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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】癌バイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/66 20060101AFI20240409BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G01N33/66 Z
G01N33/50 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566533
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022061385
(87)【国際公開番号】W WO2022229343
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,768
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2113334.3
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523406233
【氏名又は名称】エリプタ アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】ELYPTA AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ガット、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ブラトゥリッチ、シニシャ
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】バッコーニ、アンドレア
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045AA16
2G045AA26
2G045CA26
2G045CB03
2G045DA30
2G045DA36
2G045FB06
2G045JA01
(57)【要約】
本発明は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記試料が上記対象から得られている、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、前記試料が前記対象から得られている、方法。
【請求項2】
対照レベル及び/又は化学組成と比較した、前記無タンパク質画分中のコンドロイチン硫酸(CS)及び/又はヘパラン硫酸(HS)のレベル及び/又は化学組成の変化が、前記対象における癌を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化学組成の決定が、CS又はHS二糖の特定の硫酸化又は非硫酸化形態、荷電HS、荷電CS、CSの総濃度又はHSの総濃度のうちの1つ以上(又は全て)からなる群から選択される1つ以上のGAG特性の、前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化学組成の決定が、0s CS、2s CS、6s CS、4s CS、2s6s CS、2s4s CS、4s6s CS、Tris CS、0s HS、2s HS、6s HS、2s6s HS、Ns HS、Ns2s HS、Ns6s HS、トリスHS、4s CSの6s CSに対する比、6s CSの0s CSに対する比及び4s CSの0s CSに対する比、荷電HS、荷電CS、CSの総濃度(CS tot)、及びHSの総濃度(HS tot)からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記体液試料が、血液(例えば血漿)及び/又は尿である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記化学組成の決定が、
(i)4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)、又は
(ii)4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)、又は
(iii)4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の、前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記化学組成の決定が、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記体液試料が、血液(例えば血漿)であり、前記化学組成の決定が、
(i)0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CS対0s CSの比、CS Tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)、又は
(ii)0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、CS Tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)、又は
(iii)0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CS対0s CSの比、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の、前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記体液試料が尿であり、前記化学組成の決定が、
(i)4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)、又は
(ii)4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)、又は
(iii)4s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の、前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記体液試料が尿であり、前記化学組成の決定が、0s HSの絶対濃度、6s CSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、0s HSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、4s CSの相対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)のレベルを決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
血液(例えば、血漿)試料の前記無タンパク質画分中の前記GAGの前記一方又は両方の化学組成が決定され、尿試料の前記無タンパク質画分中の前記GAGの前記一方又は両方の化学組成が機能し、好ましくは
前記尿試料の前記無タンパク質画分の化学組成の決定が、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、HS tot、及び荷電CS、からなる群から選択されるGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含み、
前記血液(例えば血漿)試料の前記無タンパク質画分の化学組成の決定が、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、及びCStot、からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
血液(例えば、血漿)試料の前記無タンパク質画分中の前記GAGの前記一方又は両方の化学組成が決定され、尿試料の前記無タンパク質画分中の前記GAGの前記一方又は両方の化学組成が機能し、
前記尿試料の前記無タンパク質画分の化学組成の決定が、0s HSの絶対濃度、Ns HSの相対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、6s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、及び荷電CS、からなる群から選択されるGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含み、
前記血液(例えば、血漿)試料の前記無タンパク質画分の化学組成の決定が、4s CSの0s CSに対する比、及びCS tot、からなる群から選択されるGAG特性の一方又は両方の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5及び11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
血液(例えば、血漿)試料の前記無タンパク質画分中の前記GAGの前記一方又は両方の化学組成が決定され、尿試料の前記無タンパク質画分中の前記GAGの前記一方又は両方の化学組成が機能し、
前記尿試料の前記無タンパク質画分の化学組成の決定が、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度からなる群から選択されるGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含み、
前記血液(例えば血漿)試料の前記無タンパク質画分の化学組成の決定が、0s CSの絶対濃度の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~5及び11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記体液試料の前記無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成の決定が、0s CSの絶対濃度及びCS Totからなる群から選択されるGAG特性の一方又は両方の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
0s CSの絶対濃度の前記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含み、対照レベルと比較した0s CSの絶対濃度の増加が、癌を示す、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記化学組成がスコアに関して表され得、前記スコアが、前記GAG特性の1つ以上(好ましくは1つより多く)又は全ての測定されたレベルに基づく、請求項3~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記GAG特性の1つより多くのレベルを決定することを含み、好ましくは、前記方法が、前記GAG特性の2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は全てのレベルを決定することを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記試料が、前記対象から得られており、前記レベル及び/又は化学組成を決定する前に少なくとも1つの処理ステップに供されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
CS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態のうちの1つ以上のレベルが決定され、GAGが、分析のための二糖単位を得るための処理ステップに供されるか、又は供されている、請求項3~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの処理ステップが、前記試料をタンパク質分解剤と接触させることを含まない、請求項18又は請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記試料が、前記対象から得られており、前記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理に供されており、
前記処理が、
(a)前記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に、
(i)前記試料をタンパク質分解剤と接触させること、及び
(ii)前記GAGの負電荷に基づいて、前記試料中の前記一方又は両方のGAGを精製すること、の少なくとも1つを含まない、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
(b)(i)の接触させること、又は(b)(ii)の精製することを含まない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
(a)の前記断片化が、前記一方又は両方のGAGを1つ以上のGAGリアーゼ酵素と接触させることによって行われる、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のGAGリアーゼ酵素が、1つ以上のコンドロイチナーゼ酵素及び/又は1つ以上のヘパリナーゼ酵素である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
(b)(ii)の前記精製が、アニオン交換樹脂を使用して行われる、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記GAG又はGAG特性の前記レベル又は化学組成が、HPLC及び質量分析によって決定される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記HPLCが、ウルトラHPLCである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記質量分析が、三連四重極質量分析である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象が、癌を発症するリスクがあるか若しくは癌の発生のリスクがある対象であるか、又は癌を有するか若しくは有することが疑われる対象である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記癌が、以下のとおりである、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法:
(i)ステージIの癌、ステージIIの癌、ステージIIIの癌、ステージIVの癌及びステージが特定されていない癌、又は
(ii)泌尿生殖器癌(例えば、腎臓癌、前立腺癌又は膀胱癌)、気道癌(例えば、肺癌)、脳腫瘍、血液癌(例えば、リンパ腫)、結腸直腸癌、子宮癌、胃腸神経内分泌腫瘍、乳癌、卵巣癌及び頭頸部癌からなる群から選択されるか、又は
(iii)膀胱癌、浸潤性乳管癌、子宮頸部扁平上皮癌、慢性リンパ性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、びまん性グリオーマ、胃腸内分泌腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌及び腎細胞癌からなる群から選択される。
【請求項31】
前記方法が、癌を診断するため、癌の予後のため、癌の発生を予測するため、癌の発生のリスクを推定するため、癌の発生のリスクがある対象をモニターするため、対象における癌の進行をモニターするため、癌の臨床的重症度を決定するため、癌の治療又は手術に対する対象の奏功を予測するため、癌を処置するために使用される治療レジメン又は手術レジメンの有効性を決定するため、癌の再発を検出するため、癌の原発組織を予測するため、又は、癌の疑いがある小さな塊を他の非悪性疾患から区別するために使用される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、
前記試料が、前記対象から得られており、前記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理に供されており、
前記処理が、
(a)前記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に、
(i)前記試料をタンパク質分解剤と接触させること、及び
(ii)前記GAGの負電荷に基づいて、前記試料中の前記一方又は両方のGAGを精製すること、の少なくとも1つを含まない、方法。
【請求項33】
(b)(i)の接触させること、又は(b)(ii)の精製することを含まない、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、請求項1~31のいずれか1項に記載の1つ以上の特徴を有する、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
グリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定する方法であって、
(a)ヒト患者から体液試料を得ることと、
(b)前記試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を検出することと、を含む、方法。
【請求項36】
体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定する方法であって、
前記試料が、前記対象から得られており、前記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理に供されており、
前記処理が、
(a)前記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に、
(i)前記試料をタンパク質分解剤と接触させること、及び
(ii)前記GAGの負電荷に基づいて、前記試料中の前記一方又は両方のGAGを精製すること、の少なくとも1つを含まない、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌のバイオマーカー及び癌を検診する方法に関する。かかる方法は、対象における癌を示す特定のバイオマーカーのレベル及び/又は組成を決定することを伴う。
【0002】
癌の症例数は、近い将来に相当増加すると予測されている。癌人口の増加は、癌の現在の診断状況を改善する緊急の必要性を決定づけるものである。特に、癌診断のための、典型的には、より好ましい臨床転帰と相関する高リスク癌の早期検出において医療従事者を支援するための、又は現在の癌患者の治療を導くための、手頃で実用的なツールが必要とされている。
【0003】
循環するバイオマーカーは、個体の利用可能な体液、例えば血液又は尿中で測定することができ、そのレベルが診断及び/又は予後診断及び/又は処置に対する奏功の予測を補助するのに有用である分子である。広く使用されているバイオマーカーの例は、前立腺癌に対する前立腺特異的抗原(PSA)、結腸直腸癌に対する癌胎児性抗原(CEA)及び卵巣癌に対する炭水化物抗原125である。しかしながら、癌を診断するためのこれらのバイオマーカーの臨床的価値は、盛んに議論されている。例えば、平均的なリスクがある50歳超の男性における前立腺腺癌を検出するための標準的なPSA検査は、4ng/mlに等しいカットオフ値を仮定すると、感受性及び特異性についてそれぞれ21%(8以上のグリーソンスコアを有する高悪性度病変について51%)及び91%に等しい典型的な値を有する(Wolf,A.M.,et al.,2010 CA Cancer J Clin 60,70-98)。
【0004】
当技術分野で必要とされているのは、癌を検診する(例えば、癌を診断する)新しい方法である。癌についての新規バイオマーカーの同定は、多数の患者について臨床的意味を潜在的に有し得、そして重要な臨床的進歩である。ここで、本発明者らは、癌を検出するための高度に特異的(例えば、98%の特異性が実証されている)かつ高感受性のアッセイにおいて使用することができる癌の血液及び/又は尿マーカーについての証拠を提供する。したがって、有利なことに、かかる方法は非侵襲的であり、容易に入手可能な試料に対して実施され、並びに非常に正確である。
【0005】
かかる試験の利用可能性はまた、例えば以下の、いくつかの医学的決定に対して価値を有する:
新たに診断された癌における進行のリスクを決定すること、不確実な臨床的リスクを有する癌患者における治療選択肢を案内すること、手術又は薬物治療の前後に癌をモニタリングすること、患者が典型的に治癒したと宣言された後、より長い期間の間、疾患のぶり返しを防止すること、リスクのある集団、例えば、遺伝的素因を有する個体又はリスク因子を示す個体又は症状を示す個体における、癌の発生を評価すること、転移が特定の癌に起因するか否かを確認すること、早期癌を有する患者における再発又はぶり返しを予測すること、癌の疑いのある病変を非悪性疾患から区別すること、癌の特定のステージ(例えば、初期ステージ)又は悪性度(例えば、低悪性度)を検出すること、癌の原発組織を決定すること、又は全体集団における癌を検診すること。
【0006】
本発明者らは、特定のグリコサミノグリカン(GAG)のレベル、特にコンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)などの特定のGAGの無タンパク質画分のレベル、並びに/又は上記GAGの化学組成、特に上記GAGの無タンパク質画分の化学組成が、対照対象と比較して癌患者由来の体液試料中で、差次的レベルで見られることを見出した。これらのGAG CS若しくはHSの差次的レベル、又はGAG CS若しくはHSの差次的化学組成(GAGプロファイル)は、癌のバイオマーカーとして機能させることができ、したがって、対象における癌の検診に有用である。したがって、本発明者らは、アクセス可能な流体からのGAGプロファイルが、癌のバイオマーカー/診断マーカーとして使用するのに適していることを見出した。
【0007】
驚くべきことに、そして有利なことに、本発明者らは、GAG CS及び/又はHSのレベルの変化を、特にGAGの無タンパク質画分にて分析した場合に、癌患者のアクセス可能な体液中で観察されること、及びこれらのGAGプロファイルが癌のバイオマーカーとして使用するのに適していることを見出した。本発明者らはまた、CS及び/又はHSの全体的な(総)レベル又は濃度に加えて、化学組成における他の変化、例えば、CS及び/又はHSの特定の二糖硫酸化パターン(特に、GAGの無タンパク質画分が分析される場合)もまた、癌試料と正常試料との間で観察され、癌を診断するために非常に効果的に使用され得ることを示した。
【0008】
驚くべきことに、例えば、全GAG集団(無タンパク質GAG及びタンパク質結合GAGの両方を含む)とは対照的に、本明細書中に記載されるようなGAGの無タンパク質画分の分析が、癌の有効な診断を生じ得ることは、従来認識されていなかった。本発明者らによるこの知見は、有利なことに、GAGベースの癌検診法に必要とされるGAGの処理ステップにおける改善及び効率を生じる。例えば、本発明の好ましい方法では、分析され得るように、GAGのタンパク質結合画分を、タンパク質を含まない又はよりタンパク質を含まない)画分に「放出する」又は「遊離させる」又は「変換する」ために、試料をタンパク質分解剤(又は他の適切な薬剤)と接触させる必要はない。したがって、本発明の好ましい方法では、分析されるのは、具体的には、体液試料中のGAGの無タンパク質画分(又は天然に無タンパク質画分)である。
【0009】
本発明者らはまた、GAGの処理ステップにおける他の改善及び効率がなされ得ることを見出した。例えば、驚くべきことに、例えばアニオン交換クロマトグラフィーなどの方法を使用して、又はアニオン交換樹脂を使用して、試料中のGAGがそれらの負電荷に基づいて精製される精製ステップが省略される方法は、GAGの無タンパク質画分又は全(無タンパク質+タンパク質結合)画分が分析されるかどうかにかかわらず、GAGの改善された処理及び測定をもたらすことが見出された。
【0010】
明らかに、癌診断が対象由来の利用可能な体液試料、例えば血液又は尿中で実施され得るという発見は、非常に有利である。ここで、本発明者らは、癌に付随するGAG組成の全身的変化を観察した。
【0011】
有利なことに、本発明者らはまた、癌の発生に特有であり、アクセス可能な体液中の測定に基づいて計算される同定されたマーカーが、疾患の正確かつロバストな予測因子であることを示した。
【0012】
したがって、一態様では、本発明は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記試料が上記対象から得られている、方法を提供する。
【0013】
本発明の好ましい方法は、泌尿生殖器癌(例えば、腎臓癌、前立腺癌又は膀胱癌)、気道癌(例えば、肺癌)、脳腫瘍、血液癌(例えば、リンパ腫)、結腸直腸癌、子宮癌、胃腸神経内分泌腫瘍、乳癌、卵巣癌及び頭頸部癌からなる群から選択される癌を検診する方法を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、泌尿生殖器癌は、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、前立腺癌又は膀胱癌である。
【0015】
いくつかの実施形態では、気道癌は、肺癌又は気道の頭頸部癌である。
【0016】
いくつかの実施形態では、脳腫瘍は、神経膠腫(例えば、びまん性神経膠腫)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、血液癌は、リンパ腫である。
【0018】
いくつかの実施形態では、乳癌は、浸潤性乳管癌である。
【0019】
いくつかの実施形態では、子宮癌は、子宮頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌である。
【0020】
いくつかの実施形態では、頭頸部癌は、頭頸部扁平上皮癌である。
【0021】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、前立腺腺癌であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、結腸直腸癌腫であり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、胃腸神経内分泌腫瘍は、小腸神経内分泌腫瘍であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、子宮内膜癌は、子宮内膜腺癌であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、卵巣癌は、卵巣上皮癌であり得る。
【0026】
本発明の他の好ましい方法は、膀胱癌、浸潤性乳管癌、頸部扁平上皮癌、慢性リンパ性白血病、結腸直腸癌、子宮内膜癌、びまん性グリオーマ、胃腸神経内分泌腫瘍、頭頸部扁平上皮癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌及び腎細胞癌からなる群から選択される癌を検診する方法を提供する。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、本明細書において、非濾胞性リンパ腫とも称され得る。
【0027】
本明細書における「癌」への言及は、任意のタイプの癌、又は上の段落に記載された1つ以上のタイプの癌を指すことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、泌尿生殖器癌は検診されない。いくつかの実施形態では、気道癌は検診されない。いくつかの実施形態では、脳腫瘍は検診されない。いくつかの実施形態では、血液癌は検診されない。いくつかの実施形態では、泌尿生殖器癌は検診されない。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は検診されない。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は検診されない。いくつかの実施形態では、子宮癌は検診されない。いくつかの実施形態では、胃腸内分泌腫瘍は検診されない。いくつかの実施形態では、小腸内分泌腫瘍は検診されない。いくつかの実施形態では、乳癌は検診されない。いくつかの実施形態では、頭頸部癌は検診されない。いくつかの実施形態では、卵巣癌は検診されない。いくつかの実施形態では、卵巣上皮癌は検診されない。いくつかの実施形態では、腎細胞癌は検診されない。いくつかの実施形態では、前立腺癌は検診されない。いくつかの実施形態では、前立腺腺癌は検診されない。いくつかの実施形態では、膀胱癌は検診されない。いくつかの実施形態では、肺癌は検診されない。いくつかの実施形態では、神経膠腫は検診されない。いくつかの実施形態では、リンパ腫は検診されない。いくつかの実施形態では、浸潤性乳管癌は検診されない。いくつかの実施形態では、子宮頸部扁平上皮癌は検診されない。いくつかの実施形態では、子宮内膜癌は検診されない。いくつかの実施形態では、子宮内膜腺癌は検診されない。いくつかの実施形態では、慢性リンパ性白血病は検診されない。いくつかの実施形態では、びまん性神経膠腫は検診されない。いくつかの実施形態では、頭頸部扁平上皮癌は検診されない。いくつかの実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は検診されない。いくつかの実施形態では、非小細胞肺癌は検診されない。いくつかの実施形態では、腎細胞癌(又は腎細胞癌)は検診されない。いくつかの実施形態では、甲状腺癌は検診されない。いくつかの実施形態では、膵臓癌は検診されない。いくつかの実施形態では、肝臓癌は検診されない。いくつかの実施形態では、胆管癌は検診されない。いくつかの実施形態では、胃癌は検診されない。いくつかの実施形態では、食道癌は検診されない。いくつかの実施形態では、皮膚癌は検診されない。いくつかの実施形態では、黒色腫は検診されない。いくつかの実施形態では、神経内分泌腫瘍は検診されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、皮膚癌(例えば、メラノーマ)及び前立腺癌のうちの1つ以上(又は全て)は、検診されない。
【0030】
本発明の好ましい方法では、対照レベル及び/又は化学組成と比較した、無タンパク質画分中のコンドロイチン硫酸(CS)及び/又はヘパラン硫酸(HS)のレベル及び/又は化学組成の変化は、当該対象における癌を示す。
【0031】
本発明の特定の方法のいくつかの実施形態では、対照レベル及び/又は化学組成と比較した、コンドロイチン硫酸(CS)及び/又はヘパラン硫酸(HS)のレベル及び/又は化学組成の変化は、当該対象における癌を示す。
【0032】
本発明の好ましい方法では、レベル及び化学組成の両方が決定される。本発明の他の好ましい方法では、化学組成のみが決定されるか、又は他の好ましい方法では、CS及び/又はHSのみのレベル(総レベル又は総濃度)が決定される。
【0033】
本発明の方法は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定することを含む。いくつかの実施形態では、上記GAGのうちの1つのレベル及び/又は化学組成が決定される。いくつかの実施形態では、コンドロイチン硫酸(CS)のレベル及び/又は化学組成が決定される。いくつかの実施形態では、ヘパラン硫酸(HS)のレベル及び/又は化学組成が決定される。いくつかの実施形態では、コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)のレベル及び/又は化学組成が決定される。
【0034】
本発明のいくつかの好ましい方法では、本方法は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含む。したがって、いくつかの実施形態では、コンドロイチン硫酸(CS)の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成が決定される。いくつかの実施形態では、ヘパラン硫酸(HS)の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成が決定される。いくつかの実施形態では、コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成が決定される。
【0035】
いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸(HA)のレベル及び/又は化学組成が更に決定される。
【0036】
グリコサミノグリカン(GAG)は、セリン残基上のタンパク質に結合することができる、すなわちプロテオグリカンの一部を形成することができる糖含有分子である。それらは、硫酸化され得る単糖の直鎖又は非分枝鎖から形成される(すなわち多糖である)。ヘパラン硫酸(HS)、コンドロイチン硫酸(CS)、ケラタン硫酸(KS)、ヒアルロン酸(HA)及びヘパリンは、GAGの一般的なタイプであり、そのうちHS及びCSは硫酸化GAGの例である。異なるタイプのGAGは、異なる反復二糖単位によって区別される。
【0037】
タンパク質に連結又は付着される場合、CS及びHSは、コアタンパク質への連結において共通の生合成経路を共有するGAGであるが、その後、それらは、CS反復二糖が反復N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)及びグルクロン酸残基(GlcA)から構成されるのに対して、HSにおける反復二糖は典型的に反復N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びグルクロン酸(GlcA)残基から構成されるという点で、それらの重合において異なる。各単糖は、GAG合成に対する複数レベルの調節を可能にする特異的酵素によって結合される。
【0038】
GAGはタンパク質に結合することができ、すなわちタンパク質結合型又はプロテオグリカン型であってもよいが、GAGは「遊離」形態で存在することもでき、すなわち非タンパク質結合型又は非プロテオグリカン型で存在することもできる。かかる「遊離」形態のGAGは、本明細書中で「無タンパク質GAG」と呼ばれる。
【0039】
したがって、体液(又は身体試料)中には、典型的には、GAGの無タンパク質画分(又はGAGの無タンパク質プール)及びGAGのタンパク質結合画分(又はGAGのタンパク質結合プール)が存在する。2つの画分を合わせて(すなわち、無タンパク質画分+タンパク質結合画分)、全GAG画分又は全GAGプールと称され得る。
【0040】
本明細書中の他の場所で議論されるように、本発明の好ましい方法では、体液試料中のGAGコンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル又は組成が決定される。
