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特表2024-516616TIM-3を標的とする抗体及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】TIM-3を標的とする抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240409BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240409BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20240409BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALN20240409BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALN20240409BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P37/04
A61P35/00
A61P35/02
A61P1/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P35/04
A61K45/00
C12N5/0783
C12N5/0786
C12N5/0784
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565142
(86)(22)【出願日】2022-04-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2022088770
(87)【国際公開番号】W WO2022223048
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/089261
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/120140
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523397148
【氏名又は名称】スゾウ ネオロジクス バイオサイエンス シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】シン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジンユー ドン
(72)【発明者】
【氏名】ビンビン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ドン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ユ チャン
(72)【発明者】
【氏名】リャガン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】シャン ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ハオジー ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン マー
(72)【発明者】
【氏名】ベイヤン ワン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、抗TIM-3抗体及び抗原結合断片、該抗体及び抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、並びに該抗体及び抗原結合断片を含む医薬組成物である。癌治療における本明細書に記載される抗TIM-3抗体及び抗原結合断片の使用も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、
(a)
(1)配列番号86~93及び129~137からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(VL CDR1);
(2)配列番号94~100及び138~144からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(VL CDR2);並びに
(3)配列番号47~55、145~153、及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(VL CDR3);
又は該VL CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む、軽鎖可変領域(VL);並びに/或いは
(b)
(1)配列番号101~108及び154~161からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1(VH CDR1);
(2)配列番号109~118及び162~170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2(VH CDR2);並びに
(3)配列番号119~128及び171~179からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3(VH CDR3);
又は該VH CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む、重鎖可変領域(VH)
:を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
(a)前記VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、
(1)それぞれ、配列番号86、94、及び47のアミノ酸配列;
(2)それぞれ、配列番号87、95、及び48のアミノ酸配列;
(3)それぞれ、配列番号88、96、及び49のアミノ酸配列;
(4)それぞれ、配列番号89、97、及び50のアミノ酸配列;
(5)それぞれ、配列番号90、94、及び51のアミノ酸配列;
(6)それぞれ、配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列;
(7)それぞれ、配列番号91、98、及び53のアミノ酸配列;
(8)それぞれ、配列番号92、99、及び54のアミノ酸配列;
(9)それぞれ、配列番号93、100、及び55のアミノ酸配列;
(10)それぞれ、配列番号129、138、及び145のアミノ酸配列;
(11)それぞれ、配列番号130、139、及び146のアミノ酸配列;
(12)それぞれ、配列番号131、140、及び147のアミノ酸配列;
(13)それぞれ、配列番号132、141、及び148のアミノ酸配列;
(14)それぞれ、配列番号133、139、及び149のアミノ酸配列;
(15)それぞれ、配列番号134、142、及び150のアミノ酸配列;
(16)それぞれ、配列番号135、143、及び151のアミノ酸配列;
(17)それぞれ、配列番号136、144、及び152のアミノ酸配列;
(18)それぞれ、配列番号137、100、及び153のアミノ酸配列;
(19)それぞれ、配列番号86、94、及び198のアミノ酸配列;
(20)それぞれ、配列番号86、94、及び199のアミノ酸配列;
(21)それぞれ、配列番号86、94、及び200のアミノ酸配列;
(22)それぞれ、配列番号86、94、及び201のアミノ酸配列;
(23)それぞれ、配列番号86、94、及び202のアミノ酸配列;
(24)それぞれ、配列番号86、94、及び203のアミノ酸配列;
(25)それぞれ、配列番号86、94、及び204のアミノ酸配列;
(26)それぞれ、配列番号86、94、及び205のアミノ酸配列;もしくは
(27)それぞれ、配列番号86、94、及び206のアミノ酸配列;
又は該VL CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を有し;かつ/或いは
(b)前記VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、
(1)それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列;
(2)それぞれ、配列番号102、110、及び120のアミノ酸配列;
(3)それぞれ、配列番号103、111、及び121のアミノ酸配列;
(4)それぞれ、配列番号104、112、及び122のアミノ酸配列;
(5)それぞれ、配列番号105、113、及び123のアミノ酸配列;
(6)それぞれ、配列番号106、114、及び124のアミノ酸配列;
(7)それぞれ、配列番号106、115、及び125のアミノ酸配列;
(8)それぞれ、配列番号107、116、及び126のアミノ酸配列;
(9)それぞれ、配列番号108、117、及び127のアミノ酸配列;
(10)それぞれ、配列番号106、118、及び128のアミノ酸配列;
(11)それぞれ、配列番号106、162、及び171のアミノ酸配列;
(12)それぞれ、配列番号154、163、及び172のアミノ酸配列;
(13)それぞれ、配列番号155、164、及び173のアミノ酸配列;
(14)それぞれ、配列番号156、165、及び174のアミノ酸配列;
(15)それぞれ、配列番号157、166、及び175のアミノ酸配列;
(16)それぞれ、配列番号158、167、及び176のアミノ酸配列;
(17)それぞれ、配列番号159、168、及び177のアミノ酸配列;
(18)それぞれ、配列番号160、169、及び178のアミノ酸配列;もしくは
(19)それぞれ、配列番号161、170、及び179のアミノ酸配列;
又は該VH CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を有する、
請求項1記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項3】
(1)前記VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び47のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは前記VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(2)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号87、95、及び48のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号102、110、及び120のアミノ酸配列を有するか;
(3)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号88、96、及び49のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号103、111、及び121のアミノ酸配列を有するか;
(4)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号89、97、及び50のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号104、112、及び122のアミノ酸配列を有するか;
(5)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号90、94、及び51のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号105、113、及び123のアミノ酸配列を有するか;
(6)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号106、114、及び124のアミノ酸配列を有するか;
(7)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号91、98、及び53のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号106、115、及び125のアミノ酸配列を有するか;
(8)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号92、99、及び54のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号107、116、及び126のアミノ酸配列を有するか;
(9)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号93、100、及び55のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号108、117、及び127のアミノ酸配列を有するか;
(10)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号106、118、及び128のアミノ酸配列を有するか;
(11)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号129、138、及び145のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号106、162、及び171のアミノ酸配列を有するか;
(12)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号130、139、及び146のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号154、163、及び172のアミノ酸配列を有するか;
(13)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号131、140、及び147のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号155、164、及び173のアミノ酸配列を有するか;
(14)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号132、141、及び148のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号156、165、及び174のアミノ酸配列を有するか;
(15)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号133、139、及び149のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号157、166、及び175のアミノ酸配列を有するか;
(16)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号134、142、及び150のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号158、167、及び176のアミノ酸配列を有するか;
(17)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号135、143、及び151のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号159、168、及び177のアミノ酸配列を有するか;
(18)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号136、144、及び152のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号160、169、及び178のアミノ酸配列を有するか;
(19)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号137、100、及び153のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号161、170、及び179のアミノ酸配列を有するか;
(20)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び198のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(21)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び199のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(22)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び200のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(23)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び201のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(24)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び202のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(25)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び203のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(26)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び204のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;
(27)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び205のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;又は
(28)該VL CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号86、94、及び206のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくは該VH CDR1、CDR2、及びCDR3が、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有する、
請求項1記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項4】
それぞれ、配列番号86、94、101、109、及び119のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号47及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失、並びに該VH CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するこれらの変異体を含む、請求項1記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項5】
VH CDR1のF残基(配列番号101のアミノ酸3)、VH CDR2のH及びS残基(配列番号109のアミノ酸4及び5)、VH CDR3のY、R、S、及びW残基(配列番号119のアミノ酸2、3、4、及び6)、並びにVL CDR2のS残基(配列番号94のアミノ酸7)が突然変異していない、請求項4記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項6】
それぞれ、配列番号86、94、47、101、109、及び119のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む、請求項4記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項7】
ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、
(a)配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは100%の配列同一性を有するVL;並びに/又は
(b)配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVH
:を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
VL及びVHを含み、ここで、該VL及びVHが、各々、(1)それぞれ、配列番号1及び11;(2)それぞれ、配列番号2及び12;(3)それぞれ、配列番号3及び13;(4)それぞれ、配列番号4及び14;(5)それぞれ、配列番号5及び15;(6)それぞれ、配列番号6及び16;(7)それぞれ、配列番号7及び17;(8)それぞれ、配列番号8及び18;(9)それぞれ、配列番号9及び19;(10)それぞれ、配列番号10及び20;(11)それぞれ、配列番号180及び189;(12)それぞれ、配列番号181及び190;(13)それぞれ、配列番号182及び191;(14)それぞれ、配列番号183及び192;(15)それぞれ、配列番号184及び193;(16)それぞれ、配列番号185及び194;(17)それぞれ、配列番号186及び195;(18)それぞれ、配列番号187及び196;又は(19)それぞれ、配列番号188及び197のアミノ酸配列と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する、請求項7記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項9】
VL及びVHを含み、ここで、該VL及びVHが、各々、それぞれ、配列番号1及び11のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する、請求項7記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項10】
ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、
(a)配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVL;並びに/又は
(b)配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVH
:を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、
(a)配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL;並びに/又は
(b)配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
(1)配列番号1のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号11のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(2)配列番号2のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号12のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(3)配列番号3のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号13のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(4)配列番号4のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号14のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(5)配列番号5のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号15のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(6)配列番号6のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号16のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(7)配列番号7のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号17のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(8)配列番号8のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号18のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(9)配列番号9のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号19のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(10)配列番号10のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号20のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(11)配列番号180のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号189のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(12)配列番号181のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号190のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(13)配列番号182のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号191のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(14)配列番号183のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号192のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(15)配列番号184のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号193のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(16)配列番号185のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号194のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(17)配列番号186のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号195のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;
(18)配列番号187のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号196のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;又は
(19)配列番号188のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号197のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH
を含む、請求項11記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、VL及びVHを含み、ここで、該VLが、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、かつ該VHが、配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
ヒトTIM-3との結合について、請求項1~13のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片と競合する抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、該抗体又は抗原結合断片がヒトTIM-3のアミノ酸71~82のうちの少なくとも1つを含むエピトープに特異的に結合する、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
ヒトTIM-3の以下のアミノ酸残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも1つに特異的に結合する、請求項15記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項17】
ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つに特異的に結合する、請求項15記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項18】
ヒトTIM-3の少なくともD71、N76、又はY82に特異的に結合する、請求項15記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項19】
ヒトTIM-3のアミノ酸71~82の外側のエピトープに特異的には結合しない、請求項1~18のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項20】
5×10-8M以下であるKDでヒトTIM-3に結合する、請求項1~19のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項21】
10-11M~5×10-9Mの範囲に及ぶKDでヒトTIM-3に結合する、請求項20記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項22】
TIM-3とTIM-3リガンドの間の相互作用を遮断する、請求項1~21のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項23】
前記TIM-3リガンドが、ホスファチジルセリン、CEACAM1、HMGB1、又はこれらの任意の組合せである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
(1)TIM-3によって媒介されるT細胞抑制を阻害するか、(2)TIM-3によって媒介される骨髄細胞抑制を阻害するか、(3)TIM-3によって媒介されるインフラマソーム活性化の抑制を阻害するか、又はこれらの任意の組合せである、請求項1~23のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項25】
モノクローナル抗体又は抗原結合断片である、請求項1~24のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項26】
IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、及びIgG4抗体からなる群から選択される、請求項1~25のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項27】
IgG1抗体である、請求項26記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項28】
Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv、(scFv)2、単一ドメイン抗体(sdAb)、及び重鎖抗体(HCAb)からなる群から選択される、請求項1~25のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項29】
キメラ抗体もしくは抗原結合断片、ヒト化抗体もしくは抗原結合断片、又はヒト抗体もしくは抗原結合断片である、請求項1~28のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項30】
ヒト化抗体又は抗原結合断片である、請求項29記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項31】
二重特異性抗体又は多重特異性抗体である、請求項1~30のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項32】
PD-1、PD-L1、CEACAM1、又はCEACAM5にさらに特異的に結合する二重特異性抗体である、請求項31記載の抗体又は抗原結合断片。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項34】
請求項33記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項35】
請求項33記載のポリヌクレオチド又は請求項34記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項36】
治療有効量の請求項1~32のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片及び医薬として許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項37】
免疫細胞の活性化及び/又は増殖を誘導又は刺激する方法であって、免疫細胞を有効量の請求項1~32のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項38】
TIM-3によって媒介される免疫細胞の抑制を低下させる方法であって、該免疫細胞を有効量の請求項1~32のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、前記方法。
【請求項39】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、又は骨髄細胞である、請求項37又は38記載の方法。
【請求項40】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記免疫細胞が骨髄細胞であり、ここで、該骨髄細胞がマクロファージ又は樹状細胞である、請求項39記載の方法。
【請求項43】
それを必要としている対象の抗腫瘍免疫を刺激する方法であって、該対象に、有効量の請求項1~32のいずれか一項記載の抗体もしくは抗原結合断片又は請求項36記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項44】
それを必要としている対象の腫瘍細胞増殖を阻害する方法であって、該対象に、治療有効量の請求項1~32のいずれか一項記載の抗体もしくは抗原結合断片又は請求項36記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
それを必要としている対象の癌を治療する方法であって、該対象に、治療有効量の請求項1~32のいずれか一項記載の抗体もしくは抗原結合断片又は請求項36記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項46】
前記対象に追加の療法を投与することをさらに含む、請求項44又は45記載の方法。
【請求項47】
前記追加の療法が、PD-L1、PD-1、CEACAM1、CTLA4、CEACAM5、潜在性TGF-β、TGF-β受容体、CD70、B7H4、又はB7H3に特異的に結合する抗体を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記追加の療法が放射線照射又は化学療法を含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記対象がヒトである、請求項43~48のいずれか一項記載の方法。
【請求項50】
癌治療における請求項1~32のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片の使用。
【請求項51】
癌の治療用の薬剤の調製のための請求項1~32のいずれか一項記載の抗体又は抗原結合断片の使用。
【請求項52】
前記癌が血液癌である、請求項45~51のいずれか一項記載の方法又は使用。
【請求項53】
前記血液癌が急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記癌が固形腫瘍である、請求項45~51のいずれか一項記載の方法又は使用。
【請求項55】
前記癌が、黒色腫、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、膵癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮/子宮頸癌、精巣癌、甲状腺癌、食道癌、軟部組織肉腫、肝臓癌、胆嚢癌、子宮頸癌、十二指腸癌、骨癌、神経内分泌癌、腸癌、皮膚癌、又は胚細胞癌である、請求項54記載の方法又は使用。
【請求項56】
前記癌が、腎細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃/胃腺癌(STAD)、膵腺癌(PAAD)、結腸腺癌(COAD)、又は直腸腺癌(READ)からなる群から選択される、請求項54記載の方法又は使用。
【請求項57】
前記癌が高度のマイクロサテライト不安定性を有する、請求項45~56のいずれか一項記載の方法又は使用。
【請求項58】
前記癌が、転移性癌、不応性癌、又は再発性癌である、請求項45~57のいずれか一項記載の方法又は使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その各々が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、2021年4月23日に出願されたPCT特許出願PCT/CN2021/089261号及び2021年9月24日に出願されたPCT特許出願PCT/CN2021/120140号に対する優先権を主張する。
【0002】
(1.分野)
本発明は、分子生物学及び免疫腫瘍学に関する。本明細書に提供されるのは、抗TIM-3抗体及び腫瘍又は癌の治療におけるその使用を含む。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
免疫チェックポイントインヒビターは、治療法開発のための前途有望な部類の分子(例えば、PD-1、TIM-3、及びCTLA-4を標的とするもの)になっている。Yervoy(登録商標)、Keytruda(登録商標)、及びOpdivo(登録商標)などのチェックポイントインヒビターの成功にもかかわらず、患者のごく一部しか、これらの療法に対する永続的な臨床応答を経験しない。一部の腫瘍型は、臨床試験における抗CTLA-4又は抗PD-1/PD-L1単剤療法に対してほどんど応答を示していない。TIM-3発現は癌と関連付けられているが、TIM-3を標的とする治療選択肢の開発において限られた成功しか収めていない。したがって、癌患者のためのさらなる治療選択肢に対する、とりわけ、TIM-3標的剤に対する満たされていないニーズが存在する。本明細書に提供される組成物及び方法は、これらのニーズを満たし、他の関連のある利点を提供する。
【発明の概要】
【0004】
(3.概要)
本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、(a)(1)配列番号86~93及び129~137からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(VL CDR1);(2)配列番号94~100及び138~144からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(VL CDR2);並びに(3)配列番号47~55、145~153、及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(VL CDR3);又は該VL CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む軽鎖可変領域(VL);並びに/或いは(b)(1)配列番号101~108及び154~161からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1(VH CDR1);(2)配列番号109~118及び162~170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2(VH CDR2);並びに(3)配列番号119~128及び171~179からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3(VH CDR3);又は該VH CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む重鎖可変領域(VH):を含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0005】
本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片のいくつかの実施態様において、(a)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、(1)それぞれ、配列番号86、94、及び47のアミノ酸配列;(2)それぞれ、配列番号87、95、及び48のアミノ酸配列;(3)それぞれ、配列番号88、96、及び49のアミノ酸配列;(4)それぞれ、配列番号89、97、及び50のアミノ酸配列;(5)それぞれ、配列番号90、94、及び51のアミノ酸配列;(6)それぞれ、配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列;(7)それぞれ、配列番号91、98、及び53のアミノ酸配列;(8)それぞれ、配列番号92、99、及び54のアミノ酸配列;(9)それぞれ、配列番号93、100、及び55のアミノ酸配列;(10)それぞれ、配列番号129、138、及び145のアミノ酸配列;(11)それぞれ、配列番号130、139、及び146のアミノ酸配列;(12)それぞれ、配列番号131、140、及び147のアミノ酸配列;(13)それぞれ、配列番号132、141、及び148のアミノ酸配列;(14)それぞれ、配列番号133、139、及び149のアミノ酸配列;(15)それぞれ、配列番号134、142、及び150のアミノ酸配列;(16)それぞれ、配列番号135、143、及び151のアミノ酸配列;(17)それぞれ、配列番号136、144、及び152のアミノ酸配列;(18)それぞれ、配列番号137、100、及び153のアミノ酸配列;(19)それぞれ、配列番号86、94、及び198のアミノ酸配列;(20)それぞれ、配列番号86、94、及び199のアミノ酸配列;(21)それぞれ、配列番号86、94、及び200のアミノ酸配列;(22)それぞれ、配列番号86、94、及び201のアミノ酸配列;(23)それぞれ、配列番号86、94、及び202のアミノ酸配列;(24)それぞれ、配列番号86、94、及び203のアミノ酸配列;(25)それぞれ、配列番号86、94、及び204のアミノ酸配列;(26)それぞれ、配列番号86、94、及び205のアミノ酸配列;もしくは(27)それぞれ、配列番号86、94、及び206のアミノ酸配列;又は該VL CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するその変異体を有し;かつ/或いは(b)VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、(1)それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列;(2)それぞれ、配列番号102、110、及び120のアミノ酸配列;(3)それぞれ、配列番号103、111、及び121のアミノ酸配列;(4)それぞれ、配列番号104、112、及び122のアミノ酸配列;(5)それぞれ、配列番号105、113、及び123のアミノ酸配列;(6)それぞれ、配列番号106、114、及び124のアミノ酸配列;(7)それぞれ、配列番号106、115、及び125のアミノ酸配列;(8)それぞれ、配列番号107、116、及び126のアミノ酸配列;(9)それぞれ、配列番号108、117、及び127のアミノ酸配列;(10)それぞれ、配列番号106、118、及び128のアミノ酸配列;(11)それぞれ、配列番号106、162、及び171のアミノ酸配列;(12)それぞれ、配列番号154、163、及び172のアミノ酸配列;(13)それぞれ、配列番号155、164、及び173のアミノ酸配列;(14)それぞれ、配列番号156、165、及び174のアミノ酸配列;(15)それぞれ、配列番号157、166、及び175のアミノ酸配列;(16)それぞれ、配列番号158、167、及び176のアミノ酸配列;(17)それぞれ、配列番号159、168、及び177のアミノ酸配列;(18)それぞれ、配列番号160、169、及び178のアミノ酸配列;もしくは(19)それぞれ、配列番号161、170、及び179のアミノ酸配列;又は該VH CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を有する。
【0006】
本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片のいくつかの実施態様において、(1)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び47のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(2)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号87、95、及び48のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号102、110、及び120のアミノ酸配列を有するか;(3)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号88、96、及び49のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号103、111、及び121のアミノ酸配列を有するか;(4)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号89、97、及び50のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号104、112、及び122のアミノ酸配列を有するか;(5)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号90、94、及び51のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号105、113、及び123のアミノ酸配列を有するか;(6)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号106、114、及び124のアミノ酸配列を有するか;(7)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号91、98、及び53のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号106、115、及び125のアミノ酸配列を有するか;(8)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号92、99、及び54のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号107、116、及び126のアミノ酸配列を有するか;(9)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号93、100、及び55のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号108、117、及び127のアミノ酸配列を有するか;(10)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号106、118、及び128のアミノ酸配列を有するか;(11)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号129、138、及び145のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号106、162、及び171のアミノ酸配列を有するか;(12)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号130、139、及び146のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号154、163、及び172のアミノ酸配列を有するか;(13)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号131、140、及び147のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号155、164、及び173のアミノ酸配列を有するか;(14)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号132、141、及び148のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号156、165、及び174のアミノ酸配列を有するか;(15)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号133、139、及び149のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号157、166、及び175のアミノ酸配列を有するか;(16)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号134、142、及び150のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号158、167、及び176のアミノ酸配列を有するか;(17)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号135、143、及び151のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号159、168、及び177のアミノ酸配列を有するか;(18)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号136、144、及び152のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号160、169、及び178のアミノ酸配列を有するか;(19)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号137、100、及び153のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号161、170、及び179のアミノ酸配列を有するか;(20)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び198のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(21)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び199のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(22)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び200のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(23)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び201のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(24)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び202のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(25)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び203のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(26)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び204のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;(27)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び205のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有するか;又は(28)VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号86、94、及び206のアミノ酸配列を有し;かつ/もしくはVH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有する。
【0007】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、それぞれ、配列番号86、94、101、109、及び119のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号47及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失並びに該VH CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む。いくつかの実施態様において、VH CDR1のF残基(配列番号101のアミノ酸3)、VH CDR2のH及びS残基(配列番号109のアミノ酸4及び5)、VH CDR3のY、R、S、及びW残基(配列番号119のアミノ酸2、3、4、及び6)、並びにVL CDR2のS残基(配列番号94のアミノ酸7)は、突然変異していない。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、それぞれ、配列番号86、94、47、101、109、及び119のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含む。
【0008】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、(a)配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは100%の配列同一性を有するVL;並びに/又は(b)配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVH:を含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0009】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、VL及びVHを含み、ここで、該VL及びVHは、各々、(1)それぞれ、配列番号1及び11;(2)それぞれ、配列番号2及び12;(3)それぞれ、配列番号3及び13;(4)それぞれ、配列番号4及び14;(5)それぞれ、配列番号5及び15;(6)それぞれ、配列番号6及び16;(7)それぞれ、配列番号7及び17;(8)それぞれ、配列番号8及び18;(9)それぞれ、配列番号9及び19;(10)それぞれ、配列番号10及び20;(11)それぞれ、配列番号180及び189;(12)それぞれ、配列番号181及び190;(13)それぞれ、配列番号182及び191;(14)それぞれ、配列番号183及び192;(15)それぞれ、配列番号184及び193;(16)それぞれ、配列番号185及び194;(17)それぞれ、配列番号186及び195;(18)それぞれ、配列番号187及び196;又は(19)それぞれ、配列番号188及び197のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、各々、それぞれ、配列番号1及び11のアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有する。
【0010】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、(a)配列番号21及び207~215と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは100%の配列同一性を有するVL;並びに/又は(b)配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは100%の配列同一性を有するVHを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0011】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であって、(a)配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL;並びに/又は(b)配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVHを含む、抗体又はその抗原結合断片である。
【0012】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、(1)配列番号1のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号11のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(2)配列番号2のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号12のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(3)配列番号3のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号13のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(4)配列番号4のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号14のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH; (5)配列番号5のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号15のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(6)配列番号6のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号16のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(7)配列番号7のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号17のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(8)配列番号8のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号18のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(9)配列番号9のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号19のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(10)配列番号10のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号20のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(11)配列番号180のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号189のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(12)配列番号181のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号190のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(13)配列番号182のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号191のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(14)配列番号183のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号192のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(15)配列番号184のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号193のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(16)配列番号185のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号194のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(17)配列番号186のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号195のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;(18)配列番号187のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号196のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVH;又は(19)配列番号188のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVL、並びに/もしくは配列番号197のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含むVHを含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、配列番号1、21、及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、かつVHは、配列番号11及び22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。
【0014】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3との結合について、本明細書に開示される任意の抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と競合する抗体又はその抗原結合断片である。
【0015】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、該抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のアミノ酸71~82のうちの少なくとも1つを含むエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下のアミノ酸残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも1つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の少なくともD71、N76、又はY82に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のアミノ酸71~82の外側のエピトープには特異的に結合しない。
【0016】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、5×10-8M以下であるKDでヒトTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、10-11M~5×10-9Mの範囲に及ぶKDでヒトTIM-3に結合する。
【0017】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3とTIM-3リガンドの間の相互作用を遮断する。いくつかの実施態様において、TIM-3リガンドは、ホスファチジルセリン、CEACAM1、HMGB1、又はこれらの任意の組合せである。
【0018】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、(1)TIM-3によって媒介されるT細胞抑制を阻害するか、(2)TIM-3によって媒介される骨髄細胞抑制を阻害するか、(3)TIM-3によって媒介されるインフラマソーム活性化の抑制を阻害するか、又はこれらの任意の組合せである。
【0019】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、モノクローナル抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、及びIgG4抗体からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、IgG1抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、scFv、(scFv)2、単一ドメイン抗体(sdAb)、及び重鎖抗体(HCAb)からなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、キメラ抗体又は抗原結合断片、ヒト化抗体又は抗原結合断片、又はヒト抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒト化抗体又は抗原結合断片である。
【0021】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、二重特異性抗体又は多重特異性抗体である。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、PD-1、PD-L1、CEACAM1、又はCEACAM5にさらに特異的に結合する二重特異性抗体である。
【0022】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるポリヌクレオチドを含むベクターである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるポリヌクレオチド、又は本明細書に提供されるベクターを含む宿主細胞である。
【0023】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、治療有効量の本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。
【0024】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫細胞の活性化及び/又は増殖を誘導又は刺激する方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3によって媒介される免疫細胞の抑制を低下させる方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。いくつかの実施態様において、免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、又は骨髄細胞である。いくつかの実施態様において、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施態様において、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施態様において、免疫細胞は骨髄細胞であり、ここで、該骨髄細胞は、マクロファージ又は樹状細胞である。
