(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】流体隔離された導電パスを有する井戸完成パイプ
(51)【国際特許分類】
E21B 17/042 20060101AFI20240409BHJP
F16L 25/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
E21B17/042
F16L25/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565186
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 IB2022053670
(87)【国際公開番号】W WO2022224149
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523398732
【氏名又は名称】リールウェル・エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メリング,モーテン・オラヴ
(72)【発明者】
【氏名】アルハウグ,エスペン
(72)【発明者】
【氏名】ホーンズ,マリウス
【テーマコード(参考)】
2D129
3H016
【Fターム(参考)】
2D129AB02
2D129EC06
3H016FA06
(57)【要約】
井戸完成パイプは、各々が外側パイプ、外側パイプの内側に配置された中間層、及び層の内側に配置された内側パイプを備える複数のパイプ接合部を有する。内側パイプは、外側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、又は外側パイプは、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びる。内側パイプ及び外側パイプは、各長手方向端部において、各々のねじ接続部を備える。各々のねじ接続部は、対応する嵌合ねじと係合した際に金属間のシールを形成する。圧力隔離された通路は、中間層を通して延びる。いくつかの態様では、内側パイプは井戸ケーシングを備える。いくつかの態様では、外側パイプは井戸完成管を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁された導電体を有する井戸完成パイプであって;
各々が坑井管の接合部、坑井管の接合部の内側に配置された絶縁導電体を含む中間層、及び中間層の内側に配置された内側パイプを含む、複数のパイプ接合部であって;
内側パイプが、坑井管の接合部の各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、又は坑井管の接合部が、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び;
内側パイプ及び坑井管の接合部が、各長手方向端部において各々のねじ接続部を備え、各々のねじ接続部は、対応する嵌合ねじに係合した際に金属間のシールを形成する、複数のパイプ接合部と;
坑井管の接合部の各長手方向端部に配置され、導電体と電気的に接触する電気接点と
を備える、井戸完成パイプ。
【請求項2】
さらにカラーを備え、該カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる絶縁導電体とを有し、絶縁導電体は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置された絶縁された電気接点を含む、請求項1に記載の井戸完成パイプ
【請求項3】
絶縁導電体が、カラーの壁の内部に沿って延びる長手方向の孔内に配置されている、請求項2に記載の井戸完成パイプ。
【請求項4】
導電体がワイヤーブレードを備える、請求項1に記載の井戸完成パイプ。
【請求項5】
電気接点が、ワイパーシールの間に配置されている、請求項1に記載の井戸完成パイプ。
【請求項6】
内側パイプ及び坑井管の接合部上の各々のねじ接続部が、同じピッチを有する、請求項1に記載の井戸完成パイプ。
【請求項7】
中間層が、外表面上に電気絶縁材料を備え、導電体が絶縁材料内にネストされ、電気絶縁体が導電体を内側パイプ及び坑井管の接合部から電気的に絶縁するように配置されている、請求項1に記載の井戸完成パイプ。
【請求項8】
坑井管の接合部、導電体及び内側パイプが、互いに電気的に絶縁されている、請求項7に記載の井戸完成パイプ。
【請求項9】
内側パイプが、一方の長手方向端部において、坑井管の接合部の各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、ケーシングの接合部は、対向する長手方向端部において、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びる、請求項1に記載の井戸完成パイプ。
【請求項10】
圧力隔離された導電パスを有する井戸完成パイプであって;
各々が外側パイプと、中間層であって、中間層に沿って長手方向に延びる経路を有し、且つ外側パイプの内側に配置されている、中間層と、中間層の内側に配置された内側パイプとを備える複数のパイプ接合部;を備え、
(i)内側パイプは、外側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、又は(ii)外側パイプは、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び;
内側パイプ及び外側パイプは、各長手方向端部において各々のねじ接続部を備え、各々のねじ接続部は、対応する嵌合ねじと係合した際に金属間のシールを形成し;
中間層は、内側パイプ及び外側パイプの各々の長手方向端部の間で長手方向に終結し、中
間層の各長手方向端部において経路が露出されている、井戸完成パイプ。
【請求項11】
さらにカラーを備え、該カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる貫通孔とを有し、貫通孔は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間で長手方向に終結する、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項12】
絶縁導電体が、カラー内の貫通孔内に配置されている、請求項11に記載の井戸完成パイプ。
【請求項13】
中間層が絶縁導電体を備える、請求項12に記載の井戸完成パイプ。
【請求項14】
絶縁導電体が、フラットケーブル又はワイヤーブレードを備える、請求項13に記載の井戸完成パイプ。
【請求項15】
電気接点が、中間層の各長手方向端部に結合され、電気接点が、ワイパーシール間に配置されている、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項16】
内側パイプ及び外側パイプ上の各々のねじ接続部が同じピッチを有する、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項17】
中間層が、外表面上に配置された電気絶縁材料を備え、導電体は、絶縁材料内にネストされ、電気絶縁体は、導電体を内側パイプ及び外側パイプから電気的に絶縁するように配置されている、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項18】
外側パイプ、導電体及び内側パイプが互いに電気的に絶縁されている、請求項17に記載の井戸完成パイプ。
【請求項19】
内側パイプが、一方の長手方向端部において、外側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、外側パイプが、対向する長手方向端部において、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びる、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項20】
内側パイプが井戸完成管を備える、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項21】
