隙を含む場合もある。
【0056】
図16を参照すると、FFTデータからのLIDARデータ生成1600の実施例が示されている。たとえば、干渉信号(干渉信号1501など)のセグメント化の後、制御回路180回路によってセグメント化干渉信号のFFT1601を生成することができる。制御回路180は、次に、FFT1601内のピーク(またはたとえば、各セグメントに対応する複数のFFT)を検出または判定し、密度プロット1603(たとえば2次元ピークプロット)を生成することができる。したがって、制御回路180は、FOVの走査中に検出または収集された干渉信号から取得されたFFT信号を使用して、FOVの密度プロットを生成することができる。実施形態によっては、FFT信号1601におけるピークは最大信号検出アルゴリズム、ガウスフィッティングなどの理論フィッティング、および/またはその他の推定アルゴリズムを用いて検出される。
【0057】
図17a~図17eを参照すると、ビームスキャナを使用したLIDAR走査の実施例が示されている。図17aは、ビームスキャナ1701と波長分散素子1702とを含む光ビームステアリングデバイス1700を示す。たとえば、入射ビームが波長分散素子1702に向けられ、さらに反射ビームスキャナ1701に向けられる。ビームスキャナ1701は、軸を中心に回転可能(たとえばアクチュエータに接続されている)とすることができ、ある角度(たとえば第1の角度θまたは第2の角度ψ)を中心にビームを外部環境中にステアリングすることができる。ビームの同調により、ビームを第2の角度を中心に外部環境中にステアリングすることができる。実施形態によっては、ビームスキャナ1701は、ミラー、多角形または反射コーティングされたその他の形状である。
【0058】
図17bは、ビームスキャナ1727上に配置された波長分散素子1726を含む光ビームステアリングデバイス1725を示す。入射ビームが、ビームスキャナ1727上に配置された波長分散素子1726に向けられる。ビームスキャナ1727は、軸を中心に回転可能(たとえばアクチュエータに接続されている)とすることができ、ある角度(たとえば第1の角度θまたは第2の角度ψ)を中心に外部環境中にステアリングすることができる。ビームの同調により、ビームを第2の角度を中心に外部環境中にステアリングすることができる。実施形態によっては、ビームスキャナ1727は、ミラー、多角形、または回折格子を配置可能にするコーティングが施されたその他の形状である。
【0059】
図17cは、透過型ビームスキャナ1752上に配置された波長分散素子1751を含む光ビームステアリングデバイス1750を示す。入射ビームがビームスキャナ1727に向けられ、ビームスキャナは、側面から、同側面に配置された波長分散素子1751を通して入射ビームを向ける。ビームスキャナ1727は、軸を中心に回転可能(たとえばアクチュエータに接続されている)とすることができ、ビームをある角度(たとえば第1の角度θまたは第2の角度ψ)を中心に外部環境中にステアリングすることができる。ビームの同調により、ビームを第2の角度を中心に外部環境中にステアリングすることができる。実施形態によっては、ビームスキャナ1752は多角形またはその他の形状である。ある実施形態では、ビームスキャナ1752は、ビームを通過させることができるガラス、ファイバ、またはポリマーからなる。
【0060】
図17dは、透過型ビームスキャナ1777内に配置された波長分散素子1776を含む光ビームステアリングデバイス1775を示す。図17eは、図17dの光ビームステアリングデバイス1775などの光ビームステアリングデバイス1780の上面図を示す。入射ビームが、内部に配置された波長分散素子1776に向けてビームスキャナ1777中に向けられる。ビームスキャナ1727は、軸を中心に回転可能(たとえばアクチュエータに接続されている)とすることができ、ビームをある角度(たとえば第1の角度θまたは第2の角度ψ)を中心に外部環境中にステアリングすることができる。ビームの同調により、ビームを第2の角度を中心に外部環境中にステアリングすることができる。また、ビームスキャナ1777の外形は、ビームを外部環境により大きい角度またはより小さい角度に屈折させる光学素子としても機能することができる。ある実施形態では、ビームスキャナ1777は、ビームを通過させるガラス、ファイバまたはポリマーからなる。実施形態によっては、ビームスキャナ1777は、多角形、円、方形またはその他の形状である。
【0061】
図18a~図18bを参照すると、図17a~図17eのビームステアリングデバイスを使用したLIDAR走査の例が示されている。しかし、図18a~図18bに示す実施例は、図17a~図17eのデバイスには限定されないことを理解されたい。たとえば、図18a~図18bは、2次元ビームステアリングにおいてそれぞれ遅軸と速軸とに波長同調が割り当てられている2つの構成の説明に使用することを意図したものである。図18aは、速軸に沿ったLIDAR走査1800の実施例を示す。図18bは、遅軸に沿ったLIDAR走査1850の実施例を示す。次に図18aを参照すると、波長同調ビームステアリングが速軸に割り当てられる場合、波長同調はN回の追加ビーム走査(たとえばB1~BN)によりN回繰り返す(たとえば第1の周波数から最後の周波数までの全走査)。
【0062】
図18bを参照すると、波長同調ビームステアリングが遅軸に割り当てられる場合、1回の波長同調中にビームが追加のビームステアリングによりN回ステアリングされる。フレームレートが設定量に固定されている場合、遅軸走査の同調期間は設定量分の1であるが、速軸走査の同調期間は1を設定量で割り、Nで割った値である。したがって、遅軸走査の最大検出レンジは、同じフレームレートの速軸走査の最大検出レンジのN倍長い。
【0063】
