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特表2024-516613肝臓細胞への薬物送達のための環状ペプチド-N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)コンジュゲート
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】肝臓細胞への薬物送達のための環状ペプチド-N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/64 20060101AFI20240409BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
C07K7/64 ZNA
A61K47/54
A61K47/62
A61K48/00
A61K45/00
A61P1/16
A61K31/7088
A61K31/713
A61P43/00 105
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564508
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2022088117
(87)【国際公開番号】W WO2022222986
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/089305
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523209276
【氏名又は名称】マイクロバイオ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イー-チュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホイ-ユー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チー-ファン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ホワイ-イ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC16
4C076CC26
4C076EE59
4C084AA13
4C084AA17
4C084NA13
4C084ZA75
4C084ZB21
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086NA13
4C086ZA75
4C086ZB21
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA14
4H045BA35
4H045BA53
4H045BA72
4H045EA20
4H045FA33
4H045GA25
(57)【要約】
環状ペプチド足場と、1つ以上のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分と、を含む、コンジュゲート。コンジュゲートは、肝臓細胞への薬剤の送達において使用するための診断剤又は治療剤を更に担持し得る。いくつかの実施形態では、環状ペプチドは、4~10個のアミノ酸残基を有し得る。GalNAc部分は、第1のリンカーを介して環状ペプチド足場に共有結合し得、薬剤は、第2のリンカーを介して環状ペプチド足場に共有結合し得る。
【選択図】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ペプチド足場と、1つ以上のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分と、を含む、コンジュゲートであって、
前記環状ペプチド足場が、Glu、Asp、Lys、Arg、又はこれらの組み合わせを含む4~10個、任意選択で4~8個のアミノ酸残基を有し、
前記GalNAc部分の各々が、第1のリンカーを介して前記環状ペプチド足場に共有結合する、コンジュゲート。
【請求項2】
薬剤を更に含み、前記薬剤が、第2のリンカーを介して前記環状ペプチド足場に共有結合する、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項3】
前記環状ペプチド足場が、6個のアミノ酸を有する、請求項1又は2に記載のコンジュゲート。
【請求項4】
前記環状ペプチド足場が、少なくとも1つのGlu残基と、少なくとも1つのLys残基と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項5】
各第1のリンカーが、前記少なくとも1つのLys残基に共有結合する、請求項4に記載のコンジュゲート。
【請求項6】
前記第2のリンカーが、前記少なくとも1つのGlu残基に共有結合する、請求項4又は5に記載のコンジュゲート。
【請求項7】
前記環状ペプチド足場が、Gly、Ala、及び/又はValを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項8】
前記環状ペプチド足場が、
(a)Lys-Glu-Lys-Gly-Lys-Gly(配列番号5)、又は
(b)Lys-Glu-Lys-Ala-Lys-Ala(配列番号6)のアミノ酸配列を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項9】
前記環状ペプチド足場内の1つ以上のアミノ酸残基が、D形態にある、請求項8に記載のコンジュゲート。
【請求項10】
前記環状ペプチド足場が、CPS-001、CPS-002、CPS-003、及びCPS-031、又はそれらの機能的等価物からなる群から選択され、任意選択で、前記環状ペプチド足場が、CPS-001、CPS-002、CPS-003、又はCPS-031である、請求項1に記載のコンジュゲート。
【請求項11】
各第1のリンカーが、3~8個の原子を有する直鎖を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記3~8個の原子が、C、O、又はこれらの組み合わせを含む、請求項11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記第1のリンカーが、Gal-1、Gal-2、Gal-3、Gal-4、又はGal-5中の前記リンカーである、請求項12に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
前記第2のリンカーが、脂質リンカー、ポリエチレングリコール(PEG)リンカー、又はアルキルアミンリンカーである、請求項2~13のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項15】
式(I)の構造を有し、
【化1】
式中、
Tが、前記薬剤であり、
が、前記第1のリンカーであり、前記第1のリンカーが、Gal-1、Gal-2、Gal-3、Gal-4、又はGal-5中の前記リンカーであり、
が、前記第2のリンカーである、請求項2~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項16】
式(II)の構造を有し、
【化2】
式中、
Tが、前記薬剤であり、
が、前記第1のリンカーであり、前記第1のリンカーが、Gal-1、Gal-2、Gal-3、Gal-4、又はGal-5中の前記リンカーであり、
が、前記第2のリンカーである、請求項2~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項17】
前記環状ペプチド足場が、Lys-Glu-Lys-βAla-Lys-βAla(配列番号7)のアミノ酸配列を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
5-FAM-CPMB-0011、5-FAM-CPMB-0012、5-FAM-CPMB-0013、5-FAM-CPMB-0014、5-FAM-CPMB-0015、5-FAM-CPMB-0021、5-FAM-CPMB-0023、5-FAM-CPMB-0025、5-FAM-CPMB-0031、5-FAM-CPMB-0033、5-FAM-CPMB-0034、5-FAM-CPMB-0035、5-FAM-CPMB-0311、5-FAM-CPMB-0313、CPMB-0013、CPMB-0023、CPMB-0013-DOTMr、及びCPMB-0023-DOTMrからなる群から選択される、請求項2に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
前記薬剤が、診断剤又は治療剤である、請求項2~18のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
前記薬剤が、小分子又は核酸である、請求項2~19のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
前記薬剤が、siRNA又は核酸アプタマーである前記核酸である、請求項20に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項23】
肝臓細胞に薬剤を送達する方法であって、肝臓細胞を、請求項2~21のいずれか一項に記載のコンジュゲート、又は請求項22に記載の組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項24】
接触させるステップが、前記コンジュゲート又は前記組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コンジュゲート又は組成物と接触させた後、前記肝臓細胞の投与を、それを必要とする対象に行うことを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
肝臓疾患を治療するための方法であって、有効量の、請求項2~21のいずれか一項に記載のコンジュゲート又は請求項22に記載の組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月23日に出願された国際特許出願第PCT/CN2021/089305号の出願日の利益を主張し、この内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
本出願とともに出願された、電子的に提出されたASCIIテキストファイル(名称:112319-0026-70002WO2_SEQ.txt、サイズ:2,507バイト、及び作成日:2022年4月19日)の配列表の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)は、肝細胞上で高発現するアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)と高い結合親和性を有する。したがって、この部分は、GalNAc部分にコンジュゲートされた治療剤又は診断剤を肝臓細胞に送達するために一般的に使用される。
【0004】
GalNAcコンジュゲーションは、オリゴヌクレオチドベースの治療剤を肝臓細胞に送達するための主要なアプローチのうちの1つである。複数のGalNAc-siRNAコンジュゲート薬物候補は、現在、多種多様な疾患を治療するための臨床試験中である。したがって、GalNAc-薬物コンジュゲートが細胞質に入り、堅牢な治療効果を誘導できるように、高い肝臓細胞標的化効率及び高いエンドソーム脱出効率を有するGalNAc-薬物コンジュゲートを調製するための改善された足場を開発することは非常に興味深い。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、GalNAc部分及び目的の薬剤をコンジュゲートするための環状ペプチドベースの足場の開発に少なくとも部分的に基づく。そのような足場構造を使用して調製された、得られたGalNAcコンジュゲートは、高い肝臓細胞標的化効率及び高いエンドソーム脱出効率を示した。したがって、環状ペプチドベースの足場及びそれによって調製されたGalNAcコンジュゲートは、肝臓細胞を標的とするための有効な薬物送達プラットフォームとして機能することが期待される。
【0006】
したがって、いくつかの態様では、本開示は、環状ペプチド足場と、1つ以上のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分と、を含む、コンジュゲートを提供する。環状ペプチド足場は、4~10個のアミノ酸残基を含有し得る。いくつかの実施形態では、環状ペプチド足場は、4~8個のアミノ酸残基、例えば、4~6個のアミノ酸残基を含有し得る。一例では、環状ペプチドは、6個のアミノ酸残基からなる。いくつかの事例では、環状ペプチドは、Glu、Asp、Lys、Arg、又はこれらの組み合わせを含有する。例えば、環状ペプチドは、少なくとも1つのGlu残基と、少なくとも1つのLys残基と、を含有し得る。加えて、環状ペプチドは、Gly、Ala、又はValを更に含有し得る。環状ペプチド内のアミノ酸残基は、D形態にあり得る。
【0007】
いくつかの例では、環状ペプチド足場は、Lys-Glu-Lys-Gly-Lys-Gly(配列番号5)のアミノ酸配列を有する。代替として、環状ペプチド足場は、Lys-Glu-Lys-Ala-Lys-Ala(配列番号6)のアミノ酸配列を有する。環状ペプチド足場内の1つ以上のアミノ酸残基は、D形態にあり得る。1つの実施例では、環状ペプチド足場は、Lys-Glu-Lys-βAla-Lys-βAla(配列番号7)のアミノ酸配列を有する。他の例示的な環状ペプチド足場としては、CPS-001、CPS-002、CPS-003、及びCPS-031が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、表1及び図13A~13Dを参照されたい)。いくつかの事例では、例示的な環状ペプチド足場は、同じコア構造(例えば、同じアミノ酸残基又はそれらの異性体と、同じリンカーと、を含む環状ペプチド足場)を含有する、CPS-001、CPS-002、CPS-003、及びCPS-031のうちのいずれか1つの機能的等価物であり得る。CPS-001、CPS-002、CPS-003、及びCPS-031のうちのいずれか1つ(参照コンジュゲート)の機能的等価物は、参照コンジュゲートの立体異性体(例えば、1つ以上のキラル中心におけるS-エナンチオマーからR-エナンチオマーへのスイッチ)であってもよい。代替として又は添加時に、機能的等価物は、CPS-001、CPS-002、CPS-003、及びCPS-031のうちのいずれか1つにおけるCbz基として異なる保護基を含有し得る。
【0008】
本明細書に開示されるコンジュゲートのうちのいずれかにおいて、GalNAc部分の各々は、第1のリンカーを介して環状ペプチド足場に共有結合し得る。いくつかの事例では、環状ペプチド足場は、1つ以上のLys残基を含み、各第1のリンカーは、Lys残基のうちの少なくとも1つに共有結合し得る。いくつかの例では、各第1のリンカーは、3~8個の原子、例えば、C、O、又はこれらの組み合わせを有する直鎖を含み得る。第1のリンカーの具体例は、Gal-1、Gal-2、Gal-3、Gal-4、又はGal-5中のリンカーであり得る。例えば、表2を参照されたい。
【0009】
本明細書に開示されるコンジュゲートのうちのいずれかは、第2のリンカーを介して環状ペプチド足場に共有結合し得る薬剤(例えば、治療剤又は診断剤)を更に含んでもよい。いくつかの事例では、環状ペプチド足場は、1つ以上のGlu残基を含み、第2のリンカーは、Glu残基のうちの少なくとも1つに共有結合し得る。いくつかの例では、第2のリンカーは、脂質リンカーである。他の例では、第2のリンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)リンカーであることができる。更に他の例では、第2のリンカーは、アルキルアミンリンカーであることができる。
【0010】
いくつかの例では、本明細書に開示されるコンジュゲートは、式(I)の構造を有し得、
【化1】

式中、Tが、薬剤であり、Lが、第1のリンカーであり、第1のリンカーが、Gal-1、Gal-2、Gal-3、Gal-4、又はGal-5中のリンカーであることができ、Lが、第2のリンカーである。
【0011】
他の例では、本明細書に開示されるコンジュゲートは、式(II)の構造を有し得、
【化2】
式中、Tが、薬剤であり、Lが、第1のリンカーであり、第1のリンカーが、Gal-1、Gal-2、Gal-3、Gal-4、又はGal-5中のリンカーであることができ、Lが、第2のリンカーである。
【0012】
いくつかの実施形態では、薬剤は、診断剤である。他の実施形態では、薬剤は、治療剤であり得る。いくつかの例では、薬剤は、小分子である。代替として、薬剤は、核酸、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、又は核酸アプタマーである。
【0013】
本明細書に開示するコンジュゲートの具体例としては、5-FAM-CPMB-0011、5-FAM-CPMB-0012、5-FAM-CPMB-0013、5-FAM-CPMB-0014、5-FAM-CPMB-0015、5-FAM-CPMB-0021、5-FAM-CPMB-0023、5-FAM-CPMB-0025、5-FAM-CPMB-0031、5-FAM-CPMB-0033、5-FAM-CPMB-0034、5-FAM-CPMB-0035、5-FAM-CPMB-0311、5-FAM-CPMB-0313、CPMB-0013、CPMB-0023、CPMB-0013-DOTMr、又はCPMB-0023-DOTMrが挙げられる。
【0014】
他の態様では、本開示は、本明細書に開示されるコンジュゲートのうちのいずれかと、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、医薬組成物を提供する。
【0015】
更に、肝臓細胞に薬剤を送達する方法であって、肝臓細胞を、本明細書に開示されるコンジュゲート又はそのようなものを含む組成物と接触させることを含む、方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、コンジュゲート又はそのようなものを含む組成物の投与を、それを必要とする対象に行うことを含む。他の実施形態では、接触させるステップは、コンジュゲート又はそのようなものを含む組成物を、インビトロで肝臓細胞とともにインキュベートすることを含む。この場合、方法は、コンジュゲート又は組成物と接触させた後、肝臓細胞の投与を、それを必要とする対象に行うことを更に含み得る。
【0016】
また、肝臓細胞への診断剤又は治療剤の送達における使用のための、コンジュゲート又はそのようなものを含む組成物のうちのいずれか、及び肝臓疾患の診断又は治療における使用のための医薬品を製造するための、そのようなコンジュゲート又はそのようなものを含む組成物の使用が、本開示の範囲内である。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。本発明の他の特徴又は利点は、以下の図面及びいくつかの発明を実施するための形態から明らかであり、また、添付の特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の図面は、本明細書の一部分を形成し、本開示のある態様を更に実証するために含まれ、本開示のある態様は、本明細書に提示される具体的な発明を実施するための形態と合わせて図面を参照することによって、より良好に理解され得る。
図1】CPMB-002を産生するための例示的な合成スキームを示す概略図である。
図2】5-FAM-CPMB-0013を産生するための例示的な合成スキームを示す概略図を含む。図2A:CPMB-0013-Aを産生するための例示的な合成スキーム。図2B:CPMB-0013-Aから5-FAM-CPMB-0013を産生するための例示的な合成スキーム。
図3】CPMB-0013を産生するための例示的な合成スキームを示す概略図である。
図4】CPMB-0013-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを示す概略図である。
図5】CPG-PEG4-CPMB-0013-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを示す概略図を含む。図5A:CPG-PEG4を産生するための例示的な合成スキーム。図5B:CPG-PEG4からCPG-PEG4-CPMB-0013-DMTrを産生するための例示的な合成スキーム。
図6】5-FAM-CPMB-0023を産生するための例示的な合成スキームを示す概略図を含む。図6A:CPMB-0023-Aを産生するための例示的な合成スキーム。図6B:CPMB-0023-Aから5-FAM-CPMB-0023を産生するための例示的な合成スキーム。
図7】CPMB-0023を産生するための例示的な合成スキームを示す概略図である。
図8】CPMB-0023-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを示す概略図である。
図9】CPG-PEG4-CPMB-0023-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを示す概略図である。
図10】tri-GalNAcと比較した、環状ペプチド-tri-GalNAcコンジュゲートの改善された安定性を示す図である。
図11】tri-GalNAcと比較した、環状ペプチド-tri-GalNAcコンジュゲートのエンドソーム脱出を示す図である。
図12】本明細書に開示される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートの構造を示す例示的な図である。
図13】リンカーに付着した代表的な環状ペプチド足場の構造を示す図を含む。図13A:CPS-001.図13B:CPS-002.図13C:CPS-003.図13D:CPS-031.
