(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】メッシュネットワークにおける時間同期および位置特定の方法
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20240409BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20240409BHJP
H04W 56/00 20090101ALI20240409BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G01S5/14
H04W56/00 130
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563957
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 US2022025828
(87)【国際公開番号】W WO2022226233
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518200503
【氏名又は名称】ザイナー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Zainar, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】クラッツ,フィリップ,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】チョードリー,マイナック,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ユーセフィ,シアマック
【テーマコード(参考)】
5J062
5K047
5K067
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062CC11
5K047AA18
5K047BB01
5K067CC04
5K067DD25
5K067EE02
5K067EE25
5K067JJ51
(57)【要約】
方法は、第1のノードによる第1の同期信号の伝送をスケジュールすることと、第2のノードによる第2の同期信号の伝送をスケジュールすることとを含む。この方法は、また、第1の同期信号の伝送後に、第1のノードから、第1の同期信号と関連付けられた第1の位相参照を受信することと、第2のノードから、第2のノードにおける第1の同期信号の第1の到着位相を受信することとを含む。この方法は、さらに、第2の同期信号の伝送後に、第2のノードから、第2の同期信号と関連付けられた第2の位相参照を受信することと、第1のノードから、第1のノードにおける第2の同期信号の第2の到着位相を受信することとを含む。この方法は、さらに、第1の位相参照、第2の位相参照、第1の到着位相、および第2の到着位相に基づいて第1のノードと第2のノードの間の伝搬遅延を計算することを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のノードによる第1の同期スロット中の第1の同期信号の伝送をスケジュールすることと、
第2のノードによる第2の同期スロット中の第2の同期信号の伝送をスケジュールすることと、
前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の前記第1の同期信号の伝送後に、
前記第1のノードから、前記第1の同期信号の第1のローカル参照コピーの位相を受信することと、
前記第2のノードから、前記第2のノードにおける前記第1の同期信号の位相を受信することと、
前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の前記第2の同期信号の伝送後に、
前記第2のノードから、前記第2の同期信号の第2のローカル参照コピーの位相を受信することと、
前記第1のノードから、前記第1のノードにおける前記第2の同期信号の位相を受信することと、
前記第1のローカル参照コピーの前記位相、
前記第2のノードにおける前記第1の同期信号の前記位相、
第2のローカル参照コピーの前記位相、および
前記第1のノードにおける前記第2の同期信号の前記位相
に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の伝搬遅延を計算することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のローカル参照コピーの前記位相、
前記第2のノードにおける前記第1の同期信号の前記位相、
第2のローカル参照コピーの前記位相、および
前記第1のノードにおける前記第2の同期信号の前記位相
に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の時間バイアスを計算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することは、
の要素として前記伝搬遅延を計算することを含み、ここで、φ
1,1は、前記第1のローカル参照コピーの前記位相を表し、φ
2,1は、前記第2のノードにおける前記第1の同期信号の前記位相を表し、φ
2,2は、前記第2のローカル参照コピーの前記位相を表し、φ
1,2は、前記第1のノードにおける前記第2の同期信号の前記位相を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のローカル参照コピーの前記位相を受信することは、前記第1のノードから、前記第1の同期信号と関連付けられた第1の自己受信信号の位相を受信することを含み、
前記第2のローカル参照コピーの前記位相を受信することは、前記第2のノードから、前記第2の同期信号と関連付けられた第2の自己受信信号の位相を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の第1のセットの同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1のセットの同期信号は、第1のセットの搬送周波数によって特徴付けられ、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の第2のセットの同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2のセットの同期信号は、第2のセットの搬送周波数によって特徴付けられ、
前記第1のローカル参照の前記位相を受信することは、前記第1のノードから、前記第1のセットの同期信号の第1のセットのローカル参照コピーの位相のセットを受信することを含み、
前記第2のノードにおける前記第1の同期信号の前記位相を受信することは、前記第2のノードから、前記第2のノードにおける前記第1のセットの同期信号の位相のセットを受信することを含み、
前記第2のローカル参照の前記位相を受信することは、前記第2のノードから、前記第2のセットの同期信号の第2のセットのローカル参照コピーの位相のセットを受信することを含み、
前記第1のノードにおける前記第2の同期信号の前記位相を受信することは、前記第1のノードから、前記第1のノードにおける前記第2のセットの同期信号の位相のセットを受信することを含み、
前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することは、
前記第1のセットの同期信号の前記第1のセットのローカル参照コピーの前記位相のセット、
前記第2のノードにおける前記第1のセットの同期信号の前記位相のセット、
前記第2のセットの同期信号の前記第2のセットのローカル参照コピーの前記位相のセット、および
前記第1のノードにおける前記第2のセットの同期信号の前記位相のセット
に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1のノードによる第1の同期スロット中の第1の同期信号の伝送をスケジュールすることと、
第2のノードによる第2の同期スロット中の第2の同期信号の伝送をスケジュールすることと、
前記第1の同期スロット中の前記第1のノードによる前記第1の同期信号の伝送後に、
前記第1のノードから、前記第1の同期信号と関連付けられた第1の位相参照を受信することと、
前記第2のノードから、前記第2のノードにおける前記第1の同期信号の第1の到着位相を受信することと、
前記第2の同期スロット中の前記第2のノードによる前記第2の同期信号の伝送後に、
前記第2のノードから、前記第2の同期信号と関連付けられた第2の位相参照を受信することと、
前記第1のノードから、前記第1のノードにおける前記第2の同期信号の第2の到着位相を受信することと、
前記第1の位相参照、前記第2の位相参照、前記第1の到着位相、および前記第2の到着位相に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の伝搬遅延を計算することと、を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の第1のセットの同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1のセットの同期信号は、第1のセットの搬送周波数によって特徴付けられ、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の第2のセットの同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2のセットの同期信号は、第2のセットの搬送周波数によって特徴付けられ、
前記第1の位相参照を受信することは、前記第1のノードから、前記第1のセットの同期信号と関連付けられた第1のセットの位相参照を受信することを含み、
前記第1の位相参照を受信することは、前記第1のノードから、前記第1のセットの同期信号と関連付けられた第1のセットの位相参照を受信することを含み、
前記第2の位相参照を受信することは、前記第2のノードから、前記第2のセットの同期信号と関連付けられた第2のセットの位相参照を受信することを含み、
前記第1の到着位相を受信することは、前記第2のノードから、前記第2のノードにおける前記第1のセットの同期信号の第1のセットの到着位相を受信することを含み、
前記第2の到着位相を受信することは、前記第1のノードから、前記第1のノードにおける前記第2のセットの同期信号の第2のセットの到着位相を受信することを含み、
前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することは、前記第1のセットの位相参照、前記第2のセットの位相参照、前記第1のセットの到着位相、および前記第2のセットの到着位相に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することは、
前記第1のセットの同期信号のうちの各同期信号について、
その同期信号に関連付けられた前記第1のセットの位相参照のうちの位相参照、
前記第1のセットの到着位相のうちのその同期信号の到着位相、および
前記第1のセットの搬送周波数のうちのその同期信号の搬送周波数
に基づいて第1のセットの位相対周波数点のうちの位相対周波数点を生成することと、
前記第1のセットの位相対周波数点の第1の回帰に基づいて前記第1のセットの同期信号の第1の位相遅延を計算することと、
前記第2のセットの同期信号のうちの各同期信号について、
その同期信号に関連付けられた前記第2のセットの位相参照のうちの位相参照、
前記第2のセットの到着位相のうちのその同期信号の到着位相、および
前記第2のセットの搬送周波数のうちのその同期信号の搬送周波数
に基づいて第2のセットの位相対周波数点のうちの位相対周波数点を生成することと、
前記第2のセットの位相対周波数点の第2の回帰に基づいて前記第2のセットの同期信号の第2の位相遅延を計算することと、
前記第1の位相遅延および前記第2の位相遅延に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することと、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1の同期信号は、第1の周波数シフトキーイング変調コードシーケンスを含み、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2の同期信号は、第2の周波数シフトキーイング変調コードシーケンスを含み、
前記第2のノードにおいて前記第1の同期信号の前記第1の到着位相を受信することは、
前記第1の周波数シフトキーイング変調コードシーケンスに基づいて前記第2のノードで受信される前記第1の同期信号および第1のテンプレート信号の第1の相互相関を計算することと、
前記第1の相互相関に基づいて前記第1の到着位相を抽出することと、を含み、
前記第1のノードにおいて前記第2の同期信号の前記第2の到着位相を受信することは、
前記第2の周波数シフトキーイング変調コードシーケンスに基づいて前記第1のノードで受信される前記第2の同期信号および第2のテンプレート信号の第2の相互相関を計算することと、
前記第2の相互相関に基づいて前記第2の到着位相を抽出することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1の同期信号は、第1の変調最大長シーケンスを含み、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2の同期信号は、第2の変調最大長シーケンスを含み、
前記第2のノードにおいて前記第1の同期信号の前記第1の到着位相を受信することは、
前記第1の変調最大長シーケンスに基づいて前記第2のノードで受信される前記第1の同期信号および第1のテンプレート信号の第1の相互相関を計算することと、
前記第1の相互相関に基づいて前記第1の到着位相を抽出することと、を含み、
前記第1のノードにおいて前記第2の同期信号の前記第2の到着位相を受信することは、
前記第2の変調最大長シーケンスに基づいて前記第1のノードで受信される前記第2の同期信号および第2のテンプレート信号の第2の相互相関を計算することと、
前記第2の相互相関に基づいて前記第2の到着位相を抽出することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1の同期信号は、第1のZadoff-Chuシーケンスを含み、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2の同期信号は、第2のZadoff-Chuシーケンスを含み、
前記第2のノードにおいて前記第1の同期信号の前記第1の到着位相を受信することは、
前記第1のZadoff-Chuシーケンスに基づいて前記第2のノードで受信される前記第1の同期信号および第1のテンプレート信号の第1の相互相関を計算することと、
前記第1の相互相関に基づいて前記第1の到着位相を抽出することと、を含み、
前記第1のノードにおいて前記第2の同期信号の前記第2の到着位相を受信することは、
前記第2のZadoff-Chuシーケンスに基づいて前記第1のノードで受信される前記第2の同期信号および第2のテンプレート信号の第2の相互相関を計算することと、
前記第2の相互相関に基づいて前記第2の到着位相を抽出することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1の同期信号は、第1の周波数ホッピングスペクトラム拡散信号を含み、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2の同期信号は、第2の周波数ホッピングスペクトラム拡散信号を含み、
前記第2のノードにおいて前記第1の同期信号の前記第1の到着位相を受信することは、
前記第1の周波数ホッピングスペクトラム拡散信号に基づいて前記第2のノードで受信される前記第1の同期信号および第1のテンプレート信号の第1の相互相関を計算することと、
前記第1の相互相関に基づいて前記第1の到着位相を抽出することと、を含み、
前記第1のノードにおいて前記第2の同期信号の前記第2の到着位相を受信することは、
前記第2の周波数ホッピングスペクトラム拡散信号に基づいて前記第1のノードで受信される前記第2の同期信号および第2のテンプレート信号の第2の相互相関を計算することと、
前記第2の相互相関に基づいて前記第2の到着位相を抽出することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のノードによる前記第1の同期スロット中の前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第1の同期信号は、
第1の固定プリアンブルシーケンスを含み、
第1の可変シンクワードシーケンスを含み、
閾値自己相関ピーク比より大きい第1の自己相関ピーク比を生成するように構成され、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のノードによる前記第2の同期スロット中の前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることを含み、前記第2の同期信号は、
第2の固定プリアンブルシーケンスを含み、
第2の可変シンクワードシーケンスを含み、
前記閾値自己相関ピーク比より大きい第2の自己相関ピーク比を生成するように構成され、
前記第2のノードにおいて前記第1の同期信号の前記第1の到着位相を受信することは、
前記第1の固定プリアンブルシーケンスおよび前記第1の可変シンクワードシーケンスに基づいて前記第2のノードで受信される前記第1の同期信号および第1のテンプレート信号の第1の相互相関を計算することと、
前記第1の相互相関に基づいて前記第1の到着位相を抽出することと、を含み、
前記第1のノードにおいて前記第2の同期信号の前記第2の到着位相を受信することは、
前記第2の固定プリアンブルシーケンスおよび前記第2の可変シンクワードシーケンスに基づいて前記第1のノードで受信される前記第2の同期信号および第2のテンプレート信号の第2の相互相関を計算することと、
前記第2の相互相関に基づいて前記第2の到着位相を抽出することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
第1のノードによる第1の同期スロット中の第1の同期信号の伝送をスケジュールすることであって、前記第1の同期信号は、第1のセットの搬送周波数によって特徴付けられる、ことと、
第2のノードによる第2の同期スロット中の第2の同期信号の伝送をスケジュールすることであって、前記第2の同期信号は、第2のセットの搬送周波数によって特徴付けられる、ことと、
前記第1の同期スロット中の前記第1のノードによる前記第1の同期信号の伝送後に、
前記第1のノードから、前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての位相参照を受信することと、
前記第2のノードから、前記第2のノードで受信される前記第1の同期信号に基づく前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての到着位相を受信することと、
前記第2の同期スロット中の前記第2のノードによる前記第2の同期信号の伝送後に、
前記第2のノードから、前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての位相参照を受信することと、
前記第1のノードから、前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての到着位相を受信することと、
前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照、前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相、前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照、および前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相に基づいて、前記第1のノードと前記第2のノードの間の伝搬遅延を計算することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することは、
前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照および前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相に基づいて第1のセットの位相/周波数点を生成することと、