【0041】
分析のための無タンパク質画分GAG(又は本明細書の他の箇所で考察されるようなそれに由来する二糖単位)は、任意の適切な手段によって得ることができる。
【0042】
本明細書の他の箇所で議論されるように、体液試料は、典型的には、分析の前に処理される。かかる処理は、典型的には、分析のための二糖単位を得るための処理ステップにGAGを供することを含む。かかる処理ステップは、典型的には、上記試料(又は上記試料中の上記GAG)を、GAGを二糖単位に消化(又は断片化)する酵素(例えば、コンドロイチナーゼ又はヘパリナーゼなどのGAGリアーゼ)と接触させることを含む。理論に束縛されることを望むものではないが、かかる酵素は、タンパク質結合GAGにアクセスすることができず、むしろ無タンパク質GAGのみ(又は本質的にのみ)に作用する(又はそれらの基質として使用する)。プロテオグリカン(GAGが結合又は付着したタンパク質である)をタンパク質分解剤(例えば、プロテイナーゼKなどのプロテアーゼ)と接触させると、そのタンパク質成分がタンパク質分解剤によって消化され、タンパク質結合GAGが遊離又は放出され、これは、タンパク質結合GAGが「遊離」又は「放出」形態になる(又は変換される)ことを意味し、これは次いで、GAGリアーゼなどの酵素による消化(又は断片化)に利用可能になる。本発明の特定の好ましい方法では、決定されるのは、具体的には、GAG CS及びHSの一方又は両方の無タンパク質画分(又は天然無タンパク質画分)のレベル及び/又は組成であるため、本発明の好ましい方法は、試料をタンパク質分解剤(例えば、プロテイナーゼKなどのプロテアーゼ)と接触させることを含まない。したがって、分析のための試料の処理中にタンパク質分解剤を省略することは、分析のためのGAG(又はその後それに由来する二糖)の無タンパク質画分を得る(又はそれのみを得る、又は本質的にそれのみを得る)ための方法である。タンパク質分解剤(例えば、プロテアーゼ)の作用によって「遊離」又は「放出」された(又はされる)タンパク質結合GAG(プロテオグリカンGAG)は、本発明による無タンパク質GAGではない。
【0043】
したがって、無タンパク質GAG(又はGAGの無タンパク質画分)は、タンパク質分解剤(例えば、プロテアーゼ)で処理された試料の非存在下(又は非存在下)で既に(又は天然に)遊離している(すなわち、タンパク質に結合していない)GAG(又はGAGの画分)である。言い換えれば、タンパク質を含まないGAG(又はGAGの無タンパク質画分)は、元の、又は最初の、又は未処理の試料中で遊離している(すなわち、タンパク質に結合していない)GAG(又はGAGの画分)である。例えば、無タンパク質GAG(又はGAGの無タンパク質画分)は、試料、例えば、元の又は未処理の試料中に存在し、例えば、リアーゼ酵素などの酵素を使用して、本明細書の他の箇所に記載されるような二糖単位への消化(又は断片化)に感受性であるか、又はそれにアクセス可能であるか、又はそれに利用可能である(例えば、その基質である)GAG(又はGAGの画分)であり得る。
【0044】
上記に示されるように、無タンパク質GAG(又はGAGの無タンパク質画分)は、GAGの非タンパク質結合型(又は非タンパク質結合画分)又は非プロテオグリカン型(又は非プロテオグリカン画分)とみなされ得る。言い換えれば、無タンパク質GAG(又はGAGの無タンパク質画分)は、元の、又は最初の、又は未処理の試料中のプロテオグリカンを修飾しないGAGである。
【0045】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、方法は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、試料は、上記レベル及び/又は組成を決定する前に処理に供され、上記処理は、タンパク質分解剤(例えば、プロテイナーゼKなどのプロテアーゼ)、又はタンパク質結合GAGから無タンパク質GAGを放出することができる他の薬剤と上記試料を接触させることを含まない。
【0046】
別の観点から、いくつかの好ましい実施形態では、方法は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、試料は、上記レベル及び/又は組成を決定する前に処理に供され、上記処理は、タンパク質分解剤(例えば、プロテイナーゼKなどのプロテアーゼ)、又はプロテオグリカンからGAG(又はGAG鎖)を放出することができる他の薬剤と上記試料を接触させることを含まない。
【0047】
したがって、いくつかの好ましい実施形態では、方法は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記試料は、上記対象から得られ、上記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理にかけられており、上記処理は、
(a)上記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に上記試料をタンパク質分解剤と接触させることを含まない。
【0048】
上記に示されるように、タンパク質結合GAG(又はGAGのタンパク質結合画分)は、プロテオグリカンGAG(又はGAGのプロテオグリカン画分)とみなされ得る。別の観点から、タンパク質結合GAG(又はGAGのタンパク質結合画分)は、タンパク質分解剤(例えば、非特異的プロテアーゼなどのプロテアーゼ)と接触してそれらが遊離又は放出される(又は遊離又は放出されるようになる)ように、それらが結合するタンパク質を典型的に必要とするGAGとみなされ得る。
【0049】
本発明のいくつかの他の方法では、体液試料中のGAG、CS及びHSの一方又は両方の全画分(又は全プール)のレベル及び/又は化学組成が決定され得る(すなわち、無タンパク質GAG+タンパク質結合GAG)。かかる実施形態では、試料は、典型的には、試料の処理中にタンパク質分解剤と接触させられる。
【0050】
本明細書で言及されるHS又はCSの「レベル」は、概して、試料中に存在するHS又はCSの総レベル又は量(例えば、濃度)を指す。試料中のCS及び/又はHSのレベルは、当技術分野において周知であり記載されている任意の適切な方法によって測定又は決定することができる。いくつかの方法は、電気泳動、特にキャピラリー電気泳動、例えば蛍光検出、例えばレーザー誘起蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動を伴う。他の適切な方法は、ゲル電気泳動、例えばアガロースゲル電気泳動(例えばFACE、フルオロフォア支援炭水化物電気泳動)又は質量分析又は液体クロマトグラフィー、例えばHPLCであり、任意選択で質量分析と組み合わせてもよい(HPLC-MS)。好ましい方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、好ましくはウルトラHPLC(UHPLC)を、質量分析、例えばMS/MS又は三連四重極質量分析との組み合わせで、伴う。好ましい方法は、エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析システムと組み合わせた超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を含む。
【0051】
好都合なことに、これらのレベルは、濃度(例えば、実際の又は絶対レベル又は濃度)として、例えば、mL当たりのマイクログラム数(μg/ml)として測定することができる。しかしながら、ここでまた、レベルの任意の適切な尺度が使用されてもよい。
【0052】
本発明の好ましい方法では、HS及び/又はCSのレベル、好ましくはHS及び/又はCSの無タンパク質画分のレベルは、別々に又は個々に決定される。言い換えれば、本方法は、試料中の総GAGレベル、又は例えば無タンパク質GAG画分中に組み合わせて存在する全てのGAGの総レベルの測定を伴わないが、個々のGAG、HS又はCSの1つ以上のレベルの測定を伴う。
【0053】
特定の実施形態では、CS及び/又はHSのレベル(例えば、総レベル又は濃度)、例えば、CS及び/又はHSの無タンパク質画分のレベルは、例えば、血液又は尿試料中で決定することができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態では、体液試料中のCSのレベル(若しくは濃度)の増加及び/又は体液試料中のHSのレベル(若しくは濃度)の増加及び/又はレベル(若しくは濃度)の増加は、上記対象における癌を示し、本明細書の他の箇所に記載されるように対象を検診、診断などするために使用することができる。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、血中(例えば、血漿中)試料中のCSのレベル(又は濃度)の増加は、上記対象における子宮癌(例えば、子宮頸部扁平上皮細胞癌又は子宮内膜癌)、血中癌(例えば、慢性リンパ性白血病などのリンパ種)、脳腫瘍(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される癌を示し、本明細書の他の箇所に記載されるように、対象を検診、診断するために使用することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、尿試料中のCSのレベル(又は濃度)の増加は、上記対象における肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)及び膀胱癌からなる群から選択される癌を示し、本明細書の他の箇所に記載されるように対象を検診、診断などするために使用することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、尿試料中のHSのレベル(又は濃度)の増加は、上記対象における肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌)及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される癌を示し、本明細書の他の箇所に記載されるように、対象を検診、診断などするために使用することができる。
【0058】
CS及びHSを構成する個々の単糖単位は、硫酸分子の位置及び硫酸分子の量/数に関して異なる硫酸化パターンを有し得る。CSの場合、硫酸化は、GlcAの2位並びにGalNAcの4位及び6位のうちの1つ以上で最も一般的に起こり得る。HSの場合、硫酸化は、IdoA(イズロン酸)へのエピマー化後のGlcAの2位、GlcNAcの3位及び6位、並びにGlcNAcのN-硫酸化のうちの1つ以上で起こり得る。したがって」、GAG鎖中の各個々の二糖は、0(すなわち、硫酸化されていない)、1、2、3又は4(HSにおいてのみ)の硫酸化形態を有し得、これは、次に、硫酸化レベル及び特定の二糖硫酸化パターンに関して、GAG鎖の異なる全体的な化学組成を生じる。
【0059】
本明細書中の他の箇所に記載されるように、本発明の好ましい実施形態は、CS及びHSの一方又は両方の化学組成、特に、CS及びHSの一方又は両方の無タンパク質画分の化学組成の決定を伴う。本明細書で使用される「化学組成」という用語は、GAGのレベル並びにGAGの二糖硫酸化組成の両方を指すことができる。特に、この用語は、CS又はHS GAGを構成する二糖の1つ以上の特定の形態、例えば硫酸化形態の決定を含む。別の言い方をすれば、「化学組成」という用語は、本明細書の他の箇所に記載されるように、CS又はHS二糖の様々な硫酸化及び/又は非硫酸化形態のうちの1つ以上の量又はレベル、並びに例えば、存在する個々のGAGのいくつかの他の特性(例えば、総HS又はCS GAGレベル)、又はGAG硫酸化に関連する他の特性(例えば、HS電荷若しくはCS電荷)を指す。本発明において分析又は決定されるかかる化学組成は、本明細書において、GAGプロファイル、GAG形態、GAG特徴、GAG特性、GAGオーム(-ome)、GAGオーム特徴と呼ぶこともできる。
【0060】
したがって、例えば、本明細書で使用される「化学組成」という用語は、CS及び/又はHSを構成する二糖の硫酸化パターン(例えば、硫酸化形態のうちの1つ以上)の決定又は分析を指し得る。
【0061】
例えば、CSについては、8つの主要な硫酸化形態及び非硫酸化形態(硫酸化パターン、二糖硫酸化形態)が存在し、これらは、0s CS(非硫酸化CS又はCS 0単位とも呼ばれる)、2s CS(コンドロイチン-2-硫酸とも呼ばれる)、4s CS(コンドロイチン-4-硫酸又はCS A単位とも呼ばれる)、6s CS(コンドロイチン-6-硫酸又はCS C単位とも呼ばれる)、2s4s CS(コンドロイチン-2-4-硫酸とも呼ばれる)、2s6s CS(コンドロイチン-2-6-硫酸又はCS D単位とも呼ばれる)、4s6s CS(コンドロイチン-4-6-硫酸又はCS E単位とも呼ばれる)及びTris CS(コンドロイチン-2-4-6-硫酸又は三硫酸化CSとも呼ばれる)である。
【0062】
上記の各々は、本発明の方法において測定され得るCS GAGの形態(CS GAG形態又は特性)である。これらの形態の1つ以上が測定され得、例えば、これらの硫酸化形態の8つまで、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ全てが測定され得る。いくつかの実施形態では、これらの硫酸化形態の8つ全ての測定が好ましい。
【0063】
本発明の方法において測定され得るCSについての別のGAG特性は、CSの総濃度(本明細書においてCS tot又はTot CS又は総CSとも称される)又はCSの総レベルである。これは、典型的には、本明細書の他の箇所に記載されるように、濃度、例えば、μg/ml単位の絶対濃度として測定される。いくつかの実施形態では、総CSは、上に列挙される全ての測定されたCS二糖形態のレベルを合計することによって測定される。CSの総濃度がGAG特性の1つとして測定される本発明の実施形態では、少なくとも1つの他のGAG特性又はCS特性、例えば、存在する他の個々のGAGの総レベルに基づかない特性(例えば、総HS又は総HAではない)が測定されることが好ましい。いくつかの実施形態では、CSの総濃度は測定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上のCS GAG特性の測定が好ましい。
【0064】
「荷電CS」は、例えば、GAGプロファイルの一部として、本発明において測定され得る別のGAG形態又は特性である。「荷電CS」は、CSの硫酸化二糖の全画分、すなわち、試料中に存在するか又は測定される全CS二糖のうちの試料中に存在するか又は測定されるCSの硫酸化二糖の画分(すなわち、硫酸化CS二糖/硫酸化+非硫酸化CS二糖)を指す。いくつかの実施形態では、「荷電CS」は、全CSで割った全てのCS二糖の濃度の加重和を指し、ここで、加重は、その二糖中のスルホ基の数であり、すなわち、0s CSについては0個、4s CS、6s CS、及び2s CSについては1個、2s6s CS、4s6s CS、及び2s4s CSについては2個、Tris CSについては3個である(これは、本明細書の実施例の項において「荷電CS」という用語に関連して使用される「荷電CS」の定義である)。
【0065】
「荷電CS」の測定は、他の特性の測定、すなわち硫酸化及び非硫酸化CS二糖のレベルの測定に依存するため、この特性は、本明細書では独立したGAG特性又はCS特性と呼ばない。したがって、9つまでの独立したCS特性が、本発明の方法において測定され得、これは、総CSと共に、上に列挙される8つの硫酸化形態及び非硫酸化形態である。いくつかの実施形態では、これらの独立したCS特性の9つ全てが測定される。いくつかの実施形態では、上に列挙したCS二糖の8つの硫酸化形態及び非硫酸化形態のみが測定される。
【0066】
いくつかの実施形態では、総CS及び荷電CSと一緒に、CS硫酸化形態(すなわち、硫酸化形態及び非硫酸化形態)の8つまで(例えば、1、2、3、4、5、6、7若しくは8つ)又は8つ全てを測定することが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つ(又は少なくとも2、3、4、5、6、7若しくは8つ)のCS硫酸化形態が測定される。
【0067】
いくつかの実施形態では、以下のGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)が測定又は決定され得る:6s CSに対する4s CSの相対レベル(例えば、4s CS/6s CS比又は6s CS/4s CS逆比)、0s CSに対する6s CSの相対レベル(例えば、6s CS/0s CS比又は0s CS/6s CS逆比)又は0s CSに対する4s CSの相対レベル(例えば、4s CS/0s CS比又は0s CS/4s CS逆比)。いくつかの実施形態では、以下のGAG特性のうちの1つ以上が測定又は決定され得る:0s CSに対する6s CSの相対レベル(例えば、6s CS/0s CS比又は0s CS/6s CS逆比)又は0s CSに対する4s CSの相対レベル(例えば、4s CS/0s CS比又は0s CS/4s CS逆比)。いくつかの実施形態では、6s CSに対する4s CSの相対レベル(例えば、4s CS/6s CS比又は6s CS/4s CS逆比)が測定又は決定されない。
【0068】
例えば、HSについては、8つの主要な硫酸化形態及び非硫酸化形態(硫酸化パターン、二糖硫酸化形態)が存在し、これらは、0s HS(非硫酸化HSとも呼ばれる)、2s HS(GlcAの2位で硫酸化)、Ns HS(GlcNAcのN位で硫酸化)、6s HS(GlcNAcの6位で硫酸化)、2s6s HS(GlcAの2位及びGlcNAcの6位で硫酸化)、Ns6s HS(GlcNAcの6位及びN位で硫酸化)、Ns2s HS(GlcAの2位及びGlcNAcのN位で硫酸化)、Tris HS(GlcAの2位及びGlcNAcの6位及びN位で硫酸化され、三硫酸化HSとも呼ばれる)である。GlcNAcの3位における硫酸化も可能であるが、めったに観察されないことに留意されたい。
【0069】
上記の各々は、本発明の方法において測定又は決定され得るHS GAGの形態(HS GAG形態又は特性)である。しかし、その希少性のために、本発明の好ましい実施形態では、GlcNAcの3位に硫酸化を有する硫酸化形態は測定されない。したがって、本発明の方法では、これらの9つ(又は好ましくは8つ)の形態のうちの1つ以上(又は全て)を測定することができ、例えば、これらの硫酸化形態のうちの最大9つ(又は好ましくは最大8つ)、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8つ又は9つ全てを測定することができる。いくつかの実施形態では、これらの硫酸化形態の8つ全て(GlcNAcの3位に硫酸化を有する硫酸化形態を除く)の測定が好ましい。
【0070】
本発明の方法において測定され得るHSについての別のGAG特性は、HSの総濃度(本明細書においてHS tot又はTot HS又は総HSとも称される)又はHSの総レベルである。これは、典型的には、本明細書の他の箇所に記載されるように、濃度、例えば、μg/ml単位の絶対濃度として測定される。いくつかの実施形態では、総HSは、上に列挙される全ての測定されたHS二糖形態のレベルを合計することによって測定される。HSの総濃度がGAG特性の1つとして測定される本発明の実施形態では、少なくとも1つの他のGAG特性又はHS特性、例えば、存在する他の個々のGAGの総レベルに基づかない特性(例えば、総CS又は総HAではない)が測定されることが好ましい。いくつかの実施形態では、HSの総濃度は測定されない。1つ以上のHS GAG特性の測定は、例えば、試料が血液又は尿である場合、特に、試料が尿試料である場合、本発明の方法において好ましい。
【0071】
「荷電HS」は、例えば、GAGプロファイルの一部として、本発明において測定され得る別のGAG形態又は特性である。「荷電HS」は、HSの硫酸化二糖の全画分、すなわち、試料中に存在するか又は測定される全HS二糖のうちの試料中に存在するか又は測定されるHSの硫酸化二糖の画分(すなわち、硫酸化HS二糖/硫酸化+非硫酸化HS二糖)を指す。いくつかの実施形態では、「荷電HS」は、全HSで割った全てのHS二糖の濃度の加重和を指し、ここで、加重は、その二糖中のスルホ基の数であり、すなわち、0s HSについては0個、4s CS、6s HS、及び2s HSについては1個、2s6s CS、4s6s HS、及び2s4s HSについては2個、Tris HSについては3個である(これは、本明細書の実施例の項において「荷電HS」という用語に関連して使用される「荷電HS」の定義である)。
【0072】
「荷電HS」の測定は、他の特性の測定、すなわち硫酸化及び非硫酸化HS二糖の測定に依存するため、この特性は、本明細書では独立したGAG特性又はHS特性と呼ばない。したがって、10までの独立したHS特性が、本発明の方法において測定され得、これは、全HSと共に、上に列挙される9つの硫酸化形態及び非硫酸化形態(好ましくは、GlcNAcの3位に硫酸化を有する硫酸化形態を除く)である。したがって、いくつかの実施形態では、9つの独立したHS特性が測定される(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化HS形態+総HS)。いくつかの実施形態では、上に列挙したHS二糖の8つの硫酸化形態及び非硫酸化形態のみが測定される。
【0073】
いくつかの実施形態では、HS主要硫酸化形態(すなわち、GlcNAcの3位に硫酸化を有する硫酸化形態を除く、上に列挙した硫酸化形態及び非硫酸化形態)の8つまで(例えば、1、2、3、4、5、6、7若しくは8つ)又は8つ全てを、総HS及び荷電HSと一緒に測定することが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも1つ(又は少なくとも2、3、4、5、6、7若しくは8つ)のHS硫酸化形態が測定される。
【0074】
いくつかの実施形態では、9つの独立したHS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化HS形態+総HS)、9つの独立したCS特性、すなわち18の独立したGAG特性が測定される。
【0075】
本明細書の他の箇所に記載されるように、いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸(HA)のレベル及び/又は化学組成は、体液試料中で更に決定され得る。ヒアルロン酸(HA)は、典型的には硫酸化されていない。したがって、HAが本発明に従って測定される場合、それは、典型的かつ好ましくは、測定されるHAのレベル(総レベル又は総濃度)である(本明細書ではHA tot又はTot HA又は総HAとも呼ばれる)。これは、典型的には、本明細書の他の箇所に記載されているように、濃度として、例えばμg/mlで測定される。HAの総濃度がGAG特性の1つとして測定される本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの他のGAG特性(例えば、CS及び/又はHS特性)、例えば、存在する他の個々のGAGの総レベルに基づかない特性(例えば、総CS又は総HSではない)が測定される。いくつかの実施形態では、HAは測定されない。いくつかの実施形態では、HAは尿中で測定されない。いくつかの実施形態では、HAは血液中で測定されない。
【0076】
いくつかの実施形態では、9つの独立したHS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化HS形態+総HS)、9つの独立したCS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化CS形態+総CS)、総HAが測定され、すなわち、19の独立したGAG特性が測定される。
【0077】
いくつかの実施形態では、8つの独立したHS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化HS形態)、8つの独立したCS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化CS形態)、総HAが測定され、すなわち17の独立したGAG特性が測定される。
【0078】
いくつかの実施形態では、8つの独立したHS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化HS形態)、8つの独立したCS特性が測定され(8つの主要な硫酸化及び非硫酸化CS形態)、すなわち、16の独立したGAG特性が測定される。
【0079】
CS(総CS)及びHS(総HS)は、典型的には、本明細書の他の箇所に記載されるように、絶対濃度、例えば、μg/mlで測定される。
【0080】
種々のCS硫酸化形態及びHS硫酸化形態はまた、絶対濃度に関して、例えばμg/mlで測定され得る。したがって、いくつかの実施形態では、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態のレベル(又は濃度)は、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態の絶対レベル又は絶対濃度である。
【0081】
しかし、種々のCS硫酸化形態及びHS硫酸化形態は、代替的に又は追加的に、相対濃度(又は相対レベル)に関して測定され得る。したがって、いくつかの実施形態では、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態のレベル(又は濃度)は、相対レベル又は相対濃度である。
【0082】
したがって、GAG硫酸化形態の「レベル」又は「濃度」は、その絶対濃度又はその相対濃度であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の硫酸化GAG形態の絶対濃度及び相対濃度の両方が測定(又は決定)される。
【0083】
「相対濃度」は、その絶対濃度を関連するGAGクラスの総濃度に対して正規化することによって、すなわち、その絶対濃度を総CS濃度又は総HS濃度(必要に応じて)に対して正規化することによって得られる(又は計算若しくは決定される)所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態の質量分率(例えば、%)とみなすことができる。
【0084】
したがって、所与のCS硫酸化形態の相対濃度は、その絶対濃度を総CS濃度で正規化することによって得られる(又は計算若しくは決定される)上記所与のCS硫酸化形態の質量分率(例えば、%)とみなすことができる。
【0085】
所与のHS硫酸化形態の相対濃度は、その絶対濃度を総HS濃度によって正規化することによって得られる(又は計算若しくは決定される)上記所与のHS硫酸化形態の質量分率(例えば、%単位)とみなすことができる。
【0086】
相対濃度は、百分率(%)で表すことができる。
【0087】
したがって、いくつかの実施形態では、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態のレベル(又は濃度)は、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態の絶対濃度及び/又は相対濃度であり得る。いくつかの実施形態では、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態のレベル(又は濃度)は、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態の絶対濃度である。いくつかの実施形態では、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態のレベル(又は濃度)は、所与のCS硫酸化形態又は所与のHS硫酸化形態の相対濃度である。
【0088】
あるいは、相対濃度は、以下で論じるように、「分率」又は「質量分率」又は「割合」又は「相対測定値」と見なすことができる。
【0089】
上述したように、GAG特性又はGAG形態、例えば、二糖硫酸化形態(総CS又は総HSを除く)は、絶対レベル又は濃度としてではなく、画分サイズ又は分率又は質量分率(例えば、μg/μg)又は割合又は相対測定値として測定されてもよく、例えば、試料中で測定された関連するGAGクラスの全ての硫酸化形態(又は関連するGAGクラスの全ての主要硫酸化形態)のレベルに応じて、1未満の値が与えられるか、又は1に正規化される(又は%で表される)。言い換えれば、所望の硫酸化形態の各々のレベルを独立して測定し、次いで1に正規化する。言い換えれば、所望の硫酸化形態の各々のレベルを独立して測定し、次いでその質量分率又は体積分率又はモル分率を計算する。これらの分率は、百分率として表してもよい。言い換えれば、これらの分率は100に正規化されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、所与の硫酸化CS形態又は非硫酸化CS形態の画分サイズは、所与の硫酸化CS形態又は非硫酸化CS形態のレベルを測定し、これを、試料中で測定された(又は存在する)CS硫酸化形態の全て(又は主要硫酸化形態の全て)及び非硫酸化CS形態のレベルの合計で割ることによって決定され得る。いくつかの実施形態では、所与の硫酸化HS形態又は非硫酸化HS形態の画分サイズは、所与の硫酸化HS形態又は非硫酸化HS形態のレベルを測定し、これを、試料中で測定された(又は存在する)HS硫酸化形態(又は主要硫酸化形態)及び非硫酸化HS形態の全てのレベルの合計で割ることによって決定され得る。かかる分率を計算する場合、特定の個々の硫酸化形態の分率を1に正規化することができるように、CS又はHSの少なくとも主要な硫酸化形態が測定されることが好ましい。
【0090】
いくつかの実施形態では、好ましくは、少なくともHS又はCSの非硫酸化形態が、主要な硫酸化形態として測定される。
【0091】
相対的測定値は、解釈するのがより容易であり得、例えば、0.6の0s CSの測定値は、測定されたCS二糖の60%が硫酸化されていないことを示す。しかしながら、絶対レベルも測定することができる。実際、いくつかの実施形態では、1つ以上の硫酸化形態の絶対濃度を測定することが好ましい。
【0092】
本発明のいくつかの好ましい実施形態では、CS及び/又はHSを構成する二糖のうちの1つ以上(又は全て)の二糖組成(例えば、特定の硫酸化パターン(例えば、硫酸化形態))が測定又は決定される。より好ましい実施形態では、上で概説したもの(例えば、0s CS、2s CSなど)などのCS及び/又はHSの1つ以上(又は全て)の硫酸化特性又は形態が測定又は決定される。これを行う適切な方法は当業者に周知であり、これらのいずれかを使用することができる。しかしながら、CS又はHSの二糖組成又は適切な特性若しくは形態のかかる定量化(及び二糖形態の分離)を達成するための好都合な方法は、電気泳動、特にキャピラリー電気泳動、例えば蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動、例えばレーザー誘起蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動(CE-LIF)を使用することである。代替方法は、液体クロマトグラフィー、好ましくはHPLC(高速液体クロマトグラフィー)、例えばSAX HPLCである。好ましくは、質量分析(例えば、HPLC-MS)、例えば、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)も使用される。あるいは、質量分析は、クロマトグラフィー(例えば、液体クロマトグラフィー)なしで使用され得る。一例は、レーザー誘起蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動である。別の例は、HPLC ESI-MSである。好ましい方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、好ましくはウルトラHPLC(UHPLC)を、質量分析、例えばMS/MS又は三連四重極質量分析との組み合わせで、伴う。好ましい方法は、エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析と連結した超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を含む。特に好ましい方法は実施例に概説されている。
【0093】
1つ以上の個々の二糖形態のレベルが測定される本発明のいくつかの方法では、GAGは、二糖単位を得るために、処理ステップ(例えば、断片化又は切断又は消化(例えば、化学消化又は酵素処理による)のステップ)に供され、次いで、これが分析される。酵素は、GAGリアーゼ、例えば、コンドロイチナーゼ若しくはヘパリナーゼ、又はコンドロイチナーゼの組み合わせ、又はヘパリナーゼの組み合わせ、又は1つ以上のコンドロイチナーゼ及び1つ以上のヘパリナーゼの組み合わせであり得る。好ましくは、コンドロイチナーゼは、コンドロイチナーゼABC又はコンドロイチナーゼBである。好ましくは、ヘパリナーゼはヘパリナーゼI-II-IIIである。好ましい実施形態では、1つ以上のコンドロイチナーゼ及び1つ以上のヘパリナーゼ、好ましくは、コンドロイチナーゼABC及びヘパリナーゼI-II-IIIが使用される。
【0094】
本発明のいくつかの方法では、試料中のGAGは、抽出(例えば、タンパク質分解剤、例えばプロテアーゼ、例えば非特異的プロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKを使用する)及び/又は精製、例えばアニオン交換樹脂(又はGAGの負電荷に基づいてGAGを精製するための他の手段)を使用するステップに供される。
【0095】
しかしながら、本発明の好ましい方法では、これらのステップの一方又は両方が実施されない(すなわち、かかる抽出及び/又はかかる精製がない)。例えば、本発明の好ましい実施形態では、例えば、1つ以上のGAGの無タンパク質画分のレベル及び/又は組成が決定される場合、かかるタンパク質消化(抽出)ステップは行われない。換言すれば、上記方法は、試料をタンパク質分解剤、例えばプロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKと接触させる処理ステップを伴わない。本明細書中の他の箇所で議論されるように、試料がタンパク質分解剤と接触される処理ステップを省略することは、GAGの無タンパク質画分が特異的に分析され得ることを意味する。
【0096】
本発明の他の好ましい実施形態では、上記方法は、GAG(例えば、GAG、CS及びHSの一方又は両方)が、例えばアニオン交換樹脂を使用して、上記GAGの負電荷に基づいて試料から精製される処理ステップを伴わない。理論に束縛されることを望むものではないが、GAG(例えば、GAG、CS及びHSの一方又は両方)が上記GAGの負電荷に基づいて(例えば、アニオン交換樹脂を使用して)試料から精製される処理ステップを省略することは、方法を単純化し、体液試料の処理中に得られるGAGの収率に関して効率をもたらすことができる。
