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特表2024-516607データプレーンアーキテクチャを用いたスマートな需要側応答のためのシステムと技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】データプレーンアーキテクチャを用いたスマートな需要側応答のためのシステムと技術
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20240409BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G06F21/62 318
G06F21/62 345
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564235
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 IB2022053696
(87)【国際公開番号】W WO2022224162
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/177,291
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】523389165
【氏名又は名称】ランディス+ギア・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Landis+Gyr AG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】メリックス,ニコラス ピー
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,デア
(72)【発明者】
【氏名】キャトリー,ロス
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB04
5G064CB08
5G064CB16
5G064DA03
5G064DA11
(57)【要約】
システムは、プロセッサと、プロセッサに所定動作を実行させるためのプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリとを含む。前記動作は、構内にある構内データソースからエネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることを含む。さらに、前記動作は、エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して構内データセットを生成することと、プライバシー管理動作を使用して構内データセットを許可セットでラッピングすることを含む。さらに、前記動作は、構内データセットにアクセスする需要をエンティティから受信することと、一組の許可に基づいて、エンティティが構内データセットにアクセスすることが許可されていることを決定することとを含む。さらに、前記動作は、構内データセットをエンティティに提供することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサに所定の動作を実行させるための、プロセッサによって実行可能な命令を含む、非一時的コンピュータ可読メモリを備えるシステムであって、
前記動作は、
構内にある構内データソースから、エネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることと、
エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して、構内データセットを生成することと、
プライバシー管理動作を使用して、許可セットで前記構内データセットをラップすることと、
エンティティから前記構内データセットへのアクセス需要を受信することと、
前記エンティティが一組のアクセス許可に基づいて前記構内データセットにアクセスすることが許可されていると決定することと、
前記構内データセットを前記エンティティに提供することと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記命令は、前記プロセッサに対して、
追加構内に位置する追加構内データソースから、追加のエネルギー消費に関連する追加のデータ通信にアクセスすることと、
追加構内に関連する追加データ通信を使用して、追加構内データセットを生成することと、
前記構内データセットに対して異常検出とデータ解析を実行し、更新された構内データセットを生成することと、
前記追加構内データセットに対して異常検出及びデータ解析を実行し、追加の更新構内データセットを生成することと、
を実行させるために、前記プロセッサによってさらに実行可能である、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記命令は、プロセッサに対して、
更新された構内データセット及び追加更新された構内データセットを、エネルギー管理システムに提供することを実行させるために、プロセッサによってさらに実行可能であり、
前記エネルギー管理システムは、更新された構内データセット及び追加更新された構内データセットによって示される検出された異常を緩和するように構成される、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記エンティティは、構内の制御プレーンのコントローラで構成される、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記エンティティは、前記構内データセットに応答して構内データソースに制御命令を送信するように構成される、
請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記一組の許可は、スマートコントラクトと非代替性トークンをブロックチェーン台帳に記録することによって確立される、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記構内データソースは、エネルギースマートアプライアンス、電気自動車電源装置、スマートメータリングデバイス、又はそれらの組み合わせを含む、
請求項1記載のシステム、
【請求項8】
前記一組の許可のうちの少なくとも1つの許可は、モビリティサービスプロバイダが構内の電気自動車電源装置によって生成されたデータにアクセスすることを可能にする、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記データ通信は、データプレーンのフレキシビリティデータゲートウェイを使用してアクセスされ、前記構内データソースとトラスト性のない通信を行う、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記一組の許可は、施設の新しい賃借人への賃借権の変更時に譲渡可能である、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
所定の動作をプロセッサに実行させるための、プロセッサによって実行可能な命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記動作は、
構内にある構内データソースから、エネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることと、
エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して、構内データセットを生成することと、
プライバシー管理動作を使用して、許可セットで構内データセットをラップすることと、
エンティティから構内データセットへのアクセス需要を受信することと、
前記エンティティが一組のアクセス許可に基づいて構内データセットにアクセスすることが許可されていると決定することと、
構内データセットをエンティティに提供することと、
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記動作はさらに、
追加構内に位置する追加構内データソースから、付加的なエネルギー消費に関連する付加的なデータ通信にアクセスすることと、
追加構内に関連する追加データ通信を使用して、追加構内データセットを生成することと、
構内データセットに対して異常検出及びデータ解析を実行し、更新された構内データセットを生成することと、
追加構内データセットに対して異常検出及びデータ解析を実行し、追加の更新構内データセットを生成することと、
更新された構内データセット及び追加更新された構内データセットをエネルギー管理システムに提供することと、
を含み、
前記エネルギー管理システムは、更新された構内データセット及び追加更新された構内データセットによって示される検出された異常を緩和するように構成される、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記エンティティは、構内の制御プレーンのコントローラを含み、
前記エンティティは、構内データセットに応答して構内データソースに制御命令を送信するように構成される、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記一組の許可は、スマートコントラクトと非代替性トークンをブロックチェーン台帳に記録することによって確立される、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記データ通信は、データプレーンのフレキシビリティデータゲートウェイを使用してアクセスされ、構内データソースとトラスト性のない通信を行う、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
コンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータ実装方法は、
需要側応答データプレーンにおいて、構内に位置する構内データソースからのエネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して、構内データセットを生成することと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、プライバシー管理動作を使用して、許可セットで構内データセットをラップすることと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、構内データセットにアクセスするためのエンティティからの需要を受信することと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、エンティティが一組の許可に基づいて構内データセットにアクセスすることが許可されていることを決定することと、