前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照および前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相に基づいて第2のセットの位相/周波数点を生成することと、
前記第1のセットの位相/周波数点および前記第2のセットの位相/周波数点に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のセットの位相/周波数点および前記第2のセットの位相/周波数点に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することは、
前記第1のセットの位相/周波数点と前記第2のセットの位相/周波数点とを合計して合計位相/周波数点のセットを生成することと、
前記第1のセットの合計位相/周波数点の線形回帰を計算することと、
前記線形回帰の傾きを抽出することと、
前記線形回帰の前記傾きに基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記伝搬遅延を計算することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照、前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相、前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照、および前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相に基づいて、前記第1のノードと前記第2のノードの間の時間バイアスを計算することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記時間バイアスを計算することは、
前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照および前記第1のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相に基づいて第1のセットの位相/周波数点を生成することと、
前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記位相参照および前記第2のセットの搬送周波数のうちの各搬送周波数についての前記到着位相に基づいて第2のセットの位相/周波数点を生成することと、
前記第1のセットの位相/周波数点および前記第2のセットの位相/周波数点に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記時間バイアスを計算することと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のセットの位相/周波数点および前記第2のセットの位相/周波数点に基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記時間バイアスを計算することは、
前記第1のセットの位相/周波数点を前記第2のセットの位相/周波数点から減算して減算位相/周波数点のセットを生成することと、
前記第1のセットの減算位相/周波数点の線形回帰を計算することと、
前記線形回帰の傾きを抽出することと、
前記線形回帰の前記傾きに基づいて前記第1のノードと前記第2のノードの間の前記時間バイアスを計算することと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第1のセットの搬送周波数にわたる第1の周波数ホッピングスペクトラム拡散方式に基づいて第1の同期の伝送をスケジュールすることを含み、
前記第2の同期信号の伝送をスケジュールすることは、前記第2のセットの搬送周波数にわたる第2の周波数ホッピングスペクトラム拡散方式に基づいて第2の同期の伝送をスケジュールすることを含む、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照により各々の全体が組み込まれる、2021年4月21日出願の米国特許仮出願第63/177,805号の利益を主張する2021年6月3日出願の米国特許出願第17/338,543号の継続出願である。
【0002】
本発明は、一般に、ネットワーキングおよびデジタル通信の分野に関し、さらに詳細には、ネットワーキングおよびデジタル通信の分野における時間同期および位置特定の新規の有用な方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1Aは、方法の流れ図である。
図1Bは、方法の第1の変形形態の流れ図である。
図1Cは、方法の第2の変形形態の流れ図である。
図1Dは、方法の第3の変形形態の流れ図である。
【
図2】
図2は、メッシュネットワークの概略図である。
【
図3】
図3Aは、メッシュネットワーク内のノード対の概略図である。
図3Bは、メッシュネットワーク内のノードの概略図である。
図3Cは、ノードの自己受信ハードウェアの概略図である。
【
図4】
図4Aは、同期スロット構造の概略図である。
図4Bは、同期スロット構造の概略図である。
【
図5】
図5Aは、同期信号の伝送および受信の流れ図である。
図5Bは、自己受信信号の伝送および受信の流れ図である。
【
図6】
図6Aは、第2の方法の流れ図である。
図6Bは、第2の方法の1つの変形形態の流れ図である。
図6Cは、第2の方法の1つの変形形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の本発明の実施形態の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定するためのものではなく、当業者が本発明を構成して使用することを可能にするためのものである。本明細書に記載される変形形態、構成、実施態様、例示的な実施態様、および実施例は、任意選択であり、それらが説明する変形形態、構成、実施態様、例示的な実施態様、および実施例に限られるわけではない。本明細書に記載される発明は、これらの変形形態、構成、実施態様、例示的な実施態様、および実施例のいかなる組合せも全て含むことができる。
【0005】
1.時間バイアスおよび/または伝搬遅延を特徴付ける方法
図1Aに示すように、ノード対の間の時間バイアスおよび伝搬遅延を特徴付ける方法S100は、ノード対のうちの第1のノードにおいて第1の同期スロット中に、ブロックS110Aで第1のノードの第1のクロックに従って第1の時点に第1の同期信号を伝送することと、ブロックS120Aで第1の同期信号を戻り結合して第1の自己受信信号を生成することと、ブロックS130Aで第1の自己受信信号を受信することと、ブロックS140Aで第1のクロックに従って第1の自己受信信号の到着時間を計算することと、ブロックS150Aで第2のノードから第2の同期信号を受信することと、ブロックS160Aで第1のクロックに従って第2の同期信号の到着時間を計算することとを含む。方法S100は、また、第2のノードにおいて第1の同期スロット中に、ブロックS110Bで第2のノードの第2のクロックに従って第2の時点に第2の同期信号を伝送することと、ブロックS120Bで第2の同期信号を戻り結合して第2の自己受信信号を生成することと、ブロックS130Bで第2の自己受信信号を受信することと、ブロックS140Bで第2のクロックに従って第2の自己受信信号の到着時間を計算することと、ブロックS150Bで第1のノードから第1の同期信号を受信することと、ブロックS160Bで第2のクロックに従って第1の同期信号の到着時間を計算することとを含む。方法S100は、ブロックS170で第2のノードにおいて、第1の自己受信信号の到着時間、第2の同期信号の到着時間、第2の自己受信信号の到着時間、および第1の同期信号の到着時間に基づいてノード対の間の時間バイアスおよび伝搬遅延を計算することをさらに含む。
【0006】
図1Bに示すように、方法S100の第1の変形形態は、ブロックS102でノード対のうちの第2のノードに協調信号を伝送することであって、この協調信号は第2の同期信号を伝送する第2の時点を示す、ことと、ブロックS110で第1のノードの第1のクロックに従って第1の時点で第1の同期信号を伝送することと、ブロックS120で第1の同期信号を戻り結合して第1の自己受信信号を生成することと、ブロックS130で第1の自己受信信号を受信することと、ブロックS140で第1のクロックに従って第1の自己受信信号の到着時間を計算することと、ブロックS150で第2の同期信号を受信することであって、この第2の同期信号は、第2のノードの第2のクロックに従って第2の時点で第2のノードによって伝送される、ことと、ブロックS160で第1のクロックに従って第2の同期信号の到着時間を計算することと、ブロックS142で第2のノードから第2の自己受信信号の到着時間を受信することであって、この第2の自己受信信号は第2の同期信号の伝送時に第2のノードによって戻り結合され、第2の自己受信信号の到着時間は第2のクロックに従って計算される、ことと、ブロックS162で第2のノードから第1の同期信号の到着時間を受信することであって、この第1の同期信号の到着時間は第2のクロックに従って第2のノードによって計算される、ことと、ブロックS170で第1の自己受信信号の到着時間、第1の同期信号の到着時間、第2の自己受信信号の到着時間、および第2の同期信号の到着時間に基づいて第1のクロックと第2のクロックの間の第1の時間バイアス、および第1のノードと第2のノードの間の第1の伝搬遅延を計算することとを含む。
【0007】
図1Cに示すように、方法S100の第2の変形形態は、ブロックS104で第1のノードによる第1の時点の第1の同期信号の伝送をスケジュールすることと、ブロックS106で第2のノードによる第2の時点における第2の同期信号の伝送をスケジュールすることとを含む。方法S100の第2の変形形態は、また、第1のノードの第1のクロックによる第1の時点における第1のノードによる第1の同期信号の伝送後に、ブロックS144で、第1のノードから、第1のクロックによる第1の自己受信信号の到着時間を受信することであって、この第1の自己受信信号は、第1の同期信号を戻り結合したものである、ことと、ブロックS164で、第2のノードの第2のクロックによる第1の同期の到着時間を受信することとを含む。方法S100の第2の変形形態は、さらに、第2のクロックによる第2の時点における第2のノードによる第2の同期信号の伝送後に、ブロックS146で、第2のノードから、第2のクロックによる第2の自己受信信号の到着時間を受信することであって、この第2の自己受信信号は、第2の同期信号を戻り結合したものである、ことと、ブロックS166で、第1のクロックによる第2の同期信号の到着時間を受信することとを含む。方法S100の第2の変形形態は、また、ブロックS170で、第1の自己受信信号の到着時間、第1の同期信号の到着時間、第2の自己受信信号の到着時間、および第2の同期信号の到着時間に基づいて第1のクロックと第2のクロックの間の第1の時間バイアスおよび第1のノードと第2のノードの間の第1の伝搬遅延を計算することを含む。
【0008】
方法S100の第3の変形形態は、ブロックS180で予測ドリフトモデルに基づいて第1の同期スロットと第2の同期スロットの間の第1のノードと第2のノードの間の時間バイアスのドリフトの大きさを予測することと、ブロックS190で最大の時間バイアスの不確実性、第1の同期信号の持続時間にわたる最大の累積ドリフトの大きさ、伝搬遅延、および第1の同期信号の持続時間の和に等しい第2の同期スロットの持続時間を設定することとを含む。
【0009】
図1Dに示すように、方法S100の第4の変形形態は、ブロックS104で第1のノードによる第1の同期スロット中の第1の同期信号の伝送をスケジュールすることであって、この第1の同期信号は第1のセットの搬送周波数によって特徴付けられる、ことと、ブロックS106で第2のノードによる第2の同期スロット中の第2の同期信号の伝送をスケジュールすることであって、この第2の同期信号は第2のセットの搬送周波数によって特徴付けられる、こととを含む。方法S100のこの変形形態は、また、第1の同期スロット中の第1のノードによる第1の同期信号の伝送後に、ブロックS147で第1のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての位相参照を第1のノードから受信することと、ブロックS167で第2のノードで受信される第1の同期信号に基づく第1のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての到着位相を第2のノードから受信することとを含む。方法S100のこの変形形態は、さらに、第2の時点における第2のノードによる第2の同期信号の伝送後に、ブロックS148で第2のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての位相参照を第2のノードから受信することと、ブロックS168で第2のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての到着位相を第1のノードから受信することと含む。方法S100のこの変形形態は、さらに、ブロックS172で第1のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての位相参照、第1のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての到着位相、第2のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての位相参照、および第2のセットの搬送周波数の各搬送周波数についての到着位相に基づいて第1のノードと第2のノードの間の伝搬遅延を計算することを含む。
【0010】
1.1 適用
一般に、方法S100は、ネットワーク内のノードデバイス(以下「ノード」)の対、および/または遠隔サーバにより、そのノード対のクロックを例えば1ナノ秒以内などの高精度で同期させるために実行される。方法S100は、いずれのノードのハードウェアの精密な較正も行わずに、また各ノードが水晶発振器クロックなどの標準的な電子クロック技術を用いているという条件で、2つのノード間の信号伝搬遅延または物理的距離に関する事前情報なしで(あるいはノードが静止しているという要件さえなしで)、例えば1ナノ秒以内またはナノ秒未満の精度でクロック間の相対時間バイアスを計算することができる。さらに、方法S100は、5メガヘルツ未満の周波数帯域幅(例えば500~100kHz)を利用することができる。方法S100のこの小さい帯域幅により、大きな伝搬範囲および/または浸透でより低い周波数帯域での伝送が可能になる。このような帯域の例は、無許可使用、セルラ通信、および/または公衆安全用途用の周波数帯域を含む(例えば902~928MHzISM帯、サブGHzセルラ帯、または26.965~27.405MHzの市民ラジオサービス(CBRS))。したがって、方法S100は、限定されるわけではないが、RF放出デバイスの精密な位置特定、公衆安全インフラストラクチャの遠隔感知、および時間に基づくデータ転送プロトコルの改良をさらに可能にすることができる、時間同期した分散型アンテナシステムのような適用を可能にする。
【0011】
さらに詳細には、2つのノード間で時間を同期させる方法S100は、双方向測距および同期プロトコルとして分類することができる。ただし、方法S100は、対のうちのリーダノードから信号を受信したのに応答して伝送するのではなく、各ノードが絶対時間において(各ノードのクロックに従って)他のノードから独立して伝送するという点で、他の双方向測距プロトコルと区別される。さらに、各ノードは、(伝送される同期信号の戻り結合および/または反射を介して)各伝送される同期信号についての「出発時間」を提供する方式を実行するために、ノードのトランシーバハードウェア内で伝送される信号のローカル参照コピーを提供するように構成される。この伝送される同期信号の反射および/または戻り結合されたもの(以下「自己受信信号」)の到着時間は、別のノードによって伝送される信号によって生じる伝送および受信チェーン遅延を含み、それにより、これらの遅延の精密な特徴付けを行うことなく、また個々のノードの応答時間が決定的かつ対称的であると仮定しなくても、様々な信号の到着時間を直接比較することが可能になる。
【0012】
方法S100のブロックは、メッシュネットワーク内のノードデバイス(すなわちノード)の対、メッシュネットワーク内のリーダノードおよびフォロワノード、ならびに/またはメッシュネットワーク内のノードの対と協調する遠隔サーバを含むことができるシステムによって実行することができる。メッシュネットワーク内の各ノードは、以下でさらに述べるアンテナ、トランシーバハードウェア、FPGA/DSP、クロック、および自己受信ハードウェア(例えば指向性カプラ、RFパワースプリッタ、コンバイナ、サーキュレータ)などの無線およびベースバンド処理ハードウェアを含むことができる。ただし、方法S100は、有線ネットワーク内のノード間で実行することもできる。メッシュネットワーク内のノードは、相互にインターネットまたはローカルエリアネットワークに接続されて、メッシュネットワーク内の任意のノード対の間の初期時間バイアスが最初にネットワーク時間プロトコル(以下「NTP」)または他の任意のネットワーク時間同期プロトコルによって制限されるようになっている。この時間バイアスは、多くの現況技術のネットワークでは、数十ミリ秒から数マイクロ秒の範囲とすることができる。
【0013】
メッシュネットワーク内のノードは、時分割多重アクセス(以下「TDMA」)および/または符号分割多重アクセス(以下「CDMA」)を用いてそれらのノード間で共有される共通の1つまたは複数の周波数帯域上で互いに通信することにより、周波数帯域幅の使用を最小限に抑える。したがって、これらのノードは、TDMAフレーム構造内の1つまたは複数の同期スロット中に方法S100のブロックを実行することができる。1つの実施態様では、同期スロット持続時間およびフレーム長は、動的に調整可能である。特に、方法S100は、ノード対の間のより小さな初期時間バイアスを活用して、同期スロット持続時間を減少させ、時間バイアス計算における不確実性をさらに低減することができる。さらに、このフレーム構造は、方法S100のブロックを実行するためにノードがインターネットプロトコルスイートを介して互いに、または遠隔サーバと通信することを可能にするデータ転送フレームを含むことができる。例えば、ノードは、方法S100によるさらなる処理のために、到着時間のセットを遠隔サーバに転送することができる。
【0014】
ノード対の間の初期の粗いクロック同期(例えば1から10ミリ秒)を仮定すると、ノード対の各ノードは、各ノードのクロックに従って同期スロットの開始時に他方のノードに同期信号を伝送する。ただし、一定ではないこともある、または一般にアプリオリに既知ではないこともある各ノード間の相対時間バイアスにより、これらの同期信号は、2つのノード間の時間バイアスだけずれた時点で送信される。同期信号は、周波数変調、振幅変調、または位相変調された擬似ランダムコード、あるいは(例えば複数の中心搬送周波数上の)複数のコードの組合せである。各ノードは、ノード対の他方のノードから同期信号を受信すると、1つまたは複数のコードに関連する自己相関ピークの大きさ、時間オフセット、および搬送波位相を用いるなどして、到着時間(以下「TOA」)を計算する。
【0015】
各ノードは、同期信号を伝送すると、同期信号の一部分を戻り結合および/または内部反射する自己受信ハードウェア(
図3Cに示す)を活用することにより、
図3Aに示すように自己受信信号を生成する。自己受信ハードウェアは、発信同期信号の減衰コピーを反射および/または戻り結合し、これがその後、その同期信号を伝送した同じノードによって受信される。次いで、各ノードは、自己受信信号がそのノードのアンテナで受信される入来同期信号と同じ受信チェーンを伝搬した後で、自己受信信号についてのTOAを計算する。したがって、自己受信信号のTOAは、伝送側ノードの受信機遅延時間だけずれた同期信号の出発時間として機能する。方法S100は、自己受信信号を生成することを含むので、受信機遅延の精密な測定および/または較正を必要とせずに別のノードからの入来同期信号のTOAを発信側ノードの出発時間と直接比較することができる。
【0016】
次いで、対の各ノードは、他方のノードから同期信号を受信し、同期信号についてのTOAを計算する。したがって、同期スロットの終了までに、各ノードは、自己受信信号についてのTOAおよび他方のノードの同期信号についてのTOAを記録している。次いで、これらのTOAが、それらのノードのうちの一方または遠隔サーバに伝送され、2つの未知数、すなわちノード対の間の相対時間バイアス(受信機遅延を含む)およびノード対の間の伝搬遅延についての2つの連立方程式が解かれる。この連立方程式は、電磁気の相反定理に基づいて解くことができる。その後、2つのノードのクロックの間の相対時間バイアスを、リーダノードまたはメッシュネットワークと協調している遠隔サーバが計算し、追跡することができる。あるいは、その後、ノード間の相対時間バイアスを両ノードに報告することもでき、これで、一方のノード(すなわちフォロワノード)は、他方(すなわちリーダノード)に一致するようにそのクロックを同期させることができる。