【0097】
本発明の好ましい方法では、方法は、試料をタンパク質分解剤、例えばプロテアーゼ、例えばプロテイナーゼKと接触させる処理ステップを伴わず、GAG(例えばGAG、CS及びHSの一方又は両方)を、例えばアニオン交換樹脂(又はGAGの負電荷に基づいてGAGを精製する他の手段)を用いて、上記GAGの負電荷に基づいて試料から精製する処理ステップを伴わない。
【0098】
本発明のいくつかの方法では、試料中のGAG(例えば、試料中の種々の異なるGAG形態)は、本明細書の他の箇所に記載されるように、分離及び/又は定量化のステップに供される。例えば、本明細書の他の箇所で議論されるように、質量分析と組み合わせたHPLCが、好ましい実施形態において使用され得る。特に好ましい方法は、エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析と連結した超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を含む。
【0099】
使用され得る他の方法は、当該分野で公知である。しかしながら、例としては、種々のGAG形態に対する抗体の使用を伴う分析技術、例えば、ウェスタンブロット、ELISA若しくはFACSなどの技術、又はアガロースゲル電気泳動(例えば、フルオロフォア支援炭水化物電気泳動(FACE))若しくはポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を伴う方法である。
【0100】
本発明の好ましい方法は、対象における癌を検診する方法を提供し、上記方法は、体液試料中の、好ましくはGAGの無タンパク質画分中の量又はレベル及び/又は化学組成を決定又は測定することを含み、上記決定は、CS又はHS二糖の特定の硫酸化又は非硫酸化形態、荷電HS、荷電CS、CSの総濃度又はHSの総濃度のうちの1つ以上(又は全て)からなる群から選択される1つ以上のGAG特性の、好ましくは上記無タンパク質画分中のレベルを決定することを含む。
【0101】
本発明の好ましい方法は、対象における癌を検診する方法を提供し、上記方法は、体液試料中の、好ましくはGAGの無タンパク質画分中の、量又はレベル及び/又は化学組成を決定又は測定することを含み、上記決定は、0s CS、2s CS、6s CS、4s CS、2s6s CS、2s4s CS、4s6s CS、Tris CS、0s HS、2s HS、6s HS、2s6s HS、Ns HS、Ns2s HS、Ns6s HS、トリスHS、4s CSの6s CSに対する比、6s CSの0s CSに対する比及び4s CSの0s CSに対する比、荷電HS、荷電CS、CSの総濃度(CStot)、及びHSの総濃度(HS tot)、からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の、好ましくは上記無タンパク質画分中の、レベルを決定することを含む。
【0102】
上記のように、CS及びHSの特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態のレベル(又は濃度)は、絶対濃度又は相対濃度であり得る。
【0103】
したがって、いくつかの実施形態では、0s CS、2s CS、4s CS、6s CS、2s4s CS、2s6s CS、4s6s CS、Tris CS、荷電CS、総CS、0s HS、2s HS、Ns HS、6s HS、2s6s HS、Ns6s HS、Ns2s HS、トリスHS、GlcNAcの3位で硫酸化されたHS、総HS、荷電HSからなる群から選択されるGAG特性は、本発明の方法において測定又は決定することができる。本明細書の他の箇所に記載されるように、好ましくは、GlcNAcの3位で硫酸化されたHSは、測定又は決定されない。したがって、いくつかの実施形態では、0s CS、2s CS、4s CS、6s CS、2s4s CS、2s6s CS、4s6s CS、Tris CS、荷電CS、総CS、0s HS、2s HS、Ns HS、6s HS、2s6s HS、Ns6s HS、Ns2s HS、Tris HS、総HS、荷電HSからなる群から選択されるGAG特性は、本発明の方法において測定又は決定することができる。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸(HA)のレベル及び/又は化学組成は、体液試料中で更に決定され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s CSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6Ns HSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s CSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が尿である場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が尿である場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が尿である場合、本発明の方法は、4s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot.、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が尿である場合、本発明の方法は、0s HSの絶対濃度、6s CSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、0s HSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、4s CSの相対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot.、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が血液、例えば血漿である場合、本発明の方法は、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CS対0s CSの比、CS Tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が血液、例えば血漿である場合、本発明の方法は、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、CS Tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が血液、例えば血漿である場合、本発明の方法は、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CS対0s CSの比、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の測定又は決定を含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、例えば、種々のGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、GAG特性は、血液(例えば、血漿)及び尿の両方から決定され得る。好ましい例示的なGAG特性は、上の段落で概説したとおりであり、これらの血液及び尿特性の任意の組み合わせを使用することができる。血液(例えば、血漿)及び尿試料の両方を伴うかかる決定は、組み合わせ決定と呼ばれ得、例えば、組み合わせスコアを生じ得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、例えば、種々のGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、血液(例えば、血漿)及び尿体液試料の両方が使用される場合、本発明の方法は、
上記尿試料中の、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度HS tot、荷電CSからなる群から選択されるGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)を測定又は決定することと、
-0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、及びCS totからなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)を測定又は決定することと、を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、例えば、種々のGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、血液(例えば、血漿)及び尿体液試料の両方が使用される場合、本発明の方法は、
上記尿試料中の、0s HSの絶対濃度、Ns HSの相対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、6s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、及び荷電CS、からなる群から選択されるGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)を検出又は決定することと、
上記血液、例えば血漿試料中での、4s CSの0s CSに対する比、及びCS totからなる群から選択されるGAG特性の一方又は両方を測定又は決定することと、を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、本発明の方法は、尿試料中での、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)を測定又は決定することを含む。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、0s HSの絶対濃度又は4s CSの絶対濃度の一方又は両方の尿試料中での増加は、上記対象における癌を示す。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、Ns HSの絶対濃度又は6s CSの絶対濃度の一方又は両方の尿試料中での低減は、上記対象における癌を示す。
【0119】
いくつかの実施形態では、例えば様々なGAGのレベルが無タンパク質画分中で決定される場合、本発明の方法は、血液(例えば血漿)試料中の0s CSの絶対濃度の測定又は決定を含む。いくつかの実施形態では、癌を検診する方法では、血液(例えば、血漿)試料中の、例えば対照レベルと比較した、0s CSの絶対濃度の増加は、上記対象における癌を示す。
【0120】
いくつかの実施形態では、例えば、種々のGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、血液(例えば、血漿)及び尿体液試料の両方が使用される場合、本発明の方法は、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)の上記尿試料中での測定又は決定、及び0s CSの絶対濃度の上記血液(例えば、血漿)試料中での測定又は決定を含む。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、0s HSの絶対濃度又は4s CSの絶対濃度の一方又は両方の尿試料中での増加は、上記対象における癌を示す。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、Ns HSの絶対濃度又は6s CSの絶対濃度の一方又は両方の尿試料中での低減は、上記対象における癌を示す。いくつかの実施形態では、癌を検診する方法では、血液(例えば、血漿)試料中の、例えば対照レベルと比較した、0s CSの絶対濃度の増加は、上記対象における癌を示す。
【0121】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、本発明の好ましい方法は、0s CSの絶対濃度及びCS Totからなる群から選択されるGAG特性の一方又は両方のレベルの測定又は決定を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、CS tot、HS totからなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)のレベルの増加(例えば対照レベルと比較して)は、癌を示す(好ましい癌は、本明細書の他の箇所、例えば表Aに記載されるとおりである)。
【0123】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定される場合、例えば、対照レベルと比較した、荷電CS及び6s CSの相対濃度からなる群から選択されるGAG特性のうちの1つ以上(又は全て)のレベルの低減は、癌を示す(好ましい癌は、本明細書の他の箇所、例えば、表Aに記載されるとおりである)。
【0124】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が血液、例えば血漿である場合、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、CS Totからなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)のレベルの増加(例えば対照レベルと比較して)は、癌を示す(好ましい癌は、本明細書の他の箇所、例えば表Aに記載されるとおりである)。
【0125】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が血液、例えば血漿である場合、例えば対照レベルと比較した荷電CSの低減は、癌を示す(好ましい癌は、本明細書の他の箇所、例えば表Aに記載されるとおりである)。
【0126】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が尿である場合、4s CSの絶対濃度、0s Csの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、CS tot、HS totからなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択されるGAG特性の1つ以上(又は全て)のレベルの増加(例えば対照レベルと比較して)は、癌を示す(好ましい癌は、本明細書の他の箇所、例えば表Aに記載されるとおりである)。
【0127】
いくつかの実施形態では、例えば、様々なGAGのレベルが無タンパク質画分において決定され、上記体液試料が尿である場合、例えば対照レベルと比較した、GAG特性荷電CS又は6s CSの相対濃度の一方又は両方のレベルの低減は、癌を示す(好ましい癌は、本明細書の他の箇所、例えば表Aに記載されるとおりである)。
【0128】
本発明の方法は、列挙されたGAG特性のうちの1つのみのレベルの決定を伴い得るが、好ましくは、上記方法は、上記GAG特性のうちの1つより多くのレベルを決定することを含み、より好ましくは、上記方法は、上記GAG特性のうちの2つ以上、3つ以上、4つ以上、又は全てのレベルを決定することを含む。いくつかの実施形態では、上記方法は、硫酸化及び非硫酸化CS形態:0s CS、2s CS、6s CS、4s CS、2s6s CS、2s4s CS、4s6s CS及びTris CSの最大8つ又は8つ全てのレベルを、任意選択で総CS及び/又は荷電CSと一緒に決定すること、並びに/あるいは、硫酸化及び非硫酸化HS形態:0s HS、2s HS、6s HS、2s6s HS、Ns HS、Ns2s HS、Ns6s HS及びTris HSの最大8つ又は8つ全てのレベルを、任意選択で総HS及び/又は荷電HSと一緒に決定すること、を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度、CS Tot、4s CSの絶対濃度、及び0s HSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態の1つ以上(又は全て)のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。
【0130】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度及びCS Totの一方又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。典型的かつ好ましくは、上記一方又は両方のGAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)又は尿中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態の一方又は両方のレベルは、血液(例えば、血漿)試料中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態の一方又は両方のレベルは、尿試料中のレベルである。
【0131】
0s CSの絶対濃度及びCS Totの一方又は両方が決定されるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、子宮癌(例えば、子宮頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌)、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病などのリンパ種)、脳腫瘍(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0132】
0s CSの絶対濃度及びCS Totの一方又は両方が決定され、体液試料が血(例えば、血漿)であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、子宮癌(例えば、頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌)、血漿癌(例えば、慢性リンパ性白血病などのリンパ種)、脳癌(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、及び腎癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0133】
0s CSの絶対濃度及びCS Totの一方又は両方が決定され、体液試料が尿であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、膀胱癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0134】
好ましい実施形態では、例えば対照レベルと比較した、0s CSの絶対濃度及びCS Totの一方又は両方のレベルの増加は、癌(例えば、0s CSの絶対濃度及びCS Totの一方又は両方が決定される実施形態に関連して上記段落で言及された上記癌タイプの1つ以上)を示す。
【0135】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。典型的かつ好ましくは、上記GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)又は尿中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)試料中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態のレベルは、尿試料中のレベルである。
【0136】
0s CSの絶対濃度が決定されるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、乳癌、結腸直腸癌、子宮癌(例えば、頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌)、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などのリンパ種)、脳癌(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0137】
0s CSの絶対濃度が決定され、体液試料が血(例えば、血漿)であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、乳癌、結腸直腸癌、子宮癌(例えば、頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌)、血癌(例えば、慢性リンパ性白血病又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などのリンパ系)、脳癌(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、及び腎癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0138】
0s CSの絶対濃度が決定され、体液試料が尿であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、膀胱癌、及び腎癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0139】
好ましい実施形態では、例えば対照レベルと比較した、0s CSの絶対濃度の増加は、癌(例えば、0s CSの絶対濃度が決定される実施形態に関連して上記段落で言及した上記癌タイプのうちの1つ以上)を示す。
【0140】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、CS Totである。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。典型的かつ好ましくは、上記GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)又は尿中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)試料中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態のレベルは、尿試料中のレベルである。
【0141】
CS Totが決定されるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、子宮癌(例えば、子宮頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌)、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病などのリンパ種)、脳腫瘍(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、膀胱癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0142】
CS Totが決定され、体液試料が血(例えば、血漿)であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、子宮癌(例えば、頸部扁平上皮癌又は子宮内膜癌)、血漿癌(例えば、慢性リンパ性白血病などのリンパ種)、脳腫瘍(例えば、びまん性グリオーマ)、胃腸内分泌腫瘍、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、卵巣癌、膀胱癌、前立腺癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0143】
CS Totが決定され、体液試料が尿であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、膀胱癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0144】
好ましい実施形態では、例えば対照レベルと比較した、CS Totの増加は、癌(例えば、CS Totが決定される実施形態に関連して上記の段落で言及した上記癌タイプのうちの1つ以上)を示す。
【0145】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、4s CSの絶対濃度である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。典型的かつ好ましくは、上記GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)又は尿中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)試料中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記GAG形態のレベルは、尿試料中のレベルである。
【0146】
4s CSの絶対濃度が決定されるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、泌尿生殖器癌又は気道癌である。
【0147】
4s CSの絶対濃度が決定されるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)及び膀胱癌からなる群から選択される。
【0148】
4s CSの絶対濃度が決定され、体液試料が血液(例えば、血漿)であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、泌尿生殖器癌又は気道癌である。
【0149】
4s CSの絶対濃度が決定され、体液試料が血(例えば、血漿)であるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、膀胱癌、前立腺癌、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0150】
4s CSの絶対濃度が決定され、体液試料が尿であるいくつかの実施形態は、好ましくは、癌は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)及び膀胱癌からなる群から選択される。
【0151】
好ましい実施形態では、例えば対照レベルと比較した、0s CSの絶対濃度の増加は、癌(例えば、0s CSの絶対濃度が決定される実施形態に関連して上記段落で言及した上記癌タイプのうちの1つ以上)を示す。
【0152】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s HSの絶対濃度である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。
【0153】
体液試料が尿である0s HSの絶対濃度が決定されるいくつかの実施形態では、好ましくは、癌は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、及び腎臓癌(例えば、腎細胞癌)からなる群から選択される。
【0154】
好ましい実施形態では、例えば対照レベルと比較した、0s HSの絶対濃度の増加は、癌(例えば、0s HSの絶対濃度が決定される実施形態に関連して上記段落で言及した上記癌タイプのうちの1つ以上)を示す。
【0155】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、非硫酸化GAG形態、0s CS及び/又は0s HSであり、典型的には、上記GAG形態の絶対濃度である。好ましくは、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの増加は、癌(例えば、本明細書の他の箇所に記載される癌)を示す。典型的かつ好ましくは、上記非硫酸化GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)又は尿中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記非硫酸化GAG形態のレベルは、血液(例えば、血漿)試料中のレベルである。したがって、いくつかの実施形態では、上記非硫酸化GAG形態のレベルは、尿試料中のレベルである。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度及びCS Tot(例えば、血液、例えば、血漿、試料中)の1つ以上(又は全て)である。いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、4s CSの絶対濃度、及び0s CSの絶対濃度(例えば、血液、例えば、血漿、試料中)の1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のうちの1つ以上(又は全て)のレベルの変化、好ましくは増加は、癌(例えば、4s CSの絶対濃度若しくは0s CSの絶対濃度又はCS Totが決定される実施形態に関連して上の段落で言及された上記癌タイプのうちの1つ以上)を示す。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定されるGAG形態は、本明細書中の表Aに示されるGAG形態のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、健康な試料と比較して癌試料中で増加しているとして本明細書の表Aに報告されたGAG形態の1つ以上のレベルの増加(好ましくは対照レベルと比較して)は、癌を示す。いくつかの実施形態では、健康な試料と比較して癌試料中で低減しているとして本明細書の表Aに報告されたGAG形態の1つ以上のレベルの低減(好ましくは対照レベルと比較して)は、癌を示す。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、4s CSの絶対濃度である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化、好ましくは増加は、癌を示す。
【0159】
0s CSのレベルが決定される(又は検診、例えば診断が0s CSの変化したレベルに基づく)いくつかの実施形態では、癌は、腎臓癌(例えば腎細胞癌)ではなく、及び/又は前立腺癌ではないことが好ましい場合がある。
【0160】
0s CSのレベルが決定され(又は検診、例えば診断が0s CSの変化したレベルに基づく)、体液が尿であるいくつかの実施形態では、癌は腎癌(例えば腎細胞癌)ではなく、及び/又は前立腺癌ではないことが好ましい場合がある。
【0161】
0s CSのレベルが決定され(又は検診、例えば診断が0s CSの変化したレベルに基づく)、体液が血漿であるいくつかの実施形態では、癌は前立腺癌ではないことが好ましい場合がある。
【0162】
4s CSのレベルが決定され(又は検診、例えば診断が4s CSのレベルの変化に基づく)、体液が血漿であるいくつかの実施形態では、癌は腎臓癌(例えば腎細胞癌)ではなく、及び/又は皮膚癌(例えばメラノーマ)ではないことが好ましい場合がある。
【0163】
GAG形態(又はGAG特性)の特定のリストからの1つ以上のレベルの決定に言及する任意の実施形態では、いくつかのかかる実施形態では、全ての列挙されたGAG形態(又はGAG特性)のレベルが決定され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、単一GAG形態のレベル(GAG特性)が決定される。
【0165】
癌の検診方法の一実施形態では、本方法は、癌試料と健常試料との間で有意に変化しているとして本明細書の表Aで特定される1つ以上のGAG特徴(GAG特性)、すなわち、5.00未満の「ROPEにおける%」(実用等価領域)を有する特徴(表Aの「ROPEパーセンテージ」列における0.05未満の値に対応し、好ましくは、表Aの「ROPEパーセンテージ」列における値は0.04、0.03、0.02、0.01未満、又は更に0.00の値であり得る)の試料中のレベルを決定することを含む。
【0166】
本発明の他の実施形態では、GAG形態のうちの1つより多くのレベル(GAG特性)が決定される(例えば、2つ以上のGAG形態、又は3つ以上のGAG形態、又は4つ以上のGAG形態、又は5つ以上のGAG形態のレベルが決定される)。「1より多く」とは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13などを意味する。本明細書で提供されるマーカー又はGAG特性の任意のリストにおいて、全てが測定されることが好ましい実施形態である。また、GAG形態の各々及び全ての可能な組み合わせのレベルの決定が行われ得る。
【0167】
したがって、いくつかの実施形態では、マルチマーカー法が実施される。複数のGAG形態のレベルを決定すること(バイオマーカー多重化)は、検診(例えば、診断)精度を改善し得る。
【0168】
したがって、マーカー(GAG形態)は、本発明の方法において個々に使用され得るが、それらはまた、組み合わせて(例えば、マルチマーカーアッセイの形態で)使用され得る。
【0169】
1つより多くのGAG特徴(GAG特性)の試料中のレベルを決定することを含むいくつかの実施形態では、上記1つより多くのGAG特徴の各々は、本明細書の表Aにおいて、癌試料と健常試料との間で有意に変化していると同定され得る、すなわち、5.00未満の「ROPEにおける%」(実用等価領域)を有する特徴(表Aの「ROPEパーセンテージ」列における0.05未満の値に対応する)であり、好ましくは、表Aの「ROPEパーセンテージ」列における値は0.04、0.03、0.02、0.01未満、又は更に0.00の値であり得る)の試料中のレベルを決定することを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、単一GAG形態のレベル(GAG特性)は、癌の検診の基礎のために使用され、例えば、診断、予後診断は、いくつかの実施形態では、単一GAG形態のレベルに基づいて行われ得る。他の実施形態では、1より多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13など)のGAG形態は、癌の検診、例えば診断の基礎のために使用され、予後診断は、いくつかの実施形態では、1より多くのGAG形態のレベルに基づいて、例えば、本明細書に記載のGAG形態の群(又は部分群)のいずれか1つに基づいて行われ得る。いくつかの実施形態では、1つのGAG形態又はGAG形態のグループ(又はサブグループ若しくはサブセット)が、癌についての検診(例えば、診断又は予後診断)の基礎のために使用される場合、本明細書中に記載される他のGAG形態(又はGAG特性)の1つ以上(又は全て)のレベルが、更に決定又は測定され得る。
【0171】