図14】代表的な環状ペプチド-GalNAc-薬剤コンジュゲートの構造を示す図を含む。図14A:5-FAM-CPMB-0011.図14B:5-FAM-CPMB-0012.図14C:5-FAM-CPMB-0013.図14D:5-FAM-CPMB-0014.図14E:5-FAM-CPMB-0015.図14F:5-FAM-CPMB-0021.図14G:5-FAM-CPMB-0023.図14H:5-FAM-CPMB-0025.図14I:5-FAM-CPMB-0031.図14J:5-FAM-CPMB-0033.図14K:5-FAM-CPMB-0034.図14L:5-FAM-CPMB-0035.図14M:5-FAM-CPMB-0311.図14N:5-FAM-CPMB-0313.図14O:CPMB-0013.図14P:CPMB-0023.図14Q:5-FAM-tri-GalNAc(陽性対照)。図14R:5-FAM-CPMB-0031-Ac(陰性対照)。図14S:CPMB-0013-DOTMr.図14T:CPMB-0023-DOTMr.
【発明を実施するための形態】
【0019】
N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分の複数のコピー(例えば、3つ)及び肝臓細胞に送達される目的の薬剤(例えば、治療剤又は診断剤)をコンジュゲートするための足場として機能することができる環状ペプチド分子の開発が本明細書に提供される。GalNAc部分及び/又は目的の薬剤は、可撓性リンカーを介して環状ペプチド足場に(例えば、共有結合的に)コンジュゲートされることができる。可撓性リンカーは、様々なGalNAc部分と目的の薬剤との間の干渉を最小限に抑え、かつ肝臓細胞上のASGPRへのGalNAc部分の結合親和性を最大にするように設計することができる。本明細書に提供される例示的な環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートは、肝臓細胞に対する高い結合活性及び高いエンドソーム脱出率を示し、これは、そのような環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートが、目的の薬剤(例えば、低分子干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、又は核酸アプタマーなどの核酸ベースの薬剤)を肝臓細胞内に効果的に送達して、意図された生物活性を発揮することができることを示す。
【0020】
したがって、環状ペプチド-GalNAcコンジュゲート、そのようなものを含む医薬組成物、及びそのようなコンジュゲートを使用して肝臓細胞に診断剤又は治療剤を送達する方法が、本明細書に提供される。
【0021】
I.環状ペプチド足場-GalNAcコンジュゲート
いくつかの態様では、本開示は、環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートであって、その各々が、1つ以上のGalNAc部分(例えば、3つ)が、可撓性リンカー(第1のリンカー)を介して環状ペプチド足場を含む、コンジュゲートを提供する。コンジュゲートは、可撓性リンカー(第2のリンカー)を介して目的の薬剤を更に含み得る。
【0022】
本開示による化合物のうちの一部は、立体異性体として存在してもよく、すなわち、共有結合した原子の同じ原子連結性を有するが、原子の空間配向が異なる。例えば、化合物は、1つ以上のキラル中心を含有する光学立体異性体であってもよく、したがって、2つ以上の立体異性体形態(例えば、エナンチオマー又はジアステレオマー)で存在してもよい。したがって、そのような化合物は、単一の立体異性体(すなわち、他の立体異性体を本質的に含まない)、ラセミ体、並びに/又はエナンチオマー及び/若しくはジアステレオマーの混合物として存在してもよい。別の例として、立体異性体は、二重結合の隣接する炭素上の置換基のシス又はトランス配向などの幾何異性体を含む。反する指定がない限り、そのような立体異性体形態は全て、本明細書で提供される式に含まれる。
【0023】
エナンチオマーは、その非対称中心の絶対配置を特徴とすることができ、Cahn及びPrelogの(R)及び(S)配列決定ルールによって、又は分子が偏光面を回転させ、右旋性又は左旋性(すなわち、それぞれ(+)又は(-)異性体として)指定される方法によって説明される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はこれらの混合物のいずれかとして存在することができる。等しい割合のエナンチオマーを含有する混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。別途示されない限り、本明細書は、個々の立体異性体、及び混合物を含むことが意図されている。立体化学の決定及び立体異性体の分離のための方法は、当該技術分野において周知であり(ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,6th edition J.March,John Wiley and Sons,New York,2007の第4章の議論を参照されたい)、1つ以上の立体中心のキラリティーが異なる。そのような全ての単一の立体異性体、ラセミ体、及びこれらの混合物は、本開示の範囲内にあることが意図される。
【0024】
A.環状ペプチド足場
本明細書に開示されるコンジュゲートのうちのいずれかにおいて使用される環状ペプチド足場は、4~10個のアミノ酸残基を含有し得る。いくつかの事例では、環状ペプチド足場は、4~8個のアミノ酸残基を含有し得る。一例では、本明細書に開示される環状ペプチド足場は、6個のアミノ酸残基を含有する。
【0025】
本明細書に開示される環状ペプチド足場は、1つ以上のアミノ酸残基を含有し得、その側鎖は、官能基(例えば、-COOH、-NH、-SH、又は-OH)を含有する。そのような官能基は、GalNAc部分(例えば、リンカーを介して)及び/又は目的の薬剤(例えば、リンカーを介して)の共有結合のコンジュゲーションのための化学反応において使用できる。例えば、本明細書に開示される環状ペプチド足場は、少なくとも1つのArg又はLys(例えば、Lys)残基を含有し得、その側鎖内の-NH官能基は、GalNAc部分又は目的の薬剤の共有結合のコンジュゲーションに使用できる。別の例では、本明細書に開示される環状ペプチド足場は、少なくとも1つのAsp又はGlu残基を含んでもよく、その側鎖内の-COOH官能基は、GalNAc部分又は目的の薬剤の共有結合のコンジュゲーションに使用できる。
【0026】
いくつかの実施形態では、環状ペプチド足場は、GalNAc部分及び目的の薬剤のコンジュゲーションを容易にするために、側鎖内に異なる官能基を有する少なくとも2つの異なるタイプのアミノ酸残基(例えば、Lys残基及びGlu残基)を含有し得る。例えば、環状ペプチド足場は、各々がGalNAc部分をコンジュゲートするためのアンカーとして機能し得る複数のLys残基(例えば、3つのLys残基)と、目的の薬剤をコンジュゲートするためのアンカーとして機能し得る1つのAsp又はGluアミノ酸残基とを含有し得る。
【0027】
本明細書に開示される環状ペプチド足場のうちのいずれかは、脂肪族側鎖を有する1つ以上のアミノ酸残基、例えば、Gly、Ala、Val、Ile、又はLeuを更に含有し得る。いくつかの例では、環状ペプチド足場は、Gly、Ala、又はこれらの組み合わせを含有し得る。
【0028】
環状ペプチド足場内のアミノ酸残基は、L形態、D形態、又はこれらの混合物にあり得る。いくつかの例では、環状ペプチド足場は、D形態の少なくとも1つのアミノ酸残基、例えば、1つ以上のD-Ly又は1つのD-Gluを含有し得る。例示的な環状ペプチド足場が、以下の表1に提供される。また、それらの化学構造について図13A図13Dを参照されたい。
【表1】
【0029】
B.GalNAc-リンカー部分
本明細書に開示されるコンジュゲートは、本明細書に開示される環状ペプチド足場のうちのいずれか、及び可撓性リンカー(第1のリンカー)を介して環状ペプチド足場に共有結合でコンジュゲートされ得る1つ以上のGalNAc部分を含む。
【0030】
いずれの可撓性リンカーも、本明細書に開示されるコンジュゲートを作製する際に使用され得る。いくつかの実施形態では、第1のリンカーは、3~8個の原子を含有する直鎖であり得、これは、C、O、N、又はこれらの組み合わせであり得る。そのような長さの第1のリンカーは、複数のGalNAc部分間の干渉を最小限に抑え、肝臓細胞への全体的な結合親和性を達成することができる。
【0031】
以下の表2は、本明細書に開示されるコンジュゲートの作製における使用のための例示的なGalNAc-リンカー構造を提供する。表2に列挙されるGal-1~Gal-5の-COOH官能基を使用して、環状ペプチド足場内の-NH官能基と反応させ、環状ペプチド足場上へのGalNAcリンカー部分の共有結合のコンジュゲーションをもたらすことができる。
【表2】
【0032】
C.目的の薬剤
本明細書に開示されるコンジュゲートは、第2の可塑性リンカーを介して、環状ペプチド足場に(例えば、共有結合的に)コンジュゲートされ得る、目的の薬剤を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の可撓性リンカーは、第1の可撓性リンカーとは異なる。
【0033】
いずれの可塑性リンカーも、目的の薬剤を本明細書に開示される環状ペプチド足場にコンジュゲートするために使用され得る。例としては、脂質リンカー、ポリエチレングリコールリンカー、又は脂肪族鎖リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。第2の可塑性リンカーは、2つの官能基(例えば、2つの異なる官能基)を両端に含有し得、一方の官能基は、目的の薬剤と反応するためのものであり、他方の官能基は、環状ペプチド足場と反応するためのものである。例えば、第2のリンカーは、環状ペプチド足場内(例えば、Asp又はGlu残基内)の-COOH官能基で到達することができる-NH官能基を一端に含有し得る。目的の薬剤を連結するための官能基の選択は、当該技術分野における当業者の知識の範囲内である薬剤のタイプ、例えば、その中に含有される官能基によって決定されるであろう。
【0034】
薬剤は、いずれのタイプ、例えば、小分子、ペプチド若しくはポリペプチド、オリゴ糖、脂質、又は核酸(例えば、RNA若しくはDNA(二本鎖若しくは一本鎖))であってもよい。いくつかの実施形態では、目的の薬剤は、治療剤、例えば、肝臓疾患の治療のための治療剤であり得る。他の実施形態では、目的の薬剤は、診断剤であり得、これは、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に放出することができる標識と更にコンジュゲートされてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、環状ペプチド足場にコンジュゲートされた目的の薬剤は、核酸、例えば、低分子干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド(RNA若しくはDNA)、メッセンジャーRNA、又は核酸ベースのアプタマーであり得る。そのような核酸のうちのいずれかは、天然に存在しない核酸塩基、糖、又は共有結合性ヌクレオシド間結合(骨格)を含有し得る。このような修飾オリゴヌクレオチドは、所望の特性、例えば、増強された細胞取り込み、標的核酸への改善された親和性、及び増加したインビボ安定性を付与する。
【0036】
一例では、本明細書に記載される核酸ベースの薬剤(例えば、siRNA)は、修飾骨格を有し得、修飾骨格は、リン原子を保持するもの(例えば、米国特許第3,687,808号、同第4,469,863号、同第5,321,131号、同第5,399,676号、及び同第5,625,050号を参照されたい)、及びリン原子を有さないもの(例えば、米国特許第5,034,506号、同第5,166,315号、及び同第5,792,608号を参照されたい)を含む。リン含有修飾骨格の例としては、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート、及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホラミデート及びアミノアルキルホスホラミデートを含むホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホトリエステル、セレノホスフェート、並びに3’-5’結合又は2’-5’結合を有するボラノホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。このような骨格はまた、逆極性を有するもの、すなわち、3’から3’、5’から5’、又は2’から2’結合を有するものを含む。リン原子を含まない修飾骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成されている。このような骨格は、(ヌクレオシドの糖部分から部分的に形成された)モルホリノ結合を有するもの、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、リボアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、並びに混合N、O、S、及びCH構成成分部分を有する他の骨格を含む。
【0037】
別の例では、本明細書に記載される核酸ベースの薬剤(例えば、siRNA)は、1つ以上の置換糖部分を含み得る。このような置換糖部分は、以下の基のうちの1つを、置換糖部分の2’位において含むことができる。OH、F、O-アルキル、S-アルキル、N-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、N-アルケニル、O-アルキニル、S-アルキニル、N-アルキニル、及びO-アルキル-O-アルキル。これらの基において、アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、置換又は非置換C1~C10アルキル又はC2~C10アルケニル及びアルキニルであることができる。置換糖部分はまた、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基を、置換糖部分の2’位において含み得る。好ましい置換糖部分は、2’-メトキシエトキシ、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、及び2’-ジメチルアミノエトキシエトキシを有するものを含む。Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78,486-504を参照されたい。
【0038】
代替として又は加えて、本明細書に記載される核酸ベースの薬剤(例えば、siRNA)は、1つ以上の修飾天然核酸塩基(すなわち、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、及びウラシル)を含み得る。修飾核酸塩基は、米国特許第3,687,808号、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering,pages 858-859、Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990、Englisch et al.,Angewandte Chemie,International Edition,1991,30,613、及びSanghvi,Y.S.,Chapter 15,Antisense Research and Applications,pages 289-302,CRC Press,1993に記載されているものを含む。これらの核酸塩基のうちのある核酸塩基は、干渉RNA分子の標的部位への干渉RNA分子の結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらは、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、及びN-2、N-6、及びO-6置換プリン(例えば、2-アミノプロピル-アデニン、5-プロピニルウラシル、及び5-プロピニルシトシン)を含む。Sanghvi,et al.,eds.,Antisense Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278を参照されたい)。