【0017】
方法S100による2つのノードクロック間の第1の同期は非常に正確であり得るが、スロットの洗練により、さらに高い確度およびTDMAオーバヘッドの減少が実現され、この場合、同期スロット持続時間は、2つのクロックの間のさらに小さい時間バイアスに基づいて低減される。したがって、ノード対についての連続した各同期スロットにおいて、同期スロット持続時間が減少し、それにより、同期プロセス中に起こり得る累積ジッタおよび/または環境による周波数ドリフトなどの誤差源を減少させる。例えば、通常の水晶発振器は、1ミリ秒の持続時間の同期スロットの間に6ナノ秒のドリフトに対応する6ppmの周波数誤差を有すると予想されることがある。これが、同期スロット持続時間が100マイクロ秒まで短縮された場合には、予想ドリフトは1ナノ秒未満に低減される。
【0018】
このシステムは、同期スロット洗練技術を実行することにより、データ伝送のためのフレーム内の期間を増大させることによってノードのデータ転送レートを改善することもできる。さらに、より短い同期スロット持続時間にすると、方法S100をより高い反復率で実行することができ、これにより変化する環境条件における同期を改善することができる。
【0019】
メッシュネットワーク内の一対のノード対の間で同期が行われた後で、メッシュネットワークの他のノードを連続した同期スロットに入れて方法S100を対ごとに実行することにより、共通の時間をメッシュネットワーク全体にわたって分布させることができる。
【0020】
いくつかの実施態様では、方法S100は、2つのノード間の反復同期およびネットワーク内の複数のノード間の対ごとの同期を、各ノード内の内部測定ユニット(以下「IMU」)または温度センサから記録される環境データと組み合わせて活用して、メッシュネットワーク内の各ノードについての予測ドリフトモデルを作成する。予測ドリフトモデルは、経時的な測定された環境入力データの関数としてノードの時間ドリフトを特徴付けることができる。方法S100は、また、次のフレームの同期スロットをトリガすること、または予測ドリフトモデルの出力に基づいて同期スロットの長さを改変することを含むこともできる。あるいは、方法S100は、同期スロット間でノードのクロックを調整することを含むこともできる。
【0021】
概して、本明細書では、方法S100は、メッシュネットワーク内のノードにおける同期信号および自己受信信号のTOAの検出を含むものとして記載されている。しかし、方法S100は、メッシュネットワーク内のノード対の間の時間バイアスおよび伝搬遅延を計算するために同期信号および自己受信信号の到着位相(以下「POA」)を検出することを含むこともできる。さらに、方法S100は、同期信号としての周波数ホッピングスペクトラム拡散信号の伝送および受信を含むこともでき、それにより自己受信信号と比較してノード対間の伝送中の同期信号の相対時間遅延の精密な測定を可能にすることもできる。
【0022】
1.2 実施例
2つのノードデバイスの間で時間を同期させる方法S100は、ノードのメッシュネットワークに対ごとに適用して、それらのノードによって実行される位置特定プロトコルの精度および柔軟性を改善することができる。さらに、方法S100は、(例えばプロトコルのスロット間のバッファ持続時間を減少させることによって)時間に基づく多重アクセスプロトコルのデータ転送レートを増大させることができる。
【0023】
方法S100の1つの適用例では、ノードのメッシュネットワークは、方法S100を対ごとに実行して、それらのクロックをそのメッシュネットワーク全体で同期させることができる。メッシュネットワークの各ノードは、その後、メッシュネットワークに含まれないRF発信源からの信号のTOAを個別に計算することができる。メッシュネットワーク内のノード間でTOAを比較し、マルチラテレーションを実行することにより、ノード間の時間的同期によって制限される精度でRF発信源の位置を計算することができる。例えば、1ナノ秒以内の時間的同期では、RF発信源の位置は、メッシュネットワーク内のノードを基準として30センチメートル以内で計算することができる(真空中の光速、毎秒299792458メートルに対応する位相速度を仮定する)。メッシュネットワーク内の1つのノードがアンカノードとして作用し、正確なグローバル位置情報で較正される場合には、RF発信源の絶対位置を検出することもできる。
【0024】
メッシュネットワークに基づく位置特定の1つの適用例では、ノードは、ある領域全体にわたって、建物内に、または都市部の道路を走る車の上に分散している。これらのノードは、方法S100のブロックを実行して、定期的にそれらのクロックを同期させ、次いでメッシュ領域内の他のRF発信源についてのTOAデータを収集する。ノードと協調する遠隔サーバは、その後に、これらのTOAデータをRF発信源の3次元地理空間位置に変換することにより、位置特定サービス、アセットトラッキング、および物体検出を改善することができる。したがって、遠隔サーバまたはリーダノードは、ノード間の伝搬遅延に基づいてメッシュネットワーク内のノードの相対位置を計算し、伝送側デバイスからの信号の到着時間をメッシュネットワーク内のいくつかのノードから受信し、メッシュネットワーク内の各ノードの間の相対時間バイアスを見込んだ伝送側デバイスについての相対位置推定をマルチラテレーションを介して計算することができる。
【0025】
別の例では、TDMAに基づくプロトコルは、数十ミリ秒のスロット持続時間に制限されることがある。したがって、方法S100のブロックを実行して、有線またはワイヤレスネットワーク内のデバイスのクロックを同期させて、さらに正確に時間バイアスを計算して、多重アクセスプロトコルの非効率性を低減することによりビット誤り率(BER)および帯域幅利用率を改善しながら不動作時間およびスロット間の干渉の低減を可能にすることができる。
【0026】
1.3 電気通信のデプロイメント
一般に、方法S100は、第三世代パートナーシッププロジェクト(以下「3GPP」)によって提唱されるLTE、4G、5G、および5G NR標準を実行するセルラネットワークなどの電気通信ネットワークが実行することができる。例えば、方法S100は、部分タイミングサポート(以下「APTS」)または完全タイミングサポート(以下「FTS」)時間分布および/または同期方法の代わりに、5G無線ノード(以下「gNB」)および/またはエンハンスト4G eNodeBs(以下「ng-eNB」)などのセルラネットワーク内のノードによって実行することができる。例えば、電気通信ネットワーク内のノードは、方法S100を実行して無線同期(以下「OAS」)を可能にして、ネットワーキングオーバヘッドを低減し、ノード間時間同期の精度を高めることができる。
【0027】
1.4 ノードのハードウェア
上述のように、方法S100は、ネットワーク内のノードによって、またはネットワーク内のノードとの協調を介して、実行される。ワイヤレスノードのハードウェアの例を、
図3Bおよび
図3Cに示す。一般に、ノードは、伝送構成要素および受信機構成要素と、信号を生成および処理するように構成されたFPGAおよび/またはDSPと、クロックと、自己受信信号ハードウェアとを含む。
【0028】
1つの実施態様では、ノードはワイヤレスで情報を伝送し、したがって、
図3Bに示すスーパーヘテロダイン無線アーキテクチャおよびRx/TxアンテナなどのRFトランシーバハードウェアを含む。あるいは、ノードは、ゼロIFアーキテクチャ(すなわち直接変換受信機)を含むこともできる。各ノードは、「受信チェーン」および「伝送チェーン」を含む。受信チェーンは、Rxポートから受信した信号を処理するハードウェア構成要素のパイプラインを含む。伝送チェーンは、FPGAまたはDSPによって生成された伝送信号を処理して、それらをTxポートに送るハードウェア構成要素のパイプラインを含む。受信チェーンおよび伝送チェーンは、それぞれ「受信チェーン遅延」および「伝送チェーン遅延」を付与する。「受信チェーン遅延」および「伝送チェーン遅延」とは、信号が受信チェーンまたは伝送チェーンをそれぞれトラバースするときに経過する時間の量を指す。
【0029】
代替の実施態様では、ノードは、有線ネットワークを介して通信することができる。この実施態様では、ノードは、アンテナの代わりに任意の有線媒体(例えばイーサネット/撚り対線、同軸、または光ファイバ)を介して通信するためのI/Oポートおよび/または適当なインタフェースコンバータを含むことができる。これらのインタフェースコンバータも、伝搬遅延を測定するために必要な自己受信信号を提供するために使用することができる。
【0030】
1つの実施態様では、ノードは、セルタワー、携帯電話、または方法S100を実行するように適応されたその他の任意のRFトランシーバデバイスなどの既存のトランシーバインフラストラクチャを含む。セルタワーまたはその他の既存のトランシーバは、ソフトウェア更新のみで方法S100を実行するように適応させることができる。代替の実施態様では、ノードは、方法S100の実施を改善するように最適化されたハードウェアを含むことができ、これは、受動結合デバイス(例えば伝送チェーンおよび受信チェーンをアンテナに結合する)間のアンテナインタフェースのインピーダンス整合ネットワークを含み得る。
【0031】
ワイヤレスノードの実施態様では、各ノードのFPGAまたはDSPは、複素デジタル信号を生成し、生成した信号をDACに出力するように構成される。デジタル信号の複素成分は、DACによって生成されるアナログ信号の同相部分および直交部分(すなわちI/Q)を表現する。さらに、ノードのFPGAまたはDSPは、ノードのアンテナからADCを介してデジタル信号を受信し、次いで、それ自体のクロックの瞬間値および以下でさらに述べるTOA計算プロセスに従って受信した同期信号にタイムスタンプする。
【0032】
各ノードは、ノードにおける時間管理機能を実行し、サンプリング、デジタル合成、および処理にも使用される、水晶発振器クロックまたは原子時計などのクロックを含む。方法S100を実行して、ネットワーク内の複数のノードのクロックを同期させることができる。特に、方法S100は、基本周波数安定性、位相ノイズ、ならびにワイヤレス通信および/または有線通信の周波数要件を満たす水晶発振器クロックを効果的に同期させることができる。1つの例では、クロックは、ATカットおよび10メガヘルツ(MHz)のクロック周波数を有する水晶発振器である。ただし、ノードは、上記の制約が満たされることを前提として、任意の周波数またはカットの水晶発振器を含むことができる。
【0033】
各ノードは、ブロックS120において自己受信信号を戻り結合および/または反射する特定の自己受信ハードウェアを含むことができる。一般に、ノードが同期信号を伝送すると、自己受信ハードウェアは、その同期信号の減衰反復をその伝送側ノードの受信ポートに反射および/または戻り結合する。伝送した同期信号を受信チェーンを介して処理し、自己受信信号についてのTOAを計算することにより、各ノードは、受信チェーン遅延だけ遅延した伝送信号にタイムスタンプすることができる。そのノードが後に別のノードから同期信号を受信したときには、その同期信号のTOAも、同じ受信チェーン遅延を受ける。自己受信信号のTOAと同期信号のTOAは両方とも受信チェーン遅延を含むので、受信チェーンハードウェアの精密な較正なしで両者を直接比較することができる。
【0034】
1つの実施態様では、自己受信ハードウェアは、
図3Cに示すインピーダンス不整合指向性カプラを含む。自己受信ハードウェアは、自己受信信号を生成するためにRxポートへの反射Tx信号の利得を調整するために、ノードによって制御される可変インピーダンス回路を含むこともできる。ノードの具体的なハードウェアの実施態様によっては、以下でさらに述べるように、同様のインピーダンス整合をサーキュレータ、パワースプリッタ、またはその他の任意の伝送線路デバイスに適用することができる。1つの実施態様では、ノードは、意図せずに不整合なアンテナインピーダンス(例えば1超の電圧定在波比で特徴付けられる)を有する標準的なアンテナインタフェースハードウェアを含むことができ、これは、アンテナインタフェースにおいて同期信号を反射することによって自己受信ハードウェアとして機能することができる。したがって、各ノードは、方法S100を実行するために専用の自己受信ハードウェアを含む必要はない。
【0035】
自己受信ハードウェアは、アンテナと受動結合デバイスの間にインピーダンス整合ネットワークを含むことにより、ノードの受動結合デバイスとアンテナの間のインタフェースに入射する信号の同調反射係数を定義する。インピーダンス整合ネットワークは、アンテナのインピーダンスを、受動結合デバイスとアンテナの間の精密な反射係数を実現するインピーダンスに変換する。反射係数は、自己反射信号の反射パワーがADCのノイズフロアより大きく、ADCの飽和電圧より小さくなるように選択される。
【0036】
別の実施態様では、整合ネットワークは、幅広い範囲の信号周波数についての反射係数を維持することができる。例えば、自己受信ハードウェアは、幅広い範囲の伝送周波数にわたる反射係数の整合性を改善するために、切替え可能な広帯域整合ネットワークを含むことができる。この例では、自己受信ハードウェアは、ノードによって伝送されている信号の周波数に応じて複数のインピーダンス整合ネットワークの間の能動的に切り替えることができる。
【0037】
さらに別の実施態様では、自己受信ハードウェアは、それぞれの別個のインピーダンス整合ネットワークが精密な反射係数を生じる周波数で信号と遭遇するように、複数のインピーダンス整合ネットワークに接続された周波数マルチプレクサを含むことができる。
【0038】
さらなる実施態様では、システム100は、それ自体のインピーダンスを調整することができ、したがって受動結合デバイスとアンテナの間の反射係数を調整することができる適応型インピーダンス整合ネットワークを含むことができる。この場合、ノードは、適応型インピーダンス整合ネットワークを使用して反射係数を調整することができ、これにより、RF伝送チェーンおよび/または受信チェーンの増幅器における利得の変化、ならびに/あるいは関心のある1つまたは複数の周波数帯域における信号の干渉によってADCにおけるノイズレベルの変化があっても、自己反射信号の受信を保証することができる。
【0039】
1つの実施態様では、自己受信ハードウェアは、受動結合デバイスとして指向性カプラを含む。指向性カプラは、結合された伝送線路の各々について2つずつ、4つのポートを含む。この実施態様では、伝送ポートとアンテナポートとは指向性カプラ内の同じ伝送線路上に位置するが、受信ポートはアンテナとは反対側の結合されたポートに位置し、これにより、結合されたパワーはアンテナから受信し、反射されたパワーは指向性カプラとアンテナの間のインタフェースから受信する。あるいは、自己受信ハードウェアは、受信ポートとアンテナポートとが同じ伝送線路上に位置する指向性カプラを含むこともできる。その結果、受信ポートは、直接パワーをアンテナポートから受信し、反射パワーもアンテナポートから受信する。ただし、この代替の実施態様では、アンテナポートは、2つの伝送線路の間の結合により、伝送ポートからの信号を低いパワーで受信する。したがって、伝送ポートにおけるパワーを高くすれば、アンテナポートにおいて同じパワーが得られる。ただし、受信ポートとアンテナポートとが同じ伝送線路に結合される実施態様では、自己受信ハードウェアは、アンテナで受信される信号に対するトランシーバの感度を向上させることができる。
【0040】
代替の実施態様では、自己受信ハードウェアは、受動結合デバイスとしてパワーディバイダを含む。パワーディバイダは、入力ポートからのパワーを2つの出力ポートの間で分割する。この実施態様では、アンテナポートで入力されるパワーが、伝送ポートと受信ポートの間で分割されるので、アンテナとパワーディバイダの間のインタフェースで反射されるいかなるパワーも、伝送ポートと受信ポートの間で分割される。
【0041】
さらに別の実施態様では、自己受信ハードウェアは、受動結合デバイスとしてサーキュレータを含む。サーキュレータは、アンテナポートが受信ポートに直接結合されているときに、伝送ポートをアンテナポートに直接結合することができる。この場合、アンテナポートのインタフェースで生成される任意の反射は、受信ポートに戻り結合される。
【0042】
1つの実施態様では、各ノードは、上述の任意のハードウェア要素の機能を実行するソフトウェア定義無線アーキテクチャを含むことができる。
【0043】
ただし、自己受信ハードウェアは、Tx信号をノードのRxポートに送るためのいかなるソフトウェアまたはハードウェアシステムでも含むことができる。
【0044】
1.5 全体の時間同期
方法S100の実行前に、別の時間同期プロトコルを用いて各ノードのクロックを粗く同期させる。例えば、ノード対をインターネットに接続し、1つまたは複数のNTPサーバと通信させてもよい。1つの例では、ノード対は、NTPにより、1から10ミリ秒の間までそれらのクロックを同期させることができる。あるいは、別の例では、方法S100の後続のブロックの実行前に、ノード対は、衛星測位システム(以下「GNSS」)時間同期サーバと通信し、1マイクロ秒以内まで同期することもできる。
【0045】
このように、方法S100は、既存の時間同期プロトコルを活用して、ノードが以下で述べるTDMAにおいて同じ同期スロットを用いて通信することができるようにする。
【0046】
したがって、遠隔サーバは、第1のノードのクロックと第2のノードのクロックとを粗く同期させ、第1の同期信号の伝送を第1のフレームの第1の同期スロット持続時間で特徴付けられる第1の同期スロット内でスケジュールし、第2の同期信号の伝送を第1のフレームの第1の同期スロット持続時間で特徴付けられる第2の同期スロット内でスケジュールし、第2のノードを、第1のフレームの第1の同期スロット中に第1の同期信号を受信するように構成し、第1のノードを、第1のフレームの第2の同期スロット中に第2の同期信号を受信するように構成することができる。
【0047】
1.6 スロットおよびフレームの定義
一般に、方法S100では、ノード対の間の通信は、スロットおよびフレームのTDMA構造に従って行われ、その例を、
図4Aおよび
図4Bに示す。TDMA構造は、方法S100を介する時間同期およびデータ転送を介する時間同期の両方のための1つまたは複数のスロットを含むことができる。
図4Aに示す1つの実施態様では、各TDMAフレームは、メッシュネットワーク内の一意的な各ノード対を同期させるための同期スロットを含む。例えば、3つのノードn
1、n
2、およびn
3を含むメッシュネットワークであれば、n
1とn
2の同期のための第1の同期スロット、n
1とn
3のための第2の同期スロット、およびn
2とn
3のための第3の同期スロットを含む。あるいは、
図4Bに示すように、TDMAフレームは、メッシュネットワーク内の各ノードについて同期信号をメッシュネットワーク内の他の全てのノードに伝送するための同期スロットを含むこともできる。例えば、3つのノードn
1、n
2、およびn
3を含むメッシュネットワークであれば、n
1が同期信号をn
2およびn
3に伝送するための第1の同期スロットと、n
2が同期信号をn
1およびn
3に伝送するための第2の同期スロットと、n
3が同期信号をn
1およびn
2に伝送するための第3の同期スロットとを含む。
【0048】
1つの実施態様では、(例えばNTPによって行われる初期同期の確度が十分に低い場合に)各同期スロットを、2つの後続のサブスロットにさらに分割して、同期オーバヘッドを低減させる。例えば、n1およびn2の同期において、n1は第1のサブスロット中に伝送し、n2はn1からその伝送を受信する。その後、第2のサブスロットで、n2が伝送し、n1が受信する。
【0049】
各TDMAフレームは、メッシュネットワーク内の各ノードの同期スロットおよびデータ転送スロットの存在および順序を示すヘッダを含むこともできる。1つの実施態様では、各TDMAフレームは、同期スロットのセットを含む。あるいは、各TDMAフレームは、そのTDMAフレームのヘッダに応じて、同期スロットのセットを含むことも、含まないこともある。さらに別の実施態様では、TDMAフレームは、複数の同期スロットのセットを含むことができる。1つの実施態様では、ヘッダは、同期信号の特定の伝送時間をメッシュネットワーク内のノードに通信するために、TDMAプロトコルと協調する遠隔サーバまたはリーダノードによって伝送される協調信号を含むことができる。