外側パイプが井戸完成管を備える、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項22】
さらに構成工具接合部を備え、該構成工具は、一方の長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、構成工具接合部の長手方向端部の間を延びる絶縁導電体とを有し、絶縁導電体は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置された絶縁された電気接点を含み、構成工具接合部は、別の長手方向端部において、(i)カラー上の対応する嵌合ねじ(カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる絶縁導電体とを備え、絶縁導電体は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置された絶縁された電気接点を含む)、又は(ii)別の構成工具接合部上の対応する嵌合ねじ、のいずれかとねじ係合するための各々のねじ寸法を有する内側ねじ接続部及び外側ねじ接続部を有する、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項23】
中間層がスリーブを備える、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項24】
スリーブが、可鍛性の延性金属を備える、請求項23に記載の井戸完成パイプ。
【請求項25】
可鍛性の延性金属がアルミニウムを含む、請求項24に記載の井戸完成パイプ。
【請求項26】
絶縁導電体が、スリーブの表面上に形成された溝内、又はスリーブの周囲方向の端部間の間隙内に形成された溝内に配置されている、請求項23に記載の井戸完成パイプ。
【請求項27】
中間層が絶縁導電体を備え、内側パイプ及び外側パイプが互いに締り嵌めされている、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項28】
中間層が、閉じた周辺を有する絶縁材料の層、及び閉じた周辺を有する導電性材料の層を備える、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【請求項29】
一方の長手方向端部において対応する嵌合ねじを有する構成工具接合部をさらに備え、構成工具接合部は、別の長手方向端部において、(i)カラー上の対応する嵌合ねじ(カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる貫通孔とを備え、貫通孔は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置されたチャンバ内で終結する)、又は(ii)別の構成工具接合部上の対応する嵌合ねじ、のいずれかとねじ係合するための各々のねじ寸法を有する内側ねじ接続部及び外側ねじ接続部を有する、請求項10に記載の井戸完成パイプ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この開示は、地下井戸の建設の分野に関する。より詳細には、本開示は、そのような井戸を完成させるために使用されるパイプの構造に関し、このパイプは、電力及び信号チャネルとして使用される絶縁された導電体、又はパイプに関連した油圧若しくは空気圧制御ライン等の流体隔離された導電パスを有する。
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、絶縁された導電体を有する井戸掘削パイプ(ドリルパイプ)の構造及び作製方法を記載しており、該絶縁導電体は、井戸が掘削されている間、表面と井戸内の1つ以上の電動工具との間の電力及び信号通信のためのチャネルに使用される場合がある。一般に、前述した刊行物に記載されているパイプは、ドリルパイプの業界標準部分(接合部)を使用する。パイプは、パイプ接合部の内面上において、内部に挿入された電気絶縁層を有し、絶縁層に対して径方向に拡張し、且つ絶縁層に結合する導電体構造を有する。導電体構造は、径方向に拡張し、径方向に拡張した結果長手方向に収縮することができ、径方向拡張による塑性変形を受けないように作製されている。
【0003】
前述した刊行物に開示されているパイプ構造は、井戸掘削中の条件、特に、坑井内を移動する間、組み立てられたパイプの接合部(パイプ「ストリング」)に適用される屈曲及び周期的なねじり応力、繰り返される軸方向の荷重及び除荷、並びに、井戸掘削が進行する際の接合部又は「スタンド」(2つ、3つ又は4つの部分に組み立てられた接合部)間にねじ接続を繰り返し作成及び切断する条件に特に適合されている。このようなドリルパイプは、金属疲労、又は、各パイプ接合部の長手方向端部のねじ接続部が、パイプ接合部がそのようなねじ接続部を繰り返し切り直されるために使用不能となるため、使用から外されることが想定される。ねじパイプ接続部の切り直しは、ねじ接続部が使用及び取り扱い中に損傷した後に、ドリルパイプの使用を維持するために用いられる。
【0004】
より最近では、掘削が完了した井戸の電力及び信号通信チャネルを提供するために、いわゆる「有線」パイプを使用することに関心がもたれており、井戸は、露出された構造を保護するために、及び異なる深さの岩層間の流体移動から井戸をシールするために、ケーシング又はライナーの設置を必要とする。そのようなケーシング又はライナーは、掘削が終了した後に井戸内に配置されることが知られており、またそのようなケーシング又はライナーは、セメントによって坑井内の定位置に保たれる。次いで、ケーシング又はライナーは、例えば、油及びガス等の流体を生成すると予想される岩層内に穿孔することによって完成される場合がある。対応する条件は、1つ以上の油圧又は空気圧制御ラインが、例えば流入制御デバイス又は安全弁の作動に使用される場合がある井戸に適用される場合がある。
【0005】
ケーシング又はライナーは、流体が井戸に進入する深さに応じて、流動流体に長期間晒され、場合によっては、高温に晒される場合があることが合理的に予想される場合がある。その結果、前述した刊行物に記載されているように作製された導電体を有するケーシング又はライナーは、そのような条件に最も適しているとは言えない場合がある。前述した特許公開に開示されているパイプ構造は、油圧及び/又は空気圧制御ラインでの使用に適していない。前述した問題は、通常井戸内のケーシング又はライナー内にネストされる、チュービングと呼ばれるより小径のパイプに関連することが等しく理解される場合がある。集合的に、そのようなパイプは、井戸完成パイプ又は坑井管(wellbore tubular)と称される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】カナダ特許第3,002,675号明細書
【特許文献2】米国特許第11,236,551号明細書
【0007】
従って、長期間の流体流動及び高温への曝露による故障に耐えるように、より良好に適合された、1つ以上の絶縁導電体、又は油圧若しくは空気圧制御ラインを有する井戸完成パイプが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一局面は、「有線」井戸完成パイプに関する。本開示のこの局面による井戸完成パイプは、複数の坑井管状接合部を有し、これらは各々、坑井管の接合部(joint
of wellbore tubular)と、坑井管の接合部の内側に配置された電気絶縁、結合及び導電層と、電気絶縁の内側に配置された内側パイプとを備える。内側パイプは、坑井管の接合部の各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、又は坑井管の接合部は、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びる。内側パイプ及び坑井管の接合部は、各長手方向端部において、各々のねじ接続部を含む。各々のねじ接続部は、対応する嵌合ねじに係合された際に金属間のシールを形成する。坑井管の接合部の各長手方向端部に配置された電気接点は、電気絶縁、結合及び導電層内の導電体と電気的に接触している。
【0009】
