(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】コロナウイルス感染を処置するための新規組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07K 4/12 20060101AFI20240409BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240409BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20240409BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240409BHJP
C07K 7/08 20060101ALI20240409BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240409BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
C07K4/12
A61P31/14 ZNA
A61K38/10
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/16
C07K7/08
C07K14/705
C12N15/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564191
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 AU2022050363
(87)【国際公開番号】W WO2022221920
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504200892
【氏名又は名称】ザ・カウンシル・オヴ・ザ・クイーンズランド・インスティテュート・オヴ・メディカル・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ラオ, スダ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA23
4C084CA59
4C084DA42
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC751
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA20
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA89
4H045EA20
4H045EA29
4H045FA20
(57)【要約】
コロナウイルス感染を処置するために適切な組成物及び方法が開示される。より詳細には、SARS-CoV-2ウイルスを含めたSARS-CoVウイルスの複製を防止又は阻害するタンパク質性薬剤が開示される。また、対象におけるコロナウイルス感染(SARS-CoV-2感染を含む)を処置又は防止するための、これらの薬剤及び分子の使用も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによって表されるアミノ酸配列を含む又はそれから本質的になる単離又は精製したタンパク質性分子:
TGIRDRX
1X
2X
3NKARS
(式I)
[式中、X
1、X
2、及びX
3は、K、A、及びQアミノ酸、又はその修飾形態から独立的に選択される]。
【請求項2】
X
1がリシン(K)残基である、請求項1に記載のタンパク質性分子。
【請求項3】
X
2がリシン(K)残基である、請求項1又は請求項2に記載のタンパク質性分子。
【請求項4】
X
3がリシン(K)残基である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質性分子。
【請求項5】
X
1、X
2、及びX
3のそれぞれがK残基である、請求項1~4のいずれか一項に記載のタンパク質性分子。
【請求項6】
X
1、X
2、及びX
3のそれぞれがアセチル化されたK残基である、請求項5に記載のタンパク質性分子。
【請求項7】
X
1、X
2、及びX
3のそれぞれがメチル化されたK残基である、請求項5に記載のタンパク質性分子。
【請求項8】
式IIによって表される、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンパク質性分子:
Z
1TGIRDRX
1X
2X
3NKARSZ
2
(式II)
[式中、X
1、X
2、及びX
3は上記に広く定義された通りであり、
Z
1は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つ、及び保護部分から選択され、
Z
2は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つから選択される]。
【請求項9】
Z
1が式IIIによって表されるアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のタンパク質性分子:
B
1X
4X
5X
6
(式III)
[式中、
B
1は、非存在であるか、又はN末端遮断残基であり、
X
4は、非存在であるか、又は任意のアミノ酸から選択され、
X
5は、非存在であるか、又は任意のアミノ酸から選択され、
X
6は、非存在であるか、又は任意のアミノ酸から選択される]。
【請求項10】
アミノ酸配列:
TGIRDRKKKNKARSGENPYASIDISKGENNPGFQNTDDVQTSF
を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンパク質性分子。
【請求項11】
以下のアミノ酸配列:
TGIRDRKKKNKARSGENPYASIDISKGENNPGFQNTDDVQTSF
と少なくとも80%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、請求項1~10のいずれか一項に記載のタンパク質性分子。
【請求項12】
アミノ酸配列DISKGENNPGFQNTDDVGTSを含む又はそれから本質的になる、単離又は精製したタンパク質性分子。
【請求項13】
前記アミノ酸配列が、ネイティブヒトACE-2アミノ酸配列のLys31に対応するリシン残基を含む、SARS-CoV-2 ACE-2アミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含む又はそれから本質的になる、単離又は精製したタンパク質性分子。
【請求項14】
アミノ酸配列IEEQAKTFLDKを含む、又はそれからなる、又はそれから本質的になる、請求項13に記載のタンパク質性分子。
【請求項15】
式IVによって表されるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、請求項13又は請求項14に記載のタンパク質性分子:
Z
1IEEQAKTFLDKZ
2
(式IV)
[式中、
Z
1は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つ、及び保護部分から選択され、
Z
2は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つから選択される]。
【請求項16】
Z
1が非存在であり、Z
2がFNHEAEDLFYQSSLASWNYNTのアミノ酸配列を含む、請求項15に記載のタンパク質性分子。
【請求項17】
アミノ酸配列:
IEEQAKTFLDKFNHEAEDLFYQSSLASWNYNT
を含む、又はそれからなる、又はそれから本質的になる、請求項15又は16に記載のタンパク質性分子。
【請求項18】
Z
1がアミノ酸配列STを含み、Z
2が非存在である、請求項15~17のいずれか一項に記載のタンパク質性分子。
【請求項19】
アミノ酸配列STIEEQAKTFLDKを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、請求項18に記載のタンパク質性分子。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に定義されているタンパク質性分子と薬学的に許容できる担体又は希釈剤から選択される薬剤とを含む、コロナウイルス感染を処置又は防止するための組成物。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載のタンパク質性分子を含む、SARS-CoV感染を処置するための組成物。
【請求項22】
式Iによって表されるアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、SARS-CoV感染を処置するための医薬組成物:
TGIRDRX
1X
2X
3NKARS
(式I)
[式中、X
1、X
2、及びX
3は、K、A、及びQアミノ酸、又はその修飾形態から独立的に選択される]。
【請求項23】
X
1がリシン(K)残基である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
X
2がリシン(K)残基である、請求項22又は請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
X
3がリシン(K)残基である、請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
X
1、X
2、及びX
3のそれぞれがリシン(K)残基である、請求項22~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
少なくとも1つの抗ウイルス剤をさらに含む、請求項20~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記SARS-CoV感染がSARS-CoV-2感染である、請求項20~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
細胞においてSARS-CoV複製を減らすための方法であって、前記細胞中のコロナウイルスの侵入を減らすために十分な時間の間及びそのような条件下で、前記細胞を、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤と接触させることを含む方法。
【請求項30】
対象におけるSARS-CoV感染を処置又は防止する方法であって、前記対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤を投与することを含む方法。
【請求項31】
前記対象に抗ウイルス剤を同時発生的に投与することを含む、請求項29又は請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記SARS-CoV感染がSARS-CoV-2感染である、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
治療のための、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤の使用。
【請求項34】
SARS-CoV感染を処置又は防止するための、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤の使用。
【請求項35】
対象の細胞内へのSARS-CoV侵入を防止する又は減らすための方法であって、前記対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤を投与することを含む方法。
【請求項36】
対象の細胞におけるSARS-CoVの複製を防止する又は減らすための方法であって、前記対象に、有効量の、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤を投与することを含む方法。
【請求項37】
抗ウイルス剤をさらに含む、請求項35又は請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗ウイルス剤が、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル、レムデシビル、ヒドロキノン、硫酸アバカビル、アシクロビルナトリウム、塩酸アマンタジン、アンプレナビル、クロロキン、シドホビル、メシル酸デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ファビピラビル、ファムシクロビル、ホミビルセンナトリウム、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、硫酸インジナビル、ラミブジン、ラミブジン/ジドブジン、メシル酸ネルフィナビル、ネビラピン、リン酸オセルタミビル、リバビリン、塩酸リマンタジン、リトナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、スタブジン、塩酸バラシクロビル、ザルシタビン、ザナミビル、及びジドブジンを含む群から選択される、請求項27~37のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
【請求項39】
ACE-2タンパク質のC末端部領域に対応するアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、タンパク質性分子。
【請求項40】
50個未満のアミノ酸残基を含む、請求項39に記載のタンパク質性分子。
【請求項41】
25個未満のアミノ酸残基を含む、請求項39に記載のタンパク質性分子。
【請求項42】
15個未満のアミノ酸残基を含む、請求項39に記載のタンパク質性分子。
【請求項43】
前記アミノ酸配列が核移行配列を含む、請求項39~43のいずれか一項に記載のタンパク質性分子。
【請求項44】
前記C末端部領域が前記野生型ヒトACE-2タンパク質(配列番号1に記載)の少なくとも残基763~805に対応する、請求項39に記載のタンパク質性分子又は組成物。
【請求項45】
前記タンパク質性組成物が、保護部分、任意選択でMyrを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物。
【請求項46】
細胞におけるACE2核移行を減らすための方法であって、前記細胞における核移行を減らすために十分な時間の間及びそのような条件下で、前記細胞を、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤と接触させることを含む方法。
【請求項47】
ACE2ポリペプチドとIMPαポリペプチドとの結合を減らす又は防止するための方法であって、ACE2ポリペプチドとIMPαポリペプチドとの前記結合を減らす、防止する、又は阻害するために十分な時間の間及びそのような条件下で、前記細胞を、請求項1~28のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤と接触させることを含む方法。
【請求項48】
対象におけるコロナウイルス感染を処置する方法であって、ACE2タンパク質とIMPαタンパク質との結合を阻害する又は減らす組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項49】
前記組成物がACE2の核移行配列(NLS)に対応するアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記組成物が先行する請求項のいずれか一項に記載のタンパク質性分子又は組成物である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記組成物が前記アミノ酸配列TGIRDRKKKNKARS(配列番号3に記載)を含む、請求項49又は請求項50に記載の方法。
【請求項52】
炎症(たとえば肺炎症)が前記対象において減る、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
CD3+を発現する細胞のレベルが前記対象の肺において増加する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
パーフォリンを発現する細胞のレベルが前記対象の肺において増加する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002]本発明は、一般に、コロナウイルス感染を処置するための方法及び組成物に関する。より詳細には、本発明は、SARS-CoV-2ウイルスを含めたSARS-CoVウイルスの複製を防止又は阻害するタンパク質性薬剤に関する。本発明は、対象におけるコロナウイルス感染を処置又は防止するための、これらの薬剤及び分子の使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]本明細書中における、任意の先行出版物(若しくはそれに由来する情報)又は任意の既知の事項への言及は、先行出版物(若しくはそれに由来する情報)又は既知の事項が、本明細書が関する努力分野における共通の一般知識の一部を形成することの了承若しくは承認又は任意の形態の示唆でなく、そうとられるべきでない。
【0003】
[0004]コロナウイルスは、哺乳動物及び鳥に感染するエンベロープRNAウイルスである。重症急性呼吸器症候群(SARS)及び中東呼吸器症候群(MERS)はどちらもベータコロナウイルス属のメンバーであり、それぞれアジア及び中東における何百件もの死の原因となっている。2019年後期における、中国での、迅速なヒト間の伝染及び国際的な拡大を伴った新規SARS-コロナウイルス2(SARS-CoV-2)病原体の出現は、差し迫った世界的な健康の緊急事態もたらす。これに応答して、わずか数カ月で110を超える国及び地区において相当数のSARS-CoV-2病気(COVID-19)の症例、並びにさらなる世界的拡大の持続的なリスクを伴うことに基づいて、有効な処置のための世界的な努力が、世界保健機関(WHO)の大流行の宣言に続いて進行中である。このウイルスの拡大を防止するための有効なコロナウイルスワクチンと、並行して、現在約5,000件(2020年3月)である世界的な死亡数を減らすための新規治療戦略との、どちらの緊急の必要性も存在する。これは、このウイルスに対する免疫が地域社会に存在しないという事実によって悪化している。さらに、高齢者及び病人は、大部分はその免疫系の弱化が原因で、死亡のリスクが最も高い。
【0004】
[0005]治療戦略を同定することが、この大流行に対処するための最速の手段であると考えられている。処置の開発において採用されている1つの戦略は、他の病原性疾患のための既知の薬物を組み合わせて、コロナウイルス感染の処置における何らかの有効性を決定することである。HIV薬物及びクロロキン(抗マラリア薬物であるが、マラリア病原体がそれに耐性となったため現在はほとんど使用されない)、並びに2つの既存の薬物ロピナビル及びリトナビル間を含めた組合せを使用した、先端研究が進行中である(Caoら、2020を参照)。しかし、意図しない副作用が原因で、コロナウイルス感染の処置におけるその有効性を実証するための実質的な証拠の欠損に加えて、コロナウイルスに特異的な新しい処置の選択肢を開発するという、明確に満たされていない臨床的な必要性が依存として存在する。
【0005】
[0006]コロナウイルスは、4つの属、すなわち、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス(β-CoV)、ガンマコロナウイルス、及びデルタコロナウイルスへと分類されるウイルスファミリーである。アルファコロナウイルス及びベータコロナウイルスは、ヒトを含めた広範囲の種に感染する。この観点から、ヒトにおいて特に臨床的重要性を有するβ-CoVとしては、A系統のOC43及びHKU1、B系統の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)及びSARS-CoV-2(これらは疾患COVID-19を引き起こす)、並びにC系統の中東呼吸器症候群関連コロナウイルス(MERS-CoV)が挙げられる。
【発明の概要】
【0006】
[0007]本発明は、宿主ACE2タンパク質の核移行が宿主細胞のSARS-CoVウイルス感染における重要な機能であるという、本発明者による予想外の理解から、少なくとも部分的に生じる。さらに、宿主ACE2タンパク質の核移行は、宿主細胞中でのSARS-CoVウイルス複製を防止するために破壊することができる分子機構を提供する。これらの理解は、コロナウイルス感染(特にSARS-CoV感染)を処置又は防止するための新規組成物及び方法において具体化されている。
【0007】
[0008]したがって、一態様では、本発明は、ACE2タンパク質の核移行を減らす又は阻害する、単離又は精製したタンパク質性分子を提供する。これらの分子は、一般に、式Iによって表されるアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる:
TGIRDRX1X2X3NKARS
(式I)
[0009][式中、X1、X2、及びX3は、K及びQアミノ酸、又はその修飾形態から独立的に選択される]。
【0008】
[0010]一部の好ましい実施形態では、X1、X2、及びX3のそれぞれは、Kアミノ酸残基である。
【0009】
[0011]一部の特に好ましい実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRKKKNKARS[配列番号3]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0010】
[0012]一部の代替実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRQQQNKARS[配列番号4]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の代替実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRKKQNKARS[配列番号5]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の代替実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRQKKNKARS[配列番号6]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の他の実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRKQKNKARS[配列番号7]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の代替実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRKQQNKARS[配列番号8]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の他の実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRQKQNKARS[配列番号9]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の代替実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRQQKNKARS[配列番号10]を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0011】
[0013]例示的な例では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRKKKNKARSを含む、それからなる、又はそれから本質的になる。同実施形態の一部及び一部の代替実施形態では、X1、X2、及びX3のうちの1つ、2つ、又はそれぞれは、メチル化されたK(リシン)残基である。したがって、一部の実施形態では、タンパク質性分子は、TGIRDRK(Me2)KKNKARS、TGIRDRKK(Me2)KNKARS、及びTGIRDRKKK(Me2)NKARSを含む群から選択されるアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。同実施形態の一部及び又は一部の代替実施形態では、X1、X2、及びX3のうちの1つ、2つ、又はそれぞれは、アセチル化されたK残基である。
【0012】
[0014]一部の実施形態では、タンパク質性分子は、式IIによって表されるアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、又はそれからなる:
Z1TGIRDRX1X2X3NKARSZ2
(式II)
[式中、X1、X2、及びX3は上記に広く定義された通りであり、
Z1は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つ、及び保護部分から選択され、
Z2は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つから選択される]。
【0013】
[0015]同実施形態の一部及び一部の代替実施形態では、タンパク質性分子はユビキチン化部位を含む。一部の好ましい実施形態では、ユビキチン化部位は、C末端部領域(すなわち、配列番号1に記載の完全長ヒトACE2配列のアミノ酸残基763~805)中に位置する。一部の実施形態では、ユビキチン化部位はアミノ酸残基K788を含む。
【0014】
[0016]例示的な例として、タンパク質性分子は、アミノ酸配列DISKGENNPGFQNTDDVQTS[配列番号11]を含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい。
【0015】
[0017]同実施形態の一部及び一部の他の実施形態では、タンパク質性分子は、メチル化部位及びユビキチン部位の両方に対応するアミノ酸配列を含んでもよい。たとえば、タンパク質性分子は、アミノ酸配列TGIRDRKKKNKARSGENPYASIDISKGENNPGFQNTDDVQTSF[配列番号12]を含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい。
【0016】
[0018]一部の実施形態では、タンパク質性分子は、メチル化部位及びユビキチン化部位に介在するACE2ポリペプチドのC末端部領域配列に対応するアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一例として、ACE2ペプチドは、完全長ヒトACE2タンパク質の残基774~787(すなわちARSGENPYASIDIS)に対応するアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい。
【0017】
[0019]別の関連する態様では、本発明は、タンパク質性分子と薬学的に許容できる担体又は希釈剤から選択される薬剤とを含む、コロナウイルス感染処置又は防止するための組成物であって、タンパク質性分子が上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したとおりである、組成物を提供する。
【0018】
[0020]この種類の一部の実施形態では、組成物は、式I又は式IIによって表される第1のアミノ酸配列と、配列番号11によって同定される第2のアミノ酸配列とを含む、それからなる、又はそれから本質的になるタンパク質性分子を含む。
【0019】
[0021]一部の実施形態では、第1のアミノ酸配列及び第2のアミノ酸配列は、同じポリペプチド中に位置する。あるいは、一部の実施形態では、第1のアミノ酸配列及び第2のアミノ酸配列は、異なるポリペプチド上に存在する。
【0020】
[0022]同実施形態の一部及び一部の他の実施形態では、組成物は少なくとも1つの抗ウイルス剤を含む。
【0021】
[0023]さらに別の態様では、本発明は、宿主細胞におけるコロナウイルス複製を防止する又は減らすための方法であって、細胞中のコロナウイルスの侵入を防止する又は減らすために十分な時間の間及びそのような条件下で、細胞を、上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したタンパク質性分子と接触させることを含む方法を提供する。
【0022】
[0024]さらに別の態様では、本発明は、対象におけるコロナウイルス感染(たとえばCOVID-19)を処置又は防止する方法であって、対象に、有効量の上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したタンパク質性分子を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、タンパク質性分子は式I及び/又は式IIに記載のアミノ酸配列を有する。
【0023】
[0025]一部の好ましい実施形態では、コロナウイルスはベータコロナウイルスである。典型的には、コロナウイルスは、SARS-CoV及びSARS-CoV-2を含む群から選択される。この観点から、一部の実施形態では、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。一部の好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0024】
[0026]さらに別の態様では、本発明は、治療のための、上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したタンパク質性分子の使用を提供する。
【0025】
[0027]一部の実施形態では、方法は、対象に抗ウイルス剤を同時発生的に、順次に、又は続けて投与することを含む。
【0026】
[0028]この種類の一部の実施形態では、抗ウイルス剤は、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、ロピナビル、リトナビル、ファビピラビル、及びレムデシビルを含む群から選択される。同実施形態の一部及び一部の他の実施形態では、抗ウイルス剤はIFN-γポリペプチドを含む。
【0027】
[0029]別の態様では、本発明は、上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したACE2ペプチドと薬学的に許容できる賦形剤、担体、及び/又は希釈剤とを含む、それからなる、又はそれから本質的になる医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は抗ウイルス剤も含む。
【0028】
[0030]さらに別の態様では、本発明は、細胞におけるACE2核移行を減らすための方法であって、細胞における核移行を減らすために十分な時間の間及びそのような条件下で、細胞を、上述した又は本明細書中他の箇所に記述したタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0029】
[0031]さらに別の態様では、本発明は、ACE2ポリペプチドとIMPαポリペプチドとの結合を減らす又は防止するための方法であって、ACE2ポリペプチドとIMPαポリペプチドとの結合を減らす、防止する、又は阻害するために十分な時間の間及びそのような条件下で、細胞を、上述した又は本明細書中他の箇所に記述したタンパク質性分子又は組成物から選択される薬剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0030】
[0032]一部の実施形態では、本発明のタンパク質性分子を対象に投与した際、炎症(たとえば肺炎症)が対象において減る。一部の実施形態では、CD3+を発現する細胞のレベルが対象の肺において増加する。同実施形態の一部及び一部の異なる実施形態では、パーフォリンを発現する細胞のレベルが対象の肺において増加する。
【0031】
