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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-16
(54)【発明の名称】基準バッファ
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/46 20060101AFI20240409BHJP
   H03M 1/08 20060101ALI20240409BHJP
   H03M 1/10 20060101ALI20240409BHJP
   H03H 17/06 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H03M1/46
H03M1/08 A
H03M1/10 A
H03H17/06 633Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566755
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-01-02
(86)【国際出願番号】 US2022026627
(87)【国際公開番号】W WO2022232334
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】17/245,940
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】サブ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラグフ ナンダン スリニヴァサ
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァス バンガロール セシャドリ
(72)【発明者】
【氏名】サウガタ ドゥッタ
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA02
5J022AB07
5J022BA02
5J022BA03
5J022BA06
5J022CA07
5J022CB01
5J022CB04
5J022CB07
5J022CE08
5J022CF01
5J022CF02
5J022CF03
5J022CF07
5J022CF08
(57)【要約】
基準電圧生成器(200)が、コンパレータ(225)と、デジタルアナログコンバータ(DAC)(255)と、スイッチドキャパシタアキュムレータ(160)とを含む。コンパレータは、基準電圧入力(144)、フィードバック入力(195)、及び制御信号(148)を受けとる。DACはコンパレータの出力に結合され、スイッチドキャパシタアキュムレータはDACの出力に結合される。幾つかの実装において、コンパレータの出力とDACの入力との間にデジタルフィルタが結合される。スイッチドキャパシタアキュムレータは、フィードバック入力と、アナログデジタルコンバータ(ADC)のための基準電圧(130)とを出力するバッファ(170)に結合され得る。幾つかの実装において、フィードバックループは、コンパレータの出力に結合されるN個の1ビットDACと、N個のスイッチドキャパシタアキュムレータとを含み、その各々は一意の1ビットDACに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧生成器であって、
基準電圧入力、フィードバック入力、制御信号入力、及び出力を有するコンパレータと、
前記コンパレータの前記出力に結合される入力と、出力と、を有する1ビットデジタルアナログコンバータ(DAC)と、
前記1ビットDACの前記出力に結合される入力と、前記コンパレータの前記フィードバック入力に結合される出力と、を有するスイッチドキャパシタアキュムレータと、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項2】
請求項1に記載の基準電圧生成器であって、前記制御信号入力がクロック入力である、基準電圧生成器。
【請求項3】
請求項1に記載の基準電圧生成器であって、前記スイッチドキャパシタアキュムレータが、
前記1ビットDACの前記出力と前記基準電圧生成器の前記出力とに結合されるスイッチと、
前記基準電圧生成器の前記出力と接地とに結合されるキャパシタと、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項4】
請求項1に記載の基準電圧生成器であって、前記コンパレータの前記出力と前記1ビットDACの前記入力との間に結合されるデジタルフィルタをさらに含む、基準電圧生成器。
【請求項5】
請求項1に記載の基準電圧生成器であって、前記制御信号が第1の制御信号であり、
前記1ビットDACが、
第1の供給電圧レールに結合され、第2の制御信号入力を有する第1のスイッチと、
前記第1のスイッチに結合され、前記コンパレータの前記出力に結合される入力を有する第2のスイッチと、
前記第2のスイッチに結合され、前記コンパレータの反転出力に結合される入力を有する第3のスイッチと、
前記第3のスイッチと第2の供給電圧レールとに結合され、前記第2の制御信号入力を有する第4のスイッチと、
前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチの間と接地とに結合されるサンプリングキャパシタと、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項6】
請求項1に記載の基準電圧生成器であって、前記制御信号が第1の制御信号であり、
前記1ビットDACが、
第1の供給電圧レールに結合される第1のスイッチ及び第2のスイッチであって、前記第1のスイッチが第2の制御信号入力を有し、前記第2のスイッチが第3の制御信号入力を有する、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチと、
