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特表2024-5166604粒子電気泳動ディスプレイのための凝集解除駆動シーケンス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】4粒子電気泳動ディスプレイのための凝集解除駆動シーケンス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20240409BHJP
【FI】
G02F1/167
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566499
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022026651
(87)【国際公開番号】W WO2022232345
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,514
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ニン-ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チウ, チェン-カイ
(72)【発明者】
【氏名】リン, フェン-ショウ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チー-ユー
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB13
2K101BB23
2K101BB44
2K101BB54
2K101BB64
2K101BE09
2K101BE32
2K101EC73
2K101ED35
2K101ED74
2K101EJ15
2K101EJ16
(57)【要約】
本発明は、ディスプレイが低温環境において展開され、ディスプレイが、垂直に位置付けられる(すなわち、駆動電場が、地球の重力の方向に対して実質的に直角である)ときに更新されることを要求されるとき、そのようなディスプレイの性能を改良する4粒子電気泳動ディスプレイのための改良された駆動方法を提供する。方法は、他の粒子からの最小の干渉(汚染)を伴って、所望に応じて、各ピクセルにおいて、色の各々を表示するために提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ層を駆動する方法であって、前記ディスプレイ層は、光透過性電極を含む視認表面と前記視認表面から前記ディスプレイ層の反対側にある第2の表面との間に配置されており、前記第2の表面は、駆動電極を含み、前記ディスプレイ層は、流体と、前記流体中に分散させられた第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備えている電気泳動媒体を含み、
前記第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、それぞれ、互いに異なる第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、前記第1および第3のタイプの粒子は、第1の極性の電荷を有し、前記第2および第4のタイプの粒子は、前記第1の極性と反対の第2の極性の電荷を有し、前記第1のタイプの粒子と第3のタイプの粒子とは、同じ電荷の規模を有しておらず、前記第2および第4のタイプの粒子は、同じ電荷の規模を有しておらず、
前記方法は、
(vi)大規模で前記第1または第2の極性を有する第1の電場を印加し、前記第1または第2のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記視認表面において前記第1または第2の光学特性を前記ディスプレイ層に表示させるステップと、
(vii)前記大規模で負極性を有する第2の電場を印加するステップと、
(viii)前記第1の極性における前記大規模電場の少なくとも4つの期間と、前記第2の極性における前記大規模電場の少なくとも4つの期間とを含む振動パルスを印加するステップと、
(ix)前記大規模でステップ(i)と同じ極性を有する第2の電場を印加し、再度、前記第1または第2のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、再度、前記視認表面において前記第1または第2の光学特性を前記ディスプレイ層に表示させるステップと、
(x)小規模でステップ(iv)と反対の極性を有する第3の電場を印加し、前記第4または第3のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記視認表面において前記第4または第3の光学特性を前記ディスプレイ層に表示させるステップと
を順に含む、方法。
【請求項2】
前記第1の電場は、前記第2の電場より長い時間印加され、前記第3の電場は、前記第2の電場より長い時間の間印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(i)-(v)の各々は、繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の電場の規模は、前記第2の電場の規模の50パーセントより小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第4または前記第3の光学特性のみが、ステップ(v)の完了後に表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電場は、400msより長い間印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の電場は、100msより長い間印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記振動パルスの各期間は、80msより短い間印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記振動パルスの各期間は、約40msの間印加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
無電場の休止期間が、ステップ(iii)の後に実施され、ステップ(i)-(iii)が、ステップ(iv)および(v)を完了する前、2回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
各電場は、地球の重力の方向に対して実質的に直角である方向において印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ディスプレイ層を駆動する方法であって、前記ディスプレイ層は、光透過性電極を含む視認表面と前記視認表面から前記ディスプレイ層の反対側にある第2の表面との間に配置されており、前記第2の表面は、駆動電極を含み、前記ディスプレイ層は、流体と、前記流体中に分散させられた第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備えている電気泳動媒体を含み、
前記第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、それぞれ、互いに異なる第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、前記第1および第3のタイプの粒子は、第1の極性の電荷を有し、前記第2および第4のタイプの粒子は、前記第1の極性と反対の第2の極性の電荷を有し、前記第1のタイプの粒子と第3のタイプの粒子とは、同じ電荷の規模を有しておらず、前記第2のタイプの粒子と第4のタイプの粒子とは、同じ電荷の規模を有しておらず、
前記方法は、
(v)大規模で前記第1または第2の極性を有する第1の電場を印加し、前記第1または第2のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記視認表面において前記第1または第2の光学特性を前記ディスプレイ層に表示させるステップと、
(vi)前記大規模で負極性を有する第2の電場を印加するステップと、
(vii)前記第1の極性における前記大規模電場の少なくとも4つの期間と、前記第2の極性における前記大規模電場の少なくとも4つの期間とを含む振動パルスを印加するステップと、
(viii)前記大規模でステップ(i)と反対の極性を有する第3の電場を印加し、前記第2または第1のタイプの粒子を前記視認表面に向かって駆動し、それによって、前記視認表面において前記第2または第1の光学特性を前記ディスプレイ層に表示させるステップと
を順に含む、方法。
【請求項13】
