(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】光キャリア抑制及び位相検出能力を有するコヒーレントフォトニクス撮像装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4912 20200101AFI20240409BHJP
G01S 17/894 20200101ALI20240409BHJP
G01S 17/34 20200101ALI20240409BHJP
【FI】
G01S7/4912
G01S17/894
G01S17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563893
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022025913
(87)【国際公開番号】W WO2022226287
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508032284
【氏名又は名称】カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】アロウティン ハチャトゥリアン
(72)【発明者】
【氏名】ベフルーズ アビリ
(72)【発明者】
【氏名】セイエド モハマドレザ ファテミ
(72)【発明者】
【氏名】セイエド アリ ハジミリ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084BA04
5J084BA23
5J084BA49
5J084BA51
5J084BB01
5J084BB28
5J084CA07
5J084CA08
5J084CA24
(57)【要約】
本発明は、トランスミッタ及びレシーバーを備えるコヒーレント撮像システムに関する。トランスミッタは、コヒーレント光源、及び、電磁波を参照ビームと信号ビームとに分割するためのパワースプリッタを含む。レシーバーは、画像形成デバイス、及び、ピクセルのアレイを含む。各ピクセルは、画像形成デバイスによってピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を集光信号として収集するための手段と、集光信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の集光信号に分割するための手段と、複数の混合信号を形成するように、各集光信号を参照ビームと混合するための手段と、及び、混合信号を検出し、混合信号に応答して複数の出力電気信号を出力するための手段とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント撮像システムであって、
トランスミッタであり、
電磁波のコヒーレント光源、及び
前記電磁波を、参照ビーム、及びターゲットに送信される信号ビームに分割するためのパワースプリッタ
を含む、該トランスミッタと、
前記ターゲットから反射された又は前記ターゲットを透過した信号ビームを受信するように配置されるレシーバーであり、
画像形成デバイス、及び
ピクセルのアレイ
を含む、該レシーバーと、
を備える、コヒーレント撮像システムであって、各前記ピクセルは、
前記画像形成デバイスによって捕捉領域上に結像された信号ビームの一部を収集信号として収集するための該捕捉領域と、
前記参照ビーム及び前記収集信号を、複数の経路に沿って複数のカプラに分配する複数の導波路であり、
異なる経路内の前記収集信号は、異なる位相シフトを有し、また
各前記カプラは、複数の混合信号を形成するように、前記参照ビームと、前記位相シフトにおいて異なる位相シフトを有する前記収集信号のうち異なる収集信号とを混合する、
該複数の導波路と、
各前記混合信号を検出し、且つ、前記検出に応答して複数の出力信号を出力するように、前記カプラの出力に接続された複数の検出器と、
を含む、コヒーレント撮像システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
前記カプラは、第1カプラ及び第2カプラを含み、
前記収集信号は、第1信号と、第1信号に対して90度の位相シフトを有する第2信号とを含み、
前記混合信号は、第1混合信号及び第2混合信号を含み、
前記第1カプラは、前記第1信号を前記参照ビームと混合して、同位相信号を有する第1混合信号を形成し、
前記第2カプラは、前記第2信号を前記参照ビームと混合して、直交信号を有する第2混合信号を形成し、
前記検出器は、前記同位相信号を検出する第1検出器、及び前記直交信号を検出する第2検出器を含む、コヒーレント撮像システム。
【請求項3】
請求項2に記載のコヒーレント撮像システムであって、さらに、前記出力信号の二乗を合計する回路を備える、コヒーレント撮像システム。
【請求項4】
請求項1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
前記収集信号は、第1信号と、前記第1信号に対して第1角度の位相シフトを有する第2信号と、前記第1信号に対して第2角度の位相シフトを有する第3信号と、前記第1信号に対して第3角度の位相シフトを有する第4信号とを含み、
前記カプラは、第1混合信号、第2混合信号、第3混合信号及び第4混合信号を含む前記混合信号を出力する、第1カプラ、第2カプラ、第3カプラ及び第4カプラを含み、また
前記検出器は、前記第1混合信号を検出する第1検出器、前記第2混合信号を検出する第2検出器、前記第3混合信号を検出する第3検出器、及び前記第4混合信号を検出する第4検出器を含む、コヒーレント撮像システム。
【請求項5】
請求項1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバーは、
前記信号ビームが、アパーチャを介して前記トランスミッタから前記ターゲットに送信され、且つ
前記信号ビームが、前記アパーチャを介して前記レシーバー内で受信されるように、
該アパーチャを共有する、コヒーレント撮像システム。
【請求項6】
請求項5に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバーは、光アンテナが、前記信号ビームを前記ターゲットに送信し、且つ、該光アンテナが、前記ターゲットから前記信号ビームを受信するように、複数の光アンテナを共有する前記アパーチャを含む、コヒーレント撮像システム。
【請求項7】
請求項5に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、前記トランスミッタ及び前記レシーバーは、
前記トランスミッタから前記ターゲットに送信される前記信号ビーム、及び
前記ターゲットから前記ピクセルに受信される前記信号ビーム
を形成するような光ビーム形成システムを共有する前記アパーチャを含む、コヒーレント撮像デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
前記レシーバーはさらに電気制御回路を含み、前記電気制御回路は、
前記ピクセルのうち1つ以上の選択された行からの前記出力信号の読み出しを選択し、且つ
前記ピクセルのうち残りの行からの読み出しを非アクティブ化するように、
前記ピクセルにバイアスをかける、コヒーレント撮像システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、
前記ピクセルは行及び列として配置され、
前記電気制御回路は、
前記行のうち1つ以上の行内にある各前記ピクセルに接続された複数の共通行バイアスライン、及び
前記列のうち1つ以上の列内にある各前記ピクセルに接続された複数の共通列バイアスライン
を含むものであり、
各前記ピクセルはさらに、
一対の前記共通行バイアスラインの間に直列に接続される2つのバランス型フォトダイオードを有する各前記検出器、
前記フォトダイオードと並列に接続され、且つ、一対の共通行バイアスラインの間に接続される保護抵抗、
少なくとも1つのダイオードであり、該ダイオードは、前記フォトダイオードからの出力と直列に接続されたアノード及びカソードを含むものである、該ダイオード、
を含み、
前記一対の共通行バイアスラインは、前記フォトダイオードに逆バイアスをかけ、前記アノードの電圧を設定し、
前記共通列バイアスラインは、
前記1つ以上の選択された行から前記出力信号を読み出すために、前記選択された行内の前記ダイオードに順方向バイアスをかけ、且つ
前記残りの行内の前記ダイオードに逆バイアスをかけるように、
前記カソードにバイアスをかける、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記レシーバーはさらに、前記ピクセルのうち1つ以上の選択された行からの前記出力信号の読み出しを選択し、且つ前記ピクセルのうち残りの行からの読み出しを非アクティブ化するように、前記ピクセルのうち前記1つ以上の選択された行にのみ前記参照ビームを分配するスプリッタを含む、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記スプリッタは1つ以上の干渉計を含み、各前記干渉計は、
第1出力及び前記参照ビームを受信するための入力を有する第1ブランチと、
第2出力を有する第2ブランチと、
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチを接続する第1カプラと、
前記第1ブランチ及び前記第2ブランチを接続する第2カプラであり、前記第2ブランチは、前記第1ブランチと直列に配置されるものである、該第2カプラと、並びに
前記第1ブランチ又は前記第2ブランチに接続される可変型電圧変調器であり、前記第1出力及び前記第2出力において出力される前記参照ビームの相対パワーを制御するように、前記電圧変調器に電圧信号が入力されたことに応答して、前記第1ブランチ又は前記第2ブランチのうち少なくとも一方における前記参照ビームの相対位相を制御する、該可変型電圧変調器と、
を含む、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、
前記スプリッタはさらに、前記干渉計に接続される参照検出器を含み、前記参照検出器は、前記第1出力又は前記第2出力における前記参照ビームの相対パワーの一部を監視する電流信号を出力し、また
前記システムはさらに、前記電流信号をフィードバックとして使用して前記電圧信号を制御するパワー分配回路を備える、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、
前記スプリッタは、カスケード型干渉計から成る複数の前記干渉計を含み、
前記干渉計はM個の層内に分布され、この分布は、前記層のうち前の層における前記1つ以上の干渉計の前記第1出力及び前記第2出力がそれぞれ、前記層のうち次の層における前記干渉計のうち異なる干渉計の入力に供給され、それにより参照ビームを分割することができ、前記層のうち第1層における前記干渉計の入力に入力され、前記層のうち最後の層における前記干渉計の第1出力及び第2出力を含むN個の出力に供給されることができるよう分布され、また
N=2M個の出力に前記パワーを割り当てるのに必要とされる前記電圧信号は、前記パワー分配回路によって、M個の層について、j(1≦j≦M)番目の層内にある前記干渉計毎に、j=1から始めて、
(a)j+1番目の層内にある最も上側のブランチ及び最も下側のブランチに全てのパワーをルーティングする場合、前記j番目の層内にある各前記干渉計に印加される前記電圧信号と、前記j番目の層内にある全ての前記干渉計から出力された前記電流信号の合計とを記録し、また
(b)(a)で得られた知識を考慮して、前記j+1番目の層内にある残りの出力のそれぞれに、前記参照ビームを異なるパワーでルーティングする場合、前記電圧信号を、前記j+1番目の層内にある前記干渉計に合うよう調整し、また、前記j+1番目の層内にある前記干渉計から出力された前記電流信号の合計を記録するように、
較正され、
その結果、全ての前記電圧信号は、M個の電流ノードのみを使用して較正され、j番目の電流ノードは、前記j番目の層から出力された前記電圧信号の合計を含むことになる、システム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ビーム形成器は、第1レンズ、第1ミラー、第1ビームステアリング装置、又は前記ターゲットの全体に前記信号ビームを照射し、若しくは前記ターゲット上の1つ以上の異なる点に、1つ以上のコリメートビームを含む前記信号ビームを照射する第1光フェーズドアレイのうち少なくとも1つを含み、また
前記画像形成デバイスは、第2レンズ、第2ミラー、第2ビームステアリング装置、又は、前記ターゲットとの相互作用後に、前記信号ビームを前記ピクセル上に結像する第2光フェーズドアレイのうち少なくとも1つを含む、システム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記レシーバーは、