前記需要側応答データプレーンから、構内データセットをエンティティに提供することと、
を含むコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記コンピュータ実施方法は、
需要側応答データプレーンにおいて、追加構内に位置する追加構内データソースからの追加のエネルギー消費に関連する追加のデータ通信にアクセスすることと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、前記追加構内に関連する追加のデータ通信を使用して、追加構内データセットを生成することと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、構内データセットに対して異常検出及びデータ解析を実行し、更新された構内データセットを生成することと、
前記需要側応答データプレーンにおいて、追加構内データセットに対して異常検出及びデータ解析を実行し、追加の更新された構内データセットを生成することと、
前記需要側応答データプレーンによって、更新された構内データセット及び追加更新された構内データセットを、エネルギー管理システムに提供することと、
をさらに含み、前記エネルギー管理システムは、更新された構内データセット及び追加更新された構内データセットによって示される検出された異常を緩和するように構成される、
請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項18】
前記構内データソースは、エネルギースマートアプライアンス、電気自動車電源装置、スマートメータリングデバイス、又はそれらの組み合わせを含む、
請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項19】
前記一組の許可のうちの少なくとも1つの許可は、モビリティサービスプロバイダが構内の電気自動車電源装置によって生成されたデータにアクセスすることを可能にする、
請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項20】
前記データ通信は、データプレーンのフレキシビリティデータゲートウェイを使用してアクセスされ、構内データソースとトラスト性のない通信を行う、
請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明する実装は、ユーティリティ提供制御に関し、より詳細には、データプレーンアーキテクチャを使用したスマートな需要側応答のためのシステム及び技術に関する。
【0002】
関連出願との相互参照
本開示は、2021年4月20日に出願された「スマート需要側応答:データプレーンアーキテクチャ(SMART DEMAND SIDE RESPONSE:DATAPLANE ARCHITECTURE)」に関する米国仮出願シリアル番号第63/177,291号の優先権を主張し、この仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般に、ユーティリティメータは、電気、水、ガスなどの資源(リソース)の消費量を測定する。一般的に、ユーティリティメータは、敷地内の消費量を測定するために、敷地内又はその近くに設置される。ユーティリティメータは通常、サービスプロバイダによって提供され、サービスプロバイダは、ユーティリティメータが完全に動作し、正確な消費測定が行われることを保証するために、必要に応じてユーティリティメータを管理する。場合によっては、公共料金メータは統合された無線機を有し、それによってスマートメータネットワークに参加する。スマートメータリング(計量)ネットワークを通じて、ユーティリティメータは、複数のユーティリティメータと通信し、複数のユーティリティメータにまたがるサービスに責任を有し、遠隔の集中型ヘッドエンドシステムに消費量やその他の情報を報告することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
需要側応答(DSR)は、スマートメータリングネットワークの電力会社メータを含む電力システムを、再生可能エネルギーや、輸送や暖房などの主要サービスの電化に伴う需要の増加に適応させるための多くの方法のひとつである。DSRは、競争環境における機器制御のための相互運用性、スマートメータリングネットワークのセキュリティに相当するデータセキュリティの確立、DSRに関連するデータ量の増加やそのデータに基づいて行動しようとするシステム参加者への対応能力など、技術的な課題に直面する可能性がある。大量のデータでは、データに関連する消費者のプライバシーの維持も重要な課題となる。さらに、DSRシステムにおいてスマートメータリングネットワークを再利用することは、スケーラビリティ、エンドツーエンドのセキュリティモデルの維持、トラストレスメッセージングの欠如、特定の目的のためにデータを提供できないこと、消費者のデータ履歴及びデータを提供できないこと、請求書支払者に関連する敷地から離れた場所での請求電力へのアクセスをサポートするポータビリティを提供できないことに関連する問題を提示する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様では、システムは、プロセッサと、前記プロセッサに所定動作を実行させるためのプロセッサによって実行可能な命令を含む非一時的コンピュータ可読メモリとを含む。前記動作は、構内に位置する構内データソースからエネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることを含む。さらに、前記動作は、エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して構内データセットを生成することと、プライバシー管理動作を使用して構内データセットを許可セットでラッピングすることとを含む。さらに、前記動作は、構内データセットにアクセスするためのエンティティからの需要を受信することと、許可のセットに基づいて、エンティティが構内データセットにアクセスすることが許可されていることを決定することとを含む。さらに、前記動作は、構内データセットをエンティティに提供することを含む。
【0006】
別の実施態様では、非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサに所定動作を実行させるためのプロセッサによって実行可能な命令を含むことができる。前記動作は、構内に位置する構内データソースからエネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることを含む。さらに、前記動作は、エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して構内データセットを生成することを含む。また、前記動作は、プライバシー管理動作を使用して、構内データセットを一組の許可でラッピングすることを含む。さらに、前記動作は、構内データセットにアクセスする需要をエンティティから受信することと、一組の許可に基づいて、エンティティが構内データセットにアクセスすることが許可されていることを決定することとを含む。前記動作はまた、構内データセットをエンティティに提供することを含む。
【0007】
さらに別の実施態様において、コンピュータが実施する方法は、需要側応答データプレーンにおいて、構内に位置する構内データソースからのエネルギー消費に関連するデータ通信にアクセスすることを含む。本方法はまた、需要側応答データプレーンにおいて、エネルギー消費に関連するデータ通信を使用して構内データセットを生成することを含む。さらに、本方法は、需要側応答データプレーンにおいて、プライバシー管理動作を使用して、許可セットで構内データセットをラッピングすることを含む。さらに、本方法は、需要側応答データプレーンにおいて、構内データセットにアクセスするためのエンティティからの需要を受信することと、需要側応答データプレーンにおいて、一組の許可に基づいて、エンティティが構内データセットにアクセスすることが許可されていることを決定することとを含む。さらに、この方法は、需要側応答データプレーンから、構内データセットをエンティティに提供することを含む。
【0008】
これらの例示的な実施態様は、本開示を限定又は定義するために記載されたものではなく、本発明の理解を助けるための例を提供するために記載されたものである。追加の実施態様については「詳細な説明」で説明し、さらなる説明はそこで行う。
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を、添付図面を参照しながら読むと、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書で説明するいくつかの実装による、安全な制御プレーンのための分散アーキテクチャの例を示す図である。
図2】本明細書で説明するいくつかの実施形態による、例示的なエネルギー管理制御システムの図である。
図3】本明細書で説明するいくつかの実施形態による、例示的な需要側応答制御プレーンと需要側応答データプレーンの図である。
図4】本明細書で説明するいくつかの実施形態による、構内でデータを生成する装置とデータを格納する装置との間のデータの流れを示す図である。
図5】本明細書で説明するいくつかの実施形態による、需要側応答の論理アーキテクチャの例を示す図である。
図6】本明細書で説明するいくつかの実施態様による、構内に関連するエネルギー管理デバイスのデータカーディナリティの例を示す図である。
図7】本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、エネルギー管理制御システムの構成要素組織関係の一例を示す図である。
図8】本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、エネルギー管理制御システムで需要側応答を実行するためのプロセスのフローチャートである。
図9】本明細書で説明するいくつかの実装による、PEPKI(パーソナルエネルギーパブリックキーインストラクチャ(Personal Energy Public Key Infrastructure))トラストフローの例を示す図である。