【0039】
代替として又は加えて、本明細書に記載される核酸ベースの薬剤(例えば、siRNA)は、1つ以上のロック核酸(LNA)を含み得る。アクセス制限RNAとしばしば称されるLNAは、修飾RNAヌクレオチドであり、修飾RNAヌクレオチド内で、リボース部分が、2’酸素と4’炭素とを接続する余分なブリッジで修飾されている。このブリッジは、A型二本鎖においてしばしば見出される3’-エンド(ノース)コンフォメーションのリボースを「ロック」する。
【0040】
いくつかの例では、薬剤は、核酸ベースの治療剤又は診断剤の更なる付着又は合成のための中間体であり得る。例えば、環状ペプチド足場にコンジュゲートされた薬剤は、第2のリンカーを介して環状ペプチド足場にコンジュゲートされ得る固体支持体(例えば、制御細孔ガラス(control pore glass)又はCPG)であってもよい。第2のリンカーは、DMTO保護部分を担持することができるリボース部分を介して環状ペプチド足場に結合されてもよい。このコンジュゲートは、通常の核酸合成を介してリボース部分にヌクレオチド残基を付加する核酸合成デバイスを使用して所望の核酸剤を添加するために使用することができる。環状ペプチド足場に共有結合でコンジュゲートされる核酸剤の合成後、最終的な環状ペプチド-GalNAc-核酸コンジュゲートを固体支持体(例えば、CPG)から放出することができる。以下の実施例を参照されたい。
【0041】
D.例示的なGalNAc-環状ペプチドコンジュゲート
本明細書に開示されるGalNAc-環状ペプチドコンジュゲートは、本明細書に開示される環状ペプチド足場のうちのいずれか、及び本明細書に開示される第1のリンカーのうちのいずれかを介して1つ以上のGalNAc部分(例えば、3つ)を含有し得る。コンジュゲートは、第2のリンカー、例えば、本明細書に開示されるリンカーを更に含んでもよく、本明細書に開示される目的の薬剤のうちのいずれかが、第2のリンカーに(例えば、共有結合的に)付着される。
【0042】
表3は、本明細書に開示されるGalNAc-環状ペプチドコンジュゲートの非限定的な例を提供する。また、それらの化学構造については、図14A図14Pを参照されたい。
【表3】
【0043】
いくつかの例では、本明細書に開示する例示的なGalNAc-環状ペプチドコンジュゲートは、CPS001環状ペプチド足場又は本明細書に開示する機能的等価物、及びGal-3のGalNAcリンカーを含有する。他の例では、本明細書に開示する例示的なGalNAc-環状ペプチドコンジュゲートは、CPS002環状ペプチド足場又は本明細書に開示する機能的等価物、及びGal-3のGalNAcリンカーを含有する。更に他の例では、本明細書に開示される例示的なGalNAc-環状ペプチドコンジュゲートは、CPS003環状ペプチド足場又は本明細書に開示される機能的等価物、及びGal-5のGalNAcリンカーを含有する。
【0044】
E.GalNAc-環状ペプチドコンジュゲートの合成
上記のコンジュゲートは、当該技術分野において周知の方法によって、及び本明細書に開示される合成経路によって調製することができる。合成経路で使用される化学物質は、例えば、溶媒、試薬、触媒、並びに保護基及び脱保護基試薬を含み得る。本明細書に記載される方法はまた、最終的にコンジュゲート又はその中間体の合成を可能にするために、本明細書に具体的に記載されるステップの前又は後に、好適な保護基を添加又は除去するステップを更に含み得る。加えて、様々な合成ステップを、代替の順序又は順番で実行して、所望の化合物を得ることができる。適用可能なインドール化合物の合成に有用な合成化学変換及び保護基方法論(保護及び脱保護)は、当該技術分野において既知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989)、T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,John Wiley and Sons(1999)、L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994)、並びにL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)及びその後の版に記載されるものを含む。
【0045】
簡潔には、本明細書に開示される好適なリンカーとカップリングしたGalNAc部分は、通常の方法又は本明細書に開示される方法に従って合成され得る。別に、本明細書に開示される環状ペプチド足場は、通常の方法又は本明細書に開示される方法に従って調製され得る。GalNAc部分及び環状ペプチド足場は、好適な条件で反応させて共有結合を形成し、それによってGalNAc部分を環状ペプチド足場にコンジュゲートすることができる。同様のアプローチは、通常の方法又は本明細書に開示される方法に従って、リンカーを介して、目的の薬剤を環状ペプチド足場にコンジュゲートするために適用することができる。
【0046】
GalNAc部分の合成の非限定的な例として、好適なラクトン部分を加水分解して、末端ヒドロキシル置換カルボン酸を作製することができる。カルボン酸を保護することができ、遊離ヒドロキシルは、ペルアセチル化N-グルコセアミンのアノマー炭素上のアセチル化ヒドロキシルを置換する。次いで、カルボン酸を脱保護して、GalNAcカップリングパートナーを作製することができる。
【0047】
環状ペプチドの合成の非限定的な例として、ペプチドは、必要に応じて保護された側鎖を用いた既知のFmoc保護固相ペプチド合成を使用して合成することができる。ペプチド合成の後に、誘導体化、C末端及びN末端の脱保護、並びにペプチドの環化が行われ得る。誘導体化は、好適な側鎖、例えば、グルタミン酸にアミンリンカーを添加することを含む。適切なアミノ酸(例えば、リジン)側鎖を脱保護し、GalNAcカップリングパートナーを、既知のペプチド結合形成条件を使用して付着させる。次いで、アミンリンカーを使用して、所望に応じて薬剤をコンジュゲートする。
【0048】
薬剤をアミンリンカーにカップリングさせる例は、オリゴヌクレオチドポリマーの合成に使用することができる4,4-ジメトキシトリチル(DMTr)であり得る。DMTr基を上述のGalNAc環状ペプチドに付着させることによって、得られたコンジュゲートを、オリゴヌクレオチド合成装置を使用してオリゴヌクレオチド(例えば、siRNA)を合成するための基質として使用することができる。
【0049】
本明細書に開示される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲート又はその中の任意の中間体のための例示的な合成スキームは、以下の実施例に提供される。
【0050】
II.医薬組成物
診断剤又は治療剤(例えば、siRNA分子などの核酸ベースの薬剤)を含む、本明細書に開示される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートのうちのいずれかは、好適な医薬組成物に製剤化され得る。本明細書に記載される医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で更に含むことができる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed.(2000)Lippincott Williams and Wilkins,Ed.K.E.Hoover。このような担体、賦形剤、又は安定剤は、本明細書に記載される組成物中の活性成分の1つ以上の特性、例えば、生物活性、安定性、生物学的利用能、並びに他の薬物動態及び/又は生物活性を増強し得る。
【0051】
許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度で、レシピエントに無毒であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル又はベンジルアルコール、メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、ベンゾエート、ソルベート、及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、セリン、アラニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストランを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又はTWEEN(商標)(ポリソルベート)、PLURONICS(商標)(非イオン性界面活性剤)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0052】
他の例では、本明細書に記載される医薬組成物は、持続的放出形式で製剤化され得る。持続的放出調製物の好適な例としては、マトリックスが成形品の形態にある、固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックス、例えば、フィルム又はマイクロカプセルが挙げられる。持続的放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成された注射用マイクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、イソ酪酸酢酸スクロース、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0053】
インビボ投与のために使用される医薬組成物は、滅菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜を介する濾過によって達成され得る。治療組成物は、概して、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ若しくはバイアル、又は手動でアクセスされる密封容器内に置かれる。
【0054】
本明細書に記載される医薬組成物は、吸入又は吹送による投与、髄腔内、肺内、又は脳内経路、経口、非経口、又は直腸投与のための単位剤形、例えば、固体、溶液若しくは懸濁液、又は坐剤であり得る。
【0055】
固体組成物を調製するために、主活性成分は、医薬担体、例えば、従来の錠剤化成分、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はガム、及び他の医薬希釈剤、例えば、水と混合されて、本発明の化合物又は無毒の薬学的に許容されるその塩の均質の混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質と言及するときに、これは、活性成分が、組成物全体にわたって均等に分散されており、このため、組成物が、等しく有効な単位剤形、例えば、粉末収集物、錠剤、丸剤、及びカプセル剤に容易に細分され得ることを意味する。次いで、この固体予備製剤組成物は、好適な量の活性成分を組成物中に含有する上記のタイプの単位剤形に細分される。
【0056】
好適な表面活性剤は、特に、非イオン性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、TWEEN20、40、60、80、又は85)、及び他のソルビタン(例えば、SPAN20、40、60、80、又は85)を含む。表面活性剤を有する組成物は、好都合には、0.05~5%の表面活性剤を含み、0.1~2.5%であり得る。他の成分、例えば、マンニトール又は他の薬学的に許容されるビヒクルが、必要に応じて添加されてもよいことが理解されよう。
【0057】
好適なエマルジョンは、市販の脂肪エマルジョン、例えば、INTRALIPID(商標)、LIPOSYN(商標)、INFONUTROL(商標)、LIPOFUNDIN(商標)、及びLIPIPHYSAN(商標)を使用して調製され得る。活性成分は、予め混合されたエマルジョン組成物中に溶解させてもよく、又は代替として、活性成分は、油(例えば、ダイズ油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、又はアーモンド油)中に溶解させてもよく、リン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質、又はダイズレシチン)及び水と混合されると形成されるエマルジョン中に溶解させてもよい。他の成分、例えば、グリセロール又はグルコースが、エマルジョンの浸透圧を調節するために添加されてもよいことが理解されよう。好適なエマルジョンは、典型的には、最大20%の油、例えば、5~20%の油を含有する。
【0058】
吸入又は吹送のための医薬組成物は、薬学的に許容される水性若しくは有機溶媒又はこれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末を含む。液体又は固体組成物は、上記の好適な薬学的に許容される賦形剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所又は全身効果のための経口又は鼻呼吸器経路によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、10nm~100mmのサイズの粒子から構成されている。
【0059】
好ましくは滅菌である薬学的に許容される溶媒中の組成物は、ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接呼吸されてもよく、又は噴霧デバイスは、フェイスマスク、テント、気管内チューブ、及び/若しくは間欠的陽圧呼吸器(換気装置)に取り付けられてもよい。溶液、懸濁液、又は粉末組成物は、製剤を適切な様式で送達するデバイスから、好ましくは、経口又は経鼻投与され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書の医薬組成物のうちのいずれかは、組成物の意図された治療的使用に基づいて、第2の治療剤を更に含み得る。
【0061】
III.肝臓細胞への薬剤の送達
本明細書に開示される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートのうちのいずれかは、コンジュゲートによって担持された目的の薬剤(例えば、診断剤又は治療剤)を、インビトロ又はインビボのいずれかで肝臓細胞に送達するために使用され得る。したがって、目的の薬剤を肝臓細胞に送達するための方法であって、本明細書に開示される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートのうちのいずれかを肝臓細胞と接触させて、コンジュゲートによって担持された薬剤を肝臓細胞に送達することを可能にすることを含む、方法が本明細書に提供される。
【0062】
いくつかの実施形態では、接触させるステップは、インビトロで、例えば、細胞培養系において実行することができる。例えば、本明細書に開示される有効量の環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートは、好適な培養条件下で好適な期間にわたって肝臓細胞とともにインキュベートされ得、GalNAc部分と肝臓細胞上のASGPR受容体との間の相互作用を介した肝臓細胞によるコンジュゲートの取り込みを可能にする。コンジュゲートを含有する肝臓細胞は、濃縮及び/又は増殖されてもよい。かかる肝臓細胞は、標的疾患、例えば、本明細書に開示されるものを治療するために対象に投与され得る。
【0063】