各前記ピクセルが異なる参照位相を有する前記参照ビームを受信するように、各前記ピクセルに送信される前記参照ビームの参照位相を調整する制御回路、又は
測距用途用の前記出力信号から時間領域情報を抽出するように、少なくとも1つの線形周波数チャープ、又は少なくとも1つの2進符号化位相若しくは振幅のうち、少なくとも一方を用いて前記電磁波を変調する変調器を含む、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記捕捉領域は1つ以上の光アンテナを含む、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
前記コヒーレント撮像システムは、前記出力信号を、コヒーレントトトモグラフィ、LIDAR、リモートセンシング、ロボット工学、自動化、空中結像、又は分光法から選択される用途に使用できるように構成され、前記電磁波のコヒーレント光源は1つ以上のレーザを含む、コヒーレント撮像システム。
【請求項18】
CMOS撮像装置又はRFレーダシステムのうち少なくとも一方と組み合わせた請求項1に記載のシステムを備えるマルチモーダル撮像システム。
【請求項19】
請求項1に記載の撮像システムであって、さらにコンピュータを備え、前記コンピュータは、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、及び前記1つ以上のメモリに記憶された1つ以上のコンピュータ実行可能命令を含み、前記コンピュータ実行可能命令は、
前記出力信号から得られた撮像装置出力データを圧縮する第1人工知能若しくは機械学習アルゴリズム、又は
前記ターゲットを検出し若しくは前記ターゲットを分類するように、前記出力信号から得られた若しくは前記出力信号を含むデータを分析する、第2人工知能若しくは機械学習アルゴリズム
のうち少なくとも一方を有する、撮像システム。
【請求項20】
電磁波のコヒーレント検出のため、ピクセルのアレイを備える検出器アレイであって、
各前記ピクセルは、
画像形成デバイスによって前記ピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を収集信号として収集するための手段と、
前記収集信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の収集信号に分割するための手段と、
複数の混合信号を形成するように、各前記収集信号を参照ビームと混合するための手段と、及び、
前記混合信号を検出し、前記混合信号に応答して複数の出力信号を出力するための手段と
を含む、検出器アレイ。
【請求項21】
請求項20に記載の検出器アレイにおいて、前記収集するための手段、前記分割するための手段、前記混合するための手段、及び前記出力するための手段は、1つ以上のフォトニック集積回路を含む、検出器アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年4月22日に、Aroutin Khachaturian、Behrooz Abiri、Seyed Mohammadreza Fatemi、及びSeyed Ali Hajimiriによって出願され、「"COHERENT PHOTONICS IMAGER WITH OPTICAL CARRIER SUPPRESSION AND PHASE DETECTION CAPABILITY,」(CIT-8637-P)と題し、同時係属中であり、本発明の譲受人に譲渡された、米国特許仮出願第63/178,118号について、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コヒーレント撮像システム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のイメージセンサ(CCD又はCMOS)は、直接検出に基づいて機能し、暗電流ノイズ及び電気的読み出しノイズ(electrical read noise)に起因して性能が制限される。コヒーレント光源と組み合わせた機械式デバイス及びMEMSデバイスは、これら従来のカメラセンサを改善する1つの方法である。しかしながら、走査速度は、kHz領域に制限され、またコヒーレント検出用には、嵩張る外部光学部品を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、集積型フォトニクスプラットフォームは、外部光学部品を必要とせずとも、各ピクセルにおいて複雑な信号処理を行うことができる。さらに、コヒーレントビーム形成は、光フェーズドアレイ[1](非特許文献1)を使用する集積型ビーム形成によって達成することができる。コヒーレント撮像装置(イメージャ)[2]~[4](非特許文献2~4)は、ヘテロダイン検出に基づいて機能し、また信号感度の増加に起因して向上した範囲及び解像度をもたらす。ヘテロダイン混合の後、ダウンコンバートされた電気信号は、光信号の位相又は振幅に組み込まれた所望の信号を含むので、レシーバー(受信機)は、ショットノイズ制限領域の近くで動作することができる。しかしながら、ヘテロダイン検出器の主な課題は、コヒーレントレーザ源の不完全性の変動(相対強度ノイズ及び位相ノイズ)がノイズ源として現れ、検出信号と干渉することである。これにより、不所望の信号を平均化して相殺するのに必要な信号取得時間が増加する。コヒーレント撮像装置のもう1つの課題は、相互接続密度及びチャンネル間絶縁の増加である。必要とされているのは、ノイズ及び相互接続密度が低減したコヒーレント撮像システムである。本開示はこの要求を満たす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Firooz Aflatouni, Behrooz Abiri, Angad Rekhi, and Ali Hajimiri, "Nanophotonic projection system, " Opt. Express 23, 21012-21022 (2015)
【非特許文献2】B. Abiri, R. Fatemi and A. Hajimiri, "A 1-D Heterodyne Lens-Free Optical Phased Array Camera With Reference Phase Shifting, " in IEEE Photonics Journal, vol. 10, no. 5, pp. 1-12, Oct. 2018, Art no. 6601712, doi: 10.1109/JPHOT.2018.2871823.
【非特許文献3】Firooz Aflatouni, Behrooz Abiri, Angad Rekhi, and Ali Hajimiri, "Nanophotonic coherent imager, " Opt. Express 23, 5117-5125(2015)
【非特許文献4】B. Behroozpour et al., "11.8 Chip-scale electro-optical 3D FMCW lidar with 8μm ranging precision," 2016 IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC), San Francisco, CA, USA, 2016, pp. 214-216, doi: 10.1109/ISSCC.2016.7417983.
【0006】
[課題を解決するための手段]
本発明の実施形態による例示的なコヒーレント撮像システム及び検出器アレイは、限定されるものではないが、以下を含む。
【0007】
(実施例1)
コヒーレント撮像システムにおいて、
トランスミッタであって、
電磁波のコヒーレント光源、及び
電磁波を、参照ビームと、ターゲットに送信される信号ビームとに分割するためのパワースプリッタ
を含む、該トランスミッタと、
ターゲットから反射された又はターゲットを透過した信号ビームを受信するように配置されるレシーバーであり、
画像形成デバイス、及び
ピクセルのアレイ
を含む、該レシーバーと、
を備える、コヒーレント撮像システムであって、各前記ピクセルは、
画像形成デバイスによって捕捉領域上に結像された信号ビームの一部を収集信号として収集するための該捕捉領域と、
参照ビーム及び収集信号を、複数の経路に沿って複数のカプラに分配する複数の導波路であり、
異なる経路内の収集信号は、異なる位相シフトを有し、また
各カプラは、複数の混合信号を形成するように、参照ビームと、位相シフトにおいて異なる位相シフトを有する収集信号のうち異なる収集信号とを混合する、
該複数の導波路と、
各混合信号を検出し、且つ、検出に応答して複数の出力信号を出力するように、カプラの出力に接続された複数の検出器と、
を含む、コヒーレント撮像システム。
【0008】
(実施例2)
実施例1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
カプラは、第1カプラ及び第2カプラを含み、
収集信号は、第1信号と、第1信号に対して90度の位相シフトを有する第2信号とを含み、
混合信号は、第1混合信号及び第2混合信号を含み、
第1カプラは、第1信号を参照ビームと混合して、同位相信号を有する第1混合信号を形成し、
第2カプラは、第2信号を参照ビームと混合して、直交信号を有する第2混合信号を形成し、
検出器は、同位相信号を検出する第1検出器、及び直交信号を検出する第2検出器を含む、コヒーレント撮像システム。
【0009】
(実施例3)
実施例2に記載のコヒーレント撮像システムであって、さらに、出力信号の二乗を合計する回路を備える、コヒーレント撮像システム。
【0010】
(実施例4)
実施例1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
収集信号は、第1信号と、第1信号に対して第1角度の位相シフトを有する第2信号と、第1信号に対して第2角度の位相シフトを有する第3信号と、第1信号に対して第3角度の位相シフトを有する第4信号とを含み、
カプラは、第1混合信号、第2混合信号、第3混合信号及び第4混合信号を含む混合信号を出力する、第1カプラ、第2カプラ、第3カプラ及び第4カプラを含み、また
検出器は、第1混合信号を検出する第1検出器、第2混合信号を検出する第2検出器、第3混合信号を検出する第3検出器、及び第4混合信号を検出する第4検出器を含む、コヒーレント撮像システム。
【0011】
(実施例5)
実施例1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタ及びレシーバーは、
信号ビームが、アパーチャを介してトランスミッタからターゲットに送信され、且つ
信号ビームが、アパーチャを介してレシーバー内で受信されるように、
該アパーチャを共有する、コヒーレント撮像システム。
【0012】
(実施例6)
実施例5に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタ及びレシーバーは、光アンテナが、信号ビームをターゲットに送信し、且つ、光アンテナが、ターゲットから信号ビームを受信するように、複数の光アンテナを共有するアパーチャを含む、コヒーレント撮像システム。
【0013】
(実施例7)
実施例5に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタ及びレシーバーは、
トランスミッタからターゲットに送信される信号ビーム、及び
ターゲットからピクセルに受信される信号ビーム
を形成するような光ビーム形成システムを共有するアパーチャを含む、コヒーレント撮像デバイス。
【0014】
(実施例8)
実施例1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
レシーバーはさらに電気制御回路を含み、電気制御回路は、
ピクセルのうち1つ以上の選択された行からの出力信号の読み出しを選択し、且つ
ピクセルのうち残りの行からの読み出しを非アクティブ化するように、
ピクセルにバイアスをかける、コヒーレント撮像システム。
【0015】
(実施例9)
実施例8に記載のシステムにおいて、
ピクセルは行及び列として配置され、
電気制御回路は、
行のうち1つ以上の行内にある各ピクセルに接続された複数の共通行バイアスライン、及び
列のうち1つ以上の列内にある各ピクセルに接続された複数の共通列バイアスラインを含むものであり、
各ピクセルはさらに、
一対の共通行バイアスラインの間に直列に接続される2つのバランス型フォトダイオードを有する各検出器、
フォトダイオードと並列に接続され、且つ、一対の共通行バイアスラインの間に接続される保護抵抗、