図10】本明細書で説明するいくつかの実装による、データプレーンキーインフラストラクチャ(DaPKI)のトラストフローの例を示す図である。
図11】本明細書で説明するいくつかの実装による、エネルギー管理システムのためのトラストレスメッセージングを確立するためのプロセスのフローチャートである。
図12】本明細書で説明するいくつかの実施形態による、例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細説明
電力システムにおける需要側応答の現在の実装には、いくつかの課題が存在する。従って、スマートグリッドへの移行をサポートする技術アーキテクチャは、現在のユースケースと将来のユースケースをサポートするために拡張する必要がある。一例として、ポイントツーポイントアーキテクチャのような既存の電力システムを需要側応答の実装に使用すると、相互運用性、拡張性、及びセキュリティの課題が生じる可能性がある。このような課題を考慮すると、スマートメータリングネットワークを再利用するが、その上に構築する本明細書で説明する新しいアーキテクチャは、需要側応答の実装における既存の電力システムの課題に対処することができる。
【0012】
このアーキテクチャは、相互運用性の懸念を分離し、需要側応答の相互運用性を検討するための有用なレイヤーの概念的枠組みを提供するために、電話ネットワークの概念を利用している。一例として、デバイスの安全な制御は、エネルギーシステムの制御プレーンとエネルギーシステムのデータプレーンにおけるデータのセキュリティとプライバシー管理から分離される。制御プレーンは、スマートメータリングネットワークを再利用して、スマートメータリングネットワークの通信到達範囲の利点を提供し、データプレーンは、データアクセスに関する固有の問題を克服することができる。例えば、データアクセスは、ワイドエリアネットワークを介して本質的に遅くて面倒である可能性があり、データは、完全なデータにアクセスすることが広範囲のエネルギー産業組織にわたって複雑なアクセス問題を提示するように、別々のデータサイロにアクセスするために格納される可能性がある。
【0013】
このアーキテクチャは、ホーム(家庭)のデータセット、あるいは個々の施設に関連するデータセット、あるいは請求支払者に関連する施設群を、クラウド上のデータポータビリティの単一ユニットに集め、ホームのデータセットをプライバシーとセキュリティの管理レイヤーで包むことであるケーラブルになる。このようなアーキテクチャは、安全で非常に粒度の細かいプライバシーモデルを提供することができる。さらに、施設に関連する顧客のエネルギー管理デバイスで強力な異常検出機能を可能にし、新しいエネルギー管理システムを構築することであるマートメータのセキュリティモデルを支えるトラストレスセキュリティをスマートグリッド全体で維持強化することができる。エネルギー管理システムはまた、エネルギーシステム制御プレーンを、集中型セキュリティ監視や詳細なネットワーク全体解析で使用するための需要側応答制御プレーンとして使用するメカニズムを提供することもできる。
【0014】
図1は、本明細書で説明するいくつかの実装による、安全な制御プレーンのための分散アーキテクチャ100の一例の図である。分散アーキテクチャ100は、ホーム104内のエネルギー消費及び監視デバイスに関連するデータを収集及び編集する顧客エネルギーマネージャ(CEM)102を含む。図1は、ホーム104に関して説明されているが、他の任意のエネルギー消費構内も、構内のエネルギー消費に関連するデータを収集するCEMと関連付けることができる。一例では、CEM102は、ホーム104のエネルギー消費に関するデータを収集し、収集したデータに基づいて、ホーム104内のコンポーネントの制御インフラストラクチャを提供する。
【0015】
分散アーキテクチャはまた、需要側応答を需要側応答サービスプロバイダ(DSRSP)112及びエネルギースマートアプライアンスゲートウェイ(ESAG)114に提供するためにCEM102と通信するインターフェースA106及びインターフェースB108を含む。DSRSP112及びESAG114は、CEM102がホーム104内のエネルギー消費デバイスからデータを取得し、ホーム104内のエネルギー消費デバイスの動作を制御するための通信ゲートウェイを提供することができる。例えば、エネルギー小売業者である可能性のあるDSRSP112は、DSRSP112からホーム104に供給されるエネルギーに関するデータをCEM102に提供することができ、ESAG114は、ホーム104内でESAG114と通信するエネルギースマート家電116のエネルギー消費に関する、より詳細なデータをCEM102に提供することができる。本明細書で使用される場合、エネルギー小売業者という用語は、エネルギー使用者にエネルギー卸売購入オプションを提供する事業体を指す場合がある。いくつかの例では、エネルギー小売業者は電力会社の一部であることがあるが、追加の例では、エネルギー小売業者は電力会社と提携していないことがある。
【0016】
さらに、CEM102は、電気自動車の充電をサポートするために、広域ネットワーク(WAN)を介して通信するトンネル型オープンチャージポイントプロトコル(OCPP)110を含むことができる。例えば、トンネル型OCPP110は、CEM102と電気自動車供給装置(EVSE)118とモビリティサービスプロバイダ(MSP)136との間の通信を提供する。一例では、MSP136は、EVオペレータにモビリティ製品及びサービスを提供し、MSP136は、CEM102を介してEVSE118に制御信号を提供することができる。MSP136がEVSE118に提供する制御信号には、EVSE118が電気自動車120の充電を開始できるようにするロック解除信号が含まれる場合がある。ロック解除信号を受信すると、EVSE118は、ホーム104で電気自動車120を充電するための電力を供給することができる。
【0017】
分散アーキテクチャ100はまた、ホーム104で生成され、ホーム104のエネルギー消費データ源から受信したデータを格納し、解析するデータプレーン122を含む。いくつかの例では、データプレーン122は、CEM102やホーム104から離れた場所にあるサーバーであることがある。データプレーン122は、電気系統上の各ホームからのデータのコピーを含み得るホームデータセット124を含む。データプレーン122はまた、異常検出エンジン126、フロントエンドAPI128、データ解析エンジン130、データ管理エンジン132、及びデータプレーン122での柔軟なデータ格納をサポートするためのフレキシビリティデータゲートウェイ134を含む。
【0018】
CEM102を含めることで、DSRSP112を使用するスマートメータリングシステムを使用して、データのトラスト性のないエンドツーエンドの暗号化を維持することができる。さらに、異常検出及び緩和の全ホームに焦点を当てた概念を実装することができる。例えば、ホーム104に関連付けられ、CEM102で受信されたホームデータセット124は、CEM102がホーム104の電気システムで発生する異常を検出し、緩和することで、送電網を不安定にする可能性のある負荷シフトを引き起こす事象を回避することができる。いくつかの例では、異常検出は、負荷シフトに関連する可能性のある消費イベント又はパターンの検出を指す場合がある。さらなる例では、異常検出は、適切に動作していないCEM102などのコンポーネントを検出することを指す場合がある。
【0019】
一例では、データプレーン122は、ホーム104の構内データソースによって生成された消費者の個人データをセキュリティ及びプライバシー管理サービスでラップし、消費者が消費者データの所有権を主張し、消費者データを承認されたDSR市場参加者(例えば、ホーム104内のデバイスで需要側応答動作を実行できるエンティティ)及び付加価値サービスの解析機能用にライセンスする。消費者個人データには、ホーム104内の機器から受信され、ホーム104内のエネルギー消費に関連する、請求支払者に関連するあらゆるデータを含めることができる。いくつかの例では、消費者個人データは、発電源から最終消費者(例えば、ホーム104に関連する請求書支払者)へのエネルギーの分配及び管理を担当する配電系統運用者(DSO)127を介するなど、メータリングデバイス(計量装置)125によって生成されたデータも含み得る。DSR市場参加者が更新してアクセスすることができるホームデータセット124を維持することは、複雑な許可を管理する問題を確立する。暗号技術、ブロックチェーン、スマートコントラクト、及び非腐敗性トークン(NFT)の分野における発展は、複雑な許可を管理する問題を単純化する可能性がある。
【0020】
例えば、データプレーン122は、許可を管理するためにイーサリアムのブロックチェーンに依存することができる。イーサリアムは高度に分散された共有仮想マシンであり、スマートコントラクトと呼ばれる安全なスクリプトと分散型アプリケーションを実行する。イーサリアムはまた、サードパーティの分散型ファイルシステムも含む。他のブロックチェーンの実装と同様に、イーサリアム台帳の取引エントリは分散化され、不変で安全である。例えば、イーサリアムネットワークの各ノードは分散型台帳のコピーを有する。単一障害点(single point of failure)や中央機関が侵害されることはない。さらに、取引が台帳に入力されると、ネットワーク内の各ノードが取引の有効性をチェックし、取引の有効性に関するコンセンサスを得る。エントリが有効であると決定判断された場合、その取引は台帳に追加される。コンセンサスを得るためのメカニズムには、「権威の証明」メカニズムなど、非常に迅速なコンセンサスを得ることができるものが数多くある。さらに、台帳上のエントリは、公開キーで書き込める暗号ハッシュで構成されている。従って、台帳上のエントリは安全であり、ノードが侵害されても見ることはできない。
【0021】
イーサリアム仮想マシン(EVM)は、各イーサリアムノードで実行されるサンドボックス化された仮想マシンである。EVMバイトコードにコンパイルするために書かれたコードはスマートコントラクトと呼ばれ、ソリディティ(Solidity)のような「コントラクト指向」プログラミング言語で書かれ、実行のためにEVMバイトコードにコンパイルされるのが最も一般的である。このようにして、実行されたコードはネットワーク、ファイルシステム、ホストコンピュータのプロセスから完全に分離される。イーサリアムネットワークのすべてのノードはEVMインスタンスを実行し、これにより、ノードが同じ命令を実行するためのコンセンサスを得ることができる。この配置により、制御プレーン122に存在するトラストレスをさらに強化したトラストレス方式で、安全なコードを実行できるようになる可能性がある。例えば、コントロールプレーン122のトラストレスは2人の参加者を巻き込む。対照的に、EVMのトラストレスは、イーサリアムネットワーク上のすべての参加者を含むことができる。効率性と電力消費を最小限に抑えるため、認証の証拠を使用したチェーン構成では、コンセンサスを達成するためにイーサリアムネットワークの少数の参加者だけに依存することがある。このようにして、EVMはイーサリアムネットワークレベルで、高度に分散された単一のコンピュータとして事実上存在する。