【0025】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象の抗腫瘍免疫を刺激する方法であって、該対象に、治療有効量の本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象の腫瘍細胞増殖を阻害する方法であって、該対象に、治療有効量の本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。
【0026】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象の癌を治療する方法であって、該対象に、治療有効量の本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片又は本明細書に提供される医薬組成物を投与することを含む、方法である。
【0027】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法は、対象に追加の療法を投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、追加の療法は、PD-L1、PD-1、CEACAM1、CTLA4、CEACAM5、潜在性TGF-β、TGF-β受容体、CD70、B7H4、又はB7H3に特異的に結合する抗体を含む。いくつかの実施態様において、追加の療法は、放射線照射又は化学療法を含む。
【0028】
本明細書に提供される方法のいくつかの実施態様において、対象はヒトである。
【0029】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌治療における本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の使用である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌の治療用の薬剤の調製のための抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の使用である。
【0030】
いくつかの実施態様において、癌は、血液癌である。いくつかの実施態様において、血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)又は骨髄異形成症候群(MDS)である。いくつかの実施態様において、癌は、固形腫瘍である。いくつかの実施態様において、癌は、黒色腫、肺癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、膵癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、子宮/子宮頸癌、精巣癌、甲状腺癌、食道癌、軟部組織肉腫、肝臓癌、胆嚢癌、子宮頸癌、十二指腸癌、骨癌、神経内分泌癌、腸癌、皮膚癌、又は胚細胞癌である。いくつかの実施態様において、癌は、腎細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃/胃腺癌(STAD)、膵腺癌(PAAD)、結腸腺癌(COAD)、又は直腸腺癌(READ)からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、癌は、高度のマイクロサテライト不安定性を有する。いくつかの実施態様において、癌は、転移性癌、不応性癌、又は再発性癌である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
(4.図面の簡単な説明)
図1図1Aは、様々な抗TIM-3抗体とカニクイザルTIM-3との交差反応を示すフローサイトメトリーデータを提供している。図1Bは、試験された抗TIM-3抗体のうちのいずれもマウスTIM-3と交差反応しなかったことを示すフローサイトメトリーデータを提供している。
【0032】
図2図2は、いくつかのヒト化抗TIM-3抗体がカニクイザルTIM-3と交差反応しなかったことを示すフローサイトメトリーデータを提供している。
【0033】
図3図3は、ある抗TIM-3抗体がアポトーシス細胞上のホスファチジルセリンに対するTIM-3結合を遮断したことを示すフローサイトメトリーデータを提供している。
【0034】
図4図4は、ある抗TIM-3抗体がTIM-3の内在化を誘導したことを示すフローサイトメトリーデータを提供している。
【0035】
図5図5Aは、抗TIM-3抗体が293T/OS8標的細胞とエフェクター細胞の共培養物におけるIFN-γ分泌を用量依存的に増加させたことを示すELISAデータを提供している。図5Bは、親和性成熟した3E6抗体についての同じアッセイの結果を提供している。
【0036】
図6図6は、ある抗TIM-3抗体がNK細胞におけるCD107a発現を用量依存的に増加させたことを示すフローサイトメトリーデータを提供している。
【0037】
図7図7A~7Bは、様々なアイソタイプ(IgG1、IgG1 LALA、IgG2、及びIgG4)のヒト化抗TIM-3抗体3E6と様々なFc受容体との間の結合を測定する生体分子相互作用システムGator(Probe Life)のデータを提供している。図7A(ヒトFc受容体): CD32a H167、CD32a R167、CD32b、Cd16a 176F、Cd16a 176V、及びFCRN; 図7B(マウスFc受容体): CD16、CD32B、FCRN、又はFCGR4。IgG1 LALA: L234A及びL235A突然変異を有するIgG1。
【0038】
図8図8は、様々なアイソタイプ(IgG1 LALA、IgG2、及びIgG4)のヒト化抗TIM-3抗体3E6が腫瘍成長を効果的に阻害したことを示すBxPC-3/hCD34+ヒト化マウスモデルの結果を提供している。
【0039】
図9図9は、BxPC-3/hCD34+ヒト化マウスモデルにおけるエンドポイント血清試料中で検出されたサイトカイン(LEGENDplex(商標) Human Essential Immune Response Panel)のレベルを提供しており、ヒト化抗TIM-3抗体(h3E6 IgG1 LALA)がマウスモデルでいくつかのサイトカインの血清レベルを増強したことを示している。
【0040】
図10図10は、様々なアイソタイプ(IgG1、IgG1 LALA、IgG2、及びIgG4)のヒト化抗TIM-3抗体が腫瘍成長を効果的に阻害したことを示すMC38/TIM3-ヒト化C57BL/6マウスモデルの結果を提供している。
【0041】
図11図11Aは、ヒトTIM-3に結合したヒト化3E6 Fabの結晶構造を提供している(左: hTIM-3;右:ヒト化3E6 Fab(上: VH;下: VL))。図11Bは、TIM-3抗原の特定の残基とVH CDR及びVL CDRの特定の残基の間の相互作用を示している。
【0042】
図12図12A~12Bは、ヒト化3E6 Fab及び別の抗TIM-3抗体(図12A: 6TXZ;図12B: 7KQL)と同時に結合しているヒトTIM-3によって形成された複合体の結晶構造を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(5.詳細な説明)
本開示をさらに説明する前に、本開示は、本明細書に記載される特定の実施態様に限定されないことが理解されるべきであり、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施態様を説明するためのものであって、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0044】
本開示は、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗原結合断片を含む、新規の抗体を提供する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の新規のエピトープに結合し、TIM-3によって媒介される自然免疫応答と獲得免疫応答の両方の抑制を軽減又は阻害することにより、腫瘍成長を阻害することができる。治療有効量のそのような抗体又は抗原結合断片を含む医薬組成物も本明細書に開示される。また本明細書に開示されるのは、癌(例えば、TIM-3を発現する癌)を治療するためのそのような医薬組成物の使用及び癌治療の方法である。
【0045】
A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)としても知られるT細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン-3(TIM-3)は、免疫チェックポイントタンパク質である。IFN-g産生CD4+ Tヘルパー1(Th1)及びCD8+ T細胞傷害性1(Te1) T細胞上で選択的に発現される分子として最初に同定されたが(Monneyらの文献(2002), Nature, 415(6871):536-41)、TIM-3は、FOXP3+CD4+ T調節性細胞(Treg)などのT細胞の特定のサブセット、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、単球、及び腫瘍関連樹状細胞(TADC)を含む、多くの免疫細胞型の表面にも発現される(Claytonらの文献(2014) J. Immunol., l92(2):782-791; Andersonらの文献(2007) Science 318(5853): 1141- 1143; Baitschらの文献(2012) Plos One 7(2):e30852; Ndhlovuらの文献(2012) Blood 119(16):3734-3743)。
【0046】
A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)、TIM-3、TIMD3、TIMD-3、腎損傷分子-3、KIM-3、及びCD366としても知られるT細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有-3(TIM-3)。TIM-3は、免疫応答の重要な調節因子として機能するI型膜貫通タンパク質である。TIM-3は、当初、活性化されたIFN-γ産生T細胞(例えば、1型ヘルパーCD4+ T細胞及び細胞傷害性CD8+ T細胞)上で同定され、ガレクチン-9に結合した後、T細胞の死又は消耗を誘導することが示された(Monneyらの文献、2002)。つい最近の研究により、TIM-3発現は、多くの自然免疫細胞(例えば、マクロファージ、単球、樹状細胞、肥満細胞、及びナチュラルキラー細胞)の活性を制御するのにも重要であることが示されている(Hanらの文献、2013)。
【0047】
報告されているTIM-3のリガンド(TIM-3L)としては、ホスファチジルセリン(「PtdSer」; Nakayamaらの文献(2009) Blood 113(16):3821-30)、ガレクチン-9(Gal-9)(Zhuらの文献(2005) Nat Immunol 6(12): 1245-52)、高移動度群タンパク質1(HMGB1)(Chibaらの文献(2012) Nat Immunol l3(9):832-42)、癌胎児性抗原細胞接着分子1(CEACAM1)(Huangらの文献(2015) Nature 517(7534):386-90)、セマフォリン-4A、及びILT-4が挙げられる。PtdSerは、重要な細胞膜成分であり、通常は細胞膜の内葉に局在している。しかし、細胞がアポトーシスを起こすと、PtdSerは、外膜に再分布し、露出する。この再分布は、多くの腫瘍細胞株でも観察される。TIM-3とPtdSerとの結合は、貪食及び交差提示に極めて重要であり得る(Nakayama 2009、上記)。
【0048】
TIM-3は、免疫応答の様々な側面を調節する。TIM-3とそのリガンドであるガレクチン-9(Gal-9)との相互作用は、細胞死を誘導する。この相互作用のインビボ遮断は、実験モデルで自己免疫を悪化させ、寛容を消失させ、TIM-3/Gal-9相互作用が免疫応答を負に調節することを示した(Zhuらの文献(2005)、上記、Kanzakiらの文献(2012) Endocrinology 153(2):612-620)。TIM-3の阻害はまた、インビボでの実験的自己免疫性脳脊髄炎における病理学的重症度を増強した(Monneyらの文献(2002) Nature 415:536-541; Dasらの文献(2017) Immunol Rev 276(l):97-l 11)。多発性硬化症(Koguchiらの文献(2006) J Exp Med 203(6): 1413-1418)、クローン病(CD)(Morimotoらの文献(2011) Scand J Gastroenterol 46(6):70l-709)、及び関節リウマチ(RA)(Liuらの文献(2010) Clin Immunol l37(2):288-295; Liらの文献(2014) PLoS ONE 9(2):e85784)を有するヒト患者由来の材料を用いた研究において、T細胞上のTIM-3発現レベルが自己免疫疾患の進行と逆相関するという観察は、T細胞上のTIM-3の免疫抑制的役割を示している。
【0049】
TIM-3は、1つには、それが、多くのヒト癌の腫瘍環境における免疫抑制の構成要素となる2つの重要な免疫細胞集団であるFoxp3+CD4+ Treg及び消耗したCD8+ T細胞を含む腫瘍浸潤リンパ球で上方発現されるので、癌免疫療法の有望な候補と考えられている(McMahanらの文献(2010) J. Clin. Invest. 120(12):4546- 4557; Jinらの文献(2010) Proc Natl Acad Sci USA 107(33): 14733-8; Zhouらの文献(2011) Blood 117(17):4501-4510; Yanらの文献(2013) PLoS ONE 8(3):e58006)。CD8+ T細胞上のTIM-3と腫瘍細胞上のそのリガンドであるガレクチン-9との相互作用は、チロシン256及び263でのTIM-3細胞質テールのリン酸化をもたらし、TIM-3細胞質テールからのHLA-B関連転写物3(Bat3)及び触媒活性のあるリンパ球特異的タンパク質チロシンキナーゼ(Lck)の遊離をもたらすことが報告されている。TIM-3からのBat3及びLckの解離は、不活性なリン酸化Lckの蓄積をもたらし、これは、観察されるT細胞機能不全の主な原因となり得る(Rangachariらの文献(2012) Nat. Med. 18(9): 1394-400)。
【0050】
さらに、腫瘍内TIM-3+FoxP3+ Treg細胞は、大量のTregエフェクター分子(IL-10、パーフォリン、及びグランザイム)を発現することが報告されている。TIM-3+ Tregは、腫瘍環境におけるCD8+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の機能不全表現型の発生を促進することが報告されている(Sakuishiらの文献(2013) Oncoimmunology 2(4):e23849)。TIM-3は、骨髄区画に作用を及ぼすことも報告されている。TIM-3のT細胞発現は、ガレクチン-9依存的な様式でCD1lb+Gr-1+骨髄由来抑制細胞(MDSC)を促進することが示されている(Dardalhonらの文献(2010) J Immunol 185(3): 1383-92)。さらに、TIM-3は、腫瘍関連樹状細胞(TADC)で特異的に上方調節され、壊死細胞死を起こしている細胞によって放出されるDNAの感知を妨害することができる。TIM-3は、高移動度群タンパク質1(HMGB 1)に結合し、それにより、HMGB1が瀕死細胞から放出されたDNAに結合するのを妨げ、終末糖化産物受容体(RAGE)並びに/又はToll様受容体(TLR)2及び4経路を介する自然細胞への送達を媒介する。TIM-3とHMGB 1との結合は、腫瘍組織における自然免疫応答の活性化を抑制する(Chibaらの文献(2012)、上記)。TIM-3は、潜在的に炎症のゲートキーパーの役割も果たし、かつインフラマソーム活性化を調節することにより、抗腫瘍免疫を抑制する(Gaydenらの文献、Nature Genetics 50.12(2018): 1650-1657; Dixonらの文献、Nature 595.7865(2021): 101-106)。まとめると、これらの観察は、TIM-3が、骨髄細胞及び様々なTIM-3/リガンド相互作用が関与するT細胞の外因性機構によって、抗腫瘍T細胞応答をさらに抑制することができることを示している。
【0051】
多くの阻害性受容体(例えば、PD-1及びCTLA-4)と同様に、TIM-3の発現は、癌を含む多くの種類の慢性疾患と関連している。TIM-3+ T細胞は、進行性黒色腫、非小細胞肺癌、濾胞性B細胞非ホジキンリンパ腫を有する患者で検出されている。そして、TIM-3+調節性T細胞の存在は、肺癌進行の有効な指標として記載されている(Andersonの文献(2014)、Cancer Immunol. Res. 2, 393-98)。研究により、TIM-3と阻害性受容体PD-1との間の密接な関係が示されている。例えば、多くの腫瘍特異的T細胞は、PD-1とTIM-3の両方を発現しており、これらのT細胞はPD-1又はTIM-3のみを発現するT細胞と比較して、より機能不全であることが示されている(Fourcadeらの文献、2010, J. Exp. Med. 207, 2175-2186)。
【0052】
「TIM-3」という用語は、細胞によって天然に発現されるTIM-3の任意の変異体又はアイソフォームを含む。本明細書に記載されるいくつかの抗体は、ヒト以外の特定の種由来のTIM-3(例えば、カニクイザルTIM-3)と交差反応することができるが、マウスTIM-3などのいくつかの他の種のものとは交差反応することができない。本明細書に記載されるいくつかの抗体(例えば、ヒト化3E6)は、カニクイザルTIM-3及びマウスTIM-3を含むヒト以外の種由来のTIM-3とは交差反応しない。TIM-3又はその任意の変異体及びアイソフォームは、それらを天然に発現する細胞もしくは組織から単離することができるか、又は当技術分野で周知の技法及び/もしくは本明細書に記載される技法を用いて組換え生産することができる。
【0053】
ヒトTIM-3の2つのアイソフォームが同定されている。アイソフォーム1(NCBI参照配列: NP_116171.3;配列番号:84)は、301アミノ酸からなり、標準配列を表す。ヒトTIM-3の細胞外領域は、配列番号84のアミノ酸残基22~202を含む。ヒトTIM-3の膜貫通ドメインは、配列番号84のアミノ酸残基203~223を含む。ヒトTIM-3の細胞質ドメインは、配列番号84のアミノ酸残基224~301を含む。
【化1】
【0054】
ヒトTIM-3のアイソフォーム2(アクセッション番号AAH20843;配列番号85)は、142アミノ酸からなり、可溶性である。これは、TIM-3の膜貫通ドメイン、細胞質ドメイン、及び細胞外ドメインの一部をコードするアイソフォーム1のアミノ酸残基143~301を欠いている。アミノ酸残基132~142も、上記の標準配列とは異なる。
【化2】
【0055】
(5.1 定義)
本明細書で別途定義されない限り、本開示で使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって別途必要とされない限り、単数形の用語は、複数のものを含み、複数形の用語は、単数形を含むものとする。全体として、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、並びにタンパク質及び核酸化学、並びにハイブリダイゼーションとの関連において使用される命名法、並びにこれらの技法は、当技術分野で周知かつ一般に使用されるものである。
【0056】
「1つの(a)」又は「1つの(an)」実体という用語は、1以上のその実体を指し;例えば、「抗体(an antibody)」は、1以上の抗体(antibodies)を表すものと理解される。
【0057】
本明細書で使用される場合の「及び/又は」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。
したがって、本明細書において「A及び/又はB」などの語句の中で使用される「及び/又は」という用語は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(のみ)、及び「B」(のみ)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句の中で使用される「及び/又は」という用語は、以下の態様の各々を包含することが意図される: A、B、及びC; A、B、又はC; A又はC; A又はB; B又はC; A及びC; A及びB; B及びC; A(のみ); B(のみ);並びにC(のみ)。
【0058】
本明細書で使用される「抗体」という用語及びその文法的等価物は、少なくとも1つの抗原結合部位(ここで、抗原結合部位は、免疫グロブリン分子の可変領域内にある)を介して、標的、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、又は前述のもののいずれかの組合せを認識し、それに特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、抗体が所望の生物学的活性を示す限り、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、単一ドメイン抗体(sdAbs;ラクダ科動物抗体、アルパカ抗体)、単鎖Fv(scFv)抗体、重鎖抗体(HCAb)、軽鎖抗体(LCAb)、多重特異性抗体、二重特異性抗体、単一特異性抗体、一価抗体、及び抗原結合部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子(例えば、二重可変ドメイン免疫グロブリン分子)を包含する。抗体には、マウス抗体、ラクダ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体も含まれるが、これらに限定されない。抗体は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれるその重鎖定常ドメインの独自性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス: IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、又はそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のいずれかであることができる。別途明示的に示されない限り、本明細書で使用される「抗体」という用語は、無傷の抗体の「抗原断片結合」を含む。本明細書で使用される「抗原結合断片」という用語は、無傷の抗体の抗原性決定可変領域である無傷の抗体の部分又は断片を指す。抗原結合断片の例としては、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、直鎖抗体、重鎖抗体分子(例えば、scFv)、重鎖抗体(HCAb)、軽鎖抗体(LCAb)、ジスルフィド連結scFv(dsscFv)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、二重可変ドメイン抗体(DVD)、単一可変ドメイン抗体(sdAb;例えば、ラクダ科動物抗体、アルパカ抗体)、及び重鎖抗体の単一可変ドメイン(VHH)、並びに抗体断片から形成される二重特異性抗体又は多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。「二重特異性」抗体は、2つの異なる標的を認識し、それらに特異的に結合する、2つの異なる抗原結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab'断片の連結を含む種々の方法によって産生することができる。例えば、Songsivilai及びLachmannの文献、Clin. Exp. Immunol. 79:315-321(1990); Kostelnyらの文献、J. Immunol. 148, 1547-1553(1992)を参照されたい。
【0059】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、最小限の非ヒト配列を含有する特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、又はこれらの断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンである。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域残基は、非ヒト種由来の抗体中の対応する残基と置き換えられる。場合によっては、CDRの残基は、所望の特異性、親和性、及び/又は結合能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ラクダ)のCDR由来の残基によって置き換えられる。ヒト化抗体は、抗体の特異性、親和性、及び/又は結合能を改良及び最適化するために、Fvフレームワーク領域中及び/又は置き換えられた非ヒト残基内のいずれかの追加残基の置換によってさらに修飾することができる。本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒトによって産生された抗体又は当技術分野で公知の技法のいずれかを用いて作製されたヒトによって産生された抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を指す。
【0060】
抗体との関連において使用される場合の「重鎖」という用語は、アミノ末端部分が約120~130個又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつカルボキシ末端部分が定常領域を含む、約50~70kDaのポリペプチド鎖を指す。定常領域は、重鎖定常領域のアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と呼ばれる5つの異なるタイプ(例えば、アイソタイプ)のうちの1つであることができる。異なる重鎖は、サイズが異なり:α、δ、及びγは、約450個のアミノ酸を含有し、一方、μ及びεは、約550個のアミノ酸を含有する。軽鎖と組み合わさると、これらの異なるタイプの重鎖は、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含め、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMという5つの周知のクラスの抗体を生じる。重鎖は、ヒト重鎖であることができる。
【0061】
抗体との関連において使用される場合の「軽鎖」という用語は、アミノ末端部分が約100~約110個又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、かつカルボキシ末端部分が定常領域を含む、約25kDaのポリペプチド鎖を指す。軽鎖のおおよその長さは、211~217アミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、ラムダ(λ)のカッパ(κ)と呼ばれる2つの異なるタイプがある。軽鎖は、ヒト軽鎖であることができる。
【0062】
「可変ドメイン」又は「可変領域」という用語は、通常は軽鎖又は重鎖のアミノ末端に位置し、重鎖では約120~130アミノ酸及び軽鎖では約100~110アミノ酸の長さを有する抗体の軽鎖又は重鎖の部分を指し、各々の特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に関して使用される。可変ドメインは、異なる抗体間で配列が大きく異なる。配列の可変性はCDRに集中しており、一方、可変ドメイン内のより可変性の小さい部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用に関与している。本明細書で使用されるアミノ酸位置の付番は、Kabatらの文献(1991)、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of proteins of immunological interest)(U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.)、第5版に見られるような、EUインデックスによるものである。可変領域は、ヒト可変領域であることができる。
【0063】
CDRは、免疫グロブリン(Igもしくは抗体) VH β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(H1、H2、もしくはH3)のうちの1つ、又は抗体VL β-シートフレームワークの非フレームワーク領域内の3つの超可変領域(L1、L2、もしくはL3)のうちの1つを指す。したがって、CDRは、フレームワーク領域配列内に散在する可変領域配列である。CDR領域は、当業者に周知であり、種々の方法/体系によって定義されている。これらの体系及び/又は定義は、何十年もかけて開発及び改良されたものであり、これには、Kabat、Chothia、IMGT、AbM、及び接触を含む。例えば、Kabatは、抗体可変(V)ドメイン内の最も超可変性の領域を定義している(Kabatらの文献、J. Biol. Chem. 252:6609-6616(1977); Kabatの文献、Adv. Prot. Chem. 32: 1-75(1978))。Chothia定義は、構造ループ領域の位置に基づくものであり、これは、保存されたβ-シートフレームワークの一部ではなく、そのため、様々な立体構造を取ることができる残基としてCDR領域配列を定義している(Chothia及びLeskの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917(1987))。どちらの用語法も当技術分野で十分に認識されている。さらに、IMGT体系は、可変領域の構造内の配列可変性及び位置に基づくものである。AbM定義は、KabatとChothiaの折衷案である。接触定義は、利用可能な抗体結晶構造の解析に基づくものである。抗体配列の解析及びCDRの決定のためのソフトウェアプログラム(例えば、abYsis)が利用可能であり、かつ当業者に知られている。標準的な抗体可変ドメイン内のCDRの位置は、数多くの構造の比較によって決定されている(Al-Lazikaniらの文献、J. Mol. Biol. 273:927-948(1997); Moreaらの文献、Methods 20:267-279(2000))。超可変領域内の残基の数は異なる抗体で様々に異なるので、標準的な可変ドメイン付番方式では、標準的な位置に対する追加の残基に、従来、残基番号の次にa、b、cなどの番号が付けられている(Al-Lazikaniらの文献、上記(1997))。そのような命名法も同様に当業者に周知である。
【0064】
例えば、Kabat(超可変)表記又はChothia(構造)表記のいずれかに従って定義されたCDRが下の表に記載されている。
【表1】
1残基の付番は、Kabatらの文献の命名法に従う(上記)
2残基の付番は、Chothiaらの文献の命名法に従う(上記)
【0065】
1以上のCDRを共有結合的に又は非共有結合的に分子に組み込んで、それをイムノアドヘシンにすることもできる。イムノアドヘシンは、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として組み込むことができるか、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結することができるか、又はCDRを非共有結合的に組み込むことができる。CDRは、イムノアドヘシンが目的の特定の抗原に結合することを可能にする。CDR領域は、例えば、abysisウェブサイト(http://abysis.org/)で解析することができる。
【0066】
「エピトープ」及び「抗原性決定基」という用語は、本明細書で互換的に使用され、抗体又は抗原断片が結合する標的分子の表面上の部位、例えば、抗原の表面上の局所領域を指す。標的分子は、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、又は脂質を含むことができる。免疫原性活性を有するエピトープは、動物において免疫応答を誘発する標的分子の部分である。抗原性活性を有する標的分子のエピトープは、例えば、免疫アッセイによるものを含む、当技術分野で周知の任意の方法によって決定される、抗体が結合する標的分子の部分である。抗原性エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。エピトープは、多くの場合、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性のある表面基(surface grouping)からなり、特異的な三次元構造特性及び特異的な電荷特性を有する。「エピトープ」という用語は、線状エピトープ及び立体構造エピトープを含む。エピトープに寄与する標的分子(例えば、ポリペプチド)の領域は、ポリペプチドの連続するアミノ酸である場合もあるし、又はエピトープは、標的分子の2以上の非連続領域から一体となる場合もある。エピトープは、標的分子の三次元表面特徴であっても、そうでなくてもよい。連続するアミノ酸から形成されたエピトープ(線状エピトープとも呼ばれる)は、通常、タンパク質変性時に保持されるが、三次フォールディングによって形成されたエピトープ(立体構造エピトープとも呼ばれる)は、通常、タンパク質変性時に失われる。エピトープは、通常、少なくとも3個、より一般的には、5、6、7、又は8~10個のアミノ酸を独特の空間的配置で含む。
【0067】
本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、ポリペプチド又は分子が、エピトープ、タンパク質、又は標的分子に対して、関連するタンパク質及び関連しないタンパク質を含む代わりの物質とよりも高頻度に、迅速に、長い持続期間、大きい親和性で、又は上記の何らかの組合せで相互作用することを意味する。標的分子(例えば、抗原)に特異的に結合する結合部分(例えば、抗体)は、例えば、免疫アッセイ、ELISA、バイオレイヤー干渉法(「BLI」)、SPR(例えば、Biacore)、又は当業者に公知の他の技法によって同定することができる。通常、特異的反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、バックグラウンドの10倍を上回ることもある。抗体特異性に関する考察については、例えば、Paul編、1989、基礎免疫学(Fundamental Immunology)、第2版、Raven Press, New York、332~336ページを参照されたい。標的分子に特異的に結合する結合部分は、異なる分子に対するその親和性よりも高い親和性で標的分子に結合することができる。いくつかの実施態様において、標的分子に特異的に結合する結合部分は、異なる分子に対するその親和性よりも少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、又は少なくとも100倍大きい親和性で標的分子に結合することができる。いくつかの実施態様において、特定の標的分子に特異的に結合する結合部分は、本明細書に記載されているか又はその他当技術分野で公知のアッセイを用いて結合を検出することができないほど低い親和性で、異なる分子に結合する。いくつかの実施態様において、「特異的に結合する」とは、例えば、結合部分が、約0.1mM以下のKDで標的分子に結合することを意味する。いくつかの実施態様において、「特異的に結合する」とは、ポリペプチド又は分子が、約10μM以下又は約1μM以下のKDで標的に結合することを意味する。いくつかの実施態様において、「特異的に結合する」とは、ポリペプチド又は分子が、約0.1μM以下、約0.01μM以下、又は約1nM以下のKDで標的と結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のために、特異的結合は、複数の種におけるタンパク質又は標的を認識するポリペプチド又は分子を含むことができる。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列の特定の領域内の相同性のために、特異的結合は、複数のタンパク質又は標的を認識するポリペプチド又は分子を含むことができる。いくつかの実施態様において、第一の標的に特異的に結合する結合部分(例えば、抗体)は、第二の標的に特異的に結合する場合もあるし、結合しない場合もあることが理解される。したがって、「特異的結合」は、排他的結合、すなわち、単一の標的への結合を必ずしも必要としない(とは言え、それを含むことはできる)。したがって、結合部分(例えば、抗体)は、いくつかの実施態様において、複数の標的に特異的に結合することができる。例えば、抗体は、ある場合において、その各々が2以上のタンパク質上の同一のエピトープに特異的に結合することができる2つの同一の抗原結合部位を含む。ある代わりの実施態様において、抗体は、二重特異性であることができ、かつ異なる特異性を有する少なくとも2つの抗原結合部位を含む。
【0068】
本明細書で使用される「結合親和性」という用語は、通常、結合部分と標的分子(例えば、抗原)との間の非共有結合的相互作用の総和の強さを指す。結合部分と標的分子の結合は、可逆的なプロセスであり、結合の親和性は、通常、平衡解離定数(KD)として報告される。KDは、解離速度(koff又はkd)と会合速度(kon又はka)の比である。結合対のKDが低いほど、親和性は高くなる。結合親和性を測定する種々の方法が当技術分野で公知であり、そのいずれかを本開示の目的に使用することができる。具体的な例示的実施態様には、以下のものが含まれる。いくつかの実施態様において、「KD」又は「KD値」は、当技術分野で公知のアッセイによって、例えば、結合アッセイによって測定することができる。KDは、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)(Chenらの文献(1999) J. Mol Biol 293:865-881)で測定することができる。KD又はKD値は、例えば、Gatorシステム(Probe Life)又はOctet-96システム(Sartorius AG)を用いるバイオレイヤー干渉法(BLI)を使用することにより測定することもできる。KD又はKD値は、例えば、BIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore社、Piscataway, NJ)を用いる、Biacoreによる表面プラズモン共鳴アッセイを使用することにより測定することもできる。
【0069】
特定の配列特徴を有するタンパク質又はポリペプチド(「参照ポリペプタンパク質」又は「参照ポリペプチド」)に関して本明細書で使用される「変異体」という用語は、参照タンパク質又は参照ポリペプチドと比較したとき、1個以上(例えば、約1~約25個、約1~約20個、約1~約15個、約1~約10個、又は約1~約5個)のアミノ酸置換、欠失、及び/又は付加を有する異なるタンパク質又はポリペプチドを指す。アミノ酸配列に対する変化は、アミノ酸置換であり得る。アミノ酸配列に対する変化は、保存的アミノ酸置換であり得る。タンパク質又はポリペプチドの機能的断片又は機能的変異体は、参照するタンパク質又はポリペプチドの基本的な構造的特性及び機能的特性を維持する。
【0070】
本明細書で互換的に使用される「ポリペプチド」、「ペプチド」、「タンパク質」という用語、及びこれらの文法的等価物は、線状又は分岐状であることができる、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。これは、非天然もしくは修飾されたアミノ酸を含むこともあるし、非アミノ酸によって中断されることもある。ポリペプチド、ペプチド、又はタンパク質は、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作もしくは修飾で修飾することもできる。
【0071】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」、「核酸」という用語及びこれらの文法的等価物は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、もしくは塩基、及び/又はこれらの類似体、或いはDNA又はRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であることができる。
【0072】
2以上のポリヌクレオチド又はポリペプチドとの関連において本明細書で使用される「同一」、パーセント「同一性」という用語及びこれらの文法的等価物は、保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部と考えずに、最大の一致となるように比較して整列させた場合(必要であれば、ギャップを導入する)、同じであるか、又は指定されたパーセンテージの同じであるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を有する2以上の配列又は部分配列を指す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを用いて、又は目視検査によって測定することができる。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用することができる様々なアルゴリズム及びソフトウェアは、当技術分野で周知である。これらには、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Package、及びこれらの変種が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される2つのポリクレオチド又はポリペプチドは、実質的に同一である、つまり、それらは、配列比較アルゴリズムを用いて、又は目視検査によって測定したとき、最大の一致となるように比較して整列させた場合、70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、及びいくつかの実施態様において、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基同一性を有する。いくつかの実施態様において、同一性は、長さが少なくとも約10残基、少なくとも約20残基、少なくとも約40~60残基、少なくとも約60~80残基、又はその間の任意の整数値であるアミノ酸配列の領域にわたって存在する。いくつかの実施態様において、同一性は、60~80残基よりも長い領域、例えば、約80~100残基にわたって存在し、いくつかの実施態様において、配列は、比較されている配列、例えば、標的タンパク質又は抗体のコード領域の全長にわたって実質的に同一である。いくつかの実施態様において、同一性は、長さが少なくとも約10塩基、少なくとも約20塩基、少なくとも約40~60塩基、少なくとも約60~80塩基、又はその間の任意の整数値であるヌクレオチド配列の領域にわたって存在する。いくつかの実施態様において、同一性は、60~80塩基よりも長い領域、例えば、少なくとも約80~1000塩基以上にわたって存在し、いくつかの実施態様において、配列は、比較されている配列、例えば、目的のタンパク質をコードするヌクレオチド配列の全長にわたって実質的に同一である。
【0073】
本明細書で使用する「ベクター」という用語及びその文法的等価物は、宿主細胞に導入することができ、そこで、複製及び/又は発現させることができる、遺伝物質(例えば、ポリヌクレオチド配列)を運ぶために使用されるビヒクルを指す。使用のために適用可能なベクターとしては、例えば、宿主細胞の染色体への安定な組み込みのために操作可能な選択配列又はマーカーを含むことができる、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、人工染色体などが挙げられる。さらに、ベクターは1以上の選択可能なマーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。含めることができる選択可能なマーカー遺伝子は、例えば、抗生物質又は毒素に対する耐性を提供するか、栄養要求性欠損を相補するか、又は培養培地中にない重要な栄養素を供給する。発現制御配列としては、当技術分野で周知である構成的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを挙げることができる。2以上のポリヌクレオチドを共発現させることになっている場合、両方のポリヌクレオチドを、例えば、単一の発現ベクター又は別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクター発現の場合、コードポリヌクレオチドは、1つの共通の発現制御配列に機能的に連結することができるか、又は1つの誘導性プロモーターと1つの構成的プロモーターなどの、異なる発現制御配列に連結することができる。宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入は、当技術分野で周知の方法を用いて確認することができる。ポリヌクレオチドは、所望の産物(例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片)を産生するのに十分な量で発現されることが当業者によって理解され、さらに、発現レベルは、当技術分野で周知の方法を用いて十分な発現を得るように最適化することができることが理解される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「コードする」という用語及びその文法的等価物は、遺伝子、cDNA、mRNAなどのポリヌクレオチド又は核酸中のヌクレオチドの特定の配列が、定義されたヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNA、mRNA)の配列又は定義されたアミノ酸の配列のいずれかを有する生物学的プロセスにおける他のポリマー及び高分子の合成のための鋳型として機能する固有の性質、及びそこから生じる生物学的性質を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳がタンパク質を産生する場合、タンパク質をコードする。別途規定されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」には、互いの縮重バージョンであり、同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列が含まれる。タンパク質及びRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含むことができる。
【0075】
「単離された」ポリペプチド、ペプチド、タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、又は組成物は、天然には見出されない形態のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、又は組成物である。単離されたポリペプチド、ペプチド、タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、又は組成物には、それらが天然に見出される形態ではなくなる程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの実施態様において、単離されたポリペプチド、ペプチド、タンパク質、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、又は組成物は、実質的に純粋である。
【0076】
疾患もしくは疾病、又は疾患もしくは疾病を有する対象との関連において本明細書で使用される「治療する」という用語及びその文法的等価物は、治療される疾患もしくは障害に関連する症状、該症状の重症度、及び/又は該症状の頻度を抑制、除去、軽減、及び/又は改善する行為を指す。例えば、癌又は腫瘍に関して使用される場合、「治療する」という用語及びその文法的等価物は、癌もしくは腫瘍の重症度を軽減するか、又は癌もしくは腫瘍の進行を遅延もしくは減速させる行為を指し、これには、(a)癌もしくは腫瘍の成長を阻害すること、又は癌もしくは腫瘍の発生を停止させること、(b)癌又は腫瘍の退縮を引き起こすこと、或いは(c)癌又は腫瘍の存在に関連する1以上の症状を遅延させるか、改善するか、もしくは最小化することが含まれる。
【0077】
本明細書で使用される「投与する」という用語及びその文法的等価物は、本明細書に記載される又はそれ以外に当技術分野で公知の方法によって、治療薬又は医薬組成物を対象の体内に送達する、又は送達させる行為を指す。治療薬は、化合物、ポリペプチド、抗体、細胞、又は細胞の集団であることができる。治療薬又は医薬組成物を投与することは、対象の体内に送達されることになる治療薬又は医薬組成物を処方することを含む。例示的な投与形態としては、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、懸濁剤などの経口剤形;静脈内(IV)、筋肉内(IM)、又は腹腔内(IP)などの注射剤形;クリーム剤、ゼリー剤、粉末剤、パッチ剤などの経皮剤形;口腔内剤形;吸入粉末剤、スプレー剤、懸濁剤、及び直腸坐剤が挙げられる。
【0078】
本明細書で使用される「有効量」、「治療有効量」という用語、及びこれらの文法的等価物は、対象に投与されたときに、疾患、障害、又は疾病の任意の症状、態様、又は特徴に対して任意の検出可能なプラスの効果を有することができる量で、単一用量で又は一連の用量の一部として、単独で又は医薬組成物の一部として、対象に薬剤を投与することを指す。治療有効量は、関連する生理的効果を測定することにより確認することができる。正確な必要量は、対象の年齢、体重、及び全身状態、治療される状態の重症度、臨床医の判断などに応じて、対象毎に異なる。個々の症例における適切な「有効量」は、日常的な実験を用いて当業者によって決定されることができる。
【0079】
「医薬として許容し得る担体」又は「医薬として許容し得る賦形剤」という用語は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、医薬組成物の他の成分のいずれかと有害な形で相互作用することもなく、活性剤とともに個体に薬物投与するのに好適である材料を指す。
【0080】
本明細書で使用される「対象」という用語は、特定の治療のレシピエントとなるべき、任意の動物(例えば、哺乳動物)を指し、これには、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、齧歯類などが含まれるが、これらに限定されない。対象は、ヒトであることができる。対象は、特定の疾患又は疾病を有することができる。
【0081】
範囲:本開示を通じて、本発明の様々な態様を範囲形式で提示することができる。範囲形式での記載は、単に便宜上かつ簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値と同様に、全ての可能な部分範囲を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0082】
例示的な遺伝子及びポリペプチドは、GenBank番号、GI番号、及び/又は配列番号を参照して本明細書に記載される。当業者は、限定されないが、GenBank(ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)及びEMBL(embl.org/)を含む配列ソースの参照により、相同配列を容易に同定することができることが理解される。
【0083】
(5.2 抗TIM-3抗体及び抗原結合断片)
本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗TIM-3抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、又はIgM抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgA抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgD抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgE抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgG抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgM抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、IgG4抗体であることができる。いくつかの実施態様において、抗体は、IgG1抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgG2抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgG3抗体である。いくつかの実施態様において、抗体は、IgG4抗体である。
【0084】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗TIM-3抗体の抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗原結合断片は、単一ドメイン抗体(sdAb)、重鎖抗体(HCAb)、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、単鎖可変断片(scFv)、又は(scFv)2であることができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、単一ドメイン抗体(sdAb)である。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、重鎖抗体(HCAb)である。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、Fabである。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、Fab'である。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、F(ab')2である。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、Fvである。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、scFvである。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、ジスルフィド連結scFv[(scFv)2]である。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体の抗原結合断片は、ダイアボディ(dAb)である。
【0085】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、組換え抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、モノクローナル抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ポリクローナル抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ラクダ科動物(例えば、ラクダ、ヒトコブラクダ、及びリャマ)抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、キメラ抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒト化抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒト抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、抗TIM-3ヒトscFvである。
【0086】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、単離されている。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、実質的に純粋である。
【0087】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、多重特異性抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、二重特異性抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)である。BiTEは、T細胞抗原(例えば、CD3)及び腫瘍抗原に結合する二重特異性抗体である。BiTEは、標的腫瘍細胞の指向性溶解を誘導し、したがって、癌及び他の障害の大きな可能性のある療法を提供することが示されている。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CD3及びTIM-3に特異的に結合するBiTEである。いくつかの実施態様において、BiTEは、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、BiTEは、本明細書に提供される抗TIM-3 scFvを含む。
【0088】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、一価抗原結合部位を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、単一特異性結合部位を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、二価結合部位を含む。
【0089】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、モノクローナル抗体又は抗原結合断片である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の任意の方法によって調製することができる。1つの例示的な手法は、タンパク質発現ライブラリー、例えば、ファージ又はリボソームディスプレイライブラリーをスクリーニングすることである。ファージディスプレイは、例えば、Ladnerらの文献、米国特許第5,223,409号; Smithの文献(1985) Science 228:1315-1317;及びWO 92/18619号に記載されている。いくつかの実施態様において、組換えモノクローナル抗体は、所望の種の可変領域又はCDRを発現するファージディスプレイライブラリーから単離される。ファージライブラリーのスクリーニングは、当技術分野で公知の様々な技法によって達成することができる。
【0090】
いくつかの実施態様において、モノクローナル抗体は、当業者に公知のハイブリドーマ法を用いて調製される。例えば、ハイブリドーマ法を用いて、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、又は他の適切な宿主動物が上記のように免疫される。いくつかの実施態様において、リンパ球は、インビトロで免疫される。いくつかの実施態様において、免疫抗原は、ヒトタンパク質又はその断片である。いくつかの実施態様において、免疫抗原は、ヒトタンパク質又はその断片である。
【0091】
免疫の後、リンパ球は単離され、例えば、ポリエチレングリコールを用いて、好適な骨髄腫細胞株と融合される。ハイブリドーマ細胞は、当技術分野で公知の特殊な培地を用いて選択され、融合していないリンパ球及び骨髄腫細胞は、選択プロセスを生き延びない。選択された抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、限定されないが、免疫沈降、免疫ブロッティング、及びインビトロ結合アッセイ(例えば、フローサイトメトリー、FACS、ELISA、BLI、SPR(例えば、Biacore)、及び放射免疫アッセイ)を含む、種々の方法によって同定することができる。所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体産生するハイブリドーマ細胞を同定したら、クローンを限界希釈又は他の技法によってサブクローニングすることができる。ハイブリドーマは、標準的な方法を用いるインビトロ培養で、又は動物内の腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができる。モノクローナル抗体は、限定されないが、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、及び透析を含む、当技術分野における標準的な方法に従って、培養培地又は腹水液から精製することができる。
【0092】
いくつかの実施態様において、モノクローナル抗体は、当業者に公知の組換えDNA技法を用いて作製される。例えば、抗体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを用いるRT-PCRによって、成熟B細胞又はハイブリドーマ細胞から単離され、その配列は、標準的な技法を用いて決定される。その後、重鎖及び軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドは、そうしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば、大腸菌、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又は骨髄腫細胞にトランスフェクトしたときにモノクローナル抗体を産生する好適な発現ベクターにクローニングされる。
【0093】
いくつかの実施態様において、モノクローナル抗体を組換えDNA技術を使用することにより修飾して、代わりの抗体を作製する。いくつかの実施態様において、マウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖の定常ドメインをヒト抗体の定常領域と置換して、キメラ抗体を作製する。いくつかの実施態様において、定常領域を切断又は除去して、モノクローナル抗体の所望の抗体断片を作製する。いくつかの実施態様において、可変領域の部位指向性又は高密度突然変異誘発を用いて、モノクローナル抗体の特異性及び/又は親和性を最適化する。
【0094】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒト化抗体又は抗原結合断片である。ヒト化抗体を作製するための様々な方法は、当技術分野で公知である。ヒト化抗体との高親和性結合を達成するための方法は、当技術分野で公知である。そのような方法の非限定的な例は、可変領域の超突然変異及びそのような高親和性抗体を発現する細胞の選択(親和性成熟)である。ディスプレイライブラリーの使用に加えて、特定の抗原(例えば、組換えTIM-3又はそのエピトープ)を用いて、非ヒト動物、例えば、齧歯類を免疫することができる。ある実施態様において、齧歯類抗原結合断片(例えば、マウス抗原結合断片)は、当技術分野で公知の及び/又は本明細書に開示される方法を用いて作製及び単離することができる。いくつかの実施態様において、マウスを抗原(例えば、組換えTIM-3又はそのエピトープ)で免疫することができる。
【0095】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒト抗体又は抗原結合断片である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技法を用いて調製することができる。いくつかの実施態様において、ヒト抗体は、インビトロで免疫された不死化ヒトBリンパ球から作製される。いくつかの実施態様において、ヒト抗体は、免疫された個体から単離されたリンパ球から作製される。いずれの場合でも、標的抗原に対する抗体を産生する細胞を作製及び単離することができる。いくつかの実施態様において、ヒト抗体は、ファージライブラリーから選択され、この場合、そのファージライブラリーは、ヒト抗体を発現する。或いは、ファージディスプレイ技術を用いて、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変領域遺伝子レパートリーからインビトロでヒト抗体及び抗体断片を産生することができる。抗体ファージライブラリーの作製及び使用のための技法は、当技術分野で周知である。ひとたび抗体を同定すれば、限定されないが、鎖シャッフリング及び部位特異的突然変異誘発を含む当技術分野で公知の親和性成熟戦略を利用して、より高親和性のヒト抗体を作製することができる。いくつかの実施態様において、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座を含有するトランスジェニックマウスで産生される。免疫すると、これらのマウスは、内在性免疫グロブリン産生の非存在下で、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができる。
【0096】
本明細書で定義される特異的なCDR配列は、通常、Kabat定義とChothia定義の組合せに基づく。しかしながら、特異的抗体の重鎖CDR(単数)もしくはCDR(複数)及び/又は軽鎖CDR(単数)もしくはCDR(複数)への言及は、当業者に公知の全てのCDR定義を包含することが理解される。
【0097】
本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、以下のクローン: 3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、及び39D1を含む。配列特徴は、以下に記載されている。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、本明細書に記載される抗体のいずれか1つの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、及び/又は6つのCDRを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、及び/又は6つのCDRを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、表1a~1cの1つ、2つ、及び/又は3つのVL CDRを含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、表2a~2bの1つ、2つ、及び/又は3つのVH CDRを含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、表1の1つ、2つ、及び/もしくは3つのVL CDR並びに表2a~2bの1つ、2つ、及び/もしくは3つのVH CDRを含む。
表1a 抗TIM-3 Abの軽鎖可変領域CDR(VL CDR; Kabat表記)のアミノ酸配列
【表2】
表1b 抗TIM-3 AbのVL CDR(別の表記)のアミノ酸配列
【表3】
表1c 3E6 VL CDR(親和性成熟したもの)のアミノ酸配列
【表4】
表2a 抗TIM-3 Abの重鎖可変領域CDR(VH CDR; Kabat表記)のアミノ酸配列
【表5】
表2b 抗TIM-3 AbのVH CDR(別の表記)のアミノ酸配列
【表6】
【0098】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化抗体又は抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗体又は抗原結合断片由来のVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~30個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~25個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~20個の置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~15個の置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~10個の置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~5個の保存的アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片中に1~3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、保存的アミノ酸置換である。いくつかの実施態様において、保存的アミノ酸置換は、抗体又は抗原結合断片のCDR中にある。いくつかの実施態様において、保存的アミノ酸置換は、抗体又は抗原結合断片のCDR中にない。いくつかの実施態様において、保存的アミノ酸置換は、抗体又は抗原結合断片のフレームワーク領域中にある。
【0099】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)配列番号86~93からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1(VL CDR1);(2)配列番号94~100からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2(VL CDR2);もしくは(3)配列番号47~55及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3(VL CDR3);又は該VL CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、もしくは約15個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、TIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、変異体は、VL CDR中に約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、3つ全てのVL CDRを含む。