代替として、本明細書に開示される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートのうちのいずれか、又はそのようなものを含む医薬組成物は、治療を必要とする対象に、好適な経路を介して投与され得る。
【0064】
本明細書に開示される方法を実施するために、有効量の本明細書に記載される医薬組成物は、治療を必要とする対象(例えば、ヒト)に、好適な経路、例えば、静脈内投与を介して、例えば、ボーラスとして、又は筋肉内、腹腔内、腫瘍内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑膜内、気管内、経口、吸入、若しくは局所経路によるある期間にわたる連続注入によって投与され得る。ジェットネブライザ及び超音波ネブライザを含む、液体製剤のための市販のネブライザは、投与に有用である。液体製剤は、直接噴霧され得、凍結乾燥粉末は、再構成後に噴霧され得る。代替として、本明細書に記載される抗体は、フルオロカーボン製剤及び定量噴霧式吸入器を使用してエアロゾル化され得るか、又は凍結乾燥及び粉砕粉末として吸入され得る。
【0065】
本明細書に記載される方法によって治療される対象は、哺乳類、より好ましくはヒトであり得る。哺乳類は、家畜、スポーツ動物、ペット、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウス、及びラットを含むが、これらに限定されない。治療を必要とするヒト対象は、標的疾患/障害、例えば、肝臓がんなどの肝臓疾患を有する、そのリスクがある、又はそれを有すると疑われるヒト患者であり得る。そのような標的疾患/障害の例としては、急性肝性ポルフィリン症、アラジール症候群、アルコール関連肝臓疾患、アルファ-1アンチトリプシン欠乏症、自己免疫性肝炎、良性肝臓腫瘍、胆道閉鎖症、肝硬変、クリグラー・ナジャール症候群、ガラクトース血症、ギルバート症候群、ヘモクロマトーシス、肝性脳症、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、肝腎症候群、妊娠性肝内胆汁うっ滞症(ICP)、リソソーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)、肝臓嚢胞、肝臓がん、新生児黄疸、非アルコール性脂肪肝臓疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)、ライ症候群、糖原病I型、ウィルソン病が挙げられる。
【0066】
標的疾患を有する対象は、通常の医学的検査、例えば、臨床検査、臓器機能検査、CTスキャン、又は超音波によって同定され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法によって治療される対象は、別の療法、例えば、抗がん療法、例えば、化学療法、放射線療法、免疫療法、又は手術を受けたか、又は受けているヒトがん患者であり得る。
【0067】
かかる標的疾患/障害のうちのいずれかを有することが疑われる対象は、疾患/障害の1つ以上の症状を示し得る。疾患/障害のリスクがある対象は、その疾患/障害のリスク因子のうちの1つ以上を有する対象であり得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、単独又は1つ以上の他の活性剤との組み合わせのいずれかで治療効果を対象に付与するために必要とされる各々の活性剤の量を指す。ある量のコンジュゲートが治療効果を達成したかどうかの判定は、当業者には明らかであろう。有効量は、当業者によって認識されるように、治療されている特定の状態、状態の重症度、年齢、健康状態、サイズ、性別、及び体重を含む個々の患者のパラメータ、治療の持続期間、(存在する場合)同時療法の性質、特定の投与経路、並びに医療従事者の知識及び専門知識内の同様の因子に依存して変動する。これらの因子は、当業者に周知であり、通例の実験法のみで扱われ得る。概して、最大用量の個々の構成成分又はこれらの組み合わせ、すなわち、健全な医学的判断による最高安全用量が使用されることが好ましい。
【0069】
半減期などの経験的考慮事項は、概して、投与量の判定に寄与する。例えば、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体などのヒト免疫系と適合性のある抗体を使用して、コンジュゲート、特にその中に含まれる目的の薬剤の半減期を延長し、かつコンジュゲートが宿主の免疫系によって攻撃されるのを防いでもよい。投与頻度は、療法の経過にわたって判定及び調節され得、概して、治療及び/又は抑制及び/又は寛解及び/又は標的疾患/障害の遅延に基づくが、必ずしもそうではない。代替として、本明細書に開示されるコンジュゲートの持続的連続放出製剤が、適切であり得る。持続的放出を達成するための様々な製剤及びデバイスは、当該技術分野において既知である。
【0070】
一例では、本明細書に記載されるコンジュゲートについての投与量は、コンジュゲートの1つ以上の投与が与えられた個体において、経験的に判定され得る。個体に、漸増投与量のアゴニストが与えられる。アゴニストの効力を評価するために、疾患/障害の指標が追跡され得る。
【0071】
本開示の目的で、本明細書に記載される環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートの適切な投与量は、特定のコンジュゲート、特に、コンジュゲートによって担持された特定の目的の薬剤、疾患/障害のタイプ及び重症度、コンジュゲートが防止目的で投与されるか治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の臨床歴及びアゴニストに対する応答、並びに主治医の裁量に依存する。典型的には、臨床医は、所望の結果を達成する投与量に達するまで、コンジュゲートを投与する。投与量が所望の結果をもたらしたかを判定する方法は、当業者には明らかである。1つ以上のコンジュゲートの投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療であるか予防であるか、及び熟練した従事者に既知の他の因子に依存して、連続的又は間欠的であり得る。本明細書に開示されるコンジュゲートの投与は、事前選択された期間にわたって本質的に連続的であってもよく、又は一連の間隔をおいた用量、例えば、標的疾患又は障害の発症前、中、又は後のいずれかでにあってもよい。
【0072】
本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、標的疾患若しくは障害、疾患/障害の症状、又は疾患/障害の素因を有する対象に、障害、疾患の症状、又は疾患若しくは障害の素因を治癒させる、治す、緩和する、軽減する、変化させる、療治する、寛解させる、改善する、又はこれらに影響する目的で、1つ以上の活性剤を含む組成物を適用又は投与することを指す。
【0073】
標的疾患/障害を緩和することは、疾患の発症若しくは進行を遅延させること、又は疾患重症度を低減すること、又は生存を延長することを含む。疾患を緩和すること又は生存を延長することは、必ずしも治癒結果を必要とするわけではない。本明細書で使用される場合、標的疾患又は障害の発症を「遅延させる」とは、疾患の進行を延期する、妨げる、遅くする、遅らせる、安定させる、かつ/又は延ばすことを意味する。この遅延は、疾患歴及び/又は治療されている個人に依存して、様々な時間長さの遅延であることができる。疾患の発症を「遅延させる」若しくは緩和する、又は疾患の発病を遅延させる方法は、方法を使用しない場合と比較されたときに、疾患の1つ以上の症状を発症する確率を所与の時間枠内で低減し、かつ/又は症状の程度を所与の時間枠内で低減する方法である。このような比較は、典型的には、統計的に有意な結果を得るのに十分な数の対象を使用する臨床研究に基づく。
【0074】
疾患の「発症」又は「進行」とは、疾患の初期徴候及び/又はその後の進行を意味する。疾患の発症は、当技術分野において周知の標準的な臨床技法を使用して、検出可能であることができ、評価され得る。しかしながら、発症とは、検出不可能であり得る進行も指す。本開示の目的で、発症又は進行とは、症状の生物学的経過を指す。「発症」は、発生、再発、及び発病を含む。本明細書で使用される場合、標的疾患又は障害の「発病」又は「発生」は、初期発病及び/又は再発を含む。
【0075】
医学分野の当業者に既知の従来の方法が、治療される疾患のタイプ又は疾患の部位に依存して、対象に、医薬組成物を投与するために使用され得る。この組成物はまた、他の従来の経路を介して投与され得、例えば、経口、非経口投与されてもよく、吸入スプレーによって投与されてもよく、局所、直腸、経鼻、頬側、膣内投与されてもよく、又は埋め込み型リザーバを介して投与されてもよい。本明細書で使用される場合、「非経口」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、及び頭蓋内注射又は注入技法を含む。加えて、組成物は、対象に、注射可能デポ投与経路を介して、例えば、1、3、又は6ヶ月デポ注射可能又は生分解性材料及び方法を使用して投与され得る。いくつかの例では、医薬組成物は、眼内又は硝子体内投与される。
【0076】
注射可能組成物は、様々な担体、例えば、植物油、ジメチルアクタミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、及びポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)を含有し得る。静脈内注射の場合、水溶性抗体は、点滴法によって投与することができ、それによって、コンジュゲート及び生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される。生理学的に許容される賦形剤は、例えば、5%のデキストロース、0.9%の生理食塩水、リンガー溶液、又は他の好適な賦形剤を含み得る。筋肉内調製物は、医薬賦形剤、例えば、注射用水、0.9%の生理食塩水、又は5%のグルコース溶液中に溶解させて投与され得る。
【0077】
一実施形態では、本明細書に開示されるコンジュゲートは、部位特異的又は標的局所送達技法によって投与することができる。部位特異的又は標的局所送達技法の例としては、コンジュゲートの様々な埋め込み型デポソース、又は局所送達カテーテル、例えば、注入カテーテル、留置カテーテル、若しくは針カテーテル、合成グラフト、外膜ラップ、シャント及びステント、若しくは他の埋め込み型デバイス、部位特異的担体、直接注射、又は直接適用が挙げられる。例えば、国際公開第00/53211号及び米国特許第5,981,568号を参照されたい。
【0078】
標的疾患/障害のための治療効力は、当該技術分野において周知の方法によって評価され得る。
【0079】
疾患の治療に使用するためのキット
本開示はまた、目的の薬剤(例えば、診断剤又は治療剤)のインビトロ又はインビボのいずれかでの肝臓細胞への送達における、及び/又は標的疾患の治療若しくは緩和のための使用のためのキットを提供する。そのようなキットは、環状ペプチド-GalNAcコンジュゲート、例えば、本明細書に記載されるもののうちのいずれかを含む1つ以上の容器を含むことができる。いくつかの事例では、本明細書に開示されるコンジュゲートは、第2の治療剤とともに使用されてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載される方法のうちのいずれかによる使用のための説明書を含むことができる。含まれる説明書は、本明細書に記載されるような標的疾患を治療する、発病を遅延させる、又は緩和するための、コンジュゲート、及び任意選択で第2の治療剤の投与の説明を含むことができる。キットは、治療に好適な個体を、この個体が標的疾患を有するかどうかを同定すること、例えば、本明細書に記載の診断方法を適用することに基づいて選択することの説明を更に含み得る。尚も他の実施形態では、説明書は、標的疾患のリスクがある個体に、本明細書に開示されるようなコンジュゲートを投与することの説明を含む。
【0081】
環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートの使用に関する説明書は、概して、意図された治療のための投与量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)、又はサブ単位用量であり得る。本発明のキット内に供給される説明書は、典型的には、標識又は添付文書上の書面説明書(例えば、キット内に含まれる紙シート)であるが、機械可読説明書(例えば、磁気若しくは光学記憶ディスク上に保持された説明書)もまた、許容される。
【0082】
標識又は添付文書は、組成物が、肝臓疾患、例えば、肝臓がんなどの疾患を治療する、発病を遅延させる、及び/又は緩和するために使用されることを示す。本明細書に記載される方法のうちのいずれかを実施するための説明書が提供され得る。
【0083】
本発明のキットは、好適な包装内にある。好適な包装は、バイアル、ボトル、ジャー、及び軟包装(例えば、密封Mylar又はプラスチックバッグ)などを含むが、これらに限定されない。また、特定のデバイス、例えば、吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザ)、又は注入デバイス、例えば、ミニポンプと組み合わせて使用するためのパッケージが企図される。キットは、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであり得る)。容器はまた、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグ又はバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書に記載されるものとしての環状ペプチド-GalNAcコンジュゲートである。
【0084】
キットは、任意選択で、緩衝液及び解釈情報などの追加の構成要素を提供し得る。通常、キットは、容器と、容器上若しくは容器に伴う標識又は添付文書と、を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、上記のキットの内容物を含む製造物品を提供する。
【0085】
一般的な技法
本開示の実施は、別途示されない限り、(組換え技法を含む)分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の従来の技法を使用し、これらは、当業者の技量の範囲内である。このような技法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook,et al.,1989)Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1989)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.1987)、Introuction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.1993-8)J.Wiley and Sons、Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,et al.,eds.1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:a practice approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using antibodies:a laboratory manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti andJ.D.Capra,eds.Harwood Academic Publishers,1995)、DNA Cloning:A practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985)、Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.