【0022】
イーサリアムネットワークで使用されるスマートコントラクトは、EVM上で実行される「オブジェクトのような」コードである。スマートコントラクトは、コードが変更できないという点で改ざん防止になっている。さらに、スマートコントラクトはレコードを変更できないという点で不変である。スマートコントラクトは、一つのスマートコントラクトが他のスマートコントラクトと相互作用できるという点でコンポーザブルである。さらに、スマートコントラクトは、コードの意味でもトランザクションの意味でも監査可能であり、スマートコントラクトは暗号的に健全である。
【0023】
一例として、代替性トークン(NFT)は、デジタル資産を暗号的に健全かつ一意に表現したものである。NFTは分散型台帳のエントリと、そのエントリと暗号的にリンクされた一意のトークンを含むことができる。代替性(ファンジビリティ)とは、資産の独自性のことである。NFTは所有権のデジタル概念を構築するために使用される。イーサリアムのネットワークを利用した実装では、スマートコントラクトを介することで、資産に対して何ができるかを制約するルールを設定することができる。このように、異なるNFTをスマートコントラクトの相互作用システムで仲介し、1つの資産に複数のNFTを割り当てることも可能である。NFTを所有することで、その資産で何ができるかを決定することができ、NFTはNFT所有者がその資産に対して持つ権限を表すことができる。
【0024】
スマートコントラクトとNFTの組み合わせにより、ホームデータセット124のデータ及び機能を許可するアプローチが可能になる可能性がある。イーサリアムの不変の台帳とトラストレス実行を伴うEVMの組み合わせは、動的に許可の割り当てと管理を可能にする可能性がある。イーサリアム内のスマートコントラクトのネイティブ機能は、動的に作成及び管理できる複雑な証明書階層も可能にする可能性がある。ESAG114のハードウェアセキュリティモデル(HSM)は、ルート証明書を持つ認証局として動作することができる。HSMは、個々の請求書支払者を表すキーセットを検証し、追加することができ、個々の請求書支払者は、静止時及び飛行中にホーム104で生成されたデータを暗号化するために使用することができるデータプレーン122の証明書に署名することができる。さらに、請求書支払い者のアイデンティティ証明書は、ハッシュ演算のためにイーサリアムのブロックチェーン上で使用される証明書に署名するために使用することができる。このセキュリティアプローチにより、請求書支払者はデータコントローラの役割を担うことができる。
【0025】
請求書支払者以外の世帯構成員の所有権を認識する際、ESAG114は世帯構成員の各アイデンティティを請求書支払者に関連付けることができ、NFTを使用して、請求書支払者が指名された意思決定者の役割を果たす世帯の集合的なデータ権を管理することができる。さらに、住宅に関連するデータセットであるデータトラストの概念は、新しい所有者が、CEM102がその住宅104又は他の敷地に対して最適化することを既に可能にする履歴データセットを利用できるように、住宅購入の一部として販売することができる。
【0026】
イーサリアムネットワークによって提供される許可管理の実装は、料金支払者が制御するライセンスの形態の実装を可能にする可能性がある。複数のDSRSP112、複数のチャージポイントオペレータ(CPO)、及び複数のCEM102は、請求者のデータに対するアクセス要件及び期間を定義し、データを使用するために請求者にライセンスを需要することができる。このような需要は、ホーム内ユーザーインターフェース上で請求者に提供することができる。権限管理システムは、機能のライセンス供与を可能にすることもできる。サーバーレス機能における最新のクラウド機能を使用して、フレキシビリティサービスプロバイダは、独自の関数を書き、請求書支払者によって許可されたデータプレーン122に直接デプロイして、請求書支払者自身のホームデータセット124を解析することができる。
【0027】
さらに、データの使用に対する多くのビルペイヤーの制御により、データプレーン122が機能するために基本レベルの許可が実装されるかもしれない。基本的な許可レベルは、基本的なライセンスパックとして実装され、データプレーン122を使用するために課金者が付与する必要のある最小限の許可セットをカバーすることができる。許可の基本レベルは、ホーム104でエネルギー供給者を変更するために必要なデータプレーン122の基本機能を含むことができる。さらに、基本的な許可レベルには、データセットへの裁判所命令のアクセスや、料金支払者の死亡のようなイベントを処理するための手順を許可することも含まれる。一例として、スマートコントラクトとしてライセンスを実装することは、システムに対する社会のトラストを促進するのに役立つ可能性がある。
【0028】
図2は、本明細書に記載されるいくつかの実装による、例示的なエネルギー管理制御システム200の図である。エネルギー管理制御システム200は、CEM102のためのトラストレスメッセージングを可能にし、図1のデータプレーン122に関連する電気システム全体のための高次のセキュリティ懸念も管理するCEMマネージャ202(すなわち、エネルギー管理システム)を含む。図示されているように、CEMマネージャ202は、CEM102との1対多の関係を含むことができる。すなわち、個々のCEMマネージャ202は、それぞれが個々の構内に関連する複数のCEM102に関連することができる。一例では、CEMマネージャ202は、CEM102が侵害された場合に、エネルギー管理制御システム200が大量の負荷シフトイベントによってグリッドを不安定にさせないように、CEMマネージャ202で受信されるコマンドを監視及び管理する。CEMマネージャ202は多くのCEM102を横断するビューを持つため、(例えば、個々の構内の)CEM102の両方で採用される異常検出(AD)及びCEMマネージャ202(例えば、複数の構内)は、単一の構内から受信したデータに基づく異常検出よりも、より堅牢な異常検出と緩和を提供できる。異常検出は、CEM102又はCEMマネージャ202のメッセージングとグリッドシステムの動作パラメータの両方に関連する異常を指す場合がある。例えば、異常検出は、ホーム104内のエネルギー消費装置に対する相反する制御信号(例えば、ヒーターとエアコンを同時に作動させる)を検出することを含む場合がある。さらに、異常検出は、グリッドの異常又はグリッドの異常をもたらす状況を検出することを含む場合がある。例えば、異常検出は、特定の時間に充電されているEVの数が多すぎること、又は、一定期間にわたって充電サイクルを開始するEVの数が増加し続けていることを検出することを含む場合がある。また、構内のエネルギー消費機器のデータを解析することで、他の異常状況を検出することもできる。
【0029】
CEM102は、個々の施設に関連付けることができる。言い換えると、消費者は、CEM102を介して、構内のスマートグリッドデバイスを制御及び通信するための単一のポータルを持つ。データプレーン122のプラットフォーム性は、エネルギースマートアプライアンス(ESA)又は需要側応答サービスプロバイダ(DSRSP)112及び充電ポイントオペレータ(CPO)204の製造業者が強化されたものを作成するための「プラグイン」機能を可能にすることができ、当該付加価値サービスは、構内104のホームデータ全体を可視化しなければ不可能な場合がある。一例では、CPO204、CEM102、CEMマネージャ202、及びDSRSP112間の通信は、異常検出を強化するために、すべて構内104の全ホームデータセットの相互運用可能なデータに依存する可能性がある。
【0030】
図3は、本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、例示的な需要側応答制御プレーン302及び需要側応答データプレーン122の図である。図1に関して上述したように、データプレーン122は、制御プレーン302から受信されたデータのアクセスポイントを提供するフレキシビリティデータゲートウェイ134を含む。データプレーン122のオーケストレーション層304は、請求書支払者に対する供給者の変更と、請求書支払者のテナント変更イベントを調整することができる分散層であってもよい。オーケストレーションレイヤー304は、プッシュ及びプルメッセージングイベントのサポートも提供することができる。
【0031】
一例として、HDAME(ホームデータ解析管理環境(home data analysis and management environment))許可306は、データ及び機能の許可を設定し、格納するためのメカニズムを提供する。HDAME許可306は、スマートコントラクト、NFT機能、及びスマートコントラクトを記録する分散台帳を含むことができる。いくつかの例では、スマートコントラクト及びNFT機能は、様々なエンティティが請求支払者のエネルギー消費に関連するデータを受信及び使用するための許可を確立することができる。エネルギー消費に関連するデータは、請求書支払者の施設に関連付けられ、又は、住宅用EV充電器のローミング使用を可能にする電気自動車(EV)モビリティウォレット310を介するなど、請求書支払者が訪問する遠隔地にある施設に関連付けられ得る。さらに、HDAME許可306のスマートコントラクト及びNFT機能は、(例えば、エネルギー小売業者及びDSR制御を提供するエンティティとの)規制及び(例えば、データ解析、学術研究、又は他のサービスを提供するサードパーティとの)サードパーティ機能の許可及びユーザーライセンスを管理するための洗練された動的アプローチを可能にする機能許可を提供することができる。HDAME許可306の取引台帳は、HDAME308で発生した全ての取引及び全てのNFTのマスターレコードを含む。トランザクション台帳は、ホームデータセット124が保持される分散オブジェクトストアへのポインタをトランザクションレコードとして保持することができる。
【0032】