癌患者対健康な患者において観察された種々のGAG形態のレベルの変化に基づいて、必要に応じて、例えば値又はスコアの形態で指標に到達するために種々のGAG形態のかかるレベルを使用するスコアリング方法、スコアリングシステム、マーカー又は式を設計することができ、指標は次いで、検診(例えば診断など)のために使用することができる。測定される適切なスコアリングシステム及びパラメータ(例えば、GAG形態)は、例えば、本明細書に記載されるデータ、例えば、表Aのデータに基づいて、例えば、表Aに示される特定の試料(血液(例えば、血漿)又は尿)において有意差を示す個々のGAGの特徴又は特性のうちの1つ以上に基づいて、容易に設計され得る。特に、癌試料と健常試料との間で最も異なる表AのGAG特性(例えば、好ましくは、0.00又は0.00に近いROPE値の%を有する1つ以上又は全ての特性、例えば、5.00又は4.00又は3.00又は2.00又は1.00以下のROPE値の%を有する1つ以上又は全ての特性)が選択され得る。5.00又は4.00又は3.00又は2.00又は1.00以下のROPE値における%は、表Aの「ROPE_パーセンテージ」列における0.05以下、0.04以下、0.03以下、0.02以下、0.01以下の値に対応する。
【0172】
本発明によるいくつかの実施形態では、化学組成は、スコア(又はGAGスコア)に関して表されてもよく、上記スコアは、本明細書に記載されるGAG特性(又はGAG特性の群)の1つ以上(好ましくは2つ以上)又は全ての測定レベルに基づく。
【0173】
いくつかの実施形態では、スコア(又はGAGスコア)は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択される1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0174】
いくつかの実施形態では、スコア(又はGAGスコア)は、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、4s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot、荷電CS、からなる群から選択されるCS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態からなる群から選択される1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0175】
いくつかの実施形態では、体液試料が血液(例えば、血漿)試料である場合、スコア(又はGAGスコア又は血液GAGスコア又は血漿GAGスコア)は、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CS対0s CSの比、からなる群から選択される1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0176】
いくつかの実施形態では、体液試料が尿試料である場合、スコア(又はGAGスコア又は尿GAGスコア)は、4s CSの絶対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot.、からなる群から選択される1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0177】
いくつかの実施形態では、体液試料が尿試料である場合、スコア(又はGAGスコア若しくは尿GAGスコア)は、0s HSの絶対濃度、6s CSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、0s HSの相対濃度、2s6s CSの相対濃度、4s CSの相対濃度、0s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、HS tot.、からなる群から選択される1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0178】
いくつかの実施形態では、スコアは、2つ以上のタイプの体液試料(例えば、血液(例えば、血漿)及び尿)中の1つ以上のGAG特性の測定されたレベルに基づき得る(又はそれを使用して導出又は計算又は算出され得る)。いくつかのかかる実施形態では、各タイプの体液中で測定されるGAG特性は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、スコア(又はGAGスコア若しくは組み合わされたGAGスコア)は(i)0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、及びCS totからなる群から選択される血液(例えば、血漿)試料中の1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性、(ii)0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、2s6s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、Ns HSの相対濃度、HS tot、及び荷電CSからなる群から選択される尿試料中の1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0180】
いくつかの実施形態では、スコア(又はGAGスコア若しくは組み合わされたGAGスコア)は(i)0s CSに対する4s CSの比、及びCS totからなる群から選択される血液(例えば血漿)試料中の測定された(又は決定された)GAG特性の一方又は両方、並びに(ii)0s HSの絶対濃度、Ns HSの相対濃度、0s CSの相対濃度、0s HSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、6s CSの相対濃度、6s CSの絶対濃度、6s CS対0s CSの比、CS tot、及び荷電CSからなる群から選択される尿試料中の測定された(又は決定された)GAG特性の1つ以上(又は全て)に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0181】
いくつかの実施形態では、スコア(又はGAGスコア若しくは組み合わされたGAGスコア)は(i)血液(例えば血漿)試料中の0s CSの測定された(又は決定された)絶対濃度、並びに(ii)0s HSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの絶対濃度からなる群から選択される尿試料中の1つ以上(又は全て)の測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれらを用いて導出又は計算又は算出され得る)。
【0182】
尿試料中で測定された1つ以上のGAG特性に基づくスコアは、尿スコア(又は尿GAGスコア)と称され得る。血液(例えば、血漿)試料中で測定された1つ以上のGAG特性に基づくスコアは、適宜、血液スコア又は血漿スコア(又は血液GAGスコア又は血漿GAGスコア)と称され得る。1つより多いタイプの体液試料(例えば、血液(例えば、血漿)及び尿)において測定された1つ以上のGAG特性に基づくスコアは、組み合わせスコア(又は組み合わせGAGスコア)と称され得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、好ましい血液(例えば、血漿)スコア(又は血液GAGスコア若しくは血漿GAGスコア)は、本明細書の実施例セクションに記載される血漿スコアに関連して記載される測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれを使用して導出又は計算又は計算され得る)。いくつかの実施形態では、好ましい尿スコア(又は尿GAGスコア)は、本明細書の実施例の節に記載される尿スコアに関連して記載される測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれを使用して導出又は計算又は計算され得る)。いくつかの実施形態では、好ましい組み合わせスコア(又は組み合わせGAGスコア)は、本明細書の実施例の節に記載される組み合わせスコアに関連して記載される測定された(又は決定された)GAG特性に基づき得る(又はそれを使用して導出又は計算又は計算され得る)。
【0184】
いくつかの実施形態では、スコアと共に使用するための適切な閾値又はカットオフ値(例えば、試料を陽性又は陰性と宣言するために使用される)は、当業者によって設計され得る。例として、カットオフ(又は閾値)値は、ROC曲線に基づいて計算することができる。対象を、高リスク癌を有する(例えば、乏しい又はより乏しい全生存見込みを有する)又は低リスク癌を有する(例えば、良好な又はより良好な全生存見込みを有する)と分類することが目的である実施形態では、カットオフ(又は閾値)値の一例は、癌対象の集団又は複数の癌試料にわたる中央値スコアであり得る。あるいは、最大限に選択されたランク統計が、カットオフ値(又はカットオフスコア)を同定するために使用され得る。
【0185】
いくつかの実施形態では、検診(例えば、診断など)は、診断される試料(又は対象)についての所与のスコアを閾値又はカットオフ値と比較し、決定されたスコアがカットオフ値を上回るか下回るか(例えば、有意に上回るか、又は有意に下回るか)に基づいて結果(例えば、陽性又は陰性診断など)を割り当てることによって行われ得る。
【0186】
いくつかの場合において、高いスコアは、癌の存在についての陽性検診、診断などを生じる。目的が、高いスコアが癌の存在を示すスコアリングシステムを提供することである場合、好都合には、スコアリングシステムは、分子が癌に関連する1つ以上のGAG特性(GAG形態)に関連する値の合計であり、分母が健常状態に関連する1つ以上のGAG特性(GAG形態)に関連する値の合計である比又は分率として設計することができる。
【0187】
もちろん、例えば、分子が健康な状態に関連する1つ以上のGAG特性(GAG形態)に関連する値の合計であり、分母が癌に関連する1つ以上のGAG特性(GAG形態)に関連する値の合計であり、低いスコアが癌の存在を示す、代替のスコアリングシステム(又は式)を同様に設計することができる。
【0188】
指標に到達するために、例えば、値又はスコアの形態で、GAG特性の任意の適切な組み合わせを含む任意のスコアリング方法、スコアリングシステム、マーカー又は式を使用することができ、指標は、次いで、癌の検診(例えば、診断)に使用することができる。例えば、上記方法などは、例えば値又はスコアの形態で指標に到達するために、例えば試料のパターン認識を行うための入力としてGAG特性の任意の適切な組み合わせを含むアルゴリズムであってもよく、指標はその後癌の検診(例えば診断)に使用することができる。かかるアルゴリズムの非限定的な例としては、線形分類子(例えば、フィッシャーの線形判別法、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ分類子、パーセプトロン)などの分類(アルゴリズミック分類子)を実装する機械学習又は深層学習アルゴリズム、サポートベクトルマシン(例えば、最小二乗サポートベクトルマシン)、二次分類子、カーネル推定(例えば、k最近傍)、ブースティング、決定ツリー(例えば、ランダムフォレスト)、ニューラルネットワーク、ベクトル量子化の学習、が挙げられる。
【0189】
かかる分類子、例えば機械学習分類子、例えばランダムフォレスト分類子の使用は、当業者の技能の範囲内であろう。例えば、かかる分類子は、試料のトレーニングセットからのGAG特性に対して都合よくトレーニングされ得、次いで、試料の試験セットに対する精度に関して試験され得る。分類子は、最も重要なGAG特性に対して訓練されたブラックボックスモデルを生成することができ、したがって、癌の正確な検診(例えば、診断)に到達するために使用することができる最も重要なGAG特性を同定するために使用することができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、多変量ロジスティック回帰モデルを使用して、GAGスコアを計算する。かかる実施形態では、GAGスコアは、ロジスティック回帰モデルにおいて予測因子(すなわち、説明変数又は独立変数又はリグレッサ)として使用される1つ以上のGAG特性を考慮して、癌対対照(応答又は従属変数)についての対数オッズに等しい。いくつかの実施形態では、1つのGAG特性を説明変数として使用することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上のGAG特性を説明変数として使用することができる。いくつかの実施形態では、血漿GAG特性のみが説明変数として使用される。かかる場合、血漿GAGスコアが導出される。いくつかの実施形態では、尿GAG特性のみが説明変数として使用される。かかる場合、尿GAGスコアが導出される。いくつかの実施形態では、血漿及び尿GAG特性の両方が説明変数として使用される。かかる場合、組み合わせGAGスコアが導出される。予測因子として使用されるGAG特性は、適切な特徴選択方法を使用して、試料中で測定されたGAG特性の全体から選択することができる。特徴選択方法の例としては、フィルタ方法、ラッパー方法、埋め込み方法が挙げられ、当業者に知られている。いくつかの実施形態では、埋め込まれた特徴選択を有する多変数ロジスティック回帰モデルは、予測射影モデリングを使用して開発される(例えば、Piironen,J.,Paasiniemi,M.and Vehtari,A.「Projective inference in high-dimensional problems:Prediction and feature selection」,Electronic Journal of Statistics,14,2155-2197 (2020)を参照。https://arxiv.org/abs/1810.02406.から入手可能。)。いくつかの実施形態では、予測射影モデリングを使用して開発された線形予測子から計算された応答は、GAGスコアである。いくつかの実施形態では、所与のGAGスコアについて、基礎となるロジスティック回帰モデルにおいて説明変数として選択された特定のGAG特性は、対応する係数が、説明変数として選択された全ての他のGAG特性の値に対して陽性条件である場合、癌と陽性に関連付けられる。逆に、いくつかの実施形態では、基礎となるロジスティック回帰モデルにおいて説明変数として選択された特定のGAG特性は、対応する係数が説明変数として選択された全ての他のGAG特性の値に対して陰性条件である場合、癌に陰性に関連付けられる。
【0191】
本明細書の他の箇所に記載されているように、本発明による癌の検診は、スコア(又はGAGスコア、例えば血液(例えば血漿)GAGスコア、尿GAGスコア又は組み合わせGAGスコア)を使用すること、又はスコア(又はGAGスコア)を使用してレベル及び/又は化学組成を表すことを伴い得る。本明細書の他の箇所に記載されているように、いくつかのかかる実施形態では、対照スコア(又はカットオフレベル若しくは閾値レベル)と比較した、スコアの変化(例えば、場合によっては増加又は低減し得、いくつかの実施形態では好ましくは増加)は、上記対象における癌を示す。
【0192】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は前立腺癌(PCa)である。
【0193】
いくつかの実施形態では、前立腺癌の検診方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS、4s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、及び2s6s CSの相対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の1つ以上(又は全て)のレベルの変化は、前立腺癌を示す。
【0194】
いくつかの実施形態では、前立腺癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、総CS、4s CSの相対濃度及び4s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の血液試料中の増加は、上記対象における前立腺癌を示す。
【0195】
いくつかの実施形態では、前立腺癌を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、2s6s CSの相対濃度における尿試料の増加は、上記対象における前立腺癌を示す。
【0196】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、結腸直腸癌(CRC)である。
【0197】
いくつかの実施形態では、結腸直腸癌の検診方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度、荷電CS及び0s CSの相対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の1つ以上(又は全て)のレベルの変化は、前立腺癌を示す。
【0198】
いくつかの実施形態では、結腸直腸癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、0s CSの絶対濃度及び0s CSの相対濃度の一方又は両方の血液試料中の増加は、上記対象における結腸直腸癌を示す。
【0199】
いくつかの実施形態では、結腸直腸癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、荷電CSにおける血液試料の低減は、上記対象における結腸直腸癌を示す。
【0200】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、神経内分泌癌(例えば、胃腸内分泌腫瘍、GNET)である。
【0201】
いくつかの実施形態では、神経内分泌癌(例えば、胃腸内分泌腫瘍)について検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度及び総CSの一方又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化は、神経内分泌癌(例えば、胃腸内分泌腫瘍)を示す。
【0202】
いくつかの実施形態では、神経内分泌癌(例えば、胃腸内分泌腫瘍)を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、0s CS及び総CSの絶対濃度の一方又は両方の血液試料中の増加は、上記対象における神経内分泌癌(例えば、胃腸内分泌腫瘍)を示す。
【0203】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病 LL、又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 NHL)である。
【0204】
いくつかの実施形態では、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)を検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化は、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病)又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)を示す。
【0205】
いくつかの実施形態では、血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、血液試料中の0s CSの絶対濃度の増加は、上記対象における血液癌(例えば、慢性リンパ性白血病又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)を示す。
【0206】
いくつかの実施形態では、慢性リンパ性白血病を検診する方法では、本発明の方法で測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度及び総CSの一方又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化は、慢性リンパ性白血病を示す。
【0207】
いくつかの実施形態では、慢性リンパ性白血病を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、0s CS及び総CSの絶対濃度の一方又は両方の血液試料中の増加は、上記対象における慢性リンパ性白血病を示す。
【0208】
いくつかの実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を検診する方法では、本発明の方法で測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CS及び荷電CSの絶対濃度の一方又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を示す。
【0209】
いくつかの実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、血液試料中の0s CSの絶対濃度の増加は、上記対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を示す。
【0210】
いくつかの実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、荷電CSの血液試料中での低減は、上記対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を示す。
【0211】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、膀胱癌(BCa)である。
【0212】
いくつかの実施形態では、膀胱癌の検診方法では、本発明の方法で測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS、4s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの相対濃度及び0s CSの相対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の1つ以上(又は全て)のレベルの変化は、前立腺癌を示す。
【0213】
いくつかの実施形態では、膀胱癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、総CS、4s CSの相対濃度及び4s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の血液試料中の増加は、上記対象における膀胱癌を示す。
【0214】
いくつかの実施形態では、膀胱癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、総CS、0s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度及び0s CSの相対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の尿試料中での増加は、上記対象における膀胱癌を示す。
【0215】
いくつかの実施形態では、膀胱癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、尿試料中の6s CSの相対濃度の低減は、上記対象における膀胱癌を示す。
【0216】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、乳癌(例えば、浸潤性乳管癌、BC)である。
【0217】
いくつかの実施形態では、乳癌(例えば、浸潤性乳管癌、BC)を検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、0s CSの絶対濃度である。いくつかのかかる態様では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態のレベルの変化は、乳癌を示す。
【0218】
いくつかの実施形態では、乳癌(例えば、浸潤性乳管癌、BC)を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、血液試料中の0s CSの絶対濃度の増加は、上記対象における乳癌を示す。
【0219】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、卵巣癌(OV)である。
【0220】
いくつかの実施形態では、卵巣癌について検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS及び0s CSの絶対濃度の一方又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化は、卵巣癌を示す。
【0221】
いくつかの実施形態では、卵巣癌を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、総CS及び0s CSの絶対濃度の一方又は両方の血液試料中の増加は、上記対象における卵巣癌を示す。
【0222】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、子宮癌(例えば、子宮内膜癌 EC、又は子宮頸癌、好ましくは子宮頸部扁平上皮癌 CST)である。
【0223】
いくつかの実施形態では、子宮癌(例えば、子宮内膜癌 EC、又は子宮頸癌、好ましくは子宮頸部扁平上皮癌 CST)を検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS及び0s CSの絶対濃度の一方又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化は、子宮癌(例えば、子宮内膜癌 EC、又は子宮頸癌、好ましくは子宮頸部扁平上皮癌 CST)を示す。
【0224】
いくつかの実施形態では、子宮癌(例えば、子宮内膜癌 EC、又は子宮頸癌、好ましくは子宮頸部扁平上皮癌 CST)を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、総CS及び0s CSの絶対濃度の一方又は両方の血液試料中での増加は、上記対象における、子宮癌(例えば子宮内膜癌 EC、又は子宮頸癌、好ましくは子宮頸部扁平上皮癌、CST)を示す。
【0225】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、脳腫瘍(例えば、びまん性神経膠腫 DG)である。
【0226】
いくつかの実施形態では、脳腫瘍(例えば、びまん性神経膠腫、DG)を検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS及び0s CSの絶対濃度のうちの1つ又は両方である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態の一方又は両方のレベルの変化は、脳腫瘍(例えば、びまん性神経膠腫、DG)を示す。
【0227】
いくつかの実施形態では、脳腫瘍(例えば、びまん性神経膠腫、DG)を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、血液試料中の総CS及び0s CSの絶対濃度の一方又は両方の増加は、上記対象における脳腫瘍(例えば、びまん性神経膠腫、DG)を示す。
【0228】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、NSCLC)である。
【0229】
いくつかの実施形態では、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)について検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS、0s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、総HS、0s HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度、6s CSの相対濃度及び6s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態のうちの1つ以上(又は全て)のレベルの変化は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を示す。
【0230】
いくつかの実施形態では、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、全CS、0s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の血液試料中の増加は、上記対象における肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を示す。
【0231】
いくつかの実施形態では、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、Ns HSの絶対濃度、全CS、全HS、0s CSの絶対濃度、0s HSの絶対濃度、2s6s CSの絶対濃度、4s CSの絶対濃度及び6s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の尿試料中での増加は、上記対象における肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を示す。
【0232】
いくつかの実施形態では、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、尿試料中の6s CSの相対濃度の低減は、上記対象における肺癌(例えば、非小細胞肺癌)を示す。
【0233】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は腎臓癌(例えば、腎細胞癌、RCC)である。
【0234】
いくつかの実施形態では、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)について検診する方法では、本発明の方法において測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度、荷電CS、総HS、0s CSの相対濃度、0s HSの絶対濃度及び6s CSの相対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態のうちの1つ以上(又は全て)のレベルの変化は、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)を示す。
【0235】
いくつかの実施形態では、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、総CS、0s CSの絶対濃度、4s CSの相対濃度、4s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の増加は、上記対象における腎癌(例えば、腎細胞癌)を示す。
【0236】
いくつかの実施形態では、腎癌(例えば、腎細胞癌)を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、総HS、0s CSの相対濃度、0s CSの絶対濃度、0s HSの絶対濃度、総CSのうちの1つ以上(又は全て)の尿試料中での増加は、上記対象における腎癌(例えば、腎細胞癌)を示す。
【0237】
いくつかの実施形態では、腎癌(例えば、腎細胞癌)を検診する方法では、例えば、対照レベルと比較した、荷電CS及び6s CSの相対濃度の一方又は両方の尿試料中での低減は、上記対象における腎癌(例えば、腎細胞癌)を示す。
【0238】
上記に示されるように、本発明による好ましい癌は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、HN)である。
【0239】
いくつかの実施形態では、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)の検診方法では、本発明の方法で測定又は決定される特に好ましいGAG形態は、総CS、4s CSの絶対濃度、0s CSの絶対濃度、総HS、Ns HSの絶対濃度及び0s HSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)である。いくつかのかかる実施形態では、例えば、対照レベルと比較した、上記GAG形態のうちの1つ以上(又は全て)のレベルの変化は、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)を示す。
【0240】
いくつかの実施形態では、頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌)を検診する方法では、血液試料中の、例えば対照レベルと比較した、全CS、4s CSの絶対濃度及び0s CSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の増加は、上記対象における頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌)を示す。
【0241】
いくつかの実施形態では、頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌)を検診する方法では、例えば対照レベルと比較した、総HS、4s CSの絶対濃度、Ns HSの絶対濃度、総CS及び0s HSの絶対濃度のうちの1つ以上(又は全て)の尿試料中での増加は、上記対象における頭頸部癌(例えば頭頸部扁平上皮癌)を示す。
【0242】
本明細書中で議論されるように、本発明の方法は、本明細書中に示される「ある特定のGAG形態(又はGAG形態の群)」からなる群から選択される「1つ以上の特定のGAG形態(又はGAG形態の群)」を決定又は測定することを含み得る。誤解を避けるために、本明細書で論じられる特定のGAG形態(若しくはGAG形態の群)のうちの1つ以上又は特定の遺伝子(若しくは遺伝子の群)のうちの1つ以上が測定又は決定されるいくつかの実施形態では、1つ以上のGAG形態又は1つ以上の他の(又は別個の)遺伝子及び/又は1つ以上の他のバイオマーカーを更に測定又は決定してもよい。したがって、「からなる群から選択される」は、「オープン」な用語であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で論じられる特定のGAG形態(又はGAG形態の群)のうちの1つ以上のみが測定又は決定される(例えば、他のGAG形態又は他のバイオマーカーは測定又は決定されない)。
【0243】