【0100】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)配列番号101~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1(VH CDR1);(2)配列番号109~118からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2(VH CDR2);もしくは(3)配列番号119~128からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3(VH CDR3);又は該VH CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、もしくは約15個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む重鎖可変領域(VH)を含む、TIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、変異体は、VH CDR中に約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、3つ全てのVH CDRを含む。
【0101】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(a)(1)配列番号86~93からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号94~100からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号47~55及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVL;並びに(b)(1)配列番号101~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号109~118からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号119~128からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;又は該VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVHを含む、TIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。
【0102】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VLを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、特異的配列を有するVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(1)配列番号86、94、及び47のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(2)配列番号87、95、及び48のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(3)配列番号88、96、及び49のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(4)配列番号89、97、及び50のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(5)配列番号90、94、及び51のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(6)配列番号91、98、及び52のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(7)配列番号91、98、及び53のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(8)配列番号92、99、及び54のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(9)配列番号93、100、及び55のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(10)配列番号129、138、及び145のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(11)配列番号130、139、及び146のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(12)配列番号131、140、及び147のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(13)配列番号132、141、及び148のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(14)配列番号133、139、及び149のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(15)配列番号134、142、及び150のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(16)配列番号135、143、及び151のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(17)配列番号136、144、及び152のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(18)配列番号137、100、及び153のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(19)配列番号86、94、及び198のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(20)配列番号86、94、及び199のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(21)配列番号86、94、及び200のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(22)配列番号86、94、及び201のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(23)配列番号86、94、及び202のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(24)配列番号86、94、及び203のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(25)配列番号86、94、及び204のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(26)配列番号86、94、及び205のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(27)配列番号86、94、及び206のアミノ酸配列を有することができる。VLは、VL CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、又は約15個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する上記のVLの変異体であることができる。いくつかの実施態様において、変異体は、VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。
【0103】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VHは、特異的配列を有するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(1)配列番号101、109、及び119のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(2)配列番号102、110、及び120のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(3)配列番号103、111、及び121のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(4)配列番号104、112、及び122のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(5)配列番号105、113、及び123のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(6)配列番号106、114、及び124のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(7)配列番号106、115、及び125のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(8)配列番号107、116、及び126のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(9)配列番号108、117、及び127のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(10)配列番号106、118、及び128のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(11)配列番号106、162、及び171のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(12)配列番号154、163、及び172のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(13)配列番号155、164、及び173のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(14)配列番号156、165、及び174のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(15)配列番号157、166、及び175のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(16)配列番号158、167、及び176のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(17)配列番号159、168、及び177のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(18)配列番号160、169、及び178のアミノ酸配列を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(19)配列番号161、170、及び179のアミノ酸配列を有することができる。VHは、VH CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、又は約15個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する上記のVHの変異体であることができる。いくつかの実施態様において、変異体は、VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。
【0104】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、リンカーによって接続される。いくつかの実施態様において、リンカーは、(GGGGS)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号216)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、(EAAAK)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号217)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、
【化3】
というアミノ酸配列を有する。
【0105】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、(a)VLは、(1)それぞれ、配列番号86、94、及び47;(2)それぞれ、配列番号87、95、及び48;(3)それぞれ、配列番号88、96、及び49;(4)それぞれ、配列番号89、97、及び50;(5)それぞれ、配列番号90、94、及び51;(6)それぞれ、配列番号91、98、及び52;(7)それぞれ、配列番号91、98、及び53;(8)それぞれ、配列番号92、99、及び54;(9)それぞれ、配列番号93、100、及び55;(10)それぞれ、配列番号129、138、及び145;(11)それぞれ、配列番号130、139、及び146;(12)それぞれ、配列番号131、140、及び147;(13)それぞれ、配列番号132、141、及び148;(14)それぞれ、配列番号133、139、及び149;(15)それぞれ、配列番号134、142、及び150;(16)それぞれ、配列番号135、143、及び151;(17)それぞれ、配列番号136、144、及び152;(18)それぞれ、配列番号137、100、及び153;(19)それぞれ、配列番号86、94、及び198;(20)それぞれ、配列番号86、94、及び199;(21)それぞれ、配列番号86、94、及び200;(22)それぞれ、配列番号86、94、及び201;(23)それぞれ、配列番号86、94、及び202;(24)それぞれ、配列番号86、94、及び203;(25)それぞれ、配列番号86、94、及び204;(26)それぞれ、配列番号86、94、及び205;もしくは(27)それぞれ、配列番号86、94、及び206のアミノ酸配列を有するVL CDR1、CDR2、及びCDR3;又は該VL CDR中に最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するこれらの変異体を含み;かつ/或いは(b)VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、(1)それぞれ、配列番号101、109、及び119;(2)それぞれ、配列番号102、110、及び120;(3)それぞれ、配列番号103、111、及び121;(4)それぞれ、配列番号104、112、及び122;(5)それぞれ、配列番号105、113、及び123;(6)それぞれ、配列番号106、114、及び124;(7)それぞれ、配列番号106、115、及び125;(8)それぞれ、配列番号107、116、及び126;(9)それぞれ、配列番号108、117、及び127;(10)それぞれ、配列番号106、118、及び128;(11)それぞれ、配列番号106、162、及び171;(12)それぞれ、配列番号154、163、及び172;(13)それぞれ、配列番号155、164、及び173;(14)それぞれ、配列番号156、165、及び174;(15)それぞれ、配列番号157、166、及び175;(16)それぞれ、配列番号158、167、及び176;(17)それぞれ、配列番号159、168、及び177;(18)それぞれ、配列番号160、169、及び178;もしくは(19)それぞれ、配列番号161、170、及び179のアミノ酸配列;又は該VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を有する。
【0106】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、VL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、VHは、VH CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、かつここで、VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、特異的配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(1)配列番号86、94、47、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(2)配列番号87、95、48、102、110、及び120を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(3)配列番号88、96、49、103、111、及び121を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(4)配列番号89、97、50、104、112、及び122を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(5)配列番号90、94、51、105、113、及び123を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(6)配列番号91、98、52、106、114、及び124を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(7)配列番号91、98、53、106、115、及び125を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(8)配列番号92、99、54、107、116、及び126を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(9)配列番号93、100、55、108、117、及び127を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(10)配列番号91、98、52、106、118、及び128を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(11)配列番号129、138、145、106、162、及び171を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(12)配列番号130、139、146、154、163、及び172を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(13)配列番号131、140、147、155、164、及び173を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(14)配列番号132、141、148、156、165、及び174を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(15)配列番号133、139、149、157、166、及び175を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(16)配列番号134、142、150、158、167、及び176を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(17)配列番号135、143、151、159、168、及び177を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(18)配列番号136、144、152、160、169、及び178を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(19)配列番号137、100、153、161、170、及び179を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(20)配列番号86、94、198、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(21)配列番号86、94、199、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(22)配列番号86、94、200、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(23)配列番号86、94、201、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(24)配列番号86、94、202、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(25)配列番号86、94、203、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(26)配列番号86、94、204、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(27)配列番号86、94、205、101、109、及び119を有することができる。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(28)配列番号86、94、206、101、109、及び119を有することができる。抗体又は抗原結合断片は、CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する上記の抗体又は抗原結合断片の変異体であることができる。
【0107】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)配列番号31~38からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号39~46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;もしくは(3)配列番号47~55からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、もしくは約15個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVLを含む、TIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、変異体は、VL CDR中に約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、3つ全てのVL CDRを含む。
【0108】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(1)配列番号56~63からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号64~73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;もしくは(3)配列番号74~83からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;又は該VH CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、もしくは約15個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVHを含む、TIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、変異体は、VH CDR中に約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、3つ全てのVH CDRを含む。
【0109】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(a)(1)配列番号31~38からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号39~46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号47~55からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVL;並びに(b)(1)配列番号56~63からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号64~73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号74~83からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;又は該VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVHを含む、TIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。
【0110】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VLを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、特異的配列を有するVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(1)配列番号31、39、及び47のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(2)配列番号32、40、及び48のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(3)配列番号33、41、及び49のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(4)配列番号34、42、及び50のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(5)配列番号35、43、及び51のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(6)配列番号36、44、及び52のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(7)配列番号36、44、及び53のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(8)配列番号37、45、及び54のアミノ酸配列を有することができる。VL CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(9)配列番号38、46、及び55のアミノ酸配列を有することができる。VLは、VL CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、又は約15個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する上記のVLの変異体であることができる。いくつかの実施態様において、変異体は、VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。
【0111】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VHは、それぞれ、(1)配列番号56、64、及び74のアミノ酸配列を有するVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(2)配列番号57、65、及び75を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(3)配列番号58、66、及び76を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(4)配列番号59、67、及び77を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(5)配列番号60、68、及び78を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(6)配列番号61、69、及び79を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(7)配列番号61、70、及び80を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(8)配列番号62、71、及び81を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(9)配列番号63、72、及び82を有することができる。VH CDR1、CDR2、及びCDR3は、それぞれ、(10)配列番号61、73、及び83を有することができる。いくつかの実施態様において、VHは、VH CDR中に最大約3個、約5個、約8個、約10個、約12個、又は約15個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する上記のVHの変異体であることができる。いくつかの実施態様において、変異体は、VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する。
【0112】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、リンカーによって接続される。いくつかの実施態様において、リンカーは、(GGGGS)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号216)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、(EAAAK)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号217)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、
【化4】
というアミノ酸配列を有する。
【0113】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、(a)VLは、(1)それぞれ、配列番号31、39、及び47;(2)それぞれ、配列番号32、40、及び48;(3)それぞれ、配列番号33、41、及び49;(4)それぞれ、配列番号34、42、及び50;(5)それぞれ、配列番号35、43、及び51;(6)それぞれ、配列番号36、44、及び52;(7)それぞれ、配列番号36、44、及び53;(8)それぞれ、配列番号37、45、及び54;もしくは(9)それぞれ、配列番号38、46、及び55のアミノ酸配列を有するVL CDR1、CDR2、及びCDR3;又は該VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含み;かつ(b)VHは、(1)それぞれ、配列番号56、64、及び74;(2)それぞれ、配列番号57、65、及び75;(3)それぞれ、配列番号58、66、及び76;(4)それぞれ、配列番号59、67、及び77;もしくは(5)それぞれ、配列番号60、68、及び78;(6)それぞれ、配列番号61、69、及び79;(7)それぞれ、配列番号61、70、及び80;(8)それぞれ、配列番号62、71、及び81;(9)それぞれ、配列番号63、72、及び82;もしくは(10)それぞれ、配列番号61、73、及び83のアミノ酸配列を有するVH CDR1、CDR2、及びCDR3;又は該VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む。
【0114】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを有するTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、VL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、VHは、VH CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、かつここで、VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(1)配列番号31、39、47、56、64、及び74のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(2)配列番号32、40、48、57、65、及び75のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(3)配列番号33、41、49、58、66、及び76のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(4)配列番号34、42、50、59、67、及び77のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(5)配列番号35、43、51、60、68、及び78のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(6)配列番号36、44、52、61、69、及び79のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(7)配列番号36、44、53、61、70、及び80のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(8)配列番号37、45、54、62、71、及び81のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(9)配列番号38、46、55、63、72、及び82のアミノ酸配列を有する。VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、それぞれ、(10)配列番号36、44、52、61、73、及び83のアミノ酸配列を有する。抗体又は抗原結合断片は、CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する上記の抗体又は抗原結合断片の変異体であることができる。
【0115】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、本明細書に記載される抗体のいずれか1つのVL及び/又はVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1のVL及び/又はVHを含む。
表3 抗TIM-3抗体の軽鎖可変領域(VL)及び重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列
【表7】
【0116】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に記載される抗体のいずれか1つのヒト化バージョンである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1のヒト化バージョンである。例示的な配列は、以下に提供されている。
表4a ヒト化抗TIM-3抗体のVL及びVHのアミノ酸配列
【表8】
表4b 親和性成熟した3E6 VL0sのアミノ酸配列
【表9】
【0117】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するVLを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、VLとVHの両方を含む。
【0118】
抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される任意のVLと本明細書に開示される任意のVHの組合せを含むことができる。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、リンカーによって接続される。いくつかの実施態様において、リンカーは、(GGGGS)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号216)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、(EAAAK)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号217)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、
【化5】
というアミノ酸配列を有する。
【0119】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VHは、配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、VLは、配列番号1~10及び180~188からなる群から選択される特異的配列を有する。VLは、配列番号1のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号2のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号3のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号4のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号5のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号7のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号8のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号9のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号10のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号180のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号181のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号182のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号183のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号184のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号185のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号186のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号187のアミノ酸配列を有することができる。VLは、配列番号188のアミノ酸配列を有することができる。
【0120】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、VHは、配列番号11~20及び189~197からなる群から選択される特異的配列を有する。VHは、配列番号11のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号12のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号13のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号14のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号15のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号16のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号17のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号18のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号19のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号20のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号189のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号190のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号191のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号192のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号193のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号194のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号195のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号196のアミノ酸配列を有することができる。VHは、配列番号197のアミノ酸配列を有することができる。
【0121】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。VLは、配列番号2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号4と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号5と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号6と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号7と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号9と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号180と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号181と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号182と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号183と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号184と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号185と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号186と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号187と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号188と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。
【0122】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VHは、配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。VHは、配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号13と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号14と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号15と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号16と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号17と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号18と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号19と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号20と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号189と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号190と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号191と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号192と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号193と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号194と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号195と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号196と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号197と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。
【0123】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VL及びVHは、それぞれ、配列番号1及び11のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号2及び12のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号3及び13のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号4及び14のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号5及び15のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号6及び16のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号7及び17のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号8及び18のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号9及び19のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号10及び20のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号180及び189のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号181及び190のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号182及び191のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号183及び192のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号184及び193のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号185及び194のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号186及び195のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号187及び196のアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、それぞれ、配列番号188及び197のアミノ酸配列を有する。
【0124】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するVLを含むTIM-3に特異的に結合するヒト化抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体又は抗原結合断片は、VLとVHの両方を含む。
【0125】
抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に開示される任意のVLと本明細書に開示される任意のVHの組合せを含むことができる。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、リンカーによって接続される。いくつかの実施態様において、リンカーは、(GGGGS)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号216)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、(EAAAK)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号217)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、
【化6】
というアミノ酸配列を有する。
【0126】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VLを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、配列番号21と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。VLは、配列番号207と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号208と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号209と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号210と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号211と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号212と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号213と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号214と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VLは、配列番号215と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。
【0127】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VHは、配列番号22と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。VHは、配列番号23と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号24と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号25と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号26と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号27と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号28と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。VHは、配列番号29と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有することができる。
【0128】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び22のアミノ酸配列を有する。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号21及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号207及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号208及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号209及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号210及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号211及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号212及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号213及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号214及び29のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び22のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び23のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び24のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び25のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び26のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び27のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び28のアミノ酸配列を有することができる。VL及びVHは、それぞれ、配列番号215及び29のアミノ酸配列を有することができる。
【0129】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(a)配列番号1~10及び180~188からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL;並びに/又は(b)配列番号11~20及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、(a)配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL;並びに/又は(b)配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。
【0130】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VLを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、配列番号1のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号2のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号3のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号4のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号5のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号6のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号7のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号8のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号9のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号10のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号180のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号181のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号182のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号183のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号184のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号185のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号186のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号187のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号188のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号21のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号207のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号208のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号209のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号210のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号211のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号212のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号213のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号214のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。VLは、配列番号215のアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR 1、2、及び3を含む。
【0131】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VHは、配列番号11のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号12のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号13のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号14のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号15のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号17のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号19のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号20のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号189のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号190のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号191のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号192のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号193のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号194のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号195のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号196のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号197のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号23のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号25のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号26のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号27のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。VHは、配列番号29のアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR 1、2、及び3を含む。
【0132】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、特異的配列のVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、VHは、特異的配列のVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。いくつかの実施態様において、VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号1及び11のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来する。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号2及び12のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号3及び13のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号4及び14のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号5及び15のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号6及び16のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号7及び17のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号8及び18のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号9及び19のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号10及び20のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号180及び189のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号181及び190のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号182及び191のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号183及び192のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号184及び193のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号185及び194のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号186及び195のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号187及び196のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。VL CDR及びVH CDRは、それぞれ、配列番号188及び197のアミノ酸配列を有するVL及びVHに由来することができる。
【0133】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL及びVHを含むTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片であり、ここで、VLは、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL由来のVL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、VHは、配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH由来のVH CDR1、CDR2、及びCDR3を含む。VL CDRは、配列番号21のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号207のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号208のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号209のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号210のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号211のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号212のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号213のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号214のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。VL CDRは、配列番号215のアミノ酸配列を有するVLに由来することができ、VH CDRは、それぞれ、配列番号22~29(例えば、配列番号22)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVHに由来することができる。