さらに、データプレーン122は1つ以上のHDAME308を含む。HDAME308はホームデータセット124(又は構内データセット)を含むことができる。HDAMEs308はまた、HDAME許可306によって確立された許可された領域であってもよく、そこでは消費者(例えば請求書支払者)によって直接許可されたサービスを提供するためにカスタム解析機能を提供することができる。一例として、HDAMEs308は、異常検出エンジン126、EVモビリティウォレット310、データ管理エンジン132、データ解析エンジン130、アクセス管理機能314を含む。
【0033】
複数のHDAME308は、NFTを介してEVM内のスマートコントラクトに暗号的に結び付けられるサーバーレス機能として展開されるかもしれない。各機能は、PEPKIを使用してセキュリティで保護され、厳重に許可された適切なNFTとインターフェースでプロビジョニングすることができる。他のアプローチを使用することもできるが、サーバーレス機能は、最小限のコストで機能を提供するための非常に効率的なアプローチである。一例として、HDAME308はより大きなネットワークの単一のサブネットに展開することができる。
【0034】
ホームデータセット124は、ESA116やEVSE118などの構内データソースからの時系列データ(例えば、タイムスタンプデータ)を含むデータセットであってもよい。
さらに、ホームデータセット124は、スマートメータの消費者アクセスデバイスを介してESAG114から取り込まれる可能性のあるスマートメータデータで富化される可能性がある。一例では、ホームデータセット124は、どのエネルギー供給業者が各機器に関連付けられているかのレジスタを含み、レジスタは供給業者情報のマスターレコードと考えられる。デバイスのエネルギー供給者は時間とともに変化する可能性があり、エネルギー供給者の変化に伴ってレジスタが更新される可能性がある。異常検出エンジン126、データ管理エンジン132、又はデータ解析エンジン130のいずれかにおける追加機能を可能にするために、データセットは、天候及び現地の状況に関する情報で強化されることがある。
【0035】
異常検出エンジン126は、制御プレーン302のトラストレスメッセージフローの一部として、CEM102からのクエリに応答して、ホームデータセット124の解析に使用されることがある。ホームデータセット124へのアクセスは、異常検出エンジン126が、検証中のメッセージが、システムアクター(例えば、DSRSP112、CEM102、CEMマネージャ202、MSP136、ESAG114など)のホームへの可視性の範囲外であるデバイスの現在の状態と(例えば、検出された異常として)安全でない方法で相互作用するかどうかを検出することを可能にする可能性がある。異常検出エンジン126はまた、メッセージが安全な通信メカニズムを通じて検証されるべきかどうかを決定するために、メッセージに適用するための合意されたルールセットを確立することができる。異常検出エンジン126は、トラスト性を確保するために、規制され監査されたプロセスによって保守されることがある。
【0036】
EVモビリティウォレット310は、サードパーティのEVSE118を使用している間の料金支払者の支出を追跡することができる。ウォレット間の更新は、オーケストレーション層304を使用して行うことができる。
【0037】
データ管理エンジン132は、基本的なデータ管理集計や規制された匿名化処理を含むHDAME308の基本的な規制された機能を含むことができる。規制された機能性とは、データ所有者のプライバシーを尊重する方法でデータを規制することを指す場合がある。規制された匿名化プロセスは、オーケストレーション層304のサポートを使用して、データ所有者(例えば、請求書支払者)のプライバシーを尊重しながら、匿名化されたデータを集約し、他の解析環境に安全に移動させることができる。匿名化処理は、学術的なアクセスや、送電系統運用者や配電系統運用者、さらには関連する政府機関の特定の解析ニーズに有用である。データ管理エンジン132は、規制され監査されたプロセスによって維持される場合がある。
【0038】
データ解析エンジン130は、データプレーン122のプラットフォーム機能であってもよい。データ解析エンジン130は、CEM102の概念に付随するものと考えることができる。許可管理と安全な格納に対するデータプレーンアプローチは、DSRSP112、MSP136、CEM102、及びCEMマネージャ202がそれぞれ、データ所有者にライセンスを需要した後、解析機能のセットをHDAME308に展開できることを意味する。
【0039】
アクセス管理機能314は、データが安全にアクセスされ格納されることを可能にする規制された機能を含む。アクセス管理機能314は、規制され監査されたプロセスによって維持され得る。
【0040】
データセキュリティのために、データプレーンキーインフラストラクチャ(DaPKI)は、目標アクター(例えば、DSRSP112、CEM102、CEMマネージャ202、MSP136、ESAG114などの制御プレーン302のコントローラ)などの業界参加者のデータプレーン122へのアクセスを保護するために使用される。一例として、各ホームの公開キーインフラストラクチャ(PKI)と各請求書支払者の個別のセキュリティデジタル証明書を作成する個人エネルギー公開キーインフラストラクチャ(PEPKI)は、請求書支払者がHDAME許可306のスマートコントラクトを通じて請求書支払者データへのアクセスのライセンスを制御することを可能にするかもしれない。このセキュリティインフラは、請求書支払者がホームデータセット124のプライバシーの境界を管理するデータ所有者のままであることを保証することができる。
【0041】
データプレーン122は、フレキシビリティデータゲートウェイ134を介して制御プレーン302と相互作用することができる。例えば、DSRSP112、CEM102、CEMマネージャ202、MSP136、ESAG114、又は制御プレーン302の他の制御コンポーネントはすべて、フレキシビリティデータゲートウェイ134を介してデータプレーン122にメッセージコンテンツを書き込むことができる。さらに、制御プレーン302の構成要素は、データプレーン122から集約されたデータを受信することができる。一例では、集約されたデータは、グリッド上の異常又は不安定化する負荷シフトを回避又は緩和する方法でエネルギー消費デバイスの動作を制御するために、制御プレーン302のコンポーネントによって作用され得る。
【0042】
フレキシビリティデータゲートウェイ134は、一例では、制御プレーン302からデータプレーン122への単一のアクセスポイントを提供する。データプレーン122へのデータパスは、トランスポートにおいて暗号化されてもよく、ユーザは認証されてもよい。データプレーン122から需要されるデータは、有効な需要者(需要者)の目標に暗号化され得る。暗号化を可能にするために、ESAGベースのホームAPIとは別にDaPKIを確立することができる。従って、データプレーン122がパブリッククラウドインフラストラクチャに実装されている場合でも、フレキシビリティデータゲートウェイ134は、インターネットから分離された安全なネットワーク内に配置される可能性がある。
【0043】
図1に関して上述したように、イーサリアム仮想マシン(EVM)は、デプロイされたイーサリアムノード間で分散して存在する可能性がある。データプレーンオーケストレーションレイヤ304は、個々のHDAME供給者登録の更新を管理するスマートコントラクトのシステムと、フレキシビリティデータゲートウェイ134との間のプッシュ及びプルイベントのメッセージングサポートを含む。イーサリアムはまた、プレーン間ファイルシステム(inter planetary file-system:IPFS)と呼ばれる高度に安全な分散ファイルシステムをサポートする可能性があり、複数のHDAME308間のメッセージングに安全なトランスポートとして使用することができる。一例として、オーケストレーション層304は、一般的な分散コンポーネントであるため、DaPKIからセットアップ(提供;プロビジョニング)された証明書を利用することができる。さらに、供給業者の変更と入居の変更プロセスには、HDAMEの供給業者登録の更新と、変更元と変更先の供給業者からの確認の一組の調整が含まれる。供給者変更プロセスと入居者変更プロセスの両方が、複数のHDAME308間の許可と潜在的なデータの移動を管理するために使用されるかもしれない。
【0044】
データがメータ装置上にのみ格納されている場合、データにアクセスする必要がある関係者が増えれば増えるほど、帯域幅の制約を受けたときにデータ処理アーキテクチャの拡張性が低くなる。データプレーン122は、メータ装置から離れた場所に格納されることがあり、すべての消費者データを、データポータビリティの便利な単位であるホームデータセット124に断片化及び分配することができる。例えば、データプレーン122は、静止時(例えば、データがデータプレーン122のメモリデバイスに格納されている間)及び飛行中(例えば、データがデータプレーン122から目標アクターに送信されている間)の消費者データの暗号化を可能にし、消費者自身のPEPKIによって保護、許可、ライセンス、及び管理される。さらに、HDAME308で実行されるデータ解析エンジン130は、消費者の同じPEPKIを使用してライセンスされ、許可されてもよい。個々のHDAME308の境界内では、PEPKIはイーサリアムコンポーネントの境界内及び飛行中と静止中のデータの安全性を確保するためのすべての暗号動作に使用することができる。
【0045】
敷地内のスマートメータシステムは多くの有用なデータを生成するが、データへのアクセスは困難で、高価で、複雑な場合がある。データプレーン122のHDAME許可306を実装することにより、技術革新や研究目的のための構内からのデータアクセスがより簡単になり、そして、消費者は、特定の関係者がホームデータセット124からどのデータにアクセスできるかを完全にきめ細かくプライバシー制御することができる。例えば、PEPKIは、完全なホームデータセット124(例えば、施設の、又は請求支払者に関連する)を、請求支払者が特定の当事者にライセンスし許可することができる方法で、安全に維持することを可能にする。一方、学術研究又はその他の公益のための他の種類のアクセスは、同意され規制された基本的なライセンスパッケージの概念を通じて義務付けられるかもしれない。
【0046】