少なくとも1つのダイオードであり、該ダイオードは、フォトダイオードからの出力と直列に接続されたアノード及びカソードを含む、該ダイオード、
を含み、
一対の共通行バイアスラインは、フォトダイオードに逆バイアスをかけ、アノードの電圧を設定し、
共通列バイアスラインは、
1つ以上の選択された行から出力信号を読み出すために、選択された行内のダイオードに順方向バイアスをかけ、且つ
残りの行内のダイオードに逆バイアスをかけるように、
カソードにバイアスをかける、システム。
【0016】
(実施例10)
実施例1に記載のシステムにおいて、レシーバーはさらに、ピクセルのうち1つ以上の選択された行からの出力信号の読み出しを選択し、且つピクセルのうち残りの行からの読み出しを非アクティブ化するように、ピクセルのうち1つ以上の選択された行にのみ参照ビームを分配するスプリッタを含む、システム。
【0017】
(実施例11)
実施例10に記載のシステムにおいて、スプリッタは1つ以上の干渉計を含み、各干渉計は、
第1出力及び参照ビームを受信するための入力を有する第1ブランチと、
第2出力を有する第2ブランチと、
第1ブランチ及び第2ブランチを接続する第1カプラと、
第1ブランチ及び第2ブランチを接続する第2カプラであり、第2ブランチは、第1ブランチと直列に配置されるものである、該第2カプラと、並びに
第1ブランチ又は第2ブランチに接続される可変型電圧変調器であり、第1出力及び第2出力において出力される参照ビームの相対パワーを制御するように、電圧変調器に電圧信号が入力されたことに応答して、第1ブランチ又は第2ブランチのうち少なくとも一方における参照ビームの相対位相を制御する、該可変型電圧変調器と、
を含む、システム。
【0018】
(実施例12)
実施例11に記載のシステムにおいて、
スプリッタはさらに、干渉計に接続される参照検出器を含み、参照検出器は、第1出力又は第2出力における参照ビームの相対パワーの一部を監視する電流信号を出力し、また
システムはさらに、電流信号をフィードバックとして使用して電圧信号を制御するパワー分配回路を備える、システム。
【0019】
(実施例13)
実施例12に記載のシステムにおいて、
スプリッタは、カスケード型干渉計から成る複数の干渉計を含み、
干渉計はM個の層内に分配され、1つ以上の干渉計の第1出力及び第2出力はそれぞれ、層のうち前の層において、層のうち次の層内にある干渉計のうち異なる干渉計の入力に供給され、それにより参照ビームを分割することができ、層のうち第1層内にある干渉計の入力に入力され、層のうち最後の層内にある干渉計の第1出力及び第2出力を含むN個の出力に供給され、また
N=2M個の出力にパワーを割り当てるのに必要とされる電圧信号は、パワー分配回路によって、M個の層について、j(1≦j≦M)番目の層内にある干渉計毎に、j=1から始めて、
(a)j+1番目の層内にある最も上側のブランチ及び最も下側のブランチに全てのパワーをルーティングする場合、j番目の層内にある各干渉計に印加される電圧信号と、j番目の層内にある全ての干渉計から出力された電流信号の合計とを記録し、また
(b)(a)で得られた知識を考慮して、j+1番目の層内にある残りの出力のそれぞれに、参照ビームを異なるパワーでルーティングする場合、電圧信号を、j+1番目の層内にある干渉計に合わせ、また、j+1番目の層内にある干渉計から出力された電流信号の合計を記録するように、
較正され、
その結果、全ての電圧信号は、M個の電流ノードのみを使用して較正され、j番目の電流ノードは、j番目の層から出力された電圧信号の合計を含むことになる、システム。
【0020】
(実施例14)
実施例1に記載のシステムにおいて、
ビーム形成器は、第1レンズ、第1ミラー、第1ビームステアリング装置、又はターゲットの全体に信号ビームを照射し、若しくはターゲット上の1つ以上の異なる点に、1つ以上のコリメートビームを含む信号ビームを照射する第1光フェーズドアレイのうち少なくとも1つを含み、また
画像形成デバイスは、第2レンズ、第2ミラー、第2ビームステアリング装置、又は、ターゲットとの相互作用後に、信号ビームをピクセル上に結像する第2光フェーズドアレイのうち少なくとも1つを含む、システム。
【0021】
(実施例15)
実施例1に記載のシステムにおいて、レシーバーは、
各ピクセルが異なる参照位相を有する参照ビームを受信するように、各ピクセルに送信される参照ビームの参照位相を調整する制御回路、又は
測距用途用の出力信号から時間領域情報を抽出するように、少なくとも1つの線形周波数チャープ、又は少なくとも1つの2進符号化位相若しくは振幅のうち、少なくとも一方を用いて電磁波を変調する変調器を含む、システム。
【0022】
(実施例16)
実施例1に記載のシステムにおいて、捕捉領域は1つ以上の光アンテナを含む、システム。
【0023】
(実施例17)
実施例1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、
コヒーレント撮像システムは、出力信号を、コヒーレントトトモグラフィ、LIDAR、リモートセンシング、ロボット工学、自動化、空中結像、又は分光法から選択される用途に使用できるように構成され、電磁波のコヒーレント光源は1つ以上のレーザを含む、コヒーレント撮像システム。
【0024】
(実施例18)
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像装置又は無線周波数(RF)レーダシステムのうち少なくとも一方と組み合わせた実施例1に記載のシステムを備えるマルチモーダル撮像システム。
【0025】
(実施例19)
実施例1に記載の撮像システムであって、さらにコンピュータを備え、コンピュータは、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、及び1つ以上のメモリに記憶された1つ以上のコンピュータ実行可能命令を含み、コンピュータ実行可能命令は、
出力信号から得られた撮像装置出力データを圧縮する第1人工知能若しくは機械学習アルゴリズム、又は
ターゲットを検出し若しくはターゲットを分類するように、出力信号から得られた若しくは出力信号を含むデータを分析する、第2人工知能若しくは機械学習アルゴリズム
のうち少なくとも一方を有する、撮像システム。
【0026】
(実施例20)
電磁波のコヒーレント検出のため、ピクセルのアレイを備える検出器アレイにおいて、
各ピクセルは、
画像形成デバイスによってピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を収集信号として収集するための手段と、
収集信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の収集信号に分割するための手段と、
複数の混合信号を形成するように、各収集信号を参照ビームと混合するための手段と、及び、
混合信号を検出し、混合信号に応答して複数の出力信号を出力するための手段と
を含む、検出器アレイ。
【0027】
(実施例21)
実施例20に記載の検出器アレイにおいて、収集するための手段、分割するための手段、混合するための手段、及び出力するための手段は、1つ以上のフォトニック集積回路を含む、検出器アレイ。
【0028】
ここで図面を参照する。図面内では、類似の参照番号は、全体にわたって対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】コヒーレント撮像システムにおける検出器アレイ内のユニットセルのブロック図である。
【
図3】ダイオード選択信号及び並列保護抵抗器を備えるバランス検出器セルの概略図である。
【
図4】コヒーレント撮像装置ピクセルの電気配線を示す概略図である。
【
図5】パワーを2分割するための可変型光パワー分配(TPD)セルの概略図である。
【
図6】パワーを4分割するためのTPDセルのカスケードである。
【
図7】パワーをN分割するためのTPDセルのカスケードである。
【
図8】周波数変調連続波(FMCW)による変調、フラッシュ照明、及び離散レンズを利用する画像形成を用いた、コヒーレント撮像システムである。
【
図9】FMCW変調、ポイント毎の照明(point-by-point illumination)、及び離散レンズを利用する画像形成を用いた、コヒーレント撮像システムである。
【
図10】FMCW変調、ポイント毎の照明、及び離散レンズを利用する画像形成を用いた、コヒーレント撮像システムである。
【
図11】デジタルビーム形成を用いたコヒーレント撮像システムである。
【
図12】ビーム形成用又は画像形成用の光フェーズドアレイ(optical phased array)の概略図である。
【
図13A】シリコンにおいてフォトリソグラフィーを利用してフォトニック回路として製造された可変カプラの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図13B】シリコンにおいてフォトリソグラフィーを利用してフォトニック回路として製造されたコヒーレント撮像装置ピクセルユニットの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図13C】シリコンにおいてフォトリソグラフィーを利用してフォトニック回路として製造されたハイブリッド90°カプラの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図14】コヒーレント撮像装置におけるシリコンフォトニクスの実施形態のダイ写真である。
【
図15】
図15Aは、第1時間インスタンスにおいて、ターゲットから反射された信号ビームに応答して測定された同位相信号(I)及び逆位相信号(Q)を、時間(マイクロ秒μs)の関数として表したプロットであり、
図1、13及び14のコヒーレント撮像システムを使用して取得された。
図15Bは、
図15AのI及びQを使用した、I
2+Q
2のプロットである。
【
図16】
図16Aは、第2時間インスタンスにおいて、ターゲットから反射された信号ビームに応答して測定された同位相信号(I)及び逆位相信号(Q)を、時間(マイクロ秒)の関数として表したプロットであり、
図1、13、及び14のコヒーレント撮像システムを使用して取得された。
図16Bは、
図16AのI及びQを使用した、I
2+Q
2のプロットである。
【
図17】本発明の1つ以上の実施形態によるコヒーレント撮像システムの製造方法を示すフローチャートである。
【
図18】本発明の1つ以上の実施形態による撮像方法を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の1つ以上の実施形態による、撮像を実施するための例示的なコンピュータシステムの実施形態である。
【
図20】本発明の1つ以上の実施形態による、撮像を実施するための例示的なネットワークコンピュータシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施形態についての以下の説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、本発明を実施できる具体的な実施形態が実例として示される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造の変更を行うことができることを理解すべきである。
【0031】
[技術説明]
[コヒーレント撮像システムの実施例]
図1は、トランスミッタ102及びレシーバー103を備えるコヒーレント撮像システム100を示す。トランスミッタ102は、電磁波106のコヒーレント光源104と、電磁波を参照ビーム112と信号ビーム110に分割するためのパワースプリッタ108と、変調電磁波116を形成するように、電磁波の位相又は振幅のうち少なくとも一方を変調するための変調器114と、及び(変調電磁波を含む)信号ビームをターゲット122に送信するビーム形成器118とを備える。レシーバー103は、ターゲット122から反射された又はターゲット122を透過した信号ビーム126を受信するように配置される。レシーバーは、画像形成デバイス128と、ピクセル130のアレイとを備える。
【0032】
コヒーレント光源のコヒーレンス時間は、用途に応じて変化してもよい。例えば、近距離(数メートル)3D撮像用途に、低コストの垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)又は長いコヒーレント時間を有する長い分布帰還型レーザ(DFB)を備えるコヒーレント光源を使用してもよい。
【0033】
トランスミッタ102は、ターゲットを全体として又はポイント毎に照明することができる。レシーバー103は、ターゲットからの光を処理し、戻り信号の振幅及び位相を処理及び抽出し、次いで戻り信号を処理して画像を形成する。