【0134】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6由来のVL(配列番号1)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6由来のVH(配列番号11)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6由来のVL(配列番号1)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6由来のVH(配列番号11)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、3E6のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6の変異体である。3E6変異体は、配列番号1中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する3E6のVLの変異体であるVLを有することができる。3E6変異体は、配列番号11中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する3E6のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、3E6の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、3E6の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3E6に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1cに示されているようなVL CDR3領域中に1つ、2つ、又は3つの突然変異を有する3E6の親和性成熟した変異体である。
【0135】
以下に提供されているように、エピトープマッピングにより、3E6が、ヒトTIM-3の細胞外ドメイン内の断片である、ヒトTIM-3のアミノ酸71~82に結合することが明らかになった。ヒトTIM-3のアイソフォーム1(配列番号84)及びアイソフォーム2(配列番号85)は、同一のアミノ酸1~131を共有する。したがって、3E6は、両方のアイソフォーム上の同じエピトープに結合する。本明細書で使用される場合、ヒトTIM-3のアミノ酸1~131、又はアミノ酸71~82を有する1以上のアミノ酸残基に特異的に結合する抗体又は抗原結合断片は、抗体又は抗原結合断片がヒトTIM-3のアイソフォーム1とアイソフォーム2の両方の上にある列挙されたアミノ酸残基に結合することを意味する。
【0136】
具体的には、3E6は、VHのCDR1~3及びVLのCDR2を介して、ヒトTIM-3に結合する。下の図11B及び表9に示されているように: VH CDR1のF残基(配列番号101のアミノ酸3)は、ヒトTIM-3のN76に結合し; VH CDR2のH残基(配列番号109のアミノ酸4)は、ヒトTIM-3のW78に結合し; VH CDR2のS残基(配列番号109のアミノ酸5)は、ヒトTIM-3のW78に結合し; VH CDR3のY残基(配列番号119のアミノ酸2)は、ヒトTIM-3のD71に結合し; VH CDR3のR残基(配列番号119のアミノ酸3)は、ヒトTIM-3のV75、T79、及びY82に結合し; VH CDR3のS残基(配列番号119のアミノ酸4)は、ヒトTIM-3のD74に結合し; VH CDR3のW残基(配列番号119のアミノ酸6)は、ヒトTIM-3のD74に結合し; VL CDR2のS残基(配列番号94のアミノ酸7)は、ヒトTIM-3のR73に結合する。
【0137】
したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失並びにVH CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する3E6の変異体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、VL CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失並びにVH CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する親和性成熟した3E6の変異体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それぞれ、配列番号86、94、101、109、及び119を有するアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3、並びに配列番号47及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又はVL CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失並びにVH CDR中の最大約3個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含む抗TIM-3抗体又は抗原結合断片である。
【0138】
本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片のいくつかの実施態様において、VH CDR1のF残基(配列番号101のアミノ酸3)、VH CDR2のH及びS残基(配列番号109のアミノ酸4及び5)、VH CDR3のY、R、S、及びW残基(配列番号119のアミノ酸2、3、4、及び6)、並びにVL CDR2のS残基(配列番号94のアミノ酸7)は、突然変異していない。いくつかの実施態様において、3E6変異体は、以下の部位: VH CDR1のF残基(配列番号101のアミノ酸3)、VH CDR2のH及びS残基(配列番号109のアミノ酸4及び5)、VH CDR3のY、R、S、及びW残基(配列番号119のアミノ酸2、3、4、及び6)、並びにVL CDR2のS残基(配列番号94のアミノ酸7)のうちの少なくとも1つに突然変異を有さない。いくつかの実施態様において、3E6変異体は、以下の部位: VH CDR1のF残基(配列番号101のアミノ酸3)、VH CDR2のH及びS残基(配列番号109のアミノ酸4及び5)、VH CDR3のY、R、S、及びW残基(配列番号119のアミノ酸2、3、4、及び6)、並びにVL CDR2のS残基(配列番号94のアミノ酸7)のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つ全てに突然変異を有さない。いくつかの実施態様において、3E6変異体は、VH CDR3のR残基(配列番号119のアミノ酸3)に突然変異を有さない。
【0139】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒト化3E6及び親和性成熟したヒト化3E6である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、配列番号22~29から選択されるアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるヒト化抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL並びに配列番号22~29から選択されるアミノ酸配列を有するVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、本明細書に提供されるヒト化3E6の変異体である。変異体は、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するヒト化3E6のVLの変異体であるVLを有することができる。変異体は、配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するヒト化3E6のVHの変異体であるVHを有することができる。いくつかの実施態様において、ヒト化3E6の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。
【0140】
いくつかの実施態様において、ヒト化3E6の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、3E6又は3E6変異体に由来するVH及びVLを有するIgG1抗体である。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番により、L234A及びL235Aのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、3E6又は3E6変異体に由来するVH及びVLを有するIgG2抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、3E6又は3E6変異体に由来するVH及びVLを有するIgG4抗体である。例示のために、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるVL0(配列番号21)及びVH6(配列番号28)を含む3E6変異体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるVL0-v5(配列番号211)及びVH6(配列番号28)を含む3E6変異体である。
【0141】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2由来のVL(配列番号2)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2由来のVH(配列番号12)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2由来のVL(配列番号2)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2由来のVH(配列番号12)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、4H2のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2の変異体である。4H2変異体は、配列番号2中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する4H2のVLの変異体であるVLを有することができる。4H2変異体は、配列番号12中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する4H2のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、4H2の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、4H2の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、4H2に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0142】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1由来のVL(配列番号3)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1由来のVH(配列番号13)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1由来のVL(配列番号3)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1由来のVH(配列番号13)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、16H1のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1の変異体である。16H1変異体は、配列番号3中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する16H1のVLの変異体であるVLを有することができる。16H1変異体は、配列番号13中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する16H1のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、16H1の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、16H1の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、16H1に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0143】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6由来のVL(配列番号4)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6由来のVH(配列番号14)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6由来のVL(配列番号4)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6由来のVH(配列番号14)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、18C6のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6の変異体である。18C6変異体は、配列番号4中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する18C6のVLの変異体であるVLを有することができる。18C6変異体は、配列番号14中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する18C6のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、18C6の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、18C6の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、18C6に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0144】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11由来のVL(配列番号5)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11由来のVH(配列番号15)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11由来のVL(配列番号5)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11由来のVH(配列番号15)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、19D11のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11の変異体である。19D11変異体は、配列番号5中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する19D11のVLの変異体であるVLを有することができる。19D11変異体は、配列番号15中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する19D11のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、19D11の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、19D11の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、19D11に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0145】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#由来のVL(配列番号6)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#由来のVH(配列番号16)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#由来のVL(配列番号6)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#由来のVH(配列番号16)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、CH 5#のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#の変異体である。CH 5#変異体は、配列番号6中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 5#のVLの変異体であるVLを有することができる。CH 5#変異体は、配列番号16中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 5#のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、CH 5#の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、CH 5#の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 5#に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0146】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#由来のVL(配列番号7)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#由来のVH(配列番号17)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#由来のVL(配列番号7)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#由来のVH(配列番号17)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、CH 8#のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#の変異体である。CH 8#変異体は、配列番号7中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 8#のVLの変異体であるVLを有することができる。CH 8#変異体は、配列番号17中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 8#のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、CH 8#の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、CH 8#の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 8#に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0147】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#由来のVL(配列番号8)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#由来のVH(配列番号18)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#由来のVL(配列番号8)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#由来のVH(配列番号18)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、CH 9#のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#の変異体である。CH 9#変異体は、配列番号8中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 9#のVLの変異体であるVLを有することができる。CH 9#変異体は、配列番号18中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 9#のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、CH 9#の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、CH 9#の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 9#に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0148】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#由来のVL(配列番号9)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#由来のVH(配列番号19)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#由来のVL(配列番号9)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#由来のVH(配列番号19)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、CH 10#のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#の変異体である。CH 10#変異体は、配列番号9中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 10#のVLの変異体であるVLを有することができる。CH 10#変異体は、配列番号19中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 10#のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、CH 10#の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、CH 10#の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 10#に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0149】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#由来のVL(配列番号10)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#由来のVH(配列番号20)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#由来のVL(配列番号10)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#由来のVH(配列番号20)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、CH 11#のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#の変異体である。CH 11#変異体は、配列番号10中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 11#のVLの変異体であるVLを有することができる。CH 11#変異体は、配列番号20中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有するCH 11#のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、CH 11#の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、CH 11#の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、CH 11#に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0150】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2由来のVL(配列番号180)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2由来のVH(配列番号189)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2由来のVL(配列番号180)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2由来のVH(配列番号189)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、3F2のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2の変異体である。3F2変異体は、配列番号180中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する3F2のVLの変異体であるVLを有することができる。3F2変異体は、配列番号189中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する3F2のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、3F2の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、3F2の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、3F2に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0151】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2由来のVL(配列番号181)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2由来のVH(配列番号190)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2由来のVL(配列番号181)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2由来のVH(配列番号190)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、36A2のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2の変異体である。36A2変異体は、配列番号181中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する36A2のVLの変異体であるVLを有することができる。36A2変異体は、配列番号190中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する36A2のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、36A2の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、36A2の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36A2に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0152】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11由来のVL(配列番号182)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11由来のVH(配列番号191)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11由来のVL(配列番号182)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11由来のVH(配列番号191)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、36B11のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11の変異体である。36B11変異体は、配列番号182中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する36B11のVLの変異体であるVLを有することができる。36B11変異体は、配列番号191中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する36B11のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、36B11の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、36B11の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、36B11に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0153】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8由来のVL(配列番号183)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8由来のVH(配列番号192)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8由来のVL(配列番号183)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8由来のVH(配列番号192)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、38F8のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8の変異体である。38F8変異体は、配列番号183中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する38F8のVLの変異体であるVLを有することができる。38F8変異体は、配列番号192中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する38F8のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、38F8の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、38F8の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38F8に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0154】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8由来のVL(配列番号184)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8由来のVH(配列番号193)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8由来のVL(配列番号184)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8由来のVH(配列番号193)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、38A8のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8の変異体である。38A8変異体は、配列番号184中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する38A8のVLの変異体であるVLを有することができる。38A8変異体は、配列番号193中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する38A8のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、38A8の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、38A8の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、38A8に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0155】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11由来のVL(配列番号185)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11由来のVH(配列番号194)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11由来のVL(配列番号185)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11由来のVH(配列番号194)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、40F11のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11の変異体である。40F11変異体は、配列番号185中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する40F11のVLの変異体であるVLを有することができる。40F11変異体は、配列番号194中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する40F11のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、40F11の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、40F11の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、40F11に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0156】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9由来のVL(配列番号186)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9由来のVH(配列番号195)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9由来のVL(配列番号186)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9由来のVH(配列番号195)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、50H9のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9の変異体である。50H9変異体は、配列番号186中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する50H9のVLの変異体であるVLを有することができる。50H9変異体は、配列番号195中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する50H9のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、50H9の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、50H9の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、50H9に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0157】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10由来のVL(配列番号187)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10由来のVH(配列番号196)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10由来のVL(配列番号187)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10由来のVH(配列番号196)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、84G10のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10の変異体である。84G10変異体は、配列番号187中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する84G10のVLの変異体であるVLを有することができる。84G10変異体は、配列番号196中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する84G10のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、84G10の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、84G10の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、84G10に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0158】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1と表される抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1由来のVL(配列番号188)を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1由来のVH(配列番号197)を有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1由来のVLとVHの両方を有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1由来のVL(配列番号188)由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVLを有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1由来のVH(配列番号197)由来のVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、それぞれ、39D1のVL及びVH由来のVL CDR 1、2、及び3を含むVL並びにVH CDR 1、2、及び3を含むVHを有することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1の変異体である。39D1変異体は、配列番号188中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する39D1のVLの変異体であるVLを有することができる。39D1変異体は、配列番号197中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/又は欠失を有する39D1のVHの変異体であるVHを有することができる。アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、VH CDR又はVL CDR中にあることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換、付加、及び/又は欠失は、CDR中にない。いくつかの実施態様において、39D1の変異体は、最大約5個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、39D1の変異体は、最大3個の保存的アミノ酸置換を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1に由来するヒト化抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又はその抗原結合断片は、39D1に由来するヒト抗体又は抗原結合断片である。
【0159】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について上に提供されている抗体又は抗原結合断片と競合する抗体又は抗原結合断片でもある。「標的との結合について別の抗体と競合する」抗体は、他の抗体と標的との結合を(部分的に又は完全に)阻害する抗体を指す。2つの抗体が標的との結合について互いに競合するかどうか、すなわち、一方の抗体がもう一方の抗体と標的との結合を阻害するかどうかということ及び一方の抗体がもう一方の抗体と標的との結合をどの程度阻害するかということは、既知の競合実験、例えば、BLI解析、又はBIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)解析を用いて決定することができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、別の抗体又は抗原結合断片とTIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合を少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%競合及び阻害する。阻害又は競合のレベルは、どの抗体が「遮断抗体」(すなわち、標的とともに最初にインキュベートされるコールドの抗体)であるかによって異なり得る。競合アッセイは、例えば、Ed Harlow及びDavid Laneの文献、Cold Spring Haib Protoc; 2006; doi: 10.1101/pdb.prot 4277又は抗体の使用(Using Antibodies)の第11章、Ed Harlow及びDavid Lane著、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, USA 1999に記載されている通りに実施することができる。抗体が、互いに両方向に少なくとも50%、すなわち、一方又はもう一方の抗体が競合実験で抗原と最初に接触するかどうかとは無関係に遮断する場合、2つの抗体は「交差競合する」。
【0160】
2つの抗体が結合について競合又は交差競合するかどうかを決定するための競合結合アッセイは、例えば、実施例に記載されているような、例えば、フローサイトメトリーによる、TIM-3を発現するT細胞との結合についての競合:を含む。他の方法としては、バイオレイヤー干渉法(BLI)、SPR(例えば、BIACORE(登録商標))、固相直接又は間接放射免疫アッセイ(RIA)、固相直接又は間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahliらの文献、Methods in Enzymology 9:242(1983)を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirklandらの文献、J. Immunol. 137:3614(1986)を参照);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow及びLaneの文献、抗体:実験室マニュアル(ANTIBODIES: A LABORATORY MANUAL)、Cold Spring Harbor Press(1988)を参照); I-125標識を使用する固相直接標識RIA(Morelらの文献、MoI. Immunol. 25(1):7(1988)を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheungらの文献、Virology 176:546(1990));並びに直接標識RIA(Moldenhauerらの文献、Scand. J. Immunol. 32:77(1990)):が挙げられる。
【0161】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について3E6と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について4H2と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について16H1と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について18C6と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について19D11と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてCH 5#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてCH 8#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてCH 9#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてCH 10#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてCH 11#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について3F2と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について36A2と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について36B11と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について38F8と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について38A8と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について40F11と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について50H9と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について84G10と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合について39D1と競合する抗体又は抗原結合断片である。
【0162】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化3E6と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化4H2と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化16H1と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化18C6と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化19D11と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化CH 5#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化CH 8#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化CH 9#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化CH 10#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化CH 11#と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化3F2と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化36A2と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化36B11と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化38F8と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化38A8と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化40F11と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化50H9と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化84G10と競合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)との結合についてヒト化39D1と競合する抗体又は抗原結合断片である。
【0163】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、上に提供されている抗体又は抗原結合断片と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、3E6又はヒト化3E6と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、4H2又はヒト化4H2と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、16H1又はヒト化16H1と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、18C6又はヒト化18C6と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、19D11又はヒト化19D11と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CH 5#又はヒト化CH 5#と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CH 8#又はヒト化CH 8#と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CH 9#又はヒト化CH 9#と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CH 10#又はヒト化CH 10#と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CH 11#又はヒト化CH 11#と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、3F2又はヒト化3F2と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、36A2又はヒト化36A2と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、36B11又はヒト化36B11と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、38F8又はヒト化38F8と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、38A8又はヒト化38A8と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、40F11又はヒト化40F11と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、50H9又はヒト化50H9と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、84G10又はヒト化84G10と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、39D1又はヒト化39D1と同じように、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)上の同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合断片である。
【0164】
本開示は、本明細書に記載される組換え抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体、又はこれらの抗体断片と実質的に相同である、さらなる変異体及び等価物をさらに企図する。いくつかの実施態様において、抗体の結合親和性を向上させることが望ましい。いくつかの実施態様において、限定されないが、特異性、熱安定性、発現レベル、エフェクター機能、グリコシル化、免疫原性、及び/又は溶解性を含む、抗体の生物学的特性を調節することが望ましい。当業者は、アミノ酸変化が、抗体の翻訳後プロセスを変化させることができること、例えば、グリコシル化部位の数もしくは位置を変化させること、又は膜アンカリング特徴を変化させることを理解するであろう。
【0165】
変異は、ネイティブな抗体又はポリペプチド配列と比較したときにアミノ酸配列の変化をもたらす、抗体又はポリペプチドをコードする1以上のヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入であることができる。いくつかの実施態様において、アミノ酸置換は、ロイシンとセリンとの置換などの、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸と置換する結果として生じるもの、例えば、保存的アミノ酸置換である。挿入又は欠失は、約1~5アミノ酸の範囲のものであり得る。いくつかの実施態様において、置換、欠失、又は挿入は、親分子と比べて、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、生物学的に有用かつ/又は適切なアミノ酸配列の変異は、配列中の挿入、欠失、又は置換を系統的に行い、得られた変異体タンパク質を親タンパク質と比較したときの活性について試験することにより決定することができる。
【0166】
抗体の定常領域がいくつかのエフェクター機能を媒介し、これらのエフェクター機能が抗体のアイソタイプによって異なり得ることは当技術分野で公知である。例えば、補体のC1成分と(抗原に結合した)IgG又はIgM抗体のFc領域との結合により、補体系が活性化される。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化及び溶解に重要である。補体の活性化はまた、炎症応答を刺激し、自己免疫性過敏症に関与することができる。さらに、抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現する細胞と結合することができる。IgG(ガンマ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)、及びIgM(ミュー受容体)を含む、様々なクラスの抗体に特異的であるいくつかのFc受容体が存在する。抗体と細胞表面のFc受容体との結合により、抗体被覆粒子の取り込み及び破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体被覆標的細胞の溶解(抗体依存性細胞傷害性又はADCCと呼ばれる)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、炎症性メディエーターの放出、胎盤移行、並びに免疫グロブリン産生の制御を含む、いくつかの重要かつ多様な生物学的応答が誘発される。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgA抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgD抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgE抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgG抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgM抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgG1抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgG2抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgG3抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIgG4抗体の少なくとも1つの定常領域を含む。
【0167】
また提供されるのは、本明細書に開示されるVH及び/又はVL配列のうちの1つ又は複数を有する抗体を、修飾抗体を改変するための出発材料として用いて調製することができる改変修飾抗体であり、この修飾抗体は、出発抗体から変化した特性を有することができる。抗体は、一方又は両方の可変領域(すなわち、VH及び/又はVL)内、例えば、1以上のCDR領域内及び/又は1以上のフレームワーク領域内の1以上の残基を修飾することにより改変することができる。それに加えて、又はその代わりに、抗体は、例えば、抗体のエフェクター機能を変化させるために、定常領域内の残基を修飾することにより改変することができる。実施することができる可変領域改変の1つのタイプは、CDR移植である。抗体は、主に6つのCDRに位置するアミノ酸残基を介して標的抗原と相互作用する。CDR配列がほとんどの抗体-抗原相互作用を担っているので、特定の天然に存在する抗体の性質を模倣する組換え抗体は、異なる性質を有する異なる抗体由来のフレームワーク配列上に移植された特定の天然に存在する抗体由来のCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより発現させることができる(例えば、Riechmann, L.らの文献(1998) Nature 332:323-327; Jones, P.らの文献(1986) Nature 321 :522-525; Queen, C.らの文献(1989) Proc. Natl. Acad Sci. U.S.A. 86: 10029-10033; Winterの米国特許第5,225,539号、並びにQueenらの米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号及び第6,180,370号を参照)。
【0168】
したがって、本明細書に記載されるいくつかの実施態様は、それぞれ; CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み、かつ配列番号1~10、21、180~188、及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、並びにそれぞれ; CDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み、かつ配列番号11~20、22~29、及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体又はその抗原結合性部分に関する。したがって、そのような抗体は、モノクローナル抗体3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1のVH及びVL CDR配列を含有し、さらにこれらの抗体由来の異なるフレームワーク配列を含有することができる。
【0169】
そのようなフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公的なDNAデータベース又は公表されている参考文献から入手することができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、「Vbase」ヒト生殖系列配列データベース(インターネット上でwww.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseで入手可能)で、並びにKabat, E. A.らの文献(1991)、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Tomlinson, I. Mらの文献(1992) Mol. Biol. 227:776-798;及びCox, J. P. L.らの文献(1994), Eur. J. Immunol. 24:827-836で見出すことができ;これらの各々の内容は、引用により本明細書中に明示的に組み込まれている。
【0170】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片で使用するためのフレームワーク配列は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体によって使用されるフレームワーク配列と構造的に類似しているものである。VH CDR1、2、及び3配列、並びにVL CDR1、2、及び3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖系列免疫グロブリン遺伝子に見出される配列と同一の配列を有するフレームワーク領域に移植することができるか、又はCDR配列は、生殖系列の配列と比較して1以上の突然変異を含有するフレームワーク領域に移植することができる。例えば、ある場合には、抗体の抗原結合能力を維持又は増強するために、フレームワーク領域内の残基を突然変異させることが有益であることが見出されている(例えば、Queenらの米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号;及び第6,180,370号を参照)。
【0171】
本明細書に記載される改変された抗TIM-3抗体又は抗原結合断片には、例えば、抗体の特性を改善するために、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に修飾が行われたものが含まれる。典型的には、そのようなフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を減少させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1以上のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に「復帰突然変異させる」ことである。より具体的には、体細胞突然変異を受けた抗体は、その抗体が由来する生殖系列配列とは異なるフレームワーク残基を含有することができる。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を抗体が由来する生殖系列配列と比較することにより同定することができる。フレームワーク領域配列をその生殖系列配置に戻すために、体細胞突然変異を、例えば、部位特異的突然変異誘発又はPCR媒介突然変異誘発によって、生殖系列配列に「復帰突然変異させる」ことができる。そのような「復帰突然変異した」抗体も包含されることが意図される。別のタイプのフレームワーク修飾には、フレームワーク領域内、又はさらには1以上のCDR領域内の1以上の残基を突然変異させて、T細胞エピトープを除去し、それにより、抗体の潜在的な免疫原性を低下させることが含まれる。このアプローチは「脱免疫」とも呼ばれ、Carrらによる米国特許公開第20030153043号にさらに詳細に記載されている。
【0172】
可変領域修飾の別のタイプは、VH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3領域内のアミノ酸残基を突然変異させ、それにより、目的の抗体の1以上の結合特性(例えば、親和性)を改善することである。部位特異的突然変異誘発又はPCR媒介突然変異誘発を行って、突然変異を導入し、抗体結合、又は目的の他の機能的特性に対する効果を、本明細書に記載され、かつ実施例に提供されるインビトロ又はインビボアッセイで評価することができる。いくつかの実施態様において、保存的修飾(上で論じられている)が導入される。突然変異は、アミノ酸置換、付加、又は欠失であることができる。さらに、典型的には、CDR領域内の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つ以下の残基が改変される。
【0173】
抗体のCDR中のメチオニン残基が酸化され、潜在的な化学的分解及び結果としての抗体の効力の低下が生じることがある。したがって、重鎖及び/又は軽鎖CDR中の1以上のメチオニン残基を酸化的分解を受けないアミノ酸残基で置換した抗TIM-3抗体又は抗原結合断片も提供される。いくつかの実施態様において、抗体3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1のCDR中のメチオニン残基は、酸化的分解を受けないアミノ酸残基で置換されている。同様に、脱アミド化部位を、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片から、特に、CDR中で除去することができる。
【0174】
本明細書に記載される抗TIM-3可変領域は、Fc、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc(これらは、任意のアロタイプ又はアイソアロタイプのもの、例えば、IgG1の場合: G1m、G1m1(a)、G1m2(x)、G1m3(f)、G1m17(z); IgG2の場合: G2m、G2m23(n); for IgG3: G3m、G3m21(g1)、G3m28(g5)、G3m11(b0)、G3m5(b1)、G3m13(b3)、G3m14(b4)、G3m10(b5)、G3m15(s)、G3m16(t)、G3m6(c3)、G3m24(c5)、G3m26(u)、G3m27(v);及びKの場合: Km、Km1、Km2、Km3であることができる)に連結する(例えば、共有結合的に連結又は融合する)ことができる(例えば、Jefferiesらの文献(2009) mAbs 1:1を参照)。
【0175】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3可変領域は、エフェクター機能のない又はほとんどエフェクター機能のないFc、例えば、IgG4に連結される。
【0176】
通常、本明細書に記載される可変領域は、典型的には、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞傷害性などの抗体の1以上の機能的特性を改変するために、1以上の修飾を含むFcに連結することができる。さらに、本明細書に記載される抗体は、抗体の1以上の機能的特性を改変するために、化学的に修飾することができる(例えば、1以上の化学部分を抗体に結合させることができる)か、又はそのグリコシル化を改変するように修飾することができる。これらの実施態様の各々は、以下でさらに詳しく説明される。Fc領域中の残基の付番は、KabatのEUインデックスのものである。
【0177】