[0033]以下、添付の図を参照して本発明の例を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】LSD1及びACE2が、SARS-CoV-2感受性細胞において細胞表面上で複合体として会合することを示す図である。(A)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2細胞の代表的な画像である。細胞は透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した。スケールバーは10mmを表す。(B)点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(C)Caco-2細胞におけるACE2及びLSD1の細胞表面及び細胞内発現を示す代表的なFACSプロットである。それぞれの象限中の数字は全細胞集団の百分率を示し、これは点プロット中にも示されている。(D)点プロット中のデータは2つの独立した生物学的複製物を表す。(E)透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたMRC5細胞の代表的な画像である。スケールバーは10mmを表す。(F)点グラフは、(E)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、MRC5細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図1B】LSD1及びACE2が、SARS-CoV-2感受性細胞において細胞表面上で複合体として会合することを示す図である。(A)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2細胞の代表的な画像である。細胞は透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した。スケールバーは10mmを表す。(B)点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(C)Caco-2細胞におけるACE2及びLSD1の細胞表面及び細胞内発現を示す代表的なFACSプロットである。それぞれの象限中の数字は全細胞集団の百分率を示し、これは点プロット中にも示されている。(D)点プロット中のデータは2つの独立した生物学的複製物を表す。(E)透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたMRC5細胞の代表的な画像である。スケールバーは10mmを表す。(F)点グラフは、(E)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、MRC5細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図1C】LSD1及びACE2が、SARS-CoV-2感受性細胞において細胞表面上で複合体として会合することを示す図である。(A)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2細胞の代表的な画像である。細胞は透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した。スケールバーは10mmを表す。(B)点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(C)Caco-2細胞におけるACE2及びLSD1の細胞表面及び細胞内発現を示す代表的なFACSプロットである。それぞれの象限中の数字は全細胞集団の百分率を示し、これは点プロット中にも示されている。(D)点プロット中のデータは2つの独立した生物学的複製物を表す。(E)透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたMRC5細胞の代表的な画像である。スケールバーは10mmを表す。(F)点グラフは、(E)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、MRC5細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図1D】LSD1及びACE2が、SARS-CoV-2感受性細胞において細胞表面上で複合体として会合することを示す図である。(A)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2細胞の代表的な画像である。細胞は透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した。スケールバーは10mmを表す。(B)点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(C)Caco-2細胞におけるACE2及びLSD1の細胞表面及び細胞内発現を示す代表的なFACSプロットである。それぞれの象限中の数字は全細胞集団の百分率を示し、これは点プロット中にも示されている。(D)点プロット中のデータは2つの独立した生物学的複製物を表す。(E)透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたMRC5細胞の代表的な画像である。スケールバーは10mmを表す。(F)点グラフは、(E)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、MRC5細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図1E】LSD1及びACE2が、SARS-CoV-2感受性細胞において細胞表面上で複合体として会合することを示す図である。(A)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2細胞の代表的な画像である。細胞は透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した。スケールバーは10mmを表す。(B)点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(C)Caco-2細胞におけるACE2及びLSD1の細胞表面及び細胞内発現を示す代表的なFACSプロットである。それぞれの象限中の数字は全細胞集団の百分率を示し、これは点プロット中にも示されている。(D)点プロット中のデータは2つの独立した生物学的複製物を表す。(E)透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたMRC5細胞の代表的な画像である。スケールバーは10mmを表す。(F)点グラフは、(E)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、MRC5細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
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【
図1F】LSD1及びACE2が、SARS-CoV-2感受性細胞において細胞表面上で複合体として会合することを示す図である。(A)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2細胞の代表的な画像である。細胞は透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した。スケールバーは10mmを表す。(B)点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(C)Caco-2細胞におけるACE2及びLSD1の細胞表面及び細胞内発現を示す代表的なFACSプロットである。それぞれの象限中の数字は全細胞集団の百分率を示し、これは点プロット中にも示されている。(D)点プロット中のデータは2つの独立した生物学的複製物を表す。(E)透過処理した(細胞内)又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びTRMPSS2の発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたMRC5細胞の代表的な画像である。スケールバーは10mmを表す。(F)点グラフは、(E)からのACE2、LSD1、及びTRMPSS2における、MRC5細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
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****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図2A】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
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****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図2B】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
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【
図2C】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
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図2D】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
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****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
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図2E】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
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****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図2F】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図2G】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図2H】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図2I】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図2J】SARS-CoV-2感染細胞において、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを示すグラフ表示を提供する図である。(A、B)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像(MRC5/Caco-2未感染は示さず)を示し、細胞は、(A)0.5%のトリトン(Triton)X-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(B)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(A)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、(C)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)を、LSD1及びACE2又はLSD1及びSARS-CoV-2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(D)ウイルス感染後の示した時点における、Caco-2及びMRC5培養上清中におけるSARS-CoV-2の成長動力学を検出するためのqRT-PCR分析。点線は検出限界を示す。(E)感染の48時間後の、Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質、細胞表面ACE2、及び細胞内LSD1の発現のFACS分析。y軸の単位は全細胞集団の百分率を示す。データは平均±SDを表し、n=2匹である。(F)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2又はCaco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し(細胞内)、H3k9me2及びH3k4me2に対する一次抗体を用いて染色した。(G)点グラフは、(F)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco2細胞における核蛍光強度を示す。(H、I)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaCo2又はCaCo2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、細胞は、(H)透過処理していない(表面)、若しくは(I)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)のどちらかであり、又は並びにSETDB1、G9A、及びACE2に対する一次抗体を用いて染色した。(J)点グラフは、(H、I)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。スケールバーは12mmを表す。
【
図3A】高親和性LSD1脱メチル化ドメインを保有するACE2細胞質側末端と直接相互作用するLSD1を示すグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2の二量体構造を模式図として示す。本発明者らは、高分解能生物情報学的ツールを使用して、C末端の柔軟なドメイン中に、IMPαと結合するNLSであると予測される配列を同定した。このモチーフは、0.72以上のSVM確率を有する、LSD1触媒活性の高確率の脱メチル化標的である、3個のリシン残基(赤色)も含有する。(B)マイクロスケール熱泳動を実施して、C末端部領域を介したLSD1とACE2との間の結合を決定した。分析により1対1の結合親和性が明らかとなり、これはLSD1とACE2との間の強力な相互作用を示す。(C、D)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。ビヒクル対照又は200mMのフェネルジンで処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞を示し、細胞は、(C)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(D)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。スケールバーは12mmを表す。(E、F)点グラフは、(それぞれC、D)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。
【
図3B】高親和性LSD1脱メチル化ドメインを保有するACE2細胞質側末端と直接相互作用するLSD1を示すグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2の二量体構造を模式図として示す。本発明者らは、高分解能生物情報学的ツールを使用して、C末端の柔軟なドメイン中に、IMPαと結合するNLSであると予測される配列を同定した。このモチーフは、0.72以上のSVM確率を有する、LSD1触媒活性の高確率の脱メチル化標的である、3個のリシン残基(赤色)も含有する。(B)マイクロスケール熱泳動を実施して、C末端部領域を介したLSD1とACE2との間の結合を決定した。分析により1対1の結合親和性が明らかとなり、これはLSD1とACE2との間の強力な相互作用を示す。(C、D)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。ビヒクル対照又は200mMのフェネルジンで処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞を示し、細胞は、(C)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(D)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。スケールバーは12mmを表す。(E、F)点グラフは、(それぞれC、D)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。
【
図3C】高親和性LSD1脱メチル化ドメインを保有するACE2細胞質側末端と直接相互作用するLSD1を示すグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2の二量体構造を模式図として示す。本発明者らは、高分解能生物情報学的ツールを使用して、C末端の柔軟なドメイン中に、IMPαと結合するNLSであると予測される配列を同定した。このモチーフは、0.72以上のSVM確率を有する、LSD1触媒活性の高確率の脱メチル化標的である、3個のリシン残基(赤色)も含有する。(B)マイクロスケール熱泳動を実施して、C末端部領域を介したLSD1とACE2との間の結合を決定した。分析により1対1の結合親和性が明らかとなり、これはLSD1とACE2との間の強力な相互作用を示す。(C、D)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。ビヒクル対照又は200mMのフェネルジンで処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞を示し、細胞は、(C)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(D)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。スケールバーは12mmを表す。(E、F)点グラフは、(それぞれC、D)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。
【
図3D】高親和性LSD1脱メチル化ドメインを保有するACE2細胞質側末端と直接相互作用するLSD1を示すグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2の二量体構造を模式図として示す。本発明者らは、高分解能生物情報学的ツールを使用して、C末端の柔軟なドメイン中に、IMPαと結合するNLSであると予測される配列を同定した。このモチーフは、0.72以上のSVM確率を有する、LSD1触媒活性の高確率の脱メチル化標的である、3個のリシン残基(赤色)も含有する。(B)マイクロスケール熱泳動を実施して、C末端部領域を介したLSD1とACE2との間の結合を決定した。分析により1対1の結合親和性が明らかとなり、これはLSD1とACE2との間の強力な相互作用を示す。(C、D)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。ビヒクル対照又は200mMのフェネルジンで処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞を示し、細胞は、(C)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(D)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。スケールバーは12mmを表す。(E、F)点グラフは、(それぞれC、D)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。
【
図3E】高親和性LSD1脱メチル化ドメインを保有するACE2細胞質側末端と直接相互作用するLSD1を示すグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2の二量体構造を模式図として示す。本発明者らは、高分解能生物情報学的ツールを使用して、C末端の柔軟なドメイン中に、IMPαと結合するNLSであると予測される配列を同定した。このモチーフは、0.72以上のSVM確率を有する、LSD1触媒活性の高確率の脱メチル化標的である、3個のリシン残基(赤色)も含有する。(B)マイクロスケール熱泳動を実施して、C末端部領域を介したLSD1とACE2との間の結合を決定した。分析により1対1の結合親和性が明らかとなり、これはLSD1とACE2との間の強力な相互作用を示す。(C、D)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。ビヒクル対照又は200mMのフェネルジンで処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞を示し、細胞は、(C)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(D)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。スケールバーは12mmを表す。(E、F)点グラフは、(それぞれC、D)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。
【
図3F】高親和性LSD1脱メチル化ドメインを保有するACE2細胞質側末端と直接相互作用するLSD1を示すグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2の二量体構造を模式図として示す。本発明者らは、高分解能生物情報学的ツールを使用して、C末端の柔軟なドメイン中に、IMPαと結合するNLSであると予測される配列を同定した。このモチーフは、0.72以上のSVM確率を有する、LSD1触媒活性の高確率の脱メチル化標的である、3個のリシン残基(赤色)も含有する。(B)マイクロスケール熱泳動を実施して、C末端部領域を介したLSD1とACE2との間の結合を決定した。分析により1対1の結合親和性が明らかとなり、これはLSD1とACE2との間の強力な相互作用を示す。(C、D)ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。ビヒクル対照又は200mMのフェネルジンで処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞を示し、細胞は、(C)0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理した(細胞内)、又は(D)透過処理していない(表面)のどちらかであり、ACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。スケールバーは12mmを表す。(E、F)点グラフは、(それぞれC、D)からのACE2、LSD1、及びSARS-CoV-2における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。
【
図4】包括的転写物分析のグラフ表示を提供する図である。Caco-2細胞をフェネルジン、GSK、又はL1で処理し、包括的RNAトランスクリプトーム分析により、主要な抗ウイルス及び転写プロセスが影響を受けることが示されている。上記ヒートマップは、ISG、IFN-γ、サイトカイン/ケモカイン活性、並びにウイルスの侵入、核内移行/RNA合成、翻訳、及び複製に関連するDEGリストに注目する。ヒートマップグラフは、対照細胞と比較した、処理した阻害のDEGのlog2(変化の倍数)を示す。選択されたDEGは、1を超えるlog2(変化の倍数)及び0.01未満のFDR値を有する。
【
図5A】感染細胞における細胞内ACE2の相互作用を示すグラフ表示である。(A)Caco-2又はMRC5 SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を透過処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたものを示し、細胞は、SARS-CoV-2(ヌクレオカプシド)、ACE2及びLSD1に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、LSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。20個以上の細胞が1群あたり計数された。(C)表面発現を追跡するために細胞は透過処理しておらず、ACE2及びLSD1に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、LSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。20個以上の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
*p<0.0181、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)、点線はバックグラウンド蛍光を示す。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。
【
図5B】感染細胞における細胞内ACE2の相互作用を示すグラフ表示である。(A)Caco-2又はMRC5 SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を透過処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたものを示し、細胞は、SARS-CoV-2(ヌクレオカプシド)、ACE2及びLSD1に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、LSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。20個以上の細胞が1群あたり計数された。(C)表面発現を追跡するために細胞は透過処理しておらず、ACE2及びLSD1に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、LSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。20個以上の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
*p<0.0181、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)、点線はバックグラウンド蛍光を示す。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。
【
図5C】感染細胞における細胞内ACE2の相互作用を示すグラフ表示である。(A)Caco-2又はMRC5 SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を透過処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたものを示し、細胞は、SARS-CoV-2(ヌクレオカプシド)、ACE2及びLSD1に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、LSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。20個以上の細胞が1群あたり計数された。(C)表面発現を追跡するために細胞は透過処理しておらず、ACE2及びLSD1に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、LSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。20個以上の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
*p<0.0181、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)、点線はバックグラウンド蛍光を示す。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。
【
図6A】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図6B】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図6C】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図6D】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図6E】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図6F】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図6G】(A)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(B)点グラフは、(A)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。(C)0.5%のトリトンX-100で透過処理し、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(FAM5でタグ付け)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(D)点グラフは、(C)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。方程式:Fn/c=(Fn-Fb)/(Fc-Fb)[式中、Fnは核の蛍光であり、Fcは細胞質の蛍光であり、Fbはバックグラウンド蛍光である]を使用した核/細胞質の蛍光比(Fn/c)。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。(E)透過処理していない(表面染色)、ビヒクル対照又は25mM/50mMのACE2新規ペプチド阻害剤(タグなし)で処理し、ACE2、LSD1の細胞表面発現について染色した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。(F)点グラフは、(E)からのACE2及びLSD1における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。PCC(r)をLSD1及びACE2について計算した(n=20個の個々の細胞)。-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化。(G)培地及び標的細胞中における新規ACE2阻害剤の経時的な安定性を実証するために新規ペプチド阻害剤(FAM5タグあり)で処理した、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングしたCaco-2細胞の代表的な画像を示す。スケールバーは10mmを表す。
【
図7A】SARS-Cov-2のヌクレオカプシド及びスパイクタンパク質に対するACE2ペプチド阻害剤の効果を示すグラフ表示である。(A)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をACE2及びSARS-CoV-2について計算した。(C)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(D)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドにおける、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図7B】SARS-Cov-2のヌクレオカプシド及びスパイクタンパク質に対するACE2ペプチド阻害剤の効果を示すグラフ表示である。(A)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をACE2及びSARS-CoV-2について計算した。(C)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(D)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドにおける、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図7C】SARS-Cov-2のヌクレオカプシド及びスパイクタンパク質に対するACE2ペプチド阻害剤の効果を示すグラフ表示である。(A)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をACE2及びSARS-CoV-2について計算した。(C)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(D)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドにおける、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図7D】SARS-Cov-2のヌクレオカプシド及びスパイクタンパク質に対するACE2ペプチド阻害剤の効果を示すグラフ表示である。(A)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(B)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質における、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。PCC(r)をACE2及びSARS-CoV-2について計算した。(C)フェネルジン(P400mM)、GSK(G400mM)、L1(50mM)、又はP604(ACE2ペプチド、50mM)で処理し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした、Caco-2-SARS-CoV-2感染細胞の代表的な画像を示し、スケールバーは15mmを表す。(D)細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間透過処理し、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質に対する一次抗体を用いて染色した。点グラフは、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2ヌクレオカプシドにおける、Caco-2細胞における核蛍光強度を示す。>50個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEMを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図8A】Caco-2又はMRC5細胞を、VO又はLSD1 WTプラスミドのどちらかを用いて形質移入した。細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間のどちらかで透過処理し(細胞内)、(A)ACE2及び(B)LSD1に対する一次抗体を用いて染色し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした。棒グラフは、LSD1及びCaco-2細胞の全体的な平均蛍光強度を示す。>20個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図8B】Caco-2又はMRC5細胞を、VO又はLSD1 WTプラスミドのどちらかを用いて形質移入した。細胞を0.5%のトリトンX-100で15分間のどちらかで透過処理し(細胞内)、(A)ACE2及び(B)LSD1に対する一次抗体を用いて染色し、ASIデジタル病理システムを用いてイメージングした。棒グラフは、LSD1及びCaco-2細胞の全体的な平均蛍光強度を示す。>20個の細胞が1群あたり計数された。データは平均±SEを表す。マン-ホイットニー検定。