【0050】
同期スロットの持続時間、および異なるノード対に対応する2つの同期スロットの間のバッファ時間は、実施態様と、ノード間の現在の既知の時間バイアスおよび関連する不確実性などの要因とに応じて変化する可能性がある。方法S100は、以下でさらに述べる予測ドリフトモデルの出力に基づいて同期スロット持続時間を調整することを含むことができる。さらに、同期スロット持続時間は、ノード対間の時間バイアスの不確実性と、ノード対間の伝搬時間と、ノード対間の伝搬時間の不確実性と、同期信号の持続時間との和に等しい下限を有することができ、この中では、同期信号の持続時間が、通常は最も有意な要因である。1つの実施態様では、スロットおよび同期スロット間のバッファは、両方とも1ミリ秒に設定される。これに加えて、または代替として、方法S100は、より低い信号対雑音比を有する信号のTOAを決定するために追加の測定値取得時間を提供するために、以前に受信した同期信号の信号対雑音比の関数として同期スロット持続時間を調整することを含むこともできる。
【0051】
さらに、各TDMAフレームの持続時間は、実際的な制約のセットに従う。TDMAフレーム持続時間は、クロック同期プロセスの所望の確度と比較してノード対の最も安定しないノードクロックの予想ドリフトによって定義される上限を有することができる。例えば、1つのノードクロックが累積ジッタおよび周波数ドリフトによって通常最大で毎秒1ナノ秒ドリフトすることが分かっており、クロック同期プロセスの所望の確度が1ナノ秒である場合には、ノード間の時間バイアスが1ナノ秒を超える可能性がないように、TDMAフレーム持続時間(または同期スロット間の時間)は1秒に制限される。
【0052】
さらに、TDMAフレーム持続時間は、ノード間の予想初期クロックオフセットと、同期スロットの総持続時間と、データ転送スロットがあればその総持続時間と、スロット間の時間バッファがあればその総持続時間との和に基づく下限を有する。フレーム持続時間は、大きな初期時間バイアスを見込みながら、各ノードがネットワーク内の他の各ノードから初期同期信号を受信するのに十分に長くなければならない。したがって、ノードが最初にNTPを用いて同期される場合には、NTPで同期されたクロック間によくみられる時間バイアスを見込むために、フレーム持続時間は少なくとも数十ミリ秒であるのがよい。
【0053】
1つの実施態様では、メッシュネットワーク内のノードセットの初期同期中に、そのノードセットが、各ノードのクロックに従って所定の時点で協調信号をブロードキャストするように(例えば遠隔サーバによって)構成される。ノード間で初期に粗い時間同期が行われる場合には、システムは、リーダノードを協調信号を他のノードに伝送する最初のノードとして指定することができる。次いで、メッシュネットワーク内の各ノードは、リーダノードの確認信号の受信を確認することにより、自分をリーダノードとして指定することができる。このように、ノード対の第1のノードは、ノード対の第2のノードから協調信号の受信の確認を受信することができ、第1のノードがメッシュネットワーク内の別のノードから第2の協調信号を受信する前に協調信号の受信の確認を受信したのに応答して、第1のノードをリーダノードとして指定することができる。
【0054】
代替の実施態様では、協調信号のTOAは、各ノードで計算して遠隔サーバに送信することができ、その後、遠隔ノードは、ノード間の測定伝搬遅延および対応する距離、または受信信号強度指標(RSSI)などのリンク品質メトリクスに基づいてメッシュネットワーク内のリーダノードを決定することができる。さらに別の代替の実施態様では、遠隔サーバが、リーダノードを指定する、またはメッシュネットワーク内のノードのセットについてTDMAスロットと方法S100を協調させる。
【0055】
TDMA同期スロット内で通信するときには、方法S100を実行するノード対の各ノードは、その同期スロット中に同期信号を伝送し、他のノードからの同期信号および自己受信信号を受信することができる。したがって、1つの実施態様では、ノードは、時分割二重(以下「TDD」)または半二重方式を実行して、同期スロット内で通信する。この実施態様では、ノード対の各ノードによって伝送される同期信号は、所定の遅延時間(例えば同期スロット持続時間の約半分)だけ分離されて、ノード対の第1のノードが、同期スロットの第1の区分の間に第1の同期信号を伝送して、第1の同期信号に対応する自己受信信号を受信し、その後、同期スロットの第2の区分において第2の同期信号(ノード対の第2のノードから伝送される)を受信することができるようになっている。この実施態様では、方法S100を実行するノードは、スロット区分の持続時間およびタイミングなどのタイミング情報を含む協調信号をメッシュネットワーク内の他のノードに伝送することにより、2つのノード間で半二重通信リンクを確立することができる。
【0056】
1つの実施態様では、このシステムは、ノード対の各ノードが同時に同期信号を伝送および受信することができる全二重(すなわち周波数分割二重、以下「FDD」)通信方式を実施することができる(例えば各同期信号が複数の周波数を介して送信される)。さらに、ノード対の各ノードは、そのノードの受信機に戻り結合された自己受信信号とノード対の第2のノードからの同期信号とを同時に受信するように構成することができる。
【0057】
したがって、1つの実施態様では、ノード対のリーダノードは、第1の同期信号を伝送する第1の時点と等しい第2の同期信号を伝送する第2の時点を示す協調信号を第2のノードに伝送し、第2のノードとの全二重通信リンクを確立することができる。
【0058】
ただし、より大きな帯域幅が利用可能な適用業務では、ノードは、周波数分割多重アクセスまたはその他の任意のチャネルアクセス方法を用いて通信することもできる。
【0059】
さらに、協調信号、および/または同期信号のヘッダは、1つまたは複数の後続の同期信号について周波数ホッピングスペクトラム拡散(以下「FHSS」)方式によって通信することにより、各同期信号を特徴付ける搬送周波数のセット、およびメッシュネットワークのノード間で伝送される同期信号中の各周波数ホップのタイミング(ノード間の粗い時間同期に基づく)を指定することができる。
【0060】
1.7 時間バイアスおよび伝搬遅延の特徴付け
図1Aに示すように、ノード対の各ノードは、ブロックS110、S120、S130、S140、S150、およびS160を実行して、各ノードのクロックに従って評価される所定の伝送時点で互いに対して同期信号を伝送し、そのノードの自己受信ハードウェアを介して同期信号を戻り結合して自己受信信号を形成し、自己受信信号およびノード対の相手ノードから受信する同期信号についてのTOAおよび/またはPOAを記録することができる。したがって、ノード対の各ノードは、そのノードのクロックに従って2つのTOAを計算する、または同期信号の各搬送周波数に対応するPOAのセットを計算する。各ノードは、次いで、ブロックS170で、そのノード対の間の時間バイアスおよびそのノード対の間の伝搬遅延を計算するために、自己受信信号のTOA(またはPOA)および同期信号のTOA(またはPOA)を(例えばそのフレーム内のデータ転送スロット中に)ノード対のノードのうちの一方、または遠隔サーバに送信することができる。
【0061】
図1Bおよび
図1Cに示す方法S100の変形形態は、方法S100を実行するノード対を協調させるための追加のブロックを含む。
図1Bに示す第1の変形形態では、ノード対のうちのリーダノードは、伝送時間をフォロワノードに通信し、フォロワノードによって計算される自己受信信号のTOAを受信し、フォロワノードによって計算される同期信号のTOAを受信し、リーダノードとフォロワノードの間の時間バイアスおよび伝搬遅延をリーダノードにおいて計算するために、方法S100の上述のブロックに加えてブロックS102、S142、S162、およびS170を実行する。したがって、リーダノードは、TDMA通信方式の同期スロット中にフォロワノードによって伝送される同期信号をリーダノードが受信することができるように、伝送時間をフォロワノードに通信することができる。
【0062】
図1Cに示す方法S100の第2の変形形態では、ノード対と通信している遠隔サーバまたはその他の計算デバイスが、方法S100のブロックS104、S106、S144、S146、S164、S166、およびS170を実行して、ノード対の各ノードについての伝送時間をスケジュールし、ノード対の各ノードが受信する同期信号およびノード対の各ノードで受信する自己受信信号について各ノードからTOAを受信し、ノード対間の時間バイアスおよび伝搬遅延を計算する。
【0063】
したがって、上記の変形形態のいずれにおいても、システム内に含まれる様々なエンティティが協働して、ノード対間の時間バイアスおよび伝搬遅延を計算するためにメッシュネットワーク内のノード対間の時間同期プロトコルを実行することができる。1つの実施態様では、時間バイアスは、遠隔サーバによって追跡され、TDMA通信プロトコルを管理するとき、伝送側RFデバイスのマルチラテレーションを実行するとき、または時間同期メッシュネットワークを利用する他の任意のプロトコルを実行するときに見込まれる。あるいは、ノードのうちの1つがリーダノードとして機能して、メッシュネットワーク内のノード間の時間バイアスおよび伝搬時間を追跡することもできる。
【0064】
ノード対のクロックを互いに同期させるために、ノード対の各ノードは、ブロックS110、S120、S130、S140、S150、およびS160を同時に、または連続的に実行することができる。例えば、ノード対のうちの第1のノードは、S110A、S120A、S130A、S140A、S150A、およびS160Aで方法S100のこれらのブロックの第1のインスタンスを実行することができ、ノード対のうちの第2のノードは、S110B、S120B、S130B、S140B、S150B、およびS160Bでこれらのブロックの第2のインスタンスを実行することができる。分かりやすくするために、ブロックS110、S120、S130、S140、S150、またはS160に関する記述は、それぞれ第1のノードが実行するブロックS110A、S120A、S130A、S140A、S150A、またはS160Aに当てはまる、あるいはそれぞれ第2のノードが実行するブロックS110B、S120B、S130B、S140B、S150B、またはS160Bに当てはまる。
【0065】
2つのノードの間の相対時間バイアスに応じて、第1のノードは、ブロックS110B、S120B、S130B、およびS140Bを実行する第2のノードに関連する任意の時点でブロックS110A、S120A、S130A、およびS140Aを実行することができる(両ノードが同期スロット中に実行していると仮定する)。ただし、第1のノードは、第2のノードがブロックS110B、S120B、S130B、およびS140Bを実行した後で、ブロックS150AおよびS160Aを実行して、第2のノードから送信される同期のためのTOAを受信および計算する。同様に、第2のノードは、第1のノードがブロックS110A、S120A、S130A、およびS140Aを実行した後でブロックS150BおよびS160Bを実行する。
【0066】
1.7.1 伝送時間
ブロックS110AおよびS110Bで、ノード対の各ノードは、同期スロット内の所定の、または協調した伝送時点に同期信号を伝送する。ノードがTDDを実行する実施態様では、ブロックS110Aの第1の伝送時点は、ブロックS110Bの第2の伝送時点から伝送間隔だけずれている可能性がある。したがって、ノード対の各ノードは、各ノード自体のクロックに従って所定の伝送時点で同期信号を伝送する。例えば、第1のノードの第1の伝送時点が1:00:00に設定される場合には、第1のノードは、それ自体のクロックに従って1:00:00に同期を伝送する。したがって、第三者視点では、各ノードは、2つのノード間の時間バイアスだけずれ、また各ノードの伝送時点の間の伝送間隔だけずれた同期信号を伝送する。
【0067】
各ノードは、ポーリング応答方式を使用する対称両側双方向レンジングプロトコルの場合のように異なるノードハードウェアユニット間で一貫している決定的な遅延に依拠するのではなく、そのノードの自己受信遅延を直接測定するので、方法S100を実行するシステムは、ノード対の間の時間バイアスおよび伝搬時間を正確に計算するために各ノードの受信チェーン遅延、伝送チェーン遅延、または介在処理遅延の精密な較正を必要としない。さらに、これらの遅延は、固定する必要はなく、測定間で変動する可能性があり、その場合、システムは、測定した自己受信遅延を使用して、可変の受信チェーン遅延、伝送チェーン遅延、または介在処理遅延による系統的な遅延オフセットがあればそれを除去することができる。
【0068】
1.7.2 同期信号
一般に、メッシュネットワーク内のノードは、同期プロトコルの各同期スロットに対応する同期信号を確立するために(互いに、または中央サーバと)通信することができる。さらに詳細には、各同期スロットの同期信号は、同期プロトコルに従って予め決定されている。したがって、各ノードは、相手ノードから受信する同期信号と相互相関させる(すなわちビット整合フィルタまたはI/Q整合フィルタを介して相互相関させる)テンプレート信号にアクセスする、かつ/またはそのテンプレート信号を生成することができる。
【0069】
1つの実施態様では、このシステムは、所定のパターンに従って各同期スロットについて決定的かつ一意的な同期信号を生成する。さらに、同期信号は、(自己受信信号およびノード対間で伝送される同期信号の両方の受信のために)同期信号を交換するノード対を指定する情報を含むことができる。別の実施態様では、同意信号は、同期スロットにわたって静的である。
【0070】
一般に、同期信号は、信号がメッシュネットワーク内のノードによって受信されるときの信号の信号対雑音比を改善するために既知のコードシーケンスから生成される複素数値ベースバンド信号(例えば位相シフトキーイング信号、周波数シフトキーイング信号)によって(例えば直交変調によって)変調された搬送波信号を含むことができる。さらに詳細には、このシステムは、送信機チップ周期T’cのコードシーケンスを含むことができるベースバンド信号によって変調された搬送周波数fcによって特徴付けられる搬送波信号を含む。ただし、このシステムは、コードシーケンスが同期プロトコルを実行するノード対の両方のノードに既知であれば、任意のコードシーケンスによって特徴付けられた同期信号を生成することができる。
【0071】
さらに、このシステムは、複数の同時の、または連続した搬送周波数(例えばマルチキャリアまたはFHSS信号)を介して伝送される同期のTOAおよび/またはPOAを受信および計算することができる。さらに詳細には、メッシュネットワーク内のノードは、各搬送周波数についてのPOAを抽出し、したがってノード対の間の正確な時間バイアスおよび伝搬時間を計算するために、複数の狭帯域周波数成分を含むFHSS同期信号を受信することができる。
【0072】
1.7.2.1 ベースバンド信号
一般に、このシステムは、コードシーケンスをさらに含むベースバンド信号を含む同期信号を生成する。さらに詳細には、このシステムは、最大長コードシーケンス(以下「MLS」)、ゴールドコードシーケンス、かさみコードシーケンス、バーカーコードシーケンス、またはその他の任意のバイナリコードシーケンスなどの擬似ランダムバイナリコードシーケンスを含む信号を受信することができる。1つの実施態様では、このシステムは、相互相関関数の振幅応答に生成されるピークの鮮鋭度を高めるために一定振幅、ゼロ自己相関波形を含むコードシーケンスを含む信号を受信し、タイムスタンプすることができる。例えば、このシステムは、変調MLSまたはFSK変調コードシーケンスを含む同期信号を生成することができる。
【0073】
このシステムは、目標の自己相関特性(例えばゼロ遅延における高い自己相関およびその他の箇所における低い自己相関)を有する信号について、より短い信号持続時間内の信号のTOAおよびPOAを計算することができる。このシステムは、次の形態:
【0074】
のベースバンド信号s(t)を有する信号を受信することができ、ここで、T’
cは、送信機チップ周期であり、b
n(例えば{-1,1}内)は、既知のコードシーケンス
【0075】
であり、g’(t)は、チップ波形(方形パルスまたはその他の任意のパルス形状)である。したがって、信号の持続時間は、NT’
cである。
【0076】
1つの実施態様では、このシステムは、固定プリアンブル(例えば同期信号間で変化しないビットシーケンス)、可変シンクワード、およびデータペイロードを含む同期信号を生成することができる。1つの例では、このシステムは、コードシーケンスbnを固定プリアンブルと可変シンクワードの組合せとして含む同期信号を生成することができる。別の例では、このシステムは、コードシーケンスbnを可変シンクワード内のみに含む同期信号を生成することもできる。さらに別の例では、このシステムは、コードシーケンスbnをデータペイロードの所定の部分内に含む同期信号を生成することもできる。
【0077】
別の実施態様では、このシステムは、信号の自己相関関数における2番目に大きいピークの大きさに対する最大ピークの大きさの比として定義される自己相関ピーク比を最大にするコードシーケンス(同期信号のより大きいデータ搬送部分内)を(例えば総当たりシミュレーションによって)計算することができる。さらに詳細には、このシステムは、同期信号の自己相関が閾値自己相関ピーク比より大きい自己相関ピーク比によって特徴付けられるように同期信号を生成することができる。
【0078】
あるいは、このシステムは、バイナリコードシーケンスとは対照的に、連続値および/または複素数値のベースバンド信号に基づいて同期信号を生成する。例えば、このシステムは、Zadoff-Chuシーケンスを含む同期信号を生成することもできる。
【0079】
1.7.2.2 搬送波信号
一般に、このシステムは、コードシーケンスによって変調された搬送波信号を含む同期信号を生成することができる。さらに詳細には、このシステムは、伝送側ノードのローカル発振器に基づいて生成された搬送周波数によって特徴付けられる搬送波信号を含む信号を受信することができる。したがって、各ノードは、所与の動作周波数を介してノード対の相手ノードに同期信号を伝送することができる。
【0080】
1つの実施態様では、このシステムは、搬送波信号のセットによって特徴付けられる同期信号を生成することができる。1つの例では、このシステムは、複数の搬送周波数を介してOFDM信号などのマルチキャリア信号を定義する同期信号を生成することができる。代替の例では、このシステムは、複数の搬送周波数の間でホップするFHSS信号を定義する同期信号を生成することができる。したがって、この実施態様では、このシステムは、同期信号の各搬送周波数について、伝送側ノードから受信する自己受信信号から計算される位相参照(例えば自己受信信号のPOA)を基準として、ノード対の受信側ノードから受信する同期信号のPOAを識別する。
【0081】
これに加えて、または代替として、このシステムは、測定信号との同期波形の整合フィルタの相互参照ピークに対応する位相値に基づいて、信号のTOAの計算を洗練することができる。したがってこのシステムは、振幅変調、周波数変調、または位相変調など任意のタイプの変調によって特徴付けられる同期信号を使用することができる。
【0082】
1つの実施態様では、メッシュネットワーク内のノードが標準的なRFトランシーバ技術によって同期信号を受信するために、ローカルノードは、ベースバンド信号を伝送搬送周波数でローカル発振器トーンと混合する(すなわちベースバンド信号をアップコンバートする)ことにより、上述のベースバンド信号から同期信号を生成することができる。遠隔ノードは、このアップコンバート信号を受信すると、受信通過帯域信号をフィルタリングし、受信搬送周波数(周波数分割多重の場合のように伝送搬送周波数と異なっていてもよい)でローカル発振器トーンと混合することにより、受信通過帯域を受信ベースバンド信号にダウンコンバートすることができる。
【0083】
1.7.3 TOAおよびPOAの検出
一般に、このシステム(例えば受信側ノード、あるいは同期信号または自己受信信号のサンプルを受信するサーバ)は、同期信号のテンプレートに基づいてビット整合フィルタまたはI/Q整合フィルタなどの整合フィルタを実行することにより、受信同期信号または自己受信信号に基づいてTOAおよび/またはPOAを抽出することができる。このように、このシステムは、同期信号のテンプレート信号と受信ベースバンドサンプルの間の相互相関を計算することができる。このシステムは、次いで、相互参照におけるピークを識別して、受信ノードにおける同期信号のTOAを得ることができる。このシステムは、また、整合フィルタ出力の位相応答に基づいて受信側ノードにおける同期信号の位相(または受信側ノードにおける自己受信信号の位相)を抽出することもできる。
【0084】