【0034】
随意的には、
図1に示されるように、レシーバーブロック及びトランスミッタブロックは、コヒーレント光源から出力される光信号の位相及び/又は振幅で電気信号を符号化する変調器を含んでもよい。例えば、ヘテロダイン検出のために正弦波電気信号を利用してもよい。1つ以上の測距用途では、電気的変調は、ターゲットの画像から時間領域情報(time domain information)を抽出できるように、線形周波数チャープ又は2進符号化位相/振幅を含む。1つ以上のホモダイン実施形態では、変調は不要である。
【0035】
ビーム形成及び画像形成は、物理レンズ、ミラー、ソリッドステート式光フェーズドアレイ又は機械式ステアリングを含む様々なデバイスを使用して達成することができるが、これらのデバイスに限定されない。一実施形態では、ターゲットの全体がフラッシュで照明され、この場合、ビームステアリングは不要である。
【0036】
[例示的なコヒーレント撮像ユニットセル]
図2は、受信信号126の位相及び振幅を両方とも検出可能なコヒーレントピクセル130を備えるレシーバーアレイの、例示的な基礎的要素を示す。各ピクセルは、画像形成デバイス128によって捕捉領域上に結像された信号ビームの一部を収集信号201として収集するための捕捉領域200(例えば、グレーティングカプラ又は光アンテナ)と、参照ビーム112及び収集信号201を複数の経路に沿って複数のカプラ204に分配する複数の導波路202とを備える。異なる経路内の収集信号は異なる位相シフトを有し、また各カプラは、複数の混合信号206を形成するように、参照ビームと、位相シフトにおいて異なる位相シフトを有する収集信号のうち異なる収集信号とを混合する。1つ以上の実施形態では、画像形成デバイス128(例えば、光フェーズドアレイ)は、異なる経路内の収集信号が異なる位相シフトを有するように、ターゲットから受信した電磁波126を位相シフトする。
【0037】
各ピクセルはさらに、各混合信号を検出し、且つ、検出に応答して複数の出力信号210を出力するように、カプラの出力に接続された複数の検出器208を備える。したがって、混合信号は、参照ビーム112及びピクセル信号201をN個の経路に分割し(N=2、3、4、又はそれ以上)、それらを適切な位相差で組み合わせることによって、2つ以上の出力を有することができる。N=2の場合、位相差を90oにすることができる。N=4の場合、位相差を、例えば45°、90°、及び135°にすることができる。
【0038】
図2に示されるN=2の場合の特定の実施例では、ピクセル130は、受信信号201を分割し、2つの経路内で参照信号112と混合する。2つの経路は、参照信号112を受信信号201と混合し、また、1/4波長(π/2)を有する相対的なピクセル(又は参照)経路差を除いて同一である。この構造は、90°ハイブリッドとして知られている。その結果、混合された光信号は、お互いの同位相成分及び直交成分である。次いで、同位相混合及び直交混合信号は、光検出器208に供給されて、ダウンコンバートされた電気信号を生成する。したがって、N=2の場合のある例示的な実施形態では、カプラ204は、第1カプラ204a及び第2カプラ204bを備え、収集信号201は、第1信号201aと、第1信号に対して90度の位相シフトを有する第2信号201bとを含み、混合信号は、第1混合信号206b及び第2混合信号206aを含み、第1カプラは、第1信号を参照ビームと混合して、同位相信号を含む第1混合信号206bを形成し、第2カプラは、第2信号を参照ビームと混合して、直交信号を含む第2混合信号206aを形成し、検出器208は、同位相信号を検出する第1検出器208aと、直交信号を検出する第2検出器208bとを備える。図示の実施形態では、結合/混合は、方向性カプラ204を使用して達成され、検出は、混合されていない光学成分を差し引くように構成されるバランス検出器208を使用して達成される。他の実施形態では、信号結合のために、単一の光検出器と共にY字状分岐が使用される。例示的なカプラ204は、限定はしないが、十分小さなギャップによって分離された導波路セクションを含み、このギャップにより、導波路セクション間又はビームスプリッタ間で、収集信号に関連する電磁場を結合することができる。
【0039】
図2は、不所望の位相(例えば、N=2の経路を有する実施形態の場合、90°以外)に対する相対的な経路を変更する製造欠陥を補正するために、経路の1つに光位相チューナが組み込まれている実施例を示している。
【0040】
電気出力ピクセルが2個ある場合、信号201及び参照経路信号112は、以下のように与えられる。
【数1】
ここで、A
1(t)、A
2(t)、P
1(t)及びP
2(t)は、光信号における符号化された電気変調であり、ηはターゲットの複素反射率又は透過率であり、ω
optは光キャリア周波数であり、Φ
opt及びΦ'
optは、レーザ位相ノイズ及び光路長の変更とともに変動する光路位相である。コヒーレントピクセル130を使用して合成した後、電気出力電流は、以下のようになる。
【数2】
ここで、Rは光検出器の感度であり、δΦ
opt=Φ
opt-Φ’
optである。電流の二乗(SSQ)を合計することにより、キャリア位相差δ¢
optへの従属が除去される。
【数3】
【0041】
このようにして、キャリア周波数及びそのすべてのノイズの寄与が抑制される。
【0042】
別の実施形態では、光位相ノイズは、さらなる処理のために抽出される。SSQの計算後、P1(t)-P2(t)-δΦoptを抽出することができる。位相符号化が使用される場合、P1(t)≠0、P2(t)≠0、及びP1(t)-P2(t)は、ターゲットについての情報と共に、信号上の付加的ノイズとして振る舞うレーザ位相ノイズを含むことができる。
【0043】
[例示的な行-列読み出し(Row-Column Readout)及び拡張可能なアパーチャ]
コヒーレント撮像ユニットを実装する半導体プラットフォーム(CMOSシリコンフォトニクス等)を使用するN×M平面ピクセルアレイでは、出力電気信号増幅用且つ検出用の電気回路構成にルーティングすると、電気的相互接続が困難になるおそれがある。これらの難点は、行-列選択信号を利用して、第1ピクセルセットを有効(enable)にしながら他のピクセルを無効にし、それにより、一度にピクセルのサブグループのみを読み取ることにより対処することができる。選択信号は、個々のピクセルに含まれるCMOSスイッチを使用して実施でき、各ピクセルはローカルな初段増幅器を含み、スイッチング信号はこの増幅器の供給電圧を含む。しかしながら、CMOSスイッチは、集積型フォトニクスプラットフォーム内に集積型電気トランジスタブロックを実装することを必要とし、大型のアパーチャ(aperture)を実装することのコスト及び複雑さを増大させる。
【0044】
低コストの方法でこれらの問題を克服するために、
図3は、行-列読み出し回路が、集積型フォトニクスプラットフォーム内に容易に実装可能な電気ダイオード300を備える実施形態を示す。より詳細には、回路アーキテクチャは、バランス検出器208、304のダウンコンバートされた電気出力302と直列なダイオード300を備え、その結果、各ピクセルは、直列ダイオード300が順方向にバイアスされているときにのみ、読み出しのために有効にされる。フォトニクス検出器(フォトダイオード304)は、共通バイアスライン306に沿って加えられるバイアスノードVbias1及びVbias2を使用して、逆方向バイアスに保たれる。電荷が蓄積することを防止することにより、光検出器208、304を保護するために、2つの抵抗器308が検出器208、304と並列に配置される。
【0045】
図4は、フォトダイオード304に対して逆方向にバイアスをかけるため、且つ、直列ダイオード300のアノードの電圧を設定するための共通行信号406(Vbias1及びVbias2)と共に、矩形グリッド内に行402及び列404で配置されたピクセル130を備える行-列有効アーキテクチャ400を示す。所与の列404内のすべてのピクセル130は、共通の列読み出し信号1(Iチャンネル)及び列読み出し信号2(Qチャンネル)を含む2つの共通出力電圧408も共有する。バイアス電圧408は、列に対する直列ダイオード300のカソード電圧を設定する。行-列読み出し動作用にこのアーキテクチャを使用すれば、アクティブピクセル410を選択するように、順方向バイアス時のこれらのピクセル130における1つの行の直列ダイオードに対して順方向にバイアスをかけ、残りの行の直列ダイオード300に対して逆方向にバイアスをかけることにより、ピクセル130における残りの全ての行を無効にすることが可能である。このように、列ノードは、有効にされた行からの電流のみを含み、N×Nピクセルアレイから全てのアレイを読み出すために、2N個の信号及び2N個の増幅器のみが必要とされる。
【0046】
いくつかの実施例では、利用される技術及び撮像装置(イメージャ)アレイのサイズ次第で、この行-列アーキテクチャは不要である。例えば、別の実施形態では、電気配線は、いくつかの行を付加的な列信号と同時に読み出すことができるように配置される。
【0047】
[個々のピクセルへの例示的な参照光分配]
図1は、コヒーレント撮像システムの適切な動作のために、アレイ内のすべてのピクセルに分配される参照光112を示している。一実施形態では、この分配は、1:N均等パワー光スプリッタ、又は1:2若しくは1:Mスプリッタのカスケードを使用して達成される。
【0048】
可変型光分配ネットワークを利用すると、いくつかの実施形態では、無効にされた行からの行-列選択ダイオード300が、信号漏洩を少量にすることができるので、行-列信号分離の改善にとって有益である。その結果、アレイが非常に大きい場合、無効化された列がアクティブな列と干渉し、その結果、ピクセルのダイナミックレンジを低減するおそれがある電流漏洩を蓄積する。可変型光分配ネットワークを用いることにより、望ましくない信号強度を許容可能なレベルまで低減することが可能である。
【0049】
1つ以上の実施例では、可変型光分配ネットワークは、行-列選択信号を供給するために使用することができる。そのような例では、分配ネットワークは、1つ以上の選択された行のみが局部発振器(LO)のパワーを受け取る(残りの行を実質的にオフにする)ように、局部発振器のパワー(参照ビーム112)の分配を制御するように構成される。しかしながら、いくつかの実施例では(行-列電気ダイオードと同様に)、光分布は不完全であり、一定のダイナミックレンジしか有しない。したがって、行-列ダイオード読み出し回路と組み合わせて結合された可変型光パワー分配(TPD)ネットワークのおかげで、ピクセル間の干渉が低減し、信号ダイナミックレンジがより高くなった、はるかに大きなアレイを利用することができる。
【0050】
図5は、可変型パワー分配装置(TPD)が、可変型マッハツェンダ干渉計502ベースのパワースプリッタを利用している実施形態を示す。電圧V Cntrlを使用して変調器512にバイアスをかけることによって制御される2つの経路504、506の相対位相は、2つの出力ポートP
1、P
2の相対パワーを決定する。ポートP
1又はP
2のうち一方の出力におけるパワーの一部を測定するために、探知フォトダイオード(sniffer photodiode)514が使用される。k番目の干渉計502に接続された探知ダイオード514から出力される電流I
FBkと共に、合計入力パワーP
inが分かれば、各出力ポートにおける出力パワーを算出し、(フィードバックループ516を使用して)出力パワーを所望の値へと安定化することができる。
【0051】
図6は、パワー分配ユニットTPD、500、502がカスケード接続されて、1つのポートを4つのポートに分割する可変光カプラを作製している実施例を示す。
図6は、1:4=2
2スプリッタの場合、可変カプラの完全な較正には、2つの電流ノードI
S1=I
FB1及びI
S2=I
FB2+I
FB3のみが必要であることを示す(ここで、I
FB1,I
FB2,I
FB3は、3つの干渉計502のそれぞれに接続された探知ダイオード314から出力される電流である)。較正手法は、全ての光パワーを回路ネットワークの上側ブランチ602に向け、変調器512に印加される関連電圧Vctrl1と、光パワーを監視するために使用された結果として生じるI
S1とを記録する第1ステップを備える。次に、第2ステップにおいて、第2干渉計502内の第2変調器512に印加されるVctrl2は、Vctrl2を調整して上側ブランチ内の出力における様々な電力比率を達成し、また測定されたI
S2を記録することにより、較正される。その後、第3ステップにおいて、Vctrl1は、全てのパワーを下側ブランチ604に向けるように設定され、電流I
S2は(第2ステップで得られたI
S2と共に)、第3干渉計502内の第3変調器512に印加されるVcntrl3を較正するために使用される。