いくつかの態様は、カラーをさらに備え、該カラーは、各長手方向に、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる絶縁導電体とを有し、絶縁導電体は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置された絶縁された電気接点を備える。
【0010】
いくつかの態様では、絶縁導電体は、カラーの壁の内部に沿って延びる長手方向の孔内に配置されている。
【0011】
いくつかの態様では、導電体は、ワイヤーブレードを備える。
【0012】
いくつかの態様では、電気接点は、ワイパーシールの間に配置されている。
【0013】
いくつかの態様では、内側パイプ及びケーシングの接合部上の各々のねじ接続部は、同じピッチを有する。
【0014】
いくつかの態様では、電気絶縁、結合及び導電層は、外表面上の電気絶縁材料と、絶縁材料内にネストされた導電体と、導電体を内側パイプ及び坑井管の接合部と電気的に絶縁するように配置された電気絶縁体とを備える。
【0015】
いくつかの態様では、坑井管の接合部、導電体及び内側パイプは、互いに電気的に絶縁されている。
【0016】
いくつかの態様では、内側パイプは、一方の長手方向端部において、坑井管の接合部の各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、坑井管の接合部は、対向する長手方向端部において、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びる。
【0017】
この開示の別の局面による圧力隔離された導電パスを有する井戸完成パイプは、複数のパイプ接合部を含む。各パイプ接合部は、外側パイプと、中間層であって、中間層に沿って長手方向に延びる経路を有し、外側パイプの内側に配置されている、中間層と、中間層の内側に配置された内側パイプとを備える。(i)内側パイプは、外側パイプの各々の長
手方向端部を越えて長手方向に延びるか、又は(ii)外側パイプは、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びるかのいずれかである。内側パイプ及び外側パイプは、各長手方向端部において各々のねじ接続部を備え、各々のねじ接続部は、対応する嵌合ねじに係合された際に金属間のシールを形成する。中間層は、中間層の各長手方向端部において経路が露出されるように、内側パイプ及び外側パイプの各々の長手方向端部の間で長手方向に終結する。
【0018】
いくつかの態様は、カラーをさらに備え、該カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる貫通孔とを有する。貫通孔は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間で長手方向に終結する。
【0019】
いくつかの態様では、絶縁導電体は、カラー内の貫通孔内に配置されている。
【0020】
いくつかの態様では、中間層は、絶縁導電体を備える。
【0021】
いくつかの態様では、絶縁導電体は、フラットケーブル又はワイヤーブレードを備える。
【0022】
いくつかの態様では、電気接点は、中間層の各長手方向端部に結合され、電気接点は、ワイパーシール間に配置されている。
【0023】
いくつかの態様では、内側パイプ及び外側パイプ上の各々のねじ接続部は、同じピッチを有する。
【0024】
いくつかの態様では、中間層は、外表面上に配置された電気絶縁材料を備える。導電体は絶縁材料内にネストされ、電気絶縁体は、導電体を内側パイプ及び外側パイプから電気的に絶縁するように配置されている。
【0025】
いくつかの態様では、外側パイプ、導電体及び内側パイプは、互いに電気的に絶縁されている。
【0026】
いくつかの態様では、内側パイプは、一方の長手方向端部において、外側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延び、外側パイプは、対向する長手方向端部において、内側パイプの各々の長手方向端部を越えて長手方向に延びる。
【0027】
いくつかの態様では、内側パイプは、井戸ケーシングを備える。
【0028】
いくつかの態様では、外側パイプは、井戸ケーシングを備える。
【0029】
いくつかの態様は、一方の長手方向端部において有する構成工具接合部をさらに備える。対応する嵌合ねじ及び絶縁導電体は、構成工具接合部の長手方向端部の間を延びる。絶縁導電体は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置された絶縁された電気接点を備える。構成工具接合部は、別の長手方向端部において、内側ねじ接続部及び外側ねじ接続部を有し、これらは、(i)カラー上の対応する嵌合ねじ(カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる絶縁導電体とを備え、絶縁導電体は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置された絶縁された電気接点を備える)、又は(ii)別の構成工具接合部上の対応する嵌合ねじ:のいずれかとねじ係合するための各々のねじ寸法を有する。
【0030】
いくつかの態様では、中間層は、スリーブを備える。
【0031】
いくつかの態様では、スリーブは、可鍛性の延性金属を備える。
【0032】
いくつかの態様では、可鍛性の延性金属は、アルミニウムを含む。
【0033】
いくつかの態様では、絶縁導電体は、スリーブの表面上に形成された溝内、又はスリーブの周囲方向の末端間の間隙内に配置されている。
【0034】
いくつかの態様では、中間層は、絶縁導電体を備え、内側パイプ及び外側パイプは、互いに締り嵌めされている。
【0035】
いくつかの態様では、中間層は、閉じた周辺を有する絶縁材料の層と、閉じた周辺を有する導電性材料の層とを備える。
【0036】
いくつかの態様は、一方の長手方向端部において、対応する嵌合ねじを有する構成工具接合部をさらに備える。構成工具接合部は、別の長手方向端部において、内側ねじ接続部及び外側ねじ接続部を有し、これらは、(i)カラー上の対応する嵌合ねじ(カラーは、各長手方向端部において、対応する嵌合ねじと、カラーの長手方向端部の間を延びる貫通孔とを備え、貫通孔は、対応する嵌合ねじの内側のものと、対応する嵌合ねじの外側のものとの間に配置されたチャンバ内で終結する)、又は(ii)別の構成工具接合部上の対応する嵌合ねじ:のいずれかとねじ係合するための各々のねじ寸法を有する。
【0037】
他の局面及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】カラーによってねじ結合された、本開示による完成パイプの2つのセグメント(接合部)の断面図を示す。
【0039】
【
図2】パイプ接合部の長手方向端部上にねじ接続部を機械加工する前の、外側パイプに結合された内側パイプの一方の長手方向端部の断面図を示す。
【0040】
【
図3】内側パイプ及び外側パイプ上に雄接続部(ピン)を形成するためにねじを機械加工した後の、
図2に示される長手方向端部を示す。
【0041】
【
図4】本開示による完成パイプの電気接続及び隔離特徴をより良好に図示するために、
図1のような組み立てられた接合部及びカラーの斜視図を示す。
【0042】
【
図5】本開示による有線完成パイプ接合部の実践的な実装の例示的な態様を示す。
【0043】
【
図6】
図1に示され、
図1を参照して記載された例示的な態様と反対のタイプのねじ接続部を有する井戸完成パイプの例示的な態様を示す。
【
図7】
図1に示され、
図1を参照して記載された例示的な態様と反対のタイプのねじ接続部を有する井戸完成パイプの例示的な態様を示す。
【0044】
【
図8】本開示による完成パイプの別の例示的な態様で使用される場合がある、二重 雌(ボックスxボックス)ねじカップリング(カラー)の例示的な態様を示す。
【0045】
【
図9】本開示による完成パイプの別の例示的な態様を示す。
【0046】
【
図10】
図9に示される完成パイプの例示的な態様で使用される場合がある「構成」工具接合部の例示的な態様を示す。
【0047】
【