上記のように、本発明は、対象における癌を検診する方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌を診断する方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌の予後診断(癌の将来の重症度、経過及び/又は転帰の予後診断)のための方法を提供する。別の観点から、本発明は、ある特定の期間にわたって対象における癌の発生を予測する方法を提供する。別の観点から、本発明は、ある特定の期間にわたって対象における癌の発生のリスクを推定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、リスクのある対象における癌の発生をモニタリングする方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌の進行をモニタリングする方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌の臨床的重症度を決定する方法を提供する。別の観点では、本発明は、癌のステージ(例えば、ステージI、ステージII、ステージIII又はステージIVの癌)を決定又は推定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌の悪性度(例えば、低悪性度、又は高悪性度、悪性度1又は悪性度2又は悪性度3又は悪性度4)を決定又は推定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌の進行のリスクを決定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌のリスク評価に基づいて治療をガイドする方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌治療に対する対象の奏功を予測する方法を提供する。別の観点から、本発明は、対象における癌の治療計画又は外科的計画の有効性を決定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌の再発(recurrence)又はぶり返し(relapse)を検出するための方法を提供する(例えば、早期癌を有する患者において)。別の観点から、本発明は、患者選択又は治療選択の方法を提供し、例えば、癌ではない、例えば、非悪性、良性又は無痛性の塊(しかし、いくらかの問題症状を示し得、癌であると疑われ得る)である小さな癌性の塊を有する患者を、癌を有する患者から区別する手段を提供する。したがって、別の観点から、本発明は、癌を非悪性疾患から区別する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、転移が特定の癌に起因するかどうかを決定するための方法を提供する。別の観点から、本発明は、所与の癌から転移が予想されるかどうかを予測する方法を提供する。別の観点から、本発明は、全体集団における癌の検診方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌を有するか又は発症するリスクのある集団(例えば、遺伝的素因を有する個体又はリスク因子を示す個体又は症状を示す個体)における癌の検診方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌の原発組織を予測又は決定するための方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌患者の予後を推定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、所与の癌を有する患者の予後を推定する方法を提供する。別の観点から、本発明は、癌が転移性であるかどうかを予測又は決定する方法を提供する。
【0244】
したがって、本発明による癌の検診方法は、例えば、癌の診断、癌の予後診断、癌の発生の予測、癌の発生のリスクの推定、リスクのある対象における癌の発生のモニタリング、癌の進行のモニタリング、癌の臨床的重症度の決定、癌のステージ(例えば、ステージI、ステージII、ステージIII又はステージIV癌)の決定又は推定、癌の悪性度(例えば、低悪性度又は高悪性度、悪性度1又は悪性度2又は悪性度3又は悪性度4)の決定又は推定、癌の治療に対する対象の奏功を予測するため、癌を治療するために使用される治療レジメン又は外科レジメンの有効性を決定するため、癌の再発又はぶり返しを検出するため、患者選択又は治療選択のため、癌の疑いのある小さな癌塊を他の非悪性疾患から区別するため、転移が所与の癌に起因するかどうかを決定するため、全体集団における癌を検診するため、癌を有する又は発症するリスクのある集団(例えば、遺伝的素因のある個体又はリスク因子を提示する個体又は症状を提示する個体)における癌を検診するため、癌が転移性であるかどうかを予測又は決定するため、又は癌の原発組織を予測又は決定するため、に使用することができる。
【0245】
したがって、一態様では、本発明は、対象における癌を診断するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、陽性診断(すなわち、癌の存在)は、試料中のGAG形態の1つ以上のレベルが対照レベルと比較して変化している(場合によっては増加又は低減している)場合になされる。レベルの増加が癌を示す(例えば、癌の診断となる)GAG形態は、本明細書の他の箇所に記載されている。低減したレベルが癌(例えば、前立腺癌)を示す(例えば、そのように診断される)GAG形態は、本明細書の他の箇所に記載されている。あるいは、多数の異なるGAG形態又は特性が、例えばスコアリングシステム又は方法(例えば、GAGスコア)を使用して診断に到達するために、本明細書の他の箇所に記載されるように分析される。スコアリングシステム(例えば、GAGスコア)が使用される場合、スコアが対照スコア又はカットオフ(若しくは閾値)レベルと比較して変化している(又は有意に変化している)場合、陽性診断(すなわち、癌の存在)がなされ得る。
【0246】
別の態様では、本発明は、対象における癌の予後診断のための方法を提供する。かかる方法では、試料中の上述のGAG形態の1つ以上のレベル(又はスコア)は、癌の将来の重症度、経過及び/又は転帰を示す。例えば、対照レベル(又は対照スコア若しくはカットオフレベル)と比較した、試料中の1つ以上のGAG形態のレベル(又はスコア)の変化(場合によっては増加又は低減)は、予後不良を示し得る。例えば、対照レベル(又はスコア若しくはカットオフレベル)と比較した、レベルの高度にの化(又はスコアが使用される場合はスコア)は、特に予後不良を示し得る。したがって、いくつかの実施形態では、レベルの増加が癌を示すGAG形態の1つ以上のレベルの増加は、予後不良を示唆する。いくつかの実施形態では、レベルの低減が癌を示すGAG形態の1つ以上のレベルの低減は、予後不良を示唆する(すなわち、示す)。逆に、1つ以上のGAG形態が未変化のレベル(又は本質的に未変化のレベル)を有する場合、これは良好な予後を示し得る。いくつかの実施形態では、スコアリングシステムが使用される場合、スコアの増加が癌を示すスコアの増加は、予後不良を示唆する。いくつかの実施形態では、スコアリングシステムが使用される場合、スコアの低減が癌を示すスコアの低減は、予後不良を示唆する(すなわち、示す)。逆に、1つ以上のGAGスコアが変化していない(又は本質的に変化していない)場合、これは良好な予後を示し得る。
【0247】
本発明による1つ以上のGAG形態(バイオマーカー)のレベルの連続的(周期的)測定はまた、経時的なレベル(又はスコア)の増加又は低減のいずれかを探る予後診断目的のために使用され得る。いくつかの実施形態では、経時的なGAG形態又はスコアのうちの1つ以上のレベル又はスコアの変化(必要に応じて増加又は低減)(対照レベル又はスコア又はカットオフレベルと比較して、例えば、対照レベル又はスコア又はカットオフレベルから遠く離れて移動するレベル又はスコア)は、予後の悪化を示し得る。いくつかの実施形態では、経時的なGAG形態又はスコアの1つ以上の変化するレベル(必要に応じて増加又は低減)(対照レベル又はスコア又はカットオフレベルと比較して、例えば、対照レベル又はスコア又はカットオフレベルに近づくレベル)は、予後の改善を示し得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成(又はスコア)(例えば、対照レベル又は組成又はスコアと比較した)の変化(場合によっては増加又は低減)は、予後を示し得る。
【0249】
したがって、本発明の予後診断方法を使用して、予後、例えば、対象が良好な(若しくはより良好な)予後を有するかどうか、又は対象が不良な(若しくはより悪い)予後を有するかどうかを予測(又は推定)することができる。いくつかの実施形態では、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成(又はスコア)の変化(場合によっては増加又は低減)は、対照レベル(又はスコア)が得られた(又は導出された)対照対象又は対照集団(又は対照若しくは参照集団における平均(例えば中央値)対照対象又はレベル)についての予後に関して良好な(又はより良好な)予後を示し得る。いくつかの実施形態では、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成(又はスコア)の変化(場合によっては増加又は低減)は、対照レベル(又はスコア)が得られた(又は導出された)対照対象又は対照集団(又は対照若しくは参照集団における平均(例えば中央値)対照対象又はレベル)についての予後に関して不良な(又はより悪い)予後を示し得る。
【0250】
予後は、対象の生存見込み(例えば、所与の期間、例えば、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30若しくは33カ月にわたる、又は例えば、5年生存)の評価とみなすことができる。したがって、別の観点から、本発明は、一態様では、癌を有する対象の生存見込みを予測(又は決定)する方法を提供する。いくつかの実施形態では、「生存」は、サンプリングの日付(試料が対象から得られる日付)と「事象」の時間との間の時間(例えば、日数)として計算され得る。いくつかの実施形態では、「生存」は、癌処置の開始、例えば、医薬療法の開始又は手術当日から計算され得る。別の観点から、予後は、対象についての死亡率の見通し又はより悪い状態への進行のリスクの評価とみなすことができる。したがって、本発明は、一態様では、癌を有する対象の死亡又は進行のリスクを予測(又は決定)する方法を提供する。
【0251】
一実施形態では、「生存」は「全生存」(OS)である。かかる実施形態では、「事象」は死亡日である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の予後診断方法は、特定の将来の期間(例えば、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月、24ヶ月、27ヶ月、30ヶ月若しくは33ヶ月、又は例えば、5年生存)において生じる死の確率を予測(又は推定)するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明の予後診断方法は、死亡前の時間の量を予測又は推定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、「生存」は、「無増悪生存」又は「無病生存」又は「無再発生存」又は「無治療生存」である。
【0252】
一態様では、本発明は、癌を発症するリスクがある対象における癌の発生をモニタリングする方法を提供する。かかる方法及び測定されるGAG形態(又はスコア)は、本明細書中に記載されるような診断方法と同様であるが、癌を発症する特定のリスクがある対象に対して実施され、したがって、より綿密なモニタリングから利益を得ることができる。かかる「リスクのある」対象は、当業者によって容易に同定されるが、例えば、癌の家族歴若しくは癌に対する遺伝的素因を有する対象、又は癌から寛解した対象、又は癌について認識されたリスク因子を有する対象が挙げられる。例えば、いくつかの癌について、認識されているリスク因子は、年齢、例えば、40歳超、又は50歳超、又は55歳超、又は好ましくは65歳超、例えば、40~65、又は50~65、又は55~65、又は60~65、又は70~75、又は40~75、又は50~75、又は55~75、又は60~75、又は65~75(例えば、66~71)、又は70~75、又は40~85、又は50~85、又は55~85、又は60~85、又は65~85、又は70~85歳である。例えば、前立腺癌では、かかる年齢範囲の男性が、特にリスクがあり得る。
【0253】
このようにして、本発明のいくつかの実施形態では、本方法は、「健康な」患者(対象)又は少なくとも癌のいかなる臨床症状も発現していない患者(対象)、例えば、非常に初期又は前臨床段階の癌を有する患者、例えば、原発腫瘍が非常に小さいため評価又は検出できない患者、又は細胞が癌に関連する前癌状態の変化を受けているが、まだ悪性になっていない患者に対して実施することができることが分かる。したがって、別の態様では、本発明は、対象における癌の発生を(例えば、所与の期間、例えば、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57又は60カ月にわたって)予測する方法を提供する。別の態様では、本発明は、対象における癌の発生のリスクを(例えば、所与の期間、例えば、3、6、9、12、15、18、21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54、57又は60カ月にわたって)推定する方法を提供する。
【0254】
したがって、本発明の方法はまた、疾患の進行をモニターするために使用され得る。かかるモニタリングは、手術又は治療(例えば、薬学的治療)による癌の処置の前、最中又は後に行われ得る。したがって、別の態様では、本発明は、対象における癌の進行をモニタリングするための方法を提供する。対象における癌(例えば、腎臓癌又は本明細書に記載の他の癌)の進行をモニタリングするための方法のいくつかの実施形態では、GAG形態のうちの1つ以上のレベル(又はスコア若しくは組成物)は、癌の進行を示す。いくつかの好ましい実施形態では、0s CSの絶対濃度のレベル(又は0s CSの絶対濃度を含む決定された化学組成、又は0s CSの絶対濃度を使用する(若しくは含む)使用されるスコア)は、癌の進行を示し、好ましくは、高い(若しくはより高い)又は増加した(若しくは増加している)レベル(例えば、経時的に、例えば、連続測定を行うことによって測定される)は、癌の進行(癌の悪化)を示す。
【0255】
本発明の方法はまた、特定の癌(例えば、腎臓癌又は本明細書中で議論される他の癌)が転移性であるかどうかを予測(又は決定)するために使用され得る。いくつかの好ましい実施形態では、0s CSの絶対濃度のレベル(又は0s CSの絶対濃度を含む決定された化学組成、又は0s CSの絶対濃度を使用する(又は含む)使用されるスコア)は転移を示し、好ましくは高い(又はより高い)又は増加した(又は増加する)レベル(例えば、経時的に、例えば、連続測定を行うことによって測定される)は転移を示す。したがって、いくつかの実施形態では、0s CSの絶対濃度(例えば、血液、例えば血漿試料中、又は尿試料中)は、転移性癌を示し得る。
【0256】
本発明の方法は、手術又は治療を受けていない患者の積極的モニタリングにおいて、例えば、未治療患者における癌の進行をモニタリングするために使用することができる。この場合も、連続測定は、癌が悪化しているか否か、又は癌が悪化している程度の評価を可能にし、したがって、例えば、治療的介入又は外科的介入が必要であるか、又は推奨に値するかに関して、より妥当な決定を行うことを可能にする。
【0257】
上記のように、モニタリングはまた、例えば、癌を発症するリスクがあると考えられる個体、例えば健康な個体において、癌の早期の、理想的には前臨床の徴候を得るために行うことができる。
【0258】
別の態様では、本発明は、対象における癌の臨床的重症度を決定するための方法を提供する。かかる方法では、試料中の1つ以上のGAG形態のレベル(又はそれに由来するスコア)は、癌の重症度との関連を示す。したがって、1つ以上のGAG形態のレベル(又はスコア)は、癌の重症度を示す。いくつかの実施形態では、対照レベル(又はスコア)と比較して、GAG形態の1つ以上のレベル(又はそれに由来するスコア)がより変化するほど(場合によってはより増加するほど、又はより低減するほど)、より重症の形態の癌の可能性が高い。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、治療についての患者の選択において使用することができる。
【0259】
1つ以上のGAG形態(バイオマーカー)のレベル(又はそれに由来するスコア)の連続的(周期的)測定もまた、経時的なレベルの増加又は低減のいずれかを探り、癌の重症度をモニターするために使用され得る。変化したレベル(場合によっては増加又は低減)の観察はまた、無症候性疾患の状況において、すなわち、治療又は手術の前、例えば、薬学的治療又は手術の開始前、又は治療の効果を評価し、治療失敗の徴候を探るための治療の最中若しくは後の「経過観察」の状況において、治療をガイド及びモニターするために使用され得る。
【0260】
したがって、本発明はまた、治療又は手術に対する対象の奏功を予測するための方法を提供する。例えば、本発明による試料中のGAG形態のうちの1つ以上のレベル(又はそれから導出されるスコア)によって決定される、癌(例えば、前立腺癌)の重症度の低い形態又は初期段階を有する対象は、概して、治療又は手術、特に手術に奏功する可能性がより高い。かかる方法では、治療又は手術の選択は、試料中の1つ以上のGAG形態のレベル(又はそれに由来するスコア)の知識によって導かれ得る。治療又は手術に対する対象の奏功を予測するための方法のいくつかの実施形態では、HAのレベルは、測定又は決定されない。
【0261】
本発明はまた、高リスク癌患者を低リスク癌患者から区別する手段を提供するため、患者選択又は治療選択の方法を提供する。したがって、別の観点から、本発明の方法は、高リスク癌と低リスク癌とを区別するための方法を提供し、適切な治療を導くことができる。
【0262】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌(例えば、前立腺癌)と診断された(例えば、最近診断された、例えば、診断から1ヶ月未満又は6ヶ月未満又は1年未満)対象において、高(又はより高い)リスクの癌(例えば、前立腺癌、例えば、8以上のグリーソンスコアを有する)と低(又はより低い)リスクの癌(例えば、前立腺癌、例えば、6以下のグリーソンスコアを有する)とを区別する方法を提供する。高い(又はより高い)リスクは、対象が不良な(又はより悪い)予後を有することを意味し得、低い(又はより低い)リスクは、対象が良好な(又はより良好な)予後を有することを意味し得る。中間リスクの対象(例えば、7のグリーソンスコアを有する前立腺癌対象)も同定され得る。本発明の方法を使用して、癌(例えば、前立腺癌)と診断された(例えば、最近診断された)対象における重症度、攻撃性、転移能又はリスクレベルを評価することができる。
【0263】
いくつかの実施形態では、本発明は、癌を有する対象(例えば、癌について処置されている対象)をモニタリングする(例えば、継続的にモニタリングする又は積極的監視を実施する)方法を提供する。かかるモニタリングは、どの処置を使用するか、又は処置を与えるべきでないかどうかを導くことができる。
【0264】
いくつかの実施形態では、対照レベル(又はスコア若しくはカットオフレベル)と比較して、GAG形態のうちの1つ以上のレベル(又はスコア)がより変化しているほど(場合によってはより増加しているほど又は低減しているほど)、高リスク癌の可能性が高い(又は低リスク癌の可能性が低い)。逆に、いくつかの実施形態では、対照レベル(又はスコアカットオフレベル)と比較して、GAG形態のうちの1つ以上のレベル(又はスコア)の変化が少ないほど(場合によっては増加しているほど又は低減が少ないほど)、高リスク癌の可能性が低い(又は低リスク癌の可能性が高い)。
【0265】
いくつかの実施形態では、低(又はより低い)リスクの患者は、経過観察又は積極的監視下に置かれてもよく、処置(例えば、薬物療法又は手術)が与えられなくてもよい。いくつかの実施形態では、高(又はより高い)リスクの患者は、処置、例えば、切除(例えば、前立腺癌の場合の前立腺切除)、放射線療法、ホルモン療法又は他の処置(例えば、本明細書の他の箇所で詳述されるような)を受け得る。
【0266】
本発明はまた、癌を処置するために使用される治療レジメンの有効性を決定(又はモニタリング)する方法、言い換えれば、処置に対する奏功を追跡又はモニタリングする方法を提供する。かかる方法では、本発明による1つ以上のGAG形態のレベル(又はスコア)の変化(場合によっては増加又は低減)は、使用される治療レジメンの有効性を示す。例えば、増加したレベル(又はスコア)が癌を示す1つ以上のGAG形態のレベル(又はそれに由来する(又はそれに基づく)スコア)が治療中(又は治療後)に低減する場合、これは有効な治療レジメンを示す。逆に、例えば、低減したレベル(又はスコア)が癌を示す1つ以上のGAG形態のレベル(又はそれに由来するスコア)が治療中(又は治療後)に増加する場合、これは有効な治療レジメンを示す。かかる方法では、経時的な1つ以上のGAG形態(バイオマーカー)のレベルの連続的(周期的)測定もまた、使用されている治療レジメンの有効性を決定するために使用され得る。同様の方法を使用して、癌を治療するために使用されている外科的レジメンの有効性を決定(又はモニタリング)する方法を提供することができる。
【0267】
本発明はまた、例えば、以前に癌を有していたが、例えば、寛解又は治癒していると判断されるような手術又は療法(例えば、薬物療法)によって成功裡に処置された対象において、癌の再発(ぶり返し)を検出するための方法、又は例えば、経過観察中の患者における転移性のぶり返しを予測するための方法を提供する。かかる対象は、「リスクがある」カテゴリーを形成し、癌についての定期的なモニタリングから十分に利益を得ることができる。癌の再発(又はぶり返し)を検出するためのかかる方法は、癌の存在又は非存在を検出するために、本明細書に記載される診断方法を使用する。
【0268】
本発明はまた、癌患者を非悪性疾患(例えば、非悪性前立腺疾患)患者から区別する手段を提供するため、患者選択又は処置選択の方法を提供する。したがって、別の観点から、本発明の方法は、癌を非悪性疾患から区別する方法を提供する。
【0269】
患者選択若しくは処置選択のかかる方法、又は癌を非悪性疾患から区別するための方法は、癌の存在又は非存在を検出するために、本明細書中に記載されるような診断方法を使用する。
【0270】
本発明はまた、癌の原発組織を予測又は決定する方法を提供する。いくつかのかかる方法では、本明細書に記載されるGAG形態のうちの1つ以上のレベル及び/又は組成(又はスコア)は、癌の原発組織を示し得る。癌の原発組織を予測又は決定することは、更なる診断及び/又は治療及び/又は外科的経過観察を導くことができる(例えば、身体の特定の部分に対する特定のタイプのスキャン(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン)(例えば、胸部CTスキャン対腹部CTスキャン対脳MRIスキャン)を推奨することによって)。原発組織の予測又は決定は、本明細書の実施例の節に記載されるように行われ得る。原発組織を予測又は決定することは、測定されたGAG形態のレベルを入力として使用する任意の適切なモデリングツール又はモデリング方法を使用することができ、例えば、マルチクラス分類機械学習方法を、測定されたGAG形態のレベルを入力として使用することができる。機械学習方法の非限定的な例は、線形分類子(例えば、フィッシャーの線形判別、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ分類子、パーセプトロン)、サポートベクトルマシン(例えば、最小二乗サポートベクトルマシン)、二次分類子、カーネル推定(例えば、k最近傍)、ブースティング、決定ツリー(例えば、ランダムフォレスト)、ニューラルネットワーク、深層ニューラルネットワーク、ベクトル量子化を学習すること、である。
【0271】
癌の検診方法に関する本明細書の特徴及び考察は、(例えば、好ましいGAG形態若しくはその組み合わせ又は測定のためのスコアに関して)本発明の他の関連する方法(例えば、癌を診断する方法など)に当てはまる。
【0272】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の方法(例えば、本明細書に記載されるような検診、診断又は予後診断方法など)の、癌についての他の公知の検診、診断又は予後診断方法、例えば、放射線画像化(例えば、コンピュータ断層撮影、CT、又はポジトロン放出断層撮影、PETスキャン)又は磁気共鳴画像化(MRIスキャン)、又は例えば、腫瘍生検を使用する組織学的評価と組み合わせての使用を提供する。一例として、前立腺癌の場合、PSA(prostate specific antigen)試験又はDRE(ジギタール)試験又はProstate Core Mitomic TestTMがあり、これらは、本発明の方法と併せて使用され得る。したがって、例えば、本発明の方法は、対象における癌の診断を確認するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は単独で使用される。
【0273】
問題のGAG形態のレベルは、適切な手段によって対象から得られたか又は除去された試料を分析することによって決定又は測定され得る。測定は、典型的にはインビトロで行われる。
【0274】
試料中の1つ以上のGAG形態のレベルは、任意の適切なアッセイ又は技術又は方法によって測定(決定)することができ、そのいくつかは当技術分野において周知であり、
文献化されている。電気泳動、例えばアガロースゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動(特に、CE-LIFなどの蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動)は、本発明による1つ以上のGAG形態のレベルを測定(決定)するために使用することができる技法である。液体クロマトグラフィー、特に、質量分析(MS)と組み合わせたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)は、本発明による1つ以上のGAG形態のレベルを測定(決定)するための好ましい技法である。
【0275】
GAG形態分析のための適切な電気泳動(例えば、キャピラリー電気泳動)及び液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC技術)は、適切な質量分析法(及び関連するデータ処理技術)とともに、当該分野で周知であり、文献化されている。
【0276】
本発明において使用され得る1つの方法は、レーザー誘導蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動、(例えば、Galeottiら、2014、Electrophoresis 35:811-818;及びKottlerら、2013、Electrophoresis 34:2323-2336に記載されるような)CE-LIFである。例えば、Volpi 2006,Curr Pharm Des 12:639-658に記載されているように、ポストカラム誘導体化及び蛍光定量検出と組み合わせたHPLCも使用することができ、例えば、Volpi and Linhardt,2010,Nature protocols 5:993-1004に記載されているように、ESI-MS(エレクトロスプレイイオン化-質量分析)と組み合わせたHPLCも使用することができ、また、例えば、Galeotti and Volpi,2011,Anal Chem 83:6770-6777又はVolpi et al.,2014,Nature Protocols 9:541-558に記載されているように、蛍光定量検出と組み合わせたHPLCも使用することができる。アガロースゲル電気泳動、例えば、Volpi and Maccari,2006,Analyt Technol Biomed Life Sci,834:1-13、及びVolpi and Maccari,2002,Electrophoresis 23:4060-4066に記載されているようなFACE(蛍光団支援糖質電気泳動)も使用することができる。
試料中の1つ以上のGAG形態のレベルを決定するための特に好ましい方法は、本明細書中の実施例に記載されている。したがって、好ましい方法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、好ましくはウルトラHPLC(UHPLC)を、質量分析、例えばMS/MS又は三連四重極質量分析と組み合わせて伴い得る。特に好ましい方法は、エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析システムと連結した超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を含む。かかる方法の例は、Tamburro et al.,2012,bioRxiv,doi:10.1101/2021.02.04.429694に記載されている。
【0277】
試料調製(又は処理)の特定の方法、例えば、GAG抽出及び精製もまた公知であり、当該技術分野において記載されており、例えば、Volpi and Maccari,2005,Biomacromolecules 6:3174-3180及びClin Chim Acta 356:125-133,Coppa et al.,2011 Glycobiology 21:295-303において記載されている。しかしながら、かかる報告された技術に基づく試料調製(又は処理)方法は、プロテアーゼ処理(プロテアーゼ抽出)及びアニオン交換樹脂の使用に基づく精製ステップを伴う。本発明のいくつかの方法では、かかるプロテアーゼ処理ステップ及び/又はアニオン交換樹脂を使用する精製ステップが行われてもよい。しかしながら、本明細書の他の箇所で論じられるように、好ましい方法では、プロテアーゼ処理のステップ及び/又はアニオン交換樹脂を使用する精製ステップは実施されない。特に、GAGの無タンパク質画分が分析される好ましい方法では、プロテアーゼ処理のステップは実施されない。
【0278】
いくつかの実施形態では、HPLC及び質量分析(及び関連するデータ処理技術)を使用して、総量と比較した試料中の1つ以上の特定のGAG形態(例えば、硫酸化又は非硫酸化二糖形態)のレベルの分率を得る。例えば、試料調製後、GAGは、酵素を使用して消化され得、HPLCカラムにおいて分離され得、そしてMSを使用して特定され得る。本明細書中の他の箇所に記載されるように、1つ以上の個々のGAG形態(例えば、特定の硫酸化二糖形態又は非硫酸化二糖形態)の量は、分率(又は割合若しくは相対濃度)を得るために、測定された個々のGAG形態の全ての量の合計によって好都合に正規化(すなわち、除算)され得る。しかしながら、個々のGAG形態(例えば、GAG硫酸化形態)の絶対濃度(又は絶対レベル)は、代替的に又は追加的に測定され得る。
【0279】
本発明によれば、1つ以上のGAG形態のレベルの定量的、半定量的又は定性的評価(決定)を行うことができる。
【0280】
これを行う適切な方法は当業者に周知であり、これらのいずれかを使用することができる。しかしながら、二糖組成又はCS若しくはHSの適切な特性若しくは形態(及び二糖形態の分離)のかかる定量化を達成するための好都合な方法は、電気泳動、特にキャピラリー電気泳動、例えば蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動、例えばレーザー誘起蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動(CE-LIF)(例えば、Galeotti 2014、上記、又はKottler 2013、上記)を使用することである。いくつかの実施形態において好ましい代替的な方法は、液体クロマトグラフィ、好ましくはHPLC(高速液体クロマトグラフィ)、例えばSAX HPLC、又は例えばVolpi 2006(前出)、Galeotti and Volpi 2011(前出)、Volpi et al.,2014(前出)、又はVolpi and Linhardt,2010(前出)に記載されているようなものを使用することである。好ましくは、質量分析(HPLC-MS)、例えば、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)、例えば、HPLC ESI-MSも使用される。特に好ましい方法は実施例に概説されている。特定の方法の一例は、キャピラリー電気泳動(例えば、レーザー誘起蛍光検出を伴うキャピラリー電気泳動)である。別の特に好ましい例は、HPLCとそれに続くMS(HPLC-MS)、例えばHPLC ESI-MSである。好ましいHPLC-MS法は、本明細書の他の箇所で論じられている。
【0281】
したがって、本発明の好ましい方法では、上記GAG又はGAG特性の上記レベル又は化学組成は、HPLC及び質量分析によって決定される。好ましくは、上記HPLCはウルトラHPLCであり、及び/又は上記質量分析は三連四重極質量分析である。特定の好ましい方法では、上記GAG又はGAG特性の上記レベル又は化学組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、好ましくはウルトラHPLC(UHPLC)と、質量分析、例えばMS/MS又は三連四重極質量分析との組み合わせによって決定される。好ましい方法は、エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析と連結した(又は組み合わせた)超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を含む。
【0282】
概して、本発明によるGAG特性又は形態の決定は、対象の体液中に見出されるのと厳密に同じ形態のGAG分子の測定を伴わない(例えば、天然に存在する形態のGAGの測定を伴わない)。例えば、かかる天然の又は天然に存在するGAG分子は、多くの場合、生物学的試料(例えば、体液試料)において、タンパク質に結合され得るか(本明細書中では、タンパク質結合GAG又はプロテオグリカンGAGとも呼ばれる)、又はタンパク質に結合され得ないか(本明細書中では、遊離GAG又はタンパク質非結合GAGとも呼ばれる)のいずれかの長い糖鎖の形態で見出される。