1.7.4 同期プロトコル
一般に、各ノードは、(例えば同期スロットの既知の同期信号テンプレートに基づいて)同期信号を生成し、同期信号をノード対の他方のノードに同時に、または連続して伝送し、伝送した同期信号に基づいて自己受信信号を受信し、ノード対の他方のノードから同期信号を受信する。説明を容易にするために、ノード対のノードを、n1およびn2と呼ぶ。ただし、n1およびn2は、メッシュネットワーク内の任意の2ノード対を指すことができる。方法S100は、(b1-b2)として表されるn1とn2の間の相対時間バイアスおよび伝搬遅延τを計算することを含む。電磁気の相反定理に基づいて、n1からn2に伝送される信号の伝搬遅延は、n2からn1に伝送される信号の伝搬遅延と等しい(τ1,2=τ2,1≡τ)。
【0085】
ブロックS140およびS160などにおいてTOAを計算するときには、ノードは、受信同期信号または自己受信信号をテンプレート信号と相互相関させて、自己相関関数のピーク値に対応するタイムスタンプを決定することができる。1つの実施態様では、各ノードは、受信信号とテンプレート信号の間のデジタル自己相関を実行する。あるいは、各ノードは、デジタル同期信号のアナログ変換とテンプレート信号の間のアナログ自己相関を実行する。後者は、サンプル間の期間に加えて、サンプルの値も見込んでいる。さらに、ノードは、同期信号から抽出する位相情報に基づいて計算したTOAを洗練することができる。1つの実施態様では、ノードは、以下でさらに述べるように、各同期信号を複数の周波数帯域を介して伝送して、受信ノードが得る搬送波位相測定値の数を増加させ、それによりTOA計算の確度を高めることができる。
【0086】
ブロックS110Aでは、ローカルな時点T1(すなわち第1の伝送時点)において、n1は、FPGAまたはDSPでベースバンド同期信号を生成する。1つの実施態様では、n1は、アンテナを介して伝送するためにベースバンド同期信号を搬送周波数の同期信号にアップコンバートし、搬送同期信号をn1の伝送チェーンに沿って伝搬することにより、伝送チェーン遅延t1を受ける。次いで、アナログ搬送波信号は、自己受信ハードウェアと相互作用し、自己受信ハードウェアは、ブロックS120Aに示すように同期信号をn1のRxポートに反射する、またはその他のかたちで戻り結合する。自己受信信号(すなわち反射またはその他のかたちで戻り結合された同期信号)は、位相および群遅延を保存している同期信号のレプリカであるが、2つの信号のパワーは異なっていてもよい。1つの実施態様では、自己受信信号のパワーを戻り結合機構および/または減衰器を通して調整して、自己受信信号の電圧レベルがn1のADCを飽和させないようにする。
【0087】
ブロックS130Aで、n1は、同期信号を伝送する際に自己受信信号を受信する。自己受信信号がn1の受信チェーン内を伝搬する間に、自己受信信号は受信チェーン遅延r1を受ける。ブロックS140Aで、n1は、そのノードの自己受信信号のローカルTOA、S1,1を計算し、これは、次の数式によって関心のある未知のパラメータと関係する。
S1,1=T1+t1+r1
このように、S1,1は、n1のクロックによるn1からの自己受信信号のTOAを表す。
【0088】
図5AならびにブロックS110B、S120B、S130B、およびS140Bに示すように、n
2は、ブロックS110A、S120A、S130A、およびS140Aでn
1によって実行されるステップと等価なステップを実行することにより、第2の同期信号を伝送し、n
2によって生成される自己受信信号のTOAを計算する。
S
2,2=T
2+t
2+r
2
ここで、T
2は、n
2におけるローカルな時点(すなわち第2の伝送時点)であり、t
2は、n
2の伝送チェーン遅延であり、r
2は、n
2の受信チェーン遅延である。各ノードの伝送時点が伝送間隔Δだけずれている実施態様では、T
2=T
1+Δである。このように、S
2,2は、n
2のクロックによるn
2からの自己受信信号の測定TOAを表す。
【0089】
図5BおよびブロックS150Aに示すように、n
1は、n
2から同期信号を受信し、この同期信号は、n
1の受信チェーン内を伝搬して、受信チェーン遅延r
1を受ける。次いで、ブロックS160Aで、n
1は、以下の数式で表されるn
2から受信した同期信号のローカルTOA、S
1,2を計算する。
S
1,2=T
2-b
2+t
2+τ+r
1+b
1
このように、S
1,2は、n
1のクロックによるn
2からの同期信号の測定TOAを表す。
【0090】
ブロックS150BおよびS160Bで、n2は、ブロックS150AおよびS160Aでn1によって実行されるステップと等価なステップを実行することにより、n1から同期信号を受信し、次のように表される同期信号の(n2における)ローカルTOA、S2,1を計算する。
S2,1=T1-b1+t1+τ+r2+b2
【0091】
このように、S2,1は、n2のクロックによるn1からの同期信号の測定TOAを表す。
【0092】
ブロックS170で、ノードのうちの1つ(例えばノード対のリーダノード)n1またはn2のいずれか、あるいは遠隔サーバまたは別個のリーダノードなどの別の計算デバイスは、上記のTOA、S1,1、S1,2、S2,2、およびS2,1を収集して、τおよびb1-b2+r1-r2、または相対時間バイアスに受信機チェーン遅延の差を加えた値を計算する。自己受信信号のTOA、および相手ノードが受信する対応する同期信号のTOAを減算することにより、次の式が導出される。
S1,2-S2,2=τ+r1+b1-r2―b2
S2,1-S1,1=τ+r2+b2-r1-b1
したがって、このシステムは、τを
【0093】
として計算することができ、b
1-b
2+r
1-r
2は、
【0094】
【0095】
純粋な相対時間バイアスb1-b2の値は、r1-r2の値がなくては計算することができないが、ノード対の一方のノードのクロックをb1-b2+r1-r2によって調整することにより、受信チェーン遅延の差が時間バイアスの後の不正確さを補償するので、各クロックにおける瞬間的な時点がr1-r2だけ異なっている場合でも、両ノードが同時に受信する任意の信号が各ノードで同じタイムスタンプを受けることを保証する。あるいは、r1-r2≒0である場合には、
【0096】
【0097】
τおよびb1-b2+r1-r2を計算した後で、方法S100は、b1-b2+r1-r2をn1またはn2のクロックに加算して初期時間バイアスを補償することにより、n1とn2の間で時間を同期させることを含むことができる。メッシュネットワーク内に複数のノードがある実施態様では、1つのノードが「リーダノード」として指定され、他のノードは「フォロワノード」として指定される。したがって、この実施態様では、方法S100は、フォロワノードのクロックをリーダノードに一致するように調整することを含む。あるいは、システム内のリーダノードまたは遠隔サーバが、メッシュネットワーク内の各ノード対の相対時間バイアスを追跡して、時間に基づく通信プロトコルまたは他のRFデバイスのマルチラテレーションなどメッシュネットワーク内のノード間の精密な時間同期に依拠するプロセスを実行するときに、計算した時間バイアスを補償することもできる。
【0098】
1つの実施態様では、メッシュネットワーク内の各ノードは、ノードの様々な対の組合せの間の時間バイアス測定値が過剰定義されているときには、これらの変数を減算して時間バイアスおよび伝搬遅延を計算することができる。例えば、ノードn1、n2、およびn3を含むネットワークにおいて、n1とn2の間の時間バイアスは、次のように計算することもできる。
【0099】
【0100】
さらに、方法S100は、(例えば2つのノード間の通信障害物などによって)直接の通信回線を有していないノード間の時間バイアスを間接的に計算することを含むこともできる。例えば、ノードn1、n2、およびn3を含むネットワークにおいて、n1とn3の間の時間バイアスは、次のように計算することもできる。
【0101】
したがって、n
2およびn
3は、方法S100の別の反復を実行することができ、このシステムは、第1の時間バイアス(b
1-b
2)と第2の時間バイアス(b
2-b
3)の和に基づいてn
1の第1のクロックとn
3の第3のクロックの間の時間バイアスを計算することができる。
【0102】
さらに、方法S100は、ノード間の相対時間バイアスの瞬間不確実性δ(b1-b2)および伝搬遅延の瞬間不確実性δτを計算することを含むことができる。不確実性の源は、各TOA計算の自己相関関数のピーク幅に基づく伝搬した不確実性に加え、同期スロット間で各ノードのクロックにおいて生じ得る任意の予想位相ノイズを含むことができる。
【0103】
1.7.4.1 位相に基づく同期プロトコル
図1Dに示すように、このシステムは、各ノードがn
1およびn
2における同期信号ならびにn
1およびn
2における自己受信信号のPOA(同期信号と一致するテンプレート信号に基づく)をそれぞれブロックS167、S168、S147、およびS148で検出する、同期プロトコルの位相に基づく変形形態を(ノード対との通信を介して)実行することができる。したがって、このシステムは、ブロックS172において、ノード対の相手ノードで受信される同期信号のPOAと自己受信信号のPOAによって与えられるローカル位相参照との間の相対位相遅延を測定し、この位相情報を利用して、n
1とn
2の間の時間バイアスおよび伝搬遅延を計算することができる。さらに、このシステムは、同期信号の各搬送周波数について同期プロトコルの位相に基づく変形形態を実行することにより、n
1で受信される第1の自己受信信号、n
2で受信される第1の同期信号、n
2受信される第2の自己受信信号、およびn
1で受信される第2の同期信号を含む各同期信号および自己受信信号についてのPOAのセットを検出することができる。n
1は、第1の自己受信信号を受信すると、次のように表される第1の自己受信信号の搬送波位相を検出する。
φ
1,1,m=(2πf
c,mT
1+φ
1,Tx,m+φ
1,Rx,m)mod 2π
ここで、f
c,mは、搬送周波数を表し、φ
1,Tx,mは、n
1の伝送チェーンの周波数依存位相オフセットを表し、φ
1,Rx,mは、n
1の受信チェーンによって誘起される周波数依存位相オフセットを表す。したがって、搬送周波数f
c,1からf
c,Mのセットについて、このシステムは、n
1で受信される自己受信信号について位相参照(f
c,1,φ
1,1,1)から(f
c,M,φ
1,1,M)のセットを生成することができる。同様に、n
2は、次のように表される第2の自己受信信号の搬送波位相を検出する。
φ
2,2,m=(2πf
c,mT
2+φ
2,Tx,m+φ
2,Rx,m)mod 2π
ここで、f
c,mは、搬送周波数を表し、φ
2,Tx,mは、n
2の伝送チェーンによって誘起される周波数依存位相オフセットを表し、φ2、Rx,mは、n
2の受信チェーンによって誘起される周波数依存位相オフセットを表す。したがって、搬送周波数f
c,1からf
c,Mのセットについて、このシステムは、n
2で受信される自己受信信号について位相参照(f
c,1,φ
2,2,1)から(f
c,M,φ
2,2,M)のセットを生成することができる。
【0104】
位相/周波数点の第1のセット(fc,1,φ1,1,1)から(fc,M,φ1,1,M)および位相/周波数点の第2のセット(fc,1,φ2,2,1)から(fc,M,φ2,2,M)は、同期信号がノードn1およびn2のハードウェアと相互作用するときに同期信号が受ける位相依存周波数オフセットの位相参照を表す。
【0105】
さらに、n1は、次のように表されるn2から受信する同期信号の搬送波位相を検出することができる。
φ1,2,m=(2πfc,m(T2-b2+b1+τ)+φ2,Tx,m+φ1,Rx,m)mod 2π
したがって、搬送周波数fc,1からfc,Mのセットについて、このシステムは、n1で受信される同期信号についてのPOAの第1のセット(fc,1,φ1,2,1)から(fc,M,φ1,2,M)を生成することができる。
【0106】
同様に、n2は、次のように表されるn1から受信する同期信号の搬送波位相を検出することができる。
φ2,1,m=(2πfc,m(T1-b1+b2+τ)+φ1,Tx,m+φ2,Rx,m)mod 2π
したがって、搬送周波数fc,1からfc,Mのセットについて、このシステムは、n2で受信される同期信号についてのPOAの第2のセット(fc,1,φ2,1,1)から(fc,M,φ2,1,M)を生成することができる。
【0107】
ノード対n1およびn2についてのτを計算するために、このシステムは、第1の同期信号の各搬送周波数の位相参照と第1の同期信号の各搬送周波数のPOAの間の位相差を計算することにより、位相/周波数点の第1のセット(fc,m,φ2,1,m-φ1,1,m)を計算することができる。同様に、このシステムは、第2の同期信号の各搬送周波数の位相参照と第2の同期信号の各搬送周波数のPOAの間の位相差を計算することにより、位相/周波数点の第2のセット(fc,m,φ1,2,m-φ2,2,m)を計算することができる。位相/周波数点の第1のセットおよび第2のセットについての位相と周波数の間の関係は、次のように表すことができる。
φ2,1,m-φ1,1,m
=(2πfc,m(T1-b1+b2+τ)+φ1,Tx,m+φ2,Rx,m-2πfc,mT1―φ1,Tx,m-φ1,Rx,m)mod 2π
=(φ2,Rx,m+2πfc,m(τ―b1+b2)-φ1,Rx,m)mod 2π
φ1,2,m-φ2,2,m
=(2πfc,m(T2-b2+b1+τ)+φ2,Tx,m+φ1,Rx,m-2πfc,mT2―φ2,Tx,m-φ2,Rx,m)mod 2π
=(φ1,Rx,m+2πfc,m(τ―b2+b1)-φ2,Rx,m)mod 2π
したがって、このシステムは、各搬送周波数fc,mについて(φ2,1,m-φ1,1,m)と(φ1,2,m-φ2,2,m)を合計して、合計位相/周波数点((φ2,1,m-φ1,1,m)+(φ1,2,m-φ2,2,m)、fc,m)のセットを生成することができる。次いで、このシステムは、次の数式によってτの値を計算することができる。
【0108】
したがって、合計位相/周波数点の線形回帰(例えば位相/周波数点の各2πラップアラウンドについての周期的線形回帰)((φ
2,1,1-φ
1,1,1)+(φ
1,2,1-φ
2,2,1),f
c,1)から((φ
2,1,M-φ
1,1,M)+(φ
1,2,M-φ
2,2,M),f
c,M)を計算することにより、このシステムは、上述の同期プロトコルによるサブサンプル確度でτの値を計算することができる。さらに詳細には、このシステムは、τを計算するために、概算で4πτに等しい周期的線形回帰の傾きを抽出することができる。
【0109】
したがって、1つの実施態様では、方法S100のブロックを実行する遠隔サーバまたはリーダノードは、n1のクロックによるT1におけるn1による同期信号の伝送後に、n1による第1の自己受信信号の位相をn1から受信し、n2によるn1からの同期信号の位相をn2から受信し、n2のクロックによるT2におけるn2による同期信号の伝送後に、n2のクロックによる第2の自己受信信号の位相をn2から受信し、n1のクロックによるn2からの同期信号の位相をn1から受信することができる。次いで、遠隔サーバまたはリーダノードは、第1の自己受信信号の位相、第1の同期信号の位相、第2の自己受信信号の位相、および第2の同期信号の位相に基づいて、第1の伝搬遅延を洗練することができる。
【0110】
あるいは、このシステムは、位相/周波数点の第1のセット(fc,m,φ2,1,m-φ1,1,m)および位相/周波数点の第2のセット(fc,m,φ1,2,m-φ2,2,m)に基づいて、減算された位相/周波数点のセットを生成することにより、n1とn2の間の時間バイアスを計算することもできる。さらに詳細には、このシステムは、次の数式に基づいて時間バイアスを計算することができる。
(φ2,1,m-φ1,1,m)-(φ1,2,m-φ2,2,m)
=(φ2,Rx,m+2πfc,m(τ-b1+b2)-φ1,Rx,m)
-(φ1,Rx,m+2πfc,m(τ-b2+b1)-φ2,Rx,m)mod 2π
(φ2,1,m-φ1,1,m)-(φ1,2,m-φ2,2,m)=2φ2,Rx,m-2φ1,Rx,m+4πfc,m(b2-b1)mod 2π
【0111】
したがって、減算された位相/周波数点の線形回帰(fc,m,(φ2,1,m-φ1,1,m)-(φ1,2,m-φ2,2,m))を計算し、線形回帰の傾きを抽出することにより、このシステムは、サブサンプル確度でb2-b1を計算することができる。
【0112】
1.8 クロックの調整
システムがノード対について同期プロトコルおよび/または位相洗練を実行した後、このシステムは、各ノード対のクロックを同期させるために、そのノード対の一方のノードのクロックを計算した時間バイアスだけシフトさせることができる。あるいは、
図2に示すように、このシステムは、リーダノードまたはその他の時間標準(例えば遠隔サーバのクロック)を基準とする各ノードの時間バイアスを維持し、そのノードの時間バイアスをそのノードが計算した任意のタイムスタンプから減算するなどすることによって、リーダノードまたは時間標準を基準とするそのノードの最新の計算した時間バイアスに基づいて各ノードに送信されるスケジューリング時間および/または各ノードで受信されるタイムスタンプを補正することができる。さらに、このシステムは、ノードについての最も最近計算した時間バイアスおよび予測ドリフトモデルに基づいて、各ノードについての現在の時間バイアスを予測することができる(以下でさらに述べる)。
【0113】
1.9 同期スロットの洗練
ブロックS180で、方法S100は、以前に同期させたノード間の後続の同期スロットの持続時間を計算することを含む。ノード対が方法S100を実行すると、それらのクロックは1から10ナノ秒以内に整列させることができる。したがって、2つのノードの間の同期が改善されるにつれて、同期スロットを順次より小さくすることができる。
【0114】
方法S100は、時間バイアスの不確実性、同期スロット間の相対時間バイアスの予想ドリフト(以下でさらに述べる予測ドリフトモデルによって計算される)、伝搬遅延、伝搬遅延の不確実性、第1のノードの伝送チェーン遅延または第2のノードの伝送チェーン遅延のうちの大きい方、第1のノードの受信チェーン遅延または第2のノードの受信チェーン遅延のうちの大きい方、同期信号の持続時間、および/あるいはノード対の間の相対的な移動による伝搬遅延の予想される変化の組合せ(例えば不確実性伝搬和)に基づいて、後続の同期スロットの持続時間を計算することを含むこともできる。
【0115】
1つの実施態様では、同期スロットを時間バッファだけさらに延長して、各ノードが同期スロット内に完全な同期信号を受信することを保証する。同期スロット持続時間が上記の和と等しくなるように設定されるときには、同期スロット持続時間は、上述の数量のうちのいずれかで予想を超えるドリフトまたは誤差が生じる適用において一方のノードで生成された同期信号を第2のノードで完全に受信できるようにするのに十分な長さである。
【0116】
1つの例では、受信チェーン遅延および伝送チェーン遅延は、同期信号持続時間と比較して無視できることもある。したがって、方法S100は、通常の受信チェーン遅延と通常の伝送チェーン遅延の最大和に近い持続時間の時間バッファを加算して同期スロット持続時間を計算することを含むことができる。
【0117】
1つの実施態様では、例えばノード間の時間バイアスの予想を超えるドリフトまたは伝搬遅延の大きな増加などによる同期の失敗の後で、方法S100は、後続のTDMAフレームに同期スロットを挿入することと、同期スロット持続時間を増大させて同期信号を送信および受信するための追加の時間を提供することとを含むことができる。方法S100は、同期プロセスが受信されるまで同期スロット持続時間を漸増的に(例えば10マイクロ秒刻みで)増大させることもできるし、あるいは同期スロット持続時間を有意により長い持続時間に延長して信号を受信する可能性を高めることを含むこともできる。
【0118】
このように、方法S100のブロックを実行する遠隔サーバまたはリーダノードは、更新された同期スロット持続時間が、初期同期スロット持続時間未満であるが、ノード対のクロック間の第1の時間バイアスの第1の不確実性と同期信号持続時間との和よりは大きくなるように、ノード対に対応する後続の同期スロットの同期スロット持続時間を減少させることができる。次いで、遠隔サーバまたはリーダノードは、更新された同期スロット持続時間内でノード対の各ノードについて伝送時点をスケジュールすることができる。
【0119】
さらに、このシステムは、ノード対間の最近計算した時間バイアスに基づいてノード対の同期信号の伝送時点をスケジュールすることができる。このように、このシステムは、ノード間の相対時間バイアスを見込んで、同期スロットの持続時間が減少していても次の同期スロット中に両ノードが伝送していることを保証することができる。