前記第1の電場は、前記第3の電場と同じ時間の間印加される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(i)-(iv)の各々は、繰り返される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2または前記第1の光学特性のみが、ステップ(iv)の完了後に表示される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の電場は、400msより長い間印加される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の電場は、100msより長い間印加される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記振動パルスの各期間は、80msより短い間印加される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記振動パルスの各期間は、約40msの間印加される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各電場は、前記地球の重力の方向に対して実質的に直角である方向において印加される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2021年4月29日に出願された米国仮特許出願第63/181,514号の優先権を主張する。下記に述べられる全ての特許および公開文書の内容全体が、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、各ピクセルが少なくとも4つの高品質な色状態を表示することができるカラー電気泳動ディスプレイデバイスのための改良された駆動方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
E Ink Holdings (Hsinchu,Taiwan)から商業的に入手可能であるもの等の電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー、eペーパー等)は、それらが、非常に少ない電力を消費するので、軽量かつ耐久性があり、環境に優しいという利点を有する。技術は、電子書籍リーダ(例えば、電子書籍、eブック)および他のディスプレイ環境(例えば、電話、タブレット、電子棚タグ、病院看板、道路標識、公共交通機関時刻表)の中に組み込まれている。低電力消費と太陽光のもとでの読み取りやすさとの組み合わせは、いわゆる「非プラグアンドプレイ」動作(電子看板システムが単に表面に取り付けられ、既存の通信ネットワークとインターフェースをとり、情報または画像の定期的な更新を提供する)における急速な成長を可能にしている。ディスプレイは、バッテリまたは太陽熱収集器を用いて給電されるので、配線の必要はなく、ディスプレイからぶら下がるプラグを有する必要性さえない。
【0004】
電気泳動ディスプレイのための様々な色の選択肢(改良された色フィルタアレイから、複雑な減法的顔料組まで、反射性色粒子の複数の組に依拠する高忠実性色の選択肢までの範囲に及ぶ)が、最近では、利用可能になっている。この最新のシステムは、食料品店、衣料品店、および電器小売店等の商業用看板に関して、大いに受け入れられている。特に、米国特許出願第2020/0379312号(特許文献1)において説明されるタイプの3色電気泳動ディスプレイは、屋外および屋内の看板に関して、および室温および冷蔵食品区分に関して、急速に採択されている。米国特許出願第2020/0379312号は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0005】
米国特許出願第2020/0379312号、および米国特許第8,717,664号(特許文献2)、第10,162,242号、および第10,339,876号の3粒子電気泳動ディスプレイが、世界的に、何百万もの個々のディスプレイに展開されているのに対し、米国特許第9,285,649号、第9,513,527号、および第9,812,073号において説明されるもの等の第4の色を伴う第4の粒子を追加することに対する強い需要が、存在する。そのような4色ディスプレイは、現在のところ、商業的に入可能ではない。そのような4粒子電気泳動ディスプレイが同じ小売環境の中に「投じられ」得ることが望まれるが、初期試験は、上記のタイプの4粒子電気泳動システムが、動作の温度のみならず、ディスプレイの向きにも応じて、すなわち、水平(荷電顔料が地球の重力場に沿って上下に駆動される)対垂直(荷電顔料が地球の重力場を横断して前後に駆動される)にも応じて、3粒子システムとは異なる独特の特異な癖を有することを示唆している。観察された1つの驚くべき影響は、そのような4粒子電気泳動ディスプレイが冷温環境(例えば、冷蔵または冷凍食品区分)において使用されると、粒子が、予想外の方法で凝集することであり、それは、他の色(例えば、白色、黄色、および赤色)による断続的な汚染を有する黒色ピクセルをもたらす。興味深いことに、この現象は、ディスプレイが、低温において水平に駆動されるとき、完全に再現されることができない。明確なこととして、望ましい色性能を達成するために、かつ電子デジタル看板における純粋かつ鮮やかな色に対する顧客の需要を満たすために対処することに先立って顔料を凝集解除するための改良された駆動シーケンスに対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0379312号明細書
【特許文献2】米国特許第8,717,664号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される駆動方法は、典型的な環境、すなわち、ディスプレイパネルが垂直に向けられる環境内で、より低温において、4粒子電気泳動ディスプレイに対処するために、上で説明される欠点を克服する。第1の側面では、ディスプレイ層を駆動する方法であって、ディスプレイ層は、光透過性電極を含む視認表面と視認表面からディスプレイ層の反対側にある第2の表面との間に配置されており、第2の表面は、駆動電極を含み、ディスプレイ層は、流体と、流体中に分散させられた第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備えている電気泳動媒体を含み、第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、それぞれ、互いに異なる第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、第1および第3のタイプの粒子は、第1の極性の電荷を有し、第2および第4のタイプの粒子は、第1の極性と反対の第2の極性の電荷を有し、第1のタイプの粒子と第3のタイプの粒子とは、同じ電荷の規模を有しておらず、第2のタイプの粒子と第4のタイプの粒子とは、同じ電荷の規模を有しておらず、方法は、順に、以下のステップ:
(i)大規模で第1または第2の極性を有する第1の電場を印加し、第1または第2のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、視認表面において第1または第2の光学特性を表示させるステップと、
(ii)大規模で負極性を有する第2の電場を印加するステップと、
(iii)第1の極性における大規模電場の少なくとも4つの期間と、第2の極性における大規模電場の少なくとも4つの期間とを含む振動パルスを印加するステップと、
(iv)大規模でステップ(i)と同じ極性を有する第2の電場を印加し、再度、第1または第2のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、再度、視認表面において第1または第2の光学特性を表示させるステップと、
(v)小規模でステップ(iv)と反対の極性を有する第3の電場を印加し、第4または第3のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、視認表面において第4または第3の光学特性を表示させるステップと、
を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の電場は、第2の電場より長い時間の間印加され、第3の電場は、第2の電場より長い時間の間印加される。いくつかの実施形態では、ステップ(i)-(v)の各々は、繰り返される。いくつかの実施形態では、第3の電場の規模は、第2の電場の規模の50パーセントより小さい、いくつかの実施形態では、第4または第3の光学特性のみが、ステップ(v)の完了後に表示される。いくつかの実施形態では、第1の電場は、400msより長い間印加される。いくつかの実施形態では、第2の電場は、100msより長い間印加される。いくつかの実施形態では、振動パルスは、80msより短い間印加される。いくつかの実施形態では、振動パルスは、約40msの間印加される。いくつかの実施形態では、無電場の休止期間が、ステップ(iii)の後に実施され、ステップ(i)-(iii)が、ステップ(iv)および(v)を完了する前、2回繰り返される。いくつかの実施形態では、各電場は、地球の重力の方向に対して実質的に直角である方向において印加される。