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001は有意差を示し、n.s.は有意でないことを示す。
【
図9A】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9B】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9C】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9D】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9E】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9F】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9G】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9H】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図9I】ACE2及びスパイクタンパク質の相互作用のグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2スパイクドメイン(PDB 6M17)と結合したACE2の構造。ACE2とスパイクドメインとの結合には、Lys31(ACE2)及びGln493(スパイク)の相互作用が関与する。ACE2を黄色のカートゥーン形式で示し、スパイクドメインを灰色で示す。残基はスティック形式で示す。ACE2 Lys31のメチル化(右パネル)はこの相互作用を破壊するであろう。(B)パネルAに示したSARS-CoV-2スパイクタンパク質と結合したACE2の構造。この領域を標的とする2つのペプチド阻害剤(ACE2-01、ACE2-02)及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質との相互作用も示す。(C)Caco-2対照及びACE2-01/ACE2-02で処理した細胞の、96時間にわたる細胞増殖分析。増殖はWST-1試薬を使用して分析し、吸光度を2時間のインキュベーションの後に読み取った。グラフは、対照細胞(未処置、0時間)の百分率として表した、3つの複製物からの相対的細胞増殖を示す。統計的有意性はそれぞれの時点での一元配置ANOVAを使用して計算した。(D)SARS-CoV-2感染の模式図。Caco-2細胞を24時間播種し、その後、MOI 1.0のSARS-CoV-2を用いて、ACE2ペプチド阻害剤(ACE2-01又はACE2-02)の存在下で1時間感染させた。ウイルス接種材料を除去し、阻害剤含有培地を加えた。その後、細胞培養上清を0又は48hpiで収集し、感染細胞を48hpiで収穫した。抗ウイルス活性は、3つのウイルスアッセイを用いて評価した:SARS-CoV-2 qRT-PCR、中央値組織培養物感染性用量アッセイ(TCID
50)、及びデジタル病理(ASIシステム)によって定量したウイルススパイクタンパク質。(E)感染後の示した時点でCaco-2培養上清及び感染細胞中のSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析。相対的感染を未感染対照に対して正規化した。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
****p<0.0001は有意差を示す。(F)感染細胞の培養上清中における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=3匹である。一元配置ANOVA、
**p<0.01は有意差を示す。(G)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞表面)の点プロット定量。(H)ACE2-01又はACE2-02処理を用いた、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞中におけるSARS-CoV-2スパイク及びACE2の蛍光強度(細胞内)の点プロット定量。>50個の細胞をそれぞれの群において分析し、デジタル病理(ASIシステム)によって定量した。PCCを共局在化について計算した(n=20個の細胞を分析した)。マン-ホイットニー検定:
*p<0.05、
**p<0.01、
****p<0.0001は有意差を示す。(I)タンパク質相互作用のデュオリンク(Duolink)(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、SARS-CoV-2を感染させ、対照、GSK、又はACE2-01若しくはACE2-01ペプチド阻害剤で処理した、透過処理していないCaco-2細胞に対して行った。デュオリンク(登録商標)アッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像(左)をACE2及びSARS-CoV-2スパイクのデュオリンク(登録商標)について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度(右)を平均点強度(単一のデュオリンク(登録商標)点)について示す。データはn=20個の細胞を表し、有意差をクルスカル-ワリスANOVAで計算した(
*p<0.05、
****p<0.0001)。代表的な画像を、10μmのスケールバーをオレンジ色で示す。
【
図10A】(A)ACE2リシン31と結合する決定的な残基(Q、グルタミン493)を示すSARS-CoV-2の受容体-結合ドメイン(RBD)配列、及び様々な種におけるこの配列の保存。In silico予測により、リシン31でのメチル化/脱メチル化シグネチャの確率0.7が得られた。(B)組換えLSD1タンパク質単独又はジメチル化されたACE2ペプチドと共にプレインキュベートした、LSD1阻害はリシン31でのACE2脱メチル化を減らす。
【
図10B】(A)ACE2リシン31と結合する決定的な残基(Q、グルタミン493)を示すSARS-CoV-2の受容体-結合ドメイン(RBD)配列、及び様々な種におけるこの配列の保存。In silico予測により、リシン31でのメチル化/脱メチル化シグネチャの確率0.7が得られた。(B)組換えLSD1タンパク質単独又はジメチル化されたACE2ペプチドと共にプレインキュベートした、LSD1阻害はリシン31でのACE2脱メチル化を減らす。
【
図11A】ACE2ペプチド阻害剤の突然変異誘発研究のグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2-01アラニンウォーク(alanine walk)ペプチドを、ペプチドの長さに沿ったアラニン置換を介して作製した。その後、それぞれのペプチドを使用して、CaCo2細胞を前処理し、続いてSARS-CoV-2スパイクタンパク質で処理した。その後、試料をSARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的な抗体で染色し、ASI高分解能顕微鏡観察を使用して可視化した。透過処理していない細胞上のスパイクタンパク質の蛍光強度を、ASIデジタル病理ソフトウェアを使用して定量した。データは、n>300個の細胞/群を表す。赤線より下のすべての試料は、細胞表面上のスパイクタンパク質の有意な低下を表す(
****のpスコアを用いてクルスカル-ワリスANOVAを用いた計算した(p<0.0001、NSは有意でないことを示す)。(B)ACE2-02アラニンウォークペプチドを、ペプチドの長さに沿ったアラニン置換を介して作製した。その後、それぞれのペプチドを使用して、CaCo2細胞を前処理し、続いてSARS-CoV-2スパイクタンパク質で処理した。その後、試料をSARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的な抗体で染色し、ASI高分解能顕微鏡観察を使用して可視化した。透過処理していない細胞上のスパイクタンパク質の蛍光強度を、ASIデジタル病理ソフトウェアを使用して定量した。データは、n>300個の細胞/群を表す。赤線より下のすべての試料は、細胞表面上のスパイクタンパク質の有意な低下を表す(
****のpスコアを用いてクルスカル-ワリスANOVAを用いた計算した(p<0.0001、NSは有意でないことを示す)。
【
図11B】ACE2ペプチド阻害剤の突然変異誘発研究のグラフ表示を提供する図である。(A)ACE2-01アラニンウォーク(alanine walk)ペプチドを、ペプチドの長さに沿ったアラニン置換を介して作製した。その後、それぞれのペプチドを使用して、CaCo2細胞を前処理し、続いてSARS-CoV-2スパイクタンパク質で処理した。その後、試料をSARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的な抗体で染色し、ASI高分解能顕微鏡観察を使用して可視化した。透過処理していない細胞上のスパイクタンパク質の蛍光強度を、ASIデジタル病理ソフトウェアを使用して定量した。データは、n>300個の細胞/群を表す。赤線より下のすべての試料は、細胞表面上のスパイクタンパク質の有意な低下を表す(
****のpスコアを用いてクルスカル-ワリスANOVAを用いた計算した(p<0.0001、NSは有意でないことを示す)。(B)ACE2-02アラニンウォークペプチドを、ペプチドの長さに沿ったアラニン置換を介して作製した。その後、それぞれのペプチドを使用して、CaCo2細胞を前処理し、続いてSARS-CoV-2スパイクタンパク質で処理した。その後、試料をSARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的な抗体で染色し、ASI高分解能顕微鏡観察を使用して可視化した。透過処理していない細胞上のスパイクタンパク質の蛍光強度を、ASIデジタル病理ソフトウェアを使用して定量した。データは、n>300個の細胞/群を表す。赤線より下のすべての試料は、細胞表面上のスパイクタンパク質の有意な低下を表す(
****のpスコアを用いてクルスカル-ワリスANOVAを用いた計算した(p<0.0001、NSは有意でないことを示す)。
【
図12A】P604 ACE2ペプチドが核ACE2インポーチン機構を破壊し、動物安全性研究において最小限の毒性を表すグラフ表示を提供する図である。(A)電気泳動移動度シフトアッセイを実施して、C末端ドメインを介したIMPαとACE2との間の相互作用を確認した。ACE2 C末端ドメインをFITCで標識した。左パネルはクマシー染色され、右パネルはUVによって可視化されている。(B)マイクロスケール熱泳動及び蛍光偏光を使用して、インポーチン-αとACE2との間の結合の、P604 ACE2ペプチド阻害を評価した。それぞれの実験はn=3匹で実施し、示したKDは平均及び標準偏差を表す。(C)ACE2
未修飾及びIMPα1についてのタンパク質相互作用のデュオリンク(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、ビヒクル対照又は漸増用量のP604 ACE2ペプチド阻害剤(3.125mM~150mM)で処理した、透過処理したH1299細胞に対して行った。デュオリンクアッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像をビヒクル及び最低用量(3.125mM)のP604 ACE2ペプチド阻害剤について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度のグラフをそれぞれの細胞の全体的な平均点強度(単一のデュオリンク点)について示し、n>20個の細胞が計数された。一元配置ANOVAクルスカル・ウィリス(Willis)を使用して相違を計算した:
****<0.0001
【
図12B】P604 ACE2ペプチドが核ACE2インポーチン機構を破壊し、動物安全性研究において最小限の毒性を表すグラフ表示を提供する図である。(A)電気泳動移動度シフトアッセイを実施して、C末端ドメインを介したIMPαとACE2との間の相互作用を確認した。ACE2 C末端ドメインをFITCで標識した。左パネルはクマシー染色され、右パネルはUVによって可視化されている。(B)マイクロスケール熱泳動及び蛍光偏光を使用して、インポーチン-αとACE2との間の結合の、P604 ACE2ペプチド阻害を評価した。それぞれの実験はn=3匹で実施し、示したKDは平均及び標準偏差を表す。(C)ACE2
未修飾及びIMPα1についてのタンパク質相互作用のデュオリンク(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、ビヒクル対照又は漸増用量のP604 ACE2ペプチド阻害剤(3.125mM~150mM)で処理した、透過処理したH1299細胞に対して行った。デュオリンクアッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像をビヒクル及び最低用量(3.125mM)のP604 ACE2ペプチド阻害剤について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度のグラフをそれぞれの細胞の全体的な平均点強度(単一のデュオリンク点)について示し、n>20個の細胞が計数された。一元配置ANOVAクルスカル・ウィリス(Willis)を使用して相違を計算した:
****<0.0001
【
図12C】P604 ACE2ペプチドが核ACE2インポーチン機構を破壊し、動物安全性研究において最小限の毒性を表すグラフ表示を提供する図である。(A)電気泳動移動度シフトアッセイを実施して、C末端ドメインを介したIMPαとACE2との間の相互作用を確認した。ACE2 C末端ドメインをFITCで標識した。左パネルはクマシー染色され、右パネルはUVによって可視化されている。(B)マイクロスケール熱泳動及び蛍光偏光を使用して、インポーチン-αとACE2との間の結合の、P604 ACE2ペプチド阻害を評価した。それぞれの実験はn=3匹で実施し、示したKDは平均及び標準偏差を表す。(C)ACE2
未修飾及びIMPα1についてのタンパク質相互作用のデュオリンク(登録商標)近接ライゲーションアッセイ測定を、ビヒクル対照又は漸増用量のP604 ACE2ペプチド阻害剤(3.125mM~150mM)で処理した、透過処理したH1299細胞に対して行った。デュオリンクアッセイは、細胞内の相互作用あたり1つの明るい点を生じる。代表的な画像をビヒクル及び最低用量(3.125mM)のP604 ACE2ペプチド阻害剤について示す。デュオリンク(登録商標)アッセイのPLAシグナル強度のグラフをそれぞれの細胞の全体的な平均点強度(単一のデュオリンク点)について示し、n>20個の細胞が計数された。一元配置ANOVAクルスカル・ウィリス(Willis)を使用して相違を計算した:
****<0.0001
【
図13A】SARS-COV2シリアンゴールデンハムスター前臨床動物モデルにおいて、P604 ACE2ペプチド阻害剤処理がウイルス複製を阻害し、SARS-Cov-2感染に関連する初期肺炎症に対して保護することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)上述のように処置したゴールデンシリアンハムスターからの感染した肺におけるSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析(A)。RNA収率はlog10 TCID
50 eq/mLとして表す。(B)%ウイルス量はビヒクルに対して表す。データは平均±SEMを表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
****p<0.0001は有意差を示す。(C)感染した肺における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=5匹/群である。チューキーの事後検定、
**p<0.01、
***p<0.001は有意差を示す。(D)SARS-CoV-2に感染させ、黄色の20mMのスケールバービヒクル対照、NACE2 IP、又はNACE2i IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について染色した。(E)点グラフは、獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した分析及びイメージングを示す(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、SARS-CoV-2スパイク陽性細胞の集団動力学及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質の蛍光強度を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
***=0.0005、
****<0.0001。
【
図13B】SARS-COV2シリアンゴールデンハムスター前臨床動物モデルにおいて、P604 ACE2ペプチド阻害剤処理がウイルス複製を阻害し、SARS-Cov-2感染に関連する初期肺炎症に対して保護することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)上述のように処置したゴールデンシリアンハムスターからの感染した肺におけるSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析(A)。RNA収率はlog10 TCID
50 eq/mLとして表す。(B)%ウイルス量はビヒクルに対して表す。データは平均±SEMを表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
****p<0.0001は有意差を示す。(C)感染した肺における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=5匹/群である。チューキーの事後検定、
**p<0.01、
***p<0.001は有意差を示す。(D)SARS-CoV-2に感染させ、黄色の20mMのスケールバービヒクル対照、NACE2 IP、又はNACE2i IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について染色した。(E)点グラフは、獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した分析及びイメージングを示す(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、SARS-CoV-2スパイク陽性細胞の集団動力学及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質の蛍光強度を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
***=0.0005、
****<0.0001。
【
図13C】SARS-COV2シリアンゴールデンハムスター前臨床動物モデルにおいて、P604 ACE2ペプチド阻害剤処理がウイルス複製を阻害し、SARS-Cov-2感染に関連する初期肺炎症に対して保護することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)上述のように処置したゴールデンシリアンハムスターからの感染した肺におけるSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析(A)。RNA収率はlog10 TCID
50 eq/mLとして表す。(B)%ウイルス量はビヒクルに対して表す。データは平均±SEMを表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
****p<0.0001は有意差を示す。(C)感染した肺における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=5匹/群である。チューキーの事後検定、
**p<0.01、
***p<0.001は有意差を示す。(D)SARS-CoV-2に感染させ、黄色の20mMのスケールバービヒクル対照、NACE2 IP、又はNACE2i IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について染色した。(E)点グラフは、獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した分析及びイメージングを示す(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、SARS-CoV-2スパイク陽性細胞の集団動力学及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質の蛍光強度を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
***=0.0005、
****<0.0001。
【
図13D】SARS-COV2シリアンゴールデンハムスター前臨床動物モデルにおいて、P604 ACE2ペプチド阻害剤処理がウイルス複製を阻害し、SARS-Cov-2感染に関連する初期肺炎症に対して保護することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)上述のように処置したゴールデンシリアンハムスターからの感染した肺におけるSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析(A)。RNA収率はlog10 TCID
50 eq/mLとして表す。(B)%ウイルス量はビヒクルに対して表す。データは平均±SEMを表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
****p<0.0001は有意差を示す。(C)感染した肺における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=5匹/群である。チューキーの事後検定、
**p<0.01、
***p<0.001は有意差を示す。(D)SARS-CoV-2に感染させ、黄色の20mMのスケールバービヒクル対照、NACE2 IP、又はNACE2i IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について染色した。(E)点グラフは、獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した分析及びイメージングを示す(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、SARS-CoV-2スパイク陽性細胞の集団動力学及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質の蛍光強度を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
***=0.0005、
****<0.0001。
【
図13E】SARS-COV2シリアンゴールデンハムスター前臨床動物モデルにおいて、P604 ACE2ペプチド阻害剤処理がウイルス複製を阻害し、SARS-Cov-2感染に関連する初期肺炎症に対して保護することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)上述のように処置したゴールデンシリアンハムスターからの感染した肺におけるSARS-CoV-2 RNAの複製物を検出するためのqRT-PCR分析(A)。RNA収率はlog10 TCID
50 eq/mLとして表す。(B)%ウイルス量はビヒクルに対して表す。データは平均±SEMを表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
****p<0.0001は有意差を示す。(C)感染した肺における感染性ウイルス力価を測定するためのTCID
50アッセイ。データは平均±SEMを表し、n=5匹/群である。チューキーの事後検定、
**p<0.01、
***p<0.001は有意差を示す。(D)SARS-CoV-2に感染させ、黄色の20mMのスケールバービヒクル対照、NACE2 IP、又はNACE2i IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について染色した。(E)点グラフは、獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した分析及びイメージングを示す(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、SARS-CoV-2スパイク陽性細胞の集団動力学及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質の蛍光強度を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
***=0.0005、
****<0.0001。
【
図14A】P604 ACE2ペプチド阻害剤の投与がSARS-Cov-2ウイルス感染及びゴールデンシリアンハムスターの肺における炎症を減らすことを示すグラフ表示を提供する図である。(A)ビヒクル及びP604 ACE2ペプチド阻害剤で処置した動物からの肺のヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色した組織切片。左パネル:貫壁性白血球浸潤(広範なアポトーシス)を伴った上皮細胞の変性、壊死、及び剥離を有する細気管支炎。中央パネル:内皮細胞及び平滑筋細胞の損傷(矢印)を伴った偽好酸球及び単球の辺縁趨向及び貫壁性遊走によって特徴づけられる血管炎。また、このパネル中には軽度の肺胞及び間質性白血球蓄積(星)も見られる。右パネル:血管又は細気管支中に炎症は観察されない。単球又は従属栄養体の浸潤なし及び肺胞マクロファージの蓄積なしを含め、血管の変化はない。スケールバー=200μm。(B)H&E染色した組織切片からの感染した肺の病理学的スコア。注記:すべての試料について、肺細胞過形成には追加のスコア、ゼロを記録した。データは平均を表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
*p<0.05は有意差を示す。
【
図14B】P604 ACE2ペプチド阻害剤の投与がSARS-Cov-2ウイルス感染及びゴールデンシリアンハムスターの肺における炎症を減らすことを示すグラフ表示を提供する図である。(A)ビヒクル及びP604 ACE2ペプチド阻害剤で処置した動物からの肺のヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色した組織切片。左パネル:貫壁性白血球浸潤(広範なアポトーシス)を伴った上皮細胞の変性、壊死、及び剥離を有する細気管支炎。中央パネル:内皮細胞及び平滑筋細胞の損傷(矢印)を伴った偽好酸球及び単球の辺縁趨向及び貫壁性遊走によって特徴づけられる血管炎。また、このパネル中には軽度の肺胞及び間質性白血球蓄積(星)も見られる。右パネル:血管又は細気管支中に炎症は観察されない。単球又は従属栄養体の浸潤なし及び肺胞マクロファージの蓄積なしを含め、血管の変化はない。スケールバー=200μm。(B)H&E染色した組織切片からの感染した肺の病理学的スコア。注記:すべての試料について、肺細胞過形成には追加のスコア、ゼロを記録した。データは平均を表し、n=7~8匹/群である。チューキーの事後検定、
*p<0.05は有意差を示す。
【
図15A】P604 ACE2ペプチド阻害剤が抗ウイルスシグネチャ/エフェクターシグネチャを誘導し、核ACE2を抑止することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2に感染させ、ビヒクル対照、P604 ACE2ペプチド阻害剤IP、又はP604 ACE2ペプチド阻害剤IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、パーフォリン及びCD3について染色した。分析及びイメージングは獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、CD3及びパーフォリン陽性細胞の集団動力学を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
**=0.0047、
***=0.0002。
【
図15B】P604 ACE2ペプチド阻害剤が抗ウイルスシグネチャ/エフェクターシグネチャを誘導し、核ACE2を抑止することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2に感染させ、ビヒクル対照、P604 ACE2ペプチド阻害剤IP、又はP604 ACE2ペプチド阻害剤IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、パーフォリン及びCD3について染色した。分析及びイメージングは獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、CD3及びパーフォリン陽性細胞の集団動力学を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
**=0.0047、
***=0.0002。
【
図15C】P604 ACE2ペプチド阻害剤が抗ウイルスシグネチャ/エフェクターシグネチャを誘導し、核ACE2を抑止することを示すグラフ表示を提供する図である。(A)SARS-CoV-2に感染させ、ビヒクル対照、P604 ACE2ペプチド阻害剤IP、又はP604 ACE2ペプチド阻害剤IVのいずれかで処置した、ゴールデンシリアンハムスターSARS-CoV-2感染モデルの染色した肺FFPE切片の画像例を示す。肺組織FFPEは方法中に記載のように加工処理し、パーフォリン及びCD3について染色した。分析及びイメージングは獲得した画像のASIデジタル分析を使用して実施した(n>1000個の細胞を分析)。データは平均±SEMを用いてプロットし、CD3及びパーフォリン陽性細胞の集団動力学を表す。一元配置ANOVAクルスカル-ワリスを使用して相違を計算した:NS=有意でない、
**=0.0047、
***=0.0002。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1.定義
[0049]別段に定義しない限りは、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載のものと同様又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料が記載されている。本発明の目的のために、以下の用語を以下に定義する。
【0034】
[0050]冠詞「a」及び「an」とは、本明細書中において、冠詞の文法的目的語のうちの1つ又は複数(すなわち少なくとも1つ)をいうために使用する。例として、「a細胞」とは、1個の細胞又は複数個の細胞を意味する。
【0035】
[0051]本明細書中で使用する用語「約」とは、本技術分野において当業者に容易に知られる、それぞれの値の通常の誤差範囲をいう。本明細書中における「約」値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(かつそれを記載する)。
【0036】