【数1】
、Transcription and Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.
【数2】
、Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.
【数3】
、Immobilized Cells and Enzymes(lRL Press,
【数4】
、及びB.Perbal,A practical Guide To Molecular Cloning(1984)、F.M.Ausubel et al.(eds.)などの文献に完全に説明されている。
【0086】
更なる詳細なしに、当業者は、上記の説明に基づいて、本発明を最大限に使用することができると考えられる。したがって、以下の具体的な実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、本開示の残りの部分をなんら限定しない。本明細書に記載される全ての刊行物は、本明細書で参照される目的で又は主題のために、参照により組み込まれる。
【0087】
実施例1:L-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OH及びD-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OHの合成
A:L-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OH
ステップ1:tert-ブチルN-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N-(6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-L-グルタミネート(化合物-1)の合成
【化3】
化合物-1の例示的な合成スキームを、上記に提供する。簡潔な説明を、以下に提供する。
【0088】
DMF(40mL)中の(S)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸(10.0g、23.5mmol、1.0当量)の溶液に、HATU(8.9g、23.5mmol、1.0当量)、DIPEA(12.3mL、70.5mmol、3.0当量)、HOAt(3.2g、23.5mmol、1.0当量)を順に添加した。得られた混合物を25℃で10分間攪拌した。混合物が均質溶液になったら、ベンジル(6-アミノヘキシル)カルバメート塩酸塩(8.1g、28.2mmol、1.2当量)を添加し、得られた溶液を25℃で2時間攪拌した。反応の進行を、LCMSによって監視した。完了時に、溶液をEtOAc(100mL)で希釈し、ブライン(3×40mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、粗生成物を次のステップに直接使用した(黄色固体、15.5g)。
LCMS:(ESI)m/z=658.2[M+H]
ステップ2:N-(((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-N-(6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-L-グルタミン(L-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OH)
【化4】
【0089】
L-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OHの例示的な合成スキームを、上記に提供する。簡潔な説明を、以下に提供する。
【0090】
DCM(150mL)中の化合物1(15.5g、23.5mmol)の溶液に、60mLのTFA/TIS//HO(10/1/1)を添加し、得られた溶液を25℃で一晩攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を真空中で濃縮し、残渣をHO(0.01%v/v TFA)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって精製した。これにより、7.0g(収率50%)のL-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OHを白色固体として得た。
LCMS:(ESI)m/z=602.3[M+H]
【0091】
B:D-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OH
上記と同じ手順を、D-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OHの合成に使用した。また、以下の例示的な合成スキームも参照されたい。10.0gのD-Fmoc-Glu-OtBuから、5.7gのD-Fmoc-Glu(リンカー-Cbz)-OHが得られ、総収率は40%であった。LCMS:(ESI)m/z=602.1[M+H]
【化5】
【0092】
実施例2:CPMB-001の合成
ステップ1:N-N-(N-(6-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)ヘキシル)-N-(N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リシル)-L-グルタミニル)-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リシルグリシル-N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リシルグリシン(CPMB-001-A)の合成
【化6】
化合物を、Fmoc戦略を使用して標準的な固相ペプチド合成によって合成した。
【0093】
2-Cl-CTC樹脂(5.0g、1.1mmol/g、GL Biochem)をDMF中で10分間膨潤させた後、第1のアミノ酸Fmoc-Gly-OH(743mg、2.5mmol)を、DMF(80mL)中のDIPEA(1292mg、10mmol)を用いて4時間、室温で樹脂にカップリングした。樹脂をDCMで洗浄し、脱活性過剰塩化物をMeOH/DCM(1/1、80mL)で1時間洗浄した。樹脂をDMFで洗浄した。得られた樹脂を20%ピペリジン/DMF(50mL)で20分間処理し、Fmoc基を除去した。得られた樹脂をDMFで洗浄し、DMF(80mL)中のFmoc-Lys(Boc)-OH(1874mg、4.0mmol)、HBTU(1517mg、4.0mmol)、HOBt(540mg、4mmol)、及びDIPEA(1034mg、8.0mmol)の溶液で1時間、室温で処理し、それによってLysを導入して、Fmoc-Lys(Boc)-Gly-CTC樹脂を得た。Gly、Lys(Boc)、Glu(tBu)、及びLys(Boc)と同様の方法で導入して、NH-Lys(Boc)-Glu(リンカー-Cbz)-Lys(Boc)-Gly-Lys(Boc)-Gly-CTC樹脂(配列番号8)を得た。直線形ペプチドを、冷HFIP/DCM(3/7、100mL)を使用して樹脂から切断し、上記の乾燥樹脂にこの混合溶液を添加し、混合物を1.0時間振盪した。樹脂を濾過し、DCM(10mL×3)で洗浄した。濾液を合わせ、溶媒を真空下で除去した。粗製ペプチドを、HO/CHCNに溶解し、凍結乾燥させて、残りの溶媒を除去した。直線形ペプチドCPMB-001-Aを白色固体(1200mg、粗製物)として収集した。
LCMS:(ESI)m/z=540.0[M+2H]/2
ステップ2:ベンジル(6-(3-((2S,5S,11S,17S)-5,11,17-トリス(4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブチル)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-1,4,7,10,13,16-ヘキサザシクロオクタデカン-2-イル)プロパンアミド)ヘキシル)カルバメート(CPMB-001-B)の合成
【化7】
【0094】
CPMB-001-AからCPMB-001-Bを産生するための例示的な合成スキームを、上記に提供する。以下は、合成手順の簡潔な説明である。
【0095】
HBTU(774mg、2.04mmol、2.0当量)をDMF(20mL)中に溶解し、DIEA(168μL)を添加した。次に、DMF(150mL)中のCPMB-001-A(1200mg、1.02mmol、1.0当量)及びDIEA(506μL)の溶液を、室温で2時間にわたってHBTU溶液に滴下した。茶色の混合物を得、LCMSはCPMB-001-Aの完全な変換を示した。次いで、水(170mL)を添加することによって反応をクエンチした。得られた混合物を、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。有機層をNaCl溶液(ブライン100mL及び水100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して淡褐色油を得た。油を水(100mL)中で粉砕し、濾過した。残渣をn-ヘキサン(5%酢酸エチルを含有する100mL)中で2時間再び粉砕し、濾過して、淡黄色固体の標的環状ペプチドを得た(742mg、収率:62.7%)。
LCMS:(ESI)m/z=1162.9[M+H]
【0096】
ステップ3:ベンジル(6-(3-((2S,5S,11S,17S)-5,11,17-トリス(4-アミノブチル)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-1,4,7,10,13,16-ヘキサザシクロオクタデカン-2-イル)プロパンアミド)ヘキシル)カルバメート(CPMB-001)の合成
【化8】
CPMB-001-BからCPMB-001を産生するための例示的な合成スキームを、上記に提供する。以下は、合成手順の簡潔な説明である。
【0097】
CPMB-001-B(742mg、0.64mmol)をDCM(1mL)中に溶解し、-5℃まで冷却した後、氷冷TFA/DCM(2mL、v:v=1:1)を添加した。溶液を-5℃で1時間攪拌し、LCMSによって反応を監視した。CPMB-001-Bの完全な変換後、氷冷MTBE(40mL)を添加し、白色の沈殿物を生成した。懸濁液を3200r/分で3分間遠心分離し、上清を注いだ。沈殿物をMTBE(40mL×2)で洗浄し、2回余分に遠心分離した。白色残渣を減圧下で乾燥させ、標的化合物(CPMB-001)を白色固体として得た(760mgの塩、収率:98.8%)。
LCMS:(ESI)m/z=860.3[M+H]
【0098】
実施例3:CPMB-002及びCPMB-003の合成
CPMB-002の合成にも同じ手順を使用した。図1の例示的な合成スキームを参照されたい。
【0099】
5.0g(1.1mmol)のCTC樹脂から、700mgのCPMB-002が得られ、総収率は50%であった。LCMS:(ESI)m/z=860.3[M+H]
【0100】
5.0g(1.1mmol)のCTC樹脂から、781mgのCPMB-003が得られ、総収率は65.0%であった。LCMS:(ESI)m/z=860.3[M+H]
【0101】
実施例4:Gal-1の合成
Gal-1:5-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ペンタン酸(Gal-1)。
【化9】
【0102】
Gal-1の例示的な合成スキームを、上記に提供する。
【0103】
ステップ1及び2:ナトリウム5-ヒドロキシペンタノエート(化合物3)及びベンジル5-ヒドロキシペンタノエート(化合物4)の合成
テトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン(10.0g、99.9mmol、1.0当量)及びNaOH(4.0g、99.9mmol、1.0当量)の混合物をHO(100mL)中に溶解した。溶液を100℃で一晩還流させ、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を真空中で濃縮した。得られた白色固体をアセトン(200mL)に取り込み、nBuNI(1.8g、5.0mmol、5mol%)及び臭化ベンジル(14.2mL、119.9mmol、1.2当量)を順に添加した。混合物を60℃で一晩還流させ、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を真空中で濃縮した。次の残渣をEtOAc(150mL)中に溶解し、NaHSO水溶液(150mLのHO中に10.0g)で洗浄した。次いで、水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO水溶液(100mL)、ブライン(40mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、PE/EtOAc(8/2)で溶出するシリカゲルカラムによって精製した。これにより、無色油として17.9g(収率86%)のベンジル5-ヒドロキシペンタノエート(化合物4)が得られた。LCMS:(ESI)m/z=209.1[M+H]
【0104】
ステップ3:(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((5-(ベンジルオキシ)-5-オキソペンチル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(化合物5)の合成
乾燥DCE(200mL)中の(2S,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,4,5-トリイルトリアセテート(10.0g、25.7mmol、1.0当量)の懸濁液に、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(7.0mL、38.5mmol、1.5当量)を添加した。混合物を25℃で2時間攪拌し、化合物4(7.5g、36.0mmol、1.4当量)及び4Aモレキュラーシーブ(5.0g)が続いた。混合物を25℃で一晩攪拌し、LCMSによって監視した。反応が完了したら、混合物を濾過して、4Aモレキュラーシーブを除去した。濾液を飽和NaHCO水溶液(50mL)添加し、DCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。その後の黄色油を、次のステップのために直接使用した。LCMS:(ESI)m/z=538.0[M+H]
【0105】
ステップ4:5-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ペンタン酸(Gal-1)の合成
MeOH/EtOAc(10.0mL/30.0mL)中の化合物5の溶液に、Pd/C(1.0g、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。懸濁液を25℃で一晩攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、HO(0.01%v/v TFA)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって精製した。これにより、白色発泡体として7.4g(収率64%)のGal-1が得られた。
LCMS:(ESI)m/z=448.0[M+H]
H NMR(400 MHz,DMSO)δ 12.02(br,1H),7.82(d,J=9.2 Hz,1H),5.21(d,J=3.4 Hz,1H),4.96(dd,J=11.2,3.4 Hz,1H),4.48(d,J=8.5 Hz,1H),4.03(s,3H),3.88(dt,J=11.2,8.9 Hz,1H),3.73-3.66(m,1H),3.46-3.37(m,1H),2.20(t,J=7.1 Hz,2H),2.11(s,3H),2.00(s,3H),1.89(s,3H),1.77(s,3H),1.54-1.43(m,4H).