Fc領域は、定常領域の断片、類似体、変異体、突然変異体、又は誘導体を含む、免疫グロブリンの定常領域に由来するドメインを包含する。好適な免疫グロブリンには、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、並びに他のクラス、例えば、IgA、IgD、IgE、及びIgMが含まれる。免疫グロブリンの定常領域は、免疫グロブリンC末端領域に相同な天然に存在する又は合成で産生されるポリペプチドとして定義され、CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、CH3ドメイン、又はCH4ドメインを、別々に、又は組み合わせて含むことができる。いくつかの実施態様において、定常領域の少なくとも1つ又は複数が本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片において修飾されているか又は欠失している。いくつかの実施態様において、抗体は、3つの重鎖定常領域(CH1、CH2、もしくはCH3)のうちの1つもしくは複数に対する及び/又は軽鎖定常領域(CL)に対する修飾を含む。いくつかの実施態様において、修飾抗体の重鎖定常領域は、少なくとも1つのヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、修飾抗体の重鎖定常領域は、複数のヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、定常領域に対する修飾は、1以上の領域における1以上のアミノ酸の付加、欠失、又は置換を含む。いくつかの実施態様において、1以上の領域は、修飾抗体の定常領域から部分的に又は完全に欠失している。いくつかの実施態様において、CH2ドメイン全体が抗体から除去されている(ΔCH2コンストラクト)。いくつかの実施態様において、欠失した定常領域は、欠如した定常領域によって通常付与される分子柔軟性の一部を提供する短いアミノ酸スペーサーによって置き換えられる。いくつかの実施態様において、修飾抗体は、抗体のヒンジ領域に直接融合されたCH3ドメインを含む。いくつかの実施態様において、修飾抗体は、ヒンジ領域と修飾CH2及び/又はCH3ドメインとの間に挿入されたペプチドスペーサーを含む。
【0178】
Ig分子は、複数のクラスの細胞受容体と相互作用する。例えば、IgG分子は、抗体のIgGクラスに特異的な3つのクラスのFcγ受容体(FcγR)、すなわち、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIと相互作用する。IgGとFcγR受容体との結合に重要な配列は、CH2及びCH3ドメインにあることが報告されている。抗体の血清半減期は、その抗体がFc受容体(FcR)に結合する能力によって影響される。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fc領域を含む。いくつかの実施態様において、Fc領域は、ヒンジを介して融合される。ヒンジは、IgG1ヒンジ、IgG2ヒンジ、又はIgG3ヒンジであることができる。ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のFc領域のアミノ酸配列は、当業者に公知である。いくつかの例では、アミノ酸変異を有するFc領域がネイティブな抗体中で同定されている。いくつかの実施態様において、修飾抗体(例えば、修飾Fc領域)は、改変されたエフェクター機能を提供し、これが次に、抗体の生物学的プロファイルに影響を及ぼす。例えば、いくつかの実施態様において、定常領域の(点突然変異又は他の手段による)欠失又は不活化は、修飾抗体が循環 するとき、そのFc受容体結合を低下させる。いくつかの実施態様において、定常領域修飾は、抗体の免疫原性を低下させる。いくつかの実施態様において、定常領域修飾は、抗体の血清半減期を増加させる。いくつかの実施態様において、定常領域修飾は、抗体の血清半減期を低下させる。いくつかの実施態様において、定常領域修飾は、抗体のADCC、ADCP、及び/又は補体依存性細胞傷害性(CDC)を減少させ、又は除去する。いくつかの実施態様において、ヒトIgG1 Fc領域における対応するIgG2又はIgG4残基との特定のアミノ酸置換は、修飾抗体におけるエフェクター機能(例えば、ADCC、ADCP、及びCDC)を低下させる。いくつかの実施態様において、抗体は、1以上のエフェクター機能を有さない(例えば、「エフェクターレス」抗体)。いくつかの実施態様において、抗体は、ADCC活性及び/又はCDC活性を有さない。いくつかの実施態様において、抗体は、Fc受容体及び/又は補体因子と結合しない。いくつかの実施態様において、抗体は、エフェクター機能を有さない。いくつかの実施態様において、定常領域修飾は、抗体のADCC、ADCP、及び/又はCDCを増加させ、又は増強する。いくつかの実施態様において、定常領域は、ジスルフィド結合又はオリゴ糖部分を除去するように修飾される。いくつかの実施態様において、定常領域は、1以上の細胞毒素、オリゴ糖、又は炭水化物付着部位を提供するための1以上のアミノ酸を付加/置換するように修飾される。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ネイティブなFc領域と比較したとき、特定のアミノ酸位置での置換を伴って改変されている変異体Fc領域を含む。
【0179】
いくつかの実施態様において、Fc領域は、望ましい構造的特徴及び/又は生物学的活性を提供するために、親Fc配列(例えば、変異体を作製するために後に修飾される未修飾のFcポリペプチド)と比べて(例えば、アミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入によって)修飾されている変異体Fc領域、例えば、Fc配列である。通常、定常領域又はその部分、例えば、CH1、CL、ヒンジ、CH2、又はCH3ドメインの変異体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、もしくはそれより多くの突然変異、及び/又は多くとも10、9、8、7、6、5、4、3、2、もしくは1個の突然変異、又は1~10もしくは1~5個の突然変異を含むことができるか、或いは対応する野生型領域又はドメイン(それぞれ、CH1、CL、ヒンジ、CH2、又はCH3ドメイン)のアミノ酸配列と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含み、ただし、特定の変異体を含む重鎖定常領域は、必要な生物学的活性を保持する。
【0180】
例えば、親Fcと比べて、(a)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)が増加もしくは減少し、(b)抗体依存性細胞媒介性貪食(ACDP)が増加もしくは減少し、(c)補体媒介性細胞傷害性(CDC)が増加又は減少し、(d)C1qに対する親和性が増加もしくは減少し、かつ/又は(e)Fc受容体に対する親和性が増加もしくは減少しているFc変異体を作製するために、Fc領域中で修飾を行うことができる。そのようなFc領域変異体は、通常、Fc領域中に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む。アミノ酸修飾を組み合わせることが特に望ましいと考えられる。例えば、変異体Fc領域は、例えば、本明細書で同定される特定のFc領域位置の2つ、3つ、4つ、5つなどの置換をその中に含むことができる。
【0181】
変異体Fc領域は、ジスルフィド結合形成に関与するアミノ酸が除去されているか又は他のアミノ酸と置き換えられている配列改変を含むこともできる。そのような除去は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を産生するために使用される宿主細胞内に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避することができる。システイン残基が除去された場合でも、一本鎖Fcドメインは、非共有結合的に保持される二量体Fcドメインを依然として形成することができる。いくつかの実施態様において、Fc領域は、選択された宿主細胞との適合性をより高めるように修飾することができる。例えば、プロリンイミノペプチダーゼなどの大腸菌の消化酵素によって認識され得る典型的なネイティブなFc領域のN-末端付近のPA配列を除去することができる。いくつかの実施態様において、Fcドメイン内の1以上のグリコシル化部位を除去することができる。典型的にグリコシル化される残基(例えば、アスパラギン)は、細胞溶解応答を付与することができる。そのような残基は、欠失させるか、又はグリコシル化されていない残基(例えば、アラニン)で置換することができる。いくつかの実施態様において、C1q結合部位などの補体との相互作用に関与する部位は、Fc領域から除去することができる。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させるか又は置換することができる。いくつかの実施態様において、Fc受容体との結合に影響を及ぼす部位、好ましくは、サルベージ受容体結合部位以外の部位を除去することができる。いくつかの実施態様において、Fc領域は、ADCC部位を除去するように修飾することができる。いくつかの実施態様において、Fc領域は、ADCP部位を除去するように修飾することができる。ADCC部位及びADCP部位は、当技術分野で公知であり;例えば、IgG1中のADCC部位に関しては、Molec. Immunol. 29(5): 633-9(1992)、IgG1中のADCPに関しては、Herbrand, U.の文献(2016). BioProcessing, 15(1), 1538-8786を参照されたい。変異体Fcドメインの具体例は、例えば、WO 97/34631号及びWO 96/32478号に開示されている。
【0182】
いくつかの実施態様において、Fcのヒンジ領域は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数が変化するように、例えば、増加又は減少するように修飾される。このアプローチは、Bodmerらによる米国特許第5,677,425号にさらに記載されている。Fcのヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖及び重鎖の会合を促進するために、又は抗体の安定性を増加もしくは減少させるために改変される。いくつかの実施態様において、抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生物学的半減期を減少させるように突然変異させられる。より具体的には、抗体がネイティブなFcヒンジドメインSpA結合と比べて損なわれたブドウ球菌プロテインA(SpA)結合を有するように、1以上のアミノ酸突然変異がFc-ヒンジ断片のCH2-CH3ドメイン界面領域に導入される。このアプローチは、Wardらによる米国特許第6,165,745号にさらに詳細に記載されている。
【0183】
いくつかの実施態様において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を改変するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置換することにより改変される。例えば、抗体がエフェクターリガンドに対する改変された親和性を有するが、親抗体の抗原結合能力を保持するように、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320、322、330、及び/又は331から選択される1以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基と置換することができる。親和性が改変されるエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体又は補体のC1成分であることができる。このアプローチは、どちらもWinterらによる米国特許第5,624,821号及び第5,648,260号にさらに詳細に記載されている。
【0184】
別の例では、抗体が改変されたC1q結合及び/又は低下もしくは消失した補体依存性細胞傷害性(CDC)を有するように、アミノ酸残基329、331、及び322から選択される1以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基と置換することができる。このアプローチは、Idusogieらによる米国特許第6,194,551号にさらに詳細に記載されている。
【0185】
別の例では、アミノ酸位置231及び239内の1以上のアミノ酸残基を改変し、それにより、抗体が補体を固定する能力を改変する。このアプローチは、BodmerらによるPCT公開WO 94/29351号にさらに記載されている。
【0186】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、EU付番による、K214R、L234A、L235E、G237A、D356E、及びL358Mからなる群から選択される1以上のアミノ酸置換を含むIgG1重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、K214R、L234A、L234F、L235A、L235E、G236R、G237A、D265A、N297A、N297Q、N297G、E318A、L328R、P329G、A330S、P331S、D356E、及びL358Mからなる群から選択される1以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、K214R、C226S、C229S、及びP238Sからなる群から選択される1以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、K214R、D356E、及びL358Mからなる群から選択される1以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、S131C、K133R、G137E、G138S、Q196K、I199T、N203D、K214R、C226S、C229S、及びP238Sからなる群から選択される1以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、N297A、N297Q、及びN297Gからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、L234A及びL235Aのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、G236R及びL328Rのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、L234F、L235E、及びP331Sのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、L234A、L235A、及びP329Gのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施態様において、IgG1重鎖定常領域は、EU付番による、L234F、L235E、及びD265Aのアミノ酸置換を含む。
【0187】
いくつかの実施態様において、Fc領域は、以下の位置: 234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、248、249、252、254、255、256、258、262、263、264、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、297、298、299、301、303、305、307、309、312、313、315、318、320、322、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、433、434、435、436、437、438、又は439における1以上のアミノ酸を修飾することにより、ADCC、ADCPを減少させるように、及び/又はFcγ受容体に対する親和性を減少させるように修飾することができる。例示的な置換としては、234A、235A、236A、239D、239E、268D、267E、268E、268F、324T、332D、332E、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。例示的な変異体としては、234A/235A、239D/332E、236A/332E、236A/239D/332E、268F/324T、267E/268F、267E/324T、及び267E/268F7324Tが挙げられる。FcγR及び補体相互作用を増強するための他の修飾としては、置換298A、333A、334A、326A、247I、339D、339Q、280H、290S、298D、298V、243L、292P、300L、396L、305I、及び396Lが挙げられるが、これらに限定されない。これら及びその他の修飾は、Strohlの文献、2009, Current Opinion in Biotechnology 20:685-691に概説されている。
【0188】
Fc受容体に対する結合を増大させるFc修飾としては、Fc領域のアミノ酸位置238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、279、280、283、285、298、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、312、315、324、327、329、330、335、337、338、340、360、373、376、379、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、又は439のうちのいずれか1つ又は複数におけるアミノ酸修飾が挙げられ、ここで、Fc領域中の残基の付番は、abat(WO00/42072号)に見られるEUインデックスの付番である。
【0189】
Fcに対して行うことができる他のFc修飾は、FcγR及び/又は補体タンパク質への結合を減少又は消失させ、それにより、ADCC、ADCP、及びCDCなどのFc媒介エフェクター機能を減少又は消失させるためのものである。例示的な修飾としては、位置234、235、236、237、267、269、325、328、330、及び/又は331(例えば、330及び331)(ここで、付番は、EUインデックスによるものである)における置換、挿入、及び欠失が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な置換としては、234A、235E、236R、237A、267R、269R、325L、328R、330S、及び331S(例えば、330S、及び331S)(ここで、付番は、EUインデックスによるものである)が挙げられるが、これらに限定されない。Fc変異体は、236R/328Rを含むことができる。FcγR及び補体相互作用を低下させるための他の修飾としては、297A、234A、235A、237A、318A、228P、236E、268Q、309L、330S、331S、220S、226S、229S、238S、233P、及び234Vの置換、並びに突然変異もしくは酵素的手段によるか又はタンパク質をグリコシル化しない細菌などの生物での生産による位置297のグリコシル化の除去が挙げられる。これら及びその他の修飾は、Strohlの文献、2009, Current Opinion in Biotechnology 20:685-691に概説されている。
【0190】
任意に、Fc領域は、当業者に公知のさらなる及び/又は代わりの位置に天然に存在しないアミノ酸残基を含むことができる(例えば、米国特許第5,624,821号;第6,277,375号;第6,737,056号;第6,194,551号;第7,317,091号;第8,101,720号; PCT特許公開WO 00/42072号; WO 01/58957号; WO 02/06919号; WO 04/016750号; WO 04/029207号; WO 04/035752号; WO 04/074455号; WO 04/099249号; WO 04/063351号; WO 05/070963号; WO 05/040217号、WO 05/092925号、及びWO 06/020114号を参照)。
【0191】
阻害性受容体FcγRIIbに対する親和性を増強するFc変異体も使用することができる。そのような変異体は、例えば、B細胞及び単球を含むFcγRIIb細胞に関連する免疫調節活性を有するFc融合タンパク質を提供することができる。いくつかの実施態様において、Fc変異体は、1以上の活性化受容体と比べて、FcγRIIbに対する選択的に増強された親和性を提供する。FcγRIIbとの結合を改変するための修飾としては、EUインデックスによる234、235、236、237、239、266、267、268、325、326、327、328、330、331、及び332からなる群から選択される位置における1以上の修飾が挙げられる。FcγRIIb親和性を増強するための例示的な置換としては、234A、234D、234E、234F、234W、235A、235D、235E、235F、235R、235Y、236D、236N、237A、237D、237N、239D、239E、266M、267D、267E、268D、268E、327D、327E、328F、328W、328Y、330S、331S、及び332Eが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な置換としては、235Y、236D、239D、266M、267E、268D、268E、328F、328W、及び328Yが挙げられる。FcγRIIbとの結合を増強するための他のFc変異体としては、235Y/267E、236D/267E、239D/268D、239D/267E、267E/268D、267E/268E、及び267E/328Fが挙げられる。
【0192】
Fc領域のそのリガンドに対する親和性及び結合特性は、限定されないが、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、バイオレイヤー干渉法(BLI)、もしくは放射免疫アッセイ(RIA))、又は反応速度論(例えば、BIACORE解析)、及び他の方法、例えば、間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、ゲル電気泳動、及びクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)を含む、当技術分野で公知の種々のインビトロアッセイ法(生化学又は免疫学に基づくアッセイ)によって決定することができる。これらの及びその他の方法は、検査される1以上の成分の上の標識を利用することができ、かつ/又は限定されないが、発色、蛍光、発光、もしくは同位体標識を含む、種々の検出方法を利用することができる。結合親和性及び反応速度に関する詳細な説明は、抗体-免疫原相互作用に焦点を当てている、Paul, W. E.編、基礎免疫学(Fundamental immunology)、第4版、Lippincott-Raven, Philadelphia(1999)に見出すことができる。
【0193】
いくつかの実施態様において、抗体は、その生物学的半減期を延長するために修飾される。様々なアプローチが可能である。例えば、これは、FcRnに対するFc領域の結合親和性を増大させることにより行うことができる。例えば、以下の残基: 252、254、256、433、435、436のうちの1つ又は複数を米国特許第6,277,375号に記載されているように突然変異させることができる。具体的な例示的置換としては、以下のもの: T252L、T254S、及び/又はT256Fのうちの1つ又は複数が挙げられる。或いは、生物学的半減期を延長するために、抗体は、Prestaらによる米国特許第5,869,046号及び第6,121,022号に記載されているように、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取得されるサルベージ受容体結合エピトープを含有するようにCH又はCL領域内で改変することができる。FcRnに対する結合を増大させ、かつ/又は薬物動態特性を改善する他の例示的変異体としては、例えば、259I、308F、428L、428M、434S、434I、434F、434Y、及び434X1を含む、位置259、308、428、及び434における置換が挙げられる。FcRnに対する結合を増大させる他の変異体としては、250E、250Q、428L、428F、250Q/428L(Hintonらの文献、2004, J. Biol. Chem. 279(8): 6213-6216, Hintonらの文献、2006 Journal of Immunology 176:346-356)、256A、272A、286A、305A、307A、307Q、311A、312A、376A、378Q、380A、382A、434A(Shieldsらの文献、Journal of Biological Chemistry, 2001, 276(9):6591-6604)、252F、252T、252Y、252W、254T、256S、256R、256Q、256E、256D、256T、309P、311S、433R、433S、433I、433P、433Q、434H、434F、434Y、252Y/254T/256E、433K/434F/436H、308T/309P/311S(Dali Acquaらの文献、Journal of Immunology, 2002, 169:5171-5180, Dall Acquaらの文献、2006, Journal of Biological Chemistry 281:23514-23524):が挙げられる。FcRn結合を調節するための他の修飾は、Yeungらの文献、2010, J Immunol, 182:7663-7671に記載されている。
【0194】
いくつかの実施態様において、特定の生物学的特徴を有するハイブリッドIgGアイソタイプを使用することができる。例えば、IgG1/IgG3ハイブリッド変異体は、CH2及び/又はCH3領域中のIgGl位置をIgG3由来のアミノ酸と2つのアイソタイプが異なる位置で置換することにより構築することができる。したがって、1以上の置換、例えば、274Q、276K、300F、339T、356E、358M、384S、392N、397M、422I、435R、及び436Fを含むハイブリッド変異体IgG抗体を構築することができる。本明細書に記載されるいくつかの実施態様において、IgG1/IgG2ハイブリッド変異体は、CH2及び/又はCH3領域中のIgG2位置をIgG1由来のアミノ酸と2つのアイソタイプが異なる位置で置換することにより構築することができる。したがって、1以上の置換、例えば、以下のアミノ酸置換: 233E、234L、235L、-236G(位置236におけるグリシンの挿入を表す)、及び327Aのうちの1つ又は複数を含むハイブリッド変異体IgG抗体を構築することができる。
【0195】
さらに、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、及びFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位がマッピングされており、結合が改善された変異体が記載されている(Shields, R.L.らの文献(2001) J. Biol. Chem. 276:6591-6604を参照)。位置256、290、298、333、334、及び339における特定の突然変異は、FcγRIIIに対する結合を改善することが示された。さらに、以下の組合せ突然変異体: T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224A、及びS298A/E333A/K334Aは、FcγRIII結合を改善することが示され、これらは、FcγRIIIa結合及びADCC活性の増強を示すことが示されている(Shieldsらの文献、2001)。FcγRIIIaに対する結合が強く増強された他のIgG1変異体が同定されており、これには、カニクイザルでFcγRIIIaに対する親和性の最大の増加、FcγRIIb結合の減少、及び強い細胞傷害活性を示したS239D/I332E及びS239D/I332E/A330L突然変異を有する変異体が含まれる(Lazarらの文献、2006)。アレムツズマブ(CD52特異的)、トラスツズマブ(HER2/neu特異的)、リツキシマブ(CD20特異的)、及びセツキシマブ(EGFR特異的)などの、抗体への三重突然変異の導入は、インビトロでの大いに増強されたADCC活性につながり、S239D/I332E変異体は、サルでB細胞を枯渇させる能力の増強を示した(Lazarらの文献、2006)。さらに、B細胞悪性腫瘍及び乳癌のモデルでヒトFcγRIIIaを発現するトランスジェニックマウスにおけるFcγRIIIaに対する増強した結合及び同時に増強したADCC活性を示したL235V、F243L、R292P、Y300L、及びP396L突然変異を含有するIgG1突然変異体が同定されている(Stavenhagenらの文献、2007; Nordstromらの文献、2011)。使用することができる他のFc突然変異体としては、S298A/E333A/L334A、S239D/I332E、S239D/I332E/A330L、L235V/F243L/R292P/Y300L/P396L、及びM428L/N434S:が挙げられる。
【0196】
いくつかの実施態様において、FcγRsに対する結合が低下しているFcが選択される。FcγR結合が低下した例示的なFc、例えば、IgG1 Fcは、以下の3つのアミノ酸置換: L234A、L235E、及びG237Aを含む。
【0197】
いくつかの実施態様において、補体固定が低下しているFcが選択される。補体固定が低下した例示的なFc、例えば、IgG1 Fcは、以下の2つのアミノ酸置換: A330S及びP331Sを有する。
【0198】
いくつかの実施態様において、本質的にエフェクター機能を有さないFcが選択され、すなわち、それは、FcγRsの結合が低下し、かつ補体固定が低下している。エフェクターレスである例示的なFc、例えば、IgG1 Fcは、以下の5つの突然変異: L234A、L235E、G237A、A330S、及びP331Sを含む。
【0199】
IgG4定常ドメインを使用する場合、それは、IgG1中のヒンジ配列を模倣する置換S228Pを含むことができ、それにより、IgG4分子が安定化される。いくつかの実施態様において、IgG4定常ドメインは、置換S228P及びL235Eを含む。
【0200】
いくつかの実施態様において、抗体のグリコシル化が修飾される。例えば、アグリコシル化抗体を作製することができる(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増大させるために改変することができる。そのような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内のグリコシル化の1以上の部位を改変することにより達成することができる。例えば、1以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の消失をもたらし、それにより、その部位でのグリコシル化を消失させる1以上のアミノ酸置換を行うことができる。そのような非グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増大させることができる。そのようなアプローチは、Coらによる米国特許第5,714,350号及び第6,350,861号にさらに詳細に記載されている。
【0201】
N297での定常領域のグリコシル化を、N297残基を別の残基に突然変異させること、例えば、N297Aにより、及び/又は隣接するアミノ酸、例えば、298を突然変異させることにより妨げて、それにより、N297でのグリコシル化を低下させることができる。
【0202】
それに加えて又はその代わりに、改変型のグリコシル化を有する抗体、例えば、フコシル残基の量が低下している低フコシル化抗体又はバイセクティングGlcNac構造が増加している抗体を作製することができる。そのような改変されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC及び/又はADCP能を増大させることが示されている。そのような炭水化物修飾は、例えば、グリコシル化機構が改変された宿主細胞で抗体を発現させることにより達成することができる。グリコシル化機構が改変された細胞は、当技術分野で記載されており、本明細書に記載される組換え抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を発現させ、それにより、グリコシル化が改変された抗体を産生するための宿主細胞として使用することができる。例えば、HanaiらによるEP 1,176,195号には、そのような細胞株で発現された抗体が低フコシル化を示すように、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が機能的に破壊された細胞株が記載されている。PrestaによるPCT公開WO 03/035835号には、フコースをAsn(297)結合型炭水化物に付着させる能力が低下し、その宿主細胞で発現された抗体の低フコシル化ももたらす、変異体CHO細胞株のLed 3細胞が記載されている(Shields, R.L.らの文献(2002) J. Biol. Chem. 277:26733-26740も参照)。UmanaらによるPCT公開WO 99/54342号には、改変された細胞株で発現された抗体が抗体のADCC活性の増大をもたらすバイセクティングGlcNac構造の増加を示すように、糖タンパク質を修飾するグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(l,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように改変された細胞株が記載されている(Umanaらの文献(1999) Nat. Biotech. 17: 176-180も参照)。
【0203】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の別の修飾は、ペグ化である。抗体は、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を延長するためにペグ化することができる。抗体をペグ化するために、抗体又はその断片を、通常、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体と、1以上のPEG基が抗体又は抗体断片に付着するようになる条件下で反応させる。いくつかの実施態様において、ペグ化は、反応性PEG分子(又は類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応を介して実施される。本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、他のタンパク質を誘導体化するために使用されているPEGの形態、例えば、モノ(CI-CIO)アルコキシ-又はアリールオキシ-ポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール-マレイミドのいずれかを包含することが意図される。いくつかの実施態様において、ペグ化されるべき抗体は、アグリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化する方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片に適用することができる。例えば、NishimuraらによるEP 0 154 316号、及びIshikawaらによるEP 0 401 384号を参照されたい。
【0204】
いくつかの実施態様において、変異体は、抗体又はポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端でのアミノ酸残基の付加を含むことができる。追加のアミノ酸残基の長さは、1残基~100又はそれより多くの残基の範囲に及ぶことができる。いくつかの実施態様において、変異体は、N-末端メチオニル残基を含む。いくつかの実施態様において、変異体は、融合タンパク質を生成させるための追加のポリペプチド/タンパク質(例えば、Fc領域)を含む。いくつかの実施態様において、変異体は、検出可能となるように改変され、検出可能な標識及び/又はタンパク質(例えば、蛍光タグ又は酵素)を含むことができる。
【0205】
本明細書に記載される変異体抗体又は抗原結合断片は、限定されないが、部位特異的突然変異誘発、アラニンスキャニング突然変異誘発、及びPCR突然変異誘発を含む、当技術分野で公知の方法を用いて作製することができる。
【0206】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、TIM-3に結合する能力を、親抗体又は抗原結合断片と類似の程度、同程度、又はより大きい程度まで保持することができる。いくつかの実施態様において、変異体は、親抗体又は抗原結合断片と少なくとも約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又はそれを上回ってアミノ酸配列が同一であることができる。ある実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、1以上の保存的アミノ酸置換を有する親抗TIM-3抗体又は抗原結合断片のアミノ酸配列を含む。保存的アミノ酸置換は、当技術分野で公知であり、特定の物理的及び/又は化学的特性を有するあるアミノ酸が同じ又は類似の物理的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸に置き換えられるアミノ酸置換を含む。
【0207】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、1以上の非保存的アミノ酸置換を有する親抗体又は抗原結合断片のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の変異体は、1以上の非保存的アミノ酸置換を有する親結合抗体又は抗原結合断片のアミノ酸配列を含み、ここで、該1以上の非保存的アミノ酸置換は、変異体の1以上の生物学的活性(例えば、TIM-3結合)を妨害することも、阻害することもない。ある実施態様において、1以上の保存的アミノ酸置換及び/又は1以上の非保存的アミノ酸置換は、機能的変異体の生物学的活性が親抗体又は抗原結合断片と比較して増大するように、変異体の生物学的活性を増強することができる。
【0208】
いくつかの実施態様において、変異体は、抗体又は抗原結合断片のCDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)中に、1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つのアミノ酸置換を有することができる。
【0209】
本明細書に記載されるのは、特定の機能的特徴又は特性を特徴とする抗体、例えば、ヒト化抗体である。例えば、抗体は、ヒトTIM-3、より具体的には、ヒトTIM-3の細胞外ドメイン内の特定のドメイン(例えば、機能ドメイン)に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、抗体は、アンタゴニスト抗体である、すなわち、それは、細胞、例えば、T細胞又は骨髄細胞に対するTIM-3の阻害性活性を阻害又は抑制する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗TIM-3抗体は、他の種由来のTIM-3、例えば、カニクイザルTIM-3又はマウスTIM-3と交差反応しない。いくつかの実施態様において、抗体は、ヒトTIM-3の細胞外領域に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、抗体は、高い親和性でヒトTIM-3に結合する。
【0210】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、以下の結合特性のうちの1つ又は複数を示す:(1)例えば、本明細書に記載されるアッセイで決定される、ヒトTIM-3とTIM-3リガンド(例えば、PtdSer)との結合を遮断又は阻害する;(2)免疫細胞、例えば、CD4+、CD8+ T細胞、Th1細胞、NK細胞、NKT細胞、骨髄細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、もしくは腫瘍細胞)、又はTIL上のTIM-3に結合したとき、表面TIM-3を内在化又は下方調節する;(3)獲得免疫応答を誘導又は刺激する;(4)自然免疫応答を誘導又は刺激する;(5)免疫細胞活性化、例えば、CD4+、CD8+ T細胞、Th1細胞、NK細胞、NKT細胞、骨髄細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、もしくは腫瘍細胞)、又はTILを誘導又は刺激する;(6)例えば、共培養アッセイで、免疫細胞増殖、例えば、CD4+、CD8+ T細胞、Th1細胞、NK細胞、NKT細胞、骨髄細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、もしくは腫瘍細胞)、又はTILを誘導又は刺激する;(7)T細胞、例えば、Th1細胞又はTIL、例えば、ヒト腎臓、肺、膵臓、又は乳癌腫瘍由来のTILによるサイトカイン(例えば、IFN-γ)産生を誘導又は刺激する;(8)インフラマソームによって活性化されるサイトカイン(例えば、IL-18、可溶性CD25)、単球/マクロファージ活性化によって産生される炎症性サイトカイン(例えば、ヒトIL-1β、IL-18、IL-6、TNFα、もしくはグラニュリシン)、及び/又はTregエフェクター分子(例えば、IL-10、パーフォリン)の産生を誘導又は刺激する;(9)TIM-3によって媒介される免疫細胞、例えば、CD4+、CD8+ T細胞、Th1細胞、NK細胞、NKT細胞、骨髄細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、もしくは腫瘍細胞)、又はTILの抑制を軽減又は阻害する;(10)例えば、Gayden 2018及びDixonの文献、2021(上記)に記載されている方法及びアッセイを用いて決定される、TIM-3によって媒介されるインフラマソーム活性化の抑制を軽減又は阻害する。
【0211】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、以下の結合特性のうちの1つ又は複数を示す:(1)可溶性及び/又は膜結合型ヒトTIM-3に特異的に結合する;(2)カニクイザルTIM-3ともマウスTIM-3とも交差反応しない;及び(4)例えば、実施例に記載されているアッセイで決定される、本明細書に記載されるTIM-3に結合する抗体(例えば、3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、もしくは39D1)のヒトTIM-3に対する結合と競合するか、又は該結合を交差遮断する。
【0212】
エピトープマッピングは、抗体が結合する標的タンパク質上の結合部位、領域、又はエピトープを特定する方法である。標的タンパク質上のエピトープをマッピングするための種々の方法が当技術分野で公知である。これらの方法としては、限定されないが、ショットガン突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、及びアラニンスキャニングを含む突然変異誘発;ドメイン又は断片スキャニング;ペプチドスキャニング(例えば、Pepscan技術);ディスプレイ法(例えば、ファージディスプレイ、微生物ディスプレイ、及びリボソーム/mRNAディスプレイ);タンパク質分解及び質量分光測定を含む方法;並びに構造決定(例えば、X線結晶学及びNMR)が挙げられる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、限定されないが、N-末端シークエンシング、アミノ酸分析、HPLC、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー、及びパパイン消化を含むアッセイによって特徴付けられる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453(Novartisによって開発された抗TIM-3抗体;例えば、Borateらの文献、Blood(2019): 570-570を参照)によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TSR022(Tesaro/GSKによって開発された抗TIM-3抗体、例えば、Pollyea及びCraigの文献、Blood 129.12(2017): 1627-1635.を参照)によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453とTSR022の両方によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TSR022によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453又はTSR022によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453によって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TSR022によって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453又はTSR022によって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MBG453によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープ及びMBG453によって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TSR022によって認識されるヒトTIM-3上のエピトープ及びTSR022によって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。
【0213】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3との結合についてFab 6TXZ又はFab 7KQLのどちらとも競合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fab 6TXZ又はFab 7KQLのいずれかによって認識されるエピトープと異なるヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fab 6TXZによって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fab 7KQLによって認識されるヒトTIM-3上のエピトープに結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fab 6TXZによって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Fab 7KQLによって認識されないヒトTIM-3上のエピトープに結合する。
【0214】
下の実験の節に提供されているように、3E6のエピトープは、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82にマッピングされた。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のアミノ酸71~82のうちの少なくとも1つを含むエピトープでヒトTIM-3に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片のエピトープは、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つ全てを含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも1つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のD71に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のR73に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のD74に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のV75に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のN76に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のW78に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のT79に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のY82に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも2つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも3つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも4つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも5つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも6つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも7つに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82の全てに特異的に結合する。
【0215】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のアミノ酸71~82との結合について、本明細書に記載される抗TIM-3抗体(例えば、3E6)と競合する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも1つとの結合について競合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3の以下の残基: D71、R73、D74、V75、N76、W78、T79、及びY82のうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つ全てとの結合について競合する。
【0216】
理論に束縛されるものではないが、獲得免疫を促進することに加えて、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3によって媒介されるインフラマソーム活性化の抑制を軽減又は阻害することにより、自然免疫活性を促進することもできる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3によって媒介される樹状細胞、マクロファージ、又は単球などの骨髄細胞の抑制を軽減又は阻害することもできる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、少なくとも一部は、ヒトTIM-3のD71、N76、もしくはY82、又はこれらの任意の組合せに特異的に結合することにより、インフラマソーム活性化又は骨髄性活性化を促進する。これらの残基のうちのいくつかにおける突然変異は、持続的な免疫活性化及びサイトカインの産生の増加をもたらすことが知られている(Gaydenの文献、2018)。
【0217】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のD71、N76、又はY82に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のD71、N76、又はY82との結合について、本明細書に記載される抗TIM-3抗体と競合する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、D71、N76、又はY82にアミノ酸突然変異を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、D71、N76、又はY82にアミノ酸置換を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、N D71、N76、又はY82が欠失しているヒトTIM-3の変異体に結合しない。
【0218】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のY82に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のY82との結合について、本明細書に記載される抗TIM-3抗体と競合する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Y82にアミノ酸突然変異を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Y82にアミノ酸置換を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Y82が欠失しているヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のD71に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のD71との結合について、本明細書に記載される抗TIM-3抗体と競合する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、D71にアミノ酸突然変異を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、D71にアミノ酸置換を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、D71が欠失しているヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のN76に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のN76との結合について、本明細書に記載される抗TIM-3抗体と競合する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、N76にアミノ酸突然変異を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、N76にアミノ酸置換を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、N76が欠失しているヒトTIM-3の変異体に結合しない。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトTIM-3のD71、N76、及びY82に特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ヒトTIM-3のD71、N76、及びY82との結合について、本明細書に記載される抗TIM-3抗体と競合する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、D71、N76、及びY82にアミノ酸突然変異を有するヒトTIM-3の変異体に結合しない。
【0219】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、高い親和性で、例えば、10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、10-9M以下、5×10-10M以下、10-10M以下、5×10-11M以下、10-11M以下、5×10-12M以下、10-12M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、10-8M~10-7M、10-10M~10-8M、10-9M~10-8M、10-11M~10-9M、又は10-10M~10-9MのKDでヒトTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、10-11M~5×10-9MのKDでヒトTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、高い親和性で、例えば、BLIによって決定したとき、10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、10-9M以下、5×10-10M以下、10-10M以下、5×10-11M以下、10-11M以下、5×10-12M以下、10-12M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、10-8M~10-7、10-10M~10-8M、10-9M~10-8M、10-11M~10-9M、又は10-10M~10-9MのKDで可溶性ヒトTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、10-11M~5×10-9MのKDで可溶性ヒトTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、フローサイトメトリー及びスキャッチャードプロットによって決定したとき、10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、10-9M以下、5×10-10M以下、10-10M以下、5×10-11M以下、10-11M以下、5×10-12M以下、10-12M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、10-8M~10-7、10-10M~10-8M、10-9M~10-8M、10-11M~10-9M、又は10-10M~10-9MのKDで、例えば、活性化されたヒトT細胞上の結合型(例えば、細胞膜結合型)ヒトTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、フローサイトメトリーによって決定したとき、10μg/mL以下、5μg/mL以下、1μg/mL以下、0.9μg/mL以下、0.8μg/mL以下、0.7μg/mL以下、0.6μg/mL以下、0.5μg/mL以下、0.4μg/mL以下、0.3μg/mL以下、0.2μg/mL以下、0.1μg/mL以下、0.05μg/mL以下、又は0.01μg/mL以下のEC50で、例えば、活性化されたヒトT細胞上の結合した(例えば、細胞膜に結合した)ヒトTIM-3に結合する。
【0220】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、10-9M以下、5×10-10M以下、10-10M以下、5×10-11M以下、10-11M以下、5×10-12M以下、10-12M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、10-8M~10-7、10-10M~10-8M、10-9M~10-8M、10-11M~10-9M、又は10-10M~10-9MのKDでカニクイザルTIM-3に結合する。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、BLI(例えば、実施例に記載されている)によって決定したとき、10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、10-9M以下、5×10-10M以下、10-10M以下、5×10-11M以下、10-11M以下、5×10-12M以下、10-12M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、10-8M~10-7、10-10M~10-8M、10-9M~10-8M、10-11M~10-9M、又は10-10M~10-9MのKDで可溶性カニクイザルTIM-3に結合する。抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、フローサイトメトリー(例えば、実施例に記載されている)によって測定したとき、例えば、100nM以下、10nM以下、100nM~0.01nM、100nM~0.1nM、100nM~1nM、又は10nM~1nMのEC50で膜結合型カニクイザルTIM-3に結合することができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、フローサイトメトリー及びスキャッチャードプロットによって決定したとき、例えば、10-7M以下、10-8M以下、5×10-9M以下、10-9M以下、5×10-10M以下、10-10M以下、5×10-11M以下、10-11M以下、5×10-12M以下、10-12M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、10-8M~10-7、10-10M~10-8M、10-9M~10-8M、10-11M~10-9M、又は10-10M~10-9MのKDで、活性化されたヒトT細胞上の結合型(例えば、細胞膜結合型)カニクイザルTIM-3に結合する。
【0221】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、カニクイザルTIM-3に検出可能な程度には結合しない。
【0222】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、獲得免疫応答を刺激又は増強する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、T細胞を、例えば、腫瘍内で活性化することにより、免疫応答を刺激又は増強する。例えば、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、TIM-3によって媒介されるT細胞阻害活性の阻害によって生じ得る増強されたサイトカイン(例えば、IFN-γ)分泌及び/又は増強された増殖から明らかなように、細胞を活性化又は共刺激することができる。いくつかの実施態様において、TIM-3抗体又は抗原結合断片によるT細胞活性化又は共刺激は、CD3刺激の存在下で生じる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、例えば、初代ヒトT細胞及び/又はヒトTIM-3を発現するT細胞、例えば、TILで測定したとき、IFN-γ分泌を、50%、100%(すなわち、2倍)、3倍、4倍、5倍、又はそれを上回って、任意に最大10倍、30倍、100倍まで増大させる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3の阻害効果を遮断又は軽減する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3を発現するT細胞(例えば、Th1細胞又はTIL)におけるIFN-γ産生を増大させた。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3を発現するT細胞(例えば、Th1細胞又はTIL)の増殖を増強する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイでT細胞増殖を刺激する。
【0223】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、自然免疫応答を刺激又は増強する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、樹状細胞、マクロファージ、又は単球などの骨髄細胞の活性化を誘導又は刺激する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3によって媒介される樹状細胞、マクロファージ、又は単球などの骨髄細胞の抑制を軽減又は阻害する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3によって媒介されるインフラマソーム活性化の調節又は抑制を軽減又は阻害する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、IL-18及び可溶性CD25などのインフラマソームによって活性化されるサイトカインの産生を誘導又は刺激する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒトIL-1β、IL-18、IL-6、TNFα、又はグラニュリシンなどの、単球/マクロファージ活性化によって産生される炎症性サイトカインの産生を誘導又は刺激する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、IL-10及びパーフォリンなどのTregエフェクター分子の産生を誘導又は刺激する。
【0224】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、細胞上のTIM-3に結合したとき、細胞表面TIM-3を内在化又は下方調節する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、免疫細胞、例えば、CD4+、CD8+ T細胞、Th1細胞、NK細胞、NKT細胞、骨髄細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、もしくは単球)、又はTIL上のTIM-3に結合したとき、細胞表面TIM-3を内在化又は下方調節する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、T細胞上のTIM-3に結合したとき、細胞表面TIM-3を内在化又は下方調節する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、NK細胞上のTIM-3に結合したとき、細胞表面TIM-3を内在化又は下方調節する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、腫瘍細胞上のTIM-3に結合したとき、細胞表面TIM-3を内在化又は下方調節する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、腫瘍細胞上のTIM-3に結合したとき、細胞表面TIM-3を内在化又は下方調節しない。
【0225】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、TIM-3リガンドが結合するTIM-3上の部位に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、TIM-3とTIM-3リガンドの間の相互作用を遮断し、ここで、TIM-3リガンドは、PtdSer、HMGB1、CEACAM-1、又はこれらの任意の組合せである。いくつかの実施態様において、TIM-3リガンドはPtdSerであり、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、PtdSerが結合するTIM-3上の部位に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、PtdSerとTIM-3との相互作用を遮断する。いくつかの実施態様において、TIM-3リガンドはCEACAM-1であり、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、CEACAM-1が結合するTIM-3上の部位に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、CEACAM-1とTIM-3との相互作用を遮断する。いくつかの実施態様において、TIM-3リガンドはHMGB1であり、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、HMGB1が結合するTIM-3上の部位に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、HMGB1とTIM-3との相互作用を遮断する。いくつかの実施態様において、例えば、ヒトTIM-3でトランスフェクトされたCHO細胞又はTIM-3を発現する活性化T細胞を用いる結合アッセイで、TIM-3とそのリガンド、例えば、PtdSerとの結合を、当技術分野で認識されている方法、例えば、FACSベースの結合アッセイで、約1μg/mL以下、例えば、約0.9pg/mL以下、約0.85pg/mL以下、約0.8pg/mL以下、約0.75pg/mL以下、約0.7pg/mL以下、約0.65pg/mL以下、約0.6pg/mL以下、約0.55pg/mL以下、約0.5pg/mL以下、約0.45pg/mL以下、約0.4pg/mL以下、約0.35pg/mL以下、約0.3pg/mL以下、約0.25pg/mL以下、約0.2pg/mL以下、約0.15pg/mL以下、約0.1pg/mL以下、又は約0.05pg/mL以下のEC50で阻害する本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片。
【0226】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、PS-hTIM-3「インタンデム」遮断アッセイによって測定したとき、ホスファチジルセリンとTIM-3との結合を阻害する。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、細胞、例えば、ヒトTIM-3を発現するCHO細胞又は活性化T細胞上のPtdSerとヒトTIM-3との結合を、例えば、10pg/mL以下、1pg/mL以下、0.01pg/mL~10pg/mL、0.1pg/mL~10pg/mL、又は0.1pg/mL~1pg/mLのEC50で阻害する。
【0227】