図11】従来のパイプねじ切り装置(「トング」)が組立又は分解中に完成パイプを把持するために提供された範囲を示すために、
図9の完成パイプの接合部に取り付けられた
図10の構成工具接合部の図を示す。
【0048】
【
図12】従来のパイプねじ切り装置(「トング」)が組立又は分解中に完成パイプを把持するために提供された範囲を示すために、
図9の完成パイプの接合部に取り付けられた
図9のカラーの図を示す。
【0049】
【
図13】カラーによってねじ結合された、本開示による完成パイプの2つのセグメント(接合部)の別の態様の断面図を示す。
【0050】
【
図14】
図13に示されるパイプ接合部のうちの1つの斜視、一部切除図を示す。
【0051】
【0052】
【
図16】
図13のようなパイプ接合部の作製に使用される構成要素の部分拡大図を示す。
【0053】
【0054】
【
図18】カラーに結合された井戸完成パイプの2つの接合部の断面図を示す。
【0055】
【
図19】中間層内に形成された流体路又はチャネルを示すために、より詳細に示されるパイプの例示的な態様の斜視図を示す。
【
図20】中間層内に形成された流体路又はチャネルを示すために、より詳細に示されるパイプの例示的な態様の斜視図を示す。
【0056】
【
図21】流体連絡のためにカラーの対向側に形成された周囲方向のチャンバをより良好に図示するために、
図18のパイプの断面図を示す。
【
図22】流体連絡のためにカラーの対向側に形成された周囲方向のチャンバをより良好に図示するために、
図18のパイプの断面図を示す。
【0057】
【
図23】カラーに対する井戸完成パイプ接合部の取り付けを示す。
【
図24】カラーに対する井戸完成パイプ接合部の取り付けを示す。
【0058】
【
図25】カラー内の複数の流体貫通孔をより良好に図示するために、カラーに取り付けられた井戸完成パイプ接合部の一部切除図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本開示による井戸完成パイプの様々な態様は、一般に、井戸完成パイプに沿って延びる流体圧力隔離された導電パスを有するとして記載される場合がある。様々な態様では、圧力隔離導電パスは、外側パイプ内にネストされた内側パイプの間に配置される場合がある。内側パイプ又は外側パイプのいずれかは、「ケーシング」、「チュービング」又は「ライナー」として知られる井戸完成パイプの業界標準サイズ、壁厚及びねじ構造形態である場合があり、本明細書では坑井管又は井戸パイプと称される場合がある。圧力隔離導電パスは、内側パイプと外側パイプの間にネストされた中間層内に配置される場合がある。圧
力隔離導電パスは、流入制御デバイス及び安全弁等の井戸内の特定のデバイスを操作する目的で、油圧流体又は圧縮ガス等の流体を導くことできるように、流体チャネルである場合がある。圧力隔離導電パスは、いくつかの態様では、井戸内で使用するための少なくとも1つの絶縁された導電体を含む場合があり、電力及び/又は信号通信が表面と井戸内に位置する特定のデバイスとの間に提供されるべきである。
【0060】
油圧/空気圧態様及び電気的態様の両方において、従来のケーシング、チュービング又はライナーセグメント(「接合部」)から形成された内側パイプ又は外側パイプであるか否かに応じて、内側パイプは、外側パイプの長手方向端部を越えて長手方向に延びるか、又は外側パイプは、内側パイプの長手方向端部を越えて長手方向に延びるかのいずれかである。井戸完成パイプ接合部が、いくつかの態様では「カラー」を使用して、隣接するパイプ接合部に接続された際、内側パイプ及び外側パイプの両方について、カラーと、接続されたパイプ接合部との間に金属間のシールが形成される。従って、カラーに対する内側パイプの金属間のシールと、外側パイプとカラーとの間の金属間のシールとの間の長手方向空間が、外部的及び内部的の両方で井戸流体から隔離される。次いで、井戸完成パイプに沿って、電気的又は油圧のいずれかの圧力隔離経路を提供することが可能となる。
【0061】
周囲方向のリング、溝、チャンバ又はチャネルは、金属間のシールの間の長手方向空間のいずれの部分内にも形成される場合があり、それにより流体隔離チャンバが内側パイプ及び外側パイプとカラーとの間に形成される。1つ以上の長手方向孔は、カラーの一方の側の管状リング、溝又はチャンバを、カラーの対向側の、周囲方向のリング、溝又はチャンバに、周囲方向のリング、溝、又はチャンバに接続する場合がある。油圧/空気圧態様では、1つ以上の長手方向孔は、カラーの一方の長手方向側から他方の長手方向側へ、流体を長手方向に導く。電気的態様では、絶縁導電体は、1つ以上の長手方向孔を通して延び、周囲方向のリング、溝又はチャネル内に配置された電気接点によって、各々の端部で終結する場合がある。以下にさらに説明するように、周囲方向のリング、溝又はチャネルは、外側パイプ又は内側パイプ内にそのようなリング、溝又はチャネルを別個に形成する必要なく、外側パイプ及びカラーの長手方向終端部の間に形成され、内側パイプ及びカラーの長手方向終端部の間に形成される場合がある。
【0062】
油圧/空気圧態様及び電気的態様の両方において、各パイプ接合部の中間層内に、又は中間層によって、又は中間層を伴って圧力隔離導電パスが形成される。中間層は、パイプ接合部の各長手方向端部に近接して、周囲方向のリング、溝又はチャネル内で終結する。油圧/空気圧態様では、圧力隔離導電パスは、中間層内の長手方向に延びる開口であり、周囲方向のリング、溝又はチャネルの各端部で終結する場合がある。電気的態様では、絶縁導電体は、中間層に埋め込まれ、又は中間層に沿って延び、周囲方向のリング、溝又はチャネル内に配置された電気接点によって、各端部で終結する場合がある。
【0063】
この開示全体で使用されるように、用語「圧力隔離された導電パス」は、移動する流体又は電流を運ぶことができるチャネル、経路、導体(電気的又は機械的)、チューブ、コンジット又はいずれかの対応する構造を意味する。そのような構造は、電気を通し、及び/又は流体の移動を可能にし、ここでそのようなチャネル、経路、導体又は対応する構造は、外側パイプによって外部的に、及び内側パイプによって内部的に、井戸流体から圧力隔離されている。パイプを横切る流体及び/又は電気の伝導は、各パイプ接続部における内側及び外側の金属間のシール間で長手方向に配置されたゾーン内で行われる。そのような伝導は、金属間のシール間で電気接点を接続し、及び/又は単純な流体接続によって行われる場合がある。
【0064】
本開示による絶縁導電体を有する井戸完成パイプ10の例示的な電気的態様は、
図1の断面図に示されている。組み立てられた際に、「ストリング」と称される場合がある井戸
完成パイプ(その一部は10に示される)は、地球表面から井戸の選択された深さまで延びる場合があり、当技術分野でカラー14として知られる、内側がねじ切りされたコネクタと端部同士で結合された複数の個々の「有線」完成パイプ接合部12から組み立てられる場合がある。井戸完成パイプ10の各有線完成パイプ接合部12は、従来の井戸完成パイプと同様、その長手方向端部において、雄外側ねじ接続部12A及び雄内側ねじ接続部12Bを備える場合があり、カラー14は、有線完成パイプ接合部12がカラー14に結合された際に、パイプの直径に沿った位置に関連して、各有線完成パイプ接合部12上の対応する雄ねじ接続部12A、12Bと接続される、各々の内側雌ねじ接続部14B及び外側14A雌ねじ接続部を備える場合がある。
【0065】
カラー14は、各々の外側ねじ接続部14Aの基部の下方、且つ各々の内側ねじ接続部14Bの上方に、長手方向に配置される絶縁された電気接点16を備える場合がある。絶縁された電気接点16は、カラー14の関連する周辺全体の周りに配置される場合があり、それによりパイプ接合部とカラー14の相対的な回転配向は、絶縁された電気接点16を横切る電気接続に影響を与えない。絶縁された電気接点16は、絶縁された電気接点16の位置間で長手方向に、カラー14の内壁内に穿設された貫通孔17内に配置された絶縁されたワイヤー15によって、カラー14を横切って互いに電気的に接続される場合がある。完成パイプの油圧/空気圧態様を参照して以下にさらに説明するように、カラー14内に2つ以上のそのような貫通孔17が形成されて、流体の移動を促進する場合がある。