前記コンパレータの前記出力に結合される入力を有する第3のスイッチ及び第4のスイッチであって、前記第3のスイッチが前記第1のスイッチに結合され、前記第4のスイッチが前記第2のスイッチに結合される、前記第3のスイッチ及び第4のスイッチと、
前記コンパレータの反転出力に結合される入力を有する第5のスイッチ及び第6のスイッチであって、前記第5のスイッチが前記第3のスイッチに結合され、前記第6のスイッチが前記第4のスイッチに結合される、前記第5のスイッチ及び第6のスイッチと、
第2の供給電圧レールに結合される第7のスイッチ及び第8のスイッチであって、前記第7のスイッチが前記第5のスイッチに結合され、前記第2の制御信号入力を有し、前記第8のスイッチが、前記第6のスイッチに結合され、前記第3の制御信号入力を有する、前記第7のスイッチ及び第8のスイッチと、
前記第3及び第5のスイッチと前記第4及び第6のスイッチとの間に結合され、前記1ビットDACの前記出力に結合されるサンプリングキャパシタと、
前記1ビットDACの前記出力に結合され、前記第2の制御信号入力を有する第9のスイッチと、
前記第9のスイッチに結合され、バイアス電圧入力を有するバッファと、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項7】
請求項1に記載の基準電圧生成器であって、前記基準電圧生成器がバッファに結合され、前記バッファが、アナログデジタルコンバータのための基準電圧と前記フィードバック入力とを有する、基準電圧生成器。
【請求項8】
装置であって、
基準電圧入力、フィードバック入力、第1の制御信号入力、及び出力を有するコンパレータと、
前記コンパレータの前記出力に結合され、第2の制御信号入力と出力とを有する第1のフィードバックループと、
前記第1のフィードバックループの前記出力に結合され、出力を有するバッファと、
前記基準電圧入力に結合される第1の入力と、前記バッファの前記出力に結合される第2の入力と、第3の制御信号入力と、前記フィードバック入力に結合される出力と、を有するセレクタ論理回路と、
前記コンパレータの前記出力に結合され、前記第3の制御信号入力と前記コンパレータのためのオフセット補正信号のための出力とを有する第2のフィードバックループと、
を含む、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記セレクタ論理回路が、前記基準電圧入力を出力するように構成され、前記第2のフィードバックループが、前記オフセット補正信号を出力するように構成され、一方で、前記第2の制御信号が論理高であり、前記第3の制御信号が論理低である、装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置であって、前記第1及び第2のフィードバックループの各々が、
前記コンパレータの前記出力に結合され、出力を有する、1ビットデジタルアナログコンバータ(DAC)と、
前記1ビットDACの前記出力に結合されるスイッチドキャパシタアキュムレータと、
を含む、装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記第1及び第2のフィードバックループのうちの少なくとも一方が、前記コンパレータの前記出力と前記1ビットDACの入力との間に結合されるデジタルフィルタをさらに含む、装置。
【請求項12】
請求項10に記載の装置であって、前記1ビットDACが、
第1の供給電圧レールに結合され、前記第2の制御信号入力を有する、第1のスイッチと、
前記第1のスイッチに結合され、前記コンパレータの前記出力に結合される入力を有する、第2のスイッチと、
前記第2のスイッチに結合され、前記コンパレータの反転出力に結合される入力を有する、第3のスイッチと、
前記第3のスイッチ及び第2の供給電圧レールに結合され、前記第2の制御信号入力を有する、第4のスイッチと、
前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチの間と接地とに結合されるサンプリングキャパシタと、
を含む、装置。
【請求項13】
請求項10に記載の装置であって、前記1ビットDACが、
第1の供給電圧レールに結合される第1のスイッチ及び第2のスイッチであって、前記第1のスイッチが前記第2の制御信号入力を有し、前記第2のスイッチが前記第3の制御信号入力を有する、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチと、
前記コンパレータの前記出力に結合される入力を有する第3のスイッチ及び第4のスイッチであって、前記第3のスイッチが前記第1のスイッチに結合され、前記第4のスイッチが前記第2のスイッチに結合される、前記第3のスイッチ及び第4のスイッチと、
前記コンパレータの反転出力に結合される入力を有する第5のスイッチ及び第6のスイッチであって、前記第5のスイッチが前記第3のスイッチに結合され、前記第6のスイッチが前記第4のスイッチに結合される、前記第5のスイッチ及び第6のスイッチと、
第2の供給電圧レールに結合される第7のスイッチ及び第8のスイッチであって、前記第7のスイッチが、前記第5のスイッチに結合され、前記第2の制御信号入力を有し、前記第8のスイッチが、前記第6のスイッチに結合され、前記第3の制御信号入力を有する、前記第7のスイッチ及び第8のスイッチと、
前記第3及び第5のスイッチと前記第4及び第6のスイッチとの間に結合され、前記1ビットDACの前記出力に結合されるサンプリングキャパシタと、
前記1ビットDACの出力に結合され、前記第2の制御信号入力を有する第9のスイッチと、
前記第9のスイッチに結合され、バイアス電圧入力を有するバッファと、
を含む、装置。
【請求項14】
請求項10に記載の装置であって、前記スイッチドキャパシタアキュムレータが、