【0283】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、試料を処理するステップを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、かかる処理された試料又はかかる処理された試料に由来する材料に対して実施され得る。したがって、概して、本発明の方法は、何らかの方法で処理された試料(例えば、天然試料ではなく人工試料)に対して実施される。
【0284】
処理ステップは、限定されないが、試料からのGAGの抽出又は精製、例えば、プロテイナーゼKなどのプロテアーゼの使用を介して、例えば、GAGが結合しているタンパク質からGAGを分離又は抽出又は除去する手段としての、試料中に存在するタンパク質の断片化又は切断又は消化のステップ、例えば、アニオン交換樹脂を使用するGAGの精製、試料からの細胞の単離、試料からの細胞成分の単離、試料からのタンパク質/ペプチドの抽出(例えば、単離又は精製)を含む。したがって、上記処理ステップはまた、体液試料に対して実施されて、それを分析のために調製するステップを含み、例えば血液試料の場合、かかるステップは、分析のための適切な血液成分、例えば血漿若しくは血清を調製するステップ、又は尿試料の場合、細胞若しくは他の不純物の除去を含み得る。処理ステップは、消化、抽出、精製、煮沸、濾過、凍結乾燥、分画、遠心分離、濃縮、希釈、干渉成分の不活性化、試薬の添加、誘導体化、複合体化などのうちの1つ以上を伴い得る。例示的な処理ステップは実施例に記載されている。
【0285】
本発明の特定の方法では、試料中に存在するタンパク質の断片化又は切断又は消化のステップ(例えば、プロテイナーゼKなどのプロテアーゼの使用を介して、GAGが結合しているタンパク質からGAGを分離又は抽出又は除去する手段として)及び/又はGAGの精製(例えば、アニオン交換樹脂を使用する)を行ってもよいが、本明細書の他の箇所での考察から明らかなように、特定の好ましい方法では、タンパク質の断片化/切断/消化のステップ及び/又は精製(例えば、アニオン交換樹脂を使用する)のステップは行われない。特に、GAGの無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成が決定される好ましい方法では、タンパク質の断片化/切断/消化のステップは行われない。
【0286】
概して、対象から得られたGAG含有体液試料は、本発明の方法に従ってレベル及び/又は化学組成を決定する前に、少なくとも1つの処理ステップに供される。特に、CS又はHS二糖の特定の硫酸化形態又は非硫酸化形態のうちの1つ以上のレベルが決定される方法では、GAGは、好ましくは、分析のための二糖単位を得るための処理ステップに供される。
【0287】
特定の個々の二糖形態のレベルが測定される本発明のいくつかのかかる方法では、GAG(例えば、全長GAG分子、又はGAGの重合多糖鎖、又はGAGの反復二糖単位の鎖)は、処理ステップ(例えば、断片化又は切断又は消化(例えば、化学的消化又は酵素処理による)のステップ)に供される。消化又は酵素処理の適切な方法、例えば、1つ以上のGAGリアーゼ酵素、例えば、コンドロイチナーゼABC又はコンドロイチナーゼBなどの1つ以上のコンドロイチナーゼ酵素の使用、及び/又は後に分析される二糖単位を得るためのヘパリナーゼI-II-IIIなどの1つ以上のヘパリナーゼ酵素の使用は、当業者に公知である。
【0288】
使用され得るGAGのレベル又は組成を決定するための他の方法は、当該分野で公知である。しかしながら、例としては、種々のGAG形態に対する抗体の使用を伴う分析技術、例えば、ウェスタンブロット、ELISA若しくはFACSなどの技術、又はアガロースゲル電気泳動(例えば、フルオロフォア支援炭水化物電気泳動(FACE))若しくはポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を伴う方法である。
【0289】
いくつかの実施形態では、GAG形態を検出するために使用されている試薬(例えば、2-アミノアクリドン)と会合した(例えば、それと物理的に会合した、又はそれと複合体を形成した、又はそれで誘導体化された、又はそれで標識された)1つ以上のGAG形態(例えば、完全長GAG分子又はGAG分子の反復二糖単位の鎖から断片化、切断又は消化によって誘導された、例えば、特定の硫酸化又は非硫酸化形態のCS又はHS二糖)のレベルが決定される。したがって、いくつかの実施形態では、GAG形態とGAG形態を検出するために使用される試薬との複合体のレベルが決定される。特定のGAG形態を検出するために適切な試薬は、本明細書中の他の場所で議論されるが、例えば、蛍光計(又は他の検出デバイス)によって検出可能にするために、問題のGAG形態に付着される(又は誘導体化するために使用される)抗体又はある種のフルオロフォア(又は他の検出可能な標識若しくは色素)を含む。したがって、純粋に例として、いくつかの実施形態では、抗体又はフルオロフォアなどと会合した(例えば、複合体を形成した、又は誘導体化された)GAG形態のレベルを決定することができる。いくつかの実施形態では、2-アミノアクリドンと会合した(例えば、複合体を形成した、又は誘導体化された)GAG形態のレベルを決定することができる。
【0290】
本発明の好ましい方法は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定するステップを含むため、有利には、GAG分子を、それらが結合しているタンパク質から分離又は抽出する必要がない。代わりに、体液試料中のGAGの無タンパク質画分(無タンパク質画分のみ)は、例えばタンパク質を消化することによって、タンパク質からGAGを分離するためのかかる処理を全く必要とせずに、試料から分析することができる。したがって、好ましい方法は、上記試料をプロテアーゼなどのタンパク質分解剤と接触させる処理ステップを含まない。
【0291】
他の好ましい方法は、GAGが上記GAGの負電荷に基づいて(例えば、アニオン交換樹脂を使用して)試料から精製されるステップを含まない。
【0292】
したがって、本発明の好ましい方法では、上記試料は上記対象から得られており、上記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理に供されており、
上記処理は、
(a)上記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に、
(i)上記試料をタンパク質分解剤と接触させること、及び
(ii)上記GAGの負電荷に基づいて、上記試料中の上記一方又は両方のGAGを精製すること、の少なくとも1つを含まない。
【0293】
本発明のなお更なる態様は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定することを含む、方法を提供するものであり、
上記試料は、上記対象から得られており、上記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理に供されており、
上記処理は、
(a)上記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に、
(i)上記試料をタンパク質分解剤と接触させること、及び
(ii)上記GAGの負電荷に基づいて、上記試料中の上記一方又は両方のGAGを精製すること、の少なくとも1つを含まない。
【0294】
本明細書の他の箇所に記載される本発明の他の態様の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用され得る(例えば、好ましいGAG形態(又はGAG形態の群)、好ましい癌(又は癌の群)、好ましい処理ステップ、好ましい体液など)。
【0295】
好ましい方法では、(a)の上記断片化は、上記一方又は両方のGAGを1つ以上のGAGリアーゼ酵素(例えば、本明細書の他の箇所で考察されるような)と接触させることによって好都合に実施される。例えば、(a)の上記断片化は、上記一方又は両方のGAGを1つ以上のコンドロイチナーゼ酵素及び/又は1つ以上のヘパリナーゼ酵素と接触させることによって実施され得る。
【0296】
当技術に基づく方法では、(b)(i)の上記接触させるステップは、上記試料を1つ以上のプロテアーゼ酵素、例えばプロテイナーゼKと接触させることによって好都合に実施される。したがって、本発明の好ましい方法では、かかるステップは実施されない。(b)(i)のタンパク質分解剤は、プロテアーゼ(例えば、プロテイナーゼKなどの非特異的プロテアーゼ)であってもよい。したがって、好ましくは、本発明の方法は、(a)の前に、試料をプロテアーゼ(例えば、非特異的プロテアーゼ、例えば、プロテイナーゼK)と接触させるステップを含まない。
【0297】
当該技術に基づく方法では、(b)(ii)の上記精製するステップは、アニオン交換樹脂を使用することによって好都合に実施される。したがって、本発明の好ましい方法では、かかるステップは実施されない。したがって、好ましくは、本発明の方法は、(a)の前に、アニオン交換樹脂を使用して上記試料中の上記一方又は両方のGAGを精製するステップを含まない。
【0298】
本発明の好ましい方法では、本方法は、(b)(i)の接触させることを含まない。
【0299】
本発明の好ましい方法では、本方法は、(b)(ii)の精製することを含まない。
【0300】
本発明の他の好ましい方法では、ステップ(b)(i)も(b)(ii)も行われない。したがって、特に好ましい実施形態では、本方法は、(b)(i)の接触させること又は(b)(ii)の精製することを含まない。
【0301】
本発明のなお更なる態様は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の非プロテオグリカン画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記試料が上記対象から得られている、方法を提供する。本明細書の他の箇所に記載される本発明の他の態様の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用され得る(例えば、好ましいGAG形態(又はGAG形態の群)、好ましい癌(又は癌の群)、好ましい処理ステップ、好ましい体液など)。
【0302】
本発明のなお更なる態様は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記レベル及び/又は化学組成を決定することが、上記体液試料中のタンパク質に結合していない上記GAGに由来する二糖単位を分析することを含み、上記体液試料中のタンパク質に結合しているGAGに由来する二糖単位を分析することを含まない、方法を提供する。本明細書の他の箇所に記載される本発明の他の態様の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用され得る(例えば、好ましいGAG形態(又はGAG形態の群)、好ましい癌(又は癌の群)、好ましい処理ステップ、好ましい体液など)。
【0303】
本発明のなお更なる態様は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記レベル及び/又は化学組成を決定することが、上記体液試料中の上記GAGの非プロテオグリカン画分(又は無タンパク質画分)に由来する二糖単位から本質的になる二糖単位の集団を分析することを含む、方法を提供する。本明細書の他の箇所に記載される本発明の他の態様の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用され得る(例えば、好ましいGAG形態(又はGAG形態の群)、好ましい癌(又は癌の群)、好ましい処理ステップ、好ましい体液など)。
【0304】
別の態様では、本発明は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を決定することを含み、上記試料が上記対象から得られている、方法を提供する。好ましい実施形態では、対照レベル及び/又は化学組成と比較した、上記試料中のコンドロイチン硫酸(CS)及び/又はヘパラン硫酸(HS)のレベル及び/又は化学組成の変化は、上記対象における癌を示す。本明細書の他の箇所に記載される本発明の他の態様の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用され得る(例えば、GAG形態(又はGAG形態の群)、癌(又は癌の群)、処理ステップ、体液、分析するGAGの画分、方法の種類など)。本発明の任意の他の態様に関連して本明細書の他の箇所に記載される任意の特徴(例えば、好ましい特徴)は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用され得る。
【0305】
したがって、本発明の特定の好ましい方法のいくつかの実施形態では、この方法は、グリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を決定することを含むが、特に「無タンパク質画分」のレベル及び/又は化学組成が決定されることは、本発明の全ての態様において必須というわけではない。
【0306】
いくつかの実施形態では、本発明は、対象における癌を検診する方法であって、体液試料(例えば血液、例えば血漿試料又は尿試料)中の0s CSの絶対濃度を決定することを含み、上記試料が上記対象から得られている、方法を提供する。好ましい実施形態では、対照レベルと比較した上記試料中の0s CSの絶対濃度の変化、好ましくは0s CSの絶対濃度の増加は、上記対象における癌を示す。好ましい癌は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0307】
いくつかの実施形態では、検診の基礎に使用される唯一のGAG形態は0s CSである(すなわち、いくつかの実施形態では、単一GAG形態のレベル(GAG特性)が癌の検診の基礎に使用され、例えば診断、予後診断は単一GAG形態のレベルに基づいて行われてもよく、その単一GAG形態は0s CSの絶対濃度である)。他の実施形態では、1つより多く(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13など)のGAG形態は、癌の検診、例えば診断の基礎のために使用され、予後診断は、使用される1つのGAG形態が0s CSの絶対濃度であるいくつかの実施形態では、2つ以上のGAG形態のレベルに基づいて行われてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、検診は、0s CSの絶対濃度を含む本明細書に記載されるGAG形態の群(又は部分群)のいずれか1つのものに基づいてもよい。いくつかの実施形態では、1つのGAG形態又はGAG形態のグループ(又はサブグループ若しくはサブセット)が、癌についての検診(例えば、診断又は予後診断)の基礎のために使用される場合、本明細書中に記載される他のGAG形態(又はGAG特性)の1つ以上(又は全て)のレベルが、更に決定又は測定され得る。
【0308】
本明細書に記載の1つ以上のGAG形態(GAG特性)のレベル(又は組成又はスコア)の変化は、問題のGAG形態が対照レベルと比較される場合、問題のGAG形態(バイオマーカー)(又はスコア)の任意の測定可能な変化又は変化を含む。レベル(又はスコア)変化は、レベル(又はスコア)の増加又は低減を含む。好ましくは、レベル(又はスコア)は、適切な対照(例えば、対照試料又は対象又は集団)において見出されるレベル(又はスコア又はカットオフレベル)と比較して有意に変化している。より好ましくは、レベル又は組成又はスコアの有意な変化は統計的に有意であり、好ましくは<0.05のp値又は≦5.00のROPE値の%である。
【0309】
いくつかの実施形態では、適切な対照試料又は対象若しくは集団において見出されるレベル(又はスコア)と比較した(すなわち、対照レベルと比較した場合)、≧2%、≧3%、≧5%、≧10%、≧25%、≧50%、≧75%、≧100%、≧200%、≧300%、≧400%、≧500%、≧600%、≧700%、≧800%、≧900%、≧1000%、≧2000%、≧5000%、又は≧10,000%のレベル(又はスコア)の変化は、癌の存在を示し得る。
【0310】
本明細書に記載されるGAG形態(GAG特性)又はスコアの1つ以上のレベルの「増加」又は「増加した」レベルは、問題のGAG形態(又はスコア)が対照レベル(又は対照スコア又はカットオフレベル)と比較される場合、問題のGAG形態(バイオマーカー)(又はスコア)の任意の測定可能な増加又は上昇を含む。好ましくは、レベル(又はスコア)は、適切な対照(例えば、対照試料又は対象又は集団)において見出されるレベル(又はスコア又はカットオフレベル)と比較して有意に増加している。より好ましくは、レベル(又はスコア)の有意な増加は統計的に有意であり、好ましくはp値<0.05又はROPE値の%≦5.00である。
【0311】
いくつかの実施形態では、適切な対照試料又は対象又は集団において見出されるレベル(又はスコア)と比較した(すなわち、対照レベル又は対照スコア又はカットオフレベルと比較した場合)、≧2%、≧3%、≧5%、≧10%、≧25%、≧50%、≧75%、≧100%、≧200%、≧300%、≧400%、≧500%、≧600%、≧700%、≧800%、≧900%、≧1000%、≧2000%、≧5000%、又は≧10,000%のレベル(又はスコア)の増加は、癌の存在を示し得る。
【0312】
本明細書に記載されるGAG形態(GAG特性)又はスコアの1つ以上のレベルの「減少」又は「減少した」レベルは、問題のGAG形態(又はスコア)が対照レベル(又は対照スコア又はカットオフレベル)と比較される場合、問題のGAG形態(バイオマーカー)(又はスコア)の任意の測定可能な減少又は低減を含む。好ましくは、レベル(又はスコア)は、適切な対照(例えば、対照試料又は対象又は集団)において見出されるレベル(又はスコア又はカットオフレベル)と比較して有意に減少している。より好ましくは、レベル(又はスコア)の有意な減少は統計的に有意であり、好ましくはp値<0.05又はROPE値の%≦5.00である。
【0313】
いくつかの実施形態では、適切な対照試料又は対象又は集団において見出されるレベル(又はスコア)と比較した(すなわち、対照レベル又は対照スコア又はカットオフレベルと比較した場合)、≧2%、≧3%、≧5%、≧10%、≧25%、≧50%、≧75%、≧100%、≧200%、≧300%、≧400%、≧500%、≧600%、≧700%、≧800%、≧900%、≧1000%、≧2000%、≧5000%、又は≧10,000%のレベル(又はスコア)の減少は、癌の存在を示し得る。
【0314】
「対照レベル」は、対照対象又は集団における(例えば、対照対象又は集団から得られた試料中の)GAG形態(GAG特性)のレベルである。本発明の方法における使用のための適切な対照対象又は試料は、当業者によって容易に同定され、例えば、適切な対照群は、実施例に記載されるとおりである。かかる対象はまた、「正常な」対象又は参照集団と呼ばれ得る。対照対象の適切な集団の例としては、健康な対象(例えば、任意の形態の癌の病歴及び他の併発疾患を有していない個体)が挙げられる。他の好ましい対照対象には、癌に罹患しておらず、好ましくは癌の病歴を有していない(例えば、本明細書で言及される癌の種類のいずれにも罹患しておらず、好ましくは癌の病歴を有していない)個体が含まれる。特定の癌が関係する場合、適切な対照対象には、その特定の癌に関係する器官又は組織において、任意の形態の疾患(例えば、癌)の病歴を有しておらず、好ましくは、他の併発疾患を有していない個体が含まれる。好ましくは、かかる対照対象はまた、炎症性病態に罹患していない。好ましくは、対照対象は、いずれの薬剤の常用使用者でもない。好ましい実施形態では、対照対象は健康な対象である。
【0315】
対照レベルは、適切な対照対象又は試料中の等価なGAG形態のレベルに対応し得、例えば、対照集団又は参照集団において見出されるカットオフレベル又は閾値レベル又は範囲に対応し得る。あるいは、上記対照レベルは、より早い時点で測定された(例えば、その対象における「ベースライン」レベルとの比較)、同じ個々の対象又は上記対象由来の試料中の問題のマーカー(GAG形態)のレベルに対応し得る。このタイプの対照レベル(すなわち、個々の対象からの対照レベル)は、健康又は病気のいずれかの個体におけるGAG形態の連続的又は周期的測定が、GAG形態のレベルの変化を探るために行われる本発明の実施形態に特に有用である。これに関して、適切な対照レベルは、全体対照集団において見出される対照又はカットオフレベルとは対照的に、個体自身のベースライン、安定な値、無値、以前の値又は乾燥値(必要に応じて)である。対照レベルは、「正常」レベル又は「参照」レベルと呼ばれることもある。対照レベルは、離散的な数字又は範囲であってもよい。
【0316】
比較のための対照レベルは、対照対象の適切なセットを試験することによって誘導され得るが、本発明の方法は、本発明の方法の一部として対照対象に対して活性試験を実施することを必ずしも伴わず、しかし、概して、対照対象から以前に決定され、そして本発明の方法を実施する人に知られた対照レベルとの比較を伴う。
【0317】
「対照化学組成」は、対照対象又は集団における(例えば、対照対象又は集団から得られた試料中の)化学組成である。「対照レベル」(例えば、適切な対照対象、対照試料、対照集団など)に関する上記の考察は、必要な変更を加えて、「対照化学組成」に適用することができる。
【0318】
本明細書の他の箇所に記載されるように、本発明による癌の検診は、スコア(若しくはGAGスコア)を使用すること、又はスコア(若しくはGAGスコア)を使用してレベル及び/若しくは化学組成を表現することを伴い得る。いくつかのかかる実施形態では、対照スコア(又はカットオフレベル若しくは閾値レベル)と比較した、スコアの変化(例えば、場合によって増加又は低減)は、上記対象における癌を示す。「対照レベル」(例えば、適切な対照対象、対照試料、対照集団など)に関する上記の考察は、必要な変更を加えて、「対照スコア」に適用することができる。
【0319】
本明細書の他の箇所に記載されるように、本発明のいくつかの好ましい方法では、本方法は、GAGコンドロイチン硫酸(CS)及びヘパリン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成(又はそれに基づくスコア)を決定することを含む。いくつかのかかる実施形態では、対照(例えば、対照試料又は対照スコア若しくはカットオフレベル)における上記一方又は両方のGAGの無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成と比較した、無タンパク質画分(又はそれに基づくスコア)のレベル及び/又は化学組成の変化は、癌を示す。「対照レベル」又は「対照化学組成」又は「対照スコア」(例えば、適切な対照対象、対照試料、対照集団など)に関する上記考察は、上記GAGの一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成(又はそれに基づくスコア)を決定することを含む本発明の実施形態に、必要な変更を加えて適用することができる。
【0320】
本発明の検診、診断等の方法は癌についてのものである。本発明の検診などの方法のいくつかは、概して、任意の特定のタイプの癌ではなく多種多様な癌に適用可能であり、所望であれば、対象における癌の存在又は可能性について検診などを行うために使用することができる。本発明の方法が癌の存在の可能性を示してから、個々の対象に存在する特定の癌を同定するために、必要に応じて追跡試験を実施することができる。
【0321】
また、本明細書には、特定の癌を検診する方法などが記載されている。
【0322】
本発明の方法は、癌の任意の段階で実施することができ、例えば、癌の早期若しくは初期段階、又は進行若しくは後期癌疾患に使用することができる。別の観点から、本発明の方法は、任意の悪性度の癌に対して実施することができ、例えば、低悪性度癌、中悪性度癌、又は高悪性度癌に使用することができる。
【0323】
したがって、本発明の方法は、ステージIの癌、ステージIIの癌、ステージIIIの癌、ステージIVの癌及びステージが特定されていない癌からなる群から選択される癌に対して行うことができる。
【0324】
いくつかの実施形態では、有利には、本発明の方法を使用して、初期若しくはステージIの癌又は低悪性度の癌を検診することができる。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ステージIIの癌を検診するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ステージIIIの癌を検診するために使用され得る。いくつかの実施形態は、本発明の方法を使用して、ステージIVの癌又は高悪性度の癌を検診することができる。
【0325】
所与のステージにおける癌の分類は、当技術分野で認識され、受け入れられている任意の定義に従ってもよい。
【0326】
例えば、癌のタイプに応じて、ステージI又は低悪性度癌は、FIGOステージI、アナーバーステージ1、ビネステージA、乳癌悪性度1~2、低悪性度(非神経膠芽腫)神経膠腫、グリーソン悪性度合計<7、TNMステージI又はENETS悪性度1として分類され得る。
【0327】
癌のタイプに応じて、ステージIIの癌は、FIGOステージII、アナーバーステージ2、BinetステージB、又はTNMステージII若しくはIIA若しくはIIBとして分類され得る。
【0328】
癌のタイプに応じて、ステージIIIの癌は、FIGOステージIII、アナーバーステージ3、又はTNMステージIII若しくはIIIA若しくはIIIB若しくはIIICとして分類され得る。
【0329】
癌のタイプに応じて、ステージIV又は高悪性度癌は、FIGOステージIV、アナーバーステージ4、ビネステージC、乳癌悪性度3、高悪性度(神経膠芽腫)神経膠腫、グリーソン悪性度合計≧7、TNMステージIV若しくはIVA若しくはIVB若しくはIVC、又はENETS悪性度2として分類され得る。
【0330】
当業者は、どのステージ分類/悪性度分類システム又は慣例がどのタイプの癌に適切であるかに精通しており、癌のタイプに基づいて適切なステージ分類/悪性度分類システムを容易に使用することができる。
【0331】
所与のリスクにおける癌の分類は、当技術分野で認識され、受け入れられている任意の定義によって行うことができる。例えば、リスクは、臨床診断において癌のステージを決定することによって(例えば、上記のステージ分類システムを使用して)、又は病理診断において癌のステージを決定することによって(例えば、上記のステージ分類システムを使用して)、又は生検結果を評価することによって(例えば、腫瘍サイズ、及び/又は腫瘍悪性度及び/又は腫瘍体積を評価することによって)、又は他の検査(X線、CT及び/又はMRIスキャン、又は骨スキャン)の結果を評価することによって、又は上記の任意の組み合わせによって評価され得る。当業者は、上記の評価の1つ以上に基づいてリスクを容易に決定することができる。一例として、前立腺癌は、グリーソンスコアが6以下の場合低リスク、グリーソンスコアが7の場合中リスク、グリーソンスコアが8以上の場合高リスクとみなすことができる。
【0332】
いくつかの実施形態では、癌は、非転移性形態の癌であり得る。いくつかの実施形態では、癌は、(限局性又は限局性癌とは対照的に)癌の転移性形態であり得る。
【0333】
本発明の方法は、任意の適切な体液試料に対して行うことができる。これに関して、本発明は血液(例えば、血漿)及び尿により例示されるが、他のタイプの体液試料中で測定される適切なGAG形態は、本明細書に提供される教示に従って当業者によって決定され得る。典型的には、試料は、対象(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるような)、好ましくはヒト対象から得られている(取り出されている)。他の態様では、本方法は、対象から試料を得るステップを更に含む。
【0334】
本明細書における「体液」への言及は、対象の身体に由来する全ての流体への言及を含む。例示的な流体としては、血液(全ての血液由来成分、例えば、血漿、血清などを含む)、尿、唾液、涙、気管支分泌物又は粘液が挙げられる。好ましくは、体液は循環液(特に血液又は血液成分)又は尿である。特に好ましい体液は、血液(例えば血漿)又は尿である。特に好ましい体液は血漿又は尿である。いくつかの好ましい実施形態では、試料は血液試料(例えば、血漿又は血清試料)である。いくつかの好ましい実施形態では、試料は血漿試料である。いくつかの実施形態では、血漿試料は、乏血小板血漿試料である。いくつかの好ましい実施形態では、試料は血清試料である。いくつかの好ましい実施形態では、試料は尿試料である。いくつかの実施形態では、試料は尿試料ではない。いくつかの実施形態では、試料は血液試料ではない(例えば、血漿試料ではない)。体液又は試料は、液体生検の形態であってもよい。
【0335】
用語「試料」はまた、体液試料を処理することによって得られる(例えば、血液(例えば、血漿)又は尿試料を処理することによって得られる)任意の材料を包含する。試験試料を得るための生物学的試料の処理は、例えば本明細書の他の箇所に記載されるような、消化、煮沸、濾過、蒸留、遠心分離、凍結乾燥、分画、抽出、濃縮、希釈、精製、干渉成分の不活性化、試薬の添加、誘導体化、複合体形成などのうちの1つ以上を伴い得る。適切な処理ステップは、実施される方法の特徴に応じて選択することができる。
【0336】
体液試料(例えば、尿又は血液(例えば、血清又は血漿)試料)を単離するための任意の適切な方法が使用され得る。
【0337】
癌(例えば、腫瘍)の疑いによって直接的又は間接的に影響を受ける任意の試料が使用され得る。試料(例えば、元の試料又は未処理試料)は、典型的には、GAGの無タンパク質画分及びGAGのタンパク質結合画分を含む(本明細書の他の箇所で考察されるように)。本発明の好ましい方法では、GAGsコンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成が決定される。したがって、好ましい実施形態では、体液試料は、上記GAG(典型的にはそれに由来する二糖単位)の無タンパク質画分のみ(又は本質的にのみ)がその後分析されるように処理されている(又は処理される)(すなわち、上記一方又は両方のGAG(典型的にはそれに由来する二糖単位)の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成がその後決定されるように処理される)。本発明の他の方法では、試料は、上記一方又は両方のGAGの全(タンパク質不含+タンパク質結合)画分又はプールがその後分析されるように処理されている(又は処理されている)(すなわち、上記一方又は両方のGAG(典型的にはそれに由来する二糖単位)の全(タンパク質不含+タンパク質結合)画分又はプールのレベル及び/又は化学組成がその後決定されるように処理されている)。
【0338】
いくつかの実施形態では、試料は、循環腫瘍細胞(例えば転移性腫瘍細胞)を含み得る。
【0339】
用語「試料」はまた、生物学的試料を(例えば、上記のように)処理することによって得られる任意の材料を包含する。得られる材料は、GAG(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるような)を処理することによって得られる二糖単位(又は二糖単位の集団)を含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、試料を処理するステップを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、かかる処理された試料又はかかる処理された試料に由来する材料に対して実施され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、処理された試料に対して実施され得る。処理ステップには、試料から細胞を単離するステップ、試料から細胞成分を単離するステップ、及びタンパク質/ペプチドを抽出する(例えば、単離又は精製する)ステップが含まれるが、これらに限定されない(しかし、本発明の好ましい方法は、タンパク質を含まないGAG画分の決定を伴い、タンパク質の抽出又は試料中に存在するプロテオグリカン(タンパク質結合GAG)からのタンパク質成分の除去(例えば、タンパク質成分を消化するか又は他の方法で除去することによる)は、好ましくは行われない)。処理ステップは、濾過、蒸留、遠心分離、抽出、濃縮、希釈、精製、干渉成分の不活性化、試薬の添加、誘導体化、増幅、アダプターライゲーションなどのうちの1つ以上を伴い得る。
【0341】
試料は、直ちに使用することができ、又は後の使用のために(例えば、-80℃で)保存することができる。
【0342】
本明細書中に記載される本発明の方法は、癌に罹患し得る任意のタイプの対象に対して行われ得る。本方法は、概して、哺乳動物、例えばヒト、霊長類(例えばサル)、実験用哺乳動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット)、家畜哺乳動物(例えばウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ)又は家庭用ペット(例えばネコ、イヌ)に対して行われる。好ましくは、対象はヒトである。前立腺癌検診の場合、典型的には、対象は雄の哺乳動物、例えば男性のヒトである。
【0343】
一実施形態では、対象(例えば、ヒト)は、癌を発症するリスクがあるか、又は癌の発生のリスクがある対象、例えば、健康な対象若しくは疾患のいかなる症状も示さない対象、又は本明細書の他の箇所に記載される任意の他の適切な「リスクがある」対象である。別の実施形態では、対象は、癌を有するか、癌を有する(又は癌を発症する)疑いがあるか、又は癌を有する(又は癌を発症する)可能性がある対象である。
【0344】
いくつかの態様では、本発明の方法は、癌を発症するリスクがある、若しくは癌の発生のリスクがある、又は癌を有する若しくは有する(若しくは発症する)ことが疑われる、又は癌を有する(若しくは発症する)可能性がある対象(例えば、ヒト対象)を選択する初期ステップを更に含んでもよい。後続の方法ステップは、かかる選択された対象からの試料に対して実施することができる。
【0345】