【0120】
1.10 予測ドリフトモデル
方法S100の1つの変形形態では、ブロックS170を実行するリーダノードまたは遠隔サーバは、メッシュネットワーク内のノード間の連続的な時間バイアスおよび伝搬遅延の特徴付けに基づいて予測ドリフトモデルを実行することもできる。一般に、予測ドリフトモデルは、ノードのクロック(例えば水晶発振器クロック)のドリフトを、温度、湿度、移動、および振動などの環境要因の関数としてネットワーク内の他のノードのクロックまたは時間標準(例えばUTC)を基準として特徴付ける。さらに詳細には、方法S100は、各ノードにおいて環境データを記録することと、複数の以前の同期スロットにわたって計算した相対ドリフトを観察してメッシュネットワーク内の特定のノードのドリフトの予測ドリフトモデルを訓練することとを含むことができる。予測ドリフトモデルは、リーダノードまたは遠隔サーバにおける時間を基準としたメッシュネットワーク内の1つのノードの予想ドリフトを、そのノードの最も最近の同期スロットから経過した時間およびそのノードで収集された最近の環境データに基づいて出力する。
【0121】
このシステムは、互いを基準とするメッシュネットワーク内の各ノード対のドリフトを特徴付ける予測ドリフトモデルを維持することができる。あるいは、リーダノードおよび/または遠隔サーバが、対ごとの予測ドリフトモデルを圧縮し、代わりに、メッシュネットワーク内のリーダノードのクロックまたは遠隔サーバでアクセスされる時間標準を基準として、メッシュネットワーク内の各ノードごとに1つの予測ドリフトモデルを維持することもできる。
【0122】
1つの実施態様では、方法S100は、予測ドリフトモデルの出力に従って同期サイクル間でノードのクロック時間を定期的に調整する(例えばノードの予測ドリフトに従って1ミリ秒ごとにノードのクロック値を更新する)ことを含む。あるいは、このシステムは、ノードの同期サイクル間の相対時間バイアスの推定値をそのノードの予測ドリフトモデルに基づいて計算することもできる。
【0123】
さらに、方法S100は、予測ドリフトモデルの出力に従って後続の同期スロットの持続時間を調整することを含むことができる。さらに、方法S100は、予測ドリフト値が既定のドリフト閾値より大きくなるのに応答してTDMAフレームに同期スロットを含めることをトリガする(例えば予測ドリフトモデルがフォロワノードのクロックとリーダノードのクロックの間の1ナノ秒を超えるドリフトを予測したときにTDMAフレームに同期スロットを含めることをトリガする)ことを含むことができる。
【0124】
予測ドリフトモデルは、関連する環境パラメータを表す物理モデルのセットの組合せとすることができる。1つの実施態様では、予測ドリフトモデルは、温度および結晶カットに応じたドリフトの温度モデルを含む。温度モデルは、各々が対応する結晶カットについてドリフト(百万分率単位)を温度と関係付ける適当なモデルのセットを含むことができる。1つの実施態様では、方法S100は、各ノードの水晶発振器を複数の同期スロットにわたる観測温度ドリフトに従って分類して、時間の関数としての特定のノードに関連する温度ドリフトの多項式近似を選択することを含むことができる。
【0125】
予測ドリフトモデルは、温度ヒステリシス、周囲圧力、湿度、電界および/または磁界の強さ、水晶発振器の駆動レベル、ならびに/あるいは水晶発振器の参照電圧についての予測モデルを含むこともできる。
【0126】
1つの実施態様では、予測ドリフトモデルは、水晶発振器のランダムに分布した位相ノイズおよび系統的なドリフトに基づいて予想ドリフトの信頼区間を出力することができる。予測ドリフトモデルは、参照ソースノイズ、電源ノイズ、振動誘起ノイズ、および/または加速度誘起ノイズなどの要因に基づいて水晶発振器の位相ノイズの分布を計算することができる。
【0127】
このように、このシステムは、メッシュネットワーク内のノードについて方法S100の連続反復を実行し、そのノードとリーダノードまたは遠隔サーバで維持される時間とすることができる参照時間との間の相対時間バイアスの時系列を記録することができる。同時に、このシステムは、そのノードからの環境データの時系列を記録することができる。このシステムは、次いで、環境データの時系列を時間バイアスの時系列と相関させて、環境データの変化に基づいてノードの時間バイアスのドリフトを予測することができる。このようにして、このシステムは、温度データの時系列およびノードの時間バイアスの時系列に基づいて、特定のノードにおける温度とそのノードが呈するドリフト率との間の温度相関を計算することができる。これに加えて、または代替として、このシステムは、ノードの移動データの時系列および時間バイアスの時系列に基づいて、ノードの移動(例えばノードにおいてIMUによって測定される加速度)とそのノードが呈するドリフト率との間の移動相関を計算することもできる。
【0128】
さらに別の実施態様では、このシステムは、メッシュネットワーク内の1つのノードとメッシュネットワーク内の他のノードとの間の伝搬遅延の時系列を記録することによって、ノードの移動を検出することができる。このように、このシステムは、方法S100の第1の反復中に計算される第1の伝搬遅延に基づいてノードの第1の相対位置を計算し、方法S100の第2の反復中に計算される第2の伝搬遅延に基づいてノードの第2の相対位置を計算し、第1の相対位置、第2の相対位置、第1の時間バイアス、および第2の時間バイアスに基づいてノードのクロックのドリフトの移動相関を計算することができる。
【0129】
1つの実施態様では、このシステムは、第2のノードを基準とする第1のノードの最近計算した時間バイアスについての時間バイアス不確実性を計算し、予測ドリフトモデルに基づいてノードにおける時間バイアスのドリフトの大きさを予測し、第1のノードおよび第2のノードからの動きデータに基づいて第1のノードと第2のノードの間の伝搬遅延の変化を予測し、同期スロット持続時間を時間バイアス不確実性、ドリフトの大きさ、伝搬遅延、および伝搬遅延の変化の和に等しくなるように設定することができる。したがって、このシステムは、メッシュネットワーク内のノード対の間の相対ドリフトを見込むことによって、ノード対の間で伝送される後続の同期信号の受信を保証することができる。
【0130】
1.11 再同期のトリガ
方法S100の1つの変形形態は、予測ドリフトモデルの出力または環境変化の検出に基づいて後続のTDMAフレーム内に1つまたは複数の同期スロットを含めることをトリガすることを含む。1つの実施態様では、方法S100は、予測ドリフトモデルが閾値ドリフト値より大きい予測ドリフトの大きさ(例えば最後の同期スロットから10ナノ秒を超えるドリフト)を出力したときに同期スロットを含めることをトリガすることを含む。あるいは、方法S100は、観察した温度変化(例えばノードのデジタル温度計による)および/あるいは加速度または振動データ(例えばノードで収集されたIMUデータによる)に基づいて同期スロットを含めることをトリガすることを含むこともできる。さらに、方法S100は、1つのノードの別のノードに対する移動に基づいて同期スロットを含めることをトリガすることを含むこともできる。方法S100は、ノードのIMU、ノードからの入来信号についてのドップラーシフトの測定値、またはノード間のマルチラテレーションを介して、移動を検出することを含むことができる。
【0131】
1つの例では、このシステムは、方法S100の初期反復の後で、ノード対のうちの第1のノードで温度を測定し、温度および温度ドリフトモデルに基づいて時間バイアスドリフトを計算し、時間バイアスドリフトに基づいて次のTDMAフレーム中の同期スロットをスケジュールすることができる。
【0132】
一般に、方法S100が同期スロットを含めることをトリガしたときに、同期スロットは、後続のTDMAフレームに含まれ、TDMAフレームのヘッダに示される。
【0133】
2.送信機の位置特定の方法
図6Aに示すように、ネットワークを介してデバイスの位置を検出する方法S200は、ネットワーク内の一意的な各ノード対の各ノードにおいて、ブロックS210でアウトバウンド同期信号を伝送することと、ブロックS220でアウトバウンド同期信号に基づいて自己受信信号を生成することと、ブロックS222で自己受信到着時間(以下「TOA」)の対のうちの1つの自己受信TOAにおいて自己受信信号を検出することと、ブロックS212で同期TOAの対のうちの1つの同期TOAにおいて一意的なノード対のうちの相手ノードから伝送されるインバウンド同期信号を検出することとを含む。方法S200は、また、自己受信TOAの対および同期TOAの対に基づいて、ネットワーク内の一意的な各ノード対について、ブロックS230で、対ごとの時間オフセットのセットのうち、その一意的なノード対の間の対ごとの時間オフセットを計算することと、ブロックS232で、対ごとの距離のセットのうち、その一意的なノード対の間の対ごとの距離を計算することとを含む。方法S200は、ネットワーク内の各ノードについて、ブロックS240で、対ごとの距離のセットに基づいて、ネットワーク内のそのノードのネットワーク内の1つのノードを基準とする相対位置を計算することと、ブロックS242で、対ごとの時間オフセットのセットに基づいて、ネットワーク内のそのノードのネットワーク内の1つのノードを基準とする時間バイアスを計算することとをさらに含む。方法S200は、また、ネットワーク内の各ノードにおいて、ブロックS250で、位置特定TOAにおいてデバイスから伝送される位置特定信号を検出することと、ブロックS260において、ネットワーク内の各ノードについての、そのノードで検出された位置特定信号、そのノードの時間バイアス、およびそのノードの相対位置に基づいてネットワークに対するそのデバイスの位置を計算することとを含む。
【0134】
図6Bに示すように、方法S200の第1の変形形態は、ネットワークを基準とする位置およびネットワークのクロックを基準として同期されたクロックで特徴付けられるネットワーク内の各ノードにおいて、ブロックS252において、多重化されたチャネル上で搬送波を受信することと、ブロックS254において、搬送波を復調してデバイスから伝送される識別信号を検出することと、ブロックS256において、搬送波のマルチパス伝搬により生じる位置特定信号のセットを搬送波中で検出することと、ブロックS258において、位置特定信号のセットのうちの各位置特定信号について、位置特定TOAのセットのうち、その位置特定信号の位置特定TOAを計算することとを含む。この第1の変形形態はまた、ブロックS262において、ネットワーク内の各ノードについて、ノードの位置特定TOAから見通し線(以下「LOS」)TOAを選択することと、ブロックS264において、各ノードについてのLOS TOAに基づいて到着時間差(以下「TDOA」)のセットを計算することと、ブロックS266において、TDOAのセットに基づいてデバイスの位置を計算することとを含む。
【0135】
図6Cに示すように、方法S200の第2の変形形態は、ネットワーク内の各ノードにおいて、ブロックS210でアウトバウンド同期信号を伝送することと、ブロックS220でアウトバウンド同期信号に基づいて自己受信信号を生成することと、ブロックS222で自己受信TOAにおいて自己受信信号を検出することと、ブロックS212でネットワーク内の他のノードから受信するインバウンド同期信号のセットのうちの各インバウンド同期信号について、同期TOAのセットのうち、そのインバウンド同期信号の同期TOAを検出することとを含む。この第2の変形形態は、また、ネットワーク内の各ノードについて、自己受信TOAおよび同期TOAのセットに基づいて、ブロックS242で、ネットワーク内の1つのノードを基準としてそのノードの時間バイアスを計算することと、ブロックS232で、対ごとの距離のセットのうち、そのノードとネットワーク内のその他の各ノードとの間の対ごとの距離を計算することとを含む。この第2の変形形態は、対ごとの距離のセットに基づいて、ブロックS240で、ネットワーク内のノードの相対位置を計算することと、ブロックS250で、ネットワーク内の各ノードにおいて、デバイスから伝送される位置特定信号を検出することと、ブロックS268で、ネットワーク内の各ノードについて、各ノードで検出される位置特定信号に基づいてそのノードについてのTDOAを計算することと、ブロックS270で、ネットワーク内のノードの相対位置、ネットワーク内の各ノードのTDOA、およびネットワーク内の各ノードの時間バイアスに基づいてネットワークを基準とするデバイスの位置を計算することとをさらに含む。
【0136】
2.1 適用
一般に、方法S200は、ノードおよび/または遠隔サーバのネットワーク(例えばメッシュネットワーク)を含むシステムにより、そのノードネットワークを基準とする無線周波数(以下「RF」)伝送デバイスの位置を30センチメートル以内などで推定するために実行される。このシステムは、ノードの位置に関する事前情報がなくても、ネットワーク内のノードが静止していることを必要とせずに、ノードの精密な較正(例えば時間的較正、利得較正、および/または周波数較正)を行わずに、各ノードが標準的な電子クロック(例えば水晶発振器クロック)を含む状態で、ノードネットワークのRF範囲内でRF伝送デバイスの位置を推定する(または「位置特定する」)ことができる。ネットワーク内の各ノードは、以下でさらに述べるアンテナ、トランシーバハードウェア、FPGA/DPS、クロック、および自己受信信号生成器(例えばインピーダンス不整合指向性カプラ、RFパワースプリッタ、コンバイナ、サーキュレータなど)などのネットワーキングハードウェアを含むことができる。
【0137】
このシステムは、方法S200のブロックを実行して、ネットワーク内のノード(例えば2次元位置特定では少なくとも3つのノード、3次元位置特定では少なくとも4つのノード)によって検出可能なRF伝送デバイスを位置特定することができる。さらに詳細には、このシステムは、デバイスが実行する伝送プロトコルの変更を必要とすることなく、RFID対応デバイス、ZIGBEE対応デバイス、BLUETOOTH対応デバイス、WIFI対応デバイス、および/またはLTE対応デバイスなどの第三者デバイスを識別して位置特定することができる。これに加えて、または代替として、このシステムは、特定の位置特定信号をネットワーク内のノードに伝送するように構成された特別設計デバイス(例えばアクティブタグ)を位置特定することができる。
【0138】
サブメートルの位置特定確度を得るために、このシステムは、較正および同期プロセスを実行して、ネットワーク内の一意的な各ノード対の間の時間オフセットを識別することによってネットワーク内のノード間のナノ秒レベルのクロック同期を得る。このシステムは、次いで、ネットワーク内のノードの相対時間バイアスを計算し、計算した時間バイアスを補償することができる。較正および同期プロセスを実行することにより、このシステムは、伝搬遅延を計算することもでき、したがってネットワーク内の一意的な各ノード対の間の距離を計算することもできる。このシステムは、ノード間の距離を計算すると、全部で十分なノードがあれば(例えば3次元相対位置を得るには少なくとも5つのノード)、ネットワーク内の各ノードの相対位置を確立することができる。このように、ノードのうちの1つの大域的位置が既知である場合には、このシステムは、ネットワーク内の他の全てのノードについて大域的位置を決定することができる。
【0139】
このシステムは、次いで、ネットワーク内の各ノードの計算した位置情報および時間同期を活用して、ネットワークのRF範囲内の任意のRF伝送デバイスを精密に位置特定することができる。このシステムは、デバイスからのRF伝送(例えば搬送波の形態のRF伝送)がネットワーク内の各ノードで受信されるときに、そのRF伝送を一意的に識別することができる。1つの実施態様では、各ノードは、RF伝送が各ノードに伝搬するときにそのRF伝送のTOAを精密に計算することができる。このシステムは、次いで、ネットワーク内の各ノードからのTOAを比較して、各ノード間の受信信号のTDOAを計算することができる。あるいは、ノードは、受信信号の一部分を遠隔サーバ、および/またはネットワーク内のノードのうちの1つ(例えばリーダノード)に伝送し、受信信号の相互相関によって受信信号のTDOAを決定することもできる。このシステムは、次いで、マルチラテレーション計算を実行して、デバイスの位置を推定することができる。
【0140】
このシステムは、また、デバイスからのRF伝送のマルチパス伝搬によって生じるRF伝送の重畳反復を解くことができる。個々のマルチパス信号を解いた後で、このシステムは、各マルチパス信号のTOAまたはTDOAを個別に決定することができ、次いでそのデバイスと各ノードの間のLOS RF伝送を表すLOS TOAまたはTDOAを選択することができる。RF伝送におけるマルチパスアーチファクトを解消することにより、このシステムは、複雑な伝搬環境でより良好にデバイスを位置特定することができる。このシステムは、(例えばカスタムプロトコルによってデバイスのRF伝送を指定することによって)伝送端で、(例えば各ノードにおける特殊な受信および処理によって)受信端で、ならびに/あるいは(例えばリーダノードおよび/または遠隔サーバにおける後処理で)バックエンドで適用することができる周波数ダイバーシチ、時間ダイバーシチ、位相ダイバーシチ、空間ダイバーシチ、および/または向きダイバーシチを利用することにより、上述のマルチパス検出および除外を実行することができる。
【0141】
方法S200のブロックを実行するシステムは、幅広い適用業務のためにデプロイすることができる。1つの例では、このシステムは、倉庫、店舗、医療施設、および/またはその他の任意の建物内にローカルにデプロイされる。システムのノードネットワークは、アセットトラッキングRFタグ(アクティブタグ)、携帯電話、BLUETOOTH、WIFIデバイスなどを建物内で位置特定して追跡することができるように、建物の周りにローカルにデプロイすることができる。別の例では、このシステムは、電気通信ネットワークとしてデプロイすることができ、この場合、ネットワーク内の各ノードは、位置特定し、送信し、セルラデバイスから信号を受信することができるセルラサイトである。さらに別の例では、このシステムは、地表の、または地表の上方の大体積の空間からのRF伝送を位置特定することができる周回低軌道(以下「LEO」)衛星のネットワークとしてデプロイすることができる。
【0142】
2.2 電気通信のデプロイメント
一般に、方法S200は、第三世代パートナーシッププロジェクト(以下「3GPP」)によって提唱されるLTE、4G、5G、および5G NR標準を実行するセルラネットワークなどの電気通信ネットワークが実行することができる。例えば、方法S200は、サーバ側位置管理機能(以下「LMF」)ならびに/またはアクセスおよびモビリティ管理機能(以下「AMF」)の構成要素として、5G無線ノード(以下「gNB」)および/またはエンハンスト4G eNodeBs(以下「ng-eNB」)などのセルラネットワーク内のノードによって実行することができる。
【0143】
2.3 システム
方法S200を実行するシステムは、ノード、遠隔サーバ、および/あるいはアクティブタグまたは制御可能デバイス(すなわち非第三者デバイス)のネットワーク(例えばメッシュネットワーク)を含むことができる。ネットワーク内のノードは、ノード間の信号またはデバイスからの信号を伝送または受信することを伴う方法S200のブロックを実行するRFトランシーバである。一般に、信号の受信または伝送を伴わない方法S200のブロックは、ノードの処理負荷を低減するために、ノードとのインターネット接続を介して(すなわち「クラウドで」)方法S200のブロックを実行することができるノードおよび/または遠隔サーバで実行することができる。さらに、このシステムは、信号によって位置特定されるためにノードと相互作用するように構成された様々なデバイスを含むことができる。これらの「制御可能デバイス」は、そのデバイスをシステムがより容易に検出して位置特定することができるように特別な位置特定信号を伝送するように構成されたスマートフォンまたはその他の送信機を含むことができる。
【0144】
2.4 ノード
図3Aおよび
図3Bに示すように、このシステムは、ノードのネットワークを含む。このネットワークは、2つ以上のノードを含むことができるが、ネットワークに含まれるノードが増えるほど、ノードネットワークのRF範囲内のノードおよびデバイスの両方の位置特定の確度は高くなる。1つの実施態様では、ネットワークは、3つのノードを含み、2次元空間内でデバイスを位置特定することができる。あるいは、ネットワークは、4つのノードを含み、3次元空間内でデバイスを位置特定することができる。さらに別の実施態様では、ネットワークは、5つのノードを含み、各ノードを、ネットワーク内の他の4つのノードの各々から測定される伝搬時間に基づいて位置特定することができる。このように、このシステムの機能性は、より多くノードをシステムに含むほど向上していく。