【0052】
図7は、可変カプラ500をカスケード接続して、1:N=2M可変パワースプリッタを作り出した実施形態を示す。より一般的には、パワーをN=2M個の出力に割り当てるために必要とされる電圧信号(例えば、VCntrl 1…VCntrl k)は、パワー分配TPD回路500のM個の層600について、j(1≦j≦M)番目の層内にあるTPD回路毎に、j=1から始めて、
(a)j+1番目の層内にある最も上側のブランチ602及び最も下側のブランチ604にすべてのパワーをルーティングする場合、j+1番目の層内にあるk個の干渉計のそれぞれに印加される電圧信号(例えば、VCtrl 1…VCntrl k)と、j番目の層内にあるk個の干渉計の全てから出力された電流の和(たとえば、I
j=Σ
kIFB
k)とを記録すること、及び
(b)(a)で得られた知識を考慮して、j+1番目の層内にある残りの出力のそれぞれに、参照パワーを異なる複数のパワーでルーティングする場合、電圧信号(例えば、VCntrl p)を、j+1番目の層内にあるp個の干渉計502に合うよう調整し、j+1番目の層内にあるp個の干渉計の全てから出力される電流信号(例えば、Ij+1=ΣpI IFBp)の合計を記録すること、
により較正され、
その結果、すべての電圧信号(例えば、VCntrl k、VCntrl p)は、M個の電流ノードのみを使用して較正され、j番目の電流ノードは、j番目の層から出力された電流信号の合計I
j=Σ
kI
kを含み、ここでkは、j番目の層内にあるTPD回路の数である。
【0053】
[例示的なトランスミッタ側及びレシーバー側ビーム形成の構成]
レシーバー103におけるコヒーレント撮像ピクセル130のアレイは、ターゲット122を照明するトランスミッタ102と、ピクセル130上に画像を形成するビーム形成素子128とに連携して作動する。
【0054】
図8は、トランスミッタ102が、cos((1/2)ξ
2t+ω
ot)の信号を印加する変調器を使用して、周波数変調連続波(FMCW)チャープで変調されたcos(ω
optt+Φ
o)の信号を含むレーザ光を出力する実施例を示す。フラッシュ照明118は、ターゲット122の全体にFMCW変調信号ビーム120を照射する。その光パワーの一部は、反射又は透過関数η(x,y,z)に従って、ターゲット122によって変調される。残りの変調光は、ビームスプリッタ801を使用して取り出され、レシーバーのピクセル130のアレイに入力される参照ビーム112用のコヒーレント光源として使用される。
図8の例では、ターゲット122から反射された光は、レシーバーの検出器アレイ802(ピクセル130を含む)上に画像を形成するレンズ800を使用して収集される。回路132を使用して増幅及びデジタル信号処理(DSP)を行うことにより、信号ビーム126の強度I
2+Q
2=η(x,y,z)、位相(ΔΦ+ω
optτ(η))を測定して、ターゲット122の深度情報を求めることができる。この技術は、ターゲットを撮像するための最も速い方法の1つを含むが、波長毎の合計放射パワーが制限されることにより、ターゲット上のポイント毎の合計照明パワーが制限される。
【0055】
図9は、トランスミッタ102が、コリメートされたビーム902(
図8のようにFMCWチャープで変調される)を使用して、ターゲット122をポイント900毎に照明する別の実施形態を示す。照明ビーム902は、ソリッドステート式フェーズドアレイを備えるビームステアリング装置904を使用して、機械的に又は電気的に操舵される。ターゲットから反射された光126は、レンズ800を使用して収集され、画像は、レシーバーの検出器アレイ802(ピクセル130を備える)上に形成される。この方法は、信号感度を増加させ、波長毎の最大許容照明を制限し、全てのパワーを単一のポイントに集中させ、高い画像捕捉速度を犠牲にして最大信号対雑音比(SNR)を提供する。
【0056】
図10は、トランスミッタ102が、マルチビーム照明1000を使用して、複数の点900でターゲット122を照射する、さらに別の実施形態を示す。様々な例では、機械式ビームステアリング装置、回折格子、又はソリッドステート式ビーム形成デバイス(例えば、半波長間隔よりも大きい光フェーズドアレイ)を備えるビームステアリング1004を使用して、マルチビーム照射1000が生成され、ターゲット122を横切って走査される。照明の複数のポイント900は、レンズ800(又は他の画像形成デバイス)を使用して、コヒーレント撮像ピクセル130上に画像を形成するように反射される。この実施形態は、
図8及び
図9の2つの方法の間のトレードオフをもたらし、トランスミッタのビーム形成要件を簡略化する。
【0057】
図11は、(デジタルビーム形成能力を有するデジタル位相シフタアレイ1100を使用して)デジタル領域内の異なるピクセル130間の同位相信号I及び直交信号Qの相対位相を調整することにより、デジタル領域内に画像を形成する実施例を示す。このシステムの実施形態は、
図8~10に示されるシステムの実施形態と比較して、コンパクト性が向上している。
【0058】
[高ダイナミックレンジ分解能の深度画像化のための例示的な変調方式]
図8~11は、FMCWチャープで変調された信号ビームを示すが、他の変調方式(又は変調なし)を使用してもよい。参照経路及び照明経路の変調方式は、深度測定の深度分解能及びダイナミックレンジを決定する。FMCW信号を使用する基本振幅変調が、所望のダイナミックレンジを有する一方で、RF位相測定は、より高い分解能を特徴とするが、ダイナミックレンジが不十分である。RF位相変調及びFMCW振幅変調の組合せを使用する1つ以上の実施形態では、コヒーレント撮像システムは、所望の高ダイナミックレンジと、高解像度とを両方とも達成する。
【0059】
いくつかの変調方式は、撮像ターゲットの距離情報及び速度情報の両方を同時に生成することができる。時間距離の測定用に使用される整合フィルタの場合、スペクトルの広帯域化により、光が、異なる距離にある複数のターゲットから戻ってくることができ、これにより、より高精度のシーン再構成を導くことができる。
【0060】
[例示的な光フェーズドアレイ]
図12は、コヒーレント撮像システムにおけるビーム形成118及び/又は画像形成128のための例示的な(例えば、光)フェーズドアレイ1200を示す。光フェーズドアレイ1200は、入力又は出力I/Oと、パワープロセッサ1202(例えば、パワースプリッタ又はコンバイナ)と、光位相シフタ1204と、放射素子又は受信素子1206(例えば、光アンテナ)と、並びに、パワープロセッサ1202及び光位相シフタ1204を介して素子1206をI/Oに接続する導波路1208とを備える。
【0061】
例示的な位相シフタは、限定されるものではないが、位相シフタ回路を使用してバイアスをかけられた1つ以上の電極に接続された材料を有するデバイスを含み、位相シフタ回路を介して電極に印加される電圧は、材料に電場を印加し、電場は、材料の屈折率を変調し、したがって、材料を通って送信される電磁波の位相を変調する。1つ以上の実施例では、位相シフタは、電気光学効果を介して屈折率が変調される電気光学変調器を備える。
【0062】
例示的なパワーコンバイナ及びスプリッタは、限定されるものではないが、導波路間にブランチ(たとえば、Y字状分岐)を含む。
【0063】
一実施例では、光フェーズドアレイが、トランスミッタ102におけるビーム形成デバイス118として実装される場合、I/Oデバイスは、レーザ、又は、レーザ若しくはレーザアレイに接続されたファイバを含む。別の実施例では、光フェーズドアレイ1200が、ターゲットから信号ビームを受信する画像形成デバイス128として実装される場合、I/Oデバイスは、アンテナ、又は電磁波126を結合するためのファイバカプラを含む。
【0064】
他の例示的なビーム形成デバイス及び画像形成デバイスとして、限定されるものではないが、機械式ビームステアリング装置(例えば、ジンバル等の機械式マウントに取り付けられたミラー)、電気光学式ビームステアリング装置(例えば、電気光学効果を介して電磁波の方向を制御する液晶又は他の材料を含む)、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、又は空間光変調器が挙げられる。
【0065】
1つ以上の実施形態では、位相シフタは、ピクセル130における異なる経路内の収集信号201が異なる位相シフトを有するように、ターゲットから受信した電磁波126の位相をずらす。
【0066】
[シリコンフォトニクスの実施例]
図13A、13B、13C及び14は、製造ミスマッチに合わせて調整するための集積型熱位相チューナ(integrated thermal phase tuners)を有する同位相ピクセル及び直交ピクセル130の8×8アレイのシリコンフォトニクス実施形態を示す。
【0067】
図13Aは、干渉計502を備える可変型パワー分配セルの走査電子顕微鏡(SEM)画像であり、第1ブランチ504、第1カプラ508、第2ブランチ506、第2カプラ510、及び探知フォトダイオード514を示す。
【0068】
図13Bは、ピクセル130のSEM画像であり、捕捉領域200、導波路202、カプラ204、及びバランス型フォトダイオード208を示す。
図13Cは
図13Bの拡大図であり、90°ハイブリッドミキサーを示す。
【0069】
図14は、8×8ピクセル130の検出器アレイ1402と、ピクセルを読み取るためにバイアス電圧を印加し、ピクセル130から出力信号210を受信するための接点1404とを備えるチップ1400のダイ写真である。アレイ1402は、16列に対して16個の出力電流を有する行-列読み出しアーキテクチャを備える。チップ1400はさらに、アレイ1402内のピクセル130へのLO参照ビーム112の分配を制御するセル502の1:8可変型振幅分布ネットワークを備える。
【0070】
RF信号及びRF信号に対して100kHzの差を有する周波数で振幅変調された参照経路及び照明経路を用いて、
図13-14に示される検出器アレイ1402及びTPDを備えるコヒーレント撮像システム100を試験した。
図15及び
図16は、2つの異なる時間インスタンスで、また異なる経路位相不整合を用いて、同位相(I)チャンネル及び直交(Q)チャンネルの両方について捕捉された、単一のピクセル130からの出力信号を示す。どちらのチャンネルも、100kHzでダウンコンバートされた信号を示しており、いかなる場合も、レーザ及び位相の変動は、2つの経路のどちらにおいてもゼロ出力信号をもたらすことはない。
【0071】
[処理ステップ]
図17は、コヒーレント撮像システム100の製造方法を示すフローチャートである(
図1-15及び19-20も参照)。
【0072】
ブロック1700は、電磁波106のコヒーレント光源104と、電磁波を信号ビーム110と参照ビーム112に分割するためのパワースプリッタ108と、を備えるトランスミッタ102を準備するステップを表す。1つ以上のヘテロダイン式の実施例では、トランスミッタはさらに、変調電磁波116を有する信号ビーム110を形成するように、電磁波の位相又は振幅のうち少なくとも1つを変調するための変調器114を備える。ホモダイン式の実施例では、変調器が必要でない場合がある。
【0073】
随意的には、トランスミッタ102はさらに、信号ビーム120をターゲット122に送信するように構成及び配置されるビーム形成器118を備えてもよい。別の実施例では、トランスミッタは、ビーム形成をせずに電磁波をターゲットに照射させる照明器又はフラッシュ照明を備える。
【0074】
ブロック1702は、ターゲットと相互作用した(例えば、ターゲットから反射された又はターゲットを透過した)信号ビーム126を受信するように、レシーバー103を準備及び配置するステップを表す。このステップは、ピクセル130のアレイに接続された画像形成デバイス128を備えるレシーバー103を準備するステップを含む。各ピクセル130は、画像形成デバイス120によってピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を収集信号として収集するための手段(例えば、捕捉領域200)と、収集信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の収集信号に分割/分配するための手段(例えば、スプリッタ及び/又は導波路202)と、複数の混合信号を形成するように、各収集信号を参照ビームと混合するための手段(例えば、カプラ204)と、並びに、混合信号に応答して、複数の出力電気信号を出力するための手段(例えば、検出器206)とを備える。
【0075】
随意的には、ブロック1704は、さらなる処理のために出力信号を増幅するための回路132又は回路構成を準備及び接続するステップを表す。
【0076】