前記1ビットDACの前記出力とそれぞれの1ビットデジタルフィードバックループの出力とに結合されるスイッチであって、前記第3の制御信号入力を有する前記スイッチと、
前記それぞれの1ビットデジタルフィードバックループの前記出力と接地とに結合されるキャパシタと、
を含む、装置。
【請求項15】
請求項8に記載の装置であって、アナログデジタルコンバータ(ADC)が前記装置を含み、前記装置の出力が、前記ADCに基準電位を提供するように構成される、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記ADCが逐次比較レジスタADCであり、前記装置の前記出力が、前記ADC内の少なくとも1つのキャパシタを充電するように構成される、装置。
【請求項17】
基準電圧生成器であって、
基準電圧入力、フィードバック入力、第1のクロック入力、及び出力を有するコンパレータと、
前記コンパレータの前記出力に結合され、第2のクロック入力と出力とを有する第1のフィードバックループと、
前記第1のフィードバックループの前記出力に結合され、第1の基準電圧出力を有する第1のバッファと、
前記コンパレータの前記出力に結合され、第3のクロック入力及び出力を有する第2のフィードバックループと、
前記第2のフィードバックループの前記出力に結合され、第2の基準電圧出力を有する第2のバッファと、
前記第1の基準電圧出力に結合される第1の入力と、前記第2の基準電圧出力に結合される第2の入力と、前記第1のクロック信号を受信するように構成される制御入力と、を有するセレクタ論理回路であって、前記フィードバック入力に結合される出力を有する、前記セレクタ論理回路と、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項18】
請求項17に記載の基準電圧生成器であって、前記第1のフィードバックループ及び前記第1のバッファが粗基準電圧生成器を含み、前記第2のフィードバックループ及び前記第2のバッファが微細基準電圧生成器を含む、基準電圧生成器。
【請求項19】
請求項17に記載の基準電圧生成器であって、さらに、
前記コンパレータの前記出力に結合されるN個のフィードバックループであって、各フィードバックループが、一意のクロック入力及び出力を有する、前記N個のフィードバックループと、
N個のバッファであって、各バッファが、前記N個のフィードバックループからの一意のフィードバックループの前記出力に結合され、各バッファが、一意の基準電圧出力を有する、前記N個のフィードバックループと、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項20】
請求項19に記載の基準電圧生成器であって、前記N個の固有クロック信号の周波数がN分周される、基準電圧生成器。
【請求項21】
請求項17に記載の基準電圧生成器であって、前記第1及び第2クロック信号が互いに反転されている、基準電圧生成器。
【請求項22】
請求項17に記載の基準電圧生成器であって、前記第1及び第2クロック信号の周波数が、前記制御信号の周波数の約半分に等しい、基準電圧生成器。
【請求項23】
請求項17に記載の基準電圧生成器であって、前記第1及び第2のフィードバックループが各々、
前記コンパレータの前記出力に結合され、出力を有する、1ビットデジタルアナログコンバータ(DAC)と、
前記1ビットDACの出力に結合されるスイッチドキャパシタアキュムレータと、
を含む、基準電圧生成器。
【請求項24】
請求項23に記載の基準電圧生成器であって、前記第1及び第2のフィードバックループのうちの少なくとも一方が、前記コンパレータの前記出力と前記1ビットDACの入力との間に結合されるデジタルフィルタをさらに含む、基準電圧生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
逐次比較レジスタ(SAR)アナログデジタルコンバータ(ADC)は、とりわけ、超音波及び他の医療用イメージングシステム、製造検査及び品質制御システム、並びに温度及び応力検知システムなどの、マルチチャネルデータ収集システムにおいて一般的である。SAR ADCでは、バッファによって出力される基準電圧が、HOLD又はCONVERT位相の間キャパシタを充電するために用いられ、これにより、一定値を維持するのではなく、基準電圧をディップ(dip)させることができる。基準バッファによっては、基準電圧のディップを補正するのを助け、レベル又はDC基準電圧を所望の精度で維持するために、誤差増幅器及びキャパシタを含むものがある。しかしながら、誤差増幅器及びキャパシタは、集積回路の大きな面積を占め、大量の電力を消費する。また、誤差増幅器は、過渡ディップを含む、基準電圧の時間平均値に基づいて、基準電圧のレベル又はDC値を調整する。過渡ディップは信号及び高調波成分を含むので、基準電圧の時間平均値に基づく基準電圧のレベル又はDC値に対する誤差増幅器の調整は、ADC出力に基本的誤差及び高調波誤差を導入し得る。
【発明の概要】
【0002】
フィードバックループが、コンパレータと、デジタルアナログコンバータ(DAC)と、スイッチドキャパシタキュムレータとを含む。コンパレータは、基準電圧入力のための第1の入力と、フィードバック入力のための第2の入力と、制御信号のための第3の入力とを有する。DACはコンパレータの出力に結合され、スイッチドキャパシタキュムレータはDACの出力に結合される。幾つかの実装において、コンパレータの出力とDACの入力との間にデジタルフィルタが結合される。幾つかの例において、フィードバックループは、フィードバック入力とアナログデジタルコンバータ(ADC)のための基準電圧とを出力するように構成されたバッファに結合される。
【0003】