【0009】
第2の側面では、本発明は、ディスプレイ層を駆動する方法であって、ディスプレイ層は、光透過性電極を含む視認表面と視認表面からディスプレイ層の反対側にある第2の表面との間に配置されており、第2の表面は、駆動電極を含み、ディスプレイ層は、流体と、流体中に分散させられた第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子とを備えている電気泳動媒体を含み、第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子は、それぞれ、互いに異なる第1、第2、第3、および第4の光学特性を有し、第1および第3のタイプの粒子は、第1の極性の電荷を有し、第2および第4のタイプの粒子は、第1の極性と反対の第2の極性の電荷を有し、第1のタイプの粒子と第3のタイプの粒子とは、同じ電荷の規模を有しておらず、第2および第4のタイプの粒子は、同じ電荷の規模を有しておらず、
方法は、順に、以下のステップ:
(i)大規模で第1または第2の極性を有する第1の電場を印加し、第1または第2のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、視認表面において第1または第2の光学特性を表示させるステップと、
(ii)大規模で負極性を有する第2の電場を印加するステップと、
(iii)第1の極性における大規模電場の少なくとも4つの期間と、第2の極性における大規模電場の少なくとも4つの期間とを含む振動パルスを印加するステップと、
(iv)大規模でステップ(i)と反対の極性を有する第3の電場を印加し、第2または第1のタイプの粒子を視認表面に向かって駆動し、それによって、ディスプレイ層に、視認表面において第2または第1の光学特性を表示させるステップと
を含む、方法を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の電場は、第3の電場と同じ時間の間印加される。いくつかの実施形態では、ステップ(i)-(iv)の各々は、繰り返される。いくつかの実施形態では、第2または第1の光学特性のみが、ステップ(iv)の完了後に表示される。いくつかの実施形態では、第1の電場は、400msより長い間印加される。いくつかの実施形態では、第2の電場は、100msより長い間印加される。いくつかの実施形態では、振動パルスの各期間は、80msより短い間印加される。いくつかの実施形態では、振動パルスの各期間は、約40msの間印加される。いくつかの実施形態では、各電場は、地球の重力の方向に対して実質的に直角である方向において印加される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、4つの異なるタイプの粒子を含み、4つの異なる色状態を表示することが可能であるディスプレイ層を通した概略断面である。
【0012】
図2-1】図2A-2Fは、図1のそれらと類似する概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加するステップの結果としての粒子位置の変化を図示する。
図2-2】図2A-2Fは、図1のそれらと類似する概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加するステップの結果としての粒子位置の変化を図示する。
図2-3】図2A-2Fは、図1のそれらと類似する概略断面であるが、特定の電荷および極性の駆動シーケンスを印加するステップの結果としての粒子位置の変化を図示する。
【0013】
図3図3は、本発明の駆動方法において使用され得る汎用「振動」波形を示す。アクティブマトリクスディスプレイとともに使用されるとき、各サイクルの時間幅(+HV~-HV)は、そのディスプレイに関するフレーム時間の少なくとも2倍である。しかしながら、電気泳動媒体を駆動することに対する物理的限定は、何ら存在せず、各サイクルの時間幅は、アクティブマトリクスディスプレイを伴う典型的なものより短いことも、長いこともある。
【0014】
図4図4Aは、本発明のディスプレイの水平駆動を図示する。図4Bは、本発明のディスプレイの垂直駆動を図示する。
【0015】
図5A図5Aは、図1に示されるディスプレイ層が図2Cから図2Dまでの遷移をもたらすようにし、それによって、視認表面において赤色を表示するために使用され得る駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0016】
図5B図5Bは、図2Cから図2Dまでの遷移をもたらし、それによって、視認表面において赤色を表示するとき、より良好な粒子分離を提供する本発明の改良された駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0017】
図6A図6Aは、図1に示されるディスプレイ層が図2Eから図2Fまでの遷移をもたらすようにし、それによって、視認表面において白色を表示するために使用され得る駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0018】
図6B図6Bは、図2Eから図2Fまでの遷移をもたらし、それによって、視認表面において白色を表示するとき、より良好な粒子分離を提供する本発明の改良された駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0019】
図7A図7Aは、図1に示されるディスプレイ層が図2Aから図2Bまでの遷移をもたらすようにし、それによって、視認表面において黒色を表示するために使用され得る駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0020】
図7B図7Bは、図2Aから図2Bまでの遷移をもたらし、それによって、視認表面において黒色を表示するとき、より良好な粒子分離を提供する本発明の改良された駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0021】
図8A図8Aは、図1に示されるディスプレイ層が図2Bから図2Aまでの遷移をもたらすようにし、それによって、視認表面において黄色を表示するために使用され得る駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0022】
図8B図8Bは、図2Bから図2Aまでの遷移をもたらし、それによって、視認表面において黄色を表示するとき、より良好な粒子分離を提供する本発明の改良された駆動シーケンス(波形)を図示する。
【0023】
図9図9は、ディスプレイパネル性能を評価するための水平向きにおける高速駆動と、可能性が高い商業用使途を評価するための垂直向きにおける随時の駆動と、電気光学試験ベンチを使用した具体的な試験点の最終的な評価とを伴う試験プロトコルを示す。誤解を避けるために、K=黒色、W=白色、Y=黄色、およびR=赤色である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
すでに述べられているように、本発明は、全て流体中に分散させられ、全て異なる光学特性を有する第1、第2、第3、および第4のタイプの粒子を含む電気泳動媒体を備えているディスプレイ層のための駆動方法に関する。これらの光学特性は、典型的に、人間の眼に対して知覚可能な色であるが、他の光学特性(光透過率、反射率、ルミネッセンス、または機械読取のために意図されるディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化の意味における擬似色等)であり得る。本発明は、複数のタイプの粒子が視覚的に区別可能である限り、任意の色の粒子を広く包含する。
【0025】
電気泳動媒体中に存在する4つのタイプの粒子は、2対の反対荷電粒子を備えていると見なされ得る。第1の対(第1および第2のタイプの粒子)は、第1のタイプの正粒子と、第1のタイプの負粒子とから成り、同様に、第2の対(第3および第4のタイプの粒子)は、第2のタイプの正粒子と、第2のタイプの負粒子とから成る。2つの対の反対荷電粒子のうち、一方の対(第1および第2の粒子)は、他方の対(第3および第4の粒子)より強い電荷を帯びる。したがって、4つのタイプの粒子は、高正粒子、高負粒子、低正粒子、および低負粒子とも称され得る。
【0026】