したがって、当技術分野で公知であり、かつ本明細書に記載される方法論に従って決定したされるこれらの機能的特性(例えば、生化学的、免疫化学的、細胞、生理学的、又は他の生物学的活性など)のうちの1つ又は複数を示す抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、抗体の非存在下で(例えば、又は無関係な特異性の対照抗体が存在するときに)見られるものと比べて、特定の活性における統計的に有意な差を示すことが理解されるであろう。いくつかの実施態様において、所与のアッセイにおける抗TIM-3抗体又は抗原結合断片によって誘導される測定パラメータ(例えば、T細胞増殖、サイトカイン産生)の増加は、測定パラメータの少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、100%(すなわち、2倍)、3倍、5倍、又は10倍の統計的に有意な増加をもたらし、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、抗体の非存在下で実施される同じアッセイと比べて、測定パラメータを、例えば、92%、94%、95%、97%、98%、99%、100%(すなわち、2倍)、3倍、5倍、又は10倍より大きく増加させることができる。逆に、所与のアッセイにおける抗TIM-3抗体によって誘導される測定パラメータ(例えば、腫瘍体積、ヒトTIM-3に対するTIM-3リガンド結合)の減少は、測定パラメータの少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の統計的に有意な減少をもたらし、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、抗体の非存在下で実施される同じアッセイと比べて、測定パラメータを、例えば、92%、94%、95%、97%、98%、又は99%より大きく減少させることができる。
【0228】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、例えば、CHO-OKT3-CD32:T細胞共培養実験での抗TIM-3抗体の架橋において決定したとき、アゴニスト活性を有さず、そのような抗体は、抗TIM-3単独を超えて活性を増強しない。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、アゴニスト活性を促進することなく、TIM-3とそのリガンドとの相互作用を遮断する。
【0229】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、リポ多糖(LPS)で処理された単球又は樹状細胞からのIL-12産生を増強する。
【0230】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、処理を組み合わせ、したがって、CD8+ T細胞の枯渇を回避することにより、PD-1とTIM-3を共発現する腫瘍浸潤性CD8+ T細胞を回復させる。
【0231】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、様々な当技術分野で公知の方法によって、その物理的、化学的、及び/又は生物学的特性について解析することができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、TIM-3(例えば、ヒトTIM-3)に結合するその能力について試験される。結合アッセイとしては、BLI、SPR(例えば、Biacore)、ELISA、FACS、ウェスタンブロット、及びRIAが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、抗体は、溶解度、安定性、熱安定性、粘度、発現レベル、発現品質、及び/又は精製効率について評価することができる。TIM-3の機能的特性(例えば、リガンド結合、T細胞増殖、サイトカイン産生)に対する抗体の効果を評価するアッセイは、以下及び実施例でさらに詳細に記載されている。
【0232】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、ネイティブ抗体ではない、又は天然に存在する抗体ではない。例えば、抗TIM-3抗体は、例えば、より多い、より少ない、又は異なるタイプの翻訳後修飾を有することにより、天然に存在する抗体のものとは異なる翻訳後修飾を有する。
【0233】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、天然に又は介入によって化学的に修飾されている。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、及び/又は細胞リガンドもしくは他のタンパク質への連結によって化学的に修飾されている。数多くの化学修飾はいずれも、公知の技法によって実施することができる。抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、アミノ酸の1以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸を含む)、及び当技術分野で公知の他の修飾を含むことができる。
【0234】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、細胞毒性剤又は細胞毒性部分にコンジュゲートされる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ADC(抗体-薬物コンジュゲート)を形成するように、細胞毒性剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施態様において、細胞毒性部分は、限定されないが、メトトレキサート、アドリアマイシン/ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロランブシル、デュオカルマイシン、ダウノルビシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、又は他のインターカレート剤を含む、化学療法剤である。いくつかの実施態様において、細胞毒性部分は、限定されないが、オーリスタチン、メイタンシノイド(例えば、DM1及びDM4)、並びにチューブリシンを含む、微小管阻害剤である。いくつかの実施態様において、細胞毒性部分は、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性のある毒素、又はその断片であり、これには、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性部分、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ダイアンシンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、抗体は、1以上の小分子毒素、例えば、カリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコテン(trichothene)、及びCC1065にコンジュゲートされる。
【0235】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、薬剤が診断及び/又は検出に使用されるのを可能にする検出可能な物質又は分子にコンジュゲートされる。検出可能な物質としては、酵素、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼ;補欠分子族、例えば、ビオチン及びフラビン;蛍光物質、例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、シアニン(Cy3)、及びフィコエリスリン;生物発光物質、例えば、ルシフェラーゼ;放射性物質、例えば、212Bi、14C、57Co、51Cr、67Cu、18F、68Ga、67Ga、153Gd、159Gd、68Ge、3H、166Ho、131I、125I、123I、121I、115In、113In、112In、111In、140La、177Lu、54Mn、99Mo、32P、103Pd、149Pm、142Pr、186Re、188Re、105Rh、97Ru、35S、47Sc、75Se、153Sm、113Sn、117Sn、85Sr、99mTc、201Ti、133Xe、90Y、69Yb、175Yb、65Zn;陽電子放射金属;並びに磁性金属イオン陽電子放射金属;並びに磁性金属イオンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0236】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、二重特異性分子又は多重特異性分子、例えば、二重特異性抗体又は多重特異性抗体であることができる。単一特異性抗TIM-3抗体又はその抗原結合性部分を誘導体化するか、又は別の結合部分、例えば、別のペプチドもしくはタンパク質(例えば、受容体に対する別の抗体もしくはリガンド)に連結して、少なくとも2つの異なる結合部位又は標的分子に結合する二重特異性分子を作製することができる。例えば、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、組合せ治療の潜在的標的として使用することができる任意のタンパク質、例えば、本明細書に記載されるタンパク質に特異的に結合する抗体又はscFvに連結することができる。第二の標的は、PD-1、PD-L1、CEACAM1、CEACAM5、GITR、又はLAG-3であることができる。本明細書に記載される抗体及び抗原結合断片を、実際に、誘導体化するか、又は複数の他の機能的分子に連結して、2つよりも多くの結合部位を有し、かつ2つよりも多くの標的分子に結合する多重特異性分子を作製することができる。本明細書に記載される二重特異性分子(例えば、二重特異性抗体)を生成させるためには、本明細書に記載される抗体を、二重特異性分子が生じるように、1以上の他の結合分子、例えば、別の抗体、抗原結合断片、ペプチド、又は結合ミメティックに(例えば、化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的会合、又はその他によって)機能的に連結することができる。
【0237】
したがって、本明細書に提供されるのは、TIM-3に対する少なくとも第一の結合特異性及び第二の標的抗原に対する第二の結合特異性を含む二重特異性分子(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、第三の結合特異性をさらに含むことができる多重特異性分子(例えば、多重特異性抗体)である。
【0238】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される二重特異性分子は、結合特異性として、少なくとも1つの抗体、又は例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、もしくは単鎖Fv(scFv)を含む、その抗体断片を含む。抗体は、米国特許第4,946,778号に記載されているような、軽鎖もしくは重鎖二量体、又はその任意の最小断片、例えば、Fvもしくは単鎖コンストラクトであることができる。
【0239】
ヒト又はヒト化モノクローナル抗体が好ましいが、本明細書に記載される二重特異性分子で利用することができる他の抗体は、マウス及びキメラモノクローナル抗体である。
【0240】
本明細書に記載される二重特異性分子は、当技術分野で公知の方法を用いて、構成成分である結合特異性をコンジュゲートすることにより調製することができる。例えば、二重特異性分子の各々の結合特異性を個別に生成させ、その後、互いにコンジュゲートすることができる。結合特異性がタンパク質又はペプチドである場合、種々のカップリング剤又は架橋剤を共有結合的コンジュゲーションに使用することができる。架橋剤の例としては、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、及びスルホスクシンイミジル 4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(スルホ-SMCC)が挙げられる(例えば、Karpovskyらの文献(1984) J. Exp. Med. 160: 1686; Liu, MAらの文献(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648を参照)。他の方法としては、Paulusの文献(1985) Behring Ins. Mitt. No. 78, 118-132; Brennanらの文献(1985) Science 229:81-83)、及びGlennieらの文献(1987) J. Immunol. 139: 2367-2375)に記載されているものが挙げられる。コンジュゲート剤には、どちらもPierce Chemical社(Rockford, IL)から入手可能なSATA及びスルホ-SMCCがある。
【0241】
結合特異性が抗体である場合、それは、2つの重鎖のC-末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合を介してコンジュゲートすることができる。いくつかの実施態様において、ヒンジ領域は、コンジュゲーション前に、奇数の、好ましくは、1つのスルフヒドリル残基を含有するように修飾される。
【0242】
或いは、両方の結合特異性は、同じベクター中でコードされ、同じ宿主細胞で発現され、かつ会合することができる。この方法は、二重特異性分子が、mAb×mAb、mAb×Fab、mAb×(scFv)2、Fab×F(ab')2、又はリガンド×Fab融合タンパク質である場合、特に有用である。二重特異性抗体は、各々の重鎖のC-末端にscFvを含む抗体を含むことができる。本明細書に記載される二重特異性分子は、1つの単鎖抗体及び結合決定基を含む単鎖分子、又は2つの結合決定基を含む単鎖二重特異性分子であることができる。二重特異性分子は、少なくとも2つの単鎖分子を含むことができる。二重特異性分子を調製するための方法は、例えば、米国特許第5,260,203号;米国特許第5,455,030号;米国特許第4,881,175号;米国特許第5,132,405号;米国特許第5,091,513号;米国特許第5,476,786号;米国特許第5,013,653号;米国特許第5,258,498号;及び米国特許第5,482,858号に記載されている。
【0243】
二重特異性分子とその特異的標的との結合は、当技術分野で認識されている方法、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、FACS解析、バイオアッセイ(例えば、増殖阻害)、又はウェスタンブロットアッセイを用いて確認することができる。これらのアッセイの各々は、通常、目的の複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体)を利用することにより、特に関心のあるタンパク質-抗体複合体の存在を検出することができる。
【0244】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、固体支持体に結合させることができる。そのような固体支持体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、固定された抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、免疫アッセイにおいて使用される。いくつかの実施態様において、固定された抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、標的抗原(例えば、ヒトTIM-3)の精製において使用される。
【0245】
(5.3 ポリヌクレオチド及びベクター)
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片)をコードするポリヌクレオチドである。「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのコード配列のみを含むポリヌクレオチド並びに追加のコード配列及び/又は非コード配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本開示のポリヌクレオチドは、RNAの形態のもの又はDNAの形態のものであることができる。DNAは、cDNA、ゲノムDNA、又は合成DNAであることができ、かつ二本鎖又は一本鎖であることができる。一本鎖DNAは、コード鎖又は非コード(アンチセンス)鎖であることができる。本開示のポリヌクレオチドは、mRNAであることができる。
【0246】
本明細書で明示的に想定されるのは、本明細書に開示される任意の抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドである。説明のために、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、(a)(1)配列番号86~93及び129~137からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号94~100及び138~144からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに(3)配列番号47~55、145~153、及び198~206からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVL;並びに/又は(b)(1)配列番号101~108及び154~161からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号109~118及び162~170からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに(3)配列番号119~128及び171~179からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;又は該VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVHを含む抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードする。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、(a)(1)配列番号31~38からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号39~46からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号47~55からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;又は該VL CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVL;並びに/又は(b)(1)配列番号56~63からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号64~73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに(3)配列番号74~83からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;又は該VH CDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を含むVHを含む抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードする。
【0247】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、(a)配列番号1~10、21、180~188、及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは100%の配列同一性を有するVL;並びに/又は(b)配列番号11~20、22~29、及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVHを含む抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードする。ポリヌクレオチドは、DNAの形態のものであることができる。ポリヌクレオチドは、mRNAの形態のものであることができる。
【0248】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、VL及びVHを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードし、ここで、VLは、VL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、VHは、VH CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、かつここで、VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、(1)それぞれ、配列番号86、94、47、101、109、及び119;(2)それぞれ、配列番号87、95、48、102、110、及び120;(3)それぞれ、配列番号88、96、49、103、111、及び121;(4)それぞれ、配列番号89、97、50、104、112、及び122;(5)それぞれ、配列番号90、94、51、105、113、及び123;(6)それぞれ、配列番号91、98、52、106、114、及び124;(7)それぞれ、配列番号91、98、53、106、115、及び125;(8)それぞれ、配列番号92、99、54、107、116、及び126;(9)それぞれ、配列番号93、100、55、108、117、及び127;(10)それぞれ、配列番号91、98、52、106、118、及び128;(11)それぞれ、配列番号129、138、145、106、162、及び171;(12)それぞれ、配列番号130、139、146、154、163、及び172;(13)それぞれ、配列番号131、140、147、155、164、及び173;(14)それぞれ、配列番号132、141、148、156、165、及び174;(15)それぞれ、配列番号133、139、149、157、166、及び175;(16)それぞれ、配列番号134、142、150、158、167、及び176;(17)それぞれ、配列番号135、143、151、159、168、及び177;(18)それぞれ、配列番号136、144、152、160、169、及び178;(19)それぞれ、配列番号137、100、153、161、170、及び179;(20)それぞれ、配列番号86、94、198、101、109、及び119;(21)それぞれ、配列番号86、94、199、101、109、及び119;(22)それぞれ、配列番号86、94、200、101、109、及び119;(23)それぞれ、配列番号86、94、201、101、109、及び119;(24)それぞれ、配列番号86、94、202、101、109、及び119;(25)それぞれ、配列番号86、94、203、101、109、及び119;(26)それぞれ、配列番号86、94、204、101、109、及び119;(27)それぞれ、配列番号86、94、205、101、109、及び119;又は(28)それぞれ、配列番号86、94、206、101、109、及び119のアミノ酸配列;又はCDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を有する。ポリヌクレオチドは、DNAの形態のものであることができる。ポリヌクレオチドは、mRNAの形態のものであることができる。
【0249】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、VL及びVHを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードし、ここで、VLは、VL CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、VHは、VH CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、かつここで、VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3は、(1)それぞれ、配列番号31、39、47、56、64、及び74;(2)それぞれ、配列番号32、40、48、57、65、及び75;(3)それぞれ、配列番号33、41、49、58、66、及び76;(4)それぞれ、配列番号34、42、50、59、67、及び77;(5)それぞれ、配列番号35、43、51、60、68、及び78;(6)それぞれ、配列番号36、44、52、61、69、及び79;(7)それぞれ、配列番号36、44、53、61、70、及び80;(8)それぞれ、配列番号37、45、54、62、71、及び81;(9)それぞれ、配列番号38、46、55、63、72、及び82;又は(10)それぞれ、配列番号36、44、52、61、73、及び83のアミノ酸配列;又はCDR中に最大約5個のアミノ酸置換、付加、及び/もしくは欠失を有するこれらの変異体を有する。ポリヌクレオチドは、DNAの形態のものであることができる。ポリヌクレオチドは、mRNAの形態のものであることができる。
【0250】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、VL及びVHを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードし、ここで、VL及びVHは、(1)それぞれ、配列番号1及び11;(2)それぞれ、配列番号2及び12;(3)それぞれ、配列番号3及び13;(4)それぞれ、配列番号4及び14;(5)それぞれ、配列番号5及び15;(6)それぞれ、配列番号6及び16;(7)それぞれ、配列番号7及び17;(8)それぞれ、配列番号8及び18;(9)それぞれ、配列番号9及び19;(10)それぞれ、配列番号10及び20;(11)それぞれ、配列番号180及び189;(12)それぞれ、配列番号181及び190;(13)それぞれ、配列番号182及び191;(14)それぞれ、配列番号183及び192;(15)それぞれ、配列番号184及び193;(16)それぞれ、配列番号185及び194;(17)それぞれ、配列番号186及び195;(18)それぞれ、配列番号187及び196;又は(19)それぞれ、配列番号188及び197のアミノ酸配列を有する。
【0251】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、VL及びVHを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードし、ここで、VLは、配列番号21及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、かつVHは、配列番号22~29からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、VL及びVHは、(1)それぞれ、配列番号21及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(2)それぞれ、配列番号207及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(3)それぞれ、配列番号208及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(4)それぞれ、配列番号209及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(5)それぞれ、配列番号210及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(6)それぞれ、配列番号211及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(7)それぞれ、配列番号212及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(8)それぞれ、配列番号213及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(9)それぞれ、配列番号214及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29);(10)それぞれ、配列番号215及び28(又は22、23、24、25、26、27、もしくは29)のアミノ酸配列を有する。ポリヌクレオチドは、DNAの形態のものであることができる。ポリヌクレオチドは、mRNAの形態のものであることができる。
【0252】
いくつかの実施態様において、VL及びVHは、リンカーによって接続される。いくつかの実施態様において、リンカーは、(GGGGS)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号216)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、(EAAAK)n、n=1、2、3、4、又は5(配列番号217)というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、リンカーは、
【化7】
というアミノ酸配列を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、配列番号1~10、21、180~188、及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVLを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードする。また提供されるのは、配列番号1~10、21、180~188、及び207~215からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVLを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、配列番号11~20、22~29、及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVHを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードする。また提供されるのは、配列番号11~20、22~29、及び189~197からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は100%の配列同一性を有するVHを含む本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである。いくつかの実施態様において、ハイブリダイゼーションは、当業者に知られているような高ストリンジェンシーの条件下のものである。ポリヌクレオチドは、DNAの形態のものであることができる。ポリヌクレオチドは、mRNAの形態のものであることができる。
【0253】
本開示は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドの変異体も提供し、ここで、該変異体は、例えば、本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の断片、類似体、及び/又は誘導体をコードする。いくつかの実施態様において、本開示は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、又は少なくとも約99%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド配列と少なくとも約80%同一、少なくとも約85%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約96%同一、少なくとも約97%同一、少なくとも約98%同一、又は少なくとも約99%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを提供する。
【0254】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド配列と少なくとも約95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド」という語句は、ポリヌクレオチド配列が参照ヌクレオチド配列の各々100ヌクレオチド当たり最大5つの点突然変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意味する。すなわち、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中のヌクレオチドの最大5%を欠失させるかもしくは別のヌクレオチドと置換することができ、又は参照配列中の全ヌクレオチドの最大5%のいくつかのヌクレオチドを参照配列に挿入することができる。参照配列のこれらの突然変異は、参照ヌクレオチド配列の5'もしくは3'末端位置に、又は参照配列中のヌクレオチドの間に個々に分散してかもしくは参照配列内の1以上の連続基中で分散してかのいずれかで、これらの末端位置の間のどこかに存在することができる。
【0255】
ポリヌクレオチド変異体は、コード領域、非コード領域、又はその両方に改変を含有することができる。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、サイレントな置換、付加、又は欠失を生じるが、コードされたポリペプチドの性質も活性も変化させない改変を含有する。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、(遺伝暗号の縮重のために)ポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらさないサイレント置換を含む。ポリヌクレオチド変異体は、種々の理由で、例えば、特定の宿主用にコドン発現を最適化する(例えば、ヒトmRNA中のコドンを大腸菌などの細菌宿主によって好まれるものに変化させる)ために産生することができる。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、配列の非コード領域又はコード領域に少なくとも1つのサイレント突然変異を含む。
【0256】
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、コードされたポリペプチドの発現(又は発現レベル)を修飾するか又は改変するように産生される。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、コードされたポリペプチドの発現を増大させるように産生される。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、コードされたポリペプチドの発現を減少させるように産生される。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、親ポリヌクレオチド配列と比較したとき、コードされたポリペプチドの発現が増大している。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチド変異体は、親ポリヌクレオチド配列と比較したとき、コードされたポリペプチドの発現が減少している。
【0257】
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、宿主細胞からのポリペプチドの発現及び分泌を助けるポリヌクレオチド(例えば、ポリペプチドの輸送を制御するための分泌配列として機能するリーダー配列)に同じリーディングフレームで融合されたポリペプチド(例えば、抗体)のコード配列を含む。ポリペプチドは、該ポリペプチドの「成熟」形態を形成するように宿主細胞によって切断されるリーダー配列を有することができる。
【0258】
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、マーカー又はタグ配列に同じリーディングフレームで融合されたポリペプチド(例えば、抗体)のコード配列を含む。例えば、いくつかの実施態様において、マーカー配列は、マーカーに融合されたポリペプチドの効率的な精製を可能にするヘキサ-ヒスチジンタグ(HIS-タグ)である。いくつかの実施態様において、哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)が使用される場合、マーカー配列は、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するヘマグルチニン(HA)タグである。いくつかの実施態様において、マーカー配列は、FLAG(商標)タグである。いくつかの実施態様において、マーカーは、他のマーカー又はタグと併用することができる。
【0259】
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、単離されている。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。
【0260】
本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含むベクター及び細胞も提供される。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるポリヌクレオチドを含むベクターである。ベクターは、発現ベクターであることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるベクターは、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるベクターは、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の一部であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0261】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを増幅及び発現するために使用することができる組換え発現ベクターである。例えば、組換え発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルス、又は昆虫遺伝子に由来する好適な転写及び/又は翻訳調節エレメントに機能的に連結された、抗TIM-3抗体のポリペプチド鎖をコードする合成又はcDNA由来DNA断片を含む複製可能なDNAコンストラクトであることができる。いくつかの実施態様において、ウイルスベクターが使用される。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連する場合、「機能的に連結される」。例えば、プロモーターは、それが配列の転写を制御する場合、コード配列に機能的に連結され;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にするように配置される場合、コード配列に機能的に連結される。いくつかの実施態様において、特定の発現系における使用について意図される構造エレメントは、宿主細胞による翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。いくつかの実施態様において、組換えタンパク質がリーダー配列又は輸送配列なしで発現される状況で、ポリペプチドは、N-末端メチオニン残基を含むことができる。
【0262】
多種多様な発現宿主/ベクターの組合せを利用することができる。真核生物宿主用の有用な発現ベクターとしては、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、及びサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが挙げられる。細菌宿主用の有用な発現ベクターとしては、公知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9、及びこれらの派生物を含む大腸菌由来のプラスミド、並びにより幅広い宿主範囲のプラスミド、例えば、M13及び他の糸状一本鎖DNAファージが挙げられる。
【0263】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、1以上のベクターから発現される。発現用の好適な宿主細胞としては、適切なプロモーターの制御下の原核生物、酵母細胞、昆虫細胞、又は高等真核生物細胞が挙げられる。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物宿主とともに使用するための適切なクローニング及び発現ベクター、並びに抗体産生を含むタンパク質産生の方法は、当技術分野において周知である。
【0264】
好適な哺乳動物宿主細胞株の例としては、COS-7(サル腎臓由来)、L-929(マウス線維芽細胞由来)、C127(マウス乳腺腫瘍由来)、3T3(マウス線維芽細胞由来)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)、HeLa(ヒト子宮頸癌由来)、BHK(ハムスター腎臓線維芽細胞由来)、HEK-293(ヒト胎児腎臓由来)細胞株、及びこれらの変種が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、発現されることになる遺伝子に連結された好適なプロモーター及びエンハンサー、並びに他の5'又は3'隣接非転写配列などの非転写エレメント、並びに必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、並びに転写終結配列などの5'又は3'非翻訳配列を含むことができる。昆虫細胞培養系(例えば、バキュロウイルス)における組換えタンパク質の発現も、正しく折り畳まれ、かつ生物学的に機能するタンパク質を産生するための頑健な方法を提供する。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、当業者に周知である。
【0265】
本開示は、本明細書に記載されるポリペプチド、本明細書に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又はそのようなポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細胞も提供する。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細胞である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される宿主細胞は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される宿主細胞は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の一部であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される宿主細胞は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、細胞は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を産生する。
【0266】
(5.4 産生の方法)
本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、当技術分野で公知かつ利用可能な十分に確立された技法のいずれかを用いて調製し、操作し、かつ/又は発現させることができる。多くのベクターを使用することができる。ベクターの例は、プラスミド、自律複製配列、及び転移因子である。ゲノムに安定に組み込むことができるスリーピングビューティー及びPiggyBacなどの例示的なトランスポゾン系を使用することができる(例えば、Ivicsらの文献、Cell, 91(4): 501-510(1997); Cadinanosらの文献(2007) Nucleic Acids Research. 35(12): e87)。さらなる例示的なベクターとしては、限定するものではないが、プラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、又はP1由来人工染色体(PAC)などの人工染色体、ラムダファージ又はM13ファージなどのバクテリオファージ、及び動物ウイルスが挙げられる。ベクターとして有用な動物ウイルスのカテゴリーの例としては、限定するものではないが、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、及びパポバウイルス(例えば、SV40)が挙げられる。発現ベクターの例は、哺乳動物における発現のためのpClneoベクター(Promega);哺乳動物におけるレンチウイルス媒介性遺伝子移入及び発現のためのpLenti4/V5-DEST(商標)、pLenti6/V5-DEST(商標)、及びpLenti6.2/V5-GW/lacZ(Invitrogen)である。
【0267】
いくつかの実施態様において、ベクターは、エピソーム性ベクター又は染色体外で維持されるベクターである。本明細書で使用される場合、「エピソーム性」という用語は、宿主の染色体DNAに組み込まれることなく、かつ分裂する宿主細胞から徐々に失われることなく複製することができるベクターを指し、該ベクターが染色体外で又はエピソームとして複製することも意味する。ベクターは、リンパ向性ヘルペスウイルスもしくはガンマヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、又は酵母由来のDNA複製起点又は「ori」、具体的には、EBVのoriPに対応するリンパ向性ヘルペスウイルス又はガンマヘルペスウイルスの複製起点をコードする配列を保有するように改変される。いくつかの実施態様において、リンパ向性ヘルペスウイルスは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、ヘルペスウイルス・サイミリ(HS)、又はマレック病ウイルス(MDV)であり得る。エプスタイン・バーウイルス(EBV)及びカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)も、ガンマヘルペスウイルスの例である。通常、宿主細胞は、複製を活性化するウイルス複製トランス活性化因子タンパク質を含む。
【0268】
発現ベクター中に存在する「発現制御配列」、「制御エレメント」、又は「調節性配列」は、ベクターの非翻訳領域-複製起点、選択カセット、プロモーター、エンハンサー、翻訳開始シグナル(シャイン・ダルガーノ配列又はコザック配列)イントロン、ポリアデニル化配列、5'及び3'非翻訳領域-であり、これらは、宿主細胞タンパク質と相互作用して、転写及び翻訳を実行する。そのようなエレメントは、その長さ及び特異性が様々に異なり得る。利用されるベクター系及び宿主によって、遍在性プロモーター及び誘導性プロモーターを含む任意の数の好適な転写及び翻訳エレメントを使用することができる。
【0269】
本開示において使用することができる実例となる遍在性発現制御配列としては、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、ウイルスサルウイルス40(SV40)プロモーター(例えば、初期又は後期)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV) LTRプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV) LTR、単純ヘルペスウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーター、ワクシニアウイルス由来のH5、P7.5、及びP11プロモーター、伸長因子1-α(EF1a)プロモーター、初期増殖応答1(EGR1)、フェリチンH(FerH)、フェリチンL(FerL)、グリセルアルデヒド 3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、真核生物翻訳開始因子4A1(EIF4A1)、熱ショック70kDaタンパク質5(HSPA5)、熱ショックタンパク質90kDaβ、メンバー1(HSP90B1)、熱ショックタンパク質70kDa(HSP70)、β-キネシン(β-KIN)、ヒトROSA 26遺伝子座(Irionsらの文献、Nature Biotechnology 25, 1477-1482(2007))、ユビキチンCプロモーター(UBC)、ホスホグリセリン酸キナーゼ-1(PGK)プロモーター、サイトメガロウイルスエンハンサー/ニワトリβ-アクチン(CAG)プロモーター、並びにβ-アクチンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0270】
誘導性プロモーター/系の実例としては、ステロイド誘導性プロモーター、例えば、グルココルチコイド又はエストロゲン受容体(対応するホルモンによる処理によって誘導される)をコードする遺伝子のプロモーター、メタロチオネインプロモーター(様々な重金属による処理によって誘導される)、MX-1プロモーター(インターフェロンによって誘導される)、「GeneSwitch」ミフェプリストン調節可能系(Sirinらの文献、2003, Gene, 323:67)、クメート(cumate)誘導性遺伝子スイッチ(WO 2002/088346号)、テトラサイクリン依存的調節系などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、化学合成及び組換え発現技法を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって産生することができる。本発明の実施は、別途示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに当業者の範囲内の関連分野における従来の技法を利用する。これらの技法は、本明細書中に引用される参考文献に記載されており、かつ文献中で十分に説明されている。例えば、Maniatisらの文献(1982)、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(1989)、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Sambrookらの文献(2001)、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Ausubelらの文献、分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次更新版);免疫学の最新プロトコル(Current Protocols in Immunology)、John Wiley & Sons(1987年及び年次更新版)、Gait(編)(1984)、オリゴヌクレオチド合成:実践的アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)、IRL Press; Eckstein(編)(1991)、オリゴヌクレオチド及び類似体:実践的アプローチ(Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach)、IRL Press; Birrenらの文献(編)(1999)、ゲノム解析:実験室マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Borrebaeck(編)(1995)、抗体エンジニアリング(Antibody Engineering)、第2版、Oxford University Press; Lo(編)(2006)、抗体エンジニアリング:方法及びプロトコル(Antibody Engineering: Methods and Protocols)(Methods in Molecular Biology);第248巻、Humana Press社を参照されたく;これらは各々、引用により本明細書中に完全に組み込まれる。
【0271】
本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片)は、当技術分野で公知の方法を用いて産生及び単離することができる。ペプチドは、化学的方法を用いて、全体的に又は部分的に合成することができる(例えば、Caruthersの文献(1980). Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 215; Horn(1980);及びBanga, A.K.の文献、治療用ペプチド及びタンパク質、製剤化、プロセシング、及び送達系(Therapeutic Peptides and Proteins, Formulation, Processing and Delivery Systems)(1995) Technomic Publishing Co., Lancaster, PAを参照)。ペプチド合成は、様々な固相技法を用いて実施することができ(例えば、Robergeの文献、Science 269:202(1995); Merrifieldの文献、Methods. Enzymol. 289:3(1997)を参照)、自動合成は、製造元の指示に従って、例えば、ABI 431Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を用いて達成することができる。ペプチドは、コンビナトリアル法を用いて合成することもできる。合成残基及びポリペプチドは、当技術分野で公知の種々の手順及び方法を用いて合成することができる(例えば、有機合成総巻(Organic Syntheses Collective Volumes)、Gilmanらの文献(編) John Wiley & Sons, Inc., NYを参照)。修飾ペプチドは、化学修飾法によって産生することができる(例えば、Belousovの文献、Nucleic Acids Res. 25:3440(1997); Frenkelの文献、Free Radic. Biol. Med. 19:373(1995);及びBlommersの文献、Biochemistry 33:7886(1994)を参照)。ペプチド配列変異、誘導体、置換、及び修飾は、オリゴヌクレオチド媒介性(部位指向性)突然変異誘発、アラニンスキャニング、及びPCRベースの突然変異誘発などの方法を用いて行うこともできる。部位指向性突然変異誘発(Carterらの文献、Nucl. Acids Res., 13:4331(1986); Zollerらの文献、Nucl. Acids Res. 10:6487(1987))、カセット突然変異誘発(Wellsらの文献、Gene 34:315(1985))、制限選択突然変異誘発(Wellsらの文献、Philos. Trans. R. Soc. London SerA 317:415(1986))、及び他の技法をクローン化されたDNAに対して実施して、発明ペプチド配列、変異体、融合体、及びキメラ、並びにこれらの変異、誘導体、置換、及び修飾を産生することができる。
【0272】
本明細書に記載されるポリペプチドは、ハイブリドーマ及び組換え技術の使用、又はこれらの組合せを含む、当技術分野で公知の多種多様な技法を用いて調製することができるいくつかの実施態様において、組換え発現ベクターを用いて、本明細書に記載されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させる。例えば、組換え発現ベクターは、哺乳動物,微生物、ウイルス、又は昆虫遺伝子に由来する好適な転写及び/又は翻訳調節エレメントに機能的に連結されたポリペプチドをコードする合成又はcDNA由来DNA断片を含む複製可能なDNAコンストラクトであることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリペプチドのコード配列は、哺乳動物におけるその発現のためのそのような発現ベクターに連結することができる。いくつかの実施態様において、ウイルスベクターが使用される。DNA領域は、それらが互いに機能的に関連する場合、「機能的に連結される」。例えば、プロモーターは、それが配列の転写を制御する場合、コード配列に機能的に連結され;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にするように配置される場合、コード配列に機能的に連結される。いくつかの実施態様において、酵母発現系における使用について意図される構造エレメントは、宿主細胞による翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。いくつかの実施態様において、組換えタンパク質がリーダー配列又は輸送配列なしで発現される状況で、ポリペプチドは、N-末端メチオニン残基を含むことができる。
【0273】
多種多様な発現宿主/ベクターの組合せを利用することができる。発現用の好適な宿主細胞としては、適切なプロモーターの制御下の原核生物、酵母細胞、昆虫細胞、又は高等真核生物細胞が挙げられる。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主とともに使用するための適切なクローニング及び発現ベクター、並びに抗体産生を含むタンパク質産生の方法は、当技術分野において周知である。細菌宿主用の有用な発現ベクターとしては、公知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9、及びこれらの派生物を含む大腸菌由来のプラスミド、並びにより幅広い宿主範囲のプラスミド、例えば、M13及び他の糸状一本鎖DNAファージが挙げられる。
【0274】
真核生物宿主用の有用な発現ベクターとしては、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルス、及びサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが挙げられる。好適な哺乳動物宿主細胞株の例としては、COS-7(サル腎臓由来)、L-929(マウス線維芽細胞由来)、C127(マウス乳腺腫瘍由来)、3T3(マウス線維芽細胞由来)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)、HeLa(ヒト子宮頸癌由来)、BHK(ハムスター腎臓線維芽細胞由来)、HEK-293(ヒト胎児腎臓由来)細胞株、及びこれらの変種が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、発現されることになる遺伝子に連結された好適なプロモーター及びエンハンサー、並びに他の5'又は3'隣接非転写配列などの非転写エレメント、並びに必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナー及びアクセプター部位、並びに転写終結配列などの5'又は3'非翻訳配列を含むことができる。昆虫細胞培養系(例えば、バキュロウイルス)における組換えタンパク質の発現も、正しく折り畳まれ、かつ生物学的に機能するタンパク質を産生するための頑健な方法を提供する。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、当業者に周知である。
【0275】
本明細書に提供されるのは、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、合成抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、及びこれらの抗原結合断片を含む、抗TIM-3抗体及びその抗原結合断片である。
【0276】
抗体産生の方法は、当技術分野において周知である。例えば、Harlowらの文献、抗体:実験室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988); Hammerlingらの文献:モノクローナル抗体及びT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas)、563 681(Elsevier, N.Y., 1981)を参照されたく、これらは各々、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。ヒトにおける抗体のインビボ使用のために、ヒト抗体を使用することが好ましい場合がある。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的処置のために特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いるファージディスプレイ法(この技法に対する改良を含む)を含む、当技術分野で公知の種々の方法によって作製することができる。米国特許第4,444,887号及び第4,716,111号;並びにPCT公開WO 98/46645号、WO 98/50433号、WO 98/24893号、WO98/16654号、WO 96/34096号、WO 96/33735号、及びWO 91/10741号も参照されたく;これらは各々、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。ヒト抗体は、重鎖及び軽鎖が1以上のヒトDNA源に由来するヌクレオチド配列によってコードされる抗体であることもできる。
【0277】
ヒト抗体は、機能的な内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて産生することもできる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体をランダムに又は相同組換えによってマウス胚性幹細胞に導入することができる。或いは、ヒト重鎖及び軽鎖遺伝子に加えて、ヒト可変領域、定常領域、及び多様性領域をマウス胚性幹細胞に導入することができる。マウス重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入によって個別に又は同時に機能しないようにすることができる。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖接合領域(JH)遺伝子のホモ接合性欠失は内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすと記載されている。修飾された胚性幹細胞を増殖させ、胚盤胞に顕微注入して、キメラマウスを生じさせる。その後、キメラマウスを交配させて、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を生じさせる。トランスジェニックマウスを、選択された抗原、例えば、本発明のポリペプチドの全て又は一部を用いて、通常の方法で免疫する。例えば、ヒトTIM-3抗原に対する抗TIM-3抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて、免疫されたトランスジェニックマウスから得ることができる。このトランスジェニックマウスが有するヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成し、その後、クラススイッチング及び体細胞突然変異を経る。したがって、そのような技法を用いて、限定されないが、IgG1(γ1)及びIgG3を含む、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、及びIgE抗体を産生することができる。ヒト抗体を産生するためのこの技術の概説については、Lonberg及びHuszarの文献(Int. Rev. Immunol., 13:65-93(1995))を参照されたい。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を産生するこの技術並びにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、PCT公開WO 98/24893号、WO 96/34096号、及びWO 96/33735号;並びに米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;及び第5,939,598号を参照されたい。さらに、Abgenix社(Freemont, Calif.)及びGenpharm(San Jose, Calif.)などの会社に、上記の技術と同様の技術を用いて、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することを請け負わせることができる。抗原チャレンジ時にヒト抗体の産生をもたらす生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入の具体的な考察については、例えば、Jakobovitsらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551(1993); Jakobovitsらの文献、Nature, 362:255-258(1993); Bruggermannらの文献、Year in Immunol., 7:33(1993);及びDuchosalらの文献、Nature, 355:258(1992)を参照されたい。
【0278】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーに由来することもできる(Hoogenboomらの文献、J. Mol. Biol., 227:381(1991); Marksらの文献、J. Mol. Biol., 222:581-597(1991); Vaughanらの文献、Nature Biotech., 14:309(1996))。ファージディスプレイ技術(McCaffertyらの文献、Nature, 348:552-553(1990))を用いて、非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからインビトロでヒト抗体及び抗体断片を産生することができる。この技法に従って、抗体Vドメイン遺伝子を、M13又はfdなどの糸状バクテリオファージの大外被タンパク質遺伝子又は小外被タンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面に機能的抗体断片として提示させる。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択は、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択ももたらす。したがって、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、種々のフォーマットで実施することができる;その総説については、例えば、Johnson及びChiswellの文献、Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照されたい。V-遺伝子セグメントのいくつかの源をファージディスプレイに使用することができる。Clacksonら(Nature, 352:624-628(1991))は、抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを、非免疫マウスの脾臓由来のV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリーから単離した。非免疫ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、基本的には、Marksらの文献、J. Mol. Biol., 222:581-597(1991)又はGriffithらの文献、EMBO J., 12:725-734(1993)によって記載されている技法に従って単離することができる。その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,565,332号及び第5,573,905号も参照されたい。
【0279】
ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞によって作製することもできる(その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許第5,567,610号及び第5,229,275号を参照)。ヒト抗体は、ハイブリドーマ技法、例えば、限定されないが、Roderらの文献(Methods Enzymol., 121:140-167(1986))によって記載されているものを用いて、インビトロで作製することもできる。
【0280】
或いは、いくつかの実施態様において、非ヒト抗体はヒト化されており、この場合、抗体の特異的配列又は領域は、ヒトで天然に産生される抗体との類似性を増大させるように修飾される。いくつかの実施態様において、抗原結合ドメイン部分はヒト化されている。
【0281】