【0066】
各完成パイプ接合部12は、従来通りの寸法(即ち、以下に示すような直径、長さ、壁厚及びねじ型)を有する井戸完成パイプのセグメント又は接合部、例えばケーシング、チュービング又はライナーを使用することによって、外側パイプの機能を果たすように作製される場合がある。外側パイプは、鋼又は他の高強度金属から作製される場合があり、一般に32において部分図に示されている。利便性のために、外側パイプ32は、本発明の例示的な態様のために「パイプ接合部」又は「抗井管状接合部」と称されて、本開示による完成された井戸完成パイプ接合部12と区別する。「抗井管」は、そのようなパイプを内側パイプ(又はいくつかの態様では外側パイプ)と完全に区別するために、添付の特許請求の範囲に使用される場合がある。本明細書で使用される「従来通りの寸法」は、坑井管状又はパイプ接合部32の金属等級、接合部の長さ、外径、ドリフト内径、公称内径及び壁厚が、井戸建設設計者により通常指定されるものと同じである場合があることを意味するものとする。当業者が理解するように、前述の仕様は、井戸完成パイプが挿入される深さ、井戸により穿孔される構造中の予想される流体圧力、及び井戸完成パイプ10の比重を参照して選択される。パイプ接合部32上のねじ接続部12Aの構成は、以下にさらに記載されるが、そのようなねじ接続部12Aがパイプ接合部32上に切削された場合、ねじは、対応するサイズの従来の坑井管状接合部のものと同じ構成、例えば、ねじ型、ピッチ、テーパー及び直径である場合がある。
【0067】
組み立てられた際、井戸完成パイプ10は、絶縁導電体又は圧力隔離導電パスを有さない従来の井戸完成パイプと実質的に同じように、指定され、組み立てられ、井戸内に進入されることが予想される場合がある。ケーシング接合部32は、その内面上に配置された中間層42を有する場合がある。本発明の例示的な態様の中間層42は、利便性のために「結合、導電及び絶縁層42」と称される複合構造である場合がある。結合、導電及び絶縁層42は、以下の特性を有する場合がある:(i)ケーシング接合部32の内面に対する機械的結合を提供する;(ii)導電体(別個に示されない)とケーシング接合部32又は内側パイプ22との間に電気絶縁体を提供する;及び(iii)以下にさらに説明するように、特定の量のトルクを内側パイプ22に伝達するための十分なせん断強度を有する。結合、導電及び絶縁(中間)層42は、外表面上に電気絶縁材料を有し、導電体が電気絶縁材料内にネストされ、内側電気絶縁体が導電体内にネストされ、又は導電体をケー
シング接合部32及び内側パイプ22から絶縁するように別様に形成されたネストッド配置として構成される場合がある。いくつかの態様では、結合、導電及び絶縁層42は、電気絶縁材料及び導電体のいずれか又は両方のための閉じた周辺を備える場合がある。本明細書の文脈における閉じた周辺は、電気絶縁材料及び導電体のいずれか又は両方が、内側パイプ22の外表面又は外側パイプ、例えば、ケーシング接合部32の内表面の実質的に全部を覆うことを意味するために使用される。さらに以下に説明される他の態様は、閉じた周辺を形成しない中間層を有する場合がある。
【0068】
内側パイプ22は、鋼等の高強度材料又は井戸建設パイプで使用される他の材料から作製される場合がある。内側パイプ22は、以下にさらに説明する様式で、各端部においてパイプ接合部32の長手方向端部を越えて長手方向に延びる場合がある。内側パイプ22は、結合、導電体及び絶縁層42の内部に挿入され、結合、導電体及び絶縁層42に結合される場合がある。内側パイプ22の公称外径は、完成パイプ接合部10の組立中に結合、導電体及び絶縁層42の内部の比較的自由な長手方向移動を可能にするが、結合、導電体及び絶縁層42の外表面に機械的又は別様に結合できるように選択される場合がある。そのような結合によって、各々のカラー14に対する接続を形成する際に、トルクがケーシング接合部32から内側パイプ22に伝達される場合がある。
【0069】
いくつかの態様では、結合、導電体及び絶縁層42は、絶縁、結合材料、例えばエポキシ、グラウト及び/又はガラス繊維(接着剤を含む)の層と、パイプ10が坑井を通して移動され、曲げ応力に供された際に、塑性変形に抵抗するワイヤー、編組体又は他の構造に形成される導電性材料、例えば、銅の層とを備える場合がある。
【0070】
図2は、内側パイプ22を中間層、例えば、結合、導電体及び絶縁層42に取り付けた後の未完成の井戸完成パイプ接合部12を示し、結合、導電体及び絶縁層42はケーシング接合部32の内側に結合されている。
図2に示されるものは、内側パイプ22の長手方向端部及びケーシング接合部32上のねじ接続部(
図1の12A、12B)を形成する前である。内側パイプ22は、上記に説明したように、各長手方向端部において、パイプ接合部32の対応する長手方向端部を越えて所定の距離、延びる。結合、導電体及び絶縁層42は、パイプ接合部32と長手方向に同延である場合があり、又は、一時
図5を参照すると、パイプ接合部32の長手方向端部を越えて長手方向に延びて、結合、導電体及び絶縁層42に埋め込まれた導電体(別個に示されない)に対する露出された電気接点を提供する場合がある。
【0071】
図3は、各々のねじ接続部が、内側パイプの長手方向端部22上に(12Bに示す)、及びパイプ接合部32上に(12Aに示す)切削された後の、有線完成パイプ接合部12の例示的な態様を示す。ねじ接続部12A、12Bは、同じピッチを有する場合があり、両方とも、カラー(
図4の14)内の対応するねじ接続部(
図4参照)に接続された際に、金属間のシールを形成する場合がある。
【0072】
図4は、カラー14の例示的な態様の斜視図を示す。絶縁された電気接点16は、エラストマーワイパーシール18に包囲されて、各完成パイプ接合部12上の対応する電気接点に「湿式接続」機能を提供する場合がある。即ち、ワイパーシール18は、有線完成パイプが組み立てられた際に、電気接点16から流体を除去する場合がある。ワイパーシール18は、流体移動に対する耐圧バリアを提供する場合があるが、これは必ずしも必要ではない。各有線完成パイプ接合部12上の内側ねじ接続部(
図1の12B)が、カラー14内の対応する内側ねじ接続部14Bに接続された際に、各有線完成パイプ接合部(
図1の12)はカラー14と金属間のシールを形成するため、流体は、組み立てられた完成パイプ(
図1の10)の内部からの移動を防止される場合がある。流体は、完成パイプ接合部(
図1の12)上の外側ねじ接続部(
図1の12A)と、カラー14内の対応するねじ
接続部14Aとの間の対応する金属間の密封によって、組み立てられた完成パイプ10に進入することを防止される場合がある。従って、金属間のシール(
図7を参照して説明する)間において長手方向に配置されたゾーンは、組み立てられた井戸完成パイプ10の内部及び外部の両方で、井戸流体から隔離される。
【0073】
井戸内のケーシング又はライナーとしての組み立てられた完成パイプ10の構造荷重は、組み立てられたパイプ接合部(
図1の32)によって部分的に保持される場合がある。内側パイプ22及びパイプ接合部(
図1の32)の構造的特性に応じて、結合、導電体及び絶縁層(
図1の42)は、金属間のシールを形成するために内側パイプ22に十分なトルクを伝達する必要があるのみの場合がある。内側パイプ22は、内側パイプ22の重量からから生じる、組み立てられた有線完成パイプストリング中の追加の軸方向荷重の一部を保持する場合がある。
【0074】
井戸完成パイプ接合部の例示的な実践的な電気的実装が、
図5の12において断面図に示されている。井戸完成パイプ接合部の主要な特徴は、
図1を参照して記載したものと類似する場合があるが、結合、導電体及び絶縁層42内の導電体(別個に示されない)が、パイプ接合部32の端部を越えて長手方向に延び、各々の電気接点48内で終結する場合がある追加の特徴を有する。電気接点48は、ワイパーシール46内又はワイパーシール46間に配置される場合がある。各々の電気接点48は、上記に説明したように、内側パイプ22の延長部分の周辺全体を囲む場合がある。電気接点48は、有線完成パイプ接合部12がカラー14に取り付けられた際に、カラー(
図4の14)内の対応する電気接点(