用語「電荷電位」は、本願の文脈において、「ゼータ電位」または電気泳動移動度と同義的に使用され得る。粒子の電荷極性および電荷電位のレベルは、米国特許出願公開第2014/0011913号において説明される方法によって変動させられ得る(および/または、ゼータ電位の観点において測定され得る)。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU-100信号処理ユニットを伴うColloidal Dynamics AcoustoSizer IIM、ESA EN#Attnフロースルーセル(K:127)によって決定される。サンプル内で使用される溶剤の密度、溶剤の誘電定数、溶剤中の音速、溶剤の粘度等の器具定数(それらの全ては、試験温度(25℃)におけるもの)は、試験前に入力される。顔料サンプルが、溶剤(それは、通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体である)中に分散させられ、重量比5~10%であるように希釈される。サンプルは、電荷制御剤(Berkshire Hathaway companyの子会社であるLubrizol Corporationから入手可能なSolsperseTM 17000)も含み、電荷制御剤対粒子の1:10の重量比を伴う。希釈されたサンプルの質量が、決定され、サンプルは、次いで、ゼータ電位の決定のために、フロースルーセルの中に充填される。電気泳動移動度の測定のための方法および装置は、電気泳動ディスプレイの技術における当業者に周知である。
【0027】
図1に示される例として、第1の黒色粒子(K)および第2の黄色粒子(Y)が、第1の対の反対荷電粒子であり、この対において、黒色粒子が、高正粒子であり、黄色粒子が、高負粒子である。第3の赤色粒子(R)および第4の白色粒子(W)は、第2の対の反対荷電粒子であり、この対では、赤色粒子は、低正粒子であり、白色粒子は、低負粒子である。
【0028】
図示されない別の例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、黄色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、低負粒子であり得、赤色粒子は、高負粒子であり得る。図示されない別の例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、黄色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、高負粒子であり得、赤色粒子は、低負粒子であり得る。図示されない別の例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、赤色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、高負粒子であり得、黄色粒子は、高負粒子であり得る。当然ながら、任意の特定の色が、用途への要求に応じて、別の色と置換され得る。例えば、黒色、白色、緑色、および赤色粒子の具体的な組み合わせが、望ましい場合、図1に示される高負黄色粒子が、高負緑色粒子と置換され得る。
【0029】
加えて、4つのタイプの粒子の色状態は、意図的に混合され得る。例えば、黄色顔料は、本質的に、多くの場合、緑色を帯びた色調を有し、より良好な黄色状態が望ましい場合、黄色粒子および赤色粒子が、使用され得、この場合、両方のタイプの粒子が、同じ電荷極性を帯び、黄色粒子が、赤色粒子より高荷電である。結果として、黄色状態において、わずかな量の赤色粒子が、緑色を帯びた黄色粒子と混合され、黄色状態により良好な色純度を有させるであろう。
【0030】
粒子は、それらが、光透過性ではなく、光反射性であるべきであるという意味において、好ましくは、不透明である。粒子が、光透過性である場合、本発明の具体的な実施形態の以下の説明において現れる色状態のうちのいくつかが著しく歪められるであろうこと、または取得されないであろうことは、色彩科学における当業者に明白である。白色粒子は、当然ながら、反射性ではなく、光散乱性であるが、過剰でない量の光が白色粒子の層を通過することを確実にするために、注意が払われるべきである。例えば、下記に議論される、図2Fに示される白色状態では、白色粒子の層が、相当な量の光が通過し、その後方の黒色および黄色粒子から反射されることを可能にされ、白色状態の輝度は、かなり減らされ得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、粒子は、ポリマーシェルを伴わない一次粒子である。代替として、各粒子は、ポリマーシェルを伴う不溶性コアを備え得る。コアは、有機または無機顔料のいずれかであり得、それは、単一のコア粒子または複数のコア粒子の凝集体であり得る。粒子は、中空粒子でもあり得る。
【0032】
白色粒子は、TiO、ZrO、ZnO、Al、Sb、BaSO、PbSO等の無機顔料等から形成され得る。黒色粒子は、Cl顔料黒色26または28等(例えば、マンガンフェライト黒色スピネルまたは銅クロマイト黒色スピネル)、またはカーボンブラックから形成され得る。(非白色および非黒色である)他の着色粒子は、赤色、緑色、青色、マゼンタ色、シアン色、黄色、または任意の他の望ましい着色であってもよく、例えば、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20から形成され得る。これらは、色指数ハンドブック「New Pigment Application Technology」(CMC Publishing Co,Ltd,1986)および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co,Ltd,1984)において説明される、一般的に使用される有機顔料である。具体的な例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、Sun Chemical phthalocyanine blue、phthalocyanine green、diarylide yellow、またはdiarylide AAOT yellowを含む。着色粒子は、赤色、緑色、青色、および黄色等の無機顔料でもあり得る。例は、限定ではないが、CI pigment blue 28、CI pigment green 50、およびCI pigment yellow 227を含み得る。
【0033】
4つのタイプの粒子が分散させられた流体は、クリアかつ無色であり得る。それは、好ましくは、高粒子移動度のために、低粘度と、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の誘電定数とを有する。好適な誘電性溶剤の例は、炭化水素、例えば、イソパラフィン、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィンオイル、シリコン溶液、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼンまたはアルキルナフタレン、ハロゲン化溶剤、例えば、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオライド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオライド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナンまたはペンタクロロベンゼン、およびペルフルオロ化溶剤、例えば、3M Company(St. Paul MN)製FC-43、FC-70、またはFC-5060、低分子量ハロゲン含有ポリマー、例えば、TCI America(Portland,Oregon)製ポリ(酸化ペルフルオロプロピレン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えば、Halocarbon Product Corp.(River Edge,NJ)製ハロ炭素オイル、ペルフルオロポリアルキルエーテル、例えば、AusimontまたはKrytox Oils製Galden、DuPont(Delaware)製Greases K-Fluid Series、Dow-corning製ポリジメチルシロキサンベースのシリコーンオイル(DC-200)を含む。
【0034】
流体中の異なるタイプの粒子の比率は、変動し得る。例えば、1つのタイプの粒子は、電気泳動流体の体積比0.1%~10%、好ましくは、0.5%~5%を占め得、別のタイプの粒子は、流体の体積比1%~50%、好ましくは、5%~20%を占め得、残りのタイプの粒子の各々は、流体の体積比2%~20%、好ましくは、4%~10%を占め得る。
【0035】
種々のタイプの粒子は、異なる粒子サイズを有し得る。例えば、より小さい粒子は、約50nm~約800nmの範囲に及ぶサイズを有し得る。より大きい粒子は、より小さい粒子のサイズの約2~約50倍、より好ましくは、約2~約10倍であるサイズを有し得る。
【0036】