[0052]用語「同時発生的な投与」又は「同時発生的に投与すること」又は「同時投与すること」などとは、2つ以上の活性物質を含有する単一の組成物の投与、若しくはそれぞれの活性物質の別々の組成物としての投与、及び/又は有効な結果が、すべてのそのような活性物質を単一の組成物として投与した場合に得られるものと同等である、十分に短い期間内に、同時期に又は同時に又は順次のいずれかで、別々の経路による送達をいう。「同時に」とは、活性薬剤を、実質的に同じ時間に、かつ望ましくは同じ配合物中で一緒に投与することを意味する。「同時期に」とは、活性薬剤を時間的に近くに投与する、たとえば、一方の薬剤を、他方の約1分以内から約1日以内の前又は後に投与することを意味する。任意の同時期の時間が有用である。しかし、同時に投与しない場合、薬剤は約1分以内から約8時間以内、適切には約1~約4時間未満以内に投与することが多い。同時期に投与する場合、薬剤は、対象上の同じ部位に適切に投与する。用語「同じ部位」は正確な位置を含むが、約0.5~約15cm以内、好ましくは約0.5~約5cm以内であることができる。本明細書中で使用する用語「別々に」とは、薬剤を一定間隔で、たとえば約1日から数週間又は数カ月の間隔で投与することを意味する。活性薬剤はいずれの順序で投与してもよい。本明細書中で使用する用語「順次」とは、薬剤を順に、たとえば数分間、数時間、数日間、又は数週間の間隔又は複数の間隔で投与することを意味する。適切な場合は、活性薬剤を規則的な繰り返しサイクルで投与してもよい。
【0037】
[0053]用語「薬剤」は、所望の薬理学的及び/又は生理的効果を誘導する化合物を含む。この用語はまた、それだけには限定されないが、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、類似体などを含めた、本明細書中で具体的に言及した化合物の薬学的に許容できる及び薬理学的に活性のある成分も包含する。上記用語を使用する場合は、これには活性薬剤自体及び薬学的に許容できる、薬理学的に活性のある塩、エステル、アミド、プロドラッグ、代謝物、類似体などが含まれることを理解されたい。用語「薬剤」は、狭く解釈されるべきでなく、小分子、タンパク質性分子、たとえば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、及びそれらを含む組成物、並びに遺伝的分子、たとえば、RNA、DNA、その模倣体及び化学的類似体、並びに細胞性薬剤にまで及ぶ。用語「薬剤」は、本明細書中で言及するポリペプチドを産生及び分泌することができる細胞、並びにそのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。したがって、用語「薬剤」は、ウイルス又は非ウイルスベクター、発現ベクター、及び様々な細胞中での発現及び分泌のためのプラスミドなどのベクターを含めた核酸構築体にまで及ぶ。
【0038】
[0054]バイオマーカーの「量」又は「レベル」とは、試料中の検出可能なレベルである。これらは、当業者に知られており、また本明細書中に開示されている方法によって測定することができる。評価したバイオマーカーの発現レベル又は量を使用して、処置に対する応答を決定することができる。
【0039】
[0055]本明細書中で使用する「及び/又は」とは、関連する列挙した項目のうちの1つ又は複数の任意かつすべての可能な組合せ、及びその代替(又は(or))で解釈した場合は組合せの欠如をいい、それを包含する。
【0040】
[0056]用語「拮抗剤」又は「阻害剤」とは、受容体などの別の分子の生物活性又は効果を防止する、遮断する、阻害する、中和する、又は減らす物質をいう。
【0041】
[0057]本明細書中で使用する用語「結合する」、「~と特異的に結合する」、又は「~に特異的」であるとは、生体分子を含めた分子の異種集団の存在下における標的の存在の決定因である、標的と結合分子との間の結合などの、測定可能かつ再現可能な相互作用をいう。たとえば、標的(エピトープであることができる)と結合又は特異的に結合する結合分子は、それが他の標的と結合するよりも、高い親和性、結合力で、より容易に、及び/又はより長い期間の間、この標的と結合する分子である。一実施形態では、結合分子と非関連の標的との結合の程度は、たとえばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定して、分子と標的との結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的と特異的に結合する結合分子は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態では、タンパク質上の領域と特異的に結合する結合分子は、様々な種からのタンパク質間で保存されている。別の実施形態では、特異的結合は、排他的な結合を含むことができるが、それを必要としない。
【0042】
[0058]本明細書全体にわたって、内容によりそうでないことが必要でない限り、言葉「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含むこと(comprising)」は、記述したステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群を包含することを暗示するが、任意の他のステップ若しくは要素又はステップ若しくは要素の群の排除を暗示しないことを理解されたい。したがって、用語「含むこと」などの使用は、列挙した要素は必要又は義務であるが、他の要素は任意選択であり、存在しても存在しなくてもよいことを示す。「からなる」とは、語句「からなる」に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙した要素は必要又は義務であり、他の要素は存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、語句の前(after)に列挙した任意の要素を含み、列挙した要素について本開示中に指定した活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙した要素は必要又は義務であるが、他の要素は任意選択であり、これらが列挙した要素の活性又は作用に影響を与えるかどうかに応じて、存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0043】
[0059]「~に対応する(corresponds to)」又は「~に対応する(corresponding to)」とは、参照アミノ酸配列に対して実質的な配列類似度又は同一性を示すアミノ酸配列を意味する。一般に、アミノ酸配列は、参照アミノ酸配列の少なくとも一部分に対して少なくとも約70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、97、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%、又はさらには100%までの配列類似度又は同一性を示す。
【0044】
[0060]「有効量」とは、特定の障害の測定可能な改善又は防止を達成するために必要な少なくとも最小量である。本明細書中における有効量は、患者の病状、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する抗体の能力などの要因に応じて変動してもよい。また、有効量は、治療上有益な効果が処置のすべての毒性又は有害な効果を上回るものでもある。予防的使用には、有益又は所望の結果としては、リスクを排除若しくは減らすこと、重篤度を下げること、又は、疾患の生化学的、組織学的、及び/若しくは行動性の症状、その合併症、並びに疾患の発生中に提示される中間の病理学的表現型を含めた、疾患の発症を遅延させることなどの結果が挙げられる。治療的使用には、有益又は所望の結果としては、疾患から生じる1つ若しくは複数の症状を減少させること、疾患を患っている者の生活の質を増加させること、疾患を処置するために必要な他の医薬品の用量を減少させること、標的化を介してなど別の医薬品の効果を増強させること、疾患の進行を遅延させること、及び/又は生存を延長させることなどの臨床結果が挙げられる。感染の場合、有効量の薬物は、循環若しくは組織中の病原体(細菌、ウイルスなど)の力価を減らすこと、病原体感染細胞の数を減らすこと、臓器の病原体感染を阻害すること(すなわち、ある程度まで遅くする若しくは望ましくは停止させること)、病原体の成長を阻害すること(すなわち、ある程度まで遅くする及び望ましくは停止させる)、並びに/又は感染に関連する症状のうちの1つ若しくは複数をある程度まで緩和させることにおいて効果を有することがある。有効量は、1回又は複数回の投与で投与することができる。本発明の目的のために、有効量の薬物、化合物、又は医薬組成物は、予防的又は治療的処置を直接的又は間接的にのいずれかで果たすために十分な量である。臨床的な状況下において理解されるように、有効量の薬物、化合物、又は医薬組成物は、別の薬物、化合物、又は医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つ又は複数の治療剤を投与する状況下において考慮してもよく、1つ又は複数の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成されることができる又は達成される場合は、単一の薬剤を有効量で与えることを考慮してもよい。
【0045】
[0061]遺伝子配列に関して用語「発現」とは、RNA転写物(たとえば、mRNA、アンチセンスRNA、siRNA、shRNA、miRNAなど)を生成する遺伝子の転写、及び必要に応じて生じたmRNA転写物からタンパク質への翻訳をいう。したがって、コンテキストから明らかとなるように、コード配列の発現は、コード配列の転写及び翻訳からもたらされる。逆に、非コード配列の発現は非コード配列の転写から生じる。
【0046】
[0062]用語「感染」とは、疾患を引き起こす微生物による体組織の浸潤、それらの増殖、並びにこれらの微生物及びこれらが生じる毒素に対する体組織の反応をいう。「感染」としては、それだけには限定されないが、ウイルス、プリオン、細菌、ウイロイド、寄生生物、原虫、及び真菌による感染が挙げられる。しかし、本発明のコンテキストにおいて、「感染」とは、一般に、コロナウイルス科(Coronavitidae)(たとえばコロナウイルス)のウイルス感染をいう。
【0047】
[0063]本明細書中で使用する「指示資料」としては、出版物、収録、図、又は本発明の組成物及び方法の有用性を伝えるために使用することができる任意の他の表現媒体が挙げられる。本発明のキットの指示資料は、たとえば、本発明の治療用若しくは診断用薬剤を含有する容器に添付されている、又は本発明の治療用若しくは診断用薬剤を含有する容器と一緒に輸送されてもよい。
【0048】
[0064]用語「患者」、「対象」、「宿主」、又は「個体」は、本明細書中で互換性があるように使用され、治療又は予防が所望される任意の対象、特に脊椎動物対象、さらにより詳細には哺乳動物対象をいう。本発明の範囲内にある適切な脊椎動物としては、それだけには限定されないが、霊長類(たとえば、ヒト、サル、及び類人猿であり、マカク属(Macaca)(たとえば、Macaca fascicularisなどのカニクイザル及び/又はアカゲザル(Macaca mulatta))からのものやヒヒ(チャクマヒヒ(Papio ursinus))などのサルの種、並びにマーモセット(マーモセット属(Callithrix)からの種)、リスザル(リスザル属(Saimiri)からの種)、及びタマリン(タマリン属(Saguinus)からの種)、並びにチンパンジー(Pan troglodytes)などの類人猿の種を含む)、げっ歯動物(たとえば、マウス、ラット、モルモット)、ウサギ類動物(たとえば、ウサギ、ノウサギ)、ウシ類動物(たとえばウシ)、ヒツジ類動物(たとえばヒツジ)、ヤギ類動物(たとえばヤギ)、ブタ類動物(たとえばブタ)、ウマ類動物(たとえばウマ)、イヌ類動物(たとえばイヌ)、ネコ類動物(たとえばネコ)、トリ(たとえば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ペット鳥、たとえばカナリヤ、セキセイインコなど)、海洋哺乳動物(たとえば、イルカ、クジラ)、爬虫類(たとえば、ヘビ、カエル、トカゲなど)、並びに魚を含めた、脊索動物亜門の任意のメンバーが挙げられる。好ましい対象は、SARS-CoV-2感染を含めたSARS-CoV感染の処置を必要としているヒトである。しかし、前述の用語は、症状が存在することを暗示しないことを理解されたい。
【0049】
[0065]用語「医薬組成物」又は「医薬配合物」とは、活性成分(複数可)の生物活性が有効となることを可能にする形態にあり、組成物又は配合物を投与するであろう対象に対して許容できないようなほどの毒性がある追加の構成要素を含有しない、調製物をいう。そのような配合物は無菌的である。「薬学的に許容できる」賦形剤(ビヒクル、添加剤)とは、対象哺乳動物に合理的に投与して、有効用量の用いた活性成分を提供することができるものである。
【0050】
[0066]本明細書中で使用する用語「防止する」、「防止した」、又は「防止すること」とは、疾患若しくは状態を発生することに対する対象の耐性を増加させる、又は言い換えれば対象が疾患若しくは状態を発生する可能性を減少させる予防的処置、及び疾患若しくは状態が開始された後の、それを減らす若しくは完全に排除するため、又はそれが悪化することを防止するための処置をいう。また、これらの用語は、その範囲内に、疾患若しくは状態の素因を有することがあるが、それを有するとして未だ診断されていない対象において、疾患若しくは状態が起こることを防止することも含む。
【0051】
[0067]本明細書中で使用する用語「配列同一性」とは、比較ウィンドウにわたって配列がヌクレオチド毎のベース又はアミノ酸毎のベースで同一である程度をいう。したがって、「配列同一性の百分率」は、2つの最適にアラインメントされた配列を比較ウィンドウにわたって比較し、同一の核酸塩基(たとえば、A、T、C、G、I)又は同一のアミノ酸残基(たとえば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、及びMet)が両方の配列中に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得て、一致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の合計数(すなわちウィンドウサイズ)で除算し、結果に100を乗算して、配列同一性の百分率を得ることによって計算する。本発明の目的のために、「配列同一性」とは、適切な方法によって計算した「一致の百分率」を意味すると理解されたい。たとえば、配列同一性の分析は、DNASISコンピュータプログラム(ウィンドウズ用バージョン2.5、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社、米国カリフォルニア州South San Franciscoから入手可)を使用して、ソフトウェアに添付されている参考資料中で使用されている標準の初期設定を使用して実施してもよい。
【0052】
[0068]本明細書中で使用する「小分子」とは、3キロダルトン(kDa)未満、典型的には1.5kDa未満、より好ましくは約1kDa未満の分子量を有する化合物をいう。小分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質、又は他の有機(炭素含有)若しくは無機分子であってもよい。当業者には理解されるように、本説明に基づいて、化学的及び/又は生物学的混合物、しばしば真菌、細菌、若しくは藻類の抽出物の大規模なライブラリを、本発明のアッセイのうちの任意ものを用いてスクリーニングして、生物活性を変調する化合物を同定してもよい。「有機小分子」とは、3kDa未満、1.5kDa未満、又はさらには約1kDa未満の分子量を有する有機化合物(又は無機化合物(たとえば金属)と複合体形成した有機化合物)である。
【0053】
[0069]ハイブリダイゼーション反応「ストリンジェンシー」は当業者によって容易に決定可能であり、一般に、プローブの長さ、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的計算である。一般的に、より長いプローブは正しいアニーリングのためにより高い温度を必要とする一方で、より短いプローブはより低い温度を必要とする。ハイブリダイゼーションは、一般に、変性したDNAの、相補鎖が存在する場合にその融解温度未満の環境下で再アニーリングする能力に依存する。プローブとハイブリダイズ可能な配列との間の所望の相同性が高ければ高いほど、使用することができる相対的温度は高くなる。その結果、当然、より高い相対的温度は反応条件をよりストリンジェントにする一方で、より低い温度はよりそうでない傾向となるであろう。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーのさらなる詳細及び説明には、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience Publishers、(1995)を参照されたい。
【0054】
[0070]本明細書中で定義する「ストリンジェントな条件」又は「高ストリンジェンシー条件」は、(1)洗浄に低いイオン強度及び高い温度、たとえば15mMの塩化ナトリウム/1.5mMのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを50℃で用いるもの、(2)ハイブリダイゼーション中に変性剤、たとえばホルムアミド、たとえば50%(v/v)のホルムアミド及び0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のフィコール(Ficoll)/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤、pH6.5を、750mMの塩化ナトリウム、75mMのクエン酸ナトリウムと共に42℃で用いるもの、又は(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、75mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハート液、超音波処理したサケ精子DNA(50pg/mL)、0.1%のSDS、及び10%のデキストラン硫酸塩を用いた溶液中、42℃で終夜ハイブリダイゼーション、及び42℃、0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)で10分間の洗浄、続いて、0.1×SSC含有EDTA、55℃からなる10分間の高ストリンジェンシー洗浄によって、同定することができる。
【0055】
[0071]本明細書中で使用する用語「処置」とは、臨床的病理学の経過中に、処置している個体又は細胞の自然経過を変更するように設計されている、臨床行為をいう。処置の望ましい効果としては、疾患進行の速度を減少させること、病状を寛解又は軽減させること、及び寛解又は改善された予後診断が挙げられる。たとえば、個体は、それだけには限定されないが、癌細胞の増殖を減らすこと(若しくはそれを破壊すること)、病原体感染を減らすこと、疾患から生じる症状を減少させること、疾患を患っている者の生活の質を増加させること、疾患を処置するために必要な他の医薬品の用量を減少させること、及び/又は個体の生存を延長させることを含めて、T細胞機能不全障害に関連する1つ又は複数の症状が和らぐ又は排除される場合に、「処置」が成功している。
【0056】
[0072]本明細書中で使用する、下線を引いた又は斜体にした遺伝子名は遺伝子を示し、対照的に、そのタンパク質産物は、いかなる下線又は斜体もの非存在下における遺伝子名によって示される。たとえば、「ACE2(斜体)」はACE2(斜体)遺伝子を意味する一方で、「ACE2」は、タンパク質産物又はACE2(斜体)遺伝子の転写及び翻訳及び/若しくは選択的スプライシングから生成された産物を示す。
【0057】
[0073]本明細書中に記載のそれぞれの実施形態は、必要な変更を加えて、別段に具体的に記述しない限りは個々かつすべての実施形態に適用されるものである。
【0058】
2.タンパク質性分子
[0074]本発明は、SARS-CoVウイルスが宿主細胞内への侵入を得るために宿主機構を利用し、これら必須の宿主機構が翻訳後レベル及び転写レベルでメチル化及びユビキチン化によって調節されるという確定に、部分的に基づく。任意の理論又は作動様式によって束縛されることを望まずに、翻訳後のメチル化/脱メチル化は、少なくとも2つレベルにおいて決定的な役割を果たすことが提案されている:(1)ACE2タンパク質と核輸送体、インポーチン-α(IMPα)タンパク質との相互作用、したがって核転座の調節、及び(2)プロテアソーム分解のためのタンパク質をシグナル伝達する、ACE2タンパク質のユビキチン化の調節。
【0059】
[0075]この観察に基づいて、本発明者らは、野生型ACE2タンパク質の1つ又は複数のメチル化/脱メチル化部位に対応する配列を含むACE2ペプチドの投与が、SARS-CoVが宿主細胞内に入る能力の低下をもたらし、したがってコロナウイルス感染のための新規処置を提供するであろうことを提案する。
【0060】
[0076]あるいは、又はそれに加えて、ACE2とIMPαとの間の相互作用の阻害をもたらす、野生型ACE2タンパク質の核移行モチーフに対応するアミノ酸配列、ACE2ペプチド。
【0061】
[0077]本発明に従って、これらのACE2ペプチドがコロナウイルスの細胞内への侵入に必要なインテグラル細胞機構の転写を減らす又は抑止すること、及びプロテアソームへのACE2タンパク質のシグナル伝達を減弱化させることを利用する、方法及び組成物が提供される。一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、追加の抗ウイルス剤と組み合わせて使用する。したがって、本明細書中以下に記載するように、本発明の方法及び組成物は、コロナウイルス感染(たとえばSARS-CoV-2感染)の処置又は予防において特に有用である。
【0062】
2.1 ACE2ペプチド
[0078]本発明は、ACE2タンパク質のC末端部領域が、細胞表面からのその核転座において中心的役割を果たすという確定に部分的に基づく。本発明者らはまた、ACE2タンパク質C末端部領域配列に対応するアミノ酸配列を含むタンパク質性分子(たとえばペプチド及び/又はポリペプチド)を対象に投与した場合、これらがSARS-CoV感染の処置(防止的処置を含む)として驚くべきほど有効であることも確定した。この活性は、それだけには限定されないが、(1)宿主細胞ACE2タンパク質の核転座を阻害すること、(2)宿主細胞ACE2タンパク質のユビキチン化を阻害すること、(3)ACE2ペプチド若しくはポリペプチド及び/又はIMPαポリペプチドの間の相互作用を防止することを含む、ACE2ペプチドのいくつかの機能的能力から少なくとも部分的に生じる。
【0063】
[0079]一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、野生型ヒトACE2タンパク質の少なくとも一部分に対応するアミノ酸配列を含む。この種類の一部の実施形態では、野生型ヒトACE2タンパク質アミノ酸配列は、以下に記載のように、UniProt受託番号Q9BYF1の下で寄託されているものである:
MSSSSWLLLSLVAVTAAQSTIEEQAKTFLDKFNHEAEDLFYQSSLASWNYNTNITEENVQ
NMNNAGDKWSAFLKEQSTLAQMYPLQEIQNLTVKLQLQALQQNGSSVLSEDKSKRLNTI
LNTMSTIYSTGKVCNPDNPQECLLLEPGLNEIMANSLDYNERLWAWESWRSEVGKQLR
PLYEEYVVLKNEMARANHYEDYGDYWRGDYEVNGVDGYDYSRGQLIEDVEHTFEEIKP
LYEHLHAYVRAKLMNAYPSYISPIGCLPAHLLGDMWGRFWTNLYSLTVPFGQKPNIDVT
DAMVDQAWDAQRIFKEAEKFFVSVGLPNMTQGFWENSMLTDPGNVQKAVCHPTAWDL
GKGDFRILMCTKVTMDDFLTAHHEMGHIQYDMAYAAQPFLLRNGANEGFHEAVGEIMSL
SAATPKHLKSIGLLSPDFQEDNETEINFLLKQALTIVGTLPFTYMLEKWRWMVFKGEIPKD
QWMKKWWEMKREIVGVVEPVPHDETYCDPASLFHVSNDYSFIRYYTRTLYQFQFQEAL
CQAAKHEGPLHKCDISNSTEAGQKLFNMLRLGKSEPWTLALENVVGAKNMNVRPLLNY
FEPLFTWLKDQNKNSFVGWSTDWSPYADQSIKVRISLKSALGDKAYEWNDNEMYLFRS
SVAYAMRQYFLKVKNQMILFGEEDVRVANLKPRISFNFFVTAPKNVSDIIPRTEVEKAIRMSRSRINDAFRLNDNSLEFLGIQPTLGPPNQPPVSIWLIVFGVVMGVIVVGIVILIFTGIRDRKKKNKARSGENPYASIDISKGENNPGFQNTDDVQTSF[配列番号1]
【0064】
[0080]一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、完全長ヒトACE2タンパク質配列(配列番号1に記載)のC末端部領域(すなわち残基763~805)、又はその断片に対応するアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0065】
[0081]一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、1つ又は複数のリシンメチル化部位(複数可)を含む。たとえば、完全長ヒトACE2タンパク質配列(上記及び配列番号1に記載)のリシン残基K26、K353、K769、K770、及びK771は、メチル化残基として同定され、これらは本明細書中でLSD-1媒介性メチル化/脱メチル化所在(reside)であるとして示されている。したがって、一部の実施形態では、本発明は、完全長野生型ヒトACE2タンパク質のK26、K353、K769、K770、及びK771に対応する1つ又は複数のメチル化部位(複数可)を含むACE2ペプチドを含むタンパク質性分子を提供する。一部の好ましい実施形態では、タンパク質性分子は、完全長ACE2タンパク質の残基K769、K770、及びK771に対応するメチル化部位のうちの1つ、2つ、又はすべてを含むACE2ペプチドを含む。同実施形態の一部及び一部の他の実施形態では、ACE2ペプチドはまた、さらなるメチル化部位であってもよい、野生型ヒトACE2タンパク質の残基K773に対応するアミノ酸残基も含む。
【0066】
[0082]一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のうちの少なくとも1つがメチル化されている。一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のうちの少なくとも2つがメチル化されている。一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のうちの少なくとも3つがメチル化されている。一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のそれぞれがメチル化されている。一部の好ましい実施形態では、残基K769、K770、及びK771に対応するアミノ酸はすべてメチル化されている。
【0067】
[0083]一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のうちの少なくとも1つがアセチル化されている。一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のうちの少なくとも2つがアセチル化されている。一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のうちの少なくとも3つがアセチル化されている。一部の実施形態では、完全長ACE2タンパク質のK769、K770、K771、及びK773に対応するアミノ酸のそれぞれがアセチル化されている。一部の好ましい実施形態では、残基K769、K770、及びK771に対応するアミノ酸はすべてアセチル化されている。
【0068】
[0084]同実施形態の一部及び一部の代替実施形態では、ACE2ペプチドは、野生型ヒトACE2タンパク質のユビキチン化部位に対応する残基を含む。この観点から、タンパク質分解はユビキチン化によって調節されることが周知であり、タンパク質のメチル化は、タンパク質のユビキチン化の前駆体であるとして以前に報告されている。したがって、一態様では、宿主ACE2タンパク質の脱メチル化を防止する又は減らすことは、タンパク質のユビキチン化を増加させ、したがってタンパク質の分解を刺激するための機構として役割を果たす。そのような調節は、たとえばLSD-1によるDNMT1主要後成的酵素安定性に関して、以前に観察されている(Yang、Epigeneticsを参照)。したがって、一部の実施形態では、ACE2ペプチド、完全長野生型ヒトACE2タンパク質アミノ酸残基K788に対応するアミノ酸残基も含んでもよい。例示的な例として、一部の実施形態では、ACE2ポリペプチドは、DISKGENNPGFQNTDDVQTSF、ASIDISKGENNPGFQNTDD、又はVQTSFDISKGENNPGFQNTDDVQTSFから選択されるアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい)。
【0069】
[0085]同実施形態の一部及び一部の他の実施形態では、タンパク質性分子は、ACE2ポリペプチドとインポーチン-α(IMPα)ポリペプチドとの結合を防止する、又は他の様式で減らす。適切には、この種類のタンパク質性分子は、上述のACE2ペプチドのうちの任意のものを含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい。例示的な例として、ACE2ペプチドは、アミノ酸配列TGIRDRKKKNKARS[配列番号3]を含んでもよい。
【0070】
[0086]一部の代替実施形態では、ACE2ペプチドは、野生型ヒトACE2タンパク質のIMP-α結合領域(たとえば、配列番号1に記載の配列の残基774~787)に対応するアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい。この種類の一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、アミノ酸配列ARSGENPYASIDISを含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0071】
[0087]ネイティブタンパク質アミノ酸配列のいくつかのバリアントも同定されている。
[0088]一部の実施形態では、本発明のタンパク質性分子は、一般に、式IIIによって表されるアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になり:
X1GIRX2RX3X4X5X6X7AX8S
(式III)
[0089]X1は、任意の小さい若しくは極性のアミノ酸(好ましくはT若しくはSアミノ酸)、又はその修飾形態から選択され、
[0090]X2は、D若しくはNアミノ酸、又はその修飾形態から選択され、
[0091]X3、X4、及びX5は、それぞれK及びQアミノ酸、又はその修飾形態から独立的に選択され、
[0092]X6は、任意の極性アミノ酸(たとえば、N、K、若しくはDアミノ酸)、又はその修飾形態から選択され、
[0093]X7は、K若しくはQアミノ酸、又はその修飾形態から選択され、
[0094]X8は、R、G、若しくはSアミノ酸、又はその修飾形態から選択され、
[0095]一部の好ましい実施形態では、ACE2ペプチドは、TGIRDRKKKNKARSを含むアミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0072】
[0096]そのようなタンパク質性分子は、ACE2タンパク質とIMPαとの間の相互作用を適切に阻害する又は減らす。したがって、この種類のペプチドは、ACE2タンパク質の核移行を減らす。これは、細胞中における核ACE2タンパク質のより低いレベルをもたらす。
【0073】
[0097]本発明は、コロナウイルスの宿主細胞内への侵入を防止する又は減らすための組成物及び方法における、ACE2ペプチドを提供する。本発明はまた、対象の細胞中におけるコロナウイルスの複製を防止する又は減らすための組成物及び方法も提供する。
【0074】
[0098]組成物中に含められる場合、ACE2ペプチドは、薬学的に許容できる担体又は希釈剤と適切に組み合わせられる。本発明のACE2ペプチドは、対象におけるコロナウイルス感染を処置又は防止するための、放出調節様式の投与を含めた、たとえば、注射によって、外用若しくは粘膜施用によって、吸入によって、又は経口経路を介してを含む任意の適切な経路によって投与することができる。
【0075】
[0099]一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、組換えDNA技法を使用して、又は化学合成によって得られる。あるいは、ACE2ペプチドは、哺乳動物細胞試料から得て(たとえば精製又は単離して)もよい。