【0145】
一般に、ノードは、伝送構成要素および受信機構成要素と、信号を生成および処理するように構成されたFPGAまたはDSPと、クロックと、自己受信信号生成器とを含む。ノードは、ワイヤレスで情報を伝送および受信し、したがって、
図3Aに示すスーパーヘテロダイン無線アーキテクチャおよびRx/TxアンテナなどのRFトランシーバハードウェアを含む。この実施態様では、各ノードは、「受信チェーン」および「伝送チェーン」を含む。受信チェーンは、Rxポートから受信した信号を処理するハードウェア構成要素のパイプラインを含む。伝送チェーンは、FPGAまたはDSPによって生成された伝送信号を処理して、それらをTxポートに送るハードウェア構成要素のパイプラインを含む。受信チェーンおよび伝送チェーンは、それぞれ「受信チェーン遅延」および「伝送チェーン遅延」を付与する。「受信チェーン遅延」および「伝送チェーン遅延」とは、信号が受信チェーンまたは伝送チェーンをそれぞれトラバースするときに経過する時間の量を指す。
【0146】
1つの実施態様では、ノードは、有線ネットワークを介して遠隔サーバと通信することもできる。この実施態様では、ノードは、任意の有線媒体(例えばイーサネット/撚り対線、同軸、または光ファイバ)を介して通信するためのI/Oポートおよび/または適当なインタフェースコンバータを含むことができる。
【0147】
1つの実施態様では、ノードは、方法S200を実行するように適応されているセルラサイトなどの既存のトランシーバインフラストラクチャ内に一体化される。セルラサイト/タワーまたはその他の既存のトランシーバは、セルラサイトのソフトウェアを更新することによって方法S200を実行するように適応させることができる。代替の実施態様では、ノードは、方法S200の態様を改善するように最適化されたハードウェアを含むことができる。
【0148】
1つの実施態様では、各ノードのFPGAまたはDSPは、複素デジタル信号を生成し、生成した信号をDACに出力するように構成される。デジタル信号の複素成分は、DACによって生成されるアナログ信号の同相部分および直交部分(すなわちI/Q)を表現する。さらに、ノードのFPGAまたはDSPは、ノードのアンテナからADCを介してデジタル信号を受信し、次いで、クロックの瞬間値および以下で述べるTOA計算プロセスに従って受信した同期信号にタイムスタンプする。
【0149】
各ノードは、ノードにおける時間管理機能およびタイムスタンプ機能を担当することがある水晶発振器クロックまたは原子時計などのクロックも含む。このシステムは、方法S200を実行して、デバイスを位置特定するためにネットワーク内の複数のノードのクロックを同期させることができる。特に、このシステムは、基本周波数安定性、位相ノイズ、およびワイヤレス通信の周波数要件を満たす水晶発振器クロックを効果的に同期させることができる。1つの例では、クロックは、ATカットおよび10メガヘルツ(MHz)のクロック周波数を有する水晶発振器である。ただし、ノードは、上記の制約が満たされることを前提として、任意の周波数またはカットの水晶発振器を含むことができる。
【0150】
各ノードは、ブロックS220において自己受信信号を生成する自己受信信号生成器110を含む。一般に、自己受信信号生成器は、別のノードに伝送されている同期信号の減衰コピーを、送信側ノードの受信ポートに送る。伝送した同期信号を受信チェーンを介して処理し、自己受信信号についてのTOAおよび/または位相参照を決定することにより、各ノードは、受信チェーン遅延(すなわち信号が受信チェーンによって処理されるときにその信号が受ける時間遅延)だけ遅延した伝送信号にタイムスタンプすることができる。そのノードが後に別のノードから同期信号を受信したときには、その同期信号のTOAまたはPOAも、同じ受信チェーン遅延を有することになる。自己受信信号のTOAおよび/またはPOAと同期信号のTOAまたはPOAは両方とも受信チェーン遅延を含むので、受信チェーンハードウェアの精密な較正なしで両者を直接比較することができる。
【0151】
1つの実施態様では、自己受信信号生成器は、
図3Bに示す指向性カプラである。自己受信信号生成器は、可変インピーダンス回路を含むこともでき、これは、Rxポートへの反射Tx信号の利得を変化させるように制御されたソフトウェアであってもよい。ノードの具体的なハードウェアの実施態様によっては、同様のインピーダンス整合をサーキュレータ、パワースプリッタ、またはその他の任意の伝送線路デバイスに適用することができる。ただし、自己受信信号生成器は、Tx信号をRxポートに送る任意のソフトウェアまたはハードウェアシステムを含むことができる。
【0152】
1つの実施態様では、各ノードは、上述の任意のハードウェア要素の機能を実行するソフトウェア定義無線アーキテクチャを含むことができる。
【0153】
2.5 デバイス
このシステムは、デバイスを位置特定するために方法S200を実行する。一般に、デバイスは、制御可能デバイスおよび/または第三者デバイスを含むことができる。このシステムはいずれのカテゴリの制御可能デバイス106も位置特定することができるが、このシステムは、制御可能デバイスの位置特定を改善することができる特定の最適化を含むことができる。さらに詳細には、制御可能デバイスは、ネットワーク内のノードが検出することができる特定のRF信号(すなわち位置特定信号)を伝送するように(例えばファームウェアまたはソフトウェアを介して)製造および/または構成される任意のデバイスを含むことができる。1つの実施態様では、制御可能デバイスは、アセットトラッキングの適用用に構成された低パワーRFトランシーバとすることができる「アクティブタグ」を含む。別の実施態様では、制御可能デバイスは、ネットワーク内のノードによって検出される位置特定信号を伝送するソフトウェアまたはファームウェアアプリケーションを実行するスマートフォンまたはその他の任意のデバイスを含むことができる。さらに別の実施態様では、制御可能デバイスは、システムから信号を受信することができず、既定のカスタム伝送プロトコルに従って動作することができない低パワー送信機も含む。
【0154】
第三者デバイスは、ネットワーク内のノードによって受信される十分に高いパワーのRF伝送を生成する任意のデバイスを含むことができる。一般に、第三者デバイスは、ノードが実行するパケット解析技術によって検出することができるBLUETOOTH、WIFI、LTE、5G、および/またはその他の任意のワイヤレスプロトコルなどの標準化されたワイヤレスプロトコルを実行することによってワイヤレス通信する。第三者デバイスはこのシステムが定義する位置特定信号を伝送しないこともあるが、任意の識別可能なRF伝送を、第三者デバイスの位置特定信号とみなすことができる。例えば、このシステムは、特定のデバイスから受信される周期LTEおよび/または5G同期シーケンスを、そのデバイスの位置特定信号として検出することができる。
【0155】
ただし、このシステムは、ネットワーク内の十分な数のノードで検出することができる任意のRF放出デバイスを位置特定することができる。
【0156】
2.6 ネットワーク内のノードの相対位置特定
一般に、ブロックS240で、このシステムは、ネットワーク内の一意的な各ノード対の間の対ごとの距離に基づいてネットワーク内の各ノードの相対位置を計算することができる。さらに、このシステムは、ネットワーク内の参照ノードの大域的位置および参照ノードを基準とするネットワーク内のその他のノードの位置があれば、ネットワーク内の各ノードの大域的位置を計算することができる。さらに詳細には、少なくとも4つのノードを含むシステムは、ネットワーク内の各ノード間の対ごとの距離に基づいてネットワーク内の各ノードの相対3次元位置を計算することができる。同様に、4つのノードを含むシステムは、各ノード間の対ごとの距離に基づいてネットワーク内の各ノードの相対2次元位置を計算することができる。1つの実施態様では、このシステムは、5つを超えるノードを含み、測定冗長性/重複決定によって相対位置の計算の確度を向上させる。
【0157】
このシステムは、ネットワーク内で座標系の原点を第1の参照ノードに定義し、第2の参照ノードを通る座標系の軸を定義することによって、ネットワーク内の各ノードの相対位置を決定することができる。あるいは、このシステムは、2次元平面を形成する3つの参照ノードに基づいて座標系を定義することができる。これで、このシステムは、ネットワーク内の対ごとの距離についての一組の自己一貫性方程式を解くことができる。これらの自己一貫性方程式は、ノードネットワーク内の一意的な各ノード対niおよびnjについて、
(xi-xj)2+(yi-yj)2+(zi-zj)2=di,j
2
という形態である。ノード間の対ごとの距離の計算および/または状況によっては自己一貫性方程式の系の重複決定に誤りがあると、この自己一貫性方程式の系は決定的に解くことができないので、このシステムは、反復的または確率的な方法によってこれらの自己一貫性方程式を解くことができる。さらに、このシステムは、任意の追加の位置情報を組み込んで、自己一貫性方程式の系をさらに制約し、ネットワーク内の各ノードの位置の計算を改善することができる。
【0158】
ただし、このシステムは、任意の数学的技法を実施して、ネットワーク内のノード間の対ごとの距離のセットをネットワーク内の各ノードの相対位置に変換することができる。
【0159】
2.7 デバイスの位置特定
一般に、このシステムは、ブロックS250、S252、S254、S256、S258、S260、S262、S264、S268、および/またはS270の組合せを実行して、ネットワーク内の十分な数のノードのRF受信範囲内でデバイスを位置特定する。さらに詳細には、このシステムは、ブロックS252で搬送波の形態の信号を受信し、混みあったワイヤレス環境内の複数のデバイスからの信号を曖昧性除去し、ブロックS254で曖昧性除去した信号に基づいてデバイスを一意的に識別し、ネットワーク内のノード間でデバイスからの信号のTDOAのセットを計算し、ブロックS258でTDOAマルチラテレーションを実行してデバイスを位置特定することができる。さらに、このシステムは、デバイスからの信号のマルチパスアーチファクトを検出し、マルチパス信号のセットからLOS信号を選択することもできる。さらに、このシステムは、統計的ノイズ除去およびTDOAバウンディングを実行して、位置特定の確度を向上させることができる。
【0160】
2.7.1 信号の曖昧性除去
一般的なRFノイズおよび/またはその他の干渉信号から特定の信号を曖昧性除去するために、ノードは、1つまたは複数のワイヤレスプロトコルを実行して、やはりそれらのプロトコルによって通信しているデバイスを検出する。このシステムは、IEEE 802.15.4、BLUETOOTH、WIFI、GSM、CDMA、LTE、および/または5Gプロトコル、あるいはその他の任意の標準ワイヤレス通信プロトコルの様々なバージョンなど、標準化されたワイヤレスプロトコルのバリエーションを実行することができる。さらに、このシステムは、ノードネットワークを介したデバイスの位置特定のために特別に設計されたカスタムワイヤレスプロトコルを実行することができる。標準化されたワイヤレスプロトコルおよびカスタムワイヤレスプロトコルは両方とも、TDMA、周波数分割多重アクセス(以下「FDMA」)、符号分割多重アクセス(以下「CDMA」)、あるいはそれらの何らかのハイブリッドまたは変形など、1つまたは複数の形態の多重アクセス構造を実施することができる。このように、このシステムは、これらの多重アクセス技術を実施して、異なるデバイスからの伝送を曖昧性除去することもできる。ネットワーク内のノードが多重化されたチャネルにアクセスすると、そのノードは、そのノードの受信チェーンおよびRxポートを介してデバイスから伝送される搬送波のサンプルを記録する。したがって、次いでブロックS254で、このノードは、搬送波を復調して、デバイスから伝送される信号を識別することができる。
【0161】
このシステムは、第三者デバイス、およびアクティブタグなどの制御可能デバイスを位置特定することができる。したがって、復調信号は、システムによるTOA、TDOA、POA、または到着位相差(以下「PDOA」)の計算のために特別に構成された特定の位置特定信号(例えば制御可能デバイスからの信号)を含むことができる。さらに、制御可能デバイスは、システムがより容易にデバイスを識別し、デバイスの計算した位置をそのデバイスの以前に計算した位置と関連付けることができるように、位置特定信号に加えて識別信号を伝送するように構成することもできる。ただし、復調信号が標準化されたワイヤレスプロトコルを運用する第三者デバイスから受信される場合には、復調信号は、信号のTOA、TDOA、POA、またはPDOAを計算するための特定の位置特定信号を含まないこともある。代わりに、システムは、その標準化されたワイヤレスプロトコルによって指定される特に識別可能かつ位置特定可能な伝送に基づいてデバイスを識別して位置特定することができる。
【0162】
2.7.2 カスタムプロトコル
1つの実施態様では、このシステムは、カスタムワイヤレス通信プロトコルを介して制御可能デバイスを位置特定する。カスタムワイヤレス通信プロトコルは、異なる制御可能デバイスからの信号を曖昧性除去するために利用される多重アクセス方法を指定し、制御可能デバイスの一意識別を確立するために使用される識別信号の構造を指定し、システムがネットワーク内の各ノードにおいて位置特定信号のTOAまたはTDOAを計算することができるように制御可能デバイスから送信される位置特定信号の構造を指定することができる。1つの実施態様では、カスタムワイヤレスプロトコルは、システムが制御可能デバイスに(多重アクセス方法における)チャネルおよび/あるいはデバイスの位置特定または識別信号のタイミング、持続時間、フォーマット、または構造を変更するように命令することができるように、調整可能なワイヤレスプロトコルを指定する。
【0163】
2.7.2.1 位置特定信号の構造
一般に、制御可能デバイスの位置特定信号は、整列していないときと比較して整列したときに高いピーク自己相関を呈する擬似ランダムシーケンスを含む。1つの実施態様では、位置特定信号は、Zadoff-Chuシーケンスである。
【0164】
制御可能デバイスが一方向送信機であり、システムからの信号を受信することができない実施態様(例えばアクティブタグの特定の実施態様)では、位置特定信号は、各制御可能デバイスに事前割当てされた1つの静的擬似ランダムシーケンスを含むことができる。これで、制御可能デバイスは、事前割当てされたシーケンスを定期的に伝送して、ノードがその制御可能デバイスを位置特定できるようにすることができる。
【0165】
制御可能デバイスがシステムからの信号を受信するように構成されている代替の実施態様では、システムは、制御可能デバイスに命令を伝送して、制御可能デバイスが伝送する位置特定信号を指定することができる。さらに、システムは、同期、タイミング、またはチャネル情報を制御可能デバイスに通信して、制御可能デバイスがシステムによって指定された時点でシステムによって指定されたチャネル上で伝送することにより、様々なワイヤレス伝搬環境においてネットワーク内のノードがデバイスからの位置特定信号を一貫して受信できるようにすることができる。
【0166】
別の実施態様では、制御可能デバイスは、マルチパスフェージングの影響を緩和し、ネットワーク内の各ノードのLOS信号のTOAまたはTDOAを検出および計算する可能性を改善するために、複数の帯域を介して位置特定信号を伝送するように構成される。例えば、制御可能デバイスは、周波数分割多重化(以下「FDM」)によって複数の搬送周波数を介して位置特定信号を伝送するように構成することができる。これに加えて、または代替として、制御可能デバイスは、複数の時分割多重化(以下「TDM」)スロットで位置特定信号を伝送することにより、位置特定信号の時間ダイバーシチを改善することができる。
【0167】
さらに別の実施態様では、制御可能デバイスは、方法S100のブロックを参照して上述した同期信号と同様の構造の位置特定信号を伝送するように構成される。この実施態様では、各制御可能デバイスは、上述の同期信号の任意の変形形態に従って実装される位置特定信号を伝送することができる。
【0168】
2.7.3 標準化されたプロトコル
1つの実施態様では、このシステムは、ZIGBEE、BLUETOOTH、WIFI、GSM、CDMA、および/またはLTEなどの標準化されたワイヤレス通信プロトコルによって第三者デバイスを位置特定する。標準化されたワイヤレスプロトコルは、通信しているデバイス間の伝送において位置特定信号または識別信号を明示的に指定しないこともあるが、標準化されたワイヤレスプロトコルは、そのプロトコルを利用するデバイスに対して、伝送側デバイスの初期通信を識別し、特定の多重化チャネル上で通信するように頻繁に要求して、デバイスが一貫して正しいデバイスに信号を伝送することができるようにする。さらに、多くの標準化されたワイヤレスプロトコルは、位置特定以外にも様々な目的で擬似ランダムシーケンスをプロトコルで活用する。
【0169】
したがって、このシステムは、これらの位置特定可能シーケンスを検出するTDMAプロトコルを実行することができ、そのデバイスが正常動作時に行うはずの伝送を傍受することによって、標準化されたワイヤレスプロトコルを介して伝送を行っているデバイスを位置特定することができる。例えば、LTEおよび5Gプロトコルは、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)の擬似ランダム(Zadoff-Chu)シーケンスを指定する。ネットワーク内のノードは、このシーケンスを検出し、それを特定のLTEまたは5Gデバイスの位置特定信号として使用するように構成することができる。同様の方法を、他の標準化されたワイヤレスプロトコルにおいて他の定期的にブロードキャストされる同期および制御シーケンスに適用することができる。したがって、位置特定信号は、標準化されたワイヤレスプロトコル通信を含むことができる。
【0170】
2.7.4 複数プロトコルスタック
このシステムは、複数の標準化されたワイヤレスプロトコルのいずれかに従って伝送しているデバイスを位置特定することができる。1つの実施態様では、システムは、複数プロトコルスタックに含まれる各標準化プロトコルの完全なプロトコルスタックを実装するわけではない。この実施態様では、システムは、それぞれの標準化されたプロトコルのうち、物理波形をシンボルまたはビットストリームに復調するための部分を実装することができる。これに加えて、または代替として、このシステムは、標準化されたプロトコルスタックのうち、複数のデバイスからの伝送の逆多重化に関連する部分を実装することもできる。例えば、このシステムは、制御/ヘッダフレームを使用することによって、または伝送の時間分離を活用することによって、標準化されたワイヤレスプロトコルに従って伝送しているデバイスによって送信される信号を逆多重化することができる。受信信号を逆多重化した後で、システムは、デバイスを識別および/または位置特定するために、プロトコル記述および伝送パラメータなどのメタデータを抽出することができる。
【0171】
2.7.5 デバイスの識別および追跡
このシステムは、様々な位置特定されたデバイスがネットワークに対して移動するときに、それらのデバイスを識別して追跡することもできる。1つの実施態様では、このシステムは、デバイスによって伝送される識別信号に基づいてデバイスを識別子と関連付け、デバイスからその後に受信する信号をその識別子と関連付けることができる。デバイスがカスタムワイヤレスプロトコルを実行している場合には、そのプロトコルが、一意的な識別可能な位置特定信号または識別信号を指定して、そのデバイスによって行われる任意の伝送を、そのデバイスから伝送されたものとして識別することができるようにすることができる。あるいは、デバイスが標準化されたワイヤレスプロトコルを実行している場合には、このシステムは、各デバイスがその標準化されたワイヤレスプロトコルを実行するプロセスにおいて識別情報を伝送することに基づいて、多重アクセス方式を実施することができる。
【0172】
代替の実施態様では、このシステムは、様々なデバイスが伝送している多重化されたチャネルを識別するために標準化されたワイヤレスプロトコルと協調しているハブまたは計算デバイス(例えばBLUETOOTHピコネット中のリーダノードあるいはLTEまたは5GのeNode-Bセルラサイト)とインタフェースをとることができる。次いで、このシステムは、予想した時点で多重化されたチャネル上で受信した任意の伝送を、ワイヤレスハブまたはリーダノードによって指定されたデバイスから発出されたものとして識別することができる。
【0173】