【0106】
実施例5:Gal-2の合成
Gal-2:3-(2-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)プロパン酸(Gal-2)の合成
Gal-1の合成において、同じ手順が使用される。例示的な合成スキームを、以下に提供する。5.1g(43.9mmol)の1,4-ジオキセパン-5-オンから、0.8gのGal-2が得られ、総収率は4.1%であった。
【化10】
LCMS:(ESI)m/z=464.4[M+H]
【0107】
実施例6:Gal-3の合成
Gal-3:4-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ブタン酸(Gal-3)の合成
Gal-1の合成において、同じ手順が使用される。合成スキームを以下に提供する。15.0g(174.2mmol)のジヒドロフラン-2(3H)-オンから、白色発泡体として3.9gのGal-3が得られ、総収率は5.2%であった。
【化11】
LCMS:(ESI)m/z=434.2[M+H]
H NMR(400 MHz,DMSO)δ 12.03(br,1H),7.83(d,J=9.2 Hz,1H),5.75(s,1H),5.21(d,J=3.4 Hz,1H),4.95(dd,J=11.3,3.4 Hz,1H),4.47(d,J=8.5 Hz,1H),4.07-3.98(m,3H),3.87(dt,J=11.3,8.9 Hz,1H),3.70(dt,J=10.0,6.1 Hz,1H),2.23(t,J=7.4 Hz,2H),2.10(s,3H),1.99(s,3H),1.89(s,3H),1.77(s,3H),1.72-1.64(m,2H).
【0108】
実施例7:Gal-4の合成
Gal-4:6-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ヘキサン酸(Gal-4)の合成
Gal-1の合成において、同じ手順が使用される。例示的な合成スキームを、以下に提供する。11.4g(99.9mmol)のオキセパン-2-オンから、白色発泡体として10.6gのGal-4が得られ、総収率は23%であった。
【化12】
LCMS:(ESI)m/z=462.2[M+H]
H NMR(400 MHz,DMSO)δ 12.07(br,1H),7.82(d,J=9.2 Hz,1H),5.21(d,J=3.4 Hz,1H),4.96(dd,J=11.2,3.4 Hz,1H),4.48(d,J=8.5 Hz,1H),4.05-4.01(m,3H),3.87(dt,J=11.2,8.9 Hz,1H),3.69(dt,J=9.9,6.4 Hz,1H),3.41(dt,J=9.9,6.4 Hz,1H),2.18(t,J=7.4 Hz,2H),2.11(s,3H),2.00(s,3H),1.89(s,3H),1.77(s,3H),1.54-1.41(m,4H),1.30-1.24(m,2H).
【0109】
実施例8:Gal-5の合成
Gal-5:3-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロパン酸(Gal-5)の合成
Gal-1の合成において、同じ手順が使用される。例示的な合成スキームを、以下に提供する。6.5g(36mmol)のベンジル3-ヒドロキシプロパノエートから、白色発泡体として4.3gのGal-5が得られ、総収率は28.5%であった。
【化13】
LCMS:(ESI)m/z=420.0[M+H]
H NMR(400 MHz,DMSO)δ 12.27(br,1H),7.77(d,J=9.2 Hz,1H),5.21(d,J=3.4 Hz,1H),4.96(dd,J=11.2,3.4 Hz,1H),4.53(d,J=8.5 Hz,1H),4.08-3.98(m,3H),3.92-3.80(m,2H),3.68(dt,J=10.3,6.4 Hz,1H),2.46(t,J=6.4 Hz,2H),2.10(s,3H),2.00(s,3H),1.89(s,3H),1.77(s,3H).
【0110】
実施例9:5-Fam-CPMB-0013の合成
ステップ1:CPMB-0013-Aの合成
CPMB-0013Aを産生するための例示的な合成スキームを、図2Aに提供する。
【0111】
DMF(5mL)中の(6-(3-((2S,5S,11S,17S)-5,11,17-トリス(4-アミノブチル)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-1,4,7,10,13,16-ヘキサザシクロオクタデカン-2-イル)プロパンアミド)ヘキシル)カルバメート(CPMB-001)(898mg、747μmol、1.0当量)の溶液に、EDCI・HCl(859mg、4.48mmol、6.0当量)、HOAt(610mg、4.48mmol、6.0当量)、DIPEA(1.17mL、6.72mmol、9.0当量)、4-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ブタン酸(Gal-03)(1.07g、2.47mmol、3.3当量)を順に添加した。得られた溶液を25℃で一晩攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液をHO(15mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、HO(0.01%v/v TFA)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって精製して、白色発泡体として化合物CPMB-0013-Aを得た(1.22g、収率78%)。
【0112】
精製方法:
移動相:A:水中0.05%TFA;B:アセトニトリル中0.05%TFA
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、110A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=71/29~61/39の線密度勾配での溶出(20分)
LCMS:(ESI)m/z=1053.3[M/2+H]
【0113】
ステップ2:5-Fam-CPMB-0013の合成
5-Fam-CPMB-0013を産生するための例示的な合成スキームを、図2Bに提供する。
【0114】
MeOH(2.0mL)中のCPMB-0013-A(14.3mg、6.8μmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(4.0mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。得られた混合物を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、混合物を、濾過膜(0.5μm、NAVIGATOR(登録商標))を備えたシリンジを通して濾過した。濾液に、MeOH中のNaOMeの溶液(100μL、30.0重量%、5.4M)を添加した。得られた溶液を25℃で20分間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を酢酸(31.0μL)を添加することによって中和した。溶液を真空中で濃縮し、残渣を飽和NaHCO水溶液(1mL)に溶解し、HO(1.0mL)で希釈し、その後、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル3’,6’-ジヒドロキシ-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-5-カルボキシレート(5FAM-OSu、4.8mg、10.2μmol、1.5当量)を添加した。溶液が光に当たらないように、フラスコをアルミホイルで覆った。得られた溶液を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液をMeCN(2.0mL)で希釈し、分取HPLCによって精製して、5-Fam-CPMB-0013をオレンジ色固体として得た(5.0mg、収率38%)。
【0115】
精製方法:
移動相:A:水中0.05%TFA;B:アセトニトリル中0.05%TFA
カラム:Phenomenex Gemini C18、21.2×250mm、10μm、110A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=84/16~74/26の線密度勾配での溶出(20分)
【0116】
LCMS:(ESI)m/z=976.2[M+2H]/2
HPLC:97.57%(214nm)、室温=12.776分
移動相:A:水(0.05%TFA)B:ACN(0.05%TFA)
【0117】
勾配:5%Bを3分間、20分以内に65%Bに増加させ、2分以内に95%に増加させ、5分間保持し、0.1分以内に5%Bに戻す。
流量:1.0mL/分
カラム:XBridgeペプチドBEHカラムC18、4.6×150mm、3.5μm、130A
カラム温度:20℃
【0118】
実施例10:CPMB-0013の合成
CPMB-0013を産生するための例示的な合成スキームを、図3に提供する。
【0119】
MeOH(20.0mL)中のCPMB-0013-A(695mg、0.33mmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(0.18g、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。得られた混合物を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、混合物を濾過し、濃縮した。残渣を10mLのDMFに溶解し、EDCI・HCl(94.8mg、0.49mmol、1.5当量)、HOAt(67.3mg、0.49mmol、1.5当量)、DIPEA(173μL、1mmol、3.0当量)、及び4-((2S,4R)-4-アセトキシ-2-(アセトキシメチル)ピロリジン-1-イル)-4-オキソブタン酸(4-((2S,4R)-4-アセトキシ-2-(アセトキシメチル)ピロリジン-1-イル)-4-オキソブタン酸:119.2mg、0.39mmol、1.2当量)を順に添加した。反応物を室温で3時間攪拌し、LCMSによって監視した。反応の完了後、混合物を、HO(0.01%v/v TFA)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって直接精製して、白色粉末として化合物CPMB-0013-Dを得た。(0.65g、収率87%)。
【0120】
化合物CPMB-0013-D(0.65g、0.29mmol、1.0当量)を20mLのMeOH中に溶解し、MeOH中のNaOMe溶液(30重量%、500μL)を添加した。溶液を室温で20分間攪拌し、LCMSは、脱アセチル化プロセスが完了したことを示した。次いで、酢酸(155μL)を混合物に添加し、溶液を中和した。混合物を水(15mL)で希釈し、HO(10mmolのNHOAc)/MeCNで溶出する分取HPLCで精製して、白色発泡体として280mgの所望の化合物CPMB-0013を得た。(収率54%)
【0121】
精製方法:
移動相:A:10mmolのNHOAc;B:ACN
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、130A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=95/5~85/15(20分)の線密度勾配での溶出、20.92分で画分を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=795.7[(M-GalNAc)/2+H]
HPLC:90.04%(214nm)、室温=12.28分
移動相:A:水(0.01%TFA)B:ACN(0.01%TFA)
勾配:2%Bを4分間、15分以内に32%Bに増加させ、3分以内に95%Bに増加させ、5分間保持し、0.1分以内に5%Bに戻す。
流量:1mL/分
カラム:XBridgeペプチドBEH C18、4.6×150mm、3.5μm、130A
カラム温度:40℃
【0122】
実施例11:CPMB-0013-DMTrの合成
CPMB-0013-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを、図4に提供する。
【0123】
ステップ1:CPMB-0013-Fの合成
MeOH(20.0mL)中のCPMB-0013-A(210mg、0.10mmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(50mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。得られた混合物を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、混合物を、濾過膜(0.5μm、NAVIGATOR(登録商標))を備えたシリンジを通して濾過した。残渣を、1mLのDMFに溶解し、EDCI・HCl(28.6mg、0.15mmol、1.5当量)、HOAt(20.3mg、0.15mmol、1.5当量)、DIPEA(52μL、0.30mmol、3.0当量)、及びInt-DMTr(84.6mg、0.12mmol、1.2当量)を順に添加した。反応物を室温で3時間攪拌し、LCMSによって監視した。反応の完了後、混合物を、HO(0.01%v/v NHHCO)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって直接精製して、白色粉末として化合物CPMB-0013-Fを得た。(177mg、収率67%)。
【0124】
精製方法:
移動相:A:10mmolのNHOAc;B:ACN
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、130A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=56/44~46/54(20分)の線密度勾配での溶出、19.52分で画分(100%)を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=1181.4[(M-DMTr)/2+H]
【0125】
ステップ2:CPMB-0013-DMTrの合成
MeOH/EtOAc(20.0mL、1:1)中のCPMB-0013-Fの溶液に、Pd/C(40mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。懸濁液を25℃で6時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、HO(0.01%v/v NHHCO)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する分取HPLCによって精製して、白色粉末として33mgの所望の化合物CPMB-0013-DMTrを得た。(収率19%)
【0126】
精製方法:
移動相:A:10mmolのNHOAc;B:ACN
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、130A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=68/32~58/42(20分)の線密度勾配での溶出、15.65分で画分(98.4%)を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=1285.6[M/2-H]
HPLC:>99%(214nm)、室温=10.58分
移動相:A:水(10mMのNHHCO)B:ACN
勾配:5%Bを1分間、20分以内に95%Bに増加させ、5分間95%Bに増加させ、0.1分以内に5%Bに戻す。
流量:1mL/分
カラム:XBridgeペプチドBEH C18、4.6×150mm、3.5μm、130A
カラム温度:40℃
【0127】
実施例12:CPMB-0013-DTMr-PEG4-CPG樹脂の合成
ステップ1:CPG-PEG4の合成