幾つかの例において、複数のフィードバックループが共通のコンパレータを共有する。第1のフィードバックループが第2の制御信号を受信し、第2のフィードバックループが第3の制御信号を受信する。バッファが、第1のフィードバックループの出力に結合される。セレクタ論理回路が、基準電圧入力とバッファの出力とを受け取り、フィードバック入力を出力する。セレクタ論理回路の制御入力が、第2の制御信号を受信する。第2のフィードバックループは、コンパレータのためのオフセット補正信号を出力する。
【0004】
複数のフィードバックループが共通のコンパレータを共有する幾つかの実装において、第1のフィードバックループが第1のクロック信号を受信し、第2のフィードバックループが第2のクロック信号を受信する。第1のフィードバックループの出力に結合された第1のバッファが、第1の基準電圧出力を出力し、第2のフィードバックループの出力に結合された第2のバッファが、第2の基準電圧出力を出力する。セレクタ論理回路が、第1及び第2の基準電圧出力を受け取り、フィードバック入力を出力する。セレクタ論理回路の制御入力が、第1のクロック信号を受信する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
種々の例の詳細な説明のため、ここで添付の図面を参照する。
【0006】
図1A】アナログデジタルコンバータ(ADC)におけるSAMPLE及びCONVERT制御信号のグラフと、ADCに提供される基準電圧を図示する。
【0007】
図1B図1Aに示される基準電圧を提供するように構成された例示の基準電圧生成器を図示する。
【0008】
図2A】1ビットデジタルフィードバックループを有する基準電圧生成器を図示する。
【0009】
図2B図2Aに示す基準電圧生成器における制御信号のグラフである。
【0010】
図3】1ビットデジタルフィードバックループ及びバイアス電圧を有する基準電圧生成器を図示する。
【0011】
図4】1ビットデジタルフィードバックループ、バイアス電圧、及びデジタルフィルタを有する基準電圧生成器を図示する。
【0012】
図5A】複数の基準電圧出力のための共有コンパレータを有する基準電圧生成器を図示する。
【0013】
図5B図5Aに示す基準電圧生成器における制御信号と基準電圧のグラフである。
【0014】
図6A】オートゼロ化を伴う基準電圧生成器を図示する。
【0015】
図6B図6Aに示す基準電圧生成器における制御信号のグラフを図示する。
【0016】
図面において、同一の参照番号は同一又は類似の(機能及び/又は構造による)特徴を示すために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
記載されるデジタルフィードバックループは、コンパレータと、1ビットデジタルアナログコンバータ(DAC)と、スイッチドキャパシタキュムレータとを含む。幾つかの例の回路要素は、従来のアナログ誤差増幅器及びキャパシタよりも、占める面積が少なく、消費電力が少ない。また、フィードバックループはアナログではなくデジタルであるため、フィードバックループは、基準電圧の時間平均値ではなく基準電圧の整定値に基づいて、基準電圧出力を調整する。幾つかの例において、デジタルフィードバックループはさらに、コンパレータからのノイズを低減するためのデジタルフィルタと、直流(DC)利得を改善するためのバイアス電圧とを含む。
【0018】
図1Aは、アナログデジタルコンバータ(ADC)におけるSAMPLE及びCONVERT制御信号のグラフと、ADCに提供される基準電圧を図示する。制御信号SAMPLE 105と制御信号CONVERT110は、互いに対して反転されている。逐次比較レジスタ(SAR)ADCにおいて、基準バッファ出力REF_OUT130が、CONVERT位相の間キャパシタを充電し、これはREF_OUT130を一定に維持するのではなくディップさせることができる。
【0019】
従来の基準バッファには、REF_OUT130の時間平均VREF_AVERAGE 115を入力基準電圧にほぼ等しくなるように維持するものがある。REF_OUT130の整定値VREF_SETTLED 120は、入力基準電圧に等しくなく、SAR ADCに信号利得誤差及び高調波誤差を生じさせる信号及び高調波成分を含む。REF_OUT130における過渡ディップの影響を低減するために、動的誤差補正サイクルと呼ばれる付加的なSAR比較サイクルが、CONVERT位相の間挿入され得る。動的誤差補正サイクル
は、ADCのための基準電圧生成器が、時間平均VREF_AVERAGE 115ではなく、整定値VREF_SETTLED 120を、入力基準電圧に等しく設定することを可能にする。
【0020】
図1Bは、VREF_AVERAGE 115ではなくVREF_SETTLED 120の誤差を補正するデジタルフィードバックループ140を有する基準電圧生成器100を図示する。説明を容易にするために、基準電圧生成器100は、図1Aを参照して本明細書に記載され、低帯域幅で高利得のデジタルフィードバックループ140と、バッファ段170とを含む。デジタルフィードバックループ140は、高利得増幅器及びキャパシタを有するアナログフィードバックループよりも小さい面積(例えば、半導体基板上の面積)を有する。幾つかの例において、フィードバックループ140は、ADC150と、DAC155と、スイッチドキャパシタキュムレータ160と共に実装される。バッファ段170は、高速整定のための高帯域幅バッファ段であり、この例ではフリップされた電圧フォロワと共に実装されるが、任意の適切なバッファ段が用いられ得る。
【0021】
デジタルフィードバックループ140内のADC150は、任意の適切なタイプのADC又はマルチビットデジタイザーとすることができ、基準電圧入力VREF_IN 144、クロック入力LATP 148、及び基準フィードバック信号REF_FB 195を受信する。ADC150の出力は、SAMPLE 105も受信するDAC155に提供される。DAC155のアナログ出力は、スイッチ164と蓄積キャパシタCD 168とを含むスイッチドキャパシタキュムレータ160に提供される。スイッチ164の一方の端子は、スイッチドキャパシタアキュムレータ160の入力に結合され、スイッチ164は、CONVERT110によって制御される。キャパシタCD 168は、スイッチ164の他方の端子と共通電位(例えば接地)194との間に結合される。電圧VSTG1は、CD 168に統合されたデジタルフィードバックループ140の出力であり、バッファ段170の入力に供給される。