図4の16)と物理的に接触し、従って電気的に接触するように配置される場合がある。有線完成パイプ接合部12上のワイパーシール46は、
図4を参照して記載したシールと類似した機能(即ち、パイプの湿式接続を可能にする)を果たすが、ワイパーシール46の横断によって圧力下の流体を必ずしも排除する必要はない。
【0075】
再び
図1を参照すると、本明細書に開示される井戸完成パイプ10の例示的な態様は、中間層内に配置された絶縁導電体、即ち、結合、導電体及び絶縁層42を含む。内側パイプ22及びパイプ接合部32のいずれか又は両方は、組み立てられた井戸完成パイプ10に沿った電力及び/又は信号通信のために、第2の導電体として使用される場合がある。導電体は内側パイプ22及びパイプ接合部32の両方と絶縁されているため、いくつかの態様では、内側パイプ22、導電体及びパイプ接合部32を、電動水中ポンプ等のデバイスを操作するために3つの導電体、例えば、3相電力を必要とする用途に使用するための3つの別個の導電体として使用することが可能であることが理解されるであろう。そのような態様は、内側パイプ22とカラーとの間にカラー14を横切る電気絶縁を必要とする場合がある。
【0076】
図1~5を参照して説明した例示的な態様は、パイプ接合部の両方の長手方向端部上のねじ接続部が、雄(ピンXピンと呼ばれる)接続部である井戸完成パイプの接合部に関する。カラー14は、各端部において雌ねじ接続部を有する(ボックスXボックス接続部と呼ばれる)。この開示の範囲は、そのようなねじ接続部の配置に限定されないことを理解するべきである。
図6を参照すると、井戸完成パイプ接合部112の例示的な態様が断面図で示されており、外側パイプ132及び内側パイプ122は、図示される長手方向端部において、各々の雌ねじ接続部112A、112Bを備える。中間層、例えば、絶縁、導電及び結合層142は、
図1~5を参照して説明した態様と同様に作製される場合がある。
図6の態様では、外側パイプ132の長手方向端部は、内側パイプ122の対応する長手方向端部を越えて長手方向に延びて、
図7を参照して説明されるピンXピンコンジットコネクタ上の対応する雄ねじ接続部(逆に、従来のカラーに対する雄ねじ接続部)のための適切なレセプタクル、即ち、雌ねじ接続部を提供する場合がある。
【0077】
図7において、
図6の井戸完成パイプ接合部112は、対応するコンジットコネクタ114に取り付けられて示されている。コンジットコネクタ114は、井戸完成パイプ接合部112上の内側ねじコネクタ(
図6の112B)と係合する直径及びねじを有する内側ねじコネクタ114Bを有する場合がある。コンジットコネクタ114はまた、有線完成パイプ接合部112上の外側ねじコネクタ112Aと係合するための外側ねじ接続部114Aを備える場合がある。内側ねじ接続部(114B、112B)及び外側ねじ接続部(114A、112A)は、係合した際に、一般に121に示される金属間のシールを形成する場合がある。ショルダー範囲120は、コンジットコネクタ114及び有線完成パイプ接合部の各々の部分に形成されて、当技術分野で知られるいずれかのタイプの電気接点及びワイパーシール(
図7に示さず)を配置する場合がある。コンジットコネクタ114は、絶縁、導電及び結合層142内の導電体(別個に示されない)の電気接続を可能にするために、絶縁導電体(図示せず)の通過のための孔115を備える場合がある。井戸完成パイプの油圧/空気圧態様では、ショルダー範囲は、パイプ接合部とコンジットコネクタとの間の油圧又は空気圧接続部を形成する場合があり、電気的態様と同様、パイプ接合部及びコンジットコネクタ(又は、ボックスXボックスコネクタにおけるカラー、即ち、従来のカラー)の周辺全体の周りに延びる場合がある。
【0078】
実質的に
図6及び7に示されるような1つ以上の井戸完成パイプ接合部の一方の端部におけるねじ接続部と、隣接するコンジットコネクタ上の対応するねじ接続部を有する一方、有線井戸完成コンジットのいずれか1つ以上のそのような接合部の他方の端部において、
図1及び2に示されるようなねじ接続部が提供され、「ピンXボックス」接続部と称される接合部をもたらす場合があることは、本開示の範囲内であることを当業者は理解するであろう。
【0079】
いくつかの態様では、ネストされたパイプセグメントの内部内に配置された構造パイプ、即ち、井戸完成パイプ(例えば、ケーシング、ライナー又はチュービング)の従来の接合部を有することが好ましい場合があり、即ち、従来のパイプ接合部が外側パイプ内に配置されることが好ましい場合がある。このような態様の外側パイプは、前述した態様の「内側パイプ」によって為されるものと同様の絶縁導電体の機能を為す場合がある。外部パイプ及び内部パイプ接合部を有するこのような態様は、
図8~12を参照して説明される。そのような態様では、中間層、例えば、結合、導電体及び絶縁層42は、上記に説明したように、絶縁材料の層内又は層上に別個の導電体を備える場合があり、又は別個の導電体は、省略される場合がある。
【0080】
図8は、井戸完成パイプの本発明の例示的な態様で使用される場合がある二重雌(ボックスxボックス)ねじカップリング(カラー)114の例示的な態様を示す。カラー114は、従来のパイプカラーと同様、鋼又は他の高強度材料から作製される場合があり、外側ねじ接続部114Aの基部の長手方向下方に、且つ内側ねじ接続部114Bの外側端部の長手方向上方に配置された絶縁された電気接点116を備える場合がある。絶縁された電気接点116は、絶縁された電気接点116の位置間で長手方向に、カラー114の内壁内に穿設された貫通孔117内に配置された絶縁されたワイヤー115によって、カラー114を横切って互いに電気的に接続される場合がある。
【0081】
絶縁された電気接点116は、それらの側方縁に隣接して、
図4を参照して説明したシールと類似のワイパーシール118を備える場合がある。
【0082】
本発明の例示的な態様では、内側ねじ接続部114Bは、従来の直径、壁厚及びねじ型を有するパイプの接合部を一緒に接続するためにパイプカラーに使用されている従来の直径、ねじ型、ねじピッチ及びねじテーパーを備える場合がある。内側ねじ接続部114Bは、隣接する井戸完成パイプ接合部上の嵌合ねじコネクタと係合された際に、
図9を参照
して説明される金属間のシールを形成する場合がある。外側ねじ接続部114Aは、隣接する有線パイプ接合部の外側パイプ上の対応するねじとねじ係合するための直径、ねじ型及びねじピッチを有する場合がある。
【0083】
図9は、本開示による井戸完成パイプ接合部112の別の例示的な態様を示す。井戸完成パイプ接合部112は、その長手方向端部上に外側(雄)ねじ接続部112Bを有する従来の(寸法及び材料に関して)パイプ接合部132を備える場合がある。雄ねじ接続部112Bは、同じ公称直径及び壁厚の従来のパイプ接合部に対応する従来の直径、ピッチ及びねじ型を有する場合がある。パイプ接合部(内側パイプ)132は、中間層、例えば、結合、導電及び絶縁層142内に連続してネストされる場合があり、結合、導電及び絶縁層142自体は、外側導電体パイプ122内にネストされ且つ結合されている。結合、導電及び絶縁層142は、その長手方向端部上に、
図5を参照して説明したものと類似のワイパーシール148内に配置された電気接点146を有する場合がある。外側導電体パイプ122は、その長手方向端部上に、カラー(
図8の114)内の外側ねじ接続部(
図8の114A)と係合するためのねじ直径、ピッチ、型及びテーパーを有する雄ねじ接続部112Aを有する場合がある。雄ねじ接続部112Aが対応するカラーねじ接続部(
図8の114A)と完全に係合すると、金属間のシールが形成される場合がある。外側導電体パイプ12は、
図1~7を参照して記載した態様と同様の材料から作製され、同様の機械的及び電気的特性を有し、内側パイプ(
図3の22)が行うものと同様の電気的機能を行う場合がある。
【0084】
図9に示される態様では、内側パイプ122は、
図5を参照して説明した態様と同じ様式で、結合、導電及び絶縁層142の長手方向端部を越えて長手方向に延びる場合がある。同様の様式で、結合、導電及び絶縁層142とその関連した電気接点146及びワイパーシール148は、外側パイプ122の長手方向端部を越えて延びる場合がある。従って、有線パイプ接合部112がカラー(