【0076】
[0100]本発明のACE2ペプチドは、代替翻訳及び翻訳後事象の存在の結果生じるペプチド又はポリペプチドを含む。ACE2ペプチドは、ACE2タンパク質をネイティブ細胞中で発現させた場合に存在するものと実質的に同じ翻訳後修飾をもたらす系(たとえば培養細胞、又はネイティブ細胞中で発現させた場合に存在する翻訳後修飾(たとえばグリコシル化若しくは切断)の変更若しくは省略をもたらす系において、発現させることができる。
【0077】
[0101]本発明は、完全長ACE2ポリペプチド及びその生物活性のある断片を企図する。典型的には、完全長ACE2ポリペプチドの生物活性のある断片は、相互作用、たとえば分子内又は分子間相互作用(たとえばIMPαポリペプチド間の相互作用)に関与していてもよい。そのような生物活性のある断片としては、(推定上の)完全長ACE2ポリペプチドのアミノ酸配列、たとえば配列番号1に示すアミノ酸配列に十分に類似の、又はそれに由来するアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられる。完全長ACE2ペプチドの生物活性のある断片は、たとえば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89個、又はそれより多くのアミノ酸残基の長さであるペプチドであることができる。
【0078】
N末端ACE2ペプチド
[0102]他の実施形態では、ACE2ペプチド阻害剤は、野生型ヒトACE2配列のリシン残基31に対応する配列を含有する。このリシン残基は、ACE2ポリペプチドのインテグラルメチル化/脱メチル化部位であり、その脱メチル化はウイルススパイクタンパク質との相互作用に必要である。したがって、ACE2のリシン31脱メチル化モチーフはSARS-CoV-2の複製に重要であり、したがって、このリシン残基に対応するペプチド阻害剤は、スパイクタンパク質のACE2との共局在化を顕著に減らすことによって抗ウイルス活性を有する。
【0079】
[0103]したがって、一部の実施形態では、本発明は、式IVによって表されるアミノ酸配列を有するペプチドを含むタンパク質性分子を提供する:
Z1IEEQAKTFLDKZ2
(式IV)
[式中、
Z1は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つ、及び/若しくは保護部分から選択され、
Z2は、非存在であるか、又は、約1~約50個のアミノ酸残基を含むタンパク質性部分のうちの少なくとも1つから選択される]。
【0080】
[0104]例示的な例として、Z1は非存在であってもよく、Z2は、アミノ酸配列FNHEAEDLFYQSSLASWNYNTを含んでもよい。一部の好ましい実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列IEEQAKTFLDKFNHEAEDLFYQSSLASWNYNTを含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0081】
[0105]一代替例では、Z1は、アミノ酸配列STを含んでもよく、Z2が非存在であってもよい。したがって、一部の好ましい実施形態では、タンパク質性分子は、アミノ酸配列STIEEQAKTFLDKを含む、それからなる、又はそれから本質的になってもよい。
【0082】
[0106]一部の実施形態では、ペプチドは、式IVによるペプチド配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。一部の実施形態では、配列は、式IVによるポリペプチド配列を含み、IEEQAKTFLDK領域中に1つ又は複数の単一のアミノ酸置換を有する。この種類の実施形態では、野生型ヒトACE2アミノ酸配列のリシン31に対応するリシンの置換は許容されない。したがって、1つ又は複数の置換は、野生型ヒトACE2ポリペプチド配列のリシン31に対応するリシン中に起こってはならない。
【0083】
バリアントACE2ペプチド。
【0084】
[0107]本発明はまた、野生型若しくは天然に存在するACE2タンパク質又はその断片のバリアントであるACE2ペプチドも企図する。そのような「バリアント」ペプチドとしては、ネイティブタンパク質のN末端及び/若しくはC末端への1つ若しくは複数のアミノ酸の欠失(いわゆる切断)若しくは付加、ネイティブタンパク質中の1つ若しくは複数の部位での1つ若しくは複数のアミノ酸の欠失若しくは付加、又はネイティブタンパク質中の1つ若しくは複数の部位での1つ若しくは複数のアミノ酸の置換による、ネイティブタンパク質に由来するタンパク質が挙げられる。
【0085】
[0108]本発明によって包含されるバリアントタンパク質は生物活性がある、すなわち、これらはネイティブタンパク質の所望の生物活性(たとえば、LSD1ポリペプチドとの結合、又はIMP aポリペプチドとの結合)を保有し続ける。そのようなバリアントは、たとえば、遺伝的多型性から、又は人間による操作から生じてもよい。
【0086】
[0109]ACE2ペプチド又はポリペプチドは、アミノ酸の置換、欠失、切断、及び挿入を含めた様々な方法で変更してもよい。そのような操作ための方法は一般に当分野で知られている。たとえば、ACE2ペプチド又はポリペプチドのアミノ酸配列バリアントは、DNA中の突然変異によって調製することができる。突然変異誘発及びヌクレオチド配列変更のための方法は当分野で周知である(たとえば、Kunkel(1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、82:488~492)、Kunkelら、(1987、Methods in Enzymol、154:367~382)、米国特許第4,873,192号、Watson,J.D.ら、(「Molecular Biology of the Gene」、第4版、Benjamin/Cummings、カリフォルニア州Menlo Park、1987)、及びそれ中に引用されている参考文献を参照。目的のタンパク質の生物活性に影響を与えない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、Dayhoffら、(1978) Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.、ワシントンD.C.)のモデル中に見つかけることができる。点突然変異又は切断によって作製されたコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするため、及び選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリをスクリーニングするための方法は、当分野で知られている。そのような方法は、ACE2ペプチド又はポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリの迅速スクリーニングに適応可能である。ライブラリ中の機能的変異体の頻度を増強させる技法である、再帰的アンサンブル突然変異誘発(REM)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて使用して、ACE2バリアントを同定することができる(Arkin及びYourvan(1992) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811~7815、Delgraveら、(1993)Protein Engineering、6:327~331を参照)。1つのアミノ酸を、同様特性を有する別のもので交換することなどの保存的置換が、以下により詳細に記述するように望ましいことがある。
【0087】
[0110]バリアントACE2ペプチド又はポリペプチドは、その配列に沿った様々な位置で、親(たとえば天然に存在する又は参照の)ACE2アミノ酸配列と比較して、保存的アミノ酸置換を含有してもよい。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野において定義されており、これは一般に以下のように細分類することができる:
【0088】
[0111]酸性:残基は生理的pHでHイオンの損失が原因で負電荷を有し、残基は、ペプチドが生理的pHで水性媒体中にある場合にそれが含有されるペプチドのコンホメーション中で表面位置を探求するように、水溶液によって引きつけられる。酸性側鎖を有するアミノ酸としてはグルタミン酸及びアスパラギン酸が挙げられる。
【0089】
[0112]塩基性:残基生理的pH又はその1若しくは2pH単位以内でHイオンとの会合が原因で正電荷を有し(たとえばヒスチジン)、残基は、ペプチドが生理的pHで水性媒体中にある場合にそれが含有されるペプチドのコンホメーション中で表面位置を探求するように、水溶液によって引きつけられる。塩基性側鎖を有するアミノ酸としては、アルギニン、リシン、及びヒスチジンが挙げられる。
【0090】
[0113]荷電:残基は生理的pHで帯電しており、したがって、酸性又は塩基性側鎖(すなわち、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、及びヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。
【0091】
[0114]疎水性:残基は生理的pHで帯電しておらず、残基は、ペプチドが水性媒体中にある場合にそれが含有されるペプチドのコンホメーション中で内部位置を探求するように、水溶液によってはじかれる。疎水性側鎖を有するアミノ酸としては、チロシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプトファンが挙げられる。
【0092】
[0115]中性/極性:残基は生理的pHで帯電していないが、残基は、ペプチドが水性媒体中にある場合にそれが含有されるペプチドのコンホメーション中で内部位置を探求するように、水溶液によって十分にはじかれない。中性/極性側鎖を有するアミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、システイン、ヒスチジン、セリン、及びスレオニンが挙げられる。
【0093】
[0116]この説明はまた、特定のアミノ酸を、極性基を欠いている場合でも、疎水性を与えるためにその側鎖が十分に大きくないために、「小さい」として特徴づける。プロリンを例外として、「小さい」アミノ酸とは、少なくとも1つの極性基が側鎖上にある場合は4個以下の炭素を有するものであり、ない場合は3個以下の炭素を有するものである。小さい側鎖を有するアミノ酸としては、グリシン、セリン、アラニン、及びスレオニンが挙げられる。遺伝子にコードされる二次アミノ酸プロリンは、ペプチド鎖の二次コンホメーションに対するその既知の効果が原因で、特例である。プロリンの構造は、その側鎖がa-アミノ基の窒素、及びa-炭素と結合しているという点で、すべての他の天然に存在するアミノ酸とは異なる。しかし、いくつかのアミノ酸類似度マトリックス(たとえば、たとえばDayhoffら、(1978)、A model of evolutionary change in proteins. Matrices for determining distance relationships、M.O.Dayhoff(編)、Atlas of protein sequence and structure、第5巻、ページ345~358、National Biomedical Research Foundation、ワシントンDC及びGonnetら、(1992、Science、256(5062):14430~1445)によって開示されるPAM120マトリックス及びPAM250マトリックスは、プロリンをグリシン、セリン、アラニン、及びスレオニンと同じ群に含める。したがって、本発明の目的のために、プロリンは「小さい」アミノ酸として分類する。
【0094】
[0117]極性又は非極性としての分類のために必要な引きつける又ははじく度合は自由裁量であり、したがって、本発明によって具体的に企図されるアミノ酸は、いずれか一方に分類されている。具体的に命名されていないほとんどのアミノ酸は、知られている挙動に基づいて分類することができる。
【0095】
[0118]アミノ酸残基は、残基の側鎖置換基に関して自明の分類である環状又は非環状、及び芳香族又は非芳香族として、並びに小さい又は大きいとして、さらに細分類することができる。残基は、追加の極性置換基が存在するという条件でカルボキシル炭素を含めて合計4個以下、存在しない場合は3個以下の炭素原子を含有する場合に、小さいと考えられる。小さい残基は、もちろん常に非芳香族である。その構造特性に応じて、アミノ酸残基は2つ以上のクラスに該当してもよい。天然に存在するタンパク質アミノ酸では、このスキームによる細分類を表2中に提示する。
【0096】
【表1】
[0119]保存的アミノ酸置換は、側鎖に基づく群分けも含む。たとえば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸群はセリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸群はアスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リシン、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸群はシステイン及びメチオニンである。たとえば、ロイシンのイソロイシン又はバリンでの置換え、アスパラギン酸のグルタミン酸での置換え、スレオニンのセリンでの置換え、又はアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸での同様の置換えは、生じるバリアントポリペプチドの特性に大きな影響を与えないであろうと予想することが合理的である。アミノ酸変化が機能的ACE2ペプチドポリペプチドをもたらすかどうかは、その活性をアッセイすることによって容易に決定することができる。保存的置換は、表3中に、例示的かつ好ましい置換の見出しの下で示されている。本発明の範囲内にあるアミノ酸置換は、一般的に、(a)置換の領域中におけるペプチド主鎖の構造、(b)標的部位での分子の荷電若しくは疎水性、又は(c)側鎖のバルクの維持に対するその効果に顕著に相違がない置換を選択することによって、果たされる。置換が導入された後、バリアントを生物活性についてスクリーニングする。
【0097】
【0098】
[0120]あるいは、保存的置換を作製するための同様のアミノ酸は、側鎖が何であるかに基づいて3つの分類に群分けすることができる。Zubay,G.、Biochemistry、第3版、Wm:C.、Brown Publishers(1993)に記載されているように、第1の群は、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リシン、ヒスチジンを含み、これらはすべて帯電した側鎖を有しており、第2の群は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギンを含み、第3の群は、ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンを含む。
【0099】
[0121]したがって、ACE2ペプチド又はポリペプチド中の予測される非必須アミノ酸残基を、典型的には同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換える。あるいは、突然変異は、ACE2遺伝子コード配列の全部又は一部に沿ってランダムに、飽和突然変異誘発などによって導入することができ、生じる変異体を、たとえば本明細書中に記載のように親ポリペプチド活性についてスクリーニングして、その活性を保持する変異体を同定することができる。コード配列の突然変異誘発に続いて、コードされているペプチド又はポリペプチドを組換え発現させ、その活性を決定することができる。「非必須」アミノ酸残基とは、その活性のうちの1つ又は複数を無効にする又は実質的に変更せずに、一実施形態のペプチド又はポリペプチドの野生型配列から変更することができる残基である。適切には、変更は、これらの活性のうちの1つを実質的に変更しない、たとえば、活性は、野生型の少なくとも20%、40%、60%、70%、又は80%である。対照的に、「必須」アミノ酸残基とは、参照ACE2ペプチド又はポリペプチドの野生型配列から変更した場合に、野生型活性の20%未満が存在するように親分子の活性の無効化をもたらす残基である。たとえば、そのような必須アミノ酸残基としては、様々な種にわたってACE2ペプチド又はポリペプチド中で保存されているものが挙げられる。
【0100】
[0122]したがって、本発明はまた、ACE2ペプチド又はポリペプチド、天然に存在するACE2ポリペプチド配列のバリアント又はその生物学的に活性のある断片も企図し、バリアントは、1つ又は複数のアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換によって天然に存在する配列から区別される。一般的に、バリアントは、本明細書中の他の箇所に記載した配列アラインメントプログラムによって初期設定パラメータを使用して決定して、たとえば配列番号1に記載の親又は参照ACE2ペプチド又はポリペプチド配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の類似度を示す。望ましくは、バリアントは、本明細書中の他の箇所に記載した配列アラインメントプログラムによって初期設定パラメータを使用して決定して、たとえば配列番号1に記載の親ACE2ペプチド又はポリペプチド配列に対して少なくとも40%、45%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する。バリアントポリペプチドの範囲内にある野生型ACE2ポリペプチドのバリアントは、野生型分子から、一般に、15、14、13、12、若しくは11個まで多いアミノ酸残基、又は適切には10、9、8、7、6、54、3、2、若しくは1個まで少ないアミノ酸残基(複数可)が相違してもよい。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、配列番号1中の対応する配列から、少なくとも1個であるが、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、又は2個以下であるアミノ酸残基が相違する。他の実施形態では、これは、配列番号1のうちのいずれか1つ中の対応する配列から、残基のうちの少なくとも1つの1%であるが、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、又は2%以下が相違する。配列比較がアラインメントを必要とする場合、配列は、典型的には最大の類似度又は同一性のためにアラインメントされている。欠失若しくは挿入、又はミスマッチから「ループ」アウトされた配列は、一般に相違であると考えられる。相違は、適切には、以下により詳細に記述するように、非必須残基での相違若しくは変化又は保存的置換である。
【0101】
[0123]本発明のACE2ペプチドはまた、修飾された側鎖を有するアミノ酸を含むACE2ペプチド又はポリペプチド、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の合成中における非天然アミノ酸残基及び/又はその誘導体の取り込み、並びに架橋結合剤並びに本発明のペプチド、一部分、及びバリアントに対してコンホメーションの束縛を強いる他の方法の使用も包含する。側鎖修飾の例としては、無水酢酸を用いたアシル化などによるアミノ基の修飾、コハク酸無水物及びテトラヒドロフタル酸無水物を用いたアミノ基のアシル化、メチルアセトイミデートを用いたアミジン化、シアネートを用いたアミノ基のカルバモイル化、ピリドキサル-5-ホスフェートを用いたリシンのピリドキシル化及び続くNaBRtを用いた還元、アルデヒドとの反応及び続くNaBH4を用いた還元による還元性アルキル化、並びに2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)を用いたアミノ基のトリニトロベンジル化が挙げられる。
【0102】
[0124]カルボキシル基は、O-アシルイソ尿素形成を介したカルボジイミドの活性化、続いて、例として対応するアミドへの誘導体化によって、修飾してもよい。
【0103】
[0125]アルギニン残基のグアニジン基は、2,3-ブタンジオン、フェニルグリオキサール、及びグリオキサールなどの試薬を用いた複素環縮合産物の形成によって修飾してもよい。
【0104】
[0126]スルフヒドリル基は、システイン酸への過ギ酸酸化、4-クロロ水銀フェニルスルホン酸、4-クロロ水銀安息香酸、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール、塩化フェニル水銀、及び他の水銀化合物を使用した水銀誘導体の形成、他のチオール化合物との混合ジスルフィドの形成、マレイミド、無水マレイン酸、又は他の置換マレイミドとの反応、ヨード酢酸又はヨードアセトアミドを用いたカルボキシメチル化、並びにアルカリ性pHでのシアネートを用いたカルバモイル化などの方法によって修飾してもよい。
【0105】
[0127]トリプトファン残基は、たとえば、臭化2-ヒドロキシ-5-ニトロベンジル若しくはハロゲン化スルホニルを用いたインドール環のアルキル化、又はN-ブロモスクシンイミドを用いた酸化によって修飾してもよい。
【0106】
[0128]チロシン残基は、3-ニトロチロシン誘導体を形成するためのテトラニトロメタンを用いたニトロ化によって修飾してもよい。
【0107】
[0129]ヒスチジン残基のイミダゾール環は、ジエチルピロカーボネートを用いたN-カルボエトキシ化又はヨード酢酸誘導体を用いたアルキル化によって修飾してもよい。
【0108】
[0130]ペプチド合成中に非天然アミノ酸及び誘導体を取り込ませることの例としては、それだけには限定されないが、4-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、t-ブチルグリシン、ノルロイシン、ノルバリン、フェニルグリシン、オルニチン、サルコシン、2-チエニルアラニン、及び/又はアミノ酸のD-異性体の使用が挙げられる。本発明によって企図される非天然アミノ酸のリストを表4に示す。
【0109】
【0110】
[0131]本発明のACE2ペプチドはまた、本明細書中に定義したストリンジェンシー条件、特に中又は高ストリンジェンシー条件下で、以下に記載するようにACE2をコードするポリヌクレオチド配列又はその非コード鎖とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされているものも含む。例示的なACE2(斜体)ポリヌクレオチド配列を以下に記載する:
AGTCTAGGGAAAGTCATTCAGTGGATGTGATCTTGGCTCACAGGGGACGATGTCAAGCTCTTCCTGGCTCCTTCTCAGCCTTGTTGCTGTAACTGCTGCTCAGTCCACCATTGAGGAACAGGCCAAGACATTTTTGGACAAGTTTAACCACGAAGCCGAAGACCTGTTCTATCAAAGTTCACTTGCTTCTTGGAATTATAACACCAATATTACTGAAGAGAATGTCCAAAACATGAATAATGCTGGGGACAAATGGTCTGCCTTTTTAAAGGAACAGTCCACACTTGCCCAAATGTATCCACTACAAGAAATTCAGAATCTCACAGTCAAGCTTCAGCTGCAGGCTCTTCAGCAAAATGGGTCTTCAGTGCTCTCAGAAGACAAGAGCAAACGGTTGAACACAATTCTAAATACAATGAGCACCATCTACAGTACTGGAAAAGTTTGTAACCCAGATAATCCACAAGAATGCTTATTACTTGAACCAGGTTTGAATGAAATAATGGCAAACAGTTTAGACTACAATGAGAGGCTCTGGGCTTGGGAAAGCTGGAGATCTGAGGTCGGCAAGCAGCTGAGGCCATTATATGAAGAGTATGTGGTCTTGAAAAATGAGATGGCAAGAGCAAATCATTATGAGGACTATGGGGATTATTGGAGAGGAGACTATGAAGTAAATGGGGTAGATGGCTATGACTACAGCCGCGGCCAGTTGATTGAAGATGTGGAACATACCTTTGAAGAGATTAAACCATTATATGAACATCTTCATGCCTATGTGAGGGCAAAGTTGATGAATGCCTATCCTTCCTATATCAGTCCAATTGGATGCCTCCCTGCTCATTTGCTTGGTGATATGTGGGGTAGATTTTGGACAAATCTGTACTCTTTGACAGTTCCCTTTGGACAGAAACCAAACATAGATGTTACTGATGCAATGGTGGACCAGGCCTGGGATGCACAGAGAATATTCAAGGAGGCCGAGAAGTTCTTTGTATCTGTTGGTCTTCCTAATATGACTCAAGGATTCTGGGAAAATTCCATGCTAACGGACCCAGGAAATGTTCAGAAAGCAGTCTGCCATCCCACAGCTTGGGACCTGGGGAAGGGCGACTTCAGGATCCTTATGTGCACAAAGGTGACAATGGACGACTTCCTGACAGCTCATCATGAGATGGGGCATATCCAGTATGATATGGCATATGCTGCACAACCTTTTCTGCTAAGAAATGGAGCTAATGAAGGATTCCATGAAGCTGTTGGGGAAATCATGTCACTTTCTGCAGCCACACCTAAGCATTTAAAATCCATTGGTCTTCTGTCACCCGATTTTCAAGAAGACAATGAAACAGAAATAAACTTCCTGCTCAAACAAGCACTCACGATTGTTGGGACTCTGCCATTTACTTACATGTTAGAGAAGTGGAGGTGGATGGTCTTTAAAGGGGAAATTCCCAAAGACCAGTGGATGAAAAAGTGGTGGGAGATGAAGCGAGAGATAGTTGGGGTGGTGGAACCTGTGCCCCATGATGAAACATACTGTGACCCCGCATCTCTGTTCCATGTTTCTAATGATTACTCATTCATTCGATATTACACAAGGACCCTTTACCAATTCCAGTTTCAAGAAGCACTTTGTCAAGCAGCTAAACATGAAGGCCCTCTGCACAAATGTGACATCTCAAACTCTACAGAAGCTGGACAGAAACTGTTCAATATGCTGAGGCTTGGAAAATCAGAACCCTGGACCCTAGCATTGGAAAATGTTGTAGGAGCAAAGAACATGAATGTAAGGCCACTGCTCAACTACTTTGAGCCCTTATTTACCTGGCTGAAAGACCAGAACAAGAATTCTTTTGTGGGATGGAGTACCGACTGGAGTCCATATGCAGACCAAAGCATCAAAGTGAGGATAAGCCTAAAATCAGCTCTTGGAGATAAAGCATATGAATGGAACGACAATGAAATGTACCTGTTCCGATCATCTGTTGCATATGCTATGAGGCAGTACTTTTTAAAAGTAAAAAATCAGATGATTCTTTTTGGGGAGGAGGATGTGCGAGTGGCTAATTTGAAACCAAGAATCTCCTTTAATTTCTTTGTCACTGCACCTAAAAATGTGTCTGATATCATTCCTAGAACTGAAGTTGAAAAGGCCATCAGGATGTCCCGGAGCCGTATCAATGATGCTTTCCGTCTGAATGACAACAGCCTAGAGTTTCTGGGGATACAGCCAACACTTGGACCTCCTAACCAGCCCCCTGTTTCCATATGGCTGATTGTTTTTGGAGTTGTGATGGGAGTGATAGTGGTTGGCATTGTCATCCTGATCTTCACTGGGATCAGAGATCGGAAGAAGAAAAATAAAGCAAGAAGTGGAGAAAATCCTTATGCCTCCATCGATATTAGCAAAGGAGAAAATAATCCAGGATTCCAAAACACTGATGATGTTCAGACCTCCTTTTAGAAAAATCTATGTTTTTCCTCTTGAGGTGATTTTGTTGTATGTAAATGTTAATTTCATGGTATAGAAAATATAAGATGATAAAGATATCATTAAATGTCAAAACTATGACTCTGTTCAGAAAAAAAATTGTCCAAAGACAACATGGCCAAGGAGAGAGCATCTTCATTGACATTGCTTTCAGTATTTATTTCTGTCTCTGGATTTGACTTCTGTTCTGTTTCTTAATAAGGATTTTGTATTAGAGTATATTAGGGAAAGTGTGTATTTGGTCTCACAGGCTGTTCAGGGATAATCTAAATGTAAATGTCTGTTGAATTTCTGAAGTTGAAAACAAGGATATATCATTGGAGCAAGTGTTGGATCTTGTATGGAATATGGATGGATCACTTGTAAGGACAGTGCCTGGGAACTGGTGTAGCTGCAAGGATTGAGAATGGCATGCATTAGCTCACTTTCATTTAATCCATTGTCAAGGATGACATGCTTTCTTCACAGTAACTCAGTTCAAGTACTATGGTGATTTGCCTACAGTGATGTTTGGAATCGATCATGCTTTCTTCAAGGTGACAGGTCTAAAGAGAGAAGAATCCAGGGAACAGGTAGAGGACATTGCTTTTTCACTTCCAAGGTGCTTGATCAACATCTCCCTGACAACACAAAACTAGAGCCAGGGGCCTCCGTGAACTCCCAGAGCATGCCTGATAGAAACTCATTTCTACTGTTCTCTAACTGTGGAGTGAATGGAAATTCCAACTGTATGTTCACCCTCTGAAGTGGGTACCCAGTCTCTTAAATCTTTTGTATTTGCTCACAGTGTTTGAGCAGTGCTGAGCACAAAGCAGACACTCAATAAATGCTAGATTTACACACTC[配列番号2]
【0111】
[0132]一部の実施形態では、配列間の配列類似度又は配列同一性の計算は、以下のように行う。
【0112】
[0133]2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列を最適比較目的のためにアラインメントする(たとえば、最適アラインメントのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列のうちの一方又は両方中にギャップを導入することができ、非相同配列は比較目的のために無視することができる)。一部の実施形態では、比較目的のためにアラインメントした参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、通常は少なくとも40%、より通常は少なくとも50%、60%、さらにより通常は少なくとも70%、80%、90%、100%である。その後、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置でのアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置で同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有される場合、分子はその位置で同一である。アミノ酸配列の比較では、第1の配列中の位置が第2の配列中の対応する位置で同じ又は同様のアミノ酸残基(すなわち保存的置換)によって占有される場合、分子はその位置で同様である。
【0113】
[0134]2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適アラインメントのために導入する必要があるギャップの数及びそれぞれのギャップの長さを考慮した、個々の位置で配列によって共有される同一のアミノ酸残基の数の関数である。対照的に、2つの配列間のパーセント類似度は、2つの配列の最適アラインメントのために導入する必要があるギャップの数及びそれぞれのギャップの長さを考慮した、個々の位置で配列によって共有される同一及び同様のアミノ酸残基の数の関数である。
【0114】
[0135]配列の比較及び配列間のパーセント同一性又はパーセント類似度の決定は、数学アルゴリズムを使用して果たすことができる。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列間のパーセント同一性又は類似度は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム内に組み込まれているNeedleman及びWunsch、(1970、J.Mol.Biol.、48:444~453)アルゴリズム(http://www.gcg.comで利用可能)を使用して、Blossum62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、並びに16、14、12、10、8、6、又は4のギャップ重みづけ及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重みづけを使用して、決定する。具体的な実施形態では、ヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラム(http://www.gcg.comで利用可能)を使用して、NWSgapdna.CMPマトリックス並びに40、50、60、70、又は80のギャップ重みづけ及び1、2、3、4、5、又は6の長さ重みづけを使用して、決定する。非限定的なパラメータ組(別段に指定しない限りは使用するべきもの)としては、ギャップペナルティ12、ギャップ伸長ペナルティ4、及びフレームシフトギャップペナルティ5を有するBlossum62スコア付けマトリックスが挙げられる。