【0022】
バッファ段170は、この例ではフリップされた電圧フォロワであり、トランジスタM1~M2と、電流源175と、それぞれR1及びR2を有する2つの抵抗器180及び185と、静電容量Cを有するキャパシタ190とを含む。トランジスタM1~M2は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。M1~M2は、この例ではp型MOSFET(PMOS)である。他の例において、M1~M2のうちの1つ又は複数が、n型MOSFET(NMOS)又はバイポーラ接合トランジスタ(BJT)である。BJTは、ゲート端子に対応するベースと、MOSFETのドレイン端子及びソース端子に対応するコレクタ及びエミッタとを含む。BJTのベース、及びMOSFETのゲート端子は、制御入力とも呼ばれる。BJTのコレクタ及びエミッタ、及びMOSFETのドレイン及びソース端子は、電流端子とも呼ばれる。
【0023】
M1のソース端子が、供給電圧レールVDD 198(例えば、5ボルト)に結合され、M1のドレイン端子が、M2のソース端子に結合される。M2のドレイン端子及びM1のゲート端子が、電流源175の入力に結合され、これはさらに接地194に結合される。M2のゲート端子が、デジタルフィードバックループ140の出力に結合される。抵抗器180が、M1のドレイン端子及びM2のソース端子に結合される第1の端子と、基準電圧REF_OUT130を提供するように構成されたバッファ段170の出力に結合される第2の端子とを有する。
【0024】
抵抗器185が、バッファ段170の出力及び抵抗器180の第2の端子に結合される第1の端子と、キャパシタ190の第1の端子に結合される第2の端子とを有する。キャパシタ190の第2の端子が、接地194に結合される。基準フィードバック信号REF_FB 195は、M1のドレイン端子とM2のソース端子との間からADC150に出力され、基準電圧出力REF_OUT130は、バッファ段170からADCに出力される。
【0025】
M1及びM2は、アナログ増幅器として作用し、抵抗器180の第1の端子における電圧を、電圧VSTG1にM2の閾値電圧を加えたものにほぼ等しくする。電流源175の両端間の電圧が、M1を閉スイッチとして動作させ、M1を介して、抵抗器180及び185とキャパシタ190を介して電流が流れて、バッファ段170から出力基準電圧REF_OUT130を生成する。電圧VSTG1がM2の閾値電圧Vthよりも大きいことに応答して、M2は、閉スイッチとして作用する。M2が閉スイッチとして作用する間、M1を介する電流は、M2及び電流源175を介して、並びに抵抗器180及び185並びにキャパシタ190を介して流れ、出力基準電圧REF_OUT130の値が入力基準電圧VREF_IN 144に等しくなるように変化する。
【0026】
図2Aは、1ビットデジタルフィードバックループを有する基準電圧生成器200を図示する。説明を容易にするために、基準電圧生成器200は、図1A及び図1Bを参照して本明細書に記載され、コンパレータ225と、1ビットDAC255と、スイッチドキャパシタアキュムレータ160とを含む。DAC255は、この例示の実施例では1ビットDACであるが、任意の適切な数NのNビットDACを用いることができる。1ビットDACは、より大きい値のNビットDACと比較して、DAC255によって用いられる電力消費及び面積を低減する。また、1ビットDACは、図1Bに示されるADC150がコンパレータ225と共に実装されることを可能にする。コンパレータ225は、基準電圧入力VREF_IN 144、クロック入力LATP 148、及び基準フィードバック信号REF_FB 195を受信する。コンパレータ225は、第1の出力BIT及び反転出力BITZをDAC255に出力する。
【0027】
1ビットDAC255は、4つのスイッチ232、234、236、及び238と、サンプリングキャパシタCs240とを含む。スイッチ232は、供給電圧VDD(例えば5ボルト)を受け取るように構成される供給電圧レールに結合され、SAMPLE 105によって制御される。スイッチ234は、スイッチ232に結合され、コンパレータ225の第1の出力BITによって制御される。スイッチ236は、スイッチ234に結合され、コンパレータ225の反転出力BITZによって制御される。スイッチ238は、スイッチ236と、供給電圧VSS210(例えば-5ボルト)を受け取るように構成された供給電圧レールとに結合される。スイッチ238は、SAMPLE 105によって制御される。Cs240は、スイッチ234と236との間、及び共通電位(例えば、接地)194に結合される。スイッチドキャパシタアキュムレータ160は、1ビットDAC255の出力と、バッファ段170の入力とに結合される。バッファ段170は、基準フィードバック信号REF_FB 195及び出力基準電圧REF_OUT130を出力する。
【0028】
図2Bは、図2Aに示される基準電圧生成器200における制御信号SAMPLE 105、CONVERT 110、及びLATP 148のグラフを図示する。コンパレータ225は、クロック入力LATP 148によって示される時間に、基準電圧入力VREF_IN 144と基準フィードバック信号REF_FB 195との間の差を出力する。バッファ段170からの基準フィードバック信号REF_FB 195は、出力基準電圧REF_OUT 130を表す。クロック入力LATP 148は、コンパレータ225に、出力基準電圧REF_OUT 130を、それが整定値VREF_SETTLED 120に整定されるSAMPLE位相の間に一度サンプリングさせる。したがって、コンパレータ225は、時間平均値VREF_AVERAGE 115ではなく、基準電圧入力VREF_IN 144と整定値VREF_SETTLED 120との間の差分BITを出力する。