ヒト化抗体は、限定されないが、CDR移植(例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、欧州特許EP 239,400号;国際公開WO 91/09967号;並びに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、及び第5,585,089号を参照)、ベニアリング又はリサーフェシング(例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、欧州特許EP 592,106号及びEP 519,596号; Padlanの文献、1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498; Studnickaらの文献、1994, Protein Engineering, 7(6):805-814;並びにRoguskaらの文献、1994, PNAS, 91:969-973を参照)、鎖シャッフリング(例えば、米引用により完全に本明細書中に組み込まれる、国特許第5,565,332号を参照)、並びに例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、米国特許出願US2005/0042664号、米国特許出願公開US2005/0048617号、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開WO 9317105号、Tanらの文献、J. Immunol., 169:1119-25(2002)、Caldasらの文献、Protein Eng., 13(5):353-60(2000)、Moreaらの文献、Methods, 20(3):267-79(2000)、Bacaらの文献、J. Biol. Chem., 272(16):10678-84(1997)、Roguskaらの文献、Protein Eng., 9(10):895-904(1996)、Coutoらの文献、Cancer Res., 55(23 Supp):5973s-5977s(1995)、Coutoらの文献、Cancer Res., 55(8):1717-22(1995)、Sandhu J Sの文献、Gene, 150(2):409-10(1994)、及びPedersenらの文献、J. Mol. Biol., 235(3):959-73(1994)に開示されている技法を含む、当技術分野で公知の種々の技法を用いて産生することができる。しばしば、フレームワーク領域中のフレームワーク残基をCDRドナー抗体由来の対応する残基と置換して、抗原結合を改変する、好ましくは、改善することができる。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリング及び特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較によって同定される(例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、Queenらの文献、米国特許第5,585,089号;及びRiechmannらの文献、1988, Nature, 332:323を参照)。
【0282】
ヒト化抗体は、非ヒトである源からそれに導入された1以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「インポート」残基と呼ばれ、これは、通常、「インポート」可変ドメインから取られる。したがって、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリン分子由来の1以上のCDR及びヒト由来のフレームワーク領域を含む。抗体のヒト化は、当技術分野において周知であり、齧歯類のCDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに使用すること、すなわち、CDR移植により、基本的には、Winter及び共同研究者らの方法(Jonesらの文献、Nature, 321:522-525(1986); Riechmannらの文献、Nature, 332:323-327(1988); Verhoeyenらの文献、Science, 239:1534-1536(1988))に従って行うことができる(その内容が引用により本明細書中に完全に組み込まれる、EP 239,400号; PCT公開WO 91/09967号;及び米国特許第4,816,567号;第6,331,415号;第5,225,539号;第5,530,101号;第5,585,089号;第6,548,640号)。そのようなヒト化キメラ抗体において、無傷のヒト可変ドメインに実質的に満たないものが非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基及び場合によっては、いくつかのFR残基が齧歯類抗体中の類似の部位に由来する残基によって置換されているヒト抗体である。抗体のヒト化は、ベニアリングもしくはリサーフェシング(EP 592,106号; EP 519,596号; Padlanの文献、1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498; Studnickaらの文献、Protein Engineering, 7(6):805-814(1994);及びRoguskaらの文献、PNAS, 91:969-973(1994))又は鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)によって達成することもでき、これらの内容は、引用により本明細書中に完全に組み込まれる。
【0283】
ヒト化抗体を作製する際に使用されることになる重鎖と軽鎖の両方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させるためのものである。いわゆる、「最良適合」法に従って、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。その後、齧歯類の配列に最も近いヒト配列をヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れる(その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Simsらの文献、J. Immunol., 151:2296(1993); Chothiaらの文献、J. Mol. Biol., 196:901(1987))。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用することができる(その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Carterらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285(1992); Prestaらの文献、J. Immunol., 151:2623(1993))。
【0284】
抗体は、標的抗原に対する高い親和性及び他の有益な生物学的特性を保持しながらヒト化することができる。例えば、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の3次元モデルを用いる親配列及び様々な概念的ヒト化産物の解析プロセスによって調製することができる。3次元免疫グロブリンモデルは、一般に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される3次元立体配座構造を説明及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の精査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考えられる役割の解析、すなわち、候補免疫グロブリンが標的抗原と結合する能力に影響を及ぼす残基の解析が可能になる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増加などの所望の抗体特性が得られるように、FR残基をレシピエント配列及びインポート配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合に影響を及ぼす上で直接かつ最も実質的に関与している。
【0285】
ヒト化抗体は、もとの抗体と同様の抗原特異性、例えば、ヒトTIM-3抗原に結合する能力保持する。しかしながら、ある種のヒト化方法を用いると、その内容が引用により完全に本明細書中に組み込まれる、Wuらの文献、J. Mol. Biol., 294:151(1999)によって記載されているような「定向進化」の方法を用いて、特定の抗原に対する抗体の結合の親和性及び/又は特異性を増大させることができる。
【0286】
(5.5 医薬組成物)
本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を含む医薬組成物でもある。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、治療有効量の本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び医薬として許容し得る担体を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、免疫療法において有用である。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、免疫腫瘍学において有用である。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、対象(例えば、ヒト患者)における腫瘍成長を阻害するのに有用である。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、対象(例えば、ヒト患者)における癌を治療するのに有用である。
【0287】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を含む。抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、様々な濃度で存在することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、本明細書に提供される可溶性抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を1~1000mg/mlで含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、本明細書に提供される可溶性抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、10~500mg/ml、10~400mg/ml、10~300mg/ml、10~200mg/ml、10~100mg/ml、20~100mg/ml、又は50~100mg/mlで含む。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、約40mg/ml、約50mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約150mg/ml、約180mg/ml、約200mg/ml、約300mg/ml、約500mg/ml、約800mg/ml、又は約1000mg/mlで含む。投薬量は、当業者によって容易に調整されることができ;例えば、純度の減少は、投薬量の増加を必要とし得る。
【0288】
本明細書に提供されるのは、本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を有する医薬組成物の調製のためのキットでもある。いくつかの実施態様において、キットは、本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び医薬として許容し得る担体を1以上の容器中に含む。別の実施態様において、キットは、対象への投与用の本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を含むことができる。具体的な実施態様において、キットは、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の調製及び/又は投与に関する指示書を含む。
【0289】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片又は細胞を含む医薬組成物であり、ここで、該組成物は、局所投与に好適である。いくつかの実施態様において、局所投与は、腫瘍内注射、腫瘍周辺注射、腫瘍近傍注射、病巣内注射、及び/もしくは腫瘍流入領域リンパ節への注射、又は基本的に全ての腫瘍を標的とする注射を含み、この場合、抗腫瘍剤は、標的とされる固形腫瘍に隣接する一次リンパ節に漏出すると考えられる。
【0290】
本明細書に提供される組成物中で使用することができる医薬として許容し得る担体としては、生理的に適合性がある任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。いくつかの実施態様において、担体は、(例えば、注射又は注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄、又は表皮投与に好適である。投与経路によっては、活性成分(すなわち、本明細書に提供される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は免疫エフェクター細胞)を材料中でコーティングして、酸の作用及び活性成分を不活化し得る他の自然条件から活性成分を保護することができる。
【0291】
本明細書に提供されるのは、その長期保存を可能にするために、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の安定性を向上させる医薬組成物又は製剤でもある。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される医薬組成物又は製剤は、(a)本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片;(b)緩衝剤;(c)安定化剤;(d)塩;(e)充填剤;及び/又は(f)界面活性剤:を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物又は製剤は、少なくとも1カ月、少なくとも2カ月、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも5年、又はそれより長い間、安定である。いくつかの実施態様において、医薬組成物又は製剤は、4℃、25℃、又は40℃で保存されたときに安定である。
【0292】
本明細書に開示される医薬組成物又は製剤において有用な緩衝剤は、別の酸又は塩基の添加後に溶液の酸性度(pH)を選択された値の近くに維持するために使用される弱酸又は塩基であることができる。好適な緩衝化剤は、製剤のpH制御を維持することにより、医薬製剤の安定性を最大化することができる。好適な緩衝化剤は、生理的適合性を確保し又は溶解度を最適化することもできる。レオロジー、粘度、及び他の特性もまた、製剤のpHに依存し得る。一般的な緩衝化剤としては、ヒスチジン、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、及びリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、緩衝剤は、等張剤及び潜在的に、当技術分野で公知の酸又は塩基によるpH調整を伴うヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン)を含む。ある実施態様において、緩衝剤は、L-ヒスチジンである。ある実施態様において、製剤のpHは、約2~約10、又は約4~約8に維持される。
【0293】
安定化剤は、その産物を安定化するために、医薬製品に添加される。そのような薬剤は、様々な方法でタンパク質を安定化することができる。一般的な安定化剤としては、アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、リジン、アルギニン、もしくはトレオニン、炭水化物、例えば、グルコース、スクロース、トレハロース、ラフトノーズ、もしくはマルトース、ポリオール、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、任意の種類及び分子量のシクロデキストリンもしくはデストラン、又はPEGが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、安定化剤は、凍結乾燥調製物中のFIXポリペプチドの安定性を最大化するように選択される。ある実施態様において、安定化剤は、スクロース及び/又はアルギニンである。
【0294】
充填剤を医薬組成物又は製剤に添加して、生成物に体積及び質量を付加し、それにより、その正確な計量及び取扱いを容易にすることができる。一般的な充填剤としては、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、又はステアリン酸マグネシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0295】
界面活性剤は、親水基と疎水基を有する両親媒性物質である。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、又は非イオン性であることができる。非イオン性界面活性剤の例としては、アルキルエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アミンエトキシレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、脂肪アルコール、例えば、セチルアルコールもしくはオレイルアルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート、又はドデシルジメチルアミンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。
【0296】
本明細書に開示される医薬組成物は、緩衝系、防腐剤、張度調整剤、キレート剤、安定化剤、及び/又は界面活性剤のうちの1つ又は複数、並びにこれらの様々な組合せをさらに含むことができる。医薬組成物中の防腐剤、等張剤、キレート剤、安定化剤、及び界面活性剤の使用は、当業者に周知である。レミントン:調剤の科学及び実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)、第19版、1995を参照されたい。
【0297】
いくつかの実施態様において、医薬組成物は、水性製剤である。そのような製剤は、通常、溶液又は懸濁液であるが、コロイド、分散剤、エマルジョン、及び多相材料を含むこともできる。「水性製剤」という用語は、少なくとも50%w/wの水を含む製剤として定義される。同様に、「水性溶液」という用語は、少なくとも50%w/wの水を含む溶液として定義され、「水性懸濁液」という用語は、少なくとも50%w/wの水を含む懸濁液として定義される。
【0298】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される医薬組成物は、フリーズドライされており、それに、医師又は患者が、使用前に、溶媒及び/又は希釈剤を添加する。
【0299】
本明細書に開示される医薬組成物は、医薬として許容し得る抗酸化剤を含むこともできる。医薬として許容し得る抗酸化剤の例としては、(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなど;及び(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など:が挙げられる。
【0300】
本明細書に記載される医薬組成物又は製剤中で利用することができる好適な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、並びに注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンの使用によって、分散剤の場合は、必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0301】
これらの組成物は、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤を含有することもできる。微生物の存在の防止は、上記の滅菌手順と様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどの包含の両方によって確保することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物に含めることが望ましい場合もある。さらに、注射用医薬形態の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの包含によってもたらすことができる。
【0302】
医薬として許容し得る担体としては、滅菌水性溶液又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。医薬として活性のある物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当技術分野で公知である。従来の媒体又は薬剤が活性化合物と不適合である場合を除き、本明細書に記載される医薬組成物におけるそれらの使用が企図される。医薬組成物又は製剤は、防腐剤を含むことができ、又は防腐剤を欠くことができる。補助的な活性化合物を組成物に組み込むことができる。
【0303】
医薬組成物又は製剤は、通常、製造及び保存の条件下で滅菌され、かつ安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度に適した他の秩序ある構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であることができる。適切な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用によって、分散剤の場合は、必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、組成物は、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムを組成物中に含むことができる。注射用組成物の吸収の延長は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることによりもたらすことができる。
【0304】
滅菌注射溶液は、活性化合物を、必要とされる量で、適切な溶媒中に、必要に応じて、上で列挙されている成分の1つ又は組合せとともに組み込み、次いで、滅菌精密濾過を行うことにより調製することができる。通常、分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒及び本明細書に列挙されている成分由来の必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、いくつかの調製方法は、活性成分の粉末と任意のさらなる所望の成分を事前に滅菌濾過されたその溶液から得る真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0305】
本明細書に開示される医薬組成物又は製剤中で担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、様々であり得る。いくつかの実施態様において、担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療効果をもたらす量である。通常、100%のうち、この量は、医薬として許容し得る担体と組み合わせた活性成分の約0.01%~約99%、活性成分の約0.1%~約70%、又は約1%~約30%の範囲に及ぶ。
【0306】
本明細書に開示される医薬組成物は、インプラント、経皮パッチ、マイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤などの、活性成分を急速放出から保護する担体を用いて調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製のための多くの方法が特許取得されているか、又は当業者に一般に知られている。例えば、持続及び制御放出薬物送達系(Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems)、J.R. Robinson編、Marcel Dekker社、New York, 1978を参照されたい。
【0307】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)は、インビボでの適切な分布を確保するように製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本明細書に記載される活性化成分がBBBを確実に通過するようにするために(例えば、脳腫瘍のために望ましい場合)、それを、例えば、リポソーム中に製剤化することができる。リポソームの製造方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;及び第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞又は臓器に選択的に輸送され、その結果、標的化薬物送達を増強する1以上の部分を含むことができる(例えば、V.V. Ranadeの文献(1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685を参照)。例示的な標的化部分としては、葉酸又はビオチン(例えば、Lowらの米国特許第5,416,016号を参照)、マンノシド(Umezawaらの文献(1988) Biochem. Biophys. Res. Commun. 153: 1038);抗体(P.G. Bloemanらの文献(1995) FEBS Lett. 357: 140; M. Owaisらの文献(1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39: 180);サーファクタントタンパク質A受容体(Briscoeらの文献(1995) Am. J. Physiol. 1233: 134); pl20(Schreierらの文献(1994) J. Biol. Chem. 269:9090)が挙げられる; K. Keinanen; M.L. Laukkanenの文献(1994) FEBS Lett. 346: 123; J.J. Killion; I.J. Fidlerの文献(1994) Immunomethods 4:273も参照されたい。
【0308】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、標準的ELISAによって、ヒトTIM-3に対する結合について試験することができる。簡潔に説明すると、マイクロタイタープレートを精製TIM-3でコーティングし、その後、ウシ血清アルブミンでブロッキングする。抗体の希釈液(例えば、TIM-3免疫マウス由来の血漿の希釈液)を各々のウェルに添加し、インキュベートする。プレートを洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートされた二次試薬(例えば、ヒト抗体の場合、ヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬)とともにインキュベートする。洗浄後、プレートを発色させ、分光光度計によって解析することができる。その後、免疫マウス由来の血清を、TIM-3を発現しない対照細胞株に対してではなく、ヒトTIM-3を発現する細胞株に対する結合について、フローサイトメトリーによりさらにスクリーニングすることができる。簡潔に説明すると、抗TIM-3抗体の結合は、TIM-3発現CHO細胞を抗TIM-3抗体とともにインキュベートすることにより評価することができる。細胞を洗浄することができ、結合を抗ヒトIgG Abで検出することができる。フローサイトメトリー解析は、FACScanフローサイトメトリー(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて実施することができる。最も高い力価を発生させるマウスを融合のために使用することができる。
【0309】
上記のELISAアッセイを用いて、抗体、ひいては、TIM-3免疫原と陽性の反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングすることができる。その後、高い親和性でTIM-3に結合する抗体を産生するハイブリドーマをサブクローニングし、さらに特徴付けることができる。その後、親細胞の反応性(ELISAによる)を保持する、各々のハイブリドーマ由来の1つのクローンを、細胞バンク作製用に及び抗体精製用に選ぶことができる。
【0310】
抗TIM-3抗体を精製するために、選択されたハイブリドーマをモノクローナル抗体精製用に増殖させることができる。親和性クロマトグラフィー前に、上清を濾過し、濃縮することができる。純度を確保するために、溶出されたIgGをゲル電気泳動及び高速液体クロマトグラフィーによって調べることができる。緩衝溶液を交換することができ、濃度を決定することができる。モノクローナル抗体を分注し、保存することができる。
【0311】
選択された抗TIM-3モノクローナル抗体がユニークなエピトープに結合するかどうかを決定するために、各々の抗体を、市販の試薬(Pierce, Rockford, IL)を用いてビオチン化することができる。ビオチン化MAbの結合は、ストレプトアビジン標識プローブで検出することができる。未標識モノクローナル抗体とビオチン化モノクローナル抗体を用いる競合試験は、上記のTIM-3コーティングされたELISAプレートを用いて実施することができる。
【0312】
精製抗体のアイソタイプを決定するために、特定のアイソタイプの抗体に特異的な試薬を用いて、アイソタイプELISAを実施することができる。例えば、ヒトモノクローナル抗体のアイソタイプを決定するために、マイクロタイタープレートのウェルを1pg/mlの抗ヒト免疫グロブリンで4℃で一晩コーティングすることができる。1%BSAでブロッキングした後、プレートを1fig/ml以下の試験モノクローナル抗体又は精製アイソタイプ対照と周囲温度で1~2時間反応させる。その後、これらのウェルをヒトIgGl又はヒトIgM特異的アルカリホスファターゼがコンジュゲートされたプローブのいずれかと反応させることができる。プレートを上記のように発色させ、解析する。
【0313】
TIM-3を発現する生きた細胞に対するモノクローナル抗体の結合を試験するために、フローサイトメトリーを実施例に記載されているように使用することができる。簡潔に説明すると、膜結合型TIM-3を発現する細胞株(標準的な増殖条件下で増殖)を、0.1%BSAを含有するPBS中で、様々な濃度のモノクローナル抗体と4℃で1時間混合する。洗浄後、細胞を、一次抗体染色と同じ条件下で、フルオレセイン標識抗IgG抗体と反応させる。試料は、光散乱及び側方散乱特性を用いて単一の細胞にゲートをかけて、FACScan装置によって解析することができ、標識抗体の結合を決定する。フローサイトメトリーアッセイに加えて、又はその代わりに、蛍光顕微鏡法を用いる別のアッセイを使用することができる。細胞を上記と全く同様に染色し、蛍光顕微鏡法によって調べることができる。この方法は、個々の細胞の可視化を可能にするが、抗原の密度によっては、感度を低下させてしまうことがある。
【0314】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、TIM-3抗原との反応性について、ウェスタンブロッティングによってさらに試験することができる。簡潔に説明すると、TIM-3を発現する細胞由来の細胞抽出物を調製し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動に供することができる。電気泳動後、分離された抗原をニトロセルロース膜に転写し、20%マウス血清でブロッキングし、試験されることになるモノクローナル抗体でプロービングする。IgG結合を抗IgGアルカリホスファターゼを用いて検出し、BCIP/NBT基質錠(Sigma Chem. Co., St. Louis, MO)を用いて発色させることができる。
【0315】
様々な抗TIM-3抗体の結合親和性、交差反応性、及び結合反応速度を解析する方法は、当技術分野で公知の標準的なアッセイ、例えば、例として、Gatorシステム(Probe Life)もしくはOctet-96システム(Sartorius AG)を用いるバイオレイヤー干渉法(BLI)、又はBIACORE(商標) 2000 SPR装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)を用いるBIACORE(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)解析を含む。
【0316】
種々のアッセイ(例えば、異なる抗TIM-3抗体を比較するために使用することができるもの)、例えば、本明細書に記載されるアッセイを用いて、抗TIM-3抗体の生物学的活性を特徴付けることができる:
【0317】
(1)T細胞活性化アッセイ、例えば、ヒトドナーのPBMCから得られる純化されたT細胞を用いるアッセイ。アッセイは、TIM-3を発現しているという条件で、全T細胞又はそのサブグループ、例えば、Th1細胞、T細胞傷害性細胞、Treg細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞を用いて実施することができる。活性化は、特定のサイトカイン、例えば、インターフェロン-gもしくはIL-2の分泌のレベル又はT細胞の増殖のレベルを決定することにより測定することができる。特定の作用機序に限定されることを望むものではないが、T細胞上での抗TIM-3抗体とTIM-3との結合は、TIM-3とTIM-3リガンド(推定上のTIM-3リガンドとしては、ガレクチン-9、HMGB 1、セマフォリン-4A、CEACAM-1、ILT-4、及びホスファチジルセリンが挙げられる)との結合を妨げ、それにより、T細胞におけるTIM-3によって媒介されるシグナル伝達を妨げ、それにより、TIM-3によるT細胞の調節を負に妨げることができる。Th1アッセイ、TILアッセイ、及び混合リンパ球反応(MLR)を含む例示的なアッセイが当技術分野で周知である。
【0318】
(2)マクロファージ、例えば、M1又はM2マクロファージの刺激を測定するアッセイ。
【0319】
(3)TIM-3陽性骨髄細胞からの骨髄関連サイトカイン、例えば、TNFα、IL-Iβ、GM-CSF、IL-6、IL-2、IL-10、CCL2、CCL3、CCL4、又はCCL5の分泌を測定するアッセイ。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、TIM-3陽性骨髄細胞からのTNFα、IL-Iβ、GM-CSF、IL-6、及びIL-2の分泌を刺激し、かつ/又はIL-10、CCL2、CCL3、CCL4、もしくはCCL5の分泌を阻害する。
【0320】
通常、免疫応答を阻害する薬剤の生物学的活性を試験するための任意の方法、例えば、TIM-3に関する文献(特許及び特許出願を含む)に記載されている方法を用いて、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の生物学的活性を特徴付けることができる。
【0321】
(5.6 方法及び使用)
本明細書に記載される抗体又は抗原結合断片、組成物、及び方法は、免疫応答の増強、例えば、TIM-3(例えば、シグナル伝達)を阻害する(もしくは拮抗する)ことによるもの又はTIM-3の検出を含む、数多くのインビトロ及びインビボでの有用性を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、ヒト化抗体又は抗原結合断片である。例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、細胞に培養下で、インビトロで、もしくはエクスビボで、又は例えば、種々の疾患において免疫を増強するために、ヒト対象にインビボで投与することができる。したがって、本明細書に提供されるのは、対象の免疫応答を修飾する方法であって、対象における免疫応答が修飾されるように、対象に本明細書に記載される抗TIM-3抗体又はその抗原結合性部分を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、応答は、増強されるか、刺激されるか、又は上方調節される。
【0322】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫細胞活性化を誘導又は刺激する方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫細胞増殖を誘導又は刺激する方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、TIM-3によって媒介される免疫細胞増殖の抑制を低下させる方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫細胞上でのTIM-3とTIM-3リガンド(例えば、ホスファチジルセリン)の間の相互作用を阻害する方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、免疫細胞によるサイトカイン(例えば、IFN-γ)産生を増大させる方法であって、免疫細胞を有効量の本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と接触させることを含む、方法である。
【0323】
免疫細胞は、例えば、T細胞、例えば、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、Tヘルパー(Th)細胞(例えば、Th1細胞)、T細胞傷害性(Tc)細胞、又はTILであることができる。免疫細胞は、NK細胞、NKT細胞、又は骨髄細胞であることもできる。
【0324】
本方法に好適な対象には、免疫応答の増強が望ましいヒト患者が含まれる。本方法は、免疫応答(例えば、T細胞によって媒介される免疫応答、例えば、抗原特異的T細胞応答)を強化することにより治療することができる障害を有するヒト患者を治療するのに特に好適である。いくつかの実施態様において、本方法は、インビボの癌の治療に特に好適である。免疫の抗原特異的増強を達成するために、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を目的の抗原と一緒に投与することができ、又は抗原は、治療されることになる対象(例えば、腫瘍を有するもしくはウイルスを有する対象)に既に存在することができる。TIM-3に対する抗体を別の薬剤と一緒に投与する場合、これら2つを別々に又は同時に投与することができる。
【0325】
また包含されるのは、試料中のヒトTIM-3抗原の存在を検出し、又はヒトTIM-3抗原の量を測定する方法であって、試料を及び対照試料を、モノクローナル抗体、例えば、抗体又は抗原結合断片とヒトTIM-3の間の複合体の形成を可能にする条件下で、ヒトTIM-3に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体又はその抗原結合性部分と接触させることを含む、方法である。その後、複合体の形成を検出し、その場合、対照試料と比較した試料間の異なる複合体形成は、試料中のヒトTIM-3抗原の存在を示すものである。さらに、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を用いて、免疫親和性精製によって、ヒトTIM-3を精製することができる。
【0326】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片が、例えば、TIM-3の負の効果を阻害することにより、T細胞応答、例えば、抗原特異的T細胞応答を刺激又は共刺激する能力を考慮して、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を用いて、抗原特異的T細胞応答、例えば、抗腫瘍T細胞応答を刺激し、増強し、又は上方調節するインビトロ及びインビボの方法である。
【0327】
いくつかの実施態様において、CD3刺激も提供され(例えば、膜CD3を発現する細胞との共インキュベーションによる)、この刺激は、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片による刺激と同時に、その前に、又はその後に提供することができる。例えば、本明細書に提供されるのは、抗原特異的T細胞応答を刺激する方法であって、抗原特異的T細胞応答が刺激されるように、該T細胞を本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片、及び任意に、抗CD3抗体と接触させることを含む、方法である。
【0328】
抗原特異的T細胞応答の任意の好適な指標を用いて、抗原特異的T細胞応答を測定することができる。そのような好適な指標の非限定的な例としては、抗体の存在下でのT細胞増殖の増大及び/又は抗体の存在下でのサイトカイン産生の増大が挙げられる。いくつかの実施態様において、抗原特異的T細胞によるインターロイキン-2及び/又はインターフェロン-γ産生が刺激される。
【0329】
さらに包含されるのは、対象における免疫応答(例えば、抗原特異的T細胞応答)を刺激する方法であって、対象における免疫応答(例えば、抗原特異的T細胞応答)が刺激されるように、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、対象は、腫瘍を有する対象であり、該腫瘍に対する免疫応答が刺激される。腫瘍は、固形腫瘍又は液性腫瘍、例えば、血液学的悪性腫瘍であることができる。いくつかの実施態様において、腫瘍は、免疫原性腫瘍である。いくつかの実施態様において、腫瘍は、非免疫原性腫瘍である。いくつかの実施態様において、腫瘍は、PD-L1陽性である。いくつかの実施態様において、腫瘍は、PD-L1陰性である。対象はまた、ウイルスを有する対象であり、該ウイルスに対する免疫応答が刺激される。
【0330】
さらに提供されるのは、対象における腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、腫瘍の増殖が対象において阻害されるように、対象に本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を投与することを含む、方法である。また提供されるのは、対象におけるウイルス感染を治療する方法であって、ウイルス感染が対象において治療されるように、対象に本明細書に記載される抗TIM-3抗体を投与することを含む、方法である。
【0331】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、補助療法として対象に投与される。抗TIM-3抗体による癌を有する対象の治療は、生存の延長、例えば、現在の標準治療に対する長期にわたる永続的な応答;少なくとも3カ月、6カ月、9カ月、1年、2年、3年、4年、5年、10年以上の長期生存、又は少なくとも3カ月、6カ月、9カ月、1年、2年、3年、4年、5年、もしくは10年以上の無再発生存をもたらすことができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片による癌を有する対象の治療は、癌の再発を予防するか、又は癌の再発を、例えば、3カ月、6カ月、9カ月、1年、2年、3年、4年、5年、又は10年以上、遅延させる。抗TIM-3治療は、一次、二次、又は三次治療として使用することができる。
【0332】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片、例えば、ヒト化3E6による癌を有する対象の治療は、例えば、疾患安定、部分奏効、全生存の延長、無疾患生存の延長、又は無増悪生存の向上をもたらすことができる。
【0333】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体は、顕著な毒性を有さない。例えば、TIM-3抗体は、例えば、臨床試験で決定したとき、ヒトの臓器、例えば、肝臓、腎臓、脳、肺、及び心臓のうちの1つ又は複数に対して顕著な毒性を有さない。いくつかの実施態様において、TIM-3抗体は、望ましくない免疫応答、例えば、自己免疫又は炎症を顕著には誘発しない。
【0334】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3アンタゴニスト(例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片)による対象の治療は、対象の免疫系が、後に、対象自身を攻撃するか(例えば、自己免疫応答)、又は例えば、アナフィラキシーをもたらす程度までは免疫系の過剰な刺激をもたらさない。したがって、いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体は、アナフィラキシーを引き起こさない。
【0335】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片、例えば、3E6もしくはその変異体(例えば、本明細書に記載されるもの)のCDRもしくは可変領域を含む抗体、又は本明細書に記載される他の抗TIM-3抗体による対象の治療は、顕著な炎症反応、例えば、免疫介在性肺臓炎、免疫介在性結腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性腎炎もしくは腎機能障害、免疫介在性垂体炎、免疫介在性甲状腺機能低下症及び甲状腺機能亢進症、又は他の免疫介在性有害反応を引き起こさない。いくつかの実施態様において、3E6又はその変異体(例えば、本明細書に記載されるもの)のCDR又は可変領域を含む抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、他の抗TIM-3抗体よりも少ない炎症反応、例えば、免疫介在性肺臓炎、免疫介在性結腸炎、免疫介在性肝炎、免疫介在性腎炎もしくは腎機能障害、免疫介在性垂体炎、免疫介在性甲状腺機能低下症及び甲状腺機能亢進症、アナフィラキシー、又は他の免疫介在性有害反応を引き起こす。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体、例えば、3E6もしくはその変異体(例えば、本明細書に記載されるもの)のCDRもしくは可変領域を含む抗体、又は本明細書に記載される他の抗TIM-3抗体による対象の治療は、顕著な心臓障害、例えば、心室性不整脈;眼障害、例えば、虹彩毛様体炎;注入関連反応;アミラーゼの増加、リパーゼの増加;神経系障害、例えば、目眩、末梢神経障害及び感覚神経障害;皮膚及び皮下組織障害、例えば、発疹、掻痒症、剥脱性皮膚炎、多形紅斑、白斑、もしくは乾癬;呼吸器、胸部 、及び縦隔障害、例えば、咳;疲労;吐き気;食欲減退;便秘;関節痛;又は下痢を引き起こさない。
【0336】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、別の癌療法、例えば、免疫系を刺激する化合物(例えば、免疫腫瘍学的薬剤)、例えば、本明細書に記載される化合物又は本明細書に記載される標的を調節する化合物との組合せで相乗的な抗腫瘍効果を提供する。
【0337】
本開示は、癌の治療における本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片、そのような抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター、又はそのような抗体もしくは抗原結合断片を有する医薬組成物の使用方法も提供する。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3を発現する癌細胞をインビボで特異的に標的化し、それにより、癌細胞を排除し、溶解させ、かつ/又は殺傷するというその治療効果を送達することができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TIM-3シグナル伝達経路によって媒介される免疫抑制効果を低下させ、それにより、癌細胞を排除し、溶解させ、かつ/又は殺傷する際に免疫細胞の活性を促進することができる。いくつかの実施態様において、本方法は、治療有効量の本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、それを必要としている対象に投与することを含む。
【0338】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象の腫瘍又は癌を治療する方法であって、該対象に、治療有効量の本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍又は癌の治療における本明細書に開示される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の使用である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍又は癌の治療用の薬剤の調製のための本明細書に提供される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の使用である。
【0339】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象の腫瘍又は癌を治療する方法であって、該対象に、治療有効量の本明細書に開示される医薬組成物を投与することを含む、方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍又は癌の治療における本明細書に開示される医薬組成物の使用である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍又は癌の治療用の薬剤の調製のための本明細書に提供される医薬組成物の使用である。
【0340】
本明細書に記載される医薬組成物中の活性成分(すなわち、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片)の実際の投薬量レベルは、患者に対する毒性を有さず、特定の患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変化させることができる。選択される投薬量は、本明細書に記載される特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、排泄速度、治療期間、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、及び/又は材料、治療されている患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態、及び以前の病歴、並びに医療分野において周知の同様の因子を含む、種々の薬物動態学的因子によって決まる。
【0341】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、持続放出製剤として投与することができ、その場合、より少ない頻度の投与が必要とされる。投薬量及び頻度は、患者における抗TIM-3抗体又は抗原結合断片の半減期によって異なる。治療応用では、疾患の進行が低下又は停止するまで、及び患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投薬量が必要とされることがある。
【0342】
本明細書に提供される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物は、限定されないが、胸膜投与、静脈内投与、皮下投与、結節内投与、腫瘍内投与、筋肉内投与、皮内投与、髄腔内投与、胸膜内投与、腹腔内投与、頭蓋内投与、脊髄又は他の非経口経路の投与、例えば、注射もしくは注入による投与、又は胸腺への直接投与を含む、当技術分野で公知の任意の方法によって対象に投与することができる。本明細書で使用される「非経口投与」という語句は、通常は注射による、腸内投与及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、関節包内、眼窩内、心内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内注射及び注入が含まれる。いくつかの実施態様において、皮下投与が採用される。いくつかの実施態様において、静脈内投与が採用される。いくつかの実施態様において、経口投与が採用される。一実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、限定されないが、肝又は大動脈ポンプ;四肢、肺、又は肝臓灌流;門脈中;静脈シャントを通して;腫瘍の近くにある空洞又は静脈中などを含む、周知の方法を用いて、腫瘍に局所的に送達することができる。別の実施態様において、本明細書に提供される抗体又は抗原結合断片は、全身投与することができる。好ましい実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、腫瘍の部位に局所的に投与される。抗体又は抗原結合断片は、例えば、腫瘍の部位及び/又は腫瘍血管系への細胞の直接注射によって、腫瘍内に投与することもできる。例えば、悪性胸膜疾患、中皮腫、又は肺癌の場合、投与は、好ましくは、胸膜内投与によるものである(Adusumilliらの文献、Science Translational Medicine 6(261):261ra151(2014)を参照)。当業者は、治療されることになっている癌の種類及び/又は腫瘍の位置に基づいて、好適な投与様式を選択することができる。抗体又は抗原結合断片は、注射又はカテーテルによって導入することができる。一実施態様において、抗体又は抗原結合断片は、例えば、胸膜内カテーテルを用いて、必要とする対象に胸膜投与される。
【0343】
本明細書に提供される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物を用いて治療されることになる癌又は腫瘍は、免疫療法に典型的に応答するもの及び免疫療法に典型的に応答しないものを含む。治療することができる癌には、TIM-3陽性癌も含まれる。いくつかの実施態様において、癌は、高度のマイクロサテライト不安定性を有する。いくつかの実施態様において、癌は、転移性癌、不応性癌、又は再発性癌である。
【0344】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物で治療することができる癌又は腫瘍は、血液癌である。血液癌は、TIM-3を発現する血液癌であることができる。いくつかの実施態様において、血液癌は、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、又は骨髄異形成症候群(MDS)であることができる。いくつかの実施態様において、血液癌は、急性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、B-急性リンパ様白血病(B-ALL)、T-急性リンパ様白血病(T-ALL)、B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)、芽球性形質細胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、急性リンパ球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、ナチュラルキラー細胞白血病(NK白血病)、ホジキン病、非ホジキン病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ球性リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、T細胞リンパ腫、ナチュラルキラー細胞リンパ腫(NKリンパ腫)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、又は末梢T細胞リンパ腫(PTCL)であることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物を用いて、MDSを治療することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物を用いて、白血病を治療することができる。いくつかの実施態様において、白血病は、AMLである。
【0345】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、それを必要としている対象のTIM-3を発現する白血病を治療する方法であって、対象に、治療有効量の本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物を投与することを含む、方法である。
【0346】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物で治療することができる癌又は腫瘍は、固形腫瘍である。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、癌腫、肉腫、黒色腫(例えば、皮膚もしくは眼内悪性黒色腫)、神経膠腫、膠芽腫、脳脊髄腫瘍、胚細胞腫瘍、神経内分泌腫瘍、カルチノイド腫瘍、胃癌、食道癌、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、もしくは非小細胞肺癌)、頭頸部癌、皮膚癌、鼻咽頭癌、腎臓癌、結腸直腸癌、乳癌、膵癌、精巣癌、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、膀胱癌、結腸癌、内分泌癌、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、隆起性皮膚線維肉腫、中皮腫、メルケル細胞癌、骨癌、腸癌、腎臓癌(例えば、明細胞癌)、咽喉癌、直腸癌、肛門部癌、脳腫瘍、胃癌、ファローピウス管癌、子宮内膜の癌、子宮頸部の癌、膣の癌、外陰の癌、小腸の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、小児の固形腫瘍、尿管の癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、滑膜肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、肝癌、胆管癌、絨毛腫、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、上皮癌、神経膠腫、星細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、シュワン細胞腫、髄膜腫、神経芽腫、又は網膜芽腫であることができる。
【0347】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物で治療することができる癌又は腫瘍は、腎細胞癌(RCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、胃(gastric)/胃(stomach)腺癌(STAD)、膵腺癌(PAAD)、結腸腺癌(COAD)、又は直腸腺癌(READ)からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、RCCである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、NSCLCである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、SCCHNである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、TNBCである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、STADである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、PAADである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、COADである。いくつかの実施態様において、癌又は腫瘍は、READである。
【0348】
癌治療において、対象の癌細胞又は腫瘍細胞を排除することが起こり得るが、いかなる臨床的改善も利益となる。抗腫瘍効果は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞の数の減少、転移の数の減少、平均余命の延長、又は癌状態に関連する様々な生理的症状の改善によって明示され得る。抗腫瘍効果は、本明細書に提供される抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物が腫瘍の発生を最初に予防する能力によっても明示され得る。いくつかの実施態様において、「抗腫瘍効果」は、癌誘導性免疫抑制の低下によって明示され得る。臨床的改善は、癌又は腫瘍の進行のリスクもしくは速度の減少又は病理学的結果の軽減を含む。癌を治療する方法が癌に関連する兆候又は症状を改善する任意の効果を含み得ることも理解される。そのような兆候又は症状には、腫瘍の成長を阻害すること、腫瘍の成長速度を減速させること、腫瘍のサイズを低下させること、腫瘍の数を低下させること、腫瘍を除去することを含む、腫瘍負荷を軽減することが含まれるが、これらに限定されず、これらは全て、当技術分野で周知の日常的な腫瘍イメージング技法を用いて測定することができる。癌に関連する他の兆候又は症状としては、疲労、疼痛、体重減少、及び様々な癌に関連する他の兆候又は症状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0349】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される方法又は使用は、腫瘍負荷を軽減することができる。したがって、本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物の投与は、対象における腫瘍細胞の数を低下させ、腫瘍サイズを低下させ、かつ/又は腫瘍を根絶することができる。本明細書に開示される医薬組成物の投与に対する患者応答をモニタリングする方法は当技術分野で公知であり、本明細書に開示される方法に従って利用することができる。
【0350】
いくつかの実施態様において、抗腫瘍効果は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、単一の療法として、すなわち、別の治療薬(例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体)と組み合わせずに投与された腫瘍又は癌を有する患者において観察される。いくつかの実施態様において、腫瘍負荷は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、単一の療法として、すなわち、別の治療薬(例えば、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体)と組み合わせずに投与された腫瘍又は癌を有する患者において低下する。
【0351】
本明細書に開示される方法において、治療有効量の本明細書に開示される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物は、癌治療を必要としている対象に投与される。対象は、哺乳動物であることができる。いくつかの実施態様において、対象は、ヒトである。いくつかの実施態様において、これらの個体は、臨床的に測定可能な癌を有さない。しかしながら、これらの個体は、もとの腫瘍部位の近くに、又は転移によって、疾患の進行のリスクがある疑いがある。このグループは、高リスク個体と低リスク個体にさらに細分することができる。細分化は、初期治療の前後に観察される特徴に基づいて行われる。これらの特徴は、臨床分野において公知であり、様々なタイプの癌について好適に定義されている。高リスクサブグループに特有の特徴は、腫瘍が隣接する組織に浸潤しているもの、又はリンパ節の関与を示すものである。
【0352】
本明細書に提供される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物は、当技術分野で公知の医療器具を用いて投与することができる。例えば、いくつかの実施態様において、無針皮下注射装置、例えば、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;又は第4,596,556号に開示されている装置を使用することができる。本明細書に記載される使用のための周知のインプラント及びモジュールの例としては:制御された速度で医薬を分配する移植可能な微量輸液ポンプを開示している米国特許第4,487,603号;皮膚を通して薬剤を投与するための治療装置を開示している米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で医薬を送達するための医薬輸液ポンプを開示している米国特許第4,447,233号;連続的な薬物送達のための可変流量の移植可能な注入装置を開示している米国特許第4,447,224号;マルチチャンバーコンパートメントを有する浸透性薬物送達系を開示している米国特許第4,439,196号;及び浸透性薬物送達系を開示している米国特許第4,475,196号が挙げられる。これらの特許は、引用により本明細書中に組み込まれる。多くの他のそのようなインプラント、送達系、及びモジュールは、当業者に公知である。
【0353】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、前治療、例えば、免疫腫瘍薬もしくは免疫療法薬による前治療に対して不十分な応答を示したか又は該前治療を受けて進行した、癌を有する患者、或いは不応性もしくは抵抗性であるか、本質的に不応性もしくは抵抗性のいずれか(例えば、PD-1経路アンタゴニストに不応性)であるか、又は抵抗性又は不応性状態が獲得される、癌を有する患者に投与される。例えば、最初の療法に応答しないもしくは十分に応答しない対象、又は治療、例えば、抗PD-1治療後に疾患進行を見る対象は、単独の又は別の療法(例えば、抗PD-1療法)と組み合わせた抗TIM-3抗体の投与によって治療することができる。
【0354】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、免疫腫瘍学的薬剤、例えば、PD-1経路アンタゴニストを以前に受けていない(すなわち、それで治療されていない)患者に投与される。
【0355】
いくつかの実施態様において、対象の癌を治療する方法は、対象がTIM-3陽性であるかどうか、例えば、TIM-3を発現する腫瘍細胞又はTILを有するかどうかを最初に決定し、対象がTIM-3陽性癌又はTIL細胞を有する場合、対象に、例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体を投与することを含む。癌を有する対象を抗TIM-3抗体で治療する方法は、TIM-3を発現する癌細胞又はTIL細胞を有する対象に、治療有効量のTIM-3抗体を投与することを含むことができる。また本明細書に提供されるのは、対象が抗TIM-3抗体による治療に応答するかどうかを予測する方法であって、患者の癌又はTIL細胞におけるTIM-3のレベルを決定することを含む方法であり、対象の癌又はTIL細胞がTIM-3陽性である場合、対象は、TIM-3抗体による治療に応答する可能性が高い。
【0356】
いくつかの実施態様において、対象の癌を治療する方法は、対象がPD-L1又はPD-1陽性であるかどうか、例えば、PD-L1又はPD-1を発現する腫瘍細胞又はTILを有するかどうかを最初に決定し、対象がPD-L1又はPD-1陽性癌又はTIL細胞を有する場合、対象に、例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片(及び任意に、PD-1又はPD-L1アンタゴニスト)を投与することを含む。癌を有する対象を抗TIM.3抗体(及び任意に、PD-1又はPD-L1アンタゴニスト)で治療する方法は、PD-L1又はPD-1を発現する癌細胞又はTIL細胞を有する対象に、治療有効量のTIM-3抗体又は抗原結合断片(及び任意に、PD-1又はPD-L1アンタゴニスト)を投与することを含むことができる。また本明細書に提供されるのは、対象が抗TIM-3抗体(及び任意に、PD-1又はPD-L1アンタゴニスト)による治療に応答するかどうかを予測する方法であって、患者の癌又はTIL細胞におけるPD-L1又はPD-1のレベルを決定することを含む方法であり、対象の癌又はTIL細胞がPD-L1又はPD-1陽性である場合、対象は、TIM-3抗体(及び任意に、PD-1又はPD-L1アンタゴニスト)による治療に応答する可能性が高い。
【0357】
抗TIM-3抗体は、標準治療とともに投与することができる。抗TIM-3抗体は、維持療法、例えば、腫瘍の発生又は再発を予防することが意図される療法として投与することができる。
【0358】
抗TIM-3抗体は、別の治療、例えば、放射線、外科手術、又は化学療法とともに投与することができる。例えば、抗TIM-3抗体補助療法は、微小転移が存在し得るというリスクがある場合に、及び/又は再発のリスクを低下させるために投与することができる。
【0359】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、単剤療法として、又は唯一の免疫刺激療法として投与することができる。抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、免疫原、例えば、癌性細胞、精製された腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、及び炭水化物分子を含む)、細胞、並びに免疫刺激サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトされた細胞(Heらの文献(2004) J. Immunol. 173 :4919-28)と組み合わせることもできる。使用することができる腫瘍ワクチンの非限定的な例としては、黒色腫抗原のペプチド、例えば、gp100、MAGE抗原、Trp-2、MARTI、及び/もしくはチロシナーゼのペプチド、又はサイトカインGM-CSFを発現するようにトランスフェクトされた腫瘍細胞が挙げられる(以下でさらに考察される)。