さらに別の実施態様では、ネットワーク内のノード自体が、標準化されたワイヤレスプロトコルを実行し、ノードと通信しているデバイスを位置特定することもできる。例えば、ノード自体が、eNode-Bセルラサイトとして動作することができ、LTEまたは5Gプロトコルを実行することができる。したがって、各ノードは、LTEまたは5Gプロトコルを運用するプロセスにおいて、そのノードと通信している各デバイスについての識別およびチャネル情報を詳述する情報を有することになる。このシステムは、デバイスを位置特定するために、この情報を他のノードで利用することができる。
【0174】
システムがデバイスを識別したら、システムは、そのデバイスに内部識別子を割り当て、そのデバイスについての任意の計算または推定した位置情報をその識別子と関連付けて、そのデバイスの位置および経路をネットワーク内のノードを基準として追跡できるようにすることができる。
【0175】
2.7.5.1 適応プロトコルおよび衝突検出
1つの実施態様では、このシステムは、デバイス識別子を有するデバイスからの伝送を識別することにより、システムが位置特定しているデバイスのクロックドリフトを、ノードの同期したクロックを基準として追跡および/または予測することもできる。一般に、このシステムは、ワイヤレスプロトコルによって定義される伝送スロットの境界を基準とするデバイスからその後に受信する信号の位置特定TOA間の時間差に基づいてデバイスのクロックドリフトを特徴付け、デバイスのクロックドリフトに基づいて第1の標準化されたワイヤレスプロトコルを修正することができる。さらに、このシステムは、その後に受信する信号のうちの複数にわたるデバイスの位置に基づいてデバイスの予測クロックドリフトを推定し、デバイスの予測クロックドリフトに基づいて第1の標準化されたワイヤレスプロトコルを修正することもできる。
【0176】
このように、このシステムは、デバイスのクロックのドリフト率に基づいて、そのデバイスがワイヤレスプロトコルによって指定されるTDMAスロット内で伝送しなくなる時点を予想することができる。1つの実施態様では、このシステムは、TDMAフレームの境界を調整して、デバイスのクロックのドリフトを吸収することができる。あるいは、デバイスが制御可能デバイスである場合には、このシステムは、同期信号を送信して、デバイスのクロックをノードのクロックと再整列することができる。さらに別の実施態様では、このシステムは、異なる搬送周波数を介して伝送するようにデバイスに命令して、複数のデバイスからの信号を同じTDMAスロット内で解釈することができるようにすることができる。
【0177】
ただし、このシステムは、衝突を吸収し、1つのTDMAスロット内で衝突信号を曖昧性除去する任意の方法で、TDMAフレーム構造を修正することができる。
【0178】
2.8 TDOAの計算
一般に、ブロックS266およびS268で、このシステムは、ネットワーク内の各ノードについて、各ノードで検出される位置特定信号に基づいてそのノードのTDOAを計算することができる。さらに詳細には、このシステムは、(各ノードについて以前に計算された時間バイアスを補償することによって)位置特定信号自体から直接、または各ノードにおける正確なTOAを最初に計算し、信号を受信する最初のノードにおける最初のTOAを他のノードについてのTOAの各々から減算することによって、位置特定信号のTDOAを計算することができる。このように、このシステムは、ネットワーク内の各ノードについて、位置特定TOAのセットのうち、そのノードにおける位置特定TOA(すなわち位置特定信号のTOA)をそのノードの時間バイアスだけ調整することができる。
【0179】
システムが受信した位置特定信号に基づいて直接ノードについてのTDOAを計算する実施態様では、各ノードは、そのノードで受信したタイムスタンプ済みの位置特定信号をリーダノードまたは遠隔サーバに伝送することができる。次いで、このシステムは、位置特定信号を対ごとに相互相関させて、システム内の各ノードにおける位置特定信号のTDOAのセットを生成することができる。これらの実施態様では、このシステムは、各ノードで受信される位置特定信号間の相互相関を計算するときに、各ノード対の間の系統的オフセット(例えば時間バイアスおよび周波数オフセット)を補償する。
【0180】
代替の実施態様では、このシステムは、各ノードで位置特定信号のTOAを個別に計算し、次いで、計算したTOA値を減算してTDOA値のセットを決定する。位置特定信号のTOAを計算する際には、受信側ノードは、受信した位置特定信号をテンプレート位置特定信号と自己相関して、自己相関関数のピーク値に対応するタイムスタンプを決定することができる。位置特定信号は、シーケンスが整列されているときには高い自己相関値を有し、そうでないときには低い自己相関値を有する、特別に選ばれたシーケンスを含むことができる。1つの実施態様では、各ノードは、受信信号とテンプレート信号の間でデジタル自己相関を実行する。あるいは、各ノードは、デジタル同期信号のアナログ変換とテンプレート信号の間のアナログ自己相関を実行する。後者は、サンプルの値に加えて、サンプル間の期間も見込んでいる。
【0181】
このシステムが一意的な各ノード対の間の位置特定信号のTDOAを計算する場合には、このシステムは、平均などの統計的技法を実行して、冗長なTDOAを利用してTDOA推定を改善することができる。例えば、3つのノードn1、n2、およびn3がある場合には、システムは、ノードn1とn3で受信される位置特定信号の相互相関によって直接、またはノードn1およびn3で計算されたTOAを減算することによって、n1とn3の間のTDOAを計算することもできるし、あるいは、システムは、n1とn2の間およびn2とn3の間のTDOAを計算し、それらを合計してn1とn3の間のTDOAの別の値を求めることもできる。このシステムは、重複決定したTDOAに統計的技術を適用して、TDOA計算の確度を向上させることができる。
【0182】
2.8.1 位相に基づく位置特定
デバイスが複数の搬送周波数を介して位置特定信号を伝送する実施態様では、システムは、FHSS位置特定信号における各伝送搬送周波数についての受信した位置特定信号の搬送波位相オフセットを記録することによって、位置特定信号のPOAに基づいて伝送しているデバイスを位置特定することもできる。一般に、このシステムは、ネットワーク内の各ノードにおいて、そのノードで検出された位置特定信号の各搬送周波数の搬送波位相オフセットのセットを計算して、そのノードで検出された位置特定信号の搬送波位相オフセットのセットを生成し、ネットワーク内の各ノードについてのそのノードで検出される位置特定信号の搬送波位相オフセットのセット、そのノードの時間バイアス、およびそのノードの相対位置に基づいて、ネットワークを基準とするデバイスの位置を計算することができる。さらに詳細には、このシステムは、複数周波数のPDOAを測定して、デバイスの位置特定を改善することができる。
【0183】
2.9 マルチパス検出
ブロックS252、S256、S258、S262、S264、およびS266で、このシステムは、搬送波中で、その搬送波のマルチパス伝搬により生じる位置特定信号のセットを検出し、位置特定信号のセット中の各位置特定信号について、その位置特定信号の位置特定TOAのセットのうちの位置特定TOAを計算し、ネットワーク内の各ノードについて、そのノードの位置特定TOAのセットからLOS TOAを選択し、各ノードについてのLOS TOAに基づいてTDOAのセットを計算し、TDOAのセットに基づいてデバイスの位置を計算することができる。
【0184】
このシステムは、1つの位置特定信号についてのTOAの計算と同様の方法で、重畳位置特定信号についてのTOAを計算する。ただし、復調信号に対してデジタル自己相関を実行する代わりに、システムは、変調位置特定信号に対応するアナログ信号およびノードで受信されるアナログ信号についてのテンプレートの相互相関関数を適用することができる。マルチパス環境では自己相関関数は、複数のピークを出力することができ、これらはそれぞれ位置特定信号のマルチパス成分のTOAに対応する。マルチパスTOAのセットからLOS TOAを決定する一般的な方法は、単純に、ノードで検出されるTOAのセットから最初のTOAをLOS TOAとして選択するというものである。ただし、この方法は、ワイヤレス信号伝搬によって生じるアーチファクトの影響を受けやすい。それにより、LOS TOAの推定が不正確になることがある。そこで、このシステムは、マルチパス信号を除外し、TOAのセットからLOS TOAを推定するために、複数の周波数帯域にわたる位置特定信号を活用する様々な技法を利用して、位置特定信号の周波数ダイバーシチ、時間ダイバーシチ、および/または空間ダイバーシチを活用することができる。
【0185】
2.9.1 周波数に基づくマルチパス検出
1つの実施態様では、このシステムは、複数の周波数帯域を介して伝送される位置特定信号を受信する。したがって、位置特定信号は、これは同じ擬似ランダムシーケンスの周波数変調バージョンとすることができる異なる周波数の搬送波の重畳を含む。異なる周波数のRF波は物理環境中の伝搬が異なるので、各ノードで受信されるマルチパス信号のセットから生じる位置特定TOAのセットのタイミングは、位置特定信号が伝送した周波数帯域によって変化し得る。ただし、LOS TOAは、周波数帯域にわたって(閾値内で)同じである。したがって、このシステムは、位置特定TOAのセットのうち、閾値数の周波数帯域にわたって反復されない位置特定TOAを除外することができる。このシステムは、周波数帯域間の2つの位置特定TOAは、それらが所定の閾値期間内に生じる場合には、「反復された」とみなすのに十分に同時であると決定することができる。これに加えて、または代替として、このシステムは、周波数帯域にわたる全ての位置特定TOAのセットの間で最初の位置特定TOAを選ぶことによって、LOS TOAを決定することもできる。
【0186】
したがって、このシステムは、各々が異なる搬送周波数で特徴付けられる搬送波のセットを含む周波数分割多重チャネルにアクセスし、各搬送波について位置特定TOAのセットを検出し、各搬送波についての位置特定TOAのセットを比較し、所定のTOA閾値内で非反復性の位置特定TOAを除去して残りのTOAのセットを生成し、各ノードのLOS TOAを、そのノードからの残りのTOAのセットから選択することができる。
【0187】
2.9.2 MIMOマルチパス検出
1つの実施態様では、このシステムは、複数入力/複数出力(以下「MIMO」)マルチパス検出を利用することによって、空間ダイバーシチを実現することができる。この実施態様では、ネットワーク内のノードは、MIMOであり、ノード上の異なる物理的位置に複数のアンテナを含む。これらのアンテナの互いに対する変位は、位置特定信号のTOAがアンテナ間で十分に類似するように適当に小さくすることができるが、各アンテナで受信されるマルチパス信号は有意に異なる。この実施態様では、各ノードは、そのノードの各アンテナで変調位置特定信号を含む入来搬送波を記録する。このシステムは、次いで、デバイスと各アンテナの間のマルチパス環境により生じる位置特定TOAのセットを計算する。このシステムは、次いで、周波数に基づくマルチパス検出についての上述のプロセスと同様の方法でアンテナ間で反復されていない位置特定TOAを除外することができる。代替として、またはこれに加えて、このシステムは、全てのアンテナからの位置特定TOAのセットにわたって、最初の位置特定TOAをLOS TOAとして選択することができる。
【0188】
2.9.3 時間領域マルチパス検出
1つの実施態様では、このシステムは、時間領域のマルチパス除外を利用することによって、時間ダイバーシチを実現することができる。この実施態様では、デバイスは、短い期間内に所定の時間オフセットで定期的に位置特定信号を伝送することができる。その結果として、一連の位置特定信号の各位置特定信号は、マルチパスワイヤレス環境で様々なレベルの干渉を受ける可能性がある。システムは、次いで、各位置特定信号の間で上記の所定の時間オフセットを減算して位置特定信号を整列させ、各位置特定信号についての位置特定TOAのセットを計算することができる。システムは、次いで、時間分離した位置特定信号から、最初に検出された位置特定TOAをLOS TOAとして選択することができる。
【0189】
2.10 TDOAバウンディング
このシステムは、各ノードにおけるTDOAのセットを計算した後で、TDOAバウンディング技術を適用して、ネットワーク内の各ノード対の間の正確なTDOAを計算する可能性を向上させることもできる。このシステムは、バウンディングモデルを実装して、ノードの位置またはノードが分布している領域のスケールに関する以前の情報と矛盾するTDOAを除外することができる。実施態様に応じて、システムは、LOS TOAを計算する前にTDOAバウンディングを実行することもできるし、LOS TOAを計算した後でTDOAバウンディングを実行することもできる。例えば、システムは、2つのノードの間の全ての可能性のあるTDOAを計算し(例えば第1のノードで計算した各TOAと第2のノードで計算した各TOAの間の差を計算することによって計算し)、次いでバウンディング関数の外側のTDOAを除外することができる。あるいは、システムは、最初に各ノードについてのLOS TOAを選択し、次いでそれらのLOS TOAに基づいて計算したTDOAを除外することもできる。複数帯域の位置特定信号を含む実施態様では、システムは、複数の帯域にわたって計算したTOAまたはTDOAのいずれかにTDOAバウンディングを適用することができる。1つの実施態様では、システムは、TDOAを計算した2つのノードの間の対ごとの距離より大きい距離に対応するTDOAを除外することができる。これに加えて、または代替として、システムが既知の領域内のデバイスを位置特定している場合には、TDOA境界を減少させて、その既知の領域から発出する伝送の最大TDOAを反映することができる。
【0190】
2.11 マルチラテレーション
このシステムは、ネットワーク内の各ノード対についてのTDOAを計算した後で、マルチラテレーションを実行して、ブロックS260、S268、およびS270と同様に、ネットワーク内の各ノードについての、ノードで検出された位置特定信号、ノードの時間バイアス、およびノードの相対位置に基づいて、ネットワークを基準とするデバイスの位置を計算することができる。1つの実施態様では、このシステムは、デバイスについていくつかの位置を計算し、そのデバイスが位置している可能性がある領域を定義することができる。これに加えて、または代替として、このシステムは、所定の信頼度レベル内で可能性があるデバイスの位置を示す、各次元に不確実性を有するデバイスの位置を計算することができる。このシステムは、ネットワーク内の各ノードの相対位置が既知である同じ座標系内でデバイスの位置を計算して、デバイスについて計算した位置がノードとも関係があるようにする。一般に、このシステムは、ネットワーク内の(既知の位置の)3つのノードを用いてデバイスの2次元相対位置を計算することができ、ネットワーク内の(既知の位置の)4つのノードを用いてデバイスの3次元位置を計算することができる。より多く(すなわち4超)のノードからのTDOAがあると、システムは、最小二乗法および/あるいは線形または非線形最適化を実行して、デバイスの位置を洗練させることができる。これに加えて、または代替として、カルマンフィルタまたはその他のフィルタリング関数を、経時的な特定のデバイスの位置推定に適用することができる。
【0191】
このシステムは、次の形態の連立方程式を解くことによってマルチラテレーションを実行する。
【0192】
ここで、t
i,jは、ノードiとノードjの間のTDOAであり、x
i、y
iは、およびz
iは、ノードiの座標であり、x
j、y
jは、およびz
jは、ノードjの座標であり、x、yは、およびzは、デバイスの座標である。
【0193】
2.12 デプロイメント
このシステムは、いくつかのワイヤレスネットワーキングシナリオだけでなく、複数のノード間の一貫した速度の波伝搬を伴う任意のシナリオでデプロイすることができる。システムのデプロイメントのいくつかの例としては、ローカルなアセットトラッキングのデプロイメント、電気通信のデプロイメント、およびグローバル衛星のデプロイメントがある。
【0194】
2.12.1 ローカルなアセットトラッキングのデプロイメント
このシステムは、アセットトラッキングシステムとしてデプロイすることができる。この実施態様では、システムは、倉庫、組立てライン/工場、病院、学校、オフィスビルディング、またはその他の任意の施設の周りに配置されたノードのネットワークを含むことができる。ノードは、妨害を避け、(3次元位置トラッキングが望ましい場合には)少なくとも4つのノードが施設全体に分布したデバイスから位置特定信号を受信できることを保証して、施設の周りに分布させることができる。システムは、追跡対象のアセットに取り付けることができ、ノードによって受信される位置特定信号を伝送することができるアクティブタグのセットを含むこともできる。さらに、ローカルなデプロイメントでは、施設内の、または施設の周囲のその他の伝送側デバイスも追跡することができる。
【0195】
2.12.2 電気通信のデプロイメント
このシステムは、各ノードがセルラサイトを含み、ネットワークがセルラネットワークを含む、電気通信の状況にデプロイすることができる。方法S200は、既存の、または追加設置されたセルラサイトで実施することができる。セルラサイトの電気通信インフラストラクチャを活用することにより、システムの範囲を増大させることができるので、システムは、セルラネットワークの範囲内のセルラデバイスまたはその他の送信機を位置特定することができる。セルラデバイスの位置情報を計算した後で、システムは、セルラデバイスの位置情報をセルラネットワークを介してそのセルラデバイスに伝送することができる。このように、このシステムは、セルラネットワーク内のセルラデバイスの正確な位置サービスを可能にすることができる。
【0196】
2.12.3 グローバル衛星のデプロイメント
このシステムは、各ノードがLEO衛星を含み、ネットワークがジオロケーションシステムを含む、グローバル衛星ネットワークとしてデプロイすることができる。方法S200は、位置特定信号および同期信号への相対論的影響および大気の影響を補償することによって、グローバル位置追跡の適用分野に適応させることができる。他のグローバルナビゲーションシステムと比較したときのシステムのグローバル衛星のデプロイメントの1つの利点は、方法S200を実行する衛星が暦を介した連続的な追跡および更新を必要としないことである。この場合、ノードとして作用する各衛星は、地表の、または地球の周りの送信機を位置特定する前に繰り返し自己位置特定および時間同期を行うことができる。したがって、システムは連続的な追跡または軌道位置/速度の事前知識を必要としないので、既存のグローバルナビゲーションシステムと比較して保守コストが削減される。このシステムのグローバル衛星のデプロイメントでは、GPSまたはその他のグローバルナビゲーションシステムと同様に地球上の任意の場所で送信機を位置特定することができる。
【0197】
本明細書に記載するシステムおよび方法は、少なくとも部分的には、コンピュータ可読命令を記憶したコンピュータ可読媒体を受けるように構成された機械として実施および/または実装することができる。命令は、アプリケーション、アプレット、ホスト、サーバ、ネットワーク、ウェブサイト、通信サービス、通信インタフェース、ユーザのコンピュータまたはモバイルデバイスのハードウェア/ファームウェア/ソフトウェア要素、リストバンド、スマートフォン、あるいはそれらの任意の適当な組合せと一体化されたコンピュータ実行可能構成要素によって実行することができる。実施形態の他のシステムおよび方法は、少なくとも部分的には、コンピュータ可読命令を記憶したコンピュータ可読媒体を受けるように構成された機械として実施および/または実装することができる。命令は、上述のタイプの装置およびネットワークと一体化されたコンピュータ実行可能構成要素によって一体化されたコンピュータ実行可能構成要素によって実行することができる。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CDまたはDVD)、ハードドライブ、フロッピードライブ、あるいはその他の任意のデバイスなど、任意の適当なコンピュータ可読媒体に記憶することができる。コンピュータ実行可能構成要素は、プロセッサとすることもできるが、(代替として、またはこれに加えて)任意の適当な専用ハードウェアデバイスが命令を実行することもできる。
【0198】
上記の詳細な説明ならびに図面および特許請求の範囲から、当業者なら、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱することなく本発明の実施形態に修正および変更を加えることができることを理解するであろう。
【国際調査報告】