ブロック1706は、最終結果物であるコヒーレント撮像システム100を表す。コヒーレント撮像システムは、限定されるものではないが、以下(
図1~20を参照する参照番号)を含む多くの方法で具現化することができる。
【0077】
(実施例1)
コヒーレント撮像システム100において、トランスミッタ102であって、電磁波106のコヒーレント光源104、及び変調電磁波を参照ビーム112と信号ビーム110に分割するためのパワースプリッタ108を含む、該トランスミッタ102と、ターゲットから反射された又はターゲットを透過した信号ビーム126を受信するように配置されるレシーバー103とを備える、コヒーレント撮像システム。レシーバーは、画像形成デバイス128と、ピクセル120のアレイとを含む。1つ以上の実施形態では、各ピクセルは、画像形成デバイスによって捕捉領域上に結像された信号ビームの一部を収集信号201として収集するための捕捉領域200と、参照ビーム及び収集信号を、複数の経路に沿って複数のカプラ204に分配する複数の導波路202とを有する。異なる経路内の収集信号は、異なる位相シフトを有し、各カプラは、複数の混合信号206を形成するように、参照ビームと、位相シフトのうち異なる位相シフトを有する収集信号のうち異なる信号とを混合する。各ピクセルはさらに、各混合信号を検出し、且つ、検出に応答して複数の出力信号210を出力するように、カプラの出力に接続された複数の検出器208を含む。1つ以上のさらなる実施形態では、ピクセル130のアレイは、実施例23又は24又は29又は30の検出器アレイを含む。
【0078】
(実施例2)
実施例1のコヒーレント撮像システムにおいて、カプラ204は、第1カプラ204a及び第2カプラ204bを含み、収集信号201は、第1信号201aと、第1信号に対して90度の位相シフトを有する第2信号201bとを含み、混合信号は、第1混合信号206b及び第2混合信号206aを含み、第1カプラは、第1信号を参照ビームと混合して、同位相信号を有する第1混合信号を形成し、第2カプラは、第2信号を参照ビームと混合して、直交信号を有する第2混合信号を形成し、検出器208は、同位相信号を検出する第1検出器208a、及び直交信号を検出する第2検出器208bと、を含む、コヒーレント撮像システム。
【0079】
(実施例3)
実施例1又は2に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、回路は、出力信号210の二乗を合計(132)する(例えば、出力信号は電流を含み、回路は、電流I1、I2、…Inの二乗を合計して、SSQ=I1
2+I2
2+…In
2を形成する)、コヒーレント撮像システム。
【0080】
(実施例4)
実施例1または3に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、収集信号201は、第1信号と、第1信号に対して第1角度(例えば、45°)の位相シフトを有する第2信号と、第1信号に対して第2角度(例えば、90°)の位相シフトを有する第3信号と、第1信号に対して第3角度(例えば、135°)の位相シフトを有する第4信号とを含み、カプラ204は、第1混合信号、第2混合信号、第3混合信号及び第4混合信号を含む混合信号206を出力する、第1カプラ、第2カプラ、第3カプラ及び第4カプラを含み、検出器208は、第1混合信号を検出する第1検出器、第2混合信号を検出する第2検出器、第3混合信号を検出する第3検出器、第4混合信号を検出する第4検出器を含む、コヒーレント撮像システム。
【0081】
(実施例5)
実施例1~4のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムにおいて、各検出器208は、一対のバランス検出器(BD)、例えば、同位相成分又は逆位相成分を抽出するための平衡検出器を含む、コヒーレント撮像システム。
【0082】
(実施例6)
実施例1~5のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタのアパーチャ134及びレシーバーのアパーチャ136が同一である、又は、トランスミッタのアパーチャ及びレシーバーのアパーチャを全く同一にすることができる、コヒーレント撮像システム。トランスミッタアパーチャは、信号ビーム120をターゲットに出力するトランスミッタの全表面積(例えば、ビーム形成器118の全表面積)を有し、レシーバーアパーチャは、ターゲットから受信した信号ビーム126を捕捉するレシーバーの全表面積(例えば、画像形成デバイス128の全表面積)を有する。
【0083】
(実施例7)
実施例1~6のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタのアパーチャ及びレシーバーのアパーチャは、信号ビームの送信及び受信の両方のための同一の光アンテナを備え又は共有する、コヒーレント撮像システム。
【0084】
(実施例8)
実施例1~7のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムであって、トランスミッタのアパーチャ及びレシーバーのアパーチャは、信号ビームの送信及び受信中に信号ビームをビーム形成するための、同一の光ビーム形成システム(例えば、物理レンズ、光フェーズドアレイ)を備える又は共有する、コヒーレント撮像システム。
【0085】
(実施例9)
実施例1に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、レシーバーはさらに電気制御回路138を含み、電気制御回路は、ピクセルのうち1つ以上の選択された行404からの出力信号の読み出しを選択し、且つピクセルのうち残りの行からの読み出しを非アクティブ化するように、行有効信号402を用いてピクセル130にバイアスをかける、コヒーレント撮像システム。
【0086】
(実施例10)
実施例9に記載のシステムにおいて、ピクセルは行402及び列404で配置され、電気制御回路は、行のうち1つ以上の行内にある各ピクセル130に接続された複数の共通行バイアスライン306と、列のうち1つ以上の列内にある各ピクセルに接続された複数の共通列バイアスライン406とを含む、システム。各ピクセルはさらに、一対の共通行バイアスライン306(Vbias1及びVbias2)の間に直列に接続される2つのバランス型フォトダイオード304を有する各検出器208を含む。電気制御回路はさらに、フォトダイオードと並列に接続され、且つ、一対の共通行バイアスライン306の間に接続される保護抵抗308を含む。電気回路はさらに少なくとも1つのダイオード300を含み、ダイオード300は、各フォトダイオードからの出力と直列に接続されたアノード及びカソードを含む。
【0087】
一対の共通行バイアスライン306(Vbias1及びVbias2)は、フォトダイオードに逆バイアスをかけ、少なくとも1つのダイオード300のアノードの電圧を設定し、共通列バイアスライン406は、
(1)1つ以上の選択された行402から出力信号210を読み出すために、選択された行402内のダイオード300に、順方向バイアスをかけ、且つ
(2)残りの行のダイオード300に逆バイアスをかけるように、
少なくとも1つのダイオード300のカソードにバイアスをかける。
【0088】
(実施例10)
実施例1~9のいずれかに記載のシステムにおいて、レシーバーはさらに、ピクセルのうち1つ以上の選択された行からの出力信号の読み出しを選択し、またピクセルの残りの行からの読み出しを非アクティブ化するように、ピクセル130のうち1つ以上の選択された行402にのみ参照ビームを分配するスプリッタ500を含む、システム。
【0089】
(実施例11)
実施例10にシステムにおいて、スプリッタは1つ以上の干渉計502を含み、各干渉計は、第1出力P1及び参照ビーム112を受信するための入力PINを有する第1ブランチ504と、第2出力P2を有する第2ブランチ506とを含む、システム。各干渉計はさらに、第1ブランチ及び第2ブランチを接続する第1カプラ508と、第1ブランチ及び第2ブランチを接続する第2カプラ510とを含む。第2カプラは、第1ブランチと直列に配置される。各干渉計はさらに、第1ブランチ又は第2ブランチに接続される可変型電圧変調器512を含み、電圧可変変調器は、第1出力P1及び第2出力P2において出力される参照ビームの相対パワーを制御するように、電圧変調器に電圧信号VCntr1、VCntr2が入力されたことに応答して、第1ブランチ又は第2ブランチのうち少なくとも一方における参照ビームの相対位相を制御する。
【0090】
(実施例12)
実施例11に記載のシステムであって、スプリッタはさらに、干渉計に接続される参照検出器514を含み、参照検出器は、第1出力又は第2出力における参照ビームの相対パワーの一部を監視する電流信号IFB1、IFB2を出力する、システム。
【0091】
(実施例13)
実施例12に記載のシステムにおいて、電流信号をフィードバックとして使用して電圧信号を制御する電気制御ループ516を含むパワー分配回路140を備える、システム。
【0092】
(実施例14)
・ 実施例10~13のいずれかに記載のシステムにおいて、スプリッタは、複数のカスケード可変型パワー分配(TPD)回路(例えば、カスケード型干渉計502)を含む、システム。
【0093】
(実施例15)
実施例10~14のいずれかに記載のシステムにおいて、干渉計又はTPDはM個の層600(Mは整数)内に分布され、この分布は、層のうち前の層における1つ以上の干渉計502の第1出力P1及び第2出力P2がそれぞれ、層のうち次の層における干渉計のうち異なる干渉計の入力PINに供給され、それにより参照ビームを分割することができ、層のうち第1層における干渉計の入力に入力され、層のうち最後の最後の層における干渉計の第1出力及び第2出力を含むN個の出力に供給されることができるよう分布される、システム。N=2M個の出力にパワーを割り当てるのに必要とされる電圧信号(例えば、VCntrl 1、VCntrl 2、VCntrl 3、VCntrl k)は、パワー分配TPD回路によって、M個の層について、j(1≦j≦M)番目の層内にあるTPD回路毎に、j=1から始めて、
(a)j+1番目の層内にある最も上側のブランチ602及び最も下側のブランチ604に全てのパワーをルーティングする場合、j+1番目の層内にあるk個の干渉計のそれぞれに印加される電圧信号(例えば、VCtrl 1...VCntrl k)と、j番目の層内にあるk個の干渉計の全てから出力された電流の合計(例えば、Ij=IFB1+...IFBk)とを記録し、また
(b)(a)で得られた知識を考慮して、j+1番目の層内にある残りの出力のそれぞれに、参照ビームを異なるパワーでルーティングする場合、電圧信号(例えば、VCntrl 2、VCntrl 3、VCntrl p)を、j+1番目の層内にあるp個の干渉計502に合うよう調整し、また、j+1番目の層内にあるp個の干渉計の全てから出力された電流信号の合計(例えば、I2=IFB2+IFB3+...IFBp)の合計を記録するように、
較正され、
その結果、全ての電圧信号(例えば、VCntrl 1、VCntrl 2、VCntrl 3、VCntrl k、VCntrl p)は、M個の電流ノードのみを使用して較正され、j番目の電流ノードは、j番目の層から出力された電流信号の合計Ij=I1+I2+...+Ikを含むことになり、ここでkは、j番目の層内にあるTPD回路の数である。
【0094】
(実施例16)
実施例1~15のいずれかに記載のシステムにおいて、ビーム形成器118は、第1レンズ、第1ミラー、第1ビームステアリング装置、又はターゲット122の全体に信号ビーム120を照射する第1フェーズドアレイ1200のうち少なくとも1つを含む、システム。画像形成デバイス128は、第2レンズ800、第2ミラー、第2ビームステアリング装置、又はターゲットとの相互作用後に、信号ビーム126をピクセル130上に結像する第2フェーズドアレイ1200のうち少なくとも1つを含む。
【0095】
(実施例17)
実施例1~15のいずれかに記載のシステムであって、ターゲットは、異なる点又は領域900を有し、ビーム形成器は、ターゲット上の異なる点又は領域900上に向けて、少なくとも1つのコリメートビーム902を有する信号ビームを操舵する第1ビームステアリング装置904又は第1フェーズドアレイ1200を含む、システム。画像形成デバイス128は、第2ミラー、第2レンズ800、第2ビームステアリング装置、又は点900又は領域との相互作用後に、少なくとも1つのコリメートビームをピクセル130上に結像する第2フェーズドアレイ1200のうち少なくとも1つを含む。
【0096】
(実施例18)
実施例17に記載のシステムにおいて、信号ビーム120は、複数のコリメートビーム1000を含み、第1ビームステアリング装置1004又は第1フェーズドアレイ1200は、すべての点900又は領域にわたって各コリメートビームを走査する、システム。