【0360】
ヒトにおいて、メラノーマなどのいくつかの腫瘍は、免疫原性であることが示されている。TIM-3阻害を介するT細胞活性化の閾値を低下させることにより、宿主における腫瘍応答を活性化し、非免疫原性腫瘍又は限られた免疫原性を有する腫瘍の治療を可能にすることができる。
【0361】
抗TIM-3抗体、例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体は、ワクチン接種プロトコルと組み合わせることができる。腫瘍に対するワクチン接種のための多くの実験的戦略が考案されている(Rosenberg, S.の文献、2000, Development of Cancer Vaccines, ASCO Educational Book Spring: 60-62; Logothetis, Cの文献、2000, ASCO Educational Book Spring: 300-302; Khayat, D.の文献、2000, ASCO Educational Book Spring: 414-428; Foon, K.の文献、2000, ASCO Educational Book Spring: 730-738を参照; DeVitaら(編)、1997、癌:腫瘍学の原理及び実践(Cancer: Principles and Practice of Oncology)、第5版所収のRestifo, N.及びSznol, M.の文献、癌ワクチン(Cancer Vaccines)、第61章、pp. 3023-3043も参照)。これらの戦略のうちの1つにおいて、ワクチンは、自己又は同種異系腫瘍細胞を用いて調製される。これらの細胞ワクチンは、腫瘍細胞がGM-CSFを発現するように形質導入されている場合、最も効果的であることが示されている。GM-CSFは、腫瘍ワクチン接種のための抗原提示の強力な活性化因子ことが示されている(Dranoffらの文献(1993) Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 90: 3539-43)。
【0362】
樹状細胞(DC)は、抗原特異的応答をプライミングするために使用することができる強力な抗原提示細胞である。DCをエクスビボで産生し、様々なタンパク質及びペプチド抗原並びに腫瘍細胞抽出物をローディングすることができる(Nestleらの文献(1998) Nature Medicine 4: 328-332)。DCは、これらの腫瘍抗原を発現するように遺伝的手段によって形質導入されることもできる。DCは、免疫の目的で腫瘍細胞に直接融合されたこともある(Kuglerらの文献(2000) Nature Medicine 6:332-336)。ワクチン接種の方法として、DC免疫をTIM-3阻害と効果的に組み合わせて、より強力な抗腫瘍応答を活性化することができる。
【0363】
異なる作用機序を有する薬剤を用いる組合せ療法は、相加的又は相乗的効果をもたらすことができる。組合せ療法は、各々の薬剤の投与を単剤療法で使用されるよりも少なくすることを可能にし、それにより、本明細書に開示される薬剤の毒性副作用を減少させ、かつ/又はその治療指数を増加させることができる。組合せ療法は、耐性癌細胞が発生する可能性を減少させることができる。いくつかの実施態様において、追加療法は、本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物の治療指数の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、追加療法は、本明細書に記載される抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物の毒性及び/又は副作用の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片又は医薬組成物は、追加療法と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施態様において、追加療法は、外科的切除、放射線療法、又は化学療法であることができる。
【0364】
TIM-3阻害は、標準的な癌治療(例えば、外科手術、放射線、及び化学療法)と組み合わせることもできる。TIM-3阻害は、化学療法体制と効果的に組み合わせることができる。これらの場合、投与される化学療法試薬の用量を低下させることが可能であり得る(Mokyrらの文献(1998) Cancer Research 58: 5301-5304)。そのような組合せの例は、抗TIM-3抗体と黒色腫の治療用のデカルバジンとの組合せである。そのような組合せの別の例は、抗TIM-3抗体と黒色腫の治療用のインターロイキン-2(IL-2)との組合せである。TIM-3阻害と化学療法の併用の裏側にある科学的根拠は、ほとんどの化学療法化合物の細胞傷害作用の結果である細胞死が抗原提示経路における腫瘍抗原のレベルの増加をもたらすはずであるということである。細胞死を通じてTIM-3阻害との相乗作用をもたらし得る他の組合せ療法は、放射線、外科手術、及びホルモン除去である。これらのプロトコルの各々は、宿主内の腫瘍抗原の供給源を生み出す。血管新生阻害剤をTIM-3阻害と組み合わせることもできる。血管新生の阻害は、 腫瘍細胞死をもたらし、これにより、腫瘍抗原が宿主抗原提示経路に供給されることができる。
【0365】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体は、Fcα又はFcγ受容体を発現するエフェクター細胞を腫瘍細胞にターゲッティングする二重特異性抗体と組み合わせて使用することもできる(例えば、米国特許第5,922,845号及び第5,837,243号を参照)。二重特異性抗体は、2つの別々の抗原をターゲッティングするために使用することができる。例えば、抗Fc受容体/抗腫瘍抗原(例えば、Her-2/neu)二重特異性抗体は、マクロファージを腫瘍の部位にターゲッティングするために使用されている。このターゲッティングは、腫瘍特異的応答をより効果的に活性化することもできる。これらの応答のT細胞部門(arm)は、TIM-3の阻害によって強化される。或いは、抗原は、腫瘍抗原と樹状細胞特異的細胞表面マーカーに結合する二特異性抗体の使用によって、DCに直接送達することができる。
【0366】
腫瘍は、多種多様な機構によって宿主免疫監視を逃れる。これらの機構の多くは、腫瘍によって発現され、かつ免疫抑制性であるタンパク質の不活化によって克服することができる。これらには、とりわけ、TGF-β(Kehrlらの文献(1986) J. Exp. Med. 163: 1037-1050)、IL-10(Howard及びO'Garraの文献(1992) Immunology Today 13: 198-200)、及びFas リガンド(Hahneらの文献(1996) Science 274: 1363-1365)が含まれる。これらの実体の各々に対する抗体を抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせて用いて、免疫抑制剤の作用を打ち消し、宿主による腫瘍免疫応答を促進することができる。
【0367】
骨髄移植は、現在、造血起源の種々の腫瘍を治療するために使用されている。移植片対宿主病は、この治療の結果であるが、治療的利益は、移植片対腫瘍応答から得ることができる。TIM-3阻害を用いて、ドナーの移植される腫瘍特異的T細胞の有効性を高めることができる。
【0368】
腫瘍に対する抗原特異的T細胞を刺激するために、抗原特異的T細胞のエクスビボ活性化及び増殖、並びにこれらの細胞のレシピエントへの養子移入を伴ういくつかの実験的治療プロトコルも存在する(Greenberg及びRiddellの文献(1999) Science 285: 546-51)。これらの方法は、CMVなどの感染性因子に対するT細胞応答を活性化するために使用することもできる。抗TIM-3抗体の存在下でのエクスビボ活性化は、養子移入されたT細胞の頻度及び活性を増加させることができる。
【0369】
本明細書に提供されるのは、抗TIM-3抗体が免疫応答を刺激し、それにより、対象における免疫応答をさらに増強、刺激、又は上方調節するのに効果的である1以上の追加の薬剤、例えば、小分子薬物、抗体又はその抗原結合性部分と共投与される組合せ療法の方法である。
【0370】
通常、例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、(i)刺激性(例えば、共刺激性)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアゴニスト及び/又は(ii)免疫細胞、例えば、T細胞上の阻害性シグナルもしくは分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアンタゴニストと組み合わせることができ、これらは両方とも、抗原特異的T細胞応答などの免疫応答の増幅をもたらす。いくつかの実施態様において、免疫腫瘍学的薬剤は、(i)刺激性(共刺激性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアゴニスト又は(ii)細胞、例えば、T細胞活性化を阻害する細胞、又は自然免疫に関与する細胞、例えば、NK細胞上の阻害性(共阻害性を含む)分子(例えば、受容体もしくはリガンド)のアンタゴニストであり、ここで、免疫腫瘍学的薬剤は、自然免疫を増強する。そのような免疫腫瘍学的薬剤は、免疫チェックポイント調節因子、例えば、免疫チェックポイント阻害剤又は免疫チェックポイント刺激因子と呼ばれることが多い。
【0371】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである刺激性又は阻害性分子を標的とする薬剤とともに投与される。例えば、例として、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、IgSFファミリーのメンバーを標的として、免疫応答を増大させる薬剤とともに対象に投与することができる。例えば、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、及びB7-H6を含む膜結合型リガンドのB7ファミリーのメンバー、又はB7ファミリーメンバーに特異的に結合する共刺激性もしくは共阻害性受容体もしくはリガンドを標的とする(又はそれに特異的に結合する)薬剤とともに投与することができる。
【0372】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TNF及びTNFRファミリーの分子(リガンド又は受容体)のメンバー、例えば、CD40及びCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn 14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTpR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/D R3、EDA1、EDA2、TNFR1、リンホトキシンa/TNFp、TNFR2、TNF a、LTpR、リンホトキシンa1b2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、並びにNGFRを標的とする薬剤とともに投与することもできる(例えば、Tanseyの文献(2009) Drug Discovery Today 00: 1を参照)。
【0373】
T細胞応答は、例えば、3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 5#、CH 8#、CH 9#、CH 10#、CH 11#、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1のCDRを有する抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と以下の薬剤のうちの1つ又は複数との組合せによって刺激することができる:
【0374】
(1)T細胞活性化を阻害するタンパク質(例えば、免疫チェックポイント阻害因子)、例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、GITR、及びLAG-3、ガレクチン9、CEACAM-1、CEACAM-5、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、B7-H3、B7-H4、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、並びにTIM-4のアンタゴニスト(阻害剤又は遮断剤);並びに/又は
【0375】
(2)T細胞活性化を刺激するタンパク質、例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD 137)、4-1BBL、GITR、ICOS、ICOS-L、0X40、OX40L、CD70、CD27、CD40、DR3、及びCD28Hのアゴニスト。
【0376】
上記のタンパク質のうちの1つを調節し、かつ癌を治療するための抗TIM-3抗体、例えば、本明細書に記載されるものと組み合わせることができる例示的な薬剤としては、YERVOY(登録商標)(イピリムマブ)もしくはトレメリムマブ(CTLA-4に対する)、ガリキシマブ(B7.1に対する)、BMS-936558(PD-1に対する)、MK-3475(PD-1に対する)、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標))、AMP224(B7DCに対する)、BMS-936559(B7-H1に対する)、MPDL3280A(B7-H1に対する)、MEDI-570(ICOSに対する)、AMG557(B7H2に対する)、MGA271(B7H3に対する)、IMP321(LAG-3に対する)、BMS-663513(CD137に対する)、PF-05082566(CD137に対する)、CDX-1127(CD27に対する)、抗OX40(Providence Health Services)、huMAbOX40L(OX40Lに対する)、アタシセプト(TACIに対する)、CP-870893(CD40に対する)、ルカツムマブ(CD40に対する)、ダセツズマブ(CD40に対する)、ムロモナブ-CD3(CD3に対する);抗GITR抗体のMK4166、TRX518、Medil873、INBRX-110、LK2-145、GWN-323、GITRL-Fc、又はこれらの任意の組合せ:が挙げられる。
【0377】
癌の治療のための抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができる他の分子としては、NK細胞上の阻害性受容体のアンタゴニスト又はNK細胞上の活性化受容体のアゴニストが挙げられる。例えば、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、KIRのアンタゴニスト(例えば、リリルマブ)と組み合わせることができる。
【0378】
T細胞活性化は、可溶性サイトカインによって調節することもでき、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、例えば、癌を有する対象に、T細胞活性化を阻害するサイトカインのアンタゴニスト又はT細胞活性化を刺激するサイトカインのアゴニストとともに投与することができる。
【0379】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、(i)T細胞活性化を阻害するIgSFファミリーもしくはB7ファミリーもしくはTNFファミリーのタンパク質のアンタゴニスト(又は阻害剤もしくは遮断剤)或いはT細胞活性化を阻害するサイトカイン(例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF;「免疫抑制性サイトカイン」)のアンタゴニスト、並びに/或いは(ii)免疫応答を刺激するための、例えば、増殖性疾患、例えば、癌を治療するための、IgSFファミリー、B7ファミリー、もしくはTNFファミリーの、又はT細胞活性化を刺激するサイトカインの刺激性受容体のアゴニストと組み合わせて使用することができる。
【0380】
組合せ療法のためのさらに他の薬剤としては、マクロファージ又は単球を阻害し又は枯渇させる薬剤が挙げられ、これには、RG7155(WO11/70024号、WO11/107553号、WO11/131407号、W013/87699号、W013/119716号、WO13/132044号)又はFPA-008(WO11/140249号; W013169264号; WO14/036357号)を含む、CSF-1Rアンタゴニスト抗体などのCSF-1Rアンタゴニストが含まれるが、これらに限定されない。
【0381】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TGF-βシグナル伝達を阻害する薬剤とともに投与することもできる。いくつかの実施態様において、薬剤は、潜在性TGF-β又はGARP/TGF-β複合体に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施態様において、薬剤は、TGF-β受容体に特異的に結合する抗体である。
【0382】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができる追加の薬剤としては、腫瘍抗原提示の増強する薬剤、例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、及びイミキモド、又は腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラシジン)が挙げられる。
【0383】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができるさらに他の療法としては、Treg細胞を枯渇させ又は遮断する療法、例えば、CD25に特異的に結合する薬剤が挙げられる。
【0384】
抗TIM-3抗体と組み合わせることができる別の療法は、代謝酵素、例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、又は一酸化窒素シンテターゼを阻害する療法である。
【0385】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片とともに使用することができる別のクラスの薬剤としては、アデノシンの形成を阻害する薬剤、例えば、CD73阻害剤、又はアデノシンA2A受容体を阻害する薬剤が挙げられる。
【0386】
癌を治療するための抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができる他の療法としては、T細胞アネルギー又は消耗を逆転させ/防止する療法並びに腫瘍部位での自然免疫活性化及び/又は炎症を引き起こす療法が挙げられる。
【0387】
癌を治療するための抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができる他の療法としては、例えば、HuMax-IL8を用いて、IL-8を遮断する療法が挙げられる。
【0388】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、複数の免疫腫瘍学的薬剤と組み合わせることができ、かつ例えば、免疫経路の複数の要素を標的とするコンビナトリアルアプローチ、例えば、以下のうちの1つ又は複数と組み合わせることができる:腫瘍抗原提示の増強する療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、イミキモド);例えば、CTLA-4及び/もしくはPD1/PD-L1/PD-L2経路を阻害し、かつ/又はTregもしくは他の免疫抑制細胞を枯渇させるかもしくは遮断することにより、負の免疫調節を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/もしくはCD40、又はGITR経路を刺激するアゴニスト、並びに/又はT細胞エフェクター機能を刺激するアゴニストを用いて、正の免疫調節を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増加させる療法; Treg、例えば、腫瘍内のTregを、例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を用いて、又はエクスビボでの抗CD25ビーズ枯渇によって枯渇させるか又は阻害する療法;腫瘍内のサプレッサー骨髄細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラシジン);遺伝的に修飾された細胞、例えば、キメラ抗原受容体によって修飾された細胞(CAR-T療法)を含む、養子T細胞又はNK細胞移入;代謝酵素、例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、又は一酸化窒素シンテターゼを阻害する療法; T細胞アネルギー又は消耗を逆転させ/防止する療法;腫瘍部位での自然免疫活性化及び/又は炎症を引き起こす療法;免疫刺激性サイトカインの投与;或いは免疫抑制性サイトカインの遮断。
【0389】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、陽性の共刺激性受容体をライゲーションする作動剤、阻害性受容体を介するシグナル伝達を減弱させる遮断剤、アンタゴニスト、及び抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増加させる1以上の薬剤、腫瘍微小環境内の明確な免疫抑制経路を克服する(例えば、阻害性受容体の関与(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)を遮断し、Tregを(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ)を用いて、もしくはエクスビボでの抗CD25ビーズ枯渇によって)枯渇させるかもしくは阻害し、代謝酵素、例えば、IDOを阻害し、又はT細胞アネルギーもしくは消耗を逆転させ/防止する)薬剤、並びに腫瘍部位での自然免疫活性化及び/又は炎症を引き起こす薬剤のうちの1つ又は複数と一緒に使用することができる。
【0390】
いくつかの実施態様において、対象がBRAF V600突然変異陽性である場合、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、BRAF阻害剤と一緒に、対象に投与される。
【0391】
本明細書に記載される組合せ療法で使用するための好適なPD-1アンタゴニストとしては、限定するものではないが、リガンド、抗体(例えば、モノクローナル抗体及び二重特異性抗体)、並びに多価薬剤が挙げられる。いくつかの実施態様において、PD-1アンタゴニストは、融合タンパク質、例えば、Fc融合タンパク質、例えば、AMP-244である。いくつかの実施態様において、PD-1アンタゴニストは、抗PD-1又は抗PD-L1抗体である。
【0392】
例示的な抗PD-1抗体は、ニボルマブ(BMS-936558)又はWO 2006/121168号に記載されている抗体17D8、2D3、4H1、5C4、7D3、5F4、及び4A11のうちの1つのCDRもしくは可変領域を含む抗体である。いくつかの実施態様において、抗PD-1抗体は、WO2012/145493号に記載されているMK-3475(ランブロリズマブ); WO 2012/145493号に記載されているAMP-514;又はPDROOlである。さらなる公知のPD-1抗体及び他のPD-1阻害剤としては、WO 2009/014708号、WO 03/099196号、WO 2009/114335号、WO 2011/066389号、WO 2011/161699号、WO 2012/145493号、米国特許第7,635,757号及び第8,217,149号、並びに米国特許公開第2009/0317368号に記載されているものが挙げられる。WO2013/173223号に開示されている抗PD-1抗体はいずれも使用することができる。これらの抗体のうちの1つと同じPD-1上のエピトープとの結合を競合し、かつ/又は該エピトープに結合する抗PD-1抗体を組合せ治療で使用することもできる。
【0393】
いくつかの実施態様において、組合せ療法に有用な抗PD-L1抗体は、BMS-936559(WO 2007/005874号及び米国特許第7,943,743号において12A4と称されている)、又はPCT公開WO 07/005874号及び米国特許第7,943,743号に記載されている3G10、12A4、10A5、5F8、10H10、IB 12、7H1、11E6、12B7、及び13G4のCDRもしくは可変領域を含む抗体である。いくつかの実施態様において、抗PD-L1抗体は、MEDI4736(デュルバルマブ及び抗B7-H1としても知られている)、MPDL3280A(アテゾリズマブ及びRG7446としても知られている)、MSB0010718C(アベルマブとしても知られている; WO2013/79174号)、又はrHigM12B7である。WO2013/173223号、WO2011/066389号、WO2012/145493号、米国特許第7,635,757号及び第8,217,149号並びに米国特許公開第2009/145493号に開示されている抗PD-L1抗体はいずれも使用することができる。これらの抗体のいずれかのエピトープと同じエピトープを競合し、かつ/又は該エピトープに結合する抗PD-L1抗体を組合せ治療で使用することもできる。
【0394】
いくつかの実施態様において、本開示の抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、CTLA-4アンタゴニスト、例えば、抗CTLA-4抗体とともに使用することができる。いくつかの実施態様において、抗CTLA-4抗体は、YERVOY(登録商標)(イピリムマブ又はPCT公開WO 01/14424号に記載されている抗体10D1)、トレメリムマブ(旧トシリムマブ、CP-675,206)、以下の刊行物: WO 98/42752号; WO 00/37504号;米国特許第6,207,156号; Hurwitzらの文献(1998) Pro. Natl. Acad. Sci. USA 95(17): 10067-10071; Camachoらの文献(2004) J. Clin. Oncology 22(145): Abstract No. 2505(抗体 CP-675206);及びMokyrらの文献(1998) Cancer Res. 58:5301-5304のいずれかに記載されているモノクローナル又は抗CTLA-4抗体:の群から選択される抗体である。WO2013/173223号に開示されている抗CTLA-4抗体のいずれかを使用することもできる。
【0395】
いくつかの実施態様において、本開示の抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、LAG3アンタゴニストと組み合わせて使用される。抗LAG3抗体の例としては、米国特許公開US2011/0150892号、W010/19570号、及びWO2014/008218号に記載されている抗体25F7、26H10、25E3、8B7、11F2、又は17E5のCDR又は可変領域を含む抗体が挙げられる。いくつかの実施態様において、抗LAG-3抗体は、BMS-986016である。使用することができる当技術分野で認められている他の抗LAG-3抗体としては、US 2011/007023号、W008/132601号、及びWO09/44273号に記載されているIMP731及びIMP-321が挙げられる。これらの抗体のいずれかのエピトープと同じエピトープと競合し、かつ/又はそれに結合する抗LAG-3抗体を組合せ治療で使用することもできる。
【0396】
いくつかの実施態様において、本開示の抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、CD 137(4-1BB)アゴニスト、例えば、作動性CD137抗体と組み合わせて投与することができる。好適なCD137抗体としては、例えば、ウレルマブ又はPF-05082566(W012/32433号)が挙げられる。
【0397】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、0X40アゴニスト、例えば、作動性0X40抗体と組み合わせて投与することができる。好適な0X40抗体としては、例えば、MEDI-6383、MEDI-6469、又はMOXR0916(RG7888; WO06/029879号)が挙げられる。
【0398】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、CD40アゴニスト、例えば、作動性CD40抗体と組み合わせて投与される。いくつかの実施態様において、免疫腫瘍学的薬剤は、CD40アンタゴニスト、例えば、拮抗性CD40抗体である。好適なCD40抗体としては、例えば、ルカツムマブ(HCD122)、ダセツズマブ(SGN-40)、CP-870,893、又はChi Lob 7/4が挙げられる。
【0399】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、CD27アゴニスト、例えば、作動性CD27抗体と組み合わせて投与される。好適なCD27抗体としては、例えば、バルリルマブ(CDX-1127)が挙げられる。
【0400】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、抗GITR抗体、例えば、6C8のCDR配列を有する抗体、例えば、W02006/105021号に記載されている6C8のCDRを有するヒト化抗体; WO2011/028683に記載されている抗GITR抗体のCDRを含む抗体; JP2008278814号に記載されている抗GITR抗体のCDRを含む抗体、W02015/031667号、WO2015/187835号、WO2015/184099号、WO2016/054638号、WO2016/057841号、もしくはWO2016/057846号に記載されている抗GITR抗体のCDRを含む抗体、又は本明細書に記載もしくは言及される他の抗GITR抗体と一緒に投与される。
【0401】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、MGA271(B7H3に対する)(WO11/109400号)と組み合わせて投与される。
【0402】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、KIRアンタゴニスト、例えば、リリルマブと組み合わせて投与される。
【0403】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、IDOアンタゴニストと組み合わせて投与される。好適なIDOアンタゴニストとしては、例えば、INCB-024360(W02006/122150号、WO07/75598号、WO08/36653号、WO08/36642号)、インドキシモド、NLG-919(W009/73620号、WO09/1156652号、WO11/56652号、W012/142237号)、又はF001287が挙げられる。
【0404】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、Toll様受容体アゴニスト、例えば、TLR2/4アゴニスト(例えば、カルメット-ゲラン桿菌); TLR7アゴニスト(例えば、Hiltonolもしくはイミキモド); TLR7/8アゴニスト(例えば、レシキモド);又はTLR9アゴニスト(例えば、CpG7909)と組み合わせて投与される。
【0405】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、TGF-β阻害剤、例えば、GC1008、LY2157299、TEW7197、又はIMC-TR1と組み合わせて投与される。
【0406】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び組合せ療法は、治療されている適応症(例えば、癌)に対するその特定の有用性について選択される他の周知の療法と併せて使用することもできる。本明細書に記載される抗TIM-3抗体の組合せは、公知の医薬として許容し得る薬剤と連続的に使用することができる。
【0407】
例えば、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び組合せ療法は、例えば、カンプトテシン(CPT-11)、5-フルオロウラシル(5-FU)、シスプラチン、ドキソルビシン、イリノテカン、パクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、カルボプラチン-パクリタキセル(タキソール)、ドキソルビシン、もしくはカンプトテシン+apo21/TRAIL(6×組合せ))、1以上のプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブもしくはMG132)、1以上のBcl-2阻害剤(例えば、BH3I-2'(bcl-xl阻害剤)、インドールアミンジオキシゲナーゼ-1阻害剤(例えば、INCB24360、インドキシモド、NLG-919、もしくはF001287)、AT-101(R-(-)-ゴシポール誘導体)、ABT-263(小分子)、GX-15-070(オバトクラックス)、もしくはMCL-1(骨髄性白血病細胞分化タンパク質-1)アンタゴニスト)、iAP(アポトーシスタンパク質の阻害因子)アンタゴニスト(例えば、smac7、smac4、小分子smacミメティック、合成smacペプチド(Fuldaらの文献、Nat Med 2002;8:808-15を参照)、ISIS23722(LY2181308)、もしくはAEG-35156(GEM-640))、HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)阻害剤、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ)、VEGF及びVEGFRを標的とする抗血管新生剤(例えば、アバスチン)、合成トリテルペノイド(Hyerらの文献、Cancer Research 2005;65:4799-808を参照)、c-FLIP(細胞FLICE阻害性タンパク質)モジュレーター(例えば、PPARy(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体y)の天然及び合成リガンド、5809354もしくは5569100)、キナーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ)、トラスツズマブ、セツキシマブ、テムシロリムス、mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン及びテムシロリムス、ボルテゾミブ、JAK2阻害剤、HSP90阻害剤、PI3K-AKT阻害剤、レナリルドミド、GSK3P阻害剤、IAP阻害剤、並びに/又は遺伝毒性薬を用いる、追加の治療、例えば、放射線照射及び/又は化学療法と組み合わせて(例えば、同時に又は別々に)使用することができる。
【0408】
本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び組合せ療法はさらに、1以上の抗増殖性細胞毒性剤と組み合わせて使用することができる。抗増殖性細胞毒性剤として使用することができる化合物のクラスとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
【0409】
アルキル化剤(限定するものではないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、及びトリアゼンを含む):ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))ホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレンメラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、ダカルバジン、及びテモゾロミド。
【0410】
代謝拮抗薬(限定するものではないが、葉酸拮抗薬、ピリミジン類似体、プリン類似体、及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤を含む):メトトレキセート、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、及びゲムシタビン。
【0411】
抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と組み合わせるための好適な抗増殖剤、限定するものではないが、当技術分野で公知の他のマイクロチューブリン安定化剤の他に、タキサン、パクリタキセル(パクリタキセルは、TAXOL(商標)として市販されている)、ドセタキセル、ディスコデルモライド(DDM)、ジクチオスタチン(DCT)、ペロルシドA、エポチロン、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC、エポチロンD、エポチロンE、エポチロンF、フラノエポチロンD、デスオキシエポチロンB1、デヒドロデスオキシエポチロンB、デヒドロデスオキシエポチロンB、C12,13-シクロプロピル-エポチロンA、C6-C8架橋エポチロンA、trans-9,10-デヒドロエポチロンD、cis-9,10-デヒドロエポチロンD、16-デスメチルエポチロンB、エポチロンBIO、ディスコデロモリド、パツピロン(EPO-906)、KOS-862、KOS-1584、ZK-EPO、ABJ-789、XAA296A(ディスコデルモリド)、TZT-1027(ソブリドチン)、ILX-651(タシドチン塩酸塩)、ハリコンドリンB、エリブリンメシレート(E-7389)、ヘミアステルリン(HTI-286)、E-7974、シルプトフィシン、LY-355703、メイタンシノイド免疫コンジュゲート(DM-1)、MKC-1、ABT-751、Tl-38067、T-900607、SB-715992(イスピネシブ)、SB-743921、MK-0731、STA-5312、エレウテロビン、17β-アセトキシ-2-エトキシ-6-オキソ-B-ホモ-エストラ-1、3、5(10)-トリエン-3-オール、シクロストレプチン、イソラウリマリド、ラウリマリド、4-エピ-7-デヒドロキシ-14、16-ジデメチル-(+)-ディスコデルモリド、及びクリプトチロン1。
【0412】
異常増殖性細胞を、本明細書に記載される抗TIM-3抗体又は抗原結合断片による治療と同時又はその前に静止状態にさせることが望ましい場合、ホルモン及びステロイド(合成類似体を含む)、例えば、17a-エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、酢酸メゲストロール、メチルプレドニゾロン、メチルテストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ZOLADEX(登録商標)を患者に投与することもできる。本明細書に記載される方法又は組成物を利用する場合、臨床状況での腫瘍成長又は転移の調節において使用される他の薬剤、例えば、抗ミメティック薬を必要に応じて投与することもできる。
【0413】
いくつかの実施態様において、本明細書で論じられる抗TIM-3抗体又は抗原結合断片と第二の薬剤の組合せは、医薬として許容し得る担体中の単一の組成物として同時に、又は医薬として許容し得る担体中の抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び第二の薬剤を含む別々の組成物として同時に投与することができる。いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体と第二の薬剤の組合せは、連続的に投与することができる。2つの薬剤の投与は、例えば、30分、60分、90分、120分、3時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、5日、7日、もしくは1週間以上間隔が空いた時点で開始することができ、又は第二の薬剤の投与は、第一の薬剤が投与されてから、例えば、30分、60分、90分、120分、3時間、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、5日、7日、もしくは1週間以上後に開始することができる。
【0414】
いくつかの実施態様において、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片及び/又は第二の薬剤と組み合わせることができる抗新生物抗体としては、RITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、BEXXAR(登録商標)(トシツモマブ)、ZEVALIN(登録商標)(イブリツモマブ)、CAMPATH(登録商標)(アレムツズマブ)、LYMPHOCIDE(登録商標)(エプルツズマブ)、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、及びTARCEVA(登録商標)(エルロチニブ)、又はこれらの任意の組合せが挙げられる。いくつかの実施態様において、抗TEVB抗体を用いる組合せ療法に有用な第二の抗体は、抗体薬物コンジュゲートであることができる。
【0415】
いくつかの実施態様において、単独の又は別の薬剤と組み合わせた抗TIM-3抗体又は抗原結合断片は、造血起源の種々の腫瘍を治療するために、骨髄移植と同時に又は連続的に使用される。
【0416】
本明細書に提供されるのは、免疫刺激剤による過剰増殖性疾患(例えば、癌)の治療と関連する有害事象を変化させる方法であって、抗TIM-3抗体又は抗原結合断片を、第二の薬剤とともに又は第二の薬剤なしで、対象に投与することを含む、方法である。例えば、本明細書に記載される方法は、非吸収性ステロイドを患者に投与することにより、免疫刺激性治療抗体によって誘発される結腸炎又は下痢の発生率を低下させる方法を提供する。本明細書で使用される場合、「非吸収性ステロイド」は、肝臓での代謝後、ステロイドのバイオアベイラビリティが低い、すなわち、約20%未満となるように広い初回通過代謝を示すグルココルチコイドである。本明細書に記載されるいくつかの実施態様において、非吸収性ステロイドは、ブデソニドである。ブデソニドは、経口投与後、主に肝臓によって広く代謝される、局所作用性グルココルチコステロイドである。ENTOCORT EC(登録商標)(Astra-Zeneca)は、回腸への及び結腸全体への薬物送達を最適化するために開発されたブデソニドのpH及び時間依存的経口製剤である。ENTOCORT EC(登録商標)は、回腸及び/又は上行結腸が関与する軽度から中等度のクローン病の治療として米国で承認されている。いくつかの実施態様において、非吸収性ステロイドと併わせた抗TEVB抗体は、サリチレートとさらに組み合わせることができる。サリチレートとしては、例えば、スルファサラジン(AZULFIDINE(登録商標)、Pharmacia & Up John);オルサラジン(DJPENTUM(登録商標)、Pharmacia & Up John);バルサラジド(COLAZAL(登録商標)、Salix Pharmaceuticals社);及びメサラミン(ASACOL(登録商標)、Procter & Gamble Pharmaceuticals; PENTASA(登録商標)、Shire US; CANASA(登録商標)、Axcan Scandipharm社; ROWASA(登録商標)、Solvay):などの5-ASA剤が挙げられる。
【0417】
追加療法は、本明細書に記載される抗TIM-3抗体もしくは抗原結合断片、細胞、又は医薬組成物の投与前、それと同時、又はその後に投与することができる。組合せ投与は、単一の医薬製剤中でのもしくは別々の製剤を用いる共投与、又はどちらかの順序での、しかし、通常は、全ての活性剤がその生物学的活性を同時に発揮することができるような時間内での連続投与を含むことができる。当業者は、治療されている対象の要求に基づいて、組合せ療法で使用されることになる追加の薬剤のタイミング及び投与を含む、本明細書に記載される医薬組成物及び追加療法を組み合わせて投与するための適切なレジメンを容易に決定することができる。
【0418】
(6.実験)
以下に提供される実施例は、例示のみを目的とするものであり、別途規定されない限り、限定を意図するものではない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになる任意の及び全てのバリエーションを包含するものと解釈されるべきである。
【0419】
(6.1 実施例1:抗ヒトTIM-3モノクローナル抗体の調製)
アミノ酸残基(Met 1~Arg 200)を含むヒトTIM-3細胞外ドメイン断片を免疫原として使用し、7週齢のBalB/Cマウスを免疫原及びフロイントのアジュバント(SIGMA)で免疫することにより、抗ヒトTIM-3モノクローナル抗体を産生した。血清中で高い抗体力価を有する動物を細胞融合用に選択した。最適化したPEG媒介融合手順によって、マウス脾臓細胞をSP2/0(ATCC、CRL8287TM)と融合することにより、ハイブリドーマ細胞を得た。FACSスクリーニングアッセイの後、陽性のハイブリドーマ細胞を品種保存及び一連のサブクローニング用に選択した。クローン3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、3F2、36A2、36B11、38F8、38A8、40F11、50H9、84G10、又は39D1によって産生された抗TIM-3抗体をシークエンシングした。それぞれの抗体の配列は、上の表1~3に提供されている。
【0420】
(6.2 実施例2:抗TIM-3単鎖可変断片(scFv)の生物学的スクリーニング)
(抗TIM-3 scFvファージディスプレイライブラリーのパニング)
マウスを、実施例1に記載されている方法を用いて免疫した。異なるマウス由来の血清をTIM-3に対する反応性について力価測定した。高力価マウス由来の脾臓を処理して、全RNAを抽出した。抗体重鎖及び軽鎖転写物を逆転写し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)で増幅させ、その後、抗TIM-3 scFvのファージディスプレイライブラリーを構築するために使用した。免疫親和性カラムは、各々のカラムを、4mlのコーティングバッファー中の10μgのTIM-3-hisで、4℃で一晩コーティングすることにより調製した。PBS-T中の4%ミルクを用いて、37℃で1時間のインキュベーションにより、免疫親和性カラム及びファージディスプレイライブラリーを別々にブロッキングした。その後、ファージディスプレイライブラリーを免疫親和性カラムに添加し、振盪させながら、37℃で1時間インキュベートして、抗TIM-3 scFvとコーティングされたTIM-3との間の結合を可能にした。PBS-Tで洗浄することにより、未結合のファージを除去した。カラムを0.1Mグリシン-HCl pH 2.2で溶出させ、溶出物を1.5M TRIS-HCl、pH 7.4で約pH 7.0に調整した。その後、この溶出物を用いて、0.5~0.8のO.D.にまで増殖させておいた10mLのER2738に感染させた。溶出物-細菌混合物を37℃で30分間静置させ、その後、振盪させながら、150rpmで37℃で1時間インキュベートした。その後、1%細菌培養物を連続希釈し、プレートにプレーティングして、収量を決定した。残りをパレットに取り、再懸濁させ、2YTATGプレートにプレーティングし、37℃で一晩培養した。翌日、コロニーを2YTATG液体培地に移し、対数期まで増殖させた。その後、M13KO7補助ファージを添加し、40分間感染させた後、培養物を遠心分離によって回収した。パレットを新鮮な2YTAmpで再懸濁させ、30℃で一晩培養し、その後、次回のパンニングのために、PEG6000-NaCl中で沈降精製した。合計3回の濃縮パンニングを行った。
【0421】
(抗TIM3 scFv断片のスクリーニング)
3回のパニングの後、他のコロニーから十分に分離されたモノクローナルコロニーを、2YTAmp液体培地を含有する96-深ウェルプレートに採取し、振盪させながら、37℃で220rpmで対数期まで増殖させ、その後、30℃で一晩、220rpmでインキュベートした。細菌培養上清を4000rpmで15分間の遠心分離によって回収し、ELISAを用いてTIM-3結合親和性を測定した。クローンCH5#、CH8#、CH9#、CH10#、及びCH11#を含む、高いTIM-3結合親和性を有するクローンを選択した。それぞれの抗体の配列は、上の表1~3に提供されている。
【0422】
(6.3 実施例3:抗TIM-3抗体のヒト化)
クローン3E6に最も近い生殖系列をIMGTデータベースから選択して、ヒト化の鋳型とした。CDRのKabat付番を採用した。クローン3E6由来のCDRを対応するヒト鋳型に移植した。ヒト化VH及びVL領域の配列は、上の表4a~4bに提供されている。
【0423】
ヒト化抗体を発現させるために:プライマーを遺伝子改変用に設計し; VH及びVL領域をPCRによって取得し、シグナルペプチドと定常領域をコードする核酸配列(CH1-FC/CL)とを含む発現ベクターにクローニングし;抗体の重鎖及び軽鎖を発現用の293F細胞にトランスフェクトした。親和性は、Octet-96を用いて測定した。ヒト化抗体の結合親和性は、以下で提供されている。
表5 ヒト化抗体の結合親和性
【表10】
【0424】
(6.4 実施例4:親和性成熟)
親和性成熟手順には、以下の工程が含まれた:親Fabを構築し、標的抗原に対するその結合を検証した; 6つ全てのCDR中の残基に対する正確な突然変異生成を行った;単一クローンを選択して、ELISAスクリーニング及びオフレートランキング用の可溶性Fabを発現させた;有益な突然変異を選択し、複合ライブラリーを構築した; ELISAスクリーニング及びオフレートランキングを行った;上位の親和性成熟抗体クローンを選択した(上の表1c);選択された抗体クローンをコードするDNAを合成し、発現ベクターにサブクローニングした;選択された抗体をHEK29細胞で発現させ、精製し、ヒトTIM-3とのその親和性を測定した。
表6 親和性成熟した抗体の結合親和性
【表11】
【0425】
(6.5 実施例5:抗体の精製)
抗体がトランスフェクトされた細胞の培養溶液を高速で遠心分離し、上清を回収した。0.45μmのフィルター膜で濾過した後、精製の第一段階を親和性クロマトグラフィーによって実行した。Fc又は誘導体充填剤(例えば、GEのMabselect)と相互作用するプロテインAをクロマトグラフィー媒体として使用した。カラム容量の10倍の平衡化バッファー(1×PBS: 5.6mmol/L Na2HPO4、1.06mmol/L KH2PO4、154mmol/L NaCl、pH7.2)を使用し、その後、細胞上清を充填して、合わせた。流速は、試料がカラムを通過するのに1分かかるように調整した。A280のUV吸収がベースラインに下がるまで、カラムを1×PBSで洗浄し、溶出バッファー(50mM PBS: 50mmol/L Na2HPO4、1.06mmol/L KH2PO4、154mmol/L NaCl、pH3.0)で溶出させた。A280紫外線吸収による溶出ピークの試料を回収し、1M NaOHで中和し、限外濾過によって濃縮し、0.22μm膜で濾過した。抗体の純度をSEC-HPLCによって95%超であると決定し、配列をLS-MSによって確認した。
【0426】
(6.6 実施例6:ヒトTIM-3タンパク質に対する抗TIM-3抗体の結合反応速度)
抗TIM-3抗体をHFCセンサー(Probe Life)の表面にカップリングさせ、移動相としてのヒトTIM-3組換えタンパク質を50nMの最大濃度で1:2に連続希釈した。センサーの表面でのTIM-3タンパク質と抗体の会合及び解離を測定した。具体的には、HFCセンサーをSDバッファー(0.02%Tween-20及び0.2%BSAを含有するPBS)中で10分間予め湿らせ、その後、抗体を含有する試料バッファー中で1分間平衡させ、抗体をセンサー表面にカップリングさせた。抗体がカップリングされたHFCセンサーをSDバッファー中で1分間平衡させ、その後、様々な濃度のTIM-3-hisを含有するバッファー中で120秒間インキュベートし、捕捉された抗体へのTIM-3-hisタンパク質の会合を測定した。最後に、抗原と抗体を組み合わせているセンサーをSDバッファーに入れ、300秒間待機して、センサーに捕捉された抗体からのTIM-3-hisタンパク質の解離を測定した。データは、1:1モデルを用いてフィッティングし、会合速度(kon)及び解離速度(koff)を算出した。平衡解離定数(KD)は、koff/Kon比によって算出した。
表7: TIM-3タンパク質に対する抗TIM-3抗体の結合反応速度
【表12】
【0427】
(6.7 実施例7:マウス又はカニクイザルTIM-3に対する抗TIM-3抗体の交差反応性)
簡潔に説明すると、連続希釈された抗TIM-3抗体を、マウスTIM-3又はカニクイザルTIM-3を安定発現している細胞株(105細胞/ウェル)とともにインキュベートした。その後、PE標識マウス抗ヒトIgG抗体(Biolegend)を検出抗体として使用した。フローサイトメーター(Canto II, BD, USA)を用いて、蛍光を測定した。図1Aに示されているように、抗体3E6、4H2、16H1、39D1は、カニクイザルTIM-3と交差反応した。図1Bに示されているように、試験された抗体はいずれも、マウスTIM-3と交差反応しなかった。h3E6 IgG1及びh3E6 IgG1 LALA(L234A/L235A突然変異体)を含む特定のヒト化抗体を試験した。図2に示されているように、h3E6 IgG1もh3E6 IgG1 LALAも、カニクイザルTIM-3と交差反応しなかった。h3E6 IgG1もh3E6 IgG1 LALAもマウスTIM-3と交差反応しないことがさらに確認された(データは示さない)。
【0428】
(6.8 実施例8:ヒト又はマウスFc受容体に対する抗TIM-3抗体の様々なアイソタイプの結合)
マウスFc受容体(CD16、CD32B、FCRN、もしくはFCGR4)又はヒトFc受容体(CD32a H167、CD32a R167、CD32b、Cd16a 176F、Cd16a 176V、FCRN)に対する異なるアイソタイプ(IgG1、IgG1 LALA、IgG2、及びIgG4)のヒト化抗TIM-3抗体3E6の結合を、生体分子相互作用システムGator(Probe Life)を用いて検出した。ビオチン化Fc受容体をSAセンサー(Probe Life)の表面にカップリングさせ、異なるアイソタイプのヒト化抗TIM-3抗体を移動相として用いた。センサー表面でのFc受容体と抗体の間の結合を測定した。具体的には、SAセンサーをSDバッファー(0.02%Tween-20及び0.2%BSAを含有するPBS)中で10分間予め湿らせ、その後、Fc受容体を含有する試料バッファー溶液中で10分間平衡させ、Fc受容体をセンサー表面にカップリングさせた。Fc受容体がカップリングされたSAセンサーをSDバッファー中で2分間平衡させ、その後、抗体を含有するバッファー中で5分間インキュベートして、捕捉されたFc受容体への抗体の会合を測定した。最後に、Fc受容体と抗体を組み合わせているセンサーをSDバッファーに入れ、100秒間待機して、2つのタンパク質間の解離を測定した。
【0429】
受容体に会合した抗体の量は、図7A~7B中の「応答(nm)」として反映させた。図7A(ヒトFc受容体)及び図7B(マウスFc受容体)に示されているように、ヒト化3E6の様々なアイソタイプは、異なるレベルで異なるFc受容体に結合した。
【0430】
(6.9 実施例9:抗TIM-3抗体はホスファチジルセリンに対するTIM-3結合を遮断した)
まず過酸化水素を用いて、293Tのアポトーシスを誘導した。その後、1×アネキシン-Vバッファー(10mM HEPES、140mM NaCl、2.5mM CaCl2、pHは7.4に調整)中の連続希釈された抗TIM-3抗体又はアイソタイプ対照を、組換えヒトTIM-3-Fc(Sino Biological, 10390-H38H)とともに室温で30分間インキュベートした。アポトーシスを起こしている293T細胞を1×105細胞/ウェルの最終濃度で抗体:TIM-3-Fc混合物に添加し、4℃で1時間インキュベートした。細胞を1回洗浄した後、PE標識ヤギ抗マウスIgG抗体を添加し、4℃で1時間インキュベートした。最後に、試料を1×アネキシン-Vバッファーで1回洗浄し、蛍光をフローサイトメーター(Canto II, BD, USA)で測定した。図3に示されているように、抗TIM-3抗体3E6、4H2、16H1、CH10#、及び19D11は、アポトーシス細胞上のホスファチジルセリンに対するTIM-3結合を遮断した。
【0431】
(6.10 実施例10:抗TIM-3抗体はTIM-3の内在化を誘導した)
TIM-3を発現するNK細胞を用いて、抗TIM-3抗体によって誘導されるTIM-3の内在化を測定した。簡潔に説明すると、連続希釈された抗TIM-3抗体をNK細胞(1×105個)とともに37℃又は4℃で18時間インキュベートした。TIM-3の細胞表面発現を、フローサイトメトリーを用いて、PE標識ヤギ抗ヒトIgGκ抗体で検出した。図4に示されているように、抗TIM-3抗体3E6、4H2、及び16H1は全て、NK細胞におけるTIM-3の内在化を誘導した。さらに、T細胞及び腫瘍細胞、具体的には、Pfeiffer細胞(ヒトリンパ腫)も内在化試験で使用し、T細胞では、3E6、4H2、及び16H1の全てがTIM-3の内在化を誘導するが、Pfeiffer細胞では、4H2のみがTIM-3の内在化を誘導することが観察された。結果は、以下にまとめられている。
表8:抗TIM-3抗体によって誘導されるTIM-3の内在化
【表13】
【0432】
(6.11 実施例11:抗TIM-3抗体はPBMCにおけるIFN-γの分泌を増加させた)
抗CD3 mAb(OKT3)で活性化されたT細胞を用いて、抗TIM-3抗体の活性を測定した。活性化されたPBMCを調製するために、1μg/ml OKT3を用いて、4℃で一晩インキュベートすることにより、プレートをコーティングした。翌日、OKT3を含有するコーティング溶液を捨て、解凍されたPMBCをOKT3コーティングしたプレートに添加した。293T/OS8細胞を標的細胞として使用した。そのN末端に、OS8は、TCR/CD3複合体と直接相互作用し、T細胞を活性化することができる抗ヒトCD3 mAb OKT3 scfvを含んでいた。培養から3日後、活性化されたPBMCを293T/OS8標的細胞と5:1(活性化されたPBMC:293T/OS8)の比で混合し、連続希釈された抗TIM-3抗体を添加した。図5Aに示されているように、抗TIM-3抗体3E6、4H2、16H1、18C6、19D11、CH 10#、CH 11#、38A8、38F8、3F2、及び39D1は全て、293T/OS8標的細胞とエフェクター細胞の共培養物におけるIFN-γ分泌(ELISAにより測定)を増加させた。親和性成熟した抗体の活性も、同じ手順を用いて確認した(図5B)。
【0433】
(6.12 実施例12:抗TIM-3抗体はNK細胞によって媒介される細胞傷害性を増強した)
ヒト化抗TIM-3抗体がNK細胞によって媒介される細胞傷害性を増強し得ることを確認するために、NK細胞を、製造元の指示に従ってMiltenyi Biotec製のNK細胞分離キットを用いて、健康なドナーのPBMCから単離した。ヒトIL-2(1000U/ml)で1日間刺激した後、NK細胞を抗TIM-3抗体とともに室温で20分間インキュベートした。その後、CFSE標識K562細胞を混合物に添加し、37℃で2時間インキュベートした。その後、CD107a発現(これは、NK細胞の活性化を示す)をフローサイトメトリーで検出した。図6に示されているように、抗TIM-3抗体3E6、4H2、及び16H1は、平均蛍光強度(MFI)とCD107aを発現している細胞の割合の両方によって測定されるCD107a発現を、参照抗体のTSR022及びMBG453よりも大きい程度まで増加させ、これらの抗体がNK細胞の活性(細胞傷害性)を増強することができ、参照抗体と比較してより高い活性を有することを示した。
【0434】
(6.13 実施例13:抗TIM-3抗体はマウスモデルにおいて腫瘍増殖を阻害する)
ヒトCD34+造血幹細胞が移植されたNPG(商標)マウスに、ヒト非小細胞肺癌細胞を皮下移植した。ヒト化3E6による処置は、腫瘍が体積で約75mm3の大きさに達した後に開始した。腫瘍径は、週に2回測定した。腫瘍体積は、「l」を最長径とし、「s」をその短径として、lss/2という式に従って計算した。ビヒクル対照群と比べた試験群の腫瘍体積の阻害は、相対的腫瘍体積中央値の比(T/C)として計算した。腫瘍体積は、ヒト化3E6の2回の投与によって有意に低下した。HCC827癌細胞株とMDA-MB-231癌細胞株の両方を試験し、腫瘍サイズの同様の低下が観察された。
【0435】
同じ手順に従って、膵癌細胞株BxPC-3も試験し、同様の腫瘍サイズの低下が観察された。IgG1 LALA(L234A及びL235A)、IgG2、並びにIgG4を含む、ヒト化3E6の異なるアイソタイプを試験した。図8に示されているように、異なるアイソタイプのヒト化3E6は全て、ビヒクル対照と比較して、腫瘍体積を効果的に低下させた。さらに、終点マウス血清試料中の様々なサイトカイン(IL-4、IL-2、IL-1β、TNF-α、IL-17A、IL-6、IL-10、IFN-γ、IL-12p70、及びTGF-β)を測定した。図9に示されているように、ヒト化3E6 IgG1 LALAは、マウス血清試料中のIL-17A、IL-6、IL-10、IFN-γ、パーフォリン、及びグラニュリシンのレベルを有意に増加させた。
【0436】
さらに、異なるアイソタイプのヒト化3E6は、マウス結腸腺癌細胞MC38が皮下移植されたTIM3ヒト化C57BL/6マウスの腫瘍増殖も阻害した(図10)。
【0437】
したがって、本明細書に開示されるヒト化抗TIM-3抗体のインビボでの抗腫瘍効力が、肺癌、乳癌、膵癌、及び結腸癌を有するマウスモデルにおいて個別に実証された。
【0438】
(6.14 実施例14:エピトープビニング)
抗体をPBSで2μg/mLに希釈した。50μlの抗体溶液を96ウェルプレートの各々のウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートした。その後、プレートを洗浄バッファー(PBS中の0.05%Tween)で3回洗浄し、PBS中の5%スキムミルクで、37℃で2時間ブロッキングした。ビオチン化ヒトTIM-3及び抗体を室温で30分間プレインキュベートし、その後、プレートに添加した。その後、プレートを室温で1時間インキュベートし、洗浄バッファーで3回洗浄した。その後、50μlのストレプトアビジンHRP(1:1000、BD)を各々のウェルに室温で添加し、約1時間インキュベートした。50μlのTMB基質を各々のウェルに添加し、それから1~5分後、反応を50μlのHCLで終結させた。吸光度を450nmで読み取り、IC50値を解析した。
【0439】
表9に示されているように、抗体3E6、4H2、16H1、及びCH10#は、参照抗体(例えば、MBG453及びTSR022)がヒトTIM-3に結合するのを様々な程度まで競合的に阻害し、ヒトTIM-3上のそのエピトープが参照抗体によって認識されるエピトープと重複していることを示した。対照的に、19D1及びCH11#は、参照抗体のヒトTIM-3への結合の阻害をほとんど示さず、TIM-3上のそのエピトープが参照抗体のエピトープとほとんど重複しないか、又は全く重複しないことを示した。さらに、MBG453及び/又はTSR022は、抗体3E6、4H2、16H1、及びCH10#がヒトTIM-3に結合するのをわずかな割合(50%未満、又は20%未満)までしか低下させず、これら4つの抗体がMBG453及び/又はTSR022によって認識されないヒトTIM-3上の少なくとも1つのさらなるエピトープに結合することを示した。
表9 抗TIM-3抗体のエピトープビニング
【表14】
【数1】
【0440】
(6.15 実施例15:構造決定)
(工程1:タンパク質の発現及び精製:)
コドン最適化後、標的抗原(ヒトTIM-3アイソフォーム1)のコード配列を発現ベクターにクローニングした。精製タグを抗原のN末端又はC末端に付着させ、酵素消化部位をタグとタンパク質の間に導入した。タンパク質を、大腸菌内で封入体の形で発現するように誘導した。OD600が0.6~1.0に達するまで、細胞を、LB培地中、37℃で培養した。この時点で、1mM IPTGを添加し、37℃及び120rpmで4時間インキュベートして、タンパク質発現を誘導した。細菌を遠心分離によって回収した。回収された細菌を溶解させ、標的タンパク質を親和性精製によって得た。最後に、SDS-PAGE、LC-MS、及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、精製タンパク質を同定した。
【0441】
抗体(3E6 Fab)をパパイン又はトリプシンで消化し、消化された抗体を13000rpmで5分間遠心分離した。Superdex 200 Increase 10/300 GLカラムを用いて、成分を分離し、標的試料を回収した。
【0442】
(工程2:複合体形成及び結晶化:)
精製された抗原抗体複合体をシッティングドロップ法によって結晶化させた。Hampton Research社製の結晶化キットを使用した: 15μLの結晶化試薬をバッファーとして使用し、96-ウェル結晶プレートのウェルに適用した。Mosquito LCPタンパク質結晶化スクリーニング装置を用いて、試料: 200nLタンパク質+180nL結晶化溶液+20nLリゾチーム結晶種を添加した。MicroAMP Optical Adhesive膜で密閉された96-ウェルプレートを4℃/20℃の恒温インキュベーターに入れ、結晶の成長を定期的に観察した。
【0443】
(工程3:データ収集及び構造決定:)
結晶回折データを収集する前に、結晶をまずクライオプロテクタントに移し、その後、Universal V1-Puck中の液体窒素中に保存し、データ収集のためにシンクロトロン放射線源に送った。収集された回折データは、HKL3000ソフトウェアを用いて処理した。
【0444】
標的抗原及びFabの相同性モデルをそれぞれ選択し、CCP4ソフトウェアパッケージのPHASER & Molrepプログラムを用いて、分子置換を実行し、複合体の初期構造を取得した。その後、CCP4ソフトウェアパッケージのREFMACプログラムを用いて、モデルを補正し、COOTプログラムを用いて、モデルを手動調整した。最終的な構造を、数回のサイクルを経て取得し、図11Aに示した。
【0445】
図11B及び表10に示されているように、本発明者らは、ヒトTIM-3上の特定の残基とh3E6 FabのVH CDR及びVL CDR上の特定の残基との間の相互作用をさらにマッピングした。示されているように、h3E6 Fabは、VHのCDR1~3及びVLのCDR2を介してヒトTIM-3のアミノ酸71~82に結合した。
表10 抗TIM-3抗体のエピトープマッピング
【表15】
【0446】
さらに、h3E6 Fabと別の抗TIM-3抗体の両方と結合したヒトTIM-3の複合体も結晶化させ、その構造を図12A~12Bに示した。図12Aは、ヒトTIM-3、h3E6 Fab、及び抗TIM-3 Fab 6TXZ(PDBID:6TXZ又はM6903 Fab、Merck KGaA)の複合体の構造を示している。Zhangらの文献、Oncoimmunology, 2020; 9(1): 1744921)。図12Bは、TIM-3、h3E6 Fab、及び抗TIM-3 Fab 7KQL(PDB ID:7KQL)の複合体の構造を示している。示されているように、h3E6は、6TXZ又は7KQLのいずれかによって結合されるエピトープとは異なるヒトTIM-3上のエピトープに結合した。
【0447】
(6.16 実施例16:抗TIM-3抗体は骨髄細胞をインビトロで活性化する)
本明細書に提供される抗TIM-3抗体(例えば、異なるアイソタイプのh3E6)が骨髄細胞を活性化することにより自然免疫をさらに増強することができることを確認するために、0.5~1×105個の骨髄細胞(並行実験で、マクロファージ及び樹状細胞)を96-ラウンドウェルプレートにプレーティングし、連続希釈抗体とともに少なくとも2時間インキュベートする。細胞を超高純度LPSで数時間プライミングした後、ATP又はニゲリシン(例えば、3μM)で0.5~5時間刺激する。その後、上清を、製造元の指示に従って、ヒトIL-1β、IL-18、IL-6、又はTNFαレベルについて解析する。本明細書に提供される抗TIM-3抗体は、骨髄細胞の活性を増強し、上清中のサイトカインレベルの増強をもたらすと考えられる。
【0448】
対照としてのヒトTIM-3上の異なるエピトープ(例えば、D71、N76、又はY82を含まないエピトープ)に結合する抗TIM-3 Fab。例えば、Fab 6TXZ又はFab 7KQLを使用することができる。対照抗体は、h3E6と比較して、骨髄細胞の活性を促進する活性が低い(活性がないことさえある)と考えられる。
【0449】
(7.電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、2022年4月3日に作成され、かつ96,927バイトのサイズを有する「135A002WO03_ST25.TXT」という表題のASCIIテキストファイルとして本出願に伴う配列表を引用により組み込んでいる。
図1-AB】
図2
図3
図4
図5-A】
図5-B】
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024516616000001.app
【国際調査報告】