【0029】
コンパレータ225は、差分BITと差分BITの反転BITZとを出力する。例えば、コンパレータ225は、論理1の差分BITと論理0の反転BITZとを出力し、一方で、整定値VREF_SETTLED 120は、基準電圧入力VREF_IN 144より小さい。逆に、コンパレータ225は、論理0の差分BITと論理1の反転BITZとを出力し、一方で、整定値VREF_SETTLED 120は、基準電圧入力VREF_IN 144より大きい。
【0030】
1ビットDAC255内では、動作のSAMPLE位相の間、スイッチ232及び238が閉じている。LATP 148は、動作のSAMPLE位相の間、コンパレータ225にBIT及びBITZを出力させるように構成され、スイッチ234及び236は、それぞれ、BIT及びBITZの値に基づいて開閉して、供給電圧VDD 198又はVSS210のうちの一方をサンプリングキャパシタCs240に結合する。サンプリングキャパシタCs240は、動作のSAMPLE位相の間、VDD 198によって充電されるか又はVSS210によって放電される。
【0031】
動作のCONVERT位相の間、スイッチ232及び238は開いており、供給電圧VDD 198及びVSS210をサンプリングキャパシタCs240から切り離す。スイッチドキャパシタアキュムレータ160内のスイッチ164は閉じており、サンプリングキャパシタCs240を蓄積キャパシタCD 168に結合する。サンプリングキャパシタCs240からの電荷は、蓄積キャパシタCD 168に転送されて、デジタルフィードバックループ140の出力上の電圧VSTG1を調整する。
【0032】
コンパレータ225及び1ビットDAC255は、次のように表すことができる出力電流I 260を有するトランスコンダクタとして作用する。
ここで、σは、コンパレータノイズの標準偏差を表し、kは、コンパレータノイズのノイズ分布のタイプに関連する定数を表し、VSTEPは、1ビットDAC255によって生成される電圧ステップを表し、Fsは、ADCのサンプリング周波数を表す。VSTEPは、デジタルフィードバックループ140の出力上の供給電圧VDD 198とVSTG1との差である。
【0033】
VSTEPがVSTG1に依存しない場合、コンパレータ225の、DAC255との直流(DC)利得は非常に高くなり、その結果、DCオフセットが低くなる。しかしながら、VSTEPはVSTG1に依存するので、DC利得は低減され(例えば、約60dB)、それによってDC基準電圧精度が低減される。デジタルフィードバックループ140の出力上の電圧VSTG1は、バッファ段170に供給され、バッファ段170は、基準電圧REF_OUT 130及び基準フィードバック信号REF_FB 195を出力する。
【0034】
図3は、デジタルフィードバックループ140及びバイアス電圧を有する基準電圧生成器300を図示する。基準電圧生成器300は、図2Aに関して本明細書に記載される基準電圧生成器200と同様である。基準電圧生成器300は1ビットDAC355を含み、1ビットDAC355は、幾つかの例において低帯域幅の高利得段であり、スイッチ232、234、236、及び238に加えて、スイッチ332、334、336、338、及び360、及びバッファ340と、基準電圧生成器200内の1ビットDAC255に含まれるサンプリングキャパシタCs240とを含む。
【0035】
スイッチ332は、VDD 198を受け取るように構成される供給電圧レールに結合され、CONVERT 110によって制御される。スイッチ334は、スイッチ332に結合され、コンパレータ225の第1の出力BITによって制御される。スイッチ336は、スイッチ334に結合され、コンパレータ225の反転出力BITZによって制御される。スイッチ338は、スイッチ336と、VSS210を受け取るように構成された供給電圧レールとに結合される。スイッチ338はCONVERT 110によって制御される。キャパシタCs240の第1の端子が、スイッチ234と236との間と、スイッチ334と336との間とに結合され、キャパシタCs240の第2の端子が、スイッチドキャパシタアキュムレータ160に結合される。
【0036】
スイッチ360の一方の端子は、Cs240とスイッチ255との間に結合され、スイッチ360の他方の端子は、バッファ340の出力に結合される。スイッチ360はSAMPLE 105によって制御される。バッファ340は、デジタルフィードバックループ140によって設定されたVSTG1の値にほぼ等しいバイアス電圧VBIAS350を受け取るように構成される。動作のSAMPLE位相の間、スイッチ232、234、236、及び238は、図2A及び図2Bを参照して本明細書に記載されるように動作する。また、スイッチ360が閉じており、バイアス電圧VBIAS350をバッファ340からCs240の第2の端子に結合する。
【0037】
動作のCONVERT位相の間、スイッチ360は開いており、バッファ340をCs240の第2の端子から切り離す。スイッチ332及び338は閉じている。スイッチ334及び336は、それぞれ、BIT及びBITZの値に基づいて開閉して、供給電圧VDD 198又はVSS210のうちの一方をサンプリングキャパシタCs240に結合する。サンプリングキャパシタCs240は、動作のSAMPLE位相の間、スイッチ332を介してVDD 198によって充電されるか又はスイッチ338を介してVSS210によって放電される。
【0038】