【0115】
[0136]一部の実施形態では、アミノ酸又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性又は類似度は、アラインメントプログラム(バージョン2.0)内に組み込まれているE.Meyers及びW.Miller(1989、Cabios、4:11~17)のアルゴリズムを使用して、PAM120重みづけ残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用して、決定することができる。
【0116】
[0137]本明細書中に記載の核酸及びタンパク質配列は、たとえば他のファミリーメンバー又は関連配列を同定するために、公的データベースに対する検索を行うために「クエリ配列」として使用することができる。そのような検索は、Altschulら、(1990、J.Mol.Biol、215:403~10)のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて行って、53010個の本発明の核酸分子と相同的なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて行って、53010個の本発明のタンパク質分子と相同的なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためのギャップ付きアラインメントを得るために、Altschulら、(1997、Nucleic Acids Res、25:3389~3402)に記載のようにギャップ付きBLASTを利用することができる。BLAST及びギャップ付きBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(たとえばXBLAST及びNBLAST)の初期設定パラメータを使用することができる。
【0117】
[0138]参照ACE2ペプチド又はポリペプチドのバリアントは、ACE2ペプチド又はポリペプチドの変異体、たとえば切断変異体のコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって同定することができる。ACE2コード配列のライブラリ又は断片、たとえば、N末端、C末端、又は内部断片を使用してスクリーニングのための変化に富む断片集団を作製し、続いて参照ACE2のバリアントを選択することができる。
【0118】
[0139]点突然変異又は切断によって作製したコンビナトリアルライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするため、及び選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリをスクリーニングするための方法は、当分野で知られている。そのような方法は、ACE2ペプチド又はポリペプチドのコンビナトリアル突然変異誘発によって作製した遺伝子ライブラリの迅速スクリーニングに適応可能である。
【0119】
[0140]本発明のACE2ペプチド及びポリペプチドは、当業者に知られている任意の適切な手順によって調製してもよい。たとえば、ACE2ペプチド又はポリペプチドは、ペプチド又はポリペプチドを天然に存在するリザーバーから精製することなどの、任意の好都合な方法によって生成してもよい。精製方法としては、サイズ排除、親和性、又はイオン交換クロマトグラフィー/分離が挙げられる。誘導されたACE2ペプチドが何であるか及びその純度は、たとえば、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィーによって、決定される。あるいは、ACE2ペプチド又はポリペプチドは、たとえば、Atherton及びShephard(上記)の第9章並びにRobergeら、(1995、Science、269:202)中に記載されているように、化学合成によって、たとえば溶液合成又は固相合成を使用して合成してもよい。
【0120】
[0141]一部の実施形態では、ACE2ペプチド又はポリペプチドは組換え技法によって調製する。たとえば、本発明のACE2ペプチド又はポリペプチドは、(a)ACE2ペプチド又はポリペプチドをコードしており、調節要素と作動可能に連結しているポリヌクレオチド配列を含む構築体を調製するステップと、(b)構築体を宿主細胞内に導入するステップと、(c)宿主細胞を培養してポリヌクレオチド配列を発現させ、それによって、コードされているACE2ペプチド又はポリペプチドを生成するステップと、(d)ACE2ペプチド又はポリペプチドを宿主細胞から単離するステップとを含む手順によって調製してもよい。例示的な例では、ヌクレオチド配列は、配列番号3に記載の配列の少なくとも生物活性のある一部分、又はそのバリアントをコードする。組換えACE2ペプチド又はポリペプチドは、たとえば、Sambrookら、(1989、上記)、特にセクション16及び17、Ausubelら、(1994、上記)、特に第10及び16章、並びにColiganら、Current Protocols in Protein Science(John Wiley&Sons,Inc.、1995~1997)、特に第1、5、及び6章中に記載されている、標準のプロトコルを使用して好都合に調製することができる。
【0121】
一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、野生型ヒトACE2アミノ酸配列に対する相同体又は相同分子種である。相同分子種間には高い度合の配列同一性が存在するが、C末端部のいくつかの残基でバリアントアミノ酸残基のある程度の許容性がある。たとえば、ACE2ペプチドは、以下の配列のうちの任意の1つを含んでもよい:ヒト由来のACE2ペプチド(TGIRDRKKKNKARSGENPYASIDISKGENNPGFQNTDDVQTSF)又はその断片、トビイロホオヒゲコウモリ(Myotis lucifugus)由来のACE2ペプチド(TGIRDRKKKKQAGNEENPYSSVNLSKGENNPGFQNGDDVQTSF)又はその断片、ネコ(Felis catus)由来のACE2ペプチド(SGIRNRRKNNQARSEENPYASVDLSKGENNPGFQHADDVQTSF)又はその断片、イヌ(Canis lupus familiaris)由来のACE2ペプチド(SGIRNRRKNDQARGEENPYASVDLSKGENNPGFQNVDDAQTSF)又はその断片、フタコブラクダ(Camelus ferus)由来のACE2ペプチド(TGIRDRRKKKQASTEENPYGSVDLSKGENNSGFQNGDDVQTSF)又はその断片;カニクイザル由来のACE2ペプチド(TGIRDRKKKNQARSEENPYASIDINKGENNPGFQNTDDVQTSF)。
【0122】
[0142]さらに高い配列同一性が、核転座部位に対応する領域(たとえば配列番号1に記載のヒトACE2タンパク質配列所在(reside)767~776に対応)にわたって存在する。たとえば、一部の実施形態では、ACE2ペプチドは、ヒトACE2由来のACE2タンパク質NLSアミノ酸配列(DRKKKNKARS)、以下に由来するNLSペプチド:トビイロホオヒゲコウモリACE2(DRKKKKQAGN)、ネコACE2(NRRKNNQARS)、イヌACE2(NRRKNDQARG)、フタコブラクダACE2(DRRKKKQAST)、又はカニクイザルACE2(DRKKKNQARS)に対応するアミノ酸配列を含む。
【0123】
[0143]本発明のACE2ペプチド及びポリペプチドをコードする例示的なヌクレオチド配列は、完全長ACE2遺伝子、及びACE2(斜体)遺伝子の完全長若しくは実質的に完全長のヌクレオチド配列の一部分又はその転写物若しくはこれらの転写物のACE2(斜体)コピーを包含する。ACE2(斜体)ヌクレオチド配列の一部分は、ネイティブポリペプチドの生物活性を保持するポリペプチド部分又はセグメントをコードしてもよい(たとえば核転座)。ACE2(斜体)ポリペプチドの生物活性のある断片をコードするACE2ヌクレオチド配列の一部分は、少なくとも約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個、若しくはそれより多くの隣接したアミノ酸残基、又は完全長ACE2ポリペプチド中に存在するアミノ酸のほぼ合計数までをコードしてもよい。
【0124】
[0144]本発明はまた、ACE2(斜体)ヌクレオチド配列のバリアントも企図する。核酸バリアントは、対立遺伝子バリアント(同じ座位)、相同体(異なる座位)、及び相同分子種(異なる生物)などの天然に存在する場合がある、又は天然に存在しない場合がある。これらなどの天然に存在する核酸バリアント(本明細書中でポリヌクレオチドバリアントとも呼ぶ)は、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び当分野で知られているハイブリダイゼーション技法を用いた、周知の分子生物学的技法の使用を用いて同定することができる。天然に存在しないポリヌクレオチドバリアントは、ポリヌクレオチド、細胞、又は生物に適用されるものを含めた突然変異誘発技法によって作製することができる。バリアントは、ヌクレオチドの置換、欠失、反転、及び挿入を含有することができる。
【0125】
[0145]バリアント変化は、コード及び非コード領域のどちらか又は両方中に存在することができる。バリアント変化は、保存的及び非保存的アミノ酸置換をどちらも生じることができる(コードされている産物中で比較)。ヌクレオチド配列では、保存的バリアントは、遺伝暗号の縮重が原因で参照ACE2ペプチド又はポリペプチドのアミノ酸配列をコードする配列を含む。バリアントヌクレオチド配列はまた、たとえば部位特異的突然変異誘発を使用することによって作製したが、依然としてACE2ペプチド又はポリペプチドをコードするものなどの、合成由来のヌクレオチド配列も含む。一般に、特定のACE2(斜体)ヌクレオチド配列のバリアントは、本明細書中の他の箇所に記載した配列アラインメントプログラムによって初期設定パラメータを使用して決定して、その具体的なヌクレオチド配列に対して少なくとも約40%、45%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより高い配列同一性を有する。一部の実施形態では、ACE2(斜体)ヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列又はその補体に対して少なくとも約40%、45%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、.80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより高い配列同一性を示す。
【0126】
[0146]ACE2(斜体)ヌクレオチド配列を使用して、対応する配列及び対立遺伝子を他の生物、特に他のウイルス宿主から単離することができる。核酸配列のハイブリダイゼーションのための方法が当分野で容易に利用可能である。他の生物からのコード配列は、周知の技法に従って、本明細書中に記載のコード配列とのその配列同一性に基づいて単離してもよい。これらの技法では、既知のコード配列の全部又は一部を、選択された生物(たとえば哺乳動物)からのクローニングしたゲノムDNA断片又はcDNA断片(すなわちゲノム又はcDNAライブラリ)の集団中に存在する他のACE2コード配列と選択的にハイブリダイズするプローブとして使用する。したがって、本発明はまた、以下に記載のストリンジェンシー条件下で参照ACE2ヌクレオチド配列又はその補体とハイブリダイズするポリヌクレオチドも企図する。本明細書中で使用する用語「低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、高ストリンジェンシー、又は超高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」とは、ハイブリダイゼーション及び洗浄のための条件を説明する。ハイブリダイゼーション反応を行うためのガイダンスは、Ausubelら、(1998、上記)、セクション6.3.1~6.3.6中に見つけることができる。水性及び非水性方法がその参考文献中に記載されており、どちらも使用することができる。本明細書中における低ストリンジェンシー条件への言及は、少なくとも約1%v/v~少なくとも約15%v/vのホルムアミド及び少なくとも約1M~少なくとも約2Mの塩で、42℃でのハイブリダイゼーション、並びに少なくとも約1M~少なくとも約2Mの塩で、42℃での洗浄を含むかつ包含する。低ストリンジェンシー条件はまた、1%のウシ血清アルブミン(BSA)、1mMのEDTA、0.5MのNaHPO4(pH7.2)、7%のSDSで、65℃でのハイブリダイゼーション、及び(i)2×SSC、0.1%のSDS、又は(ii)0.5%のBSA、1mMのEDTA、40mMのNaHPO4、pH7.2)、5%のSDSで、室温での洗浄も含んでもよい。低ストリンジェンシー条件の一実施形態は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.2×SSC、0.1%のSDS中、少なくとも50℃(低ストリンジェンシー条件では洗浄の温度を55℃まで上げることができる)で2回の洗浄を含む。中ストリンジェンシー条件は、少なくとも約16%v/v~少なくとも約30%v/vのホルムアミド及び少なくとも約0.5M~少なくとも約0.9Mの塩で、42℃でのハイブリダイゼーション、並びに少なくとも約0.1M~少なくとも約0.2Mの塩で、55℃での洗浄を含むかつ包含する。中ストリンジェンシー条件はまた、1%のウシ血清アルブミン(BSA)、1mMのEDTA、0.5MのNaHP0(pH7.2)、7%のSDSで、65℃でのハイブリダイゼーション、及び(i)2×SSC、0.1%のSDS、又は(ii)0.5%のBSA、1mMのEDTA、40mMのNaHPO4(pH7.2)、5%のSDSで、60~65℃での洗浄も含んでもよい。中ストリンジェンシー条件の一実施形態は、6×SSC中、約45℃でハイブリダイゼーションさせること、続いて、0.2×SSC、0.1%のSDS中、60℃での1回又は複数回の洗浄を含む。高ストリンジェンシー条件は、少なくとも約31%v/v~少なくとも約50%v/vのホルムアミド及び約0.01M~約0.15Mの塩で、42℃でのハイブリダイゼーション、並びに約0.01M~約0.02Mの塩で、55℃での洗浄を含むかつ包含する。高ストリンジェンシー条件はまた、1%のBSA、1mMのEDTA、0.5MのNaHPO4(pH7.2)、7%のSDSで、65℃でのハイブリダイゼーション、及び(i)0.2×SSC、0.1%のSDS、又は(ii)0.5%のBSA、1mMのEDTA、40mMのNaHPO4(pH7.2)、1%のSDSで、65℃を超える温度での洗浄も含んでもよい。高ストリンジェンシー条件の一実施形態は、6×SSC中、約45℃でハイブリダイゼーションさせること、続いて、0.2×SSC、0.1%のSDS中、65℃での1回又は複数回の洗浄を含む。
【0127】
[0147]ある特定の実施形態では、ACE2ペプチド又はポリペプチドは、超高ストリンジェンシー条件下で開示したヌクレオチド配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされている。超高ストリンジェンシー条件の一実施形態は、0.5Mのリン酸ナトリウム、7%のSDS中、65℃でハイブリダイズさせること、続いて、0.2×SSC、1%のSDS中、65℃での1回又は複数回の洗浄を含む。
【0128】
[0148]他のストリンジェンシー条件は当分野で周知であり、当業者は、ハイブリダイゼーションの特異性を最適化するために様々な要因を操作できることを理解するであろう。最終洗浄のストリンジェンシーの最適化は、高い度合のハイブリダイゼーションを確実にする役割を果たすことができる。詳細な例には、Ausubelら、上記のページ2.10.1~2.10.16及びSambrookら(上記)のセクション1.101~1.104を参照されたい。
【0129】
[0149]ストリンジェントな洗浄は、典型的には約42℃~68℃の温度で実施する一方で、当業者には、他の温度がストリンジェントな条件に適切なことがあることを理解されよう。最大ハイブリダイゼーション率は、典型的には、Tm又はDNA-DNAハイブリッドの形成の約20℃~25℃下で起こる。Tmが融解温度、又は2本の相補的ポリヌクレオチド配列が解離する温度であることは、当分野で周知である。Tmを推定するための方法は当分野で周知である(Ausubelら、上記、ページ2.10.8を参照)。一般的に、完全に一致したDNAの二重鎖のTmは、以下の式によって近似として予測してもよい:
[0150]Tm=81.5+16.6(log10M)+0.41(%G+C)-0.63(%ホルムアミド)-(600/長さ)
[0151][式中、MはNa+の濃度であり、好ましくは0.01モーラー~0.4モーラーの範囲であり、%G+Cは、塩基の合計数のとしての百分率グアノシン及びシトシン塩基の和であり、30%~75%のG+Cの範囲内であり、%ホルムアミドは、体積によるパーセントホルムアミド濃度であり、長さは、DNA二重鎖中の塩基対の数である]。二重鎖DNAのTmは、ランダムにミスマッチした塩基対の数が1%増加するごとにおよそ1℃下がる。洗浄は、一般に、高ストリンジェンシーではTm-15℃、又は中等度ストリンジェンシーではTm-30℃実施する。
【0130】
[0152]ハイブリダイゼーション手順の一例では、固定したDNAを含有する膜(たとえばニトロセルロース膜又はナイロン膜)を、終夜、42℃で、標識したプローブを含有するハイブリダイゼーション緩衝液(50%の脱イオン化ホルムアミド、5×SSC、5×デンハート液(0.1%のフィコール、0.1%のポリビニルピロリドン、及び0.1%のBSA)、0.1%のSDS、並びに200mg/mlの変性サケ精子DNA)中でハイブリダイズする。その後、膜を、2回の順次の中ストリンジェンシー洗浄(すなわち、2×SSC、0.1%のSDSで15分間、45℃、次いで2×SSC、0.1%のSDSで15分間、50℃)、続いて2回の順次のより高いストリンジェンシーの洗浄(すなわち、0.2×SSC、0.1%のSDSで12分間、55℃、次いで0.2×SSC及び0.1%のSDS溶液で12分間、65~68℃に供する。
【0131】
[0153]本発明はまた、望ましくない又は有害な免疫応答を処置又は防止するために、ACE2キメラ又は融合タンパク質の使用も企図する。本明細書中で使用するACE2「キメラタンパク質」又は「融合タンパク質」とは、非ACE2ペプチド又はポリペプチドと連結したACE2ペプチド又はポリペプチドを含む。「非ACE2ペプチド又はポリペプチド」とは、ネイティブACE2とは異なり、同じ又は異なる生物に由来するタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するペプチド又はポリペプチドをいう。融合タンパク質のACE2ペプチド又はポリペプチドは、全部又は一部分、たとえばACE2ポリペプチドアミノ酸配列の本明細書中に記載の断片に対応することができる。具体的な実施形態では、ACE2融合タンパク質は、ACE2ポリペプチドの少なくとも1つの生物活性のある一部分を含む。非ACE2ペプチド又はポリペプチドは、ACE2ペプチド又はポリペプチドのN末端又はC末端と融合させることができる。
【0132】
[0154]融合タンパク質は、リガンドに対して高親和性を有する部分を含むことができる。たとえば、融合タンパク質は、ACE2配列がGST配列のC末端と融合している、GST-ACE2融合タンパク質であることができる。そのような融合タンパク質は、組換えACE2ペプチド又はポリペプチドの精製を容易にすることができる。あるいは、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含有するACE2タンパク質であることができる。特定の宿主細胞(たとえば哺乳動物宿主細胞)では、異種シグナル配列の使用を通じてACE2ペプチド又はポリペプチドの発現及び/又は分泌を増加させることができる。一部の実施形態では、融合タンパク質は、血清タンパク質の全部又は一部、たとえばIgG定常領域又はヒト血清アルブミンを含んでもよい。
【0133】
[0155]本発明のACE2融合タンパク質は、医薬組成物内に取り込み、対象にin vivoで投与することができる。また、これらを、ACE2ペプチド又はポリペプチドの生体利用能を変調させるために使用することもできる。
3.治療用組成物
[0156]本発明者らは、ネイティブACE2タンパク質のC末端ドメイン(すなわち配列番号1に記載のネイティブヒトACE2タンパク質のアミノ酸残基763~805に対応)がSARS-CoV感染に重要ないくつかの活性において重要な役割を果たすことを確定した。すなわち、これらの活性は、(i)ウイルス侵入を容易にすること(たとえばSARS-CoVスパイクタンパク質と係合することによる)、(ii)核転座(核シャトルタンパク質IMPαと結合することによる)、及び(iii)ACE2タンパク質をプロテアソーム分解について標的化すること(E3リガーゼによるユビキチン化を通じて)を含む。重要なことに、これらの機能のそれぞれは、ACE2タンパク質のC末端部領域上に存在するメチル化部位(複数可)のLSD1媒介性メチル化/脱メチル化によって直接又は間接的に調節される。
【0134】
[0157]したがって、本発明に従って、上述した又は本明細書中他の箇所に記述した少なくとも1つのACE2ペプチド、又はペプチドがそれから発現可能なポリヌクレオチド、及び任意選択で抗ウイルス剤を使用して、SARS-CoVウイルス複製の防止を達成することができる。
【0135】
3.1 医薬配合物
[0158]本発明に従って、ACE2ペプチド又はポリペプチドから選択される生物活性薬剤、及び任意選択で抗ウイルス剤が、コロナウイルス感染処置するため、より詳細には宿主細胞におけるコロナウイルス複製を防止する又は減らすための組成物及び方法において有用である。したがって、これらの組成物は、コロナウイルス感染を処置又は防止するために有用である。
【0136】
[0159]本発明における使用に適した医薬組成物は、生物活性薬剤がその意図する目的を達成するために有効量で含有される組成物を含む。患者に投与する活性化合物(複数可)の用量は、適切にはアレルギー、自己免疫疾患、及び移植片拒絶から選択される状態に関連する、所望しない又は有害な免疫応答に関連する少なくとも1つの症状の低下などの、患者における経時的な有益応答を達成するために、十分であるべきである。投与する薬学的活性のある化合物(複数可)の量又は用量頻度は、その年齢、性別、体重、及び全体的な健康状態を含めた処置する対象に依存してもよい。この観点から、投与のための活性化合物(複数可)の正確な量は従事者の判断に依存する。所望しない又は有害な免疫応答の処置又は予防における、投与する活性化合物(複数可)の有効量を決定するにあたって、従事者は、炎症、炎症誘発性サイトカインレベル、リンパ球増殖、細胞溶解性Tリンパ球活性、及び調節性Tリンパ球機能を評価してもよい。いずれにしても、当業者は、拮抗剤及び抗原の適切な投与量を容易に決定することができる。
【0137】
[0160]したがって、生物活性薬剤は、剤形に適合性のある様式で、かつ予防上及び/又は治療上有効となる量で、処置する対象に投与する。送達する組成物の量は、一般に、1用量あたり0.01μg/kg~100μg/kgの範囲の生物活性分子(たとえば、ACE2ペプチド、抗ウイルス剤など)であり、処置する対象に依存する。一部の実施形態では、かつ意図する投与様式に依存して、ACE2ペプチド含有組成物は、一般に、重量で約0.1%~90%、約0.5%~50%、又は約1%~約25%のACE2を含有し、残りは、適切な医薬担体及び/又は希釈剤など、並びに任意選択で抗ウイルス剤である。阻害剤の投与量は、投与様式、罹患した対象の種、年齢、及び/又は個々の状態などの様々な要因に依存する場合がある。他の実施形態では、かつ意図する投与様式に依存して、抗ウイルス剤含有組成物は、一般に、重量で約0.1%~90%、約0.5%~50%、又は約1%~約25%の抗ウイルス剤を含有し、残りは、適切な医薬担体及び/又は希釈剤など、並びにACE2ペプチド又はポリペプチドである。
【0138】
[0161]処置する感染の具体的な性質に応じて、粒子は、全身、局所、又は外用用に配合及び投与してもよい。配合及び投与の技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州Easton、最新版中に見つけることができる。適切な経路としては、たとえば、経口、直腸、経粘膜、又は腸管投与、また、筋肉内、皮下、経皮的、皮内、髄内送達(たとえば注射)、及びくも膜下腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、又は眼内送達(たとえば注射)を含めた非経口送達を挙げることができる。注射には、本発明の生物活性薬剤は、水溶液、適切には、ハンクス溶液、リンゲル液、又は生理食塩水緩衝液などの生理的に適合性のある緩衝液中で配合してもよい。経粘膜投与には、透過させる障壁に適した浸透剤を配合物中で使用する。そのような浸透剤は一般に当分野で知られている。
【0139】
[0162]本発明の組成物は、許容できる希釈剤(生理食塩水及び滅菌水など)を含有する液体の形態で投与するために配合してもよい、又は、所望の触感、稠度、粘度、及び外見を与えるために許容できる希釈剤若しくは担体を含有するローション、クリーム、若しくはゲルの形態であってもよい。許容できる希釈剤及び担体は当業者が精通しており、それだけには限定されないが、エトキシ化した及びエトキシ化していない界面活性剤、脂肪アルコール、脂肪酸、炭化水素油(パーム油、ヤシ油、及び鉱物油など)、カカオ脂ワックス、シリコン油、pHバランス剤、セルロース誘導体、非イオン性の有機及び無機塩基などの乳化剤、保存料、ワックスエステル、ステロイドアルコール、トリグリセリドエステル、レシチン及びセファリンなどのリン脂質、多価アルコールエステル、脂肪アルコールエステル、親水性ラノリン誘導体、並びに親水性蜜蝋誘導体が挙げられる。
【0140】
[0163]あるいは、本発明の生物活性薬剤は、当分野で周知の薬学的に許容できる担体を使用して、やはり本発明の実施のために企図される、経口投与に適切な剤形へと容易に配合することができる。そのような担体は、本発明の生物活性薬剤を、錠剤、丸薬、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などの剤形で、処置する患者による経口摂取のために配合することを可能にする。これらの担体は、糖、デンプン、セルロース及びその誘導体、麦芽、ゼラチン、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、等張生理食塩水、及び発熱物質非含有水から選択されてもよい。
【0141】
[0164]非経口投与のための医薬配合物は、水溶性形態の粒子の水溶液を含む。さらに、生物活性薬剤の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製してもよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。任意選択で、懸濁液はまた、適切な安定化剤、又は高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる薬剤も含有してもよい。
【0142】
[0165]経口使用のための医薬調製物は、生物活性薬剤を固形賦形剤と合わせ、所望する場合は適切な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工処理して、錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって、得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含めた糖、たとえば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物等の充填剤である。所望する場合は、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩等の崩壊剤を加えてもよい。そのような組成物は、薬学方法のうちの任意のものによって調製してもよいが、すべての方法は、上述の1つ又は複数の治療剤を、1つ又は複数の必要な成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般的に、本発明の医薬組成物は、それ自体が知られている様式で、たとえば、慣用の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、すりつぶし、乳化、カプセル封入、封入、又は凍結乾燥プロセスによって製造してもよい。
【0143】
[0166]糖衣錠コアは適切なコーティングを用いて提供される。この目的のために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を任意選択で含有してもよい、濃縮糖溶液を使用してもよい。粒子用量の様々な組合せを同定する又は特徴づけるために、色素又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに加えてもよい。
【0144】
[0167]経口使用することができる医薬としては、ゼラチンから作られる押し込み型カプセル、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑化剤から作られる柔らかい密封カプセルが挙げられる。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、並びに任意選択で安定化剤と混合した活性成分を含有することができる。軟カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解又は懸濁されていてもよい。さらに、安定化剤を加えてもよい。
【0145】
[0168]本発明の生物活性薬剤は、処置する状態の重篤度、状態の再発の可能性が高いと考えられるか、などを含めた、いくつかの要因に応じて、数時間、数日間、数週間、又は数カ月間の期間にわたって投与してもよい。投与は、定常的、たとえば、数時間、数日間、数週間、数カ月間などの期間にわたる定常的な輸液であってもよい。あるいは、投与は断続的であってもよく、たとえば、生物活性薬剤は、数日間の期間にわたって1日1回、数時間にわたって1時間に1回、又は適切と考えられる任意の他のそのようなスケジュールで投与してもよい。
【0146】
[0169]本発明の生物活性薬剤はまた、経鼻若しくは肺吸入エアロゾル又は噴霧器用の溶液として、あるいはガス注入のための微細粉末として、単独で、又はラクトースなどの不活性担体若しくは他の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせて、気道に投与してもよい。
【0147】
[0170]他の具体的な粒子状の実施形態では、粒子送達の経路は、胃腸管を介するもの、たとえば経口である。あるいは、粒子は、肺などの臓器内に導入することができ(たとえば、粉末化した微粒子又は微粒子を含有する噴霧化若しくはエアロゾル化した溶液の吸入による)、ここで粒子が肺胞マクロファージによって拾われるか、あるいは、鼻腔内又は頬側で投与してもよい。食細胞が粒子を貪食した後、ACE2ペプチド及び任意選択で抗ウイルス剤が細胞内に放出される。
【0148】
3.ACE2の核転座並びにSARS-CoVの宿主細胞侵入及び/又は複製を防止する方法
[0171]本発明者らは、翻訳後修飾がウイルスの細胞侵入受容体ポリペプチド、特にACE2タンパク質の機能的活性の調節において顕著な役割を果たすことを確定した。たとえば、複数のメチル化部位が、(i)ACE2タンパク質の核移行配列(NLS)、及び(ii)ACE2タンパク質の触媒ドメインのどちら中でも同定されている。したがって、本発明のACE2ペプチドを投与することは、宿主ACE2タンパク質に行使される脱メチル化活性を減らし(たとえばLSD1タンパク質の競合的阻害を通じて)、これはいくつかの有利な活性をもたらす(たとえば、ACE2のユビキチン化を可能にしてプロテアソーム分解をシグナル伝達すること、ACE2タンパク質とIMPαとの結合の阻害/低下、及びそれ故にACE2タンパク質の核転座の低下など)。したがって、一部の実施形態では、宿主細胞中におけるSARS-CoVのウイルス複製を防止する又は減らすために、ACE2ペプチド(又はACE2ペプチド配列を含むタンパク質性分子)を対象に投与する。
【0149】
[0172]したがって、一部の実施形態では、本発明のタンパク質性分子は、ACE2とIMPαとの結合を阻害する又は減らすことによって、ACE2の核転座を防止する。この種類の一部の好ましい実施形態では、本発明は、ACE2のNLSに対応するポリペプチド(すなわち配列番号3に記載のアミノ酸配列)を含む。