CPG-PEG4を産生するための例示的な合成スキームを、図5Aに提供する。
【0128】
DMF(2mL)中で、CPG樹脂(488mg、35~50μmol/g)、1-(9H-フルオレン-9-イル)-3-オキソ-2,7,10,13,16-ペンタオキサ-4-アザオクタデカン-18-オイック酸(FmocNH-PEG4-CHCOOH)(23mg、48.8μmol、2.0当量)、DIPEA(17μL、97.6μmol、4.0当量)、HOBt(6.6mg、48.8μmol、2.0当量)、及びHBTU(18.5mg、48.8μmol、2.0当量)を、室温で24時間振盪する。次に、樹脂をDMF(3mL×3)で洗浄する。カイザーテスト陰性。次いで、樹脂を、MTBE(5mL×3)で洗浄し、真空乾燥させた。充填試験:3本のEPチューブにそれぞれ6.1mg、8.0mg、12.0mgのCPG樹脂(mCPG)を取り、各チューブに1mLのDBU(DMF中2%)を加え、30分後、800μLの上清を25mLの容積フラスコに移し、フラスコにMeCNを充填する。分光光度法により、Fmoc基(平均304nm)の吸光度:0.069、0.091、0.138を求めることができた。したがって、充填は、平均*4.1/mCPG=47μmol/g、>99%収率である。
【0129】
ステップ2:CPG-PEG4-CPMB-0013-DMTrの合成
CPG-PEG4-CPMB-0013-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを、図5Bに提供する。
【0130】
CPG-PEG4樹脂(150mg、47μmol/g)を、3mLのDBU(DMF中2%)中で1時間振盪させる。カイザーテストは、de-Fmocプロセスが完了したことを示し、その後、DMF(3mL×3)で樹脂を洗浄する。DMF(2mL)中で、CPMB-0013-DMTr(27mg、10.5μmol、1.5当量、)、DIPEA(3.6μL、10.5μmol、3.0当量、)、HOBt(1.4mg、10.5μmol、1.5当量)、及びHBTU(4mg、10.5μmol、1.5当量)を室温で24時間振盪する。次に、樹脂をDMF(3mL×3)で洗浄する。樹脂にピリジン/AcO(1mL/20μL)を投入し、1時間振盪する。次いで、樹脂をDMF(3mL×3)及びMTBE(5mL×3)で洗浄し、真空乾燥させた。充填試験:2.7mgのCPG-PEG4-CPMB-0013-DMTr樹脂を取り、200μLの1N HCl及び200μLのMeCNを添加する。LCMS:S(DMTr)=691.54mAU、充填=32μmol/g、51.6mg。
【0131】
実施例13:5-Fam-CPMB-0023の合成
ステップ1:CPMB-0023-Aの合成
CPMB-0023-Aを産生するための例示的な合成スキームを、図6Aに提供する。
【0132】
DMF(5mL)中の(6-(3-((2R,5R,11R,17R)-5,11,17-トリス(4-アミノブチル)-3,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-1,4,7,10,13,16-ヘキサザシクロオクタデカン-2-イル)プロパンアミド)ヘキシル)カルバメート(CPMB-002)(904mg、752μmol、1.0当量)の溶液に、EDCI・HCl(865mg、4.51mmol、6.0当量)、HOAt(614mg、4.51mmol、6.0当量)、DIPEA(1.18mL、6.76mmol、9.0当量)、4-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ブタン酸(Gal-03)(1.07g、2.48mmol、3.3当量)を順に添加した。得られた溶液を25℃で一晩攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液をHO(15mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、HO(0.01%v/v TFA)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって精製して、白色発泡体として化合物CPMB-0023-Aを得た(1.49g、収率94%)。
【0133】
精製方法:
移動相:A:水中0.05%TFA;B:アセトニトリル中0.05%TFA
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、110A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=71/29~61/39(20分)の線密度勾配での溶出、18.35分で画分を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=1053.3[M/2+H]
【0134】
ステップ2:5-Fam-CPMB-0023の合成
5-Fam-CPMB-0023を産生するための例示的な合成スキームを、図6Bに提供する。
【0135】
MeOH(2.0mL)中のCPMB-0023-A(17.0mg、8.1μmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(4.0mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。得られた混合物を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、混合物を、濾過膜(0.5μm、NAVIGATOR(登録商標))を備えたシリンジを通して濾過した。濾液に、MeOH中のNaOMeの溶液(100μL、30.0重量%、5.4M)を添加した。得られた溶液を25℃で20分間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を酢酸(31.0μL)を添加することによって中和した。溶液を真空中で濃縮し、残渣を飽和NaHCO水溶液(1mL)に溶解し、HO(1.0mL)で希釈し、その後、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル3’,6’-ジヒドロキシ-3-オキソ-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-5-カルボキシレート(5.7mg、12.1μmol、1.5当量)を添加した。溶液が光に当たらないように、フラスコをアルミホイルで覆った。得られた溶液を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液をMeCN(2.0mL)で希釈し、分取HPLCによって精製して、5-Fam-CPMB-0023をオレンジ色固体として得た(8.5mg、収率54%)。
【0136】
精製方法:
TFA緩衝液を使用する:A:水中0.05%TFA;B:アセトニトリル中0.05%TFA
カラム:Phenomenex Gemini C18、21.2×250mm、10μm、110A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=83/17~73/27(20分)の線密度勾配での溶出、17.85分で画分を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=976.7[M/2+H]
HPLC:98.15%(214nm)、室温=12.866分
移動相:A:水(0.01%TFA)B:ACN(0.01%TFA)
勾配:5%Bを3分間、20分以内に65%Bに増加させ、2分以内に95%に増加させ、5分間保持し、0.1分以内に5%Bに戻す。
流量:1.0mL/分
カラム:XBridgeペプチドBEHカラムC18、4.6×150mm、3.5μm、130A
カラム温度:20℃
【0137】
実施例14:CPMB-0023の合成
CPMB-0023を産生するための例示的な合成スキームを、図7に提供する。
【0138】
ステップ1:CPMB-0023-Dの合成
MeOH(10.0mL)中のCPMB-0023-A(294mg、0.14mmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(60mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。得られた混合物を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、混合物を濾過し、濃縮した。残渣を2mLのDMFに溶解し、EDCI・HCl(38.8mg、0.20mmol、1.5当量)、HOAt(27.2mg、0.20mmol、1.5当量)、DIPEA(70μL、0.41mmol、3.0当量)、及び4-((2S,4R)-4-アセトキシ-2-(アセトキシメチル)ピロリジン-1-イル)-4-オキソブタン酸(48.8mg、0.16mmol、1.2当量)を順に添加した。反応物を室温で3時間攪拌し、LCMSによって監視した。反応の完了後、混合物を、HO(0.01%v/v TFA)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって直接精製して、白色粉末として化合物CPMB-0023-Dを得た。(303mg、収率96%)。LCMS:(ESI)m/z=1128.2[M/2+H]
【0139】
ステップ2:CPMB-0023の合成
化合物CPMB-0023-D(303mg、0.13mmol、1.0当量)を5mLのMeOH中に溶解し、MeOH中のNaOMeの溶液(30重量%、200μL)を添加した。溶液を室温で20分間攪拌し、LCMSは、脱アセチル化プロセスが完了したことを示した。次いで、酢酸(62μL)を混合物に添加し、溶液を中和した。混合物を水(15mL)で希釈し、HO(10mmol NHOAc)/MeCNで溶出する分取HPLCで精製して、98mgの所望の化合物CPMB-0023を白色発泡体として得た。(収率42%)
【0140】
精製方法:
TFA緩衝液を使用する:A:水中0.05%TFA;B:アセトニトリル中0.05%TFA
カラム:Welch Topsil C18、21.1×250mm、5μm、150A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=95/5~85/15(20分)の線密度勾配での溶出、20.77分で画分を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=795.6[(M-GalNAc)/2+H]
HPLC:93.66%(214nm)、室温=14.31分
移動相:A:水中0.05%TFA B:ACN中0.05%TFA
勾配:2%Bを3分間、20分以内に32%Bに増加させ、1分以内に95%Bに増加させ、6分間保持し、0.1分以内に2%Bに戻す。
流量:1.0mL/分
カラム:XBridgeペプチドBEHカラムC8、4.6×50mm、3.5μm、130A
カラム温度:45℃
【0141】
実施例15:CPMB-0023-DMTrの合成
CPMB-0023-DMTrを産生するための例示的な合成スキームを、図8に提供する。
【0142】
ステップ1:CPMB-0023-Fの合成
MeOH(20.0mL)中のCPMB-0023-A(206mg、0.10mmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(50mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。得られた混合物を25℃で16時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、混合物を、濾過膜(0.5μm、NAVIGATOR(登録商標))を備えたシリンジを通して濾過した。残渣を、1mLのDMFに溶解し、EDCI・HCl(28.1mg、0.15mmol、1.5当量)、HOAt(20.0mg、0.15mmol、1.5当量)、DIPEA(52μL、0.30mmol、3.0当量)、及びInt-DMTr(83.4mg、0.12mmol、1.2当量)を順に添加した。反応物を室温で3時間攪拌し、LCMSによって監視した。反応の完了後、混合物を、HO(0.01%v/v NHHCO)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する逆相クロマトグラフィーによって直接精製して、白色粉末として化合物CPMB-0023-Fを得た。(114mg、収率44%)
【0143】
精製方法:
移動相:A:10mmolのNHOAc;B:ACN
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、130A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=56/44~46/54(20分)の線密度勾配での溶出、19.22分で画分(100%)を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=1181.4[(M-DMTr)/2+H]
【0144】
ステップ2:CPMB-0023-DMTrの合成
MeOH/EtOAc(20.0mL、1:1)中のCPMB-0023-F(114mg、0.043mmol、1.0当量)の溶液に、Pd/C(30mg、10.0%)を添加した。フラスコを真空排気し、Hで3回フラッシュした。懸濁液を25℃で6時間攪拌し、LCMSによって監視した。完了時に、溶液を濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、HO(0.01%v/v NHHCO)/MeCN(95/5~5/95)で溶出する分取HPLCによって精製して、白色粉末として79mgの所望の化合物CPMB-0023-DMTrを得た。(収率72%)
【0145】
精製方法:
移動相:A:10mmolのNHOAc;B:ACN
カラム:Waters XBridge Prep C18、19×250mm、10μm、130A
流量:25mL/分
溶離剤:A/B=70/30~60/40(20分)の線密度勾配での溶出、19.22分で画分(99.1%)を収集し、凍結乾燥させた。
LCMS:(ESI)m/z=1285.3[M/2-H]
HPLC:>99%(214nm)、室温=10.56分
移動相:A:水(10mMのNHHCO)B:ACN
勾配:5%Bを1分間、20分以内に95%Bに増加させ、5分間95%Bに増加させ、0.1分以内に5%Bに戻す。
流量:1mL/分
カラム:XBridgeペプチドBEH C18、4.6×150mm、3.5μm、130A
カラム温度:45℃
【0146】
実施例16:CPMB-0023-DTMr-PEG4-CPG樹脂の合成
CPMB-0023-DTMr-PEG4-CPG樹脂を産生するための例示的な合成スキームを、図9に提供する。
【0147】
CPG-PEG4樹脂(100mg、47μmol/g)を3mLのDBU(DMF中2%)中で1時間振盪させる。カイザーテストは、de-Fmocプロセスが完了したことを示し、その後、DMF(3mL×3)で樹脂を洗浄する。DMF(2mL)中で、CPMB-0023-DMTr(18mg、7μmol、1.5当量)、DIPEA(2.4μL、7μmol、3.0当量)、HOBt(0.9mg、7μmol、1.5当量)、及びHBTU(2.7mg、7μmol、1.5当量)を室温で24時間振盪する。次に、樹脂をDMF(3mL×3)で洗浄する。樹脂にピリジン/AcO(1mL/20μL)を投入し、1時間振盪する。次いで、樹脂をDMF(3mL×3)及びMTBE(5mL×3)で洗浄し、真空乾燥させた。充填試験:1.5mgのCPG-PEG4-CPMB-0023-DMTr樹脂を取り、100μLの1N HCl及び100μLのMeCNを添加する。LCMS:S(DMTr)=785.43mAU、充填=31μmol/g、69mg。
【0148】
実施例17:Tri-GalNAcとコンジュゲートされた環状ペプチドの細胞取り込み