電気泳動ディスプレイは、通常、電気泳動材料の層と、電気泳動材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層とを備え、これらの2つの層のうちの一方は、電極層である。殆どのそのようなディスプレイでは、両方の層が、電極層であり、電極層のうちの一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極にパターン化され、他方は、行電極に対して直角に伸びる細長い列電極にパターン化され、ピクセルは、行電極と列電極との交点によって画定され得る。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一の連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極のマトリクスにパターン化され、それらのうちの各々が、ディスプレイの1つのピクセルを画定する。ディスプレイと別個のスタイラス、印刷ヘッド、または類似する移動可能電極との使用が意図される別のタイプの電気泳動ディスプレイでは、電気泳動層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気泳動層の反対側の層は、典型的に、移動可能電極が電気泳動層に損傷を与えることを防止することが意図される、保護層である。
【0037】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink(California)、LLC、E Ink Holdings、Prime View International、および関連会社に譲渡されたまたはそれらの名義の多数の特許および出願は、カプセル化電気泳動媒体、マイクロセル電気泳動媒体、および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、多数の小型カプセルのうちの各々は、それ自体、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とから成る。典型的に、カプセルは、それら自体、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体(典型的に、ポリマーフィルム)内に形成された複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願において説明される技術は、以下を含む:
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照);
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照);
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照);
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照);
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照);
(f)バックプレーン、接着剤層および他の補助層、およびディスプレイ内で使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照);
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照);
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照);
(j)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号において説明されるような非電気泳動ディスプレイ、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016//0012710号参照);
【0038】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が連続相によって置換され得、したがって、いわゆる「ポリマー分散電気泳動ディスプレイ」を生産し、ポリマー分散電気泳動ディスプレイにおいて、電気泳動媒体が電気泳動流体の複数の別々の液滴とポリマー材料の連続相とを備え、そのようなポリマー分散電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各個々の液滴と関連付けられていない場合であっても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する(例えば、前述の第2002/0131147号参照)。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0039】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、キャリア媒体、典型的に、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保持される(例えば、国際出願公開第WO02/01281号および米国特許第6,788,449号参照)。
【0040】
本発明の好ましい実施形態が、ここで、付随の図面を参照して、例証のみのためであるが、詳細に説明されるであろう。
【0041】
図1は、本発明の方法によって駆動され得るディスプレイ層を通した概略断面である。ディスプレイ層は、2つの主要な表面、すなわち、ユーザがディスプレイを視認する第1の視認表面13(図1に図示されるような上側表面)と、第1の表面13からディスプレイ層の反対側にある第2の表面14とを有する。ディスプレイ層は、流体と、高正電荷を有する第1の黒色粒子(K)、高負電荷を有する第2の黄色粒子(Y)、低正電荷を有する第3の赤色粒子(R)、および低負電荷を有する第4の白色粒子(W)とを備えている電気泳動媒体を備えている。ディスプレイ層は、ディスプレイ層を横断して電場を印加するために、当技術分野において公知であるような電極を具備し、すなわち、2つの電極層を含み、それらのうちの第1の電極は、ディスプレイ層の視認表面13全体にわたって延びている光透過性または透明な共通電極層11である。この電極層11は、酸化インジウムスズ(ITO)または類似する光透過性導体から形成され得る。他方の電極層12は、第2の表面14上の別々のピクセル電極12aの層であり、これらの電極12aは、ディスプレイの個々のピクセルを画定し、これらのピクセルは、図1における点線の垂直線によって示される。代替として、他方の電極層12は、固体電極、例えば、金属箔または黒鉛平面、または伝導性ポリマーであり得る。代替として、電極層12はまた、透明な共通電極層11と同様、光透過性または透明な電極層であり得る。電場が、共通電極に印加される電圧と対応するピクセル電極に印加される電圧との間の電位差によって、ピクセルに関して生成される。ピクセル電極12aは、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを伴うアクティブマトリクス駆動システムの一部を形成し得るが、他のタイプの電極アドレスも、電極が、ディスプレイ層を横断して必要とされる電場を提供することを前提として、使用され得る。
【0042】
ピクセル電極は、米国特許第7,046,228号において説明され得る。ピクセル電極12aは、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンの一部を形成し得るが、他のタイプの電極アドレスも、電極が、ディスプレイ層を横断して必要とされる電場を提供することを前提として、使用され得る。
【0043】
一実施形態では、「低電荷」粒子によって帯びられる電荷は、「高電荷」粒子によって帯びられる電荷の約50%未満、好ましくは、約5%~約30%であり得る。別の実施形態では、「低電荷」粒子は、「高電荷」粒子によって帯びられる電荷の約75%未満、または約15%~約55%であり得る。さらなる実施形態では、示されるような電荷レベルの比較が、同じ電荷極性を有する2つのタイプの粒子に適用される。「高正」粒子上の電荷と「高負」粒子上の電荷は、同じであることも、異なることもある。同様に、「低正」粒子の振幅と「低負」粒子の振幅とは、同じであることも、異なることもある。任意の具体的な電気泳動流体では、2つの対の高-低電荷粒子は、異なるレベルの電荷差を有し得る。例えば、ある対では、低正荷電粒子は、高正荷電粒子の電荷強度の30%である電荷強度を有し得、別の対では、低負荷電粒子は、高負荷電粒子の電荷強度の50%である電荷強度を有し得る。
【0044】
図2A-2Fは、図1に示されるディスプレイ層の各ピクセルの視認表面において表示され得る4つの色状態、およびそれらの間の遷移を図示する。先に言及されているように、高正粒子は、黒色(K)であり、高負粒子は、黄色(Y)であり、低正粒子は、赤色(R)であり、低負粒子は、白色(W)である。
【0045】
図2Aおよび2Bでは、高負駆動電圧(VH2と下記に称され、例えば、-15V、例えば、-30V)が、ピクセル電極22a(以降では、共通電極21が、0Vにおいて維持され、したがって、この場合、共通電極は、ピクセル電極に対して、強く正であることが仮定されるであろう)に、十分な長さの期間の間印加されると、電場が、発生させられ、高負黄色粒子が共通電極21に隣接して駆動され、高正黒色粒子がピクセル電極22aに隣接して駆動されることを引き起こし、図2Aの状態を生じさせる。