さらに、電気自動車のようなローミング環境でのエネルギー消費が一般的になると、システムのポータビリティがより望ましいものとなる。データプレーン122のアーキテクチャは、消費者の敷地外の他のホーム用充電器にローミングするポータビリティを可能にする可能性があり、来客用のホーム用充電システムや、他の一組の可能な革新的サービスが生成される可能性がある。これは、データプレーン122の許可された機能性と、データプレーン122が提供するデータの速度とアクセスの容易さの両方によって可能になる可能性がある。
【0047】
データプレーン122はまた、異なる構内からのホームデータセット124のアグリゲーション(集約)を提供することができる。いくつかの例では、ホームデータセット124の各々は、保護されてもよく、ホームデータセット124の各々に関連付けられた請求支払者は、目標アクターがホームデータセット124にアクセスする許可を提供してもよい。アグリゲーションは、小規模な分散型エネルギー資源(例えば、太陽光発電、EV充電、風力発電など)の活動を組織化し、システムが供給側(例えば、発電)と需要側(例えば、需要側応答)の両方から対応できるようにすることで、グリッドの最適化を可能にする。一例として、送電線、配電線、ホーム内のセンサからの正確でタイムリーな遠隔測定は、電力網の活動を包括的に見ることを可能にするかもしれない。データプレーン122及び制御プレーン302によって実現される最適化活動には、配電網内の電力フローの最適化、配電網内の電圧降下及び電圧降下への対応(例えば、異常)、ローカルネットワークの補強が必要なローカルグリッドの負荷管理などが含まれる。例えば、特定の地域で多数の電気自動車が充電を開始した場合など、ローカルネットワークの強化が必要になることがある。
【0048】
図4は、本明細書で説明するいくつかの実施形態による、構内でデータを生成する装置とデータを格納する装置との間のデータ400の流れを示す図である。スマートメータデバイス402は、電力スマートメータ(ESME)、前払いメータインターフェースデバイス(PPMID)、消費者アクセスデバイス(CAD)、ガススマートメータ(GSME)、スマートメータ用ホーム内ディスプレイ(IHD)、スタンドアロン補助比例コントローラ(SAPC)、又はスマートメータに機能性を提供するために動作する他の任意のデバイスを含み得る。スマートメータ装置402は、スマートメータ装置402に関連する構内における消費量及び様々な電力品質指標の両方を追跡する、豊富で有用なセンサ遠隔測定を生成することができる。スマートメータデバイス402はまた、構内の遠隔切断及び互換デバイスの遠隔制御を可能にすることができる。
【0049】
いくつかの例では、多数の異なる製造業者のスマートメータリングデバイス402は、すべて同じホームエリアネットワーク(HAN)上で動作する可能性がある。スマートメータリングデバイス402は多数の製造業者から提供されているため、多数の組み合わせで展開可能なスマートメータリングデバイス402間の相互運用性は、データプレーン122及び制御プレーン302を備えたスマートメータリングデバイス402の実装に有用であり得る。図示されているように、スマートメータリングデバイス402を制御するために、任意の数の制御アプリケーション404を展開することができる。たとえば、1つ又は複数のメータデータ管理システム(MDMS)406又はデータ及び通信会社(DCC)アダプタ408が、スマートメータリングデバイス402からデータを受信し、スマートメータリングデバイス402に制御機能を提供するために実装され得る。
【0050】
役割ベースのアクセス制御(RBAC)は、スマートメータデータ406にアクセスする認可を多数の関係者に提供するために確立され得る。いくつかの例では、RBACは、エンドツーエンドの暗号化、トラストレスメッセージング、及びユーザ認証を提供することができる。セキュリティモデル及びプライバシーモデルにより、制御アプリケーション404のDCCアダプタ408は、データプロセッサとして動作することができる。例えば、スマートメータ装置402の相互運用性とセキュリティモデル及びプライバシーモデルとの相互作用により、エネルギー小売業者に保管されている顧客データは、DCCユーザの役割が小売業者にアクセスを許可するデータのみであり、そのユーザが小売業者の顧客である間のみであることが保証される。これにより、スマートメータデータセット406は、設計によって断片化され、サイロ化され、保護され、スマートメータデータセット406の使用が顧客(例えば、スマートメータデータセット406の所有者)によって提供された許可に従って規制されることが保証される。
【0051】
図5は、本明細書で説明するいくつかの実施形態による、需要側応答のための論理アーキテクチャ500の例を示す図である。論理アーキテクチャ500は、3つの論理構成要素を含み:すなわち、(1)需要側応答サービスプロバイダ(DSRSP)112、(2)顧客エネルギーマネージャ(CEM)102、及び(3)エネルギースマートアプライアンス(ESA)116を含む。DSRSP112の役割は、配電系統運用者(DSO)502(たとえば、図1のDSO127)及び送電系統運用者(TSO)504(たとえば、エネルギー送電システムインフラを使用して、国又は地域レベルでエネルギーの輸送を委託されたエンティティ)に販売するために、ESA116をディスパッチ可能な単位(たとえば、所与の時間のためにESA116によって消費されたエネルギー)で集約することである可能性がある。DSRSP112はまた、配電網及び送電網に「代わって」最適化するように動作することもある。単一のホーム104又は構内には、ホーム104又は構内にフレキシビリティサービスを提供する多数の異なるDSRSP112が存在する場合がある。このため、ESA116に矛盾した制御信号が送られる可能性がある。例えば、あるDSRSP112がホーム104のヒーターを作動させる誤った指示を出し、別のDSRSP112がホーム104のエアコンを作動させる指示を同時に出すことがある。この種の衝突は、図1に関して上述したように、ホームデータセット124全体を視野に入れたデータプレーン122の異常検出エンジン126によって軽減される可能性がある。
【0052】
さらに、CEM102は最適化機能を提供することもある。配電及び送電ネットワークに代わって最適化するDSRSP112の役割を考えると、CEM102は個々のホーム104又は構内に代わって「最適化」するように動作する可能性がある。従って、CEM102の消費者重視の役割は、DSRSP112又は充電ポイントオペレータ(CPO)に対するCEM102の監督的役割を示唆する場合がある。CEM102で異常検出とメッセージ検証を提供することで、DSRSP112又はCPOはエンドツーエンドのトラストレスメッセージングシステムを実装できるようになる。あるホーム又は施設の「代わりに最適化する」役割を果たすために、CEM102は、エネルギー消費に関連するデータを生成している個々のホーム又は施設内のデバイスからの遠隔計測の全体像を把握することができる。
【0053】
さらに、複数のESA116は、ホーム又は敷地内のインテリジェントな主要家電、HVAC、バッテリに接続されたインバーター、太陽電池、又はその他のインテリジェントな電化製品とすることができる。言い換えれば、ESAは、DSRSP112が複数のDSO502及び複数のTSO504に代わって集約する分散型エネルギー資源である可能性がある。ESAs116は、CEM102又はDSRSP112によって連絡されることが可能であり、一方、maは、どのメッセージがそれぞれによって処理されることができるかをプロトコルレベルで区別しない。さらに、ESA116は、CEM102、DSRSP112、及びCPOからのメッセージを認証し、暗号化/復号化することができる。
【0054】
いくつかの例では、図2のCPO204のようなCPOは、DSRSP112、CEM102、及びESA116に加えて含まれてもよい。CPOは、オープンチャージポイントプロトコル(OCPP)に準拠した、電気自動車供給装置(EVSE)制御アプリケーションであってもよい。一例として、複数のCPOは、複数のDSRSP112と同様の関係をCEM102と構築することで、エンドツーエンドのトラストレスメッセージングをサポートし、ホームデータセット全体のビューを持つCEM102による異常検出の利点を可能にする。
【0055】
一例では、図1のEVSE118のようなEVSEは、配電網オペレータ(DNO)の負荷制御オーバーライドのための統合型スタンドアロン補助比例制御装置(SAPC)を備えたOCPP準拠である。EVSEは、CPOとのエンドツーエンドのセキュリティを実装することもできる。一例では、EVSEは、CEM102又はCPOからコンタクトを受けることが可能であるが、それぞれのメッセージを処理できるプロトコルレベルを区別しない。さらに、EVSEは、CEM102、DSRSP112、及びCPOからのメッセージを認証し、暗号化/復号化することができる。
【0056】
CEMマネージャ202(例えば、エネルギー管理システム)は、複数のCEM102のアクティビティを管理する第2の異常検出機能を提供することができる。例えば、誤動作又は機能不良と思われるCEM102は、CEMマネージャ202によってメッセージを送信及び検証する能力を制限される可能性がある。さらに、CEMマネージャ202と複数のCEM102の間の1対多の関係は、複数のCEM102の管理及び監督を可能にする。例えば、複数のCEM102は、メーカー別及び/又は地理的位置別、又はセキュリティ及び安全監視を可能にする他の論理的グループ数でグループ化することができる。CEMマネージャ202を実装することで、データを集計して、ホームや施設に対するリスクを予測し、送電網の安定性を強化することができる。例えば、CEMマネージャ202は、複数の住宅やその他の敷地内で、ヒートポンプなどの大電流機器や高調波歪みの新たな発生源の急速なサイクルによる異常を検出し、緩和することができる。
【0057】
図6は、本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、構内に関連するエネルギー管理デバイスのデータカーディナリティの一例の図である。図示されるように、構内は、ホーム104を含み得るが、他の構内も同様のデータカーディナリティを含み得る。各デバイスが通信可能なデバイスの数を示すデータのカーディナリティは、消費者データのために確立された高レベルのセキュリティとプライバシーを維持しながら、消費者データがアプリケーションを制御して移動する際の異常検出と最適化機能の課題を示している。例えば、CEM102は個々のホーム104と通信することができるが、個々のホームには、CEM102によってアクセス可能なデータを生成する多数のデバイス(例えば、暖房、換気、空調(HVAC)、冷湿家電、バッテリ貯蔵などのEVSE118及びESA116)が含まれることがある。さらに、DSRSP112、CPO204、及びDSO502はすべて、データを生成する多数のデバイスと通信する可能性もある。このような断片化は、この情報を利用する異常検出を困難にする可能性があり、全ホームデータセットの概念は、システムに関連するセキュリティ及びプライバシーの懸念を満たしながら、データアクセスを簡素化するデータポータビリティを可能にする可能性がある。