図19を参照すると、微小電子機械(MEMS)スキャナを使用したLIDAR走査1950の実施例が示されている。図19において、光ビームステアリングデバイス1900は、波長分散素子1952とともに微小電子機械(MEMS)ミラー1951を含む。ビームステアリングが2次元ビームステアリングの遅軸の波長同調によって行われ、上述のようなポリゴンスキャナなどのビームスキャナが速軸に使用される場合、ビームは各走査について同じ方向に沿って(たとえば図の左から右に)ステアリングされる。MEMSミラー1951などの異なる種類のビームスキャナが使用される場合、ビームはラスター走査されてもよい。すなわち、ビームは第1の走査1952では左から右に走査され、第2の(たとえば後続の)走査1953では右から左に走査され、以下同様に走査されてもよい。したがって、密度プロットの処理および/または作成時の干渉信号1901の各セクションにおけるセグメントの順序も交互である。
【0064】
図20を参照すると、FFTビンの数を増やすためのゼロ埋め2000の実施例が示されている。FFTビンの総数と各FFTビンのサイズは、FFT解析のために使用されるサンプリングデータ点によって決まる。この実施例では、サンプリングデータ点の総数を増やすために元のビート信号にゼロ信号が追加される。その結果、FFTビンの総数を増やすことができ、各FFTビンのサイズをより小さくすることができる。これにより、FFT信号のレンジ分解能を高くすることができる。実施形態によっては、ゼロ信号は元のビート信号の前または後(または前と後)に追加することができる。実施形態によっては、ゼロ埋めは、上述のような再サンプリングの前または後に行うことができる。実施形態によっては、追加されるゼロ信号の総数は、セグメントごとに異なり得る。
【0065】
例示の実施形態の以上の説明は、例示と説明のために示されている。網羅的であること、または開示されている厳密な形態について限定することは意図されておらず、修正および変形が上記の教示に鑑みて可能であるか、または本開示の実施形態の実施から得ることができる。
【0066】
特定の実施形態について図示し、説明したが、これらには、以下の特許請求の範囲で定義されているようなより広い態様において本技術から逸脱することなく、当技術分野における通常の技量により変更および修正を加えることができることを理解されたい。
【0067】
本明細書で例示的に説明されている実施形態は、本明細書で具体的に開示されていない、いかなる1つまたは複数の要素または限定もなしに適切に実施可能である。したがって、たとえば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡大的に、制限なしに解釈されるべきである。さらに、本明細書で採用されている用語および表現は、説明のためであって限定のためではない用語として使用されており、そのような用語および表現の使用には、図示および記載されている特徴またはその一部のいかなる同等物も除外する意図はなく、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であるものと認められる。さらに、「基本的に~からなる」という語句は、具体的に記載されている要素と、特許請求される技術の基本的で新規な特徴に実質的に影響しない追加の要素とを含むものと理解されるものとする。「~からなる」という語句は、明記されていないいかなる要素も除外する。
【0068】
本開示は、本明細書に記載されている特定の実施形態に関して限定されない。当業者には明らかなように、本開示の思想および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形が可能である。上記の説明から当業者には、本明細書で列挙されているものに加えて、本開示の範囲内の機能的に同等な方法および構成も明らかであろう。
【0069】
そのような修正および変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語と、そのような特許請求の範囲が権利を有する同等物の全範囲とによってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成または生物系には限定されず、これらは当然ながら異なり得ることを理解されたい。
【0070】
また、本明細書で使用されている用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定的であることは意図されていないことも理解されたい。当業者には、「~に基づく」は、特に明記されていない限り、「少なくとも~に基づく」と解釈されるべきであることはわかるであろう。
【0071】
当業者にはわかるように、あらゆる目的のために、特に記載されている説明の提示に関して、本明細書で開示されているすべての範囲は、考えられるあらゆる部分的範囲およびその部分的範囲の組合せも包含する。記載されている範囲は、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などに分割された同じ範囲も十分に記述しており、有効にするものと容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書に記載されている各範囲は下3分の1、中間3分の1、上3分の1などに容易に分割可能である。また、当業者にはわかるように、「最大~まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などのすべての表現は、記載されている数字を含み、その後上述のような部分的範囲に分割することができる範囲も指す。最後に、当業者にはわかるように、範囲は各個別構成要素を含む。
【0072】
本明細書で参照されている公開文献、特許出願、交付済み特許およびその他の文献はすべて、個々の公開文献、特許出願、交付済み特許またはその他の文献の全体が参照により組み込まれると具体的に個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
参照により組み込まれる文献に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する限りにおいて除外される。
【0074】
以下の特許請求の範囲にはその他の実施形態が記載されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図19
図20
【国際調査報告】