図8の114)にねじ結合された際、パイプ接合部132はカラー(
図8の114)との構造的接続を形成し、外側パイプ122は、有線パイプ接合部112の対向する長手方向端部における電気接点146と、カラー(
図8の114)における電気接点(
図8の116)との間に、連続する絶縁導電体を形成する。そのような井戸完成パイプ接合部112及びカラー(
図8の114)は、端部同士で接続されて、
図1~7を参照して説明した態様と同様の井戸完成パイプストリングを形成する場合がある。
【0085】
本発明の例示的な態様の井戸完成パイプ接合部112では、構造パイプは外側パイプ122及び中間層、例えば、結合、導電及び絶縁層142内にネストされることが理解されるであろう。従って、従来のパイプのためのパイプ組立(「構成」手順の使用は、外側パイプ及び中間層、(結合、導電及び絶縁層142)を通した完全な構成トルクの伝達の必要性に起因して、本発明の例示的な態様では望ましくない場合がある。パイプ接合部及びカラーの本態様による井戸完成パイプストリングの組立では、異なる手順及び構成要素を使用する場合がある。
【0086】
最初に、井戸完成パイプ接合部112の例示的な本態様をカラー(
図8の114)に取り付けるために、カラー(
図8の114)は、パイプストリング構成要素を把持及び回転するのに使用される従来のパイプ組立装置、即ち、「トング」内に回転係合する場合がある。しかしながら、有線パイプ接合部112は、内部トング又は類似のデバイスを使用して把持及び回転される場合がある。そのようなデバイスの1つは、Odfjell Well Services,Hammaren 19,P.O Box 152,NO-4098 Tananger,Norwayによって、商標CRT Casing Running Toolで販売されている。そのようなデバイスは、パイプ接合部の内壁と摩擦係合して、パイプ接合部の外面壁に力を適用することなく、回転又は保持を可能にする
。
【0087】
このような内部トングデバイスは、全ての坑井現場昇降ユニット、例えば、掘削リグ及びワークオーバーリグ上で利用可能というわけではない場合があることが理解されるであろう。従来のケーシング走行工具を使用して、本態様による井戸完成パイプ接合部をより容易に組み立てるために、構成「工具接合部」を各井戸完成パイプ接合部112の一方の端部に固定して、従来のパイプトングにより把持するための外面を提供する場合がある。
図10は、
図9に示される井戸完成パイプの例示的な態様で使用される場合がある、そのような「構成」工具接合部214の例示的な態様を示す。構成工具接合部214は、一方の長手方向端部において、ボックス接続部214Fの一部として内雌ねじ接続部214B及び外雌ねじ接続部214Aを備える場合がある。電気接点246は、内雌ねじ接続部214Bと外雌ねじ接続部214Aとの間の表面上に配置される場合がある。ワイパーシール248は、電気接点246の側方縁上に配置される場合がある。絶縁されたワイヤー215は、電気接点246に電気的に接続され、構成工具接合部214の壁内の孔217を通して延び、構成工具接合部214のピン端部214M上の別の電気接点246に接続される場合がある。ピン端部214Mは、カラー(
図8の114)の1つに対応し、それに対するねじ接続を可能にするねじ寸法を有する内側ねじ接続212B及び外側ねじ接続212Aを備える場合がある。構成工具接合部214は、内側ねじ接続部214B、212B及び外側ねじ接続部214A、212Aが全て鋼又は他の高強度材料の同じ単一構成要素の一部であり、従ってトルクは、結合、導電及び絶縁層(
図9の142)に対応するいずれのデバイスを通しても伝達されない場合があるため、その外面に適用される完全構成及び分解トルクを有する場合がある。
【0088】
従って、各井戸完成パイプ接合部(
図9の112)は、井戸現場への輸送前に、例えば、一方の長手方向端部上に
図8に示されるカラーが、及びその他方の長手方向端部上に構成工具接合部214が、それに対して予め取り付けられている場合がある。
【0089】
図11は、組立又は分解中に有線完成パイプ接合部112を把持するための従来のパイプねじ切り装置(「トング」)のために設けられた範囲Tを示すために、
図9の有線完成パイプ112の接合部の一方の長手方向端部に取り付けられた
図10の構成工具接合部214の図を示す。
図12は、組立又は分解中に有線完成パイプ接合部112を把持するための従来のパイプねじ切り装置(「トング」)のために設けられた範囲Tを示すために、
図9の有線完成パイプ112の接合部の対向側の端部に取り付けられた
図9のカラーの図を示す。
【0090】
図13は、本開示による井戸完成パイプ10の別の態様の断面図を示す。
図13に示される井戸完成パイプ10は、
図1に示される井戸完成パイプと類似の構造である場合があり、内側パイプ22、電気絶縁、導電体及び結合層を備える場合がある中間層242、並びに外側パイプ32を備える場合がある。前述した構成要素を含むパイプの2つの隣接する接合部は、
図1を参照して説明した様式でカラー14に連結される場合がある。内側パイプ22、外側パイプ32及び中間(電気絶縁、導電体及び結合)層242は、実質的に
図1を参照して説明した各々の長さを有する場合があり、内側パイプ22及び外側パイプ32は、実質的に
図3及び
図5を参照して説明したねじを備える場合がある。
【0091】
カラー14は、本明細書の他の箇所で説明した形態のいずれかで作製されて、対応して接続された井戸完成パイプ10の接合部の間に圧力隔離導電パス(例えば、絶縁された導電パス)を提供する場合がある。
【0092】
図14~16は、本発明の例示的な態様のいくつかの特定の特徴を図示するために、
図13に示されるパイプ接合部の斜視、一部切除図を示す。中間層(電気絶縁、導電体及び
結合)242は、可鍛性の延性金属、例えば、アルミニウムから形成されたスリーブ242Aを備える場合がある。スリーブ242Aは、フラットケーブル等の絶縁導電体242Bが内部に配置される場合がある溝、スロット又はチャネル(「チャネル」)242Cを備える場合がある。チャネル242Cは、例えば、スリーブ242の外面若しくは内面をフライス加工若しくは切削することによって形成される場合があり、又は、開いた周辺を有するスリーブ242Aを有することによって、即ち、スリーブ242の半径によって画定される円よりも小さい周囲方向の寸法を有することによって、提供される場合があり、それにより、示されるように、周囲方向の端部に間隙又は空間を有する。導電体242Bは、実質的に他の態様を参照して説明したように、ワイパーシール16間に各々配置された接触リング18に電気的に接続される場合がある。以下にさらに説明するように、
図13~16に示されるパイプ構造は、流体のための隔離された導電パスを提供するために使用される場合があり、即ち、このようなパイプは、完成パイプに関連した圧力隔離油圧又は空気圧チャネルを有する場合がある。
【0093】
この例示的な態様は、
図1を参照して説明したものと同様の構造を有する場合があり、外側パイプ32は、従来の寸法のパイプ接合部である。このような場合、井戸完成パイプ接合部を作製する際に、内側パイプ22は、可鍛性の延性金属から作製され、外側パイプ32及び中間(電気絶縁、導電体及び結合)層242内に配置された際の塑性径方向変形を可能にする初期直径を有する場合がある。電気絶縁、導電体及び結合層242は、外側パイプ32内に配置され、次いで電気絶縁、導電体及び結合層242内に内側パイプが配置される。次いで内側パイプ22は、例えばハイドロフォーミングによって径方向に拡張されて、電気絶縁、導電体及び結合層242と外側パイプ32に摩擦係合する場合がある。内側パイプ22と、電気絶縁、導電体及び結合層242と、外側パイプ32との間の締り嵌めは、
図4を参照して説明した態様を用いて可能な場合があるトルクよりも多くのトルクを外側パイプ32から内側パイプ22へ伝達できる場合がある。次いで、本明細書の他の態様を参照して説明したように、内側パイプ22及び外側パイプ32上にねじが切られる場合がある。
【0094】