【0097】
(実施例19)
実施例1~18のいずれかに記載のシステムにおいて、レシーバー103は、各ピクセルが異なる参照位相を有する参照ビームを受信するように、各ピクセルに送信される参照ビームの参照位相を調整する制御回路142を含む、システム。
【0098】
(実施例20)
実施例1~19のいずれかに記載のシステムにおいて、トランスミッタ102はさらに、測距用途用の出力信号から時間領域情報を抽出するように、少なくとも1つの線形周波数チャープ、又は少なくとも1つの2進符号化位相若しくは振幅のうち、少なくとも一方を用いて電磁波を変調する変調器を含む、システム。
【0099】
(実施例21)
実施例1~20のいずれかに記載のシステムにおいて、捕捉領域200は1つ以上の光アンテナを含む、システム。
【0100】
(実施例22)
実施例1~21のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムであって、コヒーレント撮像システムは、出力信号210を、コヒーレントトモグラフィ、光検出及び測距(LIDAR)、リモートセンシング、ロボット工学、自動化、空中結像、又は分光法から選択される用途に使用できるように構成され、電磁波のコヒーレント光源は1つ以上のレーザ104を含む、コヒーレント撮像システム。
【0101】
(実施例23)
電磁波のコヒーレント検出のため、ピクセル130のアレイを備える検出器アレイ802、1402であって、各ピクセルは、画像形成デバイスによってピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を収集信号として収集するための手段(例えば、捕捉領域200及びその均等物)と、収集信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の収集信号に分割するための手段(例えば、導波路202及びその均等物)手段と、複数の混合信号を形成するように、各収集信号を参照ビームと混合するための手段(例えば、カプラ204及びその均等物)と、混合信号を検出し(例えば、検出器208及びその均等物)、混合信号に応答して複数の出力電気信号を出力するための手段(及びその均等物)と、を含む、検出器アレイ。
【0102】
(実施例24)
実施例23に記載の検出器アレイにおいて、収集するための手段、分割するための手段、混合するための手段、及び出力するための手段は、1つ以上のフォトニック集積回路1400を含み、又は1つ以上のフォトニック集積回路1400を使用して実装される、検出器アレイ。
【0103】
(実施例25)
実施例1~22のいずれかに記載のコヒーレント撮像システム100であって、実施例23又は24の検出器アレイを備える、コヒーレント撮像システム。
【0104】
(実施例26)
CMOS撮像装置(例えば、相補型金属酸化膜半導体撮像装置、若しくはCMOSで実装される撮像装置)及び/又は無線周波数(RF)レーダと組み合わせた実施例1~25のいずれかに記載のシステムを備える、マルチモーダル撮像システム。
【0105】
(実施例27)
実施例1~26のいずれかに記載の撮像システムであって、コンピュータ1900上で実行される人工知能(AI)又は機械学習を利用して、出力信号を含む撮像装置出力データを圧縮する、撮像システム。1つ以上の実施例では、AI又は機械学習は、出力信号を使用して撮像装置出力データを圧縮(例えば、画像圧縮)するように訓練される。
【0106】
(実施例28)
実施例1~27のいずれかに記載の撮像システムコンピュータ1900上で実行される人工知能(AI)又は機械学習アルゴリズムを利用して、対象物が、コヒーレント撮像システムを形成する出力信号を分析するAI又は機械学習アルゴリズムによって検出及び分類されるように、対象物検出及びターゲット/対象物分類のために出力信号を処理する、撮像システム。1つ以上の実施例では、AI又は機械学習は、出力信号を使用してターゲットを検出及び/又は分類するように訓練される。
【0107】
(実施例29)
電磁波のコヒーレント検出のため、ピクセル130のアレイを備える検出器アレイ802、1402であって、各ピクセルは、(例えば、以下を行うよう構成される)
画像形成デバイスによってピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を収集信号として収集する、
収集信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の収集信号に分割する、
複数の混合信号を形成するように、各収集信号を参照ビームと混合する、及び
混合信号を検出し、混合信号に応答して複数の出力電気信号を出力する
よう構成された1つ以上のフォトニック集積回路又は回路構成1400を含む、検出器アレイ。
【0108】
(実施例30)
電磁波のコヒーレント検出のため、ピクセル130のアレイを備える検出器アレイ802、1402であって、各ピクセルは、画像形成デバイスによってピクセル上に結像された信号ビームの少なくとも一部を収集信号として収集するための手段200と、収集信号を、それぞれ異なる位相シフトを有する複数の収集信号に分割するための手段202と、複数の混合信号を形成するように、各収集信号を参照ビームと混合するための手段204と、及び、混合信号を検出し、混合信号に応答して複数の出力電気信号を出力するための手段208(及びそれらの均等物)と、を含む、検出器アレイ。
【0109】
(実施例31)
実施例1~30のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタ102はさらに、ターゲットに伝送される変調電磁波116を含む信号ビーム110を形成するように、位相又は振幅のうち少なくとも一方を変調するための変調器114を備える、コヒーレント撮像システム。
【0110】
(実施例32)
実施例1~31のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムであって、トランスミッタはさらに、信号ビーム110をターゲットに送信する照明器、フラッシュ照明、又はビーム形成器118を含む、コヒーレント撮像システム。
【0111】
(実施例33)
実施例1~32のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムであって、トランスミッタ及びレシーバー、又はトランスミッタアパーチャ及びレシーバーアパーチャは、共通のビーム形成機構を有する、コヒーレント撮像システム。
【0112】
(実施例34)
実施例1~33のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムにおいて、トランスミッタ及びレシーバー、又は実施例33のビーム形成機構、又はレシーバーアパーチャ及びトランスミッタアパーチャは、送信及び受信の両方のための共通アンテナを有する、コヒーレント撮像システム。
【0113】
(実施例35)
実施例1~34のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムであって、さらに、さらなる処理のために出力信号210を増幅する回路132又は増幅器を備える、コヒーレント撮像システム。
【0114】
(実施例36)
実施例1~35のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムにおいて、電磁波及び信号ビームは、限定されるものではないが、400ナノメートル(nm)~10マイクロメートル、360nm~860nm、1000~1700年nm、最大でmmの波長、光波長、可視波長、赤外線波長、又は通信波長の範囲の波長を有する、コヒーレント撮像システム。
【0115】
(実施例37)
実施例36に記載のコヒーレント撮像システムにおいて、フォトニック集積回路、収集するための手段(例えば、捕捉領域200、1つ又は複数の光アンテナ)、分割するための手段(例えば、導波路202)、混合するための手段(例えば、カプラ204)、及び検出するための手段(例えば、検出器208)は、400ナノメートル(nm)~10マイクロメートル、360nm~860nm、1000~1700年nm、最大でmmの波長、光波長、可視波長、赤外線波長、又は通信波長の範囲の波長を有する電磁波を、収集、分割、混合又は検出するように、構成及び/又は寸法設定されている、コヒーレント撮像システム。
【0116】
[作動方法]
図18は、上記のブロック1706の実施例1~37のいずれかに記載のコヒーレント撮像システムを使用して撮像する方法を示しており、随意的に、検出器アレイ(例えば、実施例15の干渉計)を較正するステップ1800と、トランスミッタ102を使用してターゲットに電磁波を送信するステップ1802と、ターゲットと相互作用した後の電磁波を、コヒーレント撮像を使用してピクセル130の検出器アレイ802、1402上に収集して、出力信号を形成するステップと、ある用途のために出力信号を処理するステップとを備える。
【0117】
[ハードウェア環境]
図19は、本発明の1つ以上の実施形態を実装するために使用される例示的なハードウェア及びソフトウェア環境1900(コンピュータ実施システム及び/又はコンピュータ実施方法と呼ばれる)である。ハードウェア及びソフトウェア環境は、コンピュータ1902を含み、周辺機器を含んでもよい。コンピュータ1902は、ユーザ/クライアントコンピュータ、サーバコンピュータ、又はデータベースコンピュータであってもよい。コンピュータ1902は、ハードウェアプロセッサ1904A及び/又は専用ハードウェアプロセッサ1904B(以下、プロセッサ1904と総称する)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のメモリ1906とを備える。コンピュータ1902は、キーボード1914及びカーソル制御デバイス1916等の入力/出力(I/O)デバイスを含む他のデバイスに接続されてもよく、及び/又は統合されてもよい。1つ以上の実施形態では、コンピュータ1902は、ポータブル又はモバイルデバイス1932(たとえば、セルラーデバイス、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、マルチタッチデバイス、又は様々なプラットフォーム及びオペレーティングシステム上で実行する他のインターネット対応デバイス)に接続されてもよく、又はそれらを備えてもよい。
【0118】
一実施形態では、コンピュータ1902は、オペレーティングシステム1908の制御下で、コンピュータプログラム1910によって定義される命令(例えば、信号処理、ビームステアリング、変調、行-列読み出しのためのバイアス、AI若しくは機械学習アプリケーション、又は本明細書で説明する他のコンピュータ実施可能機能若しくは方法)を実行するハードウェアプロセッサ1904Aによって作動する。コンピュータプログラム1910及び/又はオペレーティングシステム1908は、メモリ1906に記憶されてもよく、また、ユーザ及び/又は他のデバイスと連携して、入力及びコマンドを受け入れ、そのような入力及びコマンド、並びにコンピュータプログラム1910及びオペレーティングシステム1908によって定義される命令に基づいて、出力及び結果を提供してもよい。出力/結果は、ディスプレイ1922上に提示されてもよく、表示又はさらなる処理若しくは動作のために、別のデバイスに提供されてもよい。画像は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)モジュール1918を通じて提供されてもよい。GUIモジュール1918は、別個のモジュールとして示されているが、GUI機能を実行する命令は、オペレーティングシステム1908、コンピュータプログラム1910内に常駐若しくは分散することができ、又は専用メモリ及びプロセッサを用いて実施することができる。
【0119】
コンピュータプログラム1910の命令に従って、コンピュータ1902によって実行される動作の一部又は全部は、専用プロセッサ1904B内で実施されてもよい。この実施形態では、コンピュータプログラム1910の命令の一部又は全部は、専用プロセッサ1904B内又はメモリ1906内の読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)又はフラッシュメモリに記憶されたファームウェア命令を介して実装されてもよい。また、専用プロセッサ1904Bは、本発明を実施するための動作の一部又は全部を実行するための回路設計を通じて、ハードワイヤードであってもよい。さらに、専用プロセッサ1904Bは、機能のサブセットを実行するための専用回路構成と、コンピュータプログラム1910の命令に応答する等の、より一般的な機能を実行するための他の回路とを含む、ハイブリッドプロセッサであってもよい。一実施形態では、専用プロセッサ1904Bは、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である。