図2Aに示される1ビットDAC255に対する1ビットDAC355の改変は、Cs240をバイアスし、VSTEG1からVSTEPを独立させる。基準電圧生成器300は、基準電圧生成器200と比較してDC精度を向上させる。基準電圧生成器300の安定性は、バッファ170の遅延をデジタル遅延より小さく保つことによって改善される。したがって、バッファ170の帯域幅は、帯域幅の反転がクロック周期よりもはるかに小さくなるように選択される。
【0039】
図4は、デジタルフィードバックループ140と、バイアス電圧と、デジタルフィルタとを有する基準電圧生成器400を図示する。基準電圧生成器400は、図3に関して本明細書で説明する基準電圧生成器300と同様であるが、コンパレータ225と電圧バイアスを備える1ビットDAC355との間に結合されたデジタルフィルタ410も含む。デジタルフィルタ410は、1ビットコンパレータ出力信号を帯域制限又はローパスフィルタリングして、コンパレータ225によって導入されるノイズ周波数を除外することができる。デジタルフィルタ410は、特定の実装のコンパレータノイズ及びノイズ要件を考慮に入れた任意の適切なデジタルフィルタとすることができる。
【0040】
例えば、デジタルフィルタ410は、M個のクロックサイクルにわたってコンパレータ出力信号を平均化する1ビットアキュムレータとすることができ、フィルタ出力は、1ビットDAC355をMクロックサイクルに1度トグルする。別の例において、デジタルフィルタ410は、N個のタップを有する有限インパルス応答フィルタとすることができる。デジタルフィルタ410は、高利得増幅器及びキャパシタを有する従来の基準バッファにおいてノイズを帯域制限するために用いられるキャパシタよりも、占める面積が少なく、より少ない電力を用いる。また、デジタルフィルタ410は、ノイズ伝達関数に対する微細制御を提供し、その結果、より良好なフィルタリングを提供する。
【0041】
図5Aは、複数の基準電圧出力REF_OUT1 130A及びREF_OUT2 130Bのための共有コンパレータ225を有する基準電圧生成器500を図示する。コンパレータ225の出力は、第1の信号チェーン540A及び第2の信号チェーン540Bに結合される。信号チェーン540A及び540Bの各々は、図5Aに示されるように、Dフリップフロップ505、並びに1ビットDAC及びスイッチドキャパシタアキュムレータ510を含む。幾つかの実装において、DAC及びアキュムレータ510はまた、図3に関して本明細書に記載されるような電圧バイアス、及び/又は図4に関して本明細書に記載されるようなデジタルフィルタを含む。この例では信号チェーン540A及び540BはDフリップフロップを含むが、SRラッチ等の任意の適切な回路を用いることができる。
【0042】
信号チェーン540Aにおいて、Dフリップフロップ505Aは、コンパレータ225から差分BIT出力を受け取り、SAMPLE1 105Aによって制御される。Dフリップフロップ505Aは、SAMPLE1 105A及びCONVERT1 110Aによって制御される、DAC及びアキュムレータ510AにBIT1及びBIT1Zを出力する。DAC及びアキュムレータ510Aの出力は、REF_OUT1 130Aを出力するバッファ170Aに提供される。信号チェーン540Bにおいて、Dフリップフロップ505Bは、コンパレータ225から差分BIT出力を受け取り、SAMPLE2 105Bによって制御される。Dフリップフロップ505Bは、BIT2及びBIT2ZをDAC及びアキュムレータ510Bに出力し、DAC及びアキュムレータ510Bは、SAMPLE2 105B及びCONVERT2 110Bによって制御される。DAC及びアキュムレータ510Bの出力は、REF_OUT2 130Bを出力するバッファ170Bに提供される。
【0043】
REF_OUT1 130A及びREF_OUT2 130Bは、ADC(図示せず)及びマルチプレクサ570に提供され、マルチプレクサ570は、SAMPLE1 105Aに基づいてREF_OUT1 130A又はREF_OUT2 130Bを選択的に出力する。この例ではマルチプレクサが用いられるが、任意の適切なセレクタ論理回路が用いられ得る。マルチプレクサ570の出力は、コンパレータ225に提供されるREF_FB 195である。
【0044】
幾つかのADCにおいて、複数の電圧基準が用いられ得る(例えば、初期判定のための基準電圧及び最終判定のための微細基準電圧)。複数の基準が用いられる場合、それらは整合されるべきであり、したがって、コンパレータ225は2つの基準生成器間で共有され得る。例えば、信号チェーン540B及びバッファ170Bは、最大のキャパシタが充電され、信号依存負荷電流の大部分が供給される、初期CONVERT段に用いられる粗い基準電圧のバッファであり得る。
【0045】
信号チェーン540A及びバッファ170Aは、主として信号に依存しない電流を供給するために動的誤差補正サイクル後の最終SAR判定のために用いられる微細基準電圧のバッファであり得る。共有コンパレータ225によって導入されるいかなる誤差も、DACとアキュムレータ510A及び510Bとが一致するように、REF_OUT1 130A及びREF_OUT2 130Bの両方に存在する。この例では2つの基準電圧出力チェーンのみが示されているが、任意の適切な数を用いることができる。
【0046】
図5Bは、図5Aに示す基準電圧生成器500の制御信号のグラフを示す。ここでは、説明を容易にするために、SAMPLE1 105A及びSAMPLE2 105Bが2つの固有の制御信号として示されている。他の実装において、単一の制御信号SAMPLEが用いられ、信号チェーン540A及び540Bは、代替のSAMPLE位相上で動作する。同様に、CONVERT1 110A及びCONVERT2110Bは、説明を容易にするために、ここでは2つの固有の制御信号として示される。他の実装において、単一の制御信号CONVERT1 10が用いられ、信号チェーン540A及び540Bは、代替のCONVERT位相上で動作する。LATP 148は、LATP 148の論理高がSAMPLE1 105A及びSAMPLE2 105Bの論理高の間に生じるように構成され、コンパレータ225は、マルチプレクサ570からのREF_OUT1 130A及びREF_OUT2 130B出力の整定値をサンプリングする。