いくつかの態様では、療法(例えば、薬物療法)又は手術によって癌を処置するステップを更に含む、本発明の方法が提供される。例えば、本発明の方法の結果が対象における癌を示す(例えば、癌の陽性診断がなされる)場合、治療又は手術によって癌を処置する更なるステップを実施することができる。例えば、本発明の方法の結果が対象における高リスク(又は高悪性度)癌を示す(例えば、高リスク癌の陽性診断がなされる)場合、治療又は手術によって癌を治療する追加のステップを実施することができる。例えば、本発明の方法の結果が、対象における低リスク(又は低悪性度)癌を示す(例えば、低リスク癌の陽性診断がなされる)場合、経過観察又は積極的監視の追加のステップを行うことができる。療法又は手術によって癌を治療する方法は、当技術分野において公知である。例えば、前立腺癌に対する1つの外科的選択肢は前立腺切除術であり、これは腫瘍の根絶を目的とし、根治的(完全除去)又は部分的のいずれかであり得る。医薬的処置は、進行中の臨床試験に供される治療に加えて、標準的な化学療法及び免疫療法及びホルモン療法を含み得る。医薬的処置は、標準的な化学療法(例えば、ゲムシタビン、ビンブラスチン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル、又はカペシタビン)、標的療法(チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR経路阻害剤、VEGF経路阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ALK阻害剤、Bcl-2阻害剤、PARP阻害剤、PI3K阻害剤、Braf阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤、Hsp90阻害剤、又はより具体的な例、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ボルテゾミブ、タモキシフェン、トファシチニブ、クリゾチニブ、ナビトクラックス、ゴシポール、イニパリブ、オラパチニブ、ペリホシン、アパチニブ、ゾプタレリン(zoptarelin)、ドキソルビシン(AN-152)、[D-Lys(6)]-LHRHに結合したドキソルビシン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、LGX818、トラメチニブ、パゾパニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、レンバチニブ)、免疫療法(例えば、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターフェロン-α、又はPD-1若しくはPD-L1遮断薬、例えば、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ)、他のモノクローナル抗体療法(例えば、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ)、及びホルモン処置(例えば、睾丸摘出術、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト若しくはアンタゴニスト、抗アンドロゲン、エストロゲン、又はケトコナゾール)を含み得る。治療の他の形態には、放射線療法及び寒冷療法及びワクチン処置(キメラ抗原受容体改変(CAR)T細胞など)が含まれる。
【0346】
したがって、いくつかの実施形態では、癌を処置するステップを更に含む、本発明の方法(例えば、検診方法又は診断方法)は、治療有効量の、例えば、ゲムシタビン、ビンブラスチン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル、又はカペシタビン、からなる群から選択される化学療法剤、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR経路阻害剤、VEGF経路阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ALK阻害剤、Bcl-2阻害剤、PARP阻害剤、PI3K阻害剤、Braf阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤、Hsp90阻害剤、又はより具体的な例としては、イマチニブ、ゲフィニチブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、ボルテゾミブ、タモキシフェン、トファシチニブ、クリゾチニブ、ナビトクラックス、ゴシポール、イニパリブ、オラパリブ、ペリホシン、アパチニブ、ゾプタレリン(zoptarelin)、ドキソルビシン(AN-152)、[D-Lys(6)]-LHRHに結合したドキソルビシン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、LGX818、トラメチニブ、パゾパニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、レンバチニブ、から選択される標的療法のための薬剤、又は例えばインターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターフェロン-α、又はPD-1若しくはPD-L1遮断薬、例えばペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブから選択されるもの、又はホルモン治療のための薬剤、例えば黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(例えばロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン)若しくはアンタゴニスト(例えばデガレリクス若しくはCYP17阻害剤)、抗アンドロゲン(例えばフルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)若しくはエストロゲン若しくはケトコナゾールから選択される免疫療法のための薬剤、の1つ以上の薬剤を対象に投与することを含み得る。
【0347】
あるいは、更なる診断手順、例えばCTスキャン(又は前立腺癌の場合にはPSA試験)を実施するステップを更に含む、本発明の方法が提供される。
【0348】
したがって、いくつかの実施形態では、癌を処置するステップを更に含む、本発明の方法(例えば、検診方法又は診断方法)は、化学療法剤、標的療法のための薬剤、又は免疫療法のための薬剤、又はホルモン療法のための薬剤、又はある用量の放射線療法、又はある用量の寒冷療法からなる群から選択される治療有効量の1つ以上の薬剤を対象に投与することを含み得る。
【0349】
いくつかの実施形態では、試料中の1つ以上のGAG特性のレベル、又はこれらのレベルに基づくスコアが、対照レベル又はスコア(又はカットオフレベル)と比較して特定の程度変化している場合、治療有効量の医薬品(例えば、上記のような化学療法剤など)を患者に投与する更なるステップが行われ、かつ/又は手術が行われる。変化の好ましい程度は、本明細書中の他の箇所で議論される。
【0350】
いくつかの実施形態では、対象が既に薬物療法(例えば、化学療法又は上記の他の療法)を受けており、試料中の1つ以上のGAG特性のレベル又はこれらのレベルに基づくスコアが、対照レベルと比較して(例えば、同じ対象について以前に記録されたレベル又はスコアと比較して)特定の程度変化している(又は実際に変化していない)場合、これは、現在の治療剤が有効ではなく、以前の治療剤以外の治療剤を使用すべきであることを示し得る。したがって、対象に以前に投与された治療剤以外の治療有効量の治療剤(例えば、上記の化学療法剤など)を投与するステップが行われ得る。
【0351】
いくつかの実施形態では、本発明の方法が、現在の処置レジメンが無効であることを明らかにする場合、例えば、試料中の1つ以上のGAG特性の連続的若しくは周期的な測定、又はこれらのレベルに基づくスコアが、処置が無効であることを明らかにする場合、治療剤の投薬量を変更する(例えば、増加させる)ステップが行われ得る。
【0352】
より具体的には、例えば、本発明のいくつかのかかる態様では、試料中の1つ以上のGAG特性のレベルを決定することを含む、方法が提供され、1つ以上のレベル又はこれらのレベルに基づくスコアが、適切なカットオフレベル、例えば、癌の陽性診断の精度を最大化するために予め特定されたカットオフレベルよりも大きいと決定された場合、上記方法は、手術を行うか、又は追加の診断手順(例えば、CTスキャン)を行うか、又は癌の治療のために治療有効量の推奨薬剤を投与する更なるステップを含み得る。薬剤は、例えば、標準的な化学療法(例えば、ゲムシタビン、ビンブラスチン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル、又はカペシタビン)、標的療法(チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR経路阻害剤、VEGF経路阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ALK阻害剤、Bcl-2阻害剤、PARP阻害剤、PI3K阻害剤、Braf阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤、Hsp90阻害剤、又はより具体的な例、例えば、イマチニブ、ベムラフェニブ、LGX818、トラメチニブ、パゾパニブ、オラパチニブ、ペリホシン、アパチニブ、ゾプタレリン(zoptarelin)、ドキソルビシン(AN-152)、[D-Lys(6)]-LHRHに結合したドキソルビシン、免疫療法(例えば、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターフェロン-α、又はPD-1若しくはPD-L1遮断薬、例えば、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ)、他のモノクローナル抗体療法(例えば、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ)、又はホルモン療法、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(例えば、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン)若しくはアンタゴニスト(例えば、デガレリクス若しくはCYP17阻害剤)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)又はエストロゲン若しくはケトコナゾールを含み得る。
【0353】
逆に、試料中の1つ以上のGAG特性のレベルを決定することを含む、方法が提供され、1つ以上のレベル又はこれらのレベルに基づくスコアが、適切なカットオフレベル(例えば、癌の陰性診断についての予測値を最大化するために予め特定されたカットオフレベル)より低いと決定される場合、上記方法は、手術を行わないか、又は更なる診断手順(例えば、CTスキャン)を行うか、又は薬剤の現在の投薬量を変更するか、又は癌(例えば、前立腺癌)についての別個の推奨される薬剤の治療有効量を既に使用されているものに投与する更なるステップを含み得る。薬剤は、例えば、標準的な化学療法(例えば、ゲムシタビン、ビンブラスチン、フロクスウリジン、5-フルオロウラシル、又はカペシタビン)、標的療法(チロシンキナーゼ阻害剤、mTOR経路阻害剤、VEGF経路阻害剤、ヤヌスキナーゼ阻害剤、ALK阻害剤、Bcl-2阻害剤、PARP阻害剤、PI3K阻害剤、Braf阻害剤、MEK阻害剤、CDK阻害剤、Hsp90阻害剤、又はより具体的な例、例えば、イマチニブ、ベムラフェニブ、LGX818、トラメチニブ、パゾパニブ、オラパチニブ、ペリホシン、アパチニブ、ゾプタレリン(zoptarelin)、ドキソルビシン(AN-152)、[D-Lys(6)]-LHRHに結合したドキソルビシン、免疫療法(例えば、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターフェロン-α、又はPD-1若しくはPD-L1遮断薬、例えば、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ)、他のモノクローナル抗体療法(例えば、リツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシズマブ)、又はホルモン療法、例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(例えば、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン)若しくはアンタゴニスト(例えば、デガレリクス若しくはCYP17阻害剤)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)又はエストロゲン若しくはケトコナゾールを含み得る。
【0354】
なお更なる態様は、試料中の本明細書に記載されるGAG特性(GAG形態)のうちの1つ以上のレベルを決定するのに適した1つ以上の薬剤を含む、癌を検診するための(例えば、癌の重症度又は予後を診断するための、又は決定するための)キットを提供する。なお更なる態様は、そのレベル及び/又は化学組成が本発明に従って決定されるGAGを含む体液試料を処理するための1つ以上の試薬(又は成分)を含む、癌を検診するための(例えば、癌の重症度又は予後を診断又は決定するための)キットを提供する。好ましい態様では、上記キットは、本明細書に記載される本発明の方法において使用するためのものである。好ましくは、上記キットは、例えば検診(例えば診断)におけるキット構成要素の使用のための説明書を含む。
【0355】
一態様では、本発明は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を検出(又は決定)する方法であって、上記試料が上記対象から得られている、方法を提供する。
【0356】
一態様では、本発明は、グリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を検出(又は決定)する方法を提供し、上記方法は、
(a)ヒト患者から体液試料を得ることと、
(b)上記試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方の無タンパク質画分のレベル及び/又は化学組成を検出(又は決定)することと、を含む。
【0357】
本発明のなお更なる態様は、体液試料中のグリコサミノグリカン(GAG)コンドロイチン硫酸(CS)及びヘパラン硫酸(HS)の一方又は両方のレベル及び/又は化学組成を検出(又は決定)する方法を提供し、
上記試料は、上記対象から得られており、上記レベル及び/又は化学組成を決定する前に処理に供されており、
上記処理は、
(a)上記一方又は両方のGAGを二糖単位に断片化することを含み、
(b)(a)の前に、
(i)上記試料をタンパク質分解剤と接触させること、及び
(ii)上記GAGの負電荷に基づいて、上記試料中の上記一方又は両方のGAGを精製すること、の少なくとも1つを含まない。
【0358】
癌の検診方法(例えば、診断方法、予後診断方法など)に関する、例えば、測定のための好ましいGAG形態又はその組み合わせに関する本明細書の特徴及び考察は、本発明の検出方法に、必要な変更を加えて適用することができる。
【0359】
用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「有する(has)」若しくは「有している(having)」、又は他の同等の用語が本明細書で使用される場合、いくつかのより具体的な実施形態では、これらの用語は、用語「からなる(consists of)」若しくは「から本質的になる(consists essentially of)」、又は他の同等の用語を含む。
【図面の簡単な説明】
【0360】
本発明は、以下の図面を参照して以下の非限定的な実施例を参照して更に説明される。
【0361】
図1A】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1B】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1C】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1D】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1E】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1F】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1G】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図1H】A)異なるステージ/悪性度群にわたる血漿汎癌GAGスコア、並びにB)血漿汎癌GAGスコアについての発見セット(60%試料)及び検証セット(40%試料)におけるROC曲線である。C)-D)尿汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。E)~F)組み合わせ汎癌GAGスコアについてのA)及びB)として示す。G)発見セット及び検証セットにおける、異なるステージ/悪性度群にわたる、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアに対する98%特異性での感受性である。H)発見セット(N=110)における組み合わされたGAGomes上で訓練されたベイズ加法回帰ツリーモデルを使用した検証セット(N=74、5つの癌タイプ)における原発組織(TOO)予測である。凡例:表1参照。
図2】発見コホートにおける原発組織(TOO)分類子の性能である。ボックス内の数は、予測されたTOOに属するものとして分類された試料の数を表す。癌の原発組織を予測する際の全体的及びバランスのとれた精度は、それぞれ77.3%及び81.3%であった。N=110。凡例:表1参照
図3A】GAGスコア値によって「高」対「低」リスクに層別化された癌患者における全生存期間についてのカプラン・マイヤー曲線である。A)血漿スコア。B)尿スコア。C)組み合わせスコア。
図3B】GAGスコア値によって「高」対「低」リスクに層別化された癌患者における全生存期間についてのカプラン・マイヤー曲線である。A)血漿スコア。B)尿スコア。C)組み合わせスコア。
図3C】GAGスコア値によって「高」対「低」リスクに層別化された癌患者における全生存期間についてのカプラン・マイヤー曲線である。A)血漿スコア。B)尿スコア。C)組み合わせスコア。
図4A】A)血漿、B)尿、及びC)最適カットオフを上回る/下回る組み合わせGAGスコアに基づいて、患者が「高」対「低」リスクに層別化される、異なる癌タイプについての全生存についてのカプラン・マイヤー生存曲線である。凡例:BC-乳癌;BCa-膀胱癌;CRC-結腸直腸癌;CST-子宮頸癌;DG-びまん性神経膠腫;EC-子宮内膜癌;GNET-小腸神経内分泌腫瘍;HN-頭頸部癌;LL-B細胞白血病;NHL-非濾胞性リンパ腫;NSCLC-非小細胞肺癌;OC-卵巣癌;PCa-前立腺癌;RCC-腎細胞癌。
図4B】A)血漿、B)尿、及びC)最適カットオフを上回る/下回る組み合わせGAGスコアに基づいて、患者が「高」対「低」リスクに層別化される、異なる癌タイプについての全生存についてのカプラン・マイヤー生存曲線である。凡例:BC-乳癌;BCa-膀胱癌;CRC-結腸直腸癌;CST-子宮頸癌;DG-びまん性神経膠腫;EC-子宮内膜癌;GNET-小腸神経内分泌腫瘍;HN-頭頸部癌;LL-B細胞白血病;NHL-非濾胞性リンパ腫;NSCLC-非小細胞肺癌;OC-卵巣癌;PCa-前立腺癌;RCC-腎細胞癌。
図4C】A)血漿、B)尿、及びC)最適カットオフを上回る/下回る組み合わせGAGスコアに基づいて、患者が「高」対「低」リスクに層別化される、異なる癌タイプについての全生存についてのカプラン・マイヤー生存曲線である。凡例:BC-乳癌;BCa-膀胱癌;CRC-結腸直腸癌;CST-子宮頸癌;DG-びまん性神経膠腫;EC-子宮内膜癌;GNET-小腸神経内分泌腫瘍;HN-頭頸部癌;LL-B細胞白血病;NHL-非濾胞性リンパ腫;NSCLC-非小細胞肺癌;OC-卵巣癌;PCa-前立腺癌;RCC-腎細胞癌。
図5A】マウスにおける癌進行中の生体液グリコサミノグリカンの変化である。A)実験計画。B)癌進行の異なる時点での血漿中(左側パネル)及び尿中(右側パネル)GAGomesの主成分分析。C)癌進行の異なる時点での個々のマウス当たりのそれぞれ血漿及び尿0s CSの長期的レベル。
図5B】マウスにおける癌進行中の生体液グリコサミノグリカンの変化である。A)実験計画。B)癌進行の異なる時点での血漿中(左側パネル)及び尿中(右側パネル)GAGomesの主成分分析。C)癌進行の異なる時点での個々のマウス当たりのそれぞれ血漿及び尿0s CSの長期的レベル。
図5C】マウスにおける癌進行中の生体液グリコサミノグリカンの変化である。A)実験計画。B)癌進行の異なる時点での血漿中(左側パネル)及び尿中(右側パネル)GAGomesの主成分分析。C)癌進行の異なる時点での個々のマウス当たりのそれぞれ血漿及び尿0s CSの長期的レベル。
図6A】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
図6B】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
図6C】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
図6D】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
図6E】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
図6F】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
図6G】実施例2の血漿、尿、及び組み合わせた汎癌GAGスコアである。A)、B)、C)それぞれ異なるステージ/悪性度群にわたる血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコア。クロスバーは、中央値及び25/75分位数を示す。D)血漿、尿及び組み合わせたGAGスコアについてのROC曲線。E)、F)、G)それぞれ、「低」(未検出)対「高」(検出)汎癌血漿(E)、尿(F)、及び組み合わせ(G)GAGスコア値の群に層別化された全ての癌患者にわたる全生存についてのカプラン・マイヤー曲線。各スコアについて、95%特異性でのカットオフより高いスコアを有する患者を、「高」対「低」群に割り当てた。パネルは、各群のリスクがある数を示す。血漿汎癌GAGスコア(カットオフスコア=1.259、HR=0.61[95%CI=0.44~0.85]、p=0.0031。N=370、13種の癌)、尿(カットオフスコア=0.255、HR=0.50[95%CI=0.25~0.98]、p=0.0441。N=162、4つの癌タイプ)。組み合わせ(カットオフスコア=0.662、HR=0.86[95%CI=0.50~1.49]、p=0.595)。N=152、4つの癌タイプ)。凡例:S1=ステージI/低悪性度、S2=ステージII、S3=ステージIII、S4=ステージIV/高悪性度、H=健常。
【0362】
実施例1
序論
本発明者らは、合計979人の尿及び/又は血漿癌対健常対象における14種の早期検出のための癌代謝のバイオマーカーとして、硫酸コンドロイチン(CS)、硫酸ヘパラン(HS)、及びヒアルロン酸(HA)二糖の群を含む、尿及び/又は血漿グリコサミノグリカン(GAG)プロファイル又はGAGomesを調査した。この試験では、血漿及び尿試料の無タンパク質画分のGAGomesを試験した。本発明者らは、癌進行のインビボモデルにおいて再現された生物流体GAGomesにおける広範な癌特異的変化を観察した。本発明者らは、98%の特異性、最大40.5%の感受性で任意のステージ、任意のタイプの癌を検出し、74%の精度で原発組織を予測し、全生存と独立して相関する機械学習モデルを開発した。全体として、GAGomesは、液体生検のための新しい道筋を表す、癌のための強力かつ多用途の代謝バイオマーカーであった。
【0363】
試験計画及びGAGome測定
試験計画及び患者募集
計画は、後ろ向きコホートと前向きコホートを混合した症例対照試験とした。試験集団には、確認された癌診断を有する患者(14種の癌タイプにわたって癌の病歴がない、活動性疾患[治療未経験又は転移性疾患])として定義される症例と、自己評価された健常対象(非常に良好で、癌の病歴も既知の家族歴もないものに調整した)及び結腸直腸癌が最初に疑われた癌のない患者として定義される対照とを含めた。
【0364】
血漿試料を有する後ろ向きコホートは、乳管浸潤性癌(BC)、結腸直腸癌(CRC)、子宮頸部扁平上皮癌(CST)、びまん性神経膠腫(DG)、小腸神経内分泌腫瘍(GNET)、子宮内膜腺癌(EC)、慢性リンパ性白血病(LL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(NHL)、非小細胞肺癌(NSCLC)、卵巣上皮癌(OV)及び前立腺腺癌(PCa)を有する患者、並びに追加の対照群として最初にCRCが疑われた癌のない患者から得た。包含基準は以下のとおりとした:症例-上述の癌タイプのいずれかの癌と診断、・サンプリング時の活動性疾患[治療未経験又は転移性疾患]、サンプリング時に18歳超、対照-最初にCRCが疑われ、最終診断時に癌がない患者、サンプリング時に18歳超、除外基準は以下のとおりとした:非基底細胞癌の病歴、CRC(2012)及びLL(2014)を除く全ての診断群について2015年より前に収集された試料。患者は、適格性基準に基づく無作為選択によって後ろ向きに同定され、その結果、癌タイプ当たり14~40人の患者が含まれ、そのうち50%が早期/低悪性度であり、50%が後期/高悪性度であった(以下に定義される)。
【0365】
血漿及び尿試料を有する前向きコホートを、膀胱癌(BCa)、NSCLC、頭頸部扁平上皮癌(HN)、腎細胞癌(RCC)、PCaを有する患者及び健常対照から得た。適格性基準は、以下のとおりとした:
NSCLC及びHNの場合:
包含:ECOGパフォーマンスステータス0~2、非小細胞肺癌又は頭頸部扁平上皮細胞癌の診断、転移性疾患、2ヶ月にわたる予測寿命、インフォームドコンセント、
及び除外:サンプリングを受け入れるための適切なコンプライアンスの欠如、PCaの場合:
包含:前立腺癌のためのロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術の委託、利用可能な臨床診断における血清PSA、利用可能な経直腸超音波検査ガイド下生検レポート、全てのプロトコル手順及びインフォームドコンセントを受けるのに適していること、除外基準:なし、RCCの場合:
包含:腎細胞癌の疑いのための部分的又は根治的腎摘出の委託、2ヶ月にわたる予測寿命、包含の12週間前の標準イメージング評価、治療の開始後16週間以内の標準イメージングのために計画、及びインフォームドコンセント、除外:連続サンプリングを受け入れるための適切なコンプライアンスの欠如、BCaの場合:
包含:BCaのための膀胱の経尿道的切除(TURB)の委託、インフォームドコンセント、診断時に利用可能な尿細胞診、全てのプロトコル手順を受けるのに適していること、除外:18歳未満の年齢、膀胱又は前立腺の放射線の履歴、癌の以前の診断、健常対照の場合:
包含:自己評価の健康が少なくとも「中程度」、年齢21~78歳、インフォームドコンセント、全てのプロトコル手順を受けるのに適していること、除外:癌の病歴(非黒色腫皮膚癌を除く)、一親等の間の癌の家族歴、及び男性については、過去5年以内又は登録時に総血清PSA≧0.5 ng/mL。
【0366】
全ての症例について、年齢、性別、適格性基準、並びに死亡又は最後の既知の生存の日付、診断、及び腫瘍悪性度又はステージに関連する臨床データを、症例群では患者の日誌から、健常対照群ではアンケートを通して検索した。症例を癌タイプ及びステージ/悪性度によって群分けした。具体的には、本発明者らは、以下のように、症例を初期/低悪性度対ステージIV/高悪性度として分類した:BC、CRC、NSCLC、RCC、BCa、HNにおける、TNM I~III対TNM IV、GNETにおける、G1(有糸分裂数(10 HPF)<2及びKi67<2)対G2(有糸分裂数(10 HPF)2~20及びKi67 3~20)、DGにおける、低悪性度の神経膠腫対多形神経膠芽腫、CSTにおける、I期対II~IV期、及びEC/OVにおける、I~II期対III~IV期、LLにおける、BinetステージA~B対C、NHLにおける、Anna ArborステージI~II対I II~IV、PCaにおける、病的グリーンソン悪性度<7対>=7。更なるサブセットは、TNM II~III、FIGOステージII、BinetステージB、及びAnn ArborステージIIを除く、全ての初期ステージ/低悪性度を含むステージI/低悪性度、TNM IIステージ、FIGOステージII、BinetステージB、及びAnn ArborステージIIを含むステージII、TNM III、FIGOステージIII、及びAnn ArborステージIIIを含むステージIII、とした。
【0367】
全ての参加者は、倫理委員会が承認したプロトコルの下で、募集サイトにおいてインフォームドコンセントを提供した。
【0368】
本発明者らは、14タイプにわたる合計553人の癌患者(N=14~104、タイプごとの中央値=28)と、多施設国際コホートにわたる同様の人口統計特性を有する426人の健常対象とを含む症例対照試験を行った。全癌患者の34パーセントがステージI/低悪性度に分類された(全タイプにわたって6%~66%、タイプごとの中央値=41%)。患者の特徴を表1にまとめる。
【0369】
【表1】
【0370】
本発明者らは、標準化されたUHPLC-MS/MS法を用いて、単一の盲検化された実験室において、血漿中及び尿中のGAGomesを測定した(D.Tamburro,S.Bratulic,S.A.Shameh,N.K.Soni,A.Bacconi,F.Maccari,F.Galeotti,K.Mattsson,N.Volpi,J.Nielsen,F.Gatto,bioRxiv,in press,doi:10.1101/2021.02.04.429694)。所与の流体について、GAGomeは、コンドロイチン硫酸(CS)、ヘパラン硫酸(HS)及びヒアルロン酸(HA)の全ての二糖形態の濃度に加えて、CS及びHS電荷並びにCS及びHS総濃度などの依存性特性を合計39の特徴について含んていだ。試料収集、処理及びGAG測定の詳細を以下に示す。
【0371】
試料収集
全てのコホートにわたって、本発明者らは、合計942個の血漿試料及び560個の尿を成功裡に分析し、症例群については、14個の癌タイプにおける517個の血漿試料及び5個の癌タイプにおける220個の尿試料、並びに対照群については、425個の血漿試料及び340個の尿試料になるよう分割した。184症例(5つの癌タイプ)及び339人の健康な対照のサブセットは、適合した血漿及び尿試料を有していた。全ての試料は、バイオバンキングのための適用可能な国の法律に従って、非特定化され、登録された。
【0372】
全血試料を室温でK2 EDTA被覆チューブに採取し、15分以内に処理した。概して、チューブを遠心分離し(2500 RCF、4℃で15分間)、血漿を抽出し、ドライアイス中で輸送するまで、-80℃で保存するために別のクライオバイアルに回収した。健康な対照コホートにおいて、血漿遠心分離は、1100~1300 RCF、室温で10~20分間であった。後ろ向きコホートにおいて、血漿遠心分離は、2400 RCF、室温で7分間であった。BCaコホートにおいて、血漿遠心分離は、2000 RCF、室温で10分間であった。尿は、ポリプロピレンカップ中の任意のボイドスポット収集物であり、ドライアイス中で輸送するまで、-20℃で保存するために100~220μLをクライオバイアルに分注した。BCaコホートでは、尿も2,000 RCF、室温で5分間遠心分離した。試料収集における差異は、施設にわたる試料のロボット収集における異なるプロトコルに起因するものであり、GAG測定に対して顕著な効果を与えることは予想されない(データは示さず)。
【0373】
試料の処理並びにGAGの測定及び分析
尿及び血漿試料を処理して、分析用のGAG二糖を得た。
【0374】
Elypta MIRAM(商標)Glycosaminoglycan Kitの使用説明書に従って、三連四重極質量分析と連結した超高速液体クロマトグラフィの前にGAGの処理を行った。使用した全ての試薬及び消耗品はキットに入っていた。この方法は、Volpi et al.(Nature Protocols,9,541-558(2014))によるグルコサミノグリカン(GAG)抽出及び検出のための以前に確立されたプロトコルに基づくものであった。簡単に説明すると、この方法は、コンドロイチナーゼABC及びヘパリナーゼI-II-IIIを使用して、試料中のGAGを二糖に解重合する酵素消化アッセイからなる。非特異的プロテアーゼの使用が生物学的流体分析のために推奨されるボルピらと比較して、本試験において使用される方法は、プロテアーゼの添加を省略し、したがって、分析は、GAGsの無タンパク質画分に限定されたことに留意されたい。Volpiらと比較して、本試験で使用された方法は、アニオン交換樹脂を使用してGAGを精製するステップを省略したことに留意されたい。
【0375】
本発明者らは、アニオン交換樹脂の非使用が非使用に対して、試料からのGAGの抽出収率を増加させたことを検証した。本発明者らは、9個のRCC及び9個の健常尿試料を、アニオン交換樹脂を使用してGAGを精製するステップを用いて調製し(N樹脂=18)、6個のRCC及び6個の健常尿試料を、そのステップを省略して調製した(N樹脂なし=12)実験を行った。多変量線形回帰において、本発明者らは、アニオン交換樹脂の省略が、RCC 対 健康な状態と無関係に、総CS濃度の2.4倍の増加p=0.0004)、0s CSの濃度の1.9倍の増加(p=0.04)、4s CSの濃度の2.6倍の増加(p=0.00003)、及び6s CSの濃度の3.0倍の増加(p=0.000003)に関連すると推定した。これは、アニオン交換樹脂を使用するGAGの精製が、特に硫酸化GAG二糖の抽出に関して、アニオン交換樹脂の使用を省略した試料の直接酵素消化よりもGAG抽出収率に関して有効性が低いことを示唆した。
【0376】
続いて、2-アミノアクリドンを用いてGAG二糖を標識した。
【0377】
次いで、処理された試料を、二糖分離及び検出のために、エレクトロスプレーイオン化三連四重極質量分析システム(ESI-MS/MS、Waters(登録商標)6 Acquity I-class Plus Xevo TQ-S micro)と連結した超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)に注入した。質量分析ソフトウェア(Waters(登録商標)9 TargetLynx)で実行される多重反応モニタリング(MRM)分析を使用して、6つの遷移にわたって予め指定された保持時間で、17個のGAG二糖(以下に列挙)のピークを取得した。本発明者らは、ピーク積分、較正曲線の構築、及び定量化のために質量分析ソフトウェア(Waters(登録商標)TargetLynx)を使用した。本発明者らは、処理されたデータをExcelフォーマットで結果にエクスポートし、それを二次分析のためにR(4.0.2)にインポートした。
【0378】