【0046】
低正赤色Rおよび低負白色W粒子は、それらがより弱い電荷を帯びているので、より高荷電黒色および黄色粒子より低速に移動し、結果として、それらは、ピクセルの中央にとどまり、白色粒子は、赤色粒子の上方にあり、両方は、黄色粒子によってマスクされ、したがって、視認表面において見えない。したがって、黄色が、視認表面において表示される。
【0047】
逆に、高正駆動電圧(VH1と下記に称され、例えば、+15V、例えば、+30V)が、(共通電極21が、ピクセル電極に対して強く負であるように)ピクセル電極22aに、十分な長さの期間の間印加されると、電場が、発生させられ、高正黒色粒子が共通電極21に隣接して駆動され、高負黄色粒子がピクセル電極22aに隣接して駆動されることを引き起こす。図2Bの結果として生じる状態は、図2Aと正反対であり、黒色が、視認表面において表示される。
【0048】
図2Cおよび2Dは、低正(赤色)粒子が、図1に示されるディスプレイ層の視認表面において表示される態様を図示する。このプロセスは、図2Aに示され、図2Cとして繰り返される(黄色)状態から開始する。低正電圧(VL1、例えば、+3V、例えば、+5V、例えば、+10V)が、ピクセル電極22aに十分な長さの期間の間印加され(すなわち、共通電極21は、ピクセル電極に対してわずかに負にさせられ)、高負黄色粒子にピクセル電極22aに向かって移動させる一方、高正黒色粒子に共通電極21に向かって移動させる。しかしながら、図2Dにおいて示されるように、黄色および黒色粒子がピクセルと共通電極の中間において出合うと、それらは、低駆動電圧によって発生させられた電場がそれらの間の引力を打ち消すために十分に強くないので、中間の位置に残る。示されるように、黄色および黒色粒子は、混合された状態において、ピクセル電極と共通電極の中間にとどまる。
【0049】
本明細書で使用されるような用語「引力」は、静電相互作用を包含し、粒子電荷電位に線形に依存し、引力は、ファンデルワールス力、疎水性相互作用等の他の力によってさらに強化されることができる。
【0050】
明白なこととして、引力は、低正赤色粒子と高負黄色粒子との間、および低負白色粒子と高正黒色粒子との間にも存在する。しかしながら、これらの引力は、黒色粒子と黄色粒子との間の引力と同程度に強くなく、したがって、赤色および白色粒子に対する弱い引力は、低駆動電圧によって発生させられる電場によって打ち消され得、それによって、低荷電粒子および反対極性の高荷電粒子は、分離されることができる。低駆動電圧によって発生させられる電場は、低負白色粒子と低正赤色粒子とを分離するためも十分であり、それによって、赤色粒子に共通電極21に隣接するように移動させ、白色粒子にピクセル電極22aに隣接するように移動させる。結果として、図2Dに示されるように、ピクセルが、赤色を表示する一方、白色粒子は、ピクセル電極の最近傍に存在する。
【0051】
図2Eおよび2Fは、低負(白色)粒子が、図1に示されるディスプレイ層の視認表面において表示される態様を図示する。このプロセスは、図2Bの(黒色)状態から開始し、図2Eとして繰り返される。低負電圧(VL2、例えば、-3V、例えば、-5V、例えば、-10V)が、ピクセル電極に十分な長さの期間の間印加され(すなわち、共通電極は、ピクセル電極に対してわずかに正にさせられ)、高正黒色粒子にピクセル電極22aに向かって移動させる一方、高負黄色粒子に共通電極21に向かって移動させる。しかしながら、黄色および黒色粒子が、図2Fにおいて示されるように、ピクセルと共通電極の中間において出合うと、それらは、低駆動電圧によって発生させられた電場がそれらの間の引力を打ち消すために十分に強くないので、中間位置に残る。したがって、図2Dを参照して先に議論されるように、黄色および黒色粒子は、混合された状態において、ピクセルと共通電極の中間にとどまる。
【0052】
図2Cおよび2Dを参照して上で議論されるように、引力は、低正赤色粒子と高負黄色粒子との間、および低負白色粒子と高正黒色粒子との間にも存在する。しかしながら、これらの引力は、黒色粒子と黄色粒子との間の引力と同程度に強くなく、したがって、赤色および白色粒子に対する弱い引力は、低駆動電圧によって発生させられる電場によって打ち消され得、それによって、低荷電粒子と反対極性の高荷電粒子とは、分離されることができる。低駆動電圧によって発生させられる電場は、低負白色粒子と低正赤色粒子とを分離するために十分であり、それによって、白色粒子に共通電極21に隣接するように移動させ、赤色粒子にピクセル電極22aに隣接するように移動させる。結果として、図2Fに示されるように、ピクセルが、白色を表示する一方、赤色粒子は、ピクセル電極の最近傍に存在する。
【0053】
図1および2A-2Fに示されるディスプレイ層では、黒色粒子(K)は、高正電荷を帯び、黄色粒子(Y)は、高負電荷を帯び、赤色粒子(R)粒子は、低正電荷を帯び、白色粒子(W)は、低負電荷を帯びているが、しかしながら、原則として、高正電荷、または高負電荷、または低正電荷、または低負電荷を帯びた粒子は、任意の色であり得る。これらの変形例は全て、本願の範囲内にあることが意図される。
【0054】
図2Dおよび2Fの色状態に到達するために印加される低電位差がピクセルを高正粒子の色状態から高負粒子の色状態に、またはその逆に(すなわち、図2Aおよび2Bに示されるように)駆動するために要求される高電位差の約5%~約50%であり得ることにも留意されたい。
【0055】
図示の容易性のために、図1および2A-2Fは、非カプセル化であるものとして、ディスプレイ層を示すが、電気泳動流体は、ディスプレイセルの中に充填され得、それは、米国特許第6,930,818号において説明されるようなカップ様マイクロセルであり得る。ディスプレイセルは、それらの形状またはサイズにかかわらず、マイクロカプセル、マイクロチャネル、または均等物等の他のタイプのマイクロ容器でもあり得る。これらは全て、本願の範囲内にある。
【0056】
「混じり気のない」十分に飽和状態である色が、図2A-2Fに図示される種々の色状態において取得される場合、電気泳動媒体内で使用される全ての非黒色および非白色粒子は、光透過性ではなく、光反射性であるべきであることは、結像科学における当業者に容易に明白であろう(白色粒子は、本質的に、光散乱性である一方、黒色粒子は、本質的に、光吸収性である)。例えば、図2Dの赤色状態では、赤色粒子が、実質的に光透過性である場合、視認表面を通して電気泳動層に入る光のかなりの割合が、赤色粒子を通過し、この透過された光のある割合は、赤色粒子の「後方」(すなわち、図2Dに図示されるように、下方)の黄色粒子から戻るように反射されるであろう。全体的な影響は、黄色の色合いを伴う望ましい赤色の深刻な「汚染」、すなわち、極めて望ましくない結果であろう。
【0057】
色の輝度および色の純度の両方を確実にするために、振動波形が、ディスプレイ層をある色状態から別の色状態に駆動することに先立って、印加され得る。図3は、そのような振動波形の電圧対時間グラフである。振動波形は、多くのサイクルにわたって、対の反対駆動パルスを繰り返すことから成り得る。アクティブマトリクスディスプレイとともに使用されるとき、各正または負パルスは、少なくとも更新のフレーム幅である。例えば、各パルス幅は、ディスプレイが、60Hzにおいて更新されるとき、約16ミリ秒であり得る。しかしながら、実際、フレーム時間は、典型的に、バックプレーンの容量要素のための種々の電荷および減衰時間に起因して、わずかにより長い。例えば、図3に示されるように、振動波形は、20ミリ秒にわたる+15Vパルスと、20ミリ秒にわたる-15Vパルスとから成り、この対のパルスは、50回繰り返され得る。そのような振動波形の総持続時間は、2,000ミリ秒であろう。図示の容易性のために、図3は、7つの対のパルスのみを図示する。
【0058】
パルス幅は、フレーム時間に限定される必要はなく、各パルスは、複数のフレーム、例えば、40ミリ秒のパルス幅、例えば、60ミリ秒のパルス幅、例えば、80ミリ秒のパルス幅、例えば、100ミリ秒のパルス幅を含み得る。いくつかの実施形態では、振動パルスの各要素のパルス幅は、80ミリ秒以下、例えば、60ミリ秒以下、例えば、40ミリ秒以下、例えば、20ミリ秒以下であり得る。実践では、少なくとも4回の反復(すなわち、4つの対の正および負パルス)、例えば、少なくとも6回の反復、例えば、少なくとも8回の反復、例えば、少なくとも10回の反復、例えば、少なくとも12回の反復、例えば、少なくとも15回の反復があり得る。同様に、振動波形を示す全ての後続の図面は、同じ様式において、振動波形を単純化している。振動波形は、駆動電圧が印加されることに先立って、光学状態にかかわらず、印加され得る。振動波形が印加された後、光学状態は、(視認表面、または、見える場合、第2の表面のいずれかにおいて)純粋な色ではなく、種々のタイプの顔料粒子の色の混合物であろう。ある事例では、複数の振動パルスが、振動パルス間の0Vの一時停止を伴って送達され、電気泳動媒体が平衡すること、および/または電極上に蓄積される電荷が放散されることを可能にするであろう。