ヒト肝細胞がん(HepG2)細胞株は、Shanghai Zhong Qiao Xin Zhou Biotechnology Co.,Ltd.から購入し、10%ウシ胎児血清(Gibco、ThermoFisher Scientific、USA)、200ユニット/mLのペニシリン+200ユニット/mLのストレプトマイシンを含む最小必須培地(Gibco、ThermoFisher Scientific、USA)中で、37℃、5%COで維持した。
【0149】
細胞を、1ウェル当たり1.5×10細胞の密度を有する24ウェルプレート内に播種し、37℃、5%CO下でインキュベートした。18時間のインキュベーションの後、培地を2%FBSを含むMEMに交換し、FAM標識リガンドを最終濃度1.6、8、40、又は200nMで添加した。24時間のインキュベーション後、細胞を、1×PBSで2回洗浄し、LSRFortessa(BD Biosciences、NJ,USA)によって分析した。結合効率を、FAM陽性細胞の割合によって評価した。
【0150】
以下の表4は、リガンド結合HepG2細胞のパーセンテージを示す。HepG2細胞を、1.6、8、40、又は200nMの連続希釈濃度を有する14個の環状ペプチド-tri-GalNAcリガンドバリアントによって処理した。Givosirna中で使用される市販のtri-GalNAcを陽性対照として使用し、tri-GalNAcを含まない環状ペプチドを陰性対照とした。14個のバリアントの中で、5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、及び5-FAM-CPMB-0035(ID035)は、他のもの及び市販のtri-GalNAcと比較して比較的高い結合能を有した。5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、5-FAM-CPMB-0035(ID035)、及び市販のtri-GalNACについての平衡解離定数(kd)は、それぞれ、7.0、8.6、5.7、及び18nMであった。
【表4】
【0151】
実施例18:tri-GalNAcとコンジュゲートされた環状ペプチドの安定性アッセイ
環状ペプチド-tri-GalNAcの細胞毒性効果を、HepG2細胞の生存率で評価し、Cell Counting Kit-8(CCK-8)(Dojindo Laboratories,Japan)によって分析した。アッセイは、製造業者のプロトコルに従って実行した。簡潔には、HepG2を、ウェル当たり6×10細胞の密度を有する96ウェルプレートに播種し、5%COで37℃でインキュベートした。細胞が70%コンフルエンスに達すると、培地を2%FBSを含むMEMに変更し、最終濃度50、25、12.5、6.25、3.125、及び1.5625μMの連続希釈環状ペプチド-tri-GalNAcを処理した。24時間の処理後、10μLのCCK-8溶液を各ウェルに添加し、37℃で1~4時間インキュベートした。450nmでの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Thermo scientific、Multiskan sky、MA,USA)によって測定した。ID013、ID023、及び市販のtri-GalNACで処理した細胞の生存率は、97~100%である。
【0152】
FAM標識tri-GalNAcリガンドを、最終濃度200nMの滅菌水で調製した。10μlのリガンドを90μlのヒト血漿と混合し、37℃で0、24、48、72時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、各々の混合物を300μlのメタノールを添加して、反応をクエンチした。クエンチした試料を20,000×gで5分間遠心分離し、上清を0.45μmフィルター(Merck Millipore)で更に濾過して、残渣を除去した。濾過した試料を、UPLC-FLR検出器(Waters、MA,USA)によって測定した。
【0153】
図10は、5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、及び市販のtri-GalNACの安定性アッセイの結果を示す。5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、及び市販のtri-GalNACを、異なる時点についての90%のヒト血漿とともにインキュベートした。各々のリガンドの量を分析し、UPLCシステムによって定量化した。データによると、5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、及び市販のtri-GalNACは全て、6時間以内に非常に安定し、その後徐々に減少する。72時間のインキュベーション後、5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、及び市販のtri-GalNACの残量は、それぞれ、92.7%、85.8%、及び79.1%であった。
【0154】
実施例19:Tri-GalNAcとコンジュゲートされた環状ペプチドのエンドソーム脱出アッセイ
HepG2細胞を、1×10細胞/10mlの密度を有する100mm培養皿に播種し、37℃、5%CO2でインキュベートした。18時間のインキュベーション後、培養培地を、最終濃度1μMのFAM標識リガンドを含有する2%FBSを含むMEMに変更した。3日間の処理後、エンドソーム画分及びサイトソル画分を、エンドソーム単離及び細胞画分キット(ED-028、Invent Biotechnologies、USA)によって、製造業者のプロトコルに従って分離した。簡潔には、1.5×10個の細胞を収集し、冷PBS中で洗浄した。遠心分離後、上清を完全に除去し、ペレットを500μlの緩衝液Aで再懸濁した。次いで、細胞懸濁液をフィルターカートリッジに移し、16,000×gで30秒間遠心分離した。濾液とペレットを10秒ボルテックスで完全に混合し、700×gで3分間遠心分離して、望ましくない核と無傷の細胞を沈殿させた。上清を新鮮なチューブに移し、更に16,000×gで1時間、4℃で遠心分離して、不要なより大きなオルガネラ及び血漿膜をペレット中に沈殿させた。上清を新しいチューブに移し、1:1の比で緩衝液Bと混合し、4℃で一晩インキュベートした。混合物を10,000×gで30分間4℃で遠心分離した。上清はサイトソル画分であり、ペレットをエンドソーム画分として緩衝液中に溶解した。サイトソル及びエンドソーム画分の蛍光強度を、励起490nm及び発光520nmでSynergy H1マイクロプレートリーダー(BioTek、VT,USA)によって求めた。
【0155】
細胞を5-FAM-CPMB-0013(ID013)、5-FAM-CPMB-0023(ID023)、及び市販のtri-GalNACとともにインキュベートし、更にエンドソーム及びサイトソル画分に分画した。5-FAM-CPMB-0013(ID013)及び5-FAM-CPMB-0023(ID023)は、サイトソル(cytosolic)画分において市販のtri-GalNACよりも1.2倍及び1.6倍高い蛍光強度であった。ID013及びID023は、エンドソーム画分において市販のtri-GalNACよりも0.7倍及び0.5倍低い蛍光強度であり、より多くの5-FAM-CPMB-0013(ID013)又は5-FAM-CPMB-0023(ID023)がエンドソームからサイトソルに放出されることを裏付けた(図11を参照されたい)。したがって、新たに開発された環状ペプチド-tri-GalNAcは、より良好なエンドソーム脱出の能力を有する。
【0156】
他の実施形態
本明細書に開示される特徴の全ては、任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書に開示される各々の特徴は、同じ、均等な、又は同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別途明白に記載されない限り、開示される各々の特徴は、全般的な一連の均等な又は同様の機能の例のみである。
【0157】
上記の説明から、当業者は、本発明の必須の特徴を容易に確認することができ、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び修正をなして、本発明を様々な使用及び条件に適合させることができる。したがって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲内である。
【0158】
均等物
いくつかの発明実施形態が、本明細書に記載及び例示されているが、本明細書に記載される機能を実行し、かつ/又は本明細書に記載される結果及び/若しくは利点のうちの1つ以上を得るための様々な他の手段及び/又は構造が、当業者には容易に想到され、このような変形及び/又は修正の各々は、本明細書に記載される発明実施形態の範囲内であることが意図されている。概して、本明細書に記載される全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示的であることが意図されていること、並びに実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明教示が使用される具体的な用途又は複数の用途に依存することが、当業者には容易に理解されよう。当業者は、通例の実験法のみを使用して、本明細書に記載される具体的な発明実施形態の多くの均等物を認識するか又は確認することができる。したがって、上記の実施形態は、例としてのみ提示されること、並びに添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、発明実施形態は、具体的に記載及び特許請求されるものとは別法で実施されてもよいことが、理解される。本開示の発明実施形態は、本明細書に記載される各々の個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象とする。加えて、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のいずれの組み合わせも、このような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明範囲内に含まれる。
【0159】
本明細書で定義及び使用される場合、全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義される用語の通常の意味よりも優先されると理解されるべきである。
【0160】
本明細書に開示される全ての参照文献、特許、及び特許出願は、これらの各々が引用される主題、いくつかの場合では、これらの文書全体を包含し得る主題に関して、参照により組み込まれる。
【0161】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」は、明白に反して示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0162】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「及び/又は」という語句は、このように等位接続された要素の「いずれか又は両方」、すなわち、要素は、いくつかの場合では、接続的に存在し、他の場合には、非接続的に存在することを意味すると理解されるべきである。「及び/又は」で列挙される複数の要素は、同じ様式で、すなわち、要素のうちの「1つ以上」が、このように等位接続されていると解釈されるべきである。「及び/又は」という句によって具体的に同定される要素以外の他の要素が、具体的に同定されるこれらの要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」などの非限定的な言語と合わせて使用されたときに、一実施形態では、(任意選択で、B以外の要素を含む)Aのみ、別の実施形態では、(任意選択で、A以外の要素を含む)Bのみ、更に別の実施形態では、(任意選択で、他の要素を含む)A及びBの両方、などを指すことができる。
【0163】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、「又は」は、上記で定義される「及び/又は」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を分離するときに、「又は」又は「及び/又は」は、包括的である、すなわち、いくつかの要素又は要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが、これらのうちの2つ以上も含み、任意選択で、列挙されない追加の項目を含むとして解釈される。明白に反して示される用語のみ、例えば、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」、又は特許請求の範囲で使用されたときに、「からなる」とは、いくつかの要素又は要素のリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。概して、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、排他性の用語、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、又は「のうちの正確に1つ」が前にあるときに、排他的な選択肢(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない」)を示すとしてのみ解釈される。特許請求の範囲内で使用されたときに、「から本質的になる」は、特許法の分野で使用される場合のこの通常の意味を有する。
【0164】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、1つ以上の要素のリストに言及して、「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の要素のうちのいずれかの1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも、要素のリスト内に具体的に列挙される各々全ての要素のうちの少なくとも1つを含むとは限られず、要素のリスト内の要素のいずれの組み合わせも除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、要素のリスト内で具体的に同定され「少なくとも1つ」という語句が指す要素以外の要素が、具体的に同定される要素に関連するか又は関連しないかにかかわらず、任意選択で存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は均等に、「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は均等に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)とは、一実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のAを含み、Bが存在しない(任意選択で、B以外の要素を含む)こと、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のBを含み、Aが存在しない(任意選択で、A以外の要素を含む)こと、更に別の実施形態では、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のAを含み、少なくとも1つ、任意選択で、2つ以上のBを含む(任意選択で、他の要素を含む)ことなどを指すことができる。
【0165】
また、明白に反して示されない限り、2つ以上のステップ又は行為を含む、本明細書で特許請求されるいずれの方法においても、方法のステップ又は行為の順序は、必ずしも、方法のステップ又は行為が列挙される順序に限定されるとは限らないことが理解されるべきである。

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図14H
図14I
図14J
図14K
図14L
図14M
図14N
図14O
図14P
図14Q
図14R
図14S
図14T
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024516613000001.app
【国際調査報告】