【0150】
[0173]あるいは、又はそれに加えて、本発明は、対象に、上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したACE2ペプチドを投与することを含む、ベータコロナウイルスの宿主の細胞内への侵入を阻害する方法にまで及ぶ。任意の特定の理論又は機構によって束縛されることを望まずに、宿主ACE2タンパク質のLSD1脱メチル化を阻害することによって、タンパク質は、核へと輸送されるのではなく、プロテアソーム分解の標的となる(続くE3リガーゼによるユビキチン化によって)。ACE2タンパク質の核翻訳は、ACE2がSARS-CoVのウイルス複製においてその活性を行使するために必須である。
【0151】
[0174]本発明の一部の特に重要な実施形態では、コロナウイルスはSARS-CoV-2である。
【0152】
5.治療的及び予防的使用
[0175]本発明に従って、ACE2タンパク質(たとえば、上述した及び/又は本明細書中他の箇所に記述したACE2ペプチド)のLSD1媒介性脱メチル化を阻害するタンパク質性分子が、ウイルス感染(たとえばSARS-CoV感染)を処置又は防止するための活性物質及び/又は医薬組成物として有用であることが提案される。そのような実施形態では、処置又は防止は、それを必要とする個体に投与した場合に、症状の発生を防止すること、そのような症状を抑制して保つこと、又はSARS-CoV感染に関連する既存の症状を処置することを含むと考えられる。
【0153】
[0176]対象(たとえば哺乳動物)に投与した場合にACE2核移行を減らす本発明のタンパク質性分子(たとえばACE2とIMPαとの間の相互作用を防止することによって)は、肺中におけるCD3+パーフォリン+細胞の発現の増加をもたらす。さらに、これらのタンパク質性分子を、SARS-CoV-2感染を有する対象(たとえば哺乳動物)に投与することは、炎症の減少をもたらす。一部の実施形態では、炎症の減少は対象の肺中で起こる。好ましくは、対象は哺乳動物、さらにより好ましくはヒトである。
【0154】
[0177]阻害剤が薬学的に活性のある限りは、上述した又は本明細書中他の箇所に記述したACE2ペプチドのうちの任意のものを、本発明の組成物及び方法において使用することができる。「薬学的に活性のある」ACE2ペプチドは、それを必要とする個体に投与した場合に、症状の発生を防止すること、そのような症状を抑制して保つこと、又は感染に関連する既存の症状を処置することを含めた、SARS-CoV感染、特にSARS-CoV-2感染の処置及び/又は防止をもたらす形態にある。
【0155】
[0178]本発明の方法において使用するための、投与様式、投与するACE2ペプチドの量、及びACE2ペプチド配合物はルーチン的であり、当業者の技術範囲内にある。SARS-CoV感染、特にSARS-CoV-2感染が処置されたかどうかは、適切な対照と比較して、疾患の経過の指標である1つ又は複数の診断的パラメータを測定することによって決定する。動物実験の場合、「適切な対照」は、ACE2ペプチドで処置していない動物、又はACE2ペプチドを含まない医薬組成物で処置した動物である。ヒト対象の場合、「適切な対照」は、処置前の個体であってもよいか、又は、プラセボで処置したヒト(たとえば年齢が一致した若しくは同様である対照)であってもよい。本発明に従って、SARS-CoV感染の処置は、それだけには限定されないが、(1)SARS-CoVウイルス(たとえばSARS-CoV-2ウイルス)の宿主の細胞内への取り込みを防止すること、(2)対象におけるSARS-CoV感染(たとえばSARS-CoV-2感染)を処置すること、(3)SARS-CoV感染に対する素因を有するが、未だSARS-CoV感染を診断されていない対象におけるSARS-CoV感染(たとえばSARS-CoV-2感染)を防止することであり、したがって、処置はSARS-CoV感染の予防的処置から構成されること、又は(iii)SARS-CoV感染(たとえばSARS-CoV-2感染)の回帰を引き起こすことを含むかつ包含する。
【0156】
[0179]したがって、本発明の組成物及び方法は、コロナウイルス感染を診断された個体、SARS-CoV感染を有することが疑われる個体、SARS-CoV感染に対して感受性であることが知られ、SARS-CoV感染を発生する可能性が高いと考えられる個体、又は以前に処置したSARS-CoV感染の再発を発生する可能性が高いと考えられる個体を処置するために適している。典型的には、コロナウイルス感染はSARS-CoV-1又はSARS-CoV-2感染である。一部の好ましい実施形態では、コロナウイルス感染はSARS-CoV-2感染である。
【0157】
[0180]一部の実施形態では、かつ意図する投与様式に依存して、ACE2ペプチド含有組成物は、一般に、重量で約0.000001%~90%、約0.0001%~50%、又は約0.01%~約25%のACE2ペプチドを含有し、残りは適切な医薬担体又は希釈剤などである。ACE2ペプチドの投与量は、投与様式、罹患した対象の種、年齢、性別、体重、及び全体的な健康状態などの様々な要因に依存する場合があり、標準のプロトコルを使用して当業者によって容易に決定することができる。投与量はまた、ACE2ペプチドのその標的分子(たとえば、IMPα、LSD1など)に対する結合親和性、その生体利用能、並びにそのin vivo及び薬物動態学的特性も考慮に入れる。この観点から、投与のための薬剤の正確な量は、従事者の判断にも依存する場合がある。病原性感染の処置又は防止において投与する薬剤の有効量を決定するにあたって、医師又は獣医師は、疾患の進行又は状態を経時的に評価してもよい。いずれにしても、当業者は、必要以上の実験を行わずに、LSD1阻害剤の適切な投与量を容易に決定することができる。患者に投与する活性物質の投与量は、機能障害、ウイルスの宿主の細胞内への取り込みの抑止若しくは防止、及び/又はSARS-CoV感染(たとえばコロナウイルス感染、たとえばSARS-CoV-2感染)の処置及び/若しくは防止などの、患者における経時的な有益応答を達成するために、十分であるべきである。投与量は、血液悪性腫瘍の症状を寛解させるために適切な間隔で投与してもよい。そのような間隔は、当業者に知られているルーチン手順を使用して確認することができ、用いる活性薬剤の種類及びその配合物に応じて変動する場合がある。たとえば、間隔は、1日1回、隔日、週に1回、隔週、月に1回、月に2回、年に4回、半年に1回、又は年に1回であってもよい。
【0158】
[0181]投与量の量及び間隔は、その阻害効果を維持するために十分である活性薬剤の血漿レベルを提供するために個々に調節してもよい。全身投与のための通常の患者投与量は、1~2000mg/日、一般的に1~250mg/日、典型的には10~150mg/日の範囲である。患者の体重の観点から記述すると、通常の投与量は、0.02~25mg/kg/日、一般的に0.02~3mg/kg/日、典型的には0.2~1.5mg/kg/日の範囲である。患者の体表面積の観点から記述すると、通常の投与量は、0.5~1200mg/m2/日、一般的に0.5~150mg/m2/日、典型的には5~100mg/m2/日の範囲である。
【0159】
[0182]本発明の実施に従って、ACE2ペプチドによるLSD(たとえばLSD1及びLSD2)の阻害は、細胞表面上のACE2タンパク質のレベルの低下、したがってウイルスの宿主の細胞内への取り込みの低下をもたらす。これは、立ち代って、より少ないウイルス感染細胞をもたらす。したがって、補助的な癌治療又は薬剤を用いたウイルス感染のより有効な処置が起こるであろうことが予想される。したがって、本発明は、ACE2ペプチドを、少なくとも1つの抗ウイルス剤と同時発生的に投与することをさらに企図する。ACE2ペプチドは、抗ウイルス剤の後に治療的に使用してもよい、又は抗ウイルス剤を投与する前若しくは抗ウイルス剤と一緒に使用してもよい。したがって、本発明は、ACE2ペプチド及び抗ウイルス剤の同時発生的投与を用いる組合せ療法を企図し、抗ウイルス剤の非限定的な例としては、広域抗ウイルス剤及びコロナウイルス特異的抗ウイルス剤が挙げられる。
【0160】
[0183]上述した又は本明細書中他の箇所に記述したACE2ペプチドは、SARS-CoV感染の処置における単独療法又は組合せ療法での使用のために特に有効な抗ウイルス剤である。そのような組合せ療法の利点のうちの1つは、同様のレベルの抗ウイルス有効性を依然として達成したままで、より低い用量の他の抗ウイルス剤を投与できることである。そのようなより低い投与量は、遺伝毒性及びミトコンドリア毒性を有することが知られている薬物(たとえば一部のヌクレオシド類似体)に特に有用な場合がある。逆に、治療的用量の2つの薬物を使用して、単一の薬物のみを使用して達成できるよりも高い有効性が達成される可能性がある。
【0161】
抗ウイルス剤
[0184]抗ウイルス剤は、それだけには限定されないが、微生物(ウイルスを含む)を死滅させる又はその成長を阻害する化合物、及び抗ウイルス薬を含めた抗微生物剤から適切に選択される。
【0162】
[0185]例示的な抗ウイルス薬としては、硫酸アバカビル、アシクロビルナトリウム、塩酸アマンタジン、アンプレナビル、クロロキン、シドホビル、メシル酸デラビルジン、ジダノシン、エファビレンツ、ファビピラビル、ファムシクロビル、ホミビルセンナトリウム、ホスカルネットナトリウム、ガンシクロビル、ヒドロキシクロロキン、ヒドロキノン、硫酸インジナビル、ラミブジン、ラミブジン/ジドブジン、ロピナビル、メシル酸ネルフィナビル、ネビラピン、リン酸オセルタミビル、リバビリン、レムデシビル、塩酸リマンタジン、リトナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、スタブジン、塩酸バラシクロビル、ザルシタビン、ザナミビル、及びジドブジンが挙げられる。
【0163】
[0186]一部の代替実施形態では、ACE2ペプチドは、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、及び/又はヒドロキノンを含めた抗微生物剤と共に同時投与してもよい。
【0164】
[0187]同実施形態の一部及び一部の代替実施形態では、抗ウイルス剤は組換えIFN-γポリペプチド(UniProt受託番号P01574)を含む。この種類の一部の実施形態では、抗ウイルス剤は、IFN-γポリペプチドの少なくとも一部分、又はIFN-γポリペプチドのバリアントを含む。
【0165】
[0188]上記のように、本発明は、追加の薬剤と合わせたACE2ペプチドの同時投与を包含する。ACE2ペプチド及び他の薬剤の投与を含む実施形態では、組合せ中の活性物質の投与量は、それ自体で有効量を含んでもよく、追加の薬剤(複数可)は、患者に対する治療的又は予防的利点をさらに増大させてもよいことを理解されたい。あるいは、ACE2ペプチド及び追加の薬剤(複数可)は、一緒になってSARS-CoV-2感染を防止又は処置するための有効量を含んでもよい。また、有効量は、たとえば、投与のタイミング及び回数、投与様式、配合物などを含めた具体的な治療レジメンの状況下において定義されてもよいことも理解されたい。一部の実施形態では、ACE2ペプチド及び任意選択で抗ウイルス剤をルーチンスケジュールで投与する。あるいは、抗ウイルス剤は、症状が生じた際に投与してもよい。本明細書中で使用する「ルーチンスケジュール」とは、事前に決定された指定された期間をいう。ルーチンスケジュールは、スケジュールが事前に決定されている限りは、長さが同一である又は異なる一定期間を包含してもよい。たとえば、ルーチンスケジュールは、1日1回ベース、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、週に1回ベース、月に1回ベース、又はその間の任意の設定した日数又は週数、2カ月毎、3カ月毎、4カ月毎、5カ月毎、6カ月毎、7カ月毎、8カ月毎、9カ月毎、10カ月毎、11カ月毎、12カ月毎などの、ACE2ペプチドの投与を含んでもよい。あるいは、事前に決定されたルーチンスケジュールは、最初の1週間は1日1回ベース、続いて数カ月間の月に1回ベース、及びその後は3カ月毎の、ACE2ペプチド及び抗ウイルス剤の同時発生的投与を含んでもよい。適切なスケジュールが特定の日での投与を含むことが事前に決定されている限りは、任意の特定の組合せがルーチンスケジュールによってカバーされる。
【0166】
[0189]さらに、本発明は、ACE2ペプチド及び任意選択で感染を処置するために有用な抗ウイルス剤を含む、ウイルス(たとえばSARS-CoV-2)の宿主の細胞への取り込みを減らす又は抑止するための医薬組成物を提供する。本発明の配合物は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存料、適合性のある担体、アジュバント、及び任意選択で他の治療的成分をルーチン的に含有してもよい、薬学的に許容できる溶液中で投与する。処置する具体的な状態に応じて、配合物は全身的又は局所的に投与してもよい。配合及び投与の技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州Easton、最新版中に見つけることができる。適切な経路としては、たとえば、経口、直腸、経粘膜、又は腸管投与、また、筋肉内、皮下、髄内注射、及びくも膜下腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、又は眼内注射を含めた非経口送達を挙げることができる。注射には、本発明の活性薬剤又は薬物は、水溶液、適切には、ハンクス溶液、リンゲル液、又は生理食塩水緩衝液などの生理的に適合性のある緩衝液中で配合してもよい。経粘膜投与には、透過させる障壁に適した浸透剤を配合物中で使用する。そのような浸透剤は一般に当分野で知られている。
【0167】
[0190]本発明の薬物剤形はまた、この目的のために具体的に設計された徐放性装置、又はこの様式で追加に作用するように改変した他の形態の植込み錠を注射又は植え込むことを含んでもよい。本発明の薬剤の徐放性は、これを、たとえば、アクリル樹脂、ワックス、高級脂肪族アルコール、ポリ乳酸とポリグリコール酸を含めた疎水性ポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの特定のセルロース誘導体でコーティングすることによって達成してもよい。さらに、徐放性は、他のポリマーマトリックス、リポソーム、又はミクロスフェアを使用することによって達成してもよい。
【0168】
[0191]本発明の薬物は、薬学的に適合性のある対イオンとの塩として提供してもよい。薬学的に適合性のある塩は、それだけには限定されないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含めた多くの酸を用いて形成してもよい。塩は、水性又は対応する遊離塩基形態である他のプロトン性溶媒中でより可溶性となる傾向がある。
【0169】
[0192]本発明の方法において使用する任意の化合物について、治療上有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推定することができる。たとえば、細胞培養物において決定したIC50(たとえば、ACE2ペプチドの活性の最大半量阻害を達成する活性薬剤の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するために、用量を動物モデルにおいて形成することができる。そのような情報をより正確に使用して、ヒトにおける有用な用量を決定することができる。
【0170】
[0193]そのような薬物の毒性及び治療上の有効性は、たとえばLD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養物又は実験動物における標準の医薬手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、比LD50:ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータを使用して、ヒトにおいて使用するための投与量の範囲を形成することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がわずかである又はない、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。用いる剤形及び利用する投与経路に応じて、投与量はこの範囲内で変動してもよい。正確な配合物、投与経路、及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる(たとえばFinglら、1975、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、第1章を参照)。
【0171】
[0194]あるいは、化合物を、全身的ではなく局所的様式で、たとえば、好ましくは皮下又は大網組織である組織内に直接、多くの場合はデポー又は持続放出配合物中での、化合物の注射を介して投与してもよい。
【0172】
[0195]さらに、標的化薬物送達系において、たとえば組織特異的抗体をコーティングしたリポソーム中で、薬物を投与してもよい。リポソームは組織に標的化され、組織によって選択的に取り込まれる。
【0173】
[0196]局所投与又は選択的取り込みの場合は、薬剤の有効な局所的濃度は血漿濃度に関連していなくてもよい。
【0174】
[0197]本発明がより容易に理解され、実用的に実施されることができるように、以下に、特定の好ましい実施形態を以下の非限定的な例によって記載する。
【実施例】
【0175】
実施例1
ACE2上のPTM部位の決定
[0198]両ACE2タンパク質内の一連のタンパク質ドメインが、SARS-CoV-2の細胞内への侵入において決定的であるとして同定された。これらのタンパク質ドメインは後成的翻訳後修飾(リシンメチル化、脱メチル化、ユビキチン様タンパク質修飾、及びリン酸化)を受けやすい。
【0176】
[0199]したがって、生物情報学的分析を使用して、LSD1又はPKCシータ、及びE3リガーゼについてユニークな具体的な翻訳後修飾(PTM)を同定する。現在では、複数の研究が、翻訳後PTMがp53を含めた主要なタンパク質の動的調節を調節するための決定的かつ共通の機構であることを実証している。
【0177】
[0200]したがって、これらのACE2 PTMがSARS-CoV-2との相互作用及び細胞へのウイルス侵入において決定的であるという仮説が立てられた。ウイルスの複製プロセスの一部は、タンパク質を核内に輸送して、それらをより効率的な転写のための転写調節因子として用いることを含む。したがって、ACE2タンパク質内の推定上の核移行シグナル(NLS)を同定した。このペプチドは選択的であり、標的タンパク質に特異的であり、また、それぞれのタンパク質内の特定的ドメインに選択的であった。
【0178】
[0201]タンパク質配列内の翻訳後モチーフ(リン酸化、アセチル化、メチル化、グリコシル化、ユビキチン化、など)を分析及び同定するように設計されたソフトウェアを使用した大規模な生物情報学的配列解析を用い、タンパク質配列内のカノニカル及び非カノニカルNLSの確率をスコア付けした核移行配列(NLS)を同定するための生物情報学的ソフトウェアも用いた。偽陽性を減らし、厳密性を上げるために、すべての分析はカットオフ値を含んでいた。用いたソフトウェアは、NLSモチーフを同定するためのNLSマッピングを含んでおり(Kosugiら、2008、Kosugiら、2009a、Kosugiら、2009b)、PSSMeを使用してメチル化/脱メチル化の潜在的な部位を同定し(Wenら、2016)、リン酸化NetPhos 3.1サーバーを使用して潜在的なリン酸化モチーフを同定し(Blomら、2004)、Predict-Proteinをさらなるタンパク質ドメイン分析のために使用した(Suら、2019、Ofranら、2007)。
【0179】
[0202]この情報を、それぞれの分析したタンパク質内の既知のタンパク質ドメインに重ねた。最後に、この情報をタンパク質化学者によって確認して、ペプチド阻害剤の配列及び標的を仕上げた。
【0180】
[0203]本発明者らは、ACE2タンパク質配列を用いて、PKCqによってリン酸化される一連の主要なセリン残基及び主要なリシンメチル化部位を同定し、これらのメチル化されたリシン残基はLSD1媒介性脱メチル化の部位も表す。リシンメチル化及び脱メチル化又はリン酸化によって動的に調節されることが実証されている他のタンパク質としては、p53が挙げられる。LSD1は単一のリシン残基でp53を調節して、p53に対して優れた調節性制御を与える(Huangら、2007)。したがって、すべてのそのようなPTM部位が、これらのタンパク質の調節に顕著な影響を与える潜在性を有する。
【0181】
実施例2
LSD1及びACE2は細胞表面上で会合する
[0204]LSD1は、主要なヒストンタンパク質及び転写因子などの主要なタンパク質を脱メチル化させる主要なイレーサー酵素であり、この脱メチル化/メチル化の翻訳後修飾は、p53などの標的タンパク質の発現の誘導、阻害、又は安定化をもたらしている。これらのデータに基づいて、LSD1の、SARS-CoV-2を細胞内へとシャトルすることを司っている、受容体ACE2及びTMPRSS2の主要な調節因子としての役割を調査した。
【0182】
[0205]ASIデジタル病理分析を使用して、細胞表面発現をモニタリングする透過処理していないCaco-2細胞及び細胞内区画化をモニタリングする透過処理した細胞を検査した。細胞は、タンパク質ACE2、TMPRSS2、及びLSD1について陽性に染色された。著しいことに、従来は細胞質又は核タンパク質として記載されていたLSD1も、細胞表面上で陽性に染色された(
図1を参照)。2つのタンパク質標的間の共局在化の度合を判定するPCC(r)係数によって実証されるように、LSD1はACE2と顕著に共局在化された。この分析は、細胞表面上でACE2とLSD1との間の強力な共局在化を示す。これを、Caco-2細胞のFACS分析によってさらに妥当性確認した。SARS-CoV-2感染に耐性であるMRC5細胞はACE2又はTRMPSS2を発現しない。しかし、これらの細胞は、SARS-CoV-2感受性細胞株Caco-2と比較して4倍少なくはあるが、細胞表面上にLSD1を発現する。
【0183】
[0206]その後、本発明者らは、LSD1及びACE2/TRMPSS2の同時発現に対するSARS-CoV-2感染の効果を調査した。高分解能定量的イメージング及びFACS分析を使用して、Caco-2、又はSARS-CoV-2に感染したCaco-2/αMRC5細胞を検査した。細胞を、ACE2、並びに後成的酵素LSD1、又はLSD1及びSARS-CoV-2のヌクレオカプシド又はスパイクタンパク質に対する抗体を用いて染色した(
図2A~Cを参照)。2つのタンパク質標的間の共局在化の度合を判定するPCC(r)係数によって実証されるように、LSD1は、未感染のCaCo2及びMRC5細胞(これはSARS-CoV-2感染に感受性でない)におけるACE2/LSD1発現と比較して、SARS-CoV-2に感染した細胞中においてACE2と顕著により高く共局在化し、また、LSD1及びACE2のどちらの顕著にアップレギュレーションされた発現も、感染細胞において実証された。MRC5はACE2の発現を有さず、ウイルスタンパク質の染色もなかった(
図2D)。興味深いことに、LSD1は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質及びヌクレオカプシドタンパク質のどちらとも共局在化した。さらに、H3k9me2及びH3k4me2の発現の低下によって測定して、LSD1核活性は増加した(
図2F、G)。著しいことに、2つの主要なメチルトランスフェラーゼ(G9A及びSETDB1)を比較した場合、SARS-CoV-2感染後に細胞表面上にわずかな発現が存在していたか、又は増加なしのいずれかであった(
図2H~J)。
【0184】
[0207]これらの結果は、LSD1及びACE2は細胞表面上で会合が増加していることを明確に実証している。
【0185】
材料及び方法
顕微鏡観察方法
[0208]感染細胞又は未感染細胞(未処置又はMAOis若しくはEPI-111(ミリスチル-RRTSRRKRAKV-OH)で処置 中におけるLSD1、ACE2、TMPRSS2、及びSARS-CoV-2のシグネチャを検査するために、Caco-2又はMRC5細胞を、0.5%のトリトンX-100と共に15分間インキュベートすることによって透過処理し、PBS中の1%のBSAで遮断し、LSD1(ウサギ宿主)、ACE2(AF594とコンジュゲート)、TMPRSS2(マウス宿主)、及び感染細胞の場合はSARS-CoV-2(マウス宿主)のいずれかを用いてプロービングし、ロバ抗マウスAF488若しくはロバ抗ウサギ647を用いて可視化したか、又は抗体を適切なAF蛍光色素(AF594)と一次コンジュゲートさせた。ProLongガラスアンチフェード(Glass Antifade)試薬(Life Technologies)を用いて、カバーガラスをガラス顕微鏡スライド上に載せた。デジタル病理レーザー走査顕微鏡観察によってタンパク質標的を位置特定した。ASIソフトウェアを実行している100×油浸レンズを使用したASIデジタル病理顕微鏡を使用して、単一の0.5μm切片が得られた。最終画像は、同じ切片の4つの連続的な画像を平均することによって得られた。デジタル画像を、自動ASIソフトウェア(Applied Spectral Imaging、カリフォルニア州Carlsbad)を使用して分析して、平均核蛍光強度(NFI)の自動閾値化及びバックグラウンド補正を用いて分布及び強度を自動で決定して、目的タンパク質の発現の特異的標的化を可能にした。デジタル画像を、ImageJソフトウェア(ImageJ、NIH、米国メリーランド州Bethesda)も使用して分析して、総細胞蛍光又は透過処理していない細胞では細胞表面のみの蛍光を決定した。デジタル画像を、ImageJソフトウェア(ImageJ、NIH、米国メリーランド州Bethesda)を使用して分析して、総核蛍光強度(TNFI)、総細胞質蛍光強度(TCFI)のいずれかを決定した。細胞核に特異的な目的領域(ROI)の自動閾値化及び手動選択を備えたImageJソフトウェアを使用して、それぞれの抗体対についてピアソン相関係数(PCC)を計算した。PCC値の範囲は、-1=共局在化の逆数、0=共局在化なし、+1=完全な共局在化である。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。
【0186】
実施例3
LSD1阻害剤はACE2発現を抑止し、SARS-CoV-2発現を阻害する
[0209]上記発見に基づいて、LSD1がACE2と複合体形成してそれを脱メチル化させて、発現を安定化させると仮定された。
【0187】
[0210]生物情報学的分析により、ACE2中には、LSD1による翻訳後修飾のための高確率のリシン残基が3つあり、これらのリシン残基がC末端ドメイン及び新規の推定上の核移行配列(NLS)の一部であることが明確に示されている。このACE2のC末端ドメインは、タンパク質-タンパク質相互作用に適切な、高度に柔軟な無秩序のドメインである(
図3Aを参照)。本発明者らは、in vitroで組換えLSD1及びACE2 C末端ドメインを用いて、実際にこれらが1:1の比で直接相互作用することを確立した(
図3Bを参照)。次に、本発明者らは、フェネルジン(二重標的化デメチラーゼ及び核LSD1阻害剤)を用いたLSD1の阻害が、LSD1のACE2及びTMRPSS2との発現及び共局在化を抑止したことを実証した(
図3C~F)。さらに、ACE2転写に対する効果は最小限であった。これらの結果は、LSD1の後成的調節因子としての従来の役割を介して調節されるTMPRSS2とは対照的に、LSD1阻害は、脱メチル化の阻害を介して干渉し、細胞表面上のACE2タンパク質発現を不安定化させることを示す。
【0188】
材料及び方法
マイクロスケール熱泳動方法
[0211]結合親和性の測定はMonolith NT.115(NanoTemper Technologies)で行った。フルオレセイン-Ahxタグ付けしたACE2ペプチド配列RDRKKKNKARSGENはGenescriptによって製造された。それぞれの反応は、10μLの444nMの標識したペプチドを、示した濃度未標識のLSD1と混合したものからなっていた。すべての実験は25℃で、レーザーのオフ/オン/オフ時間を5/30/5秒間を用いて測定した。実験は、20%の発光ダイオードパワー及び20~40%のMST赤外線レーザーパワーで実施した。3つの独立的に行った実験からのデータを、NTを介して単一の結合モデルに当て嵌めた。熱泳動+T-Jumpからのシグナルを使用した、分析ソフトウェアバージョン1.5.41(NanoTemper Technologies)。
【0189】
実施例4
包括的転写物分析
[0212]SARS-Cov-2に感染したCaCo2細胞においてLSD1阻害によって影響を受けた不偏的な包括的遺伝子発現プログラムを同定するために、包括的RNAシーケンシング分析を企てて、そのような遺伝子クラスターの同定を可能にした。
【0190】
[0213]LSD1阻害は、様々な度合でではあるが、主要な抗ウイルスプロセス、ウイルス侵入を司っている主要なタンパク質、並びに宿主細胞中におけるSARS-CoV-2ウイルスの転写及び複製に影響を与える(
図4を参照)。LSD1阻害剤によるこれらの経路に対する様々な影響度合は、それぞれの阻害剤の様々な作用機構に起因する場合があり、フェネルジンは、触媒的、核、及び構造的な機能のいずれにも影響を与える。
【0191】
実施例5
感染細胞における細胞内ACE2の相互作用
[0214]SARS-CoV-2感染におけるACE2の役割を理解するために、ACE2の核及び細胞質画分を含めた細胞内ACE2のシグネチャを感染細胞において検査した。
【0192】
[0215]SARS-CoV-2感染に対して感受性のあるCaco-2細胞は、透過処理した細胞においてACE2の細胞質及び核の発現の増加を示した(
図5A~C)。ACE2のFn/c比(1より大きいスコアが核バイアスを示す)も、感染の際に顕著に増加した。同様のパターンがLSD1について観察される。
【0193】
材料及び方法
RNA Seq分析
[0216]RNA-seqデータをSARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞株から得た。3つの異なる処置を試験し(Phe、Gsk、及びL1と命名)、処置のそれぞれは同じ遺伝子を標的とするが、それらは異なる様式である。4つの実験群から合計8個の試料を収集した:
SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞、対照(2×複製物)、
SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞、Pheで処置(2×複製物)、
SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞、Gskで処置(2×複製物)、及び
SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞、L1で処置(2×複製物)。
【0194】
[0217]目的は、対照群と処置群のそれぞれとの間のedgeRを使用した示差的発現分析を行って、示差的に発現された遺伝子を見出すことであった。その後、本発明者らは、処置群間で遺伝子を比較して、共通及びユニークな遺伝子を見出し、また、経路分析も行った。
【0195】
[0218]RNA-seqデータを作成し、fastqデータをQIMR Berghoferメディカルリサーチ施設(Medical Research Institute)サーバーにダウンロードし、その後、Scott Wood氏によるHSMにアーカイブした。Cutadapt(バージョン1.9、Martin(2011))を使用して配列の読取りをアダプター配列についてトリミングし、GRCh37アセンブリのSTAR(バージョン2.5.2a、Dobinら(2013))を使用して、Ensembl(リリース89)遺伝子モデルの遺伝子、転写物、及びエクソン特長、並びにSARS-CoV-2 RefSeq受託番号NC_045512とアラインメントした。品質管理の測定基準はRNA-SeQC(バージョン1.1.8、DeLucaら(2012))を使用して計算し、発現はRSEM(バージョン1.2.30、Li及びDewey(2011))を使用して推定した。
【0196】
品質管理
[0219]RNA-seq試料の品質管理は、品質及び再現可能な分析結果を保証するための重要なステップである。RNA-SeQCをこの目的のために実行し、その結果はHPCクラスター上に見つけることができる。別の一般的な品質測定基準は、RNA試料がミトコンドリアDNA(mtDNA)で汚染されているかどうか、又は高い量のリボソームRNA(rRNA)が試料中に存在するかどうかである。本発明者らは、タンパク質をコードする遺伝子、rRNA、及びミトコンドリアを含めて、Ensembl生物型にマッピングされた読取り数を決定した。本発明者らがタンパク質コード領域にマッピングする読取りに95%の閾値を使用することを考慮して、7個の試料がこのQC基準を通過した。
【0197】
正規化