測定されたGAGプロファイル(GAGomes)は、硫酸コンドロイチン(CS)及び硫酸ヘパラン(HS)、並びにヒアルロン酸(HA)二糖の8つの異なる硫酸化パターンに対応する17個のGAG二糖の絶対濃度からなっていた。具体的には、本発明者らは、8つのCS二糖(0s CS、2s CS、6s CS、4s CS、2s6s CS、2s4s CS、4s6s CS、Tris CS)及び8つのHS二糖(0s HS、2s HS、6s HS、Ns HS、Ns6s HS、Ns2s HS、2s6s HS、Tris HS)を定量した。GAGomeを、更なる22の依存的特徴:
対応する二糖濃度の合計としての総CS及び総HS濃度、荷電CS及びHS、2つの比(4s CS/0s CS及び6s CS/0s CS)、並びにそれぞれ総CS及びHS濃度によってその絶対濃度を正規化することによる16のCS及びHS二糖の各々の相対濃度(又は質量分率、%)、を含むように拡張した。したがって、所与の来診時に採取された血漿又は尿試料について、GAGomeは39個のGAG特徴からなっていた。
【0379】
任意のステージの癌におけるGAGomes 対 生理的レベル
本発明者らは次に、健常対象群において測定されたその生理学的レベルに対して、各癌タイプにわたるGAGome特徴に差異が存在するかどうかを調べた。この目的のために、本発明者らは、各GAGome特徴を予測因子としての各群と相関させるために、非対称応答モデルを用いたベイズ混合効果線形回帰を使用した。本発明者らは、健常対象にわたる推定レベルを中心とする実用的同等性(ROPE)の領域を定義することによって、GAGome特徴が所与の癌タイプにおける生理学的レベルとは確かに異なると考えた。この分析は、複数の癌にわたって変化したいくつかのGAGome特徴を強調した。最も注目すべきことに、本発明者らは、非硫酸化CS(0s CS)の尿及び血漿濃度のほぼ全般的な増加を観察した。本発明者らは更に、結腸直腸癌(CRC)及び非濾胞性リンパ腫(NHL)における血漿CS電荷低下並びに前立腺癌(PCa)における尿2s6s CS上昇などの、いくつかの癌タイプ特異的GAGome特徴を明らかにした。
【0380】
血漿中では、非硫酸化(0s)CSの増加が14種の癌のうち12種(85%)で観察された。血漿中では、総CSの増加が14種の癌のうち11種(80%)で観察された。血漿中では、4-硫酸化(4s)CSは、尿生殖器(genitourinary)及び気道(respiratory)癌において上昇した(Gen:RCC,BCa,PCa、Resp:HN,NSCLC)。尿中では、非硫酸化(0s)CS及びHSの増加が5つの癌タイプのうち3つ(60%)で観察された。尿中では、総CSの増加が5種の癌のうち4種(80%)で観察された。尿中では、6-硫酸化CS-モノ硫酸化又は二硫酸化(2s6s)のいずれかの増加が、非小細胞肺癌試料中で見出された。
【0381】
以下の表Aは、本試験において分析されたGAGome特徴が、癌において、健常試料(血漿又は尿試料)に対して有意に(ROPE<5%)変化していることを実証する特定のデータを示す。「ROPE_パーセンテージ」列における<0.05の数字は、<5%のROPE値を意味する。「差の列」における正の数は、記載されたGAGome特徴が、癌試料において健常試料に対して増加したことを意味する。「差の列」における負の数は、記載されたGAGome特徴が、癌試料において健常試料に対して減少したことを意味する。「μg.mL」=マイクログラム/mL単位での総GAGクラス濃度。接尾辞「_conc」=絶対濃度(マイクログラム/mL)でのGAGome特徴。接尾辞なし=相対濃度におけるGAGome特徴(関連するGAG群、例えばCSについてのマイクログラム/マイクログラム合計)(「質量分率」ともみなされる-相対濃度も本明細書の他の箇所で説明される)。癌のタイプは、BCa-膀胱癌、BC-胸部浸潤性腺管癌、CST-頸部扁平上皮癌、LL-慢性リンパ性白血病、CRC-結腸直腸癌、EC-子宮内膜癌、DG-びまん性神経膠腫、GNET-胃腸内分泌腫瘍、HN-頭頸部扁平上皮細胞癌、NHL-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、NSCLC-非小細胞肺癌、OV-卵巣癌、PCa-前立腺癌、RCC-腎細胞癌。「95%CI」=癌タイプ対健常における値の差についての95%信頼区間。
【0382】
【表2-1】
【0383】
【表2-2】
【0384】
統計分析及びベイズ推定(ROPE推定)の更なる詳細をここで説明する:本発明者らは、ベイズ推定及び等価検定、BEST(Kruschke,J.Exp Psychol Gen,142,573-603(2013))によってGAG特徴における群差の推定を行った。簡潔には、本発明者らは、各個々の標準化されたGAGome特徴を、混合効果モデルにおける非対称正規分布を有する応答としてモデル化し、ここで、診断は固定効果であり、実験バッチはランダム因子として扱った。本発明者らは、癌タイプと実験バッチとの間の乗法的相互作用として群特異的分散をモデル化した。本発明者らは、全ての予測因子に対して、無情報事前分布(Kruschke,J.Exp Psychol Gen,142,573-603(2013))を使用した。本発明者らは、有効試料サイズ(ESS)>5000であり、潜在的なスケール低減係数R<1.001である場合、ベイズ推定の収束は許容可能であるとみなした。本発明者らは、事後試料を使用して、診断を条件とする各GAGome特徴についての群中央値の95%信頼区間(95%CI)を計算した。次に、本発明者らは、各癌診断対健常の中央値の差について95%信頼区間(95%CI)を計算した。本発明者らは、平均の差の95%CIが0と交差せず、5%以下が0付近の予め指定された実用的同等性(ROPE)区間の領域内に入る場合、GAGome特徴が診断対健康と相関するとみなした。本発明者らは、ROPE境界を全体の標準化平均の0.2と定義した。brms(2.14.4)パッケージを用いてベイズ推定を行った(Burkner,Journal of Statistical Software,80,1-28(2017)、Burkner,The R journal,10,395-411(2018))、及びtidybayes(Matthew Kay,Zenodo,2020、https://zenodo.org/record/4284191)パッケージ(バージョン)in R(4.0.3)。
【0385】
汎癌バイオマーカーとしてのGAGスコアの開発及び検証
全ての癌タイプにおいていくつかの共有されたGAGome特徴及び少なくとも1つの変化したGAGome特徴が存在することを確認したため、本発明者らは、任意のタイプの癌と健康な対照とを確実に区別するために、GAGome特徴の最小セットを同定しようとした。
【0386】
本発明者らは、最初に、データセットを発見(60%)及び検証(40%)セットに分割して、検証セットにおいて各癌タイプについて少なくとも5つの試料が存在することを確認した(表2)。
【0387】
表2
尿のみのGAGome特徴、血漿のみのGAGome特徴、又は尿及び血漿の両方の(「組み合わせ」)GAGome特徴を有する数の試料が、群によって発見対検証セットに割り当てられた。本発明者らは、各試料を発見セット又は検証セットのいずれかにランダムに60%:40%の比率で指定し、各癌タイプについて少なくとも5つの試料が存在するという制約を検証セットに指定した。H-健康、BC-乳癌、BCa-膀胱癌、CRC-結腸直腸癌、CST-子宮頸癌、DG-びまん性神経膠腫、EC-子宮内膜癌、GNET-小腸神経内分泌腫瘍、HN-頭頸部癌、LL-B細胞白血病、NHL-非濾胞性リンパ腫、NSCLC-非小細胞肺癌、OC-卵巣癌、PCa-前立腺癌、RCC腎細胞癌
【0388】
【表3】
【0389】
発見セットを使用して、本発明者らは、射影予測変数選択(Piironen,J.、Paasiniemi,M.及びVehtari,A.Prediction and feature selection,Electronic Journal of Statistics,14,2155-2197(2020))を使用して、尿中、血漿中、及び組み合わせGAGomes中の関連する特徴を独立して選択した。次に、本発明者らは、3つの参照(血漿のみ、尿のみ、及び組み合わせ)ベイズ多変数ロジスティック回帰を、癌(全ての癌タイプを集約)対健康に適合させ、予測因子として検出可能なGAGome特徴を標準化した。血漿のみ及び尿のみのモデルは、それぞれ血漿試料のみ又は尿試料のみにおいて測定されたGAGome特徴の入力として使用されたが、組み合わせモデルは、血漿及び尿GAGome特徴の両方の入力として使用されたことに留意されたい。本発明者らは、全ての予測因子について切片及び係数に対する事前分布として、ヘビーテール標準t分布(df=3)を使用した。本発明者らは、合計4000回の反復(2000回のウォームアップ)に対して4つのチェーンを有するrstanrmパッケージ(2.21.1)を使用してモデルを当てはめた。尿、血漿及び組み合わせの参照モデルのRは、それぞれ0.31、0.45及び0.66であった。
次に、projpredパッケージバージョン2.0.2からのcv_varsel関数を使用して、l1個抜き交差検証前進選択を使用して変数選択を実行した(projpred:Projection Predictive Feature Selection(https://mc-stan.org/projpred/))。本発明者らは、参照モデルとサブモデルとの間の対数予測密度の和の推定差(ELPD)が0(デフォルト)から最大で1標準誤差離れるよう、最小サイズのサブモデルを選択した。必要な場合、本発明者らは、予測因子の数が発見セットにおける癌試料数の1/10を決して超えないように、モデルのサイズを更に制約した。パラメータの最大数に対する制約は、血漿、尿、及び組み合わせについてそれぞれ31、13、11であった。本発明者らは次に、いずれかのデフォルトの提案されたモデルサイズ(血漿、3つの特徴)を用いて、又は尿については13であり、組み合わせモデルについては11である特徴の最大事前指定数に基づいて、サブモデルの最終セットを選択し、射影した。最後に、本発明者らは、選択されたサイズのサブモデルの400個の描画を射影し、線形予測子の描画を使用して応答を予測した(「proj_linpred」関数、全てのパラメータにわたって平均化)。任意の癌対健常対照の対数オッズに対応する応答を、汎癌GAGスコアとして定義する。3つの血漿GAGome特徴のみを入力として使用した場合、GAGスコアは、血漿汎癌GAGスコアである。逆に、13個の尿GAGome特徴を入力として使用した場合、GAGスコアは、尿汎癌GAGスコアである。最後に、11個の組み合わせGAGome特徴を入力として使用した場合、GAGスコアは、組み合わせ汎癌GAGスコアである。
【0390】
血漿スコアのために使用された3つのGAGome特徴は、0s CS(μg/ml)、4s/0s CS及び4s CS(%)であり、全て血漿試料中で測定した。
【0391】
尿スコアに使用された13個のGAGome特徴は、0s HS(μg/ml)、6s CS(%)、Ns HS(μg/ml)、2s6s CS(%)、Ns HS(%)、0s HS(%)、総HS(μg/ml)、4s CS(%)、0s CS(%)、6s/0s CS、2s6s CS(μg/ml)、4s CS(μg/ml)及び総CS(μg/ml)であり、全て尿試料中で測定した。
【0392】
組み合わせスコアに使用した11個のGAGome特徴は、血漿総CS(μg/ml)、尿0s HS(μg/ml)、尿Ns HS(μg/ml)、尿0s CS(%)、血漿4s CS(%)、尿2s6s CS(%)、尿Ns HS(%)、尿0s HS(%)、尿総HS(μg/ml)、尿荷電CS及び血漿0s CS(μg/ml)であった。
【0393】
所与のGAGスコアにおいて、ある特定のGAGome特徴は、対応する係数が、そのGAGスコアにおける全ての他のGAGome特徴の値に対して陽性(陰性)条件である場合、任意のタイプの癌と健常状態に対して陽性(陰性)に関連する。
【0394】
各汎癌GAGスコアについて、本発明者らは、識別の測定基準(受容者動作特性曲線下面積(ROC)、AUCに関して)及び臨床的有用性(98%特異性での感受性)を推定した。98%特異性での感受性の信頼区間を二項近似によって計算した。
【0395】
汎癌GAGスコアは、血漿について、発見においてAUC=0.83(95%CI=0.80~0.86)及び検証においてAUC=0.84(95%CI=0.80~0.88)で(図1A及び図1B)、尿について、発見ではAUC=0.88(95%CI=0.85~0.93)、及び検証では0.82(95%CI=0.76~0.87)で(図1C及び図1D)、並びに血漿と尿との組み合わせについて、発見ではAUC=0.92(95%CI=0.90~0.96)、及び検証では0.86(95%CI=0.81~0.92)(図1E及び図1F)で、任意のタイプの癌を健常対象から区別した。検証セットでは、血漿、尿、組み合わせ汎癌GAGスコアについての任意のステージの癌に対する感受性は、それぞれ、38.6%(95%CI=18.0%~47.8%)、34.6%(95%CI=22.7%~51.1%)、及び40.5%(95%CI=25.7%~54.1%)であった(図1G)。ステージI/低悪性度腫瘍のサブセットにおいて、感受性は、血漿、尿及び組み合わせについてそれぞれ30.9%(95%CI=8.8%~47.1%)、33.3%(95%12.5%~54.2%)、及び33.3%(95%CI=9.5%~61.9%)であった。3つのスコアは全て、検証サブセットにおいてステージI~II及びステージI~IIIに対して同様の感受性を示し、GAGome変化と腫瘍ステージ又は悪性度との間の弱い依存性を明らかにした(図1G)。感受性は、個々の癌タイプにわたって同等であり、乳癌における21%から腎細胞癌における71%の範囲であった。加えて、全てのROC曲線がほぼ対称であったため、感受性が98%に固定される反対のシナリオは、20%~40%の範囲の特異性をもたらした。
【0396】
グリコサミノグリカンは、原発組織を予測することができる
癌のタイプにわたって特徴的なGAGomeパターンが存在することを考慮して、本発明者らは、血漿と尿との組み合わせGAGomesを用いて癌の原発組織(TOO)を同定することができるかどうかを調査した。本発明者らは、コホートの癌サブセットに対して原発組織分析(TOO)を実施し、ここで、TOOを癌タイプとして定義した。本発明者らは、特定のGAG形態を予め選択した(測定濃度中央値は0.1μg/mLより高かった)。本発明者らは、多項ベイズ加法回帰ツリー(BART)(R.Sparapaniら、Journal of Statistical Software.97,1-66(2021))を発見セット中の癌試料に対して訓練し(60%、5つの癌タイプにわたってN=110)、そこでは癌タイプが応答であり、予め選択されたGAGが予測因子であった。本発明者らは、予測カテゴリーとして、最も高い平均事後確率を有するカテゴリーを割り当てた(図2)。本発明者らは、検証セットに対する予測精度を検証した(残り40%、N=74)。精度の信頼区間及びバランスのとれた精度は、正規近似を使用して5000回のブートストラップ反復によって計算した。検証セットにおいて、分類のバランスのとれた精度は74.3%(95%CI=68.1%~80.3%)であった(図1H)。腫瘍を気道(NSCLC及びHN)対尿生殖器(RCC、PCa及びBCa)に群分けした場合、TOOを予測する精度は89.2%(95%CI:82.2%~96.4%)であった。
【0397】
汎癌GAGスコアは、全生存期間の独立した予測因子であった
癌におけるGAGome特徴の変化が攻撃的な腫瘍生物学を示唆するかどうかを評価するために、本発明者らは、各汎癌GAGスコアを全生存(OS)と相関させた。試料採取日から、経過観察期間の中央値は、血漿コホートにおいて17ヶ月(13の癌タイプにわたってN=370、範囲:タイプごとに14~47、N死亡=82、範囲:タイプごとに1~18)及び尿コホートにおいて15か月(4つの癌タイプにわたってN=162、範囲:タイプごとに17~50。N死亡=33、範囲:タイプごとに4~13)であった。多変量Cox回帰では、血漿及び尿汎癌GAGスコアの両方は、癌の種類、年齢、性別、及び後期/高悪性度対初期/低悪性度疾患について調整した後、OSの独立予測因子であった(それぞれ、HR=1.30、95%CI:1.08~1.57、p=0.006及びHR=1.53、95%CI:1.07~2.18、p=0.019)。
【0398】
次に、本発明者らは、最大限に選択されたランク統計(p<0.01)を使用して、血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアについての最適化されたカットオフを決定し、それにより、患者を、それらの個々のスコアがカットオフを上回るか又は下回るかに応じて、「高」対「低」リスク群に二分した。3つのスコア全てについて、リスク群は、癌タイプ全体にわたって及び癌タイプ内でOSと相関した(血漿において、HR=1.87(95%CI=1.36~2.57)、p<0.00013、図3A及び4A)。HR=2.50(95%CI=1.50~4.16)、尿中p<0.005、図3B及び4B。HR=2.66(95%CI=1.60~4.44)、合わせた場合p<0.000168、図3C及び4C)。これらの知見は、GAGome変化を攻撃的癌表現型と関連付ける。
【0399】
癌進行のインビボモデルにおけるGAGomes動態
本発明者らは、これまで任意のタイプの癌に起因するとされていたGAGomesにおける変化が、実際に癌の発症及び進行にインビボで機構的に関連しているかどうかを検証しようとした。本発明者らは、Renca腎腺癌が0日目(D0)に同所的に誘導されたBALB/c(BA LB/CaNNCrl)マウスにおいて尿及び血漿中GAGomesの長期的測定を実施した(10個の代謝ケージにおいてN=20、図5A)。腫瘍を有する腎臓を7日目に切除し、マウスを20日目に屠殺した。このモデルは、手術後の限局性再発から転移性再発への癌進行を再現するので、選択された(P.Sobczuk,et al..,Transl Oncol.13,100745(2020))。主成分分析(PCA)において、本発明者らは、ベースライン(0日目)から局所増殖(6日目)、術後切除(8日目)、転移(20日目)への進行と一致する、血漿中GAGomesの変化及びより少ない程度で尿GAGomes中の変化を観察した(図5B)。ヒト癌試料中で、上記で観察されたパターンと一致して、本発明者らは、血漿及び尿の両方において、時点にわたる非硫酸化CS(0s CS)の信頼できる線形増加を報告した(転移対ベースラインにおける%変化=血漿において148%[95%信頼区間:+91%、+231%]及び尿において116%[95%信頼区間:+39%、+211%]、図5C)。これは、汎癌GAGスコアにおいて捕捉されたGAGome変化が、癌の開始及び進行と因果関係があることを示唆している。
【0400】
マウス試験に関する更なる詳細は、以下のとおりである。
要するに、28匹の雌BALB/c(BA LB/CaNNCrl)マウス(受容時に5~6週齢)を、実験-3において対照として使用した。0日目(D0)に、麻酔下で25匹の雌BALB/cマウスに同所性にRenCa腫瘍を誘導した。簡単に説明すると、無菌条件下で正中切開により動物の腹部を開いた。25μLのRoswell Park Memorial Institute(RPMI)培地中の5×106マウス腎腺癌(RenCa)腫瘍細胞(American Type Culture Collection,USA)を、左腎の被膜下空間にゆっくり注射した。7日目(D7)に、マウスの腹部を開き、注射されたRenCa細胞を含有する腎臓を切除した。
【0401】
各時点で20匹のマウスから血液を採取した。慈悲深い終末による離脱分を置き換えた。血液(50μL/試料)を頸静脈穿刺によってK2 EDTAチューブに採取した。終末手順として、深イソフルランガス麻酔下で心臓内血液採取を行った。以下の、D-1(生着の24時間前)、D6(腎臓切除の24時間前)、D8(腎臓切除の24時間後)及びD20(マウスの終末の日)の時点で、動物から血液を採取した。したがって、各マウスは最大4つの血漿試料を生成した。血液を、抗凝固剤(K2 EDTA)を入れた収集チューブに採取した。チューブを遠心分離(2000 g、10分、室温)して血漿を得た。血漿試料を、輸送まで、-20℃でプロピレンチューブに保存した。
【0402】
10個の代謝ケージに分けた20匹のマウスから尿を採取した。悲深い終末による離脱分を置き換えた。ケージ当たり2匹のマウスのプールされた尿の採取のために、動物を代謝ケージ内に、+4℃で24時間閉じ込めた。以下の、D-2~D-1(OT生着の24時間前)、D5~D6(腎臓切除の24時間前)、D 7~D 8(腎臓切除の24時間後)及びD19~D20(マウス終了の24時間前)の時点で、全ての尿を動物から採取し、プロピレンチューブに回収し、出荷まで、-20℃で保存した。2匹のマウスの各群は、4つの尿試料を生成した。全ての生存マウスを、上記のように20日目に終了させた。
【0403】
考察
生理的レベルと比較して、本発明者らは、癌患者のGAGomesにおいて広範な変化を観察した。かかる変化は、ステージIで既に観察された。非硫酸化CSの上昇が特に注目された。これらの傾向は、インビボマウスモデルにおいて再現され、開始直後にそれらを癌に因果的に関連付けた。疾患における生物流体GAGomesを調査した小規模な試験はほとんどなかった。これらの中で、呼吸不全及び敗血症性ショックは、これらの状態がそれぞれ肺及び腎臓のGAGリッチ内皮グリコカリックスに直接影響するという事実にもかかわらず、血漿又は尿の非硫酸化CSを顕著に変化させなかった。まとめると、これは、非硫酸化CSの増加について腫瘍関連原発を示唆する。
【0404】
ここで、本発明者らは、癌に起因するGAGome変化を利用して、複数のタイプを検出するための液体生検試験を計画した。潜在的な変化の全体像を調査するゲノミクス及びプロテオミクスベースの検出アッセイとは異なり、患者のGAGomesは、比較的小さな特徴セットを構成する。GAGome特徴は、初期のステージから癌の空間的及び時間的状態についての意味のある情報を抽出することができた。実用的な観点から、これは、比較的低いアッセイ複雑性したがって低いコスト、検診などの大量設定におけるより実現可能な実施、及びロバストな予測性能をもたらす。汎癌GAGスコアを使用して、ステージI/低悪性度腫瘍に対する感受性は、98%の特異性で31%~33%の範囲であり、最近報告されたゲノミクスベースのアッセイに匹敵するか又はそれより優れていた。注目すべきことに、これらのゲノミクスに基づくアッセイは、例えば尿生殖器及び脳腫瘍などの無細胞cDNAをほとんど放出しない癌ではうまく機能しないが、本発明者らは、低悪性度及び高悪性度の神経膠腫を含む試験した全ての癌タイプ及び腎細胞癌腫においてGAGomesが変化していることを観察した。
【0405】
GAGomesの代謝的性質及び初期段階でいくつかの癌タイプを検出する能力は、それらを非常に有用なものにし、それらを初回通過スタンドアロン試験に、又はマルチ癌検診設定における組み合わせ試験として適したものにする。
【0406】
実施例2
試験計画、患者募集、試験集団特性、試料収集及び試料処理、並びにGAGome測定(GAG測定)は、実施例1に提示したものと本質的に同じであった。主な違いを以下に概説する。
【0407】
試料
全てのコホートにわたって、本発明者らは、合計969個の血漿試料及び560個の尿を成功裡に分析し、症例群については、14個の癌タイプにおける517個の血漿試料及び5個の癌タイプにおける220個の尿試料、並びに対照群については、452個の血漿試料及び340個の尿試料になるよう分割した。184人の症例(5つの癌タイプ)及び339人の健常対照のサブセットは、利用可能な血漿及び尿試料を有していた。
【0408】
汎癌GAGスコアの発生
本発明者らは、癌対象と健常対象との間の識別に情報を与える、GAGome特徴(本明細書においてGAG特徴又はGAG特性とも称される)の最小サブセットを同定することを目的とした。この目的のために、本発明者らは、射影予測変数選択を使用して、尿中、血漿中、及び組み合わせGAGomes中の関連する特徴を独立して選択した。次に、本発明者らは、3つの参照(血漿のみ、尿のみ、及び組み合わせ)ベイズ多変数ロジスティック回帰を、癌(全ての癌タイプを集約)対 健康に適合させ、予測因子として検出可能なGAGome特徴を標準化した。本発明者らは、全ての予測因子について切片及び係数に対する事前分布として、ヘビーテール標準t分布(df=3)を使用した。本発明者らは、合計4000回の反復(2000回のウォームアップ)に対して4つのチェーンを有するrstanrmパッケージ(2.21.1)を使用してモデルを適合させた。
【0409】
次に、本発明者らは、projpredパッケージバージョン2.0.223,24,39(Kruschke,J.Exp Psychol Gen,142,573-603(2013))からのcv_varsel関数を使用して、l1個抜き交差検証前進選択を使用して変数選択を行った。本発明者らは、参照モデルとサブモデルとの間の対数予測密度の和(ELPD)の推定差が0(デフォルト)から最大で1標準誤差離れるよう、最小サイズのサブモデルを選択した。必要な場合、本発明者らは、予測因子の数が訓練コホートにおける癌試料数の1/10を決して超えないように、モデルのサイズを更に制約した。次いで、本発明者らは、デフォルト提案モデルサイズ(血漿は3特徴、尿は13特徴、組み合わせは-14特徴)を有するサブモデルの最終セットを選択し、射影した。
【0410】
最後に、各モデルについて、選択されたサイズのサブモデルの400個の描画を射影し、線形予測子(全てのパラメータにわたって平均化されたproj_linpred関数)の描画を使用して応答を予測した。汎癌GAGスコアと呼ばれる応答の効果の大きさを、任意のタイプの癌の対数オッズとして予測した。95%特異性での感受性の信頼区間を二項近似によって計算した。
【0411】
3つの血漿GAGome特徴を入力として使用した場合、GAGスコアは、血漿汎癌GAGスコアである。逆に、13個の尿GAGome特徴を入力として使用した場合、GAGスコアは、尿汎癌GAGスコアである。最後に、14個の組み合わせGAGome特徴を入力として使用した場合、GAGスコアは、組み合わせ汎癌GAGスコアである。
【0412】
血漿スコアに使用した3つのGAGome特徴は、0s CS[ug/mL]、4s CS[%]及び4s/0s CSであり、全て血漿試料中で測定した。
【0413】
尿スコアに使用した13個のGAGome特徴は、0s HS[μg/mL]、6s CS[%]、Ns HS[%]、0s HS[%]、2s6s CS[%]、総HS[μg/mL]、4s CS[%]、0s CS[%]、6s/0s CS、4s CS[μg/mL]、6s CS[μg/mL]、総CS[μg/mL]及び0s CS[μg/mL]であり、全て尿試料中で測定した。
【0414】
組み合わせスコアに使用した14個のGAGome特徴は、総CS血漿[ug/mL]、0s HS尿[ug/mL]、Ns HS尿[%]、0s CS尿[%]、4s/0s CS血漿、Charge CS尿[-]、0s HS尿[%]、4s CS尿[ug/mL]、総CS尿[ug/mL]、6s/0s CS尿、0s CS尿[ug/mL]、4s CS尿[%]、6s CS尿[%]及び6s CS尿[ug/mL]であった。
【0415】
汎癌GAGスコアでの結果
各汎癌GAGスコアについて、本発明者らは、識別の測定基準(受容者動作特性曲線下面積(ROC)、AUCに関して)及び臨床的有用性(95%特異性での感受性)を推定した。汎癌GAGスコアは、血漿についてはAUC=0.83(95%CI=0.8~0.86)(図6A及びD)、尿についてはAUC=0.88(95%CI=0.85~0.91)(図6B及びD)、並びに血漿及び尿の組み合わせについてはAUC=0.93(95%CI=0.9~0.95)(図6C及びD)で、任意のタイプの癌を健康な対象から区別した。血漿、尿、及び組み合わせ汎癌GAGスコアについての任意のステージの癌に対する感受性は、それぞれ、95%の特異性で46.2%(95%CI=41.9%~50.6%)、66.8%(95%CI=60.2%~73.0%)、及び65.8%(95%CI=58.4%~72.6%)であった。ステージI/低悪性度疾患のサブセットでは、95%特異性での感受性は、血漿、尿及び組み合わせスコアについてそれぞれ41.6%(95%CI=34.2%~49.2%)、62.3%(95%CI=47.9%~75.2%)及び61.4%(95%CI=45.5%~75.6%)であった。99%の特異性では、感受性は、血漿、尿、及び組み合わせスコアについてそれぞれ25.7%、25.0%、及び35.3%であった。3つのスコアは全て、遊離GAGome変化と腫瘍ステージ又は悪性度との間の弱い依存性を示し、ステージI~II及び更にステージI~IIIにおいてわずかな感受性の増加を示した。全体として、本発明者らは、個々の癌タイプにわたって各スコアの同様の感受性を観察した。検出された上位のタイプは、血漿汎癌GAGスコア(範囲:膀胱癌における23.4%からNHL、LL、及びCRCにおける66.7%まで)についてはNHL、CRC、及び慢性リンパ球性白血病(LL)であり、並びに尿又は組み合わせスコア(範囲:頭頸部扁平上皮癌における47.1%からRCCにおける82.4%~84.6%まで、それぞれ尿及び組み合わせ)についてはRCC及び非小細胞肺癌(NSCLC)であった。以下の個々のタイプの癌、NHL、LL、DG、CRC、EC、NSCLC、OV、CST、BC、GNET、RCC、HN、PCa及びBCa(略語は、本明細書の他の箇所、例えば、実施例1)はまた、血漿スコアを使用して個々に分析され、個々の癌タイプの各々について、中央値血漿スコアが健常試料と比較して明らかに変化した(増加した)ことが見出された(データは示さず)。以下の個々のタイプの癌、RCC、PCa、NSCLC、HN、BCaはまた、尿スコアを使用して個々に分析され、個々の癌タイプの各々について、尿スコア中央値が健常試料と比較して明らかに変化した(増加した)ことが見出された(データは示さず)。以下の個々のタイプの癌、RCC、PCa、NSCLC、HN、BCaはまた、組み合わせスコアを使用して個々に分析され、個々の癌タイプのそれぞれについて、組み合わせスコア中央値が健常試料と比較して明らかに変化した(増加した)ことが見出された(データは示さず)。まとめると、これらの知見は、遊離GAGomesが、初期及び後期の癌にわたって生理的レベルから有意に変化しており、複数癌早期検出に有用であることを示す。
【0416】
汎癌GAGスコアの内部検証
本発明者らは、ブートストラップによる選択手順を検証した。この目的のために、本発明者らは、血漿について500回のブートストラップを分析し、尿及び組み合わせデータセットについて1000回のブートストラップを分析した。各ブートストラップにおいて、本発明者らは、まず、参照ロジスティックベイズ回帰モデルを当てはめる。本発明者らは、上記と同じ事前分布及び当てはめパラメータを使用した(df=3を有するt分布事前分布、2000のウォームアップ試料で4000回の反復)。第2に、本発明者らは、leave-one-out1個抜き交差検証を使用して射影予測変数選択を実行した。射影は400個の試料を使用し、射影されたモデルサイズはELPDによって自動的に決定されるか、又は元のデータセットにおける症例数の1/10に設定された。最後に、本発明者らは、3つのデータセット:ブートストラップ、評価データセット(ブートストラップから除外された試料)及び元のデータセットに対する線形予測因子の描画を使用して、応答(任意のタイプの癌の対数オッズ)を予測した。本発明者らは、選択されたモデルサイズ、AUC、95%特異性での感受性、並びにブートストラップされた元のデータセット及び評価データセットに対する完全モデル及び射影モデルについての伸縮されたBrier測定基準を記録した。
【0417】
汎癌GAGスコアと全生存期間との間の相関
癌と関連するGAGome特徴の変化が攻撃的な腫瘍生物学を示唆するかどうかを評価するために、本発明者らは、各汎癌GAGスコアを全生存(OS)と相関させた。試料採取日から、経過観察期間の中央値は、血漿コホートにおいて17ヶ月(13個の癌タイプにわたってN=370、範囲:タイプごとに14~47、N死亡=82、範囲:タイプごとに1~18)、尿コホートにおいて15か月(4つの癌タイプにわたってN=162、範囲:タイプごとに17~50)、N死亡=33、範囲:タイプごとに4~13)、及び組み合わせコホートにおいて15か月(4つの癌タイプにわたってN=152、範囲:タイプごとに17~50、N死亡=33、範囲:タイプごとに4~13)であった。多変量コックス回帰において、血漿、並びに尿及び組み合わせ汎癌GAGスコアは、癌の種類、年齢、性別、及びステージIV/高悪性度疾患について調整後の、OSの独立した予測因子であった(血漿について、ハザード比[HR]=1.29、95%CI:1.06~1.56、p=0.0009、尿について、HR=1.79、95%CI:1.27~2.53、p=0.0009、組み合わせについて、HR=1.91、95%CI:1.33~1.73、p=0.0004)。これらの知見は、GAGome変化を侵襲性癌表現型と関連付ける。更に、それらは、95%特異性カットオフ未満のスコアを有する患者、言い換えれば、汎癌GAGスコアを使用した場合に未検出の患者が、より良好な予後を有し得ることを示唆した。各スコアについてこれを検証するために、本発明者らは、患者を、それらの個々のスコアがスコア特異的95%特異性カットオフを上回るか下回るかに応じて「高」群対「低」群に二分した。血漿及び尿GAGスコアについて、カプラン・マイヤー生存分析は、「低」リスク(未検出)患者が、「高」リスク(検出)患者よりも39%~50%低い死亡リスクを有することを示唆した(未調整HR=0.61(95%CI=0.44~0.85)、血漿中p=0.0031。図6E;HR=0.50(95%CI=0.25~0.98)、尿中p=0.0441(図6F)。群間の生存差についての結果を、組み合わせGAGスコアについて図6Gに示す(未調整HR=0.86(95%CI=0.50~1.49)、p=0.595、図6G)。重要なことに、本発明者らは、ステージI~III/低悪性度サブセット並びにステージIV/高悪性度サブセットの両方において死亡のリスクがより低いことを観察し、これは、遊離GAGomesと予後との間の独立した相関関係を示唆するものであった。最大限に選択されたランク統計を使用して最適化された「高」対「低」リスクカットオフによる代替的二分法は、癌タイプ全体にわたって及び癌タイプ内で、3つ全てのスコアについてOSとの統計的に有意な相関をもたらした。累積的に、これらの生存分析は、汎癌GAGスコアを使用して未検出になる患者が、より良好な予後を有し、腫瘍のステージ及び悪性度と独立した、より攻撃性の低い癌表現型を特徴とすることを示唆する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
【国際調査報告】