いくつかの態様では、従来通りの寸法のパイプ接合部は、内側パイプ22の場合がある。電気絶縁、導電体及び結合層242は、内側パイプ22の外側に配置される場合があり、次いで外側パイプ22が電気絶縁、導電体及び結合層242の周囲に配置される。次いで外側パイプ22は、外側パイプ32と、電気絶縁、導電体及び結合層242と内側パイプ22との間の締り嵌めを生じるように圧縮される場合がある。
【0095】
いくつかの態様では、中間層内で、スリーブ242Aは、完全に省略される場合がある。そのような態様では、外側パイプ32が従来通りの寸法のパイプ接合部である態様において、内側パイプ22の外表面内に溝又はチャネルを形成することが適切である場合がある。そのような溝又はチャネルは、内側パイプ22が拡張された際の導電体242Bの損傷の危険性を低減する場合がある。いくつかの態様では、導電体242Bは、金属チューブ等の高強度エンクロージャーに包囲されて圧壊に抵抗する場合がある。内側パイプ22が従来通りの寸法のパイプ接合部である態様では、外側パイプ32の内表面は、そのような溝を備える場合がある。
【0096】
図16は、
図13のようなパイプ接合部の作製に使用される構成要素の部分拡大図を示す。
図17は、
図13~15を参照して記載した構成要素の相対的な配置を示すための、長手方向端部の間に配置されたパイプ接合部の一部の部分、拡大、一部切除図を示す。
【0097】
井戸完成パイプの各接合部の長手方向端部にカラー及び構成工具接合部を予め取り付けることによって、従来の外部トングパイプ取り扱い器具を使用して本態様による有線完成パイプのストリングを走行させることが可能になる場合がある。
【0098】
図18~25は、圧縮ガス又は液体等の流体を移動させるように配置された圧力隔離導電性チャネル又は経路を有する井戸完成パイプの別の例示的な態様の様々な図を示す。
図18は、各々カラー314の一方の長手方向端部に接続された、そのような井戸完成パイプの2つの接合部312の断面図を示す。カラー314は、本明細書に記載した他の態様と同様の様式で形成される場合がある。井戸完成パイプ312の接合部は、各々、中間層342内にネストされた内側パイプ322を備える場合がある。中間層342は、外側パイプ332内にネストされている。内側パイプ322、中間層342及び外側パイプ332の相対的な長さは、
図1~17を参照して説明した井戸完成パイプの他の態様の対応するパイプ構成要素の長さに一致する場合がある。本発明の例示的な態様では、内側パイプ322は、外側パイプ332の対応する長手方向端部を越えて長手方向に延びる場合がある。ねじ314Bは、外側パイプ332を越えて延びる内側パイプ322のその部分の外面上に形成される場合がある。外側パイプ332も、その長手方向端部に形成されたねじ312Bを有する場合がある。各々のねじ312A、312Bは、
図1~17を参照して説明したように構成される場合がある。カラー314は、
図1~5を参照して説明した態様と同様、中央隔壁314Cの各側部に1つずつ、内雌ねじ314Bを備える場合がある。カラー314はまた、
図1~17の態様の外側ねじに対応する外側ねじ314Aを有する場合がある。1つ以上の長手方向孔317は、隔壁314Cの一方の側の内側ねじ314Bと外側ねじ314Aの中間の位置から、隔壁314Cの他方の側の対応する位置まで、カラー壁を通して長手方向に延びる場合がある。外側パイプ312の長手方向端部は、カラー314の内壁から長手方向に離間して配置されて、接合部312がカラー314に取り付けられた際に、周囲方向のキャビティ320を形成する場合がある。隔壁314Cの反対側において、対応する構造がカラー314内に形成される場合がある。周囲方向のキャビティ317は、隔壁314Cの反対側の対応する周囲方向のキャビティ320と流体連絡している場合がある。1つ以上の長手方向孔317は、2つの周囲方向のキャビティ317の間で隔壁314Cを横切る流体接続を作る。
【0099】
中間層342は、中間層342が周囲方向のキャビティに露出されるように、長手方向の位置で終結することに注目される。本発明の例示的な態様では、中間層342は、接合部312の一方の端部から他方の端部への流体の通過を可能にする圧力隔離された流体路又はチャネルを備える場合がある。
【0100】
図19及び20を参照すると、中間層342は、可鍛性の延性金属、例えば、アルミニウムから作製されたスリーブを備える場合がある。スリーブは、開いた周辺を有する場合があり、即ち、内側パイプ322の外面又は外側パイプ332の内部に適用された場合、間隙又はチャネル316が維持される。チャネル316は、中間層342の長手方向の長さ全体にわたって延びる場合があり、それによりパイプ接合部312に沿った流体チャネル、通路又はパスが確立される。内側パイプ322によってその内部で、及び外側パイプ332によってその外部で中間層342を包囲することによって、チャネル316の圧力隔離が得られる。中間層342は、
図19及び20で観察される場合があるように、外側パイプ332とほぼ同じ長手方向位置で終結する場合がある。従って、また再び
図18を参照すると、接合部312がカラー314に接続された際、中間層342及びそれによりチャネル316は、周囲方向のチャンバ320内で終結する。
【0101】
構造的に、井戸完成パイプの例示的な本態様は、
図1~17を参照して説明した絶縁導電体を有する井戸完成パイプの態様と類似していることにも注目される。例示的な本態様では、絶縁導電体の様々な形態が省略されて、油圧流体又は圧縮ガス等の流体が内部を流れる場合がある圧力隔離パスを提供する場合がある。例示的な本態様では、中間層342の構造は金属スリーブに限定されず、油圧流体又は圧縮ガスが、そのような接触に適さない場合がある材料、例えば、
図1~5を参照して記載した様々な繊維強化プラスチックと
の接触を避けるために、中間層342にそのような構造を使用することが有利であると理解される場合がある。しかしながら、そのような中間層材料、例えば繊維強化プラスチックの使用は、本開示の範囲内に含まれることを明白に理解する必要がある。
【0102】
図21及び22を参照すると、周囲方向のチャンバ320は、パイプ接合部312がカラー314にねじ係合された際に形成される金属間のシール312、312Aによって各側部において油圧シールされることが観察される場合がある。井戸完成パイプのこの点において、本発明の例示的な態様は、
図1~5を参照して説明した態様と類似している。
【0103】
図23は、カラー314の片側への取り付けのためにカラー314に接近するときの井戸完成パイプ接合部312の断面図を示す;カラー314の反対側は、完全に係合された井戸完成パイプ接合部が存在する。
図25は、カラー314に取り付けられた井戸完成パイプ接合部312の一部切除図を示し、複数の貫通孔317がカラー314内に作製されて、チャンバ320をカラー314の反対側に油圧的に接続する場合がある。この方法で、流体は、外部又は内部の別個の流体及び/又は制御ラインを必要とすることなく、組み立てられた井戸完成パイプの全長に沿って連絡する場合がある。
【0104】
本明細書に記載及び例示された原理及び例示的な態様に照らして、例示的な態様は、それらの原理から逸脱することなく、配置及び詳細を修正できることが認識されるであろう。前述した議論は、特定の態様に焦点を当てているが、他の構成も企図される。特に、「態様において」等の表現が本明細書に使用されてはいるが、これらの表現は、一般に、態様の可能性を参照することを意図し、開示を特定の態様構成に限定するものではない。本明細書で使用される場合、これらの用語は、他の態様と組み合わせ可能な同じ又は異なる態様を参照する場合がある。原則として、本明細書で参照されるいずれかの態様は、本明細書で参照される他の態様のいずれかの1つ以上と自由に組み合わせることができ、異なる態様のいずれかの数の特徴は、特に示さない限り、別の特徴と組み合わせることができる。少数の実施例のみが上記に詳細に記載されているが、当業者は、記載されている実施例の範囲内で多くの修正が可能であることを理解するであろう。従って、そのような修正の全ては、以下の特許請求の範囲に定義されるこの開示の範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】