【0058】
いくつかの例では、CEM102は、ホーム104内のデバイスからの相互運用可能なデータを使用して、ホーム104内のデバイスを最適化することができる。さらに、DSRSP112とCPO204は、異常検出を提供するために、ホーム104内のデバイスからの相互運用可能なデータに依存してもよい。DSO502は、動作するためにスタンドアロン補助比例制御装置(SAPC)からの相互運用性に依存しない場合がある。
【0059】
図7は、本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、エネルギー管理制御システム700の構成要素組織関係の一例の図である。一例では、ホーム104に住む請求支払者702は、CEM102に加入することができる。上述したように、CEM102は、ホーム104内のエネルギー消費の動作を管理及び最適化するソフトウェアコンポーネントとして実装される。請求書支払者702は、DSRSP112及びモビリティサービスプロバイダ136にも加入することができる。
【0060】
DSRSP112は、配電網及び送電網に代わって、ホーム104のコンポーネントを最適化するように機能する場合がある。従って、DSRSP112は、配電系統運用者及び送電系統運用者に販売するために、ホームESAG114に関連するESA116及びEVSE118を集約するフレキシビリティをCEM102に需要することができる。いくつかの例では、DSRSP112は、ESA116及びEVSE118を集約して得られたデータを使用して、フレキシビリティ料金及びクレジットを小売業者704に提供することができる。小売業者は、請求書支払者702に提供される請求書を生成するために、検針値に加えてフレキシビリティ料金及びクレジットを使用することができる。いくつかの例では、クレジットは、ホーム104でEVSE118によって消費された電力が、別の請求書支払者が所有する電気自動車120を充電するために使用されたという表示を含むことができる。この例では、別の料金支払者はその充電動作に対して請求され、ホーム104に住む料金支払者702には請求されない。その他のクレジットや料金も同様の方法で小売業者704に提供される場合がある。
【0061】
さらに、モビリティサービスプロバイダ136は、電気自動車120を充電するためのEVSE118を制御又は管理する。モビリティサービスプロバイダ136は、EVSE118を制御又は他の方法で管理するために、DSRSP112にフレキシビリティを需要することができる。さらに、モビリティサービスプロバイダ136は、EVSE118によって実行された充電動作に基づいて、請求書支払者702に請求書を提供することができる。
【0062】
コントローラコンポーネント(たとえば、CEM102、モビリティサービスプロバイダ136、及びDSRSP112)間の複雑な相互作用のため、プライバシーモデルとセキュリティモデル間の複雑な相互作用にもつながるため、図1のデータセット124などの全ホームデータセットが、コントローラコンポーネント間のこれらの相互作用を単純化するために生成される可能性がある。全ホームデータセットは、ホーム104内で生成された全ての遠隔測定データと、遠隔測定データを生成する各デバイスに関連付けられた供給者のレジスタを含むことができる。この例では、データは、ホーム全体のデータセットにアップロードされる前に、デバイスからコントローラに一度流れる。ホーム104内のデバイスの相互運用性は、どのエンティティがホーム全体のデータセットにアクセスする権限を持っているかを管理することで実現できる。
【0063】
全ホームデータセットが生成されると、1つのホームに関連するデータセットが格納、管理、報告の単位となる。ホームデータセットは、格納配布の最小単位であるべきである。例えばクラウドに格納されたデータは、性能要件によって可能な限り広範囲に分散することができる。一例では、ホームデータセットは、セキュリティを強化するために、論理的にも物理的にも互いに分離して格納され、必要であれば、データ構造を保持したままさらに断片化される。さらに、ホームデータセットに含まれるデータ項目は、静止時に暗号化され、ホームデータセットへのアクセスが許可される場合がある。さらに、ホームデータセットの任意のレポート又は解析は、動的に作成され、有効な需要者(需要者)の目標に対して暗号化されてもよい。これらのセキュリティ及び許可スキームを使用する場合、請求支払者及びホーム104内のデバイスがプライバシーの境界であり、ホーム104自体ではない。
【0064】
一例では、ホームデータセット及びそのコンテンツは、メータ点管理番号(MPAN)及び他のサブメータ識別子などの関連業界識別子でタグ付けされる。さらに、ホームデータセットは、どのエネルギー供給者が各ESA及びEVSEに関連付けられているかの登録も含むことができ、登録は、ホームデータセットの記録システムを提供することができる。
【0065】
図8は、本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、エネルギー管理制御システムで需要側応答を実行するためのプロセス800のフローチャートである。ブロック802において、プロセス800は、ホームコンポーネンツからのデータ通信の取得又はアクセス、検証、及び復号化を含む。一例において、ホームコンポーネントは、通信インターフェースを介して構内のエネルギー消費に関連するデータを送信することができる構内の任意の遠隔測定可能デバイスであり得る。
【0066】
ブロック804において、プロセス800は、ホームコンポーネントから受信されたデータに基づいてホームデータセットを生成することを含む。データプレーン122に記憶され得るホームデータセットは、構内におけるデータ消費のホーム全体ビューを提供し得る。ホーム全体ビューは、需要側応答システムにおいてエネルギー消費を最適化する際に使用される解析及び異常検出のために価値がある場合がある。
【0067】
ブロック806において、プロセス800は、プライバシー管理動作に基づく許可でホームデータセットをラップすることを含む。ホームデータセットをラップする許可は、請求支払者から適切な許可を受け取っていないエンティティ又はデータ目標がデータにアクセスすることを防止することができる。課金者は、特定のエンティティに基づいて、又はエンティティによって提供される機能に基づいて、エンティティの許可を生成することができる。
【0068】
ブロック808において、プロセス800は、エンティティからホームデータセットの需要を受信することを含み、ブロック810において、プロセス800は、請求書支払者によって提供された許可に基づいて、エンティティがホームデータセットへのアクセス権を持っているかどうかを決定することを含む。エンティティが許可に基づいてアクセス権を有する場合、ブロック812において、プロセス800は、ホームデータセットを需要エンティティに提供することを含む。そうでない場合、プロセス800は、エンティティがホームデータセットにアクセスすることを拒否することを含む。
【0069】
図9は、本明細書で説明するいくつかの実装による、例示的なPEPKI(パーソナルエネルギーパブリックキーインフラストラクチャ(Personal Energy Public Key Infrastructure))トラストフロー900の図である。図示されたPEPKIトラストフロー900は、2人の請求書支払人902及び904のトラストフローを含む。一例では、請求先支払者902及び904は、構内のESAG114に関連付けられ得る。いくつかの例では、請求書支払者904は、請求書支払者902以外の世帯員であって、構内から送信されたデータの共有者である場合がある。ホーム内グラフィカルユーザインタフェース(GUI)906は、請求書支払者902及び904と対話するために使用され、請求書支払者902及び904に関連付けられた、生成されたデータのライセンス管理スキーム908を提供することができる。例えば、GUI906は、課金者902及び904がデータの使用について様々なエンティティにライセンスを付与するためのメカニズムを提供することができる。
【0070】
ESAG114は、個人エネルギー公開キーインフラストラクチャ(PEPKI)ルート証明書を、請求書支払者902及び904の各々に割り当てることができる。請求書支払者902及び904は、ホームゲートウェイを介して通信し、様々なエンティティにデータ許可を提供するPEPKIルート証明書を使用してスマートコントラクトを生成することができる。データプレーン122において、データライセンスは、HDAME許可306に通信されることができ、ビルペイヤーHDAMEデータ、機能、及び元帳マスター証明書は、イーサリアム管理暗号動作910に提供されることができる。
【0071】
図10は、本明細書で説明するいくつかの実装による、例示的なデータプレーンキーインフラストラクチャ(DaPKI)トラストフロー1000の図である。一例において、ハードウェアセキュリティマネージャ(HSM)1002は、(例えば、図3に関して上述したように)目標アクター1004によってシステムのエッジで使用され得る。データプレーン122内では、コストを抑え、パブリッククラウドインフラストラクチャに固有の効率を利用するために、HSM1002を最小化することが有益であり得る。目標アクター1004などのシステムアクターは、データを復号化するためにプロビジョニングされたキーに依存する。従って、目標アクター1004は、データを復号化するために、データプレーン122に秘密キー1006、1008、1010を提供することができる。秘密キー1006、1008、及び1010を使用して、公開キー1012、1014、及び1016をイーサリアム管理暗号動作910で使用するために生成することができる。このようにして、DaPKIトラストフロー1000は、目標アクター1004によるデータプレーン122でのトラストレスインタラクションを可能にする。
【0072】