【0120】
また、コンピュータ1902は、プログラミング言語(C、C++又は他の言語等)で書かれたアプリケーション又はコンピュータプログラム1910を、プロセッサ1904の可読コードに翻訳することが可能なコンパイラ1912を実装してもよい。代替的には、コンパイラ1912は、命令/ソースコードを直接実行する、ソースコードを実行される中間表現に変換する、又は格納されたプリコンパイルコードを実行する、インタプリタであってもよい。そのようなソースコードは、様々なプログラミング言語で書かれてもよい。終了後、アプリケーション又はコンピュータプログラム1910は、コンパイラ1912を使用して生成された関係及び論理を使用して、I/Oデバイスから受け入れられ、且つコンピュータ1902のメモリ1906に記憶されたデータにアクセスし、操作する。
【0121】
また、随意的には、コンピュータ1902は、モデム、衛星リンク、イーサネット(登録商標)カード、又は、他のコンピュータ1902からの入力を受け入れ且つ他のコンピュータ1902に出力を提供するための他のデバイス等の外部通信デバイスを備える。
【0122】
一実施形態では、オペレーティングシステム1908、コンピュータプログラム1910、及びコンパイラ1912を実施する命令は、非一時的コンピュータ可読媒体、例えばデータ記憶デバイス1920で有形に実施され、データ記憶デバイス1920として、ジップドライブ、フロッピーディスクドライブ1924、ハードドライブ、CD-ROMドライブ、テープドライブ等の1つ以上の固定又は取り外し可能なデータ記憶デバイスを挙げることができる。さらに、オペレーティングシステム1908及びコンピュータプログラム1910は、コンピュータ1902によってアクセスされ、読み出され、また実行されたときに、本発明を実施及び/若しくは使用するために必要なステップをコンピュータ1902に実行させ、又は命令のプログラムをメモリ1906にロードさせ、したがって、本明細書で説明する方法ステップを実行する特別にプログラムされたコンピュータとしてコンピュータ1902を動作させる専用データ構造を作成させるコンピュータプログラム1910の命令から構成される。また、コンピュータプログラム1910及び/又は動作命令は、メモリ1906及び/又はデータ通信デバイス1930内で有形に具現化されてもよく、それにより、本発明によるコンピュータプログラム製品又は製造物品を製造する。したがって、本明細書で使用される用語「製造物品」、「プログラム記憶装置」、及び「コンピュータプログラム製品」は、任意のコンピュータ可読デバイス又は媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを包含するように意図される。
【0123】
当然、当業者は、上記の構成要素の任意の組み合わせ、又は任意の数の異なる構成要素、周辺機器、及び他の装置を、コンピュータ1902とともに使用できることを認識するであろう。
【0124】
図20は、ネットワーク2004を使用してクライアントコンピュータ2002をサーバコンピュータ2006に接続する、典型的な分散/クラウドベースのコンピュータシステム2000を概略的に示す。リソースの典型的な組み合わせとして、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、SNA(システムネットワークアーキテクチャ)ネットワーク等を含むネットワーク2004と、(
図19に示すような)パーソナルコンピュータ又はワークステーションであるクライアント2002と、及び(
図19に示すような)パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ミニコンピュータ又はメインフレームであるサーバ2006とを挙げることができる。しかしながら、本発明の実施形態によるクライアント2002及びサーバ2006を接続するために、セルラーネットワーク(例えば、GSM[グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ]又は他の方法)、衛星ベースのネットワーク、又は任意の他の種類のネットワーク等の異なるネットワークを使用してもよいことに留意されたい。
【0125】
インターネット等のネットワーク2004は、クライアント2002をサーバコンピュータ2006に接続する。ネットワーク2004は、クライアント2002とサーバ2006とを接続し、これらの間に通信を提供するために、イーサネット(登録商標)、同軸ケーブル、ワイヤレス通信、無線周波数(RF)等を利用してもよい。さらに、クラウドベースのコンピューティングシステムでは、クライアント2002及びサーバコンピュータ2006内のリソース(たとえば、ストレージ、プロセッサ、アプリケーション、メモリ、インフラストラクチャ等)は、1つ以上のネットワークの全体にわたってクライアント2002、サーバコンピュータ2006、及びユーザによって共有されてもよい。リソースは複数のユーザによって共有することができ、要求ごとに動的に再割り当てすることができる。これに関して、クラウドコンピューティングは、構成可能なコンピューティングリソースの共有プールへのアクセスを可能にするためのモデル、と称されることがある。
【0126】
クライアント2002は、クライアントアプリケーション又はウェブブラウザを実行でき、ウェブサーバ2010を実行するサーバコンピュータ2006と通信できる。典型的には、このようなウェブブラウザは、MICROSOFT INTERNET EXPLORER/EDGE(登録商標)、OPERA(登録商標)、APPLE SAFARI(登録商標)、GOOGLE CHROME(登録商標)等のプログラムである。さらに、クライアント2002上で実行されるソフトウェアは、サーバコンピュータ2006からクライアントコンピュータ2002にダウンロードされ、ウェブブラウザのプラグイン又はACTIVEX制御としてインストールされてもよい。ウェブサーバ2010は、アクティブサーバページ(ASP)又はインターネットサーバアプリケーションプログラミングインタフェース(ISAPI)アプリケーション2012をホストしてもよく、これらはスクリプトを実行してもよい。スクリプトは、ビジネスロジック(ビジネスオブジェクトと呼ばれる)を実行するオブジェクトを呼び出す。次いで、ビジネスオブジェクトは、データベース管理システム(DBMS)2014を介してデータベース2016内のデータを操作する。代替的に、データベース2016は、ネットワーク2004を介してデータベース2016から情報を通信/取得するのではなく、クライアント2002の一部であってもよく、又は直接接続されてもよい。
【0127】
一般に、これらの構成要素2000~2016は全て、デバイス、媒体、信号、又はキャリア、例えば、データ記憶デバイス、データ通信デバイス、ネットワークを介して若しくは別のデータ通信デバイスを介してコンピュータに接続されるリモートコンピュータ若しくはデバイス等で具現化される、又はそれらから取り出すことができるロジック及び/又はデータを有する。さらに、このロジック及び/又はデータは、読み取られ、実行され、及び/又は解釈されると、本発明を実施及び/又は使用するのに必要なステップを行わせることになる。
【0128】
用語「ユーザコンピュータ」、「クライアントコンピュータ」、及び/又は「サーバコンピュータ」は、本明細書では言及されるが、そのようなコンピュータ2002及び2006は、交換可能であってもよく、またさらに、限定された又は完全な処理能力を有するシンクライアントデバイス、携帯電話、ノートブックコンピュータ、ポケットコンピュータ、マルチタッチデバイス等の携帯デバイス、並びに/又は適切な処理、通信、及び入力/出力能力を有する任意の他のデバイスを含んでもよいことを理解されたい。
【0129】
もちろん、当業者は、上記の構成要素の任意の組み合わせ、又は任意の数の異なる構成要素、周辺機器、及び他の装置を、コンピュータ2002及び2006とともに使用できることを認識するであろう。本発明の実施形態は、クライアント2002又はサーバコンピュータ2006上のソフトウェア/アプリケーションとして実施される。さらに、上述のように、クライアント2002又はサーバコンピュータ2006は、マルチタッチベースのディスプレイを有するシンクライアントデバイス又はポータブルデバイスを備えてもよい。
【0130】
[利点及び改良点]
本明細書で説明する1つ以上の実施形態によるコヒーレント撮像システムは、照明経路と参照経路との間の動的位相変化、並びに、位相及び強度の変動等のコヒーレント光源(例えば、レーザ)の不完全性による位相寄与を抑制する。超高感度測定を必要とする1つ以上の用途では、コヒーレント撮像システムは、コヒーレント光源の位相及び強度の両方を同時に捕捉するように構成される。コヒーレント撮像装置(イメージャ)は、従来のコヒーレント撮像装置を悩ませる位相及び強度の変動を受けないので、信号取得時間を大幅に短縮することができ、又はコヒーレント装置を使用して、はるかに高い分解能で画像を取得することができる。
【0131】
1つ以上の実施形態では、コヒーレント撮像システムは、行-列読み出しアーキテクチャと、アレイを低複雑度で数十メガピクセルに拡張するのに役立つ新規な振幅分布システムとを備える。
【0132】
コヒーレント撮像システムの例示的な用途として、限定されるものではないが、コヒーレントトモグラフィ、LIDAR、リモートセンシング、ロボット工学、自動化、空中結像、及び分光法が挙げられる。コヒーレント撮像システムは、スタンドアロンデバイスとして、又はCMOS撮像装置、RF及びmm波のレーダセンサ等の他のセンサと併せて使用することにより、マルチモーダル撮像システムを作成することができる。さらなる実施例では、コヒーレント撮像システムは、マルチモーダル撮像及びターゲット検出に使用される技術等の画像再構成強化技術を使用して実施されてもよい。さらに他の実施例では、コヒーレント撮像システムは、機械学習アルゴリズムを利用する方式などの分類方式を使用して実施されてもよい。
【0133】
[参考文献]
以下の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる(上記の明細書内では、括弧内の数字、例えば、[x]によって参照される)。
[1]Firooz Aflatouni, Behrooz Abiri, Angad Rekhi, and Ali Hajimiri, "Nanophotonic projection system, " Opt. Express 23, 21012-21022 (2015)
[2]B. Abiri, R. Fatemi and A. Hajimiri, "A 1-D Heterodyne Lens-Free Optical Phased Array Camera With Reference Phase Shifting, " in IEEE Photonics Journal, vol. 10, no. 5, pp. 1-12, Oct. 2018, Art no. 6601712, doi: 10.1109/JPHOT.2018.2871823.
[3]Firooz Aflatouni, Behrooz Abiri, Angad Rekhi, and Ali Hajimiri, "Nanophotonic coherent imager, " Opt. Express 23, 5117-5125(2015)
[4]B. Behroozpour et al., "11.8 Chip-scale electro-optical 3D FMCW lidar with 8μm ranging precision," 2016 IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC), San Francisco, CA, USA, 2016, pp. 214-216, doi: 10.1109/ISSCC.2016.7417983.
【0134】
[結論]
以上で、本発明の好ましい実施形態の説明を終える。本発明の1つ以上の実施形態についての上記の記載は、例示及び説明の目的で示されている。本発明を包括的又は開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の説明に照らして、多くの修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、本願に添付される請求項によって限定されるように意図されている。
【国際調査報告】