[0220]正規化の目的は、これらの技術的バイアスが結果に対して最小限の効果を有することを保証するために、系統的な技術的効果に基づいて試料間の相違を除去することである。配列決定した初期RNA量の相違は配列決定した読取り数に影響を与えるため、ライブラリサイズを補正することが重要である。RNA配列組成の相違は、他の試料と比較して1つの試料中でRNAが大きな比率を占める場合に起こる。これらの試料では、他のRNAは過小サンプリングされ、これは、示差的に発現された遺伝子を予測する際により高い偽陽性率をもたらす。
【0198】
正規化方法
[0221]本発明者らの分析では、本発明者らは、それぞれの試料の遺伝子数を、マッピングされた百万個の読取りによって除算することによって、ライブラリサイズについて補正した。この手順は、百万あたりの計数(counts per million、CPM)として知られる一般的な手法である。本発明者らは、Robinson及びOshlack(2010a)によって提案された、トリミングされたM値平均(trimmed mean of M values、TMM)と呼ばれる方法を使用して、RNA組成物中の相違についてさらに補正した。本発明者らは、edgeRパッケージ(Robinson、McCarthy、及びSmyth(2010b))からの関数calcNormFactors()を使用してTMMファクターを得て、これらを使用してRNA組成物中の相違について補正した。
【0199】
示差的発現分析
[0222]RパッケージedgeR(Robinson、McCarthy、及びSmyth(2010b))を使用して示差的発現(DE)分析を行った。edgeRは正規化(ライブラリサイズ及びRNA組成物)を内部で行うため、DE分析のための入力は、フィルタリングされているが正規化されていない読取り計数であることに注意されたい。glmQLFit()関数を使用して、疑似尤度ネガティブ二項式一般化対数線形モデルをそれぞれの遺伝子の読取り計数に当て嵌めた。glmQLFTest()関数を使用して、本発明者らは、所定の対照について遺伝子に関する経験的ベイズ疑似尤度F検定を実施した。edgeRユーザーガイドの通りに、「疑似尤度方法は、分散体の推定における非確実性を考慮することによってより厳しい誤差率対照を与えるため、バルクRNA-seqデータの示差的発現分析のために強く推奨される[尤度比検定に対して]。」
【0200】
実施例6
新規P604 ACE2ペプチド阻害剤
[0223]ACE2のC末端ドメインが細胞表面上でのACE2安定性のためのLSD1デメチラーゼ活性によって媒介される決定的な部位であると見られることが確定された後、本発明者らは、この部位を標的とするLSD1と干渉してそれを遮断する競合的ペプチド阻害剤を開発することを提案し、これはACE2発現を抑止するであろう。さらに、本発明者らは、C末端ドメイン中の核移行配列(NLS)(すなわちRKKKNK)が、主要な核シャトルタンパク質であるIMPαによる結合の部位であることを提案した。この部位でのIMPαポリペプチドの相互作用が脱メチル化によって増強され、ACE2及び任意の結合したウイルスの、細胞核への移行を可能にするという仮説が立てられた。本発明者らはまた、ACE2が、細胞質タンパク質として従来機能していた主要なシグナルキナーゼについて今回同定されたものと同種の転写を直接調節することにおいて、新規の核の役割を有することも考慮した。
【0201】
[0224]ペプチド配列(P604)を、ACE2のC末端ドメイン(TGIRDRKKKNKRS、配列番号3)上のLSD1媒介性脱メチル化モチーフ及びNLSを標的とするように構築した。このドメインがIMPαと相互作用することも示されている。ACE2ペプチドで処置したCaco-2細胞は、LSD1及びACE2の相互作用ドメイン(これはACE2の推定上のNLSでもある)を標的とし、細胞表面上でのACE2発現を不安定にし(
図6を参照)、ACE2の発現を阻害し、その結果、細胞表面LSD1発現減らす(
図6A~Fを参照)。2つのタンパク質マーカー間の共局在化の度合を測定する、LSD1及びACE2のPCC(r)も有意に抑止された(
図6を参照)。
【0202】
実施例7
SARS-CoV-2に対するP604 ACE2ペプチド阻害剤の効果
[0225]その後、本発明者らは、P604 ACE2ペプチド阻害剤の効果が、宿主ACE2(斜体)遺伝子若しくはTMPRSS2遺伝子(斜体)及びSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の発現、又はSARS-CoV-2のヌクレオカプシドの発現に影響を与えたかどうかを調査した。
【0203】
[0226]
図7は、ACE2ペプチド阻害剤(P604)が、宿主ACE2、並びにSARS-CoV-2のヌクレオカプシド及びスパイクタンパク質の両方の発現を顕著に阻害及びダウンレギュレーションすることができたことを示す。
【0204】
実施例8
[0227]MRC5又はCaco-2細胞を、VO(プラスミドベクターのみ)又はLSD1-WT(プラスミドベクター及びLSD1 WT遺伝子)のいずれかを用いて、ネオン形質移入システムを使用して形質移入した。免疫蛍光分析は、ACE2又はLSD1のいずれかに対する抗体を用いて実施した。上記提示したデータに鑑みて予想された通り、VOと比較してLSD1-WTを形質移入した細胞において、LSD1の顕著な増加もみられた(
図8)。分析により、LSD1-WTを形質移入した細胞におけるLSD1の過剰発現が、Caco-2細胞におけるACE2の発現を顕著に増加させ、また、MRC5細胞におけるACE2の発現を著しく増加させたことが明らかとなった。
【0205】
材料及び方法
[0228]Caco-2又はMRC5細胞を、LSD1 WTプラスミド又はVO構築体を用いて、ネオン電気穿孔形質移入システム(Life Technologies)を使用して形質移入した。形質移入した細胞を、0.5%のトリトンX-100と共に15分間インキュベートすることによって透過処理し、ウサギ抗LSD1及びマウス抗ACE2抗体を用いてプロービングした。ProLong NucBlueアンチフェード試薬(Life Technologies)を用いて、カバーガラスをガラス顕微鏡スライド上に載せた。共焦点レーザー走査顕微鏡観察によってタンパク質標的を位置特定した。ASIソフトウェアを実行している100×油浸レンズを使用したASIデジタル病理プラットフォームを使用して、単一の0.5μm切片が得られた。最終画像は、同じ切片の4つの連続的な画像を平均することによって得られた。デジタル画像を、ImageJソフトウェア(ImageJ、NIH、米国メリーランド州Bethesda)を使用して分析して、平均蛍光強度(平均FI)を決定した。マン-ホイットニーノンパラメトリック検定(グラフパッド・プリズム、GraphPad Software、カリフォルニア州San Diego)を使用してデータセット間の有意差を決定した。
【0206】
実施例9
SARS-CoV-2患者からのBALC、PBMC、及び血漿の収集及び貯蔵
[0229]気管支肺胞洗浄細胞(BALC)及び末梢血単核球(PBMC)の収集及び貯蔵、血漿の収集、SARS-CoV2ウイルスの検出、及び確実な貯蔵。
【0207】
材料及び方法
[0230]SARS-CoV-2感染のみを有する患者(コホート1、n=5人)、SARS-CoV-2感染を有する初期及び進行固形腫瘍癌患者(コホート2、n=5人)、並びに健康なドナー(コホート3、n=5人)。書面による同意書を研究の参加のために得て、患者を、定期的な臨床検査を用いて標準の国/地方の指針の通りに経過観察を行う。血液試料(合計40mL)を臨床治験看護師によって標準の採血の一部として収集する。臨床病理学的/ウイルス学的データを臨床チームによって収集する。PBMCを本発明者らの確立されたプロトコルに従って単離し、液体窒素中に保管する。血漿をRT-PCRによるSARS-CoV-2検出のために収集し、ウイルス感染アッセイのために-80℃で保管する。BALF(20mL/患者)を得て、BSL-3実験室において2時間以内に処理する。BALCは濾過及び遠心分離によって単離した後、将来的な使用のために培地中に再懸濁させる。
【0208】
[0231]阻害剤処置を用いた/用いないSARS-CoV-2感染細胞を、ACE2(斜体)についてのqRT-PCR並びにACE2を標的とする抗体を使用したフローサイトメトリー及びデジタル病理によってアッセイする。
【0209】
[0232]PBMCは阻害剤を用いて前処理し、死滅アッセイはxCELLigence(登録商標)リアルタイム細胞分析器を使用して行う。
【0210】
実施例10
新規細胞透過性ペプチドはSARS-CoV-2のACE2-スパイクの相互作用及び細胞侵入を阻害する
[0233]細胞表面での脱メチル化ACE2リシン31とSARS-CoV-2スパイクタンパク質との間の相互作用の効果を検査するために、標的配列の構造解析及びモデリング(
図9A)、ペプチド長の最適化、並びに決定的な残基を同定するためのアラニンウォークを通じて2つの新規ACE2ペプチド阻害剤を開発した(ACE2-01及びACE2-02、表5を参照)。スパイク相互作用領域に重なって、ACE2-01はリシン脱メチル化モチーフを超えて下流に伸びる一方で、ACE2-02は伸長してリシン31で終わって、この決定的な残基の研究を容易にする(
図9B)。どちらのペプチドも、ACE2/スパイク相互作用と干渉することによって、又は囮としてスパイクタンパク質と結合することによってのいずれかで、スパイクタンパク質とリシン31との間の相互作用を競合的に遮断すると予測される。これらのペプチドはまた、囮相互作用としてリシン31への酵素的接近を競合的に遮断し、ACE2/スパイク結合ドメイン/リシンd-メチル化モチーフを模倣することによってリシン31の脱メチル化と干渉し、これは、LSD1の触媒ポケット又はRBDスパイクドメインが標的タンパク質ではなくペプチドと相互作用して、リシン31の脱メチル化又はスパイク-ACE2の相互作用を防止することを意味する。
【0211】
【0212】
[0234]未処置の対照細胞と比較して、96時間までの処置でどちらのACE2ペプチド阻害剤も細胞増殖を変更しなかった(
図9C)。SARS-CoV-2の複製に対するACE2-01及びACE2-02の影響を評価するために、Caco-2細胞をSARS-CoV-2(MOI 1.0)に感染させ、その後、ペプチド阻害剤で48時間処置した(
図9D)。培養上清及び感染細胞の両方のqRT-PCRを使用して、ACE2-01及びACE2-02の処置は、細胞培養上清中において48hpiで感染をそれぞれ6.6倍及び4.6倍、顕著に減らした(
図9E)。ウイルスRNAも、ACE2-01及びACE2-02の処置後に48hpiで感染細胞中においてそれぞれ3.3倍及び2倍減少した(
図9E)。
【0213】
[0235]次に、感染性ウイルス力価を、ACE2-01及びACE2-02で処置した感染細胞からの上清の組織培養感染用量中央値(TCID
50)によって定量した、これにより、それぞれ4.5倍及び3.2倍のウイルス量の低下がさらに確認された(
図9F)。さらに、デジタル病理を使用してSARS-CoV-2感染の阻害を評価して、スパイクタンパク質の強度を検出した(
図2G及び2H)。どちらの阻害剤も、感染細胞において細胞表面及び細胞内でSARS-CoV-2スパイクタンパク質を顕著に減らし(
図2G及び2H)、スパイク及びACE2の共局在化も顕著に減った(
図2G)。最後に、近接ライゲーションアッセイを使用して、SARS-CoV-2に感染したCaco-2細胞の表面でのACE2及びスパイクタンパク質の共局在化を評価した。GSK処置はACE2スパイクタンパク質間の相互作用を顕著に減少させ、ACE2-01及びACE2-02ペプチド阻害剤は細胞表面でACE2/スパイク複合体をさらに破壊した(
図2I)。このことは、LSD1活性の阻害を介したACE2のメチル化が、SARS-CoV-2スパイクタンパク質によるACE2への接近の遮断に寄与することを示唆している。さらに、ペプチド阻害剤を用いてリシン31モチーフへの接近を競合的に遮断することは、スパイクタンパク質のACE2へのアクセスを阻害する。まとめると、これらのデータは、ウイルススパイクタンパク質とACE2のリシン31脱メチル化モチーフとの間の相互作用がSARS-CoV-2の複製に重要であり、本発明者らのペプチド阻害剤が、スパイクタンパク質とACE2との共局在化を顕著に減らすことによって抗ウイルス活性を有することを実証している。
【0214】
[0236]上記データは、LSD1が、SARS-CoV-2感染後に細胞表面でACE2と会合することを示す。さらに、ACE2リシン31は、脱メチル化/メチル化を受けること(
図10A)、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体-結合ドメイン(RBD)のグルタミン493と相互作用することが予測される(Shangら、2020)。したがって、本発明者らは、メチル化されたリシン31モチーフを模倣するペプチドを使用したLSD1活性アッセイを用いて、ACE2をリシン31で直接脱メチル化させるLSD1の能力に取り組んだ。LSD1阻害がリシン31でのACE2脱メチル化を減らすかどうかを評価するために、組換えLSD1タンパク質単独又はジメチル化されたACE2ペプチドと共にプレインキュベートしたもの(表6及び
図10B)を、in vitro LSD1活性アッセイを用いて脱メチル化反応を測定するために基質として使用した。ペプチドは、in silico予測ソフトウェアPSSMe(Shengら、2018)を使用してメチル化/脱メチル化を受けると予測されるモチーフを含有しており、また、位置31にジメチル化されたリシンを有する、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体-結合ドメイン(RBD)中のグルタミン493とACE2との間の結合領域(Shangら、2020):QAKTFLD{Lys(Me2)}FNHEAEDも表す。LSD1は、ACE2ペプチドをリシン31で効率的に脱メチル化した。
【0215】
【0216】
実施例11
ACE2ペプチド阻害剤のアラニン突然変異誘発
[0237]上記データは、ACE2-01及びACE2-02ペプチドがどちらも、スパイクタンパク質とCaCo2細胞の細胞表面との結合を顕著に阻害できることを明らかに実証している。したがって、本発明者らは次に、試験したペプチド阻害剤の必須残基を調査することを動機付けられた。アラニン突然変異誘発走査実験により、位置リシン31でのアラニン置換が阻害の有効性を顕著に低下させることが明らかとなり、これは、このリシン残基が決定的であることを示す(
図11)。全体的には他のアラニン置換は同様効果を有していなかったが、リシン26でのアラニン置換が他の置換と比較してペプチドの有効性を低下させた(しかし阻害を排除しなかった)。
【0217】
[0238]2つのペプチド阻害剤間の重複配列から、及びウイルス感染の研究に基づいて、これは、より短いペプチド(ACE2-02)がより長いペプチド配列(ACE2-01)と同じように有効であることを実証している。全体的な電荷/サイズが保存されている限り、他の残基については阻害の有効性に対する明白な効果はない。
【0218】
材料及び方法
[0239]Caco-2細胞(8×104個)をカバーガラス上に48時間播種した後、ACE2-01又はACE2-02についてのアラニンウォークからのペプチド(それぞれのペプチドについて10mM)で24時間処置し、続いて、20μLのC末端にポリ-ヒスチジンタグを含有する精製したSARS-CoV-2755スパイクタンパク質S1(Glu14~Ser680)(1.52mg/mL)を用いて24時間処置した。その後、透過処理していない試料をSARS-CoV-2スパイクタンパク質に特異的な抗体で染色し、宿主一次抗体を標的とする二次抗体を用いて可視化した。デジタル病理レーザー走査顕微鏡観察によってタンパク質標的を位置特定した。ASIソフトウェアを実行している100×油浸レンズを使用したASIデジタル病理(ASIデジタル病理は、は、通常の免疫蛍光イメージングのような蛍光強度及び抗体について陽性又は陰性である細胞の集団を計数する能力の両方の特徴づけであり、強力なカスタム設計のアルゴリズム及び自動ステージを使用して集団動力学を調査することを可能にする。これは、統計的検出力のための多細胞数のイメージング及び計数を可能にする)顕微鏡を使用して、単一の0.5μm切片が得られた。最終画像は、同じ切片の4つの連続的な画像を平均することによって得られた。デジタル画像を、以前に記載のように自動ASIソフトウェア63(Applied Spectral Imaging、カリフォルニア州Carlsbad)を使用して分析して、平均蛍光強度(FI)の自動閾値化及びバックグラウンド補正を用いて分布及び強度を自動で決定して、目的タンパク質の発現の特異的標的化を可能にした。
【0219】
実施例12
P604 ACE2ペプチド阻害剤は核ACE2インポーチン機構を破壊する
[0240]P604 ACE2ペプチド阻害剤は、ACE2の核シャトルを、ACE2-インポーチン複合体をin vitroで直接阻害することを介して(
図12A、B)、及びSARS-CoV-2感受性細胞株において阻害する(
図12C、D)。重要なことに、これらのデータは、このペプチド阻害剤が核ACE2を特異的に標的とし、インポーチン経路によって標的とされる他の決定的な核タンパク質に影響を与えないことを確認している。2つのタンパク質標的、未修飾ACE2(ACE2未修飾)又はIMPα1の密な相互作用を検出するデュオリンク分析を、対照又は漸増濃度のP604ペプチドのいずれかで処置したH1299(肺細胞株)に対して行った。分析により、ビヒクル対照試料では、ACE2及びIMPα1が顕著な相互作用を形成することが明らかとなり、これは、ACE2未修飾がインポーチン核輸送機構と強力に相互作用することがでることを示す。著しくは、最も低い濃度のP604ペプチドでさえも、顕著にこの相互作用をほぼ抑止した(
図12C)。上述の実施例を合わせて、本発明者らは、P604 ACE2ペプチドがSARS-Cov2の複製の決定的な経路である核ACE2-インポーチン経路の選択的阻害剤であることを明確に示している。
【0220】
材料及び方法
蛍光偏光競合アッセイ。
【0221】
[0241]蛍光偏光アッセイを、クラリオスター・プラス(CLARIOstar Plus)プレートリーダー(BMG Labtech)を使用して、Genescript Biotech(ニュージャージー州Piscataway)によって製造されたフルオレセイン-Ahxタグ付けしたACE2ペプチド配列RDRKKKNKARSGEN(すなわち配列番号1に記載の配列の残基776~779)、Mimitopes Pty Ltd(オーストラリアMelbourne)によって製造されたP604 ACE2ペプチド配列ミリスチル-TGIRDRKKKNKARS-OH、及び組換えによって発現させたインポーチン-αΔIBBタンパク質を用いて行った。それぞれのアッセイは、10個のウェルにわたって200μLの合計体積で、50nMのACE2 FITC、10μMのインポーチン-αΔIBBタンパク質、及び2倍段階希釈したP604 ACE2ペプチド(開始濃度は400mM)を含有していた。96ウェルの黒色古尾トラック(Fluotrac)マイクロプレート(Greiner Bio-One、オーストリアKremsmunster)を使用して蛍光偏光の読み取りを行った。アッセイを3つ組で繰り返し、陰性対照(阻害剤なし)及びブランク(インポーチン-αΔIBBタンパク質なし)を含有していた。グラフパッド・プリズムを使用して3つ組のデータを正規化し、単一の阻害曲線へと当て嵌めた。
【0222】
電気泳動移動度シフトアッセイ。
【0223】
[0242]FITC-Ahxタグ付けしたACE2ペプチド(90μM)をインポーチン-αΔIBBタンパク質(100μM)及びP604 ACE2ペプチド阻害剤(500μM)と混合し、TB緩衝液(45mMのホウ酸、45mMのトリス塩基、pH8.5)中の1%のアガロースゲルを通して90分間、40Vで電気泳動させた。ACE2ペプチド単独、P604 ACE2ペプチド阻害剤単独、及びインポーチン-αΔIBB単独を対照として使用した。ゲルを最初にゲル・ドック(Gel Doc)XR+システムを使用してUV光の下でイメージングした後、クマシーブリリアントブルーを使用して染色した。
【0224】
近接ライゲーションアッセイ。
【0225】
[0243]デュオリンク近接ライゲーションアッセイは、PLAプローブ抗マウスプラス(PLUS)(DUO92001)、PLAプローブ抗ウサギマイナス(MINUS)(DUO92005)、及びデュオリンクIn Situ検出試薬レッド(Red)キット(DUO92008)(Sigma Aldrich)を使用して用いた。細胞を固定し、透過処理し、ACE2未修飾及びIMPα1を標的とする一次抗体と共にインキュベートした。細胞を製造者の推奨に従って処理した。最後にカバーガラスをスライド上に載せ、上記のように検査した。
【0226】
実施例13
P604 ACE2ペプチド阻害剤は肺炎症を減らす
[0244]ウイルスRNAの顕著な低下が、それぞれIV及びIP注射によって投与したハムスターモデルにおいて、P604 ACE2ペプチド阻害剤(アミノ酸配列TGIRDRKKKNKARS)で処置した動物の肺において観察された(
図13A)。ビヒクル群に対して正規化した場合、P604 ACE2ペプチドで処置した動物は、IV及びIP投与のどちらによっても、それぞれ88%及び96%のウイルス量の実質的な減少を示した(
図13B)。TCID50アッセイによって測定した肺感染力価は、ビヒクル群と比較して、P604 ACE2ペプチドのIV及びIPで処置した動物においてそれぞれ低下した(
図13C)。
図13D ASIデジタル病理イメージングは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について陽性の気管支肺切片中の細胞の集団が、IV又はIP経路のいずれかを介したP604 ACE2ペプチド処置によって顕著に低下したことを実証する。さらに、SARS-CoV-2スパイクタンパク質について細胞が陽性である場合でさえも、スパイクタンパク質の発現の分析により、シグナルの全体的な強度も、IP及びIV投与処置群のどちらにおいても顕著に低下したことが明らかとなった。
【0227】
[0245]SARS-Cov-2に誘導された肺病理学に対するP604 ACE2ペプチド阻害剤処置の影響を評価するために、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色した肺切片を、以前に記載のように、処置に盲目の1人の獣医学病理学者によってスコア付けした(
図14A)。以下のパラメータ、すなわち、全体的な病変の程度、気管支炎、肺胞炎、血管炎、間質性炎症、及び肺細胞過形成についての組織学的スコアを、0~4/0~5のスケールを使用してスコア付けし、それぞれの肺のスコアを合計して総組織病理学的スコアを得た(
図14B)。肺を炎症初期の2dpiに単離したため、軽度-中等度の肺の変化が観察され(
図14A~B)、最も注目すべきは細気管支内であり、肺細胞過形成は観察されなかった。この肺傷害の初期の間、細気管支上皮細胞の重篤な変性及び壊死の証拠がビヒクル群において見られ、上皮内白血球浸潤及び広範なアポトーシスを有していた(
図14、1枚目の画像)。ビヒクル群における初期血管変化は、偽好酸球及び単球の辺縁趨向、続いて貫壁性遊走を含み、内皮の裏打ち及び中膜の平滑筋の破壊がもたらされた(
図14Aの中央の写真、
図14B)。比較して、大多数のP604 ACE2ペプチド阻害剤のIV及びIPで処置した動物は、細気管支又は血管の最小限の変化を示した(
図14A、右パネル、
図14B)。さらに、偽好酸球及び肺胞マクロファージの初期軽度の肺胞蓄積は、ビヒクル群において最も一貫して見られた。全体的に、処置した動物の平均累積スコアはビヒクル群よりも実質的に低く、これはP604 ACE2ペプチド阻害剤処置がSARS-Cov-2感染に関連する初期肺炎症に対して保護することを示唆している。
【0228】
材料及び方法
ハムスターの寛容及び有効性研究。
【0229】
[0246]雌のゴールデンシリアンハムスター(6~8週)をJaniver Labs(フランスLe Genest-Saint-Isle)から入手し、研究はオンコデザイン(Oncodesign)(登録商標)生命工学(フランスDijon Cedex)によって実施した。寛容実験には、動物(3匹/群)は、漸増用量のP604 ACE2ペプチド阻害剤又はACE2iペプチドを、腹腔内注射を介して受けた。用量は1日1回上昇させ(1日目:25mg/kg、2日目:50mg/kg、3日目:100mg/kg)、動物を4日目の選別の前にモニタリングした。動物の生存度、挙動、及び直腸温度を、6時間の投与後期間にわたって2時間毎に記録し、体重を1日1回測定した。P604 ACE2ペプチド阻害剤の有効性研究では、動物(8匹/群)を、ビヒクル(IP、1日1回、0、1、及び2日目)(塩化ナトリウム0.9%、Osalia、フランスParis)又はP604 ACE2ペプチド阻害剤を用いて、2日間の期間にわたって、静脈内(IV、15mg/kg、0日目に1回及び1日目に2回、8時間間隔)又は腹腔内(IP、100mg/kg、1日1回、0、1、2日目)の注射を介して処置した。P604 ACE2ペプチド阻害剤の有効性研究には、動物をビヒクル又はP604 ACE2ペプチド阻害剤(30mg/kg、IN、1日2回、0、1日目、8時間間隔)で処置した。すべての有効性研究において、SARS-CoV-2株「スロバキア/SK-BMC5/2020」(元は欧州ウイルスアーカイブグローバル(European Virus Archive global)によって提供)を用いた0日目のSARS-Cov-2感染(104PFU、IN投与)の1時間前に、ペプチドを動物に投与した。ゴールデンシリアンハムスターに対するすべての手順は、フランス当局によって承認されたCEAの施設動物実験委員会に提出した。
【0230】
ゲノムRT-qPCRによる肺中のウイルスロードの決定。
【0231】
[0247]ウイルスORF1ab遺伝子を使用してRT-qPCRによる肺ウイルス量の定量を行った(順方向:CCGCAAGGTTCTTCTTCGTAAG、逆方向:TGCTATGTTTAGTGTTCCAGTTTTC、プローブ:AAGGATCAGTGCCAAGCTCGTCGCC[5]Hex[3’]BHQ-1)。ヌクレオスピン(NucleoSpin)(登録商標)96ウイルスコアキット(Macherey Nagel、ドイツDuren)を使用してウイルスRNAの抽出を実施し、qRT-PCRまで-80℃で凍結した。完全なqRT-PCRを、スーパースクリプト(Superscript)(商標)IIIワンステップqRT-PCRシステムキット(カタログ#1732-020、Life Technologies、カリフォルニア州Carlsbad)を使用して、ORF1ab遺伝子を標的としたプライマー及びqRT-PCR条件を用いて実行した。増幅は、Bio-Rad CFX384(商標)(Bio-Rad、カリフォルニア州Hercules)及び添えられたソフトウェアを使用して行った。
【0232】
肺におけるウイルスTCID
50
の決定。
【0233】
[0248]試験の2時間前、Vero E6/TMPRSS2細胞を、96ウェルプレート中に、25,000個の細胞/ウェルの密度、200μLの体積の完全成長培地(DMEM 10%のFCS)で蒔いた。細胞を2日目の肺ホモジネート(3つ組)の段階希釈で1時間、37℃で感染させた。その後、新鮮な培地を72時間加えた。細胞感染後、MTS/PMSアッセイを供給者のプロトコル(Cat#G5430、Promega、ウィスコンシン州Madison)に従って行った。手短に述べると、100μLの上清を廃棄した後、20μLの体積のMTS/PMS試薬を残りの100μLの上清に加えた。4時間後、Elisaプレートリーダーを使用してプレートを読み取り、データを記録した。
【0234】
実施例14
P604 ACE2ペプチドが抗ウイルスシグネチャを誘導し、核ACE2を抑止する
[0249]以前の研究により、CD3+Tリンパ球が気管支周辺領域中に5dpiで検出されたことが示されており、これは感染細胞の迅速なクリアランスを容易にすることができるため、本発明者らは次に、CD3-陽性Tリンパ球の存在に取り組むことを望んだ。
【0235】
[0250]IP又はIV経路のいずれかを介したP604 ACE2ペプチド阻害剤を用いた処置は、パーフォリンに対して陽性のより高い細胞を顕著に誘導し、より多くのCD3+細胞がパーフォリンを発現することを誘導することができた。P604 ACE2ペプチド阻害剤を用いた処置は、抗ウイルス活性に必須であるエフェクターマーカーパーフォリンの発現を顕著に増強させた。全体的に、P604 ACE2ペプチド阻害剤は、パーフォリン及びCD3浸潤の増加を介して強力な抗ウイルスシグネチャを誘導することができる。
【0236】
材料及び方法
免疫蛍光
[0251]IFAイメージング及び分析を、以前に確立及び最適化したプロトコルを使用して実施した。細胞をホルムアルデヒド(3.7%)で固定し、その後、SARS-CoV-2ウイルススパイクを標的とする抗体、カスタム抗体ACE2me1、ACE2未修飾で免疫染色した。細胞を、0.5%のトリトンX-100と共に15分間インキュベートすることによって透過処理し、PBS中の1%のBSAで遮断し、一次抗体を用いてプロービングし、続いて、Alexa Fluor488、568、又は647とコンジュゲートさせた二次ロバ抗ウサギ、マウス、又はヤギ抗体を用いて可視化した。ProLongガラスアンチフェード試薬(Life Technologies、カリフォルニア州Carlsbad)を用いて、カバーガラスをガラス顕微鏡スライド上に載せた。デジタル病理レーザー走査顕微鏡観察によってタンパク質標的を位置特定した。ASIソフトウェアを実行している100×油浸レンズを使用したASIデジタル病理(ASIデジタル病理は、通常の免疫蛍光イメージングのような蛍光強度及び抗体について陽性又は陰性である細胞の集団を計数する能力の両方の特徴づけであり、強力なカスタム設計のアルゴリズム及び自動ステージを使用して集団動力学を調査することを可能にする。これは、統計的検出力のための多細胞数のイメージング及び計数を可能にする)顕微鏡を使用して、単一の0.5μm切片が得られた。最終画像は、同じ切片の4つの連続的な画像を平均することによって得られた。デジタル画像を、以前に記載のように自動ASIソフトウェア(Applied Spectral Imaging、カリフォルニア州Carlsbad)を使用して分析して、平均核蛍光強度(NFI)の自動閾値化及びバックグラウンド補正を用いて分布及び強度を自動で決定して、目的タンパク質の発現の特異的標的化を可能にした。デジタル画像を、ImageJソフトウェア(ImageJ、NIH、米国メリーランド州Bethesda)も使用して分析して、総細胞蛍光又は透過処理していない細胞では細胞表面のみの蛍光を決定した。すべての実験において、抗体なしの対照、一次のみ、又は二次のみの対照を含めて適切な対照を使用した。
【0237】
[0252]オパール(Opal)チラミド染色は、従来のIFAとは異なり、同じ宿主種からの抗体の使用を可能にする。イメージング及び分析を、透過処理及び抗原回収のための以前に確立及び最適化したプロトコルを使用して実施した。すべてのFFPE切片をオパールチラミド染色で染色した。デクローキング(decloaking)チャンバーを使用して試料を脱ろうし、抗原回収のために0.1%のトリトンX-100を20分間、Biocare Medical変性溶液、又はDako pH6.0/pH9.0のいずれかを使用して調製した。スナイパー(Sniper)+BSAを使用して遮断(10分間)。用いた一次抗体は、CD3、パーフォリン、SARS-CoV-2スパイク、及びカスタム抗体ACE2me1を含み、VGY又はDVG緩衝液を用いた。一次抗体は、MACH2 HRP二次を用いて、オパール蛍光色素520、570、又は650を用いて検出した。その後、イメージング及び分析は、上述した免疫蛍光染色及び分析の通りに、自動計数及び強度分析のためのASIデジタル病理プラットフォームを使用して実施した。
【0238】
[0253]本明細書中に引用するすべての特許、特許出願、及び特許公開の開示が、ここにその全体で本明細書中に参考として組み込まれている。
【0239】
[0254]本明細書中の任意の参考文献の引用は、そのような参考文献が本出願の「従来技術」として利用可能であるということの承認であるとして解釈されるべきでない。
【0240】
[0255]本明細書全体にわたって、目的は、本開示を任意の一実施形態又は特定の特長のコレクションに限定せずに、本開示の好ましい実施形態を説明することであった。したがって、当業者は、本開示に鑑みて、本開示の範囲から逸脱せずに、様々な改変及び変更を例示した具体的な実施形態に行うことができることを理解されよう。すべてのそのような改変及び変更が、添付の特許請求範囲の範囲内に含まれることを意図する。
【0241】
参考文献
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【0242】
〔関連出願〕
[0001]本出願は、その内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている、どちらも「コロナウイルス感染を処置するための新規組成物及び方法」と題される、2021年4月20日出願のオーストラリア仮特許出願第2021901169号及び2022年2月18日に出願の同第2022900358号の優先権を主張するものである。
【配列表】
【国際調査報告】