【0059】
振動波形における駆動パルスの各々は、高正粒子の色状態から高負粒子の色状態への駆動、またはその逆のために要求される駆動時間の50%を超過しない(または30%、10%、または5%を超過しない)時間の間印加される。例えば、図2Bの色状態から高正粒子まで、すなわち、図2Aの色状態に、またはその逆に表示デバイスを駆動するために、300ミリ秒を要する場合、振動波形は、正および負パルスから成り、各々が、150ミリ秒を超えない時間の間印加され得る。実践では、パルスが、よい短くあることが、好ましい。
【0060】
本目的のために、高駆動電圧(VH1またはVH2)は、高正粒子の色状態から高負粒子の色状態に、またはその逆にピクセルを駆動するために十分である駆動電圧として定義される(図2Aおよび2B参照)。低駆動電圧(VL1またはVL2)は、高荷電粒子の色状態から低荷電粒子の色状態にピクセルを駆動するために十分であり得る駆動電圧として定義される(図2Dおよび2F参照)。一般に、Vの規模(例えば、VL1またはVL2)は、Vの振幅(例えば、VH1またはVH2)の50%未満、好ましくは、40%未満である。
【0061】
背景技術において述べられたように、重力に対する電気泳動媒体の配向は、特に、ディスプレイがより低温、例えば、5℃未満、例えば、0℃未満、例えば、-5℃未満、例えば、-10℃未満、例えば、-15℃未満において動作させられるとき、結果として生じる色状態の純度に影響を及ぼす。図4Aに示されるように、水平駆動は、電極(11および12a)によって提供される電場勾配が、重力(G)の方向に沿っているときである。対照的に、垂直駆動は、電極(11および12a)によって提供される電場勾配が、重力(G)の方向に対して横方向であるときである。
【0062】
CIELAB色空間(例えば、L*、a*、b*)を使用する、黒色状態の実験的測定は、例えば、図2Aおよび2Bにおいて説明されるように、駆動された黒色ピクセルが、水平向きにおいて駆動される同じディスプレイと比較して、垂直向きにおいて駆動される黒色ピクセルに関して、一貫してより高L*を有することを示している(黒色状態に関して、より低L*が、より良好であり、すなわち、反射率が、より少ない)。加えて、アイルーペまたは類似する倍率を使用すると、視認者に、黒色状態を汚染する白色、黄色、および赤色顔料の余分な斑点が見え得る。所定の試験パターンを使用すると、黒色に関するL*値は、典型的に、0℃において駆動される水平駆動型4粒子パネルと比較して、0℃において駆動される垂直駆動型4粒子パネルでは、約3L*より高い。これは、目立つものではないが、全ての色状態は、特に、低温において、垂直向きにおいて駆動されるとき、増加した汚染を有することが観察される。この色汚染の原因は、完全には理解されていないが、しかしながら、それは、顔料、電荷制御剤、および他の添加剤を含む、電気泳動媒体中の種々の成分の密度差分離から結果としてもたらされ得る。
【0063】
図5Aは、図2Cおよび2Dの黄色から赤色(高負から低正)への遷移をもたらすために使用され得る標準波形を図示する。図5Aの波形では、高負駆動電圧(VH2、例えば、-15V)が、t1の期間の間印加され、ピクセルを黄色状態に向かって駆動する(図2C参照)。高負駆動電圧のこの初期印加は、図5Aの波形全体が、DC平衡であることを確実にするために含まれる平衡位相として公知である(用語「DC平衡」は、波形全体にわたって要される時間に対するピクセルに印加される駆動電圧の積分が、実質的にゼロであることを意味するために、本明細書で使用される)。t1の平衡パルスは、500ミリ秒以上、例えば、1秒より長く持続し得る。振動波形(別名、混合波形)が、次いで、印加され、高負駆動電圧(VH2)の印加が、t2の期間にわたって続き、それは、図2Cに示される黄色状態にピクセルを配置する。期間t2の幅は、典型的に、t1より小さく、例えば、半分の長さ、例えば、約200ミリ秒、または約250ミリ秒、または約500ミリ秒である。図5Aのいくつかの実施形態では、振動パルスの各パルスは、約80ms幅であり得るが、しかしながら、より長いまたはより短いパルス幅が、容認可能である。この黄色状態から、ピクセルは、t3の期間にわたって、低正駆動電圧(VL1、例えば、+3V)を印加することによって、赤色状態に駆動され、黄色から赤色への遷移をもたらす(図2Cから図2Dまで進むことを示す)。期間t2は、VH2が印加されるとき、黄色状態にピクセルを駆動するために十分であり、期間t3は、VL1が印加されるとき、黄色状態から赤色状態にピクセルを駆動するために十分である。期間t3は、典型的に、t2より長く、例えば、約300ミリ秒、例えば、約400ミリ秒、例えば、約600ミリ秒である。図5Aの波形は、視認表面における赤色の調製のための「ベース」波形であることを理解されたい。波形の一部は、繰り返され得、例えば、平衡パルスおよび振動パルスは、最初の駆動パルスが印加される前、繰り返され得る。いくつかの実施形態では、波形の繰り返される部分の間に、0Vの一時停止が存在し得る(すなわち、平衡、振動、一時停止、平衡、振動)。加えて、汚染除去パルスが、米国特許第10,586,499号(参照することによってその全体として組み込まれる)において説明されるように、波形に追加され得る。
【0064】
しかしながら、先に議論されたように、図5Aの波形は、特に、低温(例えば、0℃)において、かつ垂直向きにおいて駆動されるとき、純粋な光学状態を達成するために、凝集した顔料の十分な初期分離を提供しない。すなわち、図5Aの波形を用いて駆動した後、黒色、黄色、および白色の顔料汚染が、赤色のピクセル内に見られ得る。驚くべきことに、本汚染は、図5Bに示されるように、時間t1’において、単純な高負凝集解除パルスを追加することによって、打ち消され得ることが見出されている。この余分な高負時間は、平衡パルスt1の延長部として見えるが、凝集解除パルスt1’は、例えば、図1および2A-2Fに対して上で説明されるタイプの、説明される4粒子電気泳動ディスプレイシステムのための全ての色状態の調製において有効であることが見出されている。期間t1’は、典型的に、100ミリ秒~700ミリ秒、例えば、約400ミリ秒、または約500ミリ秒、または400~500ミリ秒である。
【0065】
本発明者らは、以下の提案される機構によって拘束されることを所望するわけではないが、正荷電黒色および赤色粒子は、持続的駆動後(特に、より低温における)、凝集体を展開していることが推量される。粒子凝集体は、電気泳動媒体中の電荷制御剤によって促進され得るが、しかしながら、その影響は、特定のタイプの電荷制御剤に対して敏感であるとは思われない。負凝集解除パルス、すなわち、図5Bのt1’が追加されると、赤色および黒色粒子は、駆動電極(22a)のより近くに駆動され、それは、振動パルスが開始すると、正粒子凝集体に対してより高い分散力(すなわち、より鋭い「キック」)を結果としてもたらす。故に、正粒子は、より良好に分離され、後の駆動(すなわち、アドレス)パルスに対してより良好に応答する。凝集解除パルスを追加する場合、より少ない色混合があり、結果として生じる色は、電気光学計測学を用いて評価されると、より一貫性がある(例参照)。
【0066】
類似する方式において、図6Aおよび6Bは、図2Eから2Fまでの黒色から白色(高正から低負)への遷移をもたらすために使用され得る波形を図示する。図6Aの波形は、標準波形である一方、図6Bの波形は、凝集解除パルスt4’を含むように修正され、その結果として生じる白色状態における汚染を減らす。本質的に図5Aの波形の反転バージョンである図6Aの波形では、高正駆動電圧(VH1、例えば、+15V)が、t4の期間にわたって、平衡パルスとして印加される。振動波形が、次いで、印加され、高正駆動電圧(VH1)の印加が、t5の期間にわたって続き、したがって、ピクセルが、図2Eに示される黒色状態にあることを確実にする。この黒色状態から、ピクセルは、t6の期間にわたって、低負駆動電圧(VL2、例えば、-3V)を印加することによって、白色状態に駆動され、図2Eから図2Fまでに示される黒色から白色への遷移をもたらす。期間t5は、VH1が印加されるとき、ピクセルを黒色状態に駆動するために十分であり、期間t6は、VL2が印加されるとき、ピクセルを黒色状態から白色状態に駆動するために十分である。図6Bに示される凝集解除パルスt4’は、特に、ディスプレイが低温で垂直向きにおいて駆動されるとき、最終的な白色状態の純度を改良する。期間t4’は、典型的に、100ミリ秒~700ミリ秒、例えば、約400ミリ秒、または約500ミリ秒、または400ミリ秒~500ミリ秒である。
【0067】