【0047】
マルチプレクサ570及びコンパレータ225は、代替のSAMPLE位相上でREF_OUT1 130A及びREF_OUT2 130Bをサンプリングし、2つの基準出力チェーン540A及び540Bを独立して調整するために用いられ得る。例えば、CONVERT1 110Aが論理高であり、SAMPLE1 105Aが論理低である間の動作の第1のCONVERT位相において、マルチプレクサ570がREF_OUT1 130Aをフィードバック信号REF_FB 195として出力する。コンパレータ225は、トリガ信号LATP 148に基づいてREF_OUT1 130Aをサンプリングし、DAC及びアキュムレータ510Aの出力においてVSTG1の値を調整する。REF_OUT2 130Bは、粗い基準電圧として出力される。CONVERT2110Bが論理高である間の第2のCONVERT動作位相において、SAMPLE2 105Bは論理低であり、SAMPLE1 105Aは論理低であり、マルチプレクサ570は、REF_OUT2 130Bをフィードバック信号REF_FB 195として出力する。コンパレータ225は、トリガ信号LATP 148に基づいてREF_OUT2 130Bをサンプリングし、DAC及びアキュムレータ510Bの出力においてVSTG2の値を調整する。REF_OUT1 130Aは、微細基準電圧として出力される。
【0048】
図6Aは、オートゼロ化能力を備える基準電圧生成器600を図示する。したがって、基準電圧生成器600は、コンパレータ225の入力を短絡し、コンパレータ225のための電圧オフセットVCTRL_OFFSET630を生成することによって、温度の変化などによるコンパレータドリフトを補償することができる。共有コンパレータ225の出力は、第1の信号チェーン640A及び第2の信号チェーン640Bに結合される。信号チェーン640A及び640Bの各々は、図2Aに示されるように、Dフリップフロップ605と、DAC及びスイッチドキャパシタアキュムレータ610とを含む。幾つかの実装において、DAC及びアキュムレータ610はまた、図3に関して本明細書に記載されるような電圧バイアス及び/又は図4に関して本明細書に記載されるようなデジタルフィルタを含む。
【0049】
信号チェーン640Aは、コンパレータドリフトを補償するために、制御信号VCTRL_OFFSET630をコンパレータ225に出力する。信号チェーン640Bの出力は、基準電圧REF_OUT130をADC(図示せず)及びマルチプレクサ650に出力するバッファ170に提供される。マルチプレクサ650は、SAMPLE1 105Aに基づいて、REF_OUT130又はVREF_IN 144を選択的に出力する。この例ではマルチプレクサが用いられるが、任意の適切なセレクタ論理回路が用いられ得る。マルチプレクサ650の出力は、コンパレータ225に提供されるREF_FB 195である。基準電圧生成器600は、図5Bを参照して本明細書で説明した基準電圧生成器500の動作と同様に動作するが、信号チェーン540A及びバッファ170AがREF出力130Aを出力する代わりに、信号チェーン640Aの出力が、コンパレータドリフトを補償するための制御信号としてコンパレータ225に提供される。
【0050】
コンパレータ225は、コンパレータ入力の両方がVREF_IN 144を受け取り、信号チェーン640Aがオフセット補正電圧VCTRL_OFFSET630を生成するSAMPLE位相の間、オートゼロ化され得る。コンパレータ225は、アナログ誤差増幅器をオートゼロ化するために用いられるマイクロ秒と比較して、約1ナノ秒でオートゼロ化され得る。コンパレータをオートゼロにすることで位相ノイズが低減される。また、コンパレータ225の帯域幅は、熱的ノイズの寄与を低減するために、オートゼロ化位相の間、動的に変更され得るか又は複数のコンパレータ判定が成され得る。
【0051】
本記載において、「結合する」という用語は、本記載と一貫する機能的関係を可能にする直接的及び間接的な接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAがデバイスBを制御して或る行為を行うための信号を生成する場合、(A)第1の例において、デバイスAは直接接続によってデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を変更しない場合に、デバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合されて、デバイスBは、デバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAによって制御される。
【0052】
本記載における「接地電圧電位」という語句の使用は、シャーシ接地、アース接地、浮遊接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は本記載の教示に適用可能であるか又はそれに適した任意の他の形態の接地接続を含む。特に明記しない限り、「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10%を意味する。
【0053】
本記載で用いられる場合、用語「端子」、「ノード」、「相互接続」、及び「ピン」は、互換的に用いられる。特に断りのない限り、これらの用語は概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又は他の電子機器若しくは半導体構成要素の間の相互接続、又はそれらの終端を意味するために用いられる。
【0054】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】