イーサリアム管理暗号動作910を処理するために、イーサリアムネットワーク全体の分散資源からの処理電力が使用される可能性がある。この電力は燃料と呼ばれることがある。イーサリアムネットワークは、分散イーサリアムノードが、ネットワークを安全にするのを助けるために燃料を提供することを可能にすることができる。これらのノードは、小売業者、DSO、DSRSPなどの業界参加者や、エリクソン(Elexon)や電力ネットワーク機関(Electricity Networks Association)などの業界団体などの組織に設置することができる。ESAGの論理デバイスは、システムのセキュリティに貢献する燃料源として使用することもできる。
【0073】
図11は、本明細書に記載されるいくつかの実施態様による、エネルギー管理システムのためのトラストレスメッセージングを確立するためのプロセス1100のフローチャートである。ブロック1102において、プロセス1100は、ホームデータセットの許可を確立することを含む。許可は、プライバシー規制と、請求支払者が様々な目的のためにライセンスすることに同意した情報とに基づいてもよい。例えば、料金支払者は、解析及び異常検出のために、ホームデータセットを様々なエンティティにライセンスすることができる。ライセンスは、スマートコントラクト、NFT、イーサリアムネットワークの台帳を使用して記録することができる。
【0074】
ブロック1104において、プロセス1100は、確立された許可に基づいてホームデータセットの暗号表現を生成することを含む。例えば、ホームデータセット又はホームデータセットの一部は、請求書支払者によって付与された許可又はライセンスを有するエンティティによってのみアクセス可能な方法で、暗号化されてもよい。
【0075】
ブロック1106において、プロセス1100は、ホームデータセットの暗号化表現を、適切な許可を有する目標に送信することを含む。目標は、データ解析エンジン、CEM管理者、学術機関、政府機関、又はデータ所有者から許可を与えられた他の目標であってもよい。
【0076】
図12は、本明細書に記載されるいくつかの実装による、例示的なコンピューティングデバイス1200のブロック図である。コンピューティングデバイス1200は、プロセッサ1204(場合によっては、複数のプロセッサ、複数のコア、複数のノードを含み、又はマルチスレッディングなどを実装する)を含む。コンピューティングデバイス1200は、メモリ1208も含む。メモリ1208は、システムメモリ(例えば、キャッシュ、SRAM、DRAM、ゼロキャパシタRAM、ツイントランジスタRAM、eDRAM、EDORAM、DDRRAM、EEPROM、NRAM、RRAM、SONOS、PRAMなどのうちの1つ以上)、又は機械可読媒体の上記の既に説明された可能な実現のうちの任意の1つ以上であってもよい。コンピューティングデバイス1200は、バス1203及びネットワークインターフェース1205(例えば、ファイバーチャネルインターフェース、イーサネットインターフェース、インターネットスモールコンピュータシステムインターフェース、SONETインターフェース、ワイヤレスインターフェースなど)も含む。
【0077】
先に説明した機能性のいずれか1つは、部分的に(又は全体的に)ハードウェア1210又はプロセッサ1204に実装されてもよい。例えば、この機能は、特定用途向け集積回路、プロセッサ1204に実装されたロジック、周辺機器又はカード上のコプロセッサなどで実装することができる。さらに、図12に図示されていない構成要素(例えば、ビデオカード、オーディオカード、追加のネットワークインターフェース、周辺機器など)をより少なく、又は追加して実現することもできる。プロセッサ1204及びネットワークインターフェース1205は、バス1203に結合されている。バス1203に結合されているように図示されているが、メモリ1208はプロセッサ1204に結合されていてもよい。
【0078】
理解されるように、本開示の態様は、1つ又は複数の機械可読媒体に格納されたシステム、方法、又はプログラムコード/命令として描写され得る。従って、側面は、ハードウェア、ソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又は、本明細書では一般に「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ぶことがあるソフトウェアとハードウェアの側面の組み合わせの形態をとることがある。例示された個々のモジュール/ユニットとして示された機能は、プラットフォーム(オペレーティングシステム又はハードウェア)、アプリケーションエコシステム、インターフェース、プログラマーの好み、プログラミング言語、管理者の好みなどのいずれか1つに従って、異なる構成にすることができる。
【0079】
メモリ1208として、1つ又は複数の機械可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。機械可読媒体は、機械可読信号媒体であってもよいし、機械可読記憶媒体であってもよい。機械可読記憶媒体は、例えば、電子技術、磁気技術、光学技術、電磁気技術、赤外線技術、半導体技術のいずれか、又はその組み合わせを採用してプログラムコードを記憶するシステム、装置、又はデバイスであるが、これらに限定されるものではない。機械可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的なリスト)としては、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、又はこれらの任意の適切な組み合わせが挙げられる。本書の文脈では、機械可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらに関連して使用されるプログラムを格納又は記憶することができる有形の媒体である。機械可読記憶媒体は、機械可読信号媒体ではない。
【0080】
機械可読信号媒体は、例えば、ベースバンド又は搬送波の一部として、機械可読プログラムコードがそこに描かれた伝搬データ信号を含むことができる。このような伝搬信号は、電磁波、光学、又はそれらの適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない、様々な形態のいずれかを取ることができる。機械可読信号媒体は、機械可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを通信、伝播、又は伝送することができる、機械可読媒体であれば何でもよい。
【0081】
機械可読媒体に描かれたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバーケーブル、RFなど、又は前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない適切な媒体を使用して伝送することができる。本開示の態様のための動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java(登録商標)プログラミング言語、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、Pythonなどの動的プログラミング言語、Perlプログラミング言語又はPower Shellスクリプト言語などのスクリプト言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述され得る。プログラムコードは、複数のマシンに分散して実行され、あるマシンで実行されながら、別のマシンで結果を提供したり入力を受け付けたりすることができる。
【0082】
本明細書において単一のインスタンスとして説明される構成要素、動作、又は構造については、複数のインスタンスが提供される場合がある。特定の動作は、特定の例示の文脈で説明される。機能性の他の割り当ても想定され、本開示の範囲に含まれ得る。「及び」という接続詞を伴うリストの前に「のうちの少なくとも1つ」という語句を使用することは、特に断りのない限り、各カテゴリから1つの項目を含むカテゴリのリストとして解釈されるべきではない。A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」と記載された条項は、列挙された項目のうちの1つのみ、列挙された項目のうちの複数、及び列挙された項目のうちの1つ以上と列挙されていない別の項目で侵害される可能性がある。
【0083】
本明細書には、特許請求される主題を十分に理解するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、特許請求される主題は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることを理解するであろう。本書で論じる特徴は、特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されるものではない。ユーティリティメータは、本明細書で説明するように動作するコンポーネントの任意の適切な配置を含むことができる。任意の適切なプログラミング、スクリプト、又は他のタイプの言語又は言語の組み合わせが、電力量計又は他のデバイスのプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアにおいて、本明細書に含まれる教示を実施するために使用され得る。当業者であれば公知であろう方法、装置、又はシステムについては、クレームされた主題を不明瞭にしないよう、詳細には記載していない。
【0084】
本明細書における「~に適合した」又は「~に構成された」の使用は、付加的なタスク又はステップを実行するように適合又は構成された装置を排除しない、開放的かつ包括的な言語として意図されている。さらに、「に基づく」の使用は、開放的かつ包括的であることを意図しており、1つ又は複数の言及された条件又は値に「基づく」プロセス、ステップ、計算、又はその他の動作は、実際には、言及された条件又は値以外の追加の条件又は値に基づいている可能性がある。本書に含まれる見出し、リスト、及び番号は、説明を容易にするためだけのものであり、限定を意味するものではない。
【0085】
本主題は、その特定の態様に関して詳細に説明されてきたが、当業者であれば、前述の理解を得た上で、そのような態様に対する変更、変形、及び等価物を容易に作り出すことができることが理解されよう。従って、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されたものであり、当業者に容易に明らかになるような本主題の修正、変形、又は追加を含めることを排除するものではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】