図7Aは、図2Aから2Bまでの黄色から黒色(高負から高正)への遷移をもたらすために使用され得る標準波形を図示する。幅t7であり、高負電圧を有する平衡パルスが、振動波形に先立って送達される。平衡パルスは、波形全体に関するDC平衡を達成し、振動パルスは、色の輝度および純度を確実にするために含まれる。平衡および振動パルスに続いて、図7Aに示されるように、高正駆動電圧(VH1、例えば、+15V、+30V)が、期間t8の間印加され、振動波形後、ピクセルを黒色状態に向かって駆動する。
【0068】
上で詳述され、下記の例において説明されるように、図7Aの波形は、ディスプレイが垂直向きにあるとき、特に、低温駆動に関して、望ましい黒色の純度を達成しない。故に、図5Bおよび6Bの波形に類似する方式において、中間の時間t7’にわたる高負パルスの追加が、粒子の凝集解除を達成し、改良された黒色状態の電気光学性能を結果としてもたらすことが見出されている。図5Bおよび6Bと同様、期間t7’は、典型的に、100ミリ秒~700ミリ秒、例えば、約400ミリ秒、または約500ミリ秒、または400ミリ秒~500ミリ秒である。
【0069】
図8Aは、図2Bから2Aまでの黒色から黄色(高正から高負)への遷移をもたらすために使用され得る標準波形を図示する。幅t9であり、高負電圧を有する平衡パルスが、振動波形に先立って送達される。平衡パルスは、波形全体に関するDC平衡を達成し、振動パルスは、色の輝度および純度を確実にするために含まれる。平衡および振動パルスに続いて、図8Aに示されるように、高負駆動電圧(VH1、例えば、+15V、+30V)が、期間t10の間印加され、振動波形後、ピクセルを黄色状態に向かって駆動する。
【0070】
上で詳述されるように、図8Aの波形は、ディスプレイが垂直向きにあるとき、特に、低温駆動に関して、望ましい黄色の純度を達成しない。故に、図7Bの波形に類似する方式において、中間の時間t9’にわたる高負パルスの追加が、粒子の凝集解除を達成し、改良された黒色状態の電気光学性能を結果としてもたらすことが見出されている。図7Bと同様、期間t9’は、典型的に、100ミリ秒~700ミリ秒、例えば、約400ミリ秒、または約500ミリ秒、または400ミリ秒~500ミリ秒である。
【0071】
これまでに説明された波形は、図2A-2Fに示される4つの光学状態のうちの1つ、本質的に、ディスプレイ層内に存在する4つのタイプの粒子のうちの1つの色を表示することが意図されている。先に説明された本発明の実施形態が、各ピクセルにおいて4つの色のうちのいずれか1つの表示を可能にするが、それらが各色のグレーレベルまたはその飽和度を再現可能に制御する容易な方法を提供しないことが、前述から分かるであろう。故に、グレースケールカラー画像を提供するために、本発明を使用することが望ましい場合、必要とされるグレースケールを提供するために、ディスプレイのピクセルをディザリングする(面積的に変調する)ことが必要とされるであろう。例えば、非飽和状態である赤(桃)色は、ディスプレイの交互するピクセルを赤色および白色に設定することによって表示され得る。面積変調は、事実上、(個々のピクセルが、事実上、グレーレベル表示が可能な大きなピクセルのサブピクセルとして使用されるため)増加した数のグレーレベルと表示分解能における低減とを交換し、分解能における損失は、各ピクセルにおいて表示され得る再現可能な色状態(原色)の数を増加させることによって限定され得る。本発明の方法において、各ピクセルから利用可能な原色の数が、低正(赤色)粒子と高負(黄色)粒子との混合物によって提示される色(図面に示される実施形態では、橙色)、および/または低負(白色)粒子と高正(黒色)粒子との混合物によって提示される色(灰色)に各ピクセルを駆動することによって増加させられ得ることが見出されている。
【0072】
再現可能な混合色は、混合色において必要とされる低荷電粒子の色にディスプレイを最初に駆動し、次いで、望ましい混合色を形成するために、適切な高荷電粒子に低荷電粒子と混合させる極性の高駆動電圧を印加することによってのみ取得され得ることが見出されている。より具体的に、再現可能な橙色を提供するために、赤色状態から開始することが必要とされる。この赤色状態2から橙色状態(すなわち、混合された赤色および黄色)に遷移するために、高負駆動電圧(VH2、例えば、-15V)が、ピクセル電極(22a)に短い期間の間印加される(すなわち、共通電極が、ピクセル電極に対して強く正にさせられる)。高駆動電圧は、ピクセル電極と前面電極との中間に先に凝集させられた黒色粒子と黄色粒子との間の相互作用を打ち消すために十分であり、それによって、負荷電黄色粒子は、前面電極(21)に向かって急速に移動を開始する一方、正荷電黒色粒子は、ピクセル電極(22a)に向かって移動を開始する。同時に、正荷電赤色粒子は、前面電極(21)から離れるように、ピクセル電極(22a)に向かって移動を開始する一方、負荷電白色粒子は、ピクセル電極(22a)から離れるように、前面電極(21)に向かって移動を開始する。しかしながら、低荷電赤色および白色粒子の電気泳動移動度は、高荷電黒色および黄色粒子のそれらより小さいので、赤色および白色粒子は、黒色および黄色粒子より低速に移動する。駆動パルスの長さは、赤色および黄色粒子の混合物が、前面電極(21)に隣接して存在するように調節され、それによって、橙色が、視認表面において見られる。黒色および白色粒子の混合物が、ピクセル電極(22a)に隣接して存在し、したがって、この表面が見える場合、灰色が、ディスプレイの第2の表面を通して見えるであろう。
【0073】
(実施例)
図1を参照して上で説明されるタイプの黒色、白色、黄色、および赤色粒子を含む、4粒子電気泳動媒体が、調製され、透明なマイクロセルのアレイの中に充填され、アクリレートシール層を用いてシールされた。マイクロセルのアレイは、前面透明電極(PET-ITO)に積層され、続いて、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンに接合された。その結果として生じるディスプレイは、試験ディスプレイの水平および垂直位置付けを可能にする温度制御されたチャックを用いて、光学ベンチ上に配置された。図9に示されるように、パネルは、最初、様々なパターンを通して水平向きにおいて駆動され、連続したパターン間の滞留時間は、殆どまたは全くない。水平パターンの試験パターンは、状態間の信頼可能な切り替えを確実にするために、かつ不適切な充填またはシールに起因して生じ得る「デッドピクセル」または他の欠陥を点検するために、ビデオを用いて記録されている。パネルが正しく機能していることを確実にするために、水平パターンにおいて駆動した後、パネルは、垂直位置に向け直され、更新間の長い滞留時間を伴う複数の更新を伴って起動される。この位置および試験シーケンスは、パネルが、典型的に、垂直状態において据え付けられ、時折にしか更新されない実世界条件を模倣することが意図される。この試験では、滞留時間は、30分であったが、それは、60分またはそれより長くあり得る。垂直向きにおける評価の総時間は、3日間であった。3日間の垂直駆動後、ディスプレイは、図9の右端の概略図において示されるように、ディスプレイ上の複数の測定箇所において、L*およびb*値を測定する分光光度検出器を使用して、電気光学性能を評価される。
【0074】
下記の表1に示されるように、試験更新が、図5A、6A、7A、および8Aに示されるタイプの波形を用いて、0℃において実施され、黒色の測定点は、低温における延長された垂直駆動の後、大量の分散を有する。アイルーペまたは類似する倍率を通して視認されると、この変動性が、主に、黒色状態が、白色、黄色、および赤色顔料で不適切に汚染される(薄い色を付けられる)ことに起因することは、明白である。しかしながら、パネルが、図5B、6B、7B、および8Bに示されるタイプの波形を用いて駆動されるとき、結果として生じる黒色測定箇所のL*値は、より低く、最終的なL*値は、(高から低への)より少ない分散を有する。加えて、b*値は、ゼロにより近く、はるかにより少ない分散を伴う。このデータは、図5B、6B、7B、および8Bの波形が、低温において、垂直向きにおいて4粒子電気泳動ディスプレイを駆動するために、図5A、6A、7A、および8Aの波形より優れていることを示唆する。
【表1】
【0075】
本発明は、その具体的な実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が代用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、多くの修正が、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップ、またはステップを、本発明の目的および範囲に適合させるために行われ得る。そのような修正は全て、本明細書に添付される請求項の範囲内にあることが意図される。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】